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1996-04-24 第136回国会 衆議院 建設委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年四月二十四日(水曜日)     午後零時八分開議 出席委員   委員長  二見 伸明君    理事 久野統一郎君 理事 野田  実君    理事 萩山 教嚴君 理事 長内 順一君    理事 川端 達夫君 理事 白沢 三郎君    理事 石井  智君 理事 玄葉光一郎君       安倍 晋三君    遠藤 利明君       金子原二郎君    岸本 光造君       斎藤 文昭君    七条  明君      田野瀬良太郎君    根本  匠君       藤井 孝男君    村上誠一郎君       青山  丘君    岩浅 嘉仁君       久保 哲司君    高市 早苗君       樽床 伸二君    広野ただし君       弘友 和夫君    森本 晃司君       山崎広太郎君    山本 幸三君       池端 清一君    前島 秀行君       中島 武敏君  出席国務大臣         建 設 大 臣 中尾 栄一君  出席政府委員         建設大臣官房長 伴   襄君         建設大臣官房総         務審議官    小野 邦久君         建設省建設経済         局長      小鷲  茂君         建設省都市局長 近藤 茂夫君         建設省道路局長 橋本鋼太郎君  委員外出席者         警察庁交通局交         通規制課長   小西  哲君         運輸省自動車交         通局技術安全部 三宅 哲志君         保安・環境課長         建設委員会調査         室長      白兼 保彦君     ————————————— 委員の異動 四月二十四日  辞任         補欠選任   根本  匠君     七条  明君   蓮実  進君     岸本 光造君   大口 善徳君     弘友 和夫君   樽床 伸二君     山崎広太郎君 同日  辞任         補欠選任   岸本 光造君     蓮実  進君   七条  明君     根本  匠君   弘友 和夫君     久保 哲司君   山崎広太郎君     樽床 伸二君 同日  辞任         補欠選任   久保 哲司君     大口 善徳君     ————————————— 四月二十三日  幹線道路沿道整備に関する法律等の一部を  改正する法律案内閣提出第五三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  幹線道路沿道整備に関する法律等の一部を  改正する法律案内閣提出第五三号)      ————◇—————
  2. 二見伸明

    二見委員長 これより会議を開きます。  内閣提出幹線道路沿道整備に関する法律等の一部を改正する法律案議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。中尾建設大臣。     —————————————  幹線道路沿道整備に関する法律等の一部を   改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 中尾栄一

    中尾国務大臣 ただいま議題となりました幹線道路沿道整備に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  近年におけるモータリゼーションの急速な発達、急激な都市化進展等に伴い、特に都市部幹線道路においては、道路交通騒音対策が大きな課題となっております。このため、道路交通騒音により生ずる障害防止するため、バイパスの整備、遮音壁の設置、沿道整備計画制度による沿道環境総合的整備等施策を逐次実施してきたところでございますが、道路交通騒音の著しい区間がいまだ多数残されている等、道路交通騒音をめぐる状況は依然として厳しいものとなっております。  さらに、平成七年七月には、国道四十三号及び阪神高速道路騒音等の訴訟に係る最高裁判所判決が出され、本件道路環境対策について、「なお十分な効果を上げているとまではいえない」として、道路管理者瑕疵責任が認められたところであります。  この法律案は、このような道路交通騒音をめぐる厳しい状況にかんがみ、道路交通騒音の著しい幹線道路において道路構造改善等を進めるとともに、その沿道においても町づくり一体となった沿道環境整備を図り、道路交通騒音により生ずる障害防止沿道にふさわしい土地利用を実現しようとするものであります。  次に、その要旨を御説明申し上げます。  第一に、幹線道路沿道整備に関する法律改正についてであります。  その改正の第一点といたしましては、沿道整備道路道路管理者及び都道府県公安委員会は、道路交通騒音を減少させるための道路構造改善交通規制等に関する計画を定めるものとし、両者はこの計画に従ってそれぞれ必要な措置を講ずるものとすることとしております。  第二点といたしましては、沿道整備計画沿道地区計画とし、その区域及び整備方針を具体的な土地利用規制を定める沿道地区整備計画に先行して定めることができることとするとともに、建築物容積を適正に配分することが必要なときに区域を区分して容積率最高限度を定めることができることとするなど、沿道整備計画制度拡充を行うこととしております。  第三点といたしましては、沿道地区計画区域内において緩衝建築物建築等の適正かつ合理的な土地利用を促進するため、沿道地区計画実現手法として、市町村の定める計画によって土地に関する権利移転等一体的に行う制度を創設することとしております。  第四点といたしましては、緩衝建築物建築防音工事等に対する助成措置拡充することとしております。  第五点といたしましては、市町村長が一定の公益法人沿道整備推進機構として指定し、これが沿道整備用地を取得する場合に、国が無利子貸し付けすることができる制度を創設することとしております。  第二に、建築基準法改正におきましては、沿道地区計画区域内における建築物容積率最高限度特例に関する規定等整備を行うこととしております。  第三に、都市開発法改正におきましては、高度利用地区と同等の建築規制が行われている沿道地区整備計画等区域市街地開発事業施行区域に追加することとしております。  第四に、道路法高速自動車国道法及び道路整備特別措置法改正におきましては、二以上の道路に係る道路交通騒音により生ずる障害防止のための共用の施設等について、関係道路管理者が協議して、管理の方法、費用の分担を定めることができることとしております。  その他、これらに関連いたしまして関係規定整備を行うこととしております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。  ありがとうございました。
  4. 二見伸明

    二見委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 二見伸明

    二見委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。樽床伸二君。
  6. 樽床伸二

    樽床委員 新進党の樽床でございます。  ただいま御説明いただきました幹線道路沿道整備に関する法律等の一部を改正する法律案に関連いたしまして質問をさせていただきたいと存じます。よろしくお願いを申し上げる次第でございます。  まず最初に、先ほど大臣説明の中にもございましたように、国道四十三号線の最高裁判所判決といったことが今回の改正一つのきっかけになったような御説明もあったわけでございますが、私は、この裁判決定に対しまして、あくまで司法の分野決定されたことでありますのでそれに対して私ども立法府の人間がどうのこうの言うつもりは全くございません。  そういった大前提の中でありますが、そのような、いろいろ裁判判決が出るたびに微調整、微調整というようなことを繰り返すことで全体の方針が揺らいでいく、そういうような懸念があるのかないのかということも甚だ不明確であろう、このように考えております。やはり、こういった道路という大変重要な行政におきましては、全体の方針というものが明確に位置づけをされ、その中でそれぞれの法律整合性のとれた形で行われていかなければならない、このような意識を持っておるわけでございます。  冒頭に申し上げましたように、あくまでこれは四十三号線の問題についての判断を言っておるつもりは全くございません。私も大阪でございますので、四十三号線は車でもよく通っておりますし事情はよくよく理解をしておるつもりでありますが、行政のあり方として、何か問題が起こったからそれに対応するというような場当たり的な、そういうことではないと私は信じております。そういった点を特に冒頭確認をさせていただきたい、このように考えておるところでございます。  つきましては、現在建設省の方でお考えになっておられます道路行政全体の今後の方針、そしてそれに基づいて今回の改正がどのような位置づけにあり、そして全体の流れの中で矛盾しているところがあるのかないのか、こういった点につきまして御質問させていただきたいと思います。
  7. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 御質問の件でございますが、道路行政そのもの方針につきましては、現在第十一次の道路整備五カ年計画、これは平成五年度から平成九年度まででありますが、こういうものを決定するに当たりまして大きな三つ施策主要課題としております。  一つは、生活者の豊かさを支える道路整備二つ目に、活力ある地域づくりのための道路整備三つ目に、良好な環境創造のための道路整備、このような三つ施策主要課題としております。  この第三番目に申し上げました良好な環境創造のための道路整備につきましては、この中をさらに細分しておりまして、交通渋滞等を緩和することによる地球温暖化防止、あるいは自然環境との調和、さらに、良好な生活環境保全形成、こういうものを道路行政そのものの基本的な方針としているところでございます。  そういう観点から、良好な生活環境保全形成、この施策を実現するためには、沿道と調和した道路構造上の対策を講ずるというほかに、さらに、総合的に関係機関連携をとりまして、自動車単体対策、あるいは交通流対策、あるいは道路沿道との一体的な町づくりとしての道路整備、こういうものが極めて重要だと考えております。  そういう意味で、今回、幹線道路沿道整備に関する法律の一部改正案、この法律案でございますが、従来実施してきております良好な生活環境保全形成、こういうものをさらに積極的に進めていく、施策の充実を図っていきたいという趣旨から、今回改正をお願いしている点でございます。そういう意味では、道路行政の一歩前進、さらに前進という位置づけがされるのではないかと考えております。
  8. 樽床伸二

