運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1996-03-01 第136回国会 衆議院 予算委員会第三分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年三月一日(金曜日)    午前十時開議  出席分科員    主 査 細川 律夫君       小野 晋也君    後藤田正晴君       村山 達雄君    今津  寛君       大野由利子君    近江巳記夫君       川島  實君    田中 昭一君    兼務 上田  勇君 兼務 斉藤 鉄夫君    兼務 藤村  修君 兼務 中島 武敏君  出席国務大臣         文 部 大 臣 奥田 幹生君         自 治 大 臣 倉田 寛之君  出席政府委員         文部大臣官房長 佐藤 禎一君         文部省生涯学習         局長      草原 克豪君         文部省初等中等         教育局長    遠山 耕平君         文部省教育助成         局長      小林 敬治君         文部省高等教育         局長      雨宮  忠君         文部省学術国際         局長      林田 英樹君         文部省体育局長 佐々木正峰君         文化庁次長   小野 元之君         厚生省児童家庭         局長      高木 俊明君         自治大臣官房総         務審議官    湊  和夫君         自治省行政局長 松本 英昭君         自治省行政局公         務員部長    鈴木 正明君         自治省行政局選         挙部長     谷合 靖夫君         自治省財政局長 遠藤 安彦君  分科員外出席者         警察庁長官官房         装備課長    中川 雅量君         警察庁生活安全         局地域課長   小野 正博君         警察庁刑事局捜         査第二課長   栗本 英雄君         法務省刑事局刑         事課長     麻生 光洋君         外務大臣官房海         外広報課長   大塚 聖一君         大蔵省主計局主         計官      三國谷勝範君         大蔵省主計局主         計官      篠原 尚之君         文部大臣官房会         計課長     矢野 重典君         厚生省年金局企         画課長     河村 博江君         自治大臣官房会         計課長     山口  均君         消防庁救急救助         課長      小濱 本一君         地方行政委員会         調査室長    黒沢  宥君         文教委員会調査         室長      岡村  豊君         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ————————————— 分科員の異動 三月一日  辞任         補欠選任   村山 達雄君     小野 晋也君   笹川  堯君     近江巳記夫君 同日  辞任         補欠選任   小野 晋也君     村山 達雄君   近江巳記夫君     大野由利子君 同日  辞任         補欠選任   大野由利子君     笹川  堯君 同日  第一分科員中島武敏君、第四分科員上田勇君、  第五分科員藤村修君及び第六分科員斉藤鉄夫君  が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成年度一般会計予算  平成年度特別会計予算  平成年度政府関係機関予算  (文部省及び自治省所管)      ————◇—————
  2. 細川律夫

    細川主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。  平成年度一般会計予算平成年度特別会計予算及び平成年度政府関係機関予算自治省所管について、政府から説明を聴取いたします。倉田自治大臣
  3. 倉田寛之

    倉田国務大臣 平成年度自治省関係歳入歳出予算につきまして、概要を御説明申し上げます。  一般会計につきましては、歳入は三千百万円、歳出は十三兆七千九十五億七千八百万円を計上いたしております。  歳出予算額は、前年度予算額十三兆四千四十八億二千七百万円と比較し、三千四十七億五千百万円の増額となっております。  また、この歳出予算額組織別の額を申し上げますと、自治本省は十三兆六千八百六十二億三千七百万円、消防庁は二百三十三億四千百万円となっております。  以下、主要な事項説明につきましては、委員各位のお許しを得まして、これを省略させていただきたいと存じます。  よろしくお願い申し上げます。
  4. 細川律夫

    細川主査 この際、お諮りいたします。  ただいま自治大臣から申し出がありました自治省所管関係予算概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 細川律夫

    細川主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔倉田国務大臣説明を省略した部分〕  以下、この歳出予算額のうち、主な事項につきまして、内容の御説明を申し上げます。  最初に、自治本省につきまして、御説明を申し上げます。  まず、地方交付税交付金財源の繰入れに必要な経費でありますが、十三兆六千三十八億二千六百万円を計上いたしております。  これは、平成年度所得税法人税及び酒税の収入見込額のそれぞれ百分の三十二に相当する金額消費税消費譲与税に係るものを除く。)の収入見込額の百分の二十四に相当する金額並びにたばこ税収入見込額の百分の二十五に相当する金額合算額十二兆八千八百六十五億六千万円から平成年度地方交付税に相当する金額を超えて繰り入れられた額一千二百十八億三千四百万円を控除した額に平成年度における法定加算額四千百三十八億円及び臨時特例加算額四千二百五十三億円を加算した額を交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れるためのものであります。  次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金に必要な経費でありますが、二百二十三億五千万円を計上いたしております。  これは、いわゆる基地交付金でありまして、米 軍及び自衛隊が使用する国有提供施設等の所在する市町村に対し、助成交付金を交付するためのものであります。  次に、施設等所在市町村調整交付金に必要な経費でありますが、五十八億円を計上いたしております。  これは、特定の防衛施設が所在することに伴い税財政上特別の影響を受ける施設等所在市町村に対し、調整交付金を交付するためのものであります。  次に、新産業都市等建設事業債調整分利子補給に必要な経費として、七億六千八百万円を計上いたしております。  これは、新産業都市工業整備特別地域等建設整備の促進を図るため、建設事業債特別調整分について利子補給金を交付するためのものであります。  次に、公営地下高速鉄道事業助成に必要な経費でありますが、五十七億一千七百万円を計上いたしております。  これは、昭和四十七年度から昭和五十七年度までの間において発行された公営地下高速鉄道事業債支払利子に相当するものとして発行を認めた企業債利子の一部について、地方公共団体助成金を交付するためのものであります。  次に、公営企業金融公庫補給金に必要な経費でありますが、五十億一千六百万円を計上いたしております。  これは、公営企業金融公庫上水道事業下水道事業工業用水道事業交通事業市場事業電気事業及びガス事業に対する貸付利率の引下げに関連し、同公庫に対し補給金を交付するためのものであります。  次に、公営交通施設改良モデル事業に必要な経費でありますが、六億円を計上いたしております。  これは、地域中核的施設である公営交通ターミナル等について、高齢者身体障害者に配慮した改造をモデル的に行う地方公共団体に対し事業費の一部を補助するために必要な経費であります。  次に、明るい選挙推進に必要な経費でありますが、二十三億八千百万円を計上いたしております。  これは、政治改革趣旨内容周知徹底を引き続き行い選挙人政治意識の高揚を図る等のために必要な経費であります。  次に、政党助成に必要な経費でありますが、三百十一億二千七百万円を計上いたしております。  これは、法人である政党に対し交付する政党交付金等に必要な経費であります。  以上が自治本省についてであります。  次に、消防庁について、御説明申し上げます。  消防防災施設等整備に必要な経費として、二百億九千五百万円を計上いたしております。  これは、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、災害に強い安全なまちづくり推進するため、耐震性貯水槽画像伝送システム消防団拠点施設緊急消防援助隊関係資機材コミュニティ防災資機材、ヘリコプター、高規格救急自動車などの諸施設等地域の実情に応じて重点的に整備するために必要な経費であります。  第二に、特別会計予算につきまして、御説明を申し上げます。  自治省関係特別会計といたしましては、交付税及び譲与税配付金特別会計があり、交付税及び譲与税配付金勘定交通安全対策特別交付金勘定があります。  まず、交付税及び譲与税配付金勘定歳入予定額は、三十一兆五千二百二十億七千万円、歳出予定額は、三十一兆百二十四億七千万円となっております。  歳入は、「交付税及び譲与税配付金特別会計法」に基づく一般会計からの受入れ見込額消費税収入見込額の五分の一に相当する額、地方道路税収入見込額石油ガス税収入見込額の二分の一に相当する額、航空機燃料税収入見込額の十三分の二に相当する額、自動車重量税収入見込額の四分の一に相当する額、特別とん税の収入見込額等を計上いたしております。  歳出は、地方交付税交付金地方譲与税譲与金及び借入金の償還財源等国債整理基金特別会計への繰入れ等に必要な経費であります。  次に、交通安全対策特別交付金勘定歳入予定額は、九百六十二億九千万円、歳出予定額は、八百八十四億五千五百万円となっております。  歳入は、交通反則者納金収入見込額等を計上いたしております。  歳出は、交通安全対策特別交付金等に必要な経費であります。  以上、平成年度自治省関係一般会計及び特別会計予算概要を御説明申し上げました。     —————————————
  6. 細川律夫

    細川主査 以上をもちまして自治省所管につきましての説明は終わりました。     —————————————
  7. 細川律夫

    細川主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。小野晋也君
  8. 小野晋也

    小野分科員 ただいま時代は激動のときを迎えていると思います。この日本の国の中におきましても、さまざまな課題が山積する中、二十一世紀という新しい時代に向けての胎動が始まっているように私ども感じているわけでございますけれども、この自治省におかれましても地方分権時代というようなことが言われているわけでございますが、これは単に権限を地方に譲ればいいということのみではなくて、やはり新しい時代社会システム政治システムというものをいかにこれからつくっていくかという課題の中に生まれている問題だと思います。  就任以来一カ月半になろうかと思いますが、倉田自治大臣を初めとされまして、自治省皆さん方におかれましては、この時代仕事と申しますか事務と申し上げたらいいかもしれませんが、それを見事に果たしていただき、御活躍いただきますことをまず御期待を申し上げておきたいと思う次第でございます。  きょうの質問でございますけれども、まず最初に取り上げてみたいのは、総論としての地方財政の問題でございます。  平成年度の結果が出されているわけでございますけれども平成年度地方財政状況全体を俯瞰をしてみますと、大変地方財政も厳しいところに立ち入りつつあるという現状を痛感いたしております。  例えば平成年度公債費負担比率を見てみますと、自治省がこれまで要警戒とされてこられました一五%ラインを超える自治体がどのくらいになっているかと申しますと、都道府県レベルで申しますと、平成年度に比べて五団体ふえて十五団体になっております。構成比率では三一・九%、ほぼ三分の一の都道府県が要警戒の領域に入ってきたということでございます。そしてまた、市町村レベルで考えてみますと、前年度に比べて二百十六団体増の千三百七団体ということでございまして、こちらは全体の構成比でいくと四〇・四%ということでございますから、三分の一をはるかに超える自治体財政的に厳しい状況に追い込まれてきているということでございます。  一方、経常収支比率の方面で見てみましても、都道府県が八七・四%、市町村が八一・二%というレベルに達しておりまして、財政硬直化が年々進行しつつあるということもこの数字から判断することができようかと思います。  この背景を考えてみますと、もう単に自治体運営がまずかったということではなくて、景気低迷が進行する中で税収が数年落ち込み続けてきているというような状況もありますと同時に、こ の景気を回復するために国において景気対策を数次にわたって打ち出してまいったわけでございますけれども、この経済対策に協力することを通して地方の方も財政支出が大きく伸びてきたということに伴って、地方債発行残高等の増加が見られてきたという背景も考えなくてはならないだろうと思います。  今の経済状況、多少景気が上向いてきつつあるという状況ではございますけれども、かつてのバブル経済のようなことはもうなかなか起こり得ないだろうということを考えましたときに、経常収支比率がこのような高いレベルにあって硬直化が進んでいる状況の中で、地方自治体が単に節約をするだけではなかなかこの財政状況を好転させることにはならないだろうということを考えましたときに、先ほど申しましたとおり、公債費比率が一五%を超えれば自治省として地方自治体にある程度の指導が入ってくるということでございますが、このような状況に対してどのような御指導をこれから、財政が厳しくなっている地方自治体に対して行っていこうとしておられるのか、まずこの点をお尋ねしたいと思います。
  9. 倉田寛之

    倉田国務大臣 地方財政におきまする地方債残高につきましては、小野委員指摘のとおり、一つは、景気の後退に伴います地方税収等の落ち込み、住民税の減税に伴います減収額を補てんしてまいりますための多額地方債発行したこと、一つは、景気低迷が続く中におきまする平成四年、五年度及び七年度におきまする経済対策のため、多額公共事業地方単独事業を追加したことに伴います地方債を増発したことなどが要因として近年急増してきたものでございます。  この結果、今後これらの地方債償還するための公債費負担が増嵩することが予想されるところでございます。したがいまして、今後の地方財政運営に当たりましては、各年度地方財政計画の策定などを通じまして、公債費等を適切に見込んで計画的な償還に努めてまいる一方、国・地方を通じます行政改革推進に必要な地方税財源充実確保を図ることによりまして、地方団体財政運営に支障の生じることのないようその健全性を確保してまいりたい、かように考えているところでございます。
  10. 遠藤安彦

    遠藤(安)政府委員 ただいま大臣から基本的な考え方、御答弁あったとおりでございますが、御質問の後段の、具体的な団体に対する指導の問題でございますけれども、確かに大臣が申し上げたような状況で、やはり地方債に依存した財政運営というものを行ってきたために、個別団体公債費負担比率数値あるいは全体の数値というものが悪化をしてきているということは事実でありますし、私どももこのことをこれからの財政運営に当たって十分に頭の中に入れておかなければいけないというように思っております。  ただ、最近は、今大臣が申し上げましたような理由に基づく公債発行については、各団体ごと発行額に応じて元利償還金交付税で見るというシステムをとっておりますし、それから地方の行います単独事業につきましても、この元利償還金地方交付税で見ていくという形の財政システムを採用してきております。  公債費負担比率は、分母に一般財源全体で公債費がどのくらい占めているかという比率ですが、実際、公債費がふえましても、それに応じて交付税がふえていけば当該団体財政運営というのは見かけほどは苦しくならないということで、私ども、この比率起債制限比率と申しておりますけれども、先ほど申し上げましたように、公債費交付税で見るというシステムを拡大してきておりますので、最近では、この起債制限比率の方で実際の地方団体財政硬直化というのを私ども判断をしているような状況でございます。  ただ、起債制限比率が非常に高くなりますと今度は起債発行をストップしなければならないというようなこともありますので、私どもこの起債制限比率が高くなった団体については、公債費負担適正化計画というのを立てていただきまして、そういった計画に基づいて実施をしている団体については公債費負担の一部を特別交付税援助をしていく、見ていくという、そういうような方法などを講じているところであります。  いずれにしましても、大臣答弁ありましたとおり、地方債だけではなくて、交付税特別会計の借り入れなどもふえておりますので、そういった点も十分頭に置きながら、御質問の御趣旨のとおりこれからの財政運営を行っていかなければいけないのではないかというように思っております。
  11. 小野晋也

    小野分科員 御答弁のとおり、財政状況、大変厳しい状況がありますけれども、表の行政施策事業が一方にあるとすれば、その裏を支えているのは間違いなくこの財政でございまして、地方財政が不健全になってくるということは、同時に地方行政も不健全になってくるということにつながってくることだろうかと思います。ぜひこの点、基幹的な大事な点だろうと思いますので、今後のお取り組みをよろしくお願い申し上げておきたいと思います。  引き続きまして、先ほど財政局長の方からお話ございました交付税の問題でございますけれども、実は私ども地方自治体皆さんお話をしておりますと、この交付税をめぐりましていろいろ御心配をされている向きがあるようでございます。  一つには、最近、国の各種補助金をできるだけ交付税に振りかえて地方自治体独自の判断ができるようにしていこうという動きが起こっておりますので、補助金にかわって交付税地方自治体が対応していかなければいけない事業がふえてきているということがございます。  それからもう一つは、先ほど局長が御指摘のとおりでございまして、財源不足に対して地方債発行するわけでございますが、これは将来交付税措置をするからそれを信頼して発行してくれということだけれども、本当にこれはきちんと交付税措置していただけるのだろうか、それだけ国の方も財源が十分あるのだろうかというような疑問の声も上がってきているわけでございます。  このような点に関しまして、先ほど申しましたとおり、地方自治行政の基幹的な部分の問題でございますので、自治省といたしまして、交付税措置をすると約束をしている項目ないしその償還問題等について、この約束を間違いなく履行していただけるのかどうか、この点についての御答弁をお願い申し上げたいと思います。
  12. 遠藤安彦

    遠藤(安)政府委員 御指摘のとおりでありまして、私ども地方団体から同様の御質問をよく受けるところであります。  補助金一般財源化の問題につきまして、特に地方団体からは、交付税あるいは税財源が具体的に国から移譲されないのに一般財源化をするということになれば、自分たち財源で国の補助金分も受け入れることになるのではないかという御心配からであります。ただ、私どもこれまで、バブル時代地方税収あるいは交付税収入が伸びたときを中心にいたしまして、全体の地方財源が大きくなる中で、そういう国庫補助金などを吸収できるものであれば、それだけ地方の自由度あるいは自立度と申しましょうかそういったものが増すということでありますから、そういった余裕のあるときに主として一般財源化等もやってきたつもりであります。  それから、地方債の問題については先ほど申し上げたとおりでありますから、今後もこの地方交付税あるいは地方税財源というものを確保していかなければいけないということでございます。これにつきましては、やはり地方債元利償還金については毎年度地方財政計画にきちんと計上をしまして、それが返せる財源というものを確保していくということがこれから非常に重要になってまいりますし、そのことがまた地方を安心させることでもございますし、地方が自主的・自立的に仕事をしていただく基礎にもなるというように私ども思っておりますので、そういった面については地方に不安を与えないように全力を尽くしてまいりたいというように思っております。
  13. 小野晋也

    小野分科員 財政運営につきましては、ぜひ地 方に不安を与えない運営を御希望申し上げておきたいと思います。  引き続きまして、最近話題になっております北海道庁裏金づくりの問題について御質問させていただきたいと思います。  今明らかになっておりますところでは、平成四年から平成七年十月末までの三年半の間に、北海道庁では組織ぐるみで旅費の不正受給ないし会場借上料の不適正な執行等が行われまして、今まで明らかなところでは総額十九億円余りの裏金がつくられていたようである。それについては、単に業務自由裁量で使えるお金という形で使ったのみならず、職員間での飲食費も含まれているというようなことが言われております。  このような問題を考えてまいりましたときに、今はっきりしているのは、幹部だとか管理職がその部分については責任を持ってお金を返しますというようなことを言っているわけでございますけれども文書として書類が出されて費用が出ていることを考えれば、虚偽公文書作成に当たるわけでありましょうし、また、それをみずからのことに使ったということであれば、これは業務上の横領に当たるというようなことになろうかと思うわけでございます。  こういう問題というのは、単に使ったお金を返せばいいというだけで済むのかどうか。むしろ私どもの目から見ると、これは道民の皆さんの感覚でもあろうと思いますけれども刑事罰の対象になる事犯ではないのかというふうに思うわけでございますが、この御見解を問いたいと思います。
  14. 麻生光洋

    麻生説明員 お尋ねは、北海道庁におきますいわゆる空出張等によります不正経理問題につきまして、虚偽公文書作成罪あるいは詐欺罪に当たるのではないか、こういうお尋ねであろうかと思います。  ただ、具体的な事案におきます犯罪成否というものにつきましては、捜査当局におきまして収集した証拠に基づいて個別具体的に判断されるべき事柄であると思いますので、私どもとして答弁することは差し控えさせていただきたいと思います。  なお、あくまでも一般論として申し上げますと、御指摘虚偽公文書作成罪と申しますのは、公務員が、その職務に関しまして、行使の目的で、虚偽文書等を作成した場合に成立するものでございます。また、業務横領罪と申しますのは、業務上自己の占有する他人の物を横領した場合に成立する犯罪でございますので、個別の犯罪成否につきましては、こうした要件が認められるか否かを捜査当局におきまして証拠に基づきまして具体的事案に即して判断する、こういうことになっておるわけでございます。
  15. 小野晋也

    小野分科員 今法務省当局からは、法文上の解釈をめぐっての御答弁をいただいたわけでございますが、捜査当局判断に任されるという御答弁であったかと思います。ならば、捜査当局としては、これを刑事罰対象として捜査を行っているのか、また、そういうお考えがあるのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  16. 栗本英雄

    ○栗本説明員 ただいまの御質問の件につきましては、各種の報道がなされているとか、あるいは関係機関におきまして種々の対応がなされているということにつきましては承知をいたしております。しかし、具体的な個別案件につきまして、警察として捜査をしているか否かにつきましては答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。  なお、一般論になりますが、警察といたしましては、法令の定める手続によりまして解明された事実に基づき、刑罰法令に触れる行為を認めますならば、事案の内容に即しまして適切に対処してまいりたいと考えておるところでございます。
  17. 小野晋也

