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1996-03-01 第136回国会 衆議院 厚生委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年三月一日(金曜日)     午前十一時二十一分開議  出席委員   委員長 和田 貞夫君    理事 衛藤 晟一君 理事 木村 義雄君    理事 鈴木 俊一君 理事 青山 二三君    理事 石田 祝稔君 理事 柳田  稔君    理事 横光 克彦君 理事 荒井  聰君       伊吹 文明君    稲垣 実男君       狩野  勝君    熊代 昭彦君       近藤 鉄雄君    七条  明君       田中眞紀子君    高橋 辰夫君       竹内 黎一君    戸井田三郎君       長勢 甚遠君    根本  匠君       福永 信彦君    保岡 興治君       赤松 正雄君    粟屋 敏信君       大野由利子君    鴨下 一郎君       北村 直人君    久保 哲司君       坂口  力君    高市 早苗君       富田 茂之君    桝屋 敬悟君       山本 孝史君    山本  拓君       網岡  雄君    五島 正規君       枝野 幸男君    岩佐 恵美君       土肥 隆一君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 菅  直人君  出席政府委員         厚生大臣官房長 山口 剛彦君         厚生大臣官房総         務審議官    亀田 克彦君         厚生省健康政策         局長      谷  修一君         厚生省保健医療         局長      松村 明仁君         厚生省薬務局長 荒賀 泰太君         厚生省保険局長 岡光 序治君  委員外出席者         文部省学術国際         局国際学術課長 岩本  渉君         厚生委員会調査         室長      市川  喬君     ――――――――――――― 委員の異動 三月一日  辞任        補欠選任   持永 和見君     福永 信彦君   山下 徳夫君     七条  明君   久保 哲司君     坂口  力君   高市 早苗君     山本  拓君   福島  豊君     富田 茂之君   森井 忠良君     網岡  雄君 同日  辞任        補欠選任   七条  明君     山下 徳夫君   福永 信彦君     持永 和見君   坂口  力君     久保 哲司君   富田 茂之君     福島  豊君   山本  拓君     高市 早苗君   網岡  雄君     森井 忠良君     ――――――――――――― 二月二十七日  介護保障確立医療福祉年金改善に関  する請願矢島恒夫紹介)(第六号)  公的責任による介護施策充実に関する請願  (岩佐恵美紹介)(第二〇号)  乳幼児医療無料制度確立に関する請願(岩  佐恵美紹介)(第二一号)  障害者介護施策の拡充に関する請願横光克  彦君紹介)(第四六号)  保険によるよい入れ歯を実現するための診療報  酬の大幅引き上げ等に関する請願松本善明君  紹介)(第四七号)  療術の法制化に関する請願横光克彦紹介)  (第四八号)  同(横光克彦紹介)(第五三号)  輸入食品安全規制の強化に関する請願岩佐  恵美紹介)(第五二号)  重度障害者施設等における男性介護従事者の養  成等に関する請願中島衛紹介)(第七七号  )  同(若林正俊紹介)(第七八号)  同(小川元紹介)(第九九号)  同(堀込征雄紹介)(第一〇〇号)  同(宮下創平紹介)(第一〇一号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一二七号)  同(小坂憲次紹介)(第一二六号)  同(井出正一紹介)(第一五八号)  重度心身障害者寝たきり老人とその介護者が  同居可能な社会福祉施設の設置に関する請願  (中島衛紹介)(第七九号)  同(若林正俊紹介)(第八〇号)  同(小川元紹介)(第一〇二号)  同(堀込征雄紹介)(第一〇三号)  同(宮下創平紹介)(第一〇四号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一二九号)  同(小坂憲次紹介)(第二二〇号)  同(井出正一紹介)(第一五九号)  小規模障害者作業所に対する国庫補助制度の改  善等に関する請願中島衛紹介)(第八一号  )  同(若林正俊紹介)(第八二号)  同(小川元紹介)(第一〇五号)  同(堀込征雄紹介)(第一〇六号)  同(宮下創平紹介)(第一〇七号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一三一号)  同(小坂憲次紹介)(第一三二号)  同(井出正一紹介)(第一六〇号)  生活保護受給者医療券方式改善に関する請  願(中島衛紹介)(第八三号)  同(堀込征雄紹介)(第一〇八号)  同(小坂憲次紹介)(第一三三号)  福祉医療実施に伴う国民健康保険国庫負担金  減額調整措置廃止に関する請願中島衛君紹  介)(第八四号)  同(堀込征雄紹介)(第一〇九号)  同(小坂憲次紹介)(第一三四号)  重度心身障害者とその両親またはその介護者及  び寝たきり老人とその介護者が同居入所可能な  社会福祉施設実現化に関する請願井出正一  君紹介)(第一五六号)  男性介護人に関する請願井出正一紹介)(  第一五七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  厚生関係基本施策に関する件(エイズ問題)      ――――◇―――――
  2. 和田貞夫

    和田委員長 これより会議を開きます。厚生関係基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、去る二月二十一日、厚生関係基本旛策についての実情調査のため、東京都東村山市の高松宮記念ハンセン病資料館視察を行うとともに、ハンセン病患者団体代表方々から、その意見要望を聴取しましたので、参加委員代表し、私からその概要を御報告申し上げます。  参加した委員は、私のほか、衛藤歳理事、吉山二三理事石田祝稔理事横光克彦理事竹内黎委員大野由利子委員福島豊委員桝屋敬悟委員山本孝史委員井出正一委員岩佐恵羊委員土肥隆一委員の十三名でありました。  まず、現地に到着後直ちに、国立療養所多磨全生園敷地内に設置され、亡くなられたハンセン病患者の御遺骨三千七百六十五柱が納められている納骨堂に献花をして慰霊した後、高松宮記念ハンセン病資料館視察いたしました。  同資料館は、創設時に高松宮殿下を総裁としたハンセン病救護事業団体藤楓協会の創立四十周年の平成五年六月二十五日に同敷地内に開設され、多磨全生園入所者等のボランティアによって運営されているものであります。  同資料館平沢保治運営委員説明に基づき、その概略を御報告いたします。  我が国のハンセン病対策は、明治四十年の法律制定に始まり、当初は、主に浮浪患者救済のため公立の療養所収容することを目的とするものでありましたが、大正から昭和にかけて、政府による過酷な患者隔離政策がとられ、非人道的な強制収容実施されました。  同資料館には、この九十年に及ぶ療養所入所者の苦難の歴史を物語る数々の展示品が陳列されておりました。同氏の説明によれば、療養所からの患者の逃亡を防ぐために設けられていました見張所の日誌、同じく逃走防止策として、お金のかわりに園内のみで使用された園内通用券患者懲戒のための監禁室、かつて八人が寝起きした十二畳半の雑居部屋所内で使用されていた治療道具薬品類、世間から隔離され自給自足を強いられた療養所で日々の暮らしの中で使ったさまざまな道具類などであり、ハンセン病が抱えてきた問題の深刻さを改めて認識させられた次第でありました。  また、所内での結婚制度と引きかえに実施された優生保護の処置についての経緯など、当時のハンセン病対策療養所の生々しい実態、普通常識では考えられない特殊な状況にあって、患者は、病気という苦しみ、家族、肉親との決別、偏見差別の中で、与えられた命を生きるということは死ぬよりもつらいことであったという悲痛な実情についての説明がなされました。  一方、このような暗黒時代ともいうべき中にあって、大正天皇の皇后であった貞明皇后が下賜されて設立された財団法人癩予防協会により、患者方々希望を与え、生きる勇気を励まし続けてきた救らい活動が行われてきたことにも触れられました。  さらに、入所者が生きがいを求め、生命のあかしとしてつくり出した美術工芸品、絵画、写真が展示されておりました。中でも、手足の感覚が麻痺したため舌先で点字を読む患者写真には、過酷な状況の中にあっても希望を捨てず生き抜いた患者方々の姿が映し出されておりました。  次に、国立療養所多磨全生園事務本館二階会議室において、全国ハンセン病患者協議会代表方々にお会いいたしました。  最初に、私からあいさつと出席委員紹介を行い、次いで、全国ハンセン病患者協議会高瀬重二郎会長神崎正男事務局長戸田健次郎中央執行委員太田明中央執行委員及び森元美代治多磨全生園支部長紹介が行われ、その後、高瀬会長から意見要望が述べられました。  その概要を御報告いたします。  まず、ハンセン病に対する偏見差別の問題について、療養所山間僻地あるいは離島という、政府隔離撲滅という目的達成のために最も適した場所が選定されて設置されてきたこと、収容についても、強引に行われ、ハンセン病に対する恐怖、心をあおったこと、治療についても、他の国立病院と異なって、患者治療して社会復帰させるということではなく、一般社会から隔絶された療養所の中でのみ行われ、恐ろしい治らない病気というイメージが非常に強かったこと、家族に対しても呵責なき差別偏見が加えられてきたこと等が指摘されました。  ちなみに、全国で毎年二百人程度の患者が亡くなりますが、家族が葬儀に参加するのは十名に対して一名か二名、さらに遺骨を持ち帰る場合が百名に対して二、三名ということで、ハンセン病患者は死んでからもなお故郷に帰れないという実情が語られました。  また、ハンセン病療養所職員数は他の国立療養所と比べて極めて少なかったため、施設運営には比較的健康度の高い軽症の患者たちが、病棟の看護、不自由棟生活介護等労働力を提供してきたこと、これについても、労働過重による病状悪化手足あるいは視力の障害等をもたらし、中には命を落とす人も少なくなかったこと、こうした厳しい園内生活、あるいは家族との関係、さらには進まない治療効果、将来に対する失望、失意、また周囲の冷たい仕打ち等に耐えられずに、一家離散あるいは一家心中をしたような例は少なくなかったことなどの説明がありました。  戦後、昭和二十二年にプロミンの使用が始まり、ハンセン病が不治の病から治る病気になり、希望の光が差し、療養所の中が非常に明るくなりました。その後、昭和二十六年に同患者協議会が結成され、予防法改廃基本的人権確立医療生活改善を目指して運動が展開されてきました。昭和三十年代には、医療生活が少しずつ改善されてきて、居住者棟生活介護職員に切りかわったこと、障害年金制度が導入されたこと、給与金の問題も定着したこと等により、世界に類例を見ないと言われてきた予防法も少しずつ形骸化されてきました。しかしながら、患者家族に対する偏見差別は依然として根強く残って今日に至っております。  日本らい学会によりますと、当初から隔離をする必要はなかったとのことですので、今日まで放置され、見直しがおくれたことは返す返すも遺憾でありましたとの意見が述べられました。  今回の法律案についての同患者協議会基本的な立場は、その結成以来四十五年間求め続けてきたらい予防法改廃に関する要望らい予防法廃止に関する法律案におおむね法文化されており、ようやく今国会に提出されたというものでありました。  現在ではハンセン病療養所入所者はおよそ五千八百人に減少し、そのほとんどが三十年以上の長期入所者であり、平均年齢も七十歳を超えているという状況にあることから、現在の入所者最大悲願としては、強制隔離基本とした現行法廃止と、社会的偏見差別を払拭するための積極的な国の努力を念願することであり、さらに、社会復帰希望する者には不安のない配慮を、また、所内生活を余儀なくされる者には医療福祉等を将来にわたって保障する措置を講じてほしいということでありました。  具体的には、まず第一に、入所者に対する患者給与金支給の継続について、今後の不安を解消するため、附帯決議に将来にわたって患者給与金制度は継続する旨を盛り込んでほしいということ、また第二としては、新たに、法律制定を契機に、政府及び国会はその責任において、学校教育の中で、また一般市民に対して、ハンセン病に対する正しい知識の普及と差別撤廃のための努力積極的推進を表明することをお願いしたいというものでありました。  最後に、こうした要望実現のため、らい予防法廃止に関する法律案全会一致により早期成立させてほしい、そして、明治以来、無念の思いを残してこの世を去っていった二万二千柱の先輩に対して、悲願達成報告し、御冥福を祈りたいということでありました。  これらの要望につきましては、私から、今後の国会審議を通じてハンセン病患者方々要望実現するよう努力していきたい旨を回答いたしました。  また、参加委員からは、療養所当局に対して、療養所職員の不足の状況及び病院施設居住施設老朽化整備状況についての質疑が行われ、さらに、多磨全生園入所者代表からは、特に不自由者に対するケアの充実施設整備に関する要望がありました。  なお、今回の視察実施に当たりましては、高松宮記念ハンセン病資料館関係者を初めとする多くの方々の御協力をいただきました。ここに深 く謝意を表しまして、報告といたします。(拍手)     ―――――――――――――
  3. 和田貞夫

    和田委員長 厚生関係基本施策に関する件、特にエイズ問題について調査を進めます。  質疑に入るに先立ちまして、この際、血液製剤によりエイズに感染され、お亡くなりになられました方々の御冥福をお祈りいたしまして、謹んで黙祷をささげますので、御起立願います。――黙祷。     〔総員起立黙祷
  4. 和田貞夫

    和田委員長 黙祷を終わります。御着席ください。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。衛藤晟一君。
  5. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 私は、自由民主党代表いたしまして、薬害エイズ問題についての質疑を行わせていただきます。  まず、本日の衆議院厚生委員会の薬害エイズ問題についての集中審議に先立ち、お亡くなりになられました血友病患者方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、闘病生活を送られている方々に心からお見舞いを申し上げる次第でございます。そして、これまで困難な道を歩んでこられました東京弁護団及び大阪弁護団方々並びに支援してこられました方々に対しまして、その御努力に対しまして心から敬意を表する次第でございます。  全く責任のない多くの人々が血友病治療のためにエイズに感染し、その被害の拡大を防止できなかったことは、まことに無念なことであります。そして、十数年の長きにわたり死の恐怖と絶望と闘い、患者家族が筆舌に尽くしがたい悲惨な苦悩を味わってこられたことを考えますと、断腸の思いがいたします。  私たち自由民主党は、裁判所が示しました「和解勧告に当たっての所見」を厳粛に受けとめる、そういう決意でございます。私自身も、立法府の一員として、また政策決定責任を持たなければならない与党として、さらに行政をチェックすべき議員として、改めて、なすべきことがあったのではないのか、あるいはいろいろな措置が遅きに失したことがあったのではないかと自問している次第であります。薬事法の改正や製造物責任法平成六年公布、平成七年施行を考慮すれば、裁判所所見を正面から受けとめ、与党政府は一体となって甚大な感染被害を早急に救済すべき責任を果たさなければならないと改めて決意をいたしている次第であります。  また、なぜこのような被害が生じたかについて、真相調査、究明しなければなりませんが、その際、個人的な問題としてのみ考えるのではなくて、むしろ、当時の薬務行政全体の問題として考え、その反省に立って再発防止に結びつけなければならないと考えています。そのためにも、一刻も早い真相究明が必要であります。血液製剤危険性の認識と、これに対処するための有効な方策について所見が徐々に高められてきていることを考えれば、当時の状況に立って、一体どうすれば避けることができたのか、何が不十分でどこが間違っていたのか、謙虚に反省する必要があります。  東京地方裁判所大阪地方裁判所被害者救済のため和解に向けての最大努力を払っておられることに敬意を表するとともに、和解成立を心から願うものであります。四十年も争った水俣を繰り返してはなりません。一刻も早く全面和解が必要であります。三月末に向けて何としてでも和解成立させ、全面解決の道を開く必要があります。この点について、厚生大臣決意をお伺いしたいと思います。  厚生大臣は二月十六日に、連立与党要請を受けた後、患者家族に、国の責任を認め、謝罪されました。大臣気持ちをお伺いいたします。
  6. 菅直人

    菅国務大臣 ただいま衛藤委員の方から、この問題についてのある意味では自民党代表してのお話をいただきまして、その大部分といいましょうか全部は、私自身も全く同じように考えている、感じているところであります。  今、和解に臨む決意あるいは二月十六日に私が患者家族皆さん責任を認めた、そういったときを含めての気持ちということをお尋ねになりました。  御承知のように、この問題は、原因の発生は十数年前にさかのぼるわけですけれども、六年ほど前から裁判になっておりまして、昨年十月に和解案の提示が東京大阪両地裁からなされたわけであります。そしてその段階で、前厚生大臣森井大臣の判断のもとで、そのリーダーシップのもとで、国としても和解テーブルにのろうという決断をしていただいているわけであります。その和解テーブルにのった中で、その後の協議が続いてきていたわけであります。  私は、大臣に就任して、この問題については、新しい橋本内閣成立に当たっての自民党、社民党、さきがけの三党合意というものの中で、和解による早期救済をまず第一に重要視しなければならない、同時に、「薬事行政の中でHIV問題に関し、責任問題も含め、必要な調査を行い、薬害再発防止のための万全の措置をとる。」こういうことを合意していただいておりまして、そういう中ではやはり事実関係調査が必要であろうと考え、一月二十三日に、省内において調査プロジェクトをスタートさせてまいったところであります。そういった中で、発見された資料などの存在も含めて、さらに与党皆さんともいろいろとお話をさせていただきました。  その中で、与党三党から二月十六日に、「薬害エイズ問題の全面解決に向けて」という要請をいただいたわけであります。特に、「裁判所の示した「和解勧告にあたっての所見」を厳粛に受け止める。また、政府に対し、この所見を厳粛に受け止め、これに基づいた誠実な対応を取るよう強く要望する。」という要請を、衛藤さんを含む与党三党の方からいただきました。そういうものを踏まえ、また橋本総理にも、前日の夕方、経過の報告の中で御相談を申し上げ、そういった経緯の中で、二月十六日、ちょうど座り込みをやっておられた皆さん最終日に当たったわけですけれども、東京大阪の両原告団皆さん厚生省の一室においでをいただきまして、その中で、そうした与党の申し入れや総理への御相談、あるいはさかのぼれば和解へもう既に参加をしていた、そういう流れの中で、私の方から患者家族皆さんに国の責任裁判所の示された所見に述べられた「重大な責任」ということを認めるということを申し上げさせていただきました。  もちろん、厚生省としても、その間にいろいろな議論を繰り返しまして、そうした方向について省が一丸となって対応していこうということを内部的にも合意をいたして、そうした発言をさせていただいたわけであります。  そういった意味で、今、衛藤さんからも話がありましたように、この問題は、本当に患者皆さんには何一つ責任がない中で大変厳しい状況患者皆さんに、あるいは家族皆さんに招いてしまったということについては、私自身も、国会に籍を置く者として何とかならなかったのかという強い反省といいますか、どうにかならなかったのかという思いをいたしておりますが、そのときも申し上げましたが、時間を逆に回すことはできない、残念ながらできないわけでありますから、今からできることについてはぜひ全力を挙げて、できることはすべてやれるように頑張りたいということをそのときも申し上げたところであります。  そういった意味で、和解交渉も今月末をめどに何とかまとめ上げたいということで、関係者皆さんのその意味での意見、意思は一致をしていると私は受けとめておりまして、この間に何としても和解成立を図って恒久対策を含む抜本的な対応ができるようにぜひ進めていきたい、そのための御協力、御支援をあわせてお願いいたしたいと思っているところであります。
  7. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 和解の相手でございます、国の方の姿勢については大臣からお聞きしてよくわかりましたが、おのおの製薬企業があるわけでございまして、一部足並みの乱れがあるとか、一時は外資系企業がなかなか難色を示しているとかいうようなお話もございました。積極的に大臣もお会いをしていただいているようでございますが、我々といたしましてもできるだけのバックアップをしてまいりたいと思います。  この和解成立に向けてどのように取り組もうとされるのか、お伺いいたします。
  8. 菅直人

    菅国務大臣 十月から始まっております和解交渉において、最近の報告を聞きますと、週に二度三度の頻度で話し合いが行われているという報告を受けております。厚生省も、法務省の担当者も含めて何人かの担当者が出て、この間、裁判所、裁判官を中心に個別のお話あるいは他の被告原告と同席したお話など、いろいろと進んできているという報告を受けております。  そういう中にありまして、私自身も、二月の十六日あるいはその前の十四日を含め、患者原告団皆さんにお会いをしていろいろお話を聞く、あるいは昨日も東京大阪の両原告団、これは与党プロジェクトの方にも行かれたと聞いておりますが、その前後に私もお会いをいたしまして、統一の要求案についてもお話をいただきました。  また、同じ被告である薬メーカーについて、私も機会があればお会いをしてもいいというふうに思っておりましたが、この間、二月の二十六日に、バクスター社会長が来日をされて、表敬訪問をいただいた席で約一時間ほど、この問題について意見交換をいたしました。また二十八日には、バイエル社の、これも本社の専務に当たる方ですか、この薬品関係責任者の方が来られましたので、同じようにお話をいたしました。  そういう皆さんとの話の中では、もちろん具体的な、例えば恒久対策の内容といった点ではいろいろな考え方、要求が出ておりますし、また被告会社の中でも、裁判所和解案あるいは所見に対していろいろな意見をお持ちのところもあるわけです。しかし、和解によって解決を図りたい、特にこの三月中ということが一つのめどになっている和解によって何とか解決を図りたいという、その点では、私がお会いをした二つの外資系メーカー責任者の方も含めて、皆さんそうした方向では一致をしているという強い感触を受けているところであります。
  9. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 そうしますと、和解協議はどのような段階に入っているのか、いわゆる第二次和解案裁判所からいつごろ提示されるのか、それについてどういうぐあいに取り組もうとするのか、大臣のお考えをお伺いします。
  10. 菅直人

    菅国務大臣 先ほどの東京大阪原告団にお会いしたのは、昨日ではなくて一昨日の二十八日でありました。  和解の段階ですけれども、第二次和解案と言われるものがそう遠くない時期に裁判所の方から提示をしていただけるのだろうというふうに思っておりますが、その時間的な時期がどの程度の時期になるかということは、はっきりした形では伺っておりませんというか、まだわからない状況です。  御承知のように、この和解という問題は、関係者がそれぞれ、置かれた立場が違うわけです。つまりは、原告皆さん原告としての、同じ被告でも国という被告とメーカーという被告、それに裁判所という立場、それぞれ違う立場でありますので、両外資系のメーカーの責任者からは、国がある程度リーダーシップをとって全体がまとまるようにというような要請をいただいた方もあります。また、原告団皆さんからも、被告の中では、いろいろなメーカー、外資系を含むメーカーについて国の方から、原告団要望要請要求に、国はもちろんのこと、メーカーの方もそれに応じるように説得をしてほしいといった要望もいただいております。  ですから、基本的には和解テーブルというものが一番大事だと思っておりますし、その中では裁判官の判断が最も中心になろうと思っておりますが、個々の問題では、厚生省としても、原告団皆さんのいろいろな要望や他の被告のメーカーのいろいろな考え方もあわせて、国としてどういう態度がとれるのか、このことを一つ一つ考えていきたい。そういう中で、そう遠くない時期に、裁判所にもそういう状況を伝えながら、相談をしながら一つの考え方がまとまってくるのではないだろうか。  この点については、ぜひ、水俣病のときも本当に与党関係者皆さんが大変な苦労をされていろいろな関係者意見を取りまとめていただいたわけですが、そういったことも含めて多くの問題で、与党皆さんを中心に、あるいは超党派の皆さんを中心に国会でもいろいろと御協力をいただかなければならない、こんなふうに思っております。
  11. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 ぜひ国会も、そして厚生省も挙げて頑張っていかなければいかぬと思います。そういう意味では、国が主導し、かつ三月末というよりも早ければ早い方がいいわけでございますから、一刻も早い和解協議成立を心から希望いたします。  さて、原告患者方々が最も希望しておりますことの一つに、安心してかかることのできる医療体制の整備、そして、命にかかわる治療法や治療薬の開発がございます。さらには、和解一時金による救済を補完し生活を支援する健康管理手当、介護手当、そして遺族弔慰金等も和解協議の重要なテーマでございます。  恒久対策について、私は、医療面で国も努力をしてきたかもしれないけれども、余りにも整っていなかったという意味においては、やはり国が責任を持ってこの医療体制の整備を今後はやっていかなければならないというぐあいに思っています。それについて御意見を求めます。  さらに、その医療体制の整備に当たって、長い間患者方々も苦しんでまいりました。あるいは、今の医科研も患者の方と一緒につくってきたと言っても過言ではないと思います。そういう意味におきましても、患者側の意見をもっともっと聞く場を持つことは必要だというぐあいに考えておりますが、大臣の見解を求めます。
  12. 菅直人

    菅国務大臣 今、患者皆さんにとって緊急にというか、最も必要なことの間違いなく第一番目に挙げられるのが、十分な治療を受けられる、あるいは発症予防を受けられる、その体制づくりだということでは全く同様に考えております。  現在、まずはエイズ対応できるような拠点病院の整備を進めてきているわけですが、従来、幾つかのところではまだできていない県もあったのですが、やっと二月の末日をもって、全都道府県で百七十七の医療機関がこの拠点病院として選定がなされました。そして、平成八年度予算においても、拠点病院の設備の整備充実医療従事者に対する実地研修及びカウンセラーの設置のための予算を既に計上していただいているところであります。  そういう中で、こういう拠点病院のネットワークということに加えて、今衛藤さんからも話がありました、研究や治療あるいは研修のセンター的機能を備えた研究治療機関を設立してほしいという要望原告団から出されております。これにつきましても、現在、いろいろ関係者相談をいたしておりまして、これは、単に何か役所で決めたからといってすっとそのとおり動くというよりは、今もお話がありましたように、これまでエイズ治療や研究に当たっていた皆さんの力を中心にして、同時に、これからどういう形で制度や、あるいはどの施設を使うのがいいかという、そういうことをいろいろ関係者の方とお話をしなければなりませんので、そういったことを今進めているところです。何らかの形でそういった患者さんたちの希望にこたえ得るような体制をつくりたいというふうに思っております。  また、患者さんたちの話を聞くようにという御指摘ですが、もちろん、こういった要求書などをいただくことを含めて、あるいはそういう場だけではなくて、いろいろな形で要望は聞かせていただきたい。また、与党皆さんも場合によっては間に入るような形で御協力をいただければと思っております。  また、この和解が例えば成立をするという段階に来た場合にも、これも両原告団要求書にもう既に入っておりますけれども、多分その和解がいい形でできたとしても、さらにいろいろな問題が残されてくることも十分あり得るわけでありますので、そういう中では、その後についても、患者皆さん関係者皆さん意見が聞けるような形を、継続的に話が聞けるような形をつくっていかなきゃいけないのではないだろうか、このように考えております。
  13. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 今、発病をできるだけおくらせるということについて、大分技術も進んでまいりました。何とかこのエイズを完治できる、そして本当に命の救える状況に持っていくために、センター的な機能を備えた一やはり治療法、治療薬の開発がどうしても必要であります。日本の技術をもって総力を挙げてすれば、私は既に可能な段階に入っているのじゃないかというぐあいに思います。これはぜひ、和解協議の中でも強く出ていることでございますが、国を挙げてバックアップをし、むしろ国が責任を持ってっくり上げていくということは必要であると思いますので、改めて要望いたします。  この拠点病院の整備、医師や看護婦の研修、カウンセリング等がまだまだ本当に行き届いておりません。先ほど申し上げましたように、患者さんの意見を聞く場というのはどうしても今必要でございます。そういう意見が反映されなくて、まだまだ医療関係者の一方的な押しつけになっている部分がたくさんございます。そういうものを解決していきながら、これらの整備、あるいは非常にまだまだ少ないお医者さんや看護婦さんをふやしていき、研修していって、建物だけでなくて全体の医療レベルをどうしても上げなければいけないと思いますが、それをどういうぐあいに進めていくのか、お考えをお尋ねいたします。
  14. 松村明仁

    ○松村政府委員 エイズ患者さん、感染者の方々が安心して医療を受けられる体制を整備いたしますことは、エイズ対策上非常に重要なことであると考えております。このため、今大臣からもお話がございましたけれども、全国の自治体の方々を初め皆さんの御協力をいただきまして、二月末日をもちまして、すべての都道府県において拠点病院の選定がなされております。  さらに、今委員御指摘の研修その他のことでございますが、厚生省といたしましては、エイズ診療の質の向上あるいは患者さんの受け入れ体制を推進するために、従来から、拠点病院等におきます医師及び看護婦を対象としたエイズ拠点病院等医療従事者研修会、こういったものを実施しております。また、エイズ予防財団において、看護婦等を対象といたしましたカウンセラー養成研修の実施もしておるところでございます。さらに、都道府県、指定都市がエイズ対策促進事業により行う医療従事者に対する研修への国庫補助も行っているところでございます。  今御審議いただいております平成八年度予算案におきましては、拠点病院の医師等の実地研修及びカウンセラーの設置のための予算を新たに計上させていただいておるところでございまして、今後とも、このような事業を通じまして、拠点病院の充実エイズの診療体制の充実に努めてまいりたいと考えております。
  15. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 エイズ患者への差額ベッド、まだ患者方々で差額ベッド代を負担している方はたくさんいらっしゃるわけでございますので、この解消を図らなければいけないと思います。それについてどう取り組むか、明確にお答えいただきたいと思います。
  16. 菅直人

    菅国務大臣 衛藤委員も御承知のように、本来この差額ベッドというのは、治療上必要で個室などに入った場合は差額ベッド代を取ってはいけないということになっていて、患者希望の場合に、特に希望した場合に限って徴収できるという形になっているわけです。また、特に必要な患者さんに対しては、エイズ拠点病院の整備診療報酬上の加算措置がとられているわけです。  しかし、私もいろいろ聞いてみますと、そういう制度にはなっているはずなんだけれども、実際には、それじゃそのことを例えば厚生省が強く指導すると逆に何となくいづらくなるといったような、そういう患者さんたちからのお話も聞いているわけです。ですから、現在の既存の制度では御本人、患者さんたちに負担がかからない制度になっているはずなんですけれども、実際には、患者さんが申し出て差額ベッド代を払う形で個室に移ってほしいというようなことが現実には行われているという話もたくさん聞いております。  そういった点で、これをどういう形でフォローできるのか、この点についてはさらにいろいろな方の御意見を聞きながら考えてみなければならない。これはできれば与党の中でも、どうすればいいのか少しお考えいただきたい。どうしても厚生省保険医療の建前からすれば、今申し上げたように、これはもう差額ベッド代は取ってはいけないことになっていますとか、いや、これはもう加算で取れることになっていますとかというふうになってしまうものですから、場合によっては、そういう今の保険制度の仕組みを超えた形で何らかの援助をするようなことも考えなければいけないのかな、そんなふうに思っております。
  17. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 ぜひちゃんとした形で、治療のために、実際は自分の意思でなくて差額ベッド代を払わなければいけないという実態がありますから、これをいろいろな形で、特例としてもいいから、国はこの治療体制については責任を持たなければいけませんので、今後ともお互いに検討していきたいと思っております。  それから、まだ国内では使用されていないエイズ治療に必要な医薬品の事前承認、事前承認薬の輸入に道を開いて早期にこれらの医薬品を導入しなければいけないというふうに考えておりますが、その意思とその時期についてお尋ねをいたします。
  18. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 平成五年度より、患者数の少ない疾病用の医薬品の開発を促進する目的で、先生御承知のオーファンドラッグ制度を設けたわけでございます。そして、ザルシタビンを初めとして八品目のエイズ及び関連疾病の治療薬をオーファンドラッグに指定いたしまして、治験段階におきまして相談や開発費の補助を行いますとともに、承認審査においても優先審査を行って可及的速やかに承認を与え、早く患者方々に使用できるようにしているところでございます。  このオーファンドラッグの開発研究費補助金も、七年度の予算額四億円に対して八年度は五億円に増額をいたしておるわけでございます。また、平成八年四月には、ラミブジン、プロテアーゼ阻害剤及びガンシクロビルにつきましてもオーファンドラッグの指定を行う予定でございます。  エイズの医薬品の研究開発費につきましては、平成八年度におきまして、外国の研究機関との共同研究を大幅に増額いたしますとともに、基礎研究に対する新たな出資制度を創設する等、七年度の予算額を倍増いたしまして、総額十五億三千万円の予算により、国際的に英知を結集して、エイズウイルスの増殖を停止させる医薬品また免疫機能を活性化させる医薬品の開発に取り組むこととしております。  このエイズ治療薬などを患者が一刻も早く使用できるように、二月に入りまして、治験の開始を早めるよう関係製薬企業十社に依頼をいたしまして、そのうち一社から二月中旬に治験届が提出をされたところでございます。また、承認申請をされました後におきましても治験を継続して、その医薬品の必要な患者さんが服薬できるような対応を行うことといたしております。  また、治験に患者さんが参加できる機会を確保いたしますため、治験実施医療機関の数の増加を図りますとともに、患者に対する治験情報の提供などを検討しているところでございます。
  19. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 それから、今、両原告団からも出ておりますが、被害者に対する健康管理手当、現在は、CD4が五百の場合三万円、二百以下の場合五万円というようになっていますが、これではとても今やっていけるような状況ではございません。健康管理手当については月十万円、そして、周りの方々の大変な介護が要るわけでございますが、月二十万円。さらに、既に亡くなられた方々の遺族は大変つらい思いをしながらやってきたわけでございます。これからの、今の患者方々に対しましては国を挙げて体制が変わってくるというぐあいに私ども考えておりますが、今まで亡くなられた方々、遺族の方も、大変な苦しみの中で、不十分な中でやってこられたということを思いますと、どうしても遺族弔慰金が必要だろうというぐあいに思っております。また、そのことは和解協議の中心の柱にもなっているわけでございます。  おのおの、健康管理手当、介護手当、遺族弔慰金について、大臣の御見解を求めたいと思います。
  20. 菅直人

    菅国務大臣 今、衛藤さんおっしゃったように、現在の枠組みは、CD4で五百を切った方について健康管理費用ということで月額三万五千三百円、CD4二百以下の方に五万一千三百円ということで対応がされ、また発症後につきましては、メーカーの方の拠出から成る友愛財団というところを通して特別手当が出ている、このことは御承知のとおりであります。この額も、年齢によって、十八歳以上が二十六万二百三十円、十八歳未満が十万五千八百三十円というふうになっているように聞いております。  これを含め、今おっしゃった弔慰金の問題を含め、恒久対策と言われる部分の中心的な問題が、現在のこういった形がどういう形で、まさに恒久的な形につながれていくかということになっているわけです。ここにつきましては、原告団の方から今紹介のありましたような要求要望が出ていることはよく承知をいたしております。  それで、この部分を国がどういう形で負担をし、また薬メーカーがどう負担をしていただくか、その問題については、まさに和解協議の場で今議論が進んでおりまして、いろいろな考え方はあろうと思いますが、今この席で私の方から具体的なことを申し上げることはちょっと控えさせていただいた方がいいのではないか。弔慰金についても、これは裁判所の判断の中でどういう扱いをされるのか、このこともそういった意味では和解の中での非常に大きな課題になっておりますので、余り見通しといったようなことは、ちょっと申し上げることは控えさせていただいた方がいいのではないだろうか。ただ、問題意識として、それらの問題が非常に重要な課題になっているということは強く認識をいたしております。
  21. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 原因究明について、調査についてお尋ねをいたしたいと思います。  今回の問題はまさに薬事行政のあり方を問われている問題でもございます。また、そのことをちゃんとしないと将来に向けた再発防止の体制もできようがありません。さらには、これだけ国民の関心が高い問題でございますから、情報開示も大変重要でございます。  省内のプロジェクトチームの報告書が先日公表されましたが、そのポイントは何か、新たに判明した事実は何か、簡単に御説明願いたいと思います。
  22. 菅直人

    菅国務大臣 二十八日に、省内のプロジェクトチームの方から中間報告をさせていただいたわけですが、まず一つは、いろいろな報道の中で、例えば、いろいろ質問を出したものに対する直接の、生の返事が出なかったのではないかという報道などがあったわけですが、昨日の夕方、改めて事務方から御報告をいたしましたが、生のものもきちんと見ていただけるように、もともと準備をしておりました。ただ、その時点では、それをいわば整理したものをお渡しした。実は、生のものというのは、このくらいの、六十、七十冊ぐらいのファイルプラスいろいろな資料がありますので、そういう扱いをさせていただいたということをあらかじめ申し上げておきたいと思います。  中間報告のポイントは、これはずっと読んでいただいて、それぞれがポイントと感じられるところ、そうでないところあるかと思いますが、一応幾つか挙げてみますと、昭和五十八年当時、厚生省エイズ研究班は、エイズについて、未知のウイルス感染症の可能性が強く、また、血液等を介して感染する可能性が強いという認識があったと認められるということ、これが第一点であります。  第二点は、五十八年六月の日本トラベノール社の自主回収報告について、同研究班に報告されなかったことが確認をされたということであります。  第三点は、五十七年ごろ、加熱製剤の承認区分の考え方が、有効成分に影響を与えない製造方法の一部変更、いわゆる一変と言われるものから新薬の扱いへと変更になったという日本トラベノール社社員の裁判における陳述と当時の担当職員の記憶が異なっていることが確認されたということであります。  第四番目は、加熱製剤の緊急輸入の提案について、郡司元課長は否定する一方、研究班班員の記憶は、否定する者、いや、あったと言う者、両方に分かれているということであります。  五番目は、いわゆる帝京大学症例について、研究班は、CDC診断基準に基づき検討し、ステロイド剤投与による免疫低下を否定できなかったことなどから疑似症例としたと考えられることであります。また、スピラ博士は、その症例についてエイズであると診断したことが確認をされております。  六番目は、五十八年十一月に加熱製剤の審査方針が説明されたというこの事実は確認されております。また、治験開始の指示はなかったといいましょうか、審査方針の説明はあったわけですが、治験開始の指示は特になかったこと及び各社の加熱製剤が六十年七月一日付で承認された理由が確認されたこと。  七番目は、加熱製剤販売後の非加熱製剤の回収を加熱製剤との交換によるメーカーの自主回収とした理由などが関係者から述べられております。当時の非加熱製剤の回収状況等についての認識も述べられている。  こういった点が中間報告のポイントではないかと思っております。  一部重なりますが、郡司元課長のファイルなど九冊のファイルが発見されるともに、今回の調査で新たに判明した点としては、以下の点が挙げられると思います。  一つは、エイズ研究班設置当時やギャロ博士のウイルス固定のころに、厚生省や専門家が有していた知見、当時どういうことを考えていたかということが判明した。  二番目には、いわゆる帝京大学症例についてのスピラ博士の診断内容が判明した。  三番目には、昭和五十八年十一月、加熱製剤の審査方針の説明会を開催した理由が判明したということであります。  今後の問題として、調査チームとしては、非常に問題となっております五十八年七月十一日付あるいはその一週間前の四日付の資料の性格や用途などの調査をさらに続けたい。また、郡司元課長のファイル以外の八冊のファイルについてさらに精査をしていきたい。さらにもう一点、二月二十五日に風間元血液製剤委員会委員長からファイルが提出をされておりまして、これについてさらに精査をしていきたい。  こういったことを中心にした作業を進めて、三月の半ばをめどに、これらをさらにまとめた、これが最終になるかどうかは今の段階で断定的には言えませんが、できるだけ最終にしたいと思っておりますが、そういった形の調査結果を今月半ばをめどにまとめたい、関係資料を同時に公開したい、こう考えております。
  23. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 郡司ファイルを初め、従来見つかっていなかったとされております資料が発見されました。このことはやはり、厚生行政に対する大変大きな不信感を募らせたわけでございます。  また、原因究明のためには情報開示が必要でございます。厚生省の姿勢として、国会に対して、国民に対してちゃんとした形で、今後は報告なり情報開示なり相談なりということをぜひお願い申し上げたいと思っております。私は、今までの姿勢を見ておりまして、行政として明らかに足りなかったというぐあいに強く感じておりますので、そのことをまず要望いたします。  非加熱製剤の回収についてでありますが、立入調査の結果、ミドリ十字が虚偽の報告をしていたというぐあいに言われております。事実関係がどうであったのか、また、このことに関していわゆる第四ルートの感染の実態はどうなっているのか、さらには、このような虚偽の報告ということについて、はっきりとした処分をする必要があるというぐあいに考えますが、大臣としてどういうぐあいに考えられているのか、見解を求めます。
  24. 菅直人

