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1996-03-25 第136回国会 衆議院 農林水産委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年三月二十五日(月曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 松前  仰君    理事 鈴木 宗男君 理事 二田 孝治君    理事 松岡 利勝君 理事 仲村 正治君    理事 初村謙一郎君 理事 増田 敏男君    理事 田中 恒利君 理事 井出 正一君       荒井 広幸君    金田 英行君       岸本 光造君    栗原 博久君       七条  明君    東家 嘉幸君       葉梨 信行君    浜田 靖一君       穂積 良行君    松下 忠洋君       森田  一君    山本 公一君       鮫島 宗明君    須藤  浩君       千葉 国男君    野呂 昭彦君       畑 英次郎君    宮本 一三君       矢上 雅義君    山岡 賢次君       山田 正彦君    石橋 大吉君       永井 哲男君    山崎  泉君       小沢 鋭仁君    金田 誠一君       簗瀬  進君    藤田 スミ君       徳田 虎雄君  出席国務大臣         農林水産大臣  大原 一三君  出席政府委員         農林水産大臣官         房長      高木 勇樹君         農林水産省経済 福島啓史郎君         局統計情報部長         農林水産省畜産         局長      熊澤 英昭君         食糧庁長官   高橋 政行君  委員外出席者         厚生省生活衛生         局乳肉衛生課長 森田 邦雄君         農林水産委員会         調査室長    黒木 敏郎君     ————————————— 委員の異動 三月十四日  辞任         補欠選任   荒井 広幸君     谷  洋一君   岸本 光造君     糸山英太郎君   栗原 博久君     加藤 紘一君   山崎  泉君     加藤 万吉君 同日  辞任         補欠選任   糸山英太郎君     岸本 光造君   加藤 紘一君     栗原 博久君   谷  洋一君     荒井 広幸君   加藤 万吉君     山崎  泉君 同月二十五日  辞任         補欠選任   木幡 弘道君     鮫島 宗明君   小沢 鋭仁君     金田 誠一君 同日  辞任         補欠選任   鮫島 宗明君     木幡 弘道君   金田 誠一君     小沢 鋭仁君     ————————————— 三月十九日  食糧自給率を高める政策に関する請願長勢甚  遠君紹介)(第五三二号) 同月二十二日  食料・農業・農村に関する新たな基本法の制定  に関する請願羽田孜紹介)(第八八六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案起  草の件  農林水産業振興に関する件等畜産問題等)  平成八年度畜産物価格等に関する件      ————◇—————
  2. 松前仰

    松前委員長 これより会議を開きます。  この際、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、理事会等において協議いたしました結果、お手元に配付いたしましたとおりの起草案を得ました。  まず、本起草案趣旨及び内容につきまして、委員長から御説明申し上げます。  乳業施設資金融通制度は、酪農及び乳業の健全な発展に資するため、乳業を営む者に対し、農林漁業金融公庫から、その乳業施設の改良、造成等に必要な資金を融通することを目的として、昭和三十六年に創設されました。  自来、本制度による貸付実績は、平成六年度までに三百九十九件、約三百七億円に上り、中小乳業を中心とした乳業合理化近代化及びこれを通じた酪農の健全な発展に大きな役割を果たしてまいりました。  一方、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意の実施に伴い、今後、国際化の進展が見込まれる中で、我が国酪農乳業安定的発展を図っていくためには、乳業工場の統廃合による牛乳・乳製品の製造販売コストの低減を強力に推進し、我が国乳業国際競争力の強化を図ることが喫緊の課題となっております。  本案は、こうした課題にこたえるため、本年三月三十一日をもって期限切れとなる本制度をさらに平成十三年三月三十一日まで五年間延長するとともに、貸付金償還期限現行の十八年以内から二十年以内に延長しようとするものであります。  以上が、本案の提案の趣旨及び内容であります。     —————————————  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 松前仰

    松前委員長 お諮りいたします。  お手元に配付してあります農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案の草案を本委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案といたしたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  4. 松前仰

    松前委員長 起立総員。よって、本案委員会提出法律案とするに決定いたしました。  なお、ただいま決定いたしました本案提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 松前仰

    松前委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  6. 松前仰

    松前委員長 農林水産業振興に関する件等について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松岡利勝君。
  7. 松岡利勝

    松岡(利)委員 いよいよ平成八年度の畜産物価格牛肉値段、また豚肉の値段、そしてまた乳価、そういうことを決定する時期が間近に迫ってきたわけでございます。そこで私は、この問題につきまして大原農林水産大臣に幾つかお尋ねをし、また御決意、そしてこの問題に対する取り組み方針をただしたいと思います。  大原大臣は、宮崎県、旧選挙区で言いますと一区でございまして、私は熊本の旧一区でありますが、まさに裏腹でございまして、隣り合わせでございます。そして、この宮崎地域熊本地域もまさに畜産地帯酪農地帯でございまして、そういった点から大原大臣におかれましても、この問題にはいろいろと日ごろから大変御熱心にお取り組みになっておられることでもあります。また、いろいろなそういう問題も含めまして、大原大臣、日ごろから御指導を賜っておりまして、特に御尊敬申し上げておる先生でもございます。きょうは私は、ぜひとも大原大臣に、畜産酪農農家意欲希望を持って取り組んでいくことができるような、そういう意味での農林水産大臣としての、また農林水産省としてのお取り組みを示していただきたい、このような気持ち質問させていただきたいと思います。  まず、現下の状況でございますけれどもウルグアイ・ラウンド合意がなされたわけでありますが、この酪農畜産分野というのは、それ以前に、平成三年度から牛肉自由化ということで大変な荒波を受けておりまして、その時点では思いも寄らなかった、思った以上の大変な打撃をこうむったわけであります。まさに牛肉価格暴落をいたしまして、私の熊本は肥後の赤牛と言われますように、これは赤牛なんでありますが、平成五年の一月には三十数万しておったものが、二十万を割り込んで十八万九千円まで子牛は落ち込んだ、このような大変な大暴落をしたという状況でありまして、これは私ども熊本県に限らず、特に乳廃牛等の落ち込みは大変なものがございまして、北海道酪農家はもう大変な大打撃を受けたわけであります。そして、その上にさらに今度はウルグアイ・ラウンド自由化、こういうことだったわけでありますから、もうまさにダブルパンチ、大地震の後に大津波が襲ったような、そのような打撃を受けたのが今の畜産酪農現実ではないか、私はこのように思うわけであります。  今、そういう状況の中で、畜産農家は、酪農家もそうでありますが、どんどん減少をいたしておりまして、私の地元の実感で申しますと、自由化前に比べてもう半分ほどに、大げさな言い方かもしれませんが、現実は半分ぐらいまでに減った、そういうところも多いのではないか、このように思います。そういうような減少をたどっておること、そしてまた一方では環境問題、こういったものが大変な問題になっております。そういうことからいたしまして、私は、このような非常に厳しい状況の中で、今後畜産農家酪農家意欲希望を持ってどう取り組んでいくか、また、そのような政策をどう打ち出していくかということが一番大事だと思います。  先般、酪近計画、新しい酪農畜産業近代化に関する方針を示されたわけであります。それによりますと、農業分野の中では、ある意味では唯一と言っていいかもしれないぐらい拡大生産を目指せる分野だ、こういうふうに位置づけられております。方向としては、数字的にはそういうものが示されておりますけれども、じゃ、現実政策として果たしてそれを裏打ちするようなものがあるのかないのか、こういうことになりますと、私はその点は甚だ心もとない面があるんではないかと思っております。  というのは、先般も北海道に行ってきたんですが、やはり酪農家畜産農家ともに先行き不透明、先行きどうやって自分たちは取り組んでいけばいいのか、まことにもって不透明。したがって、設備投資意欲も、また後継者自分子供たちに対して後を継いでくれ、こういうことに対してもなかなか踏ん切れない、このような状況にあるのが現実であります。  そのようなことを考えますときに、自由化になって、そして、いや、なお今後これは大丈夫だ、頑張っていける、こういうような示し方をする、それこそが政治であると思います。どうか、御造詣も深く、また一番こういう問題にも直接密接にかかわっておられます大原農林水産大臣から、畜産農家酪農家に向けた温かいそしてまた配慮のある、そして本当に意欲希望の持てる、そういうような大臣のお気持ちをぜひ示していただきたい。こういうようなことで、本年度の畜産物価格に対する大臣の御決意をまずお伺いしたいと思います。
  8. 大原一三

    大原国務大臣 松岡委員、日ごろ畜産関係を初め農業関係に大変な御協力をいただき、また積極的な活動をしていらっしゃることに私からも心から敬意をまず表したいと思います。  いよいよあす食肉関係価格決定の日を迎えまして、またあさっては酪農関係価格決定をいたさなければならない、ぎりぎりの段階に入っているわけでございます。今松岡委員指摘のように、特に熊本宮崎鹿児島等農業生産額、粗生産額の中の半分近くを畜産が占めているという畜産県であります。また、北海道等を初め、日本酪農その他畜産食肉等農業生産の中で大変大きな比重を占めている生産物価格決定でございますから、本日の委員会もそういう意味で催されるものと思っております。  残念ながら、正直に言いまして、大変厳しい生産費が出てまいりましたこと、これは統計の数字として正直に受けとめるわけでございますけれども飼料価格を初め大変不透明で、またある意味では今後上昇が予想される事態も当面しているわけでございまして、再生産ができるような価格決定に向けて我々も精力的に取り組んでいかなければならぬ、かように思っております。  現在与党において精力的に調整が行われているところでございまして、私といたしましても、その調整を十分勘案しながら、合理的な価格決定努力をしてまいりたい、かように考えております。
  9. 松岡利勝

    松岡(利)委員 今大臣から、思いは大体私どもと同じであるということとあわせて、再生産ができるようなというお言葉をいただきました。まさにその中にもろもろの、また大臣の意図も含まれておるというように私は思います。  そこで、ちょっと具体的なことでお願いでありますが、今生産費が発表されまして、大変な値下がりということでありますが、この大きな原因として余りにも異常な円高、これは大変そういう意味では異常値であります。したがって、統計処理としても異常なものは除外するというので、あの米の作況のときも、プラスマイナス二〇%を超えたものはもう異常値として除外をするというぐらいのことでありますから、円高が何を基準で何が異常値かというのは、そういう基準はないのかもしれませんが、しかしこれは余りにも異常値である。したがって、これは十分に配慮されてしかるべきであると私は思っております。  と同時に、農家負債が減っただとかいろいろ言われておりますが、これは先行き不透明、そういったことのために本来しなければいけない設備を手控えておる、こういうようなことから、決して経営がよくなって負債が減ったのではなくて、まさにそういう後ろ向きなもので負債が減ったかのごとく実は表向きなっておるだけである、こういうことでもあります。  それと同時に、計算式上はプラスでカウントされておりますふん尿の問題、これは副産物として利益の方に計上されているのでありますが、それが今や利益どころか、このふん尿処理に多大なお金がかかっておる。計算式実態は反対でありますから、こういうようなもろもろを考えますときに、ことしの畜産物価格は、今大臣がおっしゃいましたように、まさに再生産可能というのは農家気持ちが一番大事でありまして、意欲を持って、希望を持ってこのことに取り組むことができるような、生産に立ち向かうことができるようなこととあわせて、今言いましたような具体的な問題についての十分なる配慮を持ってこの畜産物価格決定には当たっていただきたい。そして、大臣 が先ほどもおっしゃいましたように、政府与党と十分なる調整のもとにこれはすり合わせをしていくんだ、こういうことでありますから、私どもはまだきょう、あしたも十分な議論を重ねてまいるつもりであります。  どうか、その上に立って、大臣お話にもございました再生産が可能な、その中には農家意欲希望というものも意味として入っているわけでありますので、ぜひそのことをお願いいたしまして、最後に一点、このことに対して大臣の御見解をお聞きいたしまして、私は質問を終わりたいと思います。
  10. 大原一三

    大原国務大臣 今明日と恐らくは徹夜作業で御調整を願わなければならぬと思っております。  どうかひとつ、積極的な御意見を、今も円高の問題にも触れられましたけれども、お寄せいただきまして、私としても十分その責任を果たしたい、かように考えております。
  11. 松岡利勝

    松岡(利)委員 どうもありがとうございました。
  12. 松前仰

  13. 松下忠洋

    松下委員 松岡委員の残り時間、十分間をいただきまして、関連する御質問を申し上げることにいたします。鹿児島から出てきております松下忠洋でございます。  質問通告しておりませんけれども、テレビを見ておりましたら、イギリス人間にもかかるおそれのあるという珍しい、あるいは聞いたことがありませんでしたけれども狂牛病という病気がはやっておる。これはウイルスや細菌ではない何か妙なたんぱく質原因とする不思議な病気だと聞いておりますけれども、それが今世界じゅうの肉牛の中でパニックを起こしておりますが、これは一体どういう原因でどういうふうな病気であるのか、そのことで今イギリスではどういうふうに対応措置がとられているのか、そして我が国に対する影響はどうなっているのか、そこをまずお聞きしたい。お願いします。
  14. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘のございました英国狂牛病でございますが、狂牛病と言われております病気は、牛の脳の炎症といいますか脳の病気でございまして、海綿状脳症というふうに言われております。一九八六年に英国で初めて確認をされたということで、牛の脳組織海綿状となり運動失調等の症状を示す疾病であるというふうに言われております。イギリスでは、初めて発生した後年々増加をいたしまして、一九九二年に三万六千六百八十頭の発生を記録しておりますが、その後年々減少をいたしておりまして、一九九五年の発生頭数が一万二千二百四十五頭ということでございます。  イギリスといたしましても、まず、いいワクチン等がないものですから、一つには汚染家畜を屠殺するということをやる。それから、牛とか羊とかの骨粉をえさにするということで、そのえさから伝染をするということが一つ原因であるというふうに言われておりまして、そういった牛とか羊からつくられるたんぱく質飼料を牛とか羊にはえさとして使用を禁止するといった措置を講じてきたために、発生頭数としてはだんだん減少してきているということでございますが、昨今の発生状況、それからたまたま人間にうつる可能性もあるということを英国政府が発表したこともありまして、英国内ないしさらにはEUの諸国でイギリス牛肉を食べないというような動きが出ているわけでございます。  日本では、これは狂牛病そのものではなくて、口蹄疫という、伝染性の大変強い、牛などのような偶蹄類の家畜にとっては最も恐ろしい伝染性疾病でありますけれども、現在、英国はその日蹄疫発生しているというふうになっておりますので、日本イギリスからの生きた牛と牛肉について輸入を禁止しております。特に、牛肉はそれ以前からでありますけれども、生きた牛につきましても、平成二年から輸入禁止をしておりますので、そのような意味で、イギリスから生きた牛とか牛肉日本に入ることはございません。また現在、その狂牛病日本では発生が報告されておりません。  したがいまして、イギリスからの輸入禁止措置については、今後ともきちっとそういった輸入の際のチェックをしっかりやってまいりたい。そういうことによって、イギリスからのこういった伝染性疾病の侵入を防止してまいりたいというふうに考えております。
  15. 松下忠洋

    松下委員 今の局長お話でやや安心いたしましたけれども、油断することなく厳重に監視していただいて、我が国に対する影響が全くないようにしていただきたいということを強く要請しておきます。  いよいよ畜産物価格決定でございます。松岡委員からもお話がありましたとおりでございますけれども、私たち鹿児島県でも、乳用牛も、昭和六十年が千六十一戸飼養しておりましたけれども、現在は六百三十戸ということです。それから肉用牛も、四万三千余戸がありましたけれども、現在は二万六千戸です。半分以下に減ってきているという、非常に厳しい状況になっております。豚も、飼養戸数昭和六十年は五千四百三十戸ございましたけれども、現在は千五百三十戸です。  飼養する人たちがずっと減ってきた。これは高齢化あるいは後継者人たちがなくなってきたということもございますが、平成二年、三年ごろからの自由化、それに対応して価格が低迷してきた。ずっとこの数年非常に厳しい状況の中にあって、要するに、そういう環境の中で、政策が浸透していったということよりも、耐え切れなくなって、そうして落後していったということが一面では実態ではなかろうかというふうに思っているわけです。そういう中でいよいよ価格決定がなされていくということになるわけでございますけれども酪農肉牛それから養豚を含めて非常に厳しい現状にあるということをしっかりと御認識いただいた上で、あす、あさっての価格決定に関する審議会にきちっと対応していただきたいと思うのでございます。  酪農にいたしましても、加工原料乳保証価格、これは最低限現行価格を堅持せよということを含めて、関連対策もしっかりやっていただきたいというふうに思いますし、特に養豚関係は、安定した維持価格、四百円、これをしっかりと守っていかなければいかぬというふうに思いますし、環境対策も含めてきちっとやっていかなければいかぬ。特に、ふん尿処理に関連するものは非常に対策費お金がかかる、大変な努力をしていかなければならない状況でございます。  そのことについて、大臣、きちっと審議会に対して対応していただきたいと思いますけれども大臣の基本的な考え方をお聞かせいただきたい。
  16. 大原一三

