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1996-06-07 第136回国会 衆議院 厚生委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年六月七日(金曜日)     午前十時四十二分開議 出席委員   委員長 和田 貞夫君    理事 衛藤 晟一君 理事 木村 義雄君    理事 長勢 甚遠君 理事 青山 二三君    理事 石田 祝稔君 理事 柳田  稔君    理事 横光 克彦君 理事 荒井  聰君       伊吹 文明君    稲垣 実男君       狩野  勝君    近藤 鉄雄君       七条  明君    田中眞紀子君       高橋 辰夫君    竹内 黎一君       戸井田三郎君    根本  匠君       福永 信彦君    堀之内久男君       松下 忠洋君    持永 和見君       保岡 興治君    山下 徳夫君       赤松 正雄君    粟屋 敏信君       江田 五月君    大野由利子君       鴨下 一郎君    北村 直人君       久保 哲司君    高市 早苗君       福島  豊君    桝屋 敬悟君       山本 孝史君    網岡  雄君       五島 正規君    田邊  誠君       森井 忠良君  五十嵐ふみひこ君       岩佐 恵美君    吉岡 賢治君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 菅  直人出席政府委員         厚生政務次官  住  博司君         厚生大臣官房長 山口 剛彦君         難警官房総   亀田 克彦君         厚生省生活衛生         局長      小林 秀資君         厚生省薬務局長 荒賀 泰太君         厚生省保険局長 岡光 序治君  委員外出席者         文部省体育局学         校健康教育課長 北見 耕一君         厚生委員会調査         室長      市川  喬君     ————————————— 委員の異動 六月七日  辞任        補欠選任   熊代 昭彦君    松下 忠洋君   鈴木 俊一君    福永 信彦君   山下 徳夫君    七条  明君   鴨下 一郎君    江田 五月君   田邊  誠君    網岡  雄君   枝野 幸男君  五十嵐ふみひこ君   土肥 隆一君    吉岡 賢治君 同日  辞任        補欠選任   七条  明君     山下 徳夫君   福永 信彦君     鈴木 俊一君   松下 忠洋君     熊代 昭彦君   江田 五月君     鴨下 一郎君   網岡  雄君     田邊  誠君 五十嵐ふみひこ君     枝野 幸男君   吉岡 賢治君     土肥 隆一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  薬事法等の一部を改正する法律案内閣提出第  七六号)  廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正す  る法律案内閣提出第六九号)(参議院送付)  民間活動に係る規制改善及び行政事務の合理  化のための厚生省関係法律の一部を改正する法  律案内閣提出第八一号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 和田貞夫

    和田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出薬事法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。根本匠君。
  3. 根本匠

    根本委員 自由民主党の根本匠です。  私は、薬事法等の一部を改正する法律案について、幾つ質問をいたしたいと思います。  薬事法等の一部を改正する法律案、これは医薬品安全性確保観点から、製薬企業役割強化する、公的関与充実する、こういうことによりまして、治験から承認審査市販対策医薬品の総合的な安全確保対策を講じたものと理解しておりますが、これは一方では、治験承認審査市販後の規制あるいは審査体制欧米並み水準にする、医薬品副作用情報収集強化医薬品の適正な使用、緊急時の医薬品特例許可制度の導入、こういうものをねらいとしたものであります。  この法案の一つの大きなポイントは、治験充実強化、これがポイントになっております。従来は、承認申請があってから厚生省が動き出しましたが、今回の法改正治験届チェック制度を導入いたしまして、治験段階から厚生省が関与する、こんな改正が行われております。  従来、日本は、臨床試験に入る前に第三者による審査は行われていないわけでありますが、アメリカは、サリドマイド薬害を契機に既にこの点での法制化をしておりますので、製薬企業などの遵守基準欧米並みになった、こんな評価ができるわけであります。  今回、GCP遵守が義務づけ、法制化をされました。現在、日米欧の八一モナイゼーション観点から、三極共通ICHGCP、これがこの薬事法改正施行後に適用される可能性が大だろう、こう思います。  ICHGCPの主なポイントは、私は三点ぐらいあるのだろうと思っております。一つは、治験実施主体治験総括医師から製薬メーカーになる。治験審査委員会医療機関外の者の参加義務がある。もう一つは、インフォームド・コンセント文書または口頭から、ICHGCPでは文書による。こういうことがポイントだと思いますが、ICHGCPが具体的にいつの段階から適用されるのか。  要は、法施行は来年の四月一日ということですから、法施行段階で現在のGCPにかわってICHGCPの国際的な共通基準が適用されるのかどうかという点と、それからもう一つICHGCPが適用された場合の効果、これは、例えば日本新薬欧米で承認されやすくなる、こんな効果が出てくるかと思いますが、ICHGCPを導入した場合の効果、それから問題点課題。例えば、欧米というのは契約社会ですから日本社会と多少ニュアンスを異にするわけでありますが、日本欧米社会的背景の違いによってどんな問題点課題が出てくるのか、この二点についてお伺いしたいと思います。
  4. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ただいまお話がございましたように、ICHGCP、本年五月に日米欧三極の医薬品規制八一モナイゼーション国際会議で合意をされました。この実施日につきましては、各国の判断にゆだねられているところでございます。  我が国におきましては、今回の法改正GCP基準法制化に伴いまして、ICHGCPで規定されております文書によるインフォームド・コンセント等厚生省令で盛り込む方向検討いたしておりまして、今後関係者によります検討会において詳細に検討して、本年度中に制定をすることにしております。その場合に必要な周知期間あるいは準備期間を配慮いたしまして、その上でできるだけ速やかに実施に移していきたい、このように考えておるところでございます。  こういったことによりまして、治験によります被験者人権保護の一層の強化、あるいは治験データ信頼性向上が図られまして、これらを通じまして我が国治験水準が国際的に通用するものになるというふうに考えておるわけでございます。  もう一つの、課題とかそういったことでございますけれども治験に協力をいたします患者確保の問題、あるいは医療機関におけるスタッフ充実関係、さらに製薬企業における体制整備課題というふうに考えておりまして、これらの課題に対しまして適切に対応してまいりたいと考えております。
  5. 根本匠

    根本委員 できるだけ速やかにというお話でしたけれども、私が聞いたのは、この薬事法施行は来年の四月一日ですよね、来年の四月一日に、このICHGCPはどういう時点の関係になるのですか。
  6. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 来年四月にこの改正法施行がございますが、それに合わせて私どもも省令を出すということでございます。  ただ、そのときに、やはりこのインフォームド・コンセント等については、病院とかそういったところの準備も必要でございますから、四月以降、若干といいますか必要な準備期間を置きたい、このように考えておるわけでございます。
  7. 根本匠

    根本委員 わかりました。  次に、今、具体的な課題として、インフォームド・コンセントあるいは医療機関実施体制の問題の答弁がありました。私も、治験段階のこれからの大きなテーマとしては、医療機関体制整備が大きな課題になるだろう、こう思っております。この点から、二点お伺いしたいと思います。  一つは、具体的に治験をやる場合に、対象患者の問題として、治験対象患者が集まりにくい、あるいは治験が進まない、こんなことが懸念されております。最近のソリブジン等の問題で、治験を受ける側の皆さんにさまざまな不安がありますし、あるいは抵抗感社会的風潮治験をしにくい状況も出てきておりまして、今回の規制強化治験安全性は高まりますが、インフォームード・コンセントの問題が非常に重要な問題として出てくるだろうと思います。  この点では、欧米ではボランティア精神背景にありますし、被治験者への恩恵という点では、例えばアメリカでは、医療品が高いのでコストインセンティブがある程度働く、こういう点があるわけですが、日本では、やはり治験実験的要素があるということを最近の風潮あるいは国民感情によって説明しにくいという点もありますし、参加者への恩恵、こういうものも課題になるだろうと思っておりまして、インフォームド・コンセントあり方をこれからどう考えていくのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  8. 住博司

    住政府委員 先生おっしゃるとおり、治験というのは非常に重要な役割を果たしております。新薬開発にとっては非常に重要だというふうに考えております。これによりまして、治験に参加する患者さんだけではありませんで、国民皆様方にとりましても有益な新薬が生み出されるということ、そして医療の進歩が図られるという意義というものをきちんと私どもも伝えていかなければならないということがあると思います。  それから、今度の、文書によるインフォームド・コンセントのことによりまして、言ってみれば治験を受けられる被験者の方々に何らかのメリットを与えないと、治験実施が困難になるのではないかという御懸念あるいは御意見があることは承知しております。  医薬品安全性確保対策検討会における議論でも、被験者に対するメリット付与につきましては、治験による患者負担増加部分に対しまして弁償をすべきであるとの意見もありますし、一方で、倫理的側面等の問題を踏まえた慎重な検討が必要だという御意見もあります。この問題につきましては、幅広く関係方面意見を伺いながら議論を重ねる必要があると考えております。  いずれにしましても、今回の治験基準の改定によって、我が国におきます臨床的に価値のある新薬治験実施に支障が起こらないように、とにかくその点を考えながら方向を定めていきたいというふうに考えております。
  9. 根本匠

