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1996-04-11 第136回国会 衆議院 本会議 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年四月十一日(木曜日)     ―――――――――――――  議事日程 第七号   平成八年四月十一日     正午開議  第一 関西国際空港株式会社法の一部を改正す     る法律案内閣提出)  第二 新東京国際空港公団法の一部を改正する     法律案内閣提出)  第三 航空法の一部を改正する法律案内閣提     出)  第四 生物系特定産業技術研究推進機構法の一     部を改正する法律案内閣提出)  第五 本州四国連絡橋公団法の一部を改正する     法律案内閣提出)  第六 国立病院等の再編成に伴う特別措置に関     する法律の一部を改正する法律案内閣     提出)     ――――――――――――― ○本日の会議に付した案件  日程第一 関西国際空港株式会社法の一部を改   正する法律案内閣提出)  日程第二 新東京国際空港公団法の一部を改正   する法律案内閣提出)  日程第三 航空法の一部を改正する法律案(内   閣提出)  日程第四 生物系特定産業技術研究推進機構法   の一部を改正する法律案内閣提出日程第五 本州四国連絡橋公団法の一部を改正  する法律案内閣提出日程第六 国立病院等の再編成に伴う特別措置  に関する法律の一部を改正する法律案内閣  提出労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律  案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑 公営住宅法の一部を改正する法律案内閣提出)  の趣旨説明及び質疑 平成八年度一般会計予算 平成八年度特別会計予算 平成八年度政府関係機関予算 平成八年度における財政運営のための公債の発  行の特例等に関する法律案内閣提出)     午後零時九分開議
  2. 土井たか子

    議長土井たか子君) これより会議を開きます。      ――――◇―――――  日程第一 関西国際空港株式会社法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第二 新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第三 航空法の一部を改正する法律案内閣提出
  3. 土井たか子

    議長土井たか子君) 日程第一、関西国際空港株式会社法の一部を改正する法律案日程第二、新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案日程第三、航空法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。  委員長報告を求めます。運輸委員長辻一彦さん。     ―――――――――――――  関西国際空港株式会社法の一部を改正する法律案及び同報告書  新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案及び同報告書  航空法の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号(二)に掲載〕     ―――――――――――――     〔辻一彦登壇
  4. 辻一彦

    辻一彦君 ただいま議題となりました三法律案について、運輸委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  まず、関西国際空港株式会社法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、今後の航空輸送需要に適切に対応するため、関西国際空港の二本目の滑走路等整備する二期事業を緊急に実施するために必要な特例を定め、その実施を促進しようとするものであります。  次に、新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、新東京国際空港公団地域住民との相互理解の増進と信頼関係の確立を図り、あわせて東京一極集中の是正等に資するため、新東京国際空港公団の主たる事務所所在地東京都から千葉県に変更するとともに、財務内容公開等について所要措置を講じようとするものであります。  次に、航空法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、航空機安全確保等に関する民間事業者能力の向上、国際的な相互承認進展等航空機検査制度を取り巻く内外の情勢変化にかんがみ、民間事業者能力及び輸出国の証明の活用により、耐空証明等における国の検査を省略できる範囲を拡大するとともに、航空機発動機排出物の規制を行うこととする等、所要改正を行おうとするものであります。  三法律案は、二月十三日本院提出され、四月四日本会議において趣旨説明を聴取した後、同日本委員会に付託されました。  本委員会においては、四月五日亀井運輸大臣からそれぞれ提案理由説明を聴取し、去る九日質疑に入り、同日質疑を終了いたしました。  次いで、採決の結果、関西国際空港株式会社法の一部を改正する法律案については賛成多数をもって、新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案については全会一致をもって、また、航空法の一部を改正する法律案については賛成多数をもって、いずれも原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ―――――――――――――
  5. 土井たか子

    議長土井たか子君) これより採決に入ります。  まず、日程第一及び第三の両案を一括して採決いたします。  両案の委員長報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成皆さん起立を求めます。     〔賛成者起立
  6. 土井たか子

    議長土井たか子君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。  次に、日程第二につき採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 土井たか子

    議長土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ――――◇―――――  日程第四 生物系特定産業技術研究推進機構法の一部を改正する法律案内閣提出
  8. 土井たか子

    議長土井たか子君) 日程第四、生物系特定産業技術研究推進機構法の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。農林水産委員長松前仰さん。     ―――――――――――――  生物系特定産業技術研究推進機構法の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号(二)に掲載〕     ―――――――――――――     〔松前仰君登壇
  9. 松前仰

    ○松前仰君 ただいま議題となりました生物系特定産業技術研究推進機構法の一部を改正する法律案につきまして、農林水産委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、農林漁業飲食料品製造業等生物玄特定産業に関する技術高度化推進するため、生物系特定産業技術研究推進機構当該技術に関する基礎的試験研究業務を追加する等所要改正を行おうとするものであります。  委員会におきましては、四月九日大原農林水産大臣から提案理由説明を聴取し、昨十日に質疑を行いました。  質疑終局後、直ちに採決いたしましたところ、本案全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ―――――――――――――
  10. 土井たか子

    議長土井たか子君) 採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 土井たか子

    議長土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ――――◇―――――  日程第五 本州四国連絡橋公団法の一部を改正する法律案内閣提出
  12. 土井たか子

    議長土井たか子君) 日程第五、本州四国連絡橋公団法の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。建設委員長二見伸明さん。     ―――――――――――――  本州四国連絡橋公団法の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号(二)に掲載〕     〔二見伸明登壇
  13. 二見伸明

    二見伸明君 ただいま議題となりました本州四国連絡橋公団法の一部を改正する法律案につきさして、建設委員会における審査経過及び結果序御報告申し上げます。  本案は、多極分散型国土形成に資するため、大州四国連絡橋公団の移転に伴い、主たる事務所所在地東京都から神戸市に変更するとともに、あわせて本州四国連絡橋公団に対する政府の無利子貸し付けに関する規定整備等を行おうとするものであります。  本案は、去る四月九日本委員会に付託され、昨十日中尾建設大臣から提案理由説明を聴取した後、質疑を行い、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ―――――――――――――
  14. 土井たか子

    議長土井たか子君) 採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 土井たか子

    議長土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ――――◇―――――  日程第六 国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案   (内閣提出
  16. 土井たか子

    議長土井たか子君) 日程第六、国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。厚生委員長和田貞夫さん。     ―――――――――――――  国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号(二)に掲載〕     ―――――――――――――     〔和田貞夫登壇
  17. 和田貞夫

    和田貞夫君 ただいま議題となりました国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について、厚生委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、国立病院等の再編成の一層の推進を図るため、その資産譲渡等に関する特別措置の拡充により、地域の選択の幅の拡大等を講じようとするもので、その主な内容は、  第一に、国立病院等資産減額譲渡後の後利用の範囲を拡大し、医療機関開設目的とする場合のみならず、医療機関と一体として社会福祉施設等整備することを目的として国立病院等資産譲渡を受ける場合においても、譲渡価額減額を認めること、  第二に、国立病院職員の二分の一以上が譲渡先開設する医療機関職員となる経営移譲の場合に加え、職員の三分の一以上が譲渡先に採用される場合についても、職員の引き継ぎを要件としない譲渡の場合より高い減額率による譲渡ができること、  第三に、地方公共団体資産譲渡を受けた後、その管理を第三者に委託する場合、委託先国立病院職員を引き受けたときは、経営移譲等と同様の減額率による譲渡ができること、  第四に、資産減額譲渡を受けて医療機関開設する公的医療機関開設者等に対する国庫補助として、従来の医療機関運営費補助制度に加え、医療機関整備に要する費用補助制度を設けること等であります。  本案は、四月二日付託となり、去る五日の委員会において菅厚生大臣から提案理由説明を聴取し、昨十日の委員会において質疑を終了し、討論の後、採決の結果、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ―――――――――――――
  18. 土井たか子

    議長土井たか子君) 採決いたします。  本案委員長報告可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成皆さん起立を求めます。      〔賛成者起立
  19. 土井たか子

    議長土井たか子君) 起立多数。よって、本安は委員長報告のとおり可決いたしました。      ――――◇―――――  労働者災害補償保険法等の一部を改正する法   律案内閣提出)の趣旨説明
  20. 土井たか子

    議長土井たか子君) この際、内閣提出労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案について、趣旨説明を求めます。労働大臣永井孝信さん。     〔国務大臣永井孝信登壇
  21. 永井孝信

    国務大臣永井孝信君) 労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。  労災保険給付に関する決定に対して不服がある被災労働者等については、その迅速かつ公平な保護を図るという観点から、裁判所判断を仰ぐ前に、労災保険審査官への審査請求及び労働保険審査会への再審査請求という二段階審査請求手続を設けております。  しかしながら、近年、過労死事案に見られるように審査請求事案が複雑となっていることなどから、審査請求事案処理期間長期化する傾向にあり、その迅速な処理が求められております。  このような中で、昨年、最高裁判決において、第一段階労災保険審査官決定が遅延した場合に、再審査段階を移して手続を進めることができる旨の規定が置かれていないという問題点指摘されたところであり、同様な審査請求手続を設けている雇用保険法を含め、その審査請求制度見直しが求められている状況にあります。  このような事情にかんがみ、政府といたしましては、審査迅速化を図るとの観点から、労災保険審査官または雇用保険審査官決定が遅延した場合に関する手続整備するとともに、労働保険審査会審査体制充実等を図ることとし、このための法律案を作成し、関係審議会審議を経て成案を得ましたので、ここに提出した次第であります。  次に、この法律案内容の概要を御説明申し上げます。  第一に、労災保険審査官または雇用保険審査官に対して審査請求をしている者は、審査請求をした日から三カ月を経過しても当該審査官による決定がないときは、その決定を経ないで、労働保険審査会に対して再審査請求をすることができることとしております。  第二に、現在、労働保険審査会委員六人をもって組織しておりますが、新たに三人を増員し、委員九人をもって組織することとするとともに、そのうち三人は非常勤とすることができることとしております。  また、これに伴い、再審査請求事案について意見を述べることができることとされている関係労働者及び関係事業主を代表する者に関しても、現在、労災保険制度については労使各四名とされていますが、これをふやし、労使各六名とすることとしております。  以上のほか、労働保険審査会による労災保険審査官または雇用保険審査官に対する差し戻しの制度を廃止する等所要整備を行うこととしております。  なお、施行期日は、一部の内容を除き、本年七月一日としております。  以上が、労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案趣旨でございます。(拍手)      ――――◇―――――  労働者災害補慣保険法等の一部を改正する法   律案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  22. 土井たか子

    議長土井たか子君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。これを許します。須藤浩さん。     〔須藤浩登壇
  23. 須藤浩

    須藤浩君 新進党須藤浩でございます。  私は、ただいま提案されました労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案に対して、新進党を代表して質問をいたします。  すべての勤労者が健康かつ安全に働くことは、家族はもとより国民一人一人の切なる願いです。しかしながら、近年、労働災害件数減少傾向にあるとはいえ、いまだ一年間に約十八万人もの人々が死傷しています。しかも、二千人を超える人々が、我が国経済を支えるそれぞれの職場でそのとうとい命を落とされているという現状は、悲しみにたえないところです。まずは、最近の労働災害現状及び傾向について政府認識伺います。  言うまでもなく、労働災害補償保険制度は、不幸にも発生した労働災害補償を行うための保険制度であり、勤労国民が安心して働くための制度でもありますが、国家の政策としては、この制度の前提として労働災害防止のための諸施策が存在しなければならず、そのためには労働災害現状と今後の動向に関する調査と分析がなされなければならないことは当然であります。  さて、労働をめぐる情勢に近年大きな変化が生じていることは皆さん御承知のところですが、その典型的な事例がいわゆる過労死であります。  以前の労働災害は、業務との因果関係がより直接的な業務災害業務疾病が中心でしたが、今日では業務による疲労やストレスの積み重ねに起因する疾病、すなわちいわゆる過労死件数が増加してきています。  また、業務職場人間関係に起因する精神的な障害も急増しています。さらには、在宅勤務のような新しい勤務形態普及契約社員のような新しい労働契約普及に伴って、労働災害の新たな類型が発生しつつあると言えます。にもかかわらず、これらへの的確な対応がおくれているのではないでしょうか。  先ほど例に挙げました過労死については、死亡原因業務に起因するか否か、この判断については困難な状況も少なくないと伺っております。このような過労死件数の推移、労災認定状況等はどのようになっているか、お伺いいたします。  近年、過労死事案に見られるように、審査請求事案が複雑困難化していることなどから、請求事ういての永井労働大臣趣旨説明 労働者災害補案処理に要する期間長期化する傾向にあり、その迅速な処理が求められております。この点に関して、労災保険給付審査体制現状審査請求、再審査請求件数、その処理に要する期間滞留状況及びそれらに対する政府認識をお伺いいたします。  今回は、昨年七月六日の最高裁判決における問題点指摘にこたえた形で労働者災害補償保険法等の一部改正案提出されているわけですが、この改正案は、国税通則法健康保険法等と平仄を合わせ、審査請求制度見直しを行おうとするものであります。  確かに、この改正によって再審査請求に至るまでの期間短縮され、請求事案処理迅速化されるとの評価があります。しかし、その一方で、今回の改正は、労災制度が抱える問題を糊塗したまま、最高裁判決に対するいわば対症療法的な見直してはないかとの批判もあります。また、審査会自体存在意義も場合によっては問われる改正内容ではないかと見る向きもあります。  労災制度は、扱う事案が非常に専門的な判断を要するものであるため、事案の妥当な処理を図ると同時に裁判所負担軽減を図るという訴願置主義をとっています。しかしながら、業務上の認定基準が拡大されない限り、業務上に起因した疾病であるという判断がなされず、裁判段階で初めて業務上と認定される事態も生じていると思われます。過労死等に係る労災認定基準について、改めて政府対応をお伺いいたします。  この認定基準については、業務及び職場人間関係から生じる精神的な疾病についても、一定の基準のもとにこれを労働災害と認めるべきであると考えますが、いかがでしょうか。また、新しい勤務形態労働契約のもとで発生する労働災害について、本制度による救済を行うべきであると考えますが、見解をお伺いいたします。  訴願置主義については、労災制度にこれを採用していることが、一方ではかえって国民裁判を受ける権利を阻害し、言うならば、裁判への回り道を強いる結果にもなりかねないのではないでしょうか。また、仮に当事者が裁判所へ持ち込んだとしても、司法判断に要する時間は長期にわたることも想定され、被災者救済に至るまでの期間が長引くおそれもあります。  我が国における裁判は、押しなべて判決までに長時間を要するとの指摘があるところですが、事労災にかかわる裁判については、その迅速化もあわせて行わなければ、救済制度の改善と言いながら、その実、画餅に帰す危険性なしとしないものであり、この点について指摘をしておくものであります。  工場での操業中のけがのように業務上であることが比較的容易にわかるものもあれば、過労死のように判定が困難な場合もあります。過労死の場合、例えば夫が職場脳溢血で死亡したとき、妻が労災保険給付を受けるためには、その脳溢血業務のためであることを立証しなくてはなりません。しかしながら、その立証を妻にさせることは極めて困難であります。したがって、妻は弁護士医者に協力を求めるほかはないわけですが、もし会社が妻の依頼した弁護士医者立ち入りを拒否した場合は、お手上げの状態となります。たとえ医者立ち入りをしても、因果関係についての立証をすることが無理な場合も多くあります。  もともと死因が業務上のものであるにもかかわらず、医学や医者能力が不十分なため、業務外ということになりかねないこともあります。このような場合、被災者救済という観点から、行政としてどのように対応しているのか、お伺いいたします。  今回の改正により、労働保険審査会審査体制整備充実が図られることになるわけですが、案件の増加や内容多様化に真に対応できる体制になると言えるのでしょうか。問題の本質は審査案件滞留審査期間長期化にあり、今回の改正においても、労働保険審査会委員を三名増員して審査体制整備を図ることとしておりますが、果たしてこれだけで滞留解消による審査期間短縮が可能なのか、大いに疑問のあるところであります。  まず、今回の改正はどのような予算上、定員上の措置によって裏づけられることとなっているのか、また、今回の法改正とそれらの裏づけ措置とをあわせて滞留案件解消審査期間短縮効果はどの程度あると予測をしているのか、お伺いをいたします。  また、審査委員任命基準は適切と言えるのでしょうか。官寄りであって民を救う構成となっていないおそれはないでしょうか。現在、国民の官に対する信頼が薄れてきているのは憂慮すべき事態であると思います。これにこたえる意味でも、審査委員任命等については国民によく見える状態の中で適切に行われることの必要性を強く感じるものであります。  さて、ここまでは事故が起こってからの救済についてでしたが、最も重要なことは、不幸な事故を未然に防ぐことであります。そのためには、当然のことながら、このような危険を予知し回避する方策がとられていなければなりません。しかも、今や過労死をも視野に入れ、潜在する危険を予知してかかる必要があります。果たしてそれぞれの職場において使用者安全配慮義務実施は徹底されているのでしょうか。  例えば一部の中小企業等においては、これらにかかる費用負担になることにより、安全配慮に欠ける面も生じることはないでしょうか。これらに対して、政府においては、最近における労働災害現状を踏まえ、一層有効な方策を打ち出し、適切な指導等を行っていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。  また、あわせて労働災害防止策について、職場安全管理勤労者健康管理労働時間の短縮等について、さらには在宅勤務等の新しい労働形態における事故防止策についてもお伺いをいたします。  労働福祉事業を活用し、すべての勤労者の健康、安全を図っていくことが強く求められております。その際、安全教育の領域までをも視野に入れた幅の広い政策をもって当たらなければならないことは言うまでもありません。  労災保険制度の収支、積立金等財政現状と将来の見通しについてお伺いをいたします。また、労災保険制度の今後のあり方について、総理認識及び見解をお伺いいたします。  最後に、政府経済政策景気対策が大した効果を上げないというまことに情けない状況が続いている中にあって、産業構造改革に果敢に取り組み、企業にあってはリストラのあらしにさらされるなどの逆境にありながら必死に働き、家族を養い、しかも同時にこの国を支えておられる勤勉な国民一人一人に思いをいたし、心より感謝し、真に国民から信頼される政治を行っていかなければならないことを強く肝に銘じ、質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎登壇
  24. 橋本龍太郎