    大原国務大臣 先ほど松岡委員にもお答えをいたしたところでございますが、畜産農家がだんだん数が減っているという実態は全国的な傾向でございましょう。中には、後継者がいなくて老齢化していく中で農業をやめていかなければならぬという方々もたくさんいらっしゃるわけでございますが、もとよりこれはいろいろの、ウルグアイ・ラウンドを初め畜産環境の厳しさ、それによる離農あるいはやめていく方々というのがいらっしゃることは間違いありません。我々が今後、日本食糧構造、食生活を考えていくときに、畜産重要性というようなものに着目しながら、当面的な課題ももとよりでございますが、やはり長い目でそういった面の施策を施していかなければならぬことも事実でございます。  ただ、あす、あさっての価格決定価格要素がやはり今後の再生産に重大な意味を持つことを踏まえながら、皆さん方との折衝をしながら、きょう、あすの価格決定に臨んでまいりたい、かように考えております。
  17. 松下忠洋

    松下委員 終わります。ありがとうございます。
  18. 松前仰

  19. 栗原博久

    栗原(博)委員 松岡委員、そして松下委員が、まさしく日本酪農畜産実態を踏まえて、やはり日本農業を守るという立場で強く大臣に申し上げたわけですが、どうかひとつそれを踏まえて御答弁賜りたいと思います。  今回、配合飼料が六から七%上がるというようなことがあるわけでありますから、こういうものを踏まえながら、ぜひひとつ乳価決定につきましての御配慮を賜りたいことをまずつけ加えさせてください。  次に、今日までの酪農の問題でございますが、いろいろ過去を振り返りますと、やはり国民牛乳を飲んでいただく、そういう運動の展開がまず必要だと私は思うのですよ。まず、その需要をいかに高めるかということ、あるいはまた酪農方々の営農の実態、そしてその地域における酪農農家生活状況というものを消費者の方に体験していただきたい。これによって乳価決定等に対しての理解が国民から得られるものと思っておりますので、これをぜひ政策の中に織り込んでいただくことをお願いしたいと思うわけであります。  さて、その中で、我が国酪農の衰退を見ますと、畜産行政が大変いろいろ御努力されていることはわかるのでありますが、酪農家戸数は三十年前に対して今はその八分の一である、あるいはまた二十年前に対して三分の一である、十年前に対して二分の一であるというふうに酪農家戸数が減っているわけであります。ちなみに新潟県は、三十年前に比べて十二分の一に減っておるわけであります。  それに対して、では飼育頭数はどうかといいますと、三十年前に対して〇・六八倍である。現在は若干ふえているが、二十年前に対しては〇・九一倍、十年前に対しては約一倍、大体頭数は同じであるという。  では、この酪農の中における乳業メーカー工場はどうなっているかということを私は調べましたら、余り変わっていない。十年前に比べて約八六%しか低くなっていないということなのですね。これから見ても、どうも農家の方にだけウエートをかけてリストラさせて、生産工場がどうなっているのかということについて、私は大変疑問に思うのであります。  例えば、酪農家二戸当たり、五十五年は大体五十六トン、牛乳生産している。平成六年度では二戸当たり百七十九トンも生産しているのですね。これは農家は二戸当たり約三・二倍の牛乳生産しているのであります。  では、その工場はどうか。これは一工場当たり、五十五年は五千六百五十三トン、六年度では九千七百二十二トン、約一・七倍の生産増加を見ています。酪農家が三・二倍の増産をしているのに、一番リストラのできる、そういう乳業メーカーがその半分以下であるということは、やはり乳価決定当たりましても、その利益の再配分、この問題を見ましても、むしろ乳業メーカーの方にだけウエートがかかっているのではないかということを私は思うわけであります。  ちなみに、利益率を見ましたら、確かに乳業メーカー利益率が一・六%とか二・一%、大変低いかもわからぬ。製造メーカー等は、例えば食品製造は三・五%前後、あるいは化学工業は四・六%前後。ところが、これまた数字をはじいていきましたら、利益率は低いけれども利益率の増加分を見ますと大変なことなんです、これは。乳業メーカーはこの二年間で一・三倍の利益増加を見ております。他の産業は一・一倍あるいはマイナスだ。リストラをしていない乳業メーカーが他の産業の利益率の増加に比べていかに高いかどいうこの実態を今回の乳価決定においても十二分に含んでいただきたいということを私は思うわけでありまして、これに対して、乳業メーカーに対するリストラをどのようにお考えであるかをひとつお聞きしたいと思います。
  20. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 お答え申し上げます  先生が御指摘のとおり、乳業工場のリストラは十分ではないという認識を私どもも持っております。  ちなみに、御指摘のとおり昭和六十年には乳業工場、九百八十五工場ございまして、平成六年末で八百四十七工場ということで、その間百三十八工場減少しておりますが、減少率で見ますと確かに一四%の減ということで、これは先生指摘のとおりでございます。したがいまして、一工場当たりの平均的な処理規模も小さいということで、欧米諸国と比べましても製造コストが高いということは、実態としてそのとおりでございます。  したがいまして、私どもウルグアイ・ラウンド合意のもとで国際化も進展していく、そういうことで、生産者とともにやはり乳業サイドも合理化をし、コストを引き下げていくということが必要であろうというふうに認識をいたしております。  そこで、私ども、そういう乳業工場の再編合理化を進めていく上で政策的な支援もする必要があるということで、先ほど本委員会で可決をしていただきました乳業施設資金、こういった施設資金を活用していただく、さらには平成八年度の予算、現在今国会で御審議をいただいておりますけれども平成八年度の予算におきましては、新規の事業といたしまして、乳業再編総合対策事業ということで乳業工場の再編を促進するための事業を計上させていただいております。この予算が成立していただいたところで、こうした予算あるいは先ほど可決していただきました乳業施設資金、そういった事業とか融資を活用いたしまして、乳業工場の再編合理化を進めてまいりたいというふうに考えております。
  21. 栗原博久

    栗原(博)委員 酪農家のみに過重な負担をかけるのではなくて、やはり乳業メーカーに対してもそれだけの努力をぜひひとつ求めていただきたいと思います。  次に、時間がないので早口で申しわけありませんが、今まで乳脂肪三・三を三・五でということで、農家にいろいろ乳業メーカーも指導してまいりました。それによって、例えば私ども新潟県のような多湿地帯は乾燥の飼料を購入しなければならぬということで、例えば十四から十五頭ぐらい飼っておる酪農家だと一カ月大体十五万円ぐらいの負担だったのですよ、要するに脂肪率の問題で。ところが、そういうふうに努力していたにもかかわらず、今回新潟県において全酪の乳業メーカーが、今まで一番農家に乳脂肪率云々と言ってやっていたのに、それを覆すような行動に出たということは、極めてこれは生産農家に対する裏切り行為である、あるいはまた善良な消費者に対する裏切り行為であるわけであります。  この全酪連が約三年前から地下水をプラスアルファしながら、生クリームとかあるいは脱脂粉乳を加えたということで、新潟県の酪農家は本当にもう信用失墜をして、どうしてくれるんだ、あんなに強く乳脂肪率を上げるといってそれに努力しているのだ、それにもかかわらずこういうことがあって、特に農業団体のメーカーということなんでありますから、これについてひとつお聞きしたいのであります。  農林省の方は大変機敏な対応をされたというふうに伺っている、それは感謝申し上げますが、こういうことについてどのようにお考えであるかということをお聞きしたいと思うのであります。あるいはまた厚生省に、食品衛生上どういう問題点があったかということをお聞きしたいと思います。この二点お願いします。
  22. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、三月の九日に全酪連の長岡工場におきまして生乳に脱脂粉乳、生クリーム、水を加えたものを牛乳として販売していた、それも二年余にわたり販売していたということが判明をいたしまして、私ども、その事実を承知したわけでございます。御指摘のとおり、生産者に限らず、関係者全体として飲用牛乳の消費拡大には懸命に取り組んでいるさなかでございます。そうした中でこうした著しい不信感を招来するような不祥事が起きたことを大変遺憾に思っております。  そのために、早速私ども対応したわけでございますけれども、まず、事件の発生を承知いたしましたのが三月九日の夕刻でございますが、直ちに厚生省とも協議をいたしまして、と申しますのは、本件が直接には食品衛生法の違反ということでございますので、厚生省ともすぐに協議をいたしまして、私ども、全酪連に対しまして、まずは長岡工場の操業の停止、それから製品の回収ということをすべきであるということで指導をいたしたところでございます。  他方、厚生省さらに新潟県は、特に新潟県は三月九日、十日の両日、直接長岡工場に立入検査をいたしまして、食品衛生法違反の事実を確認したということでございます。そこで、三月十日付で食品衛生法に基づきまして営業禁止処分と製品回収命令を発出したということでございます。  私どもはその翌日、三月十一日月曜日でございますが、地方農政局と都道府県に対しまして、飲用牛乳を製造販売しておりますすべての乳業工場に対しまして立入調査を行うよう指示をいたしております。これは厚生省と連携をとりながら調査をいたしておりますが、これまでのところ約八割の工場につきまして調査を終了いたしておりまして、私どもが現在都道府県から受けている報告では、ほかの工場でそのような不適正な事実はないという報告を受けております。残りの工場につきましても三月中に調査を終了すべく、現在都道府県にも指示しているところでございます。  私どもといたしましても、今後かかる事態を再び招くことのないように指導には万全を期してまいりまして、消費者の飲用牛乳に対します不信感を払拭してまいりたいというふうに考えております。
  23. 森田邦雄

    森田説明員 御説明いたします。  全酪連長岡工場の今回の事例の事実関係につきましては、ただいま畜産局長から御答弁ございましたので、そのとおりでございまして、私ども、一般に食品衛生法に基づきますこのような乳処理場に対する食品衛生上の監視についてでございますが、これは各都道府県の食品衛生監視員が、使用する原材料ですとかあるいは最終製品、製造方法ですとか、その衛生管理の方法等につきまして、食品衛生法で定める基準に合っているかどうか、この確認のための定期的な立入調査を行っているわけであります。しかしながら、今回の長岡工場の事例のような場合につきましては、生の乳に脱脂粉乳等を入れた場合の検査方法というのは現在のところ確立していないということから、通常の立入調査で発見できなかったわけであります。  しかしながら、今回の事態、大変重要なことでございまして、私どもといたしましても、このようなことの再発を防止する観点から、直ちに各都道府県に対しまして、全酪連の他の四工場も含めまして、すべての乳処理工場に対して改めて立入調査を早急に行うように指示いたしまして、その結果でございますけれども、現在、違反のあった長岡工場のほかの全酪連の四工場、それ以外の全国の乳処理施設、食品衛生法の許可を受けている施設が全酪連以外で八百六十施設ございますけれども、これらにつきまして立入調査の結果、現在のところ、長岡工場のような違反事例があったという報告は受けておりません。  私どもとしましても、今回の事例を再度起こすことのないように必要な努力を行ってまいりたいと思っております。
  24. 栗原博久

    栗原(博)委員 ありがとうございました。よろしくお願いします。
  25. 松前仰

    松前委員長 矢上雅義君。
  26. 矢上雅義

    ○矢上委員 新進党の矢上雅義でございます。  本日は、保証乳価等の畜産物の価格決定を前にしておりますので、畜産関係について質問をいたしたいと思います。  まず、平成三年度の牛肉自由化、また平成七年四月からのUR合意を受けまして、新しい体制で畜産が行われておるわけでございますが、まず、国際化自由化影響を受けて、カロリー自給率が昭和四十年に七三%、平成元年に四八%、平成六年には四六%と低下する一方であること、また、飼料用も含めた穀物自給率では、昭和四十年に六二%であったのが平成六年には三三%と、およそ半減の状況でございます。  こういう自給率の半減も大きな問題でございますが、ちょうど一年前ですか、この委員会がございましたときに、共産党の藤田スミ議員からも、酪農家肉用牛農家、豚経営の農家、その戸数が非常に減少しておる、毎年四千戸ずつ減っていくと、十年で特に酪農家などはなくなってしまうのではないかということが藤田議員からも質問の中で行われておりましたが、きのう改めて見てみますと、酪農家昭和四十一年に三十四万七千戸あったのが平成六年には四万八千戸、そして平成七年の調査では四万四千戸と、ここ数年見ましても毎年四千戸ずつの減少が起きております。肉用牛農家に至りましては、昭和四十一年が百十六万三千戸、平成六年が十八万四千戸、平成七年が十七万戸と、一年間で一万四千戸の減少。また、養豚農家につきましては、昭和四十一年の七十一万四千戸から平成六年には二万二千戸、平成七年には一万九千戸と、ちょうど三千戸の減少になっております。これは、先ほど自民党の松下議員からも出ましたが、本当に農業政策がさいてきで自主的にやめていただいたのか、それとも政策が及ばずに、もう追い込まれてやめていったのか、どういう見方をするか、答えははっきりしております、この場では言いませんが。非常に厳しい状況でございます。  そういう中で、日本は昔から有数の農業国でございますし、現在も農業国です。最近では世界有数の工業国として頑張っておりましたが、バブルの崩壊と産業の空洞化ということで、改めて優秀な農業国家である日本ということを見直すとともに、今後の世界的な人口増加と食糧難を予測すれば、二十一世紀に向けて農林水産業の新たな積極的な振興策が望まれるわけでございます。その中で、基幹的な分野でもある我が国畜産業の位置づけ及び今後の役割をどのように評価されるか、大臣決意をまずお聞きしたいと思います。
  27. 大原一三

    大原国務大臣 畜産のみならず農業を取り巻く環境の中で、やはり我々が考えなければならぬことは、六十歳以上の方々が半数を超えるという今の農業経営の実態、十年たてば七十歳に必然的になられるわけでございます。そういう意味で、音を立てて農家経済、農家構造の大きな地すべり的変革の過程に今ある、このように私は思っております。  ただ、農家が減っていったいろいろな要因の中には、そればかりでなく、経営環境の厳しさによる離農というものもたくさんあると思います。そういう意味で、委員畜産県の御出身でありまして、総生産額の五割近くを畜産に依存しておるという実態、これは我々は直視しなきゃならぬと思っております。同時に、日本人のこれからの食糧構造の変化、もう顕著にあらわれているわけでございまして、動物性たんぱく資源への依存、それがお米の消費量の減退、そういったことへ移行しつつあるという実態も十分踏まえて、それならば一体、これから需要が拡大するであろう畜産物に対する生産対策はいかんという課題が大きく我々の前面にクローズアップされるわけでございます。  ことしの一月、農林水産省も苦労しながら、皆さん方と御相談して、いわゆる酪農畜産の将来方針というものを打ち出したわけでございますけれども、こういったことが絵にかいたもちにならないように、せっかく我々が構築した六兆百億円のウルグアイ・ラウンド対策、さらにまた牛肉による関税収入の農家への還元等も的確に行っていかなきゃならぬな、こう考えております。
  28. 矢上雅義

