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1996-06-11 第136回国会 衆議院 内閣委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年六月十一日(火曜日)    午後六時開議  出席委員   委員長 大木 正吾君    理事 熊代 昭彦君 理事 宮路 和明君    理事 渡辺 省一君 理事 今井  宏君    理事 倉田 栄喜君 理事 弘友 和夫君    理事 山元  勉君 理事 宇佐美 登君       大野 功統君    唐沢俊二郎君       久野統一郎君    佐藤 信二君       塩谷  立君    七条  明君       鈴木 俊一君    虎島 和夫君       石田幸四郎君    石破  茂君       奥田 敬和君    鹿野 道彦君       野田 佳彦君    五十嵐広三君       田口 健二君    簗瀬  進君       吉井 英勝君    岡崎 宏美君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (内閣官房長官梶山 静六君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 中西 績介君  出席政府委員         内閣官房長官 渡辺 嘉藏君         内閣参事官   安富 正文君         内閣参事官   吉井 一弥君         内閣官房内閣内         政審議室長   藤井  威君         内閣官房内閣安         全保障室長   三井 康有君         内閣官房内閣広         報官室内閣広報         官       半田 嘉弘君         内閣官房内閣情         報調査室長   大森 義夫君         内閣法制局長官 大森 政輔君         人事院総裁   弥富啓之助君         人事院事務総局         管理局長    武政 和夫君         総務庁人事局長 池ノ内祐司君         総務庁行政管理         局長      陶山  晧君         外務省北米局長 折田 正樹君         大蔵省主計局次         長       伏屋 和彦君  委員外出席者         内閣官房内閣参         事官室首席内閣         参事官     太田 義武君         内閣委員会調査         室長      松下 英彦君     ――――――――――――― 委員の異動 五月二十七日  辞任         補欠選任   金田 誠一君     簗瀬  進君 同月三十一日  辞任         補欠選任   塚田 延充君     米沢  隆君 同日  辞任         補欠選任   米沢  隆君     塚田 延充君 六月十一日  辞任         補欠選任   加藤 紘一君     久野統一郎君   津島 雄二君     七条  明君   松本 善明君     吉井 英勝君 同日  辞任         補欠選任   久野統一郎君     加藤 紘一君   七条  明君     津島 雄二君   吉井 英勝君     松本 善明君     ――――――――――――― 五月二十四日  内閣法等の一部を改正する法律案内閣提出第  一九号) 同月十七日 恩給欠格者救済に関する請願稲垣実男君紹  介)(第二四〇一号)  同(稲垣実男紹介)(第二四四九号)  同(早川勝紹介)(第二五五九号)  同(星野行男紹介)(第二五六〇号)  非営利芸術団体市民文化団体法人制度の  実現等に関する請願太田誠一紹介)(第二  四九四号)  同(久保哲司紹介)(第二四九五号)  同(太田誠一紹介)(第二五六一号) 同月二十八日  恩給欠格者救済に関する請願麻生太郎君紹  介)(第二六二九号)  同(白沢三郎紹介)(第二六三〇号)  同(高鳥修紹介)(第二六三一号)  同(稲葉大和紹介)(第二六六九号)  同(遠藤登紹介)(第二六九四号)  同(坂上富男紹介)(第二六九五号)  同(桜井新紹介)(第二六九六号)  同(田中眞紀子紹介)(第二六九七号)  同(増田敏男紹介)(第二七四二号)  傷病恩給等の改善に関する請願逢沢一郎君紹  介)(第二六八二号)  同(小此木八郎紹介)(第二六八三号)  同(大野功統紹介)(第二六八四号)  同(河村建夫紹介)(第二六八五号)  同(櫻内義雄紹介)(第二六八六号)  同(戸井田三郎紹介)(第二六八七号)  同(中村正三郎紹介)(第二六八八号)  同(中山正暉紹介)(第二六八九号)  同(浜田靖一君紹介)(第二六九〇号)  同(細田博之紹介)(第二六九一号)  同(持永和見紹介)(第二六九二号)  同(茂木敏充紹介)(第二六九三号)  同(細田博之紹介)(第二七四三号)  非営利芸術団体市民文化団体法人制度実現等に関する請願森本晃司紹介)(第二六九八号)  同(簗瀬進紹介)(第二六九九号) 六月五日  恩給欠格者救済に関する請願橘康太郎君紹  介)(第二七五三号)  同(福永信彦紹介)(第二七五四号)  同(太田誠一紹介)(第二八〇一号)  同(自見庄三郎君紹介)(第二八〇二号)  同(住博司紹介)(第二八〇三号)  同(中谷元紹介)(第二八〇四号)  同(萩山教嚴君紹介)(第二八〇五号)  同(村山達雄紹介)(第二八〇六号)  同(萩山教嚴君紹介)(第二八一九号)  非営利芸術団体市民文化団体法人制度の  実現等に関する請願奥野誠亮紹介)(第二  八〇七号) 同月十日  恩給欠格者救済に関する請願白川勝彦君紹  介)(第二九三七号)  同(山本幸三紹介)(第二九三八号)  元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する  請願粟屋敏信紹介)(第二九三九号) 同月十一日  恩給欠格者救済に関する請願太田誠一君紹  介)(第三〇一八号)  同(古賀誠紹介)(第三〇一九号)  同(古賀誠紹介)(第三一一七号)  同(横内正明紹介)(第三一一八号)  同(古賀誠紹介)(第三三〇七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 六月四日  人事院寒冷地手当引き下げ見直し等に関す  る陳情書外三件  (第二六二号)  情報公開法制定に関する陳情書  (第二六三号) 同月十日  青少年を取り巻く有害環境の浄化に関する陳情  書  (第三四九号)  部落差別をなくすための基本法制定に関する陳  情書  (第三五〇号)  国民のための真の情報公開法制定に関する陳  情書外一件  (第三五一号)  すべての役所に人権擁護監視員配置に関する陳  情書(  第三五二号)  ゴラン高原を中心とする自衛隊の海外派兵阻止  に関する陳情書  (第三五三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  内閣法等の一部を改正する法律案内閣提出第  一九号)      ――――◇―――――
  2. 大木正吾

    大木委員長 これより会議を開きます。  内閣提出内閣法等の一部を改正する法律案議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。梶山内閣官房長官。     —————————————  内閣法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 梶山静六

    梶山国務大臣 ただいま議題となりました内閣法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、先般の第三次臨時行政改革推進審議会の答申の趣旨にかんがみ、内閣総理大臣に対する補佐体制充実を図るため、内閣総理大臣補佐官制度を設けるとともに、内閣官房における行政各部の施策に関するその統一保持上必要な総合調整等の一層の円滑化を図るため、内閣官房長官職務に関する規定整備する等の措置を講じようとするものであります。  次に、この法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  第一に、内閣法の一部改正であります。  その第一点は、内閣官房長官職務を、内閣官房長官職務を助け、命を受けて内閣官房事務をつかさどり、及びあらかじめ内閣官房長官の定めるところにより、内閣官房長官不在の場合、その職務を代行するものとすることとしております。  その第二点は、内閣総理大臣補佐官制度の新設であります。内閣官房内閣総理大臣補佐官三人以内を置くことができるものとし、内閣総理大臣補佐官は、内閣重要政策に関し内閣総理大臣に進言し、及び内閣総理大臣の命を受けて内閣総理大臣意見を具申することとしております。また、内閣総理大臣補佐官は非常勤とすることができることとし、内閣総理大臣補佐官の任免に関する規定及び服務に関する規定を定めることとしております。  第二に、国家公務員法及び特別職職員の給与に関する法律の一部改正であります。  その内容は、内閣総理大臣補佐官特別職国家公務員とし、その俸給を定めることとし、また、内閣官房長官俸給を引き上げることとしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。     —————————————
  4. 大木正吾

    大木委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野田佳彦君。
  5. 野田佳彦

    野田(佳)委員 新進党野田佳彦でございます。  ただいま御提案のありました法律案以外にも、内閣機能強化という視点で、機構の問題あるいは官邸の問題含めまして、約一時間ほど質問をさせていただきたいと思います。  まずは官邸の問題に触れたいと思います。  今の官邸は昭和七年にできたものであって、これはだれもが認めるところでありますけれども、老朽化し、狭隘化しております。そこで、政府は新しい官邸をつくろうと、九八年度に着工して、二〇〇〇年にそのおおむねが完成をするような方針で臨んでいらっしゃると思います。  今年度予算基本設計関係費二億円を盛り込んで、新官邸設計作業を始めようとしているところでありますけれども、もちろん新しい官邸をつくるということはよくわかりますけれども、問題は、昨年の阪神淡路大震災等のまさに深い反省の上に立って、情報収集機能強化あるいは危機管理体制整備、こういう観点からどういう新しい官邸をつくろうとしていらっしゃるのか、その概要を御説明いただきたいと思います。
  6. 吉井一弥

    吉井政府委員 お答え申し上げます。  新官邸整備につきましては、ただいま委員指摘がありましたとおり、平成八年度予算設計に要する経費が計上されておりまして、現在、新官邸に必要な施設設備内容につきまして検討を行っているところでございます。  新官邸整備に当たりましては、危機管理機能及び情報収集機能強化を図ることが極めて重大な課題だと認識しておりまして、この点に関して、これまで有識者による懇談会等を開かせていただきまして、どのような施設設備整備するかにつきましていろいろ貴重な御意見をいただいているところでございます。  これらの御意見十分考慮に入れまして、緊急事態におきまして迅速的確に対応できる新官邸整備してまいりたいと考えているところでございます。
  7. 野田佳彦

    野田(佳)委員 そこで、重ねてお尋ねをいたしますけれども、国会等移転が二〇一〇年をめどに実現をされようとしています。この国会等の「等」がどこまで入るかというのはいろいろ議論のあるところだと思いますが、この大きな流れと、おおむね二〇〇〇年に完成する、庭園等は別にして、主要な機構は全部二〇〇〇年にでき上がるということですが、この新官邸づくり整合性、これはどう考えたらいいのかということでございます。  よく総理は、二〇一〇年の国会等移転起爆剤にして、中央省庁の再編であるとか行革であるとか地方分権、一体として実現をされようというような考えが漏れ伝わってくるのでありますけれども、これらの改革は余り国会等移転と絡めることなく、遅滞なく実行されることが望ましいと私は思います。  この点については余り触れませんで、要は、新官邸づくり国会等移転、どういう整合性をとられようとしているのか、お尋ねをしたいと思います。
  8. 梶山静六

    梶山国務大臣 国会等移転は重要な政策課題として推進すべきであるという認識は同じでございますが、現在の総理大臣官邸は建築後七十年近く経過をし、老朽化狭隘化が著しく、特に危機管理機能情報通信機能充実は緊急の課題であることは御承知のとおりであります。国会等移転調査会報告書に提言されているように、二〇一〇年ごろに国会等移転したとしても、その後も比較的長期間にわたって首都機能が新都市東京に分かれて立地する状況が続くものと想定され、この間は、東京にも総理大臣官邸機能が果たせる施設が必要であります。  それから、加えて、都市機能移転した後も、東京は依然として我が国の経済、文化中心であり、総理大臣等各種行事に参列をしたり、政府国民各界各層との意見交換外交等を行う活動拠点が必要であります。あるいは、東京における政府防災基地としての役割も期待できるわけであります。  したがって、総理大臣官邸整備は、国会等移転と並行しつつ、早急に推進すべきものと考えております。
  9. 野田佳彦

    野田(佳)委員 続いてでありますけれども、四月十一日からオープンだったと思いますけれども、内閣情報集約センター官邸の別館において二十四時間体制安全保障や治安や災害等情報収集集約する、こうした活動が始まっております。きょう、たまたま文芸春秋の七月号を拝見しましたけれども、その結果、官房長官官房長官、たくさんのファックスに目を通したりあるいは夜中に起こされたりと、相当御苦労されているようであります。  ここでちょっと一点お聞きをしたい点は、この中で災害情報も扱っているわけであります。これは、内調にとっては災害情報というのは本来は畑違いでありますが、法的には、正規のルート国土庁であります。この点で、これはどういう関係になっているのか、お尋ねをしたいと思います。
  10. 大森義夫

    大森(義)政府委員 お答え申し上げます。  内閣情報集約センターが行っております災害情報収集集約は、大規模災害発生時の措置として内閣総理大臣等への情報伝達の窓口を内閣情報調査室とすること等を定めた平成七年二月二十一日の閣議決定に従って実施しているものでございます。これによりまして、阪神淡路大震災経験等を踏まえまして、大規模災害発生時の官邸情報集約機能強化することをねらいとしたものであります。  もとより、国土庁その他の関係省庁による内閣総理大臣等への報告がそれぞれのルートで行われることを妨げるものではないとされているところでございまして、内閣情報集約センター及び関係省庁がそれぞれ協力しつつ機能することによって、より迅速的確な情報収集集約ができるものと考えております。
  11. 野田佳彦

    野田(佳)委員 官邸機能規模、そうした問題からお話は入りましたけれども、同様にその内閣官房に勤める、詰めるといいますか、スタッフの数、これがほかの先進国大統領制の国であるとか議院内閣制の国、それぞれ事情は違うにしても、まさに内閣官房スタッフという面では我が国は随分脆弱な体制ではないのかな。たしか百七十五人ですか、内閣官房スタッフ。この点について、この体制についてどのようにお考えになっているかお尋ねをしたいと思います。
  12. 安富正文

    安富政府委員 お答えいたします。  現在、内閣官房六室のスタッフ先生がおっしゃいましたように定員は百七十九になっておりますけれども、これに合わせまして他省庁からの併任者を含めますと約三百人近くの陣容になります。そのほかになお、管理部門としまして総理府職員併任者等を含めますと約六百名という人員になりまして、我々としましては他の先進国と比較しても遜色ない規模であるというふうに理解しております。  なお、八年度におきましても、内閣機能強化として情報集約センター要員等、総勢五名の増員を図りまして体制強化を図っているところでございまして、今後さらに必要に応じて内閣官邸機能体制強化を図っていきたいというように考えております。
  13. 野田佳彦

    野田(佳)委員 その内閣官房スタッフでありますけれども、各省庁からの出向者が非常に多い、それが中心になっているという感じを受けまして、内閣官房機能としてまさに総合調整機能を期待をされているわけでありますけれども、残念ながら縦割り省庁別の延長線上にあって、現状の縦割りの弊害をなかなか打開し切れないでいるのではないかという懸念を持っております。そういう意味では、プロパー官房スタッフ充実等考える必要があるかと思いますけれども、この点についてのお考えをお聞かせをいただきたいと思います。
  14. 安富正文

