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1996-02-09 第136回国会 衆議院 予算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年二月九日(金曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 上原 康助君    理事 桜井  新君 理事 近岡理一郎君    理事 深谷 隆司君 理事 保利 耕輔君    理事 今津  寛君 理事 草川 昭三君    理事 野田  毅君 理事 三野 優美君  理事 五十嵐ふみひこ君       相沢 英之君    伊藤 公介君       江藤 隆美君    小澤  潔君       越智 伊平君    越智 通雄君       菊池福治郎君    後藤田正晴君       志賀  節君    高鳥  修君       谷川 和穗君    林  幹雄君       原田  憲君    武藤 嘉文君       村岡 兼造君    村山 達雄君       谷津 義男君    若林 正俊君       安倍 基雄君    愛知 和男君       伊藤 達也君    石井 啓一君       上田 清司君    江田 五月君       大口 善徳君    加藤 六月君       川島  實君    左藤  恵君       谷口 隆義君    中田  宏君       平田 米男君    前田 武志君       松岡滿壽男君    山口那津男君       山田  宏君    若松 謙維君       今村  修君    佐々木秀典君       坂上 富男君    田中 昭一君       細川 律夫君    錦織  淳君       佐々木陸海君    藤田 スミ君       松本 善明君    矢島 恒夫君       海江田万里君  出席国務大臣         内閣総理大臣  橋本龍太郎君         法 務 大 臣 長尾 立子君         外 務 大 臣 池田 行彦君         大 蔵 大 臣 久保  亘君         文 部 大 臣 奥田 幹生君         厚 生 大 臣 菅  直人君         農林水産大臣  大原 一三君         通商産業大臣  塚原 俊平君         運 輸 大 臣 亀井 善之君         郵 政 大 臣 日野 市朗君         労 働 大 臣 永井 孝信君         建 設 大 臣 中尾 栄一君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     倉田 寛之君         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 梶山 静六君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 中西 績介君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)      岡部 三郎君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 臼井日出男君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      田中 秀征君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      中川 秀直君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 岩垂寿喜男君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 鈴木 和美君  出席政府委員         内閣法制局長官 大森 政輔君         内閣法制局第一         部長      秋山  收君         警察庁刑事局長 野田  健君         防衛庁参事官  小池 寛治君         防衛庁参事官  別府 信宏君         防衛庁装備局長 荒井 寿光君         防衛施設庁建設         部長      田中 幹雄君         経済企画庁調整         局長      糠谷 真平君         経済企画庁総合         計画局長    土志田征一君         国土庁土地局長 深澤日出男君         法務省民事局長 濱崎 恭生君         法務省刑事局長 原田 明夫君         外務省条約局長 林   暘君         大蔵大臣官房総         務審議官    武藤 敏郎君         大蔵省主計局長 小村  武君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         大蔵省銀行局長 西村 吉正君         国税庁次長   若林 勝三君         文部大臣官房長 佐藤 禎一君         厚生大臣官房総         務審議官    亀田 克彦君         厚生省年金局長 近藤純五郎君         農林水産大臣官         房長      高木 勇樹君         農林水産省経済         局長      堤  英隆君         農林水産省構造         改善局長    野中 和雄君         通商産業大臣官         房審議官    横川  浩君         通商産業省産業         政策局長    牧野  力君         中小企業庁長官 新  欣樹君         運輸省鉄道局長 梅崎  壽君         運輸省航空局長 黒野 匡彦君         郵政大臣官房審         議官      品川 萬里君         労働大臣官房長 渡邊  信君         建設大臣官房長 伴   襄君         建設大臣官房総         務審議官    小野 邦久君         建設省建設経済         局長      小鷲  茂君         建設省都市局長 近藤 茂夫君         自治大臣官房長 二橋 正弘君         自治大臣官房総         務審議官    湊  和夫君         自治省行政局公         務員部長    鈴木 正明君         自治省行政局選         挙部長     谷合 靖夫君         自治省財政局長 遠藤 安彦君         自治省税務局長 佐野 徹治君   委員外出席者         参  考  人         (日本銀行総裁)松下 康雄君         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ――――――――――――― 委員の異動 二月九日  辞任         補欠選任   武藤 嘉文君     林  幹雄君   愛野興一郎君     大口 善徳君   石井 啓一君     愛知 和男君   加藤 六月君     江田 五月君   平田 米男君     若松 謙維君   松岡滿壽男君     中田  宏君   山口那津男君     上田 清司君   矢島 恒夫君     藤田 スミ君 同日  辞任         補欠選任   林  幹雄君     武藤 嘉文君   愛知 和男君     石井 啓一君   上田 清司君     山口那津男君   江田 五月君     石田 勝之君   大口 善徳君     愛野興一郎君   中田  宏君     松岡滿壽男君   若松 謙維君     平田 米男君   藤田 スミ君     佐々木陸海君 同日  辞任         補欠選任   佐々木陸海君     矢島 恒夫君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公聴会開会承認要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  平成八年度一般会計予算  平成八年度特別会計予算  平成八年度政府関係機関予算      ――――◇―――――
  2. 上原康助

    上原委員長 これより会議を開きます。  平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算平成八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  各案審査のため、住宅金融専門会社問題について、来る二月十五日、十六日の両日、参考人出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 上原康助

    上原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 上原康助

    上原委員長 次に、公聴会の件についてお諮りいたします。  平成八年度総予算について、議長に対し、公聴会開会承認要求をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 上原康助

    上原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、公聴会は来る二月二十二日、二十三日の両日開会することとし、公述人選定等諸般の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 上原康助

    上原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  7. 上原康助

    上原委員長 これより総括質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。愛知和男君。
  8. 愛知和男

    愛知委員 新進党愛知でございます。  本題に入ります前にちょっと委員長お願いと申しますか、一言申し上げたいと思います。  私は、上原委員長とは細川内閣のときに御一緒に内閣で仕事をさせていただきまして、それまで余り御縁がなかった上原委員長でございますが、あれを通じて、委員長のお人柄なりその他政治家としての御見識なり、大変感銘を受けまして、大変意義深い一時期を過ごさせていただいたわけでございます。それからいろいろ政権、政界が変わりまして、今日では上原委員長、はえある予算委員長として御活躍でございますし、私は野党立場、こういうことになってしまったわけでございます。  委員会委員長役割というものは大変重要な役割だと思います。私も、自民党におりましたときに委員長をやらせていただきました。そのときに先輩からよく言われたことでございましたが、国会というところはどちらかというと野党のためにある、そういう意識を持って委員会運営なり国会運営はなされるべきだ、それが民主主義というものなんだ、このことを先輩からよく言われたものでございました。そして、私は私なりに委員会運営の中で、委員長ですからこれは中立ですけれども、与党と野党とどちらにどれぐらいのウエートを置くかというと、やはり六とか七のウエート野党立場に置きながら委員会運営してそれでちょうどいい、こういうものなんだと言われたものでございました。  確かに、民主主義というのは最後は多数決で決めるわけでございますが、その間、少数意見というものを大変大事にしながら、少数意見の中で貴重な意見は取り入れながら、全体としていいものをつくり上げていくというのが、これが議会制民主主義の極めて大事な点だと思うのでございます。  したがいまして、ぜひ委員会運営においてもそういう運営をしていただきたい。私は、大変残念ながら、尊敬する上原委員長予算委員会の今日までの運営を見ますと、どうも野党、いわゆる少数意見というものを十分尊重していただくという委員会運営でないのではないかと思えてならないわけでございます。ぜひひとつ、そのような委員会運営をしていただきたい。  私は、少数意見を大事にするということは大変大事なことで、例えば自民党が大多数を持っておりました時代でも、自民党があるいは政府が出しました法律のうちで、国会を通ったのは一〇〇%ということはほとんどございませんでした。ところが去年、村山内閣は出した法律を一〇〇%通したということが大変御自慢のようでございますけれども、逆に言いますと、少数意見というものは無視をされてしまって、多数でどんどん議会運営が進んでしまったという証拠でもあるわけでございまして、これは私は必ずしも褒めたものではないと思うのでございます。  長い間野党立場におられた委員長でもございますし、またこの閣僚の中には久保さんもおられますし、それから田中さんもおられますが、議会運営国会運営の中で少数意見を大事にしていくという、そういう議会運営のあり方があるべきだと思うのですが、いかがでしょうか。大蔵大臣としての立場じゃなくて、社会党の幹部としての御意見を聞かせていただきたい。(発言する者あり)社民党、ごめんなさい、失礼しました。
  9. 久保亘

    久保国務大臣 議会制民主主義基本に、少数意見の尊重ということは当然なければならないことだと思っております。ただ、議会制民主主義は、国民立場に立って、ルールに基づいて機能するということもまた重要なことだと考えております。
  10. 愛知和男

    愛知委員 田中経企庁長官、いかがでしょうか。
  11. 田中秀征

    田中国務大臣 村山内閣で一〇〇%の法案が通ったという御指摘がありましたが、当時から、野党皆さんの御協力もいただいてそうなったんだ、そんなふうに思っております。
  12. 愛知和男

    愛知委員 まだこれから国会も続くわけでございますし、予算委員会も続くわけでございますから、どうぞひとつ、私どもが資料要求したり、あるいは政府答弁に対して必ずしも満足の答弁が得られないというときに、その際に、そういう私たちの主張や何かを全く無視してどんどん時計を回してしまうという、そういう運営はぜひ改めていただきたい。ぜひこの機会に、尊敬する上原委員長お願いを申し上げておきます。よろしくお願いいたします。  さて、本題に入らせていただきますが、まず、橋本総理、御就任おめでとうございます。  せんだって本会議でちょっとお祝いを申し上げましたが、私は、個人的なことを申し上げて恐縮ですけれども総理とは親の代から大変おつき合いをいただきまして、そういう御縁で非常におつき合いをいただいてまいりましたし、さらに個人的なことで言えば、同年同月生まれということでもございまして、政治家としては大先輩でいらっしゃいますけれども、そういう立場からいいますと、ぜひ頑張っていただきたい。大変な時期に総理の大役をお引き受けになって、御苦労が多いかと思いますけれども、ぜひ国のために頑張っていただきたい。同じ世代の者として、御健闘をお祈りを申し上げておきたいと思います。  それはそれとしまして、今議題になっております住専の問題。総理は、施政方針演説では、橋本内閣基本方針内閣としての基本的な理念といいましょうか、物事に取り組む基本的な姿勢として、「変革創造」ということを掲げられました。この橋本内閣基本的な物事に取り組む「変革創造」というそういう中で、この住専の問題はどういう位置づけと考えておられるのか、このことをお伺いさせていただきます。
  13. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 まさに親の代から本当に長い御縁の中で、こうした立場議論をさせていただきますにつきまして、さまざまな思いをお互いに持ちながらということになります。どうぞよろしくお願いをいたします。  そして今、その「変革創造」という掲げた理念の中におけるこの住専処理問題いかんというお尋ねでありました。  私は同時に、四つの目標として、景気回復を初めとして、自立的な外交、あるいは長生きをしてよかったと言っていただけるような長寿社会、そしてそのための行財政改革というものを、国民に対して考え方基本として申し上げてまいりました。  そしてまさに、我が国のさまざまな分野が今、外的な要因を全く抜きにいたしましても、人口構造変化だけでも、大きく構造を変えていかなければならない時代に入っておることは申し上げるまでもないことであります。そうした中におきまして、産業構造経済構造もまた、外の要因抜きにいたしましても、その人口構造変化に対応した流れの中で新たな姿を模索していかなければなりません。  しかも現実には、国際社会が大きく揺れ動く中で、その変化は加速されております。そして現に、産業構造は変わりつつありますし、経済構造もまた変わりつつあります。そしてその中には、これは必ずしも喜ぶべきとも言えない、しかし、時代の流れ、技術移転ということから考えるなら、製造業の海外への展開、これも避けられない事実の一つであり、その結果の空洞化というものが懸念をされている、こうした事態も御承知のとおりであります。そして、私どもは新たな産業分野創造していかなければならないその真つただ中にありますし、そのためにこそ科学技術立国という目標をかざし、政策転換を進めつつあるそのさなかであります。  しかし、そうしたことを考えましたときに、やはり、その大きな資金供給を行っていく役割を持つ金融システムというものが安定していなければ、物事はなかなかうまく動きません。そして、遺憾ながら、このしばらくの間に、我が国金融システムには幾つかの部分で大きな破綻が生じ、また内外から御批判を受けるような事態現実に発生をいたしました。  そうした中で、金融システムに対する信頼を取り戻していこうとするならば、不良資産処理というものを避けて通ることはできないわけであります。そして、その大蔵省調査の結果出てきております三十八兆という膨大な不良資産をこれから我々は処理していかなければいけないわけであります。その中において特異な立場に置かれているのがこの住専の問題であり、喫緊の象徴的な問題ともなっておりますし、また喫緊に解決をしなければならない課題であることも御承知のとおりであります。  そして、その住専というものの持つ問題の複雑さは、直接預金者を持つ組織でない存在であり、しかも母体行を初め非常に多くの金融機関がこれに対しての債権を有している。そして、そのすべてに系統系金融が、よく言われる言い方をしますなら、くし刺しに刺したような形で入っている。関係者が非常に多く、しかもその利害は複雑多岐にわたっている。しかし、これ以上この問題の処理を先延ばしにすれば、一層その傷口は大きくなる一方ではなかろうか、私どもはそう判断をし、この処理をこの時期に、厳しい選択の中といいながらも解決をすることがぜひともこれからの日本のために必要、そのように判断をいたしたということであります。
  14. 愛知和男

    愛知委員 私は、今のこの時代、現在我々に求められていることはどういうことか。私どもの政党は「改革」と掲げておりますが、最近は改革という言葉がはやりみたいになりまして、皆さん改革と言われますが、この間の私ども新進党党大会でも、「改革」というものはどういうことを意味するのかということを改めて確認をしたのでございますが、基本的な認識というのは、現在のこの戦後日本社会をあらゆる側面から――社会仕組み、これはいつできたかというと敗戦でできたわけです。敗戦というきっかけでそれ以前の社会仕組みをすっかり変えて、新しく出発をして新しい日本がつくり上げられてまいりました。  この仕組み社会全体の仕組みというのは、極めてこれはうまく機能した。もちろん、その中に、私どもから言えば、大先輩皆様方が大変な御努力をされた結果ももちろんです。しかし、仕組みそのものが大変うまく機能したということが根底にございまして、今日のこの発展につながった。  ところが、日本国内も、敗戦後のあの食糧にも事欠くような時代から、すっかり豊かになりました。国内もすっかり変わりました。また、そういう中で、世界の中における日本立場もすっかり変わりました。世界の様子もすっかり変わりました。ありとあらゆるところがすっかり変わってしまったわけでございます。  そこで、今、日本にとって何が求められているかというと、新しい社会仕組みに変えなきゃいけない、仕組みそのものすべてを変えなきゃいけないということが今の時代基本的な要請だ、こういう認識なんでございます。  社会仕組みをすっかり変えるというのは、第二次世界大戦の後、敗戦の後日本が新しくなったように、戦争というきっかけがこれは歴史上非常に大きなきっかけになります。あるいは、外国との戦争でなくて、国内革命というものが起きまして社会仕組みがすっかり変わるということもあります。そういう戦争とか革命とかということで日本仕組みを新しくするというのは、これは決していいことではない。いいことではございません。  そこで、今日のような平和な中で、平和時に、平和裏にこの日本社会全体の仕組みを変えていこう、言ってみればこういう例が人類歴史にあるかどうか、もしかしならないのかもしれません。しかし、それをあえてやろう。それをやらないと、我々の後に続く世代のときに日本が全くおかしくなってしまう、そういう基本的な認識のもとに、まあちょっと大げさな表現になるかもしれませんけれども人類歴史、そういうものに対する一つの挑戦だ、これが私どもが考えている「改革」と言っているものの基本的な理念なんだということを我々は確認をしたのでございます。  そこで、話は住専のことに戻りますけれども住専というああいう問題がどうして出てきちゃったか。これは社会仕組み、あらゆる仕組みを変えなきゃならないのに、なかなか変えなかったために、あるいは変えられなかったために、その結果として出てきた一つの事象なんだ。これは戦後の仕組みそのものを新しい時代にふさわしいように変えることができなかったために出てきたものなんだという認識が私は大切だと思うのでございます。金融行政仕組みやなんか、大蔵省のやり方もそうだし、護送船団方式と言われるものもそうでしょうし、これも戦後ずっと機能してきた仕組みなんです。そのひずみというか、結果が出てきてしまった。  農協の問題だって同じです。農協というのは、本来農家のためのものだった、いわば互助組織だった。それが農家と離れてしまって、農協自己培養を始めてしまって、巨大な商社になった。だからその中で金融ということも、当然商社ですからそういう機能を持つようになった。そういうようなものが結果として住専という形であらわれているんだ、こういう基本認識が大事だと私は思うのです。  ですから、住専の問題にどう対処するかというときに基本的に考えなきゃならないのは、この問題にどう対処するかということではなくて、この問題の対処を通じて日本社会全体の仕組みを新しくする、その一つきっかけにするという、そういう視点からこの住専の問題に取り組まなかったら、我々政治家がこれで一生懸命やる価値がないというか、そういう仕組みで取り組んでこそ政治家役割を果たすことができるんだと私は思うのでございます。  この住専の問題というのは、いろいろ言われました。確かに緊急の課題もあるでしょう。しかし、そういうような当面のことでこの問題を処理するという考え方でこれに対処していたのでは、私は正しい対処にはならない、そう思うのでございます。そういう基本的な認識が必要だ。したがって私は、そういうことで橋本内閣の「変革創造」という中でどういう位置づけをされているのかということをお伺いをしたのです。私見を申し上げましたけれども、いかがでしょうか。
  15. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、別に今の御議論に反発をする部分があるわけでもありませんし、また認識について基本的に違っているようにも思いません。あえて私は、外の要件がなくても、我が国高齢化という人口構造変化の中でいや応なしに変革を迫られている、それが基礎にあるということから申し上げました。  そして、私は、もし委員の御発言につけ加えるとするならば、敗戦後新たに生まれました日本、その時代というのは、まさに人生五十年の時代だったわけであります。当然のことながら、その人生五十年の時代に合わせた仕組みが用意されてきた。  そして、これは議員も御記憶でありましょうが、自民党自身が、そうした家族構成をも含めて人口構造変化問題意識を持ち始め、そうした視点から行財政改革というものをスタートをさせましたのはたしか昭和四十八年であったと思います。ただ、その直後にオイルショックが入り、その作業は中断をいたしました。しかし、またそれが再開をされ、今日にその流れが続いております。  むしろ、当時は、五十年の人生から七十年の時代へという移り変わりを我々はとらえていた。今日になりますと、人生八十年というものに合った仕組みというものを工夫していかなければならない、私はそう思っております。  そして、外の要因で、議員が述べられましたような問題意識、すなわち国際社会が大きく変化をしたこと。まず第一に、冷戦構造が終結し、例えば二大陣営の一方の盟主であったソ連が既に消滅をし、計画経済と市場経済という対立の図式が、ごく一部の国を除いては市場経済へその方向が変化し、今その転換の時期にある、そうした流れの中における我が国立場、そうした問題意識に食い違いはなかろうと思います。
  16. 愛知和男

    愛知委員 総理との基本的な認識は違わないのかもしれませんけれども、私が先ほどるる申し上げました視点に立ってこの住専の問題を取り扱うとすると、今度政府が提案されましたこのスキーム全体、このスキームはどうしてもこの住専の問題の処理を通じて社会全体の仕組みを新しいものにしていこうという、そういう視点がどうも見えないのでございます、残念ながら。  そこで私は、後でいろいろと具体的にも申し上げたいと思いますが、基本的にまず、再三お話が出ておりますけれども、この基本的なスキーム、その中心はいわゆる六千八百五十億という財政資金を投入するということがそのシンボリックなことであるわけでございますが、私どもは、これを削除をして、このスキーム全体を新しい別のスキームでやるべきだ、こう主張しているわけでございます。この六千八百五十億、これを削除するということについて、どうでしょうか、ぜひ削除をして新しいスキームでやり直すということを提案したいと思いますが。
  17. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 本委員会が始まりまして以来、何人かの委員から同様の御質問をいただきました。しかし私は、現時点までの議論の中でも申し上げてまいりましたように、当事者間のぎりぎりの話し合いの中からまとめ上げてまいりました今回の処理方策というものをもし変えた場合の影響というものを考えますと、非常に危険な問題をたくさん含んでいるということは議員にも御理解がいただけると思うのであります。そして私は、この予算を削除するという考え方は持たないということを今までも申し上げてまいりました。
  18. 愛知和男

    愛知委員 与党の中に、削除はしないけれども凍結をするというような話がちらちら聞こえたりしております。私どもは、凍結と削除とは全く質的に違うわけですから、凍結というのは、予算そのものを認めて、つまりこのスキームそのものを認める、だけれども執行を一時停止するということにすぎないわけですから、凍結などというのは何の意味もないと思っておりますが、凍結というようなお考えはあるんですか。
  19. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、そうした考え方を持っておりません。
  20. 愛知和男

    愛知委員 それでは、少し具体的に幾つかの問題を指摘していきたいと思います。  今回政府が出されましたこの住専処理、これには幾つか私たちにとってはどうしても理解ができない点がございますが、そのうちの二つ、一つ平成五年二月三日のいわゆる覚書でございます。そしてもう一つは、平成七年十二月に、去年この六千八百五十億という税金の投入が決められていったその辺のプロセス、この辺もどうしても脇に落ちない点が数多くあるわけでございますが、まずそのうち、平成五年の二月三日の覚書の問題をしばらく取り上げてみたいと思います。  実は、私の手元に一つの資料があります。この資料は、ことしの一月二十九日、与党三党の責任者会議が開かれて、午前中、お昼少し前と聞いておりますが、ちょうど一月二十九日というのはいわゆる第二次損失の処理案が決定する前日、与党内でいろいろな議論があってもめていたと聞いておりますが、ここで、与党側がかねてより大蔵省側に要請をしていた住専についての責任問題の資料が配付されたと聞いております。  これがその現物でございますが、十六ページになる、これは表紙はついておりませんけれども、表紙はわざと取ったんでしょう、きっと。どこから出たか、だれがつくったかわかってしまうからでしょうが。「Ⅰ.行政の責任」というところから始まるわけですが、この資料、大蔵省がつくられた資料でしょうか。ちょっとこれ見てください。――どうですか。大蔵省答えてください。
  21. 西村吉正

    ○西村政府委員 ちょっと私、それそのものを見た記憶がございませんのです。あるいは事務的につくったことがあるのかもしれませんが、ちょっと私、今記憶がございません。
  22. 愛知和男

    愛知委員 まあ大蔵省がはっきり答えられないのは、この中を読みますと、これは大蔵省の弁明書のような内容になっているわけでございます。そういう内容からいいましても、銀行局長がこれは大蔵省でつくりましたとはとても言えないだろうと思いますが、まあ私どもがこれを入手しました過程から申しますと、これは大蔵省が作成したものであることは間違いないと確認をしております。  そこで、ポイントとなる点を幾つか指摘をしていきたいと思います。  その一つは、平成五年二月三日のいわゆる覚書に至る経過についてでございます。  これの十三ページに出ておりますが、ここに、「大蔵省の問題点①」となって「二枚舌」と書いてあるわけです。自分で「二枚舌」と書くのですからなかなか大したものだと思いますが、そこには「大蔵省は九二年後半に既に事態の深刻さを認識し、公的資金の導入も含めて検討するも、これが政治的に困難と判断するや、再建可能とのシナリオで系統との合意形成を誘導。」そしてその先に、「問題先送りにより結局傷を深める結果に」なった、こう書いてあるんであります。ちょうど九二年の後半というのは、いわゆる第一次立入検査が行われた後でありますが、大蔵省はこういう認識を持っていたのでしょうか。
  23. 西村吉正

    ○西村政府委員 私、その資料について今記憶にはないのでございますが、あるいはそのような御批判があるというようなことを述べたのではないかと推察されます。
  24. 愛知和男

    愛知委員 第一次立入検査の結果、住専の実情が大変なことだということがわかって、その対応について関係者が協議を始めていた。これは今日までのこの委員会質疑その他、あるいは報道などでも明らかでございますが、関係者が集まって協議を始めたと。  大蔵省に伺いたいのですが、どんな内容の協議、検討を行っていたのでしょうか。
  25. 西村吉正

    ○西村政府委員 その文書は別といたしまして、私どもは、住専問題については昨年来非常に詰めた議論をいたしたわけではございますが、それ以前におきましても、再建というような方法につきまして非常に関心を持っておったことは事実でございます。ただ、再建ということになりますと、むしろこれは関係者の間での自主的な努力というものにまつべきものである、そういうような観点に立ってこの問題に関心を持っておったというふうに感じております。
  26. 愛知和男

    愛知委員 具体的な例として一つ。いわゆる日住金、これについて三和銀行と大蔵省はどんな協議を行っていましたか。
  27. 西村吉正

    ○西村政府委員 日住金につきましては、日住金の母体行と言われておるものが数行ございますけれども、そういうところを中心にして再建策が検討をされておったと理解をいたしております。
  28. 愛知和男

    愛知委員 大蔵省は、三和銀行にレポートをつくらせて、再建は不可能、清算しかない、そういう方針だったのではありませんか。
  29. 西村吉正

    ○西村政府委員 検討の過程において、母体行の皆様方が再建あるいは清算、いろいろな方策について御検討をされたであろうと思います。
  30. 愛知和男

    愛知委員 この当時、大蔵省判断は、問題のある住専は清算ということだったんではないか。これは、つい二日ほど前の新聞に宮澤喜一元首相のインタビュー記事が載っております。この中でも、宮澤元総理が答えておられますが、「問題ある住専はつぶれてもやむを得ないと思っていた。」こういうことでございますが、いかがですか。
  31. 西村吉正

    ○西村政府委員 住専にいろいろな問題があるということはかねてから関係者が懸念をし、その善後策について苦慮していたところであろうかと思います。その方法といたしまして、再建を図るのか、あるいは清算をせざるを得ないのか、そういう点についてはいろいろな御意見があったと思っております。
  32. 愛知和男

    愛知委員 第一次立入検査の深刻な状況を知りました大蔵省は、住専の清算を柱とする判断を固めていた。これは今いろいろな資料によっても間違いないことだと思います。  ところが、翌年の二月には、いわゆる覚書で五兆円を超える、五兆五千億という元本保証案を局長、事務ベースで、いわゆる清算ではなくて再建策として決める、こういうことが起きたわけでありまして、したがって私は、この間で政治の関与があったのではないか、これが今日傷口を大きくし、そして、結局税金を使っての処理、こういうことにならざるを得なくなったんだ、このように思うのでございます。  そこで、大蔵省にお尋ねいたしますが、この間、ある大物政治家が中心となって住専問題処理の非公式な勉強会をつくり、そこでいろいろな処理策を検討していたという確かな情報を得ておりますが、大蔵省承知しておりますか。
  33. 西村吉正

    ○西村政府委員 住専の再建計画は、住専会社及び関係金融機関の協議、合意というようなプロセスを通じて策定されたものでございまして、大蔵省や農林水産省といたしましても、当事者間の協議が円滑に行われるよう行政として可能な助力をしてきたところでございます。しかしながら、私ども、そのような政治との関係につきましては承知をしておりません。
  34. 愛知和男

    愛知委員 大蔵省としては承知をしていないという答弁でございますが、それでは私の方から申し上げましょう。  この勉強会の中心人物は、当時官房長官の加藤紘一さんであります。現在は自民党の幹事長。大物であります。大蔵省からは当時の銀行局の小山審議官、そして福田総務課長。農林系統金融機関の幹部、これは名前はわかりませんが。それから自民党の農林族の国会議員。こういう人たちで勉強会をやっていたと私たちの調査でわかっているのでございます。  大蔵省は関係していないという話でしたが、この当時の銀行局の小山審議官は今何をやっていらっしゃいますか。
  35. 小村武

    ○小村政府委員 国際協力事業団の理事をしていると記憶しております。
  36. 愛知和男

    愛知委員 当時の福田総務課長は今何をしておられますか。
  37. 西村吉正

    ○西村政府委員 銀行局の保険部長をしております。
  38. 愛知和男

    愛知委員 このお二人に、こういう勉強会があったかどうか確認をしていただきたいのです。
  39. 西村吉正

    ○西村政府委員 こういう重要な問題につきまして御説明等の機会というのはしばしばあることでございますので、本件についてもいろいろな方にいろいろな機会を通じて御説明をし、御意見を伺うというようなことは、今の御指摘の点にとどまらずあったことは推測できると思いますけれども、御指摘でございますので、それでは確認をするようにいたします。
  40. 愛知和男

    愛知委員 それでは確認をしてください。この時代ですから、今電話でもできるでしょう。確認をするまで待っていましょう。
  41. 上原康助

    上原委員長 大蔵省、すぐ確認できますか。  愛知和男君。
  42. 愛知和男

    愛知委員 まあ、審議を妨害するつもりで言っているわけではありません。したがって、質疑を続けますが、その間やってください。いいですね。  私の調査によりますと、加藤紘一さんを中心とする住専問題の勉強会、今申し上げましたようなメンバーによる住専問題の勉強会でつくり上げられたのが農林系統を完全に保証するスキームだった。税金を使って大蔵省側が住専を清算しようという方針を察知した農林系統が、加藤さんを使いまして、自分たちの融資を引き揚げると圧力をかけた。これは大変ということで、非公式に処理案が検討されたのではないか。いかがでしょう。
  43. 西村吉正

    ○西村政府委員 私どもは、そういう点について承知をしておりません。
  44. 愛知和男

    愛知委員 後ほど連絡がとれるのでしょうから確認をしたいと思いますが、いわゆる政治の介入があったことがわかると大変これは問題になるというので、そこで大蔵省と農林省の局長の間での覚書という方法がとられたのではないか。したがいまして、実態の方は、これは加藤紘一さんの仲介でできた政治的な決着だったのではないか、こう思います。いかがでしょう。
  45. 西村吉正

    ○西村政府委員 いろいろと御説明を申し上げたりする機会はいろいろな機会にあると思いますけれども、私どもは、御指摘の覚書というものとそういう御指摘のような点について関係があるとは考えておりません。
  46. 愛知和男

    愛知委員 この覚書というのはそういうプロセスの中でできたと私ども認識をするわけでございますが、一方、この覚書であります。この内容は、この間も当委員会で私どもの同僚がこの覚書についていろいろ議論をいたしましたが、どう考えましても、これは国家公務員の職権を超えるものとしか言いようがない。この覚書がベースになって今日のスキームが全部できているわけで、この覚書というのはいかにもおかしいという話は新聞などの論調にも出ているのでございます。  これは日経の、八日ですからきのうの社説でありますが、「この覚書は全く不当なものである。一公務員に過ぎない銀行局長に農林系の元本保証をするような覚書を農水省局長と取り交わす法的な権限があるはずがない。このとき、銀行局は母体行に「住専再建に責任をもって対応する」との念書も提出させている。当時の寺村銀行局長らは明らかに公務員としての越権行為を犯している。公務員の職権乱用罪にあたるという指摘もある。」どうでしょう。
  47. 西村吉正

    ○西村政府委員 御指摘の覚書は、現行の再建計画の策定に当たりまして議論の整理のためにつくられたものでございまして、権限の逸脱というような問題は特段に生じないものと考えております。
  48. 愛知和男

    愛知委員 役人がつくる覚書、文書ですから、それはもう細心の注意を払って突っ込まれないようにつくったのでしょう。しかし実際は、そのときに取り交わされた内容がスタートになって、そして今日のスキームが全部できているわけであります。それが最終的には六千八百五十億という予算を計上したこの予算案になっているわけですから、これは大変大きな問題でありまして、もしかしたら、こういうことででき上がったこの予算でございますから、これは憲法違反かもしれない。  憲法八十三条にはどういうことが書いてあるか。「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」という条項がありますが、このような一局長の間で取り交わされた覚書が一々、文言は別として、中身からいうとそこがスタートなのですから、実質的にそれがこの予算をつくるもとになっている。憲法違反だと言ってもこれはおかしくないと思いますが、いかがでしょう。法制局長官でしょうかね。
  49. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 お尋ねの件につきまして、憲法のどの条文に違反するのかということにつきまして、御質問の趣旨はわからないわけでございますが、先般来議論になっております覚書の内容、それは、それぞれ各省設置法の範囲内におきまして両局長が行った所掌事務の一環をなすものというふうに理解しておりますので、憲法上何ら問題がないのではなかろうかというのが私どもの理解でございます。  以上でございます。
  50. 愛知和男

    愛知委員 どの条項を指摘しているかわからないと言いましたが、私は明白に申し上げました、憲法八十三条、これに違反しないかと。
  51. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 ただいま御指摘いただきました憲法八十三条、これを開いてみますと、「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」というふうに規定しているわけでございます。  今般問題になっております財政支出、これは予算に計上されているものでございまして、その予算を目下御審議いただいているのがこの予算委員会であろうと思います。したがいまして、その観点から、憲法八十三条との関係では何ら問題がない、このように考えております。
  52. 愛知和男

    愛知委員 いずれにいたしましても、この間の経緯というのはまことに大事なことなのでございまして、先ほど要請しましたけれども、この問題に主役を演じた加藤紘一自民党幹事長、そして、当時の銀行局の小山審議官、福田総務課長、こういう方々から事実関係と経緯を聞きたいと思います。この委員会への出席を要請したいと思います。
  53. 上原康助

    上原委員長 ただいまの件につきましては、参考人招致が決定されておりますので、そのリストの中で検討していきたいと存じます。
  54. 愛知和男

    愛知委員 理事会を通じまして、我が党の正式な要請としてこれを申し入れますので、ひとつお取り計らいをお願いをいたします。  今回のこのスキームをつくる中で、加藤紘一さんの役割というのが非常に大きいと言われております。先ほどのお話は少し前のことですが、この予算の編成に至る経緯、去年の九月の半ばぐらいから系統と母体行との間でいろいろと何回も何回も協議がなされてまいりまして、結局、最後、十一月の末に、いわゆる生ずるであろうロスの負担の話し合いということになり、系統がこれを拒否するという形で系統と母体行との間の話し合いが決裂をした。そこで、またまた加藤紘一さんが登場したのでありまして、それで最終的に系統寄りの最終案ができた。  このときは与党の政策調整会議ということでこの辺の決定がなされたと思いますが、その中には菅厚生大臣が当時の政策調整会議の一員として参加をされていたと思いますが、いかがでしょう。     〔委員長退席、三野委員長代理着席〕
  55. 菅直人

    ○菅国務大臣 今、愛知委員の方から若干突然の御質問だったので、今記憶をたどっておりましたが、昨年の夏ごろから金融・証券プロジェクトというものを与党の中につくりまして、そこを中心に議論を進めていただいていた。そして、昨年の暮れのある段階で、十一月の終わりから十二月にかけていろいろ報告を与党政調会議にいただきまして、そしてある段階で与党政調会議としての考え方を提示をして、その中で大蔵省あるいは農林省含めた議論をいろいろ重ねていただいて、最終的に十九日に与党としても考え方をまとめ、そして政府としても閣議決定をいただいた、そういうふうに私は理解をいたしております。
  56. 愛知和男

    愛知委員 主計局長にお伺いいたしますが、今回のこの予算、最終的に六千八百五十億、これは莫大な金額であります。よく言う話ですが、国民一人当たり五千五百円。大蔵省としましては、財政危機宣言をしたぐらいですから、財政支出などというものは一円たりとも少ない方がいい。ですから、何とかして財政支出がない形で処理ができないだろうか、こういう対応をしたと思いますが、いかがですか。
  57. 小村武

    ○小村政府委員 本件につきましては、昨年の四月以来、累次の経済対策等々で、この問題は早急な解決を図らなければならない重要な課題であるということで、私ども財政当局としても重大な関心を持ってまいりました。その間、大蔵省で申し上げれば、銀行局を中心に関係者の間で調整が図られてきたということで、最終的には十二月の十九日の閣議決定をもって政府及び与党間の話し合いがつきまして、予算に計上いたしました。こういう次第でございます。
  58. 愛知和男

    愛知委員 私は、大蔵省、特に主計局が大変な苦渋の中で政治の方から無理無理のまされた、こういうことと思えてなりません。そこで、その政治に対する抗議の意味で当時の篠沢事務次官がやめたんだ、私はこういうふうに思っております。  したがって、今回のこのスキームをつくる上で政治が必要以上に介入をして、その背景にどういうことがあったかよくわかりません、しかしまあいろいろ推測はされます。そういう政治の力によって無理無理つくられた今度のスキームではなかろうか、こういう思いがしてなりません。そういう点からいいましても、ぜひこの六千八百五十億は削除をし、スキームそのものを撤回してもらいたい。  この今度の案につきましては数々の、今はまあ全部を申し上げる時間がなかったわけでございますが、問題点がいっぱいあるわけですね。  例えば、この六千八百五十億円という数字が出てきました一番のもとにあるのは、母体行なり一般行なり、いわゆる民間の合意があって、その結果、やりくりの中で、最後に財政資金として六千八百五十億というのが出てきているわけです。このことはどういうことかというと、予算の編成を民間に任せちゃったようなことになっている。こんなことでいいんですかね。したがって、この六千八百五十億という数字の根拠も、いろいろな話が出ましたけれども基本的に、このスキームの中でもとになっているのは、民間の人たちの合意がもとになってこの財政資金が出てきているということは、予算の編成権を民間に渡してしまったということになるじゃないですか。どうです。
  59. 小村武

