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1996-02-22 第136回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年二月二十二日(木曜日)     午後三時三十分開議 出席委員   委員長 日笠 勝之君    理事 栗原 博久君 理事 栗原 裕康君    理事 林  幹雄君 理事 井奥 貞雄君    理事 土田 龍司君 理事 網岡  雄君    理事 宇佐美 登君       片岡 武司君    久野統一郎君       七条  明君    中村正三郎君       古屋 圭司君    茂木 敏充君       江崎 鐵磨君    実川 幸夫君       樽床 伸二君    藤村  修君       山本 孝史君    田中 恒利君       山下洲夫君    荒井  聰君       藤田 スミ君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 亀井 善之君         建 設 大 臣 中尾 栄一君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 中西 績介君  出席政府委員         警察庁交通局長 田中 節夫君         総務庁長官官房         交通安全対策室         長       井野 忠彦君         運輸省自動車交         通局長     山下 邦勝君         運輸省航空局長 黒野 匡彦君         運輸省航空局技         術部長     北田 彰良君         建設省道路局長 橋本鋼太郎君  委員外出席者         北海道開発庁地         政課長     小野  薫君         文部省高等教育         局学生課長   櫻井  清君         農林水産省構造         改善局建設部開         発課長     山村 宗仁君         建設省道路局次         長       木下 博夫君         特別委員会第一         調査室長    田村 勝美君     ————————————— 委員の異動 二月二十二日  辞任         補欠選任   宇佐美 登君     荒井  聰君 同日  辞任         補欠選任   荒井  聰君     宇佐美 登君 同日  理事宇佐美登君同日委員辞任につき、その補欠  として宇佐美登君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  交通安全対策に関する件      ————◇—————
  2. 日笠勝之

    日笠委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。栗原博久君。
  3. 栗原博久

    栗原(博)委員 さきの二月十日、北海道古平豊浜トンネル崩落事故で犠牲になりました二十名の方々に心から哀悼の意を表しまして、二度とこのような事故が起きないように徹底した事故究明、そしてまたそれに対する安全対策、また、全国にこのような類似したトンネルあるいはまたそれに近いものがあるわけでありまして、そういうところの再点検調査をひとつ要望したいと思います。  また、当然遺族に対する補償問題もあると思いますが、私は、十二分に御遺族の方からやはり御理解されるような形で進めていただきたいと思う。  もう一つは、その救出に当たられた自衛隊の方々、あるいはまた警察方々、あるいはまた建設省方々を初めとする関連の方に心から敬意を表しますとともに、私、いつもこういう災害が起きますと思うのでございますが、我々国会議員とか官の方々割合褒賞とかあるいは叙勲の対象が多いようでありますが、こういう任に当たられた方々、こういう方に、そういう制度の中でやはり褒賞の道を開くようにもまた私は要望したいと思うわけでございます。  きょうは交通安全対策ということでお伺いしたいのでありますが、昨年十一月三十日、本委員会で、交通安全対策に関する決議を踏まえまして全会一致決議を採択したわけでありますが、思うに任せず昨年は一万六百七十九人ですか、貴重な生命がこの世から去られておられるわけであります。  こういう中で、交通安全施設整備に関する緊急措置法というものを今準備されているようでございますが、私は、特にきょうひとつこの中で発言を求めましたことは、一般国道等道路における交通安全施設、まだまだ足りませんが、それ以上に農道におきます事故発生件数が大変高いわけでございます。  そういうのを絡めてひとつお聞きしたいと思いますが、まずもってその前に、この北海道古平町の豊浜トンネル崩落事故に対します建設省の今後の対応を、再度こういうことを起こしてはならぬということでございますから、建設省にひとつお聞きしたいと思います。
  4. 木下博夫

    木下説明員 お答えいたしたいと思います。  既に大臣の所信表明におきましてもこの旨につきましては発言させていただいているところでございますけれども、今先生からも大変私どもに対する御注文をいただきました。我々も重く受けとめたいと思っております。  御質問は二つございまして、今後の安全対策遺族の補償ということでございますが、安全対策につきましては、事故直後に北海道開発局におきまして学識経験者などによります調査委員会を発足させておりまして、十六日にも第一回の委員会を開いておりますが、早急に事故原因追及について努めたいと思っております。  また、二月十三日には道路局長名におきまして全国道路管理者に対しまして、今回の事例十分参考にいたしまして、トンネル坑口とかあるいはロックシェッドといいまして、まあいわばトンネルの入り口の落石防止の設置されております箇所につきまして、今緊急点検をしております。全国で約二千弱になるかと思いますが、そんな箇所を現在当たっております。  しかしながら、今回は大変我々も予想だにしておりません大規模岩盤崩落でございますので、残念ながら、従来の技術的知見ではなかなか予測ができなかったということでございますが、しかし、我々は、今回のこうした事故につきまして、再度岩盤工学などの幅広い学術分野英知を結集いたしました第三者的な委員会も設置したいと思っております。このメンバー、今人選してお りますので、決まり次第、早急に第一回の委員会を開きたいと思います。  また、日常的なことでございますが、道路パトロール充実とか、今回のたまたま二百二十九号線につきましては、御承知かと思いますが、全線二百八十キロのうちの約一割がトンネルという大変困難な中で地元の要請の中でつくりました国道でございますが、こういうものに対しましても、八年度予算の中では、ぜひ今回の事故経験にかんがみましてといいますか、念頭に置きまして早急に事業費を積み増したい、こういう考えに立っております。  それから二点目の、遺族の件につきましては、現在遺族方々の大変な御心痛、我々も考えております。考えられる限りの誠意を持って取り組んでまいりたいと思っておりますが、既に関係機関におきまして、十九日付で災害弔慰金、これは厚生省の所管でございますけれども、この手当てをいたしましたが、その上に、損害賠償につきましても、原因究明を待たなきゃなりませんけれども、この原因究明の早急な結論といいますか、そういうものを私ども立てたいと思っておりますので、もう少し時間をいただきますけれども、できるだけ従来にないスピードでやってまいりたいと思っております。
  5. 栗原博久

    栗原(博)委員 従来にないスピードの早さで、私ども地元でも水俣病とかいろいろございまして大変時間を要しておりましたが、そういう特異性を見ながらぜひひとつ速やかに対処していただきたい。  それと同時に、うちの地域に、かつて私の友達が朝早く起きまして車を運転していきましたら、巨大な岩石がちょうど崩落してまいりました。警察に届けて未然に事故を回避したという事例も私も知っておるものですから、特に山間地の岩山の多い地域ではそういう事故が今後もあると思いますし、また、今まであっても余り公表しなかった例もあると思いますので、そういう点についても十二分にひとつ国民にもわかりやすいような形で示していただきたいと思います。  さて、交通事故の中での農道の面でございますが、今どんどん全国広域農道がつくられて、大変すばらしい道路が、利便性のある道路ができまして、やはり私ども地域住民、農民は喜んでおるわけでありますし、また、その恩恵も当然農家方々以外もやはり享受しておりますゆえに、むしろそういう国道一般県道よりも広域農道を走った方がずっと農村においては早く目的地に着けるという効果もあります。  ちなみに、道路建設を見ますと、広域農道農道等農家方々の協力で土地を供するわけですから、国道とかあるいは県道等用地費に比べて大変安い。例えば事業費の中における用地費の費用は、主要地方道では例えば三四%でありますと、農道では一〇%であります。要するに、用地費が安いわけですね。だから、そういうこともあるから、割合需要に応じた建設も可能と思うのですが、しかしながら、そこで安全施設がとかくするとやはり見落としがちだと思うのでありまして、きょうは農林省の方も来ていると思うのですが、こういう広域農道をつくる場合、どういう点を留意されて建設を進めていられるかということについてお聞きしたいと思います。
  6. 山村宗仁

    山村説明員 お答えいたします。  農道計画建設する場合でございますが、従来より都道府県公安委員会事業主体、これは規模によりまして都道府県または市町村農道担当部局というふうになるわけでございますが、その間で、交通の安全を円滑に確保するよう適宜協議調整を行っております。  その具体的な内容でございますが、事業計画策定及び実施する段階でございますけれども、まず、カーブ地点並びに交差取りつけ部分及びその付近におきます安全性の確保、それから、その他農道構造上の安全性を確保すること、それからガードレール等交通安全施設整備に関すること、それから、その他農道交通の安全と円滑に関することなどにつきまして、先ほど申しました都道府県市町村農道担当部局公安委員会協議調整を行っております。
  7. 栗原博久

    栗原(博)委員 私は、農林省にもひとつ申し上げたいことは、広域農道あるいはスーパー林道等地域の振興にとっては極めて重要な道路だと私は認識しております。ぜひひとつ、その事業の円滑な推進はお願いしたいのでありますが、またあわせて、やはり警察庁あるいはまた交差します道路建設省、あるいは県等協議を十二分にしていただきたいと思うのであります。  例えば、私はなぜきょうこの農道の問題を取り上げるかと申しますと、実は資料を徴取しておるのでありますが、死亡事故が、死亡率が大変高いということでございますね。一般国道ですと、例えば、事故発生件数に占める死亡率が一・九でありますと、主要地方道では一・五七である、都道府県道で一・七二である、市町村道では〇・八である。ところが、農道が、自動車専用道路の二・四一よりも高い三・八%。平成七年度の資料ですが、その前にいきますと約五%近い死亡なんですよ。要するに、事故が起きますと死亡率が高いということですね。これは、高速道路が四・二%から五%ですから、農道における死亡事故高速道路と同じ、要するに、事故が起きたら高速道路と同じような死亡率になるということが実は農道問題点であるわけでございます。  特に、農道におきまして死亡の高いのは、やはり出会い頭ですね。交差点での死亡事故が大変高いわけであります。それは、資料を見ますと、全死亡の中では一五・八%が出会い頭でありますが、農道においては四二%が出会い頭であります、四二%が。  あるいはまた、もう一つは、要するに、交差点における信号機等がやはり欠如をしているということが大きな原因だと思います。もう一つガードレールですね。農道ですからガードレールもないと思うんですが、ガードレールに附帯する何かがないというのは、飛び出て死亡するのが、普通の道路ですと四・四%でございますが、農道では二三・七%だということで、こういう点をとらえながら、私はやはり今後、こういう農免道路をどんどん、あるいは広域農道をどんどんおつくりになっていただきたいと思うのであります。  こういう点について、もうつくった以上は、後は今度管理者地元のやはり農地事務所かなんかだと思うんですが、交通安全施設になりますと当然今度は警察庁になると思うのですが、こういう広域農道におきます安全施設、あるいは交通事故を防ぐために、警察庁ではどのような対応をされておるかということをお聞きしたいと思います。
  8. 田中節夫

    田中(節)政府委員 委員指摘のとおり、農道におきます交通死亡事故、全道路の平均よりも非常に高いということが指摘できるわけでございます。  私どもといたしましては、先ほど農林水産省の方からもお話がございましたけれども事業主体等とも連携をとりながら、各都道府県警察におきましては、信号機を設置するとか、あるいは一時停止線横断歩道を設置する、さらにはきめ細かな速度規制をするというようなことで、的確な交通状況に合った規制を実施する。また、必要な道路標識あるいは道路標示整備しているところでございます。  ただ、今後とも、交通状況、あるいは今お話しのように今後広域農道整備されるということでございますので、そのような状況に合わせて、的確な交通安全施設整備あるいは交通規制を実施してまいりたいと考えておるところでございます。
  9. 栗原博久

    栗原(博)委員 もう一つは、私、交通安全施設整備に関する緊急措置法、この法律の中で、予算措置内容を見ますと、対象警察庁であるようでありますが、やはり農道農村における生産農業の促進のために大切な道路でありますが、この道路道路法における道路でないために、今国会に提出をされております交通安全施設整備に関する緊急措置法の中に対象となってないということについて、私も大変遺憾に存じているわけでござ います。  今、本委員会においても緊急的な措置ということでも決議いたしておりますし、やはりこういう事故発生の高い農道における問題をどのように総合的にとらえながら総務庁等においてお考えになっているかということをお聞きしたいと思います。
  10. 中西績介

    中西国務大臣 委員指摘をされましたように、昨年の十一月三十日、決議が上がって以来努力をいたしましたけれども、結果的には、御指摘のように、十二月末で一万六百七十九人という死者を出しています。この七年中における死者を一万人以下ということで随分努力をしたようでありますけれども、結果的にはこのように目標達成をいたしておりません。  したがって、今年に入ってから見ますと、きのうまでの死者の数が千二百九十六人でありまして、昨年同期と比較しまして若干減少をいたしておるという状況であります。  こうして、今指摘のありましたような農道あるいはその他の、私たちが今まで余り関心を持たなかった地域におきまして事故状況が大変に高くなっておるということを見ますときに、何とかして、これから関係省庁皆さんあるいは機関皆さん、さらに地方公共団体あるいは民間の団体皆さんあたりともさらにこうした体制を、連携を密にしながら強力にしていかなくてはならぬということを、私、今お話を聞いておりまして、特にまた強く感じたところであります。  したがって、これからなお一層私たち、強力に交通安全対策を推進していかなくてはならぬということを決意を申し上げたいと思います。
  11. 栗原博久

    栗原(博)委員 ありがとうございます。  私は、何としても、やはり道路が緊急の課題でございますから、私どもの新潟の方の地域においては、やはり道路一本できることによってその地域は、がらっとといいましょうか、変わるわけであります。ですから、そういう中において、用地買収等について、やはり国道とか県道でありますと、農振地域を走りますといろいろてこずるのでありますが、農道だと言いますと、農家の方が、自分たちのエリアだということで、割合土地を容易に出してくれるわけですね。  ですから、私は、中央におきまして、やはり建設省とか農林省等のそういう仕事のいろいろの、言葉で言うと大変恐縮ですが、それは別として、地元での需要利便性があるならば、やはり建設省所管道路農林省所管道路をきれいにすみ分けしながら、かつ広域農道等をもっと整備をしていただきたい。しかし、その附帯条件は、やはり交通安全施設、特に主要道路等のクロスする部分についてやはり的確な施設をつくっていただきたいと思うんです。  特に、事故に遭うのはどういう人かといいますと、農村から出てたまに帰ってくる方がその道路を通りまして、一年前とがらっと変わるわけですね。今まで通っている道路が、優先道路だったのが、いつの間にか広域農道の大きいのができますと、間違って突っ走ると、そこで車と出会い頭にぶつかって死んでしまうということで、多いところでは、同じ箇所に二年か三年で四件ぐらい死亡事故が起きるところもあるのですね。  そういう点を踏まえて、再度、きょう農林省建設省にもう一度要望しますが、こういう広域農道等、あるいはまた一般主要道路とクロスするところにどのように取り組むかということを、建設省農林省、おのおのひとつお答えいただきたいと思います。
  12. 木下博夫

    木下説明員 お答えしたいと思います。  若干先生の御質問の趣旨と違うかもしれませんけれども、やはり公共事業費全体が大変限られておりますので、我々としては、農道も含めてでございますけれども道路全体のネットワークをできるだけ効率的にまとめていくというのがまず第一にあろうかと思います。  その際に、お話のあった安全対策というのは、言うまでもなく、農道であろうと港湾道路であろうと、それは一般道路と同じようにできるだけ整備するというのは、そこをお使いになる方の安全から我々配慮しなければいけないと思っております。道路計画そのものは農水省ともよく御相談してやってまいりたいと思っておりますし、安全対策につきましては警察その他の関係機関とも調整したいと思います。  きょうは御指摘としては大変適切な御指摘をいただきましたので、我々十分配慮してやってまいりたいと思っております。
  13. 山村宗仁

    山村説明員 農道の具体的な安全対策でございますけれども、実際、設計、計画段階で、構造令等によりまして構造物等を安全につくっているということでございます。  先ほど先生指摘ございましたように、農道の場合、事故発生率が高いとか、また、交差点とかカーブ地点で特に多いというのも認識しております。我々としてはそういう安全施設を十分に整備したいというふうに思っております。特に、今までそういう既設の農道につきましては、交通安全施設整備というのは団体事業でやっておったのでございますが、平成八年度からは県営でもできるというふうになりまして、十分な安全対策をとってまいりたいと思っております。
  14. 栗原博久

