運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1996-05-31 第136回国会 衆議院 決算委員会第四分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月三十一日(金曜日)     午前九時三十分開議  出席分科員    主 査 田中 昭一君       野田 聖子君    綿貫 民輔君       笹木 竜三君    竹内  譲君       渡部 恒三君    小泉 晨一君    兼務 今村  修君 兼務 金田 誠一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)              (沖縄開発庁長         官)      岡部 三郎君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 鈴木 和美君  出席政府委員         北海道開発庁総         務監理官    松川 隆志君         北海道開発庁計         画監理官    半田 博保君         沖縄開発庁総務         局長      嘉手川 勇君         国土政務次官  御法川英文君         国土庁計画・調         整局長     塩谷 隆英君         国土庁大都市圏         整備局長    五十嵐健之君         国土庁地方振興         局長      岩崎 忠夫君         国土庁防災局長 村瀬 興一君         郵政政務次官  山口 俊一君         郵政省電気通信         局長     五十嵐三津雄君         郵政省放送行政         局長      楠田 修司君  分科員外出席者         大蔵省主計局司         計課長     田頭 基典君         運輸省運輸政策         局技術安全課長 森  良夫君         運輸省鉄道局業         務課長     宿利 正史君         運輸省鉄道局施         設課長     白取 健治君         運輸省港湾局技         術課長     上濱 暉男君         郵政省電気通信         局電気通信事業          部業務課長   桜井  俊君         建設省河川局開         発課長     竹村公太郎君         建設省道路局企         画課道路経済調          査室長     藤本 貴也君         会計検査院事務         総局第三局長  山田 昭郎君         会計検査院事務         総局第四局長  五十嵐清人君         会計検査院事務         総局第五局長  平岡 哲也君         北海道東北開発         公庫総裁    宍倉 宗夫君         沖縄振興開発金         融公庫理事長  塚越 則男君         決算委員会調査         室長      天野  進君     ————————————— 分科員の異動 五月三十一日  辞任         補欠選任   東家 嘉幸君     野田 聖子君   渡部 恒三君     笹木 竜三君 同日  辞任         補欠選任   野田 聖子君     東家 嘉幸君   笹木 竜三君     渡部 恒三君 同日  第二分科員今村修君及び第三分科員金田誠一君  が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成四年度一般会計歳入歳出決算  平成四年度特別会計歳入歳出決算  平成四年度国税収納金整理資金受払計算書  平成四年度政府関係機関決算書  平成四年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成四年度国有財産無償貸付状況計算書  平成五年度一般会計歳入歳出決算  平成五年度特別会計歳入歳出決算  平成五年度国税収納金整理資金受払計算書  平成五年度政府関係機関決算書  平成五年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成五年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府(北海道開発庁所管北海道東北開発  公庫沖縄開発庁所管沖縄振興開発金融公庫  、国土庁所管)及び郵政省所管〕      ————◇—————
  2. 竹内譲

    竹内(譲)主査代理 これより決算委員会第四分科会を開会いたします。  主査所用のため、その指名により、私が主査の職務を行います。  平成四年度決算外二件及び平成五年度決算外二件中、本日は、国土庁沖縄開発庁所管沖縄振興開発金融公庫北海道開発庁所管北海道東北開発公庫及び郵政省所管について審査を行います。  これより国土庁所管について審査を行います。  まず、概要説明を聴取いたします。鈴木国土庁長官
  3. 鈴木和美

    鈴木国務大臣 国土庁平成四年度歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、平成四年度の当初歳出予算額は三千十三億二千七百六十一万円でありましたが、これに予算補正追加額四百三十一億八千七百三十一万円余、予算補正修正減少額六億五千三百七十万円余、予算移しかえ減少額千六百一億六千四十五万円余、前年度繰越額三十五億三千三百六十一万円余、予備費使用額二億三千八百三十九万円余を増減いたしますと、平成四年度歳出予算現額は千八百七十四億七千二百七十七万円余となります。その歳出予算現額に対し、支出済み歳出額千八百二億七千二百十四万円余、翌年度繰越額六十六億三千五百十二万円余、不用額五億六千五百五十万円余となっております。  以上が、平成四年度国土庁歳出決算概要であります。  次に、平成五年度歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  平成五年度の当初歳出予算額は三千二百十二億二千四十五万円余でありましたが、これに予算補正追加額千五百八十九億四千六十六万円余、予算補正修正減少額十一億七千二百二十五万円余、予算移しかえ増加額四千四百四十三万円余、予算移しかえ減少額二千二百五十三億三千百十一万円余、前年度繰越額六十六億三千五百十二万円余を増減いたしますと、平成五年度歳出予算現額は二千六百三億三千七百三十万円余となります。その歳出予算現額に対し、支出済み歳出額二千三百九十七億二千七百五十万円余、翌年度繰越額百九十四億七千二百二十万円余、不用額十一億三千七百五十九万円余となっております。  以上が、平成五年度国土庁歳出決算概要であります。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  4. 竹内譲

    竹内(譲)主査代理 次に、会計検査院検査概要説明を聴取いたします。会計検査院山田第三局長
  5. 山田昭郎

    山田会計検査院説明員 平成四年度国土庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  また、平成五年度国土庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  6. 竹内譲

    竹内(譲)主査代理 以上をもちまして国土庁所管説明は終わりました。     —————————————
  7. 竹内譲

    竹内(譲)主査代理 質疑に入るに先立ちまして、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願い申し上げます。  また、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野田聖子君。
  8. 野田聖子

    野田(聖)分科員 自由民主党の野田聖子でございます。おはようございます。  本日、私は、国土庁が担当しておられます首都機能移転問題についてお尋ねしたいと思います。まず、質問に先立ちまして、私は実は当選して三年目の国会議員でございまして、首都機能移転につきまして、法律が制定される以前のことについてはなかなか理解が及びません。そこで、改めて復習という意味で、国土庁の方から、今日の国会等移転に関する法律が成立するまでのプロセスというか、その経緯について御説明を賜りたいと思います。
  9. 五十嵐健之

    五十嵐(健)政府委員 お答え申し上げます。  戦後何回か首都機能移転の問題につきましては議論が重ねられた、俗に申し上げますと三回ぐらいのブームがあったのではないかと言われておりますが、国会がお取り上げになられましたのが、平成二年の国会開設百年に際しましての移転決議でございます。  そして、これを受けまして、平成四年の十一月でございましたけれども、現在の国会等移転の促進に関する法律が成立いたしました。これに基づきまして国会等移転調査会が設けられまして、国会等移転調査会では、現行国会等移転に関する法律の十三条に六つほどの項目がありまして、それらを調査するように、報告するように、こうなっておりまして、これを二年九カ月ほどの時間をかけられまして、昨年の十二月十三日に報告を取りまとめられたところでございます。これにつきましては、昨年の十二月十五日に国会に提出をされ、現在に至っているというところでございます。
  10. 野田聖子

    野田(聖)分科員 事前に国土庁からいただきました資料を見ますと、古くは昭和五十二年に第三次全国総合開発計画でまず首都機能移転が取り上げられてから今日に至っているということを承っております。大分長い時間をかけて、今三回のブームがあったということでしたけれども、なかなか産みの苦しみを味わっているなということを十分私自身も感じておるところですが、最近新たな動きの中で、今お話にありましたとおり、改正法案を出す、そういう積極的な動きがあったのですが、ここに来て足踏み状態、むしろ反対をする方の声が随分大きくなっている。きょうの新聞にもそういうことが記されていたわけで、非常に心配をしているところでございます。また、この件に関しまして、国民の間でも、首都機能移転必要性を認める意見が多数を占めているということを聞いております。  私の個人的な感触を申し上げますと、確かにこの議論というのは、長い間時間をかけている割にはその議論自体が地に足がついていない、そういうふうな感じが思えてなりません。だれもがその首都機能移転というキーワードを知っており、それを論じてみるけれども、はっきり言ってこれは夢物語じゃないか、そういうような感じがしないでもありません。  例えば、私の議員会館の事務所から総理官邸を一望することができるのです。御存じのとおり、現在総理官邸、新しい総理官邸を建設中ということでございます。ここ一年ほどの間にその工事の光景は急ピッチで変わってきておりまして、報道で調べる限りでも、新官邸というのは情報収集危機管理能力を高めたよりすばらしい内容のものになるということが推察されているところでございます。  そういうことを思いますときに、他方、調査会、先ほどの法律ができて、調査会活動が始まったわけですけれども、その報告では、移転の対象となる首都機能の範囲を検討した結果、「新首都に新たな集中を生じさせない配慮に立った必要最小限機能であるべき」との考えから、第一に国会機能、第二に行政機能、第三に司法機能というふうに挙げられています。国土庁としては、新首都移転すべきものの中に総理官邸を含める必要があるとは考えていないのでしょうか。  つまり、もう既に工事が始まっているのを見ますと、国会議員である私はもとより、一般国民からすると、首都機能移転するのに当然総理官邸は真っ先に行くべきものであるにもかかわらず、新しいものが永田町につくられているのを見ると、首都機能移転というのは結局は作り事というか、きっとできないことなのだという思いをはせてしまうわけです。  これにつきまして、国土庁総理官邸工事責任者ではございません。ただ、首都機能移転という国策を進めるに当たりまして、どのようなお考え、または相手の役所に対して、所管役所に対してどのような申し入れをされておられるのか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
  11. 五十嵐健之

    五十嵐(健)政府委員 今先生質問いただきましたように、国会行政司法、三権の中枢を新しい都市移転する、それが首都機能移転だというようなことで一連の議論がなされているところでございます。  そのうちの行政中枢は当然内閣でございますし、内閣総理大臣が、新しい首都、あるいは現在の首都機能移転される場合の移転先に当然移られるというのが大前提になっているところだと思います。  問題は、なぜそういったときに総理官邸建てかえがあるのかということでございます。確かに、私ども必ずしもその衝にある立場ではございませんけれども、私ども関係する方面との議論の中では、一つは、現在の総理官邸が、昭和四年に建設されたものでございまして、大変老朽化、狭隘化しているという問題がございます。総理官邸建てかえにつきましては、かなり前の段階からいろいろな検討が重ねられてきた、そしてそれに加えまして最近は、危機管理観点からも現在の官邸機能を強化する必要があるのではないかというようなことから、建てかえについていろいろ検討が進められていると聞いております。  問題は、国会等移転が行われたときに、建てかえられた官邸がどうなるのかという問題を御指摘だと思います。  この場合におきましても、新しい移転先地につきましては、そこが政治あるいは行政首都ということになろうかと思いますけれども東京は依然として経済首都、文化の都という位置づけがされるわけでありまして、政府国民各界あるいは各層との意見交換あるいは外交等活動を行う場合に、東京にやはり拠点が必要であるということが第一点。  それから、皇居は東京にずっと存続されるということが前提検討されておられるわけでありますけれども、この場合には、天皇の国事行為に関するいろいろな仕事総理にあるわけでございまして、そういったような観点から、国会等移転が行われた後におきましても官邸機能東京に置いておく、相当大きな重い仕事が残っている、こういう前提で進められていると承知しております。
  12. 野田聖子

    野田(聖)分科員 確かに、東京というのは大都市ですし、首都移転した後でも、それはビジネスセンターとしての大変重要な役割をしていただくわけですけれども、そうおっしゃっていただいても何となく腑に落ちない。  というのは、総理官邸のみならず、私が伝え聞くところによりますと、各役所の建物もそれなりに老朽化しており、例えばマルチメディアの情報社会に対応するために改築とか新築をしなければならないし、していきたいという計画があるやに聞いておりますが、その点についてどのような情報を把握しておられますか。
  13. 五十嵐健之

    五十嵐(健)政府委員 現在建てかえが計画、あるいは現実に進められておりますのは、先ほど御質問がありました総理官邸、それから既に着手済みでありますけれども、自治省でありますとか警察庁が入っております人事院ビル、このビル建てかえに入っているというところでございます。その余につきましては、私どもは承知していないところでございます。
  14. 野田聖子

    野田(聖)分科員 今後恐らく各役所皆さんも、きれいなところでお仕事をしたいというのはだれもが思うことでございます。ただ、できれば国土庁としましては、この先、十年先か二十年先になるかわかりませんけれども首都機能移転するんだ、そういう大きな前提があるから、できれば役所皆様方のこれからのリノベーションというか、そういうことに対しての予算づけというのは少し遠慮してもらいたいというか、我慢していただきたいということをぜひお伝えいただきたい。そうして、我慢することによって逆に、早く新しい、機能のいいところに移りたいという気持ちが霞が関の全体から沸き上がってくることで、一つのきっかけというか、転機を迎えるいいチャンスになるのではないかと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  続きまして、反対される側、これは一部の方だと思うのですけれども、その方の反対の論拠としまして、首都機能移転にかかる費用が十四兆円かかる、だからそのお金を一体だれが出すんだ。現在やはり財政が非常に厳しいと言われている日本の中で、反対側皆さんからすると、また皆さん税金負担首都機能移転するために十四兆円かかりますよといったようなPRがされているということが事実でございます。  しかしながら、この十四兆円というのがひとり歩きしているような気がしてなりません。この積算根拠につきまして、少し詳しく御報告をいただきたいと思います。
  15. 五十嵐健之

    五十嵐(健)政府委員 先生質問の十四兆円といいますのは、首都移転調査会報告で触れられているところでありませんで、首都移転調査会の前に、国土庁長官諮問機関でありました首都機能移転問題に関する懇談会というのが開かれておりました。これが約二年程度の審議を行われまして、こういうようなやり方でやったらどうかというのが、平成四年の六月に懇談会としての結論が出されたのでありますけれども、その中で、一つの仮説であるがということで、最終的には新しい移転先地は六十万人ぐらいの規模都市になるのではないか。最終的な規模としては六十万人ぐらい。面積でまいりますと、全体で九千ヘクタールぐらい。コアとなる中心都市と、それから周辺の住宅都市が散らばる。こういうような前提でありますので、九千ヘクタールが全部くっついているということではないわけでありますけれども、そういう開発する面積を合計すると九千ヘクタール。この場合に、それぞれの公共施設面積当たりでどのぐらいかかるか、それから上物についてどのぐらいかかるか、用地がどのぐらいかかるか、これは具体の場所が決まっておるわけではありませんので、かなり平均的な数字をとって、それについてトータルすると約十四兆円ぐらいになるという報告が出されたところでございます。
  16. 野田聖子

    野田(聖)分科員 私にもその資料が届いておりまして、例えば面積想定の中に、住宅用地とか生活関連施設用地というのがございます。これは、当然住宅用地というのは、必ずしも公のものばかりではなくて、やはり民間のデベロッパーが団地を形成されたりする、それも含まれております。そして、生活関連施設用地となりますと、当然公民館とか図書館というのは公的なものですけれどもショッピングセンターというのは非常に私的な、民間が、スーパーが出店を出すわけです。また移転人口想定の中に、準首都機能の中に政党本部というのがございます。これにつきましても、恐らく税金を使って政党本部建てるような、そんな愚かな政党はないわけでございます。  そういうことになりますと、この十四兆円というのは、必ずしもすべてが税金が投入されるわけではないと、私はそう信じておるんですが、それについて、今の御答弁を聞いてもはっきりそうであると言い切れないのが非常に残念な、つまり反対側からすると、もう既に十四兆円が税金の直接の投入で皆さん負担をさせられるというような、そういう御宣伝をされているやに承っておるわけです。  それにつきまして、やはりもう少し丁寧に、反発をする必要はないにせよ、そんなに国民に対しての税金負担はないんだ、むしろ、民活、民間投資が新しいところに生まれてくるというようなことを報告する必要があるのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  17. 五十嵐健之

    五十嵐(健)政府委員 大変的確な御指摘をいただいておるところでございます。  先ほど六十万都市と申し上げましたけれども、六十万都市となりますと、県庁所在都市といたしましても大きい方でございます。先生岐阜市が四十二万ないし三万といったところでございますので、その五割増しといった規模になります。そういたしますと、そこに住んでおられる方々は、別に政治家の方と役人だけというわけではありませんで、恐らくその六十万人のうちの半分の方々はいろいろなサービス業民間仕事をやっておられる、八百屋さんもクリーニング屋さんもおられる、こういうような構成になります。  そういたしますと、こういう新しい都市をつくります場合には、当然御指摘のように、道路とかそういうような公共事業でつくる、税金でつくる部分と、それから、例えば財投でありますとかあるいは民間の借り入れでありますとか、そういったところで一時つくっておきまして、最終的には受益者負担という形で整備されるもの、それから、先生指摘の純粋に民間と申しますか、税金とは関係ない世界でつくられる、そういったもので構成されるものと承知しております。  今御指摘をいただきました点を踏まえまして、十四兆円が、確かに仮の試算が十四兆円だといたしましても、それが全部税金ではないかという御心配を、あるいは誤解を受けるということは大変避けなければいけないことだと思いますので、今後心して対応してまいりたいと思っております。
  18. 野田聖子

    野田(聖)分科員 今、私のふるさとである岐阜市のお話をしていただきましたけれども、実は、この首都機能移転につきましてはだれが一番やる気なのかなと思うと、やはり首都機能移転推進派と呼ばれる地方自治体の知事さんの姿が思い浮かぶわけでございます。私の地元の岐阜県も早くから首都機能移転候補名乗りを上げておりまして、梶原県知事中心首都機能移転必要性を論じて、強調してきました。  ところが、その首都を誘致しようと考えている県も、首都機能移転については国民のおおむねがいいんじゃないかと言っているけれども、一部の名乗りを上げている地域においては、自分のところの地域がその候補地名乗りを上げているということを知らない県民が随分いる。これは岐阜県のことではないんですけれども、そんなお話を聞いたりするわけです。  今のところ、その候補地というか、次の新首都を決めるのは国会が決めるということに法律では定められているんですけれども、この際、やはり四百年というか、遷都というのは大変大きな問題で、改正改正首都をたびたび移すわけにはいきません。一たん決めたら四世代、五世代ぐらいまではそこにとどまって仕事をしていかなければならないという、やはり国の中でも最も大きな仕事事業だと思うんですが、それに対して、やはりいたずらに国会議員だけで議論して候補地を決めていくというのは非常に問題があるんじゃないか。むしろ民主主義の機の熟した今日、やはり自分たちの都がかわる、首都がかわるということで、国民全員国民投票という形で、候補地のラインナップが出た段階でこれで投票してもらったらどうかというのが私の願いなんです。  というのは、そうすることによって、自分たちが選んだ新しい首都だからということで協力態勢も生まれるんではないかと思いますし、逆に、国会の中の一部の委員会で決めてしまったということになると、それが政治的判断で決められたとか声のでかい人が持っていったとか、そういうくだらぬことが後々響くようになってしまっては、せっかくの新首都のスタートを汚すことになってしまう。  しかしながら、国民投票というのは、現在、憲法では正直だめなんですね、改正をしなければ。だから、国土庁としては、候補地が決まるのがいつかわかりませんが、数年先を見越して、今から、国民投票という憲法の枠内ではなくて別な形で、国民全体の総意を確認できる形で候補地を、世論調査大型版といいますか、そういうものを取り計らってもらって、あくまでも国会で決めてもらってもいいんだけれども、その前段として、国民各界各層だけではなくて、全員がこの首都機能移転について自分意見を出せる、表明できる場をつくっていくようなことは考えていただけないかということを、ちょっとお尋ねしたいと思います。
  19. 五十嵐健之

