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1996-03-15 第136回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年三月十五日(金曜日)     午前十時三分開議 出席委員   委員長 簗瀬  進君    理事 荒井 広幸君 理事 熊代 昭彦君    理事 斎藤 文昭君 理事 横光 克彦君       川崎 二郎君    久野統一郎君       栗原 博久君    島村 宜伸君       鈴木 俊一君    額賀福志郎君       萩山 教嚴君    穂積 良行君       左近 正男君    松本  龍君       東中 光雄君  出席国務大臣         自 治 大 臣 倉田 寛之君  出席政府委員         自治省行政局選         挙部長     谷合 靖夫君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第二課長   栗本 英雄君         外務大臣官房領         事移住部領事移         住政策課長   蒲原 正義君         自治大臣官房審         議官      井戸 敏三君         自治省行政局選         挙部選挙課長  大竹 邦実君         自治省行政局選         挙部管理課長  山本信一郎君         自治省行政局選         挙部政治資金課         長       鈴木 良一君         会計検査院事務         総局第一局大蔵         検査課長    阿部  哲君         特別委員会第二         調査室長    田中 宗孝君     ――――――――――――― 委員の異動 三月十五日  辞任         補欠選任   桜井  新君     栗原 博久君 同日  辞任         補欠選任   栗原 博久君     桜井  新君     ――――――――――――― 二月二十二日  寝たきり老人選挙権行使の保障に関する陳情  書外一件  (第一二〇号)  定住外国人に対する地方選挙への参政権の確立  に関する陳情書外十六件  (第一二一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公職選挙法改正に関する件      ――――◇―――――
  2. 簗瀬進

    簗瀬委員長 これより会議を開きます。  開会に先立ち、新進党所属委員事務局をして御出席を要請いたさせましたが、出席が得られません。  再度理事をして新進党皆さんの御出席を要請いたさせますので、しばらくの間お待ちいただきたいと思います。  速記をとめてください。     〔速記中止
  3. 簗瀬進

    簗瀬委員長 速記を起こしてください。  再度御出席を要請いたさせましたが、新進党所属委員出席が得られません。やむを得ないところでありますけれども、議事を進めたいと思います。  公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。荒井広幸君。
  4. 荒井広幸

    荒井(広)委員 大臣初め皆様、おはようございます。雨模様ではありますけれども、朝の時間というのは非常にすがすがしいものでございますが、新進党さんが御出席をいただけないということは、涙雨のような気がしてまことに残念でなりません。  それでは、こういうふうに雨の中で落ちついた感じですが、九段宿舎のところでも春を思わせるような、桜はまだですけれども、そろそろそんな息吹が感じられてまいります。また、新しい選挙制度選挙が行われるということでございまして、今までは選挙制度導入に伴ういろいろな考え方、ある意味では対立ということもあったわけですが、一面、落ちついてきたように思います。  そういう中で、さて、今度はどんな選挙制度かなということで、自分自身、どのような選挙運動方法、これは選挙期間に限ってでございますが、どんな運動が許されているのかな、行えるのかなということを静かに考えて、自分に当てはめてみました。そうしたところが、おやおや、これはこれは、新しい選挙制度理念と、そして自分は勝ちたいという気持ちがどうしてもつきまといます。許された中で、その枠いっぱいに使って選挙戦略上勝つようにしていきたい。そうなると、これは随分と理念とは違った方に進むのではないかというおそれを抱きました。私自身、一度衆議院選挙落選をいたしておりますので、ある意味においては選挙に対して何とか勝ちたいという気持ちが正直言ってうんと強いわけです。これは大臣にはよく御理解いただけると思うのですが。  そうなりますと、今度の新しい選挙制度理念の中で、政党本位、そして国民皆様方政策選択肢を御提供し、そして選ばれた国会議員政党政治のもとで国会の場を議論で活性化していく、その姿勢や姿や、とりわけ政策によって国民皆さんは、場合によっては批判もあるかもしれませんが、国権の最高機関としての国会に、そして政党に、議員権威を感じ、そして世の中が治まっていく。こうした民主主義最低の根幹をもう一度、過去のさまざまな反省に立って改めていこう、国会権威を取り戻そう、国民との距離を縮めて、議論で、政策で国と世界に貢献していこうではないか、こういう理念であったはずでございます。  しかし、私自身選挙が近づくにつれて、任期満了も近づくにつれて、そうは言いながら、落選していた経験もあるので、何とか許された範囲選挙運動期間選挙戦略上有利に進めていきたい、そういう気持ちがある自分を、ある意味理念を追わなければならないけれども当選を求めてしまう、こういった点を自分自身反省をしながら、質問に立たさせていただいているわけでございます。  そうした中で、私の落選の中で、これは自分努力不足だから仕方ない、逆に言えば同じ選挙区のほかの先生方が立派で認められていたのだろう、こう思って、悔しさと同時にある意味でのあきらめもありましたが、もし選挙制度自体が、時間的、物理的、金銭的にある程度本当平等性という、本当と言うとちょっと大げさなのですが、使いようによってどうにでもなるというのではなくて、本当に限られた中で選挙を戦っていくということでなければ、落選した場合に悔いが残って仕方がありません。候補者議員として決定するその土俵が、それぞれの政党個人戦略上のやり方に応じてゆがめられてしまう。ゆがめても何ら問題がない、最初から不平等な競争を強いられる、こういう制度であっては、これは悔いどころか訴訟ということまで起こるのではないかと私は思うわけです。  そこで、今度の選挙制度をもう一度読み直してみますと、私自身は基本的な認識としては次の四点を挙げたいと思っているわけです。  一つは、ただいま申し上げましたように、選挙運動は、時間的、物理的あるいは金銭的なものでいうと、全員に平等に保障されなければならない、これは政党についても個人についてもという意味であります。相撲に例えるならば、その土俵が公平でなければならない、こういうことでございますから、公平性担保の上で初めて、議員の、政党の、そして国会権威が守られていくということだと思います。  二つ目は、残念ながら過去にさまざまなスキャンダルがありました。お金のかかる選挙というものに集約されるように、どうしても日常の生活も政治活動が、政治資金を集めなければならない。それは一点、当選するというところに使われていく。そこに選挙違反が出たり、あるいは日常の中で汚職が生まれたりという構造的な問題。それは、本来は人間理性の強さによって克服されるべきであり、克服できる人が政治家たるべきだろうとは思いますが、残念ながらそうしたことが、人間の弱さとでも申しましょうか、そういったところからなかなかできない。そうなれば、制度的なものに頼るというのはいささか残念な話ではありますが、制度的な問題を指摘し、それを改めていく以外にない。  それから三番目は、やはりこれだけ政治に対する信頼が薄らいでいる。もう一方で、非常に速いテンポで、そして世界的な規模で関連しながら世の中が動いていく、社会経済が動いていく。政治はそれに十分に対応できる機能を持ち合わせているのか、対応できるだけの新しい仕組みになっているのだろうかということを考えますと、政党中心による政策によって、この速いテンポで、しかも目まぐるしく変わる世界と国内のさまざまな案件に対応していく必要がある。それは一点、政策で解決をしていくしかない、こういったことで政党による政策中心選挙ということを考えたわけでございます。  また同時に、政治に期待は持てないという声があります。これは世界的な潮流でもあります。アメリカの大統領選挙の現在の選挙戦、共和党の予備選を見てもそうですが、なかなか投票率が上がっていない。国民皆様方の心は一体どこにあるのか、こういうようなことを考えますと、やはり国民皆様方の、批判であろうと賛意であろうとあるいは御意見であろうと、十分に声を吸収していく、そしてこちらもまたそれに対して政策としてお訴えをしていく、そしてその選択肢の中から、国民の声を大切にして集約した形で国会一つ政策決断をしてまいる、こういうことでなければ信頼がとれない。信頼がとれるということは、投票率が上がるということでございます。つまり、今回はいかにして政治離れを食いとめるかということも非常に大きな問題としてあったわけです。  この公平性担保、金のかからない選挙政党による政策中心選挙投票率を上げていくための選挙、こういうようなことを基本認識として、必要性として私は理解をしている次第でございます。  さて、そういった中で、私自身の例で甚だ恐縮でございまして、他の先生方にそれが当てはまるわけではありませんが、お恥ずかしい話ですが、私自身の考えに照らしてまいりますと、今言いましたような中で、公平性というのは選挙制度そのものですから別にいたしまして、特に政党本位党営選挙理念ということを考えながら、金のかからないように政策中心でお訴え申し上げていく、そういう中で国民皆さん政治に関心を持ち、信頼を持ち、投票率も上がっていく。しかし、そうした新しい選挙制度理念と許された選挙運動期間選挙運動方法を、選挙戦略上勝たなければならないという気持ちの中で、許された範囲でこれをフルに生かしていこう、こうなりますと、その二つバランスで非常に問題点が出てくるということを後ほど御指摘させていただきたいと思うわけです。  そして、二つ目は、今回党の政策あるいは候補者の政見なり人柄ということも十分に理解をしていただかなければならないわけです。しかし、そうした最低選挙運動方法によって、数量によってですが、政策や、ある意味政党人格候補者人格、こういったことをどれぐらい有権者の方々に周知できるのかということをもっと検討していかないと、この理念選挙戦略上のバランスが崩れていくのではないか。  二つ目費用の問題です。  小選挙選挙、これは候補者個人に認められておりますが、この場合は法定選挙費用が定められているわけです。しかし、届け出政党は、今度は県と比例区といったところに活動が認められるわけでございますので、そこに新たな裏費用とも言うべき費用候補者個人に求められても何ら問題がない。法定選挙費用と別な選挙費用がかかることが認められていますから、法定選挙費用というのはどういう意味なのだろうというような問題点、それから公営の範囲をどこまでにしたらいいのかという検討、これによっての費用の問題が大きく指摘できると私は思います。  さらに、候補者本人、小選挙届け出政党、そして比例届け出政党の垣根を越えて複合的選挙運動ができるために、ある小選挙区をとりますと、これは複数にわたりますが、そしてそのおそれはますます。あるわけでございますが、ある小選挙区の候補に著しい不平等な選挙運動を強いる、選挙活動を強いることになる。つまり、小選挙立候補者間に不公平が存在する。この問題点指摘させていただきます。  それから、小選挙候補者比例名簿重複立候補が認められておりますので、純粋比例重複立候補者の関係をいま一度整理し直しませんと、私が申し上げました今回の選挙運動方法の四つの原則が非常にゆがめられてしまう。ゆがめられた中で選挙を戦ってきて勝ち負けが決まる。これは、信用権威というものを考えた選挙制度あり方としては、まさにその信用権威というものを汚すおそれがある制度になっているのではないかということを私は御指摘させていただいて、各論に移らせていただきたいと思います。  新進党さんは、小沢党首解散すべきであるという言葉を言っておられますが、解散をする前に、この特別委員会理事会でも、選挙制度はいろいろ問題意識は違うけれども幾つかの点で選挙の前に改正をしておかないとお金がかかり過ぎますね、こういう話にもなっておったわけでございます。そういう意味では、政局に左右されず粛々とこの場で議論与野党合意のもとで進められていくべきでありますが、委員長初め理事の方からの呼びかけにもかかわらず本席に新進党が欠席をされているということは、解散を言っている政党にしては極めて無責任きわまりないものであるということを言わざるを得ません。  この選挙制度問題点、それぞれの先生方問題意識を持っておられます、何をどうするかについては議論があるところではございますが。選挙運動方法について私は言っているわけでございまして、選挙制度自体ではございませんのでお間違いのないようにお願いしたいと思います。そういう認識の中で、やはり新進党さんはこの席に出ていただいて議論をしていただくべきであるし、また、この制度問題点が払拭されない限りにおいては衆議院解散現実論として行うべきでない、こう私は申し上げておきたいと思います。  例えば、それを言う根拠は何でしょうか。大臣、こういうふうに私は考えておるんです。小選挙選挙候補者本人については、先ほど申し上げましたが、法定選挙費用が定められているんです。ところが、今回の選挙制度では、候補者届け出政党という、言ってみれば県単位にございます、それから比例名簿を届け出た政党にございます、この二つには選挙費用というのは認められていないわけでございます。  そうなりますと、与えられた範囲の中でどういうぎりぎりの活動が許されるかというと、例えば、私自身が小選挙区に出ていて、県でも届け出政党による選挙活動は許されているわけですから、そして比例区に重複立候補しますと、これは小選挙区の候補者荒井さんの活動の分ですよ。チラシなりビラなり、これは認めましょう、お使いください。しかし、その費用については、我が党としても負担し切れないので、あなたが必要であればあなたが党に活動費を提供して、それは党が印刷すればいいわけですから、党が発行することになるわけですから、結局、個人の私あるいは小選挙支部あるいは後援会、こういったところが政党お金を捻出するということは可能なんです。  そうすると、個人の小選挙区での選挙運動には法定選挙費用が認められながら、比例区のビラというものを私の選挙区にも配らせてください、ではその分については自己負担してくださいよ、こう言われた場合に、自己負担あり方はいろいろですけれども、そこに合法的に費用をつくることが認められるということになりますと、実質的には、裏費用と言うとちょっとおかしいのですが、表費用なのですが、法定選挙費用ということに対して言えば裏費用的なお金がかかる可能性が存在するということなのです。  いやいや、それは政党良識の問題だ、個人に与えているのではない、政党に与えている活動だからそれは政党の問題だと言えばまさにそれはそうなんです。しかし、内容的に制限がありませんから、自分選挙区に有利に展開したい、それがひいては政党のため、こういうことになるわけでございますので、これは与えられた選挙運動範囲でどんどんとお金がつぎ込まれる道をあけている。これは、金のかからない選挙の実現という今回の政治改革理念に大きく反するものではないかと御指摘をさせていただきたいと思います。  この点についての御見解自治省の方でお願いします。
  5. 倉田寛之