    ○小村政府委員 本件は多数の関係者がおられます。その中での調整を図るということなくしてこの問題は解決いたしません。先ほど申し上げました閣議決定に至るまで、相当の日数を要してこの調整を行われたものでございます。  私どもとしましても、内閣の一員たる大蔵大臣のもとで、財政当局としても、我が国のこの金融システム、経済をめぐる諸情勢、あるいは本問題の早期解決の必要性等々にかんがみまして、八年度予算に計上いたしたという次第でございます。
  60. 愛知和男

    愛知委員 そもそも予算というものは、申し上げるまでもございませんが、これは定量の世界なんです。定性の世界ではないんです。ところが、今回のいろいろな質疑の中で出てくる話というのは、もうはやり言葉の一つになっちゃったけれども、ぎりぎりなんだと言うんだ、ぎりぎり。ぎりぎりなどという表現、これは定性の世界なんであって定量の世界ではないのであります。だから、今回のこの一連の話はそういう定性の話が多くて、これはとても予算に値しない。  よく言われますが、金融混乱が生ずるんではないか、金融の不安が出るんじゃないかという話もよく出ますが、具体的にそれじゃどういうのが起きるのかというようなことなどは何の説明もない。こういうようなことで、今回のいろいろな質疑を通じて、税金を使う以外に方法がないというその理由がどうしても明確に提示されているとは言えない。  私は、そのように税金を使わなきゃならない、そのほかに方法がないという、説得できるだけの理由、説明がない以上は、法治国家の当然のあり方としまして、今回のような、言ってみれば超法規的あるいは懇意的な措置ではなくて、いわゆる法的手続、例えば破産法、会社更生法といったような法的手続に従って整理を行うというのが最も当然な話なんじゃないでしょうか、日本は法治国家なんですから。どうですか。法務大臣、どう思いますか。
  61. 長尾立子

    ○長尾国務大臣 今回の問題の処理につきましては、今先生がおっしゃいましたように、法律的には破産法の適用ということがあり得ないことではないとは思いますが、全体として申しますと、現在御提案を申し上げております処理スキームによることが最良のものであるというふうに考えております。     〔三野委員長代理退席、委員長着席〕
  62. 愛知和男

    愛知委員 法的手続で処理をするということになると、権利関係が錯綜しているから時間がかかるとかなんとかという話がありますが、権利関係が錯綜しているからこそ法的手続で処理をするというのが法治国家のあり方ではないでしょうか。それを、法律を適用しないで何かはかの方法でやるというのは、これは法治国家としての対応が違う、こう言わざるを得ませんが、いかがでしょうか。
  63. 久保亘

    久保国務大臣 法治国家でありますから法律によって処理しようとするものでございます。それで、この住専処理スキームをつくるに当たりまして、予算並びに新たな法律を提出して国会の御審議をお願いをいたしているのであります。
  64. 愛知和男

    愛知委員 法的処理をやると時間がかかるとかなんとかというような理屈も言われております。そもそも時間がかかるかどうかというような話は、法治国家としての国の体制をきちっと守るかどうかということからいいますと、それはもう言ってみれば本質的な話ではない。しかも、村山内閣のときに何をやっていたかというと、何にもやっていなかったわけでありますから理由にはならないと思いますが、しかし、とにかく時間がかかるということについて、これも必ずしもそういうものではない。  これも日経のきのうの論説に出ておりますが、破産法などの法的手続をとった場合には時間がかかるということであるが、しかし、「司法統計年報によると、実質的な内容を伴った破産事件でも、八割近くは申し立ててから五年以内に処理が終わっている。債権者数三万人、債権額一千二百億円、保有資産は海外にまで及んでいた豊田商事の巨額破産事件でも、五年で完了している。」早期解決という理由で法的処理を回避した以上、住専処理は短期決戦で臨むのが筋であり、これは五年以内に処理すべきではなかろうか。  つまり、法的手続をとったから時間がかかるなどというのは理由にならないと思いますが、いかがですか。
  65. 久保亘

    久保国務大臣 時間がかかるからということだけを申し上げているわけではございません。愛知さんもいろいろなお話の中でお述べになりましたように、この問題が、自主再建の計画を一次、二次にわたって立てる、そういう中で結果的には先送りになって、今日大変厳しい状況になってきている。このことは愛知さんも国際派の政治家として、御活躍を大変私どもとしては注目させていただいているのでございまして、現在の経済、金融のグローバル化の進展の状況などもよく御存じだと思います。  また、今日この住専問題が国際的にも非常に強い関心を持たれるに至ったこの状況等を考えますと、今おっしゃいましたように、早期の処理が必要でございます。その早期の処理をやり遂げるために最も適切で、そして当事者の間の合意も得られる方法として、今政府で取りまとめましたものを御審議をいただいているわけでございます。  皆様方の方から、特に愛知さんの今いろいろおっしゃいました中で、与党に関するお話ございましたけれども、五年の二月というころは、愛知さんも与党にいらしたわけでございます。  そしてまた、村山内閣はこの問題と大変真剣に取り組んでまいったと思っております。昨年の四月の段階から、この問題に関する関係閣僚の会議や経済対策の中で取り上げられた問題、与党三党の協議、そして昨年末の閣議決定に至りますまでの間の努力は行われたと思っております。今連立政権としては四回目の橋本政権となっているわけでございますけれども、この間、むしろこの住専問題と正面から取り組んだのは第三期連立政権以降であったと私は思っております。
  66. 愛知和男

    愛知委員 融資ではだめで、税金でなくちゃだめなんだというようなことなんですが、債権回収に全力を挙げると言いながら、融資ではだめだというのは、これは論理の矛盾じゃないでしょうか。どうでしょうか。融資ということは、債権回収されたらそれでまた戻してもらうことができるわけですから、債権回収は一生懸命やると言いながら税金を、税金というのは行ったきりですからね。だから、税金じゃなくちゃだめだ、一方でそう言いながら、債権回収は一生懸命やるといっていろいろな機構をつくったりなんかして、今アイデアをつくっていらっしゃるわけでしょう。融資でいいじゃないですか、それなら。一時つなぎの融資をしておいて、債権回収がうまくいったら返してもらうという仕組みだっていいじゃないですか。
  67. 久保亘

    久保国務大臣 六兆四千百億というのは損失と欠損なのでございまして、きのう日銀総裁もお話しになりましたが、回収できないもの、返還できないものは融資ということは考えにくいのではないかということなんであります。  そのかわり、十三兆全体をこの処理機構は回収に当たるわけでありますから、路線価で計算いたしております損失、欠損の六兆四千百億が、これがもし路線価を超える回収が可能になってまいりますと、その分は国庫に返還される、こういうことを決めているのでございます。
  68. 愛知和男

    愛知委員 この間の、自民党大蔵省が出した「住専問題Q&A」というのが報道されておりまして、その中に、今度の仕組みは、農村救済、農村優遇ではないかということに対して、そのとおり、こういう答えをしているということでございます。  農村、農家、これは預金者です。これを救済しなきゃならないことは当たり前のことで、それならば、これはそのための仕組みというのはちゃんとあるんですから、農水産業協同組合貯金保険機構というものがあるわけですから、今度のこの仕組みが農村あるいは農家預金者保護のために非常に重点を置いた仕組みだと言うんなら、これは貯金保険機構をスキームの中に入れなきゃおかしい、矛盾するじゃないですか。  ですから、今回のこの政府の案が、本当に農村の預金者保護のためにやった、そこに重点を置いてできたスキームなんだということを認めるのならば、全体の整合性がとれていない、出し直さなきゃいけない、こう思うんです。農村のためではないという話は、総理あるいは大蔵大臣答弁その他で、いや、これは農村保護のためじゃありませんという答弁をしておられたと思いますが、いかがですか。
  69. 久保亘

    久保国務大臣 住専に対する債務者を救済するためとか、特定の金融機関を救済するために公的資金を導入するものではない、こういうことを申し上げておりまして、そのことは一貫して申し上げているつもりでございます。
  70. 愛知和男

    愛知委員 そろそろ時間がなくなりましたが、私どもは、税金を使う以外に方法がないということがどうしてもわからない。そして、先ほど申し上げましたとおり、法治国家の当然のあり方として、法的手続に沿って処理をするというそれを基本的なスキームにすべきだ、こう思うのでございます。  私は、今ここで一つ、これは個人的な提案でございますが、法的手続の実施とともに、金融機関の不良債権処理に当たっては、例えば国家行政組織法第三条に基づく臨時の行政委員会のようなものを設置して、情報の完全な開示、責任の明確化、債権の回収などを進めるとともに金融システムの安定化を図る、こういうスキームはできるはずだ。この場合に、仮に預金者保護の必要性が起こる事態が生じたのであれば、その金融機関に対し日銀等の資金を活用すること、このことにより信用秩序の維持を図る、こういう仕組みでいいのではないか。  今、一つのイメージとして申し上げた行政委員会というのは、例えば今申し上げましたとおり、国家行政組織法第三条に基づく組織、これは大蔵省から独立した組織であることはもとよりでございますが、言ってみれば公取のようなもの、これを今回のこの問題の処理に限って臨時的に設置をする。そしてこの委員会は、預金を取り扱うすべての金融機関の業務を監視、監督をする。また、構成は、銀行、証券、不動産、司法などの専門家を委員として任命する。また、委員会の下部に破綻処理機関をつくって、法的処理による管財人の機能を果たすものとする。  こういう委員会を設けて、情報の完全な開示、これも今の政府が出しているこの案によりますと、情報が全部大蔵省に握られてしまって、そして最後は守秘義務とかなんとかということで、完全な開示とはほど遠いことになっている。これが国民の目から見ますと、何かどこかでおかしなことが行われているんじゃないかという疑念になっているし、情報の完全な開示というのはこういう形でしかないんじゃないか。  また、責任の明確化、さらに債権の回収ということも今いろいろと与党で検討されているようでございますが、ああいう形で本当に債権の回収ができるのかどうか、これは大いに疑問でございます。  きょう、予定どおりにいけば午後、私ども江田委員がそういう点などについても法律の専門家の立場から質疑をすることになっておりますが、とにかく私どもは、ただ税金を使うな使うなと言っているだけじゃなくて、ちゃんとこういうような、こうしたらどうかというような対案を持ちながら質疑に当たっているわけでございまして、いきなりここでコメントを求めても無理かもしれませんが、私ども考え方として申し上げておきます。  何かコメントありますか。どうでしょう。
  71. 久保亘

    久保国務大臣 私がお尋ねしては大変申しわけないのでありますが、愛知さんがおっしゃっておりますお考えというのを私が間違って受け取りますといけませんので、対案を示してとおっしゃっておりますのは、破産処理で、自己責任で当事者にやらせることがよいのである、こういうことなんでございましょうか。
  72. 愛知和男

    愛知委員 まあこの委員会のあれとして、質問を受けるというのはちょっと何か……。とにかく、今はいきなり申し上げましたので、コメントを求めるのが無理だったのかもしれません。  また、これは、今私は個人的なアイデアとして申し上げたわけで、党内でまだきちっと固まっているわけではございませんが、私どもとしましても、早急にきちっとした対案を出し、去年の十月に既に出してはいるわけでございますが、その後いろいろ状況が変わった部分もございますから、去年出したものをもとにして私どもの対案を早急に出していくつもりでございますので、それを出しましたら、それはまた真剣に検討していただいて、ぜひ取り入れるものは取り入れてもらいたい、こう思います。  最後に、総理にちょっとお尋ねをいたしますが、総理は、就任直後の記者会見で、この住専の問題に関して、国民の怒りを感じているというようなことをコメントされましたし、この委員会質疑の中でもそのようなことを言っておられたと思いますが、今でも国民の怒りを感じておられますか。
  73. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 当然のことながら、新聞あるいはテレビ等、投書もございますし、また、街頭でコメントを求められて、それが放映されておるのも見ております。さらに、各種の世論調査等を拝見しておりましても、この問題については非常に厳しい国民のお考えがあることは承知しているつもりであります。
  74. 愛知和男

    愛知委員 税金というのは、これは人間としてだれも同じことできることなら払いたくないわけです。だけれども国民の義務としてこれは払うわけで、そのときに、税金というのは、まあ嫌だけれどもしょうがないといって自分を納得させるには、何に使われているのか、むだに使われてないのか、あるいはほかと比べて自分だけが特別な負担を余計強いられているんじゃないかとかというようなことがきちっとクリアされて、それで自分を納得しながら義務を果たしていくというのが税金、納税というものだ。  ところが、このような民間会社の破綻の後始末に自分の税金が使われるようなことになったら、これはもう国民の怒りというものは、納税モラルがこれは下がってしまう。税金を払うというのは社会のいわば基本ですから、納税義務というのはその国に生活をする者の基本ですから、そこがごたごたしてしまったのでは社会全体がおかしくなる。  これは徴税の衝に当たっている主税局、だれかいますか、国税庁か。要するに、徴税の衝に当たっている人たちが、こんなようなものができて、ちゃんと徴税ができると思いますか。
  75. 若林勝三

    若林政府委員 お答え申し上げます。  国税庁といたしましては、従来からいろいろな資料、情報の収集に努めておりまして、また、経済取引、経済関係等の実態についてもよく日ごろから関心を持っておるところでございます。そうした中で、課税問題があるということであれば、適切に対応させていただきたいと思っております。
  76. 愛知和男

    愛知委員 私は、このままこの予算国会を通過するというようなことになったら、ちょうどたまたま今確定申告の時期でもございますし、国民の間に、一人当たり五千五百円納税拒否をする、こういう運動が起こるかもしれない。それが国民感情というものです。あるいは、源泉徴収を受けている者は、五千五百円還付運動が起こるかもしれない。これは税金を事業者がかわって払っているわけでございますが、従業員からその納税を代行している会社に対して、五千五百円を納入しないようにという運動だって起きるかもしれない。こういうことが起きたらどうしますか。
  77. 若林勝三

    若林政府委員 お答え申し上げます。  我々執行機関といたしましては、税法に基づいて適正にこれを執行することがその責務と心得ております。したがいまして、法律に基づいて適正な執行をさせていただきたいと思っております。
  78. 愛知和男

    愛知委員 限られた時間でございましたので、十分意を尽くせない面もございましたが、私は冒頭にも申し上げましたけれども、この住専の問題というのは、まことに不幸なことにこういう事件になってしまった。しかし、これを日本の将来にとってプラスに生かしていくという処理の方法はあるんだ。それは、これをきっかけにして社会全体を新しい時代にふさわしいようなものに変えていくということができるんだ。  その間、その経緯の中で、社会を変えるなどということはそう簡単な話じゃないんですから、いろいろなところに痛みを伴うということはあり得る。しかし、それを乗り越えてこの問題に当たらなければ、これは不幸にして出てきた事件ではあるけれども、当面これを処理をするという今のスキームを見ますと、どうもそういう基本的な取り組み方が足りないような気がしてなりません。  最後に、この予算から六千八百五十億、これを削除し、この住専処理問題の基本的なスキームを根本的に変える、再度これを提案をして、私の質問を終わり、同僚にバトンタッチしたいと思います。ありがとうございました。
  79. 上原康助

    上原委員長 この際、上田清司君から関連質疑の申し出があります。愛知君の持ち時間の範囲内でこれを許します。上田清司君。
  80. 上田清司

    上田(清)委員 お許しをいただきまして質疑をさせていただきます新進党上田清司でございます。  今回の一次、二次処理案の一兆三千億、これは私は、住専問題はまさに入り口にしかすぎない。なぜそう申しますかというと、ノンバンクで、数字はいろいろの試算があるかもしれませんが、八十兆というような数字も出ておりますし、また銀行関係でも約四十兆、しかし、コスモや兵庫銀行の事例を見れば、これだけで本当は済まないんじゃないかという危惧も持っております。  それから、この間に、超低金利政策によりまして、銀行の利ざや稼ぎによりまして大変な国民生活に対しての犠牲を与えているというふうに私は認識しております。それは、経企庁の報告にもありますように、例えば、昨年度の国民の利子配当所得の純所得に関していえばマイナスで四兆八千億、逆に金融機関は三兆、一般企業で一兆九千億、ちょうどこれでペイができるという、まさに所得の移転がここで行われております。  また、PKOによりますところの株価操作によっての金融機関の救済あるいはまた無税償却によりますところの四兆六千億、こういう中身を全部見ていきますと、これは国家機能の停止にもつながるような、しかも低金利政策によって、年金の運用についても、これからどうなっていくかという大変な見通しを考えなければいけないという事態にあります。  こういう点について、総理の御認識をまず賜りたいと思います。
  81. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、さまざまな角度から委員が御提起をされました問題それぞれにお答えをするというのも非常に妙な形になりますので、私の立場から申し上げられること、公定歩合が変更され、現在史上最低の金利水準にこれがありますのは、打ち続く日本の不況から脱出するための、その目的に向けてとられた施策であると私は思います。そして、それは経済全体をプラスに持っていくために、そして景気回復に大きく寄与するものだ、そう思います。その上で、委員が御指摘になりましたような部分があることを、私は全く否定するものではありません。  しかし、この政策自身はまさに景気政策としてとられたものであり、私は、この公定歩合の水準というものが国内の景気あるいは金融市場の動向などを総合的に彼此勘案して決定されたものと考えておりまして、金融機関を優遇するためのものだという位置づけは、そのためのものだという点は、私はそうは思いません。  なお、公定歩合の操作というものが日本銀行の専管の事項でありますから、これ以上私から申し上げることは控えさせていただきたいと存じます。
  82. 上田清司

    上田(清)委員 ありがとうございます。  それでは、この間の質疑の中で総理は、これほど住専のでたらめな融資とは思わなかったというようなニュアンスのことを私は伺ったような気がいたしますが、ぜひ確認をさせていただきたいのですが、九一年の大蔵省の立入調査調査基準日十一月三十日の、いわば第一次の調査の結果報告について、御存じだったのでしょうか。
  83. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 その調査をした時点で知ったということでございますか。(上田(清)委員「いえ、中身です」と呼ぶ)いや、ですから中身は、今回の国会に提出をいたしました資料として初めて私は知りました。
  84. 上田清司

    上田(清)委員 わかりました。知らなかったということでございます。  ところで、あの中身について、でたらめぐあいということに関していえば、四割ぐらいが不良債権でありまして、しかも、上位五十社に関しては母体銀行からの紹介の案件が大体六割ぐらいだというような事実に関して、そういうでたらめな融資に関して、このことをもし最初から知っておられたら、総理は、それでも今回のスキームということに関して考えられますか。
  85. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 ちょっと私、もうひとつ委員確認された意味がわからないのですが、その九一年の調査を、私は一人の衆議院議員として知り得る立場にはありませんでした。それは皆、私は国会議員全員同じだと思います。そして、当然のことながらその調査がなされ、今回情報が開示され、私どもはその内容をひとしくその範囲において知ったということであります。  ただ、その上で申し上げますなら、私は、やはりこういう状況であればあるほどこの問題の解決を急ぐ必要性というものはあると思いますし、その関係者の中でぎりぎり話し合われた結果出てきたスキームというものは、私はやはり非常に必要なものだと考えております。
  86. 上田清司

    上田(清)委員 私は、九一年の十月三日の決算委員会でのいわば総量規制に関する議論の中で、こういう見通しを当時の大蔵大臣としての橋本総理が述べておられますが、若干読み上げさせていただきます。  「これはやはりある意味では創業を処方したわけでありまして、常時活用すべき手法でないということも間違いありません。それだけに、本来」云々というようなことでありますが、「総量規制を解除すべき状況であるとは考えておりませんけれども、副作用が出てきていることも確かです。」というような、総量規制におけるところの副作用、この認識は一体、当時の大蔵大臣としてどんな認識だったのか、承りたいというふうに思います。
  87. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 せっかく議事録をお調べいただきましたので、多少答弁が長目になるかもしれません、お許しをいただきたいと思います。  私どもが海部内閣の閣僚として責任を持つようになりました時期は、地価高騰というものをいかに抑え込むかというのが非常に大きな議論の対象でありました。そしてその当時、いわゆる土地に対する税というものを活用し、これで地価を下げろという御要請が一方に非常に強く行われておりました。  そしてその当時、私は、やはり税というものは双方向に働くものでありますから、そのルールを決めていただきたい、そして、やはり本来はこれは国土利用計画とか都市計画とかいうものが先行すべき、それがあって、税とか金融というのはわき役だということを繰り返し御答弁を申し上げてきたと思います。特に税については、私はそう申し上げてきた記憶がございます。  そして、特に住専も含めましてノンバンクに対しましては、平成元年の十月と二年の一月であったと思いますが、土地関連の融資についてできるだけ抑えてほしいと、権限がありませんでしたから、これは要請を繰り返しました。  しかし、依然として土地価格の上昇がなかなか歯どめのかからない中で、平成二年の三月に土地対策の関係閣僚会議が開かれましたとき、総理から、ノンバンク等において手は打っているけれどもさらに踏み込んだ措置をと、正確な言い方はちょっと忘れましたけれども、積極的な努力を求められました。そして、その中から総量規制という手段に踏み切ったわけであります。これはもう申し上げるまでもない、総貸し出しの伸びに比して土地関連の融資をそれ以下に抑えるということであります。  私どもは、そのときに一方で心配いたしましたのは、例えば都市の再開発、宅地開発、一方では住宅建設の急がれる中で、良質な仕事に資金がショートすることは避けたい、そういう思いも確かに持っておりました。今議員が引用されました私の答弁は、どなたに申し上げたものかわかりませんけれども、副作用と申します言葉を使っておるとするならば、そうした思いを持って眺めておりました中での発言であろうと思います。
  88. 上田清司

    上田(清)委員 それはそれなりにわかりますが、同じように、もうちょっと前ですが、九一年の三月の二十五日、参議院の方の予算委員会で、片山虎之助さんの質疑の中で、このような御回答が一つございます。   また、ノンバンクにつきまして、現行の貸金業規制法のもとでは土地関連融資そのものを規制することは困難です。しかし、土地問題の重要性にかんがみまして、そのノンバンクヘの資金供給者であります金融機関を経由する間接的な方法で、可能な限りその適正化に努めております。  私の想像するところによりますと、ある意味では、ほかは全部締めてノンバンクだけが融資ができるようにされた。しかも、そのノンバンクに農協系から融資ができるような体制ができて、そういう意味での全体の総量規制、そういうことについて、資金供給者であるところの金融機関、これはもう残ったのは農協しかないかな、この文脈の中ではそう思うのですが、そこに対してどんな適正化を指導されたのか、その辺を私は承りたいなというふうに思っておるのです。
  89. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 委員もよく御承知の上お尋ねをいただいておると思いますが、その平成二年三月の総量規制の通達、その中には二本の通達がございます。そして、一本は金融機関そのものに対しまして銀行局長名で発出した通達でありまして、これには特に不動産、建設、ノンバンクの三業種に対する融資状況の報告を求めております。これは、その報告を求める結果として、総貸し出し以下にこれが抑えられるような指導ができることを当然ながら期待をしたものであり、その効果はそれなりにあったと存じます。  系統系金融機関につきましては、これは農林水産省経済局長大蔵省銀行局長の共同通達が同じように行われ、これも総量規制をかけておりました。  ただ、そこでよく言われますのが、その三業種に対しての報告をなぜ徴求することが入っていないかという御議論でありますが、それは既に農水省の方で報告を徴求しておられることから、それが重複するという必要性を認めなかった。既にもう報告を徴求しているという実態があったからであります。今委員が言われましたような、農協系の金融だけを別に扱ったということではなく、既に農林系の金融につきましては農水省が資料を徴求しておられる。当然のことながら、それは大蔵省にも届けられていたものと承知をしております。
  90. 上田清司

    上田(清)委員 適正化の意味についてはいかがなんでしょうか。ノンバンクに資金供給する金融機関に対しての適正化、その適正化の意味は、一般的に言えば、私の考えるところでありますけれども、必要以上の、不正融資とは言いませんが、程度を超えた融資があの当時現実に行われたわけですから、そういうことについて、先ほどは知らなかったと言われましたけれども、何か適正化しなければならない。  そういう脈絡からいけば、何らかの形で当時の大蔵大臣として、ノンバンクに通じる資金の流れ、そしてそういう資金の流れの中で出てくる、程度を超えた、限度を超えた、あるいはでたらめな、そういう部分についてもう御存じだったんじゃないかなというふうに私は考えるんですが。
  91. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 大変申しわけありませんが、そうした個別の実態は私どものところに報告はされません。  そして私が、どう申し上げたら御理解いただけるんでしょうか。先ほど来申し上げておりますように、土地に対する融資というものが非常に、これは通貨の供給量等の関係もあったのかもしれません、あるいは適正な投資対象が見つからないままに余剰資金が土地に流れ込んだのかもしれません。いずれにいたしましても、土地に対する融資の伸びが総貸出量の伸びを上回る状態で続いておった状況、これを心配したことは間違いがございません。  ですから、総貸出量の伸び以下に土地に対する融資というものを抑えろ、抑えてほしいという通達を発出をし、そしてその通達の中で、ノンバンクでありますとか不動産、建設というところに、言いかえれば土地の投資に向きかねない部分の業種に対して、その状況の報告を求めたということであります。
  92. 上田清司

    上田(清)委員 西村銀行局長、十一月三十日に、九一年の第一次の立入調査の基準報告日という形で出ていますね、さまざまな形で。これは大蔵大臣に当時上げないんですか、こういう状態ですよという。それをちょっとお伺いしたいと思います。
  93. 西村吉正

    ○西村政府委員 第一次の調査の点についてお尋ねと存じますけれども、第一次の調査は、第二回目と異なりまして、住専それぞれに時期を異にいたしまして調査を行ったわけでございます。  その際、いわゆる調査基準日と申しますのはどの時点のデータを基準にして調査をするかということでございますが、その調査の基準時点は、今御指摘の十一月三十日を基準日としておるものもございますし、それ以前のものも、それ以後のものもございます。それぞれ調査の時点に応じて基準日を設定しておる、こういうことでございます。
  94. 上田清司

    上田(清)委員 ちょっと正確さに私も欠けました。失礼しました。  それでは住総に限って申し上げましょう。住総が十一月三十日の基準日になっております。大変でたらめな状況が出ていたんですが、そういうことについてもし大蔵大臣に報告があれば、その時点でまた何らかの形での高度な判断、適切な判断というのもあると思いますが、そういう点について御報告はなされたのか、あるいはしなかったのか。
  95. 西村吉正

    ○西村政府委員 お尋ねの住総の調査の実施は、平成四年の二月から三月にかけてでございます。その際、調査基準日としては平成三年の十一月三十日といたしました。  なお、第一回目の調査について、私ども住専の経営状況について懸念すべき問題を承知をいたしました。そのこと自体というよりも、先ほど総理が御答弁されましたような、従来の住専を含むノンバンクに対する指導というものを強化するとともに、ノンバンク研究会、当時住専を含むノンバンクというもののあり方について国民の間にもさまざまな御関心が高まってまいったわけでございまして、そのような問題意識を踏まえましてノンバンク研究会を設け、そこにおいて包括的に住専を含むノンバンクに関して研究をするとともに、その後、そういう成果も踏まえまして貸金業規制法の改正等も行った、こういうことでございます。
  96. 上田清司

    上田(清)委員 今かなりのんきなことを言っておられましたけれども、研究するというような事態じゃない。資料を見れば、もうどれもこれもはっきりした一つの結論を言っているじゃありませんか。  例えば日本住宅金融。担保掛け目はほとんど守られていない。貸付業務を専ら行う会社としては危険な状態。  例えば住総。今後多額の損失発生も予想され、早晩経営の見直しが必要。  総合住宅金融。極めて危険な状況で、多額の損失発生が予想される。  第一住宅金融。担保掛け目基準は一〇〇%以内とされ、基準は甘い。同社のスタンスは問題がある。今後の市況によっては多額の損失発生も予想される。  日本ハウジングローン。担保掛け目が一〇〇%を超える融資が散見され、中には一八〇%で融資を行っている例も見られたとか、そういう調査が出ているんですね。研究会なんというようなのんきなときじゃなかった、私はそう思います。  こういう状況の中でこういうスキームがつくられたわけですが、私は、連立与党の政策担当者でもあります菅厚生大臣、あなたはさきがけの政策責任者として、昨年の、私が記憶する限りでは九月ごろ、公的資金の導入には反対だということを明確に朝日新聞のインタビューで述べておられますが、当時の認識と今の認識はどうお変わりなんですか。
  97. 菅直人

    ○菅国務大臣 上田さんの方からインタビューのこと、今突然聞かれましたので、果たしてそういうことを私が当時申し上げたかどうか、率直に言ってはっきりいたしておりません。  ただ、その後の議論の中で申し上げますと、これはさきがけとしてもそうでしたけれども、やはり住専の状況、もちろん今回開示されるほどのことまでは予測といいましょうか理解はしておりませんでしたが、少なくともこの問題が景気の足を引っ張る非常に大きな要素だ。一生懸命いろいろな補正予算を組んで景気を上昇させようとしたわけですが、幾ら暖めても気球が浮かんでいかない、それはやはり非常に重いおもりがあるからだ。そういう意味では、景気を引き上げるためには、積極的な財政出動と同時に、この問題がいわば不良債権の象徴的な問題になっておりましたから、それを何らかの形で解決していくこと、処理していくことは非常に緊急の課題だということをさきがけの中でも議論をしておりましたし、そういう線に沿って三党の議論も進めさせていただいたわけであります。  そういう中で私は、ある段階から、もちろん公的資金は導入しないで済めばいいわけですけれども、最終的には何らかの形でのそういった対応も含めて検討すべきだろう、そういうふうに思っておりましたので、今インタビューがどういうところでどういう時点でなされたかわかりませんが、私としてはそういったスタンスで最終的な判断をさきがけとしてもさせていただいたということです。
  98. 上田清司

    上田(清)委員 同じように、社会党も公的資金導入には反対と最初は申しておられました、関山政審会長が。久保大蔵大臣におかれましては、当時書記長として、当然委員長が官邸におられましたので、それなりに党の最高指導者としてこの問題を熟知されていたと思いますが、なぜ変わったのでしょうか。
  99. 久保亘

    久保国務大臣 考え方が変わったというよりは、公的資金の導入ということは、これは回避できて問題が処理できれば、それが最も望ましいと今でも思っております。しかし、その後与党内におきましても、金融・証券プロジェクトなどを中心にかなりの回数にわたっていろいろと論議を尽くされ、また住専問題の状況をつまびらかにするにつれて、早期に処理することが政治的にも政府にとっても大きな責任であるという立場から、公的資金を導入して、この処理に公的関与を行うべきであるという結論に達したのであります。
  100. 上田清司

    上田(清)委員 先ほど第一次調査住専各社の状況判断というのを、これは大蔵省の報告です、ある程度結論めいたことを言っておりますが、そういう事態をもし仮にこのスキームを決める前にわかっていたならば、今回のでたらめな融資に関して、住専を公的資金で救うような、そういう判断をされたか。救うという言葉はちょっと取り消します。整理するというスキームになられたかどうか。その辺について、それぞれ重立った閣僚の皆さんにちょっとお伺いしてみたいと思います。  頭脳明断な田中経済企画庁長官、いかがですか。
  101. 田中秀征

    田中国務大臣 この問題に関しては、先ほど菅さんの方からお話がありまして、早期解決が何よりも必要だというふうに私は感じてまいりました。  情報が今のように開示されない状態でということをおっしゃっているわけですね。私は、今回のスキームづくりというのは、各党それから与党、政府それぞれの正式機関で、信頼できるそういう機関で真剣に論議されて決められてきたものだと、私も説明を聞いてそれに賛同してきた者であります。それで、このスキームづくりに必要な情報は与えられていたというふうに私は思っております。
  102. 上田清司

    上田(清)委員 スキームづくりに必要な情報開示は行われていた。そうすると、第一次調査だとか第二次調査だとかというのは要らなかったというふうに理解してよろしいんですか。
  103. 田中秀征

    田中国務大臣 今私が申し上げたのは、実名とか個別の債権の状況ですね、そういうことがわからない段階でも、大筋の不良債権の実態に対する情報は得られていたということを申し上げたわけであります。
  104. 上田清司

    上田(清)委員 それでは、この住専の不良債権が上位五十社で九〇%以上だったというようなことも御存じだったんですか。
  105. 田中秀征

    田中国務大臣 もちろんそういうことを承知していたわけじゃありません。そういうふうに個別に詰められてもお答えしょうがないのですけれども、ただ、大筋の流れとして、私どもがこうじゃないかと予想していた、あるいはまた、大きな情報を与えられていた中で、それが今回の情報開示によって具体的に裏づけられた、そういう感想を持っております。
  106. 上田清司

    上田(清)委員 私はちょっと残念なのは、この資料の開示も積極的に政府からなされたわけじゃないんですね。代表演説あるいは財政演説の中でも、透明性の確保だとか責任の明確化だとか言いながら、全然出そうとしなくて、やっとこさ出てきたという話なんですね。にもかかわらず、企画庁長官は、比較的きっちり情報が事前に、我々に何らかの形で判断の材料としてあったというふうに言われますけれども、私には承服できません。
  107. 田中秀征

    田中国務大臣 私は、政府の一員として感じておりますのは、守秘義務というのは大変大事なことだと思います。ですから、この問題ばかりじゃなくて、いろいろな問題がいろいろな時点で起こります。それについて内閣の、そして政府の守秘義務、これは非常に大事なことで、この判断については、どうすればいいか、この秘密をそのときの公益性ゆえに開披すべきかどうかという判断は、国会の御意見を最大限尊重しなければいけない。したがって、今度国会の御意見があったわけですから、それを尊重して開披に踏み切ったというふうに理解しております。
  108. 上田清司

    上田(清)委員 座る席が違うとこんなにも発言の中身が違うのかというような、そんな思いが正直あります、大変御無礼な言い方で恐縮ですが。少なくとも、田中秀征という政治家が、官権政治から民権政治へという言葉を使いながら、いかに民の心をしっかり入れていくかということに関して考えれば、どうも納得いかないような、守秘義務が云々というよりも、むしろ、六千八百五十億という公金を何らかの形で投入するということであれば、相当オープンな形で議論がなされなければならない。そんなことは当然わかっていたことですから、そういう開示がなされてない、それでも十分あったというようなそういう言い方について、大変私は不満を持ちます。
  109. 田中秀征

    田中国務大臣 私が申し上げているのは、秘密の範囲、これが秘密だ、そうじゃない、開披できるというような判断を政権が恣意的に、みだりにやらないようにということは非常に大事なことだと思うのです、国にとって。それを申し上げていて、そういうときには国会の御意思を最大限尊重する、そこに民権政治があると思うのです。
  110. 上田清司

    上田(清)委員 それでは梶山長官、記者会見で、農協金融機関は、金を集める能力はあっても、融資審査能力というのでしょうか、貸す能力がないというような御発言をされておりますが、これはこのとおり受けとめてよろしいんでしょうか。
  111. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 どの新聞をごらんになられても、審査能力がないとは書いてありません。一般市中銀行から見て若干劣るのではないのかという、私は素朴な感情を申し上げただけであります。
  112. 上田清司

    上田(清)委員 若干劣るというのは、どのくらい劣るのでしょうか。
  113. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 あなたはそれを計算して、自分でできるお気持ちがあって言っているのですか。私が申し上げたのは、一般市中銀行やその他、絶えず顧客の多い分野で働いている金融機関は審査能力がそれなりに高いだろう。地方で、農村で農家からお金を集め、貸すところのそれほど多くない信連やその他にそれほどの調査能力、相手の調査能力が少ないことは、これはやむを得ない。それは量的なものではなく、どちらが優位かという判断で私は申し上げたわけでありますから、誤解のないようにお願いをします。
  114. 上田清司

    上田(清)委員 言葉の正確な意味で、若干というのはそういう意味ではないと思います。長官の今の説明だったらよくわかりますが、若干という説明だったらわかりません。  それで、私は総量規制以後の一連の流れを見ますと、どうしても農協系からの融資を住専が受けざるを得なかったし、また、農協にとっても貸出先がそこにしか行けなかったという、まさに農協に責任があるというように、そこに追い込まれてしまったというような認識を持つ者の一人なんですが、そういう中で、今長官が申されましたように、そういう都市、市中銀行等に比べれば、その能力等々について若干劣るのではないか、あるいは若干という言葉じゃなくて、必ずそういう中身について差があるんじゃないか。そういう審査能力等々について劣る農協がノンバンクにどんどん貸し付けて、五兆五千億のいわば不良債権をつくってしまった。  こういう中身に持っていった一連の流れは、私は、例えて言うならば、幼児プールと大人のプールがあって、幼児プールを閉めて、そしてそこに幼児がいて、ほかに監視員がいない状況の中で、将来というよりも、近い時期に幼児がその大人のプールに行かざるを得ないなというような、ある意味では、刑法で言うところの未必の故意につながるような行為が、私は一連の中であったというふうに思っております。  そういう認識からすれば、当然これは、大蔵省並びに政治家、そういう人たちの責任は極めて大きい、そういう認識をきっちり持たなければならないというふうに私は思っております。特に久保大蔵大臣は、財政演説の中で「責任の明確化」ということを言っておりますが、これは、だれとだれとだれがどんな責任をとらなきゃならないのか、明確に御答弁を賜りたいというふうに思います。
  115. 久保亘

