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1996-05-24 第136回国会 衆議院 建設委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月二十四日(金曜日)     午前十時十分開議 出席委員   委員長  二見 伸明君    理事 久野統一郎君 理事 野田  実君    理事 萩山 教嚴君 理事 長内 順一君    理事 川端 達夫君 理事 白沢 三郎君    理事 石井  智君 理事 玄葉光一郎君       荒井 広幸君    遠藤 利明君       金子原二郎君    栗原 博久君       佐田玄一郎君    斎藤 文昭君      田野瀬良太郎君    根本  匠君       藤井 孝男君    村上誠一郎君       山本 公一君    青山  丘君       岩浅 嘉仁君    大口 善徳君       樽床 伸二君    広野ただし君       森本 晃司君    矢上 雅義君       池端 清一君    前島 秀行君       中島 武敏君  出席国務大臣         建 設 大 臣 中尾 栄一君  出席政府委員         建設大臣官房長 伴   襄君         建設省建設経済         局長      小鷲  茂君         建設省都市局長 近藤 茂夫君 委員外出席者         建設委員会調査         室長      白兼 保彦君     ――――――――――――― 委員の異動 五月八日  辞任         補欠選任   樽床 伸二君     江崎 鐵磨君 同日  辞任         補欠選任   江崎 鐵磨君     樽床 伸二君 同月二十四日  辞任         補欠選任   安倍 晋三君     荒井 広幸君   金子原二郎君     佐田玄一郎君   蓮実  進君     栗原 博久君   村上誠一郎君     山本 公一君   山本 幸三君     矢上 雅義君 同日  辞任         補欠選任   荒井 広幸君     安倍 晋三君   栗原 博久君     蓮実  進君   佐田玄一郎君     金子原二郎君   山本 公一君     村上誠一郎君   矢上 雅義君     山本 幸三君     ――――――――――――― 五月二十二日  都市公園等整備緊急措置法の一部を改正する法  律案内閣提出第五八号)(参議院送付)  下水道整備緊急措置法及び下水道法の一部を改  正する法律案内閣提出第五九号)(参議院送  付) 四月二十五日  住宅金融公庫法第二十一条の改正に関する請願  (中島武敏紹介)(第二一四五号)  公営住宅に関する請願中島武敏紹介)(第  二一四六号) 五月十日  公営住宅法改悪反対家賃値上げ反対に関す  る請願中島武敏紹介)(第二二七四号)  公営住宅法改悪反対公営住宅大量建設に関  する請願中島武敏紹介)(第二二七五号)  公営住宅法改悪反対住宅政策抜本的改善  に関する請願中島武敏紹介)(第二二七六  号) 同月十七日  水源開発及び下水道施設建設に関する請願  (岩佐恵美紹介)(第二四三四号)  同(穀田恵二紹介)(第二四三五号)  同(佐々木陸海紹介)(第二四三六号)  同(志位和夫紹介)(第二四三七号)  同(寺前嚴君紹介)(第二四三八号)  同(中島武敏紹介)(第二四三九号)  同(東中光雄紹介)(第二四四〇号)  同(不破哲三紹介)(第二四四一号)  同(藤田スミ紹介)(第二四四二号)  同(古堅実吉紹介)(第二四四三号)  同(正森成二君紹介)(第二四四四号)  同(松本善明紹介)(第二四四五号)  同(矢島恒夫紹介)(第二四四六号)  同(山原健二郎紹介)(第二四四七号)  同(吉井英勝紹介)(第二四四八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月二十六日  積雪寒冷地除雪事業に対する財源措置改善  に関する陳情書  (第二五三号)  住宅復興への支援の拡大に関する陳情書  (第二五四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  都市公園等整備緊急措置法の一部を改正する法  律案内閣提出第五八号)(参議院送付)  下水道整備緊急措置法及び下水道法の一部を改  正する法律案内閣提出第五九号)(参議院送  付)      ――――◇―――――
  2. 二見伸明

    二見委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付都市公園等整備緊急措置法の一部を改正する法律案及び下水道整備緊急措置法及び下水道法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  順次、趣旨説明を聴取いたします。中尾建設大臣。     —————————————  都市公園等整備緊急措置法の一部を改正する法律案  下水道整備緊急措置法及び下水道法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕
  3. 中尾栄一

    中尾国務大臣 まず、ただいま議題となりました都市公園等整備緊急措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  都市公園等は、安全で安心できる都市づくり、活力ある長寿・福祉社会の形成、都市環境保全改善、個性と活力ある都市づくり等に資する基幹的な公共施設であり、政府におきましても、これまで五次にわたる都市公園等整備五カ年計画を策定し、積極的にその整備推進を図ってきたところであります。  しかしながら、我が国における都市公園等整備はいまだ著しく立ちおくれている状況にあり、他方、急速に進展する都市化と人口の高齢化、自由時間の増加に伴う国民の意識の変化等背景に、都市公園等整備の要請は一層強くなっております。  このような状況にかんがみ、現行の第五次都市公園等整備五カ年計画に引き続き、平成八年度を初年度とする第六次都市公園等整備五カ年計画を策定すること等とした次第であります。  以上が この法律案を提出する理由でありますが、次にその要旨を申し上げます。  第一に、建設大臣は、平成八年度を初年度とする都市公園等整備五カ年計画の案を作成し、閣議決定を求めなければならないことといたしております。  第二に、国は、平成八年度以降五カ年間は、一定の公園または緑地設置に要する費用に充てる資金の一部を、無利子で貸し付けることができることといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。  引き続き、下水道整備緊急措置法及び下水道法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  下水道は、良好な生活環境確保するとともに公共用水域の水質を保全するために必要不可欠な公共施設として広くその整備が望まれており、政府におきましても、これまで七次にわたる下水道整備五カ年計画を策定し、積極的にその整備推進を図ってきたところであります。  その結果、我が国下水道普及率は、平成七年度末で約五四%に達する見込みでありますが、いまだ国民要望に十分にこたえるには至っていない状況にあります。  一方で、下水処理過程で発生する下水汚泥等の量が今後急速に増大することが予想されることから、その適切な処理に関する下水道管理者責務を明確化することが重要であります。  さらに、高度情報化社会が進展する中で、現在民間事業者等による使用が禁止されている下水道暗渠部分光ファイバー等電線設置を認めることが求められているところであります。  この法律案は、このような状況にかんがみ、現行の第七次下水道整備五カ年計画に引き続き平成八年度を初年度とする第八次下水道整備五カ年計画を策定するとともに、下水処理に伴い発生した汚泥等の適切な処理に関する下水道管理者責務を明確化し、及び下水道施設の有する空間有効利用を図ろうとするものであります。  次に、その要旨を御説明申し上げます。  まず、下水道整備緊急措置法の一部改正についてであります。  建設大臣は、平成八年度を初年度とする下水道整備五カ年計画の案を作成し、閣議決定を求めなければならないこととしております。  次に、下水道法の一部改正についてであります。  第一に、下水道管理者は、公共下水道施設から生じた汚泥等堆積物等について、公共下水道施設の円滑な維持管理を図るため適切に処理しなければならないこととするとともに、脱水、焼却、再生利用等によりその減量に努めなければならないこととしております。  第二に、下水道管理者は、公共下水道排水施設暗渠である構造の部分について、電線等公共下水道管理上著しい支障を及ぼすおそれのないものの設置を認めることができることとしております。  その他、これらに関連いたしまして所要の規定の整備を行うこととしております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようにお願い申し上げます。  ありがとうございました。
  4. 二見伸明

    二見委員長 これにて両案の趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 二見伸明

    二見委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長内順一君。
  6. 長内順一

    長内委員 新進党の長内順一でございます。  ただいま中尾大臣の方から趣旨説明がございました法案に関連しまして、質問をさせていただきたいと思います。  まず初めに、都市公園整備緊急措置法の一部改正案に関連しまして、公園行政とそれから緑、いわゆる緑化推進といいますか、この観点から数点にわたってお伺いをしたいというふうに思っております。  緑化だとか緑の話をしますと、これについて異を唱える方はほとんどいないわけでありまして、緑の意義だとか、それからこれを推進するということは、総論的には皆さん賛成をされます。しかしながら、各地域においてそれでは具体的にどうするのだといった場合に、これまで財源等その他さまざまな問題もこれありで、実際にはなかなか進んでおらないというのが我が国緑化推進の現状ではないだろうかというふうに私は受けとめておるわけでございます。  それで、今回新たに都市公園整備、そして第六次の都市公園整備五カ年計画がまたスタートするということになりまして、いろいろ資料をいただいて拝見いたしましたところ、やはり我が国公園だとか緑の絶対量が不足しているというふうに私は欧米諸国との比較の上で拝見したわけでありますけれども、この量が極めて不足しているということのこれまでの経過とそれから理由について、初めにお尋ねをいたしたいと思います。
  7. 近藤茂夫

    近藤(茂)政府委員 先生お尋ねの、我が国都市における緑の整備状況は非常に量的にも不足しているという御指摘でございますが、確かに欧米大都市に比べると圧倒的に量が少ない。私ども、今まで四十七年度以降五次にわたる五カ年計画を策定して、その整備に努めているところでございますが、現段階においても、一人当たりやっと七平米程度が確保されている。  いろいろ理由はあろうかと思いますけれども、やはり欧米都市の場合におきましては、十八世紀、十九世紀のころから都市が始まっているということでございまして、そういった都市時代を早く迎えているということから、そういう公園整備についてもかなり早い時期から始まっている。また、ある意味では、それ以前の段階においても森林というのが一つ防災、戦争におけるときの最終的な市民避難地という色彩もあって大きな森が確保されている、そういう歴史的な背景が異なっているという点もあろうかと思います。  いずれにしましても、都市歴史が非常に浅い。したがって、その浅い都市歴史の中で公園整備の着手もおくれてきた、これが基本的に緑の量が不足しているということの要因ではないかというふうに考えております。
  8. 長内順一

