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1996-05-30 第136回国会 衆議院 決算委員会第一分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会平成八年五月二十四日(金曜日)委員 会において、設置することに決した。 五月二十九日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。      稲垣 実男君     水野  清君      熊谷  弘君     中島  衛君      石井 紘基君     嶋崎  譲君 五月二十九日  稲垣実男君が委員長指名で、主査選任され  た。 ————————————————————— 平成八年五月三十日(木曜日)     午前十時開議 出席分科員   主 査 稲垣 実男君       栗原 博久君    川島  實君       中島  衛君    石井 紘基君    兼務 荒井 広幸君 兼務 上田 清司君    兼務 竹内  譲君 兼務 前田 武志君    兼務 若松 謙維君 兼務 秋葉 忠利君    兼務 竹内  猛君 兼務 小泉 晨一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 久保  亘君         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 梶山 静六君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 中西 績介君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 岩垂寿喜男君  出席政府委員         内閣参事官         兼内閣総理大臣          官房会計課長  吉井 一弥君         内閣総理大臣官         房審議官    平野 治生君         公正取引委員会         委員長     小粥 正巳君         公正取引委員会         事務局審査部長 矢部丈太郎君         総務庁長官官房         長       河野  昭君         総務庁長官官房         審議官     菊池 光興君         総務庁行政管理         局長      陶山  晧君         総務庁行政監察         局長      大橋 豊彦君         総務庁恩給局長 石倉 寛治君         環境政務次官  中島 章夫君         環境庁長官官房         長       田中 健次君         環境庁企画調整         局長      大西 孝夫君         環境庁水質保全         局長      嶌田 道夫君         大蔵省主計局次         長       林  正和君         大蔵省関税局長 久保田勇夫君         大蔵省理財局長 田波 耕治君         大蔵省銀行局長 西村 吉正君  分科員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    戸谷 好秀君         公正取引委員会         事務局官房審議          官       山田 昭雄君         総務庁行政監察         局監察官    木内 徳治君         環境庁企画調整         局企画調整課調          査官      清水美智夫君         環境庁水質保全         局水質管理課長 南川 秀樹君         外務省経済協力         局有償資金協力          課長      谷崎 泰明君         大蔵省主計局司         計課長     田頭 基典君         大蔵省主計局主         計官      杉本 和行君         大蔵省理財局総         務課たばこ塩事          業室長     井置 一史君         大蔵省銀行局銀         行課長     村木 利雄君         厚生省社会・援         護局援護課長  橋口 典央君         農林水産省構造         改善局建設部開          発課長     江頭  輝君         農林水産省農産         園芸局植物防疫          課農薬対策室長 佐藤 保隆君         運輸省港湾局環         境整備課長   橋間 元徳君         海上保安庁警備         救難部海上環境          課長      今里 鉄男君         建設省河川局開         発課長     竹村公太郎君         会計検査院事務          総局第一局長  深田 烝治君         会計検査院事務         総局第二局長  森下 伸昭君         会計検査院事務         総局第四局長  五十嵐清人君         会計検査院事務         総局第五局長  平岡 哲也君         国民金融公庫総         裁       尾崎  護君         日本開発銀行総         裁       吉野 良彦君         日本輸出入銀行         総裁      保田  博君         参  考  人         (海外経済協力          基金理事)   白鳥 正喜君         参  考  人         (水資源開発公          団理事)    山岸 俊之君         決算委員会調査         室長      天野  進君     ————————————— 分科員の異動 五月三十日  辞任         補欠選任   水野  清君     栗原 博久君   熊谷  弘君     川島  實君 同日  辞任         補欠選任   栗原 博久君     水野  清君   川島  實君     熊谷  弘君 同日  第二分科員前田武志君、秋葉忠利君、竹内猛  君、第三分科員上田清司君、若松謙維君、第四  分科員荒井広幸君、竹内譲君及び小泉晨一君が  本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成年度一般会計歳入歳出決算  平成年度特別会計歳入歳出決算  平成年度国税収納金整理資金受払計算書  平成年度政府関係機関決算書  平成年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成年度国有財産無償貸付状況計算書  平成年度一般会計歳入歳出決算  平成年度特別会計歳入歳出決算  平成年度国税収納金整理資金受払計算書  平成年度政府関係機関決算書  平成年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府(本府、総務庁環境庁)、大蔵省所  管、国民金融公庫日本開発銀行及び日本輸出  入銀行〕      ————◇—————
  2. 稲垣実男

    稲垣主査 これより決算委員会第一分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりました稲垣実男でございます。よろしくお願いいたします。  本分科会は、裁判所、会計検査院内閣総理府(本府、総務庁環境庁)、法務省、大蔵省所管国民金融公庫日本開発銀行及び日本輸出入銀行並びに他の分科会所管以外の国の会計についての審査を行うことになっております。  なお、各省庁の審査に当たっては、その冒頭に、決算概要説明会計検査院検査概要説明及び会計検査院指摘に基づき講じた措置についての説明を聴取することといたします。  平成年度決算外二件及び平成年度決算外二件中、本日は、総理府総務庁)、大蔵省所管国民金融公庫日本開発銀行日本輸出入銀行並び総理府環境庁)及び総理府(本府)について審査を行います。  これより総務庁所管について審査を行います。  まず、概要説明を聴取いたします。中西総務庁長官
  3. 中西績介

    中西国務大臣 平成年度及び平成年度総務庁関係歳出決算概要につきまして御説明申し上げます。  まず、平成年度における総務庁関係歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  平成年度歳出予算現額は一兆七千八百十七億八千十万円余でありまして、支出済み歳出額は一兆七千四百二億六千五百九十七万円余であります。  この支出済み歳出額歳出予算現額に比較いたしますと、四百十五億一千四百十三万円余の差額を生じます。  この差額のうち、翌年度へ繰り越した額は四百八億九千七百七十七万円余であります。これは、恩給費でありまして、旧軍人遺族等恩給請求が遅延したこと及び支給事務処理に当たっての調査確認不測日数を要したことにより、年度内支出を終わらなかったためであります。  また、不用となった額は六億一千六百三十五万円余であります。これは、人件費を要することが少なかったこと等のためであります。  次に、平成年度における総務庁関係歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  平成年度歳出予算現額は一兆七千五百五十六億五千三百七十一万円余でありまして、支出済み歳出額は一兆七千二百七十二億五百三十万円余であります。  この支出済み歳出額歳出予算現額に比較いたしますと、二百八十四億四千八百四十一万円余の差額を生じます。  この差額のうち、翌年度へ繰り越した額は二百七十九億三千百九十二万円余であります。これは、恩給費等でありまして、文官等恩給及び旧軍人遺族等恩給請求が遅延したこと並びに支給事務処理に当たっての調査確認不測日数を要したこと等により、年度内支出を終わらなかったためであります。  また、不用となった額は五億一千六百四十九万円余であります。これは、人件費を要することが少なかったこと等のためであります。  以上をもちまして決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  4. 稲垣実男

    稲垣主査 次に、会計検査院検査概要説明を聴取いたします。会計検査院深田第一局長
  5. 深田烝治

    深田会計検査院説明員 平成年度総務庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  次に、平成年度総務庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  6. 稲垣実男

    稲垣主査 以上をもちまして総務庁所管説明は終わりました。     —————————————
  7. 稲垣実男

    稲垣主査 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。栗原博久君。
  8. 栗原博久

    栗原(博)分科員 発言の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。  戦後五十年が経過しまして、過去の戦争を深く反省しながら、後世にこの忌まわしい戦争を絶対にさせてはならないということを伝えることが我々の今の責任であると思っております。しかしながら、まだまだ世界には宗教をめぐる形での戦争、あるいはまた民族間における戦争が絶え間ないわけでありまして、こういう中で、我々は国際貢献を誓いながら、世界の平和を目指してこれまた頑張らねばならないと思うのでございます。  そういう中で、昨年度、我々は村山連立政権のもとで、三党合意で「歴史を教訓に平和への決意を新たにする決議」ということで、本院で昨年の六月九日に決議をいたしておるわけであります。要するに、「世界近代史上における数々の植民地支配侵略的行為に思いをいたし、我が国が過去に行ったこうした行為や他国民とくにアジアの諸国民に与えた苦痛を認識し、深い反省の念を表明する。」というようなことの中で、「本院は、日本国憲法の掲げる恒久平和の理念の下、世界国々と手を携えて、人類共生の未来を切り開く」というようなことを表明しておるわけであります。  しかし、その後また、村山総理談話を発表して、「あの焼け野原から、幾多の困難を乗りこえて、」こう言いながら、要するに過去の戦争侵略であったと言わんばかりの談話を実は申しております。「アジア太平洋地域ひいては世界の平和を確かなものとしていくためには、なによりも、これらの諸国との間に深い理解と信頼にもとづいた関係を培っていくことが不可欠と考えます。」云々と、こう文言があるわけであります。  実はこの決議の際、衆議院においては過半数にも及ばない出席者であった。特に、参議院ではこの決議を見送っておるわけであります。  この中で、私は、この決議あるいはまた総理談話、これはアジア国々あるいはまたほかのヨーロッパ、アメリカからは評価されておりますが、ただ、これは私の個人的な考えでございますが、果たして国民の総意に基づいて、特に恩給制度の中にあります日本遺族会とかあるいはまた諸団体の方々にとっては耐えがたい決議であったというふうに今でも私は皆さんとお会いするとお聞きするわけであります。  こういう中で私は、村山総理もされましたこの件について、先ほど申したとおり特に米国とか中国、韓国、英国の四カ国の首脳にあてて、首相の談話に加えて、また、さき大戦を反省し謝罪する意見を示した親書をお送りしている。あるいはまた、アジア太平洋地域を中心とする約三十カ国の関係国には、在外公館に訓令を与えてこれも伝達しているということであります。  そういう中で、我々の同志の、大先輩であります三塚先生は、国会決議を超えるという強い意見があると政府見解を求め、さらに、談話を閣議決定したことについて、議院内閣制の基本と違う、こう述べられております。また、これに対して村山総理は、国会決議を大きく逸脱した覚えはないというようなことをおっしゃっているわけであります。  さて、こういうことの中で、実は私のお聞きしたい点でございますが、こういうことを踏まえながら、我々は、やはり決して戦争をしてはならない、戦争を犯してはならない、これも国民周知、一致しているわけでございます。  過去の戦争に対する歴史的な評価は、後世によってその評価が待たれるわけであります。しかしながら、それとあわせまして私は、今長官が仰せでございますが、お聞きしたいことは、戦後五十年を経た今日、私はこの恩給制度、多くの方々があの大戦によって亡くなられ、そしてまた、それに伴って国内におけるいろいろな、やはり戦争後も家庭的な悲劇あるいは社会的なものが続いておるわけで、それを補うということで恩給制度というものが昭和二十八年ですか、さらに実は成立されたと思うのでありますが、戦後五十年経過し、そしてまた五十年を期していろいろのプロジェクトチーム等がつくられ、議論されております。  特に恩給国内恩給に比べて、まあ私の偏見かもしれませんが、例えば慰安婦の問題とかあるいはまた中国のいろいろな問題等について、やはりそれを行うのも、それは当然国際社会における責任でありますが、それ以上に、この恩給制度に対する改善等問題等について長官の断固たる御意見をひとつお聞きしたいと思いまして、特にまたこの恩給改善に対してどのように基本的に今後、お考えを持っているかということをお聞きしたいと思うのでございます。よろしくお願いします。
  9. 中西績介

    中西国務大臣 戦後問題についてはここでは特別御答弁はいたしませんが、今最後に指摘されました恩給問題でありますが、公務員が長年まじめに勤務して退職した場合だとか、あるいは疾病による退職あるいは死亡による退職等を含みまして、国が、公務員との特別な関係に基づきまして、使用者として公務員またはその遺族に給付するものであることは御承知のとおりであります。特に、受給者のほとんどの方々戦没者の御遺族あるいは戦傷者を初めとする旧軍人関係方々であることから、国家補償的な性格を有しておるものと考えております。  それで、恩給改善に当たりましては、このように恩給特殊性を考慮をいたしまして、恩給年額実質価値をどう維持していくかという、こうした配慮を行ってきたところでありますけれども、こうした点について今後も継続してやっていきたいと思っております。
  10. 栗原博久

    栗原(博)分科員 後ほどまた、これに関連してお聞きしたいと思いますが、それで、戦後五十年の事業といたしまして、戦没者追悼平和祈念館という名称での建設が今急がれているようでございますが、慰藉事業シベリア抑留とかあるいは恩欠とかなどの方々に対する平和祈念慰藉事業の中でも何かこれに類したものをつくるやに伺っておるのでありますが、日本遺族会等から、やはり後世に戦争のつらさ、惨めさ等を伝えるためにどうしてもこの平和祈念館が必要であるということで、それに対しまして、皆さんの御当局の方で適切なる配慮で、今その事業が、平成年度から七年度予算であったけれども、若干おくれて九年度になるやに伺っていますが、それを進めてやるということでございますが、この事業趣旨と、それから進捗状況等についてひとつお聞きしたいと思うのでございます。
  11. 橋口典央

    橋口説明員 ただいま先生指摘戦没者追悼平和祈念館につきましては、厚生省戦没者遺族援護施策の一環といたしまして長い時間をかけて検討してきた事業でございます。  昨年の九月、事業内容につきましては、主に、戦没者遺族が経験された戦中戦後の国民生活上の御労苦を後世代に伝承していくものに、また建物のデザインにつきましては、地元住民の皆様の御要望を踏まえ周辺環境との調和に最大限配慮したものに見直しいたしまして、現在事前工事を進めているところでございます。  今後とも、地元の御理解をいただきまして、広く国民に親しんでいただける施設となるよう進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  12. 栗原博久

    栗原(博)分科員 お聞きしますと、九段会館のわきにおつくりになる。そして今度、これは環境庁の方に土地の権原が移って、それはまた遺族会の方に運営を委託されるというようなことも伺っておるわけでありますが、九段会館は靖国神社の近くでございますし、本当にいい、場所の大変適切なところだと思います。  ただ、私は、地元遺族会とかいろいろな方とお会いしますと、もうそろそろ、みんな年をとってやっと歩くような状況の方が多いわけですね。こういう立派な祈念館もこれは必要でございますが、戦争のそういうものを、戦争の記録も、やはり地方方々に、特に戦争未亡人方々等が目に触れるようなそういう形で出張して展示するということも必要かと私は思うんです。実は質問の要項の中に入っておりませんが、こういうことについて、実際遺族会遺族方々は東京よりも地方に多いわけですから、そういうことについて、そういう方に対する、この祈念館趣旨をやはり全国くまなく伝えるためにはそういうことも本当に必要と思うのでありますが、それについては質問を予告をしてないけれども、そういうことをすることも検討しているかどうか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  13. 橋口典央

    橋口説明員 今先生指摘ございましたけれども、この祈念館趣旨といたしましては、今先生がおっしゃいましたように、戦中戦後の国民生活上の労苦にかかわります歴史的資料情報収集、保存いたしまして、後世代に、戦中戦後の国民生活上の労苦を知ることのできる機会を提供しようというものでございます。  したがいまして、その事業内容といたしましては、陳列事業ということで、当時の国民生活の姿をお伝えできるような資料の保存、陳列をいたしますけれども、それ以外に資料収集提供事業あるいは情報検索事業等も予定しております。これらにつきましては、全国地方方々がどこからでもアクセスできるような、例えばコンピューターによるデータベース化を図り、御活用していただけるようにというようなことも考えているところでございます。
  14. 栗原博久

    栗原(博)分科員 ぜひひとつそういうことをよろしくお願いいたします。  次に、恩給をお受けになっている方々、今まで見ますと、各年金、恩給受給対象者は現在百七十二万人おられるというふうに伺っております。それで支給額総額は一兆五千三百五十四億円ですか、さてそれは先ほど長官からも、今後も国家補償として変わらぬ幾久しい措置をしたいということについて、それはごもっともであり、また当然だと思っております。  そこで、そのほかに、同じ戦地に赴いて苦汁をなめ、特にまたシベリアの凍土の中にやせ細って帰ってきた方々、こういう方々に対して、私は、果たして今のこのままでよろしいだろうか。戦後の強制抑留で、シベリアあるいはまたモンゴルなどにおいて五万五千人の方が現地で亡くなっている、そしてまた四十七万三千人の方々が帰還されておるわけであります。その中で、シベリアに参りましても恩給を受けてない方は二十八万四千人おられるということであります。  あるいはまた、恩欠についても、わずか数日の差のために二百五十三万人の方々恩給を受給してない。あるいはまた、引揚者が、約二百六万人の方々が、かの日本の地あるいはまた日本町等において財産を引き払って帰ってきているわけですね。  こういう方が、確かに、ほんの二、三日の差、あるいはそれはその人の運命だということで片づけてそれで終わりかわかりませんが、しかしながら、まだ多くの方が、大半の方が、あるいは中には、もうシベリアのことを思い出したくない、栗原君、シベリアの話をしないでくれ、金なんか要らないと言う。それほどやはりシベリアにおける取り扱いが残酷であった、過酷であった、金なんてもらわなくていいということをおっしゃる方もおられるのであります。そういう方に対してこそ、先ほど長官おっしゃった国家補償、やはりこういうものをまだまだ私は続けねばならぬと思うのであります。  過去の戦後処理の問題に対する経過をひもときますと、昭和六十一年十二月二十九日、戦後処理問題に関する、政府・自民党が合意したということで、いわゆる戦後処理問題については、さきの戦後処理問題懇談会、これは五十九年十二月二十一日にやったそうですが、その趣旨に沿って特別基金を創設し、関係者労苦慰藉する事業を行うことですべてを終結するものとするということで、そして生存者に対しては書状とか慰労品を贈る、あるいはまた恩給受給者を除く生存者には慰労金十万円を支給するというようなことを決定し、昭和六十二年十二月二十七日においても、認可法人平和祈念事業特別基金を設けておる。あるいはまた、昭和六十三年七月一日にも平和祈念事業特別基金等に関する法律が第百十二回国会で成立して、今日に至っておるわけであります。  その中で、今まで慰藉をあらわすということで、銀杯とかあるいはお金を交付しておりますが、さてそれは、後ほどお聞きしたいと思うのでございますが、果たしてこんなことでよろしいのであろうか。特に、戦後五十年を機に、私は何らか、これらのシベリア抑留者方々恩欠方々に対して、何か明るい兆しが出るものをやると実は期待しておったのでありますが、全然それはなさらなかったということでございます。  たとえ、昭和六十一年十二月二十九日に戦後処理問題に関する政府あるいは党の合意がなされたとしても、私はまだまだこの問題が終わらない限りは、我が国の戦後は終わっていないというふうに思うのでありまして、これについて、きょうは総理府長官、お見えでないようでございますが、所管の方から、ひとつ今後の取り組みがどうなっているかということをお聞きしたいと思います。
  15. 戸谷好秀

    戸谷説明員 お答えいたします。  先生御案内のとおり、恩給欠格者問題あるいは戦後強制抑留者問題、引揚者問題につきましては、戦後処理懇というものがございまして、その中でいろいろ御議論いただいたわけでございますが、政府として特にこれを措置するべきものはない、基金を設けて慰藉事業を行えということになったわけでございます。  昨年来、いろいろ恩給欠格者問題等につきまして、私ども説明もいたしましたし、御議論したり、御示唆をいただいたということでございますが、その中でも、私どもとしてはこれまでの形でぜひこれを慰藉事業として持っていくという形になっているというふうに承知しているわけでございます。  そこで、ただ、昨年、また本年にかけまして、私どもといたしましても、関係者の方からいろいろな要望がございましたので、その御要望につきまして、できる限りいろいろな御議論をいただいた上で対応するということをしたわけでございます。  そこで、何ができたかということでございますが、昨年度におきましては、外地勤務経験のある方でございましても、私どもが今、書状、銀杯、慰労の品をお渡しするということにつきましては、加算年が三年以上、加算年つけて三年以上という枠がございます。三年未満であっても、やはりそれに近いような苦労をしたというような御要望が強くございましてそれにつきまして、基金の運営委員会等で検討がなされまして、実在職で一年、この枠で書状、銀杯を贈呈しようという事業を発足させたわけでございます。  それから、本年度につきましては、外地の勤務というのが戦後処理懇の中でやはり大きなメルクマールとしてあったわけでございますが、そうはいっても、内地勤務経験、これだけでもかなり長くいて、やはり我々の労苦評価すべきだという御意見が強くございまして、それにつきましても、加算年を含めまして在職年が三年以上、これがあれば、それで、その方々に書状だけでもというお話がございまして、そういうことでございますならばということで書状を贈呈する事業を開始することといたしまして、今これも広報をしているところでございます。  それから、引揚者の方々につきまして、書状を贈呈する事業を現在やってきたわけでございます。これが今年の三月で期限でございましたので、それにつきましても引き続き延長して、書状の申請を出していただきたいということでやってきているところでございます。  そういう形で、この方々のいろいろな考えに私どもとしてはおこたえしていきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  16. 栗原博久