    菅国務大臣 ミドリ十字につきましては、いろいろ回収状況についてはっきりしないところがありましたので、二月二十三日に、本社や関係の箇所を薬事法に基づいて立入検査をいたしました。  従来、六十二年三月に、ミドリ十字は日本血液製剤協会を通じて報告をしておりましたが、その後、再確認を行ったところ、従来の報告を訂正したい旨の申し出があり、その間の事情が十分把握できなかったことから、そうした立入調査を行ったものであります。  これまでそうした立入調査によってわかったところを申し上げますと、最終の出荷時期については、従来の、六十二年三月二十五日の日本血液製剤協会を通じての報告がなされた時期よりも、第Ⅷ因子については三カ月おくれの昭和六十年十二月である、第Ⅸ因子は従来の報告よりも十カ月おくれの六十一年十二月であることが判明をいたしました。  また、回収時期は、せんだっては一年以上ということで、報道にはその時点でわかったことで申し上げたのですが、現在、調査をしたところ、回収時期は、そのときの報告に対してのおくれですが、前回の報告から今回さらに違っていた間隔ですが、第Ⅷ因子については二年五カ月おくれの昭和六十三年四月に回収終了をした、第Ⅸ因子は同じような意味で二年二カ月おくれの昭和六十三年七月までは終了していなかったことが明らかになりました。  そういった意味では、承認の時期からいいますと、第Ⅷ因子は六十年七月に承認されているわけですから、承認から回収までということでいうと第Ⅷ因子が二年九カ月、第Ⅸ因子は承認が六十年十二月ですから、加熱製剤の承認から非加熱製剤の回収までの間隔は二年七カ月ということになるわけであります。  これらの調査結果と以前の報告内容が違った理由については、現在さらに引き続き調査をいたしております。  また、第四ルートの問題は、この間これについても、非加熱製剤を販売している、あるいは製造販売しているメーカーに対して、薬事法に基づいて報告をするようにという命令をかけておりましたが、二月末日までに報告が来ております。  どういう中身になっているか、まだ詳細なことを聞いておりませんが、概略を聞いたところによりますと、従来、五百数十医療機関にそうしたものが供給されていたということはわかっていたわけですが、新たにその五百数十機関に加えて七百機関程度、正確な数字はまだ報告を受けていませんが、これらの医療機関に対しても供給をしていたということが今回の命令による調査で判明をしております。これも、中にはあるいは血友病患者に使ったという病院もあるかもしれませんが、詳細はまだ、きのうのきようですので、私のところに今入っているところはそこまでであります。  こういった問題について、非常に従来の報告と異なったことについて、どういう法律的な対応をするか、あるいは行政的な対応をするかということについては、どうしてこうなったかという理由などのいろいろな調査をもう少しきちっとした上で、薬事法上の問題を含めてきちっとした対応ができるように検討していきたい、こう考えております。
  25. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 大変ゆゆしい事態でありまして、これほどルーズに扱われていたのかと。このことが大変な被害の拡大につながり、そのことに対する明確な謝罪や反省がないということについて、極めて製薬会社に対しても遺憾に思う次第でございます。何とも、我々自身もやりきれない気持ちでいっぱいでございます。改めて、この原因を究明し、我々としては再発防止に向けて全力を挙げなければいけないと思います。  今の話をお聞きしても、やはり当時の血液事業のあり方に大きな問題があった、また、今回のエイズ薬害問題について厚生省のとってきた薬事行政も極めて甘かったというか、ルーズであったというか、また、国会に対しても、国民に対してもちゃんと報告もなかったというか、そのような実態が極めて明らかになってきています。  さらに、製薬会社に対しても厚生省の天下りがあるという実態を考えると、このこともちゃんと調査をして襟を正さなければいけないというぐあいに考えます。  さらに、今まで医薬がもたれ合ってきた。安部財団が製薬会社に寄附を要求し、そしてそれによって運営をしてきたということは、いかにもこの医薬の不透明さをあらわすものであります。製薬会社のモラルも問われていると同時に、医の側のモラルも問われているというぐあいに思います。このような関係はほかにもあるのではないかというぐあいに憂慮をいたしておりますが、早急にこのような問題について全部整理をしていただきたいというぐあいに考えています。  大臣の見解を求めます。
  26. 菅直人

    菅国務大臣 私も、調査をした中で新たに判明する事実が、きょう朝報告をして、今申し上げました回収の時期のおくれを含めて、本当に、なぜこんなルーズなことが行われ、しかもそれが、かなりの人が関心を持っていろいろな形で問い合わせたり、いろいろなことをしていたにもかかわらず明らかにならないままで隠ぺいされてきたかということについては、衛藤さんと同じような憤りすら感じるところがあります。  そういった点で、現在行っている調査や、あるいはまたさらに必要な調査があれば、そういったことも踏まえて、本当に透明性の高い、国民にとっても何がどうなっているかがよくわかる、そういう医療行政にやはり変えていかなきゃいけないのではないだろうか。  また、天下りとか医師のモラルとか、いろいろな問題がこの中には関連をしているということは、私もそのとおりだと思っておりますので、それぞれどういう対応をすればいいのか、まずは今回の問題を事実関係をきちっと徹底した調査をする中からそれぞれの問題についての解決案を、解決案というか再発防止案を考えていかなければならない、このように強く思っております。
  27. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 再発防止について、大臣、本当にこれは我々も挙げて取り組みたいと思いますが、まず一点目は、製薬会社に対する天下りは、これは厳に慎まれなければいけない、慎むべきでありますので、大臣としてちゃんとこのことを意思表明していただきたいというぐあいに思います。  さらに、今まで医の側がいろいろな形で薬の方に依存してきた、あるいは時にはたかってきた構造すらあるわけでございますけれども、これは厳に慎むように指導を強化していただきたいというぐあいに思います。  さらに、今回のようなこれほどルーズなことがまかり通っていたということを、改めて、もう憤りというか、ある意味ではまたやるせないという気持ちでいっぱいでございますが、製薬会社のあり方についてももう一回ちゃんと問われなければいけないし、そして、厚生省医療薬事行政に対する不信を何どか回復をしなければいけない、信頼の回復をやらなければいけないというぐあいに私ども強く思う次第でございます。  このことが起こって以来、裁判が十数年間かかった。そしてまた、裁判の中で和解勧告が出されるまでに六年もかかってしまった。その間、いろいろな方が努力はしてきたかもしれないけれども、結果から見ると大変不十分であり、申しわけない点がたくさんあったということを考えると、明確にこの際、厚生行政の洗い直しを我々としては要求する次第でございます。大臣決意のほどをお願いいたします。
  28. 菅直人

    菅国務大臣 まず、天下りにつきましては、今の状況はもう御存じだと思いますが、国家公務員法第百三条の規定によりまして、職員が離職後二年間に、離職前五年間に在職した国の機関と密接な関係を有する営利企業の地位につく場合には、人事院の承認を得なければならないということになっておりまして、厚生省としては、今後とも、つこうとする地位の職務内容が離職前五年間の職務内容と関係がある場合や厚生省の許認可等に関係がある場合には、こうした人事院への申請をしないといったような厳正な運用をこれまでも行ってきたし、これからも行おうとしております。ただ、それだけで十分かということになりますと、今回の問題などを見ておりますと必ずしも十分ではないと言わざるを得ません。  この問題につきましては、必ずしも厚生省というだけではなくて、これは幾つかの機会でも申し上げているのですが、例えば公務員の定年制をきちんと、今のように五十代前半でやめなければいけないというような形の場合だと天下りというものを一概にやめるということにはなかなかなりませんので、やはり六十五歳なりそういった時期まできちっとした力が発揮できる形で仕事ができるような、定年延長なども含めた、そうした大きな観点から改革が必要ではないかと思っております。  さらに、医と薬の関係あるいは製薬メーカーのあり方あるいは薬事行政そのものの信頼関係、本当にこれは多くの問題を含んでいると思っておりまして、これについては、この問題をきちっとした形で事実関係を判明した中で、そういうものを踏まえながら強い決意で、国民に信頼をいただけるような形に、制度に変えていくよう全力を挙げたい、こう考えております。
  29. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 もうこのような問題は二度と繰り返せません。二度とと言って何度も繰り返したわけでございます。本当にもう今回が私はラストチャンスだろうというぐあいに思います。ぜひ、我々も協力してまいりたいと思いますが、全力を挙げてこの信頼回復のために努力をお願いいたします。  終わります。
  30. 和田貞夫

  31. 石田祝稔

    石田(祝)委員 新進党の石田祝稔でございます。  私はまず、質問に入ります前に、ゆえなくしてお亡くなりになられた方、また今なお苦しまれていらっしゃる皆様、そして御家族の皆様に心よりの哀悼の誠をささげさせていただきたいと思います。  そして私は、一日も早い和解成立を見て救済対策にも万全をぜひ期すべきである、このようにも思うわけでございます。救済対策、これは大変大事であります。  それとともに、真相の究明ということを全力でやっていかなければまた同じことが必ず起きる、このように私は思います。ですから、私は、これは薬事行政という行政のシステムの問題ととらえるとともに、その判断のかなめにいた人たち、個人の資質ということもこれは大きく問われていかなくちゃならない、なぜそういう判断をしたのか、こういうことはその職責の問題とも大きく絡んでまいりますけれども、個人にも、そのときどうしてそうなったか、こういうことも明確にただしていく必要がある、このように思っております。  きょうは、関係者の皆様から見ますと大変遅い集中審議ということになりました。申しわけなく思っておりますが、与野党合意をして、今回第一回目の集中審議ということになったわけでございます。ですから、私は、きょうやらせていただいて問題解明に至らなければ、これはもう何回でもこの委員会を開いて、そして真相究明がなされた、そこまで徹底してやっていくべきだ、このように思っております。  まず、大臣にお伺いをしたいと思います。ここまでこの問題の解決、まだ見ておりませんけれども、おくれた理由について大臣はどのように御認識をされているのか、まずお聞きをしたいと思います。    〔委員長退席、鈴木(俊)委員長代理着席〕
  32. 菅直人

    菅国務大臣 この問題、御承知のように、一九八三年前後の幾つかの判断の誤りを含めていろいろなところから、全く責任のない血友病患者皆さんに対してエイズ感染という形で、こうしたことがいわば原因といいましょうか、そういうことが起きたわけであります。この解決といいますか、このことがおくれた理由というか、おくれた認識をお尋ねになったわけですけれども、本当にいろいろな段階なりいろいろな事柄があったのだろうと思っております。  まさに今それを調査しているところですけれども、まず、なぜ早い時期にそうしたエイズウイルスが混入した血液製剤、非加熱の血液製剤をとめられなかったかという問題が非常に大きな問題としてあります。  また、その後、血友病患者への感染が広がりつつある段階でも、なぜその時点でもとめられなかったか、その拡大を防げなかったかという問題も第二点としてあります。  さらには、加熱製剤が承認された後も、先ほども御報告しましたように、非加熱製剤がまだかなり長い間使われていたという点でさらにそれが拡大していたとすれば、その問題もあります。  さらに言えば、六年前に裁判が起きたときにおいても、必ずしも国を含め関係者がその責任を明確に認めなかった、あるいは認識していなかった、そのために裁判も長い経過をたどっていて、今日まで裁判においても決着を見ていないという問題があると思います。  そういった点では、いろいろな認識、いろいろなことが重なってきて今日に至っていると思いますが、厚生省という意味でいいますと、これはやや一般的で恐縮ではありますけれども、私も水俣病のときにも与党のこの問題のいろいろな解決のときの議論に加わった一人として、これは厚生省に限りませんが、以前一たん方針を決めますとそれを変えることが今の行政というのはなかなか難しいというか、なかなかできないという、非常にそういう性格を持っているように思います。  ですから、その都度いろいろな問題点が指摘をされながら、結果的にそういった方針、従来よしとしてきた方針を変えることがなかなか行政自身の中で難しくてここまでおくれて、対応がおくれてきたのではないか。特にこの数年間のことについては、そういう感想を持っております。
  33. 石田祝稔

    石田(祝)委員 最後に感想という言葉が出ましたので若干意外な気がいたしましたけれども、行政の決まった方針を変えるのが大変難しかった、こういうこともおくれた理由ではないか、こういうことをお述べになりましたが、実は去年の委員会でも盛んに言われたことは、行政の継続性ということを大臣も、当時の森井大臣もおっしゃっている。また、関係する局長さんすべてが行政の継続性ということを大変強調されておったのを今思い出しました。  その中で、現役のその任にある人が責任を持って答弁するのでそれでいいのだ、こういうことで、当時の関係者は答弁にお立ちにならなかった。それは、行政の継続性ということとともに、先ほど大臣がおっしゃったような、大変変えにくいということも関係しているのじゃないか、こういうことも私は今感じた次第です。  そこで、大臣、お伺いをしたいのですが、二月十六日に、大臣患者さんの団体にお会いになられて言葉を述べられた。そのときに、責任ということを何カ所かでお使いになっていらっしゃいます。非常にわかりやすいようで、この責任ということの意味が大変あいまいではないかというふうに私は思います。大臣責任を感じる、これはもちろん厚生省大臣としてのお考えでありましょうし、また、そこには菅直人という一人の個人としての思いも入っているのかもしれない。この責任ということは、大臣、これは法的責任ということも含んで考えていらっしゃるのでしょうか。
  34. 菅直人

    菅国務大臣 先ほどの答弁の中で感想とちょっと申し上げたことを、継続性ということも石田さんおっしゃいましたが、大臣としてどこまでさかのぼって責任を持てるかということもあったものですから若干感想という言葉を使わせていただきましたが、別な言い方をすれば、政治家としてそういう認識を持っているということとして理解をしていただければと思っております。  今、石田委員の方からの御質問は、責任ということを私が二月十六日に原告家族皆さんの前で申し上げた、その意味内容ということの御質問かと思っております。  私は、先ほども申し上げたように、この場に、そのときの二月十六日の場に臨むに当たりましては、与党皆さんからの、裁判所所見を厳粛に受けとめるようにという要請や、あるいは総理への事前の報告なり相談、あるいは役所の中での、厚生省の中でのいろいろな議論を踏まえて、裁判所和解案を示すに当たって添えられている所見の中で述べられている国の責任あるいは被告責任ということを認めるということを申し上げたわけであります。  つまり、この所見の中ではかなり踏み込んだ表現がなされていることは御承知のとおりであります。そういった意味で、薬事法の条文まで指摘をして、もっとこういう問題には配慮すべきであったとか、厚生大臣にはこうした責務があったとか、さらに、そういうものをまとめて、四番目のところですが、「以上のように、被告らには原告らのHIV感染について重大な責任があるといわざるを得ず、」と、国及び被告メーカーについて、被告らの重大な責任があるということの指摘が含まれているわけであります。  そういった意味で、私がその場で申し上げた責任という意味は、裁判所で述べられた、この所見の中で述べられた責任の国に対する部分について認めたということであります。
  35. 石田祝稔

    石田(祝)委員 ちょっと……。じゃ、聞き方を変えます。  血液製剤を含む医薬品、医薬部外品、こういうものがあるわけですが、これの製造また輸入、販売について、これは国の承認なくして行えますか。
  36. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 厚生省の承認が必要でございます。
  37. 石田祝稔

    石田(祝)委員 そういたしますと、私は厚生省設置法からずっと見てみたのですが、厚生省の任務が設置法で述べられております。そして、厚生省は、要するに規定された所掌事務を遂行するために権限を有する、こういうことでずっと述べられているわけです。その中で、先ほど申し上げた医薬品の製造、輸入また販売に対して権限を持っている、そして、厚生省の認可がなければもちろん輸入も販売も製造もできない、こういうことになっておるわけです。そうすると、大臣、これは公権力の行使ではないのですか。
  38. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 承認権限でございますが、これは国家賠償法第一条第一項に規定がございます。「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。」と規定をしておるわけでございますが、御指摘の承認権限の行使はこの条項に言います「公権力の行使」に当たるものと考えております。
  39. 石田祝稔

    石田(祝)委員 ちょっと最後がはっきり聞き取れなかったのですが、公権力の行使ですか。
  40. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 公権力の行使に当たるものと考えております。
  41. 石田祝稔

    石田(祝)委員 そうしますと、国家賠償法の第一条、先ほど局長も読み上げられましたが、「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。」国家賠償法のこのとおりじゃないのですか、今回のことは。  要するに、公権力の行使であるとお認めになった。公権力の行使を介してしか薬というものはつくれない、輸入できない、売れない。これは、その中で起こった今回の出来事じゃないのですか、今回の事件じゃないのですか。厚生大臣、どうですか。横を見ないで、ちょっと厚生大臣答えてください。
  42. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ただいま申し上げましたように、国家賠償法の責任があるというためには、故意または過失あるいは違法性といった要件を充足するかどうか、個々の具体的な事例に即して判断することが必要であると考えております。
  43. 石田祝稔

    石田(祝)委員 それはちょっと局長、答弁じゃないですよ。それは感想かもしれませんけれども。  御自分が公権力とお認めになったわけでしょう。公権力の行使によって今回のことは起きているのじゃないですか。私が勝手に薬をつくって販売できますか。製造承認いただいて、販売の承認もいただいて、そこは公権力そのものだ。その中で起きたことが今回のことじゃないのですか。そうしたら、この国家賠償法第一条そのものじゃないのですか。もう局長はいいから、ちょっと大臣答えてくださいよ。
  44. 菅直人

    菅国務大臣 私も、裁判が現在和解のある意味では大詰めの段階を迎える中で、石田委員の今言われたような問題について、厚生省としてどのように考えるべきなのかということを議論しているところです。  今おっしゃったのは、まさに薬務局長がお答えしたように、承認をするということはもちろん薬事法上で規定をされております。そういった意味での公権力の行使ということになると思っております。  それで、今回まだ和解がきちっと成立をしておりませんので、そのことが国家賠償法上のどういう法的な意味を持つかということにつきましては、私が現時点まででいろいろな関係者から聞いているところによれば、判決の場合、あるいは和解による調書の場合、あるいはその和解によっても調書の中でどのような形でそれぞれの責任を認めるという形になるかという、そういうことによって物事の考え方に若干差が出るのではないか、こういうふうな見解も聞いております。  この部分は、もちろん現時点でいろいろ議論をすることは重要だとも思っておりますが、今の私の立場としては、先ほど申し上げたように、所見で述べられたことを基本として、裁判所和解のまず一次案を出されて、二次案を近く出されようとしているわけですから、その所見に述べられた責任を認めるというその姿勢、その態度を明確にして、和解成立に向けて努力をしたい。その和解成立の段階で、法的な意味、法的というのはこの国家賠償法上の法的な意味で、それがどういうことに当たるのか、あるいは当たるような形になるのかというのはその段階ではっきりするのではないだろうかと思っております。
  45. 石田祝稔

    石田(祝)委員 大臣、大変歯切れが悪い答弁だろうと思います。ですから、先ほど最初にお聞きをして、責任責任とおっしゃっても非常にわかりにくい、どういう責任とおっしゃっているのかということで、私は別の角度からお聞きをしたわけでございます。  大臣がおっしゃっていることをもう一度お聞きします。これは端的にお答えをいただきたいのですが、法的責任ということを大臣がお認めになっているのかどうか。これは何かテレビで、法的責任を認めたという報道があったように私は聞きましたが、そのことをもう一度、簡単で結構ですから、法的責任を認めたか認めていないのか、これだけお答えいただきたいと思います。
  46. 菅直人

    菅国務大臣 私は、この問題、決して逃げる気はないのですが、率直に申し上げて、国の責任とか法的責任とか国家賠償法上の責任とか、そういうものがどういう法律的な位置になるかということを、まだきちっとした確認をとっておりません。場合によったら、これは内閣の法制局に聞かなければいけないのかもしれません。  ですから、一般的に、先ほど若干申し上げたのは、和解において和解調書の中にどういう表現をされるかによって、例えば、ある場面では見舞金という表現になったり賠償金という表現になったりいろいろになるケースがあるということを専門家から聞いておりましたので、先ほど、和解が確定する段階でそういった法律的な位置づけも決まるのではないかと申し上げたわけであります。  そういった意味で、今最も必要な問題は、先ほど申し上げたように、所見を正式に認めたわけでありますから、それに基づいて出された第一次和解案、それに続く第二次和解案を何とか関係者の納得がいく形でまとめることが最重要だ。逆に言いますと、それから石田委員の今言われていることがどういうふうに波及していくのか。波及というのは質問がじゃなくて、そういう認識をしたらどう波及していくのかということが必ずしも私にもわかりませんが、つまりは、被告のメーカーも、メーカーにはもちろん承認権はありませんし、公権力ではありませんけれども、安全な薬をつくるという第一義的な責任は当然あるわけでありまして、それも薬事法上決まっているわけでありますから、そういった意味では、国が責任を認めるということとメーカーも責任を認めるということはあわせて所見の中に述べられているわけでありますから、そういった意味で国として、所見に述べられた、裁判所が指摘をされた責任を認めた、そういうふうに申し上げているわけです。
  47. 石田祝稔

    石田(祝)委員 何回聞いてもわかりませんので、もうやめます。国家賠償法の問題はきのうのレクのときに話はしてありますので、よろしくお願いをしたいと思います。  この薬務行政、これはどうしてこういう問題が起きてくるのか。もう薬害の連続じゃないですか。これはなぜかと私は自分なりに考えてみましたが、一つは、製薬会社という業界を育成していくという意味、いわゆるコーチの役割をしている。それで、その医薬品を審査するというジャッジの役割もしている。さらには、天下りをして自分がプレーヤーになってバッターボックスに立っているのですよ。野球で例えて申しわけないのですけれども、コーチであり、ジャッジであり、そして天下りをしてプレーヤーでやっている。そこに私は一番大きな問題があると思う。ですから、今の薬務局はもう薬の審査だけにして、ほかの部分は切り離してやった方が私はいいと思う。これは私の考えだけを述べておきます。  それから、厚生省の認可だと思いますが、財団についてお伺いをします。  財団法人血友病総合治療普及会の認可はどこがいたしましたか。
  48. 松村明仁

    ○松村政府委員 厚生省の保健医療局で認可をいたしました。
  49. 石田祝稔

    石田(祝)委員 この財団の理事長はどなたですか。
  50. 松村明仁

    ○松村政府委員 現在の代表者、理事長は、安部英さんであります。
  51. 石田祝稔

    石田(祝)委員 この財団は昭和六十一年七月八日に設立をされ、事業報告書を私も参考としていただきましたが、その設立の経緯で、当時、基本財産が一億円必要だ、その基本財産もあわせて確認をして承認されたと思いますが、その基本財産の形成に当たってどこからどういうお金が来ているか、ちょっと教えてください。
  52. 松村明仁

    ○松村政府委員 設立時には、安部英帝京大学教授から四千七百万円、沖永荘一帝京大学学長から一千万円、ミドリ十字から一千万円、日本臓器製薬から一千万円、日本トラベノールから一千万円、カッター・ジャパンから一千万円、化学及血清療法研究所から三百万円、計一億円でございます。
  53. 石田祝稔

    石田(祝)委員 これは局長、当時局長ではなかったかもしれませんが、こういうエイズ研究班の班長になる血液製剤の第一人者がこういう財団をつくる、それも、御自分で出したもの以外はほとんど全部製薬メーカーじゃないですか、沖永さんを除けば。ほぼ半分を製薬会社に出させている。それも一千万というお金を出させて基本財産を形成して財団の認可を受けている。  私は、きのう厚生省の人に来てもらいまして、そういう任にある人が財団をつくるのに自分に関係している企業からこれだけ金を集めるのはおかしくないか、こういうことをお聞きしましたら、いや、設立の目的がよろしければ問題ない、こういうお話がそのときございました。  私は、これはおかしいと思います。結局、そこで何か不透明なものがあって、そして製薬会社も多分お断りできなかったのでしょう、一千万という金額をほぼ横並びで出されていらっしゃる。これについて、設立、特に問題なかったのか。道義的にも全然関係ない、こういうことでしょうか。
  54. 松村明仁

    ○松村政府委員 公益法人の設立許可に際しましては、設立後の当該法人の事業が真に公益に資するものとなりますように、次のような点について審査をすることにしております。積極的に不特定多数の者の利益の実現目的とするものであるか、それから、設立目的に照らして事業内容が適切なものであるか、さらに、健全な事業活動を継続するのに必要な確固とした財政的基盤を有しているか、このような点について審査を行っております。  御指摘の法人でございますが、血友病に関する研究の推進ということを主な目的とする法人でございまして、血友病について研究が進むことは望ましいことであることから、目的及び事業内容の公益性や事業活動遂行のための基本財産の確保等について厳正な審査をして許可したものでございます。  しかし、実は今委員御指摘のように、治験の担当医師が設立する財団であったとか、治験の直前の時期に当たっていたとか、あるいは治験を行う立場の製薬会社からの寄附を受けていたというようなことでございまして、委員御指摘の道義的な側面ということについては、先ほど私が申し上げました一般の審査の要点とは別途検討される問題であったのではなかったのか、このように考えておるところでございます。    〔鈴木(俊一委員長代理退席、委員長着席〕
  55. 石田祝稔

    石田(祝)委員 この財団は、公益法人要覧によりますと、いろいろ事業をやることになっておりまして、ニュースを年三回出すということになっているらしいのですが、ずっと見ますと、大体一年に一回しか出ておりません。  そのヘモフィリアニュースというものの発刊に当たって、安部さんという理事長はこう言っているのですね。「例えばエイズの問題をとってみるに、この病気思いもかけなかったところに突然起こってきて、私ども皆なにとり、この上ない厳しい試練となった。」こういうほとんど人ごとのような言い方なんですね。こういうことを起こしてしまった、せめてもの償いということで研究を一生懸命やっていこう、こういうことであればいいのですが、どうもその発刊の辞を読んでも人ごとのような感じでおります。  ですから、この財団の問題というのは、もうきょうは時間がありませんので終わりますけれども、再度機会を得て追及していきたいと私は思っております。  そこで委員長、ちょっとお願いがあります。  私は、最初に申し上げましたように、今回だけでこの問題が解明されると思いませんし、それとともに、現在苦しんでおられる患者さんの代表にぜひ一度この国会の場に来ていただいて本当のお気持ちを聞かせていただく、こういうことも私は大事だろうと思います。そのことをまず第一点、お願いしたいと思います。  それと、解決されるまで、真相究明ということは与党もおっしゃっていましたから、これは集中審議でも何でも会議を重ねていくことが大事だ、こういうふうに思いますので、この点もお願いをしたいと思います。  それから、私は郡司さんには触れることはできませんでしたが、この場でぜひ証人として来ていただきたい方がおります。  先ほども申し上げました安部英帝京大学前副学長、郡司篤晃東大医学部教授、そして、本院議員でありますけれども、前薬務局長持永和見衆議院議員、ぜひこの場においでいただきまして証人として述べていただきたい、このことを要求したいと思います。
  56. 和田貞夫

    和田委員長 ただいまの石田祝稔君の申し述べられましたことにつきましては、理事会で協議をさせていただきたいど思います。
  57. 石田祝稔

    石田(祝)委員 よろしくお願いします。
  58. 和田貞夫

  59. 高市早苗

    高市委員 新進党の高市早苗でございます。よろしくお願いいたします。  早速質問に入らせていただきますが、最初に、拠点病院の治療体制について伺います。  患者の皆様からも、早く安心して治療を受けられる拠点病院体制を整えてほしいという声が上がっております。ところが、国から拠点病院として補助金を支給されているにもかかわらず、できればHIV感染患者を受け入れたくないと考えているとしか思えない、そういう医療機関があるとの指摘が患者さんたちからございましたが、大臣はそのような話を聞かれたことがございますでしょうか。
  60. 菅直人

    菅国務大臣 拠点病院につきましては、先ほど申し上げましたように、二月末ですべての都道府県に拠点病院を選定することができました。百七十七医療機関が拠点病院として選定されました。  今、高市委員の言われましたような問題というのは、私も患者あるいは原告団皆さんお話をする中でそうした話を伺ったことはありますが、具体的な形で、どこでどうということについては、現時点では私自身は認識をしておりません。
  61. 高市早苗

    高市委員 それでは、具体的な例を挙げさせていただきます。  拠点病院名を公表しないことになっている自治体にあります国立病院の話ですので、ここで具体的な病院名は申し上げられません。ただし、事前に厚生省には具体的な病院名をお伝えし、調査をお願いしてありますので、その病院のこととして御答弁をいただきたいと思います。  関西にあります。その国立病院は、二十年以上血友病の治療を行ってきた病院で、設備も整っており、現在、五十名以上の血友病の患者さんが治療を受けておられます。さらに国から、平成八年度予算では病床個室整備費千二百万円、医療機器整備費二千七百万円が計上されている拠点病院であります。  ところが最近、この病院で長年血友病の治療をしてこられた医師が、ことし四月に異動することが決まりました。後任は全く血友病治療の実績のない医師だという情報を得て、患者皆さんは大変不安に思っておられます。厚生省直轄の国立病院であり、拠点病院であり、その予算を受け取っている病院において、事実上この四月で血友病のHIV治療が打ち切られるということになるとしたら、これは大問題だと思います。まして、現在治療中の患者さんの半数近くがこの国立病院での血友病治療の中で感染しておりますので、少なからず責任のある病院でもございます。  この国立病院患者さんたちが四月以降にこれまでと変わらぬHIV治療を受けることが可能なのかどうか、お答えください。
  62. 松村明仁

    ○松村政府委員 ただいま委員御指摘のケースについて、私どもも調査をいたしました。  まことに申しわけありませんけれども、病院名の公表はお許しいただきたいと思うのですが、事情を調査いたしましたところ、今、当該病院で血友病の診療を行っております医師が平成八年四月に大学が絡んだ人事異動で異動の予定だ、こういうことでございました。それで、当該医師は、患者方々あるいは血友病患者の会の方々にも事情を説明しております。それから、実はそれほど遠くない病院に異動をされるということで、もし病院をかわっていただけるのであれば、その医師が責任を持って引き続き診療を行うことも可能である、こういうことを患者さん方にお伝えになった、こういうことがございました。  そこで、当該病院においては、仮にこのような専門医師が人事異動等において異動をいたしましても、十分な説明を行って、それから、後任の医師に診療の引き継ぎを必ず行うなど、患者方々の診療には支障のないように対応をするように話をしておるところでございます。
  63. 高市早苗

    高市委員 確認をしておきたいのは、あくまでも転院をするということじゃなくて、その病院、これはエイズ関係で予算がついているわけですから、この病院で変わらぬ治療を受けたいということで、後任のお医者様の実績についてお伺いしたいと思います。
  64. 松村明仁

    ○松村政府委員 今申し上げましたように、引き続き当該病院で治療をお受けになりたい、こういう方には、診療の引き継ぎ等を十分行うことによって、引き続き患者の診療には支障のないようにしたいと思っております。
  65. 高市早苗

    高市委員 異動をされるお医者様から説明があったというのですけれども、まだ正式には個々の患者さんにも地元患者会にも何の説明もない、後の医療体制に関して非常に不安に思っていらっしゃるということですので、これからこの病院がHIV治療をどのように行っていくのかにつきまして、三月十日までにこの国立病院皆さん患者さんへの説明を行っていただくように御指導いただきますよう、できましたらこの場でお約束願えませんでしょうか。
  66. 松村明仁

    ○松村政府委員 そのように努力をいたします。
  67. 高市早苗

    高市委員 ぜひよろしくお願いいたします。  この病院のみならず、患者さんが、例えばお医者様や看護婦さんから非常に差別的、侮辱的な扱いを受けたのだというような話だったり、拠点病院内の別の科で、内科や小児科以外の科で診療を拒否されてしまったとか、ほかの患者さんが嫌がるから個室に入ってくれというようなことを言われたあげくに差額ベッド代を取られた。これは、治療の必要性があって個室へ入ったときは差額ベッド代は要らないらしいですけれども、自分で個室に入るという場合はベッド代がついてまいります。ところが、半強制的な形で入れられてベッド代を取られたといいますと、午前中にもちょっと予算委員会で私伺いましたが、これは省令違反に近い状態でございますね。こういった気の毒なケースが随分多くあるようでございます。  大阪HIV訴訟原告団の皆様からも御要望があるのですけれども、もっと医療の実態調査をしてほしい、それから、患者さんたちの声を聞いてほしい、できれば国にHIV医療正常化プロジェクトチームのようなものを設置していただきたいということなんです。  菅大臣、先ほど、具体的な病院名やケースについてはまだ把握していませんがという御答弁でしたが、お一人お一人にとってはもう大変な問題なんですね。ですから、このような医療正常化の何らかの組織を設置していただくということをぜひお約束いただきたいのですが、いかがでしょうか。大臣にお願いします。
  68. 松村明仁

    ○松村政府委員 エイズの診療に当たりまして、現在、拠点病院が百七十七指定されておるわけなんですが、これを公表しておるところが六十四ということで、医療機関の方にもまだまだ改善すべき点があることは確かでございます。  そういうことで、私どもはこれまでも、先ほどもちょっと触れましたけれども、拠点病院で医療に従事しておられる医療関係者、この方々にまずよく勉強をしていただくということで、医師、看護婦を対象といたしております研修会、その他カウンセラーの研修、こういったことで、まず拠点病院の医療従事者の意識を高めるべく今鋭意やっておりますので、こういった努力を通じてさらに質的な改善を図らせていただきたいと思っております。
  69. 高市早苗

    高市委員 これまでのことを言っているのじゃなくて、これからのことでどうしてもお約束していただきたいということでございます。医師、看護婦の研修とかそういうことではなくて、患者さんの声が、家族の苦しみが直接政治に届く、行政に届くシステムをつくるためにそういったプロジェクトを立ち上げていただきたい、そういうことへの御決意を伺いたいのです。菅大臣、いかがでしょうか。
  70. 菅直人

    菅国務大臣 今回の両原告団、その前に大阪原告団あるいは弁護団からの要望書の中でも、治療体制の充実という項目の中で、医療拒否とか差別の問題がかなり言われております。また、私も直接そうした皆さんから話も伺っております。  医療関係者の話も若干聞きますと、今では非常にエイズ治療に熱心にやっていただいている病院でも、当初はなかなか医療従事者の理解が得られなくて、相当にある種の抵抗感があったのがだんだんと、いろいろな形で議論をしたりする中で、ある病院では非常に理解が進んできたということも、そういう例も聞いております。そういった意味で、今言われた意味はよくわかるつもりですが、どういう形でそういった不当な扱い方をなくすことがいいのかということについては、ぜひ積極的に検討してみたいと思います。  機械的に何かこういうプロジェクトをつくればうまくいくのか、そうでないのか。病院も、いろいろな主体を持った病院があると同時に、やはりこれは医療関係者自身が十分な理解を得ていただかなければいけないものですから、そういう意味で先ほど局長は研修ということを中心に答えたわけですが、研修というものの中には当然ながらそういったエイズ患者についての問題も含まれていると思いますので、そういう面も含めて、どういう形で行うことが今言われたようなことを解消していく上でより効果的か、十分検討していきたいと思っております。
  71. 高市早苗

    高市委員 ぜひよろしくお願いいたします。  次に、昨年十一月八日の厚生委員会での厚生省の答弁について、確認したいことがございます。  昨年十一月八日、厚生委員会の新進党の山本孝史委員の質問に対する松村保健医療局長の答弁によりますと、血友病以外の患者さんが血液凝固因子製剤投与によってエイズウイルスに感染していることを厚生省が知ったのは平成六年六月だった、初めて知ったのがその時期だったということですが、間違いございませんでしょうか。
  72. 松村明仁

    ○松村政府委員 十一月八日の本委員会で、そのような答弁をいたしました。
  73. 高市早苗

    高市委員 昭和六十一年に第二版が出ている本なんですが、日本臓器製薬株式会社技術顧問の安田純一氏によります「血液製剤」という著作には、既に第四ルート感染のことが指摘されております。第一版はもっと早く出ていて、これは第二版が昭和六十一年に出ているものです。安田氏は、昭和五十九年まで厚生省管轄の国立予防衛生研究所の血液製剤部長を務めておられました。こういった立場の方が指摘していることも、厚生省では一切把握されていなかったということでしょうか。
  74. 松村明仁

    ○松村政府委員 私が答弁を申し上げました趣旨は、実際にそういう例が発生したということについて知ったのはこれが初めてであった、こういうことを申し上げたわけです。
  75. 高市早苗

    高市委員 同じ日の局長の答弁で、非血友病患者の感染ケースで厚生省が把握しているのは、新生児出血症、劇症肝炎、プロテインC欠乏症の三つのケースのみということでしたが、これもあの時点では間違いございませんか。
  76. 松村明仁