    長内委員 今局長の御答弁で、これまでの経緯の中で、歴史的な事実というものが一つはあるのではないだろうかというお話がございました。ただ、十八世紀ぐらいですと、日本でもかなり、そのころの歴史からいきますと十分対応できるような歴史裏づけではなかったのかな、それから戦火の問題も、ヨーロッパほどではないにしろさまざまなものがあったのではないだろうかというふうに、逆を言えば思うわけであります。  私は、これは昭和三十年ぐらいからの日本のやはり経済優先政策といいますか、これに起因するところが非常に大なのではないかなというふうに実は考えております。例えば、当時の地方自治体も、国もそうなのですが、やはり社会資本整備、いわゆるインフラ整備相当神経を使っておりまして、政策的にも、確かに緑を残すことも大事だ、公園をつくることも大事だ、しかしながら、その前にもっと道路をつくってくれよ、橋をつくってくれよと、こっちの方に相当予算が捻出されるというか、投入されまして、緑のために、環境保全のために予算の投入というのがなかなかしづらかった、そんな状況にあったのではないかな。  それで、最近になりまして、環境の問題だとかさまざまな問題が提起される中で、もっともっと緑を大事にしていこうということで、まあ今回はかなり思い切った形の取り組みがされておりますが、やはりこれから緑化推進哲学といいますか、これが大事になってくるのではないかなと私は思います。きっとこれからもインフラ要望は 高くなると思いますが、それと同時に、私たちがこれから高齢化社会を迎え、そして人間が人間らしく憩える、潤いと住みやすい、こんな住環境をだんだん求めるようになる、その裏づけは緑のこういう政策推進であるというふうに私は考えておるわけであります。  私はそう思うわけでありますけれども、今回新しい第六次になりますこの五カ年計画の中で、冒頭に、いわゆる国の緑化政策哲学が変わったという点を非常に私はうれしく受けとめさせていただいているわけであります。いわゆる昨年七月に都市計画中央審議会の答申で、これまでの緑化推進の基本的な考えでありました「都市の中に緑を確保する」ということから「緑の中に都市が存在する」というふうに大きく変わったわけですね。私は、これは本当に画期的な政策変更政策転換ではないかなと思って、この資料を見せていただいたわけであります。  今まではどうしても、いわゆる町の中に点として緑を置いていくということでありますから、これは、先ほど私が申し上げましたような社会整備充実といいますか、こっちの方にどうしても目が向けられがちであります。しかし、今度は「緑の中に都市がある」、これは大変な、大胆な踏み込み方をしたなというふうに私は受けとめているわけでありますが、ぜひ中尾大臣から、今回のこのいわゆる緑化政策の言うならば哲学変化、これがどのような考えのもとに、そしてこれからこれをどのように認識して対応されていくのかという大枠の部分で、この緑化政策哲学についてお尋ねをいたしたいと思います。
  9. 中尾栄一

    中尾国務大臣 先ほど、一点目における歴史的な過程経過等の御質問、これはまた担当の方からも十分に説明させていただきましたが、今の御指摘のように、「都市の中に緑を確保する」というものから「緑の中に都市が存在する」、非常に画期的な出来事だ、こうおっしゃっていただきました。まことにありがたいことだと思っております。  御指摘のとおり、豊かさの実感できる、安全で快適な町づくりに不可欠な緑の質と量の確保に向けました建設省意欲を示すものといたしまして、第六次五カ年計画の策定に当たりましては、何とか「都市の中に緑を確保する」というところから「緑の中に都市が存在する」という、ある意味における概念を基本的なテーマとして掲げていくべきではないか、こういう物の考え方でございます。  緑に囲まれた生活環境、特に住居などが緑に覆われているということのためには、都市公園のみならず、それに付随するところの道路河川等公共施設の緑や民有地の緑を含みますところの総合的な緑の推進方策がげに必要ではなかろうかと考えておる次第でございまして、今後とも、二十一世紀初頭までに緑の公的な空間量を三倍にすると言った方がいいでしょうか、このようなことを目標として 緑の政策大綱を踏まえまして、都市公園を初め総合的な緑の施策推進してまいりたいと考えておる次第でございます。  委員指摘の、インフラが、ずっと続いた昭和三十年以降の日本の、とにもかくにも食べるに食なく、また住むに家もなくというような時代から、特に実質的な、日本の質的な外交のみならず、それに付随するところの経済を大きく躍進していこうという、インフラ整備などはそこから始まったわけでございましょうから、それから一段落をしていったというわけではございませんで、まだまだやっていくものはやっていかなければなりませんが、同時に衣食住の中における住に重点を置いていくというためには、緑のさらに加速度的な発展というものも、住に大きな意義を持たせるということが私ども考え方である一点も申し添えたいと思う次第でございます。
  10. 長内順一

    長内委員 今大臣の御答弁の中でも、これからは住環境整備といいますか、こういう中で緑の政策意欲的に行っていくのだという力強い御決意も含めた御答弁をいただきました。  私は、この「都市の中に緑を確保する」というところから「緑の中に都市がある」ということは、一つ緑化政策だけの問題ではなくて、まさしくこれは都市計画そのもの考え方転換であるというふうに実は受けとめさせていただいております。例えて言えば、都市の中に緑を確保するというこれまでの政策というのは、どちらかというとアメリカ型の都市計画かな、言うなれば、メトロポリスだとかメガロポリスだとか、こういう大都市中心主義というのがいわゆるアメリカ型の都市計画ではなかったのかな。それに比べてヨーロッパ型というのは、先ほど局長の方からもお話しいただきましたように、非常に早くから経済社会が成熟いたしまして、田園都市論に見られるように、早くから緑の中に都市をつくっていくということが極めて当然のように行われてきたというこの比較でありまして、まさしく今回の政策転換というのは、このアメリカ型都市政策からヨーロッパ型の都市政策への転換ではないかなというふうに私自身は受けとめているところでございます。  これはまことに結構なことでございますが、では、私たちの周りでこのような政策が現実的にどんな形で実行されるのだろうかということを考えた場合に、例えばこれから新規に市街化をしていくような都市においては、これは計画どおりいくわけですから、いろいろな手だてが可能かと思いますが、既成市街地において、こういう公園だとか緑地確保というのは現在でも非常に困難でございます。したがいまして、本気になってこの緑に囲まれた都市をつくるんだというのであれば、単なるスローガン倒れではなくて、具体的に、ではどんな形でこれに対して取り組んでいくのかというこの対応について、お伺いをさせていただきたいと思います。
  11. 近藤茂夫

    近藤(茂)政府委員 確かに、先生指摘のとおり、既成市街地の中でこういった哲学を実現していくというのは現実的には非常に難しいかと思いますが、そういった一つの大きな意欲のもとで、総合的な緑化政策を進めていこうという考え方でございます。そういった意味で この緑化の中身については、今大臣から御答弁ございましたように、都市公園に頼るだけではなくて、公的空間もどんどん緑化していこうという考え方があるわけでございます。  そういった考え方から、まず公的空間緑化ということで、都市公園につきましても、従来は、例えば昔児童公園と言われていた街区公園につきましては、これは基本的に補助しないという考え方に立っていたわけでございますが、防災機能に着目いたしまして、広域避難地に行く過程にあるオープンスペースについては、千平米未満のものについてもある程度まとまって整備するという格好で、それを一括として補助対象とするいわゆるグリーンオアシスという制度を去年の補正予算段階で設けていただきましたし、そういう格好で、既成市街地の中の未利用地工場跡地、これを有効にオープンスペースとして、緑化対象として活用できるような仕組みを講ずると同時に、道路等公的空間についてもどんどん緑化を進めていこう。これは平成六年段階になりますけれども政令段階で、道路機能を、多少のたまり場的な機能道路として用地を確保することができるような仕組みをつくりました。そういうところについても積極的に緑化するということ、こういう公的空間についてはまずできるだけ緑化を進めるということが基本施策として必要になってくるかと思います。  同時に、先生指摘のように、既成市街地の中で緑化をするということになりますと、やはり民有地が大半ということになりますので、この民有地緑化も進めていかなければいけない。そういうことから、先回、去年の都市緑地保全法改正でも、市民緑地制度を設けていただきました。それから、緑化協定充実も図っていただきました。そういった民有緑地の積極的な活用、同時に、さらにこれは屋上等特殊空間、こういう空間についても緑化を進めるということで、今技術開発についても積極的に進めておりまして、そう いう意味で 総合的な対策によって、この哲学のもとで鋭意進めていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  12. 長内順一

    長内委員 やはり基本的な哲学が変われば政策も変わってくるわけでございまして、今のまさしく公的なもの、それから民有地、特殊なもの含めて総合的にこれは取り組んでいくのだということでございまして、これはやはり私は、そこまでやらなかったらスローガン倒れで終わってしまうというふうに思うわけであります。これは、特に昨年の、民有地を使うということで法律ができ上がっておりますので、あれの進捗状況ども一度は聞いてみたいなと思うのですが、昨年スタートしたばかりでありますから、ぜひともここに力を入れて、総合的に、哲学というか、今回のこの緑に包まれた都市ということを常にイメージしながら進めていただきたいと考えるわけであります。  ただ、その中でちょっと一点だけお伺いしたいのですが、そうなってきますと、特に公的なオープンスペースというのが大事になってくると思うのですが、これはいろいろなところの協力がなかったらできないわけでありまして、ひとり建設省が踏ん張ってやってもなかなか難しい。したがいまして、この緑の中に都市があるを実現するためには、農林省だとか運輸省だとか、他の省庁との共通の認識といいますか、それとの連携をどうするのかということが私は極めて大事な問題だというふうに考えます。縦割り行政の枠をそれこそ乗り越えて、このテーマの実現のためにどのように建設省として取り組まれるのか、お伺いをしたいと思います。
  13. 近藤茂夫

    近藤(茂)政府委員 先生指摘のとおり、基本的に関係省庁との連携は非常に重要だというふうに考えております。  今先生指摘農林省との関係につきましては、これは森林とかあるいは農地、これを活用していくということでございますし、そのほか運輸省関係では、臨港地区におけるいわゆる港湾緑地、こういったものとの連携も必要になります。さらに私どもは、例えば学校の校庭と公園を一体化するということも、そのオープンスペースを共有することによって効果を高めるという観点から重要だと考えておりますし、そういう意味合いでは文部省、さらには社会福祉施設、これとも一体化することによって、お年寄りと子供たちが一緒に遊べる空間確保していく、こういった観点から厚生省といったように、関係省庁との連携が非常に重要だと考えておりまして、既に事務レベルにおいてもそういう関係省庁連携の場を確保しております。  そうやってその基本的な方針を国レベルで私どもまとめ上げた上で、具体的には今度は公共団体、現実に公共団体の場になるわけでございますが、これも先回の都市緑地保全法改正で導入していただきました緑の基本計画、緑のマスタープラン、その中で、あらゆる緑地空間、こういうものを総合的な形でまとめ上げて推進していく、こういうことが今後さらに重要になってくるのではないか、このように考えているところでございます。
  14. 長内順一

    長内委員 やはり具体的にどう取り組むかということは非常に大事でございます。  二点だけ局長、お願いしたいと思いますが、各省庁の横断的な何か会議ですか、システムを今考え中なんでしょうか。もうちょっとそこを具体的に、名称なども含めて、どんな形で各省庁との連携を深めていくのか、一点。  それから、これは地方自治体も結構大変なのでないかな。例えば、今おっしゃられたような一つの例として公園と学校のドッキングですとか、それから福祉の関係ではどうなんでしょうか、厚生省の関係では高齢者の施設と一緒にしていくだとか、こういうのはかえって自治体の方がやりやすいのか、それとも何か特別なことをお考えになっているのか、ちょっと細かい点になって申しわけありませんが、二点お願いいたしたいと思います。
  15. 近藤茂夫

