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1996-05-22 第136回国会 衆議院 厚生委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月二十二日(水曜日)     午後四時十四分開議 出席委員   委員長 和田 貞夫君    理事 衛藤 晟一君 理事 木村 義雄君    理事 鈴木 俊一君 理事 青山 二三君    理事 石田 祝稔君 理事 柳田  稔君    理事 横光 克彦君 理事 荒井  聰君       狩野  勝君    熊代 昭彦君       近藤 鉄雄君    佐藤 静雄君       七条  明君    田中 直紀君       高橋 辰夫君    竹内 黎一君       戸井田三郎君    根本  匠君       堀之内久男君    松下 忠洋君       持永 和見君    山下 徳夫君       赤松 正雄君    粟屋 敏信君       大野由利子君    鴨下 一郎君       北村 直人君    久保 哲司君       高市 早苗君    千葉 国男君       桝屋 敬悟君    山本 孝史君       輿石  東君    田邊  誠君       森井 忠良君    玄葉光一郎君       寺前  巌君    土肥 隆一君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 菅  直人君  出席政府委員         厚生大臣官房長 山口 剛彦君         厚生大臣官房総         務審議官    亀田 克彦君         厚生省薬務局長 荒賀 泰太君         厚生省老人保険         福祉局長    羽毛田信吾君         厚生省年金局長 近藤純五郎君         社会保険庁運営         部長      横田 吉男君  委員外出席者         大蔵省主計局共         済課長     松川 忠晴君         大蔵省主計局主         計企画官    樋口俊一郎君         厚生委員会調査         室長      市川  喬君     ————————————— 委員の異動 五月二十二日  辞任        補欠選任   伊吹 文明君    佐藤 静雄君   田中眞紀子君    田中 直紀君   長勢 甚遠君    七条  明君   保岡 興治君    松下 忠洋君   福島  豊君    千葉 国男君   五島 正規君    輿石  東君   枝野 幸男君    玄葉光一郎君   岩佐 恵美君    寺前  巖君 同日  辞任        補欠選任   佐藤 静雄君    伊吹 文明君   七条  明君    長勢 甚遠君   田中 直紀君    田中眞紀子君   松下 忠洋君    保岡 興治君   千葉 国男君    福島  豊君   輿石  東君    五島 正規君   玄葉光一郎君    枝野 幸男君   寺前  巖君    岩佐 恵美君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  厚生年金保険法等の一部を改正する法律案(内  閣提出第七五号)  医薬品副作用被害救済研究振興調査機構法の  一部を改正する法律案内閣提出第四三号)      ————◇—————
  2. 和田貞夫

    和田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出厚生年金保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石田祝稔君。
  3. 石田祝稔

    石田(祝)委員 大臣にまずお伺いをしたいのですが、最近新聞等でも、大変大事な高齢社会介護の問題について、厚生省また総理からいろいろな御発言がございます。  将来の社会保障にとってやはり介護の問題は大変大事な問題というふうに私は理解をしておるのですが、法律を出すのか出さないのか。老健審報告が途中で大きく曲がって、本当はきょうの日に老健審諮問をされる予定と伺っておりましたが、そこのところは、会期末、六月十九日までに大臣としてこれは提出をして成立をさせるというお考えであるのかどうか、何か新聞を見ているとよくわからないのですね。総理大臣の言っていることは違うようだし、総理は最近、きょうの記事だと、番記者に当たり散らして、そういうことは所管大臣に聞け、こういう記事も載っておりましたが、ここは大臣、どうですか、出されますか。
  4. 菅直人

    菅国務大臣 介護保険制度は、もう二年ぐらい前の社会保障制度審議会の勧告から始まりまして、御承知のように昨年二月からですか、老健審議論を始めていただきまして、この間、四月の二十二日に最終的報告をいただき、今月十五日にそれを受けての試案というものを出させていただきました。私は、この制度自身が何らかの形で必要だということは、それぞれ各方面御理解がいただけていると思いますが、具体的な制度あり方については、現時点では試案をお示しをして、そしてきょうも午前中ありました老健審においてさらに検討をいただいている、そのように承知をいたしております。  総理とも時折この問題でいろいろお話をし、あるいは御指示をいただいております。つい先日の閣議後のちょっとした場で、私に残るようにと言われましてお話をしたときにも、とにかく会期もそう長くはないわけですけれども、これまでの厚生関係法案では、いろいろな経緯の中で、通常国会会期ぎりぎりまでかかつて法案を出した例もあるというようなことも御紹介をいただいて、ぎりぎりまで私の方で努力をしたい、何とかこの国会で出せるようにぎりぎりまで努力したいという私の考え方について、総理から、そういう姿勢については御理解をいただいているというニュアンスのお話をいただいております。  そういった意味で、私としては、きょうの老健審議論をさらに踏まえまして、さらに次回の老健審を含めて、何とか法案の形で本国会中に出せるように最後まで努力を続けたい、このように考えております。
  5. 石田祝稔

    石田(祝)委員 大臣、この法案をぎりぎりまで努力して出す。これはオリンピックじゃないのですから、参加することにもちろん意義が一つはあるのでしょうが、そうすると、これから努力をされて、きょうの新聞、またほかの新聞を見ますと、二十九日には諮問をしたいと厚生大臣が言ったという記事もございます。そうすると、そういう中で、ただ継続をしていただくということで出すのか、出す以上は会期の問題も含めて今国会成立させるというつもりで出されるのか、ただ出すだけか、これはどっちですか。
  6. 菅直人

