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1996-02-29 第136回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会平成八年二月二十七日(火曜日)委員 会において、設置することに決した。 二月二十八日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       志賀  節君    深谷 隆司君       武藤 嘉文君    石井 啓一君       野田  毅君    上原 康助君       松本 善明君 二月二十八日  深谷隆司君が委員長指名で、主査選任され  た。 ――――――――――――――――――――― 平成八年二月二十九日(木曜日)     午前十時三分開議 出席分科員   主 査 深谷 隆司君       小杉  隆君    志賀  節君       武藤 嘉文君    石井 啓一君       佐藤 茂樹君    野田  毅君       桝屋 敬悟君    山本  拓君       上原 康助君    岩佐 恵美君       古堅 実吉君    松本 善明君    兼務 川島  實君 兼務 吉田  治君    兼務 秋葉 忠利君 兼務 前原 誠司君  出席国務大臣         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 梶山 静六君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   倉田 寛之君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 中西 績介君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)      岡部 三郎君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 臼井日出男君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      中川 秀直君  出席政府委員         内閣参事官         兼内閣総理大臣         官房会計課長  吉井 一弥君         内閣法制局第一         部長      秋山  收君         人事院総裁   弥富啓之助君         内閣総理大臣官         房審議官    平野 治生君         警察庁長官官房         長       菅沼 清高君         警察庁生活安全         局長      中田 恒夫君         警察庁刑事局長 野田  健君         警察庁交通局長 田中 節夫君         宮内庁次長   森  幸男君         皇室経済主管  角田 素文君         総務庁長官官房         長房      河野  昭君         北海道開発庁総         務監理官    松川 隆志君         防衛政務次官  中島洋次郎君         防衛庁参事官  小池 寛治君         防衛庁防衛局長 秋山 昌廣君         防衛庁教育訓練         局長      粟  威之君         防衛施設庁長官 諸冨 増夫君         防衛施設庁施設         部長      小澤  毅君         科学技術庁長官         官房長     工藤 尚武君         科学技術庁原子         力局長     岡崎 俊雄君         科学技術庁原子         力安全局長   宮林 正恭君         沖縄開発庁総務         局長      嘉手川 勇君  分科員外出席者         衆議院事務総長 谷  福丸君         参議院事務総長 黒澤 隆雄君         裁判官弾劾裁判         所事務局長   中川 俊彦君         裁判官訴追委員         会事務局長   舟橋 定之君         国立国会図書館         長       緒方信一郎君         公正取引委員会         事務局官房庶務         課長      伊東 章二君         総務庁長官官房         会計課長    福永  保君         防衛庁経理局会         計課長     武田 宗高君         防衛施設庁総務         部会計課長   石井 道夫君         科学技術庁長官         官房会計課長  今村  努君         環境庁水質保全         局企画課調査官 八木 美雄君         沖縄開発庁総務         局会計課長   正田 隆基君         外務省総合外交         政策局安全保障         政策課長    門司健次郎君         外務省総合外交         政策局軍備管理         軍縮課長    高松  明君         大蔵省主計局主         計官      長尾 和彦君         大蔵省主計局主         計官      佐藤 隆文君         資源エネルギー         庁長官官房原子         力産業課長   伊沢  正君         会計検査院事務         総長      安部  彪君         最高裁判所事務         総長      金谷 利広君         地方行政委員会         調査室長    黒沢  宥君         安全保障委員会         調査室長    下尾 晃正君         科学技術委員会         調査室長    吉村 晴光君         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ――――――――――――― 分科員の異動 二月二十九日  辞任         補欠選任   武藤 嘉文君     小杉  隆君   石井 啓一君     桝屋 敬悟君   松本 善明君     正森 成二君 同日  辞任         補欠選任   小杉  隆君     武藤 嘉文君   桝屋 敬悟君     山本  拓君   正森 成二君     山原健二郎君 同日  辞任         補欠選任   山本  拓君     佐藤 茂樹君   山原健二郎君     吉井 英勝君 同日  辞任         補欠選任   佐藤 茂樹君     石井 啓一君   吉井 英勝君     山原健二郎君 同日  辞任         補欠選任   山原健二郎君     岩佐 恵美君 同日  辞任         補欠選任   岩佐 恵美君     古堅 実吉君 同日  辞任         補欠選任   古堅 実吉君     松本 善明君 同日  第二分科員前原誠司君、第三分科員川島實君、  吉田治君及び第六分科員秋葉忠利君が本分科兼  務となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  平成八年度一般会計予算  平成八年度特別会計予算  平成八年度政府関係機関予算  〔皇室費国会裁判所会計検査院内閣及  び総理府所管経済企画庁環境庁国土庁を  除く)〕      ――――◇―――――
  2. 深谷隆司

    深谷主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。  本分科会は、皇室費国会裁判所会計検査院内閣及総理府並びに他の分科会所管以外の事項、なお、総理府につきましては経済企画庁環境庁及び国土庁を除く所管についての審査を行うことになっております。  平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算及び平成八年度政府関係機関予算皇室費について審査を進めます。  政府から説明を聴取いたします。森宮内庁次長
  3. 森幸男

    森政府委員 平成八年度における皇室費歳出予算について、その概要を御説明いたします。  皇室費平成八年度における歳出予算要求額は六十三億八千百四万三千円でありまして、これを前年度当初予算額五十八億三千十一万九千円と比較いたしますと、五億五千九十二万四千円の増加となっております。  皇室費歳出予算計上いたしましたものは、内廷に必要な経費宮廷に必要な経費及び皇族に必要な経費であります。  以下、予定経費要求書の順に従って事項別に申し述べますと、内廷に必要な経費三億二千四百万円、宮廷に必要な経費五十七億五千五十一万八千円、皇族に必要な経費三億六百五十二万五千円であります。  次に、その概要を御説明いたします。  内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項の規定に基づき、同法施行法第七条に規定する定額計上することになっておりますが、前年度に比較して三千四百万円の増加となっております。これは、内廷費定額二億九千万円を平成八年度においては三億二千四百万円に増額改定することを予定していることによるものでありまして、これに伴う皇室経済法施行法の一部を改正する法律案は、今次国会に提出いたし、御審議を願うことになっております。  宮廷に必要な経費は、内廷費以外の宮廷に必要な経費計上したものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費六億二千九百八十三万三千円、皇室用財産維持管理等に必要な経費五十一億二千六十八万五千円でありまして、前年度に比較して五億九百八十五万四千円の増加となっております。  皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項の規定に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上することになっておりますが、前年度に比較して七百七万円の増加となっております。これは、内廷費と同様に、年額算定基礎となる定額二千七百十万円を平成八年度においては三千五十万円に増額改定することを予定していることによるものでありまして、これに伴う皇室経済法施行法の一部を改正する法律案は、今次国会に提出いたし、御審議を願うことになっております。  以上をもちまして平成八年度皇室費歳出予算計上額説明を終わります。  よろしく御審議くださるようお願いいたします。
  4. 深谷隆司

    深谷主査 以上で説明は終わりました。  別に質疑申し出もありませんので、皇室費については終了いたしました。     ―――――――――――――
  5. 深谷隆司

    深谷主査 次に、国会所管について審査を進めます。  まず、衆議院関係予算説明を聴取いたします。谷衆議院事務総長
  6. 谷福丸

    谷事務総長 平成八年度衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成八年度国会所管衆議院関係歳出予算要求額は六百八十五億四千七百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、九億七千六百万円余の増加となっております。  次に、その概略を御説明申し上げますと、第一は、国会運営に必要な経費でありまして、六百四十七億五千七百万円余を計上いたしております。  この経費は、議員関係の諸経費職員人件費並びに事務局及び法制局事務処理するために必要な経費でありまして、前年度に比し二十五億千二百万円余の増加となっておりますが、その主なものは、議員歳費議員鉄道乗車証等利用に係る経費及び国会会議録フルテキストデータベース構築等立法情報システム関係経費等増加によるものであります。  第二は、本院の施設整備に必要な経費といたしまして、三十七億八千三百万円余を計上いたしております。  この主なものは、平成九年度完成を目途とする第二別館の増築費憲法五十年憲政記念館記念ホール整備費国会審議テレビ中継設備整備費及び本館等庁舎の諸整備に要する経費並びに国会周辺等整備に必要な土地購入費でございます。  第三は、国会予備金に必要な経費といたしまして、前年度同額の七百万円を計上いたしております。  以上、簡単でありますが、衆議院関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  7. 深谷隆司

    深谷主査 次に、参議院関係予算説明を聴取いたします。黒澤参議院事務総長
  8. 黒澤隆雄

    黒澤参議院事務総長 平成八年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成八年度国会所管参議院関係歳出予算要求額は三百九十三億七千五百万円余でありまして、これを前年度と比較いたしますと、十三億六千六百万円余の減額となっております。  これは、前年度に計上いたしました第十七回参議院議員通常選挙に伴う改選関係経費減額したこと等によるものでございます。  次に、その概略を御説明申し上げます。  第一は、国会運営に必要な経費、すなわち議員関係の諸経費職員人件費及び事務費等でありまして、三百七十四億二千万円余を計上いたしておりますが、国会会議録フルテキストデータベース構築に必要な経費計上を初め、議員活動を支援するための業務機械化経費調査機能拡充強化経費等につきまして増額いたしております。  第二は、参議院施設整備に必要な経費でありまして、十九億四千九百万円余を計上いたしております。これは、公共投資重点化枠による情報メディア対応施設整備並びに国会審議テレビ中継設備整備及び本館その他庁舎等施設整備に要する経費でございます。  第三は、国会予備金に必要な経費でありまして、前年度と同額の五百万円を計上いたしております。  以上、平成八年度参議院関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  9. 深谷隆司

  10. 緒方信一郎

    緒方国立国会図書館長 平成八年度国立国会図書館関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成八年度国会所管国立国会図書館関係歳出予算要求額は百六十七億五千七百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、五億三千六百万円余の増額となっております。  次に、その概要を御説明申し上げます。  第一は、管理運営に必要な経費であります。その総額は百三十五億三百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、五億八千百万円余の増額となっておりますが、これは主として関西館建設準備経費図書館業務機械化国会会議録フルテキストデータベース構築等国会サービス充実のための経費図書館資料収集のための経費等についての増額及び退職手当等人件費増加に伴うものであります。  第二は、科学技術関係資料購入に必要な経費でありまして、五億六千三百万円余を計上いたしております。これを前年度予算額と比較いたしますと、二千五百万円余の増額となっております。  第三は、施設整備に必要な経費でありまして、二十六億八千九百万円余を計上いたしております。これは、本館改修に要する経費関西館基本設計及び用地の取得に要する経費支部上野図書館庁舎改修経費等でありまして、前年度予算額と比較いたしますと、七千万円余の減額となります。  以上、国立国会図書館関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  11. 深谷隆司

  12. 中川俊彦

    中川裁判官弾劾裁判所参事 平成八年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成八年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係歳出予算要求額は一億二千百九十万円余でありまして、これを前年度予算額一億一千八百一万円余に比較いたしますと、三百八十八万円余の増加となっております。  この要求額は、裁判官弾劾裁判所における裁判長職務雑費委員旅費及び事務局職員給与に関する経費その他の事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官弾劾裁判に直接必要な旅費庁費でありまして、前年度に比し増加となっておりますのは、職員給与関係経費等増加によるものであります。  以上、簡単でありますが、裁判官弾劾裁判所関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  13. 深谷隆司

  14. 舟橋定之

    舟橋裁判官訴追委員会参事 平成八年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成八年度国会所管裁判官訴追委員会関係歳出予算要求額は一億三千五百二万円余でありまして、これを前年度予算額一億二千八百十二万円余に比較いたしますと、六百九十万円余の増加となっております。  この要求額は、裁判官訴追委員会における委員長職務雑費及び事務局職員給与に関する経費並びに訴追事案審査に要する旅費その他の事務費でありまして、前年度に比し増加となっておりますのは、職員給与関係経費等増加によるものであります。  以上、簡単でありますが、裁判官訴追委員会関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  15. 深谷隆司

    深谷主査 以上で説明は終わりました。  別に質疑申し出もありませんので、国会所管については終了いたしました。     ―――――――――――――
  16. 深谷隆司

    深谷主査 次に、裁判所所管について審査を進めます。  最高裁判所当局から説明を聴取いたします。金谷事務総長
  17. 金谷利広

    金谷最高裁判所長官代理者 平成八年度裁判所所管歳出予算要求額について御説明申し上げます。  平成八年度裁判所所管歳出予算要求額総額は三千五十二億八千六百万円でありまして、これを前年度当初予算額二千九百五十億四千八百万円に比較いたしますと、差し引き百二億三千八百万円の増加となっております。  これは、人件費において六十八億九千八百万円、裁判費において十六億三百万円、施設費において七億九千九百万円、司法行政事務を行うために必要な庁費等において九億三千八百万円がそれぞれ増加した結果でございます。  次に、平成八年度歳出予算要求額のうち、主な事項について説明申し上げます。  まず人的機構充実、すなわち増員であります。  民事訴訟事件民事執行法に基づく執行事件破産事件の適正かつ迅速な処理を図るため、裁判官十五人、一般職員五十三人、合計六十八人の増員をすることとしております。  他方、定員削減計画に基づく平成八年度削減分として一般職員三十二人が減員されることになりますので、差し引き三十六人の定員増となるわけでございます。  次は、司法体制強化に必要な経費であります。  裁判運営効率化及び近代化のため、庁用図書等裁判資料整備に要する経費として七億九千百万円、ワープロ、パソコン等裁判事務能率化器具等整備に要する経費として二十八億五千五百万円、調停委員に支給する手当として七十八億八千四百万円、また、裁判費充実を図るため、国選弁護人報酬に要する経費として三十七億九千六百万円、通訳人謝金等に要する経費として八億五千四百万円、証人、司法委員参与員等旅費として十一億二千四百万円をそれぞれ計上しております。さらに、裁判所施設整備を図るため裁判所庁舎の新営、増築等に必要な経費として百三十九億九千百万円を計上しております。  以上が、平成八年度裁判所所管歳出予算要求額の大要でございます。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  18. 深谷隆司

    深谷主査 以上で説明は終わりました。  別に質疑申し出もありませんので、裁判所所管については終了いたしました。     ―――――――――――――
  19. 深谷隆司

    深谷主査 次に、会計検査院所管について審査を進めます。  会計検査院当局から説明を聴取いたします。安部事務総長
  20. 安部彪

    安部会計検査院説明員 平成八年度会計検査院所管歳出予算について御説明いたします。  会計検査院平成八年度予定経費要求額は百五十五億一千四百五十六万四千円でありまして、これは、日本国憲法第九十条及び会計検査院法規定に基づく、本院の一般事務処理及び検査業務を行うために必要な経費であります。  今、要求額の主なものについて申し上げますと、一、人件費として百二十九億八千九百四十六万七千円を計上いたしましたが、これは総額の八三・七%に当たっております。このうちには、会計検査充実を図るため、調査官六人、一般職員七人、計十三人を増置する経費も含まれております。  二、旅費として八億一千四百九十七万九千円を計上いたしましたが、このうち主なものは、検査旅費が七億一千九十三万七千円、海外検査等外国旅費が二千八百五万九千円であります。  三、施設整備費として三億八千三百五十一万四千円を計上いたしましたが、このうち主なものは、不動産購入費二億二千三百八万六千円、宿舎改修工事費七千四百十三万八千円、庁舎事務室等改修工事費四千八百五十四万八千円であります。  四、その他の経費として十三億二千六百六十万四千円を計上いたしましたが、このうちには、検査の円滑な実施を図るための会計検査活動費一億六千四亘二十四万二千円、会計検査充実強化のための経費七千九百五十三万五千円、検査業務効率化を図るための経費四億三千七百五十万円及び検査要員等充実強化のための研究研修体制整備経費二億七千七百九万六千円が含まれております。  ただいま申し上げました平成八年度予定経費要求額百五十五億一千四百五十六万四千円を前年度予算額百五十二億二千二百四十一万六千円に比較いたしますと、二億九千二百十四万八千円の増加となっております。  以上、簡単でありますが、本院の平成八年度予定経費要求額概要の御説明を終わります。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  21. 深谷隆司

    深谷主査 以上で説明は終わりました。  別に質疑申し出もありませんので、会計検査院所管については終了いたしました。     ―――――――――――――
  22. 深谷隆司

    深谷主査 次に、内閣及総理府、ただし経済企画庁環境庁及び国土庁を除く所管について審査を進めます。  政府から説明を聴取いたします。梶山内閣官房長官
  23. 梶山静六

    梶山国務大臣 平成八年度における内閣及び総理府所管歳出予算要求額について、その概要を御説明いたします。  内閣所管平成八年度における歳出予算要求額は百六十九億七千五百万円でありまして、これを前年度当初予算額百六十七億七千四百万円に比較いたしますと、二億百万円の増額となっております。  次に、総理府所管平成八年度における歳出予算要求額は九兆八百三十億八千六百万円でありまして、これを前年度当初予算額八兆九千八百九十九億四千九百万円に比較いたしますと、九百三十一億三千七百万円の増額となっております。  このうち、経済企画庁環境庁及び国土庁に関する歳出予算要求額については、他の分科会において御審議を願っておりますので、それ以外の経費のうち主なものについて、以下、順を追って御説明いたします。  総理本府には、政府広報栄典関係平和祈念事業特別基金事業等のための経費として三百七十八億一千八百万円、警察庁には、警察庁、その附属機関及び地方機関経費並びに都道府県警察費補助等のための経費として二千四百四十一億九千三百万円、総務庁には、総務庁一般行政、恩給の支給、事業所統計調査等統計調査実施等のための経費として一兆六千百六十九億四千万円、北海道開発庁には、北海道における治山・治水対策道路整備、港湾・漁港・空港整備、住宅、下水道等生活環境整備農業農村整備等公共事業関係費等として九千九百八十六億二千五百万円、防衛本庁には、陸上、海上、航空自衛隊等運営武器車両及び航空機等購入並びに艦船の建造等のための経費として四兆二千七百二十五億八千二百万円、防衛施設庁には、基地周辺対策事業在日米軍駐留経費負担等のための経費として五千七百二十六億五千六百万円、科学技術庁には、独創的な基礎研究科学技術振興基盤強化国民生活に密着した科学技術推進先端科学技術分野研究開発推進等経費として五千二百九十三億二千九百万円、沖縄開発庁には、沖縄における教育振興保健衛生対策農業振興に要する経費並びに沖縄開発事業に要する公共事業関係費等として三千二百七十五億二千万円を計上いたしております。  以上をもって平成八年度内閣及び総理府所管歳出予算要求額概要説明を終わります。  よろしく御審議くださるようにお願いを申し上げます。
  24. 深谷隆司

    深谷主査 以上で説明は終わりました。     ―――――――――――――
  25. 深谷隆司

    深谷主査 警察庁について質疑申し出がありますので、順次これを許します。桝屋敬悟君。
  26. 桝屋敬悟

    桝屋分科員 おはようございます。新進党の桝屋敬悟でございます。本日、この第一分科会で質問をさせていただくに当たりまして、自治大臣に最初にどうしても、通告をしておりませんが、お聞きをしてみたいことがございます。  いわゆる住専処理の案件でございます。今回の平成八年度予算案の中に六千八百五十億の予算が入っているわけでありますが、私も地元で大変に国民の怒りの声をお聞きしておりまして、先般来、山口県、鳥取県で五万人もの署名、合わせまして十万もの署名もいただいてまいりまして官邸にお届けしたわけでありますが、大臣、これだけの国民の反対がありながら、この予算に住専の穴埋めのための税金を盛り込むことに本当に賛成をされておられるのかどうか、本当にこの方法しかなかったのか、ぜひ率直なところをお聞かせいただきたいわけであります。  また、大臣としてのお立場を離れまして、一人の国民として、この国民の声をどうかお聞き届けいただきまして、お考えを変えていただきたいとお願いを申し上げたいわけでありますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。     〔主査退席、志賀主査代理着席〕
  27. 倉田寛之

    ○倉田国務大臣 内閣の閣僚の一人として、平成八年度予算につきましては年度内に成立ができ得るように最善を尽くしてまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  28. 桝屋敬悟

    桝屋分科員 新進党としては、なお予算成立まで、この住専処理に税金を使うことは断固反対であるという活動を続けてまいりたいと思います。  さて、本日の本題でございますが、全国で事業が展開をされております運転代行事業についてでございます。  聞くところによりますと、いよいよ社団法人の設立総会が開かれる、悲願の社団法人化にあと一歩と迫ったわけでありまして、この点につきましては、警察、運輸両省共管といたしましてただいままで御指導いただいたということは私もよく了知をいたしております。特に、昨今の行革の推進の中で新たに法人設立ということは大変に難しい環境があったというふうに理解をいたしておりますが、そうした中で、業界の声を受けまして法人設立の方向へ進んでいただいておるということは高く評価を申し上げたいというふうに思っております。それだけに、運転代行業の今後の健全な発展ということは本当に切に望まれるわけでありまして、社団法人の使命もまさにここにあるのだろう、このように思っております。  そこで最初に、昨年私は分科会で運輸省にお尋ねをしたわけでありますが、両省共管ということで、今回はぜひ国家公安委員長の方にもお尋ねしたいわけであります。運転代行という事業、全国に展開をされておるこの事業の存在、とかくいろいろ言われているわけでありますが、この事業の存在と、さらにはまた今回行政指導に基づきながら法人化をしていただく、法人が設立されるわけでありますが、こうした業界とさらにはこの法人の存在意義といいますか、こうしたことについて国家公安委員長としてどのように認識をされておられるのか、お伺いをしたいと思います。
  29. 倉田寛之

    ○倉田国務大臣 運転代行事業につきましては、その事業が適正に営まれますれば飲酒運転等の防止にも資するものでありまして、交通安全産業の一つとして位置づけ、その健全な育成を図ることといたしたいというふうに存じております。  警察におきましても、引き続き、安全運転管理の徹底等につきまして適切に指導をしていく必要があるもの、こういうふうに私は認識をいたしているところでございます。
  30. 桝屋敬悟

    桝屋分科員 公安委員長、もう一点。  業界と今回設立される社団の存在意義といいますか役割、使命ということについて、委員長としてはどのようにお考えになっておるのか、その点お尋ねしたいと思います。
  31. 田中節夫

    ○田中(節)政府委員 委員御指摘の運転代行業につきましては、従来から運輸省と私どもで共同していろいろな指導をしてまいりました。今お話がありましたように、さらにその健全な発展、健全な事業の育成という見地から、このたび社団法人の設立許可申請がなされているところでございます。  私ども、運輸省と共同で今までも指導してまいりましたけれども、今後は、その業界の方の自主的な事業と申しますか、そういうことが図られるという観点で、社団法人設立に向けての皆さん方の意識につきましては、私どもは大変重くまた意義のあるものというふうに受けとめているところでございます。
  32. 桝屋敬悟

    桝屋分科員 今局長がおっしゃるとおり、私は、この業界の中に一つの法人ができるということは大変に大きな使命があるのだろうというふうに思っているわけであります。今後、当然ながら定款等に法人の事業内容が整備されていくのだろうと思うのですが、特に、今言われたように、業界の自主的な協議体制といいますか自主的な努力をする体制ができ上がるということでありますから、この事業の内容は非常に大事だろうというふうに思っているわけであります。  これはお願いでありますが、特に警察庁におかれましては、事業の適正化の講習会でありましたり安全運転講習会の推進、さらには苦情等の相談窓口あるいは苦情処理簿等、今の業界のいろいろな実態にかんがみて適切な事業をこの法人にやっていただくように、ぜひ今後とも御指導をお願い申し上げたいというふうに思います。  大変心配をしておりますのが、私もよくいろいろな社団法人を見ているわけでありますが、一つの業界にそういう法人ができますと、ともすると行政サイドは法人ができたのだからそこでしっかり自主的にやっていきなさいと、すべての問題がその法人の中に入っていく。そこが受け皿ですべてをこなしていくということは、もちろんその法人の目的からしますとそれも必要なことであるわけでありますが、特にこの業界につきましてはいろいろな条件がある。  大臣も言われましたけれども、今後それをクリアしていけば、非常に有益な、国民にとって必要ないい業界になれるのだろうと思うのですが、今話がありました安全運転の管理でありましたり、あるいは事故の際の対応でありましたり、利用者保護の徹底、違法行為取り締まり等、さらには暴力団の資金源になっているのではないかという指摘もあるわけでありまして、運転代行業が今後健全に発展をしていくためには、法人ができたからそこで全部自主的にやれるということではないのだろうと思うのですね。さまざまな問題が横たわっているだろうというふうに思っております、  これはぜひお願いを申し上げておきたいわけでありますが、法人ができたのだからそこで全部やれということではなくして、せっかく両省の問題協議会という協議の場もあるわけでありますから、ここで突き放すのではなくして、今後なお残ったいろいろな行政指導上の課題もあるわけでありますから、しっかりそこは両省で、健全な業界になるべく発展のための御指導をぜひお願いしたいというふうに思っておるわけですが、局長さんの御意見をちょっとお伺いしたいと思います。
  33. 田中節夫

    ○田中(節)政府委員 委員御指摘のように、今回社団法人設立の動きがございまして、業界の自主的ないろいろな事業がなされるということを私ども大変期待しておるわけでございますけれども、今御指摘のように、安全運転管理にかかわる問題でありますとか、あるいは代行事業にかかわるところの法令に抵触する行為、さらには資金源をめぐりますところの暴力団等の介入というようないろいろな問題がございます。  その問題につきましては、一義的には事業者の方がそういうような中核となる法人をつくりましていろいろな問題に対応していくというふうに考えられますけれども、私ども、お話しのように都道府県単位あるいは中央レベルで運輸省と共同いたしまして運転代行問題協議会というものを今までつくってまいりました。今後もそういうような場を活用いたしまして、今御指摘のような問題も踏まえて適切な指導をしてまいりたいというふうに思っております。
  34. 桝屋敬悟