    五十嵐(健)政府委員 現在の国会等移転法におきましては、国会等移転調査会におきまして、その移転先地選定要件でありますとかあるいはその移転のスケジュールと申しますか、そういったようなことを検討して国会報告しなさい、こういうような枠組みででき上がっておることは御案内のとおりでございます。  言ってみますと、その現行法律に基づきます宿題は、移転調査会は昨年十二月に果たされたところでありまして、現在、その次についてどうすべきであるかという御議論が交わされていると承知しているところであります。  そういうような状況から参りますと、今先生指摘のような、この次の移転先の決定方法について申し上げるのは必ずしも適当ではない状況にあろうかとは思っておりますけれども国会等移転調査会におきましてどういう考え方をとっていたのかということを御報告申し上げたいと思います。  国会等移転調査会におきましては、移転先地は、これはともかく国会が決めるという大原則を強く打ち出しておられます。で、国会移転先地を決めるのが適当であるというその判断を前提にいたしまして——ただその前に、最初から、先生の御指摘の声が大きいところとかいろいろなところで決まっていくというようなやり方ではなくて、むしろ客観的にどういう状況がそろっていることが必要であるかということで今後の九項目にわたります選定基準が提案されております。これに沿って、どこが、どういったところがこれに適合する場所であるかということを専門的かつ中立的な機関で調べ、それに基づいて報告をするのが一番いいのではないかという提案がなされているところであります。こういったやり方につきまして、これからどういう新しい制度ができ上がっていくか、注意深く見守っているところでございます。  先生指摘のように、首都機能移転につきましてまだまだ世論の認識は十分でないというような御指摘もいろいろいただいているところでございます。私どもも、いろいろな世論調査でありますとかアンケートでありますとか、そういったことを重ねてきたつもりでありますけれども、私どももまだ十分でないという状況にあります。今後ともいろいろな、御提案のアンケートでありますとか世論調査でありますとか、あるいは、私どもが主催するのに限りませんけれども、公聴会、ほかの方々が主催する公聴会にもぜひ出席さしていただいて、いろいろな場で議論を申し上げ、あるいは御意見をちょうだいする、こういう場を積極的に広めていきたいと考えているところでございます。
  20. 野田聖子

    野田(聖)分科員 積極的にお願い申し上げたいと思います。  ところで、ここは決算委員会の場所でございます。実は岐阜県は、平成八年度の県予算のうち約一億五千万円ほどをこの首都機能移転のためのいろいろな費用として計上しました。平成八年度の国の予算概要を見ますと、国土庁は、首都機能移転に関する検討等のためとして、総額約一億六千五百万円の予算を計上されておられます。岐阜県と国土庁が余り変わらないというのはいささか残念な気もしないでもないんですが、それは、それだけ岐阜県の意気込みが強いというふうにいいふうに理解しておくとしまして、それよりも、先ほどの経緯を聞きますと、古くは昭和五十二年からこの話が出始めている。本格的には平成二年の国会決議以降動きが加速化されて、予算も計上されているわけですが、本年度までの累積といいますか、国土庁所管首都機能移転に関する費用というか予算、今までの累積というのはいかばかりになりますか、教えてください。
  21. 五十嵐健之

    五十嵐(健)政府委員 先ほど御報告申し上げましたように、平成二年の十一月に国会等移転に関する決議が出されたわけでありまして、そのころからこの調査が本格化してくる、こういうことになります。  したがいまして、その次の平成三年度以降、平成三年度から昨年度、平成七年度までの合計が四億二千八百万円余でございました。で、先ほど先生が御指摘ありましたように、八年度は一億六千七百万円余が計上されているところでございますので、合わせますと、平成三年度以降で計算いたしますと、五億九千六百万円といったところになろうかと思います。
  22. 野田聖子

    野田(聖)分科員 今後は、この費用というか、首都機能移転に関する検討の計上額というのは、恐らくどんどんふえてくるということが考えられますか。
  23. 五十嵐健之

    五十嵐(健)政府委員 次の段階につきましては、先ほどから繰り返し申し上げておりますように、どういう制度でどういう枠組みを国会の方でお決めいただくか、それ次第ということになろうかと思います。それを受けまして私どもは積極的な対応をしなければいけないと考えております。
  24. 野田聖子

    野田(聖)分科員 最初に私が夢物語ということを言って、大変失礼な発言をしたと思います。ただ、やはりそういう危機感というのは実はじわじわと感じておられるところだと思います。これだけ、国家予算からするとまだ微々たる金額かもしれません、でも、既に五億円強の金がこのためだけに使われていて、もしそれが無になってしまうということでは、やはり国民にとっては大変失礼な話になってしまう。  ですから、ぜひとも今後、先々頑張っていただかなければならないというところで最後に長官にお尋ねしたいのですけれども、いろいろ経緯を国土庁から承りましたし、本当に長きにわたってやってきたこの大事業でございます。ところが最近、冒頭にも申し上げたとおり、反対の声が随分強くなっているので若干弱腰になって足踏み状態である、できれば今国会でこの改正法律案を上程したかったけれどもどうもできそうもないという悲しい記事を、けさ見てきたばかりでございます。これにつきまして長官のお気持ち、やはり政治というのは、国民に夢と、その決断力がなければならない、そういうような思いで、今がやはり正念場ではないかという気がしてなりません。それにつきまして長官としての基本的な姿勢または御決意について承りたいと思います。
  25. 鈴木和美

    鈴木国務大臣 大変激励のお話をいただきまして、ありがとうございます。  国土庁として一番今考えております心境でございますが、かたずをのんで国会の状況を見ているというのが偽らない心境なんでございます。  先生御案内のとおり、この問題は国会主導型で進めていっているものですから、国土庁が前面に立ってああやるべきだ、こうやるべきだということよりも、むしろ先生方のいろいろな御意見をいただいたものを、アドバイスしたり、それからそれを実行化するというようなスタンスで来ているものですから、現在の状況の中で、本当にどうなるのかなと思ってかたずをのんでいるというのが今偽らない心境であります。  それで今度は、私個人としては、この首都機能移転という問題は、もう先生御案内のとおり、我々は三つの角度から目標を置いておるわけですね。つまり、その一つは、東京の一極集中を是正したい。それから二つ目の問題は、何といっても災害に強い国土づくりをしなければならぬ。三つ目のところが一番大きい問題なのですが、つまり、地方分権とか規制緩和とか、これはいろいろ議論があるのだけれども、この首都機能移転するということを起爆剤としてその分権などの話が進んでいくことを期待しているわけです。  そういう意味で、この国会で何とか、もう今までの経過から見て、どうやら選考委員会をつくるところまでは決議していただけるのじゃないのかなと思って心待ちにしているわけですが、多少東京都の関係どもありまして今調整が図られている段階だと思うのです。まだ時間がございますので、国土庁としても全力を尽くして皆様方の意向の実現のためにこれからも努力してまいりたい、かように思っているところでございます。
  26. 野田聖子

    野田(聖)分科員 どうもありがとうございました。  どうも最近、私たちの社会の中には閉塞感というのが満ち満ちている。これは、政治、社会、教育、家庭においてもそうなのかもしれません。ややもすると新しいものに取り組むというのは大変な抵抗を受けるということを国会の中にいて痛切に感じている私ですけれども、どうかひとつここは、改正法案の早期の成立、検討をするから推進を宣言するという文言にきちんと切りかわって、次の時代に向けての夢や展望が開けていくように、心から御尽力をお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  27. 竹内譲

    竹内(譲)主査代理 これにて野田聖子君の質疑は終了いたしました。      〔竹内(譲)主査代理退席、主査着席〕
  28. 田中昭一

    ○田中主査 次に、笹木竜三君。
  29. 笹木竜三

    笹木分科員 新進党の笹木竜三です。質問を始めさせていただきます。  去年の一月に阪神大震災があってからもう一年と半年ぐらいになるわけですけれども、ことしになってからもいろいろな、法の改正ですとか体制の整備というか、変化がありました。そんな中で、国土庁として、こういった震災の経験を生かして、今いろいろな体制の整備とか変化もあるわけですけれども、要は、どういうような体制をつくってきたのか、何が変わったのか、今後どういうようなことをさらに検討していくべきなのか、そんなことをきょうは質問をさせていただきたいと思っております。  最初に、震災の後でいろいろ問題になったことで、たくさんありますけれども、今ちょっと思い出してみると、幾つかあった中で一つは、情報がなかなか官邸に集まらなかった。国土庁自体にもなかなか早く情報が集まらなかった。非常にお粗末な面がたくさんあった。そんな反省から、災害時あるいは危機のとき、異常時にどうやって情報国土庁が集めるか、そして官邸にその情報をより早く上げていくか、こういったことが課題としてよく議論されたわけです。  二つ目は、こういう異常時とか国土の危機の場合に、今言った情報を上げていくということだけじゃないと思いますけれども、各省庁いろいろ取り組みをするわけですけれども、その中で、どうやって迅速に総合的な調整機能を果たしていくか。  三つ目は、そういう異常時じゃないとき、危機のときじゃないとき、平時の備えとして、危機のときにより迅速に対応できるような体制のために平時にどのような備えをしていくか、準備をしていくか。こういったことがいろいろ議論されました。  最初に、政府委員の方、事務局の方で結構です、それぞれ聞いていきたいわけですけれども、まず一つ目の、より早く情報を集めて官邸に迅速にその情報を上げていく、これについて、要は何が変わったかということで、現在の状況と、さらに、今後課題があるとしたらその今後の課題についても説明していただきたいと思います。
  30. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 今先生のお尋ねにございました情報の収集、連絡体制の問題でございます。この点につきましては、昨年の発災から一カ月ちょっとたった二月二十一日に、「大規模災害発生時の第一次情報収集体制の強化と内閣総理大臣等への情報連絡体制の整備に関する当面の措置について」という閣議決定をいたしております。  その内容でございますけれども関係省庁は航空機、船舶等を活用した活動を展開するなど、情報収集活動を効果的かつ迅速に推進をする。それから、官邸への情報伝達の窓口を内閣情報調査室とする。それから、民間公共機関等の、電力会社とかガス会社とかそういったところでございますけれども、そういった機関も地震に関する情報をかなり持っておりますので、そういったところの持っております第一次情報の収集に努める。それから、関係省庁と官邸及び内閣情報調査室との間に通信機器の整備を行う。それから、関係省庁の幹部は緊急に官邸に参集いたしまして情報の集約を行うというような内容でございます。国土庁といたしましては、私どもとしては、防災局長である私が今の官邸に参集をするということになってございます。  国土庁自体の対応でございますけれども、職員による当直体制の整備をいたしております。それから、ポケットベルと電話による一斉情報連絡装置によりまして、従来は国土庁の職員にしかそういった連絡をしないことにしておりましたけれども国土庁の職員のほかに、官邸関係者、それから関係省庁の職員に対しましても、地震情報等の連絡をすることにいたしております。それから、指定公共機関からの情報を把握する体制を整備いたしております。  中央防災無線というのがございますが、これは、中央省庁相互間、それから指定公共機関との間を従来逐次整備してきておりましたが、これを、全都道府県との間にも中央防災無線を整備しようということで、全都道府県との間にも中央防災無線をつなげまして、これによりまして、NTT回線が切れてしまったりあるいはつながっておってもなかなか話ができないという場合に、中央防災無線を通じまして、例えば私ども長官が被災した都道府県の知事と直接話をする、あるいは、官邸ともつながっておりますので、必要があれば総理もそういったことも可能でございます。  もう一つは、情報の収集ということでありますけれども情報を収集する場合に、情報を発信する側でしかるべき情報を持っておってそれを発信するということにならない限り、当然のことながら情報というのは集まらないわけでございます。この点につきましても、先ほどの二月二十一日の閣議決定でも、関係省庁がそれぞれ工夫を凝らして情報の収集をするということにいたしております。  例えば警察庁では、現地のパトカーの交信を傍受いたしまして、それを整理いたしまして官邸なり我々まで連絡をしてくる。消防関係では、救急車あるいは消防車の出動要請が殺到いたしますと電話がパンクしてしまうというようなこともあるようでございますが、そういった状態がもし起きれば、それ自体が大災害が起きているという一つの判断材料になりますので、そういったことも報告をしてくるということにいたしております。  もう一つは、従来、死者がどれぐらい出たかというふうな情報が警察なり消防から上がってくるわけでございますけれども、そういった情報につきましては、どうしても確認をした上で上がってくる情報でございますので、大きな地震が起きた直後に被災の規模がどれぐらいだということを早い段階で判断するためには、必ずしもそういった情報だけでは十分ではないわけでございます。そのためにDIS、これは地震防災情報システムと私ども言っておりますが、いわゆる地理情報システムの一種の応用でございますけれども、これを活用いたしまして、早い段階で、かなり現段階では大ざっぱなものでございますけれども、家屋の倒壊によってどれぐらいの方が亡くなっている可能性があるかということを推計し得るようなシステムを、ことしの四月から稼働させております。  これによりまして、大きな地震が起きました場合に、家屋の倒壊による死者のみしか現段階では推定できませんけれども、三十分ぐらいで大体の大まかな規模というものは推定できるようになるというふうに考えております。  以上です。
  31. 笹木竜三

    笹木分科員 それと、二番目と三番目。今言った、どうやって情報を集めて官邸に上げていくかという問題とは別に、総合的な調整機能、各省庁でいろいろなマニュアルとか業務があると思うわけですけれども、その各省庁の調整機能としてその他どんなことを考えているのか、どういうことが変わったのか。  三つ目の、平時の備えとしては今どういうことをそれ以外でやっているか、変わった点についてさらに説明いただきたいと思います。
  32. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 まず最初の方の調整機能という点でございますけれども、これは御承知のように、昨年二度にわたりまして災害対策の基本法であります災害対策基本法を改正していただきました。それから、その災害対策基本法に基づきまして我が国の防災の基本となります計画を定めております防災基本計画を、昨年の七月に全面改定をいたしました。その改定されました計画に基づきまして、中央省庁、それから指定公共機関は防災業務計画というのを作成をすることになっております。かなりの省庁がその新しい防災基本計画に基づいた業務計画を策定を終わっております。それから公共団体につきましては、地域防災計画というものを、これも防災基本計画に基づいて改定をするということになっております。そういったことでございます。  それから、現段階では、先ほど申し上げました防災基本計画につきましては、自然災害については昨年の七月に全面的に改定をいたしまして整備したわけでございますが、事故関係についてはちょっと間に合いませんでしたので、現在検討中でございまして、できれば六月中には中央防災会議で決定をするような運びにしたいというふうに考えております。  関係省庁との関係でございますが、今申し上げましたように、防災基本計画中心といたしまして、随時関係省庁とも相談をしながら必要なことを進めていくということにいたしております。  それから、平時の備えということでございますが、これは、何と申しましても訓練というのが非常に重要であろうというふうに考えております。政府挙げての訓練というものは、御承知のように毎年九月一日に実施いたしておりますが、昨年は特に、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえまして、これまで以上に非常に実践的なものにしようということ、それから官邸が全体を主導するようなものにしようということで実施をいたしております。  それ以外でございますけれども、昨年には、今申し上げました九月一日の訓練以外に、東京が被害を受けたという前提で、交通機関が途絶したという前提での参集訓練を行っております。これにつきましては、東京都以外に住んでいる者につきましては自衛隊とヘリコプター、自衛隊の基地に集まって、そこからヘリコプターで集まるというふうな訓練も行っております。それから、東京都に住んでおる者につきましては、徒歩あるいは自転車で集まるという訓練もいたしております。  これは政府全体として関係省庁と一緒に行ったわけでございますが、それ以外に、私どもだけで行いました訓練といたしましては、抜き打ちで参集訓練をする。これにつきましては、交通が途絶している前提ではございませんでしたので、交通機関を使える者は使って集まるというようなことでございます。  もう一つは、私ども自体の体制の整備ということでございますけれども、従来私どもの定数が三十七人ということでございましたけれども、ことし六人ふやしまして四十三名ということにいたしております。  それから、私どもの中で、災害が起きました場合に直接担当する、立ち上がり等を担当いたします防災業務課というのがございますが、ここに、従来は自衛隊の武官が来ておりませんでしたけれども、先ほどの定員の増を使いまして、防衛庁から三佐の、課長補佐クラスですが、来てもらっております。警察庁からは、防災局自体に来てほかのところにおったのですが、これを業務課に集めるというようなことにいたしまして、その結果といたしまして、とりあえずの立ち上がりを担当いたします消防、警察、防衛庁の職員を、いずれも課長補佐クラスでございますけれども、私どもの業務課に配置をするという体制をとっているところでございます。  以上でございます。
  33. 笹木竜三

    笹木分科員 わかりました。  阪神大震災が起こってから非常に期間もたつわけですけれども、その総括として、例えば人命、財産、そういったことに対する被害はもちろんですけれどもへその大震災による国民経済上の損害、それが大体どのぐらいだったか、そういったデータは、いろいろな各省庁ごとのデータが当然あると思います。あるいは自治体などが出しているデータも当然あると思いますけれども、そういうものも集められて、国土庁としては検討したり分析したりといった活動はやっておられるのかどうか。  鉄道とか道路とか港が使えない、不通になる、それによる被害。あるいは生産活動とか労働活動が停滞する、ストップする。あるいは受注がストップする。あるいは観光とかレジャーも減少する。いろいろなことがありますけれども、そういったことをすべて含めた経済上の損失、そういったことについてはどういうふうに把握をされているか、お聞かせ願いたいと思います。
  34. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 先生のおっしゃったものとは若干違うかもしれませんが、私どもで、昨年のたしか二月の末か三月ぐらいだったと思いますけれども、被害額の推計をいたしております。これは、住宅の被害でありますとか、あるいは公共施設等の被害も含めました、民間それから公的な施設を合わせた数字でございますけれども、九兆六千億という推計をいたしております。
  35. 笹木竜三

    笹木分科員 もう少し詳しく説明をしていただきたいのです。その内訳について詳しく説明をしていただきたい。どういう要素が入っているのかということです。
  36. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 内訳でございますけれども、建築物等が、これは住宅、店舗、事務所、工場、機械等でございますが、六兆三千億という数字でございます。それから交通基盤施設、道路、港湾、鉄道でございますが、二兆二千億。それからライフライン施設でございますが、電気、ガス、水道、下水道、通信、放送等でございますが、これが六千億。その他が五千億。合わせまして九兆六千億という推計をいたしております。
  37. 笹木竜三

    笹木分科員 運輸省からと建設省からもそれぞれ説明に来ていただいています。  運輸省の方に、鉄道の不通による損失額について御説明をいただきたいと思います。  建設省の方には、道路の不通による損失額についてお願いします。
  38. 白取健治

    ○白取説明員 鉄道の被災によります直接的な被害、これはいわゆる復旧費用でございます。  JR関係三社、いわゆる従来の民鉄関係十社、計十三社が被害を受けましたけれども、昨年の八月の時点ですべて復旧が終わっておりまして、これらの復旧に要した費用でございますけれども、トータル約二千五百億円でございます。
  39. 宿利正史

    宿利説明員 鉄道事業者の経済的損失のうち、運輸収入の減収につきまして御説明いたします。  今答弁にもありましたような、被害を受けましたJR三社及び民鉄十社の計十三事業者につきまして、被災後全面復旧までの間、不通区間で列車運行がなされなかったことなどによります運輸収入の減収額は、各社の推計によれば、おおむね千二百億円と聞いております。
  40. 藤本貴也

    ○藤本説明員 道路関係でございます。  阪神・淡路震災におきまして、幹線道路が大分被害を受けたわけでございます。  このうちで、阪神高速神戸線あるいは湾岸線、この辺が長期間不通になったわけでございますけれども、従前の四十三号と阪神高速神戸線、合わせて十九万台車が通っておりました。それが、阪神高速の神戸線が不通になった、それから四十三号がその復旧の関係で八車線から四車線に削減されたということで、その交通が十九万台が四万七千台まで減少したわけでございます。その結果、それに関連する減少交通が仮にすべて他の交通に迂回をしたということで推定いたしますと、その渋滞迂回によります時間費用並びに走行費用による直接的な経済的損失は、大体一日当たり三十億円ぐらいというふうな試算を行っております。
  41. 上濱暉男

