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1996-03-01 第136回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年三月一日(金曜日)     午前十時開議  出席分科員    主 査 谷津 義男君       栗原 博久君    安倍 基雄君       川端 達夫君    高市 早苗君       山田  宏君    三野 優美君       錦織  淳君    兼務 安倍 晋三君 兼務 佐藤 剛男君    兼務 川島  實君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 菅  直人君         労 働 大 臣 永井 孝信君  出席政府委員         内閣法制局第一         部長      秋山  收君         厚生省保健医療         局長      松村 明仁君         厚生省薬務局長 荒賀 泰太君         厚生省社会・援         護局長     佐々木典夫君         厚生省老人保健         福祉局長    羽毛田信吾君         厚生省児童家庭         局長      高木 俊明君         厚生省保険局長 岡光 序治君         厚生省年金局長 近藤純五郎君         労働大臣官房長 渡邊  信君         労働省労働基準         局長      松原 亘子君         労働省職業安定         局長      征矢 紀臣君  分科員外出席者         大蔵省主計局主         計官      丹呉 泰健君         厚生大臣官房会         計課長     大塚 義治君         厚生省保健医療         局健康増進栄養         課長      笹本  健君         運輸省鉄道局業         務課長     宿利 正史君         労働大臣官房会         計課長     横田  浩君         自治省行政局公         務員部能率安全         推進室長    犬塚 英則君         厚生委員会調査         室長      市川  喬君         労働委員会調査         室長      松原 重順君         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ————————————— 分科員の異動 三月一日  辞任         補欠選任   小澤  潔君     栗原 博久君   安倍 基雄君     川端 達夫君   山田  宏君     高市 早苗君   錦織  淳君     田中  甲君 同日  辞任         補欠選任   栗原 博久君     萩山 教嚴君   川端 達夫君     上田  勇君   高市 早苗君     山田  宏君   田中  甲君     錦織  淳君 同日  辞任         補欠選任   萩山 教嚴君     小澤  潔君   上田  勇君     安倍 基雄君 同日  第三分科員川島實君、第七分科員佐藤剛男君  及び第八分科員安倍晋三君が本分科兼務と  なった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成八年度一般会計予算  平成八年度特別会計予算  平成八年度政府関係機関予算  (厚生省及び労働省所管)      ————◇—————
  2. 谷津義男

    谷津主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算及び平成八年度政府関係機関予算厚生省所管について、前回に引き続き質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川端達夫君。
  3. 川端達夫

    川端分科員 委員長、よろしくお願いします。大臣、よろしくお願いします。  私は、きょうの各紙に報道されております、特に日経は一面トップで、「厚年基金に初の財政支援」ということの報道で、連合会紡績業基金に十億円を出すという報道がされております。この厚生年金基金制度についてお尋ねをしたいと思います。  この制度は、御案内のとおり、昭和四十一年にスタートをして随分たつのですが、やはり時代が随分変わった。今のいろいろな国政の中で問題になっているものというのは、二十年、三十年たってきたという中で、立っている時代が全く変わってしまったというところにその端を発しているその一つだと思うのです。  この厚年基金制度も、基本的には右肩上がり日本の国が動いていくという前提に立っていたのではないかということだというふうに思います。しかも、金利もそこそこあるという、そういうことがベースになったと思うのです。基金運用金利は非常に下がる時代になった。そして、産業構造がどんどん変化するということで、加入者は減っていくけれども受給者はその分ふえるということで、こういう制度自体根幹から見直さなければいけない、そういう深刻な事態になっている。  きょうの報道にありました、対象になりました日本紡績業厚生年金基金は、昭和四十三年の設立当初は加入員が三万人弱、受給者が三百人弱と、大体受給者一人に加入者が百人いた、百人で支えていた。解散直前、一昨年の十一月で加入者が約二千人、受給者が七千人。そうすると一人で三・五人分を支えるということで、百人で一人が一人で三・五人になるというふうな状況になってきた。  紡績業というのは、当然日本産業の中で明治以来日本経済を支えてきた主力産業でありますが、今や紡績業自体日本の中では生きていけない産業だと言われてここ数年来ました。現実もそういう状況になってきました。そういうふうな産業がこういう年金等々を含めて成り立たない中で、非常に悩みながら動いているのが現状だと思います。  去年の十一月には兵庫繊維産業厚生年金基金解散しました。厚生省に、もう解散したいのだけれどもという相談が恐らくいろいろとあるのではないかというふうに漏れ聞いております。全国に約千九百基金あると思うのですが、そういう部分で、厚生省としてかなり厳しい状況になってきているなというふうに把握されているのはどれぐらいで、どんな内容なのか、簡単で結構ですのでお教えいただきたいのです。
  4. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 先生が御指摘のように、厚 生年金基金を取り巻く環境というのは非常に厳しくなってございまして、現在はその基金が行っております厚生年金代行給付に必要ないわゆる最低責任準備金、これを十分に確保していない、これが私ども危ない基金だと思っております。これが百九基金でございまして、これに対しまして積み立て水準回復計画を義務づけている、こういうことでございます。  それから、解散を検討している、こういう基金でございますけれども解散相談につきましてはかなり濃淡があるわけでございまして、関係者の大方のコンセンサスを得まして具体的に解散想定されて調整段階に入っているといいますのは、大体二つか三つかなというふうに思っておりますし、このほかに基金執行部解散も含めまして議論をしている、こういう段階のものが数基金あるのではないのかな、こういうふうに把握をいたしております。
  5. 川端達夫

    川端分科員 そういう状況、百九ほどはいわゆる準備金自体が厳しくなっているというか、むしろ落ち込んでいるというのは、当然ながらその企業自体がもともと大変になってきているということもあると思うのですね。そういういろいろな背景があるのですが、そういう御指導もいただいているという部分で、運営難あるいは解散相談せざるを得ないのが数%あるというその主な原因はどういうふうに認識されているのか。
  6. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 厚生年金基金というのは、いわゆる積立方式という形で、将来予想されます年金給付に必要な額を積み立てるということですから、予定どおりいけば人数が減ってもやっていけるというシステムになっているわけでございますけれども平均余命が伸びているわけでございまして、したがいまして、年金給付もそれに従いましてふえていくわけでございまして、一方、加入員の減少によりまして、そのふえた分を負担する能力というのが低下してきているわけでございます。  これまでは運用収益が非常によかったものですから、これでカバーしてきたわけでございますけれども、これについても非常に悪くなってきた、こういう状況で非常に厳しくなった、こういうふうに認識しております。
  7. 川端達夫

    川端分科員 時間が限られておりますので、きょうも報道されておりました件についてちょっとお伺いしたいのですが、この支払い保証制度ですね。  これは厚生年金保険法では厚年基金連合会任意事業で、実際に資金を積み立てし出したのは平成元年からだということで、五十三億ぐらいしか今積み立てられていないと聞いておりますが、きょう報道されておりました日本紡績業厚生年金基金は、平成六年十一月解散、昨年の十月三日に支払い保証請求の仮申請、ことし二月二十一日に本申請、いわゆる加入員に約束していた退職金を支給する際に不足する約二十五億円を連合会保証してください、こういう内容だと伺っております。そして、これは当然連合会任意事業である保証事業規程にのっとったものとして申請をされたわけです。  ここに「厚生年金基金理解のために」という連合会のお出しになった冊子があります。ここにもその保証事業のことが書いてありまして、   平成元年四月から、母体企業等倒産によって基金解散した場合、解散基金加入員に支給する年金給付につき一定額代行部分の百分の百三十)が確保されるよう、年金給付の額を付加する事業厚生年金基金連合会で行っています。   この事業は、全基金参加のもとに各基金からの拠出金を原資として運営されます。   なお、この事業は、他の企業年金にはみられないものです。 いえば宣伝ですね、ほかにはありませんよと。そして、百分の百三十が確保されるようにする事業です、こう書いてある。  これを普通に読めば、百三十くれるんだなというふうに読むということなんですが、これは連合会の本ですから、皆さんにお伺いするのも何となくちょっと違うのかなという気もするのですが、通常でいえば、一般に、やっていけなくなれば三割部分保証してもらえるというふうに理解をして、この制度運用されてきたというふうに思います。  現に、この経過を見てみますと、相当財政事情が悪くなってきた、この紡績業年金基金ですね。それで、既に平成五年の四月十三日には、大阪福祉部年金指導課あてに、大変になってきましたからという要望書から始まって、大阪、出先ですけれども、七月には状況説明書の提出、厚生省からの呼び出しに応じて基金大西常務理事事情説明の出頭、平成六年一月二十日に厚生省年金局企業年金国民年金基金課課長補佐等々といろいろ相談して、文書も交わしてということで、いわゆる解散をせざるを得ないという御相談平成五年の春ぐらいからおやりになって、これは準備金をちゃんと積み立てていないといけないということで、基本部分掛金率も、男子で五一、女子で四八相当分上乗せをした部分努力をしてこられて解散に至った。  大臣に聞きたいのですけれども、そんなに細かいことを聞くということではなくて一経緯として、平成五年春ごろからもうやっていけなくなったということで解散相談をした。そして平成六年十一月に解散した。解散してから三カ月たった平成七年の二月に、この保証金支払い制度規程が改正された。支払保証事業運営規程を改正した。今までは、このパンフレットにあるように、やっていけなくなったら百分の百三十は保証しますという事業をやりますということでやっていた。それで、初めてのケースだけれども解散した。  当然そこが対象になるというときに、十一月に解散をして、翌年の二月に規程が改正されて、減額することがあると。減額はもともとあったのですけれども、それ以外の規定として減額規定を設けた。そして、解散してすぐには保証請求申請はできないんだ、いろいろ手続があるんだということで、解散が六年の十一月で、規程改正後の七年の十月に支払い保証請求の仮申請がされた。そしてことしの二月に正式な本申請がされて、昨日、六割カットだということが出てきた。  しかも、なぜ六割カットなのかといえば、ちょっと例えが悪くて、そういうつもりは全然ないのですが、ただ、刑法でこういう悪いことをしたらこういう量刑がありますよ、罰則がありますよというのに基づいて裁判があって、判決がおりたというのが普通だと思うのですが、判決がおりるときに、量刑はこういう基準のものですということが一緒に発表された。そうすると、あなたはこういうことで罰則があるんだという罰則は、それが終わってしまってから、規程は後からできた。そして、それはどういう量刑なんですかというのは、判決と同時に示すという経緯をたどってきた。  これは実際のところは、やはり二十五億円の支払い保証をするのにお金が五十三億しかない、財布がないなというところからどうも議論をしてきたのではないかというふうに言われても仕方がないのではないかと私は思います。  こういう支払い保証事業規程の改定あるいは今回の一連に至るまで、厚生省にはどのような相談とかがあったのかなかったのか、それから何か指導されたのかどうか、まずそこの点を。
  8. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 若干の経過を申し上げたいと存じます。  御指摘支払い保証制度は、平成元年連合会任意共済事業という形でできたわけでございまして、母体企業倒産ということで基金解散した、こういった場合を想定して、まだ運用環境もいい時期にできたものでございます。  その後、基金を取り巻く経済金融情勢というのは非常に厳しくなったわけでございまして、母体企業倒産しなくても、今回のケースもそういうケースでございますけれども財政悪化によりまして基金残余財産がほとんどないままに解散す る、こういうことになったわけでございまして、制度の創設時にはおよそ想定されなかった事態が生じたわけでございます。  このような状況を踏まえまして、この日本紡績業厚生年金基金だけではなくて、ほかの基金解散もあったわけでございますし、その後も解散が予想される、こういう事態を踏まえまして、連合会におきまして、資産規模、六年度末で五十三億でございます、それからこういう個々の基金自助努力、こういうものを前提といたしまして基金相互の助け合い、こういう事業の性格、それから解散に至るまでの基金運営状況、こういったものを議論したというふうにお聞きしているわけでございまして、事業に参加されている基金意見が反映される、こういう形で保証水準一定の制限を設ける、こういう結論に至ったというふうに聞いているわけでございます。私ども厚生省といたしましては、この日本紡績業厚生年金基金保証事業の第一号の適用ということになるわけでございますので、やはり連合会の内部で慎重な議論をお願いしたい、特に受給権の保護についてどう考えるかというのを真剣に考えてほしい、こういうことで、一つ資産規模を考慮して考えてほしい。その場合に一つの方法としては、全額保証をして、もうこの基金ははっきり言えば資産そのものがなくなる、こういう道を選ぶか、あるいは乏しい資産でございますから分かち合うのか、どちらを選ぶのか、この辺も議論してほしい。  それから、やはり客観的な基準で公正にやってほしい、それから基金全体の意見を反映するような形で運営してほしい、こういうふうな総論的なお話をしたわけでございますけれども、やはり基金相互間での長期間にわたります議論、その上での結論、こういうものにつきましては私どもは尊重すべきだ、こういうふうに考えております。
  9. 川端達夫

