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1996-02-29 第136回国会 衆議院 予算委員会第七分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会平成八年二月二十七日(火曜日)委員 会において、設置することに決した。 二月二十八日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       越智 伊平君    谷川 和穗君       若林 正俊君    左藤  恵君       松岡滿壽男君    今村  修君       矢島 恒夫君 二月二十八日  谷川和穗君が委員長指名で、主査選任され  た。 ————————————————————— 平成八年二月二十九日(木曜日)     午前十時開議  出席分科員   主 査 谷川 和穗君       安倍 晋三君    小野 晋也君       越智 伊平君    若林 正俊君       左藤  恵君    実川 幸夫君      柴野たいぞう君    高木 義明君       松岡滿壽男君    今村  修君       東中 光雄君    矢島 恒夫君    兼務 松下 忠洋君 兼務 桝屋 敬悟君    兼務 坂上 富男君 兼務 細谷 治通君    兼務 荒井  聰君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 亀井 善之君         郵 政 大 臣 日野 市朗君  出席政府委員         運輸大臣官房長 戸矢 博道君         運輸省鉄道局長 梅崎  壽君         運輸省自動車交         通局長     山下 邦勝君         運輸省海上技術         安全局長    小川 健兒君         運輸省航空局長 黒野 匡彦君         郵政大臣官房長 谷  公士君         郵政大臣官房審         議官      品川 萬里君         郵政省郵務局長 加藤豊太郎君         郵政省通信政策         局長      山口 憲美君         郵政省放送行政         局長      楠田 修司君  分科員外出席者         内閣官房内閣副         参事官     松井 孝治君         警察庁生活安全         局生活環境課長 吉川 幸夫君         北海道開発庁経         済課長     山角 博昭君         経済企画庁物価         局物価調整課長 田口 義明君         大蔵省主計局主         計官      南木  通君         大蔵省理財局資         金第二課長   富田 辰郎君         運輸大臣官房会         計課長     辻  通明君         郵政大臣官房人         事部長     金澤  薫君         運輸委員会調査         室長      小立  諦君         逓信委員会調査         室長      丸山 一敏君         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ————————————— 分科員の異動 二月二十九日  辞任         補欠選任   若林 正俊君     小野 晋也君   左藤  恵君    柴野たいぞう君   松岡滿壽男君     高木 義明君   今村  修君     山元  勉君   矢島 恒夫君     東中 光雄君 同日  辞任         補欠選任   小野 晋也君     安倍 晋三君  柴野たいぞう君     実川 幸夫君   高木 義明君     松岡滿壽男君   山元  勉君     今村  修君   東中 光雄君     藤田 スミ君 同日  辞任         補欠選任   安倍 晋三君     佐藤 剛男君   実川 幸夫君     左藤  恵君   藤田 スミ君     寺前  巖君 同日  辞任         補欠選任   佐藤 剛男君     若林 正俊君   寺前  巖君     矢島 恒夫君 同日  第一分科員桝屋敬悟君、第四分科員荒井聰君、  第六分科員坂上富男君、細谷治通君及び第八分  科員松下忠洋君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成八年度一般会計予算  平成八年度特別会計予算  平成八年度政府関係機関予算  (運輸省及び郵政省所管)      ————◇—————
  2. 谷川和穗

    谷川主査 これより予算委員会第七分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりました。よろしく御協力のほどお願い申し上げます。  本分科会は、運輸省及び郵政省所管について審査を行うこととなっております。  なお、各省所管事項説明は、各省審査冒頭に聴取いたします。  平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算及び平成八年度政府関係機関予算郵政省所管について、政府から説明を聴取いたします。日野郵政大臣
  3. 日野市朗

    日野国務大臣 おはようございます。よろしくお願いいたします。  委員皆様には、平素から郵政行政の適切な運営につきまして、格別の御指導をいただき、心から御礼申し上げます。  冒頭、昨年の阪神淡路大震災により亡くなられた方々とその御遺族に改めて深く哀悼の意を表するとともに、今なお不自由な生活を余儀なくされておられる方々に心からお見舞い申し上げます。郵政省といたしましては、とうとい教訓、経験を忘れることなく、今後の郵政行政に生かしていくとともに、阪神淡路地域の一日も早い本格的復興支援に全力を傾注してまいります。  また、先日の北海道古平町内におけるトンネル崩落事故により亡くなられた方々とその御遺族に深く哀悼の意を表します。  それでは、郵政省所管会計平成八年度予算案につきまして、御説明申し上げます。  最初に、一般会計でありますが、歳出予定額は六百三十二億円で、平成七年度当初予算額に対し百二十九億円の増加となっております。  この歳出予定額における重要施策について御説明申し上げます。  まず、新産業創出と豊かな国民生活の実現に資する情報通信基盤の重要な柱である加入者系光ファイバー網全国的整備を促進するため、特別融資制度を抜本的に拡充することとしております。  また、我が国経済社会全体の情報通信利用高度化起爆剤として、医療、教育等公共分野における先導的なアプリケーションの開発提供を行う自治体への支援を強化するとともに、新規事業を創出し、経済フロンティア拡大への貢献が期待される情報通信ビジネスの振興を図ることとしております。  さらに、欧米技術への依存体制からの脱却を図り、我が国みずから独創的な技術を生み出すことにより、経済フロンティア拡大知的資産充実を図るため、情報通信基盤を支える基礎的、汎用的技術研究開発推進するとともに、産学官の連携により、我が国情報通信研究開発体制を強化するため、公募による基礎研究推進制度及び委託研究制度を創設することにしております。  また、マルチメディア時代情報通信サービス過疎地、辺地、離島等においても格差なく受けられるようにするなど、だれもが利用できる情報通信基盤を実現するため、沖縄県南・北大東地区テレビ放送難視聴解消事業などの電気通信格差是正事業推進するとともに、昨今の無線局の急増による周波数の逼迫状況にかんがみ、電波利用料の使途を拡大し、だれもが混信、ふくそうなく安心して電波を利用できる環境の一層の整備推進することとしております。  国際面では、密接な国際協調体制のもとで、持続的な世界経済の成長と雇用の拡大を図り、世界的にバランスのとれた情報通信基盤整備貢献するため、国際共同プロジェクトへの取り組みをさらに強化するとともに、開発途上国への国際協力等推進することとしております。  次に、郵政事業特別会計でありますが、歳入歳出予定額は、ともに七兆六千三百三十億円で、平成七年度当初予算額に対し二千七百十二億円の増加となっております。なお、収入印紙等印紙に係る業務外収入支出分を除きますと、歳入歳出とも予定額は四兆八千六十四億円で、平成七年度当初予算額に対し九百六十四億円の増加となっております。  この郵政事業における重要施策について御説明申し上げます。  まず、安心して暮らせる社会づくり貢献するため、要介護者に対する定期郵便貯金の金利の優遇等の実施、夫婦年金保険改善小包郵便物等サービス改善などを行うこととしております。  また、マルチメディアを積極的に郵政事業に取り入れ、郵政事業情報化推進するため、インターネット等による郵便情報提供サービスなどを実施することとしております。  さらに、郵便局を活用した災害情報提供等実験災害ボランティア口座の創設などにより、地域社会の一層の活性化に資するとともに、地域情報拠点としての役割を果たすこととしております。  国際面では、開発途上国への郵政事業整備に対する支援などを通じて、国際化進展へ積極的に対応するとともに、国際社会への貢献を図ることとしております。  また、経済社会の変化に対応するため、郵政短時間職員の全国拡大、新郵便番号制及びバーコードによる情報機械化推進などにより、郵政事業サービスの向上と経営の効率化推進するとともに、災害に強い事業運営基盤充実を図ることとしております。  次に、郵便貯金特別会計でありますが、一般勘定歳入予定額は十三兆八千七十三億円で、平成七年度当初予算額に対し四千九百八十七億円の増加となっており、歳出予定額は九兆九千四百十億円で、平成七年度当初予算額に対し二千百二十四億円の減少となっております。  また、金融自由化対策特別勘定におきましては、歳入予定額は六兆八千十一億円で、平成七年度当初予算額に対し一千六百二十八億円の増加となっており、歳出予定額は六兆七千九百五十八億円で、平成七年度当初予算額に対し一千六百十八億円の増加となっております。  最後に、簡易生命保険特別会計でありますが、歳入予定額は十九兆七千八百二十六億円で、平成七年度当初予算額に対し五千九十三億円の増加となっており、歳出予定額は十三兆四千六百三億円で、平成七年度当初予算額に対し一兆二千九十七億円の増加となっております。  以上をもちまして、郵政省所管会計平成八年度予算案の概略につきまして、御説明を終わらせていただきます。  御審議のほど、よろしくお願いいたします。
  4. 谷川和穗

    谷川主査 以上をもちまして郵政省所管についての説明は終わりました。     —————————————
  5. 谷川和穗

    谷川主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。坂上富男君。
  6. 坂上富男

    坂上分科員 社会民主党の坂上富男でございます。  まず、NTT問題について質問させていただきたいと思います。  本日、電気通信審議会NTT業務あり方等について答申がなされるとのことでございますが、いつごろ、何時ごろなされるのか、そしてその結果、今後、これをめぐりましてどういうふうな対応がこれからなされていくのか、まず日程からお話しいただきたいと思っております。
  7. 日野市朗

    日野国務大臣 先生御指摘のとおり、きょう、電通審の総会が行われることになっております。そこでNTTの問題について答申がお出しいただけるものと私の方では考えております。  その委員会は、開始は十四時ということになっております。ただ、委員会の御論議いかんによって、その終了が何時になるのか、それから答申が私の方にいただけるのが何時になるのか、これはまだ電通審の御論議いかんにかかわることであろうというふうに考えております。
  8. 坂上富男

    坂上分科員 きょうなりあるいは近く答申をいただきましてからの郵政省としてのこれからの対応は、どういう対応をしていくのですか。
  9. 日野市朗

    日野国務大臣 まず、私の方として、本日答申をちょうだいいたしましたならば、それを十分に検討するということになります。そして、政府として適切な対応を終えるように、適切に処置してまいりたい、こう考えております。
  10. 坂上富男

    坂上分科員 本年三月三十一日までに郵政省対応が決まるのだろうと思うのでございますが、情報によりますと、どうも審議会答申は、三つの会社に分割をするという情報が流れておるわけでございます。いわゆる電気通信問題は、まさにマルチメディア時代に入りまして大変な進展をしているわけでございます。まさにこの問題は国際的な競争を必要とするものでもあるわけでございます。  そういうような観点から眺めてみますると、NTT問題というのは、国鉄とは業務形態それから業務の態様が全く違うのじゃなかろうか。ちょうど内側と外に向けてと、二つの違いが大きくあるのじゃなかろうか。国鉄は、何といいましても国内の輸送にかかわることでございます。それから、NTTの、特にマルチメディア中心とする業務というものはまさに国際的な対応をするもので、これらの競争に何としても負けないように、打ちかって進展しなければならない業務でもあるわけでございます。  そんなようなことから、力をそぐというようなことは全くあってはならない。私自身としては、さらに業務形態を大きくいたしまして、どんな困難にも対処できるだけの強さを持っていなければならない、こう思っておるだけに、NTT分割については真っ向から反対をしておりまするし、ずっと反対運動も続けてまいった一人でもあるわけでございます。そんなようなことから、今私たちに知らされておる情報からいうならば、分割というような意向が出てくるとすれば、これは容易ならざることだろうと思っておるわけでございます。  したがいまして、郵政大臣におかれては、このような分割答申が出てまいりましても、今言ったようないわゆる大所高所から、そして日本のいわゆるマルチメディア時代における電気通信あり方というものをひとつ大きく見ていただいて対処していただきたいと思うのでございますが、大臣におかれては、これに対する対処を誤らないように、ぜひとも私たち要請をしておるような形で、分割なしということでひとつ対応していただきますようあわせて再度御質問をさせていただきたいと思います。
  11. 日野市朗

    日野国務大臣 先生の御意見、貴重なアドバイスとして受けとめさせていただきたいというふうに考えております。  ただ、電通審としても、もう一年の時間をかけて非常に総合的に、多角的に、熱心に御討議をいただいたわけでございまして、その中には非常にすぐれた御議論も盛り込まれていようかというふうに思います。まだ私はその内容を拝見したわけではございませんで、私のもとに寄せられるのも新聞報道程度でありまして、それがどの程度正しいのかということについては、私ここで一概に申し上げるわけにまいりません。  でありますから、答申をちょうだいいたしましたならば、十分にこれを読み込ませていただいて、これを重く受けとめながら、関係の向きともいろいろ御相談を申し上げ、また、調整をするというような作業も必要になってこようというふうに思っておりますので、先生の貴重なアドバイス、十分に受けとめながら、これから作業させていただきたいというふうに思っております。
  12. 坂上富男

    坂上分科員 ありがとうございます。要請におこたえいただきますよう、また、大臣の方も頑張っていただきますこともぜひひとつ御期待を申し上げたいと思います。  次に、聴覚障害者テレビ利用の点について御質問させていただきたいと思うのであります。  郵政省とされましては、聴覚障害者全国で今どれくらいおられるというふうに御認識をされているのでございましょうか。
  13. 楠田修司

    楠田政府委員 平成三年に厚生省が実施しました身体障害者実態調査報告によりますと、全国聴覚言語障害者は三十五万八千人とされております。ただ、この実態調査の対象は、身体障害者福祉法別表に規定する障害を有する者に限られているため、高齢によります難聴というような障害を有する者を加えますと、実際に聴覚の不自由な方というのはさらに多いのではないかというふうに思っております。  現在のところ、全国のいわゆる難聴者の数に関しましては、政府公式統計というものはございませんが、例えば社会福祉法人全国社会福祉協議会平成六年三月に発表いたしました補聴器普及および音環境に関する調査研究報告書というのがございます。これにおきましては、我が国高齢者も含むいわゆる難聴者は約六百万人というふうに記述されております。今後の社会高齢化進展にしたがいまして、聴覚障害を有する方の数はさらに増加するというふうに我々としては認識しておるところでございます。
  14. 坂上富男

    坂上分科員 聴覚障害者テレビ視聴のために、今テレビ等はどのような措置をなされておるのでございましょうか。
  15. 楠田修司

    楠田政府委員 聴覚障害者の方にも障害を有しない方と同様にテレビ番組を楽しんでいただけるということでは、現在は、文字多重放送によりまして、放送番組の画面にせりふ等字幕で表示する字幕番組というのがございます。それと、通常のテレビ番組の一部に手話をつける手話番組、それからこのほか、手話及び字幕による聴覚障害者向け専門番組等放送されておるところであります。  字幕放送につきましては、昨年十月現在で、関東地区で、NHK、民放含めまして週に二十一番組、二十三時間五十九分実施されておるところでございます。手話番組につきましては、同じく昨年十月現在で、関東地区で週に九番組、三時間十分放送されておるほか、聴覚障害者のための専門番組が四番組、一時間五十五分という状況になっております。
  16. 坂上富男

    坂上分科員 そこでひとつ、郵政省とされまして、字幕放送あるいは手話放送拡大に向けまして具体的にどのような取り組みを行っておられるのか、お聞かせください。
  17. 楠田修司

    楠田政府委員 郵政省におきましては、これまで、字幕放送等拡大のために、一つ文字多重放送というものの制度化を進めてまいりました。それから、字幕番組をつくる場合は、一つテレビ機器がそういう機器になっていなければならない、それから放送事業者がそういう放送をしなければならない、こういうふうなことがございまして、郵政省も音頭をとりまして、それらのメーカーとか放送事業者を含む文字放送普及推進協議会というものを設置いたしまして、こういう方々に、できる限りたくさん放送をやってください、あるいはそういう機器をふやしてくださいという働きかけ等を行ったところでございます。  それから、そのほか、字幕放送制作は、日本の場合、欧米に比べまして日本語の特性で少しお金がかかるということで、字幕番組制作費用に対する補助金という制度をつくりまして、ちなみに平成七年度予算では三千万円でございますが、これによりまして字幕番組を少しでもふやしていただけるようにやっておるところでございます。  それから、現在は、生番組にリアルタイムで字幕を付与する番組や、手話放送中心としたニュース番組などの専門放送というのをつくりたいというふうな声もあるわけでございまして、こういうことに対するシステムの実証実験というようなこともやっております。  それから、字幕番組をつくる場合に、日本では非常にお金がかかるので、これをコンピューター等を使って何とか機械的に安くつくれないかという研究開発、これも予算をいただきまして実施しようとしているところでございます。  今のところ、以上のようなことを行っております。
  18. 坂上富男

    坂上分科員 聴覚障害者等いわゆる社会的弱者に対する対応というものは、予算の面においてもまだまだ決して多いものでない、大変少ないと言っても過言でないのではないかと思うのであります。また、アメリカ等と比べてみますると、日本のこれらの人たちに対するテレビ中心とした対応の仕方も非常に少ないのでなかろうか、私はこう思っておるわけでございます。  私ごとで恐縮でございますが、先般、たまたまでございますが、私が主催をする新年の集会がございました。私は全く知らなかったのでございますが、手話でもってその集会進行をやっておるものだから、私もびっくりいたしまして行ってしましたら、いわゆる聴覚障害者の方が十人ぐらい来てくれておりまして、私は大変感激をいたしたわけでございます。それで、そちらに参りまして皆様方お話をいたしまして、私への要求は、ひとつどうしても国会字幕放送をもっと取り上げてやっていただきたいということを強く要請を受けました。  私、新潟県でございますが、長岡に聾学校がございます。私は、この聾学校運動会あるいは卒業式に御招待をいただいて出席させていただておるのでございますが、出席するたびに非常に胸打つ思いの感銘を受けて実は帰ってきておるわけでございます。それらの関係者皆様方中心になりまして、いわゆる字幕放送手話放送拡大に向けて陳情もしたい、ついてはサインをしていただきたいということを言われまして、私はこの間喜んでサインをしてまいったわけでございます。  いろいろまた聞いてみますると、アメリカ等と比べますと、私たち日本においては、こういう聴覚障害者に対するテレビ利用のための対応は必ずしも進んでいるとは思えない、あるいはおくれているというような状況でなかろうか、こう思っておるわけでございます。特に、今局長さんのお話によりますと、三千万円というような予算額であるというお話もあるようでございますが、どうぞもっとふやしていただきましてやっていただきたいということもお願いしたいのでございます。  これもまた私ごとで恐縮ですが、私は、私自身のささやかな誇りにしているのでございますが、今からちょうど十年ぐらい前、たまたまこの聾学校子供たち国会見学に来るというので、この子供たち国会見学の中に少しでも見落としがないようにと思いまして、国会見学をさせてもらうところを私自身が数日前に全部見て回りました。  そういたしまして、聾学校の生徒でございますから、あるいは手話がどうなっているのだろうか、こう思って衆議院の方に聞いてみました。ひとつ手話をしていただけるのだろうか、こう聞きました。そういたしましたら、手話通訳の人を連れてくるのは結構でございますが、国会としてはっけるわけにはまいりません、こういうお話だったものでございまするから、これはおかしいじゃないか、当然衆議院の方で、国会の方で、こういう人たちがお見えになったときは、希望があれば手話通訳をしてもらうということが当たり前なんじゃなかろうか、こういうふうに私は申しまして、しかも、うちの社会党の国対にお願いをいたしましてその運動をしていただきました。それで、各党から大変御理解をいただきまして、手話通訳費用は、そういう障害のある皆さんが来られたとき、申し出があればつけることに十年前実はなったわけであります。  私は、私の国会活動の中で、このことだけが本当に唯一の、私自身の実は誇りに思っておることの一つでございます。こういうふうなことで手話をつけていただいて、何か日本で一番優秀な手話通訳さんをつけていただいたのだそうでございます。私は大変感激をいたしました。これをつけてもらっただけで国会に出てよかったな、こんなふうに実は思ったわけでございます。  そんなようなつもりで私は今日まで来ておりまして、たまたまこの間の集会に出て、そして私のために参加をしていただいた聴覚障害者皆様方から、もっとテレビについて国の方で私たちが利用できるようにひとつ拡大をしてくれないかという要請を受けまして、私自身、非常に心配りの足りなかったことも実は反省をしておるわけでございます。  そんなようなことを最近私は受けているのでございますが、郵政大臣、こんなような経験を申し上げまして、ひとつ聴覚障害者等のいわゆる社会的な弱者に対する放送行政について特段の拡大をしていただきたいと思っているわけでございますが、大臣の御所見を賜りまして、終わりたいと思っております。
  19. 日野市朗

    日野国務大臣 今先生から、先生の御経験をも踏まえられたすばらしい御指摘をいただいたというふうに感じております。私としても、このような場所で先生がそのような御発言をしていただいたことに対して、感謝を申し上げたいと思います。  無論、このテレビという放送メディア、今日本の中でこれ抜きには市民生活も語れない、社会生活も語れないというような状態であることは言うまでもございません。そこで、そこから出てくる情報に接しられない方々がおられるということは、我々としても非常に大事に考えていかなければならない事柄であろうかと思います。  そして、特に高齢化社会が進んでまいりますと、やはり人間年をとりますと、耳が遠くなったり目がかすんだりということはございますので、そういう方々に対するきちんとした思いやりのあるメディアをどんどん開発していかなくてはいけないのではなかろうか、こんなふうに考えておりまして、字幕放送だとか解説放送充実を図っていくということは重要な郵政行政の課題である、そういうふうに認識していかなければならない、こう考えております。  そういう観点から、来年度のNHKの予算についても、大臣の意見といたしまして、視聴覚障害者向けの解説放送、それから字幕放送等充実について要請を行っているところでございます。  今後とも、放送が、そういったハンディキャップを持った社会的弱者社会参加を促進するという上からも極めて重要なことであろうと考えておりますから、NHKはもちろん民放をも含めて、字幕放送、解説放送等の一層の充実に心がけてまいりたいと思っております。  非常に貴重な御指摘をありがとうございました。
  20. 坂上富男

    坂上分科員 大変ありがとうございました。  実際、実態はどうなっているかよくわかりませんが、例えば日曜日の夜に大河ドラマがあります。こういうのを、皆さん方が見られておるのかどうか私はわかりませんが、一番国民の皆様方の聴視率の高いもの、そういうものに字幕を入れるとか、その他の方法によって、いわゆる障害者皆様方が私たちと同じような状況テレビを利用できること、それからNHKだけでなく、今おっしゃいました民間放送についてもひとつ郵政省の方から強い要請をしていただきまして、これらの障害者皆様方がより一層利用できるように、ぜひひとつ御努力賜りますことをお願いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。大変ありがとうございました。
  21. 谷川和穗

    谷川主査 これにて坂上富男君の質疑は終了いたしました。  次に、小野晋也君
  22. 小野晋也

    小野分科員 橋本新内閣が発足いたしまして、これでもう一カ月半という月日が過ぎました。日野郵政大臣におかれましては、もうかねてより理論派として鳴らしてこられたお方でございまして、今発展著しいマルチメディア時代情報時代の先駆けとして、新しい社会建設に向かって大きなお仕事をしていただきますことをまず御期待を申しげたいと思います。  私は、きょうは久しぶりに郵政の分野での質問に立たせていただくわけでございますけれども、ここしばらくいろいろとこの時代ということを考えてまいります中で、郵政省の果たされる役割というのは、これは今までに比べて随分大きくなってきたなということをひしひしと実は感じているのでございます。  先ほど申しましたとおり、情報時代と言われる中で、その主管官庁は郵政省でございます。そして、それが単に情報化の部分において仕事をなされるというのみならず、もっと広く大きく二十一世紀の日本の姿を描き出す上に極めて大事な立場に立たれる省庁になられるのじゃないかな、こんな気持ちがしてならないのでございます。  いましばらくこの日本社会を見ておりましても、また永田町の政治を見ておりましても、大変な混迷状況だと言われております。この混迷がどこから生まれているかと考えてみますと、やはりこれから日本社会がどの方向に向かって進んでいけばいいのかという点について、必ずしも国民の間に一致した考え方ができ上がっていない。  そして、ではどういう可能性があるのかということの選択肢を選び出そうとしても、その選択肢も必ずしもきちんと形成されていないというような状況があるからだと思うのでございます。何を目指していけばいいかわからなければ、当然その社会の皆さんは混迷の中に入らざるを得ない。こんな点から考えてまいりましたときに、先ほども申しましたとおり、私は、この情報社会の方向性というものが極めて大きな影響を二十一世紀社会に及ぼしていく柱になる、こんなふうに思う次第でございます。  そこで、私自身の私見でございますけれども、社会というのは、その基本において何を基軸にしながら動くかということを考えましたときに、皆さんが求めるニーズと、そしてそれに対していかなる形で答えを出せるかというようなシーズ、このニーズとシーズがお互いに結び合うその点を立脚点にして、そこをもとに社会というのは動いていくのではなかろうか、こんな気持ちがするのでございます。  それならば、ではそのニーズとは何だろうと考えてまいりますと、これまでは、戦後日本は物の豊かさをひたすらに追い求めてまいったと思います。その物の豊かさの背景にはエネルギーの消費量の増加というものがあった、こう思うわけでございます。  この日本社会を突き動かしてきた一つのエネルギーが、動きが、地球環境問題と言われるような課題も提起をされ、そして地球全体としての資源問題、エネルギー問題、こういった問題も提起をされてくるという中にあって、これからこのまま今までの物質文明というものを突き進んでいったら、人類はひょっとしたらあと何十年かすれば滅亡してしまうかもしれない、こんな危機感の中に新たな方向性が求められ始めている。人類としてどんなふうな生き方をしていけばいいのかということを必死で求めていかなくちゃならないという状況に立ち至っているというのが、私は全世界的な大きなニーズだと思うのですね。  それで、その一方で、では我々がそれに対してどういうシーズ、具体的に答えを出すようなものを提供できるかということを考えましたときに、近年のさまざまな状況を見てまいりますと、やはり情報通信、また情報のさまざまな機能というようなものが極めて大きな位置を占め始めてきていると思うのでございます。つまり、地球環境、資源エネルギーと言われるような問題を解決するがために、我々は情報という武器を精いっぱい活用しながら二十一世紀の世界を切り開くべきときに至っているのだろう、こんなように思うわけでございます。  そこで、私が今提起させていただいて、多少世間に訴え始めてきているのは、インフォエナジー社会という考え方でございます。御存じのとおりインフォはインフォメーションの略語でございまして、それにエネルギーという、物質的なエネルギー量というようなものを加算しようではないか。今までは、文明の発展度というのは、物理的なエネルギーの使用量がふえればふえるほどその国は文明が発達していると言われるような社会でございました。しかしながら、それを続ければ人類が滅亡するとなれば、そんなものがすぐれた文明であるはずがないわけであります。新たに我々が持つべき物差しとして、先ほど申しましたように、インフォメーション・プラス・エナジーという物差しを当ててみたらおもしろいのではないだろうか。そうすると、物理的にはエネルギーの使用量がふえない、また減少させることができたとしても、インフォメーションの部分がきちんとこれから大きく成長していくならば、これからも人類は、また日本人は、成長する歩みを続けていきながら心の充足を持ちながら生きていくことができるのではなかろうか、こんな考え方を持っているわけでございます。  非常に抽象的な話になったわけでございますけれども、このような考え方を基本に組み立てながら、日本情報社会という問題に取り組んでみてはどうだろうかというのが私の私見であるわけでございます。  先ほど申しましたとおり、理論派で鳴らしておられる大臣でございますから、今の情報社会の問題は、私も率直に申しますと、枝葉の議論が多いけれども、どういうような社会ビジョンを提起できるかということについてはまだ十分なものを、郵政省のみならず、もう世界じゅうの機関でもきちんと打ち出していないと思うわけでございます。このような基盤に立つビジョンを打ち出してみてはどうだろうかというようなことを私ども今感じているわけでございますが、大臣はいかなる御所見をお持ちでございましょうか、お尋ねを申し上げたいと思います。
  23. 日野市朗

    日野国務大臣 非常に格調の高いお話を伺いました。非常に多くの御指摘をいただきましたが、確かに先生おっしゃっているとおり、日本においても世界においても共通に言えることでありますが、一つの経済発展のパターンをそれぞれが持ちまして、それを追い求めてまいったと思います。  特に、日本、ドイツというような国などにおきましては、戦後の混沌の中からどうやって経済を立て直していくかということに力点が置かれてきたと思います。また、世界の先進国と言われるところは、いわゆる開発途上国と言われるところを置き去りにしながら、スケールメリットを追い求めて経済発展をしてきたというふうに思っております。そういう中で大量生産、大量消費、とにかく物をどんどん使って、そして経済的な財貨の多さをもって、消費の多さをもって経済成長を図ってきたということは間違いない方向であります。  しかし、これが今大きな壁にぶつかっていることはもう言うまでもありません。先生がおっしゃったとおり、その壁にぶつかって、ではどのような選択肢を今選択し得るのかということについては、これは政治家の方々の中にも多くの迷いがあるというふうに思いますし、政界のいろいろな再編成過程と言われるものもその反映でございましょう。  また、経済についても、一応経済の停滞と言われながら、多くのいろいろなニーズをみんなが感じながら、なおかつ一つのものにぱっと飛びついて、それを軸にして経済発展を図るというところまで、企業家の人たち、経済界の人たち、その人たち自身もまだそういう方向にはっきりと踏み出していけないという迷いがあろうかというふうに思うわけですね。そういったものの反映として、社会自体のエネルギーが今停滞しているというふうに言ってもいいかと私思います。  そういう中で、では、これからはどういうふうに我々としては経済を発展させ、生活を向上、発展させていくかということになりますと、先生も今お使いになりましたが、心の充足ということをお話しになりました。心の充足ということは、私も非常に重大なことだと思っております。そして、これからは、人間の生活の質を変えていくという点、心の持ち方、心を、自分たちの個性をいかに充足させていくかということが非常に重要かポイントであるというふうに考えまして、ここの領域に至りますと、物質的なものは解決を与えることができるかどうかということを、甚だ私は疑問であるというふうに思います。こういうときには、やはりいろいろな、先生がおっしゃったニーズ、シーズ、それをきちんと掌握していくことが大事であり、そういう世界ではこれからの情報というものが果たす役割というものは非常に大きなものがあるというふうに思います。  もちろん、情報の使い方というのは多種多様でありまして、例えば、物をいかに消費を少なくするかというような使い方もこれはできるわけでありますし、生産活動にももちろん使える。それから、人と人とのつながりにも使える。心の持ち方をどうするかという点にも、いろいろな使われ方があるのだろうというふうに思いまして、先生からお励ましをいただいた、郵政省というのはこれから非常に重要な役割を果たさなければいかぬ、まさに先生のおっしゃるとおりでありまして、先生の今おっしゃっていただいたことを肝に銘じながら郵政省の仕事も続けてまいりたい、こう考えております。ありがとうございました。
  24. 小野晋也