    内閣総理大臣橋本龍太郎君) 須藤議員にお答えを申し上げます。  労災保険制度の今後のあり方についてのお尋ねでありました。  労災保険制度は、昭和二十二年に創設されて以来、被災労働者保護を図るために、年金制の導入、通勤災害保護制度創設介護補償給付創設等、その内容を充実しながら、労働災害防止や適正な労働条件確保等に必要な事業実施することによって、労働者の福祉の増進に寄与し、我が国経済社会の発展にも寄与してまいりました。今後とも、労働者が安心して働けるように、経済社会の変化に的確に対応しながら、労災保険制度の健全な運営と整備に向け努力を払ってまいりたいと考えております。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)     〔国務大臣永井孝信登壇
  25. 永井孝信

    国務大臣永井孝信君) まず最初に、最近の労働災害現状及び傾向についてのお尋ねでありますが、労働災害長期的には減少傾向にあるものの、平成六年にはなお年間約十七万六千人が被災しており、また、死亡災害は平成七年二千三百四十五人と二年連続して増加をしております。  特に、死亡災害の約四割を占めている建設業については、平成二年以来連続して減少してきたところでありますが、平成七年は増加に転じ、千十八人が死亡をするに至っているわけであります。また、交通事故による死亡者数も死亡災害の約三割を占めるに至っておりまして、平成七年は六百七十八人と、前年に比べ二十一人増加しております。このように、労働災害の発生状況は今後とも予断を許さない状況にあります。  過労死の請求件数の推移、認定状況についてのお尋ねでありますが、請求件数につきましては、平成四年度から平成六年度までで見ますと、約三百五十件で推移をいたしております。また、認定件数につきましては、平成四年度から平成六年度までの平均で見ますとおおむね三十件でありましたが、平成七年度におきましては、認定基準を緩和したこともありまして、これまでの認定件数を大幅に上回る七十六件という状況にあります。  労災保険給付審査体制等についてのお尋ねでが、平成七年度における労災保険給付審査体制については、第一審として、都道府県労働基準局に九十三名の労災保険審査官を配置しているところであります。また、第二審として、労働保険審査会委員六名を配置しているところであります。  平成六年度における審査請求の新規請求件数は約九百五十件であり、再審査請求件数は約三百件となっております。これらの処理に要した期間は、審査請求においては約一年一カ月であり、再審査請求においては約二年九カ月となっております。年度末の未処理件数は、平成六年度末では、審査請求が約八百二十件、再審査請求が約七百件となっております。これらの事案処理に当たっては、審査請求制度趣旨を踏まえて、一段と迅速な処理が必要であると認識をいたしております。  過労死認定基準についてでありますが、現行の認定基準につきましては、最新の医学的知見を踏まえ、昨年二月と本年一月にその見直しを行ったところであり、この認定基準に基づき適正な労災認定に努めているところであります。労働省といたしましては、今後とも医学研究の動向を見守り、新たな医学的知見が得られました場合には認定基準見直しを行うなど、適切に対応してまいる所存でございます。  精神的な疾患を労働災害と認めるべきだとのお尋ねでありますが、精神障害についても、他の傷病等と同様、業務との相当因果関係が認められる場合には、従来から業務疾病として取り扱っているところであります。  新しい勤務形態等のもとでの労働災害についてのお尋ねでありますが、労災保険給付の認定は、労働者の勤務や傷病の実態とその変化等を十分踏まえ、個々の事案ごとに、被災労働者保護に欠けることのないよう適正かつ迅速に行っているところであり、新しい勤務形態労働契約のもとで働く労働者についても同様に対応しているところであります。  因果関係についての立証が困難な場合における行政の対応についてのお尋ねでありますが、被災労働者等労災保険給付請求を行うに当たっては、雇用関係や傷病の発生状況等の基本的な事項についての申し出があれば、医学的事項等の複雑な問題については労働基準監督署において必要な調査を行い、因果関係判断を行っているところであり、今後とも、労災保険の認定について被災労働者等保護に欠けることのないよう努めてまいる所存であります。  今回の法律改正に係る予算上、定員上の措置等についてのお尋ねでありますが、定員事情の大変厳しい中、労災保険審査官については二十七名の増員、労働保険審査会については非常勤三名の増員を行って審査体制整備充実を図ることとしているところであり、このために必要な経費等を予算案に計上しているところであります。このような審査体制の充実に加えて、事務処理の抜本的な見直しによる簡素合理化等を進めることにより、従来よりも一層効率的な処理に努め、滞留事案の早急な解消処理期間の大幅な短縮に努めてまいる所存であります。  最近の労働災害現状を踏まえた方策についてのお尋ねでありますが、労働省では、最近、死亡災害が増加傾向にあることにかんがみ、建設業の死亡災害の中で最近増加している木造家屋建築工事等における労働災害防止対策の強化、また交通労働災害防止のためのガイドラインに基づく適正な労働時間管理、教育の実施等の対策の充実強化などを重点的に行うこととしているところであります。また、平成七年度に、中小企業集団に対する助成制度を拡充し、中小企業における労働災害防止活動の促進を図っているところであります。今後とも、労働災害状況を踏まえた適切な防止対策の充実に努めてまいる所存であります。  職場安全管理等についてのお尋ねでありますが、労働省においては、平成五年度を初年度とする第八次の労働災害防止計画に基づき、安全衛生教育の徹底及び安全衛生管理活動の促進、また心身の健康保持増進対策の推進及び快適な職場環境の形成の促進を図っていくこととしております。さらに、長時間労働による疲労等を要因とする労働災害防止する観点からも、一つは完全週休二日制の普及拡大、二つには年次有給休暇の取得の促進、三つには所定外労働の削減、とりわけサービス労働の絶滅を期して、これからも行政を推進労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案してまいる所存であります。  また、新しい労働形態における事故防止対策についてのお尋ねでありますが、例えば御指摘在宅勤務者については、VDT作業による目、手腕等の疲労や腰痛の発生が考えられますことから、VDT作業のための労働衛生上の指針や職場における腰痛予防対策指針に基づき、今後とも関係事業者に対する指導に努めてまいる所存であります。  最後に、労災保険財政現状と将来の見通しについてのお尋ねであります。  労災保険財政状況平成六年度の決算で見ますと、収入総額は前年度より〇・六%増の一兆八千七百五十八億円であり、他方、支出総額は前年度より二%増の一兆二千五百五十六億円であります。この収支差である約六千二百億円につきましては、年金受給者の将来にわたる給付の原資として積立金に繰り入れているところであり、積立金の額は平成六年度末におきまして四兆五千五百六億円となっております。このように労災保険財政は基本的に安定した状況にありますが、今後とも、景気の変動や労働災害の動向を踏まえつつ、引き続き健全な運営に努めてまいる所存であります。(拍手
  26. 土井たか子

    議長土井たか子君) これにて質疑は終了いたしました。      ――――◇―――――  公営住宅法の一部を改正する法律案内閣提   出)の趣旨説明
  27. 土井たか子

    議長土井たか子君) この際、内閣提出公営住宅法の一部を改正する法律案について、趣旨説明を求めます。建設大臣中尾栄一さん。     〔国務大臣中尾栄一君登壇
  28. 中尾栄一

    国務大臣(中尾栄一君) 公営住宅法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。  公営住宅制度は、従来から、住宅に困窮する低額所得者の居住の安定と居住水準の向上のために大きな役割を果たしてきたところでありますが、急速な人口の高齢化など大きく変化する経済社会情勢対応するため、諸般の改正措置を講ずることが必要であります。  この法律案は、このような観点から、真に住宅に困窮する者に対し、良好な居住環境を備えた公営住宅の的確な供給を図るため、所要改正を行うものであります。  次に、法律案の要旨を申し上げます。  第一に、長寿社会の到来等に対応するため、高齢者等に配慮して入居収入基準を弾力化するとともに、適切な負担のもとで居住の安定が図られるよう、公営住宅の家賃を入居者の収入及び公営住宅の立地条件、規模等に応じて設定するほか、公営住宅の社会福祉事業への活用や、建てかえ事業における社会福祉施設、公的賃貸住宅との併設を促進することとしております。  第二に、既存住宅の有効活用等により需要に応じた的確な供給を図るため、民間事業者等が保有する住宅を買い取りまたは借り上げて公営住宅として供給する方式を導入するとともに、公営住宅の種別区分を廃止するほか、建てかえ事業の要件を緩和することとしております。  第三に、地方公共団体の自主的な政策手段の拡大を図るために、高齢者等の入居収入基準を一定の上限のもとで地方公共団体が条例により設定できるようにするほか、家賃の改定等についての建設大臣への報告義務を廃止するなどをあわせて行うこととしております。  これらの改善措置に伴い、今国会に提出されました平成八年度予算案に盛り込まれているとおり、公営住宅の供給に係る国の補助制度整備する等所要改正を行うこととしております。  以上が、公営住宅法の一部を改正する法律案趣旨でございます。(拍手)      ――――◇―――――  公営住宅法の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  29. 土井たか子

    議長土井たか子君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。大口善徳さん。     〔議長退席、副議長着席〕     〔大口善徳君登壇
  30. 大口善徳