    小野分科員 恐らくこの問題は、個人がみずからの判断でこういうことをやった場合には刑事罰の対象になっている事案だろうと思います。それが組織ぐるみでやったということは、これは解釈の部分に非常に難しいものが出てきているのだろうと思います。  ただ、正式な予算査定が行われたお金でもない、正式な出納手続が行われたお金でもない、そういうお金地方自治体の中でつくられているということ、しかもそれが大きく組織全体として行われているということは、やはり地方自治のあり方についての大きな疑念を引き起こしている問題だろうと思います。  この点につきましては、捜査当局からは捜査状況を今の段階では話ができないということではございますが、私どもから見ますと、この問題は地方自治のあり方をめぐって放置できない問題だという認識をしておりますので、どうかそのあたりを含んで今後の対応をお願い申し上げておきたいと思います。  引き続きまして、市町村合併の問題について御質問をさせていただきたいと思います。  昨年の四月一日から、市町村合併をめぐる改正法が施行ということになりました。この改正法は、画期的とも言える、有権者の皆さんの発議権を認めた改正でございまして、大変鳴り物入りでスタートを切ったように私どもは認識をいたしております。  しかしながら、それから約九カ月、十カ月経てまいりまして、現状でどうかと申しますと、発議成立をした地方自治体が六件、そのうちで四件は、対象首長の判断、または議会において合併協議会を設立しない旨の決定をして、それで作業が終了をいたしております。残りの二つは、一つが協議会を正式設置をした、もう一つは、現在話が進行中である、こういう状況でございます。  全体的に見ますと、当初鳴り物入りでスタートを切った割には、私自身の感想でございますけれども、発議数も少し少ないような感じがするし、またその後協議会設置に至って具体的な合併プロセスに入ろうという意思表明をしたところもたったの一件ということで、割合少ないなというのが率直な気持ちでございます。  この点について、自治省サイドではどのように受けとめておられるのだろうか。そしてまた、この数ということについて、どうしてこういう数になったのか、多い少ないの見解はあろうと思いますけれども、そのあたりを含んで御答弁いただいたらと思います。
  18. 松本英昭

    ○松本政府委員 昨年四月に合併特例法が改正されたわけでございますが、ただいま御指摘のように、その中で新たに創設されました住民発議制度の活用状況は、今御指摘のとおりでございます。ただ、私どもとしましては、これが施行後まだ一年たっておらない、それから、いろいろなことを考えますと実質的にはまだ半年の実績というような感じではないかと思っているわけでございまして、そういうことを考えますと、必ずしもこの件数が少ないのだとも言い切れないのではないかと思っております。  また、最近も住民発議の機運等も見られるというようなこともあるわけでございます。合併協議会の設置まで至りましたのが、確かに一件しかないわけでございますけれども、住民発議制度の導入に当たりましては、この制度の活用によりまして、市町村の合併に関して活発な論議をしていただく、これが一つの大きな目的でもあったわけでございます。そういう意味におきましては、この住民発議制度というものは、自主的な市町村の合併の推進にかなり意義のある制度ではないかと思っているところでございます。
  19. 小野晋也

    小野分科員 私自身の立場から申しますと、松本局長がおっしゃられたことと逆に、もう少しこういう住民参加の形態がとられれば、住民運動と連動する中で発議が数多く出るのかな、こう思っていたのが事実でございます。そしてまた、一面、その発議が出されましても、当該首長がそれを拒絶すれば簡単にそこで終わってしまって消えてしまうということについても、何か問題がありはしないだろうかと感ずる点がございまして、現在の改正法のあり方ないし合併に対する特別の措置等に、もう少し考慮すべきものがあるような気持ちがいたしております。  その第一点は、先ほどの発議の問題でございます。有権者の五十分の一の数の連署で発議権が確 立するという問題でございますが、この五十分の一の数というのは、私は、自治体の首長や議会を動かすには少し数が少な過ぎるのではなかろうかという気がしてならないところでございます。むしろ、集めるには困難があるかもしれないけれども、例えば五分の一の有権者の数が必要だとか、また十分の一の数が必要だとか、ある程度のまとまった数で首長や議会に政治的主張を伝えていくというような部分も必要だろうかと思う点がございます。  それからもう一つは、合併に伴う優遇措置の問題でございます。特に、過疎市町村等を抱えておりますところで合併をした場合に現状の継続を認めるということではありますけれども、合併をすれば当該地域に対して新たに大きな便益が供与できるというような項目が入っていなかろうかと思います。このあたりについても、もう一工夫することを通して、自治省が想定しておられる、みずからで判断もできる、またみずからでその地域の企画もできる、こういうような自治体を育てていくことが可能になるのではなかろうかと考える次第でございますが、御見解をお尋ねしたいと思います。
  20. 松本英昭

    ○松本政府委員 御指摘の住民発議の要件につきましては、合併推進のあり方について審議をいたしました地方制度調査会におきましてもいろいろと御意見のあったところでございます。結果といたしまして、現在の地方自治法上のいわゆる直接請求の要件が、条例の制定とかいわゆる事務の監査請求が五十分の一、それから解散請求とかいわゆるリコール系のものが三分の一ということで、その五十分の一という方に合わせたということでございますけれども、これはやはり、余りハードルを高くいたしますとかえって住民発議が成立しないということであったり、あるいは合併協議会の設置に当たっては最終的に関係市町村の議会の議決を要することとしていることで、その前段階としての合併協議会の設置の請求だ、こういうことなどを考えまして、五十分の一ということにいたしたわけでございます。  ただ、実際は、五十分の一の要件ではございますけれども、それ以上の署名をお集めになって対応しておられるというところがかなりあるわけでございまして、先生御指摘の、インパクトが弱いのではないかということには必ずしもならないのではないかと思っておるわけでございます。  それからいま一点の、合併をいたしました際のいわゆる魅力的な措置でございますけれども、以前の合併特例法、これは、どちらかといいますと合併に対する障害を除去するという観点からでございましたが、今回の合併特例法は、それに加えまして、いわゆる自主的な合併を推進するという観点を入れているわけでございます。  その中で、今特に御指摘になりました合併をしたら何か新しいいいことがあるのか、こういうお話でございましたが、一点だけ御紹介させていただきますと、合併いたしました市町村が一体的かつ効果的な町づくりを推進するため、いわゆる市町村建設計画というのをつくるわけですけれども、その市町村建設計画に基づいて実施されます事業につきましては、いわゆる地域総合整備事業債というのを発行いたします。これは、いろいろ仕組みがございますが、結果的に当該事業に要しました経費の七割程度までは交付税措置されていく、こういう制度を新たに導入いたしたところでございます。  そのほか、今御指摘の過疎地域につきましては過疎債をずっと適用していくとか、そういうように推進のための措置も新たに取り組んだところでございますので、どうか御理解をいただきたいと思います。
  21. 小野晋也

    小野分科員 もう時間になりましたので、最後、インターネット問題について二つの質問をさせてもらいたいと思います。  一つは、インターネットという手段の特徴でございますけれども、少ない経費で全世界に向けてその情報を発信することができる、みずから手軽にその情報を発信することが可能である、こういうようなものがあろうと思います。現在、毎日毎日インターネットの利用者数が一%ずつ増加している傾向である、全世界的にそういう状況であるということを考えますと、これは大変なメディアにこれから育ってくるのだろうと思います。  日本の国におきましても、いろいろな分野でインターネットを活用しようという動きが出てきているわけでございますが、その動きを見ながら、私はむしろ、今回のこのメディアは、今まで情報過疎と言われていた地域にこそ光を当てて推進をしていくべきメディアなのではないか、こんなことを思った次第でございます。  全国には随分たくさんの過疎市町村がございます。また、小規模町村もあるわけでございまして、これらの町村の皆さん方は、自分たちが何をしているのか、自分たち地域はどういう地域なのか、どういう特産品があるのか、こういうことを伝達しようとしても、なかなかその手段を持っておらないわけでございます。自治省といたしまして、このような地域にむしろ光を当てて引き上げていくという観点でこのインターネット広報事業を展開されてはいかがだろうかと思っております。  昨年、一昨年でございましたでしょうか、都道府県単位に、全国地域情報発信共同事業という形で、新聞上にその地域の宣伝をしていただく事業が展開されたわけでございますが、これはなかなか好評であったと私ども聞いております。そんな観点からいきますと、もう少し細かな部分に配慮をして、インターネット広報を支援していくということが非常に有意義ではなかろうかと思いますので、この点についてお答えいただきたいと思います。  それともあわせてもう一つ質問させていただきたいのは、実は選挙におけるインターネット広報のあり方の問題でございます。今までの考え方でいけば、公衆の面前に自由にアクセスできるものを提供するということになりますと、当然公職選挙法等の制限を受けるという形になろうかと思いますけれども、このインターネットの特徴というのは、全世界が自由自在につながるということでございまして、日本の国内にその情報センターを設置しなくても、例えばアメリカだとかヨーロッパにそのみずからの宣伝するページを設ければ、日本の人が自由自在にそこへアクセスしながら情報をとることができる。それについては、恐らく国内法では取り締まりの方法がないんだろうと私は思っております。  そんなことをいろいろ考えましたときに、インターネット広報というのは、見る人が自分の意思で、無限に近い数が開かれているホームページをみずから指定してそれをのぞきに行くという性格からいうならば、今までの選挙法上でいうと、個人の部屋の中にポスターを掲示していて、それを見に行こうとするならば、みずから扉を開いてその中に入らなければ見られないよというのと同種の問題ではなかろうかと考えている次第です。  ですから、インターネット広報のあり方については、内容的に問題のあるものは別にいたしまして、原則的にはもうこれを自由にして、選挙の際にもその制約を受けないというようなものにしてみたらどうだろうかと思うわけでございますが、その点の御見解をお尋ねしたいと思います。
  22. 湊和夫

    ○湊政府委員 小規模市町村のインターネットの活用についての先生の御指摘については、私どももまさにそのとおりだと思っております。  かつて、いろいろな意味で後進的な条件に置かれました地域が、このインターネットを含めた情報化の進展の中で情報過疎に置かれることのないように、私どもも精いっぱい努力したいと考えております。  時間の制約もあるようでございますが、私ども、この場合に一番の問題は、お金のことよりも、お金ももちろん大事なんでございますが、やはり職員の資質向上とか情報のいろいろなノウハウの蓄積、こういったことが大変大事だと思っておりますので、そういう意味の取り組みも一生懸命やりたいと思っております。  それからまた、平成年度自治省もインターネットのホームページを設けることにいたしておりますが、この中で、各都道府県あるいは市町村がホームページを持っておりますときに、自治省のこのホームページにアクセスしていただくと、即それから各市町村のホームページにリンクできますような、そういうゲートウエー効果も持ったものにしたいと思っております。一生懸命取り組みたいと思っております。
  23. 谷合靖夫

    ○谷合政府委員 お答えを申し上げます。  公選法上では、人の視覚に訴えるものは広く文書図画ととらえておりますので、いわゆるインターネットによるディスプレーをされた表示画面というのも、法上は文書図画に該当するというふうになろうかと思います。  したがって、現在では、そうした文書図画を選挙運動のために使用するということになれば、法に定められた一定のものしかできないわけでございますので、インターネットによるそうした利用というのは非常に厳しい状況に置かれている。ただ、御指摘のあったようないろいろな態様については、公選法に特段の規定がございませんので非常に難しい課題であるし、今後検討しなければいけない課題ではあろうかというふうに考えております。
  24. 小野晋也

    小野分科員 時間でございますので、以上で終了させていただきたいと思います。皆さんの御活躍を心から御期待申し上げます。
  25. 細川律夫

    細川主査 これにて小野晋也君質疑は終了いたしました。  次に、近江巳記夫君。
  26. 近江巳記夫

    ○近江分科員 まず初めに、大臣にどうしてもお聞きしておかなければならないことがございます。  それは、御承知のように、住専処理のために六千八百五十億を、血税を投入し、今年度予算に組み込んでいらっしゃるわけでございます。連立与党でこれを決定されまして、以来今日まで、反対の勢いといいますか、うねりといいますか、消費税をしのぐ大変な大きなうねりになってきておるわけでございます。その件に関しまして、大臣として、この投入について、こういう大きな国民世論というものも形成されてきておる中で、依然として賛成であるのか、また、どうしてもこの方法しかないと今もお考えであるのか、率直にひとつ伺わせていただきたいと思います。
  27. 倉田寛之

    倉田国務大臣 平成年度政府予算が年度内に成立ができ得ますように、閣僚の一人として最善を尽くしたいと考えておるところでございます。
  28. 近江巳記夫

    ○近江分科員 今お聞きしましたように、どうしてもこの方法しかない、今もお考えに変わりないのか、率直にひとつお聞かせいただきたいと思います。
  29. 倉田寛之

    倉田国務大臣 同じようなお答えを繰り返して恐縮でございますが、私は、橋本内閣の閣僚の一人として、平成年度政府予算案が年度内に成立を期していく、そのために最善を尽くしてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  30. 近江巳記夫

    ○近江分科員 閣僚の立場として今御答弁になっているわけでございますが、では、閣僚の立場を離れて、本当に率直なお気持ちはいかがですか。
  31. 倉田寛之

    倉田国務大臣 再三にわたるお尋ねでございますが、前段申し上げたとおりでございます。
  32. 近江巳記夫

    ○近江分科員 では、きょうは時間が限られておりますので、まず初めに、地方公務員の採用の問題でございますが、先般も高知県知事がこの問題について御協議されたようでございますけれども、国籍条項の廃止につきまして、大臣の御見解をお聞きしたいと思うわけでございます。  この採用に当たりまして、国籍条項というのは、特段法律では規定はしておられないわけでございますけれども自治省としては非常に難色を示しておられるわけでございます。  地方自治体市町村におきましては、これは自治労等が調査されておるわけでございますけれども、三百五十四のところにおきましては何らそういう規定もしておらない、廃止しておるというようなこともお聞きしておるわけでございます。  諸外国の例を見ましても、こうした国籍によります就職差別という問題、これは非常に、最近の国際化の進展、あるいはまた多彩な人材を育成し住民のために働いていただく、そういうような流れというものができておるように思うわけでございますけれども、この国籍条項の廃止問題につきまして、大臣としての御見解をお伺いしたいと思います。
  33. 倉田寛之

    倉田国務大臣 高知県では、一般事務職等の採用につきまして国籍要件を撤廃することを検討しているようでございますが、政府といたしましては、従来から内閣法制局見解に示されておりますとおり、公務員に関する当然の法理として、公権力の行使、または公の意思の形成への参画に携わる公務員となるためには日本国籍を必要とするが、それ以外の公務員となるためには必ずしも日本国籍を必要としないものであり、このことは国家公務員のみならず地方公務員の場合も同様であると解しておるところでございます。  その後の社会情勢の進捗の中におきまして、例えば、昭和五十七年には、学術の国際交流を推進するため、国公立大学に外国人の教員を任用するための特別措置法が制定されたと承知をいたしております。  自治省といたしましても、医療技術系の職種等、公務員の当然の法理に抵触しない職種につきましては、日本国籍を有しない者にも採用の機会の拡大を図るよう地方公共団体指導いたしてきているところでございます。  しかしながら、地方公務員にはいろいろな職種がございます。一般事務職等につきましては、国籍要件を撤廃することは、公務員に関する当然の法理を踏まえますと適当でないというふうに考えておるところでございます。
  34. 近江巳記夫

    ○近江分科員 高知県におきましても、法律あるいは条例等を三千七百五十項目ですか、検討されて、地方行政というものは住民サービスである、そういう非常にきめ細かな、そこまでの調査もされているわけなんです。  私は大阪におるわけでございますが、そういう定住外国人の方々のそうした要望といいますか、非常に強いものがございます。何とか差別を撤廃してもらいたい、門戸を開いてもらいたい、日増しにこれは強まっておるんですね。  ですから、大きく情勢も今変わってきているわけでございますから、従来の、これは五三年でしたですかね、その見解に固執して、一向にかわりばえがしない、進展がないというのはどうかと思うんですね。  したがいまして、やはりそういう状況ということにかんがみて、自治省といたしましても、どのようにそういう状況に置いていくかということを、やはり私は真剣な問いが必要ではないかと思うんです。その点、自治省とされてどういう検討をされておるのか、従来のこの、一歩も出ないというようなことでは私はまずいんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  35. 鈴木正明

    ○鈴木(正)政府委員 今お話もございましたが、私どももいろいろな機会に地方団体に対しまして、当然の法理というものを踏まえまして、地方団体において日本国籍を有しない方にも採用機会の拡大を図るようにお話をしてきているところでございます。  今大臣からも御答弁申し上げましたが、昭和五十七年には、国公立大学の教授、教員に任用する道が開かれまして、また国の方では研究施設等についての立法措置も行われております。現実に、医療技術系の職種の方、あるいは労務を提供する分野の職種の方、あるいは研究学術の分野の方、そういうことで採用機会の拡大が図られつつあるところでございます。  公務員に関します当然の法理というものをやはり踏まえまして、それに反しない職種について、今後とも地方団体における採用機会の拡大が図られるように地方団体の方にお話をしてまいりたいと考えております。
  36. 近江巳記夫

    ○近江分科員 一般医療関係とかそういうところは門戸を開いていらっしゃるわけでございますけれども、これだって、例えば大阪市では九十八人、私が今の時点で聞いているところでは。東京都で五十三人、神戸市で四十一人というような、まだまだそれ自体も、門戸を開いておったって、なかなか採用もやはりまだまだ少ないわけですね。ですから、今、さらに採用をふやしていくようにというようなお話もされておるということでございますが、現実は本当に、各県見ましても非常に微々たる数だと思うんですね、まだ。そういうところからさらに努力をしていく必要があると思うんです。  今、政府の見解としては従来の域から出てないということが言えるんじゃないかと思いますが、これはやはり何回も申し上げておりますが、時代の進展でございますから、もう一度、これはもう真剣に、自治省中心となられて再検討をされることを強く要望したいと思います。大臣、いかがですか。
  37. 倉田寛之

    倉田国務大臣 先ほど政府委員からも御答弁申し上げましたように、保健婦、助産婦、看護婦の国籍要件等につきましては、保健婦助産婦看護婦法に規定されている各種の本来の業務、専門的な、技術的な業務であり、公権力の行使、公の意思の形成への参画に該当するものではないという判断に立ちまして、門戸を広げているところでございます。  先刻来申し上げておりますように、公権力の行使または公の意思の形成への参画に携わる公務員になるためには日本国籍を必要とするという考え方を踏まえてまいりますと、一般事務職等におきましては、通常、将来そのような職につくことが予想されるため、また一般事務職等の採用試験から国籍要件を撤廃をいたしてまいりますと、採用されました職員の将来の昇任、転任等の人事運用に支障を来さないようにあらかじめ適切な配慮がなされるべきことを考慮してまいりますと、適当でないというふうに考えるものでございます。
  38. 近江巳記夫

    ○近江分科員 重ねて申し上げておきますが、一層この問題につきましてはよく検討をし、努力していただきたい、強く要望いたしておきたいと思います。  それから、これは直接的には文部省あるいは日本体育協会の問題でございますけれども、国体、国民体育大会の問題です。  これにつきまして、やはりこの国籍条項がきちんとあるわけでございます。来年は大阪、再来年は神奈川と開催が決まっておりまして、大阪、神奈川は昨年、いわゆる国籍条項というものを外してもらいたい、まさにスポーツでございますから、そういうことで強く要望されまして、今体育協会等で真剣な討議を行っておられるということをお聞きしておるわけでございます。  当然、これは自治省として、国民体育大会ですから非常に大きな関係があるわけでございますし、先ほども申し上げた公務員の国籍条項とも関連するわけでございますし、まずスポーツから突破口を開く、こういう点でぜひバックアップをするべきじゃないかと思うのですが、いかがでございますか。
  39. 鈴木正明

    ○鈴木(正)政府委員 国体についてのお話でございまして、直接所管しておりませんので、先生のただいまの御意見、この審議の内容につきまして、文部省の関係方面にお伝えいたします。
  40. 近江巳記夫

    ○近江分科員 いや、お伝えしますというのではなくて、そんなことはもう体協も文部省もわかっておるわけですから、努力されておるのですから、自治省として、前向きに、これは全くスポーツですから、ですからぜひバックアップをするべきだと思うのですね。その点、どういう姿勢なのか、それをお聞きしておるわけです。
  41. 鈴木正明

    ○鈴木(正)政府委員 国民体育大会は、確かに地方団体も一緒に参画して行っておりますけれども、それぞれのところで実行委員会、国においては文部省が中心になって行っておりますので、私の方から、先生の御意見を文部省の方にお伝えさせていただくということで御了解いただきたいと思います。
  42. 近江巳記夫

    ○近江分科員 答弁は何も変わっておりませんけれども、では、しっかりお伝えになって、まずスポーツから突破口を開いていくということは大事なことではないかと思いますから、強く要望いたしておきます。  次に、地方参政権の問題でございますが、この地方参政権をぜひ認めてもらいたいという声はこれもまた非常に強いものがあるわけでございます。各市におきましてもその決議というものが非常に今拡大をしてきておる、このように見ておるわけでございますが、この問題につきまして、自治省として今どういう取り組みをされているか、まずお伺いしたいと思います。
  43. 倉田寛之

    倉田国務大臣 昨年の二月の最高裁判所の判決におきましては、憲法で保障する公務員を選定罷免する権利は日本国民のみを対象としており、在日外国人に対する選挙人名簿不登録処分に違法な点はないとされたものでございます。  この判決の中で、我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて、法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではない、しかしながら、そのような措置を講ずるか否かは、専ら国の立法政策にかかわる事柄である旨の考え方が示されたと承知をいたしております。  在日外国人に対する地方選挙権付与の問題につきましては、国民主権、地方自治のあり方、国と地方公共団体との関係などの基本的な事柄とも関連する問題でございますので、さまざまな角度から幅広く検討されなければならない問題であるというふうに考えております。  なお、与党三党におきましてもこれまでも検討が重ねられていると承知しておりますが、今後とも、各党各会派におかれて十分な御検討をいただきたいと考えておるところでございます。
  44. 近江巳記夫