    菅国務大臣 もちろん政府として法案を出すと いうところにまで行ける場合、もちろん行きたいと思っておりますが、行ける場合には、当然のこととして、政府としてはいろいろな状況を踏まえながらベスト考えるものを出させていただきたい、出していきたいと思っておりますので、そういった意味では、その法案国会において成立をさせていただきたいというのが基本的な姿勢になるということは当然だと思っております。  ただ、国会日程等については、これは私から申し上げる問題ではありません。大きな法案ですので、この国会提案をさせていただけたとして、いわゆる本来の会期内だけの議論で十分になるかというふうに予想を言えと言われれば、それはもっと時間が必要ではないだろうか、こう思っております。  そういった意味で、出す段階ではベストと思えるものを出し、法案成立をお願いするという姿勢は当然ですけれども、それがどの程度議論の時間が必要になるかということは、これはそれぞれ国会の方で判断をしていただくことではないか、このように思っております。
  7. 石田祝稔

    石田(祝)委員 御説明をいただきましたが、やはり出すか出さないか、また成立させたいのかさせたくないのか、よくわかりません。  大臣、結局ただ出すだけということになりますと、出してはしまったのだが、そうすると、いい案が出てきたときに、これはなかなかみずからで直すということは言いにくい。どなたかほかの法案趣旨説明の前に直すということを言われた、そういう人もいらっしゃるようでありますけれども。ですから、出す以上は、結局今の議院内閣制の中では与党と政府が話し合って提出をされるわけですね、閣法というのは。そうすると、一回出してしまうと、もうこれは手直しをしにくいということが私は今の閣法だろうと思います。  ですから、これは出すんだったら日程の問題も含めて成立をさせる、こういうことなのか、どうも単に出すだけ、よくわからないのですね。大体こういう法案だったら、普通に考えればどのくらい時間がかかる、そうしたら、与えられた会期の中で、ではいつまでに議論をまとめてということになるわけですよね。それが今になって、二十歳から被保険者を予定していたのが、被保険者は正確ではありません、お金負担していただく人としていたのを四十歳にしたり、老健審議論と大きく変わった結論を出されて取りまとめようとされている。  私は、こういう中で本当にこれを大事な問題としてやろうとされているのかどうか、大変疑問でございます。ですから、再度出すのか出さないのか、出したら今国会成立をさせるのかさせないのか。もちろん国会議論ですから、させるということは言えないかと思いますけれども成立をさせたいと思っているのかどうか、端的にお答えをいただきたいと思います。
  8. 菅直人

    菅国務大臣 御承知のように、当初は予算関連ということで、予算関連法案はできるだけ国会の方に、もう出すとすれば三月上旬までに出すようにというのが内閣の方でのいわばめどになっていたわけですけれども老健審議論を含めていろいろな御議論が継続していた関係で、それがある意味では大きく今日まで当初の見通しよりはずれ込んできているわけです。  そういう点で、お尋ねで、出すか出さないかわからないとか、あるいは国会通過を望んでいるのかどうかわからないというふうにおっしゃいますが、私は言っていることは従来と変わっておりませんで、この国会会期中に出すということを目指して今全力を挙げているということであります。そして、出す段階ではその出した法案成立をしていただくようにまた同じように全力を挙げる、そういうことで考えております。
  9. 石田祝稔

    石田(祝)委員 続いてお聞きをしますが、厚生大臣、この介護の問題ですね、この問題を解決をしないで健康保険法改正案はできますか。
  10. 菅直人

    菅国務大臣 健康保険法についてももちろん、例えば今医療保険、それぞれ大きな赤字が生まれつつあるとかいろいろな議論があることは承知をいたしておりますし、また平成年度に向けて何らかの改革議論が必要だということは、それぞれの審議会等でも従来よりそういった御議論があるということは承知をいたしております。もちろんそういう場合に、議論内容の点では、医療制度あり方関連して介護というものがどうあるかというその関連性議論が出るということは、当然議論としてはあり得るというふうに思っております。  ただ、法律という意味で言えば、高齢者介護保険法を出すということそのこと自体が、例えば出せればこうなって出せなければこうなるというような意味で直接に、例えば出さなければそちらの議論が全くできないとか、いや逆に出せばできるとかあるいはできないとかという、直接的に一〇〇%そういう一対一関係にあるというふうには理解をいたしておりません。関連はするけれども、いわばそれぞれの制度の中での議論というのは当然あり得ると思っております。  そういった意味で、今のお尋ね趣旨が、公的介護保険法律が出せないときに医療保険議論が一〇〇%できないかという御質問であるとすれば、今申し上げたように、一対一対応のような意味で一〇〇%どうだということではないのではなかろうか。ただそのことは、決して私が最初に申し上げたように公的介護保険法提案ができないということを見通して言っているという意味じゃなくて、それはそれとして提出をするということの目標に向けて努力をしているということは、先ほど申し上げたとおりであります。
  11. 石田祝稔

    石田(祝)委員 私が申し上げたのは、医療保険の全体像、大変財政状況もそれぞれの組合、保険が厳しい、こういうことで医療保険も見直しをしなくてはならないだろう、こういうことだろうと思うのですが、その中で本来の医療保険の姿に置きかえると申しますか、そういうときに財政がどうなのかという議論をしないと、今介護をやろうというのは、いわゆる社会的入院が入っているからという前提で、また、これからの介護の問題が大変だということで介護保険の導入を考えられたんじゃないのですか。  ですから、医療世界の中にいわゆる医療福祉の中間的な部分がある、いわゆる社会的入院という言葉に代表されるような状態がある。ですから、それはまた別の制度で受け皿をつくって、医療医療本来の姿でやっていこうという議論で、ことし公的介護保険法提案をされる、そしてその次に医療医療世界としてかちっとやっていこう、こういうことで順番はある程度あるのじゃないですか。一対一対応とかそういうことではなくて、やはりおのずからそこに、これからの医療福祉介護考えたときに順番が私はあるのじゃないですかということでお聞きをしているのですが、どうでしょうか。
  12. 菅直人

