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1996-04-17 第136回国会 衆議院 厚生委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年四月十七日(水曜日)     午前十時三分開議 出席委員   委員長 和田 貞夫君    理事 衛藤 日盛君 理事 木村 義雄君    理事 鈴木 俊一君 理事 青山 二三君    理事 石田 祝稔君 理事 柳田  稔君    理事 五島 正規君 理事 荒井  聰君       伊吹 文明君    稲垣 実男君       狩野  勝君    近藤 鉄雄君       田中眞紀子君    高橋 辰夫君       竹内 黎一君    戸井田三郎君       長勢 甚遠君    根本  匠君       林  幹雄君    堀之内久男君       持永 和見君    保岡 興治君       山下 徳夫君    赤松 正雄君       粟屋 敏信君    大野由利子君       鴨下 一郎君    北村 直人君       高市 早苗君    西  博義君       福島  豊君    桝屋 敬悟君       山本 孝史君    網岡  雄君       田邊  誠君    森井 忠良君       山崎  泉君    枝野 幸男君       岩佐 恵美君    土肥 隆一君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 菅  直人君  出席政府委員         厚生大臣官房長 山口 剛彦君         厚生大臣官房総         務審議官    亀田 克彦君         厚生省健康政策         局       長谷  修君         厚生省保険医療         局長      松村 明仁君         厚生省生活衛生         局長      小林 秀資君         厚生省社会・援         護局長     佐々木典夫君         厚生省老人保健         福祉局長    羽毛田信吾君         厚生省児童家庭         局長      高木 俊明君  委員外出席者         厚生委員会調査         室長      市川  喬君     ――――――――――――― 委員の異動 四月十七日  辞任        補欠選任   田中眞紀子君    林  幹雄君   久保 哲司君    西  博義君   田邊  誠君    網岡  雄君   横光 克彦君    山崎  泉君 同日  辞任        補欠選任   林  幹雄君    田中眞紀子君   西  博義君    久保 哲司君   網岡  雄君    田邊  誠君   山崎  泉君    横光 克彦君 同日  理事横光克彦君同日理事辞任につき、その補欠  として五島正規君が理事に当選した。     ――――――――――――― 四月十六日  国民の食生活安全確保に関する請願古堅実  吉君紹介)(第一八六一号)  国立病院療養所充実に関する請願秋葉忠  利君紹介)(第一八六二号)  同(辻一彦紹介)(第一八六三号)  同(永井哲男紹介)(第一八六四号)  同(佐藤観樹紹介)(第一九二六号)  同(辻一彦紹介)(第一九二七号)  同(永井哲男紹介)(第一九二八号)  同(佐藤観樹紹介)(第一九九二号)  同(辻一彦紹介)(第一九九三号)  同(永井哲男紹介)(第一九九四号)  同(星野行男紹介)(第一九九五号)  腎疾患総合対策早期確立に関する請願(井奥  貞雄君紹介)(第一八六五号)  同(井出正一紹介)(第一八六六号)  同(石破茂紹介)(第一八六七号)  同(枝野幸男紹介)(第一八六八号)  同(海部俊樹紹介)(第一八六九号)  同(熊代昭彦紹介)(第一八七〇号)  同(左藤恵紹介)(第一八七一号)  同(櫻内義雄紹介)(第一八七二号)  同(田邊誠紹介)(第一八七三号)  同(武山百合子紹介)(第一八七四号)  同(徳田虎雄紹介)(第一八七五号)  同(錦織淳紹介)(第一八七六号)  同(広野ただし紹介)(第一八七七号)  同(福田康夫紹介)(第一八七八号)  同(増子輝彦紹介)(第一八七九号)  同(村田吉隆紹介)(第一八八〇号)  同(山元勉紹介)(第一八八一号)  同(青山二三紹介)(第一九二九号)  同(伊藤宗一郎紹介)(第一九三〇号)  同(今津寛紹介)(第一九三一号)  同(岩浅嘉仁君紹介)(第一九三二号)  同(江藤隆美紹介)(第一九三三号)  同(衛藤征士郎紹介)(第一九三四号)  同(大野由利子紹介)(第一九三五号)  同(木村義雄紹介)(第一九三六号)  同(笹木竜三紹介)(第一九三七号)  同(田邊誠紹介)(第一九三八号)  同(高市早苗紹介)(第一九三九号)  同(武山百合子紹介)(第一九四〇号)  同(辻一彦紹介)(第一九四一号)  同(中野寛成紹介)(第一九四二号)  同(畠山健治郎紹介)(第一九四三号)  同(平泉渉紹介)(第一九四四号)  同(三原朝彦紹介)(第一九四五号)  同(村井仁紹介)(第一九四六号)  同(米沢隆紹介)(第一九四七号)  同(岩佐恵美紹介)(第一九九六号)  同(岡田克也紹介)(第一九九七号)  同(加藤卓二紹介)(第一九九八号)  同(田邊誠紹介)(第一九九九号)  同(津島雄二紹介)(第二〇〇〇号)  同(山下徳夫紹介)(第二〇〇一号)  国立療養所北海道第一病院の存続と充実に関す  る請願外二件(金田誠一紹介)(第一八八二  号)  聴覚障害者に対する文字放送内蔵型テレビ給付  に関する請願佐藤謙一郎紹介)(第一九四  八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  社会保障研究所解散に関する法律案内閣提  出第四四号)      ――――◇―――――
  2. 和田貞夫

    和田委員長 これより会議を開きます。  理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事横光克彦君から、理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 和田貞夫

    和田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  ただいまの理事辞任に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 和田貞夫

    和田委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事五島正規君を指名いたします。      ――――◇―――――
  5. 和田貞夫

    和田委員長 内閣提出社会保障研究所解散に関する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。竹内黎一君。
  6. 竹内黎一

    竹内(黎)委員 ただいま議題となりました社会保障研究所解散に関する法律案について、若干の質問をいたします。  質問の第一は、当然のことながら、なぜこの社会保障研究所解散するのか、その理由は何か、また、解散するとしてそのメリット、利益はどこにあるのか、ここをお尋ねしたいわけであります。基本の問題でありますので、これは大臣からの答弁をお願いいたします。
  7. 菅直人

    菅国務大臣 社会保障研究所解散する、その趣旨目的あるいはメリットについてのお尋ねであります。  社会保障研究につきましては、人口少子高齢化が進展する中で、人口問題研究と密接な関連がありまして、その連携を図りつつ研究をする必要が高まっていると考えております。このため、国立試験研究機関の再構築の中で、両分野を総合的に研究できる体制を整備するという観点から、国立社会保障人口問題研究所という形で、新たな形に再編成をして設置したいと考えている次第であります。  こうすることによりまして、社会保障研究所につきましては廃止ということになるわけですが、これは、特殊法人整理合理化という社会的要請にこたえるため廃止をするということとしたものであります。これによって、行政改革の面の効果として、特殊法人一つ減りまして、その定員予算も削減されるという効果があるわけであります。  また同時に、新たに再編成によって生まれます国立社会保障人口問題研究所設置によりまして、社会保障給付負担あり方などについても、人口家族世帯構造変化等に係る調査研究と密接に連携しつつ、より効果的な研究が推進できると考えており、今後の社会保障制度あり方検討研究に大きく寄与できるものと考えております。  つまりは、行政改革にも資することができると同時に、実質的には研究体制の面でもより充実したものが期待できる、このように考えているところであります。
  8. 竹内黎一

    竹内(黎)委員 今回のこの研究所解散によりまして、現に働いている職員は当然退職を余儀なくされると思うのでありますが、その職員雇用の場の確保について、厚生省としてはどう考えておりますか。
  9. 亀田克彦

    亀田政府委員 社会保障研究所解散に際しましては、先生指摘のように、職員生活に不安を来すことのないよう、本人の意向も十分踏まえながら、雇用確保あるいはその処遇等につきまして最大限の努力をしていきたい、こういう必要性があるというふうに考えております。  社会保障研究所職員雇用確保についてでございますが、具体的には、本人が希望いたします場合には国家公務員として採用する、そういう方針考えておるところでございます。  また、給与等処遇につきましても、一般職職員給与に関する法律あるいはそれに基づく人事院規則がございますけれども、その範囲内でできるだけの配慮を行いたい、こういうことで関係機関等との協議を今後鋭意行ってまいりたい、そういうふうに考えております。
  10. 竹内黎一

    竹内(黎)委員 今の御説明は一応納得はいたしますが、それにいたしましても、解散ないしはその後の雇用の場の確保について、職員の方と話し合いの機会は持っているのですか、また、その了解は得ているのですか。
  11. 亀田克彦

    亀田政府委員 社会保障研究所は現在特殊法人でございまして、労働組合があるわけでございますが、第一義的には、社会保障研究所理事者側と申しますか、管理者側であります所長あるいは役員、そういう方が鋭意組合との協議あるいは交渉に当たっておるところでございます。  その状況でございますが、現在なお協議を続行しておる、そういう状況でございますが、職員の方の御意見を十分聞きながら、円満な形でまとまりますよう、我々も十分努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  12. 竹内黎一

    竹内(黎)委員 次に、この法案に関します社会保障制度審議会答申に若干触れてみたいと思います。  審議会も、この法案につきまして、「社会保障研究所解散することに一抹の不安がないわけではないが、その機能を実質的に拡大して再編成される研究機関に引き継ぐという趣旨を前向きにとらえることを前提として、了解する。」こういうぐあいに答申の中で述べておりまして、これからの社会保障研究解散によって重大な支障が出ないのかという一抹の懸念を表明しているわけであります。私も、その言わんとするところは十分に理解できるわけであります。  そこで、審議会答申では何点かについて、いわば希望、注文あるいは留意事項と申しますか、こういうものを指摘しておるわけでありますが、まず第一に指摘しておることは、「研究独立性確保され、維持されることが何よりも重要である。このため、組織の長は、変容する社会保障課題について重要性を総合的に判断できるすぐれた学識経験者を広い範囲から選任すること、」こういうぐあいに注文を述べておるわけであります。  私もまた言わんとするところは理解できるわけでありまして、新しく国立社会保障人口問題研究所ということになるわけでありますが、所長は「学識経験者を広い範囲から選任する」、こういう審議会答申につきまして、十分にこれに対応する用意がありますか。
  13. 菅直人

    菅国務大臣 今、竹内先生の方から、社会保障制度審議会からこの解散について一つ答申をいただいた中で、幾つかの注文がついている中の、特に研究独立性についてのお尋ねであります。  そして、その中でも特に組織の長、つまり研究所所長についてすぐれた学識経験者を広い範囲から選任するように提言をいただいているわけですけれども所長選任に当たりましては、社会保障人口問題に係る課題について造詣の深い方から選任する必要があると考えております。また、新研究所における研究をより効果的に行うためには、大学や他の研究機関との連携確保していくことが重要であるというふうにも考えております。  こうした観点から、新しい研究所所長は、こうした要素を兼ね備えた、まさに学識経験者の広い範囲から選任される必要がある、このように認識しておりまして、この制度審指摘をされた点については、その趣旨を受けて対応すべきだ、そのように考えております。
  14. 竹内黎一

    竹内(黎)委員 さらに制度審は、広い範囲学識経験者の中から所長を選ぶとして、その所長を「補佐し、研究活動全般基本方針等重要事項について助言する機関、例えば評議員会のようなものを明文化する」こと、こういうまた一つ提言をしておるわけでございますが、この点についてはどういう対応をお考えですか。
  15. 菅直人

    菅国務大臣 所長に対する助言機関あり方につきましては、現在、社会保障研究所そして人口問題研究所関係者にも参加をいただきまして、社会保障制度審議会答申趣旨を踏まえながら検討を行っているところであります。  評議員会などのような構想ということを、今先生からも御指摘ありましたが、それをどういう形で法律あるいは省令あるいは規則に盛り込むのか、この点については、場合によっては総務庁等との調整が必要な場面もありますので、できるだけ答申趣旨に沿う形で、しかも、実際に来年度の予算の執行といったような問題も考えながら、どうすることが最も望ましいか、今申し上げたような関係者にお集まりをいただいて現在検討しておりまして、その結果を踏まえて適切に対処してまいりたいと考えております。
  16. 竹内黎一

    竹内(黎)委員 さらに、制度審議会答申の中の指摘事項で私も特に重要だと思いますのは、「社会保障研究を推進するのにふさわしい、従来の国立研究機関の枠にとらわれない斬新な機構」としてほしい、こういう御注文があるわけでございます。  厚生省の方では、この研究所を一遍解散いたしますが、今お話の出ておりますように、国立社会保障人口問題研究所というものにいわば再編する、こういう方針を既に出しておるわけでありますが、国立社会保障人口問題研究所がいうところの「斬新な機構」なんでしょうか、どこに斬新性を求めようとしているのでしょうか、その辺の御説明をお願いしたいと思います。
  17. 亀田克彦

    亀田政府委員 一月に先生指摘答申をいただいておるわけでございますが、この中に、先ほど出てまいりました所長の問題あるいは評議員会の問題、そういうようなものをくくる形で、先生指摘のように「斬新な機構とすべきである。」という御指摘をいただいておるわけでございます。  厚生省といたしましては、申し上げておりますように、今回の国立社会保障人口問題研究所設置によりまして、人口家族世帯構造変化等に係ります調査研究と密接に連携しつつ、社会保障給付負担あり方等につきましてより効果的な研究が推進できる体制が整った、こういうふうに考えておるところでございます。  今後とも、新研究所がその設置目的を十分達成できますよう、ただいまありましたような制度審答申趣旨も踏まえまして、引き続き時代要請に応じました適切な研究体制構築していくということに努めてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございますが、とりあえずは、先ほど出てまいりました所長さんの話あるいは評議員会の話、そういうものにつきまして、必要に応じた適切な形でスタートするということがこの答申趣旨にこたえることではなかろうか、そういうふうに考えておる次第でございます。
  18. 竹内黎一

    竹内(黎)委員 それでは、最後質問になりますが、制度審答申の中で最後に、「社会保障に対する国民理解を深めるため広く国民が利用できるシズテムを早急につくる必要がある。」こういうぐあいに指摘をしておるわけであります。  これは、読み方によっては、現在の社会保障研究所のいわばPRというものは必ずしも十分でないよという意味も含めておると思いますが、「広く国民が利用できるシステムを早急につくる必要がある。」というこの指摘に対してはどういうことを今お考えですか。
  19. 亀田克彦

    亀田政府委員 答申先生指摘部分でございますけれども、一連の部分でございますけれども機関誌の継続的な発行でございますとか、あるいは図書室の開放でございますとか、そういうことが並んでおりまして、最後に、国民に広く利用いただけるようなシステムということが出てきておるわけでございますけれども、私ども理解では、その内容は、例えばインターネットというものを使いましてより広く国民に見ていただける、そういうようなことも考えてみろ、こういうふうに理解をいたしております。  私どもといたしましては、図書室をどうするかとか、機関誌を幅広く読んでいただけるためにはどうするかというようなことをまず考えなけれげいけないと思っておりますが、先生からもお話ございましたように、さらにその後は、そういうインターネットというようなことにつきましても、それは一つの例だと思いますが、検討をしてまいりたい、かように考えております。
  20. 竹内黎一