    ○近江分科員 大臣もお答えになりましたように、これは昨年の二月二十八日の最高裁、それから平成五年六月二十九日の大阪地裁における判決、まさにこれはもう立法政策の問題というところに来ているわけなのです。  考えてみれば、全く日本の方々と同じ生活をされておりまして、そしてまた、納税義務も立派に果たしておられるし、地域社会の発展のために大変努力もされておられるわけでございます。また、こうした国際化、社会のボーダーレスに合わせまして時代も大きく変わってきておる、また、憲法上、判断もこのように明確に、あとは立法措置を待つばかりであるというところに来ておるわけでございます。  さらにまた、諸外国を見てまいりましても、既に外国等におきましては、相当数の国がそうした外国人の、特に地方参政権というものにつきましては相当拡大してきておるように思うわけですが、特にEUにおきましては、今まさに各国が、十五カ国それぞれもう作業に着手しておるという状況にもなってきておるわけでございます。  そういう点で、国際的にも大きな広がりが出ている中でございますので、ぜひとも、少なくとも地方参政権の問題につきましては政府としても真剣な取り組みのときに来ているのではないか、このように思うわけでございます。  今、各党のそうした取り組みといいますか、そのところに期待するということをおっしゃっているわけですが、政府みずから、ただそういう各党に任せて、責任転嫁といいますか、そういう姿勢ではいけないと思うのですよ。ですから、最も責任を持たなければならない自治省として真剣な討議をしなければいかぬ、このように私は思うのです。もう一度御答弁いただきたいと思います。
  45. 谷合靖夫

    ○谷合政府委員 確かにこの問題につきましては、先ほど大臣から申し上げましたように、基本的な国民主権のあり方とか地方自治のあり方、あるいは国と地方公共団体との関係という基本的な事柄にかかわる問題でございますので、各党にお ける論議の動向を踏まえながら、政府としてもいろいろ対応しなければいけないというふうに考えているところでございます。  例えば、実務的な面をかんがみましても、この判例で示されております、いわゆる「永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるもの」という具体的な内容をどういう範囲としてとらえたらいいのか。在留資格はいろいろあるわけでございますので、特別永住者なり永住者、あるいは定住者まで含めるのかどうか、そうした問題でありますとか、あるいは地方公共団体選挙権を要件とするいろいろな仕組み、直接請求の制度でありますとかあるいは人事の任免の問題、こうした面への波及の問題、さらに具体的な話になりますと、選挙人名簿をどのように作成をするかというような問題、こうした問題がありますので、そうした各党の動きと合わせながら、私どもとしてもそういう実務的な面をも勉強させていただいているという状況にあるわけでございます。
  46. 近江巳記夫

    ○近江分科員 さらに、そうした詰めといいますか、自治省として今後真剣な取り組みをされることを要望しておきたいと思います。各政党におかれましても今もそれぞれ真剣な御討議をされておるわけでございますし、私ども新進党といたしましても、具体的な実現を目指しましてはぼ骨格もできつつあるわけでございます。そういう点で各党努力していくわけでございますが、何といいましても自治省が、政府が真剣な取り組みをすることが一番大事だと思います。重ねて強く要望いたしておきたいと思います。  それから、次に、これは厚生省にかかわってくる問題でございますが、当然これは自治省としては地方の住民すべてに責任を持たなければならない、そういう立場でぜひ努力していただきたいと思うのでございますが、それは一九八二年に国民年金法の国籍条項というものが撤廃されました。在日外国人でも年金に加入できるようになったわけでございますが、このとき二十歳以上であった障害者は給付の対象外になったわけでございます。八六年の改正で保険期間が緩和されたときも、六十歳以上の高齢者は加入が間に合わずに年金が支給されないままになっておるわけでございます。  そういうことで、そういう窮状を見かねた各地方自治体におきまして、年金というわけにはいかないけれども、福祉給付金制度というものを創設をいたしまして、大阪では障害者一級、二級、療育手帳A、これは重度身障者の方々でございますが、一律二万円を支給する。また、滋賀県でも障害者の方に五万円から一万五千円、高齢者の方については一万五千円から五千円というような、そういう支給を開始されておるわけでございます。こういう動きが今広がりつつあるわけでございます。  そういう救済をしていく、一つは年金で何とかこれが救済できないものだろうか。これは厚生省にお伺いしたいと思いますが、もしもそれが非常に難しいというならば、地方自治体で既にこういう制度を発足させているわけでございますから、少なくともこれは自治省として、また厚生省ともに力を合わせて福祉給付金のそうした制度を全国的に展開するとか、何らかのやはりそういう措置が必要ではないか、このように思うわけでございます。  以上の点につきまして、両省からお伺いしたいと思います。
  47. 河村博江

    ○河村説明員 御指摘の点について御説明させていただきますが、確かに五十七年の難民条約の加入に伴いまして国籍要件を撤廃した。五十七年以降、在日外国人の国民年金法の適用につきましては内外人平等になったわけでございますけれども、しかしながら、その当時既に高齢であった方、あるいは障害のあった方につきましては、そういう形で御指摘のような老齢年金あるいは障害年金の特例措置を講ずるということにつきましては、制度に加入をし保険料を納めていくことが必要な社会保険方式を基本とする年金制度においては非常に対応が困難であるというふうに思っております。過去の事故にさかのぼって保険給付を行うということは極めて困難であるというふうに思っておるわけでございます。  一方、先生御指摘のように、地方自治体が独自の施策としてそういう方々に対しまして、在日外国人等で障害年金を受給していない方々に対しまして手当を支給しておることにつきましては、公的年金制度とは別であるというふうに思いますし、やはりそれぞれの自治体で、地域の実情に応じて自治体判断で実施をしておるということだと理解をいたしておりまして、年金制度において何らかの救済を図るということは困難ではないかというふうに思っておるわけでございます。
  48. 湊和夫

    ○湊政府委員 お話のございました在日外国人の無年金者の問題にかかわります年金の給付金の話についてでございますけれども、現在、地方団体がそれぞれの地域の実情に即しまして独自の判断にかかわる施策として福祉給付金の支給を行っているということは私ども承知いたしておりますが、この問題は、障害福祉年金制度の沿革でございますとかあり方にかかわる問題として発生している問題でございまして、基本的に、この問題の処理につきましては、国の場において国の制度として取り上げるべきかどうかを判断すべき問題であるというふうに私どもは考えておるところでございます。
  49. 近江巳記夫

    ○近江分科員 もう時間がございませんのでこれで終わりますが、その問題もしっかりよく検討していただきたいということを強く要望いたしまして、終わりたいと思います。
  50. 細川律夫

    細川主査 これにて近江巳記夫君の質疑は終了いたしました。  次に、川島實君。
  51. 川島實

    ○川島分科員 新進党の川島實です。  先ほど近江議員から大臣に、住専で今国民の非常に多くの批判を受けている、そしてまた地方の各議会、自治体ですね、意見書等が寄せられておる、そして公式の態度をお伺いをしたわけでございますけれども、こうした流れの中で、大臣個人としてどのようにこのことを受けとめておるのか、先ほどは答弁がなかったものですから、お聞かせをいただきたいと思います。
  52. 倉田寛之

    倉田国務大臣 先ほど近江委員にも、まず私は、橋本内閣の閣僚の一人として、平成年度予算政府案が年度内に成立することを期して最善を尽くしてまいりたいと考えております、こう申し上げましたが、個人としても同様でございます。
  53. 川島實

    ○川島分科員 次に、自治省は、地方分権推進法さらにまた第三次行革審の答申を受けていろいろ議論がなされてきておるところでございます。  私もずっとこれまでの地域づくり部会だとかくらしづくり部会の議事録等を見させていただきました。さすがに各地方自治体の代表者だとか文化人、有識者の皆さんは、多くの改革を求めております。しかし、ずっと最後に行って各省庁の皆さんの意見が入ってまいりますと、いつの間にか改革が見えなくなってかすんでしまう。  昨日ですか、二十八日に地方分権委の中間報告原案要旨、こう示されたものを見ますると、なおさら中身が具体性を欠いたもので、国民には非常にわかりにくい。特に、今回の中身で、国と地方の役割分担、それから機関委任事務、国の関与・必置規制、補助金等のいわゆる制度的課題、これらについて地方の多くの声が聞かれておるわけでございます。  機関委任事務については、現行の委任事務を少なくとも半分に縮めてほしい、それから補助金についても、これまた現行の補助金制度で行われている事業等の事柄について、補助金を半分にして、地方が自由に財源として使える地方交付税の形にしてほしい、こういう要望等も出ております。  それから、これは地方事務官制度といいますか、各本庁からいろいろな、関係する都道府県の部に課長クラス、本庁から係長が地方へ行きますと課長になるのですね、そこに全部配置をして、わずか二年か三年で全部次から次へとかわってい ってしまって、地方自治体ではそれらの扱いを非常にもてあましているというような事柄があるわけですね。  真剣にその地方のことを受けとめて勉強していただければいいわけですけれども、下からの報告を聞いて、そのまま次のまたどこかにかわっていかれる、こういう形の弊害も実は出ておるわけでございます。だから、地方自治体の代表者の皆さん方は、機関委任事務は全部廃止せよという声ですね。  こういうことを受けて、地方分権推進のこれまでの協議を受けて、中間報告もございますけれども、私どもからいうと、非常に改革が見えてこない。せっかくいい意見を全国の皆さんから聞いたのに、その果実というものがあらわれてこない。自治大臣としてこのことはどういうふうにお受けとめになっておみえになりますのか、そして改革の行程といいますか、最後はどういう状況になされるおつもりなのか、その時期的な問題を含めて、御決意をお伺いしておきたいと思います。
  54. 松本英昭

    ○松本政府委員 大臣がお答えになります前に、少し御説明をさせていただきたいと存じます。  今委員御指摘のように、今回の地方分権推進に関しましては、国会決議等をいただきまして、そして地方分権推進法という法律を成立させていただいたわけでございます。それに基づきまして、地方分権推進委員会が昨年七月に設置されまして、大変精力的に審議を進めていただいております。  昨年の十月十九日に、いわゆる「地方分権推進に当たっての基本的考え方」と、「行政分野別課題審議に当たって留意すべき事項」というのを示されましたが、その中におきましても、この地方分権は今や実行の段階にある、そしてこれは明治維新、戦後改革に次ぐ第三の改革だということを明確に言っていただいているわけでございます。  それから、その後二つの部会、いわゆる地域づくり部会、くらしづくり部会というものを設置いたしまして、その後、昨年は週二回のペースで、現在は親委員会を含めまして週三回のペースという大変精力的な審議をいただいております。  私どもは、その間におきましても、昨年の七月に私どもの意見を述べる、それから九月には前の深谷大臣が御出席になって決意をお述べになっているわけでございます。それからまた、ことしの一月には私どもが、行政局が制度の問題につき私どもの見解を述べ、また二月には財政局の方で制度の問題について見解を述べております。そしてまた、倉田大臣も御出席になって決意を述べるというようなことで、私どもといたしましても、今回の地方分権推進につきましては、地方団体の意見を踏まえつつ精力的にその方向で取り組んでいるところでございます。  現在の予定では、三月末にはこの地方分権推進委員会からの中間報告というものが出されるということでございます。先ほど委員お示しになりました新聞記事でございますが、それはどうも、地方分権推進委員会からそういうものをお取りまとめになったとは私どもまだ承知いたしておりませんし、御発表になったとも承知いたしておりません。  そういうことで、三月にはこの中間報告が出されるということでございますが、その前に、昨年の十二月二十二日に機関委任事務の廃止等があった場合の検討試案というものが出され、そしてその委員長見解という形で、地方分権の進め方についての見解の表明もあったどころでございます。  それから、指針の勧告でございますけれども、それは今年中に行うというような方針だと私どもは伺っているところでございます。
  55. 倉田寛之

    倉田国務大臣 いろいろな角度で川島委員から御指摘をいただいたわけでございますが、地方分権推進は、全国的な統一性や公平性を重視する現行の画一と集権という行政システムから、多様と分権という行政システムに改めるということでございますので、先ほど御指摘のあった機関委任事務制度の廃止に向けて地方分権推進委員会が昨年の十二月二十二日に発表いたしました検討試案につきましても、地方団体等からの廃止に向けての強い意見表明におおむね沿ったものであるというふうに認識をいたしているところでございます。  検討試案の考え方は、現在の機関委任事務制度を廃止した場合、まず、事務自体を廃止するものは別といたしまして、原則的に地方公共団体の事務とするよう図り、引き続き国の事務として残さざるを得ないものについては、法律によって地方公共団体の委任事務とするなど新たな事務処理方法を設けてはどうかということでございまして、機関委任事務制度を廃止した場合における新たな地方公共団体のあり方につきまして踏み込んだものであるというふうに評価をいたしているところでございます。  いずれにいたしましても、地方分権推進していくということは今や時代の大きな流れであるというふうに私は認識をいたしておりまするし、私といたしましても、実りある成果を上げることができ得ますように、強い決意で取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
  56. 川島實

    ○川島分科員 大臣の力強い御決意をいただきました。これはそのまま率直に受け取らせていただきます。今までの議事録等、つぶさに見せていただきますと、各地方の意見と省庁から出てくる意見はもう真っ向から対立をいたしております。どう調整するか、これは大臣の手腕にかかっておると思いますので、これはぜひひとつ今の御決意を忘れないで積極的に、三月の中間報告までにまだ一カ月ございますから、ひとつ十分なお取り組みをいただきたいと思います。  次に、これらの問題点の中で、地方における、一つは官官接待で、住民のいろいろな批判を受けている。国は、いろいろな補助金がかかっている問題についての食糧費の扱い等はいろいろ方針を出されているわけでございますけれども、各地方自治体の官官接待について、自治省は調査もなさっておりませんが、一体どのような形に、現状にあるのか、どう認識されておるのか。  さらにまた、国に特殊法人があるように、特殊法人の孫会社があるように、地方にも国と同じように都道府県においてはそうした特殊な団体がありまして、さらに競争原理が働かない天下り先の孫会社がある。そういうところの官官接待も含めて、どのような御指導をなされておるのか、お伺いをしておきたいと思います。
  57. 松本英昭

    ○松本政府委員 委員御指摘のように、昨年来、地方公共団体経費の支出が大変問題になっておりまして、国民の間に地方公共団体に対する不信感を惹起させまして、また、行政への信頼を損ないかねないという事態になっておりますことをまことに残念に思っているところでございます。  私どもといたしましては、この問題が新聞等で出ましてから、昨年の八月に、異例の自治大臣談話を発表いたしますとともに、自治事務次官通知を発しまして、そして、いやしくも国民の疑惑や不信を招くことのないよう一層の綱紀の粛正に努めていただくように通知をしたところでございます。その後も機会を見まして、地方公共団体経費の支出のあり方あるいは綱紀の粛正等について注意を喚起いたしておりますとともに、強く求めているところでございます。  そういうことで、現状は、地方公共団体の方も、私どもがそれぞれの情報を得ております範囲で申し上げますならば、都道府県や指定都市におかれましては、ほとんどのところがこの改善策をいろいろと御検討をいただき、また、既に多くのところにおいて決定をいたしていただいているところでございます。  その中には、多くのところで、いわゆる食糧費の削減を行うとか、場合によってはそれぞれ独自の基準の設定等を行っていただく、あるいはさらなるチェック体制の機能を強化をしていただく、それから、これは定義がいろいろございますので定義の問題もございますが、官官接待はもうやめますとはっきりおっしゃっているところ等もあるようでございます。  そういう状況を、私どももつぶさにそれぞれ地 方団体からお聞きいたして、それぞれの団体において進んで改善をしていただくことを強く求めているところでございます。  それから、地方団体の中のそれぞれの改善策などの中に、やはり、いわゆる第三セクターでございますか、関係団体との会食等についても、これは当然自粛をしていくというようなことも視野に入れた検討をなさっていただいているところも多いというように受けとめておるところでございます。
  58. 川島實

    ○川島分科員 なぜ自治省はこれらについての調査をなさらないのですか。
  59. 松本英昭

    ○松本政府委員 一つは、御承知かと思いますが、食糧費と申しますのは、いわゆる経費で申し上げますと款項目節の節のさらに説明ということでございまして、このいわゆる節である需用費の中身というものが必ずしも区分されて予算計上等をなされているわけではございません。そういう状況等でございますので、経費が幾らであるかというようなことは、それぞれ私どもの方で全国的にそれを統計をとって調べていくわけにはまいらないということが一つございます。  それから、基本的に、この問題はやはり住民の目でもってそれぞれ批判をして直していただく。住民の目で、そしてそれを受けて地方公共団体が自主的、主体的に取り組んでいただくということを私どもとして求めていくということではないかと思っているわけでございます。
  60. 川島實

    ○川島分科員 学者、文化人の中で、これらの問題について第三者機関での監査が必要だと。それから、各地方自治体都道府県のいろいろな監査委員の中身を見ますると、ほとんど内輪ですね、それから議員のOBだとか。これらについての改革というのはお考えになっていないのですか。
  61. 松本英昭

    ○松本政府委員 委員御指摘のこの監査委員制度の改革につきましては、当然私どもとして十分意識をしているところでございまして、現在、第二十四次の地方制度調査会におきまして、この監査委員の制度の改革につきまして議論をいただいているところでございます。  その中には、現行の監査委員制度をどう見直していくべきか、いわゆる、今御指摘のOBあるいは議員の選任による監査委員の問題、そういうこととか、あるいは事務局体制の強化の問題とかそういう問題と、それからいま一つは、外から、外の目でこの監査を行う仕組みをつくるべきではないか、いわゆる外部監査制度と言われているものでございます。現在、その両面で地方制度調査会において御議論をいただいているところでございます。  ただ、地方制度調査会が四月末までの今期の任期になっておりますので、その任期末までにどこまでお進めいただけますか、特に外部監査制度につきましては、そのメリットの面とそれからそれの仕組みの難しさという面と両方ございます。委員の中でも両方の意見が出ておりまして、これから四月の末に向かって、二十四次地方制度調査会の審議の行方を私どもとしても注目をいたしているところでございます。
  62. 川島實

    ○川島分科員 これは、一つ食糧費の問題で今回国民の批判を受けているわけですけれども、全体の、地方自治体が予算、財政を執行するについての監査の問題があるわけですね。いろいろな請負関係で一般競争入札、この制度が言われておりますけれども、ほとんど守られていない。これは、おのおのの地方自治体の議員たちがそのことを受けとめておりましても、大勢で渡ればどうのこうのというような形で、全部OBの皆さん方に抹殺されて、いい意見が出てもなかなか実行に移されないという状況があります。これは、一つには監査委員の制度がしっかりしておれば、それなんかもきちっと整理ができることだろうと私は思っております。  さらにもう一つは、国が施行をいたしておりますいろいろな補助金制度ですね。これに対して、東京へ日参をして、いろいろな細かいところまで国が関与をしている。このことが、東京へ通う交通費だとか宿泊費だとか、大変な地方自治体の負担になっておるわけでございますので、これらの改革がこの地方分権推進にも一つの大きなウエートだと考えておるわけですね。  地方からも、全部廃止にできないにしても、補助金制度は少なくとも二分の一にしてほしいという要求が出ておるわけでございますが、このことはどう受けとめて、どういう改革のお気持ちをお持ちなのか、お伺いをしておきたいと思います。
  63. 松本英昭

    ○松本政府委員 前段の、それぞれ、いわゆる予算時期等の陳情の問題につきまして私の方でお答えをし、後の補助金の制度の問題は財政局長の方から答弁をしていただきたいと思っておりますが、御指摘のように、いわゆる陳情政治と言われているもの、これは御指摘を受けるまでもなく改めていかなければならないものと考えております。  そういう意味におきましても、やはり権限と財源というものを地方に移譲して、そして地方で、みずからのことは自己決定、自己責任の原則でやっていけるようにしていく必要があろうかと考えているところでございます。そういう意味からも、引き続きこの地方分権の積極的な推進に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  64. 遠藤安彦

    遠藤(安)政府委員 補助金の整理合理化の問題につきましては、委員御指摘のとおりでありまして、やはり地方公共団体補助金を獲得するためのいろいろ事務それから経費、これもたくさんかかっておりますし、何といっても自主性・自立性といったような点から考えてみた場合に、補助金というものが見直されなければならないのではないかというように思っております。  確かに、これまでの日本の行政の中で、戦後、補助金の占めてきた比重あるいは役割というのは大変大きなものがあったわけでありますけれども、戦後五十年たちまして、やはり地方の自立、独立といったようなことを考えたときに、この補助金の整理合理化というのは、今や避けて通れない問題であろうというように私ども思っております。  この問題につきましても、地方分権推進委員会で大変議論になっておりますし、取り上げられているわけでありまして、私どももその成果が上がることを期待をしているという状況であります。
  65. 川島實

    ○川島分科員 次に、地方財政のことでお伺いをしておきたいと思いますが、今は地方が自由に使える費用というのは、全財源のうちの約三分の一ですね、地方交付税。支出の方は、仕事の方は逆転しているわけですね。税の使う三分の一、しかし仕事は三分の二。本来ならば少なくとも一対一にひとつやってほしい。これは、地方の要望ですね。  だから、今回決まっております消費税の問題で、三%から五%に値上げされる、その一%が地方財源として使用される、こう言われておりまして、普通の国民は、ああ地方の分権が推進されるために財源がそれだけ新たにふえるのだな、こう受けとめておるわけでございますけれども、残念なのは、中身は、今日までの所得減税等による減収分が三・八兆円、つなぎ公債償還財源が〇・五兆円、社会保障関係が〇・五兆円、合計四・八兆円、増収分と相殺される、こういう状況になっておるわけでございますけれども、そういう受けとめ方でよろしゅうございますか。
  66. 遠藤安彦

