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1996-03-01 第136回国会 衆議院 予算委員会第八分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年三月一日(金曜日)     午前十時二分開議 出席分科員   主 査 伊藤 公介君       江藤 隆美君    岸本 光造君       石田 勝之君    太田 昭宏君       山本 幸三君    兼務 赤松 正雄君 兼務 川島  實君    兼務 坂上 富男君 兼務 畠山健治郎君    兼務 三野 優美君 兼務 田中  甲君    兼務 東中 光雄君  出席国務大臣         建 設 大 臣 中尾 栄一君  出席政府委員         建設大臣官房長 伴   襄君         建設大臣官房総         務審議官    小野 邦久君         建設省建設経済         局長      小鷲  茂君         建設省都市局長 近藤 茂夫君         建設省河川局長 松田 芳夫君         建設省道路局長 橋本鋼太郎君         建設省住宅局長 梅野捷一郎君  分科員外出席者         国土庁計画・調         整局計画課長  浜野  潤君         大蔵省主計局主         計官      村瀬 吉彦君         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課浄化槽         対策室長    本田 清隆君         厚生省社会・援         護局保護課長  西沢 英雄君         建設大臣官房会         計課長     風岡 典之君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  荒田  建君         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ————————————— 分科員の異動 三月一日  辞任         補欠選任   村岡 兼造君     岸本 光造君   石田 勝之君     山本 幸三君 同日  辞任         補欠選任   岸本 光造君     安倍 晋三君   山本 幸三君     太田 昭宏君 同日  辞任         補欠選任   安倍 晋三君     村岡 兼造君   太田 昭宏君     石田 勝之君 同日  第三分科員川島實君、第四分科員三野優美君、  田中甲君、第五分科員畠山健治郎君、第六分科  員坂上富男君、第七分科員赤松正雄君及び東中  光雄君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成八年度一般会計予算  平成八年度特別会計予算  平成八年度政府関係機関予算  (建設省所管)      ————◇—————
  2. 伊藤公介

    伊藤主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。  平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算及び平成八年度政府関係機関予算建設省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。畠山健治郎君。
  3. 畠山健治郎

    畠山分科員 まず最初にお伺いをいたしたいのは、大変不幸な出来事が連続起こっております。雲仙・普賢岳の火山災害、昨年は阪神淡路の大災害、続きまして、不幸にしてことしもまた豊浜トンネル災害が起こってしまいました。今度は一体何が起こるのかという危惧が率直に言ってあるわけであります。  現在、東京以西から見ますと、降水量が大変少ない。ダム貯水量が現在六割とも言われておるような状況でございまして、一部給水制限をなさっておるところもあるやに承っております。原因は定かでないとは思いますけれども、確かに異常気象一つだというふうに言わざるを得ないと思っております。そうはいっても、日本における年間降水量というのは大体千六百とも千八百とも言われ、相前後してその辺だというふうに思っております。今少なかった分というのはどこかに集中して来るのではないだろうかというふうに言わざるを得ないと思うのです。  一方、周りを見てみますと、このとおり山は荒れ放題、原因は、言ってみれば国産材の価格の低迷、あるいは労働者の数が少ない、あるいは高齢化がどんどん進んでいる、思うように手がつかない、こういう状況が起こっております。それと同時に、米余り現象ということで、生産調整を余儀なくされておる、水田の機能を果たしておらない。そういうことからすると、降った雨が一挙に、周り貯水能力を失っておるわけですから、年間千八百降る、今は少ない、いつか一挙にどんと来たら、次に何が起こるだろう。これは、やはり洪水心配が一番大きいのではないだろうか、こう言わざるを得ないと思うのです。  そういうことから、今からひとつないがしろにしないで、洪水災害に対する備えは本当に果たしてこれでいいだろうかということをあらかじめきっちりと把握してもらわなければ、特に、危険箇所なんて何万件と今数えられてあるわけですから、その再点検をきっちりとまずやってもらわなければいけないのではないだろうか。特に、危ないというところについては、災害が起こったから復旧工事だなんということではなくて、やはりこの際思い切って、今までの災害の教訓を生かしてやってもらわなければいけないのではないだろうかというふうに思われるわけであります。  特に、平成八年は八次治水の五カ年の最終年次に当たるようでございます。ぜひひとつこれはきっちりとやってもらわなければいけないと思いますし、それから九次治水計画は一体どうなっているのか、どんな決意で臨もうとしているのか、その辺のところをまずお尋ねをいたしたいと思います。
  4. 松田芳夫

    松田政府委員 水害から国民生命財産を守り、生活に不可欠な用水確保する治水事業は、真に豊かさを実感できる安全な社会を実現するための前提条件でございまして、国づくり基本であることから、建設省といたしましても従来からその推進に鋭意努力してきたところであります。  しかしながら、昨年七月には、梅雨前線豪雨ということで、長野県の北部とか新潟県等でかなり局地的な激甚な災害がございましたし、また一昨年、平成六年には、全国的な渇水被害ということで、関東以西地域での渇水被害が大きかったわけであります。それから現在も、昨年の秋以降の少雨傾向で、神奈川県とか関東平野を中心に一部地域渇水心配がなされておりますけれども、こういった洪水あるいは渇水災害に見られますように、今なお国民が安心して生活できるという状況にはないように判断しております。  また、気になりますことは、異常気象というのでありましょうか、近年、アメリカとかオーストラリアとか、あるいは東南アジア、あるいは中国、あるいはお隣の韓国、あるいは北朝鮮など、海外で随分と洪水のニュースが伝わってまいります。幸い日本では、ここ一、二年水害の方では局地的な範囲にとどまっておりますが、油断はできないと思っております。  このため、現在、第八次治水事業五カ年計画に基づき、激甚な災害を受けた地域での再度災害防止や恒常的な床上浸水を解消する床上浸水対策、あるいは渇水頻発地域におけるダム建設などを重点として事業推進を図ってきたところでありますが、一方で、近年、都市域過密化等から、河川の水質の改善とか自然環境の保全など環境面への国民期待も高まる一方であります。  平成九年度を初年度とする次期の五カ年計画については、現在河川審議会におきまして「二十一世紀社会を展望した今後の河川整備基本的方向」ということについて審議をいただいているところであります。私どもといたしましても、二十一世紀へ向けて、災害のない、そして生活基本となる用水確保した上で、自然環境や景観、あるいは舟運の復活など河川利用面にも意を注いだ、国民期待にこたえる豊かな川づくりを目指していきたいと考えているところでありまして、今後の審議会の答申を踏まえて新しい計画を取りまとめていくこととしております。
  5. 畠山健治郎

    畠山分科員 そこで、くどいようですけれども、従前の物差しで危険箇所を見るというようなことじゃ当てはまらないと思うのですね、さっき申し上げましたように。山は荒れておるし、田んぼ田んぼですしね。したがって、降った水がばっと鉄砲水みたいに出てくる可能性は、以前とは違ってそういう危険性が十分あると思うのです。そういう観点でもう一遍危険と思われることは見直してもらわなければ、大変な事態が起こるんじゃないだろうかというふうに思うので、その辺のところをもうちょっと説明していただきたい。
  6. 松田芳夫

    松田政府委員 洪水が出てきたところにどういうところから洪水被害が起こるか、はんらんが起こるかというようなことは、これは歴史が長いことでもございますのでかなり基礎的なデータ把握しておるつもりであります。しかし近年、がけの下とか山の斜面とか人間の生活空間が膨張してきて、かつては人が余りお住みにならなかったような地域にも宅地といいますか、都市化傾向があって、集中豪雨等で土砂崩れで人が亡くなったり、家屋がつぶれたりというような事件が頻発しております。そういった意味で、河川局といたしましても、土砂災害に関する危険区域ということの把握には、治水面の、いわゆる洪水対策面データ把握に比べるとやはり不十分なところがございますので、これは近年点検に意を注いでいるところであります。  それから、昨年の阪神淡路大震災でも明らかになりましたけれども、大河川下流部軟弱地盤地帯においては、通称ゼロメートル地帯というような海面の高さより低いような土地がございます。そういった土地は従来からも豪雨によって内水浸水被害等が発生するということは十分意識しておったのでありますが、そういった土地地震等で揺さぶられますと河川の堤防が流動化現象によって崩れ落ちるというようなことも、昨年の地震淀川流域でそういった現象も確認されております。  そういったことから、軟弱地盤地帯における治水上の観点からのチェックというようなことも必要になりまして、私どもも急遽そういった対策を今検討しているところであります。
  7. 畠山健治郎

    畠山分科員 ぜひひとつそういう観点で、新たな観点でひとつ点検を急いでいただきたいことを重ねてお願いを申し上げたいと思います。  続きまして、ダム関係について少しお尋ねをいたしたいと思います。  豪雨災害から住民生命財産を守る、あるいは安全で安心できる生活用水確保する、また農業、工業用水を安定的に確保するために、ダム役割は極めて大きいわけであります。しかし反面、過剰とも思われる期待感があるのではないだろうかというふうに思わざるを得ないような問題もないではないと思っております。そういうことから、最近、特に環境破壊に通ずる問題としてダムの見直し等々が求められておることも、御案内のとおりかと思っております。  しかも、ダムをつくってほしいというような要請、さっき申し上げましたように、いろいろな意味から強い要請がたくさん出てきておるわけでありますけれども、どうも一つ一つ点検をしてみますと、多目的ダムにすれば予算がつけやすいというようなことで、かなり無理な多目的化を図って要求が出てきておるということも否定のできない事実、部分もあるというふうに思っております。現に、さあダムはできたわ、多目的のための役割を本当に果たしているのかというと、危なっかしい、先行投資はしたけれども、水は売れない、頭を抱えておるというような問題もなきにしもあらず、そういう状況にあろうかと思います。  そういう立場から、ダムは必要ですけれども、今申し上げました環境問題、本当に大丈夫なのか、あるいは多目的は本当に大丈夫なのかという問題の点検をきっちりやってからやってもらわなければいけないというふうに思うのです。それらの点について、今までの対応とこれからの対応についてお考えを承りたいと思います。
  8. 松田芳夫

    松田政府委員 今委員からダム事業の進め方についていろいろと御意見がございまして、そのうち幾つか御説明申し上げたいと思うのでありますが、まずダム多目的についていろいろ議論があるのではないかというお話が一番目にはあったかと思います。  日本ダムは、現在のところほとんどが多目的ダムということで、夏の出水期洪水期には洪水の調節を行う、そのほかの季節には各種用水を供給するためにダムにためておいた水を利水目的に使うということで、治水利水両面にわたる多目的ダムということで一般的に計画されてございます。それで、我が国の気候、気象状況とか、特に夏に洪水が多いというような特性を考えますと、この方法が一般論としては一番よろしいのではないかと考えておりますが、最近特に御批判が世間でございますのは、利水上の、特に用水確保利水上のダム目的産業経済活動停滞等によりかなり先行投資になっているのではないかというようなお話がございます。  しかし、ダム事業というのはかなり地域影響を及ぼす大事業でございますので、一般的に数年でつくるというわけにもまいりません。やはり、これは最近、逆に長過ぎるのではないかということで各方面から御批判を受けているようなところでありますが、ダム建設に二十年あるいはそれ以上かかるというような実態からいたしますと、その利水上の長期的な物の見方というのはかなり先を読んだ上での仕事かと考えております。  ですから、その時々の経済情勢で水が余っている、足りないという即断は、というよりは、やはり長期的な資源確保という観点からなされるべきというふうに考えてございますので、計画をその時々に入念にチェックすることは必要かと思いますけれども多目的ダムの本質が失われたとまでは現在のところ考えてございません。  それから、地域の問題で少しお話しさせていただきますと、あと、最近ダム事業関係いたしまして環境面の問題が非常に話題になってございますが、これは事前に環境影響評価実施要綱に基づきまして必要な調査予測及び評価、いわゆる環境アセスメントということを十分に実施いたしまして、あるいはできるだけ環境に与える影響を少なくしようというようなことで実施してございますし、またそういう影響を及ぼすような場合には必要な対策も講ずるというような環境面チェックも入念に行っております。  それからもう一つダム事業問題点は、そのダムをつくることによって便益を受ける方々と、そのダムをつくることによって水没あるいは移転を余儀なくされるというマイナスの方の影響を受ける方とが違うところにいらっしゃる。山の奥の方にダムをつくって、その地元の方だけは迷惑だけをして、そのダムによって洪水を防がれて水を確保できるというのは下流の方というようなことで、地域間の利害のアンバランスが非常に大きい。それからまた、小さい山村をそっくり水没させてしまうというようなこともございまして、非常に議論が多いところでありますが、このような問題に関しましても、最近はダム審議委員会というような組織をつくって、地域社会のいろいろな御意見を伺いながら、みんなが納得のいくようなダムづくりをしたいというような試みもやっておるようなところであります。
  9. 畠山健治郎

    畠山分科員 直轄ダムについてのアセスは、これは当然といえば当然かというふうに思っておりますけれども補助ダムにつきましてもやはり十分細かな配慮をしていただく手だてをぜひひとりやっていただきたい、このことを要望しておきたいと思います。  次に、少し次元の低い話で申しわけないですけれども道路局長にひとつお尋ねをいたしたいと思います。  国のお仕事ですから、細かな点まではなかなか行き届いてはいらっしゃらないかと思いますけれどもトンネルが一本あれば自治体行政サービスはまるっきり変わってしまう、あるいは橋梁一つあればまるっきり環境が変わってしまうなどというような部分がたくさんあるわけです。特に今、地方分権時代で、受け皿としての市町村あり方などがいろいろな面で問われておる時期でございます。そんなときであればこそ、トンネル一本、橋梁一つ、これがあれば、単なる経済効果だけではなくて、自治体行政があるいは地域経済が一変するというような部分がいっぱいあるわけであります。だから、むだな先行投資などと言わずに、そういう部分を十分ひとつ御配慮をしていただいて地方道対応をしてもらわなければいけないのではないだろうか。そのことが、道路問題だけではなしに、日本行政全体をレベルアップすることができるんだ、そういう観点でぜひひとつ見直していただきたい、あるいは地方道に対する強力な御支援お願いを申し上げたい、これがまず第一でございます。
  10. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 地方道整備に対する要望は極めて強いものがございます。これらを効率的に、合理的に整備していくためには、重点化が必要だと思います。そういう意味で、地方道整備につきましては、例えば、この地域でも計画されているような大館能代空港に関連するような、他の事業に関連するような道路整備重点化していく、あるいは、先ほど委員からも御指摘ありましたように、地域連携を強化していくためにどうしても必要なトンネル橋梁、こういうものを重点的に整備していってはどうかというような点で、重点化を進め、効率化を目指しているところでございます。  平成六年度に、交流ふれあいトンネル橋梁整備事業、こういうものを創設いたしましたが、これは、地形的な制約により相互の交流がおくれている都道府県間あるいは市町村間、これらを連絡する路線において、大規模トンネル橋梁を含む事業重点的に早期に整備しよう、こういうものでございます。特に、交通不能区間であるとか、あるいは通行が規制されているような区間、安全な通行ができていないような路線について、この制度を適用することによりまして、広域的な地域連携強化あるいは通勤通学あるいはさらに高度な医療ネットワーク、こういうものが拡充されるのではないかということで、平成六年以来鋭意進めているところでございます。  この整備によりまして地域連携がますます図られる、このように考えておりますので、今後ともこういう事業について重点的に進めてまいりたいと考えております。
  11. 畠山健治郎

    畠山分科員 今局長お話にもありました大館能代空港平成十年の開港を目指して、当初予定は十月だったようですけれども日本ジャンボリーがそばで開催されるというようなことから、七月開港を目指して今一生懸命頑張っていただいております。それにアクセスする道路工事についても、鋭意、今、県工事を頑張っていただいておるところでございますが、そういう目立つ部分だけでなしに、市町村、細かな部分でも、この線が一本あればというような部分がいっぱい出てくるわけですよね。ぜひひとつ、そういう細かな面にも目配りをしていただいて、御支援を賜りますように、まずお願いを申し上げたいと思います。  それから、いま一つには、日本海沿岸自動車道でありますけれども、肝心の空港周辺の前と後ろがまだ予定路線でありまして、本当に立ちおくれて、私の地元からすると、今逃したら一体どうなるのという不満がいっぱい残っているわけであります。この問題について、一体どうなっているのかというような経緯も含めて、差し支えなかったら、ぜひひとつお知らせいただきたいというふうに思います。
  12. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 日本海沿岸自動車道につきましては、現在、それぞれ整備計画が策定されているところ、あるいは直轄事業整備を進めているところ、いろいろな段階があるわけでありますが、御指摘の大館能代空港に関連する区間二ツ井町から大館の間につきましては、予定路線になっております。  これにつきましても、現在、能代の方から二ツ井町について事業を進めている、あるいは大館市内でも高規格道路としての整備を促進しているという観点から、両側からそれぞれ事業を進めているわけでありますが、この残された区間につきましては、先ほど申し上げましたとおり、空港関連として極めて重要な区間考えております。そういう意味で、現在予定路線でありますので、次のステップとしては基本計画区間にしていくというようなことが必要であります。そういう意味で、現在、この大館能代空港とのアクセス性等考えながら、ルートあるいは構造あるいはインターチェンジの位置をどこにするかというようなことの調査を進めております。調査がまとまり次第、次のステップに進んでまいりたいと考えております。
  13. 畠山健治郎

    畠山分科員 開港が迫っておるわけでありますから、ぜひひとつ急いでいただきますように、重ねてお願いを申し上げたいと存じます。  最後になりますが、大臣、恐縮でございますが、先月の二十七日に記者会見をなされたようでございますが、地方分権につきまして、大臣の御発言、ペーパーで読ませていただきました。それぞれの事情は違うし、やはり国は国としての責任がある、だから拙速にやってはいけないのだというふうな内容の御発言のようでございます。  大臣案内のとおり、衆参両院地方分権推進に関する決議を上げて、そういう経過を踏まえて、去年の五月、地方分権推進法が成立をしたわけであります。それに基づきまして、今鋭意地方分権推進委員会審議をしていただいておる最中なわけであります。法律ができて、その法律に基づいて今具体的に進んでおるわけでありますから、この機に至って拙速はよくないというようなことは、一体どんなことを大臣はお考えだろうか、そう率直に思っております。もう少しこの中身をお知らせいただければありがたいと思います。
  14. 中尾栄一

    中尾国務大臣 これは誤解があってはなりませんから、多少細かく申し上げさせていただきます。  建設行政におきます地方分権推進に当たりまして、国は、一つとしては、全国的な規模、視点で行うべき施策や事業実施、あるいはまた、第二点といたしましては、全国統一基本ルールに関する事務などの国が本来果たすべき役割重点的に担うということとともに、住民に最も身近な行政というものは地方公共団体が担う形で、国と地方が適切な役割責任分担のもとに、協力し合いながら住宅社会資本整備を進めていくことが極めて重要であると考えておるわけでございまし て、こうした趣旨をさきの建設委員会における所信表明の中でも私は触れておるつもりでございます。  ただ、先日の記者会見、今思い出してみますると、そのような質問もございましたが、地方分権を重要な課題としてとらえた上で、今申し上げましたような観点から、個別具体事務ごと十分議論を尽くして検討することが不可欠ではないかとの考え方を申し述べたわけでございまして、地方分権に消極的であるということでは全くありません。  現在、地方分権推進委員会におきまして、三月の中間報告がなされるべく、それに向けていろいろな闊達な論議が繰り返されておるわけでございますが、またそのように伺っておるわけでございますけれども、個々の事務執行体制あり方につきましては、十分かつ有意義な論議を尽くしていただきますように、またそのような議論が闊達に交わされていただきますように私の方からも期待をしておる、このように了解願いたいと思う次第でございます。
  15. 畠山健治郎

    畠山分科員 最後になりますが、本当に毎日のマスコミをにぎわしておるものの一つ官官接待がございますよね。この官官接待をどう受けとめたらいいのかといったら、やはり国対地方公共団体というのは上下の関係だというふうに言わざるを得ない中身だというふうに言ってよろしいかと思います。そういう認識の上で地方分権と言ってもしょせん限界がある。やはり国は国だ、こういうことになってしまったら地方分権は一向に進んでいかない。  大臣おっしゃるように、全国の統一したルールが必要だ、それはよくわかります。それはそれなりに法律でちゃんとつくっていただいて、具体的な仕事は身近なところでやっていただくということがやはり一番正しいと思いますから、そういう意味できっちりと整理をして、何でもかんでも中央集権だというのではなくて、本当に時代が変わっているわけでありますから、変わっている時代にふさわしい役割分担を果たしていただくように、ぜひひとつ特段の御理解と御協力を賜りますようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  16. 伊藤公介

    伊藤主査 これにて畠山健治郎君の質疑は終了いたしました。  次に、岸本光造君。
  17. 岸本光造

    岸本分科員 予算分科会地方の問題をお伺いしていいということでございます。  自由民主党の岸本光造ですが、私は和歌山でございますので、和歌山県北部の問題を中心に幾つか質問を申し上げたいと存じます。  御存じのように、道路は、和歌山県のように県自身が半島であるという辺境の地にありましては大変重要な動脈でございまして、県勢浮上のためには不可欠でございます。そういう意味で、和歌山県の北部、京都、奈良、和歌山から四国、九州に向かっての路線一つとして京奈和自動車道が構想をされて事業化されておるところでございますが、和歌山県に入ってまいりますと、この京奈和自動車道が三つの部分に分かれます。一つは橋本市から高野口町に至る十一・三キロの橋本道路、それから高野口町から打田町に至る十六・九キロの紀北東道路、それから打田町から和歌山市に至る紀北西道路、十四キロでございます。この三つの部分から和歌山県下の京奈和自動車道は成り立っております。  一番初めに申しました橋本道路、十一・三キロでございますが、これが平成元年度事業化されて、ただいまは用地買収中でございます。ところが、用地買収にかかってはや十年近くになるでしょうか、なかなか立ち上がってこない。もう橋本市の市民はいら立っておりまして、する、すると言いながら一向もせぬやないか、毎年選挙に出る市会議員、県会議員、市長さんあるいはそのほかの議員は選挙に出るたびに京奈和、京奈和と言ってるけれども、もう十年たっても、十年たちますともう三回選挙するわけですからね、三回選挙していても一向も出てこないやないか、あいつら言うのは公約うそばかりや、こういうことに現場ではなってきております。  したがいまして、この橋本道路、特段の配慮をいただいて用地買収を進めていただいておるとは思うのですが、あとどれくらいで工事に着工できるのかは、それはもうことしからでも、八年度からでも私はしてほしいと思うのです。そういう見通し、できるかどうか。  それから紀北東道路の方ですが、これは平成五年度に事業化されまして、ただいま都計決定に向けて調査中と伺っております。これも大至急決定をお願いし、事業化していただきたい、こう思います。  それから紀北西道路、これは平成九年ごろあるいは十年ごろ事業化かという話が流れておりますが、これもできるだけ事業化を早くして、そして全体の計画がつながるようにお願いをしていきたい。  この構想についての答弁をいただきたいと思います。
  18. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 御指摘の京奈和自動車道でございますが、京都、奈良、和歌山を結ぶという極めて重要な幹線道路であります。全延長百二十キロございます。和歌山県におきましては、この紀勢線、阪和自動車道とこの京奈和自動車道が根幹的なネットワークを形成する極めて重要な路線考えております。  この京奈和自動車道につきましては、一般国道の自動車専用道路として順次整備することとしておりまして、先ほども御指摘ありましたとおり、橋本道路、紀北東道路、これらについては現在事業を進めているところであります。  その中で、橋本道路につきましては、国道二十四号の橋本市内が大変交通渋滞をしておるということもございます。全体十一キロの事業平成元年度より進めております。平成三年度には奈良県側の五條道路に接続する側から用地買収に着手をし、鋭意推進してきております。平成七年度におきましては、さらに橋本市の真土地区の用地買収を完了させる、あるいは橋本市内の垂井地区とか中島地区についても用地買収を今推進しているところであります。しかし、なかなか事業費の確保が十分であるというところまでいっておりません。その点は先生御指摘のとおりだと思います。  今後は、例えば平成八年度予算におきましても、高規格幹線道路、これは一般道路の分でありますが、一・二〇、二〇%という高い伸び率を確保しておりますので、その中でぜひこういう橋本道路みたいなところが重点的に投資ができるように事業の展開を図ってまいりたいと思います。  さらに、工事の展開、工事の着手についての御質問でございますが、これにつきましては、もう少しこの用地買収を進めるということが先決と考えております。そういう意味で、ぜひ用地買収に従来にも増して努力をしていきたいと考えております。  それから次の紀北東道路でございますが、これにつきましては、橋本道路に続く高野口町から打田町間十七キロの区間でございます。平成五年度に事業に着手しております。平成八年度には都市計画の決定の手続を開始する、こういう予定にしておりますが、ぜひ平成八年度中に都市計画を終え、さらに、できれば地元協議あるいは現地の測量、こういうものに入ってまいりたいと思います。  いずれにいたしましても、地元の皆様方の御協力が必要であります。その点もよろしくお願いしたいと思います。  次の紀北西道路でございます。これは先ほど御説明いたしました紀北東道路、これに接続する分でありまして、阪和自動車道までの間十四キロの道路でございます。この地域には南麓サイエンスパーク等の開発計画、あるいは現道であります国道二十四号に田井の瀬交差点その他の渋滞ポイントがたくさんあります。そういう意味では極めて早期に事業化をする必要がある区間と認識しております。  その中で、現在、阪和自動車道とのジャンクションの位置、構造、こういうものを慎重に調査検討しておりますので、これらの成果を踏まえて、できれば平成八年度中に概略ルートを定め、環境影響調査に着手し、これらを進めるとともに、詳細な調査検討をしてまいり、平成九年度には都市計画決定ができるようにしてまいりたいと考えておりますし、平成九年度中には都市計画決定を受けまして事業化に着手できるよう、努力してまいりたいと考えております。
  19. 岸本光造

