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1996-05-17 第136回国会 衆議院 商工委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月十七日(金曜日)     午前十一時十四分開議 出席委員   委員長 甘利  明君    理事 逢沢 一郎君 理事 自見庄三郎君    理事 塩谷  立君 理事 古賀 正浩君    理事 西川太一郎君 理事 増子 輝彦君    理事 小林  守君 理事 石井 紘基君       浦野 烋興君    小此木八郎君       尾身 幸次君    岸田 文雄君       熊代 昭彦君    田原  隆君       谷川 和穗君    中山 太郎君       丹羽 雄哉君    野田 聖子君       野田  実君    野呂田芳成君       石井 啓一君    上田  勇君       小池百合子君    佐藤 茂樹君       土田 龍司君    豊田潤多郎君       星野 行男君    宮地 正介君       山名 靖英君    吉田  治君       石井  智君    大畠 章宏君       佐藤 泰介君    松本  龍君       吉井 英勝君    後藤  茂君       牧野 聖修君  出席国務大臣         通商産業大臣  塚原 俊平君  出席政府委員         通商産業大臣官         房長      中川 勝弘君         通商産業大臣官         房審議官    横川  浩君         通商産業省環境         立地局長    鈴木 孝男君         通商産業省基礎         産業局長    林  康夫君  委員外出席者         商工委員会調査         室長      石黒 正大君     ――――――――――――― 委員の異動 五月八日  辞任         補欠選任   吉田  治君     東  順治君 同日  辞任         補欠選任   東  順治君     吉田  治君     ――――――――――――― 五月十六日  産業構造転換円滑化臨時措置法廃止する法律  案(内閣提出第一四号)(参議院送付) 四月二十五日  著作物再販制度維持に関する請願岡崎トミ  子君紹介)(第二〇六一号)  同(倉田栄喜紹介)(第二〇六二号)  同(工藤堅太郎紹介)(第二一四〇号)  同(佐藤孝行紹介)(第二二一三号)  同(佐藤静雄紹介)(第二二一四号)  同(笹木竜三紹介)(第二二一五号)  同(鈴木宗男紹介)(第二二一六号)  同(高橋辰夫紹介)(第二二一七号)  同(武部勤紹介)(第二二一八号)  同(永井哲男紹介)(第二二一九号)  同(山本拓紹介)(第二二二〇号)  同(渡辺省一紹介)(第二二二一号)  だれにでもわかる洗剤・洗浄剤の明快な表示に  関する請願細川律夫紹介)(第二〇六三号  )  インドネシアヘの原発輸出に対する貿易保険運  用反対に関する請願金田誠一紹介)(第二  二一二号) 五月十日  著作物再販制度維持に関する請願中川昭一  君紹介)(第二二四七号)  同(永井哲男紹介)(第二二四八号)  同(鳩山由紀夫紹介)(第二二四九号)  同(佐藤謙一郎紹介)(第二二九四号)  同(玉沢徳一郎紹介)(第二二九五号)  同(野田毅紹介)(第二二九六号)  同(平泉渉紹介)(第二二九七号)  同(町村信孝紹介)(第二二九八号)  同(辻一彦紹介)(第二三七五号)  同(村井仁紹介)(第二三七六号)  同(金田英行紹介)(第二三九八号)  同(瓦力紹介)(第二三九九号) 同月十七日  インドネシアヘの原発輸出に対する貿易保険運  用反対に関する請願穀田恵二紹介)(第二  四三二号)  同(寺前巖紹介)(第二四三三号)  同(東中光雄紹介)(第二四七四号)  同(矢島恒夫紹介)(第二四九二号)  同(岩佐恵美紹介)(第二五四六号)  同(岡崎宏美紹介)(第二五四七号)  同(佐々木陸海紹介)(第二五四八号)  同(不破哲三紹介)(第二五四九号)  同(藤田スミ紹介)(第二五五〇号)  同(正森成二君紹介)(第二五五一号)  同(山原健二郎紹介)(第二五五二号)  同(吉井英勝紹介)(第二五五三号)  著作物再販制度維持に関する請願逢沢一郎  君紹介)(第二四六七号)  同(白川勝彦紹介)(第二四六八号)  同(田澤吉郎紹介)(第二四六九号)  同(田中直紀紹介)(第二四七〇号)  同(高鳥修紹介)(第二四七一号)  同(中尾栄一紹介)(第二四七二号)  同(村岡兼造君紹介)(第二四七三号)  同(麻生太郎紹介)(第二四八七号)  同(古賀誠紹介)(第二四八八号)  同(佐藤信二紹介)(第二四八九号)  同(保利耕輔君紹介)(第二四九〇号)  同(細田博之紹介)(第二四九一号)  同(衛藤征士郎紹介)(第二五三九号)  同(越智通雄紹介)(第二五四〇号)  同(柿澤弘治紹介)(第二五四一号)  同(中島章夫紹介)(第二五四二号)  同(堀内光雄紹介)(第二五四三号)  同(三塚博紹介)(第二五四四号)  同(粕谷茂紹介)(第二五八一号)  中小業者を守る諸施策推進に関する請願(古  堅実吉紹介)(第二五四五号)  フロン等放出禁止法制定に関する請願佐藤  謙一郎紹介)(第二五八二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月二十六日  著作物再販制度廃止反対に関する陳情書  (第二四八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  産業構造転換円滑化臨時措置法廃止する法律  案(内閣提出第一四号)(参議院送付)      ――――◇―――――
  2. 甘利明

    甘利委員長 これより会議を開きます。  参議院送付内閣提出産業構達転換円滑化臨時措置法廃止する法律案を議題といたします。これより趣旨説明を聴取いたします。塚原通商産業大臣。     —————————————  産業構造転換円滑化臨時措置法廃止する法律   案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 塚原俊平