    小野分科員 大臣から極めて前向きの御答弁をいただきまして、大変ありがとうございます。  私は、実はこの情報というものは、今まで人間を制約していたもろもろの条件から人間を解き放つ意味を持っているものだろうと考えております。例えば、私は今ここに立っていれば、もうここにいるというだけでほかの場所にいないわけでありますけれども、情報通信のメディアを使えば、あっという間に世界じゅうのどこの人とでも、まさに目の前にいるかのごと情報交換をし合うこともできれば、また時間的制約の中で、私は今この時間にここにいるわけでございますが、この生きざまを記録として残しておけば、未来の人たちにいつでも私たちのことを呼び出してもらって、まさに目の前で、何を考えた人かということもわかっていただけるというようなことをいろいろと考えてまいりますと、これは極めて人間の生き方、考え方にまで多様な影響を及ぼすものがこの情報社会の要素の中に入っているな、こんな気持ちがいたしております。それだけに、繰り返しになりますけれども、郵政省の役割は極めて大であるということでございますので、改めて大臣初め皆さんのこれからの御活躍を御期待申し上げたいと思います。  そこで、理念的問題をもう一問御質問させていただきたいと思うのでございます。  私のことばかり申し上げて大変恐縮でございますが、もう十数年前でございますが、情報社会の姿を描き出してみようということで「情報化社会風林火山論」という小論文をまとめさせていただいたことがございました。情報化社会の中で求められる基本的な機能が、風林火山の四つの要素にまとめられるのじゃなかろうかというふうに感じたわけでございまして、風とは、速きこと風のごとしてございますから、秒速三十万キロメートルでどこへでも飛んでいくこの情報通信の風であります。  それから林とは、一日一日、目には見えないけれどもすくすくと育っていって、月日を経たときには大木になり、人々に便益を与え、憩いを与える、これはまさに情報蓄積の機能であろうと考えるわけであります。  そしてさらに火、侵略すること火のごとしと申しますけれども、これは例えば炭素と酸素が化合したらCO2が生まれて、それに熱が発生する。これは情報処理の機能がまさに同じ働きをしているわけでございまして、Aという情報群とBという情報群がコンピューターの中でお互いに反応し合った結果、Cという新しい情報群が生まれ、そして社会に対してある一定のインパクトを及ぼしていくということでございますが、火は情報処理であります。  この風林火山のうちの風、林、そして火という要素については、最近の著しい技術進歩において、どんどんと新しいエリアが拡大されてきていると思うのでございます。  残されましたのが一つ、山ということでございますが、これは武田信玄の最も重視した考え方であるというふうなことが黒沢明さんの映画でも描かれていましたけれども、この山は、動かざること山のごとし、つまり情報社会の中にあってはいろいろな情報が自由自在に、先ほど申しましたとおり、空間を飛び越え、時間軸を飛び越え、そしていついかなるところへでもその影響が及んでいく。しかも、何か物であるならば、物をつくるために大変なエネルギーを投入しなければそれは生まれないけれども、情報の世界におけるものは、一つ情報をあるポイントから発した途端に、それが意味のある情報であれば、ほとんどエネルギーも消費することなく全世界にあっという間に広がってしまうというような特性を持つわけでありますから、これは大変社会的に、すぐに社会を揺り動かしてしまうという要素を持つわけでありまして、それだけに社会的に不安定を引き起こしてくるという意味合いも同時にはらんでいるということは、御指摘をしておかなくてはならないだろうと思います。  そして、それと同時に、先ほど申しました風であり、林であり、火である、こういうものにつきましては、技術の進歩とともに世界じゅうが統一規格になってまいりました。そして、どこの国で使っている機械も、その差がなくなってくる。世界じゅうの人がひとしくその便益を受けながら、仕事に、生活に活用できてくるということになってまいりますと、実はこれから国家間で、また地域社会間で競われてくる部分がどこになるかというと、この風林火の部分ではなくて、山の部分の勝負になってくる。  だから、情報社会の勝負というのは、一つの舞台は技術の勝負です。それからもう一つは、その社会情報社会の中にあって動かざる何を持っているかということにおいて、その社会の個性が生まれ、そしてその社会の持つエネルギーが生まれてくるのだ、こういうふうに私は今感じている次第であります。山とは、具体的に恐らく倫理観であったり社会の中で長い間培われてきた伝統であり歴史であり、また慣習であるといった、そういうものでもありましょうし、また新しくみんなが議論し合いながら、私たちの国はこういう国にしようということで決め合っていくような要素でもあろうと思いますが、私は、今後情報社会進展していくにつれて、先ほど御指摘申し上げましたとおり、さまざまな課題も、影の部分の問題もはらんでくる社会であろうと思いますが、この山の部分をいかに確立しておくかということが、日本情報社会あり方を基本的に決める大事な課題だ、こう感じている次第でございます。  郵政省として、技術的側面はこれまでもいろいろな機関を使ってやってこられているわけでございますが、むしろこの山の部分にしっかりと光を当てながら、検討を進めていきながら、二十一世紀の情報社会を展望するという部分が求められ始めてきていると考えている次第でございますが、大臣はいかなる御所見をお持ちでございましょうか。
  25. 日野市朗

    日野国務大臣 情報通信というのは、経済社会とか国民生活の利便性の上で限りない可能性を持っているものでございますが、この情報、それからコンピューターには心があるわけではございませんで、これはまさに即物的でございます。またそれは、それをいじる人によっていかようにもまた変わり得るという側面も持っております。  例えば、新たな光と影ということを考えてみますと、影の部分としてわいせつ情報などというのが最近よく言われておりますね。それから、犯罪誘発情報、例えば爆弾のつくり方などというのだって、これはインターネットでアプローチできるわけでありますし、無断転載といったような知的所有権の侵害だとか、デマを流すというようなこともできるわけでありますし、詐欺めいたことだって行われるわけで、他人のプライバシーの侵害だとか、それから非難、中傷情報などというのも最近非常に問題になってきました。こういったものは、結局、それを使う人たちの持っている品性、人格、これが大きく作用することは間違いございませんね。  我々、こういういろいろな即物的な情報を使う場合に、例えば、日本という国に即して考えるならば、日本人の持っている文化、それから倫理観、そういったものをきちんと押さえておかなければならない。これは言うまでもなく、日々、片々流転していくわけでございますが、しかし、その中で変わらない日本の倫理観とか文化とか、そういったものがきちっとあると思いますので、そういうことにも十分留意しなければならないということを認識いたしております。  そして、先生のおっしゃる山でございますね、衆知を集めて、ハードの面でもソフトの面でも、これをきちっと構築することが必要になってこようというふうに考えております。
  26. 小野晋也

    小野分科員 ぜひ、大臣の今の御答弁の路線に沿って日本情報社会の姿を描いていただきますことを御期待申し上げておきたいと思います。  先ほど大臣の御答弁の中にもございましたインターネットの問題でございますけれども、実は、さまざまな局面がインターネットをめぐりましてここしばらく生まれてきております。  今、大臣御指摘のとおり、わいせつ情報をインターネット画面上に映像としてロードした人が二人、先日逮捕をされました。また、アメリカの国におきましては、電子メディアによるポルノの頒布の規制問題が米国情報通信改革法の中で今取り上げられておりまして、盛んな議論が情報の自由、信条の自由等の問題に絡んで取り上げられているというような話題もございます。  この分野につきましては、全く新しいメディアの誕生でございますから、今までの法体系で対応できるのかどうかという問題があると同時に、恐らく捜査当局の方におかれましても、どういうルールでこの対応を進めていったらいいかということについては、まだ戸惑いながらの対応であろうと思います。  そこで、お尋ねさせていただきたいのは、国内においてわいせつ情報を流すのであれば、これは国内法での取り締まりが可能になろうかと思いますけれども、国外に置かれたコンピューター上に乗せられたわいせつ情報日本の国の人が読むということは、これは原則的に自由にできるわけでございますけれども、こういう問題に対してはこれからどう対応されようとしておられるのでございましょうか。御答弁をお願いします。
  27. 山口憲美

    ○山口(憲)政府委員 いわゆる影の部分というのは、今大臣からもいろいろお話を申し上げましたのですが、大変たくさんのケースがあるというふうに考えておりまして、今たまたま、たまたまではございませんが、通信と放送が融合化してくるというふうな現象が見られる、それが恐らくこういうふうないろいろな問題を起こしてきているのだというふうに思っております。  懇談会というものを、関係の学識経験の豊かな方に集まっていただきまして、とにかくどういう問題が起こるかというのを洗ってくださいというふうなことをやっておりまして、それを出していただいたときに、今申しましたように、制度的に手当てができるものは制度的にしていかなければいけない、それから技術的に手当てができるものは技術的にもしていかなければいけないというふうなことを考えて、手当てをしようというふうに思っております。  今そういう作業をしている段階でございまして、ただ、今お話のございましたように、視野は世界ということを考えてやっていかなければならぬというふうに思っている、その点は全く同じでございます。
  28. 吉川幸夫

    ○吉川説明員 警察といたしましては、国内においては先生御指摘のとおり、先般も検挙したところであり、今後ともその内容に即し、刑罰法令を適用し、厳正、的確に取り締まりを行っていく所存であります。  外国においてわいせつ図画のホームページを開設した場合等についてでありますけれども、刑法第百七十五条に規定するわいせつ図画公然陳列罪については、国外犯処罰規定の適用がありません。一般的に申し上げて、国外犯処罰規定がない場合には、構成要件のすべての行為が外国で行われている限りにおいては刑法の適用はありませんけれども、構成要件の一部をなす行為が日本国内で行われ、または構成要件の一部である結果が日本国内で発生した場合に、これを国内犯とするとされております。処罰することができるわけであります。  ただ、どのような場合が国内犯として処罰できるかについては、具体的なケースを見なければなりませんので、一般的にこの場で申し上げることは差し控えさせていただきます。  いずれにせよ、警察といたしましては、現行刑罰法令に触れる行為があれば、厳正、的確に今後も取り締まりを行っていく所存でございます。
  29. 小野晋也

    小野分科員 この問題は、恐らくこれから家庭の中にコンピューターがどんどん普及していくと子供が操作するケースがふえてくると思いますから、早急に対策等の検討を進めていただきたいと御要望しておきたいと思います。  それから、インターネットに関連して第二の点は、これからの課題といたしまして、ディジタルキャッシュの問題が非常に大きな課題になってきそうな気配になってきております。現状では、インターネットは単に世界各地にある情報を自分のコンピューターで自由自在に読み出せるということでございますけれども、これに商取引が絡んでくるということになってまいりますと、当然お金のやりとりをどうするかという問題が出てくるわけでございます。その研究が全世界で今行われている状況でございます。私ども危惧しておりますのは、アメリカがやはりこの分野も完全に押さえてしまおうという構えになってきているように思う点でございます。  振り返ってみれば、日本もコンピューター産業がなかったわけではないけれども、気づいてみると、マイクロプロセッサーの方はインテルがほとんど完全に全世界のシェアを押さえてしまう。そして、パソコンの基本のOSの分野では、マイクロソフトのウインドウズ、またMS−DOSがほぼ八〇%ぐらいもういっているんだろうと思いますけれども、これも押さえてしまう。通信の分野はどうだというと、アメリカの規格でありますインターネットというのがまた全世界を押さえてしまっている。それでさらにこのディジタルキャッシュという分野も押さえられてしまうというようなことになってくると、我々の情報社会における生活や仕事のかなりの部分が次々とアメリカの流儀によって押さえられてくるということは、アメリカでつくられた新しい規格がずっとこれから世界を支配し続けていくということになってくるわけでございまして、この点、郵政省もさまざまな取り組みをされていると聞いているわけでございますが、私は今非常に危機感を抱きながらこの動きを眺めている次第でございます。  時間がございませんので、もうこれは御要望にとどめておきたいと思いますけれども、ぜひとも、非常に大事な情報化社会における戦略分野でございますから、この戦略性を見落としのないように、いかなる展開をすればいいかということについてきちんとした政治的な分野を含めての対応を進めていただきますことをお願いを申し上げたいと思います。  引き続きまして、首相官邸のホームページの問題についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  首相官邸のホームページは、言ってみれば日本を代表するホームページに今なっております。一カ月のアクセス数を聞いてみますと、八十万件に及ぶのだということでございます。一方、私どもの周辺でこのホームページの評判を聞いてみますと、大変に画面があらわれるのが遅い、つまり、本体の能力に比べてたくさんのアクセスがあり過ぎるがために、その情報を流す速度が一つ一つのコンピューターに対して極めて遅くなってしまっている、一つの画面を出すのに何分間もかかってしまうというようなケースも出ているようでございます。  ここでぜひ郵政関係の皆さんにお考えいただきたいと思いますのは、今や我々は、日本の有史以来初めて、みずからパソコンを操作して、自分でインターネットを通して外国の人に手紙をパソコン通信で、メールで送ることのできる総理大臣をいただいたわけでございます。これは、情報化社会のこれからの進展を考えますと極めて意義の深いことでございまして、このシンボル性を高めていただいて、ますます日本情報社会を進めていくということが我々に課せられた大事な課題であると思いますので、ぜひその看板になっております官邸のホームページを皆さんにとってもっと利用しやすいものにしていただきたいと思います。  今後どんな改善を考えておられるのか、もう簡単で結構ですから、御答弁をお願いします。
  30. 松井孝治

    ○松井説明員 御指摘いただきました官邸のインターネットの利用者からの苦情については、私どもも承知しております。  要因についてはいろいろな要因があろうかと思いますが、専門家を交えまして、やはりこれはコンピューターの処理能力の向上とそれから回線の増設が必要だという結論に達しまして、実は先週から、コンピューターの処理上の工夫をするとともに、回線容量を倍増させていただいているところでございます。まだ先生御指摘のような国民からの苦情もあるかと思いますので、至急、再度、インターネット上でどのような苦情があるか、問題があるかということを調べました上で、引き続き利用者の利便の向上に努めてまいります。  それから、それと同時に、やはり私どもとしては、そういうインフラといいますか、利用環境もさることながら、官邸としてインターネットのホームページに登録する情報提供の内容というものが非常に重要な問題であるというふうに考えております。このため、その内容を、非常に迅速に必要な情報、的確な情報を入れていく、あるいは親しみやすい首相官邸というものを、インターネット上、国民の皆様に向けて発信していくということに今後とも力を入れていきたいと思っております。
  31. 小野晋也

    小野分科員 時間になりましたので、最後要望だけさせていただきます。  この情報化取り組みは、過疎地にぜひその手厚い対応を進めていただきたいと思います。過疎地情報発信ないしテレワークセンターと言われるようなものの過疎地の展開、これには普通の地域の展開以上の補助率等の対応をしていただきまして、この情報社会進展ということが過疎地にとってもメリットの大きいものになるということがこれから我々日本社会に問われる大事なポイントだと思います。  きょうは、大臣から随分前向きの、私ども本当に期待を込めて大臣の活躍を望むというような御答弁をいただきました。今後一層の御検討、御活躍をお祈りして、私の質問を終わらせてもらいたいと思います。ありがとうございました。
  32. 谷川和穗

    谷川主査 これにて小野晋也君質疑は終了いたしました。  次に、松下忠洋君。
  33. 松下忠洋

    松下分科員 鹿児島県の松下忠洋と申します。三十分でございますので、よろしくお願いしたい、そのように申し上げます。  四つのことをお尋ねしたいと思って準備しております。小さいことから大きなことまでお尋ねいたしますが、一つは、テレビが極めてよく見えない難視聴地域というんでしょうか、そういう地域がございます。県内にも幾つかありまして、徐々に解消してもらっておりますけれども、まだ進んでいない。その解消についてのお考え方をお聞きしたいと思っております。  もう一つは、これまた極めて小さいんですが、郵便局の新設、廃止、それのいろいろな要望が出てまいります。どのような考え方で新設しあるいは廃止し、郵便局の中にも簡易、特定、いろいろあるようでございますけれども、それについて何か基準を持っておられて、あるいは難しい状況があって進まないのかどうか、あるいは割と容易にいくのかどうか、その辺もお聞きしたいと思っております。  もう一つは、衛星通信の将来展望ですね。これについて今小野先生の方からもお話がございましたけれども、重複するところがあるかもしれませんが、ひとつお尋ねしたいと思っております。  それから、一番大事なことですけれども、次の世代に向けてあるいは次の世紀に向けての通信分野における国の先端研究、そういうものをどうすべきであるのか、その役割ですね。日本の現状、その辺も教えていただきたいというふうに考えております。  まず、テレビの難視聴地域の解消でございますけれども、私は鹿児島県の新しい、新三区と言いますけれども、これは非常に山奥の地域でございまして、携帯電話も、これはかねてから言っていますけれども、なかなか聞こえない地域でございまして、その解消も一つの問題としてあるわけですけれども、テレビが極めて見にくい地域がございます。  これは、平成八年度にも、例えば東郷町でありますとか牧園町とか、そういう本当に山の中の奥の方ですけれども、そういうところで、わずかの金ですけれども、数百万のお金テレビが見えるような地域になるわけでございますが、それをしていただきました。ところが、ほかにもたくさんございまして、そういう要望がたくさん届けられてきております。そういうのは全国でどのような状況になっておるのか。この情報化社会においてまだテレビがよく見えない地域があるというのは非常に残念でございます。その解消についての予算措置、来年度具体的にどのようなふうにしようとしておられるのか。そしてまた、全体の解消をする努力、全体の進め方、その辺についてお尋ねしたい。よろしくお願いします。
  34. 楠田修司

    楠田政府委員 先生御指摘の点は、民間放送の難視聴地域のことだと承知いたします。  現在、民間放送が一波も見えないという地域、これを解消するようなシステムをつくっておるわけでありますが、ちなみに数を申し上げますと、平成四年三月の郵政省の調査で、こういうものが全国で二十一万世帯ございました。これらにつきまして、一波も見えないということは非常に問題だということで、民放テレビ放送難視聴解消事業というものを始めたところでございます。  ちょっと申しおくれましたが、民間放送の場合の難視聴の解消の基本的なところは、中継局をつくっていただく、中継局をつくっていただいて放送が見えるようにしていただくというのは放送法に決まっておりますから、それが基本でありますが、先ほど申し上げましたようなところは、民間放送事業者の自主的努力のみでは、非常に地形的条件が厳しい、あるいは非常に少数の難視聴の世帯があるというようなところで、その解消が経済的にも大変だというふうなところで、郵政省といたしまして、平成三年度から電気通信格差是正事業というものをつくりました。これを対象に、市町村等が中継局やあるいは共同受信施設を設置する場合に国庫補助を行うということをやってまいったわけであります。これで、本年までの約五年間で十一万世帯の難視聴解消が行われたということでございます。  ちなみに、鹿児島県で、先ほど先生が御指摘になられました東郷町であるとか牧園町は七年度でなされるということでありますし、八年度も、あわせて東郷町、牧園町、あるいは将来坊津町というようなところも含めて現在検討しているところでありますが、全国にこういうようなところがまだ十一万世帯残っておりますので、あと五年間かけまして逐次解消してまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。
  35. 松下忠洋

    松下分科員 懇切に教えていただきましたけれども、まさに一波も見えないというのではなくて、NHKはきちっと見える。ところがそのほかが全く見えない、民放が見えないということなんですね。それも、一波は見えるけれどもほかが見えないとか、それぞれの地域によってあるんですね。  今度は、今坊津町のお話もされましたけれども、あそこは、島津藩の財政を支えてきた、要するに遣唐使が出ていったりした場所ですけれども、後ろは非常に切り立った山がありまして、どすんと落ちてリアス式海岸で、入り江が非常に入り込んでいる。ですから、いろいろな方向から来ておる電波がなかなか入りにくい。それぞれの入り江、入り江に家が密集しておりまして、その地形条件それぞれによって相当違ってくるわけですね。ですから、NHKは見えるんだけれどもほかが見えない、そういうことがありまして、そういうところのお話を今したんですけれども、その協力関係といいますか、民放との中継基地をつくる、中継局をつくる、アンテナをつくる。そこにNHKのものがある、そこに民放が入ってきて併設できるか、何かちょっとしたことで仕掛けをすればかなりそれが一遍に広がっていくのか、そういう協力関係はどうなっておりますのでしょうか。そういうことによってかなりスピードが早くなっていくかもしれませんし、いや、まだそういう協力関係もなくてそれぞれが独立してやっていくということなのか。そういうのもぜひ教えていただきたいと思いますけれども、どうなっておりますでしょうか。
  36. 楠田修司

    楠田政府委員 難視聴の解消の状況地域によって異なりますので一律には申し上げられませんが、例えば民放同士で同じ鉄塔を使って施設をつくる、あるいはNHKと協調して同じ施設を使って中継局をつくるというのは十分あり得ることでございます。それはもう、場所によってそれが安上がりということであれば、お互いに協力してやるのは当然でありますので、そういうことも、地方の電気通信監理局を通じていろいろ御依頼あるいは御指導申し上げているところでございます。
  37. 松下忠洋

    松下分科員 ぜひお願いしたいと思います。新しい情報通信、先端の技術もしていかなければいけませんし、世界に負けないための技術開発もしていかなければいけないわけですけれども、こういう、現在の楽しい情報を享受できないという地域もありますので、ここは予算措置も含めてしっかりとお願いしたいということでございます。  あわせて、きょうは五十嵐局長さん、お見えになっておられませんが、要望です。かなり解消していただきましたけれども、携帯電話が非常に聞き取りにくいという地域です。  私は、鹿児島空港におりて、自分の選挙区があり、自分の地元を選挙区からずっと通っていくわけですけれども、自宅まで一時間半かかりますが、車の電話がかかる場所が二カ所だけなんです。だから、そこに行くまでは何もできないという感じなんですね。  それから、非常に山が多いですから、聞こえるんだという地域になっても、外れますとすぐどうにもならなくなってぷつっとなってしまうということがありまして、これもやはり山間地におりますと、現在のいろいろな高い水準のそういう情報がせっかくあるのに、我々は享受できないということになっております。そこのところの解消もぜひしていただきたいというふうに思うのです。  この経費が、値段が高過ぎるのではないかということもありますけれども、その辺はまた別途の機会にきちっとお尋ねしたいと思っておりますから、この解消に努力していただきますように、これは要望をしておきます。よろしくお願いしたいと思います。大臣のところなんかも随分聞こえないところがあるのではないかと思いますけれども、これはひとつしっかりとお願いしたいと思うわけでございます。  次は、郵便局の新設、廃止のことなんですけれども、どのような基本的な考え方で進めておられるのか。ある一定の規模の人口があれば自動的にできるのか、あるいは、なければそのまま置いておくのか。やはり地域のいろいろな郵便行政、それから貯金の問題も含めて、かなり期待している声もあるのですが、そこはどういう考え方で進めておられるのか、教えていただけませんか。
  38. 加藤豊太郎

    ○加藤(豊)政府委員 御指摘の郵便局は主として無集配特定郵便局のことではないかというふうに思いますけれども、それにつきまして御説明させていただきます。  無集配特定郵便局は、先ほどから先生御指摘の山間辺地を含めまして、全国あまねく公平に郵便の窓口サービスを提供するために必要な箇所に設置するというふうなことで取り組んでおりまして、都市部だとか近郊発展地でニーズの高いところを中心にしまして、年間に百から百二十局ぐらい増設しているところであります。これは、隣の局との間で八百メートル、利用者数八千人以上というふうなものを一つのスタンダードにして設定しているわけであります。  一方、御指摘の過疎化の進行によりまして郵便局の設置の効果の著しく低下した地域、これにつきましては、郵政事業の公共性だとか効率性、それから地域社会に与えるところの影響などを総合的に勘案しまして、地域方々の理解を得ながら、年間約三十局ぐらい廃局をしているところであります。  しかし、郵政事業全国あまねく公平にサービスを提供するということを使命にしておりますので、国民の財産であるところの全国ネットワークというものを維持する観点に立ちまして、著しく過疎化の進展した地域であっても、町村に最低一カ所の窓口機関を置くというふうなことで措置しているところでありまして、また、無集配特定局を仮に廃止した場合でも、地域方々の利便性を考慮いたしまして、簡易郵便局を設置するなどの対応をしているところでございます。
  39. 松下忠洋

    松下分科員 私の住んでいる鹿児島の川内という町ですけれども、人口七万ちょっとの小さな、本当に小さな地方の小都市ですが、その地方都市でも、やはり町の中央部が、非常に商店街が空洞化していって、外にどんどん出ていく。それから空港に行く道路沿いには、やはり非常に住宅が建っていく。それで区画整理ができていきますと新しい家が郊外にずっと広がっていくということで、逆も同じように、小さな町だけれどもドーナツ現象ができて、そういう要望ができてきている。  一方ではまた、周辺の山村は山村で、本当に今度の一月の成人式では、ある一つの校区からは成人がゼロだという地域もあるわけですね。そこにも一つ特定郵便局があったのですが、それを簡易郵便局に格下げするのかどうか、そういう議論もあるようですけれども、そういう地域になっている。  だから、そういう要望を的確につかまえて対応してもらいたいと思うのですが、特定郵便局の場合なんかは、土地の提供、局舎の建物、そういうものは全部自分たちでしていかなければならぬのか、そしてどういう仕組みでそれをつくっていくことになるのか、そこの仕組みをちょっと教えてもらいたいと思うのです。
  40. 加藤豊太郎

    ○加藤(豊)政府委員 御指摘の郵便局の場合には、集配を受け持つ郵便局と、カウンターサービスだけの無集配郵便局の場合があろうかと思います。  局の大きさによってさまざま違いますが、大体大きな郵便局、特に集配郵便局ですね、特定局の場合でも。そういう場合には、国が土地を確保し、建物をつくるというふうなものが一般的でございます。  それから無集配特定局、小さな郵便局の場合には、主として個人の皆様方の土地をお借りし、建物をお借りして国営で営業する。つまり、国がその土地建物をお借りしてやるというふうな形になっておりまして、郵便局長の任命はそういうふうな土地と無関係に、適当な能力のある方を国家公務員として試験をし、採用しているというものでございます。
  41. 松下忠洋

    松下分科員 わかりました。  いろいろまた個別にも要望いたすことがありますので、そのときはまたよろしくお願いしたいと思います。  もう一つは、衛星通信の将来展望についてお尋ねしたいと思います。  アメリカなどを中心として、地球規模で、グローバルな移動体の衛星通信システムという構想が具体化されているというふうに伺っているわけですけれども、今どのような状況になっているのか、その中で日本というのはどのようなポジションにあるのか、そこの現状をまず教えていただきたいというふうに思います。
  42. 山口憲美

    ○山口(憲)政府委員 お答え申し上げます。  衛星、特に通信衛星の世界というのは、本当に大きくさま変わりをしてきているということが現状でございます。  従来は静止衛星ということで、三万六千キロというふうな非常に高いところに打ち上げまして、下から見ているととまっているような状況の、こういう衛星を中心にしまして、そういうものが常識になっておりましたが、最近の技術進歩によりまして、もっと低い、七百キロとか大変低いところで衛星を飛ばすというふうなことを考えている構想が主流になってきております。これをやりますと、ディレーといってちょっとおくれたりするというふうなことが、従来、衛星を経由しているとありましたが、七百キロということになりますと、地上で考えても七百キロぐらいの距離ですとディレーというのは起こりませんので、そういうふうなことが起こらなくなる。あるいは出力が小さくて済むというふうなことがありまして、今度は受ける地上の施設が非常にハンディなもので済むというふうなメリットがございます。  ただ、一つの問題は、これは動いてしまう。地上から見ているととまっておりませんので、動いてしまいますので、衛星の数をたくさん打ち上げなければいけないという問題がございます。今ある構想というのは六十六個とかあるいは四十八個とか、いろいろ構想ございますが、最近出てきているのでは八百四十個打ち上げようというべらぼうなものが出てきたりしております。  それと、通信をしていますと、動いていきますから、通話が終わる前に次の衛星にバトンタッチをしなければいけないという、大変難しいこういう技術が必要になってきているというふうなことでございます。  そんなふうなことで、この通信衛星の世界というのは大変に大きくさま変わりしてきている。それから、技術の内容も変わってきているというふうなことでござます。  私どもも、そういったことを踏まえまして、これからの技術開発ということが非常に大切でございますので、いわゆる携帯型の端末で非常に大容量の通信が可能になるというふうな技術開発をまず第一にしていく必要があるというふうなことで、移動体衛星通信システムの研究開発ということを非常に力を入れてやってきております。  特に、今インターネットでよくLAN、LANと言われますが、LANというものは非常にこれから重要になってまいります。そうすると、LANの間を結ぶ役割を果たす、それに衛星を使っていくということも非常にこれから有望になってくるということで、その辺の研究開発というのも非常に大切だというふうに考えまして、今手をつけ始めているところでございます。  ただ、ただいま申しましたように、大変大きくさま変わりをしてきておりますので、我々も、そういう状況を踏まえて、全体としての衛星開発というものをもう一回見直す必要があるのじゃないかというふうに考えておりまして、現在、電気通信技術審議会にお諮りをいたしまして、今後の衛星通信政策の方向性というものをこの際出していただこうということでお諮りをしておりまして、できればこの五月中ぐらいにはそういったものをいただければというふうなことで考えております。  大変重要な時期にかかっている、それから重要な内容のものだというふうに思っておりまして、先生の御指摘に対しても、十分そういうふうなことを踏まえて対応してまいりたいと思っております。
  43. 松下忠洋