    樽床委員 ありがとうございます。全体の五カ年計画の中での三つ方針の中で、環境整備にかかわる点についてさらにその方針を進めるものである、こういった御見解をいただいたわけであります。  その中でも、二点目の、地域づくりに関する一つ方針、こういうのが今局長答弁の中にもあったわけでございますが、今回の改正を見ておりますと、環境整備だけではなくて、地域づくり、つまり町づくりといった点にもかなりオーバーラップをしてきているような内容だと私は認識をいたしております。道路というのはその地域血管みたいなものですから、動脈、それから毛細血管も含めて、その地域のまさに血管状態血管のような役割を果たすわけでありますので、当然、道そのもの町づくり地域づくりというものは切っても切り離せない、このように考えておるところでございます。  そういった中で、ただいま全体の方針の中で、三番目の、環境整備の点についての方針では一致している、このようなお話でございましたが、二番目の、町づくり地域づくりと今回の改正との整合性として矛盾をしているのかいないのかといった点につきましてもお答えをいただきたい、このように考えております。
  9. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 道路整備に当たりましては、もちろん町づくり一体的に整備する必要があります。我が国土地利用を見ますと、地方部においても大都市部におきましても大変土地利用高度化しておりますので、そういう意味では、土地利用高度化町づくり幹線道路というものは一体的に整備していく必要があります。そういう意味で、道路整備、特に新設に当たりましては、周辺の土地利用との調整、これは極めて重要であります。  そういう意味で、特に市街地におきましては、都市計画制度を活用いたしまして、用途地域の設定と道路計画、こういうものが十分整合がとれるように計画をしておりますし、特に最近では土地区画整理事業、こういうものを活用いたしまして、道路沿道一体になるような努力もしているわけであります。今後ともこういう良好な市街地形成のためにふさわしい体系的な道路網あるいは道路構造、こういうものを十分検討していきたいと思います。  そういう意味で、今回お願いしております沿道法改正につきましては、既にある道路についてもそういう方向を目指していこうということであります。  そういう観点から、沿道土地利用の転換をさらに促進していくための諸制度、あるいは土地利用が転換していくためには所有権移転等も必要でありますから、そういうものが促進されるための制度新設、あるいは沿道について緩衝建築物建築促進が極めて重要でありますので、このインセンティブを与えるような助成拡充、そういうものを内容としております。  いずれにいたしましても、道路整備町づくり整合性をとって進めていく必要がありますので、その点については十分配慮して道路整備を進めてまいりたいと考えております。
  10. 樽床伸二

    樽床委員 ありがとうございます。方向性としては、そのような中で、全体の方針の中で明確に位置づけられておる、このようなお話であったように承りました。  そういった中で、次に私、確認をさせていただきたいわけでございますが、先ほどの質問で、町づくり地域づくり、こういうようなことも申し上げましたが、このような町づくりとかそういった分野におきましては、どうしても最終的な当事者といいますか、一番住民と近いところの行政単位、ここの実質的な役割といいますか、事務処理等々も含めまして大変重要になってまいりますし、その市町村の労力というものはかなりそこでとられるだろう、このように考えてもおります。そして今回の、当然のことではありますが、指定におきましても、道路管理者とか市町村長からの要請によって知事指定をする、こういうようなお話でもあろうかと思います。  そういった中で、その市町村末端の一番住民と近いところの行政に携わっておられる市町村に対するさまざまな負担がどのような形であらわれてくるのか。当然市町村方々余り建設省に対して否定的なことは言われないというのが大体通例でございまして、怒られるのが怖いですから余り悪いことは上に上には言っていかないというのが当然の習性でございます。  そういった中で、私どもは、余り建設省本音を言われない市町村も多かろう、このように思っておりますので大変危惧をするところでございますが、今回の改正によりまして、市町村、そのような地方自治体に対してどのような、どのようなといいますか、負担転嫁、事務的なもの、また財政的なもの、いかに補助金をつける、そしていろいろ優遇措置をするといいましても、地方負担がゼロというわけではないわけでございますので、そういったことに対する国からの指示、こういうことをやりなさいということも含めまして、地方に対するいろいろな負担転嫁にならないのかということを一つ心配をするものでございまして、そのあたりについての御見解をぜひお聞かせいただきたいと考えております。
  11. 近藤茂夫

    近藤(茂)政府委員 幹線道路沿い土地利用幹線道路にふさわしい適正な土地利用に誘導していくというのは、当然都市計画決定権者である市町村一つの責務ということになるわけでございますが、現在この新しい沿道地区計画もいわゆる都市計画の体系上は地区計画の一種でございまして、実態的にも全国でも一万ヘクタールぐらいは定められておりますので、そう変わった制度であるといりことではございません。  また、その新しい制度でも、例えば沿道整備権利移転等促進計画という新しい土地利用誘導計画もあるわけでございますが、これも区画整理事業のように物理的な事業を伴うものではございません。税制上の特例とかあるいは登記の特例等のそういう措置によって権利関係沿道計画が実現しやすいように、あるいは具体的な沿道計画を定めやすいようにする、そういう促進計画でございますので、売買契約程度内容計画という格好で市町村が認知すればそういう特例が働くという仕組みになっておりますし、そういう権利の売り買いの希望等につきましても、道路管理者、これは事務所を持って日常の管理をしておりますので、日ごろから地域住民に接触する、そういう関係情報が得られる、その情報も提供していただけるということでございますので、道路管理者との連携ということでも物事をスムーズに展開できていくのではないかというふうに基本的に考えているところでございます。
  12. 樽床伸二

    樽床委員 ありがとうございます。  私の危惧に終われば何も言うことはないわけでございますが、大体、会社でも、その会社がおかしくなるときは、上の社長さんとか重役さんが課長さん以下いろいろな方々意見を吸い上げられないというような状態がどんどん続いて、その会社の経営も実態と遊離をしておかしくなっていく、こういうようなパターンが大体常であろう、このように考えております。我が国国家そのもの会社に例えるのは不適切かもわかりませんが、そのようなことを考えると、やはり末端の市長さん方の意見をいかに本音として吸い上げていくのか、こういうような努力をぜひとも続けていただきたい、このように心から切望するものでございます。  そして今、大体大枠の非常に抽象的な質問で恐縮であったわけでありますが、数点確認をさせていただきました。  続きまして、今回の改正案について、四十三号線の判決一つの契機になったということでありますが、このような箇所全国で大体どれぐらいあるというふうに認識をされておられるのか、ちょっと現状をお聞かせいただきたいと思います。  そしてあわせて、今回の改正でそれに該当するのではなかろうかというような場所が、これは確かに道路管理者それから地方の首長さんからの要請知事が認定する、こういうことでありますが、予測としてどれぐらいそのような場所が出てくるのではなかろうかという予測をお持ちになっておられるのか、あわせてお聞かせいただきたいと思います。
  13. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 現在の国道四十三号、あるいはその上に阪神高速が通っておりますが、阪神間のこの四十三号と同じような状況区間はどの程度あるかという御質問でございますが、建設省の方で、交通量、こういうものをもとにしまして試算したところによりますと、騒音規制区域あるいは用途地域、市街化区域の中の用途地域を定めておりますような中で、幹線道路であります一般国道都道府県道、こういうものが約四万六千四百キロございますが、今申し上げましたその四万六千四百キロのりち、環境基準を超過しているだろうと推測されますのが一万四千七百キロメートル、約三二%であります。さらに、騒音規制法要請限度を超えているのではないかと推定されますのが三千五百キロ、約八%、このように考えております。  さらに、このうち、特に先ほど申し上げましたような国道四十三号のように、四車線以上で、沿道土地利用から見て緊急に道路交通騒音対策を推進する必要があるのではないかと推定しておりますのは、おおむね千キロぐらいを考えております。こういう極めて緊急性のある区間につきましては、早急に詳細な環境実態調査を実施するなどして実態を把握するとともに、我々の行政の目標としても、今後五カ年間ぐらいでは、こういう区間については重点的に総合的な交通騒音対策、こういうものを推進してまいりたいと考えております。  さらに、従来からこのような沿道整備法はあったわけでありますが、なかなか沿道整備計画ができなかったという点の反省もあるわけでありまして、先ほど御指摘がございましたが、今回は市町村に対する財政負担、こういうものも増加しないように配慮してはどうかということで、例えば市町村が行います土地買い入れ等について、従来からある施策ではありますが、国から無利子貸付金をしていくとかいう制度もありますし、さらに道路管理者としても、防音工事助成あるいは暖衝建築物に対する費用負担、こういうものも実施しておりますし、そういうものを充実していきたいと思っております。  そういう意味で、千キロ余りになる大変厳しい環境状況道路について、早く沿道整備計画を策定するそういう体制をつくるとともに、いろいろな支援策も十分講じてまいりたいと考えております。
  14. 樽床伸二

    樽床委員 ありがとうございました。かなりの箇所が恐らく予想されるであろう、このように今の御答弁をお聞かせいただいて感じたところでございます。  そういったいろいろな箇所の中で、一点確認をさせていただきたいわけでありますが、初めから道路があって、そこに家が新しく建っていくというような場合もありますし、初めから家があるところに道路が引かれる、こういった場合のどちらかであろうと思います。  初めから住宅が建っておるところに、ここに道路を通すんだということで道路を通して、その段において騒音の問題、いろんな問題が生じるであろうと思いますが、これは、やはりまずそこに住んでおられた方々がおられるわけでありますが、これはもう何としても配慮しなければならないだろう、このように考えております。  しかし、もう既に四車線、六車線の道が走っておって、そこを走っておるということは、そこに車もたくさん通るわけでありますから、道が通っていないところよりもうるさいのは当たり前の話でございます。そういったところに家が建つ、建った後で、やはり住んだらうるさかったということでいろんな御意見が出てくる場合も、これも予想されるわけであります。  私は、前者後者を同じように取り扱ってもいいのかどうかということについては、私自身もまだ明確には何とも言いがたいものがあるわけでございますが、建設省とされましては、前者の場合には、当然、住んでいるところに道を引く、うるさい、これは配慮をせにゃいかぬ。しかし、道が既にあるところに越してこられて、そこにだあっと住宅地がそれからどんどん張りついていく、こういったところでどちらが先か後かという問題もあるわけでございますが、こういった後者の場合について、やはり前者の場合と同じような対応をするように考えておられるのかどうか、また若干違うとすれば、どのようにお考えになっておられるのか、こういった点につきましてお聞かせいただきたいと思います。
  15. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 沿道地区住民道路ができたときのその時間の問題でありますが、沿道整備につきましては、いろいろな施策があるわけであります。  代表的に申し上げますと、先ほど申し上げましたように、防音工事をやるための助成をするという場合と、あるいは緩衝建築物を建てていただくというような代表的な二つの例で申し上げますと、例えば、最初に申し上げました防音工事助成につきましては、これは沿道整備道路沿道住宅に対して行うものでありまして、これは、沿道整備計画が定められて、さらにこの建築物防音上の制限に関する事項が条例により建築基準法上の規制となった際、要するにそういう計画が定まったときに現に存在している住宅、この所有者を対象として行われるものであります。そういう意味では、防音工事助成等については、既に住んでいた方、こういう者が対象になりますし、今回法の改正をいたしますが、この点については変更がないということでありますので、後から移転してきた者に対しての防音工事助成はございません。  しかし、二つ目に申し上げました緩衝建築物建築等については、これを建てることによりまして、背後地の他の住居に住まわれている方に対しての効果もありますから、そういう意味では、後からそういうものを建てるという場合におきましても、沿道整備計画に基づきましてそういう緩衝建築物建築する場合には、その助成の対象としているということでございます。
  16. 樽床伸二

