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1996-06-13 第136回国会 衆議院 内閣委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年六月十三日(木曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 大木 正吾君    理事 熊代 昭彦君 理事 宮路 和明君    理事 渡辺 省一君 理事 今井  宏君    理事 倉田 栄喜君 理事 弘友 和夫君    理事 山元  勉君 理事 宇佐美 登君       唐沢俊二郎君    佐藤 信二君       塩谷  立君    鈴木 俊一君       津島 雄二君    虎島 和夫君       愛知 和男君    石田幸四郎君       石破  茂君    野田 佳彦君       五十嵐広三君    田口 健二君       穀田 恵二君  出席政府委員         経済企画庁国民         生活局長    坂本 導聰君  委員外出席者         議     員 河村たかし君         議     員 富田 茂之君         議     員 上田 清司君         衆議院法制局法         制主幹     臼井 貞夫君         内閣委員会調査         室長      松下 英彦君     ————————————— 委員の異動 六月十三日  辞任         補欠選任   鹿野 道彦君     愛知 和男君   松本 善明君     穀田 恵二君 同日  辞任         補欠選任   愛知 和男君     鹿野 道彦君   穀田 恵二君     松本 善明君     ————————————— 六月十二日  恩給欠格者救済に関する請願古賀誠紹介  )(第三五〇六号)  同(古賀誠紹介)(第三六〇八号)  同(古賀正浩紹介)(第三八六一号)  同(関山信之紹介)(第三八六二号)  同外一件(古賀正浩紹介)(第四〇九四号)  同(三原朝彦紹介)(第四〇九五号)  非営利芸術団体市民文化団体法人制度の  実現等に関する請願稲垣実男紹介)(第三  六〇九号)  同(神崎武法紹介)(第三七六七号)  同(遠藤乙彦紹介)(第三八六三号)  同(高木義明紹介)(第三八六四号)  同(吉岡賢治紹介)(第三八六五号)  同(竹内猛紹介)(第四〇九六号)  同(水野清紹介)(第四〇九七号)  同(石井一紹介)(第四二六一号)  元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する  請願(吉井英勝紹介)(第三六一〇号)  軍人恩給改定に関する請願近岡理一郎紹介  )(第三八六〇号)  恩給資格欠格者救済に関する請願鳩山邦夫  君紹介)(第四〇九二号)  恩給欠格者救済に関する請願早川勝紹介)  (第四〇九三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  市民公益活動を行う団体に対する法人格付与  等に関する法律案河村たかし君外五名提出、  第百三十四回国会衆法第一七号)      ————◇—————
  2. 大木正吾

    大木委員長 これより会議を開きます。  第百三十四回国会河村たかし君外五名提出市民公益活動を行う団体に対する法人格付与等に関する法律案を議題といたします。  提出者から趣旨説明を聴取いたします。河村たかし君。     —————————————  市民公益活動を行う団体に対する法人格付与   等に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 河村たかし

    河村(た)議員 河村たかしてございます。  本日は、原稿なしでやろうと思ったのですけれども、やはりきちっと原稿を出してやれというお話もございましたものですから、原稿をベースにしてお話をさせていただきたいと思います。そしてまた、本会議趣旨説明では、私は、本会議はこの制度をつくることが日本にどういう影響を及ぼすのだろうかということを言うべきだと思いましたものですから、余り逐条はしませんでしたけれども、本日は、一応、今回提案させていただいております法律の条文に沿って内容概要を御説明をしたい、こんなふうに思っております。  それでは、市民公益活動を行う団体に対する法人格付与等に関する法律案提案理由説明。  河村たかしてございます。提案者を代表して、市民公益法人格付与法案について、提案理由概要を申し上げます。  私は、本日、平成八年六月十三日は歴史的な日になると思います。明治以来脈々と続いた公益国家独占主義、すなわち、世のため人のためになる人間の営みについては国家がすべてそれを取り仕切るという考え方に風穴をあけることができた日だからであります。  このような二十一世紀日本国家像を問う法律案が本委員会で御審議いただけることは、まず市民団体皆様、そして学者皆様、そして党派を超えまして日本の将来を考えていこうとする議員皆様の、力強く、温かい、そして熱い思いのおかげであると、心より感謝を申し上げます。与党皆様の御提案がなされていないにもかかわりませず、こうして私ども新進党案を御審議いただけることに対しましても、委員各位に深く感謝を申し上げます。どうもありがとうございました。  今、NPO法制定は待ったなしてございます。戦後の復興を支えてきた官による中央集権的画一的国家運営による予算配分公的サービスの供給は硬直化しております。そのような世のため人のための分野に、税制支援のある市民寄附金で支えられる多様な事業主体を認めることで、官僚の権限拡大に終わらない真の財政再建実現することができます。  また、草の根の善意の市民団体が、法人格を持てず、寄附金を集めることもままならず、大変に苦しんでおります。  何とぞ、一刻も早いNPO法制定を、心よりお願い申し上げます。  さて、このたびの市民公益活動を行う団体に対する法人格付与等に関する法律案内容でございます。  まず、この法律案は、第一条、それから第二条に明文をもって示されていますように、多様な価値観を有する市民による多元的な社会を形成することがその最大の目的であります。二十一世紀日本国家像は、今までのような画一的社会か、それとも一人一人の人間を大切にする多元的社会か、この法律案明文をもちまして多元的社会づくりを目指しております。  また、五月三十一日に衆議院提出いたしました税制抜本的改正案によって、NPO財政基盤多様性をも担保いたしております。公開と、金融機関に届け出た特定口座へ入金された寄附金につき、いわゆる特定公益増進法人並み税制支援を認める法律案でございます。  次に、第十二条以下において、この法案は、NPO設立を限りなく準則主義に近い、知事認可によるといたしております。市民団体の自立を守るには、届け出のみで法人格を認めることが必要であるとの意見もあります しかし、それには民法改正が避けて通れず、かつ、結果、税によるNPO公益性の審査となってしまい、税務署が公益判断をする大きな権限を与えてしまいます。それはかえって官の支配を強めるばかりであり、時間もどれだけかかるか本当にとんとわかりません。NPO法制度化は本当に待ったなしで行われなければなりません。  この法律案は、苦しんでいる市民団体の声に力強くこたえる法律案でございます。行政恣意的判断からNPOを守るために、さまざまな立法上の工夫を凝らしております。公益概念行政のための利益ではなく、社会一般利益、もしくは不特定多数の利益であると解釈する立法上の手当てを随所にいたしております。現在の公益法人の多くが官のため、いわば残念ながら官益法人になってしまったのは、公益概念があるからではなく、民法第三十四条の「許可」、すなわち、判例によりますと、包括的な自由裁量公益法人設立をよらしめたことにあると考えます。  次に、この法律案は、第三条第二項において、社員過半数役員の三分の二以上が「主たる事務所所在地都道府県区域住所を有する者であること。」「主として活動を行う区域が、当該団体の主たる事務所所在地都道府県区域内にあること。」の要件を置いております。  この要件はあくまでもNPOの本拠地を都道府県に置いてほしいとするもので、世界に広がる活動も認める規定でございます。地方分権の具体的な受け皿となる提案でございます。  加えて、もし知事NPO認定権を与えるとすれば、その主たる活動がその知事のいる都道府県にあることは言うまでもないと考えます。その場合、判断はできる限り定量的に二分の一とか三分の二とかにした方が知事恣意的判断ができず、NPOに有利であります。  以上、この法律案は、日本をもう一度市民情熱と創意により、元気いっぱい、生きがいに満ちた国にしていくために、今まさに待ったなしで国民から成立を期待されている法律案でございます。党派を超えまして、熱のこもった御審議により、一刻も早い御可決を心より心よりお願い申し上げます。  よろしくお願いいたします。ありがとうございました。     —————————————
  4. 大木正吾