    ○矢上委員 ありがとうございました。  今おっしゃいましたように、特に中山間地におきまして、右を見ても左を見ても、牛を飼っておるところが多い現在でございます。いかに酪農とか畜産業が衰退したとはいえ、もう本当に宮崎熊本では、私の地元は人吉、球磨ですが、酪農家畜産農家が多くて、お隣近所には結構牛を飼っておるところが多いような状況がまだ残っております。少なくとも中山問地での基幹産業としての大きな役割がございますし、また、たんぱく質を中心とした食生活がこれからますます伸びるであろうということで、魚の場合には漁獲の乱高下がございますが、畜産物の場合には比較的一定した収穫がございますので、食生活に与える影響も大きい。そういう意味で、ただいま大臣が述べられた生産対策、また関税収入の農家への還元等を含めて、積極的にとり行ってほしいと思います。  続きまして、平成七年十二月策定されました「酪農及び肉用牛生産近代化を図るための基本方針」について御説明を伺いたいと思います。  まず、基本方針の中で、「生産、流通、消費に至る地域畜産構造の再編」と書いてございますが、私も勉強不足で、また説明も受けておりませんのでよくわかりませんが、具体的にはどのようなことを意味しておられるのか、まずそのイメージについてお聞きしたいと思います。
  29. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 お答え申し上げます。  基本的な考え方につきましてはただいま大臣からお答え申し上げたとおりでございますが、この酪農肉用牛近代化基本方針を策定する際に、農林省全体としては、需要と生産の長期見通しを作成したわけでございます。そうした長期的な需要と生産の見通しに合わせまして酪農肉用牛近代化基本方針を策定したところでございます。  その中で、先生が御指摘になりました「生産、流通、消費に至る地域畜産構造の再編」ということをうたったわけでございますが、その基本的な考え方といたしましては、一つには、経営感覚にすぐれた効率的、安定的な経営体が生産の大宗を担うような生産構造を実現していくように目指していこう。それから、加工、流通、販売の部門でございますが、それぞれ各部門におきまして合理化を推進していこうということでございます。さらに、消費者のニーズが多様化をいたしておりますので、そういう消費者のニーズに対応するように、価格なり、安定的な供給ができるような体制をつくっていこうということを基本的な考え方といたしております。  したがいまして、経営感覚にすぐれた効率的、安定的な経営体というのを育成していくということで、それぞれ生産面での対策をかなり充実させてきておりますが、そういった面にも今後配慮していく必要があるというふうに考えておりますし、また、その前提となります畜産基盤の総合的な整備も大変重要だというふうに考えております。  他方、経営をめぐる環境対策畜産環境問題が昨今かなり提起をされておりますので、畜産環境対策の充実にも意を用いているところでございますが、また、あわせまして、生産、流通、消費に至る全体的な構造の中で、価格安定対策、あるいは昨今の国際的な穀物相場の高騰といった面に配慮した流通飼料対策の適切な実施というのも重要な課題でございます。  そういった全体の政策を総合的に推進して、先ほど申し上げましたような基本的な方向が実現できるように努力してまいりたいというふうに考えております。
  30. 矢上雅義

    ○矢上委員 私がお聞きしたいのは、「生産、流通、消費に至る地域畜産構造の再編」と書いてあるものですから、今総論的にお伺いしたことではなくて、例えば地域の中で、生産者とか流通、消費者のニーズにこたえるものを地域ごとにつくり上げるということでしょうか。その辺をお聞きしたいのですけれども
  31. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 お答え申し上げます。  ここで「地域畜産構造の再編」とございまして、どちらかといえば各地域あるいは県単位で生産構造あるいは加工体制が整備されております。ただ、消費なり流通は全国的な範囲で行われているわけでございますので、そういう意味では、基本的に言えば、まずは地域生産あるいは加工・出荷体制といった面で近代化合理化された生産体制あるいは加工・流通体制を整備していくということが基本でございます。
  32. 矢上雅義

    ○矢上委員 最近では野菜だけでなく畜産物も安値安定ということが定着しておりますが、地域のものを地域で消費するというような体制も含めてこれが書いてあるのかと思ったものですから、あえて質問をいたしました。時間がございませんので、これはまた別の機会に残させていただきます。  次に、御存じのように配合飼料価格が乱高下いたしております。特に昨年秋以降二度の値上げで五千六百円アップ、また平成八年四月から六月の間でトン当たり二千六百五十円の値上げになると、合計トン当たり八千二百五十円の値上げになるということでございます。経営安定のためにも自給飼料の供給をふやしていこうとよくスローガンとしてはうたわれておりますが、現実にはどうであろうかということをお聞きしたいと思います。  特に、輸入物の配合飼料が安いときには自分でつくるよりも買った方が安いのじゃないかという声も聞かれますし、また逆に、今回のように配合飼料が高くなると自給飼料の基盤整備も大切だということが出てまいりますので、これは昔から一つのスローガンとして自給飼料の基盤整備がうたわれておりますが、着実な進展がなされているかどうか、現在の整備の状況についてお聞きしたいと思います。
  33. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 先生指摘のとおり、配合飼料価格は国際相場の動向によってかなり影響されるということで、昨今のシカゴ相場の高騰を反映して配合飼料価格の値上げがされたところでございます。  私どもは、配合飼料価格につきましては、できるだけ農家負担を軽減するようにということで、民間の価格安定機構、さらには国が助成をしております、いわゆる親基金と申しておりますが、両基金からの補てんで農家の負担を軽減するようにという措置をとったところでございますが、他方、御指摘のとおり、国際的な穀物の需給の状況というのは極めて不安定かつ不透明なところもございます。したがいまして、国内で自給飼料を安定的に供給していくといったことは大変重要であろうというふうに考えております。  したがいまして、私ども草地の基盤整備につきましても、現在は第四次の土地改良長期計画に基づきまして、その中で畜産公共事業におきまして計画的に草地の造成、整備を進めているところでございます。平成五年度について申し上げますと、約一万七千ヘクタールの草地の造成、整備を行っております。これまでの累計で申し上げますと、草地の造成面積は約五十三万ヘクタール、草地の整備の面積が約二十四万ヘクタールということになっております。今後とも草地整備については十分配慮してまいりたいというふうに考えております。
  34. 矢上雅義

    ○矢上委員 自給飼料の供給体制につきまして、特に酪農家で規模拡大されたところは、自給飼料も欲しいが、搾乳をやってその合間に自給飼料の手入れ、また刈り取り等をやることが大変きついということもございますので、この自給飼料基盤整備に当たりましては、受委託を含めまして外部に頼めるとか、低コストで、また作業量を少なくして供給体制を図られるような、そういうバックアップも図りながら草地の基盤整備を進めていただくことを要望いたします。  続きまして、畜産環境問題への取り組みの問題でございますけれども、御存じのように各地域で堆肥センターの建設が進んでおりますが、運営状況をどのように把握しておられるのか、現在の問題点及びそれに対する対策はどのようにしておられるのか、その二点についてお聞きしたいのでございます。  特に中山間地帯では、家庭から出る生ごみ、製材所からののこくず、家畜ふん尿というぐあいに、うまくごみを資源に変えることができます。また、先ほど申し上げました飼料価格の問題が入り口であるとするならば、ふん尿処理はまさしく出口の問題でもあり、これへの取り組みは不可欠なことでございます。したがいまして、この堆肥センターの建設、運営は大変重要なものでございますが、現在、特に第三セクターの方式では赤字がまず避けられないということと、せっかくつくった堆肥も、その流通をどうするか、つくったはいいけれども手ごろな値段で売れるのか、また、買い手をどうやって見つけるか、いろいろございます。特に、これから大きな堆肥センターだけでなくて、小さな、個人でも処理した堆肥をどのように流通に乗せるか、大きな問題でもございますので、これらの点について、運営状況、また問題点など、そして対策をどのようにするか、お答えいただければと思います。
  35. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 現在農協とか営農集団等が運営いたしております堆肥センター、全国ではおよそ二千カ所というふうに承知をいたしております。このほか、市町村、第三セクター等がみずから運営を行っている堆肥センターが十七県で三十一カ所というふうに承知をいたしております。  確かに運営面で難しい問題を抱えているということは承知をいたしております。私どもとしては、先ほど先生から御指摘ございました畜産環境問題に対処していくというのは大変重要であるというふうに考えておりまして、畜産関係の公害処理施設に対しまして公共事業あるいは非公共事業でいろいろな事業を用意し、あるいはリース事業を用意しているところでございますが、特に家畜ふん尿にその地域で出ます生活の生ごみとか食品加工の残燈といったものを副資材として加えて活用いたしまして一体的に処理するということも一つの有力な手法であるということで、これまでも現実にそういう事業が行われているところもございますが、予算面でも支援をしていきたいということで、現在御審議をいただいております平成八年度の予算におきましても、家畜ふん尿にそういった地域の有機質資源を加えまして一体的に処理していく、いわば畜産農家地域との連携によって家畜ふん尿処理対策を推進していくという面から、そういった処理施設を整備するための事業を創設いたしまして、平成八年度に計上いたしております。  従来の事業とあわせまして、こうした新規事業も活用しながら、家畜ふん尿処理対策の推進に努めてまいりたいというふうに考えております。
  36. 矢上雅義

    ○矢上委員 追加して質問でございますが、地元でよく、市町村の第三セクターで堆肥センターをつくるときに、地元議会で商工関係の議員さん、農林関係の議員さんがおられますが、堆肥センターは農業者の問題であるのに何で地元の自治体の予算を使うのだという批判が一つございます。それを払拭してきちんと運営していくためにも、先ほどから申しました食品加工の残とか生ごみ、製材所からののこくずとか、幅広く含めてごみを資源に変えるという哲学を持って打ち出していけば、農林水産省の予算だけではきついでしょうけれども、これを軌道に乗せることはできるのではないかという視点に立った積極的な運営がひとつ必要ではないかということ。  あと、何日か前の農業新聞に出ておりましたが、千葉県だったですか、パソコン通信か何かで、いろいろ堆肥を必要とする農家、農協、また堆肥をつくっておる畜産農家などをネットワークで結んで、どういう種類の堆肥をどのくらい欲しいかとか、適正価格でこのくらいの値段だったら売りますよとかいう事業が載っておったのですけれども農林水産省としては、そういう事業に対しては既に支援しておられるのか、それとも今後支援されていかれる予定でしょうか。
  37. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 お答え申し上げます。  堆厩肥の流通に関しましては、そういった堆厩肥の流通利用を促進するためのシンポジウムとか共励会、あるいはそうした関係の情報の収集、提供、あるいは堆厩肥の成分分析とか実証的な圃場を用いた投入効果の実証展示、そういった面での支援を国としても予算を組みましてしているところでございます。  また、堆肥センターの運営につきましては、基本的には利用料によって賄うというのが原則であろうかと思いますけれども、国といたしましても全体的な利用調整等の指導費については助成をしているという実態にございます。
  38. 矢上雅義

    ○矢上委員 私も質問の通告がちょっとおくれましたので、このことは、私が先ほど申し述べました今後の運営につきまして、畜産ふん尿処理というのは公共性の高いものであるので、いろいろな分野のものを巻き込んで、できれば第三セクターでも、赤字は大変でしょうけれども、赤字が出ないように努力していく。そのためにもまた、先ほど申し上げましたパソコンを利用したネットワークの体制を、各地方自治体でもやろうとしておりますので御支援を願いたい、そこの二点を要望いたします。  次の問題に移ります。  次に、酪肉の基本方針の中で、「経営感覚に優れた効率的・安定的な経営体」の育成がうたわれておりますが、認定農業者となった畜産農家に対しての適切な営農指導、研修が行われているのか、特に融資制度や税制における特典などの啓蒙活動についてお聞きしたいと思います。  実は、この間地元に帰りましたときに、肥育農家の方がやはり認定農業者になっておられました。それで、新しく営農計画を出して融資をお願いしたところ、おたくの土地じゃ担保にならないから難しいんじゃないのと言われたと。土地を担保にして出すのか、営農計画を基本にして融資するのかとか、いろいろ混乱が出ておりますので、その辺、営農計画を認定された認定農業者に対する融資のあり方とか、それについての地元の農業者に対する研修等が有効に行われておるのか、その点についてお聞きいたします。
  39. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 基本的には、認定農業者の認定というのは、今後あるいは将来の営農計画に基づいて認定をするというものでございますが、そうした認定農業者、現在、平成七年末で、酪農経営で四千九十四、肉用牛経営で二千八百三十五という農家を認定いたしているわけでございます。  こうした認定農業者に対しまして、畜産関係でいいますと、農業経営基盤強化資金、いわゆるスーパーL資金でございますが、そうした低利の資金の融通、さらに税制面では割り増し償却制度の活用といった税制上の特例、さらには経営改善支援センターにおきます経営相談とか研修会、そういった情報の提供といった予算あるいは融資面での優遇措置を講じているところでございますので、今後ともそういった税制面なりあるいは融資面、事業面からの支援を含めまして育成に努めてまいりたいというふうに考えております。
  40. 矢上雅義

    ○矢上委員 局長にもう一度確認のためお伺いしたいのですが、畜産農家の場合には、主に中山間地に住んでおる。そして、中山間地に住んでおる人の土地の値段というのは、あってないようなものでございますので、スーパーL資金とかこういうものを貸し付ける場合の担保というか、貸し出すときの根拠というのは、土地にするのか、それとも以前言われておりました、若手の人がビジネスに挑戦する場合には、若い人は資産がないから、その人の能力とかその人のビジョンに対して投資するんだとかいう話も以前は出ておりましたが、このスーパーL資金におきましてはどちらにウエートを置かれるのでしょうか。経営計画の健全性と将来性に根拠を置くのか、土地の担保に置くのか。  仮に土地の担保価値について置くのであるとすれば、中山間地の営農者はまず借りられないということになりますので、この認定農業者の特典というものは非常に削減されてくることになりますが、その辺について御意見をいただければと思います。
  41. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 営農計画の樹立あるいはそれに伴います融資というのを一般的に私からお答え申し上げるのもなかなか難しいことでありますけれども、それぞれの地域状況、それからその中で認定農業者の方々が今後どのように酪農なり肉用牛経営なり営農計画を立てて今後の営農を進めていくか、そういう営農計画の具体的な内容にもよ ると思いますので、それぞれの個別のケースに応じて御相談ということでありますけれども、融資の担保についていえば、信用保証協会の活用とか、そういったこともありますが、いずれにしましても、具体的な営農計画に基づいて個々のケースで御相談をいただくということになろうかと思います。
  42. 矢上雅義

    ○矢上委員 私の聞き及ぶ範囲では、その実態は土地の担保が根拠になるだろうと認識しておりますので、この点についてさらにどういうふうに詰めていかれるのか、検討をお願いいたします。  そこで、次の質問に移らせていただきますが、ウルグアイ・ラウンド合意後の環境の変化と対応についてでございます。  ちょうど平成七年四月より一年たとうとしておりますが、どのような環境変化が見られるか。特に、食肉及び乳製品の輸入状況、そしてそれが国内畜産農家に与えておる影響について、一言、短くて結構でございますので感想なりを申し述べていただくとともに、急激な変化に対応して特別セーフガードや関税の緊急措置が設けられておりますが、その実効性及び問題点について、御認識を伺いたいと思います。
  43. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 お答え申し上げます。  ウルグアイ・ラウンドの実施の二年目に入ったわけでございますけれども、御承知のとおり、ウルグアイ・ラウンド合意では、牛肉につきましては特別のセーフガードということで、一定の輸入急増があった場合に関税を五〇%まで引き上げるといういわゆるセーフガード、さらに豚肉につきましても、差額関税制度のもとで輸入基準価格を引き上げるというセーフガードを措置したところでございます。  さらに、牛乳・乳製品につきましては、関税化をいたしましたけれども、いわゆるカレントアクセスを乳製品に設定をいたしまして、畜産振興事業団の一元輸入のもとで、安定的な輸入と申しますか、外国からの輸入については一定のカレントアクセスの枠内にとどめるという措置をとったところでございます。  他方、輸入状況でございますけれども牛肉につきましては、平成三年の牛肉輸入自由化後かなり輸入量は増加をいたしております。それに伴いまして国内の、特に乳用種の牛肉価格が低下しているということでございます。それに対しまして、子牛の補給金を補給いたしまして国内の肉牛経営の維持を図っているわけでございますが、最近では輸入牛肉輸入量がやや鈍化の傾向を示しております。また、最近では国内の中級の牛肉に対する需要が強含みになっているということで、国産の和牛の中級品の価格が強含みで推移しているという状況にございます。  他方、豚肉につきましては、昨年国内生産がかなり落ち込んだということもございまして輸入の急増が見られたところでございますけれども、これは、今申し上げましたいわゆる豚肉の緊急措置、セーフガードが昨年十一月から発動されておりまして、その後、国内の豚肉の卸売価格はかなり高水準で推移をしているという状況にございます。  他方、乳製品につきましては、輸入はやや増加という感じでございますけれども、他方脱脂粉乳、バターにつきましては、カレントアクセスを設定いたしまして畜産振興事業団が一元輸入をするという制度措置したところでございますので、昨年は脱脂粉乳につきましてはカレントアクセスに相当いたします約一万八千トンでございますが、それと国内の脱脂粉乳が不足をいたしましたので、その不足に対応するということで一万七千トン、合わせまして約三万五千トンの脱脂粉乳の輸入を行ったところでございます。
  44. 矢上雅義