    安富政府委員 先生指摘のとおり、内閣スタッフについては、各省庁からの出向者がかなりの数いることは間違いございません。ただ、これにつきましては、内閣官房所掌事務である各省庁総合調整あるいは情報収集機能というものを円滑、迅速に遂行していくために各省庁から出向していただいて、各所管行政に関して有している知識、経験を活用していただくということで、ある意味では、内閣官房スタッフが各省庁からの出向者によって構成されている点につきましては有益ではないかというように考えております。  なお、内閣官房スタッフにつきましては、各省庁からの出向者のほかに、ある意味組織所掌事務内閣官房と表裏一体の関係にございますいわゆる総理府プロパー職員というものも含まれておりますし、また先生指摘のように、各省庁からの出向者につきましても、内閣官房職員として、なった以上は政府全体の調整ということで一体的に業務を進めるという意識でやっておりますので、その点については御理解いただきたいと思います。
  15. 野田佳彦

    野田(佳)委員 これからちょっと内閣法にかかわる問題に入っていきたいというふうに思います。  今回の法律案というのは、補佐官の設置、そして官房長官のまた新たな役割、こうした問題提起提案でありますけれども、注目をされていた内閣総理大臣内閣における権限強化、これは連立与党行政改革プロジェクトチームでもいろいろ御議論があったようでありますけれども、最終的には抜け落ちる結果となりました。  私自身は、補佐官を設置することももちろんそれは必要だと思いますが、内閣法抜本改正という意味では、総理大臣権限強化が何よりも柱であったというふうに思います。詳しくは、先般の五月二十四日の本会議新進党を代表して質問をさせていただいた折に述べさせていただきましたけれども、その点についての補足的な質問を幾つか行っていきたいというふうに思います。  内閣首長としての内閣総理大臣に関する権限、これは内閣法では抽象的、一般的にとどまっておりまして、議院内閣制を採用する諸外国の首相権限に関する規定と比較しても、憲法七十二条に定められた、行政各部に対する内閣総理大臣指揮監督権、これが有効に働くための法的な担保というものが私は不十分であるというふうに思っております。  この点について、先般の本会議橋本総理の御答弁でありましたけれども、「合議体である内閣意思にかかわりなしに、内閣総理大臣単独意思決定指揮監督権が行使できるようにするということにつきましては、憲法趣旨に照らして問題があるという指摘もあります。慎重に検討する必要のあることだと思います。」こうした御答弁でございました。  そこで、きょうは官房長官にお聞きをしたいのですけれども、この内閣法六条を改正をして首相権限強化すべきであるという考え方について、官房長官のお考えはいかがでありましょうか。よろしくお願いいたします。
  16. 梶山静六

    梶山国務大臣 確かに私は私説で、憲法七十二条、「内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会報告し、並びに行政各部を指揮監督する。」極めて強い総括的な包括的な権限を持っているわけでありますが、内閣法では「内閣がその職権を行うのは、閣議によるものとする。」という四条があり、さらに「内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針に基いて、行政各部を指揮監督する。」という六条がございます。一般的にこれを読みますと、確かに憲法趣旨内閣法六条で拘束をしている、このような感じすら私もいたしまして、私見としてはそういうことを申し上げたことはございます。  内閣に入りまして、総理大臣機能強化をすべきだということで、特に災害時にどういう力がいたせるかどうか、こういう問題で協議をいたし、過般総理が、必ずしも憲法総理大臣にそれほど 強い権限を与えるのにはまだまだ討論が足りない。そういうことも踏まえまして、直下型大地震その他について、いわば総理大臣職務代行ないしは総理大臣閣議を招集しなくてもというか、招集できればいいのですが、招集するいとまがないあるいは閣僚が集まることが不可能なような状態、その状態においては電話連絡、あるいは連絡がとれなければ総理大臣みずからがすべての状況を把握をしながら行うことができるという旨をこの橋本内閣では定めておりますから、今内閣において総理大臣がその職務災害時に執行するに不便な体制ではなくなりました。  ただ、橋本総理大臣閣議で行ったわけでありますから、その次の内閣を拘束するわけにはまいりません。これからも研究をすべき事例だと考えております。
  17. 野田佳彦

    野田(佳)委員 おっしゃるように、緊急災害時であるとか、あるいは大局的見地からまさに大きな改革実現しようとする際には、どうしても総理大臣権限強化というものは避けて通れない議論ではないのかな。  とかくこれまでは、いやそんなことはない、そうした制度的な担保がなくても、やる気のある、意欲のある、リーダーシップのある総理ならば、課長課長補佐まで指揮監督するケースもあった。例えば田中首相の場合などを出されることがありますけれども。ただ、これは個人のパーソナリティーに帰するというよりも、まさにどんな総理でもこうした権限が行使できるような状況を明示することは、私は、随分研究の余地があるというふうに思っておりますので、引き続き前向きな検討をぜひお願いをしたいというふうに思います。  これはどうしても憲法の問題と当たってしまって慎重な議論になりがちでありますけれども、この憲法上の問題を回避して内閣法改正するということは本当に不可能なのだろうかという点をお聞きをしたいと思います。  平成七年のロッキード事件判決でありましたけれども、「閣議にかけて決定した方針が存在しない場合においても、」「流動的で多様な行政需要遅滞なく対応するため、内閣総理大臣は、少なくとも、内閣の明示の意思に反しない限り、行政各部に対し、随時、その所掌事務について一定の方向で処理するよう指導、助言等の指示を与える権限を有するものと解するのが相当である。」こうした解釈も出たこともございました。  内閣法改正、いろいろな文言があるかもしれませんけれども、憲法上の問題を回避しつつ内閣法改正を行って首相権限強化を図るということが本当に不可能かどうか、可能なのではないかというふうに思いますけれども、この点についての御意見をいただきたいと思います。
  18. 大森政輔

    大森(政)政府委員 ただいま委員がお触れになりました橋本総理の本会議における答弁趣旨でございます。憲法趣旨に照らし問題があるというゆえんのところを、若干憲法規定に即して説明をさせていただきたいと思います。  御承知のとおり、日本国憲法は、行政権組織及び権限行使方法につきまして、六十五条で「行政権は、内閣に属する。」と規定し、そして、六十六条で「内閣は、」「その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。」という合議体の原則を規定しております。そして、それを踏まえまして、七十二条で「内閣総理大臣は、内閣を代表して」「行政各部を指揮監督する。」という規定を置いているわけでございます。  このような規定を踏まえて考えますと、要するに、憲法は、内閣総理大臣及びその他の国務大臣によって構成される内閣という合議体を行政府の最高機関と位置づけている、そして、行政各部に対する指揮監督というものは、本来行政府の最高機関たる内閣権限の行使として行われるべきことを予定しているというふうに解されるわけでございます。  したがいまして、この七十二条で「内閣総理大臣は、内閣を代表して」「行政各部を指揮監督する。」と定めているわけでございますが、ここの「内閣を代表して」と定めていることの意味、この意味は、内閣としての国政に関する意思、判断に基づいて指揮監督が行われるべきであるということを憲法七十二条が規定しているというふうに解されるわけでございます。  これを受けまして、内閣法第六条は、御指摘のとおり、「内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針に基いて、行政各部を指揮監督する。」と規定しているわけでございますが、これは、ただいま説明いたしました七十二条の趣旨を、内閣法においてこれを受けてこのように規定したということでございます。  したがいまして、たとえ緊急時でございましても、内閣総理大臣内閣意思にかかわりなく内閣総理大臣の単独の意思決定により行政各部の指揮監督を行うことができることとするような法改正というものは、やはり憲法のただいま申し上げましたような趣旨に照らして問題があるのではないかというのが私どもの現在の考え方でございます。  ただ、先ほど御指摘になりましたロッキード・丸紅事件判決におきましては、今申し上げましたような正式な意味における指揮監督ではなく、行政各部に対する指導助言等の指示を与える権限というものにつきましては、閣議にかけて決定した方針がない場合であっても、内閣の明示の意思に反しない限り行うことができるということを規定しておりますので、その指示権の行使として適宜適切な対応が可能であろうというふうに考えております。  以上でございます。
  19. 野田佳彦

    野田(佳)委員 いずれにしましても、例えば緊急災害時等においてはもう的確迅速な意思決定というものがまずは最優先だろうと思います。その中で、おっしゃるような極めて狭い憲法解釈でいけば、いろいろな危機管理が叫ばれておりますけれども、本当に大丈夫なのかなという意識を持たざるを得ません。そういう意味では、引き続きこれは大いに論議をすべきテーマであろうと思います。  これから、このたびの御提案内閣総理大臣補佐官の問題について入っていきたいと思いますけれども、私自身は、残念ながら、質、量ともに極めて残念な結果に終わったなというふうに思っております。  この問題に入る前に、先般の本会議で、これは橋本総理大臣に私自身が、この内閣総理大臣補佐官をどのように活用するかという点で、具体的な構想をお示しいただくように質問をさせていただきましたけれども、これは極めて抽象的なお返事でございました。「内閣全体としての力を高めるという観点から、どのような方に、どのような分野について、そしてどのようなやり方でお願いすればいいか、今後さらに考えていきたいと思っているところであります。」具体的にどういう分野、どういう人材、余りイメージを持っていらっしゃらないのかなという印象を受けました。  だとするならば、これは、具体的な構想を持っていないままに、差し迫ったニーズもないままに法律案を提出をし、そして予算措置を行おう、これはちょっとおかしいのではないかなという私は印象を持ちましたけれども、この点についてのお考えをお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  20. 梶山静六

    梶山国務大臣 総理は大変慎重な方でございますからそういう言い回しをされたかと思いますが、この提案をする以上、補佐官制度が必要だという、そのことは強く認識をしていると思います。  ですから、今にわかに定めがたいという一般論で総理は申し上げたと思うのですが、全くこれは、例えば、一般論で申し上げますが、新しい日米安保体制のもとにおける沖縄の基地機能、これはどうあるべきか、こういう問題で、例えば縦割りで、言うならば外務省やあるいは防衛庁やあるいは沖縄開発庁やあるいはそれを相互に調整すべき例えば内閣官房で、果たして専門的な知識を持ってそういうものを行うことができるのかどうなのか。  私はよく申し上げているのですが、やはり、良 好な日米間、その基軸をなす日米安保、その根幹をなす基地問題、それは日本にとっては極めて理論上も利害上も大切な問題であります。しかし、この五十年来の沖縄の心や沖縄の痛みというのを考えるならば、このはざまに立ってどういう措置がとれるかどうか、これはだれしもそう思うのでありますが、それには相当深い行政経験やあるいは外交上の手腕やあるいは沖縄に対する深い理解度がなければ不可能であります。ですから、それが行政の集合体として結果としてそれを補佐するものがあったとしても、どなたかがやはり、総理大臣の命を受け、あるいは総理大臣の指示に従って報告をし、それを取りまとめていくという内面的な仕事をする方がおることは、極めて大切であります。  恐らく、これは私の個人的な推測でありますが、総理にはそういう思い入れもあってこの問題に私は熱心であろう、このように推測をいたしております。
  21. 野田佳彦

    野田(佳)委員 ただいまのような官房長官の沖縄安保、こうした問題で御説明をいただければそれはもう十分納得できる話なのですけれども、この間の本会議答弁では、残念ながらそういう、何というか、意欲というものを感じなかったものですからこうした質問をさせていただいた次第であります。  それで、今度の設置をされる補佐官の数が、三人以内と極めて抑制的になっております。そもそも第三次行政改革審議会の答申があったときは、これは若干名という御提言だったと思います。この若干名については相当膨らみのある話で、二十人くらいまで若干名だという議論もあるぐらいで、かなり、やる気になれば設置可能であったと思います。  連立与党の行革チームにおいても、これはたしか五人だったですか、そんな御提言があったと思いますが、若干名が五人になり、それが三人になり、この三人の根拠というのはどういうことなんでしょうか。連立与党が三党だから三人なのか、よくわかりませんけれども、この辺の御説明をいただきたいと思います。
  22. 藤井威

    ○藤井政府委員 御指摘のとおり、現在御提案申し上げております改正案では、内閣総理大臣補佐官の人数を三名といたしております。  今、官房長官から御答弁申し上げましたように、補佐官の任務といたしまして、内閣総理大臣の内面的補佐、国政全般にわたるような重要な問題あるいは特定の専門的分野に特に通じた方に直接補佐をしていただく、そういう趣旨でできているということは、提案しております法律趣旨から見て当然でございますけれども、そうした補佐官の重要な機能ということ、内閣総理大臣に直接進言、意見具申を行う、そういう職務を踏まえますと、余り多くの人数ではやはり効果的な運用が期待できないのではないだろうか。  また、先ほど来、官房長官も申し上げておりますように、これらが国政上も非常に重要な官職であるということも考えまして、格の高い官職であるということも考慮いたしまして、三人以内が適当なんじゃないかという判断をしたわけでございます。
  23. 野田佳彦

    野田(佳)委員 この総理大臣補佐官の勤務形態でありますけれども、今回は、「非常勤とすることができる。」という規定になっております。これは制度の弾力的な運用を考えての考え方だとは思いますけれども、たしか村山前内閣のときに首相補佐を務められた今の科学技術庁長官、中川秀直長官の御著書に、そのものの「首相補佐」という御著書がありますけれども、ここで出てきている文章で、  国会議員というのは、党や委員会などのさまざまな職務を持っている。それらとの兼任という形では、補佐としてのまっとうな役割を果たすことは難しいだろう。   正直に言って、私自身も補佐としての仕事に充てられた時間は、政治家としての活動の三分の一程度であったと思う。当時はまだ制度化されておらず、手探りの状態であったということもあるが、官邸機能強化という点では課題が残る。今後、補佐となる政治家は、一切の党務などを辞退し、補佐の職務に専従する必要があるだろう。たしかに党務も大事だが、一国の長の補佐という役割は、もっと重いはずである。 というふうに述べられています。これは政治家が起用された場合のみならず、民間人が起用されたとしても、重みは同じであろうと思います。一国の政策決定を左右する総理大臣補佐官という仕事、本当に非常勤という形で務まるものかどうか、この点についてお尋ねをしたいというふうに思います。
  24. 藤井威

    ○藤井政府委員 御提案しております法律案では、「非常勤とすることができる。」という規定にいたしております。  先ほども官房長官からも御答弁しましたし、私も申し上げましたように、補佐官職務が、内閣総理大臣に直接進言し、または命を受けて意見を具申する、それによって内閣総理大臣を内面的に補佐をして、総理大臣の思考や判断を助けるという非常に重要な職務でございます。それは、全般的な国政に関することもございましょうし、あるいは特定の問題に関する専門的な知識の活用をお願いするということもございましょう。いずれにいたしましても、そういう重要な職務、仕事、そういうことにふさわしい人材を得るということが非常に大事なことでございます。  そのふさわしい人材を得るために、常に常勤ということではなくて、場合によっては非常勤ということもできる、そういうふうにした方が弾力的な運用も可能になる、また、広く人材を求めやすくなる、そういうようなことを考えて、常勤を原則としながらも「非常勤とすることができる。」という規定を置くこととしたものでございます。
  25. 野田佳彦