    菅国務大臣 委員も御承知のように、高齢者介護の問題というのはいろいろな形で従来からあって、自治体を中心にそれぞれの取り組みがあっておりますし、そして、要介護者の数が百万を超してどんどんふえているという現状があるわけです。  この公的介護議論が出てきたのは、そういった状況を踏まえて、従来は自治体にお願いする、あるいはそれぞれ家庭の中で取り組んでいただいているということの状況を、あるいは今委員も言われました、一部は医療世界でそれがある種カバーされている、そういうことを含めて、介護必要性というところから私は議論が起きてきているのだと思っております。  医療保険の問題は、先ほども申し上げたように内容的な関連はありますが、御承知のように、医療保険制度そのものはもうかなり歴史の古い制度であって、しかも、そのときそのときに相当大きな改革を重ねてきているわけです。そういう点では、公的介護保険制度の問題がある場合ない場合で議論の中身に一つの差があるかどうかはまた別として、医療保険制度医療保険制度として議論をするということは、これはどちらにしても必要な段階が近づいているのではないか、私はそう 思っておりますから、先ほど申し上げたように、この問題は内容的には関連しておりますけれども、必ずしもこちらの議論がきちんと終わっていなければこちらの議論がスタートできないという関係に、何かこう一〇〇%きちっと直列的なシリーズでやらなければならないという関係にあるというふうには私は理解しておりません。
  13. 石田祝稔

    石田(祝)委員 国民負担率の問題についてお伺いをします。  現在、国民負担率は何%でしょうか。
  14. 樋口俊一郎

    樋口説明員 お答えいたします。  本年度、八年度末の国民負担率は三七・二%というふうに見込んでおります。
  15. 石田祝稔

    石田(祝)委員 この三七・二%には、いわゆる国債発行残高、将来にわたって返していかなくてはならないもの、また地方債、そしていわゆる隠れ借金と言われているもの、またJR長期債務、これらは含まれての計算ですか。
  16. 樋口俊一郎

    樋口説明員 先生承知のとおり、国民負担率という概念は、分母を国民所得にとりまして、分子を租税及び社会保障負担ということでございますので、今御指摘国債発行額あるいは今後処理を要する事項といったものは含まれていないということでございます。
  17. 石田祝稔

    石田(祝)委員 先日来の総理国民負担率議論、また私の記憶では、厚生大臣は、実際の三七・二%という数字はあるけれども、将来返していかなくてはならない、税で返す形になるいわゆる借金というものを含めれば、負担率はもっと高くなっているのではないか、こういう議論新聞テレビかでお見かけをしたような気がするのですが、大臣記憶がございますか。
  18. 菅直人

    菅国務大臣 私が申し上げたのは、そういった今言われましたすべての債務について申し上げたのではなくて、ある席でしたか、赤字国債が発行されますと、いわば一般会計にそれが充てられているわけですから、その部分租税、つまり減税で租税が減っているというふうに考えれば、その部分も含めて考えると実質はもう少し高くなっているのではないかということは、何かの機会には申し上げたかと思います。ただ、私は、全部の債務部分を含めて申し上げたということではありません。
  19. 石田祝稔

    石田(祝)委員 もちろん、この国債発行残高は本年度末で二百四十一兆円という予想ですが、それをたちまち全部その年の負担ということではなくて、これはある意味では六十年で返すという計画でやっているわけです。先ほど大臣がおっしゃったように、本年も、平成年度新規国債を二十一兆発行している。これは本来、租税が二十一兆円入れば新規国債を発行する必要は全くないわけですね。ですから、そこは本来、租税歳入をカバーする部分を足りないがゆえに国債を発行している、そして市中からお金を集めて歳出に充てている、こういう構造なわけですね。  そうすると、これは大蔵省にお聞きをしたいのですが、そういう形で、国債地方債、そしていわゆる隠れ借金JR長期債務、こういうものに分けてみますと、大体ことしは本来租税負担すべきものがこれだけあったのですよという数字はありますか。
  20. 樋口俊一郎

    樋口説明員 お答えいたします。  今先生指摘ございましたように、国債発行額あるいは地方債、それからいわば後年度処理を要する事項といったものを何らかの形でカウントをして国民負担率考えるべきだということは、まさに貴重な御提言であろうというふうに考えておりますが、これも先生承知のとおり、国債でございますとか今後処理を要すべき事項というのは、まさに将来にわたる負担というふうなことでございますので、各年の国民負担率とは少しレベルが違う問題である。したがって、単純に計算をしていくことは困難であろうということは御理解をいただきたいと思います。  ただ、そうした上で、あえて御指摘計算ということを行ってみますと、八年度予算におきます一般会計公債発行額二十一兆円でございます。八年度国民所得を三百八十四兆円ほどと見込んでおりますけれども、これを割りますと、数字としては五・五%という数字が出てまいります。しかしながら、この公債、やや繰り返しで恐縮でございますけれども先生承知のとおり、一定の償還ルールに従いまして、将来にわたりこれを負担していくべきものであるという性格のものでございます。  それから、地方債も御指摘ございましたけれども、八年度地方財政計画ということをベースに考えてみますと、十三兆円という数字が出てまいりまして、これを単純に八年度国民所得で割りますと三・四%でございますが、地方債についても同様の問題があろうかなというふうに考えております。  それから、今後処理を要する措置というところにまいりますと、実はさらに難しい問題がいろいろございまして、金額で単純に申しますと四十三兆円でございます。このうちに国鉄清算事業団長期債務、約二十七兆円が入っているわけでございますけれども、この四十三兆円を国民所得で割りますと一一・二%という数字は出てまいります。しかしながら、この今後処理を要する措置の中を見てまいりますと、例えば清算事業団長期債務のように、最終的に国民負担となるべき金額について今確たる数字を持っていないものもございますし、また中には、一般会計特別会計との間の、いわば国の会計間の財政資金の移転といった性格のものもございますので、この数字をもって国民負担率に足し上げていくということは、私どもとしましては、やや議論をミスリードしてしまうおそれもまたあるのかなという気はしております。  ただ、先生の御指摘ございましたそういう発想というのは、貴重な御意見であろうと思っております。その御意見を敷衍してまいりますと、いわば今の国の財政というものが公債に依存をしている、それは将来にその負担を先送りしているというふうなことを示しているわけでございますので、私どもとしましても、先生の御指摘も念頭に置きながら、財政健全化努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  21. 石田祝稔