    ○矢上委員 先日、中央酪農会議のアンケートで、昨年からことしにかけて酪農経営を中止した農家を対象にしたアンケートがございます。昨年からことしにかけてと書いてございますので、ちょうど平成七年四月よりのウルグアイ・ラウンド合意が実施されてからに該当すると思います。  やめた理由で、経営者の高齢化が四割、後継者難が四割、経営の悪化、借金を返せないが四・七%、ふん尿等の畜産公害が二・八%、あと最後に、先行きが不透明でやめたというのが一一%ほどありまして、やめられた方々の大半は、ほかの作物に移るとか新しい職を探すとかされておられるわけでございます。  この一年の間にこれだけの明確なアンケート調査が出るということは、一般に言われておりますように、特別セーフガードや関税の緊急措置は確かに一時的にはさいていでも、徐々に輸入量がふえていく。近代化方針の中で唯一生産拡大が望めるのは酪農畜産分野であるとうたわれておりますが、生産拡大というよりも消費拡大が正しいわけですね。多分、総消費量が伸びるのは畜産業である。しかし、総消費量の中でシェアを占めるのは、輸入畜産物が徐々に割合をふやしていって、国内の畜産物が徐々に減退していくか、もしくは現状維持をするかというような認識を農家の方がお持ちであるからこそ、昨年からことしにかけて酪農経営を中止された方々のこういうアンケート調査が明確に出てきたのではないかと思います。  こういう中で、平成七年から酪農経営体育成強化緊急対策事業とか地域豚肉生産安定基金造成事業などをやっておられますが、こういう緊急対策事業に対しましてもより強い支援をしていただくことを要望いたしまして、この三番目の問題は終わらせていただきます。  次の問題に移らせていただきますが、四番目として、畜産経営の低コスト化のための規制緩和についてでございます。  これも、農林水産部会とか委員会のここ二、三年の議事録等を見ますと、畜舎等の建築基準緩和や固定資産税の評価の見直しについて、流通飼料の低コスト化について、農業用大型トラクターの車検について、動物用医薬品について、もうしょっちゅう出てくる問題で、こういう資材関係を何とかしなければ畜産物価格生産費を抑えることはできないと言われてもう何年もたっておりますが、特にことしにおきましては、固定資産税の評価の見直しとか農業用大型トラクターの車検等について前進が見られますし、またその他の先ほど述べました部分につきましても大きな前進があったとお聞きしますので、ぜひそのあたりについて、現在の状況の御説明をいただければと思います。
  45. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 お答え申し上げます。  畜産経営の安定、合理化のために資材面での生産コストを低減していくということは大変重要なことであると認識しております。  そのうち、配合飼料価格につきましては先ほどもう御説明申し上げました。これは国際的な穀物相場の影響を大変大きく受けるという分野でございます。昨今の国際相場の高騰に対しまして、私どもとしては、農家の負担を軽減させるということで、民間の主体的な価格安定基金、さらには国が助成をいたしておりますいわゆる親基金からの補てんによりまして畜産農家の負担の軽減を図っているところでございます。  他方、飼料面につきましては、配合飼料価格の補てんに加えまして、基本的には、例えば配合飼料メーカーの近代化合理化ということがございます。そういった面については、開銀融資等融資面での支援措置を講じているところでございます。  また、農家に対しましては、トウモロコシとか大麦を丸粒のまま単体で使えるようにということで規制緩和措置を講じまして、昨年から直接使えるように措置をしたところでございます。ただ、制度が新しいということと、大きい規模の農家ですと使えますけれども、中小の農家の方ですと一つ農家単位ではなかなか使いがたいということもございますので、今後共同で使うようなことも指導してまいりたいと考えております。  それから、動物医薬品につきましては、これまで承認手続の簡素化あるいは国家試験の手続の簡素化、さらには抗生物質につきましては国家試験の承認を廃止したということもございます。そういった規制緩和面からの簡素化ということは今後とも進めてまいりたいと考えております。  それから、畜舎等の建築コストでございますけれども、畜舎建設、特に建築基準面からの緩和というのをこれまでやってまいっておりますが、なおさらにコスト低減の面から推進しようということで、現在、建設省を初め関係各省にも御協力をいただきまして、畜舎建設に係る関連基準等に関する検討会を開催いたしております。八年度中には結論を取りまとめて、それに基づきまして推進をしてまいりたいというふうに考えております。
  46. 矢上雅義

    ○矢上委員 ただいま局長より説明いただきました規制緩和については、ことし一年間の間に結構大きく進んだ部分ではないかと思います。本当に感謝いたす部分でございます。  あと一つだけつけ加えさせていただきますと、畜舎の固定資産税の評価の見直しですが、これは自治省から通達を出されたとお聞きしておりますが、通達を出しさえずれば末端の農家にまできちんと伝わってそれが改善されるのか、それとも農家の方から自主的に届け出をしないと変わらないのか、その辺はどうなっておるのでしょうか。  もしその辺が明確でないとか、ただ通達だけでは足りないとなれば、きちんとその実効性が担保できるように御指導いただければと思いますが。
  47. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 畜舎用地に対します評価につきましては、今先生が御指摘されたとおり、既に自治省から評価の仕方についての留意事項が、各県に対しまして指導通達が出されたところでございます。私どもも、各県の畜産担当者に対しまして、そういう自治省からの指導があるということで連絡をし、指導しているところでございます。  具体的には今後、平成九年度の土地の評価がえに当たりまして、こうした自治省の考え方に基づきます評価が行われるというふうに承知をいたしておりますので、私ども、各県の畜産担当者を初めといたしまして、関係団体を含め、十分そうした指導が行き渡りますように指導してまいりたいというふうに考えております。
  48. 矢上雅義

    ○矢上委員 固定資産税の評価の見直しについては、直接メリットがあることでございますので、平成九年度からきちんと開始できるように周知徹底をお願いいたして、次の質問に移らせていただきます。  続きまして、今話題となっております畜産物価格決定について、これは農林水産大臣大原大臣にお聞きしたいのですけれども、ちょうど三月二十一日の畜産振興審議会の飼料部会で、畜産物価格算定には飼料価格動向を適切に反映させること、また配合飼料価格安定制度の適切な運用で農家負担の軽減を図ることなどなどが決議されたとお聞きしております。  農家の既存債務の状況また農産物価格全体の低迷状況を考えますと、非常に厳しい状況でございます。二十一世紀に向けて明るい展望が開けるように、また皆様方の営農意欲をますます向上してもらうためにも、保証乳価またその他の畜産物価格等現行価格維持は不可欠と考えますが、大臣決意をぜひお聞きしたいと思います。
  49. 大原一三

    大原国務大臣 先ほどから畜産局長委員の議論をるるお聞きをしておりました。畜産の厳しさというものを委員も十分スタンスとして持っていらして、積極的な提言を含めた質問でありました。  いよいよ明日、明後日に迫った畜審価格決定でございますけれども、先ほども申し上げましたが、生産費調査がかなり格差のある数字が出てまいりましたことを我々は大変厳しく受けとめているわけでございます。にもかかわらず、御指摘のありましたような現在の畜産農家の経営の実態等々を踏まえ、各方面の御意見を十分聴取しながら合理的な決定をしていかなければならぬな、かように考えております。
  50. 矢上雅義

    ○矢上委員 特に今回の畜産物価格決定当たりましては、配合飼料価格の先行きが不透明、それも上がり調子であるということを考えますと、これは大変深刻な問題でございます。与野党足並みをそろえて頑張らせていただきますので、ぜひ今晩そしてあさってと、大原農林水産大臣の御活躍を期待いたしております。どうかよろしくお願いいたします。  続きまして別の質問に移らせていただきますが、いわゆる全酪連の長岡工場牛乳水増し事件とマスコミでよく言われておる事件でございますが、事件の概要についてと、またこの事件がどのような経過から発覚したのか、その発覚の経過を重点的に教えていただければと思います。
  51. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 お答え申し上げます。  去る三月九日、全酪連の長岡工場におきまして、生乳に脱脂粉乳、生クリーム、水を加えたものを牛乳として販売していたという食品衛生法違反の事実が判明したところでございます。私どもは、厚生省、全酪連からの連絡もございまして、事実を三月九日の午後から夕刻にかけて承知をいたしたところでございます。  私どもは、事件の発生を承知をいたしました三月九日の夕刻、直ちに厚生省と協議をいたしまして、全酪連に対しまして長岡工場の操業の停止と製品の回収ということを指導したところでございますが、他方、食品衛生法は直接には厚生省が担当しているわけでございますが、新潟県は、三月九日、十日両日、長岡工場に立入検査を行いまして、食品衛生法違反の事実を確認いたしました。その上で三月十日付で、同法に基づきまして営業禁止処分及び製品回収命令を行ったということでございます。  私ども農林水産省は、翌三月十一日付で、地方農政局、都道府県に対しまして、これは厚生省と連携をしながらということでございますが、飲用牛乳を製造販売しておりますすべての乳業工場に対しまして実地調査を行うよう指示をいたしております。これまで約八割の工場について調査を終了いたしておりますが、現在までのところ不適正な事実はないという報告を受けているところでございます。残りの工場につきましても三月中に調査を終了すべく、都道府県に対しまして指示をいたしているところでございます。  私ども農林水産省は、厚生省とも連携をとりつつ、今後とも指導に万全を期してまいりまして、消費者の飲用牛乳に対する不信感を払拭するよう全力を挙げてまいりたいというふうに考えております。
  52. 矢上雅義

    ○矢上委員 私も実は東京に出てまいりましてから全酪連の牛乳を毎日飲んでおります。ライブワンというブランドでやっておったと思いますが、非常に積極的にやっておって、毎日うちの嫁さんと一緒に飲んでおったのですが、この事件が起きてから、隣近所本当に評判が悪いですようちは生協を通して全酪連の牛乳を飲んでおったのですが、こういうことが一件でも起きると、うちの牛乳も大丈夫かなと生協に確かめますと、工場が違うから大丈夫とおっしゃいます。  それはそれで信じるとして、ただ残念なのは、厚生省の立入検査ですか、二年か三年やっておったのでしょう。立入検査をやっていたのにわからない。わからないものがなぜ発覚したかというのは、それは多分内部告発か何かあったのじゃないでしょうか。その辺をはっきりお聞きしたいのと、仮に内部告発がなければ厚生省も農林水産省もこういう事態に気づき得ないとすれば、仮に今までのように通常検査をほかの工場でやったとして、厚生省、農林水産省の力で今後の再発防止が図られるのか、その辺についてどうお考えでしょうか。
  53. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 食品衛生法は厚生省が直接には担当いたしておりまして、御指摘のように、厚生省の指導のもとに各都道府県で立入検査を行って、調査しているということでございます。  ただ、私ども畜産行政を担当している者として、日ごろから飲用牛乳につきましては、新鮮でかつ良質な牛乳消費者に提供するようにということで、幅広い活動を支援してまいったわけでございます。ここ二、三年、牛乳の消費運動につきましても国が支援し、牛乳消費の拡大に努めていたところでございます。そういうさなかにこういう事件が起きたということは、私どもも大変遺憾に思っております。  先生指摘のように、厚生省の立入検査でもなかなか発見が難しかったという事実については私ども承知をいたしておりますけれども、私どもとしては現在、厚生省ともども、全工場の立入検査をやっております。これまでのところ、長岡工場のような不適正な事実というような報告は受けておりません。早急に検査結果も取りまとめをいたしまして、消費者牛乳に対します信頼感というのをぜひとも何とか早急に回復してまいりたい、そのために全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
  54. 矢上雅義

    ○矢上委員 改めて申しますが、私たち会議員でさえ、新聞を見て、ああそうかと教えてもらいまして、そして農林水産省は厚生省から教えてもらいまして、そして厚生省は検査したけれどもわかりませんでしたと。ということは、やはり厚生省に教えてくださった親切な方がおられたわけでしょうから。私たち農林水産委員会のメンバーぐらいにはきちんと、事件の経過、そして、なぜ事件が発覚したか、そこが一番大事です。内部監査制度というものをきちんとつくって、偶然の内部告発に頼るのではなく、きちんとした内部監査制度みたいなものをつくらないと、せっかく保証乳価で頑張っても、こういう不祥事が起きると、また大蔵省からも責められますし、国民からも責められる。これは大変難しい問題だと思います。これは二度と起こしてはならない問題でございますので、ぜひその辺の経過については、後日、委員会委員もしくは各政党なりに経過報告をしていただきたいという要望をいたしておきます。  続きまして、時間がもうございませんので、次に先ほど出ました狂牛病の問題についてちょっとお聞きします。  狂牛病がどういうものかというのは、先ほど御説明をいただきました。そして、先ほど御説明いただいた中で、伝染する経路としてえさがある、例えば牛とか羊の骨粉があるとおっしゃいました。そういう中で、日本の場合には、生きている牛と生の肉はイギリスから輸入しないということですが、うつる経路として牛乳があったり、肉があったり、骨粉があったりするわけですから、生きた牛、生肉以外の、例えばペットのえさで入ってくる場合、冷凍食品で入ってくる場合、そのほかに脱脂粉乳で入ってる場合とか、成分として、加工食品として入ってくる場合、いろいろございます。この辺についての対応は、もうきちんと把握されておられるのでしょうか。
  55. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 先ほど申し上げましたように、この疾病伝染力あるいは伝染の形態についてはまだまだ解明すべき点が多いというふうに考えられますが、現在のところ、伝染の一形態といたしまして、牛とか羊に由来をいたしますたんぱく質飼料一つ伝染形態であろうというふうに英国では言われております。そこで、英国内でもそうした飼料を牛とか羊には使用しないようにと禁止されているところでございます。  先ほど申し上げましたように、イギリスからの生きた牛と牛肉輸入は禁止になっております。それで、牛肉の調製品については輸入は可能でございますが、実際には日本への輸入というのはほとんどございません。かなり少量でございます。また、一般的に本疾病につきましては、加熱処理をした後の伝染力は極めて弱いというふうに報告を受けております。
  56. 矢上雅義

    ○矢上委員 ただいま局長より加熱処理という言葉が出てきまして、まるでエイズ問題でも思い起こすような気がしますが、これも非常に伝染経路が不明確だけれども、事件が大きく報道されているということでございますので、万全の体制をとられて、すき間からこぼれてこないように、ぜひ御指導をお願いいたします。  そしてあと、こういう問題について、農林水産省また政府の立場で特別な対策を立てるお考えはあるのか、できれば大原農林水産大臣よりお考えをいただければと思います。
  57. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 ただいま御説明申し上げましたように、イギリスからの生体の牛それから牛肉は禁止になっておりますので、その意味で、私ども、現在の防疫措置をきちんとしていくということがまず基本的に重要でございます。  そうした意味で、これは動物検疫所が空港あるいは港で所管をいたしておりますけれども、そうした英国からの輸入については万全の注意を払って、完全な措置をしてまいりたいというふうに考えております。
  58. 大原一三

    大原国務大臣 今のお話を聞きながら、実は私、ロンドンへ昨年行きましたときに、ロースハムを、ここは世界で一番おいしいのだというのを食わされてしまって、後で、最近聞きまして、えらいものを食ってしまったなと思っております。  先ほどエイズ問題の引用もございましたけれども、後で反省しても間に合わないことがいっぱいあるのではないのかな。そういうことを考えますと、今口蹄疫があるからイギリスの牛は輸入しないのだ、それが一つの防波堤になっているようでありますが、脳みそがスポンジ状になってしまってということは、これは大変な病気でございまして、我々としてももっとこの対策を考えなければいかぬな、そんな気持ちであります。  そういう意味で、我々も十分今後検討してまいらなければいかぬと思っております。
  59. 矢上雅義

    ○矢上委員 経験のあります大原大臣のお言葉でございますので信用しまして、大原農林水産大臣の今後のリーダーシップに期待いたします。ぜひ万全の体制をとっていただきたいと思います。  続きまして、時間がございませんので、ひとつ要望とさせていただきますが、長野経済連のやみ米事件といいますか、やみ米が流出してどうなったか、これはきちんと対策を立てていただくこと、関係者の特定をきちんとすること、それともう一つ、何らかの不正な利益が出ているとして、そのお金の流れはどうなっているのか。  また、もうあと一、二分ありますので、何らかの不正な利益が出ているとして、これはどこにいったのでしょうか。捕まった人の懐に入ってしまったのか、組織に残っておるのか、この辺の解明は進んでおるのでしょうか。できればこの点にだけぜひお答えください。
  60. 高橋政行