    栗原(博)委員 ありがとうございました。事故を未然防止できるような構造をひとつよろしくお願いいたします。
  15. 日笠勝之

  16. 田中恒利

    田中(恒)委員 私は、質問に先立ちまして、過般の北海道豊浜トンネル事故で亡くなられました二十名の方々並びに御遺族皆さんに、この機会に改めて、心からお見舞いを、御冥福をお祈りいたしたいと思います。  与えられました時間がわずかしかありませんので、要点だけ御質問いたしますので、ひとつ簡潔に要点だけ絞ってお答えいただきたいと思います。  今度の事故について建設省はどのような反省問題点を持っていらっしゃるか、要点に絞ってお答えいただきたいと思います。
  17. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 今回のトンネル崩落事故は大変大規模なものでありまして、我々が今までに経験していないものでありました。そういう意味では、非常に多くの反省点あるいは教えられる点があるものと考えております。  まず、事故直後に、事故原因究明が必要であろうということで、学識経験者から成る事故調査委員会を設置いたしました。これに基づきましてまず原因の徹底的な究明が必要だと考えております。  さらに、従来からいろいろ防災箇所危険箇所点検をしておりましたが、残念ながら十分でなかった点があるということを踏まえまして、二月十三日付で全国道路管理者に対しまして、トンネル坑口部あるいは落石覆工が設置されている箇所のり面、斜面について緊急点検を行いました。  また、このような大規模岩盤崩落は従来の技術的知見では予想が極めて困難な現象である、そういうことから、岩盤工学等の幅広い学術分野英知を結集した委員会を発足させて検討を進めてまいりたいと思います。  さらには、道路パトロール充実強化、あるいはこの事故に遭いました一般国道二百二十九号を初め非常に厳しい自然条件のもとにある道路というものにつきまして、防災事業は現在でも実施しておりますが、防災対策事業の一層の重点的投資、こういうものが必要だろうということで、そういうもの全体を含めまして安全性の向上に取り組んでまいりたいと考えております。
  18. 田中恒利

    田中(恒)委員 今度の事故で、私もそうでありますが、国民皆さんがテレビを見ながら非常に心配されたのは、事故発生後の処置ですね。こういう大事故、しかもああいう大きな岩石が落ちてきたわけですから、恐らく初めてだということで経験がなかったということはあるのでしょうけれども、丸八日間日数がたっておるわけですね。その間にいろいろな協議事故対策本部変更等があったようですけれども、それが遺族を初め、私ども、何をしておるのかというような感じを持 ってきましたね。そういう点は、今後の参考としてぜひ取り上げておいていただきたいと思います。  それから、平成二年六月に第八回の防災点検というのをやっておりますね。この防災点検は、今もおっしゃられたが何回かやっておりますね、もう四回ぐらいやっておりますか、四、五回ぐらいやっておるのですが、その点検の結果がどういうふうに国民に報告をされておったのか。どうも、この間の事故トンネル地域、あの地帯のことなども事故最終段階でマスコミなどの要求で北海道開発庁が発表したというようなことで、北海道開発庁は持っておったのだろうけれども皆さん知っていなかったのかね。こういう防災調査、今もまたやられておるようですが、そういうものはどういうふうに国民の前に示されておるのか。示してなかったのか、示してきたのか、その点、お答えいただきたいと思います。
  19. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 平成二年から三年にかけまして全国的に防災点検を実施いたしました。地形、地質の状況あるいは構造物等変状、いろいろなものを調査しまして、総合的な評価を行って、ランク一、二、三、四というふうに評価をしたものでございます。  これらの点検結果は、従来、主として道路管理者防災対象施設について防災対策を実施するため、あるいはどれから先にやるかという緊急性を判断するための内部資料として活用してきておりましたので、公表を前提にしてまとめたものではございません。  しかし、防災点検結果の情報開示必要性指摘する意見もあり、今後、情報開示する場合には、道路防災事業必要性手法等がよく理解していただけるような内容とすべく、防災点検結果の開示の方法、範囲等について、地域的に与える影響等も勘案しながら、検討してまいりたいと考えております。
  20. 田中恒利

    田中(恒)委員 これは、たしか昭和六十一年、平成二年、平成五年、平成八年、やっておるのだな、防災計画調査。そして、こういう大事故があると、今もやっていらっしゃるようだが、緊急の調査をやらすのだ。そういう結果を関係者だけが持っておって公表しないということは、大きな問題ですよ。特に防災というのは、総理府の中に防災の部屋がある、あそこは行政監察局だね、あそこが調査をしておるのを見ると、地区住民全体のものにならないと災害を守るという問題は解決しないのですよ。それが今までほとんど長い間、やみの中というわけではないが、皆さんは知っておるだろうし、関係者は知っておるのだろうが、私はびっくりしたのだけれども、この質問でうちの調査室にもちょっと資料を出せと言ったら、私たちにもわからぬと言うのだ。こんなことがあったら大変ですよ。  きょうは大臣、用があるから来れぬらしいが、これは局長でいいと思うのだ、この程度のことは。あなた、プライバシーの問題などとは違って、防災問題なりあるいは緊急点検なりといったようなことは、少なくとも関係地区の皆さんには即刻知らせなければ問題は解決できぬですよ。そこのところが政治の最大の課題だと私は思っておるのだ。  だから、そういう意味で、この点今後どうするつもりか、明確な御所見を承りたい。局長。
  21. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 先ほども御説明申し上げましたが、防災点検結果の資料につきましては、あるいは危険箇所と認定されているようなところにつきましてはいろいろ検討すべき課題がありますが、私としても公表する必要があると考えておりますし、公表する方向で検討したいと思います。  その場合に、ぜひ、我々からも情報の提供をいたしますので、利用者とかあるいは地域方々も、道路あるいはその路面その他につきましていろいろな情報があればお知らせいただいて、それをデータベース化してさらに道路交通の安全を確保するための貴重な資料にしていくということも可能になると思います。そういう意味で、ぜひ積極的に検討したいと考えております。
  22. 田中恒利

    田中(恒)委員 積極的に検討じゃなくて、これは公表すべきですよ。ここで話がつかぬなら私はまた別のところで大臣とやりますけれども、これは公表するのが当然のことなのですよ、この防災調査というのは。それをしてないところに結果があるので、わかっておる者だけが、自分たちが都合のいいような事項だけは、ここは難しいと。それは、この地域は危ないと言った場合に地域に与える不安などがある、だから発表の場合にそういう問題などを含ませて発表は差し控えておこうということであったと思うのだ、相当長いから、もう十年ぐらい昔からのことだから。そういうことであったと思うのですけれども、そんなことを言う時代じゃないのです、今は。だからこれは積極的に公開してもらいたいと思います。  それから、今の時点で、今調査をされておるのだから調査の結果にいろいろはっきり出るのでしょうが、大体どの程度こういう危険な箇所があると把握していらっしゃるのですか。
  23. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 平成二年から平成三年にかけまして全国的に防災点検をした結果によりますと、七万四千カ所が対策が必要であるということでございます。この七万四千カ所につきましては、おおむね五年ぐらいで一応の対策ができるように現在毎年度予算によりまして措置をして対策を講じてきているところでございます。
  24. 田中恒利

    田中(恒)委員 それはあれですか、七万四千というのは相当あるが、それは対策といったってどういう対策をしようとしておるのですか。
  25. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 道路危険箇所にはいろいろなパターンがあるわけでありまして、例えば落石崩壊というような場合でありますと、落石防護さくをやる、あるいは落石防止網工をやる、モルタルの吹きつけをやる、こんなことでありますし、岩石崩壊でありますと、コンクリート枠をやる、あるいはロックアンカーをやるというようなことであります。さらに、盛り土なんかでありますと、ブロック積み擁壁をやったりコンクリートの擁壁をやりますし、あるいはトンネル部、さらには橋梁の洗掘箇所、こんなものもこの中に含まれております。
  26. 田中恒利

    田中(恒)委員 これは一々細かいことの議論をする暇はないですが、ただ基本的には、どうも、道路管理者としてパトロールをやったりいろいろやっておりますね。やっておるけれども、それは極めて通常一般的なものなんだな。人間の目で見る、航空写真を撮る、あるいは警報機をつける、こういう程度なんで、こういう大きな出来事になってみると、改めて、基本的に、質的に高いものをやらなければいけない。いわゆる日本の科学技術陣営というものがどれだけそういう問題に参加しておるか、こういうことがこれからの対応策の非常に大きな問題になると思うのですよ。そういう意味では、そういう側面について力を入れてもらうようにこの機会に特に要望しておきます。  そして、今当面の問題は遺族の補償の問題ですが、これについてはどういうふうになっておりますか。
  27. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 遺族に対します補償についてでありますが、御遺族方々の御心痛を考えますと、考えられる限りの誠意を持って接してまいりたいと考えております。関係機関とも御相談申し上げた結果、十九日、災害弔慰金の支給に関する方針が定められたところであります。  また、今後の問題でありますが、損害賠償につきましては、原因究明を待つ必要がありますが、早期に誠意を持って対応すべきとの御意見も承っております。できるだけ早く原因究明を行い、適切に対応してまいりたいと思います。  また、北海道開発局におきましては、御遺族の御要望を伺い、対応を行うための窓口を設置させていただく、このように聞いております。
  28. 田中恒利

    田中(恒)委員 当面、法的にも労災の適用者も何か四、五名いらっしゃるということだし、そんなものはすぐやれるはずです。自賠責の問題がどういうことなのか、これらのものもできるだけ対応できるようにしてもらいたいと思いますね。  やはり大きな問題は国家賠償法の問題なんで、 それは今あなたがおっしゃった原因究明にまたねばいけない面があるし、相当大きな岩石が落ちてきたわけですから、これが予知できなかったかどうかという大きな問題がありますし、この周辺の地質なり当時の環境というか、地震なんかの影響、そういったようなものがあるので、広い範囲でのそれこそ専門家の調査にまたなければいけない面が多いと思っておりますけれども、私ども社会党では、この問題について実は特別な委員会を持って、もう何回か会合を持って議論をしてきたわけでありますが、国家賠償法の問題についてはいろいろ議論をしなければいけない段階である。  ただ、今の段階でいち早くは言えないけれども、最近の落石事故についての司法上の決定というものはもう皆さんも御承知だと思うけれども、大分広く解釈をして、最高裁の、昭和何年でしたかね、私のところの隣の町で上から石が落ちてきて一人死んで、そのときに最高裁は、瑕疵の有無、瑕疵があるなしにかかわらず、これは認めるべきだということで判決を下しましたね。それから以降、大分そういう方向に沿った判例が一般化しておりますね。  そういう問題等も考えてみると、できるだけ早く話をつける必要があると思うのです。できれば司法裁判にまつまでもなく、当事者間の話し合いで適当な補償を話してみたらどうかという考えを持っておるわけでありますが、きょうは大臣が来てないからそこまで決断しろとは言わぬけれども、ひとつできるだけ早くこれは遺族補償については考えてみる。場合によれば、示談ができれば示談でやっていくし、できなかったら、法的な手続に基づいて、こういうものが法律的にどういうふうに解釈されていくか、そういう判断を仰いだ後になる可能性もあります、長いから、これをやると。七、八年かかるわけだから、これでは、なかなか御遺族も困るだろうと思うので、できるだけ早く解決するような示談というか話し合いの腹決めを、特に建設省だと思うのだが、建設省の内部では固めておく必要があるのじゃないかと私は思っておりますが、このことについて何か御意見がありますか。
  29. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 過去、落石等につきましてはいろいろな事故がございました。御承知のことと思いますが、昭和三十八年に高知国道五十六号落石事故、あるいは昭和四十三年の岐阜国道四十一号飛騨川バス転落事故、あるいは平成元年では福井国道三百五号の落石、崩落事故、さらに平成二年では徳島国道十一号岩石崩落事故等いろいろなケースがございまして、それぞれそれに対応して措置がされているわけであります。  今回も、こういう事例をよく勘案いたしまして、なるべく早期に解決できるように努力してまいりたいと考えております。
  30. 田中恒利

    田中(恒)委員 警察庁の方から来ていただいておると思います。  今もお話がありましたが、八年連続して交通事故死者が一万人を超えたということも私どもにとっては大変大きな問題でありますが、特に最近、高齢者の事故が増加しておるということであります。これに対する対策はどういうことをお考えになっておるか、お聞きいたします。
  31. 田中節夫

    田中(節)政府委員 委員指摘のとおり、道路交通の場におきましては、最近、高齢化が進んでおりまして、警察としては、高齢者の事故防止対策が交通安全対策を推進していく上での目下の最大の課題であるというふうに認識しております。  具体的に申しますと、市町村と協力しながら老人クラブと連携をして、交通事故の危険性等を実際に体験することのできる交通安全教室、あるいは、高齢者に優しい交通環境を確保する、そのための交通安全施設について、その整備を進めているところでございます。  また、昨年、学識経験者、老人クラブの関係者等から成ります高齢者にやさしい交通社会をめざす懇談会を開催しております。交通警察におきますところの高齢者対策のあるべき方向性について、現在御検討をお願いしております。四月上旬までにはその結果がまとめられるものというふうに考えております。  私どもといたしましては、この結果も踏まえまして、今後も引き続き、関係行政機関団体等の連携を強化しながら各種対策を積極的に推進して、高齢者に優しい交通社会の実現に努めてまいりたい、かように考えているところでございます。
  32. 田中恒利

    田中(恒)委員 最後に、高齢者の事故の現場と本人の住居は全く遠くないですね。いわば近所で事故を起こしておるわけですね。  私は、そのことと絡み合わせて、よく老人クラブなどの会合へ行って聞くことに、歩道がちょっと不完全じゃないかという声をよく聞くのです。それは、舗装なんかを何遍かやっておるんですよね、田舎なんか二遍も三遍もやる。そうすると、真ん中というか車の通るところは平面になるんですけれども、端が、水の関係があるんだが、すとんと落ちるんだ。だから、人々が歩行する付近は、斜面を歩くようなことになって非常に歩きにくいんですよ。これは田舎だけじゃなくて、私なんか高輪におるんだが、朝、歩道のところで散歩をするんだが、都市でも、端の方ではちょっと平面じゃないんですよ、斜めになっておるのですよ。あれはアスファルトを塗るときの作業でそうなっておると思うんだが、これは全国的な傾向だと思うのですよ。田舎なんか特にひどいものですよ。  だから、こういうやり方は改めさせてもらいたい。これは建設省に要望しておきます。そして、やはりきちんと歩きやすいような歩道をつくってもらう。それが極めて生活に密着した安全対策の重要な一つじゃないかなと考えておりますので、この点も申し上げて私の質問を終わりたいと思います。何かありましたら……。
  33. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 高齢者等が安心して通行できる幅の広い歩きやすい歩道、幅にいたしましても三メーター以上あるような、そういうものを今後整備してまいりたいと思います。その際、御指摘でございますとおり、歩きやすい、あるいは段差がない、あるいは勾配がきつく過ぎない、あるいは滑らない、こういういろいろな機能が必要でございますので、そういう観点にも十分配慮して進めてまいりたいと考えております。
  34. 田中恒利