    桝屋分科員 ぜひお願いを申し上げたいわけですが、今局長さんがお答えになりましたように、行政サイドで両省共管の運転代行問題協議会、両省共管というのは大変難しいわけでありまして、両省で本当にこれは共管をしていただいてやっていかないと済まない問題がたくさんあるだろうと思うのであります。  今の問題協議会でありますが、中央は私もよく了知をしておりますが、地方はどうでしょうか。大体県単位ですか、整備されるのかと思いますが、今の状況をちょっとお伺いしたいと思います。
  35. 田中節夫

    ○田中(節)政府委員 都道府県単位の運転代行問題協議会でございますが、これは私どもと地方の運輸省の出先あるいは業界の方といろいろ御意見を聞く場としてつくっているわけでございます。私どもの手元にある資料でございますが、これは上月一日現在の数字でございますが、全国で三十七の協議会ができたという状況でございます。  今後、さらに、この協議会の設置につきまして努力をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  36. 桝屋敬悟

    桝屋分科員 ぜひよろしくお願い申し上げます。  今回法人が設立されましたら一本化されるわけでありますが、この業界の中で既存のいろいろな団体もあるようでありまして、地域でいろいろなトラブルも起きているということも聞いております。必要な地域にはぜひとも、今三十七というお話がございましたが、全国的に展開をされるようにお願い申し上げておきたいと思います。  そこで、今後社団法人でしっかり自分たちも自主努力を続けていくということでありますが、それだけでは済まないということをさっきも申し上げたわけであります。  一番苦慮しておりますのが、実際に今の運転代行業で現場がどういう実態になっているかといいますと、両省共管という話を先ほど申し上げましたが、特に違法行為ですね。  これは通称AB間輸送とかAC間輸送とか言われておりますが、要するに、実際にお使いになる方がいらっしゃるところと、それから車をとめられているところ。お客さんがいらっしゃるところは、アルコールが入っているところでありますから通称スナックであったり飲み屋さんであるわけでありまして、そのお客さんの車はどこか別の駐車場にある。それからそのお客さんをお乗せしてというか、そのお客さんの車を代行で運転して自宅までお連れするという業なわけでありますが、このAB間輸送というのは、要するに飲み屋さんから駐車場まで代行の車が乗っけて連れていっちゃうということがあるわけでありまして、これはもう現状では違法な行為だ、こう言われているわけであります。  しかし、実態としては、現場では、利用されるお客さんからすると、お店で一杯飲んでいまして今から駐車場まで行って車を持って自分の家へ帰りたい、こういうニーズがあるわけでありますから、そうしますと、どうしてもサービスの内容としては、じゃ駐車場までお連れしましょうというサービスが利用者にとってはよりいいわけであります。しかし、代行の車に乗っけていくとこれは違法な行為になるということでありまして、サービスはあくまでも利用者の立場からすると乗っけてもらった方がいいということであります。そうしますと、どうしても悪貨が良貨を駆逐するといいますか、使う方は、このAB間については乗っけてもらう方が地元の業者として人気があるという大変悩ましい事態であります。  したがって、金をしっかりもうけようと思えば違法行為をしなければいけないという実態があるわけでありまして、タクシー業界がおやりになることは問題ないのだろうと思うのですが、そうした大変悩ましい問題があります。したがいまして、私は、この問題は今後とも残っていく問題であろうと思います。  一つ気になりますのが、業界新聞によりますと、AB間輸送問題につきまして、多数の事業者が運輸省に対しまして自家用自動車による有償運送の許可を求める申請、例の例外規定の申請をお出しになっている。これは向こうが所管だろうと思いますが、共管ということもございまして、この取り扱いについては警察庁としてはどのようにお考えになっているのか、お伺いしたいと思います。
  37. 田中節夫

    ○田中(節)政府委員 委員御指摘のいわゆるAB間輸送という問題は、運転代行事業者の車両に乗っけまして飲食店から駐車場まで行く。駐車場から代行の仕事が始まるわけでございますが、その間のいわゆるAB間輸送につきましては、基本的には、これは道路運送法に違反しているというふうに言わざるを得ないだろうというふうに思っております。  従来もこの行為につきましてはいろいろ問題を指摘されまして、実態としては、今委員お話しのように、現場ではそういう悩ましい問題があり、またそういう需要があるというような状況もございまして、基本的には、検挙というよりはむしろ行政指導で何らかの措置ができないかというようなことをお願いしてまいりました。  今お話がございました自家用自動車の有償運送行為の許可申請が運輸省に対してなされているということも私ども聞いております。これによりまして、全体として代行の形がどういうふうな形で現場の問題が解決されていくのか、あるいは私どもからいいますと、安全運転の問題とかあるいは安全運転管理とかいうような問題がそういう形で解決されていくのかというようなことを含めまして、運輸省と共同でいろいろな今後の取り組みにつきまして少し検討してまいりたい。直ちに結論が出るとは思いませんけれども、今申し上げました私どもの安全運転管理とかあるいは安全運転というような側面でどのようなことが妥当な法的措置なのかということも真剣に検討してまいりたいというふうに思っております。
  38. 桝屋敬悟

    桝屋分科員 今現に出ております多くの、例の道路運送法第八十条のただし書きの規定でありますが、これをどうするというようなお答えはすぐは無理かもしれませんが、私はこの第八十条「ただし、災害のため緊急を要するとき、又は公共の福祉を確保するためやむを得ない場合であって運輸大臣の許可を受けたときは、」というこの許可につきましては、これは運輸省さんとお話をすべき事柄ではあるのでありますが、ぜひお願いをしておかなければいけないこともありまして、こちらでも申し上げるわけであります。  やはりこうした全国的に既に展開をされている事業、歴史的にも十年以上既に展開をされているわけでありますから、さらには飲酒運転の防止、公共の交通安全に資する、そういう観点からいたしますと、こうしたものはこの道路運送法第八十条のただし書き、いわゆる例外規定で読むようなものではないのだろうというふうに私は思います。  私は、AB間輸送を合法化したい、AB間をしっかりやらせてもらいたいという声も理解できるのでありまして、そういう意味では、これは単にただし書きで読み込むというようなことではなくて、今局長がおっしゃいましたような法の体系を整備していくということがぜひ必要であろうということで、この分科会でもお願いを申し上げるわけであります。  昨年の二月二十日の予算委員会第七分科会で、運輸省の方でございますが、同僚の渡辺浩一郎代議士の質問に対しまして、当時の警察庁交通局交通企画課長さんの答弁がございました。現在、運転代行業というものをいかに法的に位置づけていくかということを両省で検討している、こういう御答弁もありまして、私はこの検討の中にまさに今回の法人の認可ということもあるのだろうと思いまして、その点は本当に高く評価するわけでありますが、さっきから言っておりますように、もっと抜本的な法的整備について環境を整備しながらぜひお取り組みをいただきたいということをお願いを申し上げたいわけです。その辺のところをちょっと局長さんにお伺いしたいと思います。
  39. 田中節夫

    ○田中(節)政府委員 委員御指摘のように、運転代行事業という事業の形態は道路運送法が予期せざるところの事業形態でありましたし、また、現在の法制が必ずしもその事業にマッチしていないというようなところもございます。  ただ、私どもといたしましては、このような事業につきましては、現在の法制の中でどのような形でもってうまくその事業が遂行されていくか、あるいは安全運転管理という面からどのようなところまで可能なのかということを十分見きわめた上で、さらに法制が必要であるということになりましたら、その段階で慎重に、運輸省とも共同しながらそういう点も含めて検討してまいりたいというふうに思っております。
  40. 桝屋敬悟

    桝屋分科員 今後の検討課題ではあります。  私は、今回法人が認可されましてこの業界に法人ができた、その中で、やはりしっかりとしたレベルの向上、資質の向上とともに関係業界との話し合い等もこれからなされていくのではないかということを強く期待しているわけでありまして、できてすぐの法人がなかなか簡単にすべての仕事ができるとは思いません。どうかぜひ今後とも御支援と御指導をお願い申し上げたいというふうに思うわけであります。  さて、特にこの業界の健全な発展のために安全運転の管理ということも非常に大事だと思うのですが、こうした「安企業務の手引」というものも両省共管で御指導いただいてつくっていただいたということであります。大変ありがたいわけでありますが、しかし内容を見ますと、一番問題の今のAB間の問題とか悩ましい問題は、なかなか直接まだ論評できないということもあるのだろうと思いますが、環境等が整いましたら、本当にこの業界の実態といいますか、現場の事実に即した内容にもしていただきたいなというふうに思いまして、引き続きぜひこれはいいものをつくっていただくように、業界の実態に即したものをお願い申し上げておきたいと思いますが、どうでございましょうか。
  41. 田中節夫

    ○田中(節)政府委員 ただいま委員から御指摘を賜りました「安企業務の手引」という冊子につきましては、運輸省あるいは業界の方ともいろいろ現状の問題等を把握して、それに対応するいろいろな対策みたいなものを掲げてございますし、また、現場の運転者の方に対しましても、いろいろ注意していただく点を記載したものでございます。  ただ、今お話しのように、私どもで作成いたしましたこの冊子が問題点を全部網羅しているとも思っておりませんし、また、これからいろいろな問題点が出てくるということも考えております。ですから、これに加えまして、いろいろな補足資料をつくりますとか、あるいはこれを改定する際には、今委員御指摘のような問題も踏まえまして、この改定作業等にも取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  42. 桝屋敬悟

    桝屋分科員 特に、こうしたマニュアルの中で出てくるわけでありますが、運転代行事業専用の保険でありましたり、事故があった場合の対応策であります。  こうした保険なんかもぜひしっかり紹介もしていただきたいし、これは本当に悩ましい問題なんですが、今運転代行業というのはだれでも届け出で参画できる形になっているわけであります。それこそ従事されている方が、お父さんが脱サラをしてお母ちゃんと二人で始めても可能なわけでありまして、自家用車両を使うわけですから、今の損害賠償保険なんかも調べてみますと、タクシー業界なんかに比べますと、一般の自家用車ということで保険料も相当安い。したがって、安易に参画できる事業である。  さらにはまた、使われる車も、タクシー業界などというのは耐用年数あたりもきちっとしまして本当に安全性が担保できる、そういう車両が使われているわけでありますが、やはり代行業さんは、そういう形でいろいろな方がお始めになるわけですから、使われている車も安全性が本当に担保されているのかということもあるわけであります。ただ、ここは余り規制を強化するということも私はいかがなものかなと思っているわけでありまして、そこは恐らくこれから、今回認可されます法人の中で、第一義的には自主的にしっかり努力をしていただくことが必要だろうというふうに思います。  そういう意味では、今回認可されます法人にできるだけ多くの業界の方が参画していただくように、認可の際の御指導でその辺は随分御配慮いただいたようでありますが、今後とも業界を代表する団体として健全に運営されていきますように、組合員の参画といいますか加入についても、全部入れというようなことを行政指導するのはおかしいわけでありますが、そうした環境づくりもぜひお手伝いをお願い申し上げたいというふうに思いますが、いかがでございましょうか。
  43. 田中節夫

    ○田中(節)政府委員 ただいま委員御指摘のように、代行業といいますのも事業の形態は区々でございますし、規模につきましても、大きなもの、小さなもの、いろいろございます。そういうようなことも踏まえまして、例えば、お話しのように保険の問題につきましても、代行車そのものにつきましての保険というのは必ずしも十分ではなくて、顧客の車につきましては御案内のとおり運転代行保険というのはできましたけれども、その雇用者側といいますか、代行事業者の方につきましては、任意保険の加入も必ずしも十分ではない状況が見られるというようなことで、代行業そのものにとりましてもまだまだ未整備と申しますか、解決をしていかなければいけない問題が多々ございます。  私どもといたしましては、今回、設立の認可申請の出ておりますこの法人にできるだけ多くの方が参加していただきまして、その中で、今申し上げましたようないろいろな問題、あるいは我々がまだ十分に把握していない問題もあろうかと思いますけれども、そういう問題を皆さんが真剣に検討していただくということが大変望ましい姿であり、我々もそういう面につきましてはバックアップをしてまいりたいというふうに思っております。
  44. 桝屋敬悟

    桝屋分科員 やっとスタートしたわけでございますから、今後ともぜひ積極的な御指導を心からお願いをいたしまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  45. 志賀節

    志賀主査代理 これにて桝屋敬悟君の質疑は終了いたしました。  次に、吉田治君。
  46. 吉田治

    吉田(治)分科員 吉田治でございます。  本日は、警察庁の皆様方にるる御説明をお願いしたいところでございます。  それを始める前に、まず、きょうは国家公安委員長というお立場で倉田自治大臣においでいただいております。大臣は、千葉で県会議員を四期務められ、全国最年少の県会議長として、また地域の各種スポーツ団体の顧問をされて、私どものような議員からすると、本当に地域にしっかり足を据えられた立派な先生だ、尊敬すべき先生だと私は存じておるところでございます。  その先生が、いかがでしょう、政府予算に参画された大臣というお立場でも結構でございます、いや、それを離れた一議員、一国民という立場でも結構でございます、住専処理のために使われる六千八百五十億円というこの税金、先生が顧問をされているバドミントンでありますとかそういうところへ行って、大きな声で、みんな五千円ずつ出してくれ、国のためだと言えるのでしょうか。また、先生御自身のこの住専処理に使われる金額についてのお考えというものをまず冒頭に御質問させていただきたいと思います。
  47. 倉田寛之

    ○倉田国務大臣 橋本内閣の閣僚の一人といたしまして、平成八年度予算が年度内に成立てき得るように最善を尽くすとともに、国会におきましてただいま御審議をしていただいているところでございますが、閣僚の一人としては最善を尽くしてまいりたい、こういうふうに存じている次第でございます。
  48. 吉田治

    吉田(治)分科員 しゃべり方からしますと、本当につらい言い方をされていると心中をお察しさせていただきまして、あと具体的な質問事項に移らせていただきたいと思います。  まず一点目は、広域捜査というのですか、オウム事件またサリン等の問題で広域捜査の重要性というのが非常に声高に叫ばれてきたと思います。アメリカのFBIをモデルにしたものをつくればいいとか、いやいや日本は日本的なものをつくらなければいけないとか、またこれは古くは第二次世界大戦後のGHQによります自治体警察というもの、これが日本の警察制度のネックになっている、それが形を変えて今の日本的警察制度になっている、だから広域捜査というのは非常に難しいんだよ、また同じ警察署の中でも、極端なことを言いましたら、署長さんは国家公務員であるけれども副署長さん以下は地方公務員だというふうな、そういう階級によります所属の違いとか、その辺もいろいろあるやにるる聞いております。  この広域捜査体制に対する現状と今後の課題、またこれからの見通しというものについてお答えいただきたいと思います。
  49. 野田健

    野田(健)政府委員 犯罪の凶悪化、広域化に的確に対応するため、警察においてはこれまでも種々の施策を講じてまいりました。  例えば、関係都道府県警察による合同捜査や共同捜査の推進、各都道府県警察における広域機動捜査班の設置、社会的・経済的一体性が認められる都府県境界区域において発生した凶悪犯罪等に即応するための関係都府県警察官を一体的に運用する広域捜査隊の設置、それから、航空機事故・事件等について効率的かつ専門的な捜査を推進するため、あらかじめ登録された専門的知識、技能、経験を有する専門捜査員を広域に派遣する制度の運用、あるいはこれらの捜査班あるいは捜査隊の隊員の訓練を広域的に実施するというようなことをやってきたところでございます。  また、平成六年の警察法の改正等によりまして、警察本部長が協定を結び、関係都道府県警察の指揮権の一元化を行うことができることとなりました。これによって、合同捜査や広域捜査隊の運用について一層円滑かつ迅速な実施が確保されることとなったところであります。そして、この結果、例えば殺人事件や窃盗事件に関する合同捜査や共同捜査を実施した件数は、平成三年中は七十六件でありましたが、平成七年には百五十件になったということで、また広域捜査隊もこれまでに十一隊を設置するに至ったところであります。  さらに、今回、オウム真理教関連事件という前例のない大規模かつ複雑な事案が組織的に引き起こされたことにかんがみ、オウム真理教関連事件のような広域組織犯罪等に全国の都道府県警察が十分な態勢をとって対処することができるよう、現在、警察法改正をお願いしているところであります。  現在の警察制度は、自治体警察たる都道府県警察を原則としております。広域捜査についても、都道府県警察の自主性と治安責任を尊重しつつ警察庁が指導調整を図る現行の制度が基本的には有効に機能していると考えております。アメリカ合衆国のFBIは連邦制度を前提としておりまして、これと法体系や国情の異なる我が国において同様の制度を導入することについては慎重な検討を要すると考えております。  社会情勢等の変化に伴い犯罪の広域化はますます顕著になるものと考えられますところから、警察としては今後とも広域捜査に間隙を生じないよう引き続き努力してまいりたいと考えております。
  50. 吉田治

    吉田(治)分科員 日本の国内で合法的に銃を持てるというものの一つですよね、警察というのは。そうしますと、シビリアンコントロールという言い方がいいと私は思うのですけれども、自衛隊の場合にはシビリアンコントロールははっきりしておりますよね、総理大臣以下ということで。そうしますと、現状では、各自治体警察は都道府県の公安委員会、国全体としては国家公安委員会というものが管轄する。では広域捜査ということになってきますと、どこがその管轄というか管理監督というのですか、していくわけでしょうか。
  51. 野田健

    野田(健)政府委員 広域にわたる、都道府県の境界を越えて犯罪の捜査をする場合に、原則的にはそれぞれの都道府県警察が管轄をするということで指揮をするわけですが、広域にわたって、凶悪事件であるといって合同捜査をするとかあるいは共同捜査をする、それぞれの場合に、例えば合同捜査でありますと、昨年の警察法の改正によりまして、それぞれの警察本部長が協定をいたしまして、そしてそれぞれの事件の指揮の一元化を図るということになっております。  そして、それぞれ指揮を行う場合に、例えば強制捜査を開始するとかあるいは被疑者を逮捕する、そういう場合には、またそれぞれ関係都道府県の警察本部長に連絡、報告をして、そして行う。それらの調整を警察庁が行うということでやっておるところでございます。
  52. 吉田治

    吉田(治)分科員 ですから、そこをどこの公安委員会が最後は管轄するわけですか、そういうふうになってきますと。
  53. 野田健

    野田(健)政府委員 事件といたしましては、その事件の指揮を行っている都道府県警察を管轄する都道府県の公安委員会が全体として管理をするということになります。
  54. 吉田治

    吉田(治)分科員 よくわかりました。  そういうふうな中で、上九一色のときもそうでしたし、昨年の阪神・淡路大震災のときもそうでしたし、また昨年の私どもの地元で行われましたAPECのときもそうでしたけれども、たくさん他府県から府県単位で応援がおいでになられておりまして、私どもの住んでいるマンションのすぐ横もAPECのときにはたしかあれは福島県警の方が担当されておりまして、福島県警と書いた道路に置くポールというのですか、それを立てられて、済みませんがAPECの検問でということで、ちょっとなまりが入られた方が二十四時間警備をされておった。  そうしますと、私はそのときふっと、そのときだけじゃございません、大震災のときもそうですけれども、思ったのは、この人たちの時間外手当というのですか給与という分を考えたときに、だれがどういうふうに支払っているのかな、非常にそれに思いをいたしました。消防ですとか自衛隊の場合はそれぞれしっかりと、消防の場合でしたら、大阪市の消防局でしたら大阪市、自衛隊でしたら国という形で、そういうふうなものが保証されているやに聞いておりますが、警察官の場合には、この時間外手当というのですか時間外給与というのですか、何かこう漏れ伝え聞くところによりますと、サービス残業ということ、そういう言い方がいいかどうかわかりませんけれども、ある部分でサービスしているという部分があるとも聞いております。  この辺についての現状と、財源の問題もあるでしょうけれども、今後どういうふうにされていくのかということをお聞かせいただきたいと思います。
  55. 菅沼清高

    ○菅沼政府委員 お答えいたします。  都道府県の警察官が警察活動のために他の都道府県に出動いたします場合の給与それから超過勤務手当は、派遣元つまりその警察官が所属している都道府県が負担をする、こういう仕組みになっております。  それから、超勤等が十分かどうかというお話でございましたけれども、本来予算の範囲内で超過勤務命令を出すのが建前でございますけれども、警察活動の性質上必ずしもそれによりがたいという場合が出てくることは事実でございます。したがいまして、あらかじめ予想できるときには予算措置をしておりますし、予想しがたい場合には補正その他で必要な加算措置をするようにしているところでございます。ちなみに、APECの場合には約六億弱、それから阪神・淡路大震災のときには二十八億ほどが超過勤務手当として措置をされております。  今後とも、超過勤務を抑えることはもちろんでありますけれども、予算措置は必要なものを講じていきたいと思っております。
  56. 吉田治

    吉田(治)分科員 ちょっと細かいことまで教えていただくことになるのですけれども、派遣されてまいりますね、その場合二十四時間になるわけですか、警備の場合でしたら。それとも、何時から何時というはっきりしたそういう、契約じゃないですけれども、何時から何時まではここで警備しておきなさい、これが休憩時間ですよ、ここからこの時間は原則宿舎で寝てくださいとか、そういう中で時間外手当というのはつくられていくと思うのですけれども、その辺はどういうふうな基準で行われているのでしょうか。
  57. 菅沼清高

    ○菅沼政府委員 お答えいたします。  業務の内容にもよるのですが、交代制勤務をやっている場合には比較的時間どおりに勤務ができます。したがいまして、個々の人間について言えば、超過勤務は、突発的なことが起こった場合は別ですけれども、比較的起こりにくい。通常の警察活動をやっている場合には交代制でない場合が大いにございますので、その場合にはいろいろな状況あるいは治安情勢等によって延びてくる、そのときはその部分が超過勤務になる、こういうことになろうかと思っております。
  58. 吉田治

    吉田(治)分科員 一つの事例で教えていただきたいのですけれども、例えば阪神大震災のときでしたら不眠不休で二十四時間されたという事例が多々あると私は思うのですけれども、その場合は二十四時間、二十四時間という言い方はいいかどうかわかりませんけれども、その分はしっかり支払われているのでしょうか。
  59. 菅沼清高

    ○菅沼政府委員 御承知のとおり、阪神・淡路大震災のときは極めて異常な状態でございますので、二昼夜、三昼夜にわたってほとんど拘束状態のままで、仮眠をしたりという形でやっていた者もあろうかと思います。この場合は基本的には八時間を超える部分は超過勤務になるわけでございますけれども、予算等の制約等もありますが、できるだけの措置はした、このように考えております。
  60. 吉田治

    吉田(治)分科員 やはりそういう突発的なことがあるということで、これから改善というのですかその辺の部分をよくしていただきたいなと私は思っております。  続きまして、私いろいろな方とおつき合いさせていただいておりまして、ふっとこのごろ警察署に入って目立つのは、随分警察署というのが落ちついた雰囲気になったなという感じなんです。それは何が落ちついたか。建物が落ちついたというよりも、入ったときに、これは非常に申しわけない話かもしれませんけれども、警察官の皆さんが結構お年を召された方、中年の方というのですかが署内にたくさんいらっしゃる。  昔、私の子供時分に抱いた警察署というのは、若い、それこそ二十そこそこの人たちがたくさんいられて活動されているというふうなのが私の警察に対するイメージだったのですけれども、このごろどうも、考えてみましたら、その人たちがお年を召されてその世代になった。若い方というのは探すのが苦労するというのですか、また交番勤務も本当に若い方が多かったのですけれども、それが高年齢化といったらいいのでしょうか、団塊の世代といったらいいのでしょうか、そういう人たちが中心になってきている警察構造みたいな形になっているのではないかと思うのです。  そうしますと、一点は、例えばそれによって生じる問題点というのですか、どういっだらいいのでしょう、その人たちがある時期にたくさんこれからおやめになられる、例えば十年の範囲、五年の範囲で。そうした場合の補充というもの、人員補充、それはどういうふうに今から計画を立てられているのかということと、そしてその人たちが持っていらっしゃるさまざまな知識、ノウハウ、これはやはり言葉にしたりコンピューターに残したりということはできないと思うのですね。ある意味で職人芸とも言われておりますけれども、それをどう残していくのかということ、この辺について何か施策なりこれからやっていこうというお考えがおありなのか、お聞かせいただきたいと思います。
  61. 菅沼清高

    ○菅沼政府委員 お答えいたします。  現在、全国で警察官が二十二万余りおりますが、年齢構成の平均値が四十歳を少し下がったぐらいのところまで高齢化といいますか比較的高くなってきております。これは、昭和四十年代に増員をした人たちがその年齢層に来ているということでございます。さらに、平成十八年ごろから約十年間ほどにわたりまして一万人前後の者が退職をしていく、こういう状況になります。  現在は、毎年三千五百から四千ぐらいを、減耗補充として若い警察官を採用いたしておりますけれども、ただいま申し上げましたように約十年ぐらい先からそういう時代がやってくる、かつまた、その当時には新卒労働力といいますか、高卒、大学卒の数が減ってくる、こういう状況にございますので、私どもも、いかにして確保するかという点については懸念をいたしております。  どういう方策を講じているかということでございますが、ただいま私どもがやっておりますのは、一つは採用の多様化でございます。現在既に、専門的な能力等を持っている人につきましては年齢にかかわらず採用していく、こういう中途採用をやっております。これをある程度拡充していくことによって採用難を克服できるのではないかというように思っているのが一つでございます。  それから、年齢を上げてきております。かつては二十八歳ぐらいが警察官の採用時の上限年齢でございましたけれども、各県の方で若干のばらつきがございますけれども、三十歳を超えても警察官に応募できるという形にして、採用のときの幅を広げるということをやっております。  それから、婦人警察官、これは職域をどういうように拡大をしていくかということとも絡むのでありますけれども、婦人警察官を可能な限り採用していって、男子警察官の確保が難しくなる部分について充てていきたい。  それから、警察官のOBの方々についても、交番機能を代替してもらうというようなことで、交番相談員のような形で、若干正規の職員とは違いますけれども、確保することによって治安力を維持していくこともできるのではないか。  そういったことを組み合わせながら対応していこう、このように考えております。  それから、警察職員が培った能力の継承の問題でございます。治安行政は大変厳しくなってきておりますので、今、警察職員一人一人の能力のレベルアップ、いわゆるプロフェッショナル化でございますけれども、それを進めておりますが、御指摘のとおり、組織の中で蓄積された能力、技能、知識、そういったものを継承していくことも大変大切でございますので、現在いろいろな研修機関の中で、そうした人たちの能力が下に伝承されるような、そういうカリキュラムを中に組み込んでいっております。  それから、技能指導官制度というのを設けておりまして、卓越した能力を持っている比較的年齢の高い人たちを技能指導官に指定いたしまして、全国的な規模であるいはその県内で自分の知識、技能を伝授、継承させていく、こういうこともやっているわけでございます。  それから、個別的には、年配の刑事、職員等によりましてマンツーマンで、古い言い方ですけれども徒弟制度的な教育をしていくことによって能力、知識、経験を伝承していく、こういったことも職場の中で現在進めております。
  62. 吉田治