    久保国務大臣 そのことを今から徹底して調査し、とるべき責任をとっていただくということで、これから始めるのであります。
  116. 上田清司

    上田(清)委員 相当な審議もなされていますし、事実関係もわかっているんで、これからというような話は大変おもしろくない話でありますので、速やかに責任をきっちりとそれぞれのところで遂げていただきたい。こんなふうなことをお願い申し上げまして、質疑を終わります。  ありがとうございました。
  117. 上原康助

    上原委員長 これにて愛知君、上田君の質疑は終了いたしました。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五分休憩      ――――◇―――――     午後一時九分開議
  118. 上原康助

    上原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。加藤六月君。
  119. 加藤六月

    加藤(六)委員 昨日、ああいうことで委員会並びに委員各位、政府関係の皆さんにいろいろ御心配をおかけいたしました。  けさ、閣議におきまして、特定住宅金融専門会社の債権債務の処理の促進等に関する特別措置法案が閣議決定された。ただ、国会への配付は、きょうの午後、夕方になるとかならぬとかというお話がありましたが、コピーをそれぞれの委員、先生方にお配りになったということで、提出とみなして、それに従ってひとつ質疑を再開するように、こういうお話がありましたので、きょう閣議決定されたこの法案を中心に御質問をさせていただきます。  きょうは日銀総裁もおいでいただいておるのでありますが、この預金保険機構の改正、この法の中心になっておるのは、第二章の「預金保険機構の業務の特例」を設置するということが次から次へと出てきております。この中身を詳しく、まだ縦横斜めに勉強はしておりませんけれども、今までの預金保険制度の仕組み、預金保険機構、実は、この問題につきましては、昨年二つの信用組合の問題に係りまして当予算委員会でも随分議論し、そして日本銀行の当時信用機構局長に証人として当予算委員会に出てもらいまして、いろいろ議論もいたしたことがあるわけでございます。  そこで、一番最初に、私この法案を見ました場合の感想を申し上げ、私の感想に対する御判断大蔵大臣あるいは日銀総裁からお伺いしたいと思います。  今までの預金保険機構は、いろいろありますけれども、端的に申し上げまして、やや法定されたような形で日本銀行の副総裁が理事長になる、そしてまた運営委員長も兼ねる、これが昭和四十六年に法律を衆議院大蔵委員会議論してつくり、そして今日までやってきた一つのケースであります。  しかし、この問題が、昨年二信組救済に絡む問題で日銀法二十五条並びに特別融資ということでいろいろ議論をされ、その後ここの積立金がいろいろな方面に次々使われていったのでありますが、それでもまだ許容の範囲内か、こう思っておったのでございますが、今回の業務の特例の法律を読んだ場合に、この法律が通過、成立した後の預金保険機構の理事長に日銀副総裁はふさわしくない、私はこの法律を読んで、この新しい特例をこれだけ加えてこれだけのことをやらすという場合にはおかしい感じになるのではないか、こう思うわけであります。  それは、まださらに申し上げますと、政府がこれから引き続き提出されようとしておる、もうこれはきょう予算関連法案としてこの法律を出していただいたのだからやぼなことは申し上げませんけれども政府が引き続き一般法案として出そうとしておられる、金融機関等の経営の健全性確保のための関係法律の整備に関する法律案(仮称)、金融機関の更生手続の特例等に関する法律案(仮称)、預金保険法の一部を改正する法律案(仮称)、この三つの法案が出てこないと断言的に言い切れないのでありますが、私の感想としては、今まで昭和四十六年からやってきたこの預金保険機構で日銀副総裁というものが特定ポストのようにして入っておる、これは兼業とかなんとかという意味ではないのでありますが、この改正案が通過、成立した後はだめだ、こう思うわけでありますが、大蔵大臣と日銀総裁の所感をお伺いします。
  120. 久保亘

    久保国務大臣 お答え申し上げます。  現在、預金保険機構の理事長は、信用秩序の維持等にかんがみて日銀副総裁が兼任することとなっておりますが、理事長の兼任制につきましては、先般の金融制度調査会答申において示されているような預金保険制度の改正を検討してまいります中で、十分に検討すべき課題であると考えております。
  121. 松下康雄

    ○松下参考人 私は、この法案の改正の内容につきまして直接お答えを申し上げる立場ではございませんけれども、この法案は、御質問のように、私ども日本銀行の職務あるいはその立場というものと密接な関連がございますので、ただいま御指摘の点も含めまして、今後行われてまいります改正法案の検討に当たりましては、私どもの御意見も申し上げてまいりたい、そのように思っております。
  122. 加藤六月

    加藤(六)委員 今のは私の感想でございますから、それぞれの法案が全部国会に出てきてどうなりますか。我が方は、六千八百億は削除する、したがってこのスキームは認めないということでございますから、私は感想として、それを申させていただいておきます。  その次にお伺いいたしますが、これが通過、成立した場合には、住専七社は完全に解消されてしまうのでしょうか、どうでしょうか。形だけでも残るのでしょうか。そこをお伺いします。
  123. 西村吉正

    ○西村政府委員 住専各社は清算される、消滅するという考え方に立っております。
  124. 加藤六月

    加藤(六)委員 七社が全部消滅した場合に、創立以来七社の会社の役員、いわゆる重役に対する責任追及というのが、この法律でできるようになっておりますか、できないようになりますか。
  125. 西村吉正

    ○西村政府委員 損害賠償等の請求権につきましても承継をすることになっております。
  126. 加藤六月

    加藤(六)委員 まあ、農協の協同組合法であれ、一般の会社あるいは金融機関でも、私は、重役には二つの大切な義務があると考えております。それは、一つは善意管理注意義務という義務、それからあるいは職務に忠実な義務という二つの問題は、商法にもあるいはまたいろいろな法律にも載っておる。一番我々が懸念するのは、住専七社がこれで解消する、解消した場合に、それに対する民事上、刑事上の責任というのを追及する機構としてこれは不適当である、こう思うからあえて申し上げるのであります。  さらに、言葉をかえて申し上げますと、これは、住専七社の今までの経営者に対する恩赦令じゃないか、特赦をする法律じゃないか、こう思える。それは、今銀行局長答弁で権利義務ということを言いましたけれども、いろいろな問題で会社がなくなった後どうやって追及するかというのは、これに書いてない。そうすると、住専七社の今までの経営者、現在の経営者に対する責任追及の問題がぼやけてしまう。恩赦令、大赦、特赦、いろいろありますが、特赦に値する法律ではないかと私は思いますが、大蔵大臣、あなたはどう考えられますか。
  127. 上原康助

    上原委員長 西村銀行局長
  128. 加藤六月

    加藤(六)委員 後を運営するのは政府であり、大臣の責任です。役人の責任じゃないじゃないですか。あなたの指名はおかしい。
  129. 西村吉正

    ○西村政府委員 けさほど大臣が閣議等でも御説明されました内容でございますので、条文に沿って御説明いたします。  住専各社が役員や金融機関等の関係者に対しまして有する損害賠償請求権についてでございますが、住専処理機構は、このような損害賠償請求権を住専の他の資産とともにすべて譲り受け、これを行使することによって関係者に対する民事上の責任を積極的に追及していくということになっているわけでございます。
  130. 久保亘

    久保国務大臣 今銀行局長が御説明申し上げましたとおり、この法律の制定によって、今加藤さんが御指摘になっております役員の責任は追及できるものと考えております。
  131. 加藤六月

    加藤(六)委員 それはこの預金保険機構がやるのですか、住専処理機構がやるのでございますか。
  132. 西村吉正

    ○西村政府委員 住専処理機構が引き継いで行うことになります。
  133. 加藤六月

    加藤(六)委員 それではもう一つお伺いしますが、この住専処理機構は、これを読んだだけでは十分にわかりませんが、一般法人ですか、特殊法人でございますか。
  134. 西村吉正

    ○西村政府委員 住専処理機構は、認可の対象となる株式会社という形になります。
  135. 加藤六月

    加藤(六)委員 それでは、認可法人と考えればいいわけですね。  そこでお伺いします。これは総務庁長官にお伺いしてもいいし、あるいは銀行局長にお伺いしてもいいです。  我々は長い間、政府国会皆一体となって行財政改革に取り組んでおります。新しい機構、新しい法人をつくる場合には、必ず打ち出してきたのはスクラップ・アンド・ビルドであります。橋本総理も、大変熱心に今までやってきていただいておる。少なくともこういうものを一つでもつくり、あるいは機構を大きくする場合には、スクラップ・アンド・ビルド。ビルドに対してスクラップは一・八あるいは二あるいは三出すという、一つの原則を貫いてやってきております。  今回これをやるについて、役所のどこをあるいは日銀のどこを、どういうようなスクラップを出したかということを聞かせていただきたいと思います。
  136. 西村吉正

    ○西村政府委員 私の今の御答弁に適切でない点がございましたので訂正をさせていただきますが、認可と申しましたのは、出資をすることを大蔵大臣が認可をする、預金保険機構が出資をすることを認可するということでございまして、この住専処理機構の法的地位は、いわゆる認可法人ではございませんで、株式会社ということでございます。
  137. 加藤六月

    加藤(六)委員 それは、私が後から質問しようとして通告しておったことを局長が間違えて今答弁した。それは、この法律に従って、この両方の預金保険機構と住専処理機構に対し、大蔵大臣の権限と発言力と許認可――認可ということは出ておるのですが、どうなるかという問題。それは、我々としてそこら辺をはっきりしておかないといけない。六千八百億はどこへ行ってどうなるのかという問題にも絡んでくるからと言ってやったら、局長が間違った答弁をした。言葉足らずという表現もあったのでありますが、今回これをつくった場合に、大蔵大臣はどこまで口出しができるのでありますか。  それは、例えば伺いますが、第二次損失が出てくる。第二次損失というのは、だれとだれが計算して、どこへ出ていくんだ。もう政府・与党は、第二次損失が出てきた場合は半々、税金から半分、他は半分とお決めになっておる。  住専七社は全部なくなる。そして、ここへ全部移してやる。そのときに、二次損失の金額が出てきた、あるいは三次損失が出てきた場合に、だれがどう責任を持ち、それを大蔵大臣はどうさばくのかということを私はその次にお伺いするようにしておったんでありますが、もう具体的に申し上げます。二次損失という計算はだれがやるんでありますか。そして、それに対して大蔵大臣はどういう発言ができるんでありますか。
  138. 西村吉正

    ○西村政府委員 住専から譲り受けました資産につきまして、将来、仮にロスが発生した場合の対応につきましては、その一部につきまして、政府からの補助に基づき預金保険機構からの助成が行われるほか、民間金融機関が預金保険機構に拠出する金融安定化拠出基金の運用益により助成がなされることになっております。  金融安定化拠出基金は、住専に出融資していた民間金融機関等の拠出により造成するものでございますが、その際、各金融機関にどのように負担をお願いするかといった点につきましては、基金を造成し助成を行う預金保険機構自身により最終的に決められるということになるわけでございます。お尋ねのその二次ロスについてどのような負担をするかというのは、今申しましたようなプロセスを経て決まってくる、こういうことになろうかと存じます。
  139. 加藤六月

    加藤(六)委員 いいですか、今の局長答弁はまやかしがある。それは、二次損失については、政府で、そして与党三党の間において、半々でやるということをちゃんと決めておるじゃありませんか。それはもうないんですか。あなたの今の説明では、わけのわからぬことを言って、国の補助金の納付とかなんとか言いますが、もう二次損失には税金は入れないんですか、入れるんですか、半分。はっきりしてください。それだけ言えばいいんです。何やかんや何やかんやと言うんではだめです。はっきりしてください。
  140. 西村吉正

    ○西村政府委員 今まで御説明申し上げてまいりましたように、いわゆる二次ロスというものが万一生じました場合には、考え方といたしまして、半ばを国が、半ばを民間が負担をするということになっております。ただいま御説明申し上げましたことは、そのことをもう少し具体的に申し上げたわけでございます。
  141. 加藤六月

    加藤(六)委員 そこで私は、こういうものをつくって、わけのわからぬところで国民の税金をつぎ込んで住専七社をやっていくというところに国民が大変怒り狂っておるという問題が起こってくるわけでありますけれども、もう少し突っ込んで聞かせていただいて参考にしたいと思うわけでございます。  農林大臣がおいででございますが、農林大臣にお伺いします。  農水産業協同組合貯金保険法に基づく貯金保険機構、これは今積立金は幾らありますか。
  142. 大原一三

    ○大原国務大臣 平成七年三月末の基金残高は、千五十八億円となっております。
  143. 加藤六月

    加藤(六)委員 この保険料と今政府が提出した預金保険機構に出す保険料との金額、率は同じですか、違いますか。
  144. 堤英隆

    ○堤政府委員 農水産業貯金保険機構に対します保険料率は〇・〇一二ということで、平成六年度の実績は約七十八億円というふうに承知いたしておりますが、新しい機構に対します保険料率につきましては、ちょっと私どもの段階ではまだ承知いたしておりません。
  145. 加藤六月

    加藤(六)委員 大蔵大臣、この預金保険機構の保険料率、これはもとからいうと、今日この基金の残高が幾らありますか、そして、昨年からいろいろな金融機関のああいう問題が起こって、幾ら使って、幾ら残っておりますか、それはだれと相談してやったかというのを聞かなければいかぬのですが、きょうはこの席では聞かないが、一つだけはっきりしておきます。この預金保険機構の料率を上げる考えはありますか、ありませんか。
  146. 久保亘

    久保国務大臣 上げる予定であります。
  147. 加藤六月

    加藤(六)委員 いつ、どのように上げるんでありますか。
  148. 西村吉正

    ○西村政府委員 先般の金融制度調査会の答申におきましては、今後五年間に生じ得る金融機関の破綻処理に円滑に対処し得るよう、預金保険料、これは一般保険料と特別保険料を合わせてでございますが、現在の料率○・○一二%を七倍程度に引き上げることが適当とされております。  仮に、今後五年間にわたりまして保険料率を現行の七倍に引き上げた場合には相当な額に上ると思いますが、そのような引き上げをいつ具体的に行うかということは、これは預金保険機構の組織的な決定を待って行われるということになるわけでございます。
  149. 加藤六月

    加藤(六)委員 この料率をいただいて基金に入れるんでございますが、これは対象金融機関として明定してあるわけでございますけれども、この預金保険機構のこの料率を七倍に今する予定である、七倍にしなければ救えない、こういう銀行局長答弁があったわけであります。  これは松下総裁ではない、理事長に聞かなければいけないのですが、きょう理事長は来ていないのですが、この金は金融機関から強制的に取るものであります。金融機関は、これは預金者から、国民の預けておる金の利子の分から、預金量の総額から取ってくる、そういうようになるので、私は、きょう本当は、時間があれば、公定歩合の関係とこの預金保険機構の料率の関係、これが都市銀行に、地銀にどういう影響があるかという問題を議論しておきたかった。そうしないと、この住専問題の六千八百億の本当の、我々が否認する、だめだというもとが出てこない、そういうことがあったんでありますけれども、同僚の議員が後にもう控えておられますので。そういう問題がある。  しかし、ここではっきり申し上げて、一番最初の感想で申し上げました、この特例をやっていったら、日銀副総裁は理事長にふさわしくないということ、それからその次は、金融機関の不祥事が次々起こってくるので今の料率を七倍に引き上げるという、こういう構想、計画がある、それを唯々諾々として我が国会が認めていいのかどうか、認めるわけにはいかないということを申させていただきまして、私の質問を同僚の議員に譲らせていただきます。  ありがとうございました。
  150. 上原康助

    上原委員長 この際、若松謙維君から関連質疑の申し出があります。加藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。若松謙維君
  151. 若松謙維

    若松委員 新進党若松謙維でございます。  まず初めに、先々日、同僚の山田宏議員がお聞きになりました、住専貸付先からの政治家に対する献金、これについて橋本総理、まさに政治改革を目指される総理としてみずから三社、さらに、きのうですか、一社追加して四社というふうにお話をされました。大変その姿勢を評価する次第でございます。そこまで言うなら、やはりこの名前と金額ぐらいは言えるのではないかと思いますけれども、期待しております。
  152. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先般申し上げました山田議員の答弁に対し、山田議員からもう一つの企業名が示されました。これはたまたまいわゆる百先リストに記載をされております名称と違っておりましたので、大変失礼したと後におわびを申し上げた次第でございます。  私の事務所の方で、公表されました企業名をもとに調査をいたしましたところ、過去に熊谷組、東建設、株式会社ケイワン、株式会社エフ・ブイ・エルから政治献金を受けていたと聞いております。それぞれ、当然のことながら政治資金規正法に基づいた処理をいたしております。  ただ、このケースも含めまして、山田議員から指摘を受けましたケースも含めまして、過去の資料を現在なお精査をいたしておりますので、現時点でわかりました範囲で御報告を申し上げます。(若松委員「金額は」と呼ぶ)だから、御報告を申し上げます。  熊谷組につきましては、平成元年から四年までの間に熊谷組として二百一万円、関連の団体、企業を含めまして計五百一万円。東建設につきましては、平成元年から四年までの間、計三百二万円。株式会社ケイワンにつきましては、昭和六十一年から平成三年までの間に計五十四万円。エフ・ブイ・エルにつきましては、平成元年から平成六年までの間、百三十一万円であります。
  153. 若松謙維

    若松委員 この数字をまず真実なものとして、御報告されたことに敬意を表します。  それでは、おとといですか、梶山長官なんですけれども、せっかく総理がこういった国民の関心のある住専貸付先からの献金に対して、公表を今総理は積極的にされました。ところが、梶山長官は、山田議員が要求した全閣僚への調査、これに対して慎重だという、国民の期待と裏腹の答弁をしております。いかがでしょうか。
  154. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 何か、国民の期待に反して慎重という意味がよくわからないのですが、慎重に事を運ぶことは国民の期待にこたえないことになるのでございましょうか。この意味がどうもわかりませんので、教えていただいてから答弁します。
  155. 若松謙維

    若松委員 何か、国語が好きな長官のようですけれども、新聞によりますと、長官は、調査ということに対して「期限はない。対外的に結果を発表するかどうかは別問題だ。予算委員会理事レベルでも」、先ほどの山田議員のは「調査要求になじまず、フォローすべきでないということのようだ」、こういうふうにお答えになっております。これはいわゆる、当初、全閣僚の公表をするということを覆すという理解にとれるのですけれども
  156. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 過日質問があった際、総理からは具体的な報告というか、答弁がございました。私たちが行うべきかどうかは、これは確たることはわかりませんけれども、いずれにしても調査をいたします、こういうことで、きょうの閣議の後に行われた閣僚懇談会では、住専ないしは住専の関連の、百先か五十先か、それぞれの企業ないし個人による政治献金があれば皆さん方はそれぞれ調査をされておくことが望ましいことです、こういうふうには伝えました。  ただ、閣議でこれを決定できるかどうかということになりますと、これは議員自身の問題でもございますし、閣僚がやる場合にはどういう基準をつくってやるかとか、そういう問題がありますので、これは皆さん方の質問に答えての形ではなし得ないというふうに御理解を願いたい。むしろ、皆さん方が御決議を願って全議員がそういうことをやるのでしたら、私も閣僚である以前に議員でございますから、それぞれの党なり、そういうことで申し合わせをしていただければ幸いであります。
  157. 若松謙維

    若松委員 何か閣僚というのは平議員と同じような御理解のようなんですね。  要は、じゃ、おとといの全閣僚公表するというのは撤回するわけですね。
  158. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 新聞を見てのあれじゃなくて、私ももう一回議事録をとってみますけれども、全閣僚公開すると私は申し上げていることはないと思います。それは慎重にと言って、慎重だと言われたら、先ほどのことでございますから、なるたけそういうものの真相を知っておくことは必要でありますから、私からきょうは全閣僚に向かって、そういうものを調査をしておくように、そういうことは伝えましたけれども、閣僚にそういう拘束をすることがいいことかどうか、これはそれぞれの判断に基づくものでございますから、そのように御理解を願いたいと思います。
  159. 若松謙維

    若松委員 梶山長官は、この閣僚の政治献金についてこのように言っております。「改めて大蔵大臣を通じましてこの資料を内密に見せていただいて、守秘義務に反しない範囲内でこの処置をとってまいりたいと思います。発表の方法は、いずれお諮りをいたして決めたいと思います。」これは、発表については前向きという理解でよろしいわけですか。
  160. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 発表について前向きとか後ろ向きとかということではなくて、まず閣僚個人個人が自分でその意思に従って調べてもらわない限りは、なかなかこれは私たちが強制をしてとれるものではございません。  ですから、政治資金規正法にのっとって届けてあるものをどこまで遡及して調査ができるかどうかは、それぞれの閣僚たる議員の事務所のあり方、そういうものによるかと私は思いますので、画一的な取り扱いがうまくできるかどうかというのは、今後の問題ではございますが、確たる返事をここで申し上げることではございません。
  161. 若松謙維

    若松委員 大分トーンダウンされましたので、じゃ、この際、いわゆる現閣僚の政治姿勢というものについてちょっと別の観点から質問させていただきます。  私も、非常に仕事柄ディスクロージャーというのを促進する仕事をしております。そして今、政治資金規正法なり公職選挙法なり、いわゆる政治改革が急速に進んでおります。そして、平成四年あたりから資産報告なり所得報告の義務化がされました。  じゃ、総理にお伺いしますけれども総理は、新政治問題研究会、これは御存じですね。そして、福祉経済研究会、これも御存じですね。平成四年度、総理個人からこの二つの政治団体に三千二百二十一万円寄附されました。これは報告に載っております。しかし、総理の所得報告書には二千三百二十七万円。これはいわゆる税引き前ですから、実質の所得はもう一千数百万以下でしょう。その差額約二千万近く、どこからこのお金が集まったのか非常に不明でございます。  同じように、平成五年度も総理個人からこの政治団体に対して三千八十万円寄附されて、そして総理の申告された所得等には三千五百万円。これも税引き後にしますと、もう二千万以下になるわけなんです。そうすると、献金の方が多いんです。まさかかすみを食べて生きているというんですか、そういうことではないでしょう。さらに平成六年ですと、同じように二千万超えて政治団体に払って、それで所得報告には三千万。これだって税引き後ですと一千五百万くらい。  どこからその政治団体に対する原資が来たのか、お答えいただけますか。
  162. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 大変恐縮でありますが、突然のお尋ねで、私自身、会計責任者に問い合わせないとわかりません。必要でありましたなら、調べてまた御報告をいたします。
  163. 若松謙維

    若松委員 いつまでに説明していただけますか。
  164. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 大変申しわけありませんが、私、毎日今こうして委員会で御答弁を申し上げております。時間ができ次第、改めて事務所の方から、会計責任者に私は確認をしたいと思います。
  165. 若松謙維

    若松委員 もう一つ総理にお伺いしますけれども橋本龍太郎後援会、これは御存じですね。そこから個人、総理平成五年度中に一千五百万円寄附されました。寄附されることは別に法律上問題ありません。しかし、寄附された以上は、これは税法上たしか雑所得もしくは一時所得です。課税対象です。ところが、総理の所得報告書にはそれが載っておりません。これはどういうことなんでしょうか。
  166. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 大変申しわけありませんが、私は会計責任者に聞かないとわかりませんけれども、あるいは私が寄附を受け、それをそのまま他の政治団体に寄附をしたのかもしれません。確認をいたしてみます。
  167. 若松謙維

    若松委員 やはり同じように梶山長官も、現代政治研究会、これは御存じですね。平成四年度、長官からこの団体に二千二百万円寄附されております。そして長官が報告された所得は二千三百二十七万円。これもやはり税引き後を考えると、本当にかすみを食べて生きていると。平成五年度、同じくこの政治団体に三千十万円寄附しております。ところが、所得等報告書には三千四百九十九万円、税引き後にしますと二千万を割ります。さらには平成六年度、この政治団体に二千八百三十万円、そして所得の報告書には三千百四十二万円。  これも長官、どちらからこういった資金が来たのか、お答えできますか。
  168. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 今資料を持っておりませんから、詳しい数字のあれはわかりませんが、梶山静六から政治団体に入れているということであれば、それは、梶山静六あての個人献金があったものは、私は個人としては一切受け取らない、ですから事務所としては、梶山静六個人に来たものは、梶山静六で領収書を出しても全部政治団体がそれを受けるというシステムになっております。  これは当然、政治資金規正法で合法的な手段でありますので、私は、それを引けばかすみを食って生きていなければならないほど所得がないわけじゃございません、二千何万、ちゃんと私の申告に出ているわけですから。これは、二千何万というのは議員として、議員の身分を保障するに足る報酬をもらっているわけですから、かすみを食わなきゃ生きていられないなどという報酬じゃないはずです。あなたもかすみを食べて生きているんですか。
  169. 若松謙維

    若松委員 やはり梶山長官、そういうお人柄なんでしょうね。二、三千万円のその団体に対する寄附、これは課税所得なんですよ、とにかく自分のお金から出れば。そこら辺の基本的なところが御理解になっていないんじゃないでしょうか。
  170. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 私もそれほど法律知識はないわけでありますが、私の事務所の勉強によれば、政治献金、個人が受けられることは、それは政治団体にそのままストレートに寄附をすれば税法上所得税はかからないと私は常識的に判断をしておりますし、そういうふうな説明を受けております。  あなたは、それを全部個人で受けるのですか。
  171. 若松謙維

    若松委員 それは、万が一個人から、いわゆる資金を、どなたかから献金受けて、個人に入れて、そしてそれを政治団体に入れた。いずれにしてもそれは申告すべき内容なわけですから、いわゆる確定申告上は申告されているということですね。
  172. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 梶山静六個人ではなくて、政治家梶山静六に対する献金ということであれば、それは政治献金でありますから、政治献金は一々所得の対象にはなっておりませんから、どなたか専門の方、調べてお願いをいたします。
  173. 若林勝三

    若林政府委員 お答えいたします。  ただいま話題になっております点は、政治家たる人が政治献金を受ける場合と、政治団体が政治献金を受ける場合、二つあろうかと思います。政治団体としての政治献金をお受けになり、それを政治団体として使用されていかれる、これは特段の問題はない。個人として政治献金をお受けになった場合でも、これは政治活動から伴う収入としての政治献金でございまして、これを政治活動のための寄附等にお使いになれば、それは経費として、損金として落ちるわけでございます。  したがいまして、一定の収入があっても、それを使っておられれば、所得は発生しないことになります。
  174. 若松謙維

    若松委員 その場合、所得が発生しなくても、いわゆる雑所得として収入、さらに経費としてちゃんと申告することは必要なわけですね。
  175. 若林勝三

    若林政府委員 雑所得というのは所得という概念でございまして、収入という面で考えると、収入があり、そこから経費を引いたものが雑所得として残るわけでございます。したがいまして、一〇〇の収入を得られて一〇〇の支出として寄附されれば、雑所得はゼロでございますので、申告の必要はございません。
  176. 谷合靖夫

    ○谷合政府委員 政治家個人に対する政治活動に関する寄附、現在の制度は変わっておりますが、従来は、それを政治家個人として受けた場合において、これを自分の指定する政治団体にそのままいわゆる寄附をして、それを通じて公表をするという仕組みと、それを本人がみずから政治活動に使う場合は、保有金として保有金報告をする、こういう仕組みに別れておるわけでございまして、先ほどの御質疑について私どもちょっと具体的に今資料を持っておりませんが、それは個人としてお受け取りになられた政治活動に関する寄附をそのまま政治団体の方に寄附をされた、そういうケースではないかというふうに考えております。
  177. 若松謙維

    若松委員 じゃ、今の御説明ですと、非常にきちんとやっていらっしゃるような、そういう感じなのですけれども総理、とにかく総理の姿勢としては、政治家としてそこら辺身ぎれいにする、きちんとする、そういう理解でよろしいわけですね。  じゃ、さらに言わせていただきます。  今非常にこの国会運営で中枢となっている加藤紘一さん、これは閣僚じゃございません。でも、先ほど閣僚と聞いたら梶山長官が、これは全議員に関係することだと広げました。私も、いわゆる与党としての中枢の加藤幹事長、この方も見させていただきました。これ、全部公表上の数字です。  例えば、加藤幹事長は、いわゆる社会計画研究会という政治団体がございます。平成四年度末、ここの政治団体の借入金の残高はゼロです。ところが平成五年度末は、この政治団体の借り入れ一億八千四百二十八万円になったのです。もう二億近いお金です。  その内訳を見ますと、銀行ですよね、地銀から六千万、あとそれ以外の一億二千四百二十八万円は全部本人からのいわゆる献金です。ところが、これは政治団体として加藤幹事長からの借り入れですから、加藤幹事長は資産報告に貸付金として申告しなくちゃいけないんです。  そうすると、じゃ、資産報告を見ましたら、貸付金は平成五年度末はゼロです。さらに、平成六年度のこの社会計画研究会の借入金残高は一億九千四百九十五万円、若干ふえました。ところが、先ほどの六千万円、地銀から借り入れたものは返済したわけです。その返済原資というのは、さらに加藤議員がこの政治団体に貸し付けをしているわけなんです。ところが、じゃ、貸し付けしている加藤議員はその資産公開をしているかというと、しておりません。貸付金はゼロです。  こういうところも、総理としては明確に党の総裁として調査される御意思があるかどうか、お答えください。
  178. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、捜査という言葉をお使いになりましたが、私は、捜査という言葉は、まず第一に、大変不適切なお言葉だと思います。我々、捜査権限を持つ人間ではございません。  そして私は、先ほども申し上げましたように、自分のものにつきましては、お尋ねでありますから確認をしておこうと思っておりますけれども、党派を同じくする、しないにかかわらず、他の政治家の政治団体のことに対して言葉を費やそうとは思いません。
  179. 若松謙維

    若松委員 いずれはこの問題に関しまして、それぞれの同僚議員がしっかりと、不明なら不明という形で、捜査という言葉がきつければ、ぜひ姿勢を正す意味での事実確認をしていただきたい、そう願って、次の質問をいたします。  最近大蔵大臣が、二次処理案なりいわゆる農協系の五千三百億円の贈与、その算出根拠について、かなりな時間を使って、やっと二千億、二千億、一千三百億円、こんな数字が出てきたわけでございます。じゃ、まだこれはマスコミ等も理解していただけない、私も理解しておりませんけれども、なぜこのいわゆる農協系だけが贈与という形でこの五千三百億円を処理したのか、それについてお答えいただけますか。
  180. 大原一三

    ○大原国務大臣 この委員会で何回も申し上げているところでございますが、我々は、従来のいきさつ上、母体行責任ということを強く主張をしてきたわけでございます。昨年一年間、いろいろ住専処理の経緯を通じてみましても、与党のプロジェクトチーム、さらには最後の調整会議等々の経緯を見ましても、農協からの、系統からの借り入れについてはこれを贈与とみなして協力をしてほしい、こういう考え方で、我々も五千三百億円を捻出する立場に置かれたわけでございます。  当面の金融情勢その他を考えますと大変厳しい条件でございますけれども、そういった協力をしていくべきである、こういう立場から五千三百億円を出したわけでございます。  なお、その詳細については局長から答弁をさせたいと思います。
  181. 若松謙維

    若松委員 それじゃ、ちょっと今の御説明じゃやはりわからないのですけれども、母体行なり一般行なりは債権放棄という形になります。放棄というと、やはり責任問題が問われます。贈与というと、何かいいことしているみたいな定義ではないかと思います。そういう意味で贈与とお使いになったのですか。
  182. 堤英隆

    ○堤政府委員 これも何度かお答え申し上げているところでございますが、住専と母体行の関係、それから住専と系統の関係ということで御説明しているわけでございますが、御案内のように、昭和四十八年の住専設立以来、四分の一世紀ほどたつわけでございますが、その間、系統と住専ということの関係で見ますというと、系統は住専の設立に全く関与していないということが一つ言えます。それから、二つ目には、その後の四分の一世紀にわたります運営におきまして、役員とかそういう形のものを全く系統は派遣していない。要するに、人事面及び業務面におきましては全く関与していないという事実がございます。  それから、系統にとりまして、例えば住専問題とは何かというふうに系統から見ますというと、やはり自分の子会社という形でつくった住宅ローンの分野に母体行が進出をしてきていわば住専問題ということの契機となったことは非常に大きな意味がある。  そういった人事面あるいは設立面、それからその後の業務運営面、それから住専問題の経営破綻の原因、そういう形の中で、系統から見ますれば、そこに関与していないということでございますので、いわゆる経営責任というものはないという理解をしてございます。  そういうことで、放棄とかそういうことではないということでございますが、他方で、系統も日本金融システムを支えている一員でございますので、そういった金融システムということの中でその安定性確保の観点から協力を申し上げる、こういうふうに理解をしているところでございます。
  183. 若松謙維

    若松委員 じゃ、例えばバブルがかなり明確になった九〇年前後、私どもの情報では、農林中金から、この信連の投機的な貸付活動に対して非常に警戒を促す意味で、いわゆる通達なり、そういったメモが出ていると聞いております。それがあったということは事実ですか。
  184. 堤英隆

    ○堤政府委員 今おっしゃいました通達というものがどういうものかというのは、ちょっとその限りではわかりません。
  185. 若松謙維

    若松委員 要は、まさにそれぞれの信連がこの住専に対して貸し付けを多くしてきた、当然これは九〇年、当時橋本大蔵大臣だったときの、いわゆる住専が規制外のこの局長通達以降のわけなんです。それに対して、信連が非常に貸付残が多くなった、当然、ポートフォリオなり、それぞれの投資行動のバランスをとるために過度な一極集中の貸し付けば差し控える、そういった信連に対する金融機関としての経営アドバイスもやはり農林中金の使命だったと思います。  そういった観点から、じゃ、そういう指摘はなされてきたのか、なされてこなかったのか、それについてはいかがでしょうか。
  186. 堤英隆

    ○堤政府委員 系統信用事業としますれば、農林中金とそれから信連がございますけれども、そういう意味では、いろいろな会合を持ちまして、全体の金融情勢なり、そういうことのさまざまな意見交換とか、そういうことはあったと思うのですけれども、中金から明瞭な形で何か通達を出すということは、ちょっと私の段階では把握できておりません。
  187. 若松謙維

    若松委員 じゃ、違った観点から質問いたしますけれども、信農連は自己資本が一兆六千二百億円、これは平成七年の三月末で、あります。今回贈与が五千三百億円。国民的に見ますと、一兆六千二百億円ありながら贈与五千三百億円で済ませている。やはり納得いかない国民が多いのじゃないかと思いますけれども、それについて、やはり金融システムの危機、ぎりぎりの状況、そういうお答えをもう一度されるわけですか。
  188. 堤英隆

    ○堤政府委員 先ほども申し上げましたように、経営責任は、住専と系統の関係からいって、ないということで、これは閣議決定あるいは与党・政府の合意文書の中でもはっきりとその点がうたわれております。そういう中で、なおかつ金融システムの一員として協力という形で贈与をするということでございますので、その贈与の額につきましては、体力といいますか、経営力といいますか、そういうことを見ながらぎりぎりの対応をさせていただいた、こういうことでございます。
  189. 若松謙維

    若松委員 じゃ、一般行も贈与でいいんじゃないんですか、そうしたら。それがいつもわからないんですよね。
  190. 堤英隆

    ○堤政府委員 私は農林系を所管いたしております経済局長として申し上げているわけでございますが、一般行につきましては、大蔵省からお答えがたびたびあったところでございます。
  191. 若松謙維

    若松委員 私どもは、あくまでもこの六千八百五十億円の税金投入は許されないという観点から引き続き質問しております。  現在の法律によりまして預金保険機構というものがあります。そして、破産法というものもあります。そして今、日本のいわゆる無責任体質というのが、今回の住専処理で、いろいろな形で全部巻き込んで、全部わからなくして、この六千八百億円を処理しちゃおう、こういう構図に今なっているわけです。  今回の住専処理法案、きょう五時からですか、五時の閣議で決まるわけですけれども、私どもまだ内容はよく見ておりません。そして、基本的に……(発言する者あり)失礼しました。閣議終わりましたね。  それで、当然、今回のこの住専処理法案、これが出ますと、預金保険法、これの改正にもなるわけですか。これはいかがですか。
  192. 西村吉正

    ○西村政府委員 本日、閣議で決定されましたのは、特定住宅金融専門会社の債権債務の処理の促進等に関する特別措置法案でございまして、恐らく、預金保険法についてはまた別の観点から国会で御審議をお願いするようなことになろうかと存じますが、今回は住専の債権債務の処理の促進等に関する特別措置法でございます。  なお、この法案の中で、預金保険機構の業務の特例に関して定めているところでございます。
  193. 若松謙維

    若松委員 今のは預金保険機構の特例ですか。――特例。  じゃ、預金保険法に戻りますけれども、この預金保険法というのは、基本的には金融機関を対象としたものですね。
  194. 西村吉正

    ○西村政府委員 銀行、信用金庫、信用組合等の、預金受け入れをしております金融機関を対象としております。
  195. 若松謙維

    若松委員 そうしますと、この預金保険機構なんですけれども住専というのは民間会社なんですよ。ですから、住専勘定をこの預金保険機構に入れるというのはもともと法の趣旨に合わないと思うんですけれども大蔵大臣いかがでしょうか。
  196. 西村吉正

    ○西村政府委員 もとより、この住専そのものを預金保険の対象にするということではございませんで、今回は住専の債権債務の処理をこの預金保険機構の組織を活用して促進しよう、こういう趣旨の特別措置でございます。
  197. 若松謙維