    岸本分科員 難儀なことの度合いでいえば、この橋本道路というのは非常に難儀なところだと思います。非常な渋滞、ラッシュでございまして、そういう意味では、今局長から、特別に配慮をする予算のつけ方という言葉がちょっとありましたが、大臣には特段に御配慮いただきますようにお願い申し上げたいと存じます。  時間がありませんから、次へ移ります。  我々は、阪神淡路大震災のときに、国土軸が一本しか通っておりませんでしたから、東日本と西日本の物流が途絶したという教訓を持っておるわけです。そういう意味で、新国土軸をやってほしい、紀伊半島、四国、九州をつなぐ太平洋新国土軸でございますが、これを国の決定の中に、国土庁ですが、入れていただきたい、こういうことを長い間お願いしてまいりました。  これについて、必ず入れていただくようにお願いするとともに、このルートの中で、紀淡海峡連絡道、和歌山から鳴門へのルートでありますが、これは建設省調査中だと伺っております。もちろん、和歌山、兵庫両県で調査をしておりますし、この紀淡海峡の連絡道路建設のためのフォーラムなども、和歌山の商工会議所会頭などを中心にして幅広い経済界で運動を展開しておりますので、国の安全のためにも第二国土軸をつくっていくという意味で、どうか紀淡海峡大橋をセットしていただきたい、こう思うわけです。できましたら、平成五年ごろ、もっと前ですか、かなり調査をしてきていると思いますので、ぼつぼつ平成十年には事業化をお願いしたい。もうそろそろ調査の結論も出るのではないかと私は思いますので、太平洋新国主軸の制定とあわせて、これの平成十年度ぐらいの事業化をぜひともお願いしたいと思います。これについて、見通し、どうでしょうか。国土庁と建設省から答弁いただきたいと思います。
  20. 浜野潤

    ○浜野説明員 御説明いたします。  昨年十二月に国土審議会に報告されました「二十一世紀の国土のグランドデザイン」におきまして、仮称でございますけれども、太平洋新国土軸を含みます複数の新しい国土軸を形成しまして、「新しい国土構造を構築することによって現在の国土構造のゆがみを直していくことが二十一世紀における国土政策の基本的な課題である。」とされております。したがいまして、平成八年度中を目途に現在作業を進めております新しい全国総合開発計画の策定に向けまして、太平洋新国土軸などの新しい国土軸の位置づけなどにつきまして、国土審議会での御議論及び国民各層の御意見を踏まえまして、引き続き検討していきたいと考えております。
  21. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 紀淡連絡道路につきましては、今御説明がありましたとおり、太平洋新国土軸として位置づけがされると考えておりますが、さらに、紀淡連絡道路と申しますのは、大阪湾環状道路の形成あるいはこの周辺地域のバランスのある発展を図る観点からも重要だということで、大阪湾臨海地域開発整備法いわゆるベイ法に基づく整備計画への位置づけ等も必要でありますので、この辺について関係自治体と協議調整を現在行っているところであります。  また、阪神淡路大震災の教訓、こういうものも踏まえますと、リダンダンシーの確保という観点からも極めて重要な路線であると考えております。  そういう中で、紀淡連絡道路は、明石海峡大橋を超える大規模な海峡横断プロジェクトでございます。建設省としましても、平成六年度から新交通軸調査をスタートさせて積極的な取り組みを行っております。  この新交通軸調査におきましては、明石海峡大橋を超えるような長大橋でございますので、建設技術の確立と大規模事業の経済性を高めるためのコストダウンに関する技術開発等、いろいろな研究開発を進めているところであります。  また、この紀淡連絡道路につきましては、既に、風などの気象調査、あるいは地震観測、船舶の航行調査、あるいは海上ボーリングも含めたボーリング、あるいは弾性波探査などの地質調査地元の和歌山県、兵庫県、徳島県の支援等もいただきまして進めております。  平成七年度中には新たな設計基準の骨子をまとめまして、平成八年度には、紀淡連絡道路を含めましてこういう大きな海峡プロジェクトのそれぞれの基本設計等を開始したいと考えております。いずれにいたしましても、耐震性とかあるいは耐風性は極めて重要でありますので、この耐震性あるいは風洞実験なども、ぜひ平成八年度には着手していきたいと考えております。  また、こういう大きなプロジェクトは、単にある地域に限定した効果だけではなく、全国全体あるいは社会的な効果というものも非常に大きいと思いますし、長大橋の技術の維持をしていくという観点からも極めて重要だと認識しております。  いずれにいたしましても、この十一次五カ年計画中に事業の具体化を目指して努力をしてまいりましたが、できるだけ早期に事業化ができるように、今後とも努力してまいりたいと考えております。
  22. 岸本光造

    岸本分科員 努力をお願い申し上げます。  次に、今度は国道二十六号、俗称第二阪和、和歌山北バイパスでありますが、これは昭和六十三年から事業化されて、今、用買中でございます。このルートが関空から和歌山市へ結びつく直接の唯一のルートでございますので、できるだけ事業費の増大をお願いするとともに、特にこの中には、和歌山市内でありますが、紀の川を越えるという部分があります。新南海橋といいますが、これは木でつくられた橋でございまして、数年前に、ドライバーが窓からたばこの吸い殻を捨てた。木造でありますからこの橋が燃え出した。橋自身が燃えるというようなことがありまして、こんな橋が和歌山にまだ今でもある。何ぼ吉宗の時代と言われても、いかにも原始的ではないか。だからこの橋だけは、このルートの中でも最優先して工事に着工できるようにお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  23. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 国道二十六号の和歌山北バイパスでございますが、これは大阪府の阪南市から和歌山市に至る第二阪和国道の一部をなすものでございます。  和歌山北バイパスにつきましては、六十三年度に事業着手しておりまして、平成二年度から用地買収を行っております。現在工事着手に向けて全面的に用地買収を推進しているところであります。地元自治体等にも御協力いただいて、まず用地買収を進めることが肝要かと考えております。平成八年度には、下水道などの関連事業と一体となって整備する区間がございますので、これらの区間については一部工事も着手したいと思います。  最大のポイントは、紀の川にかかる新南海橋に早期に事業着手する、工事着手するということと考えますが、現在、詳細設計を行うとともに関係機関との協議を進めております。先ほど申し上げましたアクセス部分の用地買収の推進がぜひ必要でありますので、予算確保をしつつ、あるいは自治体の御協力もいただいて用地買収を推進するとともに、できれば平成九年度、この橋についても着工できるように準備したいと思います。いずれにいたしましても、今後いろいろな努力が必要でありますので、よろしくお願いを申し上げます。
  24. 岸本光造

    岸本分科員 ありがとうございます。  次は、和歌山バイパスでございます。和歌山バイパスは、和歌山市から橋本市に向かって紀の川を上流に向かって延びるルートでございまして、平成五年七月から国道二十四号のバイパスとして供用されておりますが、これが和歌山県打田町黒土というところでとまっております。この黒土というのは、行政区でいいますと和歌山県の那賀郡という郡がございまして、ここのちょうど真ん中になります。  したがいまして、那賀郡の西部はバイパスが通っておるけれども、那賀郡の東部はバイパスが通っておらぬというようなことになってまいりまして、この通っていない部分につきましては、もう朝夕だけではなく終日の交通渋滞があり、しかももちろん、渋滞しますから交通事故などが多発して、大変ひどい二十四号ということになっております。  そこで、このバイパスを東進させてくれ、東へ延ばしてくれという要望が、地元市町村あるいは市町村議会からも非常に強いし、地元県会議員からも、県議会でも何回も本会議などで論議をされてきておるのですが、なかなかそれはいかない。いかないのは、京奈和自動車道が西に向いて下ってくるから直轄で二路線の工事ができない、これは原則だからということであります。同じような地域に二本直轄では工事できない、そんな話を我々はできないことの理由としてちょこちょこ聞かされておりますけれども、住んでおりますのは直轄のことが理解できない住民が多数であり、二十四号は生活道路であります。  したがいまして、これはやはり何らかの形で渋滞の解消、安全な道路、これをつくっていただくように、バイパスということになりますとできないというから、できたら何かいい方法を考えて、住民が安心して国道を通れるように考えていただきたい、こういうふうにお願いをするわけですが、これについてどうでしょうか。  地元ではもう差別だと言うのですよ。バイパスが通ったところは物すごく町並みがいいのですよ。それはもう橋本局長よく御存じのとおりです。通っていないところは、こんな悪い国道が天下、日本にあるかというほど渋滞があって悪い。そういう段差があって、那賀郡という同じ行政区でしょう。その中で西がよくて東があかん。こうなってくると、これはもう行政差別だ、訴訟してやろうかという住民まで出てくるわけで、この辺を建設省としても我々の苦汁を酌み取って、何とかいい段取りをしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  25. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 国道二十四号につきましては、西の方から、和歌山市の方から和歌山バイパス、岩出バイパスということでバイパスの整備をし、先ほど御指摘の黒土というところまではおおむね四車線で整備されているわけであります。  基本的には、二十四号を含めて東西交通につきましては、先ほども御指摘のとおり高規格幹線道路の京奈和自動車道の橋本道路、紀北東道路、こういうもので大きな通過交通、流れの交通は分担するということを基本にしておりますが、現実の問題として、打田町以東の国道二十四号は一日の交通量が一万八千台から二万五千台ということで、主要な交差点部は慢性的な渋滞が生じているのは事実であります。このため、粉河町の県道粉河加太線との交差点、粉河交差点と言っておりますが、こういうものや、あるいはかつらぎ町の紀北病院前の交差点、こういうものにつきましては拡幅をし右折レーンを設置するなど交差点改良を実施して渋滞対策に努めております。  平成八年度におきましても、こういう交差点改良等を順次進めてまいりたいと思いますし、今申し上げましたものにつきましては、交差点改良を完了するということにしております。  しかし、御指摘のとおり国道二十四号の現道につきましては、生活道路であり極めて生活に密着した交通が多いわけでございます。道路局といたしましても、現道対策がぜひ必要ではないかということで、渋滞を生じている他の交差点がまだまだありますので、こういう交差点を拡幅を含む改良を逐次進めていくとか、あるいは一部区間について拡幅をしていくというようなことも含めて、この二十四号の現道対策については少し抜本的な計画をつくる必要があるのではないかと考えております。
  26. 岸本光造

    岸本分科員 東へ延ばすバイパスについてですが、京奈和自動車道ができれば渋滞が解消できると言いますが、京奈和自動車道は、今のままでいきますと開通するまでに三、四十年かかると私は思っております。大変な時間がかかる。そうなりますと、これは二十年なり三十年なりの間今のままで我慢しておらなければいかぬということになりますから、局長答弁のとおり、できるだけ早い機会に抜本的な解決をお願いしたい、こういうふうに思う次第であります。  次へ行きます。  和歌山は大阪と接しておりますが、特に大阪−和歌山間に葛城山という大きな山がありまして、これが大阪と和歌山を隔てるびょうぶの役割をしております。したがいまして、大阪−和歌山間の幹線道路をつくっていくということが非常に和歌山にとっては県勢浮上のためにも必要なことでございます。  二点だけお伺いします。  三百七十一号の橋本バイパス、これは今、用買中でありまして、事業費が増大してもらえるだろうと私は思っておりますが、この中にバイパスの事業費増加とあわせて、清水架橋というのがあります。この清水架橋、清水という地点に橋をかけてもらわないことには、この辺に教育事務所、警察署、県事務所など行政の中心があって、これももう二十年ぐらい前から言っておるらしいのですが、なかなか事業化されないということで、この橋をつけてもらうことによって三七一も目玉ができるということになろうかと思いますのでこれのお願いと、それから府県間道路で四百八十号が平成六年度に事業化をされておるわけですが、四郷地点にトンネルが構想されております。このトンネルの見通しなど、三七一と四八〇のこの二つについて、時間がありませんのでできるだけ簡潔に御答弁をお願いいたします。
  27. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 紀の川にかかります橋梁の問題でありまして、国道二十四号以南の市脇から清水間の架橋の問題であります。これにつきましては、橋本市周辺地域の交通渋滞解消のためにぜひ必要であろうということでありまして、和歌山県において現在概略設計等の調査を進めております。いずれにしましても、この橋をかける場合には前後の取りつけ部分計画を再度検討する必要があります。そういう意味で、都市計画の変更等を進めまして、早期に事業に着手できるように努めてまいりたいと思います。  それから、国道四百八十号につきましては、大阪府、和歌山県県境にまたがります鍋谷峠を中心に山間部を縦断する山岳道路でありまして、大変幅員が狭い、あるいは線形が悪いというところで未改良区間が残っております。これにつきましては、和歌山県側からは平成六年度から、大阪府としては平成八年度に着手を予定していると聞いております。  そういうことでこれは両側から進めておりますが、府県境にあります四郷トンネルにつきましては、現在調査を進めております。順次大阪府並びに和歌山県、両県側から整備を進めるとともに、事業の調整を図ってまいりたいと考えております。
  28. 岸本光造

    岸本分科員 次に、砂防関係についてちょっとお伺いいたします。  和歌山県は県土の八割が急峻な山地でございます。昨年も新宮で災害がありまして、とうとい人命が亡くなりました。風水害それから台風の襲来など、砂防事業は和歌山県にとりましては大変大事な仕事でございます。来年度、和歌山県からいろいろな砂防に関するお願いがしてあると思いますが、これについて特段の配慮をいただきますようにお願いをしたいと思います。  答弁があったら答弁してください。
  29. 松田芳夫

    松田政府委員 委員案内のとおり、和歌山県はほとんどが山地という地形で、しかも雨量も非常に多い地域でございます。昨年は、お話しのとおり、新宮市で三人が亡くなるというような土石流被害がございまして、また紀の川沿いの低地には、事によると地震の発生の可能性もある活断層が走っているというお話もございます。地震による土砂災害が昔から多かったところでございますので、砂防、土砂災害対策ということについては、今後とも注意をしていかなければいけない地域であるということは十分認識しております。  しかし、昨今の公共事業費の中で、なかなか砂防事業費というのも大幅な増というのも困難な状況でございます。重点箇所、特に人命に直結する危険箇所というものを重点的に対応してまいりたいということと、それから土石流の危険区域には予警報装置などをつけることも検討したりとか、住民の方々に危険区域を事前にお教えするような、そういう情報提供のこと、あるいは警戒避難体制を充実させるなどソフトな対策も取り入れて、少なくとも人命を最優先的に保護するというようなソフトな施策も兼ね合わせて考えたいと考えております。
  30. 岸本光造

    岸本分科員 お礼を申し上げたいと思います。  近畿自動車道の紀勢線、これが広川町—御坊間、この三月末に供用をしていただくわけで、これで海岸線が六百キロあります和歌山県が非常に縮んできた、便利になってくる、これは大変な御尽力をいただいて、お礼を申し上げるわけでございます。しかし、まだまだ和歌山は新宮まで大変道のりが遠うございまして、現在、基本計画区間と言われています海南市—吉備町間あるいは南部町—すさみ町間を次期の国幹審で整備計画の決定をお願いしたいし、さらにまた御坊から南部町間の整備促進もお願いをしていきたい、こう思います。お礼を申し上げて、さらにこれを要望しておきたいと思います。  時間が参りましたが、大臣一つだけお願いをしたいと思います。  一つ道をつけるということになりますと、大変な長い時間がかかります。言い出してから、子供は大人になり、大人は老人になり、老人はあの世へ行ってしまうというようなことで、聞いてみますと、桃栗三年道十年というのだそうです。  しかし、よく聞いてみたら、今もう三十年かかっているのです、和歌山の場合。非常に残念です。聞いてみますと、調査をする、都計入れる、事業化してまた都計やる、測量設計やる、協議やる、用地買収にかかる、工事着工をやると、ざっと勘定して五つの段階を経るわけですね。そうすると、これだけでも五年、二年ずつかけたら十年かかってしまう。これは大変なことでして、生まれた子がおじいちゃんになってしまうわけです。  だから、これは何とかしてこの辺の制度を、それはきょうあしたはできないと思いますが、安全なものをつくろうといえば時間がかかると思いますし、用地買収も難しい時代ですから、いろいろ問題があろうと思いますが、できるだけ早い時期に立ち上がれるような何か手だてを幹線についてはお願いしたいと私は思うわけです。これは要望でありますが、大臣、何か所見がありましたら教えていただきたいし、なかったらもう結構でございます。
  31. 中尾栄一

    中尾国務大臣 御趣旨を十分に体して考えていきたいと思います。
  32. 岸本光造

    岸本分科員 どうもありがとうございました。
  33. 伊藤公介

    伊藤主査 これにて岸本光造君の質疑は終了いたしました。  次に、山本幸三君。
  34. 山本幸三

    山本(幸)分科員 新進党の山本幸三でございます。  今の岸本委員質疑でも道路の話が大変出ていて、大変時間がかかるというお話がありました。私も同じ実感で、ぜひきょうお願いしたいなと思っておるのですけれども、私の地元の方で、九州の東側の突端に当たるわけですが、東九州高速自動車道というのが懸案になっております。もう二十年以上待っておるわけでありますけれども、まだ基本計画から一歩も出ないということで大変残念に思っておりまして、その間、かつては九州の玄関口と言われました北九州が、大変昔は栄えていたわけであります。  それは、鉄道の九州におけるまさに始点ということで、西の方に行くにも西の方は鹿児島本線があり、東の方には日豊本線があり、あるいはその中間に日田彦山線、そういうことで、そういうものが出発するかなめにあるものですから、北九州が大変発達していた。しかし、時代が変わりまして高速道路時代になった、あるいは飛行機、港湾ということになりまして、残念ながら余りにその鉄道で発展したということが逆にネックになりまして、そういう高速道路体系で少しおくれをとりました。  というのは、北九州と福岡の間の一本だけは早く完成して、大変有効に使われているわけでありますけれども、東側、日豊線沿いのところが全く手がつけられていないということで、どんどん北九州が地盤沈下しまして、かつては百三十万ぐらい人口がいたのですが、今もう百万を切るかどうかという状況になって、政令指定都市として大丈夫かというような状況になってきています。その間、一方、福岡市の方はかつては七十五万ぐらいしかいなかったのが逆に百三十五万ぐらいで、完全に逆転してしまった。  私は、都市の盛衰というのは、やはりこういう交通の体系のあり方時代に合わせたそれにいかに乗っていくかによって決まると思うのですけれども、その意味では、まさにこの東九州高速道が早く完成するかどうかが、北九州の再生ができるかどうか、あるいは今、今度は福岡の方から大分県の日田を通って別府に抜ける高速道路というのがもうすぐ完成することになっていまして、距離的には三分の一ぐらいしかないのだけれども、時間的には三倍ぐらいかかるということで、みんな三角形の二線の方を通っていった方が早い、ぐるっと一周した形で高速道路で行った方が別府に行けるというような、あるいは大分に行けるということで、大変いびつな形になっています。  このままほっておくと、まさに北九州から別府、大分までのこの間が、本当に九州の玄関口として大事な、まさに北九州の盛衰を左右するにもかかわらず大変おくれてしまう。言葉は悪いのですけれども、その地域は福岡県でももうチベットに近いのじゃないかというようなことで、これは語弊があったら大変申しわけないのですが、そういうことを地元では言っているということであります。  そこで、ぜひこの東九州高速自動車道を早く整備計画に上げていただいて、早く着工していただきたいというように思うのですけれども、その辺の見通しについてぜひお伺いさせていただきたいと思います。
  35. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 東九州自動車道でございますが、ここは国道十号が並行して走っております。歴史的に申し上げますと、この国道十号を相当重点的に整備してきたという実態はあると思いますが、御指摘のとおり、現在では高速自動車道の時代に入っております。そういうことで、昭和六十二年に四全総とともに東九州自動車道が路線決定されたものであります。以来、鋭意調査を進めております。  特に、北九州から別府、大分に至る間につきましては、交通需要等も相当大きいということで積極的な調査を進めている段階でありますが、平成三年に国幹審を経まして基本計画を策定して以来、次のステップとして整備計画を策定するために都市計画決定をやる、あるいは環境アセスメントをやる必要がございます。そういう手続の準備をしていたわけであります。  御指摘の北九州市から豊津町の間につきましては、近々都市計画決定の手続に入る予定でございますので、平成八年度の早い時期にはこの都市計画決定が終わると聞いております。また、その先の椎田から宇佐市の間におきましても、現在ルート、構造等の検討を進めておりますので、これについても早く都市計画決定の手続に入れるよう努力してまいりたいと考えております。
  36. 山本幸三

    山本(幸)分科員 まさに、十号線と並行して走るということで十号線のバイパスというのが整備されたわけですけれども、このバイパスは昨年開通したのですが、大変ありがたいわけです。  もう数年前から、北九州の曽根バイパスの周辺、あるいは苅田町の周辺は朝夕は大変渋滞いたしまして、ラッシュで渋滞して、東京ほどはいきませんが、時間が読めないというような状況になっておりまして、やはり高速道路がないと本当に困る。  特にこの地域は、今度、新北九州空港が今進んでいるわけでありまして、ようやく一昨年から始まっております。新北九州空港ができ、これがその意味を持つためには、大分近辺まで含めたお客さんに来てもらわなければうまく運営できないということですので、同時にやはり空港とあわせた形の交通体系が要る。  それから幸いなことに、苅田には日産の工場がありまして、これが座間から一斉にそこに集約されるという形で移ってきています。そうすると、本来ならばその周辺に住んでもらって、そして下請の工場もできるという形がいいのですけれども、車が渋滞してしまって困るということで、そういう田舎の地域に来てくれない、そしてむしろ、福岡の方に向かったところにできるというような状況も出ていまして、やはりその地域は、農村地帯が一部ありますが、まさに専業農家でうまくいく状況ではありませんから、働く場所も近くに欲しいということですので、ぜひこれは高速道路がないとやはり産業も発展しないということだと思います。  今調査をしていただいているということでありますが、平成八年の早目の時期に北九州から豊前まではそういう調査が完了するということですが、これは、そういう意味では、八年度中には整備計画に格上げできるということでよろしいのでしょうか。
  37. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 現在、次期の国幹審をぜひ年内に開いていただきたいということで、我々も準備を進めております。その中で、今御指摘の区間、北九州から豊津の間につきましては、八年の早期に都市計画決定ができると聞いておりますので、とりあえずはこの環境アセスメントができておりますので、まずその必要条件が満たされたということでございます。  その中で、今後全国的にどの区間整備計画に格上げしていくかという問題につきましては、その整備計画策定の規模をどのようにしていくかという国全体の問題もございます。道路公団全体の採算性あるいは公的助成の拡充等についても関係機関と十分調整を図って進めてまいる必要があるわけであります。そういう意味で、具体的に整備計画の候補区間をどこにするかというのは、その中で具体的には検討してまいりたいと思います。  しかし、いずれにいたしましても、北九州から別府、大分というのは極めて重要な路線だと認識しておりますし、先ほどの北九州の新空港もできるということを踏まえますれば、非常に重要な路線だと考えております。
  38. 山本幸三

    山本(幸)分科員 重要な路線と認識していただいているのは大変ありがたいと思います。  それからもう一つ確認しておきたいのですが、確かに北九州から豊津までのところは、県の方も路線地元の説明とか始めておりまして、動いております。そこで心配するのは、それでは、椎田バイパスが途中に入るわけですが、そこから先の豊前の地域を通るルート、つまり椎田バイパスの先から、椎田道路の先から別府までに至る路線が今度はおくれてしまうということが心配なものですから、これはぜひ一体的に進めていただかないと意味がないですね。北九州から別府までぱっとつなげるということでスムーズにいくのですけれども、細切れにやられると困ってしまうものですから、その点はぜひ一体的に進めていただきたいと思うのですが、その点御確認いただけますか。
  39. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 お尋ねのところでございますが、椎田町から宇佐市の間についてであります。  現在、沿線地域の開発計画との調整あるいは土地利用状況調査、さらには国道バイパスが並行しておりますので、この国道バイパスとの位置関係をどういうふうにしていくかというようなことを調査しております。都市計画の手続に必要な詳細なルート、構造を調査しているわけでありまして、これらについても、できるだけ早く成案を得て都市計画の手続に着手したいと考えております。  福岡県におきましても、この都市計画はぜひ必要であるという認識と聞いておりますし、先ほど申し上げました北九州から豊津間におくれないように今後とも努力をしてまいりたいと考えております。
  40. 山本幸三