    樽床委員 ありがとうございます。  なかなか明確には言いにくい問題であろうかとは思いますが、私ども新進党といたしましては、政党設立の一つの基本的な理念といたしまして、自己責任ということを大変強く我が党としてはうたっております。かつてのように成長が大変高い時代におきましては、そのような問題は、私は何度もこの委員会質問で申し上げておりますけれども、高い成長によってすべての問題を包含する、全部抱えていくことができたわけでありますが、もはやそういった状況ではないわけでありまして、なおさら我々一人一人の自己責任というものが重要になってくる社会をこれから迎えるであろう、このような認識を私は持っております。そういった前提につきまして、今の御質問をさせていただいたわけでございます。  そういうような我が国のあるべき自己責任がしっかりと確立された社会の構築に向けて私どもも全力で努力をしていかなければならない、このようにも考えておりますし、政府の方といたしましても、そういった前提、いや、もうそんな自己責任というような概念は我が国は必要ないんだということであるならば注意していただかなくても結構でありますが、それがやはり必要だということであるならば、そういった点におきましても、いろいろな施策考えられる段に当たりまして、ぜひとも御考慮、一つの基本的なテーマとしてそういったテーマを据えて施策の策定に当たっていただきたい、このように強く希望をするものでございます。  そういった中で、最後に一点、お聞かせをいただきたいわけでありますが、先ほども、この施策でもたくさんの措置をせにゃいけない場所があるということが予想される。しかし、いかに補助をするとか税制的な優遇措置をする、このように言いましても、国の財政または地方の財政が、もうわいてくるように財源がどんどん出てくるわけでもございません、やはり限りあるものでございます。そういった中で、この建設行政の今後必要となる財政的な面についての基盤をどのように確立をされようとしておられるのか。  そして、あわせまして、民間の活力を利用していくようなことが可能であるのかどうか。公的な部分においては、あくまでも公的セクターの分野でありますから民間とは別である、こういうように完全に線を引いて、公的なところに民間が入ってくる必要はないというような考え方もあるかもわかりませんが、私は、もうそういった状況ではなかろう、このように思います。  私自身の頭の中でも具体的なところまで話が全くまとまっていないのが現状でありますが、建設省とされましては、公的分野における建設に民間の活力を導入していくようなことについて、可能性としてどのようなことをお考えになっておられるのか、また、そういった可能性があるのかないのかということも含めまして、最後にお聞かせをいただきたい、このように考えております。
  17. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 お答えを申し上げます。  御指摘のとおり、今大変厳しい財政事情のもとでございますけれども住宅・社会資本を少しでも国民の方々のニーズに沿った的確なものにしていくためには、やはり民間の活力を活用していくということは大変大事なことだと考えております。  私ども、例えば道路お話に限って申し上げますと、東京湾横断道路でございますけれども、東京湾横断道路の建設に関する特別措置法というのを認めていただきまして、株式会社を設立をいたしまして、まず民間の資本、それから国、公共団体の資本等を入れまして、今現在建設中でございます。  こういったような第三セクター方式による公的分野事業をいろいろ進めていくということは、道路以外にも、例えば住宅では特優賃という制度がございまして、特定の優良賃貸住宅の供給を、特に土地所有者等にどんどん建てていただいて、それを例えば公的な賃貸住宅として供給をしようとする事業でございますが、これも、国会等でいろいろ御論議をいただいて認めていただいております。  こういったようなことを、今後、いろいろな角度からより以上にやはり積極的に活用してまいりたい、こう思っております。  民間の持っておられますいろいろな知恵あるいは物的資産というものも、やはり何とかそれを公的な部門にどんどん入れていけないか、あるいは、逆に公的部門で持っております物的資産を、例えば都市公園でございますとその中へ民間の施設を入れ込んでいけないかとか、道路で限って申し上げると例えば道の駅といったようなものもそうだと思っておりますけれども、そういったような民間の投資を促進するという分野もございますので、そういうことも総合的に合わせて今後考えていきたいというふうに思っております。
  18. 樽床伸二

    樽床委員 ありがとうございました。お昼休みの時間に、大臣初め建設省方々、また委員の皆様方には、私が質問をするということで大変御足労をおかけいたしまして、心より御礼を申し上げたいと思います。  最後に、今御答弁いただきましたように、大変厳しい状態の中で国の施策も行っていかなければならない、このような時代を迎えております。私どもといたしましても、確かに、建設行政がきっちり行えるための財政の確保ということに対しまして、大蔵省に対しまして一生懸命頑張りたい、このようには思っておりますが、あわせて、いかにそのようなことをしたといたしましても有限でありますので、建設省とされましては、要らなくなった施策はやはりやめていかなければいけない、そして新しいものをさらにつけ加えていかなければならない、そして、民間の活力を導入することが必要であるという御認識を今改めて確認をさせていただいたわけでありますが、であるならば、そういった方向にもどんどん施策を進めていただきたい、このようなことを切にお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  19. 二見伸明

    二見委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十三分休憩      ————◇—————     午後五時五十分開議
  20. 二見伸明

    二見委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。高市早苗君。
  21. 高市早苗

    ○高市委員 新進党の高市早苗でございます。  まず、沿道法改正についてお伺いをいたします。  沿道法の施行実績といたしまして、これまでに延べ百十一・六キロメートルの沿道整備道路指定されておりますけれども沿道整備計画決定は六十五キロとなっております。計画決定されていない地区にはどのような事情があるのか、お教えください。
  22. 近藤茂夫

    近藤(茂)政府委員 先生御指摘のとおり、道路沿道整備道路として指定を受けながら整備計画がまだ未指定地区、これが四十三号の幹線道路の周辺地区ということになるわけでございますが、この地域につきましては、非常に建築物が密集した市街地ということ、それから、したがって地域住民の利害関係も非常に複雑であるということ等、何せ四十三号の沿線ということで騒音問題が非常に著しい地域であるということもあって、これまで整備計画についての地域住民の基本的な理解、協力が得られなかったといりのが現状である、このように認識しているところでございます。
  23. 高市早苗

    ○高市委員 午前中の樽床委員への御答弁では、さらに千キロ分ぐらい急がなければいけない地区もあるとのことだったのでお伺いしたいのですが、今回の法改正によりまして、それらの未決定地区計画決定というのは進む見通しなのでしょうか。
  24. 近藤茂夫

    近藤(茂)政府委員 今回のこの沿道法改正によりまして、今までの制度のもとでは、どういう形で騒音対策を実施し、あるいは周辺の土地利用を適正なものにしていくかということにつきましては、道路管理者側の対応、例えば緩衝緑地帯を整備するとかあるいは防音上の措置を講ずること、この道路管理者側の対応と、それから沿道のいわゆる土地利用規制、この二つで対応することになっていたわけでございますが、今回の改正が通るということであれば、今までの二つの手段に加えてもう一つ、交通規制というものが手段として加わる。したがいまして、今までは二つの手段、改正が認められれば三つの手段による総合的な対策ということで対応することができるということで、この点につきましても、今まで以上に地域住民の理解と協力が得られやすいということがまず基本的に言えるかと思います。  そのほか、この沿道整備計画改正法では沿道地区計画と名称変更されるわけでございますが、この策定についても地域住民の理解と協力のもとに促進されますように、例えば沿道地区計画区域内における土地の買い取りに対する助成措置拡充、それからまた緩衝建築物建築等に対する助成措置拡充、さらにはまた税制によって土地権利移転を促進するための沿道整備権利移転等促進計画、こういった新しい助成措置、手段が出ておりますので、こういった措置をあわせ講ずることによって地域住民の理解が得られるのではないか、こういうふうに期待して改正案を提出したところでございます。
  25. 高市早苗