    松下分科員 いろいろな資料を見ておりますと、アメリカのものですけれども、ICOでありますとかイリジウムでありますとか、グローバルスター、オデッセイといった、これは全部アメリカですけれども、相当の衛星を打ち上げている。例えばイリジウムなんかは六十六個、グローバルスターは四十八個、七百八十から千四百六キロぐらいということですけれども、システムにかかる経費が例えばイリジウムですと三十四億ドル、それから資金調達額というのが十六億ドルということですけれども、やはり相当の金がかかる。  こういう現状で、日本がこれからやっていくときに、日本というのはどういうようなレベルになっているのか、これから何をしていかなければいけないのか。例えばアメリカには軍がありますから、あるいはNASAなんかもあるのでしょうけれども、そういう一つの軍事目的としても使っていこうとするものがある。そういうところからやはり相当の資金投入がなされて技術が進んでいくということなんでしょうけれども、日本はそういうもののほんの一部を今使わせてもらって、これにちょっと乗っかって、その乗っかる分の費用を払うのでしょうけれども、払って、何か自分でしているということなんだと思うのです。  その辺の追いつくレベル、それから現在の状況、その辺をどういうふうに認識しておられるのか。  そしてもっと具体的に、次の質問ですが、これから何をすればいいのか、先端技術開発としてどうすればいいのか、そのための経費ですね、どの分野にどうつぎ込むのか、その辺も教えてもらいたい。そして、今現実にどこにどう入っているのか、そういうところももう少し詳しく教えてもらえませんか。
  44. 山口憲美

    ○山口(憲)政府委員 大変難しい御質問でございますが、まず第一に、今申されましたいろいろな構想というのは、みんな民間の企業が打ち上げているということでございます。ですから、私どもは今ニュービジネスの振興というふうなことでいろいろ考えておりますが、こういう構想というのがどうしてアメリカはぼんぼん出てきて、我が国からそういう大がかりな構想が出てこないのか。先ほど八百四十個上げるというのはビル・ゲイツが打ち上げているものでございますが、そういう構想がまずどうして出てこないのかという、いわゆるニュービジネス振興政策というふうな点も少しいろいろ考えていかなければいけない。それは大変すそ野の広い大きな問題だというふうに思っております。  ただ、今出ている構想についてどういうふうにかかわるかということでございますが、これがいろいろな形で日本の企業にも呼びかけがあるようでございまして、そういった形でこういったところに資本参加をしていくというふうなことを検討されているところもあるように聞いております。それから、この中で使われる技術というのも、日本技術というものがその中で生かされるというふうなこともあるわけでございまして、すべてがすべて日本はそういうものから関係ないところに存在しているということではないというふうに私ども思っております。  いずれにいたしましても、そういう中で、民間の皆様方がおやりになる、その際に国としてどんなことがお手伝いできるかということになりますと、やはり先生がお触れになりましたように、技術開発中心にして、技術開発もそこですぐ使える技術開発ということではなくて、将来を見通した部分での基礎的な研究開発というものに力を入れてやっていくのが国の役割だなと思っているというふうなことでございます。
  45. 松下忠洋

    松下分科員 次の世代にしっかりとした日本の民族の意気を伝えていく、世界の中の日本として日本人の役割を果たしていく。やはり情報交換、通信が大きな役割を果たしていくと思うのですね。この分野に科学技術立国としての意気込みをぜひ示してもらいたい。大臣とも一緒に阪神淡路大震災も含めて災害対策もやってまいりましたし、それも大事ですが、また一方、こういう未来に向かっての新しい技術開発分野というのは非常に大事です。これはぜひ力を入れて取り組んでもらいたい、そのように思います。  最後に、大臣に一言、こういう分野での御決意をお伺いして終わりたいと思います。
  46. 日野市朗

    日野国務大臣 今先生御指摘のように、我が国情報通信分野の研究開発取り組み、これは取り組み不足という感じは私も感じておりまして、これをいかに前向きに研究を展開していくかということは非常に大事なことであろうかと思います。研究のリスクの高い基礎的な先端分野とか公共性の高い分野、これを中心に、例えば国立の研究所である通信総合研究所などでやっているわけでございますね。こういう基礎的な、そして大事な研究もいろいろやっているわけでございますが、これをさらにどんどん進めていく、展開させていくということは、新しいアイデアをどんどん出していくということなども含めまして非常に重要なことだという、先生から非常に貴重な御指摘をいただきました。  我々も同じような感じ方を持っているわけでございまして、先生からのきょうの御発言、非常にありがたいと思いますし、先生の御意向を十分酌み取りながらこれからの政策を進めてまいりたいと考えております。本当に感謝いたしております。
  47. 松下忠洋

    松下分科員 終わります。
  48. 谷川和穗

    谷川主査 これにて松下忠洋君の質疑は終了いたしました。  正午から当分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時二十七分休憩      ————◇—————     正午開議
  49. 谷川和穗

    谷川主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  郵政省所管について質疑を続行いたします。東中光雄君。
  50. 東中光雄

    東中分科員 私は、今ここに全逓大貯支部というのですか、大阪貯金事務センターの全逓支部が出している文書を持っているのですが、こういうことが書いてあります。   三六協定が未締結になって二週間以上になろ  うとしています。この責任のすべては、過去の  労働慣行や労使確認を一方的に破棄し、労働組  合を無視して職場の活性化十八項目を推進して  いる当所省側にあります。すでに、ささいなこ  とを口実に二十名以上の職員に処分が発令され  ています。非常に不正常でございます、私も現場を見に行きまして。ここで言っているのは、昨年の十月十六日に、大阪貯金事務センター所長名で、「職員の皆さんへ」ということで、「職場の活性化推進について」という文書が出されて、別紙で十二項目の本当に細かいことが書かれています。  それで、余りにもちょっと異常なように思ったので、現場へ伺いましていろいろ事情を聞いたのであります。  そこで一つ、省側の、管理者側の研修、労働組合あるいは職員に対する対応を官側でどうするかということについての研修をいろいろやっておられるようなのですが、研修会があって、それでその後で、夜、宴会といいますか、反省会というようなことがやられておる、その実態を聞きました。「係長研修 職場の問題点と解決策」、こういう文書があるのですけれども、こういうもので研修をやっているわけですが、「職場の問題点と解決策」ということでいろいろ書いていますよ。こういう研修をやるのについて、こんなこと郵政省としてやっていいのだろうかなと私思いましたので、お伺いしたいと思うのです。  この貯金事務センターでいいますと、去年の八月四日と七日に係長研修というのがやられております。これは午前九時から五時十五分までそういう研修をやる。五時半から評価反省会ということで、宴会、普通、常識的に言えば宴会ですが、一時間余りやられている。所長以下管理者二十二名全員が参加する。どこでやられるのかといいますと、大阪府立女性総合センター、ドーンセンターというわけですが、このセンターは貯金事務センターから一キロ半か二キロぐらいですか、離れています。そこで研修された人が合計百十名ぐらいになるということなのですが、夜、宴会をやられておるということですね。  続いて、十一月十三日と十四日に係長フォロー研修ということで、全係長対象で行われています。八月にやった分のフォロー研修ということで、これは天王寺区の南海飯店の三階、中華料理店です。これは事務センターから歩いて五分ぐらいというところであります。そして始まった時間は午後三時から五時十五分まで、そして五時半から意見交換会という、所長以下全管理者が参加した宴会がある。これは一人約五千円程度の宴会だそうです。ビールが二本と酒が二本ぐらいつくというようなことが言われております。参加人員は二日間で百十名ということであります。  続いて、主査研修が九月二十五日、三十八名、十月五日、三十八名の二回に分かれて、これは上六高津ガーデンという、やはりこれも食事ができる会場であります。ここでやられておる。反省会、意見交換会が五時十五分以降にやられた。二日間で五十二万円ぐらいの経費が出ているのではないか。  それから、十二月十八、十九の二回に分けて、六十五名が参加したやはり主査研修がやられています。これは寺田町の月華殿という結婚式場です。これも二日間で大体七十五万ぐらい出ているのではないかということであります。  さらに、ことしの二月五日に主査研修ということで、高津ガーデンでやはり九時からやられ、夜はまた反省会をやられておる。  そのほかに、ことしの二月七日、八日、九日、これは夜の五時四十分から七時三十分まで、九条の権太郎という、これは料理屋というにはそんな高級じゃありませんけれども、そこで第二業務部の課長課長代理、係長、主査の一部、これが三日間に分かれてずっと夜は酒、仕事が終わった後、四千円ぐらいの鍋物をつついてビール二本、酒二合ぐらいというふうな会合がやられておる。  その事実自体は、詳細の内容は知りませんけれども、私伺って、そういうことをやっているようですがと聞いたら、それはやっていますと言うのです。そこへ出ていくのは、事務センターから出ていきますから、歩いて五分でもそれは出張として出張費を出すのだそうです。二キロぐらい離れておったら交通費が出ます。夜の宴会は何ですかと言ったら、これは訓練費から出ます、食糧費ではございません、我が省は食糧費というのはありません、こういうことなのです。  これは一体どういうことなんだろう。官官接待とかいろいろ言われていますけれども。この係長あるいは主任、せいぜい五十名まで。そうしたらこれは事務センターの中で十分そういう会議室があるのですよ。それを月華殿やら南海飯店やら、三時ごろから出ていって、出張費つけて、それで夜、宴会をやっている。こういうことは何ということだろうというふうに思いましたので、これは予算があって、こういうやり方が省としては正当だというふうにお考えなのかどうか、お伺いしたいと思います。
  51. 金澤薫

    ○金澤説明員 お答え申し上げます。  今御指摘のありました大阪貯金事務センターで行っている役職者研修でございますけれども、これは課長代理、係長、主査を対象といたしまして、役職者としての意識の高揚、チームリーダーとしての能力の開発を図るということを目的にいたしまして、部外講師による特別講話、それから所長、部長、郵政局係長等による講話、それから参加者によるディベート、それから職場の問題点を解決するためのチーム討議、幾つかのチームに分かれましてチーム討議をやる。それから演習というふうなものを実施したと聞いているところでございます。  これらは業務の円滑な遂行のために必要不可欠なものでございまして、研修は公務として行われたものというふうに認識しているところでございます。  場所の点について御指摘ございました。先ほど述べましたように、研修で職場の問題点とか解決策など討議するわけでございますが、そのために演習とかチーム討議とかさまざまなことをやるわけでございます。したがいまして、それらを実施するにふさわしいスペースを要するわけでございまして、そういうスペースを擁する部外施設を使用したというふうに聞いているところでございます。  これらの研修は、職員を出張で参加させております。また、必要があれば交通費を支給しているということでございます。  特別講話、チーム討議など主たる種目が終わった後でございますが、これらの研修の効果を上げますために評価反省会というものを実施してるところでございまして、これは夕食を兼ねて実施しております。私どもとしては、これは研修の一環であるというふうに考えておりまして、常識の範囲内というふうに認識しているところでございます。
  52. 東中光雄

    東中分科員 大臣、事務センターというの昼階建ての大きな建物ですよ、新しい建物で。会議場は十分あるのです。  ところが、歩いて五分のところの南海飯店とうのは、これはだれが見たって中華料理店で、よ。そこへ朝から行って——歩いて五分ですよ、朝から何で中華飯店へ行って研修をやらなければ、いかぬのか。省内ではやれないのか。やれますよ。終わった後、反省会という名前で飲むために南海飯店へ行っているのでしょう。こういうことが今言われたような出張であって、出張手当が千円つくんだそうですね。そして研修だと。  研修の中身を見てみたら、今チーム討議ということを言われましたけれども、チーム討議の内容なんか見ると、何をやっているのかなと思うようなことをやっていますよ。  例えば、朝の整理整とんができているかできていないかというテーマで、机上のディスクマットの現状はどうなっているか、写真等の業務上必要でないものが入っていやせぬか、机上に放置されているものを管理者が片づけているかどうか、整理整とん日は浸透されていない、丙号鉄庫には私物がまじっている、こういうことが問題点だ。で、それについては解決策をどうするんだと。  これをやるために中華飯店やらドーンセンターやらへ行って、それで主任の場合は、カリキュラムを見たら、所長講話、部長講話、それから課長講話ですよ。そして一つ、外部の人が出てきているのもある。そんな主任のものが何で庁内でやれないのか。何で高津ガーデンへ行くのか。高津ガーデンへ行くことによって——すぐそばですよ、歩いて行けるところです。それを出張費を出す。  こんなことを大臣としてどう思われますか。ひとつ、形式的な官僚的な答弁ではなくて、実際の郵政省あり方としてどう思われますか。
  53. 日野市朗

    日野国務大臣 私も、先生の御質問があるということで、御質問の内容について事務方の方から若干教えてはいただきました。  ただ、私もいろいろ考えてみて、料理屋でやらなくたっていいじゃないかという点は先生もおっしゃっておられるのですが、何か話を聞きますと、演習ということもその中に含まれているようでございますね。そうすれば、省内でそれにふさわしいスペースがないとすれば、外部にそういうスペースを求めるということは、あながちこれは責められるべきことでもないのではないかと思いますし、それから、朝とか午後から料理屋に行って、まさか飲食するためばかりに行ったのではなくて、きちんと研修にふさわしい内容もあったとすれば、移動の利便等を考えてそのような場所を設定をするということ、私は大阪の風習を存じませんが、そういうことがあったとしても、あながち非常識であるというふうにばかりは言えないのではなかろうかというふうには現在感じております。  そして、何というのですか、研修の中身で、例えば私物と公物が一緒に何かの中に入っているなんというのは、これはちゃんと正さなければならないことでありまして、やはり研修にふさわしい内容が入っているように、私、今先生お話を伺いながら感じていたところでございます。
  54. 東中光雄

    東中分科員 日野さん、日野さんともあろう人が、これはふさわしいなんて言われたら困りますよ。僕は場所がよくわかっているからね。奇妙な話なんですよ。  貯金センターから、これは十一月十三日及び十四日ですが、三時から五時十五分まで南海飯店へ行って、歩いて五分くらいで行って、そこで研修なるものをやるんですよ、フォロー研修というものを。そうすると二時半ごろ出るんですかな。職場のセンターから、係長が五十数名、あるいは管理者が出ていくんです、すぐそばの南海飯店へ。そして三時から五時十五分まで二時間十五分間やるというんですよ。何で庁内でやれないのか。普通の人が見たら、こう行くわけでしょう。途中で行くんだから、勤務時間中に。そしてそこへ行くのが、これは出張やと言うんですよ。  それで、飯店で二時間ほどやったら、後、一人五千円程度の食事をして、ビールも出る、酒も出る。これはおかしくないと言われるんだったら、天下に訴えますよ。そんなことでいいですか。この場合は三時からです。  ほか、高津ガーデンといったって、これは労働組合なんかが借りて行きますよ。教育関係で私たちも行ったことがありますよ。そこへ行って、勤務時間中に研修をやるという。研修をやって、その後飲むということなんです。これは八月、九月、十月、十一月、毎月やっていますがな、実際上は。管理者側は毎月一回、二回出ていっているということになるんですよ。それが常識的だと。  いいですか、大臣、ちょっと素直にいきましょうや。
  55. 金澤薫

    ○金澤説明員 事実関係だけ御説明申し上げたいと思いますが、大阪貯金事務センターには四つの会議室がございます。第一会議室は七十平米、第二会議室は八十平米、第四会議室は九十平米、第三会議室は現在工事中ということでございます。  こういう中でチーム討議をやるために、幾つかのチームに分けてやるわけでございますが、どうしても入り切らないということで、いろいろな施設を使っているということでございます。  事実関係だけ御説明申し上げました。
  56. 日野市朗

    日野国務大臣 私も郵政省の内規等については細かいところは存じませんので、今聞いてみたら、とにかく局舎外でやるというときは出張扱いにするというのは通常の取り扱いということでありました。  ただ、先生おっしゃるように、先生は余りにもこれは常識外れだとごらんになった。私も先生も弁護士同士でございますから、事実の認定というのは非常に難しいことはよく先生も御承知でありましょうし、私も、客観的な事実というものをどう認識するかというのは非常に難しいということを存じております。  しかし、そういう点は乗り越えても、これは私なんかが見ておかしいよという点があったならば、これからのこういう研修会の持ち方等について疑問を抱かれないような努力をすべきであるというふうに私は考えますので、そのことは事務方にも申し伝えたい、こう思っております。
  57. 東中光雄

    東中分科員 事実認定は難しいというのは個々の行為についてであります。外形的事実というのは動かないのですから。南海飯店があそこにある、それで事務センターがここにある。三十八名の会議をやる場所が事務センターにないなんというようなことを、人事部長、発言すべきじゃないです。それは説明員としても言うべきではないですよ。何ということを言っているか。  あの大きなところで、三十八名や四十名の人が集まれる会議場がない、会議場は三つあると言いましたが、一つは工事中だった。十分ありますよ。それを勤務時間中に管理者がみんなそろって南海飯店へ出張して、そしてそこで一時間、二時間余りやって、それもやる必要があるかどうかということ。それについての評価は、それはいろいろあるでしょう、立場が違いますから。  しかし、そこでやって、その後一人五千円ずつ金を出して、公費で出しているのですよ、個人負担で懇親会やっているのと違うのです。公費でやって、それが一日、二日続いた。場所をかわってまた二日続いておる。こんなことをやって、これは浪費でない。  官官接待が問題になっていますけれども、これはもう本当に、これは研修費ですか。官房長、研修費ですか。
  58. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 お答えします。  訓練の経費でございます。訓練費でございます。
  59. 東中光雄

    東中分科員 だから、訓練経費で南海飯店へ行き、そして高津ガーデンへ行き、月華殿へ行き、そしてひどいのは、ことしの二月七、八、九、これは勤務時間が終わった後、三回に分かれて九条の権太郎という、一杯飲み屋ですな、そこへ管理職三十五人ずつが行って、それで、ビール二本、酒二本といったら相当のものですよ。ごっつい人が多いんだなと感心しておったのだけれども、それで鍋を囲んでいる。これは研修費から出るんだ。こんなことは断じて許されない。それでもなお正当なんということを言われますか。  改めてもう一回お伺いします。
  60. 日野市朗

    日野国務大臣 このような事態を、このような出来事をどう見るかということは、必ずしもこれは一義的に言えないと思います。これは大阪貯金事務センターのみならず、いろいろなところに慣習というようなこともございましょうし、実際行われた研修内容がどのようなものであったか、そして、それを演習するためにどのようなことがあったのか。そしてさらに、要は人事の問題でありますから、人と人との人間関係を構築していくことの重要さとか、いろいろな角度からこれは見なければなりません。一概にこれは不当であるというふうに申し上げることは、私はここでは避けたいと思います。  ただ、これからきちっと事実関係を私としても報告を求めて、不当な点があったらこれからは改めさせるという指導をしてまいりたい、こう思います。
  61. 東中光雄

    東中分科員 私の言っている場所というのは、これはもう事実関係ですよ。あほみたいな話ですよ、これは。何回も繰り返しになるから言いませんけれども、こんなことを郵政省は公式の場所で不当だとも言わない。違法だと言えと言っているわけじゃないですが、不当だとも言わない。こんなもの許せません。  だって、考えてごらんなさい。勤務時間に、二時半ごろになったら管理者がのこのこ出ていって、五分ほど歩いて何屋に行く、南海飯店へ行く。それが出張なんだ。出張費が出るんだ。そこで二時間やったら、後また一時間余り一人五千円なり四千円なりの宴会をやって、これが訓練費なんだ。こんなことが通用しますか。それすら認めないというのだったら、郵政省というのはもってのほかだということを申し上げておきます。  もう時間が、本来聞こうと思ったことが余りにもひどいので聞けなくなりましたが、ここに「そごうゆうパック」というのがあるのです。これが職務専念義務で、ここの所長は、この指示文書の中に職務専念義務のことがいろいろ書いてあるのです。勤務時間中にたばこを吸うのも、大臣はたばこを吸わないですが、たばこを吸うのも職務専念義務違反だというのです。しかし、あえてそれは余り言いません、しかしお茶をたてに行ったら、それは職場離脱で専念義務違反だ、こんなことを私に言うのですよ、私がこの間行って。だから、どうかしているぞ、あなたはということを言ったのですけれども。  ところが、ここに文書があるのですが、「そごうゆうパック」というこの文書。「大阪貯金事務センター 課長代理一同」、そういう署名の文書。そごうゆうパックを十二月十八日までに申し込みをして、商品の発送は十二月一日からです。送料は、管内無料です。管外、一個につき五百円ということで職場へ流すのですね。これはどうしてつくっているのですかと言ったら、官でつくっているのだそうです、紙や何かは。同じものが総務課総務係名でやはり「お歳暮! そごうゆうパック」、そごうの商品を買いなさいというものですね。ところがこれが、送料は管内無料、管外は一個につき五百円というふうに書いて、その商品を買いなさいと言って、商品のカタログなんかを渡すのですね。  これは勤務時間中にやるのですよ。総務係の名でやったり、貯金事務センター課長代理一同でやっているのです。それで、これは職務行為だと言うのですよ。課長代理一同というのは何ですかと言ったら、課長代理の有志の人ですと言うから、有志といったって一同と書いてあるよと言ったら、そうしたら課長代理の会で決めたのですよ、自発的にやっているのです。これは職務行為ですかと言ったら、大きな意味での営業活動なんで、それはいいんだと言う。特定のそごうの商品を買いなさいと言って、これは現在のそごうゆうパックについての宣伝ですが、「カタログ及び価格表をご覧の上お申し込みください」。これを公費で文書をつくって、まくのです。カタログも回るわけです。  それはいいけれども、しかし個人が自分の家の写真なんかついたカレンダーをつくっている、それを机の上に置いておいたら、これは私物を置いていると。個人の写真なんか、カレンダー自体はいいが、取っていくのですよ。そんなことをやっているのです、ここの職場は。本当に異常なんです。  しかも、このそごうので言いますと、この文書によると、管内は送料無料と書いてあるのです。ところが、そごうから出している文書によると、送料、管内は二百円と書いてあるのです。管外が五百円と書いてあるのです。同じものについて違うことを、そごうの宣伝をやるのですね。  こんなことを一方でやっておりながら、職場の方では、机の上に置いてあるものを、例えばペン立てとかゴム輪とか、これも全部勤務時間外になったら入れろというのですよ。残しておいたらいかぬ。何でそんなことを言うんだと言って、私、この間所長に聞きました。そうしたら、毎朝清掃者が入ってきて机の上をふくんだと言うのです。そのときに、そんなものがあったら邪魔になるから、だから中に入れておきなさいと言うのですよ。それがあなた、職務命令だというのだ。入れなさいと言っているんですな。それがなかったら仕事ができぬでしょう。入れたら、今度は明くる日仕事するときは出さないかぬではないでしょうかと言ったら、それはそうです。それなら職務につくときまた出すのか、それはどうするのですかと言ったら、いや、それは職務が始まる前に出してもらわないかぬ、職務行為自体ではないのだから。めちゃめちゃですね。こういうことが今行われているのですよ。  だから、こういう特定の百貨店の商品を買いましょうということを、その百貨店が言っておることと違うように、送料は郵政省が取るはずのものですね。管内二百円なんという送料は決まっていないのです。それを、向こうが宣伝で言っておったらそのまま載せて、しかし、そごうの会社の文書と違って無料だと書いてある。こんな乱れた職場というのは僕は考えられぬです。企業活動であったとしても、これが国家公務員のやることかというふうに思うのです。  このゆうパックの問題、それから整理整とんということで、業務上欠くことのできないペン立てや印肉まで一々おさめなければいかぬ、出さないかぬ。それから、個人的なものが入っておったら、テーブルの上の、かばんを下へ置いておいても取り上げてしまう。こういうやり方が許されていいのかどうか。ひとつお聞きしたいと思います。
  62. 加藤豊太郎

    ○加藤(豊)政府委員 そごうゆうパックについてさまざまな点から御指摘がありましたけれども、まず、御指摘のお金の件についてです。  御指摘のように、そごうの、百貨店ゆうパックお歳暮ギフト利用者の皆様へ、このチラシには、管内あてはギフトのお客様に一個二百円を負担していただくということになっていると書いてありますけれども、その後、そごうと折衝した結果、すべて差出人であるところのそごうが郵送料を負担するということになりまして、取り扱い当初から、一般のギフトの利用者の皆様方、この中にはもちろん郵便局の職員それから事務センターの職員も入りますけれども、それにつきましては郵送料はいただかないということになっておりました。全部これはそごうが負担するということでございます。  それから、そごうだけを提携先として優遇しているのではないかというふうな御指摘がありましたけれども、お歳暮ゆうパックというのは、一時に大量のゆうパックを引き受けることができるから需要拡大策として非常に大切なものだということで、私ども積極的に取り組んでおるところでありますけれども、こういうふうな提携は、非常に郵便局が幅広に働きかけておりまして、その結果として御希望のところについては提携して実施しているということでありまして、そごうもその一つにすぎない。ほかのところもやっています。そういうふうなことで、私どもはそれについては幅広に対応している、そごう以外のところにも対応しているということを御理解いただきたいと思います。  それからもう一つ、職務専念とのかかわりのお話がありました。  御存じのとおり、郵政事業は、郵便事業、貯金事業、保険事業、こういうふうな三事業一体として経営しているわけでありますので、例えば今回の件ですと、普通郵便局長会議などでこの辺の話はいろいろ出るわけですけれども、その普通郵便局長会議に貯金事務センターからも参加するという形をとっているわけであります。この普通郵便局長会議で、年末のゆうパックの取り扱い増につきまして、年末年始の期間中全力で郵便局として取り組むのだというふうな話を出席しましたところの貯金事務センターの幹部も聞いておりまして、そこで貯金事務センターから参加していた職員が、郵便事業を支援するために、職員に対して、先ほど先生からお話ありましたけれども、「課長代理一同」というふうな名前で協力をしようということで、職員に協力要請をお願いした。あくまでもお願いベースですけれども、こういうような形で協力要請したというふうなものでありまして、職務そのものではありませんけれども、三事業一体として取り組むというふうな観点からこういうふうなものをやってもらったということでございます。
  63. 東中光雄

    東中分科員 もう時間ですので終わりますが、今のそごうゆうパックの問題、ゆうパックの何かチラシなんかを置いておいたら、だめだといって取り上げたそうですよ。ところが、そごうのものはこういう格好で出されている。しかも、そごうのカタログやら価格表は、ごらんの上で、それで職場へ入るのですね。そんなことを一方でやっておりながら、それから個人のカレンダーについておる写真まで持っていく。こんな労働者の人格を否定したような管理の方法というのはない。  それから、貯金事務センターなんで、貯金事務の職業をやっている人にそごうの商品の販売をやらすことが、そごうのカタログを配ることが職務に関係した業務だなんというようなことを……
  64. 谷川和穗

    谷川主査 発言中ですが、委員長から申し上げます。  時間が超過いたしておりますので、結論をお急ぎ願います。
  65. 東中光雄

    東中分科員 はい、済みません。  そういうことは断じて許せぬ。根本的に考え直してもらわないと、企業として残るためにということで、いよいよ郵政省は異常な状態になるということを申し上げて、質問を終わります。
  66. 谷川和穗

    谷川主査 これにて東中光雄君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして郵政省所管についての質疑は終了いたしました。     —————————————
  67. 谷川和穗

    谷川主査 次に、平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算及び平成八年度政府関係機関予算運輸省所管について、政府から説明を聴取いたします。亀井運輸大臣
  68. 亀井善之