    若松委員 じゃ、もう一度詳しく説明してください。  預金保険機構に住専勘定を設ける。ところが、この預金保険機構というのは、当初、金融機関でなければならない、さらには救済を対象とするところには公益性がなければならない。それは金融システムの維持ということであればそうなんでしょうけれども、実際に住専というのは民間会社なんです。そういった趣旨から、今回わざわざ新しい法律をつくって、それで預金保険機構の中に住専勘定をやるということ自体にどうも納得がいかないのですけれども、説明していただけますか。
  198. 西村吉正

    ○西村政府委員 預金保険法の目的規定を見ますと、「預金保険は、預金者等の保護を図るため、金融機関が預金等の払戻しを停止した場合に必要な保険金等の支払を行うほか、破綻金融機関に係る合併等に対し適切な資金援助を行い、もって信用秩序の維持に資することを目的とする。」こういうことになっておるわけでございますけれども、この預金保険機構の業務の特例といたしまして、今回、住専の債権債務の処理の促進等に関して特別な規定を設けようということでございます。  このことをもって、預金者の保護あるいは金融システムの維持というような金融全体の問題の処理に資する、このような目的でこの法律を提案しておるものでございます。
  199. 若松謙維

    若松委員 ですから、その特例を設けるということ自体が、本来の預金保険機構の趣旨を壊すわけなんですよ。壊すのです。そして、結局は農協関係の金融システムも大蔵がいろいろ入ってきて、それで大蔵主導にしようとしている。結果的に日本システムというのは大蔵主導になって、ぐちゃぐちゃになって、最終的に日本大蔵省のみが残ってみんなだめになる、そういうことじゃないのですか、大蔵大臣。それに気がついていただかないとだめなんですよ。  大蔵大臣、いかがですか。
  200. 久保亘

    久保国務大臣 今若松さんがおっしゃるような考え方で新たな機構をつくったり法律お願いをしたりしているのではございません。今のお話を聞きながら、ああ、そういう考えもあるのかなと、私、随分見解が違うという気持ちがいたしました。
  201. 若松謙維

    若松委員 いや、でも、大蔵大臣はそんな考えもあるかなと思うと言うけれども、私はどちらかというと国民に近いのじゃないかと思っているのです。  だってそうでしょう。九〇年にちょうど橋本大蔵大臣住専を総量規制から除外した、ここからこの事件の悲劇が始まったのです。それで、今回これをだれが処理しようかというと、総理が先頭になってやっている。裁判所でいえば裁判官ですよ。裁判官が総理。ところが、被告人がその九〇年の当時の橋本大蔵大臣。そして、じゃ検察官はだれですか。大蔵大臣ですか。いずれにしても、そのベースにすべて大蔵省がいて、大蔵省の不始末を大蔵省が裁判官になって、そして検察官も大蔵省。こういう形で、本当に大蔵省中心の、いわゆる民間の活力というか自己責任というか、そういうところを無視して、従来の護送船団方式を維持しようとしている。  そのベースをそのまま延長したのが今回の、国民の税金を使って、それで何とか金融システムの維持をしようと。結果的に大蔵の体質は全然変わらないのです。最近、久保大蔵大臣が、大蔵省は分割しなければいけないと。ところが、今住専処理のベースというのは、ずっと従来の大蔵省がやってきた護送船団方式、そして、それぞれの民間の銀行の努力、自助努力、さらには農協も含めた努力、そういったところを全部みんなでやれば何とかなるんだ、そういう形のものが、結果的に預金保険機構というところに住専勘定、新しい法律をつくって、そこで国民の税金を投入して何とかしょうと。  ところが、そのほかにノンバンクとかいろいろ問題はいっぱいあるわけでしょう。そのときにまた新しい法律をつくって、預金保険機構にまた次のノンバンク勘定をつくって、それで国民の税金を費やして、結果的に何が残るのか。大蔵省護送船団方式が残って、じゃ、日本金融機関は強くなるのか。強くならないですよ。果たしてこのシステムで、今回与党が考えられたこの住専処理、このスキームでいいと思っているのですか、大蔵大臣
  202. 久保亘

    久保国務大臣 提案者に対してこれでいいと思っているかと聞かれると、私、大変当惑いたします。今私どもが考え得る最善の方策として提案をいたしているのでございます。
  203. 若松謙維

    若松委員 今回のこの住専問題の処理はあくまでも、いわゆる大蔵を中心とした、政治家も絡んだ大変な不始末の処理であります。(発言する者あり)何か余計なことを言っている方が多いですけれども、いいですか、今、日本の置かれた環境は大変厳しいのです。わかっていると言いながらも、結果的に、じゃ、いつになったらこの金融システム、いわゆる不祥事、このバブルの崩壊の後始末というところで自己責任というものを導入するのか。いつになったらそれをやるのか。従来どおり護送船団方式をずっと続けられるのですか、この形で。  総理、これは大事な話だと思うのです。
  204. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先般来、副総理大蔵大臣として御答弁をされたときにも、私自身も申し上げましたが、むしろ、金融自由化の進む中で、護送船団方式というものが今も続いていることに問題があったということは申し上げたと思います。そして、むしろ、この喫緊の、しかも象徴的な不良資産処理としてのこの住専の問題の処理というものを行うことによって、まさに自己責任原則の金融システムに変えていかなければいけないということは、私は副総理も何回か答弁されたと思いますし、私も申し上げたと承知しております。
  205. 若松謙維

    若松委員 ですから、自己責任を追求するからこそ、このとんでもない住専処理住専の中で整理すべきなんですよ。それは破産法の適用なんですよ。そうじゃないですか。それを、ああでもない、こうでもないというふうに全部絡めておかしくするから、結局はこの護送船団方式が変わらないのです。その変わらないことに今与党は加担しているのですよ。  大蔵大臣、本当に今日本は変わらなくてはいけない。前大蔵大臣がワーストナンバーワンとか言われましたけれども、新しい、ニューワーストナンバーワンに私は久保大蔵大臣になってほしくない。そのためにも、この住専勘定で新しい自己責任というところを明確に打ち出してほしい、そう私は思うのですけれども、いかがでしょうか。
  206. 久保亘

    久保国務大臣 前大蔵大臣がワーストワンというお話がございましたが、私、就任いたしましたときに、一生懸命頑張るけれども、多分武村さんがワーストワンから一つ上がるのじゃないかと申し上げたのでございます。しかし、私は、どういう御批判がございましても、今大蔵大臣として果たすべき役割に全力を投入したいと考えております。  若松さんがおっしゃいますように、我々は、不良債権によって日本金融が内外に責任を負いながら大変な状況に陥っている、こういうときに、この問題を早期に処理して、自己責任、そして市場規律、こういう原則の上に立った新たな金融システム金融行政を進めていくことができるようにしなければならないということを繰り返し申し上げているのでありまして、今、その点に関して首相からも御答弁があったところでございます。
  207. 若松謙維

    若松委員 自己責任というのがわからない方はやはり同じなんですね。自己責任というのは自己責任なんですよ。住専住専処理するのです。その事実が始まらないで、結果的に国民一人一人に五千五百円、これ第一次処理。こういう形で、じゃどこが自己責任なんですか、今回のスキームが。どこが自己責任の第一歩なんですか。
  208. 久保亘

    久保国務大臣 損失に対する負担につきましても、単なる貸し手責任というようなことで決着させられているわけではないと思っております。また、今後の住専問題の処理に当たりましても、この税金を投入いたしますことについても、これは繰り返し申し上げましたが、住専に対する債務者を一人たりとも一円たりとも免責するものではないということを申し上げました。  また、このような状態に陥っている、このことに対する責任はさかのぼって明確にされ、とるべき責任はきちっととられるようにしていくのが今の私どもの任務であり、そして、その点に関して考えられる最も強力な体制を整えていくために、公的な関与が可能な限り強く考えられるようにしなければならないということで、公的資金投入に対する公的な関与のあり方についても最大の努力を今皆様方に御説明し、お願いを申し上げているところでございます。
  209. 若松謙維

    若松委員 これは、やはり自己責任の概念がわかっていただけない方にはもう同じです。繰り返し言っても結局わからない。公的資金、いわゆるみんなで少しずつ助けるというか、いわば税金のむだ遣い。結果的に大蔵主体、いわゆる民間の自力、活力をそぐシステム護送船団方式は何ら変わらず、このままさらに二十一世紀の、特に金融世界におきましての荒波、これに入っていくわけです。厳しいですよ、これ。本当に厳しいです。  ですから、私は、今のとにかく住専処理をこの住専の中だけでまずしっかりと自己責任を持って処理する、それで足りなければ、大変であれば、またそれぞれ検討する、預金保険機構なり。そういう形で、この住専処理のために破産法をしっかり適用していく、これしか私は自己責任の第一歩のスタートはないと思います。  そして、大蔵、そして与党が今進められる形を突き進めれば、結局は大蔵国体護持ですよ。大蔵しか生き延びない。それを指摘して、私は質問を終わらせていただきます。
  210. 上原康助

    上原委員長 この際、大口善徳君から関連質疑の申し出があります。加藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。大口善徳君。
  211. 大口善徳

    大口委員 新進党大口でございます。  先ほどの梶山官房長官の御答弁、ちょっと私、腑に落ちないものですから、お伺いしたいと思います。  同僚議員である山田宏議員が、総理に対して、住専の貸出先の政治献金について聞きましたところ、総理は、  私自身、この問題が発生をいたしましたとき、自分の政治資金団体に住専から寄附を受けているかどうかは非常に気になりました。そして、調べてみましたが、それはございませんでした。  そして、先日、国会に資料の御請求をいただきました段階で、たしか上位百行を提出させていただきました時点で――百行ではありません。失礼しました。貸し先上位百社を公表いたしました時点で改めて、その中に出てまいります住専から融資を受けておりました先からの政治献金の方も調べてみました。その中には、三つその後四つということになっておるわけですが、非常に総理は、この指摘に対して真摯に明らかにしようとしているわけでございます。  私も、この前街頭演説して、そして署名をしたんですが、一時間ちょっとで六百五十人の方が住専の税金投入反対ということで、やったことありますか、一時間でそれだけあった。そういう中で、やはり政府予算を提出するわけでございますから、これは襟を正さなければいけない。  今一番悪いのはだれか、借り手が非常に悪い。これはやはり借金を返さない借り手が一番悪いわけです。その借り手から献金を受けることについて、これは非常に問題になっているわけでございます。そういうことから山田宏議員が聞いたわけでございます。  そして、梶山長官の前回の答弁は、「閣僚の政治献金についてでございますが、」こういうことで、官房長官の立場として答えられているわけです。それについては、大蔵大臣を通しましてこの資料を見せていただきます、見せていただいてお諮りをいたします、これは閣僚の皆さんにお諮りをします、そして内閣として、これは発表の方法はいずれお諮りして決めたい、こういうことなわけであります。  そこで、梶山官房長官のことでございますから、この資料についてもう見ておられると思います、私は。それから、それに対して閣僚の皆さんにお諮りになったのか、そして改めてこの問題の発表についてどうされるのか、お伺いしたいと思います。
  212. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 橋本総理は、みずからそういうものを予見をして、みずから自分で調査をされて、私たち閣僚にそういうことをさせるまでもなく、自分で質問に答えて公表をされたわけであります。それを受けての所感でございますから、私はあの当時は、残念ながら住専からの五十先、百先、これを事細かく調べて、その政治献金があったかどうかはあの時点では詳細に知るよしもなかった。  ですから、改めてきょう、あの後の閣議はきようでございますから、あったのは、きょう閣議が終わった後の閣僚懇談会で、皆さん方それぞれ自分の所信に従ってちゃんとやっているんだと思うけれども、どうかお調べを願いたい。まず調べないことには話になりませんので、画一的に調べて画一的に返事ができるような書式があるのかどうなのかということも判然といたしません。そういうこともありますので、私は閣僚と相談をしながら決めなければならないなということで、まずきょうは皆さん方、既にこれは今さらどうこうするというんじゃなくて、政治資金規正法にのっとって報告を出していることでございますから、今までのことの経緯をまず精査をしてほしい、こういうお申し入れはいたしました。  なお、具体的な公表等については、国会のあるべき姿あるいは内閣のあるべき姿、そういうものを相談をしながら取り決めていきたい、このようには考えているんですが、どうも先ほど私、気が短いというか、短慮なのかもしれませんが、総理が何かかすみを食って生きているというふうに聞いたので、総理も後ろから見れば――かすみを食べては生きていられないんですから。どうもしかし、話を聞いていますと、政治資金とそれから個人の所得を混在してお話しになっているのかしらと思ったので、ついそういうお話を申し上げました。これからは冷静に対処をいたしますので、御了解を願います。
  213. 大口善徳

    大口委員 そうすると、閣僚の懇談の中できょうそのことについては打ち合わせをする、こういうことでございます。では、大いに期待をさせていただきます。  じゃ、今の長官のお話ですと、まだ長官自身は資料を見ておられないということですね。
  214. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 この前質問を受けたときには、自分の身に係る政治献金という目で拝見はしておらなかった。そういうことですから、この前は、見ておりません、こう伝えました。しかし、既に公表され、またそれぞれ秘密保持に努めながらも、見得る環境にあるわけですから、私たちは今、改めてきょう閣僚懇で、どうか精査をしてください、こういうふうに言ったので、私自身は若干、全部はとても毎日ですから見切れません、まだ。しかし、うちの事務所を通じて今やらせております。そういうふうに御理解をいただきたい。
  215. 大口善徳

    大口委員 それでは、これにつきましては前向きに、早急に結論を出していただきたいと思います。  最近、新聞を見ておりますと、連日のように、不良債権の飛ばしですか、それから株の仕手戦の失敗が住専である。がけ地に対する融資、または暴力団等に対して融資する。あるいは、地上げ等と関係が深くて、はまってしまっている。あるいは、ラブホテルだとか、ゴルフ場とか、そういうところにも融資をする。あるいは、九一年、経営危機のさなかに配当をする。そしてまた紹介の融資の不良債権化が甚だしい。また、役員の高給等々、連日のごとくこの住専の経営体質、そしてまたそれに対する母体行のかかわり方、そして大蔵省等々、非常にこういう問題が新聞に出ておるわけです。  ですから、先ほども言いましたように、国民皆さんは、九割以上の方がこれに反対をしている。この世論に対して、大蔵大臣、どう思いますか。
  216. 久保亘

    久保国務大臣 国民皆様方が、巨額の公的資金をこの住専問題処理に投入することについて、いろいろ御批判もあり、反対の御意見も強いことはよく承知をいたしております。  この原因の一つに、今日のこの事態を招いた責任が明確になっていないこと、それから公的資金を導入することについての意味がまだ十分におわかりいただいていないことなど、私どもの方の今後の努力にまたねばならないことがたくさんあると思います。  そういった点について、今大蔵省を中心に政府としても懸命に努力もいたしておりますし、また、国会における御審議を通じて御理解を賜るよう皆様方の御協力もお願いをいたしているところでございます。
  217. 大口善徳

    大口委員 今回のこの法案、特定住宅金融専門会社の債権債務の処理の促進等に関する特別措置法の中で、こういうスキームの中でどういうふうに責任を明らかにできるんだ。今大蔵大臣おっしゃいましたが、うやむやになるんじゃないか。  破産の場合は、債権者集会というのが裁判所で開かれます。裁判官がいらっしゃいます。そして、破産管財人が克明に報告をするわけです。そして、債権者で知りたいことがあれば、もちろん質問もできます。書類も全部閲覧もできます。  こういうふうに非常に情報の開示がはっきりしておりますし、また管財人という、裁判所が選任した管財人、そしてまた裁判官が絶えず見ておるわけですね。ですから、非常に責任もはっきりわかるし、それから情報の開示ということも非常にオープンである、こういうことなんですが、それと比べて今のスキームはどうなんでしょうか。大臣、今大臣が責任を明らかにするとおっしゃったんですから、大臣言ってくださいよ。
  218. 西村吉正

    ○西村政府委員 今御指摘の破産という手続をとるべきだという場合の対象でございますけれども住専そのものに対して破産手続をとるべきという問題と、住専の債務者に対して破産手続をとるべきという問題と、二つの問題があろうかと思います。  この今回のスキームにおいても、債務者の責任を追及する、そのために破産手続をとる、そういう意味においては、このスキームにおいても住専処理機構が債務者に債務を履行していただく、債権を回収していくという手続の中で、破産手続をとることは十分あり得ることだということはまず御理解いただきたいと存じます。そういう意味で、債務者の責任を追及していくために破産手続を活用するということは、我々も前提としておるわけでございます。  ところで、今御指摘の事柄が、住専そのものを整理する、その場合に破産手続をなぜとらないのか、そういう御指摘でございますならば、確かに破産手続で処理を行いますと、住専そのものが整理されるというその限りにおいては即座に効果が上がるわけでございますが、それだけでプロセスが完了するわけではございません。住専に対する債権者が多数かつ多様であるということは、たびたび大臣からも御説明申し上げておるところでございますが、またそれぞれに複雑かつ多様な関係を有するという点についても、るる御説明しておるところでございます。  したがって、一たんそのようなプロセスがとられましても、またそれに対する訴訟合戦というようなことになりまして、最終的な負担額が決まるに至るまでには相当長い時間を要するのではないか。その間混乱が生じ、場合によっては体力の弱い金融機関において不安定な状態が続くということもあり得るのではないか。こういうことで、今回の処理におきましては、その負担額をも政府が提案し、関係者の御理解を得ることによって、早期に問題を終結するということを御提案申し上げている、こういうことでございます。
  219. 大口善徳

    大口委員 要するに、今回のスキームというのは、母体行、それから一般行、そして系統、こういうものの責任というものをあらかじめ密室で決めてしまって、それに基づいて配分をする、こういうことなんです。だから、破産手続の場合はそもそもそういう責任自体についても、それは法的手続でやるから訴訟になることもあるかもしれませんが、そういうことについても洗い直していくということなんで、責任を明確にするという点においては、はるかにこれは破産の方がすぐれていると思います。まあ、そのことを議論していても仕方ありませんが、それがございます。  それから、最近の新聞の中に、大口なほど延命、長く生きる、こういうことで記事が出ておりました。要するに、小さなところだけ倒産をして、大きなところは倒産をしていない、こういう状況にあるわけですけれども、これは大蔵省、どういうふうに分析していますか。
  220. 西村吉正

    ○西村政府委員 今回のスキームにおきまして、強力な回収体制ということを非常に強調をしておるわけでございますが、その住専の不良債権を強力に回収するために、今回のスキームでは、預金保険機構と住専処理機構が一体となって強力な体制を構築するという考え方をとっております。  すなわち、まず第一に、強力な回収を進めるため、住専処理機構は、破産法、民事執行法等に基づきます法的措置を含むあらゆる回収手段を迅速的確に用いていく。この場合、住専時代の取引経緯や関係者の利害、違法行為にとらわれることなく毅然とした対応を行うというふうに考えております。  第二に、悪質な回収困難事案につきましては、預金保険機構に債務者及びその関係者に対する財産調査権、これは罰則で担保をされておりますが、財産調査権を付与いたします。  また、住専処理機構から取り立ての委託を受けて預金保険機構がみずから回収するというような措置をも御提案申し上げようとしておるところでございます。
  221. 大口善徳

    大口委員 預金保険機構で裁判官を入れるとか、裁判官というのは余り実務は、現場でこう暴力団と立ち向かうということはできませんね。裁判官とかあるいは検事だとか警察、警察庁も高級官僚ですからだめですね。そういうのを二十人ばかり入れてやろうということですが、二十人ばかりで到底これは厳しくできるとは思いません。  そしてまた、私も親しい者に民暴委員会の弁護士がおります。もうこの十年間暴力団と闘ってきた弁護士でございます。私も弁護士時代、民暴委員会に入っておりました。それはもう激しい闘いで、また、おどされもします。私も警察にお願いして巡回をしてもらったこともございます。そういう中で、やはり競売をきちっとすべきだと。競売をして、そして、自分でそれを落としてでもどんどんそういう暴力団等からこれを明け渡しをすべきであると。  そうなってきますと、今度競落となってきますと、価格が路線価の半分以下になってしまうというようなこともあって――その大蔵省の方のスキームというのは、第四分類は損失で、あと第三分類以下は一生懸命回収するんだ、こう言っておるわけでございますけれども、やはり毅然と破産もやる、そしてまた競売もどんどんやっていく、そうなってきますと、担保物件のこれがかなり低くしか処分できない、逆に任意でやるとなかなか時間がかかる、そういうこと、この辺についてどう考えていますか。
  222. 西村吉正

    ○西村政府委員 御指摘のように、債権を回収いたします場合の実務に関してはいろいろな工夫が必要かと存じます。今御指摘のような競売というような手法を用いることも必要でございましょうし、あるいは債権を回収する場合に、今までは七社がそれぞればらばらに対応をしておったわけでございますが、これを一本化いたしまして権利関係等をも整理した上債務者に対して対応すれば、今までは債権の回収が難しかったようなものについても効率的に回収できるというような工夫もあろうかと存じます。あらゆる法的手段をも講じまして効率的な債権回収ということに努力してまいる、こういう覚悟で取り組みたいと考えております。
  223. 大口善徳

    大口委員 先ほども紹介しましたように、大きな借り主ですね、これが倒産になっていない。まあ手形も出していないからそうなんでしょうけれども一つは債権者が競売等をきちっと毅然とやらないと、そこにはそれだけの事情がある、こういうことでありますが、これはやはりきちっと断固としてやっていかなきゃいけないことである、こう思います。  次に、きのうですか、上野博史農水事務次官が記者会見をされて、そして、九〇年の三月に信連に対し注意を喚起した。これは、総量規制を大蔵省が出したことを受けて、住専向け融資について注意を喚起した、こういうふうに発表をしました。なぜ今ごろになって発表したのか、どうもよくわからないのでありますけれども。ただ、「資金供給を絞るべきだとまで指導することはできなかった」、こういうふうに言っておるわけであります。  それで、今回の件につきまして、農水省と信連そしてまた共済連との関係、そして、どういう検査体制になっているのか、農林中金と大蔵、農水との関係。それについて、まあ資料にも出ております。大体、検査の周期が、信連、農協の場合は二年程度、農林中金は大蔵でもってやるということで、これは二年で検査をしておるわけでございますけれども、検査能力、これは農水省あるいは地方農政局あるいは都道府県等、どうなんでしょうか、検査能力があるんですか。
  224. 大原一三

    ○大原国務大臣 事務次官が昨日、これは私からもその当時の経緯を確かめたものですから、恐らく記者の皆さんに聞かれて発表したものとは思いますが、農林水産省としても、必要に応じて、平成二年の総量規制の後にその趣旨を体し注意喚起を行い理解を求めた、こういう報告を私もいただきました。  しかし、農協としては、まだ当時としては住専の経営内容についての的確な情報把握が十分でなかったという面もございまして、この事務次官の注意喚起というのは、員外貸し出しがふえ過ぎて、員内、つまり会員貸し出しにその影響が及ぶということがあるかないかが問題の中心であったようでございます。  以上でございますが、あとの質問の信連等の検査体制でございますが、検査能力が低いのではないかという御指摘でございます。  現在、農中は大蔵、おっしゃったとおり一緒にやっていると思うのでありますが、信連等の検査につきましては、農林水産大臣のもとで四十九名の検査官が検査を行う。さらに、都道府県区域未満の区域のものについては、都道府県知事のもとで四百八十六名の検査職員が検査を行うという体制でございます。これは現状の体制がそうでございまして、委員御指摘のとおり、今回の事案にかんがみ、新しい信用調査の、やはり今回のリストラにかんがみて充実をしていく必要がある、私もかように考えております。
  225. 大口善徳

    大口委員 八九年が、これは農林中金ですけれども、六千四百八十四億、それが九〇年には八千三百八十六億、農林中金だけでこうなっているわけですから、ちょっと見ればこれは危ないのは、見ておられるわけですからね。ですから、ちょっとこれは、農水省としても大きな責任があると私は思わざるを得ません。その辺のところはどうですか、責任について。――いや、大臣に聞いているんですよ、農水省の責任について。
  226. 堤英隆

    ○堤政府委員 ちょっと事実を説明いたします。  先ほど御指摘のありました形で実績報告により承知していたわけでございますが、ただ、当時の状況を考えますというと、一つには、住専会社が当時、系統にとりましては、やはり国民に対しまして広く住宅資金の供給を行うという社会性の高いものであった。かつ、当時、住宅向け資金需要が極めて旺盛であったというような事情もあると思います。  それから二つ目には、やはり、農協の貯金量が増大するという中で貯貸率が低下する、そういう中で、できるだけ自己努力という形で貸付先を見つけていこうというような努力、そういう全体的な農協経営の運営という観点から見ましても、比較的安全な、信用力のある貸出先ということの認識があったというふうに思っておりまして、すべてがわかりました現段階においてはいろいろございますけれども、当時としては、こういった事情ということから見てある程度はやむを得ない事情もあったのではないか、こういうふうに理解をいたしております。
  227. 大口善徳

    大口委員 今大臣は、本当にこれからやはり注意していかなきゃいけないと、非常に大臣がそういうふうに言っているのに、お役人がそうでもないと。これは何か、どっちが上でどっちが下かわからないですよ。私、同じ政治家として非常に憤りを感じます。
  228. 大原一三

    ○大原国務大臣 検査機構のお話があったものですから、それを敷衍する意味で事務当局が答えたものと思います。  私は、今回の融資の実態、その流れ等々を現在分析いたしまして、あの状況の中である程度やむを得ない事情があったとはいいながら、やはり責任は免れないものと思っております。その際、恐らく、今回の拠出によっていろいろの信用不安が起きたり、あるいはまた個別信連にいわゆる破綻という状態が起きるようなことになれば、その責任は、結果責任は免れない、かようにこの前から申し上げているところでございます。
  229. 大口善徳

    大口委員 それでは、少し総理にお伺いをしたいと思います。  昨日も奥田代議士の方からもお話がありましたが、小林豊機さんですね、それと今の総理との御関係はどういう御関係なんでしょうか。
  230. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 昨日も申し上げたように記憶をいたしておりますが、私が初めて当選をいたしまして、自由民主党の中で学生部長を務めましたとき、当時学生部の幹事長をしておりましたのが小林君でありました。それが最初の縁であります。  そして、そこから、彼が卒業いたしまして、私の秘書に、私は彼に入ってもらいました。その後、区議会議員に立候補をし、そしてその後党派を私とは異にいたしましたが、都議会議員に立候補し、当選をし、一時期、私の事務所の人間から離れて独立した政治家としての道を歩んでおりました。  その後、彼が都議会から引きました後に、たまたま私の事務所が手不足であったこともあり、再び帰ってきてもらい、運輸大臣当時は運輸省の大臣秘書官を行っておりました。大蔵大臣在任中に、大蔵省として当時大変深刻な事態に至りました証券・金融不祥事のさなかに、富士銀行の偽造預金証書を担保とした融資事件にかかわりがあるような報道がなされ、それ自体、軽率な行動等がありましたために、彼自身が責任をとって私の秘書を辞任をいたしました。  しかし、一年余りたちましてから、いろいろな方から、彼をもう一度秘書として戻すべきだというお勧めもあり、たしか二年ぐらい後だったと思います、私の秘書という肩書を持ち、しかし私の事務所とは別に事務所を持ち、昨年の夏までその事務所におりました。そして、そのビルが取り壊されることになりました時点で残務整理に入り、昨年の暮れに退職をいたしております。  なお、その間、というのは一人で事務所を持っておりました間に、私のその他の政治団体となっております組織を彼自身がっくり、現在その代表者を務めておると承知しております。
  231. 大口善徳

    大口委員 そうしますと、今「溜池倶楽部(橋本竜太郎後援会)」この代表に小林さんがなっているということですね。
  232. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 そうなっておると思います。彼自身がつくり、それを主宰しておると承知しております。
  233. 大口善徳

    大口委員 そうすると、この「橋本竜太郎後援会」という名称を使うことについては、それは許されておるんですか。
  234. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 「橋本竜太郎後援会」というふうになっておりますかどうかわかりません、それは。ただし、溜池倶楽部と申しますものが、その他の政治団体として届け出ていると私は承知をいたしております。その限りにおいて、括弧して「橋本竜太郎後援会」と書いてありますなら、その一つであることは事実であります。
  235. 大口善徳

    大口委員 「橋本竜太郎後援会」と書いてあるかどうか事実確認をされていないということなんですが、年賀状を見ましても、   橋本総裁にとりましては、自民党の命運をかけた解散・総選挙を控え、さらに景気対策、住専問題などの難問題も抱え政治力量を問われる大変な年になりそうです。   本年もよろしくご指導の程お願い申し上げ、併せて新春に当り貴家の益々のご多幸をお祈り申し上げます。  小林豊機 橋本竜太郎後援会溜池倶楽部代表 こういうふうになっておるわけです。  これはやはり、私なんか勝手に私の名前を、大口善徳後援会というのをつくって、私の了承もなしに使われるということはこれはとんでもないことですので、あり得ないことなんですね。ですから、当然、私の場合であれば、私の了解なしにそういう言葉を使っておるとしたならば、名称を使っているとしたならば、これは禁止をします。私の了承のもとにつくったものについては、これは禁止することはないです。そのことを私は聞いておるのです。要するに、そういうふうに名称を使うことは了承されたのかということです。
  236. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 ですから、正確に先ほど来申し上げておりますが、確かに、その溜池倶楽部と申しますものは、小林豊機君が独立して、私の秘書という肩書のもとに仕事をしております間に、私のその他の政治団体としてつくろうとし、スタートをさせたものであります。ですから、その意味で、私は今その年賀状というのは初めて伺いましたけれども橋本龍太郎を支援しようとする組織一つであるということは間違いはございません。
  237. 大口善徳

    大口委員 名称を使う以上は責任も伴います。ですから、そこら辺は、もう総理になられたわけでございますから、日本国の総理になられたわけでございますから、そういうことも確認をされて、そして、その名称を使わせる以上はやはりそれに対して責任を持つ、そういう点で身辺をきちっとチェックをしていただきたいな、こういうふうに思います。  それから、私は総理のポスターをよく見かけるわけでございますけれども、ポスターをごらんになっておると思うのですが、「自由民主党」そして総理の顔がどかんと大きく載っておりまして、そして「新しい自由民主党をつくります。」こういう非常にインパクトのあるポスターを張っておられます。  このポスターにつきまして、これはどこへ張ってもいいものなのかどうか、非常に疑問に思うわけでございます。特に、総理の選挙区においてこのポスターをお張りになりますと、要するに普通の議員と申しますか、我々は、事前運動ということで、公選法の百二十九条にありまして、時局講演会等の案内ということで掲示責任者を書いたりあるいは印刷者の住所を書いたり、あるいはこれは時局講演会の御案内ですので、やはりある程度期間が制限されておるわけですね、これは。事前運動と判断されない程度の期間でないといけないわけです。また、解散ということになりますと、これはすぐ取り外さなきゃいけない、これは新しい法律でございます。そういうことなわけでございます。  それで、ただ、そういう総理のポスターを見ますと、掲示責任者のことを書いてありませんし、ただ単に自由民主党という形のポスターがあるわけでございます。これにつきまして、選挙区以外であるならば私もとやかくは言わないわけです。ところが、総理の選挙区の中でこのポスターがあちこちに張られているわけでして、そうなってきますと、これは百二十九条の精神といいますか、事前運動に対する規制といいますか、武器の対等の原則じゃないですけれども、やはり公平な制限があっていいと思いますね。  ですから、私はそういう点で選挙区内にポスターを張ることについて、公選法百二十九条のその条文に丸々違反する、そこまで私も言いません。それは一生懸命勉強しておりますのでそこまでは言いませんが、その百二十九条の精神ですね、やはり候補者の公平という精神からいきますと非常に問題があるんじゃないかな、こう私は思います。たまたま私は幸いにして総理と同じ選挙区ではないからいいようなものでございますけれども。ですけれども、本当に同じ選挙区になった方、これはどうなるのか。また、総理は転々とかわるわけでございますから、みんなその点、心配をするわけでございます。  そういう点で、百二十九条のこの精神、これからいきますと、一国の総理でございますから、その選挙区については公選法の精神ということ、これをやはりよく配慮された方がいいんじゃないかな、こう私は思うのですけれども、いかがでしょうか。
  238. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 大変申しわけありませんが、これは私が云々するよりも、自治省のこうした問題の責任者からお答えをいただく方が公平と思いますので、そのようにさせていただきたいと思います。
  239. 倉田寛之

    ○倉田国務大臣 今御指摘のポスターは、私も都内であるとか私の選挙区の千葉県でも拝見をいたしているところでございますが、一般論として申し上げますれば、選挙運動期間外において政党が政治活動用のポスターを掲示することにつきましては特段の規制がないものと承知をいたしております。  そして、政党のポスターである以上、そこに党首の顔写真を載せることも当然あり得るものと考えております。
  240. 大口善徳

    大口委員 そうしますと、私も実は支部会長でございまして、そしてその支部における顔なわけでございますね。それから、今ローカルパーティーがあるんです。そのローカルパーティーの党首、これは例えば小選挙区でもローカルパーティーはありますし、県でローカルパーティーがある。この党首もこういうことをやっていいのか、このあたり、どうですか。
  241. 倉田寛之

    ○倉田国務大臣 ただいま申し上げましたとおり、選挙運動期間外におきまして政党が政治活動用のポスターを掲示することについては特段の規制はございませんが、ただ、政党名は記載されているものの、顔写真やスローガンから見て立候補予定者である支部長個人の政治活動用ポスターと認められるようなものであれば、候補者個人の政治活動用ポスターとしての規制、すなわち任期満了六カ月前からの掲示の禁止などを受けることになろうかと思います。
  242. 大口善徳

    大口委員 それじゃ、ローカルパーティーのはどうですか。答弁漏れです。
  243. 谷合靖夫

    ○谷合政府委員 基本的には、ローカルパーティー、つまり政党の政治活動用のポスターである限りは、対応的には同じ考え方で対応すべきものと思っております。  つまり、いわゆる政党の政治活動用ポスターというふうに認められるものであるならば、それについては特段の、選挙運動期間外の掲示については特段の規制はない。ただ、その中身が実質的にいわゆるその代表者の、いわば政党のものではなくて、代表者の個人のポスターというように認められるようなものであれば、それは個人の政治活動用ポスターとしての規制を受ける、こういうことになろうかと思います。
  244. 大口善徳

    大口委員 支部の会長とそれからローカルパーティーの党首と区別の基準が非常にあいまいな感じもしますが、私は、法律論ではなくて、その精神として、その法の精神といいますか、候補者で、その選挙区においては首相たりといえどもこれは候補者でございますから、その候補者と候補者の武器の対等、公平ということから私は自粛をすべきではないかと思います。そのことを一言お伺いして……。
  245. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 公職選挙法違反にならぬよう注意をいたします。
  246. 大口善徳

    大口委員 それでは、以上で終わります。
  247. 上原康助

    上原委員長 これにて加藤君、若松君、大口君の質疑は終了いたしました。  次に、江田五月君。
  248. 江田五月

    江田委員 平成八年度一般会計総予算、いろいろと聞かなきゃならぬ点があると思いますが、私も主として住専の問題に絞って質問をさせていただきたいと思っております。  今お配りは、まだしばらく関係ありませんので、どうぞ置いておいてください。  橋本総理、犬養毅、平沼騏一郎以来四十八年ぶりの岡山県出身の総理大臣誕生ということで、まず同郷の政治家として心から御激励申し上げます。  日本世界も大変な転換期ですね、今。しかも積年の矛盾が噴き出してきている。その後始末、これはなかなか大変。しかも、単に後始末じゃ済まない、次のレールに乗せていかなきゃならぬという大変な時期で、大変な御苦労と思います。しかし、同時に、こういう時期に内閣を担当されるというのは、私はこれは政治家冥利に尽きるということでないのかなという気もするので、そういう意味でも激励も申し上げるし、またこの時期を乗り切って次の時代を開くというのは、与党、野党みんなの課題です。同時に、国民課題でもあるので、単なる重箱の隅をつつくとか、足を引っ張るとか、そういうことでない議論を大いにやっていきたいと私は思っております。  しかし、それでも、積年の矛盾の後始末、住専処理問題を前任者から引き継がれておる。本当にこれは御苦労なことだと、御同情を申し上げると言うとちょっと皮肉に聞こえるかもしれませんが、本当にそういうふうに思います。ひとつこの機会に、難題を先送りするのでなくて、構造改革をやるんだ、構造改革実現の好機ととらえて頑張っていただきたい。  さて、構造改革ということになりますと、住専問題に入る前に、一つだけ総理のお考えを伺っておきたいと思うのです。  不良債権問題といいますと、住専問題と並んで、あるいはもっと大きな問題が、旧国鉄の長期債務問題ですね。これは総理はもう直接関係をされておられた。私なんかも、当時野党立場ではありますが、この国鉄の問題はほうっておけることじゃないんだというので、菅厚生大臣おられますが、一緒にいろいろな知恵を絞りながら、逐次、地域分割、非公社化なんというようなことを言って、怒られ怒られしながら、半ば国鉄改革の応援団になっていたのではないかと思っておるのです。  昭和六十二年の四月、国鉄改革時に清算事業団に引き継がれた債務二十五兆五千億円。さて、九年たった現在、土地とかJRの株の売却もあったにもかかわらず、利払いにすら追いつけていない。債務は逆に今二十七兆円と大きくなってしまっておるということで、これは、問題の先送りが矛盾をさらに大きくしてしまった典型的な例であろうと思います。  私も、わずか十カ月ではありましたが、与党で、そのうちの八カ月でしたか、閣僚を務めたこともありますから、決して私どもの責任も回避はできないと思いますし、問題の難しさもわかっているつもりですが、総理はこの問題に精通しておられるわけで、この旧国鉄の長期債務問題に橋本内閣としてどう対処するおつもりであるのか。細かなことは結構ですから、今お考えの粗筋をこの際お聞かせください。
  249. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今江田委員から激励とともに真摯な議論をと言っていただきましたことに、冒頭お礼を申し上げます。  そして、その国鉄清算事業団の債務について御指摘をいただきました。まさに昭和六十二年四月の設立時、旧国鉄から引き継ぎました債務は二十五兆五千億円であったわけでありますが、今年度首にこれが二十六兆九千億円に膨らんでおるというのは御指摘のとおりであります。  そして、当時の責任者として先の見通しが悪かったというおしかりを受けるかもしれませんが、あれほど異常な土地の高騰がその後継続するとは思わず、それなりの地価が続くという前提で資産売却を当時考えたことは事実でありました。しかし、その後、異常な土地の上昇の中で、清算事業団用地を放出することがなお地価の上昇に拍車をかけかねないといったことから、この売却も思うように進まなかったという問題点が一つございました。  また、株式市況の低迷する中で、JR各社の株式売却といったものも思うように進んでおらないということも事実でありまして、これが今非常に大きな課題になってきている。これは、国鉄改革の総仕上げという意味でも非常に大きな課題になっておると思っております。  それだけに、一言で申し上げようとするなら、今後その保有する資産売却に鋭意取り組んでいく中で、国民負担というものを極力少なくするように努力すると申し上げる以外にありません。
  250. 江田五月