    ○高市委員 今四十三号線の話が出ましたけれども、昨年七月七日に国道四十三号線及び阪神高速道路騒音等の訴訟の最高裁判決が出ました。この道路、特に阪神高速道路阪神・淡路大震災で大きな被害をこうむった地域で、復旧工事が進められていると思うのですけれども、この際に、同時に遮音壁とか低騒音舗装など防音対策を進めればいいと思うのですが、どのように復旧工事を進めておられるのでしょうか。
  26. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 阪神高速の神戸線の復旧工事につきましては、阪神地域にとりまして極めて重要な路線でございますので、早期復旧に向けて鋭意取り組んでおります。この阪神高速の代替路線であります北神戸線等につきましては既に復旧しておりますし、湾岸線についても昨年の九月に全線復旧しているわけでありますので、残るのは神戸線であります。  この神戸線につきましては、現在、橋脚の補強あるいは上部工の復旧について復旧工事に着手し、さらに促進しているところであります。さらに、この全線約三十キロにわたりまして被災を受けたわけでありますが、その中でも、京橋から摩耶の区間三・二キロにつきましてはことしの二月十九日に既に供用開始しております。  今後の見通しといたしましては、いろいろな工法の検討も積極的にやりまして、早期に供用開始をしたいということで現在努力しております。若宮から京橋までの間七・六キロと摩耶−深江の間六・二キロ、全体を含めますと十七キロになるわけでありますが、これについては本年の八月末に、あるいは全線の復旧についてはことしの十月末に復旧したいということであります。これらの復旧の目標についても、一日でも早く供用できるようにさらに今後努力してまいりたいと思います。  その際、今御指摘がありましたように、この四十三号、阪神高速神戸線の沿線については、騒音の問題が極めて厳しい状況であります。そういう中で、復旧に当たりましては、新型の遮音壁、あるいは高架橋の裏側に吸音板をつけるという高架裏面吸音板の設置、こういうものも実施しておりますし、今回、一般国道四十三号につきましては、騒音低減のための排水性舗装の採用も本格的に取り入れていきたいと考えております。また、今回、片側四車線でありましたものを三車線化していこう。そうしますと緑地帯もさらに拡幅できます。そういう意味では、騒音低減に役立つ排水性舗装の採用、それから片側三車線化していく、あるいは緑地帯を拡幅するというようなことについても、この復旧工事にあわせて実施していきたいと考えております。  いずれにいたしましても、一日も早い復旧が望まれておりますので、地元の近畿地方建設局あるいは阪神高速道路公団について十分な指導をしてまいりたいと思います。  そのほかに、この地域につきましては、阪神・淡路震災復興計画というものが昨年の七月に県におきまして策定されております。その中では、広域防災帯を設置してはどうかというような提言もありますので、こういう構想につきましても、ぜひこの際、沿線の土地利用の転換あるいは沿道整備計画とあわせてこの計画についても具体的に取り組んでまいるように指導しているところでございます。
  27. 高市早苗

    ○高市委員 今、道路局長から排水性舗装という言葉が出ましたけれども、今回の法改正の中で「道路交通騒音の発生を減少させるための措置に関する事項」に「低騒音舗装の敷設」と書いてありますけれども、これが具体的に排水性舗装のことを指しているのか、それから、これまでにこの低騒音舗装敷設の実績というものがどれぐらいあるのか、それから、コスト的には普通の舗装とどれぐらい違うのか、以上三点お伺いしたいと思います。
  28. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 今御質問ございましたように、この排水性舗装というのは、従来は水はけをよくするために使っておりました舗装でありましたが、これは舗装の間に空隙が多い、この空隙が騒音を吸収するという効果もありますので、現在では排水性舗装とさらに低騒音舗装、これは二つの機能を持ちますので、説明のときに、あるときは排水性舗装という言葉を使いますが、騒音対策としては低騒音舗装という言葉で言っても同じものでございます。  そういう意味で、この効果につきましては、普通の舗装に比べますと、おおむね三デシベル程度騒音低減効果が認められるということで、現在各地で実用化されているのが実態でございます。  コストにつきましては、幅員にもよりますけれども、通常の舗装を実施する場合には一キロ当たり一億ないし二億のものに対して、この低騒音舗装でありますと約二億から三億ということでありますので、ほぼ倍はかかりますが、騒音対策上も極めて有効でありますし、さらに、排水性として使った場合にも事故の減少効果が極めて高いということから、幹線道路についてはこれに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  現在、高速国道あるいは建設省が直轄で実施しております一般国道についてもこういうものの導入が図られておりますし、これに関連していろいろな技術開発も進んでおります。十分実用化されているものと認識しておりますし、また、平成八年度以降につきましても、こういうものに積極的に取り組んでまいりたいと思います。  実績といたしましては、資料はちょっと古いのでありますが、既に平成五年度の段階で百二十万平米について実績があり、これについては効果が十分認められていると認識しております。
  29. 高市早苗

    ○高市委員 コストが倍ぐらいかかるということなのですが、今後の国家の財政状況考えて、建設省の予算枠で、道路事業費に対してその騒音対策費というのは何%ぐらいが適当だとお考えでしょうか。
  30. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 騒音対策費といたしましては、いろいろな工種がございます、例えば、環境施設帯を整備する、遮音壁を設置する、あるいは今申し上げましたような低騒音舗装を採用していく、いろいろな施策があるわけでありますが、おおむね数千億とか一兆円というオーダーになると思いますので、道路事業全体が約十四兆円ありますので、数%から一割の間、このように認識しております。
  31. 高市早苗

    ○高市委員 先ほど都市局長の方から交通規制という言葉があったのですけれども、これは警察庁の方にお願いをしたいのです。  沿道整備道路指定された場合には、この交通規制というものも対策として例示されていますけれども、交通規制を行うと、当該道路は確かに騒音は減少するのですけれども、迂回交通によってまたほかの道路で新たな交通公害が起こるということが予想されると思うのですが、その場合はどう対処するようになるのでしょうか。
  32. 小西哲

    ○小西説明員 お答えいたします。  交通騒音減少のための交通規制を行う場合につきましては、交通規制を行うことによりまして周囲の道路に与えることとなる影響につきましても十分勘案した上で、当該道路における規制内容決定しているところでございますが、御指摘のような御趣旨も十分踏まえまして、全体として最適な交通流が形成されるよう、十分配慮してまいりたいというふうに存じます。  具体的には、沿道整備道路として指定された道路につきまして、道路交通あるいは交通騒音状況に応じまして、最高速度規制の見直しあるいは大型車の中央寄り走行規制などの交通規制を行う場合があろうかと存じますが、こうした場合につきましては、警察といたしましては、周辺道路につきましても、交通規制の見直しや信号機の高度化等によりまして、交通公害などの交通上の問題が生じることのないよう、万全の措置を講じてまいりたいというふうに存じます。
  33. 高市早苗

    ○高市委員 都市計画そのもののやり方の見直しにまで至るような内容なのですけれども、発生源対策というものが一番大切だと思うのです。  ちょっと変な質問かもしれませんが、ガソリン車とディーゼル車と電気自動車、同じぐらいの馬力のものを比較しましたら、電気自動車の場合でしたら騒音というのはどの程度のものなのでございましょうか。
  34. 三宅哲志

    ○三宅説明員 お答えいたします。  運輸省といたしましては、自動車から発生します加速騒音等につきまして、道路運送車両法に基づきます道路運送車両の保安基準に基づきまして、自動車の騒音規制しております。  それぞれの規制値は、中央環境審議会答申を受けました環境庁の許容限度が確保されますよう、自動車の審査等で騒音を測定しておりまして、規制をしておるところでございます。  お尋ねの電気自動車につきましては、まだ開発途上のもので数も少のうございますが、次のように聞いております。  ガソリン乗用車は、加速走行騒音規制値で七十八ホン、これはデシベルと同じでございますが、実測値はそれ以下になっております。電気自動車の場合には、これは実測値でございますが、加速走行騒音が六十五ホンから七十ホン程度でございます。それから、ディーゼル車についてお尋ねがございましたが、ディーゼル車につきましては、トラック、バス関係でございますが、大体八十三ホンというような規制値がございます。
  35. 高市早苗

    ○高市委員 ありがとうございます。  では、電気自動車でも余り騒音的には変わらないようでございますね。私自身は、もし電気自動車がうんと普及した場合、今回の法改正による町づくりというのが必要なくなるのじゃないかという可能性も考えて、質問を申し上げたわけです。  それから、沿道地区整備計画で、建築物容積を適正配分できるということなのですけれども、その結果、特に後背地が住宅地であるような場合に、新たに日照権とかそういった問題が発生しないのでしょうか。
  36. 近藤茂夫

    近藤(茂)政府委員 先生御指摘のとおり、今度の改正後の地区計画では、いわゆる容積の移転ができるという仕組みになっているわけでございますが、その際、地区内の容積の配分をどう考えるかということがまず第一に当然考えられるわけでございますが、その周辺地域の基礎的な用途地域土地利用がどういう状況かということもあわせ考えて決められることになるわけでございます。  具体の計画決定の手続におきましても、周辺地域住民住民参加の規定もございますので、そういう総合判断のもとで、周辺地域にも悪影響を与えない、なおかつ中の容積配分によって適正な土地利用が誘導されるように決められることになる、こういうふうに理解しているところでございます。
  37. 高市早苗

    ○高市委員 容積率の話をしましたので、これは通告していないのですけれども、今回の沿道法改正で対象地区となった場合は容積率の適正配分というのが可能になるのですけれども、それ以外の場合の沿道容積率について御見解を聞きたいのです。  自宅の敷地の一部が計画道路にかかった地主がよく悩まれることなのですけれども、敷地の一部を道路に供して同じ場所に住む場合、例えばお商売されている場合で、どうしてもそこから移りたくない、そこがまた商売をする場所であり住居であるというようなケースで、道路に供しますから、狭くなった敷地での容積率が適用されてしまうと、当然居住床面積が小さくなりまして、場合によってはちょっと商売するにも困ったなというようなことがございます。  これは特に地元でもよく聞かれる声なのです。ヘビタマ道路みたいな状態になっている地域にどうなっているのですかと聞きに行きますと、できたら、今後地主が道路土地を提供しやすいように、一律もともとの敷地面積分の容積率を認めるような改正というのはできないだろうかというお声があるのですが、これに対しての御見解を伺いたいと思います。
  38. 近藤茂夫