    栗原(博)分科員 私は、慰藉事業を残すためにそういうような仕事をまた加えるというふうにしか理解していないのですよ。  私が申し上げるのは、やはりシベリアとか恩欠の方、ほんのわずかなんですけれども、そういう方、何とかならぬかというのです。あなたの答弁は、私は前の委員会でもちょっとお話ししたことがあるのだけれども、四百億の基金を積み立てるということですね。戦後のシベリア抑留は、平成五年三月三十一日で終わっておりますし、今おっしゃった引揚者もこの三月三十一日で終わっているわけです。あとは、恩欠者の方々に対しては請求期限がないわけなのです。  これに対するいろいろな措置がこれからとられるということでありますが、私は、前にも申し上げたとおり、この平和祈念慰藉事業、外地において記念碑をつくるとか、これは大変ありがたいことだと思っていますよ。思うのだが、四百億余りの金を積み立てまして、それで実際あなたたちがやっている仕事は、年間約二十四億ぐらいですか。そして、経常経費が約三億若干かかっておるわけですね。  でも、公益法人等の整理等もあるわけだけれども、将来こういう基金事業を残すための平和慰藉事業であってはならない。私は、やはり少しでもいいから、今や恩給年金の受給者はどんどん減っているんだ、亡くなっていっているわけですから、四百億という金も積み立てができているわけですから、そういうものをあくまでも目に見えるものとして何かもっと別の形でやはり措置をしていただきたいというふうな思いをしながら今質問をしているわけであります。  ただ、この平和祈念慰藉事業の、こういう書状を贈るとか、そんな一枚の紙をもらったって、すぐもう片づけてしまいますよ。私の田舎へ行っても、銀杯もらったってそんなものはもう全然出さぬですよ。だから、戦後五十年を迎え、経過した中で、もっとこれらの方々の御労苦にこたえるものを、あなたたちは新しい事業としてぜひひとつ政策をつくっていただきたいということをまず申し上げたいと思いまして、シベリア抑留そして恩欠質問を私はこれで終わります。  次に、時間がないので走り走りで大変恐縮でございますが、恩給受給者の方が、不幸にもといいましょうか、もうお年を召しておりますからどんどん減ってまいっておるわけであります。  昭和四十四年に、ピークで二百八十三万人おられました恩給受給の方々は、現在では百七十二万人である。そして、当初予算額でございますが、一番ピーク、昭和五十八年に一兆七千三百五十八億円の恩給経費が、現在では一兆五千三百八十二億円であるということでございます。  特に、国家予算の総枠の中に占める恩給関連の予算もどんどん額が少なくなって、私、ちょっと数字を忘れて恐縮ですが、恐らく今は二・五%ぐらいだと思うのです。十五年ぐらい前は三・二五%ぐらいであったわけでありますが、こういう中で、今の恩給受給者方々から、絶えず皆様に、国に対しての要望があるわけであります。  ことしの改正においても、恩給の引き上げ額、恩給が〇・七五%引き上げられた。ほかの年金等に比べて、この引き上げ高は高いので、これは心から感謝を申し上げます。あるいはまた、公務関係の扶助料につきましても七百円あるいはまた傷病者遺族特別年金については五百六十円引き上げたということでありますが、さてこの中で、今後、昨年度は一・一%ですか、引き上げになっていますが、今後ベアに当たって、基本的にどのようにこれに取り組んでいくか、考えていただけるかということをお聞きしたいと思うのであります。
  17. 石倉寛治

    ○石倉政府委員 もう結論の御要望ではございますが、ちょっと単純な数字の議論でございますので、御説明させていただきます。  平成年度における恩給受給者数は、おっしゃいますとおり、百七十二万人でございますが、予算額が一兆五千三百八十二億でございます。これは一般会計歳出予算七十五兆一千四十九億円の二・〇%でございます。昔、二十八年に軍人恩給が復活いたしましたときはどんな状況だったかといいますと、この受給者数が全体で三十三万人、予算額で五百六十五億円、当時の国の一般会計歳出予算に占める割合は五・九%であった、こういうような経緯を持っておるところでございます。
  18. 中西績介

    中西国務大臣 先ほども申し上げましたけれども国家補償的な性格を有する制度でありますから、問題は、現在平均年齢が七十七歳と高齢化いたしておる、こういう状況にありますので、こういう方々の生活を考えますと、これが支えになっておるわけでありますから、処遇等についても十分努力をしていく必要があると思っております。  特に、先ほども申し上げましたが、この恩給年額実質価値の維持をどのように図っていくかというのが恩給受給者に対する処遇改善の基本的な考え方でありますので、こうした点を十分留意をしてこれから処していきたいと思っております。
  19. 栗原博久

    栗原(博)分科員 私は、今長官からもお話を承りましてありがたいと思うんでありますが、これは七十七歳、今の恩給受給者の平均年齢が七十七歳である。これから、こういう言い方は大変失礼ですが、先細りしていくわけですね。  私は、ただ生活の支えとかじゃなくて、恩給というのは、日本は今他の国とは違って軍事力、実際自衛隊はありますが、要するに軍は持たないというような形で、ですから、日本恩給制度と今諸外国のそういう軍人恩給、年金等とは若干差があると思うんです。  ただ、私は、日本恩給制度は、決して戦争してはならない、戦争をやったならば、国家は戦地に赴いた方に対する補償、国民に対する補償というものにこれだけかかるんだ、だから、今この恩給制度考える場合、今後の受給を考える場合、国家が戦争をしてはならない。それには、戦争した場合は莫大な金がかかるんだ、国民に対してもあるいはまた関連した国家、国に対しても。ということで、そういう見地から私は、この恩給の額というのを今後ともやはり引き上げと申しましょうか、本来の姿に戻していただきたいというふうに思っております。  特に、その中で、先ほど長官も仰せのとおり、だんだん受給者の方が高齢を召されておるわけでありまして、この国家補償としての恩給を、再度ひとつ長官から御高配を賜りまして、来年度恩給法の改正の中での引き上げ等について御考慮をしていただくことをお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  20. 稲垣実男

    稲垣主査 これにて栗原博久君の質疑は終了いたしました。  次に、前田武志君。
  21. 前田武志

    前田分科員 きょうは、総務庁長官初め総務庁の幹部の方々に来ていただいております。今月半ばに地域改善対策協議会、宮崎繁樹会長の「同和問題の早期解決に向けた今後の方策の基本的な在り方について」という意見具申を長官は受けられたわけでございますが、この同和問題について、主に長官の御見解なりあるいは今後の問題点等について質疑をしたい、こういうことでございます。  私自身も長官談話をペーパーで読ませていただいて、長官のお考えというものも、非常に前向きにとらえておられるなということで、一般論で申せばこの先に非常に大きな心配があるわけでございますが、そういったことについても長官は前向きにとらえておられるなというふうに受けとめた次第でございます。まずは長官のこの意見具申に対する見解を、談話趣旨は表明されているわけでございますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  22. 中西績介

    中西国務大臣 地対協の意見具申につきましては、その施策推進に当たって大変貴重な意見だということを政府としては受けとめておるわけであります。  したがって、意見具申を尊重いたしまして、盛り込まれた施策をどのように実現していくかということが今後の課題になるわけでありますけれども、法的措置を含めまして、各般の措置について具体的に今後検討していきたいと思っております。  特に、与党におきましても、人権と差別問題に関するプロジェクトチームがございますので、各党間の話し合いが現在行われておる状況でございます。したがって、その議論の動向にも十分留意をしながら、政府・与党一体となりまして同和問題の早期解決に向けて取り組んでまいりたいと思っております。
  23. 前田武志

    前田分科員 この同和問題、いわれなき差別の問題、我が奈良県におきましても、例えば水平社運動等で先覚者であった西光万吉さんや米田富先生、この差別解消そして人権問題について取り組んでこられた主導的な方々がおられるわけでございます。  そういう中で、政治の場においてもこの同和対策というものは、たしかあれは一番最初に取り組んだのは三十年ぐらい前でしょうか、一九六五年の同対審の結果を受けて同対法を施行して以来ということでございますから、相当の年月をかけてやってきているわけでございます。  今長官からのお話にありましたように、この問題の一番の基本といいますか、要するに、いわれのないそういう差別というもの自体がなかなか国民全般には理解がされてなかったというところがあります。したがって、政治的な対応もかなりおくれておったというふうに考えるわけです。そして、その後、同対法から地対財特法に至るまで何度も法を改正、延長したり、また新しい法にしたりということで対応してきたわけでございまして、同対事業としてやってきたことについてはかなりのところまでけりがついたと思うんです。  この辺はちょっと事務方にお聞きしたいんですが、おおよそで結構でございます、大体どの程度の事業量を今までやられ、残事業がどの程度というふうに見積もっておられるのか。
  24. 菊池光興

    ○菊池政府委員 今般地対協の意見具申をいただきましたけれども、その中で、従来の対策につきましての評価というものをいただいております。財政的に申し上げますと、今御指摘昭和四十四年に施行されました同対法以来ちょうど二十八年になるわけでございますけれども、四半世紀余りにわたる特別対策ということで、国、地方合わせてこれまでに約十三兆円を超える財政支出というものを行ってまいりました。  その中で、特にその同対審答申の中で御指摘ございましたように、劣悪な生活環境、これが大変な格差を生んでいる、それがまた心理的な差別を生むというような悪循環がある。とにかくこの特別対策という中で、劣悪な生活環境というようなものを中心とする物的な部分について早急にその改善を図る。そういう中であわせて啓発等も行いながら、啓発や教育を行いながら、差別意識というものの物的な面からあるいは心理的な面からの解消を図っていこうということでございまして、そういうことで十三兆円余り、国費約四兆円ということでございますけれども支出してやってきた。  それで、その成果につきましては、今回の地対協の報告書におきましても大きく評価をされておるわけでございます。「これまでの対策は生活環境の改善をはじめとする物的な基盤整備がおおむね完了するなど着実に成果をあげ、様々な面で存在していた較差は大きく改善された。」という評価をいただいているわけでございます。  ただ、この意見具申の中にもございますように、ではそれでもって完全に解消しているかというと、やはりまだ今後の課題というのは残されておる。それについて、現行の地対財特法というのが来年三月までの期限でございますけれども、この特別対策というのは一般的には今回の法律で打ち切ろう、こういうことでございますけれども、それであっても、やはりこの同和問題を解決するための取り組みというのは今後とも引き続きやっていかなければいけない、こういう指摘がされているところでございます。
  25. 前田武志

    前田分科員 今まで大体十三兆以上特別対策としてやってこられたという御指摘であります。その特別対策のいわゆる残事業といいますか、それがどの程度と見積もっておられますか、お聞きいたします。
  26. 菊池光興

    ○菊池政府委員 残事業につきましては、現行の地対財特法をちょうど四年余り前に延長したわけでございますが、その際に地対協から平成三年十二月に意見具申をいただきました。直ちにやめるわけにいかないから引き続き法的措置を講じろ、こういうような御指摘があったわけでございますけれども、その際に、的確に残事業を消化できるように進行管理をきちっとやれ、こういう御指摘もあわせていただいたわけでございます。  その際に、各省庁を中心にいたしまして、総務庁もあわせまして、いわゆる物的事業としての残事業量というものを把握いたして、この五年間法律を延長するに当たって、その法律の期間内に処理すべき事業ということで実額を把握いたしましたけれども、それが三千八百二十九億という金額でございます。それ以来、地対協の御指摘もございまして、進行管理というのに各省庁ともども努めてまいったわけでございます。  それで、平成六年までの事業はきちっと把握しております。七年は今決算途中でございます。八年度は先般予算をお認めいただいたところでございますが、この進行管理の結果、三千八百二十九億ということを言っておりました予算を相当上回る事業が実施でき、全般的に見れば、地対協の御報告の中にもありますように、法期限内に必要な事業というのは少なくとも事業量というベース、あるいは国の予算歳出ベースということではできる、こういうふうに考えているところでございます。
  27. 前田武志

    前田分科員 大体八年末までの予測を言われたわけでございますが、おおむねそういうことなんだろうと思います。ただ問題は、どういうような調査でそれを出されたか。経緯も多少は承知をしておりますが、やはり三十年前と今とでは、各地域の状況というのは大きく違ってきております。まずは日本自体の経済社会の大変動というものがあったわけですから、地域構造もどんどん変化していっている。端的には、例えばモータリゼーションなんというものは、これは日本じゅうあまねく行き渡っているわけでございますから、それ一つとっても想像できるわけです。それからまた、人口構成等も随分と異なってきているわけですね。  そういう中で、私が多少調べたところによりますと、我が奈良県なんかその最たるものなんですが、いわゆる残事業が偏在するわけなんですね。特に奈良県であったり福岡県であったり、あるいは四国にもあるかもわかりません。財政力の弱いところ、そしてそういう歴史的、地域的な特性もありまして、そういうところに残事業が特に集中しがちである。八年度以降ということになりますか、その法期限が切れた後、大体小集落整備事業ですか、こういった住宅関連の事業費だけでも千数百億と聞いております。下水道関係でまあその半分ぐらいでしょうか、七、八百億でしょうか。  しかし、それもとらえ方によっては、実はなかなか総務庁には把握されていないような面でも対応を緊急に迫られるようなものが相当あるわけであります。もちろん十三兆に対しては、確かにここまでこういう特別事業ということではよくやられたというふうに評価もするわけでございますが、しかし、その残事業というものが国全体から見ると、総額から見るとごくわずかなものに見えるかもわかりませんが、事実それが偏在する地方自治体等にとってはこれは大変な財政的な負担になり、もしも国の何らかの対応がなければ、事実上、これ以上継続して対応不可能だというぐらいのところまで追い込まれるおそれがあるということを十分認識をしていただきたいわけであります。  この辺についてなんですが、もう少し具体的に申し上げますと、要するに、地対財特法があったから補助率もアップしておりますし、それから起債の問題も特別の配慮がされますし、そしてまた、それに対する交付税の充当率というのも高いわけでございますから、そういった財政的なバックアップを受けて地元市町村、自治体が中心となって、国の補助金を要請し、そして事業をどんどん進め、結局は交付税等の措置も受けて前向きに進めてこれたわけなんですが、それの根拠がなくなると、一般事業でというようなことになると、これはもうまことにもって大変なことになるわけですね。  この辺のことについては長官もよく御認識はいただいておると思いますが、長官はこの点について、残事業といいますか、そういったものが額的には全体から見ると少なく見えるが、実は地域的には非常に偏在して大きな問題になっているということについての御認識をお伺いいたします。
  28. 菊池光興

    ○菊池政府委員 ただいま、同対法以来の事業の実施状況について申し上げましたし、平成年度に現行地対財特法が延長される際に私どもが把握いたしました、いわゆる物的事業としての側面の残事業ということについて進行管理を行ってきているということを御説明いたしました。  今申し上げましたように、地対財特法延長期限内に実施すべき事業については、全体として見ればおおむね完了できる、こういうふうに私ども考えておりますし、地対協の意見具申の中でもそういう御評価をいただいておるわけでございますが、今先生指摘になりましたように、個別の地域に着目してみますと、やはり必ずしもそこのところでは一律にそう申し上げられないような部分もあるとかということで、意見具申の中にも、地方公共団体の財政状況等を勘案しながら一般対策への移行についても工夫を凝らせ、こういう御指摘がございますし、特に、「工夫の方向」ということの中で、今御指摘ございました奈良県内の各市町村を中心といたします小集落地区等改良事業、これについては特記されておるところでございます。  小集落地区等改良事業については、既に着工済みであるが法期限までの事業完了が困難と見込まれるものが見られ、かつ、この事業を実施している地方公共団体の中には財政力の弱いものが見られる、事業の完了に支障が生じることのないよう国として適切に対応すべきだということで、特に具体的な形で事業名を挙げて指摘がされているところでございます。  先ほど大臣も申されましたけれども政府といたしましては、この地対協の意見具申というものを尊重して、これに基づいて必要な法的措置を初めとする各般の措置に取り組む、検討してまいらなければなりませんが、そういう大臣の御意向も受けながら、各省庁とも十分連携をとりながら、政府においてこの具体的なあり方について検討してまいりたい、適切に対応できるように努めてまいりたいと思います。
  29. 中西績介

    中西国務大臣 今審議官の方からも申されましたけれども、こうした小部落等におきましてまだまだそうした残事業等があるということを指摘されておるわけであります。したがって、これらの問題を含みまして、諸事業についても今後十分検討をさせていただきまして、法的措置が必要かどうかも含めて論議をしていきたいと思っています。  あわせまして、特に指摘されました教育だとかあるいは啓蒙あるいは救済措置等を含みまして、依然として、戦後五十年、日本の民主主義が何であるかということを問われておるわけでありますし、また、国際的にも我々が胸を張って日本の人権問題、民主主義を提案できるように、何としても早期解決を図っていかなくてはならない、このように考えております。
  30. 前田武志

    前田分科員 長官の今の最後の御見解ですが、私もまことに同感でございまして、この同和対策、同対法ができ、同和対策事業が始まったころにおける国民の認識と、そして今の状況というのは大きくさま変わりしていると思いますね。  二十一世紀は人権の世紀であるとよく言われるがごとく、やはり日本人はある意味では人権問題に対する感覚がちょっと薄いというところがあります。これは、単一民族で、同じ文化を共有してずっと島国で過ごしてきたという歴史的な背景があるのでしょうが、結局そういったもの自体が、今の世界における日本の立場、そういった世界における責任の問題であったり、世界の平和に対する貢献の問題であったり、いろいろなところで問われてきているわけでございますから、ある意味ではこの同和対策、施設面、ハードの面以上にソフトの、本当に差別という心理的な、同じ日本人でありながらその中でそういったことが意識として残る、そういったことが一番の問題であります。むしろ、言ってみれば、二十一世紀の世界の平和ということを考えたら、こういった問題を克服してこそ、日本の国が世界において本当に尊敬もされ、また世界の平和に貢献できる存在になっていくのだろうと思います。  そういった意味で、我が党におきましても、この具体的な事業のことも含めまして同和問題の基本法というものを取りまとめたところでございますが、聞くところによると、与党においてもプロジェクトで、今御指摘の法的措置ということの中にそういった広い視野の考えも含めて検討されているやに聞くわけでございます。その辺に対して、ぜひ長官に、一つは、そういう基本法として、人権問題そのものを真っ正面から取り上げて、これをいかに国民的課題として解消していくか、克服していくか、それが一つ。そして、先ほど来質疑しておりました残事業も含めて、そういう事業のハードの面ですね、これも根拠がなければお答えのようなわけにはなかなか難しい面もあるわけでございますから、その辺を含めて、最後に長官の御見解をお聞きいたします。
  31. 中西績介

    中西国務大臣 御指摘ございましたように、与党のプロジェクトにおきましても長期にわたって御論議いただいております。したがって、先ほど指摘ございましたように、今後我々が国際的にも胸の張れる状況をどうつくり出していくかということになってまいりますと、アイヌ問題、そしてこの部落差別問題、こうした問題等をいち早く解消することが先決であります。したがって、このプロジェクトの論議を十分お聞かせいただきまして、まとめていただき、そして、今私たちが申し上げましたような状態をいち早くつくり出せるように、今後努力をしていきたいと思っています。特に、いろいろな問題を解決するためのそうした法的措置を含みまして、検討してまいりたいと思っております。
  32. 前田武志