    ○高橋政府委員 ただいまの長野県経済連のやみ米の事件でございますが、これは長野県の経済連が平成二年十月から平成四年四月までの間に、県内で生産されました平成二年産米と三年産米約七千五百トンを埼玉県の小売業者、これが山崎屋米穀店と言っておるわけでございますが、そこに売ったわけでございます。これは旧食管法時代では、そういう経済連がほかの県の小売屋さんに直接売るということは食管法違反になるわけです。したがいまして、その辺を隠ぺいしなければいけない、何とか隠すということで、長野県経済連は卸部門も持っておりますので、自分の卸部門に売ったとか、あるいはほかの卸売業者に販売をしたというようなことで、偽装といいますか、そういう経理処理をしております。  ところが、どうもそういうふうに経理処理をし切れないものがございまして、それが大体千七百トン、お金にいたしまして六億五千万円、これだけのものが経理処理できないということで未収金ということになったわけでございます。したがいまして、先ほど先生が御質問の、だれがどういう利益を得てどうなっておるのかという点につきましては、この六億五千万円の金が結局だれの懐に入っていってどうなっておるのかということが刑事的には問題になっておるわけでございます。  それで、我々食管法を所管しているということでの立場で申しますと、それぞれ長野県の経済連の行為につきましては食管法違反ということで、まず集荷業者といたしましては平成五年の四月二十日から五月十七日までの四週間、それから経済連の卸としての立場では平成五年四月二十七日から五月十七日までの三週間、この間の業務停止を行政処分としてさせております。それから、そのほか山崎屋米穀店につきましても平成五年六月十一日から七月一日の三週間、業務停止をしておるわけでございます。  それで、先ほどの未収金に絡んで、その辺の不正が一体どういうことかということにつきましては、我々としてもなかなか解明のできない点でございまして、長野県経済連の方から検察の方に告訴をいたしまして、我々はだまされたということで検察の方がずっと捜査を進めておりまして、このたび新聞報道のように、長野県の経済連の米穀を担当していた係長の酒井さん、それから山崎屋米穀店に勤務していた五十嶺、この両氏を背任ということで捜査をし始めたということで、我々としてはその辺の経過を見守っていきたいと思っておりますし、それなりの協力もしていきたいと思っておるところでございます。
  61. 矢上雅義

    ○矢上委員 この長野県の経済連の問題も捜査の途中でございますので、二度とこういうことが起きないように、調査結果等がわかりましたら、先ほどの全酪連の問題、長野県経済連の問題を取りまとめまして、また後日ぜひ御報告をいただきたいと思います。ぜひよろしくお願いいたします。  これで質問を終わらせていただきます。
  62. 松前仰

    松前委員長 永井哲男君。
  63. 永井哲男

    ○永井(哲)委員 社会民主党・護憲連合の永井哲男でございます。畜産及び乳価の関係について質問をさせていただきたいと思います。  特に酪農分野においては、農業の他の分野に比べて、長期見通しの中でも唯一といっていいほど増産が期待できる、将来的に明るい見通しがあるというような状況だと思います。そういう中で、乳価もそれにこたえるという形になるわけでありますが、その乳価の問題に入る前に、先ほどからも質問が出ておりますように、離農というものが大変進んでいる。北海道においても、毎日二戸近い酪農家が離農をしていくというような現状でございます。こういう離農の現実というものをどのようにとらえ、どのように対処するのか。そして、こういった離農というものを防がなければ、長期見通しに立てた増産が将来果たしてなし得るのかどうか、それが大きな問題だと思います。とりわけ、負債対策というものがより充実しなければならないと思います。乳価ではその部分はなかなか救えない。そういった部分をしっかりと負債対策で救っていかなければ、将来の食糧の自給ができなくなる。  また、それと同時に、新規就農の人たちに温かい配慮がなければならないと思います。昨日も私は地元で、五十戸近い酪農家のところをいろいろと調査をしてまいりました。その中で、千葉県から参入して三年になる、そういった新規就農の酪農家もございました。新しくやった場合にはなかなか、その土地も、草は生えているけれども栄養価が少ない、そういった牧草である。いろいろな事故も多い。新規就農のそういった部分に対して、余裕のある計画、余裕のある資金といったものも対処する必要があると思います。これらの点について御答弁をお願いしたいと思います。
  64. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 お答え申し上げます。  畜産、特に酪農をめぐる状況につきましては、先生指摘のような状況は私どもも承知しております。そういう中で農林省としては、先般、生産と需要の長期見通しを策定し、あわせて酪農肉用牛近代化を図るための基本方針を策定したところでございます。先生が御指摘のとおり、畜産物全体でいえば、消費は、伸び率は鈍化しておりますけれども、今後全体として拡大するであろう。そういう中で、できる限り国内の生産を維持、拡大していこうということで、生産の長期見通し、そして近代化基本方針を策定したところでございます。  その実現のためのプロセスというのはなかなか難しい面がございますが、特に、先般お示しをいたしました酪農肉用牛近代化基本方針の中では、モデル的な経営指標をお示ししてございます。そのモデル的な経営指標と申しますのは、現在の酪農家方々あるいは肉用牛経営の方々の中で、経営内容でいいますと上位の二、三割の方が実現しているような内容をお示ししてございます。  そういう経営指標では、コストも、一般的な、平均的な総コストに比べまして二、三割低いということを実現している農家方々の経営指標をお示ししたわけでございますが、全般的に、そういう現在実現されているような上位の農業経営、畜産経営を目指して努力をしていただきたい。私どもも、そういった面で総合的、全般的な融資、助成措置の面からの支援を積極的にしていきたいと考えているところでございます。  そういう意味でいえば、負債対策につきましても、平成七年度から融資面で、ウルグアイ・ラウンド合意対策の一環として融資措置を改善し、拡充したところでございますし、さらに新規就農対策につきましても、研修の充実あるいは新規就農資金の創設、充実等に努めているところでございますので、そういった総合的な対策のもとで、後継者の確保についても全力を尽くしてまいりたい、意を用いてまいりたいと考えているところでございます。
  65. 永井哲男

    ○永井(哲)委員 特にその運用については十分に柔軟に、これから行政でその対応をしていただきたいということを御要望申し上げておきます。  さて、乳価の関係についてお聞きをいたします。  この生産費調査、前年に比べて三円九十四銭落ちていると調査結果としては出るわけですけれども、これが実態に合うのかどうか。特に生産者サイドからは、実態に合わないという意見が強いのであります。  そういった中で、先ほどからも質問が出ているように、飼料、これをどう見るのかというのが非常にまた大きな問題だというふうに思います。ちょうど円高、そして価格も安いというときにぶつかったのが統計調査期間の間の事柄でありますが、しかし、これからの先行きの見通しというものも不透明である。アメリカにおいてもヨーロッパにおいても減反は緩和するということですけれども、減反緩和して直ちに見込まれるような増産というものが期待できるのかどうかといったような問題もあると思います。  在庫率も一〇・三%と、前年を三六・八%も下回る、過去五年の中では最低の在庫率であるといったような世界の状況、そしてまた、中国が輸出国から輸入国に転換しているといったようないろいろな状況の中で、この飼料価格というものをこれからの保証乳価の中ではどのように考慮していくのかという点についてお聞きをいたします。
  66. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 お答え申し上げます。  配合飼料価格につきましては、御指摘のとおり、生産費調査調査期間が昨年の八月まででございますので、その後の配合飼料価格の値上がりが反映されていないという事情にはございます。シカゴ相場の高騰によりまして、昨年の十月以来、二度値上げがなされておりまして、さらに、四月以降、四月から六月の間の配合飼料価格につきましても、先ごろ民間で値上げが確定したという状態にございます。  その中にありまして、私ども価格補てんの仕組みがございます。民間が主体となっている価格補てん、さらに国が助成をしておりますいわゆる親基金からの補てんと、二段階の補てんがございます。昨年の十月以来の二度の値上げの中でいえば、両基金からの補てんをいたしまして農家負担が軽減されるように措置したところでございますが、四月から六月の間の配合飼料価格の値上げに対しましても、農家負担が軽減されるように、両基金からの発動について最終的な詰めを行っているという状況にございます。  今後の国際相場の見通しにつきましては、確かに大変不透明で予測が難しい面がございます。先生が御指摘になったとおり、米国では一四、五%の作付面積の増加、あるいはEUでも作付面積の増加ということが報じられております。しかしながら、まだまだ、天候要因等十分に今後の動向を注視していく、十分に留意していくという必要があると考えております。  他方、乳価の算定に当たりましては、生産費調査が昨年の八月までの期間においてなされた調査であるということで、その後の配合飼料価格の値上がり、特に農家負担部分でございますが、これはさっきも申し上げましたように、かなり負担が軽減するようには措置しておりますけれども農家負担の上昇については適正に反映されるようにしてまいりたいというふうに考えております。
  67. 永井哲男

    ○永井(哲)委員 次に、労働時間の問題についてお聞きをいたします。  特に、生産者の意見との、実態に合わないという点では、この労働時間が最も大きな問題ではないかというふうに思います。そういう中で、例えば子牛が生まれるときの待機時間というものがこの統計上どのように評価されているかという点についてまずお聞きをいたします。
  68. 福島啓史郎

    ○福島政府委員 お答えいたします。  今先生から御質問のございました牛舎における分娩の際の待機時間でございますが、分娩までの急変対応あるいは獣医師が到着するまでの状況を把握する等、牛舎におきまして待機しておる時間につきましては、生産に直接かかわるものとして労働時間に算入しているところでございます。  しかし、自宅待機している時間でございますが、その間に家事等の他の用務を行っている場合など、要するに区分が難しい事情があるわけでございまして、これにつきましては生産に直結する労働としては扱っていないわけでございます。
  69. 永井哲男

    ○永井(哲)委員 今言われたように、自宅での待機時間というのが全くこの統計上にはあらわれていない。例えばそれが、全部は仮に無理だとしても、その何割かというものが当然その待機労働時間として算入されるべきではないかという問題があると思いますが、先ほど言った三円九十四銭というこの差というのは、そういった労働時間、これが含まれていない、そういう統計に基づくものだ、そういう限界があるということも理解しておかなければいけないと思います。  例えば生産費調査によりますと、一頭当たり百八・二八時間、四十七・四頭だ、二戸当たりでは五千百三十二時間の労働というのが生産費調査の労働時間でありますが、一方では、「畜産農家の経営状況について」というものでは、一戸当たり六千六百四十九時間の労働時間であります。生産に直結する、直結しないということだけでの労働時間の振り分けをしているわけでありますが、農家一人、一年間にどれだけ労働できるのか、どれだけ稼働できるのか。担い手がいなければ長期生産の見通しと増産ということもこれは成り立ち得ないわけであります。三千時間以上も働く、しかし、その働いた超過労働というのは、いわば超過勤務として割り増しを認められるものではない。こういった数々の問題というのがあると思います。また、男女の雇用賃金の差というのも、ほぼ倍近いような差によってこの生産費では評価されている。こういうような部分が積み重なって、生産者に、どうも実態と合わないのではないか、このように評価されているのではないかというふうに思うわけであります。  特に、こういった労働時間、そしてこの実態に合うような形での修正、これは労働単価の修正というものもありますが、その点についてはどのように考えているか、お聞きをいたします。
  70. 福島啓史郎

    ○福島政府委員 今先生質問のありました一戸当たりの労働時間でございますが、生産費調査ベースで見ますと、近年ほぼ横ばいで来ております。これは、先ほど先生指摘がありましたように、一頭当たりの労働時間は減っております。それと頭数増が相殺された状況になっているわけでございます。  また、一戸当たりの家族労働時間でございますが、これはヘルパーの利用などによって減少傾向で推移しております。雇用労働時間でございますが、平成六年は九十九・二時間が平成七年では百五十一・七時間と、五十二・五時間の増、五二・九%の増となっておりまして、こうしたことから、先ほど申し上げましたように、一戸当たり家族労働時間は平成四年以降減少傾向をたどっているわけでございます。
  71. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 お答え申し上げます。  私ども、基本的には統計情報部が行っております生産費調査の結果に基づいて算定を行っておりますが、その中では、先ほど御説明申し上げましたように、例えば飼料代につきまして配合飼料価格のその後の値上がり、その中での農家負担の上昇、そういった面については適正に織り込んでまいりたいということを申し上げました。そのほかにも、酪農の労働の周年拘束性あるいは厳しさといったことにも配慮いたしまして、労賃の単価につきましては、製造業の五人以上の労賃の単価を用いる、そういった配慮をこれまでもしてきているところでございます。
  72. 永井哲男

    ○永井(哲)委員 今、酪農家の皆さんは、本当に家族総出でぎりぎりの労働時間というものをやりくりして経営をしている状況だと思います。家族のうちだれか一人でもちょっと、二週間でも病気をするというような形になれば大変に経営に響くというような状況であります。大規模の投資をしているという形になれば、それが一億にもなる。それが、家族の一人が体の調子が悪くなるということだけで、そういった投資が全くむだになってしまう。そういう毎日の危険というものを感じながら酪農家は経営をしているという状況だと思います。  酪肉の近代化方針の中でも、ゆとりある経営というものを言っているわけであります。人間らしい生活というもの、そういったことを基本にしたこれからの酪農のあり方というものでなければならないと思います。そういう中で、ヘルパーというものをより多く、十分に認めることによって少しでもゆとりが生まれてくるのではないかというふうに思いますが、ヘルパーについてどのように考えていくか、そのことについてお聞きをいたします。
  73. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 酪農経営が、牛が毎日乳を出す、そういうことで休みのない労働であるということは、それはもう先生指摘のとおりでございます。また、労働の厳しさについても私ども承知をいたしているつもりでございますけれども、そういう中で、ヘルパーを活用して労働の軽減を図る、あるいは休みをとる、それは確かに一つの大変有効な手法であるというふうに私どもも認識をいたしております。そのために、これまでにも、ヘルパーの利用組合を設立していく、そのための基金を造成する、あるいはヘルパーの研修活動に対して助成をしていく、そういった対策を充実させてきたところでございます。  他方、乳価の算定に当たりましても、そういったいわばヘルパー活動の支援あるいは基金の創設といったことに加えまして、乳価の算定の中で、昨年度、今年度、平成七年度において、ヘルパーの利用が増加するであろうという見込みのもとに、二日分のヘルパーの費用を加算したというところでございます。
  74. 永井哲男

    ○永井(哲)委員 ゆとりある経営、あり得べき経営の姿という観点からも、本来、休日なりそういったものもどうあるべきだという観点からも、ヘルパーの乳価への算入ということについては、ぜひもっと大胆に前向きに進めていただきたいということを御要望申し上げておきます。  さて、生産費の中でも、これは三・五%換算でのものであります。実際に百キロ搾乳するというものではないわけでありまして、例えば同じ乳量を見た場合に、三・五%で七千九百四十九キログラム、これは実乳量としては七千百九十四キログラムである、約八百キロも少ない。百キロを純粋に搾乳をするということから考えれば、労働時間もより多くなるというような形になります。乳脂固形分の算定は、もっとそういった実態に合った方法をとるべきではないかという意見が生産者サイドに強いわけでありますけれども、その点についてはいかがお考えでしょうか。
  75. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 今御指摘のとおり、乳価の保証価格の算定では、乳脂率三・五%ということで換算をいたしまして百キロ当たりの算定をいたしているところでございます。これは、経緯的には昭和六十二年度から三・五%を基準として設定をいたしております。  御指摘のように三・八%での基準で算定をすべきであるという御意見もあることは承知をいたしておりますけれども、現在の実態を申し上げますと、三・五%の基準を満たすという牛乳はもうほとんど一〇〇%近いわけでございますが、三・八%に満たない生乳が現在四四%あるというふうに承知をいたしておりますので、そういう実態の中で三・八%を基準にするということは、実態としてはなかなか難しいということがあると思います。  他方、牛乳の消費がかなり多様化しているという面もございます。加工乳に対する需要あるいは低脂肪牛乳に対する需要というのも一部に増加をいたしておりますので、そういった高脂肪の牛乳にだけ需要が全般にわたっているということだけではない、むしろいろいろな乳脂率の牛乳に対する需要があるということも考慮しなければならないということがございます。  さらに、現在の取引形態を申し上げますと、三・五%を基準として乳価が設定されるということで、現在は三・五%を超える乳脂肪分につきましては生産者と乳業メーカーの間で加算が行われております。そういう実態にも配慮する必要があるということだと思います。
  76. 永井哲男

    ○永井(哲)委員 また、価格のあり方でありますけれども、多額を投資しているというような状況の中で毎年毎年価格というものが変わっていくのはどうなのか、長期的とはいわないまでも少なくとも中期的にある程度価格のめど、そういった安定、見通しといったものを示すべきではないか、こういう意見も多いわけでありますけれども、その点についての御意見をお伺いします。
  77. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 お答え申し上げます。  確かに酪農経営の中長期的な指針を示すということは大変重要だろうというふうに考えております。そのような意味で言えば、農林水産省全体といたしまして需要と生産の長期見通しをお示しし、同時に肉用牛酪農近代化基本方針をお示ししたわけであります。  その中では、全体として牛乳・乳製品に対する需要は今後とも、伸びは鈍化するにせよまだまだ伸びる分野である、それに対応して国内の牛乳生産体制も拡充していく必要があるということで需要と生産の長期見通しをお示しし、さらに肉用牛酪農近代化基本方針の中では、近代的なあるいは効率的な経営が生産の大宗を占めるような生産構造を目指すということでモデル的な経営指標もお示ししたところでございます。  他方、保証乳価につきましては、私ども、法律に基づきまして、毎年毎年、生産費調査の結果を基礎といたしまして算定をしているわけでございます。それぞれその年の生産状況、消費状況等、種々の要因を勘案して算定するという現行の法律制度のもとで運用してまいりたいというふうに考えております。
  78. 永井哲男

