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1996-03-25 第136回国会 衆議院 逓信委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年三月二十五日(月曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 中川 昭一君    理事 斉藤斗志二君 理事 中谷  元君    理事 古屋 圭司君 理事 遠藤 乙彦君    理事 河村たかし君 理事 高木 陽介君    理事 山崎  泉君 理事 小沢 鋭仁君       荒井 広幸君    小此木八郎君       川崎 二郎君    岸本 光造君       佐藤 剛男君    自見庄三郎君       野中 広務君    宮崎 茂一君       遠藤 和良君    神崎 武法君       北橋 健治君    古賀 一成君       高橋 一郎君    日笠 勝之君       冬柴 鐵三君    大出  俊君       田中 昭一君    横光 克彦君       矢島 恒夫君    吉岡 賢治君       佐藤謙一郎君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 日野 市朗君  出席政府委員         郵政大臣官房長 谷  公士君         郵政大臣官房審         議官      品川 萬里君         郵政省放送行政         局長      楠田 修司君  委員外出席者         外務省北米局日         米安全保障条約         課長      梅本 和義君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     川口 幹夫君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事・技師         長)      森川 脩一君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   齊藤  曉君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     中井 盛久君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     菅野 洋史君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     河野 尚行君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     石渡 和夫君         参  考  人         (日本放送協会         総合企画室〔経         営計画局長) 稲葉 和彦君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   酒井  伸君         逓信委員会調査         室長      丸山 一敏君     ————————————— 委員の異動 三月二十五日  辞任         補欠選任   野田 聖子君     小此木八郎君 同日  辞任         補欠選任   小此木八郎君     野田 聖子君     ————————————— 三月二十二日  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第一号)      ————◇—————
  2. 中川昭一

    中川委員長 これより会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、審査に入ります。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りをいたします。  本件審査のため、本日、参考人として日本放送協会出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中川昭一

    中川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 中川昭一

    中川委員長 まず、趣旨説明を聴取いたします。日野郵政大臣。     —————————————  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認   を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  5. 日野市朗

    日野国務大臣 ただいま議題とされました日本放送協会平成八年度収支予算事業計画及び資金計画提案理由につきまして、御説明申し上げます。  この収支予算事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定に基づきまして、郵政大臣意見を付して国会に提出するものであります。  まず、収支予算につきまして、その概略を申し上げます。  一般勘定事業収支につきましては、事業収入は五千八百二十八億円、事業支出は五千八百七十六億円とし、事業収支における不足額は四十八億円となっております。この不足額及び債務の償還に必要な資金八十八億円の手当ては、前年度までの繰越金四百六十四億円をもって充てることとしております。  一般勘定資本収支につきましては、資本収入は八百四十九億円、資本支出は八百億円となっており、放送設備整備など建設費に六百五十七億円を計上しております。  次に、事業計画につきましては、その主なものは、公正な報道と多様で質の高い放送番組提供に努めるとともに、緊急報道体制充実及び非常災害対策強化を図ること、並びに新しい放送技術研究開発に取り組むこと、また、受信契約増加受信料の確実な収納に努めること等を計画しており、これらの実施に当たっては、経営全般にわたり一層効率的な業務運営推進し、視聴者に信頼され、かつ、創造性活力にあふれた公共放送を実現していくこととしております。  最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に対応する年度中の資金需要及び調達に関する計画を立てたものであります。  郵政大臣といたしましては、これらの収支予算等につきまして、おおむね適当であると認めた上で、事業計画等実施に当たっては、厳しい財政状況にかんがみ効率的な業務体制確立に一層努力するとともに、配慮すべき事項として、受信料収入確保に努めるとともに、経費の削減を行うこと及び衛星放送に係る収支の一層の明確化等指摘した意見を付することといたした次第であります。  以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議の上、御承認のほどお願いいたします。  ありがとうございました。
  6. 中川昭一

    中川委員長 次に、補足説明を聴取いたします。日本放送協会会長川口幹夫君。
  7. 川口幹夫

    川口参考人 ただいま議題となっております日本放送協会平成八年度収支予算事業計画及び資金計画につきまして、御説明申し上げます。  平成八年度の事業運営に当たりましては、公正な報道と多様で質の高い放送番組提供に努めるとともに、阪神・淡路大震災の経験を踏まえ、緊急報道体制充実及び非常災害対策強化を図ってまいります。また、新しい放送技術研究開発などにも積極的に取り組むことといたします。  あわせて、協会財政が厳しい状況にあることを認識し、経営財源確保のため、受信契約増加受信料の確実な収納に努めるとともに、経営全般にわたり一層効率的な業務運営推進し、視聴者に信頼され、かつ、創造性活力にあふれた公共放送を実現してまいる所存であります。  平成八年度の主な事業計画につきまして、御説明申し上げます。  まず、建設計画につきましては、緊急報道体制充実非常災害対策強化を図るための設備整備及び放送番組充実のための設備整備を行うほか、衛星放送ハイビジョン放送設備整備及び放送会館整備等実施することとしております。  次に、事業運営計画につきまして申し上げます。  国内放送におきましては、視聴者の意向を積極的に受けとめ、番組充実刷新を図るとともに、公共放送の使命に徹し、公正な報道と多様で質の高い放送番組提供に努めてまいります。  国際放送におきましては、国際間の相互理解国際交流に貢献するとともに、海外在留日本人に多様な情報を的確に伝えるため、音声による国際放送受信改善に努めるとともに、映像による国際放送を拡充いたします。  契約収納業務につきましては、受信料負担の公平を期するため、受信料制度周知徹底を図るとともに、効果的、効率的な営業活動を行い、受信契約増加受信料の確実な収納に努めてまいります。  調査研究につきましては、新しい技術研究開発を初め、放送番組放送技術向上に寄与する調査研究推進し、その成果を放送に生かすとともに、広く一般にも公開することとしております。  以上の事業計画実施に当たりましては、経営全般にわたり業務の見直しを一層徹底し、要員については、年度内五十五人の純減を行い、総員一万三千六十人とし、給与につきましては、適正な水準を維持することとしております。  これらの事業計画に対応する収支予算につきましては、一般勘定において、事業収支収入総額五千八百二十八億三千万円を計上し、このうち、受信料については、五千六百七十三億四千万円を予定しております。これは契約総数において四十二万件、衛星契約において七十五万件の年度内増加を見込んだものであります。  これに対し、支出は、国内放送費など、総額五千八百七十六億五千万円を計上しております。  事業収支不足四十八億二千万円につきましては、前年度以前からの繰越金の一部をもって補てんすることとしております。  次に、資本収支につきましては、支出において、建設費六百五十七億円、出資二十五億二千万円、放送債券償還等に百十八億六千万円、総額八百億八千万円を計上し、収入には、これらに必要な財源及び事業収支不足を補てんするための財源として、前期繰越金減価償却資金及び借入金など、総額八百四十九億円を計上しております。  なお、受託業務等勘定におきましては、収入三億八千万円、支出三億二千万円を計上しております。  最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に基づいて、資金需要及び調達を見込んだものでございます。  以上、日本放送協会平成八年度収支予算事業計画等につきまして、そのあらましを申し述べましたが、今後の事業運営に当たりましては、協会事業受信料により運営されていることを深く認識し、効率的な業務運営を行い、協会に課せられた責務の遂行に努める所存でございます。  委員各位の変わらざる御協力と御支援をお願いし、あわせて何とぞよろしく御審議の上、御承認賜りますようお願い申し上げます。  ありがとうございました。
  8. 中川昭一

    中川委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  9. 中川昭一

    中川委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古屋圭司君。
  10. 古屋圭司

    古屋委員 自由民主党古屋でございます。  質問に先立ちまして、昨日行われました全国注目参議院補欠選挙におきましては、御承知のような結果に相なりました。関係各位に心から感謝を申し上げます。  さて、質問に入らせていただきます。  NHKの来年度予算重点項目一つにいわゆる放送技術等研究開発というものが入っているわけでありまして、過日、私もNHKの砧にあります技術研究所を視察してまいりましたが、ハイビジョンテレビであるとかディジタル放送、あるいは函館のハイジャックで活躍をいたしました超高感度テレビカメラ等々のいわゆるナンバーワンあるいはオンリーワンの技術開発ということに対して、熱心に取り組んでおられるということを実感いたしました。  日本ラジオ放送が開始されてから七十年、この間、白黒テレビに始まりまして、カラーテレビ衛星放送、そして今はハイビジョンという形で発展をしてきたわけでありますけれども、この背景には、NHK技術開発研究所の果たしてきた役割は非常に大きいと思います。これから将来のマルチメディア時代におきましても、テレビ放送基幹サービスとして果たすべき役割は非常に大きいと思います。そういった観点からも、NHKが今後ともこの技術開発に先導的な役割を果たしていくべきでないかな、こういうふうに考えております。  ただ、この研究開発費という面で見てみますと、まず売り上げベースでは、NHK平成六年度ベースでは五千七百億円、ちなみにNTTを見ますと約五兆八千億円だそうであります。大体十分の一でございます。しかし、研究開発費ベースで見ますと、NHKは九十四億円、NTTは三千億円ということでありまして、大体三十分の一程度でございます。予算比ベースで見ましても、NHKが二%に対しまして、NTTは約五%強ということでございまして、規模の差はもちろんありますけれども、やはり同じ情報通信のジャンルということで考えてみますと、余りにも少ないのかなという感が否めません。平成八年の予算の中でも、科学技術情報通信関係は一〇%を超える大幅予算確保すべく努力をしているわけでありまして、そういった意味からもちょっと少ないのかなという気がいたします。  一般的に企業は、大体研究開発費売り上げの二%程度ということになっているようでございますけれども、NHKという性格上、先進的な放送技術開発ということを考えれば、せめて五%程度にはこういうものを伸ばしていくべきじゃないか、こんなふうに考えておりますが、NHK並び郵政省の考え方はいかがでございましょうか、御質問を申し上げます。
  11. 森川脩一

    森川参考人 お答えを申し上げます。  現在、NHK放送技術研究所では、先生おっしゃいましたように、来るべきマルチメディア時代に向けまして、壁かけテレビ実用化でございますとか、あるいは新しい放送サービスであります統合ディジタル放送などの研究開発に取り組んでおります。  先生の御指摘研究所経費でございますが、NHKとしましては、貴重な受信料財源の中で、社会の情報化あるいは技術の進歩に対応すべく研究開発に重点的に配分をいたしてまいりました。ただいま御審議をいただいております平成八年度予算案におきましては、受信料の伸びが約二・五%であることに対しまして、技術研究に関する支出はこれを上回ります三・二%の増加になっております。今後も視聴者サービス向上のために技術研究に重点的に必要な経費を配分していく所存でございます。  それから、全産業との比較を御指摘がございましたが、確かにNHK技術関係開発費でございますが、通信あるいは電子の産業というところだけ抜き出してみますと、これに対してNHKは相対的に少ない傾向にございます。これは御指摘のとおりでございますが、ただ、全産業を通して見た対比、これと比較いたしますと、ほぼ平均的な位置にあるというぐあいに認識をいたしております。我々といたしましては、限られた受信料収入の中から、特に最近の三年間につきましては重点的に開発経費充実いたしてまいりました。今後とも公共放送の先導的な役目を自覚しながら、効率的、重点的な技術開発推進してまいりたい、このように考えております。
  12. 楠田修司

    楠田政府委員 現在、放送メディア多様化高度化あるいはディジタル化が大きく進展していく状況にございまして、今後の放送発展観点からも放送技術研究開発推進を図るということは、非常に重要な問題と認識しております。現在、ディジタル放送技術を初めとする放送技術研究開発につきまして、国あるいはNHK等において鋭意進められておるところでありますが、NHKにおきましては、NHK予算というものが国民受信料において成り立っているということを念頭に置きつつ、研究開発の先導的な推進を果たすべく期待しておるところでございます。  なお、国あるいは郵政省としましても、放送技術研究対象範囲というものが従来よりも一層マルチメディアの中で拡大しているということにかんがみまして、NHKメーカーあるいはその他関係機関と連携を深めつつ、放送技術研究開発を一層推進してまいりたいというふうに考えております。
  13. 古屋圭司

    古屋委員 情報通信科学技術は日進月歩でございまして、これを制するものが世界を制すると言っても過言ではない時代でありますから、どうか研究開発には一層の力を入れていただきたい、御要望申し上げておきます。  次に、確かに今御説明もありましたように、受信料から成り立っているということでありまして、NHKの限られた予算では、単独研究開発を行うというのはおのずから限定があるということでございまして、そういった意味からは、今御指摘がございましたように、積極的に外部の研究機関であるとかメーカー共同開発をしていくという必要があろうかと思います。  聞くところによりますと、ハイビジョン型の壁かけテレビメーカー等二十六社と共同開発協議会を組んでいる、こういうふうに承っております。この壁かけテレビ日本住宅事情にも極めてマッチしておるものでございますし、この開発に大いに主力を置いて進めていくべきではないかと考えております。また、この他の共同開発の現状等々につきまして、今後に向けた展望がございましたら、NHKの方から御所見をちょうだいしたいと思います。
  14. 森川脩一

    森川参考人 放送技術研究開発は、先生指摘のように、その対象となる分野がますます多岐にわたるとともに、より専門化し、高度化し、大規模化してまいっております。したがって、テーマによりましては、単独研究所で行うには、規模とか専門性とかあるいは資金の面で困難なものもございます。  共同開発については、これまでにもハイビジョン受信機とかVTRについて共同開発を行ってきており、現在では、ただいま御指摘のあったハイビジョンの壁かけテレビを目指して共同開発を進めております。さらに、共通な基礎研究あるいは特定のテーマにつきまして、幾つかの共同研究開発に取り組んでおります。  例えば、国際電気通信基礎技術研究所次世代衛星通信放送システム研究所あるいは次世代デジタルテレビ放送研究所などの研究開発会社出資をしますとともに、研究要員を派遣いたしまして共同研究開発に取り組んでおります。また、そのほか、ほかの研究機関あるいはメーカーとの共同研究、あるいは大学の先生研究所客員研究員として委嘱をする、海外研究者研究所に受け入れるというようなことで、内外とも共同研究開発というのを活発化しておりますが、今後ともこの方向を積極的に推進いたしまして、効率的で効果的な研究開発をやっていきたい、このように考えております。
  15. 古屋圭司

    古屋委員 今の壁かけテレビの点でございますが、この実用化めどは大体いつごろなのか、いつごろ一般視聴者がこれを利用して楽しむことができるのか、この辺についてのめどをお聞かせいただきたいと思います。
  16. 森川脩一

    森川参考人 ただいま先生おっしゃいました壁かけテレビ実用化めどでございますが、私どもとしましては、来る長野の冬のオリンピック、これを目標にただいま総力を挙げて研究開発を進めているところでございます。  課題といたしましては、画面を一層きめ細かくするでありますとか、あるいはできるだけ安くするための生産技術確立てございますとか等々の研究開発をただいま鋭意進めて長野オリンピックにつなげていきたい、このように考えております。
  17. 古屋圭司

    古屋委員 終わります。
  18. 中川昭一

  19. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 私は、福島市を中心とします福島一区の自由民主党佐藤剛男でございます。本日、こういう問題を指摘いたしまして、御意見、御答弁を賜りたいと思います。  実は、私の選挙区を回っていきますと、例によって今住専問題があるわけであります。非常に重要な誤解選挙民の方が持っておられるということを私は発見いたしたわけであります。そして、それが非常に重要だなと、テレビ役割というのがいかに重要だということをしみじみと実感いたしたわけです。  その一つは、住専で、どこかのテレビが、あの七社を救うために六千八百五十億円の金を出します、こういう報道選挙民の少なからぬ人が頭に刻み込まれているのですね。私は、それがいつだれがあれしたのかというのは調べておりませんし、わかりません。しかし、そういう方々が非常に多いということは驚きでありました。そして私は、七社というのは取りつぶすんです。江戸時代でいいますと、藩の取りつぶしです。殿の御乱行があって、これは取りつぶして、昔でいいますと、言葉は悪いが獄門、張りつけ、それで町内引き回し。そして、いい財産もあります。腐った債権ばかりじゃなくていい債権もあって、この債権については財産没収。この没収をする機構を法律でつくるんですよ、こう言いますと、選挙民は、あ、取りつぶすんですか、私は救うために六千八百五十億円を出すというから怒っているんです、こういう話が返ってくるわけですね。  これが、こういう声が多いので非常に心配したのは、いかにテレビ報道の怖さ、そしてまたその逆で言いますと、それに対する一言一句が非常に重要だということですね。住専七社のために六千八百五十億円の公的資金を使います、こういう話になるから国民の方は怒ってしまうわけだ。中小企業人たちは、自分の方にお金も来ない、非常に苦しんでやりくりやっているのに、そういう話になる。  それからもう一点私が驚いたことは、一人五千円ということをテレビ報道を受けています、私の家は四人います、二万円取りにいつ来るのですかというような話を聞くわけですね。ですから、消費税に類似したようなもので取られるのだ、こういうふうな気持ちで誤解、頭の中に刻み込まれていると思うのですね、これは。こういう人たちが一人や二人という話ではなくて、かなり多いというところに、私は、この国論を二分するようなこういうような問題について非常に憂慮するとともに、NHKというのはほかの民間の報道機関とは違うわけでありますから、こういうふうに国論を二分するような場合には積極的な役割をなすべきではないか。つまり、国民誤解しているような、そう思った点についてはその誤解を解きほぐす、啓蒙する。これはテレビというキャスターによって、あるいはアナウンサーによって、この間き手によっていろいろな誤解というものは出るわけですね。ですから、そこら辺を現場と編成方針との間でぴったりとして、しょっちゅう反省をしたりする、何といいますか、フィードバックのシステム、こういうことのシステムが局内において必要ではないか、私はかように思うわけでありますが、それについて、後ほどで結構でございますが、お話をお伺いしたい。  それから、今住専の問題ですので、もう一つ関連してお聞きいたしたいと思うのですが、公的資金を入れる、この公的資金を入れるのはなぜなのか。これは、あの昭和の歴史をごらんなさい。あの国会において片岡大蔵大臣の発言によってたくさんの銀行があっという間につぶれた。こういうところの話が歴史的な事実としてあるわけですね。そうしましたら、そういうふうな歴史的事実について、NHKドラマ、一種のわかりやすいドラマでこれは脚本をつくり、そして国民に、こういうふうな状況があるから金融システムがとんでもないことになるのだ、いや、金融システムはどうだと、こう意見が分かれる部分の一つ分岐点でありますから、そういうことをする役割があるのじゃないか。歴史的事実について、あるものについてきちんと検証して、そしてこういう機会にこの歴史的事実を、議事録を見ますれば、国会議事録に出ているわけでありますから、そういう面についての報道不足しておるのじゃないか。この二点についてまずお伺いいたしたいと思います。
  20. 川口幹夫

    川口参考人 ただいまの御指摘住専問題に限って申し上げますと、NHKとしては、こういうふうに国論を二分したような意見の分かれる問題については、放送法規定に基づきましてその幾つかの意見をわかりやすく視聴者に御提示申し上げる。そして、視聴者の御意見を決めるときにお役に立つようなそういう放送をしようということを考えております。  少なくとも、この問題は決して情緒的にはしない。例えば、何かの意見をあおるようなとか、それからそのことを大変おもしろがってやるようなとか、そういう態度は一切しないということを前提にして放送のスタートをいたしました。これまでもその基本的な精神はいささかも揺らいでいないと思いますけれども、実際にこの住専問題が起こってからは、NHKのみならず民間放送が非常にこの問題をやや情緒的にとらえた節もなきにしもあらずと思います。それを私は、NHKとしては不偏不党の立場に立って客観的な報道に徹するということを前提にして進めてきたつもりでございます。今後とも、そのことについてはきちんと報道してまいります。  また、昭和初期の恐慌につきましては、既に番組の中でも何回か触れていると思いますけれども、そういう事例についてもきちんと説明を加えてきたつもりでございます。
  21. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 ありがとうございました。  どうかNHKは、私どもが任せる、せめて人選の、だれが出ていくのか、これは皆さんがNHKの内部でお決めになることだし、こういう逓信委員会の場以外は余り第三者がチェックするというシステムになっていないわけですから、そういう意味では本当に内部において真剣に一つ一つの、特にこういう国論を分けたりするような、何年に一回というような問題については真摯に御検討して今御答弁のような形をお進めいただきたいと思います。  それから、これに関連しまして郵政大臣にお聞きいたしたいのでございます。  かつてもございましたが、公平公正問題について、郵政省、かつて某テレビの某局長発言で問題になって、そして審議会をつくって、委員会をつくるというようなことでやられたと記憶いたしておりますが、こういうような問題について、郵政省としてどのように取り組んでおられ、そしてしようとしておりますのか。特に最近、某テレビ局においての、余りこの問題については深く言いませんが、時間がありませんから、その問題についてどのような取り組み方をされようとしているのか、お聞きいたしたいと思います。
  22. 日野市朗

    日野国務大臣 放送に関する規律については、放送法においてまず放送の不偏不党をうたっているところでございます。それから、放送番組の編集等についても、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」これは放送法の第三条の二第一項四号でございますが、こういう一つの規律を持っておりまして、放送事業というものは、すべからくこの放送法規定するところ、その精神を重視しながら放送事業に取り組んでいく、放送を行っていくということが必要であろうかと思います。  特にNHKの場合は、これも放送法によって設立されているわけでありますが、いい放送番組提供を行うこと、これがNHKにとっての使命でございますから、もちろん不偏不党、それから多角的に問題に対して焦点を当てるということが必要になってこようかと思います。  先生指摘になられました某テレビの某局長の問題なんかでございますが、これについては、一応第三者的な懇談会をつくりまして今対処しているということは、先生も御承知かと思います。こういう、できるだけ客観的に物事を見ていく、そして放送法に掲げたその精神、これをきちっと守っていくということは、各放送事業者に期待されているところであろうというふうに思っております。  郵政省としても、その趣旨にのっとってこれからの郵政省としての業務を続けてまいりたい、こう考えております。
  23. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 もう時間でございますので、これで終わりにさせていただきますが、御答弁がおりましたように、NHK内部におきますわかりやすい、あるいは歴史的な事実についての編成、それから、郵政省におかれます、放送法に基づくきちんとした対応、それをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  24. 中川昭一

    中川委員長 荒井広幸君。
  25. 荒井広幸

    ○荒井(広)委員 皆様おはようございます。  冒頭、川口会長にお尋ねを申し上げたいと思います。  去年は戦後五十年、そして放送もまた七十年という一つの節目を迎えました。節目というのは、言ってみれば、過去を振り返り総括をする、そしてその反省をもとに新しいステージに移っていく原点、スタート地点だろうと私は思います。そういう意味で、会長としても、今後、これからのNHK放送のあり方ということを、二十一世紀にわたって指針をはっきりし、そしてまた、次世代に引き継いでいくということが大切であろうと考えているわけです。また、予算もそういうものの一つのあらわれであろうと思います。そういうものの中身をあらわすものであろうとも思います。  会長が御就任されたのは平成三年、そして五年間が今たっておりますが、この間、非常に目まぐるしく、いわゆるインターネットスピードと言われるぐらいの速さで物事の、世の中の情報通信手段、これが非常に進んでいる。特にインターネット、まさにインターネットであります。こうした中において、多様な情報手段によって情報の開示がされたり情報にアクセスできる、そういうCATVあるいは衛星放送、単にこうした公共的な役割のみならず、個人個人のコミュニケーション手段までが大変進んできております。  こうしたインターネット等の多様な情報手段の登場やCATV、衛星放送等の多チャンネル化時代を迎えまして、NHKの存在意義はどこにあるのか。会長としての、いわゆる次世代に引き継ぐあるいは未来を展望する、こういう意味で大切な分岐点に今あろうと思いますが、NHKの存在意義はどこにあるのか、そしてまたどんな役割やどんな放送サービスをしていくおつもりなのか、この点をお伺いをさせていただきたいと思います。
  26. 川口幹夫

    川口参考人 先生おっしゃったように、これから非常にメディアが変わっていくと思います。特に、インターネットを初めとする国際化の進展というのは実に目まぐるしく進展していくであろうと思っております。それから、多様化というものと細分化、あるいは個人別と言ってもいいぐらいの非常に幅広い範囲にわたって技術が進歩する、それからメディアのそれを扱うやり方が変わっていくというふうに思っております。  この中で、NHKのような公共放送がどう生きるかというのは非常に大きな問題でございますが、私はその前に、放送とは何であるかというところから実はスタートしたいと思っておりまして、そういう放送通信が融合するような時代が来ましても、放送が持つ意味、意義というものはちっとも変わらない、それはむしろ大事になっていくのではないかという考え方を持っております。  それは、放送というものは大きく分けると二つの機能を持っている。一つは、ジャーナリズムとしての機能ですね。ジャーナリズムというのは、今起こっていることをきちんとお伝えすると同時に、それがどのように動いていくのかを的確にお伝えするという機能だと思います。もう一つは、文化的機能とでもいいますか、私はやはり放送文化というものがあると思うのですが、電波を通じて多くの方々に教養もしくは教育的なものを送ると同時に、いわゆる娯楽的なもので心の豊かさを味わっていただくとか、そういう意味では、やはり放送一つの文化でなければいけないと思っておりまして、このジャーナリズムという機能と文化を伝達する機能というものを今後ともやはりNHKは大事にしていこう。そして多様化する、あるいは国際化する、細分化する多メディア時代の中で、公共放送が持つべき意義をきちんとその上に立って打ち立てようというふうに思っております。
  27. 荒井広幸

