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1996-04-11 第136回国会 衆議院 農林水産委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年四月十一日(木曜日)     午前九時三十三分開議 出席委員   委員長 松前  仰君    理事 鈴木 宗男君 理事 二田 孝治君    理事 松岡 利勝君 理事 仲村 正治君    理事 初村謙一郎君 理事 増田 敏男君    理事 田中 恒利君 理事 井出 正一君       荒井 広幸君    金田 英行君       岸本 光造君    栗原 博久君       七条  明君    東家 嘉幸君       葉梨 信行君    浜田 靖一君       林  幹雄君    穂積 良行君       松下 忠洋君   三ッ林弥太郎君       森田  一君    山本 公一君       石破  茂君    木幡 弘道君       鮫島 宗明君    白沢 三郎君       須藤  浩君    千葉 国男君       野呂 昭彦君    畑 英次郎君       堀込 征雄君    宮本 一三君       矢上 雅義君    山田 正彦君       石橋 大吉君    永井 哲男君       濱田 健一君    山崎  泉君       小沢 鋭仁君    簗瀬  進君       藤田 スミ君    徳田 虎雄君  出席国務大臣         農林水産大臣  大原 一三君  出席政府委員         農林水産政務次         官       小平 忠正君         農林水産大臣官         房長      高木 勇樹君         農林水産省経済         局長      堤  英隆君         農林水産省構造         改善局長    野中 和雄君         農林水産省農産         園芸局長    高木  賢君         林野庁長官   入澤  肇君  委員外出席者         労働大臣官房審         議官      吉免 光顯君         建設省建設経済         局宅地課宅地企         画調査室長   加藤 利男君         建設省住宅局住         宅政策課長   矢野 進一君         農林水産委員会         調査室長    黒木 敏郎君     ————————————— 委員の異動 四月十一日  辞任         補欠選任   七条  明君     林  幹雄君   木幡 弘道君     鮫島 宗明君   畑 英次郎君     白沢 三郎君   山岡 賢次君     石破  茂君   永井 哲男君     濱田 健一君 同日  辞任         補欠選任   林  幹雄君     七条  明君   石破  茂君     山岡 賢次君   鮫島 宗明君     木幡 弘道君   白沢 三郎君     畑 英次郎君   濱田 健一君     永井 哲男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  林業改善資金助成法及び林業等振興資金融通暫  定措置法の一部を改正する法律案内閣提出第  四五号)  林業労働力確保促進に関する法律案内閣  提出第四六号)  木材安定供給確保に関する特別措置法案  (内閣提出第四七号)      ————◇—————
  2. 松前仰

    松前委員長 これより会議を開きます。  内閣提出林業改善資金助成法及び林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正する法律案林業労働力確保促進に関する法律案及び木材安定供給確保に関する特別措置法案の各案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀込征雄君。
  3. 堀込征雄

    堀込委員 今度の三法案上流における林業のいろいろな困難な状況一これは生産面からもあるいは労働力の面からも非常に困難な状況を抱えている、あるいは下流の方の木材産業の方も、零細・小規模の工場が多い、あるいは生産性が低いというような現状を何とか解決をしていこう、いわば川上から川下まで、日本森林林業を何とかしていこうという大変意欲的な法案であろう、私はこういうふうに基本的に評価をするわけであります。  しかし、この法案が意図したように実効あらしめるために、日本森林林業を再生していかなければならない、こういうふうに思うわけでありまして、大変意欲的で、意図するところも私はもう全面的に賛成をするわけでありますが、しかし、さりとて、そうではあるが、果たしてこれで日本森林林業が抱えている問題が解決をしていくであろうかというふうに思いますと、やはりいろいろな大きな問題がまだ横たわっているのではないか、こういうふうに考えるわけであります。  森林林業から人が離れていく、山が荒れていく、この原因はいろいろあるわけでありますが、基本的には、今日の経済社会の中で、生産性が上がらない、あるいは所得確保ができない、輸入材には価格的に太刀打ちができないとか、根本的ないろいろな問題を抱えているわけでありまして、そうした問題に対して、もちろん今日まで林野庁初め関係団体あるいは林業に携わる多くの人々努力をされてまいりました。政策的にも、基盤整備推進をしたり、あるいは林道整備をしたり、高性能機械を導入をしたり、いろいろな努力を積み重ねられてきたことはそのとおりだというふうに思うわけであります。そういう努力を積み重ねてきた、しかしなかなか林業が抱えている問題というのは根本的な解決になっていない、そこでまた今回こういう法律を出しながら、さらに何とかしていこう、こういうことであろうと思うわけであります。  しかし、私は、林業が抱える問題というのは、農業もそうでありますし、あるいは伝統産業と言われるようなものもそうでありましょうが、いろいろな、経済発展をしながら、日本の工業や先端産業世界的にトップクラスにある技術水準だとか賃金水準だとか、そういう中におけるある意味では宿命的な問題というのはどうしても抱えざるを得ないのではないか、こういうふうに思うわけであります。しかし、そうであるからといって、山を荒れるがままに放置をしたり農地の荒廃を放置するということはできないわけでありまして、私どもは力を合わせながらこうした問題をぜひ克服していかなければならない、こういうふうに思うわけであります。  そういう意味で、では具体的にどんな手を尽くしていけばいいのかということであります。  今回の法案は、そういう意味で、一つの意欲的な試みがあることは承知をしております。しかし、私は、やはりこの日本の国にとって森林あるいは 山というようなものほかけがえのないものだ、こういうことをきちんと国民的に位置づけながら、ある意味では、これから二十一世紀、まあ社会保障なんかも同じでありましょうが、ある程度国民合意の上で、資金をかけてもみんなでやはりやっていかなければならない課題なのだということを意思統一をしていくことが必要なのではないか、そういうふうに思うわけであります。  そういう意味では、私どもは、今日の状況では、この国の緑を守る、山を守る、あるいは水や空気を守る、そのために今までとは違った、こういう投資はきちんとしていくのですよ、そのために必要な資金、これはもう、例えば消費税をアップするとか水源税でやるとか、こういうことも御負担をしながらきちんとやっていきますよというような、やはりこの法案を包むもう少し大きな、私どもの断固たる決意みたいなことを国民合意の上でつくり出していくことが必要なのではないか。そしてその中で、国民の皆さんにもこういう負担をしていただかないと日本の山や緑は大変なことになりますよというような枠組みをつくっていく必要がある、こういうふうに思テわけでありますが、まず大臣所見を伺いたいと思います。
  4. 大原一三

    大原国務大臣 委員指摘のとおりでございまして、委員の御郷里もまた日本有数山林地帯でありますが、何と申しましても、日本の山の値打ちというのが——三十六年でございましたか、当時の農林水産大臣は河野さんだったと思うのでありますが、まあ外国から少しぐらい入れたっても日本林業は負けることはないという自信過剰が多分にあったと思うのですね。それが輸入自由化のはしりでありまして、そういう圧力の中で、一体これからの日本林業をどうしていくべきかということを、今の現状を踏まえながら物を考えていかなければならぬというのが実情でございます。  そういう意味で、ただいま委員から御評価をいただいたこと、大変感謝しておりますが、今回は労働力確保基盤の充実、さらにまた安定供給という三つの視点からつくった法律で、林野庁も大変よく努力をしてくれたと私は思っております。  しかしながら、これでもって、それじゃ日本林業は一〇〇%立ち直れるかということになりますと、これを起爆剤にしてやっていかなきゃならぬ施策というのはまだまだたくさん出てくると思うのです。大変ありがたいことに、今消費税を上げてでも山を守れというような気持ち国民の中へ出てこないと日本国土は守れないな、水も守れないなという気持ちは、山に従事している人たち皆持っていらっしゃると思うのですね。  そこで、あるとき私、これは思いつきで恐縮でありますが、消費税の中の水道課税分一般財源に入れないで山へ持っていけないか、それぐらいのことも考えたらどうだろうかという発想をしたこともあるのでありますが、そういう気持ち努力をしていかなければいかぬな、こう思っております。
  5. 堀込征雄

    堀込委員 ぜひみんなでそんなような思い切ったことを考えていかなきゃならぬときなのではないか、こういうふうに思うわけであります。  そこで、先ほど申し上げましたように、戦後の林政、諸先輩にいろいろ努力をいただきまして、今日まで成果を上げてこられたというふうに思います。しかし、今申し上げましたように、戦後五十年といいますか、新しい時代に向けてある程度改革が求められている、やはりそういうときなのではないかというふうに思うわけであります。  一つは、例えば農業においても、昭和三十六年以降の農業基本法、やはりここで見直しながら新しい基本方向を示していこうではないか、こういう議論が今、省内でも行われていますし、私ども政党レベルでもいろいろな議論をしているところでございます。林業においてもやはりその林業基本法、そろそろ新しい視点を加えた上で検討すべきときに来ているのではないか。  現行の林業基本法は、林業生産を拡大するのだ、あるいは林業生産性を向上させるのだということを基調にしながら、国や地方公共団体はその役割を果たしていく、そういうような基本的なフレームになっているというふうに思いますし、片一方で森林法は、計画法といいますかそういう枠組みでできているわけであります。  私は、改めてこの時点で、やはり環境あるいは国土保全だとか新しい時代における山や林業、緑や水というような観点を加えたこの基本法見直しということが行われるべきではないか、検討されるべきではないか、こう思うわけですが、ひとつ考え方をお聞かせください。
  6. 入澤肇

    入澤政府委員 今回の林業三法を検討するに当たりまして、改めて林業基本法について読み直してみたわけでございます。非常に長い期間かかって森林を育成して伐木をしていくという林業の特質から見ますと、私は非常によくできているのではないかと思っております。.  一つは、林業産業としてきちんと位置づける、そういう視点から、林業経営近代化とかあるいは林産物の流通の合理化とか、あるいは林業労働者の福祉の向上とかいうことにつきましてもきちんと配慮しておられますし、それからまた二つ目の大きな柱であります、森林を、国土保全とか環境保全とか、いわゆる公益的な機能に配慮していろいろな政策を講ずるべきであるということもきちんと位置づけられております。  私は、こういうふうな基本法の中で、この基本法を受けまして実定法世界で必ずしも十分な整備がなされていなかった点、むしろこれに着目いたしまして、今回三法の法律案というのを考えたわけでございます。  一つは、第十二条に林業経営近代化という言葉があるのですけれども、これにつきましては実定法がございませんでした。そこで、その一本の法律考えましたし、それから林産物の需給及び価格の安定に関する施策、これは第十六条にございますが、これも具体的な法律制度はございませんでした。これも今回一本の法律として提案させていただいているわけでございます。  それから、林業労働に関する施策、これは第十九条に規定してありますが、これも実定法がございません。労働基準法が適用されるようになりましたけれども林業労働プロパー法律として制度がありませんでした。そこでまた、これにつきましても、労働省と相談いたしまして一本の法案を提案することにしたわけでございます。  現時点におきましては、私は、林業基本法見直しというよりも、具体的な実定法世界で、その林業基本法で示された理念あるいはその内容を具体的に制度化していくことが必要不可欠であるというふうに考えております。
  7. 堀込征雄

    堀込委員 そういうことで御努力いただくことは、ある意味で了解をいたしますし理解もいたします。  私は、ただ、総則などの関連を見ましてどうしても、経済成長に見合って林業経営体を強化していこうという趣旨でございまして、国を挙げて我が国が、二十一世紀も二十二世紀もきちんと林業なり山を位置づけて守っていきますよ、やはりこういう宣言法的な色彩がやや欠けるのではないかという意味合いでただいまの問題提起を申し上げましたので、またるる御検討いただければ、こんなふうに思うわけであります。  そこで、国有林については後ほど触れたいと思いますが、日本森林行政、今まで林野庁中心になって大変な努力をされてまいりました。国土庁だとか、一部いろいろな事業で提携をするといいますか、かかわってきたこともあるわけであります。特に近年になって、自治省森林公有化地方債交付税措置をするとか、あるいはまたその管理経費に対してもやる、林道整備についても地方債交付税措置をやる、担い手対策もやっている。さらにまた、この三省庁でいろいろな森林整備施策を、森林山村対策ふるさと林道だとか、あるいは担い手対策では担い手対策基金が設立をされて、社会保険掛金助成ども行われている。大変結構なことだというふうに思うわけであります。  しかし、そうではありますが、こういうことをさらに各省庁協力を得ながら進めるべきではないか。つまり、森林林業を育て、守っていくことは日本の国の政府の全体の仕事なんだと、もちろん林野庁中心になるわけでありますが、例えば環境庁建設省ども加わって、いろいろなことをさらに強化をしていくべきではないか、こんなふうに思うわけであります。  例えば、きのう新聞で一斉に報道されたわけでありますが、国土庁が、次期全国総合開発計画全総の来春の閣議決定に向けて、全国の主な河川の上、下流地域一つ圏域として地域間交流を促す流域圏構想を打ち出す方向検討に入ったというような報道もされているわけでありまして、上流下流を含めた一体的な、自然に配慮しつつ、山に配慮しつつ一体的な国土形成をしていこうというような風潮がようやく出てきているわけであります。  そういう意味で、国土庁自治省と、三庁でいろいろな事業に取り組んできておりますが、こうしたものをさらに拡大をしながら、そうした具体的協力体制をつくりながら、もちろん林野庁が核になってそういう体制を強化していくべきではないか、こういうふうに思いますが、ひとつ所見を伺いたいと思います。
  8. 入澤肇

    入澤政府委員 まことに御指摘のとおりでございまして、今までも、林野庁だけでなくて、テーマごとに各省庁協力して研究会等を設けて、具体的な施策を展開しているわけでございます。  例えば、森林山村対策につきまして、自治省国土庁研究会を設けまして、その成果として、ことしも自治省から二千九百六十億円の特別な資金地方財政からいただいているわけでございます。  さらに、今回の労働力対策につきましては、労働省と共管で法律を出すことにいたしましたし、それから、木造住宅振興関連対策につきましては、建設省ともこれはお互い人事交流もしながら具体的な検討を行っているわけでございます。  それから、自然環境保全対策につきましては、環境庁林野庁との間で恒常的な協議機関が設けられておりまして、お互い情報交換を行っております。  しかし、必ずしも十分でないという評価があるかもしれません。私どもは、今御指摘のような点につきまして、さらに体制を強化して臨んでいきたいというふうに考えております。
  9. 堀込征雄

    堀込委員 ぜひそういう方向で御努力いただきたいと思います。  もう一つ中央省庁はそういうことでありますが、やはり具体的に日常山に接している地方公共団体あるいは地方のいろいろな組織みたいなものが常に山に関心を持ち、森林林業に対していろいろな事業に参加してもらう、こういう方策をさらに進めていく観点が必要なのではないか。ちょっときざっぽい言葉で言えば、国民市民参加山づくりみたいなことが全国的に展開される必要があるのではないか、こう思うわけであります。  岩國さんが出雲市長時代、学校も公民館も木造にしようとか、あるいは単独間伐財源をつくったりして、いろいろされたこともあるわけであります。しかし、地方公共団体、私も長野県の造林事業なんかを調べましたが、微々たることしかまだ単独では行われていない。やはり国の補助とか助成を当てにしながらといいますか、市町村でも、具体的に山に接していて問題は抱えていながらも、何か国の予算がつかないとなかなか取り組まない。こういう実態が、徐々に改善はされてきていますけれども、やはりあるのではないか。地方自治体でも緑や水を守るための予算をきちんと組んで、山や緑の問題は決して林野庁国土庁仕事だけじゃないんだ、自分の仕事なんだということの風潮をつくっていく必要があるのではないか、こういうふうに思うわけであります。  それからもう一つは、これも新聞記事で私は拝見をしたのでありますが、例えば東京で、東京の木で家をつくる会なんというのがあって、東京木材住宅をつくろうというようなことも、実は先日新聞で読ませていただきました。東京産の材木を使って設計から施工までやる、そして、その住宅を建てる人を東京森林に案内するところから始めていくなんという記事も実は拝見をいたしまして、住民参加といいますか、市民参加といいますか、そういう動きなどもやはりもっともっと育てていく必要があるのではないか、こういうふうに思うわけであります。  そういう意味で、具体的に山に接している地方公共団体、特に市町村、それからNGOといいますか、市民組織みたいな山にかかわる人々運動活動というようなものをもっと育成し、それを支援していくというようなことが今求められているのではないか、こう思いますが、いかがでございましょうか。
  10. 入澤肇

    入澤政府委員 これはまことに御指摘のとおりでございまして、幸いなことに、昨年四月に緑の募金による森林整備等推進に関する法律というのが制定されました。現在、これに基づきまして、各地方自治体におきます運動体制整備しております。各都道府県では民法法人をきちんとつくりまして、指定法人化して、その法人中心になって森林整備運動をやることになっておりますし、市町村におきましても、その下に緑化推進委員会というのをきちんと設けまして、そして今、相当な人数を期待しながら、緑の協力員というのを市町村の津々浦々まで配置いたしまして、森林整備についての御理解を深める運動を展開しょうと思っております。この運動の中で、従来からやっております緑の少年団等の青少年の教育あるいは緑化活動促進等につきましても、従来からやっている以上に力を込めていきたいと思っております。  さらに、各地域によりましては、住民こぞって参加した森づくりということが行われております。例えば、代表的な例で申し上げますと、屋久島等世界遺産にも指定されましたような非常に立派な山を持っているところでは森林環境整備推進協力金、これは林野庁がことしから全国的に打ち出したのですが、それに先駆けまして、具体的に協力金制度を導入いたしまして、入山者からお金をいただき、そのお金で遊歩道だとかいろいろな施設の整備をやるというふうなことまで行われています。  それから、今、県産材で住宅をつくるというお話がございましたけれども東京都だけでなくて、例えば鳥取県とか宮崎県におきましても、できるだけ県産材で住宅をつくろうじゃないかという運動が展開されております。我々は、こういう運動に対して具体的に、積極的に支援していきたいというふうに考えております。
  11. 堀込征雄

    堀込委員 ぜひ御努力をいただきたいと思います。  私の希望や思いなどを込めて今まで質問してまいりました。  そこで、今回、林業改善資金助成法等、三法でございます。  林地取得をして経営規模を拡大するんだ、それから、伐期の長期化を図ったり、特用林産物との複合経営を進めるんだ、あるいは受委託の推進を進めて経営規模を拡大するんだ——冒頭申し上げましたように、大変意欲的な法案でございますし、ぜひ具体的に、一つ一つ着実に実行してほしい、こういうふうに思うわけであります。  しかし一方で、どうしてもこれはうまくいくのかなという懸念なり心配をせざるを得ないわけでございまして、例えば、林地取得経営規模を拡大してそれを援助していこうということなんでありますが、本当に今、林地取得して経営規模を拡大しょうという人が一体どのぐらいいるんだろうかなという点については、やはり相当心配せざるを得ない。あるいは、今林業をやっている人も、まだまだ規模を拡大してやろうかという意欲を持っているのかなと思うと、どうもそれは相当数は少ないんじゃないか、こういうふうに思わざるを得ないのです。  それから、複合経営ということでありますが、 恐らくキノコ主体に、シイタケ主体にお考えになっているんだろうというふうに思います。しかし、今はキノコというのは片手間でできる世界ではないので、例えば私のところはエノキダケの産地でありますが、これは五千万も一億円も投資をしてやる。農協に、エノキをやるから一億円貸してくれなんて言っても、農協の方がびっくりしてしまってなかなか貸す度胸がつかないというような現状でございまして、それも市況の方が大変低迷していて、いろいろな問題が今起きているというような事情がございます。シイタケなんかも、今やほだ木の世界から菌床世界に入りつつある。  平成六年の東京市場実態を見ますと、一方で中国産が三二%を占めまして、次は群馬産が一五%だというような実態シイタケ世界もなって、一方では輸入がある、一方では産地間競争相当厳しい、こういう事情がございまして、複合経営推進とおっしゃって期待するキノコでも、そういう本当に厳しい世界が一方にあるということでございます。  そういう意味では非常に危惧をしているわけでありまして、決して私は法案を悪いと言っているんじゃなくて、そういう危惧の念をどうしてもいろいろな面で持たざるを得ないわけでありますが、林野庁、どのようにお考えでしょうか。
  12. 入澤肇

    入澤政府委員 農産物につきましても、それから林産物につきましても、複合経営の作物をどのように選択するかということにつきましては、各地で非常に悩み、苦しみながら選択をしていただいているわけでございます。やはり基本的に、私は、食品産業がやっているようなマーケット調査を今までほとんどやっていませんから、きちんとやることが必要じゃないかと思っています。  生産と需要の長期見通しによりますと、今先生御指摘のありましたシイタケ等キノコ類は、まだまだこれから伸びるという見通しがございますけれども、しかし、消費者ニーズを踏まえた製品化ということを考えなければそれは絵にかいたもちでございまして、各食品産業が毎年一万点に及ぶ新製品を出しております。そのために本当に大変なマーケットリサーチをやっておりますが、私は、シイタケ類等につきましても、いろいろな種類のものをどのように生産していくかにつきまして、市場調査をきちんとやった上で生産地域に導入するということが必要ではないかと思います。それから、でき上がった製品につきまして、消費者一般が日常台所において使用できるような製品化の工夫ということも今まで以上にやらなければならないと思います。  こういうことを行政側からも支援することによりまして、複合経営が具体的に林業所得プラスアルファとしての林家の所得につながるように指導してまいりたいというふうに考えております。
  13. 堀込征雄

    堀込委員 ぜひお願いしたいと思います。  それで、これは一つ要望しておきますが、キノコ世界なんというのは、私も今度調べてみたら、生産の方は、何か農林省の中でもキノコ世界だけは統計から何から林野庁でやられているというようなこと、末端の方も、これは販売や何かは農協とか、県も農政部の方でやっておったり、ちょっとぎくしゃくがあると思いますので、そこらはひとつよく農業団体を含めて連携をしながら、具体的な細かな指導、有利な販売ができるような体制づくりとか、そういうことをぜひお願いしたいな、こういうふうに思います。  そこで、林業労働力確保促進に関する法律案であります。  私は、日本林業、やはり労働力の面から、場合によって崩れていくとしたらその面から崩れるのが一番心配をされる、こう思っているわけでありまして、産業間競争の中で日本林業が生き残っていけるか、そのためにはやはり担い手をどういうふうに確保していくのか、労働力をどういうふうに確保していくのか、突き詰めればこういうことになるほどこの問題は大きいのではないか。現に、かつて四十万人以上いた林業労働者が今や、平成二年調査でも十一万人ぐらいになっているのですか、こういうふうに減少の一途をたどっているわけであります。  今度の法律でそういうことに歯どめをかけようということでありますが、この減少傾向はやはり何とかしなければいかぬということで今度の法律を出されたことはよくわかります。しかし、そういうものをどういう決意で本当に歯どめをかげながら確保していくかという点について一つはお伺いをしたい、こういうことであります。  人間が働くというのは、一方で報酬を得て生活を確保するということと、もう一つはやはり生きがいというようなことがあるだろうというふうに思いまして、おれは山が好きだ、あるいはおれの仕事日本の緑を守るという大切な仕事をしているんだ、こういう生きがい、両方がやはりカバーされていかないと林業労働力というのは確保されていかない、こういうふうに思うわけであります。  現実には口頭契約なんかも結構多いようでありまして、あしたからおれの森林組合に来てくれないか、日当は一万幾らだよなんという話で実はやっているような現状相当多いのではないか。これではやはりだめなんで、抜本的な対策を講じる必要がある。そういう意味でひとつ林野庁からお考え方を聞きたい。  それから、実は、この労働条件の問題につきましては、昭和五十年の林政審部会の報告以来いろいろな努力を重ねられてまいりました。賃金、退職金等の労働条件の改善だとか、社会保障制度改善だとか、労働安全衛生の問題だとか、いろいろな努力を重ねられてきたことは承知をしておりますが、雇用管理や労働条件改善の面で、労働省の方で今までどういう対応をなされてきた経過があるのか、あわせてお伺いをしたいと思います。
  14. 入澤肇