    竹内(黎)委員 これで質問を終わります。
  21. 和田貞夫

  22. 青山二三

    青山(二)委員 新進党の青山二三でございます。  それでは早速、質問に入らせていただきます。  ただいま議題になっております社会保障研究所は、昭和四十年に設立をされまして、以来三十年以上になるわけでございますが、この間、どのような成果を上げられ、国民福祉の向上にどのように貢献されてきましたのか、まずお伺いをしたいと思います。
  23. 亀田克彦

    亀田政府委員 先生指摘のように、社会保障研究所昭和四十年に設立されたわけでございますけれども、自来、社会保障に関する基礎的かつ総合的な調査研究を行いますとともに、その研究成果機関誌あるいは研究叢書等を通じまして広く公表、発表してきたところでございます。また、加えまして、シンポジウムあるいは基礎講座等も開催をいたしておりまして、あわせまして研究成果の普及に努めてきておるところでございます。  例えば、平成七年度におきましては、「季刊社会保障研究」あるいは「海外社会保障情報」、こういうような機関誌発行いたしましたとともに、研究プロジェクトといたしまして、「企業内福祉社会保障」あるいは「社会保障機能-高齢者中心とした実証分析のためのフレームづくり-」等研究を実施しておるところでございます。  一例でございますけれども、これらの活動を通じまして、社会保障給付負担あり方等につきましての情報や基礎的な検討の素材を行政あるいは国民の皆様に提供してきたもの、こういうふうに理解をいたしております。  また、ちょっと話は変わりますけれども、この間、当社会保障研究所からは多くのすぐれた研究者大学等に輩出、人事交流で出ておりまして、このような人材育成というようなことを通じましても我が国の社会保障研究に三十年間の間に大弐く貢献をしてきたもの、こういうふうに認識をいたしております。
  24. 青山二三

    青山(二)委員 そのように大きく貢献をした社会保障研究所ではございますが、このたび解散ということになりまして、その理由につきましては、先ほど御答弁がございましたので御質問は割愛させていただきますけれども特殊法人整理合理化でやはり一番大切なのは、国民への福祉の質を落とさずに、肥大化する役所の組織や仕事をいかに縮小するか、また、低成長時代に合わせて行財政の仕組みをどう変えていくのかということであります。  こうした意味で、今回の社会保障研究所解散はこのような行政改革趣旨に当てはまるのでしょうか、その整合性について御説明をしていただきたいと思います。
  25. 亀田克彦

    亀田政府委員 少子高齢化が御案内のように進展しております中で、人口世帯構造の変動と社会保障制度あり方は極めて密接な関係にある、そういう状況にございまして、両研究分野連携を一層図り、一体的に研究を進めていく必要性が極めて高まってきておる、そういうふうに認識をいたしてございます。  このため、今回、国立試験研究機関の再構築の中で、試験研究機関全体の定員をふやすことなく国立社会保障人口問題研究所設置する、それによりまして社会保障研究所解散する、そういうことにいたし、提案をしておるところでございます。これによりまして、現在の人口問題研究所研究者定員二十五名でございます。また、社会保障研究所の方の研究者定員は十三名でございます。合わせまして三十八名ということになるわけでございますが、新研究所におきましては、今回の再編成の中で国立公衆衛生院からの研究者の移管四名ございますが、これを含めまして研究者四十五名という形になっておるわけでございます。  先ほど大臣からも申し上げましたけれども特殊法人一つ丸々定員予算とともになくなる、一方、新研究所につきましては、総体の定員を一切ふやすことなく、人口問題あるいは社会保障研究につきましては研究員そのものは増加させる、こういうことでございまして、社会保障研究必要性あるいは人口問題研究必要性行政改革、そういう社会的要請、それが、私どもといたしましては、できるだけの整合性がとられておる、そういうふうに認識をいたしてございます。
  26. 青山二三

    青山(二)委員 今回、社会保障研究所特殊法人から国立研究所に変わることによって従来の機能が引き続き確保されるのかどうか、大変心配する声がございまして、去る二月五日に、大臣の方にも大学教授を初めとする百四十人を超える方々から要望書が出されております。  その主な内容を申し上げますと、まず、新研究所においても、現在と同様に研究の自由が確保され、公正でかつ中立な立場で研究が行われること、新研究所にあっても引き続き学界よりその長を選任すること、学者、研究者中心とする評議会のような委員会研究所組織内に設置すること、従来の国立研究機関の枠組みにとらわれることのない柔軟で斬新な新研究所の整備が行われること、社会保障研究のネットワークの中核としての機能が継続されること、具体的には機関誌研究誌発行が継続されること、新研究所にあっても図書館が一般に開放できるよう整備すること、以上六点ほどまとめて申し上げましたが、おのおの確保される保証はあるのでしょうか、お伺いいたします。
  27. 亀田克彦

    亀田政府委員 ただいま六点の御指摘をいただきました。これらにつきましては、厚生大臣あて要望書もいただいておるところでございます。また、先ほど来出ております一月の制度審答申におきましても、ほぼ趣旨において同一の要望指摘いただいておるところでございます。  総論的に申し上げまして大変恐縮でございますけれども、これらの六点につきましては、それぞれできるだけ、平成八年度予算案においてもそれらが実現できる金額を確保しておるところでございますので、ただいまの御指摘も踏まえまして、そういう予算を執行していくに当たって、この要望により即するためにはどういう工夫ができるのかということをさらに検討し、その結果によりまして努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  28. 青山二三

    青山(二)委員 今回提案されております社会保障研究所解散は、昨年末の行革大綱の中の「特殊法人等改革の推進」を受けて決定されたものでありますが、この特殊法人等改革については、単なる数合わせだ、みずから血を流す決意からほど遠いなど、多くの国民から批判の声が上がっているのが実情でございます。  政府の特殊法人整理合理化計画は、全体で九十二ある特殊法人を十一削減するという内容でありますが、廃止するのはこの社会保障研究所の一件だけということであり、職員数が少ないから廃止候補として挙げられたというきつい意見もあるわけでございます。また、民営化される営団地下鉄は、既に決まっていた時期を前倒ししただけであり、特殊法人の数は減りますが、ほとんどの事業は統合した後も温存され、役員数が若干減る程度の合理化が行われるのでありまして、これでは改革の本筋から全く離れてしまっております。  これに対しまして、新党さきがけは、一昨年、特殊法人の見直しに対する姿勢を党の案として出されましたが、それによりますと、年金福祉事業団を農業者年金基金と統合、社会福祉・医療事業団を合理化、そしてこの社会保障研究所を民間法人化となっております。  そこで、新党さきがけ御出身の大臣として、また、政調会長としておまとめになった立場から、この厚生省特殊法人の見直し案についてはどのような見識をお持ちでしょうか。
  29. 菅直人

    菅国務大臣 今、この場には厚生大臣として立っておりますので、どこまで新党さきがけの提案についてコメントしていいか若干迷うところですが、今おっしゃったように、確かに、九十二の特殊法人改革というものが非常に十分にやれたというふうには残念ながら考えておりません。  しかし、従来から何度かこの問題に歴代内閣が取り組んできた中でいえば、少なくとも、従来のいろいろな例からいえば、それでもかなり踏み込んだ部分があったのではないか。数の問題もありますけれども、数に上がっていない問題の中でもいろいろ大きな、例えば住都公団のあり方とか道路公団のあり方とか、そういった問題もいろいろ踏み込んだ議論がなされ、あるいはディスクロージャーのあり方どもなされておりますので、十分ではなかったけれども、相当程度に努力をし、ある程度の成果は上がったというふうに全体としては申し上げていいのではないかと私は思っております。  そこで、今回の社会保障研究所の問題についてでありますけれども、さきがけの当時の考え方というのは、九十二の特殊法人すべてについて、何らかの改革なりあるいは特殊法人でない形へ変えていこうという基本的な方向に沿って、それぞれについてのいわば案を考えたわけであります。民間法人化というのは、例えば財団法人に変えていくとか、そういうこともあり得るのではないかと考えていたわけですけれども、そうする場合でも出資金による基金とかという問題も生じますし、そういう一つの提案に対して政府としてあるいは厚生省として、今回のような形で、機能は生かしながら、しかし形としての特殊法人はなくしていくという形になったわけであります。  このことは、まさに国がみずから身を削って歳出削減に取り組んでいくという方向には十分沿っている。御承知のように、この特殊法人をなくして新しい研究所国立研究所として統合してつくるわけですが、全体のトータルの定数は、この研究所はふえますが、他の研究所まで含めてトータルの研究所定員はふやさない中でやるわけでありますから、結果的には、特殊法人一つ廃止し、全体としては二十三人の定員が削減されて、歳出面でも三億円の削減効果を持つものでありまして、そういった点では、みずから身を削って歳出削減に取り組んでいく一つの事例としては評価していただけるのではないか、このように考えております。
  30. 青山二三

    青山(二)委員 いずれにいたしましても、この特殊法人の見直しについては、影響の小さい法人の統合など、数合わせで終わらせてはいけないと思っております。  厚生省所管の特殊法人は現在六法人、この法律が成立いたしますと五つとなるわけでございますが、今回の整理合理化に当たっては、各特殊法人の事業内容まできちんと踏み込んだ議論が行われたのでしょうか。もしそうであれば、数合わせなどという批判は出てこないはずであります。  また、その中には民営化しても十分やっていけるものもあるのではないでしょうか。すぐに民営化することが難しいのであれば、改革の第一歩として、経営の情報公開を進めていくべきであると考えます。国民に経営内容がわかりやすく示されれば、改革を求める声もさらに高まってまいります。この点はぜひ大臣主導のもと厚生省が率先して行っていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか、もう一度御答弁をお願いします。
  31. 菅直人

    菅国務大臣 特殊法人の財務内容などの公開につきましては、平成七年十二月十九日の閣議決定において、「特殊法人のディスクロージャーについて」という決定をいただいております。これに基づきまして、財務諸表等の公開を積極的に実施するとともに、それぞれの特殊法人の根拠法に公開規定を盛り込むようにしようということとされております。  厚生省といたしましても、今年度から、所管の特殊法人について財務諸表等の概要を官報に公表することとしておりますとともに、今国会に改正法案を提出している社会福祉・医療事業団については、財務諸表の公開規定を盛り込んでいるところであります。  今後とも閣議決定に沿いまして特殊法人の財務諸表等の公開に努めてまいりたい、このように考えております。
  32. 青山二三

    青山(二)委員 しっかりやっていただきたいと思います。  次に、特殊法人ばかりではなくて、社団法人あるいは財団法人などの公益法人の見直しも必要であると思います。  過日の四月十日の本委員会で、厚生省所管の公益法人であります日本医療食協会のやみ協定問題で、大臣は、協会の組織についても抜本的に再編する方針を明かされるとともに、所管の公益法人の内容については適宜調べていかなければならない、このように御答弁をされております。  行政改革の本来の目的は、新しい時代に対応したスリムな行政を実現することであります。行政改革の推進という内閣としての大きな課題を前に、今回、特殊法人が、まだまだ不十分ではありますが、見直しが始まりました。  そこで、行政改革を大きく前進させるためにも、所管の公益法人についても大臣は適宜調べていくとおっしゃったわけでございますので、具体的に調査方針を立てて早急に見直しに取り組むべきである、このように考えますが、公益法人の改革につきまして大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  33. 菅直人

    菅国務大臣 独禁法の関連の問題につきましてはさきの委員会で申し上げましたので、今の御質問厚生省関係する公益法人全体についてだと思いますので、そのことについてお答えをさせていただきます。  公益法人は、その設立趣旨目的にかんがみれば、公益事業の一層の推進に努めるべきであって、独占禁止法の規定に抵触する行為を行うことは公益法人にあるまじき行為であることは当然のことであります。  御指摘の問題につきましては、せんだっても申し上げましたように、日本医療食協会が公正取引委員会の排除勧告を受けた後、直ちに、担当局から協会理事長に対して、理事長等の退任、役員構成の見直し等公益法人としての運営の適正化、公益事業の一層の推進、さらに、医療用食品制度の廃止に伴う組織の見直しなどを指導したところであります。  また、本件を踏まえまして、他の医療関連サービスに関する業務を行う公益法人に対しても、独占禁止法に抵触するような行為を行うことがないように指導したところであります。また、その他厚生省所管の公益法人に対しても、公正取引委員会からの要請趣旨を踏まえて、認証などを行う法人を中心に、その趣旨を通知をいたしまして指導を行ったところであります。さらに、今後、このような事案が生じることのないように、これら以外の法人に対しても広く通知を行い、指導する方向で作業を行っております。  今後とも、それぞれの公益法人について、事業内容の把握に努め、適切な指導監督を行ってまいりたいと考えております。
  34. 青山二三

    青山(二)委員 それでは、残り時間も少なくなっておりますので、最後に、厚生省としてこれから行政改革をどう進めていくおつもりなのか、改めて具体的なビジョンとスケジュールを示していただきたい。大臣の御所見をお伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  35. 菅直人

    菅国務大臣 行政改革は、青山委員もおっしゃるとおり、今内閣の最重要課題一つでもありまして、厚生省としても、規制緩和や地方分権の推進などに積極的に取り組んでいるところであります。今後とも、規制緩和につきましては、この三月に改定された規制緩和推進計画に沿って着実に実施していくとともに、地方分権についても、地方分権推進委員会における議論等を踏まえながら積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  なお、こうした問題を超えて、福祉あり方全体に関しましても、医療制度あるいはこれから議論をしなければならない公的介護制度などの議論の中で、やはり高齢化社会を今の制度のままで抑えた場合にやっていけるのかという問題が問われておりますので、そういう中では、福祉構造全体をより効率的といいましょうか、効果的な形に変えていって、国民負担が余り大きくならなくても十分高齢化社会に備えられるような、そうした改革検討していかなければならない、このように考えております。
  36. 青山二三

