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1996-06-14 第136回国会 衆議院 商工委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年六月十四日(金曜日)     午前十時三分開議 出席委員   委員長 甘利  明君    理事 逢沢 一郎君 理事 自見庄三郎君    理事 塩谷  立君 理事 古賀 正浩君    理事 西川太一郎君 理事 増子 輝彦君    理事 小林  守君 理事 石井 紘基君       小此木八郎君    尾身 幸次君       岸田 文雄君    熊代 昭彦君       谷川 和穗君    中山 太郎君       丹羽 雄哉君    野田 聖子君       野田  実君    野呂田芳成君       上田  勇君    小池百合子君       佐藤 茂樹君    斉藤 鉄夫君       土田 龍司君    豊田潤多郎君       星野 行男君    宮地 正介君       山名 靖英君    吉田  治君       石井  智君    大畠 章宏君       佐藤 泰介君    松本  龍君       吉井 英勝君    海江田万里君       後藤  茂君  出席国務大臣         通商産業大臣  塚原 俊平君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      田中 秀征君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     小粥 正巳君         公正取引委員会         事務総局経済取         引局長     塩田 薫範君         公正取引委員会         事務総局経済取         引局取引部長  山田 昭雄君         経済企画庁調整         局長      糠谷 真平君         経済企画庁国民         生活局長    坂本 導聰君         通商産業大臣官         房商務流通審議         官       大宮  正君         通商産業大臣官         房審議官    横川  浩君         通商産業省貿易         局長      広瀬 勝貞君         通商産業省環境         立地局長    鈴木 孝男君         通商産業省基礎         産業局長    林  康夫君         資源エネルギー         庁長官     江崎  格君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       並木  徹君         資源エネルギー         庁石油部長   河野 博文君         中小企業庁長官 新  欣樹君  委員外出席者         科学技術庁原子         力局動力炉開発         課長      木村  良君         国土庁大都市圏         整備局総務課長 有賀 長郎君         大蔵省主税局調         査課長     西原 政雄君         大蔵省関税局調         査保税課長   江川 明夫君         労働省労働基準         局賃金時間部長 五十畑 明君         商工委員会調査         室長      石黒 正大君     ――――――――――――― 委員の異動 六月五日  辞任         補欠選任   小池百合子君     鴨下 一郎君 同日  辞任         補欠選任   鴨下 一郎君     小池百合子君 同月十一日  辞任         補欠選任   正森 成二君     吉井 英勝君 同月十二日  辞任         補欠選任   岸田 文雄君     近藤 鉄雄君   後藤  茂君     土肥 隆一君 同日  辞任         補欠選任   近藤 鉄雄君     岸田 文雄君   土肥 隆一君     後藤  茂君 同月十四日  辞任         補欠選任   石井 啓一君     斉藤 鉄夫君   牧野 聖修君     海江田万里君 同日  辞任         補欠選任   斉藤 鉄夫君     石井 啓一君   海江田万里君     牧野 聖修君 六月五日  著作物再販制度維持に関する請願小泉純一  郎君紹介)(第二七六三号)  同(住博司紹介)(第二八一六号)  同(広野ただし紹介)(第二八一七号)  同(福永信彦紹介)(第二八一八号)  同(萩山教嚴君紹介)(第二八二七号)  同(綿貫民輔紹介)(第二八二八号)  同(橘康太郎紹介)(第二八五九号)  同(林義郎紹介)(第二八六〇号)  同(松岡利勝紹介)(第二八六一号)  同(中川秀直紹介)(第二八九二号)  通産省職員大幅増員に関する請願大畠章宏  君紹介)(第二八九一号) 同月十日  インドネシアヘの原発輸出に対する貿易保険運  用反対に関する請願金田誠一紹介)(第二  九三〇号)  通産省職員大幅増員に関する請願大畠章宏  君紹介)(第二九三一号)  著作物再販制度維持に関する請願伊吹文明  君紹介)(第二九五一号)  同(島村宜伸紹介)(第二九五二号)  同(野田毅紹介)(第二九五三号)  同(野中広務紹介)(第二九五四号)  同(持永和見紹介)(第二九五五号)  同(石井一紹介)(第二九九〇号)  同(山元勉紹介)(第二九九一号) 同月十一日  著作物再販制度維持に関する請願亀井善之  君紹介)(第三〇四四号)  同(谷洋一紹介)(第三〇四五号)  同(長勢甚遠君紹介)(第一二〇四六号)  同(羽田孜紹介)(第三二六一号)  だれにでもわかる洗剤・洗浄剤の明快な表示に  関する請願細川律夫紹介)(第三〇四七号  )  通産省職員大幅増員に関する請願石井智君  紹介)(第三〇四八号)  同(楢崎弥之助紹介)(第三〇四九号)  同(井上一成紹介)(第三二六二号)  同(岡崎トミ子紹介)(第三二六三号)  同(東中光雄紹介)(第三二六四号)  同(二見伸明紹介)(第三二六五号)  同(正森成二君紹介)(第三二六六号)  同(吉井英勝紹介)(第三二六七号)  同(近江巳記夫紹介)(第三四七五号) 同月十二日  インドネシアヘの原発輸出に対する貿易保険運  用反対に関する請願金田誠一紹介)(第三  五八二号)  同(松本善明紹介)(第四〇四九号)  同(今村修紹介)(第四一八九号)  同(山花貞夫紹介)(第四一九〇号)  通産省職員大幅増員に関する請願古賀正浩  君紹介)(第三五八三号)  同(後藤茂紹介)(第三五八四号)  同(星野行男紹介)(第三五八五号)  同(三野優美紹介)(第三七一一二号)  同(秋葉忠利紹介)(第三八三二号)  同(星野行男紹介)(第四〇五〇号)  同(増子輝彦紹介)(第四〇五一号)  同(荒井聰紹介)(第四一九一号)  同(後藤茂紹介)(第四一九二号)  同(豊田潤多郎紹介)(第四一九三号)  同(山崎広太郎紹介)(第四一九四号)  同(石井一紹介)(第四二九二号)  著作物再販制度維持に関する請願奥野誠亮  君紹介)(第三七二七号)  同(大畠章宏紹介)(第三八二九号)  同(安倍晋三君紹介)(第四〇四四号)  同(小里貞利紹介)(第四〇四五号)  同(水野清紹介)(第四〇四六号)  同(村田吉隆紹介)(第四〇四七号)  同(小川元紹介)(第四一八六号)  同(丹羽雄哉紹介)(第四一八七号)  フロン等放出禁止法の制定に関する請願(中尾  栄一君紹介)(第三七二八号)  同(堀内光雄紹介)(第三七二九号)  同(横内正明紹介)(第三七三〇号)  同(小沢鋭仁君紹介)(第三八三〇号)  同(輿石東紹介)(第三八三一号)  同(桜井新紹介)(第四一八八号)  新聞の再販売価格維持制度の継続に関する請願  (小里貞利紹介)(第四〇四八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 六月十日  反原発運動の推進に関する陳情書  (第三七九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ――――◇―――――
  2. 甘利明

    甘利委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。増子輝彦君。
  3. 増子輝彦

    増子委員 新進党の増子輝彦でございます。  きょうは、我が委員会法案審議が終了いたしまして、その後、一般質疑ということで時間をつくっていただきました。  御案内のとおり、日本経済状況景気が大変悪いということで、バブル経済の崩壊後、なかなか厳しい現状がございます。  そういう中で、今国会住専国会そのものと言われたような状況の中で、住専の処理問題についても国民の九割の皆さん反対をしているという中で、今回、この住専関連法案が間もなく本国会ですべて成立するという状況になってまいりました。私ども自己責任というものを明確にしていかなければならない、と同時に、やはり情報の開示という中で、今後、行政や政治のあり方というものがどのようにあるべきかということを改めて考えさせられた国会であったのかなと。  そういう中で、我が商工委員会、今後の日本通商産業あるいは景気問題等におけるいろいろな諸問題を抱えている中で、きょうは幾つかの点について質問をさせていただきたいと思っております。  まず初めに、通告をせずに大変恐縮でございますが、きょうの朝の各マスコミの報道によりますと、フィルム問題で、我が国アメリカコダック社がいろいろと摩擦があった中で、米政府WTOにこのフィルム問題で提訴をしたというような報道がなされております。これについて通産大臣のコメントも一部報道されているようでございます。今後の我が国のこういったいろいろな問題について、WTOそのものの、我々が訴えていく、あるいは訴えられるというようなものも含めて、重要な問題になってくると思います。  この件について、通産大臣見解を一言お聞かせいただければありがたいと思います。     〔委員長退席逢沢委員長代理着席
  4. 塚原俊平

    塚原国務大臣 アメリカUSTRの方からWTOの方に提訴がございまして、三点、直訳でございますのでちょっと文章おかしいかもしれませんが、まず第一点が、貿易投資自由化対策のよろいによるガット協定違反利益の侵害、無効化についての協議要請、二点目が、大店法による規制が外国のサービス供給者に対して市場への参入障壁となっていることがGATS、ガッツ協定違反である点についての協議要請、三点目が、制限的な商慣行について協議制度に関するガット決定に基づく協議要請というようなことで、三点につきましてWTO提訴がございました。  それからさらに、USTRの方からコダック社に対しては、この分野における反競争的な行為に関して日本公正取引委員会に提出するための情報を提供するように要請をするということで、私どもから、やるのなら、もう堂々とWTOの場でやりましょう、あるいは、公正取引委員会部分でございますので、ぜひ公正取引委員会の方で訴えてくださいということを申し上げておりましたので、そういった面からしますと、かつては、もう常に三〇一条というのを大上段にアメリカは振りかぶっておりましたから、そういった意味では国際ルールのもとでやるという、私どもにとりましては大変大きな進展がここにあったのではないかと思います。  ただ、具体的な内容をこれから精査をいたしまして、もしかして彼らが言っていることでWTOになじまないものもあるかもしれませんから、その点につきましてはこれからWTOの中でいろいろとお話をしていきたいというふうに考えております。
  5. 増子輝彦

    増子委員 ありがとうございました。  さて、我が国景気動向企業のそれぞれの収益も大分向上してきたというようにも言われております。しかし、実体経済は必ずしもそうではないというふうに認識せざるを得ません。  それは、金利史上最低の低金利という中で大変効果があったことは事実でありましょうけれども、やはり一番の要因は、私は、日本企業がそれぞれリストラをしっかりとやってきたというような効果が今出つつあるのであって、実際の景気動向はそんなによくない。特に、中小企業においてはまだまだ極めて厳しいという状況があることは、御認識をいただいているかと思っております。  きょうは、その中小企業関係について、幾つかの点についてお伺いをいたしたいと思っております。  まず、中小企業の中における問題の第一点でございますが、実は今、法定労働時間の問題がございます。間もなくといいますか、来年の三月三十一日まで現在の猶予措置というものが持たれているわけでございますが、それぞれの業種によりましては極めて大変な状況でございます。そういう意味で、日本中小企業のいろいろな形態の中で、この時短がそのまま実施された場合に、果たしてどういうふうになってしまうのだろうかという心配がございます。  例えば、この時短、既に一部進んでいるわけでありますが、労働省調査によりますと、今、時短達成率調査ということになりますと、八九・七%が十人以上三十人以下で実施されている。しかし、一方、全国商工会連合会調査によりますと、これがまだ五三・五%だというように、実は数字が大分違っております。こういう数字の違いもございますが、いずれにしても、この景気低迷の中で、中小企業団体を含めた諸団体が雇用を守るということが、やはり今後の日本中小企業経済全体の中で大事ではないだろうか。  失業率が最悪の三・四%という高水準に今あるわけであります。本当に今ようやく上向きつつあるこの景気の中で、本当の景気回復をするというときに、来年の四月以降この時短が実施されることによって、中小企業、いろいろな意味でこれは問題になってくるんではないだろうか。当然、ゆとりのある労働関係皆さんの期待というものもあるわけでございますが、しかし、特に業種によりましては、商業、接客、娯楽業等については大変厳しい現状であり、なおかつ、いわゆる十人未満の事業主にとっても、これを達成するのは極めて難しいという状況にあることは御認識をいただいているかと思います。  この件につきましてどのようにお考えになっているのか、ひとつよろしく御答弁お願いしたいと思います。
  6. 新欣樹