    入澤政府委員 確かに、もう林業労働力の数の面からしますと非常に先行き心配がされるわけでございます。  現在、私ども持っている数字では、林業労働者十一万人、いっときは四十四万人ございました。さらに、五十歳以上の年齢の方が七割ぐらい占める、高齢化も進んでおります。やはりこういう状況は無視してはいけないので、積極的に何とかしてその確保対策を講じなくてはいけないということで、今回林業労働力確保促進に関する法律案というのを提案させていただいたわけでございます。  一つは、やはり林業労働者の所得の安定を図るということ、それから二つ目には、労働条件、雇用条件を近代化合理化して他産業並みにしていくということがあります。  しかし、このようなことを実施するために、例えば就業準備のための無利子資金の融通等を行いますし、それから、雇用条件、労働環境をよくするためには機械化を積極的に進めるということで、それを安く手に入れて利用できるような仕組みをつくらなくてはいけませんし、それからまた、基幹的な林業従事者のための養成、研修等も今まで以上にやらなくてはいけないというふうに考えております。  同時に、このようなことを全国的に展開するためには、やはり運動のセンター的なものをきちんと整備してやることが必要不可欠だというふうに考えまして、各都道府県ごとに林業労働力確保支援センターというのを指定法人として設置いたしまして、このセンターを中心に各般の労働力施策を今まで以上に強化拡充していきたいというふうに考えているわけでございます。
  15. 吉免光顯

    吉免説明員 先生御指摘のように、林業労働者の雇用管理という点では、一つは、先生も今おっしゃっておられましたように、口頭契約、口頭で雇用契約をするというような形で、どうも雇用関係がはっきりしていないというようなケースがあるのではないか。それから、季節的な雇用が多いといいますか、そういう面では雇用が不安定である、こういうこともあるのではないかと思いますし、賃金水準がほかの産業に比べても低位な状態にあるのではないかというふうに思っておりますし、そういう面で雇用管理が立ちおくれている。これがなかなか労働力確保する上で難しい点に なっているのではないかというふうに思っております。  御質問の、これまでどういう形で対応してきたかということですが、林野庁等関係機関とも連携をいたしまして、そういう雇用管理をどういうふうに直していったらいいのか、そういう指導をする専門の林業雇用改善アドバイザーを配置いたしましたり、林業の雇用改善事業ということでそういう人材を育成するような研修をいたしましたり、どういうノウハウで向かっていったらいいのか、そういう研究をいたしたりしております。それから、そういう雇用管理を、どういう現状にあってどういう形にすべきか、こういうことで、いろいろな材料、資料もつくって対応をしてきているわけでございます。  八年度、今年度からもさらにそういうものを一層広げていきましたり、重点的に指導を重ねていったり、かなり施策を拡充したいというふうに考えておりますし、今回の林業労働力確保法案の中でも、やはり委員指摘のように、魅力のある職場をつくってみんなでやっていこう、こういう形で進めていく必要があるだろうというふうに思っております。  それで、特に、御指摘ありましたように、雇用についてきちんと文書で交付をするとか、あるいはそういう雇用管理に責任を持って対応するような人を選任していただく、そういうものを努力義務化して対応措置を講じて雇用管理の改善を図っていきたい、こういうふうに考えております。
  16. 堀込征雄

    堀込委員 労働力の問題というのは非常に大事でございますので、ぜひ日々の地道な御努力をいただきながら対応をいただきたい、こういうふうに思います。  そこで、経済局はいらっしゃいますか。  実は、今度の法律林業改善資金だとか林業等振興資金、いずれも農林漁業金融公庫の資金が使われている。それはそれで結構でございますが、比較的農林業の現場における資金というものは公庫の資金が非常に多いわけでありまして、一方で、今度住専問題にあらわれましたように、農協の金融事業というのは大変な問題を抱えているわけであります。  御存じのように、単協段階で六十八兆円の貯金、預金があるが、信連段階では四十六兆、ほとんどは、二十八兆ぐらいは中金へ行って、預貸率とか運用先で農協系統の金融事業というのは大変な苦労をしている。そういう問題が今度の住専問題のような融資の背景としてはあったわけでありまして、何とかやはり農協の金融事業、系統の金融事業というものを見直しながら、健全な発展を遂げるような姿をつくっていかなければならぬ、こういうふうに思うわけであります。  そこで、実は公庫の制度資金にかかわる融資というのは非常に、二十四種類ぐらいあるのでしょうか、そういうことで、現場では相当系統の融資と公庫の融資が競合するというような場面も間々見られる、私が現場で聞く限りはそういう声をかなり耳にするわけであります。一方で、単協、信連、中金というふうに、六十八兆円の資金の運用に大変困っている農協の金融はこれから、例えば住専から来年からは、一−三月もいろいろな問題でまだもめているようでありますが、二千四百億円の利子も入ってこないというような実態の中で、やはり農協資金運用をどうしていくかというのは非常に大きな問題であります。  そういう意味では、公庫と農協のプロパー資金をこういうところへも活用していけるというような方策も、あるいはもっと話を大きくすれば、例えば地方債とかそういうことを含めて活用を図るというようなことは検討できないかどうか。一方で財投の問題、いろいろあることも承知しておりますが、きょうは農水委員会でございますので、ぜひそういう道も開いていただくようなことを検討いただきたい、こういうふうに思うわけですが、御見解をお伺いをしたいと思います。
  17. 堤英隆

    ○堤政府委員 先生の方から、住専問題との関係におきましても農協資金の運用、活用ということについての問題の御指摘があったわけでございます。幾つかの御指摘があったわけでございますが、確かに先生御指摘のように、公庫の資金との競合という問題もあろうかと思います。ただ、これは政策当局からしますれば、かなり整理をいたしまして対応しておるつもりでございます。  例えば、スーパーL資金のように非常に超長期で低利だというようなものにつきましては、なかなか民間資金では活用しがたいという面がございますので、そういうところについては公庫資金を重点にしながらも、しかし、今回のウルグアイ・ラウンド対策におきましても農家負担軽減支援対策というものを創設したわけでございますが、この点につきましては、系統資金を利用しながら利子補給していくという形の中で対応をするということで、それぞれの政策目的に合わせて、かなり整理をしながら対応しているつもりでございます。現場におきまして若干の競合という面も見られるかもしれませんけれども、私どもからすれば両々相まって、農家の方々が長所を生かしながら、できるだけ両制度を使っていただければありがたいな、そういう気持ちでやっております。  それからもう一点、全体的な農協資金といいますか、信用事業見直しということについて触れられたわけでございますが、確かにこれは、今回の住専問題を契機といたしまして、農協信用事業のあり方ということについてさまざまな厳しい御批判をいただいております。そういう意味で、現在三段階になっているわけでございますが、そういう三段階になっていることの是非、それから今御指摘のように、農協資金をもっと活用するということについての方法、それから農業農村地域で農家の方々のニーズに合ったものにもつとうまく利用できないか、そういった視点を十分に念頭に置きながら、農協信用事業のあり方ということにつきまして検討させていただきたいというふうに考えているところでございます。
  18. 堀込征雄

    堀込委員 うまくこう仕分けができているといいますか、分担できているんだというお話でございましたが、私、住専問題で二、三の信連に意見を聞きますと、しかしまだまだそういう声が実際にはあります。局長のところまで届いていないかもわかりませんから、ぜひまた現場の声も聞きながら、農協金融の問題の抜本対策と一緒にひとつ配慮をいただければ、こういうふうに思いますので、ぜひ検討課題としてこれから考えていただきたいと思います。  それではあと、国有林の問題について質問をさせていただきます。  改善計画が進んでおるわけでございまして、なかなか大変な御苦労をされていることは承知をいたしております。先月でしたか今月でしたか、中央紙の社説にも大蔵と林野庁、大分批判をされておりましたけれども改善計画の現状見通しについてちょっと御説明をいただきたいと思います。
  19. 入澤肇

    入澤政府委員 平成三年の七月に策定されました国有林事業改善に関する計画に基づきまして、現在経営改善を進めているわけでございますが、この経営改善計画は、平成二十二年度までに収支の均衡を回復するということで具体的な施策の実行を行っているわけでございます。  そのときに法律を改正していただきまして、累積債務の利子・償還金の経常事業部門への影響を防ぐという視点から、経常事業部門とそれから累積債務部門とを区分いたしまして、その上で、民間実行の徹底による事業運営の改善合理化、それから要員規模の適正化、組織機構の簡素化、合理化、それから自己収入の確保等自主的改善努力を尽くす、さらに一般会計からも繰り入れをいただく、そして所要の財政措置を講じた上で経営改善を進めていくんだということが決められたわけでございます。  その結果、これまで、民間実行の徹底につきましては、素材生産の請負比率が平成三年度の四六%から平成六年度には五八%になっておりますし、要員規模につきましても、平成三年度当初三万一千人から平成七年度末には一万七千人に縮減されている。さらに組織機構につきましては、平 成三年度当初、三百十六営林署ございましたが、これが平成六年度末には二百六十四営林署に簡素化、合理化する等の動きになってきているわけでございます。  しかし、財務状況を見ますと、これはまことに残念なことながら、当初計画をつくったときの時点に比べまして木材価格が低迷している、約一五%価格が下がっておりますし、それからまた地価の下落も著しく、いっときの五分の一ぐらいの価格になっております。そういうことから、平成七年度末の債務残高は三兆三千三百八億円の見込みとなるということでございまして、依然として厳しい状況にございます。しかし、これに対応して具体的にやはり行動を起こさなくてはいけませんから、平成八年度予算におきましても、大蔵省とも十分相談いたしまして、一般会計からの支援を強化するということで臨んでいるわけでございます。
  20. 堀込征雄

    堀込委員 説明としてはわかるわけでありますが、いずれにしてもこの国有林の問題は一昭和五十三年に特別措置法が制定をされて、五十九年に一次改正、六十二年の二次改正、そして平成三年ですか、今の計画を進めていこう、こういうことになっておりまして、今長官からございましたように機構の統廃合だとか要員の削減だとか、いろいろな御努力をされて成果を上げていることは認めるわけであります。しかし、今の御回答にもございましたように、財政事情は一向に好転しない、こういう実態があるわけでございますね。  今の計画は、平成二十二年度までを目標に計画を立ててやっておる、十二年までに経常事業部門は何とか改善をしていこうということになっておるわけでございまして、端的に言って、これは長官どうでしょうか。今の計画、要員の削減もあった、請負比率やいろいろなことで努力されている、営林署の統廃合など努力もされているが、この計画は十二年度に向かって順調に、着実にうまくいっている、こういう御感想をお持ちですか。どうですか。
  21. 入澤肇

    入澤政府委員 はっきり申し上げまして、順調にいっていると私は言い切る自信はございません。  ただ、経常事業部門を、これは借金のトータル金額を少しずつ減らしながら目標に向けて進めている。それから、累積債務が問題でございまして、これにつきましては、土地の売り払い代金が、価格が非常に下落してしまったために、思ったより収入が上がらないというふうなことがありますけれども、財政当局も非常に理解を示してきてくれまして、一般会計から一定の分については補給しようではないかというふうなことで、協議に応じてくれているわけでございます。  しかし、先行きのことを見ますと、今回の三法の制度を、法律制度をきっかけといたしまして、国産材の需要拡大ということが確実に実現するということを前提といたしますと、国有林材の、今すぐすくと育林して育っております人工林、これが五年後には切り出しが一・五倍にふえます。十年後には二・四倍にふえます。これらがきちんとマーケットにおきまして適正な価格で消費をされるということになりますと、その部分からも累積債務の償還に充てることができるようになるというふうに思っておりまして、十二年にゼロになるか二十二年にゼロになるかということは確信を持てませんけれども、確実に経営改善方向で運営できるのではないかというふうに私は見ております。  もちろん、一般会計からも相当の援助がなければできないことでございますが、これも可能な限り理屈をつけて財政当局と協議をしていきたいというふうに考えているわけでございます。
  22. 堀込征雄

    堀込委員 これ、長官としてはそういうふうに言わざるを得ないというふうに思うのですが、財務状況を見ますと、平成六年の収入五千六百十九億円ですか、そのうちの三千百三十六億が借入金ですよね。支出五千九百二十九億円、そのうち二千六百五十九億円というのは長期借入金利子・償還金だ。こういうことになっているわけでありまして、今のお話、答弁はわかりますが、これは本当にそのとおりうまくいくのかなという感じを持たざるを得ないのですね。借入金の利子を払うためにまた借りかえをしているというような実情を見るにつけても、実は大変困難な実態にあるのではないか。累積債務の方は着実に、着実にという表現は変でありますが、毎年二千億以上ずつふえていくというような実態があるわけであります。  どうなんでしょうかね。今ございましたが、平成十二年までに、経常事業部門改善期間内に借入金に頼らない経営体質の転換を図る、こうなっておるわけです。十二年といいますと、もうあと、来年度はここまでやって、再来年度はここまでやって、もうすぐそこに見えておるわけでありまして、そのために、今申し上げたような民間部門への委託の推進だとか要員規模の適正化だとか、いろいろな努力をしていくことはわかりますけれども、あるいは一般会計からも繰り入れの増をしていくというようなことが行われていくのでありましょう。しかし、これは本当に可能なのかというふうに思わざるを得ないわけであります。  どうなんでしょうかね。今答弁を聞いていて、長官だからそういう言い方なのでしょうが、これはちょっと展望が難しいけれどもさらに計画に沿って努力する、こう言っているのか、この計画に沿って努力すれば必ずこの計画は達成できる、こういうふうにおっしゃっているのか。私、やはりこれは長官の責任とかなんとかではなくて、もしそうであればみんなで考えなければいかぬと思っているからそういうふうに今質問しているわけでありまして、その辺は本当に今どういう状況にあるというふうに認識をされておるでしょうか。もう一度ひとつ。
  23. 入澤肇

    入澤政府委員 かなり答弁が難しい御質問でございますけれども、今の経営改善計画をやはり我々は着実に進めていかなければいけない。そのためには、相当財政当局にも御理解を得ながら、特別会計、これは非常にメリットがございます、特別会計制度というのは。それと組み合わせて、一般会計からのいろいろな形での繰り入れをいただきながら経営の健全化を図っていくという方針を堅持しながらやっていくことが必要であると思っております。  十二年に完全に達成できるかどうかということにつきましては、今一生懸命やっているところでございますから、達成できないなんて言ってしまったら、職員の士気も失われてしまいますし、それから財政当局も、これから一生懸命援助しようと言っているのに、長官がそんな気持ちでは援助しないなんて言われるかもしれませんし、私どもとしては、十二年に向けてきちんと改善計画を達成するためにお互い努力しようじゃないかということを、職員にも、大蔵省にも呼びかけながら進めていかなければいけないというふうに考えております。
  24. 堀込征雄

    堀込委員 答弁、わかることはわかるのです。しかし一方で、深刻な事態になっているなという感じがする。例えば、累積債務三兆一千億余りですか、これは、林野土地の資産売却収入、それから平成十二年以降は経常収支がバランスするので、そこから利益をつぎ込んで平成二十二年度までに解消するのだ、こういう計画になっているのですが、実は、御存じのように土地価格も下落をして大分この計画も、林野庁も痛手をこうむったというふうに思いますし、一方で、十二年度以降一体、経常収支の方から累積赤字の方へ利益を生み出しながら繰り入れできるかというと、今必死に努力しているという姿勢は伝わるのですが、私はなかなか難しい問題があるのではないか、こういうふうに思うのです。  きょうは大臣も長官もおそろいですから、やはり、この問題は先送りしていいのだろうかというふうに私は思うのですね。これだけ、三兆円に膨らんで、ほっておけば毎年二千億以上累積債務がどんどんふえていくという実態、何とかここで、みんなで議論をあからさまにしながら問題点を明らかにして、やはり対応策を講じるべきじゃないか。問題の先送りをするとまた、今いろいろな問 題が起きていますが、将来にいろいろな問題を残してしまうということにむしろなるのではないか。  私が申し上げたいのは、別にこれを、厳しいから合理化などによって乗り切れとかそういうことを言っているのではなくて、山や森林の問題というのは経済合理性だけではうまくいきませんよ、むしろ森林林業の問題は、環境、自然保護の立場を加えながら、国民合意のもとでみんなで負担していく仕組みなどを考えながら、この累積債務の問題も処置をしていかなければならぬじゃないか、こういうふうに私は思っているわけでありまして、国有林事業も、私どもはかかわっているからわかるわけでありますが、国民全体に実態を明らかにしながら、借入金をどんどんふやしていく、累積債務がどんどんふえていくというような体質を、やはりここで英断をもって対応策を検討する時期に来ているのではないか。  JRの問題もああいうふうになって、もう大変な問題になっているわけであります。これは私は希望としては、次の大臣に送る、次の長官に送るではなくて、もう私ども期待の大原入澤コンビで大臣、長官をやっているわけでありますから、やはり、その次の世代に送るということじゃなくて、きちんとそういうことの対応策を考えて、次代に明るい、この日本の緑を守り、森林を守る、こういう姿勢、方向性というのを明らかにしていただきたいな、こういうふうに思うわけですが、いかがでしょうか。
  25. 大原一三

    大原国務大臣 国鉄は二十七兆円でございますか、ようやくこれ、一体国費でどうするんだという議論を今真剣に取り組もうとしております。そこまでいかないとやらないというのは、これはやはりちょっと怠慢でありまして、我々、三兆三千億でありますが、ほっておいたら委員指摘のような危機的状況に入っていく可能性もあり得ると私は思います。  二十二年までに累積債務を全部返済できるかという御議論でございますが、我々は鋭意そういった路線の上で作業しているのでありますけれども、やはりこの問題は、だれかがあるとき決断しないと、このままずるずるいってしまったらえらいことになるな。ただでさえ一万七千人体制へ厳しい要請をしている中でありますし、それだけで問題は解決できないわけでありますから、おっしゃったような抜本策が早急にやはり検討される必要があるな。大蔵省もそれなりに理解はしておりますが、一般会計からの繰り入れが全然、やはり正直言ってみみっちいわけですよ、この程度では。直りっこないです、これじゃ。  そういう意味で、やはり委員、どうかひとつ与野党問わずこの問題については大きな声で大蔵省の連中も攻めてもらいたいし、私もまた努力をしていきたいと思うのです。
  26. 堀込征雄

    堀込委員 今、決意を聞きました。これは日本の大切な問題ですから、力を合わせてやらなきゃいかぬなというふうに思いますので、ぜひリーダーシップを発揮をされて対応をいただくようにお願いをして、時間ですので終わります。  ありがとうございました。
  27. 松前仰

  28. 白沢三郎

    白沢委員 ちょっとおくれて来たものですから、先輩の委員が今国有林のところをお話をしておったようでして、その前のところはちょっと聞いておりませんから、もしもダブりがあったらお許し願いたいと思っております。  それと、大臣は宮崎県の出身であります。それで、大蔵省出身といえども林業にはあの宮崎県も随分かかわりがあるということで、お聞きをしますと、地元に帰るたびに人の行かないような山奥まで行って林業のことを見ておる、大変興味がある、こうお聞きしておりますので、きょうは一問一答になるのか、どうか演説とかということではなくて、本当の本心をお聞きできればありがたいな。先ほどお聞きしましたところ、大蔵省のこともばつばつ言っておりましたし、そういう質疑にさせていただければありがたいな、こう思っております。  私も、本会議場で林野三法について御質問を大臣にさせていただきましたが、堀込委員も最後におっしゃったとおり、今の林業、川上から川下に至るまでにおいては、恐らくこれでいいと思っている人はないと思っているのです。大変な厳しい状況で、累積赤字も三兆一千億とか国有林の話も実は出ておりましたが、これらのことに関して、今まで林野三法なるもの——これは新しい、しかも画期的な法律だと思っておるのですが、私も大いにこれは評価をしたいと思っております。私ごとでありますが、林業に、川下の方でありますがちょっと関係するものですから、大変な厳しい状況である、こういうことではこの林野三法については私は大いに評価をしたいと思っております。  ただ一点、国有林の三兆円にしても、あるいは森林の公益的な意味、あるいは経済財として何十兆もあるこういう資源、そしてまた、これは大変だ、こういうことを認識していながら、あるいはあちこちからこういう法案の要望が相当あったと思うのですが、なぜこれほどまでに遅きに失したのかという感じを実は持たざるを得ない。こういうことで、なぜ今日までこういうことが延び延びになっていたのか、こういうことをお聞きをしたいな、実はこう思っております。  それから、私の時間が一時間のところを実は短く切られちゃったのです。それで質問も時間が余りなくなったものですから、まず最初に大局的な、森林に対するあるいは川上、川下に対するこれらの認識をお伺いをして、そして次に林野三法について個々にお聞きをしたい、こう思っております。  まず最初に、遅きに失したのではないかということに対して、大臣あるいは長官でも結構ですが、お答え願えればありがたいと思います。
  29. 入澤肇

    入澤政府委員 今までも林野庁は一生懸命林業の活性化のために全力を尽くしてきたと思うのです。しかし、私、就任してからかなり現場に入りまして、悲鳴に近い声を各地から聞きまして、これは何とかしなくちゃいかぬということが今回の三法の検討に入った率直な理由でございます。  一つは、山が荒れていると言われます。確かに荒れておりまして、間伐をしなくてはいけない林分も半分以下きり間伐されていません。間伐材も山の中に放置されていまして利用されていない。森林組合に行きますと、外材の輸入の影響もありまして材価が安定しないために、木を切り出したくても手間賃にもならないから切り出せない。原木市場に行きますと、国産材が十分に入ってこないために市が十分に成り立たない。確かに杉の出荷量なんかを見ていますと、対前年比十数%も落ちています。それから、製材工場に行きますと、国産材を当てにしていたのでは、せっかく設備投資をしても十分に操業できないので、経営採算が悪化するばかりだ。まさに川上から川下まで三すくみのような状況にあるということを各地で聞いたわけでございます。  これは何とかしなくちゃいけない、真っ正面から取り上げなくちゃいけないということで、山が荒れている状況に対しましては、林業改善資金助成法等を改正して、山村に住んで林業を主業としながら所得を確保し、定住する条件を整備して山を整備していく。さらに、山の手入れのために労働力確保する。さらに、何といっても木材需要を拡大しなくてはいけない、外材に負けない国産材の生産、流通条件の整備をしなくてはいけないということで、木材安定供給に関する法律ということも考えたわけでございます。  まさに現状を直視して一定の枠組みをつくってみた。これがすべてじゃありませんし、これからこの枠組みを前提として年々歳々政策を強化して、何としても我が国の林業の活性化、森林整備を図っていかなくてはいけないというふうに考えているわけでございます。
  30. 白沢三郎