    近藤(茂)政府委員 確かに先生、都市計画道路予定地で敷地の前面が買収されるということになりますと、その残った敷地で容積率が基本的にカウントされるということになると、基本的には、用地買収されて、それが道路として、公共施設として位置づけられた段階で、容積率違反という形になる実態があるわけでございます。これについて、道路管理者に対して用地を提供した段階で容積特例をそのこと自身で認めるということは、なかなか容積率の本質からいって難しいかと思いますが、同時に、一つ考え方として運用上よく認められておりますのは、道路が拡幅されますと、その地域について、周辺、まあ沿線沿いに用途地域の見直しがされる、それによって、用途はそのままであっても容積率を上げる、こういう運用でカバーされている実態もございます。  したがって、そういうこともあわせ考えて対応していくというのが実態だろうと思いますが、大変申しわけありませんけれども道路予定地に道路を供した場合に、そのこと自体によって容積特例というのはなかなか無理があるのではないか、こういうふうに基本的に考えているところであります。
  39. 高市早苗

    ○高市委員 できましたら、事業の円滑な施行のために、今後そういった要望の声についても御検討いただきたいなと思っております。  次に、大臣にお伺いをしたいのですけれども、所信表明の中で、高規格幹線道路整備による交流ネットワークの形成ということで御決意を語られたのですけれども、高規格幹線道路建設省関連諸施策の中でかなり高い優先順位で考えておられるのかどうか、いま一度簡単に御決意をお伺いしたいと思います。
  40. 中尾栄一

    中尾国務大臣 冒頭に、予算委員会がたった今終了したものでございますから、委員長を初め、委員並びに各位の方々、本当に申しわけなく思っております。  東京一極集中主義といいますか、これを是正して、何とか多極分散型の国土の形成と活力ある地域づくりを推進するためには、地域相互の広域的な連携強化が必要であるとともに、同時にまた、来るべき二十一世紀というものに備えましてバランスのとれた国土構造を構築するためには、一万四千キロメートルの高規格幹線道路を最も重要な課題認識しておる次第でございます。  そこで、活力ある地域経済の発展を支援する高規格幹線道路の早期整備に対する地域の強い要請にこたえるために、二十一世紀初頭までに全ネットワークの供用を図るために、全力を挙げて取り組む所存であることの決意を述べておきたいと思います。
  41. 高市早苗

    ○高市委員 二十一世紀初頭までに全面的な供用ということを目指して、最も重要な課題位置づけていただいているということを非常にありがたく思ったのですが、地元の話で恐縮なんですけれども、京奈和自動車道についてお伺いしたいと思います。  本道路は、京都市から奈良県を通って和歌山市に至ります延長百二十キロメートルの高規格幹線道路で、まあこれも関西大都市圏の環状道路ということで、今おっしゃった地域連携強化ということに非常に大切な役割を果たす道路だと思うのですが、現在、六八%に当たる延長八十一キロについては事業着手していると聞いておるのですけれども、木津南から奈良の区間、これは大和北道路と言われます区間が、まだ事業化に至っておりません。奈良県内のほかの区間に比べておくらせている事情としまして、何か政策的な配慮があるのでしょうか、お答えいただきたいと思います。
  42. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 京奈和自動車道につきましては、御指摘のとおり、京都、奈良、和歌山を結ぶ関西の大環状でありますし、関西地方に集中しております京都縦貫あるいは第二名神、西名阪、近畿道、いろいろな路線を有機的に連絡するということで、大変重要であります。また、関西文化学術研究都市あるいはテクノパーク、いろいろな地域開発、こういうものを支援していく上でも大変重要な路線と考えております。  今御指摘の木津町から大和郡山市間、これは京奈和自動車道におきましては大和北道路というふうに言っておりますが、この間につきましては、現在、国道二十四号の奈良バイパスが四車線で供用開始されております。これは昭和四十六年に供用開始したものでありますが、この奈良バイパスを建設する場合にも、ここにあります平城宮址、こういうものとの調整で、ルートの問題あるいは構造の問題、相当の時間を要したのが実態でございます。そういう意味で、この奈良バイパスは現在、供用開始されておりますが、自動車専用道路ではありません。そういう意味では、長期的にと申しましょうか基本的には、この間についても高規格幹線道路として整備する必要があると我々は認識しているわけであります。  奈良県内の他の区間は既に事業化されておるのも事実でありまして、そういう意味では、この区間計画あるいは事業の面でおくれているのは事実であります。その理由といたしましては、先ほど申し上げましたように、奈良市の中心市街地に非常に近いという点、あるいは周辺に点在いたします平城宮址あるいはウワナベ古墳、コナベ古墳等の文化財、いろいろなものがありますので、これらとの調整が大変時間を要する問題であります。さらに、極めて貴重な文化財でありますので、文化財等の関係機関とも十分な調整が要るということでございます。  しかし、いずれにしても、先ほど申し上げましたように、京奈和自動車道路は、連絡をする、連携していくということが必要でありますので、今後はこれらの調査を十分進め、関係機関と十分調整して、早く計画が具体化するように努めてまいりたいと考えております。
  43. 高市早苗

    ○高市委員 つまり、基本計画決定までに文化庁との協議が必要だということかと今受け取ったのですが、協議が必要だとしたら、いつから協議に入る御予定で、また、文化庁との間で予想される問題点というのは具体的に何なのか、お願いいたします。
  44. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 現在、建設省の方におきまして、ルートの比較案をいろいろ検討しております。ルートの比較をいたしまして大体の比較ルートを決定していく、これにも相当時間がかかります。そういう意味では、平成八年度中には比較ルートを決定していきたいと考えております。その後、文化庁等ともいろいろな調整をしたいと思います。  一番の問題点は、この埋蔵文化財といいましょうか、地中に埋まっている文化財についてでありまして、これがどの位置にどの程度入っているかということ、あるいは、道路工事をやることによってそれらにどういう影響があるかという点であります。そういう意味で、先ほど申し上げましたように、まず比較ルートを決定して、それから文化庁とも十分な調整を図っていきたいと考えております。
  45. 高市早苗

    ○高市委員 史跡がネックになるとしましたら、最近はやりのシールド工法とか、地下の利用というようなことで、地下ルートを抜くという方法も検討できると思うのですが、その場合、何か問題点ございますでしょうか。
  46. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 比較ルートにつきましては、平面的にいろいろな比較ルートを検討するということと、道路構造として、地下案も含めて、いわゆるシールドトンネル、あるいは普通のトンネル含めてでありますが、それも検討の範囲に入れて検討をしております。  地下トンネルの場合でありましても、地下水に影響する場合がありますので、地下水にどの程度影響するのか、あるいはしないのか、あるいは地下水に影響せずにやるためにはどういう工法が本当にあるのか、この辺の検討が必要と考えております。
  47. 高市早苗

    ○高市委員 前に建設省の方に地下ルートの可能性について伺いましたときに、工事費が非常に高くつくのでその話は無理だと言われて、非常にがっかりしていたものですから、今の話を伺いまして非常にうれしく思っております。  ただ、工事費とか防災費の点で地下は非常に高くつくという説明をそのとき受けたのですけれども、地上でも用地補償費の事業費に占める割合というのは大変なものでございますし、このまま文化庁との協議がうまくいかないとか、奈良の場合でしたら風致の問題も地上になりますと大変なことになりますし、そんなことで、事業化の著しいおくれによりますデメリット、そんなことも勘案していかなければいけないと思うのです。  当該区間考えまして、地下を使った場合に地上ルートに比べて何割ぐらいコストは高くなるのでしょうか。
  48. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 一般的に、用地買収をして高架でもって道路をつくりますと、一キロ当たり約五十億円ぐらいかかります。トンネル、いわゆる地下にいたしますと、用地買収が必要な場合、必要ではない場合、いろいろありますが、今までの経験で申し上げますと、一キロ当たり四百億円、そういうオーダーになりますから、そういう意味では八倍程度というふうになります。  そういう意味では、御指摘のとおり経済性というのも一つの大きな要素と考えておりますが、我々といたしましては、道路行政の中で、環境を守る、あるいは文化財についてこれを保存していくというのは極めて重要な課題だと考えておりますので、それについては、技術的な面も含め、あるいは経済性も含めますが、まずは文化財の保護、あるいは環境問題というものをまず優先順位に考えたいと考えております。
  49. 高市早苗

    ○高市委員 すごく高くつくので今がっかりしたような、それでも文化財の保護を考えて前向きに考えていただけるような——大変難しい問題だと思うのですが、大臣にぜひ、二十一世紀初頭の供用と夢のような御答弁をいただきましたので、この区間、大和北道路計画決定の時期の具体的な見通しと御決意を伺いたいと思います。
  50. 中尾栄一

    中尾国務大臣 ただいま道路局長が御答弁させていただいたことに尽きると思います。同時にまた、昨日私もこの実態を全部把握させていただきましたので、一万四千キロメートルの高規格幹線道路ネットワークの一日も早い完成に全力を挙げてこれをやるように、恐らく橋本局長が全力を挙げるでありましょうし、その点はお約束できることだと思います。  御指摘の京奈和自動車道あるいは大和北道路につきましても、重要な区間であると私ども考えております。ただ、先ほど道路局長も指摘申し上げましたように、文化庁の管轄でございましょう、ところは奈良県でございますから、したがってたくさん古墳その他いろいろあるのでしょう。そういう点においてはなかなか難しい問題点もあろうと思いますが、早速このネゴにおいても建設省の担当がやっておりますから、さらにエスカレートして、委員の納得のいくような方向に一刻も早くやっていくように考えたいと思います。文化財等の問題は十分に配慮しながら、今後とも早期実現に向けて調査を一層推進してまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  51. 高市早苗