    野田(佳)委員 常勤を原則とするということでありましたら、三人以内の補佐官を設置する場合には、最低二人は常勤で、一人は非常勤というぐらいのバランスでないと、おかしくなるのではないかなというふうに思います。  政治家にしろ、あるいは民間人にしろ、どんなに優秀な補佐官を起用をするにしたとしても、どうしてもそれを支える補佐官スタッフというものも、これは不可欠であろうと思います。この補佐官を支えるスタッフについては、どのようなお考えでございますか。
  26. 安富正文

    安富政府委員 総理大臣補佐官を支えるスタッフについてでございますが、内閣総理大臣補佐官は、高度かつ専門的な知識を持つ者から任命される、言ってみれば、そのみずからの識見によって内閣総理大臣の思考、判断を助けるという、内面的な補佐を行うということを職務とするわけでございますので、その職務内容からしますと、補佐官を補佐するための、いわゆる組織的な体制というような形での事務スタッフというようなことは、必ずしも必要ではないのではないかと考えております。  ただ、そうはいいましても、実際、その職務を行う上で、日々のいろいろな事務を処理するための事務スタッフにつきましては、何らかの形で考えていかなければいけないと思っておりますが、実際に補佐官が任命されまして、どのような方が参り、またはどのような職務を行うのか、そこら辺を十分判断しまして、適切な措置をとっていきたいというふうに考えております。
  27. 野田佳彦

    野田(佳)委員 ルーチンワークをやるにしても、いろいろな事務作業をするにしても、最低限、やはり若干お手伝いをするような方は当然必要であろうと思います。何らかの形で考えていきたいというお話でありましたけれども、これはぜひやらなければ、どんなに優秀な方で、内面的なサポートをするとしても、何か仕事をする上では、やはり若干のサポート体制をつくることは当然必要であろうと思いますし、また、それに見合った部屋等も考えるべきであろうというふうに思います。  次に、この補佐官役割についてでありますけれども、これは総理の特命によっていろいろな特定分野についての助言を行ったりするという限定的な、そんな印象を受けるわけでありますけれど も、もっとこの補佐官権限強化する形で、各省庁間の総合調整まで行えるような強い権限を付するという考えを私は持つべきではないかと思いますが、この点についてのお考えをお聞かせをいただきたいと思います。
  28. 藤井威

    ○藤井政府委員 御提案申し上げております法案の中で、内閣総理大臣補佐官職務を、先ほど来御説明しておりますように、内閣首長であります総理大臣の内面的補佐ということにいたしております。その趣旨は、考えました点でございますけれども、大きく二点あろうかと思います。  第一点は、内閣総理大臣の職責の十分な遂行を期するために、国政全般または特定の専門分野に通じた人に補佐官になっていただいて、直接補佐をしていただく、そして内閣総理大臣の思考及び判断を助けてもらう。そういった、いわばスタッフ的な、内面的な機能を期待して、それによって内閣機能を強めるということがこの際非常に重要であるというふうに考えたことが第一点でございます。  それから、第二点は、一方で、行政事務を分担管理いたします各国務大臣、あるいは総合調整等、究極の調整といいますか、高度の総合調整を任務といたしております内閣官房長官あるいは内閣官房長官、そういういわばラインの職務との職務権限の重複を避けて、円滑な行政運営を行いながら補佐官機能を活用していくということが非常に大事だというふうに考えたわけであります。  というようなことで、現在御提案申し上げているような機能補佐官に期待しているということでございます。
  29. 野田佳彦

    野田(佳)委員 先ほど来、御説明の中で、総理大臣の内面的な補佐をするというような言葉がずっと続いております。何かそれは説明の仕方、表現の仕方がちょっと誤解を生むような、例えば悩める総理大臣のカウンセリングをするような、そんな立場に受け取れます。もっと前向きな仕事をされるお立場だと思いますので、もう少しちょっと答弁のあり方を考えていただきたいと思います。  私は、先ほどの首相補佐の役割、各省庁間の総合調整を行うまで強めるべきであるという立場でお話をさせていただきましたが、これと連動しますけれども、例えば、内閣官房には内政審議室であるとか外政審議室等のまさに各省庁間の総合調整をしなければならないセクションがあるわけであります。  今回、この各室長の格上げというのが見送られたわけでありますけれども、この内閣官房の各室長事務次官クラスまで格上げをするのではなくて、そうではなくて、大変格の高い補佐官をこの各室に配置をしていくというようなやり方で各省庁間の総合調整機能を高めるべきではないかというような一つの具体的な考え方を持たせていただいておりますけれども、この点についての考え方をお示しいただきたいと思います。
  30. 藤井威

    ○藤井政府委員 先ほど来内面的な補佐という言葉を使わせていただいておりまして、それが補佐官の仕事を非常に限定的にする、あるいは補佐官機能を制約するような趣旨でもしお受け取りいただいているということであるとすれば、それは我々の本意では全くございません。いわゆる内閣総理大臣を直接補佐して、それで総理機能あるいは内閣機能を十分高めていただく、そういう重要な職責をこの新しく設置したいと考えております補佐官に期待しているということはおわかりいただきたいというふうに思います。  ただ、内閣官房の各室長の上に総合調整等まで含んだ形で補佐官機能考えていくということに関しましては、制度上はそういう我々内閣室長を指揮監督する制度上の職務、我々の上司でございますけれども、上司として既に官房長官あるいは官房長官という職務がございまして、我々はその命のもとで総合調整等職務に当たっておるわけでございます。そういうラインとしての制度上の姿と矛盾しない形で補佐官制度を効率的に運営していって真に十分な機能を果たしていただくということを考えて、今のような形で御提案しているということでございます。
  31. 野田佳彦

    野田(佳)委員 そこまでの強い権限を持たなくて、内面的な補佐をするということで仮に徹したとしても、総理大臣が出席をする会議、例えば閣議、経済関係閣僚会議政府・与党首脳会議、こうした主要な会議、まさに国としての意思決定の重要な場面で常にこの補佐官が陪席をする、場合によっては発言もするということがないと、本当にその内面的な補佐という役割を果たせるかどうかというふうに思っております。このような重要会議への補佐官の出席についてはどのようなお考えをお持ちでしょうか。
  32. 藤井威

    ○藤井政府委員 先ほど来御答弁申し上げておりますような総理大臣補佐官職務、いわば総理大臣を直接補佐して思考や判断を助けていくという職務、国政全般にわたることもありますでしょうし、特定分野ということもございましょうが、いずれにしましても、そういうスタッフ的な機能ということから考えますと、総理大臣が出席する会議のすべてに同席していただくということは、必ずしも必要ない場合もあるというふうに私は考えます。  例としてお挙げになりました閣議につきましては、閣僚から構成される行政府の最高意思決定機関でございますので、ちょっとこの補佐官の同席は想定しにくいのではないかというふうに私は考えますけれども、そのほかの重要会議につきましては、その時々のその補佐官の抱えております問題、やっていただいております分野、それらを考えて、その時々の総理大臣が出席させるがいいかどうかというようなことも判断しながら決まっていくというふうに考えております。
  33. 野田佳彦

    野田(佳)委員 閣議は難しいというお話でありましたけれども、基本的にはいかなる会議でも、これはすべて、全部ということは確かに難しいかもしれませんが、総理意思があるならば、ぜひその補佐役に聞いていてほしい、場合においては発言をしてほしいという思いがあるならばやはりいかなる会議でも出席が可能であるというような解釈のもとで運用をすべきではないのかなというふうに思っております。  さて、この補佐官でありますけれども、これはもう橋本総理御自身が決めることでありましょうけれども、果たしてこれは政治家が望ましいのか、民間人が望ましいのか、これは非常に議論のあるところだと思います。前回の村山政権における首相補佐の場合は皆さん政治家でありましたが、これはもう各党間の連絡調整的な役割で終わってしまっていたのではないかなというような気がいたしました。もう少しやはり特定の専門分野に責任の持てる民間人の起用の方が望ましいのではないかなというふうに私個人は思いますけれども、これは官房長官お尋ねをしますが、政治家の起用と民間人の起用、これについて基本的なお考えをお示しいただきたいと思います。
  34. 梶山静六

    梶山国務大臣 この内閣補佐官制度というものをよく分析をしてみますと、恐らくこれはただ漫然と総理を助ける制度ということよりも、むしろ特任事項、この問題に関しては何としても専門的な知識や専門的な活動分野が欲しい、そういう人を選ぶわけでありますから、それが民間人であるか政治家であるかはあえてそう大した深い意味は持っていない、その問題、問題においてどの方が一番適任であるかということを定めるというかそういう人を見つけることが一番大切ではないかと私は思います。  それから、その問題の質によって、私は、それぞれの補佐官というのは画一的なものでなくていいはずだ、そういう気もいたしますので、これは総理がお決めになることでありますが、問われればそういう問題も着目点として総理に私も御進言を申し上げたい、このように考えております。
  35. 野田佳彦

    野田(佳)委員 それから、この間たまたま本会議のときに官房長官には、広報的な機能の部分については、例えば主任報道官的なものを設置をすることによって大変激務であるお忙しい官房長官の負担を軽減する、そんなことを考えるべきではなかったかというような趣旨質問をさせていた だきました。そのときの御答弁としては、官房長官という役割というのは、総合調整であるとか情報収集と一体となっての広報であるという趣旨で、これは、例えば負担軽減というお話はあるけれどもまだ時期尚早であるというような答弁であったと思うのです。  例えば、そのかわり、官房長官がお忙しいときには官房長官にお願いをするとかということはあるでしょうけれども、そういう代替的な機能としての官房長官ではなくて、今現状では政務担当と事務担当とそれぞれお一人、計二人の官房長官という構成でありますけれども、先ほど申し上げたような広報の担当であるとか、あるいは危機管理の担当であるとか、重大なものや重要な分野について専門的にちゃんと責任を持つ役割分担、機能的な分担ということも考えたらいいのではないかな、場合によってはその人数をふやすということもあっていいのではないかなという思いを持っておりますけれども、この官房長官のあり方についてのお考えお尋ねしたいというふうに思います。
  36. 梶山静六

    梶山国務大臣 私が通常行っている分野でありますから、私からお答えをするのが客観性があるかどうかは若干問題がございますが、私個人は、どちらかというと口が重いし、ズーズー弁ですし、そんなに見ばえのする男ではございませんから、私じゃない人がやった方がはるかにいいわけでありますが、しかし考えてみますと、この内閣官房というのは主として情報収集やその調整に当たるわけでありますから、そういう政府のいわば広い意味での情報を持ち合わせ得る立場にある人間であります。  それから、通常の対マスコミの発表、これも恐らくマスコミの方々は、だれか専門家の方がお話をするよりも国務大臣の資格を持った方がいいとか、あるいは総理のまさに側近中の側近である官房長官が行った方がいいとか、そういう一つの判断基準もあろうかと私は思います。しかし、専門的な知識を持たない者がやっていいはずがございません。ですから、例えばきのう、私どもと沖縄の大田知事の会談については外政審議室長がこの発表に当たりましたし、それぞれの専門的な分野ではそれぞれの方々が行っております。  ですから、通常一般的なことを私どもが行うわけでありまして、特に私たちの任にたえられないような問題、これは当然お願いも申し上げますし、また私たちのいわば発表をするいろいろな内容その他に関しては、広報室やその他から数多くの資料をもらい、それを取捨選択しながらやっているというのが現実でございますから、広報官の必要、広報の制度のいわば拡充強化というのは大変大切でありますが、表向きにだれがいいかということはこれからさらに検討してまいりたいと思います。
  37. 野田佳彦

    野田(佳)委員 私は、別に梶山官房長官がズーズー弁だとも思いませんし、見ばえも決して悪いとは思いません。広報役に適していないかというと決してそうではないわけでありますけれども、これは個人のパーソナリティーの問題ではなくて、あくまで制度的な措置として、やはり官房長官総合調整情報収集に本当に専念できる状況をつくり出すために考えたらどうかという趣旨での話をさせていただいているわけであります。  先ほど官房長官が後段のお話の中で、内閣の広報機能強化拡充について若干触れられましたけれども、これは今具体的にどのような形で進んでいらっしゃるのか、お尋ねをしたいというふうに思います。
  38. 半田嘉弘

    ○半田(嘉)政府委員 内閣の重要施策に関する国民の理解と協力を得るためには、内閣における広報活動充実が大変重要でございます。このために、今回、内閣広報官室の体制強化をすることといたしております。  一つは、内閣広報官が官邸に常駐をすること、それから二つ目は、内閣広報官を補佐する内閣審議官三人を新たに専任体制にするということにいたしております。今後、このような新たな体制のもとにおきまして、内閣広報の総合的な企画調整、あるいは内閣広報に係る報道の分析、評価、あるいは緊急事態等における国民への情報提供等をする業務の充実強化を図っていきたいというふうに考えております。  また、内閣広報に関します民間の広報専門家の意見を反映させるために、内閣広報官の広報アドバイザーとして広報専門家数名を委嘱をして助言を求めたいというふうに考えております。
  39. 野田佳彦

    野田(佳)委員 いろいろな角度から質問をさせていただいてきておりますけれども、基本的にはこの内閣補佐官総理大臣補佐官一つとっても、勤務形態、またその人数、そして何よりもその権限、いろいろな意味で、質量ともに私自身が期待をしていたものとはちょっと遠いものであるというふうに受けとめております。また、この内閣法議論をしているさなかで、総理大臣権限強化の問題であるとか、広報に資質を持った人を充てる報道官の設置の問題とか、いろんな議論があったわけでありますけれども、そのほとんどが残念ながら抜けてしまっております。  この点について、先般、田中秀征経済企画庁長官でありますか、これはあくまでスタートラインであるというお話をされておりましたけれども、スタートラインとするにしても、少し寂しいスタートだという印象を受けざるを得ません。引き続き内閣機能強化するための一層の努力というものが求められると思いますし、今回の法律案をもって半歩前進と評価するだけで甘んじてしまっては、真の内閣機能強化のための議論の逆に妨げになるというふうに私は思っております。そういう意味からして、このたびの内閣法改正で終わりではなくて、引き続き内閣機能強化に向けて努力をする決意があるや否や、梶山官房長官に端的にお尋ねをしたいというふうに思います。
  40. 梶山静六

    梶山国務大臣 御指摘のとおり、絶えずとどまることがあっていいはずがございません。特に新しい制度でもございますから、これが今までのラインや、それとどう機能していくか、これは大変難しい問題もございます。  ですから、これをスタート台にいたしまして、より画期的なそして充実をした、ある意味で日本の政治のシステムを変えるような方式にまで昇華できれば大変すばらしいことだと思いますが、どちらかというと、私どももかつてアメリカの大統領補佐官のようなものを夢見たこともございます。しかしトップダウン方式と違って、日本の今までの長い官僚政治のシステムというのはボトムアップをしていく。どちらにしても弊害がございます。その中で、その両々をどういうふうに折衷をしていくかというのが今回の試みであります。  ですから、ぜひ委員、この意義をよくお考えを願いまして、どうか検討を願って御賛同いただきたい。そして、むしろ賛同していただくことによって次なるステップを一緒に踏み出してほしい。心からお願いを申し上げます。
  41. 野田佳彦