    根本委員 私も、インフォームド・コンセント、やはり社会的にいかに役立つかという必要性意義の啓蒙、啓発活動、これも必要だと思いますし、恩恵をどう考えるか。費用負担の問題もありますが、被治験者には、例えば待ち時間をゼロにしてあげるとか、個室は特別な個室に、いい個室に入れてあげるとか、それから、よい意味で丁寧に丁寧に治療をしてあげるという、いわばサービス充実してあげる、こういうことも必要だと思うのですね。ただ、その場合に、これは保険対象にするのかとか、その負担は依頼された製薬会社に持ってもらうのかとかいろいろな問題が出てくるわけですが、こういういい意味での医療サービス充実、これも必要だと思います。いずれにしても、インフォームド・コンセントあり方は、私は丁寧によく考えて取り組んでいただきたい、こんなふうに思います。  それから二つ目の、医療機関実施体制の問題でありますが、治験を行う医療機関実施体制の問題として、例えば治験審査委員会の設置などの治験を行う体制が必ずしも整っていない医療機関もありますし、現場が忙しくて審査時間が十分にとれないという声もありますし、治験実施するお医者さんの問題、あるいは各施設少数例実施する治験が多くて治験の質を低下させる可能性がある、こういう問題点指摘されておりますし、施設ごと症例数が少ないのは治験に供される品目が多過ぎるから、こんな指摘もあるわけであります。ですから、現場実施体制をこれからどう確立していくのか、これが大きな課題であります。  もう一つ、新たな課題として、先ほどお話ありましたように、ICHGCPが適用される、こうなりますと、治験責任医師役割責任が重くなりますし、治験審査委員会の機能も強化されるわけです。こうなりますと、アメリカ契約社会ですから対価もきちんと対応されるわけでありますが、この辺の治験費用の取り扱い、これも、民間病院はいいのでしょうけれども、国立の病院ではどう取り扱うことにするのか、こういう問題も出てくる。いろいろな問題が出てくるわけですが、これらの現場段階での医療機関実施体制課題とこれへの取り組みについてお伺いしたいと思います。
  10. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 このICHGCPの内容を踏まえましたGCP実施によりまして、医療機関におきましては、先ほどお話もございましたが、患者への説明に要する時間をどのように確保していくか、それから患者への治療面でのメリットをどのように考慮していくか、また、この治験業務を補助いたします看護婦とかあるいは病棟薬剤師などの医療スタッフ充実をどのようにして図っていくか、そういったことが重要な課題でございます。  このために、私ども厚生省では、本年度の予算におきましてGCP適正運用推進モデル事業というものを行いたいと考えておりまして、適正な治験実施方法につきましてのモデルを提示したいと考えております。  幾つかの医療機関を選定いたしまして、被験者への十分なインフォームド・コンセントを行うための説明事例集を作成するとか、今申し上げました治験を補助いたします看護婦あるいは病棟薬剤師等医療スタッフあり方検討していく、さらに治験担当医師資質向上のための研修をどのようにして行うか、そういったことについて検討を行いまして、いろいろな改善点についての情報収集して、その結果を踏まえて普及を図ってまいりたい。そういったことを通じまして、我が国治験水準を国際的に通用するものにしていきたい、このように考えております。
  11. 根本匠

    根本委員 私も、具体的なモデル事例でさまざまな問題点課題検討していただいて、きちんとこの実施段階で適正にやれるような、こういう本当の運用の問題は非常に重要だと思うのですね。この点は十分に検討して遺憾のないようにやっていただきたいと思います。  今、薬剤師さんの問題が出ました。今回の法改正治験が非常に重要になってきたわけですが、薬剤師の方のかかわりも、例えば治験事務局については、GCP施行されてから治験事務局薬剤部に置かれる事例も多いと聞いておりますし、新たに市販後の薬の適正使用推進という役割薬剤師に課せられたわけですが、これからの薬剤師役割をどう考えるか、この点についてお伺いいたします。
  12. 住博司

    住政府委員 先生も御指摘になりましたように、治験に関する薬剤師業務といたしましては、治験薬管理業務以外にも、今後、医療薬学充実等を通じまして資質向上を図る、そして医師患者に対しまして治験薬に関します情報の提供、治験支援体制の中で積極的に治験にかかわっていくことが必要と考えております。  一方、医薬品適正使用の面からは、患者医師に対しまして医薬品情報を適切に伝えていくことが重要でございまして、今回の薬事法改正におきましても、薬剤師である薬局管理者薬局開設者に必要な意見を述べまして、開設者はその意見を尊重しなければいけないということにしておりますし、患者さん等に調剤した薬剤の適正な使用のために必要な情報を提供しなければならないとする、言ってみれば、薬剤師役割強化するとともに、診療報酬上も、医療機関内での医薬品情報収集と伝達、入院患者への服薬指導薬局での服薬指導等業務についても充実を図ることとしております。  このように、医薬品開発から適正使用確保まで、薬剤師の果たす役割は大変大きいと考えておりまして、今後とも、その資質向上を図るとともに、薬剤師業務充実環境整備に努めてまいりたいと考えております。
  13. 根本匠

    根本委員 それでは、薬剤師役割は非常に多様化、そして高まっておりますので、その辺の対応も強力に取り組んでいただきたいと思います。  二点目に、大きな二点目ですけれども、今回の法改正承認審査充実も大きな柱の一つになっております。  承認審査あり方につきましては、日本、フランスは審議会活用型、これに対してアメリカ、イギリスはいわゆる直轄型に大別されております。「これは歴史的な経緯もあるわけですが、要は日本玉審議会を活用するような仕組みにしている基本的な考え方一つお伺いしたいのと、それからもう一点、今回の法改正によって、厚生省審議会、そして医薬品機構、これをそれぞれ役割分担してやるわけでありますが、この役割分担をどのように考えていくのか、この辺の役割分担を明確にしてお答えいただきたいと思います。  それからもう一つ医薬品機構は、これは法律に基づく一に限って設立された法人で、例えば公務員の守秘義務なんというのもこの医薬品機構にはかかるのですね。医薬品機構、これも実際に官の一つ役割を担うわけですから、この医薬品機構役割、位置づけも含めて、審議会厚生省医薬品機構、この役割分担をお伺いしたいと思います。
  14. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ただいまお話がございましたが、日本における承認審査のやり方は、これは中央薬事審議会におきまして、高度な、専門的な知識を生かして新薬承認審査についての調査審議を行うという体系になっておりまして、その事務局を私ども薬務局担当課が果たしていく、こういう形でやってまいっておるところでございます。  今回の、厚生省、今お話のございました医薬品機構、それから中薬審基本的な役割分担関係でございますけれども承認審査の最終的な責任というのは厚生大臣にあるわけでございます。医薬品機構は、その専門性公平中立性を発揮いたしまして承認申請データ照合等調査を行ってもらうことにしておるわけでございます。そして、それを受けて、厚生省事務局審査を経て、中薬審がより高度な専門的知識を生かしてこの評価判断業務を行う。そのようなことで、しかし最終的には厚生大臣責任を持つという体系になっておるわけでございます。  もう一つは、承認審査体制全体の運営管理といいますか、つまり医薬品機構それから厚生省事務局中薬審審議、そういった全体の運営が円滑かつ適切に行われるような、そういったことについての厚生省対応といいますか管理というものを行っていくことが求められておりますし、それをやってまいりたい、このように考えておるところでございます。
  15. 根本匠

    根本委員 私は、この辺の役割分担をきちんと明確にして承認審査をしていくことが必要だと思っているのです。ですから、これも運用あり方が非常に大事だろうと思います。  次に、市販対策についてお伺いします。  市販対策としてGPMSPの法制化をいたしました。自主回収に着手した場合の報告を義務づけておりますが、私はここで大事だと思うのは、自主回収の着手の義務づけをしたわけですが、例えばエイズ問題では回収が非常に大きな問題になりました。トラベノール社は早期に速やかに回収したのに対して、ミドリ十字はおくれました。これは日本欧米ルールあるいは感覚的な差があるのかなと私は思っているのですが、欧米企業PL法背景もあったのでトラベノール社というのは厳しく対応したのかなと思いますが、PL法日本施行されましたから、この辺は、薬事法改正PL法制定で合わせわざで回収の問題は非常に強化されるのだろうと私は思うのです。  一つは、薬事法改正、つまり薬事法PL法の関連をどう考えるのかという点が一点。  それからもう一点は、回収については、回収命令という措置は既に法制化されているわけですから、自主回収の届け出を義務づければ、全体としての回収システムルールとして確立するわけですね。では、具体的に回収命令を発動する場合に、発動した事例があるのかということと、もしなければ、回収命令発動基準運用基準をどのように考えているのか、この二点をお伺いしたいと思います。
  16. 住博司

    住政府委員 基本的には、薬事法PL法というのは別の法体系になっているわけでございますけれども医薬品等品質有効性及び安全性確保することを目的にするのが薬事法、そしてPL法は、つくられた製品の欠陥によって生じた被害については製造者が民事上の賠償責任を負う、こういう法律であります。そういうことでございますので、この二つが相まって、実をいいますと医薬品についても有効な効力を発揮いたしまして、医薬品安全性向上医薬品による被害の防止が図られるというふうに考えておるところでございます。  ただ、今までも法制はあるわけでございますが、今までは保健衛生上の危害発生または拡大を防止するために必要があると認めるときには厚生大臣回収等緊急命令を行うことができるということになっておりまして、これまで基本的には行政指導をもって自主回収措置をとってまいりましたけれども回収命令を発動した実績がないことは御承知のとおりでございます。  今回のエイズ問題の反省に立って、保健衛生上の危害発生または拡大を防止するために、必要な回収命令等厚生大臣権限を迅速にかつ的確に行使することは極めて重要なことと認識しております。したがいまして、今後権限を行使する上での基準やあるいはマニュアルの作成等を通じまして、適切な対応ができるようにきちんとしてまいりたいというふうに考えております。
  17. 根本匠

