運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1996-05-23 第136回国会 衆議院 地方行政委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月二十三日(木曜日)     午前十時開議  出席委員   委員長 平林 鴻三君    理事 虎島 和夫君 理事 穂積 良行君    理事 持永 和見君 理事 粟屋 敏信君    理事 富田 茂之君 理事 山崎広太郎君    理事 畠山健治郎君 理事 田中  甲君       石橋 一弥君    栗原 裕康君       谷  洋一君    中馬 弘毅君       西田  司君    野田 聖子君       村田敬次郎君    山本 公一君       新井 将敬君    貝沼 次郎君       武山百合子君    永井 英慈君       福留 泰蔵君    山名 靖英君       吉田  治君    吉田 公一君       米田 建三君    加藤 万吉君       山口 鶴男君    山下洲夫君       穀田 恵二君  出席国務大臣       自 治 大 臣   倉田 寛之君  出席政府委員         警察庁長官官房         総務審議官   山本 博一君         自治大臣官房長 二橋 正弘君         自治省行政局公         務員部長    鈴木 正明君  委員外出席者         参  考  人         (地方公務員災         害補償基金理事         長)      中島 忠能君         地方行政委員会         調査室長    黒沢  宥君     ————————————— 委員の異動 五月十五日  辞任         補欠選任   稲葉 大和君     橘 康太郎君   栗原 裕康君     佐藤 剛男君   山本 公一君     川崎 二郎君   山下洲夫君     田邊  誠君 同日  辞任         補欠選任   川崎 二郎君     山本 公一君   佐藤 剛男君     栗原 裕康君   橘 康太郎君     稲葉 大和君   田邊  誠君     山下洲夫君 同月十六日  辞任         補欠選任   穀田 恵二君     松本 善明君 同日  辞任         補欠選任   松本 善明君     穀田 恵二君 同月二十三日  辞任         補欠選任   稲葉 大和君     野田 聖子君   川端 達夫君     吉田  治君 同日  辞任         補欠選任   野田 聖子君     稲葉 大和君   吉田  治君     川端 達夫君     ————————————— 五月十七日  地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案  (内閣提出第六一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案  (内閣提出第六一号)      ————◇—————
  2. 平林鴻三

    平林委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより趣旨説明を聴取いたします。倉田自治大臣。     —————————————  地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 倉田寛之

    倉田国務大臣 ただいま議題となりました地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  地方公務員災害補償基金支部が行う補償に関する決定に不服がある者については、訴訟を提起する前に、支部審査会に対する審査請求及び審査会に対する再審査請求をするという二段階の不服申し立て手続を設けているところでありますが、最近の処理事案複雑化等から処理期間長期化する傾向にあり、その迅速かつ適正な処理を図るため、所要の措置を講ずる必要があります。  以上が、この法律案を提出した理由であります。  次に、この法律案概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、地方公務員災害補償基金支部審査会決定遅延の場合における救済規定の創設であります。  審査請求をしている者は、審査請求をした日の翌日から起算して三カ月を経過しても地方公務員災害補償基金支部審査会による決定がないときは、支部審査会審査請求を棄却したものとみなして、地方公務員災害補償基金審査会に対して再審査請求をすることができることとしております。  第二に、地方公務員災害補償基金審査会における審査体制整備であります。  地方公務員災害補償基金審査会委員六人をもって組織することとし、審査会に対してされた審査請求及び再審査請求の事件の取り扱いについては、委員三人をもって構成する合議体で行うこととし、法令の解釈適用について、その意見が前に審査会のした裁決に反すると認められる場合等においては、委員の全員をもって構成する合議体で行うこととしております。  第三に、不服申し立て中の処分取り消し訴えに関する規定整備であります。  処分取り消し訴えは、原則として、再審査請求後三カ月を経過しても地方公務員災害補償基金審査会による裁決がないときに限り提起することができることとしております。  以上が、この法律案提案理由及びその概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決賜りますようお願い申し上げます。
  4. 平林鴻三

    平林委員長 以上で趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 平林鴻三

    平林委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として地方公務員災害補償基金理事長中島忠能君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 平林鴻三

    平林委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  7. 平林鴻三

    平林委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。畠山健治郎君。
  8. 畠山健治郎

    畠山委員 ただいま議題となりました地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、与党を代表して質問をさせていただきます。  公務災害が発生した場合、これを補償することは当然なことでありますが、大切なことは、まずもって災害と職業病の発生を事前に防止をすることであろうかと思います。この点、既に九〇年の改正時において、職場環境保全健康管理についてなお一層の努力を求める決議が当委員会で行われておりますが、近年における社会や職場高度化複雑化による環境の変化のとどまるところを知らない現状ではメンタルなものに与える影響は大きく、これに対するヘルスケアは一層重要な課題となろうかと存じます。  そこでお伺いをしますが、ただいま申し上げました職場環境保全健康管理についてどのような施策が講ぜられてきたのか、また、地方公務員法第四十二条に定める職員保健元気回復その他福利厚生現状についてメンタルヘルス現状はどうなっているのか、具体的に説明をいただきたいと思います。
  9. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 お答えいたします。  各地方公共団体におきましては、良好な職場環境保全あるいは職員健康確保を図るために、従来よりさまざまな施策を講じております。例えば、安全衛生管理体制整備を進める、あるいは健康診断充実とその結果に基づく適切な保健指導実施メンタルヘルス対策の強化など健康管理面での充実、さらに分煙化推進あるいは禁煙タイム実施などによりまして、快適な職場環境の形成に努めてきているところでございます。  自治省といたしましても、このような地方団体取り組み支援するために、平成三年に設立されました地方公務員安全衛生推進協会連携をとりながら、健康管理活動事例研究のほか、学校給食事業における安全衛生管理あるいは産業医活動活性化等に関する調査研究などを行いまして、地方団体に対しその成果を提供いたしております。また、安全衛生担当課長会議開催各種研修会実施などによりまして、健康管理対策充実に努めているところでございます。  次に、福利厚生現状でございますが、地方団体実施しております主なものといたしましては、健康づくり支援といたしまして、健康診断あるいは人間ドックの実施それから診療所設置、運営、こういった事柄、あるいは各種スポーツ大会実施保養所等利用助成、さらに職員会館など厚生施設充実といったことがございます。  特に、御指摘のありましたメンタルヘルス対策につきましては、職務多様化複雑化に伴うストレスの増大に対処するため、各地方団体取り組みが始められております。主な事業内容といたしましては、専門医やカウンセラーによる面接相談電話相談メンタルヘルス研修リラクゼーション講習会実施あるいはリーフレット等による啓発ということでございます。  また、先ほど申し上げました安全衛生推進協会におきましても、各種セミナーなど研修会を行ったり、例えば管理監督者のためのメンタルヘルスといった啓発冊子の発行によりまして地方団体取り組み支援しているという状況でございます。  自治省といたしましても、同協会連携をしつつメンタルヘルス対策に関する調査研究を行いまして、その成果地方団体に提供するということなど、支援に努めているところでございます。
  10. 畠山健治郎