    倉田国務大臣 荒井委員指摘になりました新しい制度におきましては、政党が、候補者届け出主体として、あるいは名簿届け出主体として選挙運動を行いまして、政策を十分訴えることができるようにしているわけでございます。それに伴いまして、その費用を負担することも当然予定をされているところであります。この費用の中には、これまで確認団体として行っていた政治活動費用選挙運動費用として振りかわるものも多いと思いますし、政党には費用制限が設けられていないとしても、選挙運動方法あるいは数量などには規制が設けられておるところでございます。  御指摘のように、政党であれば選挙に幾らでも金をかけていいということにはならないというふうに思います。このことは政党選挙運動あり方そのものとも密接に関連をいたしておりますので、各党間でも十分御論議をいただきたいというふうに存じます。  なおまた、政党が負担すべき選挙運動費用を実質的に候補者個人が負担することになるのではないか、こういう御指摘につきましては、基本的には各政党党内運営の問題ではないか、こういうふうに考えておるところでございます。
  6. 荒井広幸

    荒井(広)委員 ありがとうございました。非常に含蓄のある御答弁をいただきましたが、まさに私も大臣と同じ趣旨でございます。  それは、いわゆる党運営政党政治を体現するための選挙運動であるということを私たち自身が十分に、それは五百十一人あるいは国会議員全員認識をしての政治改革の一環としての選挙制度改革だったと思います。しかし、実態的には、私が先ほど申し上げましたような問題点をどうしても指摘せざるを得ません。例えば、御答弁にございましたが、確認団体選挙運動の方に移行したというような形を想定しての限度というものも考えておったということですね、活動範囲。しかし、確認団体の場合には個人連呼はできなかったはずなんです。確認団体連呼はできました。しかし今回は、名簿届け出政党比例名簿届け出政党、ともに個人名を、その中の候補者の一人でありますから連呼することは可能でございます。あるいはビラポスターで表現することは可能なんでございます。  またこの議論は後ほどさせていただきますが、選挙運動についてちょっと話を飛ばしていただいた方がいいわけです。例えば、これは委員皆様方もそれぞれ御検討されていると思うのですが、こういうふうに今回は選挙ビラというものがあるわけです。大きさは、最大限はありますが、小さくははがきにまでなります。これは郵送まで可能なんですね。  例えば比例区の場合を考えてみますと、仮にこうしてこの大きさにチラシをつくったとします。比例区に立候補する方々政党良識で、十人いれば十人同じ顔の大きさで並べたとします。そして、党首は大きい顔で我が党への御支持をお願いする。党首は大きく。そして十人のうちのお一人だけ倍ぐらいの大きさで、党首比例区を代表する形で議論をするということになりますと、普通の候補者の方よりは、例えば倍の大きさの顔にするんです、その場合。そして、党首議論をする。それはだれが見ましても、あるいは考えようによっては政党ビラです。裏を返せば政党政策しかありません。しかし、表を見ますと、見方によりましては党首議論をされている特定の方が非常に浮かび上がってくる、こういうことです。そこに郵送で集中的に送るということが可能になってまいるわけです。  そうしますと、その小選挙区で、もう一方の人はそのような選挙運動方法をとらないとすれば、極めて不平等な戦いを余儀なくされる。そうなれば、私も、我が政党もということになってくるわけです。そうするとそこに、選挙ビラの場合、比例代表の場合は全く枚数制限がございませんから、一枚よりは十枚、十枚よりは百枚、百枚よりは千枚、こういうようなことになって、青天井にお金がふえていく。  しかも、政党助成金をもらっていますけれども、政党助成金範囲ではとてもできない。通常の政党資金量ではできないので、各立候補される先生方の法的な政治団体あるいは支部団体においてそのお金を捻出すればそれだけの数量は割り振りますよ、こういうことになってまいりましたときに、これはもうどこまでもお金がかかっていくわけでございます。しかも、小選挙区の候補者間に大変な不平等が出るわけです。  また、別な話を言わせていただきたいと思いますが、数多く小選挙区に立てて重複立候補を仮にさせた政党、あるいは比例を純粋で多く立てた政党、それは目いっぱい立てるわけですね、比例の場合は。しかし、五人とか六人しか立てない政党もあるはずなのです。東北の場合は十六名が並びます。五人しか立てない政党は五名しか並びません。その場合には、その五名しか並ばない政党と十六人並んだ政党のだれかがぶつかっているのです、そういうケースがある。そのチラシがまかれてきたら、見た人は、十六分の一を探すのと五分の一を探すのでは、少なくともこれは、マーケット戦略上でいったらキャッチアイ戦略と言うのです。目にとまる方が商品を買っていただくためには非常に重要だ、こういうような判断が成り立ちますから、既にそこに問題点が存在するのではないかということを私は指摘をさせていただきたいのです。  つまり、合法的な話で、ある一定の選挙区で十六分の一の候補者と五分の一の候補者がぶつかった選挙区では極めて不平等な集中攻撃を受けるし、それから場合によっては、実は比例区を我が党としては戦略上重視をしているから、小選挙区の候補者当選の見込みは非常に難しい、ならば、ある一人にだけ集中しようではないか、その県の中で、ブロックの中で一人の方だけに集中してこの人を最後にはいよっと押そうじゃないか、 こういうことになりますと集中配布ができるわけです。こういうようなことになると、予想できませんが、どこの選挙区のどことは私は申し上げることはできないのですが、選挙戦略上によってはそういう集中配布が可能になってくる。  しかも、今度は郵送が可能でございますから、郵送はがきとは別に法定チラシまでが、これがはがきサイズも可能でございまして、証紙を張ればいいわけですから、ビラはがきになります。この制限がなければ、六十円掛けるさてどれぐらいお金がかかるだろう、こう考えたときに、とてつもなく金がかかって、日常政治活動自体にまで選挙を想定した資金集め政党候補者理性を超えて走らざるを得なくなるという、政党候補者の弱さを私はここで指摘をしなければならないと思うのでございます。これは私だけであれば幸いでございますが、もしかしたら共通の思いかもしれません。  ならば、この選挙土俵というのは極めて限定していくべきではないか。選挙運動方法において、数量、物量的な、時間的な問題については極めて限定すべきではないか、そこは平等に戦えるようにするべきではないか。小選挙区の候補者候補者届け出政党、これは県単位、そして比例届け出政党、まさにこの三つバランスを考えていかなければならない。  そういう意味で、説明の仕方としてお答えが難しかろうと思いますので、一つはそういう問題点をどう考えられるか。それから二つ目は、衆議院名簿届け出政党等ポスタービラについては、重複立候補者をほかの候補者よりある程度大きく取り扱う。そして、渡りの範囲内ではそれは可能なのです、今言った三つの分類にわたることが可能である。特に比例の場合は可能であり、今申し上げたような問題点がそこから発生する。こういうことでございますが、御見解をちょうだいしたいと思います。
  7. 谷合靖夫