    ○亀井国務大臣 運輸省所管の平成八年度予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計予算でございますが、歳出予算額として九千四百九十億三千六百万円を計上しております。  次に、特別会計予算でございますが、自動車損害賠償責任再保険特別会計につきましては七千六十六億九千六百万円、自動車検査登録特別会計につきましては四百七十六億百万円、港湾整備特別会計につきましては五千百七十三億六千六百万円、空港整備特別会計につきましては五千六百二十四億五千九百万円をそれぞれ歳出予算額として計上しております。  また、財政投融資計画中には、当省関係の公団等分として一兆七千五百五十億円が予定されております。  以下、主要な事項につきまして御説明申し上げます。  まず、鉄道の整備につきまして申し上げます。  整備新幹線の建設につきましては、三線五区間の建設を着実に推進するとともに、未着工区間の整備のための新しい基本スキームについて、本年中に成案を得るべく検討を進めることとしております。  地下高速鉄道、ニュータウン鉄道等の都市鉄道の整備及び幹線鉄道の活性化等につきましては、事業の推進を図るため必要な助成を行うとともに、阪神淡路大震災の被害にかんがみ、既存の鉄道施設の緊急耐震補強を推進することとしております。  日本国有鉄道清算事業団につきましては、土地及びJR株式の処分を適切に行い、長期債務等の処理を円滑に進めるため、必要な助成及び財政投融資を行うこととしております。  次に、港湾及び海岸の整備につきまして申し上げます。  港湾整備事業につきましては、我が国経済の発展基盤及び国際交流基盤となる国際競争力を有する物流ネットワークの形成、災害に強い港湾システムの構築等の課題に対応するため、新たに第九次港湾整備五箇年計画を策定することとし、その初年度である平成八年度においては、全国地域の中枢国際港湾における大水深コンテナターミナル、輸送コストの低減に資する複合一貫輸送に対応した内貿ターミナル等の整備推進することとしております。  また、耐震強化岸壁の整備等の大規模地震対策を推進するとともに、深刻化する廃棄物問題に対応するため、廃棄物海面処分場の整備推進することとしております。  海岸事業につきましては、新たに第六次海岸事業五箇年計画を策定することとし、その初年度である平成八年度においては、高潮、津波及び海岸侵食の脅威等から国土を保全するとともに、自然環境と調和し、また市民に親しまれる海辺を創造するため、海岸保全施設、海岸環境整備等を推進することとしております。  次に、空港の整備につき申し上げます。  空港整備事業につきましては、新たに第七次空港整備五箇年計画を策定することとし、その初年度である平成八年度においては、大都市圏拠点空港について、引き続き新東京国際空港の整備及び東京国際空港沖合展開事業の推進を図るとともに、新三大空港プロジェクトとして、関西国際空港の二期事業に着工し、中部新国際空港及び首都圏空港の事業を推進することとしております。  また、航空ネットワークの充実を図るため、地域拠点空港、地方空港等の整備推進するとともに、あわせて周辺環境対策及び航空路施設の整備等を推進することとしております。  次に、地域における公共交通の維持整備につきまして申し上げます。  地域住民の生活に不可欠な地方バスの運行の確保及びバス交通の活性化を図るとともに、中小民鉄の近代化等を図るため、これらに要する経費の一部を補助することとしております。  また、離島住民の生活に不可欠な離島航路の整備・近代化を図るため、離島航路事業の欠損の一部及び船舶の建造費用の一部につきまして補助することとしております。  さらに、離島航空輸送の確保を図るため、離島航空機購入費の補助制度改善及び空港使用料の軽減措置を講ずることとしております。  次に、海運、造船及び船員雇用対策につきまして申し上げます。  海運対策につきましては、日本籍船及び日本人船員の確保等を図るため、国際船舶に関する施策の円滑な実施、拡充のための事業に対し補助を行うとともに、外航船舶その他の施設の整備に必要な資金について、日本開発銀行からの融資を行うこととしております。さらに、船舶整備公団により、離島航路を含む国内旅客船及び内航貨物船の共有建造等を行うこととしております。  造船対策につきましては、船舶技術の高度化等を図るため、超大型浮体式海洋構造物等の研究開発事業に対する支援推進するとともに、船舶輸出を行うために必要な日本輸出入銀行からの融資を行うこととしております。さらに、OECDにおいて合意された造船協定の円滑な履行を図ることとしております。  船員雇用対策につきましては、減船に伴う漁業離職者等に対する職業転換給付金の支給や離職高齢船員の活用対策等の施策を推進することとしております。  次に、人に優しい交通の実現、観光の振興、国際協力及び貨物流通対策につきまして申し上げます。  高齢者障害者方々が交通施設を円滑に利用できるようにするため、特に整備が急がれている鉄道駅における障害者対応型のエレベーター等の整備を促進するため、必要な経費の一部を補助することとしております。  また、観光交流の拡大及び観光の振興を図るため、国際観光振興会による国際会議創出支援事業等の実施、観光基盤施設の整備推進することとしております。  次に、国際社会への貢献につきましては、開発途上国における交通基盤の整備、人材養成、環境保全、輸送安全への協力等、運輸分野における国際協力推進することとしております。  さらに、貨物流通対策につきましては、物流効率化等の推進を図るために、日本開発銀行等から所要の融資等を行うこととしております。また、テクノスーパーライナーの円滑な事業化を図るため、総合的な調査検討を行うこととしております。  次に、運輸関係技術開発推進につきまして申し上げます。  二十一世紀に向けてより高度な運輸サービスを提供するため、超電導磁気浮上方式鉄道、超大型浮体式海洋構造物等の技術開発推進に必要な経費の一部を補助することとしております。  次に、海上保安体制の充実強化につきまして申し上げます。  国際的な新海洋秩序形成の動き等に対応して、船舶の捜索救助体制の確立と我が国の権益の確保を図るとともに、震災その他の大規模災害及びけん銃等の密輸などに的確に対応するため、船艇、航空機の代替整備、海上保安通信体制の整備、海洋調査の充実強化、航路標識の整備等を推進することとしております。  次に、気象業務体制の充実強化につきまして申し上げます。  台風、集中豪雨雪等の観測予報体制を強化するため、静止気象衛星及び観測予報施設の整備推進するとともに、地震・火山対策として監視体制の強化を図ることとしております。  また、地球環境問題に的確に対応するため、気候変動対策の強化を図ることとしております。  以上申し述べましたほかに、踏切保安設備の整備等、運輸行政の要請である交通安全対策を初め、各般にわたる施策を推進するため必要な予算を計上しております。  以上をもちまして、運輸省所管の平成八年度予算につきましての説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。
  69. 谷川和穗

    谷川主査 以上をもちまして運輸省所管についての説明は終わりました。     —————————————
  70. 谷川和穗

    谷川主査 これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。桝屋敬悟君。
  71. 桝屋敬悟

    桝屋分科員 それでは早速質疑に入らせていただきます。  新進党の桝屋敬悟でございます。本日この第七分科会で質問をさせていただくに当たりまして、亀井運輸大臣にぜひ、これは通告しておりませんが、基本的なことでございまして、お尋ねを申し上げたいと思います。  住専処理の問題でございますが、今回の予算平成八年度予算、六千八百五十億、この予算が入っているわけでありますが、実は私、先週から一週間の間に十万人もの怒りの国民の声を私の地元山口県あるいは鳥取県あたりから預かってまいりまして、官邸にお届けを申し上げたわけであります。大変な国民の怒りの声が伝わってくるわけでありまして、このことをどうしても大臣に申し上げたい、このように思いまして、これだけの国民の反対大臣のお耳にも届いていると思いますが、率直なところ、大臣のお立場もあろうと思いますが、国民のこの声をお受けになって予算六千八百五十億削除される、ぜひお考えを私は変えていただきたいとお願いを申し上げるわけでありますが、最初にこのことを大臣にお伺いしたいと思います。
  72. 亀井善之

    ○亀井国務大臣 今先生からもいろいろお話を承りまして、また新聞やいろいろの動きにつきましても承知をいたしております。しかし、この六千八百五十億、金融の安定化、また低迷をしてまいりました経済、これが若干明るさを見せてきておるような状況下と、中小企業の皆さん方いろいろ御意見もあるわけでありますが、まず私はこの問題、この予算に提示をしております予算の成立を図っていただき、ボーダーレスな経済、海外との関係、若干金融関係の中で海外でもいろいろ仕事をされております皆さん方の話も承っております。やはりあの数字、ああいう形で予算審議をなされ、一日も早く成立をさせて、あの形というものが実現することが、海外でいろいろ信用が、金融の問題で信用不安をいろいろ言われておったけれども、最近の動き等々それなりの評価を受けておる、このようなことも聞いております。  そういう面で、政府が提出いたしましたこの予算につきまして、ぜひひとつ御協力いただき、また一日も早く成立をさせて、新しい年度、予算が執行されて景気の回復、そして金融の安定化が図られるよう願っておるものでございます。
  73. 桝屋敬悟

    桝屋分科員 大臣のお立場もあろうかと思いますが、私ども新進党といたしましては、これほどの怒りの国民の声を真摯に受けとめまして、この国会の中で最後まで反対の立場で頑張ってまいりたいと思います。  さて、きょうは大臣、いろいろとお願いをしなければいかぬわけでありますが、私のテーマは、現在全国で事業が展開をされております運転代行業、この内容についてお願いも申し上げたいと思います。  この運転代行業の実態でありますが、これはもう言うに及ばずでありますが、実は先般二月十四日、この業界として社団法人を設立するということが、運輸省あるいは警察、両省の御指導もいただきながら、やっと何とか環境が整ったということを私も伺っておりまして、大変に喜んでもおります。昨今、行革の推進等で、法人をつくるということは大変厳しい状況にあったと思いますが、運転代行業の健全な今後の発展ということを期していくということで、社団法人を認可をしていただく方向で動いておるということは高く評価を申し上げたい、このように思うわけであります。  ただ、申し上げておきたいのは、やはり一生懸命頑張って努力しているその苦労は報われなければならないわけでありまして、行政指導の中で、随分と団体の方も業界の方も、相当な行政指導を受けた上で、方向も変え、相当我慢もしてということもあるようでありますから、その点もひとつ御承知おきいただきたいと思うわけであります。  最初に、大臣に一点だけお伺いしたいわけでありますが、大臣は恐らくこの運転代行をお使いになったことがないのじゃないかと思うのでありますが、私は役人の時代からもう何度も利用させていただいて、本当に地域の現場で、交通安全、特に飲酒運転の防止等、大変な役割を果たしているこの業界の存在、さらには今回、行政指導をただきながら、その業界の中で法人ができるということでありまして、この法人の役割といいますか、使命といいますか、私は大変大きなものがあると思っているわけでありますが、運輸大臣はどのようにお考えになっているのか、最初にお伺いしたいと思います。
  74. 亀井善之

    ○亀井国務大臣 運転代行業の健全な育成、こういう面でのお考え、運転代行業が地方都市を中心に市民生活に密着していると申しますか、このことは承知をいたしております。私の友人たちもいろいろ利用しておるのは承知をしております。安心して利用できるような適正な運営、このことが何よりも必要なことではなかろうかと思いますし、一面、利用者の利便、このことの向上が必要だと思います。  今後とも警察庁とも共同して、事業の適正化、そして健全化について指導してまいりたい、このように考えております。
  75. 桝屋敬悟

    桝屋分科員 ありがとうございます。ぜひそういう方向で。一度大臣も利用されてみたらいかがかなというふうに思います。  それで、業界に、運転代行業の中に一つ法人ができるということは、私は大変すばらしい、一歩大きな前進だというふうに思っているわけであります。今まで御苦労も相当おありだっただろうというように思うわけでありますが、今後、この社団法人の使命といいますか役割、特に私は、どういう事業をこれから行っていくのかということは、環境づくりの観点からも極めて大事だろうというふうに思っております。どうした事業を今この法人がやろうとしているのか、指導されるお立場からちょっとお尋ねをしてみたいというふうに思います。
  76. 山下邦勝

    ○山下政府委員 運転代行業界の社団法人化については、ただいま先生からお話ございましたように、従来からの懸案でございました。ちょうどあす、三月一日に、社団法人全国運転代行協会といたしまして設立を許可をいたす予定にいたしております。  内容といたしましては、事業は、第一に、運転代行業の適正な運営を図るために、例えば講習会を開きましたり、また、私どもの陸運支局や県警本部でつくっております運転代行地方協議会、こういったところとよく連絡をとっていただくということがまず第一に挙げられるわけでございます。  また、安全確保の業務といたしまして、既につくっておりますけれども、安全運転の教材、また、講習会を開催いたしましたり、安全運転管理者や整備管理者、こういった者の選任を指導いたしましたり、そういった安全確保の全般にわたる業務の指導をするということが第二点でございます。  第三点は、利用者の保護対策といたしまして、不幸にして事故が起きました場合の補償制度、こういったものの研究でございますとか、保険や共済への加入の促進、また、夜の事業でございますから、いろいろ行き違いがあって苦情が生じる可能性もございますけれども、そういったものの窓口を設置していただきまして、こういったものに対して適切な処理がなされるように、利用者の保護対策、こういった三つのことを期待をいたしておるところでございます。
  77. 桝屋敬悟

    桝屋分科員 わかりました。  これは定款で決められるのだろうと思うのですが、また今後、いろんな環境が変化する中で適宜適切な御指導もぜひお願いをしたいというふうに思うわけであります。  特にこの業界、タクシー業界あたりとも競合しているわけでありますから、そういう意味では、ある意味では商売がたきということもあるでありましょうし、あるいはまた地域での連携とかということで、テーブルを同じくして相談をされるようなこともこれからぜひ必要ではないかというふうに私は思っております。そういう意味では、窓口ができたわけでありますから、ぜひ行政サイドからの御支援、御指導もお願い申し上げておきたいと思います。  特に、こういう法人をつくりましたときによくある問題は、あの法人に入って何のメリットがあるのかということになってしまうと、この社団法人を中心としたこの業界の結束といいますか、さらに健全な発展という点が損なわれるわけでありまして、メリットシステムといいますか、そうしたこともぜひ、すぐには難しいと思うのでありますが、今後はぜひお考えをいただきたいというふうに私は思うわけであります。  それで、一番心配しておりますのは、ここまで持ってきていただいたことに大変に感謝申し上げるわけでありますが、心配いたしますのは、法人ができたのだから、もう後はおまえたちは全部自主努力で頑張りなさい、もう問題はすべて解決よ、もう行政に来てもらっても困る、こう突き放されますとこれはまた非常に大変なわけでありまして、現実に、今後、やはり現場ではまだまだいろんな問題があるだろう。今からこの業界が健全に発展していくためには、今おっしゃった安全運転の管理、あるいは事故補償の充実、利用者保護の徹底なり、さらに言えば、一番大きな問題は、例の違法行為をどう取り扱うのかというようなことまで、悩ましい問題があるわけでありまして、そういう意味では、もちろん業界として、法人ができたから、この法人を中心にしっかり努力をしていく、環境づくりをしていく、あるいは自分たちのレベルアップをしっかりやっていくということは当然でありますが、それと相まって今後の、後ほどちょっと申し上げますが、行政当局におかれての適切な対応というものもまた必要なわけでありまして、そういう意味では、さっき出ました運転代行問題協議会あたりの役割も極めて大事だろうというふうに私は思います。ぜひ両輪のごとく、今後とも適宜適切な御指導を、あるいは体制整備をお願いを申し上げたいと思うのですが、いかがでありましょうか。
  78. 山下邦勝

    ○山下政府委員 ただいま委員から御指摘がございましたように、まず体制としては、既に地方ごとに運転代行問題地方協議会を設置をいたしておるわけでございます。これはこの団体ができたから解散するというものではございませんで、むしろ今後こちらと密接な連絡を上りながら健全化を進めていくというのは、もう当然だろうと思います。  まだまだいろいろ問題はございますし、さらに行政の側でも相当努力をしなければならないことが多々あるということは十分承知をいたしております。
  79. 桝屋敬悟

    桝屋分科員 今後とも引き続き、ぜひよろしくお願いをいたします。  まだ全国全部はできていないようでありますので、またその辺も、特に地域の中でいろいろな問題がありますところは、ぜひ指導体制の整備もお願いを申し上げておきたいと思います。  それで、もう一点、これも大変悩ましくて、きょう話題としてお出しするかどうか大変悩んだわけでありますが、先ほど私申し上げました違法行為の問題であります。  実は、この運転代行業界には、AB間輸送あるいはAC間輸送とかという専門用語があるのであります。要するに、運転代行業の場合は、私もよく利用しておりましたけれども、利用者は飲み屋さんにいらっしゃる、アルコールが入っているわけでありまして、運転はできない、したがって、この利用者のためにその利用者の車を使って運転を代行してあげるということで成り立っている業であります。要するに、車は飲み屋さんのすぐ前にはとまっていないわけでありまして、近くの駐車場あるいはちょっと遠い駐車場に車がある。その間をまさにAB間と言っておるわけでありまして、この間を代行業のマイカーを、自家用自動車を使って利用者を運ぶと、これはまさにAB間ということで違法行為になるわけでありまして、白タク行為になりますから、ここが一番悩ましい問題であります。  聞くところによりますと、今回の法人の設立の動きにあわせまして、このAB間輸送、自家用自動車による有償運送の許可を求める申請が相当数出ておるという話もちょっと業界新聞で伺っております。この取り扱いはどのように考えておられるのか。まだ検討中かもしれませんが、お聞きしたいと思います。
  80. 山下邦勝

    ○山下政府委員 現在、道路運送法八十条第一項に基づきます自家用自動車の有償運送許可申請が四百ばかり出ております。処分については現在慎重に検討をいたしておるところでございます。  この条文は、御承知のとおり、自家用自動車を例外的に有償で使うケースということを規定いたしておりまして、それは「公共の福祉を確保するためやむを得ない場合」ということになっておるわけでございます。こういうケースにつきましては、現在までは、例えばあるバスが廃止されました場合に市町村がそういうかわりをやるというような、どうしてもやらなければならない場合、また安全とか利用者の保護、こういった観点から問題がないというようなケースに今までやってきておるわけでございます。  本件についても、こういった経緯を踏まえまして、慎重に対応していきたいと思っております。
  81. 桝屋敬悟

    桝屋分科員 今のところ、こういう状況に対して、運輸省さんの法的解釈の変更はないというふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  82. 山下邦勝

    ○山下政府委員 そのとおりです。
  83. 桝屋敬悟

    桝屋分科員 ありがとうございます。  ここも本当に私は悩ましいと思うのでありますが、大臣もぜひお聞き届けをいただきたいのです。実際に現場で運転代行業がどうなっているかといいますと、今のAB間輸送、利用者からしますと、これは運んでもらった方がサービスとしては非常にいいわけでありまして、当然現場では大変な競争になっているところもありますし、利用の立場からすると、ちょっと自分の車のところまで連れていってくれ、こういうニーズも当然ある。それを受ける方がサービスとしてはレベルが高い。競争になりますと、やった方がもうけはいいということになるわけで、違法行為をすればするほどもうかる、商売に勝てる、競争に勝てるというこの事実は、まさに悪貨が良貨を駆逐するという実態なわけであります。私は、ある意味では、このAB間輸送については、こうやって四百もの申請が出ているということも理解ができます。ある意味ではさもあらんという気もするわけでありまして、この申請はとんでもない行為だとは決して思っていないわけであります。  ただ、私はこの八十条の解釈の問題になろうかと思いますが、「有償運送の禁止及び」というこの項目でありますが、ただし書きですね、今、ただし書きでというふうに御説明がありました。「災害のため緊急を要するとき、」あるいは「公共の福祉を確保するためやむを得ない場合であって」ということは、これはただし書きでも書いてあるとおり、まさに例外規定だろうと思います。  この運転代行業、全国にもうほとんどのところで、東京はどういうわけかないのでありますが、全国的には中小都市でかなり活発に事業をされておられますし、あるいはまた、歴史的にも十年ぐらいの経緯もあるわけでありますから、そんな業界を法的に整理するときに、この道路運送法のただし書き、いわば例外規定でもって整理をするということはいかがかなという気がいたしております。ただ、今これほど申請が出てきておるという実態もまたよく私は理解ができるわけでありまして、したがって、悩ましいというふうに申し上げているわけであります。  当然、この処理は今から法的に検討されるのでありましょうが、実は、昨年二月、やはりこの分科会で同僚の渡辺浩一郎代議士が質問いたしまして、そのときの警察庁交通局の答弁の中で、運転代行業というものをいかに法的に位置づけていくかということを両省庁で検討していく、このような御答弁を実はいただいているわけであります。私は、まさにこの部分が大事だろうというふうに思っております。  これは、今回法人が認可されてやっと動き出すわけですから、私は、環境が変わった、一歩進んだということで、大変喜びもし、評価もしているわけであります。ただ、これがまさにスタートでありまして、最終的な姿というのは、こういう道路運送法のただし書きで評価されるという事業では決してない、やはり法的な整備ということをお考えいただく必要があるのではないか。それはやはり法人の自主努力、資質の向上等の格段の自主努力に相まって、先ほど申し上げた行政サイドのお取り組みがやはり要るのではないか、そこがまさに法的な整備だろうというふうに私は思うわけでありますが、今後の動向といいますか、今後の運輸省さんにおかれてのお取り組みお話をちょっとお伺いしたいと思います。
  84. 山下邦勝

    ○山下政府委員 長年の懸案でありました法人化というのが一山を越えたわけでございます。  そういう中で、今委員御指摘のような点が果たして我々の指導と社団法人の自主的な努力、これでいい方向へ向かえばそれは非常に幸せ、ハッピーなことであるわけでございますけれども、これでなかなかうまくいかないということになりました場合にどういうふうにするかということについては、また警察ともよく相談をして、いろいろな、今おっしゃられました法的な整備が必要かどうか、そういった点も踏まえて検討いたしていきたいと思っておりますが、まずは法人と協議いたしまして、自主的な努力、この成果を見守っていきたいと思っておるところでございます。
  85. 桝屋敬悟

    桝屋分科員 法人がやっと今からでき上がるというときに矢継ぎ早にお願いをしてはならぬのかもしれませんが、先ほども申し上げました実態を大臣にもぜひ御承知おきいただきたいのでありますが、本当に現場の皆さんから、この事業に従事しておられる皆さんからしますと、AB間は違法だよ、こう言われる。ところが、中にはAB間でしっかり現場でおやりになる方がある。少しでもそういう方がいらっしゃると、そっちへ皆ニーズが行くわけでありますから、その方々を取り締まっていただけるかというと、きょう午前中、私は第一分科会でも警察庁にもお願いをしたのでありますが、取り締まりはなかなか難しい、こういう実態があります。  運輸省に聞くと違法だ、しかし警察庁当局ではなかなか取り締まりの実は上がらない、こういうことになりますと、まさに先ほど申し上げた悪貨が良貨を駆逐する実態が出てくるわけでありまして、やっと緒についたということかもしれませんが、今までの経緯も踏まえて、ぜひ引き続き御努力をお願い申し上げたい。  それで、こういう「安企業務の手引」等をつくっていただいて相当努力をいただいているということは高く評価もいたしております。  ただ、これもお願いでありますが、「安企業務の手引」、特に運転者あるいは管理者の手引等をずっと見ておりましたら、今の一番悩ましい部分がまず上がっていないということは、これはもう私もやむを得ないだろうというふうに思います。これは環境の変化の中でぜひやっていくべきだろうと思うのですが、運転代行業の中で一番多いのが、例えばベアリング走行中、一緒に追従して走るわけですから、追従して走るという中で死亡事故が非常に多いとかそういう問題もありまして、事故形態として、こういう追従車の追突事故が大変多いというような実態もございます。そんなことも踏まえて、現場の実態に即した指導内容をぜひ入れていただきたい。  あるいは、私はこれは大事なことだと思うのですけれども、無線ですね。違法無線をまた抱えている人もいらっしゃいまして、この業は、脱サラをされて、お母ちゃんと二人でともかく始めようといって、使っている車も非常に心配もあるし、あるいは保険がちゃんとあるのか、使っている無線も違法無線をお使いになってどんどんやっているというような実態もあるわけであります。そんなことも実態に即して網羅していただいて、今後とも御指導をいただければというふうに思うわけでありますが、いかがでありましょうか。
  86. 山下邦勝

    ○山下政府委員 確かに、今おっしゃられましたAB間を初めといたしまして、非常に問題が多いわけでございます。これにつきまして、夜の路上ということで取り締まりが非常に難しいということも我々承知をいたしておりますが、こういった努力を粘り強く続けていきたいと思っております。  また、これについて、例えばAB間がなぜいけないかというのは、もし不幸にして事故が起きた場合には、補償関係が非常に厄介なことになります。これらのことにつきまして、利用者の方々それから飲食店の方々によく知っていただきたい。ですから、そういう面で、安易にそこを利用するとそういうことが起こり得るということは、もう少し我々もPRに努めていきたいと思っておるところでございます。
  87. 桝屋敬悟

    桝屋分科員 社団法人ができましたので、そうした中で業界の格段の努力も今後続けられていくだろうというふうに思います。  最後にお願いでありますが、せっかく法人ができます。業界の中で、業界を本当に代表する法人にもなってもらいたいし、まだまだいろいろな問題もあるようでありますので、法人認可の方向性を模索する御指導の中で相当きめ細かな御指導もいただいたようでありますが、どうか今後とも、業界の方ができるだけ多く参画できるように、また重ねての御指導もお願いして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  88. 谷川和穗

    谷川主査 これにて桝屋敬悟君の質疑は終了いたしました。  次に、細谷治通君。
  89. 細谷治通

    細谷分科員 社会民主党の細谷でございます。  来年度の運輸省関連予算につきましては、亀井大臣を初め、それぞれの立場で御努力をいただきまして、かなり充実した内容になっているということ、まずもって御努力に敬意を表したいというふうに思う次第でございます。  きょう私は、JR関連の経営問題について絞って、数点御質問を申し上げたいというふうに思います。  実は、私も去年の八月まで運輸省の政務次官として責任ある立場にいたわけでございまして、そういう意味においては、みずからの問題として十分な関心も持っておりました。その後、いろいろと状況の変化もございました。それから時の経過もございました。したがいまして、今日時点で一体どういうふうな検討状況になっているのかということを踏まえて、御質問をいたしたいというふうに思う次第でございます。  まず国鉄改革、一九八七年にJRが発足いたしまして、来年度でちょうど十年目を迎えるということでございまして、この国鉄改革につきましては、申すまでもなく、諸外国からも、いわば鉄道の民営化のみならず行政改革の一環として、手本として高い評価を受けているところでございます。  ところで、まず大臣にお尋ねをいたしたいと思いますが、この国鉄改革についての評価、そして、いわば今後残された課題といいましょうか、解決すべき課題は何であるのかということについて、まず御認識をお尋ね申し上げたいと思います。
  90. 亀井善之

    ○亀井国務大臣 まず、国鉄改革の基本的な理念、国有鉄道事業の破綻、この原因が公社制度のもと、巨大な組織による全国一元的な経営にある、このような考えに基づき、分割・民営化という抜本的な経営形態の変更を行うことによって、効率的で地域の実情に即し、かつ責任ある経営を行うとすることにより鉄道の再生を図ろう、その基本的な理念はこういうようなことであったと思います。  これまでのところ、JR全体として、高い生産性のもとで鉄道輸送サービスの向上が図られてきておると思います。また、収支の状況改善しておりまして、鉄道事業の再生という観点からはおおむね順調に推移している、このように考えております。  しかしながら、国鉄改革の総仕上げに向けて、なお国鉄長期債務等の処理やJR各社の完全民営化実現の課題の解決が必要なことも事実であり、その実現に向けていろいろの努力をこれからも図っていかなければならない、このように考えております。
  91. 細谷治通

    細谷分科員 改革十年目の検証ということが言われておりまして、ちょうど十年目の節目、いろいろの解決をしなければいけない課題が目の前に迫っておるわけで、この時期に、いわば国鉄改革の実をさらに実効あらしめるという前向きの見地から、十年目の検証をしてはどうだということが言われているわけでございます。  私も実はそういう認識で、ぜひこの時期に見直しをすべきものだというふうに考えておりますけれども、運輸省当局としては、この問題についてどういう認識をお持ちであるのか。今大臣からは全体的な評価についてはお話がございました。具体的にどんな問題が今後課題として残されているのか、お述べいただきたいと存じます。
  92. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 ただいま大臣から、国鉄改革の基本理念、それから現在までの評価につきまして御答弁を申し上げましたが、大臣の御答弁にございましたように、国鉄改革の完結という観点からまだ残された大きな課題は、長期債務の処理の問題、それからJRの完全民営化の問題であろうと思います。これにかかわりましていろいろな問題があるというぐあいに私どもも認識をしております。  長期債務の問題は、大変厳しい状況の中で土地の売却、株式の売却、鋭意努力をしておりますが、なかなか思うように進まないという状況もございまして、債務の累増が生じているという状況にございますけれども、私ども、この点につきましては、今後とも全力を挙げまして、債務の償却のための資産でございます土地、株式の売却に尽くしていく必要があると考えております。  それから、もう一つの基本的な課題でございます完全民営化の問題でございますが、完全民営化ということのためにもまずJR株式の売却、上場というのが大きな課題でございまして、これにつきましては、平成五年度にJR東日本の上場を実施いたしましたけれども、残る本州三社につきましては、経営も良好なところからできるだけ早い時期に上場を果たしていきたいと考えております。それから、北海道、四国、九州という各社、それからJR貨物につきましての完全民営化というのが大変大きな課題であろうと思っております。  当然のことながら、完全民営化に当たりましては、経営基盤をどう考えるかという点もございますので、私ども、そういった課題につきまして今内部で勉強を開始したところでございます。
  93. 細谷治通

    細谷分科員 いろいろと問題点について御認識をお持ちであるということはよくわかりました。十年目ということでいろいろな問題の解決が目の前に迫っておりますので、一つの節目として、十年目の検証といいましょうか、そういうことで、この時期にぜひ見直しに積極的に取り組んでいただきたいというふうに思う次第でございます。  きょうは大蔵省からも運輸の主計官にお見えいただいていると思いますけれども、財政当局の御認識をお伺いをいたしたいと思います。  平成八年度末までには三島会社に対する経営安定基金が全額JRの自主運用になるという節目の年でもございますし、整備新幹線についてもこの九月末までには財源負担のスキームを見直すということにもなっておるわけでございますし、承継特例で設けられました税制についても、この時点で見直すということになっております。清算事業団債務の処理の問題についてはもう一年あるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、国の財政という面から見ても、解決しなければいけない課題がたくさんあるということでございます。  どれもこれも大変重要かつ解決の困難な課題ばかりでございますけれども、今日時点で、財政当局として国鉄改革の評価を含めてどんな問題意識を持っておられるか、お伺いをいたしたいと思います。
  94. 南木通

    南木説明員 お答えを申し上げます。  私ども財政当局といたしまして最も大きな問題というふうに考えておりますのは、先ほどお話がございました清算事業団の債務がまず一つ大きなものであろうかと思います。これにつきましては、清算事業団におきまして承継資産の処分を適切に行って、もって国鉄改革の円滑な遂行に資するということになっているわけでございます。  それで、昭和六十三年一月の閣議決定におきまして、「土地処分収入等の自主財源を充ててもなお残る事業団の債務等については最終的には国において処理するもの」というふうになっておるわけでございます。それで、先ほど運輸省鉄道局長の方からも御答弁がございましたけれども、清算事業団の長期債務等につきましては、土地ですとか株式市場をめぐる厳しい事情から、平成七年度首において二十六兆九千億というような状況になっておるわけでございます。  同時に、この六十三年一月の閣議決定におきましては、「事業団の債務等は既に膨大である」、それから、一部省略させていただきますけれども、「最終的に残る債務等について国民に負担を求めざるを得ないことにかんがみ、土地、株式等の資産の適切かつ効率的な処分を進め、」ということで、「極力国民負担の軽減に努める」ということになっているわけでございます。  私ども、今後とも運輸省ともいろいろ協議をしながら進めていかなくてはいけないわけでございますけれども、そういったことで土地、JR株式の早期かつ効果的な処分を進めまして、長期債務等をできる限り減少させていくということが何よりも重要であるということを認識しておるわけでございます。  そのほか、いろいろ金融情勢の変化ですとか、そういうことに伴いまして、三島の会社三社、JR北海道、四国、九州等の会社につきまして、状況として厳しいということは認識をしておるわけでございます。  以上でございます。
  95. 細谷治通

