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1996-02-29 第136回国会 衆議院 予算委員会第三分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会平成八年二月二十七日(火曜日)委員 会において、設置することに決した。 二月二十八日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       後藤田正晴君    村山 達雄君       今津  寛君    川島  實君       笹川  堯君    田中 昭一君       細川 律夫君 二月二十八日  細川律夫君が委員長指名で、主査選任され  た。 ――――――――――――――――――――― 平成八年二月二十九日(木曜日)     午前十時開議 出席分科員   主 査 細川 律夫君       栗本慎一郎君    後藤田正晴君       村山 達雄君    今津  寛君       川島  實君    福島  豊君       吉田  治君    田中 昭一君    兼務 富田 茂之君 兼務 松沢 成文君    兼務 今村  修君 兼務 大畠 章宏君    兼務 藤田 スミ君  出席国務大臣         文 部 大 臣 奥田 幹生君  出席政府委員         文部大臣官房長 佐藤 禎一君         文部大臣官房総         務審議官    辻村 哲夫君         文部省生涯学習         局長      草原 克豪君         文部省初等中等         教育局長    遠山 耕平君         文部省教育助成         局長      小林 敬治君         文部省高等教育         局長      雨宮  忠君         文部省学術国際         局長      林田 英樹君         文化庁次長   小野 元之君  分科員外出席者         大蔵省主計局主         計官      篠原 尚之君         文部大臣官房会         計課長     矢野 重典君         郵政省放送行政         局地上放送課長 伊東 敏朗君         文教委員会調査         室長      岡村  豊君         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ――――――――――――― 分科員の異動 二月二十九日  辞任        補欠選任   後藤田正晴君    栗本慎一郎君   川島  實君    青山  丘君   笹川  堯君    吉田  治君 同日  辞任        補欠選任   栗本慎一郎君    根本  匠君   青山  丘君    川島  實君   吉田  治君    福島  豊君 同日  辞任        補欠選任   根本  匠君    横内 正明君   福島  豊君    笹川  堯君 同日  辞任        補欠選任   横内 正明君    後藤田正晴君 同日  第四分科員富田茂之君、第五分科員松沢成文  君、大畠章宏君、第七分科員今村修君及び藤田  スミ君が本分科兼務となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  平成八年度一般会計予算  平成八年度特別会計予算  平成八年度政府関係機関予算  (文部省所管)      ――――◇―――――
  2. 細川律夫

    細川主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりました細川律夫でございます。よろしくお願いをいたします。  本分科会は、文部省及び自治省所管について審査を行うこととなっております。  なお、両省所管事項説明は、両省審査冒頭に聴取いたします。  平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算及び平成八年度政府関係機関予算文部省所管について、政府から説明を聴取いたします。奥田文部大臣
  3. 奥田幹生

    奥田国務大臣 平成八年度文部省所管予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  二十一世紀を目前に控え、我が国が、創造的で活力に満ち文化の薫り高い国家として発展し、国際的にも大きな役割を果たしていくとともに、国民一人一人が、ゆとりと潤いのある生活を実感し、多様な個性創造性を発揮できる社会を築いていくことが求められております。  このため、平成八年度予算の編成に当たりましては、これまでの教育改革の着実な推進を図り、二十一世紀に向けた新しい科学技術創造立国文化立国を目指した発展基盤をつくり出すとともに、いじめ登校拒否問題等の喫緊の諸課題への取り組みなど、大きな時代の変化に柔軟かつ的確に対応する文教施策を積極的に推進することができる予算確保に努めたところであります。  文部省所管一般会計予算額は、五兆七千五百三十八億五千九百万円、国立学校特別会計予算額は、二兆六千四百五億九千三百万円となっております。  何とぞよろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。  なお、時間の関係もございますので、お手元に配付してあります印刷物を、主査におかれまして、会議録に掲載されますよう、御配慮をお願い申し上げます。  以上です。
  4. 細川律夫

    細川主査 この際、お諮りいたします。  ただいま文部大臣から申し出がありました文部省所管関係予算概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 細川律夫

    細川主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――   〔奥田国務大臣説明を省略した部分〕  以下、平成八年度予算における主要な事項について、御説明申し上げます。  第一は、人々の生涯にわたる多様な学習活動振興に資するための生涯学習振興に関する経費であります。  まず、生涯学習基盤整備につきましては、マルチメディア等活用による情報化推進、生涯学習ボランティア支援推進等に努めていくこととしております。  学校の生涯学習機能拡充につきましては、放 送衛星を利用した放送大学全国化推進するとともに、公開講座学校開放促進専修学校教育振興を図ることとしております。  また、家庭学校地域社会連携による青少年体験活動充実及び家庭教育振興を図ることとしております。  さらに、国立オリンピック記念青少年総合センター等国立社会教育施設充実及び公民館等公立社会教育施設整備を図ることとしております。  第二は、個性豊かな自立した人間性を育てる初等中等教育充実に関する経費であります。  まず、公立義務教育学校教職員配置等改善につきましては、第六次教職員配置改善計画の着実な実施を図るとともに、校長管理職手当及び教員特殊業務手当の一部を引き上げることとしております。  生徒指導充実強化につきましては、いじめ登校拒否などの生徒指導上の諸問題に適切に対応するため、スクールカウンセラー活用調査研究委託事業拡充や、家庭学校地域社会一体となって、いじめ解消のための取組を行ういじめ対策地域連携モデル市町村指定教員向けいじめ問題対策パンフレットの作成・配布や国立教育会館いじめ問題対策情報センターにおける相談体制充実等を図るほか、適応指導教室についての実践的研究拡充や、研修講座充実を図ることとしております。  次に、教員資質向上を図るため、初任者研修をはじめとする現職研修充実等を行うとともに、中学校免許外教科担任解消等を図るため、非常勤講師配置調査研究補助拡充するほか、国際化対応した外国語教育充実を図ることとしております。  高校教育改革推進につきましては、総合学科単位制高校設置奨励学校間連携促進等高等学校個性化多様化推進を引き続き図ることとしております。  学校週五日制につきましては、その円滑な定着を図るため、引き続き研究協議会等を行うとともに学校外活動の一層の充実を図ることとしております。  なお、義務教育教科書無償給与につきましても、所要経費を計上しております。  読書指導充実及び学校図書館活性化につきましては、司書教諭養成講習会拡充を行うとともに、学校図書館の有効な活用を図る推進事業等を行うこととしております。  理科教育につきましては、設備整備を行うほか新たに科学技術理科教育推進モデル事業を実施するとともに、科学学習センター設置し、児童生徒体験的学習活動促進することとしております。  情報教育につきましては、情報化への対応を円滑に進めるため、学習用ソフトウェア開発のほか、マルチメディア国際交流推進研究指定校指定へき地学校高度情報通信設備活用方法研究開発事業等を行うこととしております。  道徳教育につきましては、新たに様々な実践体験活動を通して、児童生徒の豊かな心を育む教育推進事業を行うこととしております。  ボランティア教育につきましては、新たにボランティア体験モデル推進事業を実施することとしております。  幼稚園教育につきまして、幼稚園就園奨励費補助充実などその振興を図るとともに、特殊教育につきましても、新たに学習障害児等に対する指導充実事業を実施するほか、特殊教育就学奨励費補助充実することとしております。  また、海外子女教育帰国子女教育につきましては、在外教育施設への派遣教員増員などその教育充実を図ることとしております。  さらに、公立学校施設整備につきましては、市町村等計画的整備に必要な事業量確保を図りつつ、防災機能充実強化障害児等に配慮したエレベータの設置等を含めた補助を行うこととしております。  なお、健康教育につきましては、防災教育等充実に努めるとともに、産業教育環境教育定時制及び通信制教育地域改善対策としての教育など、各般施策につきましても、所要経費を計上しその一層の振興を図ることとしております。  第三は、個性豊かな教育研究を展開する私学への助成に関する経費であります。  まず、私立大学等に対する経常費補助につきましては、引き続き社会的要請の強い特色ある教育研究プロジェクトに対する助成重視観点に立って、充実を図ることとしております。このほか、新たに、私立大学ハイテク・リサーチ・センター整備事業を実施するとともに、学内LAN等整備を図るなど、教育研究推進に配慮しております。  私立高等学校等経常費助成費補助につきましても、教育改革を一層推進するとともに、四十人学級編制推進や三歳児就園の促進など拡充を図ることとしております。このほか、新たに防災機能強化のための施設整備推進することとしております。  第四は、高等教育高度化等要請に応え、その整備充実に要する経費であります。  まず、大学院につきましては、創造的な教育研究推進するため、研究科等新設整備経費新設などを行うこととしております。  国立大学につきましては、教養教育充実等大学改革推進するため、教養部の改組を進めるとともに、創造的な理工系教育マルチメディア時代対応する教育推進を図ることとしております。また、教育研究環境改善充実を図るため、老朽・狭隘校舎解消基準面積の改定など施設高度化多様化推進するほか、教育研究設備整備教育研究経費充実等を図ることとしております。  なお、国立学校授業料につきましては、諸般の情勢を総合的に勘案し、これを改定することとしております。  次に、育英奨学事業につきましては、大学院学生貸与人員増員を図るとともに、新たに専修学校専門課程への有利子貸与の導入を図ることとしております。  また、公立大学につきましても、引き続き所要助成を図ることとしております。  さらに、女子学生をはじめとする学生就職が厳しい状況となっていることにかんがみ、就職ガイダンス事業拡充するなど、就職指導充実を図ることとしております。  第五は、人類の知的共有財産として社会発展基盤を形成する学術振興に関する経費であります。  まず、科学研究費補助金につきましては、我が国学術研究を格段に発展させるための基幹的研究費として大幅に拡充を図ることとしております。  また、出資金活用して知的資産の創出が期待される学術研究推進する制度の創設やポストドクター等一万人支援の実現に向けた若手研究者養成確保推進することとしております。  次に、学術研究体制整備につきましては、研究組織研究支援体制充実学術情報基盤整備充実大学産業界等との研究協力推進、卓越した研究拠点(COE)の形成など、各般施策を進めることとしております。  さらに、天文学研究加速器科学宇宙科学等基礎研究の一層の推進を図ることとしております。  第六は、ゆとりある質の高いスポーツ振興に関する経費であります。  広くスポーツ施設整備を進めるため、社会体育施設学校体育施設充実を図るとともに、学校体育指導充実を図ることとしております。  また、生涯スポーツ推進観点から、地域におけるスポーツ活動充実など諸施策の一層の推進に努めることとしております。  競技スポーツ振興につきましては、平成十年に長野で開催される第十八回オリンピック冬季競技大会の準備を推進するとともに、日本オリンピック委員会が行う選手強化事業の一層の充実を図 ることとしております。  第七は、新しい文化立国をめざした文化振興に関する経費であります。  二十一世紀に向けて新しい文化立国をめざして、「アーツプラン21」など芸術創造活動への支援拡充若手芸術家の育成、地域文化振興のための文化まちづくり等の諸施策を進めることとしております。  また、国民の貴重な財産である文化財を次世代へ継承するため、国宝・重要文化財等保存修理や買上げ、史跡等公有化整備伝統芸能等無形文化財伝承助成推進及び積極的な公開活用を図ることとしております。  さらに、文化発信のための基盤となる国立博物館・美術館や新国立劇場等施設整備充実を図るとともに、新しい国立文化施設整備を進めることとしております。  なお、宗教法人に関連する諸施策充実するため、宗教団体をめぐる諸状況についての調査研究等を進めることとしております。  第八は、教育学術文化国際交流協力推進に関する経費であります。  留学生交流につきましては、二十一世紀初頭における十万人の留学生受入れを目途に、国費留学生計画的受入れ私費留学生に対する援助施策充実を図ることとしております。  さらに、外国人に対する日本語教育等充実を進めるとともに、識字教育エイズ教育への協力など、ユネスコ等国際機関を通じた教育協力等推進を図ることとしております。  学術国際交流協力につきましては、諸外国との研究者交流国際共同研究、国連大学への協力等推進することとしております。  また、文化国際交流につきましても、芸術家芸術団体青少年等による交流事業、世界的な文化遺産保存修復に関する国際協力など、各般施策充実を図ることとしております。  第九は、文教の各分野における情報化推進に関する経費であります。  学校教育社会教育を通じた情報教育の一層の推進衛星通信を利用した教育推進、生涯学習学術等に関する情報通信ネットワークやデータベースの整備文化情報総合システム整備等、急速な情報化への対応に要する経費を計上し、その推進に努めることとしております。  以上、平成八年度文部省所管予算につきまして、その概要を御説明申し上げました。  何とぞよろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。     ―――――――――――――
  6. 細川律夫

    細川主査 以上をもちまして文部省所管につきましての説明は終わりました。     ―――――――――――――
  7. 細川律夫

    細川主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願いを申し上げます。  なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いをいたします。  これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。吉田治君。
  8. 吉田治

    吉田(治)分科員 新進党の吉田治でございます。  大臣は私の早稲田大学先輩でいらっしゃいまして、京都市会、京都府会ということで地域に足をおろされた、本当に私にとってはある意味で尊敬すべき先輩でいらっしゃいます。特にそのとき、先生地方議会におられたときは、蜷川京都府政という俗に言う共産党府政のもとで大変御苦労されて、やはり地域というものがどれだけ重要か、民意というものがどれだけ大切かというのが十二分にわかっていらっしゃる大臣だと私は思っております。  そこにおきまして、まず冒頭に御質問させていただきたいことがございます。  この本年度予算を作成されるに当たりまして一番大きな話題になっております住専処理六千八百五十億円の血税が使われるということ、これに対して非常に大きな国民の怒り、なぜそれを使わなければいけないのだというふうな大きな反発も起こっております。  これについて大臣として、この方法しかなかったのか、また、こういう考え方でいいのかということをお聞かせいただきたいと同時に、今度は、大臣という職を離れられ、また、議員というのも離れられて、一個人としてのお考えにやはり変わりはないのかということ、これをまず冒頭にお聞かせいただきたいと思います。
  9. 奥田幹生

    奥田国務大臣 御審議いただいております今の予算案は、私は先月十一日に文部大臣を拝命いたしましたので、それ以前に編成されたものでございますけれども、橋本新内閣になりましても、前内閣が編成されました予算案をそのまま全閣僚が一致して、積極的に御審議をいただき、一日も早い成立を図っていただいて、景気の早期回復に努めたいということを確認いたしておりますので、私も閣僚の一員としてそのように思っております。
  10. 吉田治

    吉田(治)分科員 今の答弁、本当に官僚的答弁で、私は、ある意味で私の先輩として非常に残念で、やはり胸中、あの蜷川府政の中で闘ってこられた先輩の思いを思いますと、そういうお答えしかできないというのは、私はある意味で残念この上ないということだけ申し上げまして、文部省予算に関しまして御質問をさせていただきたいと思います。  まず、今話題になっております、大きな問題にもなっておりますいじめでございます。  正直申し上げまして、私も小学校中学校時代、私の時代でも、いじめましたし、いじめられもしました。泣いて帰った子もいます。しかしながら、その子たち、今も変わらないと思いますが、義務教育におきましては学校をかわることができない、学校をかえることができない、転居しなければできない。一番いじめられた子は、残念ながら当時学校をかわっていきました、家を移っていきました。いじめというのはそれほどの、今からもう二十年も前からあった。  そのことについての文部省認識ということと、そして中教審の答申の中にも言われておりますが、そういう一つの、受け入れと同時に、標準化された教育ではなく、別の教育という意味で、私学教育私学小学校設立ということもうたわれておりましたが、この辺についての今の現状と認識というものをまずお答えいただきたいと思います。
  11. 雨宮忠

    雨宮政府委員 まず、私立小学校設立状況数字のところから申し上げたいと思いますが、平成七年度現在で私立小学校は百七十三校設置されておりまして、全小学校の〇・七%という数字でございます。また、児童数ということで申しますと、六万八千余でございまして、全小学校のうちの〇・八%ということでございます。
  12. 遠山耕平

    遠山政府委員 いじめの問題でございますが、これは、すべての学校いじめがあり得るとの問題認識のもとに、子供が発する危険信号学校の方で鋭敏にキャッチするということがまず何よりも大事だと思います。そして、いじめが発見された場合には、校長先生のリーダーシップのもとに全教職員一体となって、速やかにその解決に全力で取り組むということが大事でございます。この線に沿って、現在各学校で鋭意積極的に取り組んでいただいているところでございます。  しかしながら、児童生徒いじめによりまして心身の安全が脅かされるような深刻な悩みを持っているという場合には、公立学校でありましても、いわゆる就学すべき学校を変更するということも可能でございます。それから、区域外就学ということも認められております。  先生の御提案は、私学に転学させるということもできるのではないかというお話でございますが、これについては、もちろん児童生徒本人、それから保護者、あるいは受け入れる学校私学の方で、そういうことができる、結構ですというお 話であれば、もちろん公立学校から私学に転学するということも可能でございます。ただ、私学の場合には、義務教育でも授業料が必要でございますので、その点、本人にそれだけ負担がかかるということもありますことを念頭に置いて検討していただく必要があると思います。
  13. 吉田治

    吉田(治)分科員 大臣、このいじめ全体に対して、大臣個人としてどういうふうなお考えでこのことに臨むかということを二曹おっしゃっていただけますでしょうか。
  14. 奥田幹生

    奥田国務大臣 申し上げたとおり、私が先月の十一日に大臣に就任させていただいて半月ぐらいの間に、ばたばたっと福岡それから愛媛で中学生いじめによる自殺事件が続きました。非常にこれを深刻に受けとめて、いろいろ文部省事務当局に聞きますと、まあ二年ほど前から非常に精力的にいじめ防止に取り組んできてもらったのですが、なおいじめが逆にふえてきておる状況にございます。  それで、何とかしょうということで、また文部省の中で相談をして、そして一月三十日に緊急アピール、それから二月十日に各都道府県政令指定都市教育長会議で三十九にまたがります教育関係団体責任者にお集まりいただいて、私からお願いすると同時に、それぞれ御意見を聞かせていただいたのです。  私としては、一口に申し上げて、やはりこのいじめというのは、学校家庭地域、この三つがうまく機能して、健全であればこんなことは起きない、どこかに欠陥があるから起きているんだ。したがって、学校家庭地域社会、それぞれさわやかな明るいものになっていただけるように具体的なことを、例えば先生につきましては、発見したら校長先生教頭先生生徒指導先生、よく相談をして対応してください、それから家庭については、やはり子供さんのしつけは学校ばかりに頼るものと違います、家庭でもおはよう、おやすみというようなあいさつもやってくださいというふうに、地域社会でも、他人の子供でも目に余ることがあれば注意してもらえるような、そこまでいかないといじめはなかなかなくならないと思いますよというようなことを具体的にお話をさせていただき、基本的には皆さんそのことについては御理解をいただきまして、取り組んでいこうという協力的な姿勢を持っていただいておるわけです。
  15. 吉田治

    吉田(治)分科員 大臣の言われることはよくわかります。私は、この問題については、日本に、夢というのですか、大きな夢というのがどうも余りないような気がしまして、子供に何になりたいと聞きますと、いい大学に行っていいところに行って、大蔵省文部省、通産省に勤める、そうして天下って、こういうふうにするんだと言う。小学生がそういうことを言うのですね、今の時代。夜中、子供たちが地下鉄で走り回っています。電車に乗っている子に、お前らどないするのやと言ったら、僕は東大へ行ってと。ちょっと待てよ、小学生の言う言葉かと。これはもう皆さんがよく御承知だと思うのです。  そういう中で、それに落ちこぼれていった子供たちがそのはけ口をほかの弱い者に持っていくという一面があるのじゃないかなという気がいたしております。また、政治も一つ責任じゃないかなと思うのは、その子供たちに何になりたいと言ったら、そういうふうに言います。決して、政治家になりたいとか総理大臣になりたいと言う子は、私はこのごろ聞いたことがない。やはり、そういうのも一つの問題じゃないかなと思います。  この点に関しましては時間の関係もございますのでこれぐらいにさせていただきたいと思いますが、大臣、何か一言ございますか。
  16. 奥田幹生

    奥田国務大臣 先生にいろいろ教えられたような感じを私は受けましたが、やはり教育の基本というのは、非常に思いやりのある、そして豊かな人間に育っていってくれるような、そういうのを基本としておりまして、何も高い、いいポストへとかそんなことは、これは幼小中高、一切文部省ではそんなことはだれも思っておりません。  ただ、戦後の風潮、金とか物が優先するようなそういう風潮が長く続いて、そういう先生お話しのような感じを受けているのかな、これから文部省としても、やはりそういうことも頭に置いて取り組んでいかなければならぬという感じは持っております。
  17. 吉田治