    谷合政府委員 お答えを申し上げます。  基本的に、今回の選挙運動考え方でございますが、従来の制度が、いわゆる選挙運動候補者個人中心になってやっておった。そして、政党との関係で申し上げますと、それはあくまでも選挙運動主体ではなくて、それを支援する、一定の候補者数がある場合は、二十五人以上でございましたが、いわゆる確認団体、それでいわばその所属候補者の支援活動をする、そういう政治活動の中で選挙運動もできる、その中の政治活動の種類が、確認団体についても選挙期間中は一定の制限をされていた、こういう組み立てになっておったわけでございます。これがいわゆる選挙運動主体として届け出を行いますので、選挙運動主体として正面から選挙運動を行うことができるということになったわけでございますので、おのずとその性格は、候補者の個々人の積み上げた選挙運動で想定されるのではなくて、いわゆる届け出主体としての政党そのものの選挙運動という形で位置づけが行われている、こういうことが基本的な建前になっておるわけでございます。  そこで、個々具体のお話がございましたが、例えば比例代表選挙においては、いわゆるビラ重複立候補者の記載ができるではないか、こういうお話でございますが、いわゆる比例代表選挙における政党ビラ枚数制限がございませんが、種類の制限確認団体と同じように設けておりますので、例えば組み合わせを幾通りも考えるというわけにはいきませんから、その種類の範囲の中での組み合わせが可能である、こういうことが前提になるわけでございます。ただ、御指摘のように、枚数制限はございません。それについては数の面での規制はない。  それから、内容でございますけれども、これは比例代表選挙運動を内容とする限りは、それは原則として内容は自由でございますから、重複立候補者も少なくとも比例代表名簿登載者であるということでございますので、その内容自体がまさにその重複立候補者のための、つまり小選挙区の選挙運動に重点的に使われるというような内容でない限り、つまり先生が御指摘になりましたような渡りという、比例代表選挙運動の一環として重複立候補者の記載をされるという形であれば、これは差し支えない、そういう形になっておるわけでございます。  ただ、そういうことで政党自体の選挙運動、これは小選挙区の場合と比例代表の場合とそれぞれができるという形になっておりますし、これは少なくとも個人間の平等という問題よりも、政党そのものに対して与えられた選挙運動ということ、しかも、淵源的には確認団体政治活動手段というものをベースに組み立てられておりますので、そうした点については、純粋に個人間の平等と同じ考え方政党選挙運動を見るということについては、やはり難しい問題があるのではないかというふうに考えております。
  8. 荒井広幸

    荒井(広)委員 最後の難しさというところだと思うのです。私自身は、時間的、物理的、金銭的にある程度の枠の中が保障されて、極力小選挙区で不利益を受けないような、そういう選挙区をふやすといいますか、そういう想定をしづらくするといいますか、そういうようなたがをはめていく必要があるのではないか、これを御提案させていただいているわけです。  しかし、問われるべきは実は中身であります。選挙運動を通じて問うのは政策であります。そして政見と候補者人格であります。あるいは経歴、いろいろなことがあると思います。その内容において判断されるべきが今回の選挙制度の改革の一つの大きな趣旨でございますから、それが物理的なものによって有権者の皆様方の判断を誤らせるということは、選挙運動方法としては、まして選挙運動期間、この方法としては極めて望ましくない、こういうことを私自身は次回にも、大臣のお言葉をいただきましたが、各党とも詰めまして、もちろん政府提案ではございましたけれども、場合によっては議員立法、できましたら政府提案、与野党合意のもとでやっていくというようなことも考えられると思います。こういった議論にのせてまいりたいと思います。  さて、もう一点具体的な例で申し上げたいと思います。これは政見放送でございます。まさに今申し上げたところを極めて端的にあらわしております。  時間がありませんので、無所属候補者には政見放送を認めないということの経緯につきましては今回は御確認をする作業にとどめさせていただきまして、候補者届け出政党の放送について、例えば政党に平等にという精神で割り振っております。今回は無所属候補にはございません。政党に政見放送がゆだねられます。比例にもゆだねられております。まず、届け出政党、これは都道府県とお考えいただければわかりやすいわけでございますが、ここに絞ってお話をさせていただきますと、五人区まで、そして十人区まで、それによって放送回数が変わっていく仕組みでございました。  そこで、五人区まででお話をさせていただきますと、定数が五人の県では候補者全員候補する場合には一回のテレビ放送は九分でございます。政党政治、政見放送を含めて内容は政党良識に任され、政党政治の本旨に照らしてやるべきが本来でございますが、候補者個人が出て何ら差し支えございません。場合によっては、一人しか立てない政党がありますと、一人から五人までも同じく九分が回数も同じく割り振られるわけでございます。そうなりますと、予想されますのは、五人立つところの県の政党は、少なくとも、党首が出る出ないは別として、一人当たり平等に割り振ろうではないか、こういうことになりますと、一人当たり九分割る五人分、こういうことになりまして、約二分はない、こういうことでございます。  しかし、一人しか立たない政党では九分丸々お一人の方が出ずっぱりになるのですね。しかし、そこでその方だけが宣伝をする、意見を言うということは、私は、自由民主党はましてそういうことはあり得ません、ほかの政党もないと期待をいたしますが、少なくともその政党を、政策を紹介する案内役という登場の仕方はできるわけです、九分間。我が党はこう考えております、そして最後に、私自身候補者ですからよろしくお願いします、こういうことも言える。  そうなってまいりましたときに、残念ながら今のテレビコマーシャルは、十五秒、二十秒の世界でいわゆる自分の製品を選別、選択させて認知して買っていただくかどうかにしのぎを削っております。時間があればそれは広告料がかかるということもありますが、やはりある程度時間が短くても売れるという戦略ももちろんあります。長ければいいということではないということも言えます。しかし、一般的に言いますと、時間が長ければ長いほど、国民皆様、有権者の皆様方に見ていただける機会は非常に多いわけです。  例えば、朝の時間に放送になったとします。歯磨きをして、そしてガラガラとうがいをしている間に、テレビを見ていなかった。二分しか分け与えていただいていない政党のだれかのところは見逃すということがあるのです。ところが、ガラガラと言ってうがいをして、そしてタオルで顔をふいて、見たならば、九分の政党はまだやっているのですね、その方が。こうなったときに、これは選挙運動としては、土俵としては公平性を著しく欠いている、極めて不平等である。これは法律として想定している、していないということよりも、認められた範囲で起こり得る実戦の選挙なのです。これに国民皆様は戸惑うと思います。  こういうことで、政見放送について、一人当たりの時間格差が大きくなるという選挙区が複数出てまいります。この点について、自治省として見直すという、これは自治省にお聞きするというのは非常につらい、皆さんに対しても申しわけないところでございますが、見直すお考えはないものか、お聞かせをいただきたいと思います。
  9. 谷合靖夫