    白沢委員 明快な御答弁でありますけれども、ぜひとも頑張っていただきたいと思っています。  それと、先ほど来から出ておりますが、三兆一千億とも二千億とも言われる累積赤字の件なんですが、これも考えてみますと、国有林に関して財政を投入すべきだ、こういうことは今始まったこ とではなかっただろうと思っています。  それと、いろいろな問題を抱えておりますが、森林が抱えておる一番大きな問題は、林業で飯を食えないこと。これにはいろいろな問題がありますが、税制の問題が一番あると私は思っておりますし、いろいろなことを含んでおりますので、どうか大臣の任期中、あるいは長官あるいは林野庁の皆さん方も精いっぱい御努力をされんことを心からお願いを申し上げたいと思っております。  それで、大きな問題なんですが、今我が国は二千五百万ヘクタール、実は森林があるのだそうであります。それと、この資料によりますと、これは面積で約六七%だそうであります。それで、OECDに加盟をしておる主要国の中で六〇%を超えるのは、我が国以外ではスウェーデンとフィンランドである、こういうことだそうであります。確かに、私もスウェーデンに一年間おったのですが、ラップランドを越えてずっとフィンランドに行く、あるいはフィンランドからずっと越えてこっちに来る間は行けども行けども実は森林であります。大変な資源でして、これは我々にとっても驚くほどの資源であります。ですから、そうかなと実は思っておるのです。  それと、人工林の面積は一千万ヘクタール、これは約四割を占めている。一千万ヘクタール以上の人工林を有している国は米国、ロシア、中国だそうであります。これはもちろん、アメリカもロシアも中国も国土の面積が大きいわけですから、これはあってしかるべきだろうと思っています。  そういたしますと、日本は、国土の面積が大変小さい中にもこれほど森林の資源を抱えている国は、日本の地形からいっても、山が多い、そしてまた平場が少ない、こういうことから当然だろうとも思っておりますが、この森林が今日資源として約三十九兆円にも上る、こうデータが出ておるようでありますが、三十九兆円にも上るこの資源を、今日まで植林もしながら、人工林も含めてずっと保ってきた。このことを我々はもう一度認識をする必要があるんだろう。  さらに加えて、これは、森林国民の健康のため、あるいは治水とか治山とか水の酒養とか、こういうことをも含めて、さらにはこれを経済財として有効に活用をする必要があるんだろう。こういうことを考えてみますと、やはり心を引き締めながら、林野庁の皆さん方も、先人が築いてくれたこの森林文化を引き継ぐ必要が必ずあるんだろう。そして、次の時代に、森林と都市と共生できるような新しい感覚を持ってこれをまた推し進める必要もあるんだろう、実はこう考えております。  三十九兆円もあるこの資源で、累積赤字が三兆円、これは考えてみるとおかしいことでして、これは相反することなんだろうと思っております。それと引きかえに、今の現状を見ますと、森林資源はあるわ、しかし森林労働力はない、そしてまた小規模である。加えて、円高によって外材がどんどんどんどん入ってくる、そして国産材といいますか内地材といいますか、このシェアが二十何%にまで落ち込んできている。これでさらに今度は森林では飯が食えない。こういうことになりますと、堀込委員の質問にもあるとおり、幾ら頑張っていても、これはもうしょせん行き着くところは決まってくるようなものだろうと私は思っているんです。  ですから、そこで考えなけりゃならないのは、この公益的な、あるいは先人が築いてくれた森林とか国土保全とか、こういうものをもっとアピールしながら、そして大蔵省と財政的に交渉をする。弁証法でいってもこれ以外にもうないんじゃないか、実はこんな気がしてならない。ですから、そこには税制の問題も含めてでありますが、大体、先人、我々が植林をして、自分たちの代でこれをお金に換金できない。サイクルが非常に長い林業ですから、しかも我々の子供が親から引き継いだ場合には、ただ税金だけ取られて、そしてそれを換金することができない。こういう悪循環に現状はなっているんだろう、私はこういうことだろうと思っております。  そういうことで、今回の林野三法を国会に提出をした。明くる日の日本農業新聞では、「外材の輸入攻勢や後継者不足など、厳しい状況にある林業を、抜本的にてこ入れする林業法案」を提出した、この一番の特徴は、「「認定林家」制度を創設して規模拡大を進める」「雇用条件を改善林業労働力確保する」「森林所有者と木材業者と連携による木材安定供給」をする、この三本柱で、これは林業版の新政策だ、これを強力に推し進めろ、こう書いております。  確かにこれらの問題は、今の林野行政を考えてみますと適切なものであるのだろう、こう思っておりますが、大臣にお伺いをしたいのは、今のこういう現状をどう認識をされているのか、さらには、この林野三法を制定するその背景と、それから一番のねらいは何であるのか、このことをお聞きをしたいと思っております。
  31. 大原一三

    大原国務大臣 私もよく山に行くわけでございますが、私の地域で一番林産地域と言われるところで聞いてみますと、平均経営面積が七ヘクタール程度という人が随分いらっしゃるんですね。七ヘクタールでは飯は食えないわけなんですね。ですから、夏になりますとツタが絡んじゃって、そして下刈りをしてないものですから、木全体がまるで蔵王の雪をかぶった木みたいにツタでいっぱいになっちゃっているんですね。これは放置山林なんです。  そういう意味で、零細規模林地、それが、今おっしゃったように、国土保全とかあるいはまた緑の資源、そういったものにこよなく寄与している、であるにかかわらず、そういった状況が進行しているということは、極めてこれはもう重大なことであります。そういう意味で、一歩でも二歩でも、こういった林地がいわゆる認定林家に集約されて、そして全体としての山が効率的な経営に持っていけないかどうか、そういった点に私は今度の三法のねらいがあるんではないのかな、こう思っております。  委員非常に御熱心に御質疑でありますが、お互いに、この山の問題は、今の国民のコンセンサスではまだまだこれ、克服できないような感じがしてなりません。先ほどある委員から、消費税上げてでも山を守るべきだという、そういう認識が国民のコンセンサスになってもらわないと、水道の蛇口からやたらくたら水が出る、それを放漫に使う、そしてそれが、だれがこういった供給をしておるのかということをもっともっとわかっていただく必要があるんではないのかな、こう思っております。
  32. 白沢三郎

    白沢委員 平均面積が七ヘクタール、こうおつしゃいましたし、それから、データによりますと、林家一戸あたりの林業所得は七十三万円だそうです、一年間ですよ。おれのうちは林業やっているなんて言ったって、一年間で七十三万円より収入がないんですから、平均。これで林業に後継者がどうのこうの、もっと規模拡大をやれとかもっと林業を一生懸命やれと言ったって、しょせん無理ですよ、これは。七十三万といったら普通のサラリーマンの一カ月の給料じゃないですか。住専の問題では、一カ月幾らもらっているんですか、あれ。ですから、これは年間所得七十三万ですから、今の状況をもう少し考える必要もあるんだろう、こう思っております。  次に、林野三法の方に移らしていただきますが、林業改善資金助成法等々、こうございますが、第一の問題で、この五ヘクタール、これが林家あるいは森林を持っている人の大体九割だそうであります。ですから、一〇〇%のうち九〇%は五ヘクタール未満の森林、しかもその所得が七十三万円である、こう出てくるわけ。ですから、この法律のねらいは、規模を拡大をして、そして少しでも食えるような林業、そして外材と対抗できるような低価格の森林、こういうことにつながってくるんだろうと思います。  そこで長官、お答え願いたいのは、これほど、九割以上の林家が小規模だ、こういうことで、幾ら資金を融資します、この法律で皆さん方のために助けをいたします、こう言ったとしても、もう既に山を持っている人は、規模を拡大して林業で飯 を食おうとか、あるいはもっと整備をしていい材木を、もちろん草刈りから枝打ちから間伐からずっと手間をやって、いい材木をつくって出そう、こういう意欲のある林家はほとんどないと思っているのです。ですから、この法律を制定したとしても、規模拡大といえども、実際にそこに積極的に参加をする林家がどのくらいあるのか、私は、実はここが本当に疑問の点であります。  制定をする、これは大変にいいことでありますが、そのことを考えますと、これから林野庁もどう指導をして、どう大規模化を促進あるいは誘導するか、お答え願えればありがたいと思います。
  33. 入澤肇

    入澤政府委員 林地の、山林の所有実態は今先生御指摘のとおりでございまして、とにかく五ヘクタール以下の零細な林家が全体の林家の九割を占める。さらに、最近の状況といたしまして、不在村の山林地主が三百万ヘクタールも山林を所有している、これは民有林全体の二二%です。要するにこういうことが、先ほど申しました山が荒れている状況というのをつくっている基本的な原因ではないかと見ているわけであります。  そこで、こういう零細な林家の山を森林組合なり森林整備法人なり、あるいは意欲的に林業経営をやっている人たちに引き受けてもらって、所有権の取得によって引き受ける場合もあれば施業の受委託によって引き受ける場合もあると思いますが、いろいろな形で引き受けてもらって、そして山の整備をやっていかなければいけないというふうにまず考えたわけであります。  同時に、山村に定住して林業を主業として、プラスアルファとして特用林産とかグリーンツーリズム、観光農業あるいは観光林業、あるいはそのほかの所得手段を組み合わせて一定の林家所得を確保して、定住をしてもらい山を持ってもらうのだ、そういうふうなこともねらってこの法律考えたわけであります。  どういうふうになっていくのかという御質問でございますけれども、どの程度の森林所有規模であれば自立的な林業経営になるかということはなかなか一概には言えません。樹種によっても違いますし、それからまた持っている山の林齢構成によっても違います。したがいまして、一概には言えませんけれども全国各地に零細ながらもきちんとやっている林家が幾つかございます。その林家の例を参考にしながら運動の指針をつくって、全国的に普及していきたいというふうに考えたわけであります。  例えば埼玉県のある林家では……(白沢委員委員長」と呼ぶ)よろしゅうございますか。
  34. 白沢三郎

    白沢委員 質問の要項を出しておいたものですから、これから質問しょうとしたところを長官がざあっと答えているものですから、これは申しわけございません。  それで、大規模化、これは大変に結構なことだろうと思っています。ただ、先ほど私が申したように、林家の一年間の平均所得は七十五万円、そして五ヘクタール以下、これで大規模化、大規模化ということで資金を出せる余裕があるのか、そう考えますと、これは大変難しい問題だろうと思います。ひょっと間違えますと、これは資金のある林家、大規模化をやっておる林家がもっと大規模化をするために、そういう大規模な林家のために優遇するような法律ではないだろうか、あるいは偏りはしないだろうか、実はこういう懸念があるものですから質問させていただきました。  それと、農業の分野なのですが、農業も御承知のとおり、これから営農の大規模化、大規模化と実は一生懸命言っていました。それで、農地の利用権の集積による経営規模の拡大のために農用地利用増進法から農業経営基盤強化促進法、こういうことをやって、いろいろと工面をしながら大規模化、大規模化、こう農林省は奨励をしております。しかし、現実に現場を視察いたしますと、笛吹けど踊らずという言葉がぴったりかどうかは知りませんが、大規模化は遅々として進んでいない現状であります。  ですから、この農業ですらできない問題が、林業で幾ら法律を、しかも優遇措置をする、償還期限を延長するとかいろいろな手当てをしたとしても、実際にそれが大規模化につながるかどうか、これを懸念するものですから、私はこのことを何度も御質問申し上げているところです。  それと、長官がさっきもう三分の一ぐらいお答えになった件でありますが、しからば林野庁で、飯を食える林業の面積はどのぐらいであるのか、さらに、これからこの法律を制定して、どうか林家の皆さん、大規模化に御協力していただきたい、それでは、どのぐらい大規模化するかという目標が指針として出せるのかどうか、この二点をお伺いしたいと思っています。
  35. 入澤肇

    入澤政府委員 一概に大規模化と言いますけれども、これは、山林所有面積の大きな林家だけを育成するということではございません。経営の受委託でもいいですし、とにかく林業経営所得、それから林業労働条件全体を含めて林業経営改善をする意欲がある林家を育成していきたいということがこの林業経営基盤強化のねらいでございまして、農業の場合も、私、当時構造改善局長で、農業経営基盤強化法の作成に当たりましたので申し上げさせていただきますと、あれも大規模化だけではないのですね。集落営農であるとか法人化だとか、あるいは家族協定をつくって農業経営を近代化するとか、そういうことが経営基盤強化につながるのだということでございまして、一概に大規模農家をつくるということを目指したわけではございません。林業も全く同じであります。  二番目の問題でございますけれども、それではどのくらいの所得があれば林業をやっていけるのかということでございます。  仮に試算してみますと、木材生産による収入のみで年間四百万円の林業所得を得る、これは、所得率五割としまして総所得は八百万円になりますけれども、仮に条件として平均的な規模を推定いたしますと、林齢ごとの森林面積が同一だとか、あるいは各年均一の森林面積の伐採ができる状態になっているとかいうふうなことを前提にし、さらに現在の立木価格、杉でいいますと立法当たり一万六千七百十円、ヒノキでありますと立法当たり二万七千円ちょっと、これを前提にして計算いたしますと、杉を五十年で伐採する場合には四十ヘクタール程度、それから同様の条件下でヒノキの場合には二十五ヘクタール程度に計算ができます。さらに、これが長伐期施業というふうなことで大径木の価値の高い木材生産するようになりますと、この四十ヘクタール程度とか二十五ヘクタール程度というのはより小面積でも同様な所得が得られる計算ができます。  具体的にはこういうふうなことを前提にしながら、各地の実情に合わせまして都道府県に指針を示して、都道府県が基本構想をつくるというふうな仕組みにしてあるわけでございます。
  36. 白沢三郎

    白沢委員 一生懸命頑張っていただきたいと思っています。  それと、まだまだたくさんあるのですが、時間がないものですから、次の問題に飛ばさせてもらいます。  複合経営シイタケとかいろいろなもの、これと長伐期のこと、伐採時期を延ばそう、こういうことの御質問をさせてもらいたいと思っています。  このシイタケあるいは特用林産物というのは、資料によりますと、毎年全国で四千億円に上る、こう言われております。しかし、近年、円高によって輸出が減少する一方、中国からの安価なシイタケ輸入が急増し、国内価格は低下する傾向にあり、加えて山間地域の過疎化、高齢化の進行が著しく、労働力確保に不安が残っておる、こう書いてあります。  それで、ちょっとお聞きしたいのですが、中国あるいは各地からシイタケなどの輸入が増加をしておる中で、特用林産物の複合化で経営の強化が本当になされるのかどうか、これが実は林家の皆さん方の不安であります。このシイタケをつくる、あるいはナメコをつくる、あるいはもちろんワラビもゼンマイも含めてでしょうけれども、これに力を入れて、特にシイタケですが、大臣のわきの 大分なんかは有名でありますけれども、これで複合経営をやって果たして大丈夫なのだろうか、実はこういう不安があります。  それともう一点は、相反するようでありますが、長伐期、今のこの法律で伐採時期を延ばして、そして高所得を得よう、こういうことをうたっているようでありますが、一年なら一年、五年なら五年、伐採時期を延ばす、このときの収入と、それから今の伐採時期のまま時期が来たら切ってしまう、こういうところのギャップが大体どのぐらいあるのか。  さらに、今、林家の皆さん方は経営が大変ですから、一年でも二年でも早く伐採をしてお金にかえたい、こういうことがあるのだろうと思いますが、今、何年か後に伐採時期を延ばすということになりますと、この間の金額の差額あるいは現金化できない、このことについてどう考えておられるのか。さらには、長伐期化をした場合と現在との収入の金額の違い、大体どのぐらいの目安でおられるのか、お聞きをしたいと思っております。
  37. 入澤肇

    入澤政府委員 質問が多岐にわたっておりますので、十分に答えられない場合にはもう一回御質問いただきたいと思います。  まずは、複合経営の対象作物としてシイタケキノコ類というのが挙げられております。これは、長期見通しによりますと、まだまだ日本では需要がふえるだろうと見ていますが、御指摘のとおり中国等から輸入もふえています。しかし、これは私は、最終商品としてのシイタケの商品化の段階で、もう少し一般家庭が安易、簡単に食べられるような仕組みをつくることが必要ではないかと思いまして、今、研究会等を設けまして奨励はしているのですけれども、そのようなマーケットリサーチ、川下から消費者ニーズに対応した生産を志向するということを組み合わせながら、複合経営の対象作物を選択するように指導していきたいというふうに考えております。  それから、シイタケだけではなくて複合経営の場合には、木炭とかそれからその他のグリーンツーリズム等による、林業観光等による所得ということも考えていきたいというふうに思っております。  それから、長伐期にした場合にどのようになるかということでございますけれども、現在の地域森林計画では、標準的な伐期齢として、杉では三十五年から四十五年、ヒノキでは四十年から五十年程度というふうに見ております。長伐期にしますと、長伐期は標準伐期齢から十五年以上超える施業を一応考えているわけでございますが、その間の所得が得られないということで、各地ではいろいろな工夫がなされております。  例えば、所有面積百五十ヘクタールのうち七十ヘクタールを長伐期化する林家の例を見ますと、その間に干しシイタケを二百キログラム生産して、年間六百万円の林業所得を上げている熊本県の林家の事例もございますし、それから、所有面積六十ヘクタールのうち三十ヘクタールにつきまして長伐期化して、生シイタケを三千キログラム生産して、年間四百万円の林業所得を上げている、長伐期による所得の減少を特用林産物生産との組み合わせで補てんしている、所得を確保しているという事例等がございます。このような事例を各地に見出しながら、各地の実態に合わせて具体的な基本方針を示していきたいというふうに考えているわけでございます。  それから、長伐期にしますと、やはり材価が非常に高くなるというような一般的な傾向がございます。これは、やはり大径木に対する需要が非常に大きいということでございまして、その間、やはりいろいろな長伐期に対する林業生産基盤上の助成措置等を講ずることによって、これを円滑に進めていきたいというふうに考えております。
  38. 白沢三郎

    白沢委員 これは後でもう少し詳しくお聞きを願えればと思っております。  もう時間もございませんので飛ばさせてもらいますが、次に、労働力林業労働者の問題であります。  これは、まずお聞きをしたいのですが、ある資料によりますと、都会からのuターンをねらって、大阪の高槻市の森林組合、あるいは和歌山県の、どこかは知りませんが組合で、大変に効果的な新規参入、これをやっておる、こうお聞きをしたのですが、どこでどういうことをやっておるのか、簡単で結構ですから御説明願えれば。
  39. 入澤肇

    入澤政府委員 各地で新規参入に対していろいろな取り組みをやっておりますけれども、例えば都市部から山村への移転を伴う林業への新規参入のケースとして、岐阜県の森林組合の例が挙げられます。  ここでは、森林組合作業班におきまして、平成五年から平成七年の三年間で、都市出身者を含めて百五十一名、県内から七十八名、愛知県四十三名、東京都、大阪府各五名というふうな新規参入を得ることができたというふうなことが指摘されております。  これは、理由を聞いてみますと、若年層を中、心とする自然志向の意識の高まりとか、ライフスタイルの多様化で、自然環境を保全する林業に対する魅力を感ずるとか、そういうふうなことが理由だというふうに指摘されております。これは一岐阜県の例でございますが、そのほかの県でも、こんなに人数は多くありませんけれども、かなり報告がございます。
  40. 白沢三郎

    白沢委員 今長官がお話をされたものは、きちんとした森林組合等々だろうと思っています。しかしこれは、大多数の林家は、それほどきちんとしたものを持っていないのが実態だろうと思っております。  ちなみに、この労働力でありますが、林家に携わって労働をしておった方は、昭和三十五年に四十四万人おった、平成二年には十一万人と大幅に減少をしております。四十四万が十一万になる、この減少はしばらくずっと続くであろう、こうも実は言われております。  それと、平均年齢が、ほとんどが五十歳を超えておる。こう考えてみますと、これから林業で、森林も含めて、川下の林業、製材業等々の労働も含めてでありますが、これをいかに改善をして、若い今後継者を引きつけるのか、これが大きな課題だろうと実は思っております。  その中においては、もちろん機械化であるとか雇用の面、保険の面、あるいは日給のものを月給に変えるとか、あるいは森林組合の統合、合併等々もこれは含まれておるのでしょうけれども、このまま力を余り入れずといいますか、この林野三法ができても、このまま推移をしたら、五年先、十年先、実際に林業労働者がどのくらいの数になって、どのようになるのか、この指針をある程度示していただかなければ、我々としても理解に苦しむところが実はあるのです。指針がありましたらお知らせを願いたいと思っています。
  41. 入澤肇

    入澤政府委員 御指摘のとおり、昭和三十五年には四十四万人ありました林業労働者が、平成二年の数字では四分の一の十一万人まで減少し、さらに、五十歳以上が七割と、高齢化が進んでおります。  現在、新規高校卒業者の林業への就業状況は、二百人を超えているところで推移しておりますけれども、今後新規参入の状況がこのまま推移するといたしますと、林業就業者は、コウホー十分析という手法で分析してみますと、平成十二年には五万人強に減少するという試算が一つございます。  これに対しまして、今後必要とする林業就業者はどのくらいかということを試算してみますと、将来、全国森林計画で定める計画量を実施する場合に、機械化を大幅に促進し、雇用につきましても一人当たり年間就労日百八十日というふうに大幅に見込んだ場合には、基幹的な林業労働者が少なくとも六、七万人以上必要であるというふうな計算があります。  ただ、これは今、百五十日以下の就労日数が大部分でございますから、直ちにこの試算どおりというわけにいきませんけれども、しかし、これだけの人数は可能な限り確保していかなければいけないということで、各種の政策を強化していかな ければいけないというふうに私ども考えております。
  42. 白沢三郎

    白沢委員 このまま推移をすると、平成十二年で五万人、もっと減るのだろうと私は思っております。しかし、国産材の時代、あるいは内地材の時代、外材を頼らなくても資源が多いわけですから、内地材、国産材でこれを適応できるという人数は六、七万でありますと、わかりました。  次に、時間がございませんので、また飛ばさせていただきますが、林業の機械化でちょっとお聞きをしたいのです。  最近出ておるのがハーベスター、プロセッサー等々の随分高い機械でありますが、森林に活用して、その効果が出ておる。私も現実にこれを見せていただいたのですが、大変にいいもので、しかもこれは労働の改善に役立つと思っておるのです。  ただ、難点は、これは非常に金額が高いのです。物すごく高いのです。しかも、普通の林家の皆さん方でこの機械を買ってどうしようというのは、これは実はとても無理があるのだろう、こう思っております。  それで、私も調べてみたのですが、それらの機械化、これは林野庁も推し進めておる施策一つなのですが、機械化を進めるに当たって、このハーベスター、プロセッサー、この機械等々を購入するときに何か財政的に積極的な支援の措置があるのかどうか、お聞きをしたいのです。補助があるのか、あるいは支援の何かがあるのか、お聞きをしたいと思います。
  43. 入澤肇

    入澤政府委員 おかげさまでといいますか、林業の機械化もいよいよ本格化してまいりまして、昭和六十三年にはたった二十三台きり高性能の林業機械はなかったのですが、平成六年度末では約一千台に近い台数まで今先生御指摘のような機械が入ってきたわけでございます。  このような機械を導入するに当たっては林業改善資金助成法に基づく無利子資金等が用意されておりましたけれども、個々の林家が持つには余りにも高額過ぎて、これはまた経営を圧迫しかねないということでございまして、今度は林業労働力確保支援センターにおきまして機械を一括して購入して、そしてそこからレンタルをするというふうなことを考えていきたいと思っております。  したがいまして、林業労働力確保支援センター等におきまして、林業機械を買うための予算措置等を講じているところでございます。
  44. 白沢三郎