    野田(佳)委員 まさに力強い御決意でありましたけれども、その御決意のもとに、もう少し官に立ち向かう法律案改正であってほしかったというふうに心から思っております。  私の質問、まだ若干時間を残しておりますけれども、これにて終わりたいと思います。ありがとうございました。
  42. 大木正吾

    大木委員長 次に、弘友和夫君。
  43. 弘友和夫

    弘友委員 新進党弘友和夫でございます。  今、同僚議員であります野田委員から、一時間にわたりまして今の法案につきまして御質問があったわけですけれども、私は今ここでお聞きしておりまして、どうも聞けば聞くほど今回のこの改正案というのがまだ理念といいますか、補佐官の問題にしても考え方が、例えば官房長官の御答弁審議官の御答弁がどうも違っているんじゃないか、思っている方向性が違うんじゃないかなという気がいたしますので、何点かにわたって補足的に質問をさせていただきたいな、このように思います。  といいますのは、今までこの補佐官設置の趣旨について同じような考え方が、昭和四十二年、内閣補佐官制度の新設というのが提案された。また、 昭和四十八年に内閣参与制度の設置。これらは、やはり内閣機能強化方策いかんという諮問を受けて当委員会に提出をされているわけですけれども、いずれも審議未了となって現在に至っている。  その当時提出をされた内閣補佐官内閣参与というこの考え方は、やはり今いろいろお話があったような考え方で、内閣機能強化しないといけないということから提案されたんだと思いますけれども、今の議論では、そこら辺のいろいろな問題点というのをクリアしていなくてまた今提案されているのではないかという気がするわけですけれども、当時の内閣補佐官また内閣参与との考え方の相違、また、なぜ今ここで新たに提案をされようとしているのか、どこが前回と違うのかということについて御説明をいただきたい、このように思います。
  44. 藤井威

    ○藤井政府委員 官房長官の御答弁の前に、御質問のございました過去の二つの法案、いずれも審議未了、廃案になっておりますが、その審議経緯等について御説明させていただきます。  まず、昭和四十二年に提出されました内閣法の一部を改正する法律案でございますけれども、昭和四十二年の五月に国会へ提出されまして、衆議院の内閣委員会に付託されまして、提案理由説明が行われましたけれども、そのときの記録を見ますと、全く一回も審議されないままに審議未了、廃案となったようでございます。  次に、昭和四十八年に、内閣参与というふうに名前を変えまして内閣法等の一部を改正する法律案提案されましたが、これは二月九日に国会へ提出されまして、これも衆議院内閣委員会に付託されまして、提案理由説明までは行いましたけれども、これも全く審議なしで、一応継続審査になりまして、次の国会審議未了、廃案といずれの法案も全く審議されなかったというのが実際でございます。  現在御提案しております改正案と、当時全く審議されなかった二つの法案に関する内閣補佐官あるいは内閣参与の制度とは、やはり基本的な物の考え方といたしましては、内閣総理大臣意見を具申し、進言しという、そういう意味でのスタッフ的な機能をこの内閣補佐官あるいは内閣参与に期待していたという点については、ほぼ同じような内容でございます。  ただ、当時の法案、四十二年と四十八年の法案は、議員との関係で、兼職はできない形になっておったところが少し違うのかなという感じがいたします。  経緯と違いだけ、意味的な部分だけ御説明いたしました。
  45. 弘友和夫

    弘友委員 例えば、当時からそういう議論があったと思うのですけれども、内閣法第二条で、「内閣はへ首長たる内閣総理大臣及び二十人以内の国務大臣を以て、これを組織する。」「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負う。」と、先ほどもございましたけれども、規定している。その合議体である内閣首長である内閣総理大臣に、今回は補佐官が、合議体の長である総理大臣に個人的なスタッフを置く、こういうことになるわけですね。  そうしますと、間接的に、総理を通じてその内閣補佐官意思が反映するというおそれが、おそれと言ったらおかしい、私は、内閣機能強化するには当然そうしていかなければいけないというふうに思っているわけですけれども、先ほどからの説明、後でまたお聞きしますけれども、こういう懸念があるということで論議があったと思うのですけれども、こういうことにつきましては、どういうふうにお考えでございましょうか。
  46. 藤井威

    ○藤井政府委員 制度趣旨といたしまして、内閣総理大臣補佐官という職務についていただく方は、まさに、内閣総理大臣が、先ほどの官房長官のお言葉に従えば、特定の重要な分野について、この人から、この人の専門的知識のもとで助言をいただきたい、そういうことで任命されるものというふうに思います。  今おっしゃいますように、補佐官が自分の考え総理大臣を通じて国政上実現していく、ちょっと裏から見るとあるいはそういうことになるのかもしれませんが、やはり、国政の最高責任者は内閣総理大臣でありますから、補佐官の有益な助言、アドバイスあるいは進言、それらを十分にこなして内閣総理大臣が政策の意思決定を行っていく、そういうことであろうし、必ずそうなるものだと私たちは考えております。
  47. 弘友和夫

    弘友委員 私も、そうでなければ補佐官を置いている意味はないと思うのですけれども、ただ、先ほどからの論議の中で、今回の法案、要するに総理重要政策について進言をし、意見を具申する、あくまでもこれは内面的なものなのだ。官房長官また大臣、それからいろいろな行政的なものに対して、では今回の法律でこの補佐官が——先ほど官房長官は、例えば一般論として沖縄の基地の機能の問題についてというお話がございました、絶対的命を受けてそれを取りまとめる。  例えば沖縄基地のそういう問題について、見識のある方がその問題についていろいろな取りまとめをするということは、各行政機関にもいろいろ接触もしないといけないでしょうし、いろいろな系統の中にも入らないといけない。それであってこそ初めてスタッフとしての、ラインではないにしてもスタッフとしてのあれは果たせるのだと思うのです。  ただ、一切そこにノータッチで、タッチしてはいけませんよ、ただ本人の専門的知識だけを総理に進言をするのだということでは、何のために補佐官を置いているかわからないと思うのですね。わからないというよりも、補佐官を特別に置く——専門的に知識がある方はたくさんいらっしゃいます。そのときに、総理がその部分についてお聞きすればいいわけですから。  なぜこうして法を改正して、補佐官三人以内を置くことができるようにするか。この改正をするというのは、やはりある程度のそういう機能がなければ、ただ本人の知識を、内面的なその部分をただ総理に進言するというだけでは、補佐官を置いている意味はないと思うのですけれども、官房長官は、何かそういうイメージで先ほど答弁されたと思いますけれども、審議官の方はあくまでも内面的なのだという御答弁でありましたけれども、ちょっとそこら辺について、官房長官と両方お答えをいただきたい、このように思います。
  48. 梶山静六

    梶山国務大臣 私の思い入れが強いことと、それから私の表現が稚拙のために誤解を与えているようでありますが、特に、私はこの補佐官に期待をしたいものは、もちろん専門的な知識、それからもう一つは、専門的というよりも、すぐれた能力、この二つは大切な要素だと思いますし、もちろん行動力も要であります。  今までの縦割り行政の中で解決のできなかったものというから例えば総合調整能力を一番大きく期待をされるのかもしれませんが、そうではなくて、総理補佐官でありますから、総理が今一番大切に思っている問題、あるいは一番重要に思っている問題、あるいは一番緊急に思っている問題、これに特任をすれば、その補佐官はそれに関する資料やあるいは対応策、これをやって、今話が出ましたように私は総合調整能力というのは若干、私自身の個人的な能力がないといたしましても、官房長官その他はいわば調整能力を一番発揮すべき分野でございますから、私は、各省庁にわたっての取りまとめやその他は現在の機構で十二分にできる。  しかし、残念ながら、この梶山静六の頭をたたいてみてもそういう専門的な知識、能力がないわけでありますから、私は、そういう方を求めることは一番大切であるし、特に、私たちの今までの過去のしきたりを見できますと、今も委員指摘のように過去に二遍こういう問題があったわけでありますが、長い間続いた官僚システムまたは秩序立った社会の中ではそれほど急激な変化がないわけでありますから、そういう必要がなかったわけであります。  しかし、今日の日本ないしは世界の状況を見れば、急激に、しかも多様な変化を遂げているわけでありますから、今までのシステムだけではやっ ていけなくなった。ですから、試行錯誤的にそういう分野でやって、これからこの問題が二十年、三十年続いているようであれば新しい制度が生まれるはず、新しい行政システムが生まれるはずでありますが、とにもかくにも今々重要で、あるいは時限的な問題があることに関してこの問題を取り扱っていく。それは、やはり専門的な勉強と専門的な能力、これを加味して十分な進言を総理にし、総理がみずからの調整権、指揮権に従って各省庁を回していけば十分に目的を貫徹できるのではないか、このように考えております。
  49. 藤井威

    ○藤井政府委員 私の御説明の中で内面的という言葉を先ほどもちょっと申し上げましたけれども、非常に制限的に解釈しておられるとすれば、私どもの本義では全くございません。内閣総理大臣補佐官が重要なその時々の事項において内閣総理大臣に直接進言、意見具申する、これは非常に重要な機能である、そのことにつきましては官房長官の御答弁と我々の考え方とに全く違いはないと私は考えております。  官房長官もおっしゃいましたけれども、補佐官がその専門知識と能力を十二分に発揮して総理の十分な補佐をしていただくということで、必要な場合には当然各省庁職員から説明を聴取したり資料を求めたり、そういうことは十分あり得ることでございまして、関係省庁も当然これに協力すべきものだし、協力していただけると信じておるわけでございます。
  50. 弘友和夫

    弘友委員 しかしながら、先ほど、職務権限の重複を避けるとか閣議には出られないとか、じゃ、ほかの重要な会議に、重要な会議というか公的な会議ですね、閣議には出られないわけでしょう。出られるのですか、どうです。出ていいとか悪いとかじゃない。出られるのかということを聞きたい。
  51. 藤井威

    ○藤井政府委員 閣議といいますのは閣僚で構成されております機関でございまして、閣議に関しては、やはり内閣総理大臣補佐官の出席は想定されていないとお答えせざるを得ないと思います。  先ほど来申し上げておりますように、官房長官も御答弁申し上げておりますが、非常に重要な事項について補佐官総理大臣へのアドバイス機能を求めるわけでございますから、総理大臣がその事項に関連して補佐官の出席を求めるということは十分あり得ることでありまして、それはまさに運用の妙であろうというふうに考えております。
  52. 弘友和夫

    弘友委員 運用の妙でできればいいのですけれども、私は、今まで二回、審議されないまま廃案になったという経過を考えると、やはりライン的なものというか、そこら辺に手をつけるということに対して大変な抵抗があるから今回のこの改正案にしてもそこら辺の権限を与えていないのじゃないかなという気がしますので、とにかく危機管理といいますか、いろいろな問題からも内閣機能強化、私はこれだけで事足れり、先ほど第一歩、ステップだというお話も官房長官からありましたけれども、事足れりというよりも、これは機能していかないのではないかという気がしております。  時間がありませんので次に移らせていただきますけれども、今回の法律事項ではなくて、平成八年度予算において機構、定員関係改正措置というのがあるのかどうか、お尋ねいたします。
  53. 安富正文

    安富政府委員 平成八年度につきましては、この補佐官という組織のほかに、内閣スタッフ充実ということで先ほども申しましたが、情報集約センター関係で三名、それから内閣広報官関係総理府からの内閣への本務ということで二名の増員をしております。
  54. 弘友和夫

    弘友委員 それで、内閣政審議室長とそれから外政審議室長、安全保障室長の給与というのが指定職の十号俸に格上げすることになっている。これは一般的に各省庁では総括整理職、こういうふうに言われて政令ではなくて法律規定されているものであると思うのですけれども、私は、やはりきちっとこの職責、今からは内閣官房長官や副長官を助けていく職責での重大性にかんがみてこれは法律規定すべきである、このように考えるわけですけれども、いかがでございましょうか。
  55. 安富正文

    安富政府委員 御指摘のように、この五室長につきましては内閣法法律規定されているわけではなくて政令で規定されているわけでございますが、内閣官房の仕事は他の行政機関とは異なりまして、固有のルーチンワークといいますか、行政事務を所掌しているわけではございません。いわゆる全省庁にまたがる重要施策に関する総合調整情報収集を所掌するという組織でございまして、その考え方のもとに国家行政組織法の適用外とされております。  内閣官房事務につきましては、官房長官それから副長官の下に内閣閣議の庶務を行う内閣参事官、それから総合調整を行う内閣審議官、情報収集を行う内閣調査官という、いわゆる各行政機関で言うライン的な構成ではなくて、その時々の案件について各人が責任を持って対応するという官という構成をとっております。  この内政室等のいわゆる内閣室長につきましては、内閣法上のいわゆるこれらの審議官、調査官等の官を一応前提として、個別の施策のまとまりごとに、例えば内政に関する事項については内政審議室、安全保障に関する事項については安全保障室というぐあいに緩やかな組織体制をつくって、その長も内閣審議官、内閣調査官の中から任命するという方式をとっておるところでございます。  したがいまして、いわゆるルーチン行政という通常の行政組織ではなくて、各省庁にかかわる事項をその時々の状況に合わせて処理していくという内閣官房の性格から考えて、現在のいわゆるスタッフ的と申しますか、そういう組織体制の方が適当ではないかというふうに考えております。
  56. 弘友和夫

    弘友委員 もう一つお聞きしますけれども、今回の改正内閣官房長官官房長官職務を代行できるという、これは事務と政務、官房長官がいらっしゃると思うのですけれども、これは代行されるのはどちらになるのか、また、あらかじめ例えば決めておくのであれば、官房長官、どちらを選ばれるのか、それについて……。
  57. 安富正文

    安富政府委員 このたび、副長官職務として、官房長官の命を受けて官房長官を代行するという規定を設けております。これにつきましては、現在、慣習的に事務あるいは政務というふうに分かれておりますが、法律上は事務、政務という区別はございません。そういう意味で、これも官房長官の判断でございますが、官房長官の指示に従ってそれぞれ事前にどちらが先に代行するという第一順位、第二順位というふうに決めていただくことになるかと思います。
  58. 弘友和夫