    ○荒井(広)委員 以前に川口会長さんともこの件については御議論をさせていただいたのですが、そこで私は、今回の予算に関係をいたしまして、まさにジャーナリズム的な視点で言うと、NHKの信頼性というのは抜群なものがあります。その中で、災害報道はまさに私はNHKの生命線、これは未来においても揺るぎないものであろう、こういうふうに考えているわけです。片方で文化的なもの、この間「大地の子」で、私も本当に涙を流し、また親と子のきずなというようなものも感じましたけれども、幾ら文化的なものがすばらしくても、やはり災害報道的なものがいかに重要か、それによってすべてのものが台なしになる、NHKのすべてが台なしになるというぐらいだと私は思っております。  そこで、去年の阪神・淡路、そしてまた北海道の落盤、落石事故という大変な災害があったわけでございまして、そういうときに、NHK公共放送としての災害報道に万全を期す、このためにNHKは、八年度で非常対策マニュアルの見直し、そしてまたそのための予算、こういうものを組んでいるはずでございますが、その点についてお伺いをいたしたいと思います。
  28. 齊藤曉

    ○齊藤参考人 私どもは、阪神・淡路大震災の経験を踏まえまして、マニュアルについては、これまでNHKの中にありましたマニュアルを見直しをいたしました。同時に、日常業務の進め方の変化あるいは緊急報道訓練の結果などを踏まえて、さらに継続してマニュアルの見直しを行ってまいります。  それから、八年度予算での災害対策関連経費でございますけれども、私どものすべての設備、機器、これは、災害時に有効に機能しながら日常の放送の質の向上にも役立つ、こういう両方の観点から整備を進めておるわけでございます。したがって、災害対策費だけを抜き出すというのは若干難しい面がございますが、平成八年度、およそ百十九億円を緊急報道・災害対策関連設備費として予算に計上いたしております。  若干、中心になるものを御紹介いたしますと、損壊を受けやすい地上の施設設備にかわって、衛星利用の映像伝送施設、それから通信連絡システム等の整備、それから航空機の取材体制の整備、あるいは津波等を監視いたしますロボットカメラの整備とか、あるいは明かりがなくても撮影が可能であります新スーパーハープカメラ、こういった整備に取り組むことにいたしております。
  29. 荒井広幸

    ○荒井(広)委員 今お話をいただいたような技術あるいは機材的なものの充実というのは非常に重要であると思います。同時に、川口会長さんが常におっしゃっておられますように、例えば安否情報提供や災害援助、そして救助に資する非常災害時の報道、こういう観点を、コンテンツといいますか中身の問題ですから、これをぜひとも今後ともお続けをいただきたいのです。  時間がなくなりましたけれども、その中で、高齢者や障害者を初めとします弱者の方々、この方々に対しての非常災害報道に対して、公共放送としてのNHKの取り組みというのは非常に大切だと思うのです。この点、お伺いをいたしたいと思います。
  30. 齊藤曉

    ○齊藤参考人 具体例を挙げてお答えといたしたいと思っておりますけれども、阪神大震災の際に、耳の不自由な聴覚障害者の方々のために、教育テレビ放送しております手話ニュース、「昼のニュース」、それから夜の「きょうのニュース」、こういったところで、地震が発生しました一月十七日以来、連日にわたって地震関連のニュースを伝えました。また、通常の場合は手話ニュースを放送していなかった土曜、日曜、これにつきましても、一月二十一日、二十二日と、この二日間、午後二時にニュースを特設いたしまして、関連情報を伝えております。それから、教育テレビで伝えました安否情報、こういった中でも、耳の不自由な人たちにもわかるように、特に文字とか図形による生活情報提供に努めております。  いずれにしても、NHKでは、こういった経験を踏まえまして、高齢者や障害を持っている人たちにどういう形で必要な情報ができるだけ多く伝えることができるか検討を重ねておりまして、今後も少数者向けのニュースサービスの向上に一層努めたいというふうに思います。
  31. 荒井広幸

    ○荒井(広)委員 大変期待をいたしますし、また、お取り組みをお願いをいたします。  郵政省にお尋ねしたがったわけでありますが、大臣、これは、CATV業者やあるいは民放の放送業者、この方々に対しても同じようにきちんとした対策を郵政省としてはお取り組みをしていただいているわけですが、内容を把握していただきまして、そして、相互の関係の中で、これらが非常時、災害時に十分に対応できるようにお取り組みを大臣にお願いしまして、持ち時間を過ぎましたので、質問にさせていただきました。ありがとうございました。
  32. 中川昭一

    中川委員長 岸本光造君。
  33. 岸本光造

    ○岸本委員 自由民主党の岸本光造でございます。  私は、テレビの文字放送についてお伺いをしたいと思います。  昨年の本委員会におきましてもテレビの文字放送についてお伺いをしたわけでございますが、と申しますのは、この問題は、耳の悪い方にとっては知る権利の問題でございまして、つまり人権の一部を構成する問題でもございますので、そういう立場でこれをただしていきたいと思います。  情報化時代でありますし、耳の悪い方がニュースが知れないということは大変御不自由でございますし、人権が制限をされているということにもなります。  最近の動きを見ますと、テレビ文字放送の拡充をしてほしいということで団体が要請活動をいたしましたり、あるいはアメリカでは、通信放送法の改正で、番組に文字をつけることを義務づけをするというような動きがございます。現状は、アメリカでは大体七割ぐらいが文字放送を付して放送しておる、ところが日本の場合、一番進んでおる東京を中心にした関東地方でも、大体一週間で二十四時間ぐらいしかこの関係の放送がされていない、こういうことでございます。  したがいまして、時間がありませんから質問だけ並べてまいりたいと思いますが、去年私がここで改善をお願いをしたのですが、この一年間でどれだけ改善されたのか、まずこれをひとつお答えをいただきたいと思います。  それから二つ目の質問は、NHKを含めて十五社がこの文字放送を開始をしております。開始以来もう十年経過するわけですが、なかなか伸びていない。伸びない原因は一体何なのか。これが二点目でございます。  それから三つ目は、文字放送の義務づけ。これを、目標数値を決めて取り組んでいく、抜本的な対策というのをやらなかったら何年たってもこの文字放送というのは進んでこないのではないか、こういうふうに思うのですが、この三点についてまずお答えをいただきたいと思います。
  34. 齊藤曉

    ○齊藤参考人 平成八年度、聴覚障害者向けの文字多重あるいは字幕放送、私どもは、七年度に比べて二時間三十五分、時間をふやしております。ここ平成二年度以来の推移を若干申し上げますが、平成二年度、これは週八時間でございました。本年度、七年度は十五時間十八分、これが来年度、八年度は十七時間五十三分、二時間三十五分ふやしております。
  35. 楠田修司

    楠田政府委員 NHKの数字は先ほどお答えになりました。  民放でございますが、八年度の数字はまだとっておりませんが、六年度が、週の時間数が七時間一分でございました。それが七年度におきましても時間は変わっておりません。そういうことで、残念ながら民放の時間数はそれほど伸びていない、こういうことでございます。  それから、伸びていない原因でありますが、一つは、字幕番組をつくるのにコストがかかる。日本語の場合、三十分番組で約二十数万円かかると言われておりますが、それが一つでございます。それから、字幕の番組をとる受信機がまだそれほど伸びていない。最近非常に伸びてきておりますが、まだその関係があります。この両面からなかなか伸びないということでございます。  したがいまして、我々行政としましても、これを伸ばすためにどうするかということで、一つは、番組を義務づけたらどうかという先生からの御指摘でございますが、アメリカ等ではもう既に七割の番組が字幕がついておりますから、これを義務づけるということは比較的容易であります。日本の場合、これを義務づけるということになりますと、ちょっとその辺の背景が違いますので、なかなか難しゅうございます。しかし、このようになかなか伸びないということになりますと、免許の問題あるいはこういう義務づけ、どのように目標を定めるかとか、いろいろなやり方があろうかと思いますが、これも含めて、かなり積極的に行政として取り組みたいと思っているわけでございます。
  36. 岸本光造

    ○岸本委員 民放が全然伸びないというのは、これはやはり何らかの抜本的な対策をお願いしなければいけない、こう思います。  それから、NHK予算案に対する大臣意見の中に、字幕放送充実についてという何か一文がございました。これに関して、NHKはどう受けとめて、これから具体的にどうやろうと思っておるのかをお伺いしたいのと、八年度の文字放送の編成の計画があれば、このような充実をしていきたいという、それをお教えをいただきたい、こう思います。     〔委員長退席、斉藤(斗)委員長代理着席〕
  37. 齊藤曉

    ○齊藤参考人 まず、八年度の具体的な計画の方からちょっとお答えいたしますけれども、先ほど申し上げました十七時間五十三分、これは十四番組にわたりますけれども、「連続テレビ小説」あるいは「ふたりのビッグショー」、こういったドラマのほかに、「生きもの地球紀行」あるいはコメディー、それから月一回程度の「NHKスペシャル」、こういった番組の種類を徐々にふやして、非常に多様な番組に取り組む方向で検討しております。  今後につきまして、私どもは、特に九年度以降へ向けて、こういった字幕放送、文字放送について局内にプロジェクトを設けまして、十年度以降年次計画を立てるように今準備を進めております。
  38. 岸本光造

    ○岸本委員 努力を続けていただきたいと思います。去年からことしにかけて二時間三十五分ふやしていただいたということは、これは感謝をし、評価を申し上げたいと存じます。  それから、高齢化社会の中で生涯教育がどこの地域でも活発になってきておりまして、今までは文字放送というのはドラマの方に、つまり娯楽の分野に多いわけでございますが、これからは、生涯教育とか高齢者の教室とか公民館でいろいろな活動をやっておりますので、教育系の番組に対しても、これは少ないと思いますので、文字放送を入れていっていただきたいと思いますが、こういうものについての対策は特別何かあるのでしょうか。  それからもう一点、衛星放送にも文字放送をつけるべきであるというふうに私は考えるわけでありますが、将来の見通し、この二点についてお答えいただきたいと思います。
  39. 齊藤曉

    ○齊藤参考人 現在教育テレビの文字多重放送は行っていないわけですけれども、今先生おっしゃいましたように、生涯学習の重要性等を考えますと、教育テレビでもやるべきだというふうな認識は持っております。ただ、文字放送で総合テレビと同じように文字を多重するとなりますと、新かに教育テレビの多重放送免許が必要となります。それから、放送センターを初め全国放送局の設備を教育テレビでも多重できるように整備していく必要が出てまいります。  教育テレビにおきましては、語学講座のようにもともと多くの文字情報で画面を構成している番組が多うございます。さらに、番組内容を詳しく載せたテキストも発行しておりますし、いずれにしましても、聴覚障害者の方々に字幕を多重するにしても、総合テレビとはちょっと違った事情を考慮してこれから考えていきたいというふうに思います。  衛星についてお答えいたしますが、衛星の第二テレビ、これは難視聴解消、これを目的とした放送波であるということに位置づけておりますけれども、衛星放送で難視解消番組として放送するためには、文字放送、文字情報を多重できるようにしていくことが望ましいわけですが、これも新たに衛星放送の文字多重放送の免許が必要になってまいります。また、設備につきましては、平成八年度から九年度にかけて、総合テレビの字幕放送設備の古い部分を、機械の更新を行う予定にしておりますけれども、これと並行して、効率的に衛星放送の字幕放送設備整備できる見通しを持っております。
  40. 岸本光造

    ○岸本委員 多重放送の免許制度の改正という話が今出たわけでありますが、見直しというのが出たわけでありますが、民放放送の字幕放送が二十八道県で視聴できないわけでございまして、これは何かというと、原因は、文字多重放送の免許がないとキー局の字幕放送をローカル局がそのまま放送できないという、こんないきさつがあるわけでして、したがって二十八道県で放送ができないということになりますので、今お話のありました文字多重放送の免許制度を将来は見直すということも私は必要になるのではないか、こう思います。  それで、まだまだいっぱい聞きたいことがあるわけですが、この障害者利用円滑化法の助成制度というのもありますが、今低金利ですから、今やってもらっている制度ではとてもじゃないけれども応援できない、だからこれはスキームを変えなければいけないのではないかという問題もあります。それらについて大臣、障害者に人権の一部を与えていくという、こういう立場で何かお考えがありましたらお話をいただきたいと思いますし、来年は、二時間三十五分と言わないで、五時間も十時間も延びたと、また私来年ここでやりますからね、これを。だから、どうぞ頑張っていただきたいと思います。  何かありましたら、もう時間がないですから、大臣。
  41. 日野市朗

    日野国務大臣 先生おっしゃるように、今メディアの中で何といっても圧倒的に重大なのはテレビ放送でございますね。それで、この字幕放送それから解説放送といったものは私は日本ではおくれていると思っているのです、はっきり言いまして。これは、文字が日本の場合非常に複雑な文字になっておりまして、アルファベットをいじっているようなわけにいかないところがある、そんなこともまたこれはあるのでございましょうが、そういった事情を見てもやはりおくれている、これは何とかしていかなければいかぬ、こういうふうに思っております。  それで、ことしのこのNHK予算に対して、第六項目で、初めてでございますけれども、「視聴覚障害者向けの解説放送、字幕放送等の充実」ということを意見として付加させていただきました。我々、この精神に従って、先生指摘のようないろいろな状況をより検討して、できるだけ早く先生今御指摘になりました問題点、これを乗り越える、そういう努力を続けてまいりたいと思います。
  42. 岸本光造

    ○岸本委員 どうもありがとうございました。
  43. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員長代理 中谷元君。
  44. 中谷元

    ○中谷委員 自由民主党の中谷元でございます。  昨年は放送開始七十年という節目の年でありましたが、阪神大震災とかオウム関連の事件等がありまして、非常に大きな事件もありましたが、私の感想ですけれども、NHK報道は、こういった救援とか救助、また捜査に対して非常に取り組み方が基本的には適正かつ十分なものがあって、その使命を果たしておられるというふうに思いますけれども、しかし、これは百点満点ではなかったという点もございます。  例えば、阪神大震災のときも、朝の五時四十七分に発生しまして、そのときの神戸支局の宿直の方が真っ先に跳び起きて、電話に飛びついてすぐ連絡をとられたという姿勢は非常にあっぱれだというふうに思いますが、結果的には、気象庁ですか、震度計が壊れておったということで、当初は京都とか大阪の方の地震が、震災がひどいのではないかというような方向で、自衛隊なんかもまずそちらの方に焦点を合わせたという点もありました。なかなかこれは機材等の整備の点で至らないという点もございますが、私にいたしましても、地震が起こったらまずNHK放送が頼りである。それは国民のみならず、政府また政治関係者もすべてNHKに注目いたしておりますので、この点においてさらに充実をお願いいたしたいというふうに思います。  それから、報道の面で考えさせられるのは、現在の住専報道なんですけれども、この問題を根本から考えてみますと、当初は、やはりプラザ合意とか前川レポートなんかで国民の内需拡大が必要になった、それによってバブルになった。そのときに、平成二年ごろにNHKはよく特番で、土地神話を崩せ、また、地価は下げられるかということで相当熱心な特番を組んだわけですが、そのことによって非常に世の中でも議論が起こって、結果的には地価が下がったわけでありますけれども、それの副産物としては、やはり不良債権がたくさん出ましたし、また、銀行、金融も経営が大変になってお金がなかなか民間に流れなくなったし、また、長期的な不況対策が続いておりますし、土地が動かなくなったというふうな、こういう負の遺産もあったと思います。やはりそういうときに報道特番を組む面においては、その時点のことまで予想して、考えてもらえるようなことをやっていただきたいというふうに思います。  これは、その報道姿勢である公正かつ公平という原則と、我々政治家サイドがよく考えなければいけないのですけれども、世の中を安定させ、秩序を守り、そしてまた日本発展させるというような、まあ我々としては政治的な側面がありますが、そういう板挟みの中で、NHK報道があるべき態度につきまして、会長さんはどのようにお考えであるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  45. 川口幹夫

    川口参考人 まず、災害放送、緊急報道というものについて申し上げます。  確かに阪神・淡路大震災では一応の仕事を私どもはしたと思っておりますけれども、省みまして、幾つも足らなかった点がございます。それは設備の点もあり、いわゆるマニュアルといいますか動き方の問題もあり、それから問題点の指摘、今後の災害にどう備えるかといった点等々について、もっともっとこれは長期的な計画を立ててやらなければいけないと思っておりまして、この平成八年度の中にもそういう仕事をまず第一に取り上げた次第でございます。  ですから、例えば建物の補強をするとか機材を設備するとかいうことのほかに、マニュアルの更新だとか、それから報道に当たってどういう点を重点的にやるのか、将来的な問題として何をお伝えすべきなのか、こういうことをきちんとやっていきたいと思っております。  それから、報道姿勢の問題についてですけれども、私は、NHKがとるべき立場の基本はやはり不偏不党であろうと思うのです。事実に即してそのことをきちんと報道するというのがまずあるべきであって、ただ、そのきちんと報道するということの中に、物事がなぜそういうふうになってきたのか、その由来をきちんと解き明かすことがひとつ必要であろうかと思います。そして現状分析をやって、さらにこの問題が将来どうなるのか、そのことについて何らかの結果が予測されるならば、その予測される結果をとことんまで検討した上で御提示申し上げるというふうなことをやはりしなければいけないと思います。  この住専問題が一つの大きな大きな教訓になっているわけですけれども、国の経済の動きについても、私どもは今後そういう視点に立ってきちんとした報道をすべきだ、こういうふうに思っております。
  46. 中谷元

    ○中谷委員 会長さんの報道に対するお考え、よく理解させていただきました。  現在、NHKには地上波が二局、ラジオが二局、またFM一局、衛星通信二局と、非常に大きなメディアをお持ちでございます。それで、そういう報道等のお考えに基づいて、今後二十一世紀に、そういったくさんのメディアを抱えたNHKがどういう姿勢で進まれるのかという点についてお伺いしたいと思います。  特にNHK会長さんは、池田さん、また島さんと二代連続途中で降板されておられまして、来年は川口会長も任期を迎えるわけですけれども、そういう意味において、今後二十一世紀に向かってNHKが何を残し、そして何が必要なのかという点について、会長さんのお考えをお伺いしたいと思います。     〔斉藤(斗)委員長代理退席、委員長着席〕
  47. 川口幹夫

    川口参考人 私の任期は来年の七月に参りますけれども、とにかく現在を一生懸命やるということしか考えておりませんので、そのことについては今は触れません。  ただ、NHKが未来永劫に踏むべき道というのは決まっていると思います。それは公共性であります。いわゆる商業的に放送をするというのではなくて、あくまでも国民視聴者というものが今必要とすることをお伝えをする、そういうことがまず基本にならなければいけないと思っております。  ただ、世の中が非常に複雑になってまいりましたので、一方では技術発展に伴って非常に多様な放送が行われることは、これは事実そのとおりになるだろうと思います。その中でNHK公共放送意味とか意義とかいうものをきちんと踏まえて存在しなければいけないということが一番大きな問題でございまして、現在ある波を最大限に活用して、私は、いろいろな形でもってお役に立ちたいと思っています。  一つ報道でございます。もう一つはやはり国民の教育の問題、将来を担う子供たちに何をどう教えるかということ。さらには、高齢化社会を迎えますから、その高齢化社会の中でどのようなゆとりを持った老後を過ごすべきかという問題とか、さらには心を少しでも豊かにする番組も必要になってまいります。そういうことをきちんと踏まえて、その幾つかの波をうまく使っていく必要があるだろうと思います。  ただ、現在私が考えておりますのは、現在のこの波を直ちにふやせということは必要ないと思っています。そして、現在の持っている波を最大限に活用することを前提にしていけば、おのずと公共放送が持つべき意義というものははっきりしてくるのではなかろうか、こう思っております。
  48. 中谷元

    ○中谷委員 現在NHKは二年連続赤字ということでございますが、先ほど言いましたとおり、公共の、我々の生活のために果たしていただかなければならない役割も多いわけでございますので、今後そういうサービス面での充実を図っていただきたいと思います。  最後に、サービスの充実を図るとなると、どうしても料金はどうなるかという点がまず頭に浮かびますけれども、サービス向上のために料金をどうするべきかという問題について、現在どのようなお考えでございますでしょうか。
  49. 川口幹夫

    川口参考人 八年度は現在のままでいくということは既に予算でお願いいたしました。九年度も現在のところ、全く値上げをする必要はないと思っています。  十年以降につきましては、現在の例えば経済情勢がどうなるのか、あるいはメディアの占めるべき位置がどうなるのか、そして何をどう放送しなければいけないのかという内容の問題、それから技術の進歩等々に絡んで幾つかの予期できない要素がまだあります。したがって、十年以降については、これも値上げをしないで済むような努力をしていくという覚悟でおります。  その後につきましては、できるだけ効率的に、御迷惑をかけないような運営をすることを前提にしてまいりますが、もしも、どうしても仕事のあり方と御負担のあり方が、多少ふやしてほしいというようなことが起こりましたら、それは率直にお願いをしたいというふうに思います。
  50. 中谷元

    ○中谷委員 災害だとか報道の面におきましてNHKの果たすべき役割は非常に大きいと思いますので、今後とも頑張ってやっていただきたいというふうにお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  51. 中川昭一

    中川委員長 山崎泉君。
  52. 山崎泉

    ○山崎(泉)委員 長崎県選出の社会民主党の山崎泉であります。  質問に入ります前に、さきの委員会でも若干私の意見を申し上げましたが、きょうもTBSとオウム真理教側の関係の新聞報道がなされております。いわゆるTBSが坂本弁護士に対するインタビューを事前にオウム真理教側に見せたのか見せないのか、この問題であります。  法務委員会におけるいわゆる会社側の国会答弁でも、見せていないというふうに明確に否定をしておりました。しかし、早川被告のメモが証拠採用され、その詳細がビデオの内容と一致しておったというふうに新聞は報道をしております。今から具体的に、細かにその全貌が明らかにされていくだろうというふうに私は思うのでありますが、まさしくこの問題は、あの薬害エイズに対する厚生省と製薬会社の対応とTBSは一緒じゃないだろうかなというふうに自分自身は受けとめております。郵政省もこの関係について調査を開始をするということを、これもまた新聞で知りました。おいおいこの逓信委員会でもその問題について取り上げて真相を解明をしていく必要があるということを、冒頭、私の考え方を明らかにしておきたいというふうに思います。  そこで、二十四時間放送体制についてお伺いをいたします。  新聞の切り抜きも持ってきてあるのですが、NHK番組はつまらないという声があったとしても、災害時のNHK報道を否定する声はまずない、これは新聞です。  いわゆる金曜、土曜が二十四時間放送、それから月曜から木曜の終了時間が一時間延びる。もういろいろなことは時間の都合上申しませんが、視聴者から見れば、いわゆる受信料値上げをしなくてサービスがふえるわけですから非常にすばらしいことであります。しかし、NHKの職場の中の声を聞けば、これまで十三年間で三千五百から四千人近くの効率化、合理化によって定員削減があった、そしてまたベテラン職員の大量退職がその中で進んでおる、こういうことで、今、NHK職員の中では中堅層が薄いというふうに聞いております。逆に、大量の新人採用によって、要員構造がいびつと申しますか、そういうことでなかなかうまい構成になっていない、こういうふうに聞いております。したがって、職員のそういう年齢、勤続年数、こういういびつな関係をいつまで続けていくのかというのが第一点。  それから、この二十四時間放送はいわゆる安心テレビ、災害時に対応するというふうにNHKの方では言われております。民放ではもう既に取り入れておるわけでありますが、果たして二十四時間体制にしても、NHKとして災害時に期待ができるような対応ができるのかどうなのか。逆に言えば、宿直職員とか今備えつけてある機器によって十分対応ができるのじゃないだろうか。できないとする理由は、いわゆる気象庁ができないのじゃないか、気象庁の一報さえばっと来れば今の体制でもできるのではないだろうかなというふうに私自身は考えておるわけです。  そういうことを考えた場合に、以前オイルショックのときに、NHKは十一時で放送を中断をしたこともあります。いわゆる生活の多様化に対応するためという、そういうことのみでなくて、省エネということも頭に入れながらこの二十四時間体制というのをつくっていったのかどうなのか。その二点についてお伺いをしたいと思います。
  53. 川口幹夫