    吉田(治)分科員 よく言われるとおりでございます。私に今度三つ半になる男の子がおりまして、私知りませんでしたが、このごろ幼稚園は三年保育だそうでございますね、私のときは二年保育でしたけれども。そして、有名な幼稚園に行かない限りは、三年間保育の最後の三年目に塾へ行かなければいい小学校へ入れない、いい小学校へ入れなければいい中学校、高校、大学に行けないよと家内に随分言われた記憶がございます。  そうしますと、いろいろ計算していきますと、単に社会の問題というよりも、今度は教育費という問題でいきますと、幼稚園からお金をかけ、幼稚園でまた塾に行かせ、小学校でお金をかけ、小学校で塾に行かすといいますと、これはもう教育費というのは幾何級数的な、幾ら使うのかと。少子化という時代になってきますと、今、子供を一人育てるのにどれだけお金がかかるかを考えると、一人でもう精いっぱいだ、二人は難しい、三人なんかもう全然無理だ、四人になったら大学なんかに行かすことは考えられないとか言われております。  また、別の話からいきますと、いい大学、いいところへ就職できる子は、やはり親の所得に比例するのではないか。親にお金がたくさんあれば、そういうところへ行かすことができて、いいところへ入れる。そうしますと、ある意味の循環というのですか、いい地位について給料がたくさんもらえる、だからその子供たちも、また勉強ができていいところへ入っていって、いい給料をもらえると。また、私らの時代は共通一次があって国公立離れでございました。国公立へ行くよりも私立のそこそこへ行こうというのが、このごろは少しでも安い国公立大学へ戻ってきたというのは、この教育費というものが非常に重くのしかかっている。しかしながら、国公立大学においても授業料の値上げが続いている。  そういう中において、一つには、それを補助する、それを助けるという意味で奨学金制度というのがあると思いますが、その辺の現状及び将来計画と同時に、もう一つは、サラリーマン家庭であるとかそういう家庭において、今もよく言われておりますが、教育費の控除というのですか、これだけ教育にたくさんお金が必要な時代になってくると、これはもう内外価格差ですとかサービスの部分で海外から人を連れてきてそれで教えさせるとか、そういうことも教育というのはできない部分だと私は思うのです。安い人件費を使ってとかよく言われる、あれとは全然別個の問題。ということは、高い値段がそのままついている。  しかも、値段のつけ方が、需要と供給というので言えば、この値段でも、こうだと言えばそうですがという部分もあるという中で、この教育費控除という部分、教育費をどう一生の中で軽減していくかということを考えていかなければ、日本の、今言われたいじめにしても社会の問題にしても、また、高齢化ですとか少子化というものに対しても、非常に問題が大きくのしかかると思うのですけれども、その辺のお考えというのはいかがでしょうか。
  18. 雨宮忠

    雨宮政府委員 まず、奨学金の点についてお答えいたしたいと思います。  平成八年度の予算案におきましては、次代を担うすぐれた若手研究者の育成等を図る観点から、特に大学院につきまして、博士、修士合わせまして合計二千三百人の増員を図ることといたしまして、また、大学学部、短大のレベルにつきましても、平成六年度以前の新規増員の学年進行によりまして、三千二百十人の増員を図ることといたしております。  また、専修学校の専門課程につきましても、新たに有利子の貸与奨学金を導入いたしまして、平成七年度の新規増員の学年進行分二百人と合わせ まして、一千八百人の増員を図ることといたしております。  現在、非常に大ざっぱな数字で申しまして、育英会の奨学金を受けている者が約四十七万人ということでございますが、来年度におきましては四十八万四千人程度の方々につきまして奨学金の貸与事業が行われる、こういうことでございます。
  19. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 税制面におきます対応ということも大変重要な課題だと考えております。税制におきましては、教育費等の負担の重たい中高年層に対します税負担の軽減ということで、十六歳以上二十三歳未満の扶養親族につきましては、特に特定扶養控除制度というものが講ぜられております。現在、所得税におきまして五十三万円の控除、住民税におきまして四十一万円の控除ということになっております。  文部省におきましては、この制度の一層の充実ということで、毎年度税務当局に控除額の引き上げ等の要望を行っているわけでございますが、今後とも、保護者教育費負担軽減という見地に立ちまして、この面での充実に努めていきたいというふうに考えているところでございます。
  20. 吉田治

    吉田(治)分科員 本当にこれは軽減措置をしていただかなければ、これは、こんな言い方は非常によくないかもしれません。それだけお金をかけて中央官庁の役人になったんだから、それを取り戻さなくちゃいけない、在職中は安い給料で一生懸命働いて、その後、これから五十歳過ぎてからその五十年分を取り戻すんだ、これは、ひょっとしたらある意味でそういう発想というのは出てくるかもしれない。  子供たちというのは、やはり情報化になってきますと、非常にそういう情報というのにさといというんですか、だから聞きますと、昔だったら、目を輝かせてパイロットになるとか商社マンになるとか、そういう漠然とした業種を言っていましたよね。今はそうじゃなくて、具体的に何々省へ行くんだと。この間、私驚いたのは、文部省の人を前にして非常に申しわけないんですけれども、省庁を順番に並べろと言うと、よく世の中で言われているとおりで言っていくわけですね。こんな時代でこんな社会でこんな教育でというのは、それは非常にどうかなと思う部分もちょっとあるということだけ申し添えさせていただきたい思います。  続きまして、私学補助金制度ということでして、毎年毎年、私学の方々、補助金ということについて、それぞれの連合会なり、またPTAの皆様方なり、そういうふうな皆様方からさまざまな要望を受けさせていただきまして、いろいろお話ししていくと、何とかやっさもっさで予算確保しているというのが状況だと思うんです。  まず文部省さんにお聞きしたいのは、私学教育というものについてどんな見解を持っていられるのか。  特に大臣、いかがでしょうか。私どもの出た早稲田大学というのは、建学の精神というのがあって学校設立された。それに合う学生達が集まってくる。それがいつの間にか、偏差値というんですか、そういうので輪切りされて、あんたはこれだからこうだよ。もう行きたくても行けない。学校側も、例えば建学の精神に合う学生を入れようとすると、いやそれは逆差別だとか差別だとか、そういうことをしたらだめだとかいうふうなこともあると聞いておりますけれども、まず、私学教育についてどんな見解を持っていられるか。私はもっとこれは積極的に支援すべき問題ではないかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  21. 奥田幹生

    奥田国務大臣 私学は、先生お話しの早稲田大学だけでなしに、どこの学園でもお話しの建学精神、立派な校風というのが建学の精神から培われて、そうして先生方も、事務職員の方に至るまでやはりその校風の中で、立派な雰囲気の中で教育をしていただいておるというように私は思っております。  そこで、大体、大学と幼稚園では私学の占める割合がもう八割、高等学校におきましても三割以上は御苦労をいただいて貢献をしていただいておる。非常に今日本教育界において大きなウエートを占めておられるわけでございますから、国の教育政策、文教施策といたしますと、当然私学助成ということは大きな柱として取り上げなければならぬ。これはお話しの、年末に予算編成が行われるわけでありますけれども、やはり最後まで重点課題として取り組んでおりますのは、自民党の場合、私学助成でございまして、私もその一員として、これからも熱心に私学振興について取り組ませていただきたいと思っております。
  22. 吉田治

    吉田(治)分科員 よくわかりました。  それから、やはりこれから教育というのは、よく言われておりますように、産官学という言い方がいいのかどうかわかりません。教育だけじゃなくて、いろいろなところからの相互交流というのですか、相互にそういう行き来をする必要がこれからますます出てくるのではないかなと思います。  特に、今日本において、戦後を引っ張ってまいりました、例えば家電でありますとか、自動車でありますとか、半導体でありますとか、そういうふうな技術というのは、欧米に、俗に追いつき追い越せで何とかここまでやってきた。しかしながら、あと次の飯の種は次世代は何なんだ。  そうしますと、よく言われているのは、アメリカから借りてきたような情報ハイウェーはどうしたとか、マルチメディアがどうしたというのもよく言われています。  また、特に日本では大学教育、これは公立だけではなく、私学も含めて研究開発機関が非常に厳しい。アジアから来た留学生日本の研究室へ入ってまず驚くのは何か。日本語でも何でもなく、研究室の乏しさというのですか、えっ、こんなところで研究しているの、最先端、先進国と言われている日本の研究室がこんな状態なの。これは、何も国公立だけではなく、私は私学も、それぞれ工学部ですとか理学部ですとか、さまざま持っていらっしゃるところ、同じような問題を抱えているのではないかな。  やはり日本の次の飯の種ということを考えていきますと、科学開発というのですか、それにはもっと公私の教育振興以外ないのではないかと強く考えるんです。この辺の、今年度も予算をつけられていると思いますけれども、これからどうそれを振興させていくのかということ、その辺についてお答えをいただきたいと思います。
  23. 雨宮忠

    雨宮政府委員 私学助成の中身に関連するお尋ねでございます  来年度の予算でございますけれども、私学振興助成法の趣旨に沿いまして、まず経常費助成拡充ということで七十二億円増、それから私立高校の経常費につきましては四十億円増という予算案を示しているわけでございます。  また、先生今御指摘のような技術開発力を高めるというような観点もございまして、大学院の最先端装置等の大型の教育研究装置の整備あるいは基礎的研究等に必要な研究設備整備ということで、合わせまして四十億円の増というような方策をとっているわけでございます。  また、新規の事項でございますけれども、来年度の予算案におきまして、私立大学におきます先端的な研究基盤を強化するということで、私立大学の最先端の技術開発プロジェクトに対する総合的な支援を行うということのための私立大学ハイテク・リサーチ・センター整備事業という新しい事業を創設するという案をお示ししておるわけでございまして、それらの事業を通じまして、全体として私学学術研究あるいは科学技術に対する貢献度というものが高まるような方策を推進しようとしているところでございます。
  24. 吉田治

    吉田(治)分科員 経済の部分だけじゃなくて、やはり社会人が学校教育に参加するということが随分言われておりますけれども、社会人の採用に関しましては、各府県、免許取得の強い要請というのですか、単に来てもらうだけじゃなくて、免許を持ってくださいよというのが、これは規制緩和という言い方はどうかよくわからないですけれども、そういう要請が非常に強く進んでいる。  そうしますと、なかなか、社会人で勤めていらっしゃる方が、銀行員の方、商社の方が持てるわけがない。しかしながら、一方、社会要請としては即戦力を求める。だから、大学出たからとか、高校出たからというのではなくて、そこで何をしたか、その結果によって企業としては人を選別していこうという今の時代要請の中で即戦力をつけるには、オーバードクターの先生方たくさんいらっしゃいますけれども、その先生方に教えられるよりも、やはり社会人の方に教えていただくことが必要じゃないかなという感じがするんですけれども、どうでしょう、ここで、私学のみあるいは私学だけじゃなくて、ある学校一校だけに通じるような免許の許可権というのを、校長先生もしくはその学校管理者なりに与えるという方法というのを考えたらいかがかと思うんです。  また、大学においても、人材採用をする場合に、余りにも論文中心主義というのですか、何の論文を出した、どう出したかということを前提としますと、これは非常に言いづらいことですけれども、国公立大学先生方が私立に天下っていく、私立としては人を集められないから定年を遅くにしてそういう先生方を集めているということで、私学の建学の精神に沿ったような思い切った人材の採用を阻んでいるのではないかなという声もあるということでございます。  いかなる人材であっても、その責任は、最後はその人材を採用した学校でありますし、その結果によって評価されるのは学校であるわけですから、文部省ではない。それであるならば、ここは今言ったような施策を強く、採用権であるとか免許権というものを学校側に任せて、学校教育活性化をさせるというのはいかがでしょうか。  また、大学審の中で、大学教員の任期制というものも打ち出されております。これもひとつ社会人からの人材採用というものを考えた場合に、進めやすくなる条件になるということで、実行というのですか試行をされることも必要ではないかと思うのですけれども、この辺含めていかがお考えでしょうか。
  25. 雨宮忠

    雨宮政府委員 大学の場合に、大学教員を任命するのは、先生今御指摘のように、大学であるわけでございますけれども、その大学が任命する場合の基礎資格ともいうべきものを大学設置基準で定めておるわけでございまして、例えば教授の資格ということでいきますと、典型的には先生御指摘のように博士の学位を有することというようなことが現在も書いてあるわけでございます。  しかし、幅広く人材を大学に登用するというような観点から、必ずしもそういうようなことだけで限定するという必要はないのではないかということで、特に民間企業等で多様な経験を積んだ社会人を登用する道を開くべきであるというような御議論を踏まえまして、昭和六十年でございますけれども、大学設置基準を改正いたしまして、新たに「専攻分野について、特に優れた知識及び経験を有する者」というものを資格の一つとして加えたわけでございます。  こうした制度改正にもよりまして、民間企業等から採用されました教員数は毎年着実に増加しておるところでございまして、四年制大学を例にとりますと、昭和五十七年度におきまして一千百五十二名、うち民間企業からは四百三十六名ということでございましたけれども、これが平成三年度ということになりますと一千八百三十七名、うち民間企業は一千五十二名ということでございますが、こういうような形で新たに採用されてきて、その傾向が拡大されてきている、こういうことでございます。  また、先生今御指摘の、任期制の点でございますけれども、教員の流動性を高めるという観点もございまして、大学審議会で現在種々議論しておるところでございまして、昨年には中間的なまとめでございますけれども、大学の判断によって任期制がとり得るような方途を開いたらどうかというような御提言もいただいておるところでございまして、なお検討を続けておるところでございます。  いずれにしましても、それやこれや、各種の方策を求めまして、大学がより優秀な、より適当な人材を求める選択肢と申しますか、それを広めるような方向で今後とも努力してまいりたいと考えております。
  26. 吉田治

    吉田(治)分科員 一番最初に申し上げました、例えば高校以下への社会人の採用について、私学のみあるいは一校のみに通ずる免許の許可権というのは、こういうことは御考慮いただけるのでしょうか、検討いただけるのでしょうか。
  27. 小林敬治

    ○小林(敬)政府委員 免許制度を特定の一校だけについてというふうな考え方は持っておりませんけれども、私どもとしても、社会人に広く高校以下の学校の場で活躍していただきたいというようなことから、昭和六十三年の教職員免許法の改正に当たりまして、特別非常勤講師制度とか、特別免許状といった制度を設けて、今それが十分に機能するように各関係者を奨励をしているところでございます。
  28. 吉田治

    吉田(治)分科員 もう終わりますけれども、その辺をもっと広げていただきたいのと同時に、あと問題点として、団塊の世代、たくさん入ってこられた教員の方々、高年齢化しますと運動会も満足に開けないという時代が今小学校中学校で来ておるように聞いております。その辺の問題点と対応。それから、今都市部の本当に宝の山と言われております統廃合された小学校中学校の跡地利用等、この辺も質問をさせていただきたいところですが、時間ですので、これで終了させていただきまして、問題点のみ今二点指摘をさせていただきまして、終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  29. 細川律夫

    細川主査 これにて吉田治君の質疑は終了いたしました。  次に、栗本慎一郎君。
  30. 栗本慎一郎

    ○栗本分科員 自由民主党の栗本慎一郎でございます。  本年度の文部、文教関係予算、多々懸案のものが残っておるというふうに思っておりますけれども、時間の制約もございますので、基本的に私学助成大学、高校を含めてでございますが、の問題に関し、金額もございますけれども、理念、基本的な考え方をお伺いしたいと思っております。  まず、いわゆる私学助成に関しまして、昨年の十二月二十五日の産経新聞が、今回の平成八年度予算全体を論ずるに当たって、大きな見出しを立てまして、「八年度予算政府案きょう決定 私学助成を一転増額」一番大きい見出しで入っているわけであります。次は、ODAが三・五%増だ、こういう話ですね。米流通補助金等の問題よりも大きく取り扱われている。  中身を見ますと、私学助成は大蔵原案段階でマイナス査定だったこの件に関して、大臣折衝で二百八十五億円が復活した。「高校などは同六・〇%増の七百六億円という大盤振る舞い」という「大盤振る舞い」に強調のクォーテーションがついているわけでございます。  さらに読み進みますと、というほど長くはありませんが、すぐ目につきますのが、我々与党の国会議員としてはまことに不本意であるわけでございますけれども、次期総選挙を意識して教育関連団体の強い増額要望を受けて「圧力」、これにもクオーテーションがついているのです、という見方が専らである。私は新聞記者の皆さんに聞きましたが、どこで専らなのか明快な答えをいただかなかったわけであります。  これは恐らく、お聞きするまでもなく大臣及び文部省の諸賢はそんなことを考えておいでにならないと思いますけれども、何よりも、例えば高校以下の私学経常費補助に関しましては、六年度予算が六百三十五億円で、それが六百六十六ということにしたわけでございます。それで、七百三十九億と要求をしたのが、一次内示が六百三十三億円であった。  ここに出てくる数字がまことに不本意なのであります。六六六、六が三つ並んでいるのがあり、六と三が二つ並んでくるのがあり、この後にまさ に今住専の問題で言われております積算根拠というものが、もしここで予算委員会等で問題になるのであれば、内示も含めて積算根拠とは一体どうなんだろうか。  私は、六・三制でございますから六三三なんだろうと思ったのでございます。なぜならば、高校までだからここに四千万がついていない。四千万がつけば六百三十三億四千万で六三三四という実に見事な、国際的に誇れる積算根拠が出るのだというぐらいの怒りを、まず内示額のところで感じたわけでございます。  最終的には、今産経新聞が報じましたのは私は全くのけしからぬ評価だと思いますけれども、七百億円をやっと突破して終わったというわけでございます。  まず、この細かい数字に関しましては結構でございますが、これは大臣も多分御承知のとおり、宮澤内閣時代には八百億円を超していたものが、一時、内示で半額に減額をされ、その半額のうちの半額が戻ってきたという金額が六百億円台であったわけでございますが、こうした総合の大きな流れについて、大臣はどのようにお考えなのか。  これはつまり歴史的に言って減っているわけです。大臣折衝で、前大臣でございますが、上がったという短期の問題ではなく、歴史的に言って減っている。これはどのようにお考えなのか。今後もそういう形で、つまり要求自身も宮澤内閣予算に比べれば減っているわけでございますが、基本的にそういうお考えなのだろうか。その辺について、ちょっとおおよその予算についてお答えをいただきたいのです。
  31. 奥田幹生

    奥田国務大臣 前内閣のときに編成をされた予算案でございますが、先ほども申し上げたとおり、現内閣はそれをきっちり踏襲して御審議お願いしておるわけでございます。次期総選挙をにらんで云々ということ、マスコミがどういうように報道されているか、私は一々つぶさに読んではおりませんけれども、そういうことはないと思います。  ただ、お話しのとおり、前々政権、細川内閣のときでございましたか、かなり私学助成、特に高校の関係分が落ち込みまして、一部は自治省関係にお世話になるということもございましたけれども、文部省の帳面は金額が落ち込んでいました。それを早く取り戻したい。  私学助成は、先ほどの吉田先生にも申し上げたとおり、本当に文教行政の中でも非常に私どもは大事に、重視して取り組んでおりますから、これからもそういう気持ちは、スタンスは崩さないわけでございますが、一時落ち込んだということはそういうことでございますし、高校で六%増、それが特に活字が大きく報道されたこと、私どもはむしろ当然のことというように受けとめておるわけでございます。
  32. 栗本慎一郎

    ○栗本分科員 おおよそそういうお考えであることを伺って、大変安心したわけでございますが、つきましては、今年度の予算を今審議している段階でございますが、当然国家は来年度、次年度、次々年度もあるわけでございます。大臣のもとで予算要求もされるのではないかと期待しておりますけれども、元来の八百億円台の水準を要求するという基本、つまり前年度に対しては増額であるけれどもある大きな問題があった時点から考えると、その時点から考えると減額要求しているということが大きな問題だ、これは、私は委員会でも前々大臣に御質問申し上げたわけでございますが、改めて強く、もしも私学助成が重要であるというお考えであるならば、要求の時点でトータルでいって減額要求をされないように、ぜひとも強くお願いをしておきたいと思うわけでございます。  続いて、金額の問題はそういうことでございますが、過去、この三年ほど、常に一次、二次、三次の大蔵省からの内示、それで最終的な大臣折衝という形で金額の問題が非常に大きく取り上げられまして、先ほどの産経新聞の問題も、その金額が直前から見れば上がったことによって書かれた記事ではないかと思うわけですけれども、基本的な理念として、日本学校制度にはいろいろな分け方がございます。国公立と私立という分け方、あるいは現実的にそのような種類が存在するわけでございますが、これに関してどういう基本的な姿勢をお持ちなのか。  例えば、これはいろいろな説がございますが、基本的に一番わかりやすいのが、少なくとも義務教育は国公立を基盤にし、それから国民の現在の諸般の要求あるいは認識の中からいえば高等学校まである意味で、義務教育とは申し上げませんけれども義務教育的な要望、認識があるという中であれば、すべてを国公立て供給することができなければ、その残りの補完部分という考え方が一つはあるかと思います。あるいは、基本はあくまでも国公立てありますけれども、若干の特色を加えて私立というものが存在し得る、少なくとも学区制度からは自由であるというふうなこと等があって存在し得るというような考えもあるかと思います。  私は、この二つにいずれもくみしませんで、元来私学教育は、ある基本の線において、例えば義務教育等において、ある基本の義務的なカリキュラム等を除外することは当然できないと思いますけれども、国公立がある意味で最低の教育の保障を行うものであって、それ以上の教育、特色ある教育、あるいは実験的という言葉は大変問題がございますけれども意欲ある教育というのはむしろ私学で行われるべきものだ、むしろ私学中心であってもいいというふうに思っているわけでございます。  そのいずれをとるにせよ、私学助成の増額はぜひともお願いをしたいわけでございます。大臣におかれましては、おおよそどのようなお考えをお持ちになっているか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  33. 雨宮忠

    雨宮政府委員 高等教育におきます国公立大学、それから私学の位置づけに関する御論議でございます。  かつて、昭和六十二年の臨時教育審議会のときにもそのことが論ぜられておるわけでございます。設置形態上、国立、公立、私立大学というように分けられておるわけでございますが、それぞれ固有の歴史的背景なり特色を備えて機能しておるということでございまして、結論的には、格差を解消しながら全体として高等教育の発展を図るべしということでございます。  先生、今補完的云々という表現でおっしゃいましたけれども、先ほど大臣から申し上げましたとおり、私立学校の、特に高等教育に果たしております役割というものは、補完的などということではなくてむしろメーンを占めておるわけでございます。  ただ、役割の違いということであえて申しますと、例えば国立大学というのは、ある程度いろいろな学問分野についてそれ相応の体裁を国としてやはり備えておかなければならない、あるいは全国的な配置ということについても特に気配りをしなければならない、ある分野だけないということのないようにしなければならないというような役割の特殊性というものはあろうかと思いますけれども、高等教育全体といたしましては、国立、公立、私立、それぞれの役割に応じて分担しながら、全体として高等教育を発展させていくということになろうかと思うわけでございます。
  34. 栗本慎一郎