    山本(幸)分科員 大変ありがとうございます。ぜひよろしくお願いしたいと思います。  それでは次に、田川の地域を抜ける国道の整備についてお伺いしたいと思いますが、国道三百二十二号線と二百一号線のバイパスの路線であります。  田川市というのは、御承知のように、かつては炭鉱町として大いに栄えたところでありますが、国のエネルギー政策の大転換によって、石炭がだめということで廃山が相次ぎまして、大変劇的に都市としての機能をなくした、沈没した産炭地域であります。今はまた、地下の中をいろいろ掘ってしまっているものですから、土地が陥没したり家が傾いたりというような公害問題が地域全体に起こっていて、二重に非常に住民は苦しんでいる地域であります。  それに対して、産炭地政策というのがずっと行われてきたわけでありますけれども、これも永久にできるわけではないということで、順次これを延長されてきましたけれども、四年前に最後の産炭地政策ということで平成十三年度までのそういう事業は延長されましたが、それ以降はもはや完全に打ち切られるということであります。通常こういうのは、そんなこと言いながらその近くになったら延びるということがあるんですけれども、これはもう財源がなくなっちゃう。石油関税を財源としてそういう対策を打っていたわけでありますけれども、この石油関税収入がなくなるということで、もう確実にないということであります。既に今年度、一般失対事業あるいは緊就事業というのがなくなった、来年は同和対策事業というのもなくなる、そして平成十三年度までに石炭六法というのがなくなるということで、まさにその地域住民心配は大変大きいわけですね。  私は、これまではそういう後ろ向きの対策でいろいろな金を出してきましたけれども、生きてきたかというと、必ずしもそうでない部分も恐らくあったんではないかという気もいたします。私どもの大先輩の田中六助先生もそういうことに一生懸命努力されましたけれども、しかし、これは永久に続くものではないということを言っておられた。その意味で、やはりこれからは前向きにその地域が自立できるようにしていくということが大事で、我々も、そういうふうに市民全体が向かっていかなきゃだめだということをともに考えようというふうに話しているわけですが、しかし、自立てきるためには最低限の基盤整備をしないとなかなかできません。  で、ぜひお願いしたいのは、まず道路とそれから生活環境整備をしてもらいたいということでありまして、このまず道路なんですが、この田川を抜ける道路として、北九州との間をつなげる道路としては国道三百二十二号線というのがあります。それから、福岡と田川をつなげ、同時に田川と行橋という東九州高速道に将来つなげる路線として二百一号線というのがあります。これが今バイパスで拡幅されて進んでいるんですが、なかなか遅々として進まない。細切れ的にしか進んでなくて、なかなか田川の地域の再生に役立っていないということで、これをぜひ急いでいただきたいという希望であります。  飯塚というのが田川の先にあります、山を隔ててその先に飯塚というのがあるんですが、この飯塚市は同じ産炭地でありながら大変生き生きとした町になりました。その理由は、飯塚バイパスというのができて福岡と実に三十分以内につながっちゃったからなんですね。そうすると、そこに住んでいて福岡に通うこともできるし、あるいは土地が安いものですから、企業もそこに立地してもいいという状況になります。そのことを見ておりますと、山を一つ隔てると田川市が同じ産炭地で将来の希望がなくなるという状況で、夢が持てるようにするためには、ぜひその飯塚バイパスを延ばして二百一号線のバイパスでつなぎたい。  その二百一号線では一つの課題は、飯塚と田川の間に峠があるんですけれども、これは烏尾峠というんですが、その峠を抜けるトンネルを早く急いでもらいたいと。そしてまた、いずれ将来の東九州高速道につなげる仲哀峠のトンネル、そしてその行橋から東九州につなげる路線、さらには新北九州空港につなげる路線というものをお願いしたいと。そして、三百二十二号線は北九州から田川に抜けるようにこれは少しずつ進んでいますが、まだ途切れたところがあります。この二つについて、その状況と今後の見通しについてお伺いしたいと思います。
  41. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 国道三百二十二号でありますが、北九州から久留米市へ至るという幹線道路でございます。現在、香春バイパスあるいは田川バイパス、この事業実施しておりまして、それぞれ延伸しておりますが、平成九年度ぐらいには大体めどが立つのではないかと考えております。そういたしますと、この田川バイパスと香春バイパスの間の九キロの間、これが事業が未着手になっております。そういうことで、現在この九キロの間につきまして福岡県におきまして調査、設計を進めておりますが、それぞれ順次ルートの公表をしていきたいということで、田川バイパス側あるいは香春バイパス側から順次ルートの公表をしていきたいということにしております。それを受けまして、今後積極的な事業の展開を図ってまいりたいと考えております。  さらに、御指摘がございました二百一号の件でありますが、烏尾トンネルを含みます庄内田川バイパス、これは延長三・五キロの四車線のバイパスでございます。現在事業中の飯塚バイパスと既に四車線で供用しています田川バイパスとを結ぶ区間にございまして、平成五年度に都市計画決定がされ、平成七年度より事業に着手したところでございますが、これにつきましては、平成八年度、路線測量あるいは設計協議に着手したいと考えております。  さらに、これも国道二百一号でありますが、仲哀トンネルでございます。これにつきましては、田川郡の香春町と勝山町を結ぶ延長二・二キロの仲哀改良として、交通隘路区間の解消あるいは交通安全を図るという観点から平成二年度に事業化しているものであります。本事業は、既に二車線の既設のトンネルがございますが、新たに二車線のトンネルを新設するもので、合わせまして四車線のトンネルにし、なお歩道の設置もしていくということでございます。  現在、勝山側の用地買収を進めておりますが、平成八年度には、用地買収を完了した区間から工事用道路等に着手したいと考えております。また、香春町側につきましても、トンネル掘削に伴ういろいろな影響調査等を実施しております用地元の設計協議を実施していきたいと思います。  いずれにいたしましても、早期に事業に着手できるように努力してまいりたいと考えております。
  42. 山本幸三

    山本(幸)分科員 ぜひ積極的に進めていただきたいと思いますが、その中で一つだけお願いしておきたいんですが、三百二十二号線のものについて。  香春バイパスと田川バイパスは平成九年度にめどがつくということですが、その間の香春と大任のところの路線ですが、この九キロについてはまだこれから路線が検討されていくんだということですが、これは、平成九年度にめどがついたその後でやるということじゃなくて、当然路線の検討は早目に進めて、なるべくおくれないようにしていただくということで理解していいですか。
  43. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 予算措置につきましては、現在福岡県と調整をしておりますので、事業の進捗に支障のないように工夫してまいりたいと考えております。
  44. 山本幸三

    山本(幸)分科員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いします。  それから、これはお願いですが、鳥尾峠のトンネルは、飯塚バイパスの方が延びてきて、そっちからじゃないとだめだというような話が一部ありますが、田川の方からのやつはすぐもうできると思いますので、やるなら、掘り出すのは田川の方からもう始めて、向こうから進むやっとうまくいくようにこれから検討していただきたいと思います。  次に、下水道の整備についてお伺いしたいと思います。  私は、先ほども申し上げましたけれども、都市の問題、特に過疎問題も含めて、下水道というのは非常に大きな要素があるのではないかなと思っているのですね。田舎の方に行きまして、今若いお嫁さんが少ないというのは、これはいろいろな理由もありますが、結構大きな理由で、下水道が整備されてなくて水洗トイレじゃない、都会に住んだ人はもうくみ取りトイレではできないと。特に子供たちが、孫たちが帰ってきたって、一晩泊まったら、もうおじいちゃん、おばあちゃんのところにはいたくないと言って帰るという話ばかりなんですね。  そういう意味では、若い人たちが田舎の地域にも住むということが進んでいくためには、やはり下水道の整備を急いでいかないと、むしろ過疎問題を拡大していくというふうに思っています。そういう観点から見ると、残念ながら、私の地元では下水道が全然整備されておりません。これが本当に先進国なのかと思うのです。  私は、かつてフィジーで南太平洋の島国の援助問題を協議する機関で行ったときに、ニウエというところが日本から援助が欲しいと言っていると。何ですかと聞いたら、日本から援助をもらって下水道を整備したいんだと言っている。人口三千くらいの島国でですね。それを聞いて、自分の地元でもまだくみ取りトイレでやっているのに、どうも話が違うんじゃないかなという気がしてびっくりしました。  この田川地域も、申し上げたように、道路整備と下水道の整備がないと、やはり希望が持てない。あるいは京築地域も下水道の整備、おかげさまで少し進み出しましたけれども、まだおくれております。この辺について、田川地域、京築地域の下水道の整備の見通しと取り組みについて、ぜひお伺いさせていただきたいと思います。
  45. 近藤茂夫

    ○近藤(茂)政府委員 先生御指摘のとおり、下水道、これはもう都市における最も基本的なサービスであると私ども認識いたしておりまして、とりわけ現在、公共下水道がまだ千四百市町村で着手もしていないという状況でございます。そういった意味で、新しい五カ年計画ではそういう町村における公共下水道の整備、これを大きな課題に挙げているところでございます。  田川地区、京築地区におきましても非常にまだ整備の水準が低いということで、豊前市、行橋市、苅田町、この二市一町については既に下水道事業に着手されておりまして、豊前市については平成八年度末に供用開始予定ということでございますが、行橋市、苅田町につきましては着手が五年度、六年度ということでございますので、早くても新しい五計期間内ということだろうと思います。  田川市それから田川郡、これにつきましてはまだ着手がされていないということでございます。県において遠賀川の流域下水道の構想もあるやに聞いておりますけれども、できるだけ早期にそういう構想をまとめていただいて、それに対しては積極的に調査、さらには事業化がスムーズにできるように私どもも応援してまいりたいと思っております。
  46. 山本幸三

    山本(幸)分科員 ぜひ今度の下水道の整備五カ年計画の中でできるようにお願いしたいと思います。  以上、お願い申し上げまして、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  47. 伊藤公介

    伊藤主査 これにて山本幸三君の質疑は終了いたしました。  次に、赤松正雄君。
  48. 赤松正雄

    赤松(正)分科員 新進党の赤松正雄でございます。  まず冒頭に、北海道での豊浜トンネル事故で二十人もの貴重な命が失われたことについて、心より哀悼の意を申し上げます。建設大臣が御就任になられて余り日がたたないときに大変な事故が起こって、大臣が被災者の皆さんに、お一人お一人に頭を下げておられる苦痛の表情をテレビで拝見いたしまして、私も兵庫県選出の人間でありますので、非常に強く心を打たれるものがございました。  阪神淡路の復興の問題が今非常に重要なときに差しかかってまいっております。平成八年度の予算審議が大詰めを迎えている今日、まず地元兵庫県の明年度予算への要望を踏まえまして、建設省への質問をさせていただきたいと思います。  建設省としまして、予算の中で最も被災地の復興に力を入れたと言える目玉の措置はまず何なのか。中尾大臣予算編成後になられたわけで、直接この平成八年度予算を最初から考えられたわけではないのですけれども、全体として復興への対応はこれでいいのかどうか、橋本政権の重要な閣僚であられる中尾大臣のお考えを聞かせていただきたい、そう思います。
  49. 中尾栄一

    中尾国務大臣 まず冒頭に、委員から大変温かいお言葉を賜りまして、ありがとうございました。  阪神淡路大震災の復興対策につきましては、被災した地域の一日も早い復興を実現するために従来から積極的な推進に取り組んできたところであるわけでございますが、特に平成七年度の第二次補正予算におきましては、御案内のとおり、国費五千四百六十三億円、事業費一兆七百六十一億円を計上して、平成八年度予定事業を前倒しをいたしまして、一つには、被災者向け住宅確保を図るための住宅供給ということで、平成七年度第二次補正予算までに計画の九割に相当いたします七万戸の建設に必要な予算を措置をしておるわけでございます。  また二番目といたしましては、被災した地域の再生のための市街地整備事業といたしまして、これは平成七年度第二次補正予算までの措置で十一地区の区画整理事業、六地区の再開発事業推進しておるわけでございます。  第三点といたしまして、都市の防災性向上のための道路、公園等の整備、これは平成七年度第二次補正予算までの措置で阪神高速道路三号神戸線の復旧、耐震性向上のための橋梁の補強強化、また八十一カ所の防災公園の整備等を推進するということになっております。  建設省といたしましては最大限の復興事業実施しておるわけでございます。  したがいまして、平成八年度におきましても、復興対策の円滑な推進を図るために、現在実施中の復興事業の進捗状況を現に踏まえなければなりませんから、それを踏まえながら、被災者の居住の安定、安全で安心でき得る町づくり等の地元地方公共団体の要望に最大限にこたえられますように、予算配分の段階で所要の事業費の確保に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  50. 赤松正雄

    赤松(正)分科員 中尾大臣の今の御答弁は建設大臣としての姿勢を述べられたということで、それはそれとして非常に大事なことだろうと思いますけれども、実は兵庫県の人間、あるいは私のようにちょっと被災地から離れているわけですけれども、そういう直接に被災に遭った人間に隣接する地域に住んでいる人間にしまして、非常に隔靴掻痒というのでしょうか、今のような大枠としてのいわゆる社会的な公共施設、そういう枠組みというものを都市づくりという観点からあるいは住宅という観点から充実させていただく、これはもう非常に大事なことなのですけれども、やはりよりもう一歩進んで、今強く巻き起こっている声というのは、今日、住宅金融専門会社、住専に対する税金投入に関して、兵庫県的に言いますと、災害復興にもっと力を注いでほしい、であるにもかかわらず税金投入というものが片っ方にあり、そして兵庫県の災害復興についてはやはり日一日と薄れていっているのではないのか、こういうふうな声が非常に高うございます。  既にこの国会でも、予算委員会の総括質疑とか一般質疑とかいろいろな場で、いろいろな諸先輩等から、災害復興に個人補償すべきではないのかという、そういう意見がなされております用地元にもそういう声が大変強うございます。既に政府の公式的な見解はわかっておりますけれども、改めて再三申し上げますが、橋本政権の重要な閣僚であられる中尾大臣として、個人補償がなぜ震災の復興にできないのか、改めて、今ここに被災者がいると想定していただいて、その辺の考え方を聞かせていただきたい。私は、地元の被災者に述べるときにこういうふうに言ってほしい、こういう角度の御答弁をお願いしたいと思います。
  51. 中尾栄一

    中尾国務大臣 私有財産制度のもとでは個人の財産は個人の責任のもとにあることが原則でございまして、災害対策におきましても個人財産の損害を補償するということはなかなか困難なわけでございます。  しかしながら、被災者の実態を考えますと、生活再建というものに可能な限りの対策を講ずる必要があるということは、現にこの震災の姿を見、被災者の姿を見、また今委員が御指摘のとおりでございまして、その対策を講ずることが可能な限り必要だということは非常に重く受けとめておるわけでございます。  したがいまして、支援措置につきましても、例えば民間住宅につきましては住宅金融公庫融資制度の拡充をお図り申し上げましたほか、被災住宅再建対策事業を創設するというようなことなど、思い切って踏み込んだ拡充措置を講じているところでございます。
  52. 赤松正雄

    赤松(正)分科員 先ほど冒頭申し上げた豊浜トンネルの事故、二十人が亡くなられた、その三百倍ぐらいの数の方が亡くなられたわけで、繰り返し申し上げますが、その重さというものは一番大臣がよくわかっておられると思います。  今、雲仙・普賢岳の噴火災害とかあるいは北海道南西沖地震災害、こういったところにおける被災者に対する手当てというのは、数がどうこうというのは余り言いたくないわけですけれども阪神淡路に比べまして大変な義援金の差というものがあったということで、地元の長崎県あるいは被災市町あるいは北海道の関係市町というところはかなり柔軟な対応をして、個人補償的措置といいますか、そっくりそのまま個人補償とは言えないまでも、さまざまな工夫をして被災者に対する対応をしているという現実があります。  阪神淡路の方は巨大な数であるがゆえになかなかその辺の対応は難しいものがあるわけですけれども、画一的な対応ではなくてあとう限り工夫をしていただきたい、そんなふうに思うわけでございます。  政府は、住専の問題について、今も私は違う分科会大臣お話し申し上げたわけですけれども、税金投入というものをやらないとどうなるかというときにしばしば持ち出されるのは、金融システムが崩壊するということを第一義的な理由に挙げられて、住専に税金投入というのはやむを得ないんだということをおっしゃるケースが多いわけですけれども阪神淡路の震災への手当てといいますか、先ほど大臣の御見解も聞きましたけれども、こういったことに対する対応というものをやはりいや増してきちっとしていかないと、私は、人間の信頼というもので成り立っている政治システムといいますか、そのことが崩壊してしまう。金融システムの崩壊、これは現実にあるかどうか、私はそんなに危惧することはないと思っておりますけれども、確実に、阪神淡路の震災に対する対応を間違われると、人間信頼ということで培われている政治システムが崩壊する、政府・与党の皆さんが手ひどくしっぺ返しを受けられるということを強く主張しておきたい、そんなふうに思います。  さらに、具体的な問題に入りますけれども、政府は、単身者用の災害復興公営住宅の最低家賃について約三万円とするという方針をお聞きいたしております。  この因果関係、どうなっているのか詳しくは存じ上げませんけれども、橋本総理が神戸に行かれた。余りこんなことを申し上げるのはあれかと思いますが、直接神戸に赴かれたのではなくて、隣接地域の次期衆議院選挙候補のHIV訴訟に深くかかわっている企業の社長が今度衆議院選挙に出られる、その方のところに真っ先に出かけて、ついでに阪神淡路震災の被害者のところに来られて、非常に短い時間であったということについて厳しい批判があるということもぜひとも総理の耳にも入れておいていただきたいと思います。  そういう流れの中で、ともかく現実きちっとしなくちゃいけないということで総理が建設大臣にも御指示をされたと伺っておりますが、その辺の、単身者用の最低家賃三万円という方針、これについていま少し、見通しといいますか、これからの方向性をお示しいただきたいというのが第一点でございます。
  53. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 お答え申し上げます。  ただいま大臣からもお話がございましたように、特に住宅の安定ということは復興の中で大変中核をなす部分だと考えているところでございます。したがいまして、従来の枠組みを最大限に活用するだけではなく、思い切った踏み込みをして用意をして現在供給の途上にあるわけでございます。  今の部分について具体的に申し上げますと、建設費補助あるいは用地の一定割合について毎年度補助する家賃収入補助という補助があるわけでございますが、これらを補助率を引き上げまして四分の三にするほか、家賃対策補助基準額というものを引き下げをいたすというような工夫をいたしまして、今御指摘のように、例えば高齢単身者向けの住宅かなり利用されることになるであろうと思います四十平米程度の住宅では、民間であれば十万円程度になろうと思われますけれども、御指摘のとおり、約三万円ぐらいまで低廉化することができるということになっておるわけでございます。また、やや大型のいわば家族向けと考えられます六十平米程度のものにつきましても、今申し上げたような措置を講ずることによりまして、民間であれば十四万円程度のものを四万二千六百円までは引き下げができるような措置を講じて、今鋭意努力をしているところでございます。  また、今お話がございました件につきましては、大臣から、総理の方からもさらに個別の実態に即した、実例によれば今申し上げたような金額の中でも場合によってはなお入居が困難なケースもあり得るというようなところまで踏み込んで対応について検討するようにという御指示があったということで、私どもにも指示をいただいておりまして、早速関係する各省と連絡会議をもう既に二回進めておりますし、既に報道されておりますが、現地にもそれぞれ出かけまして、地元の実情についてもひざを交えて議論あるいは考えを整理するということで今対応している最中でございます。
  54. 赤松正雄

    赤松(正)分科員 家族向けのものについてもできるだけ、民間のものとは大分差ができるのは当然で、安い値段にしていただきたい、そういう努力をしていただきたいと強く思います。  せんだって、予算委員会におきまして先輩の石井一議員からもお話がありましたけれども、今まで震災に遭う前に、神戸といいましてもいろいろな地域がありますから、低家賃のところの非常に厳しい住宅環境にもともと住んでいた方、それは、よって選んで住んでいたわけではなくて、そういうところにしか住めなかったという方が大変多うございます。そういう人たちの心情に立てば、いわば三万でもあるいは四万でも高いという感じがしておられるわけで、かつて住んでいた一万円あるいは二万円とそっくりそのままの状況で家を再現してほしい、これは無理な注文であるわけですけれども、彼ら、彼女たちの気持ちというのはまさに、こんなにきれいなうちにしてもらわなくてもいい、前と同じところの同じものを安い値段で、これは非常に率直なその人たちの、被災者たちの思いであろう、そんなふうに思います。  あるいはまた、先日、民間のテレビ放送で、一時間もの、関西テレビ系、東京ではフジテレビ系だと思いますが、「被災神戸市新在家南地区の人々」というタイトルの映画を私はじっくり見て、涙する思いでございました。それは、二人の老夫婦が、仮設から出てどこへ行って住めばいいんだということを二人で夫婦が対話をしているシーンをかなり長く流しておりました。要するに、奥さんの方は、安い公営住宅が手に入るまで、抽せんで当たるまでここにおるしかあれへんやないのという話をしている。それに対して主人の方は、やはり男性ですから、そんなことをしていたら永遠に当たらへん、どこへ行ったらええんや、わしらはもう人生あと短いしというふうな話をして、夫婦で大変にけんかをしているシーンが克明に流されました。非常に印象的な思いでございました。  ぜひとも時間の経緯とともに押し流されるのではなくて、しっかりと現地の事情を調査していただいて、個別のきちっとした心の通った対応を引き続きしていただきたい、そんなふうに強く申し上げる次第でございます。大臣に一言。
  55. 中尾栄一

    中尾国務大臣 体験からくる、また同時に、委員の生来の御性格からでございましょう、そういう正義感に燃えたお気持ちというものはひしひしとわかりますし、同時にまた、そういうことに思いやることが政治だということも私も全く同感の思いでございます。  そういう意味におきましては、非力ではございますが、私もまだこの建設行政にはなれているものではございませんけれども、一生懸命取り組んでいきたいと考えております。
  56. 赤松正雄

    赤松(正)分科員 次に、極めてローカルなテーマになりますけれども、姫路市をめぐる問題について、道路局——ごめんなさい。済みません。厚生省に来ていただいているのですね。  いわゆる兵庫県としまして阪神淡路の大震災の問題で一番政府に要望したいという点は、仮設住宅撤去に当たって大変な額がかさむ、このことについて、いろいろ無理なこととはわかっているけれどもどうかよろしくお願いしたいという要望を私たちに強く寄せられております。この問題について、厚生省、お願いします。
  57. 西沢英雄

    ○西沢説明員 阪神淡路大震災につきましては、避難所の設置から応急仮設住宅建設に至るまで、国としても財政負担を初め最大限の支援を行ってきたところでございます。  現在、仮設住宅には四万数千世帯、九万人余の方が入居されまして、復興住宅等の竣工を待っているところでございます。いずれ撤去の問題が生じてくるものと思いますが、この費用につきましては、設置後の仮設住宅につきましては当該地方公共団体が取得した財産として管理されるということ等から、災害救助法による応急救助の費用としては予定されていないところでございます。  しかしながら、今回の応急仮設住宅の設置数は前例のない規模でございまして、兵庫県といたしましても現在実施しております仮設住宅入居調査をもとに仮設住宅の解消計画を策定する方針であるというふうに伺っておりますので、その結果を見た上で、関係省庁とも十分相談し、検討してまいりたいというふうに考えております。
  58. 赤松正雄

    赤松(正)分科員 ぜひとも前向きできちっとした対応をしていただきたいと思います。  それでは、姫路の問題でございますけれども、姫路市は、播磨地方拠点都市地域の中心都市といたしまして、あるいは西播磨テクノポリス、姫路のちょっと西側にありますけれども、大変な科学の粋を結集したテクノポリスがほぼ一〇〇%の形に近づきつつありますが、その西播磨テクノポリスの母都市として極めて重要な位置をさらにかち得つつあると思います。この地域の一層の活性化のために、幹線道路網の整備、これは別に姫路だけではなくて、全国至るところでこういった問題は極めて重要なわけでありますけれども、きょうはその個別具体的な問題について、取り組み、現状、お考えを聞かせていただきたいと思います。  まず第一点といたしまして、姫路外環状道路整備が姫路の発展にとって不可欠である。これは、今申し上げましたように、単に姫路だけではなくて、西播磨テクノポリスとの連動、あるいはまた姫路広畑地域に神戸港に次ぐ極めて大きなコンテナを擁する姫路港の整備というものが運輸省の方でも今鋭意取り組まれている。こういう状況の中で、この外環状路線の早期整備というものが極めて重要になってきておりますけれども、この道路計画策定の現状についてお聞かせ願いたいと思います。
  59. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 姫路外環状道路でございますが、姫路市を中心に、その外縁部に計画されている半径約五キロメートル、全延長約三十キロの環状道路でございます。  この道路につきましては、平成五年度に兵庫県が策定しました広域道路整備基本計画、この中で交流促進型の道路として位置づけられておりますし、さらに播磨地方拠点都市地域のアクションプログラムにおきましても、臨海部の飾磨拠点開発地区あるいは姫路市の広畑地区などから成る姫路新業務拠点地区等の拠点と隣接地域との連携、あるいは圏内の市町村間の連携を図る上で重要な路線として位置づけられております。  そういう意味では、地方中核都市における環状道路という性格ではありますが、この姫路市の場合におきましては、全体の環状道路調査を鋭意進めておりますけれども、その中でも特に臨海部におきましては、先ほど申し上げましたように臨海部の再開発のいろいろな拠点開発事業が進められております。こういう点を勘案いたしますと、臨海部の区間について特に優先的な取り組みが必要ではないかと考えております。兵庫県、姫路市と連携して、この臨海部の区間についての都市計画決定に向けての調査を促進してまいりたいと考えております。
  60. 赤松正雄