    近藤(茂)政府委員 まず最初の社会福祉施設として一体化するという考え方でございますが、これは平成八年度の新しい対応として、いわゆる老人福祉施設、社会福祉系統と一体として、都市公園社会福祉施設の周辺に公園整備をする、そうすることによってお年寄りの方々のプラスにもなる、同時に社会福祉施設が持つ空間公園として有効性を高めていく、そういう政策を導入したわけでございます。それから、学校の校庭との関係でございますが、これは文部省と基本的な理解を国レベルで進めた上で、現実に公共団体レベルではもう既に——実は先生容易に御推察されますとおり、管理の問題があるわけでございます、また学校の安全ということもあるので、そういうことについての基本的な考え方を整理した上で実行に移していただくということで、実例も既に出ているというふうに私ども聞いているところでございます。
  16. 長内順一

    長内委員 今のような横の連携なしにはちょっと前に進めないと思いますので、ぜひとも建設省の中だけじゃなくて幅広く、各省庁それから自治体へのアプローチもきちっとした形で進めていただきたいと思います。いずれにしても、この問題はここ五年や十年でできる問題ではなくて、きっとこの都市計画と同じでしょうから、五十年、百年のスパンで物を考え、見ていかなければならないということだと思います。しかしながら、五十年、百年であってもやはりスタートが肝心でありますから、ぜひともしっかりとしたものにしていただきたいというふうに私の方からお願いをしておきます。  さらにお伺いしますが、今まで量の問題を随分聞かせていただきましたけれども、これからもう一方の質の問題、私は、二十一世紀に入りまして、これからは量の拡大から質の向上といいますか、こういうものも当然求められてくるのではないかなというふうに考えております。緑の空間ということで、郊外に土地を求め、そして確保しておきましても、そこが雑木林か何かであるということになると、すぐさまそこに人が手を入れてゴルフ場をつくったり、それから何か人工的な公園をつくりたがるわけであります。これを私は動的な緑というふうにちょっと申し上げております。  もう一方は、本当に自然をそのままに残しまして、そこでその空間を人間らしく憩うといいますか、そこには、美しい話ですが、小鳥がさえずり、それから昆虫が生息し、そういう自然を残すということもまた一方での緑の確保では大事なところではないかなというふうに考えております。これを静かな方の、静的な緑というふうに私は考えておるわけなのであります。ちょっと説明が足りないかもしれませんが、量の部分については十分意欲的な部分を聞かせていただきましたので、二十一世紀に入ってのこの緑の質の向上ということではどういうふうにお考えになっているのか、お伺いをいたしたいと思います。
  17. 近藤茂夫

    近藤(茂)政府委員 公園に対する量的充足だけではなくて、質についても十分考えていかなければいけない、これはもう先生指摘のとおりだろうと思います。  公園利用、これは近年住民の要望も非常に多様化しているわけでございますので、いろいろな意味のニーズにこたえていかなければいけない。その中では、先生がおっしゃる動的な緑、例えばスポーツ活動、こういったことももちろん重要でございますし、それからいわゆる自然の散策の中で自然に触れ合いながら健康の維持増進を図る、こういう面の、いわば先生のお言葉の静的な緑、これも重要だろうと思います。要は、多様な緑の要望にこたえていかなければいけないということで、最終的には地方公共団体、住民の意向を踏まえて整備することになるわけでございますが、ともすれば、今までどちらかといいますと自然を生かした形の静的な緑ということが、比較論で言えば、必ずしも認識がまだまだ十分ではなかった、そういう意味合いにおいては、静的な緑の方にもより一層の配慮が必要なのが現在の状況ではないか、私もこのように認識しているところでございます。
  18. 長内順一

    長内委員 きちっとどちらが大事かということは言えなくて、やはりバランスの問題だと思います。一つは、動的な緑、こういうものも私たちの生活空間の身近なところで大事な緑だと私は思いますけれども、それと同時に、本当に自然豊かな緑がもし残っているとしたら、そこを生かしながらまたいくというのも、これもあるべき姿であり、どちらかというとそういう静的な自然を生かした緑をこれから大事にしていくということをぜひお願いをいたしたいと思うわけであります。  この間の、平成六年三月三十一日付の日経新聞の「春秋」という欄がありまして、ちょっとおもしろい記述がございました。それは何かというと、何で人というのは緑を求めたがるのかという書き出しでありまして、京都大学の河合さんという名誉教授が書かれたものでありましたけれども、それによりますと、人間というのは、かつて森の中で暮らしていた猿の時代、ずっと前でありますが、そのときの数千万年に及ぶ記憶が我々の遺伝子の中に組み込まれているのだ。だから、ちょっと時間があると、また疲れたときなどはこの緑の中に自分を浸すと非常に安心感が出てくる。こんな記述がございました。そうなれば、緑の確保というのは人間の本質的にどうしても必要な空間である、人間が生存していくためになくてはならない空間なのだという認識に私どもが立つことが必要ではないかなというふうに考えました。今回せっかくこういう形で考え方の大転換を行ったわけでございますから、この方針をぜひとも大きな広がりとして実現させていただきたいというふうに思うわけであります。  次に、ちょっと細かい点で、今回せっかく第六次の五カ年計画をおつくりになってございますので、触れてみたいと思います。  まず初めには、ここに予算の「投資規模」ということで、第五次の五カ年計画平成三年から平成七年に行われた第五次と、第六次、今回まさしく計画案が出されております第六次五カ年計画との比較が載っておるわけであります。ここの比較の中で、一般、地方事業費というのがあります。この倍率が五次から六次にどのぐらいになるかというと、平均で一・三二倍。これは両方、一般公共事業費というので一・二五倍、地方単独事業費というので一・四一倍、平均をちょっと出してみますと一・三二倍。それに比較いたしまして、調整費というのがございますが、この調整費が二・〇四倍、こんなふうに非常に格差が認められるわけであります。実際にいろいろ伺ってみますと、仕事をやる上においては一般公共事業費と地方単独事業費というのが非常に大事でありまして、調整費というのは、これは余り使われていないというようなこともちょっと漏れ伺ってまいりました。  今回、この一般と地方の事業費が一・三二倍、それから調整費が二・〇四倍、この根拠はどういうお考えでこんなふうになったのか。それからもう一つは、私が今申し上げましたよりに、調整費をこの一般、地方両事業費の中に組み込むことは可能なのかどうなのか、ちょっと細かい点でありますけれども、お願いしたいと思います。
  19. 近藤茂夫

    近藤(茂)政府委員 確かに、先生指摘のとおり、五次と六次の五カ年計画比較いたしますと、その調整費が比率が非常に高まっているということでございます。この調整費が非常に難しい、わかりにくい内容であることは、確かにそういう面があるわけでございますが、流動的な経済情勢、財政事情等に弾力的かつ機動的に対応するために設けるものということでございまして、具体的には、例えば整備単価の大幅な上昇で目標水準の達成が困難な場合、そういうときに発動するというものでございます。  そういう意味で、先生質問の二番目の点に関しては、一般的な状況のもとではこれが発動されるものではないという位置づけになっているわけでございまして、経済情勢の大きな変動があったときに発動される。ただ、その目標水準等につきましては、この調整費を除いた上で、一応一定の条件のもとでは可能だという、そういう計画づくりはしているところでございます。  それから、最初の御質問、これが非常に答えにくい問題なわけでございますが、私どもといたしましては、先ほどの先生の御指摘のとおり、緑の中に都市が存在するというふうに大きな意欲をあらわした関係で、総額としての五カ年計画の規模もできるだけ大きなものにしたい、そういう一つ意欲が調整費込みでも七兆二千という数字の目標額を予算段階大臣折衝を経て確保したというのが実情でございます。
  20. 長内順一

    長内委員 これは今ここでなかなか答えの出にくい問題だと思いますが、私はなぜこういうことを言うかといいますと、先ほどから、実際に各自治体で事業をやる場合に、財源というのが非常に、要するに学校を建てろだとか道路をつくれだとか、最近では体育館だとか福祉会館、プールだとか、こういうところの要望が強いわけでありまして、この中で本当に緑の政策に財源を求めるというのは大変難しくなっている、こんなところから、ちょっとお伺いさせていただきました。  それで、引き続きちょっと細かい点なのですが、例えば公園事業をやる場合に、新設、増設、それから改築、この補助金の問題なのですが、二分の一の補助があるわけです。ところが、用地の取得は三分の一であります。先ほども申し上げましたように、これから都市の中でそういう空間をつくっていくというのは、どれだけ用地をそこで確保できるかというのが生命線になってくるのではないかというふうに考えます。そんな意味では、新設、増設、改築と同じように用地の取得の補助率を二分の一まで引き上げることができないかどうか。私はぜひとも、これから先のことを考えて、そこまで踏み込むべきというふうに考えておりますが、いかがでございましょうか。
  21. 近藤茂夫

    近藤(茂)政府委員 基本的に、先生指摘のとおり、用地の確保というのは、これは非常に大きな課題だと思います。そのために補助率三分の一が二分の一にできる、可能であればそれは非常に大きく貢献するかと思いますが、現在の状況のよとで制度改善に充てるだけの余裕がないというのが正直な実感だろうと思います。  したがって、どういう形で量を確保していくかということの関係で、これも先回、都市緑地保全法改正で、市民緑地制度につきましては、これは民有地をできるだけ活用していこう。その際、相続税の評価減によっていわば用地を確保するということになりますので、直接的に制度改善にはつながらないわけですが、税制面の配慮、これも、いわば税制による恩典も別の意味での補助と言うこともできますので、そういうこともあわせ活用していかなければいけないというのが実態だろうと思います。  私ども公園予算枠を確保することが今一番大きな課題だろう、そういう中で、制度面までの拡充はなかなか実際上無理ではないかというふうに認識しているところでございます。
  22. 長内順一

    長内委員 ただ、実情はわからないわけではありませんけれども、立派なスローガンを掲げ、そしてそれに取り組む場合に、裏づけとして予算がどういうふうになっていくのかという問題は、これは避けて通れない問題でございます。私はやはり、ある時期で、考え方をすっきりとした上でこういうことはやはり進めていくべきであるということを申し上げておきたいと思います。  さらにお伺いしますが、今回、平成八年度の公園等の整備事業の予算の中に、新規及び重点事項というところで、野鳥観察所だとか体験学習施設、これを補助対象に追加をしているわけであります。これは、先ほどお話ございましたように、今までと違いまして、公園の中で、公園に求められるものが随分変わってきたのではないか。しかも、高齢化社会のことを考えたり、それから教育の問題を考えた場合、補助対象施設、これが今定められておりまして、限定されております。それで、今回はこの野鳥観察所だとか体験学習、こういうところに補助対象を広げたということになるのでしょうか。これは、例えば動物の小屋だとか、それから宿泊施設だとか陳列館だとか、こう いうところも、現在は補助対象外になっているのでありますけれども、これから補助対象の枠に拡大できないかどうか、お願いをしたいと思います。
  23. 近藤茂夫