    前田分科員 それでは、次に、あと一点だけ、長官の御見解をお聞きしたい問題がございます。  当決算委員会、やっときょうから、こうやって分科会ということで、平成年度、五年度決算に取り組んでいるわけでございます。決算委員会の使命というのは、国会のこの委員会を通じて、国の予算が政策目標どおりに執行され、大いに効果を上げているかどうか、そしてさらに、この委員会の審議を通じて、国の行財政というものが効率的に行われるようにたゆまざる改革を進めていくかということにある、こういうふうに思うのですね。  特に、現下の財政状況から見ますと、今年度末で国債残高二百四十兆円、地方債百三十兆円ですか、それから国鉄等、そういったいわゆる隠れ借金等も含めますと四百五十兆円ぐらいになるのでしょうか、こういうような状況のもとで、もう待ったなしの財政再建というものが迫られるわけです。  ここには大蔵省等も来ているわけですが、それは単に財政の改善というような面にはとどまらない、日本の経済社会のあり方、あるいは公的部門がどういうふうに受け持つべきなのかといったような問題、さらに言えば行政における明確な体系のあり方、そういったものですね。例えば、今いわゆる特殊法人の問題等があるわけですが、一般会計以上に財投なんかがいろいろな面で使われている。そういうコストのかかる資金が本当に利潤を、いわゆる経済原則に従って使われておるのかどうか、そういうものについてはなかなか決算という場でも克明に追及されないところがあるのです。特に、予算書においてはこういう財政投融資の問題については余り詳しくは議論されないといったところもあります。  そんなことも含めまして、私は、この日本における公的部門がどういうような役割をしょってその政策目的に沿って予算を執行していく、公的資金を使っていくべきかということ、それの議論がこの決算委員会としては非常に大きな役割であろうと思うのですね。  最後の質問ということになりますと、要するに、総務庁というのは、そういった意味では行政監察をやっていくわけでございますし、そしてまた、各省庁の組織関係についても総務庁が調整役となって全体を見ておられるわけであります。予算と連結してやっておられるわけですね。日本予算のあり方というのを見ると、やはり組織人事のあるところにどんどん予算がついていくわけでございますから、そういった意味では、総務庁の持っている役割というのは、組織人事、そういったものを総合的にとらえて、政策目標に合った本当の組織になっているかどうか、その成果が上がっているかどうか。それと予算というものは裏腹についてくるわけでございます。  当然、特殊法人なんかもそういう関連でできていくわけでございますから、そういった意味で、私は総務庁の役割たるや、狭い範囲で財政再建ととらえても、あるいはまた大きな意味でパブリックセクターがどういうような役割を持っていくのか。大きな、グローバルな、そして情報化された市場というものをうまく生かして、なるべくそれを小さな、公的な部門というものをなるべく効率的にやっていく、そういう大きな潮流の中で、総務庁の持つ役割は非常に大きいということを私は申し上げるわけでございますが、そういった点における長官の御見解をお聞きして、質問を終わりたいと思います。
  33. 中西績介

    中西国務大臣 総務庁の役割は、今御指摘いただいた点に集約されていくだろうと思いますけれども、いずれにいたしましても、戦後、行政のあり方等を考えてまいりましても、今大きな矛盾が生じておるということは御存じのとおりだと思います。  これから、特に私たちが今手がけておりますのは、行政改革を中心にいたしまして、政府の組織形態をどのようにしていくかということも含めて取り組んでおるところであります。特に、経済社会の構造そのものを変えなくてはならない状況に立ち至っておるわけでありますから、そうした意味におきまして、また国民生活をどう安定させるかということも含めまして、行政改革の中でも規制緩和措置をどのようにしていくか。従来から言われておりましたいろいろな問題、各省庁に中間報告をしていただきまして、これを公開し、そして多くの皆さん意見を内外からお聞きし、行政外からの意見もお聞かせ願って、これについても取り組んでいっておりますし、さらに地方分権法なるものを制定をしていただきましたので、これに基づきまして、中央における権限をどのように地方に分散、移譲していくかという、こうした問題等についても今取り組みをいたしておるところです。  したがって、この部分につきましては、先般中間の報告をしていただきまして、今後残っておる問題といたしましては、財政あるいは地方税等を中心にして御論議をいただき、今年度末ぐらいにはそうした問題等についても出していただきますし、機関委任事務については既に原則的に廃止をするという方向性を打ち出していただきました。いろいろ御意見はあるようでありますけれども、これはもう後に下がるわけにいきません。  こうしたことを含めまして、これから取り組んでまいりたいと思いますし、さらに情報公開、これまた今大変な問題を醸し出しておるわけでありますから、こうした問題等をあわせ、さらに特殊法人の問題あるいは民間あるいは行政との関係等をどのように進んだ形態に持ち込んでいくか等々を考えてまいりますと、今まさに、行政としては戦後最大の改革の時期に立ち至っておりますので、これらを総仕上げしていく形の中で、政府のあり方等につきましても具体的に検討し、また首都移転の問題等につきましても、あわせ考えていくようになってくると思います。  総じて申し上げますならば、やはり今国民皆さんにもなかなかそうした点がわかりにくいわけでありますから、わかりやすく、そして御協力をいただき、そして我々政治に携わる者がそうした先進的な役割を果たしていただくようにこれからお願いを申し上げ、さらに、それぞれ省庁におきましても、これらの問題について積極的に取り組んでいただくよう、さらにまた行政監察等を通じまして、勧告をしながらこれを進めていきたい、こう考えておるところであります。
  34. 前田武志

    前田分科員 財政の明確化であったり財政改革というような観点から、当決算委員会におきましても、これからもまた総務庁長官とは大いに議論を重ねていきたいと思います。  これをもって終わります。ありがとうございました。
  35. 稲垣実男

    稲垣主査 これにて前田武志君の質疑は終了いたしました。  次に、竹内猛君。
  36. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 私は、戦後の農政の変化とそれから土地改良事業、特に国営土地改良、その中でも港湾及び湖沼の干拓事業に関連をして質問をします。  なお、加えて、最近たばこの議論が閣僚の間でも行われているし、あちこちで騒がれていますから、そのことについても一言触れさせてもらいたいと思います。  戦後の食糧難の解決と、復員や引き揚げの入植のために、農用地とそれから水源地の開発が行われたということについては意義があったと思います。特に、それが面積を基準にして、国営、県営、団体営、こういうぐあいに実施をしたことについては一定の評価はできるわけですが、しかし、昭和三十五年、池田内閣の所得倍増計画、それに伴う農業基本法が三十六年に成立をしておりまして、四十年ころから米余りの傾向が激化して転作を余儀なくされる。特に四十五年には、米が余り、非常に財政を使って赤字の解消をした。こういうようなときから減反政策がとられた。所得面においても、農工間格差が随分出てきました。  その後、引き続いて工業製品の輸出と食糧の輸入というものが相関関係を持ってきております。土地利用型の農業から次第に変化をして、総合農政に変わっていった。そういう中で、現在食糧の自給率は大変下がっておりまして、穀物では三〇%を割る、カロリーも四〇%を割るような状態になってきた。先進国として、日本ぐらい食糧の輸入の多い国はない。  そして現在、平成五年においてはガット・ウルグアイ・ラウンドを受け入れている。これは、米の輸入はもちろんのこと、農産物についても、西暦二〇〇〇年のWTOに至るまでの間には、やがて関税でいくのか数量でいくのかという問題が問われている。昭和十八年につくられた食管法も廃止をされて、新食糧法、そして三十六年のこの農業基本法もその成果を見ないままに新たな農政に転換をして、今、これから新農業基本法をつくろうという動きが政府の内部にもあるし、民間においても、農民、消費者団体あるいは学識経験者が、農業というものを単に価格の面だけではなしに、人口や食糧、農村、資源あるいは環境というような立場から、新たな国際的な一つの結集ですね、新しいラウンドをつくろうという動きがあります。  こういうときに、戦後五十年の今日において、農業、食糧、農村の実態が大きく変化をしているときに、現在、水田面積の三五%に当たる七十九万ヘクタールが減反をしているし、耕作放棄が二十二万ヘクタールもある。こういう経過の中で、内陸においての土地改良あるいは構造政策というものについては、これはまだ一定の推進をしなければなりませんが、三十三年ごろから計画をされた港湾や湖沼の干拓について、いまだに完成を見ないところがあります。現在、必ずしも当初の目的に達しておらないで何回かこの計画を変更したところもある。そういうものを大蔵省は、戦後の干拓に使った費用、二十一年から平成六年ごろまでの費用について、どれくらい投資をしたのか、こういうことについてひとつ大蔵省から聞きたいと思います。  今日まで、これはかなり前の資料ですけれども、直接やったのは七十四地区、それから代行百九地区が完了し、約四万ヘクタールの農地がつくられた、干拓地が。しかしながら、現在長崎県の諌早あるいは愛知県、三重県にまたがる木曽岬、熊本県の羊角湾、それから鳥取県と島根県の間にある中海・宍道湖は、いまだにこれが完成をしておらないで、それぞれ内部に困難な問題を持っておりますが、これについて大蔵省からはどれぐらいの財政を投資したかということについて、まず総括を聞きたい。
  37. 稲垣実男

    稲垣主査 答弁者に対し一言御注意申し上げます。  答弁する際は、挙手をされ、官姓名を名乗るようお願いいたします。その後、委員長指名いたしますから、それから御答弁願います。
  38. 杉本和行

    ○杉本説明員 お答えいたします。  先生の御関心の農業基本法は昭和三十六年に制定されまして、その前に三十五年、所得倍増計画が上がったということでございますが、私ども今持っております資料で、昭和三十五年に国営干拓事業をやりましてから国営干拓事業に投じた金額でございますが、事業費ベースで四千七百九十七億円、そのうち、いわゆる国費、国の予算措置した額でございますが、これが三千四百一億円でございます。
  39. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 そこで、現在、二十二万ヘクタールの耕作放棄、それから七十九万ヘクタールの減反、これは両方足すと百万ヘクタールというものの農地が、水田あるいはその他の畑地が使われていない。この五十年の間に四万ヘクタールちょっとしか造成をされていない。金はかなりかけているけれども、これは情勢の経緯がありますからやむを得ないこととは思うけれども、その効果はあったと思うのか、それとも、これは少し考え直さなければならぬと思うのか、この辺はどうですか。
  40. 杉本和行

    ○杉本説明員 お答えいたします。  御存じのように、国営干拓事業をやりましてから、先生指摘のとおり、四十年代、米が余るようになりまして、農業をめぐる情勢は大きく変化したわけでございます。ただし、干拓をやりましたその土地に関しましては、そういった状況の中で、各種の作物、一部米をつくっているところもございますが、畑作等大規模な農業経営、それから効率的な農業経営という面から、各種の経営が展開されておりまして、その意味では、干拓いたしました土地はそれなりに効率的に利用されているのではないかというふうに考えております。
  41. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 金を預かる者としては随分甘い評価ですね。甘いですね。もう少し厳しくこれはやらなければいけないと思う。これは後で……。  秋田県の八郎潟、これは完成をしましたね。新潟の福島潟も完成をした。岡山の笠岡湾、石川県の河北潟、いずれも完成はしたけれども、内部に大変問題を控えております。そのことについては既に、ここで改めて言うこともありませんが、何遍も計画を変更して、目的を変えて、いろいろやっている。そこで、この際、私はこの河北潟の問題についてひとつただしていきたいと思うのですね。  今から五十五年前に、私は学徒出陣で石川県の金沢の部隊に入隊した。そのとき、この河北潟というのは新鮮な魚の産地であった。これが、一九六三年、昭和三十八年に三百四億円、それに附帯工事をして、約四百億の工事をして、稲作から畑作に転換をした。六五年の計画変更、七七年にも計画を変更し、七八年にも飼料畑と畑作に転換をする。八二年に第四回の変更をした。米作から今度は畑作と畜産に変えていく、こういうように変換をしながら、その中で、湾の三分の二の千四百ヘクタール、後で質問をする中海の本庄地区が千四百ヘクタールですけれども、それと大体同じぐらいのものを干拓をし、しかも、入植をした農民は相次いで農地から離れる。それで、石川県の農業開発公社がこれを買い上げて売ったりしているけれども、売った分だけ出てしまって、一つもそこに埋まらない、満員にならないのですね。そういうような状態の中で、離農が絶えない、これが今日の状態なんです。農地の五分の一がまだ残っている。これについて、農林省は一体これをいいことだと思っているのですか。
  42. 江頭輝

    ○江頭説明員 今御指摘の河北潟の干拓でございますけれども、私どもが調べているところでは、現在、農家数の推移を見てみますと、六十年前からは少々減っておりますが、六十年に二百十戸ございまして、平成七年時点で二百十六戸、その間増減がございまして、おっしゃるような減少はございますが、事実を確認いたしましたところ、河北潟干拓地は、入植者そのものは少なく、周辺の農家による増反が多い、こういう構造になっておりまして、基本的には営農の失敗からくる離農というケースは余りない、少ない、このように伺っております。  以上です。
  43. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 これは、三十三年の間に四回も計画を変更する、にもかかわらず、農用地として安定をしていない証拠だ。水田から畑作、それから酪農というふうに変わってきた。  朝日新聞では五月十日の社説で、入植者が、入殖して十六年にもなっている宮前幹雄さんという人、六十一歳ですが、この人の話として、キャベツ、スイカ、大豆などをつくるが、土壌の悪い干拓地はもともと畑作に合わない。河北潟は干拓で小さくなってしまって、その上に農業用水の確保のために淡水化をされて流れがよどんでいる。水質の指標である化学的酸素要求量、CODは毎年環境基準を大きく上回り悪くなるばかりである。そして湖の周辺にはごみが捨てられている。関連事業を含めて四百億もの金を投じて一体これはどういうことなのか。  ということについて、農林省の話はもう聞く必要ないが、行政監察局はこれに対して監査をしているはずだが、この事実は行政上いいと思っているのか悪いのか。
  44. 大橋豊彦

    ○大橋政府委員 竹内委員指摘になられました国営干拓事業の問題につきましては、私ども総務庁の監察局におきましてもこれまで勧告をいたしております。具体的には、昭和五十五年度に農業基盤整備事業に関する行政監察というものを行いまして、その結果に基づきまして昭和五十七年の四月に勧告をいたしております。  勧告の内容は非常に広範な範囲にわたっておりますが、要約して申し上げますと、一つは、農業基盤整備事業につきまして、新規事業を抑制してほしいということ、さらには継続事業の打ち切りなど適正化を図っていただきたいということを指摘しておりますが、そのほかに、国営干拓事業に限りまして、一つは、臨海部の干拓地というのは工業用地などにも利用されやすいものでございますし、そういう点から工業開発部門との調整に十分配慮した事業計画をつくっていただきたい。さらには漁業資源、自然環境への影響に関する評価については、これまでよりさらに厳しい評価が——厳しい情勢にもございますので、こういうことも踏まえて今後における干拓事業について長期的、総合的に検討していただきたいということ。二番目には、農用地の保全に一層留意すること。三番目には、的確な土地配分を期すことによりまして、遊休地の発生防止と、現に発生しております未配分遊休地の早期解消を図ることという三点を指摘しております。  その後、先生が御指摘のような農業情勢の非常に大きな変化がございますので、昨年度実地調査を再度いたしまして、今現在取りまとめ中でございます。
  45. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 行政監察局に頑張ってもらって、いたずらに国費をむだに使わないように、ひとつ効果のある使い方とするようにぜひ機能を発揮してもらいたい、これは頑張ってもらいたいと思うのですね。あちこちに、これは、今挙げた例はちょっとレアですけれども、私は農林水産委員会に属していて農業問題については物すごく愛情を持っているけれども、むだ遣いをして、やらぬでいいことについて一生懸命力を入れるなんて、そんなばかなことはない、これはぜひ注意をしてもらいたい。  次に、今度は会計検査院の方へ聞きますけれども、愛知県と三重県の間に木曽岬というところがある。これも、県境の間で議論をして、今度は県境が決まったら町と町との間で境界の議論をしている、今でも。しかも、それは九四%ぐらいもうでき上がっておるけれども、三百七十ヘクタールですね、平成七年、九四・七%、でき上がったのは。それで進んでいるが、これもでき上がってから百六十三億もお金使いながら何にも生産をしていない。こういうようなのはないですね。初めから許可をするときに、県と県との間の境界が争われ、町と町との間でわからない、こんなばかな、戸籍の不明な人間に出生届が出て許可を与えるようなものだ。こんなことがあっていいのかどうなのか、まず第一にそのことだ。これは会計検査院の方から。こういうことについて金を使うというのはおかしいじゃないですか。
  46. 五十嵐清人

    ○五十嵐会計検査院説明員 木曽岬の干拓事業につきましては、平成年度決算検査報告で意見表示という形で指摘しております。それは、今先生指摘のような県境が確定できないでいるということが一つ、それから、農業情勢が変わっているというような点も含めて、今後多角的な土地利用について検討すべきだろうというような御意見を申し上げたわけであります。  県境問題については、実は六年に、ちょっと正確なあれを持っていませんが、たしか六年に問題解決になって、さらに今度は今の町境の問題というのがありまして、これも実はつい三月だったと思いますけれども、木曽岬町、長島町の間での合意が得られたやに聞いております。これは、もちろん知事の大変な努力があったというようなことも聞いております。  それで、御質問の、こういったものについて事業をすること自体がどうなんだというお話でございますが、おっしゃるとおりの点がございます。今後事業を実施するに当たってはこういうことは絶対あってはならないということを私ども考えている次第でございます。  以上でございます。
  47. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 なぜ私がこの二つのことを聞いたかというと、今問題になっているのは、島根県と鳥取県との間にある中海・宍道湖の、八年間も休んでいたものを全面的に干陸をしていこうということなんです。島根県の知事は世論調査にも耳を向けない、そして業界や一部の業者との間で話をつけて、隣の鳥取県の方も、知事は別にしても、関係の米子市は反対、それから境港市は重大な関心を持つという状態、環境庁からは水質の問題についてもっと徹底的に水質をしっかりやれというような湖沼管理者としての意見、そういう中でNHKもこの間放送をしてそれについて疑義を投げかけた。朝日新聞、毎日新聞、読売、日本経済新聞、地元の各紙が全部これに対しては反対なんです、今ごろ何でそういうことをやるかと。にもかかわらず、これを干陸させよう、こういうわけだ。これについて今島根県では二十万の反対署名を出している。農林省は一体この事実について承知をしているかしていないか。
  48. 江頭輝