    細谷分科員 この十年でJRグループ各社の間にはかなりの経営格差が生じております。その経営格差は当初から予期できたもの、また予期せざる面、その両面が私はあるのではないかというふうに思っております。  三島会社並びにJR貨物の経営が大変厳しいということは、ある程度予期されたことだと思います。だからこそ、経営を安定させるために安定基金なるものを積み増しをしたということでもあるわけであります。しかしながら、逆にその予想を超えた厳しい面が出てきているということも私は事実ではないかと思います。  いろいろ問題はございますけれども、私はきょうは経営安定基金の運用益の目減りの問題について、これが経営に与えている影響に絞って質問をさせていただきたいというように思います。  経営安定基金は、三島会社に対しまして、総額で一兆二千七百八十一億円が積み増しをされておるわけでございまして、この運用益は当初平均利回り七・三%で運用するということで計画ができ上がっているわけでございます。そして、順次JRに返済をし、JRが自主運用をしていくということになっております。  ところが、御承知のような低金利政策のもとで、この経営安定基金の利回りが大変急減をしておるわけでございます。平成七年度で見ますと五・六%、平成八年度では四・七%ということでございまして、平成九年度以降は全額自主運用ということになりますので、最近の低金利等を勘案しますと、さらに落ち込んでくるだろうというふうに思うわけでございます。  これは、実は見過ごすことのできない大変大きな経営上の圧迫要因となっております。ちなみに、JR発足当初と八年度の見込みとの運用益の差額を比較してみますと、これは私の計算でありますけれども、三島会社合計で三百三十七億目減りをしている。ちょうど三島会社の営業収入のほぼ一〇%に相当するわけでございます。  また、三島はことし一月から運賃改定を実施いたしましたが、平年度ベースの増収予想額が百六十五億というふうに承っておりますので、運賃改定額の倍に相当する運用益の目減りが生じているということでございます。これは本当にJR三社の経営努力の範疇なのか、いやそれはやはり経営努力を超えるものであるのかどうかということは、これはおのずから明らかではないかというふうに思います。自己の経営努力ではどうにもならない、まさに構造的といいましょうか、経営外的な要因によると言わざるを得ないと考えております。  そこでお尋ねいたしますけれども、こうした運用益の大幅減収は、当初計画はどういうふうに想定していたのか。また、こうした大幅な運用益の減少が生じた場合には一体どういう手だてを講じようとしておられたのか、まずお伺いをいたしたいと思います。
  96. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 ただいま先生からいろいろ経営安定基金の運用益の減少につきまして御指摘をいただきました。基本的には、低金利に伴う運用益の減少でJR北海道、四国、九州が大きな影響を受けているということは、否定できない事実だと考えております。  ただ、経営安定基金といいますのは、先ほど先生も御指摘ございましたが、清算事業団がJR三社に対しまして十年間で債務を償還するという形をとっておりまして、具体的には、国鉄改革当時、長期資金の運用先といたしまして代表的な長期国債の応募者利回り、これの過去十年間の平均が七・三%でございましたから、これを参考として決定された七・三%という固定金利を二年据え置き八年間元利均等償還方式というような形で行うとともに、三年度目以降は、JR北海道、四国、九州に償還された元本につきましては会社が自主運用するというようなシステムで出発しておりまして、実は、もともと金利の変動によって基金の運用益が変動するということがあらかじめ予定されていたものでございます。  ただ、どの程度変動するかということにつきまして具体的な想定を行っていたとは私どもも承知しておりません。
  97. 細谷治通

    細谷分科員 変動することは、それは金利ですから当然だと思いますが、しかし、予見可能であるかどうかということでいえば、七・三の固定金利が現在は四・七、先ほど言いましたけれども、しかも三島合計で三百数十億減少しているということは、営業収入の一〇%に相当するわけです。大変大きな問題でありまして、これをしも変動幅の範囲なり予想の範囲内であるということを私は申し上げることはできないのではないかというふうに思っております。  さらに、先ほどもちょっと触れましたが、今後とも低金利が続いていくということになれば、ますます運用は厳しくなっていく。平成九年度からは全額自主運用ということになりますので、影響は大きくなってくるというふうに考えます。このまま放置をするということになりますと、これは到底経営努力ではカバーできない。そうすると、毎年運賃改定を行わなければならない事態に追い込まれるおそれが懸念されるわけでございます。  ところで、今回の運賃改定では、こうした経営安定基金の目減りというような問題、構造的な経営問題をどういうふうに織り込んで査定されたのか、認可されたのか。その辺について、背景の御説明をいただきたいと思います。
  98. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 今回の運賃改定におきましては、ただいま先生御指摘の経営安定基金の運用益の減少ということも踏まえまして、各社の収支が悪化した大きな要因でございますので、それによる経営の悪化ということを十分踏まえまして改定したものでございます。  なお、改定に当たりましては、各社の置かれました経営環境に応じまして、マイカーとか高速バスとか、そういった競争を意識した運賃改定となっておりまして、特急料金などは据え置き、改定の中心は比較的競争力のございます近距離圏とするというようなことをやりまして、かつて国鉄で行われましたように、値上げが需要の減少を呼び、その結果また値上げをせざるを得なくなるというようなことがないように、各社におきましても最大限の配慮をした申請の内容でございまして、私どももそのような各社の考えを尊重して処理をしたところでございます。
  99. 細谷治通

    細谷分科員 単年度で収支が償うように、ある意味では経営安定基金の目減りの要素も賃改の要素としては加味したということでありますけれども、とてもじゃないけれども目減り分全部をカバーできるような状況になっているわけではないので、単年度でとりあえず収支とんとんに持っていったということだと思います。この構造というのは一つも変わらないわけでありまして、先ほど言いましたように、このままで行けば、三島のJR会社がどんなに経営努力をしてみてもまたぞろ賃改に追い込まれる可能性があるということでありまして、私は、抜本的な対策というものが必要ではないかというふうに考えるところでございます。ぜひそういう見地から、今後ともさらに御検討をいただきたいというふうに思います。  ところで、こうした状況というのは、JR三島会社の経営の面でいろいろの問題を生じさせております。  十年間の経営努力、リストラの努力というものは、私は相当の成果を上げているというふうに考えております。もう時間がございませんから詳しくは申し上げませんけれども、要員も職員もかなり落としておりますし、それから生産性もかなり上昇をいたしておるわけでございます。ところが、この三島会社と本州三社の間では、社員の労働条件の面ではもうかなりの格差が出てきております。  これは、例えばベアで見ましても、JR発足二年度から実はもうベアでは格差が生じておりまして、その後、各年この格差拡大するということでございます。九五年度のベアで見ますと、格差は〇・七一%まで拡大をしているということであります。この八年間の累積のベアのアップ率の格差は五・七%、要するに三島会社と本州会社の職員の間には五・七%の賃金の格差が生じているという状況でございます。また、年間賞与で見ましても、これは九五年度の実績でございますが、既に〇・七カ月分の格差が生じている、こういうことでございます。  これは、ある程度は当初から予想されたことではございましょうけれども、何もこれは三島会社の職員の働きが悪いから、経営のやり方が悪いからこうなっているということではないと私は思います。もっと構造的な問題ではないかというふうに思うわけでございます。このまま放置するということになりますと、今後の経営環境の厳しさを考えれば考えるほど本州三社との経営格差がさらに拡大するでありましょうし、そのことが、ひいては社員の賃金等の労働条件の格差をさらに一層広げることになるでしょう。そのことが、またさらに利用者サービスの拡充にとっていろいろな障害になるとか、先ほど言いましたように運賃改定をまたぞろしなければいかぬということになってくるのではないかというふうに思うわけでございます。  そういう意味において、これは来年度の概算要求に向かって、私が申し上げました特に経営安定基金の運用益の目減り問題については、構造的な問題としてぜひ前向きに積極的に取り上げてもらいたいというふうに私は思いますし、そういう意味においては、国鉄改革の実をさらに実効あらしめるために、予期せざる事情変更要因としてこの経営計画というものの変更を政府の責任で果たすべきだというふうに私は思いますけれども、いかがでございましょうか。御所見をいただきたいと思います。
  100. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 鉄道問題にお詳しい先生の御指摘、本当に一つの貴重な御意見として承りましたが、なかなか難しい問題がございます。  まず一つは、国鉄分割・民営化という改革の趣旨からいたしますと、やはりそれぞれの経営主体におきましていろいろな経営判断をやっていくということであろうかと思います。必ずしも本州三社と北海道、四国、九州三社の置かれている環境が同一ではございませんので、その間に格差が生ずるのもやむを得ない面もある、こういうぐあいには私どもも思っております。  それで、今経営安定基金の話がございましたけれども、なかなか難しい問題とは思いますが、やはり金利の水準というのはある程度変動するということでそれぞれの経営が行われておりますから、これをもって今直ちに、例えば国が何らかの財政支援を講ずるとか、そういうことはなかなか難しい問題ではなかろうか、やはりまずは各社が最大限の経営努力を尽くすべきではなかろうか、このように考えております。
  101. 細谷治通

    細谷分科員 その答えは、私は納得できません。きょうは時間がありませんからこれ以上は申し上げませんけれども、この問題は経営努力の範囲を超えるものであるという認識のもとに、ぜひ真剣に御検討いただきたいというふうに思います。  最後に一つ、時間もありますので、私から提案をさせていただきたいと思います。経営安定基金の目減りを防ぐといいましょうか、それを補てんするというための一つの提案でございます。  平成三年度にJR本州三社が、新幹線保有機構から既設の新幹線を買い取りました。そして、新幹線買い取り資金は、いわば鉄道整備基金に対して本州三社が借金をしているという形になっているわけでございます。これは、借金の残高は約九兆円、借り入れ条件は大体利子率で五・八から六・五五まで、それから期間は二十五・五年から六十年、元利均等償還ということになっております。  そこで、実は提案でございますが、鉄道整備基金に対して本州三社が借りているこの借入債務を三島会社の経営安定基金に借りかえるということでございます。すなわち、本州三社が他の旅客会社から経営安定基金を鉄道整備基金に対する借り入れと同一の条件で借りる。そして、経営安定基金を本州三社が借りて、それは鉄道整備基金からの債務の一括返済に充当します。そうすると、本州三社が三島会社から借金をしている、言ってみれば経営安定基金を運用してあげている、運用先になっている、こういうことでございます。  そうすると、本州三社の会社にとっては負担は変わりません。三島会社にとってはその分だけ運用益が、先ほど言いましたように、最高で六・五五%の利率で回るわけでありますから、四・七%と比べますと、約二%ぐらいの運用益の改善が図られるということでございます。そうしますと、私の試算では、六・五五で運用できれば二百四十億ぐらいの運用益の増収が図られるということでございます。そうすれば、当然ながら鉄道整備基金や清算事業団、そして資金運用部の資金計画等に影響が出てくるということは否めないわけでございますけれども、一体どんなことが、どんな問題が出てくる、どんな影響が出てくるのか、どんなに困る問題が出てくるのか、これは問題点の指摘だけで結構でございますので、運輸省並びに大蔵省から御返答いただきたいと思います。
  102. 谷川和穗

    谷川主査 ちょっと委員長から申し上げますが、答弁は、まことに恐れ入りますが、答弁者の時間の関係もあるものですから、できるだけ手短に簡潔にお願いいたしたいと思います。
  103. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 今の先生の御指摘でございますが、これは実は問題点を具体的に述べますと大変長くならざるを得ませんので、概要を簡単に申し上げますが、九・二兆円の債務の中でもこれが三つに分かれております。もう先生十分御承知のとおりです。それぞれ一括償還する場合にどの資金に一括償還するかによっていろいろ違ってまいりますけれども、全般的に申し上げますと、鉄道整備基金は、今のこのJRからの償還金をもって整備新幹線の財源にしたり、あるいは無利子貸付事業で鉄道整備事業をやったり、そういうことをしておりますので、鉄道整備基金の事業自体にまず支障が出てくるというのが第一点でございます。  それからあと一点は、鉄道整備基金自体が繰り上げ償還を受けた資金を抱えましても、今のような低金利の時代でございますと高利に回すことができませんので、やはりそれはどこかに鉄道整備基金自体も返さざるを得ない。そうなりますと、資金の償還スキーム自体にいろいろ影響が出てくる、これが鉄道整備基金のみならず清算事業団も含めましてこの資金の償還スキームに問題が出てくる、簡単に申し上げますとこの二点でございます。
  104. 富田辰郎

    ○富田説明員 資金運用部の観点から、私の方から答弁させていただきます。  御存じのように資金運用部は、郵貯、年金等の資金をもとにいたしまして、住宅金融公庫を通じた住宅融資あるいは道路公団等を通じた社会資本整備等のために、民間金融機関では提供のできない長期固定資金というものを供給しているわけでございます。そういう国民的な意義を果たすためには、やはり長期固定でお貸ししました契約どおりに運用をしていきたいということでございまして、それが当初の約束から違った形で返ってまいりますと、何しろ我々資金運用部というのは、民間金融機関と違いまして利ざやがゼロということで、郵貯、年金からお預かりした金利でそのままという形でやっておりますので、いわばその運用部を中核とする財政投融資計画がシステムとして成り立たない状況になるという状況を十分御理解いただきたいというふうに思っております。
  105. 細谷治通

    細谷分科員 これで終わりますが、いずれにいたしましても、問題をまた先送りしていくと住専みたいになりますから、ひとつ問題を早目に手当てしていただいて、傷口が広がらないようにぜひお願いをしたいと思います。私の提案も一つの検討の糸口にしていただきたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  106. 谷川和穗

    谷川主査 これにて細谷治通君の質疑は終了いたしました。  次に、安倍晋三君。
  107. 安倍晋三

    安倍(晋)分科員 私は、船舶検定・検査制度、特に二十トン以上の漁船について何点か質問をさせていただきたい、こういうふうに思います。  私は、この制度につきましては、平成六年、七年と二回にわたって質問させていただいておりまして、今回が三回目になるわけであります。  御承知のように、我が国の漁業を取り巻く情勢というのは大変厳しいものがあります。年々魚価の低迷に漁民は本当に深刻な問題を抱えております。さらに最近は輸入が急増をいたしておりまして、魚価の低迷にさらに拍車をかけるというような状況にもなっております。  さらには、私の地元は山口県の下関でございまして、特に日本海側の沿岸があるわけでございますが、本年いよいよ国連の海洋法によりまして二百海里の排他的経済水域が設定をされようとしているわけでございます。御承知のように、日本海沿岸につきましては、中国また韓国と個別に漁業協定を結ばなくてはならないという中にあって、現在も中国や韓国の違法操業にも向き合わざるを得ないというのが現状でございます。  そういう中にありまして、昭和八年に制定をされました船舶安全法によります検査制度には大変なコストがかかるわけでございまして、ただでさえ厳しい状況の中でこうしたコストも強いられる。昨今は大変技術が進歩をしているわけでありますから、できるだけその検査についても十分に見直しを行いながら、簡素化を図りつつ、そういう足かせを軽くしていっていただきたいという趣旨で、一昨年と昨年、私も質問をさせていただきました。  一昨年質問をさせていただきましたときには、かつて私の山口県には船団として十一カ統に上る船団があったわけでありますが、既に一昨年の段階では会社としては三社になってしまったというお話をさせていただきました。そして、昨年質問させていただきましたときには二社になってしまったわけでございまして、現在の時点ではとうとう一社だけであります。一社しか遠洋漁業がないわけでありまして、それほど今は厳しい状況がございます。  ですから、この検査制度を速やかに見直していただくというのは本当に焦眉の急でありまして、それをやっていただかないと、とうとうゼロになって、我が国から西側の方の遠洋漁業をやる人がいなくなってしまうというのが現状であるということもどうか御認識をいただきたいと思いますし、大臣にもその点を十分に御留意をいただきたい、こんなふうに思うわけであります。  まず、定期検査と中間検査があるわけでありまして、二十トンを境に六年、三年と四年、二年というふうに、二十トン以上の場合定期検査が四年で、中間検査が二年ということになっております。特に、この中間検査においてほとんど定期検査と同じような検査をやっていたというのが当時の状況でございまして、ぜひともそれを直してもらいたいという観点から質問をさせていただきました。  特に、エンジンの解放検査、これがもう大変な負担になっているということであります。このエンジンの解放検査につきまして、一昨年も昨年も質問をさせていただきました。一昨年の小川政府委員のお答えの中には、「中間検査時のエンジンの解放検査を省略するような制度を取り入れるように、今検討しているところでございます。」という御答弁をいただきました。そして、昨年、このことと同じことを質問させていただきましたときに、同じく小川さんのお答えは、「型式のエンジン、これを搭載しております船舶を対象に、船主がエンジンについて的確に点検整備を行っている場合には解放検査を省略する方向で検討を進めております。」ということでございまして、二年連続検討を進めているということだったのですが、現在はどうなっているかということを教えていただきたいと思います。
  108. 小川健兒

    ○小川(健)政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘の漁船の中間検査におきますエンジンの解放検査でございますが、一定の型式のエンジン、現在では二百七型式につきまして、船主が的確に点検整備を行っている場合には、中間検査におけるその解放検査を省略するという通達を、昨年の五月九日に通達として出しております。それで、それ以降実際にその通達を運用しておりまして、既に何件かの実績もございます。
  109. 安倍晋三

    安倍(晋)分科員 今の御答弁で通達を出されたということでございまして、一つの大きな成果が上がったということで私も大変安心をいたしておるところでございますが、前段の部分、船主が的確にちゃんとエンジンの整備をやっているという前段があるわけでございますが、これを余り厳しく運用すると、実際に解放検査を省略されるところが非常に少なくなってくるということにもなりますので、これはぜひとも、ある意味では柔軟性を持って本当に常識の範囲内でやっていただきたい、こんなように思う次第でございます。  次に、やはりこれも二年連続して質問をさせていただきました認定事業場制度を活用していただきたいという点でございます。  我が国の造船所におきましては、小型船舶造船業法によりまして、主任技術者を置いて、そのことを運輸省に届け出なくてはいけないという義務があるわけでございまして、この主任技術者というのは大変高い水準を持っております。現在、検査官というのは二百数十名しかいないということでございますから、この検定・検査をやるに当たって、日数も限られるわけでありますし、その検査官の皆さんも、夏休みも冬休みもとられたり、土日も休まれるという中にあって、漁期を逃がさないような形で検査を受けたいというのが漁業者の希望であります。  そういう中にあって、この検査官の人数をふやすというわけにはこの行革の中でいかないわけでありますから、すぐれた技術を持っているそういう造船所を、これを車検の認定検査場のような形で運用できないかということで質問させていただいたわけでございますが、そのときも、そういう活用も考えていると、検討しているということを二年連続話をいただいたわけでございますが、現在はどうなっているかということでございます。  そのことについて御質問させていただきたいと思うのですが、その前に、二回とも、これはもう漁船というのは、同じ型で全く同じ装備の漁船というものはあり得ない、だから、それは一般の普通の車の検査とは違う点だということをおっしゃったわけでございます。しかし、検査官が検査するに際しては、それは同じことなわけですよね。検査官と主任技術者というのはレベルとしては大体一緒だというのが船主の人とか造船所の皆さんのお話であります。ですから、対応する人間が非常にすぐれているのであれば、当然違っても、これは私は問題ないというように思いますので、その点も踏まえてお答えをいただきたいと思います。
  110. 小川健兒

    ○小川(健)政府委員 整備認定事業場の制度は昭和四十八年に制定されておりまして、船舶に備える設備、例えば救命いかだのように定型的な整備が行われるものにつきましては、従来からこれを活用して国の検査を省略しているところでございます。現在、膨張式救命いかだの認定事業場として認めておりますのは八十八社ございます。  膨張式救命いかだのような定型的なものはそうですが、また先生も御指摘ありました、船舶の検査で重要な事項でありますエンジンの整備につきましても、規制緩和の観点から、整備認定事業場制度の活用を早期に図るという方向でこれまで検討してまいりました。今後、その検討結果を踏まえまして、整備規程の認可それから整備認定事業場の認定を来年度早々、四月からでございますが、行うことにしておりまして、現在数社がその整備認定事業場制度の申請を準備中というふうに聞いております。  それから、最後に申されました船舶全体についての整備認定事業場制度の活用の件でございますけれども、自動車のように大量生産を行っている物件と異なりまして、船舶は一般に一品生産でございまして、船舶全体を定型的に整備するということは困難だと思っておりまして、現在のところ、船舶全体についての整備認定事業場制度の適用は考えてございません。
  111. 安倍晋三

    安倍(晋)分科員 来年からというお話がございましたので、これはぜひともできるだけ早い時点で実施をしていただきたい、こんなように思います。前回におきましても、規制緩和の観点において整備認定事業場の運用を、できるだけ早く活用する方向で検討しているというお話を、これも同じような答弁を二回連続いただいておりますので、ぜひとも早くお願いをしたい、こんなように思う次第でございます。  続きまして、これもやはり同じように前回質問させていただいた点で、その成果をお伺いしたい、こういうふうに思うわけでございますが、救命無線設備の検査において運輸省郵政省が同じような項目を同じように、別の観点からということでございますが、項目としては、相手は機械ですから、同じ項目を同じ検査をやっている、二重検査になっているのでこれを早く改めてもらいたいという質問をさせていただいたところ、これは早急に処理をしますというお答えをいただいたわけでございますが、現在どうなっているかということをお伺いしたいと思います。
  112. 小川健兒

    ○小川(健)政府委員 救命用無線設備でございますが、運輸省は船舶安全法に基づきまして船舶の航行の安全の観点から検査をしているわけでございますし、郵政省電波法に基づきまして電波監理の観点から、それぞれ異なる法目的のために検査を実施していたわけでございますが、先生御指摘のように、二つの検査には共通の項目が多数ございます。  定期的な検査につきましては、両省において整備記録の様式の統一を行いまして、従来両法に基づいてそれぞれの関連事業者が別個に行っていた整備を、一回で済むように既に措置いたしました。それで、昨年度末より実施しているところでございます。これによって、整備の重複による船主の費用負担が軽減されていると我々は思っております。
  113. 安倍晋三

    安倍(晋)分科員 それは大変大きな前進だ、私はこういうふうに思っております。そういう形でどんどん進めていただきたい、こんなように思うわけでございます。  一つは、救命設備について質問させていただきたいと思うわけでございますが、法定上設備しなければいけない救命いかだだとか、そういうものを備えなくてはいけないという規定になっているわけでございますが、それに対して、これは検査があるのは私は当然だと思っております。  しかしながら、さらに、船主がさらなる安全を求めてそれにプラスアルファの救命具を設備する場合にも同じ検査がなされるということでございまして、ここはやはり、プラスアルファについては、これはもう船主及びそれに乗り組む乗組員の責任において行うわけだと思うのです。それを、何もまた国がさらに子供の面倒を見るようにそれも検査をするということによって、ではそれはもう載せるのをやめておこうかということになってもいるわけです。  ですからその点を、自己責任という観点から、何とかこのことについては省略をしていただきたい、こんなように思うわけでございますが、お答えをいただきたいと思います。
  114. 小川健兒

    ○小川(健)政府委員 この問題につきましては、前も先生の方からいろいろ御指摘された問題でございますけれども、法定外で自主的に整備された膨張式救命いかだであっても、万一海難が発生した場合には、乗組員の人命の安全を確保するという目的で使用されるわけですので、その場合に、膨張式救命いかだが誤作動だとか不作動などがないように点検すべきであろうという考え方で、これは考え方の違いかと思いますが、検査を実施しているところでございます。万一の事故のときに、それが検査をしていなくて作動しなかったとかなんとかいうことになるとかえってマイナスになるということから検査をしているということでございます。
  115. 安倍晋三

    安倍(晋)分科員 うまく作動しないというのは、それは国の責任においてやるのではなくて、メーカー、製造者と、しかもそれを管理する人たちが責任を負うべき事項であると私は思うのですね。ちゃんとこれは保証期間を設けて、保証期間に万一そういうことがあった場合、もちろんあってはいけないのですが、もうPL法もできたことですから、それは製造者が責任をとらなければいけないということになるわけですから、これは当然メーカーが大きな責任を持ってやるでしょうし、また、乗り組む人たちも、人命事故があったら大変なことになるわけですから、船主も当然気をつけるでしょうし、乗り組む人たちはまさに自分の命がかかっているわけですから、ちゃんと保証期間が過ぎたら取りかえるというのは常識です、子供ではないわけですから。立派な大人が命がけで漁をやっている、しかも自分たちの命をかげながら生活の糧を得ているという観点に立ってぜひとも御検討をいただきたい、こういうふうに思います。これについては、一応要望を申し上げておくだけにしたい、こんなふうに思います。  続きまして、定期検査の期間の問題なのですが、二十トンを境に、六年、三年と二年、四年、こういうことになっております。特に、二十トン以上について、これはもう、もうちょっと延ばした方がいいんじゃないかという意見も大分出ているのですね。これは昔から変わっていないわけですから、だんだん技術の進歩等も考えながら、これについても検討していただきたいと思います。  他方、まだ我が国は批准をしておりませんが、トレモリノス条約がありまして、これにおいて、期間も条約に書かれているわけであります。これも我が国はまだ批准をしていないわけでございますが、この批准のスケジュールと、他方、そういう要望があるわけですから、批准してしまったらこれが固定化してしまうということもありますから、そのことについてどういうお考えを持っているかということをお伺いをしたいと思います。
  116. 小川健兒

    ○小川(健)政府委員 我が国におきまして、二十トン以上の漁船は四年ごとに定期検査、それからその定期検査と定期検査の間に中間検査を実施しているわけでございます。トレモリノス漁船安全条約でも、我が国の検査制度と同じように規定されているわけでございます。  ただ一方で、海上人命安全のSOLAS条約でございますが、SOLAS条約を適用されている一般船舶につきましては、定期検査の間隔を四年から五年に延長する方向で、これは規制緩和推進計画にも盛り込んでおりますが、検討しております。その一環として、漁船の検査の間隔につきましても検討していきたいというふうに思っております。  それで、トレモリノス漁船安全条約を批准した場合は、現行の四年を維持せざるを得なくなるわけですが、一般商船と整合性を保つためにも、国際的な場においてでも、一般商船との整合性という観点から今後考えていきたいというふうに思っております。
  117. 安倍晋三

    安倍(晋)分科員 一般商船等との整合性というのは当然だと私も思っておりますが、一般商船の方も延長の方向にあるわけでございますから、特に漁船については特段のそうした配慮もいただきたいと思うわけでございますし、トレモリノス条約の批准がいよいよスケジュールにのるという段階においては、その点も十分に留意しながら検討していかなければいけないのではないかな、このように思うわけでございます。  もう一点、これは成果について、どういう成果が上がったかということをお伺いしたいと思うわけでございます。  遠洋漁業においては、海外に出かけていって魚をとるということが大変多いわけでございますが、この検定・検査のために帰ってこなければいけないということになりますと、漁期を逸するということもありますので、いろいろな、五カ月等々の猶予なんかもいただいているわけでございますが、一番いいのは、なるべく海外において検査ができればいいということでございます。  その点、昨年質問させていただいた時点では、まだまだ海外においての体制が、海外駐在検査官の体制が不十分だったわけでございます。これについては充実をお願いしたいということでお願いもさせていただいたわけでございますが、現在どうなったかということについてお答えをいただきたいと思います。
  118. 小川健兒

    ○小川(健)政府委員 海外での船舶検査についてでございますが、現在運輸省としては、一つは出張検査ということで、船舶検査官が検査を希望する受検者の場所に出張してやっております。出張検査の回数、年間約三百隻やっております。もう一つは、在外公館にいるアタッシェ、船舶検査官の併任をしたアタッシェが四カ国に配置されておりまして、大体年間二百隻の検査を行っております。  これが現状でございますが、先生からの御指摘もございまして、海外で操業する漁船等の検査をさらに円滑に実施するために、オーストラリアの在パース日本総領事館、それからペルーの日本大使館に新たに船舶検査官が配置されることになりまして、来年度早々、そちらで検査が実施できるようになるかと思います。
  119. 安倍晋三

    安倍(晋)分科員 そういう形で、漁船、船主あるいは漁業者のニーズにこれからもこたえていっていただきたい、こんなように思います。  時間もそろそろなくなってまいりますので、最後に大臣に決意をお伺いしたい、このように思うわけでございますが、昨年、亀井静香大臣から、「一年前に検討するという約束をしておって、どうもまだ検討中だというようなことがあるようでありますが、そういうことは、一生懸命検討はしておりますけれども、やはり変えるべきものはきっちりと早期に変えるということで、次に委員が質問されるときに同じように検討中だということは絶対にさせませんので、私はそのようにお約束をいたします。」という御決意をいただきました。それによって、まだ十分ではございませんが、それなりの成果も出てきたわけでございます。どうか亀井大臣におきましても、今まで私が質問をさせていただきましたような趣旨を踏まえて御決意をいただきたい、こんなように思います。
  120. 亀井善之

    ○亀井国務大臣 いろいろ先生から御指摘をいただきました。船舶検査、いわゆる人命の安全及び海洋の環境保全、こういう面で社会的規制でもあるわけでありますが、その社会的規制の面での重要性、これは失われていないわけであります。ただし、検査の内容や方法については、国際条約の改正や技術水準の向上、こういうものを踏まえて所要の見直しを行ってまいりたい、このように考えております。  なお、船舶検査方法の合理化を初めとして十八の事項を規制緩和推進計画に盛り込んでおりまして、これらの事項を着実に今実行しているところであります。
  121. 安倍晋三

    安倍(晋)分科員 ありがとうございます。これにて質問を終わります。
  122. 谷川和穗

    谷川主査 これにて安倍晋三君の質疑は終了いたしました。  次に、柴野たいぞう君。
  123. 柴野たいぞう

    ○柴野分科員 柴野たいぞうでございます。  亀井大臣、通告はしておりませんけれども、せっかくでございますので、最近、朝の八時とか九時ごろに山手線に乗ったことはございますでしょうか。
  124. 亀井善之