    吉田(治)分科員 そういう中で、世界に誇れる警察制度の一つとして日本の交番制度というのが言われております。シンガポールであるとかもまねしてそういうものをつくっていると聞いておりますが、そういうように年齢層が高くなってくる、二十四時間勤務になってまいりますので勤務も非常につらい、大変だ、また将来的には数の補充というものも今官房長さん言われましたように少々不安が出てくるというふうになってきますと、今ただでさえ、これはいろいろマスコミ等でも取り上げられておりますが、交番が夜になったら集約交番という形になってくる。  しかしながら、地域の人、知っている人にしたら、一一〇番するのもいいけれどもあそこに交番があるという思いがあって行くと、夜になったら無人、もしくは交番だと思ったらそこは連絡所であったとか、そこにはぽつんと電話が置いてあって何番に電話してください、そういうふうになってきますと、交番制度自身が、これは人の部分から果たしてこのまま維持できるのかというふうな感じ、強い危機感というものを私は持っております。  また、二十四時間そこへ勤務するということが、これからの時代の中、若い人を雇っていく場合に、そういうことはわかっているということは言えると思うのですけれども、しかしながら、やはり家族と一緒にいたいとか、できるだけ九時-五時の生活にしたいとかいうのも時代の要求としてあると思うのですけれども、その辺を含めて、これからの交番制度というふうなもののあり方、今後の維持発展の仕方というものをどう御検討されているのか、教えていただきたいと思います。
  63. 中田恒夫

    ○中田政府委員 お答え申し上げます。  今委員御指摘のとおりでございまして、交番あるいは駐在所でございますけれども、地域社会の中に溶け込んでおりまして、地域住民あるいは市民の日常生活の安全、平穏というものを守っておるわけでございまして、地域のいわば生活安全センターというようなものかと思います。こういった交番などの役割、機能というものは、警察あるいは警察活動の基盤をなすものでございますので、今後ともぜひとも維持発展をさせてまいらねばならない。御指摘のとおりだと思います。  そういったことで、これまで私ども、交番の体制を保持する、確保する、あるいは空き交番を解消するというような観点から、かなりの血のにじみますような内部のリストラ努力などもやってまいりました。それからまた、今官房長からも御答弁申し上げましたように、シルバーの警察官を交番相談員というような形で配置するというような制度、こういうものを拡充してまいっております。またさらに、今般、司法警察官の増員もお願いしているところでございます。  御質問は、こういった職員の高齢化や団塊の世代の大量退職というような状況の中で、交番の維持は万全か、どうしていくんだというような御趣旨でございますが、まず職員の年齢構成、これの高齢化というものは、当然交番等の勤務員にも及んでくるわけでございます。こういった変化でございますけれども、地域住民との関係の強化でありますとか、あるいは地域住民からの相談への対応ということをかなりの部分の業務といたします地域警察官としては、豊富な経験を有する方々でありますから、ある面では非常にいいという面もあろうかと思います。  ただ、しかしまた一方では、年齢構成の偏りによる支障ということも考えねばならぬということも御指摘のとおりだと思いますので、そういった点について現在も検討しておるところでございますが、今後とも十分に意を用いていきたいというように考えております。  それから、もう一点御指摘の大量退職時代を迎えてということでございますが、それは反面、大量採用の時代になるわけでございます。そうなりますと、一つには資質のよい人材を確保していくということの条件整備という見方もあるわけでございまして、交番等を中心といたします地域警察の施設の問題でございますとか、勤務条件というようなものの改善をしていかなければならないということで、交番等の職場環境を一層魅力的なものにしていくというような配慮がこれから大事だろうと思います。  また、一つには大量採用ということで、多様なといいましょうか、人材が採用されてくるということも予想されるわけでございまして、そういった人々を適切に受け入れていく、活躍する場面をつくっていくという観点から、例えば婦人警察官などもふえることが予想されるわけでありますが、婦人警察官を多数組み込んだ交番勤務のあり方というようなものを今後真剣に検討してまいらなければならないというように考えております。  いずれにいたしましても、現在の交番などの機能、役割の基本が守られていくように努めてまいる所存でございます。
  64. 吉田治

    吉田(治)分科員 事前に質問通告していなかったのですけれども、お答えできればお答えしていただきたいのですけれども、全国の警察署の数、よく統廃合と言われていますけれども、警察署の数だけは、どうも私の感じるイメージですよ、人口のスプロール化ですとかそういうようなことによってふえていっているんではないかなと。これはなかなか統廃合というのは私は難しいと思うのですけれども、何かそういう統廃合をされているとか、これからされていく計画とか、そういうのがおありなんでしょうか。具体的に数まで教えてくれとは申しませんけれども、あればちょっと教えていただきたいと思います。
  65. 菅沼清高

    ○菅沼政府委員 お答えいたします。  ちょっと正確な数は承知しておりませんが、全国で警察署は千二百六十前後ではなかったかと承知をいたしております。  かつて統廃合を進めた時期がかなり昔にあるのでございますけれども、やはり地元の方々の要望等からしますと、単に過疎化したからといって廃止されるということについてはいろいろな抵抗なりがございます。また、過疎化するということは、比較的防犯対応力の弱くなった方々が住んでいるということもございまして、一概に人口が減ったから廃止をするというのもいかがなものかという点がございまして、署を廃止することについてはできるだけ慎重にいたしております。  それから、一方におきまして、人口の急増地域につきましては、全くの原野的なところであったところに大きなニュータウンができたりいたしますと、これは交番、派出所はもちろんでございますけれども、警察署もつくっていかなければならないということで、全体としてはふえてきている、このように考えております。  私どもも、いろいろな行財政改革その他の情勢の中でございますので、先ほど言いましたようなことを比較考量しながら、できるだけ効率的な警察署の数、また配置の方向で持っていきたい、このように考えております。
  66. 吉田治

    吉田(治)分科員 最後に、青少年の非行防止対策という言い方がいいかどうかと思うのですけれども、私、ちょっと女子学生を教えたりしておりますので、彼女たちと話をしていますと、言いつらいのですけれども、随分、俗に言われておりますピンク産業というのですか、極端なことを言うたら売春からすべてのものも含めて、そういうところへ行っているといううわさを、いやそういう話があるらしいということもよく聞きますし、またこれは、ある大学生というのですか学生が言っていたのは、いや先生ね、週刊誌にいろいろ、このごろ若い子はこんなんだ、あんなんだと書いていますでしょう、あれは本当ですよと言うわけですね、何もうそじゃないと。そうしますと、相当過激なことを書かれていますので、えっ、こんなことがと。  これはやはり単に警察が非行防止をするだけで防止できるものじゃない。やはり社会だとか教育だとか家庭だとか地域だとかいうものが一緒になって、また日本の倫理だとか道徳というふうな問題にまで含まれてくるんでしょう。そういうのが相合わさってその辺が正しい方向へ行くのではないかと思うのですけれども、しかしながら、現状として、ではそれらに対する防止策ですとか、また摘発状況というのですか、警察としてどう臨んでいくのかということを最後にお聞かせいただきたいと思います。
  67. 中田恒夫

    ○中田政府委員 お答えいたします。  委員御指摘のピンク産業というのでございましょうか、テレクラと言われるものあるいはデートクラブと言われるようなものでございますが、最近とみに店舗数がふえておりまして、これに伴いまして、少年に有害なピンクチラシなどが町にはんらんしておる、あるいは公衆電話ボックスにべたべた張られておるというようなのが実情でございます。  また、それとともに、相関関係が十分あろうかと思うわけでありますが、こういった営業をめぐりまして、少年、特に女子少年でございますね、これの売春等の相手方になるというような、福祉を害するような形でまあ福祉犯と言っておりますが、こういった福祉犯被害が、特に中学生、高校生、こういった低年齢層に集中してふえておるというのが実態であります。  実態を大変憂慮しているわけでございまして、全体的にはそれはいろいろな対策があろうかと思いますが、少なくとも、まず私ども警察としては、こういった営業に関連する売春その他の違法行為というものの取り締まりを徹底しております。  それはもとよりでありますけれども、さらにそのほか、私どもとしては、こういった営業にダメージを与える、そして地域の風俗環境を少しでも改善していくというような観点から、例えば非常識な広告など、こういうものの現状を改めるというようなことで、NTTなどでございますけれども、電話ボックスからのチラシの排除の要請を行う、あるいはそういった関係機関や地域住民の方々と共同して街頭でチラシの撤去活動を行うというようなことを行いまして、その店舗を廃業に追い込んでいくというようなこともやっております。  また、その中で最近、幾つかの県でテレクラ営業を規制する条例を制定するというような動きが出ております。これが実現いたしますと、違法な営業者には営業停止を含む厳しい処分ができるということになりますので、これは県の実情に応じておつくりになると思いますが、私どもとしてもそのような技術的な援助をしてまいりたいということを考えておりまして、各般で警察としてお役に立てる面を十分やってまいりたいというふうに考えております。
  68. 吉田治

    吉田(治)分科員 時間ですので終わらせていただきますが、昔でしたらそういうことをするというのは苦界に身を沈めるというふうに言われたようですけれども、本当に悪びれもせず、そういうふうなことをあっけらかんとしているという、これはやはり警察だけじゃない、どこか社会がおかしいんではないかなということだけ一言申し上げまして、質問を終了させていただきます。ありがとうございました。
  69. 志賀節

    志賀主査代理 これにて吉田治君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして警察庁についての質疑は終了いたしました。  午後一時に本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時二十七分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  70. 小杉隆

    小杉主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  科学技術庁について質疑申し出がありますので、順次これを許します。川島實君。
  71. 川島實

    川島分科員 新進党の川島實でございます。  私は、今議題になっております動力炉・核燃料開発事業団の高速増殖原型炉「もんじゅ」のナトリウム漏えい事件について、その後の対策等について以下お尋ねをしていきたいと思っております。  既に今国会予算委員会等でこの「もんじゅ」事故についてはあらゆる角度から議論がなされてきておりますので、それらの上に立って、我が国のプルトニウム政策のこれからの課題、さらにまた、エネルギー政策としての原子力発電所の非常に重要な位置づけもございますので、そういう点で今後国民に対する信頼回復をいかに行っていくか。さらにまた、原因究明が一日も早く望まれるわけでございますけれども、私どもから見ておりますと、原因究明の速度も非常にわかりにくい、透明性に欠ける。  そういう中で、これらの是正の課題といいますか、安全性を含めた防災基本計画だとか原子力審設置だとか、いろいろ出てきておるわけでございますけれども、我が国の今の科学立国としての観点から、あの温度計の破損の原因の究明にそれほど時間がかかるとは思わない。それから、既に第一次では、窒素ガスで覆って、ナトリウムが漏えいしても安全性が確保できるようにできている。なぜ第二次について  そういうきちっとしたことをやれば安全性が保たれるということをもっと国民に情報を公開する、そういう安全性のPRがまだまだ不足をしておるような気がするわけでございます。  そこへもってきて、六ケ所村の増殖炉の施設が、十年前の、当初の計画の倍を超える建設費が見直しとして出てきている。今の物価水準からいきますと、当時の価格で、一時バブルがあってそれが倍ぐらいになりましたけれども、今は既にバブル以前の価格に建設工事費等がなってきている。なのに、それが倍以上の形のままで推移されていこうとしている。これらが、長い目で見ますると国民の電気代という形に降りかかってくることにもなろうかと思うわけでございますので、そういう点を含めて、これから一つずつお聞かせをいただきたいと考えておるところでございます。  最初に、事故原因の究明はどういうスケジュールを持ちながら行われておるのか、その点についてお伺いをしておきたいと思います。
  72. 宮林正恭

    ○宮林政府委員 お答えさせていただきます。  事故原因の究明につきましては、現在、ナトリウム漏えいの原因でございます温度計部を切り出しまして、日本原子力研究所あるいは金属材料技術研究所等において、電子顕微鏡による破面観察を行うなどの詳細な調査を実施しているところでございます。また、動燃の大洗工学センターにおきましては、ナトリウムの漏えい実験、解析といったようなことも進めてまいっております。  それで、私どもといたしましては、この実験をできるだけ早く終えたい、こういうふうな気持ちでいるのでございますけれども、何といいましても、ナトリウムの特に漏えい実験、こういうふうなものにつきましては、やはり実物に近いものを実際につくってそういう実験をしなければいけない、こういうふうなことなどもございまして、もう少し時間をいただきたいというふうな状況になっております。  それで、私どもといたしましては、四月の初めとかそれくらいに何とかできないかな、こういう気持ちではおりますものの、まだ今の段階で明確にこれらの実験を四月の初めころには終了できるというところまでには至っておりません。しかしながら、私どもとしましては、できるだけ早くやりたいという気持ちはもう先生のおっしゃるとおりでございますので、急がせているところでございますので、これは御了解をいただければありがたいと思います。
  73. 川島實

    川島分科員 私も名城大学の理工学部で同窓会関係の役員を二十何年やっておりまして、各先生方とのいろいろな交流は非常に深いわけでございます。だから一こういう実験物というと、大学の先生方は、始まりますと金属の疲労部分の実験なんか一週間ぐらいかかるとか、しかしそうはいっても急がせれば彼らは寝ずにずっと三日間なり四日間で期間を半分に短縮するとか、こういうことも行っておるようであります。  私の建築家という立場からいきますと、こういう問題が起きたときには、すべての問題をきちっとあらゆる角度からどう検討してという工程表というものをつくるのですね。家を建てるときには、もう地質検査から始まって地耐力の検査、それから基礎部分でどういう材料を使ってくいを打つかだとか、どういう基礎にするか、これから上の材料をどうやって非常に強固なものにするか、いろいろなデータを全部集めながら、それを全部きちっとして総計算した金額の予算との関係を含めてまたどう削除していくか、いろいろな議論をしながら、工程は一年か二年かかるかということを全部やるわけですね。  東京都のあの都庁のビルだって、一日に千五百人の人たちが働いているわけですけれども、それは全部工程に従って安全管理をされながら作業が進んでいくわけですよね。青森県のあの再処理施設でも非常に多くの人たちが働いている。それらは一人の主任技術者のもとにきちっと部下が統制とれて、建物全部毎日毎日の工程がされていくわけです。  そういう点を考えると、こういう事故が起きても国民にきちっとした形で、いっその原因究明をしてさらに前へ進むために工程がどういう、例えば今度新しく原子力審議会の設置だとか、片方では防災基本計画を国土庁や何かと議論しながら新たにまた検討していくというようなことが進められていく、そういうやはりきちっとした工程が必要だと思うわけでございますけれども、この辺のことについてお伺いをしておきたいと思います。
  74. 宮林正恭

    ○宮林政府委員 お答えさせていただきます。  先生のおっしゃるとおり、私どもも実は調査計画という予定表はつくっております。実際に、先ほど申し上げましたように四月の初めぐらいまでに実験をやって、その後解析をして、こういうふうに考えているわけでございます。  しかしながら、今の段階で正確にここまでやりますとコミットした形で申し上げるのが非常に難しい、こういうことでございまして、計画といたしましては、私どもは四月の初めぐらいには何とかその実験を終えたい。まさに先生のおっしゃるとおり非常に急がせているわけでございますが、ただ、そういう実験をする道具といいますか設備といいますか、これを製作するのがちょっと時間的にまだ明確に確定をしておらないものですから、先はどのような御返事をさせていただきました。
  75. 川島實

    川島分科員 今回の事故は約一千万くらいですか、何かちょっと予算委員会の答弁でデータが出ていましたね。建設費は六千億、こう言われているわけですけれども、科学技術庁は災害とかこういう事故の損害保険に全部入られているわけですか。
  76. 岡崎俊雄

    ○岡崎政府委員 御指摘の今回の事故によります損害額は、残念ながらまだ原因究明中あるいは折れましたさや管を探索している状況でございますので、あるいは今後の安全対策を含めまして、まだ確定する段階に至ってございません。  さらに、御指摘の保険の点でございますけれども、一般的な原子力損害から守る原子力損害の賠償に関する法律に基づきます保険というのは、当然のことながら動燃事業団が掛けておるわけでございますが、御指摘のいわゆるみずからの財産を守るという件に関しましては、原子力財産保険というものと、さらに試運転時期等におきます組立保険というのがあるわけでございます。動燃事業団は、いまだ試運転段階でございまして、まだ原子力財産保険には入っておりませんけれども、一九八六年以来、組立保険というものには継続して加入をしてきておるわけでございます。  今回の事故に基づきます損害に対して、この組立保険がどの程度、どのような形で適用されるのかということについては、まさに今後の原因究明であるとかあるいは関係者の協議でありますとか調査であるとか、そういったものにまちたい、こういうような状況でございます。
  77. 川島實

    川島分科員 これもいろいろなデータだとか新聞報道がなされているのですが、安全性の問題で、第一次のところは窒素ガスで覆って、ナトリウムが空気と反応していろいろな爆発や何かが起こらない装置ができている。フランスも、過去のそういう事故で二年もかかって再検討して出発をしている。その中で、窒素ガスできちっと覆う。  今回のいろいろな報道関係を見ても、その安全性のあれが出てきていないのですね。しかし、我が国の実験炉の常陽のときにこれの実験も全部済んで、第一次の部分だけそうなっていて第二次ができなかったというのは不思議でしょうがないのですけれども、一体それは何か理由があったのでしょうか、常陽から今度の建設に至る第二次の関係についてそういう窒素ガスで覆いができなかったということについて。
  78. 宮林正恭

    ○宮林政府委員 お答えさせていただきます。  先生の御指摘につきましては私どもも調べさせていただいておりますけれども、私どもが現在承知しておりますところでは、いろいろとメンテナンスをする作業性という観点が非常に重視された。その結果といたしまして、やはり窒素ガスで封入するということになりますと非常にメンテナンス性に欠けるというふうなことから、ああいうふうな形にされたというふうに理解をしております。
  79. 川島實

    川島分科員 しかし、今回のように第二次の部分で済んだからいいものの、安全性を考えれば、第一次は第一次で今のような状況にしておいて、第二次は第二次でまた窒素を満たした密封構造をきちっとつくって、そのときは出入りが要りますから、いろいろな点検や何かの関係で。  だから、今回の事故というのはほんのささいな事故なのですね。常識で考えれば、温度計をあんな形でやっておれば振動で傷むというのは簡単にわかるようなことだけれども、技術過信といいますか、そういうことが常識的に理解ができなかったということによるのだろうと思いますけれども。それで、第二次、第三次の安全装置を全部配管の外につくっておきながらそれも機能しなかったというようなこともあるわけですけれども、今わかっている範囲内で、それらはどうあるべきかという考え方はございますか。
  80. 中川秀直

    中川国務大臣 委員御出身の敦賀での「もんじゅ」において今回のような事故が起きたということは、本当に重く受けとめておりますし、また、心からおわびを申し上げているところでございます。  御指摘の二次系配管のナトリウム漏えいをなぜ防げなかったか、あるいは漏えい後の拡大火災発生というものをなぜ防止できなかったか、こういう点でのお尋ねだと思いますけれども、高速増殖炉においてはプルトニウムとナトリウムと双方を適切にコントロールしていくというのが最大のポイントでございますので、今回現実にナトリウム漏えいが起きたこと、また火災を生じたこと、拡大防止ができなかったこと、これはもう本当に二度とこういうことを起こさないために大いなる教訓にしていかなければならぬ、こう考えております。  御指摘の二次系配管の施設全体を窒素ガスで一次系のように覆ったらどうか、そういう専門家の御意見もあることは承知をいたしております。今後、先ほど局長からお答え申し上げましたが、速やかにかつ徹底的に原因究明をいたしまして、その結果を十分に踏まえまして、御指摘の点をも念頭に置きながら総合的な評価というのを改めていたしまして、最も適切な対策を考えなければいかぬ、こういうふうに考えております。
  81. 川島實

    川島分科員 今回の事故でIAEAとの関係は今どういう状況になっているのですか。
  82. 岡崎俊雄

    ○岡崎政府委員 本件の事故そのものにつきましては、国際原子力機関と直接何かを協議しなければならないということにはなってございませんけれども、この事故の状況については大変関心も高うございますので、ウィーンにございます代表部等を通じましてできる限りの情報の提供はしていきたいと思います。  当然のことながら、この「もんじゅ」が停止期間中でありましてもIAEAの全体的な保障措置は適用されておる、すなわち燃料のプルトニウムが平和利用に厳しく管理されておるという状況には変わりがないと承知をいたしております。
  83. 川島實

    川島分科員 今、我が国のエネルギーの中で原子力に対する依存度というのは三〇%ですね。それが二〇一〇年に四〇%という形で計画の中に組み込まれているわけですが、今回の「もんじゅ」の事故でこれらの計画に支障を来すということはございませんか。
  84. 中川秀直

    中川国務大臣 委員御指摘のとおり、我が国の原子力発電所は、現在五十基、発電設備容量で四千百三十六万キロワットが運転中である。電力供給の約三割を現状では賄っておる次第でございます。  お尋ねの将来の電力の供給見通しにつきましては、平成六年九月の石油代替エネルギーの供給目標という閣議決定がございますが、これにおいて、原子力発電は二〇一〇年度においては総発電電力量の約四割を占めることが期待をされているということでございます。  しかし、今後相当長期にわたりまして、現在の軽水炉、この軽水炉が原子力発電の主流を担っていくということを見込んでいる次第でございます。「もんじゅ」の場合は高速増殖炉ということで、二〇三〇年ごろまでには実用化が可能になるように、その技術体系の確立を目指して今研究開発を進めている次第でございまして、したがって、今回の事故によりましてこれが直ちに我が国の電力供給に支障を及ぼすというものではない、こういうふうに考えております。
  85. 川島實

    川島分科員 通産省のエネルギー庁にお伺いしますが、今、我が国の原子力の占める割合の答弁があったわけでございますけれども、全体計画として、こういう事故が起きても、そしてまた青森・六ケ所の再処理施設や何かもどうも後退したような形が言われているわけでございますけれども、こうした変更分というのはどういう受けとめ方で計画がなされているのか、ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  86. 伊沢正

    ○伊沢説明員 お答えいたします。  資源に乏しい我が国にとりまして、エネルギーの安定供給とそれから地球環境の問題への対応ということから、原子力発電の依存度はこれからも非常に重要と考えております。  今回の事故によりまして、現に地方等でいろいろな心配とか不信の念がございますが、それを、いろいろな国民の声を聞きながら、いろいろ努力いたしまして、先ほど長官からお答えのございました七千万キロワットに向けて、二〇一〇年に向けまして、今後できる限りの努力をしていきたいと思っています。  同時に、省エネルギーとか新エネルギー、これも最大限の努力をしていきますが、原子力の依存ということにつきましては、先ほど申し上げましたように、地球環境問題、エネルギー問題、両方の観点から必要でございますので、謙虚にいろいろな声に耳を傾けながら、一生懸命努力していきたいと思っております。
  87. 川島實

    川島分科員 先ほど大臣からちょっとお話がありましたが、私が生まれたのは敦賀市なんですよ。今でも松原の海岸に立派なお墓がございまして、そこへ毎年行っておりますし、同窓会や何かも、小学校時代の仲間だとか中学校時代の仲間がいまして、よく集まります。敦賀湾でとれる海産物や何か、魚の非常においしいところでございまして、風光明媚で、四季折々の風光を見ながら、原子力発電所へも何回かお伺いをしておるわけでございます。  そういう点で、ひとつぜひ事故がないように、そしてまた住民のいろいろな理解がきちっと得られるように、一日も早い再建に向けての取り組みが望まれるわけでございますけれども、こういう「もんじゅ」の事故と時あたかも同じくして、青森県の六ケ所に建設中であります再処理施設が、当時の建設費ですか、八千四百億から一兆六千億にアップして、二次系統を一次系統に見直しをする、こういう報道がなされ、それが積算根拠の、安全性だとかいろいろな形のものを見た算出のミスだとか、いろいろ声が上がってきている。  こういうことが同時に出てまいりますと、一つは、原子力というのは、非常に国民の利便性を受け持っておりますけれども、安全性の問題からある面では非常に危険との隣り合わせで今日まで来ているわけですから、これらの批判にこたえるためにも、どうもちぐはぐな、まあ一般的に見ると、何だ、だらしがないんじゃないかというような見方がとれるのですね。それは、六ケ所のこういう見積もりミスについても、きちっと国民の理解をとり得るのか。常識的に、なぜこれほど倍近く費用がかかるようになったのか。それは安全性を見ておるといっても、なかなかそこまで理解ができない。なぜ二つの系統があったのに一つの系統に後退したのか。  常陽で十年も研究してきたのに、この「もんじゅ」がこれだけの破損の事故でもう取り返しのつかないような本当に大きな波紋を呼び起こしてしまっているというような状況で、信頼を取り戻すのにどれほど時間がかかるか。これは非常にいろいろな問題点が絡んで、国民に対しての信頼を回復できるような一つ一つの情報開示というのは非常に少ないような気がするわけなんですよね。  その辺のところをやはりきちっと国民にわかりやすく、理解をしやすく、もっと情報を出してもらわないと、ある面ではIAEAの関係もあってナトリウム等の情報開示ができない部分もあろうかと思いますけれども、どうもその辺が理解ができないわけでございます。  とりあえず再処理事業の変更、そして資源がない我が国のすばらしい理想像と言われている高速増殖炉の「もんじゅ」の再建が、ここで縮小しても変わりなく将来に向かってきちっとやっていけるのかどうか、このことをひとつお伺いをしておきたい。  なぜかといいますと、今までの原子力船「むつ」も、あれは十年か二十年かかって、ようやくアメリカへ行ったりオーストラリアへ行ったり、実験が成功したのに、成功した途端にぱっとやめて、その成功の果実が全然国民に返らないうちに終わってしまう。  これも、これほどお金をつぎ込んで実験をし、そしてようやく成功の見通しがついて実施に移そうとしているときに、こんな簡単な問題点で事故を起こしてしまって、これでまた挫折をしてしまうということになると、国民の今までつぎ込んだ大変な費用の点からいっても、将来の原子力の問題点からいっても、取り返しのつかない状況に、今その岐路に立たされていると思っているわけでございますけれども、その辺の事柄についてひとつ御所見をお伺いをしておきたいと思います。
  88. 中川秀直