    ○上濱説明員 港湾の復旧については現在順調に進めておりまして、被災施設百七十バースのうち、今年度、平成八年三月において、約六十五バースの復旧を行いまして供用しているところでございます。  以上でございます。
  42. 笹木竜三

    笹木分科員 先ほど国土庁の方にも、建設省の方にも運輸省にもお話を伺ったわけですけれども、そうしますと、例えば復旧にかかった費用とかはわかりました。あるいは建築物とか住宅の損害とかライフラインの損害、それもわかりました。  では、例えば交通基盤、それが不通だったことによる生産活動に対する影響、あるいは流通産業に対する影響、そういった試算というのは把握をされているのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  43. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 その点については、私どもでは行っておりません。
  44. 笹木竜三

    笹木分科員 国土庁で行っていないとしたらどこで行っているのか、把握をされていたらお答えいただきたいと思います。
  45. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 あるいは各省でそういう作業をされているところがあるかもしれませんが、私どもでは、どの省でどういうことをやっておられるかということについては把握いたしておりません。
  46. 笹木竜三

    笹木分科員 少なくとも運輸省と建設省では、今言ったような生産に対する影響、流通に対する影響ということでの試算というのはほとんど行われていないということです。  民間ではいろいろな試算がありますけれどもお話ししたいのは、一般の商売をしている商業者でも企業でも、この震災による今言った生産活動、流通面も含めてどのぐらいの損失があったか、そういったことを当然分析をする。そして、もし今度そういうことがあったらその損失を回避するためにどういった違うルートを使おうとか、いろいろなことを想定して準備をする、これが民間の常識だと思うわけです。  何も復旧だけで国民経済の損失があったわけではない。今言った生産、流通面での損失も非常に大きい。もっと言えば、阪神大震災は余りそうたくさんの研究者が予測したわけではないですけれども、南関東地震ですとか東海地震、これはかなりの確率であるだろうとよく言われている。もしそこで、あった場合に、では日本の二大都市東京と大阪を結ぶ、特に太平洋側のいろいろなルートが不通になった場合に、あるいは港が使えなくなった場合にどのぐらいの経済的な損失があるのだろうか。こういったことは当然、今回の阪神の震災の経験をもとに試算もされて、それをいかに避けるか、いろいろなシナリオとかがあると思いますけれども、そう考えるのが民間の常識だと思うわけです。  そういうことをぜひ検討いただきたい。いろいろお聞きしましたけれども、どうも各省庁でもやっていないし、国土庁でも把握をされていない。国土庁がやらない。では、内閣にやれと言うのか。一体どこがやるのか。総合的な調整機能にはこういったことも当然入る。ましてや新全総で、これからの国土のあり方についてことしの秋には報告をとりあえずまとめるわけですから、そういった視点をぜひお願いしたいと思います。  その点について、長官に一言コメントをいただければと思います。お願いします。
  47. 鈴木和美

    鈴木国務大臣 ただいまのお話を伺っておりまして、調査、集約の万全でない点は、これからも国土庁として努力をしてまいりたいと思っています。  それから、今お話しの中の、震災に遭った場合の被害の問題をどうやって代替地としてそれを考えるかということは、これはやはり鉄道であり、港湾であり、道路でありということになりますので、新しいポスト四全総と言われる二十一世紀のグランドデザインにおいてこれらを生かすようにこれからも努力してまいりたい、かように思っておるところでございます。
  48. 笹木竜三

    笹木分科員 それともう一点お伺いしたいのは、例えば先ほど、災害については以上で、事故については六月中にまた検討をというお話がありました。あの震災のときに非常に驚いたのは、アメリカからFEMAという機関が来て、そのいろいろな報告書とか、全部ではないですけれども、その一部とか見させていただきました。非常にびっくりしたのは、もうありとあらゆる、本当によくこんなことまで予想するなと思うような最悪のケースとか事故も想定している。その中には、当然原子力発電所の大規模な事故についても想定をしている。こういう事故が起こった場合には、国土上の被害というのも非常に大きいと思われるわけです。そういったことについては検討が今行われているのかどうか、事務局の方にお願いします。
  49. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 先ほど申し上げましたように、原子力につきましても、ほかの事故と一緒に現在その事故の災害対策という面での検討を進めておるところでございます。ただ、今先生がおっしゃいますように、経済的な被害がどれぐらいあるかというようなことを前提検討しているわけではございませんで、万一原子力あるいはその他の事故が起きました場合に、災害対策としてどういう手順で対応するかということを検討しておるところでございます。
  50. 笹木竜三

    笹木分科員 今原子力発電所の事故についてお聞きしたのは、経済的なことについて検討をとお話ししたわけではなくて、災害対策として、事故が起こったときの対策として検討されているかどうかをお聞きしたいわけです。  特に、あの震災が終わった後、非常にびっくりしましたのは、当然科学技術庁でも資源エネルギー庁でもいろいろ対応を、あるいはマニュアル的なものもあるわけですけれども、非常に驚いたのは、これはぜひ国土庁にも検討していただきたいわけですけれども、原子力発電所の事故というのは国境はありません。もし本当に壊滅的な、あるいは大規模な事故が起こった場合には、これから中国とか東アジアでどんどん原子力発電所がふえるわけですけれども、あるいは日本国内で起きても外国に対しても影響を及ぼすということで、原子力事故の早期通報に関する条約、これは起こした場合に外国に通報する。それと原子力事故又は放射線緊急事態の場合における援助に関する条約、これは外国で起きた場合に援助をすることについての条約。これは、日本が提案して六十二年に署名をしている。では、それは具体的にどこの課が窓口で、どういうような事故の規模だとか、これはかなり自国の判断によって対応が任されているわけですけれども、どの程度の規模の事故で、どういうような流れで通報したり、援助したり、あるいは連絡役というか、そもそもどこの課が窓口か、これさえも決まってなかったわけです。科技庁では、これは条約関係だから外務省だと思っていた、外務省に聞いたら、原子力発電所関係なので科技庁だと思っていたということで、結局あの震災の後話題になって、すったもんだしたわけですけれども、その年の九月になってようやく担当課が決まりました。そして、ようやく非常に簡単なマニュアルもできたわけです。   お話ししたいのは、各省庁のマニュアルとか、そういったものは非常に抜けているものがたくさんある、そういったことも含めて、災害に対する業務の計画とか各省庁ごとにつくっていると思いますけれども、その抜けているところはないか、そういった点までも含めて、国土庁がぜひ目配りをしていただきたい、そう思います。  それともう一つ、震災の後には盛んに、その当時の国土庁長官も、日本列島は地震国でありますから、もし太平洋側で地震があれば、日本海側にもある、リダンダンシー、代替ルートの確保、当時の建設大臣も、日本の経済が片時も停滞することのないように、代替ルート、これを国土づくりの基本にしていくべきだ、そういった発言が非常に多く見られました。その第二国土軸、特に交通面での、日本海、太平洋側、北東とかいろいろありますけれども、この第二国土軸についてどのぐらいのスピードで取り組んでいかれようとしておるのか、長官にその二点についてお伺いしたいと思います。
  51. 塩谷隆英

    ○塩谷政府委員 現在、国土庁では、御指摘いただきましたように昨年十二月に発表された「二十一世紀の国土のグランドデザイン」に基づきまして、新しい全国総合開発計画の中間案を年内に取りまとめるべく検討いたしております。その中におきまして、日本海国土軸を初めといたします複数の新しい国土軸を形成して、新しい国土構造を構築することによって現在の国土構造のゆがみを直していくことが二十一世紀における国土政策の基本的な課題であるというふうにいたしております。  現在、新しい全国総合開発計画の策定に向けまして、御指摘をいただきました幹線交通の代替性の確保という観点をも含めまして、新しい国土軸のあり方について検討を深めているところであります。早急に新しい国土構造の姿を打ち出していきたいと考えております。
  52. 笹木竜三

    笹木分科員 もう時間ですので、最後に、今言った第二国土軸の問題については、これはかなり時間がかかる問題だ、それまでにも、代替ルートの確保について検討をというお話がありました。新全総の中間報告等非常に力作だと思いますけれども、そういった代替ルートの確保について、これはもう震災来何度も何度もいろいろな大臣が主張されたにもかかわらず、非常にスピードが遅いと思うわけですけれども長官の御決意をお聞きしたいと思います。  それと、先ほど言った各省庁ごとの災害時の業務計画、これはそれをそのまま寄せ集めても抜けている面が、すき間がたくさんあります。それについても調整していくべきだと思いますけれども、それについても御意見をぜひ長官にお願いしたいと思います。
  53. 鈴木和美

    鈴木国務大臣 阪神・淡路の震災におきまして大変大きな教訓を得ましたので、まだまだ我々事務方は扱っているわけでございますが、御指摘のように総合調整の、阪神・淡路の担当省だというけれども、必ずしも各省庁間のきめの細かいところまで集約できていないところがございますから、これからも全力を尽くしてその集約のために努力をしていきたいと思っております。  それからもう一つは、事故と災害というものが、たまたまこの所管でミスがあったり対応に多少違う点などもございますので、いろいろな事故も災害も人命にかかわることでございますから、これについても政府が一体となって取り組めるような体制整備にこれから頑張ってまいりたい、こういうように思っているところでございます。
  54. 笹木竜三

    笹木分科員 質問を終わります。
  55. 田中昭一

    ○田中主査 これにて笹木竜三君の質疑は終了いたしました。  次に、今村修君。
  56. 今村修

    今村分科員 社会民主党の今村修であります。私は、決算に関連をしながら、巨大開発の問題について、これまでの経過とこれからの対策についてお伺いをしたいと思います。  全国的に巨大開発がいろいろと問題になってきたわけであります。二十年以上経過をしながら工事の方は一向に進まない。しかし、計画だけは残っている。その残った計画のために地元はいろいろ負担をさせられる、こんな状況があって、全国的にいろいろな課題を残しているわけであります。  私の地元であります青森県でも、巨大開発を抱えながら、だれもが実現できないと思いつつ、計画だけが二十年以上も残ってきた、こんな事業があるわけであります。  この事業について、冒頭まずお伺いをしていきたいと思っています。  それは、小川原湖総合開発事業という計画であります。これは、青森県の県南にあります小川原湖という湖、これは汽水湖でありますが、淡水化をして、一日約五十万トンの工業用水、そして一日十二万トンの上水道、この水を確保する、こういう計画を含めた内容でこの開発計画がつくられてきたわけであります。しかし、なかなか思うように進まない、こんな状況の中で今いろいろな課題を抱えています。  そこで、この小川原湖総合開発事業、これは国直轄の事業でありますが、開始された年月日、終了の年月日、総事業費は幾らか、これまで投入された事業費、国の負担分、事業の進捗率、これらについてまず明らかにしていただきたいと思います。
  57. 竹村公太郎

    ○竹村説明員 それでは、小川原湖総合開発事業について御説明させていただきます。  私ども建設省が実施しておりますのは、小川原湖周辺の治水、水害から地域を守るということと、将来のこの地域の発展に伴って必要となる、今先生指摘の各種、飲み水、産業のための水、農業用水のための水を確保するために小川原湖を淡水化して水を供給しようという計画でスタートしておりました。  本事業は、昭和五十二年に実施計画調査に入りまして、五十三年度に建設という段階になっております。建設と申しましても、いわゆる各種事業をやれるという予算措置上の内容でございまして、五百八十九億という総事業費のうち、五十二年度から平成六年度までは、十八年間に百八十六億を支出しております。このうち、国の負担金は約九十四億円になっております。  各種データ、数字につきましては以上のとおりでございます。
  58. 今村修

    今村分科員 事業の進捗率という点でいうと、どの程度なんですか。
  59. 竹村公太郎

    ○竹村説明員 この総事業費五百八十九億と申しますと、昭和五十三年当時策定した金額でございますので、計画自体は古い金額になっておりまして、新しい段階での総事業費は、私ども、今手元に持っておりませんが、現在、今まで行われた百八十六億円のうち、実施された内容は、主に小川原湖の周辺の方々を洪水、高潮被害から守るための築堤、堤防をつくる事業に投じておりまして、百八十六億円のうち百五十四億円、約八三%が堤防をつくる工事に支出してございます。残りが各種調査等諸費でございます。
  60. 今村修

    今村分科員 今お答えをいただいたわけでありますが、五十三年時の総事業費五百八十九億円、そのうち百八十六億円支出をしてきた、こういう内容になっているというお答えをいただいたわけであります。お答えを得た内容にあるように、この計画、治水と利水という二つの計画から成っている、こういうことになっていますね。  そこで、具体的にお聞きをしたいと思いますが、治水をするために、高瀬川水系工事実施基本計画、こういうのをつくって、国は、現地に高瀬川総合開発工事事務所、こういう事務所をつくって工事に当たってきたわけであります。  これは分けることが可能だとすればお答えをしていただきたいわけでありますが、それでは、この治水計画というのは、総事業費が幾らで、事業の進捗率はどの程度で、そしてどの時点で完成をするのか、もしその内容が明らかであればお答えをしていただきたいと思います。
  61. 竹村公太郎

    ○竹村説明員 小川原湖周辺の地域方々、三沢市を初め各沿川の市町村の方々は、一番大きな災害としましては、昭和三十三年、台風二十二号によりまして五千戸を上回る浸水被害を受けてしまいました。  その昭和三十三年の大災害を契機にしまして、この周辺の方々、二度とこのような災害を起こしてはならないということで、洪水及び高潮被害を防止するために湖岸堤、湖の周りに堤防を築いておるわけでございますが、さらに計画としては、高瀬川の放水路、高瀬川は非常に狭い形で、水の出入りが非常にしにくいということになっておりますので、洪水をスムーズに吐くために放水路をつくるという計画がございます。  現在のところの進捗でございますが、全堤防の延長約三十七キロを私ども考えておりますが、完全に完成したのが約六キロ、暫定的に完成したのが約十七キロでございまして、まだ未施工、着手していない部分が約十四キロ残されております。トータル三十七キロのうち、六キロ及び十七キロはほぼ完成、未施工が十四キロという段階になっております。  では、一体これがいつごろ完成するだろうかという御質問でございますが、私ども、この地域方々を水害から守るということで、財政当局にきちんとした予算要求をし、治水、洪水から守るための予算は、これからも引き続ききちんと要求をして、堤防工事、河川改修工事は鋭意進めていきたいと考えております。
  62. 今村修

    今村分科員 この治水計画関係でありますが、それと小川原湖総合開発事業、これに投入をしてきた百八十六億円、このお金のほとんどはこの治水計画に投入をしてきたお金だ、こう理解していいのですか。
  63. 竹村公太郎

    ○竹村説明員 現在、百八十六億円のうち百五十四億円が治水事業で、残りが、その差額が三十二億になります。この三十二億の中には、さまざまな調査、気象の観測、環境関係の観測、そして十八年間ここで、事務所で担当の職員が事業をやっておりますので、それらの借り上げの費用、職員たちの給料等を含めまして、残りが三十二億余でございまして、工事は大部分を治水事業に投入してきたという考え方で結構かと思われます。
  64. 今村修

    今村分科員 わかりました。  そこで、次に、利水計画についてお伺いをしたいと思います。  これは小川原湖総合開発事業に関する基本計画、これは高瀬川とまた別個の計画があって、これに基づく計画によって、かんがい用水と都市用水、河川維持用水、これらを賄う、特にこの中で、先ほども指摘した上水道一日約十二万トン、工業用水一日約五十万トン、これを確保するというのがこの利水計画になっているわけであります。  それでは、この約二十年間、この利水計画というのは一体どういう状況で来たのですか。その点だけを……。
  65. 竹村公太郎

    ○竹村説明員 お答えいたします。  利水計画につきましては、青森県が策定いたしましたむつ小川原開発基本計画という全体の地域計画、将来の地域づくりのマスタープランがございます。それに基づきまして、生産の将来のあり方、人口の将来のあり方、農業のあり方等がここで、青森県によってオーソライズされ、そのために、国に対して水資源開発をしていただきたいという責務を私ども受けているという関係にございます。  そして、今先生のおっしゃった数字は繰り返しませんが、工業用水につきましては、現在青森県におきましてむつ小川原開発第二次基本計画の見直し作業中でございます。この計画を受けて、私ども、工業用水については新たな手当てを、水資源開発をしていきたいと考えておりますが、実は、上水道につきましては、将来の計画ということじゃなくて、もう既に関係市町村の三沢市、上北町、東北町からは飲み水が足りないという非常に強い要望がございまして、早くどうにかしてくれないかという要望が強く私どもに届いておるということは痛切に、痛感しております。  また、かんがい用水でございますが、これは農水省所管でございますが、国営の相坂川左岸地区かんがい排水事業、七千三百ヘクタールにわたります。そして、県の畑地かんがいの土地改良事業が一千ヘクタールに及びますが、これについても事業を着手されておりまして、将来私ども、農水省と協議をしながら、この水をどうしようかということを決めていかなければいけないなと今考えておる段階でございます。
  66. 今村修

    今村分科員 これは後ほどちょっとまたお聞きしますが、むつ小川原開発計画という問題についてはお聞きします。  発端はそこにあることはあるのですが、二十年間、計画はつくられたけれども全く具体化しないというまま放置してきたというこの責任は一体どうなるんですか。むつ小川原開発計画というのは国家的プロジェクトと言われた計画でもあるんです。その点は後ほど触れますけれども、このために、三沢市や地元では、上水道が欲しいという点で、小川原湖広域水道企業団という組織をつくって、一定の金を負担しながらこの上水を引くための準備をしてきた。しかし、どうにも間に合わないので別の対策をしなければならぬということで、簡易水道を含めて地下水利用の方向に変えるという形で水の確保をやってきたというのがこの二十年間の経過なんです。当初つくった計画どおり進むとすればそんなむだなことをしなくてもいい、こういうことになるわけです。  工業用水についても、これはこれでとても計画が進んでいないから、こういうことで別な河川から水は確保しようということで、そのための対策がとられている、こんな状況になっているわけです。  これは、むつ小川原開発計画が青森県でつくった計画だ、こんなお話ですけれども、これは閣議了解を経ながら国としてつくった大きなプロジェクト計画であって、それに基づく最も基本になる計画一つの利水計画が全然進んでこなかった、極端な言い方をすると、全く手をつけられないまま二十年間放置をされてきた、この責任というのは国は全くないということなんですか。この点だけお答えをいただきたいと思います。
  67. 竹村公太郎

    ○竹村説明員 御説明させていただきます。  建設省としましても、この地域方々の飲み水、一番生活の基本でございます飲み水が逼迫しておるということは強く認識しております。小川原湖全体の開発につきましては、私ども、一部の担当責任を負っておるものでございますが、今先生の御指摘のように、計画から随分時間がたっておりますので、建設省では、計画がつくられてから長時間かかったものについては、現時点での流域の方々の視線、目線でもってこの大規模公共事業をもう一度議論し評価しようじゃないかということで、小川原湖総合開発事業審議委員会というのを去年の秋に設置いたしました。そこで、地域行政関係者、学識経験者等に集まっていただき、この小川原湖開発の全体について実は議論していただいています。  その中で二つはっきりしたことは、治水事業はともかく早くやってくれ、継続してやってくれという、第一点。第二点としましては、工業用水が中心となったこの大きな開発というのは、現時点では大きな社会変動を受けてなかなか先へ進まないだろう。ただし、地域の必要な水はどうしても必要なので、むつ小川原の全面淡水化ということではなくて、ほかの方策がないか、ほかの手法がないだろうかということを強く審議委員会で私ども要望を受けまして、東北地方建設局は、高瀬川等を初めとするほかの川、全面淡水化以外の方策を現在鋭意詰めている真っ最中でございます。
  68. 今村修