    白沢委員 次に、木材安定供給の特別措置法の方に移りたいと思っております。  これもいろいろ議論のあるところでありますけれども日本は資源が多い。しかも、にもかかわらず外材も入っている。このような状況を放置しておったならば、我々日本にとってはこれは大変なことになるのだろう、こういうことであります。  しかし、この法律で一番懸念をするのは、もちろん川上の森林伐採等から川下の製材工場あるいは消費者までにわたる間、一番の大きなねらいは安定的な供給を目指すことだろうと思っておりますが、実際これらのことが本当に、価格も含めてでありますが、できるのだろうか、こういうことに尽きると思っております。これはいろいろな問題がございますし、それから消費者は消費者でいろいろなニーズがありますし、その途中でプレカットとかいろいろなことが出てくるのだろうと思っております。  ただ、大ざっぱに考えてみて、これらを推し進めるに当たって、本当に安定的に供給ができるのかどうか、このことをお伺いをして、さらに、できなければ何か別な方法も考えておるのか、あるいはどういう方向でこれを推し進めていくのか、このことをお聞きをしたいと思っております。
  45. 入澤肇

    入澤政府委員 まさに国産材を有効に利用してもらうためには外材に打ちかたなくてはいけない。そのための一つの条件が安定的に製材工場に材を供給することであります。  そこで、大規模な国産材製材工場等のアンケート調査等を見ますと、何といっても原木の安定供給が困難である。そこを何とか解消していただきたいという声が圧倒的に強いのであります。  これに対しまして、今回の法律制度では、その川上の森林組合群とそれから川下の製材工場群とが、例えば一年間に一万立方とか三万立方とか安定的な材を供給する契約をきちんと結ぶ。同時に、川下の製材工場群におきましては、質を一定にするためには乾燥施設を入れなくてはいけませんし、それからまた集成材の施設をきちんと入れて、材を補強して、外材に打ちかつ条件をつくらなくてはいけませんし、さらに一歩進めれば、プレカット等によりまして流通経費を削減するというふうなことで、全体としてコストを下げていくような対応をとらなくてはいけないというふうに考えております。  そのような施設整備をすることに対しましても、今回は財政、金融両面から助成措置を講ずることにしておりますけれども、まずはこの安定的な契約取引を進めるのだということで法律制度考えたわけでございます。  具体的には宮崎県の耳川流域、ここにおきまして、既に安定的な木材の販売先が確保されて、そして素材生産量が安定的に増加しているという事例もございますし、ほかの県におきましても同様な事例がございます。このような事例に学びながら、各地域において具体的な指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  46. 白沢三郎

    白沢委員 それでは、最後の質問に移りたいと思っております。  長官、最近外国から住宅輸入する、あるいはツーバイフォー、セキスイハイムとかなんとかいろいろございますが、ツーバイフォーの方式の住宅は川下の話でありますけれども、これが物すごい勢いで実は急成長をしております。それと輸入住宅を、これはもちろん自由化で促進をする、こういう方針になっておりますし、これらの建築を、できたものを、あるいは部材を見せていただくと、これはほとんどが外材であります。  そういたしますと、片一方では森林資源がたくさんある、内地材を使おう、使わせていただこう、こういう振興を林野庁はしているにもかかわらず、片方では外材を使ってツーバイフォーの住宅をつくりながら急成長をしておる。この差は何であるか。こう考えてみますと、実はいろいろな問題があります。乾燥の面とか価格の面であるとか、あるいは安定的に供給できないからとかいろいろありますが、これらのことを考えてみますと、林野庁が望んでおる安定的供給、国内産の材木を使ってもらおう、こういうものと逆行しておるような気が実はするのです。  といいますのは、ツーバイフォーの住宅ができればできるほど内地材の材木を使わないということにも相なりますし、そういたしますと、今までの在来工法の住宅を建築しておったものがそういう方向に変わるということになりますと、工務店あるいは中小の大工さん等々まで実は相当影響が出ております。それで、大工さんも工務店も、最近ではオーダーの住宅をつくるのが少なくなって困っておる、実はこういう現象も出ておるのです。そういうことで、これらを考えてみますと、今後ともどう指導をしていくか、こういうことが実は第一点、相反するのではないかという点であります。それともう一点は、木材供給を今のまま放置をしておくのではなくて、消費者のニーズに合わせるように、あるいはもっと別な方法を考えて、例えば公共建築物の分野にまで林野庁は入っていただいて、学校は木造でつくるのがいいとか、あるいはレンガ、これは木レンガと実は言いますが、公園の中に木を逆にして丸太のままつくっておく、これは今あちこちで実は見られておりますが。あるいはある場所では、橋はコンクリートではなくて木でつくるべきだ、こういうことで、ある自治体では率先してそういうものをやっておる例も実はございます。  私の地元の新潟県の山北町では、これは林業も盛んな町でありますが、まず第一に学校をつくるには木造でつくった、公衆便所も木造でつくった、あるいは橋等々も木造でつくった、こういうこと でありますけれども、学校を一つ例にとりますと、普通の学校をつくるより木造でつくった場合は二倍から三倍値段が高いそうです。こういうことは、もちろん手間賃もずっと全部含めてでありますが、完成をいたしますと二倍から三倍、これは高くなっているそうであります。  それと公園でも、木のレンガを使っておるのは最近ぽつぽつと見られますが、これは林野庁さんあるいは大臣も含めてでありますが、どうなんでしょう。木造の学校をつくった場合、補助金を特別に考えるという方法がない、あるいは公園でこれから下のれんがの部分は必ず木れんがを使いなさいとか、私はこう思っておるんですが、実際、公共物に対してそういう決まりはないんだそうでありまして、それは施行者の自由なんだそうですので、この辺のところがあるのかないのか。あるいはまた、横の連係プレーを密にして木材を使う施策をもっと強力に講じる気があるのかどうか。これがなくては私はほとんど不可能だろうと思っております。  それと、ちょうど時間でありますが、最後に、質問といいますか、私の考えなんですが、冒頭にも申したように、森林を活性化させるには税制も含めてとにかく飯の食える林業あるいは森林あるいは川下の製材業等々も含めて施策を講ずべきであろうと思っております。それと、今までのように、これは財政的な問題が出てくるわけでありますが、大蔵省と間伐材あるいは林道の整備補助のために金が欲しいとかいろいろなことをやる、これは今までの政治手法のパターンだろうと思っておりますが、農林水産省でよく農水省、農水省という言葉を聞きます。林業はどこに行った、林野庁があるのに農水省とは何事だと私は感じておるんですが、そのぐらい林野行政は、農林水産省あるいはほかのところにおいても片隅に置かれているような気も実はしないわけでもないんです。それが我々も非常に残念でございまして、これからはもう少し積極的に都市と、あるいは平場と山手、山間地、林業、これが共生できるような方法をもっとPRしながら、大蔵省との財政の折衝も今後方針を変える必要があるんだろう、実はこんな感じがしております。  最後の二点だけ、簡単にお答えを願って、質問を終わります。
  47. 入澤肇

    入澤政府委員 簡単に申し上げます。  ツーバイフォー工法につきましては、現在のところ外材が大部分使われておりますけれども、今回の法律案を契機にいたしまして、ツーバイフォー工法に対しまして国産材を使う仕組みを考えていきたいと思っています。  それから、公共施設につきましては、現在私どもで具体的に各都道府県、地方自治体の公共施設の建設計画というのを把握しております。その把握した結果に基づきまして、国、県それから関係団体が一緒になりまして木材を使ってもらう具体的な折衝に入るように督励をしているところでございます。  それから、森林の活性化につきまして、税制等につきましてはさらに一層の検討をやっていきたいというふうに考えております。  農林省の問題につきましては、私は昔農林省の時代に入ったものですから相変わらず農林省と言っているのですが、できるだけ農林水産省と呼ぶように職員にも徹底していきたいと思っています。
  48. 白沢三郎

    白沢委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  49. 松前仰

    松前委員長 藤田スミ君。
  50. 藤田スミ

    ○藤田委員 私は、この林業三法についてお伺いいたしますが、まず、今回の三法の中核的な法律である林業改善資金助成法及び林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正する法律案についてお伺いをいたします。  この法案を見ますと、目的規定が変わっております。「林業経営改善」を「育成すべき林業経営の経営基盤の強化」というふうに改めたわけであります。そこで心配をいたしますのは、公的資金の貸し付けを今後は育成すべき林業経営規模拡大の方向性で絞ってしまうのではないかという点であります。そのことは、規模拡大を志向しない林業者が排除されてしまうんじゃないかという点でありますが、まずこの点について林野庁の御見解をお伺いいたします。
  51. 入澤肇

    入澤政府委員 私どもとしましては、林業経営改善の手法といたしましては、単に経営規模の拡大ということだけではなくて、それぞれの林業経営体の実情に応じまして、経営の複合化であるとか伐期の長期化等さまざまな手法を考えたわけでございます。したがいまして、具体的に、意欲的に林業経営をやろうとする能力と意欲のある方々が作成した林業改善計画を認定して、そこに施策を集中するということを考えているのでございまして、経営規模の拡大を図ろうとする者のみを支援策の対象とするということは考えておりません。
  52. 藤田スミ

    ○藤田委員 ということは、例えば「生産方式の合理化」として想定しておられるもの、御説明いただけますか。
  53. 入澤肇

    入澤政府委員 小規模な山林所有者でありましても、一つは、先ほど申しましたような零細な林家、不在村の山林、林種の山の施業を受託をするということで経営規模を拡大するという場合もございますし、それから、それに加えまして、特用林産物等の経営も取り入れていく、こういうことも経営改善一つの方法として十分に認定していかなければならないというふうに考えております。
  54. 藤田スミ

    ○藤田委員 先ほどからも九割を超える小規模な零細経営に今の林家の実態はなっているんだということが言われておりました。私は、規模を拡大することが悪いと言うわけでは決してありませんけれども、現実、小規模な経営状態がもう圧倒的に占めているわけです。したがって、今後当然、林業を見るならば、その零細林家と林業組合、そして規模拡大経営の林家という併存状況になるというふうに考えるわけです。そこが有機的に進展していかなければならないわけで、もし一部の経営拡大林家だけの育成に施策が限定化されていくならば、逆に今後の林業発展に障害をもたらすことになるのではないかと考えます。  この点で、私は、経団連の農政問題委員森林部会が昨年の九月十八日に出しました「持続可能な森林経営の効率的な実現に向けて」という文書を見ましたけれども、そこにはこういうことを書いていました。「適切な森林施業を実施する経営へと誘導する観点から、税制・金融・財政上の措置については森林施業計画の達成度等に応じ大幅に格差を付ける方向で再編すべきである」。もう一つ、「経営感覚に優れた企業形態の大規模事業体の育成に向けた措置を集中的に講ずることが望まれる」と述べております。その点、今回の法案でそのように進めようとしていらっしゃるのかどうか、施策の面でお伺いします。
  55. 入澤肇

    入澤政府委員 林業経営につきましても、農業経営も同じでございますが、大きいことはいいことだということではないと私は思っています。効率という物差しだけですべて推しはかつてはいけないのであって、先ほどから御質問にもありましたけれども、大変内部経済効果の大きい山林というものを維持管理しているわけでございますから、私どもは、今回の経営基盤強化に関するこの法律につきましても、単に大きなものだけを対象にするということではなくて、零細な林家であっても、その山村に住んで山の維持管理に意欲的に取り組むんだという方々が、従来の惰性でやるのではなくて、新しい手法なり新しい目標なりを掲げて経営改善計画をつくった場合にそこに施策を集中するという考え方でございまして、経団連の考え方と全く同じということではございません。
  56. 藤田スミ

    ○藤田委員 それでは、大臣にお伺いをしたいと思います。  日本林業経営の発展の最大の条件は、無秩序な外材輸入の規制にある、私はそういうふうに考えています。そこには全く手をつけずして林業経営の発展はあり得ない。そのことは九四年度の林業白書でも、「木材産業は、現在、円高の進行等に 伴う外材輸入の増大、木材価格の低迷等により困難な状況に直面している。これに伴い、それぞれの時代状況に応じて森林文化の展開とその世の中に対する発信の場となってきた山村の活力も低下している。」まことに正直に描かれているわけであります。大変重要な問題でございますので、大臣のこの問題に対する認識をお伺いしたいと思います。
  57. 大原一三

    大原国務大臣 この林野三法を大臣室で議論するときに、一体だれが、自由化をした責任者はどの大臣だということで調べてみたのでありますが、それは三十六年なんですね。その当時、山については国際競争力抜群だという認識で、それはもとより所得水準も今より非常に低い時代でありました。コストも安い時代でありました。それが三十六年から三十年以上たって日本の経済構造が非常に変質をしたわけでありまして、所得水準も世界水準並み、こういった状況になろうということは恐らく当時考えていなかったんじゃないのかな。河野大臣の三項目というのを読みましたら、大変自信満々なんですね。  したがって、状況が著しく変わった中で、先日もモンデールさんが私のところへ来られまして、あの方は、何か知りませんが、やはりアメリカの大使というのは天下国家はそっちのけで、ツーバイフォーのお話ばかりして帰られたわけであります。そういったセールスマンが大使であるというようなこと、やるわいなと思って私は聞いておりましたが、最後には、いろいろおっしゃるけれども、我が国は山の国である、今現に自給率が二割水準に落ちたということはこれは異常な事態である、したがって我々は我々の山を利用することをまず第一に考えなければならぬ、ないものはそれは買うでしょうということを申し上げたら、変な顔をして帰られたのでありますが、実際問題として、この輸入の問題がやはり基本的なプレッシャーになっていることは委員指摘のとおりであります。  だからこれを克服する道として三法を出したと言いながら、この三法でそれじゃ答えが出ますということは、私は言い切る自信はございません。したがって、いろいろの機会に、関税率を下げろとかゼロにしろとか、丸太はゼロでございますけれども、そういった問題については、やはり我々は国内産業のことを考えながら積極的に発言をしていかなければいかぬな、こう思っております。
  58. 藤田スミ

    ○藤田委員 まことに率直に御答弁をいただきました。要するに、具体的に、無秩序な外材輸入の規制については、今後大臣は、関税率のことなど、その輸入規制に取り組んでいくというお考えですか。もう一度そこのところを明確にしていただきたいわけです。
  59. 大原一三

    大原国務大臣 ウルグアイ・ラウンドでお約束した部分があるのですね。だからそれの外枠でやれ、こうおっしゃるわけなんですよ。そんなことはできない。それが、カナダの食糧大臣がやはりそんなことをおっしゃるわけですね、ウルグアイ・ラウンドの別枠でやりなさいと。そういうことはできないということで、我々はその既定路線を守っていくということが大事だ、こう思っております。
  60. 藤田スミ

    ○藤田委員 ウルグアイ・ラウンドで約束をした範嗜であっても、非常にこの外材の入り方が大きくなっていくわけですから、私は、その枠内ならばいいという立場じゃ決してありませんけれども、しかし、別枠でやれというのは余りにも横暴だとおっしゃる大臣のお言葉はよく理解できます。  しかし大臣、今政府がやろうとしているのは、橋本内閣、この政府自身が、外材の輸入規制どころか、木材輸入住宅という形で今後どんどん輸入を受け入れていこうという方向になっているんじゃありませんか。現在、輸入住宅は急増してきております。そして橋本内閣は、この二月の日米首脳会談で、住宅輸入が一層促進できるような規制の緩和を約束されました。そのために、今後さらに輸入住宅のシェアが伸びていくということが確実視されるわけですけれども、そういうふうに一方で進めながら、今回この三法を出して国内林業の振興だ、私は、おっしゃることは非常によくわかりますが、しかしそのことは全く矛盾した政策になりはしないかと考えるわけであります。いかがでしょうか。
  61. 大原一三

    大原国務大臣 橋本内閣の中で、日本の山を守る責任者は私であります。ですから、内閣のさまざまな諸方針が出される中で、やはりそれに対してくぎを刺し、批判する立場にあるのは農林水産大臣しかいないわけでございますので、我々はそういった考えを、非常に大事な問題でございますから、やはり、そうでございますかということを、内閣の方針をつくる前に議論をしていかなければならぬな、こう思っております。
  62. 藤田スミ

    ○藤田委員 そういう大臣の山を守る責任者としての大事なお立場を、まさに農水省を除いて、建設省、法務省、厚生省、通商産業省、これがことしの三月二十六日、住宅建設コスト低減のための緊急重点計画というのを打ち出しました。この中身というのは、まさに輸入住宅をふやさんがための規制緩和、そのことがるるここの中にあるわけであります。こういうようなことで本当に規制できるのか。  実は二月のサンタモニカでの前回の日米首脳会談のときも、その直前に総理が住宅関連で目玉になるような話はないかと藤井建設事務次官に指示されたら、輸入住宅関連ならというこの一言で、その話を早急に詰めてくれというのが実は輸入住宅の規制緩和のあの発表になったんだというようなことも最近の新聞で書いておりますけれども、これは本当にけしからぬ話ですね。せっかく大臣が今おっしゃったように山を守る責任者としてそういう問題には一々くぎを刺していきたい、くぎを刺すものを除いたらくぎを刺しようがないわけです。  本当にそういうことでは困るわけでありまして、しかも私が驚いたのは、これは九日ですから、おとといの日経新聞ですが、もう見開きで、輸入住宅だとかあるいは建設資材・設備を大いに活用していくんだということで広告を出している。そのトップに中尾建設大臣が、「海外建設資材・設備の活用について」ということで、「海外資材や設備の積極的な活用を通じて、新たな国際的な連携が形成されることを心より期待しています。」こういうふうになっているわけであります。  これはもう本当に話にならない、今の政府がやろうとしていることでありますが、このことについて大臣はどういうふうにくぎを刺されてこられましたか。
  63. 大原一三

    大原国務大臣 問題はツーバイフォー工法の問題でございまして、日本の建築基準と向こうの建築基準が違う、そのすり合わせをすべきである、こういう規制緩和が私はその要点ではなかったかと思っております。  正直言いまして、木材関係をスーパー三〇一条の戦略的な物資にしようというような動きさえアメリカはあるわけでございます。我々は、この問題については本当に精力的に取り組んでいかなければ、なおこのままずるずるいったら大変なことになるなという感じを私は非常に強く持っておりまして、閣議ではそれなりの発言はしたつもりでございますけれども、アメリカさんの動きというのは相手構わずに横ひじ食らわしていくという、いわゆる一方的な議論が非常に多いわけでございますので、我々はそれに対してはやはりはっきり物を言っていく仕組みが必要ではないのかな、こう思っております。
  64. 藤田スミ

    ○藤田委員 いや、まことにはっきり物を言わなければ、日本農業林業も水産業もそうですが、林業なんというのは典型的な形で本当につぶされていっているわけですから、私は改めて本当に輸入規制という問題についても取り組んでいっていただきたいということを申し上げておきたいわけです。  アメリカは、日本という国は全くアメリカの要求どおりに柔順に、異常なほど柔順に従う国だということを言ったことがありまして、その言葉のついでに、柔順だからこそ余計に無理を吹っかけ たくなる、これはまさにいじめっ子の心理に似た言い方でして、私はもう情けないと思いました。大臣ぜひ、もっと除くというようなこともするな、わしのところが大もとなんだという立場で今の主張を閣議の中でも大いにやっていただきたいと思います。  今回導入されました新林業部門導入資金の対象になるキノコ類の特用林産物生産について、先ほどからも干しシイタケが出ておりますが、林業白書でも、「乾しいたけについては、近年中国産を主体とした輸入の増加が続いており、国内消費の約二分の一が輸入で賄われる状況となっている。また、生じいたけも円高の進行等を反映して、平成四年から五年にかけて中国産の輸入が増加している。」こういうふうに書いております。まさにせっかくの複合経営と思っても、その複合経営が成り立たないような直撃をしているわけです。したがって、生産者の皆さんも、その生産地の自治体、議会などもシイタケについてもセーフガードの発動を真剣に求めているわけでありますが、ぜひこの点についてお答えをいただきたいわけです。  重ねましてもう一度、真に林業振興を図るという立場ならば、輸入自由化政策見直しを行い、林業振興に必要な財政措置を抜本的に強めるということになるのではないかと考えますので、大臣の決意をお伺いしたいところです。
  65. 入澤肇

    入澤政府委員 最初に、干しシイタケ輸入につきましてセーフガードを発動したらどうかという御質問でございますので、それに対しましてお答え申し上げます。  一般的にセーフガードの発動要件、これはもう先生御承知のとおりでございまして、国内産業への重大な損害が認められるということにつきましては、具体的には輸入増加率、増加量、増加した輸入産品の国内市場占拠率、販売、生産生産性、操業度、いろいろな要素を勘案しなければいけないわけでございまして、現時点におきまして、直ちに国内産業へ重大な損害を与えているというふうに客観的に明確に言えるかどうかということは、若干自信がございません。したがいまして、今セーフガードを発動するということはなかなか難しいと思います。
  66. 大原一三

    大原国務大臣 先ほどから御指摘のある問題でございまして、日本林業の経営基盤の脆弱さということを考えますと、やはり相当これは時間がかかる問題であります。平均経営面積五ヘクタールというようなのを森林組合その他で集約しながら構造改善を進めていくには、かなりの時間が必要とされるわけであります。その間にぼろぼろ、ぼろぼろ外国から入ってきたのでは、せっかくの我々の計画も画餅に帰するわけでありますので、その辺は十分心して頑張ってまいらなければならぬ、こう思っております。
  67. 藤田スミ

    ○藤田委員 次に、木材安定供給確保に関する特別措置法案についてお伺いいたします。  時間の関係上、気になる点だけを一点。  この法案では、国有林事業木材安定供給確保事業に参画できるということになっております。国有林事業が膨大な赤字を抱えているということは先ほどから出ておりましたけれども、そういう状況の中で、焦りの余り、民業を圧迫して木材安定供給確保事業中心を占めていくというようなことになれば、これまた全くこの法律の目的に合わないわけでありまして、そういう点では国有林事業の節度ある態度が求められているのではないかと思いますが、この点が一点です。  もう一つ林業労働力確保促進に関する法律案では、林業労働者確保のための措置が講じられているわけでありますが、林業労働力確保する新規就労を促す上で重要なことは、雇用の条件の改善であり、職業としてやっていくための将来見通しであります。  私どもは、和歌山県の龍神村を訪ねましていろいろ調査をいたしましたけれども、ここでは村からの援助も得て、森林組合が雇用するという形で人材を確保しております。しかし、今後の人件費負担などの問題を考えると大変深刻であります。この点については林業白書も、早急な労働条件の整備が必要な林業労働ということで、早急な改善を求めているところでありますが、この点について私は、大臣の御認識と、それから労働省に一言だけ、雇用の管理の改善について今後最も重点にしていきたい点を簡潔にお示しをいただきたいと思います。
  68. 入澤肇