    中川国務大臣 六ケ所の再処理工場の建設費の見直しの概要とかあるいはまたそれに伴う影響とかということは局長から御答弁いたさせますが、全体的なことで、委員御指摘の国民にわかりやすく情報開示をしていけということについては、私も全く同感でございまして、やはりコンセンサスというものが一番大切だ。  なぜ必要なのか、また、科学的にも社会的にも、安全性というものがどこか陰に隠れてこそこそやっているのではなくて、しっかり透明なチェックの上に、そして多重防護の思想が完全に貫かれているかということについて、本当に情報公開のあり方についてやはり根本からいろいろ議論しなければいかぬ、またそういう議論をしていただく場も考えなければいかぬ、こう考えております。  事の重要性というものは、いつも申し上げておりますけれども、説明する責任というものが我が方側にはあるという意識、義務があるという意識を持って、また今後の展開に当たって、例えば核融合が二十二世紀ということになると、ウラン燃料も可採埋蔵量四十三年、ではその間どうやってつないでいくか。その合意を国民一人一人の皆さんに、日本のエネルギーそして世界のエネルギー、その中における原子力の位置づけ、その具体的な方法、高速増殖炉あるいはプルサーマル、そういういろいろなことについて。  それからまた、先ほども議論が出ましたが、使用済み燃料の処理処分、いわゆる廃棄物対策というのがございます。これは、地球環境の問題と同様に非常に重要な問題でございます。バックエンドと申しておりますけれども、そういう問題についても、本当に一立地自治体あるいは地域住民という方々がどんな思いでこれを受け入れておられるのかということを、消費地や一般国民の皆様方も真剣にお互いに受けとめて、その中で本当のコンセンサスをつくっていかなければいかぬ、このように考えております。精いっぱい努力いたします。
  89. 岡崎俊雄

    ○岡崎政府委員 先生から御指摘のございました六ケ所の再処理工場の建設費の見直しの点でございますけれども、この事業主体でございます日本原燃株式会社というのがございますけれども、昭和六十一年に行いました同工場の建設費試算につきまして、それ以降、詳細設計を進めていく段階で各種安全対策の充実を図ったりしてまいりました。あるいは、その間、九年間にわたる物価上昇等の影響もございました。  これらの諸点を十分踏まえて、先般この建設費について見直しを行ったわけでございますが、その結果、いわゆる直接工事費ということで約一兆六千億円になるということを発表いたしましたし、さらに加えて、なぜそのような建設費の見直しに至ったのかというその内容につきましても、先生も若干お触れいただきました例えば安全対策の充実でありますとか、あるいはこの工場の設計の参考にいたしましたフランスの再処理工場がございますけれども、この再処理工場の経験、あるいはこのフランスの再処理工場では採用していない新しい要素について、その後の具体化等に合わせた見直しであるとか、そういった点の内訳についても公表いたしたところでございます。  いずれにしても、この再処理というのは我が国の核燃料サイクルのかなめの施設でございます。もちろん、安全には万全を期すということも当然ではございますけれども、その具体的な計画の変更の内容についても広く国民の理解を得ていかなければなりません。そのための情報開示というものをさらに進めていかなければならないと認識をいたしております。
  90. 川島實

    川島分科員 時間なので終わりますが、その青森の再処理工場の建設費が倍増になって、しかし実際、全体像として今完成しているのが一〇%ですので、それで理解ができないんですよ。だから、やはり時々、二年なり三年のサイクルできちっと出してもらわないと、何か事故が起きたときに、こちらでまたこうやって出てきますと、相対的な考え方に国民はさっと頭がいっちゃいますので、その辺のところも十分考えながらきちっとやっていただかないといけないと思っておりますので、ひとつ頑張っていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  91. 小杉隆

    小杉主査代理 これにて川島實君の質疑は終了いたしました。  次に、山本拓君。
  92. 山本拓

    山本(拓)分科員 「もんじゅ」を中心として、原発十五基を立地しておりますところから出てきております山本拓でございます。  きょうは、「もんじゅ」の事故についてちょっと質問をさせていただきたいと思うんですが、長官には、「もんじゅ」の事故の後引き継がれたわけでありますから、その後のこともお聞きしたいと思います。  ところで、十二月八日午後七時四十七分、ナトリウム漏れの事故が発生し、警報が鳴ったところでありまして、その約一時間後の八時四十五分、四十分か四十五分か知りませんが、おおむねそのころに科学技術庁に一報が入ったとのことであります。  まず、ここでお尋ねしたいのは、第一報を受けた科学技術庁として、どのような体制、何をされたかをまずお尋ねをしたいと思います。
  93. 宮林正恭

    ○宮林政府委員 お答えさせていただきます。  そのときは、私どもの原子炉規制課というところに御連絡をいただいたわけでございます。それで、その通報がありまして、直ちに、原子炉規制課の職員、それからまだ残っておりました原子力安全課の職員、こういう局内の職員を動員いたしまして、それぞれ連絡をしたということでございます。具体的には、私のところあるいは大臣の秘書官のところ、それから職員の特に課長、そういうメンバーのところに動員をかけたわけでございます。  それで、私自身は、連絡をもらいまして、直ちにこれは出勤する必要があるということで出勤をいたしました。それぞれの職員もできるだけ早く出勤をするという行動をとったわけでございます。
  94. 山本拓

    山本(拓)分科員 動燃の「もんじゅ」が設置されるときに、私、当時県会議員二期やっておりましたが、地元の認識としては、動燃とか「もんじゅ」とかそんな話は全然知らずに、国の国策に協力するということで、国の信頼関係というもとで立地してきたわけですね。そういう観点からしまして、今回一報が入って安全局長も出られたということでありますが、もともとこの主管は科学技術庁ですね、「もんじゅ」は。その場合の担当が安全局長ですか。その安全局長として、出勤をなされて、ただ出勤して座っているだけが仕事じゃありませんから、どのような役割を法的に持っているんでしょうか。
  95. 宮林正恭

    ○宮林政府委員 ちょっと法的という言葉につきましては御趣旨を十分理解していないかもしれませんけれども、当然のことといたしまして、私はまず、それを聞いたときに確認をいたしております。  まず、これは事故として現在どういう状況にあるか。つまるところ、どんどん大きくなっていくような状況であるかどうか。それから第二番目としまして、外部に対して影響を与えるようなことになっているかどうか。第三点といたしまして、人身事故なりそういうことが起こっているかどうか、こういうことを確認いたしました。  それらの三点につきましては、既にこれはそういう状況を終了しているというふうな回答をもらったところでございます。  しかしながら、この中身を考えますと、やはり急いで出勤する必要があるということで、私は直ちに出勤をしたわけでございますが、私といたしましては、当然これは大臣にも御報告をする。私は大臣を補佐して、一つは、事故が起こっているという事実はもう承知をしているわけでございまして、その事故が起こった後の対応策をとる必要がある。  特に、確かに第一報といたしましては、それは外部に影響もなかった、それから人身事故もなかったということでございますけれども、これはやはり第一報というのは必ずしも正確じゃないケースもたくさんございますから、まずそれを確認して、現状をしっかりと把握するということが大事だ。その結果を当然大臣にも御報告し、それから上司あるいは官邸にも御報告する、こういうふうなことをして、その後は私どもが事故調査、原因究明に当たる、こういうふうに考えて行動しておりました。
  96. 山本拓

    山本(拓)分科員 私が言っている法的にというのは、地元の県としまして、市町村としまして、結局、いろいろ紳士協定とか安全協定を結んでいますが、これは地元からもう数年来、それの法的位置づけをしてくれと言っても、絶対科学技術庁はうんと言わない、そんなことをする必要はないということでございます。  唯一、国として法的に安全管理を規定しておりますのが、御案内のとおり、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律における三十七条ですか。いわゆる最初に原子炉を設置するのは、許認可権ですから、その許可を出すのは国ですね。その主務官庁が科学技術庁、その設置を許可するときに、細則がありまして、その中で非常時の場合にどうするということも動燃から事前に報告を受けていますよね。それが唯一のマニュアルというのか法的に位置づけられたマニュアルであり、緊急時のときにしっかりそめマニュアルどおり守らせる義務が、またそれをチェックする役割を安全局長が持っているんだろうと思うんですが、それを守らせる立場でそこに対応されたということでいいですね。
  97. 宮林正恭

    ○宮林政府委員 お答えさせていただきます。  こういう事故が起こりましたときの対応措置につきましては、原子炉等規制法で書いておりますのは、保安規定の中でそういうふうな保安上必要な措置を決めておく。したがいまして、今回の場合も、保安規定で必要な措置を決めているわけでございます。  それにつきましては、その保安規定を守らなければ、私どもが必要な措置を命じたり、そういうようなことができることになっておりますから、当然それはそういうふうな措置をとるという前提で行動をしております。
  98. 山本拓

    山本(拓)分科員 それじゃ、今回十九時四十七分、七時四十七分に火災が発生、ナトリウム漏れが発生という信号を受けて、一時間後にそれを通報したというんですね。しかし、マニュアルによりますと、要するに火災が発生したらすぐ原子炉を手動でとめる、そしてまたダクト、ナトリウム漏れの場合は密閉して窒息消火するというのがそれに載っていますから、空気を遮断して窒息消火する、どうしてそれはすぐさせなかったのですか。  今回議論になっておりますように、消火したのは一時間以上後、そしてダクトをとめたのは三時間以上後にとめたことになっていますね。現実にそうですね。その間、どうしてそれを速やかに守らせなかったんですか。
  99. 宮林正恭

    ○宮林政府委員 まず申し上げる必要があると思いますのは、原子力施設にそういう災害が起こったという場合については、まず、事業者が責任を持ってそれを処置する。当然、保安規定に従って処置するというようなことになっているわけでございます。  それで、まず先生がおっしゃっている炉を緊急にとめるということにつきましては、私どもが、既に停止をし始めている、こういうふうに承知をしていたということと、それから、これにつきましては、後になって確認をして事実を調べれば先生のおっしゃるような問題点が動燃にあったことは事実でございますが、やはりそのときの状況では明確に私どもは十分状況を確認できる状況になかったわけでございますし、そこまで私どもとして指示をしてこういうふうにしろと言えるような情報を十分持ち合わせていなかったというのが事実でございます。
  100. 山本拓

    山本(拓)分科員 そこがおかしいんですよね。大体事故が起きた場合に、まず炉をとめる、そしてナトリウム漏れが起きたときにはすぐ消火する、密閉する、その二点だけなんです、緊急処置は。それを怠ると大変広がるわけですから。  だから、それがわからないといったって、現場に運転管理官がいたわけですね、科学技術庁の規制課の職員が。それが夜でしたから呼び戻されて十時にはいたわけですよ。確かに炉はそれまでにとまったかもしらぬけれども、それから一時間五十分もダクトは動いていたわけですよね。その職員だって、これは素人が行っているわけじゃなしにベテラン中のベテランで、だれがやったって、私らも県議会時代もいろいろ説明を受けたことがありますけれども、もう知り尽くした人がそこへ行って、そしてその人が今何を言っているかというと、私は着いてすぐ本庁と連絡をとり合って指示のやりとりをやっていましたというのですけれども、全然やっていないということじゃないですか。
  101. 宮林正恭

    ○宮林政府委員 お答えさせていただきます。  まず、先生のおっしゃっている炉を停止するということにつきましては、これは保安規定の中でそういうことが書かれております。しかしながら、窒息消火をするという具体的なものにつきましては、特に保安規定の中で定めているわけではございませんで、それはまさにマニュアルの中で定めている、こういうふうな形になっております。ただ、安全審査の際にはそういうふうな議論をしているというのは事実でございます。  しかしながら、やはりその状況というのは、十分なる状況が判明していない段階におきまして、特に運転管理専門官は、確かに大体十時ごろだと私は今記憶しておりますが、本人が現地に行っておりますけれども、現地で本人が情勢をすべて把握して、それでそこまで指示をできる状況にあったかどうかということになりますと、特に情報が動燃から十分適切に入手できていなかったということから、そこまでは判断ができる状況になかったというふうに私は判断をいたしております。
  102. 山本拓

    山本(拓)分科員 余りごまかさぬといてほしいんですよね。  大体動燃の職員に言わせると、今までずっと一貫して、いろいろ事故があっても動燃と本庁の関係というのは本社と子会社の関係で絶対的なんですよね。そして、運転専門官の役割というのは、これは県の方からもきちっと報告を以前から受けていますが、要するに運転専門官を常駐させるということは、指導監督を行うということを明記して置いているわけでございます。  今マニュアルにはそう書いてあるとおっしゃったけれども、じゃ一つ確認しますけれども、その動燃のマニュアルは安全局長は中身を知っているということですね、今の話だと。
  103. 宮林正恭

    ○宮林政府委員 現在は承知をしております。(山本(拓)分科員「じゃそのときは」と呼ぶ)その当時は私どもは知っておりません。
  104. 山本拓

    山本(拓)分科員 もともとこの「もんじゅ」については最初から、「もんじゅ」訴訟も起こっていましたけれども、ナトリウムが漏れたときの火災についてどうするのだというのが非常に、それは科学技術庁も裁判で証言していますし、そこが焦点なんですよ。  じゃ確認しますけれども、窒息消火というのは設置申請書には載っていなかったのですか、安全審査書には。
  105. 宮林正恭

    ○宮林政府委員 お答えさせていただきます。  窒息消火をするという件につきましては、火災報知機が鳴った場合は、それは窒息消火をしてダクトを閉める、そういう申請書の表現になっております。
  106. 山本拓

    山本(拓)分科員 そうでしょう。全然答えが違うじゃないですか。  それが唯一の手順書なんですよ。そういうマニュアルになっておりながら、それをどうして守らせなかったのですか。
  107. 宮林正恭

    ○宮林政府委員 それにつきましては、マニュアルではございませんで、安全審査申請書の中でそういうふうにするということが書かれているということでございます。
  108. 山本拓

    山本(拓)分科員 それを守らせるのがあなたの仕事でしょう。
  109. 宮林正恭

    ○宮林政府委員 それは当然そういうことを組織として守らせるということでございまして、これは運転管理専門官が直接的に動燃の職員を指揮命令してやらせるというふうなことを想定して運転管理専門官を置いているものではございません。
  110. 山本拓

    山本(拓)分科員 運転管理専門官というのは連絡役でしょう。連絡役でその現場におって、そしてしかもそのマニュアルというのは警報機が鳴ったらすぐ窒息消火させるというのが唯一の法的根拠なんですよ。それをきちっと現場に守らせる。それが、警報が鳴ってから三時間後でしょう。運転管理官がいても一時間五十分ほったらかしだったのです。その間、運転管理官は何をしておったのですか。まずそれをするのが仕事じゃないのですか。それをさせなかったのですか。それをチェックしなかったのですか。
  111. 宮林正恭

    ○宮林政府委員 その点については、本人たちは一生懸命調べて状況を把握しようと努めていたわけでございますが、十分掌握し切れなかったということであったというふうに私は承知しております。
  112. 山本拓

    山本(拓)分科員 じゃその点は問い合わせしなかったのですか、こちらの指示として。
  113. 宮林正恭

    ○宮林政府委員 その点につきましては、まず全体的な事故の状況の把握ということに努めておりましたので、それを明確に指定をして問い合わせるというところまではいたしておりません。
  114. 山本拓

    山本(拓)分科員 だから「もんじゅ」の危険性は、普通の原子炉と違ってナトリウムが漏れたときにこれは異常発生して爆発するおそれがありますから、一日も早く、一時間も早く、一分も早く窒息消火させる、ダクトを閉めるというのが安全審査書に載っているわけでしょう。それは唯一の法的なマニュアルなんですよ。それをどうしてさせなかったのですか。じゃ、させなかったということは認めますね。
  115. 宮林正恭

    ○宮林政府委員 お答えいたします。  法的なマニュアルというふうなものではございませんで、そこのところについては動燃事業団がみずからそれをやるということを前提にした規制をやってきているということでございます。
  116. 山本拓

    山本(拓)分科員 じゃ、動燃事業団に守らせなかったということは認めますね。
  117. 宮林正恭

    ○宮林政府委員 一般的な意味では、規制の保安規定などをちゃんと守るように指導はしてきておりましたが、結果として動燃事業団は守らなかったという事実は事実でございます。
  118. 山本拓

    山本(拓)分科員 要するに、やれと言ったのに守らなかったのか、やれとも言わなかったのか、どっちですか。
  119. 宮林正恭

    ○宮林政府委員 当該項目だけを指定をして指示したというふうなことはいたしておりません。
  120. 山本拓

    山本(拓)分科員 大体地元の立地県とか市町村は、国がそういうマニュアルをきちっと守らせるということで、唯一それが法的になっていますから、その担当の局長が一般的なとか、これはもう具体的に、非常時の場合にかかわるもの、非常時の場合にとるべき処置に関する事項で、非常時の場合にとるべき事項ということは、緊急に炉をとめることと火災を防止するための消火、密閉措置ですよ。その二点に尽きるわけですよ、究極的には。まず、火事だ、火元はどこだ、どうするというときに、全体がどうだこうだという話じゃない。そこはやらなかったということですね。もう一回確認しますよ。
  121. 宮林正恭

    ○宮林政府委員 お答えさせていただきます。  運転管理専門官が当該項目について事業団を指揮をしてあるいは指示をして、そういうふうにしろということをやったということはございませんので、そういう意味では、先生のおっしゃるような指示をしたということはございません。
  122. 山本拓

    山本(拓)分科員 大臣、これは大臣のときの事件じゃないから、後の話ですけれども、今の話を聞いていても、こういうことをやっているからみんな不信が募ってしまうわけです。だから動燃が悪い悪いじゃなしに、こちらとしては福井県が動燃に頼んだわけじゃなしに、こいつにやらせるよ、これは我々管理するよということで運転管理専門官までやって、その結果この始末でしょう。これは、監督責任をやはり怠っていたと認めざるを得ないですよね。
  123. 中川秀直

    中川国務大臣 御地元の問題で、地元の県民の皆さんの今の率直な気持ちを代表して委員がいろいろ御指摘いただいていることは、私は大変よく理解をいたします。私自身も就任後、事実関係、また二月九日の中間取りまとめの中で、この点についても関心を寄せてまいりました。  先ほど来局長が答弁しておるとおり、運転専門官が「もんじゅ」常駐の方が一人、それから現地検査官が一人、事故が起きましたときはちょうど勤務を終えて既に施設を出た後であった。一報が二十時四十五分ごろに本庁に入りまして、本庁からポケットベルで運専官あるいは検査官を呼び出して、専門官は十時、検査官は当日年末で車が全然つかまらない、いろいろなことの事情があったようですが、二十三時四十分ごろ到着ということになったということは、取りまとめの中にも記載してあるとおりでございます。  専門官は専門官室におりまして、動燃側からいろいろな情報は収集していたようですが、現実に施設内を走り回って情報収集するのは検査官の役割だったようですが、検査官が到着した時間は二十三時四十分。もちろん専門官が着いたときには炉もトリップして、緊急停止しておりました。あるいはまた、検査官が現地を、施設内を動くときには換気ダクトも、二十三時十三分ですから確かに三時間後ですが、とまっておった。こういう状況であったというのが現実の状況のようでございます。  そこで、では、この体制やこのあり方が万全なものであるか、改めるべき点はないのか、こうなりますと、私は、今度の事故を教訓に改めなければならぬ、正直に、率直に申し上げて、そう思っております。  そのために、先ほど委員が冒頭に言いましたとおり、原子炉等規制法による立入検査、本庁と相談をして運専官みずからが、例えば必要に応じて法的拘束力を有する立入検査実施をするとか、あるいはまた保安規定に基づいて指導助言をする、こういう法的に基づいたものがあるわけですから、そういう中で委員御指摘のようなことを適時適切にきちっとやるということが大切だろうと思っています。そのために、これから運転専門官の勤務形態のあり方、二十四時間という体制も考えなければなりませんし、さらにまた、その権限の明確化、役割の明確化ということもしなければならぬ、そういった面での措置を大至急講じてまいりたい、今検討させております。
  124. 山本拓

    山本(拓)分科員 そうすると、今の大臣のお答えで、今回の場合、運転専門官がその運転規則によってきちっとしなかったということはお認めになりますね。
  125. 中川秀直

    中川国務大臣 物理的に体制がそういう体制でございまして、その時点では現場におれなかった、そういう基本的な背景があったということをまず御理解いただきたい、このように思います。  それからもう一点は、運転管理専門官が実はオペレーションルームにいたのではなくて、現実には管理官室で情報収集に当たっておった。そこに動燃側からどの程度の情報が提供されておったか。ダクトは動いていたとおっしゃいますが、そのダクトが動いている状況を管理官室、事務棟の方でわかったのか、わからないのか、そういう問題点はあるだろうと思います。
  126. 山本拓

    山本(拓)分科員 大臣がそういうことならしようがないですね。これはもう信頼は失墜したままです。  なぜかといいますと、これはもう現場へ行っている人はみんなわかるんですよ。私も何遍も入っていますし、県の専門官も入っているし、市も入っているし、みんなわかるんですよ。わからぬはずがないんですよ、全く素人が行っているわけじゃないわけですからね。それをそういう認識ならしょうがないですね。  というのは、今後そんな調子なら幾らこれを見直ししたって、例えば前の見直しで人員を充実するとかなんとか言っていますけれども、現実的にその事故を起こしたときには四人おったんですね、科学技術庁職員が三人派遣されている。検査官は九日の検査のために二人張りついていて、そして「ふげん」と「もんじゅ」でその気になれば合計四人結集されたんですよ。ところが、なぜか一人は「ふげん」の方だから招集をかけなかった。その次もですよ。そしてあと一人は、次の日帰っちゃっているのですね。それは本人に言わせると、本庁から呼び出しを食らったということですが、こんな事故が起きて、わざわざ行かしたのに何で一人呼び戻したのですか。理由は何なんですか。  ましてや、その後の二十五日の記者会見で科学技術庁は、今大臣の答弁のとおり、検査官と運専官はそれぞれ忙殺されて、二人ではどうしようもなかった。その気になれば四人その場に張りつけられたのに、張りつけないでそんな答弁しているのですよ、ぬけぬけと。  そして、二十二日のビデオ隠しの話、そんな話も結局は動燃に全部押しつけましたね。あのときなんかは、現場で当時の副所長は、これは運転専門官にちゃんとお伺い立てましたと記者会見で、記者の前でみんな言っちゃってるのですよ。その後、首になって飛ばされちゃいましたけれども。そしてその後はもう全部、知りません、知りません、知りません。  こんな状態でありますから、私どもも高速増殖炉は推進すべきだと思いますが、動燃が悪いといったって、科学技術庁がこういうスタンスでやっている以上はもうしょうがないですね。絶対受け入れられませんよ。ましてや長官が、新進気鋭の長官がなられて――今安全局長も認めているわけですから、指示できなかったと。一時間半指示できなかった。運専室にいたってタコ部屋に入っているわけじゃないのです。ましてやその人の役割というのは現状把握ですから、待っているだけじゃなしにちょっと行けば、すべて知り尽くしている話ですから、全く知らない話じゃないのですから。そういう状態でありながら、全然役割を果たしていなかった。もともと監督責任というのがありますから。  だから、先日の、今後の調査対象に、いわゆる動燃の体質とかいろいろな究明事項がありますね。私はこの中に、安全審査のやり方、そして科学技術庁の当初の許認可のあり方、それが唯一の法的根拠ですから、それのチェツク体制も今後徹底的に信頼回復のために長官として取り組む必要があると思います。それも科学技術庁はどうも嫌がっているようですが、それは長官として役所を抑えてやらせる必要性を感じるか、感じないか。
  127. 中川秀直

    中川国務大臣 お答えする前に、先ほどの答弁がちょっと足りなかったような気がいたしますが、すべて適切であったかどうかについては、私はそれは適切であったとは申し上げておりません。それは、運転管理専門官あるいはまたその当時の状況、今委員が地元の皆さんの率直な疑問を代表しておっしゃっている点は理解をいたしております。したがって、体制の問題も含めて、また仮に少数であっても動き方も含めてもう一回きちんとしなければいかぬ、改善しなければいかぬ、こういうことを申し上げたつもりであります。言葉が足らなかったら、そこは補足いたしておきます。  それから、第二点目の安全審査のことにつきましても、汎用品であったということから安全審査の対象になっていない温度計の破断という中から今回の事故が起きておるわけでありますが、これにつきましても、二度とこういうことを起こさないために対象に加える、あるいはまた安全審査のそうしたやり方を、研究開発用のものあるいは新増設のもの等々について、今回のような事故を二度と起こさないためのあり方について、きちんとこれは安全委員会等でも御議論をいただき、また当庁としても、それなりの改善点をきちんとまとめてこれからしっかりやっていかなければならぬ、このように指示をいたしております。
  128. 山本拓

    山本(拓)分科員 確認ですけれども、今までのチェック体制も含めて、徹底的に究明して改善していくということでよろしいですね。
  129. 中川秀直

    中川国務大臣 基本的にそういうことです。
  130. 山本拓

    山本(拓)分科員 実際問題として、これは監督責任はあるわけであります、法的に。それが先はどのように認めないということであれば、これはもう地元としてどこも信頼するところがなくなってしまうわけです。唯一法的にやるのはそこだけですから、それは責任があるときはありますということを言わないと、今回のように動燃が悪いといったって、動燃の存在はもともと地元は関係ないわけでありますから、そこはひとつきちっとしていただきたい。  あと一分あるので、一点だけちょっと。  先日の調査の中で、さや管はどうなったのですか。さや管は見つかったのですか。「もんじゅ」の方針として、さや管がどこかへ飛んでいっちゃって、あれが見つからない限りもう一〇〇%運転はあり得ないという話ですが、もともとそんなのが見つかったってまず無理だと思いますけれども、さや管はどうなったのですか。
  131. 宮林正恭