    川口参考人 二十四時間放送につきましては、これは、私が今から二年前に会長に再任をされたときに打ち出しました。  その理由は、もちろん阪神・淡路大震災は起こっていなかったのですけれども、これからの時代に、ラジオがあるから安心だという形にはどうもならないのじゃないか。テレビがここまで普及しできますと、夜中に例えば何かが起こったとしても、被災地そのものはもちろん電源が切れてだめかもしれないけれども、全国のそれ以外の土地ではきちんとテレビが見られる状態というのがやはりあるべきではないか。夜中にスイッチを入れても、しゃあしゃあと音がするだけで全く何にも映っていないというテレビでは、いわゆる安心できるテレビではないのじゃないかというふうに思いまして、総合テレビだけ二十四時間化をしようと思ったわけです。その年が明けまして、一月十七日に阪神・淡路大震災が起こりました。したがって、私が危惧したことは、そこでやはり一つの現実になったわけです。  これからどういうふうに対応していくかですけれども、おっしゃるように、NHK一つの効率化のスケジュールに入っております。したがって、これ以上人をふやしたりお金を余分にかけたりすることによって二十四時間放送をやるということは毛頭考えません。人手をかけずに、しかもお金も使わずに、テレビは夜中生きているんだという形での、それこそ安心できるテレビというものを実現しようと思っています。  省エネの観点もいろいろ私も考えました。ただ、いわゆる省エネというのは、例えばここで新しく深夜放送が四時間ふえたとしてもそんなに大きなエネルギーの浪費にはならないという判断をしまして、これはやはりやるべきだという観点から今その実施に向かってスケジュールを進めているところでございます。御理解いただきたいと思います。
  54. 山崎泉

    ○山崎(泉)委員 次に移ります。  この八年度の予算案を見る限りでは、四十八億円の赤字予算というふうになっております。質の高い放送番組ハイビジョンの先導的役割、こういうことを考えると、NHKの置かれておる立場からしたらやむを得ないかなというふうには考えます。しかし一方では、財政安定化資金が年々減少して、将来にはもう事業収支は非常に厳しいというふうに想像されます。  果たして、そういうふうな将来的なことを考えた場合に、ハイビジョン関連の経費受信料収入の二・八%になっておりますが、人も金も時間も使うこのハイビジョンNHKが先導的な役割を果たすという立場で追求していっていいものだろうかどうだろうかという疑問があるのでございますが、会長、どのようにお考えですか。
  55. 川口幹夫

    川口参考人 ハイビジョンについては、おっしゃるとおりの面が確かにあると思います。そこまで目の色を変えてやらなくてもいいのじゃないか、ゆっくりやればいいじゃないか、あるいはやらなくてもいいのじゃないかという御意見まで私は拝聴しました。  ただ、放送をやっている立場からいいますと、例えば初期はラジオだけ、それから白黒テレビになって、白黒がカラーテレビになって、そして現在の形に至っているわけですね。ところが、視聴者の目というのは、あるいは耳というのはどんどん年とともに進歩していくわけでありまして、より深い味わいのある画面を、より豊かな音声をというふうにどうしてもなっていきます。それにおこたえすることも放送事業者としては当然すべき努力であろうというふうに思っております。  当然、それが現在の放送を圧迫するような規模、例えば予算と人間ですね、であるならば、これはやはり非常に問題であります。ですから、これまでも私どもはある一定の範囲を設けて、それでハイビジョン予算についてはできるだけ抑えてまいりました。  ただ、昨年以来、ハイビジョンに対する視聴者の御要求が非常に拡大をしてまいりました。現実にハイビジョンの機器をお買いになる方もどんとふえてまいりました。今後アトランタ・オリンピックが行われ、その後長野の冬季オリンピックがあるわけですけれども、そういう一つの大きな節目を通りますと、視聴者の御要求はより多くなってくるのじゃないか、それに対してやはりこたえなければいけない、こう思っておりまして、きちんとした計画を立てながら、ハイビジョンはやはり放送の主軸に据えるという考え方をとりたいというふうに思っております。
  56. 山崎泉

    ○山崎(泉)委員 終わります。ありがとうございました。
  57. 中川昭一

    中川委員長 小沢鋭仁君。
  58. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 まず、視聴覚障害の皆さんたちに字幕放送等をということで質問を用意しておりましたが、先ほど岸本議員が御質問をいたしましたので、私の質問はそこは割愛をさせていただきたいと思います。  ただ、私の意見を一点述べさせていただきたいと思うのですが、今回のこのNHK予算に対して郵政大臣意見書の中でそこをおつけいただいたこと、これは大変ありがたく、高く評価をさせていただきたいと思いますし、アメリカの通信法を見ましても、そういった流れが顕著になってきているところであります。我が国で、視聴覚障害の方々もいらっしゃるわけでありまして、それを公共放送であるNHKがしっかりと行っていただけるということが本当に大事だなというふうに思っているわけであります。営利の民放の方はなかなか難しい部分もあるでありましょう。そういった意味では、ぜひとも積極的なお取り組みを改めてお願いを申し上げておきたいと思います。  質問でございますが、いじめの問題を質問させていただきます。この逓信委員会では過去二回質問させていただいているわけでありますが、きょうはNHK川口会長にお越しいただいておりますので、御見解もお尋ねしたいと思います。  どういうことかといいますと、一言で言えば、いわゆるテレビ番組の中で、これはNHKだということではありませんが、いわゆる芸能人が他人をいじめて、からかって、そして笑いを誘うような番組というのが幾つかあるわけであります。子供のいじめの問題、これはもういろいろな事件も起こって、社会的に大変暗い影を落としているのは川口会長も御承知だと思いますが、そうしたいじめの現場とテレビのそういった番組、物すごく酷似をしていると私は感じているわけであります。  いじめの現場の皆さんたちの意見を聞いても、要はそれがいじめであるということが、なかなか先生方あるいは周りの人たちが認識できない。そして、いじめられている人も笑っていて、一緒に遊んでいるんだかどうなのかわからない、だから、いじめられているとは思わなかったという意見があるわけであります。テレビ番組も全く同じようなわけでありまして、まさに弱い者をみんなでからかって笑いを誘っている。そういうのがいじめの現場と酷似しているのではないか、そういうことを私はかねてから申し上げています。  昔は、私が小さいころは、いじめられている弱い者を助ける者がヒーローであり、主役でありました。今それが逆に弱いものをいじめている者が主役であるとすれば、これは私は、余り教育パパみたいなことは言いたくないのですが、いささか違うのではないかなと思っているわけでありますが、川口会長、御意見をいただけたらと思います。
  59. 川口幹夫

    川口参考人 これは一般的には申し上げられないのかもしれませんけれども、笑いというのは権威に対するからかいとか、反逆とかいうふうなものがあった、あるいは風刺みたいなものがあって成立をしたところがあったのではないかと思うのです。ところが、最近非常に憂慮すべきことは、弱者に対する、それこそいじめを材料にして笑いの種にするというふうなことが往々にして見受けられるようになった、私も同様に憂慮をしております。  NHKは、そのような笑いをとることは一切しないということを前提にして放送しておりますが、これは同じ放送事業者として、やはり民間放送NHKと同様に、そういうことについてやはり配慮をしていただきたいというふうに思います。ただ、余りそのことを前提にして番組の、厳しく締め上げるというようなことをやりますと、現場が非常に萎縮をいたします。そして、おかしな方向に走らないとも限りません。  したがって、私は、やはりそういう番組を見るときの家庭の指導というのが必要になってくるのではないか。それはやはりお父さんでありお母さんであり、あるいはおじいさん、おばあさんであろうと思いますが、こういう問題についての考え方をきちんと話をするということによってそれは相当防げるのではないか。もちろん、放送事業者がみずから省みて、そういうことに対する悪い影響が出ないようにすることは当然だと思いますけれども、家庭教育もまた一緒になってその問題については考える必要があるのではないか、こういう感じを持っております。
  60. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 まさに御指摘のように、番組編成の自由というものを国がいわゆる口出しをして阻害するというようなことは、私もいけないというふうに思っておるわけでありまして、前にこの委員会でも申し上げましたが、どうか番組をつくる皆さんたち、それぞれの局の中でこういう問題を討論する組織もあるというふうに聞いております。ぜひこういう問題を議論をしていただきたい。そういう報道の皆さん、あるいはまたテレビの皆さんたちが、みずからそういう議論もしていただきたいというふうに思います。  まさに家庭の方の問題は、御指摘はそのとおりでありまして、それを生かすためにVチップと呼ばれるようなアメリカの通信法で義務づけられたような話も、これは我が国で導入を検討いただきたい。これは郵政省にお願いをしておくわけであります。  もう一つ、これも皆さんからさまざまな意見が出ましたが、報道意見表明の区別について、郵政省に御質問をさせていただきたいと思います。  きょうも皆さん方からいろんな意見が出されております。私の記憶しているところでは、米国の通信法を見ますと、放送事業者が社説放送というものを行って、これは政治的に、例えばある候補を支持するとか、あるいは支持しないとか決めることができるわけでございます。立場を明快にしてそれを行うということができるわけでありますけれども、同時に、今度は、それを明らかにした場合には、反対の意見表明という話の機会が与えられなければいけないということが義務づけられているというふうに承知しているわけであります。私は、それぞれの報道の中でコメンテーターなり、あるいはまた局としての社説というものが今後出てきても、私は報道の自由の中でいいんだろうと思います。  ただ問題は、それが出てくるときにはっきりとした、立場を明快にするということ、それから逆に、それに対する反論の機会というものをまさに明快に与えるということが私は必要だというふうに思っていまして、今は何かキャスターが、国民の皆さんの気持ちを代弁するような形でコメントをして、それがいわゆる世論誘導になっているのではないかといったところに私は問題があるというふうに思っているわけであります。それに対しまして、そういった話を前向きに明快に考えていくことができるかどうか、郵政省の御見解をいただきたいと思います。
  61. 楠田修司

    楠田政府委員 現在放送法では、放送事業者が放送番組の編集を行うに当たりましては、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにする」ということ等の番組準則が決められておりますが、報道意見というものの区別は特段規定していないところでございます。  他方、諸外国を見ますと、先生先ほど御指摘のように、米国では放送事業者の意見表明というのが認められておりますが、イギリスでは禁止されております。また、ドイツでは報道と解説との区別が定められております。そういうふうにいろいろ状況が違うわけであります。  現在郵政省では、有識者から成る懇談会におきまして、放送番組を含む放送の規律のあり方といいますか、こういうものを幅広い観点から議論いただいておりますが、この中でも、報道そのものとそれに対するコメントのようなものは非常に厳しく区別すべきだというような意見もございますし、あるいは報道そのものでもアクションとかそういう形で非常に誤解を招くことがあるとか、そういうような意見もあります。  いろいろな意見が出てきておりまして、今その議論を集約しているところでございますが、そういう集約した意見をまとめまして、基本的には放送法趣旨に沿いましていかに健全な放送にしていただくかという方向を探りたいというふうに思っておるわけでございます。
  62. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 終わります。ありがとうございました。
  63. 中川昭一

  64. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 自由民主党斉藤斗志二でございます。  限られた時間でございますので、質問を絞っていたしたいと思います。  きょうは会長さんみずから御出席をいただいております。NHKドラマを含めまして放送全般にわたっての編集方針ということ、特に公平な報道ということについてお尋ねしたいというふうに思います。  一連のオウム報道がございました。オウム幹部を生出演させるというようなことをNHKはされなかった。一方、民放はそれをどんどんやったというような違いを見るにつけ、その点について、客観報道、姿勢ということについてNHKは貫かれてきたと思っております。  また、最近特に印象に深かったのは、戦後五十年企画のドラマの「大地の子」というのがございました。戦争というものをどちらの当事者側にも偏らず客観的に見詰める姿勢が、戦争に巻き込まれた人間、または戦争そのものも浮き彫りにいたし、そして多くの人に共感並びに感動を与えたというのが私の印象でございます。  そこで、まずもって最初に、大きな社会不安を引き起こしましたオウム事件に対するNHKの基本的な報道姿勢について尋ねたいと思います。
  65. 齊藤曉

    ○齊藤参考人 御承知のように、オウムの事件は社会的に異常な関心を寄せられた事件でありますけれども、NHKとしてはあくまでも実際の取材に基づいて、事実に即して事件の背景、疑惑、こういった解明に役立つような放送を行ってまいりました。少なくともセンセーショナルにわならないように、冷静な報道を心がけたということでございます。  今お話に出ましたように、実際の教団関係者の生の出演、これはNHKは、一方的な宣伝になる危険があるという判断で一切行わないでまいりました。それから、何度か幹部等の独占インタビュー、これを放送いたしましたけれども、その際は必ず記者の解説や適切なコメントをつけて、一方的な発言にならないように配慮をいたしました。今後、捜査は大きな山場を越えておりますけれども、裁判を中心にまだまだ事件報道はこれから続くと思いますが、NHKではプロジェクトチームをつくりまして、これからの取材に万全を期したいというふうに思っております。
  66. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 時間の関係で次に行きます。  「大地の子」、非常に話題になったのでありますが、放送時間が遅かったにもかかわらず大変な視聴率を上げたということを聞いております。これは日本と中国との共同制作というふうに聞いておりますが、私は、単に報道だけではなくて、娯楽、教養においても一つの編集方針というのはあるべきだというふうに思っております。この成功した「大地の子」の、そしてさらに国際共同制作だということを踏まえて、せっかく会長お越してございますので、会長のお考えをお聞きしたいと思います。
  67. 川口幹夫

    川口参考人 「大地の子」について御評価いただきまして、本当にうれしゅうございます。あの番組は随分いろいろな経緯があって、紆余曲折を乗り越えて、そしてやっとでき上がった番組でございまして、日中共同制作という基盤の上に立って、両方が持っているいろいろな問題点を出し合いながら、しかしこの問題についてはやはりこのような形で放送しようということを双方のチームが話し合ってここまで来ました。したがって、三回にわたってBSを含めて再放送をやったのですけれども、それが高い高い評価を受けましたので、私も今非常にうれしい気持ちでございます。  この前、山崎豊子さんというこの「大地の子」の作者に会ったのです。そうしたら彼女が、川口さん、私は小説の作家として幾つテレビドラマあるいは映画の原作を提供してきたけれども、今度の「大地の子」ほど反響をいただいたことはないというふうなことをおっしゃった。それで、この正月を挟んで会った人会った人、それから手紙を書いてくれる人、年賀状に書いてくれる人、すべての人から一様に言われたのは、山崎さん、ありがとうという言葉であったというのですね。この番組をつくってくれたことによって、その番組が我々の胸のうちに与えたすばらしい感動を私はその原作者の山崎豊子さんに感謝したい、ありがとうございましたという、もう圧倒的にありがとうであって、すばらしかったとかよかったとかいう評を超えていたというふうに山崎さんはお話しになりました。  私は、そこに日中共同でもってあの小説をドラマ化した意味があったというふうに思いました。それは、やはり歴史の運命の中で一人の人間がどうやって生き抜いたかということを克明に記して、しかもそのバックに時代とか社会とかいうものの流れをきちんとつかまえたところにあったのじゃないかと思うのです。ですから、今後NHKとしては、あのようなスケールと中身の広さ、深さを持った番組をつくり続けていきたいというふうに思っております。ありがとうございました。
  68. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 ぜひともあのような番組を今後もおつくりいただきたいとお願いをいたします。  時間がわずかに残りましたので、もう一問だけ、大臣または放送行政局長にお聞きいたします。  TBSの社長会見が現在行われているというメモがただいま入りました。その中で、入手した早川メモについて、TBS側がそれを認めたという趣旨の記者会見だというふうに聞いておりまして、従来のTBSの説明と食い違ったということで今メモが入ったわけであります。これは事実関係がはっきりしてから質問しなければいけないかと思いますが、非常に緊急性が高いということでございます。  そこで、今まで郵政省はその問題についてどのような事実関係の把握に努めたのか。また、今後再発防止のためにどのような対応を考えているのか。さらに、私といたしましては、もし不十分であるならば、TBS関係者にこの委員会に来ていただきまして、そしてその事実関係並びに再発防止についてただすべきだというふうに考えておるわけでありますが、まず局長、よろしくお願いします。
  69. 楠田修司

    楠田政府委員 現在ちょうどTBSが記者会見をしているということを聞いておりまして、ビデオテープを見せたことに社員が関与をしていたと認めざるを得ないのではないかというふうな方向の情報が流れております。  これまでTBSにつきましては、いろいろ報道もあり、我々としましては、任意に来ていただきまして、TBSの出しました前の調査報告書の内容につきまして、どのような調査をしたのかということ、あるいはだれにしたのか等々を調べたわけでありまして、その中では、御承知のように、記憶にないというふうな、そのままおっしゃったわけでありますが、そういう事情が変わったということになりますと、また新たに本日でも事実を聞くということになろうかと思います。それから、任意の報告書、どのような報告を出されますのか、報告書も受けて、それを見て、どのような措置をとるかも含めまして検討をしたいというふうに思うわけであります。
  70. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 時間が参りましたので、これで終わりますけれども、TBSの件に関しましては、この委員会でもただすべきことがあったらただすべきだというふうに考えておりますので、強く申し入れて、以上で終わります。
  71. 中川昭一

  72. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 新進党の遠藤和良でございます。  きょうは予算案審議でございますから、予算から入りたかったのでございますが、最初に二つお尋ねしたいと思います。  一つは「大地の子」でございます。  私も大変感動いたしたのでございますが、ことしのお正月でしたか、私ども、徳島県の中国から徳島大学に留学している方々三十人ほどと懇談をしたのですが、中国人の方も大変感動いたしておりました。ぜひ中国でもこのドラマが上映をされるようなお運びをされてはいかがかと思いますが、これに対する御意見を伺いたいと思います。
  73. 川口幹夫

    川口参考人 これは日中共同制作でございまして、中国側からも中央電視台の李さんという、李清水という方ですが、チーフプロデューサーとして入っておりまして、その方がこの前日本に来ましたので私も同じようなことを申し上げました。これだけ日本視聴者に対して大きな感動、感銘を与えた番組だから、中国もできるだけ早く放送なさってはいかがですか、そうしてくださいというふうに申し上げました。李さんは、日本と同じような形ではいきません、例えば文化大革命の描写みたいなところについては多少カットする必要があるかなというふうなことを言っていましたけれども、基本的には非常に有意義なドラマになったので、私どももきちんと放送することにしたい、このようにおっしゃっておりました。
  74. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 本当に人間の真実を見事な映像に仕立て上げていらっしゃるわけでございますから、こうしたことが日中両国の国民の中に深く理解が進めば進むほどやはり友好関係がさらに促進されるのではないか、こういうふうに考えます。  もう一点別な話ですが、ただいまのTBSの問題でございますが、きょう謝罪の記者会見をしたということを私も聞きました。これは、今までTBSが言っていたことがうそであるということになりますから、重大な問題でございます。したがいまして、委員長におかれましては、ぜひこの逓信委員会でもそのTBSの関係者を招致して経過をよく聞く、こういうことをぜひお願いをしたい、こういうように思っておりますが、いかがでしょうか。
  75. 中川昭一

    中川委員長 後ほど理事会で議論させていただきたいと思います。
  76. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 それでは、本論に入ります。  まず予算の話でございますが、この平成八年度のNHK予算案は、平成七年度に続きまして赤字計上でスタートしておる。いわゆる財政安定のための繰越金から事業収支差金を補てんするという形をとっているわけでございますが、これは来年度あるいは再来年度もこういう形になっていくのか、こういうことを心配するのでございます。そういうことになりますと、補助金がなくなってしまったという状況になると、やはりその年度においては受信料の値上げということになってしまうのかな、こういうことを心配するのでございますが、この受信料の値上げがいつごろの時点に検討されるのか、長期経営見通しですね、その辺をどう考えていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。
  77. 川口幹夫

    川口参考人 遠い先のことを言うのは、非常に見通しができないところがありますので勘弁していただいて、当面の問題点について申し上げます。  平成八年度の予算で四十八億の赤字という予算を出しました。これは、当初赤字予算にしまいということを前提にして私どもは予算編成に当たりました。ところが、どうしてもこの年度の中でやらなければいけないことが、大きなことが二つございました。一つは、阪神・淡路大震災の結果、いわゆる災害対策、そのための機器だとか、あるいは建物だとか、そういうものの建設費を使わなければいけないということ。さらに、災害放送のためにいろいろな対応策を講じなければいけないということが当然起こってまいりました。それを考えますと、やはり必要なものは必要だという形でもってここでやることが将来の災害報道への対応になるのではないか、こう思いました。  もう一つは、七月二十日から行われますアトランタ・オリンピックですね。これについては民放連と今一緒になりましてコンソーシアムを組んで、いわゆる権利については非常に低い規模でもって抑えたのです。ところが、アトランタは御承知のように非常に史上最高の、最大の規模でもって行われるわけですね。したがって、それに対応する制作費というのは、派遣する人員も含めてやはり規模が非常に大きくなります。このアトランタのオリンピックをどうするかという問題が起こってくるわけであります。  私どもは、やはりオリンピックというのは、これは日本人にとって非常に大きなイベントであるというふうに思います。皆さんがやはり見たがる、そして参加したがる、そのことによってある種の国民的感情を非常に強くお抱きになる、そういう面があります。したがって、ある程度規模とある程度の内容をきちんとお伝えする必要があるだろうというふうに思いまして、そのことによって予算をはじきますと、やはり四十八億の赤字はやむを得ないところでございました。これをやはり計上すべきだということを前提にして私どもは考えました。それを、これまでためてきたいわゆる先の予算のための繰越金というものを取りますことによって何とか埋めていけるのじゃないか、こう思いましてそのような措置をとったわけでございます。  来年度以降は、現在のところ何とも申し上げられませんけれども、特段に大きな行事がなければそんなに大した出費はないかと思います。しかし、何が起こるかわからない世の中でございますし、それから将来へのマルチメディア時代に備えてよりすぐれた施設あるいは設備というものをちゃんとしておく必要もある、開発をする必要もあるということになりますと、必ずしもそのままでいいかどうかはわかりません。できるだけ抑え込みます。そして、受信者には御迷惑をかけない方向でいきますけれども、また多少取りまして、赤字予算を多少組まざるを得ないかということは一応考えの中には入っております。ただ、それによって受信料値上げをするというところまでは絶対いかないということは、これは私はお約束できます。  十年でございますけれども、その後は多少世の中の動きとか、それからテクノロジーの進歩とかあるいはメディア状況の変化とかいうふうなことがいろいろ起こってまいりますから、そのときにまた十分検討したいと思いますが、少なくとも視聴者に対する御迷惑の方はできるだけこれを抑えていく。そして、よっぽどのことがないと値上げをしないという覚悟はしていきたいと思っております。
  78. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 いわゆる繰越金から補てんをする形というのは不正常な状態ではないわけでございまして、平成八年度の予算については私は理解をいたしますが、九年度、十年度、さらに十一年度同じような手法で予算を組むということはできるだけ避けるような形で、やはりこの赤字体質からの脱却という意味で内部努力をきちっとしていただく、これが大変重要なことではないかと思うのでございます。今の会長のお話では、できるだけ受信料の値上げということは考えない方向で進めていきたいというふうな表明でございましたから、それを信頼させていただきまして、ぜひそういった内部努力を今後も重ねていただきたいということをお願いしたいと思います。  それから、これは郵政省に聞きたいのですけれども、国際放送に対する交付金のことでございます。  NHKが行っておりますラジオ・ジャパン、これには交付金が出されております。この出している一つの基準というか考え方といいますか、それと交付金の額はいかほどのものであるか。一方、同じ国際放送でございますが、映像の国際放送でございますテレビ・ジャパンには交付金を出しておりません。これは、出さない理由はどういう理由であるのか。私は、音声の方には出して映像には出さないというのは整合性がないようにも思うのでございますが、それを郵政省は一体どう考えているのか、お聞きしたいと思います。
  79. 楠田修司

    楠田政府委員 NHKは、本来業務として国際放送を、日本の事情を知らせたり、在外にいる日本人に慰安を与えるということでやることは決まっておりますが、そのほかに、先生指摘の国からの補助金は、いわゆる国が国の立場として必要なことを外国に放送するといいますか、そういう立場で、命令放送という形でやっておるものでありまして、これにつきましては、交付金の形で十八億九千八百万円の予算を計上しているというところでございます。  これは、従来からラジオ・ジャパン、短波放送で世界にやっておるわけでありますが、先生指摘テレビ・ジャパンといいますか、これは映像の国際放送でございまして、これにつきましては、平成七年四月から、NHKが北米及び欧州において開始したところでございます。  まだ開始したばかりの分野でありまして、詳細の動きといいますか、例えば受信状況視聴者からの反応あるいは要する費用あるいは諸外国でこういうようなことをやっているのかどうかとか、短波放送の場合はほとんどの国が国際放送を使ってやるわけでありますが、こういうことをやっているかどうか、それから短波との役割の分担、こういうようなことをいろいろ検討する必要があるわけでございまして、そういう意味で、現在のところまだ、こういうものが明らかになった時点で判断するという状態でございます。
  80. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 この交付金の問題についてはNHKさんの方はどう理解をしているのですか、テレビ・ジャパンについての交付金のことでございます。
  81. 川口幹夫