    赤松(正)分科員 ぜひともよろしくお願いを申し上げます。  さらに、個別の問題でございますが、国道二十九号姫路西バイパスあるいは姫路北バイパスの整備促進の問題ですが、特に国道二十九号、これは鳥取の方につながっていく道路でありますけれども、県道山之内・筋野姫路線と分岐する飾西交差点という地域は極めて交通量が多くて危ない。付近の拡幅と交差点の改良をという要望が出されているところでもあります。  そういった地域の問題、あるいは姫路市全般における国道二号、二百五十号バイパス、国道三百十二号あるいは国道三百七十二号バイパスといった地域は、御多分に漏れず、全国的なことだろうと思いますけれども、交通機関が道路しかない、つまり車を利用するしかないという状況の中で、大都会のように電車があったり地下鉄があったりバスが頻繁にという状況のない中で、道路が渋滞するためにさまざまな生活上における苦痛が私たちのところに寄せられております。そういった点を踏まえまして、今申し上げた道路整備についての概括的な考え方をお願いしたいと思います。
  61. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 まず、国道二十九号の飾西交差点の改良でありますが、この交差点は姫路市内の一般国道二十九号と県道山之内・筋野姫路線とが交差する三差路でございまして、交通量が極めて多い、さらに事故等の発生もあるようでございます。そういう意味で、朝夕のラッシュ時は通勤等における渋滞が発生しております。そういう意味で、交通安全あるいは交通渋滞の緩和の観点から、関係機関と調整を図りながら現在その交差点の拡幅あるいは右折レーンの設置について検討しておりますので、計画がまとまり次第事業に着手したいと考えております。  このほか、姫路市域におきましては、国道二号、二百五十号、三百十二号等いろいろな幹線道路がございまして、それぞれの幹線道路上にあります交差点におきましては渋滞が発生しているというのは御指摘の点でございます。  まず、国道二号の夢前橋西詰交差点あるいは二百五十号の永世橋交差点等でも渋滞が発生しております。  その中で、この国道二号の夢前橋につきましては、現在今宿から夢前橋までを拡幅しております。姫路西拡幅として拡幅事業をやっておりますので、この事業を鋭意進めてまいりたいと考えております。  さらに、永世橋交差点等につきましては、これも飾磨バイパス等平成二年度から実施しております。その地域の区画整理事業等といろいろ調整を図っておりますが、用地買収を進めておりますので、これについても事業を促進してまいりたいと考えております。  また、三百七十二号では、花田バイパス、これも渋滞箇所を解消するために事業を着手しております。平成八年度のできるだけ早い時期にはこれは完成したいということで工事促進を進めておりますが、いずれにいたしましても、渋滞対策として必要なこういう渋滞ポイントについての事業の進捗を図ってまいりたいと考えております。  さらに総括的に申し上げますと、姫路市のような地方の中核都市におきまして、他の公共交通機関の発達がまだ十分でないという御指摘でございますが、我々といたしましても、単に道路整備をしていくというだけではなくて、交通需要のマネジメントも考える、あるいは道路の使い方もぜひ利用者も工夫していただきたいというような点から交通需要マネジメント、TDMの調査研究もしておりますし、姫路市においてもこういう計画をつくろうとしております。これらについて関係機関と十分調整して促進してまいりたいと思いますが、その中でもバス専用レーンあるいはバス優先レーンの設置あるいはパーク・アンド・ライドの駐車場の整備等は極めて有効と考えられます。姫路市内でありますと、バス専用レーンはまだ数キロしかないというようなことでありますから、これについてぜひ地元でもって関係機関と十分な調整を図って総合的な渋滞対策がつくられることが必要ではないかと考えております。
  62. 赤松正雄

    赤松(正)分科員 ぜひとも今おっしゃった方向にのっとってよろしくお願い申し上げます。  最後に、揖保川という川があります。揖保のそうめんで有名な揖保川でありますが、揖保川の下流地域の水質改善、悪臭対策というのは非常に重要な課題でございます。揖保川地域は、いわゆる皮革産業がその河川の中流、上流にございますので、そうした悪臭が大変に問題になっている。付近住民にとっては耐えがたいものがあります。河川浄化のための対策事業について、基本的な姿勢というものをお聞かせ願いたいと思います。
  63. 松田芳夫

    松田政府委員 揖保川に限らず、現在日本の各地の大都市、都市近郊の河川においては、水質改善の要望が非常に強くなってきてございます。  委員お話しの揖保川につきましては、汚濁の激しい林田川という支川がございまして、ここから流入する高濃度の汚濁水により揖保川本川も非常に汚れておりました。昭和五十年ごろから平成五年まで十九年間連続して全国の一級河川の汚濁河川のワーストファイブに常時名を連ねているというような状況でございましたけれども、そういった状態を改善するために、工場等の排水汚濁負荷量の削減に加えて、流域下水道の整備を非常に積極的に推進し、また河川事業といたしましては、川の中にたまった汚いヘドロのしゅんせつを、これは文字どおり全力を挙げて推進してきたところでございます。  これらの取り組みによる成果は目覚ましいものがありまして、かつては水質が、いわゆるBOD、生物化学的酸素要求量の数字で一〇以上の時代もあったのでありますが、平成六年には一・六という環境基準でA類型を満たすところまで非常に改善されました。これにより、一番水質の悪いときにはワーストスリーであったのでありますが、平成六年度の順位は、全国百六十本の主な一級河川のうち八十三番目にまでランク落ちといいますか、改善されました。それから、昨年五月には四十数年ぶりに多数の天然アユが遡上してきたというようなニュースもございました。  このような動きの中で、平成六年には、地方自治体住民の方々の取り組みと一体となってさらに下水道事業河川の浄化事業を総合的に実施し、より一層の水環境の改善を図るため、地元姫路市や河川管理者が中心になりまして、水環境改善緊急行動計画というものを策定し、今世紀中に揖保川の清流をトンボの生息が可能になる程度にまで改善しようという目標を掲げて努力を傾注することになりました。私どもとしても、その結果に大きな期待を寄せているところであります。
  64. 赤松正雄

    赤松(正)分科員 何とぞ、その線でよろしくお願いします。  ありがとうございました。以上で終わります。
  65. 伊藤公介

    伊藤主査 これにて赤松正雄君の質疑は終了いたしました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時八分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  66. 伊藤公介

    伊藤主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  建設省所管について質疑を続行いたします。太田昭宏君。
  67. 太田昭宏

    太田(昭)分科員 新進党の太田昭宏でございます。  昨年の阪神大震災のときに、私は建設委員会等でも参考人を呼んだときに申し上げたのですが、あそこに南北の道路がついておればというようなことも含めて立体的な都市づくりということの重要さを何回か述べたことがあります。また、市街地の再開発ということについても、神戸はもちろんなんですけれども、震災を契機にして、全国的に阪神を教訓にしてさまざまな意味での都市の再開発事業推進というようなことが行政全体からいっても大事ですし、また一人一人の住んでいる方たちにとりましても大事だということについては、これはもう異論のないところであると思います。耐震設計をどうするかというようなことだけでなくて、老朽、損傷、そうした建物をどのようにして新しい町づくりをしていくかということが大事だというふうに思いますけれども、そのためには総合的な都市再開発というのが大切になるというふうに思います。  近年マンションが増加をいたしまして、それも大きな要素であるのですけれども、共有の建築物を含んだ再開発事業というのが必要なことがふえております。このような共有の宅地と単独所有の土地とを含んで市街地再開発組合が市街地再開発事業を行う、こういうことになるわけですが、そういう場合に、共有の権利者と単独所有の権利者の都市再開発上の取り扱いがどのようになっているのか、お聞きをいたしたいと思います。
  68. 近藤茂夫

    ○近藤(茂)政府委員 単独所有の場合については、その方が議決権、選挙権を持つということになるわけでございますが、共有関係の場合には、再開発法二十条第二項の規定によって、施行地区内の宅地の共有者は共有者全員をもって一人の組合員とする、要は代表者が組合員という格好で参加する、そういう仕組みになっているわけでございます。
  69. 太田昭宏

    太田(昭)分科員 今お話のありましたように、都市再開発法の第二十条第二項、ここでは、「宅地又は借地権が数人の共有に属するときは、その数人を一人の組合員とみなす。」こういう規定があるわけなんですが、私が聞き及んでいたり現実に相談を受けたりする中で、この規定がかなり再開発上の問題点となっていたり、推進をする場合の阻害要因になっているというようなことを聞くわけなんですが、その点は御存じでしょうか。
  70. 近藤茂夫

    ○近藤(茂)政府委員 先生御案内のとおり、再開発事業は、非常に権利関係が複雑な状況のもとで進められる、しかも、創設的に土地の所有権などが建物の区分所有の権利として権利変換される、そういう性格の事業でございますので、その事業基本的な性格からいって、それぞれ関係権利者の十分な理解、いわば合意、こういうものを前提として物事を進めなければ事業がいかないということでございます。そういった意味で、確かに先生御指摘のとおり、組合設立以降の共有関係土地関係者一人が代表者として組合員となることは確かでございますが、実質的にはそういう代表者は、関係権利人が非常に多いということで、実態的にはその組合の運営等において十分尊重されるという形で運営されているというふうに聞いておりますので、特段この条項が障害となってとんざしたというような事実関係は私どもまだ聞いていないというのが実態でございます。
  71. 太田昭宏

    太田(昭)分科員 その辺はよく、もう少し現実の中身に入って御相談をしていただいたりとかいうことが私は当然必要だというふうに思います。  特に、再開発をやろう、協議会等をつくっていく、老朽化した集合住宅を建てかえたい、周りにはいろいろな建物がある、そういう中で最初は有識者が集まってきて、全体的な、ある意味では再開発が必要であるというような大枠は非常に合意する。具体的にそこで話し合いが行われていく。  そこにはかなり大きな、百戸あるとか、いろいろなそういう集合住宅、共有の建物があったりする。その中でも、外から入ってきてアドバイスをする人もいるし、あるいはその中で非常に建築関係に詳しい人や、さまざまなそういう人たちが集まったりして、一般で言えばプロジェクトチームみたいなことになるのでしょうか、話し合いの中で、あなたも力をかしてください、あなたもかしてくださいというようなことで話し合いが進んでいく。ここまでは案外うまくいく。そして準備組合ができていく。  準備組合ができていく段階では、かなりそういうことで意見が集約されてきたら、まだそこで本格的な権利の問題になっていませんから、話し合いもある程度スムーズにいくというわけなんですけれども、さあそこで本格的な準備組合として都市計画を決定し、そして合意形成をつくり、そして本格的な組合をつくっていくという段階で一人に代表が絞られる。  そのときに実は一番大事なことは、その一人に絞られていくという中で、やはり特にその時期が本格的な権利変換ということの作業にかかるわけですから、まずどういう人をそこで一人選んでいくのかというようなこと自体でも現実にはなかなか難しい問題が存在をしてくる。そのほかに一つ意見を吸収するというような、集約するという作業も大変。それはもうどんなところでもそうでしょうが、十人なら十人いて、それなりに自分たちの意見を持っているという人たち、ましてや権利という問題、自分の住まいという問題になるわけですから、そこでの権利関係というのは非常にシビアな問題になるわけです。  昔、この法律が制定をされてきたという昭和四十四年、こういうあたりではまだそんなに大きな建物はなかったし、想定をされなかったというふうに私は思うわけですけれども、しかし現実には、今はもう巨大な、大変な何百世帯というのが、あるいは何千というのもある。そういう中で一人ということに集約をするという作業が、一人を選ぶということもそうだし、意見を集約する、またそれを徹底するということも非常に難しいということで、かなりそこで、まあ外から見るとなかなか見えないようなんですが、非常にその中でいざこざが起きたり、あるいはそれに時間がかかったりということで大変厳しいという状況を私は聞いているわけですね。  ですから、そういうような観点からいきますと、やはりここで私たちが、かなりこの法律が厳しいといいますか、一人に集約しなくてはいけないということで、再開発をするという前提の上で押し込んでしまっているような法体系になっているような気がするのですけれども、その点、私たちとして、もう一遍、合意形成の観点から非常に難しいというその辺の認識があるでしょうか。
  72. 近藤茂夫

    ○近藤(茂)政府委員 確かに先生御指摘のとおり、都市再開発法が制定された時点においては、どちらかというと木造の老朽住宅、これを中心にして再開発する、そういう考え方に立った立法と いう要素はあったかと思います。そういった意味合いで、いわゆる大型のマンション、これが老朽化し、それを含めて再開発していくということになってきますと、その共有関係も複雑になってきている、そういう事態は私ども基本的には認識いたしております。  そういった意味合いで、とりわけ代表者の選出とか、あるいはその代表者が関係者全員の意見をくみ上げながら組合活動に参加していく、こういうことについてはいろいろな面の工夫が今後さらに必要になってくるであろう、そういう基本的な認識は持っているところでございます。
  73. 太田昭宏

    太田(昭)分科員 まず、すべての前提として、法的には、これは民法第二百五十一条というところでは、処分をする場合には全員の合意が必要だという基本的な、これは憲法第二十九条の私有財産というものを根底にした、そういう法体系が民法上二百五十一条という形である。もう一つは、建物の区分所有等に関する法律第六十二条、建てかえのときには五分の四というものの同意が必要だというのが一方では存在する。もう一つは、この都市再開発法の第二十条の今指摘しております第二項というところで、共有者が何十人いても一人の組合員しかだめといいますか、一人の組合員とみなして代表一人を置く、そこで組合が形成されて話し合いが行われるということなんですが、この三つの法体系は、かなり一人の代表ということについては押し込み過ぎているといいますか、強過ぎるといいますか、もう少し今の時代背景というものに合わせて、一人一人の発言力といいますか、物に参加をしていきたいというような、そういう観点が非常に私は大事だなというふうに思いますが、いかがですか。
  74. 近藤茂夫

    ○近藤(茂)政府委員 再開発法の共有関係においてどういう取り扱いをするかということの立法上の判断の問題でございますが、民法においては、先生今御指摘のとおり、共有物の変更、処分は共有者全員の同意を要することとしているわけでございます。一方、区分所有法の方では、それぞれその一部の実態的な所有者がそれぞれの議決権を行使することができるという仕組みになっている、民法の特例をつくっているわけでございますが、再開発法の場合には、民法の原則を踏まえて、共有関係については代表者を選んでそれが対応する、そういう立法上の判断がされているところでございます。  これは基本的には、その代表者が組合活動に参加し、内部関係についてはその関係者において別途調整されるという前提にあるわけでございます。そして、基本的にその再開発事業、先ほど言いましたように非常に複雑な事業であるということから、それぞれ十分な理解、実質的には合意、その合意を形成する過程においては、代表者のみならず関係者を含めた合意形成がされるという、そういう実態がある限りは、これはこれで対応できるのではないかと思います。  ただ、私ども多少、今後運用上の工夫をいろいろしていかなければいけないと考えております点は、先ほどから先生御指摘のように、いわゆる大型マンション、関係権利者が非常に多くなるということになってくると、今までとは違い、スムーズにいかない面が出てくるのではないか。この点は私ども基本的な認識として持っているところでございます。
  75. 太田昭宏

    太田(昭)分科員 その辺の認識が全体的には、携わっている方には非常に薄いのではないかということで、今局長の答弁の中にはそういう意識があるということは私は非常に大事なことであろうというふうに思います。  建物のあり方が変わってきた。そして、震災ということで都市再開発のニーズが非常に高まっている。そして、一人一人の権利意識というか、あるいは意見を述べたいというような、そういうものが非常に大事な時代になってきている。  そういう中で、従来のそういうもの、特にこれは、例えばある東京のところでいいますと、宅地は百人ぐらいの共有である、建物が区分所有で百戸。これは昭和初期ぐらいの、当時は大変なデラックスなものだったということで話題になったようでありますが、そういうようなところがある。周りに宅地が存在している、再開発をしたい。こういう場合でも、この建物の区分所有法は昭和三十七年制定、その以前ですから、そういう点では宅地と建物というのが権利関係がそれぞれ、三十七年以前ですから別個になっている。  ですから、それ以降はこれは対になるわけなんですが、ある家がある、宅地はだれだれに売る、建物の方はどうするというようなことで非常に複雑な状況があったりして、建物の権利と宅地の権利が全く分離して処分できる。現に今建物と宅地が対になっていないというようなところがあったりしまして、三十七年以前か以降かというのは大変な大きな違いがあったりします。その辺で、これら持ち分権利者は、あたかも単独の所有権を持っている者と同様に考えられるわけなんだけれども。  そこで、このような場合にこの二十条の第二項の適用ということがどういうふうになっていくのか。これはかなり時代状況に応じて違うわけなんですが、これも結局は一人に集約をするという形なんですが、この辺はかなり複雑であるという認識をお持ちですか。
  76. 近藤茂夫

    ○近藤(茂)政府委員 先生御指摘のとおり、区分所有法の適用以前ということになりますと、建物全体が共有関係、そしてそれとは別個にまた土地についても共有関係ということで、そういった意味合いでは、三十七年以前というのは、土地、建物それぞれに対して共有関係者が全体の権利を持つという点においては、むしろ個別的な対応を求めた方がいいのではないか、その方が実態に合うのではないか、そういう御指摘だろうと思うわけでございます。確かにその点は、区分所有法以前は、権利の形態が建物、土地、それぞれ共有者も全体に及ぶ、そういう要素が強いということは私どもも感じているわけでございます。  そこで、少し再開発法の制度面、細部にわたりますけれども、組合の設立段階では、それぞれその共有者といえども、共有者の人数、例えば十人いれば十分の一についての独立した人格としての同意権という格好になっているわけでございますが、問題なのは、それ以降の、設立された以降における議決権、選挙権、あるいは通常であればその出席権、こういうのも代表者に限られるということになっているわけでございます。  そこで、私ども考えていかなければいけない、運用面で考えていかなければいけないというふうに今考えておりますのは、実は、組合設立段階において、事業計画それから定款があわせて認可されるという仕組みでございます。定款の際に、そういう実態的に影響の大きい共有の宅地関係者がいる場合について定款上の配慮、それが可能なことについても少し考えていかなければいけないかな、こういうふうに考えているところでございます。
  77. 太田昭宏

    太田(昭)分科員 今お話がありまして、それは現場で大変苦労している人からいくと、ああそういうことだったのかなということだと思いますけれども。  計画全体と定款ということでスタートするわけなんですが、そこで、現に阪神大震災等の復興でも私は、この二十条の二項というのがかなり制約になっているというようなことも、それは表から見るとそう見えないかもしれないけれども、そういう話を現実には聞いているし、そこで具体的な処理として、まず第一歩として、法自体という以前に、その定款というものの具体的な処理として、各再開発組合において、定款にある程度自由な形での弾力的な運用といいますか、二十条第二項の規定の運用、例えば私なんかは、組合員はたとえ一人ということであったとしても、そこである程度の人数を集約して何人かの代表とか、あるいは一人であったとしても何票か採決権を持つとか、あるいはまた総会等に参加をしたいとか、発言をしたい。それはそうでしょう。自分の建物がどうなるか、住んでいるところがどうなるかということを、準備段階は随分任せているのに、さあ 本番だといったときにお任せですというのを冷や冷やして待っているというわけにはいきませんから、せめてそこで傍聴をする、参加をする、あるいは発言の機会を持つ、そういうような幾つかのある意味では幅ですね。法は法としてあるとしても、そこでの定款ということのあり方、最初定款というのを認定するわけですから、そういう意味では、物の考え方の基準みたいなものの幅をやはり国としてはある程度示しておくというようなことが非常に大事なことだし、そういうことがあればかなり運用の面で今の時代とか意識に合わせた形ができるのではないかというふうに私は思っているわけなんです。  例えば私が今申し上げたような票数のこととかあるいは総会の参加とかそういうようなことで、どういうような弾力的な運用というのが考えられるのかということについて考えをお述べいただきたいと思います。
  78. 近藤茂夫

    ○近藤(茂)政府委員 都市再開発法上では、定款は、組合を設立する段階で事業計画とあわせて都道府県知事の認可を受けるという仕組みになっているわけでございます。そして、その際、定款は法律に反してはいけないという一般的な規定にとどまっていて、具体的に定款でどう決めていくかということについては、その大きな法律の枠内であれば対応できるわけでございます。法律をそのまま適用していけば、代表者である一人の組合員、これが一票の議決権、それから選挙権、さらには常識的には出席権、発言権、こういうことになるわけでございますが、定款の内容いかんによっては、そういったことについて変更を加えることも可能であろう。  それは、先ほどから申し上げておりますように、再開発事業というのは、要するに関係権利者の十分な理解、合意のもとで進めていかなければいけないという前提がございますので、例えばそういう大きな建物、土地共有者が非常にたくさんいるという場合に、組合員の資格については、組合員一人ということについては再開発法上規定されておりますので一人ということになるわけでございますが、議決権あるいは選挙権に関していわゆるプラスの配慮をする、さらにはその関係権利者について、出席権、発言権も当然のこと、議決権、選挙権についてはもうそういう重きを置いた形での調整は可能だというふうに見ておりますので、参加権あるいは発言権については当然そういうことも可能であろう。こういうことを少し問題点、実態を踏まえて詰めながら、弾力的な対応ができるように検討していきたいというふうに考えております。
  79. 太田昭宏

    太田(昭)分科員 今のお話でわかりますが、組合員の敷地面積と共有地の面積とのバランスがとれる分だけの票を出すとか、いろいろなことについてある程度の幅はあるということでいいのですね。
  80. 近藤茂夫

    ○近藤(茂)政府委員 そういうことでございます。そういったことを配慮しながら、都道府県知事の認可の対象となる定款においてそういう弾力的な運用は法律違反ということにはならないという考え方でございます。
  81. 太田昭宏

    太田(昭)分科員 またちょっと戻りますが、この二十条の二項というのは「数人」という言葉が出てくるわけなんです。「宅地又は借地権が数人の共有に属するときは、その数人を一人の組合員とみなす。」という規定になっているわけなんですが、数人の概念が、私は、数人といえば通常二、三人であるとか五、六人とかということですから、大きな建物であるならばそういうような何人かに一人が出たらいいのかなというような感じも当然するわけなんですが、この数人の概念というのは、ここで言っている数人というのは、数人といえば数十人じゃない、数人というのはまさに何人という概念のような気がしますが、どうですか。
  82. 近藤茂夫

    ○近藤(茂)政府委員 確かに先生御指摘のとおり、その「数人」という使い方についてはある一けた台の限られた人数というのが常識的な意味合いだと思います。恐らく立法時点において、先ほど言いましたように木造密集地域ということを考えれば、そういう常識的な意味合いも意識しながら法律用語としての数人というのが使われたのではないかと思います。  ただ、一方においてその数人という言葉の使い方、再開発法の中でも、個人施行の場合には一人または数人ということで、つまり数人というのが一人以外複数という意味合いにも使っているという事例もございますので、現在の実態に合わせるという実態解釈の要素もあろうかと思いますけれども、この数人というのは一人以外、つまり複数、したがって極端な大型マンションの場合には何十名というのもこの概念で読み取るというのが今の実態解釈でございます。
  83. 太田昭宏

    太田(昭)分科員 きょうは分科会で時間が少ないものですから、私は、きょうのお話は大体この後はなかなか進めないと思いますけれども、また何度かしたいというふうに思います。  大臣、今いろいろな話をしてきまして、大きな建物でも組合をつくって再開発をする場合には一人に定められるということがかなり——みんなも意見を言いたい、それでまず一人を選ぶということも大変だ、そしてまた一人選ばれても、それが代表として自分で発言してといってもまた大変だ、いろいろなことがあるわけですね。そこには法律制定のいろいろな経緯というのがあると思いますが、私は、時代がこう進んできて、大型マンション等があったりする、耐震設計も必要である、いろいろなそういうような状況の中で、やはりちょっと勉強して研究をしていかなくてはならない項目ではないかというふうに思っているわけなんです。  都市再開発は必須の条件で、進めていかなければならないわけですから、大臣、強くこれはプッシュをするといいますか研究をするといいますか、そういう方向でお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  84. 中尾栄一

    中尾国務大臣 先ほど来の討論、討論と申しますか質疑のやりとりを聞いておりましても、確かに委員御指摘のとおり、私もこの道には決してプロではございませんけれども、本当に一生懸命勉強して精査していく、こう言われたその言葉どおりに考えていかなければなるまいなと思います。特に、安心で豊かな都市づくりというものを進めるためには積極的に都市の再開発というものを進めていく必要があるということを強く認識しておるわけでございまして、このために、地区の実情に応じながら関係当事者の納得のいく事業推進といいましょうか、これを可能とする制度的な枠組みが必要だなということを感じます。  このような考え方に立ちますれば、当然のことながら多数の区分所有者を含む、先ほど数人というものにおける論議がありましたように、この漠とした形で考える形でなく、できれば再開発の動向などの事業をめぐる環境の変化を絶えず今から勉強させ、なおかつ私自身もさせていただきながら、必要に応じて関係省庁とも調整を図りながら法律改正も含めて適切に考えていかなければなるまいな、このように考えておる次第でございます。
  85. 太田昭宏