    ○江頭説明員 今御指摘の中海干拓本庄工区についてでございますが、平成四年に島根県知事から、土地利用につきまして具体化に向けて検討いたしたいという申し出がございまして、農水省といたしましてはその平成年度から八年度までの五年間工事を延期している、そういう状況にございます。  この間、島根県知事は総合的な観点から検討をされまして、本庄工区の立地特性から見まして土地利用型畑作農業と畜産を中心といたしましたスケールメリットを発揮し得る新しい農業の展開を図る必要があるという考えを持ちまして、島根県議会、直接関係する市、町の同意を得て、全面農地利用として中国四国農政局長平成年度からの工事再開を要請されたところであります。  現在、農水省におきましては、中国四国農政局と島根県の間におきまして、営農計画を初め、県から要請のございました留意事項等について検討を開始いたしたところでございまして、今後両者が協議を行っていく中で本庄工区の事業の進め方について結論を得たい、このように考えております。
  49. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 この問題については、この次の委員会で大臣と話をするから、これ以上課長と話をしても間に合わないからやらない。  ただ、こういうような問題を、一遍進めたからと言って、そして建前と本音が違う。建前は農地を開発するということで、本音はその農地を分断をして、一部農地、一部は市街化をつくろうという。これははっきりこの業界へ行って、僕は八年前にも現地へ行ってそれを押さえた。ついこの間も行って、知事や何か全部会ってきた。それが、親分衆はそんなことを言っているけれども、末端は違いますよ。これは大変ですよ。役人や知事は永久にそこに座っておるわけじゃないんだよ。一遍壊された自然や生態系というものは再び返ってこないんだ。  そういうことを考えると、そんな一片の答弁で物が解決するような、そんな生易しいものじゃないのだから。この問題はゆゆしい問題ですよ。これは、大蔵省としても予算なんかをつけないようにひとつ頑張らなきゃいけないです。いや、本当だよ、それは。こういうものには予算をつける必要はない、ほかのことについてはしっかりやらなくちゃいけない。これだけははっきりしておく。  もう時間がないから次の方へ移りますが、国際禁煙デーというのがあるのですね。それは、きょうから始まるのかな、三十一日か。このことについて、最近はマスコミで非常におもしろおかしく、我が国会においても、携帯電話と喫煙については検討をして、携帯電話は即時中止、たばこについては次の国会ぐらいまでに喫煙者に対しては特別な施設をつくって、そちらでたばこの方は吸ってもらう。こういうふうに、これは分煙制度等ということですね。  そこで、閣議においても、この間二つに分かれて議論をしたということが新聞におもしろおかしく書いてある。これもなかなか聞きごたえのある話ですね。だめだという人といや冗談じゃないと、こういう話だ。それから、アメリカでも中国でもたばこの問題についてはそれぞれ動きがある。  そういう中で、日本においては三千四百万の愛煙家がおり、喫煙者がおります。これは人口の三六・三%。財政の貢献度は二兆円、国に一兆円、地方に一兆円、こういうふうになって、非常に貢献をしているわけですから、別に悪いことをしているわけじゃない。  たばこの歴史というのはいろいろありまして、それが専売になった歴史がありますから、そういうことについて私どもは随分研究もしてきたし、たばこ耕作者とも話をしてきた。葉たばこをつくる耕作者が三万人、それから販売する、販売というのですね、たばこの小売店が二十九万戸。それで、たばこの仕事をしている従事者が二万人、大体百万人ぐらいの人たちがこれで生活をしているわけだから、大変なことですね。国に貢献し、地方に貢献し生活を支えているわけですね。  そういうものについて、業界でも喫煙者のマナーということについていろいろ研究もし訴えをしているけれども、なかなかマスコミはそういうものにきついものだから非常に苦労をしている。そういう中で、厚生省は健康の問題からいろいろな意見を出しておりますけれども、最終的な答えというものはなかなか出にくい。健康に害がある、そして周辺の人に迷惑をかける、こういうようなことを言っていますが、迷惑をかけるのはたばこだけじゃなくて、ほかにもたくさんある。  そうして、締めれば締めるほど今度は歩きながらたばこを吸う人が出てきて、ちょっと道の外に捨てればそれは公害になってくる、あるいは原っぱに捨てた場合には野火の原因にもなるというおそれもあるから、やはりこれは節度のある喫煙制度というものについて考えていかなくてはならぬじゃないかということで、ぜひこの場所を設けたりそれから処理をしたりするために、閣議でもいろいろと相談をして努力をしてほしいし、国会でもまた議論をしていきたいと思います。  私は、やはりたばこというものについては、私自身は別にたばこは吸わないけれども、うちの息子は大分たばこを吸う。だけれども、家でけんかをしたことは一回もないですからね。お互いに好きなものは好きだし、嫌なものは嫌でそれは結構だ。酒の好きな者もあるし嫌いな者もあるということですから。やはり安くてうまくて安心するたばこというものについて、それぞれが理解をし合っていくというような制度を、形をつくっていく必要があるだろう。  そういうことを考えて、今大蔵省もたばこの管理者として、分煙とか禁煙とかあるいは防煙とか絶煙というようなことを、言葉が今動いていますけれども、どういう方向でこの努力をされるか、ひとつ大蔵省の考え方を聞きたいですね。
  50. 井置一史

    井置説明員 たばこの問題でございますけれども平成元年五月にたばこ事業審議会から大蔵大臣に対して、「喫煙と健康の問題に関連するたばこ事業のあり方について」という答申をいただいております。この中で、分煙に関しましては、公共施設、職場等におけるいわゆる分煙化の措置については、施設管理者等の判断に基づいて適切に進められるべきであり、たばこ事業関係者においても喫煙マナーの普及・啓発に努める必要があるというふうにされておりまして、行政で防煙とか分煙ということを決めるのではなくて、やはり施設管理者等の自主的な判断に基づいてされるものだというふうに考えております。  ただ、ここで言われております、たばこ事業関係者においても喫煙マナーの普及・啓発に努めるべきであるということを受けまして、私ども、業界関係者に働きかけを行っておりまして、業界の自主的な判断といたしまして、社団法人の日本たばこ協会あるいは日本たばこ産業株式会社、そういったばこ関係の団体が、ポイ捨て禁止運動でありますとか携帯用の灰皿を配るとか、そういうことで喫煙マナーの向上に努めているところでございます。
  51. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 たばこの問題について余りいじめないようにひとつ世論をうまくリードして、お互いに楽しんでストレスを解消したりするようにしなければまずいと思うのですね。そういう点では一層の努力をひとつしてもらいたい。  もう時間が来たからこれで終わりますけれども、農林省の問題はこれで済まない。これからが本問題で、ここはちょっと出先の話だ。
  52. 稲垣実男

    稲垣主査 これにて竹内猛君の質疑は終了いたしました。  次に、石井紘基君。
  53. 石井紘基

    石井(紘)分科員 まず、総務庁にお伺いします。  私は、先日も決算委員会で同様の趣旨のことを申し上げましたけれども我が国の行政、財政のシステムについて、これはもう大変古くなっていると。むだが大変多いシステムになっておる。これを改革するということは、あらゆる意味で大変今日的な緊急の課題であるというふうに考えるわけであります。  そこで、実は概略、そういうシステム、構造について申し上げますと、財投の資金を主に使う機関、財投機関というものの中に、特殊法人のうちの相当数のものがございます。この特殊法人が、さらにこのもとに子会社といいますか孫会社といいますか、そうした法人を設立いたしまして、これには財団法人という場合もありますが、設立をいたしまして、さらにそれがひ孫会社というものをつくっておるという構造になっているという点であります。  当然のことながら、財団法人とか株式会社というのは、これは民間の団体であります。そういう民間の団体に対して公的な資金が資本金という形あるいはまた基本財産という形で、あるいは寄附行為という形で流れ出ていくということについては、これは基本的な大きな問題があると思います。いろいろに工夫を凝らして規定がありますけれども、やはり基本的にはこれは大きな問題であると思います。  ということは、直接間接にいわゆる国の予算国民の税金というものがそういう動き方をしているわけでありますから、そういたしますと、これをチェックするシステムというものが万全でなければならないわけであります。ところが、会計検査院の場合には一定の限度がありまして、孫会社までしかチェックすることができないということになっておる。孫会社といいますと、特殊法人から見ると子会社であります。しかし、現実にはもっと先までお金が流れていっているわけであります。  例えば、例を挙げればたくさんあるのですけれども建設省の住都公団の場合には、株式会社を二十三持っており、財団法人を六つぐらい持っておる。それがそれぞれひ孫会社をつくったりもしておる。道路施設協会という財団法人は、これは道路公団の関連の協会でありますが、この道路施設協会というものは、六十四ぐらいじゃないでしょうか、株式会社をつくっておる。そしてそれにこの道路公団の仕事を専らやらせておるということになっておりまして、こういうふうに公的な事業あるいは公的なお金が直接間接に流れていく場合には、当然のことながらその実情が何らかの形で明らかにされなければならないわけであります。  にもかかわらず、例えば道路施設協会は、きのう私のところに参りましたけれども、これは秘密でありますので一切出せないということであります。道路施設協会という財団法人が六十四も会社をつくっておきながら、あるいはもっとあるかもしれませんが、私が把握した限りではそのぐらいだと思いますが、つくっておきながらそれぞれに幾ら資本金を出したのか、それでそれぞれの孫会社がどれだけの資産を有しているのか。  資本金というものは、当然のことながら資本金に対応する利益というものがあるわけでありまして、あるいはまた資産、まあ連結決算なんかをする場合には資産がどれくらいあるかということがわからなければこの資本金の意味がないわけでありまして、にもかかわらず、そういうことは秘密であるから言えないというのは、まさしく国の系列機関でありながらそういうことであるとすると、それは大変な不正がそこにあると言わざるを得ないわけであります。道路施設協会の場合には特に秘密が多いように思いますが、これだけじゃありませんで、そういう形は随所に構造としてあります。  そこで総務庁は、一昨年十月に私が要求をいたしました同様の趣旨の、これは住都公団についての問題を取り上げたのですが、それを受けて早速行政監察をされました。これについては相当の精力を投入して行政監察をされ、その結果を報告をされました。  そういうことで、その努力を大変多とするものでありますが、それではまだ不十分でありますので、ひとつ、今私が申し上げたような各特殊法人の系列関連の財団法人及び株式会社、その子会社、孫会社、ひ孫会社、そうした系譜を監察をし、公表をすべきである。  まあ株式会社の場合には、民間の団体だから財務内容は明らかにできないとか、あるいは資産内容は明らかにできないとか、そういうことを言い逃れで言われる場合が多いのですけれども、そこが大きなからくりでありまして、株式会社というのは本来は、本来はというよりも法律的にも、どこからどういう理屈立てをしてもこれは民間の団体であるべきなんです。それを利用して国がそこに出資をし、設立をし、仕事を与え、天下りというか、職員がそこに行くという形をとっているわけでありまして、これは本来の姿ではなく、まさに不透明、不明朗な姿でありまして、したがって、これは秘密にせざるを得ないということになっているわけであります。ですから、税金の使途あるいは公共料金等の国の予算の使途というものが我が国では明らかにならないわけであります。  したがって、総務庁はそのような趣旨を十分とらえて、そして徹底した系譜についての、株式会社の出せない、例えばひ孫会社の株式会社がどこから借り入れをしてどことどこに取引しているという、そういう民間同士の取引については、これは企業の秘密であるということは当然ありますから、そういうことを私は言っているのではなくて、国のお金がどう回っているか、そういう視点から言っているわけでありますから、この系譜を明らかにすべきだというふうに考えますので、総務庁はぜひこれについて趣旨を了解をした上、監察を行うという答弁をお願いしたいと思います。
  54. 大橋豊彦

    ○大橋政府委員 石井委員指摘のいわゆる特殊法人の子会社、孫会社などに対する国の資金といいますか、そういうものの流通状況について、私どもの方では、昨年十二月の政府の閣議決定もございますし、あるいは本委員会での議論も踏まえまして、昨年の十二月から九十二のすべての特殊法人につきまして、子会社等の経営内容がどうなっているのか、あるいはその子会社、孫会社などにおきます情報開示がいかなる状況になっているのか、さらには子会社等に対します特殊法人自体の指導監督というのが適切に行われているかどうかというような、大きくいいまして三つの観点から調査をいたしております。  今、実地調査、非常にピークの時期でございます。何といいましても九十二すべての特殊法人についてやりますので、十二月から始まりましたが、今中間段階でございますが、できるだけその結果を早期に取りまとめて公開、公表いたしたいと思っております。  ただ、先生ぜひ御理解いただきたいのは、現行の私どもの設置法上では、特殊法人については強制的な調査権限はございますが、特殊法人の子会社あるいは孫会社につきましては相手方の協力ということが前提になっておりますので、そういうことをぜひ御理解いただきたいと思います。
  55. 石井紘基

    石井(紘)分科員 相手側の協力がないと税金がどう使われているのかわからないというようなことは言わないようにしてもらいたい。これは税金の使い道ですからね。  やはり、縦割り行政だから総務庁はそこまでしか権限がない。会計検査院も、孫会社までしかない。そうするとチェックするところがない。だから、私はこの間国会議員四十五人の皆さんの参加を得て、国民会計検査院というのをつくったのです。こうしないと税金の使い道がわからないのです。だけれども国民会計検査院といったって、別に何か権限を与えられているわけじゃありませんから、ただしゃにむにぶつかって調べるというしかない。  それは一つの運動ですから別ですが、ほかにそれを把握できるところがないのですよ。会計検査院の場合はお金の面からいきますけれども総務庁はそうじゃないのですから、総務庁はまさに行政機構の問題を扱うわけですから、総務庁がやらなければやれるところはないのです。だから、総務庁はそういう意味で、今行っている調査も、それぞれの特殊法人がどこに仕事を発注したかという観点から、そういう視点からやるんじゃなくて、特殊法人の系列企業、子会社、孫会社、ひ孫会社がそれぞれ国の仕事をどれだけ受けているかという側面からやらなければだめです。それはちょっと調査の、監察の視点が大変ずれておる。  だから、今私が言ったような視点からの監察をやる必要があるということが一つと、それからまさに行政の系列が民間まで及んでいってしまっていても、そこまで把握しなければいけないのです、これは公的な資金が行っているわけですから。どうですか。
  56. 大橋豊彦

    ○大橋政府委員 先ほど私が申し上げましたように、現行の設置法で私どもに権限として与えられておりますのはあくまでも相手方の任意の協力ということでございますが、そのことを申し上げた趣旨は、任意の協力だから私どもの調査に当たって消極的になるという意味では決してございません。可能な限り、最大限、私どもいろいろ相手方の説得などをしまして、資料の提出、協力についてやるということをやってきておりますし、現に、先生が今挙げられました、先般報告しました公共工事の発注事務に関する調査結果報告では、特殊法人などが民間事業者の方に発注している割合を民間事業者を通じていろいろ把握した結果を監察して勧告しているわけでございます。  そういうことで、一応設置法というものでは任意の協力でございますが、最大限私どもの能力を発揮して調査をいたすということを申し上げようと思ったところです。
  57. 石井紘基

    石井(紘)分科員 じゃ具体的に言いますけれども、例えば道路施設協会が六十四も株式会社をつくっている。この株式会社のそれぞれの方から見て、道路公団等の国の仕事をどれだけこれらの株式会社が受けているか、そういうことを把握しなければいけないのですよ。あるいは、畜産振興事業団だったら百九十七の株式会社をつくっているわけですよ。この百九十七の畜産振興事業団がつくっている株式会社の方から見て、その一つ一つがどれだけ国の仕事をとってやっているか、その上部団体である畜産振興事業団からの資本金を幾ら得てやっているかということを見なければお金の流れがわかりませんので、そういう立場からひとつぜひ総務庁が、今言われたように真剣に取り組まれるように強く期待をいたします。  それから、大蔵省に伺いますが、国の系列の特殊法人になっている金融機関、十二か十三あると思いますが、それの総体の経営規模、それとあと民間の、例えば一番大きい銀行である東京三菱の貸付残高で見るのがいいのかと思いますが、その規模についてちょっと数字を挙げてみてください。
  58. 村木利雄

    ○村木説明員 まず、政府系金融機関の貸付額等につきましてお答えを申し上げます。  まず、九公庫二銀行の合計でございますが、平成年度予算におきます貸付金の計画額、いわゆるフローの数字でございます、これが二十四兆一千五百八十二億円、こうなっております。ちなみに、残高ベース、ストックベースで見まして、平成年度末におきます貸付金残高は、二銀行九公庫合計で百三十二兆六千三百九十六億円となっております。  一方、民間金融機関の方でございますけれども先生指摘のように、民間金融機関のうち資産規模が最大のものは、この四月一日に合併いたしました東京三菱銀行でございますが、この合併前の平成八年三月末の数字がありますが、旧東京銀行と旧三菱銀行、これらのいわゆる総資産の合計額が七十四兆六千八百三十五億円、また貸出金の合計額は四十二兆八千四百六十二億円、こうなってございます。
  59. 石井紘基

    石井(紘)分科員 民間の最大の銀行である東京三菱が、その貸付残高は四十二兆八千億円、総資産額が七十五兆。それに対して、政府系の金融機関の貸付残高は百三十二兆六千億円。これは九公庫二銀行ということでありますが、それだけでもこんなに規模が大きいということがわかるのですが、政府系の金融機関というのは何もこれだけじゃありませんで、まだまだ金融業務をやっているところはたくさんあるのですよ。労働福祉事業団だとか、農業者年金基金だとか、中小企業事業団だとか、環境事業団だとか、あるいは簡易保険福祉事業団とか、数えても切りがないぐらいあるのです。  我が国では、こうやって国が世界最大、東京三菱より多いし、世界最大規模のこういう金融事業をやっている。財投機関は別にしても、財投計画そのものは別としてもこういう状態です。  しかも、一般の民間の銀行に対しては大蔵省の監督権というのはあるということでありますから、金融はもう一枚岩ですね。もう一つの、国の経営ないしそれに準ずる形態ということですから、だから、今度の住専の問題のようにちょっとどこかで、ちょっととは言えないけれども、何か不安が起こると、これは金融不安につながるから国が手を打たなくてはいかぬということになるわけなのですね。  ですから、私は、こういう金融に対して、銀行に対して、自律性を高めるということが非常に必要なのが一つと、それからもう一つは、国がやっている銀行業務ないしは広く言えば金融業ですね、これを極力やめて民間に移すという必要があると思いますが、これは大蔵省いかがですか。
  60. 村木利雄

    ○村木説明員 まず、政府系金融機関の業務につきまして、その見直しでございますが、御案内のように、政府系金融機関が行っております政策金融は、生活環境整備でございますとか、あるいは中小企業対策、これらの政策目的を実現するために、市場原理に基づく民間金融のみでは適切に対処することが困難な分野に資金を供給するものでございまして、民間金融を補完、奨励するものとして重要な役割を果たしておると考えております。  このような政策金融の役割を十分に発揮するためには、経済社会の発展に伴って変化いたします政策課題に対応して融資対象分野を適切に設定するとともに、民間金融のみによって適切に対応がなされるようになった分野につきましてはこれを政策金融の対象から除外する等、不断の見直しを行っていくことが必要と考えております。そういった観点からも、例えば、この平成年度におきますと、開銀、日本開発銀行でございますが、これにつきましては事業計画額の思い切った縮減、前年比約一八・五%の減少になっておりますが、このようなこともいたしておるところでございます。  さらに、民間金融機関の自律性を高めるための措置でございますが、金融行政につきましては、御案内のように、金融の自由化、国際化が急速に進展したにもかかわらず、市場機能を重視し、自己責任の徹底を求める行政への転換が必ずしも十分に行われてこなかったのではないかとの御批判をいただいているところでございます。そのような御指摘を踏まえまして、市場規律に立脚した金融システムを構築していくために、今後の金融行政につきましては、金融機関と行政の間に一定の緊張感を保ちながら、また民間金融機関の自主性を尊重しつつ、一方で自己責任原則の徹底と市場規律の十分な発揮を基軸とする透明性の高い金融行政に持っていくことが重要ではないかと考えておる次第でございまして、これらの関連法案を現在国会に提出いたしまして御審議をお願いしているところでございます。  なお、金融分野の規制緩和につきましては、金融機関の競争を促進いたしまして金融機関の経営判断による創意工夫の発揮を促進するためにも、これを推進していくことが重要だと考えておりまして、金融制度改革の実施でございますとか、あるいは預金金利の自由化、あるいは店舗設置枠規制の廃止など、従来もその推進に努めてきたところでございますけれども、今後とも規制緩和につきまして積極的に取り組んでまいりたいと考えておる次第でございます。
  61. 石井紘基

    石井(紘)分科員 環境事業団に伺います。環境庁かな。  一つは、時間がなくなったからざっと全部言ってしまいますが、環境事業団が行っている金融業務、これは何も環境事業団がやらなくてもいいのであって、環境事業団はやはり環境をいろいろな意味で守り、保全するための技術指導なり行政指導なりということに徹するべきであると思います。したがって、この金融業務をやめるべきであるということが一点。  それから、長良川の河口堰の問題で、この間日本自然保護協会が報告書を出しました。調査の報告ですね。これによりますと、長良川の河口堰の運用後、自然環境が大変破壊されておるということで、これ、七、八ページに上るものですが、主に汽水域の生態系が破壊された、環境破壊はかなり深刻になるであろうというふうに書いているわけです。いろいろな魚、それから貝、プランクトンなどが死滅する可能性が高いというようなことも書いてあります。  これは、長良川の河口堰に関連して建設省がこの調査をやる。建設省とか水資源公団が事業主体でこういうことをやっておいて、まあ、千五百億ぐらい使ったのですか、まだ何も、まだというか、これからもそうでしょうが、何のメリットも生まれておりませんが、そういう中で自然破壊だけを行ったというようなものですがね。これの調査をまた、その建設を進めている建設省が自然環境の調査をやっているというのは、これはまさしくおかしな話であって、環境庁は一体何やっているのかということです。  環境庁は独自の調査を行うべきです。事業についてはその事業をやる人が調査をやるのだなんて、そんなおかしなことを言っていてはだめですね。環境庁というのはやはり日本の国土全体に対して環境の管理をやるべきでありまして、事業をやっていようがやっていまいが環境の調査を行うべきである。それについて、やるのかやらないのか。建設省と連絡をとってとか、そんなことではだめです。そうではなくて、自分のところが独自にやるのかやらないのかということです。  それからまた、環境庁長官は、先ほど出た中海もそうですが、この長良川にも早急に視察に行って対応をすべきであるというふうに思いますので、それについて答弁を。  幾つか言いましたけれども、答えてください。
  62. 清水美智夫