    畠山委員 自治体の場合、労働安全衛生法設置義務のある安全管理者並び安全委員は、それぞれ九五・八%、九四・五%と高い設置率になっております。しかし、衛生管理者安全衛生推進者衛生委員設置率となると低く、特に安全衛生推進者となりますと五六%と極めて低い状況にございます。問題のある数値と考えますが、自治大臣の所見をお伺いいたしたいと思います。
  11. 倉田寛之

    倉田国務大臣 職員の安全と健康の確保とともに公務災害防止推進してまいりますためには、安全衛生管理体制整備がその基本となるものでございます。逐次その充実が図られてきているところでございますが、安全衛生推進者等につきましては、平成年度からその選任が義務づけられたものでございまして、その選任率は年々上昇してきておるところでございます。しかしながら、御指摘のように、他と比べて低い水準にございます。この主要な要因につきましては、選任を要する事業場の七割強を占めております教育委員会部門でのおくれが影響をいたしていると考えられるところでございます。  平成年度におきまして、学校における安全衛生管理に関する調査研究を行うために、文部省などと共同で研究会設置をしたところでございます。今後、この研究結果を踏まえながら、文部省とも連携を密にさせていただきまして、会議開催であるとか研修会実施などによります。知徹底を図りながら、安全衛生推進者等選任衛生委員会設置など、安全衛生管理体制充実にさらに努めてまいりたいと考えているところでございます。
  12. 畠山健治郎

    畠山委員 職員福利厚生に対する施設及び財政措置並びに安全衛生に関する施設充実を要請しておきたいと存じます。  そこで、今回の法改正の考え方についてお尋ねをいたしたいと思います。  最近の審査請求処理長期化事案複雑化、再審査請求件数の増加について現状を詳しく御説明をいただきたいと思います。
  13. 中島忠能

    中島参考人 お答えいたします。  支部審査会に対する審査請求件数は、平成年度が七十二件、六年度が四十六件、七年度が八十一件でございます。そして、それぞれの年度における処理した件数は、五年度が六十件、六年度が七十六件、七年度が八十一件となっておりまして、平成年度末の審理件数は百六十七件でございます。  次に、本部審査会に対する再審査請求件数で二ございますが、平成年度が二十四件、六年度が二十五件、七年度が四十三件でございまして、それぞれの年度における処理件数は、二十七件、二十三件、二十五件となっております。平成年度末の処理中の件数は四十件でございます。  なお、処理期間がどれぐらいかかっておるかということでございますが、平成年度から六年度までの平均で申し上げますと、支部審査会で二年六カ月、本部審査会で九カ月という状況でございます。  以上、御報告申し上げます。
  14. 畠山健治郎

    畠山委員 現状については理解いたしますが、災害に対する補償の迅速かつ公正な実施を定めた本法第一条の規定からしても、支部審査会平均二年六カ月、本部審査会で九カ月処理に時間を要しておるというのは問題があろうかと思います。過労死問題などがその主たるものと考えますが、長期化しておる事案についてどのようなものがあるのか、期間も含めてお答えをいただきたいと思います。
  15. 中島忠能

    中島参考人 お答えいたします。  ただいま申し上げましたように、支部審査会における審査期間というのは非常に長期化しておるということでございますが、それに対しましてはそれ相応の対策を立てていかなければならないと考えております。  その中で、いわゆる過労死心臓疾患に係る案件についての審理というのが長期化しておる、これは法律的にもあるいは医学的にも非常に取り組みが難しいということでございまして、ここ四、五年の状況を見てみますと、徐々にではございますが案件がふえてきておるということでございます。  いわゆる過労死に係る案件でございますけれども、それにつきましては、平成年度から七年度にかかる平均処理期間というのが、先ほど申し上げました二年六カ月ではなくして三年三カ月かかっておるということでございまして、やはりこれに対してどういうふうに取り組むかということ が大きな課題だというふうに認識しております。
  16. 畠山健治郎

    畠山委員 先ほどからの説明には、支部が受理をして決定するまでの間の件数は入っておりませんね。受理して支部長決定するまでの間はどれくらいかかっているのか。およそれ割ほどは一カ月以内に決定されておるようでございますが、残りの一割はどれくらいの期間がかかっておるのか、また、そうした事案はどのようなものがあるのか、御説明をいただきたいと思います。
  17. 中島忠能

    中島参考人 今先生お話しになりましたように、案件の九割ぐらいは受理いたしましてから一カ月以内に処理をいたしております。そして、そのあとの半分ぐらいはさらに一カ月、いわゆるニカ月以内に処理いたしておりますけれども、残りのおおむね五%ぐらいがそれ以上の期間を要しておると御認識いただければというふうに思います。  そこで、残りのいわゆる五%ぐらいでございますけれども、これにつきましてもできるだけ迅速に処理しなければならない、そういうことは、かねがね当委員会におきましても畠山議員同僚議員からも機会があるたびに非常に言われておりますので、私たち問題意識を持ってその取り組みをいたしております。現在、私たちの方ではおおむね一年以内にすべての案件処理できるようになっております。したがいまして、このおおむね一年以内にすべての案件処理するということは、労働者災害補償について対応しております国家公務員災害補償あるいは民間労働者に対する労働省の労災補償というものに比べましても引けをとらないような期間処理ができるようになっております。  ただ、そういう長期間を要しておるものの中で、やはり先ほど申し上げました脳‘心臓関係疾患事案過労死に係る事案というのは対応が非常に困難だというふうに支部からも話を聞いておりますし、私たち協議を受けました場合にもそういう認識を持っております。
  18. 畠山健治郎

    畠山委員 今回の法改正は、支部長決定に対する審査請求及び再審査請求が三カ月経過して後再審ないし訴訟を提起することができますもので、その点では迅速化を促すものとして評価したいと思います。しかし、支部長決定までの迅速化も重要な課題であり、この点についてはどのような措置を講じているのか。特に、行政手続法との関係ではどのような措置が講じられておるのか、説明をいただきたいと思います。  また、申請基本とする災害補償では眠れる公務災害もないわけではないと思います。積極的に申請を促すことも重要であろうかと考えますが、いかがでしょうか。
  19. 中島忠能