    ○栗本分科員 ありがとうございました。個別の点に関しては議論を申し上げたいところもございますけれども、私自身も、それで文教の問題に関しておおよそ結構ではないかと思っております。  さらにしかし、中に立ち入りますと、時間がございますから細かく中には立ち入れませんが、おおよそ細かく中に立ち入りますと、先ほどの私学助成大学と高校の問題がある。大学がないから高校までは六三三億だったのだと私は理解してはおりませんけれども、非常に不愉快な思いをしたわけでございますが、大学と高校の意味も違ってまいります。  具体的に見ますと、大都会では、大学も含めまして私学に就学する生徒あるいは学生の比率が、 いわゆる地方より多いのは十分御存じだと思います。これは一面には、幼稚園を含めまして国公立が、地価の高い大都会においては、金額の面において校地を確保することが非常に難しいということもありますけれども、他方で、私学教育意味私学がある意味でメーンであるという意味が、比較的社会的諸条件の整備された、特にソフトの面において整備された大都市では理解されて、私学へ小中高も子弟を進学させる家庭がふえているあるいは多いということだと思うのでございます。  しかし、大学というのはまた若干意味が違います。大学にも経常費助成をされているわけでございますけれども、中身に立ち入れませんけれども、国立大学で研究をする場合には、実は現場の研究者は非常な制約を負っております。細かいところでたくさんございます。  一々申し上げられませんが、例えば国立大学の研究者が海外で在外研究をする。当然研究計画を立てる。研究計画を立てて、どこどこの都市のどこの大学で、どういう研究所でどういう研究を行う。研究は当然発展いたします。ここを計画書にはA地のA大学に置いておいたのだけれども、発展していったらこれは改めてアメリカに行かなければならない、アフリカのどこどこの大学あるいは研究所に行かなければならないという際に非常な制約が、まあもう少し規制を緩和すべきだというような意味のことでございますが、あるわけでございます。  現実に私立大学の方ではほとんどそういうことはございません。私が在職しておりました明治大学では、それは必ず届け出ますけれども、うそでないことを後で届ければいい。または、もちろん問題があれば過去にさかのぼっても問題を教授会が立てることがございますけれども、自主的な研究計画に基づいた変更であれば、そこら辺は自由であります。  この辺に関しましては、個別には、いやうまくいっているというふうな御反論があるかもしれませんけれども、現場の研究者は非常に不便である。また、研究費をいただく場合でも、その領収書等の整備に関して非常に大変である。だから、私の前の質問者が、国立大学から私立大学へあたかも教授が、払い下げられるとは言いませんけれども、天下りという表現をお使いになりましたが、私の在職しておりました明治大学では逆に払い上げの教授を何人もいただいたことがございます。そういう希望がたくさんある。特に、地方の伝統ある国立大学、研究が非常に不自由であるので、それはまあ雑駁な言い方をすれば、文部省のせいでと彼らは申します、現実には、現実の大学の事務局等のさまざまな処置、配置があるのだと思いますけれども。  いずれにせよ、それは今ここでどっちがどうだということは論じても仕方がないと思いますけれども、研究の自主性あるいは授業こま数をどう持たせるか、あるいは入学試験でどのような問題を、どのような役割を当てはめられるかという点に関して、格段に私立大学の方が自由であり、特に、機械を動かさなければならない自然科学系の研究では、いかなる超一流と言われる大学においてもそれをとめて、実際には助手がやるわけですけれども、入学試験の監督に行かなければならないのが国立大学であります。全世界でこんな例はないのです。実際、現実に研究をしている教授が、大体回り持ちで試験監督等々も全部回ります。  これは、文部省の方針というより、まあしかしそれも文部省の中に入るのでしょうけれども、現場の大学の事務局の処置等があるわけですけれども、とにかく基本的に、私学における研究の自由というのは、現実には国立にまさるものがある。それを選ぶ、みずからに自信がある、看板として国立大学の方がいいんだとお考えの教授もいるようでございますけれども、実際に第一線で研究しようという人が私学へ移っていくというのも無視できない流れとしてあるわけでございます。  そういう意味で、大学助成は高校までの助成と少し違ってくる。つまり簡単に言えば、経常費助成ということであってもその中身がまたあるわけですね。その中身において、私学の自由というか、そういったものを最大限に配慮するように努力していただきたいと思っているわけでございます。  例えばこの私学助成等でも、私立大学等経常費に対する補助に関しても、総額の問題がありますけれども、一般補助と特別補助という分類があるわけでございます。特別補助というのはいろいろありますけれども、基本的には、基本的にはでございますよ、プロジェクトを特定に認定して出す、こうしたものの比率がその中でもふえていっているというのは問題なんだ、これも、委員会で私は発言をしたことがあるわけでございますけれども。  これは物の考え方として、総額も問題だけれども、その中においてできる限り自由に使わせる、国費でございますから自由にと言うとちょっと問題がございますけれども、規制を比較的緩和して、つまり一般補助の比率を下げないようにしていただきたいというのが私の、演説をした後、質問みたいになってまことに恐縮でございますが、若干理念を述べないとなぜそうなのかということを申し上げられないので申したのでございますが、その辺に関して、一般的で結構でございますけれども、お考えを賜りたいと思います。
  35. 雨宮忠

    雨宮政府委員 一般的に財政事情の非常に厳しいときでございます。私どもといたしましては、私立大学等に対する助成につきまして、そういうような事情のもとで、教育改革への自主的な取り組みやら、あるいは社会的要請の強い特色ある教育研究プロジェクトに対する助成、いわゆる重点的な助成ということに心がけているわけでございまして、それが今先生の御指摘の特別補助ということにつながっているわけでございます。  いずれにしましても、特別補助の実施に当たりましては、私立学校法の趣旨に沿いまして、私学の自主性を十分尊重しながら、適切に対処してまいりたいと考えております。
  36. 栗本慎一郎

    ○栗本分科員 よくわかりましたが、相変わらずそれがいわゆる文部省の研究や教育大学行政に対する介入にならないように御配慮を賜りたい、そういう意図は毛頭ないと思いますけれども、お願いしておきたいと思います。  それで、今、最後の私学助成の問題についてお考えをいただいたわけでございますけれども、私は、基本的には次のように考えているわけでございます。  本当に助成をしなければ父兄に負担がかかってしまう、結論としてそうなってしまうというようなことを含めての補助はいいけれども、それ以外においては、私学に対して補助というのは基本的には要らないのではないか。また逆に言えば、なぜ補助をしなければいけないかというと、先ほどからの話の中でもあるわけですけれども、私立の中学と国立あるいは公立の中学は実質同じことをやらなければいけない。違いを挙げれば幾らでも挙げられますけれども、これはだれが考えても基本的には同じことをやっているというふうに全体には考えているわけです。  ですから、どちらがメーンかどちらが補助かという、ある意味で不毛の議論も逆に成立し得るわけです。これは基本的には銀行もそうなんでございますが、学校も経営難、教育の理念が理解されなければ衰退、つぶれるということを含めて構わないし、大学ももちろんそうであるという中においては、私学助成というのは、基本的には限りなくゼロに近づけるように持っていくべきなのではないか。  しかし、他方で規制しておいて、あれをしろこれをしろということは言っておいて全然補助をしない、例えば、学生一人当たり教員何人でなければいけないというようなことを言っておいてそれで助成しないというわけには、それをすれば完全に父兄の負担にいくわけですから、基本的に思い切ってその規制を、規制という言葉が妥当かどうかわかりませんけれども、非常に自由なものにして、大枠を押さえておいて、あとは経営努力あるいは教育努力、研究努力の成果にまっというような方向を長期的においてはとるべきだというふう に私は考えておるわけでございますけれども、大臣、一言で結構でございますが、お考えをいただければ幸いでございます。
  37. 雨宮忠

    雨宮政府委員 二点あったかと思うわけでございますが、一つは、私学振興助成の目的にかかわることでございます。  私どもといたしましては、私立学校振興助成法の第一条に目的を掲げておるわけでございまして、私立学校教育条件の維持、向上、それから今先生がおっしゃいました児童生徒等の修学上の経済的負担の軽減、それから私立学校の経営の健全性を高める、こういうようなことを目的として振興助成に努力をしているところでございます。それが第一点。  それから、もう一つは規制の点でございます。  多分先生のおっしゃっておられるのは、例えば設置認可でありますとかあるいは入学定員の増を図る場合の問題でありますとかということでございますけれども、その大枠ということの解釈をどの程度にとるかということはございますが、私どもといたしましては、私立学校につきましてそのような行政をとる場合に、基本的には、やはり高等教育の一定水準の確保ということでいろいろなこともお願いしておるわけでございまして、それをオーバーな規制ととるかどうか、これはまたいろいろな御論議のあるところであろうかとは思いますけれども、私どもとしては、適切な範囲において基準を設け、それにつきまして御協力お願いしておる、こういうことでございます。
  38. 栗本慎一郎

    ○栗本分科員 基本的には、細部を詰めれば局長のお考えと私の考えは変わらないというふうに思いますけれども、現実には多々問題があり、そのことによって補助を要求している私学が非常に多いわけでございますので、ひとつここは、毎年の金額折衝もありますけれども、おおよその大きな理念というものを、大臣及び文部省の皆様全体で、私どもも含めまして考えて、新たに国民皆さんに納得できる方向を明確に打ち出せるように御努力賜りたい、私どももまた御協力したいと思います。  お時間、まだ少しございますけれども、民間の大学教授をしておりましたころに、朝まで討議をやって全然何も出ないというのをさんざん、それにみずから閉口いたしましたので、若干でございますけれども時間を残しまして、これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  39. 細川律夫

    細川主査 これにて栗本慎一郎君の質疑は終了いたしました。  次に、大畠章宏君。
  40. 大畠章宏

    大畠分科員 社会民主党の大畠章宏でございます。  奥田文部大臣冒頭にちょっとお伺いしたいと思いますが、最近、私の尊敬する司馬遼太郎さんが亡くなられました。多分、文部大臣も司馬遼太郎さんの書いた幾つかの書籍あるいは本をお読みになったと思います。特に印象的なのは、私は、「坂の上の雲」という本がございましたけれども、心を躍らせながら、ああ日本人というのはこういう姿なのかなという、何か非常に鼓舞されるような感じ、感動を受けたことを覚えております。  その司馬遼太郎さんが、亡くなられるに当たって、日本の未来にあすはないという言葉を残されて亡くなられました。大臣に、この司馬遼太郎さんの、日本の未来にあすはないという言葉をどういうふうに受けとめられているか、政治家としての御意見を賜りたいと思います。  これまで、これは教育問題にも絡むかもしれませんけれども、司馬遼太郎さんは、日本人とは何かということを一生懸命追求されました。明治、大正、昭和、どういう形で日本人が生きてきたのか、二千年の歴史を踏まえて、日本人の律儀さですとか正直さあるいはまた誠実さ、また儒教の国でありますから、そういう哲学を持ちながら日本人は生きてきたと思います。  しかし、最近、どうもそういう哲学ということよりも、損得というのが非常に日本人の価値判断を大きく占めるようになってきてしまった。一体この二千年の歴史を誇る日本民族はどうなるのだろうか、そういう危惧を持ちながら司馬遼太郎さんは亡くなったのではないかということで、私は大変その言葉にショックを受けました。  私ども、今政治、経済、社会、大変混乱期にございます。まさに、新しい秩序を求めながら、私たち政治家が行動しなければならないときだと思います。大蔵省の問題あるいは厚生省の問題、そしてこの文部省もそういう意識を持ちながらやらなければならない大きな責任もあると思いますが、文部大臣として、この司馬遼太郎さんの言葉をどういうふうに受けとめておられるのか、まず最初にお伺いしたいと思います。     〔主査退席、田中(昭)主査代理着席〕
  41. 奥田幹生

    奥田国務大臣 たしか司馬遼太郎さん、大正の十二年でしたか三年でしたかのお生まれでございます。そして、終戦のとき、ちょうど私の親友と終戦をアリューシャンで一緒に迎えられて、こちらに帰還、帰国されたわけですが、昭和三十二年に、私が読売新聞の記者として京都大学の記者クラブに行きましたら、ちょうど産経の記者で、入れかわりに司馬さんがほかのところへ配置がえになられて、記者クラブでも、司馬さんの考え、あの当時から風格というものがしみ込んでおって、ちょいちょい聞かされました。  今先生がおっしゃるとおりへたくさんの本を出版されて御自分のお考えを披瀝しておられるわけですが、私はやはり、このときこそ、国づくりで一番大事なのは人づくりだな、十分司馬さんの心も念頭に置いて教育行政に取り組んでいかなければならぬ、そういう感じを受けております。
  42. 大畠章宏

    大畠分科員 大変率直なお考えをいただきまして、ありがとうございました。  住専問題も大変重大な問題であります。これは経済問題、まさに日本の国内だけの事情では今やっていけない時代でありますから、世界経済に及ぼす影響等も考えながら、もちろん国民皆さんの理解を得ながらこれはやらなければなりませんが、この住専問題以上に大きな問題が日本人教育問題だと私は思います。  今大臣お話がありましたが、ぜひこの司馬遼太郎さんの言葉、日本の未来にあすはないという言葉、あの当時そういうことを言われたけれども、今その司馬遼太郎さんの言葉とは裏腹にいい国になったなと言われるように、これからの日本の人づくりに努力、取り組んでいただきたいということを申し上げたいと思います。  そこで、非常に司馬遼太郎さんもいろいろ心を悩ませていたかもしれませんが、いじめ問題、不登校問題について、具体的なことを文部省当局にもお伺いを申し上げたいと思います。  今も多分、きょうは木曜日でありますから、学校はやっていると思うのですね。全国の小学校中学校児童が、生徒が授業を受け、学校教育を受けていると思いますが、この瞬間にも、いわゆるいじめられている、そういう子供さんが心に痛みを感じながら学校に行ったりしているのじゃないかと思うのですね。不登校の子供たちも家の中で、本当は行きたいのだけれども、どうしたらいいかなという、小さな胸を痛めながら、きょうこの時間も生活していることだと思います。  そこで私は、このいじめ、不登校という問題を文部省としてどういうふうに把握されているのか、冒頭にお伺いしたいと思います。
  43. 遠山耕平

    遠山政府委員 いじめ、不登校の原因あるいは背景としましては、一つには家庭におけるしつけの問題があろうと思います。それから、子供における生活体験あるいは自然体験の不足ということが考えられると思います。  また、学校では、これまでどちらかというと画一的な教育、知識重視の教育が行われておりまして、児童生徒が多様な能力、適性、興味、関心を持っていることに対して必ずしも十分な対応ができていなかったのではないかというようなことも原因として考えられるわけでございます。  また、社会的な原因としましては、経済的な繁栄ということを背景にしまして、他人への思いやりあるいは連帯感の希薄化というようなことも原 因として考えられているわけでございまして、いじめそれから登校拒否も、平成六年度の数字はこれまででかなり多い数値でございますので、私どもとしては、深刻な状況であるというぐあいに受けとめております。
  44. 大畠章宏

    大畠分科員 大まかなお話がございました。家庭にも問題があるのじゃないか、また、体験が不足しているのじゃないか、学校では知識を詰め込む、そういうふうな形が強まっているのじゃないか、経済的な問題と、幾つか問題点が、御認識が示されました。  今お答えいただいたのは遠山さんですか。遠山さんの小学校時代と今の小学校というのはどこがどう違っていますかね。遠山さんは、小学校は楽しかったですか。
  45. 遠山耕平

    遠山政府委員 楽しいこともありましたし、それから楽しくないこともありましたが、今みたいに余裕がない生活ではなくて、もっとのんびりした生活を送っていたように思います。
  46. 大畠章宏

    大畠分科員 私は、そこに大きな違いがあるのだと思うのですね。私自身も、小学校のときの印象は何かというと、休み時間に思い切り汗をかいて駆け回って、鬼ごっことか缶けりとか馬跳びとか、余り施設がそろっていませんでしたから、木登りもやりましたし、疲れ果てて授業に戻ってくる。それで授業を聞いて、それからまた休み時間は表に飛び出して遊びまくった。それで、学校が終わったらまた遊んで、遊びの合間に勉強をしたみたいな感じのところがあるのですが、とにかく、遊びぐらいしか記憶がないのですね。  端的にお伺いしますが、今、学校の授業時間というのはどういうふうになっていますか。朝八時半から学校は始まりますか、たしか八時からかな。それで、何分授業をやって何分休み時間があるのか、ちょっと大まかに教えていただけますか。
  47. 遠山耕平

    遠山政府委員 学校によっていろいろございますが、大体四十五分あるいは五十分の授業をやって十分間の休憩というのが通常だと思います。
  48. 大畠章宏

    大畠分科員 それは、学校の週休二日制が導入される前とされた後では変わっていませんか。
  49. 遠山耕平

    遠山政府委員 学校の授業の時間数あるいは休み時間のとり方については、特に変わっておりません。
  50. 大畠章宏

    大畠分科員 私が聞いているところですと、休み時間五分ということを設定しているところもありますね、これは学校によるのかもしれませんが。五分間というと、トイレへ行って帰ってきて、それでおしまいだという話を私の娘からも聞いています。私は、そこら辺も、いわゆる学校が楽しいのか楽しくないのかというのは、余りにもカリキュラムをたくさんぎっちり組み過ぎていて、それを週二回休みにしようというのだけれども、全くそれに手をつけないでぎゅっとやっているから、おかしなひずみが出てくるのではないですか。  それから、先生方も大変忙しいと言うのですが、まず、学校を週休二日制にするに当たって、カリキュラムを減らしましたか、減らさなかったですか。お話を伺いたい。
  51. 遠山耕平

    遠山政府委員 月二回の学校週五日制は、昨年の四月から実施したわけでございますが、これは調査研究協力校を委嘱しまして、そこでいろいろな研究をやっていただきまして、その成果を踏まえまして、それで現在の教育課程の基準で実施できるということで踏み切ったものでございます。  具体的にどんなことをやってきたかと申しますと、例えば授業時数の運用では、学校行事の時数を減らしたり、あるいは短縮授業を見直したり、それから標準を超える授業時数をやっている場合にはそれを削減したりというように、授業時数の運用を変えたり、こういうことをやってきております。  それから、指導内容、指導方法の工夫では、今までの方法から、問題解決的な学習に指導方法を変えたりしておりますし、それから、学校全体の事務も見直しをするというようなことで、学校運営全体を改善をするということをこの調査研究協力校ではやっておりまして、それで、大体、現在の指導要領で月二回の学校週五日制は円滑に実施できる、こういう判断が得られましたので、昨年の四月から月二回の学校週五日制を全国的に実施しているところでございます。
  52. 大畠章宏

    大畠分科員 私は遠山初等中等教育局長さんにお伺いしたいのですが、遠山さんが小学校中学校で学んだ教科書の中身の量と、今の子供たちの教科書の教える内容というのはかなり変わっていませんか。それで、今おっしゃいましたけれども、いろいろそうやって文部省が言えば、その模範となる学校では、何とかやってしまおうというので、やってしまうのですね。  例えばこの灰皿がありますが、灰皿を、今までは一日かかった、それを何とか半日でできないか。それは、手でつくったところを機械を導入したり、いろいろな工夫をすれば物づくりはどんどん短縮できるのですよ。ところが、教育というのはそんな簡単に、では、学校のこれは削ってこうやってここで入るから入れてしまおう、合うな、そう簡単にはいかないのではないかと思うのですね。  ちょうど四、五年前になりますか、イギリスのBBC放送が日本教育という特集か何か組みましたね。その中で、日本教育がどういう方針でされてきたかという一つの、最終的には疑問符を打ちながら終わったのですが、日本教育はまさに産業人として優秀な均一した国民をつくろうということで明治時代からずっと続いてきたというのですね。それがずっと続いてきたのですよ、その報道によれば。行進から始まって、ラジオ体操から始まって、非常に規則正しくやってきました。それはある意味で、明治以降、日本の産業界あるいは日本の経済界を復興させるために大変大きな貢献をしたと思います。  しかし、何事にも、限界を超えてしまうと今度は弊害が見えてしまうのですね。私は、今の教育、このままの教育では、司馬遼太郎さんがおっしゃるように、日本の将来にはあすがないという話になりかねないと思うのですね。  いじめあるいは不登校の問題、あるいは日本で最高学府と言われるところを出てオウム真理教に入る、いわゆる判断力がない方々も出ていますし、また、官僚の方々も、日本の最高学府を出ながら、大蔵省、厚生省に入りながら、そして今殺人罪で告訴されている官僚OBもいますが、とにかく、そういう形の弊害がたくさん見え始めたのですよ。  したがって、まあ何とか学校を週二日休ませなければならないからこうしょうという形ではなくて、一体日本教育をどうしたらいいのか。単なる、こういうシャープペンなんかの形を少し変えようとかではなくて、根本的に日本教育方針を見直す時期に入ったと私は思うのですよ。  いろいろお話も伺っているのですが、さっきの話になりますが、余りにも小学校中学校子供さんが窮屈な中で生活していませんか。窮屈な中で学校の授業を受けていませんか。私は、教科書の中の半分とは言わないけれども、五分の一ぐらいページを破いて、もうそんなに覚える必要はない、基本的なものはこれとこれとこれです、そういうふうに教え込むボリュームそのものを減らす必要があるのではないかと思うのです。  ピアノ、お習字、スポーツクラブ、学習塾もあります。学校教育も、これも教えておこう、これも教えておこうとたくさんのものを何でも詰め込み過ぎているから、一体何が日本人として、人間として大事なことかというのがわからなくなってきているのではないかと思うのですよ。  したがって、私は、今御指摘申し上げたいのは、そろそろ日本小学校中学校教育の教科書の中を総整理して、減らすべきだと思うのです。何が重要なのか、そのポイントを絞って減らして、それで、今おっしゃったように、例えば四十五分授業だったら十五分間の休み時間を与える、そういうふうに、全部裕度を持った形で、もう一回全カリキュラムを、小学校中学校の教科書も含めて――危機感を持って、とにかく日本が危ないの ですよ、今。私はそう思いますよ。日本が危ないのですよ。それは、人間教育をもう一回やらなければならないということですよ。アメリカだって日本に対する興味はだんだん失ってきて、中国とかインドとか、そういうところに経済問題も移り始めているのです。  だから、私は、もうちょっと文部省皆さんも危機感を持ってほしいんだよ。今大蔵省と厚生省に光が当たっているからうちの方は来ないと思ったら大間違いで、一番の大もとは文部省だと思うのですよ。この問題、オウム真理教の問題も含めて、一体小学校中学校教育はどうあるべきなのか。そして、大学教育というのはどうあるべきなのか。知識をたくさん知っているということと判断ができるということは別なんですね。司馬遼太郎さんがおっしゃっているのは、私は、判断ができる人間をきちっと育ててほしいということだと思うのです。  ちょっと長く言い過ぎましたけれども、そこら辺で、カリキュラムをもう一回見直してくれませんか。
  53. 遠山耕平