    江田委員 国民負担を極力少なくするという以外にないというのでは、まだなかなか大変だなということしか残らないですね。問題の難しさを痛感しますが、きょうは、その問題はちょっと導入部ということで伺っただけでして、それ以上お伺いをすることはやめます。  住専問題も、これもやはり大変なことで、処理の仕方は、私ども、今政府がお出しのものに対していろいろ疑問も持っておりますし、これからその疑問を追及をしていきたいと思いますが、しかし、思い切った処理をしなければならぬ、先送りをしてはいけない、この点では全く同感でございます。  総理、今国民、この住専の問題について、税金をつぎ込む、緊急金融安定化基金ですか、六兆八千億円プラス五十億円という、これに対して、八〇%とも九〇%とも言われる国民……(橋本内閣総理大臣「六千八百億」と呼ぶ)六千八百億円プラス五十億円ですね、済みません。国民の非常に多くの皆さんが、これを釈然と思っていない、反対をしておるということで、これは私は、国民の怒りの声というのは、単に政府あるいは与党に向けられているだけでなくて、私どもにもあるいは向いているのかなという気もいたします。今の政治全体に向いているのじゃないだろうかという気がするのですね。  そのときに私は、そういう国民皆さんの怒り、これにたじろいじゃいけないので、私たちはむしろ逆に、国民皆さんのそういう怒り、つまり、国民から見ると、どうも、政治家あるいは官僚あるいは銀行その他、そういう皆さんが本当はみんな被告なのに、その被告が全部寄ってたかって何か談合をして国民にそのツケを回しておる。国民には物を言わさない。国民はただしりぬぐいだけ。そういう気持ちで怒っておるので、それにたじろぐのではなくて、そういう国民皆さんの怒りというのが、まさに田中長官しきりにおっしゃる民権というものでして、その国民の怒りというものをしっかり受けながら、その怒りをいわば帆にはらみながら、改革のために政治家が努力をする、勇気を出す、決断をする、これが今必要だ。まさにそういう好機に今あるんだ。  私は、大蔵省の枠の中で、大変恐縮ですけれども大蔵省皆さんが大蔵コンツェルンの中できれいにこれを処理してしまうというようなやり方でやっていくのじゃいけないのじゃないか。大蔵省でなければ、この大問題、解決つかないよと仮に思っているとすれば、それはやはり大蔵省の思い上がりなんじゃないだろうか。みんな被告なんだ、そういう思いでおるので、どうも今の処理のスキームは信用できない。  今の処理のスキームは、やはりどこかまやかしがある。そうではなくて、こういうときのスキーム、こういうときの処理の装置としてはちゃんと既存のものが用意されているわけですね、法的整理の手だてが。裁判所である、あるいは法律家、あるいは法律で言えば、破産法もあるでしょう。あるいは和議法もあるでしょう。会社更生法もあるでしょう。  今、いろいろ我々の同僚から提案がございました。私は、私個人の意見ですが、会社更生法がいいのではないかと思っておるのですが、そういうものもあるので、それを、なぜそっちを採用せずにこういう特別の処理方法をおつくりになったのか。  これはもう何度も聞いていることですが、申しわけありませんが、簡単にひとつ、何点か、これとこれとこれと答えてください。
  251. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 司法の専門家である議員に私が司法の話をするのは大変僭越かもしれません。しかし、私が知る限りにおきまして、会社更生法という法律を使いました場合、住専はそのまま形態としては存続するわけであります。しかし、住専というものを存続させる必然性あるいは存続をさせながら再建を図る必要があるでしょうか。私なりの感じの疑問の第一点はそれであります。  また、破産法を適用いたしました場合、これは確かに住専を消滅させる一番早い手法であることは間違いがありません。しかし同時に、私は、住専の場合に、非常に多数の金融機関、系統まで入れますと三百を超えると言われましたが、そういう数多くの金融機関が資金の供給に当たり、またその貸し先も非常に多種多様でございます。そうしますと、その破産法を選びますと、住専というものはすぐに消滅いたしますけれども、その債権債務は残るわけでありまして、そしてその関連する金融機関、資金を供給しておりました金融機関にとりましては、その係争中の期間はみずからの負うべき債務の額が確定しない期間が続いてしまうんじゃないでしょうか。そして、これは私は金融システムの安定性というものを考えるときに望ましい状況ではないと思います。そして結果的に、それは、中に体力の弱いものもありましょうし、いろいろありましょうけれども預金者である国民にとっても、私は望ましい状態だと思いません。  昨年の春あたりから、政府部内におきまして議論をしてきた中で、むしろ逆に当事者の中で解決を何とかしたいということで、当局の諸君が努力をいたしましたものが、結果として情報開示がおくれ、御批判を受けるような諸点になりましたことは大変申しわけない、冒頭の審議でもおわびを申し上げましたが、私は、努力の上で積み上げられたこのスキームが、今我々がとるべき道だと本気でそう考えております。
  252. 江田五月

    江田委員 確かにこれまで、政府、特に大蔵省中心にいろいろな努力を積み上げてこられた。そうした努力の中には、例えば大蔵省の銀行局長と農水省の経済局長でしたか、お二人の覚書、それに基づく各銀行に対する念書をとっていくというようなこともあったでしょう。これは、しかし、その努力としてはちょっと、さあ、そういう努力でよかったのかなという感じもします。まあいずれにしても、そういう努力をしてこられておるのはそうだと思いますが、それが私の言う、大蔵という枠の中で問題を処理してしまおうということになっているんじゃないかという気がするんですよ。  今総理、会社更生法ですと住専というものを残すことになる、しかし、住専を残す必然性というのはあるのか、そこは疑問に思うとお答えになりましたね。  私は、その点はむしろ逆ではないかという感じもするんです。住専から債権譲渡を受けて、そして不良債権はもちろん処理していきますよね。しかし、しっかりした債権もあるわけです。それは個人の住宅ローンですね。三兆五千億ですか、あるわけで、それは残すわけですね。そしてずうっとこれは今後、そういう住宅ローンを組んでいる債務者、国民ですね、普通の個人です、この皆さんがずうっとこれから返していくわけですよね。そういうものとしてこれは残るわけで、住専はつぶすけれども住専の最も、まあ言ってみれば、すっきりした部分、コアの部分です。住専、一九七一年に最初のものをつくって、そして、なかなかよくできた仕組みだったんじゃないですか、初めは。ずうっとそういう個人向けの住宅ローンを扱うノンバンクとして健全なことをやっていたわけでしょう。それはちゃんと残っているのじゃないですか、まだ。それは住専処理機構になってずっと残していかなきゃならぬと。住専処理機構でそれを残していかなきゃならぬ必然性がなぜあるのか。住専で残せばいいじゃないですか。これはいかがですか。
  253. 西村吉正

    ○西村政府委員 確かに、住専処理機構が引き継ぎます資産の中には正常な資産もあるわけでございます。これは引き続き債権を管理していきまして、一部の収益を生んでこれを住専処理機構の運営に充てていく、こういうことになっておるわけでございます。  ただ、従来の住専の形でそのまま残すという方がいいのか、このように集約をいたしまして、引き続き管理はしていくものの、いわば残務整理として逐次解消を図っていく、こういう方がいいのかということに関しましては、私どもは、住専という従来特別の目的を持った考え方金融機関というものの存在は消滅させた方がいいのではないかというふうに考えて、今回のような処理策をつくったわけでございます。
  254. 江田五月

    江田委員 初めに住専消滅ありきではないかという、そんな感じもするのですね。住専のもともとの役割というものはいい役割を果たしていたし、一時確かにバブルの中で、この数年、あるいはもうちょっとでしょうか、大変おかしなことになった。回りに非常におかしなものがいっぱいくっついてしまった。何ですか、脂肪がいっぱいついてしまったということかもしれませんね。  しかし、それをきれいに洗い落としていけば、もとのものはちゃんと残っているわけで、次第に個人住宅向け融資のそういう機構はなくしていった方がいいという、それはそうかもしれませんけれども、今、現にまだ十数年、恐らく十数年でしょう。一般の個人の債務者がいる、それはやはりスリムな形で残していて、しかもその間、例えば、住宅ですからもちろんだんだん価値が下がっていく、それに伴って債務もだんだん少なくなっていく、担保価値はだんだん減っていくという、非常によくできておる。もし家がずっともっと続くなら、担保余力ができるわけですから、今度はそこで住専からまたお金を借りて、そしてその家を例えば修理をするとか、そういうようなこともあるわけですよね。  ですから、結構いい仕事をやっているわけで、現に協同住宅ローンは、これは残すのでしょう。協同住宅ローンは残すのですか、どうですか、これは答えてください。
  255. 大原一三

    ○大原国務大臣 幸か不幸か、協同住宅ローンは六十三年にある事件に巻き込まれまして、それ以来不動産融資を非常に制約をして今日に来ております。したがって、八千億の融資の中、貸し倒れになりそうなものが二千億ございます。これについては、農林中金が責任を持って不良債権の償却をしていく、こう言っておられますので、なお引き続いて住宅ローンの従来の役割を果たしていける、こういうことを当事者は言っておられますから、それを見守っていきたい、こんな気持ちで今おるところであります。
  256. 江田五月

    江田委員 残すのでしょうと、こうちょっと聞いてみたのですが、本当はこれも怪しいのじゃないかなと実は私は思っておるのです。残せないのじゃないかなという気もするのですが、しかし残すというなら、それは残るものなら残した方がいい。同じようにほかの住専七社も、きれいにスリムにして、ちゃんと存続をさせて悪いことはないんで、それならば、協同住宅ローンの方もこの際きれいにする、スリムにする、そしてちゃんと残っていくということをやった方がいいんじゃないか。なぜ協同住宅ローンだけ別にするのか。まあこれは今までもいろいろ聞いていますから繰り返しませんが、そういう感じもあります。  残していく、しかしまあどうしてもそれはあれこれのことで残らないということになれば、整理をしてしまうということもあるし、住専七社が全部が一緒じゃないですから、それぞれいろんなものがありますから、残れるものがある、残れないものもあるいはあるかもしれません。そういう仕分けをしながら、住専一つ一つの会社について、透明性の高い、そして衡平な、そしてきっちりした処理の仕方をするというのが実は会社更生法ということになると私は思っております。  破産法は、これはもう御承知のとおり全部整理をしてしまうわけで、整理をしてしまうということですから、場合によっては、もう早い整理がいいからかなり乱暴に債務をカットしたり、あるいは取り立てなんかも、難しければそれはもうやめたというふうなことでやっちゃう乱暴なシステムですが、会社更生というのは、これは結構おもしろい法律で、うんちくを傾けるわけじゃありませんけれども、会社更生法というのはアメリカの法制に倣ったようですね。  つまり、会社というのはやっぱり生きていろいろ仕事をしている、そこに人が集ってやはりそこにそれぞれの個人のいろんな人生がある、ですから、それを全部ばさっと、もう死刑にしてしまうんじゃなくて、やはり大切に考えて更生をさせていこう。  ですから、エクイティーといいますか、衡平、いろんな債権者のそれぞれの事情、悪質な債権者もおれば、そうでもない、巻き込まれた債権者もいるでしょう。そういういろんな事情をよく勘案しながら、みんなの、機械的な平等、形式的平等でない実質的な平等が図られる、そんな解決の仕方で、しかも会社を残していこうというんです。例えば今だったら、母体行の方は役員まで送り込んでとか、あるいはいっぱい紹介融資なんかもあり、農林系というのはそうでないとか、まあそんないろんな事情があるでしょう。そういう事情を考慮せずに全部包丁で切るようにちょんちょんと切っていくんでなくて、もう少し丸みを帯びた、いろんな事情を勘案した、そういう整理をしようということでございます。  確かに破産法ですと、母体行の負担が結果的に少なくなって、農協系の金融機関の負担が三兆規模となって多過ぎる、まあそんな難点があるんでしょうが、少なくとも今母体行が三兆五千億円、一般行が一兆七千億円、農林系五千三百億円というところまでは、まだこれもちょっとはてなというところもあるのかもしれませんが、まあ合意ができるということで自信を持っておられるというようですから、これをベースにしていけばむしろ会社更生法の適用でやっていく方がいい。  会社更生法でいいか悪いかという検討、これはもちろんなさったんですよね。これは大蔵大臣ですかね。
  257. 久保亘

    久保国務大臣 今、住宅金融市場の需要やそれから住宅金融の機関、金融機関、こういうものの力関係、そういうものを見てまいります場合に、現に住専問題が起きてまいります過程で、住専が担う住宅金融の市場シェアというのは非常に小さぐなっていったわけですね。そのことがまた破綻の一因でもあると思っております。  それで、仮にその部門だけは健全な債権なんだからその事業部門を残せばいいじゃないかということは、当初の住専の設立のときに返れということと同じことになるように思います。それは今のこの時代ではもう立ち行かなくなってきているのではないかなと思っております。したがいまして、住専を整理解消するということを前提にして住専問題の処理に当たる以外にない、これが今回提案を申し上げている基礎的な認識であると思っております。
  258. 江田五月

    江田委員 私が大蔵大臣に伺ったのは、会社更生法による処理というのは検討をされたのでしょうねという、そういう質問をさせていただいたのですが。
  259. 久保亘

    久保国務大臣 法的な破産処理も会社更生法によります場合も、いろいろなケースというのは、当事者間の協議でも、また政府との協議におきましても、いろいろな議論が行われて検討された結果であると思っております。
  260. 江田五月

    江田委員 ちょっと無理な質問というのか、もともとこれを決めるときには大蔵大臣じゃないわけですから。総理もそうなんですが、まあ総理は閣内におられましたからおわかりなんでしょうが。  自民党で作成されたという「住専問題Q&A」というのが私の手元にあるのですが、「法的処理をすればよいではないか。」こういう問いに対して、答え、いろいろ書いてあるのですが、破産の場合しか書いてないのですよね。会社更生のことについてはこの「Q&A」には出てないので、それでちょっと伺ったのです。それは自民党政府じゃないと言われるかもしれませんが、もう一度、会社更生法についてはこういう難点があるという検討をされたのかどうか。いいです、お役人で結構です。
  261. 西村吉正

    ○西村政府委員 この住専問題の処理に当たりましては、春から、あるいは夏以降いろいろな場におきまして検討いたしました。それは政府の中でもございますし、与党の中でも検討されたわけでございますが、そのプロセスにおきまして、まず当事者間で問題の解決を図るということの努力がされたわけでございます。そういう当事者間の努力の一つとして、例えば再建型という中には会社更生法を適用する場合もございますし、和議法を適用する場合もございましょう。それから清算型でも破産法による場合と特別清算による場合とか、いろいろなケースを当事者を交えて検討をいたしました。  ところが、会社更生法や特別清算を行う場合には、多数の人の賛同がなければならない、しかしながら、そういう合意を得るためにはそういう多数の、三分の二以上とかいうような形で多数の方の賛同を得るということはどうも難しいという難点もある。そういう合意が難しいという問題をどうして解決していくか。そういう当事者間の話し合いも長期にわたり熱心に討議されたわけでございます。  与党の金融・証券プロジェクトチームという場におきましてお話し合いを促されたことも五回ほどございましたが、そういう中でも議論をされたことでございました。
  262. 江田五月

    江田委員 多数の皆さんの合意を得るのが難しいと。しかしここまで合意ができている、まあできているというか、これからまだまだ取りつけるというのか、それは大蔵省が出ていって、さあ判こをつけと言わなきゃ合意ができないという、そういうことですか。大蔵省が例の覚書に基づいて、ゴム判でもいいからとか言って念書をとってこなかったら合意ができないと、合意というのはそういうことを言われるわけですか。
  263. 西村吉正

    ○西村政府委員 私どもは、あくまでもこの問題は、まず当事者間で解決すべき問題である、当事者間の話し合いで解決されることが最も望ましいし、本来そうあるべきであるということで、今回もそのような努力を随分長い間してまいりました。  そういう話し合いの上に立って、残念ながらそれだけでは解決できませんでしたが、そういう話し合いの成果も踏まえて、最終的に、十二月の段階で与党の政策調整会議の御提案等もありまして、政府・与党が十二月の十九日に一つの提案を民間の方々にも提示をし、それに対して賛同を求めた、こういう形になっておるわけでございます。     〔委員長退席、三野委員長代理着席〕
  264. 江田五月

    江田委員 その合意ですが、まあ母体行三兆五千億、一般行一・七兆、農協系が〇・五三、ここまでの合意ができていれば、例えば今政府が提案をされているスキームですと、母体行、一般行、それから農林系、それぞれ二兆二千億円ずつ、これは融資をするんですよね。しかも、これは長期、低利でということになっているわけです。しかも、国の場合は六千八百億出しちゃうんですね。それと五十億の出資、機構をつくる費用ですよね、つくって動かしていく。  そういうものを言われるわけですが、会社更生法ならそういうものは要らないんですね。ちゃんと裁判所というしっかりしたシステムがあって、もちろん管財人に対する報酬とか、これは要るでしょう。あるいは管財事務所にいっぱい補助職員を置かなきゃいけないから、その費用も要るでしょう。しかし、税金六千八百億とか、さらに五十億とか、そんな金は全然要りませんよ。さらに、長期、低利の融資というのも要りません。そして、裁判所の監督のもとで透明な処理が図られていく。しかも、何か預金保険機構にいっぱい裁判官からも呼ぶんですって。検察や警察や、いっぱい集めて、それではっといくと言われるんですけれども、例えば債務者のところへ出ていって、もちろん任意に払ってもらえればいいですが、そうではなくて、いろいろなことをやらなきゃいけないときに、例えば保全処分というのはどうするんですか。これは、法務大臣は聞いても無理ですよね、やはりお役人ですね。
  265. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 どういう場面での保全処分かということを、私正確に質問を理解できなかったわけでございますけれども、破産手続なり会社更生手続なりの中での手続において保全処分の規定が用意されておりますけれども、その手続外の方法でやる場合には、それは一般の民事保全法とか、あるいは民事執行の場面でのそういう手続に入れば、民事執行の手続内での保全手続を使っていただくということになろうかと思います。
  266. 江田五月

    江田委員 いや、どうも濱崎さんはごぶさたしておりますという感じになるんですが、ぐあい悪いんですけれども、ここはしっかり聞かなきゃいけません。  会社更生法ですと、更生の申し立てをして、そうすると更生開始決定というのが出るわけです。そうすると管財人が選ばれて、そこからいろいろと進んでいくんですが、それまでの間でさえ、保全管理人をもう直ちに決めて、そして保全処分をちゃんとやっていけるというそういう手続が用意されているわけですよ。今度のスキームにはそういうものはあるのかないのか。これはどうですか、濱崎さん。
  267. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 ただいまお答えしたのもそういう趣旨でお答えしたつもりでございまして、舌足らずだったかもしれませんが、御指摘のように、会社更生の手続の中では債務者の財産を保全するための手続規定が用意されております。  今回のスキームというのは会社更生手続を使わないわけでございますので、その財産の保全の手続というのは、一般の、ただいま申しましたように、仮差し押さえ、仮処分でございますとか、あるいは執行手続、競売手続に入れば競売手続の中での保全処分といったようなものを駆使していただくということであろうと思っております。
  268. 江田五月

    江田委員 一般の法律ではもちろん適用可能であることは言うまでもないんですけれども、会社更生法の方がずっと迅速に、しかも専門家がてきぱきとやることができる。警察、検察の皆さん方は、それは手荒なことにはなれておられるのかもしらぬけれども、下手をしたら、債権の取り立てを余り警察、検察的なやり方で、的なと言うと語弊がありますかね、本当に民事事件で取り立てをするやり方にしっかりなれている人でない人がやると、これは逆に今度は恐喝的要素なんかも帯びてきたりするんですよね。  私は、何か強力な、腕力の強い者がいっぱい集まっておれば債権がどんどん回収できる、そんなものじゃないと思うんですよ。本当に知恵比べですからね。そういう民事的な知恵が集積してないとこれはやれるものじゃないんで、その意味からは、むしろ既存の、既に今用意されておる法的整理の仕方の方がずっといい。その中でも会社更生法の方が魂の通った整理の仕方ができる。第一早い。  利息がすぐとまってしまって、これは住専から貸し手に対する利息ですね、これがすぐとまってしまうので、例えば農林系、もうお手上げになるところがすぐ出てくるなどという、何か、ふん、そうかなと知らぬ者が聞いたらそう思うかもしらぬけれども、利息は十二月期まで払って、三月期はまだ決まってないんだそうですよね。ですから、もうとまるかもしれないのであるいは会社更生法なら利息がとまるんだと。そうじゃないので、裁判所の許可があればちゃんと利息も払えるんですよね。  あるいは、聞きますと、会社更生の手続の中で債権を回収しできますね。回収してきた債権というのは管財人の度量でいろいろ管理ができるわけで、したがって、会社更生法で回収されたものを例えば農林系に預けるという格好で保管をする。最後、更生計画のときに、その預けたお金は農林系の債務の弁済に充てるということを更生計画の中にちゃんと書いておって、それの認可を受けるとか、そういうようにすれば二兆二千億の長期、低利は要らないし、しかもちゃんと取れる。  今の五千三百億で済むか、あるいはそれよりふえるか、そこはちょっとわかりませんが、更生管財人が、母体行に責任があるんだ、母体行の責任をあくまで果たさせていくんだというそういう方針のもとに更生計画をきっちりつくっていけば、これは私は、関係者全員が納得できるものはつくれる。  なぜ大蔵省が自分の手の中で、自分の枠の中でやるのでなきゃだめだと言うのか。三権分立なんじゃないですか。国会ももちろんあるけれども、行政もあるけれども、司法だってあるので、今、申しわけないけれども大蔵省よりは司法の方が、裁判所の方がよっぽど国民に信頼されていると思いますよ。なぜそれをきっちりやらないのだということですが、総理、私が言っている気持ちはわかりますか、それだけちょっと答えてください。
  269. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、今、江田委員がみずからの御体験の中で蓄積された知識とともに述べられたそのお気持ちを全く理解しないつもりはありません。  ただ、その上で、私は、資産の劣化とか、あるいはその間に発生する新たな金利負担とか、さまざまな要因があるように思います。そして、そういう論議は、このプロセスの中で、私は、大蔵省がではありません、政府部内において、関係各省の議論の中で当然のことながら議論をされておったということは申し上げておきたいと存じます。  ただ、もう一つの問題点としては、やはりこの問題を、解決が、言いかえれば、損失が確定し、それぞれの負担がはっきりするその時間が余り先に延びることは避けたいという思いは関係者一同にございました。この点も御理解いただきたいと存じます。
  270. 江田五月

    江田委員 それはそうだと思いますね。時間がかかる、その間に金利も膨らんでいく、またいろいろな不測の事態も出てくる。やはり早く確定をし、早く処理をし、そして金融機関初め自由な身になっていく、あるいは土地が動いていく状況をつくる、土地が塩漬けになっているのをやめる、そういうこと、それはそうだと思うのです。ですが、それは会社更生法はだめだという理由にはならないのじゃないかということなんですね。  農林系が困ってしまう。破産だと確かに負担がかなり大きくなる。会社更生法だとそうまでいかないと思いますが、それでも困ってしまう。総理は、ずっと繰り返し、金融秩序のためであって農林系のことだけじゃないのだとおっしゃいますが、しかし、どこがどういうふうに救済されるかというと、やはり農林系が一番強い、どこがどう危ないかというとやはり農林系が一番危ない、これは事実だろうと思います。私どもも、農林系というものは、これはちゃんと守っていく、そして、農家皆さん、組合員の皆さんに不測の損失が起きないように考えていく、これは大切なことだと思うのですね。  ですから、それはそういうことだとして、そして国民皆さんに我々も説得をし、御理解もいただいてやるということでなきゃいけないので、何かわけのわからぬうちに農林系だけが救われたということになるのは、これはやはり農家皆さんのためにもならない。  やはり今、これは農協だけじゃないので、農業全体ですよ。農業という産業あるいは農家皆さん、農村、そして農協、こういうものも全部、今までの続きじゃなくて、やはり何か変えていかなきゃいけないときが来ているのじゃないでしょうかね、農業政策全体。  そんな中で、今までの農協システムをただそのまま守るためにというのじゃなくて、やはりこれは農協にも体質改善をお願いをしていくというようなこともしなきゃいけない。その意味からも、今までのものをそのままにした解決策ではだめなんだ、国民皆さんの怒りの声をひとつしっかりと受けて政治家としての決断をするのだという、これが必要で、それは、今のこのスキームを守ることじゃなくて、むしろ、あらかじめ用意されている法的整理だと。ここはちょっと見解が違うということになるのかもしれませんが。  さらに、もっと言いますと、国民の税金を使わないとか、あるいは長期、低利の融資も要らないとか、それだけじゃなくて、民事、刑事の責任をちゃんと管財人が追及をする、うやむやに終わらないとか、今回のスキームと比べると責任追及の面で本当に雲泥の差、天と地ほどの差があると私は思いますよ。  例えば、管財人には否認権の行使という方法があります。この否認権は、破産ですと訴えとか抗弁でしかできませんが、会社更生ですと請求ということでできます。この違いは、これはもちろんおわかりですね。濱崎さん、ちょっと説明してみてください。
  271. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 突然の御質問でございまして、余り正確にお答えできるかどうかわかりませんが、御指摘の否認権という制度が会社更生手続においては設けられておりまして、債務者の財産が不当に流出した場合に一定の範囲内でそれを取り戻すことができる、そういう権利が管財人に与えられているわけでございます。  なお、申しわけございませんが、先ほどの保全処分との関係で御答弁申し上げたことを若干、若干といいますか、場面を取り違えておりましたので訂正させていただきたいと思いますが、会社更生手続で、破産宣告前であっても債務者の財産の散逸を防ぐための保全処分をすることができるわけでございますが、今回の法案で想定されているスキームにおきましては、債務者すなわち住専の財産の散逸という観点からは、債権処理会社が住専の持っている貸し金債権その他の財産を譲り受けるということによって、譲り受ければそれ以上散逸するおそれがないという形によって処理されるという関係にあるものと思っております。訂正させていただきます。申しわけありません。
  272. 江田五月

    江田委員 今、私、訂正の部分じゃなくてその前のことですが、否認権というのは訴えか抗弁、これは破産法。これは訴訟手続になるわけです。訴えなら否認権を行使する者が原告だし、抗弁なら被告だし、訴訟手続になる。ところが、会社更生法では請求でいいとなっているのはどういうことかというと、会社更生手続の中の請求で、後は決定で、つまり口頭弁論だ、証拠調べだということでない、もっと簡便な方法で否認権の行使ができるというそういう処置になっているわけです。  そんなこともありますし、あるいはこれは、後これからだんだんそっちの方へ入っていきたいと思いますが、損害賠償請求権査定の申し立てというのがあるのですよ。これはなかなか大したものでして、すぐれものなんですが、例えば住専の取締役の皆さん、監査役の皆さんがおられますよね。この皆さんに対して、住専という会社の仕事を処理するのにいささか手落ちがあったじゃないか、忠実義務に違反しているじゃないか、そうするとその取締役に対しては損害賠償を会社は求めることができるわけです。  きょう午前中でしたか午後の最初かな、何かそういう質問があって、この問題について答弁もあったようですが、これから詰めていきたいと思うのですが、そういう損害賠償請求権の査定の申し立てを更生裁判所に対して管財人がやるのです。そうすると、各取締役の皆さん方、監査役の皆さんは、訴えでその損害賠償額を決めるのではなくて、更生手続の中で損害賠償額や何かが決まっていく。しかも、これは管財人が決まる前、つまり申し立ててから更生開始決定が行われる前、その間に保全管理人を決めて、その保全管理人が申し立てて、しかもそれについて保全処分もできるという、各取締役、監査役などですよ、こういうこともできるとなっているのです。今度のこのスキームにそういうものがどこか片りんでもありますか。
  273. 西村吉正

    ○西村政府委員 まず、住専住専にお金を貸しております金融機関との関係の問題について今議論がなされておる、こういうふうに理解した上で……(江田委員「いや、今言っているのはそうじゃなくて、住専とその住専の役員との関係」と呼ぶ)はい。  したがって、住専に対してお金を貸しておった、あるいは住専そのものの役員の問題、もう一つ住専がお金を貸しておったところの債権債務関係、この二つの問題に明確に分けて議論がなされる必要があろうかと思うのでございます。  まず、その今お尋ねの件につきましては、住専処理機構は住専が持っておりました債権債務を引き継ぐわけでございますが、その中には損害賠償請求権を貸付債権等とともに住専から譲り受ける、このようなことになっております。したがいまして、住専が持っておりました役員に対する損害賠償請求権、そういうものもこの住専処理機構が引き継ぐという考え方をとっております。
  274. 江田五月

    江田委員 それはちょっと、どうせそこへ質問が行くからと思っておられたから質問を勘違いして聞かれたのかもしらぬけれども、早とちりなんですね、早く答え過ぎているんです。そこまで行っていないんです、まだ。  私が聞いたのは、今の損害賠償請求権査定の申し立て、しかも、更生開始決定が出る前であっても、保全管理人を任命して、その人がこの申し立てをして、しかも保全処分までやるということが、会社更生法の中にはそういうシステムがあるんですが、そのようなことが今のこのスキーム、今のこのというのは政府が出しておられるスキーム、法案もきょう出てきたようですが、そうしたものの中にありますかということを聞いたのです。  同じ質問を何回もしていると時間がかかってしょうがないので、よく聞いていてください。
  275. 西村吉正

    ○西村政府委員 江田委員法律問題について御議論をいたしますのは大変荷が重いのでございますけれども、私どもは、今おっしゃいましたようなことが必ずしもこの住専の役員……(江田委員「あるか、ないかと聞いているのですから、ないならないと答えてくださいよ」と呼ぶ)ないと理解しております。
  276. 江田五月

    江田委員 ないんですよね。ですから、それは、そういう会社更生法というものの、いろいろ用意されている、ほかにもいっぱいあるのですよ。例えば、送達なんというのがありましてね。これ、総理、送達なんというのは本当に専門家じゃないと、書類を届けるのですけれども、これは普通だったら、届けないと、それで、ちゃんと届いたということが証明できないとなかなか前へ進めないのですが、会社更生法はそんなのも普通の郵便で送ればいいんだ、それで普通の郵便が届くであろうときに届いたとみなすんだという規定までちゃんとできているわけで、どんどんどんどん進めることができるのです。本当によくできたものがあるのです。現に用意されているのですよ。  お配りしている紙、これは簡単な紙ですが、大蔵省、農水省がそれぞれ指導して、銀行、農協、そこから融資が出て、住専七社、そこへ来ている。そこに行政責任もあるし、あるいは民事、刑事の責任も出てくる。その住専七社に管財人を置いて裁判所が監督して、その管財人がそれぞれの融資をしているものをちゃんと処理をしていく。そこに責任もあるし、民事、刑事の責任追及もそれぞれある。不良債権については、管財人が、不良債権となってしまった借り手、これも場合によっては破産をさせたり会社更生をさせたりということになって、そうするとそこへも管財人が送り込まれて、そして全部これを裁判所が監督をしながらやっていくわけです。警察、検察の役割もあるでしょう。暴力団が出てきたら、そこへ管財人が待ったをかけるようなこともできるでしょう。  こうしたことが全部きっちりできて、しかも、先ほどちょっと言いましたような、回収できたお金の管理の方法などを通じても、債権者に対していろいろな説得の道具も用意できるわけですし、また母体行、一般行、農協系、それぞれ更生決定の中で決められた額を放棄をしますが、その放棄は解除条件つきとすれば、放棄したものだってさらにお返しできるというような形にすれば、そうすると、こういう債権者の皆さんもずっと安心する。  東京地方裁判所、大阪地方裁判所民事部にそれぞれ住専関連の特別部をつくるとか、そして、これも申し上げましたが、破産管財人事務所にちゃんと専門の補助職員をきっちり置いてやるという、そういうやり方でやれるのに、なぜそれをやらずに、しかも、住専それぞれまだ優良なちゃんとした債権があるのに、そして仕事もある、本来の住専の使命もあるのに、なぜ整理をしてしまわなきゃならぬかというと、私は、やはり整理をしてしまって住専処理機構に移さなきゃならぬと思った別の理由があるような気が実はするんですよ。  これはあるいは、そんなことはないと総理お怒りになるかもしれませんけれども、本当にそんな気がして、国民が皆そのことを疑問に思っているんです、疑っているんです、これは。それが何かといいますと、さっきの損害賠償請求査定のことや何かと関係するんです、それは。本当に民事、刑事の責任を追及する気持ちがあるのかという。  与党三党の合意がありますね、この何か分厚い資料の中で。どこでしたか、「住専問題の処理について」で、一の(c)項ですか、「民事上・刑事上の責任」「住専処理の過程で発見される民事上・刑事上の責任は厳格に剔抉されるべきである。」という、剔抉なんというのは、昔何か受験勉強の時代に読み方を習ったような難しい字ですが、なかなか味わいのある言葉でちゃんと書いてある。それはそれで多とします。しかし、本当にそれをやるんですか。  例えば私、刑事上の責任のことをちょっと聞いてみたいんですけれども、お出しいただいた資料の「住宅金融専門会社七社に関する平成三年ないし平成四年の第一次立入調査結果(個別貸付先の財務状況等)」で、ぱっとめくりますと、これは日本住宅金融株式会社の項の、あっ、そうだ、きのうですかおとといですか、だれか聞いていましたね、海江田さんか。法人税の偽造納税証明書を利用されて、担保物件に国税庁の先順位債権があるのを見逃したというケース。いや、ほかにも似たようなのはいっぱいあるんですが、これなんか公文書偽造ですよね、公文書偽造。これは告発をされるのかされないのか、これはどうですか。
  277. 西村吉正

    ○西村政府委員 告発という意味でございましたら、今の住専が告発することも可能なわけでございますけれども、引き継ぎました住専処理機構が告発するということもあり得ると思います。  なお、先ほどからの御議論で、どうも私どもと少しすれ違いがあるかなと思いますのは、先ほど橋本総理も御説明されましたように、我々の今回のスキームの前提は、住専というものは整理、清算しなければならないという現実から出発しておるわけでございまして、委員御指摘の会社更生というのは、会社を存続させるという前提での御議論だろうと存じますけれども。したがいまして、私どもの御説明が必ずしも御指摘と合わない点があるとすれば、その前提、出発点において違いがあるからかと存じます。  なお、その点に関しまして、既に一番初めに提出いたしました資料で、例えば四十二ページでこの住専の実態をごらんいただきますと、関係者が整理、清算ということを前提にせざるを得なかった事情をおわかりいただけると存じます。
  278. 江田五月

    江田委員 もう議論を蒸し返してやってもしようがないので、そこは、皆さんがそういう気持ちでやられていることは、こちらはわかっているわけで、しかしそれでいいのかということも聞いているわけですよ。それは、住専を全部整理しなきゃならぬ理由があるんじゃないかと実は思っていると今言っているわけで、その理由というのは何だということをこれからちょっと聞いてみたいなと思っているわけですが。  偽造ですね、これ。それで、刑事訴訟法二百三十九条は、「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」こう書いてあるんですよ。これはあれですか、飾りですか。何か、することになろうかと思いますとか――なろうかと思うとかじゃない、「ならない。」と書いてあるんですがね。これ、どうなんです。
  279. 西村吉正

    ○西村政府委員 私どもが告発をするかという意味でのお尋ねでございますれば、私どもは告発すべき事実及び確信を得ましたら、私ども立場で必要な措置をとる、こういうことになろうかと思います。
  280. 江田五月