    青山(二)委員 大臣より大変前向きな御答弁をるるお伺いいたしました。本当にありがとうございます。よろしくお願いいたします。
  37. 和田貞夫

    和田委員長 北村直人君。
  38. 北村直人

    ○北村委員 ただいま議題となっております社会保障研究所廃止に対しましては、青山議員からも今質問があったとおり、特殊法人から国立研究所に変わることによって研究の自由と独立性がどういうふうに確保されるのか、あるいは学問的研究に至っては批判的な検討も発表できるような、そういった立場がやはり確保されていかなければならない、このように思います。そういうところをきちっと踏まえた上でやっていただきたいということを冒頭まず申し上げます。  そして今回も、この廃止をし、国立研究所に変わることは行政改革の一環として行ってきたわけでありますけれども、特に国民の生命に関係することあるいは国民の危機に関すること、こういうことは行政改革の中でもスタッフあるいは制度等々を逆に強化していくべきである、私はこのように思います。  そういった中で、きのうも新聞に出ておりましたが、アメリカの疾病対策センター、CDCでは、フィリピンからアメリカに輸入された猿からエボラ出血熱のウイルスが発見された、こういう発表がございます。先般も私は、そういう面で日本の危機管理、特に検疫について質問をしたわけでございますけれども大臣も御承知のとおり、バイオセーフティーレベル四に属するウイルスを検査する国立の予防衛生研究所の施設が国内では凍結をされておりますね。しかし、国際的な立場から日本の立場を見たときに、すべてをアメリカのCDCに頼っていいのかどうか、私はこういう疑念を持っております。  地域住民の反対があるのなら強力に説得をする、あるいは移転をする、あるいは、十五年前に建っているわけでありますので、十五年たちますとそのP4の施設がかなり古いものになっているのではないか、そうしますと新築をしていく、そして、日本の生命、特に水際で防がなければならない検疫、さらにウイルス性の出血熱、こういったウイルスに対する日本の危機管理というものをきちっとやっていかなければならない、このように思います。  そこで、大臣に、日本の検疫、防疫に対する危機管理、そしてさらに、今凍結をされております国立予防衛生研究所のP4の施設を移転するなり新築するなりあるいは凍結を解除するなり、こういった所見を持っておられるかどうか、それをまずお聞きしたいと思います。
  39. 菅直人

    菅国務大臣 今、北村委員の方から、エボラ熱の報道についてもおっしゃって、私もその報道を見まして、さきのといいましょうか、今並行して議論されております狂牛病など、本当にいろいろな、従来日本では見られなかった、場合によっては感染性の病気が外国からやってくる危険性がある、そういう点について、私も同様に、強くこの問題を警戒しなければいけないと思っております。  国際化の進展に伴いまして、ラッサ熱やエボラ出血熱など外国から危険な伝染病が入ってくるおそれがありますので、このような危険な伝染病の病原体を検査し、ワクチンなどの予防・治療方法の開発を行って、これら伝染病から国民の健康を守ることが国としての重要な役割だと認識をいたしております。  このために、P4レベルの危険な病原体を安全に取り扱うことのできる実験室を確保することが必要であると考えております。現在、つくばに理化研がP4の施設を一つ持っていると聞いておりますが、厚生省においては、昭和五十六年三月に国立予防衛生研究所の村山分室に高度安全実験室を整備したところでありまして、これは北村委員が今おっしゃったとおりであります。  この実験室につきましては、WHOの査察も受けまして、その安全性は十分に確保されているものと考えておりますけれども、地元住民の方々からの要望つまりは、これを使わないでほしいという要望もあるために、現在までP4レベルの実験は行っていないのがこれまでの状況であります。  厚生省としては、この実験室が本来の目的や役割を果たすことができるようにするにはどうすればいいのか。今、北村委員の方から、できて十五年たっているのだから地元の方々の理解を得てそのまま使うのか、あるいは新しいものにつくりかえるのか、さらには場所も含めて移転をするのか、いろいろな可能性についてお触れをいただきましたけれども、私も、今後のことを考えますと、やはり日本国内でP4レベルの実験が行えるという体制は用意する必要があると思いますので、北村委員の今おっしゃったいろいろな可能性を含めて検討していきたい、このように考えております。
  40. 北村直人

    ○北村委員 レベル四のウイルスが日本にも入ってくる、世界じゅうにある病気は日本にも入ってくる、日本でもそれが発症する、こういうことを考えたときに、やはりその対策というものはしっかりとっておかなければならないと思います。  たまたま、先般もお話ししたとおり、「アウトブレイク」という映画の中でレベル四の施設の問題が出てくる。あの宇宙服のような装備をしなければ、このウイルスの検出等々はできないわけであります。そうすると、それに伴う施設というものがどうしても必要である。  特に日本では、一九八三年の三月には、アフリカから帰国した男性がラッサ熱の疑いで隔離されたことがございます。しかし、すぐ回復をしたということでありますが、それでも、感染を示す抗体が見つかったということで当時は大変大きな問題を起こしました。あるいは一九九四年の十月には、ザイールで猿にひっかかれた男性が帰国して、エボラと同じ症状で死亡した。関係者に非常に緊張感が走りましたですね。しかし、それは悪性のマラリアという判明がされて安心をしたわけであります。  私は、先ほど大臣もおっしゃったとおり、ウイルス性の出血熱、ラッサ熱、エボラ出血熱、マールブルク病、クリミア・コンゴ出血熱、こういったウイルス性のVHFという病気については、やはり我が国の中で対応できるそういった施設をぜひつくっていかなければならないし、整備をしていかなければならない、このように思います。大臣が、いろいろな観点から検討する、こうおっしゃっておりましたので、ぜひ、十五年たった施設でありますので、相当十五年の間で技術的に向上していると思いますので、そういうことも踏まえて、そして非常に住民の方々の反対があるのであれば、それを説得しつつ、安全な場所にこれらの施設をきちっとつくっていただきますよう、重ねてお願いを申し上げる次第でございます。  さて、同じことでありますけれども、私は、ウイルス性の出血熱、これは空港ばかりではなくて、これからのことを考えたときに、例えば密航者あるいは難民の方々を介して日本に入ってくるというようなことも十二分に実は考えられるわけでありますけれども、それじゃ今後の日本の検疫の危機管理はどうすべきであるのか、このことに  ついてぜひお聞きをしたいと思います。
  41. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 お答えいたします。  検疫所における危機管理につきましては、検疫伝染病を対象にいたしておりますけれども、この検疫伝染病の病原体に汚染した船舶だとか飛行機の発見時における対応といたしましては、汚染船舶等発見時の措置要領というものがつくってありまして、これによって対応をいたしておりますし、それから、先ほど先生お話もあったラッサ熱等のこともありまして、訓練もちゃんと行っておるところでございます。  それから、成田空港の検疫所並びに関西空港の検疫所には、患者輸送用のアイソレーターといって、患者さんだけ入れて、エア、酸素をちゃんと送り込んで、運ぶ人に危険がないようにというような設備いたしましたのを備えまして、体制をとっておるところでございます。  それで、先生がおっしゃられましたように、あと、ラッサ熱とかそういうウイルス性出血熱を今度は検疫伝染病にするかどうかということが一つの今後の課題でありまして、その辺については今後十分に考えていって、それで検疫伝染病に認定して、そしてそれに対してまた対応することを考えていくということが今後の道筋かと思っております。
  42. 北村直人

    ○北村委員 検疫官の方々の安全性も含めて、今後の検疫の緊急対応について十分な検討と、そしてそれに伴う施設の整備あるいは人員、スタッフの整備をお願いしたい、このように思います。  今、局長から御答弁がありましたけれども、我が国においては検疫伝染病あるいは法定伝染病、指定伝染病、準検疫伝染病、そしてウイルス性の出血熱などがあるわけでありますが、それらの伝染病に関する診断あるいは検査を含めた専門家の人方のリストというものが果たしてきちっと整備されているのかな。  というのは、ラッサ熱を基本的に見て、そのウイルスを検出された方というのは日本では多分一人しかいないのではないかと思うのですね。その方がもしいなくなったら、これはわからないわけですね。CDCに聞けばわかりますけれども、一カ月以上かかってしまう。ですから、特に伝染性のある病気等々についての診断の方法、検査の方法を含めて、こういう人はこのことが専門であるということを、しっかりしたリストをつくるべきではないだろうか、このように思います。  それから、検査方法についても、今の情報を集めているのはほとんど個人的なレベル、そういう研究者、専門家の人方が個人的なレベルで文献の収集等々を行っているというのが現状ではないのかな、私はこう思います。例えば予研のそれぞれの先生方も、それぞれ個人的なレベルでいろいろなことを集められている。私は、もっともっと情報の収集等々を、やはり予算もつけて情報の収集を一括する。  例えばアメリカのCDCですと、世界各国にスタッフが配置されていますね。そして、もう瞬時にわたってその情報がCDCに入ってくる。日本の場合は、そこまではいかないにしても、世界のCDCにしてもWHOにしてもそういう措置はとられておると思いますけれども、もっともっとこの情報をしっかり集める、あるいは専門家のリストをしっかりつくっておくということが今後の危機管理に対する大きな力になると私は思いますけれども、もしこの私のあれがちょっと間違っていて、いや、実は情報はしっかり集まっていますよ、あるいはリストがありますよというのであれば、それはそれでお答えをいただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  43. 松村明仁

    ○松村政府委員 感染症の対策として、情報を収集するということは最も大事なことだと思っております。  それで、感染症と一口に申しましても、非常にいろいろの種類がございます。今委員指摘のような伝染病、あるいはその伝染病の中でも法定伝染病あるいは届け出伝染病、こういったものは、古くから、情報は届け出るということで情報の管理というか収集が法的にも図られるようになっておるわけでございますが、そのほか、いろいろ専門家、すなわち医療機関の御協力等もいただきまして、幾つかというか、相当多数の流行性の疾患についてはサーベイランスという事業を行っておるところでございます。  しかし、一応そういうことで、よくわかっている疾患につきましてはサーベイランスを十分にしておる、こういう状況でございますが、今委員指摘の非常に珍しい外来性の疾患、こういったものに対するサーベイランスあるいは診断方法それから検査方法、こういったものも一応検討はしておりますけれども、どこでもそれができるかということになるとなかなか難しい面があります。今後の問題だと思っております。  また、専門家のリストというお話もございましたが、一応私どもも専門家の情報というのは確保しているつもりでございますが、そういうリストが、いつも新しいリストが準備されているかということはなかなか難しいと思います。今後の問題として、そういう専門家のリスト、こういったものについても配慮をしてまいりたいと思っております。
  44. 北村直人

    ○北村委員 例えば、コレラ等々については相当な予防体制もとっておられると思います。しかし、先般インドで起きましたベンガル型のコレラ菌によるコレラの発生等々、このベンガル型の検出に当たっては、日本の研究者が大変な御努力をいただいてこれを検出したというのがございます。しかし、本来は毒性を持っていない、コレラの毒性を持っていないと言われていた部類のものが、ある日突然毒性を持つというふうな変化をしてくるわけであります。  特にコレラも、一九九〇年までは、世界で報告されている患者数というのは大体年間五万人前後であります。しかし、一九九一年からそれがいきなり五十一万六千人ぐらいまで膨れ上がる、あるいは一九九二年には四十六万人だ、こういうように世界的にはコレラというのは物すごく患者数が多くなってきております。  日本でもつい、一九九五年、昨年ですか、バリ島を旅行された方がということで、この報道が若干過激過ぎて外交問題になったのがありますけれども、WHOが確認しておりますO-一三九型、このベンガル菌、これは日本でも十二例報告されている。あるいは、流行の報告のない中国への旅行者から一九九四年には成田で分離されている。  こうなりますと、このO-一三九型というのはコレラ患者として日本では扱われない、こういう状況であります。ですから、やはりこういったそれぞれのその時期においてきちっとした対応をしていかないと、私は、日本の危機管理というものが成っていかないのではないかな、こう思います。ぜひ、検疫体制、その危機管理についてなお一層の御努力をお願い申し上げます。  最後に、重ねて大臣にお願いを申し上げます。  先般も、猿等のペット用の動物の輸入を禁止してほしい、こういうお話をいたしました。先ほど冒頭にお話ししたとおり、猿からエボラ出血熱、それもフィリピン、日本から近いところであります。そうなると、私は、やはりペットとして扱われてしまう猿は輸入を禁止すべきである、こう思いますので、ぜひその方向に向けて御努力をいただきますよう重ねてお願いを申し上げまして、私の質問を終わらさせていただきます。
  45. 和田貞夫

    和田委員長 赤松正雄君。
  46. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 ただいま議題になっております社会保障研究所解散に関する法律案に入ります前に、少し、全般的な厚生行政についてのことに関しまして、大臣並びに事務当局の考え方を聞かせていただきたいと思います。  今回の国会は住専国会ということで、住宅金融専門会社に関する議論、大変に大きな話題を呼んでいるわけですけれども、同時に、この厚生委員会の場におきましての薬害エイズに関する問題、私たちが地元に帰りまして多くの有権者の皆さんとお話しするにつけまして、やはりこうした二つのテーマが大変な話題になります。  その中で、一般国民の皆さんの共通した疑問点というか、憤りであろうと思うのですけれども、政治家、官僚、そして財界といいますか企業、業界、こういったいわゆる政官財の癒着、この問題が象徴的に出ているテーマとしての住専であり、薬害エイズの問題であろう、こういうふうなことを国民の皆さんとの対話の中から強く感じる次第でございます。  おまけに、それに中立てあらねばならない学問の分野がかかわっている、あるいはまた、少しテーマは違いますけれども、例えばTBSの問題等につきましては、批判すべきマスコミも極めて堕落をしている、こういったふうなことが今集中的に出てきている。  そういう中で、最もわかりやすいといいますか、国民の側から見て非常に不可解なテーマというか、至ってわかりやすい、不信感を助長させているのが、薬害エイズに関する厚生省の資料の提出のあり方という問題があると思います。  先般は事務次官が、いわゆるHIVの資料については月末にすべてを公表したいということをおっしゃっているようで、もう既に全部が終わったのかというふうに思っていた多くの人々にとっては、まだたくさんの資料があるのだというふうなことを改めて知らされて、あきれ果てているというふうな実態があります。  一方、先ほども委員の方から質問の中で出ましたけれども、医療用食品の販売をめぐりまして公正取引委員会から独占禁止法違反で排除勧告を受けた厚生省所管の財団法人日本医療食協会の理事長の異常なまでの高額の報酬といったふうな問題。この天下りの問題も、古くて新しいといいますか、私たち、政治に関心を持った時代からずっとこの日本の国会で天下りの弊害という問題はさまざまな角度から取り上げてこられているテーマではございますけれども、今申し上げたような、まさに現役からOBに至るまで広範囲な厚生官僚のモラルの荒廃というか、こういったことを指摘せざるを得ない点があります。  まず、この点につきまして、原因はどこにあって、これからどういうふうに改善をされようとしていくのか、このあたりにつきましてお考えを聞かせていただきたい。
  47. 菅直人