    中島参考人 さらに詳しく御説明を申し上げたいと思います。  昨年も、当委員会出席をさせていただきまして御説明申し上げました。そのときにも、迅速な認定ということについての指摘がございました。  私たち、昨年の八月になりまして、六月末で受理して一年以上経過している事案につきまして本部の方に協議してほしいというふうに各支部にお願いいたしまして、各支部から協議をいただきました。その結果、私たちの方からもいろいろ技術的な助言をする、あるいはまた適切な資料を提供するということを繰り返し行いまして、昨年の六月末で一年以上経過している事案、それは八月の私たちとの協議の結果、十二月末にすべて処理をいたしました。  それからさらに経過いたしまして、昨年の十一月になりまして、九月末で六カ月以上経過している事案につきましても、各支部において、方針が立たない、どのように取り組んでいいかわからないというふうにお困りの事案につきましてはまた本部協議してほしいということをお願いいたしまして、これにつきましても本年の三月三十一日までにほとんどの事案について結論を出すことができております。  ただ、先ほどお話がございましたように行政手続法というのがございまして、この行政手続法で六カ月以内に処理しようじゃないかという標準的な期間を定めておりますので、昨年の十二月に受理して三カ月たったもの、そして支部の方で処理が困難だと思うものについては再び御相談いただきたいということで、私たちの方で支部の方に技術的な助言といいますか、いろいろな意味においてアドバイスをするという取り組みをいたしております。したがいまして、当委員会でかねがね御指摘をいただいておりますような迅速な認定ということについては、昨年一年間かかりまして真剣な取り組みをいたしておりますので、私たちはかなり成果が上がったなという認識を持っております。  それから、今、最後にお話がございましたけれども、いわゆる眠れる災害補償といいますか、そういうものがあるのじゃないかという御心配でございます。  この点につきましては、公務災害補償という制度が一般的にはまだ地方公務員全体になじまれていないという面もなきにしもあらずでございますので、まず任命権者といいますか職場上司というのがこの制度についてしっかり認識していただかなければならない、そしてまた一般の公務員自身もこの制度についての認識を深めていただかなければならないということで、いろいろな印刷物をつくって配布するとか、あるいはまた各研修会においてその点を強調していく、ブロック会議におきましても全国会議におきましても、いろいろな面についてそういうことをお願いしていくということをやっております。  ただ、この制度請求主義という制度ででき上がっておりますので、ともすれば役人的な対応ということで、請求があって初めて動けばいいじゃないかという認識を持っていただくと困りますので、職務遂行中に事故が起こった場合には、その職場上司がその事実を一番よく知っているわけでございますから、そういう事実そのものをまず任命権者の方に上げていただく、任命権者支部の方にそのことを連絡していただくということにお願いいたしまして、できるだけ速やかに事実そのものを把握するということによって、今御指摘の眠れるといいますか隠れたといいますか、そういう災害補償案件がないように努めておるところでございます。
  20. 畠山健治郎

    畠山委員 認定をめぐって最終的に訴訟となることは、権利の保障の面では当然なことと思いますが、公務災害補償法という制度固有存立意義からすれば、裁判となることは現行審制意義が十分機能しなかった結果とも言えると思います。可能な限り制度内で自己完結することが望ましいわけでありますが、そのためには審査手続マニュアル化、脳・心臓疾患にかかわる認定基準明確化など、審査内容を一層オープン化するということにしながら信頼性をさらに高めていくことが必要であろうかと考えます。特に、脳・心臓疾患等については本部協議を経て認定する扱いとなっておりますが、支部判断がまず基本であり、その上での協議でなければならないと考えますが、見解を承りたいと思います。
  21. 中島忠能

    中島参考人 お答えいたします。  先生が御指摘のような方向で取り組めるというのが望ましい一つ方向だというふうに思います。ただ、脳・心臓疾患、いわゆる過労死の問題というのは、表面的に同じように見えましてもなかなかそれぞれの案件が異なっておりまして、非常に難しいといいますか、先ほど少し御説明で申し上げましたように、法律的にも非常に難しい問題がございますし、医学的にも非常に難しい判断が必要とされますので、支部の方でひとつお取り組みいただきまして結論を出していただくというかそれなりの見解を持っていただくというのはかなり難しい案件でございます。そこで、私たちの方では、この案件というものが各支部でばらばらに取り組まれたらやはり公正、公平な災害補償という面から若干問題があるという認識を持っておりますので、公平、公正な処理という形で処理させていただきたいということで協議をいただいておるという面がございます。  もう一つは、先ほど申し上げましたように、こ の問題が法律的にも医学的にも非常に難しい問題を含んでおりますので、支部の方で取り扱っていただくというのには少し無理な面もございますので、本部の方の意見も聞いていただきたいということでございます。  それから、全国に五十九支部ございますけれども、その五十九支部の中でこの脳・心臓疾患事案、いわゆる過労死事案というのが年に一件ないし二件しかない支部というのが非常にたくさんございます。そういう支部におきましてはやはり取り組みにつきましてもふなれでございますので、私たちの方の意見を聞いていただいて協議をしていただくという取り組みがこの災害補償というものの全国的な公平、公正な処理という面から望ましいのじゃないかということでございます。そういうことで先生も御理解いただければというふうに思います。
  22. 畠山健治郎

    畠山委員 迅速化のため委員の一名の増員、それから二部制による審査体制整備を図るとしておりますが、地公災支部審査会対応する労災労働保険審査会は、現行九十三名を百二十名に増員するとしております。制度間の規模の違いはあるとはいえ増員規模が少ないようにも考えますが、一名の増員の根拠とそれによる審査に及ぼす効果についてお伺いをいたしたいと思います。
  23. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 最近の再審査請求事案につきましてただいまも参考人の方からお話ございましたが、脳・心臓疾患等に見られるように、非常に請求事案複雑化しておりまして、その処理期間長期化しているということでございます。また、今回の法改正によりまして救済規定が創設されると、支部審査請求の方から再審査の方に回ってくる数もさらに増加すると予想されるところでございまして、こういったことに対応して本部審査迅速化を図るため、本部審査会に二部制を導入いたしまして合議体を二つ設けて審理を進めていくということでございまして、全体として開催回数をふやしまして再審査請求事案早期処理を図ろうという目的のものでございます。  二部制を導入するに当たりましては、多数決で物を決めると最低三名の数というものが必要でございますので、三名ずつの合議体として二つで六名ということになりますので、現在五名の委員の方を六名にいたそうとするものでございます。  この二部制の実施に当たりましては、二部制を構成するそれぞれの合議体委員の方につきましてはバランスに十分考慮するとともに、事務当局におきましてもその体制充実あるいは事務処理効率化を図るということで、関係者も相当の努力をしていただきまして、迅速かつ公正な権利救済という本来の機能の発揮に結びつけてまいりたいと考えております。
  24. 畠山健治郎

    畠山委員 最近の補償基金の財政状況を見ますと、収入に当たる負担金は、給与費の鈍化によって二%台から一%台の伸びにとどまっておるようでございます。他方、歳出に当たる給付費は五%ないし四%台の伸びとなっております。全体としては安定状況にあろうかと考えますが、いたずらに負担増を求められない中での今後の年金増を考えますと、財政運営について十分配慮する必要があろうかと存じますけれども、見解をお伺いいたしたいと思います。
  25. 中島忠能

    中島参考人 お答えいたします。  今先生お話しになりましたように、現在のところ安定的に運営ができております。ただ、もう先生お話しになりましたのでるる申し上げませんけれども、最近の人事院勧告のアップ率に見られますように非常に給与費のアップが少ない。それにリンクいたしております負担金の収入も非常に少なくなっております。  一方、私たちの支出の中で年金部分にかかるウエートというのが徐々に高くなっております。十年前でございますけれども、その当時は補償費の中の年金のウエートというのが四〇%ぐらいでございましたが、現在もう五〇%を超えております。そして、この年金部分の毎年の増加率というのが大体五%ないし六%でございますので、徐々に基金の財政というものに対して私たちの目を向けざるを得ないという状況でございますが、ただ、現在のところ安定的に運営できておりますので、御指摘の問題もまた私たち念頭に入れながら、これから一層引き締まって財政運営に心がけていかなければならないというふうに考えております。
  26. 畠山健治郎