    塚原国務大臣 産業構造転換円滑化臨時措置法廃止する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  産業構造転換円滑化臨時措置法は、昭和六十年九月のプラザ合意以降の国際経済情勢変化の中で、我が国産業構造転換円滑化を図ることを目的として、昭和六十二年三月に、平成八年五月二十九日を期限とする時限法として成立した法律であります。  同法の制定以来、設備過剰の状態にある二十五設備特定設備指定し、特定設備をその事業の用に供する特定事業者の行う過剰設備処理事業転換事業提携等を促進するとともに、事業規模縮小等を迫られている事業所に相当程度依存しているため経済及び雇用状況が著しく悪化している二百十六市町村特定地域として指定し、種々の対策を講じてまいりました。  これらの努力により、過剰設備処理等については、当初の目的がほぼ達成され、また、特定地域経済及び雇用状況についても産業構造転換による影響は緩和されてきており、産業構造転換円滑化臨時措置法目的はおおむね達成されたということができます。  したがって、同法については、規定どおり平成八年五月二十九日をもって廃止することとし、あわせて所要経過措置を講じ、関係法律の改正を行う産業構造転換円滑化臨時措置法廃止する法律案提案した次第であります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  4. 甘利明

    甘利委員長 これにて趣旨説明は終わりました。
  5. 甘利明

    甘利委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岸田文雄君。
  6. 岸田文雄

    岸田委員 自由民主党の岸田文雄でございます。ただいま提案理由の御説明をいただきました円滑化法廃止法案につきまして、質問をさせていただきたいと存じます。  今御説明がありましたように、当法案昭和六十二年に制定されまして、九年間にわたりまして、激動する経済状況に対応するべく産業構造を変革し、それによりまして影響を受けます地域経済に対する措置を講ずるために活用されてきたわけであります。  そして、この法案を振り返ってみますと、その後の経済環境のさらなる変化、あるいは特定地域指定されました地域有効求人倍率等数字等成果、あるいは特定設備指定されました稼働率等数字等成果を見ましても、またさらには昨今のこの法律利用状況、こういったところを見るにつけましても、この法案が一通りの成果を上げて役割を終えたという御判断のもとに、この法律の当初の期限であります本年五月に一区切りをつけ、廃止されようとされますこと、このことにつきましては理解するわけであります。  しかし、この法律精神であります、激動する経済環境に対応するべく産業構造を変革していくこと、またそのことによって悪影響地域経済に及ばないように配慮していくということ、こういった精神につきましては、他の法律あるいは他の施策におきまして引き続き継承されていかなければいけないわけであります。そして、そのためには、この法律一区切りをつけるに当たりまして、もう一度この法律あり方あるいは成果につきまして評価あるいは検証すること、これは決して無意味ではないと思うわけであります。  そして、その評価検証ということを考えますときに、いろいろ資料をいただきました。いろいろ資料は拝見させていただきましたが、評価検証ということを考えますならば、この法律につきましてはすべてが万々歳、バラ色成果であったということは言えないのではないかな、教訓とすべき点、反省すべき点、こういったことも多々あったのではないかなという気がしております。  例えば、特定設備指定されました設備を見ましても、セメント等大きな成果を上げた設備もある一方で、まだ依然半分近くしか稼働率が上がっていない設備があってみたり、さらには、もう五〇%を大幅に切るような設備があってみたり、また、そもそもこの法律によりまして処理されました設備能力、これを見た場合に、この法律によりましては、数字の上では処理されました設備能力ゼロ、全く実績なしに終わってしまった設備も幾つかあるわけであります。  さらには、特定地域対策としまして、産業基盤整備基金によりまして第三セクターに対する出資が行われたわけでありますが、この実績を見ましても、十件の実例が挙がっておるわけでありますが、この十件の決算状況を見た場合に、内容としましては十件のうち九件がテーマパークだったわけであります。このテーマパーク、実際、テーマパークのブームに乗りまして、地域経済に対しまして活力、刺激を与えたことは事実かと思うわけでありますが、決算状況を見た場合には、平成六年度までに開業しました八社を見ましたならば、その八社のうち六社までは単年度赤字という結果になっておるわけです。さらには、その八社のうち七社までが累損を抱えておるというような結果が出ております。  そういったさまざまな資料をいただいて見るにつけましても、この法律一区切りをつけられ廃止されるに当たりまして、教訓とすべき点、反省すべき点、多々あったのではないかという気がしております。これを将来につなげる意味からも、こういった反省点検証すべき点も踏まえて、この法律をどのように評価されておられるのか、通産省の方からお伺いさせていただきたいと存じます。
  7. 鈴木孝男

    鈴木(孝)政府委員 円滑化法評価についてのお尋ねかと思います。  円滑化法につきましては二つの柱がございまして、特定事業者対策特定地域対策でございます。  特定事業者対策につきましては、鉄綱繊維セメントなど二十五の過剰設備指定しておりまして、この特定設備につきまして過剰設備処理事業転換のために積極的に施策展開してきたわけでございます。例えばセメントを例に挙げますと、この九年間の間に一千七十万トンの過剰設備処理いたしました。稼働率も八八%強という形に上昇しておりますので、そういった意味円滑化法効果があったのではなかろうかと思っております。  ただ、委員指摘のように、設備処理が行われていない設備があったのではないかという点でございますが、これは私ども検証しておりますけれども、一つは、予想外需要回復により設備処理必要性が薄れたという事情があるものがございます。また、円滑化法の枠外で設備処理が行われたというようなものもございまして、やや個別の事情があったのではないかなと思っております。  また、設備稼働率が余り改善していないものも見受けられますけれども、これは、急激な円高進展等によります予想を上回る安価な輸入品の急増といったことによるものではなかろうかと思っております。  特定地域対策につきましては、御指摘のように十件、特定出資法人につきまして整備基金から出資しておりますが、既に開業しております八件のうち赤字になっているものもございますけれども、これは、まだ特定出資法人につきましては事業の緒についたものが多く、経営の安定を図るためにはもうしばらく時間が要るのではなかろうかなと思っております。ただ、御指摘のようにテーマパークが多いわけでございますけれども、地元への雇用効果あるいは集客効果等一定成果を上げているものもあるわけでございまして、総じて言えば当該地域経済活性化に寄与しているのではなかろうかなと思っております。  そのような認識から、円滑化法につきましてはほぼ当初の目的を達成したのではないかということから、所要経過措置を講じまして、五月二十九日の廃止期限を踏まえまして廃止提案をしたところでございます。
  8. 岸田文雄