    田中(恒)委員 どうもありがとうございました。
  35. 日笠勝之

    日笠委員長 荒井聰君。
  36. 荒井聰

    荒井(聰)委員 新党さきがけの荒井聰でございます。きょうは、うちの宇佐美君にかわりまして、質問させていただきます。  実は、私は、去る十四日に豊浜の現場の方へ伺わせていただきまして、大変痛ましい事故であったと思っております。  ただ、先ほど、村山前総理のお話をずっと聞く機会がございまして、約一時間ほど、村山政権のいろいろな課題について議論をしていたのです。まあ、村山政権のときには大変いろいろな課題があったのですけれども、その中でも大きな問題というのはやはり阪神大震災だったなと。そして、この阪神大震災のときに、私たち、いろいろな教訓を持ちましたし、それに対するマニュアルづくりとか対策とかということも実際にやってみて、その経験も蓄積していたという、ある意味では、思い上がりと言っては言い過ぎですけれども、そんなようにも私自身も政治家として考えていたのです。  しかし、現実には、ああいう事件が起きてしまうと、なかなかそこの経験というかそういうノウハウが十分生かされていない。これは、やはり災害の特色、特質なんだな、災害というのは、一つ一つ事件の態様が違いますし、地域も違いますし、幾らマニュアルを整理していても、そのマニュアルどおりにいかないということがたくさんあるんだなということを実感させていただきました。  特に、今回の場合に、残念ながら現地の岩盤そのものは見ることができなかったのですけれども、高さ七十メートル、幅三十メートルといったような、一つのビルがどんと落ちてくるというような、今まではちょっと考えられないような事故だったのじゃないかと思うのです。その大きな岩盤がどんと落ちてくるということを、工事として 今まで想定したこともなかったろうし、工事の際にも、そういう工事手法というのも余り経験がなかったのかなというふうにも思うのです。  しかし、現地では、すぐそばでトンネル工事をやっておりまして、これはまだ完成途中のトンネル工事でしたから、そこには技術屋もいたでしょうし、あるいは職人の人もいたのじゃないかと思いますし、あるいは、岩そのものの性格なども十分わかる環境にあったのかなと思うのですけれどもトンネルを掘る工事内容と、あの災害岩盤を取り除く工事内容とでは、随分技術的にも違うのだろうかなという印象は持ちました。  持ちましたけれども、どうも、あの岩盤を取り除くのに三日も四日もかかってしまったというところが、残念ながら、大変問題だったのではないだろうか。特に、遺族にとって、あの当時遺族という言葉はタブーだったのですけれども遺族皆さんにとっては、いらいらがどんどん募っていくというそういう状況で、その中にはだんだん、マスコミ対策がうまくいっていないだとか、今度は別な意味のいろいろな問題が出てくることになってしまったのではないかなと思うのですね。  そこで、その岩盤を取り除く工法としてあのような工法をとらざるを得なかった経緯。それから、多分やわらかい岩だったと思いますので、特殊なダイナマイトを使わざるを得なかったのではないかと思うのですけれども、それが現場では見当たらなかったというふうに聞いておりますが、そのあたりはどうだったのかということ。それから、この工法は、一回の爆破で多分成功するだろうという期待を余りにも抱かせたのですけれども、技術的にそういうような確信を持っていたのかどうか、あるいはそういうことの工法がきちっと現場で行われていたのだろうか。急邊トンネルの専門家が行って、なかなかないダイナマイトも使わざるを得なかった、あるいは資材的にも不足している状況の中でああいう大発破をかけざるを得なかったということなのだろうと思うのですけれども、しかも下にはバスの中で何人かの人が埋まっているという状況の中で、非常に難しい爆破の技術だったと思うのですけれども、それを少し、余りにも安易に、大丈夫だという感じで地元で話をし過ぎ、遺族の人に期待感を持たせ過ぎたのではないだろうかなという印象を持つのです。  工法について、これからも岩盤がずり落ちてというようなことは私は余り考えられないのかなとも思うのですけれども、この工法については、少しくきちっとした説明をしておく必要があるのじゃないだろうかなというふうに思っているのです。この点、現時点でわかる範囲で結構ですので、お答えいただければなと思います。
  37. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 トンネルの上部に約一万立米という非常に大きな岩石が乗っておったわけであります。そういう中で、今回の被災者の救出を早くやろうということで皆さん努力したものでありますが、結果としては非常に時間がかかったというのは、御指摘のとおりであります。  まず第一点は、先ほど申し上げましたように、一万立米という極めて大規模崩落であったという点。それから、被災者への影響を極力回避する必要があった。さらには、緊急に作業を始める必要がありますから、普通であれば十分な調査をやって発破をかけるのが普通だと思いますが、そういうような十分な調査ができなかったこと。あるいは二次災害の防止が必要であったという点から申し上げますと、今回のは、その場その場で最適の判断をされたのではないかと思います。  しかし、結果として四回もかかったという点と、一回目で大きな岩石が除かれるのではないかというある意味では期待もあったわけでありまして、そういうものに対しては、もう少し慎重なといいましょうか、詳しい説明が事前に必要ではなかったかと思います。  この計画を、発破といいましょうか岩石の除却方針を定めるに当たりましても、これはやはり現地に、近くにおる人たちを活用することが一番早いという観点からそういう専門家を集めたものでありますが、民間も含めて、土質、地質、発破、構造の専門家の協力を得まして、現地合同対策本部で、先ほど申し上げましたように被災者の家族の同意も得て、この救出作戦を採用したというふうに聞いております。結果として四回も発破が必要だったという点については、反省すべき点があるのではないかと考えてはおります。  さらに、そういう発破の作業を進めている中で、建設省といたしましてもこれは支援が必要だということから、トンネル、発破、施工、そういう方面の民間の技術者も含めまして、岩盤除去の専門家八名を派遣したものであります。これらの専門家についても、現地で皆さんと協力して作業を進められた、あるいは作業方針を策定した、このように聞いております。  また、ダイナマイト等の種類についていろいろな報道があるようでありますが、なかなか現地もふくそうしておりまして十分な照会ができていないのでありますが、北海道開発局に照会した範囲では、今回、三号の桐ダイナマイトあるいはあかつきダイナマイトというようなものを使ったということでありまして、これらは、今一般的にこういう発破に適合しているということではないかと思います。  しかし、これらについては、今後十分その適否について検討する必要があると考えております。
  38. 荒井聰

    荒井(聰)委員 現地の一部の新聞には、発生がたしか土曜日で、三日間連休であったがために、技術者の確保というのが非常におくれてしまった、と同時に、ダイナマイトなどの資材の確保も、ダイナマイトの会社に問い合わせたけれども、なかなか連絡がつかなくて、一般的なダイナマイトしか確保できなかった、本来ならばもっと爆速の遅い、これに適合した火薬類が本当はあったのではないだろうかといったような報道がなされております。この点いかがですか。
  39. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 先ほども御説明申し上げましたとおり、この発破について、調査結果が十分でないといいましょうか、十分な調査ができていないということも踏まえまして、あるいはなるべく早く作業を進めるという観点から、先ほどのダイナマイトを使ったということはある意味では妥当であったと思いますが、先ほど申し上げましたように、今後詳細な調査をする必要があると考えております。
  40. 荒井聰

    荒井(聰)委員 詳細な調査をされるということですので、それに期待いたします。  ところで、先ほども私申し上げましたけれども、阪神大震災のときにいろいろな教訓を私たち得たわけですけれども、その教訓の最大のものというのは、ある意味では被災者対策、今回の場合には遺族に当たる方たちへのケアといいますか、そういうものなのではないかなと。  私現地を訪れましたときに、本当に開発局の現場の方たちがほとんど寝ないで、私が行きましたら、若い現場の責任者の方、高松さんとおっしゃる方が、もうひげぼうぼうで、ほとんど三日間か四日間寝ていないのではないだろうかという人が、ふらふらと一生懸命やっておりました。私はかわいそうに思って、全然声もかけないで、ただ単に頑張れよという激励だけしてきて、いろいろな質問や何かすることも差し控えたぐらいだったのですけれども、その方たちを中心に、何十人という、何百人に相当するかもしれませんけれども、一生懸命頑張っておられる姿を見させていただきました。  ただ、残念ながら、そういう対策本部が効率性があったのかどうかということになると、若干私は幾つか指摘せざるを得ないのかなと思っております。  その第一点が、先ほどの、現場にいた、バスの中に入っていた被災者の遺族方々。阪神大震災のときにも被災者の方にとりあえずということで運動場に入ってもらったのですね。そうすると、そのまま被災者の方々に連帯感みたいなものが自然に生まれてしまって、そこから別なところに移ってください、もっと環境のいいところがありますから移ってくださいということで話をしても、全然移らなくなってしまってそこにとどまってしま った、それが後の被災者の対策にある意味では障害になってしまったというようなこともございます。  それからマスコミ対策の場合でも、阪神大震災の場合でも、上空にヘリコプターがどんどん飛んだがために連絡の声さえも聞こえなくなってしまったという事例があるのですけれども、今回の場合にも、あの狭いところ、トンネル坑口ですから非常に狭いところでして、そのトンネル坑口の非常に狭いところに、マスコミの方が、恐らく三百人以上のマスコミの人たちが、宇宙放送用のパラボラアンテナをつけたでっかい車を持ち込んでだあっと並んでいる。その中で作業員の方たちが必死になって動いているのだけれども、それが邪魔になって仕方がないという状況が見られたのではないだろうかなという気が私はするのですね。  これは、こういう場合には対策本部はマスコミ対策なりあるいは遺族対策というのは大変重要なんだということを、阪神大震災のときに私たち経験していたわけなのですけれども、残念ながらあの現地では爆破作業に全神経が集中していったのではないかと思うのですね。そういうことのために、残念ながらそういうことのケアがおくれていたのではないのだろうか。  私は、マニュアルができたから、すぐそういうことができるとか、あるいは特殊な能力が欠けていたから、ある種の能力が欠けていたから、こういう問題があったんだというふうには思わないのですね。災害というのは多分、今までに事例のないことがやはりそこで起きるわけです。その地域で起きるわけで、そういう状況の中では、幾らその場合になってマニュアルを見たって、これはだめなんだと思うのです。  むしろ、そういう災害対策本部のつくり方、何にポイントを置いて、どういうところの人たちに集まってもらうべきなのか、警察だとか自衛隊にはどういう連絡をするべきなのかということのノウハウを持っている人を、建設省なりあるいは国土庁がすぐさま派遣する。すぐさま現地に派遣して、災害対策本部のつくり方というのはこういうふうにやるんだよということをアドバイスしてくれる人がどこかにいないと、高松さんは多分道路をつくっている専門家だと思いますけれども、あの人にすぐマスコミ対策やりなさい、遺族対策やりなさいというのは、それは無理ですよ。あるいは新山さんがその後行かれましたけれども、私はそれも無理だと思うのです。  だから、災害対策のシステムとしてもう少し、そういうノウハウを蓄積した人間をきちっと行政の中に、私は北海道庁かあるいは国土庁、建設省というところが適当だと思うのですけれども、そういう人を抱えていてすぐ派遣できるような、そういうふうなシステムをつくっておくべきなのではないかなというふうに思っております。  なお、遺族対策には、現地で中央バスが非常によくやっていたなと。中央バスの件については余り報道されていないのですけれども、彼らは被災者であり、被害者であるにもかかわらず、被害者の遺族に対して非常に心温まるケアをやっていたなという感じをしております、一言つけ加えさせていただきますけれども。  私は今のような考え方を持っているのですけれども、今の考えについて、現地を指導されてこられた開発局の方どなたか、どなたでも結構ですので、何か御感想ございましたら、おっしゃっていただけるとありがたいと思います。
  41. 小野薫

    ○小野説明員 今回の事故に対しては、事故の重大性にかんがみ、関係機関が密接な連携を図りながら、一刻も早く被災者を救助するため、北海道開発局警察、消防、自衛隊、北海道、余市町、古平町、積丹町、中央バスから成る豊浜トンネル崩落事故現地合同対策本部を設置したところでございます。  現地合同対策本部では、当初、人命救助を最優先として取り組んでいたため、報道機関並びに御家族への対応については必ずしも十分ではなかったが、北海道開発局から職員を派遣し、現地における御家族の視点に立った親身な対応が行えるような体制や、報道機関への対応に係る体制の強化を図ったところでございます。しかしながら、結果的に見て、情報提供の時期、内容、報道機関への対応、親身になった御家族対応という面で、幾つかの問題点があったと認識しております。  これらの経験を踏まえて、大事故発生時における適切な御家族対応、マスコミ対応をどのような体制により実施するかなど、今後の課題として検討してまいる所存であります。
  42. 荒井聰

    荒井(聰)委員 せっかく建設大臣が来られましたので、大臣への質問は予定していなかったのですけれども、一問だけお願いいたします。よろしいですか。  現地では、今後の対策として補償問題などが出てくるのだろうと思うのですけれども、関係市町村の財政力が非常に弱い状況にございます。そのために、現地では特別交付税の交付などの非常に強い要望がございますので、それをお伝えしておきたいと思います。  また、今回の災害において、現地の開発局あるいは建設省、それから自衛隊や消防署、たくさんの関係機関が本当に一生懸命やっていただいたなという印象を私個人は持ってございますので、それもお伝えしたいと思います。  一昨年ですか二年ぐらいになりますか、南西沖地震がございましたので、特に積丹半島のあの地域というのは非常に危ない地域だと昔から言われていたところで、地元の住民の交通に対する要望が非常に強いところでもありました。なるべく早い復旧をすると同時に、安全対策に十分なチェック体制をぜひとっていただきたい。  そして、この夏には古平を初めとする積丹半島、あそこの地域を何とか観光地域として、ことしあたりを観光元年と考えて観光地の振興という考え方をしていたのですけれども、今度のこの事故でそれに悪影響が出るんじゃないだろうかといったようなことも心配される人がおられます。  この地域市町村の要望を、特別交付税もそうですけれども、それ以外にも、地域振興といったような点から、交通の便あるいは地域振興の点について十分な御配慮をぜひいただきたいと思ってございますので、その点、何か大臣からいただければと思っております。
  43. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 委員にお答えいたします。  俗に言う危機管理でございましょうか、先ほどから委員のお言葉を聞いておりまして、私も思い当たるところがたくさんございます。まして今回のようなこういう本当に思いがけない大災害になりますると、確かに一つの省だけではなく、例えば今度の場合でも、北海道開発庁のみならず、建設省、防衛庁、消防庁、また町のボランティアの御協力まで賜りました。  そういう意味においては、この間建設委員会でも要望を受けたその後、直ちに私も向こうに行ってまいりましたけれども、すぐに旧道の復旧をしていただかないとあの町は孤立してしまう、そっちの方がまた大変だ、こういうことになりますので、それもすぐに私の方から下命いたしまして、即応させていただいているつもりでございます。  損害賠償の問題につきましては、これは原因究明を待つ必要もあろうと思いますから、早期に誠意を持って対応すべく、これは御意見を承りましてできる限りのことをさせていただければ、このように願っておる次第でございます。ありがとうございました。
  44. 荒井聰

    荒井(聰)委員 終わります。ありがとうございました。
  45. 日笠勝之

    日笠委員長 樽床伸二君。
  46. 樽床伸二

    樽床委員 新進党の樽床でございます。  この豊浜トンネル崩落事故に対しまして、我が新進党といたしましては、十日の事故発生翌日、第一次の視察団といたしまして長内議員がすぐ現地に入りました。その後、十四日の夜から十五日午前中にかけまして、私どもの明日の内閣の大臣でございます青山議員を先頭といたしまして、私も含めて計五名の者が現地に参りまして、視察を行ってまいりました。  そういった経緯も踏まえまして、この豊浜トンネル事故を中心にいたしまして、御質問をさせていただきたいと思います。先ほど来よりいろいろ質問が続いておりますので、できるだけ重複は避けながら質問をさせていただきたいと思います。その中で、先ほど荒井委員の方からお話がございました現地対策本部関連の話につきまして、若干冒頭に、御質問かたがた私の見解を申し上げたいと思います。  私も、事故につきましては荒井委員とほぼ同じ認識を持っております。つまり、突如としてやってくることであるから災害になるわけでございまして、初めから予想ができればこれは災害にはならない、こういうことでございます。  今回特に、予想を余りにも超えた岩が落ちてきた、こういうことでございますので、現地の皆様、この救出作業に大変御苦労をされたんだろうというふうに考えております。しかし、ここで問題なのは、予想を超えた事故であればあるほど、その指揮官の問題が大変重要になってくるであろうというふうに考えております。いかに技術にすぐれ、そしていろいろなノウハウも備え、いろいろな経験も豊かであったといたしましても、同じ事故に二度三度ぶつかるということは、これはなかなかまれなことでありまして、ほとんど考えられない、こういうことでありますと、指揮官はやはりきちっとした決断ができる、そこの現地対策本部の人が、その指揮官が、その長が決断を下せば、その長の決断のもとに安心して自分たちの技術なり知恵なり経験を十二分に発揮できるという体制がなければいけないというふうに私は考えております。  そういった前提に立ちまして、大臣も二度ほど現地に足を運んでおられる、こういうふうなことでございますが、十一日に岡部長官が入られ、そして十三日には佐藤政務次官が現地に駐在をされておられる、こういうことでございますが、政務次官の役割が大変大きいのではないかというふうに私は認識をいたしております。ですから、十三日に駐在のために東京出発というふうに我々は聞いておりますが、その後いつまで現地におられて、どのような活動内容を政務次官がされてこられたのか、ぜひともお聞かせをいただきたいと存じます。
  47. 小野薫

    ○小野説明員 御説明いたします。  佐藤政務次官は岡部長官の指示を受け、その代理として二月十三日から十八日まで小樽開発建設部に設置された対策本部事故対策に当たっております。この間、対策本部において状況把握に努め、必要に応じて現地に赴き、一刻も早い救助活動に向けた職員の督励、被災者御家族へのお見舞い、要望等の聴取、被災者御家族の健康保持のための地元医師会への協力要請等を行ったところであります。また、被災者の御遺体が収容された後は、中尾建設大臣、岡部長官とともに、御遺族の方を弔問しました。  以上でございます。
  48. 樽床伸二