    弘友委員 時間がありませんので、総務庁長官もおいでいただいておりますので次の問題に移らしていただきますけれども、この法案とは直接関係はないのですけれども、私は大いに行革に関係あるというふうに思いますが、今国会で、公正取引委員会事務組織、この抜本的強化拡充を図るため、いわゆる独禁法の一部改正案というのが既に成立して、十四日に公布され、施行されるというふうに聞いておりますけれども、この改正内容というのが、事務局を事務総局にする、部を局に引き上げようとする、こういうことなんですね。  私どもは、このこと自体といたしましては、今後の公正かつ自由な競争の促進による国民経済の一層の発展に資する観点、そういう意味からもこの改正案そのものについては賛成なんだ。  ただ、ここで問題は、この改正案の附則で国家行政組織法の第七条というのを変更しよう。法律的な、何というか、手順といいますか、そういう問題というふうにとらえられているかもしれませんけれども、私はこれは大変大きな、国家行政組織法というのはもう御承知のように、第一条、「この法律は、内閣の統轄の下における行政機関の組織の基準を定め、もって国の行政事務の能率的な遂行のために必要な国家行政組織を整えることを目的とする。」と規定されております。国の行政機関を組織するための基本法なわけですね、この国家行政組織法というのは。  ところが、今回は、独禁法の附則でもって基本法である国家行政組織法が改正されるということについては、私はこれは非常に問題があるんじゃないか。順序が逆じゃないか。基本法である国家行政組織法を改正をして、そして独禁法の改正をすべきじゃないか、このように思うわけです。  ここは内閣委員会ですけれども、本来でありますとこの改正委員長、ここにかかると思うのですね。何か御相談か何かありましたでしょうか。  私は、これはささいなことじゃなくて大変な、じゃ何でもできるんじゃないですか。ほかの法律で、附則か何かであの法律変えますよなんというのはたくさん生まれてくるんじゃないか。やはり基本法である国家行政組織法というのをきちっと改正をして、そしてやるべきじゃないか、このように思いますけれども、総務庁長官いかがでしょう。
  59. 陶山晧

    ○陶山政府委員 御説明を申し上げたいと存じます。  公正取引委員会の、ただいま先生指摘事務組織の問題につきましては、各省庁のような設置法ではなくて独禁法そのものにおいてその組織規定されているところでございます。  今回、機能強化の一環といたしまして、事務総局、局等を設置することになっておりますが、現行の国家行政組織法では、行政委員会には事務局や部を置けるという規定はございますけれども、事務総局や局を置くことはできないということになっております。このためこの法律改正が必要になるわけでございますが、私どももいろいろな観点から法改正の形式について検討をいたしました。  法技術的な観点から申し上げますならば三つの方法があるであろうと考えて、いろいろな観点から検討をいたしました。一つは、ただいま弘友先生指摘のように、独立して国家行政組織法の改正を行うという方法でございます。二つ目は、独禁法改正案の附則でもって国家行政組織法の改正を行うという方法でございます。三つ目は、国家行政組織法の改正は行わないで、同法の特例規定を独禁法に設けるという方法でございます。  こうしたいろいろな方法があるわけでございますが、まず、事務総局を必要とする大規模な行政委員会というものは公正取引委員会以外には想定しがたいという状況がございます。と申しますのは、今回の改正は、いわば公取委員会に特有の制度であるというふうに考えられるところでございます。したがって、国家行政組織法で事務総局制度を一般的な制度として規定するということは適当ではないというふうに判断をしたところでございます。  一方、行政機関の組織編成の基準法である国家行政組織法の性格からいたしますと、事務総局制を国家行政組織法に全く規定をしないということも不適当であろうというふうに判断をいたしました。  ただいま申し上げましたような観点から、まず、今回の改正については、公取委員会事務総局を、また事務総局に局を置くことが主たる目的であるということがございます。二つ目に、これに関連して国家行政組織法を整備するものであること、つまり別に「法律の定めるところにより、事務総局を置くことができる。」旨の規定になっておりますが、そういう意味での組織法の整備をするということが内容であるということから、独禁法の一部改正法の附則でもって国家行政組織法の改正を行うということが法技術的に最も適当であろうという判断で御提案をし、国会の御審議を経て成立をさしていただいたところでございます。
  60. 弘友和夫

    弘友委員 時間がございませんけれども、私は、技術的にこういうことをしたんだ、基本法であるものを別の法の附則で変更したということですけれども、本来でありましたら、私は公取の機能強化というのはいいわけです、賛成なんですよ。  だけれども、じゃ、その附則の第二十五条に、例えば大臣にかかわる機関であれば、今局や官房というのは百二十八だ、こう決められているわけですね。公取だからそれは関係ないということで、官房を一つふやし、局を二つふやしているわけです。  本来、今行政改革をやろうというときに、大臣の機関じゃないから、この百二十八という法律規定されたもの以外に官房一つ、局を二つふやすというのは大変なことだと思うんですよね。これは私は、今から大事なあれでありますからふやしていい、だけれども、それであったら少なくとも三つの局をこれは削減しないと、行政改革をやっていこうというのに官房一つふやし局を二つふやして、そしてそのままであるということ自体がこれはおかしいんじゃないか。  総務庁長官行政改革担当でございますけれども、どうですか、この考え方。
  61. 陶山晧

    ○陶山政府委員 ただいま先生の御指摘のとおり、行政組織の総数を抑制する、組織膨張の抑制をするということは行政改革の観点からも当然必要な観点であろうと考えております。したがって、公正取引委員会といえども組織膨張の抑制ということは重要なことでございまして、官房とか局といった組織の根幹を増大させる場合には国会のコントロールにかからしめることが適当であるということから、独禁法におきましては国家行政組織法第二十五条に相当する規定を設けたところでございます。つまり、公取委員会官房及び局の総数の最高限度、これを改めて「三とする。」ということで数を規定しておりまして、公取委員会の位置づけ及び業務の特殊性から、行政組織法との関係性維持は先ほど御説明したような形の整理をいたしましたが、物の考え方としての組織膨張抑制という観点をただいま申し上げたような形で法律の上でもきちんと盛り込んだところでございます。
  62. 弘友和夫

    弘友委員 公取委員会といえども膨張してはいかぬ、だから三つに抑えるのですよと確かに書いていますよね。だけれども、公取委員会は三つに抑えても、その三つ自体がふえているわけですから、行政改革という観点から考えれば、どこかで三つ減らさないと、これは全体的に考えると膨張しているわけですよ。だから、公取委員会充実させるということは大事なことなのだ、そうなったら、全体的にあと三つどこかで減らしていくというのが当たり前の考え方なのだ。それができないから附則か何かで、悪く考えればですよ、基本法であるこの改正を目立たないように独禁法の附則の中で改正している、そうとられてもしようがないのじゃないかな、私はこのように思うわけでございますが、時間になりましたので、また別の機会に論議させていただきたいと思います。  以上でございます。
  63. 大木正吾

    大木委員長 次に、倉田栄喜君。
  64. 倉田栄喜

    ○倉田委員 新進党の倉田でございます。  今、我が党の野田弘友両議員から、この内閣法の一部を改正する法律案、特に首相補佐官制度について、この点を中心に、そのいわば質、量、位置づけ、人数の問題、それから権限の問題、役割の問題、これが非常に不十分なのではないのか、こういう観点から質問がありました。  私も、運用の妙という言葉もありましたけれども、今我々が抱えている非常に大きな課題、それは内閣機能強化であり、首相の指導力、リーダーシップの発揮、そういう観点から、今御答弁を聞いた限りでは、確かに運用という視点はあるかもしれませんけれども、逆になおざりになってしまうのではないのかな、そういう不安を抱いたわけであります。  と同時に、その理由は、今の両同僚議員の質問のとおりだと私は思うわけでありますけれども、一方でもう一つ、今回のこの内閣法の一部を改正する法律案、しかも首相補佐官ということでありますけれども、内閣法そのものを抜本的に、根本的に改正検討しなければならない時期に今我々は来ているのではないのか、私はそう思うわけであります。そこで、その視点から官房長官、そしてきょうは法制局長官にもお運びをいただいておりますけれども、先ほどの御答弁にさらに突っ込んで質問をしたい、こう思います。  そこで、六十五条「行政権は、内閣に属する。」 そして内閣法の六条、いわゆる閣議行政権のあり方、あるいはその指導力の発揮のあり方にしても、閣議というものが非常に重要に位置づけられておって、いわば首相の指導力もいわゆる合議体としての閣議のもとにある、こんなお話のようでありまして、そんな運用がなされていると思います。  そこで、内閣法そのものを根本的に見直していかなければならないのではないのかと私が申し上げるのは、それではその閣議というのは現実に一体どのような姿で、どのような形で運用されておるのか、その点についてまず前提として官房長官にお伺いをさせていただきたいと思いますが、今定例的に行われている閣議議題はどこでどのようにして決定されているのでしょうか。
  65. 太田義武

    太田説明員 閣議の案件でございますが、案件としては、憲法上、法律上、内閣が決定するというふうに書いてあるいわゆる必要的といいますか事務的なものと、それから、そこには書いてありませんが出るものとがございます。内閣法四条第三項には、「各大臣は、案件の如何を問わず、内閣総理大臣に提出して、閣議を求めることができる。」ということでございますので、憲法上、例えば七十二条の法律提案とか、あるいは七十三条にいろいろ列記してございますが、それ以外にもこの内閣法四条三項の規定でもって案件が出されるということでございます。  具体的には、各大臣から各省の、あるいは各国務大臣から案件の請議というものが上がってまいります、形式的なことでございますが。その形式的な請議以前にいろいろと相談がございます。各省間の相談もございます。大臣間の相談もあるかと思います。あるいは内閣からの、官房長官あるいは総理の指示もございます。そういう事実上の話がだんだん煮詰まって形がだんだん整ってまいりますと請議という形で内閣に上がってくる、そういう案件が整理されて週二回の閣議にかけられるということになります。
  66. 倉田栄喜

    ○倉田委員 各大臣は閣議の案件について意見というか会議を求めることができるというお話はわかったわけですけれども、定例の閣議というのが、実際に今週の閣議はこういう議題でこういうことですということがどういう形で上がってくるのかということについてどうもすっきりといたしません。  先ほど野田議員の質問の中で首相官邸の新築のお話がありました。これは我々も言うわけでありますけれども、首相官邸ときちんと呼ぶよりも、官邸官邸、こういうふうに言うわけです。私は、後で官房長官の御認識もぜひお聞きしたいと思いますけれども、我が国が非常に危機的な状況にある、その中にあって閣議の重要性、そして首相のリーダーシップの発揮、いわば官邸というよりも首相府ぐらいのつもりで、官邸ではなくて首相府、その実態を備えるくらい実は閣議にしても首相にしても機能強化しなければならない時期に今あるのではないのか、私はこう考えるわけであります。  実際の定例の閣議はどんなふうに行われているかということを仄聞をいたしますと、いわば次官会議というものがあって、そこで大体、だんだん調整されて上がってきて、そこで用意、段取り万端に整って、そして、では、定例の閣議というものについて各大臣はどういうふうにしてその時間を過ごされるのか。果たして、そこで今我が国が抱えている困難な問題について、各大臣からこれはどうなっているんだという話があり、あるいは首相から、この問題についてみんなで相談をしましょうやみたいなお話があり得るのかどうか。  この点について、次官会議閣議との関係、そして実際、普通のケースの場合の定例の閣議というのは一体どんな持ち方をされておるのか、その点について、これはまず確認をしておきたいと思います。
  67. 太田義武

    太田説明員 次官会議閣議関係でございますが、ただいま申し上げました案件、特に法律、政令、条約、そういうようないわゆる審査、事務的によく調整する必要がある問題につきましては、次官会議にかけ、それは月曜日と木曜日にございますが、かけた後、翌日の閣議にかけるというような形をとらさせていただいております。  それで、ただ、次官会議が常に先行するということではございません。案件によりましては、例えば臨時国会の召集の時期とか、あるいは総理の所信表明、施政方針とかそういうものにつきましては、閣議で先にかけられまして、事後的に次官会議報告されるというような形をとっているものもございます。  それから、閣議でのやり方につきましては、後ほど官房長官からお答えいただいた方がよろしいかと思いますが、各大臣からの案件につきましてのいわゆる御決裁のほかに、各大臣からの御発言、そしてその後、閣僚懇談会というのが毎回開かれておりまして、そこでの自由な御発言、そのような形でなされているというふうに承知しております。
  68. 倉田栄喜

    ○倉田委員 その定例の閣議、これは各大臣から仄聞をして聞くところですから実際はどうかわかりませんけれども、まずその日の議題説明があって、法案等について最終的に閣議で決まるわけですから、ただ、次から次に懸案事項が回ってきて、各大臣は、一生懸命に花押と申しますか署名というのか、それを説明を聞きながらやっていると終わってしまう、こういう閣議が実際多いのではなかろうかというふうにも思えるわけであります。  それで、果たしてそういう閣議のあり方でいいのかな、そして、実際にどうなっているのだろう、そういう基本的な問題意識から、この確認というか質問をさせていただいておるわけです。基本的には官房長官にお答えいただこうと思ったのですけれども、まだ官房長官にお答えいただいておりません。  実際、今までのお答えの中で、行政権内閣に属する、内閣が我が憲法の中で一番大切なんだという大体トーンのお答えであります。内閣が一番大切であるとすれば、一番大切なのはいわば閣議である。その閣議が、実際にどういう形でその憲法から与えられている役割というものを果たしているのか、この点について、官房長官、どういうふうにお考えになっておられますか。
  69. 梶山静六

    梶山国務大臣 必ずしも明確な法的な論拠を持って申し上げることができないかもしれませんが、実態的に申し上げますと、確かに今、週二遍の閣議日がございます。もちろん、国会開会中でございますから、そんなに朝早くといってもできませんから、せいぜい一時間足らずの時間であります。恐らく、それは各省に省議があると同じように、各省庁の重要な問題は省議を経て討論をされ、その中で決定され、あるいは大臣に上げられ、大臣の決裁をもらって決まったもの、そういうものが、あるいは事務次官会議にかけられ、各省庁間の整合性をとりながら、法律に、あるいはもろもろのことに移して閣議に出てまいる率は、量からいうと多いものであります。  これは縦割り行政というか、一つの独立官庁をなしておるわけでありますから当然のことでありますが、そういうことで、閣議で、それぞれの重要案件については、法制局長官あるいは官房長官からそういう中身の説明をし、それから、さらに重要課題については各省大臣がその説明なり報告を申し上げる。それから、その間に起きた外交案件あるいは防衛問題あるいは内政状況その他の問題について各省大臣は現況の説明をする。  そして、各種の法律的な手続が終われば、その後は、むしろ一番これを橋本総理は重要視をしているわけでありますが、閣僚懇談会、そこでは自由に問題提起をする、あるいはその場で結論が出ない問題もありますが、それはそれなりにこれから消化をしていこう、そういう取りさばきをいたしております。もちろん、閣議ですから総理大臣が主宰をするわけでありますが、便宜、私がそういう議事整理やその他を行いながらやっているわけであります。  それから、その縦割りの各省庁の省議やその他を経て上がってくるものと、もう一つ重要な役割を果たしているのは関係閣僚会議であります。こ れは、それぞれの問題をパートに分けて、その問題を何遍かの関係閣僚会議を開催をしながら、問題を詰めながら一つの結論を出し、それがやがて法律になり、あるいは法案になり、予算になり、そういうものを決定していく、そういう決定の段階がございます。  もう一つま、中身については申し上げませんけれども、昨今大変重要な問題が、例えば日米首脳会談であるとか、あるいはその他の問題がございます。それは、総理みずからが、場合によってはこの問題はここだけしか出さないという箱口令をしいてそれなりの閣僚の認識を願い、それから閣僚の意見調整をする、そういう場ももちろんあるわけであります。  そういうものを経ながら、今の行政というか、行政のトップというか、総理意思決定をし、あるいはその判断をし決定を下す、そういうものが閣議の本体であろうというふうに考えております。
  70. 倉田栄喜