    川口参考人 御存じのように、国際放送は交付金という形でもって国からお金をいただいております。これは、先ほど局長も話されましたように、命令放送という形でもって私どもが実施をしているからという理由でございます。  ただ、命令放送だからといって、具体的にどのことをどうやれという命令が郵政省から出ているわけではございませんで、これは、今のところは、私どもの担当者が、国が今最も放送しなければいけないことは何かということを勘案した上でみずからの放送の中に取り込んで、命令放送として実施しているという現状がございます。テレビもそういうふうにすればいいじゃないか、そして、国から交付金をもらえばいいじゃないかという御議論は当然あるわけでございまして、それは私どもはもうちょっと十分な検討をしてからにしたいと思います。  と申しますのは、NHK放送が今世界である種の評価を得ているのは、NHKがどこにもとらわれない、非常に自由な立場できちんとした放送をやっているというところにあるわけでございまして、国営放送ではないかというふうなことを言われては、多分にそこのところがちぐはぐになってしまいますので、そういうおそれを持たれない、やはりそこのところについてはきちんとした考え方でそのことができ上がっているというふうなことができれば、私は公的なお金もいただいてもいいんじゃないかというふうに思いますけれども、現在のところはまだ細かい議論をしておりませんので、今後の問題として検討させていただきたいと思っております。
  82. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 これは、郵政省NHKでよく議論をして、きちっとした整合性のある形で結論を出された方がいいと思います。  それから、先ほどアトランタ・オリンピックの話があったのですけれども、いわゆる実際に放送実施する経費放送権料、この予算の上での数字はどうなっておりますか。  それから、放送権料の国内での分担割合なんですが、これをNHKが八〇%で民放が二〇%とされたようでございますが、この根拠というのは何かあるのですか。ちなみに、実際の放送時間から比例配分するとすればもっと違った数字になるんじゃないかと思います。それから同じ放送権料の話でございますが、長野オリンピック、こちらの方はやはり八〇、二〇という割合になるのか、若干変更があるのかどうか、この辺の考え方もお示しください。
  83. 齊藤曉

    ○齊藤参考人 まず、アトランタのオリンピックの関係経費を申し上げます。  放送権料を中心とする費用の方ですが、民放さんと私どもNHKが共同で負担する分でございますけれども、放送権料がまず基本でありまして、これが七千五百万ドル、そのほかに、アトランタは百周年のオリンピックということで、千二百万ドルその協力金、それからハイビジョンを含めた技術協力金千二百五十万ドル、総計で九千九百五十万ドル、これをほぼ八対二でNHKと民放さんが分担いたしまして、NHKの負担分が八千二百十万ドル、これが放送権料を中心とした費用でございます。  それから、制作経費NHKの負担分でございますが、民放さんと共同して番組をつくるためのNHK経費、これが邦貨にいたしまして六億六千万、全体の五一%でございます。それからNHKの総合、衛星、ラジオ、国際放送、こういったNHK放送のために十一億二千万、それからハイビジョン、この制作のために八億四千万、トータルで二十六億二千万。先ほどのNHKの負担と合わせまして、両方でNHKの負担合計九十四億八千万、これが経費でございます。  それから、民放さんとの分担金の割合についてでございますが、これは、当初NHK単独で獲得しておりました、放送権につきましては。これが、七六年モントリオール、ここからジャパン・プール方式を導入いたしまして、当時は八六・七対一三・三という比率でございましたけれども、前々回、ソウルの大会の折から八〇対二〇という負担にしていただきました。  この根拠でございますけれども、時間数でちょっと申し上げますが、NHKの総合テレビ、百八十四時間四十二分、民放さんが百三十六時間五十四分、これは八対二にならないわけでございます。NHKは片一方で衛星放送をやっておりますが、衛星放送の分が三百二十九時間あります。トータルいたしますと五百十三時間五十一分、全体の大体七九%、ほぼ八〇%がNHK放送時間、民放さんが二一%ということでございます。  ただ、衛星につきましては、その普及のぐあい等によりまして、衛星も含めた比率で八対二というのはいささか根拠は薄いわけでございますけれども、少なくとも民放さんにつきましては、やはりビジネスとして成り立つことが大事だと思いますが、NHKとしては、その辺を考慮いたしまして若干お譲りしているという立場でございます。  それから、長野オリンピックに関してでございますけれども、長野オリンピックにつきましては、これは一歩前進させていただいて、冬季についてはこれまでNHK単独でやっておりましたけれども、今回初めて、長野についても民放さんに御負担いただくということで、これは全体で、結果として大体七対三、七〇対三〇の割合になりました。これは、特に日本国内での開催ということで、民放さんも意欲的に取り組んでいただくということでそういう結果になっております。  以上でございます。
  84. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 最後に、放送の不偏不党と表現の自由ということでお聞きしたいのですが、日曜日のNHKの政治番組を見ておりますと、例えば国論を二分した住専問題に対する政治番組がある。こうしたときに、出席者の数が、与党側は、連立政権ということもあるのでしょうが、三人出ていらっしゃる。新進党は一人、共産党は一人だという話があります。これは、国論を二分した話というのは、言ってみれば、賛成をする人は代表は一人、反対する人は代表一人というのですか、代表一人では、野党はいろいろ意見がありますから、与党は意見が一致しているんだから、せめて与党は一人、野党は、新進党は一人あるいは共産党は一人というふうにすると、さらに論点が明確になるんじゃないかと私は思います。こういうふうな報道をするべきであって、与党は既にその結論を出すまでに議論が終わっているわけですから、その結論の是非について議論をしているわけですから、そうした形でやった方がさらに論点が明確になるのじゃないかと私は思いますが、その中立性あるいは論点の客観的な報道、こういうことについてどのようにお考えでしょうか。
  85. 齊藤曉

    ○齊藤参考人 国民にひとしく公平に意見提供するといいますか、そういう立場からいいますと、私どもとしては、常にいろいろな工夫をいたしておりますけれども、こういう「日曜討論」を含めまして、特に政治討論会につきましては、単に発言時間を機械的に割り振るのがいいかどうかというふうなことを含めて、そういうことが公平だという立場はとっておりません。NHKとしては、全体の発言回数であるとか、それから発言時間のバランス、こういったことが保たれるように配慮しながら、各政党の主張が番組を通じまして公平に視聴者に伝わるような努力を常にいたしております。  以上です。
  86. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 論点が拡散しない意味でも、賛成の意見を代表する方がきちっと話をする、反対の意見の人はきちっと話をする、そうしてその論点を深めていくというのが、私は公正な報道になるのではないか。ただ機械的に人数割りでどうする、政党の数が幾つあるからだらだらと集まってくるということでは、かえって論点が不明確になるのではないか、私はこのように考えます。  若干、希望の意見も申し上げましたけれども、不偏不党ということ、それからもう一つ、いわゆる公平中立ということからいいますと、人類普遍の価値ともいうべき人権だとか、あるいは信教の自由とか、そういうふうな問題については、私は、きちんとした主張を持ってNHK番組を構成されるようにしていただきたい、このように考えます。  以上、希望を述べまして、質問を終わります。
  87. 中川昭一

    中川委員長 北橋健治君。
  88. 北橋健治

    ○北橋委員 新進党の北橋でございます。  郵政大臣とは久しぶりに質疑をさせていただく機会を得ました。  NHKさんに入ります前に、特に今政治的に問題になっております話題について、二点お伺いをいたしたいと思います。  郵政大臣にまずお伺いしたいことは、今日の異常な国会状況を打破するために、与野党がそれぞれ知恵を出さねばならない重要な局面に来ております。きょうは、日切れ法案ということで国会審議を再開できたわけでございますが、本院の一人といたしまして、このような不正常な状態が続いていることをまことに遺憾に思う一人でございます。  そういった意味で、今与野党の間で最大のとげになっている問題は、自由民主党幹事長加藤さんの政治献金の問題でございます。証人喚問の問題であります。これは与党の方にも言い分があることは十分承知をいたしておりますが、郵政大臣は、社民党の有力なリーダーのお一人といたしまして、今日の国会正常化のための重要なかぎになっておりますこの証人喚問問題について、率直にどのような御所見をお持ちか、お聞かせを願いたいと思います。
  89. 日野市朗

    日野国務大臣 加藤自民党幹事長の喚問という問題でございますね、これは、先生おっしゃるとおり、非常に今ホットな問題であります。  それで私、じゃ、おまえの意見はどうかという御質問の御趣旨であろう、こう考えますが、この問題について解決を与えるといいますか、結論を出す場というものは、これはまず各党の党内における御議論であろうと思いますね。そして、各党内における御議論をさらに与党の中で調整をして、私は、この過程は、止揚するといいますか、アウフヘーベンをしていくという過程であろう、こう思っておりますが、その過程を経て、さらに今度は与野党間でまたお話があることであろうと思うのですね。そうすると、そのような問題が論議され、結論を出す場というものは、一つの議会制民主主義の中で、また政党政治という中で、おのずとこれは、そういうシステムというものは限られているというふうに私は思うのでございます。  でありますから、私は確かに社民党の一員であり、そして同時に郵政大臣という役目を仰せつかっている者でございますが、その場に私がおる、その決定システムの中におるわけではございませんで、私がここで何かを申し上げるということは、これは、先生がこのような質問をなさるお気持ちはわからないではありませんが、今その問題が解決に向かってぎりぎりの場でそういうシステムが動きながら議論を進めておられる中で、私が今ここで申し上げるのは決してふさわしいことではなかろう、こう思っておりますので、まことに失礼ではございますが、そのお答えは伏せさせていただきたい、こう考えます。
  90. 北橋健治

    ○北橋委員 この問題については、自由民主党の参議院の首脳を初めとして与党の中からも、早くこの異常な事態を打開するために証人喚問に応じてはどうかという意見が出てきていると私どもは報道を通じて承知をしております。また、加藤さんの共和からの政治献金につきましては、かつて旧社会党時代佐藤先生あるいは高沢寅男先生を初め旧社会党の皆様方が、政治腐敗を正すという見地から精力的に取り上げてこられた問題でございまして、この予算がおくれているという事態は、与野党それぞれに責任があるといえばあるわけでありますけれども、与党の方は、早くこの予算を成立させるという道義的責任も負っていらっしゃるわけでございまして、この場での再答弁は求めませんけれども、与党の中でも、やはりこの新進党の要求には応じるべきではないか、そのような意見もあるわけでございますので、ぜひとも与党の有力な一員といたしまして、この問題について前向きの姿勢でその議論に御参加をいただきますように要望しておきたいと思っております。  第二に、先ほど来同僚の委員からも御指摘がございました、民間放送会社の報道のモラルのあり方であります。  報道の自由は、本来憲法で保障された問題でございますので、本院で取り上げること自体私も若干ためらいを感じております。民放会社の名前をここで出して議論すること自体私も当初はためらいを感じておりましたが、与党からもTBSという具体的名前を出しての御指摘でございますので、報道の自由に関する問題でもありまして、政府側としてもなかなかお答えしにくい問題ではあろうかと思いますが、事この問題に関しては、何の罪もない、そしてすばらしい活動を続けておられた坂本弁護士一家が殺害をされた、その動機に民放の関係者の動きがかかわっているというところに非常に重大な意味があるわけであります。  そこで、先ほど来同僚委員質問に対しまして郵政省は、調査をしているという趣旨と、今後、任意の報告書を見て処分を考えるというお話でございますが、この問題については、三月十二日の東京地裁の公判で、冒頭陳述において衝撃的な事実が明るみに出たわけであります。つまり、TBS側はそのことをオウム側に知らしめていたということであります。そしてまた、早川メモにもこのTBSのビデオと一致する内容が出てきた。  こういう事実が出てから二週間でありますけれども、この間の調査の具体的な内容をもう一度確かめたいと思いますので、御答弁をお願いしたいと思います。
  91. 楠田修司

    楠田政府委員 これまでの郵政省の任意の事情聴取でありますが、十月十八日にTBSから担当の役員の方と局長の方に来ていただきまして、その日に出されましたこのオウム関係のビデオにかかわる問題につきましてのTBS内での調査の内容につきまして、我々疑問とするところ、どういうところが、だれがどういうふうな調査をされたのか、何回ぐらいやられたのかとか、そういうような、わからないところを聞いたということでございまして、それによって新たな事実が出たというものではございませんけれども、そういうことをやったわけであります。  なお、その後、いろいろ報道されたような事情がございまして、先ほども申し上げましたが、本日、プレスの社長会見があったようでございます。正確にはまだ調査は聞いておりませんが、その内容に誤りがあった、したがいまして、ビデオを見せたということの事実が若干制作プロデューサーの関係で出てきておるというふうな情報を今得ております。したがいまして、前に任意に事情を聞いたことと相当また違いますので、早急に事情等をまた聴取する必要があるというふうに考えております。
  92. 北橋健治

    ○北橋委員 民間放送会社が社会的に重大な問題を引き起こしたと認められるときに、郵政省としては任意でお越しいただいて事情を聴取することしか方法はないのでしょうか。
  93. 楠田修司

    楠田政府委員 問題は、放送法にかかわる問題か、かつ報道倫理にかかわる問題かと二点に分けられると思います。  放送法にかかわる問題におきましても、基本的には番組編さんの自由ということが条文に決められておりますから、厳密に言う調査という権限はないと思いますが、こういう問題一般に関しまして、また郵政省では放送を含めた電気通信の規律、監督するということが設置法あるいは電波法等で決められておりますから、そういう立場において事情を聴取するということであります。  なお、報道倫理の関係が、今回の問題が放送法とどのように関係があるかということも今後の我々の検討課題の一つでありますが、今のところ、放送法の関係では、番組というものが放送法に掲げられておりまして、これは番組をつくるための取材の段階での事件でございますので、そのようなところを含めて今後検討してまいりたいというふうに思っております。
  94. 北橋健治

    ○北橋委員 今後検討され、調査をされるということなのですけれども、具体的な処分の対応というのはどのようなものが法令的にはあり得るのでしょうか。列挙していただきたいと思います。
  95. 楠田修司

    楠田政府委員 法令上ございますのは、電波法によります電波の停止あるいは免許の停止ということは法令上はございます。
  96. 北橋健治

    ○北橋委員 電波、免許の停止、それしかないわけでありますね。  結局この問題については、郵政省も任意で事情を聞かれて大分期間がたっております。半年近くたっております。この間郵政省は見事にだまされていたということにもなるわけであります。しかも、私ども野党は、新進党は参加しませんでしたが、法務委員会における招致のときにも、この問題について本院は大きく裏切られたというか、偽りの供述をそこでされたわけでありまして、そのような民間会社に対しまして、今後また任意の事情聴取という手段しかないのでしょうか。これがけ日本列島を震撼せしめるだけの重大な凶悪事件が発生し、そのきっかけとなった坂本弁護士一家事件は、TBSの内部における問題ではないかと指摘をされているわけであります。なぜもっとこの問題についてきちんとやらないのでしょうか。  私は、恐らくTBSの関係者の中にもこの問題にかかわった人はほんの一部だろうと思うのです。だから、ほとんどのTBSの社員にとってみればこれは大変不名誉なことでありまして、名誉を早く回復するためにも早急にきちんと調査を完了して、しかるべき内容の郵政省としての対応を決めるべきだと思うのですけれども、今後の方針をお伺いしたいと思います。
  97. 楠田修司

    楠田政府委員 先ほど十月十八日と申しましたが、三月十八日の間違いでございました。訂正させていただきます。  なお、郵政省として強力に調査をすべきではないかという御趣旨でございますが、行政でありますから法律に基づいてやるわけでございます。放送法上は先ほど申し上げましたような事情でありますから任意の、それからもう一つは、我々の電波を規律するという監督でありますが、そこでこういう問題についてちょっとつまびらかにしませんが、調査するという権限は条文上は書いておりません。したがいまして、大きく電波を規律するあるいは放送を規律するという立場から事情を聴取するという方法をとっておるわけでございます。
  98. 北橋健治

    ○北橋委員 報道の自由という問題もありまして、なかなかこれは政府としても踏み込みにくい問題であろうかと思いますけれども、いずれにしても、これは可及的速やかにこの具体的な事実関係を明らかにする必要があると思います。参考人というよりはむしろ証人として当委員会に喚問してもよいぐらいの問題ではないか、個人的にはそう思っておりますので、郵政省として今後この問題で全力を傾注していただきたい、そのことを要望申し上げたいと思います。  さて、NHK予算の問題に入るわけでございますが、先ほどから公平公正なあるいは政治的中立性の立場についてのNHK側の見解をお伺いしておりました。私も、NHKの皆さん方がそのことについて平素大変な御苦労をされながら、その職責を全うされていることに心から敬意を表する一人でございます。  先ほど、私ども新進党、明日の内閣の郵政大臣でございます遠藤議員の方から、政治討論番組について出ましたけれども、これについては要望だけ申し上げておきます。与党が三党だから三人出る、新進党一人、共産党一人というのは、一つのこれはわかりやすいくくりかもしれませんけれども、かつて細川政権、羽田政権のときには、私どもは旧政党の連立政権でございました。そのときの討論番組で、それぞれの与党が全員そこに出て討論したという記憶はございません。そういった意味では、どこかでやはり基準づくりについてはいろいろな議論があるのではないか。  あるいはまた、宗教法人法の改正のときにも私ども大変気にしておったわけでございますが、与党の首脳陣が関係会社あるいはマスコミの方にもいろいろと協力を要請して回ったという話も伝え聞いておりまして、事実かどうかはわかりませんけれども、なぜこうなったのであろうか。三対一で議論をしますと、発言時間なり、NHKを見ている人から見ますと、どうしてもそこには何かあるのではないかというふうに感じる人も出てまいりますので、これは要望にとどめたいと思いますけれども、十二分に、かつてはどうだったのか、細川、羽田政権時代の旧連立政権の与党、その時代の扱いも含めまして、もう一度公平公正な報道という見地から内部で御論議をいただければ幸いだと思っております。  番組の内容について本院でいろいろと取り上げるというのは、やはりどうしてもためらいを感じます。これはやはり報道の自由もございますのでなかなか取り上げにくいわけでございますが、二つほど要望を申し上げたい。それに対して、もしNHKの見解があればお聞かせ願いたいと思います。  その一つは、時代の変化に伴いまして、パソコン、情報通信革命という、その時代に今入っております。あるいは趣味の多様化という問題で、例えばスポーツを取り上げますと、野球やサッカー、相撲、そういったものに偏重していないか、こういうお話は多くの有権者からいろいろな機会に聞くわけでございます。  そこでまず、パソコンの問題でございますが、この間雑誌を見ていると、おもしろい川柳が出ておりました。去年の秋発売されましたウィンドウズ95、これが大変爆発的な人気を、外国でもそうですが、日本でも売れ行きでございまして、最近は、テレビを見ておりますと、民放のコマーシャルでもインターネットのことを話題にするメーカーがたくさん出てまいりました。それだけに、ことしの段階に入りまして、ウィンドウズ95の普及以来爆発的にこのパソコン通信、あるいはパソコンというものに対して国民全体の目が大きく開かれてきたのではないか。その画期的な、情報通信元年のような気がしてなりません。  それに対しまして、時々民放なんかでは、今パソコンがホワイトカラーを初めとして近代社会にどういう影響があるのか、またその中で中年のサラリーマンの方がどんな苦労をしているのかという特集を組んだりしまして、非常におもしろい企画のものもあるわけでございます。NHKとしましても、語学を初めとして、貴重な放送時間帯をやりくりしていろいろな報道をされているわけでございますが、今後情報通信時代、画期的な時代に入ってまいりますので、こういったパソコンというものについて、どのように報道番組の中でお考えになっていらっしゃるか。できればこういったものを充実していただきたいという要望がたくさんあるわけでございますが、御見解をお聞かせ願えれば幸いでございます。     〔委員長退席、中谷委員長代理着席〕
  99. 齊藤曉

    ○齊藤参考人 お話がございましたように、パソコン通信については、非常に普及は加速しております。非常に関心が高まっておりまして、そういった中で、NHK番組でもパソコンやパソコン通信の使い方についてさまざまな形で放送をいたしております。  例えば、「趣味百科 パソコンで遊ぶ」あるいは「ためしてガッテン」で「怖くないパソコン」、こういった取り上げ方をしておりますけれども、特に教育テレビでは、「ハローコンピューター」、こういった番組で、高校生を対象にしておりますけれども、パソコンを使った情報処理あるいはパソコン通信について取り上げてきておりまして、平成八年度も「シリーズ テンミニッツ 楽々パソコン」というような番組を月曜から木曜、毎日二十分から三十分放送いたすような予定をしております。  そのほかに、パソコンを使いまして双方向でNHKとして実験的な番組も何回かやっておりまして、今後もこういった取り組みを進めたいと思っております。
  100. 北橋健治

    ○北橋委員 先ほどの川柳、ちょっと忘れましたけれども、「ウィンドウズ使えない人からウィンドウズ(窓際族)」、こういう川柳でございまして、パソコンが普及してまいりますと、中間管理職がかなり要らなくなるのではないかという話もございまして、日本の社会全体に大変な変化をもたらすであろう。その中に、今は趣味のコーナーにも触れられてお話があったわけでございますが、個人の趣味の段階を超えまして、教育から社会から経済から、日本の社会を大変変革していく大きな起爆剤になっていくだろうと思いますので、新しいテーマでもございますだけに、今後より一層の充実を御要望申し上げておきたいと思います。  もう一点は、スポーツの番組内容でございますが、いろいろな調査があるようでございますが、何といっても日本人は相撲が一番、二番が野球、そして最近急速にサッカーがふえてきたということであります。恐らくNHKの方にはいろいろな方の要望が届いていると思います。例えばテニス、卓球、ホッケー、バレー、バスケットボールだとかがあります。私も中学、高校時代の運動会を思い出してみて、私は陸上部におったのですけれども、リレーをやりますと、やはり野球部、サッカー部というのは物すごく速いわけであります。  テレビで甲子園野球もあります。日本人が野球を好むということは、これはいいことでありますけれども、やはり相当テレビの影響を受けているのではないだろうか。やはり高校生でも野球だけがすべてではないわけでありまして、ファンの数からいえばマイナーになるかもしれませんけれども、たくさんの多様なスポーツがあるわけでありまして、こういったものにもぜひ目を触れていただきまして、相撲やあるいは野球、サッカー、大いに結構でございます、これからもどんどんやっていただきたいのでございますが、ほとんど放映されたことのない、そういったものがたくさんあると思うのですね。だから、そういった意味では、小、中、高の学生さんを初めとして、そういった教育的な意味におきましても、やはりここは一部のスポーツ番組に偏重しないような配慮が必要ではないかと思いますが、この点についての御見解を聞かせていただければと思います。
  101. 齊藤曉

    ○齊藤参考人 NHKとしましては、かねてからアマチュアスポーツの振興、これは大変大事だと考えておりまして、そういった意味ではかなり幅広いスポーツを取り上げております。国民体育大会あるいは全国高等学校総合体育大会、それから各種目で全日本選手権、こういったことが絡む種目については全部放送いたしております。平成八年度につきましても、陸上ワールドグランプリシリーズ大阪大会、その他新しい取り組みもしております。  いずれにしましても、アマチュアスポーツの振興という観点から積極的に取り組んでおります。今現在、放送の全体のバランスから申し上げますと、かなりのところへNHKとしては来ているということになるわけですけれども、今後も考え方としてはそういったアマチュアスポーツの振興という観点から取り組んでいきたいというふうに思います。
  102. 北橋健治

    ○北橋委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
  103. 中谷元

    ○中谷委員長代理 以上で北橋健治君の質疑を終了いたします。  続きまして、古賀一成君。
  104. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 新進党の古賀一成でございます。  それでは、NHK平成八年度予算を中心に質問をさせていただきたいと思います。  まず冒頭でございますけれども、国際化の問題につきまして、とりわけNHKが今後、国際化社会といいますか、世界の潮流といいますか、そういう中で果たすべき役割というものを私は高く評価あるいは期待をするものでありますけれども、その点について質問を申し上げたいと思います。  まず、振り返ってみまして、昨年一年、いろいろな年でもございました。今、北橋議員の方からオウム真理教の問題、そしてきょう、ほんの先ほどのようでございますけれども、TBSの社長が会見をして、懲戒処分の件あるいはみずから責任を考える件等々、テレビで流れておりました。オウム真理教の問題も大変でございましたし、また阪神大震災という、報道にとっても大変な大事件がございました。この中でも、インターネットが活躍した、あるいはNHK教育での文字放送が、意外とといいますか、映像ではなくて文字情報というものが大変な役割を果たしたということも一つの教訓であったと思うわけでありますが、その中で何といっても、やはりこれからは国際化という大きい潮流、これにどう日本がかかわっていくか。  その中で放送は、先ほども遠藤先生の方から話があったようでございますが、電波が海を越え、太平洋を越え、国境を越えていく時代でございまして、その中でボーダーレスという言葉もございます。日本というものを発信していくという意味におきましても、放送役割は大変大きいと感ずるわけでございまして、その点で今後、こういった国際化あるいはボーダーレス、こういうものを踏まえまして、NHK国際社会時代にふさわしいいわゆる公共放送の使命というものがあるのではないか、こう私は常に考えるわけでございます。  予算書等を見ても、確かに去年は映像国際放送も開始をされましたし、いろいろ努力をしていることはよくわかるのでありますけれども、国内における公共放送という役割、あるいは、それを上回って国際社会においての公共放送役割という視点がもっと私は強調されていいのではないかと実は思っております。  この点につきましての会長の基本的な御所見と、今後この面においてどう取り組んでいこう、措置を講じていこうとしておられるのか、その点につきましての表明をお聞きしたいと思います。
  105. 川口幹夫