    畠山委員 最後になりますが、公務災害補償請求に基づいて行われるために、メンタルな疾病や自殺と公務災害との関係はなかなか明らかとならない場合がございます。この点、佐世保市職員の自殺が公務災害認定されたことは、社会環境の変化によるストレスの増加など、メンタルな疾病や自殺に対する対策の必要性を示すものと考えます。この点についての大臣の所見をお伺いいたしたいと存じます。
  27. 倉田寛之

    倉田国務大臣 畠山委員指摘のとおり、近年の職務多様化であるとか複雑化などによりまして職員の皆様の心への負担、ストレスが増大をしていることを考えますと、メンタルヘルス対策充実は極めて大きな課題であろうかと存じます。  そのために、各地方公共団体におきましても、相談室の設置などメンタルヘルス対策充実には努めているところでございますが、自治省といたしましても、こうした取り組みを一層支援してまいりますために、地方公務員安全衛生推進協会連携をしながら、研修会などを通じまして、職場メンタルヘルス対策の中心的な役割を担います管理監督者への普及、教育であるとか、例えば阪神・淡路大震災が職員の心身の健康に与えた影響などにつきまして調査研究を行っているところでございますけれども、こうした調査研究、その成果を普及、啓発に努めることなどが重要であろうと考えておるところでございます。  今後ともこのような取り組みを進めてまいりますとともに、職員の皆様が安心して職務に励むことができ得ますように、地方公務員の心身両面にわたります健康の確保公務災害防止には積極的に対応してまいりたいと考えているところでございます。
  28. 畠山健治郎

    畠山委員 審査迅速化を実効あるものにしていただくようさらに御努力をいただきますことをお願い申し上げまして、終わりたいと思います。ありがとうございました。
  29. 平林鴻三

  30. 山崎広太郎

    ○山崎(広)委員 新進党の山崎広太郎でございます。  今回の地方公務員災害補償法、いわゆる地公災法の改正につきましては、審査会における審査制度整備充実ということもございますけれども、直接のきっかけになっているのは昨年七月の最高裁の判決、これを受けて改正するということだろうと思います。  その内容は、いわゆる支部審査会において審査請求後三カ月経過して決定がないときは再審査請求ができるということ、それから、再審査請求後三カ月経過して裁決がないときに限りいわゆる処分取り消し訴訟を起こすことができることを明示されたということであるわけでございますが、この今回の改正につきましては、見方によっては、昨年の七月の最高裁の判決で、いわゆる支部審査会において三カ月経過すれば再審査請求をしなくても裁判を受ける権利があるんだという判決内容であるわけでございます。  したがって、最短時間、最短コースで行っても本部審査会のためにさらにプラス三カ月という期間が必要なわけで、司法に救済を求める場合は事実上三カ月その期間が延びたという意味では後退ではないかという面もある、このように思うわけでございますが、そういうことを考えてもなおこの地公災制度審査請求前置主義というものが大事なんだということだろうと思います。  いわゆる前置主義があくまでも請求者の利益につながる、あるいは前置主義を維持していかなければならないというのがこの改正のねらいではないかと思うわけでございますが、審査請求前置主義の意義を改めてお聞きしたいと思います。
  31. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 地方公務員災害補償制度におきましては、ただいま御指摘ございましたように審査請求前置主義をとっております。補償に 関する決定に対して不服がある者については簡易な手続により迅速かつ公正な権利救済を図る必要があるという点、また、公務災害補償に関する審査は性質上非常に高度の専門的、技術的判断が要求されるということで、司法の判断の前に、支部審査会に対する審査請求、また基金本部審査会に対する再審査請求という二段階の不服申し立て制度を前置することによっていわば行政と司法の機能の調和を図っている、こういう考え方でございます。  今回の改正では、審査請求から訴訟の提起までにお話のように最短で六カ月を要するわけで、御指摘のように、司法救済といった期間で見ると三カ月延びるわけでございまして、請求に対して若干の不利益はあるものの、なおやはり行政と司法との機能の調和を図りながら権利救済を実効あらしめるという審査請求制度趣旨を生かすために適切なものと考えて今回の改正を行おうとしているものでございます。  お話のございました最高裁の判決におきましても、「法律に特段の定めがない限り」ということで、国税通則法等の今回改正をいたそうとする内容と同じような規定を引いておりまして、二段階の不服申し立て前置制度を設けることは判決も許容しているのではないかと考えているところでございます。
  32. 山崎広太郎

    ○山崎(広)委員 今、前置主義のことをお伺いしたわけでございますが、いま一つ、二審制というものも守りたいというねらいがあったんではないか、このようにも思うわけでございます。すなわち、一審で裁決を経ないまま裁判に訴えるということではなくて、一応一審と二審を経過していただくという考え方だろうというふうに思います。最高裁の判決の中でも、一審は審査処理は簡易迅速にやるのがねらいではないか、それから、二審については慎重、統一性ということをうたわれておりましたけれども、この二審制意義というものについてどうお考えになっておられるのか。
  33. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 公務員の災害補償制度におきましては、御指摘のように二審制をとっております。一つは、各都道府県あるいは指定都市ごとに支部が置かれていますが、そこでの支部審査会に対する審査請求、それが第一審。第二審は、東京にあります基金本部に置かれます本部審査会に対する再審査請求という二段階の不服申し立て手続を設けております。  これは、公務災害に関する審査は、性質上高度の専門的、技術的判断が要求され、慎重な審理が必要だということの中で、今もお話がございましたが、第一審は簡易迅速な処理を図るために請求人に身近なところで審査を行う、請求の方あるいは補償の実務に通じている支部の事務局の便宜ということで、簡易迅速な処理を図るために支部審査を行う、これを第一審としまして、さらに十分な救済が図られるよう慎重な審査を行う、あわせて判断の統一化を図るという意味で本部審査会を第二審とする、こういうことで二段階の不服申し立て制度が適当であるということで二審制をとっております。
  34. 山崎広太郎

    ○山崎(広)委員 それで、今回の改正でいわゆる救済規定と言われるもの、支部審査会で三カ月経過して結論が出ない場合は本部審査会に持っていける、こういうことを規定されているわけでございますけれども、どういう意味合いがあるのか。むしろ、後ほど触れますけれども、支部審査会の形骸化につながるというか、この支部審査会が本当に審査審理を迅速にしないと、非常に支部審査会の意味合いが薄れてしまうのではないかというふうにも思うわけでございますが、その辺、今の二審制と今度のいわゆる救済規定とはどういう関係にあるとお考えになっているのか、御答弁をお願いします。
  35. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 今回の改正は、今お話ございましたが、従来の二段階の不服申し立て制度というものを踏まえまして、審査請求後三カ月を経過しても支部審査会決定がないときは、支部審査会審査請求を棄却したものとみなして、請求人の方は本部審査会に対して再審査請求ができる、こういう道を開こうというものでございまして、請求人の方から考えると、選択の道を広げるという面があろうかと思います。  この趣旨でございますが、最高裁の判決の考え方でまいりますと、支部審査会での審査が遅延した場合には訴訟に行けるルートということになります。そうなりますと、本部審査会の役割が十分果たせるのかという議論があります。それからさらに、今先生指摘のように、今回の改正支部審査会での審査が三カ月遅延した場合には再審査という形で本部に上がっていくということがありますので、支部審査会での審査というものが形骸化しないか、両方の面、問題があろうかと思いますが、先ほど申し上げました二段階の不服審査申し立て制度趣旨を十分生かすということで、支部審査会審理充実し、それから本部審査会審理というものも本来の役割を果たしていただく、それで両々の機能を十分発揮していただく中で、簡易迅速な手続により、迅速かつ公正な処理を、権利救済を実効あらしめていきたいということで今回の改正をいたそうとするものでございます。
  36. 山崎広太郎