    遠山政府委員 今の学習指導要領は、小学校平成四年から、中学校平成五年から、高校は平成六年から実施されているものでございますが、この新しい学習指導要領は、従来の学習指導要領に比べまして、知識を詰め込む、あるいは技術を身につけさせてそれを応用するということに重点を置くのではなくて、みずから学ぶ意欲を持ち、自分の頭で考えて、自分で自主的に判断をして責任を持って行動する、その能力を身につけさせようということで、知識偏重といいますか知識重視からかなり変わってきております。したがいまして、この今の新しい学習指導要領に沿って教育をやっていけば、かなりこれまでの教育とは内容が変わってくるものというぐあいに考えております。  それで、教科書の内容でございますが、随分昔から比べて厚くなったように言われますけれども、内容自体はそれほど厚さは変わっておりません。ただ、私などが学んだときよりは確かに内容は少し高度になっている面があるわけでございますが、それは社会の進展に即応して内容を改訂しているということでございます。  それから、教育内容につきまして、いろいろ先生お話があったわけでございますが、現在中央教育審議会におきまして、今後の学校教育のあり方を含めまして、家庭学校地域社会を含めての教育のあり方が審議されておりますので、そこで学校教育についてもさらに内容を精選すべきであるというような話も出ておりますので、そういう審議会の答申を受けて、またさらに検討してまいりたいと思います。
  54. 奥田幹生

    奥田国務大臣 先生一つお尋ねの学習指導要領は、今答弁したように小学校平成四年にできた。今中教審で御審議いただいておる五日制の導入の是非ですね。これが仮に五日制実施しなさいよという結論が出て、それを文部省が尊重するとなるのなら、今の月二回の五日制でもういっぱいですから、完全週休二日制になりましたら、これは当然指導要領はやり直さなければならぬことになる、これが一つ。  それから、指導要領はそういうことであって、一遍にきょうあすというわけにはまいりませんけれども、私もやはり先生と同じ考えを持っておりまして、戦後の教育は余りにも金とか物を優先させ過ぎた嫌いがあったのじゃなかろうかな。やはり心をこれからは当然重視していかなければならぬ。それは、今の学習指導要領をすぐ変えなくても、やはりみんなの心の持ちぐあいによってある程度カバーはできていくと思うのですよ。  確かに、いじめ平成五年に二万二千。それが、どこでももっとあろうと思うからとことんよく調べてごらん。調べてもらった平成六年のトータルが五万七千。これで相当みんな真剣に取り組まなければならぬということは、教育関係者、学校外の社会教育でも皆さん目覚めてくださっておるわけですね。  ここで、問題を取り違えないようにしなくてはならぬのは、何かいじめについての事件が起こりますと、すぐ学校はどうしておったのだ、先生対応はどうだうたのだと、そういうことに批判が行きがちでありますけれども、一日二十四時間の中で学校におります生徒の時間帯というのは三分の一ですよ。それ以外は家庭地域社会にいる。だから、先生も余り小さくならないで、しっかりした信念を持って、もしお父さん、お母さん、自分の子供だけれども、しつけを含めて事教育は皆学校先生におんぶなどと気軽に思ってもらったら困るので、そういう点で、気づいたところは遠慮なく保護者に注文をつけなさい、こう言っているのです。  そのかわり先生自身も、特に中学校が五万七千の中の半分超えておるそうですよ、いじめがね。中学校は、これは学科担任ですよね。しかし、同時にクラス担任も割り当てがあるわけです。したがって、給食やっている中学校は、もちろん先生は、子供と一緒に昼飯食べてくれ、勉強が終わった後の最後のお掃除、小学校中学校子供と一緒にやってくれ。少しでも子供と長く接触しておるその過程で、元気のない子供に、おい、どうなんだ、いや、きょうはお母さんが風邪引いて朝飯つくってくれなかったのだ、そう言うだろう、そういうような発見に努めてくださいということも先生お願いしている。  それから、学校の中でも外でも、非常に学校先生が忙し過ぎるという話も聞くのですね。ですから、それはもう少しリーダーシップを発揮して校長さんが、みんなとよく相談して職員室のリストラにも努めて、その余った、浮いた時間を生徒との接触に使うということ。  それから、地域社会も、よその子供であっても、やはりいかがわしいこと、悪いことをしておる子供には遠慮なしに注意する、おい、おまえ、そんなことしていたらあかんやないかと。それは、胸を張って注意できるような、そういう地域社会になりませんと、いじめというものはもうなくならない。  やはり家庭学校地域社会、このみんなが一丸となって、そのためには、これまでのいろいろなことはもう払拭するのだという気持ちを持って、そして、おはよう、お休みなさい、いただきます、そこから老いも若きも私はやり直すべきだという感じを持っております。     〔田中(昭)主査代理退席、主査着席〕
  55. 大畠章宏

    大畠分科員 大臣から大変示唆に富んだお話をいただきまして、ありがとうございました。学校地域社会家庭とが一体となってこの問題に取り組まなければならないと思いますが、もちろんそういう基本的な考えに立ちながら私自身もこの学校教育問題を考えております。  特に、大臣から先生が大変忙し過ぎるという話がございましたが、これも、先生方からいろいろお話を伺っても、やることが多過ぎると言うのですね。土曜、日曜、休みになったって部活でしょう。それで、本当に夏休みもかなり出勤しまして不規則になっている、こういうことで先生方、疲れ果てている。一般の統計によりますと、二割ぐらいの方が大概身体的な不調を訴えながら授業をやっているという話も伺いました。ここら辺は、ぜひ文部省の方としても先生方の余裕が持てるような形にしてもらいたいと思います。  さらに私は、文部省の指導要領の問題で、今検討されていると言うのですが、今ある文部省の指導要領、一度全部捨ててしまったらどうですか。捨ててしまって、今日の日本、将来の日本考えてどういうことが必要かという観点で、いわゆるゼロベースでやらないと。どうしても、これあった、それじゃこの方を削って、それじゃこれを入れておくかとか、ふえてしまうとあれなので、司馬遼太郎さんの言葉じゃありませんが、とにかく危ないと言われているのだから、文部省のこれまでの歴史、伝統もあるでしょうけれども、一回これをちょっと捨ててしまって、新しい文部省になつたつもりで、これからの日本人教育はどうあるべきか、何が必要か。要するに全く台本なしで、既存の本なしで私はやるべきだと思う。  特に一つそういうことも含めて申し上げますと、大臣、今中学校いじめによる自殺者が集中しているのですよ。これはなぜかというと、小学校六年は一生懸命運動会やったりしてやってきた。それで中学校三年というと、最初は詰め襟着て緊張しながら一年間過ごす。それで二年生になると、今度は、三年生はうろうろうろうろしながら受験戦争の中に巻き込まれている。そうすると、おれもあと一年で受験戦争に行かなければならないな、それで一体何やるかなというので、うろうろしながら何となく精神的に落ちつかないまま二年生を過ごすわけですね。そこにいろいろいじめ問題とか、子供から大人になるという精神的な不安定もあって、またいろいろな要素でもってそういう事件が多発しているのじゃないかと私は思うのですね。  したがって、文部省としていつまでも六・三・三制という前提のもとで考えるのじゃなくて、もうそういうものを一回捨ててしまって、そして、一体これからの日本の将来のためにはどういうことをやったらいいのかという、そういう大がかりで考え方を見直してみる、それで、その結果また六・三・三という形になれば、それでもいいですよ。それで全く今の指導要領と同じものができ上がったら、それでもいいんですよ。  私は、一つ提案したいのは、もう六・三・三やめて、三年間というのはどうも中途半端ですから、小学校一年繰り下げて、六歳から入学させて小学校五年間、あわせて中学校も五年間、高等学校三年間がいいか悪いかはわかりません、少なくとも三年間という、非常に精神的に多感なときに不安定な状況というものを変えるような、そういうことも含めて検討すべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  56. 奥田幹生

    奥田国務大臣 今大事な御提言をいただいたんであります。確かに中学校、半分以上いじめの件数が集中しております。一年、二年、いじめでいらいら、三年は進学というお話でございます。確かにそうかもわかりません。そうすると、先生は、小学校五、それから後も五というお話でございますが、これはそういう改革を思い切ってやりますには、私は、そこそこの国民的な理解と合意、これがなかったら、こういう大きな問題は無理だと思うんですよ。そこまで今踏み切るのには、私自身ちょっと決断力が……。ですから、それ以外の事柄で……(大畠分科員一つの提言ですから、結構でございます」と呼ぶ)はい。参考にさせていただきます。
  57. 大畠章宏

    大畠分科員 文部大臣から御答弁いただくとは大変恐縮いたしますが、そのくらいの感じで、文部省といいますか、日本教育問題を真剣に受けとめていただきたい。  あと、大学の受験も相変わらず続いていまして、先ほどお互いの思いやりを大切にしようとかなんとかという教育にしようということですが、今の大学の受験制度が続く限り、やはり学習塾とかそういうところに激しく行って、結局、子供たちの環境というのは、どんなに言葉で言っても変わらないですね。だから、大学の受験戦争の問題も含めて、さらに文部省当局で本当に日本の将来を考えながら、奥田文部大臣を先頭にして、渾身の力を込めて日本教育改革に取り組んでいただけますよう、心からお願いを申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  58. 細川律夫

    細川主査 これにて大畠章宏君の質疑は終了いたしました。  次に、富田茂之君。
  59. 富田茂之

    富田分科員 新進党の富田茂之でございます。  私の方からは、昨年の第百三十四臨時国会で改正されました宗教法人法に関連しまして、何点か質問させていただきます。  昨年の臨時国会における審議で、まず旧来の宗教法人法の所轄について変更がなされました。また、情報開示、活動状況の把握あるいは報告徴収・質問権等に関して新たな規定が設けられたわけであります。  その中でも、特に設立後の活動状況の把握のあり方に関しまして、宗教法人法二十五条の備えつけが義務づけられた書類の中に、境内建物に関する書類等が追加されるとともに、これらを含めて、その二十五条に規定された書類のうち、一定書類について所轄庁への提出義務を定めるという規定が新設されたわけであります。  当時の文化庁の方の御説明ですと、所轄庁として法人の活動を定期的に把握することによって、その責任を果たすことができるようにするとともに、法人の自治能力の向上や透明な管理運営に資する、そういう規定なんだという御説明でした。ただ、規模の小さな法人に配慮する必要がある、収入規模が一定額以下で、収益事業を行っていない法人には、当分の間、収支計算書の作成、提出の免除措置を設けるということで附則の二十三項、二十四項というような規定ができたわけであります。  この附則二十四項等を見ますと、宗教法人審議会が一つ要件として出てきているわけですが、昨年十二月の八日だったと思いますが、この宗教法人法の改正がなされて、十五日に公布がされております。二カ月半近くたって、まだ宗教法人審議会が開かれたというような報道に接しておりません。もう大分時間もたったなと思うのですが、そのあたり、いまだに宗教法人審議会が開かれないというのは、何か理由があるんでしょうか。
  60. 奥田幹生

    奥田国務大臣 これまでの取り組みについての具体的な問題は文化庁の方から説明をしていただきますが、やはり宗教法人の数がたくさんございまして、円満な実施に向けて、文化庁としては全力投球をしなくてはならぬ。  それと同時に、今先生お尋ねの審議会につきましては、それぞれの委員さんの御都合も聞かなくてはなりませんので、スタンスはできるだけ早く開かせてほしいというスタンスで、それぞれの委員さんの御都合を今伺っている最中だというように私は聞いております。  あとは、文化庁の方から。
  61. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 御指摘ございました宗教法人法の改正に伴います今の作業でございますけれども、現在までに、御指摘ございました十二月十五日に公布されたわけでございますけれども、同じ十五日に各都道府県の担当者にお集まりいただきまして、説明会を開催してございます。それから、十二月二十六日付で、一部改正部分の施行部分につきまして通達を各都道府県知事等に発出させていただいているところでございます。さらに、本年の一月の十六日と十八日に、文部大臣の所轄の法人につきましては、説明会の開催等を行ったところでございます。  この金額につきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、現在、できるだけ早期に開きたいということで検討しているところでございます。
  62. 富田茂之

    富田分科員 文化庁の方で一生懸命やられているというのは、昨年末からいろいろ御説明を伺っておりまして、わかるのですが、ちょっと心配なのは、昨年の臨時国会における審議を通じまして、宗教法人審議会での審議のあり方、また昨年の九月二十九日付の報告書を文部大臣に提出されましたけれども、その報告書の提出に際して、審議会のメンバーの皆さんの意見がそのまま反映されてないというような御主張があったりして、審議委員十五名のうち七名が反対あるいは慎重だったとか、あるいは委員の方のうち二名が審議会の会長さんに対して抗議文を提出したというようなことが昨年の国会の審議の中でいろいろわかってきました。  審議会のメンバーであります善隣教の教主の力久氏ですか、参議院の宗教特に参考人として出席されて、審議のあり方に関してかなり憤られていた、ちょっと問題があるんじゃないかというような参考人としての意見陳述もされておりました。  そういうことを見ますと、大臣また文化庁の皆さんが一生懸命審議会の開催に向けて努力されているのはわかるんですが、何かちょっとこのまますんなり審議会が開けるのかな、どうも不信感というか、文化庁に対しても不信感もあるでしょうし、審議会の開催また運営の仕方についても、委 員の先生たちの間に何かわだかまりが残っているんじゃないか、そういうちょっと危惧感を抱くんですね。  昨年十二月のうちに、事務方の皆さんから、いつごろ開くんだということをお伺いしましたら、一月中に何とかやりたい。一月に開かれないので、どうなっているんだとお聞きしましたら、委員のメンバーの皆さん大学先生とかいらっしゃって、試験とかに当たってしまう、大臣もおっしゃったように、日程調整がなかなか難しいんだというようなお話もありました。  ただ、やはり昨年の審議会の中での経過とかを見て、なかなかこの審議会が、今回、ことしになって開けないんじゃないかなというふうに私は思うんですが、そのあたりの心配はないんでしょうか。
  63. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 審議会の昨年九月に御報告いただく段階で、国会でもいろいろ御質疑いただいたことは事実でございます。ただ、私どもといたしましては、事務局といたしまして、審議会の先生方の十分な御理解をいただいて御報告はいただいたと思っておるわけでございます。  ちょうど正月といいますか、早い時期にはさまざまな宗教団体の御活動等もございまして、宗教法人審議会規則では、委員の五分の三以上の御出席が必要ということもございまして、若干日程調整で、先生方のなるべく御都合のいい日をいろいろ探しておるのでございますけれども、そういう日が比較的少ないということは事実でございます。ただし、私どもといたしましても、この審議会の先生方には審議会の場以外でもその後も何度かお目にかかっておりますし、特段、審議会として報告を出すときにいろいろ意見があったからということでなかなか開けないということではないのでございます。  ただ、大臣からも御答弁申し上げましたように、できるだけ早期に私どもとしても審議会を開催して、お尋ねございました金額の寡少な額で、そして収支計算書提出が義務づけられない法人につきましてその基準を明らかにするということは必要だと思っておりまして、現在慎重に努力をしておるところでございます。
  64. 富田茂之

    富田分科員 事務方の御苦労はよくわかります。ただ、文化庁の方からいただいた「宗務行政にかかる平成八年度予算(案)の概要」という書類、ペーパーをいただいたのですが、これによりますと、今度の八年度は宗教法人審議会の開催日数をこれまでよりもふやして年十二回とするというふうに予定されているようであります。それについての費用を計上しているということだと思うのですが、年十二回というと大体月一回ずつのベースでやっていく。今のように、法が改正されたのに二カ月半、三カ月近く何も開かれないというと、十二回のペースというのが保たれるのかな、予算計上されているけれども、ちょっと水増しじゃないのかというような思いもしますので、もう一層御努力されて、本当に円満に宗教法人審議会が開催されることを希望いたします。  その宗教法人審議会、附則の二十四項で、「前項に規定する額の範囲を定めようとする場合においては、文部大臣は、あらかじめ宗教法人審議会に諮問してその意見を聞かなければならない。」ということで、先ほどの、収支計算書の作成義務を免除するという小規模な宗教法人について文部大臣が額を定めるわけですね。文部大臣の定める額、この額がどのように決定されていくのかということについて、ちょっとなかなか理解できない部分がございます。  なぜかといいますと、報道等で、例えば五千万以下を免除するんだというような報道が出たり、いや八千万以下に決まったんだというような報道がされたり、事実関係はわからないのですが、与党である自民党さんの方でそういうふうにもう決まりましたみたいな報道が幾つかなされております。この点一体どうなっているのか、それが一つと、あと、審議会に大臣の方から諮問される際に、額を明示して審議会の意見を求めるのか、あるいはいろいろな材料を審議会に提供して、審議会の委員先生たちに、この法の趣旨から考えてどの額以下を収支計算書を免除したらいいんだということを実質的に考えていただくのか、どういう方法をとられる予定でいるのか、もし決まっているようでしたら教えていただければと思うのですが。
  65. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 今御指摘ございました収入金額、一会計年度の収入額が寡少な額として文部大臣が定める額ということで法律に書いてあるわけでございます。したがいまして、いろいろ御意見を賜ったわけでございますが、私どもとしては、この金額はまだ決まっていないわけでございます。もちろん宗教界の方々の中には、できるだけ小規模な法人に負担をかけないでほしいという御要望等もございました。この額の範囲をできるだけ引き上げてほしいという御要望がいろいろなところから出されていることも事実でございます。  そういったことも勘案しながら、私どもといたしましては、次に開きます審議会において、「文部大臣が定める額」について宗教法人審議会にあらかじめ諮問をするということになっておるわけでございますので、そういった点も含めまして審議会にお諮りをしたい。なお、さまざまなデータ等もその時点でお示しした上で、合理的な額をお決めいただきたいというふうに考えておるところでございます。
  66. 富田茂之

    富田分科員 今の件に関して、報道の中で、例えば五千万以下を免除するというふうにした場合には現在の宗教法人のうち九五%ぐらいが免除される、適用除外になるんだという報道が一つあります。また、八千万という報道をしている記事の中にも、八千万以下を免除すれば九五%以上、これは以上と書いてありましたけれども、ここでも九五%という数字が出て、そこが適用除外になるというような報道もございました。  どのぐらいの数の宗教法人が適用除外になるのかというのは一つのメルクマールになると思うのですが、五千万でも八千万でも同じぐらいの数字というのはちょっと合点がいかないのですね。そのあたりについて文化庁、文部省の方で何かきちんと把握をされているのか、またこの報道が事実なのかどうか、お答えいただければと思います。
  67. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 今お話ございました、五千万だと九五%というお話でございますが、私どもとしても、宗教法人の収支規模のデータにつきましては、従来の宗教法人法の建前から、そういったものを、私どもが自動的にその数字をいただけるというシステムになっておりませんので、明確な形で、悉皆的な調査ももちろん行っておりませんし、はっきりしたものは余りないわけでございます。  ただし、私どもが把握しておりますデータの一つに、昭和六十三年度に宗教法人の御協力をいただきまして抽出調査を行ったことがございます。このデータによりますと、一般会計の年収が五千万円以下の法人、六十三年時点でございますから現在とは少し変わっていると思いますけれども、それが五千万以下の法人が全体の九五・七%となっております。  それからなおもう一件、実は、文部大臣所轄の法人につきましては、それぞれの法人の任意の御好意で私どもの方に全体の収支状況等をいただいているものがあるわけでございます。私どもの方でそれを分析いたしました限りにおきましては、例えば五千万円未満ということでございますと五一・九%、これは文部大臣所轄法人でございますから、いわゆる全国的な展開をなさっている部分が多いわけでございますけれども、それにおきましても五千万未満の法人が五一・九%というふうになっております。  こういったことも勘案しながら、私どもとしては、そもそものねらいでございます、小規模な法人で、しかも事務能力がそんなにないところに無理やりにかなり難しい書類を出していただくことで御迷惑をおかけするということにならないような配慮ということでこの寡少な額について文部大臣が定めることになっておりますので、そういっ た点を踏まえながら適切に対処してまいりたいと思っているところでございます。
  68. 富田茂之