    川口参考人 国際放送が重大なのは私も全く同じでございます。既に短波の放送というのは、全世界に向かって現在百億規模放送をやっておるわけです。それについては、NHK自体が交付金を得ながらいい形で展開をしてきたと思っておりまして、前はたしか世界の九番目でしたか、それが現在相当いい位置にまで伸びてきたと思っております。  ただ、映像国際放送というのは、これはちょっと難しい問題がありまして、一つは、短波に比べて格段に費用がかかります。現在三十数億の予算を計上してやっておりますけれども、これは北米とヨーロッパ、そしてアジアは地元の放送局がそれをとって放送するという、いわゆる配信という形でやっておりますけれども、これでもなおかつ三十数億のお金がかかっております。これを今後どうするかという問題でありますけれども、基本的には、私は、やはり映像国際放送は増大する方向でいかなければならないというふうに思っております。  ただ、非常に難しいことは、NHKが国内の受信者から集めた受信料でもってこれを行わなければいけないという点でありまして、どこかでそれを一つの線を引かないと、限りなく無限に映像国際放送を拡大をするということもいかがかと思うのです。現在は年間に千六百万人の日本人が世界の各地へ旅をするという時代であります。したがって、国内の放送をごらんになっている方からいただいている受信料で世界に電波を送るのは、一つの理屈として成り立ち得るというふうなことがありますが、それもやはりある種の限度がありまして、これは漸進、つまり前に向かって進むのではなくて、少しずつ進んでいく漸進ということではなかろうかと思っております。そういう形で、中身の充実と、それからいい時間帯にいい放送をやるというふうなことをやっていこうと今思っておりまして、幸いに去年の四月からやりました映像国際放送の評価は非常に高うございますから、これから漸進という形でもって伸ばしていきたいというふうに思っております。
  106. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 後ほど質問しようと思いましたけれども、予算の関連がこれは当然出てくる。これは後ほどしたいと思います。  ただ、私は、既に現在NHKが放映をされてきた、あるいは最近だけではなくて、過去のストックにおいても外国に発信すべきすばらしい番組は本当にたくさんあると思うのです。だから、金は、もちろん必要なものは確保しなければなりませんけれども、私はどうしてもこの予算書等々を読んでも、放送の地域拡大であるとか時間の拡大、配信の対象国の拡大とか、そういう量的拡大にまだ力点があって、質の面ということについてもう少し戦略的な検討をされ、配意を、配慮をされていいのではないかという印象を実は持ちます。  この点につきまして、後ほどもう一回申し上げたいと思いますけれども、ぜひその点を、質的な面について、NHKのやる短波もそうでございますし、とりわけ映像、この持つ意義というものをもう一回検討し、その実際の事業に反映していただきたいと私は思います。  その中で今、去年始まりました映像による国際放送、去年も私質問を申し上げましたけれども、これにつきましてNHKがアンケートをとられた。日本人あるいは外国人の評価、非常に評判がよろしい。まだ開始されてわずか半年でございますけれども、その中身をいろいろ聞いてみると、どうも報道偏重といいますかニュース偏重といいますか、そういうものに思えてしようがないのですね。  ところが、先ほども質疑でございました「大地の子」の話であるとか、私も余りテレビを見る時間は少のうございますけれども、例えば「映像の世紀」、「生命 四十億年はるかな旅」あるいは「生きもの地球紀行」とか、これだけのすばらしい映像を本当によく撮れたな、あるいは今やっております「新日本探訪」とか、かつては「新日本紀行」ですか、ああいったやはり日本の伝統文化、こういうものを、むしろそういう本質的な分野というものを視聴率にとらわれずに日本からNHKが映像で発信するということが、これは恐らく想像を超える、あるいはコストをはるかにしのぐ効果を持つと私は思うのです。  私は少年時代非常に映画少年でございまして、映画ばかり見ておりましたけれども、一番最初、私が世界というのはこういうものかと思って衝撃を受けたのは、小学校のとき見ましたディズニーの記録映画の「砂漠は生きている」という、今で言うNHKの「生きもの地球紀行」とよく似たものですよ。中学校のときに見たのが「世界残酷物語」というものでございまして、テーマソングが「モア」というのですけれども、これなんかも中学時代、世の中というのは、世界というものはこういう多様な人種あるいは文化を持っているのだというのを映像で知ったのですね。私は、そういう映像の持つインパクトといいますか、映像の持つ影響力というか、それは今も変わらないと思うのですね。  そういう面から見て、今の、去年から始まったばかりでありますけれども、むしろ地道にそういう日本の文化、伝統、歴史あるいは風俗、そういうものを伝えていくことに私はもっとNHKは力を入れてほしい、こう思うのでありますが、この点について御所見をお伺いしたいと思います。     〔中谷委員長代理退席、委員長着席〕
  107. 齊藤曉

    ○齊藤参考人 NHKとしましては、制作した番組についてはなるべく多くの方に見ていただきたいということはもちろんございますが、視聴率を第一義に置いて番組をつくっているということはございませんで、今お話がありましたように、NHKスペシャルであるとかいろいろな分野の番組で、やはり私どもが提供すべき番組ということについてはかなり意欲的に取り組んでおります。  海外においても、特にこのNHKスペシャルを中心といたしましたドキュメンタリー、これは非常に高い関心を呼んでおりまして、外国でもかなり売れているといいますか、私どもが提供いたしております。そのほかに、例えば中国を扱った番組、「大黄河」であるとか「シルクロード」、これもかなりの数外国に売れております。これらニュース、情報系の番組あるいはドキュメンタリーに限らず、アジア地域では、朝の連続テレビ小説とか、こういったドラマ系のものも売れておりますし、最近では「大地の子」、これも早くもスウェーデンの方から引き合いが来ているというようなことで、かなりいろいろな番組が外国に提供されている。ここ三年間、大体年間五千本から六千本、これが外国に提供されているというのが実情でございます。
  108. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 私は、この映像による日本の発信ということに大変関心を持つわけでございまして、これは単に外国に住んでいる日本人あるいは外国人に日本を知ってもらうというだけじゃなしに、やはり日本国民全体が、我々が発信しなければならぬのだ、国際社会で理解してもらわぬといかぬのだということを逆に理解してもらうためにも、これは非常に重要だと思うのです。  これは質問ではございませんけれども、今思いついたアイデアでありますが、映像による国際放送NHKが一生懸命始められたということを余り国民の方知らないと思うのですね。むしろ日本人として、日本として何を海外に知ってもらいたいか、NHKのこれまで放映した中で何を発信すべきかというのを国民の皆さんに問いかけて、アンケートでもむしろとられたら、内外ともにPRにもなるし、国民の関心もわこうと思います。それは、今のは質問ではございませんが、私からひとつ提言を申し上げたいと思います。  そこで、三番目でございますけれども、かねてより日本の場合は大変文化の発信が弱い、科学技術予算も少ないが、文化の海外移転の予算などというのはほとんどない、こう言われて久しいわけでございます。実際これは、先ほど会長の方から、受信料で賄う原則だ、おっしゃるとおりでございますが、国として、海外への日本の発信というのは国の事業だと思うのですよね。国がやるべきことだと思います。受信料でやるべき筋合いでは本来はないと思うのですね。この交付金というもの、どれだけ充てられておるのか、そしてできるなら、文化の海外移転で一番熱心なフランスあるいは追加としてイギリス、アメリカ、ここら辺のところはどういうふうに文化を映像を通じて発信しているのか、予算の面で御存じでしたらぜひお聞かせを願いたいと思います。
  109. 石渡和夫

    ○石渡参考人 お答えいたします。  平成八年度におきます音声国際放送実施経費は九十八億四千万円でございます。これに対しまして、政府からの交付金は十八億九千万円でございます。実施経費総額の一九・三%という状況でございます。米国、英国、フランスでは、音声国際放送実施については政府からのほぼ一〇〇%の交付金が拠出されているというふうに聞いております。
  110. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 ことしのNHKの総予算は四十八億余の赤字でスタート、こういう予算書が出ておりますけれども、大体この四十八億に相当するものが、国際放送に関する交付金と国際放送費の差額、つまり足りない分が四十五億何ぼでございまして、NHK全体の平成八年度の赤字額と国際放送にかかわる不足額というものは大体見合うのですね。  今、アメリカ、イギリス、フランスというものが、ほぼ一〇〇%の交付金で国としての文化あるいは情報の発信をやっているということでございますので、この点につきまして、今後のこの問題の重要性から見て、NHKのみならず郵政省としてももっと前向きに、攻めるつもりで、住専の六千八百五十億なんという、そんなものと比べれば問題にならない重要性と、筋のいい話でありまして、私はそういう対応を真剣にしていくべき時期じゃないか、かように思います。  この点につきまして、私は郵政大臣の御所見をぜひお聞かせ願いたいと思います。
  111. 日野市朗

    日野国務大臣 今、先生NHKとのやりとりを伺って、非常に興味深く受けとめました。  私も、今までのNHK国際放送、これはいわゆる命令放送というふうに呼ばれておりまして、額が必ずしも多くないなというふうには考えております。これは、国の方で出す額が必ずしも多くないとは感じております。  今先生がずっと指摘をされました音声による放送、それから映像による放送、これらの果たしている役割というものを十分に検討をしながら前向きに考えてまいりたいというふうに思っております。
  112. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 大臣のお顔を今見まして、思い出しました。大臣はフランス語が極めて堪能でございまして、一度ガーナでしたか、代表団が来られたときに私も横におりまして、大臣がフランス語でぺらぺらと会話をされるのを聞いて非常に感銘を受けたわけであります。  私も実は大学時代NHKのラジオ講座で、今度はラジオですけれども、フランス語を勉強しまして、私は英語はからっきしだめなんですけれども、フランス語のラジオ講座だけで、大学時代、私は優を十二個全部とりまして、NHKのラジオ講座には非常に恩を感じておるのです。今出ましたフランス、これは本当かどうか確かめていませんけれども、お茶の水にアテネ・フランセがありますね。あれは何と国立だそうですね。国の金を投じて日本に学校をつくって、フランス語を伝播しようとまでやっている。フランスと日本の彼我の差というのは、本当に価値観の根本が違うような気もするわけであります。  先ほど会長の方から話がありましたように、映像放送が始まって六カ月の調査でも非常に評判がいいということでございますが、これに満足せずにもっと深くやっていっていただきたいと私は切に思います。これは安全保障にもかかわってくると思うのですよ。そこまでの問題だろう、かように思います。ぜひとも我々も予算獲得に応援をしたいと思います。  さて、最後になりますが、マイノリティーといいますか、障害者の皆さんへの配慮というものにつきまして、先ほども自民党の岸本先生の方からもございました。多くは述べませんけれども、これは単に障害者の方、耳が聞こえない方のためだけに特別サービスでやるという思想じゃないと私は思うのですよね。それは、阪神大震災が示したように、多様なチャンネルといいますか、それを用意する。それは、私は、健常者であっても、いわゆる阪神大震災のときにはやはりみんながいわば弱者になる、常にそういう可能性を秘めているわけでございます。  アメリカの例が出たようでありますけれども、アメリカ、イギリスはニュースも全部、一〇〇%いわゆる字幕放送をやっておるということでございまして、これはいろいろな技術を駆使すれば、日本人は英語が世界じゅうで一番下手だそうでございますけれども、字幕放送をうまく駆使すれば、実は日本人は英語が非常にうまくなるんじゃないかという気もいたします。  字幕放送が欧米諸国に比べて大変おくれておりますけれども、今後のこれの拡大の、あるいは活用の御方針について最後にお聞きをいたしたいと思います。
  113. 川口幹夫

    川口参考人 少数者向けの放送というのがこれから大事になってくると思っています。それは別に、いわゆる障害者だけでなくて、年をとった方、病気の方、それから職業を持って働いている御婦人の方、そういう方々に対する放送というのが、やはり少数者へのサービスとしてこれから我々が拡大をしていかなければいけない大きな問題だと思っております。  今年度も、障害者に関しては、一応字幕放送の前進ということで、具体的にお金と中身の問題を先ほどから御説明しましたけれども、ああいうふうにしておりますが、まだまだとてもアメリカの例には及びませんので、できるだけ可及的速やかな対応をしたいというふうに思っております。
  114. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 これで終わります。
  115. 中川昭一

    中川委員長 遠藤乙彦君。
  116. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 新進党の遠藤乙彦でございます。  私も、公共放送としてのNHK役割、またその取り組みに日ごろ深く敬意を表する一人でございます。  NHKの場合、非常に幅広い、国民の各層のニーズにこたえなければならないということで、どうしても総花的にならざるを得ないという面もあるかもしれませんけれども、特にやはりNHKの場合には、日本社会の課題、問題点というものをメディアの立場から掘り下げ、あるいは先取りをして国民に啓発をしていくという、いわば先導的な役割が非常に強く求められているものだと思っております。  そういった点、特に最近、NHKのそういった業績の中で、特筆すべきは二つあると思っておりまして、一つは災害に関する報道、もう一つは、ドラマとして「大地の子」、既に何度も評価の声がありましたけれども、この二つは特筆すべき点だと思っております。  災害報道に関しましては、阪神大震災、そのときの報道もともかく、その後のフォローアップが、NHKの取り組み、大変私はよいと思っております。どうしても災害というものは一過性のものとしてとらえられがちでございますけれども、その後もこれを風化させることなく、さまざまな角度から、住宅の問題あるいは心のケアの問題、福祉の問題、都市計画の問題等、さまざまな角度からこれを風化させないで取り組んでおる、被災者の立場に立って取り組んでおるということは、大変評価をされるべき点だと思っております。  特に、私は、災害関係の報道というのはさらに充実を望みたいと思っておるわけです。私も災害対策委員会の一人でございますけれども、日本の場合、地震の構造からして、活性期と安定期が交互に来る、数十年置きに交互に来るということがほぼわかっております。従来地震の安定期だったのが、ここ数年来間違いなく活性期に入ったということでございまして、二十一世紀以降、これから数十年は大変災害の頻発に悩まされるということでもあります。ぜひとも、政府のみならず、国民全体が危機管理意識を高めるということが求められると思っております。そういった意味で、NHK役割、大変重要な役割を果たせると思っておりますので、ぜひこの点、さらなる取り組みをお願いをしたいと思っております。  もう一点は、「大地の子」の点でございますが、いろいろな方からも既に大変高い評価が出ました。特にこの「大地の子」の問題は、大変重いテーマである、戦争の悲劇に翻弄された残留孤児の話なわけでありますけれども、従来、日本と中国や朝鮮半島とは、大変、常に感情的摩擦が絶えなくて、これが外交面で大きな問題になってきております。特にこの歴史教育の問題が常に指摘をされておりますが、なかなかこれがうまくいかない。しかしながら、今回の「大地の子」のドラマはそういったギャップを大きく埋める役割を果たしたのではないかと高く評価を私もいたしております。ゲーテの本の中に「詩と真実」というのがありますけれども、要するに、場合によっては生の真実そのままのものを伝えるよりも詩の形で伝えた方がはるかにより深く真実を伝えられる、そういった趣旨だと思いますけれども、まさに今回の「大地の子」のドラマは、そういった意味でも大変本来のメディアの役割が遺憾なく発揮されたということであると思うわけであります。  そういったことは前提としまして、まずお聞きしたい点でございますが、今回の平成八年度予算の中で震災報道体制の強化ということが最大の重点としてとらえられておりますけれども、具体的にどのような充実が図られてきたのか、また、今後ともどういう取り組みをしていくかにつきましてまずお聞きをしたいと思います。
  117. 川口幹夫

    川口参考人 今、いろいろなことを実は去年から討議をして、具体的に計画にして、そして実行に移しております。現在までのところで私どもが取り組んだ大きな問題を御披露申し上げます。  まず、災害時の波の使い分けというものをもっと明確にしようというのがございます。例えば、総合テレビ、教育テレビ、衛星一、二、ラジオ一、二、FM、国際、このNHKが持っているすべての電波を、災害関連の基幹情報と生活情報と安否情報と、それから障害者向けの情報、それから外国人向けの情報、それから海外向けの情報、こういうふうに分けまして、それをできるだけ多角的に伝えていこうという体制をとることになります。こういう意味からいうと、各波が持っている基本的な役割をきちんと予定しておくことが必要かと思います。状況によりまして齊藤総局長の判断でこれは柔軟な対応をするというふうなことにいたしました。  それから、速報の手順というのがございますが、震度六以上の地震については、放送開始の手順を一部自動化しました。それは、ボタン一つで直ちに速報ができるというシステムをつくったわけです。したがって、それに伴って、マニュアルですね、手順をいろいろ変えなきゃいけませんので、そのマニュアルの見直しもいたしました。  それから、大事なのは機器の整備でありまして、あのときも、例えばスキップバックレコーダーというものを使って、十秒前から映像が返ってくるというシステムを使いまして、世界じゅうをあの映像が駆けめぐったわけですけれども、あのときにやはり私が非常に残念だと思ったのは、午前五時四十分という時間でございましたが、真っ暗でございまして、いわゆるお天気カメラ等々で写しても何にも見えないという状況であったわけですね。ですから、被害の状況というのはあの段階ではほとんど全くわからなかった。それを、暗視カメラと言いますけれども、暗やみでも全く日中のように見られるというカメラを開発いたしました。例えばそういうのを使って大都市のお天気カメラと併設することはできないかと、こういうことも検討いたしました。  そのほか、映像の取材、中継放送、それからヘリコプターと通信衛星を使った伝送通信設備、こういうのが非常に大きな威力を発揮しましたので、災害等の通信報道の際にパイロットとかカメラマンが搭乗して離陸するまでの時間をできるだけ短くしたい、行ったらすぐ飛び立てるというふうにしたい、そういうための体制を整えました。  それから、小型機を中型機に切りかえる、そういう整備を今進めております。というのは、やはり中型機になりますといろいろな機器を積めるわけですね。場合によっては人間も一人余分に乗ることができます。そういったことがやはり必要になりました。  そして、さらに持ち運びのできるディジタル式の伝送設備通信設備というものを導入をし始めております。私が今先ほど申し上げました、ほとんど明かりがなくても撮影可能な報道用高感度新スーパーハープカメラというものも整備をするようにいたしております。  そういったことがこれまで検討して実行に移そうとしていることでございますけれども、いつこれが起こるかわかりませんので、できるだけ早く整備をいたしまして、万全の備えをしたいというふうに思っております。
  118. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 先般の震災の経験を踏まえてさまざまな角度から具体的措置をとられていることに対し、大変心強く思っておるわけでございまして、いずれにしましても、これからの災害対策は大変重要なものでございますし、特に情報役割は決定的に大事でございますので、ぜひともそういった視点を踏まえまして、NHKのさらなる取り組みを期待をしたいと思っております。  それからもう一点、ハイビジョンの件に関しましてお聞きしたいと思っております。  ハイビジョン、実験放送が始まっておりますけれども、受信機の値段が大幅に下がったこともありまして、また関係者の努力もあって、この一年かなり普及をしたというふうに承知をしておりますが、現在の普及状況がどうなっているのか、また、今後の普及の見通しにつきましてNHKとしてはどのように考えているか、まずこの点につきましてお聞きをしたいと思います。
  119. 菅野洋史

    ○菅野参考人 お答え申し上げます。  ハイビジョンの機器につきましては、平成六年十一月二十五日から実用化試験放送が開始されるということになりまして、メーカー二社から二十八インチで五十万円を切るといういわゆる普及型のハイビジョンテレビが発売されました。そして六年度末の普及状況が五万五千台になったわけですが、七年度に入りまして、メーカー七社、そして十一機種が現在販売中でございます。平成八年二月末の普及は既に十三万五千台となっておりまして、このまま推移すれば、平成八年度末には、昨年私ども「NHK中長期経営方針」で予測しました三十万台をはるかに超える大幅な普及を実現できるというふうに考えておるところでございます。
  120. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 NHKの場合、このハイビジョン放送が将来の放送の中核になるというふうに言われていると承知をしておりますけれども、具体的にどういったビジョンを描いておられるのか、この点につきましてもお聞きをしたいと思います。
  121. 森川脩一

    森川参考人 お答え申し上げます。  NHKでは、今先生おっしゃいましたように、現在実用化試験をしておりますハイビジョン放送というものを、将来の、衛星放送に取ってかわれるような基幹波と申しますか、総合波として育て上げていきたいというぐあいに考えております。  それからもう一つは、現在の電波の型式はアナログでございますけれども、いずれ二十一世紀の時点ではこれに限らずディジタルの時代が来るだろうということから、そちらへのいろいろ研究開発というものにも精力をつぎ込んでおります。  それからもう一点は、そのディジタル時代が来たならば、せっかく買った受信機がむだになりはしないか、そこでハイビジョンが途切れてしまうのではないかという御懸念がいろいろございますけれども、そういうことは我々としてはない。なぜかと申しますと、今の受信機に新たに出てくるディジタルのサービスが受けられるアダプターをこれに接続しますと、ブラウン管から、キャビネットから、中の電気機械のほとんどに至るまでそのままそれが引き続き使えるということになりますので、そういう時代の動きに応じた手当てというようなものも見通しながらこれから大きくこのメディアを発展させていきたい、そういうふうに考えております。
  122. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 今のNHKの御説明に関連をしまして、今度は郵政省にお聞きをしたいわけなんですが、特に、今のハイビジョン放送はミューズ方式でアナログなわけですけれども、それが時代おくれだという意見も一部にあるわけでございまして、いろいろ今まで議論になったことは御承知のとおりだと思いますが、今のNHKの御説明にも関連をしまして、郵政省としては、今のハイビジョンの普及状況、それから、今後の展望に立ってどのようにこの点をお考えなのか、郵政省の見解をお聞きしたいと思います。
  123. 楠田修司

    楠田政府委員 先ほど御説明ありましたように、ハイビジョン放送は、伝送の部分だけがアナログ方式でございまして、その他はすべてディジタル方式になっておる。放送全体の技術の動きを見ますと、やはり来世紀に向けて、ディジタル化ということがマルチメディア時代に避けることのできない命題であると考えております。  しかしながら、このハイビジョン放送は、現在世界で実用化されているといいますか、開発された唯一の高精細度の放送であるということで、実用化試験放送も現在行われているところでございまして、そういう意味で、この事実を十分認識しつつ、将来のディジタル化ということに対して、技術の進歩を踏まえながらどのように適応させていくかということは一つの大きな課題であろうと思います。  郵政省の基本としましては、将来的にはすべての放送メディアディジタル化していくということはもう既にいろいろな場所で御説明申し上げたところでございまして、その中で、このハイビジョンの高精細度のもののディジタル化というのは、まだ技術開発されていないわけであります。そういうふうな中で、技術の動向等を見ながらどのようにマッチさせていくかということを一つの課題として今取り組んでいるところでございます。
  124. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 時間がなくなりましたので、最後川口会長にお聞きをしたいのですが、先ほどNHKの先導的役割ということを申し上げたわけなんですが、川口会長個人として、特にこの分野にさらに力を入れたいといった点、個人的にどのようにお考えなのか、その点をお聞きしたいと思っております。
  125. 川口幹夫

    川口参考人 これからはディジタルを中心にした多様な放送、多様な通信、そういう体制になることは確実でございます。その中で私は、放送、特に公共放送が持つべき内容の高さというものをこれからも持ち続けようと思っております。  そして、的確に二つの面、先ほど申し上げましたが、ジャーナリズムとしてのあり方と放送文化をどうやってつくっていくのかという立場、その二つを踏まえて、今後とも、公共放送はさすがにいいものをやっていると、私どもの「NEXT10」というCI運動の大きな一つの柱に、さすがNHKと言われたいというのがありますけれども、そういう中身の問題をまず第一に心がけていきたい。当然、ディジタルを初めとする技術の進歩にはできるだけ素早く対応する、そして、いろいろな形で国民の皆様にサービスできる、そういう公共機関を目指したいというふうに思っております。
  126. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 以上で終わります。
  127. 中川昭一

  128. 河村たかし

    ○河村(た)委員 名古屋河村たかしてございます。  今川口会長がおっしゃられましたけれども、さすがNHKと言われたいということなので、別におだてるわけじゃありませんけれども、確かに先ほどからいろいろな番組が出てきまして、「映像の世紀」とか、それから「秀吉」も上手につくってあります。それから「大地の子」もなかなかいいしということで、どうも、いいのですけれども、よ過ぎるというのですか、何かいいものはNHKしかないようなそんな感じが出てくるとこれはどういうものだろうかということで、これは一応伝統的な論点ではありますけれども、NHKはやはり大き過ぎるのではないかなということも言えるのですね。  今一番問題になっておりますNTTさんの場合、あそこもでかいところですけれども、もうちょっと分けたらどうだ、こういう話があります。何でNHKは分離分割論というのがないのですかね。そこらはどうですか。できたらちょっと会長に。
  129. 川口幹夫