    江田委員 それは、それぞれお立場、お立場、いろいろあるから、物の言い方いろいろあると思うけれども国民が今のあなたの言うようなことを聞いたら、これは本当にやる気があるのかなという、何かやっぱりやましいところがあるのかなというような勘ぐりが出てきますよ。  公文書偽造というのは、これは刑法百五十五条でしたか、一年以上十年以下、刑訴法二百五十条三号ですから、長期十年以上で七年の時効ですから、早くしないと時効になっちゃいますよ、早くしないと。  それで、商法の特別背任、これは五年で時効なんですよね。ですから、今九六年ですから、九一年、日々時効で逃げていっている。どうしますか、これは。
  281. 西村吉正

    ○西村政府委員 私ども、いわば監督の立場にある者として、適切な措置をとらなければいけないという気持ちで取り組んでおりますことはお認めいただきたいと存じますが、他方におきまして、今回の住専調査につきましては、調査ということではございますが、銀行検査の場合に、検査の結果を犯罪捜査のために用いてはならないというような法律の明文上の規定もございまして、調査とか検査とかいうものの性格というものをも御理解いただきたいと存じます。
  282. 江田五月

    江田委員 犯罪捜査のために用いてはならぬことはよく知っています。犯罪捜査のために調査に行ったわけじゃないでしょうから、その規定にはあなた方違反していないことはよくわかっています。しかし、その職務を遂行していく中で犯罪が発見されているんじゃないですか。  与党の方は時効のことを何か議論されているようですが、刑事の時効を議論しておったら、どうもやっぱりこれはまずいというので民事の時効の方にひょいっとすりかえてというように私には見えるのですが、違うかもしれませんが。  刑事の関係の時効の延長というのは、やっぱりちょっと無理がありますね、総理、残念ながら。やっぱり、事後法で憲法違反の疑いがどうしたって出てくるから、刑事は。これはしようがない。しょうがないけれども、だったらやっぱり迅速にやらなきゃ。今の公文書偽造なんか何をか言わんやですが、もっとあるんですよ。  去年の臨時国会のときでしたか、山口敏夫議員が議論になりましたね。あれは、回収の見込みのないところへそのことを知りながら貸しちゃったら、まあいろいろほかの要件がありますが、背任になるよと、貸せと言ったら背任の共犯になるよということでしょう。回収の見込みのないところへ貸したら背任で、それを貸せと言ったら背任の共犯になる。母体行も含めてですよ、紹介融資をしたような銀行も含めて、私は、商法の特別背任あるいは刑法の背任に当たるような事例というのはかなりあるんではないかと思いますよ。この追及をやる気があるのかないのか。総理、これは覚悟の点をひとつお示しください。
  283. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私どもは、議員が言われましたように、刑事、民事いずれの場合でありましても、違法なものはそれこそ、剔抉という難しい言葉は私使うつもりはありません、むしろ本当に一つでもきちんと処理をしていかなければならないという覚悟でこの問題に当たっております。  それだけに、できるだけ早くそういう体制をつくって取り組めるようにしていただきたい、心からお願いをいたします。
  284. 江田五月

    江田委員 いや本当に、例えば相手先の調査が不十分であったとか調査を全然していないとか、紹介融資とか仕手株の失敗なんかまであるんですね。回収の見込みのない融資、追い貸し、利息上乗せ貸し、リベート、粉飾、まあまあいろいろ挙げていけばもう切りがない。総理も慨嘆をしておられましたがね。本当に……(発言する者あり)いや、つぶすのがいいのかどうかという話は、しかも、そのつぶし方がどういうつぶし方がいいのかというのはまたいろいろ議論があるんです。いろいろあるんですけれども、刑事の問題はやれます、これはやれます。しっかり本腰を入れてやっていただければやれます。  民事の方は、私は本当にこれはいぶかしく思います。本当にやる気があるのかどうかいぶかしく思います、残念ながら。商法二百六十六条、取締役、監査役その他がその忠実義務に違反をして会社に損害を与えている場合に、会社に対してその賠償をしなきゃならぬ。この責任の追及を本当にする気があるのかどうか。これは……(発言する者あり)第三者は二百六十六条ノ三ですよ。弁護士でしょう、あなた。ごめんなさい、ちょっとあっちとけんかしちゃいかぬ。  本当にやる気があるのかどうかで今先ほどのお答えを聞いていると、債権譲渡でその責任も住専処理機構の方に移すんだという、そういう答えでしたね。  それはこの、今出てきたばかりというか、これは閣議決定、国会にまだ出ていないのかな。もう出ていますか。この法律の中ではどこにそれが書いてあるんですか。
  285. 西村吉正

    ○西村政府委員 「預金保険機構の業務の特例」といたしまして「特定住宅金融専門会社からその貸付債権その他の財産を譲り受ける」となっておりますが、その中には先ほど申し上げましたような損害賠償請求権をも含んでおる、したがって、それに基づいて住専が損害を受けた場合のそれに対する請求権も引き継ぐ、こういう理解をしておるところでございます。
  286. 江田五月

    江田委員 これは債権等の譲渡で財産の譲渡と、こうなるのだろうと思いますが、あれでしょう、私の理解では、それぞれの住専がいろいろ経理上の処理をちゃんとやって、どれだけの債権を譲渡をしますということをきっちり整理をして、それに数カ月かかる、そして、これだけのものを譲渡ですよといってちゃんと住専処理機構に渡すと、こうでなけりゃ、何かうちの債権は全部譲渡だよというんで、それで全部移るとかそんな話じゃないと思いますよ。ちゃんとやはりきちんと処理をして譲渡をするんだろうと思いますが、そういう処理をやるんですか。
  287. 西村吉正

    ○西村政府委員 政府部内で関係者の間で検討いたしまして、そのような処理ができる規定になっているということを確認をいたして、先ほど申し上げたような理解をしておるところでございます。
  288. 江田五月

    江田委員 いやいや、ちょっともう一遍聞いてください。  ちゃんと債権を譲渡するのですから、借り手はこことこことここで、それぞれの案件ごとの債権がこうあって、担保がこうついていてとかいうのが全部あって、さらに、だれそれ取締役についての損害賠償債権、だれそれの損害賠償債権と、ちゃんとそういうものが全部きっちり一覧になって、そして譲渡をされるという、そういう処理の仕方でしょうと言っているのですよ。
  289. 西村吉正

    ○西村政府委員 先ほど申し上げましたように、住専の役員や紹介融資を行った金融機関等に対する住専の損害賠償請求権は、貸付債権その他財産の一部として、他の資産とともに一括して住専処理機構に譲渡し得るという理解のもとに、当該損害賠償請求権は、譲渡の時点において賠償の金額や具体的内容が特定されている必要はなく、賠償の相手や不法行為の事実がある程度特定されていれば足りる、そのような理解をしておりますので、問題はないと思います。
  290. 江田五月

    江田委員 ちょっと、どの程度特定するのですか。もう一遍。
  291. 西村吉正

    ○西村政府委員 先ほど申し上げました、引き継がれる損害賠償請求権は、譲渡の時点において賠償の金額や具体的内容が特定されている必要はなく、賠償の相手や不法行為の事実がある程度特定されていれば足りるという理解をしております。
  292. 江田五月

    江田委員 賠償の相手というのは住専のことですか。賠償の相手とは何ですか。
  293. 西村吉正

    ○西村政府委員 賠償を請求する相手というのは、今申しましたのは……(江田委員「賠償する相手じゃなくて、賠償を請求する相手ね」と呼ぶ)
  294. 三野優美

    ○三野委員長代理 委員長の許可を得て発言してください。
  295. 江田五月

    江田委員 はい、済みません。
  296. 西村吉正

    ○西村政府委員 私が申し上げましたことをもう一度読みますと、当該損害賠償請求権は、譲渡の時点において賠償の金額や具体的内容が特定されている必要はなく、賠償の相手や不法行為の事実がある程度特定されていれば足りると申し上げたわけでございますが、その賠償の相手というのは、賠償を請求をする相手という意味でございます。
  297. 江田五月

    江田委員 何か急ごしらえの文章のような感じですよね。賠償の相手というと、普通だったら賠償……(発言する者あり)まあいいですよ、それは。わかった。  いや、本当ですかね、しかし。損害賠償を請求する、この人、この人、それで不法行為の事実のあらまし、そんなことで、それでいいのか。  あるいは、もっとずっと調査を、これは秋ごろまでの間の調査でそういう事実を明らかにして、それで損害賠償を請求する相手を特定して、そして譲渡するというようなことですが、では、だれがやるのですか、それは。だれがそういう整理をするのですか。
  298. 西村吉正

    ○西村政府委員 整理とおっしゃいましたのは、住専処理機構がそのような任に当たるという御趣旨と承りました。
  299. 江田五月

    江田委員 ちょっと今、質問が僕も悪かった。ごめんなさい。  そういう債権譲渡をするときに、金額とか具体的内容までは特定をしていなくても、だれが賠償の相手とか不法行為の事実とかをちゃんと整理を、何という言葉でしたかね、それを特定して、そして債権譲渡をする。そういうその賠償の相手とか不法行為の事実を特定して、そして、どういう言葉で言うのですか、それぞれの譲渡する債権を特定をする仕事はだれがするんですかと言うんです。
  300. 西村吉正

    ○西村政府委員 それは、住専からその資産を住専処理機構が引き継ぎました後でございましたならば、住専処理機構が行う、こういうことになろうかと思います。
  301. 江田五月

    江田委員 債権譲渡でしょう。何を譲渡をされたかを、譲り受けた方が後から決めるんですか。何ですか、それは一体。
  302. 西村吉正

    ○西村政府委員 住専の資産を住専処理機構が引き継ぐわけでございますが、その際にある程度特定するのは、住専が特定すればいいかと存じます。
  303. 江田五月

    江田委員 そうでしょう。住専がやるんでしょう。それは住専がやらなきゃ、ほかにだれもできない。  そこでなんですよ、総理住専の役員が、自分の前の役員とか今の役員とか、これは監査役が監査しているのが適当な監査だってありますよ。そういう住専の役員が自分のところの役員に、あの人に請求する、この人に請求するなんてことを、そんなことをやれると国民はとても信じられないですよ、それは。  総理、どうです。総理、一人の国民となって今の役人の方の――それがちゃんと住専の役員が自分の身内のことを、そんなことをすると思いますか。大体これは自己契約とか双方代理とか、そういうようなことで、そもそもそんなことは許されないんですから、法の精神として。いかがです、総理
  304. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 大変申しわけありません、法制局長官から専門家の耳打ちがありましたが、専門家過ぎて私にはよくわかりませんでした。  ただ、いずれにしても、債権債務を住専処理機構に移します段階で、住専は当然ながら、私は良心を持って行動すると思いますけれども委員が指摘をされたようなケースが全くないとは私も言えないと思います。  その場合に、債権債務を引き継ぎました住専処理機構並びにそれを監督する預金保険機構において、それぞれを精査する過程におきまして役員等に問題がありました場合には、当然ながら、その時点において、住専処理機構、場合によりましては預金保険機構がその権利を行使するということは否定されていないと私は思います。
  305. 江田五月

    江田委員 住専処理機構とか、あるいは預金保険機構にこれから置かれるところとか、そういうものがそれぞれの住専がちゃんとした仕事をするのをチェックして、そして、住専が自分の身内のことを処理するのに身内だからといって甘いことがあっちゃいかぬ、そういうことのないようにする、それはできると思うのですよ、そこは。  だけれども、それは事実上のことであって、それだってやはり隠せば隠せてしまうようなところはあるだろうと思うのですよ。これは、今回の住専の一連のことを見ていましたら、もういっぱい出てくるんだと思いますよ。本当に、もうみんな取締役がごろごろ、これはひっかかるんだろうと思いますよ。  まだ刑事事件は故意が要りますから、それは、いや悪気じゃなかったんだということも、それだって悪気のケースもあると思うけれども、まあ悪気じゃなかったというのはあるでしょう。しかし、民事事件の方はそうじゃないんで、忠実義務違反ですから、忠実義務違反はいっぱいあるだろうと思うんですよ、本当に。ですから、民事の責任、これは厳格に剔抉されるべきであると与党で合意をされているんだったら、こんなものじゃだめだと言わなきゃいけない。  私は、きのうおとといあたりからずっと大蔵省の説明を受けてきて、これはちょっと、まあこんなところで言うのも変ですが、説明が変わってくるんですよ、大蔵省の方の。やはり与党の皆さんも頑張られたんだと思いますよ。与党の皆さんも頑張られて、これじゃだめだと言って突っ返したんだと思いますよ。だけれども、突っ返してもまだこれでは、与党の中でそういうことにきっちり認識を持っておられる皆さん方がもし納得をしたんだとすると、これじゃ民事の責任は全部逃れてしまう。先ほどどなただったか、恩赦令と言いましたか、私は、これは壮大なる免責機構だ、住専処理機構じゃなくて住専免責機構だ、そう思いますよ。本当だったら、ここでこれは審議をとめなければいけないところだと思いますけれどもね。――法制局長官が何か言いたそうですから、どうぞ。どうぞと私が言うのじゃない、委員長、どうぞ。
  306. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 本日閣議決定をいたしました法案のスキームに関することもございますので、法案審査に当たりました法制局の立場として若干お答えを、御説明を申し上げたいと思います。  債権の回収強化策についてのお尋ねでございますが、立場が異なりますので、委員が求められるほどの強度なものであるかどうか、御満足をいただけるものであるかどうかについては、見解の相違もあろうかと思いますが、今回の法案で仕組んでおりますスキームの中で、損害賠償請求権の処理の問題でございますが、御承知のとおり、債権の譲渡ということになりますと、債権の譲渡者と譲り受け人の間の合意が要ります。そして、その旨の債務者に対する債権譲渡の通知が要ることは、委員承知のとおりだと思います。  したがいまして、債権譲渡、損害賠償債権の譲渡のためには、だれが債務者であるかということは当然ある程度確定していなければいけませんので、その程度のことは判明しておらなければそもそも不法行為債務の譲渡ということはあり得ないわけです。  そこで、今回は、十六条におきまして、「機構は、第三条第一項第二号から第八号までに掲げる業務を行うため必要があるときは、債権処理会社に対し、その業務又は財産の状況に関し報告又は資料の提出を求めることができる。」ということで、住専会社だけにゆだねるのではございませんで、預金保険機構の立場でそういう不法行為債務が発生しているのではないかということを積極的に探知し得る根拠規定を設けているわけでございます。
  307. 江田五月

    江田委員 これで本当にできるか。だれが一体そういう整理をするのか。住専がやる、住専が身内に対してやる。後から出てくるのだってありますよ、多分。従業員に対する責任追及だってあるだろうし、母体行側にもいろいろあるかもしらぬし、借り手の方にもあるかもしれないし、じゃ、借り手が借り手の取締役に対して、あるいは監査役に対して責任を追及しなければならぬ事案というのを住専側ならできるというようなケースだってあるかもしれませんよ。  これは総理、本当だったら住専の株主が株主代表訴訟でやれるケースがいっぱいあるはずなんですよ。ところが、住専の株主というのは、これは全部母体行でしょう。母体行は紹介融資まであれこれやっておいてまさかやるわけないとか、なかなか市民が責任追及しにくい構造になっているところへ持ってきてですよ、今度これで住専をつぶして、住専処理機構に移して、そして確かにそれは何人か血祭りに上げるというようなことはあるかもしれません。しかし、あとの人はみんな免責、逃れていく。免れて恥なきというのはこれなんじゃないか。  私は、だから大蔵省がつくった壮大なこのシステムの中でやっているのじゃだめだ。まさに官権じゃなくて民権の出番なんじゃないか、そのことを聞きたいのですが、まあやめておきましょうか。一言、田中長官、答えられますか。いいですか。いや、本当にそう思いますよ。ここで頑張っていただきたいと思いますよ、本当に。  もう時間がありませんが、ここへ投書が、まあ新聞の投書を読み上げるのもどうかと言われれば一それでもやはりこれはぜひ読んでおきたいと思いますよ。  東京都の方で、   夫の経営していた従業員十人にも満たない町工場が倒産して二年になります。役所や銀行、親会社以外、債権者はほとんど関連の業者仲間。「必ず返済する」との夫の言葉を信じ、「返せ」と押しかけてきた業者は一軒もありませんでしたが、工場を明け渡し、家も土地も競売に付され、生命保険すら解約。自殺もできないからと、夫は五時起きして図面を引き、仲間の好意で借りた工場の片隅で文字通り身を粉にし、日曜も祝日もなく働いております。毎月、たとえわずかでも都合のつく額を、今も債権者に返し続けております。   夫はバブルに狂ったわけでも、金もうけに走ったわけでもありません。納得のいく機械作りに心血を注いでいただけです。資金繰りにほんの少しつまずいただけで、銀行にも親会社にも情け容赦なく切り捨てられ、今届くのは払えぬままの固定資産税と国民健康保険料の督促状ばかり。   「住専」に怒らずにおられましょうか。怒りは日々募ります。わが夫のような思いをしながら、黙々と税金を納めている人たちが、全国にどれほどいることでしょう。   バブルで散々甘い汁を吸い、なお平然と国民の血税を当て込む企業にも銀行にも、それを助けている官僚や政治家にも、「恥を知れ!」と言いたい。 投書です。  さらに、こういうシステム住専をつぶして処理機構になんか移して、免れて恥なきというのをそのまま許していたら、これは私はとんでもない、後世私たち政治家はどう謝っていいかわからぬ。ですから総理、私は、今国民の怒りをちゃんと受けて本当に政治家が決断をしろ、こんな甘やかし、こんなあいまいな処理の仕方はだめだ、こう言っているわけですが、最後に総理の覚悟を聞いておきたい。
  308. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 司法の専門家としての立場からの委員の真剣な御議論、その立論は私も真剣に聞かせていただいたつもりであります。しかし同時に、私どもがこの何カ月かの間、この問題に真剣に取り組まなかったと思われることは心外であります。  そして、議員は会社更生法を中心にした考え方の中で、これに対しての対応を御論議をいただきました。本日までに、破産法を適用すべしということから議論を展開をされた議員もおられます。それぞれに私は、そのお立場からの議論は真剣に拝聴させていただきました。同時に、政府としてぎりぎりまで当事者の話し合いを進めながら積み上げてまいりました結論は、現在御審議をいただいておる中身であります。これに対して、世論に厳しい御批判のあることも承知をいたしております。殊に情報開示がおくれました分、その厳しさは強いものがあります。  私どもとしては、その理由を一生懸命これからも御説明をしながら、先ほど来議員が述べられたような、すべての悪が逃げ出すような組織にならないように全力を尽くしてまいるつもりでありますし、ここにおります官僚諸君も、議員の御議論を聞いておりまして何らかの思いをそれぞれ胸に秘めたと私は思います。ぜひ御協力をいただき、効果が上がるように、今後ともに御支援をお願いを申し上げます。
  309. 江田五月

    江田委員 会社更生法ならそれができるということを申し上げて、終わります。
  310. 三野優美

    ○三野委員長代理 この際、前田武志君から関連質疑の申し出があります。江田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。前田武志君。
  311. 前田武志

    ○前田委員 江田委員の関連として質問させていただきます。  先ほど私は政府の方から、この住専処理機構に関する特別措置法案の要綱をいただいたわけですが、政府の方でこの目的について簡単に説明をしてください。
  312. 西村吉正

    ○西村政府委員 今回の特定住宅金融専門会社の債権債務の処理の促進等に関する特別措置法案の趣旨でございますが、住宅金融専門会社をめぐる問題が我が国金融の機能に対する内外の信頼と信用秩序の維持に懸念を生じさせているという事態にかんがみまして、その債権債務の処理を促進し、信用秩序の維持と預金者の保護等を図るため、緊急の特例措置として、預金保険機構に、その業務の特例といたしまして、住宅金融専門会社から財産を譲り受けてその処理等を行う会社の設立をし、及び当該設立をされた会社に対する資金援助等をする業務を行わせるとともに、預金保険機構がその業務を行うために必要な国の財政上の措置等を講じることを定めるものでございます。
  313. 前田武志

    ○前田委員 というわけで、金融システムの内外における信頼が大きく低下することに対して、秩序維持、そのためが一番大きな目的になっている。これは総理大蔵大臣を初め、すべてそういうことで、とにかく早くやることが重要である、こういうことでございました。  さて、その先でございます。要するに、こうやって金融システムの信頼を回復させて、それは何のためにそういう必要があるのか。それは当然、我々国民の生活を守るためにあるんだろうと思うんですね。そしてまた、それはとりもなおさず一般国民から見れば、とにかく早く景気をよくしてくれということもありましょう。それから、こんなに金利を低くして、銀行はこれでがっぽがっぽもうかっている、償却もできる。しかし、逆に言えば、年金生活者であったりあるいは一般国民は、その金利低下分大きな損をしている。  結局はこの金融システム維持ということに、これは一番緊急の課題であることについては私も異論はございませんが、やはり国民のための金融システムであるわけでございますから、その先についての、総論で結構でございます、そういう景気対策等も含めてこの金融システムを維持するという第一段階の先にどういうふうな政策を考えておられるのか、総理の御見解をまずお聞きいたします。
  314. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先般来、何回か御答弁を申し上げてまいりましたが、ここしばらくの間に幾つかの信用組合を初めとした金融機関の破綻が相次ぎ、国内的にも金融システムというものに対する不安が生じておったことは委員承知のとおりであります。さらに、海外におきましても、その国の法制度に全く相反する不祥事が発生をしたこと等により、日本金融システムというものに対しての信頼は非常に大きく傷つきました。  しかし、それぞれの個別の事象の前に、このところ、国際的に非常に厳しい視線が浴びせられてきておりましたのは、日本金融機関の持つ不良資産、これが大きな課題であったことは御承知のとおりであります。そして、大蔵省の把握いたしております数字で申し上げますなら、その総額は三十八兆とも言われております。そして、これだけの不良資産というものを抱え、さらに幾つかの金融機関の破綻、また海外における不祥事といったものが日本金融システムに対し非常に大きな批判を呼び、ジャパン・プレミアムといったものも現実のものとなりました。国民の間にも金融機関に対する不安が出てまいりました。  私どもは、この不良資産処理というものをできるだけ早く行っていかなければなりませんし、それを並行しながら目指していく道というならば、それこそそれぞれの金融機関がみずからの足で立ち、いわゆる護送船団方式と言われるような保護のもとにあるのではなく、みずからの足で立って進んでいけるような金融機関になってもらうことでありますけれども、そのためにこの不良資産処理は急がなければなりませんが、その象徴的であり喫緊の課題になったものが住専であったということであります。  それだけに私どもは、この処理を終わることによって自己責任原則というものを確立させながら金融行政というものを進めていく、そうしたことを目指しております。
  315. 前田武志

    ○前田委員 総理の今の前段のそのお話は何度もここでもお伺いをし、私も総理のお気持ちはよくわかるわけでございますが、要するに、これによって実体経済にどうつなげていくのかというところについてむしろお聞きをしたいわけでございまして、それはまた後でいろいろと総理の御見解をお聞きすることにいたします。  さて、この処理機構でございますが、今江田委員質疑等を通じて聞いておりまして、もちろんこの機構というものが、今までの局長あるいは大蔵大臣の御答弁では、非常に強力な手段で債権回収等をやっていくんだ、処理をやっていくんだ、こういうことでございました。担保物件そのものは、地価が下落をしている中ではまだまだ回収不能の債権もふえるでありましょうし,そういった中で、こういった債権、その担保になっている土地を実際に売却して、それで初めて処理が進むわけでありますが、どうもお話を聞いておりますと、この機構は、どうやらふくそうする権利関係を調整して、そういう債権、裏にいろいろなものがあるのをここへ一カ所に集めて、債権の複雑なものを整理し調整するというところに重点があって、本当にこれを処理していく、そのことにRTCのような大きな機能を持っているようには思えないわけであります。十五年という年月がかかる。そしてまた、江田委員の最初の御質疑の中には国鉄清算事業団のケースもありました。  そういった意味において、これとは若干違うのかもしれませんが、例のあの不良債権の買取機構がございましたですね。ちょっと政府側に聞きますが、あの機構が今までどの程度買い取って、そしてどの程度処理をしたか、それをちょっと教えてください。
  316. 西村吉正

    ○西村政府委員 共国債権買取機構の実績でございますが、平成八年一月までの実績を申し上げますと、買い取りの債権の額面が十兆四千二百五十六億円でございます。これは平成五年三月からの累計でございます。その買い取り価額が四兆四千八百六億円でございます。そのうち、担保不動産を売却したものが四千四百九十五億円でございます。
  317. 前田武志

    ○前田委員 今のお話のように、共国債権買取機構そのものとは大分中身は違うのでありましょうが、清算事業団にしろこの共国債権買取機構にしろ、実質はそんなに売れてない。  そういう中で、この住専処理機構については、十五年、どういうようなあらあらの事業計画を考え、どういうふうに強力にこれを処理していこうという、そういう計画を持っておられるのか、御説明をいただきたい。     〔三野委員長代理退席、委員長着席〕
  318. 西村吉正

    ○西村政府委員 確かに、アメリカのRTCのように債権を流動化するあるいは証券化するというようなことができますならば、非常に債権の処理が迅速化するということもあるのでございますが、私ども、そのような方策をかねてから努力をしておるところでございますが、日本現実の市場の中におきましては、なかなかそのような土地の流動化というものを証券化、債券化というような手法によってやることは難しい面がございます。  従来の日本の慣行に従いまして個々に売却していくというようなことを地道に積み重ねていく、その間にまた新しい手法が発展をしてまいりましたら、そういうような手法もあわせて活用してまいる、このように考えておるわけでございますけれども、できるだけ回収金額を大きなものにするというような工夫をしながら、最大十五年をかけまして回収努力を続けていく、このように考えておるところでございます。
  319. 前田武志

    ○前田委員 先ほど総理の御答弁の中に、その他の金融関係の不良資産額が三十八兆円というふうに言われたと思います。この議論の中でも、一番大きいのはたしか百二十とか百四十とかというのまでいろいろあるわけでございますが、三十八兆円というのはちょっと下目の方でございましょう。そして、たしかそのうちの五〇%から五五%ぐらいが回収不能に現状ではなっているんじゃないのかなというお話でございました。  そういうことからいうと、三十八兆であれば、多分十八兆とか、まあまあ二十兆近いのでしょうか、もうちょっとそれが上がっていけば、当然この回収不能の不良債権というのは、これは相当の額になるわけでございまして、その間、この住専問題で処理する不良債権というのはたしか七兆五千億だったですか、そういったことでいえば、全体の金融不良資産の中のせいぜい三〇%か二〇%か、そんなものなんだろう、こういうふうに思うのですね。  そういう意味においては、これは一つの大きなきっかけでもあるし、これを処理すればそれだけでも大したものであるとは思うのですが、後にいろいろなものを控えておるわけでございますね。そういうものがちゃんと処理されていく方向性が出てこなければ、私は、日本の景気がよくなる、経済構造基本が健康なものになっていくというふうにはなかなか考えられないわけであります。それだけに、多分、政府としても特別に銀行については手厚い処理をしている。  そういった意味で、例えば、ちょっとお聞きいたしますと、去年の九月期、最近のものは九月期になると思いますが、都市銀行十一行でもあるいは二十一行でも結構でございますが、どの程度の業務純益を上げ、それが対前年比何十%ぐらいの増加になっているのか、教えていただきたいと思います。
  320. 西村吉正

    ○西村政府委員 七年度の中間決算の計数で申し上げますと、部長銀信託、大手銀行二十一行を合計いたしまして、業務純益が二兆四千六百九十六億円でございます。これは、前年の同期に比べまして六五・六%の増となっております。
  321. 前田武志

    ○前田委員 今数字の御披露があったわけでございますが、そのほか、先般来、これはG何ぼか知りませんが、アメリカ、ヨーロッパ等とも通貨当局、円安・ドル高の方に持っていって、株はこれに対して非常に好感して反応し、二万円台を回復しているわけですね。そういったことによる大手二十一行の含み利益だけでも、何か二十兆近くになったというようなことをどこか新聞のコラムか何かで見たこともあるのですね。  それから、もちろんこういう不良債権の無税償却というようなものをやっておるわけでございますが、そういうこともあわせまして、やはり経済社会の中に国民があって、そして経済の心臓、動脈であるこういう金融機関、特別のものでございます、これは確かに。  それがあって、そして、しかしこれは、金融機関そのものは実体経済であるとは思えません。そこから実体経済に新鮮な血液を供給して、そこが大きく回っていくことによって、国民だれしもその中で糧を得て、そして堅実なる生活を成り立たせておるわけでございますから、その三者がやはりバランスよく、ちゃんと、究極的には国民生活そのものが守られるように、希望を持って生活できるように、堅実な生活が未来に対してやっていけるようにするのが目的であろうと思うのですね。  しかし、今のところどうも金融機関だけにこれだけの多大のメリットを与えて、これはあくまでも国民経済のまさしく心臓であり動脈であり、血液を送るからシステムを守らなければいかぬのだという先ほど来の御指摘、もうそのとおりだと思うのですが、ちょっとそれだけでは、何だか金融機関だけを守って、国民は金利は安くなるし、年金生活者の御不満なんというのはもう閣僚の皆様方は御存じのとおりでございます。しかも、片一方では、この不良債権問題というのは、すべて担保になっている土地であるあるいは不動産の開発事業である、そういったものにかかわっているわけでございますね。  そういった意味で、総理にお聞きしたいわけでございますが、この処理を契機に、総理はどういうようなスキームでこの住専問題を処理するか、これは政府のこういうやり方で今のところお考えでございますが、これを処理した後に国民に対して明るい展望をお示しをいただきたいわけです。これを総論でお願いしたいと申し上げたところでございます。
  322. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 本日の月例経済報告の中でも、ようやく少し明るさの見えてきた状況の中で、しかし、雇用情勢あるいは特に中小企業の景況感等には厳しいものを抱えている現在の経済情勢であります。  私は、委員が御指摘になろうとしておられるのか、あるいは私が委員の御質問の趣旨を取り違えているのかわかりませんけれども、私は、この金融機関の不良債権問題というものは、結局は土地問題と置きかえてもよいと思います。そして、土地政策、言いかえるならば、国土計画あるいは都市計画、土地利用計画といったものが必ずしも十分に整備をされていない状況の中で地価の高騰が続きました時期、金融が、本来ならば重要なわき役ではありましても、土地政策の主役たるべき国土利用計画あるいは都市計画といったものの役割を肩がわりさせられてきた、そしてその中で、今日のような問題を惹起する一つの遠因を持っていた、そういう考え方は私の中にもございます。そして、何とかして地価を抑えるために努力をいたしましたものが、今御批判を受ける部分も生じております。  しかし、やはり私は、日本の国の富という意味から考えましたときに、土地が全く動かない状況、動かないままで下落を続けている状況というものは、やはりどこかで考え直さなければならないものであると思います。それは異常な高騰を求めるのではありません。しかし、この間に、本来あるべき都市の再開発等が、あるいは都市近郊における居住性の向上に向けての施策というものが動かなかったとすれば、これは我々として工夫を必要とするところであり、むしろこの住専の問題というのはそういう意味でも、とげと言うには余りに大きなとげでありますけれども、この傷を処置することによって次のステップに入っていく、その重要な段階を抱えていると思っております。
  323. 前田武志

    ○前田委員 まさしくこの金融問題が都市の問題であるという御指摘でございました。私も同じ考えから実は質問をさせていただいているわけなんですが、しからば、国土庁長官にお伺いするわけでございます。  今の地価の状況、動向をどういうふうに見ておられるのか、そしてまた、その地価というものが今後どういう趨勢になるべきと、あるいはべきと言うのはおかしいかもわかりませんが、どういうふうになると期待をされているのか、お伺いをいたします。
  324. 鈴木和美

    鈴木国務大臣 お答え申し上げます。  現在の地価の動向は、先生御案内のように、四半期ごとに調査をしてまいりました結果を本旦一時に発表をいたしました。長くお話ししてはいけませんので大綱だけ申し上げますと、最近の動向は、昨年十月の一日から本年一月一日までの短期地価動向の調査でございますが、大都市圏の地価は、住宅地では横ばいないしは下落傾向になっております。それから、商業地では下落傾向となっているという発表をさせていただきました。なお、地方圏の地価は、住宅地では横ばい、そして商業地ではやや下落傾向にある、こういうことを総括的に発表させていただきました。  さて、これからどうするのかという問題でございますが、国土庁といたしましては前から、経済対策の一環である土地の問題といたしましては、やはり有効利用の活用ということを中心にしなければならないだろう、地価の問題が経済に与える影響というのは当然あると思っています。しかし、短絡的に、今下げどまりであるとか、こういう状況であるとかというような宣言をするような時期ではないのじゃないかと思っています。つまり、有効的な活用というのであれば、未利用地というか低利用地というか、そこのところに我々の力を入れながら、これからお手伝いをしながら、また公共事業の可能なところに促進をするというような考え方でいこうと思っているところでございます。
  325. 前田武志

    ○前田委員 要するに、今土地の問題が出てまいりましたが、もちろんこれは本来は大きな市場の中で土地の価格そのものも形成され、付加価値への評価というものもついていくわけでございますから、まあ言ってみればこの不良債権化した土地というものが本当に有効利用されるようになっていくべきだと思うんですね。  例えば、先ほどの住専以外の何十兆という不良債権、あるいは今のところ回収不能というようなものも含めまして、そういったものがどこにあるかといいますと、これは、住宅を建てたい、そういう住宅会社にもありましょう、あるいは建設関係、そういったところで大きな開発を考えていたのができなくなっただとか、いろんな面があると思うんですね。もちろんこの住専というようなものの貸出先なんかにもこうやってあるわけでございますが、しかし、そういったものがすべてと言っていいほど動きづらくなってしまっている。要するに、日本に収益還元型の不動産市場というものがあるのかどうかという気すらするわけであります。  そういったことで、本来土地というものが有効に利用されて初めて我々の生活環境もよくなる。そして、今日本の国というのは、これはもう本当に、我々の選挙地盤に戻っても、こんなに世界の経済大国と言われながら、町並みもそれほどよくなってはいないわけでございます。また、生活環境そのものもよくなっていないわけでございます。片一方で、随分と大きな貯蓄、そういったものはあるわけでございます。  そして、そういった町の整備そのものがなぜ進まないのかなというと、その制約条件というのは、一つはやはり土地の規制関係にもあると思います。そしてまた、すべて縦割りの中央集権になっている。もちろん都市計画法にしろ、いろいろな面で知事やあるいは市長さん等に分権は今相当進んではおるとは思うんですが、そういった意味において、これは、土地利用の制約条件になっている規制等について、建設大臣なりまた農林大臣にも御所見を賜りたいと思います。
  326. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 冒頭に委員から総理の方に、住専の問題を外していって考えてみた場合に、どのような次の大きなプログラムがあるのかと。特に、景気は回復基調にあるというきようの月例報告会の宣言を受けたわけでございますから、そういう意味において、どのような形においてこれを活性化し得るか。  それにはまあ、一つは、先ほどの総理の御答弁を聞いておりましても、土地というものに対する一つのフォーカスを浴びせていくような我々の認知が必要である、こういうような御意見でございました。それはある意味においては、土地の流動化というものの促進のための施策はいかがなものであろうか、こういう仰せであったろうかと思います。  土地市場全体の低迷というものが不良債権の円滑な処理や企業のリストラの妨げとなっている面もございますから、土地の有効利用促進対策というものを推進することが、げに重要かつ必要ではないかと私どもは考えておる次第でございます。  このためには、公共用地の特に先行取得の推進のため、平成七年度二次補正による事業の追加というものも必要でございましょうし、また、先ほど委員も御指摘でありました民間都市開発推進機構の土地取得というものの業務の拡充強化というものも必要でございましょう。  さらにまた、宅地開発等の指導要綱の見直し、あるいは定期借地権制度の活用等の住宅、土地にかかわる規制緩和の推進、これも御指摘賜りましたが、このような政策の積極的な推進が必要であろう、これがまた経済全体の大幅な牽引車になるであろう、このように思うわけでございます。  なお、平成八年度の税制改正においても、譲渡益の課税及び地価税に係る税率を引き下げるなどの問題点も措置が講ぜられたことによりまして、今大蔵で、これも御許可願いたいと思うのでございますが、税制面からも土地の有効利用の促進などに資する方向でやっていくことが我々の使命である、このようにまた期待されてしかるべきであると思っておる次第でございます。
  327. 大原一三

    ○大原国務大臣 前田委員、国土庁にもおられてよく御存じのとおりでありますが、平成元年でございましたか、土地基本法の制定をやった年であります。不肖私も、与野党折衝の中へ、当時政府側になかった項目を二項目盛り込んだわけであります。それは何かといいますと、公共の利益ということ、それから投機の対象にしないということであります。そういった面から、今回のバブルの温床が土地政策にあったんではないのかなと私は切実に、土地政策の重要性というものを、今回の住専問題を顧みるときに、非常に重要な課題としてとらえておる者の一人でございます。  まあ我々農林省の立場からいいますと、平成元年と二年でございましたが、農地利用の緩和をいたしたわけでございますが、農地の有効利用、優良農地の確保という大前提は我々としては守っていきたい。  ただ、その周辺部分において、前田先生専門の、いわゆる都市計画法あるいは農業振興地域の制度等と十分調整を図りながら今後も検討していきたい、かように考えております。
  328. 前田武志