    ○松村政府委員 当時はそういう認識でございました。
  77. 高市早苗

    高市委員 しかし、去る二月二十日の読売新聞の報道によりますと、平成五年十一月には、卵巣手術で非加熱製剤投与を受けて感染した女性が薬害エイズ救済対象と判定され、友愛福祉財団による給付決定がなされているということでございます。  平成五年十一月といいますと、厚生省が第四ルート感染発症例を初めて知ったと言われる時期よりも前ですし、十一月の委員会局長が述べられた病名以外の病名もここで登場するわけですし、また、去年の十一月、この同じ日の委員会森井大臣が、第四ルート感染者への友愛福祉財団からの給付について、まだ結論を出していないが、事実関係の把握や判定委員会の判定を経て山本委員の指摘の方向で処理をする、そんな答弁をされていたのですけれども、それより前の時期にこういう救済対象と判定されたというような例があるというのはどういうことなのか。あの日の答弁とは違った事実を御存じだったのじゃないかと考えざるを得ません。ちなみに、友愛福祉財団は厚生省管轄、医薬品副作用被害対策室担当であることから、違った事実を把握していらっしゃったと思うのですが、いかがでしょうか。
  78. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ただいまお話しの例は、血液凝固因子のうちの第Ⅱ因子が欠乏した疾患でございまして、プロトロンビン出血症として申請が出されまして、専門家によります判定委員会で検討の上、平成五年十一月に認定したものと同一の事例ではないかと思われます。  本事例につきましては、血液凝固因子の一部が欠乏した疾患として申請が出されましたので、血友病に準じて救済対象としたものでございまして、その際には、その後問題となりました非血友病症例という意識は、当時の専門家の判定委員会あるいは事務局の間にもなかったものと考えております。  この非血友病患者のHIV救済事業における取り扱いにつきましては、平成六年七月に新生児出血症に係る事例が報道されました直後から、血友病以外の事例につきましても救済の対象とすべく、HIV救済事業に係る費用の拠出を行っております製薬メーカーの了解を得ますとともに、判定委員会委員長とも御相談をいたしまして、非血友病患者につきましても救済対象とする方向対応することとしたところでございます。  その後、平成七年十一月に劇症肝炎の患者に係る申請が出されまして、判定委員会で検討の上、非血友病患者に係る初めての事例として認定されたところでございます。
  79. 高市早苗

    高市委員 いろいろ事情はわかりますけれども、国民の命を預かる厚生省の情報収集としては余りにもお粗末ですし、何となく、国民から見ても私たちから見ても、「もんじゅ」とか住専とかと同様、役所による情報秘匿じゃないか、ここに及んでまだ情報操作をしているのじゃないか、そういう不信感を持たざるを得ません。  時間がございませんので、この問題はこれでおきますけれども、ぜひもうちょっとこれから正確に誠実にいろいろな事例を十分掌握の上、後であれはうそだったのじゃないかと思われない答弁をお願いしたいと思います。  第四ルートの感染全容、これの解明対策についてどうしても伺いとうございます。  血液製剤が今おっしゃられたようなたくさんの血友病以外の患者さんに広く投与されていたということになると、我々がまだ把握していない被害の大きさというのは想像を絶するものになるのじゃないか、これを恐れております。非血友病のHIV感染者の多くは、恐らく感染を自覚しないまま生活し、発症予防治療を受けないまま命を落とされたり、それから配偶者への二次感染、この被害拡大というものの可能性がございます。  一刻も早い全容解明が求められると思うのですけれども、昨年十一月八日の厚生委員会では、たしか全国千三百二十五の小児科医療施設を対象に製剤投与の有無を調べていると松村局長が答弁されまして、その時点で回収率六二・二%、これに対して新進党の山本委員が、一〇〇%を目指すべきじゃないかということを言われました。  確かに、一人の感染者の見落としも許されない問題だと思います。それから四カ月近くたっておりますけれども、当該調査、千三百二十五の小児科医療施設を対象に行った調査、その後、未回収の医療施設に対してどういう調査をされましたでしょうか。
  80. 松村明仁

    ○松村政府委員 先ほどの私の発言のことでございますけれども、十一月八日の時点では、私どもは、今薬務局長から説明があったケースについては、これを血友病の方ではない、こういうふうに考えておったわけですが、その後、これが血友病の方ではないということがはっきりしたわけでございまして、私が当時、山本議員の質問に偽りを申した、こういうことではございませんので、ひとつ御理解をいただきたいと思います。  それから、今、血液凝固因子の第四ルートの御質問でございますが、血液凝固因子製剤による非血友病HIV感染につきましては、平成七年九月二十七日付の通知によりまして、都道府県を通じて製剤を投与した可能性のある五百四十四カ所の医療機関を対象に調査を行ったところでございます。  厚生省といたしましては、調査結果を受けまして、医療機関による検査未実施者の検査勧奨、それから、検査陽性者に対するカウンセリングの治療などのフォローアップを指導しているところでございますが、さらに同製剤の納入医療機関の把握を徹底する、それから、御指摘のような二次感染の防止をするための対策に資するために、製造または輸入した製薬企業に対し薬事法に基づく報告命令をかけたところでございます。  この調査結果につきましては、平成八年二月末日までに報告をいただくことになっておりまして、できるだけ早い時期に調査結果を取りまとめたいと思っております。
  81. 高市早苗

    高市委員 その調査のことは資料をいただいています。昨年九月二十七日の通知でやったのは、小児科に限らず全国五百四十八の医療施設に対して調査票を送ったものでございます。  私がさっき聞きましたのは、その前に全国千三百二十五の小児科医療施設、全然サンプル数も違うし、対象もまた違うわけでございますけれども、これをその後、山本委員がとにかく一〇〇%までやってくれと言ったことを実行したのかどうかということをお伺いしたのでございます。そのことのみ、イエスかノーでお答えいただきたいと思います。
  82. 松村明仁

    ○松村政府委員 今先生の御指摘のその小児科も、この九月の調査に包含をされております。
  83. 高市早苗

    高市委員 その小児科の調査、それでもサンプル数が全然違うのですから、これは四カ月近くあったのでございますし、もしも一人でも漏れ落ちがあっては、私はそのように考えたのです。  いずれにしましても、この二つの調査がございまして、特に九月にスタートした調査、もう取りまとめが大体できる状況でございますね。これなんですが、製剤メーカーから得た資料から調査対象を特定しているように聞いております。確かに、当時の製剤の出荷量から血友病患者の需要量というものを引きましたら非血友病患者への投与量はわかるでしょうし、納入先の病院もメーカーでわかると思うのですけれども、プロパーが納品記録を保存しているのは大体三年間ぐらいと私は聞いております。そして、事故発生の時期を考えると、この記録が廃棄されているケースの方が多いと思うのですが、その場合の納入先の確定についてはどのようにされているのか。  それからさらに、納入先の病院で投与された患者さんに早急に対策をとらなければこれは手おくれになるのですけれども、病院のカルテ保存義務期間も五年間でございますが、これを過ぎてカルテが廃棄されている場合を考えますと、今後、感染可能者把握の対策等、厚生省ではどうお考えか。  そして、この調査が二月いっぱいですか、それで発表はいつなのか、この場で明らかにしていただきたいと思います。
  84. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 先ほど大臣からも答弁いたしましたが、ことしの二月五日に、血液製剤メーカー六社に対しまして薬事法六十九条に基づく報告命令を出したわけでございます。これは販売先の医療機関名を調査するためのものでございます。きのうがその締め切りでございましたが、五百を大きく上回る、それとは別に七百程度の追加の医療機関を把握しているところでございます。詳細については整理をした上で、非血友病患者さんのHIV感染の状況について調査を進めてまいりたいと考えております。
  85. 高市早苗

    高市委員 委員長、今のでは答弁不足だと思います。プロパーの方で納品記録がなくなっていた場合、それから、病院でカルテが五年間を過ぎていた場合の対策についてお伺いをしたのです。
  86. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 先生がプロパーとおっしゃっていますのは卸のことではないかと思うのでございますが、私どもは、メーカーに対して報告命令をかけまして、そして卸業者を通じて医療機関に販売をされたものについては、その卸業者の協力を求めまして、可能な限りの調査をしてもらった上で報告をするよう命令を出しておるところでございます。卸に記録がないという報告の場合には、念のためにその理由を確認することといたしております。
  87. 松村明仁

    ○松村政府委員 カルテの保存期間を過ぎている場合はどうするかということなんですが、そういった場合にも、他の記録や医師からの聞き取りなどの方法によって、できるだけ追跡する努力をしていただくようにお願いをしておるところでございます。
  88. 高市早苗

    高市委員 紛失の理由を聞くとか、できるだけ努力をするとかおっしゃるのですけれども、それでは、実際に今まで製薬会社、卸屋さんに聞いて、どれほどの割合で正確な情報が得られ、どれほどが不明だったのか。どの期間、納品記録がなかった、そういう会社が何社あるのか。そしてまた、病院の方でカルテの保存ができていなくて、患者さんの特定もできないという病院がどれほどあるのか。物すごく大事な問題で、これはもしそういう病院が十個あるといったら、一体何人の患者さんが該当するかわからない。もうたったお一人でも見落としというのは許されない問題だと思うのですけれども、今の答弁では全然納得できないのです。
  89. 菅直人

    菅国務大臣 今、高市委員からの御質問は、実は私も同じような疑問を持ちまして、そこで、先ほど政府委員から述べましたように、任意でいろいろ調査をしていたという話だったので、それですべてかと言いましたら、すべてかどうかわからないという話でありましたので、薬事法に基づいて、まずそのスタートのところ、つまりは、非加熱製剤をつくっているメーカーは六社ですから限定されていますので、そこがどの時期にどこに売ったかということを報告するようにという命令をかけたわけです。それが昨日、一応報告が上がってきた。私も詳細は知りませんが、今の薬務局長報告のように、従来わかっていた医療機関に加えて、七百程度の新たな医療機関に供給されていたことの報告が上がってきたということであります。  そういった意味で、それですべてかと言われますと、高市さんが今言われたように、卸まではわかったけれども、それから先がわからないというようなこともあるいはあるかもしれません。その場合は、また卸に対しても場合によっては調査命令をかけることもあわせて検討しなければいけないと思っておりますし、さらに言えば、先ほど言われたように、資料がもう三年間でなくなっているというケースもあるかもしれません。いろいろなケースが考られますが、一番川上の、薬をつくって売るところから今そういう形で順次フォローを進めております。  ただ、ある段階からなかなか難しいのは、例えば、ある医療機関に供給しているということがわかったときに、そこまでさらに今度は強制的にできるかというと、従来はそこからは都道府県を通してお願いをしていろいろなことを調べてもらっているということになっておりまして、さらに最終的なところは今度はお医者さん自身の判断という問題がありますし、さらには患者さんのプライバシーという問題がありますので、これからの扱い方についてはいろいろ慎重な配慮も必要かとは思いますが、少なくとも一番スタートのところからのある意味で法律に基づく命令の調査が、第一段階の報告が昨日来て、そういう結果であった。まだまだ不十分だと思いますが、そういう段階にあることを申し上げておきます。
  90. 高市早苗

    高市委員 それでは、私の質問時間がもう終わりになりましたので、その問題についてはまた後の質問者にさらに突っ込んでいただきたいと思います。  とにかく、何の罪もない人たちが国と製薬会社と医師によってとうとい命を奪われまして、本当に亡くなられた皆様には心から哀悼の意を表しますとともに、すごい苦しみに耐えていらっしゃる御家族の皆様、そして今闘病中の皆様、支えて運動されている皆様、その人たちの苦しみと悲しみに思いをいたして、私たちにできる限りの努力をいたしますことをお誓い申し上げまして、私の質問を終わります。  本当にありがとうございました。よろしくお願いいたします。
  91. 和田貞夫

    和田委員長 坂口力君。
  92. 坂口力

    坂口委員 私からも、非加熱製剤でエイズに罹患をされました皆さん方に対し心からお見舞いを申し上げ、また、お亡くなりになりました皆さん方に心からの哀悼の意を表したいと存じます。  さて大臣、同じに勉強させていただきました仲間としてまずお祝いを申し上げて、質問に入らせていただきたいと存じます。  先ほどから大臣の御答弁をお聞きしておりまして、少し気づいた点がございます。それは、今までエイズに対する厚生省の考え方として、社会的、人道的見地からの責任はもとより、私自身は限りなく法的責任の存在もあるというふうに思っておりますが、大臣自身薬事法その他に対する法的な指摘等にも触れられまして、今までのお話に比べますと一歩踏み込んだお話をされたというふうに思います。  昨年の十月二十四日でございましたか、この委員会で質問いたしましたときには、「法的責任の存否の争いを超えて、広く社会的・人道的見地に立って、」という場所を非常に強調されたわけでございますが、大臣の先ほどの答弁はそのときとはかなり趣を異にしているな、そう思いながら聞かせていただきました。  率直な御感想を一言だけ聞かせていただいて、具体的な問題に入らせていただきたいと思います。
  93. 菅直人

    菅国務大臣 先ほどもたしか石田委員の御質問にお答えしたわけですが、この所見を見ますと、本当にかなり突っ込んだことが指摘をされているわけです。  例えば、あるところには「厚生大臣は、」という主語になりまして、「昭和五十四年法律第五六号による改正前の薬事法の下においても、医薬品の安全性を確保し、不良医薬品による国民の生命、健康に対する侵害を防止すべき職責があったというべきであるが、」、さらに、改正されたものでは「品質、有効性及び安全性の確保にあること」がこの薬事法目的として明記されて、そういった意味で、「医薬品等の製造業者、販売業者に対し医薬品等の販売又は授与の一時停止その他保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するための応急の措置を採るべきことを命ずることができる旨の緊急命令の制度」があって、そういったことから「医薬品の安全性確保は、厚生大臣が行う薬務行政において最大の考慮を払うべき事柄の一つとなったものと解することができる。」こういった、改正前、改正後を含めて、かなり薬事法に踏み込んだ指摘も裁判所からいただいているわけであります。また、さらに加えて、「厚生大臣は、」そうした「権限を最大限に行使して、」「医薬品の副作用や不良医薬品から国民の生命、健康を守るべき責務があるというべきである。」こういう指摘もいただいているわけであります。それに加えて、先ほど申し上げた被告の「重大な責任」という言葉も裁判所が指摘をされているわけです。  私は、先ほども申し上げましたが、決して責任を回避するということで言をあいまいにしているわけではなくて、きちっと国としての責任を果たすためには、いろいろな責任があると思うのです。今現に行われているのは民事訴訟における損害賠償であるわけですが、その部分に対してもきちんと国としての責任を果たさなければいけないと思っておりますし、行政として、あるいは狭い意味の、薬事法責任の範疇に入らない部分であっても、国には国民の安全なり健康を守る責任がある、厚生省にはあると思っておりますし、あるいは中には、今原告団皆さんがいろいろと刑事告発などもされているようですが、そういった部分についてまた何らかの責任という議論も当然あろうかと思っております。  そういったことを含めまして、私が原告団皆さんの前で申し上げたのは、この和解というテーブルの中で、裁判所が示された所見の中で述べられた責任について国としては認めていく、その前提に立って和解を進めていきたい、そのことを申し上げたわけであります。
  94. 坂口力

    坂口委員 ひとつ法的責任を踏まえて和解問題に積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。  これも大臣のお言葉ですが、時計の針を過去に戻すことはできないということを先ほど言われました。確かに私もそう思いますが、人の心の針は過去に戻すことができ得る。過去に戻し、そして痛みをどれほど感じるかということが、これからの行政にそれをどう役立てるかということに大きな影響を与えると感じております一人でございます。そういう意味で、過去の問題もきちっとしなければならないところはやはりしなければならないというふうに思いますので、二、三お聞きをしたいと思います。  その前に、きょうは文部省にお越しをいただいておりますので、文部省はお急ぎのようですから、先に一つお聞きをしておきたいと思うのです。  実は、文部省の方も、ちょうどエイズの問題が大きな問題になりました一九八四年の二月に、大阪大学の学長でありました山村学長を団長といたします調査団をアメリカに派遣されまして、そして立派な調査をやられ、そのペーパーを文部省の方に出しておみえになるわけでございます。先日、私も拝見をさせていただきまして、大変立派な内容で、一九七八年の四月から一九八三年の五月までの間における三十一例の輸血によるエイズ感染者の問題を初めとして、さまざまなデータをその中に入れておみえになる。大変参考になる、あの当時の一番先進的な調査団の見解ではないか、こういうふうに思っているわけでございます。  八四年の二月にその派遣をされたということに対しては、私は大変敬意を表するわけでございます。そこまではよろしいわけでございますけれども、その後、その派遣をされました結果を各大学病院あたりにフィードバックされておみえになる、そして役立てておみえになるものと私は思っておりましたら、いえ、どこにも出しておりませんというお話でございました。それでは宝の持ちぐされてはないか、せっかく調査団を派遣し、立派な結果を得ながらどこにもそれを出さずに持っているというのは一体どういうわけですかと先日問い詰めたところでございます。  それで、反省をしてもらったかな、こういうふうに思っておりましたら、局長さんが何か記者会見をされて、それは学者先生がやることであって、文部省のやることではないというようなことを発表になったということでございますので、改めて、それはいけない、文部省が研究費として、その中から調査団を派遣されたわけでありますから、それは先生方もそれぞれの専門分野において発表はされるでしょうけれども、文部省は文部省としてもきちっとそれは、そのときそのときの大変大事な問題でありますから、厚生省にもそのことは連絡もし、そして、各大学病院にもそうしたことは送るということでなければ意味をなさないではないかというふうに私は思っております。  そのころ、厚生省はいろいろの間違いを重ねていたわけでありますから、文部省のその結果がもし厚生省に届けられていたら、あるいは違った結果を生んだかもしれないと私は思っておりまして、大変残念に思っておるわけでございます。そういう意味で、厚生省に多分言っていないだろうというふうに思いますけれども、その当時何か言ったかどうかも含めまして、ひとつお答えをいただきたい。     〔委員長退席、鈴木(俊)委員長代理着席〕
  95. 岩本渉

    ○岩本説明員 お答え申し上げます。  御指摘の調査昭和五十八年度の、米国における後天性免疫不全症候群を示す患者の発生とその病因に関する研究の現状調査でございますけれども、本件調査は、文部省が依頼して組織したいわゆる行政目的調査ではなく、研究者から自発的な申請があり、学術審議会によります審査を経て、科学研究費補助金、そのうちの海外学術調査というカテゴリーによりまして実施されました学術研究を目的とする調査でございます。  こうした学術研究の成果につきましては、研究者が著書、論文や学会等で報告し、専門を同じくして判断能力のある研究者間で評価を受けるものであり、また、私どももこうあるべきものと考えておる所存でございます。文部省といたしましては、こうした観点から、本件調査等のような科学研究費補助金による学術研究につきましては、論文等の発表により評価を受けるとともに、それぞれの研究者においてその成果を社会に還元していただくことをかねがねお願いしているところでございます。したがいまして、本件の場合も、文部省が文部省として報告書を積極的に配付するということは行っていないものでございます。  なお、本件報告書そのものは、研究者が自発的に作成されたものでございまして、また、少数の人たちに対するものとして作成されたもののようでございます。先ほど申しましたように、本件学術調査におきましても、その成果に基づき、参加研究者において論文等として発表する努力をしていただいておりまして、その内容は広く関係研究者に流布しているものと理解しております。
  96. 坂口力

    坂口委員 そこが文部省の頭のかたいところで、たとえ自発的であろうと何であろうと、間違いなく文部省が調査団を出しているのです。だから、それは急がない問題もありますよ。それぞれの学会で発表してもらって、それで済む問題もある。しかし、その当時、エイズという風雲急を告げる大変な問題、だから先生方が、文部省は何もおっしゃらないけれども、我々で行こうじゃないかといって行かれただろうと僕は思うのです。だから、その結果は、先生方もそれはされたとは思うけれども、その結果を文部省も、これは立派な結果ですから、我々にもこの結果を各大学病院にひとつ言わせてください、あるいは厚生省にもひとつ言わせてくださいというその頭が、そういうふうに頭がなぜ回らないのかということを私は言っている。  きょうは文教委員会でもございませんので、これだけにしておきたいというふうに思いますが、また文教委員会でやらせていただきますけれども、これは決して納得しておるわけではありません。そういう行き方は今後改めてもらわなければなりません。何のためにこの調査団を出しているのかわかりません。一言申し添えて、どうぞ結構でございます。お引き取りください。  さて、昨年の十月二十四日でございましたが、これは薬務局長さんに対しましていろいろお尋ねをいたしました。これは私もちょっと尋ねましたが、その前に、山本先生の質問に対しまして薬務局長さんがお答えになった言葉がございます。それは、「一九八三年、昭和五十八年におきましても、エイズの原因ははっきりしておりませんで、血液製剤を介してエイズが伝播するかどうかも不明であったところでございます。」こういうふうに薬務局長さん、このときにおっしゃいました。それで、このことはずっと繰り返されておみえになるわけであります。  確かに、エイズの原因がはっきりしていなかったことは事実でありますが、「血液製剤を介してエイズが伝播するかどうかも不明であったところでございます。」こう言われたわけですが、今回いろいろ厚生省からちょうだいしました資料を拝見いたしますと、その中には、担当官が非常に熱心に研究をされて、そして調査をしておみえになってメモをとっておみえになる。決してわからないわけではなくて、血液製剤というものがエイズの原因であるということに大きな疑惑を持って対処しておみえになる、そういう事実がこの中にるる述べられているわけでございます。  今もなおこの言葉を守り続けられるのか、それとも、あのときにはそう言ったけれども、今回、ないと言っていたメモが出てきて、よくよくその中を調べてみると、私の言ったことにいささか間違いがあった、これはそうではなかったというふうに訂正されるのか、その点をまずひとつお聞きしておきたいと思います。
  97. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ただいま先生からお話のありましたように、昨年の十月に、御質問にそのようにお答えをしておったわけでございます。  そこで、先般公表されました調査プロジェクトチームの中間報告におきましては、エイズ研究班の配付資料において、「未だ不明であるが、ある種のウイルスによる感染症又は感染症群である可能性が強い」、また「B型肝炎に類似していると考えられる。すなわち、患者の血液、精液を介して感染する可能性が強い」としております。また、当時の生物製剤課長の質問調査回答におきましても、「血液を介する感染症ではないかということは、エイズが問題となったかなり早い時期から疑われていたことである。」というふうに指摘をしておるわけでございます。  私も、このプロジェクトチームの調査結果に基づく、配付資料に書かれております当時の研究班あるいは当時の厚生省責任者の考え方に即したものにしてまいりたいと現在は考えております。
  98. 坂口力

    坂口委員 今までの考え方を変えられるということでございますから、結構なことだというふうに思います。  このいただきました資料の中で、五十八年七月四日、「AIDSに関する血液製剤の取り扱いについて」という内容のメモがございます。その中で、「対応方針」といたしまして「加熱処理Ⅷ因子製剤の使用をencourageする。」奨励するという意味でしょうか、英語で書いてございますが、「但し、中薬審における審議を特例扱いとはしない。」こういうものがございましたり、あるいは「国内での供血者のスクリーニングの強化とⅧ因子の国内供給の方向を打ち出す。具体的には以下の対策を講ずる。」として、幾つかその下に挙げてございますが、「AIDS研究班に加熱処理Ⅷ因子製剤の使用をrecommend」、推薦するというような意味でしょうか、「recommendさせる。」それから二番目として「トラベノール社に対して加熱処理Ⅷ因子製剤の輸入承認申請を急ぐよう指示する。」四番目には「非加熱処理の製剤については、米国原料を用いたものについては取り扱わないように業者に対する行政指導を行う。」というようなことがずっと並んでいるわけであります。  これらのことは、かなり血液製剤というものがエイズの原因になるという強い疑いと申しますか疑惑を持って述べられているものでありまして、むしろ、強い疑惑と申しますよりも血液製剤がその原因となっている、恐らくそれはビールスであろうということを想定して述べられていると言っても過言ではないと私は思います。  また、五十八年七月十一日の「AIDSに関する血液製剤の取扱いについて」も、「問題点」といたしまして、「AIDSは、血友病Ⅷ因子製剤により感染することが疑われており、安全な製剤の確保が必要と考えられる。」こういうふうに述べておりますので、これはもう間違いなく疑いを持って、ただ疑うだけではなくて、エイズの原因は血液製剤、しかも、その中に含まれるであろうビールスということを想定して述べておると私は思うわけでございます。  またもう一つ、このちょうだいをいたしましたものの中に、研究班のお一人でありました東京都臨床医学総合研究所副所長の西岡久壽彌先生の週刊医学界新聞に書かれました記事が出ております。  これを拝見いたしますと、もうこの中にははっきりと書かれておりまして、「第一は、ヒトの血液を介して感染し、免疫系、とくにhelper T cellを破壊し去って、正常の生体防衛機能を喪失させ、」こういうふうに述べておみえになる。さらに、この先生は予防する方法として、ウイルスを不活性化する「もっともマイルドな方法として六十度C十時間の加熱処理」ということをこの中で挙げておみえになる。それも、凝固因子が変性をする可能性があるので、「〇・五Mクエン酸ソーダ溶液中で、あるいは蔗糖グリシン液中で六十度C十時間加熱すること」を提案する、ずっとしているというようなことまで書かれておる。大変詳しく書いておみえになる。  この新聞が出ておりますのが五十八年六月十三日のことでありますから、これはもう一九八三年中ごろにおきましてはかなり明確になっていた。恐らく、この先生も研究班の中ではかなり細かくそうしたことをお述べになっていたであろうということは想像にかたくありません。  このようなこともあわせて考えますと、今までの厚生省局長さんの御答弁は全く合わない、そういうふうに思っておりました。先ほど訂正をされましたので、そこは可としたいと思います。  そこでもう一つ、その次でございますが、これは私が実は質問をさせていただきました。  それは、一九八八年の三月十六日の参議院予算委員会、それから同じ八八年の五月十九日の衆議院の、その当時は社会労働委員会でございましたが、この委員会におきまして、厚生省は、日本においても加熱処理製剤の早期開発を製造業者に指示した、こういうふうに述べておみえになるわけであります。文言は若干違う言い方でありますが、こういう意味で述べておみえになるわけでございます。  ところが、裁判におきましては、そういう指示をしたことはないというふうに言っておみえになりますので、不思議に思いまして、昨年十月二十四日のこの委員会におきまして再度私がお尋ねをいたしました。そうしましたら、局長さんからは、あれはトラベノール社に対して言ったものであって、全体に対してそういう発言をしたものではない、こういう御発言でございました。  今回の郡司元課長さんのメモを拝見をいたしますと、やはりそういうことは言っていないというふうになっております。ただし、そのほかの、七月四日あるいは七月十一日のメモ等を拝見いたしますと、内部におきましては、この加熱処理のことが非常に議論になっておりますし、そういうことを言われても不思議でない状況にあったと私は思うわけですが、あえて否定をしておみえになる。  このことについてもう一度お聞きをしておきたいと思いますが、これは現在もそうではなかったというふうに否定をされるのでしょうか、それとも、いや、あれは参議院、衆議院で答弁をしたとおり、実はそうだったというふうにおっしゃるのでしょうか。もう一遍お聞きをしておきたいと思います。
  99. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 昨年、先生の御質問に対しまして私がお答えをいたしております。その内容は、当時の日本トラベノール社から加熱製剤の開発、承認については厚生省相談があって、昭和五十八年八月に臨床試験が必要であるとの回答をしたことをもって、加熱製剤の開発を指示した旨の答弁をしたものと理解しているという答弁をさせていただいたところでございます。  これにつきましても、このプロジェクトチームの調査結果によりますと、郡司元生物製剤課長におきましては、課として開発を指示した記憶はない、そういったことは考えにくいというふうに述べておられるところでございます。そういったことから、私は、当時は答弁をさせていただいたように思っておりましたけれども、こういった調査結果に基づきますと、その事実はなかったのではないかというふうに現在考えております。
  100. 坂口力

    坂口委員 そういたしますと、二転三転いたしますのでわかりにくくなってまいりましたが、衆参の委員会でお答えになりましたように、一般的に全体に対して加熱処理の早期開発というものを要請したことはないというふうに言っておみえになるわけですが、それに対して、あれはトラベノール社に対して言ったものだというふうにこの前はお答えになりましたけれども、トラベノールだけではなくて、全体に対してそういうことは言っていないということだというふうに今お答えになったわけですね。もう一遍、念を押してちょっとお聞きしておきます。
  101. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 トラベノールだけではございませんで、関係のメーカーに対して開発の指示をした事実はないように思っております。
  102. 坂口力

    坂口委員 それならそれで話ははっきりするのですが、八三年というと、あれだけエイズの問題が大きな問題になりつつあったときであります。緊急輸入ということも見送られた、そして国内、国外を問わず、特に国内の血液製剤業者に対して熱処理を含めますところのそうした安全な製品をつくるということの早期開発を厚生省要請しなかったということになるわけですね。  それは、あの事態の中でなぜしなかったのかという大きな疑問にぶつかってくる。私は、まだ気持ちの中で、坂本元薬務局長さんが述べられたのが本当ではなかったかという気持ちがありまして、半信半疑だったわけです。しかし、今はっきりと、トラベノールに言ったのも、それは言わなかったのだ、どこにも言わなかったのだということになってしまいますと、あの緊急の事態の中で何も言わない、全然何もしないで傍観をしていた厚生省責任というのは大変な問題になってくるというふうに私は思いますが、その当時、緊急輸入もせず、そして国内の業界に対して早期開発についても言わずというのはどういう背景でそういうことになったというふうにお聞きになっているのですか。これはそこが一番大事なところだと思うのですね。大臣中心にして今お調べいただいているわけですから、今回出てまいりましたものの中にもちらちら出ておりますけれども、その辺の全貌はわかりません。しかし、そこが一番我々としましては不満にも思うし、そして、なぜだったのだろうかと疑問にも思う点であります。  しかし、今まではまだ、過去に衆参でお答えになっていましたから、あるいはそれが本当だったのではないかという気持ちもあったものですから今日まで参りましたけれども、いや、それは完全にありませんでしたということになれば、なぜその一番中心であるはずの薬務局がそのことをしなかったのかということは大変大きな問題だというふうに思いますが、その点はどのようにお考えになっているかというか、当時の方にそれはどのようにお聞きになっておみえになるのか、お聞きをしたいと思います。     〔鈴木(俊)委員長代理退席、木村委員長     代理着席〕
  103. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 当時の事情につきましては、この調査報告にも出ておりますが、当時の生物製剤課長は、「課として開発を指示した記憶はなく、また、当時の自分の加熱製剤に対する考え方」、これは安全性とかあるいは品質の問題、そういったことに対する疑問があったかと思いますが、そういったものに対する考え方からして、「そのようなことは考えにくいことである」というふうにしておるところでございまして、私も、そういったこの調査報告の結果を受けとめておるということでございます。
  104. 坂口力

    坂口委員 局長さん、よく聞いてほしいと思うのですが、郡司元課長さんが、それはそういうふうに言っておみえになるかどうかわかりません。しかし、冷静に考えて、その当時、薬務局が何もしないでいたということはまことに不自然であります。そしてそれは、その当時でありますから、熱処理に対しましてもいろいろ意見はあっただろうと思います。しかしそれだけに、熱処理をする、しない、あるいはそのほかの方法があるのならばそのほかの方法でもいいと思うのですが、そうしたことを研究するように、早期にそうしたことに着手をするように要請するというのが私は筋だと思うのですけれども、それをせずにじっとしておみえになったということがわかりにくい。  郡司元課長さんがおっしゃるように、いろいろそれは、熱処理は熱処理にとしてメリット、デメリットがあった、私もそれはそう思うのです。そのことはあっただろうというふうに思うのですが、それがあるのならば余計のこと、その開発のために、あるいはその研究のために、各業界に対して、もっと積極的にひとつ取り組んでほしいということを言われるのが薬務局の役目ではなかったかと僕は思いますが、そこはそう思いませんか。それはだれが考えても、私はそう思いますよ。  そこをせずにじっとしておみえになったがゆえに、そのことが多くの皆さん方にエイズを蔓延させ、そして今日の悲劇を生んでしまったということになるわけですから、これは知りません、あるいはそれはわかりませんでは済まないことなんですね。私は、そこを元課長さんなり局長さんなりに明確に問いただしてほしいわけです、今聞ける立場におみえになるわけでありますから。それが聞けないというふうにおっしゃるのであるならば、何かの方法で、先ほどの話ではありませんが、この委員会に来ていただいてお話を聞くということにせざるを得ない。ですから、そこはあいまいではいけないと思うのですよ。  つけ加えることがありましたらつけ加えていただき、大臣の感想をお聞きして、最後の質問に移りたいと思います。
  105. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 調査プロジェクトチームの報告、中間報告が出ておるわけでございますが、これからさらに調査を続けるところもあろうかと思います。私自身も、今のお話に対しまして十分調査をしてまいりたいと思います。
  106. 菅直人

    菅国務大臣 今、坂口先生の方からの御指摘は、ある意味では非常に説得力があるといいましょうか、当時の状況を考えますと、そういう何らかの対応があってしかるべきではなかったかというふうに思っているわけです。  そういう意味で、私も資料をずっと読んではおりますが、いろいろな推測はあるいはできるのかもしれません。ただ、そこの部分をどういうふうに理解していいのかというのはちょっと、推測はできるのですが、それを超えてのことを申し上げるのはなかなか難しいのかなと思っております。  例えば、一つだけ私のあれを申し上げますと、トラベノール社が裁判に陳述書を出しております。その中では、かなり早い時期から実は加熱製剤を日本で売りたい。早い時期といいますのは、これは肝炎の感染を防ぐという意味で、当初開発されておりました八三年より以前の段階からそういう動きをしたのだと当事者の陳述書には入っているわけです。ですから、八三年以前からいろいろアプローチをしていたということを陳述書では述べているわけです。  ですから、そういうことも含めて、いろいろな働きかけがそういったところからは当時厚生省の薬務局にあっただろうということの推測はできるわけですが、そういうことと、資料として今回の調査で出てきたいろいろなものを重ね合わせたときに、なぜこの時期に加熱製剤の早期開発を、ある時期は指示したと言い、その後になって指示していないと言い、そういうことをまた言うようになっている背景を含めて、私にもまだ十分には、どういうことであったかということを、同じように疑問には思っておりますが、確定的に申し上げるところまでは私自身はっきりしておりません。     〔木村委員長代理退席、委員長着席〕
  107. 坂口力

    坂口委員 急にここですべての回答をいただこうとは私も思っておりません。どうぞひとつ、調査していただきますときに、大事なポイントでございますので、その点を、なぜそうだったのかという納得のいく調査をひとつお願い申し上げたいと思います。  最後になりましたが、これは今後の話といたしまして、非加熱血液製剤によってエイズに罹患をされました方々に対する恒久対策の問題でございます。きょう、最初に衛藤先生の方からも出ておりましたが、これは今後の大きな問題だというふうに思っております。  それで、被害者という言葉がよく使われますけれども、被害者というのは、感染者のことを指していうのか、それとも、そうではなくて発病者を指していうのか、ここもちょっと明確でありません。  感染をいたしまして、そして、いわゆる医学的にCD4が五百になるとか二百になるとかというような段階を迎えて、それに対してどうするというようなことが今までとられてきたわけでございますが、感染をした人に対しては、これから発病しないようにいろいろと予防措置もとっていただかなきゃならないわけでございますから、五百とか四百とか二百とかというようなことではなくて、感染をすればその人たちに対してはもう何らかの恒久対策の対象にするということにしていかないと、つじつまが合わないのではないかというふうに私は思っております。  それは、程度の差はあるだろうと思いますし、幾つかの段階はあるだろうというふうに思いますが、途中で切るということはなかなか難しいことになる。感染者ということで割り切って、そこは恒久対策というのはしていかないといけないのではないかというふうに思っておりますが、ひとつ御意見をお聞かせください。
  108. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 現在のHIV事業との関係で御説明を申し上げますが、ただいまのお話のCD4五百以下の方について、現在、健康管理費用というものを国が出しておるわけでございます。これはあくまでも、免疫能力が低下をいたしまして、日常生活において発症予防の必要性の高い方々を対象に支給をして発症予防に役立てていただく、そして健康状態を報告していただくということを目的とした健康管理費用という制度をつくっておるわけでございます。  このCD4五百という基準につきましては、これは、発症予防薬の投与開始の基準といいますのがこのCD4五百以下ということになっておりますことを目安といたしまして、CD4五百以上の方には支給をすることは難しいのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  109. 坂口力

    坂口委員 いやいや、現在どうなっているかという話をしているのではなくて、そこを五百とか二百とかというような数字で切ることが、そのことの方が意味がないのではないかということを私は申し上げているわけでありまして、感染をしているかどうかということが大変大きな問題だというふうに思うわけです。  感染をしている人と、していない人というのとは、これは絶対的な違いがあるわけですが、感染をしてしまいました後の状況は、程度が五百になりましても、あるいは治療によりましては、またそれが逆にこれから戻ることだってあるだろうと思うのです。あるいは二百になりましても、またよくなることもあるだろうというふうに思います。  そういたしますと、五百とか二百とかというような、そうしたCD4の数字で切るということでいいのかというふうに私は思っておりまして、感染をした人と、発病をすればこれはまた特に大変でございますが、感染をした後、それはその間で、どこかで一つ段階を設けてもいいですよ。何かで段階を設けてもいいですが、やはりそれは感染をしたということからスタートをするのがスタートラインはいいのではないかというふうに私は申し上げているわけで、現在はそうなっておりますけれども、そう変えていくのが妥当ではないかということを意見として申し上げているわけでございます。  幾つかのことをきょうは申し上げさせていただきました。ひとつ大臣の、もう一度お言葉をかれば、過ぎ去った時計の針をもとに戻すことはでき得ませんけれども、しかし、心の針をもう一度もとに戻しまして、皆さんの痛みを共有しながら、二度と再びこういうことが起こらないようにするためにはどうしたらいいかということを私たちは真剣に考えていかなければならない任務があるわけでありまして、責任があるわけでありまして、ぜひあらゆる面で今までの考え方をもう一度ひとつ立て直しをして、考え直しをしていただきたいというふうに思います。我々も最大協力することにやぶさかでありません。  以上、申し述べまして、終わりたいと思います。ありがとうございました。
  110. 和田貞夫

  111. 大野由利子

    ○大野(由)委員 大野由利子でございます。  我が国の血友病患者の約二千人の方、全く何の罪もないこの方々が輸入血液製剤によってエイズに感染された、HIVに感染された、また、そのうちの四割の方が一九八四年以降と、こういう厚生省の研究班の方のデータでございます。  一九八三年の段階で、血液製剤でHIVに感染するというあの危機意識が認識されていたときに、すぐに手を打っていたならばこうした悲劇が最小限に抑えることができたのに、また、感染した方々の三割の方が十五歳以下であるという、本当に痛ましい、何とも言えない、本当にこの世の中でこれほどの不条理はない、このように思っております。亡くなられた方に心より哀悼の意を表しますと同時に、感染された方また発病された方々に心からのお見舞いと、そして、私たち政治や行政に携わる者として全力を挙げてこの恒久対策に取り組むということをお誓いもし、また、これが私たちの責務ではないか、このように思っております。この恒久対策とあわせて、二度とこうした薬害事件が起きないためにも真相の究明をしっかりしていかなきゃいけない、そういう思いでいっぱいでございます。  私から何点か質問させていただきたいのですが、まず、トラベノール社から、加熱処理製剤の輸入承認申請を行いたい、そういう申請が最初に厚生省の方にあったのはいつの時点でございましょうか。
  112. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 昭和五十八年の夏ごろ、日本トラベノール社から厚生省に対しまして、米国におきます加熱製剤の承認申請データを提示いたしまして、日本における加熱製剤の承認申請についての相談がございました。
  113. 大野由利子