    近藤(茂)政府委員 基本的に、公園整備における補助対象考え方でございますが、いわゆる箱物に対する補助、これは非常に限定的に扱われております。ただ、先生指摘のとおり、それぞれニーズに対応していかなければいけないという要素がございますので、今言った施設については補助対象になっていないものが多々あるわけでございますが、今回、いわゆる箱物といっても、建築物要素がかなり少ないもの、こういったものについて、あるいは重要度の高いものについてはそれぞれの段階補助対象に加えておりますので、こういった努力は、基本的な方向としてはしてまいりたいと思っております。
  24. 長内順一

    長内委員 わかりました。  それで、もう時間が相当迫っていますので、防災公園、いわゆる今回の考えの中に防災にも注目しますよというようなことで、六五%の市街地での避難困難人口を解消するというのがテーマにのっております。  率直に伺いますが、これからの公園の、防災公園としての、防災としての役割を果たせということになった場合は、単に逃げ込むだけの避難公園だとか、それから札幌の大通公園ももともとはそうだというのですが、延焼防止のための公園だとか、こういう位置づけではなくて、もっと積極的に、今回も提案されておりますが、貯水槽だとかそれから備蓄倉庫だとか、こういうものも含めた総合防災ネットワークの空間を目指すべきであるというふうに私は考えます。これについて、今回特に防災には力を入れていくということでございましたので、ほかにどんな形で具体化していくのか、対応をお願いいたしたいと思います。
  25. 近藤茂夫

    近藤(茂)政府委員 公園防災面における機能は非常にすぐれたものがあるわけでございますが、先生指摘のとおり、単に避難地、避難路、そういう機能だけではなくて、積極的に消防・防災の活動拠点、こういったことも考えていかなければいけないということで、私どもも基本的な認識は持っているところでございます。  そしてまた、その場合にもネットワークとしての構成が非常に重要になるということで、この点につきましては、今まで、最終的な避難地、十ヘクタールの広域避難地確保するということだけだったわけでございますが、そこへの過程として一次避難地についてもネットワークとして整備していこう、規模にして大体一ヘクタール程度。そして、さらに小規模な緑地、これも防災ネットワークの中で計画的に整備していこう。  ネットワーク論が非常に重要だということはもう御指摘のとおりでございまして、そして、そういうネットワーク論に立って公園整備していく中では、今先生指摘の、例えば飲料・防火用水としての井戸とか耐震性の貯水槽、さらに医薬品、食糧等の備蓄倉庫、さらに広域避難地についてはヘリポート、こういったものもその機能に応じて整備していかなければいけない。そういう考え方で、この新たな制度といたしましては、一次避難地である一ヘクタール程度の防災公園についても補助の対象とし、さらにそこにおける、今言いました耐震性の貯水槽、備蓄倉庫、これも新たな補助対象としてその整備推進していきたいという考え方を持っているところでございます。
  26. 長内順一

    長内委員 いろいろ伺わせていただきました。  私は、やはり冒頭の、今回極めて明確に、今まで都市の中に緑が点在するというところから緑に囲まれた都市をつくるんだというこの点に大変に注目をいたしまして、それでこれからの都市計画というのはこうあるべきだなということを強く印象づけられました。  これから建設省が主体的になりまして、これは、単なる緑化政策緑化の担当者だけが一生懸命になるのではなくて、都市計画町づくり、まさしくこの中枢をなすのが緑に囲まれた都市空間をつくるんだということであるというところに思いをいたして、これからもこの実現のために積極的に御努力いただきたいことを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  27. 二見伸明

    二見委員長 次に、矢上雅義君。
  28. 矢上雅義

    矢上委員 新進党の矢上雅義でございます。  本日は、都市公園等整備緊急措置法の一部改正下水道整備緊急措置法及び下水道法の一部改正について御質問いたします。  ただいま長内議員よりいろいろ詳しく御質問がございましたが、まず私も、改めまして総論的なことからお聞きしたいと思います。  まず、都市公園等についてでございますが、都市公園等整備五カ年計画のこれまでの歩みとして、五カ年計画の果たしてきた役割、また都市公園の現状と課題について、簡潔に御説明いただければと思います。
  29. 近藤茂夫

    近藤(茂)政府委員 都市公園等整備五カ年計画につきましては、昭和四十七年に第一次整備五カ年計画、以来五次にわたって策定されてきたわけでございます。今回が第六次五カ年計画ということになるわけでございます。  そして、そういう五カ年計画に当たりましては、それぞれの段階における社会状況に対応した課題、典型的な事例でいいますと、例えば三次五計では防災公園というのが非常に大きな課題として浮上いたしました。さらに今回の六次五計においても、阪神・淡路大地震、この教訓をもとに防災公園の位置づけをさらに強化したわけでございます。そしてまた四次五計では、今度は健康、福祉面というのを課題として、そういう政策課題のもとに量的な整備を進めてきたというのが五カ年計画の役割でございます。  現段階の現状と課題ということでございますが、現段階では、量的な意味合いでは、例えば平均でもまだ七平米、七年度末にようやく達成できるという状況でございまして、この点につきましては、四十七年以来ということであれば、当時はまだ二・八平米でございましたので、量的な整備がかなり進んだということになろうかと思います。  ちなみに、この一人当たり一平米というのは、都市計画区域人口約一億人ということを考えますと、一平米で一万ヘクタールの整備ということになるわけでございますので、量的にはかなりな量を進めてきた。しかし、現状はまだまだ欧米の水準に比べても低いということでございますので、基本的には、まず量的な充足を図るということ、さらに、阪神・淡路大地震の教訓を踏まえた新しい防災公園整備とかあるいは福祉、こういう面をさらに強調した政策課題のもとで新しい公園整備を進めていこうというのが現在の基本的な課題ということが言えるかと思います。
  30. 矢上雅義

    矢上委員 今局長より御説明いただきました。三次五計で防災公園整備に取り組む、また四次五計で健康、福祉面、また最近では量的整備にさらに努めるということでございます。  確かに、防災として、また健康、福祉として先取り、先取りで頑張ってきておられますが、去年の阪神大震災、また最近の高齢化の急速な進行に合わせまして、さらにこの内容を拡充していただきたい、そういう要望もございます。  そういうことで、今回の第六次都市公園等整備五カ年計画については、具体的にはどのような目標設定と申しますか、事業計画がなされておるか、簡潔に特色を御説明ください。
  31. 近藤茂夫

    近藤(茂)政府委員 今回の第六次都市公園整備計画におきましては、従来どおり、一人当たりの目標もセットいたしております。七年度末の一人当たり七平米を九・五平米ぐらいに持っていこうという考え方でございますが、同時に、もう少しわかりやすい手法という意味合いで、防災公園整備によって最終避難地に三十分以内で達することができる市街地の割合、これを現行の五三%台から六五%まで持っていこう、そういう目標も加えております。  それからまた、政策課題といたしましては、阪神・淡路大地震で、やはり都市政策の基本という のは安全、安心である、そういうことで、安全、安心な町づくり、これを第一に挙げると同時に、長寿・福祉社会への対応、それから自然との共生、こういった課題も新たに強調することにいたしております。  そういった新しい政策課題のもとで、質的にもすぐれた公園整備を進めていこう、これが新しい五カ年計画考え方でございます。
  32. 矢上雅義

    矢上委員 ただいまの御回答に対しましては、後ほどまた具体的にこちらから質問させていただきますので、続きまして、下水道事業に移らせていただきます。  先ほどと同じで、下水道整備五カ年計画のこれまでの歩み、五カ年計画の果たしてきた役割と下水道事業の現状と課題について、簡潔に御説明ください。
  33. 近藤茂夫

    近藤(茂)政府委員 下水道整備五カ年計画につきましては、公園の五カ年計画よりかなり早い段階、すなわち昭和三十八年度に第一次整備五カ年計画をつくっております。以来五カ年計画をつくってきたわけでございますが、この三十八年段階では処理人口の普及率は七%でございました。七年度末で五四%ということでございまして、かなり処理人口の普及率、こういう点では上がってきているわけでございます。  ただ、中小の市町村の普及率というのは、とりわけ五万人未満についてはまだ一割台ということで、こういった課題、これは大きな政治的課題になっているのではないかという基本認識を持っておりますし、それから同時に、大都市地域におきましても、浸水被害の対応、それからとりわけ東京湾、瀬戸内海等の閉鎖性水域の水質保全、これもやはり考えていかなければいかぬ。そういった意味で、いわゆる三次処理、これも課題であるというふうに認識いたしております。
  34. 矢上雅義

    矢上委員 今御指摘のように、中小市町村、なかなか整備が進まない。これは、地理的なこともございますので難しい課題で、今後合併処理浄化槽とか農業集落排水事業との調整も進めて、急ぎ行っていただきたいということをお願いいたします。  また、大都市におきましても、浸水問題、特に下水道処理におきましては、合流式、分流式とございます。分流式、最新式の場合には、大雨が降れば雨水は雨水で河川からもしくは海に流れるとそれで処理できますが、特に関東、関西等の大都市部におきましては、以前つくられた合流式でありますと、雨がどっと降ると汚物も一緒に流れてしまう、また、大量の雨水が処理場にも入り込まないように、事前に気象予報等にも配慮して迅速に対応していただくことを要望いたしておきます。  また、いろいろ問題もございますが、今までの経過につきまして、これを踏まえてどのような目標設定を新たな五カ年計画でやっていくのか、御説明をいただきたいと思います。
  35. 近藤茂夫

    近藤(茂)政府委員 第八次の下水道整備五カ年計画におきましては、閣議決定段階において決められる目標といたしましては、まず処理人口普及率、これは平成七年度末見込みで五四%ぐらいにはなろうかと思いますが、それを踏まえまして六六%という目標を掲げております。  それから、下水道の雨水対策整備率、これも現行の四六%を五五%、それからいわゆる三次処理、高度処理人口につきましても現行の五百万人を千五百万、そういった目標を設定すると同時に、下水道関係する資源、空間有効利用という観点を新たな政策課題として強調いたしております関係上、行政上のいわば内部的な目標として、下水道の持つ資源利用の推進、とりわけ汚泥については有効利用率を現行の二七%から三五%に持っていく、そういう行政目標のもとで下水道整備を進めていきたいというふうに考えているところでございます。
  36. 矢上雅義