    遠藤(安)政府委員 御指摘のように、税制改革の全体の姿は四・八兆円でございまして、そのうち消費税率の引き上げに伴う分が四・一兆円、その他消費税の改革あるいは政府負担の消費税増加分が両方合わせて〇・七兆円ということで四・八兆円になるわけですが、一方、減収の方につきましては、所得減税等減収額三・八兆円、それからつなぎ公債償還財源が〇・五兆円、そして社会保障関係が〇・五兆円、合計四・八兆円という中身になっております。
  67. 川島實

    ○川島分科員 きょうは大蔵省からも来ていただいているわけですが、交付税の見直し等を地方が求めているわけでございますけれども、これらの税制改革、消費税の見直し等もございますのですが、これらを含めて大蔵省としてどういう考え方 をお持ちなのか、お伺いをしておきたいと思います。
  68. 三國谷勝範

    ○三國谷説明員 まず、今般の税制改革の関係でございますが、これにつきましては、今財政局長から御答弁ございましたように、国・地方の税制改革を行う。財源配分を行うに当たりまして、地方税源充実のため地方消費税を創設いたしますとともに、今般の税制改革におきます税収の増減、それから国及び地方歳出、こういったものを整理いたしまして、地方団体財政に支障が生じないよう、地方消費税に係ります交付税率につきましても平成年度から二九・五%という形にしているところでございます。  これによりまして、新たな税制のもと、国・地方を通じて適切な財政運営が行われるよう、私どもとしても考え、期待しているところでございます。
  69. 川島實

    ○川島分科員 それは、あなたの立場でこの答弁を求める方が無理かもわかりませんが、地方が自由に予算としてお使いができる歳入のうちの地方交付税を、今の三分の一になっているものを、もっと一対一の割合ぐらいまでに是正をしてほしいという要望を受けて、大蔵省は検討をされたことがあるのかないのか、その一言だけで結構でございます。
  70. 三國谷勝範

    ○三國谷説明員 地方財政事情も現在厳しい状態になっておりますが、実は、国の財政事情も大変に厳しい状態でございます。国と地方は公経済を支えます車の両輪でございますので、やはり、国と地方全体が適切な財政運営を行っていくということが必要でございまして、私どもといたしましては、やはり国の財政事情それから地方財政事情、そういったものも考慮しながら、国・地方を通じた経費の節減合理化、こういったことにも意を用いながら、全体としての公経済が適切に運営されるよう努力していく必要があると思っております。
  71. 川島實

    ○川島分科員 昨日の新聞に、「高速道路有料続くなら 公団に固定資産税」、これは私は当然のことだと思うのですね、地方自治体にとっては。最初道路をつくるときには、大体二十年なり三十年で有料道路をつくりますという約束事でつくって、それは国からの一般道路としての財源が入らずに、利便性を考えて有料道路というものを地方議会はオーケーして、そして固定資産税も取らずにオーケーする。ところが、いつの間にか全国網でぐるぐる高速道路はつくって、値上げを次から次として、一体いつになったら一般道路として返してくれるのかと言うことができなくなってしまう。  そうなれば、地方としては固定資産税をもらおう、こういう意見が出てくるのが当然だと思いますけれども自治省としてはこのことをどう受けとめておるのか。これ、大臣にもお聞かせいただかなければいけませんね、これは大事なことですから。
  72. 遠藤安彦

    遠藤(安)政府委員 今税務局の担当者がちょっと出席をしておりませんので、突然のお尋ねで、財政局の方から的確な御答弁ができるかどうかと思いますが、今お伺いをした第一感では、高速道路につきましても国道としての位置づけがあるわけでありますので、そういった面で、固定資産税を課していない一般の国道あるいは地方道と同じ取り扱いをしているのではないかというように思っております。  なお、この点につきましては、税務当局に連絡をいたしまして、きちっとした回答をさせたいと思います。
  73. 倉田寛之

    倉田国務大臣 川島委員のお話にございました点は、答申が出されたとは伺っておりますが、建設省から何らお話を、あったと私も承知しておりません。いずれにいたしましても、地方税財源の一層の充実強化ということは大変重要なものというふうに考えておるところでございます。
  74. 川島實

    ○川島分科員 ひとつ、大臣の御決意をお聞かせいただきまして、ありがとうございます。  一応、約束事で非課税扱いになってきた期間というのはちゃんと決められているわけですよ。それが住民に負担を課していくということであれば、当然これは地方自治体からいえば、それでなくても大変な財政状況ですから、確保していく、これも民主主義のルールだと思いますね。だから、これはぜひひとつこれらについての、自治省としての力強い地方自治体の援護をしていただきたい、このことを要望いたしまして、時間でございますので質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  75. 細川律夫

    細川主査 これにて川島實君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして自治省所管についての質疑は終了いたしました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時四十分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  76. 細川律夫

    細川主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  文部省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。大野由利子君。
  77. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 初めに、いじめ問題について伺いたいと思っております。  いじめによります大変痛ましい事件、また自殺等々が相次いでおりまして、大変な社会問題になっております。原因は大変複雑な要素が絡み合っている、このように思っておりますが、文部省では昨年の十二月に出されました通知で、いじめ問題は各学校における現下の最重要課題、このように位置づけておられます。また、奥田文部大臣も、御就任以来いじめ問題への取り組みに大変強い意欲を示されておりまして、一月三十日には「かけがえのない子どもの命を守るために」という大変異例の緊急アピールを発表もされております。  私は、この問題、いじめが大変危機的な状況であるにもかかわらず、昨年末の臨時国会では、憲法違反の疑いのあります宗教法人法の見直しに前文部大臣は大変血眼になっていらした、そういう印象が強いわけですけれども、新しい奥田文部大臣、環境委員会のときに大変お世話になりましたけれども、今までの文部省の見解を一歩も二歩も大きく踏み出されまして、そしてこのいじめ問題に積極的に取り組んでいらっしゃる大臣の御決意を大変注目している一人でございます。  初めに、アピールを含む十項目の緊急対応措置の中で、例えば学校や家庭、地域が全体で協力して、このようにありますけれども、具体的にはこれはどういう取り組みをなさるのか。単なる理念とかスローガンで終わってしまったのでは意味がない、このように思っておりますので、今後はどのようにこの辺の取り組みが変わっていくのかということを伺いたいと思います。
  78. 奥田幹生

    ○奥田国務大臣 私が環境委員長当時は、先生にも大変お世話になりまして、ありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。  今先生お尋ねのいじめの問題ですが、文部行政の中で、いろいろありますけれども、当面やはり先生おっしゃるとおり、私としてはいじめ問題を最重要課題として取り組まさせていただいておりますし、文部省皆さんもそういうスタンスで頑張ってもらっておるわけです。  一月三十日の緊急アピール、続きまして二月十日に各都道府県、政令都市の教育長さん、その日の午後には三十九にまたがります教育関係の団体の責任者のお方にもお集まりを願って、そこで本当に訴えましたのは、今お話しのいじめの防止について、学校と家庭と地域社会、それぞれ健全なものに戻してほしいための御協力なんです。  それで、抽象的な言葉を省きまして、学校では少しでも担任の先生が生徒と長く接触する時間を持ってもらいたい。具体的に、お昼の給食の時間は一緒に食べてくださいよ、勉強が終わった後の教室のお掃除は生徒と一緒にやってください、そういう接触の時間を長く持つことによっていろいろな問題がわかるはずです。それから、家庭に対 しても、しつけは全部学問と一緒に学校に任せておいたらいいんだというような安易な親が仮にいらっしゃるとしたら、そんなものじゃありませんよということを、家庭の御両親に対しても注文は遠慮なく自信を持ってつけてくださいというようなことまでお願いをさせていただきました。  それから、家庭の両親に対しましては、やはりおやすみ、おはよう、行ってきますというような家庭内でのあいさつとか、それからできるだけ家族全部そろっての食事、それから月に一回ぐらいはハイキングに一緒に出かけるというようなこともぜひ頼みたい。また、地域社会においては、よその子供であっても、ちょっと目に余るようなことをやっておった場合は自然と遠慮なしに注意できるような、そういう地域社会にならないことにはやはりいじめの完全追放ということはおぼつかないと思います。  だから、ひとつそういうことを徹底して実行に移していただくように、お帰りになったら組織に広げていただいて協力を頼みたいということを申し上げたような次第でございます。  文部省としましても、頼むばかりではいけませんから、事務次官を本部長といたしますいじめの対策本部をこの二月十三日に設置いたしまして、そうして都道府県のあるいは政令市のあるいは教育関係のいろいろな団体との連絡をさらに密にさせてもらおう、こういう考えでおります。
  79. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 これは文部省だけじゃなくて、学校や地域、さまざまな努力とか取り組みが必要だと思いますし、こうした取り組みを積極的にやっていらっしゃるところのいろいろな体験交流とか、顕彰するとか、いろいろなそういうものもちょっと必要ではないかなと思ったりしておりますが、具体的にこれが進むことをどう援護射撃ができるかについて文部省としてもぜひまた真剣に取り組んでいただきたい、このように思っております。  それから、いじめが起きているのはどちらかというと公立中学校が多いのかなと。実際には私立中学校等でもいじめがないわけではないと思うのですが、実際に自殺に至るほどのひどい大きな事件は公立学校が圧倒的に多いのかなと認識をしているわけですが、この辺の実態と、なぜ公立が多くて私立に少ないのかというその辺の原因をどのように見ていらっしゃるか、伺いたいと思うのです。
  80. 遠山耕平

    ○遠山政府委員 私立学校におけるいじめあるいは自殺の状況は、文部省として調査をしておりませんので実態はわかりません。ただ、平成六年の秋以来、いじめを苦にしたと考えられる自殺として報道された例は、私立学校については承知していないところでございます。  したがって、詳しい要因と申しますかそれはわからないのですが、一応推測されることといたしましては、公立中学校に比べまして、私立中学校は生徒の入学選抜を行っておりますので、比較的同質の生徒が集まっているということで、人間関係も結びやすいし、それから指導も比較的やりやすいのではないかということが推測をされます。また、ある程度重い非行をした場合には退学処分ということもできることも余りひどいいじめがないことにもつながるのではないかということでございますが、分析すべきデータも詳しいものを持っておりませんので、確たることは申し上げられないわけでございます。
  81. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 私立学校は報告をとっていらっしゃらないということなんですが、文部省がこのいじめ問題に本気で取り組まれるのであれば、私立学校からの報告もとられて当然じゃないかな。そしていじめが多いところ、少ないところ、何が原因しているのかということのしっかりとした分析、調査というものが必要であろう、私はこのように思います。私立学校だけ外してしまいますと、本当の正しい分析、調査にはつながらない、このように思いますので、これもきちっと何らかの調査なりをぜひやっていただきたい、このように思います。  それからもう一つ、私、私立学校に少ないと思われる理由を今お答えいただいたわけですけれども、ぜひ公立学校にも私立学校的な要素をもっと取り入れるべきではないか。今すぐここでお返事を要求するのは無理かと思うのですけれども、今の公立学校が、住んでいるところで全部行くところが決められてしまう、全く選択の余地もないという、そういうことになっているわけですけれども、私は、このいじめとか不登校の問題とかこういうものを解決するためにも、ぜひ学制改革というものが必要ではないか。  例えば、同じ行政区域内で自分である程度行く学校を自由に選べるとか、入学、転校とかいうのがもっと自由にできるという、公立学校に選択の余地を広げるという、その辺の研究をぜひしていただきたいなと思うのです。  学校区を一遍になくしてしまうというわけにはいかないと思いますが、例えば今の学区制でいいますと、その地元にいる子供たちは最優先でそこに入れるけれども、その隣接区の人たちも希望する人は入れる。今子供の数が減ってきて、空き教室とかも出てきている時代ですから、許せる範囲でどんどん隣の学区の人も入れるようにする。自分の学区内であっても、子供の数が減っていく先生にとってはこれは大変なある面ではプレッシャーになりますし、刺激にもなりますから、いかに自分の学校を魅力のある学校にしようかというそういう努力がなされると思うのですね。  今の公立学校は、個々の教師は努力しているのでしょうけれども、私は、システムとして教師のそういうものが余りにも発揮できない、そういうスタイルになっているのではないかと思いますので、ちょっとこの辺、文部大臣の御見解を伺いたいと思うのです。
  82. 遠山耕平

    ○遠山政府委員 通学区域につきましては、各教育委員会におきまして、保護者の意向を踏まえながら、地理的な理由ですとかあるいは身体的な理由、その他特別の理由がある場合には、必要に応じて弾力的に運用して区域外就学等を認めているところでございます。  ただ、先生おっしゃるように通学区域を廃止するということになると、非常に大きな問題点が出てくるわけでございます。希望者がある特定の学校に集中した場合には、そこにおける施設あるいは設備の不足、それから教職員の異動の困難化というようなこともございますし、最悪の場合には、義務教育でありながら生徒を選抜する、こういうことになりますと、非常に大きなトラブルがその学校をめぐって起きるわけでございますので、そういう点ではやはり学区制というものを、各教育委員会で、それぞれの学校の規模を適正にする、それから教育内容を保障するという観点から決められているものでございまして、現在のところその学区制を廃止するということには非常に困難が伴うというぐあいに考えております。
  83. 奥田幹生

    ○奥田国務大臣 先生が最初に、いじめは公立に偏っておって、文部省の対応策もその方にばかり向いているのではなかろうかなという意味の御意見があったように思うのですが、実は文部省から出させていただいた緊急アピールは、これは国公立も私学の方も全部出しております。先生は京都の大学を御卒業ですから、京都の事情もよく御存じでありますけれども、きのう京都の方がたまたま東京へ見えたときにも、そのお嬢さんはノートルダムの中学校に行っているのだそうですけれども文部省から出しました緊急アピールの原文を持ってきまして、これは大賛成やという評価をいただいております。そういうこともあります。  それから、いじめに対する詳しい調査、まだしていないという局長の話でありましたが、たまたま教育長会議の当日聞きました意見は、うちの地元では九月にはほとんどいじめはありませんよ、やはり学校休みの間、もう子供もストレスが全部とれて、さわやかな気持ちで九月は勉強しているのではないでしょうか、こういうような話もありましたので、一遍それを参考にして、私の方でも勉強させていただきたいと思っております。
  84. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 先ほど、うんと学区制を広げるといろいろ困難な問題があるというお話がござ いました。もちろん、そう簡単でないことはよくわかっておりますし、今よほど理由のある人は多少認められていることは私も存じておりますが、もうちょっと弾力性を、少しずつ弾力性を持たせていいのではないか。希望者が非常に多くなる場合は抽せんで決定するというようなこともあるでしょうし、あるところが大きくなれば、隣の学校は分校みたいな扱いにして、同じ校長先生の方針で教育をするというふうなことも可能かもしれませんし、その辺はまた今後の課題だと思いますが、何かちょっとぜひ工夫をしていただきたい、このように思います。  それから、厚生省の児童家庭局長等々にも来ていただいているものですから、少し質問させていただきたいのですが、厚生省は、全国に児童相談所がございます。いじめに関する緊急会議をなさったようでございますが、全国の児童相談所にいじめ問題で何件相談があり、解決なり対策が講じられたのか御報告を伺いたい、このように思います。
  85. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 厚生省としましても、とりわけ児童相談所を持っておりますので、このいじめの問題について児童相談所を第一線としていろいろ取り組んでおります。  そういった中で、児童相談所はいじめの問題について、例えば学校に出向いていって学校の先生といろいろとそういった面について話し合いをしたり、相談に乗るとか、そういったようなことを積極的にやっておる児童相談所もありますし、また一般的には電話相談とか、そのほか啓発活動をいろいろやっております、そういった中でいじめの相談というものも入っておるわけですが、ちょっと申しわけございませんが、今手元にいじめの相談の件数というのは持ち合わせていないものですから、後ほどまた先生に個別に御報告させていただきたいと思います。
  86. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 報告はとっていらっしゃるのでしょうか、どうなのでしょうか。件数等々、報告はとっていらっしゃるのか。それとも、たまたま今手元にないのか、ちょっと伺いたいと思うのです。
  87. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 相談の事項についてそれぞれ事項ごとに分類をしておりますから、そういった中で、いじめだけをとらえた格好ではこれは入っていませんが、その中でいじめがどのくらいあるかというのはある程度わかると思いますので、また整理しまして御報告したいと思います。
  88. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 平成六年十二月九日に第一回のいじめ対策緊急会議が持たれまして、十六日には「「いじめ」問題における児童福祉行政の対応について」という通知を各県、指定都市に出されていらっしゃるわけですけれども、そこでの相談事はとっていらっしゃるのだと思うのですが、いじめについて特に現状どうなのかという、今子供たちをめぐる問題、最大の課題はいじめということであると思えば、やはりいじめがどれだけあってどうなのかということをきちっととっているべきではないか。即座にそれが、返答が戻ってきて当然ではないか、そう思うのですね。今からいじめに関することはその相談の中にどれぐらいあるか探してみるということは、やはりいじめに対する認識、今の児童を取り巻く最大の環境悪化はいじめ問題なんだということの認識がちょっと甘いというか、そういう証拠ではないかなと思うのです。  いじめの問題はどちらかというと教育問題だから、文部省に任せておけばというようなものがあったのかもしれませんけれども、児童相談所というのは子供を取り巻く問題、子供の幸せというものを考えて取り組んでいらっしゃるわけでございますので、文部省とよく連携をとっていただいて、このいじめ問題が今一番最大の課題だということで、どうこの問題を社会全体の問題として、先ほど冒頭で、地域と家庭とそして学校が一体になってこのいじめ問題に対応しなければいけない、そういうお話でございますが、私は、その中では当然児童相談所が大きな役割を果たしていかなければいけないのではないか、このように思っております。今後どのようにいじめ問題について対応されるのか、伺いたいと思います。
  89. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 このいじめの問題に対します考え方は、まさに先生おっしゃるとおり、私どももそういった認識で取り組まなければいけないというふうに思っておりまして、今先生がおっしゃいましたように、これまでいじめの問題の取り組みにつきまして全国に通知を流しておりましたけれども、これだけでは不十分であるということで、実はことしの一月十二日に、これは初めてなんでありますけれども、全国の各ブロックの幹事の児童相談所長さん、それからまた県の児童福祉課長さんにお集まりいただきまして、いじめの問題をめぐっての緊急会議を行いました。  そういった中で、やはりどちらかというと、児童相談所等福祉分野につきましては、このいじめの問題はむしろ教育の分野の問題だというふうな受けとめ方が強いのではないかというふうに私どもも実は感じておりまして、これは児童の健全育成ということを担うまさに児童福祉の分野がきちっとした取り組みをしなければいかぬ。そういった意味で、まず差し当たって全国十五県の課長さん、所長さんにお集まりいただきました。その中で、現状の取り組み、それから何が問題なのか、それからまた今後どういうような形で積極的に取り組んでいくべきなのか、それからまた教育分野との連携をどういうふうにしていくのが一番いいのか、こういった問題について、私どもとしても真剣に議論をしたわけであります。  この議論の成果を踏まえまして、実はこの三月八日にまた全国の児童課長会議もございます、そういった中で、新たな問題としてこの問題について議論をしたいということで考えておりまして、私どもとしては、そういった姿勢で積極的に取り組んでいく、こういうふうに考えております。
  90. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 続いて、ちょっと学童について伺いたいのですが、今働く女性が大変ふえておりまして、学校が終わって子供が帰ってくる、保育所に行っている間は安心だったのですが、小学校の低学年ですと下校時間も非常に早い、母親も何か落ちついて仕事ができない。落ちついて仕事ができるために、学童保育というか、放課後児童教育というのでしょうか、放課後児童対策の果たされる役割は大変大きなものがあると思うのです。  全国で六千カ所あるようでございますが、これが非常に多様で、地域に任されておりまして、運営主体も違いますし、中には狭いアパートにまるですし詰めのような形で運営されているようなところもございます。民間ボランティアの方が一生懸命尽力されているというようなところもありますし、公的に地域で随分補助を出しているようなところもある。種々雑多なんですけれども、これはやはり、最小限度の設置基準なり運営規則なり、そういうものが必要なのではないか。また、根拠になる法律ですね、今そういう法律的なものが何もないようなんですが、そういうものが必要なのではないかと思っております。  このことについて、文部省が所管なのか厚生省が所管なのかちょっとよくわからないのですが、両方からお答えを簡単にいただければと思います。
  91. 奥田幹生