    ○大口善徳君 新進党の大口善徳です。新進党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました公営住宅法の一部を改正する法律案につきまして、橋本総理並びに中尾建設大臣に対し質問をいたします。  戦後、我が国は、国民のたゆみない努力によって驚異的な経済成長を遂げましたが、それが国民の真の豊かさに結びついていたとは到底言えない状況でございます。特に住宅の貧困は諸外国からも指摘されているとおりでございます。一九八六年、OECDは、都市政策レビューで日本政府に対し、「日本の住宅ストックはOECDに比べて低水準にあり、これを改善していこうとするならば、日本政府は住宅問題をもっと優先的に扱う必要がある」と勧告をしています。  居住水準の現状を見ましても、平成五年、最低居住水準未満の世帯が約三百万世帯もあり、特に賃貸住宅において一住宅当たりの延べ床面積は、全国平均で四十五平米、東京都三十七平米、大阪府四十二平米となっており、持ち家の全国平均百二十二平米に比べますと著しく低いレベルでございます。  「布団を敷くのに物を動かさなければならないし、敷いてもたんすの角に布団が当たる」あるいは「遊びに来た友達に、さあどうぞ上がってくださいと気持ちよく言えない」、そのような声を耳にします。また、小さな子供がいるからといってあるいは高齢者というだけで、アパートの入居を断られたり立ち退きを要求されたりしているのが実際に起こっていることでございます。現状の住宅事情における総理認識をまずお伺いしたいと思います。  次に、今後の住宅政策あり方における基本的課題についてお伺いいたします。  昨年六月、住宅宅地審議会が「二十一世紀に向けた住宅・宅地政策の基本的体系について」と題する答申を出され、また本年三月、第七期住宅建設五カ年計画について閣議決定がなされましたが、住宅供給における公的部門と民間部門の役割分担のあり方、さらに公営住宅、特定優良賃貸住宅の位置づけについて、明快なる総理の御答弁を賜りたいと思います。  さらに、ある自治体の公共賃貸住宅に入居されていた八十歳の御婦人の上に実際に起こった事実を通してお尋ねをしたいと思います。  この婦人は、だれが見ても入院が必要と感じる病状で、友人が再三にわたって入院を勧めました。しかし、入院すると、せっかく抽せんで当たった高齢者住宅を出なければならないと、我慢に我慢を重ねたそうです。そして、救急車で病院に運ばれて、一カ月目には亡くなられたということです。病院の担当医は「もっと早く入院していれば助かったんだが、なぜ入院しなかったんでしょうか」と語っていたそうです。このことの中に高齢社会の重要な課題が多く含まれていると思います。  第一に、国民が、単に住むというだけでなく拝みたい地域に住めるようにすることと、経済的不安を持たずに安心して生涯住み続けることができることが、住宅政策の基本であると考えます。特に高齢者にとって、住み続けた地域、親しい仲間、親族等との交流は重要です。高齢者の多様なニーズ、家族状況、所得水準、健康状態、安全性に対応した住環境の整備と、高齢者の方が可能な限り住みなれた地域社会で健康で生きがいのある人生を過ごせる住宅の整備は、緊急の課題であると考えますが、これに対する総理の所見を求めます。  第二に、大都市の住宅事情を考えますと、公的・民間共同賃貸住宅の役割は大きく、また、公営住宅は、一定の所得層によるすみ分けによって、集合住宅自体が一つの共同体を形成しております。しかし、良好なコミュニティーを形成するためには、各所得層がバランスよく居住していることが望ましいと考えます。したがって、公営、公団、特定優良賃貸の各住宅の混合建設や、さらに進んで、一棟の集合住宅にこれらの住宅の多様な所得階層が居住することを可能にする公的住宅の一元化の方向が、共同体形成のあり方として望ましいと考えます。その方向が、昨年十二月に構造改革のための経済社会計画で指摘された自立的福祉社会形成に寄与するものと考えますが、この点について総理見解を求めます。  第三に、高齢者仕様の住宅整備についてであります。  平成三年の人口動態統計によれば、住宅事情による事故死総数の七一%が六十五歳以上の高齢者によって占められています。高齢化に対応した仲宅に取り組めば、三十年後には累計で十一兆五手億円の介護費用を軽減できるとの試算もあります。北欧諸国では、新築住宅はすべて高齢者仕様の住宅にしています。高齢化の急速な進展を考えると、高齢者住宅の整備は自立した生活のために必要な社会資本との認識で、我が国も本格的に取り組むべきであります。  さらに、単に高齢者住宅を整備するだけでなく、医療・福祉との連携が重要です。住宅政策と医療・福祉政策との連携を一層強化する必要があると考えますが、これに対する総理の取り組みについてお尋ねをいたします。  第四に、住宅に対する認識についてであります。  これまで、我が国では、住宅さえ建てれば足れりという認識が先行して、その中身や影響について十分考慮されていなかったと思います。我が国において二十一世紀は高度の福祉社会を構築しなければならないことについては認識が一致するものと思いますが、その福祉社会形成の基礎となるのが住宅であると考えます。ゆえに、高齢先進諸国で定着している「住宅は社会資本」との共通認識を確立し、問題解決型の住宅政策から、住宅を魅力ある居住の場としていくために生活創造型への住宅政策の転換が必要であると考えますが、この点について総理の所見を求めます。  ところで、住宅基本法の制定について述べたいと思います。  我が国では、住宅に約二百本以上の法律が関係しており、それぞれの課題について各種の法律が分担しているのが現状で、それは時代ごとの問題に個別的に対応したものであって、時代を先取りしたものではありません。平成元年に土地基本法、平成五年に環境基本法が成立し、土地問題、環境問題の総合的な対策が推進され、昨年は高齢社会対策基本法、科学技術基本法が成立し、現在、計十五本の基本法が制定されています。  平成六年の「二十一世紀に向けた住宅政策の基本的体系はいかにあるべきか」の住宅宅地審議会の住宅部会の中間報告では、「今後検討すべき事項」に「住宅基本法に係る主要な論点の検討等住宅政策を包括する法体系のあり方の検討」とありましたが、翌年の平成七年の同審議会の最終答申では、住宅基本法を制定すべきとの記載は一切ありません。私は、住宅政策の目標として、ゆとりある住生活の実現を打ち出し、国民の住生活の充実が国の責任であることを明記し、福祉、環境、人権等の諸政策と連携することを内容とする住宅基本法を制定すべきであると考えます。  平成二年二月の衆議院選立候補者へのアンケートでは、何と九割以上の方が住宅基本法制定に賛成しており、ここの皆さんもそうでございます。幾つかの自治体では住宅条例が制定されております。かつて、日本社会党も含む野党三党会派で法律案を共同提出したこともありました。昔の話でございます。生活大国を目指す我が国政府が、福祉社会の基礎をなす住宅政策を包括する住宅基本法の制定に何ゆえ消極的なのか、その理由をお伺いしたいと思います。  以上、今後の住宅政策の基本的課題である六点について、順次総理の明快なる答弁を求めます。  ここで、公営住宅法改正について、中身について質問をいたします。  まず第一に、公営住宅の入居資格について、高齢者、障害者等に対し現行入居収入基準を引き上げて入居をしやすくしたこと、「障害者プラン ノーマライゼーション七か年戦略」を受けて知的障害者の自立生活を支援するグループホームに公営住宅を活用すること、デイサービス等の福祉施設等の併設を推進すること、過疎地域等における若年単身者の入居が可能になること、これらは我々が以前より強く主張していたことであります。ですから、評価はするものの遅きに失する、こう言わなければなりません。  特に、グループホーム、福祉ホームについては、障害者プランで平成十四年度末までに二万人分の確保を目指しており、多くの方が期待していることに思いをいたすときに、その実現のために公営住宅のグループホームヘの積極的活用が極めて重要であると考えますが、総理見解をお伺いしたい。  第二に、今回の改正は、低所得者に対して低廉な家賃の住宅を供給するという公営住宅法趣旨に沿うものと考えますが、新たな入居収入基準の設定により、これまで収入基準内であった収入分位三三%以下の一般世帯が二五%を超えると収入超過者となるため、家賃の引き上げ、明け渡し努力義務や建てかえ後の再入居に大変不安を感じておる方々がいらっしゃいます。  また、これまで入居資格を持っていた収入分位が二五%を超え三三%以下の一般世帯が公営住宅に入居できなくなり、受け皿となる公的賃貸住宅への入居が本当に可能なのか大変心配をしております。そこで、受け皿住宅である特定優良賃貸住宅の確保が極めて重要になってくるわけでございますが、これらの人々の不安に対して政府はどう対応されるのか、建設大臣の明快なる答弁を求め公営住宅法の一部を改正する法律案趣旨説明にます。  第三に、今回の改正で、一種、二種の区分の廃止、賃貸住宅の借り上げ、買い取り方式の導入など供給方式の多元化、建てかえ事業の要件の弾力化、高額所得者、収入超過者に対する適正な措置によって、公営住宅の供給促進を図ろうとしています。しかし、平成六年度の公営住宅の新規応募倍率を見ますと、三大都市圏の場合平均は十六倍、東京都の場合は平均で三十四倍となっており、中には応募倍率が三百倍を超えるところもあるのです。今回の措置によって、最も公営住宅を必要とする低額所得者層にどの程度入居の可能性が拡大をするのか、建設大臣にお伺いをいたします。  さらに、少子化対策を含め、大都市を中心に中堅勤労者にとってファミリー向け住宅の供給が極めて重要でありますが、その中堅勤労者への住宅供給を使命とする住宅・都市整備公団が現に供給する住宅は、大都市圏におきますと中堅勤労者にとって手の届かない家賃や価格となっているのが実態であります。これはもはやその使命を放棄したものと言わざるを得ません。この公団の果たすべき公的役割を今後担うものは特定優良賃貸住宅であり、大都市地域における住宅問題解消のために特定優良賃貸住宅の供給を一層拡大すべきであると考えますが、建設大臣の見解をお伺いしたい。  第四に、今回の改正によって建設費補助率が一律二分の一となりますが、これによって地方公共団体負担がふえることがあっては困ります。十分な配慮をしていただきたい。それについて建設大臣にお伺いします。  第五に、今日、地方分権の重要性は改めて申し上げるべくもありませんが、今回の改正によって地方公共団体の自主性、自立性がどの程度拡大するのか、建設大臣にお伺いしたい。  第六に、住宅建設コスト削減についてであります。  本年三月二十六日、住宅建設コスト低減のための緊急重点計画の中で、「二〇〇〇年度までに標準的な住宅の建設コストをこれまでの三分の二程度まで低減する」と発表がありました。この内容については、私もかねてより主張していましたが、国際公約として認識していいのか、総理の決意をお伺いします。  さらに、阪神大震災の教訓から、耐震性強化や耐久性、省エネなどの環境の観点も踏まえてコスト削減を図らなければ意味がありません。公営住宅等の建設及び建てかえにおいても建設コスト削減の先導役を果たすべきであると考えますが、建設大臣の取り組みについてお伺いします。  新進党は、阪神・淡路復興推進委員会を設置し、復興対策について全力を挙げて取り組んでおります。  そこで、最後に、四月八日に兵庫県芦屋市で仮設住宅の撤去が始まりましたが、仮設住宅の撤去費用並びに阪神・淡路大震災での仮設住宅入居者に対する恒久住宅、特に公営住宅における入居及び家賃の軽減対策について国はどのように支援をするのか、総理の明快なる答弁を求め、私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎登壇
  31. 橋本龍太郎

    内閣総理大臣橋本龍太郎君) 大口議員にお答えを申し上げます。  まず、現在の住宅事情につきましては、これまでの国民の努力とこれを支援する政策によりまして、居住水準は着実に向上はしてまいりました。しかし、良好なまた良質な住宅ストックはなお十分ではないと思います。同時に、我が国社会の高齢化に伴い、今後、高齢世帯の住生活の安定の確保も非常に重要な課題です。このような状況を踏まえて、政府としては、今後とも、国民の住生活の質の向上を目指した総合的な住宅政策を積極的に推進してまいります。  次に、住宅供給におきましては、公的部門の適切な条件整備のもとでの良質な民間住宅の供給を基本としながら、市場においては十分に供給されない住宅サービスについて公共住宅制度内容の充実を図る必要があると考えております。中でも公営住宅は、住宅に困窮する低額所得者に対して住宅を供給する役割を担うものでありますし、また、特定優良賃貸住宅は、中堅所得者層に対し良質な賃貸住宅を供給するものとして位置づけており、今後とも両制度趣旨に沿った的確な供給に努めたいと思います。  次に、国民、特に高齢者のニーズに対応した住環境の整備、住みなれた地域に安心して住み続けられるような施策を進めていく、これは、議員が御指摘になりましたとおり、住宅政策の重要な課題だと私も思います。このため、政府としても、先般決定した第七期住宅建設五カ年計画におきましても、「いきいきとした長寿社会を実現するための環境整備」と「地域活性化に資する住宅・住環境の整備」を基本課題として位置づけておりまして、今後とも、国民、特に高齢者の多様なニーズに的確に対応できるよう住宅政策の充実に努めてまいりたいと思います。  また、公的住宅の一元化に関するお尋ねでありますが、公的住宅については、入居対象者の特質に応じて的確な内容の供給を行うために、複数の制度で構成しております。一方、多様な居住者による良好なコミュニティーの形成を図るとの観点から、今回の法改正におきましても、一般の民間賃貸住宅や特定優良賃貸住宅と公営住宅とをあわせた供給が進められるように、民間の住宅を買い取りあるいは借り上げる制度を設けることとしており、このような方法を活用して地域コミュニティーと自立的福祉社会の形成に努めてまいりたいと考えます。  また、本格的な高齢社会に対応した住宅整備を進めることは極めて重要だという御指摘、そのとおりに私も受けとめます。このため、公的住宅のみならず、民間住宅につきましても住宅金融公庫融資を通じたバリアフリー化の促進、さらに公的住宅団地におけるデイサービスセンターの併設等によりまして、医療・福祉政策との連携を図った住宅の整備を進めてまいります。  また、魅力ある居住の場にするための住宅政策というお尋ねがありました。  住宅は、個人の生活基盤であると同時に地域社会の基盤でもあり、その充実を図ることは当然重要な政策課題であります。こうした課題に対応するため、政府として、本年三月、第七期住宅建設五カ年計画を決定し、安全で快適な住宅ストックと住環境の整備等に積極的に取り組んでまいります。  住宅基本法につきましては、国民の居住権のあり方あるいは住居費負担等の公的な役割等、まだ国民の間のコンセンサスが十分ではないと私どもは考えており、さらに幅広い検討が必要だと思います。  また、公営住宅のグループホームヘの活用についてのお尋ねがありました。  知的障害者等の方々の地域社会における自立生活を援助するためには、さまざまな取り組みが必要であります。同時に、残念ながら、新たな施設をつくろうといたしました場合、周辺の住民の方々の協力を得られないといったケースもございます。今回の公営住宅法改正案におきましても、グループホーム事業を行う社会福祉法人等に公営住宅をお貸しすることを可能といたしましたが、私どもは今後これが地域の実情に応じて適切に活用されることを心から願っており、また、そうした方向を出していただけるものと考えております。  次に、住宅建設コスト低減のための緊急重点計画につきましては、この計画は、我が国国民が適正な負担で真に豊かな住生活を送ることを実現することを目標として、関係省庁に命じ作成をいたしたものでございます。国際公約というものではありません。しかし、同時に、この計画には輸入住宅等の導入の円滑化のための条件整備などといった海外諸国の関心の非常に高い要素が含まれていることもありまして、外国との関係におきましても、この計画の着実な実行は努力をしていくべきものと思います。  次に、阪神・淡路大震災についてのお尋ねでありますが、仮設住宅の撤去に要する費用は、設置主体である当該地方自治体が費用負担することを原則として今日までまいりました。しかし、今回の応急仮設住宅の設置数は前例のない規模でありますし、現在、兵庫県におかれまして仮設住宅の撤去についての対応方針を検討しておられますので、今後、地元自治体とも十分御相談をしながら、国としての対応を検討していきたいと思います。  また、公営住宅等の早期大量建設によって恒久住宅の確保を図ると同時に、特に家賃につきましては、種々の施策によって引き下げを図っております公営住宅ですら従来の家賃負担に比して重い、そういう被災者の方々が多数おられることを私自身も存じております。こうした方々を視野に置いた何らかの工夫が必要である、そう感じまして、関係閣僚に既に検討をお願いいたしておりまして、政府一体となって適切に対応してまいりたいと考えております。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁を申し上げます。(拍手)     〔国務大臣中尾栄一君登壇
  32. 中尾栄一