    矢上委員 ただいまの説明を受けまして、さらに具体的な質問に移らせていただきます。  私なりの下水道事業また都市公園についての機能をこの場をおかりして述べさせていただきますと、下水道事業というものは、下水道処理のシステム自体が川の浄化機能をバイオテクノロジー的に模したものである。人間の体に例えるならば、口でそしゃくして、そして胃に入ってまた腸に行く、そういうように物を分解する、有機物を分解するというシステム、川が本来持つ機能を浄化槽もしくは下水道がやっておると、そういうことでございます。本来なら川がやるべきことを、人口が増加して、また一極集中したものですから、川の能力が足りない、そこで下水道が出てきた、こういう非常に有意義なものでございます。川の浄化機能を代替、また補完するものであるという意味で、いわば水循環の一部をなしておるという位置づけをしております。  また他方、都市公園におきましては、都市部にいて失われつつある緑地や自然空間を代替する機能、また補完する機能があるという意味で、大地もしくは土というイメージで公園をとらえる。改めて言いますが、下水道事業が水であるならば都市公園のイメージは土である、水と土という二つの要素で人間なり他の動植物が生存することができるわけでございます。  こういう、人間、また他の動植物にとっても不欠の要素であるということを踏まえまして、以下の質問に移らせていただきます。  実は、先ほど下水道事業の機能を言いましたが、一つマイナス点もございます。それを申し上げますと、まず、昔は川から水をくむ、泉から水をくむという状況で、それ以外の水は上流から下流、そして海まで流れてきておったわけでございますが、上水道事業によってもう水源地から水を引く、もうポンプアップする、それが各家庭の水道、台所を通って、そしてまたそれが下水処理場に行きます。そうなりますと、上流、中流、下流、海というつながりが一気に消えまして、上流からショートカットしていきなり海に流れる。ですから雨季には、雨の多い梅雨どきには水が出てきますが、それ以外はからから。やはり、下水道事業が水循環の一環をなすということであるならば、きちんと各プロセスにおいて 各地域においてある下水道処理場の水をいかに水資源として有効に利用していくか、そういうことが必要ではないかと思っております。  実は、ちょうど去年の平成七年一月の阪神大震災のときに現地に参りまして、もう全区画燃え尽きてしまっておる、そしてまた、消防ホースが、消火用のホースが何百メートルと引いてあるわけですが、途中で火で焼けて溶けておるんですよ。もう何百メートルも引かなければならないほど防火用水が見つからない、そういう状況もございます。そういう中で、特に火事になったときに、あの消火用水が間に合わない、またどこに避難していいかわからない、そういう現状を目の当たりにしたわけでございます。  そして、そこで、現場で聞いた話ですけれども都市部では、空間が非常に有効であるということで小さな中小河川の上にふたをして、どこに河川があるかもわかりませんし、また、仮に河川があっても、先ほど申し上げました事情のように、河川に水がない。確かに、消防関係者の方とか消防団の方でしたら道路の下に防火用水がある場所も御存じですし、消火栓の場所もよく御存じですが、ああいうパニックの状況の中でボランティアの方がいざ手伝おうとしましても、どこに水があるかもわからない状況でございます。仮に道路の下に防火用水があったとしても、あの状況で車が渋滞する、車が置き去りにされておれば、道路の下にある防火用水から水を引くということも困難な状況でございます。  そこで、いろいろ私も陳情を受けたわけでございますが、小規模の公園にきちんと貯留槽、貯蓄タンクを設けて、例えば梅雨どきには、雨水対策、調整池としての活用を図る。また、冬季におきましては、冬場におきましては、下水道処理場が近くにあれば、下水道処理水をそこの調整池にためて活用する。ただ、そういう地面の中にあるものはなかなか人目につきませんので、必ずそういう場合にはふだんは噴水とかで利用する。 噴水のある池をつくって ためておる水をうまく循環させて利用する。そして、一般市民からも、身近にある公園の中に噴水がある、噴水があるところにはきちんとそういう処理水とか雨水を利用した貯留池、調整池があると、そう条件反射でわかるようなそういう整備方法を私としては望みたいわけでございます。  これにつきましては、今後具体的に建設省としてはどのような対策を考えておられるのか、お考えをお聞きしたいと思います。
  37. 近藤茂夫

    近藤(茂)政府委員 現段階における処理水の有効利用の率はまだ非常に低い状況にございます。毎年百十億トン以上の処理水が放流されているわけでございますが、利用率はまだ一億トンに至っておりません。  そういった意味で、処理水の有効利用、これが非常に重要になるわけでございますが、有効利用のあり方として、先生指摘の、例えば災害時における消火用水、生活用水として活用するということ、これも私どもその重点の一つとして考えているところでございます。現実にも、既にもう渋谷区、目黒区、これは消火用水として処理水を活用するということで、毎分六十トン、毎秒一トンの送水能力がもう確保されております。  それからまた、下水道の場合ですと、これは、分流式の場合には、いわゆる雨水管で、かなり口径が太うございます、そういうものをうまく活用することによって逆に海水を導入することもできる。そういうことも実は、これは現実に神戸市の東灘区でありますが、緊急時に下水道管、雨水管を用いまして海水を導入するという計画を今立てておりまして、事業化の段階に入りつつあるところでございます。  あるいはまた、基本的にも、下水処理場、これを防災拠点として整備しよう、それで、災害時の避難所あるいは物資の集散基地としても活用していきたい、こういう構想も立てているわけでございまして、幅広く処理水、さらにはその本体そのものも有効利用していこうという考え方整備を進めているところでございます。
  38. 矢上雅義

    矢上委員 ぜひ、この質問の内容につきましては、各地域から要望が強うございますので、早急に、また小規模、中規模公園におきましても精力的に進めていただきますことをお願いいたします。  次の質問に移らせていただきます。  またこれも、身近な公園整備のあり方、特に小中規模公園整備についてでございます。  公園というと一般的に児童公園を連想してしまいます。一般的な、滑り台とかブランコなどの遊具があり、子供たちが元気に走り回っておるという公園を想像していただくどいいわけでございますが、先ほど申しましたように、二十一世紀が高齢者の時代であること、また障害者のためのノーマライゼーションの時代でもあるということを踏まえました場合、そういう方々のためにもっと使いやすく、また楽しんでいただける公園をどうやってつくるか。  特に、健康を維持するには歩くのが一番と言いますが、そういう小規模公園、身近な公園に行くたびに、排気ガスを浴びて、変な空気を吸いながら行く。そしてまた、歩道が狭いから車いすで行けないとか、そういうアクセスの問題もございます。  まあ、アクセスの問題は道路局の方にこれからもお願いするとしましても、せっかく苦労して行った身近な公園が、御存じのように、都会の公園は結構緑を整備しようという意気込みがありますが、地方に行きますと、身近に緑があるものですから公園はただの広場になっておりまして、夏になると暑くてしょうがない。特に、おじいちゃん、おばあちゃんが子供を連れて遊びに行く、子供は夏場でも一生懸命一時間、二時間走り回りますが、見張りしているじいちゃん、ばあちゃんの方が日射病にかかるような感じ、これが実情です。  それで、私の子供のころは、滑り台といったら、コンクリートでつくって、上にモルタルでスムーズにしてやっておって、何回か滑るとズボンがすり切れるような感じでございました。途中、これが十年ぐらい前で、今度変わったのは、銀色のステンレスの滑り台です。ステンレスということで、さびにくいのでつくられたんでしょうけれども、夏場になるとちょうど目玉焼きができるぐらいの熱さになって、これもいけないということで、最近の公園ではローラーですか、JAあたりにある、段ボールを移動するようなローラーを幾つも重ねてやるわけでございますが、あれもしりの肉の薄い方はしりが痛いとか、逆にぜい肉のついた人は肉が挟まれるとか、そういう冗談話みたいなこともございますが、遊具については一生懸命研究開発して努力されておられます。  ただ、先ほど申しましたように、のんびり時間をつぶせる、狭くてもいい。広ければ散歩できるからいいのですが、大規模公園は結構、葛西臨海公園にしても平和島公園にしても、整備されております。身近にある小規模公園、そこでのんびりと木陰で時間がつぶせる、冬場でしたらひなたぼっこもできる、夏だったら木陰でのんびり休みながら子供たちを見守ることができる、そういう自分の庭として、また地域の庭としての小規模公園、それをつくっていただきたい。  改めて言いますと、子供だけでなく、高齢者にとっても障害者にとっても使いやすくかつ魅力的な公園とはどのようにあるべきなのか、建設省考えをお聞きしたいと思います。
  39. 近藤茂夫

    近藤(茂)政府委員 先生指摘のとおり、公園行政の一環として、高齢化時代に対応した新しい考え方公園整備、これが基本的に必要になっているわけでございます。  まず、公園に行くまでの過程において、安心して行けるような、そういう道路整備がなければいけない、これも御指摘のとおりでございまして、道路局とタイアップいたしまして、車いすでも行けるような、とりわけ公園周辺についての道路環境、これについては配慮していく体制をとっているところでございます。  そして、公園の中につきましても、とりわけ身近なところにそういう公園整備が基本的に必要になるわけでございますが、そういうことになりますと、なかなか大規模な公園はとれない。小規模な公園についても高齢者、障害者に配慮したそういう公園が必要だということで、当然のことではございますが、もう既にそういう身近ないわゆる街区公園段階でも、段差を解消する、そして車いすが通れるような園内の環境整備、これも基本的に考えていかなければいけない。  それからまた、先生おっしゃるとおり、基本的に緑の部分をふやす、これも街区公園。同時に、障害者、高齢者の方々にもある程度健康維持増進の場が必要になりますので、ゲートボール的な場の確保もあわせて考えていかなければいけないわけでございますが、そういったまり場空間についてはできるだけ緑化する、これも基本として私どもも認識しているところでございます。  さらに、公園内のトイレにつきましても、これは重点枠で対応しているわけでございますが、高齢者、障害者が安心して利用できるゆったりトイレという名称のもとで今トイレの改装にも努力しているところでございます。
  40. 矢上雅義