    岸田委員 ただいまこの円滑化法に対する評価検証ということで御答弁いただいたわけでありますが、そういった評価検証を踏まえまして、日本経済がさらなる変化を遂げておる現状バブル崩壊後に日本経済産業の高コスト化指摘され、あるいはグローバル化ボーダーレス化といった動きの中で、空洞化が叫ばれる中で、日本産業は引き続き構造改革に努めて、変化する経済環境に対応していかなければいけないわけです。  そして、地域に対する対策といたしましても、例えば平成七年九月に通産省が行われたアンケート資料手元にいただいておりますが、地域経済に対する実態等アンケートということで、これは都道府県に対して通産省が行ったということだそうであります。このアンケートの結果を見ましても、「特定地域というよりは全県的に影響を受けていることから、全県を対象とした施策が必要」であるという答えが圧倒的に多かったというような結果やら、あるいは「今後必要と考えている施策」ということでも、ベンチャー支援とか中小企業対策に対する期待が圧倒的に多いというようなことも踏まえて、こういった要望に対応するべく地域経済に対する施策措置も考えていかなければいけないわけであります。  そういったことを踏まえまして、今後の産業構造改革に対する取り組み方、あるいは立地政策といったものについてどのようにお考えになり、どのように取り組んでいこうと考えておられるか、その辺につきましてお伺いできますでしょうか。
  9. 横川浩

    横川政府委員 産業空洞化懸念の高まりといった我が国経済現状を考えまして、また、先生ただいま御指摘になられました地域経済実態に関しますアンケート調査の結果等も踏まえますと、やはり何と申しましてもベンチャー企業の振興などを通じた新規事業の創出の促進、そしてこれを通じての日本経済のフロンティアの拡大といったことに強い要請があるものと認識いたしておるわけでございます。  このために、これまでも、ベンチャー企業が活動しやすくビジネスチャンス拡大が図れるようにということでの環境整備、具体的に申しますと店頭特則市場の開設でございますとかストックオプション制度の導入、さらには研究開発面での産学連携推進等々、各種の施策展開いたしてきたわけでございます。  今後さらにこういった施策資金面人材面、技術面等多面的な施策展開を図っていきますとともに、ビジネスチャンス拡大を図る上でも大変重要な意味を持ちます規制緩和などに積極的に取り組んでまいりたい、このように考えております。
  10. 鈴木孝男

    鈴木(孝)政府委員 産業立地政策につきましても、産業立地をめぐる環境が大幅に変化しておりますので、四月から産業構造審議会の中に産業立地部会を開催いたしまして今後の地域産業政策あり方を御議論いただいておりますが、この部会におきましても、先生指摘のような地域経済活性化あるいは地域産業空洞化懸念、こういった問題に対応いたしまして、地域のニーズに対応した政策展開を検討してまいりたいと思っております。
  11. 岸田文雄

    岸田委員 ありがとうございました。  時間が参りましたので、質問を終わります。
  12. 甘利明

    甘利委員長 続いて、豊田潤多郎君。
  13. 豊田潤多郎

    豊田委員 新進党の豊田潤多郎でございます。  産業構造転換円滑化臨時措置法、大変長い名前ですので、以下簡単に円滑化法というふうに呼ばせていただきますが、この円滑化法廃止する法案につきまして、大臣初め事務当局の方々に御質問させていただきたいと思います。  先ほど岸田委員の方からの質問にもありましたが、まずこの円滑化法のこれまでの実績といいますか内容評価につきまして、より詳しく具体的にお尋ねをいたしたいと思います。  対象となりました業種ごとの、例えば過剰設備処理状況稼働率、また特定地域経済動向雇用情勢につきましても、具体的な計数でできるだけ詳しく答弁をお願いいたしたいと思います。
  14. 鈴木孝男

    鈴木(孝)政府委員 円滑化法につきましては、先ほどもお話ししましたように二本の柱があるわけでございます。  最初の特定事業者対策でございますが、この九年間におきまして、鉄鋼繊維セメント液体酸素等十の業種につきまして、その業種の中で過剰設備のある設備、二十五ございますが、これを指定しております。  それで、この特定設備につきまして、過剰設備処理事業転換のために積極的に円滑化法施策がこれまで利用されてきておるわけでございますが、設備処理事業転換を図るための事業適応計画、これにつきましては四十五件承認をしております。また、共同で行う場合の事業提携計画につきましては九件ということで、合わせまして五十四件の利用がございました。  この結果、稼働率の上昇でございますけれども先ほども御指摘いたしましたように、セメント製造設備が一番よい例かと思いますが、昭和六十二年に指定されまして平成三年までに、指定当時の処理能力の約九分の一に当たります一千七十万トンの過剰設備処理いたしまして、稼働率も、指定時の六八・七%から平成二年度には八八・一%に上昇しているところでございます。  このように、円滑化法効果によりまして過剰設備処理が一段落してきているのではなかろうかと思っております。  また、特定地域対策でございますが、特定地域対策につきましては、工場の新増設等への融資あるいは第三セクターに対しまする出資を行いまして経済活性化事業に対する支援をしておりますが、特定出資法人に対する産業基盤整備からの出資につきましては十件ございます。約十七億円の実績がございます。  また、産業構造調整融資実績ということで、開銀等からの低利融資につきましては、平成七年度までに特定出資法人事業に関連いたしまして二十七件、約七十八億円、工場等の新増設につきまして八百十五件、約五千百億円、合計いたしまして五千二百億円弱の実績になっております。  また、産業基盤整備基金から利子補給もしておりますが、この実績につきましては、平成七年度までに特定出資法人向けにつきまして一・八億円、工場等の新増設向けにつきまして三十三億円、合計いたしまして三十五億円弱の実績になっております。  このような施策効果もございまして、昭和六十一年の工業出荷額伸び率が、全国ベースではマイナス四%であり、特定地域につきましてはマイナス八・九%ということで特定地域全国平均を下回っていたわけでございますけれども平成二年には、全国が八・二の増に対しまして特定地域が一〇・八%の増。平成五年につきましては、全国ベースマイナス五・六%に対しまして特定地域ではマイナス五・三%ということで、全国平均に比べましても特定地域も盛り返しをしておるわけでございます。  また、有効求人倍率につきましても、全国平均以上の市町村の数がふえておりまして、そういった意味で、地域間の差はございますけれども他の地域と比較いたしまして、特定地域につきましても円滑化法施策を活用して、産業構造転換の過程で生じるマイナス影響を相当程度緩和されたのではなかろうかと認識しております。  このようなことから、円滑化法の所期の目的がほぼ達成されたものと私どもは考えております。
  15. 豊田潤多郎