    樽床委員 初めて佐藤次官の活動内容をお聞きしたわけでございますが、やはり私ども現地に参りましても、対策本部が大変混乱をいたしておりました。私どもが参りましたのが、四回目の発破が成功したといいますか一応岩が全部なくなって、さあこれから本格的に土砂を運び出す、こういう時期でございましたので、非常にごった返しておりまして、だれがどういう方なのか、まあ制服とか服で大体この方はこういう方だなというのはそういう形では理解できましたけれども、非常に混乱をいたしておりました。  今後の教訓といたしまして、ぜひとも昔の、私は軍隊経験はございませんが、軍隊でも、いかに優秀な兵士がたくさんおられても指揮官が決断しなければ何にもならない、こういうことでございますので、指揮官が責任を持って決断できるということでこの危機管理に臨んでいかなければ、これは烏合の衆に終わってしまう。これは、皆さん方に対して大変失礼なことを申し上げているかわかりませんが、いかに技術、知恵、経験があっても、決めなければ何も前へ進まない。そういったことを決断する役目を持つトップの役割の重要性、それに相当する方の派遣ということをぜひとも、今後こういったことがありましたときには、不幸にもこういう災害が起こりましたときには、すぐさまそのような体制をぜひとっていただきたいということを改めて強く要望させていただきたいと思います。  続きましては、いろいろ車で現地周辺も走りましたが、海を見れば大変変わった岩が海の中に浮かんでおりまして、観光の名所であったというふうに聞いております。これは、逆を返せば、非常にこういう災害が起こりやすい地域でもあろう、こういうふうな認識も抱きながら、自然の力の恐ろしさというものをまざまざと、何か切迫する思いで感じてきたわけでありますが、十三日に緊急点検を指示をされた、こういうことでございますが、改めまして、どれぐらいの対象の数、緊急点検の数、それから、どのような方法で緊急点検をなされたのか、改めてお聞かせいただきたいと思います。
  49. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 今回の事故の重大性にかんがみまして、二月十三日付で全国道路管理者に対しまして、トンネル坑口部、落石覆工が設置されている箇所のり面、斜面について緊急点検を指示したところでございます。  緊急点検では、今回の事故発生地点と同様の地形、すなわち海岸線などに多く見られるような、岩盤が露出しておるところ、あるいは外壁の高さの高いもの、おおむね十五メーター以上、こういうものを対象にいたしまして、開口亀裂の規模岩盤の亀裂状況のり面、斜面の形、外壁の高さ、凍結融解湧水の有無、トンネル坑口部や落石覆工の状況等を点検し、岩盤工学等の専門家の参画も得ながら実施することとしております。  どの程度の箇所がこの対象になるかは、現在各管理者におきまして点検を始めておりますが、おおむね二千近く、二千カ所、千五百から二千カ所というような想定を現在我々はしているところであります。  いずれにいたしましても、詳細な調査を行った上で、具体的な補強工事の実施あるいはいろいろな必要な措置を講じてまいりたいと考えております。
  50. 樽床伸二

    樽床委員 一斉に緊急で二千カ所、二千カ所弱ですか、点検をされるのは大変なことであろうと思いますが、このようなことが二度と起こらないように努力をしていくという大前提の中でぜひとも鋭意点検を進めていただきたい、このように考えておるところでございます。  続きまして、一九八九年の福井県の越前町のルート三〇五の事故を契機として全国一斉点検を始められたというふうに私どもは認識をいたしておりますが、それで事実間違いないのでしょうか。
  51. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 越前海岸の落石覆工に落下しました岩石崩落、この事故をもとにいたしまして、落石覆工について全国の覆工の状況が適切であるかどうかの点検をいたしたところでございます。
  52. 樽床伸二

    樽床委員 先ほど田中委員お話にもありましたが、七万四千ですか、対策をしなければならない地点が七万四千ある、こういうお答えであったと思います。この七万四千に対しまして、もう一度お聞かせいただきたいと思いますが、その七万四千に対して対策が必要だという判断をされたわけでありますが、どのような対策をされておられるのか、もう一度改めてお聞かせいただきたいと思います。
  53. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 平成二年から平成三年にかけまして全国一斉点検をした結果でありますが、何らかの対策が必要と判断された箇所全国で七万四千カ所でございました。現在平成七年度末でありますが、このうち四万七千カ所、約六三%は対策を完了する予定としております。  具体的にどのような対策をしたかということでございますが、これは、危険箇所の形態に応じまして、例えば落石崩壊というような場合でありますと落石防護さくあるいは落石防止網、ネットと言っておりますが、そういうもの、あるいはモルタルの吹きつけ工を実施しております。また、岩石崩壊の場合でありますと、コンクリート枠工と いうことで、岩石が落ちてくるのを枠組みで抑えていく、あるいはロックアンカー工、こういうものをやっております。あるいはまた、盛り土も落ちてくる可能性がありますので、ブロック積み擁壁あるいはコンクリート擁壁でそれを補強するということをしております。  トンネルでありますと、導水工とか裏込め注入、ロックボルトの増設、こういうことをやっておりますし、橋梁の洗掘等でありますと、橋梁の基礎の補修、補強、根固め工、こういうものを実施しております。
  54. 樽床伸二

    樽床委員 まだ六三%ということでありますので、鋭意御努力をお願いしたいと思います。  そして、この全国一斉点検については、五年に一度、こういうことを私どもは聞いておるわけでございますが、五年に一度といいますと、もうそろそろ五年になるのであろう、こういうふうに思いますが、前回が一回目であるとするならば、五年後の、近い将来、また全国一斉点検をされる予定であるのか、また、そういう態勢、準備に入っておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  55. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 この全国一斉点検につきましては、昭和四十三年の飛騨川事故以来一斉の点検をスタートしているわけでありますが、おおむね五年ごとぐらいにやっております。それは、いろいろな落石事故等が起きておりますので、そういう新たな事態に対応する必要があります。さらには、その一回の点検ですべての危険箇所対応ができるわけでもございません。そういう意味で、平成二年、三年に実施しましたが、平成八年度にもこの点検を新たに実施する予定としておりました。  そういうことで、今回の事故発生しましたので、この事故の教訓も踏まえまして、点検のやり方も十分検討いたしまして、新たな点検に着手したいと考えております。
  56. 樽床伸二

    樽床委員 続きまして、この全国一斉点検におきます豊浜トンネル評価でございますが、報道等々ではレベル四であったというふうに報道されておるかと思います。おおむね安定しておるという評価の中で、新聞報道等々でいろいろ表現の違いはあるでありましょうが、当面対策は必要ない、こういう評価であるというふうな報道がなされておりますが、それで事実間違いないでしょうか。
  57. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 御指摘点検の際の評価でありますが、この点検におきましては、坑口部の地質、覆工の亀裂、沈下、湧水、坑口付近の地山の変状等、こういうものを点検して総合的に判断したものでありまして、これは当面変状が認められないので対策の必要はないという評価結果でございました。
  58. 樽床伸二

    樽床委員 そうすると、ちょっとお聞かせいただきたいのですが、新聞情報でまことに申しわけないのですが、日経新聞の二十一日朝刊に、北海道開発局が、北海道南西沖地震の後、九三年十月に道内の日本海側のトンネル周辺約百九十一カ所を対象に実施した地盤点検結果を明らかにしたという報道が出ております。それによりますと、「豊浜トンネルに関しては「地震に対する安定度がやや低い」と評価していた。」というふうに報道されておりますが、この点検の結果、実際そういった評価がなされたのは事実でありましょうか、お聞かせいただきたいと思います。
  59. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 御指摘のとおり、平成五年の北海道南西沖地震後に北海道開発局は改めて独自の点検を実施しております。  これは、最初に、震源に近い斜面が強い地震動により緩みが進行している可能性が高いということで、崩落源が地上から視認しがたい急ながけあるいは長大斜面の頭部に位置するということが多いためヘリコプターの目視によって点検をし、箇所の抽出を行いました。その結果、抽出された箇所につきましては、南西沖地震が原因で大規模な斜面変状が生じた箇所をさらにその中から見出すという目的で、今度は空中写真判読によりこれを評価したものであります。  この空中写真判読の場合には、これは一番低いランクCで、地震に対する変状は確認されなかったというのは、そのとおりでございます。しかし、今後地震が発生した場合はどうか、そういう観点からさらに詳細な調査をしたものでございます。これも、先ほど申し上げました写真判読により地形、地質的な要因から地震に対しての安定度を総合的に判断したものでありまして、この場合は、豊浜トンネル周辺の斜面はランクB、これは地震に対する安定度がやや低い、こういう結果になっております。  そういう意味では、地震後の変状はありませんでしたが、亀裂等の状況を見て、もう一度同じようなあるいはそれ以上の地震があったときに危険性があるかどうかという調査をしたところでございます。これも調査の途中でございまして、引き続き、平成六年、平成七年と詳細な調査を継続していた、これが実情でございます。
  60. 樽床伸二

    樽床委員 新聞報道に大体間違いがない、こういうことであったかと思いますが、今、局長の方で平成六年、七年と続いて調査をして継続をしておる、こういう御答弁をいただいたわけでありますが、その全国一斉点検の折には、要するに一、二、三、四の一番安全なレベル四であったわけでありまして、この北海道開発局の九三年での点検では、要は危ない順の方からAが一番危ないという、A、B、C、DのBである。ということは、一番安全なところから二段階アップしたわけでありますので、この二段階のアップをどのように建設省としてはお考えになっておられたのか、お聞かせいただきたいと思います。
  61. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 平成二年並びに平成三年の調査につきましては、一般的に目視というものを中心にやっておりました。今回は、先ほど申し上げましたように、ヘリコプターで撮ったり、あるいはラジコンヘリコプターでさらに近づいて写真を撮るというようなことでより詳しい調査をし、さらに詳細な分析をした結果、地震の後でもありますし、変状はありませんでしたが、亀裂等の状況から見てそういう判断をしたものと報告を受けております。
  62. 樽床伸二

    樽床委員 恐らく、全国いろいろな危険箇所が、対策を要する地域が七万四千もあるということでありますので、なかなか大変であろうとは思いますが、しかし、自然の脅威に勝てるとは思いませんが、いかに人命を守っていくかというのは政治の大きな柱の一つでもあろう、このように考えておりますので、ぜひとも今後鋭意努力をしていただきたい、このように考えておるところでございます。  それからもう一点、事実関係の確認をさせていただきたいのですが、これも新聞報道でまことに恐縮ではありますが、二月十九日の毎日新聞の記事で、二年前ほとんど同様の崩落が現地から三キロ東の岬であったという報道が実はされております。今回の崩落の倍の規模であったという報道がなされております。このときにはニュースになっていないということは、幸い人命には全く関係がなかったということであろうと思います。しかしながら、二年前に倍の規模の要するに岩が落ちた、こういうことがあったという報道はされておるわけでありますが、この事実関係はいかがなものでございましょうか。
  63. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 御指摘崩落につきましては、北海道開発局に照会しておりますが、ワッカケ岬の先端で約二万立米の崩壊があったと聞いております。しかし、周辺に集落、道路等がなく被害もないことから報道もされなかったということから、詳細には把握されていなかったのが事実でございます。  一般国道二百二十九号は極めて厳しい条件の中を通過しているという認識は持っておりますので、従来から落石、雪崩等に対してのパトロールについては特に注意を深く行うよう指導してきております。今後ともそのような努力をしてまいりたいと思います。  また、今御指摘のような地域情報、海岸線の落石状況等、幅広くデータを収集し、このデータを集積し、データベース化をして、道路管理の万全を尽くしていくということはぜひ必要でありますので、そういう研究開発あるいは実施に向けて 努力をしてまいりたいと考えております。
  64. 樽床伸二

    樽床委員 私、先ほどから再三申しております言葉に、自然は大変恐ろしいということを先ほどから何度も申し上げております。我々人間の力で自然に打ちかとうなんという、こういう浅はかな知恵を我々人間は持たない方がいいのではないかということも改めて痛感をしたわけでございます。  しかし、先ほどから申しておりますように、かといって何もしないでいいというわけではございません。そういうような現実的な対応の中で、先ほど田中委員がおっしゃいました情報の公開ですね、どこが危ないという、危ない、ここは危ない場所なんだという、それをしっかりと国民の皆様方にきちっと教えていただいて、そういう心構えをやはり常にしておくということが大変重要なことではないだろうかというふうに私は思います。  そういう危ない地域だという認識がありますと、そこでトンネルを掘る場合も、地元の人からすると確かに便利にはなる、便利にはなるけれどもトンネルというのは崩れないものだという認識の中で、危険というものを認識しないようなことにもなろうかと思いますが、そういう危険な場所であるということになりますと、本当にそこにトンネルを掘っていいのかどうかという地元の意見もそこで出てくるだろうというふうに思います。  すべからくきちっと、我が国のように大変豊かな自然というか、非常に海岸線も入り組み、危険な箇所が、それは反面で言うと、観光に適する場所が多いということにもなろうかと思いますが、そういう場所がたくさんあるという前提の中で、ぜひとも今回の教訓を生かして鋭意努力をしていただくと同時に、その情報建設省またそれぞれの役所で持っておく、出さないというのじゃなくて、極力国民の皆様方に公開をするということを私もぜひともお願いをしたい、このように考えておるところでございます。  続きまして、今回の事故を契機といたしまして、事故原因究明に対しての事故調査委員会を十日に設置をされたというふうに聞いております。第一回の委員会を二月の十六日に行われたというように私ども聞いております。さらに、今後の再発防止に対して、専門家から成る第三者的な検討委員会である調査委員会を早急に発足させ、調査検討を実施をする、このように私どもはお聞きをしておるわけでありますが、この二つの委員会につきまして、一体どれくらいの期限をめどに活動を行っていくのか、そして今後の活動内容についてどのように現時点で考えておられるのか、最後にお聞かせいただきたいと思います。
  65. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 現在、原因の徹底的な究明を図るために、トンネル工学、地盤工学等の専門家から成る事故調査委員会を発足させております。第一回目の委員会をやり、その後、崩落状況の報告、今後の調査の着目点等いろいろ御検討いただいているところでございますが、具体的な調査あるいは検討は今後のことと聞いております。  なお、一回目の委員会の後、記者会見等におきまして、委員長より今後の見通しについての発言があったと聞いております。おおむね六カ月から九カ月という目途というふうな発言があったようでありますが、順調に、このようになるべく早く報告がいただければ、このように考えております。  それから、全国レベルにおきまして、大きな、大規模岩盤崩落のメカニズム等につきましては、これは大変難しい課題と考えております。技術的にも非常に大きな課題だと思います。そういう意味では、建設省を挙げまして、今後の予知技術の開発、こういうものに取り組んでまいりますので、現在の段階で、どの程度の時間を要するか、あるいはどういう内容になるかというのはお答えできませんが、早く委員長を初めその人選を定めまして発足をさせたいと考えております。
  66. 樽床伸二

    樽床委員 私は大阪の選出でございまして、昨年の阪神・淡路大震災は隣で発生をした大変大きな災害でございます。幸い私どもの住んでおるところには大きな被害はなかったわけでありますが、しかし、朝、揺れで目が覚めるというようなことも経験をいたしました。そして、知人、友人、大変多くの方が神戸地方に住んでもおりますし、私の知人も、人命を落としたといった者もおりました。  しかし、災害というものは、のど元過ぎれば何とやらで、もう一年たちますと、ついつい風化をしてしまいがちになるわけでございます。いかにこの災害の教訓を生かそう、生かそう、こういうふうなことを言っておりましても、どんどんどんどん時間がたつに従いまして、時代の変化のスピードも大変速い、そしていろいろなことが起こるというこの時代状況の中で、先へ延ばせば延ばすほどまたのど元過ぎればということになりまして、これだけ悲惨な事故でとうとい人命も失った、その教訓を生かせないということになりますと、これは、大変不幸な形で命を落とされた方に対して、やはり我々は顔向けすることができない、このように考えるものでございます。  一刻も早くこの今後の委員会の活動をしていただきまして、できるだけの努力をして、二度とこういう事故が起こらないような対策を今後ぜひともとっていただきますように心よりお願いを申し上げまして、私の質問を終了させていただきます。ありがとうございました。
  67. 日笠勝之