    谷合政府委員 政見放送についての御指摘でございますが、この政党による政見放送も、先ほど申し上げましたようないわゆる政党の政見放送でございますから、基本的には参議院の比例代表選挙における政党の政見放送に準じまして、その回数というのも候補者の数に応じて回数を設けておる。ただ、単位が都道府県単位でございますから、先ほど申し上げましたように、五人、十人、十五人、十六人以上という四段階、これも参議院と同じでございます。そういう形で、数の多いところは回数が多くなるという形での政見放送の回数を割り振っておるのが現在の仕組みでございます。  だから、例示がございましたように、五人の都道府県でありますと、確かに五人の届け出候補者を有する政党と一人しか届け出をしない政党が存在をするということもあるいは考えられるわけでございますし、その場合、小選挙区における政党の政見放送についてはできる限り政党が、今までのようなスタジオ録画というような形ではなくて、自由な政見放送ができるというような観点から、いわゆる小選挙選挙における候補者届け出政党の政見放送につきましては各政党の録画の持ち込みも認めておる、こういう形になっておるわけでございます。  したがいまして、その内容をどうするかというのは基本的には政党にゆだねられておるわけでございますが、御指摘のように、小選挙区の届け出候補者の出演を中心とした政見放送ということになることもこれは予想されるわけでございます。  ただ、政見放送は、何遍も申し上げて恐縮でございますが、あくまでも政党選挙運動として政党の創意工夫により自由にその政策等を有権者に訴えること、いわば裁量を政党に相当ゆだねておるということになっておりますので、あくまでも候補者個々人の選挙運動をモザイク的に積み上げるようなことを想定した仕組みにはつくっていない、この点はひとつ御認識をいただきたいと思うわけでございます。  したがいまして、御指摘のように、そういう小選挙区の候補者だけが出演をするという放送が行われたということになれば、結果的には政見放送の総時間数を届け出候補者数で割り返した一人当たりの時間数で見れば、確かに一人と五人という場合における均衡というのは欠けるということになるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、政党の政見放送というのは、その中身については政党にゆだねたい、できる限り自由にしたいということで組み立てられておる、こういうような一つ考え方も御理解をいただきたいというふうに考えております。
  10. 荒井広幸

    荒井(広)委員 これは私たち自由民主党が随分議論をしてきて、それが反映された一つ選挙運動方法でもあるということも認識をいたしております。また、政治改革の中で、この選挙制度改革が長い時間議論されましたが、その中で、大臣御記憶にあられると思いますが、ほとんど戸別訪問が重点的でございまして、こうした各論の選挙運動方法については実は二時間から三時間程度しか衆議院の場合議論されていないという、これは調査室調べによる筆記からの字数割り当てからの時間的な計算ですがあります。こういうところは、委員長、私は、自治省の問題というよりは各政党個人を含めた政党の問題でございますので、大いにこれからも議論をさせていただいて見直しをして、そしてお金のかからない平等な選挙、こういうことをぜひ実現をしていくように御尽力を賜りたいと思っておる次第でございます。また引き続き、これについては煮詰めて議論をさせていただきます。  最後に、時間がやってまいりましたので、私は官官接待とは言わぬ、官民接待と言うとちょっとおかしいのですが、首長さんのいわゆる日ごろの活動について申し上げて、御見解をちょっと承りたいのです。  といいますのは、今度の国の小選挙比例代表制というものによって、各地方自治団体の選挙制度も影響を受けていく部分もあるし、変えていかなくちゃならない部分も当然あるわけですね。また、法律に影響を受けるところもあります。  例えば、県知事さん、町長さん、村長さん、市長さん、何々町長という名前じゃなくて、何の何がし町長といって花輪を出したり、こういうシーンが非常にあるのですね。こうなってまいりますと、それは、実は官費から出ているのだろうと思います。あるいは個人費用かもしれません。これは非常に難しいですね。県が功労者を表彰した。功労者の方に県知事名で、あるいは市町村長名で表彰状を手渡した。それは町の条例や県の条例に従ってです。その方が亡くなったので県民を代表してお弔いをさせていただきたい、そうなったときに、何々県知事、こう出す方もいるかもしれません。例えばある町の町長、人によっては何のだれがしある町の町長、こういうふうなことになるわけですね。これは完全に小選挙制度下になって仮にくらがえをしようということになった場合には、極めてこれも不平等な状況になります。  これは時間がありませんので、委員長、後日の特別委員会までに資料請求をさせていただきたいと思いますが、各都道府県、市町村長、こういったところでそのような範囲みたいなものに基準を設けておられるのか。どういうものに花輪や、あるいは一時金や見舞金みたいなものを含めてですが、そういった範囲でやっておられるのかということを、可能な限りで結構ですので、御調査をいただきたいということをお願いしたいのですが、委員長いかがでございましょうか。
  11. 簗瀬進

    簗瀬委員長 委員長に対する御提案でございますので、これは追って理事会で協議をさせていただきます。
  12. 荒井広幸

    荒井(広)委員 はい、わかりました。じゃ、お願いいたします。  これは時間がなくなったので、大変失礼をお許しいただきたいと思うのですが、これも厳密には自治省としてもいろいろなお持ち合わせがあると思います、その判断材料というのは。ただ、官官接待が非常に言われていますね。どこまでがそういうものかという認識が、良識ある判断が実際市町村、自治体にまで徹底しているかな、ここをやはり私は考えておく必要があるというふうに思っておる次第でございます。  時間がなくなりました。最後に、私自身大臣に冒頭にお話をいただいておりましたので、もうそれで十分意を承りましたので、そこで、委員先生方を含めて各党で検討するべきことは、今選挙制度をもう一回見直したらどうだという議論がありますが、私は反対でございます。  といいますのは、選挙制度だけを取り上げれば、種々議論があったとおりだからです。しかし、この精神を生かすためには政党が大人にならなければならない、成熟化しなければならないということが一方であるというのは、今の議論のやりとりでもあったとおりでございます。  そこで、私は国会テレビを早急に導入していただきたい。国会テレビを見ることによって、ノーカットでございます。そして、場合によっては二十四時間放送しなければなりません。そうなれば、マスコミがどう言ったこう言ったなどということに国民は惑わされるのではなくて、あの判断はこの委員会のビデオをごらんいただきたい、あるいはこの日の委員会をごらんいただきたいと。こうすればマスコミはまさにコメンテーターで終わっていくわけです。そういうようなことで国会テレビを導入する、これはアメリカのC-SPANの例にあるような話です。  同時に、政党は、委員会で本会議でどういう意見を開陳したか議論をしたか、そして賛成したか反対したかということを通信簿をつけるわけです。そして、政党がそれを少なくとも全国に出す。あっ、うちのだれだれさんは一回も質問したことがない、あの問題については欠席した、なぜ欠席なんだ、こういうようなことを含めて、国民皆様方政党がそういう情報を提供する。こういうことによって、国民皆さんの目が、判断ができる研ぎ澄まされたものがあって、我々もそれで戦えなくなってくるわけです。そして、なぜ現職優先なんだ、こういう話が出てくる。今度は小選挙区で予備選をやって、国会テレビや通信簿によって国民皆さんがいい人を選ぼうということで政党が活性化してくるのです。  そして、新しい連立政権という時代を迎えたのですから、新しい憲政の常道のルールをつくる。例えば一つ、連立を組んだ第一党から党首を出すということだと私は思います。最大党から出す、こういうルールをつくる。それから、選挙の前にどことどこと可能性として組みますよ、政権協議をして組みますよということを明示してから選挙に臨む、こういうルールをつくっていく。  こういうことをいたしませんと、先ほどの小選挙制度選挙運動だけを幾ら我々がきちんとしょうと言っても、実は国民皆様方からは受け入れられない。今度の新しい選挙制度政党とそして憲政の常道という新しいルール。座り込みなんというのを認めている政党政治改革だと言っているのだから大笑いなんです、こんなことは。そういうようなことをしっかり踏まえていかないと、目的であった国民皆さんの敬意をいただくということにはつながらない。国民政治を離れていく、政治を離れた国は滅ぶ、こういうことでありますので、そういう一環としてこの選挙制度運動について御議論をさせていただいたわけでございます。  最後は意見開陳で申しわけございませんでしたが、自治大臣には今オウムを含めて大変御努力をいただいているわけでございまして、さらに頑張っていただきまして、この選挙運動方法につきましてもまたいろいろと御助力賜りますことをお願い申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  13. 簗瀬進