    大木委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮路和明君。
  5. 宮路和明

    宮路委員 私は、自由民主党宮路和明でございます。  ただいま河村たかし議員から、市民公益活動を行う団体に対する法人格付与等に関する法律案につきまして提案理由説明をお伺いをいたしたわけでございます。ますます活発になりつつありますいわゆるボランティア活動、このボランティア活動に対する法的な支えをつくって、そしてこれをバックアップしていこう、そういう熱意に燃えられ、また情熱を傾けられまして、河村議員以下五人の先生方がこの法案を作成され、そして昨年末に国会提案をされた、その並々ならぬ御努力に対しまして心からまず敬意を表したいと思う次第であります。  しかしながら、我が国法人制度といいますものを考えてみますときに、御案内のように、一方では民法三十四条に基づきます公益法人制度があり、その他方に、対極に、商法や有限会社法に基づく株式会社、有限会社等営利法人が存在する。そしてその他は、法人としては、協同組合等特別の目的を持って特別の事業を行うために法人特別法によってつくるという仕組みがあるわけでありますが、一般公益法人営利法人とのいわば中間に存在する法人がないということで、そうしたいわば中間法人といいましょうか、そういうものをぜひつくるべきであるという意見なり提案はもう随分昔からあったわけであります。  私も、学生時代にそうしたことを一時勉強したこともございます。にもかかわらず、そうした中間法人制度というのは、今日までいろいろと問題があってそれが実現を見ていない。また、私ども自由民主党の中にありましても、ボランティア活動を支えるための法案実現に向けて昨年来ずっと検討を重ねてきておるわけでありますが、今日もってまだその具体的な姿を見るに至っていないというような状況でありまして、公益法人とそして営利法人との中間に存するところの法人といったようなものをつくることがいかに難しいか、問題があるかということを、こうした事実は如実に物語っていると私は思うわけであります。  そこで、市民公益活動を行う団体に対する法人格付与等に関する法律案を拝見させていただき勉強させていただきまして、その意味するところをまだ完全には私酌み取っていないというふうに思うわけでありますけれども、いろいろと数多くの問題点があるようにも実は思うわけであります。そこで、そこらをひとつこの際提案者に率直にお聞きし、そしてそれに対する御意見をひとつ賜りたい、お考え方を伺いたい、このように思うところであります。  まず第一点は、現在いわゆるボランティア活動は、我が国でこれに従事される方は五百万人とか何かそういう数に上り、そしてまたそのグループも六万グループぐらいあるのではないかなというようなことが言われておるわけでありますけれども、この目指しておられます法律案、これによって法人格を取得するであろう、これの対象になるであろうというボランティア団体はどのような数に上る、どのようなものをカバーできるというふうに考えてこの提案をなさっておるか、その点をまず第一点にお聞きしたいと思います。
  6. 河村たかし

    河村(た)議員 実は、宮路先生も大変御苦労されたと思いますけれども質問をいただいたのがきょうの朝でございます。しかし、私も精いっぱい誠実に答えさせていただきたい、こんなふうに思っておりますので、御理解いただきたいと思います。  今の御質問でございますけれども、私は、アメリカの例がそのまま当たるかどうかわかりませんけれどもアメリカの場合は宗教法人を除いたとしても六十万団体ということでございます。日本の場合、過去、日本の国力は大体アメリカの半分というふうに言われておりまして、今もう少し上がったかわかりません。ですから、できれば三十万団体ほど、宗教法人でないものでもNPOとして活躍してもらいたい、こんな気持ちでおります。
  7. 宮路和明

    宮路委員 三十万団体NPOとして活動してもらいたい。今現にあるボランティア活動はどのぐらいだというふうにそちらの方では、何といいましょうか、そういう情報はどういうふうに思っておられますか。
  8. 河村たかし

    河村(た)議員 ちょっと私きちっと知らないものですから、まことに申しわけございませんけれどもボランティアというと物すごく数がありますから、人格なき社団も全部含めるのかどうかということでございますが、これは一応そういうことでよろしいですか。  委員長、そんなことでよろしいですか。
  9. 大木正吾

    大木委員長 若干それは調べてください。  質問を続けます。宮路和明君。
  10. 宮路和明

    宮路委員 私ども自由民主党の中でもいろいろと議論をしておる中で、ボランティア団体は、私どもの調べた範囲では、全国五百万人、そして六万グループぐらいのボランティアが存在する、こういうようなことでありまして、そのうちどういったものがこの法人格を取得をして活動をしていきたいというふうに思っておるか、その辺をいろいろ精査といいましょうか、調査しておるわけであります。  今の河村議員お話によりますと、そこらが余りつまびらかにされていない。そしてそれを今度は三十万団体対象として育成していきたいということでありますから、これは大変な、とにかく現在我々が存すると思っておる数よりもはるかに多い数をこれからどんどんつくっていく、こういうことを目指しておられるという大変雄大な発想に基づく提案じゃないかというふうに思います。ですから、それだけにまたその法案の中身も私はよりきちっとしたものとしてつくり上げていく必要があるのではないかと思うのです。  そこで、次にお聞きしたいのは、この法案によりますと、第三条第一項で市民公益活動定義が行われておるわけであります。その定義を見てみますと、法案の第三条第一項ということになるわけでありますが、「「市民公益活動」とは、住民一定地域基盤として行う教育若しくは科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献、環境の保全又は国際的理解増進目的とする活動その他の公益目的とする活動をいう。」こううたってあるわけであります。  一方、民法の第三十四条でありますが、先ほど私が冒頭申し上げた民法公益法人、この公益法人といいますものは、民法三十四条で「祭祀、宗教、慈善、学術、技芸其他公益二関スル社団ハ財団ニシテ営利目的トセサルモノ」、こうなっておるわけであります。  いずれも、この御提案法律も、公益目的とするということが法人の性格づけの基本になっておる。一方、民法公益法人公益ということでありますが、この民法公益法人とそれから第三条にうたっている公益とは同じ公益なのかどうか、その辺をまずお聞きしたいと思いますが。
  11. 河村たかし

    河村(た)議員 民法三十四条の公益と今回の私ども法案の三条一項の公益は、公益という言葉だけを抜いた場合はいわゆる同じようなものというか、同じであろう。いわゆる社会一般利益とかそれから不特定多数の利益、こんなことが言えると思います。  しかし、これはここで公益性があるから非常に判断が恣意的になると言われますけれども、その問題は公益だからというのではなくて、許可と結びついて包括的な裁量権、そこでそういう公益行政益と考えてしまったのであって、市民公益ということとは違いますけれども市民公益法人公益だけを言葉として抜き出した場合は同じと言っていいと思います。
  12. 宮路和明

    宮路委員 市民公益という言葉が出てまいりまして、ちょっとそこのところ、どう解釈していいかわからないのですが、いわゆる民法上、公益というのは長い間使われておるわけでありますから、それなりに定着したものが、民法学者の間においてもあるいはこれまでの我が国の裁判の歴史の中においても、民法上の公益というのは定着をしておるわけであります。その運用がどうかとなりますと、これはまたいろいろ問題があるところでありますけれども、解釈としては一応のものが確立している。それと同じ表現を使われるわけでありますから、これはもう常識的には同じ公益なんだろうなというふうに理解するのがやはり我々としては素直な理解の仕方ではないか、こう思うわけであります。  したがって、そうなりますと、これは同じ公益実現を目指す法律法人をつくる、こういうことになってくるわけであります。そうだとすると、民法公益法人とこの法案で考えられておる公益目的とするところの市民公益法人とは、認可権知事にあるとか、それから認可が先ほど準則主義に近いとかそういう提案はありましたけれども、では法人の性格としてどういうような違いがそこにあるのか、その点をひとつ御説明を願いたいと思います。
  13. 河村たかし

    河村(た)議員 言われますように、民法三十四条で一応公益に関する一般規定を置いておりますものですから、私ども市民公益、この法律につきましては、そこに対する特別法ということで位置づけをさせていただいております。  特別法位置づけはいろいろございますけれども、特に地域基盤を置いたということでございまして、ここはぜひ誤解のないように、活動世界に広がる活動を認めておりますけれども地域基盤を置いた、これはいわゆる地方主権、憲法の精神に基づいて、国会地方分権法で全党一致で定めたぐらいでございますので、そういう精神に基づいて地域基盤を置いた法人ということで、民法に対する特別法としての一定の定めを置いております。  それからもう一つ、第一条、第二条で、趣旨説明でも申し上げましたけれども、多様な価値観を持った住民がつくる多元的な社会ということで、そういう目的のための法律ということをうたっておりますものですから、そういう意味での公益市民公益と私どもは呼んでおりまして、そういう意味で、民法三十四条に対し、私ども法律市民公益法人というのは特別法という明確な規定がなされておる、そんなふうに考えております。
  14. 宮路和明