    ○山崎(広)委員 請求者にとっては、何といっても支部審査会審理というものが一番大事なんだろうと思います。したがって、三カ月の意味なんですけれども、いかにも短い、これはあくまでもいわゆる最高裁の判決を受けて司法救済の道もあけておこうという、言ってみれば便宜的な意味合いしかないのかな。むしろ一審、支部審査会の方が時間を要するだろうと素人考えでも思うわけですね、事実の認定等々。私は、むしろ本部審査会よりも支部審査会の方が物理的な時間を要するだろうというふうに思うわけでございますけれども、そうなると、余りこの三カ月の意味を強調されると、支部審査会というものの形骸化につながりはしないかということを危惧するわけでございますが、その辺もう一度御答弁いただけますか。
  37. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 今回の改正によりまして救済規定が設けられることによりまして、お話のような支部審査会の形骸化を招くというようなことがあってはならないと考えております。今お話しのように、支部審査会での処理の実際というものはかなり時間を要しているものもございます。したがいまして、今後関係者の相当な努力ということが要請されるところでございますが、既に基金におきまして、本部から支部に対しまして審理迅速化についての検討の要請ということも行われておりまして、それに基づきましてそれぞれの支部におきまして検討がなされ、改善措置も講じられつつあると承知しております。  また、基金本部におきましても、いろいろな手だてを講じまして、支部職員に対する研修の充実あるいは事務処理の改善といったようなことなど、支援のこともお考えのようでございますので、そういったことで支部審査充実というものも十分配慮してまいりたいと考えております。
  38. 山崎広太郎

    ○山崎(広)委員 やはり三カ月ということをうたった以上は、支部審査会は原則的に三カ月以内で決定が行われる、そういう体制は必要だというふうに思います。  ちょっと違う点でございますけれども、これは理事長にお尋ねしますが、最近の新聞報道等によりますと、ことしの三月五日最高裁で、あるいは五月八日名古屋地裁で、いわゆる裁判による敗訴が伝えられているわけでございます。三月五日の最高裁による審査の差し戻しの事例は十八年前の死亡事案、五月八日の名古屋地裁の事例にしても十三年前の死亡事案ということで、この間の御遺族の御苦労は大変だったろう、そういう意味では、よく考えると大変ショッキングな判決結果であるわけでございます。  判決の内容についてはそれぞれ個別特殊な事情もあると思いますけれども、やはりそういうふうに裁判でどんどん結果が出るということは、この審査請求制度にとっては好ましいことではないわけでございます。したがいまして、審査請求制度信頼性確保し、何より被災者の権利、利益の救済を図る観点から、判決内容の研究、分析、これ は極めて大事だと思いますし、またこの基金の認定あるいは審査業務にこういう裁判の結果がどう生かされていくのか、判例がどう生かされていくと我々は受けとめればいいのか、ひとつお答えをいただきたい。
  39. 中島忠能

    中島参考人 お答えいたします。  今先生の御質問全体の中から流れ出る御心配というのが私たちにもよくわかります。  そこでまず第一番目に、認定事務というのを適正にかつ迅速にしていかなければならないだろうというふうに思います。私たちの方では、先ほど少し畠山委員に答弁させていただきましたけれども、そういう事故が発生した場合には、職場上司あるいは同僚というのが一番よく知っているわけでございますから、職場上司とか同僚というのが、被災の状況とか、あるいは職員の勤務状況とか仕事の内容等について正確な資料というものを提供していただく。そしてまた、私たちはそういう事実というものを前提にしながら、必要があれば医学的意見というものを求めながら適正な判断をして、そして後々までもそれが通用していくような結論というものをまず出していかなければならない。その認定事務についての自信というものが最初に必要だろうというふうに思います。  仮に、こういうことで私たちの方で認定をいたしまして、そこで公務上あるいは公務外という結論が出ますけれども、公務外という結論が出た場合に、先生がおっしゃるように、支部審査会とか本部審査会というところに審査請求が出てくるわけでございますけれども、支部審査会審査請求が出てきた場合には、それもまた、これはできるだけ早く結論を出していかなければなりませんけれども、最初の認定事務のときに事実を確定し、そしてしっかりした医学的意見というものを確保しておきますと、支部審査会における結論というものもかなり早く出せるのじゃないかというふうに思うわけでございます。  その認定事務との連携というのが必要だろうというふうに思いますし、またそれ以外にも、支部審査会の事務に携わっている職員に対する研修とか、あるいは審査事務の標準的な事務処理マニュアル等を私たちがつくってお渡しするとか、あるいはその案件についての参考になるような裁決例とか判決例というものを差し上げるとかいうことをいたしまして、支部審査会で迅速にかつ適正な結論を出していただくように努めていかなければならないだろうというふうに思います。  本部審査会においても同様なことを心がけていかなければならないだろうというふうに考えるわけでございますが、今先生が最後におっしゃいましたように、裁判になる、そして判決でいろいろなことが述べられる、その判決の内容というものも私たち分析いたしまして、そして自後の認定事務あるいは審査事務に参考になる部分というものについてはこれは参考にしていくという心構えが必要だろうというふうに思います。
  40. 山崎広太郎

    ○山崎(広)委員 支部審査会充実というか審査体制整備というのが非常に大事だと思うわけでございます。しかし、どんどんそういう審査請求があればいいのですけれども、いいのですけれどもというかよくないのですが、年平均七十六件ですか、ないのですよね、普通支部事案を抱えておるという状況。これはやはり労災関係と違うところだと思うわけでございますけれども、例えば私の出身地である福岡市の例を聞いてみますと、昭和五十二年以降審査請求が出ていなかった。昨年十八年ぶりに出てきた。一挙に三件も提起されたということでございます。だから、七十六件で、都道府県と政令市に支部設置されているわけですが、そのうちどうしたって東京、大阪に偏るということになるわけでございます。  したがって、恒常的な支部審査会体制整備していく、維持していくのは大変困難だというふうなことは思うわけでございますけれども、しかし福岡市の例のように、十八年ぶりに、しかも三件一挙に出てくる。今までは開店休業だったものがさつとそれに対応しなければいけない。しかも、今度は三カ月ぐらいで一つ結論を出そうという六ことになると、これはそういう背景はあるにしても、常日ごろから支部審査会というのはずっとチェックというかやっていかなければいけないだろうというふうに思うわけでございます。例えば、支部審査会委員なんて、十八年も眠うておったら本当に高齢化してしまうのじゃないかとも思うわけですね。  だから、その辺は基金あたりでずっと常日ごろ、事案がなくてもやはりチェックしていかなければいけないだろうと思うわけでございます。その辺がどうなっているかということと、労災制度の場合は労災保険審査官のもとに非常勤の労災保険審査専門調査員を設けておる、今回の法改正に伴って大幅な増員措置されているということでございます。地公災制度におきましても、このような制度を講ずることによって機動的な人員配置を行うべきであるとも思うわけでございますけれども、基金本部のお考えをお尋ねしたいと思います。
  41. 中島忠能