    簗瀬委員長 横光克彦君。
  14. 横光克彦

    ○横光委員 社民党の横光克彦でございます。  今荒井委員から、最後に非常に厳しい批判がございました。国民政治から離れていく、そのことによって国が滅びていく、そういった観点から私も話をつなげていきたい、このように思っております。  御案内のように、大変な国会情勢で、異常ともいう事態に陥っております。どのような理由があろうとも、論議の府であります国会の中で物理的抵抗で委員会室を封鎖してしまうという、この暴挙とも言える行動はどうしても許すことはできないと思います。また、国民の多くの方々も、今ピケ行動に対して非常に批判の声が高まりつつあるわけでございます。  また、そういった中でも国会見学、これがずっと続けられておる。大人の方はもちろんでありますが、私が非常に心配しておりますのは、小学生、中学生、高校生、いわゆる青少年に与える影響でございます。やはり国会見学に来る前には、それなりに国会の勉強をして来ると思うのですね。また、先生からも教えられて来るでしょう。その子供たちのお父さんやお母さんが選んだ、そして日本の国権の最高機関であると、子供たちはこの国会に入る前に大変な尊敬の思いを持って見学に来られると私は思うのです。  そういった中で、きょうのある新聞にも出ておりましたが、座り込んで新聞を広げている向こうを子供たちが通り過ぎている。そしてその姿を見て笑っているのですね。そういった姿、あるいはそういった尊敬の思いで来たところが、国会の廊下に国会議員が座り込んでいる姿を目の当たりにしたときのこの衝撃、ショック、またテレビ等で毎日そういった姿が放映されている。また国会議員にあるまじき暴言あるいは小競り合いで非常に見苦しい姿が放映されている。子供たちの第一印象というのは、これは子供に限らず、第一印象というのは非常に後々まで大きな影響を残す。そういった意味で、大変な損失だろうと私は思うのですね。  今こそ政治信頼を回復しなければいけないこの大切なときに、これからの投票権を有する子供たちが子供のときからああいった形で政治不信の芽がもう植えつけられている、こういった気がしてなりません。そういった思いで、何とかして一日も早く正常化してほしいと思うわけでございます。  私が国会に参りまして二年と八カ月がたちました。御案内のように、この二年と八カ月、本当に信じられないようなことが次から次へと起きまして、もうどんなことが起きても動じないぞという思いさえ抱くような状態になったわけですが、そういった中でまたこういった国会議員が座り込み行動をやるというような、信じられないというか、あってはならないような行動が続いているわけでございます。  それでなくても、今私たちの国は多くの大変な課題を抱えているわけですね。予算はもちろんでございますが、国際的にも国内的にも本当に多くの問題を抱えております。とりわけ、台湾海峡の問題あるいは薬害エイズの問題、NTTの問題、いろんな問題がある。そういった問題がありながら、一向にそういった課題に対処できないような状態が続いている。国益にとりまして大変大きな損失であろうと思っております。また、きのうはブラジルの大統領がお見えの中でもピケを解除しなかった。国際的な信用失墜もこれから増大していくのではないかと危惧しております。  そういった中で、二年前の平成六年一月二十九日、大変な長い論議の末に政治改革関連四法案が成立いたしました。あれから二年有余になるわけでございますが、政治信頼を取り戻せたかどうか、そのことを考えますと本当にじくじたる思いがするわけでございます。しかし、その中でも連座制の強化、こういったことで少しずつそれが実施に移されておりますし、昨年の十二月七日の本委員会で、昨年の七月の参議院選の取り締まりの概略説明が警察庁の刑事局長からございました。そのときに、検挙総数が前回の同時期に比べて、件数が二一・九%減少している、そしてまた人員が約五二・七%減少している、こういったデータが出ておるのですね。これは連座制強化が施行された後でございます。私から言わせますとかなり大きい減少幅でございますが、このことに関しまして、九十日間の統計だそうでございますが、それなりに総括して、なぜこのような結果が出たのかということを恐らくいろいろ話し合われたと思 いますが、そのことをちょっと警察庁の方にお伺いいたします。
  15. 栗本英雄

    ○栗本説明員 お答えをいたします。  今委員指摘のように、昨年の当委員会で、昨年の参議院選挙の違反取り締まりの件数あるいは人員等について御報告申し上げたところでありますが、御指摘のように大変減少してございます。  この減少した理由についてのお尋ねでございますが、警察としては、明確な根拠となるような資料は持ち合わせてないところでございます。ただ、例えば今御指摘になられましたような連座制の拡大強化を初めといたします一連の公職選挙法の改正、こういうものの成果があるのではないかという見方も十分成り立ち得るというように考えております。
  16. 横光克彦

    ○横光委員 これは参議院選だけのデータを出していただいたのですが、昨年四月の統一地方選挙でも、数字はよろしいのですが、大体こういった傾向が出ているのでしょうか。
  17. 栗本英雄

    ○栗本説明員 その前に実施されました統一地方選挙の違反取り締まりにつきましても同様の傾向が出ております。
  18. 横光克彦

    ○横光委員 はっきりとした根拠はわからないということでございますが、やはりこれだけ大きいはっきりとしたデータが出たということは、連座制の拡大強化というのが非常に功を奏したのではないかと私は思っております。そういった意味で、腐敗政治あるいは腐敗選挙をなくしていくためには、何よりも大事なのは罰則の強化ではなかろうかなという思いがしているわけでございます。これからこういった委員会国民信頼を回復するために、苦しいわけですが、罰則の強化というものを論議し合っていかなければならない、このように感じております。  また、本年の一月八日、与党三党で確認されました「新しい政権に向けての三党政策合意」、これには、政治改革に関しまして、在外邦人の投票権の保障、そして政治資金収支報告書等の謄写、また腐敗防止のさらなる前進、これは今私申しましたが、それと定住外国人地方選挙権等について与党三党合意に明記されておるわけでございます。この三党合意は、橋本総理も本会議において、この新三党合意を尊重するという決意を述べられております。  そこで、まずこの新三党合意の尊重と着実な実行について、自治大臣としての御決意をお聞かせください。
  19. 倉田寛之

    倉田国務大臣 横光委員指摘にございましたように、三党の政策合意におきましては、一つとして政治改革を挙げまして、在外邦人の投票権、政治資金収支報告書等の謄写問題、腐敗防止のさらなる前進、定住外国人地方選挙権について言及していることは承知をいたしているところでございます。  政治改革は、幅の広い内容を持つものでございまして、これまでの改革にとどまることなく、さらに改革を引き続き推進していくことは重要な課題であるというふうに認識をいたしておるところでございます。与党三党においても、政策合意に基づきさらに協議を続けることとされているものと承知をしておりますが、このような協議の状況を踏まえまして、政府といたしましても的確に対処をしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  20. 横光克彦

    ○横光委員 どうもありがとうございました。どうかその強い決意のもとでこれからも頑張っていただきたいと思っております。  それでは、その新三党合意の中の政治改革に関しての問題でございますが、その中の一つであります今お話ございました在外邦人の投票権の保障、この件についてちょっとお伺いしたいのです。  憲法上、日本人である限り、また日本の国籍を有する限り投票の権利というものがあるわけでございます。また、日本人がどこに住んでいようとも、立候補するいわゆる被選挙権は何ら制約をされていない。いわゆる被選挙権は保障されていながらも、投票する権利がまだまだ保障されていないという実態なわけでございます。新三党合意には「在外邦人の投票権を保障するため、早急に改革案をまとめ、その実現を図る。」と書かれております。また、昨年十二月七日の本委員会における私の質問に対して、与党を代表して伊吹議員が、具体的実務、実行方式を鋭意外務省と自治省の間で詰めている段階にあり、いずれは全会派共同提案としたいと答弁をいただきました。それ以降の外務省、自治省、両省の検討結果をお聞かせください。
  21. 谷合靖夫

    谷合政府委員 在外選挙につきましては、御指摘のように、与党政治改革協議会におきまして検討が行われておるわけでございますが、これまでの検討の中では、対象とする選挙衆議院、参議院の比例代表選挙とする、それから投票方法は在外公館投票と郵便投票を併用することとする、こういうような具体的な方向が示されているというところでございます。  このことを踏まえまして、自治省といたしましても、どの程度の在外公館においてその投票を行うことが可能か、つまり在外公館の管轄する範囲の中でどの程度のところが直接在外公館で投票ができ、どの程度のところがやはり郵便投票というものに頼らなければいけないのか、こうした範囲の問題とか、それから今申し上げましたが、在外公館投票と郵便投票の組み合わせをどのように考えていったらいいのかというようなものについて、個々具体的な地域ごとの実態といいますか、そうしたものについて外務省から情報を寄せていただきまして、現在今のような問題について協議を進めている、こういう状況でございます。  いずれにせよ、在外選挙の実現に当たりましては選挙の公正の確保という問題が大事でございますし、そうしたことを念頭に置きつつ、かつ適正な運営、執行ということも必要でありますので、そうした課題を、いかに今のような在外公館投票、郵便投票というものを併用して実現し得るかというような方向で検討を進めているというのが現状でございます。
  22. 横光克彦

    ○横光委員 外務省の方。
  23. 蒲原正義

    ○蒲原説明員 お答えいたします。  現状の検討状況につきましては、今自治省の選挙部長からお答えしたとおりでございます。  基本的に、適正な選挙公平性という当然考えなきゃいかぬ分野を、外国ごとに特殊事情がございますので、その中でどう確保しながら実施していくかという点を今勉強させていただいております。
  24. 横光克彦