    富田分科員 今御答弁されたようにやっていただけると一番いいのですが、九六年度の税制改正によりますと、年収五千万を超える公益法人は収支計算書の提出が義務づけられるようになる、これは法案が通ればですけれども。そうすると、宗教法人も、やはり五千万を超える法人については収支計算書は作成して税務署に提出しなければならないというのが一つ出てまいりますね。  この税制改正の目的と宗教法人法で今回改正された目的というのは目的が違いますから、同じ金額になるということはないと思うのですけれども、義務者である宗教法人側から見れば、収支で五千万を超えた場合には収支計算書を作成しなければならないということになると思うのですね。そういう意味ではかなりの、目的は違っても義務者側から見ると共通性が出てくるのじゃないか。この五千万というのが一つメルクマールになっていくのかなというふうに私自身はこれまでのいろいろな報道とかを見ていて思っていたのですが、そのあたりについて文部省なり文化庁では何か検討されているということはあるのでしょうか。
  69. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 御指摘ございましたように、平成八年度の税制改正要綱で、いわゆる収益事業を行っていない公益法人、宗教法人も含めての公益法人等でございますけれども、これにつきましては小規模法人を除いて収支計算書を所轄の税務署長に提出するということが、そういった制度が新しくできるわけでございます。この場合の小規模法人の年間収入は、五千万以下の法人を除くということでございます。税の観点からそういう施策が進められておるということは私どもも承知しておるところでございます。  一方で、宗教法人法によりまして、先生御指摘ございましたように、所轄庁に毎年度収支計算書の写しをいただくということになっておるわけでございますけれども、宗教法人法でこういう収支計算書をいただく趣旨と申しますのは、所轄庁といたしまして当該宗教法人が目的に沿った事業をやっていらっしゃる、そして元気に活動しておられるということを把握するという観点からお願いしておるものでございまして、行政目的といいますか、税法によるこういった収支計算書をお出しいただく目的といったものと宗教法人法の目的というものは、おのずから目的としては異なるものでございます。  ただし、お話ございましたように、収支計算書というのは、やはり概念的に言えば税法の観点宗教法人法の観点でも同じ書類が該当すると私どもは思っておりますので、仮に現在の宗教法人法の建前でございますと、おつくりいただいた場合には事務所に備えつけをいただく、事務所に備えつけいただいたものは所轄庁にお出しいただくということになるわけでございます。そういった観点では、宗教法人としておつくりになったということであれば、それについては所轄庁にもお出しくださいということを私どもとしてはお願いをしていくということになるわけでございます。
  70. 富田茂之

    富田分科員 この五千万の点についてお尋ねしたのは、一つは、新聞報道によりますと、自民党の首脳が宗教関係者や文化人などの会合で、この免除額の上限について、年間収入五千万円より上に設定すると表明したというような報道がされていたのですね。やはり五千万というのが今の税制改正との関係で、一つかなり大きなメルクマールとして出てきて、それが納得されないからもっと上にするんだみたいな流れができているのではないかということを一つ危惧いたします。そういうことのないように、いろいろな材料を宗教法人審議会の方にきちんと提供していただいて、適切な審議の上で、小規模で事務量が増大して本当に大変だという宗教法人に対して免除できるような適切な額を大臣の方でもきちんと決めていただきたいと思います。  また、宗教法人に関する今回の予算で、宗教と社会とのかかわりに関する調査研究ということで、新規に六千百万円ですかが計上されております。さきの臨時国会におきましても、これから何年度かにわたって、今の宗教法人宗教団体の実態が全くわからない、なかなか情報がないということで、そういう調査を続けていくんだというような御答弁をされておりました。この調査研究の目的と、またその調査研究された成果をどのように利用されるおつもりなのか。臨時国会の中の審議でも、今回改正されるということによって、宗教法人に対する管理を強めることを目的としているのではないかというような危惧が大分表明されました。  そのあたりのことも踏まえて、調査研究の目的とその成果の利用方法について、今何か考えていることがありましたら、教えていただきたいと思います。
  71. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 お答え申し上げます前に、先ほど御指摘ございました例の金額の問題でございますけれども、税とは目的が違うわけでございまして、宗教法人観点から、税と常に連動しなければいけないということではないと私どもは思っておるものでございます。  御指摘ございました宗教と社会とのかかわりに関する調査研究でございますけれども、この点は臨時国会でも御答弁申し上げましたけれども、現在の宗教法人制度が発足いたしましてから四十数年経過しておるわけでございます。その間、宗教あるいは宗教法人を取り巻く社会状況といったものが大きく変化をしてきておるわけでございます。私どもといたしましても、国の内外におきます宗教の状況、宗教事情あるいは宗教法人の現状、そういったものをもっともっと把握をしていかなければいけない。さらには、宗教のさまざまな活動等についても研究をしていくということは必要だろうと思うのでございます。  そういった観点がございまして、我が国宗教団体をめぐる諸状況につきまして、やはり専門家によります基礎的な調査研究をしていく必要がある。それらを分析していく必要がある。また、諸外国の宗教事情といったものも大変参考になる部分もあるわけでございまして、日本国の中だけではございませんで、海外も含めて、いろいろ調べたり研究したりしていくということが必要だと思っているわけでございます。  そういう意味で、予算額約六千百万をこの八年度でお願いをいたしておりまして、こういったものを活用しながら、私どもといたしましても、宗教についてのさまざまなデータをできるだけ集めていく、そして宗教事情等も把握をしていくということに努めたいというふうに考えておるところでございます。
  72. 富田茂之

    富田分科員 その宗教事情の調査に関して、いただいております予算案概要によりますと、「広く一般の国民の要望に応え、宗教全般に関する情報の収集、提供及び相談等を行うための調査研究を実施する。」という項目がございます。これは昨年九月二十九日の宗教法人審議会の報告書の中に、「その他」の欄に「仮称「宗教情報センター」」ということで、これに関する提言がなされておりましたけれども、これを受けてのものと思われます。  この宗教情報センターに関して今回予算づけをして調査研究をするという、どういう目的、またどんな方法でこれを実行しようとしているのか、お聞かせ願えますか。
  73. 奥田幹生

    奥田国務大臣 先生が今お話しになりました宗教情報センター、これは去年の秋に審議会からどうでしょうという御提言があるわけですが、これは政府とか役所ではなくて、宗教家あるいは弁護士、学識経験者、こういうのでつくってみてはどうでしょうというようなお話でございまして、決して役所とか文部省文化庁が主導でこのセンターをつくるあるいはタッチするという、そういう気持ちは毛頭ございません。
  74. 富田茂之

    富田分科員 明快な御答弁をいただきました。  宗教法人また宗教団体関係者の中には、今大臣が御答弁いただいたことについて物すごく危惧感あるいは不安を持っている方たちが大勢いらっしゃいます。昨日もキリスト教連合会の皆さんとち ょっとお会いしましたけれども、なぜこういうことについて予算がついて、調査がされていくんだろう、文化庁が主導権を持って、文部省が主導権を持ってセンターを設置して、また何か自分たちを管理するという方向に行くのではないか、こういうことを大分危惧されておられました。今の大臣のように、そういう考えは毛頭ないと明確に御答弁いただけると、皆さんも安心すると思います。  確かに審議会の報告書では、今大臣おっしゃられたように、宗教関係者、弁護士、あるいはいろいろな学者の方たちが連携して自主的に設置、運営するというふうに提言されております。そういうことができるのか、こういうセンターの開設が可能なのか、いろいろな情報を集めていただいて、できるものかどうかというような調査研究をしていただくのは絶対必要だと思いますので、そういう意味で、今大臣の言われた趣旨にのっとって調査研究をしていただければと思います。  最後に、昨年の臨時国会でも大分論争の的になりました宗教法人審議会での審議経過についての情報公開、情報開示のあり方といいますか、臨時国会でも議事録を提出するしないでかなりもめました。最終的には議事録の提出というのはなかったのですが、やはり審議会の委員先生たちが後で問題にするということは、中での議論がオープンにならないということが、一つ理由になっていたのではないかなというふうに思うのですね。  これまでの経過はちょっと除くとして、今後この収支計算書を幾らの金額で免除するかとかいう審議会がまず開かれていくわけですから、そういうことに関しては、各宗教法人は物すごい関心を持っていると思うのですね。宗教法人審議会にどんな材料が提供され、審議会の先生たちがどういう議論をされて、どういう形でその金額が決まっていくのかというようなところについても宗教法人を含め一般国民にきちんと情報提供がされれば、納得されて、そういう収支計算書の作成、提出に関しても十分な協力が得られるのではないかというふうに思うのです。  昨年九月二十九日の「審議会等の透明化、見直し等について」という閣議決定がありましたけれども、この閣議決定の解釈をめぐって、かなり論争されましたが、その中でもこういうふうに記載されております。「審議会等の具体的運営は、法令に別段の定めのある場合を除き、当該審議会等において決定されるべきものである」というふうな記述もございます。  こういうことにかんがみますと、今後開かれる審議会で、審議会の先生たちから、昨年の臨時国会等の審議等を踏まえて、今後はできる限りオープンにしていこうというようなお話があった場合に、その方向で検討される御意思が文化庁、文部省の方であるかどうか、その点、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  75. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 昨年の閣議決定の取り扱い等につきましては、臨時国会でもさまざまな御論議をいただいたところでございます。私どもといたしましても、審議会の運営をできるだけ透明なものにしていくということは大切なことだと考えておるわけでございます。  ただ、宗教法人審議会の所掌事務の中核になりますのは、行政処分でございます認証でありますとか、あるいは不服申し立て等の調査審議等でございます。こういったものにつきましては、やはり個々の宗教法人の事例に触れることがある、あるいはプライバシーの保護、中立公正な発言の確保といったような観点から審議会全体として非公開の扱いになっておるということは臨時国会でも御答弁申し上げてきたところでございます。  ただ、さはさりながら、国会でもさまざまな御論議をいただいたわけでございまして、私どもといたしましても、昨年の審議につきましても、会議の終了の都度記者クラブに御説明申し上げるというようなことで情報の提供には努力をしてきたつもりでございます。まだまだ不十分だというおしかりもいただいておりますけれども。  今後の、新たに開かれた場合の議事の問題でございますけれども、これにつきましては、閣議決定の考え方も踏まえまして、今後の課題として審議会で御判断いただくということになるわけでございます。私どもといたしましても、できるだけ情報につきましては、国民の方の関心の深いものでございますから、そういったものが国民の方にお知りいただけるような努力はしていかなければいけないと思っておりますし、審議会で御判断いただくことでございますけれども、事務局としても適切に御判断いただくよう審議会にお話し申し上げたいというふうに考えているところでございます。
  76. 富田茂之

    富田分科員 できるだけ本当に情報公開に努めていただきたい。今御答弁あったように、プライバシーにかかわる部分とか行政処分にかかわる部分についてはそれは公開しないんだという原則ができておりますから、それはもうそのとおりだと思うのですが、この収支計算書の提出義務を免除するということに関してはちょっとそこと離れると思うのですね。本当に宗教法人、また国民の関心のあるところだと思いますので、審議会のメンバーの皆様にもそういうところを伝えていただいて、よく議論していただきたいと思います。  最後に、ちょっとこれは通告してなかったのですが、この国会は本当に住専国会ということで、ずっと住専に税金を投入するかどうかということが話題になっております。大臣もずっと予算委員会大臣席に座られて大変だったと思いますが、この宗教法人法の改正問題でも、審議会の経過をきちんと情報公開しろということがかなり争点になりました。この住専の問題も中身がよくわからなかった、どうしてこういうスキームができたのかということについて、やはりちょっと国民に対して情報提供が不親切じゃなかったのかなと。きょうの新聞なんかを見ましても、まだ九割以上が絶対反対だというように大きく出ております。  こういう情報公開とかいう点から見て、大臣の所管ではありませんからちょっとあれでしょうけれども、大臣個人として今回の住専の問題についてどのようにお考えか、一言お聞かせ願えればと思います。
  77. 奥田幹生

    奥田国務大臣 実は、ついこの間の日曜日、私の地元の京都京都市長選挙を終えたばかりです。非常に厳しい、大体選挙中からきついな、きついなと思ったのですが、思ったとおり、開票のときにはらはらした。ようやく、しかも四千九十二票という本当の僅差で勝たせていただいたのでありますが、京都市政とは直接関係ありませんが、相手候補が住専問題を非常に宣伝されておりましたから、やはり市民、有権者も、そういう気持ちを判断の大事な基準にされて投票された方も相当いらっしゃるような状態。やはり国民とか有権者を離れての政治というものはありませんから、できるだけ先生がおっしゃる情報も一般の方に示して、そしてそれを聞きながら政治を進めていくということも大事かなということをつくづく感じております。  ただ、今度の住専の問題で予算的に御審議を煩わせております問題につきましては、たとえ前内閣の問題、前内閣がそれを含めた新予算を編成なさったにいたしましても、連立与党の顔ぶれは変わらないわけでございますし、橋本総理も村山政権でつくられた予算案そのままを引き継いで御審議を煩わせているわけでございますから、その内閣の一員として、これはこれできっちり早期成立、そして早く景気回復ということを心の底から願っております。
  78. 富田茂之

    富田分科員 終わります。ありがとうございました。
  79. 細川律夫

    細川主査 これにて富田茂之君の質疑は終了いたしました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  80. 細川律夫

    細川主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  文部省所管について質疑を続行いたします。今村修君。
  81. 今村修

    今村分科員 私は、社会民主党の今村修であります。  きょうは、我が青森県内にある大学充実について文部省の御見解をお伺いしたいと思います。  青森県内に唯一の国立大学として弘前大学があるわけであります。ただ、この弘前大学、お医者さんと学校先生、農学部を中心としてつくられてきた大学であり、青森県内の大学進学率が全国平均の三六・一%を一〇%も下回る、こういう状況の中で、何とか総合大学に脱皮していけないのかというのが県民の大きな願いでもあるわけであります。  特に、二十一世紀に向けて、青森県の経済社会の自立を図り、発展をしていくには、これを支える高度な知識、技術を有する人材の育成が最も必要だ、特に青森地域のテクノポリス開発や先導的なプロジェクトを支援をするためには、こうした高等教育機能や研究開発充実は不可欠だと思っているわけであります。そういう観点から幾つかお伺いしたいと思います。  新年度の予算の中に工学系学部の創設のための予算が盛られたようであります。長い間国に要望をして、何とか実現をしてほしいという地元の強い願いがようやく実現をする、こういうようになったようであります。この工学系学部の今後の見通しについてまず最初にお伺いをしたいと思います。
  82. 雨宮忠

    雨宮政府委員 弘前大学整備拡充についてのお尋ねでございます。  平成七年度に学部等改革調査経費を措置いたしておりまして、工科系学部のあり方について検討してきたところでございます。平成八年度の予算案におきましては、これをさらに進めるために、工科系学部の創設準備を行うということといたしまして、そのための要員と経費を計上しているところでございます。  現在、弘前大学におきまして、工科系学部に係ります教育研究面、施設設備教員人事等について種々御検討中であるというように承知しているところでございます。また、各学部がそれぞれの目的に応じた四年一貫の教育体制を構築するために、あわせまして、教養部の改組転換ということにつきましても検討しておられるというように承知しているわけでございます。  文部省といたしましては、現在そういう段階でございますので、今後弘前大学におきますそれらの検討の進捗状況、国の全体的な行財政の状況等を踏まえまして、当該大学からの要求を待って適切に対応いたしたいというように考えているところでございます。
  83. 今村修

    今村分科員 いろいろ検討を進めて何としても実現をさせたい、こんなことで大学自身も頑張っているわけであります。新年度に教授一名と一定の経費を計上したということでお聞きをしているわけであります。この内容からいくと、平成九年四月から新しく学部がつくられるということで理解してよろしいのでしょうか。その辺含めて見通しをお聞かせいただきたいと思います。
  84. 雨宮忠

    雨宮政府委員 先ほどお答え申し上げましたとおり、現在弘前大学でその準備のための検討を進めておるということでございまして、その検討の煮詰まりぐあいを見てからということになるわけでございますので、今の時点であらかじめ、何年から開設ということをまだ申し上げることは控えさせていただきたいと思います。
  85. 今村修

    今村分科員 ちょっとくどいようですけれども、ただ、地元にすると、ようやく平成九年度からは何とかめどがつくのではないか、こういう期待を持っているわけであります。  一般的で結構ですけれども、こういう形で予算が盛られるということはそういう期待感を抱いてもいいということで理解をしていいものかどうか、その点ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  86. 雨宮忠

    雨宮政府委員 平成七年度に改革調査経費が措置されておるわけでございますし、また八年度に創設準備のための人員なりあるいは経費を措置したという全体の流れからいきますと、それなりの手順を踏んできているということかと思うわけでございます。  ただし、九年度以降ということになりますと、まだ確定的なことは申し上げられないということは先ほど申し上げたとおりでございます。
  87. 今村修

    今村分科員 地元の努力もまた必要だと思いますので、大学自身の努力を、あるいはそれを支える人たちの努力も含めて、地元での対策は全力を挙げてしたい。文部省におかれてもぜひとも地元の願いをかなえていただく、こういうことで御努力をお願い申し上げたいと思います。  なおまた、弘前大学を何とか総合大学にできないのかという願いもあるわけであります。これは、大学自身も検討委員会をつくっていろいろ検討されているようでありますけれども、総合大学へ向けての見通しというのですか願いというのですか、それは、これはすぐという話にもならぬと思いますけれども、一定の見通しが立つのかどうか、その点だけお伺いをしておきたいと思います。     〔主査退席、田中(昭)主査代理着席〕
  88. 雨宮忠

    雨宮政府委員 弘前大学につきましては、現在、人文学部、教育学部、理学部、医学部、農学部という五学部の体制になっておるわけでございます。  先生今御指摘の総合大学というのをどうとらえるかという定義の問題にもかかわるわけでございますが、一応今の状況におきましても、弘前大学におきましては、人文系それからいわゆる理系、それぞれの学部を擁しておるということは言えるわけでございますが、かねてから工科系ということも御要望を伺っておるわけでございまして、先生今お尋ねのように、工科系学部が順調な形ででき上がるということになりますと、少なくとも現在の体制よりもさらに幅広い分野での整備が図られるということは言えようかと思うわけでございます。
  89. 今村修

    今村分科員 これは大学自身の学部の再編というのも絡んでくるだろうと思いますけれども、ぜひとも地元の総合大学に向けての期待にもこたえていただきますことを心からお願いをしておきたいと思います。  次に、青森公立大学大学院、修士課程の設置についてお伺いをしたいと思います。  戦後長い間、県都でありながら国公立の大学のない市として青森市は言われ続けてきたわけであります。  平成五年四月、青森市を中心に一市三町三村の広域事務組合で、青森公立大学、経営経済学部という形でありますが、大学を発足させたわけであります。ことしの四月には四期生を迎え、ようやく一学年から四学年までそろう、こういう内容になったわけであります。  ただいま大学当局において、ますます複雑で高度化する事態に対処しながら専門能力を取得させるために大学院修士課程との一体化した教育課程の展開が不可欠だ、こういう考えから大学院設置構想委員会を設置して、大学院修士課程設置に向けて全力を挙げ取り組んでいるところであります。これもまた、大学を初め青森市、この事務組合をつくってきた町村では、何とか平成九年四月から大学院修士課程設置を実現したい、こういうことで今一生懸命努力をしているわけであります。この見通しについてお伺いをしておきたいと思います。
  90. 雨宮忠

    雨宮政府委員 青森公立大学につきましては、今先生御紹介のように、平成五年四月に、青森市ほか六町村で構成する青森地域広域事務組合を設置者といたしまして、経営経済学部、入学定員三百人ということで開設を見たわけでございます。  青森公立大学におきましては、平成九年四月を目途に、その経営経済学部を基礎として経営経済学研究科の修士課程を開設するという御構想を持っておられて、そのための準備を進めておられるというように承知しているところでございます。  それで大学院の場合につきまして、平成九年四 月の開設ということになりますと、これは他の大学院も共通でございますけれども、今年の六月までに申請するということになるわけでございますが、もし本件につきましても申請がなされたという場合につきましては、大学設置学校法人審議会の審査に基づきまして適切に対応してまいりたいというように考えておるところでございます。  なお、先生お話の中でお触れになりました大学院の重要性ということにつきましてはお示しのとおりでございまして、学術研究の進展やらあるいは社会経済の変化に伴いまして、すぐれた研究者やらあるいは高度の職業人の育成ということからその重要性が高いわけでございまして、全体として大学院の質的あるいは量的な充実を図るということで、文部省としてはこのところ種々の努力を重ねているところでございます。
  91. 今村修

    今村分科員 ことし六月までに申請する、こういうことになるというお話でありますが、現時点で特に申請の内容の中で課題というんですか、なっているような問題はあるんですか。
  92. 雨宮忠

    雨宮政府委員 これから種々御相談をいただくということでございまして、その御構想の内容につきまして種々検討させていただき、必要に応じ御注文も差し上げ、それらのプロセスを通じて申請に至るということでございまして、現在の時点で具体にこういう問題点、ああいう問題点というようなことを申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。
  93. 今村修

    今村分科員 大学院設置に向けて、施設整備やいろんな対策が取り組まれてきているわけであります。そうすると、そういう課題を乗り越えていくとすれば、ことしの六月までに申請を出すことによってこれは平成九年四月から大学院を開設できる、こういう理解をしてよろしいわけですね。
  94. 雨宮忠

    雨宮政府委員 先ほど申しました一般的な大学設置認可あるいは大学院の開設のための設置認可の手続が順調に行われ、それらの種々の要件をクリアするということでございましたならば、おっしゃるようなことで平成九年四月に開設されるということも当然あり得ることであろうかと思うわけでございます。
  95. 今村修