    石田(祝)委員 今数字をお聞きをしまして、そのまま足していくとこれは大変な数字になるのですが、一概にそのまま足し算はできないだろう、こういうことであります。  ですけれども、これから厚生省国民負担率考えていく場合、そのアイデアは、厚生大臣がそういうことをおっしゃったということで、ああそうか、確かに国債という形で将来にツケを残しているけれども国民負担率ということを考えたときに、そういうものも考えに入れていかないと、ただ現在の租税負担社会保障負担負担率が三七・二だ、こういう議論ではいけないのではないか。このアイデアは、正直申し上げまして、大臣記事テレビを見て私は思いましたので、大変大臣畑眼には実は敬服いたしておりまして、それできようの質問でいろいろ調べてみたわけでございます。  そうすると、大臣、片やこういう議論がある。だけれども、その国民負担率数字、また経済数字でもって社会保障を抑えようという議論は、私はこれは反対です。それは歳入の全部を社会保障に使うことはできませんけれども、ただ単にいろいろな数字で、国民負担率の問題、経済成長率の問題、そういうことで社会保障を抑えようという動きについては、大臣、どうお考えですか。私は反対ですけれども
  22. 菅直人

    菅国務大臣 今、社会保障あるいは社会福祉と言われるものの内容は、もう非常に国民生活の中に、その骨格の中に組み込まれた形で存在をするようになっているというふうに理解しています。例えば年金などは老後の生活ですし、あるいは医療保険等を含めてもう生活そのもの、ライフサイクルの中に、生活全体の中でも非常に中心的なものとして、不可欠な要素として存在をしていると思っております。  そういう点で、私は、財政状況が厳しいという認識はまさに石田委員も言われるとおりであり ますし、また、これから財政再建に向けていろいろな厳しい努力をしていかなければならない場面だと思いますので、従来から申し上げておりますように、福祉の分野でも、福祉構造改革といったような形でいろいろな構造をより効率的、効果的にしていくという努力はしなければならないというふうに思っております。  しかし、先ほど石田委員自身もおっしゃったように、そういう努力は必要だと思っておりますけれども福祉の今日の水準を維持して、つまりは質的なレベルでは維持をして何とか将来につなげていくという、これは最初に申し上げたように国民生活基本になっているところですから、そこは質的なレベルでは維持をして頑張っていくという基本的な姿勢が必要ではないか。少なくとも私としてはそういう姿勢で臨みたい。もちろん財政再建との間で大変厳しい選択が迫られると思いますけれども基本的姿勢としてはそういうふうに考えております。
  23. 石田祝稔

    石田(祝)委員 時間の関係最後質問になるかと思いますが、これからの公的年金一元化ですね。ここで先日も参考人の方に来ていただきまして、そのときお話がございましたが、今回は第一歩だ、これからさらに統合と申しますか、公的年金一元化に際してやはり公務員のいわゆる三階部分が問題になる、こういうふうな参考人から一のお話も実はございました。  私は、先回の質疑のときにもお伺いをしたのですが、閣議決定で、公務員年金一元化のところで公務員制度あり方を踏まえてというその一言が加わっているがために、これは公務員公務員だけで、地方、国でグループをつくってずっとやっていくのかなと。ですから、公務員制度という、いわゆる退職後の守秘義務とかいろいろな意味数字に出ないそういうものをそこに書かれてしまうと、年金一元化の大変な足かせになるのじゃないか、こういうふうな議論をさせていただいたと思うのです。  このことについて再度、公務員制度あり方を踏まえてというのが年金一元化の支障にならない、こういうふうな理解でこれから進んでいかれるのかどうか、大蔵省来ていただいておりますから、お答えいただきたいと思います。
  24. 松川忠晴

    ○松川説明員 お答えを申し上げます。  共済年金の職域年金部分は、守秘義務、兼業の禁止等の公務員の身分上の制約等の特殊性を踏まえまして、公務員の退職後の生活の安定に寄与する目的のために設けられているものでございます。あわせて、民間におきまして厚生年金基金、税制適格年金等の企業年金が普及している点も踏まえたものであります。また水準的にも、現役の負担能力等を考慮いたしまして、厚生年金相当部分の二割、一階部分を含めた全体に対しては一割弱としているところでございます。  こうした状況を踏まえまして、先般の一元化に関する懇談会におきましていろいろ議論はございましたけれども議論の大宗といたしましては、給付面におきましては制度間の公平はおおむね確保されている、したがって、今後の一元化の中心課題は負担面の格差の解消であるというものであったと承知しております。したがいまして、私どもといたしましても、職域年金部分存在自体が今後の一元化の障害になるものとは考えておりません。
  25. 石田祝稔