    矢上委員 具体的な施策をお聞かせいただきまして本当に安心しました。さらに、予算獲得も大変でしょうが、積極的に努力されることを期待いたします。  次に、ちょうど去年でしたか、これから二十一世紀は科学技術立国の時代だということで、基礎的研究の充実により新分野産業を創出することが国の政策の中心を占めるべきだ、そういうことで平成七年十一月に科学技術基本法というものが制定されました。これに対応しまして、創造性に富んだ人材の育成を図ろうということで、六省庁ですか、法改正予算措置により基礎的研究の重点投資が行われることになりまして、大体措置は進んでおります。  ただ、残念ながら、幾ら予算をつけたところで、次の時代を担う優秀な人材が育っていかなけ ればどうしようもないということも事実でございます。多様な体験と豊富な知識が知的好奇心を向上させる、それによって優秀な人材がはぐくまれていくという構図であると私は思っております。  ただ、残念ながら、大臣も御存じのように、現代の子供たちは、日常の生活の中で自然に触れる機会というのが非常に少ないのです。田舎に住む子供たちも、遠くの山に緑があるように見えるだけで、実際行ってみると杉かヒノキ林で、行ってみても何もないのです。もしそこで子供たちだけ遊ばせようとすると、犯罪に巻き込まれるとかいろいろありますので、山の中に遊歩道をつくるというのも一つの案ですが、なかなか遊歩道に女の子だけとか子供だけで行かせるわけにはいかない、そういう事実もございます。  理想からいえば、本当の自然で楽しんでいただければいいのですけれども、それがなかなかできない状況である。そういう中で、子供たちにいろいろな体験をしてもらいたい、つまり、日本の将来の宝である子供たちにとって、自然体験の場をふやし、またそのことを通して健やかな子供の育成を図るということが必要であると私は考えるわけでございます。  中尾大臣としましては、こういう考えにつきましてはどのようにお考えでしょうか、お聞きしたいと思います。
  41. 中尾栄一

    中尾国務大臣 基本的に、私は委員の御意見に全く賛成でございまして、やはり私どもの昔を思い出しましても、全く自然の中に私たちはむしろ成長させていただいた。そして、そういう自然の植物あるいは昆虫また魚、動物等々になれ親しみながら生きてきたころと比べますると、どちらかといえば、今は余りにも人工的につくられ過ぎておる社会構造の中に生きておりますから、今の子供たちが自然体に生きるということはなかなか難しい環境なのかもしれません。そういう点におきましては、私は全く同感であると思います。  先ほども公園につきましての問題は委員からもいろいろと御指摘を受けておったとおりでございますが、日本の国は確かに他の国の公園なんかと比べますと面積が余りにも少な過ぎる。これは極端に少ないと言った方がいいかもしれません。例えばアメリカあたりでございますと、ワシントンで四六・七%というのでございますか、あるいはまたニューヨークみたいな繁華街の地域でさえも二五%、日本は何と全体を含めても二・二%というようなことを考えますれば、これは考えなければいけないな。また歴史的にも、パリのブーローニュであるとか、あるいはまたニューヨークのセントラルパークなんというのは町のど真ん中にあるのですが、これはもう長い間の、歴史的に価値観として存在させて、そういう委員のようなお考え方を後世まで残そうという考慮があったからでございましょう。そういうことを考えますると、全く御指摘のとおりかと思います。  そこで、環境への対応、環境への対応というよりも今の子供たちへの対応というものから考えましても、私たちは、四季にそれぞれ変化する豊かな自然を有する世界的に美しい国であるということをまず理念として頭の中に描かなければならぬであろう。そして、しかしながら都市において特に子供たちが自然と触れ合う機会が減少しつつある、これも御指摘のとおりでございます。都市の緑は、子供たちの健全な心身と豊かな情操というものをはぐくむ上において不可欠でございますが、また、次代に引き継ぐべき国民の共有の財産と私どもは認識しなければならない、こう思っておるわけでございます。  このためには、建設省としまして、自然体験の場となる公園整備を初め緑の施策というものを総合的に推進して、子供たちが身近に土とか緑とか水とかというものの自然と触れ合い、自然と触れ合いと同時に、遊びあるいは学ぶ場の創出を積極的に図っていかなければならぬというのが基本的な考え方でありまして、先ほど、構築してみては何かこう変えていかなければならぬような形というものをやはりここであと一歩踏まえて、振り返って過去の反省点を問題点にしながら、確かにおっしゃられるとおり、もう暑い夏場などに子供たちと遊びに行く場が、座っておるところがもう熱くてとても子供たちの遊ぶのを待っていられない、この気持ちは私も体験がございまして、よくわかります。それだけに、やはりそういうことを総括的に今からは、各省庁と関連がございますから、そことも連携する形を十分に踏まえながら考えていかなければならぬな、このように御指摘のとおり考えております。
  42. 矢上雅義

    矢上委員 今の中尾大臣のお答えの中でも、土、水、緑、そして触れ合う、学ぶと大事なキーワードを述べていただきました。これに関連する質問でございますが、続けて質問に移らせていただきます。  続きまして、自然と触れ合える公園のモデル事業についてお聞きいたします。  例えば、先ほどから問題となっておる下水道事業で出てくる汚泥の処理、また公園管理道路管理の中で、特に街路樹から落ちてくる落ち葉等の活用、その活用をして例えば良好な堆肥をつくり上げ、都市部の公園の中にそれを活用して本物の土をつくり、子供たちに触れてもらうということも必要ではないか。  特に、公園も二種類ありまして、まめな管理人さんがいるところはというか、どれがまめかという、表現はおかしいかもしれませんが、落ち葉を全部はたいてしまってから、木の周りの、木の根っこの土がもうれんがみたいにかちかちに固まってしまっておる公園もあるかと思うと、落ち葉を拾い集めて堆肥化してそれを根っこに戻すとかうまく活用して、もう歩くとスポンジみたいな公園もございます。同じ県営とか国立公園にしても管理人さんの配慮によってこれだけ違うものかと感心するわけでございますが、せっかくのことですから、下水道事業から出てくる汚泥の活用、また落ち葉の活用、それを利用して本当の土をつくる、そして特に、小学校や町内会に委託して公園の中に水田や菜園をつくり、子供たちだけでなく大人にも公園を通して四季の移り変わりを感じてもらうというのは、各地で小さい事業ではやっておりますが、これを国の政策としてもっと積極的に押し出していければどうかと思っております。  現状と今後の展望についてお聞かせ願えればと思います。
  43. 近藤茂夫

    近藤(茂)政府委員 この新しい五カ年計画における政策課題といたしましても、自然との共生とうことを公園五カ年計画の大きなテーマで挙げております。それからまた、下水道の五カ年計画におきましても、下水道関係の資源の有効利用ということをうたっております。  具体的には、まず先生指摘の例えば落ち葉、これを公園内で堆肥化するということにつきましては、基本的にそういう動きをどんどん進めようということで、私ども、国営公園を全国で十六カ所持っております。そういった意味合いで、物事の実験的な対応をするには非常に環境に恵まれているわけでございますが、国営昭和記念公園では緑のリサイクルセンター、こういうものを整備いたしまして、公園内から発生する剪定時の葉、枝、これをコンポスト、肥料化するという動きを既に進めております。  それからまた、公園整備の基本的な考え方の中でも、いわゆる自然と親しむということで体験学習施設、こういったことについても重点の対象といたしておりますし、これも国営公園である昭和記念公園におきましては、水田、関東地域では水田がどんどんなくなっているということでございますので、一部に水田も整備していきたいという考え方を持っておりますし、既に武蔵森林公園においては、いわゆるまき、薪炭、炭焼き小屋もボランティアらの御努力のおかげで整備いたしておりまして、体験できる仕組みになっております。  それからまた、下水有効利用につきましても、処理水の有効利用につきましても、その処理水を使ってトンボの池を整備する。さらには、御案内のとおり下水場の空間を、上部を公園として整備する場合には、意識的に汚泥をコンポスト、 肥料化して、それをその公園で使うということも始めております。  もう今先生指摘のとおり、そういう有効利用をどんどん進める、そして自然の循環の中で物事を利用、活用していく、これも公園下水道整備一つの大きな考え方哲学だろうと考えているところでございます。
  44. 矢上雅義

    矢上委員 続きまして、自然環境に配慮した問題について質問させていただきますが、ビオトープというのは建設省さんの事業ですので御存じかと思います。ビオトープというのは、ちょうど去年、霞ケ浦ですか、世界湖沼会議というのが行われまして、霞ケ浦の汚染が問題になりました。その中で、セリとかクレソンとか水生植物を蛇行させて、小さな蛇行した河川みたいなものをつくらせてそこに下水道処理場の水とか小河川の水を通して、水生植物の間を通る間に水が浄化されて、それが霞ヶ浦に多分流れていくのだろう、そういう事業であると理解しております。  それで、先ほどから下水道処理水の活用方法とか出ましたが、今せせらぎ用水として、例えば神奈川のこどもの国とかでは——こどもの国だと思いますが、ちょっと記憶違いかもしれませんが、大きな公園ではせせらぎ水として利用されております。ただ、残念ながら、せせらぎを流す、せせらぎというその小さな人工の小川がコンクリートで、モルタルで張ってあって、白いモルタルで張ってあるものですから、ちょっと藻が張ったようになります。特に下水道処理場の水は藻が張りやすいものですから、せっかくのせせらぎ水が人工のコンクリートの川に滞留しているところを見ると、綿ぼこりみたいな藻が浮いていてちょっと景観上よくないかなと思っております。ですから、大規模公園におきましては、上流部とか下流部に水生植物を利用したビオトープによるせせらぎをつくって、間ぐらいに子供が遊べるようにするとか、そういうふうにすると上と下で浄化できるのではないかと考えております。  また、今回、下水道処理場の上部空間を利用してやるとか、また都市部の公園をきちんとするということでございますので、下水道処理場の上の場合には処理場の処理水を使う、都市部の公園においては近くに流れる小川から、余りきれいじゃないでしょうけれども水を引いて、ビオトープに流してやって、そういうちっちゃなミニチュアビオトープをつくって子供たちに理解していただく。特に、この時期になりますと、オタマジャクシとかいろいろそこで生息することもできると思いますので、どうかできれば実験段階からさらに踏み込んで、小規模公園のビオトープの推進もお考え願えればと思っております。  御意見をお聞きしたいと思います。
  45. 近藤茂夫

    近藤(茂)政府委員 基本的には先生のお考えと私どもも全く同感でございます。処理水の有効利用の形態としていろいろあろうかと思いますが、ただ単にせせらぎ用水として水を流すということだけにとどまることなく、今先生指摘の、例えばそれを自然植生、水生植物を利用することによってさらに高度の処理もしていく。同時に、その他においてはビオトープを熟成させる、こういう考え方も本当に必要だろうと思います。  実は、先ほどちょっと触れました大阪府の渚処理場ではもう既にそういうことを始めておりまして、これは、処理場内の池に処理水を活用いたしまして、そして同時に自然の植生、水生植物を植えております。そうすることによって、今はトンボの繁殖池としてかなり有名になっているわけでございます。  同時に、ビオトープを流れて河川の中に放流される段階では、いわゆる自然の三次処理、とりわけ窒素、燐につきましても植物の作用によって除去できるという、いわば一石二鳥の面がございます。単純な処理水の有効利用、単純に流すということだけではなしに、ビオトープとしても活用、そしてさらにそれを水質の浄化にも活用していく、一石二鳥の考え方もできるだけ積極的に取り入れていきたい、こういうふうに考えております。
  46. 矢上雅義