    今村分科員 ぜひとも地元の強い願いにこたえて国におかれましても対応していただきたい、そのことを強くお願いをしておきたいと思います。  次に、青森市の三内丸山で見つかった縄文の遺跡の国史跡指定についてお伺いをしたい、こう思います。  平成七年三月には、青森にあります小牧野遺跡、これが国の史跡指定を受けた、こういう内容になっているわけであります。  この青森市三内丸山で発掘された縄文の遺跡は、縄文時代前期から中期にかけて約一千五百年以上にわたりそこで人々が生活をしていた、日本でこれまで見つかったうちでは最大の縄文の集落跡である、こう言われているわけであります。そして、日本最古の漆器あるいは日本最大の板状土偶、巨大な木柱で建設された建設跡地など、学術上貴重な発見が相次いでされた、こういう内容になっています。こうした遺物、遺跡は、縄文時代の定説を覆す貴重な資料として、現在注目をされているわけであります。  地元で、この史跡を保存するためにも、今検討委員会をつくって努力をしているところであります。ただ、同時に、これだけの大きな遺跡になりますと、国でもいろんな対応もまた強くお願いをしなきゃならぬ、こういうことになるわけであります。国の史跡として、さらには特別史跡に指定するなどして国としても万全の対策をとっていく、こういう内容になっていただけないものか、こう思っているわけでありますけれども、この点についての御見解をお伺いしたいと思います。
  96. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 三内丸山遺跡でございますけれども、先生御指摘のように、我が国の縄文時代前期、中期を代表する大規模集落でございます。この遺跡は、御承知のように、青森県が県の総合運動公園を拡張していくその工事に伴いまして、新しく県営の野球場をつくろうということで行いました発掘調査の段階で明らかになったものでございます。青森県では平成六年度に、当初の野球場をつくるという計画の事業を中止いたしまして、遺跡の発掘、保存を進めようということで現在取り組んでおられるところでございます。  県におきましては発掘調査を積極的に進めていただいておるところでございますけれども、県のお考えとしても、こういった三内丸山遺跡を、歴史を実体験する、県民の方に学習していただくような場としても活用したいというようなことで、さまざまな仮整備も進められておると聞いておるところでございます。  文化庁といたしましても、三内丸山遺跡につきましては、その重要性にかんがみまして、青森県の発掘調査に対しまして国の補助事業ということで取り組んでおるところでございまして、今後県の調査結果を踏まえながら積極的に保護のための対策を講じてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  97. 今村修

    今村分科員 この種の遺跡が全国的にまだあると思います。広い地域ですのでまだまだ調査していかなきゃならぬと思いますけれども、一方では調査をしながら、一方ではこれまで見つかったものを保存をするという対応が必要になってくるわけです。そういう点では、国として具体的にどういう内容のものをいろいろと対応していただけるのか、もし具体的に、こういう部分は対応できます、こういう内容がありましたら、その点について明らかにしていただければと思います。
  98. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 この三内丸山遺跡でございますけれども、先ほども申し上げましたように、縄文時代の前期、中期の大規模集落の遺跡として、我が国の縄文文化を代表する貴重な遺跡であるというふうに考えておるわけでございます。  文化庁といたしましては、先ほども御答弁申し上げましたように、平成七年度の発掘調査につきまして国庫補助ということで対応させていただいておるわけでございますけれども、この保存につきまして今後とも青森県とも連絡協議を十分行ってまいりたいと思っておるところでございます。  現在、青森県におかれましては、こういった発掘調査を行われる、調査するとともに、整備の基本計画を策定しておられる途中だというふうに承っておるわけでございます。県として保存、活用のための基本計画をおつくりいただいておるところでございます。こういった基本計画の状況等も勘案しながら、先ほど御指摘ございました国の史跡としての指定のあり方、あるいは保存、整備のあり方等につきまして、私どもとしても検討して積極的に対応してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  99. 今村修

    今村分科員 御承知のように、青森の場合は大分雪の降る地域なんですよね。ですから、これまでも掘り起こしたのを冬が来る前にまた埋めてしまって春にまた掘り起こす、こういう形で見学者を含めて来た人たちに見ていただくという対応をしてきたわけです。今回一部ですけれども屋根をつくって冬季でも見られるという対策は講じたのですけれども、ただ、青森の場合、財政的な部分でいえば相当厳しい県でありますので、国の特段のいろいろな対応お願いしないと、結局、これだけの遺跡が万が一大変なことになったら困る、こんな気持ちがあるものですから、国として積極的にかかわっていただいてその保存に努力をしていただきたい、こう思うわけであります。  その積極的にかかわる際のかかわり方というのはいろいろあるだろうと思いますけれども、具体的にこういう形のかかわり方がありますよと、その辺、もしもうちょっと具体的にお話しできればお願いします。
  100. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 文化財の保護ということにつきまして、私どもといたしましても、文化財をただ保護するだけではなくてそれを住民の方に幅広く見ていただく、実体験として歴史を学んでいただく、あるいは生涯学習の場にもなるわけでございまして、そういう学習する場として活用していくということが保存とともに大変大事なことだと思っておるわけでございます。  先生御承知のように、ここの地域につきましては都市公園としての整備といったものも進められておるわけでございます。出土の遺物を展示していく、あるいは住居群を復元していく、遺跡の整備をしていくということで、そういった公園としての整備も一方で進められておるところでございますけれども、私ども文化庁といたしましても、先ほど来お話し申し上げておりますように、県の御調査が七年度、八年度で範囲も確定なさってかなり進んでくるというふうに思っておりますので、そういったものを見ながら、お話ございました国の史跡としての指定、どのような形で指定をしていくのか、それから国としても、現在、こういった文化財を住民の方に活用していただく学習の場としても整備を進めていくということは大変大事なことだと思っておりますので、そんな点、都市公園としての整備のあり方も見ながら、私どもとしても積極的に応援できる点については応援をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  101. 今村修

    今村分科員 全国から大変多くの人たちがこの史跡を見学に来る、こういう状況が今なお続いているわけであります。そういう点では、ぜひとも国の強力な後押しを心からお願いをして、質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。  どうもありがとうございました。     〔田中(昭)主査代理退席、主査着席〕
  102. 細川律夫

    細川主査 これにて今村修君の質疑は終了いたしました。  次に、福島豊君。
  103. 福島豊

    福島分科員 本日は、二十一世紀に向けて情報通信革命が急速なスピードで進んでいるということを踏まえまして、コンピューター教育推進であるとかマルチメディアの教育分野への導入等々の先進的な取り組みにつきまして、文部省がどのような姿勢で取り組んでおられるかということをお聞きしたいというふうに思っております。  二十一世紀に向けての情報通信革命は、新しい社会を開くかぎとなるものでございます。現在の状況というのは、日本状況とアメリカの状況を比べると、日本の方がやはり十年ぐらいおくれているのではないかということも指摘されております。技術的なことも非常に大切でございますけれども、いかにして情報通信革命を担うような人材を育てていくのかというような観点も大切であると思います。したがって、通産省の所管のみにとどまらず、文部省においても私は積極的な取り組みをしていただきたい、そのように思っております。  まず第一点目としまして、情報ネットワークの構築ということについてでございます。  現在、さまざまな次世代通信網の整備ということに取り組まれているわけでございますが、これは主に郵政省が所管となってやっておりますけれども、郵政省が主体となって取り組んでいる最も大きな規模の計画は、関西文化学術研究都市で行われておりますB-ISDN、広帯域総合ディジタル通信網とFTTH、ファイバー・ツー・ザ・ホームであるというふうにお聞きいたしております。しかし、郵政省のみならず、文部省にも私はこのネットワークづくりにかかわっていただきたいというふうに思っております。  文部省学術利用のためのネットワークづくりということで、比較しまして米国の例を挙げますと、アメリカでは、NREN、ナショナル・リサーチ・アンド・エデュケーション・ネットワークが早い時期に設立されまして、国家のバックアップのもとで情報通信革命の推進に大変大きな寄与をしてきたというふうに伺っております。  民間のネットワークがさまざまに発展してきた現在にありましては、公的なネットワーク設立ということがどの程度の意義があるのかというような御意見があるかもしれませんけれども、先ほど申し上げましたように、アメリカに比べるとまだまだ日本はおくれていると言われておるわけでございますので、日本版のNRENの構築というようなことをお考えになられてはどうか、そのように私感じておりまして、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  104. 奥田幹生

    奥田国務大臣 学術研究で得られましたその成果を早く正確にネットワークを結んで知らせる、普及するというようなことは、先生御指摘のとおり大変重要でありますし、またその重要性の度合いというのは、これから非常にまた高まってくるのじゃなかろうかというような見通しを持っておるところでございます。  それで、文部省といたしましても、全国の、国公だけじゃなしに、私立大学も結びましたところの学術情報流通のためのネットワークでございます学術情報ネットワーク、これは昭和六十一年から東京・文京区で設置をいたしまして、現在のところ、先生も御承知かもわかりませんけれども、国立大学で八十六、公立の大学で三十一、私立て百九十二、その他百二十五、合計四百三十四、この中には、イギリス、アメリカ、それから東南アジアのタイ、これも入っておりますけれども、今のところそういうような状態でございます。  それで、申し上げたとおり、この高度化、高速化、国際接続の拡充ということは、三つあわせて非常に大事になってまいりますから、やはりこれからますますその充実に向けて取り組んでまいりたいというのが基本的なスタンスでございます。
  105. 福島豊

    福島分科員 国公立、また私立大学を結んでネットワークが既にありますということでございますが、私は一点追加してお聞きしておきたいのは、ネットワークがどの程度開かれているのかということが非常に大切なのではないかなというふうに思うんです。  これは通告しておりませんでしたが、日本のネットワークというのは、どちらかというと閉ざされていて、まさに大学の中にいる研究者の人しか使い勝手がよくないというふうに言われているわけですが、その点につきまして、文部省のお考えをお聞きしたいと思います。
  106. 林田英樹

    ○林田政府委員 先生御指摘のように、このようなネットワークが内容的にも充実し、スピード的にも高まり、かつまたいろいろな形で使っていただけるような形にしていくということは、私どもの大きな課題だと思っているわけでございます。  しかし、現在構築しておりますものにつきましては、とりあえず学会の内部におきまして、学会メンバーの中で、それぞれの研究活動をできるだけ相互で利用しやすいような形にしていくということを基本に、その面でできるだけ特化をした形で充実を図っていって、その将来につきましては、さらにいろいろな財源的なことですとか、外国との関係というようなことも含めまして、いろいろまだ研究しなければならないことがございますし、できるだけの幅広い流通が可能なように努力していくべき課題だとは思っておりますけれども、現在、とりあえずいろいろな財源的なこともございますので、重点的に目的を絞ったことを努力させていただいているという状況でございます。
  107. 福島豊

    福島分科員 積極的な取り組みをよろしくお願いいたします。  次に、図書館についてでございますが、図書館につきましても、最近は電子図書館というような言葉が言われるようになってきたわけでございます。図書館の図書目録、これがコンピューター化が進められておりますし、また、各地の図書館をネットワークで結んで、利用者がそれぞれの図書館に自由にアクセスできるような仕組みというようなことが提唱されておりますけれども、まだ現実にはそこまで至っておりません。現在、学術総合センターを中心として大学の図書館をネットワークで結んで、どんな図書があるのか、文献があるのかということが検索できるのにとどまっているようでございます。  これに比較しまして、アメリカの状況はどのような状況であるかといいますと、例えば、OLNC、オンライン・コンピューター・ライブラリー・センター、それからRLG、リサーチ・ライブラリーズ・グループ、WLN、ウェスタン・ライブラリー・ネットワーク等のネットワークによって、ほとんどすべての公立図書館、大学図書館、 大学に限られないわけですが、ほとんどすべての図書館が接続されて、どこに何があるのかということの検索が可能になっているというふうに伺っております。  また、一部では、既に電子的に文書を保存して、それをネットワークを通じて送信する、読み取ることができるというような試みもなされているようでございます。また、昨今では、CD-ROMを用いた電子ブックも普及してきておりますし、さらにこの電子図書館という視点での取り組みが大切なのではないかなと私は思います。  文部省でも参画しまして、パイロット電子図書館システム事業が推進されるというふうに伺っておりますが、現在の進捗状況並びに今後の取り組みの方針、どこまで持っていくのかというような点につきましてお聞かせいただきたいと思います。
  108. 草原克豪

    ○草原政府委員 パイロット電子図書館システム事業については、先生御承知のとおり、平成五年度から、通産省が国立国会図書館と協力して、電子図書館パイロットモデル事業として調査研究が進められているものでございます。  現在、実証的実験を行うための施設といたしまして、慶応大学の藤沢キャンパスに情報基盤センターが設置されております。このセンターを中心にいたしまして、全国に分散しています複数の図書館の書誌情報と所蔵情報を統合する総合目録ネットワーク実験、それから高度な情報検索や利用技術等の課題に取り組みます電子図書館実証実験を行っているところでございます。この総合目録ネットワークの構築実験には、国立国会図書館のほかに二十四の公立図書館が参加しております。  文部省といたしましては、この通産省の電子図書館システムの調査研究には当初から参画しているところでございますけれども、今後とも、公共図書館における図書館サービスの向上を図る、こういう観点から積極的に協力してまいりたいと考えております。
  109. 福島豊

    福島分科員 まだ実験段階で、いつごろ結果が出るのかという状況なんだろうと思うんですけれども、これは日進月歩でございまして、いつまでも実験段階にとどまっているということではなくて、現実に使えるものになるということが一番大切でございますので、ぜひとも推進のほどをよろしくお願いしたいと思います。  次に、学校教育のことについてお聞きしたいと思います。  コンピューター教育ということが種々言われるわけでございますが、その現状について、まず最初に御説明をいただきたいと思います。
  110. 遠山耕平

    遠山政府委員 学校におけるコンピューター教育の現状でございますが、小学校におきましては、コンピューター等に触れ、なれ親しませることを基本にしております。それから、中学校におきましては、数学にコンピューターの原理等に関する内容を取り入れておりますが、さらに技術・家庭科の新しい領域としまして、情報基礎を設けてございます。それから、高等学校におきましては、設置者の判断によりまして、普通科で情報に関する教科、科目を設けることができるようになっておりますし、それから、職業に関する教科では、新たに情報に関する科目を設ける形になっております。このように、小中高を通じて、教科等の学習指導に当たってコンピューター等の教育機器の活用を図ることも指導をしているところでございます。  それから、コンピューターの普及状況でございますが、パソコンでございますが、小学校では、一台以上ある学校が七七・七%、それから中学校では九九・四%でございます。それから、現在、小学校では二人に一台整備するということを目標にしておりますが、これに達している学校が一一・八%でございます。それから、中学校は一人一台ということを目標にしておりますが、これに達している学校が一四・三%、こんな状況でございます。
  111. 福島豊

    福島分科員 かつてと比べると飛躍的にコンピューター教育推進ということが行われているんだと、今の数字をお聞きして思いました。しかし、日本の情報産業、例えばソフトの開発ということを取り上げたときに、アメリカとは随分差があるんだというようなことが言われます。なかなか創造的なソフト開発能力を持った人間というのが出てこない。例えば、端的に言いますと、マイクロソフトのビル・ゲイツが日本で出現するんだろうかというようなことが言われるわけです。  二十一世紀の情報通信産業を制するのは、技術的なことももちろんでございますが、いかに創造的な力を持った人材をつくることができるのか、そこが非常に大切なんだろうと私は思います。そういう意味では、通産省の所管のことだけではなくて、文部省の所管であるところの教育という現場の中で、創造的な力を持った、また情報ということにおいて創造性を発揮することができる人材をつくらなければいけない、私はそのように思います。  ですから、そういうことを考えますと、ただ単にコンピューターが何台ありますという話だけにはとどまらないし、そしてまた、今教育課程の中で、例えばコンピューターにまず触れる、それから数学的な観点を教えるというふうな流れがありましたけれども、それが果たしてどれだけ現場でうまくいっているのか。言っては悪いですけれども、ファミコンはみんななれ親しんでいるわけでして、そういう感じになっているのかどうなのか。実際にコンピューター教育日本の現場でどの程度成果を上げているのか、これはお聞きしても評価がなかなか難しいかと思うんですけれども、そのような点につきまして、ちょっと御見解をお聞きしたいと思います。
  112. 遠山耕平

    遠山政府委員 コンピューター教育の現状でございますが、小学校で、先ほど申し上げましたように、コンピューターに触れるというようなことでございますので、具体的には、本の検索でございますとか、いろいろなデザインをするとか配色をするとか、そういうものに使っておりますし、それから星座の動きといいますか、そういうシミュレーションみたいなものに使っているわけでございます。  それから、中学校では、小学校の基礎の上に立って、技術・家庭科の中で、コンピューターの特徴を理解をして実際にその操作方法ですとかプログラミングにある程度なじむというようなことをやっているところでございまして、かなり私どもとしてはその成果が上がってきているのではないかというぐあいに思っております。  コンピューターを使うことによって学習活動の幅が広がり、また学習意欲が高まるということも実際にございますので、そういうことを通じて児童生徒の思考力が高まり、また想像力も広がっていくのではないかということを期待しているところでございます。  ただ、そういうぐあいにコンピューターを使った場合に、いいことだけではなくてやはり影の部分がございます。例えば直接体験が減るとか、あるいは自然体験が減るとか、あるいは人間同士の触れ合いが減るとか、そういうことがやはり必然的に出てくる可能性がございますので、そういう点にはよく注意をして情報教育というものを推進していく必要があろうかというぐあいに考えております。
  113. 福島豊

    福島分科員 そうしましたら次に、教育用のソフトウエアのことについてお聞きしたいと思います。  これは、教育用ソフトウエアの開発が実は余り進んでいないのだというような御指摘がございます。その理由は、市場が小さいのでつくっても余り収益が上がらない、ですから大手の企業も参入しないし、その結果として開発が進まないというような悪循環に陥っているのだというような御指摘があろうかと思います。  これに対して、学習ソフトウェア情報研究センターが自作ソフトの収集などを行っているというふうに伺っておりますけれども、現状はどのようでございましょうか。
  114. 草原克豪

    ○草原政府委員 財団法人学習ソフトウェア情報 研究センターにおきましては、昭和六十三年度から、学校教育機関及び教員等の協力によりまして教育ソフトウェアの収集などを行っているところでございます。平成七年三月現在で申しますと、これまでに収集しておりますソフトウエアの数は、学校教員などがみずからつくったものが八百五十五本ございます。それから、文部省が都道府県教育委員会等に委託して制作したものが百十六本、あわせて九百七十一本ございます。  また、これらのソフトを学校あるいは教育委員会に提供するという業務を行っておりまして、提供された学習ソフトウエアの数は、平成六年度の一年間で申しますと、一万一千七百八十六本という数字になっております。
  115. 福島豊

    福島分科員 大分たまってきたのかなということなのかもしれませんが、優秀な教育ソフトを開発するということは大変大きな財産だと思いますし、また開発のために大変コストがかかるということも事実だと思います。教員先生がみずからの時間を割いてつくっていただいたソフトが八割ぐらいを占めておるというような状況なのではないかと思いますが、文部省が積極的に支援をして、本当に創造的なソフトを開発するというようなことに取り組まれてもいいのではないかと思いますが、その点につきましていかがでしょうか。
  116. 遠山耕平

    遠山政府委員 先生御指摘のような観点から、文部省では、多様な教育活動に対応可能な良質の学習用ソフトウエアを供給することを目的としまして、教育関係者それから民間の情報処理技術者に参画をしてもらって研究開発グループをつくってもらいまして、そこに対して平成六年度から学習用ソフトウエアの研究開発を委託をしているところでございます。  本年度、平成七年度は十七グループに対しまして研究開発を委託をしておりますが、平成八年度にはこれを二十グループに拡大をして、五億円を委託費として組んでいるところでございます。これによりまして、学校でパソコンがより多く利用されるようになり、そのことがまた新しいソフトウエアの開発につながるということを期待しておるものでございます。
  117. 福島豊

    福島分科員 五億円という規模でございますから、一生懸命やっておられるのかなとも思いますが、よろしくお願いいたします。  また、関連しまして、ソフトをつくるときに結構お金がかかるのは、材料となる画像を集めることに結構お金がかかるというようなことも言われているわけでございます。この点について、こんな意見があります。NHKは膨大な画像データベースというものを持っているわけでございますが、その映像データベースというものを、教育用ということであれば決して収益を上げるということにはつながらないわけでございますので、自由に提供してはどうかというふうな意見があるわけでございます。この点につきまして、文部省の方から要請されたことがあるのか、また、所管の郵政省のお考えを続けてお聞きしたいと思います。
  118. 遠山耕平

    遠山政府委員 先生お話しのソフトの開発にはかなりお金と時間がかかるわけでございまして、プログラム、画像、音声等の分野は専門化をしておりますので、そこでプロジェクトチームを組んで実際にソフトをつくっていかなければならない状況でございます。  そのときに、画像を利用するということになりますと、著作権の使用料にかなりお金がかかりますので、それについてNHKさんあたりから教育用ということで映像のデータベースを提供していただけるならば大変検討に値すると思いますけれども、しかしながら、NHKの意向もございますし、それらを踏まえながら対応させていただきたいと思います。
  119. 伊東敏朗

    ○伊東説明員 NHKの放送番組あるいは素材の教育用などへの二次利用につきましては、これまでも、放送事業の成果を広く社会に還元することとなる意義を有するために、ビデオテープによる発行あるいは民間放送事業者、民放でございますが、そういうところへの提供、あるいは企業、団体などの研修のための提供などを行ってきております。  しかしながら、NHKが保有しております放送ソフトといいますのは、放送のために用いるということを前提に著作権等の権利処理を行っておりますので、放送以外の目的に使用する場合は、NHKが所有する権利はいいのですが、権利以外のものにつきましては改めて制作者等の権利処理が必要となってきます。したがいまして、私ども、その辺のコストにつきましては、やはりそれなりのものはいただかなければならないのかなというふうに現在は理解しておるところでございます。  なお、郵政省といたしまして、今後メディアの多様化が進むわけでございますので、多くの権利者との調整を図りながら映像ソフトの円滑な流通を図っていくということが非常に重要であるというふうに認識をしておりまして、現在も、放送番組素材利用促進事業の推進に関する臨時措置法というものに基づきまして、放送番組素材の収集、保管などの支援を実施しているところでございます。
  120. 福島豊

    福島分科員 私もNHKに受信料を払っておりますけれども、国民から広く受信料を集めておられるわけですので、ぜひとも公共的な利用ということにつきましては、コストもあろうかと思いますが、さらに突っ込んだ御議論を、御検討をしていただきたい、そのように要望いたします。  次に、生涯教育に関連してちょっとお聞きしたいと思います。  アメリカでは、通信衛星を利用した高等教育が行われております。例としましては、コロラド州にはNTUというのがあります。これはナショナル・テクノロジカル・ユニバーシティーということの略ですが、全米四十七大学が構成するコンソーシアムでありまして、十年前から二十四時間の授業を契約により、これは企業が中心だそうですが、企業四百五十社に配信しているということだそうでございます。また、NTUは、正式の大学として認可されておりまして、卒業生にはNTUの学位が与えられる。  この通信衛星を利用した高等教育ということが幅広く行われるようになりますと、生涯教育という観点から非常に大きなインパクトがあるのではないかというふうに私は思います。放送大学日本にありますけれども、衛星通信を利用したものではありませんし、また、学位の問題であるとか、受けてみてその結果を出すということも非常に大切だというふうに私思うのですが、この点につきまして文部省のお考えをお聞きしたいと思います。
  121. 草原克豪