    宮路委員 どうも議論がかみ合わないわけであります。  実は私、なぜ今こういう質問をしておるかといいますと、公益法人は現在二万余ある、二万を超える公益法人が存在する、こういうことなんであります。先ほどの三十万団体からするとまだ十五分の一なんでございますけれども、その公益法人についてとにかくいろいろな問題がある、余りにも問題が多過ぎるということで、現在、私ども与党の中でもこの公益法人問題をめぐって、どういうぐあいにこれを本来の公益法人たらしめるかということでいろいろと議論をしておるわけであります。  もうこれは河村議員も、公益法人がどういう問題をいろいろはらんでいるかということはよく御存じだと思うのですが、現在いかがわしいいろいろな公益法人が多数ある。しかしながら、これは許可制度であるわけでありまして、許可制度のもとで自由裁量によって、主務大臣あるいは主務大臣の委任を受けた都道府県知事がその設立あるいは運営を指導監督している、こういうことでありますけれども、それがそうした実態であります。  今度の提案によります市民公益法人は、認可という言葉を使っておられますけれども、これは非常に準則主義に近い、極めて安易に法人格が取得できる、そういうことになっておる。しかも数が三十万団体、こういうことであります。  そういったことを考えますときに、法第十三条の認可基準ですね。これによって、今公益法人についてすらそういういろいろな問題が続出しているわけでありますけれども、そういったことを防止することはどういうふうに手だてとして考えておられるのかどうか、そこをひとつお聞きしたいと思うのです。その点、見通しと、またそれを防止する手だてについてひとつお聞かせいただきたいと思います。
  15. 河村たかし

    河村(た)議員 一番大きいのは三十二条、それから四十九条から五十三条にありますけれども公開をするということでございます。  今の公益法人は、役所に対しては一応報告をしておりますけれども、いわゆる国民というのですか、一般に対してはそういうふうにしておりません。ですから、今非常にありがたかったのは、筆頭御指摘の準則主義に近い法人設立を認めているということは非常にありがたかったのですけれども、それが一概に非常にイージーになるという意味では決してありません。きちっとやらなければ。今はただ入るところだけ何か厳しくいろいろやりまして、あとは一向に密室でございますので、今回の私ども法人につきましては、市民公益法人センター規定も持っておりますし、いわゆる利害関係者書類を見せるとかそういう規定を置いておりまして、公開をしてみんなの目で見るという点からすればかなり厳しいということでございます。  それから認可の場合でも、これはNPOに有利な規定になっておりますけれども、本法案所定要件を欠くと認められる場合、定款の内容設立手続が法令の規定に違反すると認められる場合には不認可という規定をちゃんと置いております。それから行政監督措置も、緩やかにしてありますけれども持っております。  したがいまして、今までがだめであったかどうかわかりませんけれども、それがいかなかったのは、やはり市民に開かれていなかったということが問題なんでありまして、そういうことをオープンにして、いい活動をやっていこうという人たちにとっては非常にやりやすい団体でございますけれども、そういう気持ちのない人にとってはこれは大変に厳しい法人であるというふうに言えると私は思います。
  16. 宮路和明

    宮路委員 オープンにしている、いろいろな書類関係等々のことを言っておられるのだと思います。業務報告書等の備え置き、それと提出閲覧、こういうものが三十二条で担保されておって、そして、それによって国民に開かれているから、その国民の目の監視を通じてそこは担保するんだ、こういうお話でございますね。  そういうことでありますけれども、そういった程度で果たして本当の、心配ないといいますか、そういった適正な運営が、業務報告書等閲覧に供する、それをオープンにするということをもって担保されるかどうか、私は甚だ疑問を呈せざるを得ない、疑念を抱かざるを得ないわけであります。したがって、その辺、もう一工夫も二工夫も必要ではないかな、私はこういう感じがいたしておる次第であります。  次に議論を進めたいと思います。  先ほど河村議員もおっしゃっておりました、法案の第三条第二項の市民公益法人活動区域あるいは社員役員資格条件であります。二項三号の社員過半数が主たる事務所所在地都道府県区域住所を有していなければならないということ、それから四号は役員の三分の二以上がその都道府県区域にこれまた住所を有していなければならぬということ、それから五号でありますが、主として活動を行う区域がやはり主たる事務所所在地都道府県区域内であるということ、こういう非常に厳しい要件がかぶっておるわけであります。  先ほど、この市民公益法人は、地域基盤としてそこから世界に飛躍するんだ、あくまで都道府県という一つの、一区域基盤としながら、そこから世界へ向かって飛び立っていくんだ、こういうようなお話でありました。  この要件からいたしますと、やはりこれはナショナルベースでの活動なりあるいはまた特に国際協力について、NGOの皆さんたちが法人格を取得してリーガルステータスを持って、そして世界で活躍したい、貢献したい、こういう話もあるわけでありますが、そういったことになりますと、この要件が足かせ手かせになってしまう。本当にローカルなボランティア活動についてはこれでいいかもしれませんけれども、ナショナルベースあるいはグローバルな活躍ということをお聞きする場合に、これではどうかなというふうに思うのですけれども、その点はどういうぐあいに考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  17. 河村たかし

    河村(た)議員 ここのところは反対に私どもは大変に自信を持っております。  まず誤解が非常にありますが、これは基盤を置いておるということだけでございまして、現に、現在の国際交流協会という、知事許可ですか、機関委任事務だと思いますけれども、それで活動しているのがかなりありますね。ですから、私どもは、ベースを置いておいてほしいということなんで、これこそ憲法の九十二条でしたか、地方自治の本旨。今まで、本当に残念ながら、敗戦の焦土から立ち上がるために官僚、エリートによる統一的な運営を行わざるを得なかった、そういうことで、集中的にやってきたのです。  だから、本当に残念ですけれども、NGOも物すごく東京に集中しているわけですよ。そういうのを本拠地だけ、例えば鹿児島に置いておいてほしい。それで、アフリカに井戸を掘りに行く。これはすばらしいじゃないですか。その方がもっとたくさんの団体が出てくるということでございますので、ローカルな活動に限定するというのは、全くそんなつもりはございませんし、かえって今こういう規定を置いた方が、国際協力のNGOの草の根の本当にしっかりした根が張ると私は思っております。
  18. 宮路和明

    宮路委員 今のお話をお聞きしまして、なかなか理解が進まないわけでありますが、特にグローバルな活動をしようと思うと、何といっても全国津々浦々から例えば人も募るあるいはまた必要なお金も募る、そしてまた活動も、そうした全国から人を募りあるいはまたお金も募るわけでありますから全国に及び、そしてそれを基盤として世界に展開していく、こういうことになっていかざるを得ないと思うわけです。  私が承知しております国際協力を行う、これもまだ法人格は持っておりませんけれども、そういった団体についても、今申し上げたようなことをやっておるわけでありまして、この三号、四号、五号という要件をきちっと当てはめた場合は、これはどうしてもそれらは蚊帳の外に置かれてしまうということになっていくのじゃないかなという懸念が払拭できないわけであります。  では、今私が申し上げましたようなケースは具体的にどういうことになるのか、それをちょっと教えていただきたいと思います。
  19. 河村たかし

    河村(た)議員 宮路先生の話で、仮に全国の県に一人ずついる団体はどうなるのだということになると思いますけれども、これはやはり民法三十四条がございます。これは特別法としてつくっておりますので、会員の過半数とか役員の三分の二、それでみんなでスクラムを組んでやる人はそちらでとっていただく。そしてどうしても嫌だよという場合は——そして、この法律ができますと、なぜ民法三十四条がうまくいかないかというと、それはその団体の健全性、アカウンタビリティーがよくわからないということなものですから、まずNPOが立ち上がって、そこで健全なしっかりした運営をしておれば、これは民法三十四条の運用も非常にうまくいくのであります。  私がそう言うよりも、もっと反対に本拠を、なぜNGOが東京ばかりなんですか。これは、鹿児島県とか島根とか、先生の地元でもっとどんどんやったらどうでしょうか。僕はそんな期待を込めて、だからこそ国会地方分権を叫んでいるので、その地方分権を具体的に、地方分権論は今いろいろ出ますけれども、すぐ受け皿論が出てしまって、では実際本当に分権したら受け皿があるのということになりますけれども、これができれば、本当に地方に根づいたいろいろな公益活動をやる人が本当に出てくるわけですよ。だから、宮路筆頭のためにも、私どものこの法案が本当にすばらしい社会を切り開いていく、そんなふうに僕は確信を持っております。
  20. 宮路和明