    ○清水説明員 環境事業団の金融業務についてのお尋ねでございます。  環境事業団の信用供与の事業の大きなものといたしましては、建設譲渡事業と融資事業の二つがあるわけでございます。  まず、建設譲渡事業について申し上げますと、我が国の市街地におきましては住宅と工場との混在という地域がまだ多くございます。工場騒音、悪臭等の苦情が後を絶たないわけでございます。こういうものに対応するためには、そういう工場を公害防止の観点あるいは環境保全の観点に配慮した工場団地に移転させるということが効果的な方法であるということでございます。  環境事業団は、複数の中小零細の企業を組織化する、そして移転先の土地を造成する、そして環境に配慮した建物を建設まで一体的に行うというようなことをやりまして、それを事業者に譲渡して移転させるということでございます。この譲渡の際に割賦ということで信用供与を行っているということでございます。  中小零細企業にとりましては、単独でそういう移転用地を確保する、あるいはさまざまな関係諸手続を履行する、あるいは建物の設計施工監理をするというようなことはなかなか難しいわけでございますし、また…(石井(紘)分科員「もう時間過ぎている、もういいです」と呼ぶ)はい。ということで、結論だけ申し上げますと、環境事業団の事業あるいは融資事業もそうでございますが、なかなか民間分野では難しいものにつきまして適切に対応しているというふうに考えているところでございます。
  63. 稲垣実男

    稲垣主査 答弁を簡潔に願います。
  64. 清水美智夫

    ○清水説明員 御理解を賜りたいと思います。
  65. 南川秀樹

    ○南川説明員 長良川の河口堰につきましては、環境庁長官の見解に従いまして調査が行われております。河口堰の堰の運用後、モニタリング委員会という委員会がつくられまして、そこで学識経験者の指導のもとに網羅的に調査が行われております。環境庁としては、特に調査すべき事項があると判断した場合には、建設省に対して適正に実施するよう申し入れを行っていきたいと考えております。  また、御指摘の自然保護協会の資料につきましては、私どもも十分勉強いたしております。  さらに、大臣の視察につきましては、私ども環境庁は定期的に事務方で現地を見ております。先生の御指摘につきましては大臣に伝えますけれども、引き続き環境の状況を十分見ながら対応していきたいと考えております。
  66. 石井紘基

    石井(紘)分科員 終わります。
  67. 稲垣実男

    稲垣主査 これにて石井紘基君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして総務庁所管質疑は終了いたしました。     —————————————
  68. 稲垣実男

    稲垣主査 これより大蔵省所管国民金融公庫日本開発銀行及び日本輸出入銀行について審査を行います。  まず、概要説明を聴取いたします。久保大蔵大臣。
  69. 久保亘

    ○久保国務大臣 平成年度大蔵省主管一般会計歳入決算並びに大蔵省所管の一般会計歳出決算、各特別会計歳入歳出決算及び各政府関係機関決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計歳入決算について申し上げます。  収納済み歳入額は六十九兆四千四十二億二千四百三十五万円余となっております。  このうち租税及び印紙収入は五十三兆一千六百二十億七千百四十二万円余となっております。  次に、一般会計歳出決算について申し上げます。  歳出予算現額は十六兆七千五百二十三億八十四万円余でありまして、支出済み歳出額は十六兆七百三十二億九千六百二十二万円余、翌年度繰越額は七十四億三千二百四十三万円余でありまして、差し引き、不用額は六千七百十五億七千二百十八万円余となっております。  このうち、国債費は十四兆六千二百八十三億九千四百六十万円余を支出いたしました。  次に、各特別会計の歳入歳出決算概要を申し上げます。  まず、造幣局特別会計におきまして、収納済み歳入額は二百五十六億二千四百七十三万円余、支出済み歳出額は二百四十一億二千七百二十二万円余でありまして、損益計算上の利益は六百三十万円余であります。  このほか、印刷局等の各特別会計の歳入歳出決算につきましては、決算書等によって御了承願いたいと存じます。  最後に、各政府関係機関の収入支出決算概要を申し上げます。  まず、国民金融公庫におきまして、収入済み額は五千百五十二億六千四百三十九万円余、支出済み額は五千四億六千二百八十一万円余でありまして、損益計算上の損益はありません。  このほか、住宅金融公庫等の各政府関係機関の収入支出決算につきましては、決算書によって御了承願いたいと存じます。  次に、平成年度大蔵省主管一般会計歳入決算並びに大蔵省所管の一般会計歳出決算、各特別会計歳入歳出決算及び各政府関係機関決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計歳入決算について申し上げます。  収納済み歳入額は七十五兆六千二十億七千七百二十七万円余となっております。  このうち、租税及び印紙収入は五十二兆八千二百十六億八千七十三万円余となっております。  次に、一般会計歳出決算について申し上げます。  歳出予算現額は十五兆九千百三十九億九千二百七十四万円余でありまして、支出済み歳出額は十五兆三千二百七十五億六千九百七十九万円余、翌年度繰越額は二百七十四億八千百三十万円余でありまして、差し引き、不用額は五千五百八十九億四千百六十四万円余となっております。  このうち、国債費は十三兆七千百四十二億九百九万円余を支出いたしました。  次に、各特別会計の歳入歳出決算概要を申し上げます。  まず、造幣局特別会計におきまして、収納済み歳入額は三百二億六千八百七十万円余、支出済み歳出額は三百十二億七千六百七十七万円余でありまして、損益計算上の利益は一千四百九十一万円余であります。  このほか、印刷局等の各特別会計の歳入歳出決算につきましては、決算書等によって御了承願いたいと存じます。  最後に、各政府関係機関の収入支出決算概要を申し上げます。  まず、国民金融公庫におきまして、収入済み額は五千百七億四千四百三十二万円余、支出済み額は五千三百三十五億五千五百五十七万円余でありまして、損益計算上の損益はありません。  このほか、住宅金融公庫等の各政府関係機関の収入支出決算につきましては、決算書によって御了承願いたいと存じます。  以上が平成年度及び平成年度における大蔵省関係決算概要であります。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  70. 稲垣実男

    稲垣主査 次に、会計検査院検査概要説明を聴取いたします。会計検査院深田第一局長
  71. 深田烝治

    深田会計検査院説明員 平成年度大蔵省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、法律、政令もしくは予算に違反し、または不当と認めた事項二件であります。  検査報告番号五号は、租税の徴収に当たり、課税資料収集・活用が的確でなかったなどのため、徴収額に過不足があったものであります。  検査報告番号六号は、法人税の還付金を支払うに当たり、支払い事務が適切でなかったため、同一の納税者に対し還付金を重複して支払っていたものであります。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。  次に、平成年度大蔵省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、法律、政令もしくは予算に違反しまたは不当と認めた事項一件であります。  これは、租税の徴収に当たり、課税資料収集・活用が的確でなかったなどのため、徴収額に過不足があったものであります。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  72. 稲垣実男

    稲垣主査 次に、平岡第五局長
  73. 平岡哲也

    ○平岡会計検査院説明員 平成年度国民金融公庫決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  また、平成年度国民金融公庫決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  次に、平成年度日本開発銀行決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  また、平成年度日本開発銀行決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  次に、平成年度日本輸出入銀行決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  また、平成年度日本輸出入銀行決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  74. 稲垣実男

    稲垣主査 ただいまの会計検査院指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。久保大蔵大臣。
  75. 久保亘

    ○久保国務大臣 平成年度に関し、ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきまして、大蔵省のとった措置等について御説明申し上げます。  会計検査院の検査の結果、不当事項として、税務署における租税の徴収に当たり、徴収額に過不足があったこと等の御指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。これらにつきましては、すべて徴収決定等適切な措置を講じましたが、今後一層事務の合理化と改善に努めたいと存じます。  次に、平成年度に関し、会計検査院から御指摘のありました事項につきまして、大蔵省のとった措置等について御説明申し上げます。  会計検査院の検査の結果、不当事項として、税務署における租税の徴収に当たり、徴収額に過不足があったこと等の御指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。これらにつきましては、すべて徴収決定等適切な措置を講じましたが、今後一層事務の合理化と改善に努めたいと存じます。  以上でございます。
  76. 稲垣実男