    ○宮林政府委員 お答えさせていただきます。  さや管は、鋭意探索をしておりますけれども、現在のところまだ見つかっておりません。引き続き探索をしていくという予定にいたしております。
  132. 山本拓

    山本(拓)分科員 どうもありがとうございました。
  133. 小杉隆

    小杉主査代理 これにて山本拓君の質疑は終了いたしました。  次に、秋葉忠利君。
  134. 秋葉忠利

    秋葉分科員 今山本議員の質問されたことに関連がありますが、原発の安全性、特に、昨年九月に出されました原子力施設耐震安全検討会報告書、これについて私が質問主意書を提出いたしましたが、その答弁書にかなりの疑問点がありますので、それを中心に質問したいと思います。  まず最初に、実は質問を用意している最中、昨夜NHKのニュースで中川科学技術庁長官が、プルトニウム政策の見直しを行ってもよい、そういう意思表明をされたというニュースを見ました。それだけではなくて、私が非常に高く評価したいのは、その見直し議論の中で、現在の政策を推進している人だけではなくて批判的な人も加えた議論をきちんと行いたい、そういう発言をしておられた。これは、今の橋本内閣の中で菅厚生大臣が薬害エイズの問題について厚生省の責任を認めるという英断を下したわけですけれども、それにまさるとも劣らない非常に勇気ある決断だというふうに私は思います。  同世代の代表として、しかも広島出身の大臣ということで大変誇りに思うところですけれども、こうやって手放しで褒めちぎる前に、事によったら、私の方でちょっと思い込みが強くて、そこまでは踏み込んだことをおっしゃってないのかもしれない。  そこで、プルトニウム政策の見直しについてまず確認をしておきたいのですが、中川長官、プルトニウム政策の見直しを行うつもりなのかどうか、お願いいたします。
  135. 中川秀直

    中川国務大臣 お答えをいたします。  NHKの「クローズアップ現代」という特集番組の制作過程の中でインタビューを求められました。その中で、今後の特に原子力政策の進め方について、福井、新潟、福島三県知事が御提言になったこと、こういうことを踏まえて科学技術庁を中心にこの政策の進め方をどう考えているか、こういうお尋ねでございました。  私、ある意味では大変長いインタビューに答えさせていただいたのですが、科学技術庁の立場、政府の立場というものは、現状でも原子力発電に三割、二〇一〇年には四割依存する現実がある。またそれにかわる水力あるいはソフトエネルギー、新エネルギーというものもそれに完全に代替できる、賄える、そういうものの見通しはまだついていない。核融合についても二十二世紀というような御議論がむしろ多い。そういう中で、どうやってこれを確保していくかということを考えなければならない。現状の軽水炉の発電においてもプルトニウムが出てくるわけでございますが、答弁に余り時間をとってはいけませんが、それをどうするか。また、その処理処分に当たって環境に対する影響も低くしていかなければいけない。いろいろな問題の中から、この基本をすぐ変えてしまうという結論は、それにかわる案を求めないとなかなかできない。  こういう前提を置きまして、がしかし、そうではございますけれども、今問われているさまざまな問題これを真剣に考えてみると、やはり政策の必要性に対する理解、納得、また安全性の確保、そういうものを全部ひっくるめた国民的なコンセンサス、これは立地県の地元民の方々のお気持ち、これももう大変なことでありますが、地元民さえ理解すればいいなどという問題ではなくて、国民一人一人が、我が国のエネルギーのあり方はどうあるべきか、世界のエネルギーもどうあるべきか、地球環境の問題もあるわけでございます。  そういう中で、一人一人が真剣に考えていく、そういう場をつくり、そして批判的な立場の方々も含めて大いに参加していただいて、御意見を伺うだけではなくて議論をする、そういう場をありとあらゆる側面においてつくっていかなければいかぬ。そして基本政策に反映すべきものがあれば、それを柔軟に検討していく姿勢が大切だということを私は申し上げたわけであります。  その意味での進め方はこれから転換していかなければいけないのではないか、そういう意味なら、変わっていくというふうにしなければいかぬと思う、こう申し上げた次第であります。
  136. 秋葉忠利

    秋葉分科員 大変建設的な方向だと思いますし、そういったやり方について資する議論をこれからもしていきたいと思いますし、建設的な結果が生まれるように私も長官と一緒になって努力をしていきたいと思います。  その方向で、この検討会の報告書について、さらには私の提出した質問主意書の答えについて、何点か疑問点がありますので、お答えいただきたいと思うのです。  まず、この検討会の目的、例えば関連指針類の妥当性あるいは地震動の評価方法の妥当性を検討する目的があったというふうに理解をしておりますけれども、その中に、いわゆる大崎の方法の妥当性の検討も含められていたのかどうか、まず伺いたいと思います。
  137. 宮林正恭

    ○宮林政府委員 お答えさせていただきます。  今回の原子力安全委員会に設置されました平成七年兵庫県南部地震を踏まえた原子力施設耐震安全検討会につきましては、これは原子力施設の安全性の確認に万全を期すという観点から、安全審査に用いられる耐震設計に関する関連指針の妥当性について確認を行うというふうなことになっておりまして、安全委員会が出しております耐震の指針というものについて検討するということで設置をされております。したがいまして、大崎の式そのものは直接的に耐震指針の中に掲げられているものではございませんので、特に大崎の式の妥当性そのものを直接的に議論をするというねらいを持って設置されたものではないということでございます。
  138. 秋葉忠利

    秋葉分科員 そうしますと、具体的に、数値的に安全指針ができている中で、数値を具体的に示しているような事柄について、その基礎となる式というのは大崎の方法以外に具体的には幾つあるのか。そして、そういったものについても同じように今回検討の対象にしなかったのか。仮に大崎の方法をしないとすればほかのものをしたことにはならないはずですけれども、そうなると、安全設計の指針等この検討会で検討をしたものについては、要するに数量的なものは一切再検討しなかったという結論になりますけれども、それでよろしいのでしょうか。手短にお願いします。
  139. 宮林正恭

    ○宮林政府委員 お答えさせていただきます。  大崎の式そのものは、実際に、これの報告書を出しますときには使っております。これは、大崎の式が一般的に世の中に使われている式である、それで、それが今のいろいろな安全審査等で使われ、それが特に学会などにおいて大きな問題として取り上げられていないということから、大崎の式そのものの妥当性を議論するということはされておりません。
  140. 秋葉忠利

    秋葉分科員 今おっしゃった大崎の式の評価については、全く正当性を欠く説明だということだけ申し上げておきたいと思います。  それでは、科学技術庁が主催した、あるいはほかのところで主催をした際に科学技術庁が提出をした幾つかのパンフレット、チラシの類がありますけれども、そこに書かれている指針の方法に従って想定される地震動、その地震動の応答スペクトル比較、神戸大学で観測されたものとの比較表というのが出ていますけれども、それで、指針の手法に従って想定した地震動、これは科学技術庁の方で出したのだと思いますけれども、このスペクトルというのは何を使って描かれているのか、お答えいただきたい。
  141. 宮林正恭

    ○宮林政府委員 それは、大崎の式を使って、大崎スぺクトルとしてまとめております。
  142. 秋葉忠利

    秋葉分科員 その大崎の方法を使って得られたスペクトルを示して、実際の神戸大学で観測された地震動の応答スペクトルを比較して、だから科学技術庁あるいは安全委員会でつくっているこの安全指針は大丈夫なのだよという説得方法をとっているわけですけれども、そもそも、では大崎の方法あるいは式そのものに妥当性がなければそういった答えは全く成り立たないわけですから、しかも大崎の方法というのは経験式であれば、今回の兵庫県南部地震における観測値と比較をした上でそれが正当なものであるかどうかということを検証して、必要があればそれを改良していくという手続が当然必要なわけですから、その評価をするためにこそ検討会が開かれたと考えるのが常識的な考え方だと思いますけれども、今のお話では、大崎の方法そのものについては検討会の検討の対象にしなかったということですけれども、全くそれでは順序が逆ではないですか。
  143. 宮林正恭

    ○宮林政府委員 お答えさせていただきます。  大崎の式そのものの疑問ということを今回の検討の対象とはいたしておらないということは先ほど申し上げたところでございますが、私どもといたしましては、指針が考えている安全審査を進める際の検討の方式、特に今回の地震から、新たにこれまでの地震現象と違ったように見られたという、当初少なくともそういうふうに報じられたり、そうではないかという疑いを抱かれた部分があるわけでございまして、そういうものを摘出をして、それで、現在の指針でやっていること、これは過去の地震等の経験から導き出されたやり方でございますので、それが今回の地震からおかしくないかというふうな観点でこの検討会が運営されたというふうに承知しております。
  144. 秋葉忠利

    秋葉分科員 ですから、その指針の基礎になっているのが大崎の式、式というふうにおっしゃっていますが、これは一つの式だけでよろしいのでしょうか。答弁書には「大崎の方法」と書かれていますけれども、違いがあるのだったらそれはきちんと整理をした上でお答えいただきたいのですが。  そもそも、この大崎の式が基礎になって指針ができている。だから、大崎の式なり方法なりで得られた値が正確な予測値を与えるのかどうかということが非常に重要になってくるわけでしょう。それは経験式なのですから、具体的な地震が起こったときにその観測値と本当に合っているのかどうか、つまり、この大崎の方法というのが現実性を持つかどうかということを検証するのは、これは原子炉の安全基準をつくる上で一番大事なことではないですか。  だからその際に、この実際にやられた、例えば神戸大学の観測値あるいは松村組の技術研究所の観測値、こういったものと比較をした上でその経験式の妥当性というものを再検討するということが、安全性を考える上でやはり一番大事な点だと私は思いますし、多くの人はそういうふうに考えています。今のお答えでは全くそのような考え方が反映されていない。  そもそも、大崎の方法というのがアプリオリに正しいという前提でないと今のようなお答えは出てこないわけですけれども、なぜ具体的に神戸大学あるいは松村組の技研の観測値と比較をした結果大崎の方法そのものの妥当性を問わなかったのか、なぜそれほど自信を持っているのかということをお答えいただきたいと思います。
  145. 宮林正恭

    ○宮林政府委員 先ほど私が大崎の式、こういう表現を使いましたが、式という表現を使いますと何か一つの式のような印象になりますので、むしろ正確には大崎の方法というふうに申し上げるのが正しいと思います。謹んでそこは……。(秋葉分科員「よくわかっていなかったんだね」と呼ぶ)  それで、これにつきましては、ここの場の議論といたしましては、一つの地震のみをもって、非常に長い間蓄積されてきた大崎の方法というのを直ちに妥当性を評価するということは、なかなかこれは困難でございます。かつまた、それにふさわしいようなデータも入手できる状況に必ずしもなかったというふうに聞いております。かつまた、これまでのいろいろな経験を総合的に判断をされたものとして大崎の式があり、かつまた、その大崎の式というのはこれまでもいろいろな形で世の中から認められてきているという事実を踏まえて、この大崎の式そのものについて問題にするというスタンスはおとりにならなかった、こういう理解をしております。
  146. 秋葉忠利

    秋葉分科員 今、世間に認められている、それから数多くの地震によって検証されたというふうにおっしゃいましたけれども、それでは伺いますが、大崎の方法によると震源の深さはMが大きいほど大きくなる。要するに比例関係にあるという結論が導かれますけれども、今まで起こった地震、数多くありますけれども、具体的にその点をどういうふうに検証されたのか、具体的な事実をもって示していただきたい。こちらは反例がたくさんありますから。
  147. 宮林正恭

    ○宮林政府委員 私が申し上げたのは、過去のそういうふうなことで特に問題がなかったということからそういうことを認められた、こういうふうに私は理解をしていると申し上げたわけでございます。
  148. 秋葉忠利

    秋葉分科員 問題がなかったとおっしゃいますが、例えば、ここにたまたま私の仲間が計算をしたものがあります。一九三〇年、大聖寺付近の地震、これは震源の深さがゼロキロメートルですけれども、大崎の方法によると二・七あるいは六・二キロメートル、これは違った時間ですけれども、そういうふうになってしまう。あるいは北伊豆地震、これも同じく一九三〇年ですが、実際の震源の深さはゼロ、しかし大崎の方法によると十三・八キロになる等々、大崎の方法によると、計算される実際の震源の深さとそれから具体的に起きた震源の深さはまるっきり違っている。逆の例を申し上げますと、一九三一年、根室東岸の地震では、震源の深さは百キロメートルですが、大崎の方法によると、これは七・二キロメートル、こういうふうになっております。  例えばこういったことを、過去の地震に照らして全く問題がないというふうに認識されるその感覚で、地震の被害についてあるいは大きさについて評価をされること自体、非常に大きな問題だと思いますけれども、今の私が申し上げた幾つかの例について、それでもなぜ大崎の方法というのが正当であるというふうにお考えになっているのか、その点だけを説明してください。
  149. 宮林正恭

    ○宮林政府委員 大崎の方法につきましては、例えば長周期側で過小評価になるんではないかとか、そういう議論があることは私どもも存じております。それで、いろいろそういうふうな御議論がおありになるということはわかりますけれども、大崎の方法でやっておりますやり方といいますのは、これは大崎のスペクトルをつくりましたときにはかなりの余裕を持った、特に短周期領域で十分な余裕を持ったように定められている、こういうふうなことになっておりますので、現時点でこれを直ちに見直すような欠陥はない、こういうふうに判断をされているわけでございます。
  150. 秋葉忠利

    秋葉分科員 余裕があるというのは、震源の深さが百キロというのを大崎の式を使うと七・二キロになつちゃうのが、これが差がたくさんあるから余裕を持ったというような、非常に皮肉な言い方をすればそうかもしれないけれども、要するにめちゃくちゃなことをやっているというだけじゃないですか。今のはまるっきり答えになっていませんよ。  私は数学者ですから、数学もたくさん教えてきましたけれども、こういう基礎的なところできちんとした答えが出てこないようなものを、より複雑な問題に当てはめたってめちゃくちゃな答えしか出てこないというのは、これは当たり前のことで、これはコンピューターの用語で言えば、ガーベージ・イン、ガーベージ・アウトと言うんですよ。だから、めちゃくちゃなことをインプットすればめちゃくちゃな答えしか出てこない。それがまさにここで示されているわけじゃないですか。こういう簡単な問題、例えば一足す一が二だか三だかわからない人が、微積分の難しい問題を解けないというのと全く同じ原理です。  ですから、大崎の方法について、今のこのお答えがない以上、しかも大崎の方法を大崎の式というふうに安全局長はインプットされている。そのあたりの誤解というか、理解の深さというか浅さというかよくわかりませんけれども、もうそれ自体、問題を把握する能力がない、認識能力がないというふうに決めざるを得ないというふうに思います。  きちんとした答えを、安全局長でなくてもいいですから、検討会の委員でもいいですから、今の私の問題提起についてのきちんとした答えを後日示していただきたいと思います。  答弁書に書かれているもう一つの問題ですけれども、神戸大学で得られた観測値と、それからこの大崎の方法を比較する、そういう評価の仕方はしなかったという理由の一つに、解放基盤ではなかったという議論が出てまいります。それについて伺いますけれども、解放基盤の定義をしていただきたい。できたらこれはきちんと、例えば横波速度というような形で、実証可能な、測定可能な形で定義を示していただきたい。
  151. 宮林正恭

    ○宮林政府委員 お答えさせていただきます。  解放基盤面の定義につきましては、指針におきましては、基盤「概ね第三紀層及びそれ以前の堅牢な岩盤であって、著しい風化を受けていないもの)面上の表層や構造物がないものと仮定した上で、基盤面に著しい高低差がなく、ほぼ水平であって相当な拡がりのある基盤の表面をいう。」というふうに定義されております。しかしながら、これだけでは十分でございませんので、専門家の判断による従来の慣行におきましては、解放基盤表面は、弾性波、これはS波でございますが、平均速度が〇・七キロメートル・パー・セック、毎秒〇・七キロメートル以上の岩盤を目安として設定されているところでございます。
  152. 秋葉忠利

    秋葉分科員 その弾性波の速度ですけれども、神戸大学における岩盤の横波速度、それから松村組技術研究所におけるその数値、さらには、日本の各地で原発が設置されていますけれども、その中でも、例えば柏崎、浜岡あるいは福島といったところでのこの横波速度ということを示していただきたい。
  153. 宮林正恭

    ○宮林政府委員 今直ちに、ちょっと資料がございませんので、それは大至急調べて、後ほど御返事を申し上げたいと思います。
  154. 秋葉忠利

    秋葉分科員 質問通告で、きちんとこのことは申し上げているはずです。それを、今言われてすぐ出せないというのは、本当に無責任じゃないですか。原子力安全局がそういう無責任な態度をとっていること自体、安全局が原発の安全性について云々する資格がないと言われてもしようがないと思いますけれども、どうですか。
  155. 宮林正恭

    ○宮林政府委員 先生の御指摘のあったすべてについて、ちょっとここで今お出しできるデータは持ち合わせておりませんが、私が今聞きましたところによりますと、福島についてのデータといたしましては、建屋の岩盤のところでVs値が〇・四五、それから柏崎刈羽につきましては〇・五というふうになっております。
  156. 秋葉忠利

    秋葉分科員 ということは、先ほどの〇・七という数値と比較をすると、それよりも小さいわけですから、解放基盤面ではないということになります。  そうすると、この答弁書と比較をすると、とんでもない結論になってくる。つまり、この答弁書には、大崎の方法を評価する上で、神戸大学の観測値と比較をしなかったのは、それは解放基盤面ではない、つまり軟弱な面だから比較をすることはできないということを言っている。一方、現実の原発が所在をしている柏崎あるいは浜岡その他では、それよりもっと軟弱な基盤面であって、ということは、これは評価の方法を考える際に、実際の観測値と比較対照もできないほど軟弱な、神戸大学の基盤、これが大体九百メートルぐらいですけれども、その数値の半分以下の軟弱なところに原発が設置されているということで、これはとんでもない結論になるわけですけれども、その矛盾はどういうふうに説明されるわけですか。
  157. 宮林正恭

    ○宮林政府委員 まず、神戸大学のVs値でございますが、今ここで手元に出てまいりましたので、御説明させていただきます。  地盤条件としての、これはコンクリートの床だと思われますけれども、そのところにつきましては、Vsが二百四十メーター・パー・セック程度である、こういうふうなことになっております。  それで、先ほどお尋ねのことでありますが、原子力発電所は解放基盤面そのものに立地をしている、こういうものではございません。一方で、耐震設計審査指針におきましては、原子炉施設のうち重要な建物、構築物は岩盤に支持させるというふうにされておりまして、これが解放基盤面と同一ということではございません。  したがいまして、解放基盤面に該当しない地盤につきましては、当然、まず解放基盤面を設定いたしまして、その上でそれから伝わってくる地震波を考えて耐震設計をする、こういうふうなやり方がされているところでございます。
  158. 秋葉忠利

    秋葉分科員 何か、言っていることがめちゃくちゃですね。  一方、神戸大学の観測値を使わないという理由には、要するに、地震計の置かれているところが解放基盤面よりもかなり離れているところにあるから使わないんだということを言っておいて、今度は、原発を設置する話になると、解放基盤面上じゃなくてもいいんだ、掘り下げて、下に解放基盤面があればいいんだという話にしてしまって、都合のいいところだけは都合よく解釈する。それでは全く科学的とは言えないんで、今のお話少し、時間がなくなりましたので、きちんと整理をした上で、また後日きちんとした公開の場で、専門家も交えたこういった議論、例えば二、三時間かかるかもしれませんが、改めてお聞きしたいと思います。  今の答えの一つ一つ、例えば大崎の方法そのものについての理解が不十分であること、あるいは過去の地震において、その大崎の方法によって得られた震源の深さと実測値とが大きくずれていること、さらには、この検討会の報告書の中で、神戸大学における観測値と大崎の方法によって得られた数値とを比較検討していないこと等、これは科学的な態度とはとても呼べない。ガリレオが生きていたら恐らく大きな態度で嘆いたであろうということを最後に申し上げまして、後日にこの議論を続けたいと思います。
  159. 小杉隆

    小杉主査代理 これにて秋葉忠利君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして科学技術庁についての質疑は終了いたしました。     〔小杉主査代理退席、主査着席〕     ―――――――――――――
  160. 深谷隆司

    深谷主査 次に、防衛庁について質疑申し出がありますので、順次これを許します。佐藤茂樹君。
  161. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)分科員 新進党の佐藤茂樹でございます。  私は、先日の安全保障委員会におきましても、一時間の時間をちょうだいいたしまして、防衛庁長官並びに外務大臣に対しまして、その大臣所信及び防衛計画の大綱につきまして、特にKEDOへの十九億円拠出の件であるとか、また国連海洋法条約についての基本方針に関する問題とか、さらには防衛計画の大綱、中でも前大綱にあった限定小規模侵略独力対処をなぜ削除したのか等について質問をさせていただきました。  ところが、余りにも詳細な点に入った部分もございまして、防衛庁長官の御所見をなかなかお聞きできなかったこともございますので、きょうは大体大まかな質問をさせていただきたいと思いますので、ぜひ防衛庁長官を中心に御所見をお伺いしたいと思います。  今回の防衛計画の大綱の中で、今後の防衛力が果たすべき役割につきまして、自衛隊のもともとの主たる任務である「我が国の防衛」に加えまして、二つ目に「大規模災害等各種の事態への対応」、三つ目の柱として、さらに「より安定した安全保障環境の構築への貢献」を主要な柱として掲げられているわけでございますが、特に新しい二本目、三本目というのは、これからその中身をどう積極的に肉づけしていくのか、また日本政府としてどう積極的な取り組みをしていくのかということが非常に問われてくると思うわけでございます。  そこで、三つ目の中でも、特に安全保障対話や防衛交流の推進に取り組む姿勢について、まずお伺いしたいわけでございます。  先日の報道によりますと、十三日にアメリカのペリー国防長官がワシントンでの講演で、アジア太平洋地域における新たな安全保障対話を促進するために、各国による国防相会議、いわばアジア太平洋国防相会議を提唱されておりますけれども、これは今まで、ヨーロッパではNATOによる平和のための協力協定、通称PFPですか、さらに昨年九月にはアメリカ大陸南北で三十三カ国が集まってそれぞれ国防相会議をされたというようにお聞きしているのですが、今回のペリー国防長官の提案というのは、今現在置かれているアジア太平洋の不安定な情勢を見ながら、アメリカ政府が具体的な提案をしたということで非常に評価できるんではないかな。  我が国としても、信頼醸成とか相互理解の一環として前向きに、今までのASEAN地域フォーラムに加えて、積極的に取り組んでいくことが必要ではないかと思うのですが、まず防衛庁長官の御所見をお伺いしたいと思います。
  162. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 委員今お話をいただきましたとおり、新防衛大綱では、従来の「我が国の防衛」に加えまして、新しい柱として二つ立てたわけでございまして、その一つ,に、「より安定した安全保障環境の構築への貢献」という項目が入っております。こうしたものから、従来アメリカを中心とした二国対話というものを進めてきたわけでございますが、今お話しのASEAN地域フォーラム、そういった多国間対話というものも私どもは重要な柱としてこれからやっていかなければならない、このように考えているわけでございます。  ただいまお話をいただきましたアジア太平洋地域の国防相会議についてでございますが、残念ながら、詳細についてはまだ承知をいたしてないわけでございます。  一般論として申し上げるならば、アジア太平洋地域の国防大臣による多国間安全保障対話が実現をいたしますと地域の信頼醸成のためには大変意義がある、こう考えておるわけでございまして、ペリー長官の発言につきましては、その背景、目的あるいは方法あるいはタイミング、そういったものをよくお聞きをいたした上で、私の出席も含め、冷戦後のアジア太平洋地域の平和と安定に寄与する観点から対応いたしてまいりたい、このように考えている次第でございます。  いずれにいたしましても、防衛庁といたしましては、アジア太平洋地域において防衛当局者がこうした交流を図る、このことは歓迎すべきことだと考えておりまして、引き続き、新たな施策の展開を含め、近隣諸国の防衛当局との対話を積極的に推進をいたしてまいる所存でございます。
  163. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)分科員 今、防衛当局者の交流というのは非常に大事であるというお話があったので、それに関連しましてもう一点ちょっとお聞きしたい。  これは防衛庁または外務省の方が直接受けられているかどうかも含めてお答え願いたいのですけれども、タイの国防省主催で、アジア太平洋安全保障会議が来月に行われることになる。今回の特徴としておもしろいのは、ASEAN地域フォーラム参加国を中心に、それぞれの制服組の大佐クラスが集まって、その中の中心議題の一つに、PKO参加者の地域訓練センターという構想を討議してはどうか、そういうような話にもなっているというような報道がありますけれども、先ほどお答えになりましたように、そういう国防大臣クラスだけではなくて、こういう制服組のネットワークをつくっていくということもこの安全保障の信頼醸成ということでは非常に意味があるんではないかなと思います。  そのあたりにつきまして、また日本のアジア太平洋地域における安全保障のリーダーシップという点から、御所見をお伺いしたいと思います。
  164. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 ただいま委員のお話をいただきましたアジア太平洋安全保障会議、これは三月十九日から二十二日までタイのバンコク郊外において行われる、特に域内諸国の参加を得て非公式の形でもって自由な形での意見交換をする、こういうふうに伺っております。同会議には、お話のとおり、防衛当局者一名の参加が要望されております。そのほかにも、外交当局者あるいは民間研究機関からもそれぞれ一名の参加が要望されるということを伺っております。  防衛庁といたしましても、我が国周辺の諸国を含む諸国間の安全保障対話、防衛交流、これを積極的に推進しなければならない、こうした観点から、現在これに参加をする方向で検討中でございます。
  165. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)分科員 ぜひ前向きな御検討をお願いしたいと思うのです。  そういう安全保障対話というか信頼醸成の流れができつつある中で、一方、今特にアジア太平洋の情勢で、もともと一つの不安定要因であった朝鮮半島の情勢に加えまして、三月の総統選を前に中国と台湾関係の緊張があると思うわけです。  これはもうこの二週間ぐらいずっといろいろな形で報道されておりまして、時々刻々この情勢というのは変化していると思うわけですが、どちらかというとアメリカからの情報発信というのがほとんどだった。それも今までは、国務省とか国防総省の主要なポストにある方の見解としては、武力衝突とか紛争というものの可能性は低いのではないか、そういうふうに見ていたわけですけれども、先日の報道によると、ドイチュCIA長官がアメリカ上院の議会で証言をされておりまして、どういうような内容かというと、台湾海峡での中国による軍備増強に言及して、計算違いあるいは偶発的に交戦に及ぶ可能性が大きい、こういう今までの国防総省とか国務省の認識と全く違う認識と評価をしてきているわけです。  防衛庁として今この中台関係の緊張というものをどういうように認識また評価されているのか、御所見を伺いたいと思います。
  166. 小池寛治