    ○亀井国務大臣 最近、ここのところ一年くらいの間は、山手線には乗ってございません。そのほか、京浜東北であるとか東海道あるいは新幹線、これらについては、運輸大臣を拝命するまではたびたび乗っておりました。
  125. 柴野たいぞう

    ○柴野分科員 山手線でございますけれども、現在の込みぐあいを申し上げますと、外回りの上野あたりで二五五%、内回りの原宿−新宿間は二四六%ということでございまして、物すごい窮屈の中で新聞をこそこそと読めるのが一八〇とか一九〇でございまして、特にこういった冬になりますと、着膨れもございまして大変なラッシュになっております。特に八時二十分から九時ごろまでが大変な状況でございまして、私もたまに乗ることがあるのですけれども、ボタンが吹っ飛ぶ、足が宙に浮く、こういった状況になっておりまして、運輸行政の最高責任者であるわけですので、そういった現状にあることをひとつ御認識をいただきたいと思うのです。  実は、私は、地下鉄十三号線の御質問をするに当たりまして今申し上げたようなことをお話ししたわけですが、この十三号線というのは、埼玉県と池袋、豊島区と新宿区、そして渋谷区を縦断する地下鉄構想でございまして、ちなみに、埼玉県がこれまでいかに人口増加があったかということをお話し申し上げますと、昭和三十年には二百二十六万人であったわけでございます。四十年には三百万人、五十年には四百八十万人、昭和六十年には五百八十六万人になりまして、現在は六百七十五万人、そして、平成二十二年には九百万人になると言われております。とにかく、平成七年から平成二十二年までに約二百二十五万人の人口増加が見込まれるということでございまして、こういった方々が、もちろん地元で御就職なさる方もおると思いますが、いずれにしましても、都内に通勤あるいは通学で通ってこられるわけでございます。  埼京線という新しい線ができました。今、埼京線も、御承知のとおり大変な乗車率でございまして、これは二三五%でございますか、要するに、新聞も読めない状況になっておるわけでございます。  ちなみに埼京線のお話を申し上げますと、私事でございますけれども、埼玉の方で結婚式がございまして、私、夫婦で出たわけでございます。私は新宿区で落合というところに住んでおりまして、高田馬場から東西線で二分ぐらいのところでございますけれども、驚きましたのは、埼京線で帰ってきまして、何と埼京線が高田馬場を素通りしたという、こういったことがあるわけですね。高田馬場というのは大変なターミナルでございまして、西武線だとか東西線だとかが入っておりますし、その前後の目白だとかという小さな駅とはわけが違うわけでございます。おかげで新宿まで通り過ぎていきまして、それからまた乗りかえて戻ってということでございまして、家内も一緒でしたけれども、こんなのはひどいんじゃないのということでございました。これは、ホームの拡張、その他いろいろ問題があろうかと思うのですけれども、これは御答弁をいただかなくても結構なんですが、今、そういった、大変なターミナルを素通りしていくという現実があるということも御認識をいただければと思うわけでございます。  では、早速質問に入らせていただくのですが、地下鉄十三号線は、昭和六十年の運輸政策審議会七号答申によりまして、混雑緩和だとか副都心機能の強化等を実現するためには平成十二年までに整備するということでなされているわけでございますが、いまだ整備が進んでおりません。その理由はいかがでございましょうか。
  126. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、地下鉄十三号線は、昭和六十年七月の運輸政策審議会答申第七号におきまして、西暦二〇〇〇年を目標として整備すべき路線と位置づけられております。  これが進まない理由でございますけれども、この免許申請は昭和五十年に行われておりまして、池袋から渋谷までの路線のうち、池袋付近では、都市計画道路の環状五ノ一号線の地下を予定しておりましたけれども、その道路整備につきましての地元の住民の反対の意向もございまして、その地下を利用するめどが立たないというところから免許が保留されておる、こういう状況がまず一つございます。  この道路整備の問題につきましては、現在、東京都におきましていろいろな調査を行っていると聞いておりますけれども、この免許事案の処理に当たりましては、当然のことながら、この道路計画の動向を見きわめるということがまず必要でございますし、それから帝都高速度交通営団の民営化の問題、事業の採算性などの問題、こういった問題も考慮する必要があると考えております。
  127. 柴野たいぞう

    ○柴野分科員 さっき環状五ノ一号線の道路事情についてというお答えがございましたけれども、あのころの事態と状況は変わっておりまして、当初は排気ガス、道路の拡幅その他で反対もあったわけでございますが、今では、豊島区議会で全会一致で請願を採択している。そしてまた周辺住民から早期実現の陳情が出されている。こういった状況でございまして、そういった今言われた障害は一応除去されているんじゃないかなと思うわけでございますが、いろいろな民営化云々という話はまた後でやりますけれども、とりあえずそういった反対の意向というのはなくなったわけで、前進してもいいんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。
  128. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 御指摘の点につきましては、私どもは、東京都からまだ具体的なお話としてお伺いしておりませんので、その点につきましては十分承知していない状況でございますけれども、ただいま先生が言われましたようなことが事実でございましたならば、それは一歩前進だとは思います。  ただ、私どもの免許事案を処理する上では、地下鉄建設のための工事に着手できるように道路の用地が確保されているということが必要でございますので、通常、道路の用地の確保には相当長期間を要しますので、こういったような事業認可に向けての準備があるということだけでは障害がなくなったわけではない、これもまたこういうぐあいに考えざるを得ないところでございます。
  129. 柴野たいぞう

    ○柴野分科員 実は、都においても平成十年の事業認可に向け準備をしているという状況でございますし、それから、先ほども豊島区議会の全会一致の可決、それから、地元からも促進してほしいという陳情なども起きておりまして、今局長が言われた中で問題点といえば、採算性の問題というものが出てくるかと思うのですね。今十三号線は小竹向原から池袋間は通っているわけでございますが、やはりその後、豊島区、新宿区、渋谷と連動することによって乗客の利便に供することができて、利用というのも相当ふえるわけでございまして、今はまだ本当に片手間といいますか、途中までという状況でございますから、なかなか難しい局面があると思うのです。  そこで、運輸省としましては、十三号線の事業の採算性、そしてその必要性についてどのように認識していらっしゃるか。ちょっとお伺いしたいと思います。
  130. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 十三号線の整備につきましては、先ほども申し上げましたが、昭和六十年七月の運輸政策審議会答申におきましても、整備を図る路線と位置づけられておりますので、私どもも重要な路線と認識いたしております。  この路線の事業採算性の問題でございますけれども、現在営団におきまして検討中でございますが、一部の道路空間の深さが未確定といったような事情もございまして、建設費がなかなか確定しにくいという事情がございます。それから、先ほど申し上げましたが、営団の民営化に伴う問題もございまして、現在の段階で明確な見通しを立てることは難しいという状況にございます。  なお、繰り返しになりますが、先ほど先と言われました点で、確かに一歩前進だと私どもも考えておりますけれども、やはり地下鉄を建設し得る状況になっているのが必要でございまして、準備に入ったということだけでは、まだまだやはりその点が確実なものになるということが必要でございますので、念のためちょっと申し上げさせていただきます。
  131. 柴野たいぞう

    ○柴野分科員 実は、豊島区、新宿区、渋谷区では、国会議員を初め都議会、区議会、全区挙げまして、そしてまた地元のさまざまな団体が毎年大きなホールで決起大会をやっておりまして、早期実現、早期実現ということでやっておるわけでございまして、私ももう三年連続出さしていただいておりますけれども、大変地元からは希望が強いわけでございます。しかも、これから二百二十五万人も平成二十二年までに人口がふえるということを考え合わせますと、既に二五〇%の乗車率のところでそれだけの人口がふえたら、どうやって電車に乗って通うんですかと。とてもじゃないけれども、今ですらもういっぱいのところを、もう乗れないという状況の中で電車が到着して、その電車に乗り込んでいるというような状況でございまして、その辺の認識の温度差がかなり違うんじゃないかなと思うわけでございます。  先ほど、民営化の問題、いろいろな行革審の答申ございました、五年後をめどに何か最終調整するというふうな新聞報道もございます。民営化になったら、この十三号線の問題というのは極端なことを言えばどうなっちゃうんですか。その辺をちょっとお聞かせください。
  132. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 帝都高速度交通営団につきましては、平成七年の特殊法人の整理合理化に関する閣議決定におきまして、現在建設中の七号線と十一号線が完成した時点を目途に特殊会社化を図ることとされておりまして、また、その後に完全民営化を図るということになっております。  これと十三号線の問題でございますけれども、十三号線の認識につきましては、先ほども申し上げましたとおり、私ども重要な路線と考えておりますけれども、十三号線につきましてその整備を図るとした場合におきましても、この民営化の問題というのがやはり関連して出てまいりますので、この点を踏まえながら今後検討していく必要があると考えております。
  133. 柴野たいぞう

    ○柴野分科員 地下鉄というのは大変当初膨大なコストがかかるわけでございまして、今、鉄道整備基金から無利子融資ですとか、いろいろ東京都の一般会計からも予算を出していただいたり、その残余の予算は国の財投から支援をしておるというような状況でございまして、これが一般民間会社になった場合、このスキームといいますか、このフレームは変わりはないんですか。
  134. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 今先生言われました点がまさに問題点でございまして、昨年二月二十四日の閣議決定によりますと、   帝都高速度交通営団については完全民営化する。その第一段階として現在建設中の七号線及び十一号線が完成した時点を目途に特殊会社化を図るものとし、そのために必要な措置として、首都圏の地下鉄ネットワークの概成の進め方、助成措置の在り方、現行以上に規制強化とならない特殊会社に対する規制の在り方等について早急に検討に着手し結論を得る こういうことになっております。その特殊会社化の後につきましては、「政府は、できる限り速やかに完全民営化が図られるよう配慮する」とこうなっておりますので、いずれその完全民営化が行われるということも踏まえまして、この地下鉄の建設に対する助成措置というのを今後十分検討していく必要があると考えております。
  135. 柴野たいぞう

    ○柴野分科員 二月に出たわけでございますので、少しは話し合いが持たれているかなと思っておりますけれども、検討の今の状況はどうでございましょう。
  136. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 この営団の民営化の問題でございますけれども、運輸省におきまして営団民営化プロジェクトチームを設置いたしまして、ただいま、あの閣議決定に書いておりますような諸課題につきまして検討を行っておるところでございます。  また、営団におきましても、内部に民営化の検討チームを発足させまして、検討の前提となります今後の地下鉄の新線建設にかかわります需要、建設費、それから経営に与える影響などについて検討しているところでございます。
  137. 柴野たいぞう

    ○柴野分科員 十一号線までできた段階で民営化というふうな話でございますけれども、まさにこれが十三号線に当たるわけでございまして、民営化といいましても今は検討中ということでございますけれども、関係者としては、民営化ということになりますと、独立採算、採算性だとかいろいろなことを考えますと、結果としてできなくなってしまうのじゃないか、中途半端な路線までできて完成できないのじゃないかということで大変心配をしているわけでございます。その辺、今の段階でお答えは難しいかと思いますけれども、万が一民営化になっても工事はやるのだというふうなお答えができればお願いをしたいと思うのですけれども。
  138. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 なかなか難しい御質問でございますが、先ほど申し上げましたとおり、昨年二月の閣議決定で、特殊会社化に当たって検討すべき課題として、鉄道建設に対する助成策もその特殊会社化に当たりましての検討課題としてあるわけでございます。したがいまして、私ども、これからその点につきましても十分検討してまいりたいと考えておりますが、まず十三号線の重要性の認識に関しましては先ほどからも申し上げているとおりでございますので、私どももその点は非常に重要な路線だと認識しております。  ただ、今の段階で具体的な展望を明らかにできるかどうかという点につきましては、営団の民営化の問題等々あるいは採算性の問題も関連する問題でございますが、そういう問題がございますので、現在の段階で具体的な展望を明らかにすることは非常に難しいという状況でございます。
  139. 柴野たいぞう

    ○柴野分科員 行革審のあれが出まして約一年たつわけでございまして、それは検討しているということではございましょうが、運輸省審議会答申を受けた案件でもございますので、運輸省としては、線をつくって着工したいということをベースに論議を進めているのでしょうか。
  140. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 この路線が重要であるという私どもの認識に関しましては、もう何度も申し上げているとおりでございます。
  141. 柴野たいぞう

    ○柴野分科員 しかしながら、本当に民間会社になりますと、地下鉄というのは大変な当初コストがとてもかかりますものですから、こういったさまざまな支援措置がなければなかなかできるものではないわけでございます。そういった意味では、これまでの営団に出していましたスキーム、財投を使うだとか無利子融資を使うだとか五年間据え置きで云々だとか、そういった形をぜひ踏襲していただきたいと思うのですが、運輸省としてはいかがですか。
  142. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 あるいは繰り返しになろうかと思いますけれども、民営化の問題にあわせまして、この助成策につきまして十分今後検討していきたいと考えております。
  143. 柴野たいぞう

    ○柴野分科員 民営化ということになりますものですから、関係者は大変心配をしておりまして、その方針が出るのはいつごろでございますか。
  144. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 閣議決定によりますと、現在建設中の七号線と十一号線が完成した時点となっております。したがいまして、十一号線が完成するのは平成十一年度、これの供用開始になりますのが十二年度と今のところ見込まれております。  この特殊会社化、民営化といいますか、まず当面の特殊会社化でございますが、これは今申し上げました十一号線が完成いたします時期、今の見通しでは平成十一年度か十二年度ということでございますが、その段階での措置になろうかと思います。したがいまして、必要な助成策の検討というのもそれに合わせて検討を進めていくということになろうかと考えております。
  145. 柴野たいぞう

    ○柴野分科員 そうしますと、三年間か四年間ぐらいはグレーな形でずっと進められるわけでございますね。そしてまた、例えば十二年に決まったとしましても、地下鉄工事をするのは六年だ、七年だかかるということでございまして、これはうまくいっても平成十八年だ、十九年だ、うまくいってですよ。ということになりますと、その間埼玉県は二百万からの人口がふえるという状況になります。今でも二五〇%、大変な通勤ラッシュといいましょうか、地獄といいますか、そういう状況が現出すると思われるわけでございますが、明確に出てくるこういう大変な利用者増という見通しを踏まえまして、運輸省としてはどうお考えですか。
  146. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 ただいま先生御指摘でございますが、私どもも、特に東京におきます通勤通学の輸送の混雑緩和対策というのを鋭意進めているという立場でございますし、あるいは事業者にも御協力をお願いしている立場でございます。  そういう点から申し上げますと、一般的にはやはり混雑緩和対策というのは極めて重要なことでありまして、私ども、進めていかなければならない、このように認識しております。
  147. 柴野たいぞう

    ○柴野分科員 最後になりますけれども、御承知のとおり、今のやりとりのとおりでございまして、埼玉県は九百万になろうかという大変な人口増加でございまして、今や千葉を超えて大変なところでございます。  そういった中で、今ですら大変な混雑、埼京線も二四〇%という状況で、これでどんどん人口がふえる、都心の通勤通学者はふえるという状況の中で、御承知のとおり、十三号線は平成十一年か十二年ごろ方針を決めてそれから始めてということになりますと、平成十八年だとか十九年、もしうまくいってもという状況になりまして、大変なことになるのではないかなと思っているわけでございます。もとよりこれは運輸審議会答申を受けての十三号線のことでございますので、大臣にこれに対する御決意のほどをお伺いしたいと思います。
  148. 亀井善之

    ○亀井国務大臣 今委員、大変いろいろ御指摘いただきまして、先ほど冒頭御質問がございましたが、私自身も神奈川におりまして、いろいろ東京に出てまいりますには大変なことを承知しております。新聞を何枚かに折って、足が斜めになっているような状況下で東京に参るのを経験しております者でもございますし、神奈川県同様、埼玉から都心に通勤通学をされる皆さん方のいろいろな問題は、今御指摘のとおりだと思います。  運輸省といたしましても、大都市圏の通勤通学対策の問題にいろいろ努力をしておるところでもございます。あるいはフレックスタイム、こういう中で少しでもそれらの緩和をできればと、先ほどの二〇〇%、二三〇%を一九〇%くらいを目標にいろいろ努力をしておるところでもございます。  先ほど来のお話、いろいろ経緯もございます。また、地元の皆さん方の御協力、あるいは特に財政的な問題、非常に大きな問題があるわけであります。鉄道局長が先ほど答弁をいたしましたような中で、運政審の答申もございますので、それらに対応し、少しでもそれらが解消できるような努力をしてまいりたい、このように考えております。
  149. 柴野たいぞう

    ○柴野分科員 以上で終わります。
  150. 谷川和穗

    谷川主査 これにて柴野たいぞう君の質疑は終了いたしました。  次に、荒井聰君。
  151. 荒井聰

    荒井(聰)分科員 新党さきがけの荒井聰でございます。  きょうは、航空運賃の値上げについて、値上げと言うと、そうじゃないと言うでしょうけれども、航空運賃問題について少しく議論させてください。  公共料金の問題については、羽田政権末期からさまざまな議論が、規制緩和の問題と一緒に随分議論がなされました。私自身も経済プロジェクトチームの座長として、私鉄運賃だとかあるいはJRの運賃の値上げなどに携わってきております。  公共料金の中で絶えず議論されたのは、公的な料金設定の中でどのように価格競争が反映されるのか、競争原理が働くような、そういう制度を導入できるのかということがずっと議論をされてきたわけであります。  その一つの結果というか、あるいは一つの方向性として、これは主に公共料金などに非常に学識経験のある経済学者らから御提案もあって、ヤードスティック方式などが提案されてきていたわけで、これについて少し日本でも検討するべきではないかという議論が闘わされていたわけであります。  ヤードスティック方式を一番最初に取り入れましたのが、通産省の電力料金なりガス料金であります。これは非常に幸いなことに、また関係業界の大変な御努力もあったのかと私は思うのですけれども、電力料金が全般的に値下がりをした。それからガス料金も、一部には値上げしたところもありますけれども、これもやはり全般的に値下がりをした。国民は、なるほどやはり規制緩和を行って公共料金の中にも競争原理を導入すれば全般的に引き下がる、自分たちの非常に使いやすい公共料金の体系というのが生み出されるんだという、そういう思いを持ったのではないかというふうに私は思うわけです。  ところが今回、この航空運賃については、これもやはりヤードスティック方式の一環だと思うのですけれども、残念ながら大変不評だ。この間、この運賃問題が公表されてから、各新聞社の見出しだけでもちょっと御披露いたしますと、二月九日朝日「期待を裏切る新航空運賃」、二月十一日読売新聞「利用者の視点乏しい航空運賃」、二月二十九日東京新聞「「空の運賃」にもうひと工夫を」、二月七日日経新聞「実態は運賃上げ ドル箱路線で増収狙う」さらに二月七日朝日新聞「乗りたい時さらに高く」それから朝日新聞の二月九日「航空運賃弾力化で「便乗値上げ」「低調なのに今なぜ」」それから二月二十日日経新聞「航空幅運賃はや視界不良「観光にも打撃」」それから日経産業新聞「価格競争の乱気流突入 全体では「値上げ」」といったような紙面が躍っております。そして、これは読売新聞の二月二十三日なんですけれども、「ドル箱路線、ちゃっかり値上げ」という表題もあります。  私は今回、この運賃問題、運賃の値上げと言うと、また違うと言うのでしょうけれども、この運賃の改定問題で国民が受けている感覚というものは、実質的な値上げたと。今のこういう時期に、価格破壊が起きている、あるいは内外価格差を縮めよう、あるいは少しく景気がよくなって観光客の人数だとか乗降客の人数がふえる傾向にあるところに、なぜそんなことをする必要があるんだね、しかも、規制緩和というのは最後の伝家の宝刀だったのではないかという思いを一般的に国民が抱くのもやむを得ないのではないだろうかというふうに私は思うのですけれども、いかがでしょうか。
  152. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 ただいま先生から大変お詳しいお話ございました。先生からもかねがね御指導いただいていることでございますが、今の先生お話と重複するかもしれませんが、私ども、航空の分野でもどういう形で競争を導入するかということをかねてから努力し、我々なりに一歩一歩進めてきたつもりでございます。  運賃につきましては、航空の今の国内の状態は、完全な競争状態といいましょうか完全な自由化の状態ではございませんで、その制約の中で何とか競争原理を入れるとすれば今の幅運賃しかないなということで、学識経験者等の御意見も聞きながらやっと得た結論でございます。  この件につきまして、二つに問題を分けて御理解を賜りたいと思っておりまして、一つは、現在の制度からこの制度に移るプロセスとしてのいろいろな問題、それから、この制度自体が持っている問題点といいましょうか性格といいましょうか、この二つは一応別の問題というふうに理解をする必要があるのではないかと我々は思っております。  現在の運賃制度、これは申すまでもありませんが、かかったコストに一定の利益を上乗せし、それを料金として認可する、こういう制度でございます。これは悪く言えば、どんな経営をしていても後からその分はちゃんと運賃で賄えますよという点もあって、かねてから批判があるわけでございます。そこで、これにつきまして、競争を導入することによって、制度として当然競争を内在している、こういう制度に変えたいということにしたわけであります。  今の制度から新しい制度に移るプロセスにおいて、いろいろな路線において運賃が高くなったり安くなったり、そういう御批判あるいは逆に好評の面、こういう面はあるかと思います。ただ、この幅運賃制度そのものには、今申し上げましたとおり、競争をおのずから導く利点があると思っておりまして、この問題につきましては、もうしばらく見守っていただきたいと思っております。  それから、先生、今新聞の表題を御引用されましたので、私からもちょっと引用いたしますと、新聞の社説でございますけれども、毎日新聞はこの件につきまして、利用者が賢くなることで対応しようではないか、こう言っています。それから産経新聞は「競争が航空運賃を決める」こう書いてございまして、冷静な議論といたしましては、現在の国内航空運賃制度の中におきましてはこういう制度しかないのかなというふうに徐々に理解をいただいている、かように思っているところでございます。
  153. 荒井聰

    荒井(聰)分科員 利用者が一生懸命研究しないと、一時間も二時間もかけてどういう航空運賃体系なのかというのを勉強しないと賢くならないというような運賃体系自体は、私は、利用者のための航空運賃体系だ、利用者の使いやすい航空運賃体系だというふうにはちょっと思えません。  そこで、今の国内の航空六社の経営状況なんです。  経常収入、経常費用、それから経常損益、これらを当たってみますと、確かにバブル崩壊期の景気が非常に低迷しているときには、各社かなりの経常損益を出していたな、この間、各航空会社の経営の合理化というのには非常に努力をされた経緯があるなという感じを持っておりますけれども、平成六年、昨年七年の結果はまだ出ていませんけれども、景気の回復期にある昨今、私は、各社の経常益というのは徐々に回復している、あるいは相当な見込みがあるのではないかというふうに思っているのですけれども、このあたりいかがでしょうか。
  154. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 国内の航空事業者の収支状況を見てみますと、一番悪かったのが平成四年度でございまして、その後、いずれも赤字ではございますが、今先生御指摘の経営努力もあって、若干上向いてきてはおります。  ただ、いずれも、いずれといいましょうか、主なところは、まだ水面下であるとか、あるいは非常に厳しい決算処理をしているという状況は変わっていないと我々は認識いたしております。
  155. 荒井聰

    荒井(聰)分科員 平成六年度では、JAL、ANA、決算上のいろいろな工夫をされたということですけれども一応経常損益の面ではプラスが出ている、大手ではJAS、ANKがそれぞれ、若干ですけれども赤字経営になっているという状況なんです。  そこで、今回の運賃改定というのは、各社のこういう経営をさらに好転させるためにとった措置なのか、それとも、新しい運賃制度導入という競争基盤を整備してやる、あるいは競争原理を導入してやる新しい制度への移行のために生じたものなのかという議論が生ずるのですけれども、それはどうでしょうか。
  156. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 規制緩和のため、競争促進のためでございます。
  157. 荒井聰

    荒井(聰)分科員 規制緩和で競争原理をより多く導入する。導入するということで実質値上げになっているのではないかという不安を大方の利用者が持っている。  ちなみに私は、昨年一年間、往復ですけれども、約百回ぐらい札幌と東京の間を飛んでいます。これで、現行運賃とこの改定運賃の差額を計算しますと、五十六万四千円という数字が出ました。これはちょっと大変な数字です。残念ながら私は、朝起きるのも苦手ですし、利用者としてまだ賢くないですから十分検討していませんけれども、通常料金で検討すると五十六万四千円という数字が出ました。  また、これは北海道庁なんですけれども、北海道庁が計算をいたしました。これは千歳−東京間だけなんですが、この数字では、千歳−東京間だけで年間七百六十万人の人たちが利用するということで、本当はもう少し人数が多いと思うのですけれども、各月別の現行の利用人数でどのぐらいの運賃がかさむかという計算をしましたところ、この幹線だけで四十四億円の増になるという数字が出ました。平成六年のJALやANAの経常益というのは、それぞれ二十八億円と十一億円です。四十四億円という数字がいかに大きな数字であるか。  これは、北海道の特に東京−札幌という一路線に限って見たらこういう状況になるわけなんですけれども、今回、幹線に傾斜して値上げをかけているのじゃないか。値上げ幅が、幹線を中心にした値上げの形態をつくっているのではないだろうか。幹線というのは、東京−福岡、東京−大阪、東京−札幌、航空利用者全体の恐らく四割ぐらいの人たちがここを利用しているのだと思うのですけれども、そこで値上げすると一番効率的だ、一番安易な方法だというのは、これはだれでもわかる方法なんです。その意味では、東京−札幌間、東京−福岡間という幹線のところを値上げして、あとは地方の方は値下げしたよ、全体の均衡として、便数でいけば値上げしたのも値下げしたのも大体同じぐらいだよというような理屈を説明しているのですけれども、それは通らないのじゃないだろうか。幹線というのは、やはりローカルと意味が違う。そこの地域の経済なりあるいは社会的な中心地域であるという幹線の持っている公共性の意味というのは、ほかのところよりはるかに高いし、あるいは与える影響力もはるかに高いというふうに思うわけであります。  私は、かつて道庁時代に、北海道の経済開発というか北海道の開発整備の方向ということで計画を整備したことがございます。このとき、北海道の開発にとって何が一番ネックになるかというと、情報通信費の単価と航空運賃の単価でありまして、この二つを値下げすること、低くするということが北海道開発にとっての最大のポイントであるという結果が私のときには出ました。  きょう、北海道開発庁と経済企画庁、来られていると思うのですけれども、北海道開発庁の担当官にお伺いします。今度、第六期の北海道の総合計画をつくると思うのですけれども、その中での航空運賃、航空路線といいますか、そういうものの役割、位置づけというのは一体どうなっているのか。  それから経企庁、今度の規制緩和の一環としてこのような公共料金の設定をしたわけですけれども、公共料金という見方からいけば、経済企画庁は一体どのようにこれを評価しているのか、それぞれお聞かせ願いたいと思います。
  158. 山角博昭

    山角説明員 御説明いたします。  現在の私ども北海道開発庁の第五期北海道総合開発計画でございますが、平成九年度までの計画になっておりまして、次の計画を平成十年度からスタートさせるべく、昨年の八月に北海道開発審議会の了承を得まして検討作業をスタートしているところでございます。  先生今御指摘ございましたように、北海道の産業開発、観光、工業、いろいろな面がございまして、そういうものの振興を進めていく上で航空運賃というのが重要な位置を占める、そういう認識を私ども今の計画でも持っておりますし、今後、そのような先生の御意見も踏まえながら、次期計画の策定に向けて検討を進めてまいりたい、かように考えております。  よろしくお願いいたします。
  159. 田口義明

    ○田口説明員 幅運賃制度につきましては、航空会社が相互の競争を通じて、一定の幅の中で多様な運賃を設定することを可能とする制度でございますが、複数の航空会社が参入しております競争的な路線の原価を用いてその標準となるところを上限としておりますことなど、各社の効率化努力を織り込んだ制度だと考えております。  幅運賃制度のもとでの個別の路線の運賃額につきましては、他社との競争あるいは利用者の反応を踏まえまして、航空会社が自主的に決定するものでございます。  今回、通常期で見れば、現行運賃と比べまして若干の値上げとなっておりますものの、競合路線におきましてある程度の価格差は生じておりまして、今後、幅の中で競争が行われていく兆しが見られるものと考えております。  現在航空各社が発表しております運賃はいわば初値でございまして、経済企画庁といたしましては、今後、航空会社間の競争を通じて、より多様な運賃が導入されますとともに、運賃の低廉化が進むことを期待しているところでございます。
  160. 荒井聰

    荒井(聰)分科員 ありがとうございます。  そこで、また黒野さんにお願いするのですけれども、今度の航空運賃改定全体で、総トータルとして、各航空会社の経常損益というのはどのぐらい改善される、どのぐらいの利益向上につながるというふうにお考えでしょうか。
  161. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 今回の制度の根幹は、我々、標準原価を決め、その下に二五%の線を引いて、その中でどの運賃にするかは各事業者の判断ということで自由に任せるというのがポイントの一つでございます。また、それにあわせまして、各種の割引制度充実するというのがポイントの二つ目でございます。  そこで、ちょっと話は飛びますが、アメリカの国内航空運賃がよく安いと言われておりますが、正規の運賃はむしろ日本の方が安くなっております。アメリカが安いのはなぜかといいますと、豊富な割引制度、これを利用いたしますと、結局、かなり割安で乗れるお客さんが多いということで、その結果として大変安いという評判になっておるわけでございます。  そこで、国内もこれからは、これからいろいろ提案されます新しい割引制度を利用することによって、より多くのお客さんがより安く乗れるようなチャンスがふえてくると思っております。  したがいまして、私ども、今の段階でこの制度がどれだけの増収あるいは減収といいましょうか、効果が出るかどうかは試算はいたしておりません。いわば利用者の方がどの制度を選択されるか、どの割引を選択されるか、しばらくやってみなければわからないというのが正直なところでございます。
  162. 荒井聰