    稲垣主査 この際、お諮りいたします。  お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 稲垣実男

    稲垣主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————    平成年度大蔵省主管一般会計歳入決算並    びに大蔵省所管の一般会計歳出決算、各特    別会計歳入歳出決算及び各政府関係機関決    算書に関する説明  平成年度大蔵省主管一般会計歳入決算並びに大蔵省所管の一般会計歳出決算、各特別会計歳入歳出決算及び各政府関係機関決算書につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計歳入決算について申し上げます。  平成年度の収納済歳入額は六十九兆四千四十二億二千四百三十五万円余でありまして、これを歳入予算額と比較いたしますと六十五億一千四百五十九万円余の増加となっております。  以下、歳入決算のうち、主な事項についてその概要を申し上げます。  第一に、租税及印紙収入でありますが、その決算額は五十三兆一千六百二十億七千百四十二万円余でありまして、これを予算額と比較いたしますと三兆八百二十九億二千八百五十七万円余の減少となっております。これは、所得税及び法人税等において課税額の伸びが見込みを下回ったこと等によるものであります。  第二に、公債金でありますが、予算予定額を全額発行することといたしました結果、その決算額は九兆五千三百五十九億九千九百八十八万円余となっております。  第三に、決算調整資金受入でありますが、その決算額は一兆五千四百四十七億六千八百五十一万円余でありまして、これは、平成年度において予見し難い租税収入の減少等により、一般会計の歳入歳出の決算上不足が生ずることとなったので、決算調整資金から当該不足する額に相当する額を受け入れたものであります。  以上のほか、官業益金及官業収入百一億七千七百五十五万円余、政府資産整理収入一千百五十七億三千八百十一万円余、雑収入二兆五千九百二十億九千四百七十一万円余、前年度剰余金受入二兆四千四百三十三億七千四百十五万円余となっております。  次に、一般会計歳出決算について申し上げます。  平成年度歳出予算現額は十六兆七千五百二十三億八十四万円余でありまして、支出済歳出額は十六兆七百三十二億九千六百二十二万円余、翌年度繰越額は七十四億三千二百四十三万円余でありまして、差引き、不用額は六千七百十五億七千二百十八万円余となっております。  以下、歳出決算のうち、主な事項についてその概要を申し上げます。  第一に、国債費につきましては、国債整理基金特別会計へ繰り入れるため十四兆六千二百八十三億九千四百六十万円余を支出いたしましたが、これは、一般会計の負担に属する国債、借入金の償還及び利子等の支払並びにこれらの事務取扱費の財源に充てるためのものであります。  第二に、政府出資につきましては三千八百七十四億円を支出いたしましたが、これは、海外経済協力基金等への出資であります。  第三に、産業投資特別会計へ繰入につきましては、同会計の社会資本整備勘定等へ繰り入れるため二千二百四億六千七百二十万円余を支出いたしましたが、これは、貸付け等の財源に充てるためのものであります。  第四に、経済協力費につきましては四百三十六億八百十四万円余を支出いたしましたが、これは、国際開発金融機関を通じて供与する開発途上国に対する経済協力等のためのものであります。  以上申し述べました経費のほか、国家公務員等共済組合連合会等助成費、日本たばこ産業共済組合等助成金、国庫受入預託金利子、公務員宿舎施設費、欧州復興開発銀行出資、国民金融公庫補給金、特定国有財産整備費及び特定国有財産整備諸費として六百七億四千七十九万円余、並びに一般行政を処理するための経費として七千三百二十六億八千五百四十六万円余を支出いたしました。  なお、以上の支出のほか、公務員宿舎施設費につきましては七十四億三千二百四十三万円余が翌年度へ繰越しとなっております。  次に、各特別会計歳入歳出決算についてその概要を申し上げます。  まず、造幣局特別会計におきまして収納済歳入額は二百五十六億二千四百七十三万円余、支出済歳出額は二百四十一億二千七百二十二万円余でありまして、損益計算上の利益は六百三十万円余であります。  この会計の主な事業である貨幣の製造につきましては、二十七億二千万枚、額面金額にして一千四十三億五千万円を製造し、その全額を発行いたしました。  次に、印刷局特別会計におきまして収納済歳入額は一千十三億八千七百五十一万円余、支出済歳出額は八百八十六億八千二百十三万円余でありまして、損益計算上の利益は百二十億三千五百九十八万円余であります。  この会計の主な事業である日本銀行券の製造につきましては、三十三億枚、額面金額にして十四兆二千八百億円を製造し、その全量を日本銀行に引き渡しました。  以上申し述べました各特別会計のほか、資金運用部、国債整理基金、外国為替資金、産業投資、地震再保険及び特定国有財産整備の各特別会計の歳入歳出の決算の内容につきましては、特別会計歳入歳出決算によって御了承願いたいと存じます。  最後に、各政府関係機関決算書についてその概要を申し上げます。  まず、国民金融公庫におきまして収入済額は五千百五十二億六千四百三十九万円余、支出済額は五千四億六千二百八十一万円余でありまして、損益計算上の損益はありません。  この公庫の貸付けにつきましては、八十四万件余、金額にして四兆五百八十五億五千九百八十八万円余を貸し付けました。  このほか、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、北海道東北開発公庫、公営企業金融公庫、中小企業信用保険公庫、環境衛生金融公庫、沖縄振興開発金融公庫、日本開発銀行及び日本輸出入銀行決算の内容につきましては、それぞれの決算書によって御了承願いたいと存じます。  以上が平成年度における大蔵省関係決算概要であります。これらの詳細につきましては、さきに提出しております平成年度歳入決算明細書及び各省各庁歳出決算報告書等によって御了承願いたいと存じます。  何とぞよろしく御審議の程お願い申し上げます。     …………………………………    平成年度決算大蔵省についての検査の概    要に関する主管局長説明                会計検査院  平成年度大蔵省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項二件であります。  検査報告番号五号は、租税の徴収に当たり徴収額に過不足があったものであります。  これらの徴収過不足の事態は、納税者が申告書等において所得金額や税額等を誤っているのに、課税資料収集・活用が的確でなかったり、法令等の適用の検討が十分でなかったり、これを見過ごしたりして、誤ったままにしていたことなどにより、徴収額に過不足を生じていたものであります。  検査報告番号六号は、法人税の還付金を同一の納税者に重複して支払っていたものであります。  高松税務署において、支払事務が適切でなかったため、欠損金の繰戻しによる法人税の還付金を三年五月三十日と三年六月二十日に重複して支払っていたものであります。  なお、本件不当支払額については、本院の指摘により、五年六月に全額が返納されております。  以上、簡単でございますが説明を終わります。     —————————————    平成年度業務概況                国民金融公庫  国民金融公庫平成年度の業務の概況についてご説明申しあげます。  平成年度のわが国経済は、住宅投資に回復の動きが見られ、公共投資も堅調に推移したものの、個人消費は低い伸びとなり、設備投資が製造業を中心に弱含みとなるなど、引続き低迷しました。これらを反映して、中小企業の景況は総じて減速感の強いものとなりました。また、進展する産業構造の変化や消費者ニーズの多様化への対応を迫られるなど、中小企業を取り巻く経営環境には厳しいものがありました。  このような状況のもとで、当公庫は、貸付限度の引き上げ等により中小企業金融の円滑化のために積極的に対処いたしました。  平成年度の貸付につきましては、計画四兆一千億円に対しまして、四兆五百八十五億五千九百八十八万円余の実行をいたしました。  貸付種類別に貸付の実績を申しあげますと、普通貸付は、五十五万八千件余三兆七千七百九十六億五千六百二十二万円余、恩給担保貸付は、八万七千件余六百億一千六百四十三万円余、記各国債担保貸付は、八件九十一万円余、教育資金貸付は、十九万八千件余二千百八十億五百二十万円余となりました。  なお、普通貸付の貸付実績のなかには、生鮮食料品等小売業近代化資金貸付、商業近代化等資金貸付等の特別貸付が、二万七千件余二千百四十五億二千九万円、小企業等経営改善資金貸付が、十三万三千件余四千百四十六億七百十一万円含まれております。  一方、四年度において貸付金の回収が、三兆四千七百九十億八千六百五十万円余、貸付金償却が、百億四千六百七万円余ありましたので、四年度末現在の総貸付残高は、二百五十五万一千件余八兆九百二十億四千九十六万円余となり、前年度末残高に比べますと、五千六百九十四億二千七百二十九万円余七・六パーセントの増加となりました。  貸付金の延滞状況につきましては、四年度末において延滞後六カ月以上経過したものが、一千二百七十五億四千六百四十五万円余でありまして、総貸付金残高に対する割合は、一・六パーセントとなっております。  平成年度の貸付に要した資金は、四兆五百五十五億二千二百八十三万円余でありまして、その原資は、資金運用部からの借入金二兆六千一億円、簡易生命保険からの借入金二千三十九億円、一般会計からの借入金五十億円のほか、貸付回収金等一兆二千四百六十五億二千二百八十三万円余をもってこれに充てました。  受託業務につきましては、環境衛生金融公庫からの受託貸付は、四年度における貸付の実績が、三万九千件余二千百六十億五千四百六十五万円余、回収額が、一千四百四十一億四千七百九十四万円余となり、四年度末貸付残高は、二十一万六千件余六千八百五十八億八千九百五万円余となっております。また、労働福祉事業団からの受託貸付の四年度における貸付の実績は、百六十八件二億六千四百二十一万円となっており、年金福祉事業団からの受託貸付の四年度における貸付の実績は、二千四百件二十八億四千四百九十四万円となっております。  最後に、四年度の収入支出決算及び損益の計算について申しあげます。  まず、収入支出決算について申しあげますと、収入済額は、五千百五十二億六千四百三十九万円余、支出済額は、五千四億六千二百八十一万円余となりました。  次に、損益の計算について申しあげますと、貸付金利息等の総益金は、五千四百二十一億七千四百二十六万円余、借入金利息、事務費、貸倒引当金繰入等の総損金は、五千四百二十一億七千四百二十六万円余となりました。この結果、利益金は生じなかったので、国庫納付はいたしませんでした。  以上をもちまして、平成年度の業務概況のご説明を終らせていただきます。     —————————————    日本開発銀行平成年度の業務概要  平成年度における日本開発銀行の業務の概要についてご説明申しあげます。  一、先ず、四年度の資金運用計画は、当初計画として一兆八千七百九十億円を予定しておりました。  これに対し、四年度中の運用額は、出融資実行額が二兆五千八百六十七億五千七百万円となっております。  これの項目別内訳は、資源エネルギー七千三百二十億四千万円、生活・都市基盤整備五千七百十億四千八百万円、基幹交通整備二千二百六十五億円、海運・航空機一千三百八十四億五千百万円、情報・通信基盤整備二千五百三十六億一千三百万円、地方開発二千四百五十億円、国際化・産業構造調整一千六百七十八億九千五百万円、産業技術振興一千四百九十八億六百万円、その他百四十六億六千万円、社会資本整備促進八百七十七億四千四百万円であります。  以上の四年度の運用額の原資といたしましては、資金運用部資金からの借入金二兆一千五百六十七億円、簡易生命保険の積立金からの借入金八百三億円と貸付回収金等三千四百九十七億五千七百万円をもってこれに充てました。  二、次に四年度の出融資運用の特色を申しあげますと、  (1) 資源エネルギーについては、原子力発電推進のための融資、水力発電・液化ガス発電等電源多様化を図るための融資、石油産業集約化、石油及びLPG備蓄タンク等に対する融資、都市ガス原料の液化ガスヘの転換に係る設備に対する融資、石油代替エネルギーの利用の促進のための融資の他、産業の省資源・省エネルギー等を促進するための融資を引き続き行ったこと  (2) 生活・都市基盤整備については、市街地の開発整備、都市交通の整備改善、流通機構の効率化、公害防止の推進、重度障害者の雇用施設整備及び食品供給体制の安定化に寄与する事業等に対し引き続き出融資を行ったこと  (3) 基幹交通整備については、基幹鉄道網の整備を図るために必要な安全防災対策、輸送力増強工事等に対する融資及び全国の空港でのターミナル、格納庫、整備工場に対する融資を引き続き行ったこと  (4) 海運・航空機については、貿易物資の安定的輸送確保の観点から外航船舶の拡充整備の推進のため引き続き融資を行うとともに、航空事業の健全な発展に資するため航空機の導入等に対し引き続き融資を行ったこと  (5) 情報・通信基盤整備については、わが国における高度情報化社会の構築にむけての情報・通信基盤の整備を進め、産業構造の知的集約化を図るため、情報処理・通信振興融資、情報機器等信頼性向上融資等を引き続き行ったこと  (6) 地方開発については、九州、四国、中国、北陸の四地方の開発のため引き続き融資を行うとともに、地方都市圏の機能整備、地方適地産業の育成、工業の適正配置の促進について特に留意したこと  (7) 国際化・産業構造調整については、製品輸入体制の整備及び外資系企業による対日投資の促進を図るための融資、特定事業者の事業転換、特定地域の活性化を図るための融資及び省力化設備の導入を対象とした融資等を引き続き行ったこと  (8) 産業技術振興については、わが国における技術開発力の強化及び技術水準の向上を図るための融資を引き続き行ったこと  (9) その他については、「航空輸送施設」、「生涯学習関連施設整備」、「国鉄清算事業団用地処分活用促進」等の融資を引き続き行ったこと  (10) 社会資本整備促進については、日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用により、社会資本の整備促進を図るための融資を引き続き行ったことなどがあげられます。  三、次に四年度における既往貸付の回収は、九千四百九億八千百九十八万円余となっております。  この他、四年度は、貸付金の債権償却六千二百七十五万円余を行っております。  この結果、四年度末における出融資残高は、十二兆二千九百六十億九百二十二万円余となりました。  貸付金の延滞状況につきましては、四年度末におきまして弁済期限を六カ月以上経過した元金延滞額は二百四十七億二百九十五万円余で、前年度末に比して七億二千八百三十五万円余の増加となっております。  貸付残高に対する割合は、〇・二パーセントとなっております。  四、また、四年度において、新規の外貨債務の保証はなく、年度末保証残高は二十七億四千五百五十八万円余となっております。  五、最後に、四年度決算概要について説明いたしますと、四百四十六億八千五百十三万円余の純利益を計上し、このうち三百六十七億六千三百六十一万円余を法定準備金として積立て、残額七十九億二千一百五十二万円余を国庫へ納付しました。  以上、四年度における日本開発銀行の業務の内容につきましてご説明申し上げた次第でございます。     —————————————    日本輸出入銀行平成年度業務概況  一、平成年度における日本輸出入銀行の業務状況につき概要をご説明申し上げます。  まず、平成年度年度当初の事業計画において一兆六千三十億円の貸付、出資および外国公債の取得を予定いたしました。  これに対し平成年度においては出資および外国公債の取得はなく、貸付額の実績は一兆五千二百二十五億五千九百十四万円余で、年度当初の事業計画においては貸付等の予定額を五パーセント程下回りました。  なお、この平成年度の貸付額を平成年度の貸付額および外国公債の取得額一兆六千九百八十四億五百四十五万円余に比較いたしますと十パーセント程度の減少となっております。  以下、平成年度の貸付額の内訳につきまして、金融種類別に前年度との比較において申し述べます。  まず、輸出資金の貸付は、八百六十一億八千八百五十一万円余で、平成年度の九百二十四億五千六百八十万円余に対し、六十二億六千八百二十八万円余の減少となりました。これは、プラントの輸出に対する貸付が低調に推移したことによるものであります。  次に、輸入に必要な資金の貸付は、二千五百二十九億七千五百八十万円余で、平成年度の二千四百七十三億二千六百二十七万円余に対し、五十六億四千九百五十三万円余の増加となりました。これは、製品輸入に対する貸付が増加したことによるものであります。  また、海外投資資金の貸付は、四千九百七億七千百七十五万円余となり、平成年度の六千二百十億二千九百四十万円余に対し、千三百二億五千七百六十五万円余の減少となりました。これは、製造業投資等に対する貸付が減少したことによるものであります。  このほか、外国政府・外国法人等に対する直接借款に係る貸付は、六千九百二十六億二千三百七万円余で、平成年度の外国政府・外国法人等に対する直接借款に係る貸付および外国公債の取得七千三百七十五億九千二百九十六万円余に対し、四百四十九億六千九百八十九万円余の減少となりました。これは、アンタイドローン等の貸付額が減少したことによるものであります。  以上の結果、平成年度末の貸付残高および外国公債の取得残高は、八兆三千十五億四千七百十万円余となっております。  なお、この貸付残高のうち、弁済期限を六箇月以上経過した元金延滞額は、八百六十億六千七百五十四万円余となっております。  平成年度の貸付資金の原資といたしましては、資金運用部資金からの借入金一兆千三百三十八億円、簡易生命保険及郵便年金の積立金からの借入金三百八十七億円、産業投資特別会計からの出資金九十七億円のほか、自己資金等二千三百三十七億五千九百十四万円余をもってこれにあてました。  以上申し述べました業務の運営により平成年度の一般勘定の損益計算上における利益は、四千九百七億六千二百八十七万円余、これに対し損失は四千五百四十一億五千九百十九万円余となりました。  この結果、平成年度の一般勘定利益金は三百六十六億三百六十八万円余となりました。  一般勘定利益金は、法令の定めるところに従いうち二百四十八億二千三百十五万円余を法定準備金として積立て、残額百十七億八千五十二万円余を国庫に納付いたしました。  なお、既往のインドネシア債務救済措置の実施に関する業務につきましては、日本輸出入銀行法による貸付金の利息の特例等に関する法律により一般の業務と区分して特別の勘定を設けて経理することといたしておりますが、平成年度の特別勘定の損益計算上、二億七千七百六十三万円余の利益金を生じ、法令の定めるところに従い、これを全額同勘定の積立金として積立てました。  二、以上、平成年度における日本輸出入銀行の業務の概況につき、ご説明申し上げました。     —————————————    平成年度大蔵省主管一般会計歳入決算並    びに大蔵省所管の一般会計歳出決算、各特    別会計歳入歳出決算及び各政府関係機関決    算書に関する説明  平成年度大蔵省主管一般会計歳入決算並びに大蔵省所管の一般会計歳出決算、各特別会計歳入歳出決算及び各政府関係機関決算書につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計歳入決算について申し上げます。  平成年度の収納済歳入額は七十五兆六千二十億七千七百二十七万円余でありまして、これを歳入予算額と比較いたしますと一千七百六十億一千三百六十三万円余の増加となっております。  以下、歳入決算のうち、主な事項についてその概要を申し上げます。  第一に、租税及印紙収入でありますが、その決算額は五十二兆八千二百十六億八千七十三万円余でありまして、これを予算額と比較いたしますと一兆五千九百七十三億一千九百二十六万円余の減少となっております。これは、法人税等において課税額の伸びが見込みを下回ったこと等によるものであります。  第二に、公債金でありますが、予算予定額を全額発行することといたしました結果、その決算額は十六兆一千七百三十九億九千九百八十七万円余となっております。  第三に、決算調整資金受入でありますが、その決算額は五千六百六十三億三千四百八十六万円余でありまして、これは、平成年度において予見し難い租税収入の減少等により、一般会計の歳入歳出の決算上不足が生ずることとなったので、決算調整資金から当該不足する額に相当する額を受け入れたものであります。  以上のほか、官業益金及官業収入百十八億六千七百五十三万円余、政府資産整理収入一千百四十九億七千八百七万円余、雑収入四兆九千四百四十六億五千百十二万円余、前年度剰余金受入九千六百八十五億六千五百六万円余となっております。  次に、一般会計歳出決算について申し上げます。  平成年度歳出予算現額は十五兆九千百三十九億九千二百七十四万円余でありまして、支出済歳出額は十五兆三千二百七十五億六千九百七十九万円余、翌年度繰越額は二百七十四億八千百三十万円余でありまして、差引き、不用額は五千五百八十九億四千百六十四万円余となっております。  以下、歳出決算のうち、主な事項についてその概要を申し上げます。  第一に、国債費につきましては、国債整理基金特別会計へ繰り入れるため十三兆七千百四十二億九百九万円余を支出いたしましたが、これは、一般会計の負担に属する国債の償還、国債及び借入金の利子等の支払並びにこれらの事務取扱費の財源に充てるためのものであります。  第二に、政府出資につきましては四千八百七億円を支出いたしましたが、これは、海外経済協力基金等への出資であります。  第三に、産業投資特別会計へ繰入につきましては、同会計の社会資本整備勘定等へ繰り入れるため二千二百三億六千四百四十一万円余を支出いたしましたが、これは、貸付け等の財源に充てるためのものであります。  第四に、経済協力費につきましては四百八十三億九千五百六十万円余を支出いたしましたが、これは、国際開発金融機関を通じて供与する開発途上国に対する経済協力等のためのものであります。  以上申し述べました経費のほか、国家公務員等共済組合連合会等助成費、日本鉄道共済組合等助成費、国庫受入預託金利子、公務員宿舎施設費、欧州復興開発銀行出資、国民金融公庫補給金及び特定国有財産整備費として一千八十三億六千八百九十一万円余並びに一般行政を処理するための経費として七千五百五十五億三千百七十六万円余を支出いたしました。  なお、以上の支出のほか、公務員宿舎施設費等につきましては二百七十四億八千百三十万円余が翌年度へ繰越しとなっております。  次に、各特別会計歳入歳出決算についてその概要を申し上げます。  まず、造幣局特別会計におきまして収納済歳入額は三百二億六千八百七十万円余、支出済歳出額は三百十二億七千六百七十七万円余でありまして、損益計算上の利益は一千四百九十一万円余であります。  この会計の主な事業である貨幣の製造につきましては、二十億三千七百万枚、額面金額にして二千五十一億三千万円を製造し、その全額を発行いたしました。  次に、印刷局特別会計におきまして収納済歳入額は九百八十一億一千二百二十七万円余、支出済歳出額は八百六十一億三千九百九十九万円余でありまして、損益計算上の利益は百五十四億九千八百三十九万円余であります。  この会計の主な事業である日本銀行券の製造につきましては、三十三億四千万枚、額面金額にして十四兆四千六百億円を製造し、その全量を日本銀行に引き渡しました。  以上申し述べました各特別会計のほか、資金運用部、国債整理基金、外国為替資金、産業投資、地震再保険及び特定国有財産整備の各特別会計の歳入歳出の決算の内容につきましては、特別会計歳入歳出決算によって御了承願いたいと存じます。  最後に、各政府関係機関決算書についてその概要を申し上げます。  まず、国民金融公庫におきまして収入済額は五千百七億四千四百三十二万円余、支出済額は五千三百三十五億五千五百五十七万円余でありまして、損益計算上の損益はありません。  この公庫の貸付けにつきましては、八十九万件余、金額にして四兆五千五百二十一億九千二十九万円余を貸し付けました。  このほか、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、北海道東北開発公庫、公営企業金融公庫、中小企業信用保険公庫、環境衛生金融公庫、沖縄振興開発金融公庫、日本開発銀行及び日本輸出入銀行決算の内容につきましては、それぞれの決算書によって御了承願いたいと存じます。  以上が平成年度における大蔵省関係決算概要であります。これらの詳細につきましては、さきに提出しております平成年度歳入決算明細書及び各省各庁歳出決算報告書等によって御了承願いたいと存じます。  何とぞよろしく御審議の程お願い申し上げます。     …………………………………    平成年度決算大蔵省についての検査の概    要に関する主管局長説明                 会計検査院  平成年度大蔵省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項一件であります。  これは、租税の徴収に当たり徴収額に過不足があったものであります。  これらの徴収過不足の事態は、納税者が申告書等において所得金額や税額等を誤っているのに、課税資料収集・活用が的確でなかったり、法令等の適用の検討が十分でなかったり、これを見過ごしたりして、誤ったままにしていたことなどにより、徴収額に過不足を生じていたものであります。  以上、簡単でございますが説明を終わります。     —————————————    平成年度業務概況                国民金融公庫  国民金融公庫平成年度の業務の概況についてご説明申しあげます。  平成年度のわが国経済は、公共投資が堅調に推移し住宅投資も高い水準で推移したものの、四年度に引き続き個人消費は伸び悩み、民間設備投資が減少したことなどに加え、円高の急速な進展や冷夏・長雨の影響もあって、総じて低迷が続きました。こうしたなかで、中小企業の景況も停滞色の濃いものとなりました。また、国際化の進展や国内市場の成熟化への対応を迫られるなど、中小企業を取り巻く経営環境には厳しいものがありました。  このような状況のもとで、当公庫は、貸付限度の引き上げ、貸付期間の延長等により、中小企業金融の円滑化のために積極的に対処いたしました。  平成年度の貸付につきましては、計画四兆六千四百六十億円に対しまして、四兆五千五百二十一億九千二十九万円余の実行をいたしました。  貸付種類別に貸付の実績を申しあげますと、普通貸付は、五十九万四千件余四兆二千四百四十四億五千九百二十九万円余、恩給担保貸付は、八万八千件余六百六十八億八千九百六十七万円余、教育資金貸付は、二十一万件余二千四百二億二千五百五十万円余となりました。  なお、普通貸付の貸付実績のなかには、生鮮食料品等小売業近代化資金貸付、商業近代化等資金貸付等の特別貸付が、三万一千件余二千三百十二億一千六百五十八万円、小企業等経営改善資金貸付が、十四万八千件余四千六百六十六億八千六百八十九万円含まれております。  一方、平成年度において貸付金の回収が、三兆七千四百二十五億五千六百五万円余、貸付金償却が、五億三千三百四十四万円余ありましたので、五年度末現在の総貸付残高は、二百六十三万九千件余八兆九千十一億四千百七十五万円余となり、前年度末残高に比べますと、八千九十一億七十九万円余一〇・〇パーセントの増加となりました。  貸付金の延滞状況につきましては、平成年度末において延滞後六カ月以上経過したものが、一千五百四十七億六百七十二万円余でありまして、総貸付金残高に対する割合は、一・七パーセントとなっております。  平成年度の貸付に要した資金は、四兆五千二百三十四億五千七百六十一万円余でありまして、その原資は、資金運用部からの借入金二兆九千百二十億円、簡易生命保険からの借入金三千二百億円、一般会計からの借入金九十六億円のほか、貸付回収金等一兆二千八百十八億五千七百六十一万円余をもってこれに充てました。  受託業務につきましては、環境衛生金融公庫からの受託貸付は、五年度における貸付の実績が、四万二千件余二千三百十七億二千二百七十一万円余、回収額が、一千七百十一億五千百七十一万円余となり、五年度末貸付残高は、二十一万六千件余七千四百六十億六千八万円余となっております。また、労働福祉事業団からの受託貸付の五年度における貸付の実績は、二百八件三億六千五十五万円となっており、年金福祉事業団からの受託貸付の五年度における貸付の実績は、三千二百三十件四十一億二千二百九十四万円となっております。  最後に、平成年度の収入支出決算及び損益の計算について申しあげます。  まず、収入支出決算について申しあげますと、収入済額は、五千百七億四千四百三十二万円余、支出済額は、五千三百三十五億五千五百五十七万円余となりました。  次に、損益の計算について申しあげますと、貸付金利息等の総益金は、五千二百九十八億五十五万円余、借入金利息、事務費、貸倒引当金繰入等の総損金は、五千二百九十八億五十五万円余となりました。この結果、利益金は生じなかったので、国庫納付はいたしませんでした。  以上をもちまして、平成年度の業務概況のご説明を終わらせていただきます。     —————————————    日本開発銀行平成年度の業務概要  平成年度における日本開発銀行の業務の概要についてご説明申しあげます。  一、先ず、五年度の資金運用計画は、当初計画として二兆四千八百億円を予定しておりました。  これに対し、五年度中の運用額は、出融資実行額が二兆七千四百二十五億九百万円どなっております。  これの項目別内訳は、資源エネルギー八千四百三十三億六千二百万円、生活・都市基盤整備六千百二十四億四千五百万円、基幹交通整備二千三百七十六億円、海運・航空機一千二百二十五億一百万円、情報・通信基盤整備二千七百十四億九千万円、地方開発二千五百十四億九千万円、国際化・産業構造調整一千四百六十三億四千五百万円、産業技術振興九百五十六億四千六百万円、その他五百七十一億五千万円、社会資本整備促進一千四十四億八千万円であります。  以上の五年度の運用額の原資といたしましては、資金運用部資金からの借入金二兆三千一百五十一億円、簡易生命保険の積立金からの借入金一千一百五十六億円と貸付回収金等三千一百十八億九百万円をもってこれに充てました。  二、次に五年度の出融資運用の特色を申しあげますと、  (1) 資源エネルギーについては、原子力発電推進のための融資、水力発電・液化ガス発電等電源多様化を図るための融資、石油産業集約化、石油及びLPG備蓄タンク等に対する融資、都市ガス原料の液化ガスヘの転換に係る設備に対する融資、石油代替エネルギーの利用の促進のための融資の他、産業の省資源・省エネルギー等を促進するための融資を引き続き行ったこと  (2) 生活・都市基盤整備については、市街地の開発整備、都市交通の整備改善、流通機構の効率化、公害防止の推進、重度障害者の雇用施設整備及び食品供給体制の安定化に寄与する事業等に対し引き続き出融資を行ったこと  (3) 基幹交通整備については、基幹鉄道網の整備を図るために必要な安全防災対策、輸送力増強工事等に対する融資及び全国の空港でのターミナル、格納庫、整備工場に対する融資を引き続き行ったこと  (4) 海運・航空機については、貿易物資の安定的輸送確保の観点から外航船舶の拡充整備の推進のため引き続き融資を行うとともに、航空事業の健全な発展に資するため航空機の導入等に対し引き続き融資を行ったこと  (5) 情報・通信基盤整備については、わが国における高度情報化社会の構築にむけての情報・通信基盤の整備を進め、産業構造の知的集約化を図るため、情報処理・通信振興融資、情報機器等信頼性向上融資等を引き続き行ったこと  (6) 地方開発については、九州、四国、中国、北陸の四地方の開発のため引き続き融資を行うとともに、地方都市圏の機能整備、地方適地産業の育成、工業の適正配置の促進について特に留意したこと  (7) 国際化・産業構造調整については、製品輸入体制の整備及び外資系企業による対日投資の促進を図るための融資、特定事業者の事業転換、特定地域の活性化を図るための融資及び省力化設備の導入を対象とした融資等を引き続き行ったこと  (8) 産業技術振興については、わが国における技術開発力の強化及び技術水準の向上を図るための融資を引き続き行ったこと  (9) その他については、「航空輸送施設」、「生涯学習関連施設整備」、「国鉄清算事業団用地処分活用促進」等の融資を引き続き行ったこと  (10) 社会資本整備促進については、日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用により、社会資本の整備促進を図るための融資を引き続き行ったことなどがあげられます。  三、次に五年度における既往貸付の回収は、一兆四百十七億五千百九万円余となっております。  この他、五年度は、貸付金の債権償却二億八千二百十六万円余を行っております。  この結果、五年度末における出融資残高は、十三兆九千九百六十五億三千四百八十五万円余となりました。  貸付金の延滞状況につきましては、五年度末におきまして弁済期限を六カ月以上経過した元金延滞額は二百二十五億二千九百六十八万円余で、前年度末に比して二十一億七千三百二十七万円余の減少となっております。  貸付残高に対する割合は、〇・一六パーセントとなっております。  四、また、五年度において、新規の外貨債務の保証はなく、年度末保証残高は六億七百十九万円余となっております。  五、最後に、五年度決算概要について説明いたしますと、四百九十億七千七百三十三万円余の純利益を計上し、このうち四百十八億五千七百万円余を法定準備金として積立て、残額七十二億二千三十三万円余を国庫へ納付しました。  以上、五年度における日本開発銀行の業務の内容につきましてご説明申し上げた次第でございます。     —————————————    日本輸出入銀行平成年度業務概況  一、平成年度における日本輸出入銀行の業務状況につき概要をご説明申し上げます。  まず、平成年度年度当初の事業計画において一兆六千七百九十億円の貸付、出資および外国公債の取得を予定いたしました。  これに対し平成年度においては出資および外国公債の取得はなく、貸付額の実績は一兆三千六百三十九億九千八百八十九万円余で、年度当初の事業計画においては貸付等の予定額を十九パーセント程下回りました。  なお、この平成年度の貸付額を平成年度の貸付額および外国公債の取得額一兆五千二百二十五億五千九百十四万円余に比較いたしますと十パーセント程度の減少となっております。  以下、平成年度の貸付額の内訳につきまして、金融種類別に前年度との比較において申し述べます。  まず、輸出資金の貸付は、千百三億五千七百十九万円余で、平成年度の八百六十一億八千八百五十一万円余に対し、二百四十一億六千八百六十八万円余の増加となりました。これは、船舶の輸出に対する貸付が増加したことによるものであります。  次に、輸入に必要な資金の貸付は、二千八十二億六千四百六十九万円余で、平成年度の二千五百二十九億七千五百八十万円余に対し、四百四十七億千百十万円余の減少となりました。これは、製品輸入に対する貸付が減少したことによるものであります。  また、海外投資資金の貸付は、三千四百七十七億五千三十一万円余となり、平成年度の四千九百七億七千百七十五万円余に対し、千四百三十億二千百四十四万円余の減少となりました。これは、製造業投資等に対する貸付が減少したことによるものであります。  このほか、外国政府・外国法人等に対する直接借款に係る貸付は、六千九百七十六億二千六百六十九万円余で、平成年度の外国政府・外国法人等に対する直接借款に係る貸付および外国公債の取得六千九百二十六億二千三百七万円余に対し、五十億三百六十一万円余の微増にとどまりました。  以上の結果、平成年度末の貸付残高および外国公債の取得残高は、八兆六千九百九億四千六百七十七万円余となっております。  なお、この貸付残高のうち、弁済期限を六箇月以上経過した元金延滞額は、八百二十億五千六百六十万円余となっております。  平成年度の貸付資金の原資といたしましては、資金運用部資金からの借入金九千六百七十七億円、簡易生命保険及郵便年金の積立金からの借入金四百二十三億円、産業投資特別会計からの出資金八十五億円のほか、自己資金等三千四百二十八億四千三百八十九万円余をもってこれにあてました。  以上申し述べました業務の運営により平成年度の一般勘定の損益計算上における利益は、五千百三十五億七百五十四万円余、これに対し損失は四千七百九億八千八百二十六万円余となりました。  この結果、平成年度の一般勘定利益金は四百二十五億千九百二十八万円余となりました。  一般勘定利益金は、法令の定めるところに従いうち二百五十九億四千二百五十九万円余を法定準備金として積立て、残額百六十五億七千六百六十九万円余を国庫に納付いたしました。  なお、既往のインドネシア債務救済措置の実施に関する業務につきましては、日本輸出入銀行法による貸付金の利息の特例等に関する法律により一般の業務と区分して特別の勘定を設けて経理することといたしておりますが、平成年度の特別勘定の損益計算上、二億九百十三万円余の利益金を生じ、法令の定めるところに従い、これを全額同勘定の積立金として積立てました。  二、以上、平成年度における日本輸出入銀行の業務の概況につき、ご説明申し上げました。     —————————————
  78. 稲垣実男