    ○新政府委員 私ども労働時間の短縮ということそのものは、基本的な認識といたしましては、ゆとりと豊かさを実現する社会、そういったためにも非常に重要なことである、また中小企業にとりましても、労働力を確保するという観点からも、できるだけそういった労働時間の短縮というものを重要な課題として取り組んでいく必要があるだろうというふうには考えてございます。  そういう意味から、これまで私どもといたしましても、中小企業労働力確保法それから時短促進法ということで、労働省とも協力をいたしまして時短促進努力をしてきたところでございます。しかしながら、委員指摘のように、現下の厳しい経済状況を反映をいたしまして、来年四月に週法定労働時間の猶予措置が四十四時間から四十時間に移行するということについては、中小企業者の中で非常に切実な声が上がっていることも、また事実でございます。  その声は、第一点目として、今委員労働省数字をお挙げになりましたけれども、私ども、昨年の労働省実態調査の結果の理解では、製造業中小企業の中で週四十時間制を達成している企業は、従業員数が一人から九人までの企業では二七・一%、それから十人から三十人というようなところでは二五・九%ということで、極めて達成率が低くなっております。そうした中で、四十時間制に移行すると、単純計算では一二・五%の賃上げに等しいコストアップになる。これを吸収していくような情勢には現在ないということ。  それから第二点目は、ゆとりと豊かさを目指す制度が、違反をしたら直接罰則の適用になるというようなことが適当なのかどうかというような声がございます。  こういうことでございますが、政府部内では労働省を中心に議論を進めていくことになりますけれども中小企業庁としましては、こうした中小企業の声を十分酌み取っていただいて、時短が混乱のない形で軟着陸ができるような、何らかの措置を講じていただくことも必要なのではないかというふうに考えております。
  7. 増子輝彦

    増子委員 そういう状況であればなおのこと、ひとつこの問題については、私ども、もうちょっと真剣に取り組んでいかなければならないと思っておりますし、また強い要望もしていかなければならないと思っております。  時間が限られておりますので、答弁の方はひとつ簡略にお願いできればありがたいと思っております。  続きまして、この中小小売商業者環境というものが、やはり大変厳しい。御案内のとおり、大店法がまだございますが、大店法があるけれども大店法の網にかからない、いわゆる専門量販店の行き過ぎた商行為というものが、実は最近顕著にあらわれております。それは、いわゆる第二種の規模の出店状況を見ますと、ここ四、五年極めて大きな数が出店しております。こういった中で、家電業界事例を申し上げて公取委員長見解お尋ねいたしたいと思います。  これは報道でも随分なされておりますが、今の家電業界、極めて価格破壊という形の中で大戦争が起きているといいますか、問題が起きているということは、もう御承知のことだと思います。こういった一円商法だとかいうものが中小小売商のところに極めて大きな影響を与えているし、また逆に、こういった安売りが果たして公正に消費者利益を与えているのかといえば、必ずしもそうではないのではないかというふうに認識をせざるを得ません。  特に今回、一部家電専門量販店がやっておりますこの一円セール等の問題は、やはり景品表示法に抵触するのではないか、あるいは不当廉売に当たるのではないかというふうに考えられているわけでありますが、公取の方としても、この問題について見解をどのようにお持ちになっているのか。と同時に、これについてどのようにされるつもりなのか、これを公取委員長にお伺いをいたしたいと思います。時間がございませんので、ひとつ簡潔にお願いをいたしたいと思います。
  8. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいまお尋ねがございました最近の事例として、家電のいわゆる一円商法の問題がございます。簡単にお答え申し上げます。  本来、正当な競争と申しますか、公正、自由な競争価格が下がるということは消費者利益に結びつきますが、そうではなくて、採算を度外視した極端に低い価格で商品を販売して顧客を獲得する、これは正常な競争手段とは評価できません。独禁法上の問題でございます。  ただいま御指摘不当廉売は、御案内のとおり、一般的に申しますと、正当な理由がないのに供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給する、それによりまして他の事業者事業活動を困難にさせるおそれがある、そういう場合でございます。  それで、ただいま御質問本件でございますが、私どもこの実態調査をいたしますと、独禁法禁止されております、ただいま申し上げました不当廉売に該当する疑いがあるということでございまして、その調査の結果に基づき、これを販売しておりました関係人に対して、このような行為独禁法禁止されている不当廉売に該当するおそれがあるという旨をきちんと指摘をいたしました。その結果、今後同様の行為を繰り返さないように注意をいたしました。  なお、今お尋ねの、景品規制の対象でもあるのではないかということでございますが、確かに、販売状況、態様によりましては景品規制の問題になることもあり得ると思いますけれどもお尋ね本件につきましては、私ども調査の結果に基づきまして、申し上げましたように不当廉売のおそれがあるということで措置をしたということでございます。  御報告をいたします。
  9. 増子輝彦

    増子委員 この問題、今後とも、やはりそれぞれが生き残りのためにはいろいろな商法を使ってくるということも考えられます。しかし、これはやはり公正な取引というもの、自由な競争というものがなければなりません。もちろん、消費者に対する利益というものも勘案しながらやっていかなければならないことは当然のことでございますので、今後ともひとつこの件についてはよろしくお願いを申し上げたいと思います。  次に、実は私ども、昨年、規制緩和ということで電力及び石油関係規制緩和をやってまいりました。特に石油業界における規制緩和特石法廃止というものは、大変大きな時代の流れに沿って、きちっとしたものをやったものと思っております。これも、先ほどの商法、いわゆる不当廉売ではありませんが、公正な、自由な競争の中で利益消費者に持たせるということについては、大変大きな効果があったのではないかと私自身は思っているわけでございます。  この特石法廃止に伴う効果あるいはそれにおける問題点というものを、どのように現時点で通産大臣はお考えになっているか。大変また時間がなくて申しわけありませんが、簡略にお願いを申し上げたいと思います。
  10. 塚原俊平

    塚原国務大臣 規制緩和を契機といたしまして、石油産業先取り競争も含め一層の競争促進が促されまして、ガソリン等石油製品価格が大幅に低下をいたしたというふうに考えております。消費者にメリットも還元されて、規制緩和のねらいは着実にあらわれつつあるというふうに認識をいたしております。
  11. 増子輝彦

    増子委員 そういう状況の中で、反面、やはり石油にかかわる方々にとっては、今後この規制緩和がさらに進めば、いろいろな問題が出てくるのではないだろうか。当然、セルフスタンド問題等も出てまいります。しかし反面、考えますと、やはりこういった規制緩和によって新しく参入してくるという業者の方々も当然いらっしゃるわけでございます。そうしますと、この石油関係する方々にとってはなかなか厳しい状況が生まれてまいります。その中で、経営改善やいろいろな面において大変努力をされております。  その中で、今私ども一つ大きな関心を持っておりますことは、やはり石油に関する税の問題でございます。  やはり税というもの、国家のいろいろな形の中でこれは欠かすことのできない大事なものでありますし、特に財政再建という点からいっても、この税というもの、極めて重要な問題ではございますが、実は消費税が三%で実施された段階で、なぜかこの石油諸税が大変厳しい状況に置かれたままであったということ。すなわち、今私ども考えていることは、ガソリン税軽油引取税というものが大変税金が高いのではないかというふうに考えているわけであります。  もちろん、税というものはなければなりませんが、今、石油諸税消費税調整併課ということが一つの論議になっているわけでございます。この辺について、通産大臣はどのようなお考えを持っているか、御見解をお聞かせいただければありがたいと思います。
  12. 塚原俊平

    塚原国務大臣 先生から御指摘ございましたように、特に石油業界、大変厳しい環境に置かれているという認識を持っております。そういった状況で、これは先生の方がお詳しい部分もあると思いますが、ここで税の調整をするというのは結構大変な作業というのがあるのだと思いますが、できるだけ石油業界の置かれている状況についても御理解をいただくということを努力するとともに、関係方面とこのことに対する議論をこれから深めてまいりたいというふうに考えております。
  13. 増子輝彦

    増子委員 やはり、消費税をそのまま課税する単純併課の措置がとられたままの状況というのは果たしてどうなんだろうということで、税全体の中でもちろん考えていかなければなりませんが、この問題、今通産大臣おっしゃったように幅広く税の論議をしながら、調整併課ということも大臣には何とかひとつ考えていただきたいな、そういうふうにも思っているところでございます。  と同時に、経営状況、極めて厳しいことでございますので、今後とも私ども、この規制緩和、確かに重要な問題でありますが、これからの問題点等も含めながら、しっかりとこれをそれぞれの皆さんがよくなるような形で進めていかなければならない、そういう責任を持っているところでございます。  最後にもう一つだけお伺いをいたします。  今の税の問題でありますけれども、今、消費税三%ということでございますが、実は、来年の四月一日からこれが五%になることになっているわけでありますが、この消費税が五%になるという前提条件に、幾つかのことがございます。消費税の税率については、社会保障等に要する費用の財源を確保する観点、行政及び財政の改革の進捗状況等々含めて四つの件がございまして、これらを「総合的に勘案して検討を加え、必要があると認めるときは、平成八年九月三十日までに所要の措置を講ずる」というものがございます。  翻ってみるに、行財政改革が本当に行われているのか。先ほど申し上げましたとおり、やはり景気がまだまだ本当ではないという中で、消費税の三%が二%アップして五%になるということは、極めて私は、今後の景気動向や、あるいはお年寄りの皆さんも低金利の中でなかなか貯金に対する利息が多くならないで生活が厳しいとか、いろいろなことがございます。  そういう意味では、財政の健全化ということもございますが、私は、今、行財政改革をもっともっと進めていくということ、そういった経済状態の全体のことを考えたときに、消費税というものが果たして五%が適当なんだろうかということをもう一度我々みんなで考えていかなければならないという状況ではないのかと常々思っておりますし、我が党としてもしっかりと、今後とも財政の健全化を含めながら、この問題を強く進めていきたいと思っております。  この消費税を五%に引き上げるということについて、経済全体の観点から通産大臣はどのようにお考えになっているか、御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  14. 塚原俊平

    塚原国務大臣 繰り返しの御答弁という形で先生には非常に御不満かもしれませんが、平成六年度の税制改革の一環という形で、個人所得税の負担軽減の先行実施をした中で五%ということになっております。  ただ、本格的な景気回復を実現していかなければいけないわけでございますので、経済運営についてはこれから万全を期してまいりたいと思いますけれども、五%につきましては、ぜひとも御理解をいただくようにお願いを申し上げたいと思います。     〔逢沢委員長代理退席、委員長着席〕
  15. 増子輝彦

    増子委員 これは理解のいかないところでございまして、とにかく先ほど来申し上げておりますとおり、財政の健全化というものも当然大事でございます。それを私どももやっていかなければならないと思っております。しかし、そのためには、やはり税というものが公正な形で幅広く課税されるということも当然必要なことでございますし、何よりも、日本経済状態がよくなればそれだけ税収というものもアップするわけであります。  今の経済状態、冒頭に申し上げましたとおり、決して実体経済はいいものではございません。そういう意味で、私ども、通産の関係商工委員会にいる者としても、今後ますます日本経済状況をよくしながら、景気中小企業まで含めて本当によくなったという状況をつくっていくことが極めて大事だと思っておりますので、そういう意味では、今後ともこの問題についてはまた別の機会に議論をしていきたいと思っております。  短時間で恐縮でございましたが、ひとつ今後とも我が国の通産行政を含め、中小企業対策にしっかりと取り組んでいただきますようお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
  16. 甘利明

    甘利委員長 次に、吉井英勝君。
  17. 吉井英勝

    吉井委員 昨年末の「もんじゅ」の事故以来、改めて日本の原発政策あるいはプルトニウム政策について国民的な関心も高まり、また同時に、これまでのやり方でいいのだろうかという見直しの議論が随分進んでおります。  そういう中で、「もんじゅ」の事故の後、例えば三県の知事の方たちが出された、福島、新潟、福井ですが、「今後の原子力政策の進め方についての提言」という中でも、「核燃料リサイクルの今後のあり方など原子力政策の基本的な方向について、」「これまでの経緯にとらわれることなく幅広い議論を」というのもありましたし、またその中では、「必要な場合には次の改定時期にこだわることなく原子力長期計画を見直すこと。」そういう提言もありました。それからまた、「原子力発電所所在市町村の安全確保と地域振興に関する要請書」というのがことしの五月二十一日に出されておりますが、その中で、プルサーマル計画などについて慎重な対応を求めている。  そういうふうに、本当に全国の自治体関係者の皆さん方から、これまで以上に国の進めるやり方についても見直し、検討を求めていくという流れが顕著に出てきております。六月一日の報道によりますと、福井県の知事は、国のプルサーマル計画を拒絶するという意向を示したことなども伝えられております。  こうした情勢の中で、六月七日付の日経を見ておりますと、通産省の方は、プルトニウム利用については計画を一時凍結するという意向を示しておりますが、これについては、まずこのとおりなのかどうか、伺っておきたいと思います。
  18. 並木徹