    ○前田委員 よくテレビに出てくるリチャード・クーという野村総研のアナリストがいます。国際金融の中での非常にシャープな分析をする人だということで、私もときどき興味を持って聞くわけですが、その人の本の中のちょっと一部を抜いてきました。「金融政策とは経済全体に均等に効くものではない」「実体経済広しと言えど金融政策が直接的に影響力を持つのはそのほんのわずかな部分」であって、そのわずかな部分というのはどこかというと、金利に対して非常に鋭敏に動くセクターである、そのセクターというのは、当然これは住宅関連のところであったり不動産関係であったり建設業であったり。  したがって、まさしくこの不良債権問題は土地と一体になっているということで、私もここが動くようだ。しかし、金利を下げてもなかなか動かないのですね。  善良なる庶民が本当に立派な家が持てるような、そういう民間資本がどんどん投入されて、そういう開発需要が収益還元型のまさしく市場メカニズムで動いていく。要するに、土地投機だとかああいうものじゃないのですね。本当の意味での町づくり、そしてまた住宅、そういったものに向いていきさえずれば、本当の不良債権処理の成果が出ていくんだろう、こう思うのですが、そうなっていない。なぜなっていないか。  例えば、バブルのときに、今大原農林大臣がいみじくも言われましたが、総量規制するとともに、土地税制を徹底的に締め上げた、そういうものがまだ後を引いているわけですね。  例えば、この処理機構をつくって住専処理をやるにしても、その先、不良債権化した土地が本当に市場に回っていって開発需要が進むようにするためには、やはり土地の所有あるいは売買あるいは取得、そういった段階に、数え方によれば八つも税金がある、こういうふうに言われているぐらいであります。そういった税制の面から見て、こういった不良債権の処理と関連して、大蔵省の方では何か考えておられるのか。
  329. 薄井信明

    ○薄井政府委員 お答え申し上げます。  先ほど来お話ございますように、バブルが発生し、いろいろな問題が起きてきました。住宅難あるいは内外価格差あるいは産業の空洞化社会資本整備の立ちおくれ、それに加えて、国民の間の資産保有の不公平感というものがございました。これはいろいろな原因があったとは思いますが、総合的に土地対策をしなければいけないということで土地基本法ができました。その土地基本法の中で総合的な対策をしていこう、その一環として、御承知のように、土地税制をやらせていただいたわけでございます。その中に、保有課税としましては地価税の創設、また、譲渡につきましても課税の強化ということをさせていただきました。  この過程といいますのは、バブルが発生した主な原因とは思いませんけれども、やはり税制が、例えば評価が適正でなかったとか、あるいは売ったときの税金が安過ぎたとか、そういうことが土地を持っていること、土地を持つことが一番有利であるという状況をつくっていたという反省から、土地税制を当時国民と一緒になってつくったわけでございます。  おっしゃるように、その後、状況は変わってきました。急激に上がった地価は、当然下がってきております。そういった中で、資産間の不公平感とか、あるいは譲渡の規模の縮小だとか、いろいろな状況変化が起きてきております。そういったことを受けとめまして、私ども平成六年、七年、そして今回法律を出しております租税特別措置法におきましても、現在の状況に合った税制に直してきているところでございます。  ただ、一点御理解いただきたいのは、税制でございますから、やはり公平ということを常に考えていなければいけない。それから、土地基本法にうたわれました哲学というのは常に踏まえていなければいけない。ただし、それが重過ぎたり、きつ過ぎてはいけないということを毎年チェックしながら進んでいくということが大事かと思っております。
  330. 前田武志

    ○前田委員 もちろん公平でないといけないわけでございますが、その公平の考え方も、要するに、金融の市場あるいは証券の市場、それと同じように収益還元型のこういう国民経済の一番基本にある町づくり、住宅づくり、そういったものの市場というものが形成されなければならないわけでありまして、そういったものに対して、金融や証券と比べて公正な税制になっているのかというと、実は非常に不公平になっているものだから、こうやって日本においてなかなか土地市場というものが出てこない、こういうふうにも思うのですね。  それから、銀行局長が最初の御答弁の中でも、こういう不良債権の、あるいは土地、不動産のことも含めてだろうと思うのですが、セキュリタイゼーションみたいなものが日本にはないんだ、証券化というものが難しいというようなお話をされましたが、これこそまさにそれを前提にしてもらったら困るわけでございまして、そういう市場をつくることで日本の国に国民市場というものが出てくるわけでございまして、これは政策としてぜひ追求していかなければならない課題だろう、こう思うのですね。  そういうことをやらなければ、この住専の不良債権だけを集めて、何か権利関係とか調整して、そういうことだけは始末をした、しかしあとは十五年。これ、さっきのいろいろ資料をお聞きしていますと、ほとんど塩漬けになりますよ、そういう市場を本当に政策として形成するようにしていかなければ。  ちょっと大蔵大臣がおられないので、総理、いかがですか。
  331. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 大蔵大臣の代返をさせていただくのは大変光栄であります。  私は、委員が言われるお気持ちがわからないわけではありません。むしろそうした懸念を警告をいただくことに感謝をいたします。そして、我々としては、そういうものが育っていくようにこれから誘導していくためにどうすればいいのかをむしろ一緒に考えていくべきじゃないでしょうか。  今御批判を受けております金融行政自身が、金融自由化の中で当然のことながら刻々姿を変えてまいりました。それと同様に、私は、今議員が御指摘になりましたような市場というものも、当然新たな様相を呈していく場面があってよいだろうと思います。  ただ同時に、私はやはり、狂乱と言っては言い過ぎかもしれません、しかしあの異常な地価上昇というものを考えます場合に、税というものが、都市計画その他の土地利用計画が本旨でありますけれども、わき役として果たす役割というのも常に念頭に置く必要はあろうかと存じます。
  332. 前田武志

    ○前田委員 税制の話については、これはあの当時のバブルのときのことでああいうことになった面があります。一番の原因はやはり過剰流動性であったのだろうと思うのですね。  まあしかし、そんな議論を今するつもりはございませんでして、今の私の議論の趣旨を踏まえて、私は、本来もっと建設省がしっかりしなければいかぬと思うのですよ。いつも大蔵省か何かに抑えられて、本来、大きな国民市場をつくって、国民の住生活を、そしていい町づくりを進めていかなければいかぬ責任があるわけでございますから、ひとつ実力者の建設大臣の御見解をお聞きいたします。
  333. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 今前田委員がおっしゃる意味もよくわかりますし、確かにこの住専の問題とても、ずっと長い間私も座っておりますが、住専問題で質問を建設省が受けることはない、かといって住宅という問題にかかわり合いのある問題であることは事実であります。ということは、多少なりとも、我々が遠慮したというよりは、そういうような向きもなかったわけではない、これは否定でき得ないことだと思うんです。  そういう点においては、ばっしりと今から建設省内における気力充実、そして体力充実、そしてまた推進力を、牽引車になって果たしていくという役割も充実させて、そして前田議員の期待に沿おうか、こう思っておりますから、よろしくお願いします。
  334. 前田武志

    ○前田委員 そろそろ時間がなくなったわけでございますが、先ほど来江田委員の御議論、そしてまた、ここずっと一週間聞いておりまして、やはり日本金融システム、まあ、金融システムというか、非常に大きなグローバルなマーケットになってきたということに対する感覚が、我々政治も、特に行政、そして、護送船団で一緒に守ってもらおうとする業界、経済界、もう全部含めてそういうところに今回の大きな問題も出ているんじゃないのかなと思うんですね。その結果として、我が同僚議員がずっと指摘しておりますように、この問題にしても不透明な形で政治と行政が関与、介入して、そして何となく、先ほどの議論を聞いておりましてもよく中身がわからない。本当に公正な、国民が納得するような、投書された人たちなんかの気持ちにもこたえられるような、そういう解決策になるのかどうか、それが非常に心配であるわけでございます。  そういった意味では、例えば大和銀行事件などというのがありました。この間、ニューヨークからついに店を締め出されたわけでございますが、実は私は、この銀行については、関西の者でございますから、ちょっと一つの入れ込みといいますか、思い入れがあるわけでございます。  大和銀行の、かつて寺尾頭取という有名な立派な方がおられました。私なんかは直接は知らぬのですが、我が故郷の大先輩でございまして、何か伝え聞くところによると、当時の一万田法王とがっぷり四つで組んで大げんかをして、その言うことを聞かなかった。そして経営者として自分の自主独立精神で、信託業務もずっと継続しやっていかれた。その気風というものが銀行にもありまして、大和銀行というのは私も好きな銀行でございまして、行員の皆様方はみんな親切だし、前向きの銀行なんですね。それがあんなことになってしまった。これはまさしく、アメリカの人たちから見ると、後ろから、二丁けん銃抜いて背中から撃ったと同じことですよ。そのぐらいの感じに受けとめられているわけなんですね。実は、ちょうど店を閉じたとき、私はワシントンにおったわけなんですが。  そして、ある国際金融界の専門家の方にこの話を以前聞いたときには、これはすぐ、FRBですか、ああいうところを初め関連の監督機関等に通報するのはもう常識だ、それを、あれだけおくれてしまった、これがためにどれだけ日本の国の価値を下げたか。価値というか評価といいますか、信頼性、モラルを下げてしまったわけですね。この責任というのは非常に重いと思うんですね。これはしかし、我々痛切にいわば反省をせにゃいかぬわけでございますが、そういった体質の政治、行政を刷新するために、私も政治刷新ということでいちずにここまで来ておるわけでございますが、さかのぼれば各所にそれがあるわけです。  例えば大東亜戦争だって、真珠湾、あれはだまし討ちになっている。だれが責任をとったか。その当時の打電、開戦を通報するのがおくれた。その歴史的な責任はどこかでとっているか。とっていない。もうすべて責任を時の責任者がとらない。そういうものの繰り返しで来ておるためにこういうことになっていると私は思うんですね。  そういった意味において、現在の金融問題等から始まって経済のこういった不祥事、もうすべて含めてこれはそれぞれ任の、責任ある人たちがよほどそれを重く受けとめてやっていただきたい。そういった意味において、この住専処理の問題についても政府内閣も、もちろん今はこれが一番いいと言って出しておられるのでしょうが、かたくなにならずに、本当に政治の責任というものを考えて今後もこれを進めていただきたいということをお願いをし、最後に大蔵大臣の御所見をお伺いして、質問を終わります。
  335. 久保亘

    久保国務大臣 今、前田さんの最後のお話を承りながら、大変共感できることもたくさんございました。  ぜひ、私どもの方から提案をいたしております政府案につきまして、十分な御論議をいただき、よい結論を国会でお出しくださるようにお願いを申し上げます。
  336. 前田武志

    ○前田委員 終わります。
  337. 上原康助

    上原委員長 これにて江田君、前田君の質疑は終了いたしました。  次に、川島實君。
  338. 川島實

    ○川島委員 新進党の川島實でございます。  既に通告をいたしております、平成八年度の予算に計上いたしております住宅金融専門会社七社の処理に六千八百五十億の財政資金を投入することに対し、その積算根拠、税金を使わなければならない理由がなく、予算から削除を強く求める立場から、以下お尋ねをしていきたいと思います。  今、我が国の財政事情は非常に緊迫をいたしております。国の借金が二百四十一兆円、地方自治体も百十九兆円、その他隠れ借金、旧国鉄分を含めて政府が言う数字で四十三兆円。今、我が国は大変なときだというところで、さらにまた消費税が三%から五%に来年四月から国民の負担として出てくる。そればかりか、高齢化時代を迎えて、厚生年金の受給者の増で千五百億近く年間ふえるとか、また国民年金の方も同じような形でふえてくる。医療費も年間一兆円近く毎年ふえている。こういう状況の中で、一円でも余分な税金を節約をしていく、そしてまた国民の多くの期待にこたえていくということは、今政府に非常に求められておることだと思うわけでございます。  そういう中で今日の住専の問題が浮上してきておるわけでございますけれども予算委員会の中で最初からつぶさにずっとお伺いをしておりまして、政府のかたくななこの住専処理のあり方。私は、それよりももっともっと、これから議論を深めていきたいと思いますけれども我が国が抱えている不良債権、ノンバンクからのいろいろな借り、貸している銀行そのもの、大和銀行を初め、世界変化我が国金融行政が立ちおくれているということが如実にあらわれていることに対して、それらへの取り組みが非常におくれておると思うわけでございます。  そういう点で、政府が今までの議論の中で、我が国金融システムの安定と内外の信頼を確保.し、経済を本格的な回復軌道に乗せる行為だ、こういうふうに答弁をしておるわけでございますけれども住専は全く民間会社なんですね。日本航空だとかJR各社のように政府の資本も入っておりません。政府機関でも公社公団でもございません。そういうことで、この緊迫した財政の中で、なぜ大切な六千八百億もそこにつき込まなければならないのか、国民がこう考えるのは不思議ではないわけでございまして、これに対する政府答弁が余りにも、我々を含めて、非常に裏づけのない空虚な形でしか伝わってこないわけでございます。  そういう点で、今回の不良債権の処理についていろいろ考えてみますると、第一次の再建策が検討された時点で、既に通常の社会でいけば会社更生法等の適用をするとか、何とかここできちっとした処理がなされてきているわけなんです。それが、多くの銀行群から派遣された経営者そしてまた大蔵省の天下り、そういう人たちが社長を務めている、役員におる、そういう事柄が阻害をして、改革が今日までおくれてはや既に七年の歳月がたったわけでございます。このような状況を一体大蔵大臣はどう受けとめておるのか、このことについてまず最初にお伺いをしておきたいと思います。
  339. 久保亘

    久保国務大臣 川島さんは、新進党皆さんがこの委員会室を御退場なさったとき以外ずっと御着席になって、大変熱心にこの審議に参加しておられることに、私は大変敬意を払って見ておりました。  それで、今御質問くださいましたことについても、一応、私どもが繰り返し御説明申し上げましたことを御承知だと思いますので、簡潔に述べさせていただきます。  財政の状況が極めて危機的な状況にあるということについては、川島さんの御指摘のとおりでございます。  一方、この住専問題は、お話がありましたように、第一次再建計画、第二次再建計画というときに、今振り返って、的確な措置がとられたかということについては、多くの反省が責任を伴って存在していると考えております。しかし、現実日本経済の動脈であります金融システムに不安が非常に強く生じており、ここは外科手術を講じてでも早期にこの問題を処理しなければならないということについては、川島さんも御異存のないところだと考えております。  問題は、早期に処理して日本金融システムを安定したものとしなければならない、内外の信頼を回復できるようにしなければならない、こういうことについての、その手段をめぐってのいろいろな御意見があり、その御意見の違いがここでも論ぜられてきたと思っております。  私は、このような状況に至ります経過に対する反省や責任というものは明確にされ、問われるべき責任は問われるべきだということを申し上げてまいりました。また、税金を投じて住専を救済するのではないということも申し上げてまいりました。住専は、今度の処理機構によって整理、解散させられるのであります。その場合に、それぞれ母体行は、この住専の設立、人事、経営等にかかわってきた責任も念頭に置いた上で、この処理に当たっての債権全額放棄という措置に合意しているのであります。また、一般行や系統金融機関も、それぞれに貸し手責任の立場に立って債権の放棄、または今度の処理機構に対する贈与というものが合意されているのであります。  私どもは、皆さんの御協力もいただきながら、この国費を投ずる、つまり、公的資金を導入して公的に関与していく以上は、その目的であります回収を徹底し、そして責任を明確にするということについて実を上げなければならないと思っております。  かわるべき手段については、いろいろ破産処理意見もございました。いろいろな御意見もございましたが、まとまって一つ考え方が示されているのではなく、今いろいろな考え方があるが、それらも協議を尽くした上で、今日私どもが申し上げているこの案が今日とり得る手段としてはもうぎりぎりのところではないかということで、御協力をお願いを申し上げているところでございます。
  340. 川島實

    ○川島委員 今日までの議論を見ていますと、政府が示しております案そのものが、実は非常に公正に欠けるような気がするわけでございます。多くの問題点をこれから指摘をいたしますけれども、私は、今の政治が、もう少し国会のこの議論が、政府の中にきちっといいところは取り入れていく、この姿勢がやはり大切でないかと思うわけでございますけれども、これは議論の中でひとつまた深めていきたいと思っております。  次に、自民党の総裁であります橋本総裁、自民党立場からちょっとお伺いを一つだけしておきたいと思いますが、自民党は一九九三年に銀行から選挙資金として百億借りておりますですね。これは本当に事実かどうかということと、それからこれに対する担保、支払い利息は現在どのようになっておって、その残高は今どのくらいあるのか、この点についてお伺いをしておきたいと思います。
  341. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、借入金についてお尋ねでありますが、私もその細かいことまでは存じません。ただ、平成五年、総選挙を初めといたします党の活動の資金として借り入れたものと承知をしております。  そして、通常の借り入れ条件によりまして返済を図ってまいりましたが、さまざまな状況の変化の中で我が党の収入が減少いたしまして、多くの努力をいたしましても当初計画どおりの返済が困難な見通しになりました。  このため、経団連が我が党の財政事情を考慮し、借入金返済充当分に限った臨時特例の措置として寄附の取りまとめをしていただいていると承知をしております。
  342. 川島實

    ○川島委員 今度は立場を変えまして、我が国総理という立場で、与党の第一党が、この銀行、母体行、それらを含めた住専問題が議論になっているときに、銀行との癒着を疑われるような借入金の残がこれだけある、こういう形で報道等があるわけでございますけれども、このことについてどのように御所見をお持ちか、お伺いをしていきたいと思います。
  343. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 大変失礼でありますが、癒着という言葉をお使いになりましたが、借金をしておることは事実です。そして、それは党の財政状態の中で、それこそ通常のルールで借り入れをしたことでありますから、その借り入れをしたこと自体を癒着と言われるのは、私は大変心外であります。  そして、その点は大変申しわけありませんが、今申し上げましたような状況の中で、我々はこれから何とかその借金を返済していかなければなりません。実態はそういうことであります。
  344. 川島實

    ○川島委員 次に、今政府が提案をしております六千八百五十億の積算根拠は、今までの議論で私には余り納得がいきません。  もう一つ納得がいかないのは、第二次損失で二分の一補てんをする、こういうことを閣議で決められたそうでございますけれども、これは財政上、債務負担行為になるのかどうか。  これらの事柄をはっきりしてもらわないと、大体地方自治体では、少なくとも根拠のない予算だとかこうした取り決めがあると、全部債務負担行為できちっと処理をするように大蔵省から厳密な指導を受ける。もうコーヒー一杯でも、大体どういう会議で、だれが何人集まってどこでやるかという食糧費の申告までなされるわけですね。このことを含めると、やはりこれは先例となると大変でございますので、この辺のところをちょっとお伺いをしておきたいと思います。
  345. 小村武

    ○小村政府委員 契約に基づきます確定債務の場合に、後年度負担の場合にはきちっと国会にお諮りして、国庫債務負担行為として御承認をいただくことになっておりますが、本件について、確定債務ではなくしたがって、将来のシステムとして明示をするということでございますので、法律をもって御提案をしているということでございます。
  346. 川島實

    ○川島委員 それでは、内閣がかわれば、これは閣議だけで決められたことであって、国民にそのことについては義務が、負担をしなくていい、こういう受けとめ方をしてもいいわけですか。
  347. 小村武

    ○小村政府委員 政府の方針として閣議で決定をいたしましたが、国家の意思として表明をする場合には本法律案をもって御提案を申し上げておるということでございます。
  348. 川島實

    ○川島委員 次に、農林系統だとか、処理の負担の問題でいろいろ今日まで議論をされてきたわけですが、通常、こうした会社が危なくなったときの会社更生法なり整理なりという場合は、一番はじけたときの理解ができた、そのときに一体どの銀行がお金をどれだけ預金をしておったか一それで、その母体行というのは、今回の場合は経営者にも入っているわけです。それから農林系も、何も関係ないけれども一応入れておった、こういうことになるわけでございます。  それで、これをずっと積算をしてみますと、こういうことになるのですよね。  平成二年の三月の調査に入る前の時点で、農林系が初めてここは危ないと気がついたときは、二兆九千億、はっきりデータとして出ているのですね、預けた金額が。それで、母体行、一般行が八兆八千億ですか。分けますと大体半分近く、母体行が四・二兆、一般行が四・六兆、こういう形で分けられるわけですが、このうち母体行が今回は三兆五千億債権を放棄する、こういうことに決まりました。あとの残り分をこの比例配分でいきますと、一般行が一・九八兆、農林系が〇・九二兆、こういう計算にもなるわけですね、このときの、純粋に何も外部からいろいろな圧力等が入らない場合。  それから、第一次計画の平成二年から第二次計画の平成五年三月までの間に母体行が紹介をして不良債権になっている金額が大体一兆五千七百億、そして、第二次計画から、平成五年三月から平成七年、去年の九月までの母体行紹介による不良債権というのは約二兆円なんですよ。  これを母体行に全部持たせますと、無理をしなくても、放棄関係なしに、最初の平成二年三月時点の段階でいきますと、あと残りというのは五千三百億ですか、これを一般行が三千六百二十八億、農林系が千六百八十億、こういう負担に、公正な見方をすればこうなるわけですね。悪いことをやって母体行は不良債権をふやし続けたわけですから、再建計画の中で。だから、我々の貴重な税金をつぎ込まなくても、農林系はわずか千六百八十億で済みますし、一般行は三千六百二十八億で済むのですよ。  先ほど、銀行の大手二十一行の半期の利益が向こうから答弁でございました。二兆四千六百九十五億、半期の中間決算で利益を上げているでしょう。もう母体行の責任は明らかであるわけでございますから、国の税金を使うよりも、自分たちが悪いことをしてこうなったのですから、その責任をきちっと明らかにすべきだと私は考えるわけですが、大蔵大臣、この件についてはどうお考えになりますか。
  349. 久保亘

    久保国務大臣 母体行に、今御指摘のような問題も含めて、設立の段階からの責任が貸し手責任という以上に大変重く存在することは、私もそのように考えております。  しかし、それでは、母体行が納得する、母体行責任を含めて三兆五千億の債権全額放棄を合意させております以上の問題を合意をさせる、相手の同意をどのような手段で得るかというものは、非常に難しい問題だと思っております。  逆に、新進党の大変多くの方から、破産処理のお話がございました。もし破産処理でございますと、最小限損失負担額は、きのう、六兆四千百億の場合の単純な計算による数字を申し上げましたけれども、もし皆様方の中に御意見のありました七兆六千五百億というものを損失として計算をいたしました場合でも、母体行は二兆九百億、一般行は二兆二千七百億、これに対して系統は三兆二千九百億の損失負担となってくるのであります。破産処理をしろと言われれば、そういう法的な整理の結果、そのような結果が出てくる。  これは母体行の責任をより免責することになるものでありまして、私どもは、もし母体行に対して三・五兆の債権全額放棄以上の合意をさせる場合にどのような手段があるのか、その辺もあわせてお話しくだされば、参考にいたしたいと考えております。
  350. 川島實

    ○川島委員 先ほど私が申し上げましたのは、不良債権が出て、経営が行き詰まって、再建計画が始まる前の時点に振り返ったわけですね。これは、一般の会社更生法なりで適用になりますと、そこまでやはり議論になって、裁判官がきちっとその処理をやってくれると思うのですよ。  我が国は三権分立て、法の秩序が世界の中でも非常に守られている先進国の一つなのですね。今回、それが一回も、七年間議論がされておりながら、毎期に大蔵省は、ノンバンクといいながらもきちっと報告を受けておきながら、手を打っていないのですもの。通達だとか話し合いだとかいろいろやっておりますけれども、なぜ法秩序の国である我が国が、法のもとでそういうきちっとした処理をしなかったのか、これが疑問でならないのです。その疑問というのが、私の方の考え方では、母体行と大蔵との関係だとか、大蔵が天下りでノンバンクヘ、住専へ行っている先輩の人たちにいろいろあって、今日こうなったのじゃないか。  うがった見方をすれば、アメリカが公的資金を使ったんだから、我が国もこれは大きくなれば、政府が言うように大変な金融秩序の破壊のおそれがあるからということで、わかっておって、この二年間に二兆円もどっと不良債権がふえたということも考えられないことはないわけなんですね。こういうようなことを考えるときに、なぜ一回も法的な手続をしなかったか、この疑問についてひとつお答えをいただきたいと思います。
  351. 西村吉正

    ○西村政府委員 住専と申しますのはいわゆるノンバンクの一種でございます。貸金業法の適用を受けているものよりもさらに規制の緩やかなノンバンクの一つでございます。したがって、本来ならば、これの破綻処理をどうするか、経営をどうするかということは、もとより当事者、経営者が決めるべき問題でございまして、政府がむしろ関与すべきものではないというふうに考えておるわけでございます。  この住専処理に関しましても、第一次調査等によりまして、その経営に問題があることは私ども承知をいたしておりますが、ともかくこれは民間の経営者がまず、いかにすべきか、どのように処理すべきかということを考えるべき問題であるということで、昨年ぎりぎりまで当事者の間における処理というものに期待をかけてまいったわけでございます。やはりそのようなことだけでは解決が難しい、一日も早く解決をしなければいけないということで、政府としてあのような提案をさせていただいた、こういうことでございます。
  352. 川島實

    ○川島委員 局長の言う答弁では理屈が合わないのですね。第一次再建計画にもかかわっておりますし、第二次再建計画にもかかわっている。そうじた中で農林系の融資がどんと倍になったのも、局長同士の覚書という、わからない仕組みで思わせぶりな形の行為が行われた。このことをどう受けとめておるんですか。
  353. 西村吉正

    ○西村政府委員 政府といたしましては、いわゆる第一次再建計画の段階では余り関与はしなかったと理解をしております。一 第二次再建計画に際しまして、民間の関係者の間でなかなかお話がまとまらない様子を見まして、農水省と大蔵省におきまして民間のお話を促進するために、政府としてもそのお話促進のためのお手伝いをさせていただいたということはございます。しかしながら、あくまでもこれは、最近に至るまで、最後の段階に至るまで当事者同士が解決すべき問題である。もちろん、当事者同士の解決一つの方法として、会社更生法の適用ということもございましょうし、破産法の適用ということもございましょう。当事者同士がどのような処理をするのか、再建をするのか清算をするのか、いろいろな方法を当事者が模索しておるというものを見守り、側面から支援をしていた、こういう立場であったと理解をいたしております。
  354. 川島實

    ○川島委員 第二次再建にしかかかわっていないと言いますけれども、第二次再建から昨年の九月までの間に不良債権が二兆円もふえたんですよ。これも公的資金導入の一つの大きな役割を果たしているわけですから、行政の責任は免れないと思いますよ。  私は、会社更生法の手続で、12チャンネルでずっとやっておりまして、ずっと記録をとりながら、この税理士の話ですと、きちっと再建策でお金が二百億余る、こういう数字を具体的に出しております。先ほど江田先生がやりましたのでこれは省きますけれども、こういうデータも、ビデオもとってございますので、大蔵大臣、必要ならばまたお持ちをさせていただきたいと思います。  さらに疑問なのは、住専は最初八社だったんですね。あとの協同住宅ローンについても、やはりまだ不良債権もございます。それから、農林系統の抱えている不良債権なりノンバンクヘ貸し付けてあるという、いろいろな問題点もたくさんございます。  それから、住専よりも、さらに我が国のノンバンクに銀行が貸し付けている額というのが、わかっているだけで六十七兆円ですね。アメリカの調査機関が日本の銀行を分析をした、これによりますと、新聞報道でございますけれども、不良債権が最大で百四十兆円、日本の三・五倍、こう出ているのです。それほど今我が国の不良債権の処理問題というのは、百四十兆――住専問題はわずか六.四兆でしょう、全体で一三兆なんですけれども、十分の一なんですね。このことを大蔵大臣はこれからの考え方としてどう受けとめておりますか。
  355. 西村吉正

    ○西村政府委員 我が国金融機関の抱えております不良債権でございますが、私ども、民間金融機関から聴取しました結果を積み上げまして三十八兆八百六十億円という金額を公表しております。いろいろな外国の関係者から、もっと多額に上るのではないかというような御意見があることは承知をしておりますが、例えば、三菱銀行がニューヨークの市場でアメリカの基準によって不良債権額を計上しております。それと日本の基準で公表しております不良債権額を比較をするというようなことでこの問題をお考えいただきますならば、決してこの三十八兆という金額が、外国の基準で見てもそれほど違いがないのではないかということを御理解いただけると存じます。  しかしながら、この住専問題を解決したとしてもまだまだ不良債権の額というものは多額に上りまして、私ども解決していかなければいけない課題が残っておるということは御指摘のとおりでございます。  しかしながら、この住専問題の特徴、特質と申しますのは、余りにも多くの関係者が複雑に絡み合っているがゆえに、当事者の努力だけではなかなかいかんともしがたい面がある、何らかの第三者的な立場からのサポートが必要であるという特殊な課題でございます。これを何とか解決しますならば、あとは民間金融機関の意欲と努力によって着実に解決していける課題というふうに考えられるのではないかと理解しておるところでございます。
  356. 川島實

    ○川島委員 総理大臣にお伺いしますけれども我が国のこの緊迫した財政状況を含めて、不良債権、外国から百四十兆。我が国ではその十分の一しか見ていない。住専問題でこんなに議論をしている。もっとやることがたくさんあって、大蔵の知能をもっとほかへ生かさなきゃならない事態なんですが、このことについてどう受けとめておりますか。
  357. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先刻来の御論議の中で同じことをまた申し上げる結果になるかもしれませんが、先ほど大蔵省の方から御説明がありましたように、日本の不良債権というものを大蔵省調査いたしました、把握いたしました限りにおいて三十八兆八百六十億でしたか、という数字が出ております。  海外で言われる数字、例えば委員が引用されましたものとの間には大きな乖離がありますが、しかし、その三十八兆という不良資産処理していくだけでもこれは大変なことであります。そして、その中で本当に喫緊の課題であり、象徴的になってしまっているものがこの住専の問題でありますから、私は、まずこの問題を解きほぐすことから始めなければならぬと思います。  今委員は、ほかにも並列的に多くの問題がある、それぞれの問題に対応していくべきだという御指摘をいただきました。それは私も一つ考え方だと思いますけれども、やはり象徴的かつ喫緊の問題というのは住専ではないでしょうか。そして、それは、何回も申し上げることでありますけれども、非常に多数の金融機関がこれに関係し、しかもその巨大な中に系統金融というものが共通して真っすぐ横に貫いておる。そして、それを処理していくには非常に複雑な問題を要する。  仮に、先ほど来出ておりましたように破産という手続をとりましたときに、住専そのものを消滅させることは即座にできることでありますけれども、それぞれの金融機関がみずからこうむる損失を確定するまでの時間の間に、資産の減価あるいは劣化、さらには預金者がその損失が確定しないがゆえに不安を持つといったことも心配をされる。  さまざまな問題点を考えてまいりますと、私は、委員が仰せられたように幾つもの問題があると承知をした上で、やはりまず現時点において一番大きな課題である、しかも急がなければならない住専という問題に真正面から取り組んでまいりたい、私はそのように考えております。
  358. 川島實

    ○川島委員 今回のいろんなスキームは、一般国民預金者がいないのに預金保険機構を使う根拠だとか――昨年の今ごろは二つの信組の処理で、東京共同銀行設立等の問題で議論をしておりました。これで終わりだと思っていたら、その後もコスモだとか木津信用組合とか兵庫銀行等がございまして、この三つの問題についても議論がまだ深まっていませんし、処理が余り明確に我々に情報開示ができておりません。  今回も、こんなに不良債権が日本金融業界にあるのに、ほんの、この政府が言う不良債権の額の約二割ぐらいですか、そこへ一生懸命集中しておって、ほかのところの事柄が全然十分な対応ができてない。  本来なら、一つの問題が出ればそれをきちっと官に命じて、次から出たものはそれで全部処理できるようなシステムをきちっと考えていくというのが政治の役目ではないでしょうか。二回も三回も同じような形で、その都度その都度にやらなくても、会社更生法できちっと法的な秩序で処理していけば、政府が言うように期間がかかるということであれば、立法府の責任で三年ないし四年できちっと処理をさす。今まで法秩序でずっと積み上げられてきたそのことをきちっと利用して、欠陥部分を直していけばいいじゃないですか。  裁判が長引くことについては、ちょうど選挙で違反をすると百日で結論が出るような形をとったと同じように、日本の裁判の欠陥を直していけばいいと思いますが、この点について、大蔵大臣、どういう御所見をお持ちですか。  また局長ですか、局長なら総理にお伺いします。
  359. 西村吉正

    ○西村政府委員 御指摘のように、一昨年末の二つの信用組合の処理以来、金融破綻につきましては国民皆様方に御心配をかけておるわけでございますが、そのような経験を踏まえまして、今御指摘のございましたように、このような課題を全体としてどのように処理をしていくべきかという点に関しまして、昨年の春以来、金融制度調査会におきまして議論を深めてまいりました。  そして、十二月の二十二日に「市場規律に基づく新しい金融システムの構築」という副題をつけました金融制度調査会の答申が出ました。その中で、御指摘のような問題、当面する不良債権問題をどのように全体として処理していくべきかというような課題にも答えておるわけでございまして、この答申に基づきます措置を法案の形でぜひこの国会で御審議をいただきたいと今準備をしておるところでございます。  その中には、破綻処理を円滑に進めるための会社更生法や破産法の金融機関に対する特例的な手続を定めるような法案についても検討をしておるところでございます。
  360. 川島實

    ○川島委員 最後に総理にお伺いをいたします。  国際的に批判の多い銀行の暴力団関係のいろいろな融資の問題だとか、それから、非常に今は情報化時代で、コンピューターが非常に国民の脚光を浴びているように、政府機関にもっとやはり頭脳といいますか、人間の我々の頭脳もこんな小さなフロッピー一枚で全部入っちゃうんですね、五十年間なり六十年間。こういう時代ですから、そういうものをきちっとやる研究機関だとか、それからもっと金融機関の情報を国民に公開してほしいと思うのですよね。  住専問題は、私は氷山の一角だと思いますよ。我が国の不良債権が、政府では四十兆と言いますけれども世界のそういう、アメリカの調査機関では百四十兆と言う、こういう開き、こういうものもやはりきちっと、どこに見通しの甘さがあるのだろうかというようなこともございます。  昨年から議論されておりますいろいろな、金融問題を含め行政改革、国の改革で、ニュージーランドだとかシンガポール、ここの議員の人たちと会いますと、世界の中で、いろいろな問題点を、最高の頭脳を国会議員の皆さんが集めて、それを政府にきちっとやらす、こういう体制がほかの国ではでき上がっているんですね。  六千八百五十億といいますと、中部国際空港の十年間の計画の中の全部の金額なんですよ。これで一遍にぱっと入れますと、工期がわずか四分の一ぐらいに縮まって、一気にでき上がる金額なんですよ。本当に私は、この税の使い方というものをもっともっと政府も気をつけてほしいし、我々議員の声も十分ひとつ聞いていただきたいと思いますね。  いろいろな行政責任やその他の問題もたくさんまだございますけれども、時間がございませんのでこれで終わりますけれども、最後に、ひとつ総理のこれらの御所見をお伺いをしておきたいと思います。
  361. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 特に、政府の情報化を進めろという御注意、また金融機関の情報開示をもっと積極的に進めるべき、こうした御注意は確かに私は大切なものとして受けとめました。そして、政府自身もこれからも情報化に努めてまいりますし、当然のことながら、金融機関の様態が変わり、また行政も変化する中で、情報開示が一層積極的に行われる環境をつくっていくべき責任は行政にもあろうと思います。
  362. 川島實