    宮路委員 NGOがなぜほとんど東京に主たる事務所を置いているのかということ、その状況を打開するためにこういった仕組みにするのだ、こういうことでありますけれども、なかなか目指すところと現実とは、東京一極集中の打開も克服も我々地方議員として大いにやっていかなければならぬと思っておるわけですけれども、なかなかそう容易にいくものでもない。現に、東京に主たる事務所を置き、全国から人を募り、お金を募り、そして活動をやっているNGO、これはどうも今回御提案制度対象にならないのかな、それを切りかえさせるには、よほど荒療治でもしないとなかなかそうはいかないのかなというような思いをしながら、この問題についての質問を終えて、次の問題へと移ってまいりたいと思います。  次は、市民公益法人の支援措置でございます。  今回の法案では、私これをずっと勉強しておりましたところ、「税制上の優遇措置等」というのがこの法案の第五十四条にございまして、これは国、地方公共団体に対し、税制上の優遇措置あるいは財政上、金融上の措置を講ずるよう努めなければならないという努力義務を課しているということだったものですから、この法案としては、そういうものはお考えで、今後の課題としてとどめておられるのかなと思っておりましたところ、五月三十一日に法人税法等の一部を改正する法律案という形で、具体的な姿が市民公益法人についての税制上の優遇措置の問題として登場しておるということを承知いたしたわけであります。私もやや勉強不足なところがありまして、それを昨日実は承知をいたしたわけてありますが それでびっくりしたわけであります。  そこで、市民公益法人に対する優遇税制といいましょうか、優遇がなくてもいいのですが、税制はどういうふうにお考えになっておられるのか、そこをひとつ教えていただきたいと思います。
  21. 河村たかし

    河村(た)議員 大変いい御質問をいただきまして、実は私はそれが一番言いたいところでございます。  NPOにつきまして法人格の取得がまず大事だという話は当然ございますが、NPOの主たるものは、やはり公益活動、世のため人のために活動しますので、世のため人のための活動の対価が入らないといけないのですね。世のため人のための対価というのは、実は税なのです。  その税の入り方というのは二つあって、一つは、全部国税庁から大蔵省へ行って補助金で分配するシステム、これは従来型でございますが、それともう一つは、皆さんが、市民が寄附して、そこに税制支援をしていくということなので、どちらかのシステムがないと、NPOは残念ながら必ず行き詰まってしまう。  そういうことで、私どもはここに非常に配慮をいたしまして、補助金から寄附金へという流れをこの際つくっていこう、こういういわゆる本当にドラスチックな、市民社会を形成する抜本的な税制改正案を出させていただいております。  先ほどもちょっと地方分権の話もありましたけれども、なぜ東京に集まるかというと、東京にお金があるからなのですね、補助金が。今度は、地方分権にします、そこで、今度は私ども税制支援によりまして地方で寄附金が集まるようになりますから、本当の意味で、鹿児島県でNGOが育つようになるわけです。  その内容でございますけれども、まず一つは、徹底した公開。それから、裏金はだめでございますので、銀行または郵便局に届け出た特定口座に入ったお金について、現在の特増法人ですね、特定公益増進法人並みにするという規定を置いております。  これについてはいろいろ言われるかわかりませんけれども、実は公開するというのは大変なことでございまして、では、今の公益法人はどうなんだろう。いいところもありますけれども、いろいろ言われております。やはり公開にたえられるものは著しい公益なのではないかということでそういう規定を置いております。  それから、法人の損金算入限度額におきましても、百分の五といたしております。  それから、個人献金も、所得控除を、今まで百分の二十五でしたけれども百分の五十といたしております。  それから、十万円までの献金につきましては、本当は税というのは確定申告がいいということでございますけれども、今はほとんど源泉徴収になっていますから、十万円以下については年末調整でやっていただく。サラリーマンの多くの皆さんは税務署へ行って確定申告をやらぬのですよ、これは。ですから、今度は、皆さんも衆議院の事務局に、おれはこうやって寄附したよと言ってぽんとそれを出していただく。そういうことで、市民の皆さんが、本当にたくさんの人たちがこういうことに参加するように、そういうふうになっております。  それから、ボランティアに参加したときの実費の所得控除。それから、自分の息子さんとか被扶養者が参加した場合、これも親の所得から控除する。それからホームステイ。災害とか留学生、こういうものを受け入れたときに、一定金額になると思いますけれども、ここも所得控除をしていく。  こんな規定を持っておりまして、NPOをつくったよ、だけれども、お金がないじゃないかということでは本当に何ともならぬのですよ。だから、これができますと鹿児島県にいいNPOがたくさんできますから、ぜひ応援をしていただきたいと思います。
  22. 宮路和明

    宮路委員 この法案は、法人格付与等に関する法律案、こういうことになっておるわけでありますけれども、実は、それとはまた別な世界で、法人に対するいわば革命的とも言えるような大変な税制上の恩典をやろうと。  本当でありますと、立法論として言えば、私は、この同じ法律の中でその位置づけを、税制面でもこうだとかいうような位置づけを本来やるべきであったのではないのかなと。ほかのものもごちゃごちゃになったいわば法人税法等の改正案、公益法人もあれば今のホームステイをされたときのこともあれば何もかもあるという中で、市民公益法人に対する支援の問題がそういう中に埋没されてしまって、市民公益法人の中の、全体の枠組みの中でどういうぐあいに支援措置というものを位置づけられてやっているのかということが、その点非常に見えづらくなってしまっているという気がいたすわけであります。したがって、なかなか私の方の理解も進まないわけであります。  どうも一般市民公益法人については、法人税は人格なき社団と同じようにしておられる。ところが、一般市民公益法人のうち、特に認定された公益目的法人に該当するものについてはみなし寄附の制度を設けて、今の公益法人はたしか二〇%になっておるわけですが、これを二七%と格上げしたものを今度は適用されるというようなことになっておるわけですが、今度は、税率そのもの、所得に対する税率そのものはどういうぐあいに考えておられるか。やはり人格なき社団と同じように、収益事業については三七・五%、それから、公益事業といいましょうか、非収益事業についてはゼロというぐあいに考えておられるのか。  認定公益目的法人ですね、その場合はどうなるのか、ちょっとそこを教えていただきたいと思います。
  23. 河村たかし

    河村(た)議員 税率につきましては、ここも非常に配慮したところでございまして、これは現在の法人と同じとしております。しかし、三七・五は八百万円を超える部分についてでありまして、八百万円以下は二八%になっております。軽減税率は二七%でございますので、一%の差であるということでございます。これは米国でも問題になっておりますけれども、問題とまで言い切れるかわかりませんが、やはり営利とのいろいろな接点も一応配慮しておりまして、そういう面では同じでございますけれども、ほとんどが、ほとんどと言うと語弊がありますが、大体八百万円以下ということになりますから、軽減税率とわずか一%の相違であるという、そういう規定を置いております。
  24. 宮路和明

    宮路委員 それは、市民公益法人それ自体が人格なき社団ですから、人格なき社団と同じ扱いをするということですよね。だから二七%は——八百万円以下という場合は人格なき社団については二八%。人格なき社団の場合ですね、八百万円以下は。二八%ですから、それよりも一%軽減するというのは市民公益法人の場合でしょう。  要するに、市民公益法人のうち、認定公益目的法人になった場合は、公益法人は二七%ですけれども、収益事業をやっている場合、公益法人は今二七%でしょう、それがどうなるかということをお聞きしているのですよ。
  25. 河村たかし

    河村(た)議員 私ども、収益事業についての税率については二八でございます。二八です。二八と三七・五ということでございます。
  26. 宮路和明

    宮路委員 どうも、これも数字がちょっとごちゃごちゃしておって議論がかみ合わないのですが。  いずれにしましても、今の公益法人税制そのものも、冒頭申し上げましたように、いろいろなことが言われているわけです。税制が今、公益法人は原則非課税になっておりまして、収益事業だけは課す、収益事業だけは二七%、こうなっているわけですね。そして、その収益事業は、列挙して、制限列挙主義になっている。これを原則課税主義に改めてやっていこうではないかというようなことを我が党の中でも議論を大いにしているところであります。  公益法人税制が非常に問題になっている。それを、もっともっと緩やかな、どんどん緩やかな市民公益法人にしておいて公益法人と似たような税制の恩典を与える、これはやはり、私は、大変な革命的といいましょうか、そういうことではないかなというふうに思うわけであります。  そうなりますと、それだけの恵まれた優遇税制を与えていくということになれば、指導監督はもっともっとこれは厳しくやっていかないと、都道府県知事がどんどん認めたものが、国税がどんどんまけられていくということになっては国税の方もたまったものではなくなってしまうわけですね。都道府県知事がどんどん認めたものが、国税の方が今度はまけてしまうわけですから、地方税がまけられるのではなくて。これはもう大変な問題でありまして、指導監督なんかその辺どうやっていくのか。これは非常に危惧をしてやまない次第でございます。  そういったことで、これの税制の問題。それからまた指導監督体制でありますが、今の公益法人も、都道府県が所管している部分については甚だ指導監督体制も不備だとされているわけでありますけれども、三十万からのこれからこの市民公益法人をつくっていく、それに向けての今度は事務処理体制ですね。これも都道府県にとってはもう膨大な事務量で、それこそ悲鳴を上げてしまって、一体どうなるのかと。そして、あとは、監視はもう市民の皆さんに、何か業務報告書を備えつけてやっておりますからこれで十分でございますと、そして優遇税制はどんどんあれしていくというようなことになりますと、これはもう大変なことになってしまうのではないかなということを危惧するわけでありまして、この辺の体制づくりですね。  これから大いにひとつ御検討をいただいて、私が言っておりますことが杞憂であったというような、そういうような状況をひとつつくっていただきたいものだな、これは強くお願いを申し上げまして、私の質問とさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  27. 大木正吾