    ○草原政府委員 今委員がおっしゃいましたように、アメリカのNTUは企業のみを対象にして、そして通信衛星によって四十七大学のプログラムを配信しているということでございます。このように、NTUは技術系の専門的な大学院レベルの教育機関として、限定された受講者を対象としているわけでありまして、その意味では広く国民高等教育の機会を提供しようとしている放送大学とは多少目的が異なっているようにも思われますけれども、しかし、NTUはアメリカにおける技術教育の分野での継続教育の提供を行う機関として重要な役割を果たしているのだろうと思われます。  放送大学の場合には、現在大きな課題は、関東地域の一部でしか今受信できないわけでありますけれども、これを全国どこでも衛星放送を使って受信できるようにしようという、いわゆる全国化の準備を進めているところでございます。今後こういった全国化の準備を進めるに当たって、NTUで行っているようないろいろなプログラム開発の手法等も学ぶべきところがあるだろうと思いますので、そういう点も参考にしてまいりたいと思っております。  また、生涯学習に向けての衛星通信活用ということに関しましては、私ども平成八年度に、各大学が行っている公開講座衛星通信でもって地方の公民館に配信するシステムの研究開発を行いたいと考えているところでございます。
  122. 福島豊

    福島分科員 積極的な取り組みをよろしくお願 いしたいと思います。  最後に、ちょっと話題が変わるのですが、一つだけお聞きしておきたいことがございます。それは、教育財形貯蓄制度についてでございます。  現在、学齢期にある子女を抱えております平均的サラリーマンの教育費はかなりの負担となっておりまして、大学に入学するという状態になりますと、親御さんにとっては大変頭の痛い問題でもあったりします。こうした教育資金は、多くの場合には貯金から出されるわけですね。七二・六%の場合がそうだというふうにお聞きしております。  今日、住宅型、年金型の財形貯蓄は利子が非課税となっておりますけれども、これと別枠で教育型の財形貯蓄を創設してはどうかと考えます。この点につきまして、文部省のお考えをお聞きしたいと思います。また、こういう声は今までたくさん国民から寄せられたのではないかと思いますが、今までの対応につきましても、よろしくお願いいたします。
  123. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 ただいま御指摘の父母の教育費負担が過大にならないように配慮するということは、文部省としても大変重要な施策だというように考えております。  そのために、文部省といたしましては、従来から育英奨学事業あるいは幼稚園就園奨励事業というような予算面での努力、それから特定扶養控除制度の拡充というような税制面での措置というようなことで対応してまいりました。また、各種共済組合等におきましては、教育貸し付けというような制度もございまして、いろいろな制度が組み合わさりながらこの問題に対応してきたわけでございます。ただいま先生から御提案になりました御提言も、教育費負担の軽減のための一つ施策として、私ども検討させていただきたいなというふうに思います。  これまでにも御提言が時々はございました。ただ、こういう役所間の、所管ということを言うのは何かと思いますけれども、実はこれ、私ども文部省関係ではないということもございまして、いろいろな各省調整の問題その他ございまして、今はまだ検討段階にあるということでございます。
  124. 福島豊

    福島分科員 長時間にわたりまして、大変ありがとうございました。さまざまな点を御質問しましたが、ぜひ一層の取り組みを心よりお願い申し上げます。  どうもありがとうございました。
  125. 細川律夫

    細川主査 これにて福島豊君の質疑は終了いたしました。  次に、松沢成文君。
  126. 松沢成文

    松沢分科員 新進党の松沢成文でございます。  どうも大臣、こんにちは。  先日の文教委員会でも一時間にわたり質問させていただきまして、先日は高校教育の自由化、多様化の問題についてお伺いしまして、きょうはちょっと第二弾ということで、大学教育の問題について、大臣並びに当局の皆さんの御所見をいただきたいと思っております。  日本大学についてはさまざまなところからさまざまな論評があるわけであります。過度な受験戦争、あれは弊害であるとか、あるいは試験制度がかなり頻繁に変わるということで混乱を来しているのではないかとか、あるいは中に入ってしまうと自動的に、入り口は難しいのだけれども、出口が易しいのでレジャーランド化しているのだろうとか、あるいは研究機能が、大学というのは教育する場でもあり、同時に研究もする場でありますけれども、日本大学は研究機能が弱いのではないかとか、いろいろなところでいろいろな御意見、御批判が今の日本大学教育についてあるわけです。  文部大臣は今の日本大学教育の問題点というのはどのように把握をされているか、その辺についてまず御所見をいただきたいと思います。
  127. 奥田幹生

    奥田国務大臣 いろいろありますけれども、私は二点に要約されるのではなかろうかと思います。  一つは、教育水準を高めますために、大学院充実という課題がございます。もう一つは、今聞きますと、大学と短期大学を含めまして進学率が、何でも四五・二%になっておるということのようなのですね。ということは、非常に国民のニーズも多様化していますから、いろいろな御要請にこたえられるような教育機関、多様な教育機関を図っていく必要があるのかなというようにも考えております。
  128. 松沢成文

    松沢分科員 ちょっと言葉をかえて質問しますと、大学というのは国の中の指導者、エリートという言葉はよくないけれども、指導者をつくるための、ある程度特別な人に行ってもらって、指導者教育をした方がいいという考え方と、高等教育を受けたい人にはもうできる限り行ってもらおうということで、大学をたくさんつくっていった方がいいという考え方、二つあると思うのですが、文部大臣はどちらの方でしょうか。
  129. 奥田幹生

    奥田国務大臣 それまでに高等学校への進学率がもうほとんど一〇〇に近い、九六くらいまでいっておりますね。そして、大学にはもうほとんど半分、二人に一人は入学するということの状況でございますから、先生が今おっしゃった、どちらだと言われれば、どっちも大事だと私は思いますね。
  130. 松沢成文

    松沢分科員 それなら、日本大学教育だけではなくて、これまで日本教育一つの弊害というのは画一化した教育内容であるということが言われていたのですが、先日の質問でも、高校教育の自由化、多様化ということについて質問させていただきました。  近年、文部省を中心に、大学教育の自由化、多様化というのですか、カリキュラムの、教育内容の問題、あるいは受験制度でもそのような傾向があるようですけれども、文部省大学教育の自由化、多様化についてどのような改革を試みてきたか、具体的にお聞かせいただきたいと思うのです。
  131. 雨宮忠

    雨宮政府委員 今先生お話しの多様化ということに関連するわけでございますけれども、大学審議会といたしまして、多様化を進めるための一つの大きな動きといたしまして、大学教育内容について極力一律的な規制を緩和しようということが議論されてきたわけでございます。  その結果といたしまして、平成三年でございますが、大学設置基準につきまして、いわゆる教育課程の大綱化ということで表現しておるわけでございますが、一般教育科目は何単位取らなければならない、あるいは専門教育科目は何単位取らなければならないという一律的な縛りをやめまして、大学四年間の教育課程の中で、もちろん教養教育も必要でございますが、教養教育、専門教育あわせまして、一貫の中で各大学の工夫が生かされるような仕掛けをするというような制度改正を行ったわけでございます。  それによりまして各大学で種々のカリキュラム改革が現実に行われているわけでございまして、その中には一般教育と専門教育の四年一貫ということもございますし、また教育課程を大綱化したということとも裏返しになるわけでございますが、文部省が直接教育内容について規制するというよりは、むしろそれぞれの大学の工夫に応じた努力が生かされるように、したがって、どういう工夫をするか、その工夫の結果がどういうものであるかということについてはそれぞれの大学が十分、これは自己点検・評価と言っておるわけでございますが、みずからの見識においてチェックするような仕組みをとるようにもなってきておるわけでございます。
  132. 松沢成文

    松沢分科員 少し論を進めたいと思うのですけれども、大変プライベートな質問で恐縮ですが、大臣国立大学出身ですか、それとも私立大学出身ですか。それと、もし私立大学出身であったら、どういう動機でその大学を志望したのか、またその大学に行ってよかったか。あるいは私立大学出身でしたら、学生のころ、あるいは現在でも結構ですが、国立大学というものをどういうふうに見ておられるか。その反対だったら逆の質問になる のですけれども、その辺、プライベートな質問ですが、ぜひとも御意見をいただきたい。
  133. 奥田幹生

    奥田国務大臣 まず後の方からお答えしますけれども、私学私学で建学の精神があって、それぞれユニークな学風をバックボーンにして教育をなさっていますね、中高大学いずれも。私はそれなりにいいと思う。国立も、やはり国が責任を持って、これから非常に難しい教育を要求されておりますが、責任を持って立派な人材を社会に送り出す責任を持っておるということで、国立大学の存在も私は非常に重視して、いいと思っております。私は、それは国立大学出身者だからそう言うのではございませんで、冒頭お尋ねのどちらかというと、私は私学、早稲田でございます。  どういう動機で入ったのかというお尋ねでありますが、それは、時代先生方とはもう一つ前の時代でございまして、私の場合には、昭和二十三年と二十四年、いわゆる今の教育大学、昔の師範学校京都で出まして、そうして二年間教員生活を送りました。京都府の教育委員会には私の免状がまだほこりをかぶって残っております。  二年間やりましたけれども、その教員を続けております間に友達から、学校先生も大事だけれども、新聞記者になったらいろいろ思ったことが書けるし、ある意味では世論をリードするようなことにも活躍できるからという、そういうお誘いがあって、ああそうかということで、ちょうど昭和二十五年に学制の改革がありまして、大学は新制に切りかわったのです。それで私の場合には、京都師範というのは昔の専門学校の扱いでございましたから、新制の三年生に編入させてもらえる。そういうことで三年に編入をいたしまして、そして二十七年の春に卒業した、こういうような経過をたどっておるわけです。
  134. 松沢成文

    松沢分科員 私も大臣と同じ、私学の出身なんです。恐らくこの部屋の中には国立大学出身の方が多いとは思うのですけれども。  今大臣は、私学には私学なりの建学精神があって、また一貫教育等特色ある教育をしていて、これまたよろしいと。また国立には、国が責任を持って運営し、しっかりした教育をする国立大学があってもよろしいのではないかという御見解だったのですけれども、具体的に今、国立大学私立大学、その大学教育内容において、国立はこういうのだ、私学はこういうのだというふうに、差異といいますか、大きな違いというのはあるのでしょうか。
  135. 雨宮忠

    雨宮政府委員 難しいお尋ねでございますが、少なくとも制度的な意味合いにおいて、例えば工学部という学部をとってみた場合に、国立大学の工学部も私立大学の工学部も、いずれの工学部で行われる教育内容についても制度的な扱いというのは共通なわけでございます。  ただし、同じ看板を掲げていたとしても、その具体の教育内容がどうであるかということになってきますと、おのずとそれぞれの個性というものが出てまいろうかと思うわけでございます。ただいまの大臣お話にもございましたように、私学の場合にはそれぞれの私学独自の教育の仕方というものが出てこようかと思うわけでございまして、制度的な扱いということが仮に同じであるとしても、具体の教育内容というものは種々出てこようかということが一つでございます。  それからもう一つは、全体の分野の組み立ての点でございますけれども、国立大学の場合には全体の五二%が医学あるいは理工系でございます。それに対しまして、私立の場合には六五%が人文・社会系であるという分野の性格の異なりがございます。  また、大学院教育ということをとりましても、大学院の在学者は現在十五万人ほどいるわけでございますけれども、そのうちの約十万近いところは国立大学大学院で担われているということもございますし、また、やや細かくなって恐縮でございますけれども、地域配置ということをとりましても、どうしても私立大学というのは三大都市圏、いわゆる東京、大阪、名古屋というところに七六%という大学が置かれており、一方で国立大学の場合には三大都市圏以外が六三%というような地域配置の違いも出ているわけでございます。  繰り返しになりますけれども、教育内容についての制度的な扱い云々ということとは別に、実態上のそういう違いというものがおのずと出てまいっておるわけでございます。
  136. 松沢成文

    松沢分科員 ちょっと参考までにお聞かせいただきたいのですけれども、文部省の中で国立大学出身者、特に一番官僚になる方が多い東大の出身者と――まず国立大学私立大学の出身者の割合、それと、国立大学の中でも東大出身者の割合というのはどれぐらいになっているか、データがあったらお示しいただきたい。
  137. 佐藤禎一

    ○佐藤(禎)政府委員 本日現在、文部本省に勤務をいたしております職員のうち、今日申しますいわゆるⅠ種の職員として採用された人の数の統計がございます。昭和三十八年度の採用者以降でございますが、合計四百九十八人ございます。このうち、国立大学の出身者は三百七十五人、公立大学の出身者が六人、私立大学の出身者が百十七人でございます。割合で申しますと、それぞれ七五・三%、一・二%及び二三・五%となっております。  また、このうちで東京大学の卒業生でございますけれども、百七十四人でございまして、割合としては三四・九%となっております。
  138. 松沢成文

    松沢分科員 日本という国は、明治以来、官主導型国家ということで国が引っ張られてきたように思うのですね。明治政府ができて、また戦後の高度経済成長の裏にも、優秀な官僚の皆さんが国を引っ張ってきた、そういう形があったと思うのです。そして、国立大学、特に東京大学の場合は、こういう優秀な官僚の皆さんを育てるエリート養成機関のような役割を果たしてきたと思うのです。  現在において、現在というのは、今までは官主導であった国も、今、さまざまな改革、行政改革、経済改革等によって、政府や官僚はできるだけ小さく、小さくと言ったら失礼ですけれども、最低限の役割を果たして、民間活力によって日本の国をより大きく引っ張っていこう、こういう時代の変遷があったと思うのです。こういう、時代が変わっている中での国立大学の存在意義といいますか、今までの官主導型国家のエリート養成機関としての国立大学というのは非常に大きな意義があったと思うのですが、民間活力、自由化、多様化時代の中における国立大学の存在意義というのはどの辺にあるとお考えでしょうか。
  139. 雨宮忠

    雨宮政府委員 国立大学につきまして、例えば先ほど来もお尋ねがあったわけでございますけれども、工科系の学部というものを持ちたいということがあるわけでございまして、現在、全国的に国立大学の工学部を持たないところが六県あるわけでございます。それらについてできるだけ解消を図りたいとそれぞれの地域からも要望があるわけでございます。  また、かつて、いわゆる無医大県の解消、各県に一つずつはなければならないというようなことで、いわゆる医師等の養成について計画的にやっていかなければならないということもあるわけでございまして、そういう、ある意味で国家的なと申しますか、国全体としてこういう種類の人材が必要なんだという、そういう要請にこたえてやっていく必要があるのではないか。それを私立大学にお任せするということも、それも可能ではあるかもしれませんけれども、しかし直接的ではないわけでございますし、それはある程度の国の責任としてやっていかなければなるまいなということが一つございます。  また、非常に高度な、こういう言葉は語弊があるかもしれませんけれども、通常の私学の経営体力といったところから考えますとなかなか難しいような、非常に高度の研究というようなものもあるわけでございまして、そういう先進的な科学技術と申しますか、高度な研究水準というものを保つ意味で、やはりこれもまた国として引っ張っていかなければならない、そういう要素もあるわけでございます。  また、先ほどややお尋ねを先回りして申し上げ たかとも思いますけれども、地域的な配置のバランスというようなことも、これまた私立大学のみにお願いするというわけにもまいらない点もあるわけでございます。  それやこれやの観点から、やはり国立大学というのは、私立大学と並んで我が国の中でそれなりの地位を占めるべきである、それぞれがそれぞれの特色を発揮して発展していくということが我が国高等教育全体の発展のためにいいことであるというように考えておるわけでございます。
  140. 松沢成文

    松沢分科員 今の説明を聞いていますと、先ほどの問いからお答えを総合すると、制度的には扱いは同じだ、ただ具体の教育内容については異なる部分もある、また、国立の場合は医学とか理工とか、私学が比較的弱い部分を一生懸命やっている、それからあと地域配分、私学だけに任せておくとなかなか地方のところなんかにも立地が難しくなる、こういう理由であったと思うのですけれども、例えば、私が本当に納得できるのは、やはり最後のところの地域配置ですね。  これはやはり、自由競争、私学だけに任せますと首都圏に集中してしまうでしょうし、また、地方でなかなか高等教育が受けられない。これを補うには、やはり国策として地域にも高等教育機関を置かなければいけないんだ。これはわかるのですけれども、その他の理由は、考え方によっては、全部私学にして、私学が頑張っていただければ解消できなくもないなと思えるのですね。  それで、教育内容が余り変わらないというのであれば、私学でもできる能力が今の日本私学にはあるし、また、高度な研究をやらなければいけないというのであれば、そういう研究に国が補助金を出してやっていくという方法も可能であるわけで、税金を使って、あくまでも国立大学でなければいけないんだという、何というか、万人を納得させる理由にはもはやならないのではないかなというふうに私は思うのですけれども、いかがでしょうか。
  141. 雨宮忠

    雨宮政府委員 私学におきましても経常費助成ということを行っておるわけでございます。また、経常費助成以外にも、特に大型の教育研究装置でありますとか、あるいは設備でありますとかいう事柄について補助をしているわけでございます。それらを通じまして、私立大学におきます教育研究水準、修学負担の軽減ということもございますけれども、教育研究水準の向上ということもあわせてねらっておるわけでございまして、私立大学におきます教育研究基盤の強化ということも、現在の予算の仕掛けを通じまして行っておるわけでございます。  一方におきまして、先ほど来の国立大学教育研究基盤の強化ということもまた、若干予算措置の仕掛けが違いますけれども、行っておるわけでございまして、それぞれの予算措置を通じましてそれぞれの教育研究基盤が発展するようにということをねらっておるわけでございますが、ただ、国立大学の場合には、先生御案内のように、国立大学を若干広目の概念にとるわけでございます。いわゆるビッグサイエンスと呼ばれておるような、例えば宇宙でありますとか、あるいは核融合でありますとか、かなりのコストのかかる研究というものもその傘下に抱えてやっておるわけでございまして、それらを私立大学の研究のサイドの方にお願いするというのはなかなか難しいような実態があるわけでございます。  繰り返しになるわけでございますが、それぞれ適切な方法によって振興を図るということが重要だと考えておるわけでございます。
  142. 松沢成文

    松沢分科員 文部省からの説明の資料では、ことしの国立大学の特別会計の予算というのが二・六兆円強ということになっておりました。これは特別会計になっていますが、この中に一般会計からの拠出金も、恐らく半分以上だと思うのですけれども、それが大体どれぐらいになっているのか。また、現在国立大学は九十八校ですか、ここに大体どれぐらいの職員、教員の方が今勤務されているのか、ちょっと具体的な数字をお聞かせいただきたいと思います。
  143. 雨宮忠

    雨宮政府委員 第一点のお尋ねでございますが、国立学校特別会計のうちの一般会計からの繰り入れの割合でございますが、八年度におきましては六〇・五%ということでございます。これは予算案ということでございますので、その予定でございます。ちなみに、七年度におきましては六二・〇%ということでございました。  それから、第二点目のお尋ねでございますが、全国立大学の教官、職員の総数ということでございます。最も最近の数字で、平成七年十二月三十一日現在という数字でございますが、教官が六万三千八百五十九人、その他の職員、その他の職員の中には事務官、技官、それから病院等に勤めます看護婦さんなどを含むわけでございますが、その他の職員が五万九千九百三十二人、合計いたしまして十二万三千七百九十一人でございます。
  144. 松沢成文

    松沢分科員 ことしの予算を編成するに当たっても二十二兆円ぐらい欠陥が出て、それを国債、また赤字国債まで発行して埋めなければいけないという大変な財政危機である中、また国のリストラというか、単なる財政問題だけじゃなくて、新しい時代対応できる政府をつくるという意味でも行財政改革というのが最大の国家課題になっているわけであります。  先ほど国立大学の存在意義というのはあるという御答弁でありましたけれども、もし今の国立大学学校法人化して国の直接の管轄から離れれば、こうした予算面あるいは人事面でも、国が抱えなくて新たな学校法人が抱えるわけですから、行財政改革の進展にかなり寄与するのではないかというふうに私は思うのですけれども、これは大臣、いかがでしょうか。
  145. 奥田幹生

    奥田国務大臣 先ほどからの先生お話を聞いておりますと、もう国立大学はやめにして、思い切った行革を進めて全部民営化したらどうですかというお話のように受けとめておるのですが、国立大学の必要性については冒頭申し上げたとおりであります。加えまして、余り御存じない方は、国立大学の費用は、東大と京都大学、これが九十八の中で半分以上金を使ってしまうから、この二つの横綱を倒したら残ったところへ割合潤沢に資金が回るよと言う方も一部にいらっしゃるのですよね。  しかし、それなら東京大学京都大学はどうなのか。たしか三年前であったと思いますが、有馬前総長に御案内いただいて、東京大学の何とかという実験物理の先生の研究室にお邪魔したことがあるのです。そうしましたら、普通の部屋で、研究室が狭いものですから中二階をこさえて、先生が記録をとられる机は中二階で、ずっと背を曲げて記録をしておられる。その下で東南アジアから留学しておる生徒が一生懸命フラスコを振ってやっておるというのがございました。  それから、京都大学でありますけれども、先ほど御質問されました大阪の福島先生京都大学の医学部に御勤務の経験があるように聞いておりますけれども、実は私は去年の一-二月は京都大学で治療を受けておりました。大学先生も病院の看護婦さんも非常に熱心で、そして勤務も気の毒なほどハード。朝八時に勤務が明ける、そうするとまた昼過ぎにもう一回出勤してこなくてはならぬようなダイヤになっているのですよね。あれでよく体がもつなというような感じを受けたのでありますけれども、そこでも非常に患者本位に大事にやっていただきまして、私は、国立大学それから国立大学の病院を含めまして非常に敬意を払っております。やはりこれからもずっと残って頑張ってほしい。  また、私学私学でいいところがあります。両方でいったらどうですか。ただ、むだな経費はいけませんから、これは私立てあっても国立てあっても、リストラはこれからも進めていかなければならぬとは思います。
  146. 松沢成文