    国務大臣(中尾栄一君) まず、収入超過者の方々の不安についての御質問でございますが、公営住宅への入居後、収入が上昇いたしまして低額所得者とは言えなくなった方につきましては、公営住宅の性格上、明け渡すよう努力をしていただくとともに、適切な負担の家賃をお支払いいただくことが妥当であると考えております。  しかしながら、収入超過者となったことに伴い急に居住の安定が損なわれるということも妥当ではないと考えておりまして、改正案においては、収入超過者の家賃につきましては、近傍同種の住宅の家賃を限度といたしまして、その方の収入に応じて段階的に設定するほか、新制度への移行に伴い家賃の額が上昇する場合には、適切な負担調整措置を行うこととしておる次第でございます。  また、収入超過者に対しましては、必要に応じて他の公的住宅等のあっせんをすることとしておる次第でございます。さらにまた、建てかえ事業に際しましては、収入超過者であっても建てかえ後の住宅への再入居を保証する等の措置を講ずることとしておる次第でございます。  次に、入居者資格の改正に伴い公営住宅へ入居できなくなる世帯への住宅対策についてでございますが、今後、公営住宅の供給とあわせまして、これと適切な役割分担を図りつつ特定優良賃貸住宅を今まで以上に積極的に供給して、これらの世帯の居住の安定を図っていきたいと考えておる次第でございます。  またさらに、大口議員から、最も公営住宅を必要とする低所得者層の入居可能性の拡大と特定優良賃貸住宅の供給拡大についてのお尋ねがございました。  公営住宅につきましては、真に公的援助を必要とする方々に対応できる制度とするとともに、特定優良賃貸住宅の積極的な供給を図ることが重要であると考えております。このために、今回の改正案では、第一種、第二種の区分の廃止と民間住宅の借り上げ方式の導入等、最も公営住宅を必要とする低所得者層に対して従来以上に公営住宅が供給されやすくなるような措置を講ずることとしておる次第でございます。また、今年度から始まりまする第七期住宅建設五カ年計画におきましては、公営住宅及び特定優良賃貸住宅等の計画戸数を四十二万五千戸と、前回計画の三十一万五千戸と比べて大幅に増加させているところでございます。  なお、公団賃貸住宅は、都心居住の推進あるいは基盤施設の整備と一体となった住宅供給等、大都市地域の中堅勤労者の住宅事情の改善に重要な役割を担っているところでございまして、その家賃につきましても、国からの利子補給、建設コストの低減等によりまして、今後とも適正な水準になるように努力をしていきたいと考えておる次第でございます。  また、地方公共団体財政負担についてのお尋ねでございますが、公営住宅の的確な供給を推進するためには、地方公共団体負担あり方についての配慮も重要な観点であると認識しておる次第でございます。今回の改正におきましては、建設費等補助に係る補助率を二分の一に統合する一方で、家賃対策補助を大幅に拡充することとしておりますので、公営住宅に対する国費は制度的には減少しないものと考えておる次第でございます。また、家賃対策補助等に係る地方負担につきましては、自治省において、地方公共団体財政運営に支障が生じないように適切な地方財政措置が講じられることとされておるところでございます。  今回の改正により、地方の自主性、自立性がどの程度拡大されるかという御質問でございますが、今回の改正につきましては、地方公共団体からの要望を十分踏まえて検討したものでございます。また、そのような方向に私どもは位置づけておる次第でございます。具体的には、第一種、第二種の種別区分の廃止、高齢者、障害者等の入居収入基準に係る地方の裁量の拡大、あるいは民間住宅等を借り上げまたは買い取ることによりまして公営住宅を供給する方式の導入、あるいは公営住宅建てかえ事業の要件緩和等を行うこととしておりまして、地方の自主的な政策手段は大幅に拡大するものと考えておる次第でございます。  また、住宅建設コスト削減についての御質問がございましたが、建設省におきましては、住宅建設コスト低減のための施策をより一層強力に推進するために、関係省庁と連携して、去る三月二十六日に住宅建設コスト低減のための緊急重点計画を策定し、建築規制体系の抜本的見直し等を進めることとしているところでございます。  また、公営住宅等の建設に当たりましては、御指摘のとおり、耐震性強化や耐久性、省エネルギー等の確保と建設コスト低減の両立を図る先導役を果たす必要がございまして、そのためには、設計の標準化、規格部品の採用等を積極的に推進してまいりたいと考えておる次第でございます。ありがとうございました。(拍手)     ―――――――――――――
  33. 鯨岡兵輔

    ○副議長(鯨岡兵輔君) 中島武敏君。     〔中島武敏君登壇
  34. 中島武敏

    ○中島武敏君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました公営住宅法の一部を改正する法律案について質問いたします。  周知のように、公営住宅は戦後間もなくの一九九一年に制度化され、公団、公社住宅制度と並んで我が国の公共住宅制度の中核を担ってきました。戦後の住宅難の時期は収入の下から八〇%までの階層を対象に比較的低廉な家賃で住宅を供給し、特に六〇年代の高度成長期におきましては、地方から大都市に集中した勤労者の受け皿住宅として、七一年をピークとして毎年十万戸近くが建設されたのであります。しかし、八〇年代初頭に発足した第二臨調で、今後の住宅政策については「民間の能力を最大限生かすことを基本とし、逐次公的部門の関与を見直していく」ということが答申されて以来、建設戸数は減少の一途をたどり、住宅は個人の自助努力とするいわゆる民間自力建設中心の住宅政策が進められたのであります。  バブル時期の地価狂乱によってマイホームの取得は夢のまた夢となり、外国からは我が国の住宅についてウサギ小屋と称されたことは多くの人が記憶に新しいところであります。このような日本の住宅事情を改善することこそ、今政治に与えられた重要な任務であると言っても決して過言ではありません。  日本共産党は、国民の生存権を保障するため「住宅は福祉である」と位置づけ、住宅基本法の制定を要求し、国民の住生活改善のために努力を重ねてきました。その立場から、以下質問を行うものであります。  本改正案は、昨年六月、住宅宅地審議会から「住宅政策は民間住宅、公共住宅を合わせた住宅市場全体を対象としてとらえ、その市場機能が十分に発揮できるようにすることを基本とすべきである」と答申されたのを受けたものであります。住宅を市場メカニズムに任せ、専ら個人の自助努力にゆだねるのは、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障している日本国憲法の規定に著しく反するものではありませんか。本改正案は、憲法二十五条に反するものと言わざるを得ません。総理の明確なる答弁を求めるものであります。  また、本改正案は、住宅政策について、民間企業がもうけの対象にならない部分だけを公共が補完するとして、公共住宅の建設や管理を怠ってきた政府や地方自治体の責任を棚に上げ、その役割を極めて狭くとらえ、民間住宅市場の補助的役割に押し込めてしまうことを宣言したものと言わなければなりません。これは、これまで不十分ながらも国民の住生活を保障した公営住宅制度を根本的に改変するものではありませんか。総理及び建設大臣の見解を明らかにされたいのであります。  次に、公営住宅の建設の必要性についてであります。  我が国では、依然として、政府の定めた最低居住水準さえ満たしていない世帯が三百二十万世帯に上っています。しかしながら、公営住宅の建設戸数は年々減少し、例えば東京都の場合、最低居住水準未満世帯が七十二万世帯にも上っているにもかかわらず、公営住宅の建てかえを除く新規建設戸数は、昨年、わずか十六団地千五百四十一戸にすぎません。しかも、昨年の応募倍率は、新設住宅では、最高は一種三百三十九倍、二種三百四十二倍であります。空き家募集でも、一種の最高は五十六倍、二種では百七十八倍を超えているのであります。  さきの阪神・淡路大震災でも、公共住宅は他の民間住宅に比べても被害が少なく、避難所になるなど大きな役割を果たしました。公営住宅への国民の要望は強く、政府はこの声にこたえる必要があるのではないでしょうか。総務庁の行政監察でも「公営住宅に対する需要は大都市地域において一種、二種住宅とも強く、住宅建設の促進が求められている。住宅建設戸数がむしろ減少しており、必ずしも十分な供給とはなっていない」と報告して、建設の必要性を認めております。  日本共産党は、民間任せの住宅供給を根本的に変え、公共住宅建設を大都市部を中心に今後十年間で三百万戸建設すべきであると提言していますが、政府としては、公営、公団、公社ごとにどのような建設計画で臨むのか、明確なる答弁を求めるものであります。  次に、改正案に即して質問いたします。  その第一は、公営住宅が、改正案によって公営住宅居住者がこれまで以上にごく限られた低所得者、高齢者、障害者に限定され、いわゆる救貧住宅になるのではないかという危惧についてであります。  改正案の政令で定める予定の入居収入基準は、現行の収入の下から三三%以内から高齢者世帯では四〇%以内に広げられますが、一般世帯は逆に三三%以内から二五%以内に狭められることになっています。この措置は、従来の公営住宅対象階層の一部を民間住宅任せにするものではないでしょうか。  公営住宅は、本来、多くの国民を対象に低廉な家賃の住宅を供給すべきであります。それを狭め、現在でも公営住宅居住者が高齢者や低所得者に集中し、コミュニティー活動の担い手がいなくなり、地域の衰退をもたらしております。改正案は、それに一層拍車をかけ、さらなる救貧住宅にするものと言わなければなりません。これを防止するためにも、入居収入基準を平均的な勤労者の収入水準とすべきであります。公営住宅を、老若男女、子供の遊び声が聞こえる本当に活性化された地域社会にすべきではありませんか。大臣の見解を問うものであります。  第二に、改正案がいわゆる収入超過者や高額所得者の追い出しを意図したものではないかということであります。  勤労者の平均収入をはるかに下回る年収約四百五十万円を超えると収入超過者とされ、明け渡し努力義務が課された上、最高は民間家賃が押しつけられる。また、勤労者の平均年収並みの約七百四十万円以上の収入で高額所得者とされ、民間家賃が押しつけられる上に、明け渡し請求期限後は民間家賃の二倍に相当する金額を徴収される。これは、事実上の強制明け渡してはありませんか。長い間住みなれた住居を、当局の一方的な判断で収入超過者や高額所得者と認定し事実上追い出すことは、居住権を著しく侵害するものであります。公的住宅の居住者が収入の上昇を理由に退去を迫られる国は世界に一つもないと言われております。答弁を求めるものであります。  第三に、改正案による家賃値上げの問題であります。  改正案では、現行の個別原価家賃方式をやめて、応能応益家賃方式を導入しました。応能家賃方式は、現行の個別原価家賃方式が地価や建設費の高騰によって家賃が際限なく上がることによる矛盾を一定程度是正するものでありますが、立地など便益で家賃を決める応益制度をセットで導入したため、家賃が入居者や入居資格者の負担能力を上回るという現状を解決するものとはなっておりません。そればかりか、収入超過者や高額所得者には民間家賃を基準にして家賃を決めるなど、市場原理を露骨に公営住宅制度の家賃算定方式に取り入れた点で、公営住宅の家賃制度改悪の転機となるものであります。  家賃に市場原理を導入することは、「住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸すること」という公営住宅法の原則的な目的に反するのではありませんか。また、このことにより民間家賃を押し上げる結果となることが十分に予想されますが、この点についてもどのように考えているのか、明確にされたいのであります。  第四に、自治体への負担強化とその裁量権が著しく狭められるのではないかという問題であります。  改正案では、第一種公営住宅と第二種公営住宅の区分を廃止し、国の補助を一律二分の一に切り下げました。新たに家賃減額のための補助制度を新設したものの、建設省は、全体として補助額がふえるのか減少するのか明確にしておりません。このため、事業主体である地方自治体は補助率の削減による負担増を危惧しているのであります。しかも、本来、地方の住宅事情によって公営住宅の建設や管理が定められるのが当然でありますが、家賃の決定を初めとした多くの施策が政省令によって規定され、地方自治体の裁量権を著しく狭めていることは、政府の言う地方分権にも反するものであると考えるがどうか。また、自治体への負担強化にならないのか。建設大臣、自治大臣の明確なる答弁を求めるものであります。  このような内容を持つ本改正案に対して、全国公営住宅協議会、全国公団自治協、全国公社自治協、全国借地借家人組合連合会は強く慎重審議を要求しています。また、会員に多くの公営住宅居住者を有する全国生活と健康を守る会連合会も「民間並み家賃への値上げを初めとする公営住宅法の改悪法案を慎重審議し、廃案にするよう要請する」として、反対署名運動に取り組んでおります。  さらに、公営住宅の建設と管理に責任を持つ大都市のある自治体も、収入基準について地域の実情や自主性に最大限配慮すること、既存住宅の管理システムの移行には必要な経過年数と十分な移行期間を設定すること、建設費補助の改定については地方の財政負担増とならないよう特段の配慮を講じることなどを政府に要求しているのであります。  日本共産党は、「住宅は基本的人権であり福祉である」との立場から、住宅に対する国、自治体の責任を明確にするとともに、我が国の住宅政策を、個人の自助努力に依存する民間自力建設中心から、公共住宅の大量建設、供給を柱にした国民本位の住宅政策への転換を求めて奮闘いたしております。今回の改正案についても、公共住宅居住者や住宅に困っている多くの人々と力を合わせて、法案に反対し、公共住宅制度の改善を図るため全力を尽くすことを表明して、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎登壇
  35. 橋本龍太郎

    内閣総理大臣橋本龍太郎君) 中島議員にお答えを申し上げます。  住宅政策につきましては、憲法第二十五条の趣旨を踏まえ、経済社会情勢対応した適切なものとするよう努めているところであり、公的部門と民間部門がそれぞれにふさわしい役割分担と密接な連携のもとで多様かつ良質な住宅供給を行うよう、諸般の施策を総合的に推進していくことが適切だと考えております。  今回の改正は、急速な人口の高齢化など経済社会情勢変化対応し、高齢者や障害者を含め住宅に困窮される方々に公営住宅の的確な供給を図るため、入居者資格、家賃制度、公営住宅の供給方式等について所要改正を行うものであり、したがいまして、今回の改正は、公営住宅法趣旨目的に沿ったものであると認識をいたしております。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)     〔国務大臣中尾栄一君登壇
  36. 中尾栄一