    石田(祝)委員 終わります。
  26. 和田貞夫

    和田委員長 横光克彦君。
  27. 横光克彦

    ○横光委員 社民党の横光克彦でございます。  この法案もいよいよ大詰めを迎えることになりました。これまで多くの委員から、いろいろな角度からこの法案についての審議が進められてまいりました。そして、その中でいろいろな問題もまた浮き彫りにされているわけでございます。将来の年金財政への不安や国民年金の空洞化など、公的年金制度に対する国民の信頼が揺らいできているのじゃないか、そんなような気がしてなりません。  では、この国民の信頼がなぜ揺らいでいるのか。その要因の一つに、やはりこの制度は、若いときから長い間にかけて保険料を負担して、そしてようやく六十五歳になってから受給ができる、そういう制度であるがために、若い方々にはなかなか年金必要性の実感がわかないということにもあるのじゃないかと思うわけです。ですから、この年金必要性、いわゆる世代間扶養あるいは支え合う意識、そういったものをもっと広めてもらわなければいけないし、そして現在の自分たちが掛けている年金状況はどのような状況にあるのか、こういったことが若い方たちにはまだまだわかっていない、浸透していないという部分もあろうかと思います。  まずお尋ねいたしますが、現在の厚生年金国民年金財政状況、いわゆるこれまでの積立金はどれほどになっているか、そしてそれはどのような形で資金運用されているか、御説明を願いたいと思います。
  28. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 現在の厚生年金国民年金の積立金の状況でございますが、まだ厚生年金は若いわけでございますので、毎年収支残があるわけでございます。例えば六年度におきましては、約六兆七千億円の収支残があったわけでございます。国民年金では七千億円ということでございます。その結果、六年度末におきまして、厚生年金では百四・五兆円、それから国民年金では六・四兆円でございまして、合わせまして百十・九兆円、約百十一兆円ということになっております。  この百十・九兆円のうち四十・八兆円、これは還元融資という形で運用されております。その他の七十・一兆円でございますけれども、これがその他の投融資に回っている、こういう状況でございます。
  29. 横光克彦

    ○横光委員 現在百十一兆円ある、そしてまた七十兆がいろいろな形で国の対策に使われている。いわゆる国民にも還元されているわけですね。  しかし、私、実は十日の質疑においてもこの問題を取り上げたのですが、そのときには残念ながら大臣がいらっしゃいませんでしたので、もう一度ここで大臣のお気持ちを伺いたいのです。  やはりこれだけ長い間保険料を掛けるとなると、その間に、今そういった掛けているものがいろいろな形で有効に使われているということはわかりますが、それが加入者個々人にどのような形で還元されるかということも、この年金制度をわかりやすく、また身近なものにすることにつながると思うのです。いわゆる必要性につながると思うのですね。  ですから、今百兆円の中で還元制度が実際あるわけでございます。しかし、この間のお答えでは、住宅資金は別にして、教育資金の貸付制度はわずか百三十五億ということでございました。これはまだ始まってから日も浅いわけで、そういうこともありましょうが、要するに百十兆あって百三十五億ということは、〇・〇一%がいわゆる個々の加入者に目に見える形で還元されている。これはやはり余りにも少ないのじゃないかと私は思うわけですね。  そして大臣、ことし大学に入るとき、地方の方が私学に入ると三百万ぐらいかかるというのですね。一人三百万、二人入るとなると六百万かかる。そして一番必要に迫られているのは、大企業はそれなりに福利厚生関係でそういった貸付制度もありますが、中小零細企業、そしてまた国民年金加入者にとってはこれは非常に大変な問題であるわけです。今、生活費の三分の一が教育費にかかるという時代になりました。そういった中で、こういった制度があるのだ、これをもっともっと有効に使って初めてさらに年金への信頼が生まれ、広がる、私はこういう気がいたしております。  現在、限度額が厚生年金の被保険者で百万円、それから国民年金の被保険者で五十万円、今回こういった統合案のときに大きなチャンスだと私は思うのですね。もっともっと加入者に、本当に年金財政はうまくいっているんだ、こういう形で我々にも還元されておるんだ、そういう形を示す チャンスだと私は思う。ですから、どうかこの貸付限度額を厚生年金の被保険者でせめて倍の二百万、そして国民年金の被保険者で倍の百万に引き上げていただきたい、このように切望するわけでございます。  十日の質問のときには、年金局長も増額の必要性を認めております。また、住政務次官も大変積極的な、前向きな御答弁をいただいております。さらに前向きな御答弁をひとつ菅厚生大臣にお願いいたしたいと思います。
  30. 菅直人

    菅国務大臣 せんだっての御質問のときは、参議院の関係で大変失礼を申し上げました。  今、横光委員の方から、還元融資の中で特に年金教育資金貸付の貸付限度額についてのお話伺いました。御承知のように、この制度平成六年十二月に創設されて約一年半という経過であります。現在その普及に努めているところですが、先ほど委員の方からもお話がありましたように、厚生年金の被保険者で百万円、国民年金の被保険者で五十万円というのが上限になっております。ただ、この上限というのは、この制度と別に国民金融公庫が実施している一般教育貸付制度という制度とも重複をして利用することも可能であるということもありまして、今日の時点、制度をスタートした時点ではこういう水準になっているということです。  しかし、年金教育資金貸付制度は、年金積立金の還元融資として行われている、こういう中で、まさにおっしゃるとおり、長期にわたって保険料を負担する被保険者の方々の納付意欲を高めて、年金制度を円滑に運営していくために大変重要であり、必要であるものだと考えておりまして、この上限の見直しについては、ぜひ関係省庁とも協議をした上でできるだけ前向きに考えていきたい、このように思っております。
  31. 横光克彦