    川端分科員 実態としては、今局長がいみじくも言われたことに大体合っているのじゃないかと思うのですが、もともと解散するなんて余り考えてなかった。それが現実解散するところが出てきた。そして二十五億円だ。次に解散するところも出てくる。兵庫県でも一つ解散した。財布を見たら五十三億しかない。これは払えない。どうしようか。そうすると財布に合わせて減額せざるを得ない、悪く言えばですよ。それでいろいろ理由を考えて減額した。  この支払い保証制度というのは何だろう。みんなが分かち合ってというときに、ちゃんとやっているところは分かち合う精神がないのかということになるわけですね、結果的には。みんなそれだけしか積み立ててない。それをちゃんとしょうとしたら積み立てをふやさなければいかぬ。しかし、ちゃんとやっている場合は、そんなものに出したくないというところもいっぱいあるでしょう。ということは、この仕組み自体が実は砂上の楼閣といいますか、実際こういうことになったら何も機能しないものでしかないというのが現実だと思うのです。  これからいろいろ出てきたときに、この減額報道によるとということで、これは推測記事かもしれない。きょうの新聞記事でいうと、これからの分で今度減額基準を決めた。しかし、それが本当にずっとそういうもので担保されているのかなというと、どうも私は違うのじゃないかなと懸念をする。本当になくなってきたら、もっと積立金をそこへふやせというよりは、払う方を減らしていけという話になるのではないか。  そうすると、少なくとも連合会という組織が法に基づいた上乗せ部分をやりながら、任意事業としてやる。任意だから、今あなたが言われるように、その人たちがいろいろ相談してやったらいいのですよというはずのものがこんな形になっているということは、大変深刻な問題だと私は思います。  だって、十一月に解散するときのその人たち想定は、丸々もらえると思って解散したのです。解散したときに支払い保証を受けられる条件は整っているのですよ、間違いなく。そして、減額規定はありますよ、しかし、その分は減額することの対象にはならない。  要するに、公的部分に準備するお金がなかったら解散もできないということですし、今損害賠償訴訟まで起こっているからということで、皆さんの御指導もあって無理して積み増しをして、平成六年十一月にやっと解散できるようになった。しかし、その前提は、二十五億円もらえるという保証制度があると思っていたら、翌年の二月になったら規程が変わりまして、減額というものがあるのですよと。それから審査が始まったら六割減額だと。  大体ここの部分では、一千万円の退職金ということになると、八百万円は企業退職金で、二百万円はこの事業でという想定をしているところが多いのですね。そうすると、百二十万円カットして八百八十万円。今この業界自体が置かれている状況でいうときに、事業がやっていけなくなった、だから企業も閉鎖せざるを得ない、あるいは希望退職等々で退職を余儀なくされる人もいっぱいいるという中で、この再就職の厳しい状況の中で退職金だけはそこそこちゃんと、企業だけだったら八百万円が、こういう制度にも入っているから、企業責任としても従業員安心費としても一千万円の退職金があるんだ。民間だったら大体一千万、一千二百万というのが相場ですからね。  何か報道によると、公務員の物すごい偉い人はむちゃくちゃ退職金をもらっているということで余計腹が立つのですけれども、まあそれは別です。  そういうときに百二十万円減額で八百八十万だというのは、この企業あるいはその周りの人たちから見たら詐欺に遭ったようなものだ。だって、この年金制度は、もうやめにしよう、うちはやっていけないというときの制度としては、三割の部分保証されて二十五億円もらえると思っていたら、後で規程が変わりました、後で申請した部分はと言われたらというふうに私は思いますね。しかも、その根底にある部分でこの制度自体本当に大変な状況になっている。  しかも、今回こういうふうに決めましたというのがきのう出ました。六割カットするという。そのときの、六割カットするということの要するに理由がいろいろと書いてあります。  「解散基金支払保証事業の判定」ということで、この部分支払い対象になるという判断をされた。それはいいと思う。  今度は「支払保証水準について」、これが去年の二月に急遽追加された減額規定ですね。これの第二号と第三号に該当するのだと。  その一つが、残余財産支払い保証限度額に比べて著しく少ないということで、全然財産がないのだから余り保証はできないのだと。残余財産が厳しくなっているから解散するのですよ、それも無理無理ほかからまた追加までとってやっと積み増しして。これが財産が少なくて、そしてもともと公的の部分基金がなければ、これは制度根幹にかかわることですから、解散もできないわけですから。そこまで強制力を持たせて、すっからかんになったところで、あなたのところには残余財産がないから、保証額財産の残っている部分に応じて大幅に減額しますと言われたら、これはひどい話ですよ。  もう一つは、管理運営全般、それから年金運用受託機関への対応について適正を欠いている。適正を欠いているから一割減額だと。当事者ではございませんからあれですが、運営管理、それから財務会計年金積立金運用受託機関への対応について適正を欠いているというのはどういうことなんでしょうか。
  10. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 私ども連合会から聞いておりますのは、細かいことはちょっと私も承知いたしてないわけでございますけれども、やはり一つは、財政健全化努力しているかどうか、こういうことでございまして、財政要因分析をしまして、財政健全化の実施など適正に対応したかどうか、あるいは被保険者とか関係者情報開 示を積極的に行ったかどうか、あるいはこれは運用の問題でございますけれども基金成熟度等に応じましてリスクに応じた資産運用をやっていたかどうか、運用方針をちゃんとつくって受託機関とうまく連携をとっていたか、こんなようなことを審査した、こういうふうに聞いております。
  11. 川端達夫

    川端分科員 非常にあいまい、抽象的なんですよ。例えば減額を決めるときに、こういうことだと言われたら一割カットなんですよ、適正に運用していたかどうか、今言ったようにちゃんと受託機関連携をとっていたか。利回りがそこの基金だけほかに比べて非常に悪い、受託機関に任せきりで何も知らなくて物すごく悪い、受託機関がひどいことをしていたというような具体的なことであれば、私はわかるのですよ。何か知らぬけれども連携が悪かったとか適正を欠いた。  そういう部分でいうと、要するに減額することの言いわけで、払えないから減額せざるを得ない。そのときにいろいろな項目をつくって、その減額は、これで半分、これで一割でトータル六割。あと、怠慢とかインチキしていたら一割とか。逆に言えば、私はインチキしていたら半分でもいいと思うのですよ。まともにやっていて、必死の思いでやっていたときに後から理由づけをしているから、みんなそういう具体的な基準じゃないのですよ。そして、具体的に書いてある部分だけは、残っている財産が少なかったらどんどんもらえる額が減るという仕組みで半分までということは、私はこういうやり方に非常に疑問を感じる。  そして、これは連合会自主運用だとおっしゃる。任意事業だということなんですが、この組織自体厚生省と法律的な部分でリンクしている。この事業任意事業ですけれども厚生年金基金連合会役員理事長常勤理事六人のうち四人が厚生省、一人が大蔵省非常勤理事金融機関とかいろいろないわゆる民間基金理事長常勤、要するに基本的にいつもそこに勤めてやっている人というのは、ほとんど厚生省の人ばかりですよ。ここにいただいたのですが、そう書いてある。  そういう部分でいったときに、いろいろな今回の一連運営を見ると、本当にこの連合会というのは何のためにあるのだ。財団として経営が難しくなってきていたら、それこそ統合するとかいろいろな指導をするとかいうことが、これ、審査とか何かあるのは、あなたのところ足りませんよと言うぐらいの、たしか何かそういうのがあるのですね。  ちょっと時間が来てしまいましたが、そういう部分で、この連合会のあり方、それからこの事業のあり方も含めて、時代環境が変わった中でいろいろ手かせ足かせはめておるわけですね。運用も手かせ足かせはめておきながら、人が減ってきて受給者がふえてという部分で大変になって、解散したら予定していた保証金は半分ももらえないというふうな部分は、根元から私は見直してほしいというふうに思うのです。  最後に、せっかく来ていただいて大臣に一言もお話しいただかないのは失礼ですから、御感想をひとつお伺いして、終わりにしたいと思います。
  12. 菅直人

    ○菅国務大臣 今、川端さんの方から厚生年金基金について、本当に時代の大きな流れの中で、当初想定されてないような形の解散といったことが現実の問題として起きてきて、それに対して支払い保証制度自体も、比較的最近まで来たようですが、それ自体が適用しようとしたらルールが変わった。  確かにおっしゃるように、必ずしも納得が十分にいくかというと、それぞれの関係者、疑問をお持ちの方もあるというのはよく理解はできます。その上で、ではどうすればいいかということをやはりこれは根本的に考えていかなければいけないのだろう。  ただ、厚生年金基金そのものは大変大きな制度であり、同時に多くの皆さんがそれに期待もしているわけですから、この支払い保証制度の見直しをどういう形でやっていくのか、基金全体のコンセンサスを形成しつつ、できればもう少しきちんとカバーできるような、もう少し力を持ったものに拡充していくということも必要ではないだろうか。  いずれにいたしましても、基金加入者の方々の受給権保護ということは、今後の基金制度のあり方を考えるに当たって極めて重要な視点であるというふうに考えておりまして、基金制度に対する国民の信頼を得るためにも、支払い保証制度の見直しや基金財政健全化のために、今の川端さんのいろいろな御指摘も踏まえながら努力をしてまいりたい、こう考えております。
  13. 川端達夫

    川端分科員 ありがとうございます。終わります。
  14. 谷津義男

    谷津主査 これにて川端達夫君の質疑は終了いたしました。  次に、高市早苗さん。
  15. 高市早苗

    高市分科員 新進党の高市早苗でございます。よろしくお願いいたします。  最初に、同和対策事業について何点か伺いたいのですが、昭和四十四年の同和対策事業特別措置法制定以来、同和問題というのは、その解決は国の責務であり、また国民的課題と言っても過言ではないと思います。しかし、二十五年以上経過いたしました現在、法の趣旨に照らしてみて、まだ積み残しとなっている課題が数多くあると思うのですが、同和問題解決に対する菅大臣の御決意を伺いたいと思います。
  16. 菅直人

    ○菅国務大臣 厚生省といたしまして、この同和問題は憲法に保障された基本的人権にかかわる重要な問題であり、国民的課題であるというふうに認識をいたしております。厚生省が所管する物的事業の取り組みについては、いわゆる地対財特法の趣旨を踏まえて、いろいろな事業を予定に沿って完了できるように現在努力をしているところであります。  そういった意味で、今の高市さんからの大臣の認識ということですが、やはりこの問題はきちんとそういう観点に立って進めていかなければならないまさに国民的課題、そういうふうに認識しております。
  17. 高市早苗

    高市分科員 ありがとうございます。  今大臣がおっしゃった地対財特法なのですけれども、失効まで残すところあと九カ月ほどとなっております。私の地元でも、法期限後も引き続き取り組まなければならない課題、事業を多く残しております。特に奈良県では、該当する地域に特別財政力の弱い市町村が多いことから、このまま期限切れになってしまうと財政破綻が起こるのではないかと危惧をされております。  そうなってしまいますと、これまでせっかく少しずつ積み上げました問題解決への努力の成果も水泡に帰し、同和問題解決という二十五年前の同和対策事業特別措置法に込められた国家の決意もむだになるのではないかという声を各方面からいただいております。さらなる行財政措置の具体的施策というものが早急に望まれると思うのですが、この点について菅大臣の見解を伺いたいと思います。
  18. 菅直人

    ○菅国務大臣 現在、法期限内に予定された事業の完了を図るべく、平成八年度予算案においては対前年比五十四億円増の二百三十一億円を計上いたしておりまして、これによって法期限内に予定されている事業については実施ができるものというふうに考えております。  また、この地対財特法の失効後の方策のあり方については、現在、地域改善対策協議会に設置された総括部会において、三月末をめどに精力的に御審議が進められているところでありまして、厚生省としてもこれらの議論の動向を十分に留意しながら対応してまいりたいと考えております。
  19. 高市早苗

    高市分科員 ありがとうございます。いい結果を期待して待たせていただきたいと思います。  大臣にあと一点なのですけれども、二十一世紀を目前にしましてこの国の将来を考えますときに、やはり未来の競争力とか、それからすばらし い未来を担う人材ということを考えますと、幼児教育、それからそれを支える良質なマンパワーの確保というのがとても大切だと思いますが、この点についての御見解を伺いたいと思います。
  20. 菅直人

    ○菅国務大臣 大変大きな課題といいましょうか、今子供たち、特に幼児の教育のあり方という問題は、社会の変化の中で従来とはかなり違った環境になってきているのだろうと思います。  そういう点では、どういう形をとるべきかというほど私も具体的にイメージがあるわけじゃありませんけれども、もうちょっと上の子供たちの今のいじめの問題とかいろいろ見ておりますと、従来のように枠にはめた管理型で育てていくという、それはそれで日本の発展に適応する人材をある時期までは供給したのかもしれないけれども、これからはもっと独創力とか創造力とか、そういうものを持った人間が生まれてくるようなあり方を目指すべきではないかな、そんなふうにも感じております。
  21. 高市早苗

    高市分科員 大臣がおっしゃいました独創力とか創造力とか、とても大切なことだと思うのですが、そういったことはやはり乳幼児期の教育というものに大きくかかわってくるように思います。  また少し具体的な同和問題に戻るのですが、地域改善対策特別保育事業では、同和地区児童の混在率おおむね五〇%の保育所を対象に保母さん二名の加配を行っております。補助率は、国が二分の一、県が四分の一、市町村が四分の一でございます。  例えば奈良県でも、現行財特措置がある場合は、平成六年度で国庫から九千七百五万二千円をいただいておりますけれども、法期限後はこれが丸々市町村に乗っかってくるのじゃないかということで不安の声が上がっております。  特に同和保育は、対象地域の乳幼児の基本的能力の全面的発達を保障するものとして重要な意義を持つと考えております。ですから、法期限後も法的措置を含めて財政措置等具体的な方策を講じていただきたいのですけれども厚生省のお考えはいかがでございますか。
  22. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 地域改善対策の特別保育事業で今先生御指摘のような保母の加配をやっておるわけでありますが、これは対象地域の乳幼児の心身ともに望ましい発育ということを考え、そしてまた、個々の乳幼児の家庭環境とか心身の発達状況とか、そういった点について十分配慮したきめ細かな対策が必要だろうというふうな観点から、これまで加配が行われてきたわけであります。  この地対財特法が期限切れになった後の対策につきましては、現在進められております地域改善対策協議会の総括部会の議論等も見まして今後考えてまいりたい、こんなふうに考えております。
  23. 高市早苗

    高市分科員 それでは次に、隣保館運営への補助制度について伺います。  現行、財特措置がある場合、これも奈良県の例で恐縮なのですが、平成六年度、国庫から二億九千三十八万八千円をいただいておりますけれども、これは額が大きいだけに、期限後の隣保館運営事業の展望が立たない状況になってきております。  隣保館では、地域住民の生活基盤の確立と自立向上への支援、それから地区内外啓発や交流、そういったことを通じて非常に意義のある活動が展開されていると思います。私の地元を見ましても、まだまだ非常に高い生活保護率、失業率、それから悪質ですごく陰湿な差別落書き事件など、そういった地域の姿に接するときに、深刻な問題を抱える地域でございますから、これまでの取り組みの成果が何とか後退しないように、それから、市町村の財政力によって隣保館活動の運営に格差が生じないように配慮をしていただきたいと思うのです。  御答弁いただいても多分三月を待ってということになるのでしょうけれども厚生省としてこの問題をどうお考えか、伺いたいと思います。
  24. 佐々木典夫