    ○奥田国務大臣 先生おっしゃるとおり、児童館、保育所さらには学校の空き教室、こういうところでかなりの学童保育所が設置されておるわけでございますが、保育所というのは児童福祉の観点から厚生省の方で御厄介になっておるというように私どもは理解をしております。文部省関係におきましては、やはり学校外活動の充実を図っていくという、そこに焦点を絞って学校開放の促進、それから学外の青少年団体のいろいろな事業の活発化、こういうようなことには力を入れておりますけれども、保育所そのものは厚生省さんにお世話になっているという認識を持っております。
  92. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 放課後の児童対策、これは昨今の共働き家庭が非常にふえておるというようなこともありますし、非常に大事な問題だという ことで、私ども力を入れておるわけであります。  ただ、御指摘のように、現在いろいろな形で行われております。例えば学校の空き教室で放課後やっている場合、あるいは児童館、あるいはまたそうじゃないような場所でやっておるというようないろいろな形があります。そういったものを今後どういうような形で整備をしていくべきなのか、これは私は非常に大事な課題であるというふうに思っております。これは法制化をしていくというのも一つの考え方だろうというふうに思いますし、そういった面も含めまして、私ども十分にこれを早急に検討してみたいということで考えております。  ただ、その際に、今文部省なのか厚生省なのかというお話ございましたけれども、これは学童の放課後の対策でもありますし、そういった面で、例えば学校の空き教室を使うといった場合には当然文部省とお互いに相談しながらやっていかなければならない問題でもありますし、そういった意味で、厚生省、文部省というよりも、やはり御相談しながら、非常に質のいい学童保育といいますか、こういったものを確保していくように努力していきたい、このように考えております。
  93. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 もし何か事故等々があったときには責任の所在はどこにあるのかということを明確にしておく必要があると思うのです。そういうものが明確になって初めて事故が起きない体制が、万全の体制が図られる、このように思っているわけです。  例えば、今空き教室が非常にふえてまいりましたので、学童に空き教室を利用する。とても手っ取り早くて、ある程度場所も、民家を借りてアパートでやっているよりははるかにいいと思うのですが、例えば空き教室を学童に使ってやった場合は、もし事故があったらそのときは厚生省の責任で、もう一方、学童と関係なしに子供が放課後遅くまで遊んでいて、そして何かあったときは文部省というふうになるのか、その辺はどうなんでしょうか。同じ学校の中で事故が、起こさないようにということがあれなんですが、それは同じ子供でもたまたま学童の子と学童に入ってなくて放課後まで遊んでいた子と、責任の所在は変わってくるのかどうなのか。ちょっと伺いたいと思います。
  94. 草原克豪

    ○草原政府委員 学校の教室などの施設を本来の学校教育活動以外の目的に使用する場合は、設置者であります教育委員会が判断をするということになっておりまして、教育委員会の判断によって余裕教室などを学童保育に利用している例があるということでございます。  したがって、学校教育の場で事故が起こりますと当然これは学校及び教育委員会が責任者となるわけでございますけれども、それを学校本来の目的以外の形で、学童保育というような形で使っている場合には、その学童保育を担当している厚生省の方でお考えいただくことだろうと思っております。
  95. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 時間が来たのですが、もう一回確認しますが、じゃ放課後遊んでいる子供が事故を起こしたときはどうなるのですか。
  96. 草原克豪

    ○草原政府委員 通常の放課後でございますと、これは学校管理下のことでございますから、学校の管理責任が問われることになります。
  97. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 今のお話を聞いていると、空き教室を学童に利用しているときは厚生省で、たまたま放課後遊んでいる子供は隣の部屋でも文部省、そういうふうになるという感じなんです。私は、これが、縦割り行政の弊害ではなくて、文部省、厚生省が責任を押しつけ合うのではなくて、子供たちの将来のために、幸せのために力を合わせてぜひ——この学童の問題が意外と文部省と厚生省のはざまで本当に長く放置をされていた、一番おくれている分野でないか、このように思っておりますので、どうか厚生省さんと文部省さんは力を合わせて、この大変今おくれています学童の問題、非常に働く女性もふえて学童にお世話になる子供もふえる、希望は多い状況でございますので、質の向上のためにぜひ尽力をお願いをしたい、このように思います。  じゃ、あと幾つか通告をしておりましたが、時間が来ましたので、以上で終わります。大変ありがとうございます。
  98. 細川律夫

    細川主査 これにて大野由利子君の質疑は終了いたしました。  次に、斉藤鉄夫君。
  99. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)分科員 新進党の斉藤鉄夫でございます。きょう、私、平和教育と、それからちょっと平和教育とは直接関係ありませんが科研費、この二つのことについて質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。  私、選挙区は広島でございますが、広島、長崎は昨年八月、被爆五十年を迎えました。被爆者援護法も、中に大きな矛盾があって欠陥法だと言われておりますけれども、しかし曲がりなりにも成立いたしまして、被爆五十年の区切りに一里塚とすることができたわけでございます。今後の課題は、この広島、長崎の被爆体験を、歴史上の一事件として時間の流れの中で風化させて埋もれさせることなく、日本の、そして世界の人々にこの被爆体験を訴え続けていくことができるかどうか、この点に今後の課題があると私は思うわけでございます。  我が国は、唯一の被爆国として核兵器の廃絶を国際社会に向かって訴え続けてきました。核兵器の廃絶を最終目標として外交努力を重ねていくということは、歴代首相も繰り返し繰り返しおっしゃってきたことでございますし、これは我が国の国是と言っても過言ではない、このように信じております。また、これは唯一の被爆国としての、国際社会の中での日本の義務である、こう考えます。この義務を果たすためにも、私は広島、長崎の被爆体験を風化させることなく、全世界の人々に聞いてもらう、見てもらう、また知ってもらうということが非常に重要だろうと考えます。  広島の原爆資料館を見学した人は、すべての方皆さんが、核兵器の廃絶というのが世界平和にとって本当に大事だということを心の底から理解して帰られる、こういうふうに言われております。しかし、原爆資料館を訪れる人は、広島の場合ですけれども、一年間で百四十万人、年によって差はありますけれども、大体百四十万人前後。その中で外国の方は大体二十分の一の七、八万人、こう言われております。外国の方だけを対象で考えますと、全世界五十数億人ですから、大ざっぱに言いまして一年間に外国の方は十万人に一人しか広島の原爆資料館を見てもらうということにならないということになります。世界の多くの方々に原爆の悲惨さを見ていただくことがいかに難しいかを実感するわけです。  これでは不十分だということで、広島市は、市役所の中に平和推進室を設置しまして、いろいろな事業をやられておりますが、一つは、海外で独自の原爆展を開くということをやられております。ことしもアメリカとフランスで十一月から十二月にかけてヒロシマ・ナガサキ原爆展が開かれます。これは、広島と長崎両市が共催で、両市の負担でやるという原爆展でございます。  それから、二つ目にやられていることは、海外の自治体、まあ自治体だけに限らず国という場合もございますが、国、自治体、それから民間団体、NGOですね、そのイベントに原爆資料を貸し出して協力をするということもやられておりますし、この場合、どうも予算が足らないので広島市で援助してほしいというような場合には、持ち出しで資料を貸し出しているということも多いというふうに聞いております。これは、もう既に二十数回、二十カ国近くになろうとしております。  もう一つは、国連の常設の軍縮展示に協力をしているという例もございます。いずれにしましても、市が自治体として独自にやられているわけでございます。  しかし、市が独自にやるということにはおのずと限界がございます。そういうことで、広島市長はこういうふうにおっしゃっております。これは朝日新聞のインタビューでですけれども、「ただ、自治体には予算も人員も限られている。ぜひ国家 が事業団をつくって、原爆展に取り組んでほしい。毎年十カ国で開催しても全世界で開くには十九年かかる。原爆展は二十年間、三十年間の国家事業として展開する必要がある」、こういうふうな要望も市長として出されているわけでございます。  私も、本当に、唯一の被爆国として日本が核兵器廃絶を世界に向かってアピールし、堅実にまじめに実行しているんだという意味でも、この原爆展を国家がイニシアチブをとってやっていくということが非常に重要ではないかというふうに考えておりますが、その点についてどのようにお考えでございましょうか。これは外務省になるのでしょうか。     〔主査退席、田中(昭)主査代理着席〕
  100. 大塚聖一

    ○大塚説明員 ただいまの先生の御質問につきまして、外務省の方から一言申し述べさせていただきます。  御指摘のとおり、我が国は、世界の国々に対しまして、唯一の被爆国である、原爆の悲惨さ、そしてこれを絶対に繰り返してはならないという強い願いを各国に伝えるとともに、また後世の人々に伝えていくということが極めて重要なことだと考えております。  これはほんの一例でございますが、外務省は、昨年三月に日米の大学が共催して米国のタフツ大学で行われました「平和創造と広島・長崎の遺産」と題しますワークショップを人的な面でも、また財政的にも支援いたしました。また、昨年十月ですけれども、スペインにおきまして、現地のヒロシマ・ナガサキ平和広場及び記念モニュメントの建設落成式典等への支援も行っておりますし、また、そのような式典そのものを現地のラスパルマス総領事館が開催した経緯がございます。  また、そういうイベントにかかわらず、通常の業務であります外国のオピニオンリーダーの招待でありますとかあるいは外国のテレビチームを日本に招待いたしますときには、我々としては、可能な限り広島、長崎への訪問、取材を積極的にアレンジしてきております。また、外務省所管の社団法人が広島の原爆被害を記録しましたビデオを在外公館を通じて配付いたしまして、特にこれは平成五年から六年にかけては全米で広く放映された経緯がございます。  以上は単なる一例でございますけれども、先生御指摘のとおり、今後とも、外務省といたしましては、自治体地方公共団体あるいはNGO等の支援、そういった面からもこの原爆の悲惨さを、そして二度と繰り返してはならないという強い願いを、事あるごとに広報活動に取り組んでいきたい、そのように思っております。
  101. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)分科員 非常に詳しく御説明いただいたのですが、お聞きしておりますと、どちらかというと、要請があったときにこたえるという、いわば非常に受動的な感じがするわけですが、この広島の市長の提言にあるように、もっと能動的にこちらから、事業団なら事業団をつくって積極的に世界に発信していく、そういうことについてはいかがでしょうか。
  102. 大塚聖一

    ○大塚説明員 ただいまの具体的な例は、日常的あるいはその他イベント等の場を利用しまして我が方の広報活動に積極的に組み入れるという例を申し上げましたけれども、例えば、我が方のイニシアチブで行いました例としましては、国連軍縮フェローシップというのがございますが、その枠組みの中で各国の若手外交官を、我が外務省の方のイニシアチブで広島、長崎への視察を入れる、あるいは、国連軍縮特別総会で被爆者団体等を含みますNGOの代表者に発言する機会が与えられるように、これは我が外務省の方のイニシアチブで行った経緯がございます。  ただ、先生の御指摘も非常に貴重な、大事なことだと思いますので、積極的に今後ともイニシアチブをとって、我々の基本的な姿勢というものを海外にアピールしていきたいというふうに思っております。
  103. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)分科員 よろしくお願いいたします。  今は外務省の見解をお伺いしたわけでございますが、いわゆる平和教育ということについて、ちょっと文部省お尋ねをしていきたいと思います。  文部省に、まず平和教育という項目があるのか、もしあるとしたら、それはどういうふうな形で実施されているのか。その枠組みをまずお聞かせください。
  104. 遠山耕平

    ○遠山政府委員 平和に関する教育でございますが、これは平和教育という枠組みがあるわけではなくて、小中学校で、主として社会科において世界平和の必要性あるいは日本国憲法の平和主義の原則などについて、児童生徒の発達段階に応じて指導しているところでございます。
  105. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)分科員 その平和教育の中で、広島、長崎の被爆体験、また被爆資料、こういうものを今後風化させることなく使っていく必要があるかと思うのですけれども、その広島、長崎の原爆の位置づけ、平和教育の中での位置づけは、どのように文部省の中でお考えになっておりますでしょうか。
  106. 遠山耕平

    ○遠山政府委員 具体的には指導要領の中におきまして原爆をこういうぐあいに扱うということは示されておりませんけれども、例えば、中学校の社会の公民的な分野におきまして、「日本国憲法の平和主義について理解を深め、我が国の安全と防衛の問題について考えさせるとともに、核兵器の脅威に着目させ、戦争を防止し、世界平和を確立するための熱意と協力の態度を育てる。」ということで指導をしておりまして、具体的には教科書の中において原爆の悲惨さについて触れられている、こういうのが実情でございます。
  107. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)分科員 先ほど外務省の方にお伺いいたしましたけれども、外務省でも原爆資料展といいましょうか、原爆資料をできるだけ海外に持っていっていろいろな国の人々に見てもらって、世界平和の運動を盛り上げる、また、核兵器廃絶の運動の糧とするというごとで外務省も努力をされている。  また、そういう意味で、文部省も、平和教育というのはやはり小学校、中学校教育の中で、小学校、中学校のときに平和の大切さを理解する、また原爆の悲惨さを理解する。感受性の強いときに理解するということは非常に重要だと思いますので、文部省の中には国際企画課などもございますので、外務省と連携して、広島、長崎の目で見る被爆資料を通して平和教育をするということを、私はぜひもっともっと積極的に推進していただきたいと思いますけれども、その点についてはいかがでございましょうか。
  108. 林田英樹

    ○林田政府委員 先生御指摘の件につきましては、先ほど外務省の方から御説明がございましたけれども、私ども文部省の学術国際局におきまして、いろいろな機会に外国の方々との交流の機会があるわけでございますし、特にユネスコの場というのは、平和の問題について考えるに大変適切な場でもあるというようなこともございまして、具体的に申しますと、例えば日本ユネスコ国内委員会で実施しております、外国のユネスコ国内委員会職員の招聘というような形で毎年やっておりますけれども、こういう際には、地方視察の中で、広島の原爆ドームや平和記念資料館の視察を日程に含めていただくというようなことで、ちょうど現在広島に行っていらっしゃる方々がいるというようなことでもございます。また、いろいろな、広島の大学、教育学部の中で行っております、ユネスコの教育分野の活動の一環として初等教育に関する国際セミナーなどを開催しておりますけれども、こういう機会にも外国の方々には見ていただくような機会をつくるというようなことで、御指摘のようなことを、適切な機会をとらえて努力していきたいと思っております。
  109. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)分科員 どうかよろしくお願いしたいと思います。これまで原爆問題といいますと厚生省が中心でございまして、被爆者援護ということが中心でございました。これからは、五十年を過ぎまして、いかにこの体験を人類の未来に役立てるか、平和に役立てるかということに私は重点が移ってくる と思います。そういう意味では、これから原爆問題は文部省、外務省が中心になるべきではないか、このように私は考えておりますので、どうかその点、よろしく御努力お願いしたいと思います。  次に、平和教育の問題を終わりまして、科研費についてお伺いしたいと思います。  科研費、科学研究費ですけれども、これは文部省関係の大学の先生、それから、文部省管轄の国立研究所の研究者の研究費の大部分を占めております。校費と言われるものもありますが、それは一般のそのマネジメントに使われることが多くて、実際の研究費はこの科研費に頼っているというのが現実でございます。  私、実は昨年の科学技術基本法、この制定にも一枚加わらせていただきまして、超党派で頑張りました。それで、制定されまして、今年度予算も、橋本総理は科学技術創造立国とおっしゃっておりまして、非常に大きな科学技術関係、学術関係の伸びが予算でも示されておりまして、これは大変すばらしいことだ、こう思うわけでございます。  科学研究費、科研費も一五%の伸びでしょうか、いよいよ一千億円を超えまして、本当にこの科学技術基本法ができてよかったな、こういうふうに思っておりますし、文部省のその配慮に対しても大変称賛をするものでございますが、だからこそ、額が大きくなってきたからこそ、それをどういうふうに配分するかという問題が今大きくクローズアップされてきております。  科学技術基本法で、お金をふやす、その基盤はできた。では、そのふやしたお金をどう戦略的に、有効に使っていくか、これが今後非常に重要になってくると思うわけでございまして、私はそういう意味で、研究の評価というのが非常に重要になってくると思います。  研究の評価というのは、終わった研究がどれだけすばらしいかという評価もございますけれども、それ以上に、これからやろうとしている研究をどう評価するか。よく学術の世界では萌芽研究、芽ですね、出てきたばかりの芽、その萌芽という言葉を使って萌芽研究、将来成功するかどうかわからない、たくさんのお金をかけてもこの研究がきちんとした成果を出すかどうかわからない、しかしかけてみる価値がある、そういうものを萌芽研究と呼んでおりますけれども、この研究評価が非常に重要になってくると思うわけでございます。  科研費、これは本当かどうかわかりません、一般に雑誌や新聞で言われていることですけれども、科研費の配分というのは、一つには、日本という非常に競争の少ない風土、一たん教授になれば定年まで教授、そういうぬるま湯的学術風土の中で、学術界のボスが配分を決めるとか、それから、研究結果が明らかに出てくるもの、成果が出てくるものにどうしても配分をしやすい、こういう傾向がある、こう言われております。  ところが、研究というのは、結果が出てくるのがわかっているような研究は本当は研究ではないわけで、それはもうある意味ではルーチンワークでございまして、本当に研究結果が出てくるかどうかわからない、しかし出てくれば非常に社会や産業また知識の世界にインパクトがある、そういうものが本当の研究だ。また、これから日本が、二十一世紀の日本が生き延びていくためにぜひやらなければいけない、科学技術創造立国になるためにやらなければいけない研究だと思うわけですが、そういう研究には今の科研費の配分方法は全く適していないというふうな声もあるわけでございます。  この点につきまして、私はぜひ改善が必要だと思うわけでございますが、文部省として、どのようにお考えでしょうか。
  110. 林田英樹

    ○林田政府委員 まず最初に、科学研究費の金額でございますけれども、先生先ほど御指摘いただきましたように、近年特別な配慮をいただいていると思っておるわけでございまして、平成年度の予算が九百二十四億ということでございましたけれども、明年度予算では一〇・二%の増に当たりますけれども、一千十八億円ということで、初めて一千億円を超えるというふうな形になったわけでございます。  平成四年に学術審議会で、科学研究費補助金を早期に一千億円に拡充したいと言っておりましたものが、この予算をお通しいただきますと実現を見るということで、大変私ども喜んでおります。しかし、まだまだ現在の研究者の研究意欲に対しましては、三〇%弱しか御要望に対してこたえられていないというような状況でもございますので、今後ともさらに拡充の努力をしていきたいと思っている部分でございます。  それから、先生今御指摘ございました評価の問題でございますけれども、現在の科学研究費の配分に当たりましては、私どもその運用についてはいろいろな問題点の御指摘もいただきますものですから、それぞれ改善の努力をしてきておるところでございます。  簡単に、現在の配分審査の現状を申し上げますと、科学研究費補助金は、申請に基づきまして、文部大臣の諮問機関でございます学術審議会の科学研究費分科会で御審査をいただいております。審査員総数約二千人というような大変多くの方々に御協力をいただいてやっておりまして、研究目的の明確さや研究の独創性、さらに当該学問分野への貢献度などを考慮しまして、厳正な審査をお願いをしておると思っておるわけでございます。  科学研究費補助金の審査は、一つの申請課題につきまして、三人ないし六人の審査員によります書面によります第一次審査、それから七名から二十二名ぐらいのグループによります合議の審査、これを第二段審査といたしておりますけれども、このような形で厳正な審査をいたしております。  確かに、先ほど先生がおっしゃいましたようなことがいろいろな雑誌などに載ることもあるわけでございますけれども、私どもとしては、このような状態からいたしまして、特に特別な方の影響力が大きくて、そのことによって大きく支配されるというような状況はちょっと考えにくいと思っておりますし、それからもう一つの、確かに若手の研究者の思い切った研究を応援する体制がどうかというような御指摘はございますので、これにつきましては、実は平成年度に新たに、先ほど先生、萌芽的研究とおっしゃいましたけれども、これまでの実績が、必ずしも研究実績がなくてもそのことは問わないで、独創的な発想や特に意外性のある着想に基づく芽生え期の研究につきまして、特別な研究種目を設けまして募集をするというふうなこともいたしておるわけでございます。  しかし、いずれにいたしましても、今後研究費の額がこれからふやしていただけることが期待できそうな情勢にもなってまいりましたので、国際的に見ても遜色のない形でこれを使っていくべく、今後ともその審査方法等については利用してまいりたいと思っております。
  111. 奥田幹生