    ○高市委員 本当にありがとうございます。  それでは、先ほどからちょっと都市計画の話も出ているのですけれども、この日本で安くて良質な住宅を供給する方法としてこれまで土地価格の抑制というものが行われまして、それなりの効果もあったのですけれども、金融面なんかから見ますと、これ以上地価を下げたら日本経済は大変なことになるのではないかという懸念の声も上がっております。  そこで、地価とは別の側面で、健全な価格競争のもとで安く十分な住宅供給量というものを実現するには幾つか必要な改革があると思うのです。  これも、地元の業者さん、いろいろな方から私御意見を伺ってきた話なのですが、都市計画区域において開発行為を行おうとする場合に、許可権者との事前調整、それから公共施設管理者との事前協議、申請後の審査といった複雑で細かい手続のために、開発許可を受けるために開発業者は物すごく多くの時間と労力をかけなければならない。また加えて、周辺住民との協議の中で住民側からの無理難題に対応することも、これまた大変な負担となっている。以前のように土地価格インフレが見込めた時期でしたら、民間業者は五年、十年の歳月をかけて、かなりリスクを負ってでも事業を仕上げましたけれども、最近は先行き不安で、大規模開発を手控えるような感じになってきております。また、開発許可の取得や住民との協議に要する時間と労力とリスクがそのまま住宅価格に積み上げられているのじゃないか、そういう気がいたしますので、今後安く良質な住宅をたくさん供給できる条件づくりに幾つかの改革が必要なのじゃないか、最近そういう気がしております。  まず、開発許可の許可基準というのが非常に複雑で、裁量によってさまざまな条件をつけられることが多いと聞いております。そうした基準や条件についてある程度明確にして、事前審査の早期の段階で、いわゆる事前ヒアリングの段階で事業化の見通しが市町村レベルで立つようにすることができないかという点、それから長期化している審査期間の短縮を図るために、処理期間の制限、それから添付書類を統一化するといったことを考えるべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  52. 小鷲茂

    ○小鷲政府委員 ただいま開発許可の運用についての御質問があったわけでございます。  確かに開発許可自体は都市計画法に基づく事務でございますが、実際開発を行おうといたしますると、この事務のほかに、それぞれの個別法で必要な手続が発生してまいるわけでございます。したがいまして、それぞれの処分にそごが生じないように、開発許可を行います際には、あわせてほかの行政分野につきましてもあらかじめ見通しを得て処分をする、こういう扱いになっておるわけでございます。したがいまして、都市計画法上はかなり許可基準が明確になっておるわけでございますが、実はそれ以外の法規制分野で大変判断が難しい事例が多いということで、結果として時間がかかる、あるいは書類が非常に多岐にわたるといったような問題が発生するわけでございます。大変昔からこの点につきましては指摘がなされておりまして、私ども建設省におきましても、なるべく時間を短縮する、あるいは事務処理を合理化するといったような努力をしてまいったつもりでございます。  具体的に言いますると、事務処理の期間につきまして、目標期間を設ける、標準処理期間と申しておりますが、こういうものを極力設けて努力をしてほしいということ、あるいはまた書類につきましても、なるべく簡素化してほしい、あるいは部数を減らすなど合理化してほしいといったようなことをお願いしております。そのほかにも、例えばいろいろな行政分野の窓口があるわけでございますが、それが一つ一つチェックするのではなくて、一堂に会して同時に審査をするように、いわゆる横断的な調整組織をつくって調整をしてほしいといったようなことまで実は指導いたしておるわけでございますが、なかなか思ったように実効が上がらないわけでございます。  しかしながら、それぞれ必要な手順は踏まざるを得ないという大変難しい問題もございますが、そういう過程の中でそれぞれ合理化の努力を今後とも続けていきたいというふうに思っておりますし、昨年の九月でございますが、昨今の規制緩和の動きもございますので、さらにそういった指導の徹底を図るという意味で、自治体にはそういった徹底方につきまして指導をしたところでございますが、今後とも努力をしてまいらなければならない大きな課題であると認識いたしております。
  53. 高市早苗

    ○高市委員 よく認識をしていただいていて安心をしたのですけれども、特に、開発行為を行う場合に、森林法に基づく保安林の指定解除とか宅地造成等規制法に基づく工事の許可など、こういうのは都道府県知事が許可権者となっているものでもそれぞれの関係部局と個別に協議しなければならないということ、これもまた審査期間の長期化をもたらす一つの要因になっていると思いますので、ぜひ調整窓口を決めて一本化して、調整がスムーズに進むように改革していただきたいと思います。特に大臣におかれましては、現在の内閣、規制緩和ということを一生懸命やっていただけるということですので、今申し上げました点について、できるだけ早く具体的な改革点をお示しいただきたいなと思っております。  それから、関連してなのですけれども、多くの市町村で宅地開発指導要綱というのが定められております。都市計画法や建築基準法などにおいて定められているもの以上に厳しい規定があると現場では皆さん感じておられるようでございます。宅地開発指導要綱が、建築主などの開発業者とそれから開発される周辺住民との協議を義務づけている、この周辺住民の同意を開発の条件としているために、事業が仕方なく中断しているようなケースもございますし、また開発の条件として給排水等の公共施設の負担金などを過度に要求している市町村があるのじゃないか。これは市町村によって異なっているということに対する不満の声も聞いております。  このような現状を改善するために、建設省としては、この宅地開発指導要綱の実態をどのように把握しておられ、またどのような指導を行っておられるのか、お伺いしたいと思います。
  54. 小鷲茂

    ○小鷲政府委員 宅地開発指導要綱でございますが、実態につきまして申し上げますと、全国で現在三千二百五十五の市区町村で要綱が策定されております。失礼いたしました。訂正いたします。千五百十三の要綱がございます。  この背景といたしましては、急激な人口増に対応する財政対応が大変だということで、規制をするという背景がそもそもあったわけでございますが、そのほかにも、いい町をつくりたいといった、自治体、特に市町村固有の事情もあって、こういうことがかなり一般的に行われるようになったわけでございますが、御案内のとおり、そういう側面はある一方、過度に行政指導が行われているのではないかという点、これまた古くから指摘を受けておりまして、今具体的におっしゃいました周辺の住民の同意を要件こする、あるいは過度の金銭的な要求を出すといったような事例が見られるわけでございますので、これらにつきましても、過去数度にわたりまして、行き過ぎがないようにという指導をしてまいっているわけでございます。  例えば、今御指摘のありました周辺の住民の同意というのは、必ずしも法律上の手続として求められているわけではないわけでございますが、実際これを実行するとなると、おっしゃるように大変難しい問題があるわけでございます。同意がないと許可がとられないということで、大変無理な状況もあるということでございまして、従来、これにつきましては、同意を必ずしも要件にしないようにということを繰り返し申し上げておるわけでございます。例えば、同意がもらえない場合には、同意がもらえないということをきちっと疎明していただければいいようにしてほしいといったようなことも言っておるのでございますが、市町村長さんが独自におやりになっております行政指導でございますので、なかなか私どもが思ったように徹底しないという弱みがございますが、昨今、宅地開発の勢いが若干衰えつつあるという事情もあるかと思いますが、指導要綱を実行いたしております市町村全体の動きといたしまして、行き過ぎを少し是正しようという機運も出てきているように思います。本年二月にそういった調査をいたしましたわけでございますが、その調査結果を見ますると、見直した、あるいは見直しをやりたいという意向を持っておる市町村が大分ございます。私どもといたしましては、こういう機運をとらえまして、さらに一層行き過ぎの是正につきまして指導を強化してまいりたいと考えております。
  55. 高市早苗

    ○高市委員 特に、住民との協議に関しましてはもうちょっと行政主導型でやってもらえないだろうか。余りにも開発業者のリスクが大き過ぎるのと、それからやる気がなくなってしまう、それがコストにはね返ってくるというような指摘も非常に強うございますので、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  56. 二見伸明

    二見委員長 次に、中島武敏君。
  57. 中島武敏

    ○中島(武)委員 最初に建設大臣、予算委員会でお疲れのところを大変御苦労さまでございますが、お伺いしたいと思います。  沿道整備法改正案提案理由説明で、建設大臣はこんなふうに述べておられます。「平成七年七月には、国道四十三号及び阪神高速道路騒音等の訴訟に係る最高裁判所判決が出され、本件道路環境対策について、「なお十分な効果を上げているとまではいえない」として、道路管理者瑕疵責任が認められたところであります。」こういうふうにおっしゃっておられる。  御存じのように、最高裁の判決は、本件道路の公共性ないし公益上の必要性ゆえに、原告らが受けた被害が社会生活上受忍すべき範囲内のものであるということはできず、本件道路の供用が違法な法益侵害に当たり、被告らが、国家賠償法二条一項に基づき、原告らに対して損害賠償義務を負うべきであるとした原審の判決は正当である、こういうふうに言っているわけですね。  大臣に伺いたいのは、この最高裁判決についての認識と、建設省としてとらなければならない基本的な対策についてどんなふうにお考えになっておられるかということについて、まずお伺いしたいと思うのです。
  58. 中尾栄一

    中尾国務大臣 中島委員にお答えさせていただきます。  国道四十三号の沿道環境整備につきましては、これまでも車線数の削減、これに伴います緑地帯の整備、あるいはまた防音工事助成等の対策を講じてきたわけでございますが、昨年七月、文字どおり、ただいま委員が御指摘のとおり、最高裁判決におきまして、道路交通の騒音等による道路の設置管理の瑕疵が認められたところでございまして、建設省といたしましてもこれを厳粛に受けとめておる次第でございます。  建設省では、この最高裁の判決を踏まえまして、国道四十三号を含め、関係省庁と緊密な連携を図りながら、道路構造改善交通流対策町づくり一体となった沿道環境整備等の道路交通騒音対策を総合的に推進してまいる所存でございます。  今回の沿道法改正は、このような趣旨を行おうとしているわけでございまして、その趣旨に沿っていこうという心でやっているわけでございまして、これに基づきまして道路交通騒音対策の一層の推進を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。
  59. 中島武敏