    大木委員長 次に、愛知和男君。
  28. 愛知和男

    愛知委員 新進党の愛知和男でございます。  新進党を代表して質疑をさせていただきますが、私は、今たまたま新進党の中で政審会長をいたしております。このような立場の私が、偉そうなことを言うわけではありませんけれども、こういうところで質疑をさせていただくというのも若干異例でございます。あえてやらせていただくことになりましたのは、このNPO法案というものに対して、私ども新進党がいかにこれを重要視しているかということを世間にも知っていただきたいという意味も込めまして、あえて質疑に立たせていただいたのでございまして、ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。  また、この機会に委員長を初め与党理事皆様方にもお礼を申し上げたいと思いますが、このNPO法案、実は与党の方から案が出ているわけではない。この時点で、私どもの案をこの委員会で取り上げていただきまして、こうして公式の場で質疑をさせていただく、取り上げていただくということになりました。委員長の大変な御配慮があったものと思います。この機会に厚く御礼を申し上げさせていただきます。  また、提案者河村議員を初め皆さん、今日まで御苦労さまでございました。ようやくここまでこぎつけたということかと思いますが、むしろこれからがまた本番ということかと思います。ぜひ頑張っていただきたいと思いますが、今日まで、若手の皆さんがこうして法案提案するというところに至るまで、大変な御苦労をされたと伺っております。  これは、世間でよくあることでございますが、いわばパフォーマンス的にやったということではなくて、何年もかかって、もちろん市民団体のいろいろな意見を聞くということもそうでありますが、それのみならず、専門家の、法律の専門家はもとより、また行政関係者、こういう人たちとも意見のすり合わせを極めて綿密に丁寧にやって、そして現実的な案ということで出した、こういうふうに聞いております。こういうプロセスを踏んだということを、これも極めて高く評価するに値するものと思います。  やはり政治家は、国民に対していろいろパフォーマンス的にアピールするということも必要ではございますが、それだけでは政治家としての役割をきちっと果たしているとは言えないわけで、やはり現実があるわけでございますから、そういう中できちっと現実を踏まえてつくり上げた案ということでございまして、私はそういう点でも高く評価をいたしたい。ぜひ今後ともそういう姿勢を忘れずに取り組んでいただきたいということをお願いをしておきたいと思います。  ところで、私は提案をされた方々と同じ立場でございますから、若干基本的なことをお伺いするということになろうかと思いますが、まずもって、私ども新進党の立党の理念は改革ということでございまして、たゆまざる改革というのを旗印に掲げて一年半前に結党しました政党でございます。この改革という中身については、いろいろと考え方があるいはあろうかとは思いますが、私は、結局のところ、改革というのはこの社会全体の改革だ、それを目指しているのだと思っておりまして、政治改革、行政改革、いろいろございますが、それも結局、最終的には、社会そのものの仕組みを新しい時代にふさわしいように変えていくという、そこに改革の本当の意味があるのではないかと思っているわけでございます。  今の日本社会の仕組みというのは戦後できた仕組みでございます。あの敗戦という私どもにとりましては本当につらい経験がございましたが、あれを機会に、戦争の前のいろいろな社会の仕組みをすっかり変えて、新しい社会の仕組みにして出発したわけでございます。  それから五十年、今日までその仕組み自体が極めて有効に機能して、仕組みが機能しただけではもちろんありません、その中で、私どもの世代からいいますと前の世代の方々に大変な御努力をいただきました結果、今日このような日本にすることができた。そういうことに関しましては、私ども、特に若い世代に所属をする者は感謝気持ちでいっぱいでありますし、その感謝を忘れてはいけない、こう思います。  五十年たって、日本社会日本の立場というのは内外ともにすっかり変わってしまった。敗戦直後は食べる物にも困るような日本の国内の状況でございました。世界の中でも日本は大変かわいそうな国だと同情をされたわけでありました。また、世界そのものも東西対決ということで厳しい対決の様相でございました。  今日どうなったかといいますと、我が日本は、食べ物に困るどころかあちこちに食べ物が余っている、そういうような状況でございますし、いわゆるベーシック・ヒューマン・ニーズといいましょうか、人間が生きていくための最低限のことはまず全国どこへ行っても整ったという状況にもなりましたし、世界の中での日本の立場ももう有数の大国の一つになった。世界の国々から同情されるどころか、日本という国はむしろうらやましがられるというか、まあ場合によっては余り好まれない、憎まれてしまうような、そういうような存在になった。世界そのものも、東西対決はすっかりなくなってしまって全く新しい様相になった。  こういうように内外ともにすっかり変わった状況になったわけですから、日本社会の仕組み全体も時代にかなった新しい形に改革をしていかなければいけない、これが私どもの党の掲げた改革というものの最終的な意味であると思っているわけでございまして、その役割をこれから党として果たしていきたい。  確かに、世の中の仕組みが一度できますと、それを変えるというのは容易なことではございません。その仕組みの中でそれぞれの立場を築いてこられた方があちこちにいるわけですから、変えるとなりますと立場が変わる、また一からやり直さなければならないということもあるでしょう。したがって、口で言う改革というのは簡単でございます。口で言うのは簡単ですけれども、実際にそれを実のあるものにし実行していくということは容易なことではないわけでありまして、時には痛みを伴う、多くの方々の反対をあえて乗り越えていかなければならない、そういう課題だと思うのでございまして、改革というのは容易なことではない。しかし、それをやらなければこの日本は将来だめになってしまう。  私ども現代に生きる者の役割というのは、今私どもがいい目に会うということは、大いに困った方々を助け、またよりよい状況を目指して頑張るということはもちろん否定するわけではありませんが、それでは、私どもの次の世代に続く者のことを考えなくてもいいのか。それはいけないのでありまして、やはり人間として生きていく以上、今生きている我々がよければいいということだけでやっていたのでは、これは生きる資格がないとすら思うわけであります。  私ども、特に政治家は、常に私どもに続く世代の人たちのことを考えながら今何をするかという視点が大変大事だと思うのでございまして、改革という私どもが言っている中身にはこういうことも大きくあるということを私は思うのでございます。  まあちょっと演説が長くなりましたけれども、まず基本的にお伺いをしておきたいのは、この改革という私どもが掲げております基本的な理念の中で、今回のこのNPO法案をどう位置づけておられるのか、意義づけておられるのか、このことをお伺いしておきたいと思います。
  29. 富田茂之