    ○佐々木(典)政府委員 今お話もございましたけれども、国の予算全体では平成七年度で五十億ほど計上いたしておりますが、確かに奈良県に三億弱補助が行っているわけであります。  今お話もございましたが、この隣保館につきましては、地域内の各種相談事業であるとか周辺地域との交流、地区内外の啓発等を行ういわばコミュニティーセンターとして大変大きな役割を担っておるというふうに私ども認識しております。  それでは、八年度で地対財特法が終わった後はどうなるのだろうかということでございますが、この点につきましては、地域改善対策協議会に設置されました総括部会において、三月末を目途に今精力的に御審議が進められているところでございます。厚生省といたしましては、これらの議論の動向に十分留意しながら対応してまいりたいと考えております。
  25. 高市早苗

    高市分科員 日本国憲法に保障された基本的人権、それから平等の国でございますから、何とか財特法期限切れ後もいい形で皆様のこれまでの努力が発展していきますように、何分よろしく御配慮をお願いいたしたいと思います。  次に、高齢者福祉について伺いたいのですけれども平成六年の十二月十八日に、厚生、大蔵、自治、三大臣によりまして新ゴールドプランが合意をされました。在宅サービスが十万人から十七万人へ引き上げられるとか、確かに数字上は華々しいものの、このプランを実現させることを考えるといささか不安な思いを持っております。  国庫補助事業の場合、地方自治体の財政負担も伴ってまいりますので、プラン実行に当たっては各自治体の財政力が大きなかぎとなってまいります。地方自治体の中には、現在の補助率ではとても財政的についていけないと、新ゴールドプラン実現そのものに本音の部分では非常に悲観的な声も聞かれます。  全国の自治体の財政力の実情にかんがみて、この新ゴールドプランの実行にいかに対応する決意がおありか、これは菅大臣から御見解を伺いたいと思います。
  26. 菅直人

    ○菅国務大臣 高市委員の方から今お話がありましたように、平成六年から十一年度末を目標に新ゴールドプランが作成され、現在進行いたしているわけです。この新ゴールドプランは、国民が安心して老後を迎えることができる介護体制を整備するものであり、これを着実に推進し、地方老人保健福祉計画に基づく自治体の取り組みを全面的に支援していくことにより、地域の実情に応じた介護サービスの基盤の整備に全力を尽くしてまいりたいと考えております。  自治体側がいろいろ苦労しているというお話はいろいろ聞いております。また同時に、この新ゴールドプランの先には新しい介護制度、公的介護保険制度といった議論がいよいよ具体的な形をとる段階に近づいておりまして、そういう点では、今言われましたこの新ゴールドプランを地方が実現できるような国としての財政的な対応というのは、この間もそれぞれ与野党を超えての御支援の中でかなり予算獲得でも頑張っていただいている、あるいは厚生省としても頑張ってきているというふうに認識しておりますが、これからも全力を尽くしていきたいと思っております。
  27. 高市早苗

    高市分科員 大臣、ありがとうございます。  今からは具体的な点で、私、地元から預かってまいりました要望について見通しを伺いたいので、政府委員の方からお願いします。  在宅支援事業についてなのですが、日常生活用具給付事業についての補助率、現在は三分の一なのでございますけれども、これを在宅主要三事業と同様二分の一にしていただきたいという声が強うございますが、いかがでございますか。
  28. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 お答えを申し上げます。  老人の方々に対する日常生活用具の給付事業というものは、高齢者の在宅生活を支援するために大変大事な施策であるというふうに私どもも思っております。  補助率についてのお尋ねでございますけれど も、老人日常生活用具給付事業を含みます在宅福祉全般の国庫補助につきましては、昭和六十年の補助金問題検討会あるいは臨時行政改革推進審議会等一連の国の補助のあり方についての審議会等の答申等を受けまして、国と地方の役割分担あるいは費用負担のあり方等を踏まえまして、現在このような形で設定されているものというふうに考えております。  それで、今の在宅福祉の中における老人日常生活用具給付事業の補助率でございますけれども、老人の在宅福祉事業の中でも、今大臣からも申し上げました新ゴールドプランの中でもいわば三本柱として位置づけられておりますホームヘルパーあるいはデイサービス、ショートステイといったような基幹的な事業につきましては、これは法定の補助ということで二分の一の補助をいたしておりますが、日常生活用具の給付事業につきましては、いわゆる法定補助という位置づけではなくて、これを普及していくに当たって、三分の一という補助でありましてもこの普及を図ることができるという位置づけにしてございまして、したがって、こちらの方については今三分の一の補助ということでございます。  したがって、在宅福祉事業の中におけるいわばウエートづけと申しますか、どこを主体に補助金を入れていくかという政治の中でこのような形になっておるわけであります。したがいまして、現在の制度の延長線上で今それを直ちに上げるということは、これはどれについても国庫補助がどんどん上がればいいというわけにもまいりませんので、なかなか難しい問題がございます。  ただ、今大臣からも申し上げましたように、現在、新しい介護制度、介護システム、その一つとして介護保険制度ということで検討を進めておりますが、老人保健福祉審議会におきまして第二次報告というのが出されておりまして、その中で、介護保険を導入いたします際には、高齢者の自立を支援するための車いすでございますとかあるいはギャッジベッドといったような福祉用具につきましても、いわばこの新しい保険制度給付、保険給付にすべきであるというふうな御指摘をいただいておりますので、そういった新しい保険制度ができました暁には、その中で老人の日常生活用具の給付事業についても、どのようにやっていくかということについて新しい取り組みを総合的に検討してまいりたい、こんなふうに思っております。
  29. 高市早苗

    高市分科員 事業の中における補助率のウエートづけという点ではよくわかりました。  しかし、とうとい命を守るための事業というものに関しては、今から申し上げるものに関して御検討いただきたいのですが、一つは、緊急通報装置の保守点検費用、これは補助対象にぜひしていただきたい。それから、ケアハウスなどの軽費老人ホーム、ここの入所者の安全対策のためのスプリンクラー設備、これを補助対象にしていただきたいという御要望も強いのですけれども、これは命にかかわる問題なので、ぜひ御見解をいい方向でお聞かせいただきたいと思います。
  30. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 二点お尋ねがございました。  まず、緊急通報装置でございますが、ひとり暮らしの老人の場合等、急病あるいは災害等がありましたときの緊急事態への対応ということは非常に大事なことでございます。そういう意味で、緊急通報装置につきまして、その給付あるいは貸与というものそのものにつきましては、補助事業として現在これを進めておるところでございます。  給付をされました緊急通報装置の保守点検につきましては、結局どこまでを補助にするかということになるわけでありますけれども、本人におきましてその保守点検の部分は行っていただくということで、そこまでのところはそれぞれのところでお考えおきをいただくという形で対応させていただいておるわけであります。  したがって、私どもとして今力を入れていきたいのは、貸与事業でありますとかあるいは給付事業そのものをできるだけ広く、まだまだ普及していないところもございますから、保守点検といういわば運転経費ではなくて、最初に器具そのものが普及をするということがまずもって大事なことでございますので、そのようなところを重点にまずはやらさせていただき、あわせまして、そういう保守点検にも関係いたしますけれども、そういうものの保守点検の方法でありますとかあるいは使い方といったようなことについての技術的な指導、これもいざというときは大変大事でございますから、そういったことにつきましては在宅介護支援センターを通じまして指導等を図っていきたいということを考えております。  なお、そうはいいましてもこの緊急通報装置、せっかくあれしたのがもう故障してしまった、使えなくなったというようなときには、またこれはそれぞれの市町村の判断によりまして再度の給付ということも可能な道を開いておるところでございます。このようなことで現在のところは取り進めさせていただきたいというふうに考えております。  それから二点目でございます。ケアハウスあるいは軽費老人ホームにつきましてのスプリンクラーの設置でございます。  現在、社会福祉施設におきますスプリンクラー設備の整備につきましては、まずもって消防法上の防災上の観点というのがきちっとあるわけでありまして、それにのっとって私どももやらさせていただいております。  したがって、現在、消防法上スプリンクラーの設置の義務づけがされております、最も緊急度の高いと思われる、身体上また精神上の理由によりまして自分からはなかなか避難することができない、あるいは避難することが困難だというような方々が入所しておられます特別養護老人ホーム等につきましては、これはある程度の面積等の規制がございますけれども、こういったものについてまずやっております。  そのほかでも、一定規模、六千平米ぐらい以上になっておりますが、六千平米以上の大規模な施設についてはスプリンクラーの設備を消防法上も義務づけられておりますし、それにのっとって私どもも補助対象といたしておるところであります。そういった形での整備促進を図ってまいりたいというふうに思っております。  それ以外の、いわゆるそれ以下の施設と申しますか、規模的にも小さいという施設につきましては、現在のところは国庫補助対象にはなっておりません。これも現在の厳しい財政事情の中からどこまで対象にしていくかという問題になってまいりますので、今の考え方でいえば、ここは非常に緊急度の高いということで消防法上も義務づけられているような部分について、まず優先的に現在補助制度をやっておるということで、スプリンクラーに限りませず、しかし防災対策というのは大変大事でございますから、構造上防火構造にする等も含めまして、できるだけ防災対策には力を入れていきたいというふうに考えております。
  31. 高市早苗

    高市分科員 高齢者の方の場合、割とお元気で一戸建てのおうちに一人でお暮らしの方などでも、火災に巻き込まれて悲惨な結果になったりしておりますので、その施設の大きさとかそれから症状にかかわらず、現在の整備が終わりました後、ぜひ軽費老人ホームのスプリンクラーの方、補助事業として御検討をいただきたいと思います。  あと一つ高齢者福祉に関してなんですけれども、私の地元事務所にも、とにかくうちのおばあちゃんが入れる老人ホームを探してくれという陳情が毎月山のように来るのですけれども、私の住んでおります奈良県の北の方、どこでもそうですが、都市部の方になりますと入所待機者というのがすごい大変な数に上がっておりまして、なかなか御希望に沿えない状況でございます。  特別養護老人ホーム、それからデイサービスセンターなどの施設整備につきましては、うちの奈良県の方では実施単価が国庫補助基準額を大変大きく上回っております。できるだけ早くお待ちの方が希望どおりの施設に入れますように、ぜひこ の国庫補助基準額を大幅に引き上げていただきたいと考えるのですが、この先の展望、計画等おありでしたらお願いいたします。
  32. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 先生お話しのとおり、特別養護老人ホームにつきましては、地域ごとのばらつきもございますが、なべてまだ完全に充足をされているという状況にはございませんで、目下、先ほどお話ございました新ゴールドプランにおきましても、一つの大きな柱として、特別養護老人ホームにつきましても二十九万人分の目標を掲げまして、毎年かなりの数を整備していくということで進めてまいっております。  その際、整備を進めるに当たって、今おっしゃった補助単価の面等で、どう整備の進めやすい条件づくりを進めていくかということが大事な視点だろうと思います。八年度に当たりましても、総体的な量の確保と同時に、単価につきましても、建設コストのアップに応じまして単価アップをさせていただいたところであります。  今後とも、そういう意味でできるだけ整備が進むようなことを配慮しながら、単価アップについても心がけてまいりたいというふうに思います。
  33. 高市早苗

    高市分科員 ありがとうございます。どうか高齢者福祉に関しては、これから菅大臣が陣頭に立って積極的に進めていただきたいと思います。  次に、話はころっと変わるのですが、HIV感染者の差額ベッド代について伺いたいのです。  現在、感染者の差額ベッド代というものは本人負担になっておりますけれども、これが患者さんとその御家族にとって大変な経済的負担になっている例を聞いております。今後これを免除していただけるような見通しはあるのでしょうか。
  34. 岡光序治

    岡光政府委員 現在の扱いについて御説明申し上げますが、治療上の必要から特別室に入っていただかなければならないという場合には、患者にベッドの差額の分の負担を求めないようにということにしております。それから、そういう治療上の必要性がない場合の扱いでございますが、その場合には、患者側の希望がある場合に限ってその利用料を取る、こういうことになっております。ケースによって随分状況が違うと思いますが、私どもそういう一応の整理をしております。  なお、重症患者の受け入れが否定されては困りますので、診療報酬上の対応としましては、重症者の療養環境特別加算ということで、個室または二人部屋に入院した場合には特別の診療報酬上の加算をするとか、あるいはエイズの感染者、患者の受け入れの円滑化を図るために、入院をされる場合にまた加算をするとか、そういう経済保障の面で補てんをしながら対応しているところでございます。
  35. 高市早苗

    高市分科員 今、治療上の必要がある場合は差額ベッド代は必要ない、必要のないときは患者側の希望に限ってのみいただくということなのですが、厚生省の省令で、差額ベッド代については患者サイドの同意を義務づけるものがあったと聞いたのですけれども、その内容を簡単に説明してください。
  36. 岡光序治

    岡光政府委員 今申し上げましたように、治療上特別室の利用は必要がない、こういう場合に患者へ十分な説明をして、それで患者が特別室の利用を希望した場合に、そのときに限って差額徴収は可能である、こういう扱いを通知しているものでございます。
  37. 高市早苗

    高市分科員 それを守らなかった医療機関に対して何らかの罰則規定はございますか。
  38. 岡光序治

    岡光政府委員 それは、いわゆる保険診療を扱う場合の療養担当規則というのがございます。これは省令でございますが、今申し上げたルールに反する場合には、その療養担当規則違反ということになります。それはグレードによりますが、内容をちゃんと精査をして、その療養担当規則違反の度合いが高ければ、場合によっては保険医療機関の取り消しにまでつながるような扱いにしているわけでございます。
  39. 高市早苗

    高市分科員 ある公立の拠点病院なのですけれども、HIV感染者は個室に入っていただかないとほかの患者さんが嫌がるということをあからさまに言われまして、患者さんの親御さんは、子供がその病院にいづらくなって入院治療を続けられなくなることを恐れて、渋々個室に移すことを同意せざるを得なかったという話でございます。  その親御さんは食品会社の社長さんだったのですけれども、子供さんがHIV感染者であることを社内で知られてしまって、結局、会社のイメージにかかわるからということで株主総会で社長をやめるようにしむけられ、現在は安定した収入の道がない。この一家にとって個室の費用負担というのは耐えがたいものになっております。  このような圧力による同意というものは省令違反にならないのでしょうか。
  40. 岡光序治