    ○大野(由)委員 アメリカでは、一九八三年の三月にこの加熱血液製剤の承認を受けていらっしゃいます。その後、たびたび社長等々も日本に来て厚生省の幹部と会っていらっしゃるわけですから、トラベノール社は三月の時点そして五月の時点と二度この承認申請を出した、このように言われているわけです。三月にアメリカで承認を受けて、やはり日本で発売したいという、当然その願望でもって来ていらっしゃるわけですから、今、夏ごろというお話がありましたけれども、私は、これはトラベノール社が言っております三月の時点で既に話があったのではないか、このように思っているわけでございます。  それから、輸入承認申請案を提出するようにトラベノールに要請をされたのはいつでございましょうか。
  114. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 先ほど、昭和五十八年の夏ごろに相談があったということでありますが、当時の生物製剤課長がこの申請データを検討いたしました結果、副作用等の安全性の面でアメリカで実施された治験内容では不十分だということで、そのまま受け入れることは難しいという判断をいたしました。八月に、臨床試験データが必要である旨、日本トラベノール社に回答をしたところでございます。その後、十一月に血液製剤メーカー各社を呼んで、加熱製剤について審査方針を示すための説明会を開催したところでございます。
  115. 大野由利子

    ○大野(由)委員 今おっしゃった、夏ごろに話が最初あって、そして十一月の時点で輸入承認を得るための方法の説明があった。私は大体、この間の大変な時間差、この時期に、今申しましたように、既に輸入血液製剤によってHIV感染の危険性が認識されていたこの大変なときに、既にこれだけの時間差があったというのはどうも納得がいかない。  そこで、今薬務局長お話では、夏の段階でこれではだめだというお話があったということなんですが、トラベノールの陳述書によりますと、あの当時、「有効成分に影響を与えない製造方法の一部変更」、いわゆる一変でいいと、そういう感触を得ていたということが陳述書の中にあるわけですけれども、このトラベノールの陳述書はうそというか、間違いでございましょうか。
  116. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 確かに、米国トラベノール社の陳述書が出ておることは事実でございますが、私どもの方も、当時の責任ある担当課長にいろいろ事情聴取をしまして、そしてその内容を把握しておるところでございます。
  117. 大野由利子

    ○大野(由)委員 この間発表されました厚生省の内部資料の中に、七月の四日時点で、「AIDSに関する血液製剤の取り扱いについて」七月四日付の中に、「トラベノール社に対して加熱処理Ⅷ因子製剤の輸入承認申請を急ぐよう指示する。特例としない」こういう書き方をしているわけですね。ここでは、この文章は何を想定しているかといえば、当然これは、「特例としない」ということですから、治験を要するというようなことを検討してないわけです、この段階では。緊急輸入もしくは一変によって輸入するということを想定したメモになっているわけですね。また、「非加熱処理の製剤については、米国原料を用いたものについては取り扱わないように業者に対する行政指導を行う。」こういうようなメモもございます。  一体、この七月四日はどなたが書かれたメモでございましょうか。
  118. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ただいまの七月四日の資料につきましては、当時の生物製剤課の課長補佐が課内検討会のためにディスカッションペーパーとして作成したものと理解しております。
  119. 大野由利子

    ○大野(由)委員 何という課長補佐か、お名前まで教えていただきたいのですが。
  120. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 藤崎課長補佐でございます。
  121. 大野由利子

    ○大野(由)委員 現実に、この七月四日の時点においては、検討事項で大変な危機意識を持って、加熱製剤を緊急輸入しなければいけない、アメリカの原料を用いたものは取り扱わないように業者に行政指導を行うことさえ検討がされていたわけでございますが、その後七月の十一日、また十八日と一転するわけでございます。  七月十一日もしくはまた十八日の書かれたものはどなたが書かれたのかもあわせて伺いたいと思います。
  122. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 七月十一日の資料につきましては、これはごらんいただきますと字体が異なっておりますが、原案の作成者は四日の作成者ではないかというふうに考えております。それを別の人が清書したものというふうに理解をしております。
  123. 大野由利子

    ○大野(由)委員 十八日は。
  124. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 十八日の資料については承知をしておりません。
  125. 大野由利子

    ○大野(由)委員 七月の四日の時点から十一日に大きく変わり、また十八日と変わっているわけですが、どうしてこのように変わったかということがなかなか今回の発表の資料の中には出ていないわけですけれども、厚生大臣はこのことをどう思われるか、伺いたいと思います。どうしてこのように結論が変わったのか。
  126. 菅直人

    菅国務大臣 率直に申し上げて、私も同じものはもちろん見ております立場ですが、その間に何がその書かれたもの以外にあったのかということは、その後のいろいろな資料、既に中間報告をした資料でも、こういう理由でこうなったのだということがストレートに判断できるようなものはなかなか私にも見出せませんし、また、できるだけ早い時期に出そうと思っているほかの資料の中でも、必ずしもこの部分について決定的だと思われるものは、私自身の現在の読んだ中では決定的なものは見出しておりませんで、まだ私にとっても不可解といいましょうか、よく理由はわかりません。
  127. 大野由利子

    ○大野(由)委員 この間の大変な転換にやはりまだ出ていない資料があるのではないか、そういう思いをしているわけでございます。  この七月四日の検討事項の中に「トラベノール・カッターの進出による国内メーカーへの打撃」と、加熱製剤を輸入すれば国内メーカーに大変な打撃を与えるのではないかということを心配して検討をされている、そういう項目がございます。それで、「対応」として「問題の重要性及び各社のⅧ因子製剤の売上高に占める割合が低いことを勘案して、この程度の打撃はやむなしとする。」こういうことを対応として考えていらっしゃるわけですが、「この程度の打撃はやむなしとする。」となれば当然その判断基準になるものがあったはずでございますので、このときどういう状況であったのか、どういう状況でもってこういう判断が出ているのかということについて伺いたいと思います。
  128. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 厚生省におきましては、社団法人血液製剤協会からの報告によりまして、各社の血液製剤の蔵出し量を把握いたしております。昭和五十八年の各社の蔵出し量によります第Ⅷ因子製剤の薬価ベースでの売上高でございますが、財団法人化学及血清療法研究所が七億八千百九十七万三千六百七十六円、日本製薬株式会社が三億八千四百五十四万二千百三十三円、日本臓器製薬株式会社が十五億六千九百三十六万三千四百十円、カッター・ジャパン株式会社が七億七千九十九万八千七百八円、日本トラベノール株式会社が十億二千八百六十八万五千四百五円、株式会社ミドリ十字が四十七億九千九百九万六千七百四十九円でございます。
  129. 大野由利子

    ○大野(由)委員 今御報告いただきましたけれども、血液凝固第Ⅷ因子製剤の総生産金額九十三億三千五百万、この中で、当時、ミドリ十字が占めています額が実に約四十八億円、半分をちょっと超えている、そういう額なんですね。国内の四社の合計で七十五億を占めている。このとき、国内以外のカッター・ジャパンと日本トラベノールで合わせまして十七億、そういう状況なんです。ですから、この九十三億という額は、この原稿を書かれた人から見れば、日本全体の中ではそんなに大きな額ではない。ですから、ここに「この程度の打撃はやむなしとする。」というような表現になっているのではないか。  しかし、この九十三億の中でミドリ十字が実に半分強を占めている。それで、この段階で加熱製剤を輸入したときにはだれが一番被害を受けるか。この当時のことを考えれば、ミドリ十字が一番大きな打撃を受けるということがたちまち明々白々なんですね。  そういうことを考えますと、国民の健康よりもメーカーへの配慮とかメーカーへの打撃というものを考えてこの厚生省薬務行政の判断がなされたのじゃないか、これは大変ゆゆしき、大変なことではないか、このように思うわけですけれども、当時、国内全体の九十三億の半分強を占めていましたミドリ十字は加熱製剤についてどういう状況であったか、伺いたいと思います。
  130. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ミドリ十字の加熱製剤の開発状況を正確にお答えする資料、今持っておりません。
  131. 大野由利子

    ○大野(由)委員 当時は、ミドリ十字は加熱製剤の開発は一番おくれている、そういう状況でございました。そして、申請もミドリ十字が一番遅かったわけでございまして、一九八五年の七月にミドリ十字に合わせて一斉に一括承認された、そういう状況があるわけですね。  先ほど坂口委員から、開発指示についていろいろ質問がございました。先ほど荒賀局長は、今まで開発を指示してきた、指示してきたと言ってきたことが間違いだったというふうに訂正をされたわけですが、間違いだったというのもこれまた大変な無責任じゃないか。大変な状況の中で開発を指示する方が当然だろう、そういう坂口委員の指摘だったのではないかと思いますが、この加熱製剤の開発の指示をしていなかったというのも、これは私は無理があると思うのです。  どうして無理があるかといいますと、厚生省の坂本薬務局長は二回にわたって、国会質疑の中で、一九八三年の八月に開発を指示した、そのように言っていらっしゃいますし、また、小野昭雄さんという薬務局の生物製剤課の方が「医学の歩み」という専門誌の中でやはり、一九八三年八月に加熱製剤の開発の指示をした、日本は決してアメリカにおくれることそんなにおくれないで一生懸命薬務行政としては取り組んだのだというような意味のことを書いていらっしゃるわけですね。それが、一九八三年の八月に開発を指示してきた、指示してきたとずっと書いていて、そして今の段階で、開発を指示したというのはあれは全くの間違いでしたというのは、私は本当にこういうことはあり得ないと思うのです。  この一九八三年の八月の段階で、アメリカから加熱製剤を輸入すると日本の国内メーカーが大変な打撃を受ける、日本の国内メーカーに早く加熱製剤を開発しなさいというような、トラベノールではなくて、トラベノールは既に開発をしていましたから、要するに日本の国内メーカーに指示を出されたのではないか、また、指示をされて当然ではないか、このように私は思うのです。このことについていかがお考えでしょうか。
  132. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ただいま資料が入手をいたしまして、ミドリ十字につきましては、第Ⅷ因子加熱製剤の加熱技術の開発時期でございますが、一九八一年十一月に研究に着手し、八三年九月までに加熱条件の確立、そして八三年九月に試験製造及び物理化学性質等に係る試験の開始を行っておるところでございます。
  133. 大野由利子

    ○大野(由)委員 もう一度、先ほどの坂口委員の質問の繰り返しになりますが、開発指示は国内のメーカーに対してもされたということはない、一切どこに対してもこの開発の指示はなさらなかった、そういうことでございましょうか。
  134. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 当時の生物製剤課長が非常にはっきりと調査プロジェクト調査依頼に対しても答えておりますので、私としては、その考え方を受け入れておるところでございます。
  135. 大野由利子

    ○大野(由)委員 七月十一日の「AIDSに関する血液製剤の取扱いについて」、このファイルの中にも、アメリカで「AIDSの感染のリスクを低下させることに成功したとされる製品が承認されており、各国に既に輸出している。」そういう状況把握の上で、「我が国でも血友病患者等より同製品を輸入すべしとの声が高まると考えられる。この要請は、患者発生が報告されると急速に高まり、感情的なレベルまで高まる可能性がある。しかしながら、薬事法上の手続きでは、可及的速やかに処理しても本年十一月頃になってしまう。」この段階では、いかにして早く輸入できるかということを検討された要素もあるわけですね。  「十一月頃になってしまう。」ということは、これは治験という方法ではなくて一変という方法、一部変更ということが考えられたから「十一月頃になってしまう。」という表現になされているのではないか。治験をしていたら十一月に間に合うはずはないわけでございますので、一部変更を検討されたか緊急輸入という形だったのではないか、このように思うのですが、このことについていかがでしょうか、ちょっと大臣の御見解も伺いたいのです。
  136. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 七月四日と十一日のペーパーの性格を若干御説明させていただきたいと思います。  七月四日の資料につきましては、先ほど若干御説明を申し上げましたように、当時の担当補佐が課内の検討をするためのたたき台として作成をし、その作成した担当者の話を聞いてみますと、実現可能性のあるもの、あるいはそうでないもの、あらゆる項目をたたき台として掲げたものであるということで、この資料に記載されておりますことが当時の生物製剤課の方針ではないということを、これは当時の課長あるいは作成をした担当者も言っておるわけでございます。  七月十一日の資料は、七月四日の資料をもとに生物製剤課内で検討をいたしました後に、担当者が整理をし、他の者に清書をさせたものと理解をいたしておりますが、この七月十一日の資料が生物製剤課の方針となっていたかどうか、そういった点も含めて今調査を進めておるところでございます。
  137. 大野由利子

    ○大野(由)委員 いろいろと検討をされた段階におきましては、可及的速やかに緊急輸入を初めさまざまな検討がなされたにもかかわらず、最終的な結論としては、すべて後退をした結論になってしまっている。  今回発表された中間報告を読んでおりましても、大変意見が分かれております。緊急輸入についても意見が分かれておりまして、これは追ってまた調査をするということでございますが、どのように追って調査をされるのか、伺いたいと思います。
  138. 菅直人

    菅国務大臣 経緯は、御存じのように、調査プロジェクトをつくって、十一の項目について調査をするようにということで指示をいたしまして、いろいろな資料が見つかったり、あるいは関係者への問い合わせに対する返事が来たわけであります。まだ公開できていないものがありますので、今月半ばまでには残されたものを、できれば全部と思っておりますが、間に合えば全部、一部残るかもしれませんが、少なくともそれも追って公開をするというところまでは手順を決めております。  今、大野さんの言われた、この七月四日あるいは十一日の資料についてどういうふうに理解するかといったような問題、それをさらに調査するというやり方が、厚生省の役所として内部的な調査の延長上であり得るのか、あるいは別な形で行わなければならない種類のものなのか、またその段階で考えてみたいと思っております。  率直に申し上げて、この問題は、あるいはこの国会の場でもいろいろな議論が、もう既にこういう形で本格的に取り組まれておりますので、それぞれの立場でそれぞれの機能を使って事実関係を調べていくことが望ましいのではないか。ですから、厚生省として現在行ってきた調査のそのままの延長上で繰り返してやってみて、果たしてこの中のさらなる解明ができるのかどうかということを含めて、もう少し進んだ段階で厚生省厚生省として検討してみたいと思っております。
  139. 大野由利子

    ○大野(由)委員 ちょうど今話題にしております一九八三年の二月に、血友病患者の長年の願いがかなって自己注射が健康保険適用になって、大変大きく売り上げが伸びてきた。八三年から八四年にかけて対前年比二七・六%、八四年から八五年へは八・八%の伸びと非常に飛躍的に伸びている。しかも、この当時、アメリカからの輸入によりますものは非常に大変な薬価差益が生まれて、そして日本は米国の五倍以上の値段になった。こういうところも、アメリカの非加熱製剤がそのまま日本に入ってくるのを引き続き容認してしまう、そういう原因になってしまっているのではないか、そのようなことも指摘をされております。  私は、こうした業界というところと国民の健康を守るというようなところは全く別のところで判断ができる、決定ができる、そういうシステムをつくっていかなければいけない、このように思っているわけでございます。  副作用の情報がどのようなシステムで報告が上がるようになっているか、少し伺いたいと思うのです。  副作用、これは病原菌とか異物の混入等々も含めまして、健康を害するものという広い意味の副作用情報というのはどのように収集をされるようになっているのか、どこへ収集されるのか、それを伺いたいと思います。
  140. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 当時の医薬品の安全性情報について申し上げますと、血液製剤、ワクチン、そういった生物学的な製剤に関しますものは薬務局の生物製剤課が所管をしておりまして、それ以外の医薬品の安全性情報につきましては、安全課が収集をし、対応をとるシステムとなっておったわけであります。  昭和五十八年当時、血液製剤につきましては、生産や供給、安全性についても生物製剤課が所管をしておりました。国内外の副作用情報の収集もこの課で行っていたものでございます。  それから、生物学的製剤以外の医薬品につきましては、安全課が、国内の医薬品副作用モニター病院や企業からの副作用報告、外国政府からの情報などを収集していたものでございます。  現在のシステムは、副作用モニター病院等から収集をされました副作用報告あるいは文献情報等につきましては、これは血液製剤を含めまして、すべて薬務局の安全課にございます医薬品適正使用推進室が窓口となって収集をし、副作用の評価も行い、その評価に基づき医薬品の添付文書の「使用上の注意」を改訂し、医療関係者の注意を喚起するなどの対策を講じておるところでございます。  なお、現在、メーカーにつきまして、厚生省への副作用報告制度というものが省令上の位置づけになっておるわけでございますが、今回、薬事法改正法案を提案させていただきたいと思っておりますが、この際は法律上の義務として明確に位置づける方向で検討をいたしておるところでございます。
  141. 大野由利子

    ○大野(由)委員 例えば副作用の情報でございますが、海外からの文献、アメリカのCDCが出しています週報、MMWRとか、いろいろな学会報告また学術論文、そうしたものを初めといたしまして、英語だけじゃなくてドイツ語またフランス語、オランダ語等々の世界各国の情報みたいなものも全部翻訳をされている、そしてそれがきちっと提供をされるというシステムになっているのかどうか、伺いたいと思います。
  142. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 昭和五十八年当時は、生物製剤課におきまして、米国の防疫センター、CDC週報という英語文献を入手しておりました。ただ、フランス語あるいはドイツ語文献につきましては、英語に比較して専門用語の解読等がなかなか困難でございまして、積極的には入手していなかったようでございます。  現在は、安全課、審査課等におきまして、ランセット誌、ニューイングランド医学ジャーナル等の英語文献を入手し、職員が英文のまま読んでおるところでございます。
  143. 大野由利子

    ○大野(由)委員 英語のまま読んでいるというのじゃなくて、やはり必要なものはきちっと翻訳をして情報提供がなされるようにならなければ、こうした大事な情報が国民の皆さんの共有のものにならないのではないか、このように思うわけです。  一例として、八三年六月二日にトラベノールがいわゆる製品を回収いたしましたね。そのときに、厚生大臣また通産大臣に例外許可書を得た上で、エイズウイルスに汚染されているロットを米国に送り返されている。こういうものの許可書があるかどうか。  それから、八三年の十一月ですか、カッター社からの製品をやはり回収した。こういうものがきちっと報告がなされるシステムになっているのかどうか。  それから、一九八四年に大阪の栗村教授が、血友病患者の血液分析によって二十二例中四例が陽性だった、こういうことを厚生省報告しておりますが、こうした報告厚生省はきちっと把握して、どのようにこの報告を扱ったのか。  また、例の安部英氏がギャロ博士のところへ送りまして、自分の患者四十八人中二十三人がHIVに感染していたということが判明をした。これも学会で発表しているわけでございますが、彼は厚生省報告をしなかったらしいのですが、学会に発表した。こういうのが厚生省に伝わっていなかったのかどうか。  そうしたことを全部あわせて伺いたいと思います。
  144. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 お尋ねのトラベノール社の書類の写し、輸出例外許可の写しは残っております。  カッター社のものは残っておりません。
  145. 松村明仁

    ○松村政府委員 栗村教授によります抗体検査の結果につきましては、当時の感染症対策課の課長補佐から事情を聞いたところ、保健医療局としては、六十年三月半ばごろに栗村教授から、血友病患者さん百六十三名中四十七名がLAV抗体陽性であるとの結果を聞いております。  また、安部教授が八四年九月に学会で発表されたデータにつきましては、昭和六十年の四月二日に提出されたAIDSサーベイランス調査票の添付資料に記載されていたのを拝見いたしまして知った、こういうことでございます。
  146. 大野由利子

    ○大野(由)委員 そうした情報が非常に遅いのじゃないか、このように思っております。どうしてもっと速やかにこうした情報が収集できないのか。  前回ちょっと私も申し上げたのですが、私がちょうど初当選をいたしました平成二年四月に、初めての国会質問で、例のLトリプトファンの問題を取り上げました。あのときも、前年の十一月にアメリカでは販売停止、製造禁止になっている。アメリカでは当時既に十九人死者を出していました。最終的に二十六人の死者になりましたけれども、そういう情報が伝わっているにもかかわらず、日本では何の対応もしていなかった、そういう状況がございます。  今翻訳をしています、こうですああですとおっしゃいましたけれども、この辺の体制が非常に不十分なんじゃないか。国民の健康を守る、そういう責任感というのでしょうか、その辺が非常に欠如しているというのでしょうか、薬務局の中に兼ね備えていることにいろいろ問題があるのじゃないか。ちょうど会計検査院のように独立した機関でこういう副作用情報を徹底して収集する、厚生省が持っています情報を瞬時に全国医療機関に伝える、国民の皆さんに伝える「こういう努力が全く、全くと言っては言い過ぎではありますが、この辺が非常に弱いのではないか、このように思っております。この辺の改善というものをぜひお願いしたい。  情報を収集して、その情報をどう判断して、そしてそれをどう全国に伝えるかというその辺は、どこで判断をして、提供するのはどこでなされているか、もう一回伺いたいと思います。
  147. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 この副作用の情報は、企業からのもの、あるいはモニター病院等からのもの、幾つかのルートがございますが、先ほども申し上げましたように、現在ではそれを一つの部屋で集中をいたしまして、そして、問題のあるケースについては、直ちに中央薬事審議会の副作用調査会に諮って、必要な措置をとっておるわけでございます。  それから、先ほどのカッター・ジャパンの件でちょっと補足説明をさせていただきますと、五十八年十一月に、出荷前に自主的に廃棄するということで、これはその年の十二月に廃棄が完了した旨の報告を受けておりますので、補足説明をさせていただきます。
  148. 大野由利子

    ○大野(由)委員 時間がなくなりましたので、最後に一言だけ要望させていただきたいと思うのです。  不幸にして全く知らずに血友病患者エイズに感染された方の配偶者とか、そうした二次感染者、三次感染者の人は、血友病の皆さんと同じような形での扱いでへ健康手当その他の面でぜひ対応をしていただきたいということ。  また、すべてのHIVの感染者の方々にぜひ難病指定を、難病指定といいますと、原因が不明で治療方法が見つかっていないということが条件のようでございますけれども、原因はわかっているかもしれませんが、今の状況治療方法がないというこのHIVの皆さん方への難病指定を、難病指定といいますか公費で医療が受けられるシステムをぜひお願いしたい。  このことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  149. 和田貞夫

    和田委員長 鴨下一郎君。
  150. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 このエイズ集中審議は、国民注視の非常に厳しい審議が行われているわけですけれども、与党が大変出席が悪い。これは一体どういうことなのかということなんですがね、委員長
  151. 和田貞夫

    和田委員長 再度、出席方を要請いたします。
  152. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 まず、きょうの質問は、厚生省の統一見解でHIV感染による免疫不全症候群という疾患の概念ができ上がったのはいつの時点なのか、厚生省がそういう認識に至ったのはいつなのかということをお知らせいただきたいと思うのです。
  153. 菅直人

    菅国務大臣 ちょっと今十分に聞き取れなかったことがあったのですが、非加熱製剤によるHIV感染が明らかになったのはいつの時点と考えるかということですか。
  154. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 そうじゃなくて、エイズという病気が国民にだんだん知られていって、厚生省もこれはただならぬ重大な病気だということを判断した段階。例えば、それはエイズのHIVというビールスが固定された時点で厚生省はそう考えたのか、日本の、本邦の一例が報告されたときにそう思ったのか、この辺のところの期日を教えていただきたい。
  155. 菅直人

    菅国務大臣 私が説明を受けている限り、この日をもってエイズが大変危険であるというふうに何か認識を明確にしたという、そういう時点があったということはこれまで報告は受けておりません。ですから、いろいろな状況があったことは私もこの間の経緯でわかっておりますが、厚生省としてどの時点でということを言われますと、そういうふうにきちっとした時点というものがあったかどうかを含めて、あるいはなかったのではないかと思っております。
  156. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 これは本来は非常に重要なことなんですよ。それはなぜかといいますと、厚生省が公式にエイズという疾患を認め、なおかつその時点からの対応というのは、エイズという病気そのものにきちんと対応しなければいけない責任があるわけですから。それまでは、今の議論の中で薬務局はのらりくらりと逃げていますけれども、その逃げている原因は、エイズという疾患がどういう疾患概念だかわからなかった。そしてそれは、例えば八三年の段階では全くわかっていなかった。八四年の治験が始まった段階でもどうなのかわからない。その後の、治験が終わって加熱製剤が出てきたときにもまだどうなのかわからない。実際には学術的にはさまざまな意見がありますけれども、これで言うと、八四年の九月に仙台で国際ウイルス学会が開かれて、そのときにエイズの犯人はウイルスであるということが言われた。それから八四年の十一月には、加熱製剤がエイズウイルスを不活化する、こういうような報告もある。  こういうようなことなんですけれども、厚生省は、大体で結構ですけれども、八三年なんですか、八四年なんですか、八五年なんですか、この辺のところだけお答えいただきたい。
  157. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 先生よく御存じのとおりでございますが、エイズに関する知見というのは、世界のいろいろな医学、薬学の知識、そのレベルが少しずつ蓄積をする中で徐々にその実体がわかってきたところであることはもう十分御承知のとおりでございます。  私どもの方で、今回出ております例えば第二回エイズ研究班、これは五十八年七月十八日の資料でございますが、エイズの病因は、「未だ不明であるが、ある種のウイルスによる感染症または感染症群である可能性が強い。」あるいはその伝播様式につきましては、「B型肝炎に類似していると考えられている。」そのような記載がなされておるわけでございます。  そういったことから、当時、血液製剤を介してエイズが伝播する可能性について認識をしていたものと考えております。
  158. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 そうすると、五十八年の時点で厚生省は、エイズという病気に関してその疾患概念を確定して、ウイルスによって伝播する疾患だというふうな判断をしていたというふうに解釈していいわけですね。もう一度お願いします。
  159. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ただいま申し上げましたのは、血液製剤を介してエイズが伝播する可能性についてということでございます。
  160. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 この辺は実際には、薬務局、答えちゃいますとその後の対応について厳しく問われなければいけないことになるわけですけれども、客観的な学会の報告の中で、八四年の九月には、少なくともエイズはウイルスによる疾患だというふうなことはもう学会の一般的な常識になってきているわけですから、この時点では間違いなくエイズという病気がウイルスによる病気だという認識で厚生省はいいわけですか。八四年の九月です。
  161. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ただいまもお話しのように、エイズの原因ウイルスがほぼ確定されましたのは昭和五十九年九月の仙台で開催されました国際ウイルス学会でございまして、ウイルス遺伝子が分析をされ、当時、原因ウイルスとされておりました二つのウイルスが同一であることが示されまして、原因ウイルスが確定をされましたのは五十九年十一月から十二月にかけてであったと理解をいたしております。
  162. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 大変よくわかりました。  ということは、五十九年以降の対応に関しては、ウイルスによる感染性疾患だというような判断で厚生省対応していくというようなことで、そういう大前提でよろしいわけですね。厚生大臣、いかがですか。
  163. 菅直人

    菅国務大臣 今の薬務局長の答弁以上に、私も当時のことをそれ以上には知らないのですが、エイズ国際学会で認定をされ、そういう認識を当時の薬務局あるいは厚生省が持っていたということですから、基本的には、この時点においては、少なくともこれ以降においてはエイズウイルスによってエイズ感染が起こるという認識を持って当たるべきであったろうと思います。
  164. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 今回の質問の大前提なものですから少ししつこく聞かせていただいたのですが、八三年に例の安部英さんが、帝京の医学雑誌の中で、病原体を含有する危険を持つ血液製剤の輸注をとめることが大切というようなことを論文の中で言いまして、エイズは言ってみればビールス性の疾患であるから、その辺のところを注意しなければいけないということを八三年に言っているわけでして、八四年の段階でまさしくビールス性疾患だということはもう国際的にも証明されてきているわけですね。  なおかつ、八三年に国会の答弁の中で林義郎厚生大臣が、HIV関連の質問の中で、加熱製剤を含めてエイズというのが非常に危険な疾患として日本の中でも問題化されてきたということをお述べになっているわけですけれども、次の質問では、加熱製剤というよりも、その前の非加熱製剤の中にそのウイルスが混入しているというような可能性について認識をしたのは厚生省はいつというふうにお考えになっていますか。
  165. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 先ほど、エイズに関する知見について、五十九年の十一月から十二月にかけて原因ウイルスが確定をされたということを申し上げたわけでございますが、非加熱製剤にウイルスが混入をするということは、やはりそれがどういったウイルスであるかが固定をされるということが必要であろうかと思います。今直ちに断定的なことを申し上げられませんが、このウイルスが固定をされる、そうすれば、それが血液製剤を介して伝播をするという可能性は示し得ることになるのではないかと思います。
  166. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 そうすると、五十九年にはいわばエイズの疾患概念が確立して、ビールス性の疾患だということになって、エイズビールスも見つかったわけですから、この時点では非加熱製剤の中に万々が一混入するというようなことは推測できたわけですね。薬務局長、どうですか。
  167. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ただ、その場合に、固定はされましたけれども、それを正確に検査する方法、あるいはエイズの感染力でありますとか発症率等の面について、当時まだなお解明が必要であったかと思っております。
  168. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 流れとして、そういうような形でエイズのビールスがもしかすると非加熱製剤に混入しているかもわからない、こういうようなことというのは当時の学者の中では考えられ始めていたわけで、その中で、先ほど大野委員が質問しましたように、加熱製剤に移行すべきだというような議論があったのです。  例の八三年七月の四日から十一日にかけて、トラベノール社の製品を緊急に輸入する、しないという議論はあったのかもわかりませんけれども、いずれにしても、七月の十一日以降は治験をやって、加熱製剤のさまざまな問題点、例えばアレルギーが起こりやしないか、アナフィラキシーが起こりやしないか、それからたんぱく変性によるさまざまな問題がどうか、インヒビターがどういうような形で形成されるかどうか、この辺のことを検討するという意味で治験に入っていくわけですけれども、この治験に入っていく段階でトラベノール社は既にもう加熱製剤を持っていたわけですね。  これは、エイズの予防のためじゃなくてB型肝炎予防、それから他のサイトメガロウイルスだとか、当時はノンA、ノンBと言われていた肝炎に対しての予防効果があるだろうということで開発された加熱製剤だったわけですけれども、そういう製剤がもう既にあったのですが、厚生省はその加熱製剤を治験をしていこうというようなさまざまなメーカーからの働きかけに対して最終的に説明会を開いていますけれども、その治験をやろうじゃないかというふうに考えたその辺の経緯について御説明いただきたいと思います。
  169. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 当時の生物製剤課長によりますと、次第にエイズがビールス感染症であるとの認識が高まってきましたし、アメリカ政府が肝炎対策のために承認していた加熱製剤に言及してエイズ予防にもなったらよいがという表明もありましたので、加熱製剤の使用もせざるを得なくなると考えるようになりました。また、加熱による失活を防ぐ新しい技術の開発もあり得ると思いました。したがって、厚生省としてもその準備だけは整えておこうと思い、一九八三年十一月に加熱製剤と承認申請の取り扱いについて血液製剤メーカーに対する説明会を開催し、承認申請の手続の早期化を図るために、第一相試験を不要とし、必要な症例数を二施設四十症例以上という治験の最少症例数にしたところでございます。
  170. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 ということは、加熱製剤を治験をしていこうではないか、製品として製剤として市場に出していこうではないかというふうに考えた最も重要な動機は何だったのでしょうか。
  171. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ただいま当時の課長の言葉を引用させていただきましたが、一つは、ビールス感染症であるとの認識が高まってきた、それから、肝炎対策のためにアメリカ政府が承認していた加熱製剤がエイズ予防にもなったらよいという希望の表明一また、加熱による失活を防ぐ新しい技術の開発、そういった面がいろいろあったのだろうと思います。
  172. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 今、局長は三つおっしゃいましたけれども、そのエイズ予防というようなことの必然性というのは私も理解できるのですが、B型肝炎に関しての予防効果ということは、郡司さんが郡司ファイルの中で、これはB型肝炎に関しては必ずしも一〇〇%予防できないというようなことをおっしゃって、結局トラベノール社の加熱製剤の導入に対して消極的だったわけですけれども、もう一度確認させてください。  八四年の治験が始まる段階で、厚生省が考えた最も重要な目的は一体何だったのですか、その辺のところの厚生省の解釈を教えてください。
  173. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 やはり、当時のその部門の最高責任者であります課長の考え方、今申し上げたようなことが基本にあったかと思います。そして、承認申請の手続の早期化を図るということで、第一相試験を不要にして、治験の症例数も最少にするという判断をしたものだと考えております。
  174. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 私が伺っているのは、治験の目的は何だったのですかという話を伺っているのですよ。
  175. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 当時の課長が心配をしておりましたのは、B型肝炎用の加熱製剤が必ずしも、チンパンジーでやったときに一頭には感染をし、一頭には感染をしない、そういったことに対する疑問といいますか、安全性に対する疑問が基本的にあったと理解をいたしております。
  176. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 だから、答えていないじゃないですか。私が聞いているのは、治験の目的は一体何だったのですか。それはB型肝炎の予防なんですか、エイズの予防なんですか、加熱技術が入ったための治験だったのですか、これを聞いているのですよ。
  177. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 凝固因子製剤としての有効性、安全性を確認するためのものであったと思っております。
  178. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 全く……。私が聞いていることはわかりますね。その治験のプロトコールにうたわれている目的は何なのですかと言っているのです。エイズ予防なんでしょう。  私は、厚生省がそんなに不見識じゃなかったと思いますよ。あの当時、治験をやって加熱製剤を入れようじゃないかということの本来的な目的には、エイズ予防だ、こういうようなことがあったのだろうと思うし、そこにいらっしゃる松村さんも含めて当時の英知があったわけですから、それが単にB型肝炎の予防、それから加熱技術が入ったからなんて。そんなことじゃなくて、本来的な目的エイズ予防のために治験を急いでやろうじゃないか、こういうことなのじゃないですか。
  179. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 まだその当時はエイズビールスが確定をいたしておりませんで、B型肝炎の関係あるいはインヒビターの問題、この点が治験の主たる頭にあったものではないかと思います。
  180. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 とにかく、最初のボタンをかけはぐっちゃいますと最後までボタンがずれていっちゃうのですよ。だから、局長、本当に苦しいだろうと思うけれども……。  私、実は治験のときの、治験のペーパーの冒頭のところに何の目的で治験をやったかというのが、これは「診療と新薬」という専門誌の二十二巻の八号、昭和六十年の八月、帝京大学医学部第一内科学教室の安部英さんのトップネームで報告があるのですよ。その中で、これを読んでみますけれども、抜粋です。   さらに近年、後天性免疫不全症候群AIDS  が米国、ヨーロッパ諸国及び我が国で発生して  重大な関心の的になっているが、これら患者か  らとった血液を原料とする血液製剤を投与され  る血友病患者は本病好発条件の一つであること  が認められ、血友病の診療に深刻な問題を投げ  かけた。最近、レトロウイルスに属する云々というのがありまして、そのビールスが  AIDSの原因であることがほぼ確定し、第Ⅷ  因子製剤を介して本ウイルスが感染してAID  Sが発症することが想定されるに及んで、この  面からも安全な第Ⅷ因子製剤の製造供給が焦眉  の急を告げる課題となった。  こういう意味で治験をやったというふうに論文に書いてあるのですよ、安部さんがトップネームの論文に。  だって、これが言ってみれば治験の添付の論文として厚生省に申請のときに出されているわけでしょう。ですから、目的エイズ予防だと書いてあるのです、論文に。いかがですか。
  181. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 今確たることを申し上げにくいものでございますから、先生のお示しの書類をまた拝見をさせていただければと思います。
  182. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 この論文は各治験の最終段階の取りまとめの論文ですよ、だれだって手に入る論文。これを厚生省が読んでいないはずがない。だって、これを読まなければ承認できないのですよ。だから、見ていないとか、今はないとかいう話じゃなくて、私が言いたいのは、この治験の目的エイズの予防だったのでしようということを認めなさいと言っているのですよ。
  183. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 何度も申し上げて恐縮でございますが、当時の生物製剤課長の認識が、アメリカが肝炎対策のために承認になった加熱製剤に言及してエイズ予防にもなったらよいがという表明もありましたので、加熱製剤の使用もせざるを得なくなるというふうに考えたわけでございます。そのように考えております。
  184. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 とにかく水かけ論なんですが、最初に、郡司ファイルの中で、加熱製剤はB型肝炎ウイルスに対して決して有効でないということがあるから、トラベノール社の加熱製剤を言ってみれば否定したのでしょう。それを、加熱製剤の治験をやるためにこんな六社も七社も打ちそろって、安部さんがすべて統括医師で、そしてなおかつこんな立派な論文を書いて、それが肝炎ウイルスだけの目的であるはずがないじゃないですか。その時点で、もう既に皆さんエイズを真剣に考え、エイズの予防のために早急に加熱製剤を入れなければだめなんだ、こういうふうに思っていたから治験を一生懸命やったわけじゃないのですか。
  185. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 エイズ予防になったらいいという期待は確かにあったかと思いますが、まだ当時エイズウイルスということが固定をされていなかったということも考慮すべき点ではなかろうかと思っております。一発言する者あり)
  186. 和田貞夫

    和田委員長 それでは、ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  187. 和田貞夫

    和田委員長 それでは、速記を起こしてください。  暫時休憩いたします。     午後四時一分休憩      ――――◇―――――     午後四時二十分開議
  188. 和田貞夫