    入澤政府委員 まず、国有林事業の関与の仕方について御説明申し上げます。  当然のことながら、国有林が入っていって、そして零細な林家の安定供給が阻害されるといったことがあってはならないわけでございまして、現在私どもは、流域林業活性化協議会というのを各流域ごとにつくっておりますが、この中で民有林、国有林関係者が一体となって協議、調整を図って、そして安定供給の実を確保していきたいというふうに考えております。  現在、もう既に先駆的に大型の製材工場を建設しているような地域、例えば先ほど申し上げました宮崎県の耳川林業地域などにおきましても、原木の確保が思うに任せないというところでは、国有林協力して原料の安定供給を図っているということでございます。こういうふうに国有林として節度のある態度で臨んでいきたいと考えております。  それから、林業労働力確保のところで、各地域におきまして労働力確保のためにいろいろな工夫がなされております。例えば、第三セクターをつくりまして人件費助成市町村がやるとかいうふうなことが見られますけれども地方財源を使いまして各県で担い生育成資金というのが設けられております。この担い生育成資金の果実等を利用しながら、間接的な所得補てん等を通じまして、人件費の軽減あるいは所得の確保等に役立てていきたいと考えております。
  69. 吉免光顯

    吉免説明員 今回の林業労働力確保法を一つのてこにしまして、一つは、林業労働力確保支援センターを中心にしまして、雇用管理の相談、指導をしたいと思いますし、雇用管理者の資質向上の研修をしたいというふうに思っております。  それから二点目には、雇用を安定させる、もちろん事業確保が大事だと思いますけれども、通年雇用を進める、こういったところで支援を集中したいと思いますし、そういったものをすると同時に、労働者募集にいろいろな形で配慮をしていきたい、そういうことを中心に雇用改善を進めていきたいと思っております。
  70. 藤田スミ

    ○藤田委員 もう時間が参りましたので、私は最後に要望だけしておきたいと思いますが、木造住宅の地震に対する安全性の問題です。  私はここに、紀州材流通促進協議会が「木材の不思議な力あれこれ」ということでこんな大変ユニークなものをつくっておりまして、ここでも「木造住宅の耐震性のお話」などという、すてきなものをもらっております。  こういうものを出さざるを得なくなったのは、阪神大震災以降、実は木材需要と価格の低迷で産地は本当にひどい目に遭っているのです。それは、日本木造住宅は地震に弱いということがしきりに言われまして、地震に強いのはプレハブ住宅しかないというようなことを故意に強調して流されるものですから、一気に木造住宅の需要が低迷したわけです。木造だけじゃなしに、かわら屋さんも大変な打撃を受けました。  私は、木造在来工法できちんと建てられている住宅はあの震災規模でも十分耐えられるものだと思っておりますが、私が言ったり、こういう促進協議会の皆さんがこんなものまでつくって力を入れて宣伝してもやはり手前みそになるわけで、私は、この点で政府が責任を持って日本木造住宅の地震に対する安全性について国民に十分知らせていく、そういう努力をしていただきたい。聞けば、いろいろ御努力をしていらっしゃることは知っておりますが、まだまだ足りない。それこそ新聞広告にでも載せて、大いにそういうPRに努めていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。
  71. 松前仰

    松前委員長 午後二時五十分から再開すること とし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十三分休憩      ————◇—————     午後二時五十分開議
  72. 松前仰

    松前委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。永井哲男君。
  73. 永井哲男

    永井(哲)委員 社会民主党・護憲連合の永井哲男でございます。林野三法についての質問をしたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。  まず、我が国の林業経営についていえば、木材価格の低迷、造林コストの上昇などにより極めて厳しい状況にある、林業活動が低迷しているという状況であります。このような状態は、山村地域の振興や森林整備促進に悪影響を与えることが懸念されております。このような現状を踏まえての、林業経営改善を図るための改正法だというふうに思います。  そういう中で、林業経営基盤の強化に関する基本方針というものを農林水産大臣が定めることになっておりますが、この基本方針というのはどのような内容のものであるのかという点、また、都道府県知事において基本構想というものが定められることになっておりますが、これは必ず定めるようにいわば指導すべきものかというふうにも思いますが、その点お答えをいただきたいというふうに思います。
  74. 入澤肇

    入澤政府委員 現行の林業等振興資金融通法の基本方針は、林業木材産業の発展を図るということで、川上部門の林業経営改善と川下部門の国産材の生産それから流通の合理化に関する基本的な方向を国の方針において示すことになっております。  今回の改正された後の法律に基づく基本方針は、川上部門につきまして、望ましい林業経営体の育成を主眼として、林業経営規模であるとかあるいは生産方式等の林業経営改善に関する事項を示しております。同時に、育成していくべき林業経営に関する基本的事項として、森林施業の合理化であるとか、あるいは経営規模の拡大であるとか、複合経営等の推進といった事項についても基本方針として示していくことになっております。  そして、県の基本方針は、「定めることができる。」というふうな任意規定にはなっておりますけれども、全都道府県に国の方針に即して各都道府県の基本構想を定めるように指導してまいりたいというふうに考えております。
  75. 永井哲男

    永井(哲)委員 特に、各県においてそういった基本構想というものをしっかりと定めるように努力をしていただきたいというふうに思います。  先ほどからいろいろな質問の中で出ておりましたが、特に長伐期施業というような状況もあり、特用林産物と組み合わせた複合経営とするということでありますが、シイタケその他、非常にその点では厳しい面があるわけであります。  そういう中で、森林環境に対する、そしてまた健康に対する機能を十分に生かすものとして、グリーンツーリズム、民宿経営、そういったようなものについて一体のものとしてこの発展を図っていかなければならないというふうに思うわけでありますが、その点についてどのようにお考えであるか、お聞きをいたします。
  76. 入澤肇

    入澤政府委員 まことに御指摘のとおりでございまして、何とかして林家の所得を総体として確保するということが実現しなければ、山村に住んで林業を主業として定住する条件が整備されないわけでございます。  その一つとしまして、今御指摘のとおり、グリーンツーリズムの話がございました。このグリーンツーリズムにつきましては、議員立法で農山漁村滞在型のグリーンツーリズムを促進する法律というのができまして、これにつきまして、今農林省、各省ともいろいろな施策を講じております。  我々の所管している林業におきましても、森林レクリエーションを含むグリーンツーリズムに関連する施設整備推進するに当たりまして、共同利用に係る基盤的な施設の整備につきましては林業構造改善事業などの補助事業で行い、また、個々の林業経営体が行う施設整備につきましては金融措置により助成しております。  特に、長期低利資金であります農林漁業金融公庫のうち、農林漁業構造改善推進資金あるいは農林漁業施設資金等による歩道だとか林間キャンプ場、休養施設あるいは風致施業の推進、あるいは中山間地域活性化資金によります、農業生産条件が不利な中山間の林間スキー場あるいは林間テニスコートあるいは林間キャンプ場等の保健機能増進施設、このような整備をやっているわけでございます。  さらにつけ加えまして、平成八年度予算におきましては、新たに農山漁村における滞在型余暇活動施設の整備推進するために、林業を行う林家が民宿を設置する場合に、林業構造改善事業に係る単独融資事業の対象とすることにしたわけでございます。  林業経営改善計画を作成した者が、グリーンツーリズム関連の施設整備を行う意向を有する場合には、これらの資金を活用して促進してまいりたいと考えております。
  77. 永井哲男

    永井(哲)委員 特に、この資金というのは無利子の資金ということで、またほかのものと格段の違いがあるということもあり、ぜひ前向きに、この融資の対象に含める等の検討をしていただきたいというふうに思います。  次に、森林の担い手について質問をしたいというふうに思います。  森林が将来にわたってその機能を維持していくためには、植栽から下刈り、つる切り、いろいろ本当に多数の手間がかかるわけであります。担い手がいなければこういったことができないということは、これは理の当然であります。  我が国の林業を取り巻く環境は、採算性の悪化、山村地域の過疎化、高齢化の進行等、本当に極めて厳しい状況が続いております。このことから、平成二年には一時の四分の一の十一万人になってしまい、先ほどからも何度も出ているように、五十歳以上の人たちが七割も占めるというような危機的な状況に陥っているところであります。私どもは、この林業労働力確保こそが国政における喫緊の課題だということを考え、これまでいろいろ努力をしてきたところでございます。  我が党は、一九八三年の九十八回の国会において、初めて林業労働法案を参議院に提出して以来、八八年まで七回にわたってこの法案提出してまいりました。九一年に森林法が改正され、流域管理システムの確立など、新たな施策と方策というものが展開されることになりました。この森林法の改正についても我が主張が相当入れられたところでありますが、しかし、残された大きな課題として、林業労働力確保の問題があったわけであります。九三年に、森林計画区ごとに作成される地域林業労働計画及び雇用改善計画認定制度など、私たちは林業雇用改善法案を参議院に提出してきたところであります。こういった我々のこれまでの主張というものを入れたこの林業労働力確保法案というものを、私たちとしても高く評価をしたいというふうに思っているところでございます。  そういう中において、今回の法案では、林業労働力確保促進のために、森林組合、素材生産業者等の林業事業体が雇用管理の改善事業合理化に関する改善計画を作成する、そして当該計画の認定を受けた者に対して林業労働力確保支援センターを通じて総合的な支援措置を講ずることというふうにしているわけであります。  国が策定する基本方針、都道府県が策定する基本計画、これらは林業事業体の雇用管理の改善事業合理化方向性を示すだけでなく、林業事業体の作成する改善計画の認定の規範として重要な意味を持つ、こういうものだというふうに認識しているところであります。  そうであるから、この基本方針、基本計画の策定に当たり、とりわけ林業労働力確保という点から考えた場合には、使用者側の意見のみならず、 雇用されている労働者側の意見を聞くということが非常に重要なものだというふうに思うわけであります。とりわけ、その労働者の代表としての労働組合の意見の聴取というものも非常に重要なことであると思うわけでありますが、この点、どのように配慮をしているか、林野庁及び労働省に対してお伺いをいたします。
  78. 入澤肇

    入澤政府委員 基本方針の策定に当たりましては、林業経営とか雇用管理の現状につきまして、高度な専門的な知識が要求されます。同時に、地域経済の発展とか労働者の福祉の向上等の幅広い観点からの検討が必要となります。  このため、農林水産大臣にあっては林政審議会に、それから労働大臣にあっては中央職業安定審議会に諮ることとしておりまして、これらの審議会には労働者側を代表する委員も参画願っておりますので、この場におきまして労働者の意見も反映されるというふうに考えております。  また、基本計画の策定につきまして、林業労働力確保の必要度合いが各都道府県によって必ずしも同一ではなくて、各都道府県知事の裁量にゆだねておりますけれども、策定する場合には基本方針に即したものでなければいかぬということは言うまでもないことでありまして、基本計画におきましては、林業労働力確保のための事業合理化と雇用管理の改善の目標となる水準等を示すとともに、林業関係団体の支援体制市町村の行政としての協力体制整備についてもあわせて提示することになるということにしておるわけでございます。  したがいまして、その策定に当たりまして、幅広く林業関係者の意見を聞く、この林業関係者の中には労働者の代表も入っているというふうに考えておりまして、そのことが望ましいと考えております。
  79. 吉免光顯

    吉免説明員 ただいま御質問の基本方針でございますけれども、私どもの方も中央職業安定審議会というところに意見を聞く予定にしておりますけれども、そのメンバーの中に労働者側代表の委員も含まれておりまして、林業労働者の意見が反映されるというふうに考えております。  基本計画につきましても、どのような手続で意見を聞くかというのは、それぞれ都道府県の事情がいろいろございますので、各都道府県知事の裁量にゆだねているところでございますけれども労働省としましても、労働者側の代表を含めて、幅広く意見を聞いて策定していくのが望ましい、このように考えております。
  80. 永井哲男

    永井(哲)委員 林業労働力確保支援センターは、労働力確保の支援措置のかなめとなるものであります。その運営のあり方というのが、本制度の円滑な推進を図る上で非常に重要であるというふうに思います。  林野庁は、森林整備地域林業の活性化を図る上で、流域管理システムを基本としております。また、林業労働力確保支援センターを通じた支援措置を林業事業体や新規就労者が利用しやすくするということがとりわけ重要だというふうに思います。特に、都道府県に一個に限るセンターという形では、その林業労働者の居所だとか就労の場、こういったものは主として県庁所在地から遠隔な地にあるのが実態でございます。そういった中で、この地域に広報の窓口などさまざまな出先というものを利用しやすい形で設けていくということが非常に重要なことだというふうに思いますが、その点、どのように配慮をしているか、お聞きいたします。
  81. 入澤肇

    入澤政府委員 林業労働力確保支援センターは、林業労働者の募集のほかに、林業就業促進資金の貸し付け等の業務を行うこととしております。林業労働者の募集につきましては、山村の労働人口の減少とか高齢化を踏まえますと、流域を超えた視野で実施する必要があります。さらに、林業就業促進資金とか林業機械の貸し付け、研修等の事業の実施につきましては、一定のスケールメリットが必要なことから、都道府県を単位として、一を限り指定することとしたわけでございます。  しかし、今先生御指摘のとおり、センターの業務の運営に当たりまして、労働者あるいは就業者が利用しやすくなるようにも配慮しなくてはいけないということでございまして、都道府県の判断により、必要に応じて、流域等の単位の中におきまして業務の一部を担当する支所などを設置して、就業者の利便に配慮するということが必要であると考えておりまして、そのように指導していきたいと考えております。
  82. 永井哲男

    永井(哲)委員 次に、通年雇用化という観点に関係してお聞きをしたいと思います。  北海道のような積雪の寒冷地においては、特に林業労働者の通年雇用を図るということが重要でありますが、非常に厳しい状況であります。こういう中で、冬期雇用安定奨励金等の活用状況はどのような形になっているのか。そしてまた、特に季節的な、また時期的にもいろいろと寸断されるというような事業上の特性から、同一雇用のもとでの通年雇用というのが非常に困難だという実態を踏まえて、何らかの社会保険における特例の措置を設ける等、この改善というものを図っていく必要があるのではないかというふうに思うわけでありますが、その点、労働省にお聞きをしたいと思います。
  83. 吉免光顯

    吉免説明員 先生御指摘のように、北海道を初め積雪寒冷地で林業労働者の通年雇用を図っていくというのは非常に大事なことだというふうに考えております。  私どもとしましては、林業労働者、あるいは建設労働者もそうなのでございますけれども、冬期間の就労が困難になりやすい、そういった業種で働いている皆さんの通年雇用を促進するということで、通年雇用奨励金制度あるいは冬期雇用安定奨励金制度を設けているところでございます。  その制度林業労働者の関係の活用状況でございますけれども平成六年度で見ますと、冬期雇用安定奨励金につきましては、対象労働者で千六十八人、支給金額にしまして二億七千万円でございます。通年雇用奨励金につきましては、対象労働者百九十八人、支給金額で七千万円ということになっております。林業労働者の通年雇用については、こういった制度もさらに活用いたしまして、一層通年雇用化を進めてまいりたいというふうに考えております。  そういった努力を続ける中で、例えば私どもが持っております雇用保険の適用ができるように一層努力もし、また周知、指導に努めてまいりたいというふうに考えております。
  84. 永井哲男

    永井(哲)委員 できるだけ通年雇用を図り、そういった労働者の保険の質を高めるということも確かに必要なわけでありますが、なかなかそうはならないという実態の中で、例えば、登録制度による共同雇用の制度というものを考えたらどうかとか、こういうような数々の提案というものもされております。そういう実態を踏まえ、適切な措置というものを早急にとるよう、これは労働省に要望したいというふうに思います。  続きまして、我が国の木材産業をめぐる情勢について、これは既にさまざま言われているところでございます、円高等による製品輸入の増大、価格の低迷、極めて厳しいものがあります。  製材業の生産量について見れば、最近五年間では三千万立米から二千六百万立米へと、八五%に大きく減少して、国産材の自給率も二二%にまで減少している状況にあります。  一方、戦後植林された人工林は次第に充実期を迎えている、国産時代の到来を間近に控えているという中で、これを現実のものとするためには、森林資源の有効利用というものを図り、林業及び木材産業の一体的な振興を図るということが不可欠なものだというふうに思います。  しかし、我が国の製材工場の一工場当たりの生産規模は千七百立米と、アメリカの六万一千百立米に対して三十六分の一という非常に小さな規模であります。我が国の木材生産、流通は零細で、設備の近代化もおくれているという状況にあるわけであります。こうした状況を踏まえて、外材に対抗し国産材の振興を図るためには、森林所有者 との連携のもとに、中小事業体にも配慮しつつ、製材工場の規模拡大、乾燥施設の導入などの効率的な木材の供給体制整備、コストの低減、品質管理の向上に向けて全力を尽くすことが求められているというふうに思います。  これらの問題に対して、本法案は重要な役割を果たすと考えております。そして、こういった木材の供給体制整備ということだけでなく、そこで生産された木材が利用されていくということがまさに必要であります。  木材の用材需要の八〇%が住宅建築に利用されているという中で、住宅の分野での需要拡大というものが重要でありますが、先ほどからも何度も出ているように、阪神大震災、そういうところに伴う在来型の木材住宅に対する懸念等、いろいろと厳しい状況にあるということであります。こういう厳しい環境の中で我が国の森林整備して山村の振興を図るという上でも、国産材の需要拡大を強力に進めていくということが不可欠であると思います。  今後、木材産業の振興を図るための需要拡大の対策をどのように進めていくのか。とりわけ、政府や自治体が率先して、庁舎、公共建物、それらの木造化を初め、内装の充実、こういったことも重要であるというふうに思います。こういう点について林野庁としてどう取り組んでいくつもりか、その点をお聞きいたします。
  85. 入澤肇

    入澤政府委員 まことに御指摘のとおりでございまして、林業の活性化を図るためには、林産業を活性化して、もうかる林業にしなくてはいかぬわけであります。材を売ってもうけたお金で山を整備するというふうな循環対策をやらなくてはいけないわけであります。  今、先生御指摘の数字がございましたけれども、一億立方ちょっとの全体の需要がありますけれども、ずっと需要はふえていないわけであります。特に製材用の住宅用の需要というのは三千七百万立方ぐらいありますけれども、これはふえていない。ふえていないところで外材のシェアがだんだん高まってきている。せっかく戦後一千万ヘクタールの人工造林をやりまして、これからしばらくしますと伐期適齢期を迎えて市場に出てくるわけでございますが、そのときのマーケットがないということが今のままでいけば実現してしまうわけであります。それを打破して、国産材のマーケットを広げて需要の拡大を図るということが、まさに喫緊の課題であります。このことを実現するために、木材安定供給に関する法律考えたわけでございます。  一つは、新しいマーケットとして、欧米のように、木造住宅が阪神大震災で大変誤解を受けたこともあるのですけれども着工件数が少なくなってきて、従来の軸組み工法からツーバイフォーであるとかあるいはプレハブ工法に変わっていく。そうしますと、木材の需要そのものは減っていきます。しかし、鉄筋コンクリートの建物においても新しい木材需要を考えなくてはいけない、特に内装材においてそういうことを考えなくてはいけないということで、私どもちょっと試算をしてみました。  現在の建築基準法とか消防法の規定のもとで毎年新築される住宅あるいは建物にどのぐらい木材が内装材として使われるか、あるいは学校とか病院とか、そういうところが何年に一度か、十年か二十年に一度ずつリフォームする、そういうときに木材が使われるかと計算してみますと、丸太換算で毎年四百万立方。先ほど三千七百万立方の製材が住宅用に使われると申しましたけれども、これに追加して四百万立方ぐらいは需要が喚起できるという計算がございます。これは新しいマーケットであります。そこに国産材の新しい市場を求めることが必要だ、そのための体制整備をすることが必要だというふうに私ども考えているわけであります。  もう一つは、御指摘のあったとおりに、公共施設にもっと木材を使ってもらうということでございます。これにつきましては、私どももいろいろな努力をやっていますけれども、文部省と関係省庁に対しまして、従来から、例えば小中学校の教育施設の木造化の促進、これは平成元年度から六年度までで三百六十二施設実現いたしました。それから、建設省にも木造公営住宅の建設を要請いたしまして、同じように六年間で一万三千戸の建設が実現しております。公共施設につきまして、このように木材の利用推進を図っていかなくてはいけない。  それから、さらにこれからどんな努力をするかといいますと、まず第一に、林野庁としても、営林局等を通じまして公共施設の建設計画の調査を行いました。平成八年度−九年度でどのぐらいあるかということを全国的に調べましたら、八百六十九件の建設計画があるということがわかりました。現在、この公共建物の建設計画に対しまして都道府県それから関係団体等に通達いたしまして、林業関係者が一体となって、公共施設の建設計画の継続的な情報収集をさらに図りなさい、それから計画段階における木材利用の働きかけを行いましょう、それから提供可能な木材製品の展示あるいは提示によりまして使っていただきましょうというふうなことをやっているわけでございます。  今申しましたように、内装材という新しいマーケットの開発、さらに、公共住宅あるいは公共施設に対しまして国産材を使ってもらうということで、需要拡大に真剣に取り組んでまいりたいと考えております。
  86. 永井哲男

    永井(哲)委員 私の地元も林業の地帯でありまして、需要の拡大、そういったものがなかなか図れないということで悩んでおります。幾ら低利のそういう制度を措置したとしても、そういうもので果たして返していけるのかどうかということで、投資にちゅうちょするといったような状況であります。  今言ったように、新しいマーケットもできつつある。また、科学的にいろいろと木材のよさというもの、構造的な強さというものも立証し、規制の緩和、そういったものも十分に図っていく必要があるのではないか、そんなふうに思います。その点、そういった努力をこれからもして、いろいろなところに木材が使われる、そういう体制整備していただきたいというふうに要望をしておきます。  次に、国有林野の事業の関係についてお聞きをいたします。  国有林事業というのは、平成三年に改正した国有林事業改善特別措置法に基づいて、平成十二年までの改善計画を策定してきたところであります。昨年度で前半が終わり、今年度から後半に入るというところであります。限界にまで達している組織、要員の削減という自助努力合理化にもかかわらず、財務状況は引き続き厳しいという状況にあります。平成三年の計画では、民有林並みの助成ということで一般会計からの支援措置を講じてきたところであります。今回のこの林野三法において、これまでの助成措置、民有林に対するあり方というものも根本的に見直し、さまざまな手厚い措置を図ってきたところであります。  そういう点から、民有林並みというこれらの考えをこの林野三法の改正を機に、国有林事業においても厳しい経営環境でありまして、自己で努力をしろと言っても非常に厳しいというのが、この林野三法をつくらなければいけなかったという事実自体が証明しているのではないか、こういうふうに思います。その点、この支援措置の拡充というものをどのようにして図っていくつもりかという点と、また、特に国有林というものを考えた場合に、民有林以上に水源の涵養、国土の保全、こういった公益機能を果たしているというふうに思いますので、森林整備というものに公共投資というものをもっともっと図るべきではないか、造林等のそういうようなことを配慮した公共投資、そういうものによって未来にしっかりと緑を残すということが何よりも重大だというふうに思いますが、その点、どのようにお考えでしょうか。
  87. 入澤肇