    今村分科員 国家プロジェクトと言われながら、それが二十年間全く進んでこないまま計画だけは残されてきた。これは、実際だれも水を使うなんというのは思っていないのですね。また、使える状態にもないわけです。そのことを知りながら計画だけは残されてきた。この計画の見直しについては何度となく指摘をしながら、この計画は一体どうするんだという議論は県の議会でも行われてきたし、たしか国でも行われてきたはずですよ。その都度答弁に出てきたのは将来この計画が実現するという話で、計画が残されてきたという結果になっているのですね。今になって、計画はちょっと無理です、こんな話になると、その過程で主張してきたその人たちの責任というのは重いものだ、この点は私は指摘をしておきたいと思います。  今ちょっとお答えがあったわけですけれども、この水の利用計画はこのままではいかぬ、こういうような内容で、東北地建が中心になって小川原湖総合開発事業審議委員会をつくって、この水利用についての検討を始めた。この検討の中では、もはや小川原湖を全面淡水化して利用するというのはもう無理だ、こういうような方向になっている。そして、これだけの水を使うということもまた無理だ。  こうなると、この計画全体、水利用計画全体は大幅に見直しになる、全面淡水化計画はなくなる、こういうことで理解していいのですか。
  69. 竹村公太郎

    ○竹村説明員 この小川原湖全体の計画につきましては、現在青森県で第二次基本計画の策定中でございまして、平成七年、八年、二カ年にわたって作業をする。そして要は、今年度中に青森県の第二次基本計画が出ますので、それを受けて私ども最終的に判断をいたしますが、現時点における私ども審議委員会における議論と東北地建の判断では、小川原湖の全面淡水化ということは見送って、高瀬川、砂土路川等の川における水資源開発、代替水源をきちんと探していこうという方向で現在検討が進んでおります。
  70. 今村修

    今村分科員 この全面淡水化計画をめぐっては、この小川原湖を使っている漁民の漁業補償というのがまた大変な問題になってきたのです。賛否、賛成、反対をめぐってのいろいろな議論もあってきたわけですね。そして、早く調査をして、一方では、早く補償してくれと。早急に補償しますと、こういう答えが何度も出て、しかし調査だ、調査だという形でこれもずるずると来てしまった。こういう経過になっているわけですね。  今度は、大幅な見直したということになると、どのくらいの水を使うかによってこの漁業補償問題というのはまた変わってくるのでしょうけれども、この漁業補償問題というのはどういう経過なんですか。
  71. 竹村公太郎

    ○竹村説明員 この小川原湖開発に関係します漁業協同組合は三漁協ございまして、小川原湖漁業協同組合以下三組合でございます。約千六百人の方々関係していると聞いております。  私ども事業者として、この事業計画を常に毎年御説明する会を設け、今先生指摘のように、全面淡水化が成った暁には、漁業に対して大きな影響があるので、補償させていただくということでお話ししてまいっておりますし、そのために小川原湖漁業調査委員会というものを設けて、小川原湖の漁業への影響、水産業への影響が、淡水化した暁にはどのようなものになるだろうかということを検討していたわけでございます。  今まで私がるる御説明しましたように、今後の展開が従来の形と変わったものになる可能性が出てまいりましたので、私どもは、青森県の現在の計画を受けて次の新たなる計画を策定し、関係者にそれをきちんと御説明して、わかりやすい形で、関係者の同意、了解を得て事業を進めていきたいと考えております。
  72. 今村修

    今村分科員 いろいろ事情があってきた経過ですけれども、ただ、国の場合は人が、三年なら三年、人事異動でかわりますよ。地元で影響を受ける人は、そこに永久に住んでいる人たちなのです。二十年間振り回され続けてきた人たちは一体どうなるのだというのがあるのですね。そのことだけ指摘をしておきたいと思います。  この利水計画がなぜつくられてきたかという点では、むつ小川原開発計画というのがあるのですね。国の取りまとめは国土庁、こういうことになっているようであります。これは列島改造論の、あの全国巨大開発計画の中にのってつくられてきた計画一つです。第一次計画昭和四十七年につくられ、第二次計画が四十九年、そしてあの地域に、石油精製一日に百万バレル、石油化学、年百六十万トン、火力発電三百二十万キロワットの施設をつくるという計画で進んできたわけであります。この計画は今もって生きています。  しかし、あのオイルショック以後、重厚長大型の、なおかつこういう石油関連の巨大コンビナート、これはもうだれもが不可能だ、こう思いつつ、二十数年間計画が変更されないまま進んできた、こういう経過になっているわけであります。その結果、先ほどの水計画のように、計画が引き継がれて今日まで至って、その対策に地元の人たちが悩まされ続けてきた、こういう経過になっているわけであります。  その後、ここには、計画が進まないということで、核燃料サイクル施設の計画が付録として盛り込まれて、付録として盛り込まれた計画が母屋を乗っ取ってしまった。こういう計画になって、計画上は巨大石油コンビナートがつくられるという計画になっていますけれども、実態は核燃料サイクル施設、こういう形になっているわけであります。  青森県は、こうした実態も含めて、検討委員会を含めて平成九年二月には中間報告を出したい、こういうことで計画の見直しに入っています。国としてどういう対応をなされているのか、その点についてお伺いをしておきたいと思います。
  73. 岩崎忠夫

    ○岩崎政府委員 まず、むつ小川原開発についてでございますけれども先生御案内のとおり、新全総におきまして大規模工業基地として位置づけられまして、また昭和六十二年の四全総におきましても、「我が国でも数少ない貴重な大規模工業適地であることから、所要の基盤整備を図りつつ、基幹資源型工業の立地にとどまらず長期的視点に立った有効利用を積極的に推進する。」とされているところでございます。  そこで、本開発の基本となる計画でございますが、これは、青森県が昭和五十年十二月に作成しまして、昭和六十年四月に修正をいたしました、むつ小川原開発第二次基本計画でございます。関係省庁は、むつ小川原総合開発会議におきまして計画の調整を行いつつ、昭和五十二年及び昭和六十年の閣議口頭了解に従いまして、同基本計画を参酌しつつ、計画の具体化のための所要の措置を講じているところでございます。  むつ小川原開発地域は、企業立地につきましてはいまだその途上にあるわけでありますが、既に、国家石油備蓄基地、原燃サイクル施設及び関連企業等の立地によりまして、約千百ヘクタールの用地分譲がなされておるところでございます。  また、むつ小川原港の港湾整備事業でありますとか、あるいは先ほど御審議賜りました小川原湖総合開発事業、さらには道路整備事業等の所要の基盤整備が進められておりますとともに、業務・商業施設、住宅等の整備も進められているところであります。  今後とも、私どもといたしましては、工業開発を通じて地域の総合開発を図る、こういうむつ小川原開発の基本理念に立って、多角的な企業立地あるいは所要の基盤整備を進めていくことが重要であると考えております。地元青森県の意向を十分尊重いたしまして、関係省庁との調整を図って、本開発を推進してまいりたいと考えておるところであります。  そこで、青森県におきましては、先生御案内のとおりでありますが、平成七年度から二カ年程度の期間でもって、原計画でありますこのむつ小川原開発第二次基本計画のフォローアップ調査といたしまして、現状の分析を図るとともに、今後の開発の基本方向について調査を行っているわけであります。私ども、こうした地元青森県の意向を十分尊重いたしまして、今後の進め方を考えてまいりたいというように考えておるところでございます。
  74. 今村修

    今村分科員 何回も指摘したように、国家プロジェクトとして進んだ計画でもあるわけですね。地元青森県の対応も、これは大切だと思いますよ。しかし、ありもしない計画が二十年以上も生き続けてきた、それが地元のいろいろな混乱を生んできたという結果になっているわけですね。  土地を売った農業者は、あの地域で巨大開発が行われ、みずからを含めて就職の場を得ることができるといって農地を手放し、農地転用していったわけです。ところが、当時の話とは似ても似つかぬものがあの地域にできているのですよ。そのことについても全然責任を感じない。そして、進まないことに対するいら立ち、いわば県民の感情も理解しない、こんな形で進んできたような気がします。そういう点では、当然できないはずですから、見直しをするのは当然だと思っています。  ただ、この地域に住んでいて、集落ごと移転をした、みずからの土地を手放して移転した人たちの願いは全部踏みにじられてしまった、こんな結果になっているわけです。そういう点では、その願いを少しでも実現するということでこれから対処していただきたい、そのことを強くお願いをしたいと思います。  最後に、これは長官の方に。国家プロジェクトだ、こういう形で進んできたわけですね。今後とも国家プロジェクトという位置づけということではこの開発は変わりない、こういうことで理解していいのですか。この点だけ最後に長官にお伺いして、質問を終わらせていただきたいと思うのです。
  75. 鈴木和美

    鈴木国務大臣 先生の御意見なり御主張なりを真剣に受けとめまして、何といっても青森県が具体的に策定する計画なものですから、国土庁が総合調整官庁とはいいながら、なかなか口が出せないという面もありますが、今の先生の御主張を十分受けとめまして、まじめに、青森県と調整をしながら対応、対処していきたいと思っております。
  76. 今村修

    今村分科員 くどいようですけれども、問題は、この開発は国家プロジェクトとして進んできた計画です。中身はどこまでどうなのかというのは別にしく国家プロジェクトだという位置づけそのものは今後も変わらない、こういうことで理解していいのか、いや、ちょっと変わるのですよという形になるのか。この点について、くどいようですけれども、もう一度長官にお願いします。
  77. 鈴木和美

    鈴木国務大臣 今までの四全総までの中では、きちっと国家的なものであるという位置づけになっております。さて、これから新しい全総計画を組むに当たって、今までの四全総の考え方を踏襲しながら、具体的にどうするのかということで対応してまいりたいと思っております。
  78. 今村修

    今村分科員 終わります。  どうもありがとうございました。
  79. 田中昭一

    ○田中主査 これにて今村修君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして国土庁所管質疑は終了いたしました。     —————————————
  80. 田中昭一

    ○田中主査 これより沖縄開発庁所管沖縄振興開発金融公庫について審査を行います。  まず、概要説明を聴取いたします。岡部沖縄開発庁長官。
  81. 岡部三郎

    ○岡部国務大臣 平成四年度における沖縄開発庁の歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  平成四年度の当初歳出予算額は二千七百四十億八千九百七十三万円余でありましたが、これに予算補正追加額三百二十億七百八十一万円余、予算補正修正減少額八千五百三十七万円余、予算移しかえ増加額九十一万円余、予算移しかえ減少額一千二百三億九千六百二十八万円余、前年度繰越額三十七億一千六百十六万円余を増減いたしますと、平成四年度歳出予算現額は一千八百九十三億三千二百九十七万円余となります。  この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は一千八百八億五千二百九十七万円余、翌年度へ繰り越した額は七十四億一千二百十万円余、不用となった額は十億六千七百八十九万円余であります。  続きまして、平成五年度における歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  平成五年度の当初歳出予算額は二千八百八十九億二千八百三万円余でありましたが、これに予算補正追加額一千四百二十一億六千三百八十万円余、予算補正修正減少額一億七千九百九十七万円余、予算移しかえ増加額九十一万円余、予算移しかえ減少額一千六百五十九億六千百二万円、前年度繰越額七十四億一千二百十万円余を増減いたしますと、平成五年度歳出予算現額は二千七百二十三億六千三百八十六万円余となります。  この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は二千四百九十三億九千七百八万円余、翌年度へ繰り越した額は二百一十四億八千三百二十三万円余、不用となった額は四億八千三百五十四万円余であります。  以上をもちまして平成四年度及び平成五年度沖縄開発庁の決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願いいたします。
  82. 田中昭一

    ○田中主査 次に、会計検査院検査概要説明を聴取いたします。会計検査院山田第三局長
  83. 山田昭郎

    山田会計検査院説明員 平成四年度沖縄開発庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  また、平成五年度沖縄開発庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  84. 田中昭一

    ○田中主査 次に、会計検査院平岡第五局長
  85. 平岡哲也

    ○平岡会計検査院説明員 平成四年度沖縄振興開発金融公庫決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  また、平成五年度沖縄振興開発金融公庫決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  86. 田中昭一

    ○田中主査 この際、お諮りいたします。  お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 田中昭一

    ○田中主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————    平成四年度沖縄開発庁歳出決算概要説明                 沖縄開発庁  平成四年度における沖縄開発庁の歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  平成四年度の当初歳出予算額は二千七百四十億八千九百七十三万円余でありましたが、これに予算補正追加額三百二十億七百八十一万円余、予算補正修正減少額八千五百三十七万円余、予算移替増加額九十一万円余、予算移替減少額一千二百三億九千六百二十八万円余、前年度繰越額三十七億一千六百十六万円余を増減いたしますと、平成四年度歳出予算現額は一千八百九十三億三千二百九十七万円余となります。  この歳出予算現額に対し、支出済歳出額は一千八百八億五千二百九十七万円余、翌年度へ繰り越した額は七十四億一千二百十万円余、不用となった額は十億六千七百八十九万円余であります。  支出済歳出額の主なものは、沖縄の振興開発のための財源として、治水特別会計、国有林野事業特別会計、道路整備特別会計、港湾整備特別会計、空港整備特別会計及び国営土地改良事業特別会計へ繰り入れた経費一千五百六十億九千百八万円余であります。  次に翌年度へ繰り越した額七十四億一千二百十万円余は、補償処理の困難、計画に関する諸条件等により事業の実施に不測の日数を要したため、道路整備特別会計等への繰入れが年度内に完了しなかったことによるものであります。  また、不用となった十億六千七百八十九万円余は、沖縄振興開発金融公庫において貸付金利息収入が予定より多かったこと等により沖縄振興開発金融公庫補給金を要することが少なかったこと等により生じたものであります。  以上をもちまして平成四年度沖縄開発庁の決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願いいたします。     —————————————    平成五年度沖縄開発庁歳出決算概要説明                 沖縄開発庁  平成五年度における沖縄開発庁の歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  平成五年度の当初歳出予算額は二千八百八十九億二千八百三万円余でありましたが、これに予算補正追加額一千四百二十一億六千三百八十万円余、予算補正修正減少額一億七千九百九十七万円余、予算移替増加額九十一万円余、予算移替減少額一千六百五十九億六千百二万円、前年度繰越額七十四億一千二百十万円余を増減いたしますと、平成五年度歳出予算現額は二千七百二十三億六千三百八十六万円余となります。  この歳出予算現額に対し、支出済歳出額は二千四百九十三億九千七百八万円余、翌年度へ繰り越した額は二百二十四億八千三百二十三万円余、不用となった額は四億八千三百五十四万円余であります。  支出済歳出額の主なものは、沖縄の振興開発のための財源として、治水特別会計、国有林野事業特別会計、道路整備特別会計、港湾整備特別会計、空港整備特別会計及び国営土地改良事業特別会計へ繰り入れた経費二千二百三十八億八千六百六十七万円余であります。  次に翌年度へ繰り越した額二百二十四億八千三百二十三万円余は、計画及び設計に関する諸条件、補償処理の困難等により事業の実施に不測の日数を要したため、道路整備特別会計等への繰入れが年度内に完了しなかったことによるものであります。  また、不用となった四億八千三百五十四万円余は、沖縄振興開発金融公庫において貸付金利息収入が予定より多かったこと等により沖縄振興開発金融公庫補給金を要することが少なかったこと等により生じたものであります。  以上をもちまして平成五年度沖縄開発庁の決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願いいたします。     —————————————    平成四年度沖縄振興開発金融公庫の業務概況            沖縄振興開発金融公庫  沖縄振興開発金融公庫平成四年度の業務の概況につきまして、御説明申し上げます。  沖縄振興開発金融公庫は、沖縄における産業の開発を促進するため、長期資金を供給すること等により、一般の金融機関が行う金融及び民間の投資を補完し、又は奨励するとともに、沖縄の国民大衆、住宅を必要とする者、農林漁業者、中小企業者、病院その他の医療施設を開設する者、環境衛生関係の営業者等に対する資金で、一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通し、もって沖縄における経済の振興及び社会の開発に資することを目的とするものであります。  平成四年度の事業計画は、貸付として二千二百四十一億円、出資として三億円、合計二千二百四十四億円を予定しておりました。  この計画に対する実績は、貸付契約額が二千二百三十二億五千万円余でありまして、出資が一億二千万円、合計二千二百三十三億七千万円余となっております。  次に、貸付残高について御説明申し上げます。  平成三年度末の貸付残高は一兆一千百八十三億七千万円余でありましたが、平成四年度中に貸付けを二千百五十億一千万円余行い、回収が九百八十一億八千万円余ありましたので、平成四年度末においては一兆二千三百五十二億円余となっております。  なお、貸付金の延滞状況につきましては、平成四年度末におきまして弁済期限を六か月以上経過した元金延滞額は百十五億一千万円余でありまして、このうち一年以上のものは九十六億四千万円余となっております。  次に、平成四年度の収入・支出の決算について御説明申し上げます。  収入済額は七百二十二億九千万円余でありまして、これを収入予算額六百九十八億三千万円余に比較いたしますと二十四億五千万円余の増加となっております。この増加いたしましたおもな理由は、貸付金利息収入等が予定より多かったためであります。  支出済額は七百十四億二千万円余でありまして、これを支出予算額七百三十四億六千万円余に比較いたしますと二十億三千万円余の減少となっております。これは借入金利息等が予定より少なかったためであります。  最後に、平成四年度における損益計算について御説明申し上げます。貸付金利息等の総利益は七百九十九億一千万円余、借入金利息等の総損失は七百九十八億七千万円余となり、差引き三千万円余の利益金を生じました。  この利益金は、本土産米穀資金特別勘定の利益金でありますので、沖縄振興開発金融公庫法施行令附則第五条第二項の規定により同勘定の積立金として積み立てることとし、国庫納付金は生じませんでした。  以上が平成四年度における沖縄振興開発金融公庫の業務の概況であります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。     —————————————   平成五年度沖縄振興開発金融公庫の業務概況           沖縄振興開発金融公庫沖縄振興開発金融公庫平成五年度の業務の概況につきまして、御説明申し上げます。  沖縄振興開発金融公庫は、沖縄における産業の開発を促進するため、長期資金を供給すること等により、一般の金融機関が行う金融及び民間の投資を補完し、又は奨励するとともに、沖縄の国民大衆、住宅を必要とする者、農林漁業者、中小企業者、病院その他の医療施設を開設する者、環境衛生関係の営業者等に対する資金で、一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通し、もって沖縄における経済の振興及び社会の開発に資することを目的とするものであります。  平成五年度の事業計画は、貸付として二千七百七十九億六千万円、出資として三億円、合計二千七百八十二億六千万円を予定しておりました。  この計画に対する実績は、貸付契約額が二千七百七十六億五千万円余でありまして、出資が六千万円、合計二千七百七十七億一千万円余となっております。  次に、貸付残高について御説明申し上げます。  平成四年度末の貸付残高は一兆二千三百五十二億円余でありましたが、平成五年度中に貸付けを二千五百八十五億四千万円余行い、回収が千百五十三億三千万円余ありましたので、平成五年度末においては一兆三千七百八十四億円余となっております。  なお、貸付金の延滞状況につきましては、平成五年度末におきまして弁済期限を六か月以上経過した元金延滞額は百十九億円余でありまして、このうち一年以上のものは百十四億円余となっております。  次に、平成五年度の収入・支出の決算について御説明申し上げます。  収入済額は七百七十二億円余でありまして、これを収入予算額七百四十二億八千万円余に比較いたしますと二十九億二千万円余の増加となっております。この増加いたしましたおもな理由は、貸付金利息収入等が予定より多かったためであります。  支出済額は七百二十八億七千万円余でありまして、これを支出予算額七百五十億五千万円余に比較いたしますと二十一億七千万円余の減少となっております。これは借入金利息等が予定より少なかったためであります。  最後に、平成五年度における損益計算について御説明申し上げます。  貸付金利息等の総利益は八百五十二億円余、借入金利息等の総損失は八百五十一億七千万円余となり、差引き三千万円余の利益金を生じました。  この利益金は、本土産米穀資金特別勘定の利益でありますので、沖縄振興開発金融公庫法施行令附則第五条第二項の規定により同勘定の積立金として積み立てることとし、国庫納付金は生じませんでした。  以上が平成五年度における沖縄振興開発金融公庫の業務の概況であります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。     —————————————
  88. 田中昭一