    太田(昭)分科員 改正も含めていろいろ研究するという話なのですが、私が学生時代、「社会科学の方法」という、だれでも読んだ本があると思いますが、大塚久雄先生が、現地に行って、地図と現地が違うといって、往々にして地図の方が正しいと言うのがいる、そういうような物事の考え方ではいけない、常に現場が正しいのだ、地図が正しいのではないということを、二十何年前だから、記憶ですからわかりませんが、たしか大塚久雄先生は言っていたという記憶があって、いまだに私は覚えているのだけれども、ぜひとも、今の、現場に即した、苦しみということがよくわかるような、そういう対応でいくように要望をしまして終わりたいと思います。
  86. 伊藤公介

    伊藤主査 これにて太田昭宏君の質疑は終了いたしました。  次に、田中甲君。     〔主査退席、江藤主査代理着席〕
  87. 田中甲

    田中(甲)分科員 中尾建設大臣に、時期は少し遅くなりましたが、大臣就任、心よりお喜びを申し上げる次第であります。  ある祝宴の席で、私は大臣のごあいさつをお聞きしたことがあります。大変にすばらしいごあいさつをされ、その席は披露宴の席でありましたが、この若いカップルはどれだけうれしいことであろうか、そんなことを感じた記憶を今でもはっきりと覚えております。私も、政治家を目指すならば大臣のように能弁な政治家になりたいという気持ちを持ったものでありました。  私は、さきがけの田中と申します。市川市という千葉県の市議会議員を務め、そして県会議員を務めさせていただき、衆議院議員に当選してきた、まだまだ浅学非才、未熟な者でありますが、きょうは大臣に質問をさせていただきたいと思います。  まず、私が地方分権特別委員会のメンバーであるということも背景にありますが、例えば都市計画の問題、地元住民地元の町をつくるんだという声がかなり高くなってまいりましたが、大臣地方分権に対する御所見をお聞かせいただければありがたいと思います。
  88. 中尾栄一

    中尾国務大臣 過分なお褒めの言葉を冒頭に賜りまして、大変に感激でございます。私も、先ほどまで座っておられた委員長も若いころに私と運動をしておった一人でございまして、同じような思いで感激を分かち合うことができましたことを、心からうれしく思っております。ありがとうございました。  地方分権に対する基本的な取り組み姿勢、考え方ということでございますが、建設行政における地方分権をなかんずくお聞きのことと思いますから、それに対しましては、国というものは、一般的に地方分権は、これは当然、方針として私ども中央集権主義的でなく地方分権というものは当然のことながら遂行していかなければならぬという考え方は全く同じでございます。  しかし国は、まず第一点として、全国的な規模、視点で行われなければならない施策や事業実施、あるいは第二点といたしましては、全国的に統一して定めることが望ましい基本ルールに関する事務などの、国が本来果たすべき役割重点的に担うということとともに、住民に身近な行政地方公共団体が担う形で、国と地方が適切な役割責任分担のもとに協力をし合いながら住宅社会資本の整備を進めることが重かつ大である、このように考えておる次第でございます。そのような観点から、個々の事務について十分検討し、補助金の整理合理化も含めまして、分権を進めるべきものについては積極的に対応していく必要があろうと思う次第でございます。  なお、現在地方分権推進委員会で、三月の中間報告に向けましてさまざまな論議がなされておると承知しておりますけれども、個々の事務執行体制あり方などについて、十分かつ有意義な論議が尽くされていくことを期待しておる次第でございます。
  89. 田中甲

    田中(甲)分科員 ありがとうございました。  同様に、今、建設開発ではなく、地域環境あるいは文化財というものも含めまして十二分に配慮をして町づくりをしていかなければならない、建設事業を進めていかなければならない、そういう考え方が非常に大切な時代に入ってきたと思うわけでありますが、その点につきましても、ぜひこの機会に大臣の御所見をお聞かせいただければありがたいと思います。
  90. 中尾栄一

    中尾国務大臣 これからの建設開発の重視という点から、まさにリサイクルの時代を迎えてくる、こういうことになりましょうか。環境問題そのものへの対応というものは建設行政の最重要課題の一つでございまして、平成六年の一月に、建設省環境政策の基本的な考え方を明らかにいたしました環境政策大綱を作成したところでございます。  本大綱におきましては、環境を創造し、また保全をするということを建設行政の本来的な使命といたしまして認識しておりまして、すなわち、環境を内部目的とすることを基本といたしまして、美しい環境の創造と継承、継続といいますか、また環境の保全及び地球環境問題への貢献と国際協力の推進、この三本柱のような形で国土形成における理念、柱としているわけでございまして、今後とも、本大綱に基づいて質の高い環境を備えた国土形成に積極的に取り組んでまいりたいと考えておる次第でございます。  以上、お答えいたします。
  91. 田中甲

    田中(甲)分科員 ありがとうございます。  昨年の阪神淡路大震災、その後、今後の建設事業は震災に強いものでなければならない、そのように言われ尽くされているところかもしれませんが、さまざまな建設事業を今後進めていくに当たりまして、中尾建設大臣は震災対策という面でどのように今お考えになられているか、御所見を重ねてお伺いをしたいと思います。
  92. 中尾栄一

    中尾国務大臣 防災への取り組みについて、震災などを私どもの苦い体験として生かしていかなければならぬということから、その御趣旨が質問としてなされたことと考えますが、私どもの取り組みにつきましては、今回の震災というものを貴重な教訓として、町づくりの原点は安全である、こういう基本認識に立って、昨年四月に策定されました震災に強いまちづくり構想や新たな建設省防災業務計画に基づきまして、第一点として初動期の情報収集体制の強化、第二点といたしましては、道路橋等の耐震設計基準の見直しなど公共施設等の安全対策にこれ努めていかなければならない、第三点は安全性の高い市街地の整備、また四点目は災害発生時の安全性の確保、このような総合的な施策というものの展開を図ってまいりたいと存じております。  いずれにいたしましても、全国的な安全で安心できる地域づくり、町づくり、防災対策建設行政の重要な柱として全力を挙げて進めていく所存でございます。
  93. 田中甲

    田中(甲)分科員 ありがとうございました。  大臣の御答弁をお聞かせいただきまして、充実した建設行政というものがこれから進められていく、そんな力強い認識をさらに持たせていただきました。  せっかくの質疑の機会でありますので、少し地域が私の選出、地元に偏ってしまうことをお許しをいただく中で、東京外郭環状道路道路計画の問題についてお聞かせをいただきたいと思います。  私がここで改めて申し上げるまでもありませんが、東京外郭環状道路は、東京都心から半径十五キロという形の環状道路でありまして、神奈川、東京、埼玉、千葉、千葉においては松戸、市川、この市川では湾岸道路に接続するという、そういう計画であります。さらに、これから二期埋立計画を市川、船橋の沖合で進めてまいりますと、そこでは第二湾岸道路ともこの東京外郭環状道路は接続をしていくというものになろうかと思います。  総延長八十五キロ、構造は、当初高架方式でありましたが、昭和六十二年に建設省関東地方建設局長が千葉県知事に提示した再検討案では、掘り割りスリット方式に変更がされております。  その後、地元、市川市議会においても、東京外郭環状道路反対特別委員会という名称が東京外郭環状道路対策特別委員会という名称に変更がされたり、都計審のスケジュールを一つずつ建設省サイドは手順どおり進めているという感を持つところであります。公聴会、準公聴会なども開かれて、平成五年の三月、地元市議会が外環道路の受け入れを決定。同六月、市川市の高橋市長が沼田千葉県知事を訪ね、実質九分類、二十二項目の条件を提示の上、外環道路の受け入れを伝え、現在に至っているところであります。  流れが変わった昭和六十二年といいますと、国政は中曽根総理大臣でありました。アーバン・ルネッサンス計画、それは当時充実した計画でありましたが、その後残念なことに、土地本位、インフレ経済政策が加速し、そして地価の上昇、バブルの発生につながっていく。まさにこの東京外郭環状道路計画の再検討案というものは、その時代計画されたものであります。  さて、この九年間日本がどのような経過をたどったかというならば、今回の国会の住専問題を初め、官権政治の批判、大量生産、大量消費、大量廃棄のその反省から、リサイクル循環型社会に向けてのあり方、そして環境重視、地方分権推進が叫ばれる、生活者の声を吸い上げるべきという時代を迎えているわけであります。  大臣、こんな中でもう一度、この道路計画が本当に地域住民のためのものとして計画されているのかどうか、平成八年現在、大臣の新たな御意見を伺いたいと存じます。
  94. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 東京外郭環状道路の意義なり経緯につきましては、今先生からお話のあったとおりでございます。  そのお話の中にもありましたとおり、この外環は、首都圏の環状方向の幹線的な道路としてぜひ必要でございます。現在、首都圏にこれだけの人口が存在している、今後とも、これが急増するということでなくて、この人口を擁しているこの首都圏の機能発揮のためにも、環状道路は必要でございます。そういう中で、首都高速道路の中央環状線、それと首都圏中央連絡自動車道、さらにこの東京外郭環状道路、この三つの環状道路がうまく役割を果たすことにより、従来の東京集中型の都市構造から横方向、環状方向の都市構造へ転換していくという意味で、大変役割の大きな道路だと考えております。  さらに、千葉県下におきましても、松戸、市川の町づくりにも大きな役割を果たすと考えております。特に、南北方向の交通軸になると考えられますし、さらに、関連する河川、下水道、再開発事業、こういうものが総合的に進むことにより、この地域の住みよい町づくり、そういうものの推進になるのではないか、このように考えております。  いずれにいたしましても、現在、高度成長期ではありませんが、この現状から見ても必要な道路整備考えております。
  95. 田中甲

    田中(甲)分科員 大臣、この道路は市川のど真ん中を通ります。私は道路建設に反対をするものではありませんが、ど真ん中を通り、十車線、幅員が六十メートル以上もある巨大通過道路というものを、一万大規模の立ち退きと森林の伐採のその計画の中でこれをこのまま進めていくのは、私も地元に住んでおりますので、大変に危険な思い、具体的に申し上げますと、第二の長良川河口堰や、あるいは千葉県では本当に苦しい思いを続けてきました成田闘争になりかねないという危険性を感ずるがゆえに、あえてこの場で御質問させていただいている次第であります。  どうか、大臣の御意見をお聞かせいただきたいと存じます。
  96. 中尾栄一

    中尾国務大臣 市川という市は、私も今座っておられる江藤先生もともども、若かりし代議士のころ、よく同志として講演に行った場所の一つではございます。したがって、町の土地カンから、また同時にその雰囲気も存じ上げている次第でございますが、環境をそのような形で、環境問題から発生するところの、市街化の問題あるいはまた市民たちの受け取る情念というものが非常にこれに対する大きな抵抗であって、環境破壊につながっていくというようなことは厳に慎むべきであるという、これはもう本当に私の希望的な、同時にまたその感覚は委員と同様に強く持っておりますけれども、何せこの場所におけることを調査もしておりませんし伺っておりませんから、できるならば政府委員に答弁させたいと思います。よろしくお願いします。
  97. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 松戸市それから市川市の市街地を通るというのは、委員御指摘のとおりであります。  そういう意味で、先ほども御説明いたしましたが、半地下構造のスリット構造にした、それからルートについても、いろいろな比較ルートを検討して現在のルートに決めたものでございます。  さらに、これにつきましては、昭和六十二年に、先ほどもお話に出ておりましたとおり、千葉県、松戸市、市川市にこの構造等を提示して以来、地域におきましてもいろいろ議論がされた中であります。特に、昭和六十三年からは、市川市の市議会の中に外環特別委員会、これを設置いたしまして、市民公開のもとに七十五回にわたる十分な議論をしております。その結果、先ほどお話のありましたとおり、市長から、提示案を基本的に了承、しかしいろいろな条件が付してあった、こういうのが実態だと思います。  事業主体といたしましても、広報誌の「みどりの道」、こういうものあるいは市の広報によりまして、一般の方々にも周知したところであります。  さらに、都市計画でございますし、都市計画の変更の手続が必要になりますので、平成六年の十一月から十二月にかけては、両市において、住民への事前の説明会を八回開催しております。住民の方からはいろいろな意見を出されておりますので、これを踏まえまして、昨年の、平成七年の三月には、市の都市計画変更原案として県に提出されたものであります。  この都市計画変更原案を踏まえて、千葉県において都市計画変更案を作成して、平成七年の十月には公聴会を開き、さらに十二月には地元説明会を開いておる。さらに、住民からの意見書が提出されておりますので、この意見書を取りまとめているというのが現状でございます。  そういう意味では、地域のいろいろな意見を反映して、環境対策につきましても——この道路は、先ほど十車線の道路というお話でございましたが、高速部分、専用部分四車線、国道部分四車線、それに地元地域のためのサービス道路、合わせて十車線、さらに、このサービス道路については十分な環境施設帯を設けて、ここには十分な緑地帯を設ける等、いろいろな配慮をしております。そういう意味で、この道路につきましては、できる限りの環境配慮がなされているものと考えております。
  98. 田中甲

    田中(甲)分科員 大臣、現在、この市川市における全外郭環状道路、東京外郭環状道路、用地は九十ヘクタールでありますが、そのうち十六ヘクタールが買収契約が成立しているようであります。そのうちの半分が更地の状態になっておりますが、この国の買い取りに対して地元では、昨年、路線上の住民を初め地域住民によって、市川市外環用地不売同盟なるものが設立されております。ですから、私が成田の闘争の二の舞を起こしたくないと言うのは、実はこういう事実をもってお話ししていることでありまして、路線、ルートの変更や現計画の抜本的改革を求める動きが起きているのであります。  平成五年の受け入れが本当に住民の意向ならば、このような姿が路線上で起こるでしょうか。大臣、いかがでしょうか。
  99. 中尾栄一

    中尾国務大臣 成田闘争のことというと、思い出しますのは、むしろ、今座しております江藤先生が運輸大臣のときに最後最後まで頑張られた、私の同僚として本当に最後まで闘った仲間でありますから、よく知っていることだと思います。私よりもむしろ的確な答弁がなされるんじゃないかと思いますが、この問題についてはむしろ政府委員からまた答弁を願いたいと思います。
  100. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 現在、東京外郭環状道路は都市計画の変更の手続をしております。そういう中で、沿線の方から買い取り請求の要望は出ております。  我々の方の集計によりますと、東京外郭環状道路の一般国道六号以南の事業用地内における移転棟数は約二千百棟、このように概算しておるわけでありますが、そのうち約五百五十棟については用地を取得しておる、もちろん買い取り請求があったので用地の買い取り請求に応じているという点でございます。  現在、先ほど申し上げましたように、都市計画の手続が進んでおりませんので、買い取り請求に対応しているというのが状況でございます。
  101. 田中甲

    田中(甲)分科員 大臣は市川市の地に明るいという答弁を先ほどいただきまして、大変にうれしい限りであります。市川市はまさに文化財の宝庫であります。千葉とは千枚の葉と書きますが、市川には万葉からの歴史がございまして、ここに史跡、貝塚が一説には日本一集まっているところということが言われております。実は、そこを真っ二つに割るような道路計画なのであります。  日本一史跡が集まっているということを私たち市川の市民は誇りにしておりましたが、今は違うほこりが舞っております。この地域は、全児童数の五・五%、二十人に一人がぜんそくを持っている地域です。全国の中でもこれは大変な数字でありまして、千葉県の中では実に他の地域の三倍という数字がもう既に伝えられているところなのであります。  私は、先ほども申し上げましたように、決してこの道路を通さない、そんな反対運動をするつもりは毛頭ありません。より市民のためになる道路というものを道路局の方がつくられていく、まさに生活者の豊かさを支えるための、良好な環境創造のための、活力ある地域づくりのための道路づくりという、まさにそれを願って御質問をさせていただいておりますので、どうかさらに調査検討を進めていくという大臣の御決意をお聞かせいただきたいと思います。
  102. 中尾栄一

    中尾国務大臣 私もきょうは教わるものがたくさんございましたし、委員の御趣旨を体しまして、十分にさらに調査を進め、なおかつ、よりよき環境の問題に取り組み、そして御意思に沿うような、期待を持って迎えられるような、そのような方向に前進したいと思っております。  ありがとうございました。
  103. 田中甲

    田中(甲)分科員 ありがとうございます。  質問時間は若干残っておりますが、大臣の答弁に心から感謝を申し上げ、質問を終わります。
  104. 江藤隆美

    ○江藤主査代理 これにて田中甲君の質疑は終了いたしました。  次に、坂上富男君。
  105. 坂上富男

    坂上分科員 社会民主党の坂上富男でございます。  まず最初に、北海道・豊浜トンネルの事故について御質問をさせていただきたいと思います。  質問する前に、この事故のため亡くなられた方々並びに御遺族に、謹んで御冥福とお見舞いを申し上げるものでございます。  また、これらの被害者の皆様方にできる限りの補償が尽くされるよう、また国会の中でも努力することも決意を表明をさせていただきたいと思っております。  さて、本件事故は、自動車に乗った皆さんが災害に遭われたわけでございます。したがいまして、自動車による災害でございますので、自賠責保険というもの、あるいは任意保険というもの、あるいは旅客運送の約款に基づく輸送契約の債務の履行という点において問題があるわけでございます。  そういう点において、建設省とされましては、今言った点についてどのような御認識を今お持ちでございましょうか。
  106. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 賠償につきましては、今お話しの各種の保険等がありますが、現在は政府として災害弔慰金を支給するという決定と、これからの課題でございますが、損害賠償についての今後の対応が必要と考えております。  損害賠償、これは国家賠償法の損害賠償でありますので、原因究明と密接に関連してまいります。そういう意味で、原因究明を早急に実施し、その結果を踏まえて損害賠償等にどのように対応していくかは、今後検討していく課題と考えております。
  107. 坂上富男

    坂上分科員 必ずしもまだ建設省の方は事実の確認ができておらないようでございます。  御存じのとおり、本件の被害者は二十名でございます。二十名の方が死亡されたわけでございます。北海道中央バスの運転手さんが一名、乗客十八名でございます。また、乗用車に乗っておられた、運転をなさっておる運転手の方が亡くなられたわけでございます。計二十名でございますが、自賠責保険の対象になりますのはバスの乗客十八名でございます。二つの車の運転者は、いわゆる自賠責の対象者にはならないわけでございます。  そこで、実は午前中、運輸省に私が質問をいたしまして、自賠責の支給の確認をいたしました。そういたしましたら、御存じのとおり、自賠責保険というのは、いわゆる運行供用者において故意または過失によるところの運転上の不注意がなければ保険の対象にならないわけであります。不可抗力であると保険の対象にならないわけでございます。したがいまして、運輸省の立場といたしましては、今そういうような事実は確認できないので自賠責の対象にならない、こういう重大な発言が午前中なされたわけでございます。  そうだとするならば、飛騨の暴風雨の中で災害でバスが川の中に落ちたのでしょうか、大変な被害、死亡者が出たわけでございます。これはいろいろ議論の末、自賠責保険が適用になりました。いわゆる運転上、どうもそういう暴風雨の中に車を運転することに運転上の過失があるのじゃなかろうか、こういうことで適用があったようでございます。したがいまして、本件の岩石の崩落事故と飛騨川の転落事故とはややその類型を異にするのでなかろうかというのが率直な御意見のようでございました。  そうだとするならば、自動車の任意保険においてどうなのかと問いただしましたところが、自賠責保険が支給なされない場合は、いわゆる任意保険の中の保険の中で一人当たり千五百万円だけ支給になる、こういう御答弁でございました。  さらに今度は、中央バスはお客様を乗せて目的地に到着をさせるという運送約款があるわけでございますが、その運送約款の債務の不履行に当たるのじゃなかろうか、そうだとするならばそれに対する損害賠償義務が発生するのじゃなかろうか、こういう質問をしましたが、これははっきりはいたしませんけれども、どうも約款上、天然災害に遭った場合についてはその債務不履行は不可抗力として免れるのじゃなかろうか、こういうお話でございました。  そうだとすると、今保険の関係災害補償できるとすれば任意保険の千五百万、一人当たり千五百万円しか補償ができない、こういうことが結論づけられておるようでございます。しかしながら、今綿密な調査が行われているわけでございますから、そういう観点から見ても、いま少しやはり配慮すべき点があるのじゃなかろうか。  私は、一つ指摘をしました。どういうことかと申しますと、この事故前に通過をいたしました車から、いわゆる岩石のところから少しずつ小石等が落ちてきておる、どうも大変なことになるおそれもあるということで、駐在の方に連絡をしたという情報があります。駐在の方も直ちにこれに対応いたしまして、いろいろと手を打たれたようでございますが、現場へ行ってみられたら事故が発生をしておった、こういうことでございます。  そうだといたしますと、私はどうも、建設省、これは国道でございますし、いわゆる国道の道路管理者としての国賠法上の問題と、民法の占有者としての道路管理瑕疵、そういう問題の中からこの問題がやはり議論をされるのじゃなかろうか、こう思っておるわけでございます。  そこで、建設省の方のお話は、これから綿密な調査があるわけでございますが、私はこう見てみますと、いわゆる小石等が事故前に相当落下が続いておった、そして素人の見た人が危険だなということで駐在に連絡をした、そうだとするならば、その過程の中で私はどうもやはり責任問題、いわゆる責任のあるという行為がどうもそのところに起きていたのじゃなかろうか、発生をしていたのじゃなかろうか、こんなふうに実は思っておるわけでございます。  したがいまして、今後の調査にかかわるわけでございますが、確かに大変な、極めて不可抗力的な部分もないわけではないのでございますが、子細に検討していきますと、私はどうも道路の設置管理上の責任問題、民法七百十七条によるところのいわゆる保存の瑕疵、そんなようなことにもかかわってくるのじゃなかろうか。これがかかわってきて、いわゆる国に責任あり、あるいは所有者、占有者に設置上あるいは保存上の瑕疵ありというならば、これはこの中からの損害賠償というものが実は出るわけでございます。  したがいまして、この問題はなかなか大変な問題でございますが、しかしまた、私たちの立場から見るならば、御遺族にできるだけの補償もしなければならぬ、こんなふうにも思っておるわけでございます。でありまするから、この自賠責法上の問題、任意保険上の問題は大体そんなところに落ちつくおそれがあるわけであります。あと残る問題は、今私が指摘をしたような問題なんじゃなかろうか、こう思っておるわけでございます。  建設省、今言ったような点についてどういう御認識を今お持ちなんでございましょうか。
  108. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 建設省は保険全体に対しての専門家ではございませんが、今の認識といたしましてお答え申し上げますと、先ほど御指摘ありました岐阜国道の四十一号、飛騨川のバス転落事故、これにつきましては、集中豪雨による土石流でバスが押し流されて飛騨川にバスが転落した、この事故につきましては、集中豪雨の場合には通行どめ等の措置が必要だったのではないかという観点から、高裁で損害賠償を命ぜられて支払いをしたものでございます。  御指摘の民法七百十七条には、土地の工作物の設置または保存に瑕疵があった場合、被害者に対して損害賠償の責任があるというふうな規定がありますが、これは国家賠償法の国の賠償責任とほぼ同じ構成の条文でございます。  そういう意味で、この国家賠償法の責任とこの民法の責任関係がどのようになっているのか、これは今後検討する必要があると思いますが、いずれにいたしましても、事故調査委員会におきまして事故の原因究明、これがまず第一だと考えております。
  109. 坂上富男

    坂上分科員 これ以上今の段階で議論することはなかなか無理でしょう。しかし、今お話がありましたとおり、飛騨川のバス事件においても、裁判所の判決があったからこれは適用になったんですね。そこにやはり私は行政としての問題点があろうと思うのでございます。  司法の力をかりなければこの問題が解決できないようなことのないように、ひとつ行政の立場において、しかもこれはもう全くこれらの人たちに何ら責任を問うべき過失はないんですね。本当にとんでもない災害に遭ったわけでございますから、これについては、やはり道路の管理責任者としても、あるいは山、がけの管理者の立場においても、私は国がきちっと対応しなければならない問題だろう、こう思っておりまするから、どうぞひとつ今言ったような飛騨の先例を、裁判までして初めてなったというようなことなく、私が御指摘を申し上げました点もひとつ十分考えていただきまして、早急に対策を講じてもらわなければいかぬと私は思っておるわけでございますので、これ以上は言いません。  ただ、国賠法上の管理というのとそれから保存というのは、これはやはり違いがあるんだろうと私は思っているんですよ。いわゆる管理に手落ちがなくとも保存に手落ちがあった場合の責任もあるわけでございますから、こういう点もよく勉強くださいまして、していただきたい。しかも、保険の問題なんて、専門でなくて素人がみんな知っていることですから、どうぞそういう点も心配りをしまして、ちゃんと御準備をいただいて対応しているのが普通なんじゃなかろうかと私は思っておりまするから、今局長の御答弁、必ずしも私は満腔の同意を表するわけにはいきません。ひとつ子細な事実認識をして対応していただきたい、こんなふうに思っておるわけでございまして、大臣、所感だけでも述べてください。
  110. 中尾栄一

    中尾国務大臣 委員御指摘のとおり、私も現場に行っても、全く御不幸というのは、また御不運というのはこのようなものかとどのくらい感じ取ったかわからないわけでございまして、二秒の差があったならば恐らく存命しておったろうということを考えますれば、委員の御指摘は大変に、ごく当たり前のこととはいえ、私どもの心に重く受けとめざるを得ない、一緒の気持ちでございます。  それだけに、今のような民法の問題、その他今までの問題点、参考にしなければなりませんが、どうかそういう意味においては、私どももでき得る限り、もう今や遺族ということになりましょうか、遺族の各位の方々にも十分にひとつ納得いくような形で持っていきたいという意思を私は貫きたいと思っております。
  111. 坂上富男