    根本委員 この回収は非常に重要なテーマだと思います。PL法施行されましたし、今回の薬事法改正回収の全体のシステムは整ったわけですから、これの遺憾なき運用を期していただきたいと思います。  これから、時間もちょっと少なくなりましたのでまとめて三つぐらい質問をいたしますので、お答えをいただきたいと思います。  私は、これからの医薬品産業あり方はどうあるべきか、こういう観点から質問をいたします。  今回の法改正によりまして、医薬品安全性の点では非常に充実強化されました。ですから、安全性向上するわけですが、一方で、今回の委員会でもいろいろな議論が出ておりました高付加価値産業としての医薬品産業国際競争力強化あるいは活性化をどう考えていくか。こういう点から、一つは、産業政策の視点をどうとらえているのかということをお聞きしたいのですね。どういう企業を伸ばしたいと思っているのか、まずそれをお伺いします。  私の意見を言ってしまいますと、医薬品産業の場合は、技術力研究開発能力にすぐれているという点と、今回のいろいろな問題で明らかになるわけですが、品質の安全の確保に高い倫理観を持った信頼できる企業、要は研究開発能力と信頼できる企業を発展させることを基本とすべきではないかと思っておりますが、この点について、どういう企業を伸ばしたいかという産業政策上の基本方向をお伺いしたいと思います。  それから二つ目でありますが、具体的な環境整備政策手法として何を考えるか。これは治験あり方、それから薬価の決め方、これが二つの大きな柱になるだろうと私は思っております。政策手法考え方として三点を指摘して、そのうちの二点についてお伺いしたいと思います。  一つは、政策手法考え方としては、今回の薬事法改正が非常にきいていると思うのですが、治験承認審査充実強化されました。そして、ICHGCP遵守するということになりました。ですから、この点では治験の質の向上審査の効率化、迅速化、安全性が高まりましたが、これは治験をより的確に実施できる、安心、信頼できる企業が発展するインセンティブとして、今回の薬事法改正審査等の充実強化はきいてくるだろう、こう思います。ですから、これは産業の活性化という点では、安全性強化されると同時に、医薬品産業活性化の点で非常にきいてくるだろうと私は思います。  それからもう一点は、薬の市販対策充実強化によって安全性が高まったわけですが、市販後によい薬を評価するシステムを導入すべきではないか。要は市販のいろいろな薬剤と併用した場合の安全性とか、小さな子供、高齢者あるいは特殊な疾患との関連など多数の症例が出てきますから、市販後の薬を評価するシステムを考えてやるべきだ。例えば、ネーチャーとかサイエンスに載った薬は評価が高いと言われております。やはり市販後の臨床研究が非常に日本は弱いと言われておりますが、市販後の臨床研究の充実、それからよい薬を客観的に評価するシステムを考えるべきではないか、こう思っております。この点をお伺いしたい。  それから、三点目は薬価基準の問題です。結局薬価基準をどう設定するかによって日本医薬品企業を、どんな企業が伸びるのか。競争で伸びる企業、伸びない企業が出てくるわけですが、薬価基準をどう設定するかが非常に大事なんですね。薬価基準の設定に当たって、技術力研究開発能力にすぐれた企業を伸ばす、あるいは安全性信頼性を志向する高い倫理観を持った企業を伸ばすという視点、理念も産業政策上から必要ではないか、私はこう思っております。  具体的には、私は四点指摘をしたいのです。  画期的新薬を適正に評価すべきではないか。それから二点目は、長い期間使用されて、安全でよく効く薬、これはやはり薬価で再評価してやるべきではないか。もう一つ、ゾロ新については評価は再検討した方がいい。四点目は、先ほど市販後の薬の再評価をするシステムを考えるべきだと言いましたが、それとの関係で、再評価後、有効性安全性が高いものはプラスに評価するようなインセンティブを与えてやるべきではないか、こう思っております。  以上、どういう企業を発展させることを基本にしているかという産業政策上の基本考え方と、それから二点目は、市販後の薬の臨床研究の充実の問題と、よい薬を客観的に評価するシステムの確立の問題。三点目は、薬価基準の設定に当たって、私が申し上げたような点で産業政策も志向した薬価基準を設定すべきではないか。この三点についてお伺いしたいと思います。
  18. 住博司

    住政府委員 大枠の方を私からお答えさせていただきます。  医薬品産業というものについては、先生のおっしゃるとおりだと思いますし、国民の保健水準医療水準向上に不可欠な産業であるし、知識集約的な産業であり、技術立国を目指す我が国としては、将来性のある重要な産業だというふうに考えております。したがって、画期的な新薬開発する、国際市場を目指すような医薬品企業を育てる、それから信頼性の高い医薬品を安定的に供給できる産業、こういうものをきちんと育てられるような仕組みを私どもは考えていきたいというふうに思いますが、先生の御指摘については、それぞれのいろいろと検討しなければいけないことがございますので、それについては詳しく御答弁させていただきます。
  19. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 二点目、三点目でございますが、市販後の臨床研究の必要性、私ども承知をしておるわけでございます。既存の医薬品につきまして、難病等に適用を拡大するための研究につきましては、オーファンドラッグに対します助成制度というものによりまして支援を行っております。また、がん研究助成金制度におきましては、最適な薬物療法の開発に対する補助も行っておるところでございます。今後とも、研究機関等におきます既存の医薬品についての臨床研究の支援に努めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、薬価基準上のインセンティブの問題でございますが、私どもにおきましても、新薬品の価格設定ルールにつきまして、本年四月から、画期的な新薬につきましては加算率を従来の二〇%から四〇%に大幅に引き上げの措置を講じたところでございますし、今後ともこういった配慮は必要であるというふうに考えておるわけでございます。また、長期にわたり使用されます有用性の高い医薬品の薬価基準上の評価につきましても、関係審議会議論を踏まえまして今後十分検討をしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。  今回の改正法薬事法改正によりまして、我が国治験承認審査体制欧米並み水準に引き上げるということにしておるわけでございますが、このような改正が結果として我が国製薬企業の技術開発力の強化に結びつくのではないかというふうに期待をいたしておるところでございます。
  20. 岡光序治

    岡光政府委員 薬務局長が一緒にお答えしたと思いますが、再確認の意味で申し上げますと、薬価基準評価におきまして、先生から御指摘がありました、新薬の中でも特に画期的な新薬につきましてはこれまで以上に高い評価、加算を多くする、そのかわり、余り画期性のない新薬につきましては従来よりも低い評価をする、こういうめり張りをつけるということにしようとしております。  それから、もう一つ指摘がありました、例えばずっと長く使われて、安全であるししかも有効であるということが確認できているものにつきまして、単に市場価格によるのではなくて、別の評価方法があるのじゃないか、こういう指摘が中医協でもされておりまして、それじゃどういう評価方法にするかという議論を今しようとしておりますので、そういう議論を煮詰めまして、御指摘の趣旨に合うような格好で対応して、結果として技術開発力の強い企業が育つように、そういうふうに持っていきたいと考えております。
  21. 根本匠

    根本委員 ありがとうございました。
  22. 和田貞夫

    和田委員長 石田祝稔君。
  23. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 若干のお時間をいただきまして、質問をさせていただきます。  まず、薬事審議会あり方についてお伺いをしたいのです。  先日、参議院の厚生委員会の小委員会で、薬事審のあり方についてやはり公開を原則とすべきではないか、秘密性をもう少し排除すべきではないか、こういう参考人の御意見があったように承知しております。この薬事審のあり方について、閣議決定も踏まえて、公開をどういうふうにしていくのか、このことについてお考えをお伺いしたいと思います。
  24. 菅直人

    ○菅国務大臣 御承知のように、中央薬事審議会は、医薬品等承認審査の一環としての審議、再審査あるいは再評価等の市販後の安全対策審議等、医薬品等に関する医学、薬学等の専門的な判断を必要とする審議を中心に、薬事に関する重要事項について審議を行っていただいております。  今回の薬事法等改正においては、承認審査体制充実を図る観点から、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構を活用し、新薬承認審査に係るデータの信頼性調査実施することとしておりまして、薬務局における審査体制強化とあわせて、この中央薬事審議会における調査審議がより高度な評価判断に集中することができるように承認審査の高度化を図ることといたしております。  そこで、今、石田委員の言われましたこの中央薬事審議会あり方に関して、審議内容の公開など透明化の推進を図るほか、御指摘もありましたか、独立性も強めるといったようなそういう議論も出てきております。現在、薬害エイズの反省に、立って、医薬品による健康被害の再発防止対策について、薬務行政の組織のあり方を含め全体的な検討を行っているところでありまして、その中で、この中央薬事審議会についても、従来のあり方をどのような形で変えることが国民にとって透明性の高い承認審査になっていくのか、このことをさらに検討いたしていきたい、一定の公開等の手続は進んでおりますが、さらに検討していきたい、このように考えております。
  25. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 そうしますと、この中央薬事審議会の今後のあり方については、昨年九月の閣議決定を踏まえてやはり原則公開とすべきだ、そういう方向で見直しをされるということでよろしゅうございますか。
  26. 菅直人

    ○菅国務大臣 実は、この薬事審議会の公開については、昭和五十六年でしたか、一度総会決議がされておりまして、さらに昨年、閣議決定がなされているわけであります。そうした五十六年の総会決議、さらに今回の閣議決定に沿った形で、今回は平成八年三月二十七日に、中央薬事審議会の総会において「中央薬事審議会の公開について」というのを決議いたしております。そういったことに応じて、幾つか個人のプライバシーとか企業秘密とか、そういった例外的な部分を除いた審議の公開ということの基準を決めております。  しかし、これだけで十分かということになりますとまだまだ議論がありますので、私も、できれば近いうちに中央薬事審議会の会長と直接お目にかかって、今後の中薬審あり方について議論をさせていただこうと思っておりまして、そういうものも含めてさらなる中央薬事審議会の透明化あるいは中央薬事審議会あり方について検討を進めてまいりたい、このように考えております。
  27. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 これはぜひ御検討を進めていただきたいと思うのですが、ちょっと最後に申し上げますと、この平成八年三月二十七日の「見直しについて」ということで、「中央薬事審議会の公開について」の3の(1)に「公開する総会の議事録については、公開する。非公開とする総会の議事録については非公開とし、」これは何か当たり前のことですね。公開する総会の議事録を公開するというのは、みんな聞いているのですから、それは意味がないのであって、何となく見直しにしてはおかしい話。「非公開とする総会の議事録については非公開」だと。  ここのところ、菅大臣、見直しをしたにしてはちょっとおかしくないですか。「公開する総会の議事録については、公開する。」なんて、こんなのは当たり前の話で、ちょっとわかりにくい。見直しにしてはどうかな。日本語としてもちょっと首をかしげざるを得ないような文章になっているのですが、ここはどうなんですか。これは大臣になってからの見直しですからね。
  28. 菅直人