    ○田中主査 以上をもちまして沖縄開発庁所管沖縄振興開発金融公庫説明は終わりました。  これより質疑に入るのでありますが、その申し出がありませんので、沖縄開発庁所管沖縄振興開発金融公庫については終了いたしました。     —————————————
  89. 田中昭一

    ○田中主査 これより北海道開発庁所管北海道東北開発公庫について審査を行います。  まず、概要説明を聴取いたします。岡部北海道開発庁長官
  90. 岡部三郎

    ○岡部国務大臣 平成四年度及び平成五年度における北海道開発庁決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  平成四年度の当初予算額は八千五百九十八億五千三百八十八万円余でありましたが、これに予算補正追加額一千三百三億五千七百四十九万円余、予算補正修正減少額一億六千六百九十二万円余、予算移しかえ増加額七千二百七十四万円余、予算移しかえ減少額二千九百六億四千百十四万円余、前年度繰越額三億二千二十五万円を増減いたしますと、平成四年度歳出予算現額は六千九百九十七億九千六百三十万円余となります。  この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は六千九百五十三億七千五百六十八万円余、翌年度繰越額三十億九千八百八十七万円余でありまして、その差額十三億二千百七十四万円余は不用額であります。  次に、平成五年度の決算概要でございますが、平成五年度の当初予算額は九千七十六億七千三百七十六万円余でありましたが、これに予算補正追加額四千八百五十一億七百四十七万円余、予算補正修正減少額三十二億二千二百九十一万円余、予算移しかえ増加額七千九十五万円余、予算移しかえ減少額三千九百七十六億四百八十八万円余、前年度繰越額三十億九千八百八十七万円余を増減いたしますと、平成五年度歳出予算現額は九千九百五十一億二千三百二十七万円余となります。  この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は九千四百三十七億八千四百四十四万円余、翌年度繰越額五百八億七千五百六十六万円余でありまして、その差額四億六千三百十六万円余は不用額であります。  以上をもちまして決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願いいたします。
  91. 田中昭一

    ○田中主査 次に、会計検査院検査概要説明を聴取いたします。会計検査院山田第三局長
  92. 山田昭郎

    山田会計検査院説明員 平成四年度北海道開発庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  また、平成五年度北海道開発庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  93. 田中昭一

    ○田中主査 次に、会計検査院平岡第五局長
  94. 平岡哲也

    ○平岡会計検査院説明員 平成四年度北海道東北開発公庫決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  また、平成五年度北海道東北開発公庫決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  95. 田中昭一

    ○田中主査 この際、お諮りいたします。  お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 田中昭一

    ○田中主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     …………………………………    平成四年度北海道開発庁決算概要説明                北海道開発庁  平成四年度における北海道開発庁決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  北海道開発庁は、北海道総合開発計画について調査・立案し、これに基づく事業の実施に関する事務の調整・推進を主たる任務としております。  当庁に計上されている経費は、北海道開発事業費、北海道開発計画費、一般行政費等でありますが、このうち開発事業につききましては、総合開発の効果的な推進を期するため一括計上されているものでありまして、治山治水対策・道路整備・港湾漁港空港整備・農業農村整備等の事業費であります。  これら開発事業の執行に当たりましては、関係各省所管の一般会計への移し替え又は特別会計への繰り入れの措置を講じ、直轄事業については北海道開発局など、補助事業については道・市町村などが実施に当たっているものであります。  平成四年度の当初予算額は八千五百九十八億五千三百八十八万円余でありましたが、これに予算補正追加額一千三百三億五千七百四十九万円余、予算補正修正減少額一億六千六百九十二万円余、予算移替増加額七千二百七十四万円余、予算移替減少額二千九百六億四千百十四万円余、前年度繰越額三億二千二十五万円を増減いたしますと、平成四年度歳出予算現額は六千九百九十七億九千六百三十万円余となります。  この歳出予算現額に対し、支出済歳出額は六千九百五十三億七千五百六十八万円余、翌年度繰越額三十億九千八百八十七万円余でありまして、その差額十三億二千百七十四万円余は、不用額であります。  次に、開発事業の執行のため、関係各省所管への移し替え及び繰り入れの状況を申し上げますと、移し替えた額は、厚生省所管へ二億八百万円、農林水産省所管へ一千八百十億二千七百二十九万円余、運輸省所管へ九億四千五百万円、建設省所管へ一千八十四億六千八十五万円余、合計二千九百六億四千百十四万円余であります。  また、特別会計への繰り入れとして支出した額は、農林水産省所管の国有林野事業特別会計へ百八十七億四十五万円、農林水産省所管の国営土地改良事業特別会へ八百二十四億七百四十四万円余、運輸省所管の港湾整備特別会計へ五百四十八億七千八百二十三万円余、運輸省所管の空港整備特別会計へ百一億三千百九十五万円、建設省所管の治水特別会計へ一千三百七十七億六千百二十四万円、建設省所管道路整備特別会計へ三千百九億九千百三十万円余、合計六千百四十八億七千六十二万円余であります。  その他の経費の支出につきましては、北海道開発庁の一般行政費百七十億三千三百三十三万円余、北海道開発計画費一億六百二十五万円余、北海道開発事業指導監督費四億一千七百九十九万円余、北海道開発事業の各工事諸費六百二十七億九千二百六十三万円余、北海道特定開発事業推進調査費八千二百九万円余、科学技術振興調整費二千八百三十六万円余、国立機関公害防止等試験研究費一千四百七十万円余、地球環境研究総合推進費四百二十五万円余、地域活性化施策推進費二千五百二十二万円余、南極地域観測事業費十九万円余であります。  以上をもちまして、決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願いいたします。     —————————————    平成五年度北海道開発庁決算概要説明                北海道開発庁  平成五年度における北海道開発庁決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  北海道開発庁は、北海道総合開発計画について調査・立案し、これに基づく事業の実施に関する事務の調整・推進を主たる任務としております。  当庁に計上されている経費は、北海道開発事業費、北海道開発計画費、一般行政費等でありまが、このうち開発事業費につきましては、総合開発の効果的な推進を期するため一括計上されているものでありまして、治山治水対策・道路整備・港湾漁港空港整備・農業農村整備等の事業費であります。  これら開発事業の執行に当たりましては、関係各省所管の一般会計への移し替え又は特別会計への繰り入れの措置を講じ、直轄事業については北海道開発局など、補助事業については道・市町村などが実施に当たっているものであります。  平成五年度の当初予算額は九千七十六億七千三百七十六万円余でありましたが、これに予算補正追加額四千八百五十一億七百四十七万円余、予算補正修正減少額三十二億二千二百九十一万円余、予算移替増加額七千九十五万円余、予算移替減少額三千九百七十六億四百八十八万円余、前年度繰越額三十億九千八百八十七万円余を増減いたしますと、平成五年度歳出予算現額は九千九百五十一億二千三百二十七万円余となります。  この歳出予算現額に対し、支出済歳出額は九千四百三十七億八千四百四十四万円余、翌年度繰越額五百八億七千五百六十六万円余でありまして、その差額四億六千三百十六万円余は、不用額であります。  次に、開発事業の執行のため、関係各省所管への移し替え及び繰り入れの状況を申し上げますと、  移し替えた額は、厚生省所管へ二億二千三百万円、農林水産省所管へ二千四百十二億六千二百四十六万円余、運輸省所管へ十三億八千九百五十万円、建設省所管へ一千五百四十七億二千九百九十二万円余、合計三千九百七十六億四百八十八万円余であります。  また、特別会計への繰り入れとして支出した額は、農林水産省所管の国有林野事業特別会計へ二百六十一億八十五万円余、農林水産省所管の国営土地改良事業特別会計へ一千四億四千百九十万円余、運輸省所管の港湾整備特別会計へ六百五十億九千三十七万円余、運輸省所管の空港整備特別会計へ百三十四億一千三百八十三万円余、建設省所管の治水特別会計へ一千九百九十三億百二十三万円余、建設省所管道路整備特別会計へ四千五百八十七億一千百五十五万円余、合計八千六百三十億五千九百七十六万円余であります。  その他の経費の支出につきましては、北海道開発庁の一般行政費百七十二億四千三百五十四万円余、北海道開発計画費一億四十万円余、北海道開発事業指導監督費四億二百三十七万円余、北海道開発事業の各工事諸費六百二十八億二千五百三十四万円余、北海道特定開発事業推進調査費八千二百九万円余、科学技術振興調整費二千九百六十六万円余、国立機関公害防止等試験研究費一千四百三十四万円余、地球環境研究総合推進費三百三万円余、地域活性化施策推進費一千百三十七万円、災害対策総合推進調整費一千二百五十万円余であります。  以上をもちまして、決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願いいたします。     —————————————    平成四年度決算概要             北海道東北開発公庫  北海道東北開発公庫平成四年度決算について、概要をご説明申し上げます。  当公庫平成四年度の事業計画は、当初、一般出融資二千億円(うち貸付金一千九百八十七億円、出資金十三億円)、社会資本整備促進貸付百八十九億円、合計二千百八十九億円を予定しておりましたが、総合経済対策の一環として、五百億円の追加が認められましたので、最終的には、一般出融資二千五百億円(うち貸付金二千四百九十九億二百万円、出資金九千八百万円)、社会資本整備促進貸付百八十九億円、合計二千六百八十九億円となりました。これに対し、実績は、一般出融資二千五百億円(うち貸付金二千四百九十九億二百万円、出資金九千八百万円)、社会資本整備促進貸付四十六億九千五百万円で、合計二千五百四十六億九千五百万円となりました。これらの出融資の原資といたしましては、政府出資金二十億円、政府借入金及び債券発行による収入等二千五百二十六億九千五百万円、合計二千五百四十六億九千五百万円をもってこれにあてました。  次に、平成四年度の収入・支出の状況をご説明いたしますと、収入済額は、収入予算額六百九十二億七千百二十九万円余に対し七百十七億二千五百五十六万円余、支出済額は、支出予算額七百十三億九千三百十四万円余に対し六百七十四億三千四百四十九万円余でありました。  また、平成四年度の損益状況でございますが、貸付金利息収入等の益金総額が七百五十億五千八百九十七万円余、支払利息、事務費等の損金総額が、貸倒引当金繰り入れ前で七百五億四千二百八十一万円余となり、差額四十五億一千六百十六万円余を全額貸倒引当金に繰り入れたため、利益金は生じませんでした。  さらに、平成四年度末における資産負債状況をご説明いたしますと、主な資産は、貸付金一兆二千二百六十九億五千三万円余、出資金百十九億百万円、主な負債は、政府借入金五千三百五十七億六千六百七十万円余、債券発行高六千四百二十億一千二百万円、貸倒引当金四十五億一千六百十六万円余であります。また、政府出資金は五百七十三億円であります。  なお、平成四年度末における貸付金のうち弁済期限を六ケ月以上経過したものは、六十九億八千百四十万円余でありまして、これは貸付金残高に対して〇・六パーセントになっております。  以上、平成四年度北海道東北開発公庫決算概要をご説明申し上げましたが、何とぞよろしくご審議のほど、お願いいたします。     —————————————    平成五年度決算概要             北海道東北開発公庫  北海道東北開発公庫平成五年度決算について、概要をご説明申し上げます。  当公庫平成五年度の事業計画は、当初、一般出融資二千四百億円(うち貸付金二千三百八十七億円、出資金十三億円)、社会資本整備促進貸付百八十九億円、合計二千五百八十九億円を予定しておりましたが、総合経済対策の一環として、五百億円の追加が認められましたので、最終的には、一般出融資二千九百億円(うち貸付金二千八百九十九億一千万円、出資金九千万円)、社会資本整備促進貸付百八十九億円、合計三千八十九億円となりました。これに対し、実績は、一般出融資二千九百億円(うち貸付金二千八百九十九億一千万円、出資金九千万円)、社会資本整備促進貸付五十四億三千五百万円で、合計二千九百五十四億三千五百万円となりました。これらの出融資の原資といたしましては、政府出資金四十一億円、政府借入金及び債券発行による収入等二千九百十三億三千五百万円、合計二千九百五十四億三千五百万円をもってこれにあてました。  次に、平成五年度の収入・支出の状況をご説明いたしますと、収入済額は、収入予算額七百七十三億八千七百八十六万円余に対し七百八十億三千三十一万円余、支出済額は、支出予算額七百八十六億九千三百五十七万円余に対し七百三十六億二千七百五十二万円余でありました。  また、平成五年度の損益状況でございますが、貸付金利息収入等の益金総額が八百三十一億一千五百六十二万円余、支払利息、事務費等の損金総額が、貸倒引当金繰り入れ前で七百六十九億九千八百七万円余となり、差額六十一億一千七百五十四万円余を全額貸倒引当金に繰り入れたため、利益金は生じませんでした。  さらに、平成五年度末における資産負債状況をご説明いたしますと、主な資産は、貸付金一兆四千四十八億一千二百八十九万円余、出資金百十九億九千百万円、主な負債は、政府借入金六千四百七十二億一千五万円余、債券発行高七千三十四億八千八百万円、貸倒引当金六十一億一千七百五十四万円余であります。また、政府出資金は六百十四億円であります。  なお、平成五年度末における貸付金のうち弁済期限を六ケ月以上経過したものは、八十二億四千六百十九万円余でありまして、これは貸付金残高に対して〇・六パーセントになっております。  以上、平成五年度北海道東北開発公庫決算概要をご説明申し上げましたが、何とぞよろしくご審議のほど、お願いいたします。     —————————————
  97. 田中昭一

    ○田中主査 以上をもちまして北海道開発庁所管北海道東北開発公庫説明は終わりました。     —————————————
  98. 田中昭一

    ○田中主査 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。金田誠一君。
  99. 金田誠一

    金田(誠)分科員 開発庁に、公共事業費の効率的な執行といいますか、より効果的な執行という観点からお尋ねをしたいと思うわけでございます。  実は、会計年度に係ることでございます。  積雪寒冷地の場合、今の会計年度ですと、三月末に予算が決まって四月から執行されるという状況のもとでは、予算が決まって、四月、五月がその設計に要する期間になってしまって、六月から実際に工事にかかる。一番工事がしやすい時期に工事ができない。それで、勢い降雪期にかかってしまうとか、しかし冬期間の工事というのは非常に制約を受ける、コストもかさむということがあるわけでございます。  それに対して、例えば会計年度を四月から三月ではなくて暦年にできないのか。一月から十二月。これは、非常に古くからある話のようでございます。地元で時々経済界の皆様から要請を受けるわけでございますけれども、会計年度を暦年に変えた場合、十二月の末に予算が成立をする。正月が明けて、一月、二月、室内で設計だとか積算であるとかということができる。雪解けと同時に工事にかかれる。年間を通して計画的に執行することによって、景気浮揚の面あるいは雇用の確保の面で、同じ予算を使うにしても効果はかなり違ってくるはずだ。特に、昨今財政危機が叫ばれ、財政改革の中で公共事業費も聖域ではないというようなことが言われている中で、特に北海道は公共事業に依存する度合いが非常に高い。そういう立場からいいますと、限られた公共事業費をいかに効率的に使うかということでは、これは十分検討に値するテーマだろう、こう思っているわけでございます。  もちろん、右から左に簡単にできることではないわけでございますけれども、ここで開発庁にお願いを申し上げたいことは、今のような四月から三月という会計年度で公共事業を行う場合と、一月から十二月というふうにして行う場合と、一定の条件を設定して、公共事業費を執行した場合の景気に及ぼす影響、あるいは雇用に与える影響、全く同じということはないと思うのですよ。どう考えても常識的には効果はあると思うのです。その辺のところをひとつ調査する、研究する、シミュレーションをするといいますか、そういう年度を変えるに当たっても確固たる根拠なりが必要なわけですから、その根拠を探すための御努力をいただけないものか、こう思うのですが、いかがなものでしょうか。
  100. 岡部三郎

    ○岡部国務大臣 北海道のような積雪寒冷地帯の公共事業の施行という面から考えますと、先生おっしゃるとおりだと思うのです。やはり一番大事な夏場の時期になかなか工事に取りかかれない、少なくとも新規工事はどうしても秋以降になってしまう、そうすると当該年度は、初年度はなかなか工事はできないというふうな状況が間々あるわけでございます。  ただ、同じ公共事業でも、例えば沖縄の公共事業を考えますと、これはむしろ冬場の方がやりいいというふうなこともあります。それから、会計年度という点から考えますと、これは公共事業の執行ばかりでなくて、さまざまな制度、習慣がその上に成り立っておることでもあります。それから先生もおっしゃったように、会計年度を四月からにするというのは、これは明治十九年に始まったのだそうで、百年の歴史があるということで、これを変えるということはなかなか容易ではないということです。  そこで、昭和五十七年ごろから御承知のようなゼロ国債というふうな制度を活用しまして、そしてできるだけ早く発注ができるようにということで今進めておるわけでありまして、ゼロ国債につきましても、当初は北海道全体で、開発庁で五百億足らずのものでございましたが、今二千億を超えるというふうなことになってまいりましたので、やはり当面はこういう制度を大いに活用して円滑な公共事業の執行を図ってまいりたい、かように今考えておる次第でございます。
  101. 金田誠一

    金田(誠)分科員 長官おっしゃるように、これは簡単なものではないということは重々承知をいたしてございます。しかし、例えば学校の始まる、新学期が始まる時期も、今の四月から、欧米に合わせて九月とか十月ですか、そういう検討もされているようでございます。各国によって会計年度もまちまちということもあるわけでございます。  そして、一番緊急な問題は、財政事情が公共事業費まで目を向けざるを得ない状況にあるということが昨今大きくクローズアップされているということでございます。公共事業に依存する度合いが非常に高い地域だけに、国だけでなく、道、市町村の事業もあるわけでございますけれども、財政のためだけに公共事業も聖域ではないなどと言われましても、背に腹はかえられないという事情があるわけでございまして、もしそういう公共事業費そのものの検討がなされるとすれば、それの裏づけなり、多少なりとも穴埋めをするといいますか、補完をする措置があわせて検討されなければなかなか理解は得にくいのではないだろうかなという気もいたします。  もとより、長官おっしゃるように大変難しい問題だ、税から何からすべてにかかわることは承知をしております。それにつけても、実際に景気なり雇用なり、雇用保険の受給などにも結構影響してくると思うのですけれども、そうした総合的な収支がどうなるのかという検討のための基礎資料、全く検討にも値しないということではなくて、ぜひひとつ今後の問題として御検討いただければありがたいということを、御要望だけ申し上げさせていただきたいと思うわけでございます。  次に、また北海道のことでございますけれども、北海道における札幌一極集中の弊害ということについてお考えを伺いたいと思うわけでございます。  私は実はかねがね、北海道が行政体としては一つである、四国は四県、九州は七県、それに対して北海道は、まあ一県ですね。かって三つの県の時代もあったわけでございますけれども、北海道開拓をいかに効率的に集権的に中央直轄でやっていくかということでの北海道開拓史以来の流れだと思うのですが、その状況にいまだもって置かれている。北海道開発庁が存在し、沖縄には沖縄開発庁が存在するということは、北海道と沖縄はまともな日本の内地のレベルには達していないのかな、相変わらず北海道は開拓地であり、植民地であり、あるいは沖縄は、米軍基地を見てもわかるように、まだまだ占領地という扱いを受けているのかなという気がして実は残念でならないわけでございますが、北海道が一つ行政体であるということによって、札幌一極集中がますます助長されているという傾向があると思います。  厚生省所管の医療法の中では医療圏というものをつくることになっておりまして、第三次医療圏というのは、普通は県ごとに第三次医療圏が設置されているのですが、北海道に限りその第三次医療圏が六つに分割をされている。六つの生活圏に分かれているということでございます。いわば北海道には六つの県が存在するということと同じだと思うわけでございます。にもかかわらず、北海道庁、札幌に一カ所ということがさまざまな弊害を生んでいると思うわけでございます。  これにつけても分県論、分県の県は都道府県の県でございますが、かねがねそういう運動はずっと続いてあるわけでございますが、これまたいきなり県に分けろなどという無理を申し上げるつもりはございません。ただ、四国が四県、九州が七県、にもかかわらず九州などは福岡一極集中がかなり問題になっているというふうに伺っておりますけれども、それが、例えば九州に県がなくて、九州道などというものが一つ福岡にあったとしたらどうなるか。そういうことを想像していただければ、北海道の状態というのはおのずとわかろうかと思うわけでございます。  私は、先般、総務庁長官あるいは官房長官にも同じ質問をさせていただいたのですが、北海道を管轄する国のお役所という立場から見て、北海道の均衡ある発展ということから見て、この現状をどう認識されておられるか。人口集中が札幌圏ばかり進む。あとは、旭川、釧路、函館、いわゆる内地でいえば県庁所在地並みの集積のある役割を果たしている都市にもかかわらず、軒並み人口減少しているという状況です。道央圏の人口の集積は約六〇%と、東京一極集中どころではない。このいびつな形についてまずどう認識をされておられるか、それについて御所見を賜れればと思います。
  102. 岡部三郎