    ○横光委員 確かに、これは言うはやすく行うはかたしでしょう。非常に難しい問題を多々含んでいると思います。  しかし、これは政治改革与党協議会でも昨年の五月段階で両省に検討の指示を出している。そういったことから、いわゆる憲法に関する問題、人権に関する問題ですので、政府も八十四年、もう十年以上前に法案を提出しているわけですね。以来、十年以上もこの問題がなかなか進展を見ない。もちろん世情の変化、激しい変化もありましょう、いろいろな問題もありましょうが、やはりここはもうちょっと両省に私は頑張っていただきたいなという気がしてならないわけでございます。  確かに、大事なことは公平性を欠いてはいけない、これがまず第一前提でありましょう。そういった観点からすると非常に難しい面が出てくる。在外投票の場所あるいは投票方法、いろいろと難しい問題が出てくるかと思いますが、あれはやはり十年以上たっているのですからね。政府提案が出されたときに実現していれば、それから以後のいろいろな難問が出てきたとしても、そういった難しいことが出てきたからやめるというわけにはいかないわけで、結局やろうと思えばできないこともないという気がしているわけです。  在外邦人の人数の増加も激しく、把握するのも非常に難しい状況もありましょう。また、地理とか環境の実態ですね。投票、公館には行けなくても、郵便投票といっても郵便投票でさえちゃんと実施できるような状況でない国もあるわけで、いろいろ難しいということは私も重々わかっておりますが、何といいましても、国民の憲法上保障されております権利にかかわる問題でございますので、大変御苦労だと思いますが、自治省、外務省の皆様方のこれからの懸命な御努力をいただきたいと私は思っております。  この問題に関しまして、自治大臣のお考えをちょっとお聞かせください。
  25. 倉田寛之

    倉田国務大臣 委員指摘のように、三党の政策合意の中で「在外邦人の投票権を保障するため、早急に改革案をまとめ、その実現を図る。」こう明記をいたしておることは承知をいたしております。海外在留邦人の投票の機会の保障は大変重要な課題であるという認識をいたしておるところであります。選挙の公正確保、適正かつ円滑な執行という観点を踏まえてまいります中で、外務省を初めといたします関係省庁と鋭意協議を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  26. 横光克彦

    ○横光委員 何度も言うようですが、本当に難しい問題ではありますが、ぜひとも一歩でも前進するように御努力をお願いしたいと思います。  次に、政治資金収支報告書等の謄写の問題でございます。  現在も閲覧は認められているわけでございますが、このように激しい技術革新、また情報化の時代にコピーもできないということは、もう時代遅れも甚だしいのじゃないかという気がしてなりません。また、国民皆様方の知る権利あるいは透明性の確保、このことが今私たちの課題であります政治信頼を回復することにもつながるわけでございますので、このことでちょっとお聞きしたいと思います。  与党方針は、新制度における政治資金収支報告書等の量などの実態を見きわめてから実行するということになっておるわけですが、その見きわめる時期が三月末日、今月末で間もなく来るわけでございます。これは三月末にならないとどうしようもないというお答えになろうかと思いますが、実際どれぐらいの量になるか、そういうこともまだ予測はつきませんか。自治省の方。
  27. 谷合靖夫

    谷合政府委員 政治資金収支報告は三月三十一日ということで提出期限になっておりまして、これについてまだ、ちょうど提出がなされている最中でございますので、個々それぞれを分類したり内容の精査というところまできちんといっておりません。ですから、どの程度分量が多くなるかならないかというようなことを端的に申し上げるのは難しいと思いますが、いずれにせよ、寄附の公開基準が五万円超ということに引き下げられたことに伴う、そうした個別具体名の、要するに寄附者の名前が掲載される収支報告書が幾つかかなり大きな分量で出ているという話は聞いておりますが、総合的にどの程度ふえているかというようなことについての判断はまだできかねるような状況でございますので、御理解いただきたいと思います。
  28. 横光克彦

    ○横光委員 それはよくわかります。恐らく大変な量がふえることでしょう。しかし、そのことを推測して、もし三月末日で出て早急に調査をして、ある意味で大ざっぱな形での発表ができる、そういった体制を整えていただきたいわけですが、そういった時期的なものもまだ予測はつきませんか、いつごろ発表できるだろうということ。
  29. 谷合靖夫

    谷合政府委員 お答えを申し上げます。  このいわゆるコピー問題の一つの解決策ということになれば、これは与党協議会の中におきましてもいろいろ御検討をされている課題の一つとしてこれまでも論議が積み重ねられてきたわけでございますが、やはり、謄写方法を具体的にどうするかということのほかに、例えば予算の問題、それから人員の問題、それからスペースの問題というようなものについて、自治大臣所管分だけではなくて都道府県の選挙管理委員会の所管分もございますから、これらのものを都道府県の体制も含めて結論を出していかなければいけない、こういうことの御認識はいただいておるわけでございます。  それにつけても、具体的に六年分からの、新しい平成六年の改正に伴う寄附の公開基準の引き下げによる収支報告書の分量がどのように変化するか等を見きわめた上で、今申し上げましたような問題点について詰めていく必要があるだろうということでございますので、いわばそこの全体的な様子を自治大臣分、都道府県分を通じて把握し得るような段階でそこいらのところの見きわめができるだろうと思います。  ただ、その間においても、今後の具体的方法論なり人員のあり方なり、そういうような問題については当然その分量を待つまでもなくいろいろ研究はできるわけでございますので、引き続き私どもとしても検討は進めているという状況でございます。
  30. 横光克彦

    ○横光委員 どうかひとつよろしくお願いいたします。何といっても中央がまずそういった突破口を開いて、そうしてから各都道府県に波及するわけでございます。確かにいろいろな、先ほどの在外邦人の件と同じように難しい問題も抱えているわけでございますが、これもやはり国民の知る権利あるいは透明性確保、そういったことからも大事なことではなかろうか。  やはりこれは、この問題だけでなく、「もんじゅ」の件にしてもあるいは薬害エイズの件にしても、さらには今問題になっております住専処理問題にしても、そういったところ、情報開示というものが非常におろそかであったがためにこれだけ大きな問題に広がったという現実もあるわけでございますので、国民信頼をかち得るためにはやはりこの問題も大事ではなかろうかという気がいたしておりますが、この謄写の件に関しまして自治大臣のお考えをお聞かせください。
  31. 倉田寛之

    倉田国務大臣 収支報告書の謄写問題につきましては、本年一月の「新しい政権に向けての三党政策合意」におきましても、「与党政治改革協議会の結論を待って対処する。」こととされております。自治省といたしましても、与党政治改革協議会における御論議の動向を踏まえながら、謄写方法等実務的な諸課題につきましては検討を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  32. 横光克彦

    ○横光委員 どうもありがとうございました。  最後に、今荒井委員から、本当に微に入り細に入り選挙運動量の問題の指摘がございました。やはり、今回のこの運動量の、はがきあるいはビラの枚数あるいはその種類、こういった新しい選挙法ができたわけですが、自治省の意見を伺いながら、中選挙区時代の状況を把握してこのような数量になったんだと思いますが、やはりこれは、非常に多くの議員が感じているように、考えようによっては大変な金額がかかるわけですね。  やはり、政治改革の原点というのは、いかにして政治に金をかからないようにまたかけないようにするかというのが原点であろうと思うのです。やはりこれはどう見てもそれに逆行するような内容になっている。これは私たちまだ一回も新しい選挙制度で実施しているわけではないのですが、その前に、できるならばそういった本来の趣旨に逆行するような部分は激しい論議をして見直していくべきではないかという気が私はいたしております。  このビラの枚数の縮小、あるいは種類の制限をもっと厳しくするとか、そういったことは自治省としてはどのようにお考えですか、この問題は。
  33. 谷合靖夫

    谷合政府委員 お答えを申し上げます。  このたびの衆議院選挙制度改正につきましては、従来の個人中心選挙制度政党中心に改めるということにいたしたものでございますし、これに伴い、選挙運動についても政党中心的役割を持たせるような仕組みで組み立てられている、そのように大きく改められているということは御承知のとおりでございます。  それで、選挙運動の基本的な考え方といたしましては、これまで長期にわたる各党における御論議や国会における御論議等を踏まえつつ、参議院の比例代表選挙政党選挙でございますから、それにおける選挙運動や、それから政党が行っておりました確認団体としての政治活動、こうしたものを、確認団体政治活動として認められていた手段それから運動量等を参考として定められた、そのような経緯があるわけでございます。  もちろん、選挙運動あり方をどうするかということにつきましては、再三御指摘がありますように、選挙土俵づくりともいうべき問題でございます。現行制度について、御指摘の諸点を含めまして、各党各会派においていろいろ御意見があるということならば十分御論議をいただきたいと存じますし、その結果さらなる見直しが必要であるというような結論が出られているのであれば、これは政府としても尊重をしていくということになろうかというふうに考えております。
  34. 横光克彦

    ○横光委員 これは、一番の問題は、自分たちでつくったものですから自分たちで論議して、もし不備な点があるならば、先ほどの政見放送の件もそうでございますが、私は、そういったものをこれからこの委員会で取り上げて、新しい選挙制度が実施される前にこういった問題はクリアしていかなければならないのではないかと思っております。  このビラ郵送、配布方法は幾らでもあるわけですので、郵送にこれだけの枚数が許されるということは大変膨大な金額がかかる。私は、一つの意見として、この郵送を排除する、郵送をカットする、こういった意見を申しまして、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  35. 簗瀬進