    ○倉田委員 私が持っております問題意識と申しますのは、行政権内閣に属する、しかも、首相閣議に基づいて行政各部を指揮監督する、今のシステムはこういう流れになっている。しかし、今、長官の前に御答弁もいただきましたように、また長官のお話の中にもありましたように、省議があり、次官会議があり、それがすり上がってきて閣議がある。そこで、実は閣議の後に閣僚懇があり、その中でいろいろなことが話し合われておるのだという、今、長官答弁でもありました。  議論になっておりましたけれども、いわゆる閣議が開催不能時、首相がみずから決断をする、こういうことはどうなんだということに関して、いわゆる行政権内閣に属するわけだから、首相閣議に基づかないで一つの決定をすることは憲法上疑義がある、こういうふうなお話のようでございます。  しかし、果たして憲法七十二条というものはそれだけしか読めないのか。官房長官は先ほどの野田委員質問のお答えの中で、いわゆる内閣法四条、六条の方が憲法七十二条の方を拘束をしているのではないのか、こういう印象を持って見たことがある、そういうふうなお答えでありました。  私も憲法七十二条を読んでみますと、先ほど法制局長官がお答えになったようにしか読めないとは思えないわけであります。つまり憲法七十二条は、「内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会報告し、並びに行政各部を指揮監督する。」こう読点の位置というのは明確にそれぞれ区切りをつけてあるわけであります。  先ほど長官は、六十五条を考えた場合に、首相閣議に基づかないで緊急時あるいは閣議開催不能時であったとしてもなかなか簡単にはいかないんですよ、憲法七十二条というのは「内閣を代表して」「行政各部を指揮監督する。」というふうになっているんだから、こういうふうなお答えでありましたけれども、このいわば読点の位置を考えるならば、「内閣総理大臣は、」「行政各部を指揮監督する。」と、これは読めるわけであります。私はそう考えます。  そうだとすれば、官房長官が、内閣法四条、六条の方が憲法七十二条を拘束しているんではないかというふうにお感じになっているのは私は正しいのではないのか、こう考えるわけですけれども、法制局長官、この憲法七十二条のいわゆる首相行政各部に対する指揮監督権、法制局の見解は先ほど承りました。しかし、学説としてそれ以外の読み方あるいは学説の大勢はどうなっているのか、長官はそれはどのように理解しておられるでしょうか。
  71. 大森政輔

    大森(政)政府委員 憲法七十二条の文理、表現、これは確かに、ただいま御紹介のありました句読点の打ち方でございます。したがいまして、この「内閣を代表して」というフレーズが、「並びに行政各部を指揮監督する。」ということにはかぶらないんだという読み方が絶対ないかといいますと、そういう読み方をする学説も確かにあったかと思います。  しかしながら、学説の多数説といいますか通説といいますのは、ここの句読点の打ち方だけでこの七十二条の意味を確定するのではなくて、やはり憲法自体がとっている権力構造、そして行政権組織及び権限に関する規定を総合的に理解すべきであるという観点から、やはり六十五条、六十六条を踏まえて七十二条を読むと、この「内閣を代表して」は、「行政各部を指揮監督する。」にかけて読むべきであるという考え方をとっているわけでございます。  私どもの先ほど御説明した意見は、この「内閣を代表して」「行政各部を指揮監督する。」という文理に従った御意見を申し述べた次第でございます。
  72. 倉田栄喜

    ○倉田委員 七十二条の内閣総理大臣行政各部に対する指揮監督権の学説あるいはその通説、多数説が、今法制局がとっておられる見解あるいはその多数説がどの程度なのか、私はその辺はまだ検証の余地があると思います。  長官、先ほど、本会議では橋本首相は、いわゆる緊急時あるいは閣議開催不能時において首相がいろいろ決定をすることは、憲法六十五条から照らしていろいろ憲法上問題があるんだという答弁があり、先ほど官房長官は、橋本内閣下では、それは閣議開催不能時の場合は、緊急時、首相権限はできることにしたんだ、こういうふうな御答弁でございました。これはできるということであれば憲法上も許されている、許されていないことをできるわけがないわけでありますから。  そうだとすれば、官房長官、お答えいただきたいと思いますけれども、首相行政各部に対する指揮監督権、そして今法制局長官がお考えになった法制局のお立場、この点について官房長官はどうお考えでしょうか、いま一度お尋ねをいたします。
  73. 梶山静六

    梶山国務大臣 私は、委員や法制局長官のように法理的なことには詳しい人間ではございません。しかし、私もかつて自分の小論文に憲法七十二条の読み方について申し上げ、そして内閣法の四条、六条、これはむしろ憲法七十二条を拘束するものではないか、逆ではないかというようなことを自分で私見として書いたことがございます。大変不幸なことでございますが、この憲法七十二条の最後の「行政各部を指揮監督する。」いわばそのことの事例として最高裁で田中総理大臣の裁きがあったわけでありますから、この憲法七十二条の読み方は、私が読んでいることもそう間違った学説ではないという思いが一ついたします。  しかし我が国は、法理というよりも、実態上民主的な国家でありますから、総理が一人おればいいということではございません。そういうことですから、通常やれることは、民主的な運営方法である合議制をとることはこれは理の当然であります。  ただ、今度はいろいろな状態で、総理の指揮あるいは監督の権限が一〇〇%ない状態でいろいろなものにたえ得るかどうかというのを考えますと、私はそうではない。そういうことが考えられましたので、橋本内閣成立早々二月に、例えば首都に直下型の大規模な地震発生時の内閣の初動体制についてという申し合わせをいたしました。これは閣議での申し合わせであります。  ですから、先ほど申し上げましたように、橋本内閣は、この閣議の申し合わせという一つの後ろ盾がございます。これを守るべき申し合わせであります。その中で、確かに不幸な事態を想像することはいいことではございませんが、それでも行政というのはどんな場合でも正当に作動しなきゃいけないということで、例えば、総理大臣が事故あったときには、あらかじめ総理大臣が指定する次に掲げる者がその順序に従って行うというこの規定をつくりまして、一番目には副総理たる閣僚、その次は内閣官房長官、その次は、災害を想定しておりますので国土庁長官、さらにその他の閣僚、こういう順序を定めました。  そして、全閣僚が参集しての速やかな臨時閣議の開催が困難な場合には、緊急に内閣総理大臣、 または総理大臣職務代行者が、連絡のとれる閣僚に電話により了解を得て本部設置の閣議決定を行うことができる。これはたとえ一人であってもできるわけでありますから、緊急避難というか実害を排除をする方式は、橋本内閣においては、少なくとも震災その他においては確立をいたしております。
  74. 大森政輔

    大森(政)政府委員 ただいまの官房長官答弁に対して、若干の補足をさせていただきたいと思います。  内閣法六条をごらんいただきますと、「内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針に基いて、行政各部を指揮監督する。」これは憲法七十二条の趣旨を受けた規定でございます。ただ、この場合に「閣議にかけて決定した方針」と申しますのは、個々具体的な事態に即応した、本当の具体的な方針をその都度決定しなければならないというわけではないというふうに解されておりまして、あらかじめ予想、想定される事態に備えまして、内閣としての基本的な方針をあらかじめ定めておきますと、事態に応じた適切な対応をするために、その都度閣議を開いて方針を決めなければならないというものではないわけでございます。  したがいまして、ある緊急事態が生じた場合に、万が一閣議そのものが開催絶対不能であるというときにおきましても、あらかじめそのような事前の一般的方針を定めておりますと、内閣総理大臣としては行政各部を指揮監督することに何ら支障がないということになるわけでございます。
  75. 倉田栄喜

    ○倉田委員 今、法制局長官からお答えいただいて、余りすっきりとしない。  それで、ちょっと今お考えいただいてお答えいただければいいと思いますけれども、今の長官の御見解ですと、例えば、これは読売新聞の「内閣機能の拡充」という形で問題提起をされました。そこに、例えば首相権限強化ということで、いわゆるその基本方針、発議権、これを認めたらどうだ、こういう問題提起がなされましたけれども、今の長官のお考えですと、閣議首相の基本方針、発議権というのは認められますか。
  76. 大森政輔

    大森(政)政府委員 現在の内閣法規定は非常に弾力的にできておりまして、運用の妙により、あらゆる場合にほぼ対応できるというのが私どもの感想でございます。  そこで、お尋ねの件につきましてお答えいたしますと、内閣法四条をごらんいただきますと、内閣総理大臣は、内閣を構成する大臣の一人として、案件のいかんを問わず、案件をみずから主宰する閣議に付議することができるということになっていることは間違いございません。したがいまして、内閣総理大臣がみずから起草した政策に関する基本方針と申しますか、そのようなものを閣議にかけて決定するということは、現行法の運用として十分可能でございますし、また毎国会ごとに行われていることでもございます。  以上でございます。
  77. 倉田栄喜

    ○倉田委員 今、運用の妙ということで、運用として可能である、また現行法でも可能である、こういう答えでありました。  ならば、今我が国、いろいろな点で困難な時期に直面しているのではないか、そういう状況の中で、首相権限強化、あるいはもっと指導力、リーダーシップを発揮できるような体制制度として整備をしていこう、これは異論はあるかもしれませんけれども、恐らく大多数の共通認識になりつつあるのではないのかな、こういうふうに考えます。そうだとすれば、やはり内閣法のところで、その辺きちっと私は書いたらいいのだろう、こう考えます。  先ほど、実は内閣総理大臣行政各部指揮監督権に対しても長官は、一方でロッキード等の判決を踏まえて、いや、それは指示権みたいなのは別に閣議に基づかなくてもあるのですよみたいな、こういうお話でもありました。  指揮権とか指示権とか、どうも不明確。行政権内閣に属するという憲法の基本、そして七十二条の内閣総理大臣行政各部指揮監督権、こういうことを考えれば、その辺、もうちょっと明確にして、内閣法を根本的に改めたらいかがか、私はこんなふうに思うわけでございますので、これは法制局におかれましても、官房長官におかれましてもぜひ御検討いただきたい、こんなふうに思います。  残り時間が少なくなってまいりましたので、現実、我が国首相のリーダーシップというのはどういう形で発揮されておるのか。例えば普天間基地の返還の場合はどうだったのか。首相のリーダーシップあるいは閣議の決定、その関係はどうであったのか、これをお聞きした上で、さらに、これは私が申し上げるまでもなく、我が国の政治家が、あるいはそれは行政も経済界も含めて、我が国の財政の問題、この財政危機の問題、これは非常に大きな覚悟と決意を持って取り組まなければならない問題、それを首相の強いリーダーシップのもとで、また閣議の実質的な機能を発揮する形の中でやっていけるのかどうか。  今運用の妙というお話がありましたけれども、この辺、制度的にきちんとすべきではないのか、こう思うわけでありますけれども、最後の点は特に官房長官にお答えいただきたい、こう思います。
  78. 梶山静六

    梶山国務大臣 総理のリーダーシップの問題について、先ほど普天間の例を挙げられましたけれども、これは全閣僚あるいは全国民が、特に沖縄の県民の方々が一番最大公約数として何を求めるかというと、普天間基地の返還、普天間基地の移設であります、返還であります。これはだれしも否定をするものではありません。しかし、こういう、事外交の交渉事、できるかできないかという判断は、それぞれが持っております。  そういうのを考えあわせてみますと、私は、やはり全国民的な願いであった普天間の基地の返還、これに総理がみずから決断を下し、これは恐らく閣議にかけても全会一致でその要求をすべしということになったのかもしれません。しかし、それを表に出すことがいいのかどうなのかということは、私は、意外性だとか真実性だとかあるいは相互信頼だとかというものを見ますと、クリントンと橋本総理大臣の最初の会談で橋本総理がみずから強く要請をした、このことは私は、あの国民の理にかなうもの、要望にこたえるものであり、私はまた、橋本総理のリーダーシップのなせるわざ、大変心強く感じた次第であります。
  79. 倉田栄喜

    ○倉田委員 長官我が国の財政危機の問題について、これから内閣あるいは首相のリーダーシップのもとで解決をしていけるのかどうか、その点についてはどうですか。
  80. 梶山静六

    梶山国務大臣 私も総合調整屋でありますから、財政がどういう状態で、どういう方法をとればうまくいくのかという具体的な手法を必ずしも持っているわけではございませんけれども、まさに危機的状態にあることは御指摘のとおりであります。  しかし、考えてみますと、どこでこういうことになったのかという問題は抜きにいたしまして、今、財政再建のために増税ができるのか、あるいは経費節減ができるのか。この二つを見ますと、財政以前に日本の景気がどうなっていくのか。あるいは税収という果実を生む景気がどうなるのか、この問題を抜きにしていわば我々は財政問題を論ずるわけにはまいりません。  いずれにいたしましても、何とかこの危機的な状況の財政を再建するというか立て直す、このことは喫緊の重要な課題でありますから、これは総理も恐らく四六時中頭を離れない問題であろうと思いますし、この問題に全力で取り組まないと長い先大変なことになる、そういうことを痛感いたしているわけであります。
  81. 倉田栄喜

    ○倉田委員 時間が参りましたので以上で終わりますけれども、いわゆる今回の改正について、首相補佐官制度、その内容、そして置かれる地位、権限等を含めて極めて不十分なのではないのか。同時に、我が国が今抱えている困難な問題、この状況考えれば、内閣機能強化というのは喫緊の課題である。そうだとすれば、先ほどの首相行政各部に対する指揮監督権等の問題を含めて、内閣法は抜本的に見直さなければいけないのでは ないのか。その点を指摘をいたしまして、私の質問を終わります。
  82. 大木正吾