    ○並木政府委員 お答え申し上げます。  プルサーマル計画につきましては、一昨年に策定されました原子力利用長期計画におきまして、ウラン資源の有効利用及び余剰プルトニウムは保持しないとの観点から重要であり、また、海外におきます運転実績でございますとか、我が国におきます軽水炉におきます試験的実績あるいは新型転換炉におきます技術的実績等を前提といたしまして、大変重要であるということも認識の上で、当面、海外から回収されますプルトニウムを利用しまして九〇年代後半から開始するということとされておるわけでございますけれども、今委員指摘ございましたように、このプルサーマルの具体化につきましては、諸般の国民各層の御意見等をお伺いしながら進めていく必要があるということでもございまして、原子力政策円卓会議などの場を通じまして、地元自治体あるいはさまざまな国民各層の幅広い意見を伺いながら、適切に対応していく必要があるという状況でございます。  したがいまして、私ども資源エネルギー庁におきましても、このような観点から、現段階におきましては幅広い御意見をお伺いし、議論を進めてまいりたい、こういうことでございます。
  19. 吉井英勝

    吉井委員 この計画の一時凍結という表現については直接的にはお答えがなかったわけですが、この中で、通産省首脳の言葉として、「国民理解が得られるまで計画推進は困難」である。それから、エネ庁幹部の言葉として、「プルトニウム利用路線自体は堅持するが、先送りを視野に入れて計画を見直す必要がある」。総合エネルギー調査会原子力部会では、「原子力開発が国民理解を得られるよう政策の仕切り直しを検討。部会での審議結果を原子力長期計画見直しにも反映させる。」  いずれにしても、国民の意向とか意思を無視してそれ行けどんどんでやっていくという、そういう立場じゃない。やはり国民の意向等を十分尊重して今後考えていくんだという趣旨に私は読み取っているのですが、一時凍結というこの表現はマスコミの表現としても、考え方はそういうことですね。
  20. 並木徹

    ○並木政府委員 先ほども御説明申し上げましたように、地元の御意向あるいは国民各層の御意見等々を踏まえながら、原子力委員会の円卓会議の御議論、あるいは、本日総合エネルギ」調査会原子力部会を再開したところでございますけれども、幅広い御議論をいただいた上で進めていく、こういうことでございます。
  21. 吉井英勝

    吉井委員 それで、「もんじゅ」の事故の後、この間いろいろな取り組みがありますが、例えば円卓会議も開かれていますね。これは科学技術庁長官など出てやっているものでありますが、その円卓会議の中で出ている声というのは、これは出席した知事の言葉として、「円卓会議が地元や反対派の意見をただ単に聞き置く場に終わるのではないかとの危惧が出ている。」ということが知事からも言われていますね。それから参加した人からは、「国民の意見を聞いたという形をつくるだけではないか、という疑問も消えない、そういう指摘も参加者からも出ていますね。  だから、やはり「もんじゅ」の事故の後、いろいろ国民の声も聞きましょうとか、理解も得てとか、いろいろなことを言っているのだけれども、しかし、本当にまじめに国民の声に耳を傾けてくれるのだろうか、これは私は、非常に広く国民皆さんの中に今ある問題だと思うのです。  そういう点で、この点はちょっと大臣に聞いておきたいのですけれども、「もんじゅ」の事故以降のこういう状況の中で、それ行けどんどんのやり方ではなくて、やはりまじめに国民の声に耳を傾ける、こういう姿勢というものは今私は行政の中で非常に大事だと思うのですが、これは大臣にちょっと聞いておきたいと思います。
  22. 塚原俊平

    塚原国務大臣 「もんじゅ」の事故は、これからの原子力政策にとって一番大切な、国民、地域の住民の方々の信頼を大きく失わせる大変な出来事であったと、私は就任のときから申し上げております。この信頼を回復するというのは大変な作業でございますけれども、一生懸命努力をして、信頼の回復を図ってまいるということをいたしてまいりたいというふうに考えております。
  23. 吉井英勝

    吉井委員 信頼の回復という点では、私は、一番大事な一つの柱になるのは、国民皆さんからのいろいろな声がありますね。そんなのはだめだよ何だよということじゃなくて、やはり率直にその国民の声に耳を傾ける姿勢をとるかどうかというところが非常に大事だと思うのですが、この点、もう一遍聞いておきたいと思います。
  24. 塚原俊平

    塚原国務大臣 そういう状況の中で、信頼回復のためのいろいろな場を設けるということで、今御指摘ございました円卓会議等、現在行われております。その中で、果たしてこの声がしっかり通るんだろうかというような御懸念を持たれたということは、まだまだ私どもの皆様に対する、その会議が極めて私どもは重要だと認識をしている部分の、PRの不足しているところもちょっとあったのか、こういうところを反省しなければいけないと思いますけれども、極めて重要な、一つ一つの御意見が大きな影響を与えるというふうに私ども考えております。
  25. 吉井英勝

    吉井委員 それで、これは三月三日になりますが、朝日新聞に原発問題についての世論調査が行われて、その結果が紹介されました。  ちょっと御紹介しておきますと、「あなたは、これからのエネルギー源として、原子力発電を推進することに賛成ですか。反対ですか。」賛成という方が三八%で、反対という方が四四%。だから賛否、まあ反対の方が多いわけですが、あるわけですね。  ただ私は、同時に大事なことは、「日本の原子力発電所で、大事故が起きるという不安を感じていますか。感じていませんか。」ということについて、大変感じているというのが七三%。だから、原発推進という立場の方も、反対という人も含めて、今の日本の原発には大変な大事故が起こる不安を感じている。これは国民の非常に率直な気持ちとして、ここはしっかり踏まえてかからなければいけないと思うのです。  同時に、原発は技術と管理次第で安全なものにできると思うか、それとも人の手に負えない危険性があると思うかということについても、「安全なものにできる」という楽観的な見方が三五%で、「手に負えない危険性がある」というのは五六%。非常にそこに今の国民の多くの皆さんの不安や心配というものがあるわけで、実はそれは、かつてチェルノブイリ事故の後に行われた八六年の調査の六七%よりも、不安を感じるという今回の七三%は、さらに大きいわけですね。  そういう国民の声というものを本当に尊重して原子力行政というものを、特にその点では従来型の発想から違った、国民の不安やそういうものをちゃんと耳に入れた行政というものに転換といいますか、踏み出していくといいますか、これを考えなければいけないと私は思うのですが、この点は大臣にもう一遍、政治家としてのお考えを改めて聞いておきたいと思います。
  26. 塚原俊平

    塚原国務大臣 日本の国は、国会の御議論等を通じて、そのたびに原子力の安全規制というものが強化をされてまいりました。非常に科学技術特別委員会等々での議論は、私は、日本の国の国民が原子力発電というものを信頼するに足るだけの機能を国会が果たしてきたというふうに思います。そういうことが、あのチェルノブイリのような本当に大きな事故があった直後でも、今御指摘のその数字、これは大変大きな数字ではあるけれども、その程度の数字でおさまったというのは、やはりかなりの信頼感があったのではないかと思うのですね。  ところが今回、「もんじゅ」の事故の後の調査で、その調査結果を私は見ておりませんけれども、そのときの数字を上回ったということは、これはもう私どもとすれば、大変な大きな問題として認識をしなければいけないというふうに感じております。  繰り返しでありますが、円卓会議等々で現在実施をいたしております皆様方の御意見を十分に拝聴する中から、より安全に対する信頼を増すように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  27. 吉井英勝

    吉井委員 私は、「もんじゅ」に関しては、昨日も科学の委員会で最近の再現実験のことを取り上げましたが、実験をやってみたら、実は床のライナーのところに流れてきたナトリウムが燃えて、ライナーに穴があいてしまった。ナトリウムとコンクリートが直接接する事態になったのですね。これはナトリウム・コンクリート反応というので、水素が出て大爆発に至るという本当に危ない事故の一歩手前であったということが、実は最近の動燃の実験によっても明らかになっているわけです。ですから、国民皆さんの不安というものは単なる不安ではなくて、そういう裏づけのあったものですから、改めてそこをしっかり踏まえて考えていただきたいと思うのです。  さて、憲法第八章「地方自治」、その中では九十四条で条例制定権というのが定められておりますが、これは当然、国は、地方地方が条例を制定して地方自治の本旨に基づいてやっていく行政については尊重しなければいけない、当たり前の話であります。この憲法と地方自治法の定めるところにより、実は昨年七月十九日に、巻町における原子力発電所建設についての住民投票に関する条例というのが制定されました。  エネルギー庁長官に最初に伺っておきたいのですが、この条例の第一条「この条例は、巻町における原子力発電所の建設について、町民の賛否の意思を明らかにし、もって町行政の民主的かつ健全な運営を図ることを目的とする。」とうたわれております。この条例を尊重するということは当たり前の話だと思うのですが、これは間違いありませんね。
  28. 江崎格

    ○江崎政府委員 条例に基づく住民投票の結果について直接尊重する義務がかかっておりますのは、条例に基づいて、町の町長に尊重義務がかかっているというふうに理解しております。
  29. 吉井英勝

    吉井委員 そんなことを言っているのではないですよ。国の行政というのは、地方自治の本旨に基づいて行われることについては、国は国として、国と地方との関係で、ちゃんと行政というものは尊重して進めるというのは当たり前の話であって、国は地方と全く違うことを強権的にやるということはできないのです。ですから、そういう条例に基づいて巻町の皆さんが進めていくということについては、当然、国としても尊重する立場にあるのは当たり前の話で、それはちゃんと尊重して対応されますねということを聞いているのです。
  30. 江崎格

    ○江崎政府委員 条例の結果、住民投票の尊重義務というのはあくまでも町長に対してかかっているというふうに私ども理解しておりますが、ただ、住民投票を受けまして町長が各種の判断をされますときに、その結果については、私どもとしては当然これを重大に受けとめるということでございます。
  31. 吉井英勝

    吉井委員 私は、住民投票の結果の議論をやっているのではないのですよ。  この条例の目的というのは、第一条で、町民の賛否の意思を明らかにするとともに、もって町行政の民主的かつ健全な運営を図ることを目的としてつくられているのですね。賛成、反対の結果がどうなるか、そのことを今聞いているのではないのです。  そういうことで、憲法に基づいて、地方自治体が町行政の民主的で健全な発展を目指して取り組んでいこうとする姿勢というのは、国として尊重するという立場にあるのは当たり前の話だと思うのです。それを全く無視する、尊重もしません、無視しますというふうなことになったら、これは憲法に照らして全く誤った立場になるわけですから、そういう地方の皆さんの進められることについては、国としては、条例の第一条などに示していることを尊重しますね。それを聞いているのですよ。
  32. 江崎格

    ○江崎政府委員 住民投票が条例に基づいて行われるということについては、原子力立地を進める際に非常に重要な要素でございますので、私ども、それとしては非常に重要な問題だというふうに受けとめております。  ただ、先ほど申し上げたように、条例に基づいて行われる住民投票の結果について、直接尊重義務があるのは町長であるということを申し上げているわけでございます。
  33. 吉井英勝

    吉井委員 結果の話は後であって、条例にあらわれた、民主的で健全な町の運営を図ろうという目的でもともとつくられているのです。こういうものは、国と地方との関係については、憲法第八章「地方自治」の本旨に基づいて尊重するのは当たり前のことであって、さっき大臣の方は、国民の声、理解を求めなければいけない、尊重しなければいけないということを言っておられるのに一それは賛成、反対の人も地域にいらっしゃるでしょう。いらっしゃるけれども、そこの町が取り組んでいることについては、国としては尊重するのは当たり前のことであって、それをはなから、結果のことを聞いてもいないのに結果のことだけおっしゃっておられるから、私はおかしいと思います。  こういうそれぞれの自治体の取り組みそのものは尊重するのでしょう。無視するわけじゃありませんね。ちゃんと住民の声というのは尊重して考えていくわけでしょう。
  34. 江崎格

    ○江崎政府委員 どういう事項について住民投票を行うかというのはまさに地元の住民の選択の問題でございますので、私どもがとやかく言う問題ではないというふうに思っておりますし、それから住民投票の問題について、私ども無視するということは決して申し上げておりません。
  35. 吉井英勝