    豊田委員 ただいま局長の方から詳しく御答弁ございました。  私も手元資料を取り寄せまして、設備処理状況稼働率局長セメントを特に顕著な例として取り上げられましたが、そのほか繊維鉄鋼、非鉄、いろいろと業種はございますが、確かにそれなり効果は上がってきているということは私も評価ができると考えております。  また、特定地域施策に関しまして三セク対策などの資料計数をお挙げになりましたが、経済動向指標としての出荷額、それから労働雇用情勢に関しましての有効求人倍率、このいずれをとりましても、確かに私も勉強させていただいたその資料のとおり、それなり全国とこの特定地域の格差というものが相当程度是正されてきているということは、まさに局長の御答弁のとおりだと考えております。  そこで、お聞きいたします。これは念のためということになりますが、このような評価があるからこそ廃止をすることになっていくという当然の論理的な帰結かと思われますけれども、なぜこの法律廃止されるのか、もう一度局長なり大臣から御答弁いただければと思います。
  16. 鈴木孝男

    鈴木(孝)政府委員 円滑化法につきまして、昭和六十二年に制定して以来九年間で先ほど申しましたような一定成果を上げておりますので、期限が五月二十九日ということでございますので、この特定事業者対策特定地域につきましての対策評価をした上で廃止提案しておるところでございます。  なお、特定出資法人に対しまする既存の出資あるいは利子補給等の継続のために所要経過措置は必要かと思っておりますので、その経過措置を加えまして廃止提案したところでございます。
  17. 豊田潤多郎

    豊田委員 円滑化法のこととちょっと離れますけれども、現在、地域産業空洞化ということが大変問題になってきているのではないかと考えておりますが、いわゆる地域産業空洞化という現象が現状どのようになっているのか。できましたら具体的な指標数字、あるいは地域別状況等を明らかにしていただければと思います。  また、現時点ではそのような顕著な傾向が出て円いないかもしれませんが、直近、近々といいますか、あるいは中長期的にかなりの大きな打撃が地域産業に起こるのではないかというような予想見込み等がございましたら、それもあわせてお示しいただければと思います。  そして、このような状況につきまして、この現状通産省としてどのように認識しておられるのか、この点をあわせてお伺いいたしたいと思います。
  18. 鈴木孝男

    鈴木(孝)政府委員 最近の我が国経済状況を見てみますと、最近是正傾向にはございますけれども、趨勢的には円高ということで、この円高傾向に対応いたしまして我が国の高コスト構造というものが顕在化しているのではなかろうかと思っております。一方、長期にわたる消費不況等によりまして国内需要も低迷しておるわけでございますので、国内産業にとりましては大きな打撃を与え、これが地域経済の疲弊化にもつながっているのではなかろうかと思っております。  幾つかの数字を見てみたいと思っておりますが、平成六年度の製造業の海外投資、これは前年度と比較いたしまして二四%という大幅な伸びを見せております。また、平成七年度の製造業の海外生産比率は一〇%に上がるのではなかろうかと予測をしております。このような傾向が引き続き続くのではなかろうか。  また、個別製品ごとに見ますと、カラーテレビやテープレコーダーなどは、海外生産比率は七割を超える状況になっているわけでございます。  また、海外事業活動の国内生産、雇用への影響を見てみた場合に、従来ですとプラス効果が大きかったわけですが、これが、マイナス効果と比較いたしますとむしろマイナス効果の方が大きくなるということになろうかと思っております。九五年度には、海外事業活動が雇用に与える影響といたしましてマイナス十一万人という形で、初めてマイナスに転化する見込みになると予測しております。  また、平成六年度の工業統計速報ベースで見ますと、製造業の事業者数あるいは従業者数が、前年に比べて全国平均でそれぞれ六・五%あるいは三・六%の減少になっておりまして、また、地域別に見ましても全都道府県においてマイナスという形になっております。  工場立地件数で見てみますと、平成元年、これはピークの年でございましたけれども、四千百件を超えていたわけでございますが、平成元年以降六年連続で減少しておりまして、昨年平成七年には千三百件強と、これはオイルショックのときが工場立地件数が一番低かったわけですが、それに近い数字になっているということでございます。  また、企業の活力を見る一つの指標といたしまして開業率があろうかと思っておりますが、米国の一九九二年の開業率が一三%というのに対しまして、我が国の開業率は平成三年から六年の年平均ですと約四・六%でございまして、これも各地域別に見ますと、大都市圏の開業率が四・七%であるのに対しまして地方圏におきましては四・四%と低くなっておりますので、地方圏におきましては海外展開した産業にかわるべき新規成長分野の立ちおくれというのが、大都市圏も含めて米国と比較しますと低いわけでございますけれども、そういった地域的な展開もあろうかなと思っております。  以上のような数値を見た場合に、私どもは、これから地域産業空洞化といったことが一つの懸念材料としてあるのではなかろうかと認識をしているところでございます。
  19. 豊田潤多郎

    豊田委員 確かに、今局長がお答えになられました計数をとってみましても、また恐らく今後の国内経済情勢等、そして海外との経済情勢等を比較しますと、この空洞化という問題はかなりこれから長期的に、かつかなり深刻な規模で起こっていくのではないかというふうに予想されるわけです。  そこでお伺いいたしますけれども、その地域産業空洞化現状に対して当局としてはどのような対策をとっておられるのか、またどのような対策をとろうとなさっておられるのか。今後の問題につきましてはまた後ほどちょっと私御質問をいたしますので、とりあえずこの空洞化現状に対してどのような対応をなさっておられるのか、これを政策施策の面からお答え願いたいと思います。
  20. 鈴木孝男