    ○奥田国務大臣 大体局長答弁で尽きておるのですが、まず科学技術基本法案、御協力いただきましてありがとうございました。  私が一番心配しておりますのは、この一千十八億円、これはおかげで一千億を超えたわけでありますが、赤字国債かなり発行しまして、そういうのもこういう数字の増額につながったかなと思っておりますが、これから次の概算要求、それから予算編成に向けて、非常に借金が多いからということで大蔵省が非常に締めていくのじゃなかろうかな。そういう場合に、この真水の一千十八億円の新予算が、九年度、十年度、どういう数字に変わっていくのか。仮に一年や二年ふえただけでまたもとへ戻りましたのでは、これは効果が上がらないわけです。  もう釈迦に説法でありますけれども、これだけ資源がございません日本でありますから、やはり、科学技術それから豊かな文化、こういう二本立てで二十一世紀を迎えなければならぬ日本のもう宿命でございます。それを実践していくためにはどうしても、これからも続いて、それから一千十八億といいますが、やはり国に従事する人の人件費とかあるいは施設の充実費、加えますと、大 体二兆六千億ぐらいになっておると思うのです。平成年度ぐらいでは二兆円を少し上回った。おかげでふえてまいった。これもやはり、これからふやしてまいりたいと思っておりますから、御支援の方をくれぐれもお願い申し上げます。
  112. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)分科員 大臣の力強いお言葉を聞きまして、大変私も頑張ろうという気になるわけですけれども、科学技術庁傘下のいろいろな研究所あたりでは、かなり研究評価を厳しくやってきておりまして、例えば理化学研究所というのは、私が大学を卒業するころは、世の中でこんな停滞した研究所はない、国立研究所で停滞している、こう言われたのですが、その後非常に厳しい研究評価、それからまた人事評価をやりまして、今では世界の先端技術をリードする研究所、こう評価されるぐらいまでになりました。  また、文部省管轄のところも、大学も含めてこの厳しい研究評価というものを取り入れて、その千十八億円が有効に使われるように、そうすれば国民としてももっとふやせ、もっとふやせというふうなことになってくると思いますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。  最後に、ちょっと地元のことでございますが、広大、東広島市に移転をしまして、非常に広々としたすばらしい学術環境になっております。中国地方の中核大学として成長しておりますし、また、中国中心のテクノポリスの中核として、産学官協力体制の中心になってきております。近くに空港もできまして、新しい中国地方の核が生まれつつあるという感じが非常にいたします。  その広島大学に、八年度予算でナノデバイス・システム研究センター、これは将来、より人間の脳に近い、より複雑な、ただ数学的な方程式を解けばいいというふうな問題解決ではなくて人間の判断がするような、人間の判断がするようなと言うと変な日本語ですが、その人間の頭脳に近い問題解決能力を持ったコンピューターをつくるために必要なナノデバイス、そのシステム研究センター、それから西播磨に今SPring8という放射光科学センターが、これは科技庁ですけれども、できつつありますけれども、そのミニ版、この放射光科学はすべての先端技術の道具、研究道具、いわば超精密な顕微鏡と言ってもいいかと思いますが、その放射光科学研究センターの新設を広島大学は要望しております。  これは今後の中国地方の産業の発展に非常に重要な地位を占めると思うわけでございますが、これは今後どのように充実していくのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  113. 林田英樹

    ○林田政府委員 御指摘のございましたように、平成年度予算案におきましては、広島大学の学内共同教育研究施設といたしまして、ナノデバイス・システム研究センター、それから放射光科学研究センターの新設を計上しているところでございます。両施設は、それぞれコンピューターの高集積化や高速化と放射光ビームによる物性研究などを主たる研究目的とするものでございまして、ともに最先端の学術研究を切り開くものとして大きな期待が持たれている分野と承知しております。  文部省といたしましては、これら両施設の今後の研究活動やその成果に十分留意してまいる所存でございますけれども、広島大学におきまして、適切な研究評価や将来計画を踏まえつつ、施設設備などの整備充実を図る場合には、当該大学の検討を待ちまして適切に対処してまいりたいと考えております。
  114. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)分科員 よろしくお願いいたします。  時間があと一分ほどあるようなので、これは質問通告しておりませんのでただ私の希望としてお聞きいただきたいのですけれども、ちょっと科研費と全く関係ない話で、また戦争の話に戻ります。  実は私、国会議員になって初めて委員会質問をしたのがこの文部省分科会でございました。当時、林田局長が文化庁にいらっしゃいまして、原爆ドームの世界遺産化について質問させていただき、そのときの答弁を林田局長にしていただいたわけですけれども、おかげをもちまして世界遺産登録されるという方向になりました。本当にありがとうございました。  この原爆ドームは、いわば日本が受けた戦争被害の象徴としてあると思うわけでございますが、私は、広島の中に今度は日本の加害者としての象徴がある、このように思っております。それは大久野島、毒ガス製造の大久野島でございます。ここでつくられた毒ガスが中国に持っていかれて、日本国としてはまだ認めておりませんけれども、現実に使われたという証拠もございます。  この戦争加害者としての日本、それを象徴する毒ガス工場、その跡がまだこの大久野島にいっぱい戦跡として残っております。私は、この大久野島、文化庁も近代戦跡として今調査をされているというふうに聞いておりますけれども、被害者の象徴としての原爆ドームと同じように、加害者の象徴、この大久野島毒ガス工場跡地、いろいろなものがある、発電所とか池とか毒ガスを捨てた防空ごうとか、みんな残っておりますので、これもぜひ文化史跡として今後文化庁としていろいろ調査をいただきたいな、こういうふうに考えております。  これは質問通告しておりませんのでお答えにならなくても結構でございますが、もし何かありましたら一言。——それでは、そういうことでよろしく御検討をお願いしたいと思います。今後この問題につきましては、私、引き続きいろいろなところで訴えさせていただきたいと思っております。  以上で終わります。
  115. 田中昭一

    ○田中(昭)主査代理 これにて斉藤鉄夫君の質疑は終了いたしました。  次に、藤村修君。
  116. 藤村修

    藤村分科員 新進党の藤村修でございます。  予算委員会分科会におきまして、少し具体的な地方の教育委員会関係のお願い、及び文部省と総務庁が共同で監督官庁となっていらっしゃいますが、民間の財団法人交通遺児育英会の現状の問題などについてお尋ねを申し上げたいと存じます。  まず最初、ちょっと具体的なお話から申します。  私ども大阪でございますし、阪神・淡路大震災、大変な未曾有の被害を受け、そして今なお復旧から復興へという努力を続けている最中でございます。特に文教施設に関しまして、地震防災対策特別措置法に基づいて策定されます緊急事業五カ年計画というものでの補強事業につきましては、おかげさまで補助率二分の一という特例を持っているわけでございますが、改築をするというときにはこれが適用されないというふうに陳情を受けております。それで、改築にはその措置が図られないのかなということが一点。  それから、高等学校の耐震補強工事について、平成年度でいわゆる事業の対象にはなっているのですが、校舎等の耐震性能を確保するため今後も補強工事等の措置を必要としてくるところが当然出てまいりますので、これは平成年度以降も、例えば五年間ぐらいの時限を限っての補助対象として措置されないのかどうか、この辺をちょっと具体的にお尋ね申し上げたいと思います。
  117. 小林敬治

    ○小林(敬)政府委員 お答えいたします。  地震防災対策特別措置法によりまして各都道府県知事が作成する地震防災緊急事業五カ年計画に基づきまして実施される事業のうち、消防用施設の整備でありますとか備蓄倉庫の整備などの特に緊急を要すると考えられる事業につきまして、国の負担割合の特例が適用されるということになっていると思います。  公立の小中学校校舎の補強につきましては、改築に間のある建物についてその耐震性の向上を速やかに図ることが緊急の課題であるという判断から、特例の対象として法律に規定していただいたものというふうに考えている次第でございます。  一方、御指摘の改築につきましては、これは計画的に行うことが大切でございまして、この法律のかさ上げの対象にはなっていないところでございますが、文部省としても、平成年度から耐力 度調査に係る経費を工事費の一部として補助対象とするなど、その促進を図っているところでございます。  それから、公立の高等学校施設の補強につきましては、七年度の補正予算から新たに起債等による地方財政措置が講じられることになったところでございますが、文部省としても、各都道府県における取り組みを促進する観点から、モデル的な整備に資するために七年度の補正予算において特例的に補助を行うこととしたものでございます。したがいまして、平成年度におきましては地方財政措置によって対応することとなるわけでございます。
  118. 藤村修

    藤村分科員 今御提案をしたのは、九年度以降も五年間程度の時限を限ってモデル的に補助対象とすることが考えられるのかどうかという点でございますが。
  119. 小林敬治

    ○小林(敬)政府委員 現下のなかなか厳しい財政事情のもとでございますので、新しい補助制度をつくっていくというのは大変厳しい事情にございますので、御理解を賜りたいと思います。
  120. 藤村修

    藤村分科員 わかりました。  次に移りますが、高等学校の大規模改造事業ということでございます。  今、養護学校に対しまして、例えばエレベーターを設置するなど一般校と違う特殊な対応がされておる。非常にいいことだと思います。ただ、最近は、肢体不自由の方も養護学校でなしに一般高校に入って勉強したいという、むしろ教育的配慮からもそういう希望者がふえてくることはいいことだとは思うのですが、その際、一般高校において車いすを利用する生徒などが相当ふえてくる。これは全部の高校ではございません、一部の高校であります。そういう場合に、安全かつ自由に上下移動ができるよう整備していく、そういう一般校の施設充実の推進が必要ではないかと提案をいたしますが、これは補助対象になるかどうか、拡大できるかどうかということはいかがですか。
  121. 小林敬治

    ○小林(敬)政府委員 文部省として、高校の建物の改築、通称危険改築と称しておりますけれども、この事業の実施に当たりましては、ただいま先生が御指摘になられたような事情があり、学校の設置者が施設面の配慮からエレベーター整備計画して国庫補助の申請を行った場合におきましては、現にその実情に応じて国庫補助の対象としているところでございます。  一方、公立高等学校の大規模改造事業としてエレベーターを設置したいという場合には、原則として、起債等の地方財政によって必要な財源を確保していただきたい、こういうふうな仕分けになってございます。  それから、高校の建物につきましては、新増築の場合もやはり国庫補助がございませんで、結局、整理して申し上げますと、高校の建物の場合には、危険改築に限り補助事業があるということになっておりますので、改築の場合を除きましては起債等の地方財政措置に頼っていただきたいというふうに思っておる次第でございます。
  122. 藤村修

    藤村分科員 大規模改造事業というのがその対象にならない、危険改築というときにはエレベーターも可能であるということでありますが、現下の一般校にそうして肢体不自由の方、車いすの方もどんどん入っていきたいという、これは割にノーマライゼーションといいますか、教育の観点からしても重要な要素でございますので、今後の検討課題にぜひとも入れていただきたいと考えております。  次に、関西地区が、私は大阪でございますが、同和問題というのはやはり長年の教育の分野においても検討課題でございます。その中で地域改善対策高等学校等進学奨励事業というのが、地対特別措置でありますが、これが、平成年度でこの法自体が期限切れになる。ただ、しかし現状では、まだまだ一部同和地区の高校生、大学生の進学率というのは一般よりも若干の差があって低いということで、まだ問題がすべて解決したとは言えないわけでございますので、この現行法期限終了後も、進学奨励事業が効果的かつ円滑に推進できるような特段の配慮ができないものかということについてお尋ねを申し上げます。     〔田中(昭)主査代理退席、主査着席〕
  123. 遠山耕平

    ○遠山政府委員 先生お話しの、高等学校の進学奨励費補助事業でございます。これは昭和四十一年度から実施しているものでございますが、この事業によりまして対象地域の進学率が、高等学校で昭和三十八年当時は三〇・三%だったものが平成年度には九二・四%へ向上するなど、対象地域の教育水準の向上に極めて大きな役割を果たしてきたものと考えております。  それで、平成年度現在の対象地域と一般地域の進学率でございますが、高等学校で現在四・三%、それから大学等で一二・九%の格差がまだございます。それから、この奨学金によって高等学校あるいは大学等に進学をしている者の割合は現在でも四〇%を超えておりまして、依然として同和関係者の子弟の進学に大きな役割を果たしていることは事実でございます。  したがいまして、この高等学校進学奨励費補助事業も含めまして地対財特法失効後のあり方につきましては、現在、総務庁の地域改善対策協議会総括部会におきまして検討が進められているところでございます。三月中を目途にその最終意見がまとめられる予定でございます。  文部省としましては、地域改善対策協議会総括部会の議論の動向を踏まえて適切に対処してまいりたいと考えております。
  124. 藤村修

    藤村分科員 踏まえて、適切にお願いを申し上げます。  次に、これは大蔵大臣にも先般文教委員会でも、ちょっと私ごとで恐縮ですがということで簡単に御説明をした。私自身が、震災遺児の救済、阪神・淡路大震災では不幸にも親を亡くした子供たちがたくさん発生しておる、そういう震災遺児の問題を少し取り上げたのでございましたが、実は前史としては、交通事故で親を亡くす子供たちが大変多くなった。昭和四十五年がたしか交通事故死亡者がピークでございました。警察庁発表では多分一万六千人台、厚生省発表では多分二万人を超す年間の交通事故死者が出た。それに伴って、その残された家族で特に子供たちが交通遺児と呼ばれる、そういう二次災害ともいうべき問題が発生しました。  それで、国会でも取り上げられまして、民間で交通遺児等の修学を援助する財団法人をつくるべきという決議もされて、民間で財団法人交通遺児育英会という団体が発足して、これは昭和四十四年でございます。もう四半世紀余りになりました。その間、これは民間の募金運動なども毎年春と秋、ずっと継続して行われた。交通遺児の学生募金運動と言われましたが、今はむしろあしながおじさんのあしなが募金というふうな運動で広くこれは定着している。  そういう奨学金が、民間から善意が集められる中で、過去これは非常に成果が上がったということでございますが、既にこの奨学金を受けた人は四万七千人ほどいるわけです。財団法人の方は、既に基本財産が今百億円、そして運用財産が六十二億円という非常に大きな財団となっております。総資産三百億円を超しております。  そしてまた一方で、警察及び交通安全対策の分野では努力がなされて、交通事故の死者はそれなりに減ってまいりました。あるいは、死亡事故の内容が変わってきて、交通遺児の発生というのはさらに減少してきた。それから、奨学金事業というのは、そもそも困窮な子供たちに進学を援助するという制度でございますが、自動車事故の保険金も相当上がってきたということから、ある意味で対象者が相当減ってきております。  財団法人の奨学金事業のことを、特に文部省が監督官庁でもございますが、一例申しますと、一番多いときには年度の採用者、これは昭和五十年度に千八百二十人の高校生、大学生の奨学金を受ける人がいたわけです。これがピークでございました。その後、六十年に千四百五十五人、六十三年で千三百二人、平成三年あたりで千八十九人、平成五年九百九十四人、昨年度平成年度で七 百九十二人、本年度平成年度は、まだ終わっておりませんが、今年度の新規採用者というのは七百五十人ぐらい、非常に急激に減ってきておりますし、来年度、この四月以降の奨学金を予約している人の数から見ても、平成年度は多分五百人ぐらいの新規採用になるであろう。ある意味で、そういう不幸な交通事故による子供たちが奨学金を受けて進学できた、そして今はその対象も減ってきたということで、いいことであると思います。  ただ、問題は、監督官庁という立場から、この財団法人運営がこの二年来非常にマスコミで、例えば官僚の乗っ取りだとか、あるいはその財団を私物化しているなどの新聞の見出しが走るような事態が起きておる。  これはちょうど二年前ですが、発足当初より理事長をされておりました元警察庁長官の石井栄三さんという方でございますが、この方がお亡くなりになって、その後の理事長に総理府総務副長官の宮崎さんという方が就任をされた。一昨年の四月からだと思います。この一昨年来、いろいろな問題が噴き出しております。  財団法人指導監督という意味で、これは総務庁と文部省が監督官庁でございますので、この前、交通安全対策の方で総務庁にもお伺いして、一つの問題を取り上げたのですが、それは、ちょうどこの二年度来、つまり平成年度平成年度、二度連続していわゆる財団の憲法である寄附行為にも違反し、あるいは総理府令の、民間の財団法人の決算の報告は三カ月以内に、そういうものにも違反をして、三月末で切ったものが七月末に出てこない。それで、その年度、本年度平成年度の奨学金の新規採用者に対する送金がおくれてしまった、こういう事態が起きて、これは新聞でも取り上げられました。  つまり、予定をしていた交通遺児の高校生たちが大変困っておる、そういう事態が起きましたので指導をお願いいたしましたところ、総務庁も文部省も厳重に注意をしたり指導をされたということでございますが、その後にもまだ問題があるとなれば、総務庁とも連携をしながら、文部省も適切に指導してまいりたいと考えておられますけれども、その後の指導、どういう状況でございましょうか。
  125. 雨宮忠

    ○雨宮政府委員 財団法人交通遺児育英会につきましては、先生御指摘のように、総務庁が交通安全対策ということとのかかわりで所管し、また文部省といたしましては奨学金の支給という事業に絡んで所管しておりまして、共管の状況になっておるわけでございます。  それで、ただいま先生御指摘の、新規採用の奨学生の奨学金がおくれたということについての件でございます。  これは、昨年七月の段階で、当初七月の十日には奨学金を支給するということで奨学生候補者に対して通知しておったわけでございますけれども、そのための選考委員会、理事会がその選考委員会を兼ねているわけでございますが、その開催がおくれたということによりまして実際には七月の三十一日になってしまった、こういうことでございます。期日がおくれたということで奨学生の期待に沿わなかった、こういう問題が出たわけでございます。  これにつきまして、昨年の八月一日に財団の事務局長を呼びまして事情を確認したところでございまして、私どもといたしましては、奨学生の期待を損ねたという意味合いにおいて、今後このようなことのないようにということで、財団側に対して御注意申し上げたところでございます。
  126. 藤村修

    藤村分科員 これはこの二年来の一つの例でございまして、新理事長になって以来、例えば日本育英会も、補導事業というのですか、この交通遺児育英会は特に親を亡くしている子供たちを相手にしていますので、夏休みに三泊四日とか高校生を集めた集いという——去年阪神大震災での教訓として、やはり心のケアが非常に重要だということは指摘されているとおりでございます。長年来この高校生の集いを開催してきて、高校生も非常に楽しみにしておったのですが、この二年度来、つまり本年度平成年度でありますけれども、この集いが全く開催されないというのも一つの事例でございます。  あるいは、財団運営の件でありますのでこれはどちらかというと文部省は余り関係がないと思いますが、例えば総務庁からお役人が、やめた方がこちらに入って、六十歳の方で年収九百万円であります。六十五歳になっても八百万円の年収をとっておられるというので、そういうちょっと法外なお金の使い方があった。あるいは先ほど申しましたように対象が減っておる、そういう意味では事業が縮小しているわけですが、にもかかわらず永田町にございます事務所のフロアを拡張する、これはつい最近の話でございます。そんなことがたび重なっておるということで、そういう運営上の問題もこの二年来大きく出てきております。  さらに、この財団は運輸省の自賠責特会からの補助金を申請されておる。ところが、先ほど申しましたように資金的には非常に充実しておるものですから、実際申請はするけれども査定したらゼロだというのがもう何年来続いております。ですから、本来、ある意味で運輸省の自賠責特会の役割は終わったとされるはずなんですが、またまた来年度も申請をするという体制、体質がございます。  そのために、結局奨学金の額を相当上げてきている。これはある意味では交通遺児にとってありがたいことだと言えるのです。このところ、日本育英会が、今私立の高校生、月額二万六千円だと思います。それから、この交通遺児育英会は私立て月額四万円あります。これは足して借りることができます。そうすると、借りる方は三年で二百三十七万六千円の借金を負うので、借りたいけれどもちょっと額が大きいので逆に借り控えをするというか、むしろそういう現象が起こっておる。  そうなれば、これは奨学事業の問題でありますので、文部省の方としても、まずそんな補助金申請が要るのかというふうな話から、奨学金の額を上げていわば見せかけ需要をふやしている、そういう操作もなされているわけでありますので、奨学事業そのものに対する指導が必要ではないかと考えます。  またさらに、奨学生を採用する点においては日本育英会もそうですが、奨学生貸与規程というものがございます。それは当然、生活保護とかそれに準ずる非常に困窮している対象と書いてあるわけであります。  ところが、今、自動車保険というものが、特に自賠責の値段が上がるし、任意保険の加入率が高まっております。遺児家庭で七千万円以上の補償金を受けている方も相当多い。ちょっと具体的に言いますと、本年度平成年度の新規採用者は先ほど申しました七百十七人、これ以上多分ふえないと思います。そのうちで百十四人が、育英会が持っている貸与規程の補償金額の基準をオーバーしております。しかも、そのうち四十九人は七千万円以上の補償金を受けている。あるいは一億円以上の補償金を受けている人も中にいる。  そういう意味では、奨学事業自体相当無理をして貸し付けている。バブルの、例の住専問題ではありませんが、そういうことをしてまで、しかし人数はがたがたと減って七百人余りでありますので、ある意味で社会的使命が終わりつつある団体の奨学事業ということ、そういう観点からも御指導を賜りたいと思うのです。  これは、今こんな実態があるということ、この二年来いろいろ問題があるということ、さらに、文部省としても今後問題があれば指導するということでございますが、多分大臣はこの件を御存じなかったと思いますので、今お聞きの範囲で、所感でも結構ですけれども、お述べ願いたいと思います。
  127. 奥田幹生

    ○奥田国務大臣 この前の文教委員会に続いて、いろいろとこの制度について先生からお話を伺ったわけでございます。  四十四年にスタートいたしましたこの制度が、かなり効果を上げてこれまで来たということ、こ れはやはり高く評価しなければならぬ。しかし一方では、皆さん方の御努力によって、事故の件数といいますか、受ける学生さんの数が減ってきたということもありがたいことでございます。  ただ、その数が減ってまいりましても、先生お話しのとおり、事務局の内部の事情で支給する予定日がおくれるというようなこと、これは大変あってはならぬことでございますから、最低限の条件として、総務庁と共管をしております文部省とよく打ち合わせをして今後絶対そういうことがないように、それから、先生のお話を聞いておりますと、支給事業だけでなくて金銭には関係のない事業もいろいろここでおやりになって、受給されている生徒さんの何か心のよりどころのようなことにもなっておるようでございますから、そういう事業についても、やはり喜んで感謝されるような事業が引き続いて行われていくように、これは総務庁となお協議して、御要請にこたえてまいりたいと思っております。
  128. 藤村修