    ○菅国務大臣 実は、私は、昭和五十六年当時も中央薬事審議会の公開の問題について、当時はもちろん委員として、質疑をしたことを記憶いたしております。  実は、その五十六年当時の決定についても、若干いろいろ議論が残っていたというふうに思っておりまして、さらに今回、昨年の段階で、この閣議決定も、いろいろな政治的な背景があって、審議会の公開をもっと進めようという与党の確認の中から出されたわけでありまして、それを受けて、今御指摘のありました、ことし三月二十七日の決議がなされたというふうに受けとめております。  率直に申し上げて、今御指摘をいただいたようなところも含めて、私も、必ずしもこれだけで十分なのかということについては、そういうことで、まだ必ずしも十分だというふうに結論づけておりません。一応、形式としては中薬審の決議という形でありますので、それを受けとめさせていただいた。ただ、それだけでは不十分だと思いましたので、一度これは会長とお会いをして話をしてみたいと思っておりまして、近くそういう時間をとる予定にしております。  そういうことを含めて、今の御指摘は受けとめながら取り組んでまいりたい、このように思っております。
  29. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 続いて、副作用情報の公開についてお伺いをしたいのです。  現在、薬の副作用情報は、いわゆる市販されている薬を服用されている方も含めて、情報がそれぞれ個人のところまで届くように、個人がある一定の努力をすればそういう副作用情報が得られるようになっておりますか。
  30. 菅直人

    ○菅国務大臣 医薬品安全性に関する情報医療関係者国民の皆さんに的確に提供することは、副作用被害を防止する観点から大変重要なことだと考えております。  現在の仕組みでいいますと、例えばソリブジンの例に見られるようなケースでは、厚生省は緊急安全性情報、ドクターレターという言い方をいたしておりますが、これが発行された場合などにありましては、その都度、記者発表を行うことによって、患者なり国民の皆さんにそうした形で伝える努力を行っているところであります。  今後の方策については、まず医療の場において患者副作用情報が提供されることが重要であって、具体的な方法としては、医薬品患者向け説明文書あり方について研究を行い、先般その報告書がまとまり、公表されたところであります。今年度において、具体的な文書モデル、つまりは患者さん向けの説明文書文書モデルを作成しまして、注意すべき副作用などの情報を記載した文書を実際に医師または薬剤師から患者に手渡すパイロットスタディーを実施し、実用化に向けて検討を進めることといたしております。  さらに、国または医薬品機構が主体となりまして、患者や一般の国民に対し副作用情報を提供する方策として、現在、インターネットの活用などによって、医療関係者及び一般国民が最新の医療品安全性に関する情報を簡便に入手できるようなシステムをつくれないかということについて検討をいたしております。  こうしたことを通して、副作用情報等の収集、提供を的確、迅速に遂行する体制を整備し、医薬品安全性向上に努めてまいりたい、このように考えております。
  31. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 今、今後の問題についていろいろと模索をされながら努力をされていることはよくわかりましたが、大臣の御答弁でちょっと私気になるところがございましたのは、インターネット等ということで、インターネットを代表例とされてこれからのやり方についてお話をされました。  私は、高知県の方から国会に送っていただいているのですが、私の中山間地で、インターネットというのはちょっとまだなじみがないというか、急遽そういうものが広がって、インターネットでおじいちゃん、おばあちゃんがキーをたたいて、これは危ないぞと、こういうことはちょっと考えにくいのです。インターネットを出されたので、それが中心になっているような気もするのですけれども、大都会ばかりでなくて日本に住んでいらっしゃる方はたくさんいるわけですから、これはもうちょっとほかの方法を考えていただかなければいけないと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  32. 菅直人

    ○菅国務大臣 今の私の表現の仕方が若干あれかもしれませんが、患者さんに直接というのは、先ほど申し上げた文書モデル、つまりこれは紙でお示しをするという、そちらが一つ方向として、文書モデルを作成いたしておりまして、いよいよ具体的に、お医者さんなり薬剤師さんから患者に手渡すパイロットスタディーになっている。これはもちろん紙であります。  今申し上げたインターネットというのは、どちらかといえば、多分これは医療関係者が中心になると思いますが、そういう皆さんが利用できるような形でのこの問題のシステムをつくりたい。決して紙による情報を軽視するというつもりで申し上げたわけではありません。
  33. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 それでは、最後にお伺いしますが、先日、トラベノールの元社長さんに参考人としておいでをいただき、いろいろなお話を伺ったのです。その中で、参考人の陳述で、いわゆる一部変更ですか、これの手続についてずっと厚生省と打ち合わせをしながら進めてきた、そして八月の段階で、申請書案を出してくれ、こういうことを言われて提出をした、そしてその申請書案は厚生省のファイルに今もあるはずです、こういうことを明言されたのですが、その後、厚生省としてこのことについてお調べになっているかどうか、お伺いしたいと思います。
  34. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 今お話しのトラベノールの元社長の参考人陳述におきまして、この一連の申請書案を昭和五十八年八月に厚生省に提出するように要請をされまして、一カ月後に資料を提出したという陳述があったわけでございます。  私ども、この元社長の発言の後に、当時の生物製剤課の担当者に確認をしたところでございますが、この一連の申請書案を受け取ったかどうか記憶が定かでないということでございました。御指摘の申請書案につきましては、これまでの調査では見つかっていないところでございます。
  35. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 最後にその件を確認しますが、調査をして、なかったと。そして、担当者も受け取った記憶がないと。受け取っていないということではなくて、受け取ったかどうかの記憶がない、こういうことですか。調査したけれどもなかったと。ちょっとその二点について、最後にお答えください。
  36. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ただいま答弁をしたとおりでございまして、この申請書案を受け取ったかどうか、記憶が定かでないということでございます。また、御指摘の申請書案につきましては、これまでの調査では見つかっていないところでございます。  私どもとしては、この元社長の陳述とそれから当時の担当者の記憶が一致しておりませんので、今後さらに関係者への調査を行ってまいりたい、このように考えております。
  37. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 このことは参考人が明言をされましたので、これはぜひ、今後の問題としても我々も関心を持っていきたいと思っております。  済みません、残りの時間は同僚委員に時間を譲りますので、よろしくお願いします。
  38. 和田貞夫

    和田委員長 この際、江田五月君から関連質疑の申し出があります。石田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。江田五月君。
  39. 江田五月

    江田委員 石田理事質問時間の中から若干の時間を割いていただきまして、緊急に質問をさせていただきたいと思います。  菅厚生大臣、日ごろの大変な御活躍に心から敬意を表し、また、本当に心から拍手を送っております。  私と大臣とはいろいろ縁がありまして、郷里も同じで、大臣の郷里は岡山駅から北の方へずっと山の中へ入っていく。しかし、きょう私が御質問をしたいのは、そちらでなくて、岡山駅から東の方へずっと行ったところに岡山県邑久郡邑久町というところがございます。私の地元なんですが、岡山平野にゆったりと広がる田園地域で、同時に岡山市のベッドタウンでもあるわけですが、そこの小学校、幼稚園で五月二十五日ごろから食中毒事件が発生した。  六月五日現在、おとといになりますか、小学校一年生の女の子が既に二人お亡くなりになっております。患者数が三百八十二名。邑久小学校というところではおよそ全校生徒の三分の一強になりますか、発症しておる。うち重症入院患者が十七名ということになりました、今の亡くなった二名を含んでですが。お亡くなりになったのは為房佑季ちゃん、難波里菜ちゃん、二人の六歳の女の子であります。最期の様子を聞いたり、御両親を含む皆さんの悲しみを聞いたりすると、本当に胸が痛む。心からお悔やみを申し上げるわけでございます。  病原性大腸菌O157による細菌性中毒だ、どうも学校給食が原因ではないかとも言われているわけですが、まだ原因は不明で、地元の皆さんのみならず、報道によって全国的にも関心が強く、大変な不安を与えていることだと思います。  そこでまず大臣に、細かなことではなくて、この事件についての総括的な現在の状況の把握と御認識についてお伺いをいたします。
  40. 菅直人

    ○菅国務大臣 私もこの邑久町の食中毒事件、特に小さなお子さんが二人も亡くなっておられて、大変心配をいたしております。  現在、この状況は江田さん本人からお話がありましたとおりでありますが、岡山県邑久町で発生した病原性大腸菌を原因とする集団中毒事件については、県の保健福祉部において対策本部を設置して原因の究明と対策に取り組んでいるところと聞いております。厚生省としても、本事件は二人の死亡者が出た重大な食中毒事件であると認識しておりまして、そうした報告を受けながら、岡山県に対し必要な協力をできるだけ行ってまいりたいと思っております。  また、昨日ですが、こうした食中毒事故防止のため、全国の自治体に対して関係営業施設等の監視指導を徹底して、そうした予防に万全を期すように通知をいたしたところであります。
  41. 江田五月