    簗瀬委員長 新進党所属委員出席がいまだに得られません。やむを得ず議事を進めることとし、質疑を続行いたします。東中光雄君。
  36. 東中光雄

    ○東中委員 三月一日に予算委員会が、三月四日に採決を前提とした委員会開会が強行決定されて、総予算の審議がそういう形で異常な状態になっている。それに対抗する新進党の態度も極めて、物理的力を使うような状態がある。私たちは、こういう事態でもう二週間近くなっているわけですから、何としても審議を進めるということで、そこへ今集中しなければいかぬときだと思っています。そういう意味では、本委員会が開かれることには反対をいたしました。この段階で開く必要はないのじゃないかということで強く反対をいたしましたが、開かれた以上は、これはもう当然審議をするのが国会議員としての義務でもありますし職務でもあります。そういう立場で質問をさせていただきたいと思います。  最初にお伺いしたいのは、政党助成法が昨年から実施されました。政党助成法で、政党という政治活動の自由、結社の自由に基づいてつくられた市民の結社に対して国の税金を割り当て式で交付をする。政治資金はもともと国民政治参加の一形態として資金、浄財を出すという制度であることは、もう政治資金規正法の二条に書いてあります。そして、どの政党に献金をするか、どの政党にはしないかというのを決定するのは国民自身であります。それは、政治活動の自由と政治参加の権利からいって当然であります。私たちは、その本来あるべき政治資金という問題とは全く逆に国から出していくというのは、これは憲法上許されないという立場で反対をしておりますし、現に、これは施行されましたけれども、それは受け取らないという立場を貫いておるものであります。それにいたしましても、昨年から実施をされまして、平成七年分政党交付金が一応交付されました。それに対して政党側は、交付金の使途についての報告を三月末までにやるという事態になっております。  そこで、お伺いしたいのですが、二月五日の朝日新聞があるのですが、「税金でまかなう政党交付金 使途の範囲限定せよ」という横見出しの中で主張、解説がされています。どういうことを言っているかといいますと、ちょっと部分的に引きますと、「議員歳費しかない政治家が、豪邸になぜ住めるのか。政治献金を流用しなければできない話である。」という書き出しなのです。そして、細かいことはおきますが、「また、国税当局の税務調査政治資金の私的流用があったとして首相経験者を含む多数の政治家に課税処分が行われてきた。」とも書いています。「昨年から政治資金政党交付金が新たに加わった。税金で賄われる交付金が料亭での飲み食いに消えたり、自宅新築資金の一部やゴルフ会員権購入費などに流用されたりしたら、納税者は黙ってはいまい。国の唯一の税金のお日付役である会計検査院に厳格な検査を期待する国民が多いと思う。」こう書いてあります。  一年、交付金が出されました。国の金がもう動いておるわけであります。会計検査院、来ていただいていると思うのですが、会計検査院は、この政党への交付金について会計検査をどういうふうにやられますか。
  37. 阿部哲

    ○阿部会計検査院説明員 お答え申し上げます。  まず、会計検査院の検査の権限でございますが、会計検査院は、会計検査院法第二十三条第一項第三号の規定によりまして、国が直接または間接に補助金、助成金等の財政援助を与えているものの会計につきまして、必要と認めるときに検査できることになっております。したがいまして、国から政党に交付金が交付された場合におきましては、交付された政党の経理につきましても本院の検査対象になります。  それで、検査のやり方についてでございますが、本院といたしましては、まず、自治省、国におきまして支出の段階の経理の検査を行ってまいりたいと考えておりますが、この国、自治省の検査の結果に基づきまして、院法第二十三条第一項第三号の規定に基づき個々の政党に対する検査を実施する必要があるかということを慎重に検討してまいりたいと思っている次第でございます。その場合におきまして、どのような検査を行うかにつきましては、それぞれ個々の状況に応じて変わるものでございますので、具体的にこの場で申し上げることにつきましてはできないということを御理解賜りたいと思います。  以上でございます。
  38. 東中光雄

    ○東中委員 国から直接、それから間接というのが入っていますね。だから、政党へ助成をした、それから政党がさらに先へ出しますね。その先で、その使途はどうなんだ。それで、もし個人的に流用されておるということになったら、政治活動資金というのは範囲が非常に難しいですけれども、しかし、今朝日が言っているような、料亭の飲み食いに消えた、あるいは自宅の新築に、あるいはゴルフ会員権を買うた。金に印はついていないから、それはわからぬですよ。しかし、動いた金の動き先がどうなっておるかということについては、これは調査をせねばいかぬと思うのです。  私は、政治資金規正法の届け出の、最近やったわけじゃありませんが、政治改革が問題になったころ随分調査をしました。ある首相経験者の政治資金を見たら、組織活動費などというのはもう八八%でしたかね。中身を見たら、料亭での会合費が一晩百万というのがありますよ。あるいは毎日のようにある。贈り物とずっと書いてある。これが組織活動費という政治活動費なのか。そこはそういうものとして見ているわけですから、そういう国の助成金がそこへ回っていったら、これは許されるのかどうかということがあるわけです。それは、届け出てあるものもほとんどそういうふうになっていますよ。もしそこへ使われておったら、これは国民が見たら、朝日じゃありませんが、それは承知できないということになると思うのですね。  そういう使途を検査する必要がある。それは、二十三条一項三号で必要があると認めたときはやることがある、どういうふうにやるかということはその事態に応じてやるのだ、こういうことですね。今言われた答弁はそういうことになるのじゃないですか。
  39. 阿部哲

    ○阿部会計検査院説明員 お答え申し上げます。  委員おっしゃるとおりでございます。
  40. 東中光雄

    ○東中委員 この記事によりますと「自民党は、衆参の現職議員に一千万円ずつ、三百小選挙区のうち公認が決まった新人にも一千万円。公認候補が未定だが、支部長と会計責任者がいる支部には五百万円。各都道府県連にそれぞれ九百万円から千百万円。残りは、本部経費と繰越金にしている。」というふうに自民党の藤井孝男経理局長が言うたということが書いてあるわけですね。  だから、国の金は個々の政治家議員、それから先まで行っているわけです。その金がどう動いたかということも、規範としては検査院の調査対象になるということ、今そういう御答弁がありましたので、そういうふうに聞いていいですね。課長、どうですか。
  41. 阿部哲

    ○阿部会計検査院説明員 お答え申し上げます。  政党につきましては、政党交付金の交付対象が政党でございますので、院法二十三条の規定に基づきまして検査することになるわけでございますが、個々の議員につきましては、政党の責任において交付金が使用されることになるわけでございますので、個々の議員につきましては二十三条の規定には該当しないというふうに考えられております。
  42. 東中光雄

    ○東中委員 個々の議員調査すると言っているのじゃないのです。政党の金が、政党の経理局長の説明で、去年の場合はこういうふうに行きました、そういうふうに使いました、こう言っているわけですね。その使った先ほどうなのか、これに書いています。その金は、自民党の方は、議員から厳し過ぎるという苦情も出ているけれども、使途を非常に制限している。これはひどい話だ。人件費、光熱費、消耗品費、事務所賃借料、印刷費、発送費などに限り、限定的に使途を列挙しておる。弁当代はだめ。飲食費は一切認めない。公私混同はあり得ない。こう言っているのですけれども、政治家なり支部なりに渡したら、支部支部の会計でやるわけでしょう。本部から来たこの金はこっちだ、ほかの金は飲み食いだ、こんなおかしな、形だけ整えるようなことを今は言っているというのが実情だから。  私は、そこへ行けとか行くなとか言っているのではなくて、抽象的に言えば二十三条の対象になる。政党の中での使い方でしょう。個々の人の使い方を調べるのじゃなくて、政党の中での使い方については調査の対象になるんじゃないですか。「直接又は間接に」と書いてある。
  43. 阿部哲

    ○阿部会計検査院説明員 政党に対しましては二十三条の規定の対象になりますので、検査権限はございます。
  44. 東中光雄

    ○東中委員 じゃ、それはそれで一応終わります。ちゃんとやって、朝日が言っているように、いやしくも国民から非難されるようなことのないようにということを検査院に期待をしておくということであります。  次は、選挙の供託金の問題について聞きたいのです。  今度の並立制の選挙で、小選挙区は候補者一人三百万の供託金、それから比例代表候補者一人について六百万ということになっています。選挙部にお聞きしたいのですけれども、小選挙区をとっている国、まあイギリス系は多いわけですが、小選挙区の候補者が立候補するのに供託金の制度をつくっているのはどれくらいあって、つくってないのもありますが、つくっておるところの額はどれくらいか、ちょっとわかっている範囲で説明してください。
  45. 谷合靖夫

    谷合政府委員 お答え申し上げます。  小選挙区を採用している全諸外国については承知をいたしておりませんが、イギリス、オーストラリアあるいはニュージーランド、カナダというところでは供託金制度が設けられているというふうに承知をしております。  具体的な額としては、イギリスでありますと、平成七年度のベースで円で申しますと七万八千五百円、それからオーストラリア、これは下院でございますが一万八千二百五十円、ニュージーランド一万八千円、カナダ七万二千円というふうになっていると承知をいたしております。
  46. 東中光雄