    松沢分科員 御高説、納得する部分もあるのですけれども、逆に、国からお金をいただいているから自由な運営ができなくてかなり縛られるというのも事実なのですね。また、そこには、逆に言 えば競争がなくなってしまって、国立病院も国立大学もそうですけれども、赤字体質が出てしまうというのは、うまく経営しなくても、足りなくなれば国庫から助けてくれるという甘えもやはり少し出てきてしまうように思うのですね。  私は、何も京都大学や東京大学、全部なくしてしまえというのではなくて、名前はそのまま残せばいいけれども、その運営主体の中に、やはり私学と一緒に同じ土俵で競争していい大学をつくるという、競争するという発想がないと、今はブランドで、国立大学というのは東大も京大も行きたい人は多いわけでありますけれども、大学教育活性化になかなかつながっていかない部分もあるのではないかなというふうな思いがあっての提案であったわけであります。  この問題は、もっともっと勉強して奥の深い議論をしなければいけませんので、私もこれからよく勉強させていただいて、また機会があったら文部省皆さんなり大臣といいディベートをしたいと思いますので、よろしくお願いします。  どうもありがとうございました。
  147. 細川律夫

    細川主査 これにて松沢成文君の質疑は終了いたしました。  次に、藤田スミ君。
  148. 藤田スミ

    藤田分科員 私は、特殊教育学校施設整備の基準の問題についてお尋ねをしていきたいと思います。  特殊教育学校は、子供たち一人一人の障害の状態や能力に適正に応じる教育によって積極的に社会参加、自立をさせていく、そのためには多様な教育を可能にするように特段に配慮した施設教育内容が必要であるということはもう言うまでもありません。  ところで、これまで特殊教育学校施設は、幼小中高それぞれその学校施設整備指針に基づいて行われてきたわけですけれども、今回、特殊教育学校施設整備指針については特殊教育学校独自の整備指針を策定しようということで、学校施設整備指針策定に関する調査研究協力会議で検討が進められて、その報告に基づいてことし一月に、「盲学校、聾学校及び養護学校施設整備指針」というのが策定されました。  まず大臣にお伺いいたしますが、私も実はこれを読みこなしているわけではありませんけれども、一応読ませていただきました。本当に細かいところまで心配りをした内容のものになっているというふうに読んでいったわけです。  文部省としては、この指針に基づいて、これから盲学校も聾学校も養護学校施設はこういうふうにつくっていこうということで相当の意欲を持って取り組まれていくというふうに解釈したいわけですが、この点はいかがでしょうか。
  149. 奥田幹生

    奥田国務大臣 お話しの公立の盲学校、聾学校、そして養護学校、この施設整備につきましては、コンピューター教室分の面積加算、それから図書室分の面積の拡充、この二つにつきましては以前から文部省としても努力してきたところでございますが、今先生お話しの学校施設整備の指針、これに留意することは当然でございまして、補助基準面積に直接結びつくものではないという点については御理解を賜りたいわけでありますけれども、やはりその指針といいましょうか、方向に沿うような形で進めてまいりたい。  それから、その具体的な年次というようなことにつきましては、今まだ結論は出ておらない、検討中ということで御理解を賜りたいと思います。
  150. 藤田スミ

    藤田分科員 要するに、せっかく出たこの整備指針については、これに十分留意するのは当たり前のことであって、これが出たから設置基準も改定するというふうにストレートにはつながっていかないけれども、そういう方向で努力をしていこうということなのだというふうに受けとめさせていただきました。  話を続けたいと思います。  私も、これは当然のことでありまして、実効あるものにするために文部省がこれから努力をしていく、そういうことを特に求めておきたい、設置基準の改定など求めていきたいと思うのです。
  151. 小林敬治

    ○小林(敬)政府委員 ただいま大臣からお話があったとおりでございますけれども、私どもの考え方を整理して申し上げますと、今般の整備指針というのは、盲、聾、養護学校学校建築を行う場合の留意点をさまざま取り上げたものでございます。したがいまして、先ほど大臣から申し上げましたように、それが即その国庫負担に反映するというふうな性格ではないわけでございますが、文部省といたしましては、かねがね、先ほど大臣が申し上げましたように、その都度その必要性に応じまして資格面積等を増加してまいったわけでございます。  そして、ちょうど新しい学習指導要領がこれからうまく実施されるように、小中学校も含めましてこの建物の関係を、専門家も交えまして今調査研究をやっておりますので、その際には今回出ました学校施設整備指針の留意点等も加味をした新しいものに更新をしていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  152. 藤田スミ

    藤田分科員 事務当局に聞いたら、そういうふうに回りくどい回りくどい言い方で、何を言っていらっしゃるのかさっぱりわからない。本当なんですよ。そんなの、留意点に着目をして大いに進めてほしいというならば、それをバックアップしていくのは当たり前、方針、指針ですから、手引、方針ということですから。それに基づいて文部省が精力的に設置基準なども見直しをかけていくというのは、これは当たり前のことですよ。しかも、この指針の中には、例えば、保育室についても「適切な規模、構成を持つ空間とすること。」とか、あるいはまた聾学校の養護・訓練関係諸室のところも、一々に十分な空間と面積を確保することと、随所にそういうものが出てくるわけです。  したがって、この方針を本当に生かしていこうと思ったら、やはりそういう立場で取り組んでいくと率直に構えていかなければ事は進まないわけでありまして、そこで、私は一つ具体的な例を挙げながら、今この文部省設置基準がいかに大変なものかということを質問していきたいというふうに思うのです。  実は、私、先日大阪府立生野聾学校を見に行ってまいりました。府立生野聾学校は、学校に接する市道の拡幅工事のために今回全面改築するということになりまして、平成八年度から基本設計に入ってまいります。当校のPTAや教職員は、将来の改築に当たっては、建物そのものが時代要請にこたえ将来の聴覚障害児の教育を豊かに進めていけるにふさわしいものになるようにという立場から、今学校の建物国庫補助の基準についてもぜひ抜本的に見直してほしいということを求めているところであります。  ところで、私その幼稚部のところに行って、幼稚部の施設にまず入りまして、本当にもう一言で言えばその狭さに驚いてしまいました。とにかく教室が足らない、だから廊下に滑り台や自然観察、行ったときにはカメを冬眠させているとかいって水槽を置いていましたけれども、そういう教材などが所狭しと並べられ、しかも聾の子供にとってはかけがえのない大事なものである図書の棚もずっと廊下に並べられ、廊下ですから暖房もありませんで、子供たちは真冬なのに冷たい風が吹いてくる冷たい廊下に座って絵本を見ている。しかも、幼稚園では考えられないことですが、三歳児の子供が三階の教室を使って、そこにはトイレもこれまでなかった。だから、階段上がったところのフロアに仮設トイレを今置いて、いや、全くもう見るも涙です。そして、中学部の教室も今二部屋幼稚部は借りているわけであります。  ところが、その当校の幼稚部の使用している面積は千四百三十五平米、現在の文部省の基準では五百七十五平米。大臣、私が今十分リアルに表現できていないと思いますが、とにかく見てきたら、何だこれはと言いたくなるような所狭しの幼稚部の面積が千四百三十五平米、ところが文部省の基準では五百七十五平米。これはもう話になりません。校長先生は、私が行くと、障害の早期発見、早期対応、これが何より大事だと、幼稚部の大事さをもうるる説得されたわけです。しかし、 行った現場は、その校長先生たちの幼児の教育にかける期待とはもうおよそふさわしくない姿になっていることに驚きました。  指針では、「幼稚部の保育室は、遊戯室その他の保育空間及びテラスや園庭との連携を十分検討し、適切な規模、構成を持つ空間とする」というふうになっています。私は、そういうためにも幼稚部の国庫補助基準は早急に改正しなければならないというふうに考えます。いかがですか。
  153. 小林敬治

    ○小林(敬)政府委員 ただいま幼稚部のお話を承りましたけれども、全国的に見れば広いところ、狭いところあるのでしょうが、一般論として申し上げますと、幼稚部を設置する場合には小中学部と併設をしているケースが多いわけでございます。そして、全体の中でその機能が確保できるようにという配慮がなされているために、幼稚部だけを取り上げるとかなり極端に狭いというようなケースも出てこようかと思っております。  それで、実は、この幼稚部につきましてはその基準がたしか昭和三十一年にできたものだというふうに承知をいたしておりまして、かなり時が過ぎております。私どももその点につきましては、先ほど申し上げましたように専門家を含めた調査研究会議におきまして新しい基準といったものを目指してこれから検討をしていこうというところでございます。
  154. 藤田スミ

    藤田分科員 小中併設だから幼のみ取り上げると極端に狭いものに見えるだろう、そういうふうにおっしゃいましたけれども、そこがまたちょっと違うわけですよ。  盲、聾学校義務教育の小学部、中学部も、設置基準面積は十分ではありません。したがって今各所から要望が出ていると思いますが、とりわけ、一般校の場合は小中それぞれ違った基準に基づいて必要面積が算定されるわけですが、盲、聾学校は小学部、中学部、一つの基準にしているわけです。そのために幼も含めて全体が大変手狭なものになっている。  それから、運動場一つにしても中学校と併設している。私は決して併設が悪いということを言っているのじゃありませんよ。しかし、併設をしているがために運動場も、このごろみんなサッカーとかなんとかで激しくなっていますから、やはり幼児などは非常にそういう点では危険を感ずることがある。これはお母さんが言うわけです。  そういうこともあるわけですから、とりわけ、今言いましたように小中通じて一つの基準でしているために大変手狭なのです。必要な特別教室の種類や数も違いますから、一般校で小中の基準に差をつけているのは当たり前ですが、ならば私は、聾学校なんかもそういうふうに小中の違いというものをきちっとつけていくべきではないかと思うわけですが、いかがでしょうか。
  155. 小林敬治

    ○小林(敬)政府委員 御指摘の点でございますが、一般の小中学校というのはほとんど併設の例がございません。併設には併設のメリットもございまして、共有していける部分というのが必ず出てまいります。そういうふうなことがあって、あるいはそういうファクターを加味すると全体として狭くなるではないかという御指摘かと思いますが、これからこの新しい基準を検討していく際には、それぞれ新しい教育の中身が円滑に実施できるように、また御指摘がありましたが、危険がないように、こういったふうな配慮は当然なされていくものと考えております。
  156. 藤田スミ

    藤田分科員 もう少し聞いてみてください。全体の面積が結局一つにつながっているために、私はそのつなげていることを、何度も言いますが、小学部、幼稚部あるいは中学部が一つの敷地内にある、そして共有する部分もある、それがけしからぬなんていうことは絶対に言っていません。そういうことを言っているのではないのです。設置基準の問題で言っているのです。それが今実は、皆さんが何とおっしゃろうと全体の面積を狭めてしまっています。  これはほんの一例ですが、養護学校、聾学校に行きましたら、保健室に行ってみたら、それは保健室へ押しかけてくるのは、けがの応急処置だとかあるいは子供たちの一々の身体検査だとかあるいは休養に来る、そういうふうなものにふさわしい空間、あるいはお医者さんなんかがいらっしゃったときに控室なんかでお待ちをいただく、そういうところがあるのか、そんなもの何にもないのです。そして、もう暗くて狭くて昼間から電気つけっ放しで、そして養護教諭の事務机とそのすぐ後ろにベッドが一つ置かれておりまして、そこに所狭しと戸棚とか体重計などが押し込められておりまして、私たちが入っていって大人五人が立っていればもうあと空間がないというようなそんな状態に、つまりここにしわ寄せが行っているというふうに思います。  それからまた、厨房、調理室も教室と隣接しておりまして、昼どきになったらそこから来るおいしいにおいが授業を妨害してしまっているわけです。保護者の控室は、生野聾学校では職員の休息室がそれに充てられています。したがって、先生方には休息室はありません。しかも、保護者皆さんは大変窮屈です。  こういうことを挙げれば切りがありませんが、例えば聴力検査室も普通の教室の三分の一ぐらいかなと思われるような狭いところにいろいろな機器が置かれている。特別教室はもう小中で取り合いになっている。ところが、この幼小中全体の面積と、私が今狭い狭いと言ったこの面積と文部省の今の基準を見ると、生野聾学校の方が八百平米広いのです、基準より。広いのです。  だから、結局、もう本当に早く手直ししていかなければ、一体これって何なの、指針って一体何なのということになるわけでありまして、せっかくの指針が絵にかいたもちにならないように、私は、ひとつ大臣の任期中に何としても大きな一つの実績をつくっていただきたいなというふうに期待をいたしますが、大臣の御答弁を求めたいと思います。
  157. 奥田幹生

    奥田国務大臣 私の任期中というお話で、私の任期というのはどうも、橋本総理に任命されたのですが、これは非常に不確定でございますが。  それと、今の基準。基準は文部省が決めておりますが、設置者はこれはノックさんですか、これはどうなるのかなということもありますが、やはり技術的なことを、先生が大変だという御指摘は私もああそんなものかなという感じがいたしましたけれども、大阪の設置者の方とも一遍実態がどうなのか、それから、文部省の今の小林局長が担当されておりますので、基準が今の数字ではとてもあすからの利用者が辛抱いただけないような数字になっているのかどうかもよく調べてみないと、はっきりしたお答えをここでできないことはひとつ申しわけない、御理解賜りたいと思います。
  158. 藤田スミ

    藤田分科員 私もそれはわからないわけではありませんし、府立の場合は学校設置者である知事たる方がその裁量で進めていかれるものだということは知っているつもりです。そして現実には、全国のこういう盲、聾、養護学校は独自の取り組みで努力をして、そして大阪でも百舌鳥の聾学校、大阪府立のもう一つの百舌鳥にある聾学校ですが、ここなどは本当にすぐれた施設になっておりますから、そういうことを知っての上で申し上げているわけであります。  しかし、余り人様にも言いたくなくなるような、余りにも現在の実態とも合わない、まして新しい指針が出たのに、その指針を実現するには夢のまた夢という基準ではどうにもならないじゃないかという立場で申し上げておりますので、その辺は御理解をいただきたい。  そして、いろいろ財政当局との制約もあると思いますけれども、せっかくの指針が出たときに一つの弾みをつけて、さっきから検討委員会で検討しているということでしたけれども、しかし、その検討委員会の検討を経て新しい基準をつくっていくのだと私も思いますが、そういう道筋ではあっても、やはりそういうことに対する意欲を積極的に見せていただきたいということで申し上げておりますので、大臣、そこはおわかりいただけたと思いますが、いかがですか。
  159. 奥田幹生

    奥田国務大臣 先生の非常に熱心な思い、これは私も十分わかつたつもりでございます。さらにまた勉強させていただきます。
  160. 藤田スミ

    藤田分科員 この問題の最後に、私は生野聾学校の例をしきりに引いたわけですが、先ほども述べましたように、生野聾学校では近々全面改築に向けての計画をもとに打ち出していくわけですけれども、既にPTAや教職員皆さんがもう新しい校舎に向けての期待を込めていろいろな要望を提出しているところであります。  この指針を読みましたら、今後計画を具体化するに当たっては、「計画プロセスの重視」ということを書いておりまして、要するに、企画や基本計画・設計の各段階において十分な期間を確保しながら、関係者の間でさまざまな要請対応しながら特色ある学校施設を計画すること、そして、企画の段階から十分関係者の意見を聞いて理解と合意の形成を図ることというふうに書かれております。  私は、このことは非常に大事なことだと思う。したがって、こういう立場で十分現場関係者の意見を聞いて、プロセスの重視という立場で府教委の方にも指導していただきたいというふうに考えるわけですが、簡単にお答えください。
  161. 小林敬治

    ○小林(敬)政府委員 ただいまの先生の御指摘は、指針の第二の3の(3)のところにあります「関係者の共通理解を得た計画的な整備の実施」というところで、①に「関係者の間で、企画の段階から十分な意見交換の場と機会を設けて、理解と合意の形成に努めること。」と書いてあることにお触れになったかと思います。  私どもといたしましても、従来から、公立学校整備に当たりましては同様の考え方で教育委員会に対し指導してまいったところでございますが、今回の施設整備指針策定を機に、さらに指導をしてまいりたいと思います。
  162. 藤田スミ

    藤田分科員 最後に、もう一つの問題、養護教諭の問題についてお尋ねをいたします。  登校拒否、不登校の子供たちは年々ふえ続け、小中学校でついに七万五千人にも達しました。学校へ行かない、行けない子供がこのように急激に増加する傾向は、すべての子供たちを人間として、主権者として育てていくという公教育の任務が事実上崩されかねないほどの深刻な問題であります。  言うまでもなく、登校拒否、不登校問題は、競争社会と学歴社会への警告だというふうに考えます。その点では、それを進めてきた文部省責任は避けることはできません。登校拒否、不登校問題を解決するためには、登校拒否を引き起こすさまざまな要因を可能なところから一つ一つ取り除いていくとともに、何よりもまず、学校に人間的温かさを取り戻すこと、安心して相談できる場をつくることが必要であります。  大変限られた時間になりましたので、限って質問をいたします。  登校拒否、不登校の子供たちの中には、保健室登校が可能な子供がいます。教室には足を向けないけれども、保健室には行ける。心のつまずきを持つ生徒とのかかわりは、保健室の重要な仕事の一つになってきております。子供の心の健康を受けとめてくれる養護教諭の役割が大きいにもかかわらず、その配置は、三学級から二十九学級でたった一人、三十学級を超える大規模校に複数配置二人という状況であります。これは、現在、大阪で見ましたら、複数配置できる学校はたったの四校しか該当しません。全国では一体幾つになりますか。  本来の養護教諭の職務を遂行する上からも、私たちは、全校必置を前提に、養護教諭を児童生徒三百人ごとに一人配置するといった抜本的な配置基準の見直しと養護教諭の増員を行うべきだと考えています。そして保健室は、現在のような大部屋のほかに、ドアのある小部屋、相談室もつくっていくなど、構造上も配慮するべきだと考えます。  新聞の報道によりますと、昨日大臣は全国養護教諭会議というのに参加をされまして、そして「深刻化するいじめ問題の解決では、校内のキーパーソンである養護教諭の役割にとりわけ期待している」と大変養護教諭を励ましていただいたわけでありますけれども、私は、この点についての大臣の御所見をお伺いしたいわけであります。
  163. 奥田幹生

    奥田国務大臣 冒頭先生が、これだけ学歴社会になった、もう一つ何とか社会とおっしゃいましたね、これを文部省責任だと決めつけられましたが、私はそのようには思っておりません。登校拒否でありますとかいじめの多発、これはやはり、子供というのは家庭学校地域社会、そのいずれかで育って暮らしているわけでございますから、その三つが健全に機能しておれば、いじめ問題は起きないと私は思います。  しかし、教育基本法、学校教育法、それを受けての学習指導要領、これは文部省がいろいろな方の意見を聞いて決めて、それに基づいて現場の学校子供教育していただいておるわけでございますから、いい教育、正しい教育、明るい教育ができるような環境づくりのお手伝い、これはやっていかなければならぬ。文部省は、そういう立場の役所だと思っておるわけです。  それに加えて、今お話しの養護教諭の数の問題でございましたが、三十学級以上の学校には複数配置、これは、現行の制度が三十学級の配置ということで進めておる過程にまだありますので、それの確実な実施をまず図りたいと思っております。それから、今子供の数がだんだん減ってきておるような傾向にございますので、それを、数字がどういうようになるかなということも注目をしておるような状態でございます。  ただ、子供の真っすぐな教育の点からいいますと、やはり主役はクラス担任、学級担任の先生が主役で、最近は非常にいろいろなことで忙しくてなかなか手が回らないというお話も聞きますので、養護教諭の、本当なら包帯で治療していただく先生にもお手伝いを願って、子供の心の治療の面でも応援をいただく、こういうスタンスで私どもはきのうもお願いをさせていただいた。きのうの会議というのは、先生方も悩んでおられる部分もございまして、非常に熱心に、充実した会合でよかったと感謝しております。
  164. 小林敬治

    ○小林(敬)政府委員 先ほど先生お話の中で、大阪府下に複数配置が四校しかないということがございました。私ども、全国的に見ましても、一つには過大校が分離をしたということもございますし、少子化が進んだということもございまして、当初見込みよりもさらに過大校が急速に減ってきたという事情がございます。そういうわけでございまして、平成七年五月一日現在の三十学級以上の学校数が四百十二校にまで減ってしまうた。私どもの当初の予定では五百四十二校はあるであろうというふうに考えておったわけでございます。  ただいま、もう少し養護教諭の数をふやしたらどうかというお話でございますが、先ほど大臣がおっしゃいましたように、現在、養護教諭の増員を含めた第六次の計画が進行中でございますので、私どもは、この改善計画を着実に推進してまいることを第一に考えたいと思っております。
  165. 藤田スミ

    藤田分科員 時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、大臣いじめ問題に対する認識は改めなければならない。教育責任を持つべき長たる文部大臣の御発言にしては余りにも、私は、それは本当に残念だということだけは申し上げ、今後養護教諭の増員のために、過大校も減ってきているわけですから、基準の見直しを求めて、終わりたいと思います。ありがとうございます。
  166. 細川律夫

    細川主査 これにて藤田スミ君の質疑は終了いたしました。  次回は、明三月一日午前十時より開会し、自治省所管及び文部省所管について審査を行うことといたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後二時五十九分散会