    和田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。荒賀薬務局長
  189. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 お答えさせていただきます。  次第にエイズがウイルス感染症であるという認識が高まっており、アメリカ政府が肝炎対策のために承認していた加熱製剤に言及してエイズ予防にもなったらよいがという表明もありましたので、加熱製剤の使用もせざるを得なくなると考え、加熱による有効性とたんぱく変性等の安全性を確認するため治験を行うこととしたものであります。  なお、米国CDCによりまして、昭和五十九年十月に加熱処理によるエイズウイルスの不活化が確認されたことをつけ加えさせていただきます。
  190. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 先ほど、厚生省が五十九年の十一月時点でエイズという疾患概念を確立したというお話だったわけです。実は、この治験の開始は五十九年の二月です。ですから、まだビールスがわかってない可能性があるわけですけれども、少なくとも限りなく疑われていた段階での治験の開始だったのですね。  その五十九年の十一月をまたがって、最終的に臨床試験が終わって申請がなされた日が、例えばトラベノールだと六十年の四月三十日です。それからカッター・ジャパンも四月二十七日と、大体四月の月末に承認申請がなされているわけで、その時点で既に限りなくクロに近いエイズ予防という目的で加熱製剤の開発に入ったのですが、結果的に最終的な治験が終了して承認申請をなされるときには、もう既にエイズビールスはわかっていたわけですからね。  そうすると、プロトコールでは今局長がおっしゃっていたような目的でよかったのかもわかりませんけれども、最後のところの、論文を添付する段階ではもう既にエイズビールスの予防に使いますよというような目的になっていたわけですね。このことはそれでいいのですか。
  191. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 そのように考えております。
  192. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 そうすると、今まで厚生省は、この治験に関しては、肝炎予防だとか、加熱の技術が入ったというようなことを主目的に治験をやるというようなことだったわけですけれども、言ってみれば、当時の状況というのは荒賀局長もなかなか御存じのない部分もあるのだろうと思いますから、私は正確に言えば、エイズ目的で本来この治験は入ったのだというふうに厚生省は一生懸命やっていたのだろうと思うのですよ。  その辺のところを明らかにしないと今回のこの流れというのは非常に不透明な部分が出てきますので、できれば当時の生物製剤課長さん、それから薬務局長さん、そして、一連の論文それから治験の統括医師である安部さんを国会にお呼びしてぜひ話を聞きたいと思いますが、委員長、よろしくお取り計らいをお願いいたします。
  193. 和田貞夫

    和田委員長 ただいまの鴨下君の御意見の件につきましては、理事会の方で協議をさせていただくことといたします。
  194. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 後はいよいよ治験に入っていくわけですけれども、そういう目的がございました。一つはB型肝炎予防、それからさまざまな他のビールスの感染の予防、そして加熱というような、言ってみれば摂氏六十度を十時間加熱ということで第Ⅷ因子が不活化しない、そういう加熱技術がわかってきたということを含めて加熱製剤の開発に入ったわけです。  その加熱製剤の入り方なんですが、幾つか会社があります。トラベノール、カッター・ジャパン、ヘキストジャパン、化血研、ミドリ十字、日本臓器、日本製薬、こういうふうにあるわけですけれども、その中で、日本トラベノールはもう既に八三年の時点で加熱製剤を持っていたわけですが、治験に入っていく段階でほぼ、五十九年の二月がトラベノールで、ミドリ十字が五十九年の六月で、四カ月おくれでミドリ十字が治験に入るわけですけれども、これで言いますと、既にもう一年も前に加熱製剤を持っていたトラベノールがなぜ一年おくれてスタートを、みんな足並みをそろえなければいけなかったのか、この辺に関して私は不思議に思うのですけれども、この辺の必然性について教えてください。
  195. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 昭和五十八年の十一月に、治験が早急に実施されますように説明会を厚生省において開催いたしまして、先ほども申し上げましたが、少数の健康人を対象とするいわゆる第一相試験を省略し、また、症例数を最小限にすることを説明いたしたわけであります。この説明を受けまして、各社では昭和五十九年二月ごろから承認申請のための臨床試験に入ったわけでございます。そして、先ほどお話がございましたように、昭和六十年四月末から五月末にかけて承認申請がなされたわけでございます。
  196. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 いや、私が伺っているのは、トラベノールはもう既に五十八年の前半、四月、五月ごろには加熱製剤を持っていたわけですよ。そして、それがさつきの、私はなぜ治験の目的が重要だったかとこだわったかと申しますと、既に加熱製剤があって、その加熱製剤を早く活用すればいい、こういうようなことだったのですよ、エイズの予防のためには。それを、足並みそろえて、最終的に国内メーカーと外国メーカーの治験のスタートをそろえたということにいささか不思議な感じがしますよということなんですよ。なぜならば、治験をする目的が限りなくエイズ予防という目的があったわけですから。そういうようなことで言うと、そのスタートがなぜおくれたのか、この辺のところについてもう一度お答えください。
  197. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 それぞれ加熱製剤の開発について準備を行っておりましたが、やはりトラベノールはそういった点で、先生がお話しになりましたように先行しておりましたわけでありますから、治験の開始は一番早い五十九年二月、それから順次それぞれの会社が準備を整えて着手をしたものと考えております。
  198. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 十一月の時点で説明会を開いたと言っているでしょう。その十一月の時点までトラベノールを待たした必然性は何だったのかという話ですよ。
  199. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 治験については、これは企業が主体的な判断でできるものでございますから、それについて各社の判断でやったものと思われます。
  200. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 各社の判断でやったのだったら、五十八年の早期に、四月、五月ごろに、トラベノールは、加熱製剤をつくりたいですというようなことを厚生省に申し出ているのですよ。それに対して、先ほどの話ですよ、郡司さんは、チンパンジーだとか何かの実験に関してB型肝炎の予防効果が少ないじゃないか、こういうようなある意味で難癖をつけて、そこで抑えているのです。それが半年たって、十一月の時点でみんながそろってきたら、じゃやりましようという、この辺のところの流れが私にはわかりにくいから教えてくださいと言っているのです。
  201. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 今お尋ねの点でございますけれども、何回も繰り返しておりますことでございまして、それ以上の確認はできておらないところでございます。
  202. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 私は、厚生省はその時点で非常にエイズに対して危機感があったと思いますよ。それで五十八年の早期、だからエイズ研究班をつくったり、さまざまな予防対策についてきっと省の中ではいろいろな工夫がなされていたのだろうと思う。だから、そのことが最終的に十一月に治験をやって加熱製剤を入れようじゃないかというふうな流れになってきたのだろうと思うのだけれども、もしそうならば、その時点で、十一月にみんな説明会を開いて、その次の年、五十九年の二月に第一号がスタートするというようなことじゃなくて、もっと早くなぜできなかったのか。それは、厚生省責任じゃないのかもわからない、むしろそれ以外の人たちのある作為的なものがあったのかもわからないけれども、薬務局長はどういうふうにお考えになっているか、もう一度お答えください。
  203. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 この説明会を開催したときのメーカー各社の調査項目に対する回答を御報告をさせていただきます。  まず化血研でございますが、「加熱製剤を開発中のメーカーから個別の問い合わせが相次いだため、治験の統一ガイドラインを示す必要に駆られて、厚生省説明会を開いたものと理解している。」それからミドリ十字におきましては、「当時、メーカーとしては、B型肝炎及び未知のウイルス対策が急がれており、加熱第Ⅷ因子製剤開発、早期上市のため、薬務局生物製剤課をたびたび訪問し、申請に必要な資料や治験の進め方について情報収集を行っていた。また上記趣旨より、社団法人日本血液製剤協会からも、加熱製剤の申請に対する厚生省の統一見解を求める旨、生物製剤課に要望を行っていたと認識している。」さらにバクスターにおきましては、「厚生省当局は、……(鴨下委員「それは中間報告を読んでいるのでしょう」と呼ぶ)そうでございます。
  204. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 それはいいです。それは中間報告の、そこにある文言でしょう。そうじゃなくて、私は、二月から十一月までの間に、トラベノールはもう既に加熱製剤を持っていたのに治験にどうして入らなかったのかということの、私にとって不思議に思っていることにお答えくださいと言っているのです。
  205. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 残念ながら、今の御質問に対して私が答えられる範囲は、先ほど来申し上げているとおりでございます。
  206. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 伺っていることは、これはもう国民みんなが不思議に思っていることなんですよ。  それで、その段階で他社、トラベノール以外の会社ですね、例えばミドリ十字なんかは五十八年の四月から十月ぐらいの時点で加熱製剤に関する加熱の技術だとか何かはどの程度までいっていたかということについて、薬務局長はどの程度把握していらっしゃいますか。
  207. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 先ほど一度答弁をさせていただきましたが、ミドリ十字につきましての第Ⅷ因子加熱製剤の加熱技術の開発時期につきましては、一九八一年十一月に研究に着手し、八三年九月まで加熱条件を確立、八三年九月、試験製造及び物理化学性質等に係る試験の開始をいたしております。
  208. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 これは勘ぐりかもわからないけれども、もう既に二月の段階、トラベノールは加熱製剤を持っていたわけですね。それが、ミドリ十字、今おっしゃっていたように、その後に開発がやっと追いついてきて、そして九月、十月の段階で加熱技術を何とか完成して、加熱製剤の治験に入れる準備ができ上がったのがその時点なんですよ。ですから、ある意味で国内メーカーが開発が追いつくまで待っていたのじゃないか、こういうふうな勘ぐりもあるのですけれども、その辺について薬務局長はどうお考えですか。
  209. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 トラベノールについても御報告をさせていただきますと、一九八一年五月まで、これは米国でございますが、製法に関する検討の終了をいたしました。それから同年、一九八一年の一月に物理化学的性質等に係る試験の開始を、これも米国で行っております。日本の場合は一九八三年二月に、日本におきまして規格及び試験法に係る試験の開始をいたしておるところでございます。
  210. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 いや、ですから私が伺っているのは、ミドリ十字は十月まで加熱製剤を持っていなかったのですね、さっきの答弁の中では。そうすると、それまでの間に早く本来だったら加熱製剤をつくらなければいけないというのは厚生省は多分お考えだったと思います、さっきの論文にも書いてあるわけだから。  そうすると、本来だったらこの半年間の間に、先行してもう既に加熱製剤を持っている人たち、どうして治験がスタートしていないのですか。それがその後になって、さらに年を越えて二月に一斉にスタートするというのは、これはもう私はおかしいとしか思いようがないのですけれども、いかがでしょう。
  211. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 何度も同じ答弁で恐縮でございますが、治験の開始年月もそれぞれ若干のずれがございました。トラベノールは五十九年二月でございますが、カツターは三月、ヘキストジャパンは三月、化血研は五月、ミドリは六月、日本臓器は六十年の八月、日本製薬は六十一年三月ということで、それぞれ各社が準備を整え、臨床試験に入ったものと考えております。
  212. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 私が伺っているのは、その前の年の話ですよ。  一九八三年の二月から十一月までの間に、ある意味エイズの問題が相当深刻になってきて、そしてこれは大変だ、だから加熱製剤を早く使わなければ、非加熱製剤だと万々が一エイズのウイルスに汚染されている可能性があるということのために、言ってみれば十一月に説明会を開いて、そして早く開発しようではないかということになったのではないのですか。  だから、私はそのときの半年というのは非常に致命的な半年だというふうに思うのです。単なる国内メーカー、それから外国メーカー云々というのではなくて、早く開発しなければいけないという思い厚生省の中にきっとあったのだろうと思うのだけれども、それが一斉に次の年になってしまったというのは、それは何か国内メーカーが開発が追いついてくるまで待っていたのではないかというふうに言われたってしょうがないような状況があるのです。
  213. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 何度も申し上げますが、五十八年の十一月に説明会を開いて、それからそれぞれがスタートをしたということで、それ以前の、先生がおっしゃっておりますような五十八年二月から十一月についてどうなっておったかということについて、私どもの方から御答弁を申し上げる現在情報を持っておりません。(発言する者あり)
  214. 和田貞夫

    和田委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  215. 和田貞夫

    和田委員長 それでは、速記を起こしてください。  質疑を続行いたします。荒賀薬務局長
  216. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ただいまの件については、当時の行政責任者あるいはメーカーについて調査をさせていただきます。
  217. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 八三年の二月から十一月の間、実は郡司ファイルがその中間にありまして、B型肝炎の予防だけでは、加熱製剤は決して有効な製剤でないという話が途中に入っているのですよ。  でも、その辺の経緯についてぜひ調べていただいて、当時の担当の方、それからあとはトラベノール、そしてエイズの研究班で主体的な役割を果たしていた学者、この辺の人たちからの事情を聴取して、いつまでにその結果を出していただけますか。
  218. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 一カ月以内に、できるだけ早くやりたいと思います。
  219. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 一カ月以内というと、国会だってどうなるかわからないですから。とにかく、ここ一週間ぐらいの間にそれなりの人に接触して、そして文書できちんと出していただけるように、大臣、いかがですか、一週間ということで。
  220. 菅直人

    菅国務大臣 私も、今の鴨下委員のいろいろな指摘については、確かに疑問を感じているわけです。その点をどうやって調べられるかということ自体ももうちょっと検討してみなければいけませんが、今、薬務局長は一カ月ということでしたが、それよりももっと早く、できるだけ早い形で報告できるように全力を挙げていきます。  今言いましたように、どういう調べ方があるかということから考えなければいけませんので、内部だけで調べ切れる問題ではない可能性がありますので、この時点では、今薬務局長が申し上げたよりもできるだけ早く報告ができるように全力を挙げたい、そういうことにさせていただきます。
  221. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 大臣に、ぜひ一週間以内で結果が出るように、これはもう本当に時間を争う問題ですから。ですから、ぜひその辺のところは誠実に、厚生省としても事実関係を明らかにしていただきたい。  大臣にちょっとお伺いしたいのですが、先ほど、大臣官房の中の調査プロジェクトチームで中間報告がなされて、その段階で治験の指示はしていない、これは事実だった、それから、承認時期の統一にはこれは妥当性があった、それからさらに回収について、自主回収をしたということは、これは当時の状況からいって、製品の全体の流通の関係からいっても仕方がないことだった、こういうようなことで、新しい事実がわかりましたという答弁が衛藤議員の質問の中でございましたけれども、本当にそれで十分だと思っていますか。
  222. 菅直人

    菅国務大臣 今言われたのは、治験の指示をしていないということと、その次は、承認の時期が各社そろっているのが不自然ではないかということ、それと自主回収のことですね。  治験については、先ほどの議論の中でもありましたように、流れの中で、さっきどなたか言われましたが、大野さんが言われましたか、当然その時期に指示をしていてもおかしくないという見方と、あるいは場合によってはいろいろな理由で、いろいろな事情でそういう指示がなかったのかもしれないというような趣旨のこともあって、つまりは二つあると思うのですね、問題は。つまり、治験の指示という形が、どういうことを治験の指示という意味でそれぞれの時代に答弁したり、あるいは言っているか。ですから、そういう点で、この問題もあわせて、どういう意味合いなのかということをもう一度まとめてみたいと思います。  それから、自主回収のことは、従来から私は、私の見解として申し上げているのは、非加熱製剤の危険性というものを考えれば、もっと積極的にきちんとした回収をすべきだった、こう考えております。
  223. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 実は、きょう私は、自主回収の点について厚生省対応をある程度厳しく問いただそうというふうに思っていたのですけれども、その入り口のところで突っかかってしまったものですから、もう時間がなくなって、これで終わりますけれども、本来でしたら、その加熱製剤を導入しようとしたある意味での動機、それから、どういうふうな目的で入れたかということを真剣に考えるならば、非加熱製剤の自主回収ということは大変な行政の落ち度なんですよ。その辺のことは、今後また機会を見て申し上げたいと思います。  以上で質問を終わります。
  224. 和田貞夫

  225. 山本孝史

    山本(孝)委員 きょうは長い審議になっておりますけれども、まだまだわからないことだらけであろうというふうに思います。  皆さんも御承知かと思いますけれども、これが日赤のクリオですね。今問題になっていますミドリ十字のコンコエイト、第Ⅷ因子製剤、これは八四年の三月に検定が合格している。  何でこんなことを言っているかというと、実は私もこのエイズ薬害の問題を知って初めてどういう製剤を使っているのかということを、やはり知っていないと話が始まらないなというふうに思いまして、こういう注射用の蒸留水を中に入れて溶かして、それを体に打つということです。  きょうは、この被害者の皆さん、ぜひ国会に来てお話を聞かせていただくようにというお願いを新進党としてもさせていただきました。  そのことの一つは、いつも出てくる話として、血液製剤がなければ死んでしまうじゃないですか、大変だからやめるわけにはいかなかったのだという話がいつも出てくるわけだけれども、そうではないということを患者さんがおっしゃっているわけで、そこのところを皆さんによく聞いていただきたいと思う点が一つ。  それと、エイズに感染する、あるいは発症してしまうとすぐ死んでしまうのだというふうに思っておられる方が多くて、そうではないのです、ちゃんと発症の予防をすれば普通の人と同じように学校にも行けるし、あるいは万が一発症してしまっても、CD4が下がってしまっても、うまく治療すればもとへ戻るというか、健康な体になるのだ、極端なことを言うと、もうホスピスに行っていただくしかないのですかというようなことをおっしゃる方がおられるのだけれども、そうじやありません、エイズというものに対しての知識をもう一度皆さんまず国会の中で正しく持っていただきたいというふうに、私も無知でしたけれども、今はそういうふうに思いますので、ぜひそういう機会をつくっていただきたいなというふうに思っています。  きょう、質問までにいろいろな資料を下さいというのが手元に来ませんでした。大変に精力的に調査をされて、大変に小さな字で全部を集められてお出しになった。その短期間にお取り組みになったということについては、菅厚生大臣のその指導力も、あるいは担当の皆さんの御努力も大変に高く評価しておりますけれども、わからないことだらけで、資料が来ないままに質問をしなければいけないのは大変に辛うございます。そういう意味でも、ぜひ集中審議、きょうで終わるのではなく、引き続きそういう機会をつくっていただきたいというふうに思います。  正直申し上げて、さっきも大臣おっしゃいましたけれども、厚生省の中でその職員がこれまでに起きてきたことの調査をするのは極めて難しい、そういう御発言がありました。素直に読ませていただいて、何か都合のいい質問をして回答を引き出しているというか、そういうような感じがします。  例えば、アトランタの国際会議が五十八年あるいはその後六十年とかであって、この製剤が危ないですよというような話が出たというふうに私は本で読みましたけれども、そういう話は今回のこの検討された文献等調査リストの中には出てこない。あるいは、ミドリ十字の子会社のアルファ社がアメリカの国内で血液製剤の回収をしたという話も出てこない。それは、エイズ薬害に関して書かれている本がいっぱいあって、それをお読みになればそういうことが指摘をされている事実がいっぱいあるのに、厚生省の中だけにあるもので調べようとすると、それは都合のいい答えしか出てこないと言うと言い過ぎかもしれませんが、そんなふうに思うのですね。  患者皆さんの方がむしろ、自分たちの体を考えて、いろいろなことを情報として持っておられる。そういうものをもっと真摯に耳を傾けられて調査をされれば、もっとはっきりとしたことがわかるのじゃないかというふうに思うのですけれども、大臣、そこのところ、まずお聞かせをください。
  226. 菅直人

    菅国務大臣 先ほど鴨下委員に対して申し上げた意味は、鴨下委員の方から、先行しているメーカーとそれよりもおくれたメーカーの治験開始がそろったことがどういう理由があったのかといったしか御質問だったので、それを調べるときにどういうふうに調べたらいいのか、果たして役所の中だけで調べてそういうことがわかるのかはちょっと判明しないという意味で申し上げたので、必ずしも役所の中が難しいとか易しいといった意味で少なくともその問題について申し上げたわけではないので、御理解ください。  それから、今、山本委員の方から、いろいろな方の御意見を聞いて調査の項目内容をもっと考えたらどうかという趣旨のお話です。  私が一月の二十三日に調査プロジェクトをつくることを指示してそれがスタートしたときに、一応その当時問題になっていたことについてできるだけ網羅的に調べようと私なりに努力をいたしまして、調査項目も皆さんにも公開をしておりますからおわかりのように、十一の項目について調べるように、またその二日後に個別に指示をいたしまして、調べ方については、例えばどう調べたかという調べ方そのものが国民に理解されるように調べてほしい、結果においてなかったらなかったでも仕方ないけれども、それはどう調べてなかったのかという、その調べ方について国民の皆さんに理解を得られるようにということと、もう一つは、当時から言われていたNHKの番組で取り上げられた問題、あるいは所見の中で取り上げられた問題、あるいは、そのときは枝野議員の質問主意書がまだペンディングというか答えが出ていない段階が一月二十三日でありましたので、その後、山本委員の方からも出ておりますが、それに関連したところについてはその問題、それらについては落とすことがないようにということで項目を立てて、関係者にできるだけ漏れがないように質問をしたつもりであります。  現時点で、もっとこういう点が、ああいう点がということはあるいは出てくるかもしれませんが、それについては、この調査が二週間程度で一応の最終的な報告ができる予定で進んでおりますので、その段階を経ながらどうするか考えていきたい。また、逆に言えば、今度は厚生省としての調査ということだけではなくて、あるいは国会を含めてそれぞれの立場で、それぞれの機能を生かして調査がいろいろな場面で進んでいくのではないか、そのこともあわせて考えていきたいと思っております。
  227. 山本孝史

    山本(孝)委員 申し上げているように、厚生省の中だけではなくて外の方に、たくさん探さなければいけない、あるいは解明しなければいけない問題がありますよ、この前の、菅さんがおっしゃったように、十一項目のところで第四ルートが落ちていますよ、第四ルートを調べないと危ないですよというふうに実は私も申し上げました。  一月三十日、私が質問主意書を出させていただいたのも、非加熱製剤の回収状況がおかしいのではありませんか、実際にいろいろ使われているという話が出てくるときに、そこをやはり押さえないとこれは調査として成り立ちませんよというお話を申し上げたのですね。  そこで、その私の質問主意書を受けて聞かれたら、結局、全然話が違った。今度、立入検査をされたら、自主回収が一年と言っていたものがさらに二年先まで延びていくという話になってきて、きょう聞いてびっくりしました。  一体、この間にどれだけの非加熱製剤が使われているのか。そこにおいて、今まで自主回収してきているのですと。なぜ回収命令を出さなかったのかという点と、自主回収をしているのですと言いながら、松村さんに聞くと、松村さん、お答えになれないのであれでしょうけれども、あなたのお書きになっているこの回答の中では、常に回収状況を把握していましたと。恐らく電話等でお聞きになったのでしょう。そういうような書き方がここにしてあるけれども、実際に出てくる話は全く違うではないですか。これは行政の中でずっと担当者がそれぞれかわっていくから私は答える立場にはありませんということで、この前、直接お答えはいただけませんでしたけれども、これはやはりおかしいと思うのですね。  それで、確かに立場は違うと思いますけれども、松村さんから、当時なぜ回収命令を出さなかったのか、なぜそのままほうりつ放しにしておいたのか、しかも、その間にどんどん非加熱製剤ということの危険性がわかっていく中において何らそこに手を打たないのか、それは一体何なのですかということをこの前もお聞きしましたけれども、やはりきょうもお答えになれないわけですね。  この前のときは、あの回収命令がおかしいのではないかということで私はお話をしたけれども、きょうは、一番最初、衛藤さんの御質問の中で、回収命令は二年も後ろまでずれているのですという話になってきたわけだから、これは全然問題が違うわけであって、それは継続性がどうだこうだということがあるかもしれませんけれども、あなた御自身もやはりおしゃべりになりたがらないのだろうと私は思うのです。だから、きょうは皆さんこうやって聞いておられるわけだから、答えられるものだったらぜひ答えていただきたいと思うのです。
  228. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 回収命令についての御質問でございますが、今回のプロジェクトチームの報告によりますと、当時の生物製剤課の職員からの回答はおおむね一致しております。加熱製剤、加熱血液凝固因子製剤の供給が開始されました当時、非加熱製剤を一斉に回収すると患者治療に重大な支障を来すと考えられ、製薬企業が従来使用していたものと交換する方法で、自主的に加熱製剤と取りかえる方法で非加熱製剤を回収していたことから回収命令をかけなかったということで一致をしておるところでございます。
  229. 山本孝史

    山本(孝)委員 荒賀さん、あなた、薬務局長なんだから、しっかりと責任を持った答弁をしてくださいよ。  回収をしてしまうと大変だ、それを使っている人がいるから大変だ何だかんだという話をされるけれども、申し上げているように、使わなくても我慢をすれば、あるいはクリオでやればいけたということは御存じでしょう。何が重大なんですか。エイズにかかることと肝炎にかかることとどっちが大変だと言われれば、それはエイズにかかる方が大変に決まっているではないですか。関節が痛いことと致命的な病気にかかることと、あなたはどっちの方が大変だと思っているのですか。
  230. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 これは当時、米国におきましても回収命令は行われておりませんで、やはり強制的な一斉回収にはいろいろと困難があったものと考えております。  それから、回収命令をかける方法等によりまして速やかに回収をし得たという議論が今先生からもなされていることも承知をしておるところでございます。
  231. 山本孝史

    山本(孝)委員 答弁になってないのですよ。きょうは、同僚議員が先にずっと質問してくる一番最後のバッターで出てきて、いろいろな点を全部聞かないといけない立場におりますのであれなんですけれども、この七月四日の、課内検討の、藤崎さんが書かれたという文書と、十一日に同じように藤崎さんがお書きになって、どなたか書記官が清書されたという文書の中の、加熱製剤の緊急輸入を考えているか、考えていないかという点がやはり一番大きいと思うのですね。  それで、藤崎さんは今まだ厚生省職員で省内におられるわけだから、本当はここへ出てきてもらって、藤崎さんから直接しゃべっていただければ話は簡単なんですね。そういうことはできないのですか。委員長、そういうことができないか、ひとつよろしくお願いします。  あるいは大臣、自分の省の中にいるその責任者にこの国会でちゃんとした説明がしていただけるような機会をつくらないと、今回のエイズ薬害の本当のところはわからないのではないかと思うのですが、その点はいかがですか。
  232. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 七月四日あるいは十一日の文書の性格については、当時の課長であるとか、それから今お話の出ております担当者からいろいろと事情を聞いて、そして、その中でできるだけお話をしてまいりたいと考えております。
  233. 山本孝史

    山本(孝)委員 松村さん、しゃべれますか。しゃべれない。――松村さん、松村局長に答弁。やはりしていただけませんか、きょうは。この前は、あそこでお話し合いでとまりましたけれども、きょうもやはり答弁はしていただけませんか。(発言する者あり)  委員長、速記をとめてください。
  234. 和田貞夫

    和田委員長 速記、とめてください。     〔速記中止〕
  235. 和田貞夫

    和田委員長 それじゃ、速記を起こしてください。  山本孝史君。
  236. 山本孝史

    山本(孝)委員 国会のならわしがあるそうなので、松村さんに証人として喚問を要求させていただきます。
  237. 和田貞夫

    和田委員長 山本君の申し入れの件につきましては、理事会で協議いたします。
  238. 山本孝史

    山本(孝)委員 先ほど鴨下議員からいろいろ質問がありました。なぜその治験の始まりがおくれたのかというのが一つやはり大きな問題だろうと私は思います。  その前提は、多分何か問題があってそういうふうにおくらせていると思うわけですけれども、その前提になるものとしてお聞きしたいのですが、第Ⅷ因子製剤の日本の市場におけるところのシェアですね、八三年の段階で、ミドリ十字、バイエル、トラベノール、それぞれ第Ⅷ因子製剤の日本の市場におけるところのシェアはどのくらいあったのでしょうか。
  239. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 第Ⅷ因子製剤につきましてのシェアは、これは一九八五年から八六年の間でございますが、ミドリ十字三七・五%、日本製薬三・七%、化血研一五・六%、日赤〇・〇五%、日本臓器三・三%、バクスター一九・五%、バイエルー九・〇%、ヘキスト一・四%でございます。
  240. 山本孝史

    山本(孝)委員 八五、八六と今おっしゃいましたね。八三年時点はどうだったのですか。
  241. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 今、手元には八五年から八六年のみでございます。
  242. 山本孝史

    山本(孝)委員 資料として、ぜひ各社の八三、八四、八五、八六年のシェアの状況をこの委員会に提出をしてくださるようにお願いをします。
  243. 和田貞夫

    和田委員長 できますか。
  244. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 できるように努力をいたします。
  245. 山本孝史

    山本(孝)委員 努力いたしますじゃなくて、提出をしてください。
  246. 和田貞夫

    和田委員長 提出をさせます。
  247. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 提出をいたします。
  248. 山本孝史

    山本(孝)委員 それで、先ほどからお聞きしていますように、やはりこの治験の開始がおくれるわけですね。去年十一月段階の私の質問は、この七月一日そのものがおかしいじゃないかと後ろの方から考えていたのですが、どうもこれは治験の始まりの方が調整されているのではないか。  この治験は、答弁にあるとおり、第一相の臨床は外していますから、第二相の試験から始まるわけですね。それで、先ほどの質問の繰り返しになりますけれども、トラベノールはもう五十八年の三月にアメリカで製造承認をもらってアメリカの中で売っているわけですけれども、日本の中の治験の開始は五十九年の二月と一年おくれるわけですね。きょうの御答弁で、ミドリ十字の加熱の技術の開発は五十八年の九月。これは推測になるかもしれませんが、五十八年九月のミドリ十字の技術の開発を待って五十八年十一月にその治験の説明会を開いたのでしようというのが、これは一つの推測ですけれども。  そうすると、化血研の加熱技術の開発はいつだったのでしょうか。
  249. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 化血研におきましては、一九八一年九月に乾燥加熱開発着手、一九八二年七月までウイルス不活化製造法の研究の終了ということになっております。
  250. 山本孝史

    山本(孝)委員 八二年七月ですから、五十七年の七月に化血研はもう技術をつくっているわけですね。その後、第一相試験を五十九年の頭からたしか始めると思いますけれども、とにかく五十七年の七月には化血研は加熱の技術を持っている。  皆さん御承知のように、日本の血液事業というか血液会社、製剤会社あるいはワクチン会社というのは石井七三部隊の後をずっと引いているわけですけれども、化血研はワクチンをつくっている会社ですから加熱の技術は当然持っているわけですね。そういう意味では、ここは随分早くに日本国内産でもできている。それがやはりミドリ十字に合わせるかのごとく、この治験の頭が後ろに下がってくるというのがどう考えてもわからない。  これを統括しているのが、安部英さんが全部を統括しているわけだから、当時は安部天皇と言われて、安部さんの言うことを聞かないと何もできなかったそうですから、そういう意味では、彼が何らかの意図を持ってここの治験を後ろの方におくらせたというふうにしか考えられないのですね。  そういう意味で、ぜひ安部英さんも、さっきから出ていますけれども、証人としてここへお呼びをしたいというふうに思いますし、相手方であった郡司さん、それから、きょう回収が極めておかしい状況がはっきりしたミドリ十字の当時の社長の松下さん、当時の薬務局長であった持永さん、そしてきょう新たにお話をさせていただきました松村局長、ぜひここの厚生委員会の中で真実を語っていただきたいというふうに思います。  委員長、どうぞもう一度よろしくお願いします。
  251. 和田貞夫

    和田委員長 ただいまの山本君の申し入れにつきましても、理事会で協議をさせていただきたいと思います。
  252. 山本孝史

    山本(孝)委員 それで、この五十八年十一月の説明会に関する資料は、省内には何も残っていなくて、ミドリ十字の方から当時の担当者厚生省に出かけてきた出張報告をもって、十一月十日に説明会がなされましたということで資料をつけられているわけですね。私もそれをきのういただきました。  ここのところで、確かに第一相試験はしなくていいよというふうに担当者お話しになったそうですが、ミドリ十字側は、第一相試験が要らないというふうにはどうもここは書いてないのです。これは伊賀さんというこの会議に出てきた方がミドリ十字に帰ってから出張報告としてお書きになっているわけだけれども、「申請に必要な提出資料」の中で、「長期保存試験(約二年間)本剤の場合、加速試験は実施できないと思うので、代りに長期保存試験を行うのが望ましい。期間は、本剤がMe too扱いなので、既存の製剤にならうと二年間行うことになるが、各社の事情もあるので個別に相談に応じる。」ということを、この説明会に出たミドリ十字の人が帰ってミドリ十字の社で報告をされているわけですね。  「各社の事情もあるので個別に相談に応じる。」というところが私はどういうふうに読んでいいのかわからないので、ぜひここのところの説明をしていただきたいというふうに思います。
  253. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ただいま先生からお話のありました「厚生省出張報告」について、私ども今見ておりますが、「各社の事情もあるので個別に相談に応じる。」と書いてございますけれども、「各社の事情」というのは今直ちにどういった事情があったかはわかっておりません。
  254. 山本孝史

    山本(孝)委員 これは、十一月十日の説明会で厚生省側からこういうふうに御説明があって、「各社の事情もあるので個別に相談に応じる。」と厚生省は言っているよというふうに、ミドリ十字に帰ってこの方が報告をされているのでしょう。
  255. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 「各社の事情」については調べさせていただきます。
  256. 山本孝史

    山本(孝)委員 「各社の事情」を調べるというか、厚生省が各社の事情に応じてやりますよと言った厚生省の真意は何なのですかということを私は聞いているので、そこのところをしっかりと調べて報告をしていただきたいというふうに思います。(発言する者あり)期日を聞いていません。いつまでに御報告していただけますか。
  257. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 当時の担当者に至急聞きまして、できるだけ早く、一週間ぐらいでやらせていただきます。
  258. 山本孝史

    山本(孝)委員 それで、正直言って全部読み切れていません。「質問調査回答のまとめ」ということで来ていますけれども、一点だけ教えてください。  二十五ページですけれども、「血液製剤委員会」の中で、「厚生省からエイズ研究班に対して、米国から加熱製剤を緊急輸入してはどうかといった提案が行われたか。」という質問について山田兼雄さんが八年二月九日に報告をしたところで、極めて細かく書いておられるわけです。「緊急輸入ということは、何回か小委員会の討論のテーマとなった。」それで、一月五日には八重洲のどこどこに集まって、こういう相談をして、「山田、長尾、藤巻の三人で安部班長に剤形変更の変法があることを一月十日の血栓止血学会の編集委員会の後で申し上げた。一応承諾されたような風であったが、残念ながらそれは全く実現されなかった。」ということを厚生省から来た調査にお答えになった。多分、後で、二月二十六日の日付で、「(上記記述は)加熱濃縮製剤の」云々ということで、「記憶が不確かなことが多く、記録より取り除きたい。」ということで訂正の申し入れをされているのですね。  このぐらいにはっきりと、一月十日、一月五日、お名前がちゃんとあってということは、多分メモを持って、当時の手帳か何かを見てお書きになったのではないかというふうに思うのだけれども、それが二月二十六日になると「記憶が不確かなことが多く、記録より取り除きたい。」ということで訂正をされるというところのこの動きがよくわからないので、ここのところの御説明ができるようでしたら聞かせていただきたいと思います。
  259. 亀田克彦

    ○亀田政府委員 平成八年二月九日の御回答でございますが、これをいただきまして見ましたところ、ごらんのように「郡司氏、補佐官、長尾、藤巻」と、よその方の名前が書いてございます。そういうこともございましたのと、それから、御案内のように前年の十一月には審査方針を示しておるわけでございますが、その年が明けて一月に郡司課長から緊急承認の話があったということは時期的にちょっと合わないのではないかという感じがいたしまして、山田先生にもう一度確かめたわけでございます。その結果、二月の二十六日になりまして、山田先生の方から、ここに書いてございますような御回答が文書によってあったわけでございます。私ども、二つありましたので両方並べて書かせていただいた、こういうことでございます。
  260. 山本孝史

    山本(孝)委員 そうすると、前提としてちょっと確認だけしておきたいのですが、ここに書いてあることで、皆さんがお読みになって、これはおかしいのじゃないかというようなところがあってというところは、再度調査をされて書かれているのか、あるいは、私はこれの原本に当たっていませんので、御本人たちが書いてこられたのをそのままお書きになっているのか、あるいは、間違いがあるのじゃないかということで再度照会をされて、それで修正されて書かれているのか、あるいは、こういうふうに御本人のところを一つ一つ確かめられて全部出しておられるのか、その辺はどうなんですか。
  261. 亀田克彦

    ○亀田政府委員 両方の日付の御回答とも、山田先生の御回答をほぼそのまま載せてございます。
  262. 山本孝史

    山本(孝)委員 これだけ大きい声でしゃべっているのに、ちゃんと聞いてくださいよ。  だから、アンケートを出した、それで回答が返ってきた、それをそのままお書きになったのですかということが一つ。あるいは、内容がおかしいと思われたものはチェックをされて、もう一度書き直しをしていただいたようなことがあるのですかということが一つ。あるいは、おかしいと思うところは、何かここは書き直しをされているのですかということが三つ目。お願いします。
  263. 亀田克彦

    ○亀田政府委員 申し上げましたように、先生の御回答をそのまま載せたわけでございまして、私どもが書き直しをしたということはございません。
  264. 山本孝史

    山本(孝)委員 だから、一つ一つ確認のためにチェックをされたのですか。ここはおかしいのじゃないかということでお聞きになったような、山田さんの場合はそういう形になっているのじゃないかと思うのですけれども、そういうようなことはされたのですか。
  265. 亀田克彦

    ○亀田政府委員 御回答全部につきまして、本当ですかというチェックはいたしておりませんけれども、どうなんだろうか、こういう感じがしたものは念のために電話等で照会をした、こういうことはございます。
  266. 山本孝史

    山本(孝)委員 よくわかりました。  多分、御本人から直接聞かないとわからない点がその点ではいっぱい出てくるのだと思いますから、研究班の皆さんにも、どんどん来ていただくというわけにはなかなかいかないでしょうけれども、直接御協力をいただけるように厚生省の方からもお話をしていただきたいというふうに思います。  それで、薬害全体を考えたときに、特に今回の場合は、ミドリ十字という会社の松下廉蔵さんという当時の社長さんが、厚生省の薬務局長をされていて、それで退職をされて行かれるわけですね。だから、何でかなと極めて不思議に思うのは、薬務局長という医薬品の問題に一番責任を持っている人が、天下りをいいと言っているわけじゃないですよ、その人が行っている会社でなぜこういう犯罪を犯さなければいけないのかというのは、私は極めて松下さん自身に聞いてみたいと思うのですね。何でこんなことが起きてしまうのですか。あなた、一番御存じの方がそこに会社の社長をやっておられるという経営の責任でおられるのに何でですかというのは、僕はこれは非常に素朴な疑問として思うのです。  戦後、二十三人薬務局長がおられますが、製薬会社に再就職されたのはそのうちで五人おられるのですね。それで、何人かの方は、薬務局長をやめてから十年ぐらいたってから製薬会社に行っておられるのですけれども、この松下廉蔵さんの場合は、四十九年の十月におやめになって、その後、日本製薬工業協会理事長になられて、その後、ミドリ十字の副社長になられるのですね。  御承知のように、公職についている者は、国家公務員法で、営利企業に行く場合に、やめると二年間は退職前五年間に在籍をしていたところには行けないということになるわけです。だから、この製薬工業協会理事長というのは、それは多分財団でも社団でもありません、任意団体なんでしょう。ここに行かれるということにおいては、営利企業じゃないからいいのだという言い方ができるのかもしれないけれども、日本製薬工業協会というのは、ミドリ十字のような製薬会社が一緒になって業界の利益のために活動している協会だと思うのですね。  そういう意味で見て、大臣、天下りに関しての答弁を求めると、その経験と知識を生かして第二の職場で頑張られるのはいいことじゃないかという御回答がいつも返ってくるのだけれども、薬務局長でおやめになって、さっき訂正がきましたので違うそうですけれども、正確に言うと、薬務局長でやめて、日本血液製剤協会の理事長になって、そしてミドリ十字の副社長におりていく、渡っていくというようなものは極めて不透明ではありませんか。
  267. 亀田克彦