    坂上分科員 ありがとうございました。ぜひお願いをいたしたいと思います。  それでは、その次は、いわゆる入札に関することでございます。  いわゆる株式会社あるいはその他の会社におきまして、赤字である、こういうような場合、特に建設関係の会社においては、赤字であるということになりますと、入札や契約ができない場合がよくあるようでございます。したがいまして、業者といたしましては、できるだけ決算諸表の中に赤字を出さないように、こういうふうなことを無理して決算の書類に書かれておる場合もないわけではないんじゃなかろうか。  御存じのとおり、今住専で不良債権問題が大きな議論になっております。不良債権ではあるけれども、やはりこれを償却をいたしますと赤字が出る、赤字が出れば入札に参加できないというようなことが出ることを業者の皆様方が恐れて、無理して黒字であるという会社の決算書でもって入札に参加されようとする。そして、その無理が重なって、せっかく工事を受けた、その工事の途中に倒産をする、こういうような事例がないわけでもないと私は思っておるわけでございます。  したがいまして、やはりこれに対するきちっとした、不良債権があるならばきちっとこれに記載をしていただく、そのかわり、赤字だからといって指名の取り扱い、入札の取り扱いが差別されるようなことであってはならないと私は思っておるわけであります。しかし、もうあす倒産するというのを承知の上でやれというわけではないのでございますが、今一時的に赤字であっても、しばらくするならばこれは回復するであろうというようなことの実態をひとつ把握をしていただきまして対処していただきたい、こう思っておるわけでございます。  そこで、質問といたしましては、いわゆる経営状況に対する指名基準の運用の基準が一体どういうふうなことになっておるか。これが、都道府県あるいは市町村それから国、この三つの段階においていろいろ問題もあろうと思いまするし、建設省ではこれについて相当今調査をなされておるようでもあるようでございます。そういうことに対する建設省の認識と運営についてお話しをいただきたいと思います。
  112. 小鷲茂

    ○小鷲政府委員 まず、赤字を出した場合の公共工事におきます取り扱いの現状を御説明いたしたいと存じますが、御指摘ありましたように指名基準がございまして、その際に、技術的な適合性でありまするとか、あるいは手持ち工事量でありまするとか、積極的な要因を加味することは当然でございますが、そのほかに、その後に悪い工事をしなかったかだとか、経営状況は大丈夫かとか、その後の状況も実は勘案して指名をするということが基準でうたわれてございます。  先生御指摘のように、その基準の運用はどうなっているのかということでございますが、私ども建設省の直轄工事の場合におきますると、ちょっと読み上げていきますると、手形交換所による取引停止処分、主要取引先からの取引停止等の事実があり、経営状態が著しく不健全である場合は指名しないことということでございまして、御指摘のように、明らかに適切な取引が形成できないといった場合には指名から除外をするわけでございますが、単に赤字だということだけで指名をしないということはないわけでございます。  また、ほとんどの都道府県につきましても国と同様の扱いをしているわけでございますが、市町村レベルになりますると、実は必ずしも実態が正確に把握されておりません。所によりましては指名基準自体を持たないという市町村もあるようでございますので、そこで実態はどうなっているのかということを現在調査をしているわけでございます。できればその調査結果を早く得まして、単なる赤字だからということだけで指名が受けられないという事態が生じないような適切な処理をしてまいりたいというふうに考えております。
  113. 坂上富男

    坂上分科員 建設省の方も、この不良債権をめぐりまして、このことのために、実質的に赤字であるけれども指名等の関係から無理して黒字というような状況を出しておるということに対して、大変配慮をされていることはよくわかりました。  ぜひ私はお願いをしたいのでございますが、今もう銀行を初めといたしまして、本当に大変なことが住専問題を中心にして起きてくるわけでございます。これなんか、私は住専問題は出発点だろうと思っているわけでございます。大蔵省銀行局に言わせますと、三十八兆円とか四十兆円、こう言っておる。しかし、アメリカあたりの指摘からいいますと、百兆円以上の不良債権を日本の企業が、銀行等が抱え込んでいるんじゃなかろうか、こう言われておるわけであります。だから、もうこの際私たちは、こういううみを出すだけ出して、そしてその実態をきちっと明白にいたしまして、その上に立って企業の健全化をどう図るかということが大事だろうと思っておるわけであります。したがいまして、指名問題あるいは入札問題においても、黒字でなければならぬというようなことが業者の間で行われておったら、さっき言ったように、仕事の途中に倒産という事態が起きかねぬわけでございます。  でありまするから、やはり建設省の入札に対する指導として、直轄もそうだし、都道府県もそうだし、市町村もそうでございますが、健全な企業についてはたとえ赤字であっても指名で差別しないということもきちっとよく指導をしていただきまして、やはり日本全体がこういう不良債権問題をあらゆる業種の中からも解決をしていかないと、日本の企業そのものが、日本の経済そのものが大変な状態になるのではなかろうか、こういうことを私は心配をしておるものでございまするから、この問題を出したわけでございます。どうぞひとつ、取り扱いにおいても十分な御配慮をいただきまして、少しぐらいの赤字は心配しないで出してくれ、そして遠慮なく指名をするからというふうに対応をしていただきたいと思っているわけでございます。ぜひお願いをいたします。  さて、今度は、個別的なお話で大変恐縮でございます。私の町にもかかわる問題でございますが、新潟県でございますが、国道二百八十九号線というのがあります。通称八十里越道路とも私たちは言っておるわけでございます。  これをちょっと申し上げますと、明治維新のときでございますが、長岡藩の河井継之助という非常に偉い家老がおられまして、これが官軍と戦いまして会津に落ち延びるわけでございますが、これが八十里越道路を通ったと言われておるわけでございます。そしてまた、会津の殿様も参勤交代のときはここを通っていかれたという、大変ロマンのある道路でもあるわけであります。しかしながら、ここは国道にはなっておりまするけれども、いわゆる国道としては不能の場所、通行不能というような場所でございまして、しかし、ここを今度は新潟県から会津へ抜けようというふうな計画があって、建設省から大変な御協力をいただいて道路の工事が今始まっておるわけでございます。  それで、これは単なる歴史ロマンの国道というのもさることながら、私たちにとりましてはもう生活にも大変重要にかかわるところの道路にもなろうといたしておるわけでございますから、一日も早くこの開設を実は願っておるわけであります。  それで、この八十里越道路を何としてもつくっていただきたいということで、民間で、もう三つも四つも五つも期成同盟会を民間の有志がつくっているのですね。もちろん市町村が中心になって、一年に一回東京へ来て陳情会を開く、代議士を呼んで、あるいは建設省を呼んで、総会を開いてはおられますけれども、民間の人たちがもう三つも四つも五つも八十里越会というようなものをつくって、何としても開設をしてくれ、早く道路をつくってくれと言っておる、こういう道路なんでございます。  余り時間がないものだから、正式に質問したことがなかったのでございますが、建設省、この八十里越道路についての現状と見通しについてお聞かせをいただきたい、こう思います。
  114. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 一般国道二百八十九号の八十里越でございますが、御指摘のとおり、新潟−福島県境は車両の通行ができない区間になっております。国道でございますので、早期に通行可能になるように努力したいということで調査を進めておりますし、一部は工事を進めております。非常に大規模な工事になりまして、全区間合わせますと約二十キロになります。そういう意味で、県境付近十一・八キロは建設省直轄事業で、さらに新潟県側は新潟県、福島県側は福島県ということで、三者が共同してこの事業に当たっているところであります。  その中でも、特に直轄の権限代行として実施するところは、我が国有数の豪雪地帯でもありますし、工事期間も極めて制約される。さらに、山岳部特有の急峻な地形、さらには大規模トンネル橋梁、こういうものを主体とした山岳道路であります。高度な技術も要しますし、ある意味では事業の期間も長期にわたっているのが現状でございます。しかし、まず本線工事に着手するために工事用の道路が必要でありまして、この所定の工事用道路の完成後に本線の工事に着手する、こういう段取りで進めております。  現在あります現道は非常に狭いので、これを拡幅して工事用道路確保しておりますが、工事着手のための工事用道路が大体でき上がってまいりましたので、これからは本線工事に着手したいということを考えております。  その際も、県境付近にあります長大トンネルは三キロを超えるトンネルになります。そういう意味で、この長大トンネルに一日も早く着手できるように、これのアプローチの部分の改良工事を実施したいということで、平成八年度この改良工事に本格的に着手する予定としております。  また、新潟県側の部分につきましては、新潟県におきましても二百八十九号の大江道路一・二キロとして事業を進めておりますし、福島県側につきましては、二百八十九号入叶津道路七・八キロとして福島県も鋭意この事業に取り組んでいるところでございます。
  115. 坂上富男

    坂上分科員 大変ありがとうございました。私の聞いたところによりますと、四百億円もかかるんだそうでございまして、一年に十億ずつもらっても、これを十で割ればおわかりのとおりの年月がかかる、こう言われておるわけなんです。私は、皆様方に言っているのです。一定のところに到着すれば一挙に進むのじゃなかろうか、でありまするからみんな頑張りましょう、こう言っておるわけでございまして、ひとつ大臣、それを頭に置いていただきまして対応していただきたい、こんなふうに思っております。  いま一つ、この間は八里なんですよ。八里なんですが、その十倍も困難な道だということで八十里越と言われているわけでございます。これを開設したらすばらしいものになります。ぜひひとつ、一定のところにまいりましたら急速に事業が進展するように御配慮お願いしたい、こう思っております。  いま一つでございます。もう時間が来たんだそうでございますが、新津市にかかわるところでございますが、小さい阿賀野川、小阿賀野川という改修工事が進められているわけでございます。特に、ここのところにかかっておりまするところの亀鶴橋というのがあります。これは大変老朽が著しくて、洪水の支障となっておる橋だそうでございます。何としてもこの橋の改修工事を促進さえすれば、いわゆる小阿賀野川中小河川の改修工事、それから信濃川の合流点の直轄事業による改修工事の促進になると言われておるわけでございます。亀鶴橋の改修工事が急務だと言われておるわけであります。ここは時々水害が出ております。水が町の中にあふれ出るという状況になっておるわけでございます。これに対する工事の促進も陳情したいわけでございますが、状況について御説明を賜りたいと思います。
  116. 松田芳夫

    松田政府委員 御説明申し上げます。  小阿賀野川の中小河川改修事業は、平成五年度から新潟県において、支川能代川の合流点から、下流県道橋の亀鶴橋だと思いますが、亀鶴橋までの間を実施しております。  それで、この県道橋の亀鶴橋は、昭和九年に設置された鉄筋コンクリートの橋で、非常に老朽化が激しく、しかも下流への洪水の流下を阻害していると聞いております。このため、平成五年度から、改修が始まった年からでありますが、その亀鶴橋周辺の河川改修にあわせ、現在亀鶴橋かけかえのために必要な用地買収を鋭意促進しているところであります。今後とも、この亀鶴橋周辺の河川改修を鋭意建設省としても支援してまいりたいと思っております。  それから、亀鶴橋から下流の信濃川合流点までの直轄区間でございますが、ここも河川の流下能力が不足し、あるいは堤防の断面が小さい弱小堤防でございますので、このため、酒屋地区と聞いておりますが、酒屋地区の用地買収及び低水護岸、それから河床の掘削、あるいは堤防のかさ上げ、あるいはやせた堤防の腹づけ工事等の工事の完成を目指し、現在鋭意工事を促進しているところであります。
  117. 坂上富男

    坂上分科員 ありがとうございました。  大臣、今言ったような問題点があるわけでございます。特に力量高い建設大臣中尾大臣でございますが、今言ったような点についてもひとつ大臣の頭の中へ入れていただきまして、御協力を賜りたい、こんなふうに思っておりますが、御所感をいただきまして終わりたいと思います。
  118. 中尾栄一

    中尾国務大臣 坂上委員の先ほど歴史観まで含めましたロマンに満ちたお話も、非常に共感をいたしました。ぜひともこれはひとつ、頭の脳裏に刻みつけて督励をしたいと思っております。
  119. 坂上富男

    坂上分科員 どうもありがとうございました。
  120. 江藤隆美

    ○江藤主査代理 これにて坂上富男君の質疑は終了いたしました。     〔江藤主査代理退席、主査着席〕
  121. 伊藤公介

    伊藤主査 次に、三野優美君。
  122. 三野優美

    三野分科員 建設大臣、毎日予算委員会などでどうも御苦労きまです。また、きょうはありがとうございます。ちょっと質問しづらいのだけれども、ひとつよろしくお願いします。  きょうはダムのみについて質問いたしますが、建設省からいただいた資料によると、建設省の所管のダムの推移は、昭和三十年に十八、平成六年には三百六十五となっているわけですね。そのほかに、電源開発その他いろいろまたダムがあるわけです。これを見てみますと、昭和三十年に十八カ所であったものが現在の三百六十五ということになりますと、この間に約二十倍、それから、今建設中あるいは調査中を含めますと約三十八倍ぐらいになるわけです。それから、昭和五十年から平成六年までの二十年間の完成分で二倍強になって、実施計画中あるいは建設中のものも入れたら四倍になるわけですね。そのほかに、さっき言ったように電源開発その他いろいろとダムがたくさんあるわけだし、また建設されているわけですけれども、一体このままいきますと日本列島は、建設省考えでは、いつごろまでダムをつくって、どのぐらいまでつくればあなたのところは満足されるのか、これをひとつ聞いておきたいのですが、答えだけお願いします。
  123. 松田芳夫

    松田政府委員 委員お話は、米国などに比べると日本は非常にダムの数が多い、しかも、昭和三十年代に比べると現在までに何倍にもふえた、いつまでダムをつくり続けるつもりか、こういうお話であるかと思いますが、日本ダム多目的ダムということで、治水利水の両面の要請でつくっております。一級河川につきましては全国で百九水系、それから、二級河川については二千六百ないし二千七百程度あるかと思いますが、それぞれの川に工事実施基本計画あるいは改修計画というようなことで、大雨が降ったときの洪水をどうやってはこうかというような計画を持ってございます。その中に、洪水河川で流すもの、あるいは河川の拡幅ができない場合にはダム洪水をためるもの、こういった計画をしているものが多数ございます。  それから、利水の問題でございますけれども、各地で水道の普及、あるいは新しい農業用水のかんがいとか、それぞれの利水要請から新規に水資源を求める必要がある場合がございます。そういったことから、治水利水両面要請ダム計画するということになりますが、日本国土における人口とかあるいは経済活動の状況とかいうことを考えますれば、おのずからダムの限界というのは当然あるのではないかというふうに考えております。
  124. 三野優美

    三野分科員 私どもはよく耳にするわけですけれども、欧米ではもうダム時代は終わったという意見がしばしばあるわけです。もちろん、欧米と日本列島とすべて同一視しようというのではありませんけれども、やはりダムによる環境破壊なりダム問題点というものがさまざまな形で議論されている、出てきているわけですから、私はそういった観点からいうと、やはり日本でもダムをもう一遍見直してみる必要があるのではないのか。  今局長言われるように、水資源の確保ダム要請するところがあると思えば、一方においてはダムは反対だという住民運動も各地で起こるわけです。それであなたの方も、建設省の方もこの際、大きなダム問題点がありそうな、地元のいろいろ意見のあるところは審議会などをつくって第三者に検討してもらおうではないか、こういうこともあるわけなんであって、率直に言って、ダムに慎重な意見の立場からいうと、いや建設省が続く限りダムをつくられてしまって、建設省がつぶれない限りは日本列島はコンクリートで埋まってしまうのではないかという意見さえ皮肉に言う人がおるわけです。  実は率直に言って、私も香川県で、水不足でダムお願いしている側です。しかし、一方において私はダムに非常に慎重なんです。一体、今まで建設省がつくったダム、今の時点の価格に直して一カ所当たり平均どのぐらい費用がかかっているのか。恐らく一千億以上だろうと思うのですが、一千億ないし一千五百億ぐらいかかっているところもあると思いますが、どのぐらいかかっているのか聞いておきたいのと、なぜ私が慎重かというと、お聞きになっているかもわかりませんが、私はダムの上流で生まれて育ったわけですね。いまだにそこには私の家屋があるわけ、お墓もあるわけ。したがって、そのダムをつくることによってどういう影響が出るかといったら、もう子供のころからひしひしと身にしみついている。  香川県はダムその他水資源で大変お世話になっていますけれども、吉野川からも水資源をもらって、また小豆島も大変お世話になっているのですけれども、実は香川県は御承知のように山が小さいでしょう。一級河川は土器川一本ですよね。あとは全部二級河川。その二級河川で一番大きいのは、私の生まれたところの香東川なんです。内場ダム。内揚ダムをつくったおかげで——私の子供のころは、あの香東川というのは、内揚ダムから瀬戸内海までずっと水が流れて魚が泳いで、アユも遡上していたわけ。内揚ダムをつくって、もちろんほかに水をとったということもありますよ。途中から高松市の水道をとったということもありますよ。あるけれども、あの流れの、香東川の下流から三分の二のところは全部もう水は流れていない。あれを私は三途の川だと言っている。私の行くところでしょうな、間もなく。川に水がなければ死んだ川ですから三途の川、私が間もなく渡るところでしょう。三分の一はもう本当にわずか の水しか流れていない。  今度また県の方からお願いをして椛川ダムというのがつくられるわけです。これをつくりますと、ダムのすぐ直下の塩江町の水もかれてしまって、ホタルの里とか何とかいって、河川の周辺に公園をつくって、県にも御協力いただいていっぱいやっておるわけですが、しかし、あれは蛍もいなくなる、水が流れないのですから。それで、香川県一のダムを今度つくるというのですね。そういうことを知っていますから、私は、ダムというものが河川を殺す、環境破壊が起こることは生活の中で実感としてわかっているわけです。  実は、これは私のおやじも犯人でして、おやじもその当時村会議員か何かしておって、県に唆されて買収したのはうちのおやじなんです。ですから、今非常に大変な悪いことをしたなと思っているわけですが。  そういうことを考えてみると、私は、やはりダムを再検討して、むしろ国土庁も含めて、二つに分かれているのが僕はおかしいと思う。国土庁が水源開発の何か調査をして、仕事をするのは建設省、これは話がなかなか難しくて困るのですが、私はこれはやはり一本化すべきだと思う。  やはり水の有効利用、ダムの見直しをも含めてそういうことを本格的に考える時期に来たのではないかと思うのですが、そういう機関は国の機関にありますか、あるいは欧米を参考にしながらそういう検討をしているのでしょうか、それを聞きましょう。
  125. 松田芳夫

    松田政府委員 水をダムだけに依存あるいはダム河川だけに頼らず、もっと有効利用を図れ、あるいはその有効利用に関することを研究している機関があるか、こういうお話かと思いますが、当然のこと、高度成長的な観点ばかりではなくて、水資源についても、循環利用ができるという利点はありますけれども水資源も一つの資源であるという事実には変わりありませんので、できるだけ節約して使っていただきたい。  そういった観点から、一人一日何百リットルというような上水道の使用の数値がありますけれども、そういうことを少しでも減らすように各機関が努力しております。上水道の節水ということについては、厚生省が水道部局を通じて各地方公共団体の指導に努めておりますし、それから水資源全体の計画論を担当しております国土庁も、最近のいろいろな書物において水の有効利用あるいは節水ということを訴えております。それから、私どもも無論、足りなければ単にダムをつくって補給するということではなくて、水をできるだけ節約してほしいというようなことは常時努めて、あるいはPRしておるつもりでございます。  現に、昨年の夏の後半から雨が非常に少なかったことによりまして、現在少しずつ渇水状態が忍び寄っております。それで、マスメディアや何かの方にもお願いして、現在できるだけこの冬場の渇水をしのぐように水を節約してほしいというお願いを差し上げたりしているところでございます。
  126. 三野優美

    三野分科員 日本列島は島国で、海と山とが非常に近いものですから、なかなか水の確保というのは難しいところもある。雨が降ったら一挙に流れて出てしまうものですから。ただ、それはそれで、日本列島に合ったような水の利用計画、水の有効利用はどうあるべきかということを、私は本格的に研究機関も置いてすべきだと思っているわけです。率直に言って、ダム一つつくるか二つつくるぐらいなら、費用を投じてでもそういう研究機関をつくって、専門家を集めて本格的にやる必要が建設省、国土庁にあってしかるべきだと私は思うのです。これはまた後で大臣に聞きますけれども、こんなことはぜひ考えてもらわないと、水が足らぬからダムをつくればいいわ、ダムができたら水は使いっ放していいわという、我々の生活も含めて考え直さなければ、本当に日本列島、ダムによって川は殺されてしまうわけですから、その点はぜひひとつ御理解をいただきたいと思うのです。  そこで、建設省なり国土庁にお聞きしますが、日本列島でこれだけ多くのダムを今までつくっているし、今もつくっているのですが、そのダムの上流の流域、山の懐ですね、ここはすべて保安林指定ができていますか。私は前から言っているけれども、どの程度進んでいますか、保安林の指定。
  127. 松田芳夫

    松田政府委員 その保安林指定の数値について、ちょっと現在のところ持ち合わせがございませんので、後ほど御説明させていただきたいと思います。
  128. 三野優美

    三野分科員 実はそうなんです、大臣ダムをつくるということは、実は治水のこともあるけれども利水もあるわけです。つくったダムが汚されて、土砂が流入して堆積して、そして機能しなくなる。そうしたら、また次、ダムをつくる。そんな繰り返しばかりやっているのですよ。もちろん治水利水の保安林指定というのは林野庁になっている。縦割り行政の弱点がここに出てきているのです。  お聞きになったこともあるかもわかりませんが、今から五、六年前に、香川県の大内ダムの上流は民間の山林で、土砂を崩されて大阪へ持っていって売ったでしょう。一説には飛行場へ行ったという、いや飛行場だけではないぞ、関西空港だけではないという意見がありましたが。それで、あのせっかくつくった大内ダムが土砂によって埋まって、汚れて、毎日毎日ですから、それで使い物にならなくて住民運動が起きたことがある。  私は、ダムをつくる側も、やはりダムを県なり地元から申請してくる、建設省がその次やろうとする、その場合には、まずはそのダムをつくってどういう水が出てきて、その水をどう管理するか、そういう展望なしにコンクリだけ流しているのです。そこが問題だと言っているのです。  ですから、私はこう言っているわけです。ダムを申請してそこに調査費をつけるまでに、あるいは調査費段階で、少なくともその流域はすべて保安林として、水源保安林なりその他の保安林として指定していなければつくってはいかぬ。だって、せっかくつくったって、山は荒らされて土砂が流れ込んで、だんだんダムは埋まっていく、水は汚されていく。そうしたら、また次のところヘダムをつくるのでしょう。ですから、私は、今のダム建設というのは本当にそういう計画段階にずさんさがある、こういうことを指摘しておきましょう。  椛川ダム調査費をつけてくれたけれども、それも調べてないでしょう、上流は。国有林でありますが、ある程度保安林に指定されておると思いますが、どの程度保安林に指定されているか調べてないでしょう。かつて私は指摘したことがある。保安林指定が出てこない限りは絶対だめ、むだ遣いになってしまうから、こういうことを言っているわけですから、それはあなたの方が——実はあなたのところはダムをつくることだけが目的化してしまっている、そのことを私はこの際指摘しておきますが、少なくともこれからの計画についてはちゃんとする。  まず椛川ダム、県に連絡をとって、保安林指定ができているかどうか。保安林指定ができていなければ来年からは調査費はつけませんよ、このぐらいできますか、どうですか。
  129. 松田芳夫

    松田政府委員 ダムの上流の森林が水源涵養上非常に大切ではないかというお話につながるのだろうと思いますが、私どもも無論それは当然のことだと従来から理解しております。  ただ、日本の場合には、山地における森林の問題は、また非常に難しい問題もいろいろございます。先進的なダムで言えば、東京都の水道局が戦前に計画して、当時としては世界一、二の大きいダムということで、石川達三の「日蔭の村」となった有名な小河内ダムというのがございますが、小河内ダムの上流の森林は東京都の水道局がかなり部分を買収して、水源涵養林ということで現在まで立派な森林を確保しております。  私どももそういった問題は非常に重要だと考えておりまして、一部のダムにつきましては、ダムの上流側の森林をダムとタイアップしたような形の一種の滋養林という形で整備したり範囲を広げていったりというような試みなども一部ございます。今後建設されるダムについては、そういう観点を踏まえていろいろ考えていきたいとは思っております。
  130. 三野優美