    江田委員 この食中毒事件は、まだきょうのことはわかりません。しかし、きのうおととい、日々患者が新しく発見をされているという状況で、広がっているのですね。けさの新聞によりますと、私もどうも地元を離れておりますので新聞報道ぐらいしかわからないのですが、二次感染が起きた。母親、これは児童の母親ですが、十五人症状を訴えて、そのうちの二人は入院をした、こういうことにまでなっているわけでございます。  今御答弁ございましたとおり、邑久町及び岡山県当局は、原因の究明、発生拡大の防止、再発予防などに懸命に対応しておると思いますが、どこにでもある、日ごろいつでも見られる食中毒ならいざ知らず、こういうO157という比較的めったにない事例の場合に、なかなか地方自治体で対応しろといっても難しいところがあると思うのですね。  そこで、やはり全国的な見地からひとつ対応を考えてほしい。また、厚生省を中心とした体制の中に専門知識は十分あると思いますので、ぜひ御援助をお願いをしたいのです。昨日、厚生省の担当者の方が私の事務所へ来てくれまして、説明を受けたのですが、前例のない異例の措置として、専門家の派遣も考えておられるということをお聞きをしたのですが、テレビで邑久小学校の校長先生が訴えておられました。まさに涙ながらに、助けてほしいんです、こういうことを二度繰り返しておられたので、これはもう厚生大臣にぜひ陳情したいのですが、前例のない異例の措置で専門家を派遣してくれませんか。
  42. 菅直人

    ○菅国務大臣 現在の状況は、もちろん法律に基づいてもこういう場合は報告を受けることになっておりまして、町なり県からかなり詳しく報告をいただいております。  しかし、今、江田委員の方からもありましたが、この事件といいましょうかへこの同じ菌において従来亡くなった例なども他の地域でもありますので、きょう朝、簡単な打ち合わせをいたしまして、まずとりあえず本日、生活衛生局食品保健課の担当者を、今回の事故の原因究明など早期に行うために情報収集ということで派遣することを決めました。  また、来週十一日には、岡山において今回の原因究明の関係者が集まられる会議をやられるそうでありまして、岡山県からも要請が来ておりますので、十一日には、それに加えて国立予防衛生研究所及び国立小児病院の専門家、今四人を考えておりますけれども、四人をさらに岡山に派遣したい、そういう体制で現在考えております。
  43. 江田五月

    江田委員 心から感謝を申し上げます。  さて、この原因なんですが、学校給食が原因ではないか、疫学的というのですか、常識的に見て、どうもこういう広がりでこういう発症の仕方だと学校給食ではないか、こんな感じではないかと思うのですが、まだそれも実はそれほどはっきりわかっているわけではないのですね。しかし、共同調理場で調理をしていて、その給食を受けている小学校、幼稚園で発生しているということがある。ただ、一つの学校に集中しているというようなこともありますから、よく調べなければならぬでしょうが。  さて、学校給食が原因ということになれば、どうも死亡事故が起きたというのは学校給食史上初めてだということになるようで、まだそこまで、原因特定まで至っていませんが、これは文部省、現在どういうふうに認識をしておられるか、あるいはどう対応しようとされているのか。  特に、今後の邑久町の小学校、幼稚園、こういう児童の支援について、例えば近隣の岡山市へ、授業の再開とか給食の再開とか、こういうものが一体どうなっていくのか、こんなものも含めて文部省から岡山市へ支援の依頼をしてはどうかと思いますが、文部省、来ておると思いますが、お聞かせください。
  44. 北見耕一

    ○北見説明員 現在、岡山県の邑久町の四小学校三幼稚園のうち、二小学校二幼稚園が休園中あるいは休校中でございます。その二校二園につきましては、六月の十日、月曜日から授業を再開するというふうに聞いているところでございます。  現在、邑久町の共同調理場につきましては、閉鎖されているわけでございます。授業の再開について、六月十日から行うということでございまして、邑久町におきましては、小学校は当面弁当の持参で対応する、それから幼稚園につきましては午前中、十一時半で一応終わるということで対応するという格好になっております。  それから、近隣の共同調理場の問題でございますが、近隣の市町村の調理場の能力にりきまして、ちょっと余剰能力がないということで、困難でございます。また、岡山市の共同調理場につきましても、邑久町へ配送する時間が一時間以上かかるということで、協力がなかなか難しいのではないかというふうに聞いているところでございます。
  45. 江田五月

    江田委員 授業再開等についても岡山市への支援の依頼をしてはどうかという御質問をしたのですが、それに直接の答えはちょっとなかったように思います。ぜひひとつ文部省としても、注意深く事態を見て、適切な措置をとっていただきたい。学校給食、今大型化しているわけですが、それに伴ってこういう危険もあるのだということですから、これは無関心ではいられないことだと思います。  さて、「病原大腸菌(O157)による食中毒等発生事例」という資料をいただいたのですが、これによりますと、一九九〇年九月七日、埼玉県浦和市での二百六十八名の患者で死亡二名という事例以来、今回の邑久町の事件まで、全国で十一事例がある。患者のほとんどが十歳未満の子供で、最初の浦和のケースは、これは井戸水が原因と特定された。しかし、それを除けば、どうも他はすべて原因不明となっている。また、ことしはこの邑久町の例も含めて、細菌性食中毒による死亡が全部で四名になっている。例年になく多いということだそうでございます。  現在、厚生省の食品衛生調査会の食中毒部会においても、大規模食中毒について検討をしている最中であるとも聞きました。きのうは、冒頭、大臣の方からの御答弁のとおり、全国に周知徹底の異例の通知を出したということでございますが、通知だけでなく、今後、こういう食中毒状況というのが変化をしてきているのかどうか、どうもこれも、私の地元の事件ということでありますが、それにとどまらない、現代社会の危機管理問題の一側面という、そういう側面をも持った重要な課題であると思っておりまして、厚生省、文部省初め、ひとつ迅速果敢、さらに抜本的な対応を考えてほしいと思います。  菅厚生大臣、最後にその辺の決意を伺いまして、私の質問を終わります。
  46. 菅直人

    ○菅国務大臣 私もいろいろ説明を聞いているのですが、この菌は、発病までに四日ないし七日程度潜伏期間があるようであります。それだけに、普通の食中毒の場合は、大体この食事のときのこれを食べたからというのが比較的特定されやすいのですが、今御指摘のとおり、この病原大腸菌の場合は、例えば過去の例でも、学校給食のようだとか保育園給食のようだということまではわかつても、その中のどの部分が原因であったかという、なかなか最後の特定ができていないケースがほとんどになっております。そういうことを含めて、今回、十一日に会議があるようですが、そういうところでもぜひしっかりした調査をして、とにかく原因をはっきりさせないと対策もなかなか打てませんので、そのことを督励したいと思っております。  それに加えまして、先ほど江田さん本人が言われました大規模食中毒対策に関する分科会というのを食品衛生調査会の食中毒部会の中に、この四月に設置をいたしまして、この分科会には、学校給食の観点から文部省の推薦による委員にも参加をいただいて、幅広く検討を行っております。  そういった意味で、学校給食など大規模なそうした中毒が起きる危険性をどうやって取り除くかということについても、こうした審議を踏まえて万全な対策を講じてまいりたい、このように考えております。
  47. 江田五月

    江田委員 終わります。
  48. 和田貞夫

    和田委員長 青山二三さん。
  49. 青山二三

    ○青山(二)委員 新進党の青山二三でございます。  質疑に入ります前に、一点、大臣にお尋ねしたいことがございます。  先ほどの石田議員の質問に関連いたしますけれどもトラベノール社の山本元社長が提出いたしました書類がないというようなことでございます。前回、ない、ないと言っておりました書類が、三日後に菅大臣のお声がかりで発見されたわけでありますので、ここのところは大切な書類でございますのでもう一度菅大臣からお声をかけていただきまして、省内の書庫をよく探していただきまして、その結果をこの委員会に御報告していただきたい。そのようなお約束をいただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  50. 菅直人

    ○菅国務大臣 この申請書案というものの性格なんですが、正式な薬の認可申請の申請書そのものはすべて国立公文書館で永久保存をされております。私も他のケースでそれを見たことがありますが、きちっとしたファイルになって保存されております。  このケースは、正式な申請書ということでもしあれば、そういう形で当然残っているわけですが、そういうところは調べてみて、ないということで、これは申請書案でしたので、多分そういう正式なルートの形での保存にはなっていないのではないか、これは推測ですが、思っております。  ほかの場所にあるのかないのか、私も注意をして、今調べるように言っております。先ほど薬務局長からもありましたように、トラベノール元社長と当時の担当者の記憶が一致しておりませんので、今後さらに私からも強く指示をして、関係者への調査を行ってまいりたいと思っておりますし、その結果については適当なときに御報告をしたい、このように考えております。
  51. 青山二三

    ○青山(二)委員 大変ありがとうございます。よろしくお願いいたしたいと思います。  それでは、早速この薬事法の質疑に入らせていただきます。  今回の改正は、ソリブジン薬害あるいはエイズ薬害といった、数々の薬害を大きな教訓として提出されております。薬事法の究極の目的は、第一条にもありますように、医薬品等を通じて国民保健衛生向上を図ること、そして医薬品等品質有効性安全性確保を図るということであると考えております。  そこで、大臣にお伺いいたしますが、今回の改正案で、薬害の再発を本当に防止できるとお考えでしょうか。過日の参考人も、抜本的改革にはほど遠いと発言されておりましたが、大臣の率直な御見解をお伺いしたいと思います。
  52. 菅直人