    藤村分科員 ありがとうございます。  その点はもうこれぐらいにおきます。  先ほど斉藤委員からも広島大学の具体的な問題がございましたが、私自身も、実は学生時代をそこで過ごしまして、今の交通遺児の問題にも絡む自動車部というクラブにおりました。体育会でございます。私も、四半世紀以上前からたまたま馬術部の人たちとも仲がよくて、一緒に過ごしておったのです。  当時、広島大学はタコ足大学と言われて市内あちこちに点在をしておって、馬術部の馬場などもなくて、太田川という川っ原で勝手にというか、自分たちでコースをつくって練習をしておった。以来、広島大学の総合移転が始まり、昨年一応終了をして、東広島市に広大なキャンパスを持つ大学となったわけでございます。  それで、その中で一応馬術部の馬場の予定地なども確保されておるのでございますが、何せ馬場はそれなりに整地をしたり整備をする、それから当然厩舎が必要になってくる、そんな問題がございます。  これは文部省がそういう細かいものまで直轄されるのかどうかよくわからないのですが、それは大学からの申請に基づいて文部省が必要度を考えて予算をつけていかれるのか、その辺ちょっと仕組みを教えていただいて、これは何とか実現させねばならないと思っておりますので、今後の対処方法についてもアドバイスを願えれば幸いでございます。
  129. 佐藤禎一

    ○佐藤(禎)政府委員 広島大学の西条キャンパスにつきましては、今お話ございましたように、長い年月をかけまして計画的に整備を進めてまいっております。八年度時点で予算が執行されますと、当初計画をいたしました全体のほぼ九四%ぐらいが整備が済むというような進捗状況でございます。  こういった整備の中で、課外活動の施設につきましても、これまでも整備を進めてございますけれども、ただいま御指摘ありました馬場、厩舎等については現在のところは未整備でありまして、かつその整備が要請をされているということは私どもも承知をいたしてございます。このことは大学全体の整備の進め方とも絡みがございますので、私どもといたしましては大学当局とよく相談をさせていただきたい、このように考えております。
  130. 藤村修

    藤村分科員 以上で予定していた質問を終わります。大臣どうもありがとうございました。
  131. 細川律夫

    細川主査 これにて藤村修君の質疑は終了いたしました。  次に、上田勇君。
  132. 上田勇

    上田(勇)分科員 新進党の上田勇でございます。  きょうは、今日私たちが直面しています非常に深刻な社会問題の一つである学校におけるいわゆるいじめの問題を初めといたしまして、若干そのほか細かい点もございますが、何点か教育施策について御質問をさせていただきたいというふうに思います。  もう言わずもがなでありますが、ここ数年、全国各地の小中学校で極めて悪質、陰湿ないじめの事件が続発しておりまして、多くの何の罪もない子供たちが被害を受けて、ついにはみずから命を絶つという非常に痛ましい事件が後を絶ちません。昨年度、これは文部省で把握された数字だと思いますが、報告されているいじめが五万七千件、前年度の二・六倍だというふうに急増しているわけであります。  ただ、このいじめの問題というのは、私も教育の専門家の方や識者の方々からいろいろ御意見を伺うときもありますが、非常にたくさんの要因というのが複雑に重なり合って、ここを直せば直ちにすべてが解決するというような性質のものではないというふうには承知しております。とはいえ、子供の人権の尊重、生命の尊厳という点からも、これはできる限りの対応を我々としても、また政府としてもやっていただかなければいけないということはもう明白であるというふうに思います。  去年の十二月、文部省では、緊急に都道府県や指定都市の教育長の方々の会議をやったというふうに伺っております。報道によりますと、十項目にわたる重点的な取り組みを提示したというようなことになっております。内容を伺いますと、いわばごく当たり前と言ってはなんですが、そういう内容ではありますけれども、逆に言えば、こうした当たり前のことをまた再確認してやっていかなくてはいけないということが今の教育の抱えている大きな問題なのかなということも感じたところであります。こうしたいわば当然と言えるようなことも着実、地道に進めていくということが非常に肝心なことなのかなということを、そういう教育長の会議や、また、その後行われました組合の討論会などを通じて私も感じた次第でございます。  いろいろと各方面から具体的ないじめの対策についても提言がなされております。その対策の一つに、学校に、いわゆる先生という立場にはないスクールカウンセラーを配置するという施策が挙げられておりまして、文部省でも七年度から委託事業という形で開始され、八年度の予算案でも大幅に拡充されているということ、これはもう本当に一定の評価ができるものだというふうに考えているところでございます。  このスクールカウンセラーについて、この間、そのスクールカウンセラーが配置されている中学校の状況について報道されていたのを見たのですけれども、生徒の方からは、先生でないから話しやすいとか、そういう非常に高い評価というのでしょうか、そういう感想が述べられておりました。  また、各方面から、聞くところによりますと、都道府県の中でも積極的に取り組んでいかれているところがあって、埼玉県などは八年度から五カ年計画で全中学校に配置していく、そういう計画も立てられているということでありますし、また、その他の県や市町村でもいろいろな先進的な取り組みが行われているというふうに伺っております。  私の地元の神奈川県などでも、特に市町村が中心となってこの事業を大変、なかなか学校の数が多いのに比べて、言ってしまえば少ない数でありますけれども、着実に進めております。そういう意味では、このスクールカウンセラー、今までにない制度だと思いますが、これを配置することの必要性というのがかなり広く認識されてきているのかなというふうに考えます。  そういう中で見てみますと、先ほどは大幅に拡充されているというふうに申し上げましたけれども、それでも文部省の今回の予算案で見れば、対象校数が各県でいいますと十校だ、合計でも五百六校、予算額も大幅に伸びているとはいえ、十一億円にすぎないということであります。  私は、このいじめの問題というのは、最初にそう簡単にすぐに解決できる問題ではないのじゃないかということを申し上げましたけれども、これは将来はほとんどの小学校、中学校に配置するぐ らいの取り組みが必要なのではないかというふうに感じます。  また、地元で、特に御父兄の方々とこのいじめの問題などについていろいろな御意見を伺う機会がありますが、その中でも特に、学校の先生ではないスクールカウンセラー、この学校の先生でないということがどうも重要な点なのだと思うのですけれども、この配置という、こういう自治体でいろいろ取り組んでいる事業に対しては非常に大きな期待を寄せられている、御父兄の方々からそういう話をよく伺います。  そういうことで、七年度からスタートして八年度では拡充されているわけですが、今後文部省としてどういうようなスケジュール、これは予算の制約とかいろいろあるのだと思うのですが、どのようにこれから取り組まれていく考えなのか、その辺の御所見をぜひお伺いしたいと思います。
  133. 遠山耕平

    ○遠山政府委員 先生御指摘のスクールカウンセラー活用調査研究委託事業でございますが、これは、学校におけるカウンセリング機能の充実を図るために、臨床心理士などの高度な専門家を学校に派遣しまして、児童生徒やあるいは保護者へのカウンセリング、教員への助言などを行うものでございます。  それで、今後のカウンセラーの配置でございますが、現在やっております国のスクールカウンセラー活用調査研究委託事業、これはことしから始めたものでございますので、その成果も見きわめつつ検討すべきものと考えております。ただ、人材の面では、臨床心理士という資格を持っている人が現在四千三百人程度でございますので、急激に大幅に延ばすということはなかなか難しい面があろうかと思います。  それからもう一つ、教育相談員という人が各市町村地方交付税措置で置かれております。そういう人たちを学校へ派遣するといいますか、学校へ行って子供たちや父母の相談を受けてもらうということも今実施を始めたところでございますし、それから養護教諭、生徒指導の担当の教員の研修を充実しておりますので、これらの先生方のカウンセリング能力というものを向上させることによりまして、子供たちあるいは保護者のカウンセリングに対する需要に対応していきたいというぐあいに考えております。
  134. 上田勇

    上田(勇)分科員 父母の方々から学校の実情について伺うと、もちろん学校には先生方がおられて、一番いいのは、生徒の個人的な問題だとか家庭における問題なども先生方とゆっくり話し合ったり、いろいろ相談に乗ってもらう時間があればいいのだけれども、学校の先生もそれは仕事としてやっておることでございますし、授業時間以外にもいろいろな仕事をたくさん抱えているというような中で、一人一人ということになるとなかなか時間も十分にとれないという実態も、これはもうやむを得ないものがあるのではないかというふうに思います。  また、子供さんの方の立場に立ってみると、どうしても学校の先生というと、何か勉強の延長線上のようで、なかなか自由に話ができないだとか、逆に成績の方にそういうようなことが反映されても困るというような、これも取り越し苦労といえばそうなのかもしれませんが、心配があるというようなことから、やはりできれば先生ではない人に、しかも今言われたような専門的な知識を持たれている方に、日常的に相談に乗ってもらいたい。これはもう非常に強い要望があり、それに対応して文部省の方も取り組まれていることだとは思います。  今ちょっと御答弁の中にあったわけですけれども、やはりそういう専門的な知識を持っている方ということになると、さっき四千三百人だというような話もありましたように、これから人材の面で確保がなかなか難しくなってくるのではないか。  実際にカウンセリング、カウンセラーという事業を実施している自治体などに聞くと、今は、例えば教職員のOBの方にちょっと手伝ってもらうとか、養護教諭の方にも参画してもらうだとか、そういうようなことで対応しているというようなことも伺っております。その事業内容を見てみますと、勤務形態も今非常勤というような状況ですし、週二日程度ということで、いわゆるフルタイムではないということなので、その処遇の安定という面でもこれから問題になってくるのではないかということも思われます。  スクールカウンセラー、この制度、非常に期待が強い制度であるので、これから普及定着させていくためには、やはり今人材の確保あるいはその処遇の問題だとか、そういった課題も中長期的に対処していかなくてはいけないことだというふうに思いますけれども文部省としてのその辺の方針をお伺いしたいと思います。
  135. 遠山耕平

    ○遠山政府委員 先生御指摘のスクールカウンセラー活用調査研究委託事業でございますが、これは外部の専門家の方に学校に来ていただいて、子供たちやあるいは保護者の相談に乗っていただく、そういうところに意味があるのだろうと思いまして、学校の中に完全に入り込んで学校の職員になるとその意味は少し薄れるのではないかというぐあいに思っておりますので、スクールカウンセラーというのは、あくまでも外部の専門家に学校に来ていただいて相談に乗っていただくということを考えております。  それであとは、専任の職員としては養護教諭それから生徒指導主事という人が大体学校におりますから、その人たちのカウンセリング能力を研修等によって向上させて、児童生徒やあるいは保護者の相談に乗り、また教員の相談にも乗るという体制を考えているところでございます。  それからまた、繰り返しになりますが、教育相談員というものが各市町村地方財政措置で置かれております。この方は教員OBが大体六割以上占めておりますので、学校の実情等もよく御存じでございますので、学校にも来ていただいて、やはり教員の相談にも乗り、あるいは児童生徒のカウンセリングも担当するということもやっていただければありがたいというぐあいに思っております。
  136. 上田勇

    上田(勇)分科員 次に、ちょっと話が変わりまして、若干細かい話で恐縮でございますけれども、私の地元などでの幼稚園について、事例を踏まえた上で若干質問させていただきたいと思うのです。  私の地元、横浜市ですけれども昭和五十年代、これは首都圏の周辺地域というのは共通していることだと思いますが、人口が急増いたしまして、地域によっては、急に子供がふえたものですから、幼稚園がかなり不足をしている。これは父母の要請もあって、設置基準を満足しない教育施設が幼児を受け入れて、実質的には幼稚園としての役割を果たしてきたケース、私自身もそうしたケースを数例知っております。  この中の、例えばある園というか、認可されていないので施設ということなのでしょうが、ある施設では、昭和五十七年に設立されていて、これまでに三百名を超える子供が卒園をしている。現在も九十名近い園児が在籍している。施設を見ても、屋内プールを備えていて、水泳を取り入れた独特のカリキュラムを採用していたり、近くにあります河川敷なども、河川管理者の協力を得て、運動場として使用している。そういった工夫もしながら、そこに通園されている子供さんたちの父母の皆さんからは大変好評を得て、ここまで運営をしてきたということであります。  ところが、やはりこれは文部省の設置基準を完全には満たしていないので、学校として認可されていない。そのために、県や市町村がとっているいわゆる私学助成ですね、私立学校に対する助成措置が受けられないで、経営上も当然困窮してくるし、そこに通われている子供さんの父母の方々の負担というものも大きくなってくるという状況があります。  いろいろな事例を私も調べさせていただく中で、やはり無認可の幼稚園であるとか、あるいは設置基準に満たないこういう施設であるとかで過去に問題が起きたというようなケースも、確かに そういうところの方が多いというようなことも伺っておりますけれども、ただし、今私が申し上げたような優良なケースもあるわけでございます。例えば、私が申し上げたようなケース、長年にわたりまして実質的には幼稚園と同様の役割を果たしている、通園されている子供さんたちの、それからその父母の方々の満足度も高いという事例もあるということであります。  そこで、なぜこうした施設が幼稚園として認定されないのかなとちょっと私なりに不思議に思いまして、先般文部省から幼稚園の設置基準を見せていただきました。この基準、もちろんこれは当然学校でありますし、子供が通う、そのための、幼稚園であるのでこういう言い方はどうなのかわかりませんが、教育がちゃんと行われる、あるいは子供の安全が確保される、そういう意味での基準といったものが必要なのはわかるわけでありますが、この基準をちょっと見せていただくと、中には、例えば大都市のようなところの特にいわゆる土地利用の現状みたいなものを考えるときに、これは昭和三十一年に定められたものであるというふうに聞いておりますけれども、ある意味でちょっと首をかしげるなというようなものもありました。  これは、例えば設置基準の中の第八条の規定などでありますけれども、幼稚園は原則二階建て以下、あるいは教室に当たる部分だとかそういった主要な部分というのは一階に置かなければいけないとかという規定があるわけですが、特に大都市部におきます建築物というのですか、これは個人の住宅も含めてかなり高層化しております。そういった意味では、子供たちもいわゆる高層建築物に対してなれているというのでしょうか、実際そういうところに住んでいる人たちも多いわけですし、同時に火災などに対する防災の施設や技術の向上、そういったものもこれはかなり図られてきているのじゃないかというふうに思います。  もちろん最低限の安全上の問題は確保しなければいけないというのは当然でありますけれども、こういう規定、また運動場などについても、一部屋内施設で代替してもよいのじゃないかというような意見も伺ったこともあるのですが、先ほど述べさせていただいたケースのように、既に非常に高度化された市街地に設置されているところで、土地の手当てなどもなかなか難しい、現実には、これから基準をクリアするのは実際上もう不可能であるというようなケースであります。そういう場合に、特にそういう地域で、いろいろ実情を勘案した上で、基準の運用とかの緩和あるいは弾力的な運用、そういったものを考えることも必要なんじゃないかというふうに思うのですが、その辺の考えをお伺いしたいと思います。
  137. 遠山耕平

    ○遠山政府委員 先生お話しのように、幼稚園というのは学校教育機関でございまして、組織等について決めております学校教育法、それから幼稚園設置基準、それから教育課程の基準は幼稚園教育要領というもので決めておりますが、そういうものについての要件を満たした場合に初めて幼稚園として認可をされるものでございます。したがいまして、それらの要件を満たしていないものにつきましては、やはり幼稚園ということで認可するわけにはいかないところでございます。  それで、文部省としましては、幼稚園に類似する教育を行っている施設は、従来より、都道府県を通じまして、幼稚園設置基準等に定める基準に適合するようその整備を図り、幼稚園としての認可を受けるように指導を行ってきているところでございます。  幼稚園設置基準のお話がございましたが、幼稚園設置基準につきましては、その組織あるいは設備について、幼稚園が学校教育機関として幼稚園教育をやるについて十分な施設設備あるいは教員を備えているということが必要なわけでございまして、そういうことを決めているところでございます。  それで、昨年の二月にこの幼稚園設置基準は改正したばかりでございまして、先生御指摘のこの八条につきましても、従来は平家だったのですが、それを二階建てまで認めるということで若干緩和したわけでございまして、そういう点で、社会の状況あるいは時代の進展に即応した形で見直しをしているわけでございます。  市街地等においては必ずしもこれを完全に満たすことができない場合もあるというお話でございますけれども、幼稚園教育を行う施設としてはこういうことが必要であるということが関係者の間で了解されたものでございますので、できるだけこの基準を守った幼稚園をつくっていただきたいというぐあいに私どもは考えているわけでございます。
  138. 上田勇

    上田(勇)分科員 もちろん学校機関でありますので、最低限のそうした守らなければいけない基準があるというのは当然のことだと思うのですが、私が申し上げたかったのは、いわゆる緩和されたときに、実際に現状を踏まえた上で十分な検討がなされたのかなということに若干疑問を感じるということを申し上げたわけであります。  特に、私がちょっと事例を申し上げましたけれども、既にそういう実質的な機能を果たしている、さらに通っている子供さんたちも、またそのお父さん、お母さんたちも、実際にそこの幼稚園が、まあ幼稚園とは言えないわけですけれども、非常にいいと言っているようなケースもある。じゃ、それをその基準どおりに合わせるということになると、これは実質的に不可能だ。  もちろんそれはいろいろな検討をなされた上でのことかもしれませんけれども、現状をよく認識していただいて、八条なども、大都市部における実際のほかの建物の状況等を考えれば、私は必ずしも、三階以上になったら危険だとか、そういったことというのは、合理的な根拠といったものがもう一つ納得し得ない部分があります。  もちろん小さい子供ですので、じゃ五十階や六十階の建物の上の方に幼稚園をつくっていいのかということはありますけれども、今都市部では、一般の住宅でも何十階という高層の住宅がある。通常利用しているいろいろな施設の中でも、かなり高層のところで利用しているものもある。そういうときに、今定められている基準といったものが実際の現実の生活の習慣をどれだけ反映されているものなのかといったことについて若干疑問を感じるものでありますので、これはまたぜひいろいろ、特に地方自治体などの関係者とも引き続き御協議をしていただくなどして、引き続き御検討いただければというふうに思います。
  139. 遠山耕平

    ○遠山政府委員 「二階建以下を原則とする。」ということでございますが、特別の事情がある場合には三階建て以上ということも認められたわけでございます。その場合に、やはり幼稚園には運動場が必要なわけでございますが、子供がいる部屋が五階、六階ということになりますと、運動場で遊ぶ時間といいますか、そういうのが余り確保できなくなるおそれがあるというようなことで、子供がいるような保育室あるいは遊戯室などは一階に置かなければならない、こういう幼稚園設置基準の規定になっているわけでございまして、いわゆる運動場が全然なくて、あるいは運動場に出て遊ばないんだ、部屋の中だけで教育をやるというようなことだと、やはりそれはちょっと幼稚園とは認めにくい、こういうことじゃないかと思います。
  140. 上田勇

    上田(勇)分科員 今の御説明だと、拝見したこの設置基準では、「特別の事情があるため」に「三階建以上とする場合にあっては、」とあるのですが、それでも「保育室、遊戯室及び便所の施設は、第一階に置かなければならない。」ということですよね。ですから、やはりいろいろな面でそういう制約があるのは事実じゃないかと思います。いろいろな条件が整えば例外的に第二階に置くこともできるということだと思うのです。  この辺、ちょっと私は、私自身も余り土地の余裕がない地域に住んでいることもあって、現実を見るとなかなかこういうことも、今から変えたりする場合には非常に難しいのかなということを率直な気持ちで感じたものですから、そういうことを質問させていただいたわけであります。  実際にそれで、しかもその実例として、そういうふうに、支障といっならないのかもしれませんが、そういう事例もあるし、そういったことで、もちろんその基準を緩和するといったことに対してはいろいろな影響があるのですぐに結論の出ることではないと思いますが、そういった実情があるということをぜひ心得ていただいて、何とかまた御検討いただければということを感じている次第であります。  もう質疑時間がなくなりました。最後ですから、ちょっと御要望ということだけ申し上げます。  これはもう文部省の方もそのとおりだと思うので、特にいわゆる私立学校に対する助成の拡充でございます。  これは文部省の方も十分一生懸命取り組んでいただいていることであると思いますので、もちろんその私学助成のあり方についていろいろな見解があるのも承知しておりますし、財政上の制約があるということも承知しております。しかし、この私学振興というのは重要なことであるというふうに思いますので、これをぜひとも拡充に向けてまた御努力をいただきたいというふうに思います。  以上で質問を終わらせていただきます。
  141. 細川律夫