    三野分科員 実は内場ダムの上流は、私さっき言ったように生まれたところで、私も、貧乏人だがね、少しばかりだけれども山林を持っている。すべて水源保安林なんです。水源保安林にしてくれると、実は税金がかからないので余り損じゃないのですよ、どうせ余り金にならぬ山林だから。同時に、あなたのところはダムをつくるけれども、水源保安林にして山を大事にすることは、緑のダムを持っていると同じようなことなんでしょう。だから、コンクリートだけがダムじゃないのですわね。  そういう観点で、ダム上流は、地元から言ってきたときには、水源保安林なりその他の保安林に指定がなければ、ほとんど、一〇〇%とはいいませんが、少なくとも七〇%なり八〇%してくれなければできませんよというぐらいな対応をぜひしてもらうようにこの際要請しておきますから、まず椛川ダム、確認してください。これは大分保安林があると思う、国有林があるから。そのことも確認してください。それでなければ来年から調査費できません、こう言ってやはりしなければ、せっかくつくっても、水を汚したり、上で山をいらわれたのでは、とにかく、このごろ山ごと崩す業者が出てきていますから、そのことをお願いします。  さてそこで、ダム建設が与える影響というのは、もう私が言うまでもありません。私の村は昔の安原上西村という村なのです。小学校が三つあった。内揚のダムができた、そのために、小さいときから、中学校はダムの下まで通わなければならぬ。冬、暗いうちに出ていって、暗くなってから帰ってくる。ダムサイトは五十メートルある。その県道のつけかえで道路は立派になったといってみても、おりるときも、帰るときも、自転車は乗れないわけね。特に冬場は凍るからだめでしょう、ダムというのは山の中につくるのですから。そこで、何をしたかというと、小学校から初めて中学校へやる、ダムの下まで学校へやる親たちは、その中学校の周辺で下宿させたわけ。何と十何キロあるところを通わせるものですから、暗いところから、暗い道ですから、しかも凍っているところですから、毎日、親が送り戻しするわけにもいきませんから、下宿させたわけ。下宿までさせなければ学校へやれない、これはかわいそうだから、もう、じいさん、ばあさん、おら向こうへ、町の方へ出ていくわねと、子供を離しておくわけにいかぬと、出ていくわけ。出ていったらもう帰ってこないのですよ。  そして、三つあった小学校はついに一つになっちゃった。私の出た小学校に三つを統合したわけ。そこはもう、一年生から六年生まで二十二人か二十四人ですわな。間もなく、四、五年のうちに廃校になるわけです。村にとうとう学校もなくなるのですよ。郵便局もなければ何もないわね。ダムをつくることによって、ダムの上流に残された人たちは大変な被害を受ける。  ところが、もちろん当然でしょうけれども建設省ダムをつくる場合に、水没地域はそれぞれ補償するわな。残った人のところは、別に、畑一枚、納屋一軒、木一本買うわけでないから補償せぬわな。はい、さよならで、切り捨て御免なんですよ。これがダム上流に残った現実なんです。あなた方はわかっているでしょう。それは、制度はないから何もできませんね。  今度、椛川ダムでは約二十戸残るでしょう。その二十戸も、一つの集落ではない、小部落が右の山の上に五、六軒、こっちは三軒、ここに二軒、ここに七軒残っちゃうわけね。今度百メートル、ダムサイトは九十何メートル、香川県一だと言って、県の土木部が誇っているわな。そこへ行ったところが、そこの働いている、住んでいる住民や奥さん方は、三野さん、どうなるのだろうと。説明会があったので聞きに行った。かからぬものですから、用地がかかるわけでもないですから、後ろの方で小さくなっていた。だが、この間は、回されたらだめだ、反対だということを言って、余り話は進まなかったようですが、その後ろへ座っている人たちは、もうじっと、将来どうなるのという心配だけなんですよ。  私、この間行ってきました、自分の生まれたところですから、行ってきました。どうしたらいいのだろう、何の方法もない。おたくへ調査費を要求したときに、知事さんにそういう実態がありますよと言った。何とか考えますよと。何とかといったって何とかならぬわな。これらについて、どう考えますか。
  131. 松田芳夫

    松田政府委員 お話しの椛川ダムでございますが、私どもの現時点における県から聞いた調査では、建設に伴い、約三十戸の民家が水没するということになり、その結果、上流域に約十九戸の民家が残存することになるものと聞いております。  それで、河川下流域の治水利水対策のために建設されるダムによって、いわば下流域の利便のために上流の水源地域が衰退することは元来あってはならないことだというふうに私ども考えております。  事業実施に当たっては、これら地域が抱える諸問題について十分対応していくことが基本的に重要であると原則的には考えておるわけでありますが、この椛川ダムにつきましては、事業の主体でございます香川県がこれまで、上流地域住民の方々に対し平成六年四月、それから平成六年九月、昨年の平成七年八月の計三回、それから地区の代表者に対しことしの一月にも、ダム事業の概要と今後行う調査の内容等について説明を行ってきたと香川県から聞いております。  建設省といたしましては、香川県がダム事業計画段階から地元関係者あるいはその上流域の残存の方々と十分な話し合いを行い、地元意見も伺いながら、ダム上流域の地域活性化、ダム建設に伴う新たな地域づくりに積極的に取り組んでいくよう今後とも適切に指導してまいりたいというふうに考えております。
  132. 三野優美

    三野分科員 局長、もうあなたの抽象的な話は大体わかるわけですわな。けれども、今の制度の中では、ダムにかかる二十戸はいいですよ、いや三十戸かな、今言ったのは。それは用地買収なりいろいろとするわな。これはいいとは言えぬけれども、まあしかし、それなりの補償をするわけですね。ところが、残った二軒、三軒、四軒、残ったところは、これはもう、はい、さよならなんですよ。切り捨て御免なんだわ。ところが、私の経験からいって、ダムは実は残った人が一番犠牲になるんだ、もう未来永劫に。実は、残った人に対する対応をしたためしがないのです。  そこで、もうこれは提案なんですが、実はもう生活できないわけです、百メートルも大きなものつくって、急な道つけ直すのですからね。何ぼ二車線にしてくれてみたって、まあ二車線できるかどうかは知らぬけれども、道を建設して舗装してみたって、そんな道、あなた、自転車でもおりられもせぬし、上ってもいけぬわけ、歩くしかないわけね。  そこで私は、もう率直に言いますが、どうですか、そのダム下流に、ダムの下側へ、もし希望があるのならば、公営住宅一つでも建てて住んでもらいましょうかと。車に乗れる人は乗れる間、もとの里の方へ行って野菜づくりなり——これは今も野菜をつくっているわけ、行ってみたら。野菜づくりなり花づくりなりしてくださいと。かといって、向こうに自分の家があるのに、何の補償もないのに、何ぼ公営住宅建ててくれたって、今五万円、六万円ですからな、そんな金は払えぬと。それはそうだろうと思う。  これは、ダムの水は高松市民や香川町、香南町の人が飲むわけ。けれども、上流の人がここのダムに来て、水くんで帰って飲むわけではないのです。やはり依然として、竹切って、竹のといを筒でずっと引っ張ってきてやっていますわな。いつまでもそういうふうにいくまい。それについては、たとえ二戸、三戸、五戸であってみても、それなりの、下の人の水を確保してあげるのだったら、皆さんの水も同時にやってあげましょうということで、私はやはり町なり県がやるべきだと思う。国がそれに呼びかけをすべきだと思うし、何らかの援助をすべきだと思う。  それで、例えば公営住宅建ててみたって、五万も六万も出せへんわな。それならば、利用する高松、香川、香南の人たちで基金でもつくって、その基金を一つのてことして、十年なら十年間は家賃の補助しましょうか、どうでしょうか、一万円で結構ですと、その後はそのところを買ってもらうか、息子さんが買うのか、買わなければ、それはいつまでたってもいきませんよと、そういう具体的な指導をしなければできませんね。  実はきのう、建設省、国土庁の人が私の部屋へ来てくれたものですから、言いました。もしそういう対応ができるならば、私も地元ですから、積極的に話進めていきましょうや、そういう形で、切り捨て御免でいくのならば、残念ながら、県と対立しますけれども、反対運動の先頭に立たなければいかぬ。私も県会議員を長いことやってきて、し尿処理場の建設その他やったけれども、少なくとも一人の犠牲もないといった、最小限に食いとめた状況でなければ、してはいかぬと思うのです、私は。  そういう意味について、建設省なり国土庁は、公園つくったから何とかとこのごろやってきたけれども、あれは地元の人は使いませんからね。内場ダムもつくってもらいました。あれは高松の人が来て遊んで、若い人が来て花見をして、ごみだけ置いて帰るところですから。それはいいのですが、私は、それでなければ、本当に地元にわずかに残る人たちのための措置を、きめ細やかに意見を聞きながらやるということについて、県を指導する、国もそれなりの呼び水としての援助体制というのをやはり考えていく、そういうことを今約束してもらえますか。私は今晩帰ってしまうんだ。地元から来るわけです。どうでしょうか。
  133. 松田芳夫

    松田政府委員 直接水没された方ばかりではなく、残存ということで残された方々に対してどういうことができるか、こういうお話であったかと思います。  後ほど国土庁からもお話があるかと思いますが、現在は適切な法律や制度がございませんけれども、今委員からお話しの例えば一つの点は、貴重な御提言といたしまして、私どもも今後の県との話し合いとか、そういうところでこういうお話がありましたと、あるいは、現在のところ制度はございませんけれども、その精神は非常に、考え方は貴重な御提言と考えられますので、私らもいろいろ考えてみたいと思います。
  134. 三野優美

    三野分科員 国土庁、いや、答弁いただくだけの時間がないから。  実は大臣、私、与党の理事懇とかがあるので、ちょっと大事なところですから失礼しますが、大臣どうでしょう。私の見解について、大臣として建設省や国土庁を督促して、当面は椛川ダム全国にないんです、一つのきっかけとして対応していただける、お答えいただけるだろうか、どうだろうか、ひとつ決意をお尋ねします。
  135. 中尾栄一

    中尾国務大臣 ダムといいますと、アメリカは一九三〇年代ごろからずっと伸びてきました。日本も、たしか戦前でも東海林太郎なんかの歌に「湖底の故郷」なんというのがございましたから、非常にロマンに満ちたような歌が、哀愁もございましたが、今委員から聞いてみますると、確かに、いろいろとそれによってまた、何といいましょうか、苦しい思いをしておられる方もたくさん出てきておる、これは否めない事実であろうと思いますし、これは貴重な意見を聞かせていただいたと思っております。早速、これは私も省に戻りましてから、もう一つの大きな課題として考えていきたい、このように思います。
  136. 三野優美

    三野分科員 ありがとうございました。  国土庁も、ぜひ建設省と相談して、県にも連絡をとりながら、必ず泣かす子をつくらぬように、犠牲は残るとは思われるけれども、最小限に食いとめるように、ひとつ御指導なり御援助いただきたい。その上に立って、私も地元ですから、自分の生まれた村ですから、協力させてもらいますから、よろしくお願いします。ありがとうございました。
  137. 伊藤公介

    伊藤主査 これにて三野優美君の質疑は終了いたしました。  次に、川島實君。
  138. 川島實

    川島分科員 新進党の川島實です。時間も限られた時間ですので、私も簡潔に質問をいたしますので、ひとつ要領よく御答弁をいただきたいと思います。  最初に、矢作川境川流域下水道事業の進捗状況並びに今後の整備方針についてお伺いをしたいと思います。
  139. 近藤茂夫

    ○近藤(茂)政府委員 先生の今御指摘の、矢作川流域下水道の進捗状況、今後の整備方針ということでございますが、先生御案内のとおり、ここは岡崎市、西尾市等の四市四町を対象として昭和四十七年度に事業着手されたわけでございますが、西尾市は平成三年度、岡崎市は平成四年度、一部供用開始はされているわけでございます。  今後どうなるかということでございますけれども、現在、八年度の予算案におきましては、私ども第八次の下水道整備計画、これを要求させていただいております。下水道整備緊急措置法の一部改正も国会に提出させていただいておりまして、法律に基づく第八次の下水道整備計画、二十三兆七千ということで要求させていただいているわけでございますが、そういったものがきちっと確保されて計画的に進むということになれば、平成八年度に豊田市について供用開始、一部させていただく。また、九年度には一色町、それから残る吉良町、幡豆町、幸田町、これもこの新しい五カ年計画の期間内のできるだけ早い時期、遅くともその五カ年計画の期間内に供用開始ができるように、関係施設の整備に全面的にバックアップしていきたい、このように考えております。
  140. 川島實

    川島分科員 次に、これを補てんをする意味で合併処理浄化槽の設置が行われているわけでございますが、この流域下水道水域における、厚生省が行っておりますこの事業の進捗状況並びに今後の計画についてお伺いをしておきたいと思います。
  141. 本田清隆

    ○本田説明員 御質問の合併処理浄化槽の関係でございますが、これは各家庭にそれぞれ個別に設置をしていく事業でございます。住居の散在した地域に大変適する、またコストも非常に安く、また設置に要する期間も短いという、いろいろなメリットを持っております。厚生省といたしまして、生活排水対策の重要な柱といたしましてその整備促進に努めているところでございまして、昭和六十二年度から国庫補助事業を創設しております。  今、先生の御質問の中の、例えば岡崎市でございますとか、そういう流域の地域につきましては、昭和六十三年度からその整備事業というものが始まっておりまして、そういった意味で、比較的早い時期から整備促進に取り組んできているというふうに考えておりまして、現在、既に三千基を超える合併処理浄化槽の整備が行われております。  私どもといたしましては、平成八年度予算案におきましても対前年度比一三%増の百四十六億円を計上しているところでございまして、今後とも十分その市町村の要望にこたえられるよう予算確保するとともに、合併処理浄化槽の整備促進にさらに努めていきたいというふうに考えております。
  142. 川島實

    川島分科員 次に、愛知県は二〇〇五年に中部新国際空港の開港と、それから万国博覧会が閣議決定をしておりまして、今運動を進められておるわけでございます。  まず、万博会場へのアクセス道路として、今、名古屋瀬戸道路計画に入っているわけですが、この進捗状況についてお伺いをしておきたいと思います。
  143. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 愛知万博の会場へのアクセス道路ともなります名古屋瀬戸道路につきましてでありますが、これは名古屋市から瀬戸市に至る約二十キロの自動車専用道路でございます。名古屋圏全体の自動車専用道路網のネットワークを構成する一つ路線として位置づけがされております。  この名古屋瀬戸道路につきましては、平成七年十二月に国際博覧会の開催申請の閣議了解がなされたところでもあり、先ほど申し上げましたように、博覧会のアクセス道路としても期待されているわけであります。  建設省では、昭和六十三年からいろいろ各種の調査を進めてきておりますが、平成七年の八月には地域規格道路調査区間に指定いたしました。愛知県が、愛知県における国際博覧会等の関連プロジェクトの動向と密接に調整を図る、そういうことが必要であります。そういうことを受けまして、さらには自然環境との調和を図りつつ、早期に路線決定をいたし、都市計画決定の手続、そういうものを進めてまいりたいと考えております。
  144. 川島實

    川島分科員 次に、中部国際空港へのアクセス道路、これは道路建設に時間がかかりますので、まず、西三河の方からの関係では、名古屋三河道路関係があると思います。それから、三重県との関係で、今の東海北陸道の関係の、恐らく第二東名がドッキングするのか、そちらの方面からの中部国際空港へのアクセス道路というのはどう考えているのか、その二点についてお伺いしておきたいと思います。
  145. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 中部新国際空港へのアクセス道路につきましては、この地域で中部新国際空港推進調整会議というものが構成されておりまして、その中には、愛知県あるいは名古屋市、さらには運輸省、建設省、あるいは航空局、あるいは商工会議所、いろいろ入りまして、いろいろなものを検討しているわけですが、その中でもアクセス部会というようなものがあります。そういう中で、現在いろいろな調整を進めているところでありますが、その中でも、今御指摘ございました名古屋三河道路というものが三河地域と名古屋港あるいは新空港とのアクセスを確保するために必要ではないかということで、自動車専用道路として現在提案されております。  建設省におきましても、平成四年からこの路線についての検討を進めているところでありまして、これにつきましても、地域規格道路の候補路線平成六年には指定をし、概略設計等の実施を進めております。今後、地元関係機関と十分調整を図りながら、地域規格道路計画路線として、さらに一層の調査推進していくこととしたいと考えております。  さらに、三重、岐阜と中部国際空港とのアクセスにつきましては、第二名神道路、これが三重県の方については大きなアクセス道路になると思いますし、さらには、岐阜県につきましては一宮西港道路、あるいは名古屋二環と言っております、その名古屋二環の西南部の区間、これらが岐阜県とのアクセス道路になると思います。あわせまして、東海北陸道あるいは名岐道路、名濃道路、これらいろいろなネットワークが必要となると思いますので、この辺について今後事業推進に努力してまいりたいと考えております。
  146. 川島實

    川島分科員 これは目安として、大体、建設に着工してから完成までどのくらいを見ておるのですか。
  147. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 高速道路関係で、自動車専用道路でございますと、実際に現地に入る、あるいは計画が確定するという段階からおおむね十年、そういう意味では、高速道路等につきましては施行命令が出てから完成まで約十年、平均的にはかかっております。
  148. 川島實

    川島分科員 そうなりますと、二〇〇五年でございますから、これは早急にこのおくれを取り戻していただかなければならぬと思いますので、ひとつ強く要望しておきますので、間違いなく完成ができるようにひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。  次に、先ほどもお話が出ておりましたように、第二東名・名神、これは名古屋近辺では非常に順調に工事が、橋や何かも、はや進んでおるようでございますが、これについての完成見込みといいますか、進捗状況お願いいたしたいと思います。
  149. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 第二東名・名神につきましてでありますが、御承知のとおり、第二東名・名神は、東京から神戸市に至る延長四百九十キロの重要な幹線道路でございます。特に、この第二東名・名神は従来の東名・名神に比較しても、より安全で快適な高速走行が可能である、あるいは高い信頼性を確保できるという観点から、規格の高い、十分なゆとりのある道路として現在調査計画し、一部事業に着手しているところでございます。  愛知県管内の区間につきましては、第二東名高速道路、これにつきましては静岡県県境から東海市の間八十二キロ、それから第二名神につきましては飛島村から三重県境まで五キロ、これが平成五年に施行命令があり、平成六年九月から本格的に事業着手したところであります。これまで調査設計、地元協議、用地買収を進めており、その一部につきましては平成七年十月に起工式等もとり行うことができたところでございます。  また、この間に、先行いたしまして東海市から飛島村の間六・二キロについては、伊勢湾岸道路として従来から鋭意工事をやっておりました。御承知のとおり、名港西大橋二・四キロは既に部分供用しておりますし、前後についてもこれは工事を鋭意進めてまいりたいと考えております。  全体として、先ほど申し上げました第二東名・名神の八十二キロ、さらに五キロについて、今後地元協議を進め、協議が調ったところから用地買収をし、工事にも順次着手したいと考えております。若干、豊田市付近におきまして立ち入りができないというような区間がございますので、これらについても地元協議ができるように誠意を持って努力をしてまいりたいと思います。二十一世紀の初頭までにぜひこの第二東名・名神については完成していくという目標を持ちまして、鋭意努力してまいりたいと考えております。
  150. 川島實

    川島分科員 ぜひそのときに、今地元でいろいろ、今の高速道路で非常に難しいところに騒音の防音壁をつくっていただいたり、土地があるところは緩衝林を植えてもらったり、いろいろおやりいただいているわけですから、その辺の関係についてもひとつ十分御配慮をして、最初からつくっておいていただきたいと思っております。これは要望でございます。  次に、国道二十三号のバイパス、知立からずっと岡崎を経由して豊橋へ行く道路でございますが、これも大分、片側一車線ずつのものが二車線に拡幅されてきておるわけでございますが、これの関係の進捗状況はどうなっておりますか。
  151. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 国道二十三号の、名豊道路と申しておりますが、これは順次、知立バイパス、岡崎バイパス、蒲郡バイパス、豊橋バイパス、豊橋東バイパスというふうに連続してバイパスの計画があります。全体七十三キロ、計画としては四車線の道路でございますが、今申し上げました五つのバイパスのうち、蒲郡バイパスを除く四バイパス、約五十八キロについては既に事業に着手しておりまして、これまででも全延長のうちの四四%に当たる三十二キロにつきましては、暫定二車の区間もありますが、供用を開始しているという状況でございます。  個別に申し上げますと、知立バイパスにつきましては、既に平成元年に全線十六・四キロを二車線で供用を開始しておりますので、今お話がありましたとおり、渋滞している箇所について四車化を進めております。今後もこの四車化を逐次やってまいりたいと考えております。  それから、知立バイパスに隣接します岡崎バイパスでありますが、現在、知立バイパスに続く中原インターチェンジまでの五・五キロ、これは暫定二車で供用しておりますので、この中原インターからさらに西尾東インターの間二・二キロ、ここを重点区間として用地取得を進めている、工事を促進しているという状況でございます。  さらに、豊橋バイパスにつきましては、全体が十七キロございます。前芝インターから豊橋港インターの間九・六キロは、暫定二車でこれも供用開始しておりますが、両側の未供用区間がございます。これらについて用地買収、工事を推進したいと考えております。  最後に、名豊道路の一番東に位置しております豊橋東バイパスにつきましては、平成四年度から事業に着手しておりまして、平成七年度、用地買収に着手したところであり、引き続き用地買収を促進してまいりたいと考えております。  最後に、残りました蒲郡バイパスでありますが、既に都市計画決定ができております。事業化に向けて整備手法等の検討を進めている段階でありまして、できるだけ早い時期に事業着手をしたいと考えております。  いずれにいたしましても、名豊道路と申しますのは、一部区間は自動車専用道路であり、一部区間は一般道路でありますが、これは東名高速道路の代替的な機能も発揮しますし、沿線地域から極めて強い要望を受けている道路でございます。一日も早く事業推進し、完成できますように努力してまいりたいと思っております。
  152. 川島實

    川島分科員 次に、これは、県道名古屋岡崎線と今の、車が岡崎へ入ってくる東名のインターチェンジのちょうど出口の国道一号線との交差路の架橋になる工事でございますけれども、これは毎年、私は二年連続でこの質問をいたしております。  それは、十年間放置されておった箇所で、ただ、高速道路のインターへつながると私は誤解をしておったものですから余り言わなかったわけですが、片側三車線が一車線になる、それは今では車が生活道路に入っておるものですから、名古屋岡崎線の方が整備が進んでおりまして、いつも渋滞するのですね。だあっと三車線が一気に一車線になるわけですから、これは大変なことですよ。これは、工事が進まなければ、端的に平面道路にしていただいてきちっと信号をつけてもらえば、簡単にできることですから。  今、高速道路から出てくる車が、大きなトラックが、左側を右折して地下へ入り込んで非常に——もうこれは、三十二万都市の高速道路の出入り口から出てくる車の通る道じゃないところを十年間も放置されているわけですからね。二年連続言っているのですが、一向に姿が見えてこない。一体どうなっているのか、まずお伺いをしておきたいと思います。
  153. 近藤茂夫

    ○近藤(茂)政府委員 この国道一号との交差点につきましては、先生今御指摘のとおり、六十二年、平面交差で暫定供用、ただ、立体交差化事業を進めるということで、今年度、街路事業として採択されております。用地買収に今着手いたしました。  八年度も恐らく用地買収が必要かと思いますが、用地買収が順調にいけば、あとは今先生言われたような渋滞、東名からおり口の渋滞、それから同時に、生活道路としてある程度交通を確保する、そういう要請はありますけれども、急いで立体交差にしていく、そのための事業面の応援は物理的に必要な範囲内では全面的に協力するという方向で対応したい、こういうふうに考えているところでございます。
  154. 川島實

    川島分科員 昨年も用地買収、そんな用地を買うようなところはちょこっとですよ、距離からいって。穴を、上へかぶせれば簡単に一車線が三車線になるのですよ。そんな、費用も全然かからないですよ。そして、インターから出てくる車も正々堂々と国道一号線へ入れるのですよ。  岡崎へ出てくる車が、国道一号線をまたいできて、一遍またこっちの碧南の方へ向かって、地下へ入り込んで、ううっと右折して、とんでもない道路を走りながらようやく国道一号線へ出てくるような、ぐうっとUターン道路なんですよね。こんなこと考えられないですよ。何も、平面道路ならすっと行けるのですよ。もう全然、十年間も放置しておいて、いまだに用地どうの用地どうのと、なぜきちっとした工事にかからないのですか。一体いつ完成するのですか。
  155. 近藤茂夫

    ○近藤(茂)政府委員 細部については地元の先生が一番詳しい、そういう前提で私も答弁しなければいけないわけですけれども基本的に、県からの事業計画、これに全面的に対応するということで今対応をしておりますので、私の理解でも、例えば四車線を維持していかなければいけないとすれば、そこに、交差点のところで、入っていく、おりていく、そういうものを確保しながら進めていかなければいけないということで、用地買収も必要なんだというふうに聞いているわけでございます。  そういう意味で、用地買収の必要性、これは、私も個別に事務的にチェックしたわけではございませんが、県からの要望は八年、九年、そしてその後で工事に入るわけでございますが、それはもう公共団体の要望に即して必要な補助をつけていきたい、これが私ども考え方でございます。
  156. 川島實

    川島分科員 三年連続でこうやっているのに、いまだに計画で、完成度だけでも見えないというのは、これは本当に対応がまずいということの一言に尽きるのですよ。  どのくらい地元が苦しんでいるか。車の運転手さんたち、大都市ヘインターからおりて初めて来る、大きいトラックになりましたでしょう、その人たちがUターンするのにどのくらい苦労しているのですか。あんなところ、どこの都市に行ったってないですよ、本当に。現地を見たのですか、これ三年間もやっているのに。大体、でき上がる日にちを決めてくださいよ。
  157. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 御指摘の交差点につきましては、これは国道一号の交差点でございますので、現在まで調査が十分でございませんでしたが、早速、再度調査をして、早急に渋滞解消ができるように計画を見直し、現地を指示したいと考えております。
  158. 川島實