    日笠委員長 藤村修君。
  68. 藤村修

    ○藤村委員 初めに、去る二月十日に発生しました北海道国道二百二十九号豊浜トンネルで起きましたトンネル崩落事故によって亡くなられた二十人の方々に深く哀悼の意を表するとともに、御遺族の皆様には心からお悔やみを申し上げます。また、負傷された方にもお見舞いを申し上げます。  さて、冒頭から私ごとで恐縮でございますが、ぜひ中西大臣にお聞きを願いたいと思います。  私は、学生時代、広島で過ごしました。そして大学の自動車部という、モータリゼーションたけなわのころでございましたので、そういうサークルに入り、そして一つは、そういう自動車の安全とか、安全運転競技会などもある、そういうところから学生時代に参加をして、さらにそのときに、これはちょうど昭和四十四年から八年でございますので、いわゆる交通事故も、過去の統計で言いますと、警察庁統計でも一万六千数百人、厚生省統計では二万人を超すような事故死者が出た。交通戦争と言われるような時代でございました。  そのときに、私は学生時代でありますが、交通事故で親を亡くした子供たち、いわゆる交通遺児の問題まだ当時は交通遺児などという言葉もなくて、そういう、しかしこれ、交通事故で親を亡くした家庭が、特に父親を亡くす場合に、その残された家族が大変深刻な状況になっている。当時、高校進学などというのは、今よりはちょっと低いですが、大抵の方が高校へ進学する。その高校進学すらできないというふうな、そういう叫び、訴えがマスコミなどで取り上げられた。  そういうときに私も、広島におきまして、交通遺児との出会いがございました。そして、その交通遺児を何とか、学生でございますので、救済したいという思いが高まる、そんな中で、全国的にも交通遺児の救済運動という形で、特に学生が中心で募金運動をして、高校へ子供たちを上げる奨学金をつくろう、そんな動きが出てきておりました。  昭和四十五年にその第一回の募金運動が全国で始まったわけでございます。そして、時あたかも、ちょうどこの本衆議院の交通安全対策特別委員会におきましても、そういう世論あるいは政治家の皆さんの頑張りによりまして、実は決議がされました。その決議は、   この際、政府は、すみやかに、交通事故により親等を失い、生活困窮家庭にある児童・生徒の援護及び高等学校等での修学資金を貸与する業務を行なう財団法人の設立及びその財団法人の健全な事業活動を促進するため、必要な助成措置等について配慮すべきである。   右決議する。ということで、今民間の財団でございますが、財団法人交通遺児育英会がその翌年に発足をしたわ けでございます。  そういう意味で、私が本日本国会で初めてこの委員会に参加させていただいて、初めて質問をするわけでございます。学生時代から私自身が運動にかかわった一人として、この委員会で本日質問の時間をいただき、質問させていただくことを委員長並びに同僚委員に感謝申し上げたいと存じます。  おかげさまでその財団法人は、学生たちが毎年春、秋ずっと、昭和四十五年以来四半世紀を超えるわけでございますが、春、秋、春、秋と全国の大学生が中心で、近年はもう高校生まで参加をして募金運動を行う。それから、さらに後には、教育里親と当時言ったのですが、いわゆるあしながおじさん、今はこちらの方が有名だと思います、あしながおじさんを募集というのも、街頭で学生たちが訴え始めた。そうすると、そのあしながおじさんと呼ばれる、これは一般の庶民の方ですが、それが登場をして、その交通遺児の支援の奨学資金のカンパをしてくれるというふうなことで、以来もう四半世紀が過ぎましたが、きょうまでに交通遺児の高校生や大学生四万二千人余りに、奨学金約二百八十億円という額を貸与してまいりました。  そして、その財団は、これは去年の三月末でございますが、資産総額三百三十九億円余り、財団法人の基本財産は百億円、そして手持ちの資金は六十二億円余りと、日本でも有数の資金力を持つ民間の財団法人となったわけでございまして、それはそもそもは、昭和四十三年、本委員会決議をいただいたことが、そういう果実を花開いたというところかと思います。  昨年、阪神・淡路大震災は大変な大災害でございましたが、その中で教訓あるいは一つの救いとして、若者のボランティアといいますか、特に学生を中、心に神戸に殺到した。そういう意味では、去年がボランティア元年とも呼ばれる年かと思いますが、我々は、私自身がそうなんでございます、学生時代からそういう一つの民間のボランティアで参加をし、これはきょうまでに延べ多分百万人を超す私以下の若者が参加をしていると思うのです。そういう運動の成果が、今のその交通遺児の救済、民間での奨学金貸与、高校生、大学生、大学院生、そういう人たちへの奨学金の貸与となった大変大きな成果を生み出したと考えますが、初めにこのことにつきまして中西大臣の御所見を伺いたいと存じます。
  69. 中西績介

    中西国務大臣 近年になりまして各方面からボランティア活動の重要性、あるいは特に青少年期において多くの人々の中でこうした体験をすることが、人と人との助け合いだとかあるいは奉仕の精神だとか地域との連帯だとか、こうした問題を培う上で極めて重要であるということは、昨年の阪神大震災、これを契機にしてさらに広がっておるということを認めておるわけであります。  特に、交通遺児救済の今お話ありました長い間の四半世紀にわたる活動と、そしてこれに携わってこられた皆さんの行為に対しては、私は敬意を表すると同時に、こうした行動なり皆さんの活動を大変今とうといものとして私は認識をいたしておるところであります。  以上です。
  70. 藤村修

    ○藤村委員 大臣、ありがとうございます。  これは世間全般の御評価もそういうふうにいただいておりまして、おかげさまでもう発足以来二十七年ぐらいになるのでしょうか。その財団法人交通遺児育英会の問題につきまして、きょう私は初めて質問させていただきますが、同僚委員ともども一時間近くのお時間をいただいて、問題点の御指摘などをさせていただきたいと思います。  といいますのも、平成六年、二年前、ほぼ四半世紀を経た交通遺児育英会のずっと長い間理事長を務めていただきました、元警察庁長官でございます石井栄三理事長が亡くなりました。そして、その後に新理事長には、これは元総理府総務副長官です、宮崎清文さんが交代をされた。二年前でございます。  以来、どうも新聞でいろいろなことが書かれた。例えば、これは交代をされて割にすぐの時期だったと思いますが、官僚支配だ、あるいは私物化などの見出しが書かれた。これはその中身についていろいろ疑義がありますが、そんなマスコミの報道があったり、あるいは昨年七月には、交通遺児の奨学金の送金がおくれて、当てにしていた奨学生、奨学金を受ける学生が大変困っているという報道があったりしました。これは、私たちが過去ずっと学生時代からそういう募金運動で奨学金を集めて、進学していただこうというボランタリーなOBの心配だけでなく、実際奨学金を受ける学生たちの不利益が生じているのではないだろうか、何か財団の運営に問題があるのではないかと心配をしております。そして、この二年間見守ってきたのですが、やはり幾つかの問題点があると思います。  まず、その二年になる宮崎新理事長が、学生の募金運動のOBを集めたりした中で、学生はただで募金なんかやるものかという発言があったわけです。そして、そういう発言がどこから漏れたか、週刊誌に書かれまして、週刊誌では、街頭募金の学生に多額のバイト料が払われたかの報道もされたようなことがございました。これは、私が現場に実は最初から参加し、ほとんどの募金運動にタッチをしておりますので、そういうことは絶対ないわけではございますが、そういう新しい理事長が過去のボランタリーな動きを余り認識されずに、やや軽率に発言されているのではないか。  それから、これはその財団の昨年の機関紙でございます。平成七年六月十五日発行の財団の機関紙でございますが、ここに、新聞で言うと社説になるのですか、「論説」と書いて「ボランティアについて考える」。これは文責は理事長らしいのですが、この中に「当育英会から必要経費の全額の支払いを受けながら行っていた自分たちの奨学資金のための募金活動が、果たして純粋な意味でのボランティアといえるかどうかは疑問の存するところである。」  これは実は交通遺児の学生みずからが、特に中心、東京の交通遺児の学生たち自分たちの仲間に働きかけをして、全国交通遺児の救済の運動を呼びかける中核になり、実態としては、その呼びかけられた一般の学生が参加をして募金運動に入るわけでございます。そのことを、その全体をとらえずに、一部の部分でボランティア論を展開された。これは、昨年の阪神大震災で新しい日本のボランティア論が今沸き起こる中で、そもそもボランティアの、これは延べ百万人を超すと思うのです、そういう人たちに支えられ育てられた、そういう人たちの愛の行動により育てられた団体の新しく長になられた方の発言として、これは私、OBとしてちょっと許せない、このように感じております。  これは指摘をするだけでありますが、具体的にこの二年間の運営を見守ってきましたときに、一つは、平成六年、七年と続けて、法人の寄附行為にもあるいは総理府令にも反して理事会開催がおくれた。それが奨学金送金のおくれとなったということでございます。このことは、平成七年十一月二日に同僚委員がこの委員会で問題を指摘いたしました。  では、その後育英会では、損害があればしかるべき措置をとると言いながら、そのことを果たして奨学生にちゃんと知らせたのか。あるいは、法人の理事会できっちり事情説明や今後の対策について議論したのか。  総務庁と文部省が監督官庁でございますが、こういう運営面について総務庁の方でフォローされていると思いますので、その後の経過をお知らせいただきたいと思います。
  71. 井野忠彦

    ○井野政府委員 総理府令違反の点につきましては、私から育英会に対しまして今後このようなことのないように注意をしたところでございます。また、本件につきましては、その後開かれました理事会におきまして事情説明がなされたというふうに聞いております。  なお、奨学生からは損害等につきまして具体的な苦情はなかったというように聞いております。
  72. 藤村修

    ○藤村委員 損害等があればしかるべき措置をとるというのは、ひょっとしたら監督官庁向けの言葉ではなかったか。つまり、とるならとると奨学金を受けている人たちみんなに周知徹底をした上で、あったかなかったかということを答えねばならないと思いますが、いかがですか。
  73. 井野忠彦

    ○井野政府委員 奨学生に対しましてそういう連絡といいますか、文書は出していないというふうに聞いております。
  74. 藤村修

    ○藤村委員 そうしたら、何の損害賠償の要求はなかったということは言えないわけでございます。つまり、これは一つ重要な運営面での問題だと思います。  さらに第二点は、奨学金を貸し出す、日本育英会なんかもそうでありますが、この交通遺児の育英会は、親を交通事故で失ったという意味では、ある意味で親がわりの指導、教育、言葉で言うと補導という言葉もありますが、そういうことも非常に重要視されて、高校奨学生を夏とか春に集めて集いを行う。これが定着をしておって、後輩の奨学生たちも非常に多くが楽しみに参加をしておりました。その奨学生の集いが、新理事長になった平成六年度、そして本年度、七年度も全く開催をされず、ある意味で奨学金を貸すだけでないそういう心のケアを最も大切にしていたこの財団の経営というのが、えらく変わってしまっているのではないか。そういう意味では、この交通遺児自身にとって不利益な事態となっているのではないかと思います。果たして平成八年度、この集いというのは復活するのかどうか、まあこれは先の話でございますが、いかがでございましょう。
  75. 井野忠彦

    ○井野政府委員 平成八年度の奨学生の集いにつきましては、現在育英会におきまして、再開する場合の方法、内容等につきまして検討していると聞いております。いずれにしましても、本件につきましては最終的には育英会の理事会において決定されるべきものと認識しております。
  76. 藤村修

    ○藤村委員 管理面で新理事長にこれはちょっと非常に問題があるということを指摘したいと思いますが、こういう監督官庁がある民間の財団法人ですので、やはり役所のOBとか、あるいは民間の会社のOBとかも行かれる。第二、第三の職場としてこういうところに職員も何人もいらっしゃるわけです。  例えば、元総務庁職員の方で、六十歳前後の再就職をこの育英会にされた方で年収九百万円という額であります。あるいは、六十五歳定年後も嘱託として再採用して年収八百万。労働省の賃金構造基本調査、聞いてみたのですが、六十五歳男子常用労働者の月給は二十五万一千四百円で、年収ベースで四百万円余りというのは、これは普通の考えであります。余りにこれ、民間の善意を集めた財団で、六十五歳を超した方の年収というのが八百万、倍ぐらいでありますので、ちょっと常識外れ、法外ではないか。  そしてまた、そういうことが起きたために、この育英会の中に、若い職員たちの反発を買って、職場のあつれきを生んで人間関係を悪化させ、この種の財団法人で非常に異例なことでございます労働組合ができてしまいました。つまり、これは宮崎新理事長のこの二年の財団運営に何か欠陥があるのではないかと考えざるを得ないのですが、今、監督官庁はどのようにお考えでしょうか。
  77. 井野忠彦

    ○井野政府委員 私どもは、宮崎新理事長が育英会の正常化に向けまして懸命の努力をしておるというふうに認識をしているところでございます。
  78. 藤村修

    ○藤村委員 ですから、認識を変えてもらわないといけないわけであります。今の常識外れの賃金やら、そしてそういうことが一つ原因ともなった労組ができた、これはやはりちょっと運営に問題があるのじゃないかと指摘したいと思います。  それからもう一つは、経費支出の面でございます。そもそもこの育英会が、先ほど来申しております街頭募金で本当に百円玉、五十円玉、十円玉のそういう協力者、これは一億二千万国民ほとんどが参加していただいていると思います。あるいは、あしながおじさんというような格好で毎月わずかながらでも継続的に寄附をしてくださる。そういう善意の寄附者が集まって、そして先ほどの熟年再就職組の給料の額を聞いたら、一体どう感じるか。これはむだ遣いということではなしに、むしろそういう国民の善意に対する背信的行為ではないだろうかとすら思います。  それは指摘しておきますが、具体的なことでは、例えば今これは自民党本部の隣の旧新自由クラブがいたビルに本部が最初からあります。そこの永田町の事務所、例えば平成四年には職員が二十六名いらっしゃった。平成六年の理事長就任の直後に、私は実は予算委員会の分科会でこの件はちょっとお尋ねしたのですが、何か理事長室ができたと聞いた。これをお尋ねしましたら、当時の、今の井野室長の先輩に当たられますが、根本交対室長が  理事長室というのも、もともとの会議室にちょっと机を入れて使っている、通常は会議室として使うのだ、こういう報告を受けておりますので、わざわざ狭い事務室の中に理事長室を設けたのではなくて、週に何回か仕事で来るときに使う、その他のときは、もともと会議室として使っていたのでそのまま使っている、こういうふうに聞いていると答えていられました。  ところが、つい最近の話、今職員は当時よりも四名減っているのですか、非常勤の方二人を入れても今二十二人であります。それが最近、同じフロアの隣の部屋に、わざわざその隣の事務所に移転してもらう費用まで払って移転をしてもらって事務所を拡張し、そしてそこへ理事長室をつくるのだということだそうであります。本年度のそこの財団の議事録を見る限り、こういうことは全然決めていません。  そして、先ほども紹介いたしました、亡くなられました前石井栄三理事長は、二十五年間民間資金をむだ遣いしないと、非常勤である理事長の部屋どころか、机やロッカーも不要とされていた、そういうふうに聞いておりますが、宮崎新理事長は一体無神経ではないか。あるいは財団は、本当に、新聞の見出しじゃないけれども、私物化しているのじゃないかと考えざるを得ません。どうお考えでしょう。
  79. 井野忠彦

    ○井野政府委員 今の部屋の問題につきましては、私まだ聞いておりません。その辺は確かめたいと思っております。
  80. 藤村修

    ○藤村委員 労組ができた、そしてその労務対策費というので、平成六年、これは途中からの支出になっておるが、四百万支出しました。弁護士費用だそうです。平成七年度、今年度、これは予算化して一千万の弁護士費用。ちょっとこの弁護士費用が高過ぎるのじゃないか、これはむだ遣いではないかと思うのですが、いかがですか。
  81. 井野忠彦

    ○井野政府委員 この弁護士費用につきましては、ここ二年来いろいろ法律的な判断を必要とする事案が出てまいりましたために、それに対処するためにそれぞれ専門の弁護士と顧問契約を結んだものでございます。そして、その際も、予算計上額を機械的に支払うのではなくて、依頼業務の量に応じて当然ながら適切な額を支払う方針であるというふうに聞いております。
  82. 藤村修

    ○藤村委員 幾つかを指摘いたしました。つまり、交通遺児の奨学生自身に非常に不利益なこと。集いが廃止されている、あるいは奨学金がおくれた、それらのことが運営上の問題であった、欠陥であった。それから、お金のむだ遣いという点は、これは先ほど冒頭に申し上げましたとおり、日本では非常に有数な大きな資金力のある財団となった。一方で交通事故が減っている。あるいは交通遺児自身の発生が減っている。それから、交通事故の補償金が上がっていることによる奨学金を要する人たち対象が減っている。  つまり、ある意味では金は相当できてきたけれども対象は減っている、仕事は減ってくる。こういう中での今運営をされているとなれば、これはある意味では、いろいろな意味で節約したり縮小したり、それが、事務所をまた広げた、新しいスペースを借りた、それも永田町のあのビルでございます。こういう特に国民の善意を大半集めて成り 立ってきたこの法人の性格から考えましても、こういう点については当然監督官庁の適切な指導が必要だと考えておりますが、これは監督官庁は総務庁及び文部省でございますので、それぞれにお答え願いたいと思います。
  83. 井野忠彦

    ○井野政府委員 現在、育英会におきましては正常化へ向けた努力が続けられておりまして、監督官庁の総務庁といたしましては、当面それを見守っていきたいと思います。そして、文部省とも連携いたしまして、適時適切な指導監督を行っていきたいというふうに考えております。
  84. 櫻井清