    ○東中委員 それは国会図書館でいろいろ何か調査をされた数字のように思いますけれども、それ自体は、それだけしがなかった、ほかはどうもやっているのが見当たらなかったということのようです。しかし、絶対にほかにないかといったら、そこまでは確かめてないという意味ですよね。だから、やっておっても、小選挙区といったら保証金の常識的な範囲が十万以下ですよ、あるいは一万台でしょう。だから三百万というのは、それはもういかにひどいかということであります。  それから、比例代表といったら、候補者名の登録もあるわけですからね、政党単位の選挙なんですから、それで供託金を積むというのは本当に異例なんです。やっているのはオランダとオーストラリア上院だけだというふうに聞いています。ほかのところはやっていない。これは政党が立候補するんですからね。政党には助成金まで出すんでしょう、政治資金として。その政党が立候補するのに供託金を積むというのは、しかも候補者一人当たり六百万というのはどういうことだろうと思うのですが、オランダそれからオーストラリアの供託金はどういうふうになっていますか、額はどれぐらいですか。
  47. 谷合靖夫

    谷合政府委員 オーストラリアの上院につきましては、比例代表選挙でございますが、候補者一人につき三万六千五百円。それから、オランダは、候補者数にかかわらず名簿を提出するに際しまして百四十二万五千円という供託金になっていると承知をいたしております。
  48. 東中光雄

    ○東中委員 オランダは候補者数にかかわらず百四十二万。だから、日本の場合とはもうけたが違うわけです。それから、オーストラリアの場合は候補者ごとで三万ですから、これも二百分の一ですね。だから、二倍だ、二十倍だというのじゃないんですよ、二百倍も。こういうことになっておる。  私たちの党で立候補をしようと思ったら、これはもう大変ですわ、今その金がないので。こういう供託金の制度で事実上立候補制限するということは許されないというので、堂々とカンパを訴えています、演説会場でも。こういういいかげんな制度だと言って訴えているのです。それで、頑張れと言って何ぼか出してくれる人がありますよ。没収されるとは限りません。私たち、必ずしも没収されるとは思っていません、比例代表なんかね。没収されるのはかなわぬから言っているんじゃないのです。立候補するについてという点で、世界の常識からいってちょっとけた外れ過ぎるというふうに思うのですが、自治大臣、どうでしょう。いやいや、自治大臣に、これは技術的な問題じゃないですから。
  49. 倉田寛之

    倉田国務大臣 我が国の選挙におきましては、公平な選挙の確保といった見地から、大幅な選挙公営を実施いたしておるところでございます。また、衆議院議員選挙や参議院の比例代表選挙におきまする政党選挙運動数量は、原則として候補者数に応じて定められるということになっております。  これらのことから、当選を度外視した立候補や多くの選挙手段を得ることを目的とした多数の候補者届け出を防止することなどの観点からも供託の制度が設けられておりますが、小選挙選挙の三百万円は旧制度下の衆議院選挙や現行の参議院選挙選挙と同額となっておりまして、比例代表選挙の六百万円は現行の参議院比例代表選挙と同額となっております。選挙公営に要する経費等を勘案いたしますと、必ずしも高いものではないというふうに考えております。
  50. 東中光雄

    ○東中委員 それはあなた、教科書。審議をしたときに僕はそれを議論しましたから。社会党の、今幹事長になっている佐藤観樹さんがそういう答弁をしているのですよ。自治省がつくったんだろうけれども、そういうことを言ったらだめですよ。選挙公営、いろいろやっているから、それで金がかかるんだからと。選挙を実施するのについて、あのときの答弁を見たら、候補者一人当たり何ぼ金が要ったと、執行費用が。そういうことが供託金の担保になりますか。そして、三百九億円を政党活動に無制限に出すという制度をつくっておるときに、選挙を実施する費用が要るのだからそれを立候補する人に分担させるのは当たり前だという、もう非常に異常なんだということの感覚がないというところが僕は問題だと思うのですよ。  この選挙制度が参議院で否決されて、両院協議会で成案が出なくて、そして出なかったら否決で、憲法五十九条でそう決まっておるものを、ああいう総総会談なんというようなむちゃくちゃなことを言ってやってしまった。だから選挙制度の中身が、さっきの運動について、はがきの数が七万五千で多過ぎるなんというような質問を荒井さんはしていたけれども、それを決めたのはあなた方でしょう。そうしておいて、今度は一回もやらぬでそれを変えようというんだ。それで供託金はどうなんて、非常に異常なんですよね。全くこの制度というのは異常な経過でできたし、民主主義を否定するような観点からできた。  そして、今いよいよ供託金制度なんか言っても、世界でいったら本当に異常な状態、何を言っておるんだということを申し上げておきたいし、もうそれは本当民主主義とか立候補権というものをどう考えるかという問題ですよ。泡沫候補を立てないようにするためにといって供託金を上げたって、泡沫候補は出てきます、世直し党だとかなんとかといって。それらが出てくるような、そういう政治状況が起こっているのですよ、政治不信が起こっているからです。宣伝したいから出てくるというだけじゃないんですよね。国民の立候補する権利を事実上金の力で押さえつけるような、そういう姿勢が問題だということを申し上げておきたいと思います。  時間がないので、あともう一点だけ。  この間の九五年の国調の速報値が出ました。そして、一票の格差が一対二を超える選挙区が今度は六十選挙区になりましたね、三百選挙区のうち六十選挙区まで。当初は、九〇年国調のときは二十八選挙区だった。それで、法律ができてまだ一回も実施していないのに、この格差が今度は六十選挙区に及んだ。それから、最大格差が二・一三七だったけれども、今度はそれがさらに拡大して二・三〇九倍になった。この制度は一回も実施せぬ前から、選挙区画定審議会の設置のときも、自民党の人たちも随分これを質問しましたよね。一対二を超すのはだめじゃないか、憲法違反の問題が起こるのと違うかということをやりました。今またそれが起こっているのですよ。  それで、国調に従ってやる、一対一でやるのが、これが平等でしょう。だから、一対一、技術的には一対一というのはできないから、一対一・五とか一・八までいっても、これはまだ一対一です。ところが、一対二を超してしまったら、これは、あるところでは一票の価値が一人で一票なのに、あるところはそれの倍の投票権を持つことになる。これはもう完全に不平等ですよね。純理論的にはそうだということは、もう明白ですよ。最高裁の大法廷の少数意見で、その点はっきり少数意見で言っている人がいますよ。純理論的にはもう明白ですよ。最高裁が、中選挙区で一対三を超したら違憲なんだというようなことを言うたので、ああ、もう理論的にはお話にならぬねと。それに関与した最高裁長官が後で、あれは助けてやったものなんだということまで委員会に来て言っているじゃないですか。まだ一回もやっていないのに、もうそういう状態が三百のうちの六十まである。一票の価値の平等というようなものについて、国民選挙権、立候補権もそうですが、あるいは投票権ということについても本当に主権者を何と思っているんだというふうに思います。  それからもう一つ、今度の国調であらわれてきた矛盾というのは、私は、こういうのはまさに著しき不均衡と言っていいと思うのです。  というのは、例えば北海道は定数が十三であります。千葉県は定数が十二であります。北海道は人口が九〇年国調のときは五百六十四万三千六百四十七でした。ところが、今五百六十九万二千二百十七、今度の九五年国調ですね。ところが、千葉は、この前のときは五百五十五万五千四百二十九だった。今度の国調で五百七十九万七千七百八十七になった。五百七十九万七千の千葉県は十二で、それより少なくなった五百六十九万の北海道に十三配分するのですよ。だから、人口の多いところの方が議席配分は少なくなっているのですよ。こういうのが不均衡と言うのですよ。いわゆる逆転ですね。著しく不均衡というのは、まともに国民が考えたらだれだってわかることですよ。  例えば、沖縄県と滋賀県は定数三です。そして、定数四の大分県、山形県、これよりも人口が多いのです。人口の多いところが三で、それよりも少ない県が定数四になった。これも今度の国調で出てきた矛盾ですね。こういうものを是正しなかったら、それは一票の価値の平等とか国民の基本的な人権についての感覚が問われるのですよ。  そういう点で、私は、そもそも一回もやっておらぬときからこういう矛盾が出てきておるということなので、これは変えねばいかぬなというふうに思うのですが、自治大臣答弁を求めて、時間ですから質問を終わります。
  51. 倉田寛之

    倉田国務大臣 平成七年の国勢調査結果に基づき選挙区の見直し勧告を行うかどうかにつきましては、速報値が公表されました昨年末から衆議院議員選挙区画定審議会で審議をされてきたところでございます。その結果、先日の審議会におきまして勧告を行わない旨決定されたと聞いておりますが、選挙区に関する調査審議及び区割り案の作成につきましては、第三者機関であります同審議会に全面的にゆだねられているものでございまして、政府といたしましてはその決定を尊重すべき立場にあるというふうに考えておるところでございます。
  52. 東中光雄

    ○東中委員 そういう手続の問題に還元しない、選挙制度とか基本的人権とか、そういう問題はやはり厳正にやる、民主主義と人権に関することは厳正にやるというふうにされるべきだということを強調して、終わります。
  53. 簗瀬進

    簗瀬委員長 本日は、これにて散会いたします。     正午散会