    ○小池政府委員 中台関係の軍事情勢についての御質問ですけれども、先生よく御案内のとおり、中国は台湾が国際社会において地位向上を目指す動きに対しては大変警戒しておりまして、台湾の統一に当たっては基本的には平和的な統一を目指す、しかしながら武力行使の可能性を放棄していないということをたびたび表明しております。  ちなみに、昨年の一月には、江沢民国家主席の八項目提案の中におきまして、台湾への軍事行動を起こす場合として、台湾が独立を宣言した場合あるいは外国勢力による中国統一に対する干渉があった場合というようなことを挙げております。また、七月末には、遅浩田国防部長も、我々は問題は武力で解決しないとは確約しない、もし外国の勢力が中国の統一に干渉して台湾独立を図り、あるいは台湾当局が分裂に固執するならこれを座視しないといったような発言をしていることは、先生御承知のとおりでございます。それで、昨年六月、台湾の李登輝総統の訪米以降、台湾近辺においてミサイル発射訓練などを実施して活発な動きを見せてきております。  それで、もう一月以内になりましたけれども、三月の末には台湾の総統選挙が実施される予定となっていて、中国軍の動きが活発化するということも十分予想されますので、防衛庁としても中国軍の動向については引き続き十分注目していく必要があると考えております。  それから、先生が今言及されましたドイチュCIA長官の発言でございますが、上院の情報特別委員会においてドイチュ長官は次のように発言しております。それは、現在の台湾海峡近くへの中国軍の配備というのは事態の重大性を示唆している、誤った判断及び事故によって衝突の潜在性は大きいということを発言しておられます。  そういうことで、衝突の潜在性は大きいということ、それも誤った判断あるいは思わぬ事故によってという注意深い言い方をしておられて、今まで外交委員会でロード国務次官補等が発言した内容と基本的には見方としては変わっていないというふうに見ております。  いずれにしましても、防衛庁としては、現在台湾海峡において武力行使が直ちに行われるという差し迫った情報には接しておりません。
  167. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)分科員 それで、もう一つこの件に関してお聞きしたいのですが、実際に、万が一の場合に、そういう誤った判断であるとかまた思わぬ事故が原因となって中国人民解放軍が台湾進攻作戦を展開する、そういう可能性も否定はできないと思うのですけれども、しかしながら具体的に人民解放軍の戦力について防衛庁としてどういうように見ておられるのか。特に、台湾進攻作戦を展開するだけの能力があるのかどうか。  その辺についての分析と、あわせまして、もう一つの不安としては、台湾というのはまだまだミサイル防衛網というものが非常におくれている、であるがゆえに、中国としては上陸作戦だけではなくてミサイル攻撃というものをしてくるのではないか、そういうことを言われているアメリカの当局者もいるわけですけれども、十五日のシャリカシュビリ統合参謀本部長の見解としては、中国は台湾を進攻するのに必要な上陸作戦を実行するだけの戦力というのは持っているとは思えない、そういうようにアメリカ当局者は言っておりますけれども、防衛庁としてはどういう分析をこの中国の戦力に対してされているのか、御見解を伺いたいと思います。
  168. 小池寛治

    ○小池政府委員 中国の台湾への進攻能力についての御質問ですけれども、中国の軍事力増強の全般的な動きにつきましては、いわば量から質への転換を図っているということだろうと思います。近年、国防費を一〇%あるいは二〇%以上と大幅に増額して、また核戦力の近代化あるいは海軍力、空軍力の近代化を進めているところでございます。それで、中長期的にアジアの軍事バランスの中でこういう中国の動きがどのような影響を与えるかということに我々も十分注目していく必要があるというふうに考えております。  それで、御質問の中国の台湾進攻能力ということですけれども、これはあくまでも仮定の問題でございますので、事柄の性格上突っ込んだコメントを差し控えさせていただきたいとは思いますけれども、米国の軍当局の見方としては、中国軍は台湾海峡を越えて台湾上陸作戦を実施するのに必要な兵力と支援能力を欠いている、台湾上陸作戦を実施する能力がないという報道があることは承知しております。  防衛庁といたしましても、あえてといいますか、純粋に軍事的な能力ということのみに限定して申し上げれば、中国軍というのは全体的に規模的には大きいものの質的には旧式装備が多く、例えば上陸作戦に必要となる両用戦艦艇については輸送能力などが極めて制約されておりますので、台湾に進攻する能力、純粋にその能力という面のみに限って言えば、極めて限定されているというふうに考えております。
  169. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)分科員 中台情勢について注目されるという所見もいただきましたし、引き続きまたこの辺については委員会等を通じて議論をしていきたいと思うのですが、そのあたりでこれから勃発して、何かが極東の方にあって有事になったとき等も考えていくと、やはり日米安保の見直しということが、見直しというか再定義、橋本総理は再確認という言葉を使われましたけれども、非常にポイントになってくるであろう。  その中で、四月に共同宣言をされるというその準備に取りかかっておられると思うのですけれども、非常に注目されていくと思うのです。その中でも、この一年ぐらい見たときに、昨年の二月にアメリカの方で東アジア戦略報告というものが、ナイ・イニシアチブという別名をとっておりますけれども出されているわけですが、それに対する認識と評価、またそれを踏まえてどういうように再定義していくのかということが問われると思うのです。そのあたりにつきましての認識と評価を防衛庁長官はどのようにとらえておられるのか、お聞きしたいと思います。
  170. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 米国が昨年二月に公表いたしましたいわゆるEASRにおきましては、米国が引き続きアジア太平洋地域のプレゼンスをしっかりと維持していく、アジア太平洋地域の平和と安定のために関与していく、この方針を明確にいたしているわけでございまして、東アジアにおける米軍のプレゼンスというものを、現在の十万人を維持する、こういうことが明記されているわけでございます。  この中におきまして、日米安全保障関係はアメリカのアジア太平洋地域における安全保障政策のかなめ、こういうふうに位置づけられているわけでございまして、日米の同盟関係が、我々日米両国のみならず、アジア太平洋地域の平和と安定のためには極めて重要な意味を持っている、こういうことが記述をされております。  この報告は、米国が、日本を含む同盟諸国との共同作業を踏まえまして、冷戦後の東アジア戦略を明らかにしたものと認識をいたしております。防衛庁といたしましては、日米安全保障対話の成果として、米国がアジア太平洋地域の平和と安定に引き続き関与をして、米軍のプレゼンスを維持をする、こういう意思を明確にしたものとして受けとめておりまして、我が国の役割を含む日米安全保障体制の重要性を再確認したことに対して高く評価をいたしております。  我が国は、従来から、日米両国を取り巻く諸情勢の変化にも留意をしつつ、日米安保体制の効果的な運用を確保するための努力を行ってきたところでございまして、日米のパートナーシップの永続のために、アメリカがかかる政策をとる上で重要なきずなとなっている日米安全保障体制の一層の信頼性の向上のために引き続き努力をいたしてまいりたいと考えております。
  171. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)分科員 その前向きな評価はよくわかりましたが、その中で一点だけ、防衛大綱の発表のタイミングでも非常にもめた部分で、この日米安全保障条約の第六条に言う極東の範囲の解釈に関する政府見解の問題と東アジア戦略報告の中でアメリカが言っていること、特に在日米軍基地というのがどういうように使われるのかという部分に若干の心配な点があるのですけれども、その辺に関してちょっとお聞きしたいのです。  これは昨年の二月二十四日、産経の夕刊に、東アジア戦略報告の日本関連部分の詳細は次のとおりであるということで報道されているのですが、その中で、「在日米軍基地はアジア地域のいかなる紛争地点への緊急出動にも適し、侵略を抑止し、撃退する米国の能力に基本的な役割を果たす。」そういう部分があるのですね。これは、従来の日本の極東の範囲の解釈と若干違ってくるのではないかな。「アジア地域のいかなる紛争地点への緊急出動」というのは、とてもじゃないけれども極東を超えているのではないかなという感じがするのですけれども、その辺についての御見解をお伺いしたいと思います。
  172. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 まず最初に、安保条約に言うところの極東の範囲と、それからこの防衛大綱で示しているところのアジア太平洋地域の安定と平和に係る日米安保体制の役割、その関連について、これは防衛大綱が決定されましたときに発表されました官房長官談話で整理しておりますので、それを御紹介したいと思います。それと、あとEASRについての記述について若干お答えしたいと思います。  前者について申し上げますと、官房長官談話の中で、  日米安全保障体制に基づく米軍の存在と米国の関与が我が国周辺地域の安定要因となっており、また、日米安全保障体制を基調とする日米両国間の安全保障、政治、経済など各般の分野における幅広く緊密な協力関係が我が国周辺地域の平和と安定に貢献しているとの趣旨を示したものであります。したがって、ここでいう「我が国周辺地域における平和と安定を確保し」との表現により、日米安全保障条約にいう「極東」の範囲の解釈に関する政府統一見解を変更するようなものではありません。これはそういうことでございます。  そこで、そのEASRに記述してある内容との関係について若干敷衍してお答えしますと、我々の考え方といたしましては、アジア太平洋地域の平和と安定ということとの関係で、米国のアジア太平洋地域に関する関与、それから米国軍のアジア太平洋地域における存在、プレゼンス、こういうものがアジア太平洋地域に結果として平和と安定をもたらす、こういうことをEASRも述べているというふうに私は理解するところでございます。
  173. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)分科員 この件についてもうちょっと聞きたいのですが、時間も迫っておりますので、予定どおり質問をさせてもらいたいと思うのです。  防衛計画の大綱の中で、ずっと読んだのですが、弾道ミサイル防衛の位置づけというものがどこを見てもよくわからなかったんですね。例えば、具体的には「我が国が保有すべき防衛力の内容」、大きなⅣですか、そういうところにも、例えば中期防でいろいろ論議になった四点のうちの空中給油機については、きちっとした大綱の中での位置づけというのが読み取れる部分があるのですが、弾道ミサイル防衛は新防衛大綱の中でどういうように位置づけられているのか、簡潔にお答え願いたいと思います。
  174. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 委員お話しのとおり、新防衛大綱の中には弾道ミサイル防衛についての記述というものがないわけでございますが、これは、弾道ミサイル防衛について、我が国防衛政策上の位置つけ等について政策判断をこれからする必要がある、こういうことで現在所要の検討を行っている段階であることから、新防衛大綱におきまして、特段、弾道ミサイル防衛を念頭に置いた記述を行っていない、こういうことでございます。  それから、それではどういう政策上の位置づけ等を行うのかということをお話し申し上げますと、申し上げましたように防衛政策上の位置づけをまずこれから検討しなければならない。そのためには、弾道ミサイルの脅威、弾道ミサイル防衛システムの具体的な内容、その技術的可能性、費用対効果等々、非常に多岐にわたる問題について検討をする必要があるわけでございまして、現在、日米共同で研究を進めているところでございます。
  175. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)分科員 今の弾道ミサイルに関してですが、七年度の予算と八年度の予算を比較しますと、七年度が二千万円の調査研究費だったのに対して、この八年度、今の政府予算案では四億四千万程度、実に二十二倍というざっと計算してですけれども、そういうものが盛り込まれているんですね。  ところが、防衛庁からいただいた「防衛力整備概要」という七年度と八年度の内容を見ましても、ほとんど変わりがない。ちょっと文章が長いかどうかというそういう違いなんですが、これは実際中身が、何がこれだけ予算をつけるだけのものがあるのか、それとも、これから総合的見地から検討されるんですけれども、それの山場に来ているのかどうか、そういうことも踏まえて、きちっとここで予算をつけて調査研究をしてしまおうということなのか、その辺についてお聞かせ願いたいと思います。
  176. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 七年度の調査研究におきましては、弾道ミサイル攻撃などによる空からの攻撃に対処するための防空システムを構成するセンサーシステム、あるいは要撃ウエポンシステム及び指揮統制システムのおのおのの機能、性能等について分析評価を行い、これらの要素システムから構成される防空システムの検討を行っているところでございます。  そして、八年度の調査研究におきましては、かかる防空システムについての費用分析及び防御効果の評価、シミュレーションを行いまして、その費用対効果の検討を行うことを考えているわけでございます。  この八年度の調査研究費が七年度の予算に比べまして極めて大きく増加しております理由は、この費用対効果の評価検討を行うためには、コンピューターを用いたシミュレーションによりまして防空システムの防御効果を評価いたしますとともに、防空システムの費用について分析することが必要でありまして、この防空システム評価プログラムを取得するためにかなりの費用がかかるということで、四億四千万円の経費計上しているところでございます。  なお、英国におきましても、現在、弾道ミサイル防衛に関しまして同様の研究を、プレフィージビリティースタディーと称しておりますけれども、行っておりますが、英国は本研究に約六百万ドル、邦貨にいたしまして六億円程度の経費を充てているという状況でございます。
  177. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)分科員 時間が迫りましたけれども、あと、せっかく外務省に来ていただいているのでお聞きしたいんですが、一昨日の本委員会におきまして、橋本総理が、常任理事国になった場合の日本の役割として、被爆体験を持つ唯一の国として核廃絶を訴えるんだ、そういうお話をされておりましたけれども、そういう点も踏まえまして、本年にも署名しようという包括的核実験禁止条約の交渉における日本のリーダーシップをどうとろうとされているのかという点と、もう一つは、一月二十五日に、インドの方から、核保有国の核兵器廃絶目標期限を条約に盛り込むべきだ、そういうインド提案とも称されているものが提案されておりますけれども、そういうタイムバウンドに対しての外務省の方針、日本はそれに対してどういう見解をとるんだというその方針について、最後にお聞かせ願いたいと思います。
  178. 高松明

    ○高松説明員 全面核実験禁止条約は、先生御案内のとおり、核兵器のない世界を目指す核軍縮努力の中で最も重要なものの一つというふうに私どもとらえておりまして、その交渉の早期妥結が現在の軍縮関係の仕事の中で最大の課題でございます。我が国といたしましては、各国に対しまして、本年春までの実質的な交渉の妥結、秋までの署名ということを呼びかけておりまして、その実現に向けまして、現在引き続き交渉の一層の加速化のために全力を尽くしている段階でございます。  先生御指摘のインドの提案につきましては、これはCTBT、全面核実験禁止条約の交渉におきまして、時間的な枠組みを伴う核廃絶について条約案文中で規定するという提案でございますが、こういう提案を現在しているところでございます。  しかしながら、この提案は、核実験の禁止ということを目的として現在交渉を行っているところでございまして、それとはやや異なった目的の提案であるということもございまして、交渉参加国の中では広い支持を得るには至っておりません。また、今申し上げましたとおり、本年中に全面核実験禁止条約の交渉を妥結させるということで関係国が一致して交渉を行っている段階でございますので、インド提案によりまして大幅に交渉が遅延するということを私どもとしては懸念している、そういう状況でございます。
  179. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)分科員 以上で質問を終わります。
  180. 深谷隆司

    深谷主査 これにて佐藤茂樹君の質疑は終了いたしました。  次に、前原誠司君。
  181. 前原誠司

    前原分科員 質問通告をしております点につきまして、防衛庁長官並びに法制局に対して質問をさせていただきます。  まず第一に、集団的自衛権の行使についてでございます。  今までの政府の集団的自衛権に対する公式見解といいますのは、国際法上は、国家は、集団的自衛権、すなわち、自国と密接な関係にある外国に対する武力行使を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利を有しているものだとされている。しかしながら、我が国も、国際法上、このような集団的自衛権は主権国家である以上当然ながら有しているけれども、憲法第九条のもとにおいて許容される範囲を超える、そういう見解になっているわけでございます。そのポイントというのが、「わが国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると解しており、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超える」、こういうことになっております。  確かに今、日米安保条約ということで日本とアメリカは同盟関係にあるわけでございますけれども、日本が攻撃された場合については同盟国であるアメリカが日本に対して集団的自衛権の行使をしてくれる、しかし、日本はアメリカが攻撃されたときには集団的自衛権の行使を行わない、こういうことになっております。  アメリカ自身も現時点においてそれを望んでいるとは思いませんけれども、しかしながら、日本の近辺で何か有事が起こった場合に、そしてそれが日本に対して直接的に被害が及びそうな場合が想定されることにおいても、現在の集団的自衛権によって、例えば海上封鎖、臨検、自衛隊の基地使用あるいは掃海といったものがなぜできないのかといったことを、この今の政府の統一見解並びに憲法九条との関係に即して法制局に答弁をいただきたいと思います。
  182. 秋山收

    秋山(收)政府委員 ただいまの憲法と集団的自衛権の行使との関係の御質問でございますけれども、まず、委員御指摘のように、国際法上、我が国としては、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止することを正当化されるという地位、すなわち集団的自衛権を有しているというふうに解しておりますけれども、これは、我が国は主権国家でございますから、当然国際法上の地位として有しておる。  しかしながら、政府は、従来から一貫して、憲法九条のもとにおいて許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどめるべきものであり、他国に加えられた武力攻撃を阻止することをその内容とする集団的自衛権の行使は、この範囲を超えるものとして、憲法上許されないというふうに解しているわけでございます。  これは憲法第九条が、これも委員に申し上げるまでもないことでございますけれども、  国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。   前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。という戦争放棄、戦力不保持の原則が憲法に決められておりまして、これの中で認められる自衛権の行使というものは、先ほど申し上げましたような、自衛のため最小限度のものに限られるべきであるというふうに解しているところから集団的自衛権の考え方の基礎が出ているわけでございます。
  183. 前原誠司

    前原分科員 その認識は私も持っておりますけれども、伺いたかったのは、具体的に、他国に対する侵略あるいは他国においての紛争というものが、例えば火事でも、隣で火事が起こっていて飛び火をしてそれが広がるかもしれないというものについては、我が国を防衛するための必要最小限度の範囲というものの区別ができるのかどうかということが一つ問題になると思うわけです。  ですから、明確に、他国に対しての侵略あるいは他国で紛争が行われて、全く自国に対して影響がないという場合においてはそういう解釈が成り立ちますけれども、それが、隣で火事が起きて飛び火してきそうだ、我が国にもその火の粉が飛んできそうだという場合において、なぜ、我が国を防衛するための必要最小限度の範囲にとどめるというふうな解釈で集団的自衛権の行使がすべてだめなのかということを、もう一度答弁していただけますか。
  184. 秋山收

    秋山(收)政府委員 今先生が御指摘のような事態が我が国に対する攻撃であるということでございましたら、それは、それを排除して我が国の独立を保持するためにその反撃ができるというふうに解しておりますけれども、ただ、我が国に対する攻撃ではないと申します場合に、それに対して武力による反撃を加えますことは、繰り返しになって恐縮でございますけれども、九条の国権の発動たる戦争の放棄、それから武力による威嚇、武力の行使の放棄という考え方からして、それはできないものというふうに考えているわけでございます。
  185. 前原誠司

    前原分科員 もうちょっと突っ込んでお話をさせていただきたいと思います。  今の解釈はわかります。わかりますけれども、どうやって区別をするのかということなんですね。  例えば、近隣の諸国で紛争が起きた。ひょっとすれば、武装難民がこちらにやってくるかもしれない。それは、紛争自体は他国で起きているけれども、被害がこちらに及んでくる可能性がある、またそれが察知されるという場合において、これは我が国に対する攻撃の予兆といいますか前兆というか、そういう兆しというか、そういうものとして理解がされたときに、なぜそれは集団的自衛権ということですべてをシャットアウトしてしまって、自衛のための当然の行使という解釈ができないのかということをお聞きしているわけです。もう一度お願いします。
  186. 秋山收

    秋山(收)政府委員 憲法九条が禁止しておりますのは、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使」でございまして、こういうものを発動するのは、やはり我が国に対する明白な武力による侵害があったときであり、かつそれ以外にこれを排除する手段がないとき、かつ我が国の武力の発動の態様は必要最小限のものに限定するべきである、従来から我が国の自衛権発動の三要件ということで申していることでございますけれども、それに限定される。あくまでも九条の武力の行使につきましては、そういうふうに考えられるべきものと考えております。
  187. 前原誠司

    前原分科員 そうしたら、別の聞き方をいたしますけれども、我が国に対する明白な攻撃という明白なというのは、例えば宣戦布告がなければ明白でないのか。宣戦布告なしに、例えば敵機が来たあるいは武装難民が来た、しかしそれは明白な侵略ととられないというふうに、宣戦布告がない場合はそうなるのかどうか、どうですか。
  188. 秋山收

    秋山(收)政府委員 これは実態の認識と判断にかかわる問題であろうと思いますけれども、必ずしも宣戦の布告というものがその要件ではございませんで、実態として我が国に対して急迫不正の武力による侵略行為があった場合は、自衛力発動の要件に該当することになろうと思います。
  189. 前原誠司

    前原分科員 では、先ほど個別にお伺いした四点。例えば海上封鎖。紛争自体は我が国の近隣で起きているけれども武装難民がやってきそうだ、それで海上封鎖を例えば米軍とともにやる。そして、スパイが我が国に侵入しないために臨検を行う。また、例えば機雷を敷設されてしまって我が国の商船や海上保安庁の船が航行に支障を来す、そういうふうな場合の掃海。この三つの点で、それは集団的自衛権の行使になるのか、それとも個別的自衛権の延長として考えるのか、どちらですか。
  190. 秋山收

    秋山(收)政府委員 今御指摘のような問題につきましては、どのような状況のもとでそのような行動が行われるか、あるいは米軍のどのような行動に対してその共同行為を行うかといったような、個々具体的な行為の態様につきまして十分な検討が必要と思われますので、確定的なことを申し上げるのは困難な面がございます。  しかしながら、一般論として申し上げますと、まず、我が国が行うそのような行動自体が憲法の禁ずる武力の行使または武力による威嚇に当たるものであるかどうか、それから、共同行為を行います米軍の行動が武力の行使などに当たるものかどうか、それから、米軍の行動が武力の行使などに当たるような場合には、これと共同して行われる我が国の行動がこれと一体となるような行動に当たるものであるかどうかというようなことを、憲法等の関係から個々の事例に応じて十分に検討していくべきものと考えます。
  191. 前原誠司

    前原分科員 ということは、一般論として個々の事象において判断をされるべきだということをおっしゃったということは、場合によっては海上封鎖もできるし、臨検もできるし、掃海もできるという御答弁でよろしいのですね。
  192. 秋山收

    秋山(收)政府委員 繰り返しの御答弁になりますけれども、そのような行為につきまして、個々のケースに応じて、先ほど申し上げましたような判断基準に照らして憲法上の判断がなされるべきものと考えます。
  193. 前原誠司

    前原分科員 もっと簡潔で結構でございます。  要は、個々の判断基準に照らし合わせるということは、全く全面的に、そういう行為自身がすべての事象においてだめですということをおっしゃっているのではないのですねということを伺っているわけで、そうですとか、いいえとかということを言っていただいたら結構です。
  194. 秋山收

    秋山(收)政府委員 個々の事例に照らして具体的に判断されるべきものであると考えます。
  195. 前原誠司

    前原分科員 そうしたら、ちょっと違う切り口からまたお話を伺いたいと思うのです。  日本も国連に加盟をしております。国連に加盟をしているということは、例えば、国連は、集団安全保障とかあるいは多国籍軍とか、そういうものが国連のもとにおいてなされているわけでありまして、当然ながら、国連自体は集団的自衛権を認めているわけであります。それで、その国連憲章、つまり一般的に条約と解釈できると思いますけれども、それにかかわるときに、日本の法律、特に憲法との整合性はどのように判断をされたのか、国連に入るということは日本の憲法、特に九条と照らし合わせてそごがないと判断をされたのか、御答弁をお願いしたい。
  196. 秋山收

    秋山(收)政府委員 ただいまお尋ねの集団的安全保障と申しますのは、国際法上、武力の行使を一般的に禁止する一方、紛争を平和的に解決すべきことを定め、これに反して平和に対する脅威あるいは平和の破壊または侵略行為が発生した場合に、国際社会が一致協力して、このような行為を行った者に対して適切な措置をとることによって平和を回復しようという概念でありまして、国連憲章にそのためのいろいろな規定が置いてあるわけでございます。  ところで、我が国の憲法には、集団的安全保障に参加すべき旨の規定は直接明示されていないところでございますが、ただ、憲法前文に、憲法の基本原則の一つである平和主義、国際協調主義の理念がうたわれておりまして、このような平和主義、国際協調主義の理念は、国際紛争を平和的手段により解決することを基本とする国連憲章と相通ずるものがあると考えております。  我が国は憲法の平和主義、国際協調主義の理念を踏まえまして国連に加盟し、国連憲章には集団的安全保障の骨組みが定められていることは御承知のとおりでございます。したがいまして、我が国としては、最高法規であります憲法に反しない範囲内で、憲法九十八条二項に従いまして国連憲章上の責務を果たしていくことになりますけれども、もとより、集団的安全保障にかかわる措置のうち、憲法九条によって禁じられております武力の行使または武力による威嚇に当たる行為につきましては、我が国としてはこれを行うことを許されないことは当然のことであろうと考えております。
  197. 前原誠司

    前原分科員 ということは、日本が国連に加盟したときには、最高法規である憲法に相入れない部分があるという前提で、留保をつけて国連に加盟をしているということになりますね。
  198. 秋山收