  79. 稲垣実男

    稲垣主査 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。荒井広幸君。
  80. 荒井広幸

    荒井(広)分科員 大臣初め大蔵省の皆さんには、連日連夜引き続きでお疲れのところと思いますが、早速質問に入らせていただきます。  私は、財投制度、これの意義、役割、そしてその中で、政府系金融機関の融資の姿勢というようなことについて申し上げたいと思っております。  財投制度につきましては、時代の変遷とともに、その役割といいますか活用の仕方というものも変わってくると思います。大蔵省として、財投制度の意義と役割をどのように評価されているか、改めてお尋ねをいたします。
  81. 田波耕治

    ○田波政府委員 財政投融資制度についての御質問でございます。  委員御承知のように、財政投融資というものは、国の制度あるいは信用に基づいて集められました郵便貯金であるとかあるいは年金の資金、いわば公的な資金を一元的に管理運用するということによりまして、国全体の立場に立った政策判断に基づいて、効率的、重点的に配分するシステムでございます。  具体的に申しますと、こういった制度は、御承知のとおり、例えば住宅金融であるとかあるいは中小企業金融などの、民間では供給が非常に困難な長期固定な資金の供給であるとか、あるいは道路である、鉄道である、社会資本整備の推進に大きく寄与しております。また、最近においては、特に国債であるとかあるいは地方債の円滑な消化にも資するように活用されておるところでございます。  私どもといたしましては、今申し上げましたような政策課題が今後とも存在するというような状態が続く限り、そういった課題に対応するという意味において、財政投融資の役割あるいは必要性は将来とも変わらないと考えておりますが、基本的な運用に当たりましては、社会経済情勢であるとかあるいは国民のニーズの変化に弾力的に対応をいたしまして、対象機関であるとか分野であるとか事業について見直しを行いながら、資金の重点的、効率的配分に努めてまいりたい、かように思っておるところでございます。
  82. 荒井広幸

    荒井(広)分科員 政策的課題の要請というものが大前提にこれは置いてある、今のお話でもそのとおりだと思います。  戦後の資金不足の時期と現在では、そういう意味では政策課題あるいは国民のニーズ、社会情勢の変化、こういうものがはっきりあるわけでございますから、資金の配分先についても当然変わってきていなければならないわけだと思います、結果的にも。  そういう意味で、結果的に、資金の配分先についてどのような見直しを行ってきたのか、御説明をいただきたいと思います。
  83. 田波耕治

    ○田波政府委員 私ども、全く委員おっしゃるとおりの考え方でございます。  したがいまして、財投の運用に当たりましては、そもそもその趣旨であるところの有償資金で対応することが適切であるあるいは効率的である政策分野は何であるかということを毎年の財投編成の中でチェックをいたしまして、不断の見直しをやってきているところでございます。  具体的に申し上げますと、時間の関係で数字等は省きますけれども、やや中長期的にこの資金配分を見てまいりますと、戦後の復興あるいは高度成長期に当たります昭和三十年、四十年代におきましては、産業であるとか技術、運輸、通信、そういった産業基盤充実の分野に重点的に配分を行ってまいりました。  その後、経済の変転とともに、特に最近におきましては、住宅建設であるとか生活環境の整備、さらには中小企業対策といった国民の生活基盤の充実を図る分野への配分に重点を移してきておりまして、我々としては社会経済情勢であるとか国民のニーズの変化に弾力的に対応してきておるつもりでございます。  また、平成年度の財投計画の策定に当たりましても、国民生活の質の向上に資するという目的を掲げながら、片一方で、民業の補完であるということを原点に考えつつ、財投機関への資金配分をより一層重点的、効率的に行うとともに、最近の経済財政状況にかんがみまして、国債、地方債の円滑な消化のために財投資金の積極的な活用を図るというようなことで、より一層めり張りのきいた資金配分に努めてきておるところでございます。
  84. 荒井広幸

    荒井(広)分科員 これは大蔵省の資料でございますけれども、変遷を見ますと、今ほどの御説明にもありましたけれども、産業技術につきましては、昭和三十年度、構成比でいえば一五・八%でありましたものが現在は二・五%。また、中小企業関連につきましては、三十年度八・一が、これは平成年度でございますが一三・三。そして生活環境などにつきましては七・七が一七・五、こういうふうになってきているわけでございます。  私は、ちまたに非常に議論が交錯しているといいますか、整理されていない問題があると思うのです。財投制度の問題と、その責任の問題というのがよく出てくるわけです。  先ほど冒頭に申しましたように、この制度自体のそもそもの必要性というものは、政策目的でございます。市場原理になじまない、国がやるべき仕事は何であるか、こういうことでございます。  そういう点からいいますと、これはむしろ制度や、大蔵省あるいは郵政省、特殊法人も含めてですが、こういったところの問題よりも、やはり政治の場の問題であろう。政治、政治家がどう判断するか、こういうところに実は問題があって、非常に批判をされているのが大蔵省であるがごとき、あるいは役所であるがごときの話でありますが、これはひとえに政治の側の問題であるということを私は申し上げたいわけでございます。そういった緊張感というものが果たして今政治にどのような形で担保されていくのか、こういうことを我々は、まさに自分自身の自浄作用を政党と政治家が求められている、このように私は感じているわけでございます。  さて、そのような前提を踏まえまして、政府系金融機関についてお尋ねをさせていただきたいと思うのです。  まさにアダム・スミスが神の見えざる手ということを言いました。それぞれの企業がそれぞれに働けば、これは簡単に言えば暴利をむさぼったり、悪いことでも金もうけをやろうか、こういうことにもなる。しかし、市場というものを形成していく中で、そのような性悪説的なものが市場原理によって我々にとって有益なものになってくる、こういうことであろうと思います。  しかし、ここに我々は政策目的を持って政策金融を必要であるという立場で認めてきているわけですし、これからも必要であるということを考えますときに、官が民の補完をするということは、先ほど質問された先輩方のお話にもありましたけれども、そのとおりだと思います。  政府系金融機関についての民業の補完という立場から、常にスクラップ・アンド・ビルドというものを、国民の側に立ちながら、また民の側を見ながら、これはなかなか難しいことだと思いますが、やっていかなければならないと思います。しかし、その前提は、国民のためという前提があるはずなんです。  こういう視点に立ちまして、スクラップ・アンド・ビルドを徹底して、そしてその役割を果たすことが求められていると思いますが、どのように対処をしているのか、お尋ねをさせていただきたいと思います。
  85. 西村吉正

    ○西村政府委員 政府系金融機関が行っておりますいわゆる政策金融は、御指摘のように、生活環境整備、中小企業対策、住宅対策など特定の政策目的を実現するために、市場原理に基づく民間金融のみでは適切に対処することが困難な分野に資金を供給するものでございます。  政策金融の機能のうちとりわけ重要なものといたしましては、国民経済的な政策目的の実現のため、民間金融では対応し切れない長期固定金利の資金を供給すること。第二に、短期的な資金の繁閑に左右されない安定的な資金を公平な立場から供給すること。第三に、技術上のリスクやマーケットリスクの高いプロジェクト、収益性の低いプロジェクト等へ資金を供給し、その実施を誘導すること等がございます。民間金融を補完するこれらの機能を十分果たすためには、今後とも政府関係金融機関を通じまして資金を効率的に配分することが必要でございます。  以上のような政策金融の機能を十分に発揮するために、経済社会の発展に伴って変化する政策課題に対応いたしまして融資対象分野を適切に設定するとともに、民間金融のみによって適切に対応がなされるようになった分野につきましては政策金融の対象から除外する等、不断の見直しを行っているところでございます。
  86. 荒井広幸

    荒井(広)分科員 高度成長型社会といいますのは非常にパイが膨らんで、我々の父、母も、農村部で、食べるに本当に精いっぱいで、とても次男、三男は学校などにも行けない。そして、それぞれ集団就職などで我々の先輩方も東京に出てきたわけです。何とか子供に食わせたい、自分は教育を受ける機会もなかったが、何とか子供や孫には教育させたい、言ってみればそういう願いで、池田勇人総理大臣が所得倍増をうたい、非常に所得ということに力を置いて、その中で学校にも行かせてあげたい、こういうふうなことになってまいったわけだと思います。そういう時代背景も一つあった。  そういう中に、いつの間にかお金さえあれば世の中何でもなるんだという時代風潮になりまして、地獄のさたも金次第というような言葉も生まれてきたと思います。  本来は所得の向上ということで歓迎すべきことが、実は、残念ながら政治家みずからが、政治が地獄のさたも金次第の金にまみれてしまったというところを我々ともどもに反省しているわけでございます。そこに、一連の政治そして行政、いろいろなところに不祥事件がたび重なって信用が失墜されているということは政治も同じでありまして、だれが悪いかれが悪いという問題ではない、そういう責任を我々も同様に持っているわけでございます。  そういう中で非常に難しい転換点に立っているということが、ある意味で日本の不幸なんだと私は思います。しかし、我々が不幸と考えていられる間はまだ良識が働いている。これをいかにして幸福にするかということは信用の回復しかない。金融の信用ばかりではありません。政治に対する信用、行政に対する信用であります。  こういう信用を回復しなければ、高度成長型時代であったらある程度何とかパイが広がってお互いに膨らんでいくといいますか希望があった時代ではなくて、少子・高齢の時代に入っている。納税者が少ない。そして、先輩に恩返しをする、父、母に恩返しをする当たり前の務めを負う。なおかつ、父、母をおぶいながら、しょいながら子供の手を引いて歩いていかなければならないという少子・高齢化という社会に今到達している。  こういうときに、やはり国民も政治も行政もともに情報を公開して、お互いに基礎的な意識をきっちり持って、そして、私は税金は払いたくないわサービスは欲しいわでは話は通じないわけでありますから、我々もまた選挙の票は欲しいわけでありますけれども、それだけではその責任を逃げるような話でございますから、やはり自助、共助、公助という視点に立ってともどもに負担をしていく。痛みを分かち合ってこの二〇二五年というピークまで乗り越えていかなければならないということだろうと私は考えております。  そういう意味で、自信を持つところはお互いに持ちながら、やはり国民の皆様方とともに、非は非として認めながらもう一度政治に信用を与えていただいて、もう一度チャンスをいただいてこの苦難な時代を乗り越えていかなければならないというふうに考えているわけでございます。  大臣がいつもおっしゃっているようなお話、私同感と共感をしておるわけでございますが、そういう中で財政改革ということもやっていかなければならない、これも大変なことだと思います。国民皆さんが必要とするものがいっぱいある。政策的に遂行してもらう、国としてやってもらう政府系金融の仕事もいっぱいある。しかし、民を圧迫してはならない、また民の自発的な力を損ねてもならない、こういうような問題の中で進めていくのは多くの困難があると思います。  しかし、ここで政府系金融機関があえてこういう方法をとったがどうだろうかなというふうに私は思っているものですから質問を優先させて聞かせていただきたいのですが、政府系金融機関が国民のニーズにこたえて、しかも、財投の意義というのは少子・高齢化社会だから非常に重要だと私は思っているのです。  こういう中において、国民の郵貯、年金、こういったものを使わない手はない。それを財投で有意義に国民のニーズにこたえて、そして我々に還元していく、こういうことでありますから、そのためには、財政の構造改革と並んで経済の構造改革ということを抱き合わせで財投でやっていくべきでないか。  そういうふうにしますと、新産業や新雇用を創出する戦略的分野に投資をしていく、融資をしていくということですね。投資ではなくて融資をしていく。ある意味においては投資に近い考え方なんですが、それには、新産業、新雇用によって税収が上がってくるわけですから、二〇二五年の社会もにらまなければならないわけでございますので、ベンチャー育成といったリスクの高い分野に政府系金融機関が融資を積極的に行うべきではないかと私は考えているのですけれども、この点についていかがお考えになっておられますでしょうか。  また、現在、実際こうした分野に対する融資が最近始まっておりますけれども、融資制度の内容や最近の実績についてはどうなっているか。  また、リスクがあっても融資をするべきという本論に戻りますが、私そのように考えておりますが、この辺についての所見を伺いたいと思っております。
  87. 西村吉正

    ○西村政府委員 政府系金融機関におきましては、我が国経済の活力を維持し、その一層の発展を図るとの観点から、民間からのみでは十分な資金が調達できない新規事業者に対する支援を積極的に行っているところでございます。  具体的に申し上げますと、まず第一に、日本開発銀行及び北海道東北開発公庫におきましては、新規事業を育成支援するための超低利等の融資を行っております。平成年度及び七年度の融資実績は合計で十一件二十六億円となっております。また中小企業金融公庫におきましても、新規事業を育成支援するための超低利の融資を行っております。平成年度及び七年度の融資実績は合計で百五十一件四十八億円となっております。  このほか、日本開発銀行におきましては、民間のみでは対応が困難な初期段階のベンチャー企業に対しまして投資支援を行う事業、いわゆるベンチャーキャピタルでございますが、それに民間と協調して出資することを検討いたしております。  今後とも、政府系金融機関におきましては、新規事業の育成支援等、政策的な重要度が高いものの民間のみでは対応が困難な分野に対しまして、民間金融の補完、奨励という観点から、償還確実性の原則を守りつつ適切な資金の供給に努めていく必要があると考えております。
  88. 荒井広幸

    荒井(広)分科員 有償資金でもあり、いろいろな制約はあるわけでございますけれども、財政的には非常に厳しいところであることは確かだと思いますが、この財投というものは、そういう中においてまさに高度成長時代の一つの価値、少子・高齢化時代で財源が不足する、働き手もいない、そして先輩方が大勢いらっしゃる、こういうような中で非常に貴重な日本特有のシステムで、私は評価すべきだというふうに考えている次第でございます。  しかし一方で、いろんな点でまだまだ見えないところがあるから情報開示をせよということもまた私は言えるだろうと思います。そういったところもしっかりとしながら、国民の期待にこたえていく政策金融を含めましての積極的な活用ということを、民に当然のこと配慮しなければなりません、その中でやっていくべきだというふうに考えているわけでございます。  大臣に御見解をいただきたいところではございますが、もしいただければなお幸いではございますが、お願いしたいと思います。
  89. 久保亘

    ○久保国務大臣 ただいま大変重要な問題について御見解をお聞かせいただきまして、ありがとうございました。  確かに、時代の大きな変化と申しますか、社会の構造そのものが変わってまいります中で、財投資金の活用ということはこれまで以上に大きな意味を持つのだと思っておりますが、しかし、この財投の資金をどのように生かして使っていくかということは、またこの新しい時代においてその役割を本当の意味で果たせるかどうかの問われるところだと考えております。  私どもといたしましては、今政府委員がお答えいたしましたようなことで具体的に進めているわけでございますけれども、少子・高齢の社会の中でどのような財投資金の役割が果たせるか、このことについては、今後も皆様方の御指導もいただきながら鋭意検討をしつつ、国民の期待にこたえられるような運用を図ってまいりたいと考えております。
  90. 荒井広幸

    荒井(広)分科員 大臣の指導力発揮をお願い申し上げまして質問といたします。ありがとうございました。
  91. 稲垣実男

    稲垣主査 これにて荒井広幸君の質疑は終了いたしました。  次に、栗原博久君。
  92. 栗原博久

    栗原(博)分科員 日ごろ久保大臣におかれましては、金融システムの安定化とそしてまた国民の預貯金の保護のために、ひいてはまた我が国の健全財政を守るために御奮闘されておりますことについて心から敬意を表しますとともに、早く金融特におきましてこの法案が通過いたしまして、国民から本当に信頼される連立政権が、さらに認められて飛躍することをまず御祈念申し上げる次第でございます。  さて、金融特でもいろいろ議論していることは、言うならば健全財政をどのようにして守って、我が国を未来永劫にわたっていかに繁栄し安定化させるかということだと私は思っております。今年度予算を見ますると七十五兆一千四十九億円ですか、そして税収が五十一兆三千四百五十億円、税外収入が二兆五千五百九十四億円ということであって、そしてそこにまた約二十一兆円の新しい借財を背負って今年度予算が今発足しているわけであります。  こういう中で見ますると、この新しい二十一兆円の借入金を含めて、今年度末の国債残高は約二百四十一兆円になる。これに借入金など八十兆円を加えると、三百二十兆五千二百五十三億円の長期債務残高になるわけであります。これにまた地方公共団体などの地方債の残高は約百三十六兆円あるそうでありますが、重複部分を除きますと約四百四十三兆円の借財を国民が背負っているわけですから、国、地方を合わせると国民一人当たり約三百六十万円になるということであります。  私は、この三百六十万円、それに比べたら今回の住専の一人当たりの額は本当に微々たるものだと思うのでありますが、国民に冷静に日本の財政の内容を明らかにして、そしてこれからの長期債務につきましては、国債は六十年償還ですか、もう後世にわたって実はその負担を強いるわけですから、これを明らかにしなければならないと私は思っておるわけであります。  特に、バブルがはじけまして平成年度から七年度まで連続して税収は落ち込んでおるわけでありまして、この五年間で、最初の平成年度の六十兆円がその後七年度は五十一兆円に減っているわけであります。それに伴って今度は国債を発行している。今まではバブルで景気がよくて、大型予算を組んでも税収入があってそれで何とか穴埋めできるぞという思惑もあったと思うのですが、事実はそれに相反して、平成年度から八年度の五年間で約六十九兆円の新しい国債を発行しているわけであります。そういう中で、御承知のとおりことしの国債費、要するに借金の元利返済分は十六兆円でありますから、一般会計に占めるのが約二一・八%に及んでいるわけであります。では税収に対してはどうか。三二%にも及んでいるので、これは普通の民間会社でしたらとっくに倒産であるわけだと思うのです。  こういう中で、世界国々日本に対して健全財政を——我々は今までアメリカが双子の赤字とか言っておりましたけれども、それどころじゃない。実際問題、こう見ますると、日本国内総生産のGDPは四百九十六兆円だそうでありますが、我々が抱えております長期債務はこのGDPの九〇%に当たるわけですね。欧米の諸国を見ますと、イギリスでは約五九%ぐらい、ドイツ、フランスでは六〇%、アメリカは六三%であるそうでございますが、これに比べて極めて高い借財を抱えている。よくEUが経済貨幣統合の際に一番問題にしておりますマーストリヒト条約ですか、この条約においては六〇%以下に抑えねばならないということになっておるのですが、私どもの国は、これはもう九〇%でございますから、これから見ると大変である。  また、国、地方公共団体の毎年の財政赤字、GDPに対するこの財政赤字の比率についても、日本が八・二%である。我々、批判しておりましたアメリカは二・四%、イギリス三・八%、フランス約四%、ドイツにおいても三%ということでございますから、いかに我が国の財政が厳しい状況に置かれているかと私は思うのであります。そういう中で、日本に対しまして、やはり財政を何とか軌道修正してほしいということは大臣もG7等の会合に行っても言われておると思うのでありますが、特にIMFでは、日本の景気が回復され次第、要するに健全財政を日本は早く回復してほしい、それによって、日本の財政赤字というものはいかに世界の経済に暗雲をもたらしているかということだと思っております。  そういうことで、ともすると私どもは、今まで福祉が我が国財政の約三分の一に及んでおりますから、ちょっと景気が悪くなれば大型対策を組もうということで、それは当然のことだと思うのですが、その中で不足すれば借りればよろしい、借りれば何とかなるという安易な金のやりくりをしてきたと思うのです。私は、この住専国会委員会に出ていながらつくづくこの問題について思うのですが、金は天から降ってこない、だれかが負担するわけですから。そしてまたこういう財政が赤字になりますと、この国債の発行によってひいては金がなくなるわけですから、金利を上昇させるわけですね。金利の上昇というものは、要するに民間の投資を抑制してしまう、それがひいてはまた景気の低迷につながるわけだと私は思うのであります。  我が国は一千百兆円の預貯金があるといっても、将来少子化社会に入ってまいりますとそれが本当にいつまで続くかわかりません。ですから、我々は一千百兆円の預貯金があるから国債をどんどん発行しても金利に余り影響はないということは私は愚策だと思っておるわけでありまして、やはりこのような膨大な財政の赤字は財政政策に対するマーケットの信頼感を失っているわけでありますし、先ほど言ったとおり、金利の上昇を招くことはもう論をまたないと思うのであります。その中で私は、この健全財政を保つためにはどうするかということが一番政治家として考えなければならぬことと思っております。  先般もクリントン大統領が日本に来て、国会で演説をされましたけれども、クリントンさんは、子供に対する債務の負担を取り除いて、後世にわたって借金を子供たちに与えないような、そういう均衡財政をせねばならぬということも常々国内向けに発言しているようであります。  そこで、今の日本の財政を大臣はどのように見ておられるかということをまず一つお聞きしたいと思うのでございます。
  93. 久保亘