    吉井委員 それでは、無視されないと言う住民投票に関する条例の第二条のところでは、その第二項で「住民投票は、町民の自由な意思が反映されるものでなければならない。」それから第十五条のところでは「買収等町民の自由な意思が拘束され、不当に干渉されるものであってはならない。」このことをうたっております。  幾ら何でもこういうことは当然知ってはると思うんだが、電気事業法の方で、電力会社というのは通産大臣が第三条で認可することになっておって、第五条の第七号で「公共の利益の増進のため必要かつ適切であること」、このことを認可の基準として示しているわけであります。買収行為等で地方自治をゆがめたりするようなことがあったりとか、あるいは、少なくともその町域の中で条例に反するようなことを電力会社等が行ったとすれば、これは公共の利益の増進のために適切なものとはとても言えない。私は、こういう点では電力会社の方は条例を尊重してこそ適切なものということが言えるのであって、買収行為等、条例違反なんというようなことになったら論外だと思うのですね。  その点は認可基準に照らしてみて考えなければいけないわけですが、認可する側として、少なくとも電力会社が買収行為にわたるようなことをやってはならぬ、そういうことは考えていらっしゃるでしょうね。
  36. 江崎格

    ○江崎政府委員 電力会社が事業者として行おうとしている各種の事業について、地元の住民の理解を求めるという活動は種々あろうかと思いますが、その活動の中にその地域で定められております条例に違反するようなことがあれば、これはもちろん問題があるというふうに思っております。
  37. 吉井英勝

    吉井委員 実は、地元の新潟日報の四月十八日付に載ったのを、先日テレビでも全国に放映されておりました。驚きましたよ。  どんなことがやられているかというと、これはテレビに出たことが同時に新潟日報でも先に紹介されておったことですが、東北電力を囲んで、「夜のすし屋に推進派集合 飲んで食って原発を勉強」、マイクを突きつけられて会費の額を聞かれた人が、いや、あれは一千円だったと言う人もおれば、いや、それは答えないことになっているんだよと言ったり、出てきた人は、あんなもの、とてもじゃないが一千円で食えるような代物じゃなかったよという話が出てきたり。これは地元紙でも紹介されておりますが、初老の男性は、「とても会費で足りるとは思えない料理が出た。だれがカネを出しているかは分からないが、飲ませてもらえればそれでいい」という話をしたという話もあります。とにかく、この学習会なるものから出てきた人は大半が酒に酔っていた、こういう事態だということをテレビでも地元紙でも伝えております。  毎日新聞の五月十九日付でも、「午後八時。海水浴場に面した旅館で、五十人ほどがビール片手に会食していた。記者の姿を見ると、何人かが一階大広間のカーテンを慌てて閉じた。一時間後、出てきた人たちに「会費はいくら?」と問いかけると、「一千円」」「逃げるように靴を持って窓から出ていく者もいた。」こういう調子で、それから新潟日報の五月十九日付だったかな、「格安原発視察ツアー 和倉温泉一泊付き」「東北電がバス代負担」とか、こういうふうなやり方が随分やられているのですね。  実は、話に行ったところで何がやられているか。ちょっと大臣、これは向こうから送ってもらったのですが、これはテレホンカードの拡大コピーなんですね。こっちの方にテレカの裏側が出ていますが、これにいろいろ、写真の載ったものとか、「原子力発電にご理解を 東北電力株式会社巻原子力建設準備本部」、こういう形で、本当にやっていることといえば、とにかく東北電力の主催するPRのためとか学習会のためとかいうところへ参加したら、テレホンカードやお菓子がもらえたり、飲み食いがある。そういうミニ懇談会が開かれ、原発見学ツアーと称して原発施設見学と温泉で四千円、フランス料理がセットになると五千円とか、交通費を東北電力が全部負担する格安ツアーが行われている。  これはどう考えてみても、この最初の条例の方では、「買収等町民の自由な意思が拘束され、不当に干渉されるものであってはならない。」と町の条例では決めてあるわけです。私は、いろいろな方のお話を学習する、いろいろな立場の人がいろいろなPRをする、そういうことは一般的にはあると思うのですね。しかし、そのPRを聞いたらテレホンカードがもらえてお菓子やすしや酒が出る、こういう買収行為にわたることになったら、これは明白に条例違反ということになってくるし、条例に違反するようなやり方というのは、これは私は公益事業としてやはり大問題だと思うのです。現に、こういうことがテレビでも地元紙でもじゃんじゃん報道され、テレビに出たために全国の人が知っている話ですよ。こんなことでいいのだろうか。  私は、これはやはり監督官庁として、大臣、大臣としてはおまえさんばそう言うが、おれの方も調査してみないと判断できないよ、それはおありかもしれません。少なくともテレビ等でこれだけ報道された内容については、大臣、一度まず調査をされて、そしてそういう事実があれば、公益事業としてやっている電力はこんなことにならないようにきちんと指導されるべきだと思うのですが、大臣にこの点を伺っておきたいと思います。
  38. 江崎格

    ○江崎政府委員 電力会社が地元の住民の方を対象にしまして発電所の見学会等を催しまして、それで理解を深めていただくという活動自身は否定される必要はないと思っております。  ただ、今幾つか例を挙げられましたけれども、私、具体的なプログラムがどういう費用負担で行われたかというのをつまびらかに存じませんけれども、例えば交通費相当程度の負担であれば、必ずしも条例に違反するというようなことは言えないのではないかというふうに思っております。
  39. 吉井英勝

    吉井委員 エネ庁の長官は、ちゃんと調査して物を言っているのですか。地元の人たちはみんな知っていることなんですよ。何しろ狭いところだから、どこのだれだれちゃんは電力の学習会だというところに行って、会費は千円という話で行ったけれども、ろくにそんな払わぬでもよかった、おいしい料理も食って、酒も飲ませてもらった。これが電力の側の原子力についての学習とかPRであっていいのでしょうか。そして、行ったらテレホンカードをどんどんくれる、あるいは説明に回ってテレホンカードをくれる。これが全部一般の国民の電力料金で賄われているのですよ。  こういうことがあっていいのかということについて、大臣、私はテレビ等で紹介されたことを今紹介しましたが、決めつけて言う前に、大臣自身がやはり指示もされて、まずそういう実情を調査をされる。そして、調査の結果そのとおりだということになれば、指導するのは法律に基づいて当たり前のことだと思うのです。調査もする前から、はなから一般論だけで、一般的にそんなこともあろうかと思いますでは、これはとてもじゃないが国民の国に対する信頼は得られませんよ。  だから私は、事務屋さんの答弁じゃなくて、大臣自身に、まず必要なことは調査をして、そして必要ならば指導監督の権限を行使される、これが必要だと思うのですよ。これは大臣にやはり答えてもらわないと。
  40. 江崎格

    ○江崎政府委員 今回の巻町の事業者の活動状況について、もう少し私ども実態を調べてみたいと思います。
  41. 吉井英勝

    吉井委員 長官の方がまず実態を調べてということですから、これは本当に徹底的に実態を調べていただいて、そして、電力の側が少なくともこの町の条例の「買収等町民の自由な意思が拘束され、不当に干渉されるもの」に当たるようなものであれば、これは公益事業として大問題ですから、やはり厳しい指導をやってもらわなきゃいかぬと思うのです。だから、今調査をするとおっしゃったのだから、まず調査をやってもらいたいというふうに思います。  次に、通産省の方は、原発の理解を求めるために、今全国で原発の学習等の講演会をやっていらっしゃるのですか。
  42. 並木徹

    ○並木政府委員 お答え申し上げます。  先ほどの御質問の中にもございましたように、原子力に関する安全の問題あるいは地域地域の御理解ということにつきまして、やはり私ども担当行政部局としても十分状況を御説明し、また一方でそれぞれの方々の御意見あるいは御要望をお伺いすることは極めて重要であるという認識のもとに、四月からでございますけれども、私ども担当の方で手分けをいたしまして、各通産局とも協力をいたしまして、地域地域においてそういった政策の説明と御意見等をお伺いする催しを実施しておるところでございます。
  43. 吉井英勝

    吉井委員 私、聞きましたように、まず、今全国でそういう学習会をやっているかといったら、そうじゃないのですね。今やっているのは、この巻町だけに集中してでしょう。主催、通産省資源エネルギー庁、「原子力発電に関する連続全六回講演会」というチラシが配られておりますが、江崎長官がごあいさつというのを書かれて、ずっと連続やられているわけでありますが、こういうふうな、講演と称して巻町にだけこれをやる。  私は、全国的に一般的に通産省がPRをしていらっしゃる、学習会を展開される。一般的な話としては、いろいろな考え紹介します、原発について紹介します、それはあるでしょう。しかし、まさに投票が行われるというところで、一方の側に立って通産省がこういうことをやれば、何だこれは。結局、表は通産省が講演会をやって、裏では電力会社が買収供応に走る。日本の原子力行政というのは、こんなことでは国民の信頼を失いますよ。  巻町の住民の意思を尊重するのでなくて、力ずくで投票の自由を侵すということは、私は、憲法と地方自治法はもとより、民主主義や社会正義に反するとんでもない行為だというふうに思うのですよ。指導する側の通産省が、マスコミ報道を見ていますと、エネ庁幹部は本省が空っぽになってしまって、巻町へ大挙して押しかけていっている。電力の不正を指導するべき立場にある者があべこべのことをやっておる、あべこべのことに手をかしておる。とんでもない話ではありませんか。  私は、こういうふうなやり方というものは、これは直ちに通産省としてはやめるべきだ。公正であるべき投票の一方の側に、国費を投じてどんどん加担する。しかも、通産省が加担した側は、表は通産省だが、裏は電力会社が買収をどんどんやっている。法治国家でこんなことが許されていいのですか。私は、憲法や地方自治法や社会正義に反するようなことは直ちにやめるべきである。  私は最後に、大臣、これはよく調査された上で結構ですが、やはり国がゆがんでしまったら大変ですから、住民投票条例に基づいて住民がそれぞれの立場で公正な判断を下そうというときに、一方の側に加担してゆがめてしまうようなことは断じてあってはならない。やはり大臣がエネ庁など現場を指導しない限り、このゆがみは是正できないと思うのです。最後に、大臣の決意を聞いておきたいと思います。
  44. 甘利明

    甘利委員長 既に時間が経過しております。簡略な答弁お願いします。
  45. 塚原俊平

    塚原国務大臣 国と地方はお互いに、地方は国を尊重し国は地方を尊重するということ、お互いに尊重し合うということは極めて大切だというふうに認識をいたしております。また、これから原子力というものの信頼をいただくために、御意見を拝聴をして、その御意見をしっかりと反映していくということが重要でございますし、逆にまた、御理解をいただく努力をするということも大切であるというふうに認識をいたしております。精いっぱい今後とも努力をいたしてまいりたいと考えております。
  46. 吉井英勝

    吉井委員 残念ながら、時間が参りましたので終わります。
  47. 甘利明

    甘利委員長 続いて、土田龍司君。
  48. 土田龍司

    ○土田委員 石油関係で御質問をいたします。  今石油業界は、一九八六年の特石法施行に伴って、基本的に原油しか輸入できなかったのが、元売石油精製会社に対してガソリンや灯油や軽油等が解禁となったわけでございます。その後、規制緩和のアクションプログラムの概要に沿って、八九年にガソリンのPQの廃止、九〇年にSSの建設規制廃止、あるいは九二年の原油処理枠の撤廃、九三年重油TQ廃止と、順調に推移をしてきているわけでございます。このことによって石油元売各社は、石油を精製、販売することに当たり、フレキシブルな対応ができてきたのではないかと考えられておるわけです。  特石法がことし九六年の三月末で廃止になりまして、いよいよ規制緩和の目玉であります石油製品の輸入自由化が、本格的にこの四月より始まったわけです。もちろん今までと違いまして、元売の石油精製各社だけではなくて商社を初めだれでもが、一定の条件はございますけれども、輸入をできることになった。このことは、もちろん今までのアクションプログラムの推移と異なり、業界内部だけに対する規制ではなくて石油業界全体の自由化であって、大いに評価されるところであるというふうに思っております。  しかしながら、商社等の新規参入業者と既存の業者の競合になるわけでございまして、現状においてはなかなか輸入できにくい実態にあるのではないかというふうに報道されておりますし、私も実際にそういったふうに話を聞いております。  そこで、まず第一の質問でございますが、四月以降の、全農を初め新規輸入業者の登録とその実績についてお答え願いたいと思います。
  49. 河野博文

    ○河野(博)政府委員 お答え申し上げます。  四月一日以降、つまり特石法の廃止以降本日までに、実際に石油製品を輸入いたしましたいわゆる新規参入者は、会社の数にいたしまして三社でございます。輸入されました油種と数量について申し上げますと、揮発油について約二万キロリットル、灯油につきまして約二千キロリットルでございます。もちろん、いわゆる精製会社自身が行っております輸入は、これ以外にもございます。
  50. 土田龍司