    ○中島(武)委員 今大臣からお答えがあったのですけれども、これを伺っておりますと、短く言いますと、国道四十三号線を初めとして騒音環境基準を超える幹線道路、これは一切なくしていこう、こういうのがこの改正案を出された理由、こういうふうに受け取ってよろしいですか。
  60. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 四十三号線を含め、騒音実態につきましては大変厳しい状況であります。長期的には、環境基準を守っていくということがこれは決められていることでありますが、現実的にはなかなか厳しい問題もあります。とりあえずは、要請限度、そういうものを超過している区間が相当ありますので、こういう区間について重点的に対応をしてまいりたいというのが現在の方向でございます。
  61. 中島武敏

    ○中島(武)委員 四十三号線だけでなくて、私の聞いたのは、四十三号線はもちろんなのですけれども、やはり騒音環境基準をしっかり守れるようにあらゆる手だてをとってしっかり環境基準をクリアできるそういう道路にしよう、こういう決意はないのか、言葉をかえて言えばそういうことなのですけれどもね。
  62. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 国道四十三号だけの問題ではありません。全国的に幹線道路が存在しておりますし、その沿線につきましては環境問題が厳しい状況がございます。そういう意味では、環境基準を長期的には十分守っていきたい、このように考えております。
  63. 中島武敏

    ○中島(武)委員 さっきのお話の中にもあったかと思うのですけれども、交通総量そのものを規制するということは非常に重要な対策だと思うのですね。国道四十三号線と同じ時期に判決があった西淀川判決ですね、これはもう先刻御承知だと思うのですが、こんなふうに言っているのですね。「国が行うべきであった公害対策として、道路構造(トンネル化、シェルター化、交差点の立体化等)や道路設備(植樹帯、遮音壁、歩道等)の改善とともに、走行台数そのものの削減の措置車線削減、大型車の進入禁止等)を行うべきであった」と、具体的な指摘をしているわけですね。  今度の改正案によって、この面、つまり交通総量そのものの削減という点についてはどんなふうに具体化を図ろうとしておられるのか、それをひとつお答えいただきたいと思います。
  64. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 今回の沿道法改正におきましては、対応策といたしまして、一つ道路交通そのものから出ます道路交通の騒音を減少していくという計画と、もう一点は沿道整備をして騒音に強い沿道町づくりをしていくという、二点があると思います。そういう意味では、道路交通の騒音を減少していく計画の中では交通規制等の手段についても十分考えられるものでありまして、これについては、道路管理者並びに公安委員会が協議をいたしましてその中に盛り込んでいくべき施策ではないかと考えております。  その場合に、交通規制だけでは現実的になかなかいろいろな問題が出てくるわけでありまして、ぜひ、この場合におきましては、他のネットワークの整備とあわせてこういう交通規制等については実施していくべきものではないかと考えております。
  65. 中島武敏

    ○中島(武)委員 少し具体的に伺いたいと思うのですが、判決のあった国道四十三号線では、例えば西宮市が昨年七月十日から十一日にかけて久保町の沿線零メートル地点で騒音調査を実施しました。二十四時間の四時間帯の中央値を測定した結果、朝は七十二デシベル、昼は七十一デシベル、夕方は六十五デシベルと、いずれも騒音環境基準六十五デシベルを上回ったわけです。それからさらに、夜間は七十三デシベルで、ここは夜間は六十デシベルでなきゃならないわけですから、もうすさまじく大きく基準を超えていることが明らかになったわけですね。  それから、震災前は、四十三号線、阪神高速道路合わせて合計一日約二十万台の通行量が、現在は、阪神高速神戸線の倒壊それから復旧作業に伴う四十三号線の車線半減、これで五万二百台に減少しているのですけれども、大型車両が大半を占めておりまして、交通渋滞で二酸化窒素の大幅削減につながっているとはとても言えないという状況です。これは、尼崎市の交通公害課の話であります。  騒音も大気汚染も全くと言っていいほど改善されてないばかりか、逆に悪くなっているのじゃないかということが考えられるのですけれども、これを具体的にどんなふうに改善していこうとお考えでありますか。その点についての考えを聞かせていただきたいのです。
  66. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 国道四十三号沿いの騒音測定の結果によりますと、今御指摘のとおり環境基準あるいは要請限度の基準をオーバーした測定値になっておるのは事実であります。また、阪神・淡路大震災の結果被災を受けた神戸線は今開通しておりませんが、交通量が約六万台ぐらいある。国道四十三号と湾岸道路合わせまして約六万五千台、四十三号だけでも四万五千台ぐらい通っているというのは事実でございます。さらに、大型車が半分ぐらいあるというのも御指摘のとおりであります。そのように、大変厳しい状況であります。  そういうことを我々としても十分認識しておりまして、従来からいろいろな対策は講じているわけであります。  例えば、阪神高速の神戸線におきましても遮音壁を設置しておりますし、国道四十三号にしても、本来直進五車線あったものを四車線にして緑地帯を設定し、さらに、できるところは遮音壁を設置している。あるいは平成六年の四月には湾岸線が供用開始しております。こういうことによって交通量の転換をさらに図っていこうということも考えておりますし、公安委員会におきましても交通規制の実施をしております。そういうことで、いろいろ総合的な対策を講じておりますが、なかなかこれだけでは環境基準なり要請限度を守るということが困難な状況であるのはまた事実であります。  そういうことで、今回この阪神地域の現地におきましても、総合的な環境対策をやろうということで、関係機関連携しまして総合的環境対策の中間取りまとめを行いました。この中におきましても各種の施策が展開されるようになっておりますので、これらについて着実な実施を図っていくことがまず重要ではないかと考えております。
  67. 中島武敏

    ○中島(武)委員 この国道四十三号線は二十・二キロ、それから阪神高速神戸西宮線は十二・六キロ、阪神高速大阪西宮線は七・三キロを八二年八月に全国に先立って沿道整備道路指定したのですね。ところが、沿道整備計画が全く決定されていない、この理由はどんなふうにお考えなんでしょうか。  それから、今度は改正案ができたのですけれども、これで改善されて今度は沿道整備計画決定できるということになるのでしょうか、お尋ねしたいと思います。
  68. 近藤茂夫

    近藤(茂)政府委員 確かに幹線道路指定されていながらまだ計画の方はできていない。先生御案内のとおり、この四十三号線の周辺の状況というのは非常に騒音も厳しい地域でございます。それだけに、いろいろこの地区計画という形で権利規制することについてはなかなか理解、協力が得られなかったということが一つあろうかと思います。  とりわけ、地域住民の感覚から見ますと、まず行政主体側でできるだけの努力をすべきじゃないか、その後で地区計画等の権利規制の面で協力を求めるべきではないか、こういう感覚が基本にあったのではないかと思います。今までの制度でまいりますと、どうしても道路管理者側の対応、これが中心。そしてそれは、今まで道路局長答弁されておりますように、緩衝帯を整備するとかあるいは防音対策を講ずるとか、そういった対応、あるいは車線数を削減するとか、そこにとどまっていることになるわけでございますが、今、先生御指摘ございましたように、交通量そのもの、交通規制ということも考えるべきではないか。  今回、沿道法改正で一番大きな点は、今までの土地利用規制、それから道路管理者側の対応、加えて公安委員会側の対応、これも手段として加わった。そういうことで、今まで以上に地域住民の理解が得やすくなってきているのではないか。そういう、行政主体側でできる限りの努力をする、その上で、周辺の土地利用規制についても協力をいただけないか、こういう問いかけが可能になってきた。  そういう基本的な状況のもとで、さらに地区計画関係で、沿道整備計画に関しましても、先ほど答弁いたしましたように、区域内における土地の買い取り、移転を希望する場合の土地の買い取り、これも、今までは実は具体の権利関係規制計画が定まらないと買い取りができなかった。今度は、区域指定して基本的な方針、その方針段階で買い取れるようにするという、そういう土地の買い取り制度拡充、さらには、一番のポイントになる緩衝建築物建築等に対する助成拡充、こういった制度拡充がございますので、今まで以上に地域住民の理解と協力を得る環境基盤づくりはできたのではないか、こういうふうに考えておりますので、私どもはその具体の計画策定が進んでいくのではないかと期待しているところでございます。
  69. 中島武敏

    ○中島(武)委員 期待が局長から述べられましたが、私も非常に不思議に思って、これを調べてみたのです。そうしますと、これは尼崎の交通公害課の見解なのですけれども三つ理由を挙げているのですよ。一つは、環境がかなり悪いために、沿道整備計画決定しても商業施設が来ない。具体的な話なのです。それから二つ目には、沿道住民がかなり高齢化している。その上、木造密集地域が多く存在して都市計画決定が困難である。それから三つ目に、民間住居の防音工事阪神高速道路公団による対策でカバーされているため、余りメリットを感じない。こう言っているのですよね。  それから、今度は西宮の方ですけれども、西宮市議会でも問題になって、市の企画局長答弁しているのですが、二つ言っているのですね。現行の助成制度では到底対応できない。これはもっと助成を大きくしてほしいという意味でしょうね。それから、権利関係が複雑で合意形成が大変やりにくいというようなことを述べているのですね。何か難しいのですよ、これは。だから、こういうのはかなり突っ込んでやりませんと問題が解決していかないのではないかなという気がするのです。  一般的なお答えは先ほどいただきましたから、それはそれとしてわかりますけれども、こういう問題がここだけではなくて方々に出てくるのですよね。だから、それに対して、やはり建設省としてはどうやるのかというようなことを、市に任せておけばよろしいというものではないわけで、国道なのですから、だから、その辺のところをさらにお答えがいただけるのではないかと思ってお伺いします。
  70. 近藤茂夫