    入澤政府委員 国有林の経営の安定あるいは経営改善のために一般会計から財政措置をいただく ということは、もう本当に必要不可欠でございまして、喫緊の課題であります。  従来から、今先生御指摘のとおりに、民有林助成との均衡に留意いたしまして、造林、林道整備等に一般会計からお金をいただいておりますし、それから保安林等の保全管理、これにつきましても一般会計から繰り入れを行っております。また、治山事業につきましては、これは全額一般会計で負担するというふうなことをやってきたわけでございます。  これだけではもちろん十分でございません。そこで、平成八年度予算案におきましては、従来の一般会計負担に加えまして、新たに造林の借入金の利子への一般会計からの繰り入れ、あるいは償還期が来て現金がないものですから借りかえなくてはいけない、その場合の借りかえ借入金に関する利子につきまして一定の制約があったのですけれども、その繰り入れ対象を拡大する。さらに、一般会計で本当は負担すべき部分がかなりあるじゃないか、特に世界自然遺産の保全対策等につきましては一般会計からの負担でやるべきだという声がございました。これらを受けまして、世界自然遺産の保全緊急対策等につきましても一般会計からお金をいただいております。このようなことで、総額五百二十九億に上る一般会計の繰り入れを行ったところでございます。  今御指摘のとおり、公共事業につきましては、特に国有林にもっと配慮すべきじゃないかという御意見ございました。昨年の平成七年度予算の第二次補正におきましては、公益的な機能の発揮に向けた森林管理を一層促進したいという観点から、国有保安林緊急整備という名目のもとに百三十億円をいただきまして、国有林全体としては一般会計の部分では一年九カ月分という、従来にない破格の予算規模をもちまして国有林の経営を行っているわけでございます。  これからも当初予算と補正予算を組み合わせながら、可能な限り公共投資の充実に向けて努力していきたいと考えております。
  88. 永井哲男

    永井(哲)委員 今回の林野三法においては、無利子の資金をつくる、さまざまな改善をしているところであります。それは、それだけ本当に厳しい状況でありまして、そういった林業の厳しさというのは国有林も本当に変わるところはないわけであります。与党においてもプロジェクトチームがつくられ、さまざまな改善を図っているという努力は十分に認めることができるのでありますが、ぜひ、この林野三法の改正を契機に国民理解を求める、そして将来にしっかりとしたそういう緑の資産を残す、その公益的な機能の中心となるのが国有林野であるという観点からのさまざまな改善というものに積極的に取り組んでいただくことを改めて要望しておきたいと思います。  最後に、我が国の国土が七割が森林であるというような点、木材生産のみならず国土の保全、水資源の涵養等、そういったさまざまな公益的な機、能を発揮している。地球環境問題というものが注目される中で、森林の果たす役割というものに国民の期待が非常に高まっているところであります。  我が国の森林資源は、一千万ヘクタールを超えるという人工林を中心に毎年七千万立方の蓄積が増加をし、二十一世紀に向けて充実しつつあるものの、人工林の七割は三十五年生以下の若齢林であり、その保育、間伐をこれからも適切に実施していくことが必要となってきているわけであります。  こういう点で、今後とも森林整備を進めていくことが重要な課題でありますが、これらの森林整備現状というものとこれからの施策の展開方向というものについてお聞きいたします。
  89. 小平忠正

    ○小平政府委員 今永井委員お話がありましたように、我が国の森林はまさしく、狭隘そして急峻な国土において、木材生産のみならず国土保全、水資源涵養環境保全等、国民生活にとって重要な役割を果たしていることは、今お話があったとおりでございます。  このため、森林整備を重要課題として位置づけ、一つは、森林にかかわる投資計画である治山事業五カ年計画及び森林整備事業計画、これらに基づく治山、林道、造林各事業の計画的かつ着実な実施による安全で潤いのある国土基盤の形成と多様で質の高い森林整備が必要であります。  さらには、機械化の推進や流通・加工段階における規模拡大等、流域林業活性化のための条件整備に現在努めているところであります。  今後とも国民理解を得ながら森林整備に積極的に取り組んでまいりたい、かように存じております。
  90. 永井哲男

    永井(哲)委員 時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。
  91. 松前仰

    松前委員長 井出正一君。
  92. 井出正一

    ○井出委員 新党さきがけの井出正一でありますが、私の質問時間はたったの十五分であります。前口上は省略いたしまして、質問に移らせていただきます。  間もなく閣議に提出されるとお聞きしておりますが、平成七年度の林業白書、私も実は先日概要をお聞きはしておりますが、きょうはせっかくこの委員会で林野三法が審議されておりますので、閣議提出前でありますが、この白書で最も訴えようとしている点を明らかにしていただけたらと思います。
  93. 入澤肇

    入澤政府委員 平成七年度の林業白書につきましては、近く閣議決定の上国会に報告すべく現在作業を行っております。  その作成方針でございますが、たまたま林業三法を一生懸命検討している中で、今回の白書の中心テーマ、何にしようかということでいろいろと検討いたしました。  そこで、三法案の背景でもあります、木材需要量が停滞していますが、その理由は一体何なのか。  それから、外材供給シェアが増大しているけれども、その理由なり背景はどうなのか。  それから、戦後造林された人工林の資源が成熟期を迎えているという状況のもとで、我々、前から国産材時代が到来するということを白書でも言いましたし、いろいろなところで言っていますが、それは一体現実可能なのかどうかということをつぶさに検証しなくてはいけないということを前提といたしまして、内装材とか公共施設等の分野におきまして、木材の特徴を生かして、非本質系の資材、新建材に対抗した新しい木材需要の創出の方法は何か。  それから、森林の流域管理システムのもとでの林業経営基盤の強化あるいは林業労働力確保林業事業体の育成、木材安定供給体制の確立について、その背景とそれから方法はどうしたらいいのかということなどに主眼を置きまして全国各地のいろいろな事例を分析いたしまして、この三法案の施行の応援というふうな気持ち施策展開の基礎的な裏づけを白書の中で記述をしようとしております。
  94. 井出正一

    ○井出委員 できるだけ大勢の人に読んでいだたけるよう努力をしていただきたいと思います。  林業、御案内のような大変厳しい状況にあるわけですが、私どもも、林業関係者に対して、いずれ国産材時代が来るからそれまでがんばろうや、こんな激励をしておるわけでございますが、その国産材時代、本当に到来するのでしょうか。するとしたら、いつごろ、どんな内外状況のもとでなのでしょうか。そしてまた、実際到来させなくちゃならぬと思います。この三法案もそのための一環だというふうには理解しておるわけでございますが、その国産材時代到来のための対策についてお聞きをしたいと思います。
  95. 小平忠正

    ○小平政府委員 私からお答えします。  今井出先生お話しのどおり、我が国は、戦後造林の結果、国内の人工林資源は着実に成熟の方向に向かっている、毎年七千万立方メートル蓄積量も増加している、そういう中で、近い将来国産材時代の到来、これが予想されている、こう申しておりますが、私どももそうありたいと心から願っているところであります。  そういうところで、国産材時代を迎える上での基本的条件を整備するため、ただいま審議をお願 いしている林野三法案によって、一つは、複合経営林業経営規模の拡大などの促進を通じた安定的な林業所得の確保を図ることによる林業経営改善。  二つ目には、林業事業体の雇用管理の改善事業合理化等による他産業並みの労働条件の整備を通じた林業への就業の促進。  また三つ目には、木材の安定的な取引関係の確立、木材製造業等の事業規模の拡大の促進、外材と競争し得る条件の整備を通じた国産材のマーケットの確保等を図るための措置を講じ、これらによって、産業として自立し得る林業木材産業の確立を図ってまいりたい、かように考えております。
  96. 井出正一

    ○井出委員 それじゃ、ちょっと特殊なテーマですが、不在村森林所有者に関して、その現状とその施業推進の対策についてお伺いをしたいと思います。  不在村森林所有者の所有している面積につきましては、先ほどの御答弁にも、民有林の二二%ですか、約三百万ヘクタールという御説明はいただきましたが、その所有者、林家というのですか、その戸数がおわかりだったら教えていただきたいということ。  それから、森林組合加入率も五割を割っておるということはいただいた資料からわかっております。ただ、そういう方々の持っている森林整備状況というのは一体どんな状況なのか、森林施業の受委託状況等をお聞きしたいと思います。  あわせて、いわゆる放置された森林というのは、国土保全上大変問題だと思います。なるほど私有財産かもしれませんが、いわゆる普通の、他の一般的な私有財産とは違うわけですから、やはり国土保全等の責任をきちっと担っていただかなくちゃならぬ、それを放棄するようなことであっては困るわけで、そういった意味で、整備の法的義務づけと言ってはちょっと強過ぎるかもしれませんが、施業の受委託をより進めるといった方面からの対策をお聞かせいただけたらと思います。
  97. 入澤肇

    入澤政府委員 不在村の森林所有者の状況は、私が五年前に林政部長をやったときにはまだ二百万ヘクタールを切っておったと思うのですけれども平成二年度の数字で見てみますと三百万ヘクタールになっている。これは、公有林を除く民有林で二二%でございます。  私ども林野庁で、市町村長さんのお話を聞く機会がございました。不在村の山林地主の山が手入れをしないために木がうっ閉してしまって、そこに大雨が降りまして、そして根こそぎ木が倒れて下流の集落を押し流したという報告がございました。私は、それは大変なことだと思いまして、前回の森林法の改正におきましては、災害のおそれのある森林につきましては、不在村の山林地主の山であろうと造林公社とか森林組合が代行施業すべきだ、そういう手続を法律の中に書き込んで提案したのでございます。久しぶりに林野庁長官になって帰ってさましたら、一件も発動されてなかった。手続が私有財産権の侵害につながるおそれがあるということで、かなり法制局から厳しく言われましたので、うまくいってなかったわけであります。  これではいけないということで、今回はこのような山を、経済ベースで、意欲のある専業的な林家あるいは造林公社あるいは森林組合、こういうところに代行して施業してもらおうじゃないか、積極的に施業の受委託を進めていこうじゃないかということで法律制度考えたわけでございます。  当然のことながら、このようなことをやる場合には、一定の財政資金あるいは金融政策等が投入されなくてはいけないということでございまして、まず、不在村者の森林取得につきましては、林地取得資金の償還期限を延長する、従来は二十五年だったのを三十五年にし、しかも据置期間二十五年だというふうな特別な対策を講ずることにしたわけでございます。  さらに、森林施業の受託を行った場合には、当然のことながら機械を新しく買ったりなんかしますので、固定資産の割り増し償却を五年間にわたって一五%やる、こういうことも税制上の要求として認めていただいております。  あわせまして、森林組合とか造林公社等が管理受託を行うという場合に、無利子の資金を提供しまして、施業受委託導入条件整備資金というものを創設するということにしたわけでございます。  それから、施業の受託を行う森林組合等に対しましては、これに必要な資金の利子助成を行うために、森林整備受委託等促進事業という新しい事業も創設して、予算措置を講じているわけでございます。  このような措置のほかに、引き続き、森林施業計画の認定の促進とか、あるいは市町村森林整備計画の適切な運用によりまして、不在村者の所有する森林整備に努めてまいりたいというふうに考えているわけであります。
  98. 井出正一

    ○井出委員 そんな中で、森林組合の役割というのが大変重要だと思うのであります。  しかしながら、森林組合につきましても、現在広域合併が進められているところでありますが、必ずしも順調に進んでいるとは思えないのであります。現状、どんな状況か。現在、平成五年の森林組合の合併の数字はわかっておりますが、一番新しい、あるいは平成六年度の数字があったら教えていただきたいということと、平成八年度末までの目標が千というふうに聞いておりますが、この達成の見通しはどうだということ。  あわせて、この合併助成法が八年度末で多分期限が切れると思いますが、今の状況からいくと延長の必要があるように思うのですが、そんな点についてもお聞かせいただけたらと思います。
  99. 入澤肇

    入澤政府委員 平成六年度末の数字で申しますと、森林組合の全体の数は千五百四でございます。これが八年度末には、今一生懸命運動を展開しておりますので、千三百程度になるんじゃないかというふうに見ております。  ただ、これにつきましても、うまくいっているところと、それから建物はあるんだけれども具体的には事業をやってないというふうな組合もありまして、なかなかうまく進んでおりません。  そこで、我々といたしましてはいろいろな手段を講じているわけでございますけれども組織経営基盤の充実を図るために森林組合の広域合併を促進するということで特別な予算をとっておりますし、先ほど申しました不在村者の所有森林等の施業を受託して森林組合の事業をふやそうということでも予算をとっておりますし、さらに機械化をどんどん促進して作業班員の労働負担を軽減するとか、あるいは新規参入者が入りやすい条件をつくるとかいうことで、高性能林業機械の開発をやるとか、あるいは木を切って売り出すだけでは十分な所得が得られない、付加価値を森林組合の方に取り戻すべきじゃないかということで、木材加工の新技術開発推進事業等々をやりまして、いろいろな角度で森林組合の応援をやっているわけでございます。  特にその中でも、作業班の育成のためには、労働環境整備による就労条件を改善するための予算なんかも特別にとりましたし、それから新規参入者の研修によりまして優秀な林業労働者確保したいということで、そのための特別措置も講じているわけでございます。  いずれにいたしましても、非常に難しい問題ではございますけれども森林組合の育成強化を全力を挙げてやっていきたいというふうに考えております。
  100. 井出正一

    ○井出委員 合併助成法の延長問題はまだ御検討中ですか。
  101. 入澤肇

    入澤政府委員 これも八年度末で一応切れますので、今、中で全信連と一緒になりまして、合併助成法の適切な運用をどうしようかということで検討は行っております。  ただ、税制上の優遇措置等を講じるだけの助成法では十分でない、何かあめ玉が欲しいという声がありまして、どんなことがあれば森林組合が合併して活動を強化できるようになるのかということで具体的な調査を今やろうとしております。  特に、優良な事例を調査する、あるいは悪い事例を調査しまして、その両方を比較しながら新しい指導指針をつくっていきたいというふうに考えております。
  102. 井出正一

    ○井出委員 それじゃ、別の問題ですが、いわゆる安定供給確保法における森林組合の果たすべき役割、これについてもちょっと教えていただきたいと思います。
  103. 入澤肇

    入澤政府委員 今度の木材安定供給確保法案というのは、国有林も非常にメリットがありますけれども、私は、大きな山林経営者の一つであります森林組合も非常に大きなメリットを受けるのじゃないかと思っています。  森林組合が材価に一喜一憂して木を切ったり切らなかったりする状況を何とか直そうと思って考え法案でございますから、川上の森林組合連合が話し合って川下の製材工場群に対して安定的に材を供給するということを決めていただければ、確実に材が売れるわけでございます。  もちろん、材が売れるようにするためには、乱高下する材価に対して安定的に供給をさせるための支援措置もなければいけません。そこで、素材の引き取り資金につきましても低利の運転資金を用意するとかいうふうなことを考えております。これが進んでいきますと、さらに将来木材の価格安定につきまして一層の工夫ができるようになるのじゃないかと思います。  その意味では、今回の安定供給法における森林組合の積極的な取り組みが心から望まれるところであります。
  104. 井出正一

    ○井出委員 時間が来ました。  私の地元のある森林経営者の方に最近言われたのですが、井出さん、親という字を分解すればどういうふうになるか知っていますか。立ち木、立木を見るとなるのですよと。林業に関係する者として味わうべき言葉かなと思ったものですから御披露をして、質問を終わります。どうもありがとうございました。
  105. 松前仰

    松前委員長 石破茂君。
  106. 石破茂

    石破委員 大変、質疑も進んでまいりまして、論点も明らかになったことかと思います。重複を避けたいと思いますし、私もこの三法案というのには基本的に全面的な賛意を表したいと思います。本当にこれがその趣旨を生かして成立をし、行われることを心から望む一人でございます。  私ども、これを重要法案として本会議で趣旨説明をお願いし、質疑をさせていただいたということでございます。これは、今政治不信だ何だかんだ言われていますが、要はみんな次の選挙のことしか考えてなくて、次の選挙でどうやれば勝てるかという話ばかりで、次の時代にどうしましょうかということを、本当に総理なりそういう方から見識を承り、見解を承りたかった。特に、山林をどうするかというのは次の時代をどうするかということに必ず直結するものであるということでそういうような扱いにしていただいたことでございました。ただ、総理からそういうような御答弁が十分いただけなかったのは、私は大変残念に思っておる一人でございます。  大臣がまだ御到着てはございませんので、長官にお尋ねをいたします。  ずっと聞いておりますと、国産材時代が来るのだということが何度も何度も出ていますね。国産材時代というのは一体どういう時代なのかということなのです。  国産材時代というのは、確かに、戦後植えた木が、今八齢級ぐらいかしら、伐期に達するということは事実としてはあるのですよね。しかしながら、これは今のままいくと、需要は全然出てこない、需要が出てこないから切らない、切らないから山はますます荒れるというような悪循環になってしまう。国産材時代というのは、実は国産材受難時代なんじゃないのかなと思います。当然のごとく、所与のごとく、さあ国産材時代が来るのだという言葉を使うのは私は大変危険なことだと思っているし、私も余り使わないようにしております。国産材時代というものをどのようにとらえておられるか。  そして、もう一つ承りたいのは、どなたかの御質問にもございましたが、これは新林政なんだということを言われていますね。長官が構造改善局長時代に新農政というものを展開された。私も政務次官で農林水産省におりましたが、新農政というのは極めてわかりやすかった。何がわかりやすいかというと、とにかく後継者というものをつくっていくためには他産業並みの所得、他産業並みの労働時間、そして他産業並みの福祉水準、この三つが確保されなければそれは自立した産業とは言えないし、そのようなものに後継者というものはできるはずはないのだ。だから、他産業並みの所得を得、他産業並みの労働時間、それは二億五千万から三億であり、千八百時間であり、そして他産業並みの福祉条件、こういうものを具備することが新農政である。もちろんそれだけではありませんけれども、あとは自給率をこれ以上下げないとかいろいろなお話がございました。  それと新林政というものが、私は基本に流れる構想は一緒なんじゃないのかなというふうに思っている。それを山の人たちのみならず納税者の皆様方にも知らしむることが今林政にとって最も喫緊の課題じゃないかというふうに思いますが、国産材時代ということについて、そして新林政の概念について御見解を承りたいと存じます。
  107. 入澤肇

    入澤政府委員 まず、国産材時代という言葉、これは数年前の林業白書で申し上げたのですけれども、要するに、戦後営々として我々の先人たちが一千万ヘクタールに上る人工造林をやったわけでございます。今育林途上でございまして、あと五年もすれば例えば国有林でも切り出し量が一・五倍になる、十年もすると二・四倍になるというふうな状況が想定されるわけでございますが、せっかくそういう状況になってもマーケットがないのでは困ります。  そこで、我々の持っている長期見通し、これは林産物でありますと四五%から五〇%の自給率ということを想定をしておりますけれども、確実に木が切り出されて売れていくのだ、商品価値を持って消費者に使われていくのだ、そういう時代を実現するための生産、流通、加工の条件整備が必要だということをトータルとして私は国産材時代が来るということを言っているのでございます。まさに国産材時代が来るためには、その前提としての条件整備が必要だということを申し上げるために言っております。  それから新林政、これは農業で所得あるいは労働条件あるいは労働環境、こういうものにつきまして他産業並みにするのだ、そして職業として誇りを持って農山村に定住してやっていけるのだということを追求したわけでございますけれども林業においても同じでございまして、山村において、林業プラスアルファで、林業を主業としながら一定の所得を確保し、労働条件を他産業並みにして、誇りを持って林業を営々として行っていくという条件を整備するということをねらっておりまして、まさにその意味では農業と同じであります。  ただ、そこで農業とちょっと違いますのは、今までは山をつくることに一生懸命でした。所得の確保ということを考えますと、山をつくって山から切り出した材が十分に加工されて商品化されなくてはいけない。まさに林業に重点を置いていた林政から林産加工業にもウイングを広げた林政にならなくてはいけない。新林政というのは、林産加工業までウイングを広げた林政というふうに御理解いただきたいと私は思っております。
  108. 石破茂

    石破委員 随分前のことですが、岩國さんが出雲市長をやっていたころの話、出雲ドームというのをつくって、木のすばらしさというのを全国に喧伝したことがある。あのときに私はお尋ねして、これはどこの木でつくりましたかと聞いたらば、外材なんですね。国産材じゃなかった。随分ひどいじゃないかというような話をしたことがあります。  どなたか、きょう、藤田委員でしたか、輸入住宅のお話をされておられました。じゃ例えば五十坪の家を木で建てるとして、国産材で建てた場合と 輸入材で外材で建てた場合とどれぐらいお金が違うものなんでしょうか。  それで、何でそんなことをお尋ねするかというと、それは大して変わらないんじゃないのかという気もしないでもないのですよ。そこのところをひとつお尋ねをしておきたいなと思うのです。  もう一つは、今新林政のお話の中で、もちろん、おっしゃるように農業林業というのは全然違うわけですから、林業というのは何年かかるかわからない、こういう話ですし、お米というのは一年に一回つくれるものですから、同じスケールで物事を考えるわけにはいかないのだけれども、所得と労働時間の点において、大体どれぐらいの目標を描いておられますか。
  109. 入澤肇

    入澤政府委員 輸入住宅が非常に喧伝されておりまして、林政を預かる我々としては、非常にある意味では苦々しく思っているわけであります。ただ、なぜ輸入住宅を若者が志向するかといいますと、デザインだとか、あるいは窓枠のサッシとかの部品の製造技術が向こうの方がいいというふうなことが指摘されております。  そこで、本当に輸入住宅は安いんだろうか、高いんだろうかということで、一応試算してみました。五十坪の家を建てる場合に、輸入住宅としてセットで運んできて、こちらで電気工事、水道工事、ガス工事等をやってやる場合に二千二百九十万円。国内で、国産材を使うか、外材を使うかということは、なかなかこれは区別できないのですが、国内でひかれた材を使いまして同じ広さの住宅をつくる場合には二千二百六十万円でございます。  この数字の秘密といいますか、裏にあるのは、木造住宅をとらえてみても、一戸の家を建てる場合に木材に要する経費、これは大体一〇%から一五%でございまして、その他は全部、水道工事、電気工事、ガス工事、そういう住宅を構成する、六十業種ぐらいあるといいますけれども、そういうもろもろの業種に対する経費でございまして、木材だけで見ますと、コスト的には一〇%から一五%ということが、輸入住宅にしろ、あるいは国内で国産材あるいは外材を使って住宅をつくる場合にしろ、そんなに値段が変わらないということの原因じゃないかというふうに私は見ております。
  110. 石破茂

    石破委員 輸入住宅がふえるというのは、これはいいのか悪いのか。私も規制緩和委員長なんかやっていますから結構なことだと言いたいところなんだけれども、要は、今の長官のお話を聞きますと、十分競争力を持ち得るんだ、やりようによっては持ち得る、もしくは外材よりも安くやれるんだということだと思うのですよ。  要するに、今の木材需要というのは、一億立方メーターかしら、それぐらいしか需要がないわけです。それはずっと頭打ちになって全然ふえないわけですね。この需要をどうやってふやしていくかというお話をしていかないといけない。市場をどういうふうにするか、山をどのようにするかというお話と並行して、どうやって需要を上げていくかというお話をしていかなきゃいかぬ。それは建設省の話だということになるのかもしれないけれども、それは建設省だの林野庁だの、そんな話をしていても仕方がないので、どうやって需要をふやしていくかというお話をきょうは議論をしたいなというふうに思っているのです。  一点確認をしたいのは、十分対抗し得る能力を持っている、その潜在性は多分にあるという認識でよろしいですか。
  111. 入澤肇