    岡光政府委員 個別事例については、また十分調査をしないと私ども正確な御返事はできませんが、不適切な利用料の徴収が行われるということは大変困りますので、私ども従来から医療機関に対しましてそういう趣旨の徹底を図っております。  個別のケースにつきましては、私ども、個別の事情を十分確認した上でなお適切な対応をいたしたいと思っております。
  41. 高市早苗

    高市分科員 ぜひよろしくお願いいたします。これから医療機関への調査、それから徹底した指導皆さん患者さんの御家族は周りの患者さんに気を使いながら一生懸命治療を続けておられますし、先ほど申し上げましたような事情で収入的にも苦しい思いをされている方が多うございますので、指導、調査とともに、差額ベッド代の負担に関してもまた今後御検討いただきたいと御要望申し上げまして、私の質問を終わります。  本当にありがとうございました。
  42. 谷津義男

    谷津主査 これにて高市早苗さんの質疑は終了いたしました。  以上をもちまして厚生省所管についての質疑は終了いたしました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時六分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  43. 谷津義男

    谷津主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  労働省所管について政府から説明を聴取いたします。永井労働大臣
  44. 永井孝信

    ○永井国務大臣 平成八年度労働省所管一般会計及び特別会計予算について、その概要を御説明申し上げます。  労働省所管一般会計は四千九百八十億円で、これを前年度予算額と比較いたしますと三百二十九億円の増額となっております。  次に、労働保険特別会計について、各勘定ごとに歳入歳出予算額を申し上げます。  労災勘定の歳入予算額は二兆一千百九十五億円で、これを前年度予算額と比較いたしますと百二十六億円の増額となっております。また、歳出予算額は一兆四千三百八十七億円で、これを前年度予算額と比較いたしますと五十六億円の増額となっております。  雇用勘定につきましては、歳入予算額、歳出予算額とも三兆二千五百九十九億円で、これを前年度予算額と比較いたしますと千六百四十一億円の増額となっております。  徴収勘定につきましては、歳入予算額、歳出予算額とも三兆五千八百八十七億円で、これを前年度予算額と比較いたしますと六十二億円の減額となっております。  石炭並びに石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計の石炭勘定のうち労働省所管分の歳出予算額は百六十二億円で、これを前年度予算額と比較いたしますと一億三千万円の増額となっております。  平成八年度の労働省関係予算につきましては、産業構造の変化や本格的な高齢化への的確な対応、安心して働ける豊かな勤労者生活の実現、多様な個性や能力を発揮できる環境の整備、障害者等に対する対策と阪神・淡路大震災関連対策の推 進、国際社会への積極的貢献など、労働行政の重要課題に的確に対応していくための予算措置に十分配慮しつつ、財源の重点配分に努め、必要な予算を計上したところであります。  以下、その主要な内容について、概略を御説明申し上げるべきところでございますが、委員各位のお手元に資料を配付してございますので、お許しをいただいて、説明を省略させていただきたいと存じます。  何とぞ格別の御協力を賜りますようお願い申し上げます。
  45. 谷津義男

    谷津主査 この際、お諮りいたします。  労働省所管関係予算の重点項目については、その説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 谷津義男

    谷津主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔永井国務大臣の説明を省略した部分〕  以下、その主要な内容について、概略を御説明申し上げます。  第一は、産業構造の変化や本格的な高齢化への的確な対応に必要な経費であります。  技術革新の進展、企業活動の海外シフトの進展等の下で産業構造の大きな変化が見込まれるなか、わが国経済が安定した発展を遂げるためには、国内産業の高付加価値化や新分野への事業展開を図ることが肝要であります。  このため、これを担う人材の育成に資する職業訓練や自己啓発等の能力開発に対する支援を行う「人的資産形成プログラム」等を実施することとしております。  また、産業構造の変化等により、一部の業種においては、雇用量の減少を余儀なくされ、労働移動が避けられない状況にあることから改正業種雇用安定法に基づき、これらの業種における失業をできるだけ防止すべく出向、再就職のあっせんによる雇用機会の確保に対する支援策を推進するとともに、改正中小企業労働力確保法に基づき、ベンチャー企業等新分野展開等を目指す中小企業者の人材の確保、魅力ある職場づくりを支援することにより、新たな雇用機会の創出を図ることとしております。  さらに、雇用調整助成金制度等を活用した雇用安定対策の推進や林業における労働力の確保を図るため、林業労働者の雇用管理の改善に関する総合的対策を推進することとしております。  また、大学等の新規学卒者を取り巻く就職環境は大変厳しい状況にあります。このため、各都道府県に設置された学生職業センター及び学生職業相談室を通じ、きめ細かな職業相談の実施、合同選考会の開催等により、就職支援対策の強化を図るとともに、学生の就職支援を一体的かつ総合的に実施するための「学生総合支援センター」(仮称)を東京都に設置することとしております。  そのほか、急速な高齢化に対応すべく、六〇歳定年を基盤とした六五歳までの継続雇用を積極的に推進するとともに、従来、市町村を単位として設置してまいりましたシルバー人材センターについて、新たに都道府県単位の新組織としてシルバー人材センター連合を設けることにより、就業を希望する高齢者が全国どこでもシルバー人材センター事業に参加できるようにするなど高齢者対策の一層の推進を図ることとしております。  これらに要する経費として二兆五千四百七十六億円を計上いたしております。  第二は、安心して働ける豊かな勤労者生活の実現に必要な経費であります。  近年の少子・高齢化等が進む中で、勤労者が長期的な生涯生活設計に基づき計画的に対応することを促進していくことが必要であります。このため、財産形成貯蓄活用助成金制度を創設するとともに、中小企業団体等が財形事務を代行して行なうことができる制度を創設するなどにより、多様な生涯ニーズの実現に向けた勤労者の自助努力を支援することとしております。  また、ゆとりある勤労者生活の実現に向けた労働時間対策の推進を図るため、中小企業の週四〇時間労働制実現に向けた支援措置の拡充、フレックスタイム制等の弾力的な労働時間制度の普及促進を行なうこととしております。  さらに、「過労死」の予防等のための事業場における産業保健活動の支援、健康診断の事後措置の適切な実施等による総合的な健康確保対策や職業性疾病の予防等の安全衛生対策の推進を図るとともに、労働保険審査会委員の増員等をはじめ労災保険審査請求制度の整備を図ることにより迅速な対応を図ることとしております。  そのほか、労働条件等に係る紛争の防止・解決に関する相談体制等の整備を図るとともに、中小企業の新規開業に伴う労働面での相談・助言を行なう労務管理整備支援事業を実施することとしております。  これらに要する経費として一兆三千七十五億円を計上いたしております。  第三は、多様な個性や能力を発揮できる環境の整備に必要な経費であります。  雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を図るため、女子労働者の能力発揮のための取組の促進、女性起業家の支援施策を推進することとしております。  また、職業生活と家庭生活との両立を図るため介護休業制度導入奨励金の充実、介護労働力等の確保対策の強化を図ることとしております。さらに、パートタイム労働対策の総合的な推進を図るため、パートバンクの増設等による労働力需給調整機能の強化、労働条件確保対策など総合的な対策を推進することとしております。  これらに要する経費として二百六十二億円を計上いたしております。  第四は、障害者等に対する対策と阪神・淡路大震災関連対策の推進に必要な経費であります。  重度障害者雇用促進プロジェクト事業の充実や精神障害者に対するジョブガイダンス事業の実施により雇用対策の充実を図ることとしております。また、特別な配慮を必要とする人々に対する職業生活援助等対策についても、援助対象者に応じ、それぞれきめ細かな対策を引き続き推進することとしております。  さらに、阪神・淡路大震災関連対策につきましては、失業の予防・雇用維持対策、再就職促進対策等を推進することとしております。  これらに要する経費として九百四十七億円を計上いたしております。  第五は、国際社会への積極的貢献に必要な経費であります。  国際情勢の変化に対応した労働外交の展開、「人づくり」による国際社会への貢献を行うほか、外国人労働者問題への適切な対応を図ることとしております。  これらに要する経費として百三十六億円を計上いたしております。  第六は、行政推進体制の整備等に必要な経費であります。  経済社会の変化に伴う行政需要に的確に対応していくため、行政体制等の一層の整備を図っていくこととしております。  以上、平成八年度労働省所管一般会計及び特別会計の予算について概略を御説明申し上げました。  何とぞ、格別の御協力を賜りますようお願い申し上げます。     —————————————
  47. 谷津義男

    谷津主査 以上をもちまして労働省所管についての説明は終わりました。     —————————————
  48. 谷津義男

    谷津主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑時間はこれを厳守せられ、議事の進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願い いたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川島實君。
  49. 川島實

    川島分科員 新進党の川島實です。  既に御連絡をいたしてありますように、今回、労働省が、一九九二年の労働安全衛生法の改正に伴いまして「職場における禁煙対策のためのガイドライン」をお示ししておるところでございますが、喫煙者と非喫煙者がともに共存をして、職場が快適な職場として維持できるように示されておるわけでございまして、このことについては私も非常に心から賛意を表したいと思っておりますし、ぜひしっかりとした実施をお願いしたい。労働組合の連合本部もこの分煙については、たばこ組合も含めて賛成、こういうことでございますので、やる気があればできる、こう受けとめておるわけでございます。  さらにまた、今世界の流れが公共の場における禁煙、最近の香港が、シンガポールが一番最初に行ったところでございますけれども、法律で罰則がシンガポールは三万円ですか、それが十万円というような形で非常に罰則規定を重くして実施をしておりますし、アメリカの方におきましても公共の場でほとんど禁煙がきちっと保たれておりまして、飲食店における、十五人以上雇用しておるところの、喫茶店を含めて食堂でもすべて、料理屋も禁煙、こういうことできっちり罰則をつけて実施をしておる。ところが、我が国は一向に実はその辺のところが見えてこない。  それから、国会におきましても、いろいろと幹部の、国会議員の皆さんがほとんど吸われる人が多くてなかなか実施ができないようでございますけれども、調査をいたしたところによりますと、衆議院議員で五百十一名のうち禁煙者が三百三十二名、喫煙者が百七十九名、こういうことでございますので、三分の二が禁煙者という状況になってきておりますから、各委員会における分煙という形で、現在は環境委員会がなされておるのですが、ほかの委員会もきちっとやれるように、我々超党派でこのことの実施を、今国会中にも何とか法案として議員立法が出せるように努力をしていきたいと考えておるところでございます。  そこで、まず労働省に、今回のガイドラインについての今後の実施の行程表といいますか、いつまでにどういう状況でこれらを実施に移していくべきか、こういうことについてお伺いをしておきたいと思います。
  50. 松原亘子

    松原政府委員 先生が最初におっしゃいましたように、今回出しましたガイドラインは、平成四年の労働安全衛生法の改正によりまして、事業主に快適な職場環境の形成をいわば努力義務として課したといったところから具体的に発しているわけでございます。そのためには、労働大臣が快適な職場環境の形成のための措置に関する指針を公表するということになっておりまして、それはもう大分前につくられており、その中に、空気環境の快適化ということの一環といたしまして、必要に応じて職場における喫煙対策を講ずるということが書かれてきたわけでございます。  ただ、そういった文言が書かれているというだけでありまして具体的なことがないということから、なかなか行政としても、進めにくいというとなんですけれども、具体像が見えないというようなところがあったものですから、それを具体的にする必要があるのではないかということから、昨年七月から専門家の方々、労使も入っていただきまして検討をいただきました。職場における分煙対策の検討をお願いしたわけでございます。  その結果を踏まえて、御指摘のございましたガイドラインを策定いたしたということでございますけれども、そもそもよって来るところが、最初に申し上げましたように、事業主に快適職場環境の形成の努力義務がつけられたというところから発しているというところもございまして、これを直ちに義務づけるとかいったところまではまだなかなか難しいのではないか、まずは私どもといたしましては、こういったものができたということの周知を図りたい、そのための広報啓発活動から着手したいというふうに思っておりまして、これについてかなりの反響もございましたし、これが契機となりまして、職場において職場の分煙対策を労使で積極的に検討していただいて、自主的に取り組んでいただきたいというふうに考えておるところでございます。
  51. 川島實

    川島分科員 そうすると、今労働省がPRを行う事業所、それは全国にどのくらいの数があって、そして対象となる人口というのはどのくらいみえるのですか。さらにまた、あわせて、今答弁がありましたように、一般からのいろいろな反響の状況というのはどういうふうになっていますか。この二点についてお伺いしたいと思います。
  52. 松原亘子

    松原政府委員 まず、最後におっしゃいました反響について申し上げたいと思うのですが、このガイドライン、二月二十二日に公表をいたしました。先生もごらんいただいたのではないかと思いますけれども、公表いたしましたところ、テレビですとか新聞等に随分大きく取り上げられました。そういうこともございまして、企業ですとか一般の人々から、このガイドラインというのは一体どういうものなのか、もう少し具体的に知りたいといったような多くの問い合わせがございましたし、非常によくやってくれたという励ましの電話などもございました。また、今後における施策の展開を期待しているといったような声も寄せられまして、私どもとしては、この職場における喫煙問題に対する皆様方の関心が非常に高いということを実感をいたしたわけでございます。  ところで、最初におっしゃいました、どれぐらいの事業所のどれぐらいの労働者に対してということでございますけれども、この広報の対象といいますか、これを検討してもらう対象は、基本的にはすべての事業場のすべての労働者ということでございまして、先生が一番最初におっしゃいましたように、これを具体的に進めていくためには、たばこを吸う人、吸わない人、両方の理解を得ながら具体的に取り組んでいかなければいけない。そこで人間関係がぎくしゃくするとかいうことがあってはいけませんので、必ずしも喫煙者だけを対象にしているというわけでもなく、喫煙しない方にも喫煙者の立場も理解してもらう、お互いの立場を尊重し合って職場での快適な環境をつくるという方向に持っていきたいというふうに考えております。  したがいまして、事業所数は余り申し上げても意味がないのかもしれませんけれども、私どもが労働基準監督署を通じて把握しております労働基準法の適用事業場でございますけれども、約四百四十万ございます。そこに働く方々すべて、ちょっと今手元にそこに働く人が具体的に何人かという数字がなくて恐縮でございますけれども、何か例外を設けるとかそういうような考え方ではなく、一般に広くこのことについての理解をしていただきたいというふうに思っているわけでございます。
  53. 川島實