    中島参考人 お答えいたします。  おっしゃるように、現在、全国に五十九支部がございます。そして、ことしの三月三十一日現在で審査案件を抱えている支部が三十六ございます。その三十六の支部の中で、審査案件が一件ないし二件というところがおおむねその半分でございます。したがいまして、まさに先生が御指摘になりましたように、特定の都道府県に案件が偏っておる、したがって審査案件が今まで全くなかったとか、本当に二、三年に一件しかないというところもございます。  そういうところにつきましては、審査会委員さんというのを任命していただいておりますけれども、審査会が開かれないものですから、災害補償の事務からだんだん遠ざかっていくということになりかねませんので、私たち今回の改正というものをお願いいたしましたと同時に、各支部に対しまして、審査会というものを定期的に開いてください、審査案件がなくても開いてください、災害補償についての法律の制度改正もあるだろう、あるいは災害補償に関する統計も出てきます、そういうものを審査会委員さんにお話しして、災害補償事務についての認識をふだんから高めていただくようにしようではないかということで、この春から、全国会議を開くたびに、あるいはまたブロックの会議を開くたびにそういうお願いをしております。そういうことによりまして、審査会委員さんが災害補償事務についての認識を深めていただいて、かつ活性化が図られていく一助になるだろうという気がいたしております。  それからもう一つは、今先生お話しになりましたように、何といいましても審査会というものを助ける事務職員のことでございますけれども、その事務職員にもそれぞれ研修をしたりマニュアルを差し上げたり、あるいはその他技術的な情報を提供したりしておりますけれども、この審査に係る事務というのはかなり専門的な事務でございます。そして案件というのはある年度に偏るようなこともございますので、その審査の事務についてのベテラン職員というのが県庁の現職の職員の中にいればいいのですけれども、仮にいないような場合には、そういう職員というのを支部の方で探していただいて雇っていただく、その費用というのは私たちの方からお出しするということも考えていかなければならないというふうに考えております。  あれこれいろいろな手段を用いまして、できるだけ今回の改正趣旨に合うような審査事務ができるように私たち努力していきたいと思いますし、この努力につきましては各支部の方からもまた御意見をいただきまして、私たち反省すべきところは反省して取り組んでまいりたいというふうに思います。
  42. 山崎広太郎

    ○山崎(広)委員 基金と支部審査会との協力協調関係については、先ほど畠山先生からも御指摘があっておりますので、省略させていただきます。  最後に大臣、ひとつこの審査制度充実体制整備に向けたお考えをお聞かせいただいて、質問を終わらせていただきます。
  43. 倉田寛之

    倉田国務大臣 地方公務員災補償制度につき ましては、地方公務員が万一不幸にして公務上または通勤により災害を受けた場合に補償等を行い、地方公務員及びその御遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的といたしておりまして、被災職員に対しまして迅速かつ公正な補償等の実施を図ることが求められているところでございます。  そのために、今回の法改正により審査迅速化を図りますとともに、運用面におきましても、基金におきまする所要の体制整備を図りまして、認定審査を迅速かつ公正に行おうといたしているところでございます。  また、地方公務員災補償制度におきまして、補償実施にも増しまして重要なことは、何といいましても公務災害を生じさせない環境づくりを進めることであろうかと存じます。昨年の法改正におきまして、公務災害防止事業を制度化いたしておるところでもございます。  今後におきましても、公務災害防止に積極的に取り組ませていただきたいと考えておるところでございますが、このように地方公務員災補償制度の一層の充実に努めてまいりますことによりまして、地方公務員の皆様が安心して働くことのできる環境を築き上げていくということが何よりも重要なことであろうというふうに考えておるところでございます。
  44. 山崎広太郎

    ○山崎(広)委員 ありがとうございました。
  45. 平林鴻三

  46. 穀田恵二

    穀田委員 日本共産党の穀田です。  今回の補償法の改正は、御承知のとおり、昨年七月の労災に関する最高裁の判決を見ますと、保険給付に関する決定に不服のある者は、労働者災害補償保険審査官に対して審査請求をした日から三カ月を経過しても決定がないときは、請求の手続を経ないで処分取り消し訴えを提起することができる、この判決を受けて改正された労働者災害補償保険法と横並びの改正です。  先ほども議論になりましたように、本部審査会委員を五人から六人に充実する、そして審査体制を二部制にするなど、本部審査体制は確かに強化されました。しかし、皆さんの質疑の中でも明らかになったように、支部審査会委員は、支部審査会自身が非常に体制充実と強化が求められている。第五十五条にあるわけですが、その委員の数は三人のまま。こういう点では、ここ自身も強化をして変える必要があるのではないでしょうか。その辺の御意見をまずお伺いしたいと思います。
  47. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 地方公務員災補償基金の支部審査会につきましては、現在三人の委員の方で審査を行っているところでございます。今回の法律改正では、委員増員改正は行っていないところでございます。  それは、第一点は、先ほど参考人からもお話ございましたが、支部審査会審査事案を抱えている支部は六割の三十六支部で、その状況というものはさまざまであるということでございまして、特定の集中した支部を除きますと抱えている審査案件というのはそれほど多くなく、事務量等を見ても必ずしも多くないと思える。また、審査案件を多く抱えている支部につきましても、先ほどお話ししましたが、迅速化についての検討が行われておりまして、審査回数をふやすなど、計画的、効率的な処理が予定されているという点がございます。  また、第二点といたしましては、確かに支部審査会審理長期化している傾向にございますが、一つは心臓とか脳疾患など困難な事案が多くなっていること、あるいはその原因は、反論書の作成の遅延あるいは支部審査会の日程の不調とかいうことが原因となっているようでございます。そういった点で運用面での改善を図る余地があるということ。  それから、第三点といたしましては、昨年七月の最高裁判決を受け、九月に基金におきまして、支部審査会に対しまして事務処理体制整備あるいは審査会運営のあり方等の検討を要請いたしまして、それぞれの支部におきましてそれに取り組むという報告もなされ、また逐次改善が進められてきている。こういう状況というものを考え合わせまして、今回は、支部審査会審理迅速化については事務処理体制審査会の運営方式の改善で対応するということで考えておる次第でございます。  なお、支部審査会審査充実、また迅速化につきましては、基金本部におきましても支援体制というものもお考えになっているところでございますので、その迅速な処理が実現できるように努力をしてまいりたいと考えております。
  48. 穀田恵二

    穀田委員 先ほど参考人からお話ありましたように、困難な事案がふえて、特にとりわけ過労死の問題が多い、こういうことがございました。今もそういう点での運用面の改善とありましたけれども、私は、それとあわせて、率直にお聞きしたいのですけれども、それじゃ公務員部長、そういう審査の中で、今の過労死の問題や心臓だとかそういったものがわかるという、専門的なそういう人というのは大体配置されているのですかね。
  49. 中島忠能