    大木委員長 次に、山元勉君。     〔委員長退席、宮路委員長代理着席〕
  83. 山元勉

    ○山元委員 社民党の山元でございます。  まず、法案についてお尋ねをいたしますが、あの阪神淡路大震災といり大災害で、総理大臣補佐体制やあるいは官邸総合調整機能だとかあるいは危機管理体制強化について、あの当時、村山総理もあるいは政府も大変な苦しみをされ、そういうことからも、そういう強化についての必要が大きく認識をされた。私は、与党の行政改革プロジェクトの一員ですけれども、これはやはり行革の大きなテーマだということを認識をいたしまして、随分と論議をいたしました。六月と九月に二回プロジェクトとして提言もいたしまして、年末の行革大綱の中にもしっかりと盛り込んでいただいたわけです。  それについては、長い論議と、官邸機能ということではドイツとイギリスへ飛んでいって、やはり二十四時間体制、これだなということも思いましたし、そういうものを受けとめて、例えば、二十四時間体制の問題については予算成立の直後に設置をされた、あるいは今度の法案の中で、私たちも提言をいたしました補佐官の設置の問題やあるいは内閣スタッフの格上げ問題などをきっちりと受けとめていただいた法案ですから、私どもは評価をいたしております。  補佐官の問題で先ほど来論議がありますけれども、私は、特命事項で総理大臣を補佐するという仕事、高いレベルの人が必要だ、こういうことからいいますと、私は、やはり補佐官が事あらば、例えば湾岸戦争のときのことを言いますと、海外へ飛んでいくことも大事でしょうし、あるいはその問題での閣議に出席することも当然だろうと思いますし、あるいは大臣と、そのことでいうと外務大臣や防衛庁長官とひざを突き合わせて話をすることも、そしてその上に立って総理を補佐するということを、これは先ほどから何回も使われておりますけれども、運用の妙を発揮しながら、いい制度をつくったなということが後々言われるように、いい補佐官制度というものをこれからつくりあげていっていただきたいなというふうに私は期待をしております。  そこで、私は一つだけ、先ほども少し出ましたけれども、この行革PTの提言の中で、受けとめられているけれども少しわかりにくいのは、広報機能強化ということの柱です。確かに補佐官、先ほどもおっしゃっていましたけれども、私どもは主任報道官というものを置いて、スタッフをきちっと置いてみずからも情報を発していくというような、そういう強化ということを想定しておりました。そういうのは今の時代、国民の皆さんの側からいうと、行政に対するさまざまなニーズが多様化をしていっている、情報が欲しい、要るという状況になっているわけです。  ですから、そういう国民の皆さんの側からの要請にこたえて、情報の積極的な公開だとかあるいは迅速な報道だとかそういうものがないと、国民の側と行政、政治との間のギャップが大きくなっていくのだろうと思うのですね。ですから、今の私たちの目から見て、私たちが期待した広報機能強化ということについてはまだ見えてこないと思うのですね。  ですから、官房長官にお願いしたいのですが、今どうなっているかということについてはなんですけれども、これから、やはり今の状況というのは、新官邸設計にも入れてもらわなければいけませんけれども、強化をすることが必要なのだ、今申し上げましたような今の国民のニーズからいうと、今のでは極めて不十分だという認識をお持ちいただいて努力をしていただきたいと思うのですが、その点はどうでしょう。
  84. 梶山静六

    梶山国務大臣 与党の行革プロジェクトチームの大変な御努力、御研さんによりまして今回の法条の基礎ができ上がったわけであります。特に、その中の重要な柱である国民の理解や協力を得るためには内閣における広報活動充実が極めて大切だ、この御指摘はまことに当を得たものでございます。一挙に全部というわけにはまいりませんけれども、今回も、内閣広報官室の体制強化をすることとし、内閣広報官に官邸にも常駐をしてもらう、あるいは広報官を補佐する内閣審議官の整備をした、幾つかの問題を今進めているわけであります。  言われましたように、情報の公開もそうでありますし、また、強力な内閣の施策ないしは現状分析、こういうものを国民に広く知ってもらうことによって行政に対する信頼、これを確保してまいりたいと思いますので、今後ともこの拡充強化に努めてまいりたい、このように考えております。
  85. 山元勉

    ○山元委員 与えられた時間が少ないので、この法案についてなのですが、この際、行革絡みの問題でいわゆる審議会について少しお尋ねをしておきたいのです。  先ほど申し上げました六月の行革PTの提言の中にも、審議会を見直すべし、こういうふうに提言をいたしました。そして閣議でも、確かに去年の九月に決定をされて見直すということが決められたわけですが、それは七年度内ということでしたが、その検討の結果あるいはその評価について、これは総務庁になると思いますが、お伺いしたいと思うのです。
  86. 陶山晧

    ○陶山政府委員 ただいま御指摘のございました審議会の透明化とか運営の見直し等の問題につきましては、山元先生を初めとして与党行革プロジェクトチームにおいて真剣な御検討の結果、政府としてその御提言を受けて取り組んでいるところでございます。  御指摘の点につきましては、昨年九月の閣議決定によりまして、七年度中に所管省庁において審議会の必要性を再検討するということになっておりまして、各省庁において見直しが実施されたものでございます。  その結果、三つの審議会については廃止をするという方針が既に公表されておりますことのほか、例えば委員数の合理化でございますとか、あるいは厚生省等に具体的な例がございますが、引き続きそのあり方について検討を進めるという、今後の検討の対象について具体的な内容が公表されているというのが現段階の状況でございます。
  87. 山元勉

    ○山元委員 提言も閣議の決定も、例えば見直しの基準というのは、過去五年間委員が任命されていないものあるいは十年以上たっているものについては見直しますと。その対象はたしか百八十九だったと思いますが、例えば極端な話でいうと八つの例が出ていましたけれども、たったの三つということなんですね。  私は、やはり行革の論議の上あるいは閣議の論議の上の決定で百八十九の審議会を見直したけれども三つだったというのは、これは極めて不満です。本当に審議会というものが、透明度が高くて、そして大事な課題を、これは税金を使ってやるわけですから、本当に有効な審議をするという審議会に整理をしていこうなということからいうと、たったの三つ、設置をされて三十何年間一遍も開かれていないような審議会でも必要なんですと、見逃したといったらおかしいけれども、続けられているわけですね。これはやはりそういう趣旨からいうと極めて不十分だったというふうに思います。  その点については、ちょっと時間もきょうは少ないですから、私は総務庁長官官房長官に、閣議決定のねらい、意図からいったら極めて不十分だ、たったの三つだった。数でいいというものじゃありませんけれども、今申し上げましたように、設置をされて一遍も開かれていない、一遍もですよ。三十五年たってもこれはやはり必要なんだというのは、私はこんな見直しはないと思うのですね。  ですから、そこのところは厳しく受けとめていただいて、総務庁としてもあるいは内閣としても見直しについてなお粘っていただきたい、御努力いただきたいというふうに要請を申し上げておきたいと思います。  そこで、その三つの中にある一つなんですが、 公務員制度審議会というのが廃止をされるという中に入っているわけですね。これは、私らが提言した基準に照らしても廃止ということについてやむを得ないというふうに思っています。しかし、今、公務員を取り巻くあるいは公務員制度を取り巻く状況というのを認識すれば、やはり公務員制度の問題について審議をするということは大変重要な時期に、本当に今は最も重要なときになっているのではないか。  昔、昭和四十八年のときに答申が出されたのは、スト権の問題だとかそういうことだったのですね、論議されたのは。けれども、今の状況というのは、やはり公務員の天下りの問題だとかあるいは縦割り行政の問題だとか地方分権の話だとか、さまざまな公務員の制度のあり方、公務員の服務のあり方とか、さまざまなことが問題になっているわけです。そして、今検討しなければ、このままずるずると今の公務員制度でいいということでは私は断じてないと思うのですが、廃止をする、それでいいのかどうか、そういうことについての認識を総務庁にちょっとお尋ねをしたいと思うのです。
  88. 中西績介

    ○中西国務大臣 今御指摘のございましたように、委員の任命あるいは会議の開催がなされていなかったことから公務員制度審議会を廃止するということを決定いたしました。しかし、今指摘のございましたように、社会情勢の変化だとか、あるいは適切な行政運営を確保するためには、国家公務員について適切な人事管理行政が極めて重要であるということはもちろんであります。  したがって、こういう状況の中でありますから、社会情勢の変化に対応いたしまして、公務員制度のあり方を検討するために必要な新たな審議会など機関設置を検討していきたいと思っております。  以上です。
  89. 山元勉

    ○山元委員 問題点を認識していただいて、審議会等の設置について検討すると。私は方向としてありがたい、そうあるべきだというふうに思います。  やはり前の、総務庁設置法の中にある、公務員制度審議会で労働関係の基本に関する事項について審議をする、労働関係の基本に関する審議を行う、こういうふうになっているのは、今の時代からいえば、先ほど申し上げましたように、もう一回重ねて言いますけれども、やはり国民の側から行政に対するニーズが多様化をしてきておる、それに対応できる公務員の制度でなければならないという要請もありますし、一つは、これは人事院も論議を始めていただいているわけですが、高齢社会になっていって高齢者の雇用の問題が社会的な大問題、これは公務員の高齢雇用ということもらち外でないわけです。  あるいは地方分権の中で、この間機関委任事務の廃止というのが提言としてありましたけれども、そうなってくると国家公務員と地方公務員との関係があるのです。天下りの問題だとかあるいは若年退職勧奨という問題でいうと、そうするとやはり定年の問題を論議しなければならぬと思いますし、縦割り行政についての批判が大きくてそれについての改善をしようと思うと、採用、任用のあり方についても大論議をしなければならぬと思うのですね。そういう意味からいって、私はぜひ、今長官お答えをいただきましたけれども、設置をしていただきたいと思います。  ただ、この場合に、これは単に行政の問題だけではなしに、公務員という働いている人のことにかかわるわけですから、これはどうしても働いている側の人の意見を聞くということがしつかりと入っている審議会等でないといけないと思うのです。よく言われますように、労使とあるいは学識経験者、こういう人たちを入れてしっかりと冷静に論議をするということが必要だと思うのですね。  そういう意味でいくと、公務員の組織、公務員の皆さんがつくっていらっしゃる、連絡会とかいろいろのあれがありますけれども、そういう皆さんの意見をまず聞く、みずから痛みだとかみずから矛盾を感じていらっしゃる公務員の皆さんの意見を聞くという構えで審議会をつくることが大事だと思うのですが、その点はいかがですか。     〔宮路委員長代理退席、委員長着席〕
  90. 池ノ内祐司

    ○池ノ内政府委員 ただいま大臣がお話し申し上げましたように、公務員制度全般について検討するための仕組みと申しますか、そういうものの設置を検討する、こういうことでございます。まだこれから検討するということでございますので、どういう内容のもので、どういうような組織でやるか、これから検討してまいりたいと思います。  なお、その際に、いろいろいわゆる働く人々といいますか現場の人々の意見を聞くように、こういうようなお話でございます。組織をどうするか、構成をどうするか、これからの検討でございますけれども、もちろんそういう面も含めて検討してまいりたいと思います。
  91. 山元勉

    ○山元委員 局長、これから検討するのだということ。実態はそうなんでしょうけれども、廃止ということが出された。いずれかの時点で廃止の手続をしなければならぬわけですね。この設置法を改正しなければならぬ。そうすると、まずそれがありということはなしですよ。なしという言い方はおかしいですけれども、まず廃止してしまうのだ、それから考えるのだということはだめ。  やはりこの審議会をきっちりと、審議会等とおっしゃったから忠実にそう言いますけれども、そういうのをつくって今の大事なテーマがたくさんあることについて論議をします、審議をしますということであれば、廃止と同時にやはり新たなものが立ち上がっていないと私はいけないだろうと思うのです。  それは、この四月に、見直しは三月までということですから四月に発表された、そしてもう大分時間がたっているのですが、さあいつ廃止をするのだ、廃止をして新しいものと考えると、そうすると、もうこの概算要求の時期には次の審議会なり、そういう予算要求の中に盛り込まれるような形に、これからということはわかるけれども、急いでやはりこのことについての検討を進めていただきたい。そうでないと、廃止すると言ったけれども、また廃止にも一年かかるというようなことはいかぬわけですから。  ですから、そういう次の手順を考えるということで急いでいただきたいと思うのですが、そういう日程的なめどというのですか、どうお考えですか。
  92. 池ノ内祐司

    ○池ノ内政府委員 御案内のとおり、公務員制度審議会は総務庁設置法で設置をされております。したがいまして、廃止をするということになりますと、これは法律改正を要する、こういうことでございます。  なお、新たな審議機関的な仕組みをつくるということになれば、当然組織あるいは予算等必要な措置を講じなければならないと思います。そういう点を含めまして、今後検討してまいりたいと思います。
  93. 山元勉

    ○山元委員 時間が来ましたから終わりますけれども、実は私は与党の行政改革プロジェクト、この次の責任座長になっているのですが、公務員制度というのがテーマになっているわけです。一括採用とかいろいろなことをやるのですけれども、私らの側でひとり相撲をするのではなしに、しっかりと政府の皆さんとも相談をしながら、相談にも乗っていただきながら一つの絵をかいていくことが大事だと私は思うのですね。そういう意味ではやはり急いでいただきたいとお願いを申し上げまして、終わらせていただきます。
  94. 中西績介

    ○中西国務大臣 行革問題等につきましても、中間報告をしたり改定をしたりと次々に民主的な手続を経ながら皆さんの御意見を十分取り入れた中で行革を進めていく。いろいろありますけれども、申し上げませんが、そういう状況でありますから、今後につきましても公務員の皆さんの御意見なり、あるいはそれらに対するいろいろな御意見をお持ちの方の御意見も十分お聞きをいたしまして、万全を期してまいりたいと思っております。
  95. 山元勉

    ○山元委員 ありがとうございます。  終わります。
  96. 大木正吾

    大木委員長 次に、吉井英勝君。
  97. 吉井英勝

    吉井委員 私は改正内容について最初に伺いたいと思うのですが、改正点の一つは、内閣総理大臣補佐官を三人以内置くということと、もう一つは、内閣官房長官職務に、命を受けて、内閣官房長官職務を助けることができ、官房長官不在のとき職務を代行することができる、これを追加するということであります。  最初に、補佐官職務について確認をしておきたいと思うのです。  改正案十四条の二の二項で、「内閣重要政策に関し、内閣総理大臣に進言し、及び内閣総理大臣の命を受けて、内閣総理大臣意見を具申する。」とされています。総合調整や指揮監督の権限は以前出されていたものなどとは違って明記されておりません。つまり、このことは補佐官職務はあくまでも総理に対する進言と意見の具申に限られたもので、それ以外のことはできないというものだというふうに理解しているのですが、これはそういうことですね。
  98. 梶山静六

    梶山国務大臣 命を受けて、総理大臣に対する意見を具申したり進言をする、これが主たる任務であります。そして、総合調整やラインの権限を全く有しないかというと、当然それをしなければならない場合もございますが、これはあくまでも従たる機能、任務ではないかと私は考えております。
  99. 吉井英勝

    吉井委員 いや、それは明記されていないのですね。ですから、明記されているのはあくまでもこれは進言と意見具申に限られているもの……。  これはだんだん書いていないものまで余り拡大解釈するととんでもないものになりますから、この点だけはちゃんと確認しておきたいと思います。
  100. 梶山静六

    梶山国務大臣 委員指摘のとおりでありますが、しかしそれを妨げるものではない、それがなければ進言も、あるいは調査もできませんから。そういう部分的な調整や、あるいはライン的な仕事も若干加味をしなければその任務遂行ができないという意味で私は従と申し上げたので、これは法制上の権限はございません。
  101. 吉井英勝