    秋山(收)政府委員 国連に加盟いたします場合には留保という行為は一般的には考えられておりませんで、ただ我が国の場合には、憲法上の制約のもとで国連憲章上の義務を果たしていくということは当然の考え方として国連に加盟しているわけでございます。
  199. 前原誠司

    前原分科員 先ほど「武力による威嚇又は武力の行使」という文言を言われましたけれども、この文言は国際連合憲章にも書かれている文言でありまして、国連自体も、九条に書かれている文言が全くイコールとは言えないかもしれませんけれども、言ってみれば、同じような趣旨で武力による威嚇または武力の行使というものを排除しているわけです。  そのことを考えますと、国連憲章自体が憲法九条と同じような文言になっていて、そしてそれがまた例えば集団的安全保障、集団的自衛権というものを認めているということになった場合、まあなっていると思うのでありますけれども、その場合、日本も憲法解釈において、さっき何度も議論いたしましたけれども、日本に対して明白な危機感がある、あるいは武力の行使をされるおそれがある場合には集団的な自衛権を行使し得るというふうに解釈することはできませんか。
  200. 秋山收

    秋山(收)政府委員 日米安保のもとにおきまして、米軍が集団的自衛権を発動して我が国を守るということは条約上も決まっておりますことですし、可能でございますが、ただ、我が国が我が国の自衛の必要上武力を行使するという考え方は、繰り返しになりますけれども、第九条の解釈として長年積み重ねられた先はどのような考え方で、具体的な明白な武力侵害がある場合に限って我が国としては自衛力を発動するということが憲法九条の解釈であると考えております。
  201. 前原誠司

    前原分科員 そろそろ水かけ論になってきましたので、別のテーマに移らせていただきます。  防衛庁長官がおられますので、長官または担当者にお話を伺いたいと思いますが、今後の日米安保のあり方についてお尋ねをさせていただきたいと思っております。  私個人の考えとして、まだ党の考えにまでは至っておりませんけれども、沖縄の問題に端を発しまして基地の縮小を行うということをしていった場合に、日本の新たな役割あるいは本来果たさなくてはいけなかった役割について真剣に考えないと日米安全保障体制そのものが堅持できない、私はそういう認識でいるわけであります。その延長線上で、今国会に提出を予定されておりますACSAというものがあるのではないかと私は思っております。  そこで、まだ御検討中の部分で固まっていない部分があると思いますけれども、基本的な考え方として、このACSAの範囲についてはどのような見解を持っておられるか。そうなるかどうかということではなくて、自衛隊、防衛庁の最高指揮官として、指揮官は総理か。トップとして、ACSAを結ぶに当たってはどういう場面が必要と考えておられるか。例えばPKOについて記述することは必要なのかどうか。あるいは、訓練において規定することはもちろん必要でありますけれども、それは米国の単独訓練においても規定することが必要なのかどうか。あるいはその他にも、アメリカ側からACSAの中に含めよという、何かPKOや単独訓練以外に要望があるのかどうか。その点、現在教えていただける範囲で結構ですので、御答弁をいただければと思います。
  202. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 今委員お話しのとおり、日米安保条約が有効に実施をされるために私ども日本もいろいろ検討していかなければならない、これはお説のとおりでございます。今お話しの物品役務相互融通協定、ACSAにつきましては、昭和六十三年の第十八回日米安保事務レベル協議におきまして日米の話し合いの中でもって話が出てまいりまして、現在、共同訓練等を中心にこの仕組みを導入するかどうか、法的な側面を検討いたしているわけでございます。  現段階におきましては、相互融通の要件、範囲等についてお答えを申し上げるわけにいかないわけでございますが、いずれにいたしましても、私どもが現在検討いたしておりますのは、平時における共同訓練を中心に導入の検討を図っていく、こういうことでございます。
  203. 前原誠司

    前原分科員 まだ日米でまとめておられる段階で明らかにできないというお考えはよくわかります。  私の要望だけさせていただきますけれども、法律ありきで、それに縛られた形でACSAそのものが矮小なまた小ぢんまりしたものになっては本来の趣旨とは違ったものになるのではないかと私は思います。したがって、日米安保条約というものの円滑運用に資するには、またアメリカ側からどういう要望がされているのか、あるいは日本側もどういうことがし得るのかあるいはやるべきだとお考えになっているかという点から広く考えていただいて、そしてその後に法的な整備をしていただくというような進め方で、このACSAの範囲について御検討いただきたいと要望させていただきます。  次に、先ほど集団的自衛権について、また集団的自衛権という言葉ではないのかもしれませんが、例えば海上封鎖とか臨検とか、あるいは掃海なんというのは個々の事象によって判断できる、ということは、個別の事象によってはやることが可能なんだというようなお答えがあったと思っております。そしてまた、時間がたてば集団的自衛権の憲法解釈なども変わるとか、あるいは本当に日米安保堅持、強化、そして歴史の流れから考えるならば、私は憲法改正ということも一つの視野に入れながら日米安保条約の堅持、あるいはもっと根本的に言えば日本のみずからの防衛というものを成熟させていかなくてはいけないのではないかと思っております。  そこで、お伺いしたいわけでありますが、私も末端で審議に加わらせていただきました新防衛大綱、これは十九年ぶりに見直しをされたものであります。十九年というと非常に長いタームであります。しかし、この十九年という長い間存在をし続けていたというのは、冷戦という世界構造が基本的には変わらなかったところにこの十九年という長い年月があったのではないかと私は思います。  しかし、きょうお尋ねをしていた流れの中で、基地の問題あるいは我が国の周辺状況の変化、また、もっと根本的に言えば、経済問題ではアメリカと対等にやり合って、しかし一たび事が起こればアメリカさんよろしくお願いしますよということが、果たしてアメリカの国民あるいは日本の国民に入れられるかどうかということも考えたときに、将来日米安保を堅持するという方向性は大切でありますけれども、内容的に変質してくる可能性というものが十分考え得る、しかもそれはそんなに遠くない将来考え得るのではないかと思っております。  そんなときに、今回新防衛大綱では、日米安保という今の内容が言ってみれば非常に基礎になつてつくられているわけでありますけれども、そういう変質に来た場合、私は、十九年というのは、とてもじゃないけれども前例からしてももたないものじゃないかと思っております。  そこで、防衛庁長官にお伺いしたいわけでありますが、どのぐらいのレンジでこの新防衛大綱というものは有効にすべきだと考えるのか、あるいは有効であろうと考えておられるのか、あるいは時代が変わったら、例えば一年でも二年でもそれは柔軟に変えていくものだとお考えなのか、その点について御答弁をいただきたいと思います。
  204. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 委員お話しのとおり、今日の新防衛大綱は、従来の我が国の防衛という大きな柱のほかにも、国際情勢の変化、それから昨年の阪神・淡路大震災あるいはサリン事件等の影響で国民の自衛隊に対する期待感というのは大変高まっている、二十一世紀に向けて日本の長期的な防衛力というものを策定をしていく、こういうことでございます。新防衛大綱の策定に際しましては、現状より見通し得る範囲で、国際情勢でございますとか周辺諸国の軍備動向の見積もりをしっかり見て決めたところでございます。  御承知のとおり、国際情勢というのは、極めて不透明・不確実な要素をはらんでいるわけでございまして、周辺諸国の軍備動向についてもなかなか長期を見通し得る状況でもございませんが、期間としてはおおむね十年程度を考えているわけでございます。
  205. 前原誠司

    前原分科員 おおむね十年程度を考えているということでございますけれども、今大臣がおっしゃったように、世界情勢がなかなか長い目で見通せるような状況じゃないということで、変化があればその以前に見直しがあるというふうに解釈をしてよろしいわけでございますか。
  206. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 今申し上げましたとおり、国際情勢、今、現下でも中台関係が非常に不安定でもございます。また朝鮮半島も御承知のとおり極めて不透明でもございますし、またロシアにおきましても大変多くの軍事力が蓄積をされている、こういう環境でございますので、こうした諸情勢を勘案いたしますと、おおむね十年程度、新大綱でもって見通し得るものと考えております。
  207. 前原誠司

    前原分科員 次に移らせていただきますが、空中給油機の導入についてであります。必要性については、もう時間もございませんので、私はいろいろ御説明をいただいて理解をしているつもりであります。  与党の議論の中でも現中期防よりは一歩踏み込んだ形で結論を得たわけでございますが、我が党の主張では、AWACSというものが導入をされて、その効果を見て次期中期防衛力整備計画の中で導入を図るべきであるというような主張をさせていただきまして、私はその主張というものも防衛庁の主張にかなっているものだと思っております。  そこで、AWACSを導入して試験飛行があると思いますけれども、大体その結論がある程度出てくる時期、そして空中給油機導入について結論を得るべきタイミング、その時期が大体どのぐらいに来るのかということについてお答えをいただきたいと思います。
  208. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 御質問にございましたAWACSの導入自体は平成九年以降になるわけでございます。  御質問の趣旨、私もよくわかるわけでございますけれども、今回の中期防で、空中給油機能につきまして検討を加えて、結論を得て、そして対処するということになっております。防衛庁として、導入ということが決まればなるべく早く導入したいということでございますが、空中給油機の機能を持つ航空機そのものもまた発注してからは時間がかかるわけでございますから、今委員のおっしゃる点もよく踏まえた上で、この中期防の決定に従って適切に対処してまいりたいと考えております。
  209. 前原誠司

    前原分科員 時間も参りましたので、最後の質問をさせていただきたいと思います。  沖縄の米軍基地の整理統合・縮小についてでございますけれども、我が党が党内でまとめたものは、クリントン大統領が来られるまでに、沖縄の過度の基地の集中というものをできるだけ是正をするためにこの整理統合・縮小については一生懸命に取り組もうというのが我が党の主張でございまして、特に沖縄県から要望の強い普天間飛行場の全面返還というものについて、我が党ではまず与党に対して提案をさせていただくことにさせていただいております。  先般、与党の基地問題の調査団の一員として私も行かせていただきまして、アメリカのその担当の方々ともお話をさせていただきました。非公式な会談ではございますけれども、全く頭からだめということではないという感じを私は持ちました。  普天間飛行場の移転についても、日本国政府が望むのであれば、どういう結論になるか知らないけれども、SACOの場ですべての提案について協議にのせて議論をするということも言っておられましたし、また、日本国内移転の可能性というものについても逆に聞かれるというような場もございました。  そこで、御質問をさせていただきたいわけでございますが、仮にこの普天間飛行場の全面返還ということをアメリカが方針決定して、しかし日本の国内に置いてほしい、四万七千人体制というものは堅持をしたい、そして海兵隊員は日本国内のほかの基地に移転をするという形でできないものなのかということに話としてなった場合、防衛庁長官としては、今県道一〇四号線越えの射撃訓練の移転でもなかなか難しい状況にありますけれども、しかしながら日米安保と沖縄の過度の集中というものを考えたときに、それについては積極的に取り組まれるお気持ちがあるのかどうか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  210. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 今お話にございました普天間につきましては、沖縄県知事から返還の御要望が出ておるわけでございます。私どもも、長い間大変御苦労をいただきました沖縄県民の苦しみ、痛み、そういうものを深く肝に銘じまして、今アメリカ側とも一生懸命に努力をさせていただいている次第でございます。現在、特別行動委員会等でもいろいろ御議論をさせていただいております。先般の総理の御発言も踏まえて、昨日の作業部会でもそうした議論も出たというふうなことも伺っております。  いずれにいたしましても、今後とも沖縄に所在をいたします米軍の施設・区域の整理統合・縮小につきましては、誠心誠意、現実的にかつ誠意を持って努力をいたしてまいりたいと思います。
  211. 前原誠司

    前原分科員 じゃ、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  212. 深谷隆司

    深谷主査 これにて前原誠司君の質疑は終了いたしました。  次に、岩佐恵美君。
  213. 岩佐恵美

    岩佐分科員 まず、米軍横田基地による騒音問題について伺いたいと思います。  横田基地は市街化された人口密集地にあります。周辺住民は、昼も夜も航空機騒音に悩まされ、いつ発生するかわからない事故に不安な毎日を送っています。現在、年間の飛行回数は、ベトナム戦争末期に匹敵する一万七千回に達しています。横田基地サイドの公式説明書でも、横田基地は「「太平洋地域への出入口」として戦略及び戦術航空機に対する活動の中心地であり、月間一千二百機の航空機が往来する多忙な場所である」としています。  この騒音被害は、周辺自治体から埼玉県内にまで広がり、被害は三十万人に及んでいます。ことしの正月二が日の米軍機飛行回数は、元日に十一回、二日に十八回、三日に四十五回の計七十四回と、湾岸戦争時を上回っています。さらに、受験期の爆音も大変な問題になりました。ちょうど受験期に特別な訓練が行われる、そういうことがありまして大変大きな問題になったのです。  アメリカ本国では、人口密集地や都市部で昼夜の離着陸訓練、これは行われていないと承知をしていますけれども、その点どうでしょうか。長官、いかがでしょうか。
  214. 小澤毅

    ○小澤政府委員 お答えいたします。  ただいま先生から御質問ございました、米軍の夜間における航空機の離発着訓練等が本土では行われていないということでございますけれども、これについては我々詳細を承知いたしておりません。
  215. 岩佐恵美

    岩佐分科員 アメリカ本国では、特定基地周辺における夜間飛行訓練だとかあるいは低空飛行訓練の場合、きちんと環境被害についての環境影響評価、これも行われている。これは、人口密集地でこんな訓練が行われているなんということはあり得ないというのは常識だというふうに思います。  そういう点で、承知していないということは非常に驚きで、これはきちんと、はっきりさせていただきたいというふうに思います。その点どうですか、大臣。
  216. 小澤毅

    ○小澤政府委員 私ども防衛庁の立場から申しますと、米国における訓練等については、もちろん承知する立場にございません。  しかしながら、一方におきまして、横田の騒音の規制等につきましては、合同委員会におきまして、例えば日曜、祭日の飛行は規制するとか、飛行時間につきましても二十二時から翌日の朝の六時までの間は緊急と認められるものを除き制限されるとか、それなりの飛行制限等の措置は我々とっているところでございます。
  217. 岩佐恵美

    岩佐分科員 それなりの飛行制限をとったとしても、物すごく大変な事態に横田基地周辺の人々は置かれているわけですね。  米軍による騒音被害について、九四年三月の横田基地公害訴訟での東京高裁の判決では、騒音は住民の受忍限度を超える違法なものと断じました。それに先立って、九三年十一月に東京高裁は、横田基地公害第三次訴訟の和解案で、国、関係地方自治体及び原告らを含む周辺住民の代表者との間で、騒音軽減の方策につき協議することを目的とする恒常的な協議の場を設けるものとするとしています。  五市一町の基地対策連絡会は、九五年五月、連絡会と東京防衛施設局との話し合いの場の設置について要望をしています。ところが、いまだに実現をしていません。私は、国としてこれは誠意がないというふうに思います。即刻協議の場を設けるべきだと思いますけれども、どうですか。
  218. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 お答えします。  ただいま先生御指摘のように、当時、東京高等裁判所から御指摘のような和解案が出たことは私どもも承知しておりまして、その当時、私ども国として、  本件飛行場の周辺対策を進めるに当たっては、今後とも住民を代表する関係地方公共団体の長との間で一層緊密な意思疎通を図るとともに、当該地方公共団体の長の意向も踏まえて関係住民の意向を聞く機会を持つよう配慮する旨の条項を盛り込むことは可能であるというようなことで高等裁判所の方に回答をしたところでございます。  しかしながら、本件につきましては、結果的には和解が成立いたしませんで、平成六年の三月三十日に判決がなされ、原告及び国ともに上告をしないということで判決が確定したということは御案内のとおりでございます。  いずれにいたしましても、私どもとしては、基地の安定使用を図るためには関係地方公共団体の皆様の御理解と御協力を得ることは必要だと考えております。したがいまして、私ども、周辺対策を推進するに当たりまして、関係地方公共団体の長の皆様とは日ごろから緊密な意思疎通を図っていくことが必要だと考えております。今後とも誠意を持ってこのような問題については努力をしていく所存でございます。
  219. 岩佐恵美

    岩佐分科員 そうすると、恒常的に関係の地方自治体と連絡を持っていく、協議をする場を持つということになるのですか。
  220. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 恒常的に何らかの機関を設けるということではございませんで、私ども、地元の方にも東京防衛施設局の事務所がございまして、いろいろな機会を通じて市町村長さん方とは常に意思疎通を図っておるわけでございまして、こういう形で従来からも意思疎通を図りながら基地の安定使用には最大限の努力をしておる、こういうことでございます。
  221. 岩佐恵美

    岩佐分科員 大臣、五市一町の連絡会が、恒常的にそういう場を設けてほしい、そういう要望を去年の五月に出しているということは、今の対応が不十分だからそういう要望を出しているんだと思うのですね。この点についてはきちんと検討していくべきなのではないですか。大臣、いかがですか。
  222. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 先ほどの繰り返しになろうかと思いますが、私どもとしては、市町村長さん方との意思疎通は十分図っておるということでございまして、恒常的な機関を設けるという必要は今のところないのではないかということで、それぞれの市町村長さん方との意思疎通の場をそういう形で持つ方がいいのか、あるいはふだんからのおつき合いでやっていった方がいいのではないかとか、そういういろいろな考えがあろうかと思いますが、いずれにしても、市町村長さん方との意見の交換ということが大事ではないかというふうに考えているところでございます。
  223. 岩佐恵美

    岩佐分科員 一方的に、私どもは考えていますということですが、なぜ五市一町の連絡会の皆さんが協議機関を定期的に設けてくださいという要望を繰り返して出されているのかということなんですね。ちゃんと意思疎通ができないから、だからそういう要望が繰り返し出されてくるのではないですか。そういう要望に対して、私どもとしてはもうそんな必要はないんだというのではさっと切り捨てる、そういう一方的な国のやり方というのは私はおかしいと思うのですね。大臣の立場できちっとお答えをいただきたいと思います。
  224. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 今防衛施設庁の方からお話をいたしましたとおり、基地の安定的使用を図るためには関係地方公共団体との連携をしっかりとっていくこと、これは極めて大切である、こういうふうに考え、今御報告ございましたとおり連絡もとらせていただいております。また、住民の意向を聞く機会を持つということも必要であろうかと思っておりますが、これにつきましても、今後の地方公共団体の連絡の場でその必要性についてもひとつ検討するように考えてみるべきではないか、こういうふうに思っております。  先ほど来お話ございましたが、私も沖縄へ行ってまいりまして、騒音問題は現地でも相当気を使っているなということを感ずるわけでございます。特に正月でありますとか小中高の受験日等については極力配慮をするようなこともやっている、こういうことも伺っております。  今後とも、地方団体ともしっかり連絡をとりながら、そうした施設の安定使用に向けて努力をいたしてまいりたい、このように思います。
  225. 岩佐恵美

    岩佐分科員 次に、防音工事の問題について伺います。  指定日前の既存住宅に防音工事が限定をされてきているわけですけれども、指定日後であっても、新築、増改築を行った場合に適用してほしいという住民の要望が非常に強いわけですけれども、その点についていかがですか。
  226. 小澤毅

    ○小澤政府委員 お答えいたします。  住宅防音工事についてでございますけれども、これにつきましては、先生御案内のように、環境整備法におきましては、指定区域の指定の際現に所在する住宅というふうにされてございます。  しかしながら、地域住民の方々また関係自治体の方々からは、区域指定後に新たに建設されました住宅についても防音工事をぜひ実施してもらいたい旨の強い要望がなされておることは、我々もよく承知してございます。私どもも、そのような背景を受けまして、平成六年度から、いわゆるドーナツ現象と我々呼んでおりますけれども、そのような特定住宅に対する防音工事の助成をいたすことにいたしました。  この工事につきましては、平成七年度までは、行政区画の過半が防衛施設あるいは第一種区域に該当し、また狭隘な地域に居住せざるを得ない状況下にある沖縄県の嘉手納飛行場周辺の住宅の一部について実施してきております。  平成八年度予算の計上に当たりましては、大変厳しい財政事情のもとではありましたけれども、このような関係自治体からの強い要望を踏まえまして、嘉手納飛行場の周辺と同様の騒音状況にございます全国の飛行場周辺の住宅の一部につきまして、予算を計上して、このドーナツ現象について我々対応してまいりたいというふうに考えております。
  227. 岩佐恵美

    岩佐分科員 次に、航空機燃料漏れ事故の問題について伺いたいと思います。  この事故は、九三年十月末に起こりました。燃料タンクに接続をしている地下ポンプから六十八キロリットル、ドラム缶にして三百四十本分もの航空燃料が流れ出たわけです。ところが、米軍が日本側に通報したのは、事故が起きてから四日おくれでした。防衛施設庁から周辺自治体への通告というのは、事故から何と十日以上もたってのことでした。米軍は訓練中だったということで、訓練を中止をしなかった、そのまま行ったということでした。まさにこういう点では、住民の安全よりも演習を優先したのではないかということで、この事故後の米軍基地や国の対応に対して、関係自治体や住民は非常に大きな不安と不満を抱いています。  なぜ、事故発生から米軍の通報が四日もおくれ、防衛施設庁の通告が十日もおくれたのか、その理由を明確にしていただきたいと思います。
  228. 小澤毅

    ○小澤政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のように、平成五年十月二十五日、横田飛行場の所有施設におきまして、貯蔵しておりました航空燃料が著しく減少しているということが発見されました。米側は、直ちにそれの調査等を行ったわけでございますけれども、油の量の減少が主に油漏れによるものかどうかということがまず特定できなかったこと、さらに油漏れの発生原因についても特定がなかなか難しかったこと、さらに油漏れの場所、範囲、程度等もなかなか特定することができなかったということでございまして、一応その旨は、御指摘のように、十月二十九日、当庁の横田防衛施設事務所に連絡してまいりました。また、この際、米側からは周辺の井戸水からは油は発見されていないという旨の報告も防衛施設事務所の方は受けております。  このようなことをいろいろ勘案いたしまして、当庁といたしましては、米側の調査によりまして基本的な事実関係がある程度明らかになった時点で本件を発表することが適切ではないのかと思いまして、ある程度事実関係が固まり、また判明しつつありました六日後の十一月四日に周辺自治体の方々への通知というふうになったわけでございます。  しかしながら、この後、本件につきましては米側はさらに調査を実施しまして、また、合同委員会のもとにあります環境分科委員会を通じて、日米間で協議をしております。そして、平成六年六月及び十二月には、米側からの調査結果について中間報告があり、さらに平成七年五月、米側からの最終調査結果の報告を我々は受けてございます。これらの報告等につきましては、逐次、関係の地元周辺自治体に情報は提供してきております。  現在、本件につきまして、米軍は除去作業を実施しているところというふうに承知しております。また、米軍及び日本側のこの横田飛行場周辺の調査によりまして、井戸水や河川についてのモニタリング調査も実施しておりますけれども、地下水等への影響は現在のところないというふうに承知しております。  いずれにしましても、米軍も環境問題については大変注意を払っているということは、我々一応承知しております。しかしながら、我々といたしましても、今後とも関係自治体との連絡を密にして、このような事態に対処してまいりたいというふうに思っております。
  229. 岩佐恵美

    岩佐分科員 今の説明を伺っていて、へえというふうに思ったのですけれども、結局、事故が起こって、それで大騒ぎになると大変だと、とにかく米軍としてその被害がどの程度あったのか、どうだったのかというのをいろいろ調べて、何でもないということで防衛施設庁に連絡をしてきて、それで防衛施設庁の方もいろいろとあれこれ手当てをして、そして地方自治体に連絡をする。何でそんな十日もおくれるのかというのが本当に不思議だったし、疑問だったわけですけれども、今そういうことがあったのかということで氷解したわけです。  普通、国内の、米軍という特別な地域でないところでこういう事故が起こった場合には、すぐに周辺の住民に知らされるし、対応をみんなでやるということなのですね。それが、特別なところで起こると我々は知らされないということになるわけですから、説明を伺っていて、本当に改めて大変なごとだというふうに思いました。  時間もありませんので、技術的なことを伺っていきますけれども、環境庁に伺いたいと思います。  地下水汚染とか土壌汚染ということが心配されているわけですけれども、アメリカが提出した最終報告書によると、長さ一キロ、幅一二百メートル、深さ十三メートルの地域で、地下水からアメリカ及び日本の水質基準を大幅に上回るベンゼンが検出をされたということです。これは明らかに航空燃料によるものだというふうに見られます。除去作業に取りかかっているというふうに聞いていますけれども、一体どのぐらいの期間がかかるのでしょうか。それから作業に関して定期的にちゃんと見ていくのかどうか。それから周辺自治体にも報告すべきだと思いますけれども、その点いかがでしょうか。
  230. 八木美雄

    ○八木説明員 先生御質問の米軍横田飛行場の燃料漏れ事故につきまして、環境庁の立場から、経緯についてお答えさせていただきます。  平成五年十一月に、米側より、横田飛行場におきまして地下施設より燃料漏れが発生した旨の発表がございました。米軍におきましては、この事態に対処するため、汚染範囲を把握し、そして汚染除去方法を検討するための調査が平成七年五月まで、二次にわたって実施されたところでございます。これらの調査結果を踏まえまして、米軍におきましては、昨年九月よりおおむね一年をめどとして、汚染除去作業が現在も実施されているところでございます。  環境庁といたしましては、日米合同委員会の補助機関でございます環境分科委員会の場を通じまして、米軍が調査するあるいは作業を進めるということにつきまして、環境についての専門的見地から、汚染実態の把握方法あるいは汚染除去方法について適宜技術的なアドバイスを行ってきたところでございます。  また、飛行場周辺でございますが、地下水を飲料水に使っておるという実態もございますので、都を指導いたしまして、飛行場周辺の地下水の水質監視を継続的に実施してきておるところでございます。
  231. 岩佐恵美