    矢上委員 時間があとちょうど五分でございます。あと二問、質問が残っております。住民参加の問題と建設行政の再構築について、中尾建設大臣の問題でございます。  時間の関係で、最後の建設行政の再構築について、中尾大臣考えをお聞かせ願えればと思っております。ちょっと間違いのないように読ませていただきます。  建設行政は従来、一貫して大地と水の脅威を克服することに重点が置かれてきました。特に、災害が多発した昭和二十年代から四十年代にかけては、安く、早く、丈夫にが最優先されたことは、時代の要請であり、やむを得ないことでございます。  しかし、治山治水工事、特に治水工事等も一段落を迎え、さらに自然環境保護という時代の流れの中で、土木の工法も自然と調和する方向に改善されてきております。大変喜ばしい傾向であります。  戦後構築された土木施設が次第に老朽化し、それをつくり直すのがちょうど今であると思っております。改めて建設行政を再構築していくチャンスでもあります。もしこのタイミングを逃せば、また建設行政は大きな壁にぶつかるのではないかと思っております。  改めて申しますが、例えば河川改修におきましても、岩盤のあるしっかりしたところは、洪水のときに土手が崩れませんから大丈夫でございます。ただ、農地とか土のところが大水が出ると崩れていく、そういうことがあってはいけないということで、生命財産の保全のために急いでコンクリートで固めたわけでございますが、基本的には、全面をコンクリートで固めるだけではなくて、岩盤的機能をこれからの建設行政に生かす。  今建設行政でもやっておりますが、網目状のブロックを張りつけて、その合間には土とか小石を詰め込んで、そして五年、十年たつと、そこに土がかぶって草が生えてきていろいろな昆虫がすめるようになるとか、そういう新しい工法を折り返し地点のこの時期に積極的に導入しなければ、先ほど言いましたように、安く、早く、丈夫にということで、また同じ建設行政の繰り返しになると思っております。  ただ、これは残念ながら、皆様方も御存じのように、もう受け入れられませんし、これから、せっかく部分的に補修する時代に入ってきておりますので、そこに積極的に自然と調和した土木工法の推進を図っていただければ、建設行政の今まで果たしてきた役割も十分認識していただけますし、またこれから建設行政を進めていく上で非常に仕事がしやすくなると思っております。  この点につきまして、中尾大臣のお考えをお聞かせ願えればと思います。     〔委員長退席、川端委員長代理着席〕
  47. 中尾栄一

    中尾国務大臣 矢上委員のお言葉は大変に理念を持って言われているわけでございます。これは、先ほども都市局長も申し上げましたように、私どもはその方針の方向で進んでいこうと。特に先ほど、若い世代にいい環境を、いい国をと、これはもう私ども建設行政、なかんずく物を残していく、それが若い世代にもよりよきものとして継続されていく、これだけに喜びがあるわけでございますから、これを大いに推進していかなければならぬと思うわけでございます。  環境への対応そのものは、建設行政の最重要課題の一つであると認識しておりまして、建設省におきましても、平成六年一月、環境政策の基本的な考え方を明らかにいたしました環境政策大綱を策定いたしまして、環境対策に本格的に取り組んできたところでございます。  そこで、当大綱におきましては、環境を創造し保全することを建設行政の本来的な使命として認識しております。すなわち、環境を内部目的化することを基本として、美しい環境の創造と継承、それからまた環境保全、及び地球環境問題への貢献と国際協力の推進という三つを国土形成における私どもの理念といたしまして、今後とも本大綱に基づいて、質の高い豊かな環境を備えた国土 形成に積極的に取り組んでまいりたいと考えておる次第でございます。  なお、先ほど委員にお答えいたしましたアメリカ都市の数字は、これは私、まずパーセントという言葉を使いましたが、パーセントではございませんで、一人当たりの公園面積でございますから、訂正をさせていただきたいと思っております。
  48. 矢上雅義

    矢上委員 中尾大臣のおっしゃいました、さらによりよきものを次の世代に継承していくという考え方を大事に、頑張っていただきたいと思います。  そしてまた、公園整備下水道整備におきましては、これから住民参加という理念がさらに大切になってまいりますので、望まれる公園、愛される公園という理念のもとで、住民参加のモデルケースもさらに進めていただければと要望して、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  49. 川端達夫

    ○川端委員長代理 次に、中島武敏君。
  50. 中島武敏

    中島(武)委員 私は、最初に都市公園関係から質問いたします。持ち時間が大変短いので、答弁の方も、恐縮ですが、簡潔明瞭にお願いいたします。  まず最初に、公園の果たす役割について、阪神・淡路大震災からどんな教訓を得、公園施策にどのように生かそうとしているか、このことについて最初に伺います。
  51. 近藤茂夫

    近藤(茂)政府委員 阪神・淡路大地震におきましては、比較的小規模な都市公園、これも避難地、避難路、あるいは火災の延焼防止、あるいは消防等の活動拠点あるいは自衛隊の基地等多様な役割を果たし、そういう意味で、安全、安心の町づくりという観点から、公園の重要性が改めて認識されたというふうに考えております。  この教訓を生かしまして、今回の六次五計におきましても、防災公園整備を大きな課題として取り上げ、なおかつ、具体的な対応策といたしましても、最終避難地にとどまらず一次避難地についても補助の対象とする、そういう具体的な措置も講じたところでございます。
  52. 中島武敏

    中島(武)委員 私は、阪神・淡路大震災の重要な教訓として学ばなければならない一つは、人口密集地や火災危険地帯、ここの都市公園づくりを優先的に、また意識的に急がなければならないと思っておりますけれども建設省としては、この点についてのどんな施策考えておられますか。
  53. 近藤茂夫

    近藤(茂)政府委員 公園整備に当たりまして、防災公園、これはできるだけ積極的に私どもも応援してまいりたいという考え方でございます。  そういった意味合いにおきまして、今言った、一次避難地についても補助対象とすると同時に、小規模の公園についても、地域防災計画上、防災公園として位置づけされたものについては、ある程度メニュー補助的に補助対象にしていく、そういう考え方も採用し、現実に公園整備を進めていきたいというふうこ考えているところでございます。    〔川端委員長代理退席、委員長着席〕
  54. 中島武敏

    中島(武)委員 これはなかなか大変なんですよ。人口密集地域、アパートはたくさん建っているわ、消防車も入らないわ、そういう地域がたくさんあるのですね。この東京でも随分あります。そこで一たん火災が発生するということになったら、これは本当に大変な問題になる。地震が来れば、同じく大変な問題になる。私は、そういうところを大変重点的にどんどん進める必要があるのじゃないかというように考えるのですね。  ただ、ここを進めるという場合に非常に難渋するのは、やはり住民の合意が得られるかどうかなんですね。そういう点では、住民の合意ということを大前提にして、それで区画整理方式を使うなり、あるいは再開発方式を使う場合でも、単にそれだけを適用するというだけではとてもうまくいかないと思います。そういう点についても建設省考えているのかどうか、もう一回答弁を願います。
  55. 近藤茂夫

    近藤(茂)政府委員 先生指摘の区画整理事業あるいは再開発事業をする場合についても、基本的に住民の理解と協力のもとにということで、現在の阪神・淡路大地震における再開発につきましても地元に協議会を設けていただく、そして、協議会に専門家を派遣して、専門家はその協議会の立場で案をつくって公共団体と最終的に合意をする、そういう仕組みを今とっているところでございますので、そういう町づくりに関しては、住民の理解と協力、これはもう基本的に非常に重要だと認識いたしております。  また、区画整理事業、再開発事業を進めるに当たって、そのものに対する助成措置のほかにそういう防災公園的なものについて独自の公園体系における補助が充実されますと、それが管理者負担金という格好で区画整理事業の施行者に対してお金が入りますので、そういうことでも物事の整備は進む、そういうふうに理解しているわけでございます。
  56. 中島武敏

    中島(武)委員 今の問題で、私一言申し上げておきたいと思うのですけれども公園に対する補助というだけではなくて、区画整理の場合だったらやはり直接買収をうんと多くして減歩率を少なくするとか、あるいは再開発の場合でも等価交換ではなくて等床交換にできるだけの補助をするとか、思い切った施策が必要だと思うのですね。私は、そういう点を一つ申し上げておきたいと思うのです。  それから、次の問題は、公園面積の拡大を急ぐ余りに、多様なニーズにこたえるということで、平成五年六月の都市公園法施行令の一部改正、これによって、公園内につくることのできる教養施設や運動施設など特例施設の特例建ぺい率を従来の五%から一〇%ないし二〇%に緩和しました。この緩和は、ただでさえ少ない公園に人工的施設をたくさんつくらせるということになります。  私は、公園問題で造詣の深い日本大学の高橋理喜男教授のお話を伺ったことがありますが、緑と自然を基調とすべきというお話をされておりました。先ほど答弁を聞いておりましたら、大臣は、緑の中に都市がある、こういう公園でなければいかぬという見解を、哲学を述べられた。私はこれに賛成なんですけれども、本当にやはりそういうところに公園づくりの基本を置かなければいかぬのじゃないか。  緩和すると、今言ったように、もうされているのですけれども、そうすると公園の中にいろいろな建物ができてくるのですよ。それは壁はないかもしれないけれども、そういうものができてくる、あるいは緑と自然じゃないものができてくる。オープンスペースかもしれないけれどもそれは緑と公園じゃない、こういうものになっちゃうのだ。  やはり自然と緑、これを基調に考えて、率直に申し上げるけれども、あの緩和はもとへ戻すべきじゃないか、こう考えるのですけれども大臣の先ほどの哲学ともこれは矛盾しておると思うのです。
  57. 近藤茂夫

    近藤(茂)政府委員 先生指摘のとおり、平成五年度の都市公園法の施行令で、従来オープンスペース率二%、ただ動植物園、図書館、運動施設として建築物を設ける場合には五%の上乗せ、そういう意味で最大で七%、これを、休養施設、運動施設、教養施設として建築物を設ける場合には原則の二%に一〇%まで上乗せすることができる、そういう制度改正をしたわけでございます。  この背景でございますが、基本的には、都市公園、これは公共施設としての都市公園、収用権もある都市公園、この基本はオープンスペースだろうと思います。ただ、とりわけ地方の公共団体からはやはり教養施設、図書館、こういったものも整備していきたいという要望が非常に強くあるわけでございます。  先ほど長内先生の動的緑と静的緑というお言葉がございましたが、大都市地域においてはその静的な緑を求める声が非常に強いという面があるわけでございますが、とりわけ地方の中都市におきましては、静的な緑が周辺に多いということもあって、ある程度そういう動的な施設も欲しい、 そういう背景で実はこういう改正をしたわけでございます。現在、地方分権推進委員会で議論されている議論では、むしろこのオープンスペースについてはもっともっと低くして、公共団体考え方によってはもっともっと箱物ができるようにという声もあるわけでございますが、私どもは基本的には、やはり都市公園の本質はオープンスペースということでございますので、大きな流れの中においては社会情勢の変化を見て適宜見直しすることも必要でございますが、当面はこの考え方で対応してまいりたい、このように思っているところでございます。
  58. 中島武敏