    川口参考人 分離分割することに意義があり、それが将来のいい公共放送をつくるのなら、もちろん賛成です。  ただ、僕はどうも、例えばNTTの分割と、もしNHKを分割するとすればその分割とは全然違うと思うのです。それは、先ほど申し上げた中身の問題ですね。NTT通信という大きな事業をさばいているのですから、それは、例えば分割したら分割したなりにメリットがあるのだろうと思うのですね。ところが、私どもがやっている放送というのは、分離分割するとおかしくなってしまう部分がいっぱいあると思うのです。それはやはり、どうやって番組をつくるか、どうやって報道の体制を築き上げるかということですから、そこでただ分割すれば効率的によろしいからというふうには絶対ならないところがあります。  ただ、私どもが効率化を嫌っているかというと、別にそうではないので、できるだけ人を減らそう、できるだけ地域に対して大きなネットワークを張ろうというふうなこととかを優先してやってきましたから、昔の、二十年ぐらい前のNHKとは大分姿が変わっております。それは、やはり自分で自己改革をしていくということだと思うのです。  ですから、いわゆる保護的な意味で、分離分割をするということのメリットよりも、むしろ今私どもが持っているものの余分なところを切り捨てる、スリムにする、それでより強化しなければいけないところは強化するという方向づけをとるべきだと思っていまして、今の分離分割の論議がNHKに及ぶようなことがあれば、それはとことんまで私どもも論議をさせていただきたいというふうに思っております。
  130. 河村たかし

    ○河村(た)委員 経営的な面もありますけれども、分離分割というか、そういう話になる場合はやはり、例えば名古屋NHK古屋ということで大体、終生までいきませんけれども、名古屋の原住民がおって、その方がNHK放送局のディレクターをずっと務めて、だからそういう発信力が違うわけですね。今ですと、どうしても本社に戻りますので、いま一つ地域に対する愛着というかエネルギーというのですか、それがわかぬということがあります。そういうふうに考えれば、日本全国あまねくというのが放送法規定にございますけれども、それはそうだけれども、その部分はその部分で放送ネットワークでできますので、いま一つ、もう一回そういうふうにつくり直してみるというふうにしたときに、やる気はそれなりにかなり出るのではないかという気がしますが、どうもいろいろ物の本を読んでおりますと、NHK一つがいいんだというようなことなので、それは認めるといたしましょう。  認めた場合に、先ほど言いましたように、とにかくNHKはよ過ぎるわけです。何といっても、NHKを見ますと非常に安心感がありまして、なおかつ、キャスターの皆さんも、さすがに放送法をよく御存じで、非常にいろいろな論点を明らかにされる。非常に注意をされておりますね。それはそうなんだけれども、大事なのは、草の根放送文化というものをもう一つ日本としては育てていかなあかんという要請が非常に強いのですね。だから、NHKが余りよ過ぎると、地域で出すものは何か深まったものがないような気配がどうもしてくる嫌いもありますので、その辺のところ、NHKさんとしては、草の根放送文化を育てるということでは何か取り組みをされているのか。NHKのよさに対抗するものを、民放もいいのですが、何かのところから生み出そう、そういう努力はされておるのかどうか、その辺をちょっとお伺いしたいと思うのです。
  131. 川口幹夫

    川口参考人 やっております。本当にやっておるのです。地域からつくるものを全国放送でやろう。例えば名古屋ですと「中学生日記」がそうですが、「35歳」という番組も試作的に、試作的じゃない、これはちゃんと放送に出ましたから、やりました。それが余りうまくはいかなかったと僕は思います。ですけれども、あとの番組もやはり地域からの発信ということできちんと位置づけてやることにしております。  これからはやはり、地域で非常にいいものができる時代になったと思うのです。それはもちろん機器の向上とかいうことがありますけれども、ディレクター、プロデューサーもあるいは技術者の方も、地域に対して相当根を張って仕事ができるような形に今だんだんしつつあります。したがって、そういうところから、札幌は札幌としての、あるいは仙台は仙台としての地域の放送を全国ネットとして出すという方向づけは変えないつもりです。ですから、それがまず一つあります。  それから、もう一つは民放の問題でありまして、私は、民放が悪くてNHKがいいという評価を受ければいいとは思っていません。やはり放送事業者としては、NHKもいいけれども民放もいいなというのがなければいけないと思うのです。二つの種類の、民間放送NHKというのがあって、そして両者がお互いに競争しながら、しかもはっきりと自分たちの本分を見きわめて放送しているのが一番いい形だと思うのですが、ちょっとそういう形に今ならないような方向に行っているところは非常に残念です。  去年の民放連の大会、十一月でしたけれども、私はゲストで呼ばれて、そういうことをちょっと申し上げました。いよいよこれは民放連の首脳部とNHKの首脳部とが本当に心から話し合って、お互いにどういうふうに我々が使っている大事な電波をうまく生かすべきかということを話し合おうというふうに思っております。これからもっと頑張らなければいけないという覚悟を新たにしております。
  132. 河村たかし

    ○河村(た)委員 放送哲学になりますとなかなか会長はよくしゃべられるもので、私の時間がなくなってしまっていかぬのですけれども。何が言いたいかといいますと、今私ども国会がなかなかあれですけれども、実は新進党が、いわゆるNPO法案というすばらしい法案が今内閣委員会で継続審議になっております。どういうことかといいますと、やはり地域のコミュニティー放送などを自分たちが経営主体となってどんどんやっていく、今までは営利かNHKしかありませんものですから、これは普通の人ではできないのですよ。  例えば、その町の昔のお嬢さんが集まって小学校の放送室を使って、今度ミニFMが郵政省でオーケーになりましたけれども、そういうのをどんどん使ってやっていくことができない。これには税の支援も要りますけれども、そういうのを早く通していただいて、これは大臣もお見えになりますけれども、与党だ野党だと言わないで、いつ変わるかわからないということもありますが、放送文化を育てる上において、NHKという大きい体制も多分これは重要であろうと思います。しかし、やはり本当にコミュニティーから放送文化を育てていく。それにはやはりまずそういう主体、法人格をつくる、そこにみんなで寄附をしてお金を集める、そこに税制上の優遇措置をしていくのだ、こういう文化をぜひ育てていただきたいということでございます。  そういうものができましたら、会長、ぜひソフトや何かを供給していただいて、たまには「秀吉」なんかも流していただいて、名古屋でそれをやるときにはぜひ御支援をいただきたいということで、確約をちょっといただきたいと思います。
  133. 川口幹夫

    川口参考人 積極的に御支援することをお約束いたします。
  134. 河村たかし

    ○河村(た)委員 ありがとうございました。  これで私の一つ役割が、議員になった役割はNPOをつくるということだと思っておりますので。  それからもう一つ、これは本当にまた会長をおだてるわけではないのですけれども、「走らんか!」という番組を朝やっていますね。あそこで博多言葉が出てくるのですよ。私は、前の委員会で名古屋弁がどうだこうだと言われまして、名古屋弁という言い方はいかぬ、やはりそれは中央に対する何か下がったような表現だ、だから名古屋言葉と言ってちょうだいと言った覚えがあります。それは多分聞いていただいたと思いますけれども、博多弁ではなくて博多言葉と言う、この辺はやはり僕は非常にNHKのデリケートさを見る思いがします。なかなか言いたいことを言っておりますけれども、結構気にしておるのでございます。  そんなことで、今「秀吉」をやっていただいておって、お母さんが北の政所に、ではなくてもうちょっと大きくなったらそうなるんですか、名古屋言葉を使って、市原悦子さんがやっていただいておりますが、できたら秀吉にもぜひたまにしゃべっていただいて、番組内容のことを言いますと怒られますが、この間番組基準も変えていただきましたし、その地方の言葉に取り組む決意をさらにもう一回川口会長にお伺いしたいということでございます。
  135. 川口幹夫

    川口参考人 この前も国語学者の何人かと話をしたのですが、方言というものに対して今までと全く違った取り組み方、それから評価というものが出てきたということを言っております。それは、私どもが放送というものをやっていてもやはり実感をするわけです。  私は、昭和二十五年に入ったんですけれども、その間に、やはり三十年代までは明らかに方言べっ視といいますか、標準語と当時称していました今の共通語を大事にしよう、それを全国に普及しようということが全般的な動向であったと思います。それがある時期から各地の文化を大事にしよう、特に言葉を大事にしようというふうになってきまして、方言を大胆に取り入れるドラマをやろうというふうなことが前提になって、幾つかの名作も生まれました。恐らくこの勢いは今後ともさらに強くなっていくだろうと思います。  それは、やはり土地土地に住んでいらっしゃる方々の生活の問題、感情の問題、それから生き方の問題、そういうものに全部関連してくるわけでして、それが地域文化を生み、そして地域の生活を生み、それが集まって日本といういい形になるのではないか、そういうことだろうと思うのです。私は、今後ともNHKについては特段にその地域の文化、特に言葉を大事にするような方向をとっていくことをお約束申し上げます。
  136. 河村たかし

    ○河村(た)委員 ありがとうございます。薩摩っぽということでございますので、言葉は言霊ということでございまして、やはり言葉というのは自分だけではなくて自分のおやじ、おふくろ、おじいちゃん、おばあちゃんと脈々と受け継がれた人間そのものなんです。ですから、中央に対する地方というのではなくて、地方の国語という感じですね。そういう気持ちでぜひ大いにやっていただきたい、こういうふうに思っております。  最後に、私も議員になりまして思ったのですけれども、本当にマスコミの影響力というのはどえらけねえものだなということです。今回の、新進党が本当に苦しみながら、みんな涙を流しながら第一委員室の前に座っておるということでございますけれども、やむにやまれぬ気持ちです。そういうことに対して、あるジャーナリストがちょっと言うと何千万人の人が一遍に聞いてしまうということなので、どうやったら巨大マスコミに対してそれをチェックというか、コントロールできるのだろうか。  議員は議員で頑張らなければいかぬのです。だけれども、僕たちの口は一つしかありませんから、非常に悲しい思いをしているのですけれども、やはりジャーナリズムをどういうふうに、チェックという言い方はおかしいけれども、自由にやってもらう領域も非常に大きいですから、どうやったらそこのバランスがとれるようにやっていけるのか。せっかく郵政大臣になられたのですから、これは一番大きい問題だと思いますので、ひとつ大臣、自分の言葉で自分の哲学をしゃべってください。
  137. 日野市朗

    日野国務大臣 先生がマスコミに対して不満の思いをお持ちになる、それを我々はもう何十年も実はやってきたのでございます。先ほどからのお話で、放送討論会などにおける時間の配分とか、それから何人を出席させるかというような問題なども出てまいりましたけれども、私どもも野党時代が長うございますから、その間ずっと先生と同じような思いを持って、恐らくまた自民党から言わせれば、自民党にも一家言あると思うのでございます。  結局、私は、マスコミについては一応放送法番組基準、こういうものをつくっているわけでございまして、それをさらにどのように運用していくかということについては、我々の方もいろいろな注文をつける、それから放送事業者の方もいろいろな良識のもとでやっていく、そういうことであろうというふうに私は思っているのです。  これはもうだれでも放送に対して不平、不満のない人はおりません。私もここでにこにこ笑いながら聞いておりますけれども、しかし同じ思いをだれでも持つ。特に政治家であったらだれでも持つだろうというふうに思います。あとは良識の問題、その分野に入っていくのかな、こう思います。
  138. 河村たかし

    ○河村(た)委員 もう最後にしますけれども、一ついい提案をさせていただきます、文句ばかり言っておってはしようがないので。  NHKさんはぜひ教育テレビの中で、政党からのアクセス時間というのですか、アクセスタイムですね、チャンネルまでつくると大変ですから。それではどういうふうに割り当てたらいいか。一つの、政党助成法の今のくくりのようなものがありますね、ああいうふうな、何分とか、それで堂々としゃべらせる。こういうのをひとつぜひつくってください。  今、無党派なんてとんでもないことを言いますけれども、国民はもっと政治を本当に知りたがっているわけです。だけれども、しゃべる人が一部のキャスターしかいないんです。テレビに私たちがもっとどんどん出てしゃべる時間を、アクセスチャンネルまでは苦しいと思うから、NHKの教育テレビでぜひ何分かきちっととって、ではどういう思いで私たちは第一委員室の前でああいう行動をしているのだろうかということを言えるところをやはりまず、そればかりに限りませんけれどもね、そういう時間をぜひNHKにとっていただきたいということをちょっと最後にお願いというか質問ですけれども、お願いします。
  139. 川口幹夫

    川口参考人 真剣に検討させていただきます。
  140. 河村たかし

    ○河村(た)委員 そうですか。大臣も一言どうですか。
  141. 日野市朗

    日野国務大臣 これは大臣が決めるべきことではないのでございましょう。やはり各放送事業者がそれはお考えになること。そして、その際にきちっとした良識を持って、またこの現在の政治的な無関心層と言われる、政党支持なし層と言ってもいいでしょうか、そういう人たちがちゃんと自分たちもそれにアプローチをできるというような方法も必要かと思います。私、見ておりまして、いろいろな放送が流されると、これは一方的な放送の機関の意見ということになりますね。反論権とか応答権というようなものに対する意識がもっと高まっていいのではないかと私は思います。
  142. 河村たかし

    ○河村(た)委員 前向きな意見をいただきまして、ぜひこういった放送という、武器と言ってはなんですけれども、こういうメディアをもっと社会の人たちが有効に使って、無党派じゃないですよ、本当にみんな知りたがっているのだから、そういうのに知るチャンスを与えるように、そういうようにしていただきたいと思います。  終わります。
  143. 中川昭一

    中川委員長 高木陽介君。
  144. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 新進党の高木陽介でございます。  以前、この逓信委員会受信料のことでいろいろとお伺いしたことがございました。そのときに、特に、受信料を払っている人、払ってない人、いわゆる正直者がばかを見るような形にはしないでもらいたい、こういった意見を言わせていただきました。そんな中で、現在のその受信料、契約してない人、いわゆる払ってない人ですね、受像機を持ちながら、テレビを持ちながら、それが今一体どれぐらいの数、何%ぐらいになっているのか、それをちょっとお伺いしたいと思います。
  145. 菅野洋史

    ○菅野参考人 お答え申し上げます。  テレビを設置しておられてそして受信契約をしていない、いわゆる私どもでは未契約世帯というふうに呼んでおるわけでございますけれども、これは推定でございますが、平成八年三月末でおよそ四百七十四万と見込んでおります。テレビ所有推定世帯に対する契約率として八七%というふうに考えております。
  146. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 NHKの方もその払ってない方々に対していろいろなアプローチをされて、いろいろと努力をされているとは思うのです。  そんな中で、ちょっと最近新聞でも報道もされましたけれども、昨年の沖縄の少女暴行事件以来日米地位協定の問題がかなりクローズアップをされて、特に代理署名、きょう判決するということで、そんな中で、在日米軍の基地内、これは、テレビはあるんですけれども払ってないという、ここら辺のところを、その現状はどのようになっているのか、これをお伺いしたいと思います。
  147. 菅野洋史

    ○菅野参考人 現在、基地内にはNHK受信契約はございません。
  148. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 聞くところによると、一九七八年から、基地の方に請求をしたいということで、立ち入りをしたいだとかいろいろと要求、請求をされているというふうに聞いておりますけれども、七八年以前、それまではほったらかしにしていたのかどうか、なぜ七八年からそうなったのか、そこら辺のところをお伺いしておきます。
  149. 菅野洋史

    ○菅野参考人 一九七八年以前にも米軍に対して請求というか受信契約のお願いということはやっておりまして、一九七八年以降変更したということではございません。例えば、昭和三十五年には業務局長名で米海軍横須賀基地司令部法務部というところに文書を差し上げたりというようなことはございます。
  150. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 そういった中で、これも推定だとは思うのですけれども、新聞記事等によりますと、十八年間で十六億円拒否してきた、こういった実態がございます。これはいろいろな問題が含まれていて、例えば日米地位協定第十三条第一項「合衆国軍隊は、合衆国軍隊が日本国において保有し、使用し、又は移転する財産について租税又は類似の公課を課されない。」、まあ税金みたいなものだということで払わないというのが向こうの言い分だというふうに聞いておりますけれども、一方、放送法第三十二条には「協会放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」、二つの法律が相反するというか、ここら辺の状況について、まず郵政省の方、どのようにお考えになっているのか、またはその対応についてお伺いしたいと思います。
  151. 楠田修司

    楠田政府委員 本件については先生指摘のように、米軍、米側と日本側の解釈が若干違っているわけでありますが、これはあくまでも国内問題でありますから、かつて国会でも法制局等から答弁していただいておりますように、米側に支払い義務があるものと考えております。ただ、このような形で昭和五十三年以来事実上何回か交渉いたしましたが、解決に至っておりません。  そういうことで、先般、外務省を通じまして米側に改めて日米合同委員会の分科委員会等での話し合いの申し入れを行ったところでございまして、そうした中で、米側からの意向もありまして今後話し合うということになろうかと思いますが、いずれにしましても、この問題につきまして何らかの解決を図る必要があるというふうには考えております。
  152. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 今、局長の方から、外務省を通じてというと、外務省の方、来られておると思うのですけれども、とにかく外務省がその窓口になるわけですから、ここら辺のところでどのようなやりとりがあって、どういうような状況になっているのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  153. 梅本和義

    ○梅本説明員 在日米軍の受信料問題につきましては、ただいま郵政省の方からも御答弁ありましたように、地位協定第十三条の問題が関係しておるわけでございます。これにつきましては、昭和五十三年当時に逓信委員会でも法制局の方から御答弁がありましたけれども、米軍の構成員である個々の軍人あるいはその家族については我が国の国内法令の適用を受けるのだということでございまして、放送法に従って、放送法第三十二条に言う受信設備を設置した場合にはNHKとの間で受信契約を結ぶ義務が生ずるのだというのが日本側の考え方でございます。  アメリカ側は、これはアメリカ側と昭和五十三年以来いろいろ話をしてきているわけでございますけれども、もちろん地位協定で免除を決めておるところの租税というのは、日本の国内法令上で言うところの租税には必ずしも限らないので、その性格等から見て、まあ米軍の人たちから見れば、これはなかなか日本語もわからないし、テレビもなかなか見ておらないとか、あるいはこういう制度がアメリカにないとかいろいろな理由があるわけでございますが、これはやはり免除をされるべき地位協定で言うところの租税に当たるのではないかということで、実は解釈が違っておるわけでございます。そこで、私ども、昭和五十三年以来、郵政省あるいはNHKの方と御相談をいたしまして、今のような問題について何とか解決をしたいということで話し合ってきておるわけでございますが、今日に至るまで解決をしておらないということでございます。  そこで今回、郵政省それからNHKとも御相談をさせていただきまして、ことしの一月に、外務省、郵政省NHKの実務当局、実務レベルと在日米軍それから大使館との間で会合いたしまして、特にNHK受信料というものがどういう性格、内容のものであるかということをまず中心によく説明をいたしまして、その上でこの問題の解決を図りたいということを申し出たわけでございます。アメリカの方からは、日本側の説明を聞いたので、それを持ち帰り検討したいということでございます。  この問題については、長い経緯もございまして、簡単に解決できるかどうかわかりませんけれども、私ども、粘り強く、特に日本の制度をよく説明をして、何らかの解決を図りたいというふうに思っているところでございます。
  154. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 外務省も努力されているのでしょうけれども、要は、こちらの言い分が向こうに通じていないということなわけですよね。それを今後ともしっかりやってもらわないと、ある意味でいうと、一番最初に申し上げました、正直者がばかを見る、こういう世の中になってまいりますし、特に、今話題というか大きな問題となっている住専の問題も、結局はその正直者がばかを見るという、ここら辺のところで有権者、国民が怒っているという部分があると思うわけですね。だから、そこら辺のところをしっかりとやっていただきたいと思います。  続きまして、長野五輪について質問をさせていただきたいのです。  先ほどもほかの委員の方からもちょっとありましたけれども、放映権料、これはアトランタのときもかなり巨額になったということで、もう天井知らずというか、どんどん上がっていく中で、今回も、長野五輪については、当初二千万ドル、二十一億円前後を想定していながら、結果的にはその倍になる三千七百五十万ドルぐらいになっていったという、ここら辺のところの経緯をちょっと御説明いただきたいと思います。
  155. 齊藤曉

    ○齊藤参考人 当初二千万ドルというふうに私ども考えましたのは、前回のリレハンメルのケースがトータルで千二百七十万ドル、そうしますと、常識的にはそれの二割増しから三割増し、日本国内開催だということを含めても五割増し程度が常識的な線だろうというふうに思いまして、我々は、少なくとも最大限二千万ドルがリミットであるというところから交渉をスタートいたしました。  しかしながら、EBUが前回の三倍近い契約をしているということ、それから長野オリンピックの組織委員会そのものが非常に財政難であるというようなことを含めて、私どもの二千万ドルに対して、そういう背景の中で、組織委員会側から八千万ドルという高額な提示がございました。これを約一カ月半かけて両者の話し合いを継続した中で、今先生がお話しになったような数字に落ちついたということでございます。  最終的な数字に関しましては、前回、トータルで千二百七十万ドル、これの倍額で大体二千五百万ドル前後、これに、日本国内開催であるということで、特別協力金という形で千二百万ドルプラスいたしました。結果、トータル三千七百五十万ドルとなりましたけれども、この千二百万ドルに関しましては、今回の特別金ということで、次回からの交渉にははね返らない数字というふうに私どもは考えておりまして、そういった中で、三千七百五十万ドルでお互いに合意をしたということになりました。
  156. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 次のオリンピック、またその次のオリンピックとなりますと、またどんどん上がっていくんじゃないかな、こういう不安ですね、結局私たち視聴者の払っている受信料にまたはね返ってくるという可能性もありますから。  では、どうしたらいいのか。とにかく放映権を向こうからとらなければいけないわけです。ところが、さっきもちょっとお話がありましたけれども、アメリカだとかヨーロッパ等々が三倍の値をつけてしまうわけですね。日本最後に残って、それに準じて上がっていかなければいけない。アメリカだとかヨーロッパの方にしても、やはりなるべく落としたい、下げたいと思っているわけですよね。そこら辺のところで、これから、次のオリンピックの放映権料なんかのときに、もっと連携をとりながら、売り手と買い手ですから、向こうの言い値だけでどっといくんじゃなくて、こっちもちゃんと連携をとって世界各国共通に値を下げていく、こういったことを検討されたらどうかな。  これは御提案なんです。やっておられる部分もあると思うのですけれども、そうやっていろいろな形で努力していかないと、このまま本当に膨大な放映権料になっていくということで、これは御検討願いたいなと思います。これは答弁は要りません。  もう時間もありませんので、最後に、これも自分自身、毎回、逓信委員会、特にNHK予算審議等でいろいろと意見を述べさせていただいているのですが、きょうずっと各委員から出ました政治的公平という考え方ですね。その中で、ジャーナリズムのあり方、特にマスコミ、マスメディア、放送業界の中で、なかなか難しいなとは思うのですけれども、客観報道というのはいかにあるべきか。  よく客観報道、客観報道と言いますけれども、私もマスコミ出身の人間として、客観報道はあり得ない、こういうふうに自分自身はとらえています。なぜそうなのかというと、例えばNHK報道の方、いろいろと、カメラを回される方、または取材をされる方も実感されていると思うのですけれども、例えば十取材したときに、十そのまま全部報道しません。その中の一だとか二だとか取り上げて、でもそれは事実です。ところが、その一か二を取り上げる、どの視点からとらえるのかというところにもう主観が入っているわけですね。というところで、純然たる客観報道というのはないというふうに思うのです。  そんな中で、では政治的公平というふうな重荷を背負った場合にどういうふうに対応していくのか。会長、これはどういうふうに考えられているのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  157. 川口幹夫

    川口参考人 確かに、何が不偏不党なのか、何が客観報道なのか、そのけじめをつけるのは非常に難しゅうございます。実際上、計量するわけにもいかないし、どこまでいったらそれが公平なのか、どこまでいったらそれが不公平になるのか、そのけじめのところは物すごく難しいのですね。私ども、年じゅうそのことと闘っていると言ってもいいぐらいです。  私は、こう考えております。客観報道とは何か。それは、我々取材者が、あるいは表現者が、放送の立場にある者が、できるだけ客観的であろうとすることだ。公平とは何か。それは、我々がそういう立場に立ったときに、できるだけ公平であろうとする、そのことだというふうにも言っておりますけれども、結局そういうところがよりどころにならざるを得ないというのが私ども実感としてあります。  ただし、これを計量的に、どこからどこまでが公平でどこまでが公平でないというようなことをやるのは、実際にはできません。したがって、それぞれの報道者、報道する中の人間が、ふだんからそのことについては、できる限り公正であろう、不偏不党であろうとする努力を続ける、そういうことだと思います。
  158. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 今会長がおっしゃられたこと、絶えず問いかけを、会長御自身がやられるという以上にやはり現場の記者の方も含めてやっていただきたいとともに、そういったことを、NHKだけじゃなくて、本当に放送関係に携わる方に考えていただきたいな、そのことを申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。
  159. 中川昭一