    菅国務大臣 厚生行政の推進に当たりましては、当然のことですが、国民の側に立って、国民の生命や健康を守るということが最重要な視点であると考えております。このため、薬事法を初めとして各種の規制を実施する場合に、厚生省の責任と権限を果たす上で、外部の、例えば製薬企業などの不当な影響を受けるべきでないということは言うまでもないことであります。  今回のいろいろな問題の中で、製薬企業などと厚生省が癒着をしているというような疑問を国民の皆さんに抱かせるという場面があったとすれば、あるいはあるとすれば、情報公開の推進等業務行政の透明化を進めることなど、こういうことの疑問がない、疑問を持たれないで済むような形に改革をしなければならないというふうに考えております。  また、このような医薬品による健康被害を二度と起こさないよう、今幾つかの場を設けて議論をお願いしようとしております。一つは、外部の有識者によります厚生科学会議の開催をお願いいたしておりますし、同時並行的に、省内に再発防止対策に関するプロジェクトチームを設けて検討をスタートさせたいと準備を今進めているところです。  今、赤松委員の方から、いろいろと、真相究明の問題、天下りの問題、おっしゃいましたけれども、確かに多くの問題がこの問題には関連をいたしておりまして、厚生省としても、今申し上げたようないろいろな場を通して議論をし、改革案を考えていきたいというふうに思っておりますけれども、やはり、ある意味では厚生省という単独の官庁を超えた、例えば天下りなどについては、どうすればそうしないでも済む制度があり得るのか、こういった面も含め、ぜひいろいろな御議論をいただければと思っているところであります。
  48. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 今、大臣は総論としての考え方を述べられたわけですが、厚生省と製薬企業との間のいわゆる国民から指弾を受けるようなことがあったとすればとおっしゃっていましたけれども、ある。大臣のお立場としてはそういう言い方しかできないのかもしれませんけれども、私は、そういうふうな、仮にあったとすればという認識では弱いというふうに思います。  今の総論のお話はそれで結構なんですが、先ほど私自身が全体的に大ざっぱな言い方をしましたのでお答えの中に各論めいたことが出てこなかったので、一点だけ率直な御感想をお聞きしたいのです。  私のような国会議員になって初めて厚生委員会に所属をした人間が、数回にわたってこの場で同僚の委員の皆さんと大臣のやりとりを聞かせていただいた。そういう中で、私は、先ほども言いましたけれども、薬害エイズの問題についての資料の提出のされ方のありようというこの点について、世の中全般に言われています菅厚生大臣のお振る舞いといいますか、厚生大臣としてのこの数カ月の対応の仕方を評価される向きが大変に多いわけです。  私もその評価をするにやぶさかではありませんが、例えば、先般、既に三度にわたって資料を公表してきたその時点で、私なんか単純に考えて、菅厚生大臣のお力で全部が出たのだ、こういうふうに思っておりましたけれども、その後にまだいっぱいある。こういう事態を、率直に、菅厚生大臣はどういうふうに国民の皆さんに説明をされるのでしょうか。
  49. 菅直人

    菅国務大臣 私も、最初に一月二士二日にプロジェクトをつくって、一カ月ぐらいをめどにということで調査を始めて、二月九日に報告を受け、それを順次公開をしてきた。その段階では、それまでのいろいろな経緯はありましたけれども、一応その調査プロジェクトが機能し始めて、いろいろ見つからなかったものを含めて、ある程度開示ができてきたというふうに率直に言って思っておりました。  しかし、四月一日になりまして、さらに実はいろいろな資料があったのだという報告を受けたときは、私自身も、一体どうしてこういうことになるのかなと、かなり細かく項目を出して指示をしておりましたから、一般的に言えば、間違うとかということはなかなかないように指示をしたつもりだったものですから、余計にそういうことを感じました。  ただ、若干の状況を申し上げると、同じ部門で、例えば薬害エイズの和解の問題ですとかいろいろな課題を抱えて確かにかなりハードな状況にありましたし、いろいろな資料の量もある意味では膨大でありましたので、私なんかは、もうそのまま、極端に言えば出してから考えればいいじゃないかぐらいのことを個人的には思うのですけれども、やはり役所のルールとしては、出す以上は、それに対してすべて、どういうものであるかということをきちんと確認をしてから、必要であれば説明できるところまで確認してからということで、準備ができなかったり、あるいは十分な精査ができなかったという面も部分的にはあったかとは思います。  今現在、この間の経緯を含めて、もう一度経緯そのものも精査をいたしておりますし、また、関連した問題についても、このエイズの問題というのは今日までずっと継続的にいろいろな行政が携わっておりますので、そういう中でも当時の問題に関連する問題があるならそれも含めて、もう一度よく見直すようにということで指示を出しておりまして、そういったもろもろの問題を含めて、今月の間には、すべてというのを完璧に言えるかどうかわかりませんが、もう一度、その新たな視点に立って全部を見直した上で、その段階でできる範囲のものは開示をしたい、このように基本的に考えております。
  50. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 ぜひともそういった姿勢で対応していただきたい、強くお願いしておきます。  社会保障研究所廃止ということにつきましては、先ほど来、竹内委員そして青山委員、細かくお話がございました。私の方からは、一点だけ確認をさせていただきたいのですが、先ほど厚生大臣の方から、全体として削減になる、予算において約三億円というふうなお話がありました。  ちょっと私自身が理解力が弱くてきちっと掌握できていないのですが、この人口問題研究社会保障研究とを一緒に合体さすことによって、従来の社会保障研究所には職員の方それから研究者の方が何人いらっしゃって、何人減って、そして、新しい国立社会保障研究人口問題研究両方合体した機関が、全体で四十五人と先ほどお聞きしましたが、それが現状と比べてどれぐらい多くなるのか、この辺、確認の意味でもう一遍お聞かせいただきたい。
  51. 亀田克彦

    亀田政府委員 先ほど四十五人ということを申し上げましたけれども、これは新研究所定員全体ではございませんで、そのうちの研究者の数を申し上げたわけでございます。それ以外に、管理部門と申しますか、いわゆる事務屋さんがおるわけでございます。御理解を賜りたいと思います。  それで、全体の数でございますが、現在と申しますか解散前でございますが、特殊法人社会保障研究所定員は二十三名でございます。一方、人口問題研究所定員は三十四人でございます。今度新しく考えております研究所は五十四人、先ほどの研究者四十五人を含めまして五十四人でございます。  ただ、この五十四人というのは、厚生省試験研究機関、七機関ございますが、この新研究所発足前の段階で九百三十三人、人口問題研究所の三十四人を含めまして九百三十三人でございます。新しい研究所は、申し上げましたように五十四人になるわけでございますが、それはこの九百三十三人の内数でございまして、九百三十三人は変わらない。  一方、特殊法人はなくなるわけでございますから、二十三人は丸々ゼロになる、それから、特殊法人と七つの国立試験研究機関、その定員を単純に合わせて比較してみますと二十三人丸々なくなる、こういうことでございます。
  52. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 それから、先ほど出しましたけれども、また、青山委員質問の中にも出てまいりましたけれども厚生省所管の公益法人ということですが、所管というのはどういうふうなかかわり方をするのか、所管についての定義といいますか考え方と、それから、厚生省所管の財団法人とかを初めとする公益法人というのは幾つあるのか、まずこれについて聞かせてください。
  53. 亀田克彦

    亀田政府委員 突然のお尋ねでございますが、民法法人につきましては、申すまでもなく民法が根拠規定でございます。これに基づきまして、各省もそうだと思いますが、厚生省も、民法に基づいて具体的にどう処理するか、そういう規定を持ってございます。民法それからそういう下部の規定、そういうものをあわせまして、法人をつくりたい、こういう話がございましたらば、それぞれの省で民法に基づく認可をするわけでございます。厚生省が認可をいたしました法人、それが厚生省の所管の民法法人、先生質問とちょっとすれ違っているのかもしれませんが、そういうふうに理解をいたしております。
  54. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 数についてはまた後で。もういいです、答えなくても。  社会保障研究所廃止ということを通じて私が思いますことは、日本の社会保障、菅厚生大臣がしばしば、さまざまな場におきまして、先ほどもおっしゃっておりましたけれども福祉の構造転換というか福祉の構造改革というお言葉を使って答弁をされたりしております。ある意味で、日本の社会保障のありようというものが大きな転機を迎えている。私もそうだろうと思います。そういうときに、社会保障研究所廃止されるというか、拡大的に発展的に解消されるわけですけれども、そういうときにこの福祉の構造改革、厚生大臣はせんだっての予算委員会の分科会の質疑の中で、サービスを受ける立場の人とサービスを供給する仕組みとを、単に従来の発想ではない形で仕組みを変えながらより望ましいものにするにはどうしたらいいのかということを今厚生省内外で議論しているのだというふうな、そういう答え方をなさっておりました。  そこで、おっしゃるところの従来の発想というものとそれから福祉の構造改革、この二点につきまして、現時点で考えておられることを聞かせていただきたいと思います。
  55. 菅直人

    菅国務大臣 今、赤松委員御自身もおっしゃいましたように、高齢化の進展ということは大変大きな社会の変化でありまして、一般的に言えば社会保障に係る費用が増加をしていく、この傾向は避けられないものと考えております。しかし他方、経済は低成長時代に入っておりまして、経済の活力を損なわないで、しかも国民の皆さんに余り過大な負担を課すことがないような形で高齢化社会に備えていくにはどうする必要があるのか、これはまさに共通の課題だと思っております。  そういう意味で、私が予算委員会の分科会で申し上げた意味と同じかどうかはちょっとあれですけれども、従来ある医療制度、福祉制度、年金制度というそれぞれの制度をそのままの形で高齢化に従ってだんだんと大きくしていくというか、それに合わせていくということだけではなかなか難しいのではないか。つまりは、負担が次の世代の皆さんに過大になり過ぎるのではないだろうか。  そう考えますと、社会保障制度全体を視野に入れまして、例えば、元気のいいお年寄りにとっては年金が一番重要だし、病気にかかっておられるお年寄りにとっては医療が一番重要だし、あるいは介護の必要なお年寄りにとっては介護サービスが一番重要だ。必ずしもそれら全部が常に必要というのではなくて、そのときの状況に合わせて、必要性が高いもの、あるいは必要性が低いものがあるわけでありますので、それらの相互の連携確保することによってより効果的なサービスが提供されるような、そういう福祉の仕組みというものがあるのではないだろうか。こういうことをイメージしながら、福祉の構造改革という表現を使って、それを求めていきたいという意味で申し上げているところであります。
  56. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 私どもも、今大臣がおっしゃったようなことを含めて、日本のこれからの福祉のありようというものを盛大に議論していかなければいけない、そんなふうに考えています。ぜひともいろいろな場で議論をしたいと思います。  また、今のことに関係しまして、大臣は、やはり同じような場におきまして、自分はHIVの問題と公的介護保険の問題に、在任中どこまで進められるかどうかは別にして、全力を挙げてこの二つのテーマに積極的に取り組みたいというふうな決意を述べておられる箇所を読ませていただきました。そのこと自体、姿勢として大変大事なことだと思いますけれども、さらに広範囲な問題に取り組む意欲をぜひとも持っていただきたいと思います。  そして、差し当たって緊急を要するテーマとしまして、私は、阪神・淡路の震災の被害者たちの現状というものがあると思います。この阪神・淡路の被害者の現状というものについては、日に日に関心が薄れてきているのではないかということを強く憂えるわけでございますけれども、今、兵庫県あるいは一部大阪とか、一つの限定された日本の地域に際立って社会保障を要する人々が存在をしているというこの事実に対して、ぜひとも厚生省、強く敏感な意識を持っていただきたい、こんなふうに思います。  政府全体として、部署は分かれているということで、私たちが地元の要望を受けてさまざまなことを申し上げても、それはどこどこの省庁だというような感じでなかなかまともに受けてもらえないという部分があるように思います。  きょうは、一点だけお聞きしたいのは、一年たって、地元の医師会あるいは地元のジャーナリストを初めとするいわゆる学者、知識人でもって政府に対して、要するに、被災者への個人補償という問題についていわば入り口でカットされているという状態というものが今あるわけです。自助努力による自力救済が原則だということで、予算委員会等でも、さまざまな場面で政府の公式な答弁というのはよく承知をいたしておりますけれども、この問題について、個人補償があって初めて自助努力へのスタートができるのだという、地元のそういう姿勢というものを前向きにというよりも積極的に検討する場を、ぜひとも厚生省、菅厚生大臣なんかは意欲を持って考えていただきたい。大きな市民運動にこれから発展する、こういうふうにも私は強く思っております。そのことが一点。  それから、今まで非常に際立って厚生省マターということで厚生省が盛んに答えてくださっておりますけれども、瓦れきの処理という問題について、何らかの、より国の負担厚生省マターとしての負担をしていきたいという前向きの答弁、例えば、四月一日に土肥委員質問に対して検討中であるというふうなことを大臣はお答えになっておりますけれども、その後、どういうふうに検討されて、どういうふうに進んでいるかという二点につきましてお伺いして、終わります。
  57. 菅直人

    菅国務大臣 私が大臣に就任したときに、特に薬害エイズと公的介護ということを確かに申し上げましたが、就任した直後の一月の十六日、十七日に、私も阪神、神戸、兵庫に出かけまして、ある意味では最初の仕事が、そういった仮設住宅やいろいろな復旧状況の視察を行ったということをちょっと申し上げさせていただいておきます。  この個人補償の問題、私も気持ちとしてはそういう要望が出されるのは本当によくわかるような気がいたします。他の災害では、被災者に対して義援金などがかなり集まった関係でかなりのそういう形でのフォローができたわけですが、今回は被害者が非常に大きいために、かなりのそういうものが集まってもなかなか十分な手当てに達していないという問題もあろうかと思っております。しかし、そういう気持ちはわかるのですが、政府としての見解は私の個人的思いというものだけではなかなか動かせないということも御理解をいただきたいと思っております。  政府としては、自然災害によって個人が被害を受けた場合は、自助努力による回復を原則として、災害救助法による救助や各種融資措置等による被災者支援などの現行制度の運用により、幅広く、きめ細かく被災者の生活再建を支援しているところであります。  厚生省としても、このような考え方に立ちまして、住居や家財の被害について、災害弔慰金の支給等に関する法律に基づく災害援護貸付金、生活福祉資金貸付制度など、長期かつ低利の融資制度を活用することといたしましたが、特に被害の甚大さにかんがみ、償還に係る据置期間の延長など特例措置を講じているところです。また、災害による死亡や重度の障害といった痛ましい人的被害に遭われた方々に対しては、災害弔慰金または災害障害見舞金を支給したところであります。  今後とも、被災地において援助を必要とする方々に対してきる限りの支援をしてまいりたい、このように考えております。  また、今いろいろと地震保険のようないろいろな考え方の議論もされていることを聞いておりまして、これは厚生省が必ずしも直接担当する分野ではありませんけれども、いろいろな努力がこれからも必要ではないかと思っております。  また、瓦れきの処理につきましては、従来から申し上げておりますように、原則的には、法律の建前からいえば、自治体に仮設住宅そのものの所有権が移っておりますので、その処理も自治体にお願いをするという形になっておりますが、今回は膨大な数でありますので、そういった段階では十分自治体と協議をして何らかの対応をしてまいりたい。  まだ現在のところ、仮設住宅の撤去はごく一部において行われているというふうに承知しておりまして、そこにつきましては、どういう処理をするのか、県さらには市の兼ね合いがありまして、今回の撤去は市が、撤去をするという判断は市がたしか中心になってされていると思いますので、その費用の問題はまだ決まっていないというふうに承知しております。  ですから、これからそういう具体的な事例を含めて、十分それぞれの自治体と相談しながら、今後の一般的な原則をどうするかを含めて検討していきたい、こう思っております。
  58. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 終わります。
  59. 和田貞夫