    ○永井(哲)委員 特に、現行生産費方式の不満点といいますかそういうものとして、農家の皆さんが努力して生産費を下げていく、そうすると保証価格が下がるというような仕組みの中でございます。努力をすればするほど手取りが少なくなるというようなことが起きるわけですけれども、そういった生産性向上分というものを農家にしっかり還元する、そういうことを考えてやるべきではないかというふうにも思うわけでありますが、その点について大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
  79. 大原一三

    大原国務大臣 農家も企業経営と同じでございますから、採算の合わない農業というのは存立てきないことは当然であります。民間企業では、生産性が上がりましたらその生産性の上昇による利益というのは、御承知のように、一部は労働賃金になり、一部は配当に向かい、一部は企業の内部留保になって、さらにまたその残りの部分が消費者へ還元される、こういうシステムになっておるわけでございますから、やはり我々が再生産、こういうふうに言う以上はそういった経済原則というものを踏まえて考えていかなきゃならぬだろう、こう思います。  ただ、私が申し上げたようなことが方程式になっておれば非常にやりやすいのでございますが、生産費の中身を見ましても飼料価格の問題、特に今回は飼料価格の問題等がございまして、これは過去形で出ているわけでございますから、今後、アメリカの穀物状況がわかるまでの飼料価格の上昇等はなかなか予測が難しいわけでございますが、必ずしも楽観を許さないわけでございますので、そういった個々の事情を勘案しながら当面価格決定をしていかなきゃならぬな、そういう気持ちでございます。  委員北海道において大変、特に酪農地でございますから、御苦労なすっておることもよく承知しております。北海道からもたくさんの方が大臣室に見えて、るるいろいろな酪農家お話も拝聴したところでございまして、今明日にかけてその問題に十分合理的に対処していかなきゃならぬな、かように考えております。
  80. 永井哲男

    ○永井(哲)委員 特に、先ほども言われましたように、この価格というものは、生乳の生産状況及び需給事情ばかりでなく、その他の経済事情というものを考慮しなければなりません。酪農地帯というのは他の産業に乏しいという中で、地域経済に与える影響というものも当然に考慮しなければなりません。生産者の手を通して地域にその金が落ちるわけであります。地域経済の活性化に大いに貢献しているという役割も考慮しなければなりませんし、また現在、景気対策ということで二兆円の特別減税をやってまで消費拡大、そういうことをしようとしているわけであります。そういう現在日本が置かれている経済の状況というような背景、これもまた考慮しなければならないと思います。  そしてまた、酪肉近代化方針の中でも、これからは「経営感覚に優れた効率的・安定的な経営体を育成し、これらにより生産の大宗が担われる生産構造の実現を目指す」ということを言っているわけでありますが、こういう部分をつくっていくためには新規投資、これが必要でありましょう。新規投資をする余力というものをつくっていかなければ、将来の生産体制というものが十分に実現できない。こういったその他の経済事情というもの、今置かれた日本状況というものを考えた場合に、これは現行乳価というものを下げる要素はないのではないか、私はそんなふうにも思っておるところでございます。  特に、乳価だけにこれらの問題を全部しょわせるというのはこれはなかなか無理な話であり、そのほかの関連対策、また所得保障的なそういう対策も必要だという面があると思いますが、私の以上のような意見について大臣の御見解をぜひお伺いしたいと思います。
  81. 大原一三

    大原国務大臣 今最後にいろいろ御指摘がございましたが、関連対策価格保証的な対策もこれまでとってきたところでございまして、それら全体をひっくるめて価格決定をしていかなきゃならない、かように考えております。
  82. 永井哲男

    ○永井(哲)委員 次に、畜産関係についてお聞きをいたします。  特に牛肉及び豚肉の安定価格というものが適正な価格でなされなければならない。豚肉についてもいろいろな事情がございました。四百円というものをずっと維持していたわけでありますけれども、そういったような面があります。そして、とりわけ肉用子牛の合理化目標価格は、農家負担というものにも十分に着目をしなければならないと思います。これはぜひ引き下げるべきではないかというふうにも思うわけでありますが、それらの点について御見解をお伺いいたします。
  83. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 畜産物価格は、乳価のほかに牛肉と豚肉の安定価格さらに肉用子牛の保証基準価格合理化目標価格決定をするわけでございます。そうした価格帯あるいは保証基準価格の設定に当たりましては、最近におきます生産費調査の動向、需給事情の変化、そういったものを勘案いたしまして適正に決定してまいりたいというふうに考えております。  御指摘のございました肉用子牛の保証基準価格合理化すべき目標となる合理化目標価格、この価格につきましても、生産費調査の結果の動向、需給事情等を十分に勘案いたしまして適正に決定してまいりたいというふうに考えております。
  84. 永井哲男

    ○永井(哲)委員 豚の関係で、南九州の方では流行性下痢、PEDというものが猛威を振るっているようであります。これによって何万頭の豚が亡くなった、ワクチンの開発などが十分でないというような状況であるようでありますが、これらについて早急に対応すべきだというふうに思いますが、それらの点についてどのような状況になっているか、お伺いしたいと思います。
  85. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 お答え申し上げます。  先生が御指摘になりました豚の流行性下痢症、通称PEDと言われておりますけれども、この病気は、一九八三年以降散発的に発生をいたしておりますけれども、本年一月から南九州におきまして、哺乳豚、親豚を中心といたしまして損耗率の高い集団的な発生が確認されておりまして、この病気によります廃用死亡頭数が約二万頭という報告も受けております。  先生指摘のとおり、この病気PEDにつきましては有効なワクチンが現在ないわけでありますけれども、既に我が国の民間のメーカーにおきましてワクチンを現在開発中であるというふうに聞いておりますが、なお実用化までは時間を要するということでございます。  したがいまして、現時点では、まずは養豚場ごとに外からの侵入防止対策が重要でございます。そういう侵入防止を行いまして発生予防に努める。不幸にも侵入して発生した場合には、発症した豚の隔離が必要でございます。隔離をして健康な豚との接触を避けるということで、私ども三月六日付で指導通達を各県に発出いたしております。その上で、家畜保健衛生所によります農家への巡回指導、立入検査、病性鑑定等を実施いたしております。さらに、今申し上げましたような一般的な衛生管理対策の徹底を図ろうということで、家畜保健衛生所とともに現在指導の徹底を図っているということでございます。  民間でのワクチンの開発にはなお時間がかかります。そこが一番大事だと思います。そういった面については、今後とも民間のメーカーとも十分連携をとってまいりたいというふうに考えております。
  86. 永井哲男

    ○永井(哲)委員 最後に、これは質問に通告はしてございませんが、特に今住専問題について、農家生産者の皆さんが、いわばいわれのない批判、そういうふうなものを受けているような状況だと思います。今回の価格の算定に当たって、これは農業バッシング、とりわけいわれのない生産者にそのツケが回るというようなことが絶対にあってはならないと私は考えておるところでございます。  そういったことに取り組む決意について、最後に大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
  87. 大原一三

    大原国務大臣 私も、住専問題については農家がいわれのない批判を受けているという印象は否めないと思います。予算委員会等を通じて、やはり母体行責任、経営にも、あるいはまた大事にも責任のない農協の系統のお金を出したわけでございますが、その第一次責任がいかにも農協系統にあるかのごとき批判は、私は的を得ていないと思う者の一人であります。今後もまたいろいろの場所で議論があるでしょうけれども、この点については終始一貫同じ立場で貫いていくつもりでございます。  それはそれとして、こういったことが万が一にも委員の御懸念のようなことに波及することがあってはならない、全く別の議論でございますから、その辺は十分覚悟して対処してまいる所存であります。
  88. 永井哲男

    ○永井(哲)委員 きょう、そしてあすと山場を迎えているわけですが、与党とも十分の調整の上、今言ったように、ぜひ大臣には生産者のために、そして日本の食糧を守るために頑張っていただきたい、そのことを最後に御要望申し上げまして、私の質問とさせていただきます。  ありがとうございました。
  89. 松前仰

    松前委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十四分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  90. 松前仰

    松前委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。藤田スミ君。
  91. 藤田スミ

    ○藤田委員 まず、加工原料乳の保証価格決定についてお伺いをいたします。  大臣にお伺いいたしますが、私は前回もこの問題を取り上げましたけれども、WTO協定の実施に伴って乳製品の輸入増加する中で、酪農関係者は本当に大きな不安を抱えております。ことし乳価がこれ以上下がるということになりますと、ふえ続ける離農に拍車がかかり、一挙に離農が進むという大きな危機感を持っております。しかも一方では、トウモロコシ価格の急上昇で配合飼料価格が値上げされ、農家の負担増はことし一月以降トン当たり二千百円にもなり、酪農家の経営に追い打ちをかけているわけであります。この飼料価格の引き上げは、世界的な食糧危機を受けて今後も続くと予想されており、大変な問題であります。このようなときに、それでも価格を引き下げるならば、酪農家は深刻な打撃を受けることは必至であります。大臣は、この点についてはどう考えていらっしゃるのか、お答えをいただきたいわけであります。
  92. 大原一三

    大原国務大臣 藤田委員、先日来御熱心に御陳情をいただきまして、ありがとうございました。  生産費がああいう結果になりましたが、これは八月までの飼料価格、ずっと一年間の低落傾向を織り込んだものでございまして、その後、現状、推移を見ますと大変な値上がりになっておるし、さらにまたアメリカの穀物状況、秋口にならなければわかりませんが、かなりの上昇も見込まれるであろう、我々はそういう危機意識を持っているわけでございます。  それやこれや、やはり皆さん方の御要請を十分踏まえながら、今明日に予定されるそれぞれの審議会で適正な価格決定ができるように、短い期間でございますが、精力的に頑張ってまいりたいと思っております。
  93. 藤田スミ

    ○藤田委員 実は私は、先日北海道からおいでになった酪農家のお母さんたちからいろいろと実情を聞かせていただきました。ここでも共通して最も切実な要求として出されたのが、もう乳価はこれ以上引き下げないでという声でありました。もしここでも値が引き下げられてしまうと展望がなくなる、そして、それはもう後継者も失っていくことになる、どんな仕事でも、毎年毎年価格が下がり、そして収入が落ちていくというようなそんな職種はほかにないだろう、にもかかわらず、これで後継者、息子に後を継げというようなことは言えないのだということをおっしゃったわけです。  実際、保証価格の推移を見ますと、一九八三年、八四年、八五年の九十円七銭のこの価格をピークにしてもうずっと落ちてきて、今日では七十五円七十五銭。この価格はどこにあるかと、今度過去をずっとたどっていきますと、実に二十年前の一九七五年で八十円二十九銭。だから、二十年前よりもまだ低い、こういうことになっているわけであります。  酪農家は毎年三、四千戸、七%程度の割合で減少していっています。中央酪農会議北海道が行った、離農した農家を対象にどうして離農したのかという理由をアンケートしていきますと、高齢化後継者難、これがそれぞれ四割を超えておりまして、いや全くこのままでは担い手がいなくなってしまうのじゃないかと危ぶむのは当然のことであります。  私は、それでも乳価を引き下げていくということになれば、この問題の解決は本当になくなってしまう。それでも酪農は存続するというふうにお考えなのかどうか、聞かせていただきたいわけであります。
  94. 大原一三

    大原国務大臣 先ほどもある委員の御質問にお答えしたわけでございますけれども日本の今の農家の年齢構造というのを見ますと、六十歳以上の方が五割以上を占めるという実態、これは否めない事実でございます。さて十年先に一体どうなるのだろうかということを考えますと、やはり農業生産の非常な危機状況が生まれる可能性がその面からはございます。  にもかかわらず、日本食糧構造、米より動物性たんぱく、特にその中で畜産への移行が非常に傾向としてあらわれているわけでございまして、そういった食糧構造の変化にこたえるためにどのようにしたらいいか、減っていく畜産農家がどのような形にすれば経営が安定して、日本のそういう畜産需要にこたえていけるのかという非常に難しい課題を我々は抱え込んでいると思います。その中にあって価格政策というのが、構造政策はもとよりでございますが、非常に重要な意味を持っているということは我々は十分認識をしなければならぬと思っております。
  95. 藤田スミ

    ○藤田委員 どうすれば経営を安定させることができるか、そういう中で価格政策は重要な位置にあるということをおっしゃっておられるわけですが、ウルグアイ・ラウンド対策として、生乳生産の大宗を育成すべき経営体に早急に集約して生産構造を改善するという政策を掲げまして、要するに、生乳生産枠や草地などを担い手農家に集積しようという方向を打ち出されているわけです。しかし私は、もうこれは大きな限界を今示しているのじゃないかというふうに言わざるを得ません。  北海道のJA幕別の畜産部長は、これまでのところ離農分の生乳生産地域全体でカバーしてきた、しかしもう限界に来ている、これ以上の乳価の引き下げやふん尿処理問題などが表面化したら一挙に酪農家が減る可能性があるというふうに語っておられます。これは幕別の畜産部長さんだけの話ではありませんで、さっき私が言いました酪農家の皆さんも、このことがまた大きな訴えであります。  要するに、周りに離農が続くと、その後継者がいるところにこの農地が集中してくる。自分のところは拡大する気がないわけですけれども、そうせざるを得なくなる。過剰投資をしないようにと思っていても、いたし方なくそういう方向に行ってしまう。だれかがやらなければ、それは地域が崩壊してしまうからそういうふうにするんだ。開拓で苦労した先人の土地を荒らすことはできないという気が先に立って、これ以上大きくしたくないと思っても引き受けざるを得ない。結局はそれが借金に借金を重ねていくことになり、もう本当に限界に来ているという訴えであります。周囲で離農がふえる中で懸命に生産を支えてきた残された農家ももう限界に来ているということは、こうした発言を見ても明らかであります。  だから、生産現場では、農家減少に歯どめをかける乳価決定を、つまりは乳価の引き上げで所得の保障をということを強く望んでおられるわけであります。この声にどうおこたえになるのか、私はもう一度お伺いをしたいわけであります。
  96. 大原一三

    大原国務大臣 先ほどからもいろいろお答えしておるところでありますが、私これ、大臣になってから、大変思いつき的な発言で恐縮でございますが、一般の営利法人でしたら生産性拡大部分は、労賃や配当、そしてあすの投資のための内部留保、これは手元に入るものであります。さらに、消費者価格も下げなければならない。四部門へのサービスが付加価値増加分の配分形式になっているだろうと思うのでありますが、こういったことが手法として、何か方程式が確立されれば余り大きな議論を呼ばないでいけるのではないのかなという感じも持っております。  そういったことも、私は、これから農林省当局に研究してもらったらどうかな。後ろで聞いている畜産局長はびっくりしているかもしれませんが、それぐらいのことは、やはりこれはもう生産をする人、営業する人の公理でありますので、考えていかなければならぬなということもあわせ考え持っているところであります。  いずれにしましても、今明日の決定でございますので、各方面のおっしゃるような御意見を聞きながら、合理的な決定に臨みたい、かように考えております。
  97. 藤田スミ