    ○土田委員 新規参入業者は三社ですね。その名前を教えてください。
  51. 河野博文

    ○河野(博)政府委員 個別企業のことではございますけれども、新聞などでも報道されましたので構わないかと思いますので申し上げます。伊藤忠商事それから全国農業協同組合連合会、住友商事でございます。
  52. 土田龍司

    ○土田委員 それで、今後新規参入してくる業者はどのくらいと考えているか。今後のことについて、わかっている範囲でお答えください。
  53. 河野博文

    ○河野(博)政府委員 今後、石油製品の輸入についてどの程度の新規参入があるかというのは、今後の為替レートですとか国内の石油製品価格ですとか、あるいはまた最近かなり動きがあります国際的な市況、こういったものの影響を受けますので、明確な予測をすることは正直申し上げまして困難でございます。ただ、私ども関係の商社などにいろいろ事情を公式、非公式に聞いておりますと、これらの経済環境をにらみながらも、新規参入の準備を進めている会社もかなりあるという状況でございます。
  54. 土田龍司

    ○土田委員 ということは、新規参入をしてくる業者がどの程度あるのか、あるいはどのくらいの分量をやるのか、今おっしゃったような理由ではっきりしないということですね。  そうなりますと、いわゆる今年度の、あるいは今年度以降の供給計画についていろいろ計画を立てていらっしゃると思うのですが、その根拠がわからなくなってしまうのではないかと思うのですが、その点はいかがですか。     〔委員長退席、小林委員長代理着席〕
  55. 河野博文

    ○河野(博)政府委員 先ほどもちょっと触れさせていただきましたように、現在でも精製企業はかなりの輸入を製品についてやっております。そういったデータをもとにしまして、またもちろん為替レートについても一定の前提のもとに、あるめどをつけて、かつ自由化をしておりますので、輸入も漸進的にふえていくというようなことを念頭に置きながら供給計画を策定させていただいております。
  56. 土田龍司

    ○土田委員 その根拠となるのが、どのくらいを見積もってどういう計画を立てるかというのが、ちょっとはっきりしないような気がするのです。  そこで、四月一日から自由化になった。そのことを受けて、一般の国民の方というのはガソリンも灯油も軽油も安くなるのではないかというふうに期待をしておったわけですが、実際的にはそれほど値段は下がっていないわけです。  そこで、新規参入業者がもっとたくさん出てくればその分だけ競争になるわけでございまして、価格も下がってくるのではないかというような感じがするのですが、新規参入業者は現在の時点では三社だけです。これは少ないのはなぜだというふうに考えていらっしゃいますか。
  57. 河野博文

    ○河野(博)政府委員 お答え申し上げます。  実は、この自由化そのものは御指摘のようにこの四月一日から制度として発効しているわけでございますけれども、この輸入の自由化の議論は今を去ること二年前から活発にされてまいりまして、私どもはさまざまな準備をし、またこういう事態になるということを関係皆さん議論してまいりました。  そういう過程の中で、既に非常に激しい競争規制緩和を前取りするような形で行われてまいりまして、例えばガソリンで申し上げますと、この二年間で、原油価格などは円建てでは上がっているわけでございますけれども、リットル当たり約十五円値下がりをするというような市況になってまいりました。そういう状況を見てみますと、この市況でありますと、割安と言われているアジア製の他の国からのガソリンなどを輸入しましても、結局のところ割安感は非常に乏しくなってきたというのが実態でございまして、輸入が自由化にもかかわらずそれほど多く見られない現状というのは、まさにこの市況、価格動向を反映したものだというふうに考えております。
  58. 土田龍司

    ○土田委員 そのほかには考えられていないのですか。単なる値段だけの問題ですか。値段だけの問題ならば、実際は中間留分については相当まだ差があるわけでして、参入してきてもおかしくないような気がするのですが、あとどんな理由を考えていますか。
  59. 河野博文

    ○河野(博)政府委員 今価格というふうに申し上げましたが、価格の中には、国内で価格が下がったということもございますし、同時に、この自由化が議論されておりました当初のころの為替レートは一ドル百円を切るような円高の水準でございましたけれども、その後百円を上回るような、それに比べれば円安の水準になっておりますので、そういう意味で、輸入品の魅力が乏しくなったというような点が考えられるのではないかと思っております。
  60. 土田龍司

    ○土田委員 そのほかに、例えばタンクを確保できないとか、あるいは品質の問題とか、その辺も問題があるのではないかと思うのですが、その辺は参入者がふえない理由には入っていませんか。
  61. 河野博文

    ○河野(博)政府委員 御指摘の点は、例えば新規に輸入される方にも備蓄の義務を負っていただいております。そういう意味では、それになれない方ですから備蓄をすることに努力をしていただく必要はありますけれども、ただ、これは国内で生産する方々と全く同じ義務を負っていただいているわけでございまして、その意味で、備蓄の義務を過剰にお願いしているというふうには思っておりません。  また、備蓄をするに当たって、先生今御指摘ありましたように、タンクを保有する、あるいは借りる必要がございます。そこで、私ども、タンク情報をできるだけそういった新しい参入の方に提供できるように、石油公団であいているタンクの情報ども集め、お問い合わせがあればこれにお答えするという仕組みを新たに始めておりまして、現に、その仕組みを始めて以来、かなりの数の問い合わせをいただいて、情報を提供しているというような状況でございます。  それから、今品質についてもお尋ねがございました。  確かに、品質の確保については、従来揮発油販売業法と申しておりましたものにつきまして、昨年の国会でお許しをいただきまして、品質確保法という品質確保のための法律に衣がえをさせていただきました。したがいまして、形式的には規制を強めたような形になっておりますけれども、実際上、輸入の自由化の前に日本の国内で行き渡っておりました石油製品の品質を、それより落とすことなく、消費者皆さんの期待どおりのレベルを維持するという水準で規制水準を設けさせていただいております。  また、この水準自身は国際的に見ても過剰なものだというふうには思っておりませんし、これまで確かに数少ないと御指摘ございましたけれども、輸入されたものを規格適合かどうか調べてみますと、そのままで基本的には適合している例も多いわけでございまして、これが参入障壁になっているというふうには私ども理解していないのでございます。
  62. 土田龍司

    ○土田委員 タンクの件も品質の件もそんなに障害になっていないというふうに石油部長はおっしゃるのですが、私は、その二つの問題というのは非常に大きな問題ではないかというふうに思っているのです。  タンクにつきましては、今タンクを持っている方というのは限定されているわけでございまして、そういった紹介をしたりあっせんをしたりすることによってある程度はタンクを確保できるということはあると思いますけれども実態はなかなか難しいというふうに私は聞いております。  それから品質の件につきましても、確かに適合した製品を輸入することも実際全農はやっているわけでございますけれども、適合しないために輸入できない、あるいは輸入しても品格検査で通りませんので、手直しをしなければならなくなる。手直しをだれができるかというと、元売業者しかできないわけでございまして、その辺は、新規参入の方々にとっては非常に大きなネックになっているというふうに私は思っております。  ですから、その辺をもう少し緩和する、新規参入の方々が入ってきやすいようにしなければ、その本来の趣旨が生かされないわけでございますので、その点についてどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  63. 河野博文

    ○河野(博)政府委員 お答え申し上げます。  まず、備蓄についてでございますが、私どもにできることは最大限便宜を図るということで、タンクの情報を提供する、また、新規参入の皆さんが例えばグループで備蓄をいたしますと、その備蓄水準の、民間備蓄七十日という義務がございますけれども、それを平準化して、皆さんが比較的少ない負担でその義務を全うできるというような運用の弾力化も図っております。また、備蓄のタンクを手当てされる、あるいは備蓄原油を購入されるに当たっての低利融資制度を用意するというようなことで努力をいたしておりますので、こういった努力が新規参入の皆さんにもよく理解できるように、先生の御指摘を踏まえてさらに努力をしてまいりたいというふうに思います。  また、品質確保につきましても、先ほど申し上げたようなことでございますけれども、国際的に見ても特に厳しい基準ではございませんので、ほとんど普通の石油の輸入業者であれば理解をし、確保できる水準というふうに思っておりますけれども、私ども情報提供で何か役に立つことがあればさらに考えてまいりたいというふうに思います。
  64. 土田龍司

    ○土田委員 手直しをするために、どうしても元売業者の力をかりなければならない。いわゆる元売業者と契約をしないことには、なかなか参入できないという実態があるように私は聞いております。  何を私は申し上げたいかといいますと、通産省の政策として、せっかく自由化をして自由競争環境をつくっていこうということになったわけですね。アクションプログラムは十年かけてつくって、二年前から自由化になるんだということでそれぞれ準備をされてきた。元売業者もリストラや企業努力をされてきた。ところが、実際に四月から始まってみると、なかなか難しい状況が出てきている。私は、どうも通産省は元売業者の味方をしているんじゃないかというふうに感じられる節があってならない。  実は、ここに一つの資料があるのです。一月の二十九日に、石油産業セミナーと題しまして、石油部の課長さんの方々がそれぞれ講師をされて、いろいろな話をされたのだそうです。  これは、それを聞いたある会社の方が上司に書いたレポートのコピーなのですが、その中で幾つも、「身内と言うのはおかしいのですが、まあ仲間意識のようなことを言いながらいろいろ教えていらっしゃる。特に、」これは本当かどうか知りませんよ。これはその方が書かれたレポートですから、そんなこと言っていないと言えばそれでおしまいなんですけれども。流通課長の加藤さんが話した言葉の中に「自分たちができることは何でもやるから、特に価格維持については頑張ってくれ。」というようなことを話されている。「いわゆる元売業者を守るために、あるいは混乱を起こさせないために、あるいはもっと言えば、新規業者が来て混乱をさせないようにするために、もっとしっかりやってください。自分たちもそれについては一生懸命応援しますよ。」というようなことをいろいろ話をされているのです。  いわゆる石油製品の値段を下、げないようにして、なるべく高いレベルで維持していくことによって、元売業者も今までどおりのもうけを続けようというような節が見えてならないのですね。だから、通産省の指導として、もうちょっと自由化の趣旨を尊重しながら、そのための施策をもっとやってほしいという気がしてならないのです。  これは私は素人ですから、実際の実態は細かく知っているわけではないのですが、そういった業者の方々から話を聞いたり、あるいは一般の国民の方が思っている感じを合わせますと、どうもそういった感じがしてならないのです。誤解であるというふうに思うのですが、もうちょっと私の疑惑が解けるように、その辺をお話し願えませんか。
  65. 河野博文

    ○河野(博)政府委員 今お話しいただきましたように、石油産業に関する規制緩和を鋭意進めてまいりました。その結果について、必ずしも十分評価あるいは御理解いただけないのはまことに残念でございます。  あえて申し上げさせていただきますけれども、先ほど御紹介いたしましたように、この二年間でガソリン価格は十五円下がりました。軽油、灯油につきましても、この二年間で約二円ぐらいの下落でございます。特にガソリンが多く下がりましたのは、従来、日本特有のガソリン独歩高という価格構造があったからでございますけれども、この競争の結果、大幅な下落を見ました。  これは試算でございますけれども、ガソリンにつきましては、年間約五千万キロリットル日本の国内で売られておりますので、十五円ということは、単純に掛けますと七千五百億円、それらの油種も含めますと約一兆円近い利益消費者皆さんに還元することができたというのが、今日ただいまにおきますこの規制緩和の結果であるというふうに思っております。  そういう意味では、当初の目的を果たした規制緩和であるというふうに実は思っているわけでございますけれども、同時に、いろいろな場面で、実は価格的には混乱をいたしました。先生も御案内のとおりでございまして、東京近郊などでは一時、例えば一リットル八十円台ぐらいで売られた場面もございます。私ども、どう計算しても、なかなかこれはコスト的に見合う販売価格ではないという側面もあるのでございます。  そういうこともありますので、市場を自由化して大いに競争していただくというときに、そういう側面の公正競争のルールづくりのようなものも必要だという側面を私ども考えているのはまた事実でございますけれども、何よりも、二年間かけてやってまいりましたこの規制緩和の実を上げるというのが、私どもの最大の使命だというふうに心得ております。
  66. 土田龍司