    国務大臣(中尾栄一君) 中島議員にお答えいたします。  今回の改正案が公営住宅制度の根本を改正するものではないかというお尋ねでございますが、総理から先ほど申し上げましたとおり、今回の改正は、高齢者や障害者を含め住宅に困窮する者に対して公営住宅の的確なる供給を図るため必要な改正であるということでございまして、公営住宅法趣旨目的に合致したものであると認識しておる次第でございます。  さらにまた、今後の公共住宅建設の計画についてのお尋ねでございますが、最低居住水準未満世帯の解消を図るために、公共住宅の建設は重要な課題と認識しておる次第でございます。このため、今年度から始まる第七期住宅建設五カ年計画におきましては、公営住宅あるいはまた特定優良賃貸住宅あるいは公団住宅等の公共住宅の計画戸数を五十四万五千戸と、前回計画の四十五万五千戸と比べて大幅に増加させているところでございます。今後とも、的確なる公共住宅の建設を推進してまいりたいと考えておる次第でございます。  入居収入基準についてのお尋ねでございましたが、高齢者、障害者等の居住の確保が困難であるということにかんがみまして、これらの方々については公営住宅の入居収入基準を引き上げまして居住の安定を図ることが重要であると考えておる次第でございます。一方、一般世帯については、中堅所得者を対象とする特定優良賃貸住宅との役割分担を図ることとし、これらの者に対しては特定優良賃貸住宅を積極的に供給することとしております。  また、公営住宅の整備におきましては、特定優良賃貸住宅、公団住宅などとの併設等を推進するとともに、買い取り、借り上げ方式の導入等により、さまざまな住宅が一体となった健全な地域コミュニティーの形成を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。  本改正案は収入超過者や高所得者層の追い出しを図るものではないかという御質問でございましたが、公営住宅は、住宅に困窮する低所得者に対して低廉な家賃の住宅を供給することを目的とするものでございます。したがいまして、入居を希望しながら入居できない低所得者が多数存在している現状では、入居後所得が上昇し、もはや低額所得者とは言えなくなったという高額所得者が引き続き公営住宅に居住し続けることや、あるいはまた収入超過者が従来の低廉な家賃のままでいることは、著しく公平を欠くのみならず、公営住宅法の本来の趣旨に沿わないものと考えておる次第でございます。  市場原理の導入は公営住宅法目的に反するとの御質問でございますが、新しい家賃制度のもとにおきましては、入居収入基準以下の入居者に対する家賃は、民間家賃を基準とするのではなく、入居者の収入及び住宅の便益というものに応じて決定されるものでございまして、民間並み家賃以下の低廉な家賃となるということになると思います。また、収入超過者やあるいは高額所得者の家賃につきましても、民間並み家賃を限度といたしまして入居者の収入に応じて決定されるものでございます。  次に、民間並み家賃を押し上げるというお尋ねでございますが、民間並みの家賃となるのは高額所得者などの一部の入居者に限られているために、御懸念の事態は生じないと考えておる次第でございます。  地方自治体が補助率の削減による負担増を危惧していること等についてのお尋ねでございますが、公営住宅の的確な供給を推進するためには、地方公共団体負担あり方についての配慮も重要な観点であると認識しておる次第でございます。今回の改正では、建設費等補助に係る補助率を二分の一に統合する一方で、家賃対策補助を大幅に拡充することとしておりますので、公営住宅に対する国費は制度的には減少しないものと考えておる次第でございます。  さらに、今回の改正では、高齢者等の入居収入基準に係る地方の裁量の拡大等により、地方分権にも資するものと考えておりまして、地方分権委員会においても、地方公共団体から本法案の早期成立を期するとの意見陳述がなされているところでございます。ありがとうございました。(拍手)     〔国務大臣倉田寛之君登壇
  37. 倉田寛之

    国務大臣(倉田寛之君) 公営住宅法改正案と地方分権についてのお尋ねでございますが、今回の改正案では家賃の決定方法が変更されますが、他方、第一種、第二種の種別区分の廃止や高齢者等の入居者資格についての地方公共団体の裁量の拡大、家賃改定や条例改正の建設大臣への報告義務の廃止などが盛り込まれているところでございます。これらによりまして、地方公共団体は、従来に比べ住民ニーズや地域の実情に応じました公営住宅施策を主体的に展開することができるようになるものと受けとめておりまして、地方分権に反するものとは考えていないところでございます。  次に、地方公共団体財政負担についてのお尋ねでございますが、今回の改正によりまして、全体として公営住宅に係る国費は制度的に減少しないものと考えております。今回の制度改正に係ります地方負担につきましては、地方公共団体財政運営に支障が生じないよう適切な地方財政措置を講ずることとしているところでございます。(拍手
  38. 鯨岡兵輔

    ○副議長(鯨岡兵輔君) これにて質疑は終了いしました。      ――――◇―――――
  39. 鯨岡兵輔

    ○副議長(鯨岡兵輔君) この際、暫時休憩いたします。     午後一時四十九分休憩      ――――◇―――――     午後五時三分開議
  40. 土井たか子

    議長土井たか子君) 休憩前に引き続き会議を開きます。      ――――◇―――――
  41. 七条明

    ○七条明君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。  平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算平成八年度政府関係機関予算、右三案を一括議題とし、委員長報告を求め、その審議を進められることを望みます。
  42. 土井たか子

    議長土井たか子君) 七条明さんの動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 土井たか子

    議長土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。     ―――――――――――――  平成八年度一般会計予算  平成八年度特別会計予算  平成八年度政府関係機関予算
  44. 土井たか子

    議長土井たか子君) 平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算平成八年度政府関係機関予算、右三案を一括して議題といたします。  委員長報告を求めます。予算委員長上原康助さん。     ―――――――――――――  平成八年度一般会計予算及び同報告書  平成八年度特別会計予算及び同報告書  平成八年度政府関係機関予算及び同報告書      〔本号(二)に掲載〕     ―――――――――――――      〔上原康助君登壇
  45. 上原康助

    ○上原康助君 ただいま議題となりました平成八年度一般会計予算外二案につきまして、予算委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  この予算三案は、去る一月二十二日本委員会に付託され、一月二十六日久保大蔵大臣から提案理由説明を聴取し、同月三十日から質疑に入り、公聴会、分科会を行いました。その後、三月四日から審議が中断されましたが、土井衆議院議長の調整もあって、四月一日より審議は再開され、理事会協議に基づく質疑を行い、本日討論、採決をいたしたものであります。  まず、予算の概要について申し上げます。  平成八年度一般会計予算の規模は七十五兆一千四十九億円であり、前年度当初予算に対し五・八%の増加となっております。  歳出のうち、国債費及び地方交付税交付金等を除いた一般歳出の規模は四十三兆一千四百九億円であり、前年度当初予算に対し二・四%の増加となっております。  歳入のうち、租税及び印紙収入は五十一兆三千四百五十億円が見込まれております。また、公債の発行額は、建設公債九兆三百十億円、特例公債十一兆九千九百八十億円で、合計二十一兆二百九十億円を予定いたしております。この結果、公債依存度は二八%となっております。  特別会計及び政府関係機関の予算につきましても、資金の重点的、効率的配分を行い、事業の適切な運営を図ることとしており、その数は、三十八及び十一で、ともに前年度と変わりありません。  なお、財政投融資計画の規模は四十九兆一千二百四十七億円であり、前年度計画額に対し一・九%の増となっております。  次に、質疑について申し上げます。  質疑は国政の各般にわたって行われたのでありますが、その主なものは、第一に、いわゆる住専問題についてであります。  まず、財政資金の投入の経緯について、「住専は民間企業であり、その破綻処理については当事者同士の決着ができないときに法的手続によって整理し、そして金融不安が生まれてくる結果になったときに、将来の健全な金融システムをどう構築するかという観点から処理案をつくるのが当然だ。残念ながら、今回の処理案は、ただしりぬぐいをしろというだけの結果になっていることに国民は怒っている。超法規的で護送船団方式の延長線で談合決着をせざるを得なかった、乱脈融資によって破綻した住専のしりぬぐいを税金で埋める形でしか提案できなかった、これが真実ではないか。突然財政資金の導入が決定されて、一体どうなっているんだというのが本当は国民の率直な気持ちではないか」との趣旨質疑があり、これに対し橋本内閣総理大臣から、「住専の問題は、大変多数の金融機関が関係をしており、しかもその損失が巨額に上り、我が国の不良債権問題の象徴的かつ喫緊の課題となっている。これを一日も早く解決することは、まさに国内、国外双方から強く求められている。その住専に、母体行あるいは一般、系統、さまざまな金融機関がかかわっている。それぞれ母体行にもあるいは一般行にも預金者がおり、それらの金融機関の経営に不安を持たれるような状態を惹起すれば、これは直ちに預金者に響くことになる。そして、この問題を解決することは金融機関の融資対応力が向上することとなり、これは当然のことながら経済活動に必要な資金の円滑な供給にプラスになるわけであり、その金融システムに対する信頼性の回復というものは、景気の先行きの不透明感というものを払拭する上で非常に大きな役割を果たしていくことになる。日本の経済が本格的な回復軌道に乗っていくためにぜひくぐり抜けていかなければならない厳しい課題である」旨の答弁がありました。  次に、財政資金六千八百億円投入の根拠について、「住専七社は、大体貸し込んだ金が十三兆ある。その穴埋めを第一次処理、第二次処理と言っているが、この六兆四千の損失補てんのためになぜ税金がつぎ込まれなければならないのか。一体この六千八百億円というのはどういうことか。談合で決まったのか。だれが決めたのか。積算根拠を示していただきたい」との趣旨質疑があり、これに対し久保大蔵大臣から、「大蔵省が昨年立入調査を行った結果等に基づいて、現在、住専七社にある不良債権、いわゆる損失、欠損の総額は六兆四千百億円に達することが明らかとなった。この六兆四千百億の処理に当たって、当事者間の話し合いを進め、母体行には三兆五千億、つまり母体行の融資、債権総額を放棄してもらう。一般行については、三兆八千億の債権のうち一兆七千億を放棄してもらう。農協系の金融機関については、五兆五千億の融資が債権として存在するが、農協系金融機関の果たしている役割、そしてこの金融機関が持っている体力の限界、そういうものをいろいろと検討した結果、五千三百億を処理機構に対して贈与の形式で負担をしてもらう。損失総額の六兆四千百億の中から、放棄、贈与に係る総額を引いた残りが六千八百億となるわけであり、これは財政支出によって負担をする以外に方法はない。やむを得ざる選択である」旨の答弁がありました。  次に、住専の経営責任等及び債権の回収について、「まず、さまざまな当事者の責任について今の段階でどういう見解をお持ちか、総理見解を聞きたい。また、住専を設立し、その住専に役員を多数派遣して住専の経営に参加し、総量規制後は迂回融資、紹介融資にも関与し、住専の経営悪化に対してはその再建に深く関与し、それも成功しないまま、ついに住専を解散に追い込んだ母体行の経営責任をどう考えるか。さらに、借り手責任について、この借り手の責任を追及するために、現在の法体系、回収機関におけるスタッフ等で本当に間に合うのか。少なくとも借り得や踏み倒しがまかり通るようでは金融秩序は保てない。債権の回収についてどのような見解を持っているのか」との趣旨質疑があり、これに対し橋本内閣総理大臣及び久保大蔵大臣から、「基本的には、この問題は、まず第一に借り手に責任がある。次に、そうした危険性のある融資を行ったという意味で、住専の経営の責任というものもある。そして、それぞれの住専をみずからの意思において設立し、そこに資金供給を行い、そこに役員等をも派遣し、その業務を指導し、結果的に破綻を来した状況に立ち至った中での母体行の責任は、御指摘のとおりである。当然ながら、その間において行政にも責任があったということは、それぞれの場面で今までも御論議をいただいたとおりである」、「そして、それに対してどう対処していくのか。まず第一に、回収というものに全力を挙げる。預金保険機構の中に設ける組織体に、法務・検察、警察あるいは国税といったところから人を派遣してもらい強力な体制をとろうと今考えているのも、そうした視点からである。さらには、金融問題に精通している方々あるいは弁護士資格をお持ちの方々等々さまざまな方々に御協力をいただき、回収に全力を挙げようと今対応に努めている」、「なお、これらの借り手のまさに反社会的な行動、言動に対し、また、責任と債務の追及については、徹底的に地の果てまで追い詰めるつもりでやらなければならない」旨の答弁がありました。  なお、住専問題については、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律に基づき証人に書類の提出を求め、また、二月十五日、十六日の両日、参考人から意見を聴取いたしました。  第二に、財政改革についてであります。  「国債発行残高、今後処理を要すると言われる隠れ借金、特殊法人、地方自治体の借金等々、合計すると何と約六百兆。実に現在の国家としての税収五十四兆円の十一倍に当たる。ところが、これに対する改革が見えてこない。どのように今後国はこれに対応するつもりか」、また「政府は「財政の中期展望」を出したが、展望は全くない。今までの財政再建の公債依存度五%以下という目標もやめてしまった。本当に日本の将来はこれでよいのか。財政危機の解決はどこにあるのか。消費税の増税でこれを解決するのか」との趣旨質疑があり、これに対し橋本内閣総理大臣及び久保大蔵大臣から、「政府は、昨年、財政危機宣言ともいうべき今日の我が国財政状況に関する発表を行った。財政制度審議会にも答申を求め、これからの財政の役割やその守備範囲についても思い切った見直しを図らなければならない。政府としても全力を挙げて、財政改革、構造改革を通じて財政再建の道を進められるように努力する」、「この平成八年度予算というものを地ならしとしながら財政改革に取り組んでいく、そしてできるだけ速やかに健全な財政体質をつくり上げていくということが喫緊の課題であると考える。また、所得税、個人住民税の負担を軽減し、消費税率を五%とする平成六年度秋の税制改革、これは法律で一体のものとして成立し、国民に認知をしていただいている。この法律を確実に実施していくことが、財政経済の運営の信頼、安定ということでも大切である。消費税については、社会保障などに要する財源確保の観点もあり、財政状況等も踏まえながら本年九月末という法律の期限に向けて検討を進めていきたい」旨の答弁がありました。  第三に、外交・防衛問題についてであります。  沖縄の基地問題と安保条約との関係について、「沖縄の基地問題を打開する上で、日米安保条約と沖縄問題は表裏だと思う。これをどういうふうに運用していくのか」、「また、公平な負担に是正するためにどのような方策をとろうとしているのか。目に見える形での整理縮小を図らなければ沖縄県民は納得しない」との趣旨質疑があり、これに対し橋本内閣総理大臣、池田外務大臣及び臼井防衛庁長官から、「具体的に沖縄における基地の整理統合・縮小の問題、さらには基地に伴うもろもろの問題の解決についての作業は、昨年の秋に発足した特別行動委員会において、一年間をめどにして基地の整理統合・縮小について具体的な成果を得る、こういうことで作業を進めている。しかし、四月のクリントン大統領の訪日が大きな節目の一つと考えている。日米安全保障条約という日米関係の根幹をなす条約を堅持しながら、一方で県民の苦しみ、悲しみにどこまでこたえられ るか、誠実に一つずつできることから取り組んでいきたい」、「また、三事案については、昨年の十一月に日米防衛首脳会議でその早期解決に向けて意見が一致したところである」旨の答弁がありました。  以上申し述べましたほか、財政・経済関係では、我が国経済現状景気対策、中小企業対策、不動産市場の活性化、金融行政システム変更の必要性。外交・防衛関係では、日朝国交正常化交渉の再開見通し、北朝鮮への米支援、台湾海峡情勢と中台関係、竹島及び尖閣諸島問題、国連海洋法条約の批准、PKO法の見直し及びゴラン高原への自衛隊派遣、我が国の防衛力構想。災害・安全対策関係では、北海道古平町豊浜トンネル崩落事故、高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏えい事故、阪神・淡路大震災への復興支援。このほか、薬害エイズ問題、いじめ及び少子化問題、地球環境問題、食糧自給率及び減反政策、偽造テレホンカードの取り締まり、行政における情報開示のあり方、公務員の綱紀粛正などについて質疑が行われましたが、その詳細につきましては会議録によって御承知願いたいと存じます。  本日質疑終局後、日本共産党から、平成八年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出され、松本善明君から趣旨の弁明があり、次いで、自由民主党、社会民主党・護憲連合及び新党さきがけから、共同提案による平成八年度一般会計予算に対する修正案が提出され、三野優美君から趣旨説明がありました。  次いで、一般会計予算に対する修正案、予算三案及び編成替え動議を一括して討論に付しましたところ、自由民主党、社会民主党・護憲連合、新党さきがけを代表して近岡理一郎君から修正案及び政府原案賛成、動議に反対、新進党を代表して今津寛君から修正案、政府原案及び動議に反対、日本共産党を代表して矢島恒夫君から動議に賛成、修正案及び政府原案に反対の意見が述べられました。  討論終局後、採決の結果、編成替えを求めるの動議は否決され、平成八年度一般会計予算賛成多数をもって修正議決され、平成八年度特別会計予算及び平成八年度政府関係機関予算はいずれも賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ―――――――――――――
  46. 土井たか子