    ○横光委員 ぜひひとつよろしくお願いします。  今回の統合によりまして、厚年は年に千二百七十二億、五年間で約六千三百億負担をするわけです。これをせめて二倍にしても二百億あるいは三百億なんですね。千二百七十二億負担するわけですから、厚生年金の人たちの理解を得るためにもぜひ前向きに取り組んでいただきたい、私はこのように思います。  次に、今後一元化が進展していくにつれて、各制度の被保険者の給付面での公平さの確保も大切なものとなってくると私は思うのです。昭和六十年改正によって基本的には二階部分の給付設計が厚生年金方式となったわけですが、まだまだ若干の差異が残っていると思います。これもまた私、先日取り上げたのですが、例えば年金と労災の給付調整でございます。しつこいと思われるかもしれませんが、私は再度この問題を大臣に、今回いらっしゃるのでお聞きしたいのです。  現在、厚生年金の被保険者が労働中に事故に遭い、障害者になったり死亡をされたりした場合、厚生年金が全額支給されます。そして労働者災害補償年金の一部が支給停止となっています。これに対しまして共済年金の被保険者の場合には、労働者災害補償年金が全額支給されます。そして共済年金の職域相当部分の一部が支給停止となります。これは大臣、この前も言ったのですが、だれが見てもどっちが得かというのは一目瞭然なんです。そして私は、共済の制度の方が正しいと思うわけです。  なぜならば、やはり年金は一般的制度なんですね。ところが、労働者災害補償制度は労災のときに適用される特別な制度なんです。ですから、両者の給付調整を行うときは、特別な制度を当然優先させるべきだと思うわけです。労働者が労働中に事故、災害に遭遇したときには労働者災害補償制度でまず対処する、これが当たり前のことだと私は思うわけです。ですから共済の方が正しいし、今回これも一つの大きなチャンスです。厚生年金の方たちが非常に助かるわけで、また、何といっても年金財政が非常に助かる、加入者が安心する、ここにもつながるわけです。  現在、労災の特別会計では黒字が発生しております。また、財政的にも余裕があります。ですから、労災と年金の併給調整の仕組みも、年金側の支給停止とするようぜひ制度を改正すべきだと私は考えております。確かに、これは関係者も多く、簡単には結論が出る問題じゃない、非常に難しい問題であろうと思いますが、これも大臣にひとつ前向きな御答弁をお願いしたいと思います。
  32. 菅直人

    菅国務大臣 労災補償年金と厚生年金あるいは共済の場合の併給調整のあり方については今、横光委員のおっしゃったとおりで、その内容についてはもう繰り返しませんが、こうなっていることがやや不公平ではないかという御趣旨だと思います。  確かに、私も、なぜ同じ仕組みになっていないのだろうかという感じは率直なところいたしております。この併給調整のあり方については、過去の経緯などに基づいて、厚生年金と共済年金との間で異なった扱いになっているというふうに理解しておりますが、今後は、双方の給付の機能をどう調整するか等を念頭に置きながら、厚生省だけではなく他の省庁が主管しておられる制度との関係でもありますので、関係省庁とよく相談をして、国民の目から見て公平な制度だと思われるような方向でこれらの制度をどうすべきか検討を進めたい、こう考えております。
  33. 横光克彦

    ○横光委員 菅厚生大臣は、薬害エイズの問題で大変御努力されております。私は、この二つの問題、教育資金貸付制度年金と労災の給付調整、この問題はやはり菅厚生大臣ならできる、いや、菅厚生大臣しかできないのじゃないか、そのような思いさえ持っているわけです。ですから、橋本政権のもとで、市民の代表であります、庶民の声を大事にしてぜひ頑張っていただきたい。  私は、久保大蔵大臣、永井労働大臣とひざ詰め談判して折衝するぐらいのことをやっていただきたいのですが、もう一回そこのところのお気持ちをお聞かせください。
  34. 菅直人

    菅国務大臣 委員のそのお気持ちを体して、私なりに努力をしていきたいと思っております。
  35. 横光克彦

    ○横光委員 どうかひとつよろしくお願いいたします。  さて、今回の法案によって民営化された旧三公社の共済組合は厚生年金に統合されまして、被用者年金制度の再編成の第一段階が完了することになるわけです。この後、国共済、地共済、農林共済、私学共済、この四つが残ることになるわけです。本委員会でも多くの同僚議員が指摘されましたように、小さな制度が分立したままでは産業構造の変化に脆弱であり、長期的に安定した年金制度としていくことは困難であります。  三月八日には公的年金制度の再編成の推進について閣議決定がなされております。各制度とも異なった目的また機能や経緯等があり、簡単に関係者の合意形成ができるとは思っておりませんが、大臣には、ここで改革の手を休めることなく、今後も積極的に年金制度一元化に取り組んでいただきたいと思うわけでございます。  今後の一元化に向けての大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
  36. 菅直人

    菅国務大臣 三共済の厚生年金統合を今お願いしているわけですが、それを成立させていただきました後も、政府としては被用者年金制度の再編成を推進する考え方でありまして、その旨の基本方針を、先ほど委員も御指摘をされたように閣議で決定をいたしております。  その際、被用者年金制度の分立による不安定な制度運営や負担の不均衡の問題は、主として各制度の成熟度の進展に伴って生ずるものであることから、今後二十一世紀にかけて各制度が成熟化する段階において、漸進的に再編成を進めることとしているところであります。  具体的には、国共済及び地方公務員共済の公務員グループについては、特に国共済の成熟度が既に三公社に次いで高いものとなっていることから、まず公務員グループ内で財政安定化のための措置について検討を進めていく必要があると考えております。また農林共済については、現在、農協の組織整備も課題となっているところでありま すから、その進展が制度基盤に与える影響などを踏まえつつ、今後日指すべき方向を検討する必要があると考えております。私学共済については、他の制度に比べましてその成熟度はまだ遅いわけでありますが、児童生徒数の減少なども見込まれている中で、今後の成熟度の進展等を踏まえつつ、被用者年金制度全体の中における位置づけについて検討する必要があると考えております。  こういったように、今後、この閣議決定をした基本方針に沿いまして、財政計算時ごとに制度の安定性、公平性の確保に関し検証を行いつつ、被用者年金制度の再編成をさらに着実に進めていき、一元化基本目標であります各制度間の費用負担の公平と安定した制度運営を確保するため努力してまいりたい、このように考えております。
  37. 横光克彦

    ○横光委員 残った四共済は、その目的、経緯、そして機能等確かに違うし、いろいろな問題も抱えているわけで、非常に難しい問題もあろうかと思いますが、今の御答弁のようにどうかひとつ御努力いただきたいと思います。  現在、JR共済は保険料収入や積立金の取りましてはとても対応できず、制度間調整事業等で他制度から毎年六百億円を超える援助を受けておるわけです。  そこで、ちょっと大蔵省にお伺いいたしますが、JR共済の支出が保険料で賄えなくなった年度、そしてまた初めて赤字決算をした年度はいっか、お答えください。
  38. 松川忠晴