    ○亀田政府委員 日本製薬工業協会でございますけれども、この団体は、製薬企業を会員といたしまして、企業体質の改善向上でございますとか医薬品産業の健全な発展ということを目的としております任意団体でございます。したがいまして、この団体につきましては、国家公務員法第百三条に言います「営利企業」には当たらない、こういうふうに理解をいたしております。
  268. 山本孝史

    山本(孝)委員 だれもそんな答弁を求めてないのですよ。大臣に聞いているのです。  薬務局長でやめて、日本血液製剤協会の理事長に行って、その後、日本製薬工業協会の理事長をやってミドリ十字に行くというようなことがいいのですかということを聞いているわけです。
  269. 菅直人

    菅国務大臣 天下りについて、これまでも何度も質問がありまして、基本的なことはもう繰り返しませんが、国家公務員法百三条にのっとった対応厚生省もしているし、より厳正な運用を行っているということであります。  今、山本委員の言われました、こういう団体はその百三条で言う「営利団体」には当たらないということではあるけれども、しかし、やはり関連をしているのだから好ましくないのではないかという御質問ですが、どの範囲までを厳密に考えるかというのはいろいろ考え方はあると思いますが、そうした関連したところに天下る必要がないシステムをつくっていく必要はあるのではないか。  これは必ずしも厚生省に限らず他の役所でも、そういうことがなくても、例えば定年制の延長とかそういう中できちんとした仕事が継続できるようなシステムをつくって、その場合には、今の基準でなくて、こういった団体を含めてもっと厳しい基準を設ける、そういうことも行うべきではないか、こう考えております。
  270. 山本孝史

    山本(孝)委員 このエイズ薬害を考えていって個人の責任に転嫁をされていくような形になるのは、私はそういう気持ちでやっているわけではありません。しかし、天下り全体を考え直さないと、これは極めておかしいと思うわけですね。  それで、薬務局というところは、医薬品の安全性、すなわち国民の健康を右手に持っている、そして左手でその営利企業に対してのお金を持っているというのが実は薬務局なんですね。そういう形の人が天下りをしていくというのは極めて問題があるのだということを私は言っているわけです。僕は、荒賀さんがおやめになった後、どこに行かれるのか知りませんけれども。  私は、製薬業界というか日本の医薬品業界というものは、戦略産業として日本経済の中で育成しなければいけないだろうと思うのですよ。そう思ったので、通産省に、通産省の中で医薬品の育成担当窓口はありませんかと言ったら、通産省は、我々は権限を持っておりませんので、医薬品業界の育成担当は私たち通産省の担当ではありません、それは厚生省の担当なんです、こうなったわけですね。  結局、厚生省の薬務局が、今申し上げているように、片方で国民の健康、命を預かりながら、片方でさっきも出てくるような国内メーカーへの打撃だとか国内産業、医薬品業界をどうするのだとかということを、両方を考える。一つの体で二つの頭を持って動くというのは極めて問題であって、だから、薬務局を根本的に解体して、本当の日本の、日本人の、あるいは世界の健康というものを確保できるような体制にしないと薬害は今後防げないのじゃないかと私は思い当たったのです。大臣、どういうふうに思われますか。
  271. 菅直人

    菅国務大臣 今、山本委員のおっしゃったことと共通するかと思いますが、与党三党の政策合意の中でも、今回の問題に関連しまして、薬事行政を含めて責任問題とか調査をした上で再発防止の体制をつくろうということを合意した政策をまとめております。  そういった意味で、今おっしゃったように、これは、これまた厚生省に必ずしも限らない現象でありますが、いわゆるそれぞれの業界を育成する、そういうことと、ある場合には国民の立場、この場合は患者とかそういう立場ですが、例えば銀行行政でいえば預金者の立場といったようなもの、そういう二つの立場を同じような部署が管理しているというか担当しているということは、確かにこうしたものを招く背景としては、それでいいのかということを十分検討しなければならない問題ではないか、このように考えております。
  272. 山本孝史

    山本(孝)委員 申し上げているように、薬務局の組織全体を変えていくぐらいの抜本的な体制というものをぜひ、私どもも考えていきたいと思いますし、一緒に考えさせていただきたいと思います。  もう一つ、ずっと追いかけていて思うことの疑問の一つは、なぜ安部さんが班長になったのだろうなという点です。  去年の厚生委員会で五島先生がやはりお聞きになって、疫学調査目的にするならば、ここは血友病の権威者である安部さんが班長というのはおかしいのじゃないかという御指摘をされて、私もそうだと思ったのです。いろいろ聞いてみると、厚生省としては実は安部さんを班長にするのじゃなくて村上省三先生を、血液学の方の大家である村上先生を班長にしたがったのではないかというふうにも思うのですけれども、その辺、もしいきさつがわかったら教えてください。
  273. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 この点につきましては、山本先生が質問主意書をお出しになって、その中で政府が回答をさせていただいておるわけでございますが、この研究班の班員に安部氏が含まれておりますのは、血液あるいは血液製剤によるエイズの伝播の可能性が示唆されており、血液及び血友病の権威が必要とされていたことによるものであると承知をしております。  それから、当時の厚生省薬務局生物製剤課長によれば、安部氏が班長であったのは、安部氏が研究班の中で年配者であったこと等によるものであると承知しております。
  274. 山本孝史

    山本(孝)委員 だから、血液が危ないと思っていて、それを一番たくさん使っている血友病の患者さんたちが危ないと思っていて安部さんを班長に据えたと言うならば、これもまた話は通るのですよ。もっとも、そこから危険性を承知していたということだから、それ以降の対応の悪さをつつかれるからそこはなかなか認めづらいのだろうけれども。  年長者で、だから安部さんが班長になったとおっしゃる。ここはやはり僕は一番大切だと思う。だれが安部さんをまず研究班に入れようという提案をしたのか、あるいはそのとき最初から安部さんを班長にしようと思って安部さんを持ってきたのか、あるいは、研究班が集まってきて、そこで互選をされて安部さんが班長になるのか、あるいは、安部さんが、まず自分が班長に指名されて、残りの人間を一緒に集めてきて研究班をつくるのか、ここの成り立ちのところを、局長、もう一遍はっきりと御答弁いただけるものなら答弁してください。
  275. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ただいま御答弁をさせていただきましたとおりであろうと思いますが、それ以上のことはわかりません。
  276. 山本孝史

    山本(孝)委員 わからないということでは、ここから先全部、みんなわからなくなるのです。私、これから先質問しても仕方がないからということで、ずっと座らせてしまうという形になるわけですね。  これが本当に菅さんがおっしゃっている調査の中間報告ということであるならば、こんなずさんな調査はないと私は思う。だから、そういうところをもっと患者皆さんの声を聞いて、ここが問題じゃないか、この点はどうなんですかということを聞きながらもっとしっかりとした調査をしてくださいということを申し上げているわけです。  だから、この点、なぜ安部さんが班長に選ばれるのか、なぜ安部さんが班長になるのか、ここのところをしっかりと調査をするのだと。あるいは、もう一遍繰り返しますけれども、患者皆さんなり、あるいは社会一般に出ている本の中にもいろいろなことが書いてある。その点を全部もう一遍読み込みをして、素人の私ですらここまで追いついてきたのだから、専門家である皆さんはもっとしっかりとした調査をやるのだと。それをいつまでに調査をするのですか、報告をするのですかと。  それで、安部さんがどうだったのですかというところ、調査をするのだということの確約をしてください。
  277. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 一番この件に関与しておりました当時の生物製剤課長に再度確かめてみます。
  278. 山本孝史

    山本(孝)委員 ぜひ、安部さんはお年になっておられるので、できるだけ早く呼んでいただきたいのです、本当のところ。(発言する者あり)一週間でやってください。木村さん、一週間でやっていただけますか。与党理事がそう言っているのだから、これは一週間でやってください。冗談を言っている場合じゃなくて、一週間とおっしゃったのだから、これは与党理事責任として、一週間で私は次の委員会を開いていただきたいというふうに思います。委員長、今お聞きになったのだから。委員長、今お聞きになったでしょう。与党理事が一週間と言ったのだから。
  279. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 できるだけ一週間以内にできるように努力をいたします。
  280. 山本孝史

    山本(孝)委員 安部さんというのはやはりキーパーソンなんですね、今回のエイズ薬害の中で。安部さんが研究班になって、結局、治験の調整をやられたのも彼だし、治験のスタートをおくらせたのも彼だし、そこで、製薬業界からいっぱいお金をもらってきているといううわさもされている。  安部さん自身は、昭和十六年の東京帝大の医学部卒業ですけれども、海軍へ行かれて、中曽根康弘さんと同期ですね。青年懇話会という会をつくられて、五十年来の、中曽根、安部、我が党の小沢辰男先生と皆さん十四、五人で毎月一回集まりをされているぐらいの方なんですね。安部英という人は極めてそういう意味では政治家じゃないかというふうに私は思うのです、極めて興味を持って見ているのですけれども。お姉さんも山口選出の参議院議員をやられている。  そういう意味で、極めて政治的な活動をされる方のようにも思うし、今回の薬害全体を動かしておられる政と官と学と業というのが四角の形で動いている中で、彼は極めて重要な役割を演じていると私は思うのです。だから、ぜひ安部さんをこの委員会に呼んでいただくように、もう一度お願いをさせていただきます。  エイズ患者の第一号認定の話をぜひ聞かせていただきたいのですけれども、これはせんだって、二月二十六日の読売新聞に載っております。今回の調査の中でも恐らくよく検討されたのだというふうに思いますけれども、アメリカから帰ってこられた、アメリカ在住の日本人の方がエイズの第一号患者ということで発表されるわけですけれども、御承知のように、それにあわせて帝京大学の中でそういう患者さんがおられて、後にエイズ患者さんというふうに判定されますけれども、当時はステロイドが多分に使われているのだ、疑似症例でありますという形で、私は帝京大の方が早かったと思うのですけれども、最終的にはアメリカからお帰りになった日本人の方がエイズの第一号患者というふうに認定をされる。  このアメリカの患者さんですけれども、当時、カリニ肺炎なりカポジ肉腫なり、そういうエイズに関連しているところの典型的な症例を示しておいでになったのでしょうか。
  281. 松村明仁

    ○松村政府委員 この方は、当該症例と言わせていただきますが、当該症例は、自覚症状といたしまして著しい疲労感、リンパ節の腫脹、関節痛、筋肉痛さらに血小板減少を示しておられました。また、リンパ球の検査で免疫機能の低下が見られました。さらに、ウイルス学的検査でエイズウイルスに対する抗体が陽性であった。こういった所見が残っておりまして、こういったために当時の「AIDSの臨床診断の手引き」あるいは「AIDSの免疫学的診断の手引き」及びエイズに関する当時の知見をもとに本症例がエイズである疑いが極めて濃い、こういう結論に達した、このように承知しております。
  282. 山本孝史

    山本(孝)委員 患者の第一号と認定をされたのですよ。だから、患者の第一号と認定された方はいわゆる日和見感染の症状を示しておいでになったのですか。もう一度答弁してください。
  283. 松村明仁

    ○松村政府委員 エイズにしばしば随伴されると言われる非特異的疾患にかかっておられたようであります。
  284. 山本孝史

    山本(孝)委員 非特異的疾患とは何ですか。
  285. 松村明仁

    ○松村政府委員 いわゆる日和見的な疾患、日和見疾患と考えていいと思います。
  286. 山本孝史

    山本(孝)委員 違うのじゃないですか。アメリカから帰ってこられた第一号患者さんの話をしているのですよ。
  287. 松村明仁

    ○松村政府委員 当時の資料によりますと、日和見感染症である単純ヘルペスとかその他のカンジダ感染症が見られるということでございました。
  288. 山本孝史

    山本(孝)委員 帝京大の患者さん、後にエイズと認定される患者さんは、その当時、エイズ第一号患者が認定されるときと同じような日和見感染の症状はなかったのですか。
  289. 松村明仁

    ○松村政府委員 帝京大の症例にはそういうものはないと思われます。
  290. 山本孝史

    山本(孝)委員 また間違いにならないように、しっかりとした答弁をしておいてくださいね。  きょう、いろいろと質問をさせていただきました。持ち時間が一時間しかありませんので、残念ながらそれ以上の質問ができません。  第四ルートの問題で、極めて危ないと思っている。この前も指摘をしました。研究班に任せっ切りで第四ルート対策をするというのは、これは政策決定を何かわからないところに任すのは危ないのじゃないかということの指摘で、それは今回の調査班の最後のところで、研究班の性格というのは極めて問題である、ここで政策決定をするのはおかしいということをお書きになっているわけだけれども、その同じ指摘をこの前の委員会でやらせていただいて、そこのところはそうですがねというような感じになっているのですね。  第四ルートの問題は高市議員がいろいろ質問しましたけれども、上の方から追いかけてきてもなかなか難しいところがあって、きょう明らかになったように、回収が二年以上も先へ延びていっているという話になると、上から探していっても探し切れない部分があるのじゃないですか。だからあのときも、私が御提言申し上げたのは、申しわけないけれども、この期間においてこういう手術を受けたことがある人は自分が手術を受けた病院に行って確認をするというようなことじゃないと本当のところはわからないのじゃないですかということを申し上げたのですね。  今回、こういうふうに回収の期間がずっと後ろまでずれているということについて、本当に真剣な対策をとらないと第四ルートはえらいことになりますよ。だから、そこのところ、これからどういう対策をとるのだというところをしっかりとした答弁をしてください。
  291. 菅直人

    菅国務大臣 この問題は、私も大変心配をいたしておりまして、先ほど来の質疑の中でも申し上げたように、確かに川上というか、製薬メーカーの方から調査命令をかけて確認をとっているわけです。  今、山本委員が言われるように、その当時にこういう病気ということで、果たして皆さん、そういう形でもまた調査がうまくいくのかどうか。その中間過程としては、医療機関が基本的には特定できるはずなものですから、この医療機関に対しての問い合わせをしっかりしよう。医療機関についての公表という問題もときどき議論になるわけですけれども、ここもそうする方が、患者の立場からすれば、その病院に私はかかっていたから一回確認をとろうという意味ではいいわけですけれども、医療機関そのものがそのことを必ずしも望まないという問題も時折出てくる問題がありまして、そういった意味で、最終的には、今度は検査の問題でもお医者さんと患者さんの関係などがあります。  ですから、私はできるだけ、上流からがいいか、下流からがいいかは別として、しっかり確認をしていきたいと思っておりますが、そういう問題も十分検討しながらしっかりとした調査を進めていきたい。現在は、昨日の段階で私の指示をした命令に対する答えが出てきた段階ですから、その中身を見た上で次の段階を考えていきたい、今申し上げるのはそういう段階であります。
  292. 山本孝史

    山本(孝)委員 そのときの前提になるのは、多分、拠点病院になるのを発表しない、したがらない人たちがいるというのは、自分のところでこういうことが起きているのだ、エイズ患者さんを受け入れているのが嫌だということを言わないという形の、そういう病院の体質がありますということが一つ。  それから、自分で患者さんに無断で検査をして感染がわかっても、それを告知しないというドクーターがいっぱいいるということも、これは皆さん調査の中でも出てくるように事実なんですね。  お医者さんと患者さんの間の信頼関係でもってクリオにするのか、あるいは加熱にするのか云々というようなこともおっしゃっているけれども、そういうお医者さんの手の中に今患者さんたちがいるということを前提にこの調査のやり方を考えてもらわないと、幾ら任せていてもしっかりしたものが出てこないのじゃないかというふうに思います。今も何かしっかりとした案がまだないように思いましたので、もう一度言っておきます。  ドイツ語文献、ドイツの調査報告書が来たら読んでいますかと言ったら、それは読んでいない、じゃスペイン語やフランス語でそういう副作用情報が来たらどうするのですかと言ったら、それを読む人はいませんというふうにおっしゃった。そういう状況のところもぜひ改善をしていただきたいし、どれだけ景気が悪くても製薬業界だけはもうかっている、そこのお金がいっぱい使われていくというところをぜひ検討していただきたい。  今回、日本臓器も新しく問題になりましたけれども、日本臓器は今度息子さんが選挙に出られるみたいで、大変に金まみれの選挙準備をされておられるという話も聞きます。そういう点も含めて、製薬業界全体の体質改善というものもしっかりと、厚生省の中、おっしゃっているように指導、育成も厚生省のお仕事であるならば、そういうところがちゃんとした姿勢に直るように御指導いただきたいなというふうに思います。  時間ですので、終わります。
  293. 和田貞夫

    和田委員長 五島正規君。
  294. 五島正規

    ○五島委員 質問を始めるに当たりまして、今回、血液製剤によりまして、全く御本人にとって何の責任もなく大変な被害をお受けになり、そして命を失われました方々に対し、心から哀悼を申し述べたいと思います。また、療養中の患者さん、御家族の方、御遺族の方に対し、心からお見舞い申し上げたいと思います。  きょうも昼からずっとこの問題について議論していたわけですが、結論的にいいまして、非常に部分部分についての真相の追及があり、それに対して、客観的に聞いていると、厚生省は相変わらず言い逃れしているというふうに国民が受け取っても当然だろうというふうに思います。  厚生省も今日、こうした不幸な事態を二度と招かないという決意はおありだと思います。二度とこういう事件を起こさないというふうに決意しておられるとするならば、今回の事件のどの部分で、どのような対応がとれなかったことが今回の事態になったと考えておられるのか、あそこでどのようにしておればこの事件を起こさせなくて済んだと考えておられるのか、そこのところをお聞かせいただきたいわけです。  ただ、朝から大変議論しておりまして、大臣初め皆さんも大変お疲れでしょうから、私なりに考えまして、幾つかの点について整理してみました。その点の中のどこが大きな問題で、どこを改善すればよかった、どこで対応すればよかったと考えておられるのかをお述べいただきたいと思います。  一つは、先ほど山本議員の質問にもございましたが、エイズの研究班を生物製剤課の中に設置されました。これは、我が国におけるエイズ発生の実態を調査するということを目的とするならば、かなりおかしなことでございまして、アメリカのCDCなんかでもそうですが、当然、疫学班としてそれはっくられるべきであっただろうと思います。  しかし、それはもう既にアメリカの治験によって十分なんだ、血液製剤による感染の問題が当面の重要な課題であり、それを防止するという目的で生物製剤課の中につくられ、そして、安部さんを班長として発足させたということなら理解できます。そこのところはどうだったのかということが一つでございます。  もう一つは、そこのところが明確にできていなかったために、後々その影響が出てまいります。すなわち、臨床医の立場から見て、あるいはそれぞれの専門家の立場から見て、加熱製剤を当時トラベノールはつくっていた。それを超法規的に使えということは、私は、正直に言って無理があるだろう。だれが考えても、そのことによって、まだ未知のウイルスというふうに考えられていたもの、それが本当に不活性化できるのかどうかという疑問もあったでしょう。さらには、インヒビターの問題というのは、これは当然だれでも、医療に従事している者であれば、大丈夫なんだろうかというふうに考えられたと思います。ちょうどその他の薬害問題を考えた場合に、ここのところを全く治験をしなくてもいいというふうな理屈は立たないということは理解できます。  また、もう一つ大きな議論として、濃縮液がいいのか、それともクリオがいいのかという議論についても、単に血友病の治療をしておられる方を中心として小委員会で検討するならば、血友病の治療という目的からいってどちら側が使いやすいか、あるいはどちら側に重症な血友病患者治療効果があるかということでいえば、濃縮液がいいという結論が出るのは当たり前なんです。  問題は、先ほど鴨下議員も質問しておられましたが、もし、この生物製剤課の中につくられたエイズの研究班がエイズの蔓延を防止するという目的であるとするならば、そのことを明確にした研究のプロトコールがつくられ、進められなければならない。そこのところがないままに研究班が経過したのではないかというのは中間報告の中でも見られます。その辺はどうだったのかというふうな問題。  さらに、言いかえれば、その時点において、本当に国民の安全を守っていくということで考えた場合、数年前に戻って、クリオ製剤に一たんは戻ってでも治療をしていく、あるいはその当時既に技術的に十分可能であったフィブリノゲン処理をした中間クリオを早急につくっていく、あるいは国内血でつくられていた濃縮剤の増産を指示してそれにかえていくということもできたはずだ。そこのところを行政的にきちっと指導しなかったことが問題だと考えておられるのか。これが二つ目でございます。  もう一つは、エイズウイルスが八四年に固定された時点において、なぜそこで研究班の結論をもう一度きちっと見直さなかったのか。そこのところが大きな問題。そこのところを見直すということについて、なぜ厚生省はもう一度改めてそのことについての研究あるいはその議論を起こさなかったのか。そこのところをしなかったことが誤りだと考えておられるのか。  あるいは第四ルートの問題でございますが、なぜ加熱製剤の認可後も非加熱製剤の回収をきちっと義務づけてやっていかなかったのか。  きょうは私も、衛藤議員の質問に対する厚生省のお答えを聞いて、若干頭にきております。回収のあれが出てから二年半近くも放置していた、あるいは二年半も使われてきた、そのことに対して私は、厚生省責任、製薬メーカー責任ということである以上に、それだけの間なぜ医療の現場でそうしたことを放置してきたのか、医者として非常に恥ずかしい思いがいたします。そういうふうなことを大きな問題と考えておられるのか。  大体そういうふうなところが大きな問題だというふうに、きょうの午後からの議論を聞いておりましてもなってくるわけでございますが、厚生省はどこが一番大きな問題とお考えなのか、その点をまずお伺いしたいと思います。
  295. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 今、たくさんの論点についてのお考えをお伺いしたわけでございますが、私どもも、裁判所所見を重く受けとめ、また、所見に書かれている責任を認めておるわけでございます。そういった意味で、あそこに書かれております、この非加熱製剤の危険性をどう認識し、そして、その被害の拡大防止のためにどういった対策をとったかということがまさに問われておるわけでございます。  その内容につきましては、今回のプロジェクト調査報告にも、事実関係について幾つかのポイントがございますし、私たちなりにも、今までの行政を振り返って幾つか問題点があったのではないか。  例えば、情報の問題にいたしましても、当時もそれなりの努力はしていたかとは思いますけれども、反省すべき点といたしましては、今後、諸外国の感染症に対する迅速なアクセスと、それをいかに個々の病院なり医療関係者なり、そして医師から患者さんに伝えていくかというような、そういったシステムが必要であろうと思っておりますし、また、今回の薬事法の改正を検討する中で、諸外国では承認をされた薬で日本では緊急の場合にまだ承認ができない、そういったものについて、その感染症による蔓延をどのように防止するか、そういった意味で、承認を飛び越えた緊急の許可の制度、そういったことについても検討をさせていただいておるわけでございます。
  296. 五島正規

    ○五島委員 非常に部分的なところをおっしゃっていますが、確かにそういうことも検討することはいいわけですが、当時の状況を振り返って考えた場合に、私は、「緊急の」とおっしゃるけれども、その段階において、先ほども申しましたが、例えばインヒビターの生成という問題を想定するということは、当然その時代において、まあ現在でもでしょうが、議論として出てくるところだろうというふうに思います。  また、その時代の背景として、まだエイズウイルスが見つかっていない段階で、マスコミもこぞって非常に誤った報道、例えばこのウイルスがATLウイルスに原因しているのではないかとか、サイトメガロウイルスによるものではないかという情報がはんらんいたしました。これらはいずれも日本には非常にポピュラーなウイルスで、サイトメガロなどというのは、八〇%ぐらいの人間が全く不顕性の感染として持っているウイルスでございます。めったに発症しないという状況があって、しかも、それが否定されてきながらも、こういうふうなさまざまな誤った情報に基づいて、このエイズというのは感染はしたとしても非常に発症例は少ないという全く根拠のない、すなわち、まだウイルスが見つかっていない、そういうような中で、その発症が非常に少ないとか、感染が非常にしにくいとかいうような全く根拠がない、当時から考えてみてもなかったわけですが、そういう勝手な思い込みの中での妙な臨床医の思い込みといいますか、そういうふうなものが研究班の中にも流れているように思います。  これはやはり、なぜこの中においてきちっとした疫学的な調査をされなかったのか、あるいはアメリカのそういう疫学班の研究データをその後も導入されなかったのか、また、先ほど坂口議員から御指摘ありました、わざわざ日本から文部省の研究費をもらって調査してきたその情報をきちっと検討する、その研究班の土俵にのせていくということをしなかったのかという問題を考えたら、そうした問題はその当時のさまざまな制約も十分にクリアできた問題ではないかというように思っています。  そういうふうなことも含めまして、やはり私は、当時の厚生省の中に、一言で言えば人権感覚が全く欠落していたと言わざるを得ないと思います。人権感覚がもしあるとするならば、例えばNHFのエイズ対策特別委員会は、自分たちに都合のいいところだけを当時の研究班は引用しているわけですが、彼らは明確に、エイズ感染の不安があり、患者及び両親には潜在的リスクを知ってもらうべきだということを指摘している。すなわち、この時点において、危険性がある、しかし利便性も仮に濃縮薬にある。まあ事実あるわけですから、ある。しかし、どちらを選びますかという患者の選択権を示した形で医者の意見を言うなり、やっていけということをアメリカでは言っている。ところが、このインフォームド・コンセントの部分というのが全く欠落しているわけです。  それだけではありません。私は、今回の資料を読みまして、何を言っているのかなともう本当に不思議に思ったのは、治療方法はリスクとベネフィット、それはコストベネフィットのことだと思いますが、リスクとベネフィットの比較で科学的に決定すべきだというふうに郡司さんは言い切っています。これは、今回出された中間報告の中にも載っています。  ところで、リスクとベネフィットとの比較というのは、そのリスクがきちっと比較できる場合において成り立つ論理です。臨床疫学をやっている人であれば当然でしょうが、その当時既に理解されていたように、発症すれば七〇%、八〇%間違いなく死ぬということが臨床像として明らかになっている疾病にこの論理を当てはめること、そのこと自身の問題というのは当然広く知られているはずです。厚生省が、人の死、すなわち人工的な死というものが発生するということを単なるリスクと考えてコストベネフィットの問題を考えている、それが現在の厚生行政の中にも尾を引いているとしたら、私は大変恐ろしいことだと思います。  しかも、これは実は日本の公衆衛生が抱えてきた一つの古くからある伝統です。日本における公衆衛生が仮に明治五年の千葉におけるコレラ騒動から始まったとするならば、その当時できたての日本の帝国陸軍を出動させて閉じ込めて焼き殺してしまったというところから日本の公衆衛生が始まっている。それが、委員長が当初お話しになりました、らいの患者さんに対するああいうコロニーの創設、あるいは伝染病予防法における選別管理、隔離といった非人権的な、人権感覚が全く欠落した日本の公衆衛生のそういうものをこういう形で引きずって現在もなおそれが生きているとするならば、大変恐ろしいことだというふうに思っています。  そうしたところに実は今回の最大の原因があるのではないかというふうに思うわけですが、大臣、どうですか。
  297. 菅直人

    菅国務大臣 私も、この問題をどういうふうに考えればいいのか、まだ結論的な考え方はまとまっておりません。五島委員は医者としての経験を長くお持ちですし、そういう中で先ほど幾つかの点を指摘されましたが、その中で指摘された点については、私自身もそうではないかと思う点がほとんどであります。  今回の中間報告の最後に、二枚紙だけで、まだ現時点の段階ですが、調査班の方が考えた問題点というものがありますが、特にエイズのサーベイランス、エイズ患者であるかないかということと血友病の治療の問題とが別々の次元できちんと調査をされていればもう少し別の結論になったのではないだろうか。それを全く同じところで議論をしたために、客観的にエイズ患者が発生したかどうかということを考える本来の立場と、それが発生したときにどういうことが血友病患者への治療に影響するかということとを関連して議論されたところに一つの大きな問題点があったのではないかと思っております。  また、厚生省には人権感覚が欠落しているという指摘であります。  ここは私の立場でそうだと言うこともまだとてもできませんけれども、水俣の問題などのいろいろな議論のときにも感じたわけですけれども、どうも行政というのは、一たん方向を決めるとなかなかそれを変えられないという一つの体質を持っているのではないか。  ですから、個人であれば、ある段階では大丈夫と思っても、次の段階でちょっと危ないかなと思ったら変えるわけですし、まあ政治家なんというのは、もしかしたらそういう意味では非常に変わり方が早いのかもしれません、それはいい面、悪い面あるかもしれませんが。  行政については、水俣病のときも歴代大臣が、やめた後は、あのときには自分としては責任は認めたかったのだけれども、なかなか言えなかったのだというようなことを聞いておりますと、行政の持っているそういう性格が悪い形で出ると、こういう問題に対して大変不幸な結果を生むという一つの過去の例であったのではないかと思います。  そういう点で、人権感覚という言い方まで私は言うつもりはありませんが、厚生省はもちろんですが、行政も、現実の中で、国民の中でといいますか、あるいは患者さんの中で、一般の人が感じている感覚を大事にして、必要であれば従来の方針を、誤ったと思えば変えていくというその勇気をもっと持つべきではないか、こんな感想を持っております。
  298. 五島正規

    ○五島委員 今、大臣が私の考えとほぼ同じお気持ちなんだろうということで安心いたしましたが、しかしそれにしても、当時の状況を冷静に見てみますと、この研究班に国立公衆衛生院の理論疫学部長まで入っている、その人たちが一体何をしていたのだろうかというふうに私は非常に疑問に感じるわけです。なぜ、エイズの研究というところでやられた研究班の小委員会が、濃縮液とクリオを比較した場合に濃縮液の方が血友病治療に利便性があるというばかげた答申、本来の目的と違った検討をしている、それをそのまま厚生省は黙って見ていたのかなというふうな問題、また、何人かの議員から御指摘もありましたように、加熱製剤の承認問題についての非常に大きな疑問がございます。  また、先ほど山本議員が御指摘になっておりましたが、第一号認定患者について、私は、松村さん、やはり正直におっしゃった方がいいと思います。恐らく、アメリカのことだからわからないとおっしゃるのかもわかりませんが、新聞報道でも、第一号患者が去年お亡くなりになったと言われています。十年間、発症してから生きておられるという問題からいっても、第一号患者さんのこの診断は、感染者であったことは間違いないだろうけれども、エイズの発症者じゃなかったということは明らかです。また、その当時の認定基準、おっしゃいませんでしたけれども、例えばCD4は三百五十幾つであったはずです。ところが、帝京大学の患者さんは、過去において百八十ぐらいまでCD4が落ちたけれども、しかし、その後少し上昇したから違う、疑似的だというふうに判断された。これは、今日の診断の基準から見ても、あるいはエイズという病気がその病気の本態としては免疫力の低下というところに基本的な病態があるというところから考えても明らかに矛盾した結論であることは、今日の知見からいっても明らかです。その当時のアメリカのCDCの基準からいってもおかしかった。なぜ、意識的にアメリカから帰ってこられた性感染者を第一号にして、血友病患者をそこで第一号として認定することをはばかられたのか。  そうした問題を考えてまいりますと、やはりそこには何か大きな疑惑があるのかなというふうに私も考えますし、国民がそのことについて、日本の行政とそうした黒い霧といいますか、を大変感じるのは当たり前ではないかというふうに思います。  そういうふうな点を反省していきますと、薬務局として、これからの再発の防止のために、先ほど荒賀局長がおっしゃったようなことをしていくことは当然としても、ここでどのように情報をきちっと関係者に提供していくのか、あるいはインフォームド・コンセントをどのように医療の中で義務づけをしていくのか、そのことをやはり基本的に置かれないとだめだろう、こう思います。  菅大臣がおっしゃったことにも私はちょっとひっかかっているのは、例えば第四ルートで感染がされているかもわからない患者さん、そういう患者さんに対して、医療の側は、あなたにあのとき投与した凝固因子によってひょっとしてあなたにHIVを感染させたかもしれない、そのために検査をさせてくれ、検査をした結果あなたは感染者であったということを勇気を持って告知させていくこと、そのことをやらない限り、そのことによって起こってくるであろう医師と患者との信頼関係の崩壊、それを恐れてインフォームド・コンセントを求めていかないとするならば、こうした医療の実態というのは変わっていかないと思うのですね。  その辺について、いまだにインフォームドさえされていないというふうな実態を考えた場合に、厚生省がこの問題の再発を防止するためにやっていかなければいけないことは、単に薬剤行政の中における認可や承認の問題の手直しだけでなくて、日本の医療のあり方全体をどう変えていくかということではないかというふうに私は思いますが、その辺について、どなたか御回答いただきたいと思います。
  299. 菅直人

    菅国務大臣 この問題も、長く医療に従事されてきている五島委員の方が深い見識をお持ちだと思いますし、逆に、御意見をいろいろと参考にさせていただきたいと思うわけです。  私がこの間、行政の中で調査班をつくり、あるいはいろいろ内部での議論をする中で若干関連して感じていることは、インフォームドという問題あるいは若干広げて言えば情報の開示という問題。どうも行政は、情報というものを開示するということに対しては、何か、本来は自分だけが知っていればいいものを何でそこまで知らさなければいけないのだという感覚で受けとめる感覚が多いわけです。しかし、開示することによって、権限も責任も実はかなり移っていくのだ。  これはいい例かどうかわかりませんが、金融の場合にペイオフがなかなかできないというのは、前の日までは絶対つぶれないのだと本人たちだけではなくて大蔵省まで言っていて、あしたになったら、つぶれました、ペイオフですと言うことはなかなかできなかったというこの間の経緯がある。これも情報公開が不十分だったということだと思います。  薬事行政あるいはその他の行政もやはり、きちっと開示すべきことというか、あるいはこれまでは開示すべきとされなかったことの中でも、開示することによって、逆に言えば国民が、あるいはそれぞれの分野の専門家が開示された情報をもとに例えばチェックをする、問題があれば問題があると言う。あるいは先ほどの薬のように、例えば今回もエイズ治療のためにまだ日本で承認されていない薬を治験薬として使うことを進めているわけですが、その治験薬にはまた別の形の副作用があり得るわけですけれども、そういう問題のリスクも含めて、患者さんやお医者さんが知っていることによってどう選ぶか。先ほど五島さんが言われていたクリオというものが濃縮剤よりも血友病患者治療という面だけで見れば多少不利益があったとしても、エイズ危険性というものがきちんと伝わっていれば、その判断はおのずから明らかといいましょうか、非加熱製剤にはならなかったと思うわけです。  そういうことを含めて、今お話しをされたインフォームド・コンセント、あるいはさらに広げて情報公開というものが、私は、行政の質を変えていくという意味で、あるいはまた、多少大げさに言えば、日本の民主主義の質を高めるという意味でやはり大変重要なことではないか、こういうふうに感じております。
  300. 五島正規

    ○五島委員 時間がございませんが、もう一点それに関連して申し上げますと、厚生省もその点については機会あるごとに触れておられるわけですが、日本の血液製剤の使用の乱脈さ、世界の血液の三分の一ぐらいを血液製剤、いろいろな製剤として日本で使っているという問題、これもまた、私自身もそういうふうな中にいたということを含めて大変大きな問題だろう。その辺の血液製剤に対する使用のルーズさみたいなものが、血友病患者さんに対して、軽症であれ重症であれ、一律にそうした濃縮液を使っていく、そして、できるだけ頻繁に使っていくことによってその患者さんを、もちろん収入もあるわけでしょうが、結果的には非常に危険な目に遭わすということを考えた場合に、やはりそうした血液行政のあり方。  それからもう一つ、きょうだれも余り御指摘なさっていないわけですが、私は明確に申し上げたいのですが、日赤の責任、あると思います。  日本において、血液行政、献血という形で無料で行政協力をしながら全国から血液を集めてくる。その中で、先ほどの御説明でも、日赤の凝固因子の製造というのがわずか〇・〇五%であった。非常に狭いシェア率をいっておられます。日赤がそのように集めてきた血液をそうした安全な血液に、すなわち、国内のそういう血液でそういうものをやっていこうということになぜ積極的に取り組まれなかったのか。また、厚生省は日赤に対しては非常にそういうことについて指示をしたり相談したりしやすい関係なんです。そういうことをされなかったのか。そのことについても疑問として投げかけておきたいと思います。その点も含めて問題は追及されなければいけないというように思っています。  その上で、時間がございませんので、少し具体的な問題に入らせていただきます。  まず、今、裁判では和解が大変進んでいるわけでございますが、何といっても、エイズ患者さんの治療の体制をどうしていくのか、とりわけ、今回血液製剤によって感染された患者さんの治療についてどういうふうにしていくのかということが大事な問題だと思います。  御案内のように、HIV感染者の予後というのは日本とアメリカとではかなり差があると言われています。すなわち、健康管理や生活管理あるいは栄養管理等々がきちっとできている人たちにはその発症をかなりおくらすことができるという実感を持っています。言いかえれば、裁判の和解成立しても、これ以上この薬害エイズ患者さんの中からお亡くなりになるという不幸なことが起こらないためにも、治療方法が確立するまで被害者の方々が健康を維持していただくために最大限の努力を我々はしなければいけないと思います。  そのために健康管理をどうしていくかということを裁判の和解と切り離して本気で考えていかなければいけない重要な時期に今かかっているというふうに思いますが、その点について厚生省はどのようにお考えでしょうか。
  301. 松村明仁

    ○松村政府委員 エイズ患者方々あるいは感染者の方々が安心して医療を受けられる体制を整備していくことは、エイズ対策上重要なことであると考えております。  このため、厚生省といたしましては、拠点病院の整備の促進に努めてまいりましたけれども、二月末日をもって、全都道府県において百七十七の医療機関の選定がなされたところでございます。こういった拠点病院を中心といたしまして、今委員御指摘のようなことに努力を傾けてまいりたいと思います。
  302. 五島正規

    ○五島委員 その点はまた後ほどお伺いしますが、私がお聞きしているのは、生活管理、健康管理という形でどういうふうな支援ができるとお考えかということを聞いています。
  303. 松村明仁

    ○松村政府委員 患者さんの健康管理ということにつきましては、従来、エイズの診療に取り組む医師等によりまして構成されますHIV感染者発症予防・治療に関する研究班、これは全国で約八百名のお医者さんにいろいろな意味協力をいただきながらやっておる研究でございますが、こういったことを通じて治療、予防についての研究あるいは情報交換、こういうようなことをやっているところでございます。  また、エイズと日和見感染症に関する研究班というのがございまして、これには約百十名のお医者さんが参加していただいて、拠点病院の医療従事者の研修会や医師向けの電話相談、こういったようなことも行いながら治療情報を提供いたしまして、患者あるいは感染者の方々の健康指導の質を高めてまいりたい、このように考えております。
  304. 五島正規