    ○菅国務大臣 今、青山委員もおっしゃったように、今回の法律改正薬事法改正は、ソリブジン事件を契機として治験から承認審査市販後に至る総合的な安全性確保対策を講じるということが一つの柱といいましょうか、主な柱になっております。と同時に、今回の血液製剤によるHIV感染問題に関連しまして、緊急に必要とする措置を講じるということも加えさせていただいているわけです。  この血液製剤によるHIV感染問題を踏まえた措置としては、これも御承知のとおりでありますが、医薬品の緊急許可制度の導入ということと、それに加えて製薬企業医薬品使用による感染症の発生の報告を義務づけたという、この二点がこの措置として加えられているところです。  現在、HIV感染問題につきましては、国会においても本院を含めて真相究明が、鋭意調査が行われているところでもありますし、厚生省においては、厚生科学会議における議論を踏まえて医薬品健康被害再発防止プロジェクトにおいて、政策決定プロセスのあり方情報提供のあり方、薬事行政のあり方あるいはその組織のあり方について検討を行っております。また、厚生科学会議では、第三者機関による調査をするようにという強い意見が出ておりまして、そのあり方についても現在検討をいたしているところです。  こういったところでいろいろな議論なりいろいろな観点の御意見が現在出てきておりますし、また今後も出てくることが十分予想されますので、今回はこの法律の御審議をお願いしているわけですが、今後については、また国会の御審議などの推移も見守りながら、今後の取り組みについては積極的に考え、取り組んでいきたいと思っております。
  53. 青山二三

    ○青山(二)委員 大臣からいろいろお話しいただきましたように、今回の改正案ではGCP法制化とか、治験を行う場合の治験の計画から最終報告まで製薬会社が明確な責任を負うということになりまして、責任の所在もはっきりいたしました。しかし、このことは、これまで厚生省治験に対する指導あるいはチェック体制がいかにいいかげんだったかということも物語っていると思うのであります。ちなみに、GCP法制化あるいは副作用、感染症報告の法制化治験届チェック制度、こういうことはどれも当たり前のことでありまして、これまで行っていなかったことが驚きでさえあります。  特に、日本に薬害が多い原因の一つに、治験の際のインフォームド・コンセントがきちんと行われていない、すなわち、文書による同意が行われていないということが挙げられております。今回の改正案ではこの法制化一つポイントでありましたが、医薬品安全性確保対策検討会では、文書による同意を提言しながら、具体的な方法は今後検討すべきとして先送りにされてしまいました。国民の命を守るため、また国際的な治験の統一基準との整合性を図るためにも早急に具体案をまとめるべきであると思いますが、今後どのような検討を進めていくのか、あるいは日程等についてもお伺いしたいと思います。
  54. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 治験の中のインフォームド・コンセントは、今お話がございましたように、被験者人権保護あるいは自己決定の観点から非常に重要な要素であると考えておりまして、被験者に対しまして文書によるインフォームド・コンセントを必要とするということを厚生省令に盛り込む方向で今検討をしておるところでございます。  今後の手順でございますが、これは関係者あるいは専門家によります検討会を設置しまして、省令に盛り込む内容について詳細を検討しまして、本年度中に厚生省令制定するというふうに考えておるところでございます。その場合に、このインフォームド・コンセントについては文書によるものにいたすわけでございますので、必要な周知期間あるいは準備期間に配慮した上で、できるだけ速やかに実施に移していきたいというふうに考えております。
  55. 青山二三

    ○青山(二)委員 次に、治験を担当する医師と謝礼についてでございますけれども一つ新薬開発するためには百億円近くもかかると言われております。その開発費の何割かは、謝礼としてさまざまな名目で治験を担当する医師に支払われております。そのため、収入源として治験を手当たり次第に引き受ける医師がいるということも聞いております。薬害防止のためには、こうした医師に対し厳しくチェックし、資質向上やモラルの向上を図るべきと考えますが、どのように対応されているのでしょうか。  また、新薬のテストで心身を傷つけるのはやはり患者の方であります。そこで、謝礼を患者にもテスト料あるいは何らかの形で支払うべきではないでしょうか。この点はどのようにお考えでしょうか。
  56. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ただいまお話がございましたように、治験を適正に実施いたしますためには、治験担当医師のモラルと質の向上というものは不可欠であるというふうに考えております。  このために、先ほど先生からもお話がございました、安全検と言っておりますが、医薬品安全性確保対策検討会におきましても、医学教育において医療の倫理に関する教育を充実させる必要がある、また、治験を担当する医師に対しましてはGCPに関する研修を行う必要がある、さらに、GCPの中に治験担当医師につきましてその専門的な知識、経験でありますとかあるいは治験に関する経験等についての要件が設定できないかというようなことが指摘されておりまして、今後この安全検で引き続き議論が行われることになっておりますので、その結論を踏まえて対処していきたいと考えております。  それからもう一つ、本年度予算におきまして、GCP適正運用推進モデル事業というものを行おうといたしておりますが、そういったモデル事業でいろいろな内容を検討いたしまして、それについても運用面でどのような形のものが現実的なのか、また効果的なものなのかということについても検討してまいりたいというふうに考えております。  それから、被験者に対するメリットの付与でございますが、これについてもこの安全検で議論がなされておるところでございます。お話がございましたように、被験者に対しましてメリットを与える仕組みをつくらないとなかなか理解が得られにくいのではないかということで、診療環境の面でより丁寧な治療が受けられるようにしてはどうかとか、あるいは謝金でありますとか交通費の支給といった費用面で有利な措置がとれないかという議論がある一方で、やはり被験者への謝礼というのは倫理的な側面からして問題もあって慎重な検討が必要なのではないか、そういった議論がさまざまに今なされておるわけでございまして、この問題については、幅広く関係方面の御意見も伺いながら議論を重ねてまいりたい、このように考えております。
  57. 青山二三

    ○青山(二)委員 過日の参考人としておいでいただいた小林教授も、やはり何らかの形でこれは必要だとおっしゃっておられましたので、そのような方向で御検討をお願いしたいと思います。  それでは次に、市販対策についてお伺いをいたします。  医薬品市販後、副作用や感染症が発生した場合、製薬企業には情報収集厚生大臣への報告を明確に義務づけておりますけれども医師医療機関にはこれらの義務が課せられておりません。これでは迅速に副作用情報が集まるのか、大変疑問であります。医師医療機関責任と義務を明確にしないで、薬害の再発防止が本当にできるのでしょうか。医師医療機関責任についてはどのように考えているのか、これは大臣にお伺いいたしたいと思います。
  58. 菅直人

    ○菅国務大臣 この問題、他の委員の皆さんからも何度が御指摘をいただいております。そのときも政府委員の方からもお答えしたのですが、各国、いろいろな制度があるようですが、アメリカやイギリスなどでは、やはり義務という形にはなっていないようです。努力義務を含めて、義務的なことになっている国もあるように聞いてはおります。  現在の我が国の状況について申し上げますと、医療機関から直接厚生省副作用情報を報告する制度としては医薬品副作用モニター制度を設けておりまして、そこから特定の品目に偏らない迅速な情報を得るように努力をいたしておりまして、この情報企業報告と並んで医薬品安全性対策上の重要な柱になっていると認識しております。  一方、副作用モニター制度については、報告件数が現在のところ、年間まだ千六百件程度にとどまっておりまして、その背景としては、内容が複雑で手間がかかるとか、医事紛争との関係で不安があるといったような問題が指摘されております。したがって、我が国においては、法律制度などによる義務化ではなくて、まずは医療機関から厚生省への副作用報告が行われやすい環境整備を図ることが必要であるというふうに考えております。  先ほど外国の例をちょっと申し上げましたけれども、イギリスやアメリカ我が国と同様、副作用症例の報告義務は医療関係者には課しておりません。  現在の医薬品副作用モニター制度の改善につきましては、まず第一に、各種学術団体、職能団体などの協力を得て普及啓発を図り、モニター施設や参加医師拡大を図ることを考えております。また、副作用報告様式を簡略化するなど、手軽に報告が行えるような方式もあわせて検討いたしております。  現在、副作用モニター施設拡大につきましては、会員が約一万九千人を擁する日本臨床内科医会の協力を得て拡大の努力が開始されているところでございまして、今後とも、可能なところから、医療機関から直接副作用の症例の報告を得る制度の改善充実を図ってまいりたい、このように考えております。
  59. 青山二三

    ○青山(二)委員 これまで、臨床試験で得られた日本のデータは科学的な評価が甘いとして国際的な評価が低く、外国の学術誌に論文を投稿しても掲載されないということもあったと一般に言われております。  さらに、関係者の間では、日本新薬審査は、アメリカのFDAに比べてレベルが低く、日本基準の甘さが指摘されているところであり、日本で許可されたがんの薬をFDAで審査すると、パスするのは二、三種類だろうと言われております。  さらに、一九九四年九月、民間のシンクタンクがまとめました新薬調査によりますと、審査の厳しいFDAの基準に照らして効き目を判定した場合、最近二十年間に国内の製薬会社開発し、厚生省に承認された医薬品約三千百種類のうち、治療に役立つのは四十九種類、何と二%以下で、残りは患者治療に必要ないという結果が出ております。  日本医療費の中で占める薬剤費の割合が、過日の委員会で三〇%であるということを御説明いただきましたが、そういうことを考えますと、患者に投与されている薬で世界に通用するものが少ないということは、まことに残念なことでございまして、これは今後の課題であろうかと思います。  そこで、新基準実施されれば、外国で開発された新薬がそのまま国内で使用できるようになり、激しい国際競争が展開されると予想されます。日本も、独創的でレベルの高い研究開発力を蓄積して、国際貢献を果たせるような成果を出してまいらなければなりません。  そこで、大臣としては、真に役立つ医薬品開発については、どのような方策を考えているのか、お伺いしたいと思います。
  60. 菅直人