    岩佐分科員 それから、横田基地内の廃棄物処理の問題について伺いたいと思います。  横田基地内の廃棄物処理については、八〇年度以降は思いやり予算で整備をされた基地内の焼却施設で処理をする、そして焼却残滓はピットに埋め立てて処分をしている、そう聞いています。基地周辺の昭島市では飲料水を地下水に依存をしているのは、もう皆さん御存じのとおりです。PCBなど有害物質を含む廃棄物等については、これは当然本国に持ち帰って処理をすべきだというふうに思いますし、また八〇年以前の廃棄物処理についてきちんと調査をして、そして安全で適正な処理を要請すべきだと思いますけれども、その点、防衛庁いかがですか。
  232. 小澤毅

    ○小澤政府委員 お答え申し上げます。  防衛施設庁といたしましては、提供施設整備の関係についてまずお答えさせていただきたいと思います。  先生ただいま御指摘がございましたように、横田基地から発生いたします廃棄物につきましては、五十五年ごろまでは業者委託によってこれを処理していたというふうに我々承知しております。それ以降は、地元の自治体は、横田基地の日常生活に伴って生じますごみの処理については受け入れることはできないというふうなことになりました。  そのようなことを踏まえまして、提供施設整備におきまして、可燃物の処理をするために、昭和五十七年度にごみの焼却場及び灰ピットを、また平成三年度に灰ピットを整備しております。また一方、不燃物につきましては、従来同様、業者委託により処理しているというところでございます。
  233. 岩佐恵美

    岩佐分科員 八〇年度前は業者に委託をしていたということですけれども、全部委託をしていたとはどうも考えにくいわけですね。そういう点について、本当にきちんと周辺住民の皆さんの疑問にこたえる調査というのをしていかなければならないというふうに私は思いますけれども、きょうは時間がありませんので、その点については、また今後ともいろいろ申し上げていきたいというふうに思います。  次に、沖縄県での少女暴行事件、こうしたことに対する抗議、あるいは日米地位協定の見直し、沖縄県民支援の決議あるいは意見書、こういう意見書や決議が都内六十四自治体のうち五十の自治体で上げられています。つまり、七八%に上ります。横田基地に接する立川、昭島、福生、羽村、武蔵村山の五市では全会一致で抗議と協定見直しの決議を上げています。ことしの二月には、五市一町の基地対策連絡会が日米地位協定の見直しを求める要請を行っています。同じ二月に、横田基地の爆音被害をなくし静かな夜を取り戻そうという、新しい横田基地公害訴訟団の結成総会が行われました。総会には訴訟に連帯する被害地域の七自治体の市長からメッセージが寄せられています。  こうした周辺自治体や住民の要望にこたえるために、あるいは要求にこたえるためにも、日米地位協定を見直して、航空機騒音や環境保護について施設・区域内においても国内法を適用すべきではないでしょうか。さらに、地方自治体が施設・区域内への立ち入りを希望した場合には米軍は速やかに応じるなど、こうした協定を見直すべきだと思いますけれども、長官どうでしょうか。
  234. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 お答えいたします。  地位協定見直しというのが先生の御質問の趣旨かと思うのですが、これは、地位協定は外務省の所管でございますので、私どもがお答えする立場にはございません。したがいまして、現段階におきましては、私ども、先生のおっしゃいますような方向で逐次改善の努力はさせていただいているということで御了解をいただきたいと思います。
  235. 岩佐恵美

    岩佐分科員 私は長官に政治家として伺ったわけですけれども、お答えがなかったものですから、後でまとめてそういう長官としての政治姿勢もお伺いをしたいと思います。  横田基地は、輸送・中継基地に加えて、司令基地としての役割が強化をされてきています。ことし一月に横田基地で行われた日米共同統合指揮所演習、いわゆるキーンエッジ96、これは在日米軍と自衛隊の最高レベルの軍事演習で、九日間はまさに戦争状態でした。昨年のキーンエッジ95は、指揮所演習のシナリオで実際に兵を動かして、艦船や飛行機を投入し、日米両兵力約二万六千人が参加をした途方もない大演習でした。  首都東京に位置する横田基地でのこんな危険な演習は、私は全く非常識だというふうに思います。横田基地の果たしている役割は、本当に危険きわまりないものです。沖縄の米軍基地の整理縮小に伴って、横田基地がさらに拡充強化をされるのではないか、そういう懸念もあります。  横田基地は、七三年から関東地区の米空軍施設を横田基地に集約をする、いわゆる関東空軍施設整理統合計画が実施をされ、在日米軍司令部と第五空軍司令部が置かれました。さらに、八八年から八九年にかけて、フィリピンのクラーク基地の機能、これがそっくり横田に移ってきているわけです。現在でももう大変な事態に立ち至っている。これに加えてもっともっと横田基地の機能が強化をされるということは、本当に関連自治体の人々あるいはそこに住んでいる人たちにとっては耐えがたい事態になっているわけです。  今、世界的に見ると、海外における基地は縮小の傾向があります。アメリカは最近五年間で海外の基地を五七%削減し、九百五十一カ所にしている。これは去年の三月、アメリカの国防総省の基地閉鎖再編報告書、こういうところに記載をされております。  さらに、日本は米軍駐留経費の七〇%を負担しています。ロード・アメリカ国務次官補は、去年の十月二十五日に、日本は世界一気前がいい、こう言っているのですね。日本の基地負担のお金というのは、他の同盟国が出している負担額を合わせた分よりももっと多い、こういうふうな言い方もしているわけです。とにかくお金を私たちの税金から基地に投じる、そしてその基地によって私たちが被害を受ける。本当に、これでは国民にとっては踏んだり蹴ったりという状況ではないでしょうか。  横田基地の周辺住民はもう悲鳴を上げているわけで、長官として、この問題について、先ほどの問題も含めて今後どういうふうに取り組んでいくのか、きちっと対応していただきたいというふうに思うのですけれども、どうでしょうか。
  236. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 日米安保条約のもとでアメリカ軍のプレゼンス、これは私どもの日本を守っていただくと同時に、アジア太平洋地域全体の平和と安全のためにも寄与しているわけで、私どもは、この日米安保条約を円滑に推進するための努力をしていかなければならない、このように理解をいたしている次第でございます。  今お話しの横田の件について、つけ加えることがあれば後で政府委員の方からお話しをいただきたいと思っておりますが、現下は沖縄の問題も抱えております。私は、沖縄の県民の皆さん方が大変長い間御苦労された、このことを、沖縄のことだけではなくて、我々日本国民は日本国全体のこととして受けとめる必要があるのではないか、そうした中で沖縄の皆さん方の御苦労が少しでも軽くなるようなことについて、施設・区域の整理統合・縮小、あらゆる観点から一生懸命に努力をしていかなければいけない、こう感じているところでございます。  今後とも、米軍の施設・区域の整理統合・縮小につきましては、総合的にかつ現実的に誠意を持って対処いたしたい、こう考えております。
  237. 岩佐恵美

    岩佐分科員 時間になりましたので、これで終わりたいと思います。  ただ、最後に、安保条約については解消すべきだという国民の世論が四四%、すべきではないというのが三一%、逆転しているわけです。国民は本当に米軍基地の存在が一体どういうものなのかということを知りつつある、あの沖縄の事件以降ですね。そういう国民の声を踏まえて、きちんと対処していくのが私は政治のあるべき姿だというふうに思います。そのことを申し上げまして、終わりたいと思います。
  238. 深谷隆司

    深谷主査 これにて岩佐恵美君の質疑は終了いたしました。  次に、古堅実吉君。
  239. 古堅実吉

    古堅分科員 沖縄米軍基地問題について、具体的に何点か伺いたいと思います。  日米特別行動委員会で作業を進めております嘉手納、普天間両飛行場の騒音防止協定について、その内容や協定締結の見通しについて最初に伺います。
  240. 小澤毅

    ○小澤政府委員 お答えいたします。  ただいま先生から御指摘のございました嘉手納及び普天間飛行場の騒音規制に関する問題につきましては、地元沖縄県等から横田飛行場や厚木飛行場と同様に合同委員会での合意を求めたいというふうな旨の要望があるということは承知してございます。  先生も今お話しになりましたように、この件につきましては、沖縄における施設及び区域に関する特別行動委員会、いわゆるSACOのワーキンググループにおきまして、日米合同委員会の下部組織であります航空機騒音対策分科委員会で検討するということが合意されております。これが合意されて以降直ちに我々は現在日米間の協議を開始しているところでございます。現在、日米間で鋭意努力いたしまして、両飛行場におきます騒音規制措置の合同委員会の合意が何らかの格好でできるというふうなことに全力を挙げているというところでございます。  また、その時期等について問われましたけれども、現在日米間で協議中のことでございます。したがいまして、現時点でいつということを明確に申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、いずれにせよ早期に、でき得れば三月中には結論を得るよう日米間で努力中ということを申し上げたいと思います。
  241. 古堅実吉

    古堅分科員 嘉手納基地の司令官の説明によりますというと、嘉手納飛行場の年間の発着は約十万回。昨年の嘉手納基地の騒音調査結果が最近地元紙で報道されております。それによりますというと、七十デシベル以上の爆音は年間三万七千七百三十五回で、前年よりもひどくなっていると報じています。それは、一日平均約百六回に当たります。夜十時から朝の七時の時間帯では、年間で三千八百九十九回、一晩平均約十一回ですから、いかに安眠の妨害となるものであるか、説明を必要といたしません。  嘉手納、普天間基地では、従来、三者協議会の合意に基づく騒音規制措置で対応してきた経緯がございます。しかし、この措置というのは沖縄でも大変不評なもので、紳士協定であり米側の自主規制にゆだねられておるということがありまして、それがよく守られませんし、実効性に乏しいものとなっております。ですから、この騒音防止協定について地元側の要求というのも切実なものがございます。  日米合意による騒音防止協定の締結でこうした問題が解決されるのか、米側にどのように拘束力を持つ協定になるのか、そこらあたりの御説明をいただきたい。
  242. 門司健次郎

    ○門司説明員 お答えいたします。  航空機騒音の問題につきましては、先ほども防衛庁の方からお答えいたしましたとおり、現在まさに沖縄県民の方々の負担を可能な限り軽くするために米側との間で協議を行っている最中でございます。したがいまして、現時点において協議の結果を予断するようなコメントをすることは、非常に恐縮でございますけれども差し控えさせていただきたいと思います。
  243. 古堅実吉

    古堅分科員 日米間の行動委員会における話とはいえ、それなりの答えようはあろうと思うのですね。地元がそれだけ大きな関心を持って、それを背景に私たち質問をするわけですから、そういうそっけない答弁じゃ大変残念です。  今度は、長官にお尋ねします。  横田、厚木基地などの合意には緊急時や運用上の理由が明記されておって、そのことを理由に実質的には協定が余りよく守られない。夜間の離着陸など後を絶たず、騒音問題の根本的な解決になっていないというのが大方の見方で、そういうことを解決しなくちゃいかぬという面からの要求も強くなってまいっています。  このように、緊急時、運用上を理由に米軍優先の基地使用が許されるということになりますというと、協定の効果は余り期待できないものとならざるを得ません。これは問題でありまして、騒音規制に住民優先をどう貫くか、その精神が入れられないというと、形はつくっても余り役に立たぬというものになりかねないわけであります。このことが、今度の騒音防止協定の締結で明確にできるようにする必要があります。  特別行動委員会にも参加されるなど所管大臣として、大臣の方からお答えいただきたい。
  244. 小澤毅

    ○小澤政府委員 現在、横田または厚木で合同委員会で合意されております騒音規制措置、この中には、先生おっしゃいましたように、緊要と認められる場合についてはいろいろそれについての除外ということが入っておることは御指摘のとおりでございます。  我々、現在の嘉手納、普天間の騒音規制の日米合意を目指す中におきましては、日米安保条約の目的達成またはそれとの調和を図りつつ、現在鋭意日米間で協議を進めているところでございます。
  245. 古堅実吉

    古堅分科員 先ほど騒音協定について、できたら三月中にもというふうなことがございました。一日も早いそれを目指す努力を求めると同時に、今指摘いたしましたような内容を持ったものにしていただかなくちゃいかぬということも、早く、そしてそういう内容も持ってということなのです。そういう方向に向けて大臣としてどのような努力をされるか、そういう面での御所見、決意を伺いたい。
  246. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 ただいま政府委員の方からお話ございましたとおり、米側と鋭意協議をいたしているさなかでございます。その詳細についてはお許しをいただきたい、こういうふうに思います。  実は、私も先般沖縄に行って、嘉手納を視察させていただきました。ホビンズ第十八航空団司令官に御案内いただきまして、基地内も見させていただきました。おっしゃるとおり、嘉手納町のいろいろな計器による反応というのはそれは事実でございましょう。  一方、基地内においてはかなり騒音防止対策には気を使ってくれている、これは私の受けた感じでございますが、そういう感じがいたしました。  二本ある滑走路のうち、比較的音の高い戦闘機は内側に、音の低い大型のものを外側に、嘉手納側に、こういうふうな配慮もしておりますし、先ほどもちょっとお話に出ましたけれども、正月あるいは日曜祭日、小中高の試験日、こういったものの航空規制、こういうものもいたしております。  例えばエンジンテスト、これは通常どこの飛行場でもちょっとした囲いの中でもって相当大きな音を出すわけでございますが、嘉手納については四基のエンジン用消音装置というものがございまして、その場におりましても全く音が聞こえない。世界各国からも嘉手納に、世界で一つしかないのかちょっとその辺はわかりませんが、非常に少ないということでもって見に来る。これは日米合同でもって協力してつくった施設でございますが、そういうものをつくって、なるべく音の出るジェット機の後ろの方は米軍の住宅がある方に向ける、そうしたさまざまな配慮もいたしておるところでございます。  いずれにいたしましても、現在協定のない嘉手納、普天間につきましても、鋭意話し合いをさせていただきまして、いい結果が出ますように努力をいたしてまいりたい、このように考えております。
  247. 古堅実吉

    古堅分科員 長官、せっかくの御答弁でありますけれども、それを聞きまして、正直申し上げて私は本当に唖然とした気持ちです。  私も嘉手納基地に何回も入ったことがございます。そこの司令官とか担当の係などから騒音その他についての説明を何回も受けてきました、聞かされてまいりましたよ。その加害者である米軍の言っているとおり、その説明のとおりでありますというと、嘉手納に騒音の問題があるはずがないん、だ。  あなたは、加害者から、そういう最善の努力をしている、こんなに騒音もなくなる施設もありますよ、世界でどこにもそんな施設はない、この嘉手納だけなんだというような説明を受けられて、あたかも米軍が大変な努力をしているような評価に通ずる、そういう程度で沖縄に行ってこられたなどというような形でこの騒音問題に対処をされるなどということになるというと、これはもうとんでもないことにならざるを得ません。せっかくの御説明でありますけれども、その点、私は本当に怒りますよ。厳しく指摘しておきます。  嘉手納飛行場では、おっしゃいましたように、今も日米の騒音防止協定では解決されない問題として、海軍駐機場の爆音被害があります。この駐機場は、町民居住地域からわずか五十メートルしか離れていないんです。そのエンジン調整などの爆音というのは、住民にとってはもう耐えられない、我慢のできないものだということで強い訴えがあります。そんな強い訴えのあるものについて、加害者の米軍側からは、消音施設でもう騒音はなくなった、そんな説明を聞いてこられているわけですから、本当にとんでもないことだなと思いますよ。  この駐機場について、嘉手納町の宮城町長は、騒音防止協定が日米の交渉のテーブルにのっているが、海軍駐機場の撤去もしくは移設が実現しない限り騒音問題解決の前進はないというふうに強調しておられます。これはもう私たちがお訪ねするたびにそういう趣旨のことをおっしゃいます。私自身も何遍も町長自身から今申し上げたようなことを聞いています。  この問題について、特別行動委員会で取り上げて検討をされますか。
  248. 小澤毅

    ○小澤政府委員 お答えいたします。  嘉手納の海軍駐機場の移設の問題につきましては、平成七年七月、嘉手納町長からも私ども要請を受けております。また、翌八月には、軍転協からの要請も受けております。さらに十二月には、沖縄の米軍基地問題協議会等におきまして、沖縄県当局からもいろいろの御要請を受けております。そういう意味で、我々もこの問題については大変高い関心を持っておるところでございます。  現在、その御要請等を踏まえまして、米側に嘉手納町の方からこのような要請があるということを伝えるとともに、日米間で協議を行っているところでございます。今後とも、特別行動委員会等の場を通じまして、米側との精力的な協議を重ねまして、この問題の解決に向けて最大限の努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  249. 古堅実吉

    古堅分科員 大事なことですから、念を押してお聞きしておきたい。  その検討するという方向が、地元が強く求めているように、この住民地域の近くから撤去すべきだ、そういう方向で日本側はみずからの要求の立場をもって行動委員会において米側と話をする、そういう努力をしますか。明確にしてください。
  250. 小澤毅

    ○小澤政府委員 お答えいたします。  ただいま米側と今協議に入っているというふうな答弁をさせていただきましたけれども、その米側との協議に当たっては、嘉手納町の考え方また沖縄県等の御要望を十分踏まえた上でやっておるつもりでございます。
  251. 古堅実吉

    古堅分科員 これは、その要望を踏まえてということは、撤去しろという以外のものじゃないわけですから、そういう要望を踏まえておるということで最善の努力を払ってほしい、念を押して要求しておきます。  次に、米軍基地の整理縮小について伺います。  二十七日に行われた予算集中審議で、橋本総理は、私の質問に対して、米軍の四万七千人体制維持のもとでも整理縮小はできるというふうな答弁がございました。これは結局、国内で、県内あるいは県外移設のたらい回し、そういう方向に処理しようということではないかと考えます。  沖縄は、目に見える形での抜本的な基地の整理縮小を求めています。基地の縮小問題は、国内でのたらい回しで国民同士を対立させる、けんかをさせる、そういう方向に持ち込むべきものではありません。あくまでも日本とアメリカとの関係において、日本の要求をアメリカ側に認めさせる、こういう対米交渉を通じて縮小を実現すべきだというふうに考えます。それが圧倒的な国民の多数世論でもあります。長官のお考えを伺いたい。
  252. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 日米安保条約下の現状において、在日米軍の駐留というものは、アジア太平洋地域、我が国を含めて、その平和と安全の確保にとって不可欠なものである、日米安保体制の中核をなすものである、こういうふうに私は考えておるわけでございます。  我が国及び極東の平和と安全の維持という目的達成のために、米国としていかなる軍事体制をとるのか、このことは第一義的に米国自身が判断すべきもの、こう考えております。米国は、国際情勢に大きな変化がない限り我が国に現在の水準の兵力を維持するという立場をとっているわけでございまして、これは、米国として安全保障条約の目的を達成するために必要な兵力水準について慎重な判断を踏まえたものと理解をいたしております。  私ども防衛庁といたしましては、このような水準の在日米軍の駐留を前提としつつも、さまざまな創意工夫と合理化により沖縄における在日米軍の施設・区域の整理統合・縮小を行うことは可能であると考えております。  いずれにいたしましても、長い間大変御苦労いただいております沖縄県民のお気持ちを体し、沖縄における施設・区域の整理統合・縮小について実質的な進展が得られるように真剣に努力をいたしてまいりたい、このように考えております。
  253. 古堅実吉

    古堅分科員 日米安保は堅持する、不可欠だと言って、どのような体制をとるかはアメリカ側が第一義的に考えることだというふうなことを前提にしますというと、四万七千人体制といいアメリカが必要とする基地の広さといい、これは全くアメリカの言いなり、従属し切った立場をとらざるを得ないということになりませんか。ひどい言い方ですよ。  具体的にアメリカに基地の縮小、撤去を求めるのではなしに、国内でのたらい回しで問題を解決しようとしたそのことがどういうことになってきているか、それにかかわるものを一、二点伺いたい。  昨年二月に沖縄に提案したいわゆる三事案、これは現在どこまで作業が進んでおるのですか、
  254. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 お答えします。  今御指摘の三事案につきましては、昨年の十一月一日に日米防衛首脳会談におきまして早期解決に努力するというようなことで意見が一致いたしておりまして、現在私ども最大限の努力を行っておるというところでございます。  三事案のうちのまず那覇港湾施設の問題につきまして、私ども、昨年の五月以降、地元の方に御提案申し上げておったところでございますが、現在、浦添市の方では、牧港補給地区の強化、固定化につながる、あるいは西海岸の開発計画に大変な支障を来すというようなことで反対の意向が示されておるところでございます。  それから、二つ目の読谷飛行場の問題につきましては、宜野座村の方で、落下傘の降下訓練機能の移設は森林の伐採による自然破壊やヘリ騒音の拡大等につながるというようなことで、これも現在反対の意向を示されておるというのが現状でございます。  一方、沖縄県の方は、地元の市町村等の意向や地域の開発計画、県全体の振興開発等にも配慮しながら総合的な観点から検討してまいりたいとの意向を大田知事も示されておりまして、私どもは、県の方のごあっせんをいただきながら今後とも精力的に進めたい、このように考えておる次第でございます。
  255. 古堅実吉

    古堅分科員 今もありましたように、那覇軍港を浦添へ持っていくということに対してお隣の浦添は、保守の市政ではありますけれども市長を初め市議会も全会一致、市民挙げてそれに大反対していますよ。できるはずはないのです。そういう状況の中で知事にあっせんしてくれと言っても、大田知事が、いや那覇からのけられるのであれば那覇にあるよりはいいから浦添へ引き取れなどということが言えるはずはないのです。  那覇から浦添あるいは読谷から宜野座へなどという形で県内、国内で移設するなどとかいうふうなことになったのでは事が進まぬということのいい事例なのだと思うのですけれども、そういう移設先とされている地域の自治体や住民の反対を押し切ってでもそれをやろう、そういう態度ですか。念を押してお聞きしたい。
  256. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 先ほど御説明いたしましたような御意見等が地元の方であることは私ども承知しておるところでございますが、私ども、沖縄県に現在所在しております既存の施設・区域をできるだけ整理統合・縮小したいということで御提案を申し上げているところでございまして、例えば那覇港湾施設につきましては、現在約五十七ヘクタールございますところを約四〇%程度縮小して移設するということを提案させていただいているところでございます。  なお、読谷補助飛行場のいわゆる落下傘降下訓練場のキャンプ・ハンセンへの移設につきましても、これが実現した暁には現在の読谷飛行場約百九十一ヘクタールの施設全部が返還されるということになるわけでございまして、沖縄県の移設先の皆様には追加的な負担をおかけすることになるわけでございますが、県全体の振興開発という観点からお考えいただきますと、私どもとしては何とか御協力、御理解をいただきたい、このように考えているところでございます。
  257. 古堅実吉

    古堅分科員 反対があればやらないね。そこを念を押してお聞きしておきたい。御協力をいただきたいというようなことしかおっしゃらないけれども、協力をやらない、反対であればできないということになりますね。
  258. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 地元の御理解と御協力ということがまず最優先でございまして、地元の市町村長さんといいますかあるいは大方の方々の御賛成、御賛同をいただくということが大事ではないかと思っておりますので、一人でも反対があったら移設しないというようなことではないのではないか、このように考えております。
  259. 古堅実吉

    古堅分科員 何も一人でも反対すればやらぬかといった、そんなものではないですよ。今、もう挙げて、ハチの巣をつついたような形で大反対をしておるのですよ。  橋本首相は首脳会談で米側の戦力維持を容認してこられて、あとは国内問題だというふうに言われ、態度をとっております。三事案がまさにその事例なのですね。三事案が解決しない最大の問題は、先ほども指摘しましたけれども、アメリカに返還を求めないで国内移設で処理しょう、そういう政府のとっている態度の間違いにあります。この間違いを正して、アメリカに縮小を求めるという対米交渉をしない限り問題は進展しない。  那覇軍港についての返還というのは、沖縄の祖国復帰間もないころその方向が出された。あれから二十数年たっていますよ。今日なお解決できない。昨年提案した同じ方向でも解決の方向には行っていないということが余りにも明確です。その誤りを正して、今提起しているような方向を撤回して、本当に県民が喜ぶ那覇軍港の返還、その実現の方向に展開できるようにすべきです。せっかく日米行動委員会、それもつくられているわけですから、そこで、そういう方向で検討してもらいたいと思いますが、長官、御所見を伺いたい。
  260. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 先ほど来政府委員の方から御答弁をさせていただいておりますが、既にアメリカ側と話のついております那覇港湾施設あるいは読谷飛行場、こういうものにつきまして移転先には追加的な御負担をおかけすることは承知をいたしておりますが、現下沖縄の県民が受けておりますいろいろな問題これらの緩和としては、日米安全保障条約の中で、私どもといたしましては、一つでもこうした負担というものをなくすべく一つ一つ努力をしていかなければならない、このように考えております。  したがいまして、先ほど来申しておりますように、整理統合・縮小に知恵を使いながらこれからも努力をいたしてまいりたい、このように考えている次第でございます。今後とも、特別行動委員会におきましても、そうした点も深く思いをいたしながら努力をいたしてまいりたい、このように考えているわけでございます。
  261. 古堅実吉

    古堅分科員 そろそろ時間が来そうでありますので、最後に軍用地強制使用裁判について伺います。  象のおりの一部土地は、使用期限が三月三十一日で切れます。裁判が今行われている、そういうさなかでありますので、その裁判そのものの見通しなどとかいうことについて答弁を求めるつもりはありません。  ところで、この点だけは確認しておきたい。三月三十一日までに所定の収用手続が終了しない場合は、法律の手続で、当該土地は所有者に返還されるな。法治国家であれば、これは全く当然のことだというふうに申さねばならない問題でありますが、長官、そのことについてお聞かせください。
  262. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 現在、訴訟係属中でございまして、私どもその訴訟指揮についてとやかく申し上げる立場にはございませんが、三月三十一日に賃貸借契約が切れるということで現在大変厳しい状況にあるということは認識しておりますが、何とか三月中に使用権原が取得できるように政府として最大の努力をしておる、こういうことでございます。
  263. 古堅実吉

    古堅分科員 裁判のことについてお尋ねしておるのじゃなしに、三月三十一日までに収用手続が終了しないことは一〇〇%はっきりしています。法治国家であれば、そのときには返すという以外にないということは明確にここで言うべきです。それさえも言えないということは言語道断の話です。  抗議を表明して、質問を終わります。
  264. 深谷隆司

    深谷主査 これにて古堅実吉君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして防衛庁についての質疑は終了いたしました。  次回は、明三月一日午前十時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十三分散会