    和田委員長 山本孝史君。
  60. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 新進党の山本孝史でございます。  私は、実は日本社会学会の末席を汚させていただいていることもありまして、今回のこの法案社会保障研究所廃止という問題について、一抹の不安どころか、大変に大きな不安を持っております。  この社会保障研究所社会保障の総合的な研究所でございまして、その業績は高く評価されている、このことは大臣もよく御存じのとおりであろうと思います。日本の研究水準を内外に示す研究所でもございまして、その意味で、今後ともに公正でかつ中立な立場で自由に社会保障について研究する機関でなければならない、そんなふうに考えております。  そこで、先ほども答弁ございましたが、学識経験者の広い範囲から所長を選ぶというふうに御答弁をいただいておりますけれども、官僚のOBというのも実は学識経験者でございまして、そういう意味では、人口研の所長が歴代、中の内部昇進で元厚生技官が所長をなさっておられる、そのことを否定しているわけではありませんけれども、新しい所長はぜひ学界から、社会保障あるいは人口問題の研究に精通した者が選ばれるべきであるというふうに思います。  すなわち、厚生省という一つの省の利益を外れて、離れたところから社会保障あるいは人口問題の双方の問題に目配りできる学者がこの所長になるのが私は望ましいと思うし、そうであるべきだというふうに思うのですが、もう一度大臣の明快な御答弁をお願いいたしたいと思います。
  61. 菅直人

    菅国務大臣 制度的には、所長については大臣が選ぶというか、そういう仕組みになっているというふうに承知をしておりますが、その選び方として、特に社会保障制度審議会の方から今回の問題で答申の中に言われております趣旨は、今山本委員おっしゃったように、いわゆる役所の中からの人あるいはOBということではなくて外から、特に学者を中心にしたそういう方から選ぶべきだという趣旨だと思っておりますので、そういう答申趣旨を踏まえて、先ほど申し上げたように、学識経験者から広くと申し上げたところであります。
  62. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 今後とも、必ずその方向を守って選んでいただきたいというふうに思います。  もう一点、公正でかつ自由な立場でという点に関してですけれども、この制度審答申の中で公式な評議員会設置を求めております。厚生省所管の国立研究所には、評議員会は現在設置はされておりません。しかし、従来から、この社会保障研究所には学識経験者四名で構成される役員会というのがありまして、これがアドバイザリー機関として大変に大きな機能を果たしております。  そういう意味でも、今後ともに新しい研究所が公正でかつ中立な立場で自由に研究する機関であるためにも、政令もしくは省令で、名称にはこだわりませんけれども、こういったアドバイザリー機関設置を行うべきだというふうに思いますが、この点はいかがでしょうか、大臣からお願いできますか。
  63. 亀田克彦

    亀田政府委員 一月の制度審答申におきまして、「例えば評議員会」等と、こういう御要望をいただいておるわけでございます。  実は、先ほど申し上げましたけれども、私ども平成八年度の予算案におきまして、そういうものを開催すると申しますか、あるいは設置すると申しますか、そういう費用は既に確保をいたしておるところでございます。制度審答申には「明文化」、こう入っておりますので、それをできるだけはっきりした形で、かつ永続といいますか、そういう形でつくるべきだ、こういう要望ではないかと思っております。  ただ、そういう設置の仕方とともに、どういう方に集まってもらうかとか、まだいろいろな検討すべき事項がございますので、先ほど大臣から申し上げましたように、ただいま、社会保障研究所関係の方、所長さんも入っておりますが、それから人口問題研究所の方、こういう方々にもお集まりをいただきまして検討をいたしておる、そういう状況でございます。その関係の方々の意見の一致するところを踏まえまして、なおかつ制度審答申を十分尊重いたしまして対応していきたい、こういうふうに考えております。
  64. 菅直人

    菅国務大臣 今政府委員から答弁をいたしましたように、趣旨は、制度審答申をきちっと守っていきたい、ただ、形につきましては、今関係者を含めての検討中ですので、その検討を踏まえて決めていきたい、こういうことであります。
  65. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 この社会保障研究所、三十年の実績がございます。所外の学者、研究者とともに研究ネットワークを構築いたしまして、年平均四つぐらいのプロジェクト研究を行っているのですね。それで大変に大きな成果を挙げております。  ここに「社会保障の財源政策」あるいは「女性と社会保障」といったような、こういったプロジェクト研究成果が出版物としても刊行されておりますけれども、こういった柔軟な研究体制、ネットワークを組んでの研究体制が続けられるように配慮すべきだというふうに思うのです。例えば、答申にも触れられていますけれども、客員研究員というような形で外部の大学の教官を非常勤で参加をさせるというようなことも一つ考え方だというふうに思います。  こういった形の柔軟な研究体制、今の御答弁所長もそういった形で外から選ぶというふうに明確に御答弁をいただきましたし、学識経験者、しかも学界からそういう形で御参加をいただけるということで、極めてよろしい発想というふうに思いますけれども、この点もぜひよろしくお願いをいたしたいというふうに思います。  もう一点、ぜひお願いなんですけれども大臣も御存じかと思いますが、年四回ですけれども、こういう「季刊社会保障研究」というものが出ております。  これはレフェリーがついておりまして、投稿者の水準をみんなが判断して、それで採択をするという形で出されている本なんですね。大変に水準も高うございまして、社会保障についての学際的研究が収録をされておりますけれども、日本社会保障学会というようなものが今ありませんので、それにかわるような形をこの「季刊社会保障研究」というものが果たしているという、大変に役割の大きい、高いものなんです。一般にも東大出版会を通じて市販をされておりまして、だれでも入手できるような状況になっております。  その意味で、まさに幅広く機関誌が読まれる、あるいは配布されるという形になっておりますので、今後もその体制を続けていただきたいというふうに思うのです。人口研の方は二千部ほどの同じような機関誌を出しておられますけれども、これは無料で配布という形で、こちらは一般の市販という形で、大分内容が違うのですが、そういう意味でも、この「季刊社会保障研究」、ぜひこれからもその発行を保証していただきたいというふうに思うのですが、その点についての御答弁をお願いします。大臣、御答弁いただけるようでしたら一言お願いします。
  66. 菅直人

    菅国務大臣 基本的には、今おっしゃったとおりのことを考えております。  つまり国立研究機関になりますので、逆に有償で行うということが、ちょっと工夫が要るかとは思っておりますけれども平成八年度の予算案においても機関誌発行そのものについてはもう計上いたしておりますし、今話のありました「季刊社会保障研究」の発行を継続するということは、そうしていただきたい、また、引き続き幅広い希望者が購入できるような工夫をしてまいりたいと考えています。
  67. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 図書室の開放という点も、十五連ぐらいの、いわば書庫というような形に近いかもしれませんが、ここらあたりも少し今回の新しい研究所の中でお金をかけていただいて、一般市民が利用できる研究室というか図書室が少ないものですから、そういう意味でもぜひ今後ともにその形を続けていただきたいというお願いをさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。  残りの時間、先ほど同僚の北村議員も御質問をさせていただきましたけれども、今回の社会保障研究所廃止は一連の特殊法人改革等に絡んでいるわけですが、あわせて国立試験研究機関の再構築の中に位置づけられるものだというふうに思います。  そういう意味で、今、新しい感染症あるいは新疾患、新しい病気に対して厚生省はどういうふうな体制を整えておられるのか、あるいはどういう体制を整えるという視点を持って今回のこの国立試験研究機関の再構築をなさるのか。単に数合わせでこれとこれをあわせるというだけではなくて、何らかのビジョンなり哲学を持って再構築をなさるべきだし、そうだろうというふうに思いますので、その点のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  68. 菅直人

    菅国務大臣 いろいろなこういう研究機関にも若干性格が違うものがあるわけですけれども、全体について、山本委員が今言われた感染症対策といったようなことを今回は中心の御質問だと思いますので、その点について若干申し上げますと、国際化の進展による海外交流の機会が拡大したことに伴いまして、これまで我が国において見られなかった新種の感染症が国内に侵入する可能性もあることから、新しい感染症についての情報収集や対策の方針決定などの体制づくりが大変重要だと認識をしております。  その体制づくりに当たりましては、今回の血液製剤によるHIV感染の教訓も十分踏まえまして、最新情報の迅速な収集、特に人命、健康にかかわる情報の収集・分析体制など、危機管理システム構築が必要と考えております。  このため、情報収集に関しては、国立試験研究機関、特に国立予防衛生研究所を活用するなど、研究機関との効果的な連携あり方について検討していきたいと思っております。この問題につきましては、四月十二日に省内に設置いたしました医薬品による健康被害の再発防止プロジェクトの検討結果なども踏まえまして、収集された情報に基づく機動的、弾力的な政策決定プロセスのあり方についてもあわせて考えていきたい、このように考えております。
  69. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 その点について、五十九年八月二十五日の日付になっておりますけれども国立予防衛生研究所の在り方に関する協議会という協議会の最終の報告が当時の厚生事務次官あてに提出をされております。  その中に、今大臣がおっしゃったことと全く同じことが書いてありまして、「国際交流の活発化した今日、わが国に常在しない外来伝染病の侵入する危険性も増大している。」したがって「平常時の疫学情報活動により感染症の流行の兆しを素早くキャッチし、迅速かつ的確な対策を講ずることが重要」であるというふうに、もう既にこの時点、五十九年八月時点でしっかりと言われております。「感染症の流行の兆しを素早くキャッチできるよう、」「感染症データバンクとして、迅速かつ的確な情報を提供できる機能充実」しなさい、あるいは「感染症に関する外国の情報を速やかに関係機関に伝えられるように」しなさいとありまして、今大臣もお触れになりましたけれども、これまでの体制の中で、公衆衛生の緊急事態への対応、危機管理意識というものが厚生省の中で極めて薄かったのではないか、本当は五十九年のこの答申がもう少し具体化されていたらよかったのになというふうに思うわけです。  そういった意味でも、例えば国立公衆衛生院の疫学部と予研の感染症疫学部、名称も似ていますし、同じような機能をしているのじゃないかというふうに思うわけですけれども、こういったところも今後再編される中で機能の重複が整理をされる、あるいは、あわせて責任の所在を明確にした体制づくりというものをするべきではないかというふうに思うのですが、この点はいかがでしょうか。
  70. 亀田克彦

    亀田政府委員 御指摘をいただきました国立小衆衛生院の疫学部でございますけれども、ここでは、研究者が保健医療従事者に対する教育訓練に必要な知識、技能を保持する、そういう側面がおるわけでございますが、成人病等に関する疫学のほか、感染症に関する疫学研究も事務規程上所掌をしておる、こういうことになっておりまして、もう一つ指摘のございました国立予防衛生研究所の感染症疫学部と形の上で一部機能が重複しておる、こういう状況になってございます。  再々申し上げておりますように、今後、国立試験研究機関の再構築を段階的に進めていくということにいたしておりますので、その際、これらの問題と申しますか状況も含めまして、十分検討いたしまして、感染症に関する疫学研究が効率的に推進できますような体制の整備をしてまいりたいというふうに考えております。
  71. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 今御答弁の中で機能の重複が見られるというふうにおっしゃいましたので、その辺も組織の再編という中できれいに整理をしていただきたい、それこそ行政改革になるのじゃないかというふうにも思います。  あわせて、単に組織の再編というだけではなくて、今これは厚生省の中のプロジェクトチームで御検討なのかとは思いますけれども、今回の狂牛病の場合も研究班が設置されたようでありますけれども、この研究班というもの、それから本省にありますそれぞれの担当課、そして厚生省関連の、例えて言えば予研といったようなもの、外には予研、中に本省の課長、そして研究班というものがある、それぞれの役割分担というのか、あるいは責任の分掌というのでしょうか、この辺が今回のエイズ問題についても極めてあやふやだったと思うのですね。組織の再編もさることながら、こういった機能の再編というものも必要じゃないかというふうに思うのですが、その辺はどんなふうにお考えなのでしょうか。
  72. 菅直人

    菅国務大臣 今回の薬害エイズの問題でいろいろな御指摘をいただきまして、特に、アメリカではCDCというところがいろいろな情報を国内ばかりか全世界に出している、日本でもその情報が非常に貴重な情報となっている、これはいわば日本でいえば予研に近いものだというふうに聞いております。  そういった点で、先ほど、今回の問題の教訓序踏まえてということもおっしゃいましたが、まだまだ十分にこの間の経緯などをいろいろな場面で議論していただきまして、山本委員も今言われましたように、まさに事が起きたときのタスクフォース的な研究班というものもその時々では必要だと思いますが、定常的に存在する予研が場合によってはもっと機能充実させて常にウォッチをしている、また、行政の立場の本体はそういうものを含めて責任ある形で物事を決定する、そういったことが必要ではないかと思っておりますので、それがどういう仕組みであれば可能なのか、その問題を含めて、十分にプロジェクトなどを含めて検討していきたいと思っております。
  73. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 CDCは、常勤、非常勤合わせて五千七百人ですか、外国に五十人ぐらいの職員がおられます。それと同じものが日本でできるというふうには思いませんけれども、その意味でも、非常に機能の高い、小ぶりだけれども機能の高いシステムというものをぜひ御検討いただきたいというふうに思います。  時間が参りましたので質問を終わりますけれども社会保障研究所がこれまで果たしてきた実績がこれからもそのまま継続して活動できますように、十分な御配慮をお願いいたしたいと思います。  ありがとうございました。
  74. 和田貞夫