    中島参考人 内容が私の所管にかかわることでございますので、私の方から答弁をさせていただきますが、仮に過労死の問題について認定をするというときに、どういうプロセスを経て結論を出していくかということを御説明させていただきたいと思います。  事故が発生いたしますと、その職員の被災の状況、そしてその職員の当日、前日あるいは一カ月前とか一週間前とか、そういう勤務の状況、勤務の量というものを正確に把握しなければなりません。そしてもう一つは、職員の職歴あるいはまた職員の病歴、そういうものも客観的資料として把握いたします。それと同時に、その職員に係る医者の診断書とかあるいは各種の医証、医学的な資料ですね、そういうものも収集いたします。そういうものを収集した上で、その道の専門的な医者の意見を求めて結論を出していくということでございまして、私たちの方で、事務方といたしましてやるべき仕事というのは前半の仕事でございます。そしてその後、医学的な意見を求めて総合的な観点から判断していくということでございますので、そういう研修というものも心がけていかなければならないということで、私たちの方ではかねがねそういう取り組みをいたしております。
  50. 穀田恵二

    穀田委員 先ほどありました、今回の法律の改正に伴う、また体制を強化をして研修をしたりする、また開かれていない審査会自身を、単に審査請求があって開くのじゃなくて、やはり開いていくということが大事だと思うのですね。私はぜひそれはやっていただきたいと思うのですが、今お話があった、そういうプロセスが複雑であり多様であり、非常に多岐にわたっているからこそ事務方を本当に補強していく。もちろん、これを見ますと、平成年度でいいますと抱えているのは二百五十数件、そのくらいですから、すべての県が抱えているわけではありません。しかし一定の多いところは、私の住んでおります京都だとか大阪、東京などは結構あります。そういう意味でいいますと、そこ自身の体制を強化するということが私は改めて大切だなということを思うわけですね、そういう過程を聞けば聞くほど。  それで同時に、一方ではそういう複雑な事態が進行し、過程が進行する。ところが一方、三カ月ということがありました。先ほども出たわけですが、三カ月たてば再審査請求ができるということで、支部審査がおろそかになるということはないかという懸念はだれもが表明する点なんですね。あるところでは、もうこれで審理は終わるんじゃないのというようなことまで飛び出すような事実が実はあるのですね。ですから、そういうことを含めて、そうならない担保、形骸化しないような担保というような点では、公務員部長、どのようにお考えですか。
  51. 中島忠能

    中島参考人 本部審査会支部審査会というものとの関係で考えなければならない問題もありますので、私から答弁させていただきます。  支部審査会で仕事をしていただいておるのですけれども、まず先生にも御認識いただきたいので すけれども、三カ月たてば本部審査会に再審査請求できるということでございますので、その三カ月たつ時点におきまして、なぜ三カ月以内に結論を出すことが支部審査会としてできなかったかということにつきまして請求人に説明してあげる必要があるだろうと思います。やはり今の時代でございますから、そういう親切行政といいますか、親切な対応というものも非常に重要だろうと思います。そのときに、おくれている理由というのはこういう理由でおくれているんだということを申し上げると、私は請求人の中のかなりの方は支部審査会のおくれている理由を納得していただける、また納得していただけるような仕事をしてもらわなければならないだろうというふうに思います。  したがって、三カ月たてば自動的に本部審査会の方に再審査請求が来る、そういうようなプロセスには必ずしもならないのじゃないかということを考えておるわけでございます。そういうふうに私は考えますし、またそのようになければならない、そういう支部審査会の運営でなければならないというふうに考えます。  ただ、支部審査会というのは、先生も御存じのように中立的な機関でございますので、私たちそういう意義というものを支部審査会の方によく御説明いたしまして、支部審査会の方でそういう認識を持っていただくということが何といっても重要じゃないかというふうに思います。  支部審査会は中立機関でございますので、私たちからいいますと、かゆいところを背広の上からかいているような気持ちがすることもありますけれども、やはりそこは今の民主的な制度の中のことでございますので、十分時間をかけて納得していただけるように努力いたしたいというふうに思います。
  52. 穀田恵二

    穀田委員 今もお話がありましたように、後半の方は私、納得しているのですよね。つまり、今回の改正意義というのは、そういう何かともかく三カ月で上げてしまえという意味じゃなくて、きちんとして第一線のところで議論をするという、改めてその重要性をしっかり認識していただくということが前提ですよね。  そこで、「地方公務員災害補償法逐条解説」によりますと、こう書いてあるのですね。「専門技術的な性質を有する処分であるから、第一次的には専門的な審査機関の審査に委ねることが望ましい」ということから出発しているわけだから、第一回目の現場のところが一番近いわけですから、そこはやはり、私繰り返し言うようですが、補強していただかないとあかん。しかも、そういう方々が安易に流れないようにするためにも、そういう意義をしっかり教育し、研修をしていただきたいということを改めて希望しておきたいと思うのです。  そこで、ついでですから、審査の心構えとしてどうしても今度は理事長の方に改めてお聞きしたいと思います。  理事長はかつて、八五年六月四日の衆議院地方行政委員会でこのように発言しておられます。「公務災害認定に当たりまして、できるだけ本人の有利になるような状況というものを資料として集めまして公務災害認定に当たっていく、そして相当因果関係のあるなしというものを判断していく、そういうような姿勢で臨まなければならないのじゃないかというふうに考えております。」当時その答弁について、あわせて自治大臣もそのとおりだというふうにおっしゃっています。こういう立場で、一番実情のわかっている支部審査の段階で審査請求に対する認定が行われることが私は迅速化につながるものだと理解をしています。そういう意味で、基金を代表しての考え方なり決意というものを改めてお伺いしておきたいと思います。
  53. 中島忠能

    中島参考人 私たちが仕事をいたします場合に、客観的な正確な資料を集めるという基本で臨んでおるわけでございます。したがいまして、今先生がおっしゃいましたように、その件を判断するに当たって非常に被災職員にとって有利な資料というものを見逃さないようにしなさいということは各支部の方によくお話をいたしております。それと同時に、客観的に正確な資料というものを見逃さないようにしなさいということも同時に申し上げていかなければならないというふうに思います。  何といいましても、私たちの財源というのは結局は県民の税金というものをもとにして出していただいておる財源でございますので、それを支出させていただくわけでございますから、適正な、正確な判断をしていくように心がけなきゃならないという意味において、当該被災職員に有利な資料も見逃すなということを申し上げているわけでございます。
  54. 穀田恵二