    ○菅国務大臣 今、日本の薬の評価について、アメリカのFDAの基準なりで見た場合には、かなりそれを超えるものが少ないのではないかという御指摘もいただきました。これは、実際にそうしたことになるのかどうか、私も確実なことは申し上げられませんが、確かに、日本のこれまでの治験あり方等が、アメリカ等の基準に照らすとなかなかオーケーが出ないといったような問題があるということは認識をいたしております。  そういった意味で、今までの国内の薬メーカーというのは、日本国内では通用するけれども、世界では通用しないというものが多かったのではないだろうか。いわゆる護送船団ということが金融機関でもよく言われますが、場合によってはこの医薬品の分野においても、やや護送船団的な要素があったのではないかと思っております。そういった意味で、これからはまさに世界でも通用し、ある意味で人類に貢献できるような薬がぜひ日本からも生まれてほしいと思うわけですが、現在、薬務局長のもとに創薬ビジョン委員会といったようなものも置かれて、今後の医薬品の研究開発のビジョンづくりを進めております。  そういう中では、一つには、ICHなど国際的な調和に配慮しつつ、開発時の留意点をあらかじめ企業に対して明示していくこと、第二点は、医療環境の改善に努めて、治験などができ得る医療環境になるように、医療環境などの改善を含めて国際的に評価されるような治験実施すること、三番目には、研究開発のインセンティブが働くような薬価基準制度の改善、これはもう御承知のように、今の日本の薬価基準が、場合によっては、どちらかというと、従来ある薬の若干の手直しのようなものについての評価が中心になっていて、そちらにどうも開発が向いて、リスクの高い本格的な、画期的な薬の方には十分インセンティブが働いていないというような指摘もありまして、こういうことを踏まえて、今申し上げた三つの考え方をこのビジョン委員会などでも御指摘をいただいております。  こういった御指摘も踏まえながら、画期的な医薬品日本でも生まれ、世界に貢献できるような、そういう方向製薬企業も向かうよう、厚生省としても努力をしてまいりたいと思っております。
  61. 青山二三

    ○青山(二)委員 そこで、今、多くのエイズ患者及びその家族が心から待ち望んでおりますのはエイズの治療法あるいは治療薬などの新しい開発であると思います。  つい先日も名古屋大学医学部のグループがNefと呼ばれるたんぱく質が重要な働きをしているということを突きとめたという新聞発表があったばかりでございますが、現在我が国では、エイズの発症を予防するワクチンや、あるいはエイズウイルスそのものを死滅させる抗ウイルス薬などはどのあたりまで研究されているのでしょうか。  また最近、アメリカではエイズウイルスが人の免疫細胞に侵入する際、極めて重要な働きをする免疫細胞上の新たんばく質を発見したという報告もありました。この発見は、今までわからなかった詳しい感染メカニズムを解明するだけでなく、新たな薬やワクチン開発に手がかりを与える可能性もあるとして大いに期待されるものでございますが、この発見について詳しい情報がもしおわかりならば、御説明いただきたいと思います。  そしてさらに、一日でも早くエイズの治療法、治療薬が確立されるよう全力で取り組んでいくべきであります。そして、我が国としてはこうした国際的な研究にどのようにかかわっているのか、今後の取り組みなどについてもお伺いしたいと思います。
  62. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 エイズ治療薬の開発につきましては今世界じゅうでいろいろな研究開発が進められておるわけでございます。日本におきましてもその研究を進めておるわけでありますが、今先生からお話もございましたように、やはり患者の数が多数存在をして、そしてエイズ研究の進んでいる欧米諸国の研究機関あるいは大学との共同研究というものは非常に重要であり、また効果的な方法というふうに考えておるわけでございます。  具体的には、いろいろなタイプ、逆転写酵素阻害剤というものから、新しいエイズ治療薬としてプロテアーゼ阻害剤というものが今開発、承認をされてきておるわけでありますが、さらにエイズウイルスの増殖を停止させます医薬品、あるいは免疫機能を活性化させる医薬品についての共同研究へそういったものについても力を入れてまいりたい、このように考えておるわけでございます。  このエイズ治療薬の研究開発につきましては、本年度は全体で十五億三千万ということで、七年度に比べますと金額を倍増したところでございまして、前向きに取り組んでおるわけでございますが、それ以外に、既に十二の医薬品をオーファンドラッグに指定をいたしまして、これはエイズあるいはエイズの関連疾患の治療薬でございますが、開発経費に対する助成金の交付でありますとか税制上の優遇措置、さらに優先審査を行いまして、できるだけ早く患者の方々に使用できるように努力をしておるところでございます。そういった結果、オーファンドラッグの指定を受けておりましたザルシタビンを国内で三番目のエイズ治療薬としての承認をいたしまして、既に供給が開始をされておるところでございます。
  63. 青山二三

    ○青山(二)委員 それでは最後になりますが、薬害が引き起こされた要因の一つとして、製薬業界の育成と規制という相反する施策を厚生省薬務局が兼務していることの矛盾が大きく指摘されております。今回の法案では、こうした矛盾解決のための組織の見直しということは行われませんでした。  薬務行政の抜本的改革は急務であります。この際、思い切って薬務局自体を改革してアメリカのように食品医薬品局のような組織をつくる必要もあるのではないか、こんな思いもいたしますが、いかがでしょうか。  さらに、薬務行政を患者国民の立場で公的に監視するオンブズマンのような制度が必要であると考えます。  このような薬務行政の抜本的な改革について菅厚生大臣の御見解をお伺いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  64. 菅直人

    ○菅国務大臣 おっしゃるとおり、厚生省の薬務局の仕事としては、いろいろな薬の安全性などの確保といった問題と、一方では医薬品等の産業の育成といったような問題と両方扱っているわけです。一般的な問題でいいますと、こういう業界の保護育成という問題と国民安全性といったような観点というのは常にある種の緊張関係を持っていることが必要だと思っております。そういった意味で、今の御指摘考え方は、今後の薬事行政の改革の中では十分考えなければならないと思っております。  FDAについては今いろいろ調べておりますが、日本の機構よりも相当大きな機構でありますので、もしそういう方向を考えるとすれば、厚生省内だけの議論で果たして改革ができるのかということもありますぐらいに大きな課題になろうかと思っております。  また、オンブズマン制度につきましても、現在も一応中央薬事審議会というのがある種の第三者機関という性格も持っているわけですけれども、これ自身も、どういう形で実際の審査をどこでし、そしてそれを場合によったらチェックするのがどこであるのか、こういうことも考えなければならないと思っておりまして、いずれにいたしましても、厚生省の中にも再発防止プロジェクトを設けておりますし、本院の議論ども踏まえて今後の大きな課題として取り組んでまいりたいと思っております。
  65. 青山二三

    ○青山(二)委員 では、時間になりましたので、これで終わらせていただきます。大変ありがとうございました。
  66. 和田貞夫

    和田委員長 岩佐恵美さん。
  67. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 従来から、企業、行政、そして学者の癒着が大きな問題になっております。この間のエイズ薬害の審議の中でも、例えばストックホルムで開かれました世界血友病連盟の総会に参加をするに当たって医師の旅費等をミドリ十字が全額負担をしていた、あるいは安部氏の財団設立にミドリ十字など製薬五社が多額の寄附を行っていた、また、ミドリ十字がつくった財団の役員に安部氏が名前を連ね、研究功労賞として二百万円をもらっているなどがあります。そして、その安部氏が薬事審議会委員を務め、総括医師として治験の取りまとめを行っているだけに、ミドリ十字と安部氏に代表される医師製薬企業の癒着が薬害エイズの被害拡大した、そういうことは明らかだと思います。  同時に、製薬企業厚生省も天下りで結びついています。産学官の癒着を断つことが求められていると思います。現在も製薬企業が学会に参加をする医師に対して費用を援助していて、その総額が年間五十億から六十億にも上るのではないかと言われています。  このような国内の学会への製薬企業の寄附について、実態を把握してなくしていく、そういう指導をすべきだと思います。また、天下りについても、自粛ではなくてきっぱりとやめる。あるいは関係認可法人への天下りについても、もうたびたびこの委員会で私は質問してまいりましたけれども、こういうことはやめるべきだというふうに思いますけれども、その点についていかがでしょうか。
  68. 菅直人