    議長土井たか子君) 三案につき討論の通告があります。順次これを許します。愛知和男さん。     〔愛知和男君登壇
  47. 愛知和男

    ○愛知和男君 私は、新進党を代表して、ただいま議題となりました平成八年度予算三案に対して、反対の立場から討論を行います。(拍手)  今日の事態を招いたそもそもの原因は、村山前内閣にあることをまずもって申し上げなければ灯りません。  平成六年六月三十日、正反対の政治理念、基本政策を持っていた自社両党が野合によって村山内閣を誕生させて以来、連立政権は次から次へと失政を繰り返し、そのすべてのツケを国民に回してまいりました。阪神・淡路大震災では初動体制を誤り、いたずらに犠牲者をふやしました。また、不況・円高を放置し、景気対策を初め行政改革や経済改革をおくらせてきた責任も極めて大きいと断ぜざるを得ません。  村山前総理、武村前大蔵大臣は、日米関係のみならず、沖縄の問題を含め数々の外交課題を放置し、日本の国際的評価を沈没寸前の状態に陥れただけでなく、あげくの果てには住専処理国民の血税を投入することを決定し、平成八年度予算に潜り込ませました。しかも、恥の上塗りとばかりに、みずからに政治責任が及ぶことを察知してそそくさと政権から逃げ出し、政権たらい回しで橋本自民党政権を誕生させたのであります。これが敵前逃亡でなくて何でありましょうか。(拍手)  私たちは、政府予算編成の実際の責任者である村山前総理予算委員会への出席を強く要請してまいりましたが、これが全く無視されたことは、単に新進党に対してだけでなく、広く国民に対する著しい侮辱行為と言わざるを得ないのであります。(拍手)  ところで、私たち新進党は、純粋の民間の事業会社であり、預金者もいない住専に対する税金の投入は断じて容認できないことを強く主張し、住専処理のための緊急金融安定化資金等に対する六千八百五十億円の財政資金投入は予算から全面削除するよう強く要求してまいりました。  我が党が、予算委員会審議等を通して、国民の九割が反対する住専への税金投入策の欠陥を明らかにするべく最大の努力を尽くしたにもかかわらず、情報開示は公務員の守秘義務を盾に全く不十分に終始し、実態は極めて不透明のままであり、その上、政府・与党はごまかしの追加策を決定し、型どおりの審議で表面を取り繕いながら、中身の全くない答弁を繰り返しては日程だけを消化し、去る三月四日には強行採決に踏み切ろうとしたのであります。  我が党は、こうした与党の数を背景にした非民主的な行動や少数意見を尊重しない議会運営を阻止し、中身の充実した審議をさらに徹底するため、万やむを得ざる手段として、国民の総意に近い意思を国会に反映するために、審議打ち切り、予算採決のための予算委員会の開会を阻止するために、いわゆる高度な政治行動を実行するに至ったのであります。(拍手)  その後、強行採決はしない、自民党幹事長の証人喚問に前向きに応ずるとの与野党の合意が成立したことを踏まえて、その後、我が党は真摯に審議に参加してきたのでございます。  我々新進党は、国家国民の利益を守る立場から、当初より、住専予算を削除すれば責任野党として予算の早期成立に協力すると主張してまいりました。我々の真摯な審議、激しい行動に直面して、ようやく政府・与党はみずからの非を認め、予算の総則の修正に応じたことは、住専予算を削除し、政府の考えたスキーム全体をつくり直す可能性を認めたことと理解いたしますが、しかしながら、この時点で住専予算の削除を盛り込んだ与党三党の修正案ではない以上、政府予算案には賛成するわけにはいかないのであります。  また、景気対策、福祉などの国民生活関連、外交・防衛、財政再建等につきましても、いかに六政権維持だけを最優先の目的とする自社さきがけの連立政権らしく、哲学も理念もなく、固定的、硬直的な配分が行われていること等、多くの問題があります。したがって、与党三党の議員提案による予算修正案及び修正部分を除く予算原案に、依然として断固反対の立場であることを表明するものであります。(拍手)  以下、政府予算案及び与党三党の修正案に反対の理由を順次申し上げます。  第一の理由は、政府の住専処理案が、手続内容の面からも欠陥と矛盾に満ち、到底納得できるものではないことであります。  予算総則の書きかえについては、与党三党の努力を多としつつも、この修正により直ちに住専予算の削除あるいは住専処理スキームの撤回を意味するものとは到底言えません。関係者の責任追及は不徹底、根拠は不明確、スキームはあいまいなままで、ずさんなバブル融資に狂奔した預金者なき住専の処理に税金六千八百五十億円を投入する政府案は、どうしても認めることはできないのであります。  国会の質問等を通じて、政府案のお粗末、与党三党のふまじめさは白日のもとにさらされ、国民の理解は深まるどころか、政府案に対する不信や怒りは一層高まりました。特に、共和からの裏献金や北朝鮮への米援助等に関連するさまざまな疑惑を払拭できない加藤幹事長が、政府案作成を推進した中心者として、また最大与党の責任者として国民に税負担を求めることは、全く説得力がありません。我々は、加藤幹事長の喚問について、必ずこれを実現するよう重ねて強く要求するものであります。(拍手)  住専問題の解決については、市場原理に基づく自己責任の大原則により、国民に開かれた状況の中で行うべきであります。政府案は、関係者が密室の談合の中で取り決めたものであり、一般の国民には全く情報が開示されておりません。しかも、大蔵省の役人が恣意的にはじいた数字がひとり歩きして議論を混乱させております。みんなが被害者のような顔をして、だれも責任をとらない、まるで住専シンドロームとも呼ぶべき無責任きわまりない今の枠組みでは、国民の不信感、批判が増すだけでございます。我々は、この住専問題について国民に一切隠し事をせず、真実を明らかにすべきだと考えます。  住専各社の経営破綻の処理は、法的処理により公正透明なルールのもとに行うことを大前提とすべきであります。政府提案の住専処理機構は株式会社であり、住専の不良債権処理の組織としては中途半端であり、徹底した責任追及、強力な回収を期待することは到底不可能であります。預金保険機構と一体となって不良債権を回収するとのことでありますが、この軟弱な体制で何ができるというのでありましょうか。完全な法的手続を認めず、警察、検察などのOBが出向し捜査当局と連絡をとる程度の政府案で、厳しい告発や回収が期待できるわけがありません。  国民の最大の怒りは、借金を踏み倒して平然と開き直り、本来責任をとるべき人たちがまともな裁きも受けずに逃げ出して、納税者だけにツケ回しをするという不公正さに向けられております。収府案で仕組まれた責任逃れの仕組みは、既に大半の国民に知れ渡っております。  新進党政府・与党の住専処理に対する違いは、我々が、すべての国民は法のもとに平等といり原則に立ち、日本国憲法と法律を厳正に執行しようとしているのに対し、政府・与党は、三権分立や司法の独立性を侵し、大蔵省がお墨つきを与え、母体行がつくった住専にかかわった人たちを無罪放免しようとしているのであります。行政主導型の私的整理であり、およそ自由主義国、法治国にあるまじき手法と断ぜざるを得ません。(拍手)  連立与党が決定したいわゆる住専処理策の追加措置にしましても、税金投入に反対する世論の反発をそらそうとするまやかし以外の何物でもありません。住専処理に税金を使うことも、スキーム自体も、何ら変更されていないのであります。母体行及び農林系金融機関に、別途それぞれ五千億円、千八百億円、特別な税負担をさせるがごときの表現になっていますが、実態は全く違います。住専に国民の血税を投入することにおいては何ら変わりなく、追加措置国民を欺くものにすぎません。  以上が、政府の住専処理策に全く賛成することができない主な理由であります。  次に、政府予算案に反対する第二の理由は、住専処理案のみならず、景気対策、経済構造改革、行政改革、外交・安全保障など重要課題に対しても、政府予算案に盛り込まれた政府の施政方針は、その内容もスケジュールも国内外の期待に全くこたえていないことであります。  五五年体制に基づいた政権維持だけが目的の自社さきがけの政権にふさわしく、各族議員や各省庁が分捕り合戦を展開し、財政の配分も固定的、硬直的に行われ、制度改革へのメスも入っておりません。平成八年度の政府経済見通しは実質二・五%となっていますが、この予算で目標を達成するのは到底不可能であります。  景気対策、経済構造改革国民生活政策、教育・文化政策労働・雇用政策、国土・建設政策、運輸交通政策、商工政策、情報通信政策農林漁業振興政策、行財政改革等々、問題は数え切れないほど多くあるのであります。  さらに、平成八年度予算案における国債発行額は過去最高の二十一兆二百九十億円、うち赤字国債は十一兆九千九百八十億円となり、過去最悪の赤字予算となりました。国債依存度は二八%、国債残高は二百四十兆を突破する見込みであります。昨年十一月、当時の武村大蔵大臣がいわゆる財政危機宣言を発表し、その中で「公債発行をできる限り抑制する」としたにもかかわらず、かかる赤字予算編成した自社さきがけ政権は全く公約に背いたと言わざるを得ません。  以上の理由から、政府予算案につき、与党三党の提案による修正案並びに修正部分を除く原案ともに反対する以外の選択はあり得ないと断言するものであります。(拍手)  なお、日本共産党提出の組み替え動議につきましては、そもそも我々と思想信条を異にするものであること、さらに、政権をとる意思も能力もない無責任政党の無責任な提言としか言いようのないことなどから、反対であることをつけ加え、私の反対討論を終わります。(拍手
  48. 土井たか子