    ○土田委員 石油製品の輸出の自由化についてどのように考えていらっしゃるか、ちょっと詳しくお答えください。
  67. 河野博文

    ○河野(博)政府委員 この四月から、先ほど先生指摘のように石油製品の輸入について制度的な自由化を実現しておりますので、その観点からいえば、双方向という意味で、輸出につきましてもより自由な仕組みが必要だというふうに考えております。  ただ、石油の需給は日本にとっては経済的には非常に基礎的な条件でございますので、国内の需給を安定させるという側面もどうしても無視できませんので、制度的には現在も輸出承認制度の対象にいたしております。したがって、この制度的な枠組みは残しながら、より自由な輸出ができるような環境をつくるための方策を今検討している状況にございます。
  68. 土田龍司

    ○土田委員 在庫に関して質問するのですが、石油製品の各在庫が平成七年度から急激にマイナスになってきておるわけです。供給に対して問題があるのではないか。あるいは、事実昨年度、冬は非常に寒くて、灯油を例にとりますと、十一月が二十五万キロリットル、十二月が三十七万キロリットルと、前年度に比べますと十一月が三〇〇%、十二月が一六二%と緊急輸入して、シンガポールのスポットマーケットが一バレル当たり二十三ドルから三十四ドルまでに高騰した。こういうことが国際的にもマーケットを乱すことになっているわけでして、あるいはまた、経済的に考えましても、自前で精製した方がずっと安上がりなわけですので、国益ということを考えた場合にも、必要在庫を十分に確保しておく必要があるのじゃないかというふうに思うわけです。  エネルギー庁の今年度の供給計画の中でどのように考えていらっしゃるのか、お答え願いたいと思います。
  69. 河野博文

    ○河野(博)政府委員 在庫について一言申し上げさせていただきますと、いろいろな意味での自由化が進みますと、企業としては経営の合理化をさまざまな場面で図ってまいらなければならないということでございまして、でき得れば在庫についても従来より効率的なレベルにいたしたいという気持ちが強いのではないかと思います。これは必ずしも日本ばかりではありませんで、世界的な製油所、精製所の傾向でございます。  今お尋ね供給計画におきます在庫レベルにつきましては、今ちょっと手元に具体的な数字を持ち合わせておりませんので、後ほど御紹介させていただきますけれども、基本的には、昨年のレベル、従来のレベルを前提にして計算をさせていただいております。
  70. 土田龍司

    ○土田委員 いわゆる製品で持っていても原油で持っていても、基本的には変わらないわけですので、もうちょっと在庫をふやしてもいいのじゃないかという気がするのですけれども、どうも値段が下がらない理由の一つにそれがあるのじゃないかという気がしているのですね。  在庫に関しましては、あくまで元売各社の自主判断でやっていらっしゃるというふうに聞いているのですけれども、エネルギー庁としましては、生産調整等の指導はやっていませんね。ちょっとその辺のことをしっかりお聞きしたい。
  71. 河野博文

    ○河野(博)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど来先生指摘のように、昨年来のこの冬は非常に寒い冬でございまして、世界的に供給側の見通しを上回る需要が出たというのは、御指摘のとおり事実でございます。正直申しまして、私どもが予想しておりました冬季の需要を上回る需要が発生をしたという状況にあると思います。  それからまた、こういう経済環境の変化の中で、私ども石油産業方々に申し上げておりますのは、もちろん需要に見合うだけの生産を行って供給をしてもらう必要もあるし、同時に、その需要に見合った供給あるいはそういった生産レベルを実現するということは企業としてこういう時期に重要なことだということは、一般論として申し上げております。  ただ、むしろこの冬のことを正直申し上げますと、予想外の厳冬の中で、たまたま私どもの非常時用の情報収集体制で在庫レベルなども把握できましたので、決して不足することがないように、日々データを照合しながら、生産を増産する必要があれば直ちにそういうことを業界にお願いできるように、また緊急輸入が必要であれば輸入をお願いできるような態勢をもって、日々状況をウォッチしてきたというのが実情でございます。
  72. 土田龍司

    ○土田委員 わかりました。  時間が来ましたので、ちょっと一点だけ最後に簡単な質問ですが、クマリンについてお尋ねするのですが、TBSのテレビで「CBSドキュメント」の中で、ニコチンとクマリンを規定より多目に使っていると発がん性があるというようなことを報道しておったのです。このクマリンにつきまして、発がん性の問題ですけれども、どういうふうに考えておられますか。
  73. 河野博文

    ○河野(博)政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のクマリンは、灯油の識別剤として使用されている化学物質でございます。ただ、この化学物質は、他の品物、例えば化粧品ですとかかなり多くの分野で汎用的に使われているというふうに伺っておりますし、また同様のことをイギリスでも行っているというふうに聞いておりますので、私ども自身、そういった意識はございませんけれども、さらに学術文献等、必要があれば当たってみたいというふうに思います。
  74. 土田龍司

    ○土田委員 通産大臣、せっかくお見えでございますので、日ごろ思っておりましたことについて一つだけちょっと大きなことで質問するのですが、いわゆるエネルギー政策というのは今後ますます重要になってくるわけですけれども、その中で通産省としまして、大きな中で結構ですので、エネルギー政策をどういうふうに持っていきたいのか、方向をつけていきたいのか、大臣としての見解をちょっと伺いたいと思います。
  75. 塚原俊平

    塚原国務大臣 これからエネルギーは非常に多く確保しなければいけないと思います。ただ、そういう状況の中で環境というものも十分に考えていかなければいけませんので、環境に十分配慮した中でしっかりとしたエネルギーが確保できるように頑張ってまいりたいというふうに考えております。
  76. 土田龍司

    ○土田委員 終わります。
  77. 小林守

    ○小林委員長代理 吉田治君。
  78. 吉田治

    ○吉田(治)委員 吉田治でございます。  いろいろ多岐にわたって質問をさせていただきたいと思います。わざわざたくさんおいでいただいておりますが、時間によっては質問できない場合もあるということをあらかじめ御了承いただきたいと思います。  まず最初、大臣、大店法の問題についてお答えをいただきたいと思います。  大店法の三度にわたる規制緩和ということによりまして、商店街というのは、大型店の出店ラッシュ、空き店舗の増大、価格破壊ということで本当に窮地に追い込まれております。平成九年度の見直しでは将来的になくすとしておりますが、これ以上の規制緩和は行われないようにということを、本当に強く強く私もこの場で何度も申し上げておりますけれども、大臣の大店法に関する基本的なお考えをまず最初に賜りたいと思います。
  79. 塚原俊平

    塚原国務大臣 御指摘のように、平成九年度に見直しをさせていただきます。ただ私も、特に商店街の方々を中心に、大店法規制をこれ以上緩和をしないようにということで、常に御意見は伺っております。ただ、常に申しておりますのは、今より規制が強化をされるということはなかなか難しいと思います。ですから、そのようなところに期待感を込めまして将来の戦略を組みますと間違うことになりますものですから、でき得る限り将来の見通し等も正しく商店街、商工会の方にお伝えを申し上げながら、しっかりした戦略が組んでいけるようにしていただきたいというふうに考えております。  また、今日商店街で大変に努力して成功している例もあるものでございますから、一応私どもの方で、元気のある商店街百選というような形でお出しをさせていただきまして、そこを皆様方に参考にしていただくというような形の具体的事例もこれから挙げてまいりたいというふうに考えております。
  80. 吉田治

    ○吉田(治)委員 これ以上の厳しさはできないという大臣の答弁なのですけれども、やはり今時代というものを見渡して、もう一度その辺も含めて、私は強く大店法というふうなものについてお考えをしていただきたいと思います。  大店法にかかわりまして中小企業の問題について、質問、また意見、要望等をさせていただきたいのですけれども、まず最初は、この大店法にかかわる中小小売商業対策というもの、商店街の活性化ですか、今申し上げましたように空き店舗の問題駐輪場、駐車場の近代化等を図るための助成事業の支援策というのは随分なされていると思います。また、商店街振興組合という、組合という形の設立、高度化資金の利用に対する申請手続の緩和等々、本当に要望が多岐にわたっております。これについて中小企業庁はどうなさるのかということ。  そしてもう一つは、中小企業に対する労働時間短縮の問題において、来年度から週四十時間というふうなものが、今までの四十四時間の特例措置の経過が終わりまして短縮されてまいります。中小小売業からは随分、小売業だけではございません、卸からも、また中小のさまざまなところがら、もうちょっと延期してくれ。ただ反対に、そこで働く者の立場からしますと、十年間も経過措置をして今さら何だという意見もあると思うのです。両方をどううまくこれから整合していかなければならないかという点、この点を二点目にお答えいただきたい。  それと同時に、最後、PL法が施行されて一年がたちました。中小の方からこういうふうな意見が来ているのです。  PL法に名をかたった、例えばある住宅大手メーカーが、屋根のといの販売について、自分のところの純正のとい受けでないとPL法の関係で責任を負えないというふうな文書が出てきた。そうしますと、中小で独自にそういうとい受けをやっているところは、責任持ってもらえないのだったら、中小がつくったものについては取引先から敬遠されていく。公取の方にも、これは中小企業の締めつけではないかということで言いに行ったら、いや、そうじゃない。どうもPL法に名をかりた中小企業いじめというふうなものがあるのではないかという声が指摘されているのですけれども、この辺を含めて、この三点、中小企業庁としてどうお考えでしょうか。
  81. 新欣樹

    ○新政府委員 第一点目の、小売商業をこれからどういうふうに魅力あるものにしていくのかというお尋ねでございます。  これは、大臣が先ほどお答えしたのが基本でございます。具体的には、魅力ある商店街、商業集積、これを整備をするために、アーケードとか駐車場の整備、あるいはイベントの実施、商店街カードの導入等々行いますとともに、不幸にして空き店舗ということになった場合には、空き店舗対策の実施というようなことで、補助金でありますとか無利子融資でありますとか、あるいは低利子融資、こういったようなものを総動員をしてやってまいりたいというふうに考えております。また、個店、個々のお店の魅力をアップをしていくというようなこと、そのためにはいろいろな売れ筋情報の提供等、例えばリテール・サポート・センタしによるバックアップというようなことも考えてまいりたいと思っておるところです。  二点目、時短問題でございますけれども、これは先ほど増子委員への御質問にお答えを申し上げましたとおりでございますが、時短は基本的には中小企業にとっても重要な課題でありますけれども、現下の厳しい経済環境の中で、中小企業から切実な声が上がっていることも事実でございます。  本件については、政府部内では労働省を中心に議論が進められておりますけれども中小企業庁としましては、中小企業の切実な声を酌み取っていただいて、時短が混乱のない形で進められていきますように、また軟着陸ができますように、何らかの措置を講じていただくことが必要なのではないかというふうに考えておるところでございます。  それから、三点目のPL法でございます。PL法の施行に伴いまして、中小企業においても非常にこれを重大視、重要視する考え方というのが出ておりまして、やはり保険に入るということが一つの大きな対策ではないかということで、中小三団体におきまして、PL保険の勧奨、勧誘を進めてまいってきておるところでございます。  したがいまして、中小企業におきましても、その製品の品質につきまして十分なるPRを行い、かつ保証していくというようなことがまたこれから大事だと思いますが、大企業中小企業いじめというような形でやっているかどうかについては、私、ただいまのところ、まだそうしたことは伺っておりませんので、今の御指摘を胸にとどめておきます。
  82. 吉田治

    ○吉田(治)委員 今長官お答えいただきましたけれども、それ以外に、やはり平成九年度より消費税が一応引き上げと、巷間五%に引き上げられると。消費低迷の上に減税もなく、このままでいけば消費税の分、消費者に与える影響が大きいんじゃないか。将来的には一〇%の声というふうなもの、また、それ以上の税率アップというふうなことも言われておるんですけれども、この消費税の問題。  また、免税点制度においても、現行もしくはそれ以上の緩和を望むという声もあるんですけれども、まずこの辺、大蔵省としてどういうふうに基本認識として考えているのか、お答えをちょうだいしたいと思います。
  83. 西原政雄

    ○西原説明員 お答え申し上げます。  消費税に関してでございます。消費税率につきましては、平成六年の秋に税制改革ということで、既に先行して実施しております所得税あるいは個人住民税、こういったものの恒久減税が既に行われておりますが、それに見合う形で五%とすることが消費税率については法律で定まっております。それで、来年の四月一日からこれを実施するということになっておるわけです。  この税制改革でございますが、税制面からのいわゆる我が国の構造改革ということを進めるものでございますので、この法律にのっとりまして確実に実施していくということが、やはり財政あるいは経済運営というものの信頼あるいは安定というものにつながるというふうに考えております。  これについて見直し規定というのもございます。そういったことの趣旨や、あるいは現在の非常に深刻な財政状況、こういったことを考えますと、やはり恒久減税に見合う分の五%という税率の点については、これは御理解をいただきたいというふうに考えております。
  84. 吉田治