    ○五島委員 医者の数や研究者の数あるいはそれを支えるケースワーカーの数で比較するならば、もちろん患者の数が多いということは当然でございますが、日本よりはるかにアメリカの方が多い。にもかかわらず、アメリカに比べて、少なくとも血友病罹患者のHIVの発症率というのは非常に長期にわたってコントロールが完全ではございません。四百人も亡くなられていました。時間とともに非常に厳しい状況になってくると思いますが、健康管理がきちっとできている結果として、私は、他の国のエイズ患者、とりわけ性感染症や注射その他によっての感染症に比べて随分と発症が抑えられているという実感がある。  その原因、何によってそういう発症をおくらせられるのか、おくらせられるその原因をきちっと明確にして、それを徹底的に追求していくということでない限り、責任を持って患者救済に取り組むということにはならないわけです。  今おっしゃった治療の体制は大事です。大事ですが、私はそれについても後ほど意見を申し上げたいと思いますが、そこの問題はおいでおいで、そのあたりについてどういうふうに考えているか。そこのところが意見がずれているようでは困るわけです。  また、今研究班があることは承知していますし、私の同級生もそのメンバーの一人に入っているわけですが、その中で、エイズの発症が何によって他の国に比べて少ないのか、そして、どういうふうな要素がそれに非常に大きな役に立っているのかというふうな研究がされている班があるとは聞いていません。そういうことをやはりきちっと整理していった中において、ともかく、何が何でも被害者の方々の命は助けるのだという決意を持つとすれば、そこのところがまず大事だろうと申し上げているわけで、ちょっとお答えの方向性と違っているのではないかと思いますが、もう一度御質問します。
  305. 菅直人

    菅国務大臣 健康管理ということにつきまして、先ほどエイズ患者全体についてのことを政府委員が申し上げたわけですが、現在、血液製剤によって感染をされている皆さんに対して二つの事業が行われていることはもちろん御承知のとおりだと思います。  一つは、調査研究事業という中で健康管理費用が支出をされ、また救済事業という形で、財団を通して発症後の患者皆さんに特別手当が支給をされているわけであります。  今、五島委員から言われた問題は、こういった面も関連はするかと思いますが、最も重要な問題としては、やはりこのHIV感染症の研究治療あるいは研修といったことを相当強力に推し進めるための研究治療機関をどうつくるか。このことは、原告団からも強く要求されている中心的な課題であります。  この点につきましては、和解成立してからということではもちろんなくて、現時点においても、どういう形でこうした体制をつくることが最も効果的かということを考えて、これまでエイズ治療あるいは研究に当たってきた機関とも相談をする。また、国立病院の中でそうしたものに対応できることがうまくいくところはないかということで検討する。そうした検討を今精力的に進めているところであります。  ぜひいろいろと御意見も聞かせていただいて、今言われました、日本におけるエイズ感染者が発症を抑えるための最も効果的な治療方法、予防方法というものがどういう体制によって一番早く見出し得るのか、その体制をどうつくるのか、そういった点について、私も全力を挙げたいと思いますし、ぜひいろいろと御教示をいただきたい、こう思っております。
  306. 五島正規

    ○五島委員 もう一つは、先ほど松村局長からお話ございました治療の体制ですが、拠点病院が非常にたくさんつくられるということでございます。それは最終的な目標としては非常に結構ですが、一体、拠点病院でどういうことをしようとしておられるのか、お聞きしたいと思うのですね。  私は、エイズという病気について、当然皆さん方は十分御理解あるわけですから、そのことを覚悟しておっしゃっているのだと思いますが、一般論として言うならば、HIVの感染者だけであれば、その感染者の一般的治療ができないような医療機関は肝炎の患者さんの治療もすべきでないし、医療なんかやるべきでないと思います。基本的に感染防止の技術ということで言えば、肝炎に対する防止技術があれば十分やっていける。  にもかかわらず、現実問題、先ほども出ておりましたが、全く無意味に多額の個室の利用が強要されたり、あるいは発症後の介護の問題についても、さまざま、プライバシーの問題等々の配慮の中から非常に困難をしておられる。そういうふうな状況というのは、これはやはり社会的につくられたもの、全く理由のない疾病差別から生まれてきたものである。これを容認する形ではエイズ治療というのは進まないと思いますね。そうした疾病差別というものを、まして医療の中からどう除去するかというのは、これは一つの大きな基本的な方針だと思います。  そして、その上に立って今直ちにできることは、感染者の患者さん、しかも血友病を持っておられる、そういう患者さんが治療に行った場合、決して血友病の治療という形だけではないと思います。免疫力が低下しているわけですから、さまざまな感染症にかかられます。その感染症の中には、健康な人たちであれば絶対に起こってこないようなサイトメガロ網膜症なんかのような病気まで含まれている。そうなりますと、そこの病院においては、HIVに感染された患者さんあるいは発症された患者さんが、歯科、眼科、耳鼻科を含めあらゆる科について、差別を受けることなく安心して利用できる、そういう体制が整っていなければ、おっしゃる拠点病院にならないだろう。  私はまず、本当に安心してかかれる、そして全科的に診てもらえる、そして、そのことによって患者さんのプライバシーが侵されたり疾病差別を受けることのない医療機関を早急に各ブロックに一つずつつくってほしい。私は、これは患者さんにとって極めて切実な要求だと思います。  もしも、百七十七をすぐそこまでやれるとおっしゃるのであるならば結構な話です。しかし、数だけ並べてみて、その中身は、せいぜいのところ、HIVの患者さんも診ますよ、そのためのベッドを二、三床あけましたということでお茶を濁されるのであるならば、私は、せめてブロックに一カ所ずつぐらい全科的に治療を受けられる病院を整備すべきだ。どこそこに依頼するなんというようなことを言わずに、国立病院の中でどこか一カ所ずつあけていって、そういうふうなことが総合的にできる病院をつくるべきだ。その中で疾病差別によって治療拒否するような病院があるなら、人員を入れかえてでもやっていくという決意を示すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  307. 松村明仁

    ○松村政府委員 拠点病院でどういうような治療をするかという御質問にまずお答えいたします。  拠点病院と申しますのは、都道府県におきますエイズ治療の中心的なあるいは主導的な役割をとっていただく病院だと考えております。当然、多くの診療科を擁していただいております。こういった各科の連携等をとりまして、総合的あるいは包括的に患者さんあるいは感染者の方々対応をとれるような方向で指導をしてまいりたいと思います。  またさらに、拠点病院におきましては、設備といたしまして、今御指摘がございましたけれども、患者・感染者の方は感染を受けやすくなるというようなことから、院内感染の防止を図ったり、あるいはプライバシーを保護するというようなことで個室の整備をやっておるわけでございます。さらに、モニター装置というようなものも入れていくということで努力をしております。  次に、ブロック単位に立派な中心的な病院をつくっていくべきではないかというお話でございます。  先ほど申しましたように、この拠点病院、全国の自治体等の非常な御努力によりまして、二月の末日でやっと全都道府県で百七十七の医療機関の選定が終わった、こういう状態でございます。また、今御審議いただいております平成八年度予算においても、新たに実地研修ですとかカウンセラーの設置のための予算を計上した、こういう努力を今一生懸命に続けているところでございます。  そういう中でございますので、ブロックセンター的な拠点を設けるかということにつきましては、こういった拠点病院の今後の整備状況あるいはその活動状況等をもう少し観察させていただいて、御趣旨はよく理解をいたしましたが、やっと今全国都道府県で拠点病院の選定が終わったというところでございますから、こういったことは次なる目標として検討してまいりますけれども、今後の整備運営状況を見て考えさせていただきたい、このように思っております。
  308. 五島正規

    ○五島委員 私は、それは順序が全く逆さまだと思います。ハードの部分を整備するとか、全国で各都道府県に幾つかずつ選定をして平等に云々、そういうふうなことを何ぼ行政の仕事としてはやっているつもりでやってみても、じゃ、現実にそれが患者さんの日々に必要な治療に役に立つのかどうか、そこのところをやはり出発点として考えなければいけないと思います。  何か、研修とかいろいろおっしゃいます。例えばこの患者さんたちを治療するに当たって歯科の問題あるいは眼科の問題、エイズ患者さんである、感染しているからといって特別な技術が必要なのか、そうでないはずです。先ほども言ったように、疾病差別の問題さえ払拭されて、肝炎ウイルスの感染予防の技術があるような病院であれば、すぐにでも取り組めるわけです。  問題は、ソフトの問題なんですね。そういうふうなことをどう整備していくのかということを抜きにして、ハードの議論やモニターがどうのこうの、それはモニターが必要な状態になる場合もあります。しかし、どの病院だってモニターはあります。あるいは個室が必要であるというのは、ある種、現在の医療の中における問題点との妥協として起こり得るだろうけれども、私は、HIVの患者さんが必ずしも個室でなければ治療できないなんて全く思いません。  そういうことでなくて、現在あるように、HIVを熱心に診てくれている医者がいる、そこへ血友病の患者さんたちもかかっている、しかし、必要になって外科へ回る、整形へ回るときに、自分のところで診るのは嫌だ、同じ病院の中で診療拒否に遭う、そういうことがないような病院をどうつくるのかという話を申し上げております。そこのところをやはりきちっとしていただかないと、建物や部屋の話をしているのではない。  その点については、保健医療局長の立場で申していただくよりも、これは非常に重要なところだと思いますから、大臣自身決意をちょっとお聞きしたいのですけれども、どう考えるか、考え方で結構です。
  309. 菅直人

    菅国務大臣 私も医療の現場というものはそう詳しくは知っておりませんが、今、五島委員の方から、ハード的に見れば肝炎感染を防止する医療的な技術さえあればどの病院でも基本的には治療ができるのだ、ただ、一番問題なのは、まさにあらゆる診療科が差別なくスムーズに診療に当たれるような体制をつくることが重要で、必ずしも全国に何百カ所といったような拠点病院を整備したからといって、そのことでは十分でないというよりは、逆に、そういうことの次元では解決できない問題が多いのだ、そういう御指摘をいただいたと思っております。  このことは、現場をよく知っておられる五島委員の一つの貴重な提案としてぜひ積極的に受けとめていきたい。今、全体としてのセンター的な治療研究機関の問題と、一方では、そういう拠点病院の考え方とが進んできたわけですけれども、逆に言えば、今の五島委員の提案は、もう少し重点的な、全国に何百カ所なんて言わないで、ブロックごとに一つは、間違いなくこことこことここは大丈夫だというものをつくれという提案だと思いますので、その提案を十分重く受けとめて、検討させていただきたい、こう思っております。
  310. 五島正規

    ○五島委員 ありがとうございます。  時間が参りましたので、あと簡単にやりますが、そういう形を整備していかない限り、日本においてエイズ患者さん、幸いにして発症例はまだ少のうございます。仮に研究センターをつくったとしても、そこにきちっとした形で必要な情報、データが集約され、有効な治療研究が進むものとも思えません。そういう点も含めて申し上げているということを御理解いただきたいと思います。  最後でございますが、これは今直ちに厚生省どうするかというふうに質問するわけではございません。むしろ、ここに、委員会においでの各同僚議員に対してぜひお願いしたいと思うわけでございますが、幸い我が国は、今のところ、性感染症患者さんを含めましても近隣諸国やアメリカ、ヨーロッパに比べましても感染者は少のうございます。しかし、この疾病の暴発というのは、ちょっと油断をすると簡単に起こってしまう性格のものであることも御案内のとおりでございます。  また、薬害被害者の問題について申しましても、現在、血友病患者さんのHIV感染者の方々治療費というのは、先ほどから議論になっております差額ベッド代や介護料の問題を除きましては、血友病に対する調査研究費の中から賄われています。これは、実態として、カポジ肉腫とかカリ二肺炎とかになったとしても、血友病を持っておられる限りはその辺の医療費は公費負担でやっているということでございますが、しかしながら、二次感染、三次感染の問題あるいは第四ルートで感染された患者さん、あるいは第四ルートで感染しておりながらいまだに告知も受けておられない患者さんの存在が推測されます。  そうした方々のことを考えた場合、HIVの蔓延というものを食いとめるためにも、現在の社会保険の枠の中でこの疾病の治療というものを見ていっていいのかどうか。何らかの形で血友病患者さんたちの治療というものを公費医療の土俵の上に乗せながら、患者さんたちのプライバシー問題等々が一〇〇%守れるような新しい仕組みについて、私は、与野党が一緒になって検討すべき時期に来ているのではないかというふうに思います。  その点につきまして、ぜひ委員長のところでよろしくお計らいいただきまして、今ここですぐそのような計画を厚生省は持っているかとお聞きしても、持っていないという御返事であると思います。これは、ある意味においては行政責任である以上にやはり政治家の責任でもあると考えますので、ぜひこの点について議論を進めていくことを同僚の皆さん方にお訴え申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
  311. 和田貞夫

    和田委員長 ただいまの五島君の申し入れの件につきましては、理事会において協議をさせていただくことといたします。  松村保健医療局長
  312. 松村明仁

    ○松村政府委員 まことに申しわけございませんけれども、先ほど私が山本委員の御質問に答えた中で誤りがございましたので、訂正をさせていただきます。  昭和五十八年七月のエイズ研究班会議で検討された帝京大症例で、日和見感染症がなかった、このように申し上げましたが、よく調べてみましたら、カポジ肉腫あるいはカリニ肺炎などは併発しておりませんでしたが、カンジダ症あるいはヘルペス、これは入院のある時期に存在しておりました。入院の一部分の時期にそういうふうなものがあったという記録が残っておりましたので、まことに申しわけありません、訂正をさせていただきます。  ありがとうございました。
  313. 和田貞夫

    和田委員長 山本さん、いいですか。  枝野幸男君。
  314. 枝野幸男

    ○枝野委員 時間がございませんので、端的にお尋ねをさせていただきますので端的にお答えください。  まず、いわゆる郡司ファイルというものの中にあった八三年七月四日の資料それから七月十一日の資料、それぞれどういう性質の資料であるという認識をされているのか、現時点での認識をお示しください。
  315. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 御指摘の昭和五十八年七月四日の資料は、当時の生物製剤課の課長補佐が課内検討用のためのたたき台として作成をしたものと見ております。内容につきましては、当時、実現可能性のあるものに限らず、あらゆる項目を出してたたき台としたものでありまして、資料に記載されていることが生物製剤課の方針ではないというふうに受けとめております。  それから、七月十一日の資料につきましては、七月四日の資料を生物製剤課内で検討しましたときに、同じ担当者が整理したものと思われます。
  316. 枝野幸男

    ○枝野委員 厚生省の内部資料としてでも、この空白をいろいろとマスコミその他で問題にしていますが、十一日のメモ自体に問題があると私は思っているのです。  十一日のメモの下から五行目ぐらいに、「超法規的措置による承認は以下の二点の理由から好ましくない。①薬事承認行政に特例扱いの前例を作ってしまうことになり、丸山ワクチンの審議にも影響を与える。」健康、今の問題について議論をしているところに、前例とか丸山ワクチンの審議に影響を与えるとかということを、この当時、厚生省の生物製剤課の皆さんは意識をしていたということは理解してよろしいわけですね。
  317. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ただいま申し上げました七月十一日の資料につきましては、四日の資料をもとに議論をしたわけでございますが、それが生物製剤課の方針になっていたかどうかはまだ明らかではございません。
  318. 枝野幸男

    ○枝野委員 ②で「血友病治療上の安全性、有効性については疑問の点があり、冷静な学問的判断を行う必要がある。」これについては、それが妥当だったかどうかという問題はありますが、そして最終的な結論に仮になっていなかったとしても、厚生省の中には、健康と命の問題のところに、前例をつくるのかつくらないのかとか、こことは全く関係ない丸山ワクチンの審議に影響を与えるとかということを考慮するような発想の人間がいたという証明にはなりませんか。
  319. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 当時の「AIDSに関する血液製剤の取扱いについて」ということで、いろいろな問題点なり考え方の整理をしたものであろうかと思いますが、当時の課長に話を聞いてみましても、必ずしも当時の生物製剤課長がこのペーパーについて自分の考えと一致しているものばかりではないというふうに聞いております。
  320. 枝野幸男

    ○枝野委員 言っていることがわかっていただけないみたいですが、結論になっていたかどうかは別として、こういうふうな主張をする方が、こういった意見を言う方が厚生省の中にいなければ、厚生省の内部の資料の中にこんなことが書かれるわけないわけですよ。内部の資料だということは、皆さん自身が言っているわけですよ。内部の資料に、前例をつくってしまうから考え直さなきゃというような意見を書いているということは、厚生省の内部にこういった考え方を持っている人がいたという証明じゃないですか。  だとしたら、これはどんな人が、要するに、この省内の内部資料についてこういった意見をだれが言っていたのか。もしその人が現役だったら、その人の責任問題じゃないですかね。こんな発想で今も仕事してもらわれるのじゃ困りますよ。きちんと調査してください。
  321. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 調査はいたします。
  322. 枝野幸男

    ○枝野委員 次に、この郡司ファイルの二十三ページ以下に第二回エイズ研究班の配付資料というものがございます。ここに載っている二十三ページから三十九ページまでのもの、これはこの第二回エイズ研究班のときに配付をした資料という理解でよろしいですか。
  323. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 当時の生物製剤課長が保有しておりましたファイルのうち、第二回エイズ研究班の配付資料と考えられますのが、二十三ページから三十九ページまで及び九十ページから九十五ページまででございます。このほか、八十三ページから八十七ページまで、九十六ぺ-ジから百ページまでのいずれかが配付資料であると考えられております。
  324. 枝野幸男

    ○枝野委員 ところで、その配付をされた資料の中にいろいろとあるのですよ。二十八ページ、「資料2 AIDSについて(案)」というような話があります。さまざまな医学的なことが書いてあります。その次に「AIDS症例の定義」などという資料もあります。これも学術的なことがいろいろ延々と書いてあります。  この配付資料はどなたが責任を持ってつくられたのですか。
  325. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 第二回のエイズ研究班会議に配付されたと考えられる資料につきまして、当時の担当職員より聴取をしましたところ、先日公表したファイルのうちの二十五ページから三十九ページまでは、担当課において、当日の議論のたたき台として作成をされたものでございます。
  326. 枝野幸男

    ○枝野委員 そのたたき台をつくるのには、例えば安部さんとか、そういった方の意見を聞いているのですか。安部さんなどの意見を聞いているのですか、省内だけでつくったのですか。
  327. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 担当課において作成したということがわかっておりますが、安部氏に相談したかどうかはわかっておりません。
  328. 枝野幸男

    ○枝野委員 仮に安部さんに聞いていたとしても余り本質は変わらないとは思うのですが、おかしいのですよ。エイズ研究班で学術的な、医学的な研究をしてもらいましょう、それを研究してもらわないと対応できないから研究班をつくりましたとずっと言っていて、このメモを見るとかなり詳細ですよ、第二回配付資料で案として配っているもの。厚生省の中で案としてつくられたものが、何か変わりましたか。その研究班で討議をして変わったのですか、それとも、このまま通ったのですか。  あるいは、これが第四回、五回とかの会議厚生省がまとめましたというのなら、それまでの議論を受けて整理して案として出しましたというのでわかりますが、第二回目ですよ。第二回目の会議にこんなに詳細な、しかも学術的な、医学的な案をたたき台として出して、そして議論をしてくださいというのは、初めからこの研究班は単なるダミーだったということじゃないのですか。
  329. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 当時の状況におきまして、それぞれの担当課として、研究班に資料を提供することが必要だと判断して出したものと考えます。
  330. 枝野幸男

    ○枝野委員 それで認めてくれないなら、もう一つ言いますよ。  十一日のメモ、内部資料でこれが結論かどうかはわからないということをおっしゃっていますが、十一日のメモの二ページ目の頭には、「薬務局としての対応」として結論が出てるのですよ、「米国よりの非加熱処理の製品の一律輸入禁止は行わない。」と。それで一番最後に、「以上について、研究班会議終了後、記者発表を行い迅速な対応を示すこととする。」と書いてあるわけですよ。  これが最終結論であったかどうかは別としても、厚生省の中では、エイズ研究班をつくって、研究してくださいと頼んでおきながら、自分のところで七月十一日に、まだ第二回会議も開かれる前に結論をつくって、しかも、結論後の記者発表の仕方まで検討をしている。何のために研究班つくったのですか。
  331. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 この七月四日と十一日のペーパーは、これは行政の中の資料でございます。当時の状況を、薬務局生物製剤課、あるいは当時の公衆衛生局も関係したかと思いますが、そういったそれぞれの担当課として内部で検討したものと思われます。
  332. 枝野幸男

    ○枝野委員 内部で検討したのはそれで構わないのだけれども、私が言っているのは、内部でこんな失礼な検討をしているということですよ。その空白の一週間とかという問題がありますけれども、それ以前の問題として、研究班に研究をしておいてもらって、内部で結論をもうつくっているだなんて、そんなばかな話はない。  これはもう実は厚生省だけの話じゃなくて、大体、役所が審議会とか研究会をつくるときにはみんなそうですよ。ここが典型的にあらわれている。これはもう本質的に変えてもらわなきゃいけない。厚生大臣、これは国務大臣としての厚生大臣にお尋ねをします。  これはもう厚生省だけの問題じゃない。こういう審議会、研究会をつくって、実は役所の中で結論を先につくっているようなやり方というのは、私、三年足らずの国会議員の生活でもさんざん見せられてきて困っています。こういったことをぜひやめさせるような努力を閣内でやっていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  333. 菅直人

    菅国務大臣 審議会のあり方については、従来より大変議論がありまして、たしか昨年の暮れですか、内閣において、審議会の公開のあり方についての閣議決定をしたという記憶を持っております。  今、枝野委員の方から言われた問題というのは、審議会によっていろいろなケースはあろうかと思いますけれども、審議会全体のあり方というものが、本来のあり方と大変違った形の機能を持たされている、あるいは持ってきているようなものが多いという意味では、そういう可能性もありますので、それの改革という問題はぜひ考えていかなければならないと一般的には思っております。閣内でという言い方でありますけれども、機会を見て私なりに努力をしてみたいと思っております。
  334. 枝野幸男

    ○枝野委員 時間がないので、たくさん聞きたいことがあるから、次の問題に行きます。いわゆる帝京大症例の認定についてであります。  私がお尋ねをしました質問主意書に対する答弁で、なぜ帝京大症例をエイズと認定しなかったのかという質問に対して二つの理由を挙げておられます。カリニ肺炎など典型的なエイズ症状がなく、そしてもう一つは、ステロイド剤の使用による免疫低下である可能性も否定できないということで、エイズ研究班においてエイズの疑似症例であると考えられていたとお答えになっています。  この疑似症例というのがくせ者でありまして、このエイズ疑似症例というのは、ステロイド剤なども使っていたし、カリニ肺炎などの典型的なエイズ症状はないからこれはエイズではなさそうだという認定をされたのか、それとも、エイズだと思うのだけれども確定まではできない、つまり、クロに近い灰色だったのか、それともシロに近い灰色だったのか、どちらの意味なんですか。
  335. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 帝京大症例につきましては、カリニ肺炎等の典型的なエイズ症状がなく、ステロイド剤の使用による免疫低下である可能性も否定できないこと及び免疫低下の程度が軽過ぎること等から疑わしい症例とされ、ステロイド剤投与により本病導入の可能性もあるので、エイズ研究班においてさらに継続して検討することとされたところであります。
  336. 枝野幸男

    ○枝野委員 疑わしい症例だというところまでは、皆さん思いになったと今お認めいただきました。疑わしい症例であるのだったら、何で、これはどなただったかな、郡司さんか何かが、調査班の中間報告の中にもありましたけれども、疑似症例だったのでほっとした、安心したというような回答があるのですよ。そこで矛盾するのじゃないのですか。疑わしいけれども確定できないというような判断だったとしたのなら、ああよかった、国内でエイズの発生がなかった、安心したというような回答は出てこないと思うのですけれども、その矛盾をどうお答えになりますか。
  337. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 御指摘の症例につきましては、今申し上げましたように、カリニ肺炎などの典型的なエイズ症状がなく、ステロイド剤の使用による免疫低下である可能性も否定できないこと、免疫機能低下の程度が軽過ぎること等から、エイズ研究班において、エイズの疑いがあるが確定できないもの、つまり、先生御指摘の灰色症例であると考えられていたと承知をしております。
  338. 枝野幸男

    ○枝野委員 ここで時間を食ってもしようがないので、今の矛盾を把握してくださいよ。灰色だ、疑いがあるのだというふうにお認めになるのだったら、中間報告の中でも、たくさんの人がこれで一安心をしたと何人かの人が言っていらっしゃる、それはおかしいじゃないかということの調査をちゃんとしていただかないと困ります。ここのところがここから先の話を全部ごちゃごちゃにしていった限界点なので、これがシロに近いのだという認定をしたのだったら、そこから先の話はよくわかるのです。灰色なのだ、クロに近いのだというふうな話であるのだったら、安心をするわけもないし、もっとしつこく追いかけていって、どこかのタイミングで、ああなるほどエイズだったのだ、対応しなければということになるし、だんだん灰色がクロに近づいていく過程の中で手の打ち方が変わってくるはずなのに、全くそういったことが見えない。これはシロだと判断をしてしまったのか、あるいは、これをクロだと認定するのに不都合なことがあったのではないかという疑いを持たれても仕方がないと思います。その点の調査をお願いします。  次に、これは実はなぜこんなことになったのかという本質部分につながっていくのではないかなと私は思っておりますが、昨日の予算委員会でも伺いましたが、安部財団、血友病総合治療普及会がミドリ十字などから寄附をたくさん受けていたということで、それに対しては外資系の企業から抗議というか苦情が来たので、安部氏に対して厚生省から注意というか何か申し入れを行った、ところがそれを安部氏の方は受け入れなかった、この関係はよろしいですね。
  339. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 きのう御答弁をしたとおりであります。
  340. 枝野幸男

    ○枝野委員 もう一つ、似たような話があるのですが、ことしの二月一日の朝日新聞に、治験医師に対して製薬企業から金が流れていたというような新聞記事がありました。つまり、国公立大学において治験をやっていたお医者さんが、これは大学の中の話の問題として製薬企業から金をもらってはいかぬということになっていたのに、いろいろな名目で金をもらっていたという記事がありました。  安部さんにしろこの例にしろ、一般論としてで結構でございますが、治験をする医師が当該治験を依頼する製薬企業から幾らの報酬をもらっているのかということについては、厚生省としては把握をしておられるのでしょうか。
  341. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 治験の実施に当たりましてはGCPを遵守するということで、治験を実施いたします医療機関と製薬企業との間の金銭の支払いにつきましては、治験契約は治験依頼者であるメーカーと医療機関の間で文書により行うものとするという規定がGCPの中にございます。役所は関与はいたしません。
  342. 枝野幸男

    ○枝野委員 それからさらに、今回の安部さんのように治験担当医師が、治験の料金というのですか報酬というのですか、それ以外の部分で寄附を集めたりとか、例えば講演料の名目で相当高い金品をもらうとかということについて、厚生省として把握をしたりすることはあるのですか。
  343. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 それについても、今申し上げたような関係でございますので、特に把握はいたしておりません。
  344. 枝野幸男

    ○枝野委員 ということは、今回安部さんの例が典型的なわけでありますが、治験を行う場合に、製薬会社は治験を頼んだ医療機関あるいはその担当する医師に対してどんな報酬を贈ろうと、どんなわいろ的なお金を贈ろうと許される、それについて厚反省はチェックのしようがないということでよろしゅうございますね。
  345. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 これにつきまして、私どもの立場は先ほども申したとおりでございますが、これは製薬業界におきまして取り扱い綱領というものをつくっております。その医薬品の臨床試験の依頼に係わる研究費等の取扱いに関する綱領でございますが、研究費は医療機関が定める事務当局に納入し、医師個人への支払いを一切禁じておるわけでございます。厚生省としても、この業界の綱領の遵守を期待いたしております。
  346. 枝野幸男

    ○枝野委員 期待をしても、チェックもしていなければ、間違ったときの、おかしなことがあったときの制裁措置というか処分も決まっていないと、何もしていないのと同じなわけですよ。  百歩譲って、治験の医師と製薬企業という間にどんな関係があろうとも、その治験の結果をチェックする薬事審議会がしっかりしていればいいわけですが、さすがにこれは変わっていると思うのですが、自分で治験をした薬を自分が薬事審で審査する、これはなくなっていますか、このあたりの仕組みはどうなっていますか。
  347. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 そういった場合におきましては、中薬審では、審議の公正、公平を期するため、関係する委員は、つまり治験に関与した委員は、その審議に加わらないで退室をさせるということにしております。
  348. 枝野幸男

    ○枝野委員 退室をさせるということですね。委員会から外れるわけではないですね。  もう一つ、薬事審議会の委員は刑法の贈収賄罪の対象にはなりますか。
  349. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 公務員として扱われますので、該当いたします。
  350. 枝野幸男

    ○枝野委員 公務員として扱われ、贈収賄の対象になるわけですから、中立、公正なことをやっていただくことが期待されて、また、だからこそ治験の部分が若干企業と癒着をしていてもそこでチェックできるからいいという仕組みなんだろうとしか評価のしようがないのです。  しかし、今回の例えば安部財団の話を見てみると、いわゆる贈収賄に当たるような明白なことをしなくても、自分で財団をつくって、その財団に多額の寄附をさせて、そして、その寄附をしてくれた製薬企業のために少しぐらい薬事審のところで色をつけてやろうかとか、そういったことは現実に可能であり、薬事審の場でではありませんが、安部氏は似たようなことをしたと疑われているような現状にあるわけであります。  あるいは、今、自分が治験をした薬については外れるというお話でありましたが、この安部氏に代表される製薬企業と一部の医師、学者との癒着関係というものを見ていくと、自分が治験をした薬にかかわらず、例えばほかの薬についてこの薬事審で審議をする医師、学者が、直接贈収賄にならないような形で、つまり、製薬会社から多額の寄附をもらったり多額の研究費を受け取ったり、あるいはちょっとぐらいの講演で多額の講演料をもらったり、一番わかりやすく言えば、香港で講演をやってくれと製薬会社が薬事審議会の委員に頼んで、そして向こうで半日ぐらい講演をしてもらって、一週間ぐらい香港で豪遊をしてもらうというような、大蔵省のどこかの役人が問題になったようなことを薬事審議会の委員に対して製薬会社がやっていても、何のチェックもできないということでございますね。
  351. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 中央薬事審議会のメンバーは、メンバーになった際にそういったことについて十分な認識を持っていただくように努力をしていただいておりますし、そういったことについて、私どももそのような事情と心得ております。
  352. 枝野幸男

    ○枝野委員 就任のときにそういったことがないようにということをちゃんとお願いしているのであれば、今回、安部氏の問題で、これだけ薬害エイズで学者と製薬企業との癒着の関係が国民から疑問を持たれているわけであります。これを機に現在の薬事審議会の委員について調査をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  353. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 今、中薬審の運営について、私、特段のそういった問題があるという認識は持っておりませんので、そのためにわざわざ調査をすることは考えておりません。
  354. 枝野幸男

    ○枝野委員 今のような御答弁を――この問題を深く追及していらっしゃる、きょうも原告皆さんも弁護団の皆さんも来ていらっしゃいます。この問題を追いかけているマスコミの皆さんもたくさん来ていらっしゃいます。  ここ数日の報道を見ておりますと、厚生省の犯罪というような論調の部分から、学者の犯罪というようなマスコミ論調の部分の特集の報道が連日なされています。明らかに、少なくとも現在の薬事審議会の委員方々の大部分はこんなことはないだろうと信じたいと思っておりますし、そうであろうと思っておりますが、今回の安部氏、厚生省と非常に密接なかかわりのある学者が、こういった非常に疑いの強い、疑われても仕方がないようなことがあった、それによって人の命がたくさん失われているということがあった中でありますから、私は、厚生省として薬事審の委員皆さんの金銭問題について、少なくとも、それは任意の調査でもとりあえずは結構でございますから、調査ぐらいはしていただくべきだ。これを宿題として投げさせていただきたいと思います。  次に、ことしの二月八日付の各紙で、日赤汚染血液の出荷の報道がなされました。八五年十二月に日赤でスクリーニングの検査の試験中に二例のHIV陽性血が発見されたが、そのまま出荷されたとの当時の遅塚血液事業対策室長の発言をもとにした報道でありますが、その後、これはどうなったのですか、端的に答えてください。
  355. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 元生物製剤課の対策室長の発言が行われまして、その後、厚生省、日赤本社あるいは日赤中央血液センターの当時の担当者等に事情を聴取しましたところ、昭和六十一年二月のHIV抗体検査実施以前の試薬等の検討段階において、HIV抗体が陽性と確認されたものがなかったとのことでありました。  また、国立がんセンターの当時の担当者に事情を聴取しましたところ、昭和六十年十二月から翌六十一年一月の期間、日赤から、陽性血を供給したとして受血者のフォローアップを依頼されたことを記憶している者はいなかった。  したがって、昭和六十一年二月のHIV抗体検査の開始以前の試薬等の検討段階で、HIV抗体の確認試験で陽性を示したものはなかったと考えております。
  356. 枝野幸男

    ○枝野委員 厚生省のOBの方があったとおっしゃっていて、厚生省が調べたらなかったとおっしゃっているわけです。これは、いずれにしても、どちらの結論だったとしても、どちらが真実だったとしても大問題であると思います。もしこれが、退職をされた方の話が本当であったとしたら、それ自体大問題でありますし、もしそれがうそだったということだとすると、厚生省のOBの方が、皆さんのお仲間であった方が、退職後とはいえ、自分が現役時代の仕事について世論を惑わすような、世間を惑わすようなうそを堂々とおつきになったということでございます。  どちらにしても、きちんとした対応をとらなきゃならない。もしも調査の結果、間違いなくこれはシロだと厚生省が自信をお持ちであるならば、何らかの法的措置をおとりにならないと、今までの経緯からして、厚生省、残念ながら国民から不信感を持たれています。断固とした措置をおとりにならないと国民から信頼されないと思いますので、宿題として投げさせていただきます。  それから、実は、けさほどの審議の中で、例の回収がおくれた話というもので新しい事実が出てまいりましたので、お尋ねをさせていただきます。  私も、けさ方、昼ごろ聞いていて大変驚きましたが、ミドリ十字が非加熱製剤を最終的に回収したのは六十三年の四月あるいは七月であるというお話であります。百歩譲って厚生省の従来の主張を受け入れるとしたとしても、少なくとも六十二年から六十三年ごろにかけては、非加熱製剤ではもうエイズにかかる、危ない、これを放置していてはいけないという知見というものは十分にできていた。それは五十八年とか五十九年とかという段階とは明らかに、厚生省皆さんのおっしゃっている主張に基づいたとしても言えるわけです。  ということは、六十二年、六十三年の前半にミドリ十字が回収をしなかった、自分たちが出していたのを最終的な回収をしなかった、これはもう明らかに、私、何度もここで刑事法の責任について言ってまいりましたが、これはもう未必の故意じゃありません。六十二年の後半から六十三年、この回収がおくれた一番最後の部分のところについて、少なくともミドリ十字がこれを放置したことは不作為による、確定的な故意による殺人だ。そして、これは念のためにお伝えを申し上げますが、刑事訴訟法の二百三十九条は、「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」  このミドリ十字の非加熱製剤の回収のおくれを厚生省として把握した以上は、ミドリ十字のだれが責任者だったのか、個人の名前などは当然、ミドリ十字の内部の関係でございますが、監督官庁として厚生省は御存じでしょうから、この六十二年後半から六十三年前半の回収のおくれの担当者であるミドリ十字の職員または役員について刑事告発をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  357. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ミドリ十字の回収状況につきましては、大臣から御説明をしたとおりでございます。  現在、私どもは、報告内容の違った報告を過去においてしておりますが、そういった理由等につきまして引き続き調査をしておるわけでございます。慎重に検討をしてまいります。
  358. 枝野幸男

    ○枝野委員 答えになっていないのですが、調査をして、とにかくこれは、告発義務をお持ちなんですから、役所というものは。殺人、これは不作為の、確定的故意です。もう未必の故意だなんて言える段階じゃない。確定的な故意による殺人の嫌疑があるのですから、これはどこかのタイミングできちんと刑事告発をしていただきたいということを、これも宿題で投げさせていただきます。  それから、天下りの問題について私もお尋ねをさせていただきたいのですが、当時の問題をいろいろと記憶の薄れた方に聞くよりも、今を聞く方がいいと思いますので、現在、厚生省OBで製薬会社の社長をしている方はいらっしゃいますか。
  359. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 厚生省OBで現在代表取締役社長をしている人は、私の記憶にはございません。
  360. 枝野幸男

    ○枝野委員 それでは、役員ではいらっしゃいますか。
  361. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 私も人事担当者ではございませんけれども、役員はおると思います。
  362. 枝野幸男

    ○枝野委員 三人の方に端的に順番に、事務次官来ていただいているかな。事務次官については調べておいてくれたのかな。  現在、厚生省のOBで製薬会社の幹部をしている方と事務次官及び薬務担当の審議官、薬務局長が一番最近に会ったのはいつか。それから、その方と最近一年間の接触の頻度、電話でやりとりをしたこと、その方と会ったこと、あるいは同じ会合の場にいたこと、どれぐらいの頻度でありますか。――これはちゃんときのうのうちに通告しているのだけれども。それをどなたか調べていただいたはずなんだけれども。通告してありますよ、これは。
  363. 和田貞夫

    和田委員長 それは通告してくれているのですね。
  364. 枝野幸男

    ○枝野委員 それは通告してありますよ。
  365. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 確かに御通告はいただいておりましたが、まだ時間の関係で確認はとれておりません。
  366. 枝野幸男

    ○枝野委員 あなたはどうですか、薬務局長は。製薬会社に勤めているあなたの先輩と一年以内に何回かお会いになったことはありますか。
  367. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 私は昨年の六月末に就任をいたしまして、局長室で会ったことはございます。
  368. 枝野幸男

    ○枝野委員 じゃ、事務次官と薬務担当の審議官と薬務局長、どなたと、どれぐらいの頻度で、どういうふうに会ったり電話でやりとりしているかということを、しかるべきまでにぜひお調べいただいて教えていただきたい。  同じことを実はお願いしたいのでありますが、これはきのうのきようでは答えが出てこないと思っているのですが、八三年当時、ミドリ十字の社長の松下廉蔵氏、元薬務局長と当時の事務次官、当時の薬務局長、当時の担当の生物製剤課長、これが、問題となった八三年一年間を例えば例にとって、どれぐらいの頻度で接触があったのかということを、当時の事務次官、生物製剤課長、薬務局長について調査をしていただきたいと思いますが、よろしいですか。
  369. 和田貞夫