    荒井(聰)分科員 先ほど私言いましたけれども、札幌−東京間で四十数億円、これは割引の考え方というのを定常的な季節の割引だけで単純に計算したものですから、これがまだどうなるのかというのはよくわからないところもありますけれども、これだけで見ても幹線のところが相当な値上げになっている。  私は、今アメリカの場合の例もおっしゃいましたけれども、そのとおりだと思いますね。しかし、アメリカの場合には、やはり利用者に利用しやすいようないろいろなサービスを提供しているということが第一点。それからもう一つは、やはり競争原理が、競争の基盤というものができ上がっているということが大きいのではないだろうか。  今回、過渡的な状況で初値だからという議論、確かにあります。私もそれは理解できるのですけれども、それならばもっと十分に、これは初値だけれどもこういう暫定措置をとるとか経過措置をとるとか、あるいは利用者のサービスの向上のためにさまざまな工夫をするとかといったようなことが、これは行政指導できるのかどうかわかりませんけれども、そういうようなことがあって私はしかるべきだと思うのです。  今回、ローカルな部分、ローカルラインの部分については値下げした部分が多いのですけれども、特に幹線の部分を値上げしたということは、私は、ある意味ではせっかく景気が回復軌道に乗っているのに、それの足を引っ張るということが十分考えられる。  幹線路線というのは、その地域の経済の根幹をもある場合ではなしているという地域がたくさんある。特に札幌−東京間というのは、北海道全体で五百五十万の人口がいるのですけれども、道央圏に二百五十万から三百万人ぐらいいるのです。そこでのラインを値上げしていくという形は、私は北海道経済全体の足を引っ張る。せっかく立ち上がりつつある、公共事業などで立ち上がりつつある北海道の経済が、航空運賃の全体として値上げしてないよという論理の中で、こういう調整という過程の中で、最もおいしいところを値上げしていったということは、私は政府に対する信頼感ということをも揺るがせることになるのではないかなというふうに思うのです。  もう一つ、せっかくですからお聞かせ願いたいと思うのですけれども、往復の割引運賃、これを廃止したということがまた地元の利用者からは大変不評です。  日本の航空運賃というのは、ある意味では往復を前提としていると思うのです。片っ方飛行機で行って、片っ方汽車で帰ってくるという人はほとんど今の日本の利用者の中にはいないのですよ。急ぐから飛行機で行く、だから帰りも飛行機で帰ってくる。ゆっくりした人たちはみんな往復、恐らく汽車か電車を使うのだろうと思うのですよ。そういう運賃体系の中で、ほとんどの人たちが往復割引を私は使っていたと思うのです。それを今回往復割引をやめたということは、これだけでも私は大変高い値上げになっているのじゃないだろうか。  標準原価を算定するときでも、いずれまた標準原価の算定の仕方について議論したいと思うのですけれども、標準原価の算定の仕方についても、往復割引運賃が本来は原価の原点になっているのじゃないのですか。往復割引運賃を今回やめたというのは、これは航空会社の勝手だといえばそうなのかもしれませんけれども、このあたり、何か運輸省としてもお考えがあればお聞かせ願いたいと思います。
  163. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 私も一利用者としては先生のおっしゃる趣旨はよくわかりますし、それから、私もこの場で航空会社の肩を持つ発言をあえてするつもりはございませんが、実はこの種の営業割引につきましては、数年前から、五割以下の割引率ならば届け出だけでもいいですよという制度、これまた政府全体の規制緩和の一環として既に入れてございます。したがって、会社の方から往復割引をやめるということについては、なるべく行政介入しないという方針からすると、とりあえずはこれは受け入れるというのが今のやり方であります。  現在、私ども国内で調べてみますと、平均しますと、往復割引を利用されているお客さんが約二割であります。それ以外でも各種の割引を利用されておりますし、また今回、往復割引にずばりかわるかどうか別にいたしましても、各種の割引制度充実されておりますから、先ほど先生がお挙げになったような普通運賃だけの比較で、それだけ利用者の負担がすぐふえるとか、あるいは逆に事業者の方が増収になるということでは必ずしもないかと思っております。  繰り返しになりますが、その点を利用者の方々がこれから厳しい目でごらんいただき、監視されて、その効果といいましょうか、その結果が事業者の方に反映される、あるいは私どものチャネルを通じてまた事業者の方に行くということがこの制度のねらいの一つだと我々は考えております。
  164. 荒井聰

    荒井(聰)分科員 今黒野局長の方から、利用者の視点というものをもっと生かすべきだ、まさしくそのとおりだと思うのです。しかし、それは利用者の視点だけではなくて、競争の基盤ができているかどうか、競争の基盤ができていて初めて利用者はいろいろな選択の余地が出てくる、あるいは物を申すこともできるということだろうと思うのですけれども、私は、航空関係については競争のそういう基盤というものが不十分だ。こういう不十分なときに規制緩和という、ある意味では規制緩和の名前をかりてこのような状況をやったがために、国民の不信感を招いているのではないだろうか。  時あたかも、いろいろな意味で行政のやっていることに対して国民からいろいろな御指摘を受けています。政治家としても反省すべき点は反省せざるを得ないと思っていますけれども、航空運賃の問題についても、規制緩和というのは私たちにとっては伝家の宝刀のような気持ちでこれを見ていまして、規制緩和をすれば利用しやすい、競争が働いて運賃も安くなるのじゃないだろうかという、非常に強い思いを持っていたわけです。しかし、残念ながらこのような結果になっている。まだ改善の余地があるのかどうか、これからも精力的に検討してほしいと思うのですけれども、そのあたり、最後に運輸大臣にお聞かせ願いたいと思います。
  165. 亀井善之

    ○亀井国務大臣 いろいろ先生から御指摘をいただきました。この制度、現状のもとで可能な限りの規制緩和に取り組むというものである、このようにまず考えております。  まずは、先ほど来御指摘をいただきましたが、この制度をいかに育てていくか、こういうことが必要なことじゃなかろうか。先ほどもお話がございましたが、運賃、その価格の問題につきましては、一つの初値、こういうことも考えられるわけでもあります。運賃の多様化あるいは経営効率、こういうものを促す効果というものが十分に発揮されているか否か、こういうことは私どもこれからも十分注目をしていかなければならない。ある時期には、一定期間を経過した中でのフォローアップ、こういうことも行っていろいろ考えていかなければならない、このようにも考えているところでございます。  まずは、この制度をスタートしたこと、これがまた定着をし、その評価、こういうものが受けられるようなことを望んでおるようなわけであります。
  166. 荒井聰

    荒井(聰)分科員 航空運賃については、多くの国民が大変高い関心を持っています。規制緩和についても大変高い関心を持っています。まだまだ航空運賃が決定するまでに時間とプロセスが必要だと思いますけれども、ぜひ深い御検討をお願い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  167. 谷川和穗

    谷川主査 これにて荒井聰君の質疑は終了いたしました。  次に、高木義明君。
  168. 高木義明

    高木(義)分科員 新進党の高木義明でございます。限られた時間でありますが、私は、JR問題について運輸大臣ほか政府の皆さん方にお聞きをしていきたいと思います。  今国会は住専国会と言われるほど、いわゆる住宅金融専門会社における不良債権の問題が大きなテーマになっておりますことから、国民の皆さん方の関心は、あの膨大な二十八兆円と言われる債務を抱える国鉄清算事業団のことは一体どうなるのであろうか、こういう心配をされるのがごく当然でございます。  したがって、JRが発足をしましてことしで十年目を迎える貴重な機会でございまして、今国会におきましても、るるこの問題は取り上げておるわけでありますが、私の立場からもぜひ要請を申し上げたいこと、この際、大臣も新しく行動力ある亀井大臣になりましたから、明快な答弁を求めたいと思う気持ちでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。  まず、JRの発足後の約五年間というものは、我が国にとっても景気が大変追い風でございました。そういう意味もありまして、またJR各社の創意工夫を凝らしたもろもろの営業努力もありまして、各社とも順調なスタートを切った。これが一般的な評価でありまして、我々は大変うれしく、心強く思ったわけでございます。  しかし、あのバブルが崩壊をした後、今日まで景気回復が長引いておる、そしてまた円高不況のあおりも食った。これはまたJRの業績にも例外ではございません。国内の旅行需要が大きく低迷をする。それから、物も人もなかなか動かない。特にあの阪神大震災が昨年に起きまして、このことからも鉄道輸送はかなりの打撃を食ったのであります。また、阪神大震災ほどではないにいたしましても、全国各地で大型の台風やあるいは豪雨等の災害、まさに世紀末と言われるほどのいろいろな自然災害等も起こっておる中で、JR各社は好景気のときと一転しまして、非常に厳しい環境に追いやられておるという状況がまさに今日の状態であろうと私は思うわけであります。  しかし、そういう状況の中にありましても、JRの経営あるいは労働組合、まさに労使を挙げてこの難局を頑張っておる。これは私は率直に敬意を表する次第でございます。やはり当初の国鉄分割・民営化の経緯の中で、新しい国民の足を確保するためにJRがスタートしたわけでございますから、十年目のこの際ひとつ、こういう厳しい環境に直面をしたJR問題の議論というのは、我々は国会一つの責任として考えなければならぬと思っております。  そこでまず、重複するかと思いますけれども、改めて民営化当初の目標、あるいはJRとしてこのように育て、成長してもらいたい、いわゆる中長期的な理念というものがあったはずでございます。したがって、その原点に立ち返って、今からのJRの健全な発展のために努力すること、そういう意味で当時の理念について、改めてこの場でその認識を私は問うておきたいと思います。
  169. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 JRの中長期的な理念ということでございますが、まず国鉄改革の理念ということで、基本的な考え方ということで御答弁させていただきたいと存じます。  国有鉄道事業の破綻の原因が公社制度のもとで巨大組織によります全国一元的な運営にあるという反省に立ちまして、分割・民営化という抜本的な経営形態の変更を行うことによりまして、効率的で地域の実情に即し、かつ責任ある経営を可能とすることによりまして、鉄道の再生を図ろうとしたものだと理解いたしております。
  170. 高木義明

    高木(義)分科員 JR全体として、そしてまたいわゆる本州三社、また北海道、四国、九州の各社は、当初の見込みと現実にどのような乖離があるのか、目指したところに行っておるのか、この辺の評価についてどのように見ておられますか。
  171. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 分割・民営化に当たりまして、六十二年度以降五カ年間のJR各社の経営の見通しというのは策定されておりますが、それによりますと毎年運賃改定をするというようなことが前提となっております。  それに対しまして、実際は、各社懸命の営業努力によりまして増収に努められ、また経費の節減にも努められまして、先生御承知のとおり、この一月から北海道、四国、九州につきましては運賃の改定をいたしましたが、本州三社につきましては運賃を改定しないで経常利益を上げるということでやっております。先生も御指摘ございましたけれども、私どももその点に関しましては大変健闘しているのではないか、こういうぐあいに思っております。
  172. 高木義明

    高木(義)分科員 今お答えの中でありましたように、まさに労使の努力によりましてこれまで値上げをせずに経営を続けてきたわけですが、しかしことしの一月、北海道、四国、九州の三社は運賃の値上げをせざるを得ない状況になったわけであります。  実は、本州三社に比べての問題点をこの辺で掘り下げていかなければならぬと私は思うわけでありますが、今後の経営について、本州三社は値上げなしでやっていける、しかし北海道、四国、九州はこの値上げによって経営は十分改善されたのかどうか、その点を私はしっかり踏まえないといけないと思うのです。これからも運賃の値上げの必要性が生じるのではないか、こういう危惧も利用者からもあるわけでありますが、その点についてどのように御考察でございますか。
  173. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 先般、JR北海道、四国、九州につきましては運賃改定を実施したところでございます。この運賃改定は昭和六十一年以来の改定でございまして、先ほど申し上げましたように分割・民営化の際は運賃水準が上がっていくということを前提としておりましたけれども、非常に懸命な努力によりまして、九年間運賃を上げないでやってきたということでございます。  そこでまず、先般の運賃改定で経営改善が果たされるのかという点でございますけれども、率直に申し上げまして、JR北海道につきましてはなお苦しい状況にあると言わざるを得ないと思いますが、JR四国と九州につきましては、このたびの運賃改定によりまして赤字の解消が見込まれ、健全な経営を確保することができるという見通しが立っております。  今後でございますけれども、私どもとしましては、大変貴重な運賃改定でございましたので、各社におかれましてさらに地域のニーズを踏まえて旅客サービスの徹底に努めていただくとか、あるいは経営の合理化等の面でもあらゆる努力を尽くしていただきまして、現在の運賃水準をできる限り長く維持していただければ、こういうぐあいに考えております。
  174. 高木義明

    高木(義)分科員 この現状のままでずっと推移をしますと、本州三社と北海道、四国、九州、まあ四国と九州は北海道に比べてややいいという評価でございましたけれども、その格差が、もちろんJR貨物もそうですね、本州三社との格差はますます広がっていく一方だ。したがって、運賃も一律の運賃が崩れたり、また、いわゆるそこに働いておられる方々の労働条件、諸条件についても結果的に格差が出てくることになるという危惧もされておるわけですよ。私は、そうあってはいけないと思う。  だから、やはりその特殊性が今どのようにあり、そしてそれをどうカバーしていくべきか。もちろん民間企業でございますから経営の自助努力、これはもう言うまでもないわけでありますが、かかってJRというのは、日本の北から南まで、まさに生活、経済の動脈でありますから、そういう意味で、この経営の動向が国民生活にとっても非常に大きな影響を及ぼす。したがって、格差ができて、地域的に非常にある意味で新たな不公平、アンバランスが出てくることに対して、今その点については十分にメスを入れて、そしていわゆる支えるべきところは勇気を持って支えていく、そして結果的に第二の国鉄にならないような、そういう手だてをしていくというのが十年目に迎える我々の大きな課題であろう、こういうふうに私は考えております。  その格差についてどのように考えておりますか。また、その格差是正についてですね。
  175. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、本州の三社と北海道、四国、九州、この三社との間で事業基盤に格差があることは否定できないと思います。  昭和六十二年四月の国鉄改革時におきましても、北海道、四国、九州の三社につきましては特に経営環境が厳しいということが予想され、また十分そのような認識に立ちまして、まず一つは、この三社には国鉄の長期債務を継承させないという措置を講じましたし、また、経営安定基金を設けるといったようなことで特別の措置を講じているということでございます。このような特別の措置、この経営安定基金も清算事業団からの基金の償還というような形をとっておりますけれども、このような事情にかんがみますと、何といっても三社におきまして、このような支援を受けながら懸命の自主的な努力を尽くしていただきまして、経営基盤を強化していただいて経営の安定化を図っていただくというのがまずは第一に大切なことであろうかと考えております。
  176. 高木義明

    高木(義)分科員 そこで、いろいろな意味の支援策といいますか、いわゆる厳しい環境を乗り越えるために応援をしていくということが出てくるわけです。  そういう意味での一つで、固定資産税あるいは都市計画税の減免措置についてなのですが、この問題は、御案内のとおり国鉄改革に伴いましていわゆる地方税法が整備され、JRの各社が継承しております事業用資産、これについては特段の配慮がなされているわけです。例えば本州三社と貨物会社は課税標準を二分の一、北海道、四国、九州では四分の一という特例措置があります。これは十年の時限立法でございまして、いよいよ平成九年三月末で切れるということになっておりますが、私は、この際、この特例措置についてはやはり延長してやることが国民のコンセンサスからも受け入れられるものと判断しますし、こういうことが今必要ではないかと思っておりますが、この点についてどうお考えでしょうか。
  177. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 ただいま高木先生から御指摘のとおり、国鉄から承継いたしました事業用資産につきましての固定資産税あるいは都市計画税の軽減措置、これが平成八年度で切れるということになっております。また、北海道、四国、九州につきましては、いわゆる三島特例がございます。  このような措置につきましては、JR各社の方も継続につきまして大変強い希望を持っております。私ども、この問題につきましては、今後の私ども運輸省としての税制改正要望の中で、この具体的な取り扱いにつきまして検討を進めてまいりたいと考えております。
  178. 高木義明

    高木(義)分科員 税制の面においても、いわゆる経営の安定、そのことは、かかってまさに自助努力を励ますことにもなりますし、各地方の交通鉄道路線を含めての新しい鉄道ニーズに対応するためにも、私は、あすに向けたJRの経営改善のためにはぜひ必要な一つの案件だろうと思っておりますので、どうぞひとつ強くその辺は主張していただきたいと思っております。  また、その一つ支援策として、経営安定基金の問題があるわけであります。この運用益をもってそれぞれの仕事の中で生かされておるわけでありますが、御承知のとおり、この問題は金利の低下という事態を受けまして、当初もくろんでおられた運用益というものが大きく激減をしておる。そのことは、全体的な経済環境の厳しい中で、特にJR各社の経営状況に対しても非常に暗雲を漂わせておるというものでございます。したがって、この問題についても何とか運用益をできるだけ確保していく手だてが必要であろう、私はこう考えておるのであります。  そこで、当初、JRの発足当時に運用益七・三%とした根拠について、それが今ではもうかなり下がっておるわけでありますから、下がった上では当時のもくろんだ計画とは違ってきているのは当然でありますので、そのためにもひとつこの七・三%の根拠をはっきりしておかなければならぬと思っております。
  179. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 経営安定基金の七・三%の利回りということでございますが、先生御承知のとおり、経営安定基金につきましては、国鉄清算事業団がJR北海道、四国、九州三社に対しまして十年間で債務を償還するという形を具体的にとっております。  その際に具体的な基準となる利回りといたしましては、国鉄改革当時、長期資金の運用先として代表的な長期国債の応募者利回りの過去十年間におきます平均を参考にいたしまして七・三%と決定いたしまして、これを清算事業団が三社に対して債務償還する場合は、この七・三%の金利で固定して金利分を支払うということであります。二年据え置き、八年間の元利均等償還という形でございますが、三年度目以降は、清算事業団から三社の方に元本を償還いたしますので、この三社の方で償還された元本を自社で自主的に運用していく、こういう形でございます。最初の清算事業団の七・三%につきましては、先ほど申し上げましたとおり、国鉄改革当時における長期国債を参考として決められたものでございます。
  180. 高木義明

    高木(義)分科員 これをそのままにしておきますと、先ほど私が申し上げたように、本州三社と北海道、四国、九州の三社の間の格差はますます広がっていき、そして経営的にもいわゆる運賃値上げの悪循環、こういう状況が私は出てくると思っております。したがって、今平均では五・六%、五%程度の金利でありますが、七・三%と今の金利の差というものを何らかの形で当座カバーをしてやることも、私は一つの政策ではないかなと思っておるわけです。この点についてどうでしょう。
  181. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 この経営安定基金が昨今の低金利の状況で大変大きな影響を受けているというのは、私どもも十分認識をしているところでございます。  ただ、当然のことでございますけれども、そもそもこの経営安定基金も、元本が三社に渡りました後は三社において自主運用するということで、変動があると、当然金利は変動いたしますから基金の収益にも変動があるということで、それは最初から予定された仕組みであると考えられますので、大変厳しい状況とは考えますが、これでもって直ちに、例えば公的に何らかの支援をするとかいうような状況であるとは、私ども現在のところは考えておりません。
  182. 高木義明

    高木(義)分科員 この問題は、確かに民間企業ですから、それはそういう金利が低下したときに対して即そういうことをやっていくということは、まさに裏腹な問題として、いわゆる企業努力がなくなってくるのではないかという意味で受け取られる面があると思うのです。  私は、今のJRの各社は、言ってはなんでありますけれども、今物すごく大きな大転換、大改革をしておるのだ。だから、もちろんいわゆる旧国鉄のようなことを繰り返してはならぬ、そういう意味で、例えば関連事業、多角化経営、涙ぐましいほどの事業をやっておるのです。しかし、その事業が当たればいいのですけれども、それはこういう東京とか大阪の大都会であればまたいろいろな商売も成り立つのですが、やはり北海道とか九州とか四国においてはなかなかそれはままならぬわけです。本当に涙ぐましい努力をしておるのですね。  しかし、そのことを、私はそういうものに依存するという体質ではないということを前提に、やはりこれも早くその方向を確立してやっていくことこそ健全な経営につながる。十年ですよ。十年は長いか短いかという議論はありますが、私は今からだろうと思うのですよ、本当に足腰をみずからのものとして歩めるのは。だから今一番大事なときだ、そういう観点からぜひ大臣、今のお言葉はわからぬでもありませんが、まさに政治的な決断を持って心をかけてやる、そういうことが大事じゃないかと思いますが、その点どうでしょう。
  183. 亀井善之

    ○亀井国務大臣 先ほど来先生からいろいろ御指摘をいただきました。  まず、国鉄の改革に対する基本的な考え方、これは先ほども鉄道局長から申し上げましたが、いろいろその点に沿って努力がなされて、また今もお話しいただきましたが、JR全体としては、高い生産性、こういう中で鉄道輸送サービスの向上、こういうことが図られておるわけでありますし、収支状況改善をし、鉄道事業の再生、こういう観点からは、今御指摘をいただきました問題、いわゆる本州、三島以外につきましては大変順調な形で進んでおるわけであります。また、三島におきましても、大変厳しい状況下でそれぞれいろいろ努力をされておるわけであります。  しかし、現状、やはりいろいろ御心配いただいておりますが、何と申し上げても、十年、こういう中で最大限の努力をし、そして今日それぞれの経営がその改革の方針に向かって、厳しいいろいろな課題があるわけでありますが、その努力をしていく、こういうことにつきまして、我々はそれを支援し、またそれぞれJRにおきましても、厳しい条件下の中でありますが、ぜひそれを乗り越えて努力をしていただきたい、このように考えているところであります。
  184. 高木義明

    高木(義)分科員 時間も限られておりますから、国鉄清算事業団について若干のお尋ねをします。  平成七年度では二十六兆円、そして八年度末では二十七兆円、それ以上というのが債務として予定をされておりますが、これは大変な重大な問題です。私は、行政の所管庁は運輸省でございますが、むしろ政府全体としてこの問題を受けとめて、そしてお互いに知恵を出し、動いていくということがまさに大事であろうと思っております。  平成五年から清算事業団では土地処分については一般競争入札を導入しておりますが、入札が成立をしないケースが四割にも上っておる。昭和六十二年の十月に閣議決定された緊急土地対策要綱によって、高く売れるときに自由に売ることができない、それから自由に売れるようになったときには買い手がない、こういう深刻な状況ですよね。これがまさに今の清算事業団の実態であろう。どんどん土地は少なくなっていくのだけれども、逆に債務は減るどころか残っていく。これは私は一日も早く決着をつけなければならぬと思います。  この問題について、株式の売却とかあるいは土地の売却等々、具体的なそれ以外の手だてがあるのかどうか。これはまさに私は、運輸省の優秀なお役所の方々が考えれば、これ以外にも何とか知恵が出てくるのじゃないか、このように思っていますが、その辺どうでしょうか。
  185. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、清算事業団の長期債務は、平成七年度首で申し上げますと二十六・九兆円に上っておりますが、これの償還財源は、先生もおっしゃっておられましたけれども、清算事業団が所有しております土地、株式、それから鉄道整備基金に対する債権等々でございまして、それ以外の有効なものというのは、現状におきましてはないわけでございます。
  186. 高木義明

    高木(義)分科員 時間が来ましたので、最後に大臣、所信表明の中で、清算事業団の長期債務の処理は国鉄改革の総仕上げた、このように明らかに述べておるわけですね。まさに私はそのとおりだと思っております。したがって、どうかこの問題についてもひとつ政府全体として、そしてまた、政府を動かす一つの軸足はまさに亀井大臣が持っておられると思いますので、どうぞこの問題について全力で取り組んでいただきたいと思っております。  これで終わります。
  187. 谷川和穗

    谷川主査 これにて高木義明君の質疑は終了いたしました。  次に、実川幸夫君。
  188. 実川幸夫

    実川分科員 新進党の実川幸夫でございます。  私からは、新東京国際空港、いわゆる成田空港の現在の現況、あるいは二期工事に向かって、それらに関連しまして何点か質問させていただきたいと思います。細かな点になるかもしれませんけれども、よろしくお願いをいたします。  新東京国際空港、たしか昭和五十三年に開港になったわけでございます。したがいまして、もうあれから早いもので二十年近くになります。その間いろいろなことがありましたけれども、いまだに御承知のように滑走路が一本、これは世界の空港の中でも恐らく、国際空港という名には大変恥ずかしい、まだ機能も果たしていないのではないか、それが今日の成田空港ではないかなというふうに思っております。  たしか昭和四十一年に今の成田地域に閣議決定されました。あれから三十年以上たっているわけでございます。実は、私もあの成田の地域、三里塚で生まれ育ちました。そういうことで、あの地に閣議決定されたというとき大変な騒ぎになりましたことをいまだに鮮明に覚えております。あのときはたしか、賛成派の人あるいはまた条件賛成派また反対派のいろいろな形で別れ別れになりました。その後、御承知のように十二年かけまして工事が完成しました。そのためにいろいろな形で不幸な出来事もあったかと思います。そういう中、一期工事が済みまして、五十三年に先ほど申し上げましたように開港にこぎつけたわけでございます。  その後、局長もよく御存じかと思いますけれども、いろいろな話し合いの中、そしてまたいろいろな衝突もございました。そういう中、たしか平成二年だったと思いますけれども、衝突の中から話し合いのムードが生まれまして、シンポジウム、約十五回を数えたと思います。大変いいムードの中に話し合いの中で解決をしようということで、それらの何点かの合意点を見出してから円卓会議、これは約十二回を数えたと思います。その後ようやく進展をいたしまして、今日開かれております地域共生委員会、これはこれまでの経過を踏まえて確認の場所ではないかなと思います。そういう中、今大変大事な時期にあるのが今日の成田空港ではないかなというふうに思います。  そこで、局長にまずお伺いをしたいのですけれども、これまで何年かかけましてようやくここまでたどり着いたのが、今の現況の成田空港でございます。今大変な時期に来ておりますけれども、この話し合いの中でいろいろな成果があったかと思いますけれども、私も先ほど申し上げましたように、あの地で生まれまして、反対派の人、また空港の中で働いている人、賛成派の人も今現在おつき合いをさせていただいております。それだけに、皆さんの気持ちというものを十二分にわかるつもりでございます。そういう観点から、局長の率直な今の現況というものを答弁をいただきたいと思います。
  189. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 まさに先生今おっしゃいましたように、世界の国際空港の中で大変恥ずかしい状態で、十八年ですか、経過したわけでございまして、その間大変多くの方々がそれぞれのポジション、それぞれの立場で御努力をいただきましたけれども、なかなか進展を見なかったわけでございます。それが、シンポジウム、円卓会議と、この二つの場を通じまして地元の方々と真剣かつ率直な話し合いをかなり長い間重ねました結果、基本的に合意点に達したわけであります。  そのポイントは、もう一本平行滑走路の必要性、これは地元として認めようではないか。 一方、国の方は従来の強権的な手法をすべて放棄して、専ら話し合いによって解決を図ろうではないか、こういうことで、お互いのいわば心と心が触れ合ったといいましょうか、そういう状態になりまして、対立の構造が解消したわけでございます。大変画期的な進展を見たわけでございます。私ども、この機会を大事にいたしまして、今精力的に地権者あるいは住民の方々と話し合いを進めさせていただいておる、こんな状況でございまして、一日も早いもう一本の滑走路の完成に向かって努力をいたしたいと思っておるところでございます。
  190. 実川幸夫

    実川分科員 今精力的に話し合いを続けておるというお答えでしたけれども、私も地元におりましていろいろな方と話し合いをする機会が多いのですが、できれば今の共生委員会の中に、さらに大きな輪を広げて、いろいろな各種団体あるいは地元の空港の中で働く人、いろいろな組合の人、たくさんおると思いますけれども、今の十二人の枠以外にたくさんの方を入れたら、さらにその話し合いが進展するのではないかなというふうに思います。  例えますと、御承知かと思いますけれども、たしか一昨年だったと思いますけれども、ちょうど裏側になります芝山町菱田地域で八月十五日、お盆のときに、賛成派あるいは条件派とかいろいろな方々が一緒になりまして盆踊り大会がございました。もう御承知のとおりだと思いますけれども、それをきっかけに今の共生委員会というものが大きな進展を見たのではないかなと思います。  ということも踏まえまして、これは要望になりますけれども、さらにそういう地域の皆さんのお言葉を、声を入れながらこの会議というものをさらに盛り上げていただければ、この二期工事に向かって大きな進展があるのではないかなと思います。特にこの点を要望したい、このように思います。  今、局長からもいろいろとお話がございましたように、ここで大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。  これまで開港以来、またその前からも大臣がもう何十人というふうにかわっております。その所信表明あるいはいろいろな場面で、とにかく二期工事を積極的に進めるんだ、そういうお言葉を各大臣からこれまでずっとお聞きしております。今局長からも、また私からもいろいろな経過を御説明させていただきましたけれども、今恐らくこの共生委員会、いろいろなことを踏まえての最終段階に来ているのではないかなと私は思います。でき得れば、亀井大臣の任期中に何とか二期工事を完成というふうに思っておる一人でございます。そういうことを踏まえて、今、大臣のこの二期工事に向けての決意というものをお聞かせ願えればと思います。
  191. 亀井善之

    ○亀井国務大臣 先生今大変いろいろ御指摘をいただきまして、地元の関係の皆さん方がいろいろ御努力していただいておりますことに感謝を申し上げる次第でございます。  また、円卓会議、シンポジウム、それらの経過を踏まえていろいろ御努力をいただき、また地元の皆さん方との共生、こういう中でいろいろ御尽力をいただいているわけであります。私どもといたしましては、ぜひ今後とも話し合いを十分尽くしていただきまして、そして一日も早く日本の表玄関たる成田空港を完成させるよう最大限の努力をしてまいりたい、このように考えております。
  192. 実川幸夫