    中川委員長 田中昭一君。
  160. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 社民党の田中でございます。  私は、極めて短い時間ですから、基本的問題に絞りまして私の考え方を申し上げて御同意を得たい、こう思っております。  先ほどNHK番組はよ過ぎるという御報告もございまして、よ過ぎるわけで、余り言う必要もないのかなという気も実はするわけですが、放送法三条とか七条にも明記をいたしておりますし、今回のNHK平成八年度の事業計画でも「事業運営にあたっては、公正な報道と多様で質の高い放送番組提供」を行うということが明示されております。それからまた「公共放送の使命に徹し、公正な報道及び先見性と創造性のある多様で質の高い放送番組提供に努める。」こういうのがございます。これは私は前文にしてはいけないのではないかと思うのですね。このことを名実ともにそのとおりしてもらわなければいけない。これが公共放送、特にNHKの使命である、私はそう思っております。  最近、本屋に行きましても、あるいは新聞の投書などを見ましても、国を憂う、そういう発言が非常に多いと私は思っております。確かに、我が国の将来はどうなるのかという問題が、政治の場合でも行政の場合でも、あるいは今日住専で議論されておりますように、金融とか財政の問題でも、やはり将来にわたっての国民の皆さん方のいろいろなお考え方が出ているのではないかな、こう思います。また、犯罪などにいたしましても、特に若年層の犯罪が、昔のギャング映画みないな異常な犯罪が多発をしているという、こういうような問題もたくさんございます。  確かに我が国は高度に発展をしてきておりますけれども、物質文明の点では大きく発展をしていますが、精神文明の面ではやはり問題点があるのではないかということを今私どもは真剣に考えなければいけないのじゃないか。特に人間の情操であるとか感性とか、そういう問題について、豊かな感性をいかに育て上げていくのか、こういう点をやはり私どもは真剣に考えなければならないのじゃないか、こう私は思います。  その一つは教育の問題がございまして、きょうはこのことについて触れるつもりはございませんが、私は、この中でメディア、特に放送テレビ役割というのは極めて大きいのではないかな、こう思います。したがって、国の将来とか国の未来にかけて、私は、やはりNHKを中心とする放送メディアテレビなどの番組の作成というものについては情熱を傾けることが極めて必要ではないかな、こういうふうに思っております。  私は、やはりテレビというのは、すばらしい感動と喜びを視聴者に与える、夢と希望を与える、それから埋もれた歴史を掘り返していく、そして正しい歴史を正しく伝えていく、そういう任務があると思います。それから権力の腐敗とか堕落に対して、社会正義の立場からこれに対してメスを入れていく、こういう務めも非常に重要ではないか、こう思います。それから命のとうとさ、世界各国でたくさん戦争が起きておりますけれども、平和のありがたさとか戦争の無残さとか、こんなことをやはり訴えていく。こういうものがなければ私は基本的なテレビ役割は果たせないのじゃないかな、こう思っています。  そういう意味では、先ほどからもいろいろ御意見がございましたように、今回の「大地の子」などというのは、人の心に訴えるものが私はあったと思いますし、戦争というものあるいはヒューマニズムというもの、それから人間が難しい場面に立った場合にどういう理性というものを、感性を上回らせていくかという問題などの提起があったと思います。  私は、地元で水俣病という問題に長年取り組んできました。四十年前の問題がようやく昨年末に一定の結論が出ました。三十年前、四十年前といいますと、極めて重要な問題が風化しているわけですね。ところが、NHKで三十年前、四十年前の水俣病発生の時期にさかのぼっていろいろ問題提起をしていただいた、このことによって、私は、この問題の解決に大きく寄与したのではないかな、こういうふうに思っておりまして、そういう意味では高く高く評価をするところがたくさんあると思いますし、今申し上げましたようなことについて改めて今後NHKは最大の努力をしていくことが必要ではないかな、こういうふうに思います。  川口会長も、ちょっと日にちは忘れましたけれども、産経新聞で「メディアこの先」という対談をされております。この中で、新しいメディアにとってかえられないためにはエネルギーを燃やし続けなくてはいけない、問題はやる気だ、使命感や情熱、創造性が現場に沸き起こってくれば視聴者にとって不満足なものにはならない、そういう発言がございました。私は同感でございますが、時間もございませんが、今申し上げましたような立場から、私は、会長として、今後番組編成に当たっての基本的な考え方とか、特にNHKとして力を入れていきたい、こういう点についてまたひとつお聞きをしたいと思います。
  161. 川口幹夫

    川口参考人 先生、今水俣病のことをおっしゃいましたが、私も隣の県の出身でありますので、水俣病が発生したときの胸の痛さというのを覚えております。そのころNHKテレビは、水俣に奇病が発生した、どういう病気だろうということで詳しいレポートをやりました。それが二、三十年たってもなお新鮮に見えるというところがございます。  私どもは、やはり真実の探求には、それに匹敵する情熱を注がなければいけない、それに匹敵する努力をしなければいけないというふうに思っていまして、そういう積み重ねが番組として非常に多くの方々に感動あるいは大きな刺激を与える、そういう番組になり得るのではないかと思っております。  今御指摘の今後のNHKのとる方向ですが、何遍も私言っておりますけれども、三つの「た」が必要だというふうにいつも言っております。  一つは、頼りになるNHKでなければいけない。それには報道の姿勢とかやり方とか、それから、出した結果だとかというふうなものがやはり視聴者の御納得をいただけるものでなければいけない、そういう頼りになる存在としてのNHKをつくりたい。  それからもう一つの「た」は、ためになるNHKであってほしい。これは教育の問題を主にして申し上げますが、やはり国民をいかに育てるか。というのは、子供の教育がやはり大事です。そしていわゆる公民としての、ちょっと言葉が古いかな、公民としてのあり方という立場から一般人たちにもいろいろなことをやはり考えてもらわなければいけないと思うのです。それがつまりためになる番組ということになろうかと思います。  もう一つの「た」は、楽しめる番組ということでございまして、やはりテレビというのは、見たときにある種の潤いあるいは感動というものを感じなければいけないので、例えば娯楽の番組、スポーツの番組というのはそれに当たると思うのですが、そういう三つの要素をきちんと提供し続ける、そういう調和のとれた編成こそNHKが目指すべきものであろうかというふうに思っております。
  162. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 時間がございませんので、そういう立場でさらに努力をされていただきたいと思います。  それからもう一つ、先ほど昼のニュースで、例のオウム真理教、TBSと早川メモの関係につきまして社長の会見がございまして、今までのことと違いまして、それを全面的に認めたという報道がございました。先般、国会にも大川常務が来られまして否定をされた発言などもいたしておりますし、その後、国会なんというのはちょろいものだなどという発言があったとかないとかという話も聞いているわけですが、今回、この問題について全面的に社長がこれを認めた、こういう状況でございます。  これは、放送倫理の問題を含めましていろいろ、極めて大きな問題で、今後徹底的な真相解明、議論が必要だと思いますが、これらの問題について、今日の社長見解を受けまして大臣はいかがお考えですか、どういう対応を今後しようと思っておられるのか、お聞きをしたいと思います。
  163. 日野市朗

    日野国務大臣 既に郵政省としてもいろいろ調査活動を行ってきたところでございますし、きょうの昼の会見、それからそれに先立つ会見、それからそれに伴ってのいろいろなTBSの内部における担当者に対する処分、今メモがいろいろ回ってまいりまして、一応私の方も承知をしたところでございますが、きょうの会見の内容をさらに我々としても重大なものとして受けとめ、そしてTBSから担当者においでをいただいて、その事実関係の把握というのは、これは厳しくやってまいりたいというふうに考えております。  さらに、郵政省としては、これは監督官庁でございますから、事実を調べるについてはきちんとした証拠、それからきちんとした事実関係の掌握のもとに、どのような法的な問題が発生してくるのかということは、我々の方でないがしろにすることなくこれを調べてまいりたいというふうに考えております。そのことを申し上げておきたい。
  164. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 このオウムの問題というのは大変な大事件でございまして、国民の皆さん方も注視をしているわけですから、きちんとした対応、指導をされますようにお願いを申し上げまして、終わりたいと思います。ありがとうございました。
  165. 中川昭一

    中川委員長 横光克彦君。
  166. 横光克彦

    ○横光委員 私もまず冒頭に、このTBSの問題、これは放送の倫理という観点から、また国民生活にとりましても大変大きな問題でございますし、本委員会で真相を究明するために当事者の方々のお話を聞く場をぜひつくっていただきたく、まず委員長に御要望いたします。  私、きょうお尋ねしたいことは労災、つまり労働者災害補償保険法ですね。ここは労働委員会ではございませんが、実はNHKにも関連する問題でございますので、このことをちょっと御意見をお聞かせ願えればと思っております。  NHKは今ドラマ部門で非常に活気があるのではないか、このように私は受けとめております。大河ドラマも、「秀吉」、大変好評でございます。久々の大ヒットではないでしょうか。そしてまた、「新銀河」あるいは「土曜ドラマ」ですね、質の高いものを放送されている。そしてまた、各委員からお話がございましたように、「大地の子」、これもまさに十年に一度の名作ではないか、このように私は受けとめております。  やはり、ドラマができ上がるまでには、原作あるいは脚本、プロデューサー、ディレクター、俳優、そして技術スタッフ、それぞれが一体となって協調した結果、質のいい、あのような、「大地の子」のように多くの人たちに感銘を与えるようなドラマができ上がるわけです。その中で私は、きょうは俳優という部門、ここを取り上げさせていただきたい。  ドラマにおいて、俳優というのはもちろん非常に重要な存在でございます。ドラマづくりというのは、言わずもがなですが、スタジオの収録とそしてまた屋外でのロケーションの撮影がございます。スタジオの収録はともかく、屋外での撮影になりますと非常にいろいろな条件、いわば過酷な条件のもとに、非常に厳しい、危険なシーンを撮影することが多くあるわけでございます。立ち回りやあるいは格闘のシーン、そしてまた乗馬のシーンあるいは爆破のシーン、カーチェイスのシーン、いろいろあるわけですね。そういったものがそれぞれのドラマの内容を充実させ、そしてまた盛り上げるために非常に大事なわけです。  ところが、結局俳優がそれを実演するわけですね。ですから、不幸にして、そういった危険なシーンを撮影するときに事故が起きたり、あるいは不慮の災害が起きたりすることが多くあります。これまでもなくさんありました。しかし、現実は、その事故の結果、労働者災害補償保険法の対象になる人とならない人という実態があるわけです。  NHKドラマを制作する場合、芸能実演家、いわゆる俳優や歌手、そういう人たちと雇用契約を結ぶ、あるいは技術スタッフともいろいろ雇用契約を結ぶこともあるでしょう。そういった中でNHKでの労災のシステムがどのようになっているのか。普通は、通年、いわゆる一年間を通じてどれだけの人員でどのような事業をやるのだ、その想定のもとに暫定的な労災保険をまず支払う、そしてその年度が終わると、次年度になるとその結果どれくらいの人員を使ってこういった事業をやったんだという算定を新たにし直して労災保険を払っているのではないか、こういうのが普通なんですが、NHKの労災システムの現状をちょっと御説明ください。     〔委員長退席、斉藤(斗)委員長代理着席〕
  167. 河野尚行

    ○河野参考人 NHKの労災システムについて御説明します。  NHKの労災補償制度は国の労災保険法の趣旨に基づきまして運用しておりまして、労災が適用される労働者は、協会と雇用関係のある職員、嘱託等でありまして、出演者の方々への適用については、現在その対象になっておりません。それで、今労働省が研究会等で、俳優が労働者であるかどうかといった労災適用の可否について検討を行っておりますが、どのような結論が出されるのか見守っているというところでございます。  ただ、いずれにしましても、NHKの職員並びに出演者が事故に遭ってはならないことでありまして、番組制作現場の安全基準等をつくって事故のないように徹底しておりますし、また日本俳優協会等とNHKとの団体協約の中にも安全管理については確認し合っておるのが現状でございます。
  168. 横光克彦

    ○横光委員 NHKドラマを制作する場合でも、現在、俳優と雇用関係を結んでいながら労災の対象にはないというお話でございます。これはNHKだけではございません。現在、ほとんどの制作会社がこのような形でございます。これまで、原則的に芸能関係者は労災保険の給付対象から外されてきました。つまり、労働基準法第九条に規定されておりますところの、労働者とは「事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。」この規定に合わないということなんです。  芸能関係者が労働者に当たるか否かの判断は確かに非常に難しいと思います。芸能実演家は、仕事によっては労働現場の労働者と違うかもしれません。また、ノーランクと言われるように、著しく報酬の高い俳優を果たして労働者と認めることができるのか。むしろ、そういった人たちは労働者というより事業者の方の性格が強いのではなかろうか。いろいろな問題があるわけですね。  しかし、私、先ほど言いましたように、実態を見てこの問題は考えなきゃならない。今お話がございましたように、労働省で今非常に前向きにこの問題に取り組んでいただいております。テレビや映画の撮影あるいは舞台への出演で、スタッフの皆さんと同じような現場で、同じような条件のもとで同じ仕事をしていながら、もし不幸にもそういった事故が起きた場合、その制作会社の職員は労災対応になるのですが、同じような仕事をしていながら、俳優とかあるいは契約したスタッフの人たちは労災の給付対象から外されるわけですね。これが実態でございます。  八年ほど前ですが、長野県であるテレビ番組の撮影中に起きた事故で、スタッフ一人が死亡して、俳優ら六人が重軽傷を負ったという大変な事故がございました。このときも、民放の職員だったディレクターだけに労災保険が適用されたが、死亡したスタッフを初め俳優の人たちは労災の対象にはならなかったことがあるのです。こういった問題がいっぱいあるのですね。  そういった現実を改善するために、今お話がございましたように、日俳連や芸団協が中心になって労働省と長い間の粘り強い交渉、そしてまたヒアリング等を含めた交渉の結果、非常にいい形になりつつあるわけです。きょう記者会見があるとは聞いているのですが、まだ私は内容ははっきりわかりません。しかし、かなり労働者の判定基準が門戸が広められる可能性がある。そうしますと、結局、判断基準に照らして、労働者と認められれば労災の保険の給付に俳優やスタッフの人たちもなれるわけで、非常にいい形になる、そう思っているわけです。  そういった中で、これからもしそういった判断基準がある意味で広げられるというか、俳優等が労働者と認められるという条件がそろえば、ドラマをつくる場合の雇用関係のときに、民放の会社や映画の会社あるいは各制作会社と雇用関係を結ぶときと同時に労災の申請が始まると思うのです。そうした場合、私は、NHKはやはり公共放送ですし、こういったドラマというものが、より質のいいドラマをつくるためにも、こういった俳優の労働条件を改善していくためにも、ぜひともほかの会社に率先して、あるいは模範となるべき形で積極的にこの問題に取り組んでいただきたいと思うわけですが、そこのところの御意見を、会長、ちょっとお願いします。
  169. 川口幹夫

    川口参考人 私も現場の部長をやったりCPをやったりしましたので、いわゆる現場における災害予防、それからもし起こったときはどうするかということについては、人一倍気を使ってきました。今もその気持ちはちっとも変わりませんで、やはり放送というものは人によってでき上がるものだということからいえば、人が働くときにどのような対応をしなければいけないかということは一番大事であります。まだ条件的にはいろいろ問題がありますので、これについては前向きに、いろいろな関係部署と折衝して、少なくとも安心して働いていただける職場であるようにしたいと思います。
  170. 横光克彦

    ○横光委員 どうもありがとうございます。  本当に安心して仕事ができることがよりよいドラマにつながると思います。危険なシーンのときそういった対応策があれば、人間というのは不思議なもので、そういったシーンに挑むときに、筋肉が非常に緊張するのと弛緩するのと違うのです。そのことによって、こういったことが広がれば、私は事故の数そのものが減ると思うのです。どうかそういった形で、第二の「大地の子」のようなすばらしいドラマをつくるためにも前向きに取り組んでいただきますことを心から要望いたしまして、終わります。どうもありがとうございました。
  171. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員長代理 以上をもちまして、横光君の質疑を終わります。  矢島恒夫君。
  172. 矢島恒夫

    ○矢島委員 提出されておりますNHKの来年度予算、二年連続赤字予算となるわけです。ただ、今年度の場合には、阪神・淡路大震災の被災者への受信料の減免措置だとかあるいは復興経費等、予想できなかった経費がふえて赤字予算、こういうふうになったわけですが、そういう意味からしますと、来年度は本格的な赤字予算の出発かなと思うわけです。  そこで、まず受信料の値上げという問題で先ほど質問がございました。それに対しまして、会長平成九年度は受信料は値上げしない、平成十年度はそのときになってみないとわからない部分もあるが、よっぽどのことがなければ値上げしない、こういうお答えだったかと思います。しかし、来年四月からは消費税の税率アップというのが予定されているわけで、これは、実は昨年も私お聞きしたのですが、余りはっきりしたお答えがいただけなかったわけですけれども、九七年度、平成九年度は値上げしない、こうおっしゃられるわけです。ということは、消費税が税率アップをしてもその分は転嫁しない、こういうことになるかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  173. 川口幹夫

    川口参考人 そのとおりでございます。
  174. 矢島恒夫

    ○矢島委員 そのとおりということでございますね。  確かに、消費税というのが値上げされて転嫁されますと、実際に消費者あるいは視聴者にとりましては、やはり値上げたと受け取らざるを得ない。あれは国で決めたことだから違うんだ、そういうことで実際に上げないということになれば、料金値上げいたしませんということの中に、消費税のたとえ税率がアップしても転嫁しないのだということになれば、やはり国民、消費者の方は、なるほど約束どおりだな、こう非常に安心できるのじゃないかと思います。ぜひそういうことでやっていっていただきたい、このように思うわけです。確かに来年の消費税率アップの問題につきましては、公共料金の中でも、必ずしも転嫁しない、こういう方向で今検討されている部分もありますから、導入時と違って、必ずしも転嫁するという方向ですべてが進んでいるわけではないと思いますので、ぜひそういう方向でお願いしたいと思います。     〔斉藤(斗)委員長代理退席、委員長着席〕
  175. 川口幹夫

    川口参考人 消費税の問題をNHK受信料の値上げに直結するかというふうなことで私は今お聞きしたので、それはありませんというふうに申し上げた。それで、受信料の中の消費税の値上げ分についての加算の分はせざるを得ないというのが財政の立場でございますので……。
  176. 矢島恒夫

    ○矢島委員 どうも私、聞き違いかなと思ったのですが、はっきりと会長おっしゃられたので、ああ、これはよかったなということで次の質問に入ろうと思ったのですが、今訂正されましたので、さらにお聞きしたいのですが、先ほど私ちょっと申しましたように、消費税分を転嫁するということは、消費者や視聴者にとっては、やはり値上げたなというふうに受け取るわけです。これはもちろんNHKの責任じゃないわけですよ。だから値上げしたというわけじゃないのですけれども、これは一般の商店もそうですね。商品に消費税を転嫁しますと、お客様は買いに来て、ああ、これは上がったの、こうなるわけですから。そういう意味からすれば、恐らく二十円とか三十円というような額かと思いますけれども、消費者にとってはやはり転嫁されれば値上げと受け取るわけなので、先ほど来会長が、平成九年度値上げしないとおっしゃられているわけですが、そういう言い方だと、どうも消費者の方にとっては、上がったときに、裏切られたな、こう感じざるを得なくなりますので、少なくとも例えば消費税の税率アップ分の値上げにとどめるというような言い方の方が適当ではないかと私思うわけですが、その辺はいかがですか。
  177. 川口幹夫

    川口参考人 受信者の方々に納得していただける表現方法を考えなければいけないと思っております。実際上、それはいわゆる通常の値上げの概念に当てはまらないものではないかと私は思っていますが、そうとすれば、やはりお払いいただく受信者の方々にもそのことはきちんとわかっていただきたい、そのような方法を何とか講じたいと思っております。
  178. 矢島恒夫

    ○矢島委員 通常の値上げとは違うという点は私も先ほど申し上げたとおりなんです。しかし、消費者にとってみれば、値上げかな、値が上がったんだな、受信料上がったんだな、こういう結果が来るわけですね。同時に、放送法の第三十七条の四項ですか、この規定によっても、もし転嫁して上乗せすれば、月額受信料というものについての承認国会に受けるということになるわけですから、結果的には、やはり見方によっては、値上げした、こういうふうに消費者が見るのも当然かと思うのです。言いますよ、商店の皆さんや何かが、これは消費税分ですよ、これは値上げの分じゃありません、いろいろ言いますが、それはわかるのですよ。しかし、実際に支払う者にとっては、ああ、やはり上がったんだ、こういう感覚があるから、値上げしない、値上げしないの一辺倒ではどうも問題じゃないか。同時に、今度の消費税の値上げというのは、必ずしも全部転嫁するという方向で検討されているわけじゃなくて、公共料金の中にも、転嫁するかどうか、あるいはこれは転嫁しないでいこうというような方向も出されているものもあるわけなんですね。そういう意味では、今後税率をどれくらいにするかなどという見直しもあるわけですから、ぜひこの転嫁そのものについて、より慎重に検討していただくということが必要じゃないかなと思うのですが、転嫁のことについていろいろと論議されておりますので、ぜひその辺についての会長の御意見を。
  179. 川口幹夫

    川口参考人 今、私も非常にうかつにお答えして、大変誤解を招いたことをおわびいたします。そういう御意見があるということをきちんと踏まえて対応したいと思います。ありがとうございました。
  180. 矢島恒夫

    ○矢島委員 次に、来年度予算事業支出というものを見てみますと、全体の伸びが二・五%、これは昨年度から今年度の伸びの三・九%から見ますとかなり少なくなっておりますし、実際の額でも、支出の伸びが二百十二億円から百四十二億円になりますか、圧縮されております。  赤字予算というもとでかなり抑制した予算ということが言えると思うのですが、部分的に予算が大きく伸びているのがあるのです。これは、先ほど質問がありましたハイビジョン関係の予算であります。非常に大きく伸びているわけですけれども、NHK予算の全体の中でこのハイビジョン予算が占める割合がどう変化してきたのか、その初を教えていただきたいと思います。
  181. 石渡和夫

    ○石渡参考人 ハイビジョン放送実施に要します経費の総事業支出に占めます割合につきまして、平成七年度は二・四%、平成八年度は二・八%でございます。〇・四ポイントほど八年度は増加となっておりますが、八年度につきましては、放送時間の拡大、あるいはアトランタ・オリンピック放送実施などによるものでございます。
  182. 矢島恒夫

    ○矢島委員 ハイビジョン放送については、今のところ実用試験放送の段階だと思います。これに対応する収入が特にあるわけではありませんし、先ほど会長の方からも、質問に対して、今までは抑えてきたが、より味わいがある画面、よりよい音声をという視聴者の要求も拡大している、長野オリンピックもある、それにこたえていくためにハイビジョンを基軸とする、こういうお答えがあったかと思います。  普及の現状は、現在十三万五千程度、そして八年度末には三十万台を超えるだろう、こういうお答えが先ほどありました。NHKの契約者全体がおおよそ三千五百万ですか、実際にはごく一部だということが言えると思うのです。ハイビジョンの実用試験放送を継続することに意義があるわけではありません。あくまで試験放送の段階であるという節度といいますか、予算上も守らなければならない節度があるんじゃないかな、こう思います。  そこで、ハイビジョン関連予算NHK予算全体に占める割合、七年度、八年度とお答えいただいたのですが、それ以前は大体二%ぐらいで推移しているかと思います。この割合とかあるいは伸び率というのには一定の目安があってしかるべきだと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  183. 川口幹夫

    川口参考人 これまでも、今おっしゃったように二%程度ということでやってきましたのは、総予算の中ではやはりハイビジョンにかけ過ぎてはいけないと思ったからです。  ただ、今私どもが新しいステップを踏み始めたという自覚をしておりますのは、明らかにハイビジョンに対する需要が動き出した、それでたくさんの方が、もっと例えば画面が平べったくなって壁かけになれば、そして値段がうんと安くなれば、ハイビジョンに買いかえてもいいという、そういう御意向をお示しになりました。データもいっぱいございます。  したがって、そういう時代に入ったのだから、私どもは、多少この番組自体を、現在やっている実験放送の段階から強化していく必要がある。ただ、それはやみくもにハイビジョンハイビジョンといってふやすべきものではあるまい。一種の自制が必要だというふうなことを思っていまして、現在その段階で、二・四%から二・八%へというふうなことを考えたわけです。  今後もそんなに大幅な増を考えているわけではございませんで、もう一つ、例えばハイビジョンで撮ったものを五百二十五本の現有のNTSC方式で放送する、つまりはマルチユースの形をとったり、それから機器をうんと小さくすることによって取り扱いを便利にする、そのことで制作経費を下げるとか、いろいろな努力をして、現実的にハイビジョンにかける経費がそんなにオーバーにならないようにしたいとは思っております。
  184. 矢島恒夫