    ○櫻井説明員 先生指摘のとおり、平成七年度の事業報告に関する理事会の開催がおくれまして、これに伴いまして今年度の新規奨学生への奨学金の支給が当初の予定よりもおくれた、こういうことがございました。このことにつきましては、文部省といたしましても、交通遺児育英会に対しまして、今後このようなことがないよう厳重に注意したところでございます。  文部省といたしましても、法人の運営については、基本的には寄附行為等を遵守して、自主的に行われるべきものと考えておりますけれども、今後とも問題があれば、総務庁とも連携しながら、適切に指導してまいりたいと考えております。
  85. 藤村修

    ○藤村委員 本当に適切に指導できるのかということでございます。  今大変話題の住専問題におきまして、つい先日の話、これは日本住宅金融の前の社長、有名になりました庭山慶一郎氏がこの二月五日に日本記者クラブで話していることがたまたま朝日新聞の天声人語に載りまして、つまり大蔵のOB、官僚のOBでございますが、大蔵省が調査をしたいと言ってきたら、最初課長補佐が来た、帰った。「つぎに、銀行局長が来た。君が直接来たのなら、君のやった政策のせいで、困った結果が当社に起こっているからと、そういう意味で調査することを認可したわけ」であります。官僚の大先輩に対してはなかなか指導監督、あるいは適切なとおっしゃっていただいても、これは難しい話ではなかろうかと思うわけでございます。  先ほど来話が出ております宮崎新理事長は、総務庁のかつての交通安全対策室長、つまり今の井野室長の大先輩にも当たる。その方のところへ単刀直入にお話しに行くのは、官僚の上下関係というのは、これは世間でもどこでもそうだと思いますので、いよいよこれは中西長官に、大臣に御登場いただくというか、あるいは政治がこういうときにきっちり働くということが必要だと感じております。  最近の話では、日本自動車連盟、JAFが、ここもモータリゼーションの一方の、交通遺児は影の方で、JAFは光の方で、非常に大きな発展をし、大変資金力ができた。そういうことでいろいろなことが起こった。それを政党の方で指摘をしたら、こっちは警察庁と運輸省でございますが、非常に適切に、迅速に対応していただきました。まあ民間、問題の本質は違いますけれども、非常に適切に対応し、ある意味では処分まで今出てきておるわけでございます。  そういう意味では、モータリゼーションの光と影の、影の部分でありますが、交通遺児育英会もそういう意味で成長をし、発展をし、資金力が物すごくあるという中で、これはちゃんと、官僚の先輩後輩はなかなか難しいので、ぜひこの同僚委員の皆様に今後ともに御指導いただいて、本当に長官には、中西大臣にはこれをフォロー、ウォッチをしていただきたい、こういうことをお願いして、実は関連質問を、また同僚委員にバトンタッチをいたしますので、私はこれにて終わりますが、長官、大臣に一言お願い申し上げます。
  86. 中西績介

    中西国務大臣 財団法人でこうした事態が出ておるということを、今説明なり、委員の意見発表の中にいろいろありました。したがって、これらの問題については、本来なら財団法人でこれらの問題についてみずからが解決をするという主体性をやはり持つということがなければ、十分な体制というのはできにくいと私は思っています。  したがって、これから後どういう状況にあるかということを十分お聞きいたしまして、これちについての判断をしていかなくてはならぬだろう、こう思っています。
  87. 藤村修

    ○藤村委員 住専問題も大きな典型でありますし、今のJAF問題もそうであります。官僚任せでやってきた、ある意味では非常に時代の趨勢に乗って、一つの歴史的意味を終えたというか、意義が終わったという、そういういろいろな、やはり今財団やら民間の団体がございますので、これはぜひ本当に大臣は、政治家の立場でそういうものを今後とも見続け、発言をし、指導をいただきたいと思います。  官僚の皆さんの答弁では、適切に指導するとはおっしゃいますが、やはり先輩後輩のさっきの話、なかなか難しいと思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げて、私、バトンタッチいたします。ありがとうございました。
  88. 日笠勝之

    日笠委員長 山本孝史君。
  89. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 新進党の山本孝史でございます。  まず冒頭、先般の豊浜トンネル事故、大変に悲惨な事故でございました。もう一秒、二秒違ったらという思いでおられる方たちがたくさんおられると思いますけれども、そういった意味でも、犠牲になられました皆様の御冥福をお祈りし、また御家族に心からのお見舞いを申し上げたいというふうに思います。  先ほど同僚議員が、財団法人交通遺児育英会の今のいろいろな現状について御説明をし、御答弁をいただきました。若干観点を変えて、同じ団体の問題ではありますけれどもお話をさせていただきたい、お聞きをいたしたいと思います。  委員長、済みません、ちょっとこのパネルを使うことをお許しをいただきたいというふうに思います。
  90. 日笠勝之

    日笠委員長 はい、どうぞ。
  91. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 お話にありますように、交通遺児育英会は交通遺児の高校生、大学生に奨学金を出している民間の団体ではございますが、今般この高校奨学生の奨学金の利用者が激減をいたしております。  例えて申しますと、一番多いときに、昭和五十年に千八百二十人の高校生がこの団体の奨学金を利用いたしました。その後、六十年に千四百五十五人、六十三年千三百二人、平成三年千八十九人、平成五年九百九十四人、平成六年七百九十二人、七年の予測でいきますと恐らく七百五十人ぐらい、来年度、八年度になりますと五百人ぐらいに減っていくのではないかというふうに、極端に、大きいところから下がっていっております。  これは委員皆さんも御承知のとおり、交通事故の形態が変わりまして、交通遺児を持っている中年の方たち事故がずっと減りました。子供の数も随分減ってきています。採用の条件として、生活に困窮していることというのがありますので、そういう意味で、補償金が高額化をしてくるというような状況の中で、利用しなくてもよくなってきたという部分も一面にはあります。  ただ、今あえて申し上げれば、宮崎体制の中でいろいろな問題があって、この奨学生の採用にも影響しているのではないかと私は思うのですけれども、まず、井野室長にお伺いをしたいのですが、交通遺児育英会としては、この先の将来予測、この先は一体、いろいろな条件を勘案してどういうふうになっていくというふうに考えているのでしょうか。
  92. 井野忠彦

    ○井野政府委員 将来の交通遺児の予測、予想はしておるようでございますが、確たるそういう採用計画は持っていないというふうに聞いております。
  93. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 交通遺児の推計、きのうお聞きしたら交通遺児の推計もないというお答えでしたけれども、会社であれ、公益法人の団体であれ、将来の予測計画を持っていない団体というのは、私はちょっと今の御答弁は信じられないような感じがいたします。理事長は一体何を考えておられるのだろうというふうに思うわけであります。  この育英会、先ほども指摘ありましたように、 平成六年度末の資産が、基本財産百億円、運用財産、繰り越しで六十二億円、この奨学金を利用しました子供たちからの返還金が大体十一億円、その他、御寄附が三億円ぐらいあります。これだけの大きな財産を持ちながら、平成六年度の場合、実際に奨学金の貸与額は十四億五千万ぐらいになります。  この団体に、運輸省の自賠責特別会計から交通遺児家庭の救済という意味合いで補助金が出ております。  どういう形でこの団体に補助金をつけているかといいますと、これだけの人が奨学金を利用する、これだけのお金が必要です、これだけの返還金が卒業した人たちから返ってきます、申し上げたように、六十二億円の運用財産を持っています、そこで利息収入があります、それを足し込みます、出ていく方から今申し上げた返還金と運用財産のお金を引きます、その残りに対して二分の一の補助をするという計算式できているわけであります。  ところが、実際問題として、指摘申し上げたように、採用者がどんどん減ってきております。そういう意味で、これは精算払いですので、年度が終わったところで実際に幾らになるからということでお支払いをするわけですが、最終的には、貸すより返ってくる方が多かったということがあって、平成四年度は、補助金はついておりましたけれども、結局はゼロになりました。平成五年度もゼロになりました。平成六年度、そういう計算をしたら返ってくる方が多いので、補助金を申請できない状況になって、申請をしませんでした。すなわち、ここでもう三年間連続で補助金はゼロになっているのです。切れているのですよ。  平成七年度、さらに補助金の申請をして、二千九百万円をこの団体につけたわけであります。ところが、二千九百万円をつける前提は、ことし九百人新たに採用されるだろうということを前提に補助金を申請していますけれども平成七年度、現在までで九百人の予定のところを七百人そこそこしか採用はされておりません。したがって、ことしも多分ゼロになるのじゃないか、精算をするとゼロになるのではないかというふうに思われるわけであります。  昨年十一月のこの委員会で、私、平成八年度は一体どうするんだということで御指摘を申し上げた。このむだな補助金を整理するというのが今の流れではありませんか、この二千九百万円というような金額でありますけれども、それはやはり、申請書類をつくるのには大変ですし、運輸省の担当者だってその審査をするのは大変でしょう、そういう意味も兼ねて、もう整理をされたらどうですかというふうに申し上げたのですが、平成八年度、やはり千四百万円、半額にはなりましたけれども、この補助金がついております。補助金申請での採用予定人員は七百六十人ということになっておりますが、来年、高校へ行ったら利用しましょうということで、今採用を予定しておられる方は四百十人しかおられない。したがって、来年度もまたこれはゼロになるのじゃないかというふうに思うわけです。  なぜ、こうまでして補助金をつけなければいけないのか、運輸省の補助担当の方は一体どういう査定をしておられるのか、そこのところの説明をしてください。
  94. 山下邦勝

    山下政府委員 交通遺児育英会に対します補助につきましては、今委員御説明ございましたように、経済的に困窮している交通遺児に対する奨学金の貸与という公共的な事業活動を健全に促進するために、国も応分の助成を従来から行ってきたところでございます。  平成八年度の予算編成につきましては、これまでの奨学金の数等から推計いたしまして、今お話ございましたように、七年度の予算額より大幅に減額して計上いたしております。予算の積算根拠となります奨学生の発生見込み人数等につきましては、これまでも、過去の実績のもとに、見直し、検討してきたところでございますけれども、これからも、委員指摘の点を踏まえまして、きっちりした奨学生の発生見込み人数の推計を行って、予算の適正化を図っていきたいと思っておるところでございます。
  95. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 さっき井野室長からも御説明があったように、この財団では、将来の採用計画の予測は持っておりません。そして、事実あるのは、こうやって減っていっているということです。そういうものがありながら、なぜつけているのですかという質問に対して、今のは答えにはなっていないのです。こういう補助金をちゃんと整理しなさいということを言っているわけです。  今も話がありましたように、ことし、平成七年度から奨学金の単価が上がりました。国公立に通う交通遺児の子供は、これまでは月額二万五千円だったのが今三万五千円、私立の高校に通う子供の場合は、従来三万円だったのが四万円というふうに単価の改定をいたしました。単価の改定をすることによって、必要な事業費というものがふえたわけですね。ふえるという形で今回の補助金の申請が辛うじて通ってきているのじゃないかというふうに私は思うわけです。  確かに、今おっしゃったように、経済的に困窮している、だから、必要だから単価をアップしていこう、世の中もいろいろお金がかかるようになったからということであればまだしもなんですけれども、どうもこれは、どう考えても、無理に単価を上げて、すなわち、事業費を水増しの計算をすることで補助金の確保をねらっているのだというふうにしか思えないわけであります。平成四年度ゼロ、平成五年度ゼロ、平成六年度申請なし、平成七年度も多分ゼロになるだろう。それでもって、平成八年度になぜ千四百万円の補助金をつけなければいけないのですかということを言っているわけです。  平成五年八月の理事会で、宮崎理事長はこういう発言をしております。奨学金の単価をアップすれば、また運輸省は面倒を見てやるということですか。それに対して、事務局の責任者であります久木理事は、はいというふうに答えています。  ちなみに公営競技団体、日動振あるいは日自振の補助金については、昨年十一月の私の質問に対して、それぞれの団体の御担当、通産省の方から、法人の財政状況等を総合的に勘案して審査した結果、もうこの補助金は必要ないでしょうということで公営競技団体は補助金をカットいたしておりますが、申し上げているように、こういう形で単価をアップされておられる。  宮崎理事長のこの発言がありますけれども、単価アップというものを運輸省はアドバイスをされたんですか。
  96. 山下邦勝

    山下政府委員 いたしておりません。
  97. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 運輸省さん、そもそもは総務庁さんあるいは文部省さんがオーケーだというのを持ってきて、それで補助金をつけるというお立場だろうから、運輸省に余り文句をつけられても、とばっちりを食らっているようなものでということになるのかもしれません。  総務庁の方として、単価アップを指導されたのですか。
  98. 井野忠彦

    ○井野政府委員 これは理事会の内部で検討すべきものでございまして、私どもは指導はしておりません。
  99. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 貴重な自賠責の特別会計からも補助金を出していて、そういうお金を使っていくということにおいて、私は、やはりしっかりとした審査をすべきであると思うし、どこまでも、それは財団の自主性という意味でいけば、理事会で決定することであるとは思うけれども、しかし、それをそのまま、はい、どうぞと言って、左から右へ通すのでは、総務庁の監督と言われている部分は責任を果たしていないのではないですか。
  100. 井野忠彦

    ○井野政府委員 育英会の予算の編成につきましては、理事会を開催いたしまして、十分理事の間で議論をして、そういう申請をするようになったというふうに聞いております。また、私どもも、そういう予算計画が上がってきたときには、十分な指導をしておるつもりでございます。
  101. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 後で指摘をしますけれども、そ の理事会構成に問題があります。  その前に、もう一点指摘をしておきたいと思います。  この採用に当たって、先ほども答弁にありましたように、経済的に困窮している交通遺児あるいは交通遺児家庭を救済するという形でありますけれども、採用されるに当たっては内部の審査規程があります。したがって、所得はどうなのだ、あるいは補償金はどのぐらいもらっているんだということで、多額の補償金をもらっている、あるいはたくさんの収入があるという場合には、辞退をしていただくということになっている。  平成七年度の新規採用者七百十七人中で百十四人はこの育英会が持っております補償金額の基準をオーバーしております。しかも、そのうち四十九人は七千万円以上の補償金を受けていて、一億円の補償金を受けている交通遺児家庭もこの七百十七人の中には含まれている。所得のオーバーの人もおりますので、結局のところ、約二割が財団がみずからつくっている審査基準をオーバーする形で採用されています。なぜ、このようなことを黙認しているんですか。
  102. 井野忠彦

    ○井野政府委員 審査に当たりましては、内部の規程であります。そういう基準がございます。  そして、その基準、例えば補償金につきましては四千五百万円という基準があるようでございますが、その四千五百万円を超える場合でありましても、例えば扶養家族が多いとかあるいは所得が少ないとか、そういう場合には四千五百万円を超えて採用することができるという規定も同時に明記しておるわけでございまして、可能な限り育英会としては交通遺児を救済しようと努力しておりまして、こういう方針は従前と全く変わっていない、従前もこういうことをやっておったというふうに私は聞いておるところでございます。
  103. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 一億円を超える補償金をもらっていても奨学金を利用する資格はありますか。
  104. 井野忠彦

    ○井野政府委員 これはケース・バイ・ケースであろうと思います。一概にああだこうだとこの席で言うことは不可能でございます。
  105. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 民間団体がおやりになることだから何をやっていてもいいとは思いますけれどもということになるんでしょう。しかし、そうであれば、運輸省の補助金というこの自賠責の特別会計は使うべきではないというふうに思います。  で、申し上げているように、宮崎元総理府の総務庁の総務副長官、初代の交通安全対策室長、井野さんからいえばはるか先輩に当たる方になるわけですけれども、同僚議員の指摘にありましたように、毎年春、秋、街頭で募金をしている学生さんたちの行動、それを大変侮辱をするような言葉を投げかけられる。あるいは、二年続けてこの決算理事会の開催がおくれるという寄附行為違反をし、総務庁に報告をしなければいけないというところも、したがって、おくれている。奨学金の送金もそのためにおくれて、奨学生は大変に迷惑をこうむった。今、阪神・淡路大震災以降、心のケアが言われているのに、一番大切な集いというものがなくなってしまっている。恣意的な特別昇給をなさるがために、一部の職員を自分の身近なところに置こうというような形で育英会の運営をされるがために、労働組合もつくらざるを得なかった。労務対策費に巨額の支出がされている。職員も減ってきている、仕事も減ってきているのに、隣の事務所の方にわざわざ動いていただいて、そこに理事長室をおつくりになろうとする。  そして一月一日付で、課長待遇の慣例を破って参事役に元総務庁の職員をお迎えになった。定年退職した元参事役の総務庁出身職員を無給の非常勤嘱託で居残りをさせておられる。かつて、総務庁からの職員というのはこの交通遺児育英会に一人しかいなかったのに、今は、理事長を入れて四人も総務庁の職員が今ここで働いておられる。これは全部事実です。  理事会の中であるいは評議員会の中で、現場で汗をかいた人たちの代表を入れるべきであるという決議がされているにもかかわらず、そこは棚上げ。しかし、石井理事長の後任には、慣例を破って元警察庁の交通局長であるところの関根さんをすっと選任をされておられる。これは前回の委員会で私が御指摘をした問題であります。  評議員にも日本交通科学協議会前会長の冨永誠美さん、元警察庁の交通局長ですけれども、会長が交代をすれば、充て職ですから新しい会長が選任されるべきところ、その慣例を破って、新会長を評議員にしないでこの冨永さんをそのまま評議員に残しておられる。そして評議員会の議長を務めさせておられる。評議員会には、JAFですとかいろいろなところの元警察関係者の方たちばかりが出てこられて、その方たちの発言がだんだんだんだん大きくなってきている。  ついでながらに申せば、銀行の関係者も、財団設立時は監事に一人、評議員に五人でございましたけれども、現在この交通遺児育英会のメーンバンクである富士銀行からは、監事一人、理事一人、評議員二人の四人、そのほかの銀行関係十六人、今この評議員会にお入りになっておられる。  すなわち、宮崎体制の中で理事長の思いのままに理事を選任し、評議員を居座らせ、そして、自分たちの思いのように運営をしていく結果、実際かなめであるところの奨学金の貸与はどんどん減っていっている。一体これは何なんですかと。そして事業計画も持っていない。本来の貸与事業もがたがたである。やるべきことをやらずして、新しい理事長室をつくろうというような理事長というのは一体何なんですか。所見を伺います。大臣、今までのところをお聞きになっての大臣の所見を聞きます。
  106. 井野忠彦