    川島分科員 世界保健機構、WHOは各国に行動計画提言を行っております。これとの見合いで、我が国はこれらのガイドライン等の実施をやはり報告をする義務づけをされておると思うのですけれども、これはどういうふうに受けとめておりますか。
  54. 松原亘子

    松原政府委員 恐縮でございますが、最後におっしゃられましたWHOへの報告義務というのがどの程度厳格なものとして設けられているかというのはちょっと今承知しておらないのですが、WHOは一九九〇年に、その前からも随分喫煙問題については取り組んできているわけでございます。一九七〇年ぐらいから取り組んできているわけでございますけれども、具体的には一九九〇年、特に職場における効果的な受動喫煙対策といったものを講ずるようにという決議が行われているということはございます。そういう意味で、今回の私どもが策定いたしましたガイドラインはこのWHOの考え方に沿うものだというふうに思っておりまして、報告なりの何か機会があれば、ぜひそういうことで報告はいたしたいという ふうに思っております。
  55. 川島實

    川島分科員 国会の中でも環境委員会、それから環境庁が実施に踏み切っていると思うのですが、労働省はこのガイドラインを受けて、みずからがどういう形で出先機関を通じて省として今後行っていく決意か、これは労働大臣にお聞かせをいただいた方がいいですね。今後のガイドラインを含めて実施の決意です。
  56. 渡邊信

    ○渡邊(信)政府委員 官房長でございますが、お答えをさせていただきます。  労働省では、およそ一千の出先の官署がありますが、従来、統一的なこの問題についての方針というのは持っておりませんでした。昨年、約九十の官署について調査をしてみましたところ、喫煙場所の設置とか禁煙タイムの実施とか、約七割の官署がそういった努力をしておりました。今後はこのガイドラインを参考にしながら、早急に対策を検討していきたいというふうに思っております。
  57. 永井孝信

    ○永井国務大臣 今、基準局長や官房長からも御答弁申し上げましたけれども、先生も評価されておりますように、せっかくつくったガイドラインが十分に皆さんに受け入れられて快適な職場づくりに貢献ができるように、まずそれを念頭に置いてこれから労働省としても対応してまいりたい、こう考えておるわけであります。  とりあえず、そのガイドラインについては、都道府県の労働基準局長に対してガイドラインを示しているわけでありますから、管内の事業場に、大変な数の事業場がありますけれども、それをきめ細かく、職場における喫煙対策のための対策としてこのガイドラインの持っている趣旨、そして内容の啓発を行っていくように指示をこれからも強めていきたい、こう一つは思っています。  もう一つは、職場における喫煙対策についての事業者の理解が重要ですね。例えば分煙するにしても、環境整備するために空気清浄器を設けるとか、あるいは分煙のための特別の禁煙室をつくるとか、事業場の規模によっても違うでしょうけれども、そういうことも大変重要になってまいりますので、まずこの事業者の皆さん理解を促進する必要がある、これがまず大事だと思うのですね。そして、事業場において喫煙対策の自主的な取り組みがまず図られるように、ここから快適な職場づくりができていくのではないかなと思います。  なお、今度のガイドラインと全く無関係な話で恐縮でありますが、先生が最初にポイ捨ての、シンガポールの話も出されました。どこへ行ってもこのポイ捨ては本当に多いんですね。たばこだけではなくて飲料のための空き缶が捨てられる。特に信号待ちをしているところ、交差点のあるところ、あるいはすぐそばにグリーンベルトがあるところ、こういうところには本当に目に余るほどそういうポイ捨てが多うございますので、私どもが快適な職場づくりをということでこのガイドラインをつくったのですが、これを契機に、そういうポイ捨ての問題も含めて関心が高まってモラルが高められたらいいな、欲張った考えでございますが、そこまで実は思っているわけであります。
  58. 川島實

    川島分科員 ちなみに地方自治体は、都道府県の中では分煙を既に行っている自治体もあろうかと思うのですが、自治省はこれらの全国の状況というのは把握いたしておりますか。
  59. 犬塚英則

    ○犬塚説明員 地方自治体におきます禁煙対策でございますけれども、全国の団体三千三百ほどございます。網羅的な把握というのはなかなか難しゅうございまして、全体を掌握しているわけではございませんけれども、例えば東京都におきます喫煙対策といたしましては、平成三年に新庁舎が移転する際に分煙化を推進するというようなことを実施いたしております。それから、茨城県の土浦市あたりでは禁煙タイムを実施するというようなことをやっておりますし、また、二十三区のうちの港区あたりでは意識啓発のための講座をつくるというようなことも実施をいたしております。
  60. 川島實

    川島分科員 調査をされていないようですから、この機会にぜひひとつ、三千三百の地方自治体の実施状況を労働省と力を合わせておやりをいただきたい、これは要望しておきたいと思います。  次に厚生省に、公共の場における今後のこうした禁煙、分煙、そういう対策についてお伺いをしたいと思いますが、今大臣が言われたように、私どももずっと地方自治体で働いているときから、本当に、今の建築の様式が変わって、吸わない人は、吸っている人はフィルターを使っていますけれども、吸ってない人は煙をもろに受けます。あれをCO2の検査器械にちょっとやりますと、吸っておる人はふうっと出しても針はそんなに動かないわけですけれども、持ちながらの煙をそばへやりますと、針がばんと飛んでしまって怖さがわかるのですね。それからまた、吸い殻を両方コップに入れてちょっと置いておきますと、片一方はもう本当にどす黒くなっちゃって、水をほかしても内へべたっとついて、子供たちでもいいか悪いかは理解ができる。  それから、火災のトップはたばこのポイ捨てですし、さらにまた、たばこによる医療費の面から見ても非常に高いウエートで、地方自治体は財源として入ってくると言いますけれども、医療費で出ていく方が多いということがはっきりデータとして示されておるわけです。  私、今赤坂の宿舎におるのですけれども、あそこから国会まで歩いて、一本ずつたばこの吸い殻のほかしてあるものを勘定しますと、全部で三百を超えています。こういう日本の公共のモラルの悪い状況でございますので、厚生省としてこれらの対策をどのようにお考えになっているのか、まずお伺いをしておきたいと思います。
  61. 笹本健

    ○笹本説明員 先生御指摘のとおり、喫煙は肺がんですとか循環器疾患の関係で健康にさまざまな悪影響を与えるという観点から、私ども厚生省としましては、現在たばこ行動計画、先生御承知のように昨年三月につくらせていただきました。分煙だけではなくて、私ども、たばこ対策で三つの柱を考えておりまして、特に未成年の方の喫煙防止ということで防煙という言葉をつくってありますけれども、それと今先生話題にしております分煙、それとあと、禁煙される方につきましては禁煙のサポート、この三つの柱でたばこ対策を進めさせていただいております。  それで本題の、先生の御指摘の分煙でございますが、私どもが昨年策定させていただきましたたばこ行動計画、これはたばこ対策の憲法みたいなものでございますが、それに基づきまして、先生御指摘の公共の場所におきます分煙のあり方について、現在各界の学識経験者に検討していただいております。本年度末、ですからもう今月末でございますが、現在鋭意検討を進めているところでございまして、これに基づきまして厚生省のたばこ対策、分煙対策を進めてまいりたいと考えております。
  62. 川島實

    川島分科員 これは、本来なら労働省よりも厚生省がもっとしっかり頑張らなきゃいかぬ分野なのですよね。厚生省自身はみずからの職場は分煙になっているのですか。
  63. 笹本健

    ○笹本説明員 先生の御質問に答えると、実はまだ現在そうなっておりません。私どもとしては、先生の御指摘も踏まえまして、その方向でこれから対策をとってまいりたいと考えております。
  64. 川島實

    川島分科員 今私どもは、地元と国会、一日に二回も往復する時期もあります。それから、全国いろいろな形で視察に行く場合も非常に多くあるわけですけれども、全国のJRの、禁煙車自身は一般を含めて大分ふえてきているような気がするわけですけれども、指定車、特にグリーン車の場合は、新幹線のことを考えても、三両ある新幹線の中で吸う方が二車両で禁煙が一車両。最初はそれでもよかったのですけれども、吸う人も、自分は人のたばこの煙は吸いたくないということで禁煙車へ全部寄ってきますので、もう喫煙車のグリーンの方は二、三人しかいない。中には全然いないときだってある。あと、禁煙席が満員、こう いう状況もあるわけですね。  それからもう一つは、ローカルの線へ行きますと、グリーン車と言われておりまして、中で禁煙席と喫煙席が真ん中から番号で分かれていまして、何にも仕切りがないものですから、今のJRは暖房にしろ冷房にしろ空気が回っているだけで、知らないうちに結局無理無理それらの煙を吸う形になっています。これらはJRの人たちに我々は言うわけですけれども、一向に直っていない。世界は本当にこういう公共の乗り物はほとんど禁煙になってきておりまして、日本だけがまだ非常に進みぐあいが悪い。しかし、飛行機や何かでも、短時間のところは大体全部禁煙になってきていますので、流れとしてはいい方向に進んできておるのだろうと思いますけれども、今の、運輸省が管轄をいたしております全国のJRのこういう禁煙の状況というのはどういう形になっているのでしょうか。
  65. 宿利正史

    宿利説明員 JRの列車内の禁煙化、分煙化につきましては国鉄時代から取り組んできておりまして、民営・分割後も積極的に各社において取り組んできているところでございます。  具体的に御説明をさせていただきますが、普通車につきましては、JR東海、西日本、四国、九州、この四社につきましては、全列車について終日禁煙ということを実施しております。また、JR北海道、東日本におきましては、都市圏などにおきましては全列車が終日禁煙ということになっておりますし、その他の地域におきましても、禁煙タイムを設定したりあるいは禁煙車両を設定するなど、禁煙化、分煙化を進めてきておるところでございます。  また、先生おっしゃいました特急などの優等列車につきましては、各社におきまして、利用者の意見あるいは要望を踏まえながら禁煙車両を徐々に増加させてきておりまして、一編成当たりの禁煙車両の割合は現在のところおおむね五〇%程度となっておりますけれども、この三月十六日からのダイヤ改正などによりまして、これらがもう少しふえるような見込みでございます。
  66. 川島實

    川島分科員 先ほどお話ししましたように、たばこを吸う人も、自分は人の吸ったたばこの煙を吸いたくないということで禁煙席に移動しているものですから、喫煙の車両が実際は人が入らない状況になっているわけですよ。このことを十分受けとめてもらわないと、吸う人と吸わない人とを一対一の割合でつくっておけばいいという感覚からどうしても抜け切れないものですから、中身はそうじゃないですよということが一つあります。  私の方の名鉄という、私鉄でございますけれども、車両の禁煙をしたら、ホームや車両の中のたばこのポイ捨ての掃除の費用、予算が一年間で三億浮いた、こういうデータも出ているわけですよ。だから、そういう点を考えると、環境面でそういうような形の、体の害にもならないし、人に迷惑もかからないし、いいことずくめなんですね。ただ、最初は若干の、半分ずつにするのだと間仕切りや何かが要るわけですけれども、そういうような具体的な御指導をいただきたい、こう考えているわけでございます。いかがでございますか。
  67. 宿利正史

    宿利説明員 先ほど御説明申し上げましたように、JR、私鉄を含め各社とも、禁煙、分煙の問題につきまして積極的な対応をしているところでございます。私どもは、それぞれの鉄道事業者が鉄道利用者のニーズにきめ細かく対応しながら輸送サービスを提供していくという努力をしていただくことが極めて重要だと考えておりまして、御指摘の禁煙化、分煙化の問題につきましても、今後適切な対応が各鉄道事業者においてなされますように指導をしてまいりたいと考えております。
  68. 川島實

    川島分科員 今回労働省が旗振りをやれば、勤労者の数からいって、全国三千万なら三千万の人たち対象になってくるのだろうと思いますけれども、これは今いろいろ議論が出ておりますように、やはり自治省にも協力していただきたいし、厚生省の方の関係も、医療面からいけば国の緊迫した財政や地方自治体の財政に大きく寄与するわけですから、これらのことについても、厚生省は労働省に負けてはおれないだろう、こういう気がするわけでございます。  海外からの旅行者の関係からいきますと、公共の場、そして特に乗り物。海外からの旅行者は郊外に行きますとバスで移動するのですね。昔のように窓があくバスならいいのですけれども、全部固定式で、外の景色がよく見えるようにということになっておりまして、排気が若干あっても、吸引の自動的な形のバスがございませんから、吸わない人にとってはバス旅行ほど本当に苦しい旅行はないのですよ。だから、そういうことを考えながら、これは大臣、どこが音頭をとってもらうのがいいのか、一番大きくその行動が評価されて、実施が進んでいく労働省が音頭をとっていただけるのか、WHOの関係でいけば外務省にとらすのか環境庁にとらすのかというような問題もございますけれども、この辺の感覚として、協力してやっていこうという気持ちと、どう検討していくかということについて最後に御意見をお伺いしておきたいと思います。
  69. 永井孝信

    ○永井国務大臣 この問題はもちろん、縦割り行政でそれぞれの省庁が勝手に行動するということだけで目的を果たすことはできないと思います。内閣を挙げて取り組むべき問題だと思いますが、今先生の御指摘のように、衛生面から見るとかそういう関係から、医療の関係から見ると厚生ということになりますし、全体の環境を確保する面からいくと環境庁ということになります。しかし、そういう押しつけ合いではなくて、労働省としては、快適な職場の提供ということでガイドラインを出したのでありますが、それを乗り越えて、各省庁にも呼びかけて、どこかに責任を持ってもらわなければいかぬと思いますけれども、お互いに協力し合うということを、言葉の上だけではなくて本当の意味で協力し合って、連係プレーをとって効果あらしめるようにしていきたい、こう思います。
  70. 川島實