    ○吉田(治)委員 免税点制度等については、どういうふうにこれからされていくわけですか。
  85. 西原政雄

    ○西原説明員 事業者における免税点のあり方、これについてはいろいろ議論のあるところでございます。この制度におきましてやはり益税というものが発生しているんではないかというような議論、いろいろございます。これについては、いろいろな議論をしながら見直しをしているところでございます。  基本的には、いわゆる小規模事業者、こういった方々においては、事務処理能力あるいは転嫁といったものの実現可能性、こういった問題点がありますので、そういうことも踏まえつつ、いわゆる制度に対しての理解あるいは習熟、こういったものに伴いまして、相対的に規模の大きいいわゆる免税事業者につきましては、課税事業者としての対応を求めていくというような方向で検討していくという姿勢でございます。
  86. 吉田治

    ○吉田(治)委員 じゃ、消費税が五%に上がったときの現実経済に対する影響というのは、どうなんですか。経企庁の方で何らかシミュレーションされているのでしょうか。されているのであれば、具体的な数字というふうなものを、例えば消費の部分でこう変わっていくとか、成長率でこういう影響があるとか。正直言いまして、二千億円でしたっけの予算を使っている省庁がしてないということは、私は言わしたくないと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  87. 田中秀征

    ○田中国務大臣 今回の税制改革がマクロ経済にどういう影響を与えるかということにつきまして、平成六年の十月に経済企画庁で試算したものがありますので、御紹介いたします。  所得税減税を平成八年度まで先行実施して消費税率を五%に引き上げた場合には、税制改革を行わなかった場合と比べ、消費喚起等の効果を通じて、平成六年度から十一年度の平均で実質GDPを〇・五%程度引き上げる効果があるという結果が出ております。また、消費税率の五%への引き上げは、消費者物価の水準を一・五%程度押し上げる効果があるとしております。  一般的に申し上げても、委員御承知のとおり、消費税の税率アップということは価格の上昇を通じて消費者に負担をかけますので、消費行動に一定の影響を与えるということは避けられないことでありますし、また、本日の月例経済報告で、四月の住宅件数で百六十三万戸という数字を発表しました。大変な高水準ですけれども、まあ駆け込みといいますか、税率アップをにらんでの一面もあるというふうに受けとめております。駆け込み等があれば、これは需要の先食いですから、当然反動もあろうかと思います。  さまざまな現象が消費税の税率アップの事前、事後に起こり得るということですが、こういう現象が景気の回復過程に基本的な変更をもたらす要因とはならないだろうというふうに現在受けとめておりますし、そうしてはならない、そうしないように努めていかなきゃいけないと、このように思っております。
  88. 吉田治

    ○吉田(治)委員 きょうのそれを議事録いただいて、何年か先、私がまだ議員をやっておりましたら、検証という形でお願い申し上げて、そのときに、果たして経済企画庁というものの存在が有意義だったのか、やはりむだだったのか、そのときの長官は行革を唱えていた田中秀征長官だったというふうに声高に叫ぶのか、何年か先を楽しみにさせていただきたいと思います。  こういう中で、中小企業というふうなもの、中小小売業を含めて、さまざま、先ほど中小企業庁の長官も言われていましたように、三団体、やはりこれから先、後の後継者の問題というのが非常によく話題になってまいります。  私どもでしたら、例えば中小企業団体中央会。これも、青年部をつくれ、つくれということで各都道府県ごとにできているということも聞いております。また、商工会議所も青年部をつくる、商店街ももちろん青年部をつくっていく。しかしながら、青年部活動というのは、つくれ、つくれと言う割には、いざ活動を始めると、親会というんですか、もともとの団体の方から制約があるとか、財源の問題、それからもう目的意識の問題、さまざまあるやに聞いております。  例えば一つ例を挙げますと、大阪府の中小企業団体中央会というのがございます。ここにも青年部連合会というのがございます。各単組ごとで青年部をつくって、それを集めた連合会を形成しておりますけれども、やはり補助金の問題でありますとか、何か事業をする場合に、余りにも事務局主導の部分がある。また、事務局が主導しなくても、何かしたいといった場合に、青年部の親会とよく言われるんですけれども、中央会の理事というんですか、そういう人たちから、そんなことはしなくってもいいとか、何でおまえたちがそんなことをするんだと。やれ、やれと言う割には、どうもシステムの部分、それから権限というんですか、それから、どうこの青年部活動を拡大していくのかというところでいろいろ意見がある。お金が欲しいという部分もあるでしょうし、また、その中央会自身のそういう理事会に、例えば青年部の会長はオブザーバーでもいいから参加させてもらって、発言の機会だとか、中央会自身が何を方向づけを見ているのかということを聞きたいという意見もあります。  その割には、どうも、まあこれ、全国的に決めるのがいいかどうかわからないんですけれども、全国もしくはそういう都道府県でのブロック、例えば近畿とか関東だとかいうその中でのシステムというんですか、つくるについてはこういう規約にしなさい、こういうシステムにしなさい、そして、出た場合にはこういうふうにしなさいという指導というのが、どうも、青年部やれ、やれ言う割には余りにもおざなりになっているのが現状ではないか。  やはり、次のこういう中小企業団体の活動自身を担う人たち、また、その中小企業自身を担う青年の人たち、この人たちのよりよき啓蒙の場でもあり、活躍の場でもあり、そしてまた次世代ということを考えた場でもある青年部活動というものを、例えばこれは特別認可法人ですので、もっと中小企業庁の方が主体的になって、こういう形をしなさい、ああいう形をしたらどうですかという、指導というかアドバイスをする必要があると思うのですけれども、その辺、中小企業庁としていかにお考えでしょうか。また、これからどういうふうに取り組んでいこうとなさっているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  89. 新欣樹

    ○新政府委員 委員指摘のように、次の時代を担う中小企業経営者あるいは組合指導者の人材を育成するという観点から、中央会の青年部活動をもっと活発化させるべきだということにつきましては、私どもも基本的に同感でございます。そうした観点から、私ども、全国中央会また各県の中央会におきます青年部の講習会、研究会、交流会などの開催に当たりましては予算補助を実施しておりますし、またそのほかの組合の青年部活動というものにつきましても予算補助なども行っているところでございます。  先生指摘の、青年部といえどもやはり中央会の一つの組織でございますので、頭を押さえつけられるというようなケースもあるいはあるのかもしれませんけれども、青年部として非常にうまく活動をしておる例というのもまたございます。ここらは、中央会そのものの自主的な運営の中で解決されるというのがやはり基本であろうかと思いますけれども、私ども、うまくいっている事例、あるいはほかの商工会、商工会議所等の青年部でもうまくいっておるというような事例などにつきましても、より勉強を進めまして、中央会の青年部活動の一層の活性化というものに貢献してまいりたいと思っております。
  90. 吉田治

    ○吉田(治)委員 今長官言われたように、組織率という形からいうと、中央会の加入組合数に比べて青年部の加入組合数というのは少なかったりしますけれども、せめて一つの何らかの形、指針というのですか、例えば青年部の役員が親会の理事もしくは理事扱いで発言できる場を設けるとか、今言われた補助金の部分も、どうも現場で聞きますと、どこからどういうふうにおりてくるのかわからないと。  こんな言い方はよくないのですけれども、つかみ金みたいな形でやってきて、はい百万と。それで、ある行事をしました、五十万余りましたと言ったら、そのまま五十万はどこかへすっと消えてしまって、どこへ行ったのかわからないというふうなことも言われます。  長官、この青年部活動についてのはっきりした取り組みというものを、お答えをもう一度お願いしたいと思います。
  91. 新欣樹

    ○新政府委員 予算面におきましては、私ども、先ほど申し上げましたように、組合の青年部活動に対します助成ということで国費も投入をしておるところでございまして、これが適正に執行されるということが前提でございます。  したがいまして、中央会における青年部の位置づけ、そうしたものにつきまして、各中央会そのものの中で自主的に位置づけていただくということが基本でございますけれども、次代を担う経営者あるいは組合指導者を育成するという観点から、私どももできるだけ青年部活動の活性化に努めてまいりたい、こういうことでございます。
  92. 吉田治

    ○吉田(治)委員 自主的ということですけれども、指針なりアドバイスというのですか、指導までいかない、アドバイスというものをできるだけ多くしていただくことを望みたいと思います。  実際、そういう形で、青年部活動ですから青年という形で商売をしょうとしても、例えば大都市圏等におきましては、いつも取り上げておりますけれども、工場等制限法によって物づくりを——例えば近畿でしたら、近畿圏の既成都市区域における工場等の制限に関する法律というふうなものがあります。これは法律ができたのはもう随分昔、高度経済成長のかかりです。  平素国会におりまして思うのは、大体十年たちますと法律が古くなって、新しく改正しましょうというので、よく法案審議が行われたり、法律を廃案にする、もしくは廃止にする、一緒にしていくという形になるのですけれども、何十年間もこのまま変わらないというのもいかがかと思います。  この工場等制限法に関しては、特に近畿圏に関しては、いろいろな審議会での審議もこれから行われる可能性があるということですけれども、私も、地元の自治体もしくは商工関係方々からの要望もございますけれども、兄貴が町工場をしておりますので、そういう立場からすると、やはりこういう物づくりというものをどんどん地方へ追いやる、しかしながら、地方へ追いやっても、今の産業の空洞化でありますとか経済の国際化になってまいりますと、それだけでは足らない。  例えば、よく言われていますように、大阪で言うならば大阪の東部の東大阪市を中心とした地域、東京であれば大田区を中心とした、職人さんの集まった町工場の集積地というものをいかに残していくか。集積によって日本の産業の基礎の基礎がつくられていく。手に技術を持ってというふうなこともあります。  この工場等制限法に関して、きょう国土庁の方においでいただいていると思いますけれども、今後の取り組み、また見直しの様子等を教えていただきたい。と同時に、通産省としてこの法律についてどういうふうな働きかけ、思いを持っているのかというのをお聞かせをいただきたいと思います。
  93. 有賀長郎

    ○有賀説明員 お答えさせていただきます。  近畿圏の工場等制限法の問題でございますけれども、この法律は、大都市の中心部への産業、人口の過度の集中を防止しまして都市環境の整備改善を図るといった目的のもとに、工場の作業場の新設を一定の場合に制限するものでございますが、国土の均衡ある発展を図るという国土政策の長期的な観点から、この法律の基本的な枠組みはこれを堅持する必要があると考えておるところでございます。  しかし、大都市の中心部への工場の新規の立地や増設といったものは制限の対象になるわけでございますけれども、既存の、例えば町工場の近代化とかリストラといったものを妨げるようなものではいけませんので、例えば、増設をいたしましてもそれが従業者数の増加につながらないといったような場合には、許可を受けられるようにいたしておるところでございます。今後とも、地元の地方公共団体と十分に連携をとりながら、この法律の的確な運用を図ってまいりたいと考えております。  また、近畿圏におきます産業の問題、特に産業の空洞化といったようなことも指摘されておるわけでございますけれども、こうした問題に関しましては、実は先月、五月二十三日、私ども国土庁といたしましても、国土審議会の中に近畿圏の計画部会というものを設けました。これは、近畿圏整備法に基づきます近畿圏基本整備計画が昭和六十三年に策定されておりますが、新たに二十一世紀における近畿圏の整備のあり方につきまして、こうした新しい計画を策定すべく審議を開始したところでございます。  この中でも、各般の問題とともに、こうした産業のあり方につきまして、十分幅広い観点から御審議をいただきたいと考えておるところでございます。
  94. 鈴木孝男

    ○鈴木(孝)政府委員 工場等制限法の運用につきましては国土庁の所管でございますが、私どもも、関係団体関係地方自治体からいろいろ御要望もありますし、またここ数年、国土庁の方におきましても運用等の改善をやっておりますが、それにつきましては緊密に連携をとっておるところでございます。  特に最近、経済のグローバル化の進展あるいは高コスト構造の発生によりまして、大都市における製造業というもののあり方も大分変わってきているのではなかろうかと思います。特に、大都市におきます産業集積の持つ技術維持機能あるいは新規事業機能といったものが、全国的にもまたネットワークの中で形成されているわけですが、そういった機能というものが減少していくということにつきましては、私どもも大変懸念をしております。  そういった観点から、国際的にも魅力ある立地環境の実現を図るということで、大都市の製造業のあり方につきまして、立地につきましても今後検討をしてまいりたいと思っておりますし、国土庁とも緊密に連携をとってまいりたいと思っております。
  95. 吉田治