    鈴木(孝)政府委員 通産省といたしましては、近年の内外の多様かつ構造的な経済環境変化に対応いたしまして、事業者による新規事業の創出、新分野進出というものを促進するということが極めて大事になっているのではなかろうかと思っております。このため、新規事業法、事業革新法に基づく支援措置、あるいは特定中小企業集積活性化法、中小企業創造法、中小企業新分野進出法など中小企業関係の一連の支援措置といったような形であらゆる政策を使いまして、地域事業者の活性化といったところにもこれらの政策を活用しようと私どもは努めておるところでございます。  また、地域政策という立場から見ましても、今年度から特定産業集積活性化融資制度というものの創設を今考えておりますし、研究開発、高度情報技術、人材育成等の基盤となります新しい産業インフラの整備を図るスーパーテクノゾーン構想を昨年から進めておりますが、これを本年度におきましても拡充をする。あるいは、建設省と連携いたしまして、施策の重点投入を図る二十一世紀活力圏創造事業といったものを今年度から始めておりますが、こういう地域関連施策の充実といった施策も十分活用いたしまして、国際的にも魅力のある事業活動環境を実現する。そういったことが地域産業の高度化、活性化に寄与するのではなかろうかということで、地域経済活性化のための施策展開というのに努めているところでございます。
  21. 豊田潤多郎

    豊田委員 そこで、ちょっと大臣お尋ねをさせていただきたいと思っておりますが、地域産業活性化が求められておりますときに、先ほど円滑化法評価をなさいましたが、この円滑化法地域活性化事業に対する支援をその目的の一つとしている法律でありますが、その地域活性化事業に対する支援目的の一つとしている円滑化法に対しまして、先ほど局長答弁されましたような評価を行い、その法律廃止するということは、地域産業活性化推進するという点から見て問題がないかという質問でございます。  恐らく答弁は、確かに円滑化法はその対象地域が、設備能力が過剰状態にある特定事業者への依存度の高い特定地域、持って回った言い方になりますけれも、要するにそういう特定事業者への依存度の高い特定地域ということで、実際には対象となりましたのが五十一地域二百十六市町村ということでございますが、そのような地域に限定されている上に、先ほど答弁ありましたように、これらの地域経済動向について、あるいは雇用情勢について他の地域に比べてほぼ格差が解消されてきているということでございますから、この円滑化法を仮に廃止したとしても地域産業活性化にさほど影響はない、また特定事業者対象としているこの法律趣旨は一応目的を達成したのだから、新たに別のいろいろな施策地域産業活性化を図っておられるという御答弁になろうかと、答弁を先取りして恐縮でございますが。  ただ、私としましては、地域活性化を図るためには、ありとあらゆる手段なり政策を用いるということも大切ではないかと思いまして、その辺につきまして大臣の御所見を賜りたいということで御質問をさせていただきます。
  22. 塚原俊平

    塚原国務大臣 用意していた答弁をそのままおっしゃっていただきましたが、繰り返しになりますが、円滑化法は法の目的をほぼ達成いたしております。今後は、内外の多様かつ構造的な経済環境変化の中で、事業者の対策につきましては事業革新法、新規事業法等、あるいは地域対策につきましては特定産業集積活性化融資の創設等によりこれから対応していきたい。さらに、現在産業構造審議会産業立地部会において、国際的にも魅力ある事業活動環境の実現を図るために、新たな政策展開の方向性を検討していただいておるというところでございます。  現状といたしましては、私は、きょう大畠委員もおりますけれども、日立市でございまして、今回の小選挙区で激突するわけでございますけれども、果たしてこの空洞化に対してどちらがどれくらいの政策を出せるかというのが一つの当落の大きな分かれ目になるくらい深刻な状況であるという認識を持っております。  今後とも、事務当局とも綿密な打ち合わせをした上で、先生から国会答弁のような総花的な形ではいけないよという御指摘だと思いますので、しっかりとした、現実に立脚した施策を講じてまいりたいというふうに考えております。
  23. 豊田潤多郎

    豊田委員 大変大臣から丁重な御答弁をいただいて恐縮しておりますけれども、通産事務当局あるいは大臣、皆様方が一生懸命、経済活性化またいろいろな政策をバランスのとれた形で遂行されているということにつきましては、私も大変評価しているところでございます。  今回のこの法律も、私自身は当然しかるべき措置を残した上で基本的には廃止すべきものと考えておりますけれども、同時に、非常に経済が今までになかったテンポで揺れ動いていく、あるいは将来国際化に向けてそのビジョンをどう描いて対応していくのか、大変難しい問題でありますけれども、これらのことにはタイムリーに対応していくということが大切ではないか。かねがねいろいろな質問のときに、私はそのようなことを通産御当局に申し上げております。当然のことですけれども、不要な法律は仮に十年の時限立法であっても五年や三年で見直すべきものは見直すべきでありましょうし、十年の時限立法であっても二十年、三十年続けていかなければならないものは、当然その中身を変え、修正した上で続けていかなければならないものと考えております。  いろいろな御施策をバランスのとれた形で、大変効率のいい形で政策を運営していくということは大変難しい、かつ大切なことだと思いますが、大臣初め通産当局におかれましては、不断のたゆまざる見直しを行っていただきまして、適時適切な効果ある政策を打ち出していただきたい。そのためには我々、立法機関の一員といたしましても、当然のことながら是々非々、あるいは立法措置で必要なものはどんどん御協力していきたいと考えておりますので、大臣以下御当局の一層の御奮闘を期待しているところでございます。  そこで、円滑化法の問題につきましてはこれでちょっと離れまして、先ほど鈴木局長の方から若干お答えになっておられましたので、スーパーテクノゾーンの話がちょっと出ました。そのスーパーテクノゾーンを含めまして、これからの、将来に向けての問題ということになりますが、地域経済活性化という観点から、今後の産業立地政策、これをどのように進めていかれるのか、もう少し具体的に、また詳しく御説明をいただければと、よろしくお願いいたします。
  24. 鈴木孝男