    入澤政府委員 私は、政策のよろしきを得て、きちんとした生産基盤、流通基盤整備がなされれば、外材に対して対抗できると思います。  コスト的に見ますと、末端価格に対して大きな影響を与えるのは二つございます。  一つは切り出しコストでございます。切り出しコストは山の中の作業の度合いに応じまして正比例しておりまして、作業の度合いを円滑にするためには、林道密度、林道網の密度をきちんと整備しなくちゃいけない。例えば宮崎県の諸塚林業地域などは、ヘクタール当たり四十六メーターの林道をつくっておりますが、これはもう十分に外国の切り出しコストと対抗できます。  それから、材を切り出してきまして、製造過程で外材と対抗するようにするためにはどうしたらいいか。大体、今の状況だと、国産材をひく製材工場は年間二千立方弱、外材をひく製材工場は年間六千立方弱で、三分の一の生産性なわけでございますが、トータルとして年間一万立方とか三万立方の材をひけるようにいたしますと、スケールメリットが十分に発揮されます。そうなりますと、外材にも十分にコスト面でも対抗できるという試算があります。したがいまして、切り出しコスト、製材コスト両面から一定の政策を展開して合理化を進めていけば十分に対抗できる。  特に国産材は、杉、ヒノキ、青森ヒバ等々、フィトンチッドという大変な成分を木材の中に含んでおりますから、健康にもいいということでアドバンテージがあるというふうに思っております。問題は、そういうふうなアドバンテージを持っている国産材のマーケットの創出でございまして、一戸建ての木造住宅の建築着工件数が減っていくとすれば、それにかわるべきマーケットをつくらなくてはいけない。  そこで、先ほど申しましたように、内装材にもっと木材を使ってもらうということを進めていきたいというふうに思っているわけであります。この国会議事堂のように、壁面にあるいは天井にも木材を使ってもらう、あるいは床もじゅうたんからフローリングにかえてもらうというふうなことを、公共施設を手始めにしまして、それぞれの住宅、マンション、それから学校、病院等々において実現するべく努めていけば、私は十分に対抗できるというふうになると思います。
  112. 石破茂

    石破委員 今回の法案を見まして、この話は十年前からあった話じゃないのかと思っているのですよ。国内の林業の問題点というのは、もう十年も前から同じことが指摘されているわけでして、何で国産材がだめなのかというと、質が安定しない、量が安定しない、価格が安定しない、これが一番の問題だ。コストダウンもしなきゃいかぬ。  林業の持っている意味というのは、今のフィトンチッドという言葉も、私が初めて聞いたのはたしか十五年くらい前の話なんですが、前からずっと問題点が指摘されている。コストダウンもしなきゃいけないと言われていたことなんです。何でこれが今ごろになって出てきたのか。この十年間何していたのか。実は自分に対する責任も感じてはおりますが、これは一体どういうことなんでしょうか。  特に、それに携わる方々が、今でも丸太が製品だなんというような話をしているわけですよね。これはちょっと理解不可能な話なんだけれども、何でこのままずっと来たのでしょうか。その理由は一体何でしょうか。
  113. 入澤肇

    入澤政府委員 林野庁もそうでございますが、林業関係者挙げまして、コストの削減のためにいろいろな努力をやってまいりました。予算措置も講じてまいりました。しかし、必ずしも十分でなかった。  それは、一つは、私、担当してみて感じたのですが、戦後、山をつくることに一生懸命になって、今まさに人工造林がすくすくと育っているわけでございます。いよいよ間もなく伐期到来期が来る。そういうときになりまして初めて、つくったものを有効に活用するための林産加工ということにもっと力を入れなくちゃいけないということにみんなが意識を転換しつつあるようになったんじゃないかと思うのです。そういうことが、結果といたしまして今回私どもが提案しているような法律に、業界挙げて何とかしょうじゃないかというふうな一致した意見が取りまとめられるようになったというふうに私は理解しております。  まさに、林業時代から林産加工業の時代だということに対して意識の変革があった、それを実感として持つようになったということが前とちょっと違ってきた状況ではないかというふうに考えております。
  114. 石破茂

    石破委員 そこで、間伐をちゃんとやらなければいかぬということがありますし、それから林道網をちゃんと整備しなければ間伐も進まないとい うことなんですが、さて、予算を見ますと、ここ数年ずっと、林道予算にしても間伐予算にしてもふえない。本来間伐しなきゃいけないものの半分もできていないんじゃないのか。本当にこれで国産材時代なんか来るのですか。川上の問題だけとらえて言いますと、そういう気がして仕方がない。  そう言いますと、シーリングがありますので、こういう話なんだけれども、シーリングというのは、確かにそれはそれなりに手法としては有効だと思うけれども、実際に生きておる木というものを相手にするときに、そういうようなしゃくし定規なシーリングなんぞというお話で本当にいいのだろうかという気がするのですね。  間伐が進まない理由、林道網が整備をされない理由——林道のお話をしますと、都会の人なんかには、一日に何台かしか車が走らないようなところに林道なんかつくれるか、こんなことを言われちゃって、なかなか理解を得るのが難しいんだけれども、間伐促進、林道促進、それはかけ声だけではなくて、実際に本当に予算の面から与野党挙げて取り組んでいく必要があるだろうと思うけれども、ここが伸びない理由、そしてこれからの御見解を承りたいと存じます。
  115. 入澤肇

    入澤政府委員 御指摘のとおり、間伐をしなくてはいけない時期に来ている林分の四六%しか間伐がされていない。しかも、切り出された間伐材が山の中に放置されまして、利用されているものは四九%だという数字がございます。  これは、一つは、材価が低迷してしまって、せっかく間伐材を利用しようとしても、持ち出すだけでもうコストがかかってしまって経営採算に合わないという状況があると思いますけれども、そのような状況の背景に、もう一つは、先ほどから申しておりますように、我が国の山林の所有形態が零細である、五ヘクタール以下の林分きり持っていない、しかも兼業の農家林家が九割を占めている、それから不在村の山林地主の山がふえている、こういうふうなことが間伐が適切に進まない原因じゃないかというふうに私は考えております。  そこで、今回は意欲のある林家とか森林組合等の力をおかりして、そういうふうな山の整備を進めていきたいというふうに考えているわけでございます。  間伐につきましては、私は、予算をふやしたから進むという単純な話ではないと思います。間伐材を利用するマーケットをきちんとつくっていかなければいけないと思いますし、それからまた、間伐を促進するための体制というものをつくることが先決であるというふうに思っております。  それから、林道につきましても、大変な努力をして予算を獲得してまいりました。ただ、ここ十年どういう伸び率だったかというと、大変なことなんですけれども、そんなに胸を張って言えるような話でもないのですが、前回の森林法の改正のときに、公共事業の中で閣議決定に基づく長期計画を持たない主要な公共事業は林道と造林だったわけであります。そこで、思い切って、あのとき四百三十兆の公共事業投資計画というものが出てまいりましたので、この際きちんとした指定席をつくっておかなければいけないということで森林法を改正していただきまして、森林整備事業計画というものを閣議決定に基づく計画として、五カ年計画を森林法の中に入れていただいたわけでございます。  おかげさまで三兆九千億の資金枠、事業枠が定められまして、これに基づきまして今林道網の整備がなされているわけでございますが、これは、平成八年度で第一次の計画が終了いたします。来年度におきまして、さらにこれを強化して林道網の整備を進めるべく、今庁内で検討会を始めているところでございます。
  116. 石破茂

    石破委員 そこで、今、間伐のお話がありましたが、間伐材の利用というのは全然ふえていないですね。かけ声は物すごいんですよ。これまた十年前から随分いろいろな話を聞いてきた。これにも使える、あれにも使える、こんなにすばらしいものがあるというのを、私も床いっぱいぐらいに並べて見せてもらったことがある。あるときは、間伐材も大きな電子レンジに入れてぎゅっと圧縮すると高密度で付加価値が高まるよなんというような話も聞きましたが、残念だけれども需要は全く伸びていない、むしろ減っているのではないのかという気がするんですね。このことをどうなさるのだろうか。  もう一つは、国産材を使った方が明らかに得だと。今の長官のお話を承りましても、コストの面においても結構対抗できるよという話なんですが、コストだけじゃないでしょうね。やはり、できれば国産材で家を建てたいと思っている人は多いだろうと思います。それは当たり前の話なんで、阪神大震災で木造の家がぶつ壊れたとかいろいろなことを言いますが、それじゃ何で法隆寺の五重の塔はあんなにもっているんだという話になってしまうだろうと思うんですね。やはり、日本の場合には日本の木で家を建てるのが一番いいに決まっている。北側には北側の斜面で植えた木を、南側には南側の斜面で植えた木を、それが一番いいに決まっておるわけなんですが、さて私が、ある日あるとき国産材で家を建てたいと思えば、どうしたらいいのだろうかということなんです。  それは、住宅金融公庫に行くと、林野庁からいただきましたが、こういうようなパンフレットで、確かに国産材で建てたときにはこんなにメリットがあるよということは書いてあるわけですが、これが大々的にPRされたという話を一度も聞いたことがない。よほどの人が思いついて、住宅金融公庫にどうしましょうかと。これは商売としては逆のお話だと思うんですよね。ユーザーの側がどうしたらいいでしょうかと聞きに行って、実はこんなものがあるんだよと教えてもらうのは、これは商売としては逆さまのお話なんですよね。  私はとても不思議に思っているわけですが、ここへ行っても、こんな制度があります、そこまででしょうね。大工さんを紹介してくれるとか工務店を紹介してくれる、多分そんなことはしてくれないでしょうね。そこまでやらなければだめなんじゃないかと思うけれども、いやいや、そうすると、工務店の側にもいろいろ都合があって、品質がばらばら、値段がばらばら、何とかかんとか、こんな話になって、悪循環、鶏と卵みたいな話になってしまうわけですが、そこの点がどうなんだろうか。  もう一つお尋ねをしたいのは、国産材を使った方が得だということ、今リフォームの場合にはやられているけれども、先ほど来御指摘の、じゃ、内装材を使った場合にはどうなんだろう、そういう場合にもあるんだろうか。そういう場合に、やはり税制の面、そしてまた金融の面において明らかに得だということを確立をしていかなければなかなか難しいだろう。しかしながら、これはラウンドの問題もあります、どこまでやっていいか。どこまで国でやり、どこまで地方公共団体でやるか、そういうような問題もございますが、そういうようなことにつきましての御見解を承りたいと存じます。
  117. 入澤肇

    入澤政府委員 やはり材木を売る場合も、他の商品を売る場合と同じように、相当な商業行為といいますか努力をしなければいかぬわけであります。行政は行政として役割分担を果たしますし、それから業界にもやってもらわなければいかぬと思っています。  行政としてまず何をやるべきかと考えまして、この間私ども、「木と健康」という約二十五分物のビデオをつくりました。これは、全国で今三千本ぐらい普及して、見ていただいていますけれども、内装、居住空間を木材で覆うとどういうメリットがあるかということを、例えばアトピー性皮膚炎にいいとか、あるいは病院の内装を木材にすると院内感染を防ぐことができるようになるとか、あるいは養護老人ホームとか幼稚園、保育園の内装を木材にすると精神の安定につながるとか、いろいろな研究者とかお医者さんたちの治験がございますから、それを集めましてビデオ化いたしました。これを今見てもらいまして消費者ニーズを喚起したいと思っているわけであります。これが一つ。  それでは、そういうニーズを喚起して、刺激を受けた消費者が木材にしたいといったときに、どこへ行ったらいいかわからないというのでは困りますので、全国五十八カ所に木材利用相談センターというのを設けました。そこへ行きますと、どういう樹種の材をどのくらいの予算だったらどのくらいまで使える、さらに、大工、工務店はここに行けば十分に親切に相談してくれるよ、話に乗ってくれるよというふうなことまで、丁寧な相談ができるような相談センターをつくりました。このマニュアルを今急いでつくっておりますけれども、そのようなことを前提といたしまして、今度は、材を安定的に供給する、そしてコストを安くして売れるような仕組みを考えていくということで取り組んでいるわけでございます。  こんな初歩的な取り組みでございますけれども、こういうことを通じながら少しでもマーケットを広げる努力をやっていきたいというふうに考えているわけでございます。
  118. 石破茂

    石破委員 長官、金融のことについて、ローンのことについて承りたい。
  119. 入澤肇

    入澤政府委員 間伐材の利用開発につきましては、まず林業改善資金助成法等で無利子資金が提供されるようになっていますし、それから構造改善事業におきまして、間伐材を使っていろいろな商品を開発する場合に一定の補助金が出ることになっていますし、農林公庫におきましても、施設整備等について補助金が出ることになっています。  それから、木材を内装に使う、間伐材を含めて内装に使うという場合には、住宅の場合に、リフォームには十分な住宅金融公庫からの特別枠が借りられることになっています。問題なのは、建築当初において、まだ家具を運び込む前に、オプションとして内装を木材にするというふうな場合にも住宅金融公庫の特別枠が設けられないかということを再三再四建設省にも要求しているのですが、なかなか実現いたしません。  しかし、それまでの段階はかなりの制度が整っているということを申し上げたいと思います。
  120. 石破茂

    石破委員 何でそれが実現できないか、建設省でお答えになれる方がいらっしゃったら答えていただきたいなと思っております。  もう一つ、きょう私が、何で差しかえまでお願いしてここへ立ったかといいますと、どなたかも御指摘になりましたが、三月十七日に、国有林野と財投の関係をここまでぶったたくものがあるかと思うような社説が某新聞に載りました。私は、本当に目が覚めてしまいまして、ここまで書かれるかというふうに思ったんですね。これに対して私は、いつ反論のペーパーが議員のところへ配られてくるかと思って待っていたんですが、全然配られることもなかった。  私、以前政務次官をしておりましたときに、ソマリアに米が出せないのは食管法があるからだ、そういうことをやはり同じ新聞に書かれたことがありました。子供がソマリアに米を送りたいというので、コップ一杯の米を送ろうという運動があって、これにいっぱい米を入れてそれをソマリアのかわいそうな子供たちに送りたいと言ったらば、食糧庁がだめだと言った、鬼のような役所だ、そういうふうに書かれていたので、それは幾ら何でもひどい、そんなこと食管法と何の関係もないということで、その新聞社に抗議を申し込み、同じだけのスペースをとって反論をさせていただいたことがありますが、あれしか読まない人は、これを本当かと思っているわけですよ。わかっている人だけわかっていても仕方がないのです。  これを読むと、衝撃的といいますか刺激的なといいますか、「国有林も経営はどんぶり勘定で、会計も大福帳」「近代会計さえないのが実情」、財投からの融資では難しい条件は全然つかない、そんなことだったらどんなにいいかと思いますがね。財投を運営するのは大蔵省だが、その経営には何の注文もない国有林の赤字は累積で三兆一千億、最終的には財政から補てんされる、六年度は七百二十八億だと。  これを読んで、知らない人は本当だろうな、ひどいなというふうに思うのです。これは国有林野に名をかりた財投たたきなのだろうというふうに思っていますが、これについて、私自身は反論は存じておるつもりでございますけれども、いい機会ですから、公の場でそれは違うということを御指摘をいただきたい。そしてまた、林野庁の方も、先ほどのPRの話もそうですが、やはりきちんきちんと有効に、そうではないんだということを言っていかなければ、ぬれぎぬを着せられてしまってなかなか理解が得にくいというふうに私は思うのですが、いかがでしょう。
  121. 入澤肇

    入澤政府委員 それでは、この場を通じまして若干反論させていただきますけれども、あの記事が出まして、直ちにその新聞社に対しては事実を説明いたしました。我々の抗議の記事を載せてくれるようにというふうに言っているのですけれども、なかなからちが明きません。あしたは論説委員の懇談会を私が主宰してやりますので、その場でたっぷり私が油を搾ってやりたいと思っております。  まず、記事の内容でございますけれども、「国有林はわが国の森林面積の約四割を占める」と言っていますが、これは三割の間違いでございます。それから、「保存林を除くとほとんど丸裸」であると言っていますが、これは全く事実無根でございまして、人工林のうち若齢林が、二十から三十年の若齢林が多いというのは、まさに戦後の高度経済成長期おきまして国民の旺盛な住宅建設需要にこたえるために積極的に木材供給を行った結果でございまして、まだ今は十分に成長していませんけれども、これから伐期が来るのだという、その山の若い状況を十分に説明したいと思っております。  それから、高く売れる木はほとんど切り尽くして人件費ばかり捻出したなんて言っていますけれども、そうではありませんでして、森林整備の仕方につきましても、伐採跡地につきまして十分に植林しておりますし、また四つの機能分類をいたしまして、全部切るのではなくて、ここは森林空間、国土保全林として残すべきだというところはそのようにして施業の仕方も変えているわけでございます。  「財投からの融資には難しい条件が付かない。」と言いますが、とんでもありませんでして、財投の借り入れにつきましては、造林、林道等の林業基盤整備のための経費と、それから改善期間中における要員調整を円滑に進めるための退職手当の借入金、それから財政調整措置としての借りかえ借入金に限定されているところでございます。今回も、一般会計から造林利子の借入金に対する利子補給、それから借りかえ借入金に対する利子補給の幅を拡大するとかいうことが認められましたけれども、もしそのほかのことに一般会計からの導入を拡大しようとすれば、それは法律改正が必要になるわけでございまして、まさに相当な条件があるわけでございます。  それから、「国有林も経営はどんぶり勘定で、会計も大福帳的に」やっているなんて言っていますが、これもとんでもないことでございまして、国有林事業はきちんと一般会計と区別して企業特別会計として企業会計原則が適用されて実行しているわけでございます。  そのほか、国有林の要員規模等々につきましてもいろいろな改善努力をやっているということを私どもは主張していきたいというふうに思っておるわけでございます。
  122. 石破茂

    石破委員 これは、大臣がどなり込むという話もなかなか難しかろうかと思います。政務次官がいらっしゃいますが、そういうことについては理解を得るように、政務次官にもぜひ積極果敢に御努力、御奮闘をお願いいたしたいというふうに思っておるところでございます。  それで、国有林野会計をどうするかという話ですが、何をもって健全性が確保されたと考えるかということなのですね。この計画というのは、本当にできるかできないかわからないというような御答弁があります、やってみなければわからない。この三法がきちんと動いて、そして本当に国産材 というものが競争力を持ち、需要が拡大する、そういうことが条件として必要だろうとは思っておりますが、国有林野の健全性が確保されるというのはどういう状態をもってして健全性が確保されるということなのか。  もともと国有林野のいろいろな機能を考えますと、それはもう単に商売ベースのお話ではないだろうというふうには思っているのですが、どういう点を称して健全性が確保されたというふうに評価すべきか、そのめどは大体いつであるか、そのめどがどういう根拠によってめどとなっておるのか、お尋ねいたしたいと存じます。
  123. 入澤肇

    入澤政府委員 国有林事業の健全性がどういうようになったら確保できるかということについては、なかなか難しい質問ではございますけれども森林の維持管理に必要な資金が十分に確保されて、そして適切に、過不足なく資金が入って維持管理ができるという状況が望ましいと思います。  木材林産物の販売代金だけでは十分ではなくて、一般会計あるいは財投から相当借金をしながら続けていくという状況は必ずしも健全とはいえない。まあ少々の借金があるのは、これはどの企業でも同じでありますから、返せるめどのある借金をしながら現金を確保していくという政策は、私は間違っていないと思います。  ただ、今の問題は、三兆二千億になんなんとする累積債務がたまってしまった、これが非常に問題でございまして、そのために前回の国有林事業特別会計の改正で経常事業と累積債務を区分したわけでございます。  経常事業につきましては、私は、平成十二年度に借入金がゼロになるかどうかは別としまして、借入金の金額は逐年減っていますし、まあほどほどの、そこそこの経営がなされているのではないかと思いますが、累積債務の方の借金が、金利の増嵩あるいは十分な収入の確保ができないためにふえていると。ここは、ことしも大蔵省からいろいろな一般会計からのお金をいただきましたけれども、特別会計のよさを堅持しながら一般会計から一定の資金を入れていただくということで改善努力をやっていきたいし、さらに、経常事業の方で林産物の販売収入が十分に確保できればそれを回して解消していきたいと思っているわけであります。  現在の目標は、経常事業平成十二年度に借金をゼロにする、トータルとして国有林事業特別会計としては平成二十二年に借入金をゼロにするのだというふうな目標で進んでいるのですけれども、それへ向けて最大の努力をしていきたいというふうに思っているわけでございます。
  124. 石破茂

    石破委員 それでは、別の質問に移りたいと思いますが、とにかく今やらなければいけないことは景気を回復させなければいけないということですね、これは与野党とも一緒の認識です。それはもう、住専の問題が解決すれば景気が回復するなんというそんな簡単な話ではないわけで、景気の回復というのは今まで、公共事業をやるとか公定歩合を下げるとか減税をするとかいろいろなことをやってきましたが、どうもどれもこれも効果がなさそうだ。それはもう一度うも構造的にそういうふうなときになってしまったのでしょう。これ以上国債を出しますと本当に価格が暴落するということが起こりますから、これ以上国債を出せるような状況だとは思いませんし、公共事業がそんなに拡大するということは次の時代に物すごく大きなツケを残すことになるのではないかというふうに思うのです。減税をしてみたところで、それは貯蓄に回ってしまってなかなか投資には回らない、公定歩合はこれ以上下がらないということだろうと思うのですよ。  そうしますと、これから先本当に景気を回復させるかぎというのは、やはり私は住宅産業ということにならざるを得ないだろう、ほかにもいろいろありますが、一番ベースになるのは住宅なのだろうというふうに思っているのです。ありとあらゆる政策がそこへ収れんをしていくということが、私は、観点としてなければならない。  もう一つは、私いつも申し上げるのですけれども、一番我々が視野に入れて考えなければいけないのは、二〇二五年という年だろうと思っているのです。二〇二五年というのはどういう年かと言えば、地球の人口が最大になる年であり、くしくもその年は日本の高齢化比率が最大になる年だと言われています。私もそのときは六十九歳になっていますから、三十年も先の話ですが、そういうような世代になってしまうわけですけれども、それを避けるがためには、いろいろな手がありますが、どうしても子供の数をふやしていくということを考えなければいかぬ。  私、昔厚生委員会におりましたときに、子供の数というのは一体何に関係があるのだということを厚生省にお調べをいただいたことがあります。では、共稼ぎが多いから子供の数が少ないのかというとそうでもないのです。我々鳥取県なんというのは、婦人就業率が全国で一位とか二位とかそういうところですが、出生率は全国で第四位みたいな話です。では所得なのかというと、所得が一番高いのは当然東京都、一番低いのは残念ながら沖縄県です。だけれども、子供の数が一番多いのは実は沖縄県である、東京はそんなに高くないということがある。所得というのもどうも関係がなさそうだねということになると、では何が関係あるのかということでいろいろなものを調べてみたら、やはり住宅なんですね。住宅の広さというものが子供の数と一番の相関関係を持っているということを、七、八年前でしょうか、教えていただいたことがある。  そうしますと、景気の回復ということ、そしてまたこれから高齢化対応ということ、いろいろなことを考え合わせてみまして、これから先住宅というものを考えていかなければならぬだろう。  住宅産業というものを考えましたときに、何でこれを森林三法の話と絡めて言っているかというと、とにかく家が建たなきゃ木材なんか出ないのです。どうやって家を建てるか。そして、もう確かに内装とかいろいろな話はありますが、これは基本的にやはり一戸建ての住宅というものをたくさん供給していかねばならぬであろう。  そして、阪神大震災のときに問題になったのは、何かあったときに、関係の衝にある者が鎌倉に住んでいるとか船橋に住んでいるとか、そういう話で全然近場にいない。やはり近いところにちゃんとした一戸建ての住宅を、宅地を供給しながらやっていくということがどうしても必要なことなんだろうというふうに思っておるところでございます。  さて、今規制緩和、規制緩和と言われておって、橋本内閣の最大の課題は規制緩和であるということを総理も本会議における所信表明で述べられたことでございました。そこで、この間規制緩和計画の見直しというものがあって、大変に大部なものが出てまいりました。では農林水産省の関係ではどうなんだろうかというと、いろいろな規制緩和がありますね。価格政策の問題もございますが、同時に、住宅供給について、生産緑地の問題や市街化調整区域の線引きの見直し、そういうものも行政改革委員会から出ている。そして、それはさすがに措置済みというふうにはなっていないけれども、一応措置をしたということになっている。しかしながら、それがドラスチックに展開されているかというと、どうもそうでもなさそうだ。  それをやることはいろいろな問題はあるだろうと思いますよ。しかしながら、バブルというものが起こった一つの遠因には、やはり私は土地政策というものがあるだろうと思っている。プラザ合意があって金融が緩和されて、サラリーマンの所得がふえて、では何が起こったかというと、しかし、サラリーマンの所得で買えるほど土地は安くなかったということですよね。  そうしますと、それがおうちに行かないで、預金に回っていった、株に回っていった。そのお金はどうなったかというと、不動産会社に行ったり住専に行ったり、それがすべてだというような牽強付会的な議論をするつもりは私はありませんが、やはり住宅政策というものとバブルというも のは密接な関係があったんだろうなというふうに私は思っておるわけでございます。  さて、大臣、政治家として、これから先の住宅政策というものはどうあるべきなんだろう。これは建設大臣の所管だというふうにおっしゃるかもしれないけれども、これは家を建てるということと必ず密接な関係があることなんですよ。そして、宅地がなければ家は建たない。そのときには市街化調整区域をどうするかという話が必ず出てくる。しかし、そこを見直してしまったら農協はどうなってしまうんだという話が当然出てくるでしょう。  だけれども、今回のいろいろな系統金融機関の問題を見てみますと、住専にどんと貸してしまったなんというのはやはり都会の農協なんですね。私どもの方は、残念、いや幸運なことにと言うべきでしょうな、ほとんど貸してはおりません。都市の系統のあり方というものは議論をしなければいけない。それは今は置きます。  大臣、政治家として、これから先の住宅政策、それはどういうふうにあるべきだというふうにお思いになっていらっしゃいますか。
  125. 大原一三