    川島分科員 時間ですので終わりたいと思いますが、私どもも、三分の二の議員が禁煙ということが明らかになってまいりました。超党派の形で、与党の皆さんからもぜひひとつ進めたいという意見もございます。だから官の方も、全体が動けるように、私どもも国会として議員立法や何かできちっとアドバイスができるような形で努力をしていきたいと思いますので、ぜひひとつ、十分な成果が得られるよう、労働省まず頑張っていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  71. 谷津義男

    谷津主査 これにて川島實君の質疑は終了いたしました。  次に、安倍晋三君。
  72. 安倍晋三

    安倍(晋)分科員 私は、港湾労働法について質問させていただきたい、このように思います。  我が国の現在の状況というのは、既に社会としてもまた経済状況としても大変成熟期に入ってきたのではないか、私はこのように思うわけであります。かつてのような高度成長が望めない、それはまさに夢のまた夢であって、何とか数%、二、三%の成長を確保しながらこの豊かな社会、そして豊かな家庭を守っていかなければいけない、そういう段階に我が国も至ってきている、私はこのように思うわけであります。  そうしてきますと、当然賃金の大幅な上昇というのは考えられないわけでありますから、豊かな家庭を守っていくためには、豊かな社会を守っていくためには、何とか物価を上げないように、むしろ下げていくという方向にすることによって豊かになっていくということが実感できる、そういう方向を我々も政策として目指していかなければいけないと思います。  そういう中にあって、今、規制緩和が大変重要性を帯びてきているわけであります。また他方、高齢化社会にもう既に我が国は突入をしているわけでありますが、その中で当然、国民の負担、国民負担率も上がっていかざるを得ない。その上昇 率をできるだけ下げていくためにも、これは行政のスリム化を図っていかなければいけないわけであります。国民に対しての新たな負担を強いる上では、まず政府が、行政が範を示していく、大きな政府ではなくて、できるだけスリムな、小さな政府を目指さなければいけない、私はこのように思っております。  そうした観点からこの港湾労働法を見てまいりますと、私は、幾つか大きな問題点がある、このように思っております。  現在の港湾労働法は平成元年の一月一日に施行された法律でありまして、港湾労働者雇用安定センターをつくって、それまでの日雇い港湾労働者をセンター常用労働者としてプールする、そういう法律であります。これは、この仕事の波動性、またあるいはかって暴力団などがピンはねを行っていた、そういう悲惨な港湾労働者の現状を改善するためにこの法律ができたわけでありますが、しかし、現在、このいろいろな目的は既に達成された、あるいは歴史的な役割を終えつつあり、しかも、かつてのこの目的あるいは志とは大きく乖離した現状にあるのではないか、私はこんなように思っております。  それで質問なんですが、まず、センター労働者の現在の全国の数と、センターは全国で支所が全部合わせて八カ所、本部と八カ所あるわけでございますが、その事務職員の数、そしてもう一点、その事務職員に果たして何人ぐらい労働省のOBが行っているかということ、この三つの数字を教えていただきたいと思います。
  73. 征矢紀臣

    ○征矢政府委員 ただいま先生御指摘の、現在の法律のもとにおきます派遣制度におきます登録された派遣労働者の数は、平成七年二月一日現在で二百七十五人でございます。  この業務を行います港湾労働者雇用安定センターにおきます事務職員の数、これにつきましては、現在、本部七名、支部二十八名の計三十五名が在籍いたしております。このうち、労働省職員のOBにつきましては、本部三名、支部十四名、計十七名となっております。
  74. 安倍晋三

    安倍(晋)分科員 二百七十五名のこの法律の対象のセンター労働者のために、何と事務職員が三十五名ですね、三十五名いる。これは十人当たりに一人の事務職員が見ているということであります。現在、三十五人学級にしようということを小学校、中学校は目指しているわけであります。子供たちに対しては一人の先生で今四十名当たりを見ているわけでありますが、ちゃんとした大人の労働者に対して十名当たりに約一名が見ているということになっている、そういうことなのですね。そしてまた、かっこの職員の半数は労働省から行っているということも我々は事実として認識をして見なければいけない、こういうふうに思います。  そして、この二百七十五名のセンター労働者のためにこれだけの人員が行っているわけでありますから、私は当然お金がかかるわけであると思います。このセンターの維持運営のために一体どれぐらいの我々の税金が入っているか、国庫補助がどれぐらい行っているかが一点。そしてもう一点が、これは港湾コストに直接かかわってくると思いますが、港湾労働法の付加金ですね、一体これはどれぐらいの額に上っているかということを教えていただきたいと思います。
  75. 征矢紀臣

    ○征矢政府委員 平成七年度の港湾労働者雇用対策費補助金の予算額でございますが、これは人件費、一般運営費あるいは事業費含めまして約二億九千九百万円でございます。  それから、もう一点の港湾労働法に基づきます付加金の額でございますが、これにつきましては、港湾労働者雇用安定センターに常時雇用される労働者の休業補償費あるいは能力開発費等に充てるために、一トン当たり一・五円を港湾運送料金に付加し荷主または船会社から徴収し、港湾運送事業者が拠出しているものでございまして、平成六年度におきまして五億八千万円余をこの安定センターにおいて受け入れているところでございます。
  76. 安倍晋三

    安倍(晋)分科員 ということは、この二百七十五名のために国費として一年間約三億円、そしてこれは港湾のコストアップに直接つながる費用として、付加金が五億八千万円行ったわけですね。何と八億八千万円がここに使われているということであります。このセンターは行政改革から見て真っ先に注目をしなければいけない一つではないか、私はこのように思っております。  かつ、それでもなお、何と今、この対象であります六大港のほとんどすべてと言っていいと思いますが、これだけの国費と、そして付加金をつぎ込みながらも赤字になってしまっているという現状があります。  六大港の中で最近の収支の状況を見てまいりますと、東京支部が三千三百万円の赤字、横浜支部が五千七百万円の赤字、川崎支所が二百三十万円の赤字、そして名古屋支部だけが一千万円の黒字、大阪支部は二百万円の黒字であります。そして、神戸支部が五千百万円、関門支部が三千百万円、下関支所がその中で千八百万円の赤字になっているわけでありまして、名古屋支部が黒字と言えて、大阪支部はその後の四半期は赤字になっていますから、大体とんとんということであります。  これは何を意味しているかというと、もうこれは成り立っていかないシステムになりつつある、こんなような状況ではないかなと思います。これだけの財政支出をしていて、また業者にも負担をさせていると、当然この中で働いているセンター労働者の方にもある意味では甘えも出てきます。しかも、赤字になるということは、必要ないからそうなってしまっているということも意味しているわけでありまして、果たしてこの二百七十五名の皆さんがどういうような就労状況にあるか、一カ月何日間働いているかということを全国平均で教えていただきたいと思います。
  77. 征矢紀臣

    ○征矢政府委員 就労状況でございますが、最新の数字で申し上げまして、これはセンター派遣労働者の月平均の就労日数でございます。  制度発足当初につきましては比較的順調でございまして、平成元年度十三・九日、こういうことでございましたが、最近の数字におきましては、景気の低迷、あるいは特に神戸港におきましては御承知のような昨年の阪神・淡路大震災の被害をまともに受けたというようなこともございまして、九・五日というふうな実態になっております。
  78. 安倍晋三

    安倍(晋)分科員 なぜ赤字かという原因が私はここにあると思うのですが、このセンター労働者は月三十万円が保障されているわけですね、月三十万円。月三十万円が保障されている中において何日間働いているかというと、九日間しか平均では働いていないわけですね。あとは、うちで寝ていたりアルバイトしたりしても三十万円は保障されるわけでありますから、こんないい労働条件はないわけでありますね。この話をうちの人にしたら、安倍事務所をすぐやめてセンター労働者になりたいと言っていたぐらいであります。ですから、ここにやはり私は大きな問題点があると言わざるを得ない、こういうふうに思っております。  この状況の中で、この六大港は当然、名古屋を除いて、大阪はとんとんと言えますが、あと四カ所は赤字になっております。特に山口県の下関市は五千万円ぐらいの累積的な赤字、これを払えていないのですが、格段に力の劣る特に関門の中の下関港は零細業者がほとんどの事業者ですから、こんな負担ではもうとてもやっていくことができないわけですね。  この六大港の業者の皆さん、日港協の意見ということになると思うのですが、この意見は、今後に対してどういうような要望をしているかということをお伺いしたいと思います。
  79. 征矢紀臣

    ○征矢政府委員 ただいまの件でございますが、労働者派遣事業に対する事業主の方の御意見としまして、これは港によりましてあるいは個々の事業主の方によって御意見の差はあるわけでございますが、荷役革新の進行に伴い港湾荷役の波動性 は減少しつつあるものの、なお相当の波動性が存在する。このため、コスト面等から見てすべてを企業の常用労働者のみで対応することは困難であるということ、あるいは御指摘のような手配師等の排除等の観点から、当面はある程度港湾労働者派遣事業に依存せざるを得ない面がある、こういう考え方がございます。  ただ、この制度を維持するための過重な出費負担には耐えられない、そういうことが御指摘のようにございます。したがって、事業主の方にとって合理的な負担の範囲内においてセンターの運営がなされるならば、当面はこの制度を利用せざるを得ないというのが大方の考え方であるというふうに理解をいたしております。
  80. 安倍晋三

    安倍(晋)分科員 ただ、日港協の方は一応そういう意見であるわけでありますが、実態は、これは別に下関の事業者が言っているということではありません、全国の事業者の話であります。日港協の会長はもちろん立派な方ではありますが、名古屋の黒字のところの方であります。ですから、切実さはむしろわからないわけですね。しかも、今度は独立採算制になりましたから、そういうくびきからはむしろ逃れた方が会長をやっておられるわけであります。  その中にあって、やはりこれはもうこの状況を何とかしてもらわないと、さすがに組合の全港湾との関係もあって、この法律をもう廃止しろということは彼らは全く言っていないわけでありますが、恐らくその腹の中では、これはどうかと思いますね。私が全く第三者的に常識的に見ても、明らかに現状というのは大変大きく間違った方向に行きつつあるわけでありますから、そこはやはり行政がそこを、口に出して言っていないところを意を酌んでやっていかなければいけない、このように思います。  私の個人的な考えとしては、この法律は歴史的な使命を終えて、廃案にするべきであると私は個人的には思います。ただ、もちろん日港協の方はそこまで踏み込んだことは言っていないわけでありますし、何とかこの中でやっていきたいということだ、こういうふうに思います。  この下関の場合も、制度としては残していただいてももちろん結構でありますが、しかし下関港は、センター労働者が現在十九人おりますが、これをゼロにしてもらいたいという要望を出しております。もう要らないわけなのですね。  波動性ということをおっしゃったわけでありますが、ところが、波動性と言いながら、実際は一番忙しいときにこの人たちは休んでしまうのですよ。そういうこともよくあるのですね。これは、八時間労働するとして、その中身いかんにかかわらずとにかく給料は保障されておりますから、それ以上超えた場合にはさらに賃金が払われるわけでありますが、そういう状況の中にあって、忙しいとき一生懸命やろうという気にはならないそもそもの制度なのですね。  かつ、これは六大港を対象にしていて、一つだけがちゃんと黒字であとは全部赤字になっているというのは、これは制度としてそもそもが間違っている制度なのですね。間違っている制度、成り立たない制度なのですよ。一時的に成り立っていたというのは、平成元年、まさにバブル全盛時代ですね。バブル全盛時代のピークに合わせてできたあれですから。あれは特別な状況ですから、むしろ今の状況でもある程度やっていける状況でなければこれは成り立っていかない、こういうふうに思っております。  そこで、これは事前に通告をしていた質問ではないのですが、もし答えられれば答えていただきたいと思いますが、この当初の目的、これはピンはね等をやめさせるという大きな目的があったと思うのですが、港湾労働者といわゆる組織暴力団とのかかわりというのは現在ではもう一切絶たれている、そういう御認識を持っておられるかどうかということをお伺いしたいと思います。
  81. 征矢紀臣

    ○征矢政府委員 港湾労働法につきましては、先生御指摘のように、この目的は、「港湾労働者の雇用の改善、能力の開発及び向上等に関する措置を講ずることにより、港湾運送に必要な労働力の確保に資するとともに、港湾労働者の雇用の安定その他の港湾労働者の福祉の増進を図ることを目的とする。」こういうことでできている法律でございまして、御指摘のような問題点もございますが、この目的自体の必要性、これが全部必要なくなったという事態ではないと思います。  それから、あわせまして、いわゆるやみ手配師等との関係での暴力団との関係がどうかという点につきまして、これは、私直接承知いたしておりませんが、そういう意味では、その辺は従来に比べ相当改善されたという御指摘もございますが、一方では、なおそういう問題がいろいろあるという御指摘もあるところでございます。
  82. 安倍晋三

    安倍(晋)分科員 この問題については、本来はこれは労働省の仕事というよりも警察の仕事である、私はこういうふうに思っています。それを防がんために国費をこれだけ入れて、かつ事業者にも負担をかけるということは、事業者は生き延びていくためにはそれをコストに反映をさせていく、そうすると、これは消費者に当然負担が強いられてくるということに私はなってくると思います。  そういう中において日本の港は競争力を失っていくのですよ。日本の港で荷さばきをするというのはコストがかかるということになりますと、競争力を失っていくということにもつながっていくわけでありますから、ここはやはりもっと深刻に、真剣にとらえていかなければいけないと思うわけでありますし、私は、何もこれは事業者のためだけに言っているわけではなくて、三億円も国費をここに入れているわけですから、三億円も。  例えば、この制度をなくした場合、この二百七十五人の人たちの行く末を考えなければいけないわけでありますが、もしこの人たちがもともとの日雇いに戻った、建設労働者と同じような立場に戻ったらどうなるかといえば、これは三億円の国庫補助も要らなくなりますし、五億八千万円の付加金も要らなくなります。そして、事業者が負わなければいけない膨大な赤字も要らなくなるということになる、こういうふうに私は思うわけであります。  もちろん、これは一気にそこまでやれということを私は申し上げているのではなくて、この状況の中ではやっていけなくなるというのがもう明々白々でありますから、果たしてどう対応していこうかということ、これをぜひともはっきりとした答弁をしていただかないと、この法律がある限り、しかもこんな赤字を背負っていかなければいけないのであれば、港湾事業をやめようと言っている人は本当に何人もいるのですよ。そのことをやはり深刻に受けとめていただいた上で御答弁をいただきたい。だったらこの法律の対象とするところは名古屋、大阪だけにするとかということも含めて、御答弁をいただきたいと思います。
  83. 征矢紀臣