    ○岡部国務大臣 金田先生の北海道分県論につきましてはかねてから承っておりまして、大変に貴重な御意見だと考えております。  ただ、北海道を分県するか否かということは、いわば地方自治の根幹にかかわる問題でございますので、これはやはり一義的には北海道議会なりで大いに議論をしていただいて、道民の方々の合意形成を得るということが一番基本ではないかというふうにも考えますので、開発庁という立場からの発言は、やはり慎重にしてまいらなければならぬというふうに考えております。  ただ、おっしゃるとおり、北海道も一極集中があるということは厳然たる事実でありまして、やはりこれを何とか改善をしていかなければならないということで、現在やっています第五期北海道総合開発計画でも、今御指摘のように、北海道を六つのブロックに分けまして、おのおのの地域の特徴をとらえた開発整備の仕方を進めていきたいということで進めておるわけであります。しかし、なかなか現実には、なお道央地域の人口はふえておる、それから帯広あたりは横ばいですが、それ以外のブロックは減少しておるという状況が続いておるわけであります。  したがって、今、第六期といいますか、次の期の総合開発計画検討をいろいろやっております。その中でも、そういう各地域の主要都市との交通ネットワークの整備であるとか、さまざまな施策を通じて、やはり北海道全体の均衡ある発展、人口の分散を図っていくということが大切である、主要な課題であるということで検討を進めておるわけでございます。どうぞ先生にもそういう面でぜひ御協力をお願いいたしたいと思う次第でございます。
  103. 金田誠一

    金田(誠)分科員 北海道の議会なり住民の盛り上がりさえあれば、国は聞く耳を持つというお立場だと受けとめさせていただきました。これも会計年度と同様に、そう簡単なものではないということはよく承知はいたしておりますけれども、この不均衡の是正をするためには、私は、将来分県に向けてそれしかないと思っておりまして、また機会あるごとに意見を述べさせていただきたい、こう思っております。  そこで、そういう中でも国としてやれることはあるのではないか。長官の方から今るる御説明もございましたけれども、そのほかにも、例えば国でいろいろな国としての施策を講ずる場合に、各都道府県ごと一カ所などという基準の決め方が結構あるわけでございます。  各省庁伺いましたけれども、特に厚生省などから資料をいただきましたら、例えば都道府県ナースセンターであるとか、介護実習・普及センターであるとか、健康科学センターであるとか、いろいろな国がつくる施設などで、都道府県ごと一カ所というものがあるようでございます。例えばテクノポリスなどは、都道府県ごと一カ所に仮になっていても、北海道は多少多目とか、そういう配慮はされているようでございますけれども、このケース・バイ・ケースの配慮ではなくて、北海道というものは都道府県ということで一つの県並みに扱うべきものではそもそもないということぐらいは、これはいかに国といえども合意はできるのではないでしょうか。四国は四県に扱われているわけですから、北海道一県というのは余りにもひどいではないか。  例えば、参議院の議員定数というのは、各県一人、半期で二人になるわけですね。四国は八人の参議院議員がいる。北海道は半期三年、二人です。入れかわりで四人です。四国が八人で北海道四人というのは、これは一体どうなっているんだ。面積からいっても人口からいっても、はるかに広い、人口も多い北海道が、そこの代表者の数は半分にしかすぎない、こういう不均衡、北海道も一県だというふうに数えてしまえば、それも成り立つのかもしれませんが、そもそも一県と数えることが不合理ではないかというふうに思うわけでございます。  そこで、開発庁にぜひお願いなんですけれども、北海道を所管する官庁という立場から、各省庁で各都道府県ごと一カ所などという基準を決める場合には、北海道については、例えば生活圏が六つに分かれているわけですから、六つがいいのか五つがいいのかは意見はありましょうが、ぜひひとつ北海道は幾つという形を通常とり得るような措置ができないか。  これは例えば閣議了解であるとか——地方自治法の改正まではしなくてもできるのだと思います、国の施策としては。閣議了解などで、都府県一カ所、北海道は六カ所とか、北海道は、都道府県ごとに基準をつくる場合はそういう基準であるべきであるということができないものか。これはやはり国の施策を行う場合の基準ですから、その話を持ち上げていただくのは私は北海道開発庁ではないだろうかと思うのですが、いかがなものでしょう。
  104. 岡部三郎

    ○岡部国務大臣 確かに、都道府県ごとに何かの施設を一カ所というふうな画一的な行政というのはまことにおかしな話で、そういうことをあくまで進めるなら、おっしゃるとおり開発庁は要らないわけでありますから、やはり北海道の開発施策の推進上どうしても必要な施設については、そういう基準にとらわれず、やはり北海道の特殊事情というのを十分考えて配置をしてもらいたい。こういうことで私どもも今までも関係各省とも十分連携をとりながらそういう政策を進めてきて、今御指摘のように、幾つかのケースについてはそういう考え方を取り入れていただいているところもあるわけであります。  これからもぜひそういうことで、関係各省の理解を得つつ、開発行政上必要な施策については十分確保するように努力をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  105. 金田誠一

    金田(誠)分科員 ぜひ、ケース・バイ・ケースで配慮するということではなくて、北海道というのは別枠なのですと、四国が四つなんですから北海道は六つですとかいう、例えば閣議了解などに持ち上げていただけるような御検討を御要望申し上げておきたいと思うわけでございます。  時間がだんだん押してまいりまして、用意した質問が全部できそうもないのですけれども、郵政省にお尋ねをいたしたいと存七ます。  電気通信事業法第八十三条というのがございます。「線路が設置されている土地等又はこれに近接する土地等の利用の目的又は方法が変更されたため、その線路が土地等の利用に著しく支障を及ぼすようになったときは、その土地等の所有者は、第一種電気通信事業者に、線路の移転その他支障の除去に必要な措置をすべきことを請求することができる。」ということでございます。土地を使うに当たってNTTの電柱が支障になって困ったというときには、移してくださいということが言えるということなんですが、実は、これは具体的には札幌市の例でございますけれども、現実に、土地を分割して分譲するに当たって車の出入りができない状態になってしまった。したがって、移設をお願いをした。  御本人にしてみますと、これはもう私有財産である土地の所有権を侵害されたにも等しいという立場で電柱の移設を求めたわけでございますけれども、それに際して請求書が届いた。請求金額も多少やりとりの中で変わってきているようですが、当初は三十九万六千九百三十円ですか、そういう請求書がNTTから届いた。本人にしてみますと、おかしいではないか、こちらは被害者である、所有権を侵害をされている、その除去を求めたにすぎない。  同じこの電気通信事業法の八十三条二項によれば、「第一種電気通信事業者は、前項の措置が業務の遂行上又は技術上著しく困難な場合を除き、同項の措置をしなければならない。」。しなければならないということを書いているわけでして、当然それはNTTの責任において除去、移転すべきものである、これがこの八十三条の当然の解釈ではないかということでございますが、私もこれはもっともである、こう思ってございます。  八十三条、これはどのように解釈をされて今日まで執行されてきたのか、当然のように土地の所有者に請求書が行くということ自体、極めて遺憾な事態だな、こう思っておりますが、いかがなものですか。
  106. 桜井俊

    ○桜井説明員 先生ただいま御指摘ございましたように、電気通信事業法八十三条におきまして、土地等の利用に著しく支障を及ぼすようになったときは、その所有者は第一種電気通信事業者に対して、この場合はNTTでございますが、電柱等の移転の請求というのができるというふうにされているわけでございます。  現実といたしますと、それを踏まえまして両当事者間で協議をしていただくということになっておりまして、具体的なこのケースでございますと、電柱の移動の経費というものは両当事者間の協議によって定められるということになっております。また、この同じ八十三条におきまして、その協議が調わない、あるいは協議ができないという場合には、都道府県知事に裁定を申請するという手続がございます。こういう事態の場合におきましては、都道府県知事がその裁定の中で、個々の事情を考慮して具体的な電柱の移転経費について定めるということになるものでございます。  今まで協議の実態ということでございますけれども、これはあくまで両当事者間の話し合いで決まっているものでございますので、いろいろなケースがございまして、NTTが全額負担するというケースもあれば、あるいは両当事者間でお互い負担し合う、あるいは土地の使用者等に負担をいただくといういろいろなケースがございます。それは、それぞれその支障の有無でありますとか程度でありますとか、そういったもの、個々の事情に応じて当事者で決めているというものでございます。
  107. 金田誠一

    金田(誠)分科員 立法の趣旨といいますか、八十三条の一項、二項、これから見ますと、「除去に必要な措置をすべきことを請求することができる。」、そして「業務の遂行上又は技術上著しく困難な場合を除き、同項の措置をしなければならない。」ということからしますと、裁定に至ればまたこれ別なんでしょうけれども、技術的にも可能だ、やろうと思えばできる状態。そして、移転をしなければ土地所有者に著しい不便が生ずる場合、その程度によるのかもしれません。  例えば、美観上好ましくないから移してくれとか、そういうこともあるのかもしれません。また、去年移したばかりで、またことしもなんというのも、もしかすればあるのかもしれませんが、そういう特殊な場合ではなくて、車の出入りもできない状態になるとか、これはもう土地を正常に使う、使用する権限といいますか、所有権に付随する当然の権利だと思うわけでございますし、今回の場合は技術的にも困難でも何でもない。四十万円弱の金額で可能であるということからすれば、立法の趣旨からして、NTTは公共の目的のために道路に電柱を立てることはできるのでしょうけれども、それが私の所有権を侵害するなんということであってはならないのだというのが本来の趣旨なのではないでしょうか。  確かに、話し合いになればいろいろなケースごとにいろいろなケースは出るのだと思いますけれども、そもそも立法の趣旨としては、これは設置した者が移動する、土地所有者の方が無理難題、常識を外れたとかということであれば別として、正当な移転要求であれば当然のこととしてその事業者、NTTの側が負担をする。その経費というものは結果的にはその電話料金でプールされるわけですよ。特定の個人が財産権を侵害されて、その土地の販売もできない、価値が下がるという特定の個人がリスクを負うべきものではなくて、NTTの電柱というのは必要なものですから立てるのですけれども、その負担を特定の者に負わせるのではなくて、最終的には電話使用者全体がごくごく微々たるものを負担し合うというのが立法の趣旨でないでしょうか。そう解すべきでないでしょうか。
  108. 桜井俊

    ○桜井説明員 電気通信事業法の八十三条でございますけれども、確かに八十三条二項におきまして、線路の移転等の申請があった場合に、電気通信事業者の業務の遂行上または技術上著しく困難な場合を除き、措置をしなければならないということは規定されているわけでございますが、その費用負担につきましては、例えば裁定に至ったケースの場合について、同じ八十三条におきまして、「裁定においては、その措置に要する費用の全部又は一部を土地等の所有者が負担すべき旨を定めることができる。」という規定もございます。そういう意味におきましては、具体的な負担金額というものにつきましては当事者間の協議をまずしていただいて、それが調わない場合の裁定手続というのをこの八十三条は定めているというふうに理解しております。
  109. 金田誠一

    金田(誠)分科員 しかし、この裁定に至るというのはごくごくまれなケースなのではないですか、本来であれば。普通は、技術的に困難であるとかそういう場合を除いては、当事者間の話し合いでできるのではないでしょうか。ですから、技術的に非常に難しいし、あるいは土地の所有者が余りにも常識を逸脱したような移転要求をしたとか、そういうような場合を想定した裁定ではないのでしょうか。したがって、裁定に至るようなケースは御本人の方も一部負担してもらう場合もありますよという規定がこの第五項の趣旨だ、こう解すべきではないでしょうか。おっしゃるように、はなからそれは全部ケース・バイ・ケースで本人の話し合いだ、こういうことではないのではないですか。  原則NTT負担、そうでなければ、ケースによっては——今回も最初からそうだったそうです。それはもう移動してくれと言った人の負担ですよというふうに最初は言われたそうです。そのままそうですがとなってしまえばそれで済んでしまったかもしれません。だけれども、そういう趣旨ではないでしょう。今の御説明でもそんな趣旨ではないわけです。であれば、何らかの、立法に当たっては想定した条件があるはずですよ。すべて当事者間の話し合い、片方の場合は全額NTTになる場合もあるし、別な場合は全額土地の所有者になる場合もある。それはどうでもいいですというものではないのではないですか。その辺のところをきちんと整理していただきたいと思うのです。  今にわかにお答えできなければ、御検討をいただかなければならない。全国いろいろな事例があるのだと思うのですよ。気の強い人は全額NTTに持たせる、おとなしい方は全額負担させられる、これではおかしいというものではないでしょうか。いかがでしょうか。
  110. 桜井俊

    ○桜井説明員 大変繰り返しで恐縮でございますけれども、この八十三条につきましては、そういう土地の利用者に著しい支障が生ずるときには移転申請ができます、電気通信事業者の事業に業務の遂行上等で困難な場合を除いては、その措置をしなければならないということでございますけれども、現実の費用負担につきましては、この八十三条では事業者側が負担すべきだ、あるいは土地使用者側が負担すべきだといったことを一律に想定しているものではなくて、当事者間の協議でそれは定まるものというふうに規定しているというふうに解しております。
  111. 金田誠一

    金田(誠)分科員 今の御答弁ではちょっと納得しかねるわけですけれども、時間が参りましたので、あと、建設省等をお呼びをして、ちょっと時間がなくなって申しわけございませんが、終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  112. 田中昭一

    ○田中主査 これにて金田誠一君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして北海道開発庁所管北海道東北開発公庫質疑は終了いたしました。     —————————————
  113. 田中昭一

    ○田中主査 これより郵政省所管について審査を行います。  まず、概要説明を聴取いたします。郵政政務次官山口俊一君。
  114. 山口俊一

    ○山口(俊)政府委員 それでは説明をさせていただきます。  平成四年度郵政省所管一般会計、郵政事業特別会計、郵便貯金特別会計及び簡易生命保険特別会計の決算につきまして、その概要説明を申し上げます。  まず、一般会計について申し上げます。  郵政省主管の歳入につきましては、歳入予算額一兆三千八百六十億二千八百万円余に対しまして、収納済み歳入額は一兆二千八百三十二億八千七百万円余であり、差し引き一千二十七億四千百万円余の減少となっております。  また、郵政省所管の歳出につきましては、歳出予算現額三百六十七億七千五百万円余に対し、支出済み歳出額は三百六十億五千二百万円余、翌年度繰越額は三億八千三百万円余でありまして、差し引き、不用額は三億三千九百万円余となっております。  次に、各特別会計について申し上げます。  最初に、郵政事業特別会計について申し上げます。  郵政事業特別会計の決算額は、歳入では六兆二千二百八十七億一千百万円余、歳出では六兆二千二百九十一億三百万円余となっております。  次に、郵便貯金特別会計につきましては、主なものといたしまして、一般勘定の決算額は、歳入では十二兆二千七百六十九億二千百万円余、歳出では九兆七千百九十八億六千三百万円余となっており、差額二兆五千五百七十億五千七百万円余は、法律の定めるところに従い翌年度の歳入に繰り入れることといたしました。  次に、簡易生命保険特別会計の決算額につきましては、歳入では十五兆二千六百七十億三百万円余、歳出では七兆五千五百三十三億二千七百万円余となっており、差額七兆七千百三十六億七千五百万円余は、法律の定めるところに従い積立金として積み立てることといたしました。  以上、平成四年度における郵政省関係決算につきまして、その概要を御説明を申し上げました。  それでは、引き続きまして、平成五年度郵政省所管一般会計、郵政事業特別会計、郵便貯金特別会計及び簡易生命保険特別会計の決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計について申し上げます。  郵政省主管の歳入につきましては、歳入予算額一兆二千六百八十六億二百万円余に対しまして、収納済み歳入額は一兆三千百十九億一千三百万円余であり、差し引き四百三十三億一千万円余の増加となっております。  また、郵政省所管の歳出につきましては、歳出予算現額六百八十一億九千五百万円余に対し、支出済み歳出額は六百十六億九千百万円余、翌年度繰越額は四十七億五百万円余でありまして、差し引き、不用額は十七億九千八百万円余となっております。  次に、各特別会計について申し上げます。  最初に、郵政事業特別会計について申し上げます。  郵政事業特別会計の決算額は、歳入では六兆六千二百七十六億八千四百万円余、歳出では六兆五千六百二十二億二千万円余となっております。  次に、郵便貯金特別会計につきましては、主なものといたしまして、一般勘定の決算額は、歳入では十二兆六千二百九十七億二百万円余、歳出では十兆四百三十七億四千二百万円余となっており、差額二兆五千八百五十九億六千万円余は、法律の定めるところに従い翌年度の歳入に繰り入れることといたしました。  次に、簡易生命保険特別会計の決算額につきましては、歳入では十六兆九千八十三億四千四百万円余、歳出では八兆九百四十四億五千万円余となっており、差額八兆八千百三十八億九千四百万円余は、法律の定めるところに従い積立金として積み立てることといたしました。  以上、平成五年度における郵政省関係決算につきまして、その概要を御説明を申し上げた次第でございます。  あわせまして、よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  115. 田中昭一

    ○田中主査 次に、会計検査院検査概要説明を聴取いたします。会計検査院五十嵐第四局長
  116. 五十嵐清人

    五十嵐会計検査院説明員 平成四年度郵政省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、法律、政令もしくは予算に違反しまたは不当と認めた事項四十六件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。  まず、法律、政令もしくは予算に違反しまたは不当と認めた事項について御説明いたします。  これらはいずれも、職員の不正行為による損害が生じたもので、郵便局の出納官吏、出納員等が、郵便貯金の預入金、簡易生命保険の保険料等を領得したものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。  これは、監査テープ・ご利用明細票の印刷加工費等の積算に関するものであります。  預金者が郵便貯金自動預払機等を利用した際に、郵便局で預け払い状況と現金とを照合確認したり、預金者が利用内容を確認したりするための複写式伝票の調達に当たり、積算基準が印刷加工の方法等に対応したものでなかったなどのため、印刷加工費等の積算が適切でなく、調達費用が不経済になっていました。これについて指摘いたしましたところ改善の処置がとられたものであります。  以上をもって概要説明を終わります。  引き続き、平成五年度郵政省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、法律、政令もしくは予算に違反しまたは不当と認めた事項三十一件であります。  これらはいずれも、職員の不正行為による損害が生じたもので、郵便局の出納官吏、出納員等が、郵便貯金の預入金、簡易生命保険の保険料等を領得したものであります。  以上、簡単でございますが説明を終わります。
  117. 田中昭一