    実川分科員 今大臣の決意をお伺いいたしました。  とにかく、今大事な時期にあると思います。地元の皆さんの声というものをしっかりと聞いていただいて、さらに二期工事に向かって努力をしていただきたいと思います。単に、この成田空港、地元だけの空港ではありません。とにかく二期工事、開港によりまして、恐らく日本全体の経済効果というものもさらに大きくなっていくものと思いますし、聞くところによりますと、いまだに成田空港に世界各国から四十数カ国近くが乗り入れを希望しておるというふうに聞いております。そういうような状況でありますので、どうか一日も早く開港に向かって努力をしていただきたい、このように思います。  それから、一点お聞きしたいのですけれども、実は、二、三日前のテレビにも、第七空整の中で、首都圏第三空港というものをテレビで報じられておりました。昨年この第七空整空港が発表されましてから、首都圏を物色するというようなことがうたわれております。そういう中で、私地元におりまして、二期工事が大変おくれている状況の中で、もう成田空港は国際空港として機能を果たさないから貨物空港になるのではないか、そういううわさが大変飛び出しました。一昨日もそのテレビで報じられておりまして、私のところに電話がございました。もう二期工事も放棄しているのではないか、そういう話をたびたび聞きます。  恐らく、今の大臣の決意ではそういうことは一〇〇%ないと思いますけれども、その辺のところを局長から一言お答えいただければと思います。
  193. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 私ども日本の国際空港の最大のものは成田と思っておりますし、それに続きまして関西空港、さらには中部へ新しい国際空港をつくろうという計画を持っておりまして、この三つを束ねて、いわば世界の窓口とするというふうに考えております。したがいまして、今までもそうでしたけれども、これからも成田空港の完全空港化、これが私どもの空港行政の最優先課題だ、かように思っております。
  194. 実川幸夫

    実川分科員 次の質問に移らせていただきます。  これも成田空港に関連しての質問になりますけれども、御承知のように、成田新高速鉄道、これは都心と成田空港を結ぶ鉄道アクセスといたしまして、千葉県北西部、いわゆる千葉ニュータウン地域における通勤あるいは通学輸送のための鉄道といたしまして、昭和五十二年、いわゆる開港の前年にこの構想が明らかにされたと思います。そして、昭和五十九年に運輸省からいわゆるB案ルート、これは石原大臣のときに推進する旨の方針が打ち出されたというふうに聞いております。しかしながら、その後、いまだに成田新高速鉄道は事業化の計画が立てられておりません。これが現在の状況ではないかなと思います。  しかしながら、御承知のように、合成田空港、昨年の実績でありますけれども、二千三百万人の人がこの空港を利用しております。さらにまた、その一方では、今申し上げましたように、北総地域、ニュータウン地域におきますと、御承知かと思いますけれども、印西町、この四月一日から市制がしかれます。聞くところによりますと、恐らく日本で今一番人口の急増地域でもございます。北総鉄道、都心に乗り入れておりますけれども、この北総鉄道も既に印西牧の原まで開通しておりまして、一日に六万五千人の方々が今都心に、通勤あるいは通学に利用しております。  こういうことからいたしますと、この地域の皆さんにとりましては、成田新高速鉄道はどうしても必要になってくると思います。この成田新高速鉄道につきまして、今の現状、今後の見通しについてお尋ねをさせていただきます。
  195. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 今、成田新高速鉄道につきまして先生から経緯の御説明がございましたが、先生がおっしゃいますとおりの経緯でございます。  現状でございますけれども、成田新高速鉄道のいわゆるB案ルートのうち、印旛松虫と成田空港間につきましては、平成三年度と四年度におきまして、成田空港高速鉄道株式会社がこの調査を行うということになっておりまして、この成田空港高速鉄道により、開業後のJRと京成電鉄の輸送実態を踏まえました輸送需要、それから収支の採算性などにつきまして詳細な調査を行いました。これに基づきまして、運輸省、千葉県、成田空港高速鉄道をメンバーといたします成田新高速鉄道B案ルート検討会、これにおきましてその結果を検討いたしました。残念ながら、同線の事業化につきましてはやはり相当厳しいという予測でございます。  このような予測でございますので、現在の段階では、まずは沿線自治体の協力を得まして、需要創出のための沿線開発あり方、こういうことから検討しなくてはいかぬということで、まずそういったことを中心として検討を進めておるというのが現状でございます。
  196. 実川幸夫

    実川分科員 今局長から需要面でのいろいろな御返事がございましたけれども、いずれにしましても、この事業というものは、近隣の市町村にとりましても大変待ち望んでいる事業でもございますので、一日も早く事業化していただきたい、このように思います。  特に、この成田新高速鉄道は、空港アクセス計画のいわゆる基本ルートとして位置づけられているというふうに思っておりますし、また、国家的な事業でもあろうかと思います。そういうものも含めまして、さらに御助力をしていただきますように心からお願い申し上げたいと思います。  次の質問なんですが、これも鉄道に関しての質問になります。  これは、今の新高速鉄道とちょっと意味合いが違います。いわゆる成田空港の裏側に当たります芝山町、大変御苦労なされている地域の皆さんにとっては大変な問題ではないかなというふうに思っております。  その芝山鉄道なんですけれども、御承知のように、これは開港前、前年だったと思いますけれども、芝山町の、いわゆる見返りとしての国に対してのお願いだったと思います。それが現実になりまして、六十三年だったと思いますけれども、御承知のように整備場前まで、空港の裏側になりますけれども、その間二キロメートルが運輸省から鉄道の認可がおりております。その後、平成六年になりまして、先ほど申し上げました円卓会議の中で、今後さらに延伸をいたしまして、芝山町の中心部まで延伸するということを運輸省から方針が明らかにされております。  そういう中、日にちも大分たっておる中でありますけれども、今、芝山鉄道はどのような現況になっているのか、お答えをいただきたい、このように思います。
  197. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 事実関係は今先生の御指摘のとおりでございまして、東成田、これは空港の地下の駅でございますが、ここから整備場前の二キロ、これにつきましては、三年間を目途に整備しようということを申し合わせておりまして、これは、芝山鉄道延伸整備検討委員会という場を設けまして、そこでの申し合わせ事項でございます。この申し合わせに従いまして、今その実現に向けて関係方面と精力的な折衝が進んでいるという状況でございます。  さらに、中心部までの延伸、これは八キロでございますが、これにつきましては、同じように、芝山鉄道延伸整備検討委員会におきまして、七年度中、本年度中に延伸基本計画を策定するということになっておりまして、現在、地域の現況あるいは地域開発計画をベースに、ルートをどうするか、そんなことも含めまして、さらには収支計画等について議論を重ねている、そんなところでございまして、これにつきましても、我々としては全力でもって取り組みたい、かように思っているところでございます。
  198. 実川幸夫

    実川分科員 今局長からお話をいただきましたけれども、やはり芝山町、一番苦労なされている地域でもございます。この鉄道の開通によりまして裏側の地域の大変な活性化をという意味も含まれておりますので、何とか実現をしていただきたい、このように思っております。  また、今お話しの中で、この地域反対派の皆さんの土地もあるというふうに聞いておりますのですが、その点につきましては。
  199. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 この沿線の予定地の中にいろいろな考えの方の土地がございます。それらにつきましても、粘り強い話し合いで解決をしていかなければいけないと思っています。それにつきまして、いろいろな取り組み方をこれからしていきたいと思っているところでございます。
  200. 実川幸夫

    実川分科員 今局長の答弁の中で、反対派の数名がいらっしゃるという話でございましたけれども、この芝山鉄道も、先ほどから話の中にありますけれども、地域共生委員会と同じような形で話を進めていけば、何とかこういう中で解決が得られるのではないか、このように思いますので、先ほどと同じような形で、積極的に話し合いの場を設けて、この鉄道というものを解決していただきたい、このように思っております。  次の質問に移りたいと思います。  現在の成田空港の医療関係についてでありますけれども、これまで成田空港、開港二十年近くなりますけれども、幸いにも大きな航空事故というものがございません。これは、空港にとりましては大変よいことだと思いますけれども、万が一大きな航空事故が起きた場合、その医療体制、現在、どのような形になっておるのか。もちろん、空港の中にそれだけの病院をとても設備できませんけれども、近隣の市町村の病院との連携体制とか、その点につきましてはどのような形になっているのか、お答えいただければと思います。
  201. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 成田空港の救急医療体制につきましては、関係方面と密接な連携をとっております。  一般論から申し上げますと、救急医療といいますのは、自治体消防もしくは関係医療機関が実施するということになるわけでございますが、空港におきましては、空港公団としてできる限りの措置をとっております。実際に、空港の中でけが人なりあるいは重病の方が出ますと、基本的には応急措置を空港の中でした上で、近隣の医療機関に送るということをしております。  ところが、御案内のとおり、シーズンなどは大変交通ラッシュでございまして、その往復の時間というのが、患者の方々にとっては大変貴重な時間を浪費することになります。そこで、地元自治体の方の協力をいただきまして、空港の中に三里塚消防署の分室を設けまして、空港の中に一台救急車を常駐するという措置を既にとっているところでございます。また、空港の中にクリニックを、二カ所でございますが設けておりまして、そのうち一か所は、二十四時間いつでも医者と看護婦がいるという体制をとっているところであります。またさらに、このクリニックの隣に、急患対応室といいまして、急患専門の装置を設けた部屋を設けております。  またさらに、ちょっと細かくなって恐縮でございますが、実は、このクリニックというのは地下一階にございまして、地下一階までエレベーターが直行になっていなくて、一階で乗りかえるということになっております。これも実は急患の方にとっては、一刻を争うときには大変な問題になるわけでございまして、現在、エレベーターを乗りかえることなくこのクリニックのある地下一階へ直行できる、こういうエレベーターの改造もやっているということでございまして、公団といたしましては、細かいことも含めまして、できる限りの対応をしているつもりでございます。これからもそういう姿勢で望みたい、かように思っております。
  202. 実川幸夫

    実川分科員 現在、成田空港で一日、昼夜合わせますと、何万人という多くの皆さんが働き、そしてまた乗客の皆さんもそれを利用しているわけであります。そういう中、恐らく各町村の、そのくらいの人口が毎日空港の中で働き、また乗りおりしているわけでございます。そういうことも含めまして、どうかこれからも、医療関係につきましては万全なる体制をもってしていただきたいと思います。  それから、関連するのですが、世界各国、一流空港の中で、医療体制、日本と各国の現状を比較しまして、どのようになっているのか、その辺につきましてもお聞かせいただきたいと思います。
  203. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 今もちょっと触れましたが、成田の空港の中のクリニックは二十四時間体制でございます。二カ所あるうちの一カ所は真夜中に行っても必ずあいているという体制をとっております。世界の空港を調べてみますと、それぞれこのような施設はございますが、二十四時間で医者と看護婦が配置されているところは、我々の知る限り皆無でございます。かような意味におきましても、成田空港は世界と比較して決して遜色のない体制をとっているところではないかと私ども自負いたしておりますが、なおさらにこの点につきましては意を注ぎたい、かように思っております。
  204. 実川幸夫

    実川分科員 次に移らせていただきます。  いわゆる構内の件でありますけれども、現在、第一期、第二期のビルがございますけれども、その中で構内営業がございます。聞くところによりますと、もちろん空港使用料とかいろいろな財源の問題にかかわってきますけれども、構内営業、大変家賃が高い、そういうようなうわさが立っております。これまで、いわゆる地権者の皆さんも最優先に空港の中に入れられて構内営業をしておりますけれども、家賃が大変高いために、もうこれ以上続けられないという方がたくさん出てきております。  これは答弁をいただかなくても結構ですけれども、そういう点につきましてこれから対処していただければ、このように思いますが、もしお答えいただければ。
  205. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 広い空港でございまして、さまざまな場所がございます。場所によっては環境が余りよくなくて、経営上難しいというところがあるということも私承知しておりまして、また、テナントとして出ていただいている中に地元の関連の方もございます。したがって、利用状況等、ケース・バイ・ケースに応じて、今先生のおっしゃった点も含めまして対応しなければいけない、かように思っております。
  206. 実川幸夫

    実川分科員 いろいろ細かな点も質問させていただきました。また、時間がありましたから空港関係につきまして質問させていだたきましたけれども、最後に、再度大臣に、この二期工事に向けて、強い決意でもってしていただきたいと思いますので、強く要望させていただきまして、私の質問を終わらせていだたきます。ありがとうございました。
  207. 谷川和穗

    谷川主査 これにて実川幸夫君の質疑は終了いたしました。  次に、今村修君。
  208. 今村修

    今村分科員 社会民主党の今村修であります。  私は、最初に、新幹線の問題についてお伺いをしたいと思います。  整備新幹線は、高速輸送機関として、地域の飛躍と国土の均衡ある発展に寄与するもので、その地域の産業、経済、文化などの振興を図る上で果たす役割は大きなものがあるわけであります。特に私どもの住んでいる東北地方、盛岡から青森間百七十八キロは、我が国の国土を形成する骨格路線として欠くことのできない最重要な区間であり、北の大動脈として早急に実現すべき国家的課題だと思っています。  しかし、その着工は大幅におくれ、地元の多くの県民や地域の住民の願いもむなしく、昨年四月になってようやく盛岡−八戸間九十七キロがフル規格へ変更となり、八戸−青森間のミニ新幹線は撤回する、こういう形になったわけであります。そして、八戸−青森間については、今年中に策定される新しい基本スキームで検討し、成案を得ることになっています。暫定整備計画、ミニ新幹線を撤回したことで、整備が進む三線五区間から除外されたことになっているそうであります。既に新しい基本スキームの検討が与党間で進められている、こう聞いておるわけであります。  そこで、昨年の決定の段階で、八戸−青森間のミニ新幹線を撤回し、工事費を盛岡−八戸間につき込んだことで、整備が進む三線五区間からこの区間が除外されたことになっているそうでありますが、この説明は当初からなされていたのか、この点についてまず明らかにしていただきたいと思います。
  209. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 東北新幹線の規格変更におきまして、八戸−青森間の取り扱いの問題でございますが、平成六年十二月の見直しの際に、地元から、八戸−青森のミニ新幹線を放棄しまして八戸までのフル規格整備を希望されたというようなこともございまして、盛岡−八戸間をフル規格で整備する、こういうこととしたものと私ども理解しております。  その際、八戸−青森間につきましては未着工区間の扱いとなりますが、これにつきましては、平成八年中に成案を得るとされております新しい基本スキームにおいてその取り扱いを検討することとなる旨を地元に対し説明し、了解を得ているところでございます。
  210. 今村修

    今村分科員 ただ、この経過については、最初からそれは三線五区間に入らないことになるんですよと、こういう説明がなされたということですか。この点だけ確認しておきたいと思います。
  211. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 変更する際に最初からそういう取り扱いになることを地元にきちんと御説明を申し上げ、地元からもその同意をいただいているというぐあいに私ども承知しております。
  212. 今村修

    今村分科員 私どもも、新幹線で走り回った者として、三線五区間から全く除外されてしまったという理解はちょっとしてなかったんですよね。そういう点では、またまた同じことを繰り返したなという感じがしているわけです。東北の発着駅は青森で、東京までというのが普通東北を語るときの話なんですけれども、それが盛岡でとまり、今度は八戸でとまるという形になったという点は本当に不本意だと思います。  次に、新しい基本スキームの検討が今進められているわけでありますが、この基本スキームの今後の取り扱い状況、できれば、いつまでに結論を出してこういう形で対応したいという内容がもしあったとすれば、大臣の方から一言お願いしたいと思います。
  213. 亀井善之

    ○亀井国務大臣 今御指摘のいわゆる八戸−青森間の本格着工、この基本スキームのことでございますが、八年度においてこの未着工区間のルートごとに、関係自治体及びJR等と一体となって整備新幹線を核とした地域振興計画を検討することとしておりまして、これらを通じ、平成八年中に新しい基本スキームの成案を得べく鋭意検討を進めてまいりたい、このように考えております。
  214. 今村修

    今村分科員 ただ、これは予算の編成の問題も絡むものですから、そんなに遅くなるという形にはならぬと思いますけれども、予算の編成に間に合うという形で結論を出すと、こういう形で理解をしてよろしいんですか。
  215. 亀井善之

    ○亀井国務大臣 そのように考えております。
  216. 今村修

    今村分科員 八戸−青森間八十一キロという、長さからいくと、これはそう余り長い距離でないわけであります。せっかくつくったのがまた八戸でとまるという状況になると、これはやはりその地域の産業やいろいろな経済に与える影響というのも小さいものになると思うので、ぜひともこれは大臣のところで新しい基本スキームの中にこのまま入れていただきたいと、そのことだけ強く要請しておきたいと思います。これまでの何十年にわたるいろいろな働きかけがようやく実現したと思ったら八戸−青森問は除外されていたというのは、地元の人間にとって大変な驚きでもあったわけでありますので、その点を強く要請をしておきたいと思います。  この新しい基本スキームの検討を進めるに従って、今、地元青森では新幹線の駅舎をめぐってまたいろいろな意見が出ているわけです。特に、国がせっかく通す新幹線が地域の発展につながるという形でなければだめだ、やはりそうすべきだという意見を述べているという状況の中で、駅舎をめぐっていろいろな意見が交差をしている。かつてこの新幹線の駅舎をめぐっては、青森市内で、県論を二分するという形で現在の青森駅、それから新しく決まった石江という地域、この二つをめぐって大変なやりとりをしたという経過があるわけであります。私どもは、再び駅舎をめぐってそんな論争をするというのが好ましくないと思っています。ただ、せっかくつくられる以上、それが青森県の経済や東北一帯に大きな影響を与えるという駅舎にしたいものだなと、こういう希望をしているわけであります。  特に、青森で三内丸山の縄文の遺跡が発掘をされました。かつての計画でいきますと、この三内丸山の遺跡のど真ん中を新幹線が通って駅舎に向かうという形になるわけであります。そういう点では、そんな駅舎をつくるということにいろいろな意見が出ている。これは到底できる話でないんですから、どちらかに振るか、いろいろな考え方を進めなければならぬと思っていますけれども、この駅舎に対する物の考え方、この点についてお伺いをしたいと思います。
  217. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 先生、新幹線の駅の位置の問題の御指摘がございました。私どもも、駅の位置というのは地域の振興にとりまして極めて重要な問題であると認識しております。  東北新幹線の新青森駅につきましては、昭和六十年十二月の工事実施計画の認可申請におきましては、現青森駅とは別に、今御指摘の石江地区に新しい駅を設置するという計画になっております。  いずれにいたしましても、この未着工区間の整備につきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、平成八年中に新しい基本スキームの策定に向けて、未着工区間のルートごとに、関係地方公共団体、JR等と一体となりまして、整備新幹線を核とした地域振興計画を検討するということにしております。こういった検討を通じまして、新しい青森駅につきましても、地元の意向も踏まえながら、コンセンサスを得て適切に対処していくということになろうかと思います。
  218. 今村修

    今村分科員 青森市内には、御承知のように、かつて操車場であった広大な敷地が市のど真ん中にあるわけであります。今この活用をめぐっていろいろな議論がされている、こういう経過になっています。この大きなヤードの中に駅舎をつくった方が青森市の顔としてもっと大きく活用できるのではないか、こういう意見なども出ているわけです。  そこでちょっと質問しますが、駅舎問題ということについては、これは国との協議も必要でしょうけれども、地元でいろいろ議論して結論を出す、こういう形になったとすれば、国としてはそれはそれなりにオーケーということで理解をしてもよろしいのですか。その点だけお伺いします。
  219. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 先ほどもお答え申し上げましたとおり、地元の地方公共団体あるいはJRと一体となりまして地域振興計画を検討するということにしております。そういった中で、駅の位置をどうするかというのは基本的に極めて重要なことでございますので、地元の意向も踏まえながら適切に対処していかなければいけないと思っております。当然のことながら、工事費の問題とかいろいろな問題もまた関連して出てまいります。そこら辺を総合的に勘案して決定していくべき問題だというふうに考えております。
  220. 今村修

    今村分科員 ちょっとくどいようですけれども、旧来つくってきたルート、このルートを含めてこれから協議をしていくいろいろな内容を、今までの決めてきた内容に余りこだわらぬ、こんなことで理解していいのですか。
  221. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 大変難しい御質問でございます。  六十年に既に工事実施計画の認可申請がございますから、かつていろいろ検討した結果、これが適切だという経過が現にあるわけでございます。したがいまして、その重みというのは私どもはやはりあるのではないかと考えておりますが、それでは一たん作成された計画が変更されたことはないかといいますと、それは変更されたことはあるわけでございますので、地元のコンセンサス等々も踏まえながらこれは決めていくべき問題だと考えております。
  222. 今村修

    今村分科員 地元はヤード跡地に中央駅をつくっていただきたい、在来線のをつくっていただきたい、こういう要請が前からあるわけです。ぜひともつくろうとなっています。  現在の在来線の駅舎は、連絡船の関係で引き込み線になっているわけですね。一たん入ってまた帰ってこなければならぬ、こんな経過などもあって、前の段階では、現駅に新幹線の駅舎を持ち込むというのは不可能だ。ただ、私どもは、今の状況を見ると、新しい場所につくってまた莫大な投資をして、それが在来線の駅舎とまた別だということになると、これはまた大変だなという気がしているわけです。  そういう点では、この駅舎、どんな結論が出るにしてみても、在来線と一緒の場所につくるというのが一番理想的ではないかとも思っているわけであります。この辺について、もう一言お話をしていただけると大変ありがたいのですけれども。
  223. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 繰り返しになるかとも思いますが、六十年に出されました工事実施計画認可申請は、石江地区というところに新しくつくるということになっております。それは、先生自身も先ほど言われましたように、青森県におきましても大変な議論があって、やっとこさそういうコンセンサスがとれたというぐあいに私どもも承知しております。そういうようなことで決まってきた現在の新駅の位置の重みという問題もあろうかと思います。  一方、当然のことでございますけれども、駅の位置というのは地域の振興にとって非常に重要なことでございますので、いろいろな意見もあるのもまた事実だろうと思います。そこら辺は、繰り返しになりますが、やはり地元のコンセンサス、それから工事費等々関連するいろいろな問題もございますので、総合的に判断して決定されるものだと思っております。
  224. 今村修

    今村分科員 そのことが地域経済や産業の発展にとって最もよいという場所をぜひとも考えていただくことをお願い申し上げたいと思います。  次に、奥羽本線川部−青森間の複線化の問題についてお伺いをいたします。  奥羽本線は、開業以来百年を迎えたという形になっているわけであります。津軽地域の動脈として、通勤や通学などに大きな役割を果たしています。そして青森市と津軽地域の産業振興、学術研究の交流促進のために大きな役割を果たし、この複線化を目指して昭和五十四年に工事が始まりました。第一期工事として大釈迦−鶴ヶ坂間の工事が開始されたものの、昭和五十九年に新大釈迦トンネルの完成後は工事が凍結をされ、昭和六十二年の国鉄改革でJR東日本に引き継がれ、現在に至っています。工事は凍結されているものの、認可の効力は現在も継続している、こういうようになっているようであります。そういう点では、工事の再開が強く望まれてもいるわけであります。  この津軽地域の中核都市である弘前市と県都青森市を結ぶ重要な路線の奥羽本線川部 青森間の複線化を何とかできないのか。特にこの地域、三十キロ程度しかないと思っていますけれども、一番遅いものでは、この三十キロに一時間半近くかかる、普通の列車でも一時間ちょっと、こんなに時間がかかる状況になっているわけです。そういう点では、何とかならぬのかというのがいつも出てくる話なんです。  これは現在JRが担当するという形になっていて、財政的な面も含めて大変困難な点があるだろうと思いますけれども、この点についての見通しをぜひともお聞かせいただきたいと思います。
  225. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 奥羽本線の川部−青森間の複線化の問題、経緯等は、先生ただいま御指摘のとおりでございます。  まず、複線化などの設備投資でございますが、こういった設備投資は、基本的には個々のプロジェクトごとに鉄道事業者でございますJR東日本におきましてまず判断をすべき問題だと考えております。  ところで、JR東日本におきましては、この区間の線路容量がまだ十分余裕がございまして、そういうところから、現在の時点では複線化の必要性が低い、こういうような考えであると聞いております。  ちなみに、私どもが伺っておるところでは、線路容量は、上下合計一日に百二十本の容量があるのに対しまして、現状は上り下り合わせまして七十五本ということでございまして、まだ相当の余裕があるというところから、JR東日本におきましても慎重な態度であるというぐあいに聞いておるところでございます。
  226. 今村修

    今村分科員 時間がかかり過ぎるというのもあるのですよ。列車に乗って川部−青森間、まだ複線化されていない部分三十一キロだったかな、その間を一時間以上もかけて列車が走るなんという本線というのは、これは全国にないのではないですか。ですから、これがもっと短時間で結ぶということになるとすれば、東京のように、時間がかかっても三十分以内で走るという形になると、その役割というのは相当違ってくると思いますよ。  そういう点では、やはり時間がかかるというのが逆にまた利用率の低下につながる、こういうことになると思っていますので、ぜひともここは強力に働きかけをして、何とか複線化を実現するという形をつくり上げていただけないものか、こう思うわけであります。運輸省がその気にならないとJRもその気にならぬと思うので、運輸省としてぜひともそれを目指すということを、努力いたしますということを言っていただけないですか。
  227. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 まことに恐縮でございますが、まずやはり基本的にこういう問題は、私ども役所がどうこうと言うよりは、経営主体でございますJR東日本がどう判断するかという問題だと思います。JR東日本が今後とも需要動向などを見ながら検討していくべき課題だと考えます。
  228. 今村修

    今村分科員 次に、津軽海峡線の騒音、振動問題の解決についてお伺いをしたいと思います。  昭和六十三年の三月に津軽海峡線が開業をして、開業後、列車本数が大幅に増加をして、青函トンネルを経由して、深夜から早朝にわたって多くの列車が通過するようになった。この地域はもともと軒下を列車が走るという、本当のローカル線であったわけであります。それを、ただ単に地盤を直して列車を走らせるという形にしてしまった。本来、軒下を走っている、チンチン電車の走る路線を、早朝、深夜にかかわらず、長い貨物列車が青函トンネルを経由して走り回るという結果になって、大変な振動、騒音公害が出たわけであります。  JR東日本では、ロングレール化、防音壁、防振壁の設置のほか、一部に家屋移転あるいは補修などの家屋対策などを講じてきましたけれども、依然として、これはもともと軒下を走っているという状況ですから、基本的に解決できない、こういう状況になっているわけであります。  できれば、新しく新線ができて線路が移動すると、問題は一挙に解決するわけでありますけれども、当面それはちょっと不可能だ。とすれば、その間、在来鉄道騒音指針、これをせめて適用していただいて、それ以上の振動や騒音の公害を与えないということにしていただけないものか、それが強い要望として出されているわけであります。この点についてのお答えをいただきたいと思います。
  229. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 津軽線につきましては、ただいま先生御指摘のとおり、津軽海峡線が通り始めましてから、JR東日本の優等列車が通るとかあるいはJR貨物の貨物列車が通るとか、そういうようなことで、騒音、振動につきまして大変多くの苦情が出てまいりました。  ただいま先生も御指摘のとおりでございますが、JR東日本とJR貨物におきまして、防音壁の設置であるとか防振壁の設置、鉄げた防音工、ロングレール化など、各種の騒音振動対策を実施してきたところでございます。予定していた対策も今年度に完了すると聞いております。これからは、引き続きJR東日本におきまして窓口を設置いたしまして、住民からの要望に対応するということにしております。  それから、御指摘ございました在来線の騒音指針でございます。  これが津軽線のようなケースに適用されるのかどうかでございますけれども、昨年の十二月二十日に環境庁が定めました指針は、在来鉄道の新設とか複線化、高架化などの大規模な改良を対象としたものでございまして、津軽線のようなケースにつきましては適用されないということになっております。しかしながら、私どもといたしましては、列車本数が相当ふえておりますので、こういう増加状況も考慮いたしまして、在来鉄道の騒音指針の大規模改良に準じた対策を講ずるよう鉄道事業者を指導していきたい、こういうぐあいに考えております。
  230. 今村修

    今村分科員 準じたという内容は、この指針と同じ内容のものでやれるということになりますか。その点お答えをいただきたいと思います。
  231. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 ケース・バイ・ケースで、やはりいろいろそれぞれの事情に応じて検討していかなくてはいけないと思いますので、この津軽線の状況もよく踏まえながら検討してまいりたいと思います。
  232. 今村修

    今村分科員 この現場を見た方はすぐわかると思いますけれども、線路そのものが家の軒下を走っているわけですね。津軽海峡を経由する列車が全部それを通るというのは最初から無理があったと思いますよ。ですから、被害が全部出てきている。  もともとこの地域、一両か二両連結した、ローカルの、本当の田舎を走るディーゼル車が走っていた地域なんですよ。地盤をちょっと直したという形で、何十両連結した貨物の列車から、お客さんを乗せた列車が走る、これはもう最初から無理な話で、この点をやはり、無理な話をやってしまったのですから、最低限ここだけはやれますと——確かに防音壁をやってくれたり、ロングレール化してくれて、ガッタンガッタンという音もちょっと長くなったというようなのもあります。ただ、基本的に軒下を走っているのですから、多少緩和されても基本的に解決になっていないという状況なんですよね。当分の間新幹線が通らないとすれば、海峡トンネルを新幹線が通るまで待たなければならぬ、こうなるわけで、地域住民の皆さんの苦情というのは、いらいらは募るばかり、こんな状況なんですよ。  ですから、最低限これだけは守ります、指針の中にある、音の高さはここまでで抑えますとか言ってもらえるとか、やはりそういう内容のものを具体的にやれないものですか、その点。
  233. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 先ほど申し上げました対策によりまして、平均的な騒音レベル、振動レベルは相当下がっておりまして、苦情も相当減ってきているのは実情でございます。  ただいま先生の御指摘のこういう状況でございますが、ただいま先生御指摘の点も踏まえまして、今後よく検討してまいりたいと思います。
  234. 今村修

    今村分科員 ぜひとも対策についてもよろしくお願い申し上げたいと思います。  以上で終わります。ありがとうございました。
  235. 谷川和穗

    谷川主査 これにて今村修君の質疑は終了いたしました。  次回は、明三月一日午前十時より開会し、運輸省所管について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十八分散会