    大原国務大臣 大変難しい質問だと思います。  私は基本的には日本の地価というのは高過ぎると思うのです。これは平地面積二〇%のところヘアメリカの名目GNPを乗っけてしまった。アメリカは日本の二十五倍で、平地面積は六割近い。平地面積ベースでは九十分の一のところへ、それにGNPイコールを乗っけるのですから、これは地価がヒートするのは当たり前といったら当たり前であります。そういう経済構造の中に我々は仕組まれているわけですね。  住専問題がいろいろ議論ありまして、私も資料を調べてみたのでありますが、十二年周期で土地バブルが起きているのです。そういう状況の中で、今後我々は地価問題を一体どうとらえていったらいいか。サラリーマンの給与の六年分も七年分も払わなければ家が建たないというような状況、これを抜本的に直すには一体どうしたらいいかというのは、実は私には答えがないのです。委員、すばらしい答えがあったらお示しを願いたいと思うわけであります。いずれにしても、ああいうバブルは二度と起こしてはならない。もう少し基本的な土地政策をやっていくべきではないのかな。その環境の中にあって、いわゆる調整区域内の農地等をどう位置づけていくかという問題が我々に課されております。そういう意味で、都市近郊の農地についてはいわゆる優良耕作地でないものもあります。あるいはまた傾斜地で、それも調整区域だからだめだという地域もあります。  しかしながら、我々のスタンスは、基本的には優良農地はやはりどんなことがあっても確保していかなければならぬ。ただ、都市計画やその他周辺部分との調整はやはりやってあげてもいいのではないのかな、こんな感じでやっていきたいなと思っております。
  126. 石破茂

    石破委員 私は、優良農地をつぶそうとか、そんな話をしておるわけでは全然ございません。もちろん大臣御案内のとおりでございます。  話は飛ぶ——飛ぶわけでもないのですが、新食糧法案というのが動きまして、どうも話が違うじゃないかというのが多いのですよ。  確かに私もここで去年質疑もした。新食糧法案というのを円滑に動かしていくためには、それはつらいだろうけれども、減反というものをかけていかなければ新食糧法案は動かないということは十分わかった上で申し上げておるわけですが、自由につくれると思ったらそれはだめよということだった。それは強制するわけじゃない、あなた方が損するんだからということだけれども、村がいろいろなものを使って、そういうものは結局は、心理的には強制された格好になっておるということは事実だろうと思っております。  では共補償がうまくいっているかというと、何でそんなもの出さなければいけないのと言う人がいると、これまたなかなかうまくいかない。これもまた現実であります。こんなところを理解を得るように私どもも一生懸命やっていかなければいけないと思います。  大臣のところでも恐らくそうだろうと思いますけれども、私どものところでも、中山間地なんかへ行きますと、もっとつくらせてくれよと。都市近郊で農地で持っているのではなくて、市街化調整区域なんかでそれは宅地で売ってくれたっていい。そしてまた、その分で食糧危機が来るとかなんとか言っているが、八十何万ヘクタールも減反しているわけですから、そうであれば、もっとそういうところでお米をつくっていくということがあっても日本トータルの食糧安全保障としては影響ないじゃないか。それについては反論するのはなかなか難しいだろうと思っている。  土地がヒートしていくのは当たり前だという概念は、私は大臣と見解を少し異にしているのであります。やはり市街化調整区域というものを、本当にそこは市街化調整区域としてやっていかねばならないのか、それとも、もっと国全体の計画を考えたときに見直す必要があるのではないか、そういう要望が全国知事会からも出ているはずなんですが、農林水産省からは確たるお答えがないはずなんです。なぜそれができないか。優良農地を守らなければいけない、それだけでは説得力が足りないと私は思っている。  生産緑地のお話にしましても、それは三十年間いじれないということになっているわけだけれども、ビニールハウスを建てたって生産緑地なんですよ。それが何が緑か。そしてまた田んぼにしたって、一年のうち緑なのはほんのわずかの期間ですよ、何が緑地かということであって。それでは避難場所をつくらなければいけない。避難場所のために農地を使われてはたまらないので、それはまた別の政策だろうと私は思っている。どうも取ってつけたようなお話が多い。  私が建設省に来ていただいているのは、どれぐらいこれから住宅を建てようとしておられるのか、その積算根拠は何であるか。例えばワンルームですか、それでも一戸といえば一戸ですよね。大変な大邸宅でも一戸といえば一戸なんだ。どれぐらいを建てようとしておられるのか。そしてまた、それはどのような宅地を念頭に置いておられるものであるか、そういうこともあわせてお尋ねをしたいと思います。
  127. 矢野進一

    ○矢野説明員 住宅政策課でございます。  ただいまの御指摘でございますけれども、私どもでつい先日閣議決定させていただきました第七期の住宅建設計画というのが当面の住宅の戸数につきましての見通しでございまして、この計算の結果といたしまして、現在七百三十万戸の住宅を今後五年間で新築する、こういう見通しになっております。  その計算の前提といたしましては、私どもがやっておりますのは、いわゆる世帯の増加がどのぐらいになるのか。これは厚生省の人口の見通し等を踏まえまして私どもなりに積算をしております。それから既存住宅の建てかえがどのぐらい進むであろうか。これはいわゆる古くなりました住宅とかが主体でございますが、中には災害とかいうものも含みまして、そういう建てかえがどのぐらい行われるだろうか、これも過去のトレンドから大体推測をしております。  そのほかに、特に問題となりますような非常に狭い住宅に住んでおられる方々について、これを何とか解消するように持っていく。より広い住宅に住んでいただこう、そういうために新しい必要な住宅。それからさらには、住みかえという問題を考えますと、より広い住宅に円滑に住みかえていただくというのも必要でございますので、そういうための、いわゆる流通という観点からの適正な空き家というものも考慮に入れまして、それぞれを計算いたしまして七百三十万戸という見通しを出しているところでございます。  宅地の方につきましては、別途また御説明いたします。
  128. 加藤利男

    ○加藤説明員 宅地についての必要量というのがどのぐらいかというのにつきましてお答えさせていただきます。  ただいま住政課長からお話がありましたが、住 宅については五カ年計画というのがございまして戸数が出されておるわけでございますが、宅地につきましては、考え方としては同じような考え方でございまして、世帯数の伸び、これをもとに必要な住宅戸数をはじき出します。その住宅戸数をもとに新規に宅地がどのぐらい必要かということを推計をさせていただいております。  それによりますと、これは若干年次がずれるのですが、一九九一年から二〇一〇年までの約二十年間でございますが、この二十年間で全国で約十九万ヘクタールということに見込んでおります。なお、現在のところ、供給実績からいたしますと、新規供給量といたしましては年間平均一万ヘクタール程度で推移をいたしておりますので、大体それが弱含みで推移するのではないかなというような見通しを持っております。  以上でございます。
  129. 石破茂

    石破委員 その十九万ヘクタールというのはどこから出てくるのですか。もう一回説明してください。
  130. 加藤利男

    ○加藤説明員 まず、先ほど言いました住宅の戸数と同じなのでございますが、世帯数がどのぐらい今後伸びてくるかということを考えます。世帯数の中でも、それに加えまして、今まで非住宅に住んでいられるところから住宅を必要とされる方、それと空き家の増加戸数、その中でも実際に宅地、私どもで推計しておりますのは、非住宅地から住宅地にどのぐらい転換するか。例えば農地から住宅地に転換するものはどのぐらいかといったことですとか、あるいは工場跡地といったようなもの、そういう住宅以外の用途から住宅に転換する、そういう新規に住宅地を必要とするものはどのぐらいかということで供給の推計などをしておるわけでございまして、どういうふうにやっているかというと、そういう背景でやっているのですが、住宅から住宅にかわる、例えば建てかえをするというような場合には新規に宅地の供給は要りませんので、そういうものはこの計算の中には入っておらないということでございます。  以上でございます。
  131. 石破茂

    石破委員 時間が余りございませんから、この議論はまたしたいと思います。  本当に、宅地の供給をどうやってやっていくのだろうということについて、建設省と農水省の間で本当の相互の意思の疎通というものが私は必要なのだろうと思っているのですよ。どうやって宅地を供給をしていくのか、守るべき農地はどういうものであるのか、そして中山間をあわせてどう守っていくのか。  日本という国は非常に不思議な国で、都市も農村も不平不満だらけという変な国なのですよね。お互いが悪口を言い合っている。どっちも幸せではない。そして農村で休暇を過ごすとか農村で第二の人生を過ごすということには余り価値を見出さない。こういう国は先進国では珍しいと私は思っているのですね。都市が農村を支える、そしてまた農村が都市を支える。都市が過密にならないために農村を都市が支える、そういう発想が皆無と言ってもいい不思議な国です。グリーンツーリズムだって余りうまくいかないのですね。私はそういう気がして仕方がないのです。何か別の方策をグリーンツーリズムには加えなければいけないだろうというふうに私はかねてから思っておるわけでございますけれども、農水省と建設省の間で、内閣として重要な課題としてそれはお取り組みをいただきたいと思っている。  私は、何も市街化調整区域の線引きの見直しをどんどんやれとかそんなことを申し上げておるわけではないけれども住宅建設のこれからの見通しの中で、農水省としてこれから先の国産材の需要というものも含めてどういうふうに立体的に考えていくのか、そこの基本的な認識が一致していないと、なかなか需要の拡大と言ってもそれは画餅に帰するおそれなきにしもあらずというふうに思っておりますので、こういうことをお尋ねをいたしました。またそのお話は、次回でもやらせていただきたいというふうに思っております。  それから、最後にもう一つお尋ねをいたしたいのですね。  これは大臣お出ましになりましたので、間もなく本会議予算が採決をされることでございますが、住専のお話でございます。  私、以前、野呂田大臣のころだっただろうと思いますが、この場に立ちまして、例の覚書というものの効力についてお尋ねをしたことがございます。大蔵省にも来ていただいた。あの覚書の内容をここで細々申し上げることはいたしませんが、農水省の御見解としては、あの覚書というものが元本保証になる、それは、再建するんだ、迷惑かけない、再建するときにはちゃんと面倒見るのだったらば清算するときも見るのが当たり前だ、こういう認識ですねと、そうでございます。大蔵省に聞いたら、そういうわけでもございません、こういう話でした。あれ、違いますねということを申し上げたのだけれども、どうも最近それが一つになってしまったように思うのですね。  それはどういうことかというと、覚書というのは別に法的な効力があるわけでもない。確かに農林水産省設置法にも大蔵省設置法にも、あんなことをやっていいなんてどこにも書いていないわけですよね。それはそういうようにこれでいかがですかというふうに申し上げて当事者が合意をしたものであります、こういうのが両省の統一見解の内容で、私が以前質問したことと違っているように思うのですが、その点につきまして大臣の今の御見解を承りたい、今後の特別委員会の参考のためにも承りたいということが一点。  それからもう一点は、六千八百五十億の議論はまた特別委員会等々でする機会もあるだろうと思っておりますが、これは本当に系統救済のお金なのかという話なんですよ。  系統救済の金ではないというお話を聞いておったし、私どももそのように思っていろいろな議論を展開してきたつもりなんですが、これは例えば与党第一党の自由民主党の幹事長、加藤幹事長さんでありますとかそういう与党のかなり責任のある立場の方が、系統の負担能力を超えて持たせるわけにはいかないのでというお話をしておられます。そしてまた、系統を救うために六千八百五十億を投入したんだということを与党の責任ある立場の方があちらこちらでおっしゃっておられる。ありがたく思いなさいというような話かもしれないけれども。それはそうなんですか。  政府と与党というのは違うとは私は思わない。私ども与党のときにも、政府・与党一体という言葉をよく使いましたが、何となくそういう言葉があちこちで歩いているし、まことであるがのごとく思われている。それはこれから先重要な問題になってくるだろうと思う。そこの認識を一つにしなかったことがこんなにごたごた問題を大きくしてしまったのだろうと思っている。私は、ただ住専をどうするかという問題のみならず、これから先金融システムの再建をどうやってやっていくか、そしてまた系統金融というものは本当にこれでいいのか、そういう議論をやっていかなければいけないと思うのだけれども、そこの点においてこれは重要な点だと思っております。二点御確認をいただきたいと存じます。
  132. 大原一三

    大原国務大臣 まず最初の点でございますが、私は明快に予算委員会で元本保証だと申し上げたわけであります。大蔵大臣もだんだんそういう気持ちになられて、元本保証と思いますというお話になったのでありますが、正直言いまして、あれには元本を保証するということは書いてないわけであります。  当時の経緯から見まして、第一次再建計画、そしてあの覚書をつくった五年の第二次再建計画に至るまで、系統はえらいところへ金貸したものだな、何とか引き揚げたいということで、母体行との間でいろいろ交渉のいきさつがあったようでございます。それをまとめる、いろいろ議論をされてもあれだから、では両省が中へ入ってまとめようということででき上がったのがあの覚書だと思うのです。正直に読んでいただきますと、四・五%に六・五%の金利を下げます、それ以上の迷惑はかけませんとあそこに明快に書いてあるわけです ね。だから系統の皆さんとしては、それならということで安心したに違いないわけでございます。  そういう前提に立って我々は議論をしてきたわけでありますが、さて、六千八百五十億を系統のためとおっしゃった議論は、いろいろの場所でいろいろのことをおっしゃっている方がたくさんいらっしゃいまして、我々はあくまでもこれは母体行責任である。アメリカでも貸し手責任という言葉がございます。レンダーズライアビリティーという言葉がありますが、あれはあくまでもその人事や経営に責任がある貸し手のことでございまして、そういう意味では、母体行というのはお母さんでございますから、子会社にはなっていませんけれども子会社に準ずるものだ、おふくろが子供に目をかけるのは当たり前だ、それを経営責任も経営内容も実態も知らない貸し手が責任を持つというのは筋違いである、こういうことから我々は議論をしてきたつもりであります。  さはさりながら、委員指摘のように、私はバブルというのがまた起きない方がいいと思うのですが、こういうことが二度とあってはならないのでありますが、その間に、いわゆる農協系統があの覚書を信じ切って、それならといって貸し込んだことについては私は責任が全くないとは思いません。そういう意味で、二度とこんな問題が起きないためにも、いわゆる系統の金融システムの改革ということが非常に大きな課題になってまいりました。農林水産省といたしましても、私が提案をしてプロジェクトチームを早くつくりなさいということで、内閣に置かれた農政審議会においても、九月ぐらいまでには結論を出したいと言っていますが、そこでどの程度の議論ができるかわかりませんが、我々は我々として、農家、農民のために本当にためになる金融システムは何であろうかということを、農協のためだけではなくて考えていかなければならぬ。  それがためにはどうしても、もう委員が専門家でありますから私から申し上げるまでもないのでありますが、農協の貯貸率というのが四割水準でございます。それから信連の貯貸率が一九・九%、つまり二割程度であります。七十兆円というお金の余りは全部農中がこれを吸収して運用しているわけであります。有価証券という言葉がありまして、いかにも株をたくさん買っているように——農中十兆円の有価証券というのは、ほとんどがこれは国債でございまして、株式はその中のわずかな比準しか占めていない。安定運用に心がけてきたのはいいのでありますが、今後は四・五、六・五というマージンを生む可能性はほとんどありません。そうなれば、残りのお金を一体どこへ持っていくかといいますと、農林中金の運営の仕方を抜本的に変えていかなければならぬ。  ここまで言っていいかどうか知りませんが、法人税を二七%なんということはもう返上しろ、三七で一般法人と同じでいいではないか、そのかわり、そうしてスタンスを同じにして、イコールフッティングで、しかもグローバルスタンディングで競争できるようなシステムが農林中金にできないか、これは多少前向きかもしれませんけれども、そういうことも考えてあげていきたいな、こう思っております。
  133. 石破茂

    石破委員 時間が参りましたので終わりますが、いずれにしても、これは私は今の大臣のお話についていろんな見解があるのですが、いずれかの議論に譲りたいと思いますが、これは本当に日本経済をどうするかというお話だと思います。  何でこれを聞いたかといいますと、住宅政策というものとバブルというものも関係があるだろう、そしてまた住宅政策がきちんとしなければ国産材時代というのも来ないだろう、全部総合したお話だろうと思っていますし、この時代にあって農林水産行政が果たしていかなければいけない役割というのは、あるいは我々が考えているよりももっと大きなものであろうというふうに考えておりますので、私ども努力をしてまいりたいと思います。  以上で終わります。
  134. 松前仰

    松前委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  135. 松前仰

    松前委員長 これより各案に対する討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  林業改善資金助成法及び林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  136. 松前仰

    松前委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  137. 松前仰

    松前委員長 この際、本案に対し、松岡利勝君外四名から、自由民主党、新進党、社会民主党・護憲連合、新党さきがけ及び日本共産党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。初村謙一郎君。
  138. 初村謙一郎

    ○初村委員 新進党の初村謙一郎でございます。  私は、自由民主党、新進党、社会民主党・護憲連合、新党さきがけ及び日本共産党を代表いたしまして、林業改善資金助成法及び林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     林業改善資金助成法及び林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に努め、林業経営基盤の強化の促進に遺憾なきを期すべきである。     記  一 農林水産大臣は、基本方針の策定に当たって、二十一世紀の我が国林業を担う林業経営体のあるべき姿を明確に示すとともに、都道府県知事が策定する基本構想に地域の特性が十分に反映されるよう指導すること。  二 複合経営推進に当たって、森林レクリエーション関連事業特用林産物生産以外の複合経営推進にも配慮すること。  三 林業経営改善計画の認定並びに林業改善資金及び農林漁業金融公庫資金の貸付けに当たって、市町村森林組合その他関係機関との連携・協力を一層強化するとともに、林業者等の事務負担が増加しないよう、極力、事務手続きの円滑化に努めること。  右決議する。  以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じまして委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。  以上でございます。
  139. 松前仰

    松前委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  松岡利勝君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  140. 松前仰

    松前委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。     —————————————
  141. 松前仰

    松前委員長 次に、林業労働力確保促進に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  142. 松前仰

    松前委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  143. 松前仰

    松前委員長 この際、本案に対し、松岡利勝君外四名から、自由民主党、新進党、社会民主党・護憲連合、新党さきがけ及び日本共産党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。増田敏男君。
  144. 増田敏男

    ○増田委員 新進党の増田敏男です。  私は、自由民主党、新進党、社会民主党・護憲連合、新党さきがけ及び日本共産党を代表して、林業労働力確保促進に関する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     林業労働力確保促進に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に努め、林業労働力確保促進に遺憾なきを期すべきである。     記  一 都道府県知事は、基本計画を策定するに当たり、地域林業労働力状況及び問題点に的確に対処するため、幅広く林業関係者の意見を聴取して策定すること。  二 林業労働力確保支援センターの業務の推進に当たり、その円滑な運営が図られるよう、国、都道府県はもとより、市町村森林組合などの関係機関が密接な連携・協力を行うよう努めること。  三 新規参入する林業労働者の定着を図るため、山村地域における定住条件の整備、特に、居住環境整備を積極的に推進すること。  右決議する。  以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願いを申し上げます。
  145. 松前仰

    松前委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  松岡利勝君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  146. 松前仰

    松前委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。     —————————————
  147. 松前仰

    松前委員長 次に、木材安定供給確保に関する特別措置法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  148. 松前仰

    松前委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  149. 松前仰

    松前委員長 この際、本案に対し、松岡利勝君外四名から、自由民主党、新進党、社会民主党・護憲連合、新党さきがけ及び日本共産党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。増田敏男君。
  150. 増田敏男

    ○増田委員 新進党の増田敏男です。  私は、自由民主党、新進党、社会民主党・護憲連合、新党さきがけ及び日本共産党を代表して、木材安定供給確保に関する特別措置法案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     木材安定供給確保に関する特別措置法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に努め、木材安定供給確保に遺憾なきを期すべきである。     記  一 森林所有者等と木材製造業者等との木材の安定的な取引関係の確立を図るため、優良事例の紹介、関連制度に関する情報の提供等に努めるとともに、地方公共団体林業木材産業関連団体との連携・協力推進により、木材安定供給確保支援法人による支援が円滑に実施されるよう努めること。  二 木の良さについての消費者に対する普及啓発、公共施設の木造化の推進木材の需要拡大に努めるとともに、木材流通拠点施設の近代化、情報化の推進等消費者ニーズに即応しうる木材流通の合理化推進すること。  三 本質住宅部材の標準化、プレカット部材の供給拡大等を図り、木造軸組工法住宅生産合理化推進するとともに、木材乾燥施設の整備、高性能製材機械の導入等による木材製造業の近代化推進すること。  右決議する。  以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願いを申し上げます。
  151. 松前仰

    松前委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  松岡利勝君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  152. 松前仰

    松前委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの各附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣大原一三君。
  153. 大原一三

    大原国務大臣 ただいま御決議いただきました一連の附帯決議の趣旨を尊重し、今後、最善の努力をいたしてまいります。     —————————————
  154. 松前仰

    松前委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  155. 松前仰

    松前委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  156. 松前仰

    松前委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十五分散会