    ○田中主査 ただいまの会計検査院指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。山口郵政政務次官
  118. 山口俊一

    ○山口(俊)政府委員 平成四年度決算に関する会計検査院の御指摘について講じた措置等につきまして、その概要を御説明を申し上げます。  まず、職員の不正行為による損害が生じたものとして指摘を受けたものがありましたことは、まことに遺憾に存じます。  今後、この種の不祥事の発生を未然に防止するため、より一層指導監督の徹底を図る所存であります。  次に、監査テープ・ご利用明細票の印刷加工費等の積算を適切なものとするようにとの御指摘につきましては、平成五年十月に印刷物積算基準を改正をするとともに、新たに積算内容審査要領を制定をし、予定価格の適正な積算を図ったところであります。  以上、平成四年度決算に関する会計検査院指摘について講じた措置等につきまして、その概要を御説明申し上げましたが、今後、この種の事例の発生を未然に防止するため、より一層指導監督の徹底を図る所存であります。  これをもちまして四年度を終わらせていただきます。  引き続きまして、平成五年度決算に関する会計検査院指摘について講じた措置等につきまして、その概要を御説明を申し上げます。  職員の不正行為による損害が生じたものとして指摘を受けたものがありましたことは、まことに遺憾に存じます。  今後、この種の不祥事の発生を未然に防止をするため、より一層指導監督の徹底を図る所存であります。  以上、平成五年度決算に関する会計検査院指摘について講じた措置等につきまして、その概要を御説明申し上げましたが、今後、この種の事例の発生を未然に防止をするため、より一層指導監督の徹底を図る所存であります。  これをもちまして概要説明を終わらせていただきます。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。  以上です。
  119. 田中昭一

    ○田中主査 この際、お諮りいたします。  お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  120. 田中昭一

    ○田中主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————    平成四年度郵政省所管(一般会計及び各特別会計)決算に関する概要説明                 郵 政 省  平成四年度郵政省所管一般会計、郵政事業特別会計、郵便貯金特別会計及び簡易生命保険特別会計の決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計について申し上げます。  郵政省主管の歳入につきましては、歳入予算額一兆三千八百六十億二千八百七十八万円余に対しまして、収納済歳入額は一兆二千八百三十二億八千七百九万円余であり、差引き一千二十七億四千百六十八万円余の減少となっております。  これは、収入印紙収入が予定より少なかったこと等によるものであります。  また、郵政省所管の歳出につきましては、歳出予算現額三百六十七億七千五百五十六万円余に対し、支出済歳出額は三百六十億五千二百六十九万円余、翌年度繰越額は三億八千三百六十二万円余でありまして、差引き、不用額は三億三千九百二十四万円余となっております。  支出済歳出額につきまして、主な事項を申し上げますと、まず、科学技術振興費でありますが、通信総合研究所における電気通信の利用開発に関する基礎的研究及びその応用に関する研究等に要した経費が九十七億六千三十四万円余、その他の事項経費として、情報通信基盤の整備等に要した経費が二百六十二億九千二百三十四万円余となっております。  次に、各特別会計について申し上げます。  最初に、郵政事業特別会計について申し上げます。  郵政事業特別会計の歳入予算額は六兆四千七百六億四千六百二十六万円余、歳出予算現額は六兆四千八百三十四億三千二百八十五万円余でありまして、これに対する決算額は、歳入では六兆二千二百八十七億一千百十万円余、歳出では六兆二千二百九十一億三百三十四万円余となっております。  この中には、収入印紙等の売りさばきによる収入及びこれらの収入を関係法令に基づき他の会計へ繰り入れる等のため必要とする支出、並びに借入金、局舎其他施設費等の資本的収入支出が含まれていますので、これらを除きました事業の運営による歳入歳出は、歳入では三兆四千百二十九億五千七百四十万円余、歳出では三兆三千四百四十億一千五百三十五万円余となっております。  郵便事業の損益につきましては、収益の総額は一兆八千九百五十億四千九百三十三万円余、費用の総額は一兆九千六百三十一億一千四百八十九万円余でありまして、差引き六百八十億六千五百五十五万円余の欠損を生じました。  この結果、郵便事業の累積欠損金は百七十億一千五百五十万円余となっております。  次に、郵便貯金特別会計について申し上げます。  郵便貯金特別会計につきましては、一般勘定の歳入予算額は十一兆四千四百九億三千二百十五万円余、歳出予算現額は九兆八千五百二十八億七千四百六万円余でありまして、これに対する決算額は、歳入では十二兆二千七百六十九億二千百七万円余、歳出では九兆七千百九十八億六千三百八万円余となっており、差額二兆五千五百七十億五千七百九十八万円余は、法律の定めるところに従い翌年度の歳入に繰り入れることといたしました。  金融自由化対策特別勘定の歳入予算額は六兆四千四百九十三億五千三百十三万円余、歳出予算現額は六兆四千四百十九億七千三百四十七万円余でありまして、これに対する決算額は、歳入では六兆三千七百四十九億一千五百四十四万円余、歳出では六兆三千六百七十二億七千五百六十五万円余となっており、差額七十六億三千九百七十九万円余は、法律の定めるところに従い金融自由化対策資金に組み入れることといたしました。  郵便貯金事業の損益につきましては、一般勘定では、九百五十三億五千四百七十万円余の利益を、また、金融自由化対策特別勘定では、四百八億一千八百九十三万円余の利益を生じました。  次に、簡易生命保険特別会計について申し上げます。  簡易生命保険特別会計につきましては、歳入予算額は十三兆二千六百十五億七千三百三十二万円余、歳出予算現額は七兆五千八百五十七億七千百五十五万円余でありまして、これに対する決算額は、歳入では十五兆二千六百七十億三百九万円余、歳出では七兆五千五百三十三億二千七百十七万円余となっており、差額七兆七千百三十六億七千五百九十二万円余は、法律の定めるところに従い積立金として積み立てることといたしました。  簡易保険事業の損益につきましては、一兆一千六百九十三億六千四十三万円余の剰余金を生じました。発生した剰余金については、法律の定めるところに従い加入者へ分配することとされております。  以上、平成四年度における郵政省関係決算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第でございます。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。     …………………………………    平成四年度決算郵政省についての検査の概要に関する主管局長説明                 会計検査院  平成四年度郵政省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項四十六件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。  まず、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項について御説明いたします。  検査報告番号一七六号から二二一号までの四十 六件は、職員の不正行為による損害が生じたものであります。  これは、釜石郵便局ほか四十八郵便局で、簡易生命保険や郵便貯金等の事務に従事している職員が、契約者から受領した保険料や定額郵便貯金等の払戻金等を領得していたものであります。  なお、このうち一九〇号から二二一号までの三十二件については、五年十月末までに損害額のすべてが補てん済みとなっております。  次に本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。  これは、郵便貯金事業における監査テープ・ご利用明細票の印刷加工費等の積算に関するものであります。  郵政省では、郵便貯金事業を実施するために多種多様な印刷物を調達していますが、このうち郵便貯金キャッシュサービス用の監査テープ・ご利用明細票の調達に係る予定価格の積算について調査しましたところ、印刷物の積算に当たって、使用する基準が印刷加工の実態に対応したものとなっていなかったことなどから刷版への面付け数、折り数の算出などに適切を欠いていました。  そして、刷版への面付け数などを実態に対応したものとして印刷加工費等を算出していれば、本件の印刷物に係る契約額を節減できたと認められましたので、当局の見解をただしましたところ、郵政省では、印刷物の積算基準を印刷加工の方法等に対応したものに改正するなどの処置を講じたものであります。  なお、以上のほか、平成三年度決算検査報告に掲記いたしましたように、郵便番号自動読取区分機の処理効率について意見を表示いたしましたが、これに対する郵政省の処置状況についても掲記いたしました。  以上をもって概要説明を終わります。     …………………………………    平成四年度決算に関する会計検査院指摘    について講じた措置等の説明                 郵 政 省  平成四年度決算に関する会計検査院指摘について講じた措置等につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、職員の不正行為による損害が生じたものとして指摘を受けたものがありましたことは、誠に遺憾に存じます。  このような不祥事を防止するため、日ごろから職員の防犯意識の高揚、業務の正規取扱いの徹底、相互けん制の励行等を通じて、防犯体制の充実強化を図り、不正行為の未然防止と早期発見に努めているところであります。  今後とも、日常の努力を積み重ね、防犯施策の一層の徹底を図るとともに、業務考査及び会計監査を厳格に実施し、不正行為の根絶を図る所存であります。  次に、監査テープ・ご利用明細票の印刷加工費等の積算を適切なものとするようとの指摘につきましては、平成五年十月に印刷物積算基準を改正するとともに、新たに積算内容審査要領を制定して、印刷物の予定価格が一定額を超えるものについては、積算担当係とは別の審査担当係においてその積算内容を審査する体制を整える措置を講じ、適正な予定価格の積算を図っているところであります。  以上、平成四年度決算に関する会計検査院指摘について講じた措置等につきまして、その概要を御説明申し上げましたが、今後、この種の事例の発生を未然に防止するため、より一層指導監督の徹底を図る所存であります。  これをもちまして、平成四年度決算に関する会計検査院指摘について講じた措置等についての説明を終わります。  何とぞ、よろしく御審議のほど、お願い申し上げます。     —————————————    平成五年度郵政省所管(一般会計及び各特別会計)決算に関する概要説明                 郵 政 省  平成五年度郵政省所管一般会計、郵政事業特別会計、郵便貯金特別会計及び簡易生命保険特別会計の決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計について申し上げます。  郵政省主管の歳入につきましては、歳入予算額一兆二千六百八十六億二百九十五万円余に対しまして、収納済歳入額は一兆三千百十九億一千三百五十九万円余であり、差引き四百三十三億一千六十四万円余の増加となっております。  これは、収入印紙収入が予定より多かったこと等によるものであります。  また、郵政省所管の歳出につきましては、歳出予算現額六百八十一億九千五百十万円余に対し、支出済歳出額は六百十六億九千百二十四万円余、翌年度繰越額は四十七億五百三十万円でありまして、差引き、不用額は十七億九千八百五十六万円余となっております。  支出済歳出額につきまして、主な事項を申し上げますと、まず、科学技術振興費でありますが、通信総合研究所等における電気通信の利用開発に関する基礎的研究及びその応用に関する研究等に要した経費が百八十七億一千三百七十二万円余、その他の事項経費として、情報通信基盤の整備等に要した経費が四百二十九億七千七百五十二万円余となっております。  次に、各特別会計について申し上げます。  最初に、郵政事業特別会計について申し上げます。  郵政事業特別会計の歳入予算額は七兆百四十八億三千三百九万円余、歳出予算現額は七兆三百四十六億五千百八十三万円余でありまして、これに対する決算額は、歳入では六兆六千二百七十六億八千四百二十九万円余、歳出では六兆五千六百二十二億二千二十九万円余となっております。  この中には、収入印紙等の売りさばきによる収入及びこれらの収入を関係法令に基づき他の会計へ繰り入れる等のため必要とする支出、並びに借入金、局舎其他施設費等の基本的収入支出が含まれていますので、これらを除きました事業の運営による歳入歳出は、歳入では三兆五千九百五十六億三千三百七十三万円余、歳出では三兆五千四十二億五千七百十一万円余となっております。  郵便事業の損益につきましては、収益の総額は一兆九千六百十一億六百八十六万円余、費用の総額は二兆四百四十二億五千九百三十三万円余でありまして、差引き八百二十一億五千二百四十七万円余の欠損を生じました。  この結果、郵便事業の累積欠損金は一千一億六千七百九十七万円余となっております。  次に、郵便貯金特別会計について申し上げます。  郵便貯金特別会計につきましては、一般勘定の歳入予算額は十二兆六千七百六十八億七千七百三十一万円余、歳出予算現額は十兆六百九十八億六百五十三万円余でありまして、これに対する決算額は、歳入では十二兆六千二百九十七億二百四十八万円余、歳出では十兆四百三十七億四千二百二十六万円余となっており、差額二兆五千八百五十九億六千二十二万円余は、法律の定めるところに従い翌年度の歳入に繰り入れることといたしました。  金融自由化対策特別勘定の歳入予算額は五兆九千八百八十一億四千七百八十九万円余、歳出予算現額は五兆九千八百十八億三千八百七十五万円余でありまして、これに対する決算額は、歳入では五兆九千三百五十一億五千十五万円余、歳出では五兆九千二百六十九億三百三十四万円余となっており、差額八十二億四千六百八十一万円余は、法律の定めるところに従い金融自由化対策資金に組み入れることといたしました。  郵便貯金事業の損益につきましては、一般勘定では、四百九億八千四百七十八万円余の利益を、また、金融自由化対策特別勘定では、二百七十二億四千七百三十一万円余の利益を生じました。  次に、簡易生命保険特別会計について申し上げます。  簡易生命保険特別会計につきましては、歳入予算額は十六兆一千四百十億一千六百六十万円余、歳出予算現額は八兆四千七百五十億六千三百三十一万円余でありまして、これに対する決算額は、歳入では十六兆九千八十三億四千四百七十二万円余、歳出では八兆九百四十四億五千四十一万円余となっており、差額八兆八千百三十八億九千四百三十一万円余は、法律の定めるところに従い積立金として積み立てることといたしました。  簡易保険事業の損益につきましては、八千四百三十四億三千八十六万円余の剰余金を生じました。発生した剰余金については、法律の定めるところに従い加入者へ分配することとされております。  以上、平成五年度における郵政省関係決算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第でございます。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。     …………………………………    平成五年度決算郵政省についての検査の概要に関する主管局長説明                 会計検査院  平成五年度郵政省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項三十一件であります。検査報告番号一七三号から二〇三号までの三十一件は、職員の不正行為による損害が生じたものであります。  これは、藤野郵便局ほか三十一郵便局で、簡易生命保険や郵便貯金等の事務に従事している職員が、契約者から受領した保険料や定額郵便貯金の払戻金等を領得していたものであります。  なお、このうち一七七号から二〇三号までの二十七件については、六年十月末までに損害額のすべてが補てん済みとなっております。  以上、一簡単でございますが説明を終わります。     …………………………………    平成五年度決算に関する会計検査院指摘について講じた措置等の説明                 郵 政 省平成五年度決算に関する会計検査院指摘について講じた措置等につきまして、その概要を御説明申し上げます。  職員の不正行為による損害が生じたものとして指摘を受けたものがありましたことは、誠に遺憾に存じます。  このような不祥事を防止するため、日ごろから職員の防犯意識の高揚、業務の正規取扱いの徹底、相互けん制の励行等を通じて、防犯体制の充実強化を図り、不正行為の未然防止と早期発見に努めているところであります。  今後とも、日常の努力を積み重ね、防犯施策の一層の徹底を図るとともに、業務考査及び会計監査を厳格に実施し、不正行為の根絶を図る所存であります。  以上、平成五年度決算に関する会計検査院指摘について講じた措置等につきまして、その概要を御説明申し上げましたが、今後、この種の事例の発生を未然に防止するため、より一層指導監督の徹底を図る所存であります。  これをもちまして、平成五年度決算に関する会計検査院指摘について講じた措置等についての説明を終わります。  何とぞ、よろしく御審議のほど、お願い申し上げます。     —————————————
  121. 田中昭一

    ○田中主査 以上をもちまして郵政省所管説明は終わりました。     —————————————
  122. 田中昭一

    ○田中主査 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。野田聖子君。
  123. 野田聖子

    野田(聖)分科員 自由民主党の野田聖子でございます。  郵政省関係質問をさせていただきたいと思います。  まず初めに、今国会、最近の逓信委員会議論の中で、TBSによるオウム真理教の報道が非常に不適切であったということで連日委員会が開かれ、参考人が呼ばれるなどして、その責任追及に全力を挙げているところでございます。そんな中で、議論の中で、たびたび放送倫理という問題が触れられてきております。いま一度、放送倫理とは何かということについて、委員の一人として郵政省の所見をお尋ねしたいのです。  と申しますのも、今マスコミ、テレビのあり方について国民が非常に関心を寄せている中で、ややもするとテレビ番組が視聴率至上主義のもとに制作される傾向が顕著である、また反面、視聴者は概してテレビに対して受け身、受動的であって、視聴者のニーズを必ずしも十分に反映できない立場に甘んじているのではないかというような疑問がわいてきているところなのです。  その中で、放送倫理ということは一つの言葉であるわけですけれども、これが国として、また郵政省として、テレビ局を扱っている担当の役所として、何か国民にとって担保しているものがあるかどうか、法律によって国民がそういうインモラルな方から害されることがないような施策を講じておられるのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  124. 楠田修司

    ○楠田政府委員 放送というものは、放送法の第一条に定めておりますように、非常に公共性の強いものでございます。放送は、また一方で、公共の電波というものを使うということで、そういう意味で非常に公共的な性格が強いというふうに考えております。  そういう中で、一方でまた放送というものは、放送法三条にありますように、「放送番組編集の自由」ということで、表現の自由からくる自由が与えられております。  そういうふうな構成のもとで放送というのがなされておるわけでありますが、放送の倫理ということになりますと、これは、放送する方々が、そのような放送の意義というものをわきまえて、どのように放送するかという、非常に幅広い責任を伴うものであるというふうに考えております。  具体的に今、放送法でどういうことが問題になるかといいますと、例えば政治的公平とか、あるいは問題点を多角的に、両面ある場合は二つの立場からしなければならないとか、あるいは公序良俗に反する放送はしていないかとか、そういうような具体的なものが決めてありますけれども、放送倫理となりますと、むしろ、その背景にあるもっと大きな責任であろうというふうに考えております。
  125. 野田聖子

    野田(聖)分科員 本当ですと、放送倫理というのは、テレビ業界の自主的な取り組みで確立されるべきであると思います。  具体的には、番組内容や放送時間帯についても考慮していくべきではないか。とりわけ今回はたまたまオウム真理教の関連にばかり集中していますけれども、もっともっと日本において問題になっているのは、子供たちがどのような影響を受けているかということについて、やはり今後、この事件を契機に、テレビの与える影響の大きさを考える中で真剣に取り組んでいかなければならないと思うわけでございます。  実は、このテレビ番組、テレビの影響力の大きさに業界が自主努力を、まあしているんだろうけれども、なかなかその功を奏していないという中で、番組の内容をめぐる父兄さらには諸外国の評価としては、日本では暴力やセックスの場面が日常的に電波を通してはんらんしていることが常々論じられてきているわけです。  例えば二月十九日付のタイム誌の中では、日本について、「テレビ番組が事実上規制されておらず、メディアのモラルのなさに対する懸念も乏しい。プライムタイムのテレビは、軽いポルノ、流血のドラマと暴力的なアニメが入りまじった構成になっている。」とタイム誌では語っていますし、同様に国内では、平成七年の十二月に発表された総理府の世論調査結果において、社会環境や社会風潮の問題点として、約四割が、低俗なテレビ、ラジオ番組が多いということを挙げています。特に、小学生の子供を持つ者で、低俗なテレビ番組、ラジオ番組の問題点を指摘する数が多いということが国内でのテレビに対する考え方だと思います。恐らく、今までも長きにわたってそういう番組に対する批判等がやはり郵政省にも寄せられてきたのではないかと思います。それらの苦情に対して国というか国の代表である郵政省としてはどういう苦情処理、取り組みをしてこられたか、お尋ねをしたいと思います。
  126. 楠田修司