    ○藤田委員 今度は、そうしたら局長の方にお伺いしましょう。  要するに、政府が進めてきた保証価格の引き下げというこのもとで、生産者は所得を確保するために、頭数をふやす、乳量をふやす、無理な労働を加える、そして規模拡大でコストの削減に必死になってきたわけです。しかしながら、コストを削減すれば、それを理由に乳価が下げられる。その過程で、過剰投資による負債が雪だるまのようになっていく。借金を返すためにまた悪循環が進んでいく。まるで坂を転がるように、経営が困難になって離農がふえていく。こういうことになっているわけであります。  だから、酪農経営の動向を見ると、一戸当たりの飼養頭数はふえ、搾乳量も増加しているにもかかわらず、収益性は逆に、九〇年をピークにして、搾乳牛の一頭当たりの所得というのは、三十一万二千円から九四年は二十二万五千五百円というふうに落ち、一日当たりの家族労働報酬も、一万五千六百二十六円が一万三千七円というふうに、ともに低下が続いているのです。全く生産にかけた労働が正しく評価されないままであります。  今もう、農家戸数の減だけではなしに、飼養頭数全体も減ってきているわけでありますから、私は、もうこのようなコスト削減と乳価の引き下げのイタチごっこで生産者を追い詰めるというやり方はやめなければならない。だから、近代化基本方針の中でも、コスト削減とその成果を的確に価格に反映させると言われているわけですが、もうこれは破綻している政策だというふうに言わざるを得ないわけであります。いかがですか。
  98. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 お答え申し上げます。  基本的な考え方につきましては、大臣からお答え申し上げたとおりでございます。  私ども、需要と生産の長期見通しを策定いたしました際に、確かに伸び率は落ちますけれども、需要全体はまだ伸びる。その中で、牛乳・乳製品については、国内の生産も維持発展させていこうということで見通しを策定いたしました。  同時に、酪農肉用牛近代化基本方針を策定した際にも、そうした国内生産の維持発展、安定的な発展ということで、それを裏打ちするということで、近代化基本方針の中では、モデル的な肉用牛の経営像もお示ししたわけでございます。それは決して遠い目標ではなくて、現在の酪農経営の方々の中で上位二、三割の方が実現しているような経営体を指標としてお示ししたところでございます。そういう方々現実に、全国の総平均からは二、三割生産コストが低いという結果を私どもは得ているわけでございます。  確かに、全体として非常に経営状況が厳しい中で、昨今の状況だけ申し上げますと、本年の生産費調査の結果でも、生産費が低下をしている、さらには経営全体で収益性の改善が昨年よりはいいという結果が出ていることは、先生御承知のとおりだと思います。  今後、乳価の算定に当たりましては、生産費調査の結果をもとにいたしまして、先ほど来お話もございます配合飼料価格の上昇、それに伴います農家負担の上昇、そういった点については適正に反映をさせて決定をしていくようにいたしたいというふうに考えております。
  99. 藤田スミ

    ○藤田委員 私は、皆さん方実態を見ていないということに、本当にいら立ちを感じますよ。机の上の計算だけで言われたら、なるほど生産費は少し落ちているかもしれない。しかし、現実には収入は落ちているのです。だから私は、そういうふうな保証価格よりも所得保障を、価格の保証よりも所得保障をと訴えるその生産者の声をるる申し上げたわけであります。何としても、価格の引き下げを行ってはなりません。本当に今価格を引き上げて、もっと元気をつけるようにしてくださいよ。  あなたは十年後の長期見通しの問題も触れられましたけれども政府の長期見通しては、驚いたことに、牛乳・乳製品は九二年の八一%の自給率を二〇〇五年には七三%に、肉類は六五%の自給率を五〇%に、随分ひどいものになっているわけであります。  私は、国民の重要なたんぱく源を供給する酪農畜産生産基盤を破壊し、自給率を引き下げ、国民の食糧、健康を脅かしていってはならない、これ以上脅かしてはならない。国内生産の拡大を言うなら、畜産物価格の引き上げ、乳価の引き上げは不可欠であるということを再度強く求めまして、次の質問に移っていきたいと思います。  農水省も畜産審議会の総会で、労働時間の軽減のために酪農ヘルパーの利用促進の必要性を述べていらっしゃいます。そのとおりであります。酪農ヘルパー制度の定着のために大きな課題になっているのは、ヘルパーの身分保障の問題です。  全国協会によりますと、専任ヘルパーの平均収入は三百万から四百万程度で、若いときはそれでもいいけれども、将来に不安を持つ人が多くいることは言うまでもありません。また、利用する酪農家も、ただでさえ苦しい経営の中で、利用料を考えるとなかなか使えないというのが実態であります。したがって私は、こういう状態の中で、本当にヘルパーに対する人件費の助成ということを強く求めたいのです。  しかも、今日では、金利低下による都道府県の事業基金の運用益の減少やヘルパー利用組合の赤字など、運用面でも大変になっておりますから、この辺で国が本腰を据えて、本当に酪農家人間らしい生活を取り戻させていくために、それから、ヘルパーというのは、そこで定着をすると、それが思いがけない後継者になっていく。つまり、結婚相手がそこから出てきたりなんかしまして、とてもすばらしいロマンがそこから出ているわけですね。そういうことを考えると、これはもう本当にいいことじゃないかというふうに思うわけです。  私が人件費助成の問題を言いましたら、あなた方はいつでも、ほかの農業部門でもみずからの負担で労働者を雇用するという体制が基本でありまして、それを助成の対象にするのはできない、不向きだ、そうお答えになろうと思っていらっしゃったわけでしょう。私、毎年それを聞かされてきました。しかし、私はそれをずっと考え続けていたのです。  やはり労働時間の軽減のためにヘルパーの利用促進の必要性ということを畜産審議会でも言われるほどになってきたわけですから、要は私は、理屈じゃなしに国の姿勢の問題だ。酪農家後継者を育て、そしてそうした酪農家生活を補完するために、これは一つの施策として打ち出したって別に世の中不思議でも何でもないわけですから、ここはひとつ思い切って、大臣就任中に本当に事が一歩前へ進むようにお取り組みをいただけないでしょうか。
  100. 大原一三

    大原国務大臣 畜産局長が答えたいようでありますので、畜産局長、後で答えさせていただきます。  藤田委員のお気持ちは嫌というほど私もよくわかるわけであります。ヘルパー制度の導入がいかに酪農家にとって有意義なことであったか、むしろ遅きに失したのではないのかなという感じも、私は近くに酪農家をたくさん持っております関係上、考えるわけでございます。  所得保障を今ここで、おまえやれ、こう言われますと、はいとすぐに返事が出ないのは極めて残念でありますけれども、ほかとの関連も多々ございますが、でき得べくんば関連対策で当面はそういった面の充実を図っていきたい、こういう考えでおりますので、御理解を願いたいと思います。
  101. 藤田スミ

    ○藤田委員 局長、お答えになりたいでしょうがという大臣のお言葉ですけれども、時間が制約されておりますので。  私は、ぜひこのヘルパー制度を定着させるために、別に人件費と名目を挙げなくても、事実上そういうことになるという方向で、大臣がおっしゃった関連対策の充実というものをうんと膨らませていってもいいわけです。気持ちは痛いほどわかるという大臣の御答弁を私は素直に受けとめまして、皆さんも、その大臣の痛いほどわかる気持ち政策、施策として打ち出すためにぜひひとつ研究をしていただきたい。そして、去年よりもことし前へ進んだ、ことしよりも来年また前へ進んだという、これが展望というものになるわけですから、そういうことをぜひ真剣に考えていただきたい。  考えてみれば、企業の方だって労働時間の短縮ということで、いわば相当のつらい思いもしながらでもやはりそれをやっているわけですから、私は、酪農業の中でそういう労働時間の短縮という立場からもやっていくということは当然のことだということを申し上げておきたいと思います。  次の問題に移ります。  私は、昨年の質疑でも、ゆとりのある酪農経営の育成を言うなら、マイペース酪農についての研究をし、政府としても一定の見解を持つべきだと要求をいたしました。国民が望む安全で良質な乳製品、畜産物の供給のためにも、畜産公害の解決、持続可能な経営体としても、地域の実情に合った適正規模の経営の育成が必要であります。この点ではヨーロッパでも、化学肥料や家畜ふん尿による地下水の汚染をなくすために、一定面積に飼う家畜頭数を減らすなど、粗放的な農業への転換が始まっていると言われています。  新しい酪肉基本方針では、放牧を主体とした経営など多様な経営を展開するとして、この点では経営指標の中でも位置づけられてきましたが、ただ、残念なことに具体的な施策は明らかにされておりません。政府としても、適正規模の飼養頭数で牛の生理を大切にする経営、低投入型、粗放的酪農のあり方についての研究、普及、育成のために支援をしていく必要があると思いますが、この点でいかがでしょうか。  時間がありませんのでもう一点御答弁をつけ加えていただきたいのは、今問題になっている狂牛病の問題であります。  これはもう大変なことでありまして、農水省に言わせると、イギリス本土から牛肉輸入は禁止されているほか、発生が報告された国からの輸入は禁止されているから日本への影響はないということであります。しかし、イギリスでは、要するにこういう問題が起こったのは、恐らくたんぱく質やカルシウムを補給するための飼料添加物として使われた羊の内臓によって牛に伝播されたのではないかと言われているのです。この病気は、厄介なことに猫にも同様の病気発生してきまして、これは、ペットフードにそういう食用にならない牛、羊などの肉、内臓、脳脊髄などが使用されていることから広がったのじゃないかというふうに言われています。  したがって、輸入したペットフードや飼料への混入の危険は本当にないのか。牛肉輸入していないから安心ということではなしに、調査、検査、監視体制の強化を行うべきだというふうに考えます。  あわせて御答弁ください。
  102. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 お答え申し上げます。  まず最初のマイペース酪農質問に対してでございますが、先生御承知のとおり、酪農肉用牛近代化基本方針の中でも、必ずしも規模拡大一辺倒ではなくて、ゆとりのある酪農経営、そういう方向も必要であるという方針を打ち出したところでございます。そういう観点からは放牧主体型が一つの典型的な例であろうと思いますので、酪農の基本方針の中でも、土地条件の制約が小さい、つまりある程度自給飼料が用意できる、そういう土地においてはそういう放牧主体型の経営も可能であろう、そういうところでは、頭数規模はほどほどにしても、手間暇が割合省ける、コストが低い、そういう経営が成立するであろうということで、放牧主体型の経営指標も出したところでございます。  そういうところでは、例えば五十頭程度、あるいはそれ以上でもいいのですけれども、平均的にいえば例えば五十頭程度の経営を内容といたしまして、パイプラインで搾乳する、さらに自給飼料を相当程度活用するということで経費の節減あるいは労働時間の軽減を図っていくということで、かなり可能なモデル経営としてのタイプを示したところでございます。  そういう意味で、例えば最近では山地酪農というようなことも言われております。私ども、そういった中山間に成立するような放牧型の酪農経営、そういった経営に対しましても資金面あるいは助成面で支援をしてまいりたいというふうに考えております。  次に、狂牛病の件でございますけれども、この委員会で先ほども御説明いたしたところでございますが、かなりイギリス発生が多いという、割合イギリスに特有な病気でもございますが、これはイギリス政府も相当前から指導を行っております。有効なワクチンがないということでございますので、疾病の牛を屠殺する、あるいは内臓などは完全に焼却処理をするということで指導を徹底してまいりまして、最近では発生件数はだんだん減少はいたしておりますけれども、なお相当数の発生があるという状況でございます。  それで、私どもはもとより、口蹄疫発生国でございますのでイギリスからの牛肉輸入は禁止しておりますし、生体の牛につきましても輸入禁止措置をとっております。これは第三国の経由でも私どもの国には入らないように指導し、措置をいたしております。今後とも水際でのそういった防疫体制には万全を期してまいりたい、こういうふうに考えております。
  103. 藤田スミ

    ○藤田委員 時間が参りましたからこれで終わりますが、狂牛病の問題についてはマスコミも非常にショッキングな取り上げ方をしておりまして、これがまたパニックになって、肉を食べるのがうんと控えられていって、そこからまた畜産農家影響が出てくるというようなことになりはしないかと大変心配をしておりますので、ひとつ国民が冷静に受けとめられるように、そのためにはやはり水際での万全の監視体制というものをうんと強化し、それからまたこの問題について特段の調査を尽くすという立場でお取り組みを強化していただきたいということを重ねて申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  104. 松前仰

  105. 金田誠一

    金田(誠)委員 さきがけの金田誠一と申します。質問の時間をお与えいただきまして、感謝をいたしております。  私の地元は北海道でございます。しかし、それも南の端の函館付近でございまして、北海道の中では、酪農といっても、内地に近い、規模も余り大きくないという土地柄でございます。かねがね酪農家の皆様とはいろいろ折に触れお話を伺う機会はあったわけでございますけれども、きょう質問をさせていただくということもございまして、実はきのう、改めまして酪農家の方何名かにわざわざお集まりをいただきまして、その実情を伺ってまいったところでございます。  結論から申し上げますと、実は、農水省の今回の生産費調査、あるいは価格を下げてもいいのではないかというような意向等と現場の実態とは全く相入れないという感を深くしてまいったところでございます。  私ども地域では、きのうお集まりいただいたのは、少ない規模の方で搾乳牛が約二十頭、多い方でも四十頭という規模でございます。ですから、北海道の中では非常に規模が小さいわけでございます。例えば二十頭の方ですと、粗収入で年収約一千二百万、その二五%を何とか利益として、所得として残したい、こう思ってやっているんだが、実際は二〇%をちょっと超える程度しかどうしても残らないという話でございました。御承知のとおり大変長い時間御夫婦二人で働いておられるわけでございますけれども、現状はそういう状態でございます。農水省の認識とはかなりのギャップがあるのではないか、こう思うわけでございます。  この厳しい現状、そして乳価、もうずっと下がってきた、もうこれで限界だ、これ以上下げるなどとは考えられないというお話を承ってきたのですが、こういう現地の、現場の認識について農水省としてどのようにお受けとめになるものなのか、そこからまず御所見を承りたいと思います。
  106. 福島啓史郎

    ○福島政府委員 お答えいたします。  畜産物の生産費調査の御質問がございましたので、その関係でお答えしたいと思います。  畜産物の生産費調査は、農業センサスを母集団といたしまして、標本理論に基づいて、例えば牛乳生産費の場合でございますと、全算入生産費の精度が一%の範囲内におさまるように、飼養頭数規模別あるいは地域別に偏りのないように標本を配分して、無作為に抽出した農家を対象に調査しているわけでございます。したがいまして、中小規模の酪農家に対しましても、当然のことながら標本理論に基づきまして標本を配分しているということでございます。  ただ、この調査農家による記帳をもとにやっておりますし、また、いわゆる農家の側から見れば現金支出が中心でございますけれども、この生産費調査は、現金支出だけでなくて会計理論に沿った減価償却計算を行っている、それをもとに算出しているというようなこと、あるいは調査結果につきましては、生産費の高い農家も低い農家も含めた平均値であるということから、個々の農家の経営実態とは必ずしも一致しない場合があるということ、そういう事情もあることを御理解いただきたいと思います。
  107. 金田誠一

    金田(誠)委員 そういうお答えしかないのかなと思うわけでございますけれども、それにしても生産農家の実感とは余りにもかけ離れているのではないか、こう思わざるを得ないわけでございます。  実はきのうは、牛乳代及生産者補給金支払精算書という毎月受け取る支払いの明細などもコピーをしていただいてまいりました。ですから、生産者の方が根も葉もないことを言っておられるわけではない、本当にこういう実際の資料もお示しをいただいてお話を伺ってきた、そういうものでございます。そうした中で、生産費が下がっている、所得が上がっているという統計情報部の調査に比べまして現場の実感というものは余りにも食い違っているということを申し上げたいわけでございます。  例えば、先般いただきました「平成七年畜産物の生産費について」、そちらでつくられた資料も全部コピーをしてさしあげて、中を読んでいただいたわけでございますけれども、それを見ますと、例えば所得の方は一頭当たり二十四万三千円になっている。粗収益については一頭当たり六十一万七千円。これからいいますと三割強の所得があることになるわけでございますけれども、実感としては二五%を目指していても二〇%そこそこ、こういうのが実態でございました。資料をいただいた方はたまたま二十頭という割と小さい規模の方でございましたけれども、同じように、四十頭を飼育されている方も単純に二倍にはなかなかならない場合もあるというお話なのでございます。  そういうことからしますと、特に所得の分などは余りにもかけ離れているのではないか。今御説明はございましたけれども、それだけで説明がつかない気がして実は帰ってきたわけでございますが、この生産費調査と、現場の一人二人でない方にお集まりをいただいてお聞きしたものがなぜこうかけ離れるのかというあたり、いま一度御説明いただきたいと思うのです。
  108. 福島啓史郎

    ○福島政府委員 生産費調査によれば、一頭当たりの所得でございますが、二十四万三千九十六円でございます。また、粗収益は六十一万七千百十四円でございます。これはいずれも平均値でございます。  したがいまして、先ほど申し上げましたように、一つは、平均値ですから高い農家もあれば低い農家もある、そういう問題。それからもう一つは、先ほども申し上げましたように、現金支出ベースではなくて要するに会計理論に沿った減価償却計算を行っている、つまり農家の出し入れと直接関連しない会計理論上の減価償却に基づきます生産費であるということ、そういった事情によるものというふうに思われるわけでございます。  そのほか牛乳生産費調査は、生乳百キログラムあるいは搾乳牛一頭当たり生産費を出しておるわけでございますが、これには牛乳生産に直結しないいわゆる育成牛部門につきましては含めていないわけでございまして、そうした一種酪農経営全体の経営費を示すものではなくて、生乳百キログラム当たりあるいは乳牛一頭当たりの、要するに牛乳生産に係る生産費を示しているものでございます。
  109. 金田誠一