    鈴木(孝)政府委員 産業立地政策は、その時々の経済情勢、経済環境に合わせまして重点が変わってきているのではなかろうかと思っております。四十年代につきましては、過密、公害問題といったことが非常に大きな問題だったわけでございますので、通産省といたしましては、工業再配置政策という形で大都市圏から地方に工場を移転、分散するといったことが大きな政策の重点だったと思っております。その後、昭和五十年代、知識集約化ということが重要になってまいりまして、ハイテクを中、心にしまして、かつ都市集積とリンクした形で立地政策を行うということで、テクノポリス政策あるいはその後の頭脳立地集積政策などを展開してきたわけでございます。  そういうこれまでの産業立地政策を踏まえながら、昨今の産業立地をめぐる環境は大幅に変化をしておりまして、一つは円高、あるいはアジアの経済の急速な発展ということで、グローバル化、企業の活動がボーダーレス化している、いわば大競争時代という形を迎えているのではなかろうかと思っております。そういう中で、片や我が国経済は成熟化という形で高齢化、少子化という状況もあるわけでございます。そういう中で、先ほどお話をしておりますように、工場の立地件数もピーク時から相当程度減少しておりますし、今後も、新規立地というよりは、既存の地域に定着いたしました企業をどのような形で活性化するのかといったようなところも大きな重点になるのではなかろうかと思っております。  そういった意味で、国際的な地域間競争という面を踏まえながら、企業が最適立地活動をグローバルな形で行う、そういう産業立地をめぐる環境に対応した形での立地政策が必要なのではなかろうかなと私ども認識しておりまして、そういう意味で、産業立地をめぐる環境変化に対応しながら地域産業政策をどう展開するのかということから、先ほども申しましたように、四月から産業立地部会におきまして検討を開始しておるところでございます。  そういう意味で、これまでの地域政策というものをレビューしながら新しい環境に対応するということが必要だろうと私ども認識しておりまして、この動きは、先ほどスーパーテクノゾーンというのを今創設して拡充しているとお話ししましたけれども、このスーパーテクノゾーン構想も新しい産業の発展基盤といたしまして、人材育成、情報化あるいは研究開発、こういった基盤を、地域におきまして広域的な連携を図りながら進めようという形で展開してきたわけでございますが、この政策だけで十分なのかどうか、これから我が国全体が経済構造改革を進める中で、地域経済構造というものもあわせて改革する場合に、地域の持つイノベーションの能力をどうやって高めるのかといったことも重要になってまいるかと思っております。  そういった意味で、私どもがここ数年進めてきております政策のねらいというのも、さらに現在の環境変化に適応するようにまとめていく、そういうことで産業立地をめぐる環境変化、これまでの施策、最近とりました施策展開、そういったことを総合的にやっていくことが、新しい産業立地政策、私ども地域産業政策という形になろうかと思っておりますが、そういった政策展開が重要ではなかろうかなと思っております。  四月からの産業立地部会で議論をしておりますけれども、いろいろな議論が出ておりますが、私どもは、この産業立地部会の議論を深めることによりまして、地域経済活性化地域空洞化懸念を払拭するような、そういった新しい政策展開というものを検討してまいりたいと思っております。
  25. 豊田潤多郎

    豊田委員 少し具体的になりますけれども、このスーパーテクノゾーンについて若干敷衍させていただきたいと思います。  私も実は通産予算を担当していたこともございますけれども通産省の方々は大変ネーミングがお上手でございまして、時期を得て、テクノポリスでございますとかいろいろなネーミングをなさる。地域フロンティアというようなものもかつてあったと思います。  そのネーミングのことはさてといたしまして、スーパーテクノゾーンというのは何かすごく未来に向けて明るい希望が持てそうなネーミングであろうかと思っておりますが、実際にこれは漢字でいいますと、創造的経済発展基盤地域というかなり難しい名前になってしまいます。それをスーパーテクノゾーンと通称なり略称でおっしゃっていると思いますけれども、このスーパーテクノゾーンにつきまして、平成八年度予算案においてもかなりそのスーパーテクノゾーンの形成、推進に関し所要施策の充実を進めておられるところだと伺っております。  少し具体的になりますが、スーパーテクノゾーンというものにつきまして、今どういう地域で、どういう形で、どのようなことが進行しているのか、少し御説明をいただければということで、よろしくお願いいたします。
  26. 鈴木孝男

    鈴木(孝)政府委員 スーパーテクノゾーンは平成七年度に創設した制度でございまして、広域的な観点から研究開発、人材育成、高度情報化施設を地方自治体が整備する場合に、それを支援するという制度でございます。  そのためには、各地域におきまして、その個性というのでしょうか、ポテンシャルをどう産業展開あるいはこれからの発展に結びつけるかという計画をつくっていただくわけでございますが、平成七年度におきまして、七地域既に計画がございます。北海道から九州までそれぞれのブロックに大体一カ所ぐらいの形で今展開しておりますけれども、このスーパーテクノゾーンの指定によりまして、その中核になる施設、それは地域によりましてそれぞれ研究あるいは人材、情報といろいろ重点がございますが、その地域の特性を踏まえた計画というものをつくっていただく。それもできるだけ国と地域との対話という形で、双方向の手法で行うということも一つのねらいかと思っております。  そのような形で整備計画ができたものを順次指定しながら、現在私どもとしては七カ所でございますけれども、今年度中にまた一カ所ぐらい近く指定されるのではなかろうかと思っておりますが、これからのイノベーションを高めるような、そういう施設を中核にした、地域の主体性を持った形での計画というふうに私どもは位置づけております。
  27. 豊田潤多郎

    豊田委員 その中身のもう少し具体的な御説明はございませんか。地域七カ所というのは結構でございますが、具体的にどのようなことをそこで行っているかということにつきまして、ちょっと補足していただければ。具体例で結構です。例えばあるゾーンではこういうことをやっているということ。
  28. 鈴木孝男

    鈴木(孝)政府委員 それぞれの地域の特性がございますので、幾つか事例を挙げさせていただければと思いますが、信越地域のスーパーテクノゾーンでは、レーザーの応用技術を中心にいたしました研究施設を整備する、それを新潟県、長野県にまたがる地域におきまして共同利用するという計画でございます。また、中国、四国地方につきましては、瀬戸大橋もできましたこともありますものですから、岡山県と香川県の連携によりまして、高温高圧の流体技術を中心にした研究施設を中核施設にいたしまして、一つの広域連携が進んでおります。また、広島と愛媛県の間でも、新しい素材技術を中核にした研究プロジェクトを中心にしたスーパーテクノゾーン構想が制定されております。  そういった意味で、それぞれの地域の特性を踏まえながら、研究施設あるいはそれと関連します情報関連施設、さらには人材育成という形で、それぞれの県を超えました広域的な連携を図りながら技術開発を進める、こういう計画になっております。
  29. 豊田潤多郎