    ○井野政府委員 宮崎新理事長は先ほども申し上げましたように懸命に正常化へ向けて努力をしておる、そう高く私は評価をしておるところでございます。
  107. 中西績介

    中西国務大臣 今いろいろ指摘がございましたが、これらの問題については私今まで全く聞いておりませんでしたので、こうした問題についての検証を行うなりなんなりして、これから後の、主体的に、民主的に運営をするようにしていかなくちゃならぬと思いますから、これはもうどこでも当てはまることでありますから、そうした点についての経緯を見ていきたいと思っております。
  108. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 財団ですので、主体性を持ち、民主的に運営されるということが大前提であろうと思います。  で、私は、この正常化といったときに、これはやはり宮崎さんに退いてもらうしかないんではないかというふうに思いますけれども……。
  109. 井野忠彦

    ○井野政府委員 理事長の選任は、理事の互選ということで理事会に任せられておるものでございます。
  110. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 先ほど住専の問題で、大蔵省と庭山さんとの間の、なかなか先輩を後輩は指導しにくいんだという話がありました。今、エイズ薬害問題で、私そちらの方もやらしていただいておりますけれども、ミドリ十字という会社、これは、厚生省薬務局分室と言われるほどに業務関係者の天下りの一番多い会社だったんですね。で、そこのところを一体業務局はどういうふうに指導したんだろうかというところが、これは極めて大きな問題に多分なってくるんだと思います。  やはり基本的に、官僚の皆さんが天下りをされる、その長年の経験と知識を生かして第二の就職をされるということについてとやかく言うべきではないというお声もありますけれども、やはり、この天下りをされていることが実は正常化の妨げになっているんだというふうに思うんですけれども、大臣、そんなふうにお思いになりませんか。
  111. 中西績介

    中西国務大臣 先ほども申し上げましたように、内容を十分調査して、その結果でなくては正確な答弁をするわけにはまいりません。
  112. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 ぜひ正確な調査をしていただきたい。そして、実際にこの奨学金を受ける人たちがそのメリットを十二分に生かせるような形の財団運営になるようにぜひ御指導のほどをよろしくお願い申し上げます。  一点、対策室にお伺いをしたい部分がありますので、恐れ入ります。  平成七年九月に、交通安全対策室の方から「交通事故の長期予測及び基本的対策の評価検討に関する調査研究報告書」が出されました。交通安全基本計画を立てるに当たって、これから先、将来予測、どのぐらいの交通事故が起きて、どのぐらいの方が犠牲になられるのか、その点を研究をしようということでなさり、その報告書という形で出てきているんだと思います。  昨年も残念ながら一万人を超えてしまったわけですけれども、この長期予測をされておられる中で、平成十二年の交通事故死者というのは幾らだというふうに推計をされておられるのでしょうか。
  113. 井野忠彦

    ○井野政府委員 その長期予測は、ことしの四月から始まります第六次交通安全基本計画に資するために、平成五年度と六年度の二カ年にわたって研究してきたものでございます。  その結果、平成十二年末の死者の予測は一万二千五百人というふうに予測をしております。
  114. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 一万二千五百人、今、一万人に抑えよう、抑えようということでやってきて、七年連続して失敗したわけですね。で、平成十二年の推計一万二千五百人という今御発言があったわけですけれども、その予測の前提は、もちろん、道路が延びていく、走る車の量がふえる、いろいろな状況がありますね、人口の形態も変わる、その中でシートベルトの着用率がどうなるんだ、ヘルメットの着用率がどうなるんだということで、あるいは交通安全施設がふえるじゃないかという部分と、悪い方の予測といいますか、悪い方の条件が伸びていく部分と、施設、あるいは今申し上げたようなヘルメット、シートベルトの着用率というような事故を減少させる要因が伸びていく部分と、両方あるわけですけれども、これは、シートベルトの着用率とかヘルメットの装着率が上がって、なおかつ一万二千五百という数字なのですか。
  115. 井野忠彦

    ○井野政府委員 今の水準の交通安全対策平成十二年まで続いた場合にそういう数を予測したということでございます。  ただ、この数字でございますが、平成五年までの交通関係の数字を使っておる、平成六年、七年の分は、研究が五年と六年で行いましたので、五年までの数字を使って予測をしたということでございます。
  116. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 ちょっと御答弁が不明瞭なのでもう一度お伺いしますけれども、今までいい状況が、さらにいろいろ努力されるわけですね、例えば、ヘルメットをかぶっていただくのだ、シートベルトを必ずつけていただくのだということで、事故を減少させる方向にも努力をするのだ、あるいは交通安全施設充実していくのだと。いろいろなことをこれから先五年間の中でやって、その結果として、平成十二年になおかつ一万二千百人、高速道路上で四百人死ぬという計算ですか。あるいは、逆に言えば、平成十二年にはいろいろやっていけば幾らになるというふうに考えておられるのですか。
  117. 井野忠彦

    ○井野政府委員 交通安全施設で申し上げますと、今の第五次交通安全施設のペースでいった場合に一万二千五百人、あるいは、シートベルトが今の着用率のままで推移した場合に一万二千五百人。それで、第六次交通安全基本計画で諸対策を出した場合にはかなりの減少を期待できるという考え方でございます。
  118. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 かなりの減少率を期待して、幾らにしようということですか。ここ、一番大切なところなのだから、はっきり答えてください。
  119. 井野忠彦

    ○井野政府委員 今関係省庁といろいろ調整をしておりますが、現時点では、平成十二年に九千人とかそういう数字を今検討しておるところでございます。
  120. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 本当ならここで私は質問とめてしまって座ってしまってもいいと思うのだけれども。前回の、今の計画ですね、一万人に抑えるのだということで来ている、そのときの、こういう推計をしたときの元数字、生数字は幾らだったのですか。
  121. 井野忠彦

    ○井野政府委員 一万三千五百人であります。
  122. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 そうすると、一万三千五百人、高速道路上を入れて。一万三千五百人という数字を一方に下げられたわけですね。実際には一方がだめで、少し超えているわけだけれども、それを下げるという前提は何なのですか。
  123. 井野忠彦

    ○井野政府委員 これは、シートベルトの着用率を向上させることとか、それから平成二年に初心運転者期間制度というのができました。これは若者対策でございますけれども、こういうものによって若者の交通事故死を減らす、あるいはお年寄りに対しまして交通安全教育をさらに徹底しようということで、この三千五百名を減らそう、それで一万人を目標にしようという計画を立てたわけでございます。
  124. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 極めて科学的なお話だと思うので、残念だけれども、今のままでいくと一万二千百、高速道路上で四百人ほどですか、だから一万二千五百人という形に今のままでいくと残念ながらなってしまう。それをどうやって減らすかというところで、この減らし方も、目安で三割ぐらい減らそうかという話じゃなくて、きちっとこれだけのことをやるからこうやって減るのだという前提がないと、実は予算の審議というのはできないのですね、あるいは交通安全計画の我々のチェックというのはできないわけですね。だから、そこのところを、しっかりとしたものを見せていただきたいというふうに思うのですけれども、それはいつごろできるのでしょうか。
  125. 井野忠彦

    ○井野政府委員 今回の第六次基本計画の作成に当たりましては、平成四年に交通事故総合分析センターというのができました。そこで、これまでの施策の効果の検証とかあるいは今後の施策の効果の予測とかいうのはこれまで以上にできたのではないかというふうに思っております。その研究の成果の概要は、今本にまとめて、委員お持ちの本でございます。その中に詳しく、科学的な数字を使って分析して、報告しておるつもりでございます。
  126. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 「第六章 まとめ」となっておりまして、この予測の結果もありますけれども、それぞれの対策の効果の評価検討というのをなさっておられる。前回の委員会質問でも、七年連続一万人の目標が達成できなかったというのは、会社経営からすれば、目標を達成できなかったわけだから、責任者はやはりこれは首ものですねという話になって、私はそう思うのですけれども。そのときの御答弁は、しっかりとした効果の測定をしながら、それを将来の施策に生かしていくんだということになっておる。  どうやったらシートベルトの着用が伸びていくのか、あるいは高齢者をどうやって守っていくのか。この中を読ませていただきますと、例えば、車のエアバッグの装着を標準化するというものをすればもっと事故はドラスチックに減るだろうというアメリカの事例を引いておられるわけだけれども、単純に交通安全施設充実するから、あるいは暗がりのところにライトをつける、それも大切なんですけれども、道をよくしていく、変えていくというのも大切だと思います。一機十八億円のヘリコプターを全部配置するというようなむだをするよりは、もっと救急自動車の、いい性能のものを配置した方がよほど役に立つのになというふうに私は思います。そういう意味で、一つ一つの施策をチェックしていただいて、しっかりと、本当に一万を切るんだというところへ持っていっていただきたいのです。  それで、我々、これは物すごい大変な議論をしていると思うのだけれども、将来にわたって毎年一万人ずつ、いろいろな計画を立ててみても、お亡くなりになるというか、防げないのだ。五年でいけば五万人を超えてしまうというような話になって、それは自分の家族でないし、自分の命ではないから物すごく鈍感になっているというふうに思うのですけれども、ここはやはりしっかりとした取り組みをしていただきたいと思うのです。  今回はこういうふうにきっちりとした予測がされていて、こうやったらこんなふうに減るのではないかということも言われている。やはりそれを 着実に具体化していくというのが極めて大切ではないかというふうに思うのです。そういった点で御決意がございましたら、最後にお伺いしたいと思います。
  127. 中西績介

    中西国務大臣 今指摘をされました問題については、一万人を超えておるというこの事実をどのように私たちが認識をするかということが今極めて重要です。豊浜トンネルの二十人の事故で、あのように大きな問題として報道され、そして皆さんが大きなショッキングを受けたわけであります。  ところが、具体的には、一万人を超えておるのにこれが全国民的な問題に発展しておらないという、こうした問題等もあるわけでありますから、やはり若い人には具体的にいろいろな経験を積ませるということが極めて重要ではないか。そのための施策をこれからどうしていくかという問題と、さらにまた、大変多くの死亡者が出ておる高齢者の皆さんの場合に、まだ若いと思って道路を横断するとか、あるいはその場所が大変危険な場所であるにもかかわらず、そうしたことを無視して渡っておるとか、いろいろな問題があるわけですね。  ですから、こうした問題は、やはり生涯教育の中で、お互いに生命を、命を大事にするということ、ここらをやはり中心にして、どのように皆さんの中に認識をしていただくのか、そしてそれは、地域的にもさらにそうした問題等について十分なお互いの啓蒙なり、あるいはお互いをそれぞれ助け合うという立場からそうした問題等についての問題提起ができるような状態というのをどうすればできるかということ等を含めて、やはり教育の面における、かた苦しい問題でなしに、ぜひ活用していくようにすれば、少しでも寄与できるのではないかという認識を私は持っています。  したがって、そうした問題等を含めまして、これから、金のそんなにかかる問題ではないわけでありますから、ぜひ推進をしていかなければならぬだろう、こう思っております。
  128. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いいたします。  質問を終わります。
  129. 日笠勝之

    日笠委員長 藤田スミさん。
  130. 藤田スミ

    ○藤田委員 私は、きょうは航空安全にかかわる、特に客室乗務員の問題、つまりスチュワーデスの問題と、豊浜トンネル事故問題についてお伺いをしたいと思います。  きょうはスチュワーデスの皆さん、客室乗務員の皆さんも傍聴にお見えでございます。  私は、まず最初に運輸大臣にお伺いをしたいわけですが、多くの旅客の命を乗せる航空の安全というものは何物にもかえがたいものであって、常に万全の対策を求め続けなければならないというふうに考えますが、まず最初に大臣の御見解をお伺いいたします。
  131. 亀井善之

    ○亀井国務大臣 先生指摘のとおり、何といっても安全ということが一番大切なことでもございます。そういう中でその運航がなされるということが肝要なことである、このように考えます。
  132. 藤田スミ

    ○藤田委員 航空の安全にかかわるお仕事をされていらっしゃる方は、パイロット、それから整備員、それからスチュワーデスの皆さんが保安要員としての役割を果たされる。この三者が直接かかわりのある方々だというふうに理解いたしますが、その点違いありませんね。
  133. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 私からお答え申し上げますが、今先生指摘のとおり、客室乗務員、いわゆるスチュワーデスでございますが、この方々は、サービス業務だけではなくて、乗客の救助など、緊急事態に、機長の指揮のもとに緊急事態の克服に努めるという保安業務を担ってみえます。
  134. 藤田スミ

    ○藤田委員 大臣、ちょっと聞いてほしいわけです。国際客室乗務員協会、ICCAというのがありまして、このICCAの会長さんは、昨年開かれた世界会議で、   世間では、客室乗務員を飛行機にのっているウェイターやウェイトレスだと思っています。しかし、レストランのウェイターはトイレで火事が起これば消防隊を呼ぶことが出来ますが、私たちには出来ません。誰の力も借りずに自分たちで即座に火災に対処し、旅客の命を守らなければならないのです。誰かが心臓発作を起こせば、ウェイターは医者を呼ぶことができますが、三万フィート上空では私たちが旅客に酸素を供給したり蘇生術を施さねばなりません。  最悪のシナリオについては言うまでもありません。緊急着陸・緊急脱出です。こうした緊急事態の結末がどうなるかは、私たちの手にかかっています。こういうふうにその大会であいさつをされておられるわけです。  先ほどもおっしゃいましたけれども、私は大臣にもう一度お伺いしたいのは、客室乗務員というのは旅客の命を預かる重要な保安要員だというふうに認識をしていらっしゃいますか。
  135. 亀井善之

    ○亀井国務大臣 お答えいたします。  客室乗務員は、快適な旅行を提供するためのサービス業務のみならず、乗客の救助などの緊急事態に、機長の指揮のもとに緊急事態の克服に努めるという保安業務を担っている、このように考えます。
  136. 藤田スミ