    ○富田議員 愛知委員の御質問にお答えいたします。  愛知委員も御指摘のように新進党は改革を旗印にこの一年半闘ってまいったわけでありますが、新進党の結党宣言におきましても民間非営利公益セクターの創造ということを高らかにうたっておりまして、それを受けまして河村議員を中心にこの一年半検討してきました。  愛知委員が御指摘のように、社会のシステムを変えていかなければならない。昨年一月十七日発生いたしました阪神・淡路大震災におきましても、行政の対応の鈍さ等がかなり話題になりました。避難生活を送っている方々への支援すらまともにできないというようなこともございました。これまでの戦後五十年間は役所任せで済んだ部分がかなりあったと思いますが、やはり阪神・淡路大震災の際のボランティアの活躍ぶりを見ますと、市民団体の方が自由に活動できる、また迅速に活動できる、いろいろ柔軟な対応もできるといった行政にはない利点を持っていたことが明らかになってきたわけであります。  そういう点から見ましても、やはりそういう市民活動社会的に支援する、そういう枠組みが必要ではないかということでこのNPO法案提出させていただいたわけでありまして、本当に社会の構造自体を変えていこうというその第一歩になるものというふうに私どもは認識いたしております。  先ほど宮路筆頭理事の方からのボランティアに関する団体数、人数の御質問がございまして、ちょっと河村議員の方でお答えできなかった点について付言させていただきますが、自民党さんの調査ではボランティア団体が六万団体、五百万人ぐらいいるというふうな御調査でございましたが、これは恐らく一九九四年の社会福祉協議会の調査の数字ではないかな。その数字によりますと、五万四千七百九十四団体、四百六十七万千七百四十一人がボランティア活動に従事しているというような数字が出ております。  ただ、これは福祉ボランティア、福祉のネットワークにかかってくる団体また人数でございまして、私どもNPO法案というのは福祉だけではございませんので、例えば芸術団体だけでも今NPOが三千あるというふうに言われております。このような数を含めますと、六万団体だという御指摘は余り当たらないのではないかな。  また、ボランティア団体というふうに限って、非営利団体というようなことを対象にした調査というものは、公的な調査というのは私どもが調べた範囲では今のところございません。  ただ、郵政省の方で、法人格を有する団体三十一万団体を含んでNPOは約五十万団体あるのではないかというような報告もされているようであります。そうしますど、この五十万から三十一万を引いた約二十万団体人格なき社団として活動しているのではないかというふうに私どもとしては考えておりますので、先ほど河村提案者の方で説明しました三十万団体というのは決して非現実的な話ではないというふうに私どもは考えております。
  30. 愛知和男

    愛知委員 今富田議員から、今度のこのNPO法案社会の仕組みを大きく変えるその一つのきっかけになるものだというお話がございました。ここには政府の方で経済企画庁から坂本局長がおいででございますが、政府、企画庁はこういう意見に対してどう思いますか。
  31. 坂本導聰

    ○坂本(導)政府委員 御案内のように、我が国の経済社会は国際化あるいは高齢化という極めて大きな変化をしております。こういった変化に適切に対応していくということは重要である。それからまた、個々人の生きがい対策、あるいは社会のためにも国のためにも国民のためにも、市民活動の活性化というものが極めて重要となってくる。その環境を整備していくことがこれまた重要である。そのためにはNPO法案の検討というものが必要になってくると考えております。  ただ、私ども平成七年一月二十七日、当時の五十嵐官房長官から、そういったことでボランティア活動の実態あるいは諸外国の対応あるいは法人格付与の問題、税制上の優遇措置の問題、保険等の問題等法的な整備等の必要性を含めて検討すること、経済企画庁を窓口として関係省庁で勉強してくれという御指示を受けまして、二月三日に十八省庁から成るボランティア関係連絡会議を設けまして、そこで鋭意検討してまいっております。  その中で、例えば先ほどボランティアの数がございましたが、私どもがサンプル的な調査をした結果は、ボランティア団体と考えられるものは約八万五千団体が現在活動しておられるようでありまして、そのうち法人格が必要だと考えておられますのは、小さく見れば八千団体、大きく見れば一万二千団体、こういうことでございます。  ただ、今新進党の方から既に法案提出されておりますし、与党三党におきましても積極的に御検討をいただいておりますので、政府としてはその検討状況を見守ってまいりたいというふうに考えております。
  32. 愛知和男

    愛知委員 今政府の方からお話がございましたが、今日まで、法案をつくっていく上でいろいろと政府とのやりとりもあったのではないかと思いますが、率直に政府の対応をどう感じておられますか。
  33. 河村たかし

    河村(た)議員 政府もなかなか熱心でございまして、非常に好感を持って、よく夜ぶらっと遊びに行ったりしてお話をさせていただいたのですが、違うところは、新進党の案は、いわゆる新しい社会をつくっていくということにもう完全に踏み込んでおります。先ほど税のお話で、そんなたくさんつくって大丈夫かという話がちょっとありましたけれども公開して特定口座に入れるとか、そういう団体がお互いに競い合って、公的分野もみんなで支え合っていくのだ、そういうようなところへ私どもは入っております。  政府の方は、どうも、神戸で大変にボランティアが活躍されたということなので、何かよくわかりませんけれども、いわゆるボランティア、報酬がないというのですかね、そういう団体に、車が借りられないとか、それから事務所が借りられないとか保険が掛けられないとかそういうことを救ってあげようかな、何かそんなような感覚ではないかな。  私どもはそれを含みますけれどもボランティアというのはボランタリーという意味でして、無報酬という意味ではなくて、分配しないということはございますけれども、もっと積極的に、自主的に、世のため人のための分野をみんなでやって、フェアにお金を出し合って、競い合ってやっていこう、そういうところに生きる分野をつくろう、私どもはそんな感じでございまして、なかなか非常に御熱心で、感銘は受けたところでございます。
  34. 愛知和男

    愛知委員 ここには大蔵省がおりませんけれども、やはりお金の流れを変えるというところはかなり大きな要素だと思うのですね。  つまり、今までの日本の仕組みそのものは、すべてお金が大蔵省に一度集中して、そこから分配をするという仕組み。それを変えて、大蔵省を経ないで、直接、税金というか国民の金が自分の支援したいところに行くという仕組みに変えようという話でしょう。ということになると、大蔵省はかなり抵抗するのではないかなと思うのですが、大蔵省とのやりとり、あるいはされたのかもしれません。大蔵省はおりませんから、坂本さん、大蔵省の出身だけれども、きょうは大蔵省の立場ではないから聞くわけにいきませんが、率直に言ってその辺はどんな感じでございましたか。
  35. 河村たかし

    河村(た)議員 鋭い御質問でございまして、実は、よく大蔵省にも行きまして、ただ大蔵省の命令を受けて条文をつくったことは一切ございません、これは。  いろいろな方がお見えになりまして、こういう方もお見えになりましたね。実は私は、省としては反対だけれども、個人としてはこういう時代だね。今までは大蔵省が中心になって画一的な運営をしなければ、愛知会長がおっしゃられましたけれども、やはり戦争で負けましたから。大変だったけれども、もう今度はみんながそれぞれの気持ちで、寄附という格好でそこに税がみんなの選択で行く。そして団体も自分で努力してくれる。そういうふうにしないと、予算配分というかそういう問題も、本当にかゆいところに手が届くというのはできないよね。  それから、福祉の問題でも、今のところ責任ある財政再建論というのは、一応歳出に見合った増税ということになりますけれども、歳出の方も全部国がやっていては、これはたまらないよね。だから、そういうことも皆さんで、一応いろいろなグループをつくって、いろいろな、お年寄りに給食をつくることもやってくださいよ。もうそんな時代だよね河村君、という話はございまして、名前はちょっと申し上げられませんけれども。  省としてはそう言われますけれども、僕は、だから大蔵省は非常に頑張られたと思いますね、やはり戦後の復興、また明治維新からいってもいいですけれども。だけれども、ここまで来たらやはり、非常に御立派であった、あとはもうそういうみんな全部自分でやるのではなくて、みんなそれぞれが選択できるような道をつくろうではないかというふうに大蔵省に言うのがいいのではないかな、そんなふうに思っております。
  36. 愛知和男

    愛知委員 お金の流れについては、こういう市民団体に対するお金の流れの仕組みを変えるということももちろんそうですが、もう一つは、きょうの議題ではありませんけれども地方分権を進める、こういう大きな課題についても、これまた今の仕組みは、とにかく全部中央に集めてまたそこから地方に配分するという仕組みになっているわけで、こういう金の流れをそのままにして幾ら地方分権を叫んでみたところで、これは余り実が上がらない。私はやはり、金の流れも変えなければ本当の地方分権は進まないと思うのでございます。  これはきょうの議題ではありませんけれども日本社会の仕組みを変えるということからいいますと、金の流れというのは、これはやはり避けて通れないというか、極めて一番大事な点だというか、そういうものだと思うのですね。そういうわけで、これがその突破口にでもなれば、そういう意味も意義もあるのではないか、こんなふうに私は思っているわけでございます。  幾つか具体的な質問を用意したのでございますが、質問申し上げる時間がなくなってしまったのです。あと本当に数分ですが、この機会に、このことだけはぜひ言っておきたいということがありましたら言っていただけませんか。
  37. 河村たかし