    ○矢島委員 NHKの経営計画で、BS4ですか、この段階で本放送へ移行しようというような計画だとか、あるいは二十一世紀の早い時期に衛星放送二波をハイビジョンに移行させたい、あるいは先ほど来ずっと話が出ておりますが、長野オリンピックの問題ですね、この辺でいわゆる完全実用化一つの節目にしたいというような方向にあることを私は承知しているわけです。本放送になった場合の受信料をどうするかというようなことは、まだ詳細にわたってはこれからだろうと思うのですが、当分は、結局ハイビジョンを見ていない残りの多数の視聴者から受信料をいただいて、それがつぎ込まれるといいますか、こういうことになるわけだと思うのですね。ですから、新しい放送メディア実用化というのは非常に重要な課題だと私は思います。  ただ、現行の放送のサービスだとかを圧迫してしまったり、あるいは受信料の値上げというようなものの主たる要因がそこにできてしまったというようなことになると、これは本末転倒だろうと思うのですね。そういう上からも、予算上もぜひ節度を持ってやるべきだろうと思います。その点についての感想がございましたらお伺いします。
  185. 川口幹夫

    川口参考人 従来、新しいメディアが生まれるときは、古いメディアで得た収入をもって研究開発に充てるというのが一つのやり方です。例えば、テレビが新しくできるときのテレビジョンの制作費は、まずラジオから入ってくる受信料で賄った。今は、通常の番組から入ってくるものをハイビジョン開発経費に充てているというのがございます。  それはある程度やむを得ないと思うのですけれども、結果としては、新しいメディアが堂々とその存在を主張し始める、そしてそこから新しい収益が上がるというふうな形をとるべきだと思っていまして、現に衛星放送を始めるときもそのような形でいったのですが、今衛星放送が始まってから七年目になりますけれども、まだ収支とんとんになっておりません。これまでにかかった累積の赤字を差し引くまでには至っておりません。でも、間もなくそれは全部解消できるかと思います。ハイビジョンになってからも、同じように長い年月をかければ、長いといってもせいぜい十年ですけれども、そこで何らかの償いができるような形が一番望ましいと思っています。  なお、衛星放送自体が私どもの新しい試みとしてやったのですが、既に三月現在で一千万世帯の普及が見られている状況でございますので、この一千万世帯を土台にして、なるべく近い将来に衛星の波はハイビジョン化するというふうなことで、視聴者の方々には、新しいサービスの受益感というものをたっぷりと味わっていただければというふうに思っております。     〔委員長退席、古屋委員長代理着席〕
  186. 矢島恒夫

    ○矢島委員 これも先ほど来何名かの方が取り上げてきている問題ですが、いわゆる障害者向けの放送、字幕放送等についてございました。  先ほど齊藤専務の方からも、大体来年度はどう拡充していくか、二時間三十五分ふやすということだとか、あるいはその後の状況については、九年度以降ということになりますか、プロジェクトを設けて進めていくということがお答えの中にあったわけですけれども、そして同じようにお答えの中で、なぜこの教育放送の方に文字放送ができないのか、その問題のところとして、やるべきだと認識しているけれども、設備の問題あるいは多重放送免許の問題等幾つかの問題が出されました。私もこの問題を昨年質問いたしまして、会長の方からも、計画的に進めていくという趣旨の御答弁をいただきました。そういう方向でNHKが取り組まれていること、この努力を評価するものですけれども、先ほどアメリカとの比較になりましたけれども、イギリスのBBC放送も九八年には全番組の五〇%、これに字幕をつけるという方向が出されております。より一層このNHKの努力を希望するわけであります。  そこで、郵政省にお聞きするわけですけれども、いわゆる多重放送の免許の問題です。教育テレビに字幕というお話の中で、そういう難しさがあるんだというNHKの方からの答弁もあったわけですが、昨年、障害者団体やあるいは放送関係者が集まって字幕放送シンポジウムというのが開かれました。私、それへ行ってまいりました。そこで、聴覚障害児の方の忍たまに会いたいという声が紹介されたんです。教育テレビで行っておりますあの人気アニメでありますが、「忍たま乱太郎」、これをぜひ字幕をと、こういう希望が出されたわけであります。  そこで、放送免許の問題なんですけれども、文字多重放送の免許を取得するためにはいろいろ経費がかかると思うんですけれども、免許申請手数料だとかあるいは検査手数料とか電波利用料とか出ると思いますが、大体どれくらい郵政省に払い込む必要があるか教えていただきたい。
  187. 楠田修司

    楠田政府委員 ちょっと手元にどのぐらいかという細かい資料を持ち合わせておりませんので申しわけございませんが、ちなみに北海道の一つの局が文字放送をやった場合、いろいろな中継局等もございますので、一つの例でございますが、非常に広い範囲でありますが、八百万円ぐらいと、非常に高い方でございますけれどもかかっている例はございます。
  188. 矢島恒夫

    ○矢島委員 免許申請手数料、これはNHKの方からいただいた資料なんでございますが、郵政省、もしどこかおかしいということがあればあれですけれども、大体八百万円ということになりますと、全国で三千四百局ぐらいあるわけですか、そうしますと、その倍、こう掛け算していきますと相当の額になるということになりますか。
  189. 楠田修司

    楠田政府委員 先ほど申し上げましたのは、北海道全部にある中継局も含めた金額でございます。一局八百万円とは、とてもそんな額にはならないわけであります。
  190. 矢島恒夫

    ○矢島委員 いずれにいたしましても相当の額が局数によっては必要になってくるということになるわけですし、同時に、先ほども質問の中に出ておりましたが、キー局は文字を入れた放送を出すけれども、実際に地方局になっていきますと、その免許証を持っていないために、せっかくこの文字ができているのに、これを消して放送しなきゃならないというような場面もあるんだというお話が先ほどありました。いずれにいたしましても、これらは免許制度の問題、こういうことになろうかと思うんです。  それで、よくこういう論議もなされておると思うんですね。字幕放送分だけは文字多重放送の免許から切り離してテレビ放送の免許に包含してしまう、字幕放送というのはテレビ放送の補完的使用であるので、免許制度としても可能じゃないかという、こういう論議も広くあるようであります。  また、障害者からの要求も大変この面では強いわけであります。全国の中途失聴あるいは難聴者連盟、こういう人たちが字幕放送拡充を求める請願署名というのに取り組んでいらっしゃいます。既に十万を超える署名が集まっている、このように聞いております。その中の重要な要望の一つが、この免許制度を改善してもらいたいというのが入っているんですね。  現在いろいろと郵政省としては研究中かと思いますが、その辺についてわかっている範囲でお答えいただければと思います。
  191. 楠田修司

    楠田政府委員 御指摘の免許制度の問題につきましては、現在字幕放送は文字多重放送一つとしてやられているわけであります。文字多重放送の中に包含されるものでございますが、そのほか多重放送としましては、音声多重放送、データ多重放送等いろいろなものがございまして、これは全体の免許制度にかかわる問題でありまして、字幕を文字多重放送から先生指摘のように切り離すとなりますと、免許制度全体の問題になります。  しかしながら、いろいろなところで御指摘がありましたように、また、私どもの中でも、現在、視聴覚障害者向け専門放送システムに関する調査研究会というのをやっておりまして、この中でも、各障害者向けの放送充実という中で御指摘のような免許の問題も提言されております。非常に重要な問題と思っておりますので、これも含めまして、四月に報告が取りまとめられます、これも踏まえまして、字幕放送のより一層の普及充実に向けて、制度問題として取り組む可能性も含めまして、検討してまいりたいと思います。
  192. 矢島恒夫

    ○矢島委員 四月に報告がまとまる方向だということをお聞きいたしました。  そこで大臣、そういう方向で今研究が進んでいるところです。先ほど来、本委員会におきましても何回となくこの問題ではいろいろな質問が出ました。そういう意味では、その報告、改善ということで、免許制度を含めてですが、ぜひそういう面での御決意をひとつ聞かせていただいて、終わりにしたいと思います。
  193. 日野市朗

    日野国務大臣 先ほどもどなたでしたか、同趣旨の御発言がございまして、私も重くこれを受けとめてまいりたいというふうに思っておりますし、できるだけ前向きの方向でこの問題の解決に当たってまいりたいと思っております。
  194. 矢島恒夫

    ○矢島委員 終わります。
  195. 古屋圭司

    古屋委員長代理 吉岡賢治君。     〔古屋委員長代理退席、委員長着席〕
  196. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 災害の報道についてお尋ねをしたいと思っています。  昨年の一月十七日に阪神・淡路大震災が起こったわけでございますが、私は、十八日、十九日と、西宮、そして芦屋、神戸、自転車で回って、その現地の状況を見てまいりました。それだけに、生々しい災害の状況、それに符合した報道はどうであったのかということをつくづく感じさせられる、こういうことでございます。  したがいまして、私は、まずNHK公共放送として一体どうであったのかということであろうかと思いますが、懸命に御奮聞いただいて、あの壊れた局舎の中で大勢の人が寝泊まりをしながら、さらに仮設スタジオ、そして放送車、こういうことで緊急の情報報道されておったということについて、ある意味で敬意を表しつつ、以下、質問をしてみたいと思っています。  いわば壊れた家から出てきた被災者が一番最初に思うことは何かというと、安全なところはどこですか、こういうことであります。そう考えてみますと、安全情報の重要性というものをつくづく感じさせていただきました。それからもう一つは、全国の皆さん方が、やはり安心情報とでもいいましょうか、安否を確認したいという気持ちで電話をかけたりとかいろいろされておることに対する対応、その報道というものも重要だというように思いました。しかし、実態はどうであったのかというと、やはり被害情報が最優先をしていくということに陥っていたのが今回の災害に対する報道のあり方ではなかったか、このように思っているわけでございます。  そこで、ひとつ会長にお聞かせいただきたいと思うのですが、NHKの災害の報道について、どのようなポリシーを持ってやっておられるのか、これが一つ。  二つには、何といいましても、今回の災害を通して反省点があるならその反省点をお示しいただき、具体的に見直したということがあるならそのことも明らかにしていただきたい。  三つ目には、民放との役割分担ということを私はその災害直後の当委員会でも発言させていただいた経過がございますが、その辺について、民放とお話をされたという経過がございましたら、その点についても明らかにしていただきたいと思います。
  197. 川口幹夫

    川口参考人 具体的にどのような点を変えたのか、あるいはどのようなマニュアルをつくったのか、それから民放との打ち合わせ等については、齊藤総局長の方から御説明申し上げます。私は、まず第一問の阪神大震災の教訓をどう生かすかということについてお話を申し上げます。  去年一月十七日、あの大震災が起こりまして、私も十日ぐらいのうちに行きました。それで、現実に海の方から入っていって、災害の状況を克明に拝見をし、それから放送事業者がこういうときどうすればいいのかということをしみじみと考えました。その後、現場で実際に放送に当たった者たち、それからそれを支援した者たち全部の集まりを何回も持ちまして、今後どのような形でやればいいのかという反省会をいたしました。  それで、例えば情報がどのような形で伝えられるべきなのか。災害情報といっても災害の状況をそのままお伝えするだけではないだろうとおっしゃるのはまさにその点でありまして、安心情報と称するもの、それからそのほかいろいろな情報があります。例えばライフラインはどうなっているかというふうな問題がありますので、私どもとしてはそういった問題を、NHKが持っている幾つかの波をうまく使っていこう、それで、その使うことによって起こってくる相互の連携というものをできるだけ的確にしようということを前提に今再構築を始めました。今起こってもそれに対応するような現在のマニュアルというものはできておりますけれども、そういうことが必要であると思います。  そういう災害放送に対して、被害の状況をお伝えするということと安心情報をお伝えすること、それからライフラインそのほか対応策をお知らせするということ、この三つを基本にしながら、今後については、より的確に災害に対応できる放送というものを目指したいと思っております。  細かい内容については、齊藤君から御説明をさせていただきます。
  198. 齊藤曉

    ○齊藤参考人 ああいった大災害の折には、なかなか理想的にといいますか、我々が日ごろ考えていた計画どおりには物事が進まないということがはっきりいたしました。  少なくとも、今会長からもありましたけれども、私どもは被害の状況をとにかくお伝えすることから始まって、ライフライン、いわゆる被災された方々のお役に立つような情報を具体的に、とにかく早くお伝えするというふうに切りかえまして、そういう努力をしてきたわけでございますが、いろいろな角度から点検することは多々ございました。一つ一つ具体的に今申し上げませんけれども、これを今後にぜひ生かしたいというふうには思っております。  この中で、ヘリコプターによる取材とか被災者の方への取材方法とか、これは放送全般についていろいろ御批判もございましたけれども、私どもはその点につきましても、ヘリコプターについては航空法の規定どおり運用することを心がけておりましたし、また被災者等についても、取材の方法について節度を持ってやるようにいたしておりました。  また、それぞれ現場で経験したことをいち早く職員全体が共通の情報として持つ、こういうケースについてこうすべきだ、あるいはこういう困ったことが実際取材上あったというようなことを早く情報を集めまして、それに従って情報活動を続けたということでございます。  以上のようなことで対応いたしました。  民放さんとのことでございますが、これはラジオで、民放さん五局と私どもととりあえず共通の場で話し合いを始めまして、この一年間二度ばかり実際の放送で実験番組放送いたしました。これは非常に具体的な取り組みでございますが、番組のねらいとしては、特にライフライン関係の企業とか公共機関に、ガス、電気、電話、水道、こういった情報を直接提供してもらうというようなことから行っております。各放送局がそれぞれの情報を持ち寄って災害の問題点とか対策について話し合ういわゆる防災担当者座談会、こういったことも今後検討していきたいというふうには思っております。  災害時において、それぞれの放送局が独自性を持ちながら最大限の情報提供に努めるということになると思うのですが、協力できる部分についてはお互いに可能な限り協力し合うという基本姿勢の上で、放送する情報の種類あるいは取材活動の分担、ここまでは現在はお互いに提供しようということにはなっております。  以上でございます。
  199. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 今、取材のあり方についてお話もあったところですので、あえて触れておきたいと思いますが、ヘリコプターの問題ですね。四六時中、十機も、多いときには十数機も被災地の上空を舞っているわけです。その間、いわゆる壊れた家におる人の声が聞こえない、木をたたいていても信号が聞こえないという実態はやはりあったのですよ。それで命を落としていったという。  そういうことについて、やはり協定を結ぶということは必要だと思うのです。そのときに、どの放送局でも同じ映像じゃないかということがあったとしても、安全がきちんと守られるということでは、三日なら三日、四日間なら四日間というのは、報道のためのヘリコプターを飛ばすということは一台なら一台ということでいいのではないかというようなことがあるので、NHKとしてそういうふうなことを民放あるいはマスコミの人たちにきちんと声を上げていくというお考えがあるのかどうか、聞いておきたいと思います。
  200. 齊藤曉

    ○齊藤参考人 確かにヘリコプターにつきましては、その騒音についてかなりの厳しい御指摘があったことは承知しております。今申し上げましたように、NHKとしては最新鋭の防振装置を装備するとか、騒音防止のためにはいろいろな努力をいたしておりまして、あるいは航空法による三百メートル以下には飛ばないとか、かなり配慮はいたしましたけれども、放送界全体の問題としてはやはり課題は残ったという認識は持っております。これは、民放各局と今後も災害全体についての話し合いの場はいろいろ持っていきたいと思いますので、そういった中で検討していきたいというふうに思っております。
  201. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 その件については、放送関係者だけではなくて新聞等のマスコミもございますから、これはまた大臣の方に御検討いただくようにお願いをしておきたいと思います。  さて、阪神・淡路大震災NHKの神戸の放送局が壊れて使用不能になりましたね。今JR駅前のビルを借りて仮の運営をされております。非常に狭隘であると同時に、大変お困りの声を聞かせていただいておるわけであります。したがいまして、兵庫県そして神戸市民の気持ちを考えても、NHKがやはりきちんとした放送局を持ってくれるということは、いわゆる新しい町づくりへのスタート、こういうことになってくるのではないかというように私は思っているわけでございます。したがいまして、神戸放送局の再建の見通しについてぜひ明らかにしていただきたい、このように思います。
  202. 石渡和夫

    ○石渡参考人 お答えいたします。  神戸放送会館は、御指摘のとおり大震災によりまして大きな被害を受けました。同年の五月に、JR駅前の新築完成後十カ月のビルにスタジオ設備あるいは放送設備整備した上で移転いたしまして、現在事業を続けてきているわけでございます。このスタジオ設備放送設備などにつきましては、私ども臨時のものとは考えておりませんで、今後の事業につきましても必要なスペースあるいは設備ということで整備いたしました。  間もなく一年が経過しますが、当面このビルにおいて業務を継続することとしております。現在のところ新会館の建設は未定でございますが、今後の神戸市の都市計画の進展なども見きわめた上、新会館の建てかえについて検討してまいりたいと考えております。
  203. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 未定という話はちょっとひどいと思うのですよ。当面は仮設だということでビルを借りてやっておられる。しかし、それでいいのかということになりますと、ちょっと問題だと思いますね。したがって、都市計画の問題もあるというふうにおっしゃいますけれども、積極的にそこのところを進めていただいて、そして神戸の人たちに明るい光をともしていただたい。そして、堂々と神戸放送局からの放送を市民の皆さん方に示していただきたいというように思います。見通しはないのだと言われるとちょっとびっくりするのですが、はっきりしていただきたいと思います。
  204. 川口幹夫

    川口参考人 新館をつくるかということについてはまだ未定でございます。その理由の一つに、現在駅前のハウジングセンターの五階フロアを全部使って、そして放送をやっているわけですけれども、そこの使い勝手が非常にいいという評価があるのです。それは、一つのフロアの中に放送技術もあるいは営業も全部一緒に入っておりまして、非常に連絡が綿密にとりやすい。それから、局全体が一つのフロアにいるわけですから、お互いに意思の疎通もできて、かえってよくなったという評価もあります。それで、必ずしも自分の局舎を持たなくてもいいのではないかということを言う人もおります。  それはもう明らかにいろいろな意見があることは知っておりますから、必ずしもそれで統一したわけではございませんけれども、今後、例えばそういうケースの場合に、駅前の方を永久施設にして、今までの壊れたところを取り壊して、跡をどういうふうに使うかというふうな考え方をしてもいいのではないかということで、やはり一年はたたないと十分に検討もできませんので、まだその結果は出ておりません。去年のたしか五月の中旬でございましたから、大体そのころにもう一遍私も現地に行って、職員の考え方をもう一遍聞き直して、そして新しい方向づけをしたいと思っております。決して怠っているわけではございませんで、そういう理由もございます。
  205. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 現地では早いこと建ってほしいということと、そして、今の使い勝手がいいとかとおっしゃいますけれども、そうではない、やはり誇りを持ってやれるようにしてほしいのだという要望を私は受けていることを申し上げておきたいと思いますし、ぜひひとつ検討していただきたいと思います。  それからもう一つ、大阪放送会館、この建設計画を立てておられますね。その際に、一つはやはり神戸の震災で明らかになったように、要するにあのときにはやはり神戸だけではできないですから、大阪、東京というふうに協力をいただきながら放送されたというふうにお聞きしております。そうなりますと、ブロックの支援機能といいますか、そういうものが非常に重要になりつつある、こういうふうに思います。したがいまして、災害に対応できる設備や体制が非常に重要だと思うので、そのことを視野に入れていただきたいということが一つです。  もう一つは、東京に大震災が起こって、NHKの東京の方にもし被害が起こったときということを考えますと、代替機能といいますか、そういうものが必要だということがいろいろ会社の中で今協議をされておりまして、分散し、そしてまたつくっていくという方向が出ております。そういう意味で、NHKとして大阪の放送会館建設に当たって、東京のキー局の要するに代替機能というものを大阪の会館の中に取り入れるということについて、お考えと、そしてもし方向があれば明らかにしていただきたいと存じます。
  206. 川口幹夫

    川口参考人 大阪放送会館も建ててから六十年近くになるのです。非常に狭隘で老朽化して、もう全く惨たんたる状況でありますので、できるだけ早く建てかえたい。ところが、あの近辺はいわゆる遺跡のあるところで、簡単にはできません。やっと今大阪市と協力をして建物をつくろうという運びになってまいりました。これから具体的に設計をいたします。  そのときに、今おっしゃったことの幾つかは私どもも考えました。もしも東京の今の放送センターが非常に脆弱なものであったら、当然それに匹敵するような強いものを大阪に置く必要があるということでありましたけれども、幸いにといいますか、東京の放送会館はマグニチュードが、数字は忘れましてはっきりしませんけれども、九か一〇ぐらいのが来てもまず大丈夫であるという保証がつきましたので、だからその危険性は相当なくなった。しかし、代替的なものは持たなければいけないということは考えなければいけませんので、それはしかし大阪だけではなくて例えば仙台とか名古屋とかいうところも、そこが大丈夫だった場合は移すような方法も考えるということで、複眼的に危機管理に対応しようというふうに思っております。  なお、大阪放送会館は現在大阪市と共同してつくりまして、あそこの考古博物館と一緒になりながら新しいあり方を探ろうというふうに思っておりまして、今いろいろなことで細かい検討を進めている段階でございます。
  207. 中川昭一

    中川委員長 吉岡君、質問の時間がもう過ぎて  います。
  208. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 はい、わかりました。  今お話を聞いておりますと、要するに神話はつくってはいけませんね。今回、それが教訓だと思います。そういう意味で、国民のための放送事業として、精いっぱいそういう施設の安全あるいは放送確保ということに努力されることを要望して、終わります。
  209. 中川昭一

    中川委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  210. 中川昭一

    中川委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について採決をいたします。  本件を承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  211. 中川昭一

    中川委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。     —————————————
  212. 中川昭一

    中川委員長 ただいま議決いたしました本件に対し、中谷元君外四名から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を聴取いたします。中谷元君。
  213. 中谷元

    ○中谷委員 ただいま議題となりました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)   政府並びに日本放送協会は、次の各項の実施に努めるべきである。  一 放送の社会的影響の重大性を深く認識し、放送の不偏不党と表現の自由をより一層確保するとともに、公正な報道と多様で質の高い放送番組提供に努めることにより放送に求められる社会的責任を積極的に果たすこと。  一 協会は、厳しい財政状況を深く認識し、事業運営の刷新、効率化を一層推進するとともに、経営の方針及び内容を視聴者国民に積極的に明示し、理解と協力を得るよう努め、より効果的・積極的な営業活動を行い、受信契約増加受信料の確実な収納を図り、負担の公平を期すること。  一 マルチメディア時代における放送を取り巻く環境の変化に適切に対応するため、デジタル放送技術の進展やハイビジョン実用化試験放送の成果を踏まえ、視聴者国民の利益を考慮した放送サービスの展開を図るよう努めること。    また、協会は、公共放送の先導的役割として、今後とも、新たな放送技術研究開発・普及に努めること。  一 災害時における放送メディアの果たす役割の重要性に鑑み、緊急報道体制及び放送システム設備の一層の充実強化を図ること。  一 視聴覚障害者や高齢者の情報入手の利便がさらに向上するよう、字幕放送等の時間数の拡充や番組内容の充実に努めるとともに、一般放送事業者における字幕放送の全国的普及を図るため、字幕制作に対する政府の支援策の充実、字幕放送に係る制度の在り方の検討等、総合的な対策を推進すること。  一 協会は、映像国際放送について、国際間の相互理解を図るため、今後、放送対象地域、放送時間の拡大に努めるなど、その在り方についても検討し、充実を図ること。    また、短波による国際放送充実にさらに努めること。  一 協会は、地方向けの放送番組の一層の充実強化に努めるとともに、地域情報の全国発信について拡充を図ること。 以上のとおりであります。  この附帯決議案は、自由民主党、新進党、社会民主党・護憲連合、新党さきがけ及び日本共産党の五派共同提案に係るものでありまして、案文は、当委員会における質疑の動向等を参酌して作成されたものでありますから、各項目についての説明は省かせていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。  以上です。
  214. 中川昭一

    中川委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  215. 中川昭一

    中川委員長 起立総員。よって、本件に対し、附帯決議を付することに決しました。  この際、日野郵政大臣及び日本放送協会会長川口幹夫君から発言を求められておりますので、これを許します。日野郵政大臣
  216. 日野市朗

    日野国務大臣 ただいま、日本放送協会平成八年度収支予算等につきましては、慎重なる御審議の上、御承認をいただき、厚く御礼申し上げます。  本委員会の御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の放送行政を進めるに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。  まことにありがとうございました。(拍手)
  217. 中川昭一

  218. 川口幹夫

    川口参考人 日本放送協会平成八年度収支予算事業計画及び資金計画につきまして、ただいま御承認を賜りまして、厚く御礼申し上げます。  本予算を執行するに当たりましては、御審議の過程で種々御開陳いただきました御意見並びに郵政大臣意見書の御趣旨を十分生かしてまいりたいと考えております。  また、ただいまの附帯決議につきましては、協会経営の根幹をなすものでございますので、これを体しまして、執行の万全を期したいと考えている次第でございます。  まことにありがとうございました。(拍手)     —————————————
  219. 中川昭一

    中川委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  220. 中川昭一

    中川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  221. 中川昭一

    中川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時五十六分散会      ————◇—————