    川島分科員 できなきゃできないでいいのですよ。平面体、ぱしっとふたしてしまえば、片側三車線、六車線あるわけですね、名古屋へ向かっていく、一号線を。普通の平面の交差なら交差で、それで済むのですよ。インターから出てくるものだって、それができ上がっていれば真っすぐ行けるわけですよ、一号線へ入っていける。それをやらないために、わざわざ中の両方、片側二車線ずつ空間ができているのですよ、上へ架橋をして、またぐための橋をつくるために。  今度土地を欲しいと言っているのは、真ん中へ、上へ二車線ずつ四車線ができると片側一車線になるから、それが狭くなるので土地が欲しいと言う。仕事はできるのですよ、真ん中の方は。なぜやらないのかと聞いているのですよ。道路の拡張部分は、横へ狭くなった部分を広くするための拡張の交渉をしているわけです。やれるのですね、中の工事は。なぜやらないのですか。
  159. 近藤茂夫

    ○近藤(茂)政府委員 基本的に、立体交差の部類については、補助事業でございますので、県の事業計画を踏まえて、私ども応援しているわけでございます。今、県から提示されているのは、七年−十一年ということで事業計画の認可申請が出てきて、それの認可がされているわけでございます。  今、先生の御指摘がございましたので、もう一回、実態を踏まえて、私も全面的にその重要性ということに関しましては先生と認識は一致しておりますので、物理的に事業が進捗できる状況であればそれをそのまま対応できるように、認可の内容についてももう一回、変更するということも含めて考えていきたいと思います。
  160. 川島實

    川島分科員 おかしいですよ。建設省は、補助を出すときには道路の細かいところの何百メーターまでチェックしておって、こんな都市の、それも入り口の一番重要なところで、だあっと大きな十ラックが三車線で走ってきたものが一車線になるということは、いつも工事の状況と一緒なんですよ。事故も起こっていますし。なぜそういうことをきちっと受けとめないのですか。これはおかしいですよ。  もう二年前ですよ、ここで議論をしたのは。写真も撮って、ちゃんとやりますと言って約束までして、ちっとも進んでいない。本当に地元には目に見えてこないです。県がいけなかったら県をしかればいいじゃないですか。我々だって県の発展のためにいろいろな形で皆さん方と協議しながら議論しているのだから。国会できちっと議論したことはちゃんとやってくださいよ。大変なことですよ、六車線が片側一車線になるのですから。
  161. 近藤茂夫

    ○近藤(茂)政府委員 今先生御指摘のとおり、もう一度県ともよく相談いたしまして、物理的に可能な状況のもとで全面的に応援するということで対応いたしたいと思います。
  162. 川島實

    川島分科員 大臣、大体わかりましたか。国道一号線をまたぐために十年間工事をせずに真ん中をあけて、六車線を片側一車線ずつの工事の状況で十年間ほうってあったのです。それで、指摘をして、すぐやりますと。できなければ、平面体にして直してもらえば、六車線でそのままいくのですよ、相手側も六車線あるわけですから。それをまたぐための架橋をわざわざつくるために、あけたまま十年ほうってある。この姿が、それがちょうど岡崎へ出てくる高速道路のインターチェンジの入り口と重なっているわけですから、そのためにみんなが通るのに非常に苦労しているわけですよ。  建設省計画をして、放置をして、指導をしてこなかった空白の十年間、さらに指摘をした二年間の空白、車が増すばかりです。ちっともやらない。このことを行政上、どう受けとめていますか。
  163. 中尾栄一

    中尾国務大臣 委員の御指摘であります、十年間近くそういうことで放置され、なおかつ、御指摘を受けてから二年間、これは余りにも長いという感じもいたしますし、私も現場はよくわかりませんけれども、今近藤局長が答弁いたしましたが、これは早速県の方とも対応し、なおかつ、委員の方からもまた県の土本部長等にも言いつけて賜りまして、これを加速的に速やかに実施していく方向に特命したいと思います。
  164. 川島實

    川島分科員 時間ですので終わります。私どもも県の方と詰めますが、ぜひひとつよろしくお願いいたしたいと思います。
  165. 伊藤公介

    伊藤主査 これにて川島實君の質疑は終了いたしました。  次に、東中光雄君。
  166. 東中光雄

    東中分科員 阪神淡路大震災による倒壊家屋、今応急住宅におられる人たちの状態についてお聞きしたいのです。  統計がいろいろありますけれども、大阪と兵庫県で全壊、半壊を合わせまして倒壊家屋が二十万を超している。それで、家屋倒壊によって被災した人の世帯数は、兵庫県と大阪府の発表しているところによると四十二万六千八百六十三世帯、倒壊家屋よりうんと多いのですね。  それで、被災したときに、被災者用の一時使用住宅、いわゆる応急住宅対策として、公営住宅や改良住宅、公団住宅、公社住宅、雇用促進住宅、そういうものの処置をしましたが、そのうちで公営住宅それから公団住宅関係でどれぐらいの処置をされて、現在はどうなっているか、実態をお聞きしたいのです。
  167. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 ただいま御指摘の臨時の住宅として公的な住宅を提供しております中で、現在、公営住宅につきましては、全体としては八千五十三世帯が御利用いただきまして、そのうち正式入居という形に切りかえを進められた方が千三百三十世帯でございます。それから、一度御利用いただいた公営住宅を退去されまして、別のところで住宅を手当てされたという方が二千六百十七世帯でございます。したがいまして、現在暫定入居という形で御入居いただいている方は四千百六世帯でございます。  それから、公団住宅関係でございますが、同様に、御利用いただいた全体は三千二百六世帯でございますが、そのうち正式入居に切りかえられた方が三百十六世帯、それから既に退去されました方々が千三百五十六世帯、現在も暫定入居という形で御利用いただいている方々が千五百三十四世帯ということでございます。  この公団の暫定入居中の千五百三十四世帯の皆様方につきましては、四月以降の落ちつき先といいましょうか、入居先といいましょうか、そういうもののめどが立っておる方々が大体七割ぐらいいらっしゃいまして、残りの三割ぐらいの方々がまだ確たる見通しが固まっていないというような状況でございます。
  168. 東中光雄

    東中分科員 それで、その四月一日までに退去のめどの立っていない三割の人、その人たちの処置なのですが、公団としては、例えば大阪の香里団地の場合は、そこで避難者生活を送っている人が香里ケ丘被災者の会というのをつくっているわけです。その人たち、約四十世帯ですが、これがもう高齢者で、年金生活者で、移り先がどうにもならないということで、何とか——これは特に兵庫から来ている人ですね。大阪の被災者じゃなくて神戸等からこっちへ移ってきた人たちですが、めどが立たないので、何とかせめてもう一年残してくれぬかということを言っているのだが聞き入れてもらえぬということで、非常に悩んでいるのですね。そういうようなのはどうにも処置がとれないのですか。
  169. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 先ほど申し上げましたようなことで、なお最終的な落ちつき先、新しい生活の再建のめどが立っていない方が、今も御指摘いただいた例を含めましていらっしゃるわけでございます。  現在、地元の公共団体、今は大阪と神戸の関係で御指摘がございましたが、先ほどの数字の中で、公営住宅でいいますと、実は全国にも同じような状況で一時暫定入居された方がいっぱいいらっしゃるわけでございますけれども、そういう方々も含めまして、地元の公共団体が個々の被災者の個別事情の上に立って、一人一人の具体的な状況に合わせて、例えば公営住宅へのあっせん、あるいは同じ公団の中でもできるだけ低家賃の公団住宅に正式入居ができるかできないかというようなことを含めまして、一生懸命今個別の努力を進めているところでございます。そういう方向で一生懸命今取り組んでいるという状況でございます。
  170. 東中光雄

    東中分科員 これは東豊中第一団地の関係なんですが、昨年の八月に応急住宅として、これは建てかえ前の空き室のある団地ですね。二百六十世帯ぐらいがあいておったそうです。そこへ入った人が、これは六カ月ということで入って一月三十一日には出なきゃいかぬということで随分恐慌を来していたわけですが、それは三月末まで延びることになった。  その人の具体的な例でいえば、第一団地が建てかえ団地なので、第二団地に空き室がある、そこへ移ったらどうだ。その場合は、応急住宅じゃなくて恒常住宅になるわけですから、賃料をちゃんと払わなくちゃいかぬ。ところが払う能力がないということで、このままで追い出されたんじゃどうにもならぬし移れないということなんで、これは仮設住宅に入っておれば二年間いけるわけですね。たまたまここへ入らざるを得なくて入って、そして一年で出される、三月三十一日で出されるんじゃこれはどうにもならない。低家賃の公的な住宅ができるまで、この第一住宅はすぐ壊すわけではないわけですから、置いておくというような措置がとれないのかどうか。自力で動けない人を動けるようにするまでの間、三月三十一日期限厳守という格好でやるのはどうだろうと思うんですね。
  171. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 ただいまの例にもございましたが、私ども、この一時入居されておられる方々に対する対応というのは、いずれにしましても、それぞれ仮設の問題もそうでございますけれども、できるだけ早い時期にきちんとした、安定した生活が組み立つようなことを目標に一生懸命やっているということでございまして、そういう意味で、何度も何度も仮住まい的なものを渡り歩きながらということになるべくならないように、できるだけ今度お移りいただく際にはきちんとした状態のところに、落ちつける状態のところにそれぞ れということを目標に一生懸命やっておるところでございます。当然その中には経済的な問題もそれぞれの事情によって個別に御相談に乗って一緒に考えなければいけないこともございますし、それからほかにも、例えば現実に壊れた家の工事中というようなケースもございまして、それが竣工して引っ越しできる状況が間近に迫っているとか、いろいろな状況がございます。  したがいまして私どもは、最初に申し上げましたように、一応三月末をめどということでできるだけその期間に、公団の建てかえというような事情もございますので今努力を重ねている最中でございますが、そう機械的にということで、それは努力をした結果において判断をしようということで考えておるところでございます。
  172. 東中光雄

    東中分科員 今ちょっと局長も言われましたけれども、庄内で商売をやっている人が、家が半壊してしまって仕事も何にもできなくて去年ここへ、第一団地へ移って、そして非常に苦労しながら家を建てかけたんですね、自営業ですから、そこで営業ができるように。ところが、家を建てかけたんだけれども、また建設業者が非常に不誠実な人で、何かうまく進まなくて、まだ建ち上がらないんです。  ところが、移転するのに、移転費用が三十万かかるんですね。それで今度一月三十一日に出ろと言われて、私、それを直接聞いたんですが、それでまたどこかへ移れという話で、また移転するといったらどうにもこうにもならないんだ。今建てている家は予定どおりにいかなくておくれているけれども、三月末にはいかないけれども、もうそう遅くない時期にできるということでして、いろいろ豊中市も努力して、公団の方で、それなら、そういうめどがあるんだったらということで、できるまで協力しようというふうなことになったと私も関係者から聞いているんですけれども、そういう扱いですね。これは今局長言われたんで、ああちゃんとここまで上がってきておるんだなと実は思ったんですけれども。  これは、被災者がそこへ入ってどうにもならない、それから高齢者で、年金生活で、既存のところへ移れといったって移れないというときに、公団で、あいておる部分ですね。今すぐ壊す必要が、もうそれはずっと壊してきてそこだけ残っているというようなことだったらまた話は別ですけれども、そんなものを、三月三十一日になったらもう出にゃいかぬのだという格好で迫るというのは、本当に無慈悲だということを言っていますよ。  だから、これはぜひ、今具体的な庄内の家を建築している人の場合、三月三十一日が来れば、公団の方の建てかえのための空き家にしてあった、つぶす家ですね。それを、とにかく約束どおりだからあけろというようなことを言わないで、それから、特に兵庫県から来ている人、神戸から来ている人ですね。大阪の香里にいる場合は、当該自治体の神戸はもう知らぬ顔をしているんですよ。そうすると、豊中市だと豊中市の住民でそうやっているから市が公団とも話をするんですが、神戸は一切言わない。だから追い出されてしまう。もう座り込んででもやらなきゃしようがないというようなことになっていますので、これでは非常によくないと思いますので、ひとつ自立できない人たちの応急住宅からの次の対策というのは、これはこの間総理も現地の視察で、建設大臣にも何か知恵を出せということを言われていますので、大臣、そういう問題について、公団として、そういう空き家に入っておる、今千何ぼと言われましたけれども、そういう人たちの期限が来たときの、あと三割ですね、弾力的に考えるというふうな方法をひとつ大臣としてどう思われるのか。
  173. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 そういう実情もございまして、また一方、建てかえというものをそれなりにできれば円滑に進めていかなきゃいけないという一方のこともございますので、公団におきましても、落ちついていただける家、住宅というものをそれなりにいろんな住宅を用意してお移りいただこうかというようなこともやっております。所得の関係で、経済的な問題については、そのうち一部については公営住宅としての借り上げを公共団体にしていただきまして、公営住宅としての扱いの中で解決をするという方法もある、そんなことも含めながら、今盛んに個別の事情にできるだけこたえられるような形で努力をしているという実態だけちょっと御報告させていただきたいと思います。
  174. 中尾栄一

    中尾国務大臣 委員の御指摘はもう十分に理解できるところでありますし、ましてや原点を探ってみますれば、全く天災そのもの、本当に降ってわいたような事件がこの地域に起こったわけですから、その各位の方々に十分なる配慮をするということはごく当たり前のことだと私も思いますし、これはこの間総理も行かれてそのことを感じたんでしょう。そういう意味においては、私も、公団住宅に一時入居している世帯につきましては、当然現在の段階で地元公共団体と連携をお互いにし合いまして、面接調査などを実施はしながらも、公営住宅、公団住宅へのあっせんを行っているところでございますが、被災者の個別事情に十分即応したきめ細かい対応によって、一日も早く恒久的な住宅に入居できるような努力を全力を挙げて取り組んでいくように指示したいと思っております。
  175. 東中光雄

    東中分科員 ひとつ公団や公社の特定入居、家賃など入居資格や条件なども災害公営住宅並みにする方法を自治体とも相談していただくなり、ぜひ被災者が本当に路頭に迷うというようなことのないようにひとつ御努力を要請しておきたいと思います。  それで、また別の問題でありますが、きのう付で「公団賃貸住宅の家賃の減額について」というのが発表されましたね。これは住都公団でしたね。これを見ますと、「趣旨」と書いて、「近年の著しい経済事情の変動により、地価高騰期に建設した首都圏の公団賃貸住宅の一部を中心として、空家が発生してきている。公団としては、このような空家を解消するため、募集宣伝活動の強化等の対策を講じ入居促進に努めているところであるが、これらの方策を講じてもなお空家の解消が困難と見込まれる一部の住宅について、家賃の減額を行い、空家住宅の早期解消を図るものとする。」要するに、空き家住宅をなくするために首都圏中心の二十三団地について一部家賃を下げると。  私は、何ということを言うんだろう、空き家をふさぐために家賃を下げてでも、商売と一緒ですわね、こんなのじゃ、と思ったのですが、まあそれはそれとして、何で首都圏、東京と神奈川と埼玉それから北海道で二十三団地だけなんです。これは随分空き家がたくさんある部分と書いてあるのですけれども、関西関係では空き家はどれぐらいあるのですか、公団関係で。
  176. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 空き家の状況でございますが、まず全国、全体でございますが、約七十一万戸公団住宅を管理いたしているわけでございますが、七年の十二月末の現在で、三カ月以上空き家となっているというような住宅が五千八百五十戸ございます。  このほかに、関西地域におきましては、公団住宅に先ほど御議論になりました一時入居している方々がお移りいただくためにとっておく、準備をしておくという、そういうものが千六百六十四戸ございます。それは最終的には御利用いただかないことになるかもしれないものも当然あるわけです、場所の問題とか値段の問題、大きさの問題がございますので。いろいろそろえるという意味で千六百六十四戸そのほかにいわゆる空き家がございます。したがいまして、今先生の御指摘の関西地域におきます通常言っておる空き家というものもその数字の中で一応整理をしているということでございまして、それを除きますと関西地域においては空き家が表示上はないということになってしまうわけでございますが、そういう目的も含めましていいますと千六百六十四戸積極的にあけているということで考えておるわけでございますが、そういう状況にございます。
  177. 東中光雄

    東中分科員 それはちょっと聞こえませんな。東京は家賃が高くて空き家が随分あるから家賃を下げる、それで関西は、千六百六十四戸被災者用の空き家として一応あけておいて、ほかに特別な空き家はないのだ、家賃が高くて空き家になっておるというようなことはないのだという趣旨ですね、今言われたのは。  そんなものじゃないですね。例えばここに一つありますが、リバーサイド出来島という建てかえ住宅ですね。私はこの住宅は何回も行ったことがありますし、今建てかえになったわけですが、家賃が高いのですよ。例えば二LDKで今十一万二千三百円から十一万四千三百円、これは平成八年から九年までですね。それが、十年になりますと、十二万一千六百円から十二万三千六百円という傾斜家賃です。これは、普通の労働者、二DKに入るという規模でいえば、もうとてもじゃないが高いですね。この住宅に住んでいる人がこういうことを公住協へ出してきているのですが、こう書いています。  私たちの団地では平成四年十二月二十三日より  新居の入居が始まりましたが、傾斜家賃の為か  入居一年位から転居する人が多く、現在でも十  二戸空き家があります。三年になりますが二年  半も空き家になっている住宅もあり満室になる  ことはありません。どうして次々募集して入居  させないのか不思議でなりません。知人でもこ  の団地に入りたい人が居ますがぼしゅうしてい  ないので、募集していないとか、一度募集して  も当たらないとの話が多く一体どうなっている  のでしょうか。最初から空き家分割引いて家賃  を設定しているのではないでしょうか、全体で  六十八戸の内十二戸も空き家があると寂しいも  のです。こう言っているのですね。  それで、家賃はえらい高いのです。同じ住宅に入っている人は、家賃が高いのでもう少し何とかならぬかな、傾斜でだんだん上がっていくので困る、こう言っているのですよ。こういうのはどうです。これはもう本当におかしいですよ。どうですか。
  178. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 まず、空き家としてどう評価するかということでございますが、現在はなるべく可能性を広げておるということで、現在いわば空き家になっているものをそういうものでリザーブをしているという性格を一面で持っていることは先ほど申し上げたところでございます。順次御利用の状況によって、最終的にいわゆる通常の空き家になるものもあるいは出てくるかとは思いますけれども、現状はそういうことで整理をさせていただいているというとらえ方をさせていただいているということでございます。  新しい建てかえました住宅は、当然敷地の立地条件とか従来ございました建物の状況等を考慮して、できれば敷地の適正な利用を図って、好立地を生かした住宅を少しでも多く供給しょうとか、一つ一つ住宅そのものの質の向上ということも長い目で見て考えていかなければいかぬということで、建てかえをやっているわけでございまして、結果的にその従前の家賃に比べて高くなっておるという実態にあるわけでございますけれども、これらにつきましても、従前居住者の協力なり理解を可能な限り得ながら推進していくという全体の動きの中にあるわけでございます。  既存住宅に比べまして質が上がっているということもございまして、規模とか質とか上がっておりますので、新しい家賃の設定が、通常、新規家賃というものがほかの新規家賃と均衡のとれた水準を設定するということはやむを得ないというふうに考えているところでございます。  この場合に、従前居住者の生活の継続ということが当然必要なわけでございますので、それにつきましては、いろいろな減額措置をとるとか、今も御指摘ございましたような傾斜措置をとるとかいうことで、できるだけその両面を両立させるように極力努力をしているというのが実情でございます。
  179. 東中光雄

    東中分科員 これは、新しくできたものの方が全然安いのですよ。今問題になっているのは、昭和三十年代に建った住宅の建てかえですよ。だから、バブルの一番上のときから工事を始めたのですよ。そのときに建てかえについて計画書や何かを出されて、私は東淀川団地のときなんかは直接関与して、ここでも質問したことがありますよ。  もうめちゃくちゃに土地代を高く見積もるのですね。昭和三十年代に建てたときは、土地は、その辺は田んぼだったりして物すごく安かった。ところが、坪二千円のものが坪六百万、私の家の隣がそうなんです。そういうふうな式で物すごく土地代を高く見て、そして計算して家賃をはじき出したのですよ。だから、建てかえされる側は、そんなの戻ってこられへんということで随分問題になって、それで傾斜家賃になったのですね。  それで建てて、傾斜家賃にしたんだけれども、地価は、そのときの地価よりは購入価格はうんと低いのに、バブルの上がったときの地価にしておいて、それがずっと半分以下、今三分の一ぐらいになっておるでしょう。ところが、その前のままでいくんだから、それで毎年上げていくのですから、矛盾が出てくるのですよ。  だから、全部、建てかえ住宅それから新規の住宅にしても、例えば今言いました東淀川団地の建てかえ住宅、アーペイン東三国というのです。これは公団に一回聞きたいと思っているのだけれども、何でこんなわからぬ名前をいっぱいつけるんだろうというのですね。本当ですよ。アーペインって何やらわからぬ。それから、サンラフレ。聞いてみたら、フランス語と英語と並べて、その前の二つだけとっていると。意味がないのですよ、言いにくいし。こういうわけのわからぬことをだれが決めるのかな。これは余談ですけれども、こんなおかしなことをなぜやるんだということを公団にひとつ聞きたいですね。  それは別としまして、アーペイン東三国の団地の一番高いのは、現在十五万四千三百円ないし十六万一千九百円、これが平成十二年には十八万一千二百円から十八万八千八百円まで上がる。こんなもの、大体三十年代に入った人というのは、皆もう定年、年金生活者が多かったのですね。帰ってきた人は、とてもじゃない、入れませんな、これは毎年上がっていくわけですから。世間は毎年下がっていくのに、下がっている方向へ行っているときに毎年上がる、一番もとのところへ持っていくわけですから。これは変えなければいかぬ。  だから、東京でもきのう変えたわけでしょう。だから、そういう空き家でほっておいたら政策上まずいから、商売上空き家でも入ってもらうように値を下げるというのじゃなくて、つくった経過からいっておかしいからこの体系を変える、あるいは見直すということにしないと、この賃料の計算が、これは随分議論がありますけれども評価価格が上がったからといいますが、借家法の規定は、もともとは事情変更の原則で、地価が租税公課その他の地価の変動ですから、だから、地価がうんと、例えば下がり方が、上がるのが神話になっておったのが今度は半分以下になって、もう上がるだろうといってもまだ下がっていくという状態なんですから、これはもう見直さなければいかぬと思うのです。  もう時間が来ました。  東京を中心にした二十三団地だけじゃなくて、地価が下がっている、それから一般よりも高いような、毎年上げるというのは、借家人に対しては物すごく、一般の民間の人がまねをするのですね、公団でさえ毎年上げているんだからと。傾斜家賃だなんてことは言わないのですね。嫌なら出ていけと言って暴力的にやる家主さんさえ出てきます。これはひとつぜひ検討してもらわなければいかぬのですが、大臣のお答えを聞いて終わります。
  180. 中尾栄一

    中尾国務大臣 きょう久方ぶりに、日ごろの東中先生の正義感に満ちた話を私も非常にじっくり承りました。私もある意味において全く同感でございます。  この間、銀座あたりで喫茶店が二百七、八十軒みんなどんどん移動しておる、なぜそんなに移動するんだと私もその業界として聞きましたらば、その業者の方々が、家賃が少しも下がらない、これだけいろいろな面でバブル時代のままでそのまま続いておる、だから、とても払い切れません、やっていけませんと。どこへ移動するんだと言ったらば、相当郊外の方に移動する以外にないのですと。今の住宅家賃だけでなくても、例えばそんな状況である。ある意味においては、名前こそ言いませんが、大資本が買い占めをしてしまっておるのは持ちこたえられるのでしょう。したがって、家賃も地価も下げない、家賃はそのままという格好。  これは基本的に、そういう土地価の問題などもまだまだ公正を欠く面がたくさんございますから、私は、これはじっくり都市局長その他とも話し合いながら、こういう点において、土地を持っておられる大手の会社等とも話し合っても、ある程度そういう点で、もっと大衆の立場に立って物事を考えていくことはできないのかということぐらいは申し上げてみたいものだな、機会があったらばそういう形を早速ながらとっていきたいな、こういう感じで受けとめております。  そういう意味においては、私も、今の貴重なる言葉をそのまま脳裏に刻みつけておきまして、全く同感に思う点がたくさんございますから、それを実行に移していきたいものだな、こういうふうに思っております。そういう点で、なかなか御理解いただけないことがあるかもしれませんが、私なりに努力をさせていただきます。
  181. 東中光雄

    東中分科員 公団の方、どうですか。関西はほっておくというのは、どうも気に食わぬのですね。
  182. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 今回募集家賃を引き下げたわけでございますが、先ほど説明の、先生お示しいただきましたように、いろいろな努力をいたしたわけでございますけれども、全体の中で、総体的に大変な比率のものがそういう状態である。それは全体のバランスの中で改定をしたということでございまして、過去にもそういう例はあるわけでございます。  御指摘のような、個々の団地がどうこうということはわかりませんけれども、それぞれの状況に応じて考えなければいけないと思っておるところでございます。ほかは一切やらないとか、ここはやるとかいうことではなくて、それぞれの実情に応じて判断させていただくということになろうかと思っております。
  183. 東中光雄

    東中分科員 終わります。
  184. 伊藤公介

    伊藤主査 これにて東中光雄君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして建設省所管についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。  分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。  これにて散会いたします。     午後四時九分散会