    中島(武)委員 原則二%なんですよね。だから、今しきりにもっと拡大していく、施設の拡大の方を強調されましたけれども、そうじゃなくて、やはり原則二%、これの方を厳守していく、こういう方向で努力してもらいたいと思いますね。  それから次に、下水道関係について質問いたします。  今度初めて民間事業用に下水道暗渠部分光ファイバー等のケーブルの設置を認めようとしているわけですね。大都市部で今企業が単独で光ファイバーのケーブルを敷設しようとすれば、莫大な資金を必要とします。それが、下水管を利用することでいとも簡単にケーブルが敷設できるということは、大変大きなメリットになりますね。  そこで、この暗渠を利用して商売をする電話会社等が地方自治体に支払う使用料、占用料についてですけれども、どのような基準で料金を徴収しようとしているのか、その点について伺います。
  59. 近藤茂夫

    近藤(茂)政府委員 下水道暗渠内に光ファイバーを設置する場合の占用料の基本的な考え方でございますが、これは基本的には、下水道法第二十五条の下水道条例で、地域の実情を踏まえながら地方公共団体が定めるということになるわけでございますが、私ども、基本的な考え方といたしましては、最低限、一般的な議論として、光ファイバーが敷設されることによりましてある程度維持管理費の増嵩、これがまず出てくるかと思います。それは最低限徴収すべきものというふうに考えておりますが、同時に、地方公共団体の判断において、例えば一部の暗渠の減価償却分、これを加えることについて検討する公共団体もあるわけでございますので、それは、公共団体の判断においてそのことも可能だろうというふうに考えております。  ただ、今後いろいろな実例が出てくるかと思いますので、公共団体と十分相談しながら基本的な考え方を逐次整理していきたい、こういうふうに考えております。
  60. 中島武敏

    中島(武)委員 最低限という言葉であったり、また同時に地方自治体の考えでと、こういうお話なんですけれども、こんなに簡単に光ファイバーのケーブルが敷設できる、そうすると下水道の、今もちょっと触れられているのですけれども、減価償却の分をやはり考慮しなきゃいかぬ、最低はそのまま考慮しないところの答弁だったと思うのですよね。私は、そうじゃなくて、やはりそういうものを考慮しないでやるということになったら、それこそそういう民間の会社に全く自由に使わせるというだけに終わっちゃいますから、大臣、いいですか、ここはやはりしっかり考えて統一的な指導をやってもらいたいと思います。     〔委員長退席、川端委員長代理着席〕  それから続いて、人口五万人以下の市町村における下水道の普及促進について伺いたいと思っているのです。  過疎地域の下水道というのは大変おくれております。実際、全国の千三百を超える自治体でまだ下水道はありません。特に河川の上流に位置する町村の下水道の促進は急務だと思います。なぜなら、ダムはほとんど上流部にあります。しかし、恩恵を受けるのはその河川の中流域、下流域でありますから、おいしい水を確保するとか、それから環境問題を考えても、上流の下水道の促進を急ぐべきだ、こう思うわけです。この点で、これらの自治体に対してどのような促進対策をとるのか、この点を聞きたいのです。  過疎の町村というのは財政力がありません。それから、技術者もいないのです。そういうことからいえば、やはり財政的にも人的にも思い切った援助をするべきではないか、こう思うのですけれども建設省の方の考えをお聞きしたいと思います。
  61. 近藤茂夫

    近藤(茂)政府委員 先生指摘のとおり、五万人未満の普及率が非常に低いという状況でございますので、そういった意味で、中小市町村の下水道整備を促進することが非常に重要だと私ども考えているわけでございます。  具体的な対応策でございますが、新しい五カ年計画のもとでは、そういう中小市町村に対する補助対象、管渠の範囲を広げるということ、それから過疎代行制度ということで、これは都道府県がかわってある程度財政負担もして、整備を進める、この制度の拡充も既に講じたところでございます。あるいは、財政力がある場合でも人的資源がないという場合については、下水道事業団の代行制度によって積極的に応じていきたいというふうに、人的、財政面でも中小市町村の下水道整備については十分に対応していきたいというふうに考えているところでございます。     〔川端委員長代理退席、委員長着席〕
  62. 中島武敏

    中島(武)委員 では次に、下水やあるいは公園の工事にもかかわる建設省の直轄工事の問題で、中小企業の発注をふやす問題について伺っておきたいと思うのです。  この点について、建設省が発表しております「国土建設の現況」、いわゆる建設白書があります。これを見ますと、資本金階層別売上高経常利益率の推移の表が載っております。これによりますと、一九九二年度から九四年度にかけて、資本金二百万円未満及び二百万円から一千万円未満の中小建設業者の利益率はもう急降下で低くなっている。これだけ下がるということになりますと、なかなかこれは経営が大変ですよ。  ところが、ことしの三月だったと思うのですけれども、私は建設省から建設工事の中小企業への発注率の資料をもらって非常に驚きました。それは何かというと、建設省の直轄工事では中小企業への発注実績が、一九九三年度は八千三百十八億円、四五・〇%でしたけれども、これが九四年度は五千五百六十三億円、四〇・一%に激減しているのですね。それから、関東地方建設局で見ましても、一九九二年度千七百八十五億円、三六・四%であったのが、九三年度は千四百六十八億円、三二・五%となって、さらに九四年度は九百五十五億円、二九・六%と激減しているのですね。これは一体どんなところに原因があるのかということについて伺いたいと思うのです。
  63. 伴襄

    ○伴政府委員 御指摘のように平成六年度は落ちておりますが、主な原因としては、特に平成六年度は災害関連の事業が少なかった。一般的に災害関連事業は中小企業が受注することが多いわけでございますけれども平成五年に比べて大幅に減ったということが一点あると思いますが、あわせて、近年の公共事業効率化というようなことから、発注のロットが大きくなっているということが原因かと思っております。  そこで、そういう実績が低かったということもありまして、去年の七月、十月と二回にわたりまして中小企業の受注機会の確保対策というのをまとめまして、これを実行に移しております。着々と実績が上がっているものと思っております。
  64. 中島武敏

    中島(武)委員 中小企業の発注がどんどんふえてくれればいいんですけれども、中小企業の皆さんが私のところに随分いろいろなことを言ってくるのです。なぜこういうことになるかといったら、大企業がランクを侵して下のランクにどんどん入り込んでくるというのです。それから、もうJVを認めないというふうにしているのは建設省の方針ですか、そうすると、大きいところと小さいところのJVなんというのがなくなってしまうと小さいところは入れない、こういう問題も起きてくるのですよ。  私は、こういうあたりにもちゃんとメスを入れ て、そして官房長は目を光らせてよく見ていただきたいと思うのです。そうではなしに今度は大丈夫ですなんて言われても、私もいろいろ中小企業から話を聞きますから、そんな簡単なことではないぞというのはよくわかるのです。ぜひひとつその辺をよく考えていただいて、ランクをしっかり守らせるとか、あるいはJVなども、できれば私は中小、中小のJVがいいと思います。そういうふうにして直轄工事であってもどんどんやはり中小が仕事を受けられる、そういうふうにするべきではないかということを申し上げておきたいと思うのです。  それでもう一つ、これにかかわる問題について私はお尋ねしたいのですが、私のところに官公需適格組合とか事業協同組合の皆さんから、実にたくさん、頻繁に訴えが来るのです。なぜかというと、これは名前を挙げてしまいますけれども、関東地建では、中小企業レベルの規模の工事の発注に際して、適格組合ももちろんですが、事業協同組合については指名競争入札に当たって指名が行われない。事業協同組合は一定の資格要件を満たしており、また責任施工体制も整っているので、指名競争入札に参加する機会が与えられることを要望する、こういうことを切実に言ってくるのです。  私は、一つ一つゆっくり聞きたいのですけれども、時間がもう迫ってきておりますので、官公需適格組合だとかそれから事業協同組合、これの発注は一体どうなっているのかということについて伺いたいのです。  それで、東京都などいろいろ調べてみたのです。そうすると、東京都のものを見ますと、これは事業協同組合への発注なんですけれども平成七年度、東京都か水道局本局契約分のみ、それで二十五件、七十三億千百一万二千円。それから、そのほか知事部局だけの分も見ましたら、これは平成六年度分ですけれども、十四件ありまして六十四億二百四十二万三千円なんです。  これから答弁をいただきますけれども、私は建設省は、全体をひっくるめてもこれに及ばないと思うのです。私はここは建設省として本当に考えるべきところなのではないだろうかということを思います。  最後に、これはやはり大臣、中小企業の活用というのは非常に大事な問題です。ひとつ大臣の所信も伺って、私は質問を終わりにさせていただこうと思います。
  65. 中尾栄一

    中尾国務大臣 先生の時間がないということからのお言葉に甘えまして、ごく簡単に説明いたします。  ただ、私の考え方を述べろと言いますので、私は、先ほどから言っておられる考え方に対しては賛成であります。大企業だけがよくて、中小企業あるいは地元における、地方における九九%に余る中小零細企業が四苦八苦だ。やはり汗をかいた者は汗をかいた分だけは報いられる、そういう少なくとも情義というものをきちっと踏まえた形における方針というものを私は貫くつもりでございますから、どうかよろしくお願い申し上げます。
  66. 伴襄

    ○伴政府委員 官公需の適格組合の部分だけでございますが、今後とも適正に活用するように努力してまいりたいと思います。
  67. 二見伸明

    二見委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  68. 二見伸明

    二見委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、都市公園等整備緊急措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  69. 二見伸明

    二見委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、下水道整備緊急措置法及び下水道法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  70. 二見伸明

    二見委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中尾建設大臣
  71. 中尾栄一

    中尾国務大臣 都市公園等整備緊急措置法の一部を改正する法律案及び下水道整備緊急措置法及び下水道法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことを深く感謝申し上げます。  審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めてまいる所存でございます。  ここに、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。  どうもありがとうございました。(拍手)
  72. 二見伸明

    二見委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 二見伸明

    二見委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  74. 二見伸明

    二見委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十二分散会      ————◇—————