    議長土井たか子君) 五十嵐ふみひこさん。     〔五十嵐ふみひこ君登壇
  49. 五十嵐ふみひこ

    ○五十嵐ふみひこ君 私は、自由民主党、社会民主党・護憲連合、新党さきがけを代表して、平成八年度予算三案並びに与党三会派共同修正案に対し、賛成の討論を行います。(拍手)  この予算案は、長期にわたる深刻な低迷からようやく脱出しようとしている景気を確実な回復軌道に乗せるため、欠かすことのできない極めて重要な予算案です。のみならず、二十一世紀を展望した新たな経済構造を構築するため、変革への大きな第一歩を画する予算案でもあります。  いずれの側面から見ても、このたびの予算審議では、住宅金融専門会社いわゆる住専の不良債権処理問題が焦点とならざるを得ませんでした。  私は、住専問題処理に充当された六千八百五十億円の予算支出が多くの国民の方々から大変厳しい御批判をいただいている事実を率直に認めざるを得ません。また、納税者に負担をお願いせざるを得なくなるまでに至った責任については、政治がその最大の責めを負うべきであり、政治家の一人として強く胸の痛みを感じています。  しかしながら、現行法制下において、この問題から逃げることなく、先送りもせず、正面から早期解決を図ろうとしたとき、今回の処理方式はやむを得ないものと判断をいたしました。(拍手)何よりも景気の回復を図り、金融システムの崩壊を防ぐために、政治的な利害得失のマイナスを承知の上で政治的信条に従ったものであります。  新進党は、当初、委員会審議の中で、その有力議員何名かの方が、会社更生法と破産法を並列した法的処理を主張されました。後に、これは住専処理の対案ではなく、金融機関破綻処理の一般原則にいつの間にか変化をしてしまいました。しかし、いずれにせよ、住専処理案としての法的処理案は、政府・与党として既に十分に検討したところであります。  まず、会社更生法は関係当事者の同意が得られません。破産法適用については、これによって多大な不利益をこうむる農林系金融機関が、政府、母体行を相手取って訴訟を提起し、泥沼の訴訟合戦に発展することが予測されます。系統金融機関には、系統資金の住専からの引き揚げを大蔵省と母体行によって阻まれた経緯が過去にあるからです。  つまるところ、法的処理といっても、関係当事者間の合意がなければ事態の前進は図れず、合意のすき間を強制的に埋めるすべは見当たりません。というより、住専のケースでは、法的処理は、複合的な責任問題の解決から政治が手を引き、裁判所に政治的解決を要求する無責任な手段にほかなりません。(拍手)  また、日本共産党が主張される母体行による六千八百五十億円負担増も、法的に強制する手段がなく、処理スキームの対案足り得ません。  私は、バブル経済の発生とバブル破綻後の激しい経済混乱の要因が、我が国経済システムの欠陥、とりわけ時代おくれの金融システム自体にあると考えます。日本の金融は、土地神話に寄りかかった運営によって、審査能力、リスク管理能力を劣後させ、デリバティブなど金融技術高度化やリストラを怠り、国際競争力を失ってきました。それは、護送船団方式による官・業もたれ合いという明治以来のシステムがもたらしたものです。  私は、今、非常な危機感を感じています。現代の金融危機は静かな資金シフトの形で進行します。現に起こっている郵便貯金への資金シフトは中小金融機関の体力を着実に弱めつつあり、これら中小金融機関の弱体化は新しい企業産業の支援育成に痛烈な打撃を与えます。  また、日本発世界金融恐慌の不安がジャパン・プレミアムを生み、日本国民に目に見えぬ大損失を与えています。この問題に野党も与党もありません。一日も早く自己責任原則を確立した国際的に通用する新たな金融システムを構築し、信用不安を取り除かねばなりません。このため、今回の公的資金投入については、猶予の許されない非常緊急の措置として、やむを得ぬ決断であったと考えます。(拍手)  一方、公的資金を投入した以上は、過去の失政や個々の刑事・民事上の責任を厳しく追及することは当然のことです。関連法案によって新設する住専処理機構が厳しく債権取り立てを行い、国民負担を極力圧縮するのはもちろんのこと、国会においても特別委員会を設置して厳格な監視と追及を行っていかなければなりません。金融行政のあり方、農林系金融機関の改革など、既存システム全体の見直しについても与野党を超えて取り組むべきであろうと思います。  住専問題を契機に明るみに出された政治と行政組織との間の仕切りの問題、言いかえれば政策決定の責任の明確化についても改めて真っ正面から問い直す必要があります。公務員の天下り問題やモラルの確立の課題、公務員制度全般の再検討まで迫られて当然であります。与党三党は、これらの諸課題に積極的に取り組むことで合意し、既に解決に向けた概略的方針を確認し合ったところであります。  その中では、国民の皆様の不満に配慮し、金融機関と農協系統に対し、今後、一次損失分の財政支出に相当する新たな寄与を求めることとしました。処理スキームは変更不可能ではあるが、結果として国民の皆様に負担をかけないで済むよう、あらゆる手だてを講じようというものです。  ただし、付言させていただくならば、もともし六千八百五十億円の支出は新たな増税によるものでなく、景気回復の足を引っ張っている住専問題に解決のめどが立ち、景気回復が本格化すれば、法人税の増加という形で取り戻せるものであります。国民一人一人から五千五百円を新たに取り立てるかのような誤解を振りまくことは、政策判断の問題に別次元の要素を持ち込むことになります。  なお、審議の過程で、一部野党による物理的な審議妨害が継続して行われたことは、議会制民主主義の原則を踏みにじる極めて遺憾な行為であり、どのような理由があろうと許されません。(拍手国民の素朴な怒りに便乗し、党略に利用するのは、かつて国家社会主義者が権力奪取に用いた手段であります。冷静な政策判断の場を情緒によって曇らせることは危険であり、強く反省を求めます。(拍手、発言する者あり)  このほか、本予算案に賛成する主な理由を簡潔に申し述べます。(発言する者あり)
  50. 土井たか子

    議長土井たか子君) 静粛に願います。静かにしてください。
  51. 五十嵐ふみひこ

    ○五十嵐ふみひこ君(続) 賛成の理由の第一は、異例に厳しい財政事情のもとにありながら、豊かで活力ある経済社会の構築に向けて必要な経費の確保に努めていることです。  八年度予算は、徹底した歳出の洗い直しに取り組んだ結果、一般歳出が対前年度比二・四%増と厳しく抑制されています。その一方で、公共事業関係費については、景気回復の観点も含めて所要の伸びが確保され、住宅、下水道、環境衛生等国民生活の質の向上に直結する分野、次世代の発展基盤となる分野、防災対策の分野に重点配分する工夫が施されています。また、七年度と同規模の所得税、個人住民税の特別減税を継続実施するほか、土地税制、証券税制等についても適切な対応が図られています。  賛成の理由の第二は、社会保障や雇用にきめ細かい配慮が行われた予算となっていることです。  社会保障関係費の中では、障害者施策を総合的、計画的に実施するための障害者プランを新規に策定したほか、新ゴールドプランや緊急保育対策を着実に推進する経費が盛り込まれています。雇用対策では、新規雇用創出、新卒者就職支援に重点を置いた新総合的雇用対策を充実強化することとしています。  第三の理由は、調和ある対外経済関係の形成と世界経済発展への貢献に努めていることです。  世界経済のインフレなき持続的成長を目指して各国との政策協調を進めるとともに、ウルグアイ・ラウンド関税引き下げの前倒し、NGOとの連携強化によるきめ細かな経済協力の実施などに十分な配慮が行われています。  最後に、政府に対し一言申し上げます。  我が国財政は、公債残高の急増、財政構造の硬直化の進展によって、まさに緊急非常の事態を迎えています。惰性を排し、聖域を設けない徹底明、抜本的な行財政改革を断行し、明確な財政再建計画を早急に策定することが焦眉の急となっています。まだ選挙権を持たない子供たち、まだ生まれていない未来の日本国民負担をツケ回すここなく、苦しくとも責任ある選択を決断されるより強く要請いたします。  以上、平成八年度予算三案に賛成する主な理由を申し述べました。  なお、修正案は、今回の処理策の重要性に対する国民の十分な理解と納得を得るために予算総則に条文を追加したもので、妥当なものと考えます。  与党三党として、一刻の猶予も許されない景気の本格的回復、経済社会構造の改革に向けて一層の努力を傾注するとともに、政治への信頼回復に真摯に取り組む決意を改めて表明いたしまして、賛成討論を終わります。(拍手
  52. 土井たか子

    議長土井たか子君) 山原健二郎さん。     〔山原健二郎君登壇
  53. 山原健二郎

    ○山原健二郎君 私は、日本共産党を代表して、九六年度予算三案に対して、反対の討論を行います。(拍手)  まず第一に、住専処理への国民の税金投入が不当に組み込まれていることは、国民の大多数の声を無視したものであります。  この問題で、国会審議の到達点ほどこにあったのでしょうか。三月二十五日、土井議長のもとで交わされた合意は、「十分な審議を行い、強引な採決は行わない」というものでありました。しかも、その「十分な審議」の内容として、「母体行の追加負担問題や、真相解明と対策について徹底審議を行う」ということが確認されていたのであります。  我が党の質問によって、総理も「銀行に努力を求める」と言明し、久保大蔵大臣は、母体行の追加負担について、「必ずしも六千八百五十億にとどめる必要はない。可能な負担をしてもらえれば、結果的に国民負担が軽減される」と追加負担必要性を認め、その追加負担の具体化についしも、「誠実に取り組む政府の責任を強く感じている」と答弁しておったのであります。  そうであるならば、母体行に追加負担をどのように行わせるのか、政府による追加負担の具体策を出すのが当たり前であります。ところが、政府・与党は具体策を明らかに示すことなく予算案の委員会採決を強行したのであります。  与党と新進党は「金融安定化資金については制度整備した上で措置する」ということで合意しました。しかしながら、予算書の中に住専処理のための六千八百五十億円は厳然として生きており、しかも、総理が「凍結ではない」と強調しているように、予算関連法案の場合、その法案が成立するまで予算が執行されないという当たり前の手続を確認しただけのことであります。何が予算修正ですか。何が予算凍結でありますか。住専に税金投入という基本構図は何ら変わらず、国民を愚弄するにもほどがあるというものであります。(拍手)  今回の与党と新進党の合意とそのもとにおける予算案の採決は、まさに母体行の追加負担という核心にふたをする暴挙であり、強引な採決と言わなければなりません。  住専処理に税金投入とは何事か。昨年暮れの政府による住宅金融専門会社の不良債権処理問題での税金投入決定以来、世論は沸騰し、各種世論調査においても、住専に税金投入反対の声が八割ないし九割に及んでいるのであります。住専処理に対する国民の怒りがどれほど強いのか、それはさきに戦われた京都市長選挙及び岐阜の参議院補欠選挙の結果を見れば明瞭であります。まさに、国民の怒りは怒髪天をつく感があります。  総理、こうした天の声、地の声というべき圧倒的な国民世論を無視し、あまうさえ国民の理解が得られていないことを百も承知でその成立を強行するがごときは、まさに民主政治の土台を破壊する暴挙であり、断じて許されないことであります。(拍手)  国民が納得する解決の道は一つしかありません。それは住専不良債権処理への血税投入を撤回することであり、そのため、九六年度予算案から住専処理のための六千八百五十億円の支出をきっぱりと全額削除することであります。そして、不足分を母体行に支払わせることであります。  そもそも住専の不良債権は、地上げで住民を追い出して不動産投機を行ったバブル企業に対して、まともな担保もなしに大量に貸し込んだ乱脈融資の結果であり、国民はバブルの被害者でこそあれ、この不良債権の発生に何のかかわりも責任も持っていません。それなのに、何ゆえ国民が不良債権処理に責任を負わなければならないのか、何ゆえ国民の血税で穴埋めをしなければならないのか。  政府は、ただ政治的な決着、政治判断と言うだけで、いまだに国民を納得させるような論拠は何一つ示すことができないのであります。ましてや、住専から融資を受けた企業の中には、暴力団絡みの企業の存在も明らかとなっています。暴力団、やくざの育成のために国民の税金を投入するなどとは、言語道断の措置と言わなければなりません。  歴代内閣の政治責任と大蔵省の責任はもとより言うまでもありませんが、住専問題で最大の責任を負うべきは住専をつくった母体行であることは明瞭であります。大蔵大臣も認めているように、住専の設立にかかわり、出資を行い、大事に関与し、事実上住専の経営に携わってきたのが母体行であります。子会社の不始末は親会社が引き受けるというのが、系列ノンバンク処理に見られるようにこれまでの慣例であり、世界の常識であります。住専処理も、母体行主義というルールにのっとって進めるべきであります。政府処理案は、政府みずからがこの原則とルールを打ち壊すものであり、その点でも悪例を後世に残すものと言わなければなりません。  この間の論議で、母体行である大銀行がその負担に十分に耐える体力を持っていることも明瞭になっております。日銀の松下総裁でさえ「我が国の金融機関の収益力あるいは内部留保の規模等を踏まえると、我が国の金融機関は全体として不良債権問題に十分対応することは可能だ」と断言しているのであります。母体行がその責任を負ったとしても、金融システムが崩壊するなど全くあり得ません。強力な行政指導を行い、母体行に六千八百五十億円を支払わせるべきであります。  住専、母体行からの自民党への献金は十五億六千三百万円、新進党への献金は四億七千三百九十万円に上っています。このくされ縁は断ち切らなければなりません。  総理は、口を開けば、住専処理のスキームは崩すことはできないということを主張し続けてまいりました。政府の住専処理のスキームとは、一次損失分のみならず、今後の不良債権処理国民の血税を次から次へと投入できるよう、その枠組みづくりの突破口にしようとするものではありませんか。まさに、今回の税金投入はさらなる税金吸い上げマシンの手付金としての性格を持っているのであります。だからこそ、政府は血税投入に固執しているのではありませんか。この陰謀が国民に見抜かれ、「住専処理に血税ノー」の声が広がっているのであります。  予算案に反対する第二の理由は、大きな時限爆弾を抱えている、この時限爆弾を毎年大きくしていると言われるような財政危機をさらに深刻化する予算となっていることであります。  政府は、赤字国債の発行を最初から前提とし、浪費削減の努力もせず放漫な予算編成を行ったあげくに、住専への支出を追加し、ついには国債発行額は当初予算としては最高の二十一兆円、九六年度末の国債残高は二百四十兆円を超え、国民一人当たり約二百万円の借金を抱えるという異常な事態をつくり出したのであります。  財政危機の大きな原因である浪費とむだをなくするため、軍事費やゼネコン奉仕の公共投資に抜本的にメスを入れなければなりません。  ところが、軍事費は二・五八%と四年ぶりの高い伸び率を示し、総額二十五兆円を超える新中期防衛力整備計画の初年度分として、従来の枠組みを超えて、海外での日米共同作戦を想定した新たな大軍拡の一歩を進めるものとなっているのであります。  在日米軍の思いやり予算は二千七百三十五億円と、七八年の開始時の四十四倍にも膨れ上がりました。沖縄の少女暴行事件直後に締結された新特別協定によって、新たに米軍の訓練費の一部まで日本が負担しなければならなくなりました。余りにも屈辱的であり、余りにも卑屈と言わなければなりません。  そればかりか、政府は、沖縄の強制使用期限の切れた土地を不法占拠し米軍基地に提供するばかりか、この十六日から来日する米クリントン大統領との間に、日米共同作戦の範囲を極東から世界的な規模へと広げていく安保大改悪の共同宣言を出そうとしているのであります。まさに、憲法の上に安保を置く反国民的態度に終始していると言わなければなりません。戦後既に五十年間、米軍の軍靴のもとに耐えに耐えてきた沖縄県民の「二十一世紀に基地を残すな」という悲痛な願いにこそ、こたえるべきではありませんか。(拍手)  政府予算案は、建設国債の大量発行によって、公共投資を大幅に増大させ大手ゼネコン向け事業を優遇し、大型プロジェクト中心主義のため、肝心の下水道、住宅、公園などの生活基盤の整備は極めて立ちおくれたものとなっております。公共投資の配分を抜本的に切りかえるべきであります。  高速増殖炉の計画の中止、憲法違反であり政党による税金山分けの政党助成の廃止、スパイ機関である公安調査庁の廃止など、国民にとって有害無益の予算は真っ先に削減すべきであります。さらに、不況脱出のためにも、最悪の不公平税制である消費税の税率引き上げは断じて行うべきではありません。あわせて国民生活優先の不況対策をとるべきであります。  阪神・淡路大震災が起きてから一年余が経過しました。多くの被災者が生活再建の道を見出せず苦しんでいます。しかしながら、政府の施策は、「救済対策は基本的に終わった」という極めて冷酷なものであります。「住専に出す金があるなら被災者への個人補償を」という声は余りにも当然と言わなければなりません。被災者が人間らしい生活を取り戻すために手厚い対策をとるべきであります。  なお、先ほど新進党から、我が党の予算組み替え案について無責任との発言がありましたが、我が党の組み替え案は、住専処理予算の削除、不要不急の経費にメスを入れ、国民生活の充実を図るなど、国民の要望に合致する内容であります。我が党は、住専処理についての責任ある対策を示しておることをここに申し上げまして、無責任の言葉は新進党にお返しをしたいと思うのであります。(拍手)  以上、申し述べましたが、国民のほとんどは住専処理のために血税を投入することに反対しています。いまだ審議は不十分、証人喚問に至っては手つかずの状態で、何一つ解明されていないのであります。母体行の責任を問わずして、数を頼みに多数で強行するがごときは、議会制民主主義の自殺行為であり、国民世論への冒涜にほかなりません。  消費税、米、選挙制度に続き住専と、今ほど国民と本院の意思とが乖離しているときはありません。あくまでもごり押ししようとするならば、直ちに衆議院を解散して国民に信を問うべきであります。(拍手)  余りにも国民をないがしろにした今回の所業に対して、近い将来、国民は厳しい審判を下すであろうことを私は強くここに指摘をいたしまして、反対討論を終わるものであります。(拍手
  54. 土井たか子