    ○菅国務大臣 企業から学会への寄附という問題は、確かに今回の薬害エイズの問題ではそのことがあるいは影響されたのではないかという御意見もあることはよく承知をいたしております。  ただ、ある意味で、例えば他の分野でも、企業が大学などに冠講座のようなものを設けて積極的に技術開発に取り組むというような分野もたくさんあるわけでありまして、そういう点では企業から学会への寄附を画一的になくすということについては、これは相当議論があろうというふうに思っております。  そういった意味で、現在は製薬業界の、これは自主規制のような形ですが、医薬品臨床試験の依頼に係わる研究費等の取扱いに関する綱領というものが出されておりまして、透明性を高めるとか、あるいは試験の委受託と関連づけた学会等への協賛も避けるといった、そういう自主規制の綱領をつくられておりまして、厚生省としてもこの綱領の遵守を指導するという立場に立っております。  また、天下り問題につきましては、先日、処分に関連いたしまして、今回の薬害エイズに関連しては、製薬企業への再就職については、次官、官房長、薬務局長及び薬務担当審議官は期間の限定なく製薬企業への再就職を自粛する、他の局長等についても一定の、従来よりは厳しい自粛措置をとったところであります。  それで、今、岩佐委員の方からは、認可法人等についても天下りをやめるべきではないかという御指摘もありました。  この問題は、原理原則としては国家公務員法に基づくもの、あるいは職業選択の自由という問題もありますが、同時に、いろいろな、国民から見たときの不明朗な形もありまして、私は、国家公務員制度全体の中で考えるべきことだろうと原則的には思っております。  それで、この特別認可法人という場合、必ずしも、これは営利企業の場合とはちょっと性格を異にしているのだろうと思います。これはある意味では、国が直接行うよりも、国以外の組織が実施することが効率的と思われる事業などをお願いしているケースが多いわけでありまして、それだけに、完全な民間企業よりは相当に役所の事業に近いものがあり、場合によっては守秘義務どもかぶっているところがあるわけであります。それだけに、この法人の役員に厚生省出身者がその知識経験を評価されて就任することというのを、一概にこれを否定的にとらえるのはどうであろうか。これも何らかのもう少し透明性の高いルールが必要だという意味では私も感じておりますけれども、一概に否定することはなかなかできないのではないかと思っております。
  69. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 日本医療食協会のように、ああいう問題も起こっていますし、その点について透明性を高めて、公正取引委員会からああいうふうに指摘をされることがないようにしていく必要があると思うのです。  それで、ちょっと時間がなくなってしまったのですが、二点、簡潔にお答えをいただきたいと思います。  今回の機構法あるいは薬事法で一番問題になっているのは医薬品機構あり方なんですけれども医薬品機構というのは、被害者の方々の運動の中で、被害者の副作用被害救済のためにつくられたものです。それに審査機構のようなものをつけて、ひさしを貸して母屋をとられるような、そういうことにならないようにという指摘が非常に運動団体あるいは学者の中からあるわけです。やはり審査体制というのは厚生省の中でしっかりとやるべきだ、特に、厚生省としてそのための人員増加を図るべきだと思います。将来的に、アメリカのFDAのように審査体制強化して、国で臨床試験をやることなどを検討すべきだということが第一点です。  それからもう一つ、参考人質疑の中でも言いましたけれども中央薬事審議会あり方について、大変今問題があるというふうに思います。例えば、委員は非常勤ですから片手間の作業になっている。これじゃもうどうにもならないということがありますし、それから、薬害エイズの問題でも、中央薬事審議会あり方が、いろいろ委員が偏っている、分野に偏っているとかということで問題になっています。せめて、審議会のチェックをする、そういう何か手だてが必要なんじゃないかというようなこともあります。こういう中央薬事審議会あり方について見直すべきだと思います。  この二点について伺いたいと思います。
  70. 菅直人

    ○菅国務大臣 今の二点の御指摘は非常に関連をしている問題だというふうに認識しております。  つまり、日本でも特許庁などは審査官、審判官というのをたくさん、ある意味で国家公務員として抱えて審査をしているわけでありまして、外の、何といいましょうか、審議会などは基本的にはそういう審査においては使っていないわけです。逆に言えば、日本の場合は直接厚生省がやっている部門は比較的小さくて、中央薬事審議会に、相当の大勢の皆さんにお願いをして、実質的な審査はそちらでお願いしているわけです。  そういう点で、今回の問題の反省の中で、今御指摘のあったように、もっと厚生省自身、FDAのような機能を持つという考え方、あるいはあわせて、中薬審の中立性とか、あるいはそういうものをもっとしっかり確保すべきという、そういう御意見があることは十分承知しておりまして、今後の議論の中でそうした御指摘も踏まえながら、薬事行政をどのようにしていくのか、改革の段階での重要な御指摘として受けとめさせていただきます。
  71. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 今回は、薬事法改正はほんの一部であります。本当に薬害根絶のためにまだまだ課題が山積をしています。そして、抜本改正に向けてさまざまな作業をしていかなければいけないというふうに思います。それで、その作業をしていく段階で、しっかりと国民の立場に立って作業をしていく、そのことが必要だということを指摘をいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  72. 和田貞夫

    和田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  73. 和田貞夫

    和田委員長 この際、本案に対し、衛藤晟一君外五名から、自由民主党、新進党、社会民主党・護憲連合、新党さきがけ、日本共産党及び市民リーグ・民改連の六派共同提案による修正案が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。石田祝稔君。  薬事法等の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  74. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 ただいま議題となりました薬事法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、私は、自由民主党、新進党、社会民主党・護憲連合、新党さきがけ、日本共産党及び市民リーグ・民改連を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。  本法律案は、ソリブジンによる副作用問題等を踏まえ、医薬品の総合的な安全性確保対策等を講ずるものであり、血液製剤の投与によるエイズ問題については、医薬品の承認前の特例許可制度の導入等の緊急に必要となる措置が含まれております。  しかしながら、今後、大規模で悲惨な健康被害発生させないためには、血液製剤の投与によるエイズ問題を重い教訓として、医薬品等による健康被害の防止について総合的な対策を講じていく必要があることにかんがみ、本修正案を提案するものであります。  修正の要旨は、政府は、血液製剤の投与によるエイズ問題を踏まえ、医薬品等による健康被害を防止するための措置に関し、速やかに総合的な検討を加え、その結果に基づいて法制の整備その他の必要な措置を講ずるものとすること、以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  75. 和田貞夫

    和田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  76. 和田貞夫

    和田委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  薬事法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、衛藤晟一君外五名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  77. 和田貞夫

    和田委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  78. 和田貞夫

    和田委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  79. 和田貞夫

    和田委員長 この際、本案に対し、長勢甚遠君外五名から、自由民主党、新進党、社会民主党・護憲連合、新党さきがけ、日本共産党及び市民リーグ・民改連の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。横光克彦君。
  80. 横光克彦

    ○横光委員 私は、自由民主党、新進党、社会民主党・護憲連合、新党さきがけ、日本共産党及び市民リーグ・民改連を代表いたしまして、本動議について御説明を申し上げます。  案文を朗読して説明にかえさせていただきます。     薬事法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、適切な措置を講ずべきである。  一 医薬品安全性を一層向上させるため、審査の質の高度化が図られるよう、審査体制充実強化に努めること。  二 医薬品副作用情報等については、医薬品使用する上で重要なことから、医療関係者及び患者に適切、迅速に提供できるような方策について検討すること。  三 中央薬事審議会については、医薬品承認審査、安全対策等を調査審議し、重要な役割を果たすことにかんがみ、審議内容の情報公開を進めるよう努めること。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  81. 和田貞夫

    和田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  82. 和田貞夫

    和田委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、菅厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。菅厚生大臣
  83. 菅直人

    ○菅国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして、努力をいたす所存でございます。     —————————————
  84. 和田貞夫

    和田委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 和田貞夫

    和田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  86. 和田貞夫

    和田委員長 次に、内閣提出参議院送付廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律案及び内閣提出参議院送付民間活動に係る規制改善及び行政事務の合理化のための厚生省関係法律の一部を改正する法律案の両案を議題とし、順次趣旨の説明を聴取いたします。菅厚生大臣。     —————————————  廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正す   る法律案  民間活動に係る規制改善及び行政事務の合理   化のための厚生省関係法律の一部を改正する   法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  87. 菅直人

    ○菅国務大臣 ただいま議題となりました二法案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  まず、廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  廃棄物の適正な処理は、国民の生活環境を保全し、公衆衛生の向上を図る上で必要不可欠なものであり、廃棄物処理施設の着実な整備を図ることは、その中心となる施策であります。このため、昭和三十八年度以来、七次にわたり廃棄物処理施設の整備計画を策定し、その計画的な整備を図ってきたところでありますが、リサイクル型社会への転換を推進するためには、廃棄物の排出量を極力抑制するとともに、リサイクルの促進を重点とした廃棄物処理施設を緊急かつ計画的に整備することが必要であります。  こうした状況を踏まえ、今般、現行の整備計画に引き続き、平成十二年度までの第八次廃棄物処理施設整備計画を策定することとし、この法律案を提出した次第であります。  この法律案の内容でありますが、厚生大臣は、平成十二年度までの間に実施すべき廃棄物処理施設整備事業の実施の目標及び事業の量について計画を策定し、閣議の決定を求めなければならないこととするものであります。  なお、この法律施行期日は、公布の日からとしております。  以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要であります。  次に、民間活動に係る規制改善及び行政事務の合理化のための厚生省関係法律の一部を改正する法律案について申し上げます。  政府は、公的規制の緩和等の推進を当面の重要課題一つとして位置づけ、これに積極的に取り組んでいるところでありますが、その一環として、厚生省においても、民間活動に係る規制がもたらす負担の軽減や行政事務の合理化を図るため、今般、この法律案を提出することとした次第であります。  以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。  第一に、診療放射線技師法について、診療放射線技師が作成する照射録の記載事項を医療現場の実態に即して弾力的に改正することができるよう、省令で定めることとしております。  第二に、検疫法について、世界保健機関が根絶を宣言している痘そうを検疫伝染病から削除することとしております。  第三に、理容師法、クリーニング業法及び美容師法について、理容所の開設者等について相続等があったときは、相続人等は、開設者等の地位を承継することとし、開設の届け出を不要とすることとしております。  第四に、水道法について、水道指定工事店制度を見直し、指定要件の明確化等を図るとともに、このために必要な給水装置工事主任技術者試験等について定めることとしております。  第五に、社会福祉事業法について、福祉事務所長が他の業務を兼務できることとするとともに、社会福祉法人の設立認可、監督等の権限及び社会福祉事業に関する監督等の権限を、都道府県知事から政令指定都市等の長に移譲することとしております。  第六に、消費生活協同組合法について、購買事業等を行う消費生活協同組合連合会の一会員が有することのできる出資口数の限度を引き上げることとしております。  第七に、社会福祉・医療事業団法について、社会福祉・医療事業団の福祉貸し付けの勘定と医療貸し付けの勘定とを統合し、資金貸し付けの弾力化を図ることとしております。  第八に、厚生年金保険法及び国民年金法について、厚生年金基金等の積立金の効率的な運用観点から、厚生年金基金等の積立金の運用拡大枠の撤廃、国民年金基金等の積立金の運用方法の追加等を図ることとしております。  以上、二法案の提案理由及びその内容の概要について御説明申し上げました。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  88. 和田貞夫

    和田委員長 以上で両案の趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十八分散会