    河村(た)議員 与党の皆さん余りお見えにならぬので非常に残念ですけれども、多分、党というよりも、これは新進党できょう政審会長お出ましいただいて、こんなときに言っていいかどうかわかりませんけれども、多元的な社会をつくるか、それとも今まで型のやはり役所がすべて取り仕切る時代をつくるのか、そういうイデオロギーというか、そういう感覚の対立だと思うのですね。  だから、これは政局の問題がありますから勝手に変なところで政界再編してはいかぬかどうかわかりませんけれども、そういうことではなくて、本当にみんなで支え合う多元的社会をつくろうという人は、ぜひ賛成していただいて、対立と言ってはおかしいですけれども、そういう討論を本当に、与党、野党ではなくて、党派を超えて自由討議でもいいと思います。全部党議を外して本当に自由討議にしてもいいと思います。そんな御議論をぜひお願いしたいと思っております。  以上でございます。
  38. 愛知和男

    愛知委員 今、党派を超えて取り組んでほしいというお話がございました。この国会もいよいよ大詰めでございますし、採決をするという機会は今国会はちょっと無理かもしれません。継続審議になり、次のまた臨時国会で審議をされるということになるのかもしれませんけれども委員長にお願いをしたいのでございます。ぜひこの審議をまたどんどん進めていただいて、できるだけ早い機会に採決に持ち込んでいただいて、その採決の際は、ひとつ、党議拘束を外すというのは、これは自民党は自民党で決める話ですから申し上げることではないかもしれませんけれども、やはり政治家一人一人の信念に基づいてやるにふさわしい課題ではないかと思いますので、ぜひそのような運営にしていただければ大変ありがたいと思うのでございます。  限られた時間でございましたので、具体的な質問をする時間がなくなりました。民法関係との話とかいろいろ法律的には難しいところがあるようでございますが、これは法律の専門家である皆さんが取り組まれてきたことであるし、また、冒頭に申し上げましたけれども、そういう現実を踏まえて、現実的にまず可能なところから、最初から百点満点をねらうのではなくてまず第一歩から、こういう思想で取り組んでいらっしゃるように受けとめております。  ぜひひとつ、これが、きょうが第一歩でありますから、これから大いに頑張っていただいて、私が冒頭に申し上げました、私がこうしてここで質疑に立たせていただくという意義もある、それを踏まえて、今後とも私どもも大いにバックアップをしていきたい、一緒になって取り組んでいきたい、こう思っておりますので、今日までのいろいろな御努力に敬意を表し、また委員長のきょうの委員会の開会また運営に心から感謝を申し上げ、私からの質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  39. 大木正吾

    大木委員長 次に、穀田恵二君。
  40. 穀田恵二

    穀田委員 新進党法案質問の前に一言言わせていただきます。  私ども日本共産党も、一昨日、非営利法人法案要綱を発表しました。そのポイントは、第一に準則主義による法人設立、二つ目に行政の介入を排除して、情報公開に基づく不正の防止、三つ目に非営利法人委員会による自主管理、この三点を私どもは中心ポイントに置いています。しかも、これによって広範な非営利団体法人格を取得できるようにし、なおかつ税制上の優遇措置も適切に受けられるようにするものです。私どもも幅広い議論を呼びかけておりますので、最初に改めて紹介をしておきたいと思います。  さて、新進党の法案について、第三条の定義では、市民公益活動を行う団体法人格付与対象にしています。これまでの公益という言葉が、官庁による恣意的な選別の道具になってきたことは御承知のとおりであります。この点で、新進党案公益の概念を採用しており、対象が恣意的に選別される余地があると考えられますが、この点についてまずお伺いしたいと思います。
  41. 上田清司

    ○上田(清)議員 穀田議員にお答えします。  まず、共産党におかれましても一昨日NPO法案要綱を策定され、大変いろんな形での活発な議論提案されておられることに心から感謝を申し上げ、敬意を表したいと思います。  そこで、今のお話でございますが、まず、民法三十四条の規定に基づく公益法人として法人格が認められるのが容易でないという要因は一体何なのかというところにあるわけでございますが、御承知のとおり、民法三十四条の対象とする団体公益団体に限られている、そういうことだけでなくて、やはり設立の際の主務官庁の許可主義にその原因があるのではないか。先ほどから穀田議員も言われていますように、恣意的に裁量がなされるというところに問題があるのではないか。  そういう点におきまして、許可主義のもとでは、主務官庁が団体法人格を与えるかどうかについて、公益性の有無など法定の要件の充足の有無にとどまらず、広範な裁量が認められていること、これこそが問題であるという考え方に立っておりますので、私どもの方は認可主義を採用することによって、幅広い範囲で公益性を認めた形での市民公益団体の範囲が広がってくる、あるいはまた認められていくというふうに考えているところであります。
  42. 穀田恵二

    穀田委員 今お話ありましたように、許可の問題ですね。  そこで、この間の公益という名による運用実態はと見てみると、やはり恣意的に行われてきたという事実は、お互いにこれは確認できると思うのですね。その上で、例えば会員制度をとっている組織、特定の職業の権利擁護を図る組織などは、営利目的とせず社会利益増進するという本来の意味での公益目的としているにもかかわらず、公益法人の枠からはじかれてきました。  こうした経過もあって、私どもは、公益という概念を用いずに、非営利という一点で法人格付与提案しているのが我々の提案であります。  今ありましたように、公益という条件をつければ、許可であるか認可であるかは別として、結局だれがそれを判断するのかということになると思うのですね。それで、新進党案も、今お話あったように、都道府県知事認可制をとっています。  それで、非営利法人という制度をつくる場合大切なことは、上からの統制を排除して、法案の、今ありましたように自主性を最大限に保障することだ。したがって、私どもは、行政による許認可を必要とせず、公証人が技術的な点だけを認証し、法務局へ届けることで法人格が生じるようにすることを提案しています。  そこで、新進党案は、基本理念でこう言っていますよね。「多様な価値観を有する住民の自発的意思に基づいて」、さらに後の方では「団体の自主性及び自立性を尊重して運用されなければならない。」と言っています。それにもかかわらず、設立に当たって知事の裁量の余地を残す認可制というのは、じゃなぜなのか、ここの点をちょっと……。
  43. 上田清司

    ○上田(清)議員 そこで、私どもの方でも、知事裁量権にたがをはめると言っては大変恐縮ですが、裁量の余地が入ってこないような仕組みというものを考えたつもりでございますので、その旨をちょっと申し上げたいと思います。  市民公益法人要件としている地域基盤性について、三条二項三号、四号において、社員役員の居住要件という形で、定量化することによって基準を明確にしております。  二点目に、設立認可に当たって、法案の十三条で、一つは「市民公益法人が第三条第二項の要件を欠くと認められる場合及び」、二つは「定款の内容又は設立の手続が法令の規定に違反すると認められる場合」についてだけ不認可とすることができることとし、不明な場合には市民側の利益にという原則を明らかにしておるところであります。  また、三番目に、知事は申請から三カ月以内に「認可又は不認可の通知をしなければならない。」し、この期間を経過した場合には設立の「認可があったものとみなす。」いわゆるみなし認可制度を採用しておりますので、例えば意図的に保留状態を長々と続けるとか、そういうことはちょっとできなくなる、そういう意味での、基本的な知事裁量権というのでしょうか、そうしたものについての一定の条件づけ、枠づけというものを可能にしているのではないかなというふうに私ども思っております。
  44. 穀田恵二

    穀田委員 今お話ありました十三条なんですが、その前の項に実はこういうこともあります。第十二条には「主務省令で定めるところにより、」いろいろなところで実は主務省令というものが当然これは一方では出てくるんですね。私どもは、認可の問題と主務省令というこの二つがやはり、そういう意味ではちょっとまずいんじゃないかなと率直に思うのですね。  それで、事業を所管する大臣の発する命令が普通主務省令であるとされますよね。それで、その基準に従って設立の手続や基本基金の管理、事業報告等の情報の公開も行う仕組みになっています。  しかし、私は、NPOそれ自身が本来主務省という考え方になじまないんじゃないか。これは先ほどの議論をお聞きしても、そういう点は共通して言えるのじゃないかと思うのですよね。大体自主的な活動というのは特定の省庁の縦割り行政によってたがをはめられるということはあってはならぬわけでして、しかも設立後、いろいろな経過を経て変化をしていくことも当然あり得るわけですから。  それで、もう一つつけ加えるならば、今まで、従来の公益法人制度では、主務省制が実際は天下りのそういう受け皿にいろいろなったりする、こういう経過もありますよね。したがって私は、そういう主務省令で定めるというような考え方ではなくて、そういうこと自身がやはり、置かないことがNPOの特質に合致するんじゃないか、そういうやり方じゃないかというふうに思うのですが、いかがですか。
  45. 上田清司

