○西川
委員 きょうは十時からビッグゲームがあって、何か余り観客の入りもよくないようでありますが、一生懸命トレードマークのことについて
質問をさせていただきたいと思います。
実は私も、正直に申し上げまして、トレードマーク、
商標につきましては余り関心がありませんでした。大体日ごろトレードマークにはたくさん接してはいますけれ
ども、そんなに深い関心は正直に言ってございませんでした。
ところが、今回、この法律の
改正に当たって、若干
質疑のための用意をいたしていく過程の中で、存外この問題は大切なものだということが、特に国際社会における
経済活動を
我が国が活発化していくという
環境の中で大変重要な問題であるということに気がついてまいりまして、
質問の機会を与えていただきましたことによって
一つ勉強ができて大変ありがたかったと思っているわけであります。
今調べてみますと、
我が国は明治十七年に
登録主義、
先願主義の
商標条例というものを制定をして以来、明治二十一年には欧米
諸国の長所を取り入れてこれを
改正し、明治三十二年には工業所有
保護同盟というものに
加入するための
商標法を制定をし、それが大正十年に整備をされ、さらに昭和三十四年に
商標権の自由譲渡制や使用許諾
制度や防護
標章制度、こういうものを新設した現行の法律を制定したわけであります。
一方、フランスは世界で一番初めに
商標については法的整備をした国でありまして、一八〇三年に既に工場、製造場及び仕事場に関する法律とか、また一八五七年に使用主義及び無
審査主義を
内容とする製造標及び
商標に関する法律というものを制定しております。また、ドイツは一八七四年、イギリスは一八六二年、
アメリカも一八七〇年、大変近代工業国家は
日本よりも先んじて貿易や商取引の必要上からこうしたものをつくってきたわけであります。
文化的遺産と呼ばれるいわゆる歴史的な出土品や
我が国の美術品にも今なっている刀剣類など、いわゆるそこに他人と自分との製品、作品の違いを識別させるための名前を入れたりマークを入れたりする
仕組み、こんなものは人間の歴史が始まって以来そういう認識はあったわけでありますけれ
ども、肝心なのはこれを
保護する、他のものと区別をする、こういうことがトレードマークの一本来の
意味であります。
今回は時間の都合で踏み込みませんが、サービスマークと呼ばれるいろいろな問題があります。例えば第一勧業銀行のハートだとかNTTだとかJALだとか、いわゆる有体物でない、商品でない、役務、サービスにかかわるそうした一種の識別権、こういうものもトレードマークの範疇に入れて
保護している国もございます。それらについても、いずれ国際的なハーモナイズという
観点から整備を迫られるのだろうと思いますが、今回はトレードマークに限って何点かお尋ねをしていきたいというふうに思います。
前置きはそのぐらいにしまして、まず大臣に冒頭お尋ねをいたすわけでございますが、本法案が
提案された背景には、大臣御
自身の御
説明にもございましたとおり、
工業所有権制度の
国際化に向けた大きな動きがあるというふうに思われますので、この点についてまずお尋ねをいたします。
近年、企業活動が本格的にグローバル化してきておることは御案内のとおりでありますが、かつて言われた関税やいわゆる外資規制といった直接的な障害だけではなくて、
工業所有権制度のような
国内制度の違いが非常に大きな貿易取引上の障壁となっているということが
指摘をされているわけでございます。こういう
状況におきまして、
日本としては、各国の
制度との違いをなくして、国際的に企業活動が行いやすくしていく
環境を整えていくことが非常に大事でございます。
そこで、お尋ねは、企業活動のグローバル化の進展を踏まえた
工業所有権制度の
国際的調和の推進に向けた取り組みの姿勢を、まず責任者であられる大臣から
お答えをいただきたいというふうに存じます。