    議長土井たか子君) これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  55. 土井たか子

    議長土井たか子君) 平成八年度一般会計予算外二案を一括して採決いたします。  この採決は記名投票をもって行います。  三案中、平成八年度一般会計予算委員長報告は修正、他の二案の委員長報告はいずれも可決であります。三案を委員長報告のとおり決するに賛成皆さんは白票、反対の皆さんは青票を持参されることを望みます。――議場閉鎖。  氏名点呼を命じます。     〔参事氏名を点呼〕     〔各員投票〕
  56. 土井たか子

    議長土井たか子君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開票。――議場開鎖。  投票を計算させます。     〔参事投票を計算〕
  57. 土井たか子

    議長土井たか子君) 投票の結果を事務総長から報告させます。     〔事務総長報告〕  投票総数 四百八十   可とする者(白票)       二百八十七     〔拍手〕   否とする者(青票)        百九十三     〔拍手
  58. 土井たか子

    議長土井たか子君) 右の結果、平成八年度一般会計予算外二案は委員長報告のとおり議決いたしました。(拍手)     ―――――――――――――  平成八年度一般会計予算外二案を委員長報告のとおり決するを可とする議員の氏名       安倍 晋三君    相沢 英之君       逢沢 一郎君    赤城 徳彦君       麻生 太郎君    甘利  明君       荒井 広幸君    伊藤 公介君       伊藤宗一郎君    伊吹 文明君       池田 行彦君    石橋 一弥君       石原 伸晃君    稲垣 実男君       稲葉 大和君    宇野 宗佑君       臼井日出男君    浦野 烋興君       江藤 隆美君    衛藤征士郎君       衛藤 晟一君    遠藤 利明君       小川  元君    小此木八郎君       小里 貞利君    小澤  潔君       小野 晋也君    小渕 恵三君       尾身 幸次君    越智 伊平君       越智 通雄君    大内 啓伍君       大島 理森君    大野 功統君       大原 一三君    太田 誠一君       奥田 幹生君    奥野 誠亮君       加藤 紘一君    加藤 卓二君       狩野  勝君    柿澤 弘治君       梶山 静六君    粕谷  茂君       片岡 武司君    金子 一義君       金子原二郎君    金田 英行君       亀井 静香君    亀井 善之君       唐沢俊二郎君    川崎 二郎君       河村 建夫君    瓦   力君       木部 佳昭君    木村 義雄君       菊池福治郎君    岸田 文雄君       岸本 光造君    久間 章生君       久野統一郎君    熊代 昭彦君       栗原 博久君    栗原 裕康君       栗本慎一郎君    小泉純一郎君       小杉  隆君    古賀  誠君       後藤田正晴君    河野 洋平君       高村 正彦君    近藤 鉄雄君       佐田玄一郎君    佐藤 孝行君       佐藤 静雄君    佐藤 信二君       佐藤 剛男君    斉藤斗志二君       斎藤 文昭君    坂井 隆憲君       坂本三十次君    桜井  新君       櫻内 義雄君    志賀  節君       自見庄三郎君    塩川正十郎君       塩谷  立君    七条  明君       島村 宜伸君    白川 勝彦君       鈴木 俊一君    鈴木 宗男君       住  博司君    関谷 勝嗣君       田澤 吉郎君    田中 直紀君       田中眞紀子君   田野瀬良太郎君       田原  隆君    田村  元君       高鳥  修君    高橋 辰夫君       竹内 黎一君    竹下  登君       武部  勤君    橘 康太郎君       谷  洋一君    谷垣 禎一君       谷川 和穗君    玉沢徳一郎君       近岡理一郎君    中馬 弘毅君       津島 雄二君    塚原 俊平君       戸井田三郎君    東家 嘉幸君       虎島 和夫君    中尾 栄一君       中川 昭一君    中川 秀直君       中島洋次郎君    中曽根康弘君       中谷  元君    中村正三郎君       中山 太郎君    中山 利生君       中山 正暉君    長勢 甚遠君       二階堂 進君    丹羽 雄哉君       西田  司君    額賀福志郎君       根本  匠君    野田 聖子君       野田  実君    野中 広務君       野呂田芳成君    葉梨 信行君       萩山 教嚴君    橋本龍太郎君       蓮実  進君    浜田 靖一君       浜野  剛君    林  幹雄君       林  義郎君    原田  憲君       原田昇左右君    平泉  渉君       平沼 赳夫君    平林 鴻三君       深谷 隆司君    福田 康夫君       福永 信彦君    藤井 孝男君       藤尾 正行君    藤本 孝雄君       二田 孝治君    古屋 圭司君       保利 耕輔君    穂積 良行君       細田 博之君    堀内 光雄君       堀之内久男君    町村 信孝君       松岡 利勝君    松下 忠洋君       松永  光君   三ツ林弥太郎君       三塚  博君    御法川英文君       水野  清君    宮崎 茂一君       宮里 松正君    宮澤 喜一君       宮路 和明君    宮下 創平君       武藤 嘉文君    村岡 兼造君       村上誠一郎君    村田敬次郎君       村田 吉隆君    村山 達雄君       持永 和見君    茂木 敏充君       森  英介君    森  喜朗君       森田  一君    谷津 義男君       保岡 興治君    柳沢 伯夫君       山口 俊一君    山崎  拓君       山下 徳夫君    山中 貞則君       山本 公一君    山本 有二君       与謝野 馨君    横内 正明君       若林 正俊君    渡瀬 憲明君       渡辺 省一君    綿貫 民輔君       赤松 広隆君    網岡  雄君       五十嵐広三君    井上 一成君       伊藤  茂君    池田 隆一君       池端 清一君    石井  智君       石橋 大吉君    今村  修君       岩田 順介君    岩垂寿喜男君       上原 康助君    遠藤  登君       緒方 克陽君    大出  俊君       大木 正吾君    大畠 章宏君       岡崎トミ子君    加藤 万吉君       北沢 清功君    小林  守君       五島 正規君    輿石  東君       佐々木秀典君    佐藤 観樹君       佐藤 泰介君    坂上 富男君       沢藤礼次郎君    関山 信之君       田口 健二君    田中 昭一君       田中 恒利君    田邊  誠君       竹内  猛君    辻  一彦君       中西 績介君    中村 正男君       永井 孝信君    永井 哲男君       畠山健治郎君    鉢呂 吉雄君       濱田 健一君    早川  勝君       日野 市朗君    細川 律夫君       細谷 治通君    前島 秀行君       松前  仰君    松本  龍君       三野 優美君    村山 富市君       森井 忠良君    山口 鶴男君       山崎  泉君    山下八洲夫君       山元  勉君    横光 克彦君       和田 貞夫君    渡辺 嘉藏君       荒井  聰君  五十嵐ふみひこ君       井出 正一君    石井 紘基君       宇佐美 登君    枝野 幸男君       小沢 鋭仁君    金田 誠一君       菅  直人君    玄葉光一郎君       小平 忠正君    園田 博之君       田中  甲君    田中 秀征君       高見 裕一君    武村 正義君       渡海紀三朗君    中島 章夫君       錦織  淳君    鳩山由紀夫君       前原 誠司君    三原 朝彦君       簗瀬  進君    鯨岡 兵輔君       中村喜四郎君  否とする議員の氏名       安倍 基雄君    阿部 昭吾君       愛知 和男君    愛野興一郎君       青木 宏之君    青山  丘君       青山 二三君    赤羽 一嘉君       赤松 正雄君    東  祥三君       粟屋 敏信君    井奥 貞雄君       井上 喜一君    伊藤 英成君       伊藤 達也君    石井 啓一君       石井  一君    石田幸四郎君       石田 祝稔君    石破  茂君       市川 雄一君    今井  宏君       今津  寛君    岩浅 嘉仁君       上田 晃弘君    上田  勇君       上田 清司君    江崎 鐵磨君       江田 五月君    遠藤 乙彦君       遠藤 和良君    小沢 一郎君       小沢 辰男君    大石 正光君       大口 善徳君    大野由利子君       太田 昭宏君    近江巳記夫君       岡島 正之君    岡田 克也君       奥田 敬和君    長内 順一君       鹿野 道彦君    貝沼 次郎君       海部 俊樹君    鴨下 一郎君       川島  實君    川端 達夫君       河合 正智君    河上 覃雄君       河村たかし君    神崎 武法君       神田  厚君    北側 一雄君       北橋 健治君    北村 直人君       工藤堅太郎君    草川 昭三君       熊谷  弘君    倉田 栄喜君       小池百合子君    小坂 憲次君       木幡 弘道君    古賀 一成君       古賀 敬章君    古賀 正浩君       権藤 恒夫君    左藤  恵君       佐藤 茂樹君    斉藤 鉄夫君       坂口  力君    坂本 剛二君       笹川  堯君    笹木 竜三君       笹山 登生君    鮫島 宗明君       実川 幸夫君   柴野たいぞう君       白沢 三郎君    須藤  浩君       杉山 憲夫君    田名部匡省君       田端 正広君    高市 早苗君       高木 陽介君    高木 義明君       高橋 一郎君    竹内  譲君       武山百合子君    谷口 隆義君       樽床 伸二君    千葉 国男君       塚田 延充君    月原 茂皓君       土田 龍司君    富田 茂之君       豊田潤多郎君    鳥居 一雄君       中井  洽君    中島  衛君       中田  宏君    中野 寛成君       中村 時広君    仲村 正治君       永井 英慈君    長浜 博行君       二階 俊博君    西  博義君       西岡 武夫君    西川太一郎君       西村 眞悟君    野田  毅君       野田 佳彦君    野呂 昭彦君       羽田  孜君    畑 英次郎君       初村謙一郎君    鳩山 邦夫君       日笠 勝之君    東  順治君       平田 米男君    広野ただし君       弘友 和夫君    吹田  愰君       福島  豊君    福留 泰蔵君       藤井 裕久君    藤村  修君       二見 伸明君    船田  元君       冬柴 鐵三君    星野 行男君       細川 護照君    堀込 征雄君       前田 武志君    増子 輝彦君       増田 敏男君    桝屋 敬悟君       松岡満壽男君    松沢 成文君       松田 岩夫君    宮地 正介君       宮本 一三君    村井  仁君       森本 晃司君    矢上 雅義君       柳田  稔君    山岡 賢次君       山口那津男君    山崎広太郎君       山田 英介君    山田  宏君       山田 正彦君    山名 靖英君       山本 幸三君    山本 孝史君       山本  拓君    吉田  治君       吉田 公一君    米沢  隆君       米田 建三君    若松 謙維君       渡部 恒三君    渡辺浩一郎君       岩佐 恵美君    穀田 恵二君       佐々木陸海君    志位 和夫君       寺前  巌君    中島 武敏君       東中 光雄君    不破 哲三君       藤田 スミ君    古堅 実吉君       正森 成二君    松本 善明君       矢島 恒夫君    山原 健二郎君       吉井 英勝君    海江田万里君       後藤  茂君    嶋崎  譲君       土肥 隆一君    楢崎弥之助君       牧野 聖修君    山花 貞夫君       吉岡 賢治君    岡崎 宏美君       小森 龍邦君    小泉 晨一君       徳田 虎雄君    佐藤謙一郎君       中村  力君      ――――◇―――――
  59. 七条明

    ○七条明君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。  内閣提出平成八年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案議題とし、委員長報告を求め、その審議を進められることを望みます。
  60. 土井たか子

    議長土井たか子君) 七条明さんの動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 土井たか子

    議長土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。     ―――――――――――――  平成八年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案内閣提出
  62. 土井たか子

    議長土井たか子君) 平成八年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。大蔵委員長久間章生さん。     ―――――――――――――  平成八年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び同報告書     〔本号(二)に掲載〕     ―――――――――――――     〔久間章生君登壇
  63. 久間章生

    ○久間章生君 ただいま議題となりました平成八年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案につきまして、大蔵委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、平成八年度予算における租税収入が平成七年度当初予算で見込んだ水準をさらに二兆円以上も下回る見込みどなる等厳しい財政事情のもとで、平成八年度の財政運営を適切に行うため、同年度における公債の発行の特例に関する措置、厚生保険特別会計年金勘定への繰り入れの特例に関する措置及び外国為替資金特別会計からの一般会計への繰り入れの特別措置を講ずるものであります。  その内容を申し上げますと、  第一に、平成八年度の一般会計の歳出の財源に充てるため、財政法の規定等による公債のほか、予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行することができること等としております。  第二に、平成八年度における一般会計からの厚生保険特別会計年金勘定への繰り入れのうち経過的国庫負担については、八千億円を控除した金額を繰り入れるもの等としております。第三に、平成八年度において、外国為替資金特別会計から、外国為替資金特別会計法の規定による一般会計への繰り入れをするほか、二千億円を限り、一般会計に繰り入れることができることとしております。  本案は、去る二月二十三日久保大蔵大臣から提案理由説明を聴取した後、質疑を行い、同日質疑を終局いたしました。  次いで、本日大島理森君外二名から、自由民主党、社会民主党・護憲連合及び新党さきがけ共同提案に係る施行期日を公布の日に改める修正案が提出され、採決いたしましたところ、本案は多数をもって修正議決すべきものと決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ―――――――――――――
  64. 土井たか子

    議長土井たか子君) 採決いたします。  本案委員長報告は修正であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成皆さん起立を求めます。     〔賛成者起立
  65. 土井たか子

    議長土井たか子君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり修正議決いたしました。      ――――◇―――――
  66. 土井たか子

    議長土井たか子君) 本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十一分散会      ――――◇―――――