  75. 五島正規

    五島委員 今回、仮称でございますが、国立社会保障人口問題研究所設置されるということでございますが、これはこれまでございました社会保障研究所及び人口問題研究所の単純な統合ではなく新しい研究所をつくるものである、この観点からこの問題は検討しなければならないというふうに考えています。  従来、この二つの研究所の持ってきた社会的機能考えてみますと、かなり違ったものがございました。人口研の方は、主として行政資料として極めて重要な人口問題推計を中心とした研究を、いわゆる行政資料として重きを置いて研究を続けてこられましたし、また、もう一方において社会保障研究所の方は、日本において社会保障という言葉は非常に広く使われてきたわけですが、実は学問的には極めて学際的な内容でございまして、これを社会保障という一つの学問ジャンルとしてつくり上げていくということに功績のあった唯一の研究所でございます。  ようやく最近、各大学にも社会保障学科のような学科がふえてまいりましたが、現在、三十名を超える社会保障の専門家、学者、大学の教官のほとんどはこの研究所から出ていった方々によってやられているわけでございます。現在でもなお、社会保障の問題は、法学、経済あるいは労働といったような専門分野からの社会保障への議論ということでございまして、非常に学際的な内容を持っています。それだけに、これからの時代の大きな分野である社会保障一つの学問分野として発展させるというこの役割は大変大きいものがございますし、そして、そういう機能はやはり新しい研究所においても維持されなければならないというふうに考えるところでございます。  今回の法案の提出に当たり、社会保障制度審議会がその答申で、新研究所の運営について幾つかの事項を指摘しておられます。この点を中心に、実は朝から竹内議員あるいは今山本議員等々からも御指摘がございましたが、質問をしたいというふうに考えます。  まず第一に、新しい研究所でございます、その研究所所長は学者、研究者の中から選任するべきだという御意見がこれまでもございました。これは、これが一つの独立した研究所として、国立研究所でありながら多くの学者あるいは国民、地方自治体、そういう方々からの期待にこたえ得る研究所として発展するためには極めて大事なことだというふうに考えております。  その点について改めて、研究所に属する方は全部研究者だから将来は内部登用で、あるいは、その上に立って、厚生省の所属機関だから庁内の人事の中で所長を持っていくのだということでなく、やはり広く内外の学者、研究者の中から選任するということについてお約束いただきたいと思うわけでございますが、どうでございましょうか。
  76. 菅直人

    菅国務大臣 まず、これまで社会保障研究所が果たされてきた大変大きな役割というのは十分に認識をいたしておりまして、その機能は新しい研究所にもより充実した形で残さなければならないと基本的に考えております。  そして、今、五島委員からお話のありました所長選任に当たりましては、社会保障人口問題に係る課題について造詣の深い方から選任する必要があるということは当然のことだと思っております。そして、新研究所における研究をより効果的に行うためには、これまで社会保障研究所もそうであったように、大学や他の研究機関との連携を十分確保していく必要があると思っております。そういった意味から、新研究所所長もこのような要素を兼ね備える、つまりは、内容的な造詣とともに大学や他の研究機関との連携確保する、こういうことができ得るという要素を兼ね備えた学識経験者の広い範囲から選任される必要があると思っております。  そういった意味で、制度審議会がおっしゃっていることは、その考え方を基本的に守りながら新しい所長が選ばれるべきだろう、基本的にこのように考えております。
  77. 五島正規

    五島委員 この研究所が、研究の自由あるいは公平で中立的な研究体制というものが保証され、維持されるということがなければならないことは言うまでもございません。そのためには、この研究所の運営等々に当たりまして、あるいは研究テーマの設定等々に当たりまして、広く学者、研究者から構成される評議員会といったようなものを設置するということを明確にすべきではないかというふうに思うわけでございます。  先ほど大臣の方から、趣旨は尊重するというお話でございますが、そういう評議員会あるいはそれに類似したような機関が必要と考えておられるのかどうか、それをどうしても設置するという方向で組織要求等をしていかれるのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
  78. 菅直人

    菅国務大臣 新しい研究所における研究活動全般基本方針などについて公平中立な立場から検討を行うことを目的とする、外部の有識者による会議を開催するため、必要な経費は既に平成八年度の予算案に計上いたしているところであります。  評議員会については、社会保障制度審議会の方から、「組織の長を補佐し、研究活動全般基本方針等重要事項について助言する機関、例えば評議員会のようなものを明文化する」といった答申をいただいております。この答申を尊重しつつ、現在検討を進めております。  他省庁における試験研究機関評議員会等の例を見ますと、名称や委員の構成あるいはその位置づけの方法などについて種々の形態があり、現在、その機能、位置づけの方法などについて、社会保障研究所及び人口問題研究所関係者にも参加をいただき、社会保障制度審議会答申趣旨を踏まえつつ検討を行っているところであります。今後、その検討の結果を踏まえて適切に対処してまいりたい、つまりは、この制度審議会答申趣旨に沿った形で何らかのそうした機関が設けられるという方向で適切に処理してまいりたい、このように考えております。
  79. 五島正規

    五島委員 何らかのそういうものが設置される方向で検討していただきたいという大臣の御発言、非常に高く評価したいと思いますが、そうしたことで検討の結果、もし、より明確な位置づけのもとでそうした評議員会等が設置されるというふうになった場合は、具体的にどのように対処されるのでしょうか。
  80. 亀田克彦

    亀田政府委員 ただいま検討いたしているところでございますけれども、例えば、検討の結果、総務庁に対する正式な組織要求が必要だというような結論になりますれば、総務庁の御判断がどうかは別でございますけれども、その方向で努力をしていきたい、ヒういうふうに考えております。
  81. 五島正規

    五島委員 例えば、来年度の予算要求に当たって組織要求などは具体的にされるということですね。
  82. 亀田克彦

    亀田政府委員 制度審答申は明文化ということでございまして、私どもの解釈でございますけれども、単なる内規といいますか、そういうものではいけないのだろうと思っております。  それ以外にどういうものがあるかということを検討してみますと、幾つか考えられるわけですけれども関係の方の検討の結果、組織要求を必要とするような、そういう形での明文化がぜひ必要だということであれば、繰り返しで申しわけございませんが、要求した結果どうなるかは私ども自信ございませんけれども、そういう方向で努力をしていきたいというふうに考えております。
  83. 五島正規

    五島委員 ぜひ、内規等ではなくて、そういうふうな結論が出た場合、省令できちっと決められるような形で対応していただきたいということを要望しておきたいと思います。  次に、新しい研究所における研究の活性化を図るために、諸研究機関との共同プロジェクトを実施する、あるいは他の諸研究機関等との人事交流を行うといったようなことが当然必要になってくる、それなしにはやはり学問研究の活性化というのは図れないというふうに考えるわけでございます。そのためには、いわゆる客員研究員制度のような柔軟な研究員制度を設けるということが必要ではないかというふうに思うわけでございます。  現在の、限られた研究所研究員だけにおいて固定的に研究活動がされるということでなくて、若い、あるいは現職の大学の教官といったような方々からの研究交流、人事交流というものが可能になるような研究員制度を設けるよう、来年度、組織要求を行うべきではないかというふうに思うわけでございますが、その辺についていかがでございましょうか。
  84. 菅直人

    菅国務大臣 既に、現在議論をいただいております平成八年度予算案において、外部の研究者と共同で研究を進める研究プロジェクトに必要な予算を計上させていただいております。また、外部の研究者が、特別研究員あるいは客員研究員とでもいうのでしょうか、そういう特別研究員として継続的に研究所研究活動に参加いただけるような非常勤手当の予算もあわせて計上しているところであります。  こうした特別研究員に係る手当等の予算を活用するとともに、その制度上のあり方については、先ほど申し上げました関係者にも参加をいただいて検討しているところでありますので、そうした結果を踏まえて、必要な場合には、先ほど政府委員からも答弁申し上げましたように、組織要求などを検討してまいりたいと思っております。こういう形によりまして、今五島委員からお話のありました共同プロジェクトの実施とか人事交流などを通しての研究の活性化が図っていけるものと考えております。
  85. 五島正規

    五島委員 ぜひそのようになっていただきたいというふうに思います。  あわせまして、研究の活性化の成果をどのように扱うかという問題でございます。  これは、先ほど山本議員の質問の中にもあったわけでございますが、現在、社保研は「季刊社会保障研究」などの機関誌を対外的に発行しておられますが、新研究所がこうした社会保障研究の中核的機関として機能していくためには、機関誌発行は当然継続されるべきだというふうに考えます。  先ほど、国の機関であるためにこれを配布ということもお考えだというふうにおっしゃっていたわけでございますが、やはり学問研究というものはパブリックされて初めて意味があるわけでございます。そういう意味では、単にそれを機関誌として無償でもって配布するということでなくて、これはだれもが手に入るような体制のもとで発行していく、そういうことがあって初めてこの研究所の雑誌に載せた論文が学者としてのいわゆる論文業績としてカウントできるという面がございます。そういう意味では、パブリックするということはやはり有償でということが原則になるかと思います。その辺についてどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
  86. 菅直人

    菅国務大臣 この点につきましても、平成八年度予算案において機関誌発行について予算を計上しているところでありまして、「季刊社会保障研究」などの発行を継続できるようにするとともに、引き続き幅広く希望者が購入できるような工夫をしてまいりたいと思っております。  従来の例をちょっと見てみますと、社会保障研究所は、ある程度、比較的少ない部数ですが、無料配布をされていて、さらに相当数を一般の人に販売をされているというふうに理解いたしておりますが、そういう点では、従来と同じような形がとれるように工夫をしてまいりたいと考えております。
  87. 五島正規

    五島委員 一般の方に有償で手に入るという形を維持することによって、研究所機関誌あるいは研究所の出されるそういう書籍が学術的な業績としてカウントできる、その仕組みというものを、関係者とも十分に御検討いただいて、それは維持していただきたいということを重ねて要望しておきたいと思います。  最後でございますが、この新しい研究所の設立に伴いまして社会保障研究所廃止するわけでございますが、その職員雇用処遇についてはどのようにお考えになっているのか、教えていただきたいと思います。
  88. 菅直人

    菅国務大臣 現在の社会保障研究所職員雇用確保につきましては、本人が希望される場合には国家公務員として採用することといたしております。また、給与等処遇につきましても、労働組合関係機関協議しつつ、国家公務員給与に関する法律人事院規則範囲内でできるだけの配慮を行ってまいる所存でございます。
  89. 五島正規

    五島委員 終わります。
  90. 和田貞夫

    和田委員長 荒井聰君。
  91. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 本日議題となっております社会保障研究所解散に関する問題について議論する前に、菅厚生大臣に御見解を承りたいと思う点がございます。  それは、昨日、記者会見で厚生大臣の方から、省内に新しいプロジェクトチームを発足させたい、それは薬価差益に関する検討のプロジェクトチームだというお話をされておりました。場合によっては薬の八割ぐらいが薬価差益として病院の所得になっているのだというような話も聞かないではありませんし、一般的には一割から二割ぐらいが通常の薬価差益なんだというような統計もあるやに聞いてございます。  私は、今の診療報酬制度がこのような形でゆがめられているということは非常に不健全な形だ。実態と相当合わなくなっている。しかし、病院の経営は必ずしも豊かではない。こういうものを見込まないと病院経営自体がなかなか成り立っていかないという実態も片方ではある。こういう実態を見て、現行の診療報酬制度というものをそろそろ検討していく時期に来ているのではないだろうか。  薬価差益という問題が、多くの薬を多量に使うということを生み出していったのではないか。血液製剤によるエイズ問題にしても、直接の原因ではなかったにしろ、薬価差益の問題が遠因となつていたのではないだろうか。あるいはそのほかの薬害でも、多量に使われたがために発生した薬害と言われているものもあるのではないかというふうにも言われております。  このあたり、薬の使用の仕方と診療報酬制度のあり方について大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  92. 菅直人

    菅国務大臣 今回の薬害エイズをめぐりまして、本当にこういう問題が再発をしてはならないということの指摘を裁判所からも強くいただいております。そのときに、かつてのサリドマイドのときにも同じことを国は言ったではないか、あるいはスモンのときも同じように再発防止を誓ったではないか、それなのに三度目、またこういう問題を起こしたということを重く受けとめてこれからの対応を考えろというふうに指摘をいただいております。  私も、サリドマイドのとき、あるいはスモンのときのことを若干聞いておりますと、今、荒井委員からもありましたが、例えばスモンの場合は、キノホルムという薬が、単に使われたというよりも、従来目的とされていた別の目的に対して大量に使用されることによって発生した。あるいはサリドマイドの場合も、単に睡眠剤としてだけではなくて、つわり防止のためにも使われるというようなことからああいった悲劇が特に拡大したという指摘もあります。また、クロロキンといったような問題でも、本来はマラリアに効果的だとする薬を他の目的でやはり大量に使ったことによっていろいろと生じたという指摘もあるわけであります。  そういった意味で、まさに今おっしゃったように、薬害というものは、単にその薬そのものの副作用あるいは毒性といった問題ももちろんありますけれども、使用の仕方によって生ずることもたくさんあるわけでありまして、それが、一般的に日本では他の国々に比べて薬の使用量が非常に多いのではないかという指摘を従来からいただいております。そして、その背景に今委員のおっしゃいました薬価差益という問題が横たわっているというこの認識も、従来から多くの識者が指摘をしておられるわけであります。  そういった問題、そういった指摘を含めて、今回、薬害エイズを踏まえて今後の薬事行政考える中でこの問題もやはり関連が深い問題でありますし、また同時に、今の医療保険制度全般の問題としても大きな問題だと思っております。  また、病院経営にとってこの薬価差益がある意味で当てにされているという現実も聞いておりますけれども、これからの改革がどういう形で議論されるかにもよりますが、私としては、本来例えば技術料とか初診料とかで払うべきものについてはそういう形できちんと支払われて、もし、薬の差益という形で結果的に医療機関にプラスになるということをもともと当てにしなければならないということであるとすれば、それは改革をする必要がやはりあるのではないか。  こういったもろもろの問題を念頭に置きながら、今回、医薬品の適正使用と薬剤費の適正化を図る観点から、薬価差益をめぐる現状の分析を行うとともに今後の薬価調査や薬価差益解消方策について検討するため、厚生省内に薬価問題に関するプロジェクトチームをこの四月十六日に設置させていただいたところであります。
  93. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 薬価をめぐる問題について、ぜひ積極的な省内での御検討を期待しております。  ところで、先ほどの午前中の赤松委員の御議論の中で、最近の我が国をめぐるさまざまな制度疲労といいますか、あるいは閉塞感といったようなものを土台にした御質問がございました。私も全く同じように、最近の日本の社会、政治、経済をめぐる状況の中でそういうものを痛感するわけですけれども、こういう似たような状況がちょうど一九七〇年代の後半から八〇年代にかけてアメリカでもやはり起きていたのですね。  あの当時、アメリカはベトナム戦争で大変悩んでいて、ベトナム戦争の荒廃をきっかけとして、知識人がドラッグにおぼれていったり、あるいは健全な政治経済といったものの育成ということに悩んでいったときでございました。さらには経済的には、産業の空洞化というものがどんどん進んでいき、日本の技術力に席巻されていって、国内的には自動車だとか鉄鋼産業だとかというのが撤退せざるを得なかった、そういう時期でもありました。  こういう時期にアメリカはどのようにして国内の再活性を図ったかということを見てみますと、アメリカは、まず第一に、教育の改革を徹底してやったのです。教育の改革でも、特に技術教育に重点を置いてやったという事実がございます。これは、技術教育の成果が出るのには随分時間がかかりますから、技術教育あるいは科学研究といったものに大変な力を入れていったのが第一点であります。  そして第二点目が、ベンチャービジネスを育成するために多くの規制緩和を図ったり、民間の活力を絞り出すためのいろいろな処方せんを練りました。  第三点目が、これが研究関係であるわけなんですけれども、バイオテクノロジーでありますとか、あるいはソフト産業でありますとか、戦略的な産業を決めてそこに徹底的な政策投資を行っていった。その戦略的な産業の一つにバイオテクノロジーとシルバー産業があったのですね。  アメリカは、この八〇年代からシルバー産業を、日本でいえば養護老人ホームですとか、あるいはこれから議論されるであろう介護問題でありますとか、そういうところに多くの知恵を絞って、民間の力が投入されるような制度、システムを大々的に研究し、それを実績としていったということがございます。その結果、製造業の空洞化が生じたその穴埋めを今シルバー産業がかなりの部分を穴埋めしているという統計結果も出ております。  私は、厚生省というのは、バイオテクノロジーというベンチャービジネスとしては大変可能性のある産業、あるいはシルバー産業というアメリカでは大変成功を見ている産業の育成、そういった面の所管官庁でありながら、どうも、産業を育成していく、あるいは産業の活性化といったようなことに関しての研究というか、あるいは志向が少しく小さいのではないだろうか、薄いのではないだろうか。そばに大きな、我が国の活性化のためのどうしても越えなければならない課題と、それに隣接してどうしてもやらなければならない産業の育成ということとがしっかり目の前にあるにもかかわらず、そこのところがまだまだ十分な対策ができていないような感じを持っております。  今回は、国立の試験研究所関係の統廃合、整理統合といったようなものの一環としてもこの社会保障研究所というものは位置づけられております。この国立研究所の整理統廃合に関して、全体をどういうふうに整理合理化をしていこうと考えておられるのか、もしそのあたりの大臣の御見解がおありでしたらお聞かせいただきたいと思います。
  94. 菅直人