    ○川島委員 ありがとうございました。終わります。
  363. 上原康助

    上原委員長 これにて川島君の質疑は終了いたしました。  次に、佐々木陸海君。
  364. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 私は、日本共産党を代表して質問をいたします。  質問に入る前に、本日、委員会の開会の冒頭、公聴会の議決が行われたことについて言いたします。  我が党は、必要な資料の提出、参考人の招致などが住専問題の真相解明に必要不可欠という立場で臨んできました。しかし、いまだ母体行の紹介融資の詳細、住専再建計画の全文、暴力団や政治家の関与を示す資料等々は提出されておらず、審議は緒についたばかりであります。  この時期に、予算案議決の前提とされる公聴会の日程を設定することには反対であり、この態度は理事会においても明らかにしてまいりました。  しかるに、けさ公聴会の日程設定が異議なし採決で強行されたことは、我が党が反対していることを無視したものであり、明らかな瑕疵であります。異議なし採決で強行されたことは明らかな瑕疵であります。我が党は直ちに委員長に抗議し、議決を白紙に戻すことを求めました。改めて強く要求するものであります。  その上で、住専問題に絞って質問をいたしたいと思います。  住専問題に限って質問いたしますが、六千八百五十億円、その二倍にも三倍にもなるかもしれない支出の問題について、国民の怒りは本当に強く高まっております。総理自身も、あの消費税のとき以上だということも言っておられるような事態であります。事柄の性質としてもそういう性質のものだろうと思うのです。  銀行の不始末で大きな穴があいた、その穴を国民の税金で埋める、しかも国民の通常の感覚でいうと、十三兆円も貸したもののうち六兆、七兆あるいは八兆、九兆ものお金が返ってこない、一体どこへ行ってしまったのだ、素朴な問題があるわけでありまして、そういう問題に本当に答えていく解明がなされなければならぬと思うのです。しかも、その借り手の中に暴力団がいる。暴力団のフロント企業が、こういう借金踏み倒しに大きな役割を果たしているということも広く伝えられ、国民が疑っている事態であります。  この問題に関して、さきに我が党の志位書記局長が質問したのに対して、総理は、そういう事態があるということを否定はしませんでしたが、実態を詳細に知る立場にはないというお答えをなさいました。しかし、これは極めて無責任な答弁ではないかと思うのです。  実際にそういう実態があるという疑惑が大きな信憑性を持って出されており、国民多数がもっともだと考えているときに、政府のトップに立つ首相自身が、こういうスキームを提案している首相自身が、その暴力団の問題どうなんだ、実態を解明する、詳細に明らかにする、それを督励する、その責任を持っているはずでありまして、首相がそれをやらなかったら一体だれがやるのか。そのまず基本姿勢をお伺いしたいと思います。
  365. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 大変私は意に沿わないお答えをするのかもしれませんが、むしろそういうことを政治家はやってはいけないのだと思います。  捜査当局が当然のことながら、刑事、民事を問わず、違法には目を光らせているはずであります。それは検察当局でありましても、警察当局でありましても同様でありましょう。内閣総理大臣といえども、これは司法の立場に立つ者ではございません。行政の責任者が、捜査当局あるいは司法当局に対し、現在あるいは進捗しているのか、あるいはその情報を握ってどういう状況にあるのか、そういったことを聞こうとし、それを指揮すること自体が私は問題だと思います。  また同時に、私は司法当局をも、捜査当局をも信頼しておりますから、それぞれが全力を尽くしてくれると思います。
  366. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 これは私の立場と本当に正反対で、意に沿わない答弁でありますが、橋本首相は、この暴力団と金融業界との関係の問題では、知らないでは済まない立場に実際にあるということも私は申し上げたいと思うのです。  ここに、一九九一年八月二十八日の証券及び金融問題に関する特別委員会議録第三号、このとき総理大蔵大臣でした。証券業界、金融業界と暴力団との癒着といいますか、金融業界が暴力団に非常にやられているという問題が議論になって、そこで橋本当時大蔵大臣はこういうふうに言っています。   一部の証券会社におきまして、暴力団との不明朗なかかわり合いというものが指摘をされております。   捜査当局の捜査を注意深く推移を見守る、同時に捜査当局から積極的に我々の行政に対しての助言もいただきたい。そして暴力団関係の法律を主管される各省庁と御相談をしながら、この結果を踏まえて今後の対応を決めてまいりたい。 こういう答弁を明確にされているわけであります。  そして、このときの委員会の中で、國松当時の刑事局長、現在の警察庁長官は、   これから一層証券・金融業界と相互に緊密な連携を図って情報の提供をし、あるいはそちらの方からも私どもの方に受けるというようなことをやってまいりたいと思います。   公務員の守秘義務との関係で微妙な問題が出てくるのも事実でございますが、そういう点をクリアしながら、できる限りそうした情報提供等の協力を行ってまいりたいと考えております。   やはり情報を提供する場合には情報提供のルールとそれからルートというものが確立しておりませんとなかなか難しゅうございますので、そういう意味でも、   どうかひとつ銀行の中に暴力団排除のための特別の組織をつくっていただいて、そういうものと私どもとでいろいろな連絡をとっていくという形をとるのが一番実効が上がる ということをはっきりと、当時の政府立場として表明をしているわけであります。國松さんがです。國松さんがそう言い、首相も、当時の蔵相もそれを確認しているわけであります。  その情報提供のルールとルートというのは、それじゃどういうふうに確立したのか、それを聞かせていただきたいと思います。
  367. 野田健

    野田(健)政府委員 最近の暴力団の中には、合法的な企業活動を装って経済活動に介入し、その過程において活動資金を獲得しているものがございます。暴力団の取り締まりに当たっては、その資金源を枯渇し、その活動を封圧することが不可欠と考えておりまして、企業活動の仮面の下に隠れている違法行為の把握に努め、厳正に対処することとしております。  そして、金融業界からの暴力団排除を実施するに当たりましては、当該目的に必要な限度で、一般的な暴力団情勢、暴力団等による不当な介入事例の紹介、関係者との応対要領、被害防止要領等の情報を提供いたしております。  また、平成三年十月に、全国銀行協会連合会は、金融取引における暴力団の不当な介入の排除と暴力団の反社会的活動を助長する取引を防止するために、暴力団介入排除特別専門委員会を設置されたところでありまして、この専門委員会とも密接な連携をとりながら、暴力団の排除に努めているところでございます。
  368. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 要するに全国の、いわば今の住専の問題にかかわって言えば、母体行を含む全国の銀行が暴力団介入排除特別専門委員会というのをつくって、そこで國松現長官が当時言ったところの守秘義務の問題をクリアしながら、できるだけ情報提供等を受けるということが、ルールとルートがつくられてやられているわけです。銀行や証券業界を監督する立場大蔵省もそういう情報の提供を受けているのじゃありませんか。大蔵大臣
  369. 西村吉正

    ○西村政府委員 私どもも、そのような問題につきましては、関係当局との連携を密にしながら取り組んでいるところでございます。
  370. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 そういう情報の提供もなされているわけでありますから、総理にお伺いしたいのですが、この暴力団の関与の問題についての国会の資料提示要求とか、国民がもっとこのことはわかるようにしてほしいという要求に対して、じゃ、総理はどういう立場でお答えになるのですか。
  371. 野田健

    野田(健)政府委員 暴力団等と関係のある企業に係る犯罪を検挙した場合等におきまして、事件捜査を通じて収集した資料により確信を得られる場合であって、類似犯罪の発生防止等の観点から必要があると認められるときには、当該犯罪事実に係る事実とともに、当該企業が暴力団等と関係のある企業である旨を公表することもございますが、検挙した時点でないときに、一般的に特定の企業が暴力団等と関係があるかどうかということを断定すること自体がまず困難でありますし、また、把握状況自体、それが捜査上の秘密とすべきものと考えておりまして、公表することは差し控えるべきものと思っております。
  372. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 総理にお聞きしますけれども、そうするとあれですか、この暴力団問題についての国民の疑惑や関心には、何ら政府として積極的にこたえることができないということですか。
  373. 野田健

    野田(健)政府委員 暴力団が不良債権の問題にいろいろと介入しているのではないかという報道が多数行われているということは承知しておりますけれども、一般的にどの程度浸潤しているかというようなことについては必ずしも警察当局が発表したというようなものではございませんで、それぞれが取材等が行われてやっているものというふうに考えております。  警察といたしましては、暴力団であろうとなかろうと、またこういった不良債権の問題に関して貸し手であろうと借り手であろうと、犯罪行為があるということを認めた場合には厳正に対処するということでありまして、現に過去に住専に係る債権回収等の事件につきましても三件検挙しておりますし、また、金融あるいは債権の取り立て等の過程で犯罪が行われた場合には鋭意検挙していくということで努力しております。
  374. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 九三年度の警察白書には、前年度の「検挙に係る業種別暴力団フロント企業数」というのが載っておりまして、総計百四十一社、土木建設業が五十九社とか不動産業が二十二社とか金融業が十五社とか、こういった検挙に係るフロント企業数ということですから、個々の名称は明白になっているものでありまして、こういったものを国会に提出するということはできませんか。
  375. 野田健

    野田(健)政府委員 特定の企業と暴力団等との関係と申しましても、その程度、態様は一様ではありませんので、警察は、事件検挙を通じてその実態解明に努めてまいりたいと考えております。  御指摘の警察白書において検挙をいたしました暴力団フロント企業の検挙実数等を公表しておりますけれども、これは、個別具体的な事件の検挙を通じて収集した資料により暴力団フロント企業として判定した企業の数を掲載しているものでありまして、この場合においても特定の企業名を公表しているというものではございません。
  376. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 要するに、今の時点で政府の対応としては、銀行等々に対しても暴力団関係の情報をそれなりに提供しているわけでありますけれども国会に対してはまともな情報の提供もなされない、国民に対しても、今、住専問題での解明はなされないということにならざるを得ないということだろうと思うのです。私たちは、引き続き、暴力団問題での関連資料の提出を要求して、求めていくつもりであります。  次に、大蔵省住専への第一次立入調査結果の問題について少し質問をしたいと思います。  この結果の総論を見ますと、住専七社の危機的な状況が極めて生々しく述べられていると思います。日住金や住宅ローンサービス、住総、総合住金、第一住宅金融の五社は、早晩経営問題となる、経営の見直しが必要だという評価をされておりますし、地銀生保や日本ハウジングは、今後の債務者の業況いかんでは多額の損失の発生も予想されるというふうに述べられています。実際、この第一次調査の時点から二次調査までの四年足らずの間に、七社の不良債権は四兆円台から八兆円台、ほぼ二倍になっている。そういうことも明らかになっておりまして、この九一年から二年にかけての第一次の調査の結果というものは非常に重要な内容を含んでいると思います。新聞でもそのように報道されました。  そこで、大蔵大臣にお聞きいたしますが、一月の十九日に、大蔵省も一緒になってつくって、国民にこれはこたえるんだというふうに出されたこの資料の中に、この重要な第一次調査の問題について何か触れられておりますか。
  377. 西村吉正

    ○西村政府委員 この調査は、内部の事務に資するために行ったものでございます。また、金融機関の経営上の指針とするために調査結果も金融機関側に示達をしておるところでございますが、対外的に公表すべき性格のものだとは考えておりません。
  378. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 対外的に内容を公表するかどうかは別としても、これに住専問題の年表というのが載っておりますけれども、その年表にさえ第一次調査をやったということは載ってないんですよ。最初からこの調査そのものも隠す意図でこんなもの出してきたと言わざるを得ないと思うのですが、大蔵大臣いかがですか。
  379. 久保亘

    久保国務大臣 隠す意図でその資料を提出したわけではございませんで、守秘義務に当たるものについては、行政の立場からは、これを法的に超えて提出できるような手続が必要だと考えましたので、当初に提出いたしました資料の中には含まれていないのであります。
  380. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 年表の中に大蔵省が第一次調査をやったという事実そのものも含まれていないということを言っているんです。だから、それは秘密でも何でもないわけでしょう。
  381. 西村吉正

    ○西村政府委員 住専問題をどのように処理してまいったかということについての年表を掲げたものでございます。
  382. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 本当にでたらめな答弁だと思うんですけれども、この年表には平成七年八月に立入調査をやったということは書いてあるんですよ。これはもう公知の事実だからね。今度のスキームのもとにもなっているわけですから。しかし、それよりも以前に、四年前に第一次調査をやったってことさえ書いてなかったんです。これは本当に重大な姿勢だと思いますよ。
  383. 久保亘

    久保国務大臣 調査が行われたことは、別に大蔵省としてこれを秘匿したということはないんじゃないでしょうか。だからこそ、この調査結果の提出を求められたんだと思っております。
  384. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 全然違うんですよ。  この一月の二十二日に国会が始まった。その初めての予算委員会理事会で我々がこの資料提出を要求したのに対して、大蔵省はないと言っていたんですよ。それを我々は、銀行局金融年報の当該年度の中にそういう記述があるじゃないかということを示して、二十二日にそれを示して、二十四日になってそれを、我々が示したときに初めて、それに押されて、大蔵省はそういうものをやりましたということを認めて、その資料も検討しなきゃならぬということになったんですよ。これが事実の経過です。それはまあそれで結構ですけれども
  385. 西村吉正

    ○西村政府委員 私は、そのような調査を行ったこと自体について、大蔵省が、当局としてお尋ねに対して否定したということは承知はしておりません。  私が、先ほど住専処理問題の経緯との関連で年表をつくりましたと申し上げましたが、この住専問題は、第一次調査とおっしゃいましたような時点におきましては、民間当事者の問題、先ほども繰り返し申し上げましたように、住専と申しますのはノンバンクの一種、それも貸金業法の対象となっているものよりもさらに規制が緩やかな、経営の自主性にゆだねられているような性格の会社として認識されていたものでございます。  第一次立入調査のころにも当然そのような認識で、当事者の判断により処理すべきもの、経営にゆだねられるべきものという認識で取り扱ってきたわけでございます。  第二次調査と言われておるものは、この住専問題をどのように公的な関与との関連で処理していくべきかという明確な意識のもとに、もっと具体的に申し上げますならば、与党の金融・証券プロジェクトチームの御示唆等もございまして、八月に立入調査を開始いたしまして、九月の十四日に、この住専問題処理のための統一的な横並びの調査ということで報告をいたし、公表をしたものでございます。  そういう意味におきましては、個別の金融機関に対する調査という位置づけで行いましたいわゆる第一次調査とは全く性格を異にする、住専処理問題ということとの関連におきましては、位置づけの異なるものであったということを御理解いただきたいと存じます。
  386. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 理由はともかくとして、こうして我々の要求で第一次調査の資料が公表されてみますと、もうその当時から住専というのは、これはもう先がないということが当然だれにもわかるはずだったということが明らかだと思うんです。  もう全く、この内容を見ますと、ひどい審査体制で行われております。最大手の日住金にしても、ほとんど無審査の状態となっているというようなことが描かれておりますし、担保掛け目のひどさの問題でも、例えばハウジングでは一〇〇%を超える融資が散見される、一八〇%の融資を行っている例も見られるというようなこともこの中では触れられているわけでありまして、ひどい審査体制とか、こういう掛け目の問題というのは、結局母体行が人事も経営も完全に支配して、多額の紹介融資をしていたからこういう審査体制になったし、住専には当事者能力が当時もうなかった。  それから、担保掛け目の問題で言えば、住専はもちろん預金を受け入れる機関ではありませんから、銀行から貸し付けを受けて、それを貸し出す。したがって、金利では他の金融機関よりも高くならざるを得ない、これは当たり前の話でありまして、そこで他の金融機関との競争ということになれば、売り物は、結局担保評価を甘くすること。通常、銀行では七掛けしか見ないところを最初から一〇〇%とか、場合によっては一八〇%とかというようなやり方がそのとき既に行われていた。そして、早晩経営の見直しが必要だ、早晩経営問題となるという評価も大蔵省が下さざるを得なくなっていた。  しかも、当時、住専の存在意義そのもの、個人住宅ローンは母体行の方が進出してきて奪われているという状況もあったわけですから、大蔵省が本当にまともに考えていれば、この段階で住専は整理するのが当然であった。それをわかっていながら、結局母体行や大口の借り手、こういったものの利益を擁護するためにそういう措置を公然ととらない、そういう方向の警鐘を乱打しないでこういう結果に至らしめた、その責任が明らかになる大変大事な資料、それを、調査をやったということもこの年表に書かなかったという点が私は大変重大だと思うんです。  この必要を認めて住専の立入調査を開始する決断を下したのは、きのうも明らかになりましたように橋本蔵相時代であります。こういう調査をやり、そして、その結果を生かさなかった、こういう大蔵省の責任は極めて重大だと思いますけれども総理はその点をどう認識されておられるでしょうか。
  387. 西村吉正

    ○西村政府委員 先ほどから繰り返し御説明いたしておりますように、当時、この住専というものはノンバンクの一種として認識されておったわけでございます。先ほども申し上げましたように、そのノンバンクの中でも規制の緩やかな、いわばその経営は行政が関与せずにできるだけ民間の自主性にゆだねるべき分野という考え方で臨んでいたわけでございます。当時は、今も同じでございますが、規制緩和、金融自由化という考え方が強く主張されていた時代でもございます。  もとより、だからといって、私どもとしてこのノンバンクというものを放置していたというわけではございません。土地融資の規制につきまして重ねてその自粛を要請する等の措置を講じておりましたし、また、住専を含みますノンバンクに関する問題点を研究する場というものをも設けまして問題点を検討しておったところでございますけれども調査等で判明いたしました経営上の問題も、直ちに行政が関与するということではなく、むしろ民間の経営者の自主的な判断にまずゆだねるべき問題であろう、そのような理解をしていたわけでございます。
  388. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 そうはおっしゃいますが、その後、直ちに第一次、第二次再建計画、まあ第一次は重なっておりますけれども、第二次再建計画というものに相当積極的に関与していって、さらに問題を糊塗していったという経過もあるわけであります。その問題はちょっと後で触れますが。  それ以前にもっとさかのぼって、九〇年三月の金融機関に対する不動産融資規制の通達を発するに当たって、大蔵省が、今から見るともう明確に意図を持って住専を対象から外した。この問題をもう一度しっかり見ておきたいと思うのですが、既に首相は、一月三十一日の志位書記局長への答弁の中で、住専を含むノンバンクの融資というものが不動産に集中しつつある状況を懸念する、そういう状況になったことを知りながら総量規制の対象から住専を外したことを認めて、責任がないとは言えない、不勉強であったということをお認めになっておられますが、これはそのとおりだと思うのです。不動産業、建設業、ノンバンクの三業種への融資状況を報告せよという指示を農協金融機関への通達で省いた、載せなかった理由として、既に農協系統からは報告をとっていたからだという答弁がなされておりますけれども、どんな報告をとっておられたのか、ちょっとはっきりさせておいてください。
  389. 堤英隆

    ○堤政府委員 具体的に申し上げますと、不動産、建設業につきましては、昭和四十九年以来通達を出しまして、これは両省からの通達でございますが、そういう形で発出をいたしまして、四半期ごとに業績をとっております。  それから、住専につきましても、昭和五十五年の十月の通達をもちまして、半期ごとに大蔵省銀行局長、農水省経済局長あてに貸出限度の届け出の際に貸し出し状況を報告する、こんな形で報告を徴取しておりました。
  390. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 金融機関に対して三業種への融資状況を報告せよというふうにその当時求めたのは、実情を把握するだけという目的のものじゃなくて、形の上では実情を把握するという通達ですけれども、しかし、これらの業種への資金の流れを抑制しようという意味を深く持ってやった、それで報告せよというふうに求めたはずだと思うんですが、総理、その点はいかがでしょうか、当時の大蔵大臣
  391. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 何回も繰り返しましたとおり、元年十月、二年の一月に、ノンバンクに対する、当然住専を含んでであります、要請を出し、三月の土地関係の閣僚会議総理指示を受けまして平成二年三月に発出いたしました総量規制通達は、総貸し出しの伸び以下に土地関連融資を抑えることを求め、その中で三業種に報告を求めましたのは、その報告を求めることによりそれが守られることを期待したからであることは事実であります。
  392. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 それで、実際にこの通達はそういう効果を大きく発揮した。これももうはっきり確認されていることでありまして、総量規制の後、全国の銀行の業種別貸出残高の対前年伸び率を見ますと、九〇年三月末総貸し出しが二四・八%の残高の伸びであったのに対して、九一年三月末には五・一%に激減している。総貸し出しもそうですけれども、不動産業に対しても三二・七%だったのが〇・〇に落ちておりますし、建設業も三〇・八から三・八に落ちている。そして、ノンバンクに対しては二二・〇からマイナス四・七に落ちる。こういう効果をもちろん当時ちゃんとこれは期待どおりに発揮したわけであります。  他方、農協系から住専への流れはどうかといいますと、御承知のとおり、減少するどころか急激にふえているわけでありまして、だから、三業種への融資の流れを抑え込む意図を込めて銀行には報告せよと改めて通達したのに対して、農協系に対しては、既に報告を求めているからいいんだとやらなかった、何もしなかったということ自体が命問われているんじゃないか。なぜそうなったのか、そこのところの疑問をどうしても解明しておかなきゃならぬと思うんですが、その点について総理いかがですか。
  393. 堤英隆

    ○堤政府委員 何にもしなかったということではございませんで、先ほども申し上げておりますように、それぞれ既に報告を徴取しておりましたので、あえて明文化する必要がなかったということでございます。  それによりまして私どもも、先ほど総理からお答えがございましたように、平成二年のいわゆる総量規制通達が不動産向け貸し出しの総量規制を主眼とするというものでございますが、あわせて住専を含みますノンバンクに対しましても報告という形で貸し出しの動向を把握し注視するということで、農林水産省といたしましても、必要に応じ、この趣旨を体しまして関係者に対します注意喚起あるいは理解を求めたところでございます。  これは午前中も申し上げたところでございますが、当時の状況といたしまして、系統から見ましての住専会社ということについて申し上げますと、住専会社は国民にとりましても広く住宅の資金の供給というかなり社会性の高いものであったということと、当時、住宅向け資金需要が旺盛であったということに加えまして、農協の貯金量が全体的にふえるという中で貯貸率が下がっていく、そういう中で、系統の信用事業の安定ということから見ましても、自己努力によりましてできるだけ安全な貸出先を見つけたい、そういう状況も当時ございまして、そういう意味では、住専は当時信用力のある貸出先ということで系統の方に認識されていたということで、そういう意味で他の業態のようには必ずしも効果が出なかった、そういうふうに認識をいたしております。
  394. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 先ほど言われました、既に求めていた八〇年十月の通達に基づく届け出では、信連が住専に対して行う貸し付けの最高限度額を年二回大蔵省銀行局長、農林省経済局長に届け出るものになっていたわけですが、では、この通達、九〇年三月の通達の前後で、この届け出されていた金額ベースの額はどんなふうになっていますか。
  395. 堤英隆

    ○堤政府委員 今おっしゃいました八九年下期の貸付限度額の届け出は四千五十六億円でございます。九〇年の上半期は八千四十七億円でございます。それから、その後の推移もよろしゅうございますか。その後の推移といたしましては、九〇年下期に八千億円、九一年上期に七千億円、九一年下期に六千三百億円でございます。
  396. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 これは大蔵省も報告を受けていたはずですね。
  397. 西村吉正

    ○西村政府委員 農林省を通じて御報告を受けておったと承知をしております。
  398. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 全体としてノンバンクや建設業なんかに対する流れを抑えようとしていた時期に、ここはもう急速にふえる限度額を出していたのですけれども、それに対するチェックをするというようなことは当時あったのですか。
  399. 堤英隆

    ○堤政府委員 先ほど申し上げましたように、そういった報告をとることによりまして、いわば牽制的な効果を期待する。行政の手法ではいろいろな手法がございますけれども、認可でありますとかそういうことでなしに、やはり報告をとるということはそういった牽制的効果を期待するということであったと思うのですけれども、先ほど申し上げましたような系統独自の事情がございまして、私どももこの通達の指示に沿いましてそれぞれの指導をしたわけでございますけれども、先ほど申し上げましたような事情がございまして、他の業態のようには効果が上がらなかった、こういうことで御理解をいただきたいと思います。
  400. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 効果が上がらなかったどころじゃなくて、ほかのところを抑えられたものが全部この住専に流れ込むという形になったわけです。当時、大蔵省認識はどうだったのですか。
  401. 西村吉正

    ○西村政府委員 当時の状況を見ますと、住宅需要が旺盛であり、住宅向けの資金需要が増加していたこと、あるいは信連の住専向け融資の増加が会員向け貸し出しに支障を来す状況にはなかったこと等の事情があったものと存じますが、いずれにしましても、信連が住専向け貸し出しを伸ばしましたのは、信連が貸付先の信用力あるいは事業計画等について十分な審査管理を行い、それぞれの経営判断に基づき行われたものと承知をしております。
  402. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 全くおかしいと思うのです。  大蔵省は、信連の住専への貸し付け報告はそれだけではないわけでありまして、各信連から一九五九年以来毎月、しかも直接金融機関に対する貸し付け状況の報告をとっております。この通達に基づく信連の報告には、八〇年の十月の通達で金融機関扱いされた住専への貸し付けも当然含まれておって、各住専の毎月末の残高とか当月期の貸出高とか当月末残高とかが明記されて報告されることになっておりますし、あるいは大蔵省は七三年から住専を直轄会社として監督下に置いて、四半期ごとに住専の経営の実態報告も受けているはずであります。そうではなかったですか。
  403. 西村吉正

    ○西村政府委員 先ほどのお尋ねは信連の融資に関するお尋ねと承ったのでございますが、住専に関するお尋ねということでございますならば、住専につきましては私ども行政的な報告を受けるという機会はございます。
  404. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 各住専会社からの七三年の銀行局長通達に基づく報告では、資金の調達の明細表で、どこから資金を調達していたか、それから信連からの融資の急増はもちろん、使途別融資状況では住宅ローン融資から不動産融資へどのようにのめり込み始めたかということも全部大蔵省は知り得た立場にあった。  だから、本当にこの当時、大蔵省は、この九〇年の三月の通達によって、その後の資金の住専をめぐっての流れというようなものが大変うまくない方向に流れている、当時の土地高騰を抑える方向での流れとは全く逆の方向に流れているということは十分、本当に一〇〇%知る立場にあったということを言わざるを得ないと思うのですが、その点、どうでしょうか。
  405. 西村吉正

    ○西村政府委員 先ほど住専を含みますノンバンクの経営につきまして申し上げました際に、この住専というものもノンバンクの一種といたしまして、当時、経営上いろいろな問題を抱えている――いわば融資そのものが伸びているということについてはその自粛を促すような指導をしたり、あるいはノンバンク業界の問題点というものを研究会の場において検討するというような努力もしていたところでございます。  しかしながら、住専を含みますノンバンクの経営につきましては、預金を受け入れております金融機関とは少し違った側面がある。金融自由化あるいは規制緩和の流れの中におきまして、その経営はできるだけ自主性にゆだねるというような考え方基本的に今でもあるわけでございますが、その中でも、当時の動向をごらんいただきますとおわかりいただけると存じますが、例えば貸付額の伸びというようなものは、いわゆるノンバンクの中では住専は比較的伸びの低かった、もちろん今から見ると大変に高いものではございますが、ノンバンクの中では融資額の伸びというものは比較的緩やかであったというような事情も御理解いただきたいと存じます。
  406. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 率直に言いまして、大蔵省はこの四半期報告で、各住専会社が八〇年代後半から本来の業務から離れた方向に融資を拡大している、そういう事実もよく知り、さらに、信連など農協系の金融機関から住専への資金の流れが膨れ上がりつつあることも熟知しながら、住専を含むノンバンク系の不動産融資の膨張を防ぐという当時の政策課題を進めるまさにそのときに、住専に関しては、今から振り返れば、それを抑える措置をとるどころか、結局パイプをあけて促進する態度をとったと言わざるを得ないと思うのです。  これが結局だれのためになったかといえば、住専の危機を救って母体行を助けた。このことは明白でありますし、さらに、住専の方からの資金がストップしたら直ちに経営危機に直面する大口の借り手を助けることになったということも結果として本当に明白であります。この大口の借り手から橋本蔵相に政治献金が来ているというような話も出ておりますけれども、やはりこの当時の大蔵省の責任というものは問われて当然ではないかというふうに思いますが、首相の見解を伺いたいと思います。
  407. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 政治献金につきましては、先刻私は、正式に委員会で御質問に答えて御報告を申し上げました。  また、今振り返ってみて、当時の行政で、ああすればよかった、こうすればよかったと思うことは当然ながら私にもございます。しかし、当時、知り得る中で全力を尽くしてまいりました。その結果として、御批判は甘受いたします。
  408. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 いろいろ報道されておりますけれども、当時、これはある住専の幹部の話ですが、三業種規制の通達が出た九〇年三月以降、大蔵省の役人と母体行の役員クラスが農林中央金庫を、そして、住専の役員クラスは都道府県の信用農協連合会をそれぞれ回って通達の内容を説明し、農協からの融資をお願いして回った、こういうような方向をこの通達がつくり出していったということでありまして、単に結果責任というような問題ではなくて、やはり当時、こうすればこうなる、こちらの方に資金が大量に流れていくということを承知しながら実行したということを言わざるを得ないと思うのです。  その点について、総理、重ねてお答えください。
  409. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先刻来何回か同じことを申し上げてまいりましたが、総量規制通達というものは、総貸し出しの伸び以下に不動産、土地関連の融資を抑えるという目的を持って発出したものでありました。そして、ノンバンク、不動産、建設の三業種に対する融資状況に対する報告を求めましたのは、それが実効あらしめるための、間接的ではありましても、効果のある措置である、これは先ほど議員もお認めをいただいたところであります。  そして、農林水産省経済局長大蔵省銀行局長の共同通達で系統金融機関に出しました総量規制通達に、三業種に対する報告の徴求がなかったということがそのすべての原因のように委員は言われますけれども、それは、先ほど来経済局長からもお答えを申し上げておりますように、別途既に先行して報告を求めていたということを事実として申し上げる以外にありません。  それがなおいかぬとおっしゃるなら、これは私の限界を超えて言われることでありまして、当時、少なくとも大蔵省銀行局と農林水産省経済局と両局長通達というものが総量規制で発出され、三業種規制に係ると同等の部分については既に同じ報告が徴求されていると言われれば、私はそれ以上に疑い、あえて同じものを出せとまで申さなかったのが欠点だと言われるなら、あえて私はその責任は甘受いたします。
  410. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 同じものを出せば一番よかったと思いますけれども、しかし、あの三業種規制で、銀行からの三業種への当時の資金の流れというものは極めて画期的に抑えられた。同じ精神であったはずなのに、住専に対する流れというものはとまらなかったわけですから、やはりそこはむしろ逆の効果をそこで生み出していったわけですから、その責任というものは問われなければならぬということを重ねて申し上げておきたいと思います。  次の問題ですが、こういう経過で住専が破綻の道を進んでいくわけですが、大蔵省は、この第一次立入調査などによって、住専の破局的状況はもう既に九一年、二年当時から熟知していた。これは明らかだと思うんです。この状況を詳細に把握していたのは大蔵省と母体行であります。  しかし、母体行も大蔵省もそのことを世間には明らかにせずに、ひた隠しにして、第一次、第二次の再建計画なるものをつくって、農協金融機関の資金の引き揚げを抑えて、つなぎとめることに努めて、今日のように傷口を拡大してきた。  その再建計画自体が、政府が提出しているのは計画の概要であって、全文ではないから、これで全面的とは言えないかもしれませんが、それでも再建計画などと呼べる代物でないことは明白だと思うんです。  つまり、第一次再建計画の骨格というのは、創業の原点に立ち返って、住宅ローンを中心とした融資業務への特化だとか、資産の圧縮だとか、経費の節減だとか、それから母体行はこれを残高維持と金利減免で、母体行以外は残高維持で支援する、若干の例外はありますが、こういうものであります。  住宅ローンに特化するというけれども、母体行がその分野に既に進出していて、そういう特化なんかはできないからこそ住専は土地投機の方向に走ったわけでありまして、その原因をそのままにしてこんなことができるはずもないし、資産の売却、圧縮といっても、当時不動産が売れないからこそ経営危機に陥ったわけでありまして、そんなことができるはずもない。  だから、こんな第一次再建計画はすぐに破綻して、日住金の場合で言うと、九二年の六月につくられた計画が翌年の二月にはもう破綻して、第二次再建計画というふうになるんですが、しかも、その再建計画の中身というのも、骨子というのも、結局第一次とほとんど変わらない。それは八カ月間の経過の中でつくる計画ですから、根本的に変わったものなんかできるはずもないといえばできるはずもないんですけれども、そういうものであります。  大蔵省は、この第二次再建計画に当たっては、農水省との間で覚書まで交わして、母体行からは住専の再建に責任を持つという確約書まで提出させて、これに基づいて、住専及び母体行が各信連などを回って資金援助を求めた。このために系統金融機関は資金を引き揚げることができなかった。大蔵省はここでも大銀行の利益を代弁するような形で、率先して結局傷口を拡大してきたという点で、母体行とともに大蔵省の責任は極めて重大だと思うのですが、その点について大蔵大臣の見解を聞きたいと思います。
  411. 西村吉正

    ○西村政府委員 まず、先ほどからの御指摘の、大蔵省が毎月お願いして回ったとか、あるいは各信連を回って資金援助を求めた、大蔵省がそのようにしたということは、私は承知をしておりません。どのような事実に基づいてそのような御指摘があるのか、私には理解できないところでございます。  いずれにいたしましても、第二次再建策において関係者の間で決められたものは、これは、各住専処理というものは、先ほどから申し上げておりますように、関係当事者の協議によって決められるべきものでございまして、第二次のケースにつきましては、金融システム全体に与える影響が大きいということから、大蔵省としても平成四年の秋から年末にかけましていろいろな可能性について真剣な検討を行ったことは事実でございます。  その上で、住専の経営状況が憂慮すべき状態であったわけでございますけれども、第二次再建計画は、それまでには他に例を見ないような大幅な金利減免を行い、今後の回収見込みについても厳しく想定するなど、当時の状況のもとでは実現可能な計画となりますように、関係者が最大の配慮をして策定されたものであると私どもとしては理解しておるところでございます。
  412. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 しかし、事実の経過は明らかなように、今日それは完全に破綻して、こういう国民に負担を押しつけるというスキームを政府大蔵省が提出するという事態に立ち至っているわけでありまして、こういうような事態を受けて、大蔵省は、やはりこの間の経過を本当に包み隠さずにきちんと明らかにして、何よりも母体行に責任をきっちりと果たさせるということが肝心だろうと思うのです。  きのうの議論でも明らかになりましたように、母体行にもっと責任を果たさせるべきであるし、また果たさせることができる。にもかかわらず、実際には政府は母体行なども含めた合意の結果だということで国民への負担押しつけをあくまでも進めようとしているわけであります。  大蔵大臣、お聞きしたいのですが、母体行にもっと負担をさせるという交渉といいますか、政府の主張は、母体行などを含めた話し合いの中であったのでしょうか。
  413. 西村吉正

    ○西村政府委員 この点については、母体行に限らず、一般行、それから系統金融機関の方々に対しましても、この問題を処理するためにそれぞれのお立場においてぎりぎりの努力をお願いし、最大限の努力を払っていただいたものと理解をいたしております。
  414. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 それぞれの立場のぎりぎりの努力といっても、国民はもうその一分野を担わされているわけでありますが、国民はそういうことに合意をしていないということは、きのうも松本議員が申し上げたところであります。  きょうの読売新聞などを見ましても、自民党の幹事長が、本当に大銀行けしからぬという趣旨のことを公然と言っておられるわけでありまして、我々はこんな国民に負担を押しつけるようなスキームは絶対に賛成できないし、この六千八百五十億円は削除すべきであるということを重ねて要求をしていきたいと思います。  同時に、最後になりますけれども、我々から見ますと、大銀行の負担を軽くして、大銀行を言ってみれば救済するような方向を推し進めるということに関連して、私たちは、これまで繰り返し自民党あるいはさきがけ等々に対して、銀行からの献金の問題について、自粛の方向を検討すべきであるということを主張してまいったわけでありますが、新聞報道によりますと、さきがけや自民党の中でいろいろ検討がされているというふうに聞いておりますが、まず、さきがけの田中さんから、どんな検討がなされているのか、どんなことをしようとしているのか、お聞きをしたいと思います。
  415. 田中秀征

    田中国務大臣 大変厳しい御指摘ですが、残念ながら事実でございます。  それで、小さな世帯であるということ、あるいは集全力に乏しいということもありまして、絶対額はともかくとして、率の上で大変バランスを欠いたものになったということでありますが、実は当初から、この問題にかかわらず、これじゃいけないという機運がありまして、そういう方向転換がなされたと思います。その流れで来てもそうなったと思うんです。  ただ、申し上げておきたいことは、このことによって私どもの主張や姿勢や行動はいささかの影響も受けておりません。そして、これからも受けません。それはぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。  ただ、誤解を招かないように、私どもの決意を新たにして、さらに姿勢を正していくために、この際、金融機関からの政治献金を受けないという声がみなぎっておりますし、まだ党議で正式に決めたわけじゃありませんけれども、そうなるということを申し上げることができます。
  416. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 自民党の幹事長もきょう何か検討という方向を述べられておるようですが、首相の、自民党はどうであるかをお聞きしたいと思います。
  417. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 首相としてではありませんね、自民党総裁ですね。(佐々木(陸)委員「はい、自民党総裁です。失礼しました」と呼ぶ)  寄附というものが、民主主義の根幹である政治活動を支える資金であり、寄附は政治に対する意思表明の一つの形態である、個人、団体、企業を問わず民主主義政治における寄附というものを否定するものではない、これは繰り返して今までも申し上げてまいりました。  そして、この意味において、我が党の行き方やビジョンに賛同される団体、企業がみずからの意思によって行ったこれまでの寄附について、社会的存在としての意思のあらわれとして尊重すべきものであると考えております。そして、このたびの問題と寄附が同一線上にあるものではないことはもとよりのことでありまして、先日も申し上げたことですが、重ねて申すまでもないことであります。  しかしながら、住専問題が審議されているこの現状におきまして、政党として、国民にわかりやすい姿勢を示すという観点が大切だということを踏まえながら、党内にはさまざまな意見があるようでありますが、この際、党内調整を行うように幹事長に指示をいたしました。
  418. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 同一次元ではないとか誤解だとか言われますけれども、それはそれなりの見解でありまして、しかし、国民の側はそうは見ないということも実際の事実であります。  私たちは、今は銀行の問題ですが、しかし、企業が社会的存在である以上は、またいろいろな企業をめぐる問題が起こってくることもあり得るわけでありまして、そういう点では、やはりこれをきちんとやっていく……(発言する者あり)法律があっても我々は、企業の献金は我が日本共産党は一銭も受け取っていないという立場を貫いているわけでありまして、そういう方向もあり得るんだということをしっかりと認識していただきたいということを申し上げまして、ちょうど時間になりましたので、私の質問を終わります。
  419. 上原康助

    上原委員長 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  420. 上原康助

    上原委員長 御報告いたします。  去る五日、大蔵大臣久保亘君から衆議院議長あて、本委員会の要求に基づき証人として提出した書類のうち、一部に誤りがあるので訂正する旨の文書が本日提出されました。  以上、御報告いたします。     ―――――――――――――
  421. 上原康助

    上原委員長 この際、申し上げます。  議長への公聴会開会承認要求手続等について、さらに各党間で協議の上、委員長においてしかるべく取り計らいますので、さよう御了承願います。  次回は、来る十三日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時十分散会