    ○藤田委員 私はもう少し、きょうはせっかくいろいろとあれしておりますので、御紹介をしたいと思います。  昨年、日本航空での機内における乗客の傷病発生は、国際線で百三十四件、国内線で七十三件、合わせて二百七件、前年比で四〇%増ということになっています。数百人の飛行機に、赤ちゃんもいれば、お年寄りもおられる。しかも三万フィートも高い高いところで、気圧の変化もあるでしょうし、非常に環境条件の悪い機内では、急病人は避けることはできないわけです。  どんな急病人が出ているのかということを少し調べてみましたら、いや本当に、うわあ大変だと思いますのは、とにかく、脳梗塞だとかてんかんの発作だとか、ぜんそくで意識不明を起こすとか、流産だとか、一歳半の幼児が熱性のけいれんを起こすとか、貧血で倒れてトイレの角に後頭部をぶつけて裂傷して出血してショック状態になるとか、こういうふうに本当にさまざまな症状の人たちが出てくるわけです。  したがって、素早く異状を見つけて手当てをしていかなければならないのが、保安要員たるスチュワーデスの皆さんです。時には人工呼吸だとか心臓マッサージを行うこともありますし、スチュワーデスの中では、こうしたことに適切に対応できるように自発的に救急看護法の資格を取る人がふえているというふうに聞いては、私は本当に、スチュワーデスの皆さんのこうした問題に対する取り組みの意欲というのですか、謙虚さというのですか、胸を打たれます。  それだけではありません。機内の異常も発見して素早く適切な対応を行うことも保安任務の一つです。  九三年の十二月に、出発直後にファーストクラスの床下でコトコトという異音と振動があることを感じ取って、コクピットに連絡をし、点検の結果、ノーズギアを交換したとか、花巻空港の事故のときにも、ベテランのスチュワーデスによる冷静かつ機敏な行動で、飛行機はあっという間に全焼しましたけれども、乗客はおかげで全員脱出することができました。  これは、八五年のマンチェスターの事故が、離陸時に左側のエンジンが燃え出して、経験の浅いアルバイトスチュワーデスが後ろの方におりまして、あけてはならないドアをあけてしまったために、機内に一気に火が広がって五十四人が死亡しています。このときの事故調査委員会は、経験を積んだスチュワーデスを配置するように勧告しまして、初期の訓練だけでなく経験が欠かせないことだということを指摘をいたしましたが、私は、九三年の花巻の事故は、まさにその経験が物を言って見事に乗客全員の命を守ったというふうに思うわけです。  多岐にわたる保安要員、そのほかまだまだ紹介すればあるわけですが、そういうものをこなして いくためには、したがって、初期の訓練だけではなく経験が欠かせない大きな職業だというふうに受けとめますが、大臣はいかがでしょうか。
  137. 亀井善之

    ○亀井国務大臣 今先生指摘のとおり、機内におきまして常にいろいろサービス、また機内全域にわたっていろいろお仕事をされておるわけであります。そういう面では大変なお仕事、このように考えております。  先生いろいろ御指摘のとおり、いろいろの問題に御苦労されておりますことを十分承知をいたしております。
  138. 藤田スミ

    ○藤田委員 ところが、一昨年、契約スチュワーデス制度というのが採用されるようになりまして、一年が経過いたしました。ここでお伺いいたしますが、契約スチュワーデス制度、簡単に御説明ください。
  139. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 いろいろ議論があった問題でございまして、いわゆるアルバイトスチュワーデス、三年間の期限を切ってアルバイトとしてスチュワーデスになっていただくという制度を航空会社が導入をされたわけであります。これは、あくまでも航空会社の御判断として、経営判断から入れられた。  それに対しまして、安全上大丈夫かということにつきまして私どもいろいろ議論をいたしました結果、今まさに先生のおっしゃいました安全対策につきましては、正規の客室乗務員と同様に訓練を行うということで全く問題はないという結論に達しました。  また、そのときの問題で、正規の職員の方とアルバイトの方との身分の差ということがあるいは内部のチームワークで問題になるかもしれないということで、三年後には本人の希望なり適性なり能力なりを見た上で、正規の職員にする道も講ずるということで決着したものでございます。
  140. 藤田スミ

    ○藤田委員 ただいま御説明がございました。私は、訓練で問題がないとは思っておりません。この制度は、雇用の不安定化、労働条件の低下をもたらすだけでなく、航空の安全にかかわる問題だという点で、私はきょうここで取り上げているわけであります。およそ、保安要員としてスチュワーデスの皆さんが果たしていらっしゃるあの重要な役割に、今のこの現状、この制度は一体ふさわしいものになっているかということになりますと、もちろんそうはなっておりません。  かつて契約スチュワーデスの問題で、同じ亀井大臣ですが、亀井静香大臣が、労働条件の著しく異なるスチュワーデスは一体感に欠け、安全面で問題ありと発言されて大きな話題を呼びました。一部の労働条件の改善というものは私は否定いたしませんけれども、しかし、それが強行されていく中で、結果的にはやはり当時の亀井静香運輸大臣の指摘は現実のものになっているというふうに私は考えるわけであります。  きょうは、後ほど委員長のお許しを得ましたならば、両大臣に、ちょっと建設大臣をまま子にしてはいけませんので——済みません。済みません、よろしいでしょうか。
  141. 日笠勝之

    日笠委員長 はい、どうぞ。
  142. 藤田スミ

    ○藤田委員 ここには、さっき御紹介あった契約スチュワーデスの皆さんがアンケートで寄せられたたくさんの声を紹介しております。一々読み上げておりましたらとても時間がありませんが、この中には、「三年後に正社員になれるのかどうか。会社に要求したいことがあっても契約してしまっている身分だし、常に脅されている気がする。何も言えないのが現状。」だというようなことも書いています。それから、「ストレスをためつつあります。」それはそうだと思うのです。それから、「仕事に全力投球しようと思っても、自分の何年先のことがどうなっているか予想がつかないという状態は常に不安にさせられます。」ということも言っています。それから、時間給のために「月々に賃金のバラツキ」があり、非常に生活が不安定です。「私のお給料は十二万円程」というような、聞けば驚くような実態であります。「乗務時間しかお金にならず、ステイタイム中や台風で便が欠航となったとき賃金が支払われないのがやりきれない。」というようなことも書いています。私はどうも泣き虫で困るのですが……。  それから、二十二時以降の勤務終了でないと車がつかないのですね、家へ帰るについての。ところが、二十一時ごろランディングしても、乗員部に帰って着がえをしているともう二十三時になる。したがって、家に着くともう深夜の零時半過ぎになってしまう。駅から自宅まで二泊三日分の大きな荷物を提げて帰るのは非常に怖い。それは、若い皆さんがそういう気持ちを抱かれるのは当たり前です。それから、「契約更新をしてもらえないと困るので、誰もが不満を心に溜め込み口をつぐんでいる状態は、いつか日本航空の質に影響してくる」ということを言っていらっしゃるわけであります。  正社員の皆さんは、こういうふうな声を上げておられます。客室乗務員は、保安任務を初め経験が欠かせない職業です。ところが、経験あるベテラン乗務員が退職していく一方で、短期契約で大量に採用される新人乗務員に次々にかわっていくとなれば、経験の蓄積、伝承が難しくなります。また、賃金についても、時間給千百円から千八百円といった水準で出来高払いですから、短期契約の身分不安定な雇用に加え、収入も非常に不安定です。正社員の賃金と比べても約半分程度です。責任の重さも仕事の内容も同じなのに、大変低い賃金水準です。この問題は日本労働弁護団も指摘をしていますということを言っておられるわけであります。まさにそういう点では、大変な職場の状態がつくり出されてきているというふうに見なければならないと私は思います。  しかも日本航空では、ジャンボでは十三人の客室乗務員のうち契約スチュワーデスが九名、十三名中九名までが契約スチュワーデスで占められるようになっておりまして、七五年のアンカレジ空港でのスリップ事故の際の教訓からつくられた内規も、これでは事実上ないがしろにされてしまうのじゃないかというふうに考えるわけです。  大臣、労使の問題で片づけることができない保安上の問題、航空の安全にかかわる問題だということで私は長々と御紹介をいたしました。大臣が、航空の安全は何物にもかえがたい優先すべきものであり、常に私たちはそれを求め続けていかなければならない責任を負っているということならば、この制度がもたらす影響もまた見過ごすことのできないものとしてとらえていただきたいわけでありますが、いかがでしょうか。
  143. 亀井善之

    ○亀井国務大臣 先生から今「アルバイトスチュワーデス導入一年後の検証」をちょうだいいたしました。拝読をさせていただきたい、このように思います。  なお、労働条件が厳しい、また危険である、こういう御指摘をいろいろ今伺ったわけでありまして、労働条件につきましては、基本的には労使間の問題である、このように考えます。また、安全上の観点から、契約制客室乗務員についても正規の客室乗務員と同様に安全訓練等を十分行っており、現在それらが行われておる、こういう点で特段問題はない、私どもはこのように認識をいたしております。
  144. 藤田スミ

    ○藤田委員 随分ひどいですね。亀井静香議員が発言されたときには財界から随分いろいろなことを言われましたよ。そういうことがあって、お役所がつくったものを読んでいらっしゃるのですか。私は、それでは本当に困ると思う。契約スチュワーデス制度の導入というのは、労使間の問題じゃないのです。これは、少なくとも運輸大臣としては、安全上の問題としてとらえなければならない問題なんです。  先ほど御紹介したICCAの会長は、「私たちが乗務しているのは乗客の命を救うためであり、専門的な訓練を受けた客室乗務員のケアーを受けるのは乗客一人ひとりの権利」である。大臣も飛行機に乗られると思いますが、乗客としての大臣の権利の立場からやはりこうした問題を見なければいけない。お役所の書いたものじゃなしに、そういう立場でもっと素直に物を言ってくださいよ。
  145. 亀井善之

    ○亀井国務大臣 先ほど、今ちょうだいをいたしましたこの「一年後の検証」、これを拝読をさせていただきたい、一番最初に私は申し上げました。そういう中で、今先生の御発言も十分考え、今後の対応というものについても勉強してまいりたい、このように思っております。
  146. 藤田スミ

    ○藤田委員 総務長官、せっかくお願いをしておりますが、長い間労働運動に携わってこられ、そして今は政府の交通安全対策の責任者でもあるわけであります。  この問題、契約スチュワーデスの問題についていろいろ編集されたルポライターの方が、「人間に差別をもちこませない労働運動の精神とは、アルバイトの本工化であって、けっして本工のアルバイト化ではない。臨時工制度が労働者にいかなる退廃と悲惨をもたらしたか、その歴史の前に謙虚になるべきだ」ということを述べております。  私は非常にすぐれた言い方だなと思っておりますが、雇用の多様化だとか流動化などと言われながら、保安要員として極めて重要な任務を担うそのスチュワーデスの職場で、およそそれにふさわしくない歴史の逆行を見るような、そういう労働条件が広がってきているわけであります。  私は、最後に、総務長官からこの問題についてお伺いをしておきたいわけであります。
  147. 中西績介

    中西国務大臣 このような、航空業界における安全性というものは、まず生命、命を預かっておるという立場に立って発想しなくてはならぬということは、指摘のとおりだろうと思っています。  そういう状況の中でありますから、行政的に、じゃ、どうするかという問題でありますが、先ほど運輸大臣も申されましたように、今、それぞれの航空会社なりあるいはそれに対応される従業員の組合があるわけでありますから、本来なら労使間における問題として本格的にやらなきゃならぬ問題なんですよ、本来なら。ですから、それが今非常に、ここでそういうことを言うと怒られるかもしれませんけれども、大変希薄になってきているような状況等があるわけでありますから、生命を守るという立場に立つならば、そういう航空関係を受け持っておられる企業等におきましても万全の措置をとられるようにすべきではないだろうか、こういうふうに考えます。
  148. 藤田スミ

    ○藤田委員 それでは次の、豊浜トンネル崩落事故の問題について質問をいたします。限られた時間でありますので大変あれですが、今回の事故は余りにも痛ましい結末になりました。御遺族皆さんに心からお悔やみを申し上げたいと思います。  その豊浜トンネル事故は全く予測できなかったのかという問題が今問われています。トンネル建設に当たって当然そこは調査を行うわけです。地質、地盤の状況は当然把握できたでしょうし、古平側の断崖絶壁は風化してもろく、危険が伴うということで、このトンネルの工事のときに一部の工事を発破を使わせずに機械掘削で掘るというようなこともやっていたところであります。それから、トンネル古平側は長さ四十六メートルという巻き出し部分が設けられているのも、やはりそういうことを考えての措置であったのじゃないかというふうに思います。  余市町のトンネル周辺付近で九四年にそれこそ今回の崩落したものよりもっと大きな岩塊が崩落したり、トンネル付近での落石は数回にわたって住民が確認をしているという話もあります。  私ども日本共産党の事故対策委員会が現地調査をいたしまして、指摘をしたのに対して、北海道開発局岩盤がもろいのはわかっていたということを認めているわけです。にもかかわらず、建設省が九〇年から九一年で行った点検では、当面対策の必要なしにランクをされていた。これは一体どういうことなのかということになりますが、大臣からまず御見解をお伺いしたいと思います。
  149. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 平成二年、平成三年に実施されました落石等のおそれのある箇所全国点検におきましては、この豊浜トンネルにつきましても点検を行ったわけであります。北海道開発局におきまして実施いたしましたが、当面の対策の必要はないという結果でございました。  しかし、それ以降、例えば北海道南西沖地震等が発生しております。そのために、このトンネルにつきましても、地震の影響等いろいろ検討をしております。例えば、地震震源地に近い斜面が強い地震動により緩みが進行している可能性が高く、崩壊源が路上から視認しがたいがけあるいは長大な斜面の頭部に位置するということもありまして、ヘリコプター等からの目視によっても専門技術者が点検をしておりますが、そういう中では、トンネルの上部についても地震による変状が確認されていない、そういう状況でございました。  しかし、今後地震が起きた場合にどうであるかという判断も必要であります。そういうことで、ヘリコプターで撮った写真等の判読により、今後の地震の発生についてはどうであろうか、地形、地質要因から地震に対しての安定度の評価をしたわけであります。その場合には、地震に対する安定度はやや低い、こういう評価を受けたわけであります。  これに基づきまして、平成六年度より詳細な調査を開始して、豊浜トンネルにつきましても、平成七年度にはさらに目視による現地調査等を実施しておりますが、大規模な崩壊の前兆は認められなかったとの報告を受けております。
  150. 藤田スミ

    ○藤田委員 あなたの今の説明では、結局つかめなかった、危険性を把握できなかったということですが、私は、北海道開発局がこういうことを言っているのに、随分違うじゃないか。そして、随分緊迫感もないですよ。もう少しちゃんと、こういう事故が起こったときには、人の命を二十人も奪ったのですから、もう少し責任のある対応で姿勢を見せてほしいな。そういう可能性があったのに十分な対策、予測さえできなかったという点については、本当に今責任を感ずるべきだというふうに思うわけです。  日常の点検は毎日の車による道路パトロールではあっても、それはトンネルの上の方まで点検できない。だから、ああいう地震の後の点検で初めてヘリコプターを飛ばしたと言うけれども、それも目視であったので、結局は見逃した。そういうことではなしに、上部のパトロールもきちんとやらなければならないと思います。それから、もっと本当に日々に、監視装置をつけたり、センサーを設置したりして、崩落の前兆をつかむいろいろなものをやはり開発して、きちっと整備をしていくということも大事だというふうに思うわけです。  残念ながら時間がありませんから、一気に言って最後に大臣に御答弁を求めるという形になりますが、もう一つは、防災面で情報公開の問題があるわけです。  九〇年—九一年の調査についても、全国に七百九十三カ所あるトンネルの要対策箇所が公表されておりません。安全確保にとっての情報の公開というのは、利用者はもとよりですが、研究を促進していくという点でも非常に欠かせないものでありまして、この情報公開ということをぜひ進めていただきたいと思います。  九〇年−九一年の調査では、道路では七万四千カ所、八五年の調査では六万七千カ所ですから、五年の間に七千カ所もふえるというようなことになっているのです。トンネルでは、先ほど数は御紹介しましたが、ランク一が二百九十一、ランク二が四百五十一、ランク三が五十一というふうに、非常に対策を求められるところが指摘されております。  ところが、私は、こういう落石その他道路防災予算はどうかということでこの際見てみましたら、一九九五年に二千六百十二億、それから一九九六年は二千六百八十七億。減っていないじゃないかと言われるかもしれませんが、要対策箇所数から見ましたら、予算の伸び方は非常に少ない。落石などの危険がある箇所をよく調べ、危険防止に必要な予算措置を含む対策こそ今回の事故の教訓を生かす道だというふうに思います。  大臣の御決意をお伺いして終わりたいと思います。
  151. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 委員の御指摘になっております点は、私も大変同感のところがたくさんございます。  この月ロケットを打ち上げる時期に、しかもなおかつ衛星放送なども民間のうちにも伝わるような時期に、センサーでも何であっても、どういう形においても、落石あるいは崩落、山崩れ、雪崩等々こういうことが予測できないということはあり得ないだろう、私もそのように思います。また同時に、そういうことを科学的にも力学的にももっと探求していくべき、この歩調は全く今委員が御指摘のとおりで、私も強くそれは建設省にも下今もし、また関係官庁にも下命しておるわけでございます。  さて、そこで予算の問題でございます。  今までのいきさつは、時間の関係もございますから申し上げませんが、平成八年度の予算の範囲内におきまして道路防災対策に対する費用を増額いたしまして、今回の緊急の点検結果を踏まえた新たな対策の実施、あるいはまた観測装置、先ほど申し上げましたような研究開発の費用の充実さ、こういうことも全部含めまして、責任を持って遂行いたします。
  152. 藤田スミ

    ○藤田委員 時間が参りました。ありがとうございます。      ————◇—————
  153. 日笠勝之

    日笠委員長 この際、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  154. 日笠勝之

    日笠委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事宇佐美登君を指名いたします。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時四十四分散会