    ○松川説明員 鉄道共済の収支についてのお尋ねでございます。  まず、鉄道共済が初めて保険料等のみでは支出を賄えず、支出を賄うのに運用収入の一部を充当することになりましたのは昭和五十年度からでございます。  また、初めて保険料等のほか運用収入の全部を充当いたしましてもなお支出を賄えなくなった、すなわち、トータルの収支残で赤字決算となりましたのは、その翌年度の昭和五十一年度でございます。
  39. 横光克彦

    ○横光委員 今お答えのように、支出が保険料で賄えなくなった、いわば黄色の信号がともってからわずか一年で赤字決算に転落しております。このように年金制度は、財政状況の悪化が素人にもわかるようになってから、ほんのわずかの間に破綻に瀕している。  このような事態を防ぐために、いわば前車のわだちを踏まないためにも、年金制度の現状と、そしてまた将来展望について、できるだけわかりやすく的確な情報を広く公開する必要があろうかと思います。またさらに、財政計算時には制度の公平性や安定性が保たれているかどうか、適切な検証を行っていく必要があると思うのです。  そこで、今後どのように検証を行っていくのか、局長の御答弁をお願いいたします。
  40. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 被用者年金制度の再編成を着実に進めていきますためには、やはり各制度におきまして、制度の運営の実績それから将来の見通し、こういったものについて情報公開するというのは先生の御指摘のとおりでございます。こういった資料に基づきまして、検証というのも大変重要な事業であるわけでございまして、これは社会保障制度審議会年金数理部会におきまして定期的に実施していただくということでお願いをしたいということで、了解をいただいているところでございます。  この年金数理部会は、専門家の方もたくさんいらっしゃいますので、こういった専門的、中立的な立場から、被用者年金制度の安定性を将来にわたって確保できているかどうか、それから各制度間で費用負担の公平性が確保されているかどうか、こういったような問題につきまして共通の基準というものをつくっていただきまして制度の横断的な検証を行う。先ほどのJRなどにつきましての財政の悪化の兆候、こういったものを早目に見つけていただく、こういうことで財政計算時ごとに検証作業を行っていただく。毎年の関係も、当然のことながら数理部会に現在でもある程度数字をお出ししていろいろ御助言をいただいておりますけれども、特に財政計算のときには重要な問題である、こういうふうに考えております。
  41. 横光克彦

    ○横光委員 それでは、最後お尋ねいたします。  今、石田委員からも御質問がございました公的介護保険制度、今国会提出見送りかとかいろいろマスコミ等で騒がれておりますが、待ったなしの超高齢化社会がこれから来るわけでございます。また、こうして国会で論議している間にも、本当に寝たきり老人や痴呆老人のために家庭が崩壊したり、また介護が受けられず大変に苦しんでいる人もいるわけでございます。  私は、いろいろな問題があろうかと思いますが、本当にこの必要性はみんな感じでいるわけです。そして、これは長い間、老健審でもあるいは与党の福祉プロでも論議してきて、やっと厚生省試案ができた。今国会にもし提出できなかったら、この問題はまたさらに先送りされて、私は大変禍根を残すのではないかという気がしてなりません。小さくてもいい、まず産むことだ、小さく産んで大きく育てればいいではないですか、私はそういった思いを持っているわけです。  この公的介護保険、先ほど大体大臣のお気持ちは伺いましたが、再度この保険制度の今国会提出に向けてのお気持ちと、そして二十一世紀に向けた年金医療にわたる総合的な社会保障制度の確立について、大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
  42. 菅直人

    菅国務大臣 もういろいろな形で御議論いただいておりますように、高齢化の進展というのは大変これからの社会保障にとって大きな大きな課題であります。また、介護については、私もある場所で申し上げたのですが、いわゆる先進国において介護の問題というのはあるわけですが、多くの国においては、まだ平均寿命が本当に低い水準では、逆に介護ということが政策課題には上らない国も多いわけです。まさに日本は、ある意味では、福祉社会としていろいろな先輩たちが努力していただいた結果が長寿社会になり、同時にこの介護ということの必要性がより高まってきた、そんなふうにとらえております。  そういった点で、二十一世紀に向けての御質問でありますが、この介護制度というものをつくっていくこととある意味では同時並行的に、年金医療制度についても、より効率的といいますか効果的といいますか、そういうものに向けて改革にあわせて着手をする必要があるのではないか、こんなふうに思っております。  そういう中で、現在、公的介護保険制度法案につきまして、今委員お話がありましたように、今月十五日に厚生省試案というところまでこぎつけ、老健審の方に出させていただきました。きょうも午前中、老健審議論がありまして、さらにいろいろこの内容について御議論をいただいたというふうに報告を受けております。また、与党プロジェクトの皆さんにも、この間ずっと御議論をいただいてきているところであります。  そういった点で、何とか老健審関係者の最終的な御理解もいただいて、法案大綱という形で正式な諮問というところまでこぎつけ、そして、答申をいただいた段階で、この会期中に法案という形で今国会で出させていただきたい。その目標に向かって、残された期間は少ないですが、全力をこれから挙げていきたいと思っておりまして、ぜひ委員初め皆さん方の御協力、御指導をお願いしたい、このように考えております。
  43. 横光克彦