    菅国務大臣 今、荒井委員の方から、アメリカを例に引いて、日本における今日のある種の行き詰まり状況を突破する上での問題意識、特にこの厚生省に関連をいたしましたバイオやシルバー産業の育成についてのお話がありました。  私も、今回の薬害エイズの問題などに取り組んでみまして、一方では、そういったものの安全性とか、患者、国民の立場に立ってのチェックということをきちっとしなければならないことは当然でありますけれども、同時に、例えばエイズの新しい治療薬などといったものもほとんどはアメリカを中心とした外国からの提供を待たなければなかなか独自では開発できていないという、本来なら日本が最も得意としてもおかしくない分野で必ずしも十分な成果が上がってきていないという、そこをやはりもう一つの視点からきちっと区分けをしながらまさに推進していく、あるいは育成していく必要があるであろうというふうに思っております。  そういう中で、現在、今回問題になっておる国立試験研究機関の問題、特に厚生省に関する問題で若干申し上げてみますと、例えばバイオテクノロジーの応用につきましては、現在の国立衛生試験所大阪支所を改組して、新たに国立厚生科学基盤技術開発研究所、これは仮称でありますが、これを設置して、遺伝子の組みかえ技術を使った医薬品の開発等を産学官協同で研究を実施するということにいたしております。  また、遺伝子治療につきましては、国立予防衛生研究所組織改革の一環として、新たに分子遺伝部、これも仮称ではありますが、これを設置いたしまして、感染症等の関連ヒト遺伝子の探索及び解析、治療用ベクターの開発、評価等の研究を行うことといたしております。  またさらに、人工臓器等の医療機器の開発につきましては、現在の国立衛生試験所に医用材料部、仮称でありますが、これを設置すること等によりまして、さらにその開発を推進していくことといたしております。  このような形で今回、国立試験研究機関の重点整備、再構築をいたすわけですけれども、まさにおっしゃるように、これから重要なそうした課題に対応できるような方向を目指してこの試験研究機関の再構築を進めていきたいと考えております。
  95. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 日本のバイオテクノロジーは、醸造科学の発達もありまして非常に高い水準を保っておりました。しかし、ここへ来て遺伝子工学あるいは製薬関係が少しくエネルギーを失ってしまった結果、アメリカとの差が非常に大きく開いてしまった。アメリカではベンチャービジネスの恐らく三分の一ぐらいはこのバイオテクノロジー関連の企業ではないか。どんどん優秀な科学者が新しい薬をという分野に進出をして、非常に有望性のある企業をつくりつつある。日本も、試験研究充実を図りながら、そういうベンチャービジネスを育てていくということをぜひ厚生省でも考えていただきたいというふうに思います。  ところで、国立試験研究機関ということになると、研究所独立性ということは、研究の程度、水準を上げるためにはこれはなくてはならないことでありますけれども、また一方、国立研究所を持っているということは、国の政策とどのように整合させるのか、国の政策をどのような形でバックアップしていくのかということもまた考えなければならないことなのだろうと思います。  したがって、国の研究機関のテーマというものをどのように設定していくのか、そしてまた研究の評価システムというものをどのように考えるのか、これは国立研究所については大変古くて新しいテーマだと思うのですけれども、このあたりをどのように考えておられるのか、お聞きしたいと思っております。
  96. 亀田克彦

    亀田政府委員 まず、研究テーマでございますが、先生指摘のように、国の研究機関あるいは公費によって賄われておる研究機関、こういうものにつきましては、国民要請に応じた研究を行っていくということが国民の負託あるいは期待にこたえるところである、こういうふうに考えておるところでございます。それと独立性との関係というふうなお話もございましたけれども、再々申し上げておりますように、社会保障制度審議会からも、研究独立性確保、こういう御要望をいただいておるところでございますが、総合いたしますと、国民のニーズに応じた研究テーマ、そういうことをやる場合に中立公正に行われるべきである、こういう御指摘ではないか、こういうふうに理解をいたしておるところでございます。  それから第二点の、評価でございますが、これも先生指摘のように、研究評価につきましては、研究費の効果的な配分に必要だということばかりでなく、研究者の自己研さん、自己評価の手段にもつながり、国立試験研究機関の活性化そのものに役立つものだ、こういう認識をいたしております。厚生省におきましては、従来から研究機関における評価のマニュアルというものを示しまして、各試験研究機関にお願いをいたしておるわけでございます。  今回の人口問題研究所、それから、まだ特殊法人でございますが、社会保障研究所につきましても、それぞれ現時点でも評価を行っておるところでございますけれども、今回の新研究所の発足に当たりまして、私ども、この評価のための所要の予算確保しておるところでございますので、これを機に一層の研究評価体制が整備されますよう私ども努力をしてまいりたい、かように考えております。
  97. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 水準の高い研究というのは、自由な精神と独立した精神が絶対必要だと思います。しかし一方、国立てあるという、厚生行政の中で位置づけられているということもまた事実であり、それを逸脱すると、なぜ国立研究機関なのかということもまた国民から問われることになるだろうと思います。そのあたりを上手にハーモナイズさせながら、高い水準を保ちつつ、厚生行政のための研究というものの推進をお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  98. 和田貞夫

  99. 岩佐恵美

    岩佐委員 厚生省全体の定数状況を見ますと、七五年に七万九百名だった職員ですが、九五年度末には七万五千九百六十三名と実質五千六十三名増員になっております。ところが、七つの試験研究機関定員を見ますと、七五年に千百六十二名おられた人たちが九五年度末には九百四十二名と二百二十名も削減をされています。しかも、欠員状態、四十二名が放置をされているので、実質は九百名しかいません。  この二十年間に二百六十二名、つまり二三%もの大幅削減になっています。さらに、本省などから事務職を出向させているなどで実態はもっと少ないというふうに言わざるを得ません。結局、定員削減のしわ寄せを研究機関に集中させ、研究体制の衰退を厚生省みずからがつくり出しているとも言えます。その上、今回廃止される社会保障研究所定員二十三名はそっくり七試験研究機関の総定数枠九百四十二名の中で賄うとしていて、実質人員削減になります。  大臣、これでは試験研究機関充実というのは図れないというふうに思いますけれども、その点、どうお考えでしょうか。
  100. 菅直人

    菅国務大臣 岩佐委員の言われる意味内容理解できるのですけれども、もう一方で、行政全体が肥大化をしているのではないかという指摘一般的にはかなり受けているわけであります。そういった意味で、今回の問題も、実は、行政本体もありますが、周辺にある特殊法人九十二の改革という問題が一つ課題として上がりまして、その中から議論が進んできたという経緯があることを一応申し上げておきたいと思うわけです。  厚生省におきましては、人口高齢化や科学技術の進歩などを踏まえまして、保健、医療、福祉に関する政策研究や感染症、医薬品に関する研究など時代要請に迅速かつ的確に対応し、二十一世紀に向けて厚生科学研究の一層の推進を図っていくため、国立試験研究機関の再構築を進めていくことといたしております。  今回の試験研究機関の再構築は、現下の厳しい定員事情の中で、原則として既存の定員の枠内で措置することとしておりますけれども、その具体化に当たっては、庶務部門の効率化や時代状況を踏まえた研究部門の見直しなど、組織及び業務の効率化を進めることなどによりまして、必要な組織定員確保しているわけであります。今回の新しい研究所も、研究スタッフ自体は従来の両研究所研究スタッフを合わせた数よりも拡大をいたしておりまして、そういった意味では、いろいろ工夫をする中で内容的にはより充実したものになっていく、そのことを期待いたしているところです。
  101. 岩佐恵美

    岩佐委員 総定数枠の九百四十二名に社会保障研究所を取り込む、そればかりではなくて、国立衛生院で十名、予防研究所で八名、ハンセン研究所で一名、衛生試験所で一名削減をする、そういうことから見て、今回の統廃合というのは大変研究機能の低下をしてしまうのではないかという危惧を持たざるを得ません。  現在でも、人員が足りないために、あるいは予算が足りないために、いい研究をするという場合には、自腹を切ってあちこち走り回るとか、あるいは相当なオーバーワークになって頑張る、こういうふうな実情があるわけですから、そういう点、本当にきちっと実態を把握して取り組んでいかなければいけないというふうに思います。  私は、研究機関充実を図るために、研究にかかわる研究者職員の納得を得て進める、こういうことが大事だというふうに思って、去圧の十月二十四日の当委員会質問いたしました。森井前大臣がおられますけれども関係機関職員の意向を十分聞いた上で誠意を持って対応するというふうに答弁をされておられるわけであります。ところが、実際には、依然として当事者には何の話もないということになっています。公衆衛生院の国際保健人口室も人口研究所に統合されるということのようですけれども、当事者はいまだに何も知らされていないということです。  統廃合の全容、構想もどのような理念に基づいて行うのかということもはっきりしないまま事が推移をしていくということはよくないというふうに思います。まず統廃合ありきではなくて、関係職員組合の話をよく聞いて関係者ともよく話し合う、そういう進め方が期待されるわけですけれども、その点について改めて菅大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
  102. 菅直人

    菅国務大臣 今般の試験研究機関の重点整備あるいは再構築を円滑に実施していくためには、当然のことでありますが、職員理解を得ることが重要と考えております。再構築を進めるに当たりましては、職員の意見を十分踏まえながら誠意を持って対応してまいる所存です。
  103. 岩佐恵美

    岩佐委員 社会保障研究所の設立当初、厚生省は、特殊法人として設立する理由に、基礎的な調査研究を行う学問的性格の強い研究機関で、独立性の強い、中立性を保つ必要があり、附属機関となると指揮命令系統で運営されるので特殊法人とするという趣旨理由を述べています。今回廃止するのはこの理念は必要なくなったということになるのでしょうか、その点について確かめておきたいというふうに思います。  さらに、人口との関連で生ずる問題というのは多面的だと思います。例えば人口と環境、人口と経済、人口と労働などなど、いろいろあります。社会保障のみ人口研と統合する必然性が一体どこにあるのか。また、研究を途中で打ち切って年度途中で統合する研究上の合理的理由がどこにあるのか。その点について、最初の質問と後者の質問と二点について伺いたいと思います。
  104. 亀田克彦

    亀田政府委員 第一点の、独立性関係する御質問でございますが、少子高齢化が進展する中で、社会保障は経済や国民生活の中で重要な位置を占めるようになってきております。そういう中で、新研究所におきましても、公正中立な立場から研究が行われ、かつその成果が公表され、社会保障に対する国民理解の助けとなるとともに今後の社会保障あり方検討に資することは大変有意義で重要なこと、こういうふうに考えてございます。  そこで、新しい研究所の運営のあり方についてでございますが、再三申し上げておりますよう一に、社会保障研究所人口問題研究所関係者にも御参加をいただき、独立性あるいは成果の公開、こういうような御要望をいただいております社会保障制度審議会答申趣旨を踏まえまして、現在検討を行っておるところでございます。申し上げてございますように、八年度予算案におきましても関係予算確保しておるわけでございますが、この検討の結果を踏まえましてさらに適切に対処していくということで御指摘独立性あるいは中立性というようなものは確保されるもの、こういうふうに考えておるところでございます。  それから第二点目の、研究を同一のところで行う理由ということでございますが、社会保障研究につきましては、人口少子高齢化が進展しております中で人口問題研究と密接な連携を図りつつ研究をする必要性が極めて高まっておる、こういうふうに考えておるところでございます。こういうことから、申し上げておりますように、国立試験研究機関の再構築の中で、両分野を総合的に研究できる体制を整備する、こういう観点から今回の新研究所設置する、こういうお願いをいたしておるわけでございます。  このことによりまして、人口家族世帯構造変化等に係る調査研究と密接に連携しつつ、社会保障給付負担あり方につきまして、現下の経済状況のもとで大変重要な問題でございますけれども、そういう問題につきましてより効果的な研究を推進できる、そのことによりまして今後の社会保障制度あり方検討に大きく寄与できるもの、こういうふうに考えてございます。  なお、年度途中にというお話がございましたけれども、私どもも年度初めからできるのが理想であろうかと思いますけれども、申し上げましたような事情で、できるだけ早く総合的な研究をしたいということを考えまして、なおかつ、この新しい研究所は旧家庭裁判所の跡のビルに入ることになっておるわけでございますが、その工事の問題、それからコンピューターのための工事と申しますか、そういう問題がございまして、私どもなるべく急いでやりたいのでございますが、急ぎましても十二月一日ということでございますので、何分御理解を賜りたいと思います。
  105. 岩佐恵美