    豊田委員 地域産業活性化ということでスーパーテクノゾーン、私は、ネーミングももちろんですが、中身もそれなりによくやっておられるのではないかと評価しておりますけれども、このような、スーパーテクノゾーンのような産業立地政策を初めといたしまして、先ほど答弁でいろいろおっしゃっておられました地域活性化のための施策、この施策をぜひともより強力に、効果的に今後とも進めていっていただきたいと思います。  新規事業法、事業革新法あるいは中小企業関連施策等に基づく支援措置などといういろいろな似たような施策がたくさん出てきて、私もどれがどうというのをなかなかはっきりつかみにくいのでありますけれども、いろいろな多角的な面からこのような施策をとっておられるということは私は評価できるものと考えておりまして、平成八年度予算の一つの目玉にもなっていると思いますが、ぜひスーパーテクノゾーンにつきましてもより積極的に、効率的にお進めいただきまして、その他の施策と相まって地域産業活性化がより進んでいきますことを期待している次第であります。  時間もあと五分ほどになりましたので、最後に大臣に、基本的なことになりますが、お考え、所見をお尋ねいたしたいと思います。  私は、この円滑化法特定事業者とそれから特定地域ということで、特に地域の面におきまして、今まで地域産業活性化という観点から一連の質問をさせていただいてきたつもりであります。地域ということにこだわらず大臣お尋ねいたしたいことは、いろいろな方がいろいろなところでお尋ねになっておられ、いろいろなところで大臣がお答えになっておられますから、恐らく抽象的なお答えになるのかもしれませんけれども、今、私は、やはり国内産業空洞化ということは、これは深刻に受けとめていく必要がある。先ほども申し上げましたように、これは非常に長期的かつ深刻な問題であるととらえております。そのため、その対策としては、逆に我が国が魅力のある経済活動の拠点になる、そのような努力なり対応をしていかなければならないということになるわけでありますが、その基本は何といっても、極めて抽象的ではありますけれども経済構造改革を進めるしかない、このように考えております。  非常に抽象的な質問になって恐縮でございますが、この経済構造の改革を強力に進めていくということにつきましての大臣のお考えと、そして、今後通産行政としてどのように取り組んでいかれるか、その姿勢をお伺いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  30. 塚原俊平

    塚原国務大臣 先生の御経験も踏まえた上での我が省に対します正しい御理解と御支援を今日までいただいておりまして、また、国会質問等を通じて非常に重要な点につきまして、ある程度御支援も踏まえた上での御激励も含めて本日事務当局にもいただきまして、本当にありがとうございました。  通産省がよく使う言葉ですが、企業が国を選ぶ時代になったということで、我が国は高コスト構造の顕在化等で非常に魅力を失っているということは事実だと思います。先生のお話がございましたように、今こそ経済構造改革をしなければいけないわけですが、やはり経済構造改革は、これもいつもまた同じことを言うといってしかられますが、三本柱で、高コスト構造を是正するということ、それから新規事業分野の基盤整備をする、研究開発の基盤整備をするということが重要なのだと思います。この認識については私は決して間違っているとも思いませんし、それにつきましてはそれなりの御評価がいただけるし、御意見をともにするところが多いと思うのですが、この内容を具体的にどうするのかというのがやはりポイントだと思います。  今日まで国会の御指導等もいただきながら法律の整備等も行ってきたわけでございますが、今後ともよりしっかり施策を講ずることによりまして、活力のある経済社会を構築してまいりたいというふうに考えております。
  31. 豊田潤多郎

    豊田委員 一応時間になりましたので、質問を終えさせていただきます。どうもありがとうございました。
  32. 甘利明

    甘利委員長 続いて、吉井英勝君。
  33. 吉井英勝

    吉井委員 八七年の国会審議に照らして、この産転法、九年の実績評価して、そして問題を浮き彫りにして今後の立法政策に生かしていく、このことが今大事な問題の一つだと私は思います。  それで、八七年の議論を少し振り返ってみますと、設備処理中心のスクラップ優先でビルド案が極めて少ないと。これは今与党になっていらっしゃる党の方からの指摘でありましたが、それに対して当時の杉山産業政策局長は、どの程度の雇用機会を新しく提供できるかは確固たることは言えない、事業者自身の計画の中でつなぎとめること、自治体の地域振興計画を応援したいという答弁でありました。  大体この答弁どおりやってきていますか。簡単で結構ですから、一言伺いたいと思います。
  34. 鈴木孝男

    鈴木(孝)政府委員 円滑化法制定いたしましたときの考え方といたしまして、市場メカニズムのもとで産業構造の転換の円滑化を図るという形で、そのために特定事業者対策特定地域対策という二つの柱で本法を制定したわけでございますが、この法律成果及び評価につきましては、先ほど来の御議論で私ども答弁させていただいたような形でございますので、私どもとしては円滑化法の当初の目的をおおむね達成したものと考えております。
  35. 吉井英勝

    吉井委員 それで、現実はどうであったかということを、私はちょっと鉄鋼の方で、高炉大手五社の実績を見てみたいと思うのです。  計画どおり設備処理は行われました。それは国の支援も受けたわけですが、今新鋭の高炉などで、粗鋼生産の方は八〇年代に年間約一億トン、それが九四年、五年の実績で見ても大体一億トンで維持されております。ところが、当時不況、赤字のかけ声のもとで八七年にこの法律がつくられたわけでありますが、八六年度の経常利益五百五十五億円の赤字が、八六年三月末の十八万九千九百八十七人から九一年三月末十六万四千五百五十四人へと二万五千人の人減らしが行われた中で、この法律がつくられた年には早速黒字に転換をして、そして、経常利益は九〇年度には四千二百十九億円と、巨大な利益に変わっております。  バブル崩壊、循環型金融不況、さらには円高不況の重なった九三年、四年の経常赤字が二年続きましたが、その後、円高不況対策ということを叫んで、また人減らしが進められました。九二年三月末の十六万四千六百四十七人から九六年三月末の十三万九千五十一人へと、大体二万五千五百人の人減らしが行われたわけであります。この結果、高炉大手五牲の経常利益というのは、九五年度、つまりことし三月の決算見込みの数字になりますが、千六百五十億円へと大きな黒字、急激な回復を見ました。  高炉大手五社にとっては、産転法というのは、不況を理由にして、国の支援設備処理と人減らしを行っていく非常に有力な手段になったことは明らかです。しかし、労働者の方は、これは直接の本雇いの人たちですね、十年間で五万人減らされたわけですが、新しい雇用地域振興の方は八七年の答弁どおりにはなっていないというのが実態ではありませんか。
  36. 林康夫