    ○横光委員 終わります。ありがとうございました。
  44. 和田貞夫

    和田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  45. 和田貞夫

    和田委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。寺前巖君。
  46. 寺前巖

    寺前委員 私は、日本共産党を代表して、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案反対の討論を行います。  日本鉄道共済が破綻した大きな原因は、政府の運輸政策の欠如によるものです。戦後は満鉄職員の帰国もあり六十一万人にも達しましたが、その後急激な人減らしが行われ、現在二十万人を割っています。国鉄の分割・民営化を含め、まさに国策として行われてきたものであり、国・JR当局に大きな責任があります。  ところが、今回の改正では、国鉄清算事業団JR各社の支出額が、現行の制度間調整法に比べても千二百二十億円から八百億円に大幅に減額されます。一方、他の保険からJR、JTへの支援は六百六十億円ですが、本改正案による統合後は千六百億円にも増大することになります。  このように、他の保険からの支援額が増大するのは、JR、JT共済から移換される積立金を過去の低い賃金に基づいて算定される年金額の合計としたため、年金を給付するための費用のごく一部にしかならないからです。  物価スライド等については、移換する積立金の算定根拠から除外されています。このため、実際には積立金で賄われるのは年金給付費用の二三%にすぎず、現役労働者に多くの負担を負わせた上、四割以上を他の保険からの支援で賄うことになっています。年金は本来、物価スライド等が前提となっており、大量の人減らし合理化によってJR共済の財政破綻を生み出した政府JR当局は、物価スライド等の部分も含めて責任を負うべきです。  また、JR、JTの現役労働者に対して、統合後も高い保険料率を押しつけていることも重大な問題です。特にJRの労働者は、被用者年金の中で最も高い保険料、最も低い年金給付という状況を押しつけられてきました。一元化で格差を是正するというのなら、保険料も通常の厚生年金並みに引き下げるのが当然です。  以上のように、本改正案は、本来国が負うべき財政破綻の責任を放棄して多くの労働者に負担を押しつけるものであり、反対です。今後とも年金制度の拡充のため奮闘することを表明して、討論を終わります。
  47. 和田貞夫

    和田委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  48. 和田貞夫

    和田委員長 これより採決に入ります。  内閣提出厚生年金保険法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  49. 和田貞夫

    和田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  50. 和田貞夫

    和田委員長 この際、本案に対し、鈴木俊一君外四名から、自由民主党、新進党、社会民主党・護憲連合、新党さきがけ及び市民リーグ・民改連の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨説明を求めます。横光克彦君。
  51. 横光克彦

    ○横光委員 私は、自由民主党、新進党、社会民主党・護憲連合、新党さきがけ及び市民リーグ・民改連を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。  案文を朗読して説明にかえさせていただきます。     厚生年金保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の事項について、適切な措置を講ずるよう特段の配慮をすべきである。  一 被用者年金制度については、今回の三共済の厚生年金への統合後においても、一元化に向けた着実な取組みの推進に努めること。    こうした一元化を進めるに当たっては、各制度の目的、機能、経緯等に配慮しつつ、制度の安定性、公平性の確保に関し、財政計算時ごとに適切な検証を行うこと。  二 被用者年金制度間の給付と負担の不均衡について、引き続き、その是正を図ること。  三 年金制度に関する国民理解を得るため、年金制度の現状と将来展望について、できるだけわかり易く的確な情報を広く公開すること。    特に各制度からの財政支援については、財政計算時などにおいて、適切な情報の提供に努めるとともに、関係者の意見がより一層反映されるよう配慮すること。  四 国民年金の未加入者及び未納者の解消に向けて、運営・制度の両面にわたる総合的な対策を推進すること。  五 厚生年金基金制度については、企業年金としての安定化、健全な普及発展を図るための措置を講ずるよう努めること。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
  52. 和田貞夫

    和田委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  53. 和田貞夫

    和田委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、菅厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。菅厚生大臣
  54. 菅直人

    菅国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重いたしまして、努力をいたす所存でございます。
  55. 和田貞夫

    和田委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 和田貞夫

    和田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  57. 和田貞夫

    和田委員長 次に、内閣提出医薬品副作用被害救済研究振興調査機構法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨説明を聴取いたします。菅厚生大臣。     —————————————  医薬品副作用被害救済研究振興調査機構法の   一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  58. 菅直人

    菅国務大臣 ただいま議題となりました医薬品副作用被害救済研究振興調査機構法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  がん、エイズ等の疾病の克服は人類共通の悲願であり、画期的な医薬品、医療用具等の開発は、国民の保健医療水準の飛躍的な向上に寄与するのみならず、国際社会にも大きく貢献するものであります。  近年の遺伝子治療技術を初めとする先端的科学技術が目覚ましい進歩を遂げている中、こうした技術の開発の基盤となる保健医療分野における基礎的研究は、ますますその重要性を増しているところであります。また、基礎的研究につきましては、国が率先して取り組むべき分野であり、積極的な施策の推進が必要であると認識しております。  このような認識のもと、今般、医薬品、医療用具等に関する研究開発を振興するため、基礎的研 究への出資制度を創設して、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構に基礎的研究を行わせることとし、この法律案提出した次第であります。  以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。  第一に、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構の目的につきましては、医薬品の生産等に関する技術の基礎的研究に関する業務を行うことにより、国民の健康の保持増進に寄与する技術の開発を振興し、もって国民保健の向上に資することを新たに追加することとしております。  第二に、基礎的研究業務につきましては、医薬品の生産または販売に関する技術のうち、医薬品の品質、有効性及び安全性の確保向上等国民の健康の保持増進に寄与する技術のほか、医療用具等に関する技術も対象とすることとしております。また、業務の内容としましては、基礎的研究の実施のほか、その成果の普及等を追加することとしております。  第三に、政府の出資金及び運用利益金の充当先に、基礎的研究業務を追加しております。また、機構は、厚生大臣の認可を受けて定める基準に従って、基礎的研究の一部を委託することができることとしております。  なお、この法律は、公布の日から起算して一月を経過した日から施行することとしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  59. 和田貞夫

    和田委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  60. 和田貞夫

    和田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、来る二十四日金曜日、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構の関係者を参考人として出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 和田貞夫

    和田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、来る二十四日金曜日午前九時十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十六分散会      ————◇—————