    細川主査 これにて上田勇君の質疑は終了いたしました。  次に、中島武敏君。
  142. 中島武敏

    中島(武)分科員 私は、きょうは最初に登山の安全対策、特に山岳遭難救助体制の改善について伺いたいと思います。  日本の登山人口は一千万人とも八百万人とも言われ、国民的なスポーツとして幅広く定着しております。特に近年は、自然や健康への関心を満たすスポーツ、レクリエーションとして、中高年層の間で新たな登山ブームを呼んでおります。  登山は、もともと厳しい自然条件などによって危険を伴うものであります。しかも、近年は山岳遭難が多発しており、登山が安全なスポーツとして発展していく上で見過ごすことのできない事態が生じております。  警察庁の発表資料「山岳遭難の発生状況」によりますと、九四年度には発生件数七百七十四件、死者、行方不明者二百六名に達しております。毎年山岳遭難で二百人前後の死亡者や数百名に上る負傷者を出していることは、もちろん登山者の注意不足という問題もあろうと思いますけれども、同時にまた遭難防止の対策、事故が起こった際の救助体制の整備など、行政の側の不十分さもあるのではないか。それだけに、登山にかかわる国や地方自治体行政の役割は非常に重要だと思っております。  そこで、具体的に伺いたいと思うのですが、全国各地で大雪になりましたことしの冬は、年末年始から二月の連休までのわずか一カ月余の間に、新聞報道のあった主な雪崩事故だけでも五件発生して、五人の登山者のとうとい命が奪われております。  しかしながら現在では、登山分野における雪崩対策の研究もかなり前進をして、訓練を積めば一定の確度で雪崩発生の危険を回避できると言われております。クライミング技術の高いパーティーでありましても、雪崩に対する知識や対策では習得がおくれている場合があります。こうした対応を個々の登山者にゆだねるのではなくて、科学的な雪崩対策、雪崩教育の普及のための条件整備が非常にポイントになってくると私は思うのですね。  そういう点で、文部省に伺いたいのですけれども、雪崩防止や雪崩対策に関する講習など、どんなふうにおやりになっていらっしゃるか、まず最初にこれをお伺いいたします。
  143. 佐々木正峰

    ○佐々木(正)政府委員 文部省では、山岳遭難事故を未然に防止をし、正しく安全な登山を普及するため、昭和四十二年に富山県に登山研修所を設置しております。  登山研修所においてさまざまな研修を実施しておるわけでございますけれども、山岳団体等において指導的立場にある者を対象とした春山、夏山、冬山登山についての実地講習会を行う、あるいは遭難救助の研修会を実施するなどいたしておりますし、また、登山団体が実施をする研修に施設を提供する、あるいは指導助言を行うというようなことを行いまして、指導者の資質の向上に努めておるところでございます。
  144. 中島武敏

    中島(武)分科員 その講習会などには大分人が集まりますか。たくさん集まるのがいいなと私なと思うのですけれども。また、身銭を切って雪崩対策、雪崩教育の講習会に熱心に取り組んでいる団体もあります。ですから、大いに文部省に先頭に立ってもらいたいのです。話を聞きますと、熱心にやっていて、たくさん集まるというのですね。そういうところに対しては文部省も助成をしていいのではないかなということなども考えるのですけれども、どうですか。
  145. 佐々木正峰

    ○佐々木(正)政府委員 具体に実施しております研修といたしましては、大学山岳部のリーダーの研修会であるとか、あるいは高等学校、高等専門学校の登山指導者の研修会であるとか、あるいは集団登山の指導者の研修会等々を実施いたしてございますし、また、お話のございました中高年の方々につきましても、安全登山指導者講習会を実施しておるところでございます。  文部省といたしましては、それらの事業の充実に当面は努めてまいりたいと思っておるところでございます。
  146. 中島武敏

    中島(武)分科員 文部省として大いに努力してもらいたいのですが、私が同時に申し上げた、民間の団体で積極的、熱心にやっておられる団体に対して、大いに奨励するという意味で助成なども必要じゃないか。話をいろいろ聞いてみますと身銭を切ってやっているのですね。そういうことも大いに進めるべきじゃないかと思うのですけれども、その点についてのお答えがなかったので、ちゃんと答えていただきたいと思います。
  147. 佐々木正峰

    ○佐々木(正)政府委員 文部省として現在行っております事業といたしましては、登山関係団体が実施する研修に対しましては登山研修所の施設を提供する、あるいは必要な指導助言を行うことによってその支援を行っておるところでございまして、目下のところはその充実に努めていきたいという考えで、それぞれの登山団体が行う事業に対して直接助成することは現時点では難しいというふうに考えておるところでございます。
  148. 中島武敏

    中島(武)分科員 なかなか成果を上げているようです、私が聞いている範囲でいいますと。だから、今のところは助成なんというのはちょっと考えておられないという話なんだけれども、そういう点も考慮に入れて、大いにひとついろいろなところで雪崩防止、雪崩教育、こういうものを広げていくように努力をしていただきたいと思うのですね。  それから、次も関連する問題なんですけれども、遭難者が出た場合に、一刻も早くその遭難者を助ける、救出するというためには、何といってもヘリコプターの活用が非常に有効であるということは過去の実績からも証明されております。それで、山岳団体からもヘリコプターによる救助体制の整備が非常に強く要望されております。  これはよく御存じだと思うのですが、現在、主要山岳地帯、例えば群馬とか富山、長野、岐阜、山梨、その他いろいろありますけれども、ここでのヘリコプターによる救助体制はどのようになっておるのでしょうか。
  149. 小濱本一

    ○小濱説明員 ヘリコプターの関係でございますが、消防防災ヘリコプターにつきましては、災害状況の把握、あるいは林野火災における空中消火、離島、山間地域におきます救急患者の搬送、さらには御指摘がございました山岳救助等に極めて有効でございまして、さきの阪神・淡路大震災におきましても、救急搬送、食料品、医薬品等の物資輸送並びに医師等の人員輸送、上空からの情報収集等にその機動力を発揮しまして、消防防災ヘリコプターの必要性が改めて認識されたところでございます。  このため、各地方公共団体におきましても消防 防災ヘリコプターを導入する動きが急速に高まっているところでございまして、平成年度国庫補助金整備されるものも含めますと、全国で五十機が配備されることとなる状況でございます。  消防庁といたしましては、こうした状況を踏まえまして、今後とも国庫補助金の確保に努めるなど、消防防災ヘリコプターの全国的な配備に努めてまいる所存でございます。  そこで、御質問の個別の県の状況でございますが、群馬県は現在配備はされておりません。それから、富山県につきましては配備をされております。それから、長野県については現段階では配備をされておりません。  ただ、先ほど申し上げましたように、阪神・淡路大震災以降急速にこの整備についての動きが高まってきておりますので、近い段階で各団体の方で整備されるよう私どもの方も期待しているところでございます。
  150. 中川雅量

    ○中川説明員 ヘリコプターの全国の配備状況というものを申し上げますと、平成年度末の配備機数は全国で六十四機、これが七年度末に七十機となる予定であります。  先ほどお話のあった各県にもそれぞれヘリコプターを配置いたしておりますので、それに基づいて山岳救助というものを行っているところでございます。
  151. 中島武敏

    中島(武)分科員 警察庁に伺いたいのですけれども、これは高度三千メートルクラス、ここでホバリングしてちゃんと活動できる、そういう能力のある機種だと考えてよろしいですか。
  152. 中川雅量

    ○中川説明員 私どものヘリコプターというのは、御承知のとおり山岳救助用専門とかそういうものではなくて、種々の警察活動に多目的に対応すべく配備しているというものでありまして、その中で山岳救助用にも使っている、こういうことでございます。  なお、三千メートル級云々というお話でございますけれども、すべてがすべてそういうふうにできるというわけではございませんが、その中でそういう機種も含めて運用しているというところでございます。
  153. 中島武敏

    中島(武)分科員 主な山岳地帯でそうなっているかどうか。全部がそうなっているかということではなくて、そこでどうなっておるのかなということが私が聞きたいことなのです。  それから、もう一つ続けて伺いますけれども、山岳遭難で場所も特定できるというような場合には、通報があったら直ちに応じる体制というのはあるわけですね。そこはどうなっているかということです。これが二つ目。  それからもう一つ、三つ目に、複数機が配備されておりませんと、一機では点検修理をしているとかいうことになりますと即座に応じるのは非常に困難が生じるというようなことなんかがあると思うのですけれども、その辺のところも大丈夫なのか。  以上三つの点についてお答えください。
  154. 中川雅量

    ○中川説明員 山岳救助の多いところでのヘリコプターはどうなのかというお尋ねでございますけれども、大体、先ほど申し上げたように、山岳救助用として扱っているわけではございませんで、普通のヘリコプターとして運用している、こういうことでございます。ただ、今年度において、富山県において山岳救助用にも十分使えるヘリコプターの機種を導入する予定ということになっております。  その他のところでは、中型機があれば大体それは十分に運用できる。ただ、小型機につきましては、そのときの気候条件その他によってもばらばらになるわけでありますけれども、例えば搭乗人員を少なくする、燃料を少なくする、それからその他の設備を若干おろして、そして軽くして救助に当たるということで運用できる、こういうことでございます。
  155. 小野正博

    小野説明員 ほかに御質問がございましたので、その点についてお答えをさせていただきたいと思います。  警察庁ヘリコプターにつきましては、先ほど申し上げましたように、災害等の場合の情報収集、部隊の搬送、パトロール活動、緊急配備活動等々警察業務各般にわたり活用しておりますが、その中で山岳遭難等の捜索または救助活動につきましても相当の努力を重ねておるところでございます。例えば、平成六年中、警察用ヘリコプターが救難救助に現実に出動いたしましたのは約千八十回でございますが、そのうち山岳遭難の救助に出動した回数は三百四十回ございます。  直ちに対応できるかという点でございますが、これにつきましては、ヘリコプターというのは大変に微妙な問題がございまして、センシティブといいましょうか、機体が整備の場合、先ほどお話がございましたそういう場合もございますし、機種、性能によって飛行条件が異なるものでございます。ですから、気象条件やその遭難場所の標高等によっては警察用ヘリコプターで対応できないような場合もありますけれども、人命救助という観点から可能な限りヘリコプターの活用に努めてまいっているということを御理解賜りたいと思います。  またもう一点、複数機あるかということもございましたけれども、全国に国費整備の七十機のヘリコプターがございまして、各県に一機以上はございますけれども、御指摘のとおり整備期間がヘリコプターの場合は一カ月とか二カ月とかかかる場合がございまして、こういう場合には直ちにその県のヘリが対応できないということもないわけではございません。そういう場合には、周辺県と連携をとりまして周辺県の警察のヘリを活用して出しますとか、民間のヘリに御協力いただくとか、いろいろなことを講じているところでございます。  以上でございます。
  156. 中島武敏

    中島(武)分科員 これは非常に大事な問題ですから、特に人命にかかわる問題ですから、大いに体制を整備して、いつでも応じられる、点検、修理していても、やはり主要な山岳地帯だけはちゃんとカバーできる、しかも機種も、やはり三千メートルクラスでホバリングしてホイスト装置で人間を引き上げる、こういうことができるように、ぜひひとつやってもらいたいと思いますね。  なお、この問題についてちょっと詳しくしようかと思ったのですけれども、時間も余りないみたいですけれども、やはり救難に使うという場合には何といってもホイスト装置、これは必要だ。それから、救助用具はもちろんですけれども、アマチュア無線対応の無線が必要だと思うのですよね。そういうのは準備されているのですかね。地上のアマチュア無線とちゃんと交信できるというのでないと、なかなか事はうまくいきませんので、そういうことを常備させるということも必要なのだということを一つ指摘したいと思うのですね。  大臣、今ちょっとお話聞いておって、日本のこういう山岳における遭難事故に対する対策ということになりますと、外国から比べると、進んだところと比べると二十年間おくれていると言われるのですよね、関係者の人たちは。だから、これはもっと急速に高めなければいかぬと思うのですよ。大臣、決意や抱負があったら一言聞きたいなと思うのです。
  157. 奥田幹生

    ○奥田国務大臣 外国のこの問題についての取り組みというのは私もつぶさに存じ上げませんけれども、やはり人命救助にかかわる非常に大事な問題でございますから、先生御指摘のとおり、これは関係の役所がたくさんにまたがっておりますけれども、それから地域も広くまたがっておりますが、どういう事態にも臨機応変の対応ができるように、さらに体制を強化してまいりたいと思っております。
  158. 中島武敏

    中島(武)分科員 では、次の問題に移ります。  芸術文化を振興させるための施策をぜひひとつ充実してもらいたい、この問題なのですけれども、芸術文化を振興させることは、国民全体が豊かな文化に満ちた生活を送る上で重要な課題であることは申し上げるまでもありません。また、国や地方自治体が国民の芸術文化活動を支援するこ とも当然であります。  最近、文化庁予算は一定の伸びを示しておりますが、しかし、ヨーロッパ先進国、例えばフランスの国家予算全体に占めるシェアが一%というのに比べますと、我が国の場合には〇・一%程度でありまして、予算額内容とも残念ながら依然として貧弱であります。  今年度の文化庁予算案で、芸術創造活動の推進、いわゆるアーツプラン21という新しい芸術支援システムを創設したことについては、関係者の注目を集めております。予算的には三十二億円を計上して、前年度と比べて五〇%近い伸び率でありますし、関係者もそれなりに評価をしております。  それで、具体的に伺いたいと思うのです。重点支援と言われる芸術創造特別支援事業、この問題について聞きたいのですけれども、この重点支援される芸術団体の選考基準を明確にしてほしい、こういう意見があります。この点は当然公表されるものと思うのですけれども、選考基準を公表いたしますね。
  159. 小野元之

    小野(元)政府委員 御指摘ございましたアーツプラン21でございますけれども、この趣旨は、私どもといたしましても、芸術文化のソフト面の支援を飛躍的に拡充しなければいけないという考え方に立ちまして、平成年度から、新しい考え方としてアーツプランを導入したわけでございます。  このアーツプランの、お話ございました芸術創造特別支援事業でございますけれども、これは基本的に、意欲的な公演活動への取り組みをなさっておる、そして我が国の舞台芸術の水準向上を図っていくということで、直接的な牽引力となるようなことが期待される芸術団体、こういったものを対象に、年間の公演活動を総合的に支援したいということで、新しい考え方を実施をしておるところでございます。  この事業におきます支援対象団体をどのようにして選んでいくのかという、その選考の基準でございますけれども、この点については、今後審査会におきまして検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。(中島(武)分科員「公表するかどうか」と呼ぶ)このアーツプラン21につきましては、大変関心も強いところでございまして、私どもとしては、芸術支援全体のパイを拡充したいということで考えておるわけでございますけれども、選考の基準の基本的な考え方については明らかにしてまいりたいというふうに考えております。
  160. 中島武敏

    中島(武)分科員 これともちょっと関連があるのですけれども、審査委員を文化庁が一方的に決めたことについていろいろ意見が出ておりますね。芸術内容にかかわる審査を文化庁内の機関で行うことは問題がある、そういう率直な指摘も出ておりますね。  私はやはり、そういうふうに心配される団体の人たちの気持ちというのはよくわかります。そういうことからいいますと、ヨーロッパ並みに独立した機関が審査をするべきなのじゃないのか。そうすれば、公平、公正、透明な審査が担保できるのではないかと思うのですけれども、文化庁としてはどうですか。
  161. 小野元之

    小野(元)政府委員 この特別支援事業でございますけれども、各分野ごとに、私どもとしては、客観的、公平な立場から、評論家の方あるいは学識経験者の方、そういった方にお集まりをいただきまして審査会を文化庁に設置をいたしまして、この審査会で、いろいろ客観的な立場から御論議いただいた上で審査をしてまいりたいと考えているわけでございます。  もちろんこれは、御指摘ございましたような、文化庁が一方的に設置したという御批判でございますけれども、私どもとしては各分野ごとに、まさにそれぞれの芸術分野にふさわしい評論家を、一方に偏った立場ではなくて公平な立場から先生方にお願いをして、客観的な立場で審査をお願いしておるところでございます。
  162. 中島武敏

    中島(武)分科員 ちょっと原則論ですけれども、芸術文化については、国の姿勢として、政府の姿勢として、金は出すけれども口は出さない、これが私は原則だと思うし、文化庁はどう考えるのかな。同じように考えないのですかね。そこはどうなのですか。
  163. 小野元之

    小野(元)政府委員 国民の皆さんの税金でございます予算でございますので、私どもとしては、客観的な立場で、その予算が最も有効に使っていただけるということの観点から、そういった専門家の方に審査をいただいているわけでございます。決して、文化庁の役人が口を出すといいますか、そういう趣旨ではなくて、せっかくの、芸術団体の方々も大変注目しておられます新しい制度でございますから、まさに客観的な立場で、公平な立場で、評論家、学識経験者、学者の方等から構成された審査会できっちりと審査をしていただきたいというふうに考えておるところでございます。
  164. 中島武敏

    中島(武)分科員 ただ、そういうふうに言われても、なかなか納得しがたい面があるのですよね、私率直に言うけれども。というのは、新国立劇場の演劇の芸術監督を選ぶに当たって、演劇団体が集まって、名前を申せばなんなのですけれども、渡辺浩子さんを推したのですね。ところが、もう御存じだと思うのですけれども、文化庁の方は藤田洋さんを強引に芸術監督に据えた。  ところが、その藤田洋さんが木村光一さんに、何か細かいことを言うようですけれども、これは今度こけら落としの一つである「夜明け前」の演出家であるわけですけれども、彼に対して、部落、天皇制、宗教を扱ってもらっては困る、俳優についても特定の劇団の人は困る、こういう発言をした。それでこれを聞いた木村光一さんは文化庁に抗議した、それから新国立劇場財団の理事長にも抗議をした。理事長は、これはなかったことにしてくれ、創造面には立ち入らせないというふうに回答しているんですよね。  こういうことがあるからいろんな芸術団体皆さん心配するんですよ。だから第三者機関にしてくれるのが一番いいという意見を言うのも、私は本当に道理があると思うんだ。原則だけじゃないんです。やはりお金を出しても口は出さない、こういうふうにしませんと、こういう事実があると、私はやはり皆さん納得しないんだと思うんだ。みんなが喜んで、納得して、大いにひとつ芸術文化が振興されるというのが私は一番だと思うんだな。  そういう点からいって、大臣聞いておって、知っておられるんだと思うけれども、どうですか。やはり審査委員というのは内部に設けたほうがいいと思いますか。第三者機関でやった方がいいというふうに思いませんか。
  165. 奥田幹生

    ○奥田国務大臣 先生が今固有名詞を出していろいろとお述べになりました、そういう具体的な事実は私は存じ上げません。  ただ、基本的な考えを申し上げますと、先生、まあ金は出しても口は出すな。しかし、やはり次長が申しますとおり、これは公金でございますから、それが真っすぐ正しい方向に使われるようには、文部省、文化庁の責任においてしむけていかなければ責任は果たせない、私はそういうふうに思っております。
  166. 中島武敏

    中島(武)分科員 芸術というのは、政府の方向性を示すなんというのではなくて、いろいろ多様なものがあるわけですから、その中からいいものは育てられていくという方向が見出されるべきであって、政府指導というのは私は違うと思うんです。方向性を示すというのは違うと思うんですけれども、意見はそういうふうに申し上げておきます。  それからもう一つ伺いたいんですけれども、これはさっきも御説明ありましたでしょうか、年間すべての自主公演活動にかかる経費の三分の一助成をする。三分の一助成ですよね。問題は、その残りは団体負担ということになるんでしょうか。それではやっていけないということで、民間の助成を条件にして助成対象にするということになりはしないかということが言われているんですけれ ども、いやそんな心配はありません、そんな企業からの、民間からの助成は条件にはいたしませんとはっきり明言してもらいたいんだね。どうですか。
  167. 小野元之

    小野(元)政府委員 この補助金を差し上げるに当たりまして、民間からそういったものをいただいてなければだめだというようなことを基準にすることは考えておりません。
  168. 中島武敏

    中島(武)分科員 じゃ、次の問題です。  これももういろいろ伝わってきているんですけれども、十五団体程度に助成するという話があるんですよね。それで、音楽、演劇、舞踊、いろんな団体がたくさんあります。そういう現実に照らすと、今度いいことをやっているんだけれども、ちょっと少な過ぎるんじゃないかなというのはこれまた率直な気持ちだね。  それで、重点的に援助するということも大事なんですけれども、やはりすそ野も大事にして広げていくということが必要だと思いますね。だから、結局これはパイを大きくするという以外にないと思うんです。この点でも大臣のひとつ決意を聞いて、何かもう時間が来ちゃったらしいので終わりにしたいと思うんです。
  169. 奥田幹生

    ○奥田国務大臣 私は、多くの国民が芸術文化でありますとか貴重な文化財に多く接するということは、非常に大事なことだ。やはり二十一世紀に向かっては、これだけ資源がございませんから、科学技術創造立国を目指しますのと、やはり文化国家を目指していくという、この二本柱が非常にこれからは大事だというように思っておりますから、そういうように思うんです。  そこで、先生がパイをふやせとおっしゃっていただきましたが、私も同感でございまして、ことしは御案内のとおり、トータルで文化庁予算は七百五十億円、これが、四年ほど前でございましたら、先生はわずかに〇・一%とおっしゃいましたけれども、五百億ぐらいだったんですよね。かなり経済、まだバブルが繁盛しておるときですよ。それからもう、これでは非常に他国に比べて貧弱だということで、政府においても与党の中においても増額運動が息を吹き返しまして、それで今七百五十億になった。しかし、これで十分満足するわけには決してまいりませんから、さらにさらにふえてまいるように努力を続けてまいります。
  170. 中島武敏

    中島(武)分科員 終わります。
  171. 細川律夫

    細川主査 これにて中島武敏君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして文部省所管についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。  これにて散会いたします。     午後三時三十六分散会