    ○林(康)政府委員 お答え申し上げます。  鉄鋼の生産能力、八六年に九千六百万トンまで生産量が落ち込んだわけでございまして、その当時、厳しい国際競争の中でできるだけ競争力を回復すること、それが鉄鋼業の維持発展を図る絶対の条件であるという認識のもとにリストラを続けてきたわけでございます。その際、事業適応計画に基づく設備の休廃止が御指摘のとおり中、心になったわけでございますが、雇用の問題につきましては、できる限り自然退職でその相当部分を充てるとともに、出向あるいは新規部門への配置転換で対応することによりまして、可能な限り従業員への影響を小さくするよう努めたと認識しております。  競争力は、現在、東南アジアの台頭に伴いまして、例えば、一九九八年には浦項製鉄所が新日鉄の生産能力を抜くのではないかというような計画を発表しておりますし、引き続き、競争力強化は鉄鋼業の維持発展のためにかなり重要な要素だと思っております。
  37. 吉井英勝

    吉井委員 それで、杉山産業政策局長の立法時の答弁、改めて見てみますと、雇用に対する配慮ができているかどうかも判断していく、そうでない場合には、むしろ設備処理を含む計画それ自体を承認しないと答弁しているわけです。現実は全く違うものになっておりました。私は、この点では責任を厳しく問うておきたいと思います。  新日鉄では、八六年三月から九六年三月にかけての十年間に、六万三千八百人から三万九千三百人へと二万四千五百人の人減らしが行われました。大体これ、下請などを合わせますと五万人を超えるものになるわけですが、その結果、消費購買力が落ち込んで、北九州市の八幡の町を見ればすぐわかりますが、かつての繁華街が火の消えたような状況になっている。  それからなお、この設備廃棄した跡地に、先ほどテーマパークの話でありましたスペースワールドをつくったわけですが、その雇用者というのは三百十人ですね。二万四千五百人が人減らしになって、スペースワールドでわずかに雇用者は三百十人、これが実態です。これに関連する進入道路等の公共事業に地元市の負担は急増をしたわけですが、人の入っている施設を見ますと、ジェットコースターなどが中心です。本当の地域振興とはほど遠いというのが実態と言わざるを得ないのではありませんか。
  38. 鈴木孝男

    鈴木(孝)政府委員 円滑化法におきましては、十二条におきまして、雇用の安定を図るということも規定がございますし、また、二十五条におきまして、労働大臣と主務大臣が連携をとりまして雇用の安定を図ると。そういった観定から、労働省におきましても、この円滑化法とともに各種の助成措置がとられております。そういった意味で、私どもは、労働省の政策と相まちましてこの円滑化法目的というものを達成してまいったつもりでございます。  また、今、北九州の事例でございますけれども、私どもは、この円滑化法の中でも特定地域対策といたしまして、特定地域に、例の工場の新増設に対する融資、あるいは第三セクター出資によりまして地域活性化を図るという支援をしてきたわけでございますが、スペースワールドにつきましても、委員指摘のように確かに常勤の雇用は三百名強でございますけれども、そのほかに準社員あるいはアルバイト、テナント社員等を含めますと千五百名を超えるような雇用もございますし、また、そのスペースワールドにおきます集客の数も相当程度でございますので、いろいろな意味での波及効果があったと思います。そういった意味で、北九州市のいろいろな助成措置とも相まちまして、この円滑化法によりまする地域活性化は相当程度実を上げたのではなかろうかと思っております。
  39. 吉井英勝

    吉井委員 二万四千五百人の人が減って、アルバイトなどを含めて千数百人ほどあるというお話ですが、実態を大きく離れているということをまず指摘しておきたい。  それで、実は私、新日鉄八幡で働いている皆さんとこの間も懇談したわけですが、百五十人在籍の職場で五十人体制、つまり三分の一削減に進んでいっている。広い職場を一人で受け持って、食事時間も十分とれないという事態。そうした中で、健康管理を要するとされている人が三分の一、在籍死亡も急増しているという、もっと時間があればいろいろ紹介して聞いてもらいたいところですが、そういう実情というものが訴えられました。  そこで、これは大臣に伺っておきたいのですが、企業栄えて民滅ぶということでは、私は、これは国としてはおかしな話だと思うのですね。やはり国民あっての国ですから、大企業の利潤、企業が利潤を求めることが悪いと言っているんじゃないですよ、そういう議論をしているわけじゃありませんが、大企業の利潤追求を支援する政策から、やはり大企業に社会的責任を果たさせて、雇用地域経済も守っていくという、そういう産業政策への転換、今の時代、私はやはりそれが求められているというふうに思うわけです。大臣は労働大臣を務められた方でありますが、その点についての、そのことが必要じゃないかと私は思うのですが、大臣の見解を伺って、大体時間が参ったようですから、終わりにしたいと思います。
  40. 塚原俊平

    塚原国務大臣 所信に対する質疑のときにも、宮地先生との御議論の中でちょっとお話をさせていただいた気がするのですが、今回、景気回復をしている中で、雇用と中小企業がどうしてもよくない。従来は、景気回復するときには雇用がよくなり、中小企業がよくなるのですが、それがよくない。これは大変心配する材料であります。もしかしたら、不安の一つとしては、雇用が回復しないまま景気が回復してしまうのではないかというような部分がございます。そうすると、それが今先生のおっしゃったようなことにつながっていくというようなことも言えるのかもしれません。ただ、私どもは、やはりこの雇用と中小企業が正規な回復軌道に乗って初めて景気回復したというふうに認識するということで、そのための精いっぱいの努力をいたしております。  それから、スペースワールドにつきましては、今、雇用面では非常に人数が少ないというお話がございましたが、関連も挙げた上での御説明が今ございました。私もお邪魔させていただきましたが、地域活性化の上では大変に役に立った施設であるというふうに、拝見をして感じました。
  41. 吉井英勝

    吉井委員 時間が参りましたので、終わります。
  42. 甘利明

    甘利委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  43. 甘利明

    甘利委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  参議院送付内閣提出産業構造転換円滑化臨時措置法廃止する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。      〔賛成者起立〕
  44. 甘利明

    甘利委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願  いたいと存じますが、御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 甘利明

    甘利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕             —————————————
  46. 甘利明

    甘利委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十九分散会      ————◇—————