    ○楠田政府委員 先生指摘の、例えば米国の二月十九日付のタイム誌の記事でありますが、これが、米国がVチップというものを導入するに際しまして、ドイツとかフランスとかイギリスと比べまして日本の放送を評しておる中で、先ほど先生指摘のような問題、非常に軽いポルノのようなものが流れておるということの指摘があったことは事実であります。  また国内でも、近年特に椿発言問題というのがございました。それから、オウム報道等の問題も起こりました。放送による人権、プライバシーの侵害、オウムに絡む問題でありますが、それからまた、放送のそのような番組といいますか、いじめに与えるような影響ということもしばしば指摘されております。国会でも何度か質問をいただきましたし、かつまた、モニターとか投書等でもこういうことはしばしば郵政省の方へ届いております。  それに対しまして郵政省はどうしているかということでありますが、一方で、最近衛星放送とかCATVとかということがだんだん普及してまいりまして、これはディジタル技術の進歩とともに非常に多チャンネル化というのが進んでまいります。そうしますと、多チャンネル化になりますと、この中でまた専門放送というものが近く出てくるということになりますと、放送全体が大きく変わる。そうすると、番組の問題につきましても、多チャンネルでありますから、これをどう考えるかということは非常に大きな問題でありまして、そういう意味で昨年九月から有識者における懇談会を開催しておりまして、この中で、このような時代における放送番組を含む問題点を現在幅広い観点から討議を行っていただいておりまして、去る五月二十三日に一応中間の論点整理というのがございまして、時間の関係で省略させていただきますが、この中で、青少年に対する保護といいますか影響をどう考えるかとか、あるいは権利侵害とか被害者救済、苦情処理、こういうような問題につきまして幅広く問題点が提起されております。  この問題は、十二月に最終報告になりますので、それに向けましてこれからより一層問題点を深めていただきまして、その懇談会議論をいただきながら、また、広範な国民意見も踏まえながら放送の健全な発展に適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
  127. 野田聖子

    野田(聖)分科員 私も、今御報告のありましたこの多チャンネル時代における視聴者と放送に関する懇談会の中間報告平成八年五月二十三日、できたてのほやほやだと思いますが、それを受け取りました。大変ありがたい資料で、私の知らなかったこと、勉強不足だったところが非常に明らかになりました。といいますのも、今お尋ねしている青少年の保護に関してですけれども、実は、日本の国というのは今までテレビ番組において青少年の保護というのは一切してこなかったということが、この資料を見ますと明らかになるわけですね。  それで、これは各国の規定が出ているんですけれども、青少年保護という面におきましては、全く日本はブランクになっている。他国におきましては、大変厳しい。アメリカにおいても、例えば下品な番組の放送時間を制限、これは午前六時から午後十時の間は放送禁止と明言してあります。同様にイギリスでも、青少年に対して不適当な番組の放送時間帯を制限、午前五時三十分から午後九時の間は放送禁止。フランスにおいても、性的な番組、暴力を扇動するような番組の放送時間帯を制限、午前六時から午後十時三十分の間は放送禁止。ドイツにおいても、青少年の肉体的、精神的な健全を害する番組の放送時間帯を制限、午前六時から午後十一時の間は放送禁止。ほとんどこれ、見れないわけですね、そういう番組は。国の方針として、青少年をきちんと保護するためにもう禁止しているんです。  にもかかわらず、日本は、これだけ苦情があったと、そして外国からも文句が出ているにもかかわらず、ましてや国内においては、数少ない少子化の時代に子供をどう健全に育てていくか、いじめをどうなくしていくかというようなさまざまな議論がある中で、大変影響力が多いとも思われるこのテレビに対しては全く青少年の保護に対して抜け落ちている。これは何か理由があるんでしょうか。ひとつお答えいただきたいと思うんです。
  128. 楠田修司

    ○楠田政府委員 日本の放送法の中では、青少年保護というものそのものは直接記述はしていないわけでありますが、ちょっと今手元に資料が、詳細は申し上げかねますけれども、放送する場合の番組の中で教養番組であるとか教育番組というものを何%かやらなきゃならないというふうなことを免許のときに決めるという形でございます。  その中で、教育、教養番組というものは、どちらかというと青少年向けの教養番組といいますか教育番組になるという形での問題提起、そういう形はとられると思うんですが、法律の中で、青少年保護というものを訴えて例えば時間制限をする、そういう形はとられていないところであります。
  129. 野田聖子

    野田(聖)分科員 これは非常に驚きであり、やはり今後はぜひとも真剣に、とりわけ、大人である私たちですらテレビ番組に振り回される昨今、やはり子供たちにはそういう歯どめがない、抑制がないわけですから、大人である私たちが何か策を講じていかなきゃいけないんじゃないかと思います。  そんな中で、ただでさえ、今日に至るまでアメリカというのは青少年保護ということに非常に厳しく取り組んでおるわけですけれども、そのアメリカが、最近Vチップというのを法律上導入することを決定いたしました。これについて私は個人的に非常に関心を持ち、先輩の自見先生から、非常にこれはいいことなんで勉強しなさいということで、今日まで自分なりに勉強してきているんですけれども、郵政省としましては、このVチップに関してどういうような理解をしていて、どう今後取り組んでいきたいというような御所見を承りたいと思います。
  130. 楠田修司

    ○楠田政府委員 Vチップでございますが、御指摘のとおり、アメリカで本年二月に成立いたしました一九九六年電気通信法によりまして、Vチップ、バイオレンスチップの訳で、チップは半導体でありますが、これによりまして暴力番組等を遮断する半導体の導入を決めたわけであります。  この背景というのは、アメリカで、暴力的な番組のはんらんが非常に青少年に影響を与えるという視聴者の大きな声等ありましてへこれが犯罪の多発の一因になっているのではないかということがあった、この中で導入をされたということでございます。  これをちょっと具体的に申しますと、番組につきまして暴力度とかセックス度といいますか、そういうものを、レイティングといいますか、段階を五ぐらいに分けて、それの段階によって、この半導体で、親がこういうのは見せないというふうに指示すればこれが遮断される、こういうことを決めておるわけでありまして、親の判断によってこういうテレビを見ないという、こういう選択権を与えたものでございます。  一方、この問題については表現の自由という面からもいろいろ議論されておりまして、必ずしも全部が賛成だったわけじゃありませんですけれども、アメリカのこういう状況の中で取り入れられたということであります。  我が国におきましても、バイオレンスチップの問題、今アメリカだけでなくヨーロッパ、カナダ等でも非常に課題にしておりますので、先ほど申し上げました懇談会の中で、現在これも一つの課題として検討をしているところでございます。
  131. 野田聖子

    野田(聖)分科員 このVチップというのは、実はクリントン米大統領の一般教書演説、大統領がアメリカをどうあるべきかという中の「第一の挑 戦」に、やはり子供をきちんと守ろうと、その具体的にメディアに対して要望したことがVチップであります。正確を期すためにこの教書のくだりをちょっと読んでみたいと思います。これは私が言ったんじゃなくて、クリントン大統領が全アメリカ国民に向かって発したメッセージなんですが、   メディアに対し、私は、自分の子供や孫たちが楽しんでほしいと思うような映画へCD、テレビ番組を製作すべきだと言いたい。   私は議会に対し、子供には不適当と親が判断する番組が映らなくする「Vチップ」をテレビ受像機に付けることを義務付ける法案を通すよう呼び掛ける。子供たちが見るものを親がコントロールするのは検閲にならない。これは、親が子供の養育により大きな個人的責任を引き受けることを可能にする。私は親たちに対し、そうするように勧告する。Vチップの義務付けは今議会にかけられている重要な電気通信法案の一部である。これには超党派の支持があり、私はあなた方がこれをすぐに可決するよう勧告する。 というくだりがあります。  これはもう既に二月の一日に可決されているわけですが、ここで重要なのは、先ほどの放送倫理に戻るわけですけれども、今までどうしても選ぶ権利がなかった国民に、その選ぶ権利をVチップの操作によって与えていただける。とりわけ青少年保護というのが日本の中では欠落してきましたから、本来は青少年保護はどうあるべきかということをつくってからVチップという具体的な導入がステップなのかもしれませんけれども、具体的には、Vチップというのがあって、親の側で子供に見せたくないものを、親の検閲ではない、親の自己責任のもとでできるという、能動的なテレビ番組に対する視聴者の取り組みができると同時に、レーティングの話がありましたけれども、レーティングはすべてテレビ局が決める、自分たちで決める。これは国が決めるのでもどこかの第三者機関が決めるのでもなくて、それをつくっているテレビ局が自分たちで、これはレートXだとか、これは子供向きでレートがいいんだとか、そういうことを自発的に決めていくということで、テレビ局の中にもレーティングという具体的なことをすることによってのモラル、放送倫理が根づいてくるのではないかというような思いをはせているところなんですが、これに対して、今後取り組んでいきたいという郵政省の御希望があるとするならば、政務次官、どういうふうにお考えでしょうか。ちょっと御所見を承りたいと思います。
  132. 山口俊一

    ○山口(俊)政府委員 それではお答えをいたします。  野田委員さんの御懸念、まことにごもっともであろうと思うわけでありますが、先ほどお話がるる出ておりましたが、アメリカでは、暴力的な番組の氾濫が青少年に悪影響を与える、また犯罪多発の一因にもなっておるというふうな世論の大きな高まりというものが一つございまして、そうした社会的事情を背景として、先ほどのクリントン大統領の発言があり、また、議会の決断によってVチップを導入、制度化をしたというふうなことであろうと思っております。  アメリカにおけるこのVチップ制度の導入に当たりましては、一方ではまた、今のお話のとおり、親がみずからの選択によって暴力的な番組や低俗な番組を子供に見せないというふうなことで、評価をする意見があるとともに、他方では、放送事業者の表現活動にさまざまな影響を与えるあるいはまた制度の実効性等についての意見もある。聞きますと、例えばVチップを解除するのはむしろ親より子供の方が得手ではないか、あるいは番組がレーティングによってさらに過激になっていくのではないか等々の議論があり、いわば賛否両論というふうなことがあったと聞かされております。  したがいまして、Vチップのような制度の導入に当たりましては、制度導入のメリット、デメリットにつきまして、我が国の事情といいますか国情を踏まえて慎重に検討して、総合的に判断をしていくべきものであろうと理解をいたしております。  先ほど局長の方からも御答弁ありましたように、懇談会の中間取りまとめ、これでも実ははっきりと出てきておるわけであります。また、そうした懇談会の御意見も聞きながら、さらには国民皆さん方の御意見を聞きながら判断をしていきたい、かように考えております。
  133. 野田聖子

    野田(聖)分科員 そこで、郵政省にお尋ねしたいのですけれども、日本国民のテレビに対する依存度、どれだけテレビとかかわっているかというのを世界の国々と比較した、何かそういう統計や資料はお持ちでないでしょうか。
  134. 楠田修司

    ○楠田政府委員 今手元にはございませんが、調べれば資料はあるというふうに思います。
  135. 野田聖子

    野田(聖)分科員 失礼しました。  私が存じている範囲では、恐らく日本国民というのは世界で一番テレビを見る時間が長い国民ではないかということをかすかな記憶の中で聞いたような覚えがあります。それについても、郵政省の方にぜひとも正確な統計というかデータを用意していただきたい。なおかつ国内の世論調査におきましても、日本人、私たちの余暇の過ごし方のナンバーワンというのもテレビなんですね。若干の長期であってもやはり旅行の次にテレビが来る。それだけ私たち国民にとってテレビというのは、夫婦とまでは言いませんけれども、非常に重要というか大きな地位を占めている。情報のみならず文化とか教育に大きな影響を及ぼす、そういうテレビであるからこそ、とりわけ青少年の保護が全く空白になっている現実問題、またそして、それの一つの取っかかりであるVチップというのを早急に、日本国民がテレビが大好きだからこそどの国よりも早急にやっていただかなければならないと思うのですが、いかがでしょうか。
  136. 楠田修司

    ○楠田政府委員 先ほど政務次官の方から御答弁申し上げましたように、この懇談会等でも今いろいろ議論しておりますし、また、国民各層意見を聞きながら、我が国の状況に合うような形での検討といいますか、していきたいと思っております。
  137. 野田聖子

    野田(聖)分科員 ぜひよろしくお願いいたします。  次の質問に移ります。  実は私も最近大変怖い経験をしたのですが、タクシーに乗りましたところ、その運転手さんがテレビを見ながら携帯電話でお話をされておって、タクシーの運転手さんはプロですからよもや事故は起こすまいと思いつつも、やはりこんなことをしておっては散漫な運転になってしまうのではないかなという不安を感じました。  そして最近、私を含めてですけれども、携帯電話を持っている人口は急増していると思います。とりわけ最近は、通達ですか、本会議場とか委員会では我々国会議員は携帯電話を鳴らしてはいけないよというお達しが来たところで、あっという間に国会議員の間でも携帯電話の利便性でほとんどが持つようになってきた、そういう時代を迎えています。  これは一つには大変いいことであるかもしれないし、今まですぐに連絡とれなかった世の中で、どこへ行っても、猫の巣ではないけれども捕まってしまうみたいな、携帯電話があると緊急の連絡のときには大変便利だと思います。が、反面、やはり数が多くなるということで、最初に申し上げたとおり、自動車の中での携帯電話の利用というのも非常にふえてきていることが事実です。  実は五月二十九日付の新聞に大変大きな記事で、「運転中の携帯電話 法規制も検討」、これは何の法規制かというと、事故が急増しているので警察庁の方で取り締まりをしよう、そういうことが出されているわけです。  携帯電話本体自体は郵政省の所管でありますし、実は自動車通信の将来展望に関する調査研究会というものをつくっておられて、そこで最終報告が取りまとめておられるわけです。それは、将来の自動車通信についてのあり方、非常に未来の予想図が多いわけですけれども、その反面、現実には、携帯電話は危ないよとか、そういうような問題が警察の側から言われている中で、どのような取り組みをされていかれるのか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
  138. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 先生からただいまお話のありましたように、電話社会、とりわけ携帯電話が急速に普及するという時代になってまいりまして、現在もう一千三百万台を超えるという状況でございます。そういった中にありまして、その利用の仕方も、技術革新という意味で大変歓迎される反面、陰の部分で危険を伴うというような状態になってまいっております。  そういったことも含めまして、私ども、先般、ただいま先生からお話のありました自動車通信の将来展望に関する調査研究会という研究会、昨年から御検討いただいていたものでございますが、これについての報告をいただいたところであります。  私ども、こういった意味で、この報告書を踏まえて対応してまいるということになりますが、現実にこれまでとってまいりましたことは、やはり一つにはマナーという意味で、例えば自動車とのかかわり合いで申し上げますと、運転しながら使わないようにするというようなことで、電気通信事業者協会を通じまして、先般も百三十万部ほどパンフレットをつくっていただきまして、新規に加入する携帯電話の利用者、この方々に配っていただいて、とりわけ運転中の電話、こういうことについての注意喚起をしていただく、あるいは新聞、雑誌等々についてもそういう意味での注意喚起をしてまいったということでございます。  今回いただいた報告書、詳細、今ここで申し上げませんが、そんなことにのっとって今後も取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
  139. 野田聖子

    野田(聖)分科員 マルチメディアの時代を迎えて、やはりさまざまな情報機器の発達、とりわけ今回は自動車の中をどうするべきかということで、カーナビ以外、例えばカラオケというのもあったように聞いておりますが、この調査会報告で大変不安を感ずるのは、自動車というのは基本的には走る凶器であります。人を容易に殺すことができます。ですから、運転者というのは本当に慎重に安全運転を心がけなければいけない反面、カーナビまたはテレビ、電話等々、そういう附帯の設備がつくことによって、運転者の運転技術、気が散漫になってしまう、そういうことも非常に考慮しなければいけない。ただ、この調査会の最終報告を聞く限りでは、未来志向であっても、いろいろな楽しいことができるという報告はあっても、ややもすると安全性に対する考慮が若干少ないのじゃないか、乏しいのではないかという不安を感じておりますが、これについてはいかがでしょうか。
  140. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 報告書をいただきましたこの審議会でも、カーマルチメディアというふうに位置づけておりまして、自動車、道路、交通にかかわる社会インフラや資源の有効活用、そして安全性の向上、さらに地球環境の保護といった世界的な課題に対して、全世界的規模での道路、交通、車両の情報化による問題点の解決を図っていく、こういうことを目標にし、位置づけておりまして、先生からお話のありました、例えばカラオケのことなんかも書いてはありますが、大変安全についても私どもに注意を喚起している報告書になっているというふうに存じております。  具体的なことを少し御紹介をさせていただきますと、例えばダイナミックルートガイダンスというようなことで、事故情報だとか道路交通情報を提供するということに始まりまして、例えば、前方の車との関係で速度を制限するように、電波道路標識ということで、どのくらい車間がありますというようなことをセンサーで反応してくる、そういうこととか、あるいは電波のカーブミラーということで、カーブにかかったときに、今はミラーで見ているわけですけれども、電波が発してきて、どういう状態になっているかということで情報を届けてくるとか、あるいは玉突き衝突を避けるというようなことからの電波の利用とか、そういうことについても幾つかの提言がなされております。  そして、具体的なこととしてさらに突っ込んだ格好で、通信機器、これは先生の御指摘ですと放送機器も入るかもしれませんが、それと運転者の間のマンマシンインターフェースといいますか、そういうことについても技術開発をやる必要がある。  さらに、運転をしているわけですから、人間の行動科学全般、そういうものについての必要性についても提案されているということで、一部取り上げ方によっては何か大変利便性、ある意味の娯楽性みたいなのだけが取り上げられるような感じがあるのかもしれませんが、報告書としてはその辺のところについても十分私どもに注意喚起がされているというふうに受けとめているところでございます。
  141. 野田聖子

    野田(聖)分科員 最後に、この問題は、これから非常に深刻になるんじゃないかという心配をしております。警察の方では「走行中の通話禁止といった法的規制も含めた対応策の検討を始めた。」とあるわけですから、逆にマルチメディアを推進していく郵政省としますと、携帯電話を自動車を運転しているときに使った人が罰せられる、罰金を取られる、点数を引かれるような事態になりますと、非常に、ちょっともどかしいというか、困っちゃうなという部分が出てくると思うのですが、今後の対応についてはどう取り組んでいく、まあさっきパンフレットをまいてと言うけれども、そんなことでは効かない状況になっているという現実を踏まえていただいて、どのように対応をしていかれるのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  142. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 先生からお話のありましたように、パンフレットを配って啓蒙するとか、あるいは新聞、雑誌等で広告をしていくという段階を超えるステップにかかりつつあるんじゃないかなという認識を私どもも持っております。ただ、一次的にはやはりマナーの問題であるというふうに考えておりまして、私ども、このことにつきましても、今後ともそういう形での啓発運動をしてまいりたいというふうに思っております。  それからもう一つは、各種の産業界といいますか、ここにかかわる事業者の方の協力も得まして、具体的な行動科学的なことについて、安全を中心にした実証実験とか、そういうことについても次のステップの研究会とともに取り組んでまいりたいというふうに思っております。  もう一つ、交通の取り締まりを所管しております警察庁、この研究会のメンバーにもなっていただいていたわけでございますけれども、ここと具体的な連携をとりまして、携帯電話の適正な利用方策、このことにつきましてさらに検討を進めてまいりたいというふうに存じております。
  143. 野田聖子

    野田(聖)分科員 終わります。
  144. 田中昭一

    ○田中主査 これにて野田聖子君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして郵政省所管質疑は終了いたしました。  これにて本分科会審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  分科員各位の御協力を賜りまして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚くお礼を申し上げます。ありがとうございました。  これにて散会いたします。     午後零時三十五分散会