    ○吉田(治)委員 国土庁の方が言われたように、過度の集中、環境というのは、随分工場のイメージ自身も変わってきている時代でありますので、その辺も含めて、地元自治体並びに地元のさまざまな団体の意見もよく聞きながら、よりよき方向に持っていっていただくことを強く望みたいと思います。  工場というのは動かす場合にはエネルギーが必要なんですけれども、今、電力事業等々で海外進出計画というふうなものが、エネルギー庁の方で懇談会等も設けられ、五月に報告書を取りまとめていますが、どうも日本の特徴として、電力事業等の海外への進出というものに対して熱心じゃないというのですか、余りバックアップがない。どうも一般に国際会議の場合、遅く来て会議が終わったらさっさと帰った、それが日本の総理であり、アメリカのクリントン大統領なんというのはその後も売り込みを図ったということも聞いております。  やはり、電力事業というのですか、単に国内だけではなくて、アメリカ、イギリス、フランスのように海外展開をしていくという発想も必要になってきている時代ではないかと思うのですけれども、まずこの辺をお聞かせいただきたい。  と同時に、エネルギーといいましたら、さきに「もんじゅ」の事故がございましたが、「もんじゅ」の事故のことに関してはもう余り詳しいことは申し上げません。意外に、技術問題についても余り難しいものではなかったのではないか。やはりマスコミ等の取り上げが余りにも激しい。ただ、その過程においては動燃であるとか国というふうなものの対応のまずさというのですか、情報を隠したとか、いや隠したのではなくて置いておいたのだとか、いろいろありますけれども、その辺が非常に問題だと思います。私自身は、「もんじゅ」というのは国民の財産でありますし、それだけの国費をかけたものでありますから大いに活用していただきたいと思うのですけれども、その辺はいかがなのか。  また、「もんじゅ」研究開発とプルサーマル利用というふうなものは、ある意味では全く違った議論なんですけれども、どうも、知事さんとかそういうふうな方々議論を聞いていますと、一緒くたになってしまっているのではないか。両方とも推進すべきものではあるかと思いますけれども、その辺の分け方。分けて答えをいただきたいと思います。特に「もんじゅ」の件につきましては、技術的な問題になってまいりますので、余り長い答弁をいただきますと後の質問にもかかわってまいりますので、簡潔にお答えをいただきたいと思います。     〔小林委員長代理退席、委員長着席〕
  96. 江崎格

    ○江崎政府委員 最初の御指摘の公益事業の海外展開の問題でございますが、今委員おっしゃいましたように、先月末に通産省におきまして電力・ガス事業者の海外事業に関する懇談会というところの報告をいただいたわけでございます。  この報告書は、最近におけるアジアのエネルギー事情、特に途上国におきまして今後非常なエネルギーの急増が予測されるわけでございますが、一方においてエネルギーインフラの整備が非常におくれている。このために、日本を含めた先進国の民活を活用するということが非常に要請が高まってきておりまして、こういう事情を受けましてこの懇談会で検討をいただいたわけでございます。  この報告書の指摘の点は二つございまして、一つは、公益事業、電力、ガスなどが海外で事業を行う場合に、その海外事業のコストを国内の料金へ算入しないようにするということと、それから会計上の適切な整理を行うということで、つまり、公益事業としての性格を考えながら事業展開を進める必要があるというのが第一点。  もう一つは、相手の国での国内法の整備をしませんといろいろリスク等が高くなるということで、そうした面については政府が相手の国に働きかける必要があるというようなことを御指摘いただいております。  私ども、これを受けまして、今後、公益事業者としての性格との整合性を確保しつつ海外事業展開を進めるというのは望ましいことではないかというふうに思っておりまして、貿易保険ですとかあるいは輸出入銀行の融資、こういった制度を活用すべきだというふうに思っておりますし、また、二国間、多国間の協議などを通じまして相手の国の法制の整備などについて働きかけをしていきたい、このように思っております。  それから二点目の「もんじゅ」事故の関連でございますけれども、この事故によりまして原子力政策に対して国民の信頼が非常に揺らいだということは私ども非常に残念に思っておりまして、今後、情報の公開などを通じまして国民の信頼の確保に改めて努めていく必要があるというふうに思っております。  この問題につきましては、原子力委員会の円卓会議ですとか、あるいは私どもの原子力部会、きょう再開したわけでございますが、こうした場を通じまして国民の信頼確保の方法につきまして議論をしたいと思っておりまして、御指摘のプルサーマルの問題あるいは高速増殖炉の問題こうしたものも今申し上げましたような場で御議論されていくというふうに思っておりまして、この御意見を反映して原子力政策を進めたいというふうに思っております。
  97. 木村良

    ○木村説明員 補足して御説明いたします。  今回の「もんじゅ」の事故及びその後の極めて不適切な対外対応によりまして、地元福井県初め国民の皆様方に大変な御迷惑をおかけしたこと、私ども科学技術庁としても深く反省するとともに、そこで得られました教訓を今後の原子力行政の中で生かしていくべく努力しているところでございます。  当事者でございます動燃事業団につきましては、五月二十四日に新しい理事長が就任いたしまして、安全に徹した動燃、開かれた動燃、地元重視の動燃という三つの基本方針を示しまして、徹底した原因究明と万全な安全対策によります技術的信用の回復、そして自己改革、体質を改善するということで、社会的な信用を回復すべく全力で努力しているところでございます。  私ども科学技術庁としても、通産省と協力して、信頼回復のために努力していきたいと思っております。
  98. 吉田治

    ○吉田(治)委員 おっしゃられるとおりでございまして、特に公益事業、中でも電力事業の海外進出というのは、日本の技術というのは、環境というふうなものを考えた場合にはやはり海外に誇るものを持っていると思います。  よく笑い話がございまして、日本が世界一厳しい環境基準で、非常に高い、値段のいい石炭を使って火力発電をする。片一方、偏西風のもとである中国からは、その辺の余りよくもない石炭を使ってはんばん火力発電をして、出てきた公害のガスは、煙は全部日本へやってきている、何をしていることかという笑い話もございますけれども、そうならないように、海外進出に関しては特段の配慮をしていただきたいと思います。  また、今独禁法の問題が非常に話題になっております。特に、持ち株会社の解禁については、前回の委員会のときにも御質問しました。委員長、端的にお答えいただきたいと思うと同時に、独禁法の適用除外カルテル等制度の問題について、現在さまざま残されております。一部では一括整理法で処理するというふうな案も出されていると聞いておりますけれども、具体的にはどのような手順、手法でこれから行おうとなさっているのかということ。  そして、質問公正取引委員会の新委員長はどうして選ばれたのかと聞こうと思いましたら、なかなかそれは言えないということでございますので、現委員長にお聞かせいただきたいと思います。あなたはどういうプロセスで選ばれたのですか。御自身、どういう形で、だれからどういうふうに言われて決まったと振り返ってみると思われるのか、それをお聞かせいただきたいと思うのです。
  99. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 多岐にわたるお尋ねをいただいたところでございますが、まず持ち株会社の解禁問題でございます。  この点について極めて簡単に申し上げまずけれども、前回も御答弁申し上げたところでございますが、この問題につきましては、政府のこの三月に改定されました規制緩和推進計画の中でも、独占禁止政策に反しない範囲で持ち株会社を解禁するという方向で見直しを行うということになっておりまして、私どもはいわば事務方としてこの問題に努力を傾注してきたつもりでございますが、御案内のように、ことしに入りまして与党三党間のこの問題についてのプロジェクトチームが設置をされまして、現在に至るまで極めて御熱心な検討が続けられているところでございます。  ただ、ただいま現在、まだこの与党三党の最終的な結論が得られるに至っていないと承知をしておりますが、私ども、今後この与党間での意見調整が速やかになされることを期待しておりますし、成案が得られ次第、これを踏まえて法案作成作業を行うということで適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。  それから二番目のお尋ねでございますが、独占禁止法適用除外カルテルの見直しについてでございます。これも簡単に申し上げますけれども、同じく政府の規制緩和推進計画の中で、個別法による独禁法適用除外カルテル等制度につきまして、平成十年度末までに原則廃止する観点から見直しを行い、七年度末までに具体的結論を得るということになっておりまして、その七年度末に当たりますことしの三月、閣議決定に基づきまして見直しを行った結果、現在実は個別法による適用除外カルテル等制度は四十七制度がございますけれども関係の各省庁と極めて緊密な連絡をとりながら厳しい検討を行った結果、その七割強に当たる三十三制度につきまして十年度末までに廃止の方向で法整備を行う、さらに四制度につきましてはその範囲の限定を図る、さらに残りの十制度については引き続き検討を行う、こういう検討結果が得られたわけでございます。  したがいまして、十年度末までに廃止の方向で法整備を行うというものにつきましては、その方向で法律を所管する各省庁がそれぞれ整備にかかっているところでございますが、私ども各省庁と御相談をいたしまして、現在のところ、できれば一括整理法案の提出等の措置も含めて、できるだけ効率的な見直し作業を行っていきたい、こういうふうに考えているところでございます。  なお、最後のお尋ねでございますけれども、申すまでもなく、公正取引委員会委員長の任命につきましては、国会の御同意を得て内閣総理大臣がこれを任命すると法律上規定されておるところでございます。私も四年前の平成四年の九月にそのような手続を経て任命された者でございまして、この任命のプロセスなりあるいは内容につきまして、これは大変恐縮でございますけれども、私は任命された立場、任命された当の人間でございます。その点については、どうも私としましてもこれ以上お答えするすべもございませんので、御賢察のほどをお願い申し上げます。
  100. 吉田治

    ○吉田(治)委員 最後の点は非常によくわかりました。言いづらいというのもわかると思います。ある日突然、天孫隆臨で決まったということもないということもよく理解させていただきました。  最後の質問ですけれども、本年三月から、フリーアクセスゾーンという形で全国二十一地域を指定されるようになってまいりました。しかしながら、例えば大阪にはりんくうタウンですとか、南港コスモスクエア等というのがございますけれども、第三セクターの設立立地においては固定資産税の減免等、恩恵もあるのですけれども、一般法人の立地についてちょっとメリットがないのではないかというふうな中において、もう一歩進んでFAZよりもフリートレードゾーン、FTZを目指す方向というものが必要ではないかというふうな意見が今強く出されてきております。  本年三月にまだFAZができたばかりでどうかと思いますが、やはり五年、十年先を考えてということでFTZというふうなもののことを申し上げたいのですけれども、これについて、一言担当官庁からお答えを賜りたいと思います。
  101. 広瀬勝貞

    ○広瀬政府委員 お答えを申し上げます。  FAZにつきましては、昨年の秋、臨時国会におきまして十年間の法律延長をしていただきました。その際、予算面あるいは税制面、金融面におきましても、支援策の大幅な拡充を図ったところでございます。  ちなみに税制について申し上げますと、FAZ法の改正に合わせまして、FAZ地域内でございますけれども、輸入関連事業の集積を特に図る必要があるという特定集積地域におきましては、第三セクターだけではなくて民間の事業者に対しましても税制の支援を行うような制度を拡充したわけでございます。  一つは、国税の特別償却制度の創設でございます。一つは、特別土地保有税の非課税制度の創設でございます。一つは、地方公共団体が固定資産税あるいは不動産取得税等を減税した場合に、地方公共団体に対して減収分を補てんするというような制度をつくったわけでございます。こういうことで、特定集積地域におきます民間事業者に対しても税制上の支援を創設したところでございます。  私どもといたしましては、こういうことによりまして関係事業者が十分にこれを活用していただいて、FAZ内での貿易関連事業の集積を図っていくということがまず大事なのではないかというふうに考えております。
  102. 江川明夫

    ○江川説明員 大蔵省の所管しております総合保税地域の制度というのがございます。これはFAZと同様に輸入の円滑化を目的としてございます。この総合保税地域制度につきましては、関税、消費税などを留保したまま外国貨物の蔵置あるいは加工などを行うことができるという、そういうメリットのある制度でございます。  現在、FAZは二十一地域ございますが、その中で総合保税地域は今まで二つ許可になってございますが、今後につきましても関係省庁あるいは地方公共団体と連絡をとらせていただいて、さらには地元の御意見もお伺いしつつ、新たな許可について検討していきたいというふうに考えております。
  103. 吉田治

    ○吉田(治)委員 せっかくつくったものですから、使いやすくてメリットになるものにしていただきたいと思います。  以上で終わります。ありがとうございました。
  104. 甘利明

    甘利委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時十六分散会