    ○征矢政府委員 ただいまいろいろ御指摘がございまして、非常に厳しい問題を抱えている、これは事実でございます。  この点につきまして、港湾雇用安定センターの会長さん、これは神戸の方でございますが、これについてどう対処するか大変苦慮されているところでございまして、先ほど申し上げましたように、当面の具体的な対応策として、この制度を維持するということを前提にしまして、過重な出費負担には耐えられないが、事業主にとって合理的負担の範囲内においてセンターの運営がどうなされるかという点について検討を進められているところでございます。  その点につきまして、どこまでどうかという点につきましてはなお検討はこれからでございますけれども、先ほど申し上げました実情の点につきましては、例えば事務局等につきましては、現在の状況、職員数等申し上げましたけれども、これもこういう厳しい状況の中で全体としての体制を縮小する、こういう観点から、七年度につきましては前年度に比べて全国で八名削減いたしております。また、来年度につきましてもさらに削減す る。そういう中で、私どもといたしましては、重点的に労働省のOBにつきましてその削減の中で対処をしていきたいというような考え方は持っております。  あわせまして、今後の運営問題でございますけれども、センター派遣事業につきまして現在のような収支状況が続くことは放置できない、これは当然でございます。そういう意味でいきますと、制度の趣旨からいきますと、本来的に日雇い労働、これはやみ手配師等の問題等もありまして、これはできるだけ減らしていく、そういうことを出発点として派遣労働を考えている。  そういう枠組みでございますから、就労日数の増加を図るというのが一つの方向でございますが、これも厳しい状況の中でそう簡単にはまいらないということでございます。そういうことと、それから派遣需要の変化に応じた適切な事業運営、これをどう図るか、そういうことにより収支の均衡、これをどう図っていくかということが、今言いました合理的な負担というところとの関係での問題になろうかと思います。  現在、センターにおきまして、そのような考え方から、労使の代表者から成ります派遣事業運営協議会というものを設置いたしまして、センターの収支改善を具体的にどう行っていくか、協議を始めているところでございます。  私どもといたしましても、収支改善努力についてどうするか、ただいま御指摘があった点も踏まえまして、必要な指導を行いながら、かつ港湾運送業界の実態あるいは労使の意見等、こういうものも把握しながら検討してまいりたいというふうに考えております。
  84. 安倍晋三

    安倍(晋)分科員 今の局長のお話を伺っていても、合理的な水準とか言われても、具体的な話がなかなかこれは納得できないような話なんですね。  これは、ある程度労使の話し合いを基本としながらやっていくというのには非常に無理があると私は思うのですよね。というのは、このセンター労働者も全港湾に加盟をしているわけでありまして、二百七十五名なのに何で強いかというと、バックには一万数千人の全港湾という、連合にも加盟していない極めて強力な組合がいるわけなんですね。そこで、なかなかそれぞれの港も、大きく声を上げて業務に大きな支障を来しては大変だというプレッシャーがあるのですね。そういう状況を見て、国費を三億円入れているわけですから、この是非というのも大きな問題だと私は思うのですね、そちらの観点から、これはやはり行政がやるべき問題ではないかと私は思うのですね。  これを彼らに話し合いの中でやらせるというのは、もうこれはちょっとやそっとじゃ解決ができない状況に実は現在あるわけですから。例えば下関は十九名いるのですけれども、ゼロでいいと言っているわけですから、ゼロで。要らないと言っているわけですから。ですから、その差というのは物すごくあるわけですよ。一人、二人減らしていくとか、センターの事務職員を減らしていくという程度の問題ではないのではないかな、私はこういうふうに思うわけであります。  そういう今までの議論を踏まえて、今後、行政のスリム化あるいは規制緩和をやっていかなければいけないという中にあって、この港湾労働法をどうするかということも踏まえて、大臣に政治家としての御答弁をいただきたいと思います。
  85. 永井孝信

    ○永井国務大臣 今、先生の方から事細かに御指摘がございまして、この問題は、確かに先生が御指摘になっておりますように三億円近い国費を投入しての話でありますから、単に労使関係だけですべてが片づくとは思っておりませんし、そこから、現状のままでいい結果を生むような答えが出てくるというふうに期待するのもいかがなものかという気持ちが実はいたしているわけであります。  しかし、御案内のように、この港湾労働者雇用安定センターというものをつくったときは、いわゆる暴力団の資金源を断つということもありましたし、人権を守るという視点もありましたし、その意味では、多額の国費はつぎ込んできましたけれども、それなりに大きな成果も上げてきたと思っております。歴史的な使命というものは果たしてきたと思うのですね。  だから、それを直ちに、この状況だから一切これは切って捨てようというのも少し乱暴かなという気もするのでありますが、片方で、今御指摘がありましたように、実際に大変な赤字になっているわけでありますから、この諸経費の節減を含めて、特にこの一月からは人員整理等についても労使協議が進められていると実は聞いているわけであります。そういうものも当然労使の交渉がなされている段階で、それを飛び越えて、行政が、このようにしましょう、廃止をしましょうといきなり問題提起するのも少し乱暴かなと思いますので、そういう交渉の経緯も見守っていく必要がありますが、その上で、先生が御指摘のように、基本的に見直しも考えたい、このように思います。
  86. 安倍晋三

    安倍(晋)分科員 ただいま大臣から、大変力強い御答弁をいただきました。ぜひとも役所としてもそういう方向で取り組んでいただきたい、こういうふうに思いますし、そして、それと同時に、やはりこういう声が例えば各港から上がってくるのに対して、かえって上げたがために非常に労使間がぎくしゃくしないように、これは極めて微妙な問題なんですが、そういう御指導もいただきたい、このように思うわけであります。この問題はやはり行政改革という観点から、ぜひとも今後我々も取り組んでいかなければいけない、このように思います。  これで私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  87. 谷津義男

    谷津主査 これにて安倍晋三君の質疑は終了いたしました。  次に、佐藤剛男君。
  88. 佐藤剛男

    佐藤(剛)分科員 私は、今回、永井労働大臣が、時間短縮等を通じまして、長年にわたりまして日本の労働環境改善に御貢献されておることに心より敬意を表する次第でございます。  それに関連しまして、いわゆる当面大きな課題が時間短縮、時短と称されている問題でありまして、私は、ある意味で、ことしから来年の三月にかけての一つの大きな政治課題、ポイント・オブ・イシュー、争点になるのではないかという認識のもとで、いかなる形で、経済状況に合致した姿で先進国並みの大きな目標、千八百時間というような目標に持っていくのがいいのかという現実論の建前で政治も行政も取り組むべき課題ではないか、こういう観点からちょっと御質問させていただきます。  それで、時短問題というのは抽象論ですから、まず一つ例をとりましてちょっとお聞きいたしたいと思います。旅館業を取り上げさせていただきます。  まず、旅館業について、現在どのような状況、労働基準法の規制がどうなっておるかということの御説明を願い、そして、その時間を超えている場合にはどのぐらいの割り増しの状況になっておるのかということで、労働基準法に従いまして御説明願います。
  89. 松原亘子

    松原政府委員 御指摘の旅館業でございますけれども、労働基準法は第八条で事業を具体的に書いてございますが、旅館業はそのうち十四号の接客娯楽業に該当するわけでございます。労働時間法制は全体的にそうなんでございますけれども規模と業種によりまして現在の法定労働時間が異なっております。この接客娯楽業につきましては、規模三百一人以上の事業場については週四十時間、それから一人から九人という小さい規模につきましては四十六時間ということになっておりまして、それ以外の規模事業場につきましては四十四時間という労働時間法制になっているわけでございます。  これは法定の労働時間でございますが、それを超えて労働者を使用する場合には、事業主は一定の割り増し賃金を支払わなければいけない。もち ろん時間外労働協定というのも必要なわけでございますけれども、その割り増し賃金率というのは、通常賃金の二五%増しということになっているわけでございます。
  90. 佐藤剛男

    佐藤(剛)分科員 ありがとうございました。  そうしますと、旅館をやっているケース、各地いろいろあるのですが、私の福島の旅館など、温泉街がいろいろあるのですね。見ていきますと、意外に十人以下のケースというのも非常に多いわけでございます。四十六時間のものになって、それを一時間超えれば、今おっしゃったように、例えば一時間千円のものだったとすると千二百五十円になるということですね。  一人から九人までの旅館業がその人に対しまして四十八時間、そうしましたら、二時間分については二五%が上積みされまして、千円だとしますとその人については二千五百円。二五%でしょう。四十八時間の場合、幾らになりますか。
  91. 松原亘子

    松原政府委員 時給千円の労働者に対して、四十六時間までは時給千円で、四十六時間を超えた部分について二五%増しということでございますので、千円の二五%というのは二百五十円、したがいまして千二百五十円が四十六時間を超えた時間当たり払われる、こういうことになっております。
  92. 佐藤剛男

    佐藤(剛)分科員 それで、今問題になっておりますのが、法律の第三十二条で、ほっておきますと平成九年三月三十一日をもって猶予期間がなくなりまして本則に行きますから、一週間について四十時間というのが特例業種を除きまして原則が働くわけですね。  今、特例業種というのは、商業、それから映画・演劇業、保健衛生業、接客娯楽業という四つがありますね。その中の仮に一人から九人、例えば三人雇っているという旅館がありますね、そうしますと、来年の四月以降この人たちはどういうふうな状況になるのですか。三人で旅館業をやっている人が来年の四月以降、今のままの現行法でいきますと、法律を直さない場合でいきますと、何時間の限定になるのですか、制限時間。
  93. 松原亘子

    松原政府委員 先ほど先生がおっしゃいました商業、サービス業等の規模一から九人の事業場、接客娯楽業もそうなんでございますが、それはいわゆる特例業種ということになっているところでございます。したがいまして、旅館規模三人のところはその特例業種に当たるわけでございますので、今は四十六時間でございます。  これが来年の四月から何時間になるかということにつきましては、まだこれから検討するということになっておりまして、自動的に四十時間になるというものとは違うわけでございます。つまり、四十時間に自動的になるというのは、その特例以外の猶予措置対象業種ということになってくるわけでございます。
  94. 佐藤剛男

    佐藤(剛)分科員 その場合、旅館、接客ですよ、四つの特例業種があるが、今、一つの旅館をとります。それで、その人たちが三人の従業員を雇っている。ですから、通常のほかの業種で見ますと、今大体猶予期間は四十四時間、四十時間の公務員のような場合もありますけれども、そうなっていますね。それで、今特例で三人の旅館の人は四十六時間になっているわけですね。  ところが、来年の三月になりますと、その特例の根拠になっておりますのは労働省令ですね、労働省令を動かさなければ四十六時間ですね。それはいいですか。動かさなければ四十六時間でしょう。三人の従業員でホテルをやっていて、省令も何も直さない、今までの現行どおり、そうしましたら四十六時間でいいのですね。
  95. 松原亘子

    松原政府委員 何もしなければ、今の旅館三人のところにつきましては四十六時間のままということでございます。
  96. 佐藤剛男

    佐藤(剛)分科員 労働省は何かしょうとしているのですか。  聞くところによりますと、審議会におきまして、特例業種の一人から九人までについて今の四十六時間を縮めよう、四十時間は無理かもしれぬが、四十二時間にするかあるいは四十三時間にするか四十四時間にするか今検討中だと聞いておるのですが、そうなんですか。
  97. 松原亘子

    松原政府委員 現在、労働基準審議会におきまして、今先生御指摘されました特例業種の法定労働時間の水準についても検討テーマになっております。したがいまして、現時点におきましては、これが来年の四月以降どうなるかということについて明確にお答えすることができないという状況でございます。  それで、現在検討いただいているのでございますけれども、実はことしの四月から五月にかけまして、私どもまた労働基準監督官を動員いたしまして、小さな規模も含めて労働時間の実態がどうなっているかということを調査する予定にしております。その調査結果を踏まえて御審議いただいたらどうかというふうに考えておりまして、これからの検討課題ということでございます。ですから、先生おっしゃいましたように、これを縮めることに決めているとか、そのままにしているというようなことはございません。  ただ、仮に将来的に短くしようとしているのではないかという御印象を持たれているとすれば、昨年、労働基準法研究会という、これは学者の先生方から成る研究会なのでございますけれども、ここで特例業種の考え方について検討していただきました。  そこの結論で、特例措置の水準については、これまで労働基準法の改正によって全体的に法定労働時間が短縮されてきているということを踏まえ、これもこれまで実際には段階的に短縮してきているわけでございますが、今後とも社会全体の時短の進展から取り残されることのないよう配慮する必要があるというふうに指摘をされたということから、先ほどおっしゃられたような印象を持たれているということなのかもしれませんけれども、現在の行政の立場としては、今後の検討ということだけしか申し上げられないという実態でございます。
  98. 佐藤剛男

    佐藤(剛)分科員 お聞きしていて何だかよくわからなくなってしまって、明快なる松原局長の御答弁、私の方が頭が悪いから全然だめなのでしょうが、よくわからなかったのです。  要するに原則は、一番小規模の九人以下を一つの例にとりますよ、それの方がわかりやすいから。三百人というような中小企業以外のものをとってしまうとあれだから。九人以下のものは、今のままでいきますと来年の四月から四十時間になってしまうのでしょう、製造業、建設業、運輸交通業。ちょっとそれをまず確認してください。
  99. 松原亘子

    松原政府委員 それでは条文に沿って申し上げますと、商業、映画・演劇業、保健衛生業、接客娯楽業、これはいわゆる特例業種と言われているものでございますが、これ以外の事業、先生御指摘の建設、製造等につきましては、このまま法律の改正をしないということでありましたら、来年の四月から四十時間ということになるわけでございます。
  100. 佐藤剛男