    岩佐委員 大臣にお伺いをしたいのですが、研究機関において研究者が学問的に中立的立場から研究を進めるということは当然だと思います。学問的研究の立場に立って、例えば諸政策について検証する、あるいは批判的な立場に立っての検討もあってしかるべきだと思います。自由濶達でなければ研究は進みません。研究者の意欲や能力を高める上からも、例えば、所長には研究者として造詣が深い、研究者職員が働きがいのある研究所をつくっていける、そういう力のある人を配置をするなどの配慮が必要だと思います。  一番心配されているのは、行政の下請的研究に終始をする、何か物を言ったらすぐにらまれて言えなくなる、左遷される、あるいは学界で自由につき合いもできなくなるというようなことがあったら、優秀な人材とか意欲ある研究者が集まってこないということになりかねないと思います。その点について、そういうことがないように大臣からもしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  106. 菅直人

    菅国務大臣 今回の社会保障研究所廃止に伴いまして、社会保障制度審議会の方からいろいろ御意見をいただいておりまして、その中に、今岩佐委員の方からもお話がありました、あるいは他の委員からもありました、そういう自由で中立的な研究が可能なようにということの御指摘が出ております。その中で、特に所長選任に当たりましてそういった配慮が必要だということも指摘をいただいております。  所長選任に当たりましては、社会保障人口問題に係る課題について造詣の深い方から選任する必要があると考えておりますし、また、新研究所における研究をより効果的に行うためには、大学や他の研究機関との連携確保していくことも重要であると思っております。新研究所所長はこうした要素を兼ね備えた学識経験者の広い範囲から選任される必要があると考えております。  他の委員の御質問にも申し上げましたように、そうした意味で、いわゆる役所の中の人事というよりは大学などとの連携考えたそうした人事であることが望ましい、制度審答申意味をそういうふうに受けとめておりまして、そういう方向に沿って考えていきたい、やっていきたいと思っております。
  107. 岩佐恵美

    岩佐委員 社会保障研究所職員の賃金の問題ですけれども職員によってかなり下がるという方がいらっしゃるようです。今回の統廃合は、職員の意向と全く関係なく、政府の都合で一方的に進められるわけですから、労働条件の後退というのは基本的には許されないと思います。特に職員の賃金について、現行を下回ることがないようにきちんと対応すべきだと思いますけれども、その点も大臣にお伺いをしたいと思います。
  108. 菅直人

    菅国務大臣 社会保障研究所職員国家公務員を希望される場合で採用された場合は、一般職給与に関する法律等に基づいて処遇されることになるわけであります。国家公務員として採用に当たって、俸給の格付は個々人の過去の学歴や経験によって個別に決定されることになるわけですけれども給与については、法律人事院規則の定める範囲内でできるだけの配慮を行うように関係機関協議を行ってまいりたいと思っております。
  109. 岩佐恵美

    岩佐委員 生命や健康にかかわる、例えば、たばことがんの因果関係とか、アルコールと妊娠中の女性あるいは未成年者に及ぼす影響、あるいは難病の解明と治療のあり方、アトピーの原因の究明、食品添加物、抗生物質や農薬の健康への影響、大気汚染が与える健康影響等々、国民が切実に望んでいる問題の解決には、十年とか二十年をかけた研究者の地道な研究が必要とされています。  公衆衛生研究というのは、そういう意味で今の社会のニーズにこたえた非常に重要な地位にあるというふうに思います。しかし、今回の計画では事実上全面解体になるようです。公衆衛生研究のあるべき姿、公衆衛生の理念について、あるいは二十一世紀に向けて今後重視される公衆衛生研究はどうあるべきかということについてどう考えているのか、その点について伺いたいと思います。  また、公衆衛生院のどの部署を具体的にどの機関に分割移動させるのか、それも明らかにしていただきたいと思います。ちょっと時間がありませんので、短目にお願いします。
  110. 菅直人

    菅国務大臣 国立公衆衛生院は、公衆衛生技術者の養成訓練及びこれに対する公衆衛生に関する学理の応用の調査研究を行う機関でありまして、従来より我が国の公衆衛生の向上に大きな役割を果たしてきたところであります。  しかしながら、平成六年の地域保健法の改正などに見られるように、住民に身近な市町村などの地域において、保健、医療、福祉連携を図りながら、利用者のニーズにきめ細かく対応をしたサービスを総合的に提供していくことが重要な課題となってきております。  このため、国立公衆衛生院については、今般の国立試験研究機関の再構築において、国立医療・病院管理研究所等の機能を統合して、地域の保健、医療、福祉に関する実践的な調査研究及び保健医療・福祉サービスを担う人材の育成等を総合的に行う国立保健医療福祉政策研究所、これは仮称でありますけれども、こういう形に発展的に改組し、こうした国民のニーズにこたえていくということとしているところです。  したがって、従来、国立公衆衛生院が担ってきた機能については再構築後の試験研究機関において承継し、むしろ充実強化していくこととしており、解体してそうした機能がなくなるという危惧は当たらないと考えております。
  111. 岩佐恵美

    岩佐委員 時間が参りましたので終わりたいと思いますけれども、今の答弁で本当にそうなるというふうにどうも思えない節があります。そういう点を指摘して、質問を終わりたいと思います。
  112. 和田貞夫

    和田委員長 土肥隆一君。
  113. 土肥隆一

    ○土肥委員 九十二の特殊法人を再編しようという行革絡みの議論を国会でもしておりましたけれども、今回、社会保障研究所人口問題研究所と統合して全部国立機関にするということになったときに、私自身、特殊法人であってもあるいは国立研究所であっても余り変わらないのじゃないか、もう少しくっつけられるところはなるべくくっつけて仕事をしたらいいのじゃないかというふうに思っておりましたけれども、今回の社会保障研究所という、ある意味でそう大きくない研究所廃止して、そして人口研と一緒に国立機関にしようというときに出てまいりましたこのいわゆる制度審答申でございます。  私はこの制度審答申を見て、実は大変驚きました。なぜならば、私も制度審に二年ほどおりましたけれども、これほど踏み込んだ、突っ込んだ答申を出したというのは私の記憶にはないわけであります。そして、ここで言われていることは、極めて直截的というか、あるいは大胆というか、そういうふうに読めるわけであります。  要するに、国立機関になると研究独立性確保されないのか、維持されないのかと何か繰り返し繰り返し言っておりますし、それから、この制度審答申と同時にもらったペーパーに、皆さんもお持ちだと思いますけれども制度審の前会長であられました隅谷三喜男先生が筆頭賛同人になっておられますアピール文がございまして、「社会保障研究重要性認識し、研究の自由が確保され社会保障研究所機能が適切かつ発展的に国立社会保障人口問題研究所に引き継がれることを望みます。」という文書で、ここでも繰り返し、「新研究所において、」「研究の自由が確保され、公正でかつ中立な立場で研究が行われ」あるいは「研究所独立性への配慮」、また繰り返しまして、「新研究所が公正で中立な立場で自由に研究する機関」、こうなってほしい、繰り返し繰り返し出てまいります。そして、後で質問いたしますが、評議会のような委員会を置きなさいというのについては、このような組織国立研究機関では前例がないかもしれないけれども置くべきだ、置くことによって新しい国立社会保障人口問題研究所が出発できるのではないか、こういうふうに言うわけです。  私は、制度審にしましても、そしてこの長い答申文を読みましても、あるいは前会長の隅谷先生が筆頭賛同人になっておられます文書を読みましても、なぜこうまでも制度審なり前会長であられる隅谷先生などが危惧されて、多くの学者が危惧されておっしゃるのだろうかということを考えるわけです。  どうでしょうか、国立になりますと研究の自由が確保されないとか、公正で中立な研究体制が維持されないとか、これは反対にネガティブに読みますと、あるいは公正で中立な立場とか研究所独立性が阻害されるというようなことが実際に国立研究所で行われるのかどうか。大変お答えにくいと思いますが、その辺のところをはっきりおっしゃってください。
  114. 亀田克彦

    亀田政府委員 独立性関係する御質問でございますが、国の研究機関につきましては、国民要請に応じた研究を行っていくということが国民の負託あるいは国民の期待にこたえることであろう、こういうふうに考えております。  制度審議会から独立性確保という指摘をいただいておるわけでございますが、これは、そのような要請に基づく、あるいはニーズに基づく研究が中立公正に行われるべきであることを御指摘されたもの、こういうふうに受けとめておるところでございます。そういう意味での中立公平性あるいは独立性につきましては、先生から御質問がございましたが、国の研究機関におきましても、国の組織におきましても確保され得るものだ、こういうふうに考えております。  私どもといたしましては、先ほどから申し上げておりますように、既に予算に盛り込んでおりますこの対策あるいはその執行に当たってのいろいろな工夫、そういうことを含めまして、中立公平性、あるいは独立性というものが維持あるいは確保され得るものだ、こういうふうに認識をいたしております。
  115. 土肥隆一

    ○土肥委員 そうおっしゃるでしょう。そうしないとおかしな研究所になるわけであります。  そこで、この答申は二つのことを提言しているわけです。  一つは、評議員会を置きなさいということです。評議員会を置くことによって、いわば公平性、公開性、透明性が確保されるのではないのか。  先ほどからずっと質問を聞いておりましても、大臣評議員会を置くというふうな方向のようでございます。しかし、社会保障というのは一つの思想でございまして、思想が絡まって初めて日本の社会保障制度はどうあるべきかということが出てくるのでありまして、それは国家公務員だけが考えるべきことではないのですね。これはやはり全国的、国民的な課題にしなければいけないわけでありまして、そういう意味では、いろいろ組織上無理があっても、公開の場所であります、あるいは研究内容も定めるような評議員会をぜひとも置かれることを強く求めたいと思うのであります。  ついでにもう一つ申し上げますと、もう一つの条件は、この新しい研究所の長をだれにするかということです。  この答申をよくよく読みますと、どうか社会保障関係から出してくれというふうに読めるのですね。私は、この際、人口研究所社会保障研究所の、どう優位かというようなことは言いません。だけれども、より国民課題を担う、そして、先ほどから申し上げておりますように、より広く国民の希望を察知しながら研究を続けていただく意味においては、この新しい長はまず社会保障関係からスタートさせてほしい、このことを大臣に申し上げます。  評議員会、そしてその長について、私の意見についてのお答えをお願い申し上げます。
  116. 菅直人

    菅国務大臣 評議員会につきましては、先ほど来の他の委員の御質問にもお答えいたしておりますように、どういう形が最終的にいいのか、あるいはどういう名称がいいのかは別といたしまして、そういう会議を行うための予算は既に計上をいたしておりますし、また場合によったら、組織整備という問題で総務庁などとも相談しなければいけないことがあるかもしれませんが、これは現在の両研究所関係者を加えた場で今検討させていただいております。形は別として何らかの評議員会的な、評議員会そのものか、あるいは評議員会的なものが当然設置されるものと理解をいたしております。  それから、新しい研究所所長についてということでありますが、これは、先ほどの社会保障制度審議会答申というものが、これは社会保障分野のみを念頭に置いて答申がまとめられているというふうに理解しておりまして、つまりは、全般というよりも、社会保障制度審議会自体が従来提言してこの研究所ができたという経緯もあるというふうに聞いておりますので、そういう立場で申をまとめられたというふうに理解しております。  ですから、多少片方に偏っておるのかもしれませんが、やはり新しい研究所社会保障という問題と人口問題の両方の分野をカバーするものでありますから、その長は、社会保障人口問題に造詣の深い人であるべきであると考えておりまして、制度審答申も踏まえながら、その両分野についてすぐれた学識経験を有する人から幅広く選任をいたしたいと考えております。
  117. 土肥隆一

    ○土肥委員 終わります。
  118. 和田貞夫

    和田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
  119. 和田貞夫

    和田委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。岩佐恵美さん。
  120. 岩佐恵美

    岩佐委員 私は、日本共産党を代表して、社会保障研究所解散に関する法律案に対する反対討論を行います。  本法律案は、実質、社会保障研究所の定数二十三名の削減を前提とした統合になっていることです。  今回廃止される社会保障研究所の定数二十三名は、そっくり七試験研究機関の総定数枠九百四十二名の中で賄うとしており、実質人員削減となり、定数の確保なしに研究体制充実させることはできません。過去二十年間を振り返ると、社会保障研究所を含む研究機関の定数は、七五年に千百六十二名だったものが、九五年度末には二百二十名も削減され、欠員と合わせればわずか九百名に落ち込んでいます。国立公衆衛生院国立予防衛生研究所の人員削減、機能縮小を前提とした研究機関の統廃合が研究体制充実と相入れないことは明白です。  さらに、国民を初め研究者関係職員労働組合など当事者に対しても、いまだ社会保障研究所廃止・統合及び試験研究機関全体の統廃合計画の全容が明らかにされておらず、民主的な手続による合意が得られていないという問題があります。  社会保障研究所は、社会保障制度審議会答申・勧告を受け、社会保障に関する基礎的、総合的な調査研究を行う学問的な性格の強い、中立かつ行政から独立した研究機関として六五年に設置されています。にもかかわらず、その役割の検証や、今後あるべき社会保障研究あり方、理念などは示されないまま、社会保障制度審議会に事前の相談もなく、私的諮問機関である厚生科学会議の報告に基づき、厚生省が一方的に廃止人口問題研究所への再編を決めてしまいました。しかも、閣議決定の後に形式的に社会保障害議会に諮問するというひどいやり方でした。同様に、人口問題研究所に分割・統合される予定の公衆衛生院の国際保健人口室の研究者らには、いまだにその計画さえ説明もされていません。  二十一世紀の研究機関を支える研究者関係職員の合意なしの整理合理化対策ではなく、国民の切実な願いにこたえる研究体制の拡充と民主的な行政運営を要求して、私の反対討論を終わります。
  121. 和田貞夫

    和田委員長 これにて討論は終局いたしました。
  122. 和田貞夫

    和田委員長 これより採決に入ります。  内閣提出社会保障研究所解散に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  123. 和田貞夫

    和田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
  124. 和田貞夫

    和田委員長 この際、本案に対し、鈴木俊一君外四名から、自由民主党、新進党、社会民主党・護憲連合、新党さきがけ及び市民リーグ・民改連の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨説明を求めます。五島正規君。
  125. 五島正規

    五島委員 私は、自由民主党、新進党、社会民主党・護憲連合、新党さきがけ及び市民リーグ・民改連を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。  案文を朗読して説明にかえさせていただきます。      社会保障研究所解散に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、国立社会保障人口問題研究所(仮称)の具体的な運営方法について、所長学識経験者から広く選任することや研究活動全般基本方針等に関し所長に助言する体制を整備すること等も含め、公正中立な立場から調査研究が行われるように、適切な措置を講じるよう努力すべきである。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
  126. 和田貞夫

    和田委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。      〔賛成者起立〕
  127. 和田貞夫

    和田委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。   この際、菅厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。菅厚生大臣
  128. 菅直人

    菅国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして、努力をいたす所存でございます。
  129. 和田貞夫

    和田委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  130. 和田貞夫

    和田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――      〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  131. 和田貞夫

    和田委員長 次回は、来る十九日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時十一分散会