    近藤(茂)政府委員 基本的に地域住民の理解が得られる段階であれば、今回沿道地区計画として用意した制度だけではなくて、例えば抜本的に整備するということであれば、いわゆる区画整理事業、これも可能でございます。それに対する助成措置は、先生御案内のとおり、かなり公共事業として補助が投入されるわけでございますので、私どもは、行政主体側で考えられる制度、これを全部法律の中に組み込むことによって、総合対策として最終的に地域住民に、どういう選択を住民側として期待するか、こういう問いかけができるようになったということはかなり進歩だろうと思います。  具体的な対応は、それぞれ地域住民の理解と協力を得ながら進めていくということになろうかと思いますが、万全の措置を講じてまいりたいと思います。
  71. 中島武敏

    ○中島(武)委員 では、問題をちょっと進めますが、しかも問題なのは、四月八日、兵庫国道事務所が沿線住民と十分な話し合いを持たないままに、国道四十三号線について、震災前の片側四車線を三車線にすることを中心にした道路構造計画案を提示したわけですね。この案によりますと、高さ五メートルの防音壁が設置されることなどから、道路を挟んで地域が完全に分断される、それで沿線住民の生活、営業上重大な問題点が出てくるというわけなのです。  昨年十二月一日に道路交通公害対策関係省庁連絡会議で決め事をやっておられますが、「道路交通騒音の深刻な地域における対策の実施方針について」で、こういうふうに述べております。「ただし、遮音壁の設置が沿道からのアクセスを低下させる場合や、景観上望ましくない場合等も考えられるため、騒音観点に加えて沿道利用等総合的な観点から地域の意向を踏まえつつ、遮音壁の設置を推進する必要がある。」私は、この方針にちょっとこれは反しているのではないかなと。やはりこの種の問題を進めるためには、住民に黙ってどんどん事を進めるというのではなくて、住民の皆さんの声を十分やはり聞くということをやりませんと、上からばんばん決めていってもうまくいかないんだよね。何度も、この委員会で私はその種のことをよく言うのですけれども、どうなんでしょう。私は端的に言います、ぜひひとつ住民の声をよく聞いていただきたい。
  72. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 国道四十三号の沿道環境改善を図るために、震災の復旧にあわせまして、現在、国道四十三号についても片側四車線から三車線にしていく、あるいは緑地帯を整備する、さらには遮音壁を設置する、低騒音の舗装を敷設していく、あるいは環境防災緑地を整備していくと、いろいろな施策を今展開しているところであります。  その中で、特に遮音壁等の設置につきましては、これは沿道側から見ますと、沿道の利用を図っていく、沿道から土地利用を図っていくという観点方々と、沿道のアクセスはそれほど重視しないという、二万がおられるわけでありまして、問題は、これらの方が混在しているというのがこの幹線道路における課題を大変難しくしている、困難にしているというのはそのとおりでございます。  そういう中で、今、兵庫国道工事事務所のお話がございましたが、我々としても、この辺については十分地元に説明するように指導しております。我々が聞いておりますところによりますと、平成七年の十一月から現在までに五十回の地元説明会を開催しております。まだこれで不足ということであればさらに開催してまいりますし、地元で合意ができないのを強行するということでは基本的にはない、このように我々も考えております。
  73. 中島武敏

    ○中島(武)委員 回数じゃないのですよね。問題は、よく住民の要求を聞き入れる努力が必要なんだと思うのです。  それから、最後の方なのですが、助成問題の改善について伺いたいのです。  防音助成の条件を、今度六十五ホンから六十ホンに改めたのですね。これは通達でおやりになるのですか。それから、改めた理由について簡潔におっしゃってください。
  74. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 防音工事助成につきましては、この幹線道路沿道整備に関する法律制定時、これは昭和五十五年でありますが、この時点におきましては、特に道路交通騒音が著しいものについて対応を図っていこう、防音工事化を図っていこうということでありまして、夜間六十五ホンというものに対して実施してきたことであります。そういう意味では、法律におきまして特に道路交通騒音が著しいという規定がございました。  今回につきましては、先ほど申し上げましたように、国道四十三号の最高裁判決、これにも関連しておりますが、夜間六十ホンにおきましても管理瑕疵があるというような判決でございますので、これらを踏まえまして、六十ホンについても防音工事助成ができるように検討をしているところであります。そういう意味では、この法律改正によるものと考えております。
  75. 中島武敏

    ○中島(武)委員 それでは次ですけれども、空気清浄器関係なんです。  これは、空気清浄器つきの空調、それから室内の空気を浄化する空気清浄器、さらにフィルターつき換気扇ですね、これに現在助成がないのですよ。だけれども、さっきから論じておりますように、騒音だけではなくて排ガス、この問題も重要な要素なのですね。そういう点では、私は、国道四十三号線の判決の問題も踏まえて、やはり助成の対象にするべきではないかということを強く申し上げたい。これが一つ。  それから、バッファービルを建てる場合の問題なのですけれども、これは道路が東西に走っておりますと日照問題をめぐって北側の木造地域からクレームがつくのです。いろいろ悶着が——悶着と言っては悪いのですけれども、トラブルが起きるのですね。反対運動が起きたりするのです。実は南側でも、九階のマンションを計画して日照問題のトラブルが起きて、八階に下げた例があります。まして北側九メートル以上の制限があるために日照被害が大きくなる。  結局、この問題は、建物の長さ、間口の長さですね、これが長くなると日陰が長くなるわけですよ。だから、高さ九メートル、それから間口二十メートル、これを緩和する。それから、複数の建物をつなぐ場合には三メートルを緩和できないか。こういう一連の問題があります。  それから、建てた人のいろいろな意見を聞きますと、さっき兵庫の方からの意見もありましたけれども、現在の助成ではとても難しい、こういうふうに言っているのですけれども沿道整備計画区域内で建物を建設する場合の公的融資制度について、改善が具体的にどこがどういうふうに図られたのかということについても伺いたい。  それから、東京ですけれども、区が環七沿線に緩衝緑地帯をつくるために土地を買い取ったのですね。だけれども、結局、今のところ土地に補助がないわけですよ。ここをもう一つ踏み切って、そして緩衝緑地帯なんかもしっかりつくれる、こういうふうに前進しなければならないのではないかなと私は思うのです。  時間もありませんので、以上お尋ねいたします。
  76. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 まず、空気清浄器あるいはフィルターつきの空調設備あるいは換気扇についての御要望でありますが、この防音工事助成は、もともと住宅防音工事化するということが基本でございます。それに、あわせまして気密性が必要になりますので、空調設備が必要になるということであります。そういう意味で、この空調設備、冷房設備についても対象としているわけであります。  しかし、この空調設備の範囲をどこまでにするかということでありまして、我々としては、冷房器具の規格については、一般に使われている標準的なものを想定して住宅防音化に必要なもの、このように認識しておりますので、その施設が一般的であるか標準的であるかどうかという判断と考えております。そういう意味では、非常に高価なフィルター等については、まだ一般的でないという認識はやむを得ないのではないかと考えております。  それから、日照の問題でございまして、緩衝建築物について日照の問題もあるということでありまして、従来は、間口長二十メーターあるいは高さ九メーター以上ということが緩衝建築物の要件でございました。今回は、改正におきまして、こういう一律の数字ではなくて、沿道地区整備計画が定められれば、その地区整備計画内容に合わせて、そのもので助成ができるというふうに規定したものでございます。また、この沿道整備計画ができる以前については一応の要件がございますが、これについても高さ等については緩和をしたところでございます。  それから、沿道整備計画区域内の建物に対する公的融資の問題でありますが、現在、この緩衝建築物建築を促進するためには、日本開発銀行あるいは住宅金融公庫、道路開発振興センターによる低利融資を行ってきております。その中で、例えば日本開発銀行が行う融資につきましては延べ面積の要件を一万平米から二千平米に緩和した、あるいは住宅金融公庫の融資の制度につきましても延べ面積の要件を千五百平米から千平米以上というものに緩和した、このように聞いておりますので、順次実態に合った要件になっていくのではないかと考えております。  さらに、最後の御質問でございますが、区が緩衝緑地のために土地を買い取るに当たって補助できないかという観点でありますが、現在のところ、区あるいは市町村土地の買い入れをする場合におきましては、国が市町村に対してそのための資金の一部、これは三分の二でありますが、無利子貸し付けをすることとしております。無利子貸し付けでありますので、いずれ返す必要があるわけでありますが、この土地が有効に使われて、土地利用の転換が図られる、あるいは緩衝建築物が建てられるという施策がさらに進むことがまず第一ではないかと考えております。その後についての補助制度等については今後の検討課題考えております。
  77. 中島武敏

    ○中島(武)委員 終わります。
  78. 二見伸明

    二見委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  79. 二見伸明

    二見委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  幹線道路沿道整備に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  80. 二見伸明

    二見委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中尾建設大臣
  81. 中尾栄一

    中尾国務大臣 幹線道路沿道整備に関する法律等の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことを深く感謝を申し上げます。  審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めてまいる所存でございます。  ここに、委員長を初め、委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。  どうもありがとうございました。(拍手)
  82. 二見伸明

    二見委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 二見伸明

    二見委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  84. 二見伸明

    二見委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時九分散会      ————◇—————