    金田(誠)委員 この生産費調査がすべての基礎になるのだと思います。この数字が基礎になって、さまざまな要素を加味しながら保証乳価が決まっていくということになるのだと思うわけでございます。したがって、この生産費調査が共通の土俵としてお互いに認識されていなければ、本当の意味での合意形成に至らないのではないかという気がするわけでございます。  今の状態ですと、生産者あるいはお役所の側、それぞれその土俵の大きさが違うような気がしてなりません。そこで相撲をとるにしても、本当の意味での相撲にならないのではないでしょうか。ですから、生産者の側には常にフラストレーションがたまる。どこでどう決まってくるのかわからないというのが実態。とにかく毎年努力をすればするほど乳価は下がる、一体なぜこうなるのか。話を聞けば今のような御答弁が返ってくるわけですけれども、言葉の上ではそういう言葉は返ってきましても、それが実感として受けとめることができないという状態ではないかと思うわけでございます。  そこでお尋ねをしたいわけでございますが、今御説明のあった調査の方法、サンプルのとり方、そしてその平均値を出すにしてもいろいろな手法があるのだと思いますけれども、それらの調査の仕方について、生産者のしかるべき団体などとは事前に話し合いが持たれて、きちんとその合意がなされた上で調査がされているものなのか、出てきた数字についてなるほどこのとおりだということになっているものなのか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
  110. 福島啓史郎

    ○福島政府委員 お答え申し上げます。先ほど申し上げましたように、畜産物の生産費調査につきましては、農業センサスを母集団といたしまして、標本理論に基づきまして、牛乳生産費の場合ですと、全算入生産費の精度が一%の範囲内におさまるように、階層別、地域別に偏りのないように標本を配分いたしまして、無作為抽出によりまして農家を選定しているわけでございます。  ちなみに、先ほど先生指摘がありました二十頭未満層を見ますと、調査対象は一一%でございます。これに対しまして母集団の構成比は同様に一一%でございまして、先ほど申し上げましたように、母集団の構成比とそれから標本理論に基づきます調査対象農家、これの割合は一致させるように調査農家を選定しているわけでございます。  また、先生指摘がありました函館地区でございますけれども、これは同様に、母集団ですと九%のシェアでございますけれども、これらの標本農家数のシェアでいきますと約一二%ということで若干手厚くなっておりますけれども、そういう形で見ているわけでございます。  したがいまして、標本理論に基づきまして、農業センサスという母集団をもとに選定しているわけでございますので、これは性格上、農業団体等と話し合うというものではないのではないかと思っております。もちろん、選定をいたしました調査農家に対しましては、担当職員が詳細に調査方法等について説明いたしまして、調査に対する理解と協力を得て実施しているところでございます。
  111. 金田誠一

    金田(誠)委員 統計学上の用語だと思うのですが、いろいろ難しい言葉も出てまいりまして、私自身十分把握しておらないのかもしれません、申しわけないと思いますけれども。  ただ、その言葉の中で、農業センサス云々という中で、したがって農業団体と話し合う性格のものではないというお言葉もあったわけでございますが、果たしてそういうものなのでしょうか。話し合って合意をしなければ調査はできないという筋のものではないのかもしれませんが、それにしても、どういう手法で調査をするのか、これについて十分な理解をいただくということがなぜできないのか。仮にその団体のしかるべき役員の方と話し合って理解をいただいたとしても、現場の農家個々にまでその理解が行き届くかどうか、その保証はないかもしれませんけれども、それにしても、しかるべき農業団体の方々調査の方法について話し合う、どういうサンプルの抽出の仕方をして、どのようにウエートをとって平均値を出していくか、これらについて合意形成を図り、それに基づいて出てきた数字が今回はこういうことである、その中身はこれこれこういうわけだという話し合いをするのは何も法でとめられているわけでも何でもなくて、この種合意形成をする上で、私は当たり前といえば当たり前のことではないかと思うのですが、いかがなものでしょう。
  112. 福島啓史郎

    ○福島政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げました調査方法につきましては、これは長年こういう方式でやっておりまして、それにつきましては、もちろん農業団体の方々にはそういう方法でやっているということは御説明しております。また、調査結果につきましても、御要望とあればもちろん説明をしているわけでございます。  私が申し上げましたのは、そういう一定の標本理論というものに基づいてやっておるということを御理解いただきたいということを申し上げたわけでございます。
  113. 金田誠一

    金田(誠)委員 恐らく調査票といいますか、そういうものがあるのだろうと思います。農家を抽出して、生産費をそれぞれ調べていって、それらをしかるべき形で集計していくのだと思いますが、例えばその調査票の生データといいますか、これは農家個々の固有名詞まで明かせとは言いませんけれども、最後にまとまったこれだけでなくて、これに至る収集したデータ、これについてはしかるべく公開などはできるものでしょうか。
  114. 福島啓史郎

    ○福島政府委員 お答え申し上げます。  調査個票につきましては、まさに先と言われましたようにプライバシーの問題等がありますので、公表というわけにもまいりませんが、先ほど先生お持ちの資料よりももう少し詳しい形で、速報という形では既に公表しているところでございます。
  115. 金田誠一

    金田(誠)委員 実はこういうことをお尋ねするのは、いつもこの種の価格決定に当たってはそうなんですけれども、きょうばいらしていないでしょうか、マスコミの報道姿勢などが、いつも決まった形の、金額についてやれ政治加算であるとか何々族議員がどうしたとか、そういう報道ばかりが先行するのではないかという感を強くしているわけでございます。それというのも、本当に合理的な基準で、だれが見てもガラス張りに、そういう形で価格決定がなされてこなかったのかなという気も実はしておるわけでございます。  そうした場合、基礎になるのは生産費調査ということでございますから、その生産費調査なるものが生産者団体と役所の間では、最低でもその方法、サンプルのとり方その他について共通認識のもとにある、共通の土俵にあるのだ、すれ違いはないのだという状態をまずはつくっていただかなければならない。その上で合理的に生産費調査が行われて、その結果についても、私は双方の納得ずくで結果が出てこなければならないものではないかという気が実はいたしておるわけでございます。  その辺がどうもそうはなっていないようだ。きのう私が伺った方々も、実感とはもう全くかけ離れているということをおっしゃっておられる。酪農をやりながら大変忙しいときに、北海道などからも多くの団体の方が上京されて実情を訴えておられるわけでございますけれども、その方々のおっしゃることも一様にそういうことでございます。  なぜそういう形になるのか、そこのところに意を配っていただかなければ、最低でも調査をする方とされる方で納得ずくで、なるほどこうだな、これが実態だというものをつくっていただかなければ、それが直接酪農に関係をしない一般の国民の理解を得るのは難しいのかな。マスコミの方々もそういう立場に置かれるから、私どもからするとどうも一方的な、現地の、現場の状態を理解しない報道姿勢になるのかなということを実は危惧しておるわけでございます。  そういう立場から再三お尋ねをしたわけでございますけれども、まず現状の調査の仕方、そして出た調査の結果、これについては、きちんとした話し合いのもとで調査がされて、出た結果についても、双方が認め合う、このとおりですというものになってないという現状だけはぜひお認めをいただきたいと私は思うわけでございます。その上に立って、これは今の問題ではございません、今後の問題として、そういう生産者団体との間にそごのない形で、出た数字についてはなるほどそうだ、そういうものをつくり出していくために検討、努力をいただきたい、こう思うわけでございますが、いかがでしょうか。
  116. 福島啓史郎

    ○福島政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、要するに、畜産物の生産費調査につきましては、標本理論に基づきましてサンプルを選定しているわけでございます。  先ほども申し上げましたが、もう一度繰り返しになるようでございますけれども、規模別に、その頭数規模階層が全体の、例えば北海道の中で何%を占めているか、そのパーセントに合った分は必ず調査対象農家からもとるというふうにしているわけでございます。  したがいまして、御質問のございました二十頭未満につきましても、母集団、九五年センサスによりますと一一%、それに見合う一一%の調査対象戸数は確保しているわけでございます。  また、もちろん地域的な特性もございますので、地域的な配慮ということで、先ほど申し上げましたように、函館地方でございますけれども、九五年センサスでは九%のシェアでございますが、これにつきましては、標本農家数では一二%のシェアを確保するように標本を設定しているわけでございます。  こういった点につきまして、あるいは説明不足の点があるかもという御指摘だろうと思いますけれども、なお一層農業団体等には、こういう客観的な調査をしているということにつきましては十分説明してまいりたいと思っております。
  117. 金田誠一

    金田(誠)委員 繰り返し、統計の手法からといいますか、技術的な御説明をいただいておるわけでございますが、大臣、実はこのところが私は一つのポイントになるのではないか。  日本農業をどうするのかということは、実は役所と農家方々の問題ではなくて、本来国民ぐるみの問題である、こう思うわけでございます。公共事業なり福祉なり教育と同じように、日本の政治の中に農業というものをどう位置づけて、そのために税金が必要であるとすれば、どういう根拠でどう必要になるのかということは農家と役所だけの問題では決してないと思うわけでございます。国民合意を形成しなければならないという壮大な作業になる、こう思っております。  それにつけても、当事者である農家と役所の間にさえこの生産費実態をめぐってこうも開きがある。役所の方に言わせると、粗収入の三割以上が所得になるという統計結果が出ている。現場の状況では、二五%を目指したいけれども二〇%そこそこだ、こういう状態。どこにその乖離が生ずるのか。それは、ただ単にたまたま私が会った方の誤解に基づくものなのか。それであれば、誤解だということがわかるような説明がなされなければならないのではないだろうか。  農家に対してもあるいは国民全体に対しても、今医学の上ではインフォームド・コンセントという言葉が随分使われておりますけれども、農政をめぐってもまさにこのインフォームド・コンセントが必要な時代に来ている。それを欠けば、ガットの新体制のもとで安ければいいということに流れがちだ。しかし、それで本当にいいのかという危惧は国民が広く抱いているものであると私は思うわけでございます。それを本当に正面から受けとめて国民合意を形成する。その一歩として、まずは生産者と役所との間で統計の手法、その結果等について合意を形成するところからその作業は始まらなければならないだろう、私はこう思うわけでございます。  今統計情報部の方から技術的な説明はちょうだいはいたしましたが、大臣いかがでしょうか。そうした物の考え方といいますか、その辺についての御所見を賜りたいと思います。
  118. 大原一三

    大原国務大臣 今委員と農水省の統計情報部長の話を聞きながら、私もこっちの方の専門家ではないから全部を、この統計の仕方を知っているわけではありませんけれども、長い間、今日までやってきた手法が農家の方に十分理解できていないということについては、やはり統計をやります農水省としての責任は十分あると私は思います。そういう意味で、今後とも農家の、特にそういう第一線の方々にわかるようなPRというものが必要だなということを、私も委員の御意見を伺いながら受けとめました。  それと同時に、委員指摘のマスコミや、あるいは国民感情から見た農業のあり方、仮にちょっとでもいじりますと、また政治加算ではないかというような一面的な議論が往々にして日本のマスコミでは農業問題に関しては行われがちであります。ウルグアイ・ラウンドを通じて苦労された畑大臣もきょう席にお見えでありますけれども、私は、特に財界等において、三〇一条のスケープゴートに農業を差し出そうというような横着な議論が一部財界人にあったことは極めて遺憾に思うところであります。そういったことについても我々は十分責任を持たなければなりませんし、我々の今までのPR不足というものも私は実感として受けとめております。  どうかひとつその辺も御理解をいただいて、今後我々もそういう努力を重ねていきたいと思っております。
  119. 金田誠一

    金田(誠)委員 特に後段の御決意は重く承らせていただきました。本当に同感の思いでございます。  それにつけても、広く国民の理解を得るには、どこかでだれかが決めたということであってはならないと思うわけでございます。仮に結果がそのとおりであっても、そのプロセスが明らかになる、その根拠が明らかになる、今そういう時代にもはやなっているのだ。この時代にふさわしい価格の決め方、農業政策の決め方というものがあってしかるべきだと思うわけでございます。  そういう意味で、くどいようで申しわけございませんが、再三お尋ねしているのは、この情報公開、そして当事者間の合意という点でございます。調査の方法、そしてその結果が客観的に合理性を持つようなものにしていただきたい。  今出されている調査結果というものは、私の知る範囲では、現地の、現場の状況を正確に反映しておらない。確かに技術的な手法によれば先ほど御説明を伺っているように正しいのかもしれません。しかし、それがなぜ実感と離れたものになっていくのか、その穴、すき間をどうやって埋めていくかということが問われるのだろうと思います。  その手法として、私は、この調査のプロセスの中で、対話といいますか、農業団体との合意形成といいますか、その前提となる情報公開、調査票個々の公開ということも申し上げましたけれども、そうしたことも含めての情報公開に基づく合意形成、それが客観性を持つものとして当事者間でなされて国民合意に至るというプロセスをぜひひとつ今後築いていただきたいものだ、こう御要請を申し上げたいと思います。  そして、その前提としては、今まで私の知る範疇では七十五円七十五銭というものさえも非常に厳しいものであって、下げるなどということは全く実情にそぐわない、このことを強く申し上げたいと思います。  この二点について最後に御所見を伺いまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  120. 大原一三

    大原国務大臣 最初の点につきましては先ほどお答えしたところでございますが、今喫緊の、あした、あさっての価格決定に際しましては、生産者団体はもとよりでございますが、各方面の意見を踏まえながら、特に飼料価格等の異常な値上がり予測も立てられる状況の中で、合理的な価格決定に私自身努力をしてまいりたいと思います。
  121. 金田誠一

    金田(誠)委員 ありがとうございます。終わります。      ————◇—————
  122. 松前仰

    松前委員長 この際、松岡利勝君外三名から、自由民主党、新進党、社会民主党・護憲連合及び新党さきがけの共同提案による平成八年度畜産物価格等に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。増田敏男君。
  123. 増田敏男

    ○増田委員 私は、自由民主党、新進党、社会民主党・護憲連合及び新党さきがけを代表して、平成八年度畜産物価格等に関する件の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     平成八年度畜産物価格等に関する件(案)   我が国農業の基幹的部門である畜産業は、ガット・ウルグァイ・ラウンド農業合意による乳製品の関税化、牛肉、豚肉の関税の引下げ等厳しい情勢下にある。   よって政府は、国産畜産物の需要拡大、生産基盤の強化、流通の合理化、食肉処理施設の再編整備、金融支援の推進等の総合的対策を講ずるとともに、平成八年度畜産物価格決定に当たっては、左記事項の実現に万全を期すべきである。     記  一 加工原料乳保証価格については、農家意欲と誇りと希望を持って営農に取り組めるよう適正に決定すること。加工原料乳限度数量については、国産生乳供給が十分に確保し得るよう適正に決定すること。    また、余乳処理施設等乳業施設の再編合理化を総合的に推進するとともに、飲用牛乳等の消費拡大、国産ナチュラルチーズや生クリームの生産振興等への支援措置を引き続き講ずること。  二 牛肉・豚肉の安定価格については、経営の安定が図れるよう適正に決定すること。    また、肉用子牛の保証基準価格については、繁殖農家の経営の安定が図られるよう適正に決定し、合理化目標価格については、我が国の肉用子牛生産実態及び輸入牛肉価格の動向等を踏まえて、適正に決定すること。  三 飼料穀物の国際的な需給動向に的確に対応し、農家に対する影響を緩和するため、配合飼料価格安定制度の充実と適切な運用を図るとともに、自給飼料生産対策の充実・強化を図ること。  四 近年、都市化、混住化が進行する中で、家畜排せつ物による環境汚染問題が、畜産の健全な発展を阻害する要因となっていることにかんがみ、排せつ物処理施設の整備、堆きゅう肥への有効利用の促進等畜産環境対策の充実を図ること。   右決議する。  以上の決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じまして委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願いを申し上げます。
  124. 松前仰

    松前委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  松岡利勝君外三名提出の動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  125. 松前仰

    松前委員長 起立総員。よって、本動議のごとく決しました。  この際、ただいまの決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣大原一三君。
  126. 大原一三

    大原国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨に従い、最近の畜産をめぐる情勢を踏まえつつ、十分検討してまいる所存でございます。
  127. 松前仰

    松前委員長 ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 松前仰

    松前委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時七分散会      ————◇—————