    吉井委員 次に、今回の補佐官制度機構より人に着目した構想ということですね。ですから、スタッフ強化ということになっています。そこで、一つ懸念されることは公開性という問題があると思うのです。重要政策を行政の機関で検討して、内閣に上げて政策決定をするという通常のラインの場合ですと、不十分であっても一定のその検討経過が国民にわかるというシステムになっています。スタッフの場合は非常にわかりにくくなるのではないか、このことが懸念されるわけです。  そこで、補佐官制度によって、国の重要政策の協議状況や経過が内閣の機密の陰に隠れて国民の目に届かないということがあってはならないと思いますから、国民から見た公開性あるいは透明性をどう確保しようとするのか、この点についても伺っておきたいと思うのです。
  102. 梶山静六

    梶山国務大臣 これは内閣総理大臣を補佐する制度でありますから、その責任その他はすべて総理大臣にあるわけでありますから、総理大臣の言動はおのずと明らかになっておりますから、その中において責任は果たせるもの、このように考えます。
  103. 吉井英勝

    吉井委員 ラインは変えないわけですから、従来のような公開性は変わらない、この点は確認しておいていいですね。
  104. 梶山静六

    梶山国務大臣 これはあくまでも意見の具申であり、調査でございますから、その内容を事細かくつまびらかにする必要はありませんし、総理はそれを取捨選択をする機能を持つわけでありますから、そのとったところは間違いなく表に出てまいる。その調査が没であれば没にされてしまう、そのことを御理解をいただきたいと思います。
  105. 吉井英勝

    吉井委員 従来の場合ですと、私が先ほど言いましたように、ラインの場合は不十分であっても一定の検討経過というのはわかるわけですね。それがスタッフとなると、そこが非常に、透明性とか公開性をどう確保するかということは、もちろんおっしゃったように、最終的に総理が明らかにするではないか、それがあるわけです。ただ、その経緯等が全くやみの中、これはうまくないわけで、その辺については、少なくともラインは変えていないので、公開性という点については少なくとも従来の範囲というのは保たれるものであってしかるべきだと思うのですが、この点をもう一遍聞いておきたいのです。
  106. 藤井威

    ○藤井政府委員 今回の補佐官の新設は、官房長官もおっしゃいますように、総理大臣の指導性の充実のための重要な補佐機能ということでございます。内閣官房の本来の職務でございます総合的、究極の最高の総合調整といいますかそういう職務は、当然のことでございますけれども官房長官が最終的な責任を負う、その点については全く変わりはないということでございます。
  107. 吉井英勝

    吉井委員 時間もありませんので、少し聞いておきたいことを次に何点か質問をします。  いわゆる危機管理を理由に内閣法改正して内閣総理大臣権限強化をしようという主張が論じられているわけであります。特に防災問題で出てきたこういう危機管理という問題について言うと、何といっても消防防災体制強化とか、それから災害に強い町づくりの問題とか、地震観測、予知の体制強化とか、そういうことこそ、つまり防災対策、防災体制強化こそが危機管理の最大の担保であるわけで、そこが不十分なままでは、いろいろな議論をしたところで余り意味を持たないわけです。  そのことを前提とした上で、現行の総理の行政に対する指揮監督権というのは閣議の決定に基づいたこと以外はできないということになっています。それは内閣法六条の「内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針に基いて、行政各部を指揮監督する。」という規定によっても明確です。  では、緊急事態の場合はどうかというと、実はこのことは一九八六年五月二十日の参議院内閣委員会で、重大緊急事態が起きた場合でも内閣法六条の立場は貫かなければならないのではないかという質問に対して、当時の後藤田官房長官は、「内閣総理大臣職務権限というものは、これは閣議で決定したこと以外の指揮監督権はない」と明確に答弁をしています。  そこで官房長官、この立場は橋本内閣になっても変わっていないですね。そのことを確認しておきたいのです。
  108. 梶山静六

    梶山国務大臣 原則論は先ほど法制局長官が申し上げたとおりでありますが、少なくとも事災害において合議制を貫かなければ総理の指揮監督ができないということであっては国民の生命、財産を守ることができない、そういう緊急の場合においては、前段申し上げましたように、私は、あらかじめ橋本内閣においては閣議で決定をして、いわば総理大臣ないしは総理大臣の代理者、そういう者に閣議を行ったと同様の権限を与えること、これをあらかじめお互いに合議をして定めたわけでありますから、少なくとも橋本内閣の間は、災害時においては全閣僚がそろって、閣僚一致の原則に基づかない限り指揮監督ができないということではないというふうに御理解をいただきたいと思います。
  109. 吉井英勝

    吉井委員 災害時の話、あらかじめ決めてあるというお話ですが、八六年の後藤田官房長官のこの見解そのものについては変わっていないですね。
  110. 梶山静六

    梶山国務大臣 中身は、私も実は後藤田官房長官の発言をよく承知をいたしておりませんが、どんな災害時にでも合議制をとらない限りその対策がとれないということであれば、これは大変な瑕疵であります。法理をもてあそぶことにもなります。  ですから、私は、やはり災害時においてはその緊急避難的な要件を備える対策をとってこなければならない。さりとて法律解釈を変えるわけにはまいりませんから、橋本内閣においては、橋本内閣発足当初の二月の二十三日にこの体制について の申し合わせを行って、実質上弊害が起きないように実害の排除を行っておるわけであります。
  111. 吉井英勝

    吉井委員 法律解釈は変えていないというお話ですが、梶山さん、ことし二月の文芸春秋に掲載された「橋本君よ、ぐずぐずするな」の論文では、内閣法改正について「大規模震災や安全保障上の非常緊急時に国民生活を守るためには、総理行政各部に強力な指導力を発揮しうるよう内閣法改正するなど、官邸機能を大幅に強化していくべき時期なのである。」としておるわけですね。内閣法のどこを改正するのかというと四条と六条。つまり、閣議を経なくても首相の判断で行政を指揮監督できるようにしようということを書いていらっしゃるわけですが、この梶山論文を見ると、これまでの政府見解を変える時期に来ていることを強調されているし、しかも、そうした内閣法改正憲法違反に当たるとも思えないという言い方もしておられます。  梶山さんの論文とは違って、今の梶山官房長官はこの認識は今日でも一緒なのか、あるいは変わっていないのか、この点を次に伺いたいのです。
  112. 梶山静六

    梶山国務大臣 私の私的な見解、これはそう間違っているとは思っておりません。どんな災害時にでも、内閣法の四条、六条に縛られて国民の生命、財産を守ることができないようでは政府の責任は果たせない、こういうことを考えれば、災害時に限りこの四条、六条というのは大変障害になります。しかし、この四条、六条を直してしまいますと、一般のときにおいて民主的な運営ができなくなって大変なことになる。  そういうことを考え合わせまして、内閣に入り、特に危機管理というか災害対策を担当しなければならない立場になってみますと、前段申し上げましたように、この災害時における例外規定閣議の申し合わせ事項によって定めて弊害を排除した、そういうことであります。
  113. 吉井英勝

    吉井委員 いわば一定の閣議決定をあらかじめした形でという今のお話なのですが、しかし、解釈は変えない、法律は変えないでということなのですね。官房長官の主張は、内閣のこれまでの見解ともそこが少し違うわけで、内容的にやはり問題があるのじゃないか。  内閣法改正問題は本案を審議した五月二十四日の本会議でも出たわけですが、そのときの総理答弁というのは、「内閣法第六条の改正につきまして、これは法律的な問題としてお答えを申し上げるなら、合議体である内閣意思にかかわりなしに、内閣総理大臣単独意思決定指揮監督権が行使できるようにするということにつきましては、憲法趣旨に照らして問題があるという指摘もあります。慎重に検討する必要のあることだと思います。」という答弁でした。  この答弁で注目をするのはこの「検討する必要のあることだと思います。」というところなのですが、総理答弁は、内閣法六条の改正は、慎重という言葉を使いながらも検討する必要がある事項ということを述べているわけですね。  そこで、これは検討していこうということなのかどうか、この点を次に伺いたいのです。
  114. 梶山静六

    梶山国務大臣 総理国会答弁をしたことと、私が今問題提起をして大震災の発生時の例外規定を設けたこと、このこと自身はまさに整合性の保たれるという問題であります。  私は、政治に課せられた使命は、突き詰めれば国の安全と国民の生活を守ることと私的な論文にも書いてありますが、このことを行うために内閣法の四条と六条が大変大きな障害になるとすれば、それを除去する方法は考えなければなりません。  私たちは、今橋本内閣のもとで、首都直下型大規模地震発生時の内閣の初動体制という申し合わせをしたわけであります。これ以外にも、四条、六条によって障害を受ける場合があるかもしらない、これは絶えず研究をしておかなければならない問題だというふうに私は認識をいたしております。
  115. 吉井英勝

    吉井委員 最大の安全保障に備えるということになれば、日本はとにかく世界有数の火山、地震国ですから、震災対策に対して、まさにそのものに対する先ほど最初の方に申し上げましたような防災対策、体制強化こそが危機管理の最大の担保となるものであることは重ねて申し上げておきたいと思いますが、橋本総理は慎重に検討する必要があると答弁し、梶山官房長官内閣法改正憲法違反に当たるとは思えないと言ってきたわけですけれども、内閣の中枢にいる二人が改正に積極的態度をとっているということになるとこれは大変な問題で、その可能性が高いのではないかということも懸念されるわけです。  首相の行政に対する指揮監督権強化というのは、現憲法下では認められるものではありません。総理官房長官の見解というのは従来の政府答弁から大きく逸脱しているのではないかと思うわけです。  これまで政府は、憲法総理指揮監督権については、これは一九七六年八月二十六日の当委員会での当時の茂串内閣法制局長官答弁なんですが、  憲法七十二条が「内閣を代表して」と定めております。その趣旨でございますが、それは憲法行政権内閣そのものに存するとされておりますことの結果にほかならないわけでありまして、これを受けて 会議録を読みますと、このときは合議体という言葉ではなくて会議体という  会議体たる内閣意思に従った指揮監督権の行使を担保するために、内閣の機関意思決定の方法である閣議にかけて基本的な方針を定めた上で、これに従って内閣総理大臣が指揮監督を行うということを要請しておるものと思う のです、こんなふうに明確に答弁しています。  これまでの政府見解は、今言ったように、憲法では行政権内閣そのものに存するとしているから、総理内閣意思に従って行政を指揮監督するのだと言っています。それは憲法の要請だとしてきたわけです。この意味においては当然な解釈なんですが、この見解に立つのであれば、内閣法六条の改正検討はもとより、違憲ではないなどという見解は出てこないと思うわけです。官房長官内閣法六条の改正というのは、従来の見解とも違うし、憲法解釈という面からも私はこれは正しくないと思うんですが、そういう内閣法六条改正検討というのは、私はその考えは撤回するべきだと思いますが。
  116. 梶山静六

    梶山国務大臣 残念でございますが、委員指摘のように私は撤回をするということはございません。  これは、多分私の私的な小論文をお読みをいただいての結論だと思うんですが、私は、「阪神淡路大震災が定例閣議のある火曜日に発生したのは、不幸中の幸いというべきで、これが週末であったり夏休みの期間中であったりすれば、即座に閣議を開くのは不可能に近い。」こういう書き出しでこの問題の処理をしているわけであります。  私は、いたずらに法をもてあそんで、どんなことがあっても閣議を開き、全会一致でなければ災害対策すら指令ができないということになれば、国民の生命財産を守ることができない。これは内閣権限放棄であります。そういうことになれば、私たちは今々これを変える手段、方法を持たないけれども、先ほど申し上げましたように、閣議の申し合わせをいたして、災害時における歯どめを、いわば緊急避難の実を上げたわけでございますので、これすら制限をすることは、私は国民の生命財産を守るという使命を持つ内閣のとるべき道ではない、このように考えます。
  117. 吉井英勝

    吉井委員 防災にあらかじめ備えて、だれがどういう事務分掌、所掌でやるかとか、そういうことは閣議であらかじめ決めてやっておってそれは対応できるわけであって、問題は、緊急事態などを理由に総理が即断即決で決めていく政治手法、つまり強権政治ということになってくると、これは議院内閣制と議会制民主主義の破壊につながるものですから、私はそこは、憲法議院内閣制を採用し、内閣総理大臣国会によって指名され、内閣行政権の行使について国会に対して連帯の 責任を負うという立場ですし、内閣の存立は国会の信任いかんにかかっているということになるわけですから、内閣国会のコントロールのもとに、国会が定めた方針に基づいて法律を執行し国務を処理していくというのは、これは本来の地位であり、任務ですよ。  ですから、総理権限強化し、国権の最高機関である国会を軽視するということは、国会の仕組みからも許されないことは明白だというふうに思うんです。そういうことがあってはならないというその立場については、私はやはりきちっと守っていかなければならぬと思うのですが、最後にこの点だけ伺って、質問を終わりたいと思います。
  118. 梶山静六

    梶山国務大臣 私は、ですから、内閣法改正を今ここで提案をいたしているわけではございません。しかし、内閣法の持つ欠陥があるとすれば、私はそれの緊急避難の条項というか、閣議をもって申し合わせをして、橋本内閣中は、大震災が起きたならば、総理大臣事故あるときは副総理、副総理事故あるときは官房長官、さらに事故あるときは国土庁長官、そして閣議を招集して来れない者、そのときは代理者がそれを行う、そして本部を設定することができるという規定を設けることは、私は憲法の精神に十二分に合うものであり、むしろそれを狭義に解釈して、そのことすら拘束するとなれば、国民の生命財産を守ることができませんので、ぜひとも委員に御理解をいただきたいのは、こういう閣議の申し合わせをして大災害時に何をするかという緊急避難の道は残しておいてほしい。これすら否定をされますと、内閣の責任放棄になります。
  119. 吉井英勝

    吉井委員 時間が参りましたので、終わります。
  120. 大木正吾

    大木委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  121. 大木正吾

    大木委員長 この際、本案に対し、宮路和明君から修正案が提出されております。  提出者から趣旨説明を聴取いたします。宮路和明君。     —————————————  内閣法等の一部を改正する法律案に対する修正   案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  122. 宮路和明

    ○宮路委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付いたしておりますので、朗読は省略させていただき、その要旨を申し上げます。  施行期日について、原案では「平成八年四月一日」といたしておりますが、既にその日が経過しておりますので、これを「公布の日」に改めようとするものであります。よろしく御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  123. 大木正吾

    大木委員長 これにて修正案についての趣旨説明は終わりました。     —————————————
  124. 大木正吾

    大木委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出内閣法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決をいたします。  まず、宮路和明君提出の修正案について採決をいたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  125. 大木正吾

    大木委員長 起立多数。よって、本修正案は可決をされました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いて原案について採決をいたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  126. 大木正吾

    大木委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  127. 大木正吾

    大木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  128. 大木正吾

    大木委員長 次回は、来る十三日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時五十六分散会      ————◇—————