    穀田委員 そういう見逃すなというのは何も、肝心な問題は、先ほどありましたように、一番最初に上司がきちんと踏んまえて報告をして、さらにこうやっていくというのが望ましいのだ。請求審査というのは、そういう意味でいいますと、必ずしもそうならない実態があるからこそ、逆に多くの不服審査請求をしている方々の立場を踏んまえてという趣旨だと思うのですね。そこをしっかりやっていただきたいと私は思っています。  私は、法改正の契機となった最高裁の判決は、国民の裁判を受ける権利をより認めようという内容になっていると思うのです。その点で、改正案は再審査請求をしてから三カ月経過しないと提訴できないとしていることについては問題だと思うのですね。この問題は、時間もないので修正案の提案でかえます。  そこで、先ほども公務員部長から、安全対策の問題が一方ではそれを防ぐ上で大事だというお話がございました。月刊「地方公務員のための災害補償」のことしの三月号によりますと、この十年間の公務災害認定件数の推移が載っています。この十年間の推移で見ると、件数は約五千件減っています。率にして一七%です。しかし、この資料によりますと、警察職員それから消防職員、清掃職員は大幅に減をしています。ところが、その一八万でその他職員は増加をし、義務教育学校職員というのは余り減っていません。こういう実態になっています。グラフを見ると非常に明らかです。  それ以外に、さらに公務災害認定請求の受理件数の推移を見ましても、これは千人当たりの件数なんですが、同じく警察職員、消防職員、清掃職員は大幅な減を見ています。ですから、際立っているのですね。教職員が減っていないという現状、そういう問題について原因をどのように分析しておられますか。
  55. 中島忠能

    中島参考人 お答えいたします。  公務災害件数が減っていると職種ごとにいろいろお話がございまして、私たちも昨日からその表を眺めておるわけでございますけれども、おっしゃいます消防職員とか警察職員とか清掃職員というのは、公務災害の発生件数が非常に高い職場でございます。したがいまして、ここ数年来、公務災害を予防しようじゃないか、防止しようじゃないかという認識任命権者サイドに非常に高くなっておりますので、そしてそのための努力もしておられますので、その努力というのが比較的数字になってあらわれやすい職場じゃないか、発色件数が多いために。  ところが、先生が今おっしゃいました、仮に教育職員でございますけれども、教育職員の場合には、九つの職種の中で一番発生件数が低い職場でございます。そういう職場でも、やはり公務災害を予防するために、教育委員会を初めとする任命権者サイドはそれなりの努力をしておられると思いますけれども、やはりもう一つ効果が出ないな、効果が出にくい職場かなという気がいたします。  ただ、教育職員の場合にも発生件数は減っておりますし、その減りぐあいというのは全体の減少とほぼ同じ傾向でございますので、特段教育委員会任命権者サイドが公務災害の予防について努力を怠っているということではないのじゃないか、平均並みの努力をしておられるのじゃないかという感じがいたしますが、なお、こういう統計を見ました場合の分析というのは少し慎重に、十 分分析して物を言わなきゃなりませんので、きょうのこの場ではその程度で御勘弁願いたいと思います。
  56. 穀田恵二

    穀田委員 こういうものについてはよく事実を調べていただくということにしてありますが、ただ、お話があったような点で言いますと、学校職員を見ますと、三千七十六件から二千八百十八件ですから九一・六%、減り率は八%ちょっとなんですよね。全体は平均して一七%なんです。だから、それは明らかに差があるということだけは見ていただきたいと思います。  そこで、効果が出にくい職場というふうな、もしそれが正式見解だとすると、ちょっと違うんじゃないかということを私は強く申したい。確かに、清掃職場や警察職場や消防職場というのは目に見えた形で、機械というものもございますから、そういう意味での改善というのは、私も清掃関係のところの仕事をよく学びに行きましたので、パッカー車の問題を含めていろいろ努力しています。それは目に見えるというのがあるのですけれども、それはそうではなくて、効果が出にくいという職場なんだということじゃないと思うのです。私はそこはちょっと明らかに認識が違うということを言います。  そこで、最後に一言だけ質問したいのは、先ほど言いました安全衛生管理体制整備の問題なんですね。これは単に一つの問題と違って、衛生管理者並びに安全衛生推進者とそれから安全委員会、衛生委員会、こういう安全衛生管理体制整備にかかわる一連のものが極めて悪いのですよ、一つ悪いのではなくて。しかも、この間の伸び率でいいましても、去年野中自治大臣が、その問題を強化しなくちゃならぬ、先ほどお話あったように文部省とも協議を進めなくちゃならぬ、こうお話があってからもほんの四%ぐらいしか伸びていない。安全衛生推進者でいうとそんなものですし、それから、衛生管理者でいってもこれまた五%なんですね。ほかは八割、九割。知事部局、市長部局、警察、消防、企業部局は全部七、八割台なのに四割台という実態なんです。だから、ここは重視してやらぬとあかん。つまり、先ほど理事長のお話によれば、効果が出にくい職場だと言うけれども、効果が出るような体制すらとれていないという問題もあるということについて、その点だけ最後に部長に答弁をお願いします。
  57. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 安全衛生推進者あるいは衛生管理者教育委員会部門でほかの職場に比べて設置率等が低いという問題意識は私どもも持っておりまして、先ほども大臣から御答弁申し上げましたが、平成年度におきまして、文部省と共同で学校における安全衛生管理に関する調査研究という研究会設置して、検討をいたしてきております。その研究結果というものを踏まえて、文部省とも連携を密にして、今後いろいろな機会を通じまして周知徹底を図って、現場の御理解もいただくということが一番重要だろうと思いますので、そういうことにも意を配りながら安全衛生管理体制充実に努めてまいりたいと考えています。
  58. 穀田恵二

    穀田委員 充実に努めてまいりますということですけれども、五割以下だということ、これは大問題だということでやってほしいのです。それから、先ほどありましたように、私は、効果の出にくい職場だという言い方は違って、効果をどうしたら出させることができるかという立場でやっていただきたいということだけ申し上げて、質問を終わります。
  59. 平林鴻三

    平林委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。  中島参考人には、御苦労さまでありました。     —————————————
  60. 平林鴻三

    平林委員長 この際、本案に対し、穀田恵二君より、日本共産党提案に係る修正案が提出されております。  提出者から趣旨説明を聴取いたします。穀田恵二君。     ————————————— 地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案に対する修正案   〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  61. 穀田恵二

    穀田委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案に対する修正案について、その提案理由を御説明いたします。  今回の法改正は、昨年七月六日の最高裁判決を契機に行われるものでありますが、その判決は、審査請求期間中の裁判手続について、行政事件訴訟法が言う審査請求を第二段階の再審査請求に限定することはできないこと、そして第一段階の決定の遅延の救済規定を置いていない現状ではなおさら再審査請求に限定する解釈はとり得ないことを明らかにしました。  ところが、政府案は、審査請求決定の遅延についての救済規定を新たに設けていますが、そのことを理由審査請求の段階での国民の司法救済への道を閉ざすものになっています。  本修正案は、こうした点を補うために、審査請求についての決定があるか、もしくは決定が三カ月以上遅延したときには、再審査請求あるいは裁判所への提訴のどちらかの選択を可能にする国民の権利救済の道を確保しようとするものです。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
  62. 平林鴻三

    平林委員長 以上で修正案についての趣旨説明は終わりました。     —————————————
  63. 平林鴻三

    平林委員長 これより原案及びこれに対する修正案について討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、穀田恵二君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  64. 平林鴻三

    平林委員長 起立少数。よって、穀田恵二君提出の修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  65. 平林鴻三

    平林委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 平林鴻三

    平林委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。〔報告書は附録に掲載〕
  67. 平林鴻三

    平林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時三十二分散会      ————◇—————