    和田委員長 薬務局長、官房長と総務審議官が来ておりませんが、そのことを官房長か総務審議官に伝えてくれますか。
  370. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 一応伝えさせていただきます。
  371. 枝野幸男

    ○枝野委員 もう一点だけ。  きのうの予算委員会の分科会でもお尋ねをしたのですが、ことしの一月の下旬になって、エイズの担当の記者会見のときに、NHKがテレビの中で報道をした後になって、郡司ファイルから出てきたメモについて、これはフェークである、にせものであるという暴言を吐いた方がいらっしゃるということをお尋ねいたしましたが、それは事実としてどうであったのか、御釈明を下さい。
  372. 松村明仁

    ○松村政府委員 御指摘の発言は、一月二十五日、郡司氏の刑事告発に添付された資料の確認を求められた記者会見の席上でございましたけれども、保健医療局の担当課長が述べたものだと思います。  それで、私も担当課長にその辺をただしました。真意をただしたのでございますけれども、資料はテレビの画面であったので現物を手にとって見るということができないので、こういったことだけではわかりにくい、これだけで判断するのは難しいということを一般論として述べた、こういうふうに本人は認識しておるわけなんですが、発言が資料の発見される以前とは申しながら、軽率であったと思われます。まことに遺憾でございました。
  373. 枝野幸男

    ○枝野委員 非常に短い時間でたくさんのことを聞いたので、非常に駆け足であったのですが、今の最後の部分のところに全体の姿勢が出ているのだと思っております。そして、これはここ一カ月ぐらいの間に変わったのかなということを期待して、きょうの委員会を一日聞いておりましたが、残念ながら変わっていない。  結局、外からの声というものを素直に、謙虚に聞く耳を厚生省皆さんはお持ちじゃないのじゃないかという疑いを持たざるを得ない。きょう一日の審議を聞いていても、聞かれたことに真っすぐに答えていない御回答というものが私の前の質問で多々出てまいりました。そして、マスコミなどの指摘に対しても、それに対して、これはにせものじゃないか、フェークじゃないかというようなことを堂々と公の場でおっしゃるような体質というものが今回の薬害エイズを生んだのだという反省を十分に持っていただかないといけないだろう。  おとといの中間報告もかなり大部なものを出していただきましたが、そして、きょうの委員会でもさまざまな事実が出てきておりますが、これは一回や二回の集中審議で真実が出てくるものでも、それから、厚生省内部の調査だけですべての真実が明らかになるものでもない。住専以上に根の深い問題としてこれからこの厚生委員会の場でも十分に追いかけていただきたいし、それから、私どもも追いかけさせていただく。  そして、午前中から証人等の要請もございますが、私も、きょうの審議の中で、十分に本人に聞かなければわからないようなことについて、精査をさせていただいた上で、当事者の方にこの場に来ていただいて、直接話を伺うような機会をつくっていただくようにしていただきたいと思いますので、これは党として、会派として改めて正式に委員長の方にはお願いをする方向で検討していることを最後に申し添えまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  374. 菅直人

    菅国務大臣 一つだけ。実はきょう、今の枝野議員の質問にも関係しますし、朝の衛藤委員からの質問にも関係することで、一つだけ補足して御報告をしておきます。  先ほど来、ミドリ十字についての立入検査の問題がありましたが、その中で回収された数量も報告が来ておりましたので、その数量だけ報告しておきます。  加熱凝固因子製剤出荷後の回収量は、第Ⅷ因子製剤については一万一千八百六十本、これは昭和六十年九月以降のもので回収されたものです。そして、第Ⅵ因子製剤は三千四百六十五本、これは昭和六十一年二月以降回収されたものです。こういう数字であることを調査の結果確認いたしている、このことを補足して御説明を申し上げておきます。
  375. 和田貞夫

  376. 岩佐恵美

    岩佐委員 まず、医療体制の問題について伺いたいと思います。  先日、私の部屋に、HIVに感染させられた関東在住の血友病の患者さんから電話がありました。「新しい感染症なので、既存の病気と違って治療の一定水準というものがない。致死症であっても当事者としては投げられない。」これは御本人の言葉です。「治療の進歩に期待して、それぞれの時点で受けられる最善の治療を受けて二年生きる。そしたらまたより進歩した治療を受けてまた二年生きられる。そうした積み上げで命を延ばしていけば、エイズ治療薬ができるのではないか。そういう希望を持って生きたいと願っている。ところが、私の通院している病院では、治験薬は使えないと言われ、最善の治療が行われているとは思えない。東大医科研へ行った方がよいのだろうか。」そう訴えられました。  患者皆さんは、医療の質に対する不安を持っています。そればかりか、不信感さえ持っています。告知しない、病気説明をきちんと行わない、治療指針を示さない、あるいは示せない、検査内容を説明しない、検査結果を教えない、発症してから治療を開始するなど、ひどい実態です。  治療法について相談できる体制あるいは医師を含め患者に現在の最新で正確な治療等に関する情報を届ける、そうしたネットワークが必要だと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  377. 松村明仁

    ○松村政府委員 HIV感染者あるいは患者方々医療あるいは健康管理につきましては、従来より、エイズの診療に取り組む医師等により構成されます発症予防・治療に関する研究班及びエイズと日和見感染症に関する研究班、これは先ほども申しましたけれども、多くの医師が参加していただいて、こういった中で最新の情報交換も行っていただいておるところであります。  また、拠点病院等におきましては、医療従事者の研修会を行っておりますし、それから、医師向けの専門的な研究情報、こういったものも提供を行っておるところでございまして、今委員御指摘のような点につきまして、私どももできるだけ努力をしてまいっておるところでございます。
  378. 岩佐恵美

    岩佐委員 大臣医療の現状は非常に大きな問題を抱えていると私は思います。薬害エイズ患者皆さんも、医療の現場での差別、これが今までの中で一番ひどかったし、つらかったと。そういう訴えを聞きまして、私も、医療機関四つばかりに行きました。行って、やはり本当だなというふうに思ったのです。  先ほどからも、医療体制についていろいろ議論がされています。ぜひ菅大臣に、医療現場に幾つか行っていただいて医療の現場の皆さんの声を直接聞いていただく、あるいは患者皆さんからもそういう声を受けて医療現場に行っていただく、そういうことがとても大事だと私は思うのです。その点、いかがでしょうか。
  379. 菅直人

    菅国務大臣 先ほど来、そうしたいろいろな実情をどうすれば変えることができるか、そういった点について、きょうの集中審議でもいろいろな意見を出していただきました。私も、医療現場そのものに足を運んで、この問題のために行ったということはありませんが、患者家族皆さんとは何度かお会いをしてそういう話を伺いましたし、また、治療に当たっているお医者さんにもそういった実情について若干話を聞く機会がありました。  そういった意味で、機会があればまた伺ってみたいと思っておりますが、そういう今の岩佐委員のおっしゃることも含めて、どうすればそういうことがない形の治療体制をつくれるのか。先ほど五島委員は、今のいわゆる中心的なセンターと多くの拠点病院ということもそれはそれとしていいけれども、少なくともブロックごとに、どういう治療でもちゃんとエイズ患者皆さん対応できるようなブロックごとの拠点病院をつくるということが重要ではないかというような指摘もいただきましたので、そういうことも含めて、そういう差別的な扱いかない医療体制をつくるための検討をさらに進めていきたいと思っております。
  380. 岩佐恵美

    岩佐委員 その点について、拠点病院について私も予算委員会でいろいろ議論をさせていただきましたけれども、今必要なのは、血友病患者皆さんのHIV感染者あるいは発症者をこれ以上死なせない、本当にあしたに希望を持って生きることができる研究医療体制を確保していく、そういうことをしてほしい。また、国にそういう責任があるというふうに思っているのです。ですから、そういう意味では、エイズ治療について厚生省責任を持って、エイズに関する基礎研究、臨床研究、そして研修、それから治療を兼ね備えたセンター的なものがどうしても必要なんだということを言っておられます。  私は、拠点病院の問題で大臣と議論をさせていただいて、やはり現場を見ておられないということが患者さんの実態を知る上で障害になっているのではないか、そのことを感じたのです。だから、どこでも結構です、とにかくエイズ治療を一生懸命やっているところ、あるいは一生懸命やっていないような拠点病院と言われるところ、そういうところに行っていただきたいというふうに思っているわけです。  あわせて、HIVの感染被害者が最新で適切な医療を受ける上で幾つかの問題点があるわけですけれども、例えば非定型抗酸菌症の治療に使われるクラリスロマイシンは、通常二錠でよいわけですが、HIVの場合、六錠を投与しないと効果がありません。ところが、これを保険請求すると審査の段階で認められないため、病院か患者の負担になってしまいます。また、サイトメガロウイルス網膜炎治療の眼球注射、この治療保険がきかないというような問題があります。エイズの最新治療を受けるためには、医療保険の制約があります。これにとらわれない財政的裏づけのある治療体制が今必要だと思います。  こうした問題について、先ほどのセンター構想、そういうものへの取り組みとあわせて大臣のお考えを伺いたいと思います。
  381. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 私どもの立場からいたしますと、一つは、患者数の少ない疾病用の医薬品の開発をオーファンドラッグという制度でやっておりまして、これは医療品目を指定して、優先審査によりできるだけ早く承認を与えておるわけでございます。また、エイズ治療薬を患者皆さんが使用できるように、二月に入って、治験の開始を早めるように関係製薬企業十社に依頼をいたしまして、そのうち一社から二月中に治験届が提出をされております。その医薬品、治験薬については無料でございます。  そういったことで、承認申請されました後におきましても治験を継続して、医薬品の必要な患者が服薬できるような対応を行いたいと考えております。
  382. 岩佐恵美

    岩佐委員 私、この間予算委員会でも申し上げたのですが、要するに、厚生省がこの薬害エイズを発生させたというその責任をちゃんと自覚をしない。だから、治療に当たっても誠意のある、血の通ったそういう対応ができていないのだと思うのですね。だから、今具体的な問題を出したわけですね。そういう問題についてちゃんと答えない、こういうことになるのじゃないですか。  そういうことも含めて、大臣に、患者さんの一つ一つの要求をきちんと受けとめて、血の通った、きめ細かいそういう対応をしていただくように努力をしていただきたい、そう思うのですけれども、どうでしょうか。
  383. 菅直人

    菅国務大臣 一つは、御存じだと思いますが、血友病の方についての一部負担というのは、難病指定とはちょっと違う枠組みですが、そういうものの中で公費で負担をするという原則になっておりまして、岩佐委員の今言われた保険適用が認められないものについてどうなるのかというのは、もう一度よく調べてみますが、趣旨はよくわかりますので、できるだけ本人負担にならない形での対応にしていきたいと思っております。また、和解が進む中でこの問題とストレートに絡むかどうかわかりませんが、この間、エイズ治療そのものについての対応についてもどうあるべきかをいろいろ検討させていただきたいと思っております。
  384. 岩佐恵美

    岩佐委員 先ほど来議論になっております帝京大の血友病の患者についての問題です。  八三年七月のエイズ研究班で、先ほど厚生省から提出された質問調査回答で、郡司氏は「アメリカで見るような典型的なエイズとはいえない」と結論づけられたとしています。そして、この問題について、その年の八月二十九日、東京で、アメリカのエイズ専門家のスピラ博士に鑑定をしてもらっています。その会合には、研究班から安部、松田の両氏、厚生省から郡司、森尾、加藤氏が参加をしています。そこでスピラ博士は、アメリカでの診断基準によればエイズであると明確に断定をしています。「アメリカで見るような典型的なエイズとはいえない」として退けられたエイズ患者が、アメリカの専門家によってエイズ患者と断定をされたわけです。だから、当然、研究班の誤った結論はそのときに見直されるべきだったと思います。このときに、もし第一号患者として認定をしてその後の対応をしていれば、こんなにひどい被害を引き起こさなかったはずだと思います。  私は食品添加物の問題を通じてよく言っていたのですが、アメリカと日本の関係というのは非常に密接なんです。アメリカがくしゃみをしたら日本が風邪を引く、そういうようなことが言われたのがあのチクロの問題でした。アメリカでさっと手を打てば日本が手を打つというような関係にあったと思うのですね。このアメリカの専門家のスピラ博士が、アメリカでいえばエイズ患者なんだ、そういうふうに日本で言ったのですから、こういう結論をちゃんと受け取って、誤った結論を見直すべきだったと思います。  そういう意味では、私は、研究班の班長の安部さん、そして厚生省の郡司課長の責任は重大だったと思うのです。その点について、大臣、どうお考えでしょうか。
  385. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 当時の生物製剤課長からの事情聴取によりますと、このスピラ博士との会合の際に御指摘のような発言があったものでございます。  しかしながら、本症例につきましては、多量のステロイド剤を使用していたために、CDCが一九八二年九月に発表したエイズに関する診断基準には合致しないということで、研究班におきましてはその当時の知見に照らして疑似症例と判断をされたものと承知をしております。
  386. 岩佐恵美

    岩佐委員 全く納得がいかない答弁ですね。  もう一つあるのですが、昨年十一月八日に、私、当委員会で質問をしました。八四年の厚生科学研究において、血友病患者の多くが抗体陽性である、そういう報告がされていた、この問題なんですが、松村局長は、昨年の委員会では、研究班から中間的な報告があったか否については確認できていない、そう私に答弁しました。  ところが、今度出された二月二十八日付の質問調査回答では、公衆衛生局の吉村氏が、五十九年度の後半に、日沼先生と栗村先生が大きな模造紙のようなものを持参して厚生省報告に来られたのを記憶している、「その報告を受けて、極く短期間の間に検査法を開発してしまう優秀な研究者がいるということと、検査法が確立されればエイズ対策は一歩前進するという期待感を感じた」こう述べているわけです。現に、栗村さんたちは、八四年末から八五年初めにかけて、血友病患者方々の七十四人が感染している、こういう報告を発表をしておられるわけです。  松村局長は、この報告について、「そのような情報を得ていたと思う。」この質問調査書で、松村局長は、「そのような情報を得ていたと思う。恐れていたことが現実になりつつあり対策を急がねばならないと思った。」こう回答しているわけですね。去年私に答えたのと違うのですね。私は、松村局長は私にうそをついた、そう思うのですね。そして、恐ろしいことになる、「恐れていたことが現実になりつつあり対策を急がねばならないと思った。」そう思ったって、何の対策も打たなかったのじゃないですか。その点、どうなんですか。
  387. 松村明仁

    ○松村政府委員 私が昨年十一月に先生の御質問にお答えいたしましたのは、当時の感染症対策課長及び同課のエイズ担当補佐に対しまして、いつごろそういう情報を得たかということについて事情聴取をいたしたわけでございますが、両氏とも、六十年三月以前にそういう報告を受けた記憶がない、こういう回答でございました。したがいまして、そういう事情を踏まえて答弁したものでございます。  もう一方で、委員が御指摘のように調査票に、当時の職員の記憶に、何といいましょうか、調査票があるわけでございますけれども、これにつきましては、つい最近そういうものを知ったわけでございまして、決して私が昨年うそをついたということではございませんので、ひとつ御理解をいただきたいと思います。  それから、私の個人的な、調査プロジェクトチームにお答えを申し上げたことについての答弁は、先ほどもお話がございましたけれども、これは個人として答えているものですから、この場では発言を差し控えさせていただきたいと思います。
  388. 岩佐恵美

    岩佐委員 個人として答えたことは事実だったわけですね。そして、そのことは自分にはもう関係ないということで、この国会の場では、全く私はそういう報告書は知りませんという回答をするわけですね。私は、そういう点では、もう本当に厚生省というのは信用できない、そういう思いをまた新たにしました。今の答弁を伺っていて、本当にひどいものだ、そういうふうに思いました。  去年の十一月八日の同じ委員会ですが、米国在住の同性愛者が日本人エイズ患者第一号として八五年三月に発表されたけれども、現在この患者がどうなっているかと質問したところ、松村保健医療局長は、今承知しておりません、後刻調査して報告させていただきますと答えられました。質問が終わった後、わざわざ私の席に来られまして、このようなメモを私に渡されました。ここにはちゃんと、エイズ患者第一号はどのような基準によって診断されたのか、エイズ患者第一号は現在どうなっているのか調べて、後刻御報告をさせていただきます、これは松村局長のみずからの書かれたものですから。私のところへ持ってこられたわけです、質問の後。そして、私は待っていたわけです。ところが、全然何も連絡がなくて、後で課長が来られて、患者のプライバシーを盾に、調べられません、そういう一点張りなんですね。全く事実を隠しているわけです。私は本当に許せないと思いました。  ことしの二月二十六日の読売新聞で報道されていたのですが、エイズ患者の第一号はエイズを発症しているとは言えない、CD4が三百五十のプレエイズ患者だ、しかも、昨年秋まで生きていた。だから、生存しておられた。私がちょうど質問したころ、どうもそのころ亡くなられたのかなという感じですけれども、そのようなことで、十年生存しておられたのですね。  当時の文書でも、この第一号患者についての文書が、マスコミ用の文書がここにあります。この文書でも、エイズである疑いが極めて濃い、こういうふうに言っているわけですね。この患者は、プレエイズなんです。それは私も確かめました、きょう自分のこの耳でちゃんと。先生に伺いました。ですから、そういう意味でいうと、まさに血友病以外の患者を第一号患者とする、そういうためにわざわざプレエイズの方を第一号にしたのじゃないですか。  先ほどの、八三年の七月のエイズ研究班で論議をされたけれども、それを否定する。その後、スピラ博士がそうだと言ったってこれを採用しない。そして、栗村先生たちがいろいろ検査をされる、それでその発症者がわかってもこれも採用しない。そして、何で同性愛者のこういう人を第一号にするということになったのですか。本当に納得がいかないのです。その点、どうですか。
  389. 松村明仁

    ○松村政府委員 岩佐委員の御質問に、私がさきの厚生委員会の席上で、資料を持ち合わせておりませんでしたので、後刻調べてということでお答えしたことも事実でございます。その後刻、すぐ担当課長を先生のもとに派遣しまして説明をさせていただいた、このように考えております。  それで、当時どういう状況でこの患者を認定したかということでございますが、当該症例は、当時の「AIDSの臨床診断の手引き」あるいは「免疫学的診断の手引き」あるいはエイズに関する学術的な知見をもとに検討いたしました結果、本症はエイズである疑いが極めて濃いとの結論に達したものでございます。そのように承知をしております。
  390. 岩佐恵美

    岩佐委員 八三年の七月のいわゆる帝京大学の事例の方が本当にエイズ患者だったわけですね、すぐその後亡くなっているわけですから。それで、この第一号患者の方はプレエイズ状況の人を第一号に指定する。だから十年間生きておられたのじゃないですか。  結局、八七年の医学雑誌で安部氏が対談しているのですけれども、  日本におけるエイズの発症は血友病の患者さん  が絶対多数をしめている。最初の第一例などは  それまでの行動からホモであることがわかって  いて、たまたまちょっと二週間ばかり日本にき  て、その間に発熱その他の症状があってエイズ  の診断を受け、またアメリカに帰った人なので  すと言っているわけなんですね。非常に軽い人なんですね。都合の悪いことは隠そうとする、あるいは調べようともしない、これが厚生省の体質なのじゃないですか。  そして、野崎保健情報課長が、パニックに対して非常に配慮したというふうに語っていた、こういう報道もあるわけですけれども、厚生省としては、血友病患者のHIV感染の実態をつかんでいたにもかかわらず、ずっと隠し続けた。発表に当たっても世論誘導を行おうとした。これがもっと早く発表されていたら、それこそ、八三年の、先ほどから議論がある七月の四日のメモどおりに対応している、あるいは七月の帝京大学の患者さんをちゃんと、間違った結論を出さない、あるいは間違った結論だとわかったときにそれを見直す、あるいは栗村先生たちの結論もきちんと真摯に受けとめる、そういうことがあれば、こんなに被害を拡大することがなかったのじゃないですか。その点、私は本当におかしいと思うのですね。大臣、いかがでしょうか。
  391. 菅直人

    菅国務大臣 この問題については、先日公開をいたしました中間報告の中でも、  研究班における検討の結果、本症例はステロイ  ド剤の投与による細胞性免疫抑制が否定できな  いこと、当時診断に当たって重視された、カリ  ニ肺炎やカポジ肉腫を伴っていないこと、免疫  機能低下の程度が軽すぎること等から、報告書  の結論に至ったものと考えられる。とありますが、その後に、   なお、本症例をエイズ研究班がエイズである  事を否定したとの報道等にしばしば接するが、  研究班の結論はエイズを否定したわけではな  い。研究班の結論は、エイズの疑似症例と診断  されたが、ステロイド投与により本病導入の可  能性もあるので、疑似ないし非典型的と決定さ  れたものである。この報告も含めて、私も、その二つの事例については大変疑問を今でも持っております。  特に疑問なのは、昭和で言うと六十年に第一号と認定された時点では、既に判定方法がほぼ確立していた時期ではないかと思いますから、同じ時期であれば血友病の患者皆さんの血液の検査もできていたのではないか、そういうこともいろいろ私も聞いているのです。  例えば、安部先生のもとのデータも、五十九年に送られて、五十九年の暮れには戻されていたというようなことも言われておりますので、もしこの六十年のアメリカ在住の方がエイズであるという認定をするなら、その時期に他のものがないということにはならないように思えますし、また逆に、前の時点で判断するならば、今読み上げたような報告から見ても、少なくともエイズであるということを否定したのではないということがもう少し明確にその後の問題に反映されてよかったのではないか、そんな感想を、強い感想を持っております。
  392. 岩佐恵美

    岩佐委員 疑似症例であるということだから、恐らく八月の二十九日にスピラ博士に見立ててもらったのだというふうに思うのですね。  今お話がありました日本人エイズ患者第一号の公式発表の前日に、安部エイズ研究班長は、二名のエイズ患者と二十一名がHIV感染者であるというようなことを発表するわけです。これは、八四年六月に御自分の患者五十人分の血液をアメリカの国立がん研究所のギャロ博士に送って、そしてそのデータをもらったということで、そのデータを発表したわけです。  安部氏が八四年に血友病のHIV感染の実態をつかみながら発表しなかった、これは明らかに実態が日のもとにさらされることによって加熱製剤の許可、承認が促進されることを恐れたからだ、こういうふうにも言われているわけです。これは先ほどから議論があるところですけれども、安部氏が加熱製剤の治験にどのようにかかわってきたのでしょうか。
  393. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 第Ⅷ因子製剤につきましては、加熱の場合でございますが、日本トラベノール、カッター・ジャパン、ヘキストジャパン、化血研、ミドリ十字、日本臓器、日本製薬の品目の治験に代表世話人としてかかわっております。また、加熱の第Ⅸ因子製剤につきましては、化血研、ミドリ十字、日本臓器、日本製薬の品目の治験に代表世話人としてかかわっていたところでございます。
  394. 岩佐恵美

    岩佐委員 まさに治験の責任者なんですね。  安部氏は、八八年の毎日新聞とのインタビューで、加熱製剤の治験はすべて安部氏がやったと認めた上で、「故意に遅らせたわけじゃない。「調整」したのは、各社同じ品質のものを出すようにと考えたからで、患者のためだ。文句を言っているのはモノを知らないヤツだ」と、加熱製剤の治験を利用して許可の時期を調整したことを認めているのです。郡司ファイルでも、薬事法の手続が八三年十一月になってしまうというふうに言っているわけですけれども、それよりも二年近くもおくれてしまったわけです。  安部氏は、ミドリ十字の内藤医学研究振興財団の理事に就任をしていて、ミドリ十字の会長だった内藤氏との結びつきが非常に強い人だったのです。ミドリ十字の加熱製剤の開発がおくれていた、そのために承認をおくらせた、これはもう周知の事実だろうというふうに思います。  安部氏は、判断を迫られる重要な時期に非常に不可解な役割を果たしているのですね。私は、安部氏とどうも厚生省が共同行動をとっているような気がしてならないのですけれども、厚生省はその点についてどうでしょうか。
  395. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 安部氏につきましては、先ほどのエイズ研究班の座長に血友病の最高権威として入ってもらっておるという理解をいたしておるわけでございます。
  396. 岩佐恵美

    岩佐委員 安部氏がこの治験を利用して、みずからつくった財団法人血友病総合治療普及会への寄附を製薬企業に求めた。ミドリ十字一千万円、トラベノール、カッター社がそれぞれ一千万円、化血研が三百万円、寄附を要求している。  エイズ研究班の関係者は、安部氏が財団設立の寄附を製薬メーカー要求しており、巨額の寄附に閉口した外資系メーカーが当時の郡司課長に何とかしてほしいと訴えた。郡司氏は、臨床試験前の寄附集めは誤解を生ずると、安部氏への説得を頼まれたそうです。それで関係者が安部氏に注意をすると、寄附集めは終わったよと悪びれる様子もなかった。  また、安部氏を知る人によると、安部氏は日ごろから政治家との交友関係を自慢をしていた。先ほども同僚議員から指摘がありましたけれども、例えば、特にエイズ予防財団理事長で厚生大臣経験者の小沢辰男氏のことについて、小沢、小沢と呼び捨てにした。そして、小沢氏は安部氏の退官記念パーティーでスピーチをしている。中曽根元首相とも海軍で一緒だったということをよく話題にしていた。そういう人物だったということです。  安部氏がこうした政治力を利用して、加熱製剤への切りかえあるいはクリオの使用を中止したということであれば、これは本当に重大な事態だというふうに思うのです。  きょうの新聞の夕刊によりますと、東京地検特捜部がこの薬害エイズについて本格捜査をするということでありますけれども、この問題について、臭い物にふたをするということではなくて、厚生省の内部に調査班をつくっていますけれども、もっと客観的な調査をしていく必要があるというふうに思うのです。厚生省決意を伺いたいと思います。  同時に、前にも委員長に申し上げておりますけれども、この安部氏と郡司氏は、今度の問題で非常に重要なかぎを握る人物であります。当委員会での証人喚問をぜひ実現していただきたいというふうに思います。
  397. 和田貞夫

    和田委員長 ただいまの岩佐さんの申し入れの件につきましては、理事会で協議をさせていただきます。
  398. 菅直人

    菅国務大臣 御承知のように、私もこの職につく以前から、この問題については大変強い関心を持っておりまして、それだけに、この職について、いろいろな皆さんと話をしながら調査班をつくり、幾つかの問題については明らかにできたと思っております。  もっと別の形でさらなる調査をするという御提案かと思いますが、先ほども申し上げたように、現在の調査班の、調査プロジェクト報告が少なくともあと半月ほどは最終に至るまでに時間がかかろうと思っております。そういうものを踏まえながら、さらにどういう形でどういうことを調査すべきなのか、あるいはどういう形をとるべきなのか、段階を追って検討してみたいと思っております。  ただ、一つだけ申し上げますと、今そういった新聞の記事も御紹介があったようですけれども、行政としてみずから、いろいろなことを、やったことについて公開なりできるという意味でもちろん大きな責任を感じておりますけれども、行政の中での調査あるいは行政の立場での調査ということも、ある部分では非常に効果があるかもしれませんが、ある部分では限界がありますので、それはまさに本院、国会や他の機関がそれぞれの機能に応じていろいろと調査をされることによってより明らかになるのではないか。  そして、一言申し添えますと、今月中には和解という問題を何とか実現させたいということも、同時にそのこととあわせて何としてもやり遂げなければならないと思っていることも申し添えておきたいと思います。
  399. 和田貞夫

    和田委員長 荒賀薬務局長から、枝野幸男君の質疑に対する答弁中訂正の申し出がありますので、これを許します。荒賀薬務局長
  400. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 先ほど厚生省OBの製薬会社への就職状況について、代表取締役社長はいないと申し上げましたが、二名でございますので、謹んで訂正をさせていただきます。
  401. 和田貞夫

  402. 土肥隆一

    土肥委員 あと十五分で終わりますので、おつき合いをいただきたいと思います。たった十五分しかありませんので、通告した質問は全部やめます。  きょう一日、集中審議をやったわけですが、私はますます厚生省、特に薬務局のあり方についていろいろと考えさせられております。  一般に、行政というのは国民一人一人が見えてこないのですね。いつも一億二千五百万がだっと日本列島に住んでいるという感じで仕事をし、しかし、その中に一人一人の命が脅かされているというところまではなかなか感覚として追いつかない。これは私、阪神・淡路大震災で痛切に感じております。インフラを整備しました、もう三兆三千億もおろしたじゃないですか、まだ何かあるのですか、しかし、一人一人の生活は見えないわけですね。そして一方では、いろいろ聞いていますと、医療ビジネスの最前線まで手をつけていらっしゃる、そこに厚生省の役人さんも天下りをしている、そういう状況の中にあるのだなということを、私も素人ですけれども、感じております。  一体、厚生省というのは、あるいは薬務局と言ってもいいと思いますが、この役所は専門家の集団なのか、あるいは単なる行政マンなのか。単なるというのは日々仕事をこなしていけばいいというふうにも思えて、私は非常に今不信感を持っております。私自身としては、日本国民の生活に密接に結びついている厚生行政には限りなく支援もし、また、その打ち出す政策に対しても協力しようと思っておりましたけれども、どうもこれはいかぬというふうに思うのであります。  それで、厚生省の、特に薬務局の担当者は専門家集団なんですか、それともアマチュア集団なのか、お答えいただきたいと思います。
  403. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 薬務行政を担当させていただいておるわけでありますが、その中には、承認審査といった中薬審の事務局を務める、それには相当の専門性が必要でございます。また、いろいろな研究面での支援でありますとか、そういった業界の健全な発展のためにいろいろな知恵を出し、議論をしながらその道を進めていく、そういった仕事もございます。  そういった指導助成行政、それから高度な安心して使える薬の承認審査をきちっとやっていく、二つの大きな仕事を私どもは担っていると理解をいたしております。
  404. 土肥隆一

    土肥委員 まあ明快な答えではないので、専門性もあればアマチュアもあるというふうにも聞こえます。  実は、この郡司さんの二月二十一日のレポートを見ておりますと、この人は何で行政に入ってきた学者さんなのかなと思うわけであります。彼はいろいろなことをいろいろなレトリックを使って説明しておりますけれども、そして時には、例えば、エイズ研究班を引っ張り出して、この人たちは専門家の集団で私は素人です、こう言いながら、しかし、例えばクリオを導入しようかという重大なときに、自分の意思を研究班にそれはだめよと言われれば引っ込めてしまうとか、いろいろ書いてあるのです。  時間がありませんから全部申し上げられませんけれども、例えばこういう発言があるのです。医家向け、医療従事者向けに何かしたのかという質問に対してこう言っていますね。医療従事者はかなり早くから加熱製剤についての知識を持つ機会があったはずであるから、専門家でない厚生省が改めてそれらの情報を評価整理して医療従事者に伝えることの必要性はあり得ませんでしたと書いてありますね。「専門家でない厚生省が」、こう言っているのですね。  厚生省は専門家の集団ではないのですか。この人はなぜ行政に来てこういう発言をするのですか。
  405. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 郡司さんがどういった趣旨でおっしゃったか、私には必ずしも正確に理解できないかもしれませんが、やはりそれぞれの専門分野を持ちつつ、行政マンとして広い視野を持って与えられた仕事に全力を尽くすという任務があると承知しております。
  406. 土肥隆一

    土肥委員 例えば郡司さんは、加熱製剤の緊急輸入について話題になったようでありますが、加熱製剤は完全にB型肝炎対策であるからそんなに急いで入れても意味がないというような意味、それから、日本の血液輸入量がこれによって拡大、増大化することを恐れるとか、完全な技術ではないと判断したとかという断定的な発言をしておりまして、本人は全くその意味からいうとプロの、いわば専門家としての意見を言い、そして、加熱製剤の緊急輸入を避けているわけであります。  あるいは、そうかと思うと、すぐに加熱製剤の製造承認の促進をやっておりまして、そしてみずから、厚生省でも準備だけは整えておこうと思い血液製剤調査会の先生に相談した上で治験の最少症例数である四十例を定めたと、まことにこれは専門家としての行動をとっていらっしゃるわけです。  そうかと思うと、エイズ研究班に彼はずっと出ているわけでありますけれども、私はエイズ研究班にすべて出席しました、血液製剤委員会にも出席しました、研究会はまさに研究会的雰囲気で行われました、議事録やメモはとっていません、研究会の運営は研究者の先生方にお願いした、しかし資料の作成は厚生省でつくった、こう書いてあります。小委員会は審議会や諮問委員会のようなものではなかったので、議事録やメモといった記憶はありません、こう言っているわけですね。  実に、こういういわば人の命の生き死にに関するエイズ研究班に彼はずっと出ていながら、しかし、その価値はほとんど認めていない。そうすると、先ほど枝野さんが言っておりましたけれども、もう何か厚生省にはこの問題に対する確たる方針があって、そしてエイズ研究班というのは学者の――この研究会的雰囲気というのはよくわからないのですけれども、どこかホテルか何かでやったそうですね。そんなふうに聞いております。議事録もメモも何にもとらないで、とにかく研究者の先生方にお願いしたと。  こういう研究会とか委員会とかいうのを厚生省はどういうふうに評価していらっしゃるのですか、お答えください。
  407. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 例えば私どもの薬務局関係は、先ほど来出ておりますように、厚生大臣の正式の諮問機関でございます中薬審がございます。ただ、正式の諮問をし答申をいただく形をとるケースが多いわけでございますが、またそれとは別に緊急の案件、あるいはそれとは別の形で私的な懇談会をつくって、そこで各界の専門家に入っていただいて集中的に議論をする、その意見を踏まえてまた正式に中薬審に諮問をする、そういう手続をとる場合もございますので、正式の諮問機関あるいはそれ以外の研究会、懇談会というようなものと両方使っておるケースがあるわけでございます。
  408. 土肥隆一

    土肥委員 結局、私は、厚生省はしっかりしてほしいと思うのですよ。つまり、研究会や何々委員会、審議会があろうとなかろうと、とれはお役人さんのいい面と悪い面、審議会というのはもう全部役所で用意されて、その後を、我々議員もそうでありますけれども、そこを追いかけていくというようなことがしょっちゅうあるのですが、しかし、人の命にかかわるような問題について、本当に専門性を持って、委員会が何を言おうがどこの学者が何を言おうが、安部さんが何を言おうが、刻一刻移り変わっていくエイズの研究の成果やあるいは危険性や、そして刻一刻打たなければならない手を打たなかった、そして二年間が経過して膨大な数の人たちが亡くなっていった。  私の部屋にも夫婦でおいでになりましたけれども、全く知らないうちに御主人がエイズになられて、奥さんもずっと知らなかったということで、まだ奥さんには発症していないようでありますけれども、そういうことすら起きていくわけであります。  特に薬務局は、もし専門家が足りないのなら、堂々と請求なさって人員をふやすべきだ。それから、仮に全くの行政マンとして専門家でない人があったにせよ、やはり自分はいつも国民の命を預かっているのだということをお忘れにならないで、刻一刻の対応を忘れてはならない、このように思うわけであります。  また阪神・淡路大震災の話をしますけれども、結局、こう言ってはなにですけれども、県も市も、被災地の行政マンが全部つぶれたのですね。そして、何をしていいのかわからなかったのです。それで、今になって危機管理だとかなんとか言っておるわけですが、もちろん中央政府においてもそうでした。だれが一番よくやったかというと、素人の人たちですね。ボランティアなどという人たちが実に見事に活躍するわけですね。これは、専門家が専門家なるゆえに、自分の専門性を超えたところの事象については対応できなかったというのが現実なんですね。  しかし、厚生省行政、特に薬務行政は、日々国民の命がかかっているということですね。そういう意味で、専門家であろうとなかろうと、刻一刻の責任を負って仕事をしていただかないと。今、住専で大蔵省が非常に評判が悪い。もう信用されてない。このエイズ問題では今度は厚生省か、こういうことになるのです。私は非常に残念ですね。  ですから、この際、きっちりと情報公開もしていただいて、正直に、厚生省当局としてあるいは薬務局当局として、こういう筋でやってきてどこで判断が追いつかなかったかとか、どこで、委員会エイズ研究班でもいい、小委員会でもいい、そことの間でどういうやりとりがあって結局行政に生かせなかったのかというふうな、そういう年代順の一覧表をつくっていただいて、この際徹底してこの問題については全部さらけ出していただけませんでしょうか。  そうしないと、私たちは膨大な資料を見ながら、結局、厚生省とは一体何なんだ、薬務局というのは一体何なんだ、専門家集団ではなかったのかということを、私たち自身にも、私自身にも疑念を起こさせるような事態ではなかろうかと思います。  最後に、どうぞ厚生大臣、日々刻々の命を預かる大臣、これからのエイズ関連の問題についてどういうふうになさろうとしているのか、お答えいただきたいと思います。
  409. 菅直人

    菅国務大臣 今、土肥さんから、阪神・淡路の震災のことも引かれました。私も、今回の問題、いろいろ考えてみますと、ある意味ではこの副作用問題、特に非常に厳しい副作用問題というのは、危機管理ということにまさにふさわしいというか、そういう観点がやはり必要だったのではないだろうか。  この間の、きょうの御議論の中でも、ある時期までは危ないといいながら、客観的に見ればエイズの情報というのはどんどん積み重なって、よりはっきりしてくるにもかかわらず、途中でこの研究班も終わっていて、さらに間を置いてまた今度は別の形になったりして、いわゆる危機がどんどん迫ってきている、あるいは危機の状況にあるという認識で対応したという感じが見られないわけです。  そういう点では、副作用、特にこの重篤な副作用の場合は、その医薬品の回収なども含めて、あるいは転換なども含めて、あるいは場合によっては緊急輸入なども含めて、まさに危機管理的な対応が必要だったのであろう、ではなかったのか。そういう点では、今後の副作用という問題においてもそういった観点をぜひ踏まえていきたいと思っております。  また同時に、今回の問題は、先ほど来申し上げておりますように、厚生省自身としても、できる限り事実関係を解明して、それを公開して、皆さんの中での議論にも供したいと思っておりますが、厚生省という行政の立場だけでは十分な、すべてがそこで解明されるということではない分野もあるいはあり得ると思いますので、そういう点は国会あるいは他の機関において、それぞれの機能の中でやっていただければと、そのこともあわせて申し上げておきたいと思います。
  410. 土肥隆一

    土肥委員 終わります。
  411. 和田貞夫

    和田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時三十二分散会