    佐藤(剛)分科員 この問題は、幾つか問題のアプローチの仕方があるのですが、現在の経済状況を見まして、景気が三年間にわたってこういう状況で来た。それから、円高という要因で産業の空洞化というのが非常に進みまして、中国へ行ったり、ベトナムへ行ったり、インドへ行ったり、インドネシアへ行ったり、マレーシアへ行く。そうすると、東北のところに工場はあるけれども、中身ががらっと変わってしまって仕事がもう三分の一ぐらいになっておる、こういうケースがたくさんあるわけですね。これは各地全部そうなんですね。それで、円高における製造業、なかんずく小規模製造業の観点というのが一つそういうジャンルとしてあります。  それから建設業という形、現在建設業の九人以下の人は四十四時間まで猶予があるのです。しかし、その四十四時間の人も、来年の四月以降になってくると、法律を何も手当てしなければ、その附則の百三十一条を直さないと働かなくなってしまいます。法律は四十時間と書いてあります から、そうしますと当然四十時間にいってしまう。九人以下で道路を掘ったり、それから水道をやったりしている人たちも自動的に四十時間になる。  それで、これが超えてしまうと六カ月以下の懲役でございましょう、局長さん。それの確認を求めます。九人以下の下請ですよ。下請の建設業、それから下請の中小製造業、半導体の部品をつくっていた人たち、そういう組織労働者じゃない人たち、ほっておくと来年の四月一日を期して経営者は六カ月以下の懲役に処する、こう書いてありますね。局長さん、まずこれは大臣に対する質問じゃなくて具体的な条文ですから、条文でちょっと説明してください。
  101. 松原亘子

    松原政府委員 労働基準法の罰則規定によりまして、三十二条というのがこの法定労働時間を定めた条文なのでございますが、それに反する場合には「六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。」というふうに規定をされております。
  102. 佐藤剛男

    佐藤(剛)分科員 中小零細の人たち、これはみんな本当にまじめに汗を流している人たちですよ。住専のような人たちじゃないのですよ。そういう人たちが心配して、それは将来は千八百時間という形の目標に向かっていきたい、しかしこの三カ年の間ひどい目に遭ってきたのだ、だから何とかこれはちょっと猶予してもらえないかという声がほうはいとしてわいているのですよね。大臣、御存じでございますか。
  103. 永井孝信

    ○永井国務大臣 中小零細企業皆さんが今のままで来年の四月から法律どおり四十時間に移行することについては、極めて困難な課題が多いという御意見は私も直接伺っております。  しかし、御質問でないのにこんなことを御答弁申し上げて恐縮なのでございますが、かってこの猶予期間を延長しよう、猶予措置を延長するというときに大変大きな政治問題になりまして、私の記憶では、中央労働基準審議会の労働側委員が総引き揚げをするという大変な事態に発展したこともございました。  あるいはその翌年には、さらにこの特例措置、今先生御指摘のように、一人から九人という事業規模の特例措置を拡大せよという話がありまして、当時、当初の予定よりも若干拡大をしたのでありますが、そのときも大変な政治問題になりまして、それを乗り越えてきたという経過がございます。  その経過のさなかで、あと残された期間内に間違いなく平成九年の四月一日から法律どおり施行できるように、それぞれの関係者がそれぞれの立場で全力を尽くそうということでそういう措置をとってきたという経過も、これもまた事実として御認識を願っておきたいと思います。
  104. 佐藤剛男

    佐藤(剛)分科員 大臣、ですから私は心配して、間違えた労働行政をやりますと、国民、小規模事業者——国家公務員はいいんですよ、官公署はもう四十時間になっているんだから。それから、金融広告業も四十時間の形で猶予なしでやっているんですから、これは何もそこから悲鳴が上がってこない。  これはアウトローはいいですよ。そうじゃなくて法律を守ってやろう。ところがその人たちが守れない、遵法精神を持っている人たちが守れないと監獄へぶち込まれる。これはなっているんですよ、告発すればそういうふうになるわけですから。いや、そんなのしませんよ、告発もしませんよ、運用を緩やかにしますよ、これは別ですよ。ちゃんと労働法規という法体系があるから。  おっしゃられたように、過去において委員の方が別れたり何したりすることのポイント・オブ・イシューだから、私が最初に申し上げましたように、政党間の中においてこの一年間における大きな政治の課題になりますよ。  ですから、その部分において、特に今、自民党、社会党、さきがけ、連立てやっておるわけでありますから、そこのところをきちんとうまい形で持っていかなければ、それは組合の中に組織を持っている連合を初め推進の方はずっといきましょう、時間どおりやりましょう。できない人たち、特別なその間の事情変更は申し上げました。円高問題、産業空洞化問題、三年間にわたる景気不況の問題。ですから、その点は考えないとおかしいんじゃないでしょうかというのが一点なんです。それはひとつ労働大臣、繰り返し申しませんので、御理解賜りたいと思います。  それから次に、内閣法制局に私ちょっと法律論で伺います。  今この三十二条、三十二条からずっと枝葉がありまして、いろいろな休憩規定なんというのがあるんですが、三十二条というのは「休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。」という使用者の義務があるわけですね。これの特例が労働基準法四十条にあります。その四十条の規定は「命令で別段の定めをすることができる。」と書いてあるわけですよ。命令というのは労働省令であります、今で言うと。  この労働基準法というのは、これも間違えたらおっしゃってください、昭和二十二年のころですよね、終戦直後、マッカーサー司令部のときからでき上がった法律である。この法律第四十条については学者の中で意見も分かれておって、この命令でこの特例条項を外していくというのは、これは法律、法律に基づいて刑罰が来ていますから、法律の罪刑法定主義ですから、先ほど言いました四十時間を超えてやってしまうと六カ月以下の懲役になるわけですから、そういうのは罪刑法定主義の観点で少し行き過ぎであるという法律学者がおるわけでございます。  それで、私の経験だと、内閣法制局に仮に労働省がこの四十条に該当するようなものを持っていったら、きょう秋山第一部長がおられますが、秋山第一部長はその道のべテランであって、日本の法制を背負っていかれる優秀な部長さんですけれども、こういうふうな条項というのは認められないんじゃないか。  なぜかというと、命令次第によっては、先ほども言いました保健衛生業、接客娯楽業など四つの業種について四十六時間という特例を決めちゃう、決めることができる。本来なら法律や政令と同じように、少なくとも閣議決定すべきようなものなんですが、労働省の一存で経営者に対する生殺与奪の法制になっているわけですが、その点について、かような法案を今の時点において労働省が内閣法制局に持っていきまして、秋山第一部長のところで法令の審査をやりましたら、第一部長は四十条はそのままお通しになるでしょうか。
  105. 秋山收

    ○秋山(收)政府委員 尊敬する先輩である佐藤委員から御質疑をいただきまして光栄でございますが、今の御質問はやや多岐にわたっておりますので、順次お答えいたします。  まず第一に、労働基準法第四十条の命令委任、これが法制的にやや広範過ぎておかしくないかどうかという点でございます。  命令委任をすることができます事項につきましては、憲法四十一条が「国会は、国の唯一の立法機関である。」と定めておりますところから、この趣旨を否定し、いわば実質的に国会の立法権を没却するような抽象的かつ包括的な委任は許されないものと考えております。例えば、手続に関する事項、技術的な事項、事態の推移に応じ臨機に措置しなければならないことが予想される事項などにつきまして、個別的、具体的に委任をするというケースに限られるべきものと考えておりまして、内閣法制局としましても、このような見地から法律案の審査につきまして配慮しているところでございます。  また、憲法二十七条二項で、労働に関する基準は法律で定めるという法定主義が定まっております。ここで法律でとあるのは、勤労条件に関する基準のすべてを法律で制定しなければならないという趣旨ではございませんで、合理的な範囲内で個別具体的な委任であれば、命令委任することも許す趣旨と考えております。  それで、お尋ねの労働基準法四十条でございますけれども、これは、第一項で一定事業に限定 し、「公衆の不便を避けるために必要なものその他特殊の必要あるもの」とした上で、かつ「その必要避くべからざる限度で、」という限定がございまして、さらに第二項で、「別段の定めは、この法律で定める基準に近いものであって、労働者の健康及び福祉を害しないものでなければならない。」とされているところでございまして、さきに述べました合理的な範囲内の個別的、具体的な委任に当たるものと私どもは考えております。  それから、罪刑法定主義につきまして御質問がございましたが、これは憲法第七十三条第六号におきまして、「政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。」と規定されておりますけれども、これは七十三条が内閣の権限、政令につきましての定めである関係上こういう規定になっているものと考えられますけれども、それ以外の命令につきましてもこの法理は同じように働くものでありまして、したがいまして、政令以外の命令にも罰則を設けることができないということではないと考えております。法律の根拠があれば罰則を設けることができると考えております。  これは最高裁判所の判例でも、昭和四十九年十二月の水産資源保護法違反、茨城県内水面漁業調整規則違反被告事件におきまして同様の判例があることは、委員御承知のことと存じます。  それから、政令か省令かというお話でございますけれども、命令に委任しますことができます事項につきまして、政令と省令とどちらの形式で定めるかにつきましては、内閣法制局の立場としまして一般論として申し上げますと、政令は内閣で定めるものでございますから、例えば各省庁にわたって調整を要する事項など慎重な手続を要するものが政令の内容となりまして、一方、具体的、細部的な事項など各省大臣が独自で判断した方が適切であると認められるような事項につきましては、省令の内容になるものと考えております。  今回の労働基準法四十条の命令は、先ほど申し上げましたような技術的な内容であり、かつ臨機に措置しなければならないものというような観点から、省令になっているものと理解しております。
  106. 佐藤剛男

    佐藤(剛)分科員 一部長、先ほど言われた手続的なもの、これは委任でどうですと、これもわかるんですよ。それから、政令というのは、各省庁に関係するようなのは政令にします。そうじゃないのは一省庁、例えば労働なら労働省に属します。  ところが、今回は、ちょっと誤解があるんじゃないかと思うんですが、例えば中小の製造関係の時間というのは、もう各省庁に影響するんですね。それから建設関係については、下請の関係の人たちというのは建設業ですね。ですから、自民党の中においても、政調の中の部会で、社会部会も建設部会も商工部会も一緒になってやらざるを得ないような形なんですね。  ですから、本来ならば、これはずっと例示を定めておいて、例示というのは、例えば商業、それから映画・演劇業、それから保健衛生業、接客娯楽業、その他政令で定める業種というようなことになっていないとどういう不便が起きるかといいますと、製造業の点について九人以下のものをぜひ省令で入れてほしい、それから建設業のを入れてほしいというのに、労働省がノーと言うとだめなんですよ。そこなんですよ、内閣法制局に伺っているのは。  ですから、各省庁に影響するような部門について、これは労働基準の部門だから労働省、これは私のところのあれですというふうなことで、内閣法制局もそれは技術的なものだと言われたら、これは内閣法制局の見解の僕は大変なる誤謬だと思っております。この問題について議論を始めてもしようがありませんから、指摘しておきます。  これはそういうことですから、本来ならば四十条の「命令で別段の定めをすることができる。」のところに例示をしておいて、その他政令で定める業種とでもやってやらないと、今出てきている全国からのいろいろな要請というのは、製造業について、建設業について九人以下の部門についてはぜひ適用除外してくれ、こういう声が大きいのですが、それを直そうとするとかえってできない。  それから、もともと本則としまして、平成九年の三月三十一日の同項を直しておきませんと、原則がみんな四十時間にいってしまいますから。いってしまうと二つ問題があるわけですよ。そういう点で、この問題の点について内閣法制局に喚起しておきますけれども、命令等々についても、内閣全体の法律解釈については法制局の所管でありますから、ひとつよろしく適正なる運用をお願い申し上げておきます。  それから労働大臣、来年の三月三十一日で切れるものをどうするかという問題、それから、そのときに四十条に絡み今申し上げました省令を膨らます。それをなぜ膨らますことができないかというと、この四つの適用除外、商業と、それから映画・演劇業と、それから保健衛生業と接客娯楽業というのは、昭和二十二年からずっと四つなんですよ。動かさない。そうでしょう、局長。最後にちょっと確認しておきたい。
  107. 松原亘子

    松原政府委員 この法律の範囲はそうでございますし、その省令の範囲は、これまで、今先生御指摘のものより運輸関係が若干かつて特例の範囲だったということはございます。ただ、それはずっと縮小をしてきており、現在四事業になっておるということでございます。
  108. 佐藤剛男

    佐藤(剛)分科員 時間でございますからあれなんですが、申し上げたいことは、労働省は、簡単に言うと今言った四業種は適用除外なんですね。これを少な目少な目にしようとしている運用なんです。最後はなくしてしまいたいのです、簡単に言いますと。そうでしょう、局長。正直におっしゃい。
  109. 松原亘子

    松原政府委員 私どもだけがそういうふうに独断的に考えているということではございませんで、この労働基準法制について御検討いただきました学者の先生方も、この問題について非常に時間をかけて御検討いただきましたけれども、やはり労働基準法制定以降の社会経済情勢の変化を踏まえて、基本的に廃止するという方向でこれまでやってきた、その方向でやるべきだということを言っておられますし、私どもは、こういったことを非常に貴重な御意見として踏まえて対処していきたいというふうに考えております。
  110. 佐藤剛男

    佐藤(剛)分科員 時間でございますので、こういうことを申し上げておきます。  これからは、今申し上げましたように、平成九年の三月三十一日のものをどうするかという問題、それから四十条のところに私は関係すると思っているのですが、そこら辺まで例外業種をきちんとある程度法定しておかないと、四十四時間が四十時間になれば、普通四十六時間の旅館の方は四十二時間になる。大体比例の原則でそうなってきているのだから、そういうふうになっていくのじゃないかと心配している向きがあるのですよ。  これは内閣全般の問題でございますので、十分そのようなものが反映されるように、罪刑法定主義を含めて、各省庁の意見が含められるような形でそのときに法の改正問題に取り組むということをここで申し上げさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。  一部長、どうもありがとうございました。
  111. 谷津義男

    谷津主査 これにて佐藤剛男君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして労働省所管についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位の御協力により、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。  これにて散会いたします。   午後二時三十五分散会