    ○上田(清)議員 穀田議員のおっしゃることも、全く理念的には一緒の部分がある意味ではあります。  ただ、今回、準則主義という形をとっていけば、当然民法改正という形をとらざるを得なくなってくるような解釈を私どもはとっております。したがって、民法特別法という形の中で今回位置づけておりますので、そういう意味では、やはり何らかの形で主務官庁も含むところの認可主義という形をとる方が、ある一面きちんとした形で物が出せるのではないかな。  また、限られた一定期間の範囲の事業を限定列挙する形で法定する場合に、より準則主義に近い形で法人格を与えることも私どもは可能だというふうに思っておりますし、それから、団体に限ってしまうことは、逆に法人格付与される対象を狭くしていくこともあり得る、しかもまた、国民の多様な価値観に基づく多様な団体法人格を与えるという今回のNPO案の趣旨にも、ある一面今度はそぐわないのではないかなという考え方を持っております。  準則主義をとらず認可主義をとったからといって、法人設立が認められる範囲が御懸念されるほど不当に狭められるということはないというふうに私どもは思っております。このことを、逆に強く私どもの方はきちっといろいろな形でたがをはめているつもりでありますので、自信を持って進めていきたいというふうに思っております。  主務省令に関しては、極めて専門的な話ですので、臼井主幹に御答弁をお願いしております。
  46. 臼井貞夫

    ○臼井法制局参事 新進党案のお手伝いをした衆議院法制局でございます。私の方からお答え申し上げます。  例えば、十二条にあります「認可の申請」、これについて主務省令に委任しておりますのは、認可の申請の手続事項で極めて技術的な要素が高いもの、こういうことで省令ということに法律が委任しておるわけでございまして、その省令も、事業を所管する大臣がさまざまにおりますので、その命令ということなどで、事業の所管の大臣が共同して、なるべく共同省令という形で出していただきたいなと思っているわけでございます。  以上でございます。
  47. 穀田恵二

    穀田委員 どうもそのところは意見の違うところでして、狭められることはないと言うのですけれども、やはり私は、はっきり言って狭められると思うのですね。つまり、今お話あったように、共同で省令を出すと言っていますけれども、結局は、では、どの省の省令に従って法人設立を求めていくのかというのがまず第一に当然出ますね。  それから、今お話あったように、多元的という話をずっとしていましたね。結局のところ、今の市民団体または文化団体活動を初めとして、対象となっている団体活動というのは、もっと多様ですね。どの省に当てはまるかなんということは、はっきり言ってないぐらいの広さを持っています。  そういう意味でいうと、結局、そういう縦割りの枠の中に入ることになじまない、本質的になじまないということをまず私は言いたいと思うのですね。ですから、どうもそこが違うというふうに思っています。  民法の改正との関係でいうならば、皆さんもよく御存じのとおり、要はシーズの主張なんかでも明らかなように、結局、行政のそういう立場ないしは行政の論理から発想するか、それとも市民の論理から発想するかという根本的な分かれ目があるわけで、その辺は、私はさしたる問題はないと思っています。  ですから、一番最初にありましたように、もっと準則な形でやること、ないしは、さらに、そういうNPOそもそものあり方からして主務省というのはなじまないということだけ、極めて手続事項だとおっしゃいますけれども、そういう内容について言えば、私どもはそういう見解を持っているということだけお伝えしておきたいと思います。  次に、今度の国会に、非営利芸術団体文化団体法人制度実現に関する請願衆議院で三百九十三件、参議院に百五十八件提出され、本委員会にも付託されています。この請願は、院内のほとんどの会派が紹介し、紹介護員が衆議院過半数になって、党派を超えた合意とも言えます。  私もこの議論を通じて初めて知ったのですが、劇団が株式会社になっているとか、NPO法の制定を進めている芸術文化振興連絡会議、PANですね、その加盟三千団体のうち、公益法人が四%、株式会社など営利法人一九%、組合法人が二七%、それ以外の五〇%が任意団体と聞きました。  最近、一部与党案や政府部内で検討しているとされる案では文化芸術団体は全く対象外となっていると伝えられています。私たちはこうした動きに対して厳しく批判をしたいと思うのですね。  新進党案は、興行収入を得ている上演団体や会費制をとっている鑑賞団体などを含めて、非営利芸術団体文化団体を当然法人格付与対象として考えていると思うのですが、それはどうか。また、これを排除するという主張に対してはどう見ておられるのか。見解をお聞きしたいと思います。
  48. 上田清司

    ○上田(清)議員 きょう、非営利団体関係の皆さんもたくさん傍聴に来ていただいていると思いますが、いろいろな点で私どもに御教示をいただき、また、さまざまな実態を教えていただき、そして、今日に至ったことに関しても、心からこの席をおかりして御礼を申し上げたいというふうに思っています。  今、穀田議員が言われましたように、私ども文化芸術団体も一つの市民公益団体として十分認めるに足る活動をなさっているものだというふうに思っておりますし、今、克明に調べられましたように、十分な活動ができるような状態にないがゆえに、そうしたNPO法案に対する強い希望と、そして推進の力があったというふうに受けとめております。  一部、このことに関して排除するような考え方がありますが、そもそも文化の概念とかを本当に論議をすると、どこまでが文化でどこまでが芸術かというような議論になってきますし、そういうものはなかなかできるものではないというふうな形で、原則、とにかく公益性というこの民法で言うところの概念にほぼ合致するものであれば、私どもはそうした文化芸術団体についても市民公益団体として認められるものだというふうに考えております。
  49. 穀田恵二

    穀田委員 私は、公益性の概念といいますか、非営利の概念で一致できるとは思っているのですが、その辺、微妙にあるのでしょうが、今度の非営利法人制度というのは、団体活動しやすい条件をつくることが目的であって、そういう方々の要求や御意見を十分反映した内容にすることが必要だと思っています。  私は、朝の理事会でも提案させていただいたのですが、やはりこれだけの機運が高まっていることでもあり、小委員会をつくるなどして、なおかつ関係団体の御意見を直接お伺いをするということなどをして、我々もよりよいものに仕上げていくという努力が必要だと思うのですね。そういう意味でいいますと、かつて音楽教育振興法を超党派議員立法で成立させた経験もあります。  したがって、超党派議員立法で成立を目指すことも考えるべきではないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  50. 上田清司

    ○上田(清)議員 全く同感であります。超党派でそうした推進をしていきたいというふうに思いますし、文化に関しては全く認められるということもあわせて、先ほど舌足らずの部分があったかもしれませんので申し上げておきます。
  51. 穀田恵二

    穀田委員 最後に一つだけ、市民公益法人センタしの業務についてだけお聞きしたいと思います。  先ほど言いましたように、我が日本共産党は、情報公開に基づく自主管理を行う機関として、非営利法人委員会を設置することを我が党の案では提案しています。この委員会は、都道府県ごとに独立した機関として設置し、委員の三分の二を非営利法人の代表から、そして残りを知事が任命する有識者によって構成する。また、情報の公開を行うだけでなく、NPO自身による自治として税制の優遇措置の資格の認定なども行おうとすることを私どもは今提案しているところです、またぜひ御検討いただきたいのですが。  新進党案の第四十九条の、市民公益法人センターの業務内容というのはもうひとつ定かでないので、その内容についてだけ最後にお聞きしておきたいと思います。
  52. 上田清司

    ○上田(清)議員 今後議論の中で詰まっていく部分もあるかと思いますが、私どもが考えている部分について申し上げておきます。  御指摘の、市民公益法人センターは、主に市民公益法人に関する情報の公開に当たる機関です。その他、市民公益法人運営に関する連絡、助言を行うことを主な仕事に考えております。  全国を通じて一個としておるところは、情報をなるべく一元的に管理、公開するということを考えているからであります。  また、市民公益法人の情報はどこに行けばあるかということについて、それぞれのボランティア団体が、ある意味ではうろうろしなくても済むというのでしょうか、一個きちっとあれば、ああ、あそこだということでしっかりアクセスができるという、そういう意味で中央というのですか、センターをきちっと一個にしていくという考え方に立っております。  将来、市民公益法人のコンピューターセンターというような位置づけにこのセンターがなっていくのではないかというような将来構想も私どもは持っております。  最後につけ加えていきますと、関連する税制改正法案において市民公益法人特定公益増進法人並みの優遇税制を得るための要件として、市民公益法人センターにおいて情報公開を行っていくことを入れております。
  53. 穀田恵二

    穀田委員 終わります。
  54. 大木正吾

    大木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時四十二分散会      ————◇—————