    ○久保国務大臣 ただいま栗原さんの方から、我が国の財政の現状について数字に基づいて御説明がございましたので、その点は省略をさせていただきますが、もし財政の状況を今日の制度のまま財政支出を行い、そして名目成長率が三・五で進んだという立場に立ち、しかも、税収の面では九年四月一日から消費税を五%にアップし、特別減税を考えないということで試算をしたものがございます。  その場合に、平成年度を初年度として五年後にどうなるか、五年後、予算の規模は百兆に近い、ほぼ九十九兆となろうと思っております。その場合に税収が六十九兆と試算されます。しかし、歳出の方で、今度は国債費が今年度の十六兆から二十三兆に膨らまざるを得ない。地方交付税がほぼ二十兆に達すると思います。そういたしました場合に歳出に必要な額が、随分今改革を行っておりますが、にもかかわらず、現在の制度でいきます場合に五十四兆規模になろうかと思っております。そういたしますと、歳入の方の不足する分を建設国債を含めて国債で充当するということになれば、五年後に二十八兆を必要とする。そのうち建設国債と考えられるものが十一兆、赤字公債が十七兆必要となってくるだろう、こういう試算になっております。  したがって、このままでまいりますと、補助金を圧縮したりいろいろな努力を重ねてまいりましても、平成十三年度には二十八兆の国債の発行が歳入の面で余儀なくされ、そして歳出の面では二十三兆の国債費が必要となってくるという状況だと考えております。そういたしますと、この累積公債はますます増加をいたしてまいりますし、それから歳出の面では国債費が圧迫要因となりまして社会政策のための経費が負担できないというような状況が予測されるのでございます。  そこで、今私どもといたしましては、財政再建についてその目標を設定すること、それから財政支出の果たす役割とその守備範囲を大胆に見直しをしなければならないという立場から財政制度審議会にも御検討いただいておりますが、財政制度審議会だけでは今日のこの危機的財政の再建に当たって検討の視野が十分でないのではないだろうかということもございまして、政府税調、社会保障制度審議会、経済審議会等の代表にもお集まりいただく会を首相が招集をされまして、それで今後、その他の財政とかかわりを持ちます審議会等とも連携を深めながら、財政再建と申しますよりは財政構造改革を目指す今後の検討を急いで進めていかなければならないということで、今取りかかっているところでございます。  大蔵省省内におきましても、財政構造改革のための検討のプロジェクトチームも今協議を開始いたしておりまして、平成年度予算の編成がぜひ財政再建に向かう初年度としての役割を果たせるようにやってまいりたいと思っております。  しかし、今栗原さんから御質問がございましたように、日本の場合には、長く続きました景気の低迷をどのようにして克服するかという大変重要な課題と取り組んでまいりまして、数次にわたります経済対策によっても、お話がございましたように六十数兆の経済対策を講じてきたわけでございます。昨年の九月には十四兆二千億を超える経済対策を行いまして、これは本年度まで引き継がれているのでございますが、にもかかわらず、今この財政の下支えと超低金利政策のもとにようやく景気の回復が緩やかながら軌道に乗り始めたところでございまして、G7の各国からも日本の景気対策は今後どのようにして続けられるかということで、非常に関心がございます。しかし、また一方では、G7の中で今際立って財政赤字それから累積国債が巨額になりました日本の財政再建に対する関心も高まっております。  このもろ刃のやいばみたいなところもございます経済の回復とそれから財政の再建というものを両にらみしながら、どのようにして今後の財政運営が行われるかということは非常に難しい問題でございますが、私どもとしては、財政再建もまた日本経済の将来にかかわる大変重要な課題であるという立場から、財政再建の問題は喫緊の課題となったという立場に立ちまして、皆様方の御支援もいただきながら、再建の道筋をできるだけ早く明らかにして取り組んでまいりたいと考えております。
  94. 栗原博久

    栗原(博)分科員 大変細部にわたっての御説明と御見解、ありがとうございました。もっと時間がありましたら、もう少しまたお聞きしたがったのでありますが。  要するに、我々政治家は、とかく大型の経済対策とか、真水の中の公共事業を大蔵省ひとつ頼むとか、あるいはまた減税をどんどん継続してくれとか、公定歩合は引き上げてくれとか、あるいは時には大蔵省の無策ぶりと言って批判するのでありますが、そういう中で皆さんも大変御努力されて、お金は打ち出の小づちではありませんし、あるいはまた玉手箱ではないので、必ずそれはだれかが負担しなければならないわけですから。  これはきょうも金融問題特別委員会で我が党の金子さんが質問した際、国民負担率の問題を論じ、久保大臣からもあるいはまた橋本総理からもこれについての御見解があったわけでありますが、こうして高齢化社会、少子化社会が急テンポで進む中で、やはりだれかが負担しなければならない。そしてまた、国民負担率が三七・二%を超えているというようなことにおいて、いかにして健全財政を保つかということについては本当に大変だと思うのでありますが、ぜひひとつ早くこの住専問題を解決くださいまして、次は健全財政、国家百年の大計の中における日本の財政をどうするかということを我々国会議員にもお示しいただきたいと思うのであります。  きょうは時間もございませんので、もっと大臣から財政の均衡についてお聞きしたがったのですが、次の質問がございますので、あと今度、選挙区のことについて一つお聞きしたいと思うのでございます。  ありがとうございました。どうぞ大臣、お引き取りいただいても結構です。  インランドデポ、国内税関のことでちょっとお聞きしたいと思うのです。  私の地元は三条市というところでございまして、この三条市の長谷川長二郎市長も経済界出身でありまして、我が国の経済が世界の経済の回復に伴ってどんどんよくなっていく。大変期待をしておるわけでありますが、しかし、円高の中で、地場産業も大変苦しみあえぎながら企業を守っているわけであります。輸出輸入をいかに均衡させながら、特に輸入品を使いながらまた輸出を伸ばすということでございますから、当然やはりそれに対する、輸出入の税関の機関から御面倒も見てもらわなければならないということでございます。  大臣おられますので、ひとつ強く御要請申し上げますが、三条市はこの三年間、前年比約六・五%ちょっと製造品出荷額等が減っており、輸出実績においても前年比一二・七%減であります。これは円高の関係もあると思うのでありますが、今そういう輸出環境が極めて厳しい中にあっても、三条市を初めとする、燕もあるわけでありますが、あるいは加茂もあるわけですが、海外市場も内需と並んで重要なマーケットであるわけであります。そのために、ケルン・ハードウエアショー、インターナショナルハウスウエアショー、日本DIYショー、深 国際機械展覧会など、いろいろの見本市を開きながら、三条あるいは燕の製品を輸出しながら、それによって日本経済をやはり背負っているという自負心を持っているわけであります。  そこで、ここに皆さんの御配慮で、平成五年からインランドデポ、要するに国内税関が設置されてあるわけでありますが、お話を聞きますと、関税法に基づく税関の派出所であると。それによって、出張所でありますと経費等が取られないけれども、派出所でありますとやはり利用者の方の負担もあるわけであります。それから、出張所と派出所では地元の経済界に対する意気込みが違うわけでございまして、ぜひひとつこういうことについてお聞きしたいのでございます。  今、三条・燕政令派出所はどの程度利用されているか。実際、この派出所の税関を通らなくても、例えば横浜港とか神戸港とか、あるいはまた東京国際空港を利用していろいろ輸出をされているわけでございます。我が国も輸入促進地域というものを設定して輸入を促進しておるわけでありますが、例えば、ヨーロッパから東京まで来る船賃が東京から新潟まで来る国内運賃と大体等しいわけです。ですから、いかに税関のシステムをよくするかによって、国内のこういう、これからはい上がろうとする、あるいはまた円高で戦っている、こういう地域の輸出入の業者にとっても大変ありがたい、少しでも経費も、早く国外からの受注に応じて出せればそれだけまた経済効果も高いわけであります。  そういうことについて、三条・燕政令派出所の利用実績はどの程度であるかということをお聞きしたいと思うのであります。
  95. 久保田勇夫

    ○久保田政府委員 ただいま委員から御質問がありました三条・燕政令派出所の利用実績、あるいはさらにその地域からの日本全体の輸出輸入の金額はどうかという御質問であったと思います。  平成七年の三条・燕政令派出所における輸出額は五十億九千四百万円でございまして、輸入額は七十七億五千六百万円でございます。委員指摘のような振興策等もあってか、輸出入額とも着実に増大しているというのが実態であるというふうに承知をいたしております。  それから、横浜、成田等を通してこの地域からどうかというのは、私どもちょっと手元に数字がございませんが、現在のところから推測いたしますと、それなりに伸びでいるのではないかというふうに考えております。
  96. 栗原博久

    栗原(博)分科員 それで、今私の手元に三条市の輸出入状況資料があるのでございますが、平成年度の輸出状況の表でございまして、輸出は総額で八十九億九千万、これは三条市だけでございますが、あとその周辺にも、燕もございますし加茂もあるわけでありますが、その中で横浜港に五十億行っているわけであります。このインランドデポは、港に行っているのもありますし、またその港での税関を通るのもあると思うのですが、きょうの質問の要点は、要するに出張所と派出所の差はどういう点であるかということが一つですね。その利便性とかそういうものがどういう点があるかということを私はひとつお聞きしたい。  時間もございません。まとめてひとつお聞きしたいのでございますが、あわせまして、この円高、特に三条・燕は一番構造不況にも苦しまれ、あるいはまた、今までアメリカの方が中心でございました輸出を今は東南アジアの方に方向転換しながらやっているわけでございまして、これからやはり新潟港あるいは新潟空港を利用しながら、これらの国々との積極的な輸出入を図らねばならぬということでございますので、地元の業界は、先ほど申したとおり、ぜひひとつこの政令派出所を出張所に格上げしてほしい。今お伺いしますと、全国でこの出張所は百二十七でございますか。それから国内税関で派出所がどのぐらいあるのでございましょうか。派出所は四、五カ所ですか。今の実績だけでなくて、将来伸びようとする地域に対して、ぜひひとつ出張所昇格というものをお認め、あるいは御配慮いただきたい。きょうちょうど大臣おられますので、私は、現実でなくて、将来を見越して、政策的なものの中でやはりこれをひとつお考えを願いたい、あるいはまたぜひ出張所に昇格の検討を願いたいということで、あわせまして、総括的にひとつお願い申し上げたいと思います。
  97. 久保田勇夫

    ○久保田政府委員 まず、出張所といわゆる政令派出所の違いでございますが、税関出張所は大蔵省設置法の規定に基づきまして設置されるいわば国の機関でございまして、これは、大蔵省設置法によりますと、税関はその所掌事務の一部を分掌させるため、支署、出張所等を置く、こう書いてございます。そういう意味で、この出張所の場合には、当該出張所が管轄する地域を対象といたしまして、国民一般に対して税関業務に係る行政サービスの提供を行うもの、こういう位置づけでございます。  一方、いわゆる政令派出と申しますのは関税法の規定に基づくものでございまして、これは関税法第三十五条に「税関長は、保税地域に税関職員を派出して、税関の事務の一部を処理させることができる。」こういうことでございます。したがいまして、その意味は、具体的には、保税蔵置場等の被許可者の申請に基づきまして、いわば当該保税蔵置場の利用者に対して税関業務に係る行政サービスを提供するために税関長が当該蔵置場等に税関職員を派遣する、派出するものである、こういうことでございまして、そういう意味で性格が違っておりまして、先ほど委員が間接的におっしゃったと思いますが、この場合には派出のための手数料を取るというふうなことで、金銭的にも多少違う取り扱いになっているわけでございます。  そこで、個別の今のお話でございますが、おっしゃいますように、インランドデポというのは、一般的には、港湾または空港以外の地域に設置された物流通関拠点をいいまして、それをやるということによって、港湾地区等から離れた地区に立地する企業にとっては通関の迅速化とかコスト削減等のメリットがあるとか、あるいはこれに伴い港湾地区等の貨物施設の混雑の緩和その他、あるいは当該地域の企業の地方進出を促進するとか、地域の国際化、活性化につながるという付随的効果もあるわけでございます。  しかしながら、こういう振り分けをどうするかというのは、他方、現下の厳しい行財政事情のもとも考える必要があるわけでございまして、政令派出所を国の機関である出張所とするかどうかを判断するに当たりましては、もちろん地元の方の御要望も十分考慮いたしますが、あわせて、そこで十分な業務量があるかとか、あるいは行政需要の公益性や行政の効率性等を総合的に勘案する必要があるというふうに考えてございます。  率直に申し上げまして、三条・燕の政令派出所につきましては、現在の業務量等を勘案しますと、出張所とすることは困難であると考えておりますが、今後とも、その当該地域の業務量の推移等を見守ってまいりたいと考えております。
  98. 栗原博久

    栗原(博)分科員 大臣、今の御答弁、これは私なりに理解はできるのですが、今局長さんは、今の財政厳しい中、なかなか無理とおっしゃいましたけれども、やはり出張所になることによって、この燕・三条地域はどんどん輸出して、努力して、ひとつ国に税金をたくさん納める、実は皆さんそうおっしゃっておりますので、大臣も同席されておりますから、今の局長さんの御答弁もしかりでございますが、やはりそれを指揮監督する大臣、ぜひひとつ関税局の方を御督励されて、これをもう一度検討するように御下命いただきたいと思いますけれども、一言お言葉をいただきたいと思います。
  99. 久保亘

    ○久保国務大臣 今お話はよく伺いました。関税局長からお答えいたしましたが、事務当局の経過やいろいろな検討の結果を聞きながら考えてみたいと思っております。
  100. 栗原博久

    栗原(博)分科員 どうもありがとうございました。
  101. 稲垣実男

    稲垣主査 これにて栗原博久君の質疑は終了いたしました。  午後三時から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時十七分休憩      ————◇—————     午後三時開議
  102. 稲垣実男

    稲垣主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  大蔵省所管について質疑を続行いたします。若松謙維君
  103. 若松謙維

    若松分科員 新進党の若松謙維でございます。約六点質問を用意して、三十分で盛りだくさんということで、早速進めさせていただきます。  まず、国内公共事業。いわゆる不効率と認められた、これは私が認めたわけではなくて、会計検査院がそのように検査報告の中で述べられているものです。平成年度決算検査報告の中に、事業名といたしまして国営羊角湾土地改良事業、こういった干拓事業並びに総合農地開発事業、このために平成年度までの支出済み額が百九億を超える金額になっておりまして、その中身を会計検査院の方が指摘していただきまして、いわゆる工事を長期にわたって休止している、さらに、これは農地をつくるという意味なんですけれども、実際その周りは農家は半減しておる、こういう状況で、この事業自体にもう事業の存在意義さえもないのではないかという会計検査院指摘。これは、長年指摘を続けているということですけれども、なかなかその改善がなされていない。いまだに税金を投入している、住専への投入とは違いますけれども。  こういった不効率な公共事業、この際、会計検査院のとおりしっかりとすべきではないかと思いますけれども、こういった観点から、きょうは決算というよりも会計検査院という、そのもののいわゆる制度を活用した観点から質問をしております。なかなか改善されないということで、どうして改善されないのか答弁いただけますか。
  104. 五十嵐清人

    ○五十嵐会計検査院説明員 国営羊角湾土地改良事業につきましては、ただいま委員の方から御指摘がございましたように、長期間工事を休止しておりましてその効果が上がっていない。しかも、農業情勢の変化等によりまして今後事業計画どおりに事業を実施することは困難だというようなことを踏まえまして、農用地開発事業については、事業計画を変更し、水源施設に係る工事を事業から除外して、事業を完成させ、造成農地に係る受益者負担金の徴収を開始すること、それからもう一つは干拓事業についてでございますが、将来の農業情勢等を総合的に勘案して、事業の実施について多角的な検討を行うこと、こういった二点についての指摘をしてございます。  農林水産省では、本院の指摘を受けまして、つい本年の二月でございますが、両事業事業計画を変更しておりまして、それによりますと、一点目の指摘であります農用地開発事業につきましては、地元の意向を踏まえ、水源施設の建設を取りやめ、事業から除外して、七年度事業を完成させております。また、もう一点の干拓事業につきましては、平成年度から三年をかけて事業の実施について多角的に検討をするということとしてございます。  会計検査院といたしましては、その検討結果を待って改めてその妥当性等について吟味させていただくということになろうかと考えております。
  105. 若松謙維

    若松分科員 この計画について、現在でもいわゆる予算化されて支出が行われているという理解でよろしいわけですか。
  106. 五十嵐清人

    ○五十嵐会計検査院説明員 本格的な工事費というようなものは、まだ休止している段階でございますからついておりませんが、ぼちぼちといいますか、少しずつはついているように承知しております。
  107. 林正和

    ○林(正)政府委員 先生お尋ねの事業につきましては、平成年度まで農地開発、干拓合わせまして百十一億七千四百万を支出いたしましたが、平成年度以降は予算計上は一切いたしておりません。
  108. 若松謙維

    若松分科員 予算計上されていないということでいいんですけれども、一般論として、いわゆるこういう会計検査院指摘された不採算事業とでもいうんでしょうか、不効率事業、これに対して、当然各省庁から概算要求なりという形で予算要求があるわけですけれども、大蔵省として予算査定、そういう会計検査院指摘事項に対して、支払いをする大蔵省としてしっかりそめ歯どめというかチェックというか、そういうものをきちんとされているのかどうか。概括的な質問で恐縮ですけれども状況説明していただけますか。
  109. 林正和

    ○林(正)政府委員 会計検査院の検査の指摘事項等につきましては、私ども会計検査院と定期的に連絡会を持っておりまして、こうした会計検査院の御指摘をできるだけ予算編成に反映できるようにということで努力をしているところでございます。  御質問の公共事業につきましては、非常に工期が長いということもありまして、工事が長期間にわたり休止している、そのために事業効果が発現されないというケースもあることは御指摘のとおりですが、私ども、これは基本的には事業執行官庁におきまして、計画段階の調査でありますとかあるいは地元の調整でありますとか、こうしたことが十分でなかったことによることが大きいだろうと思っております。  いずれにしても、こうした批判も踏まえまして、非効率な事例が起こらないように事前に十分地元と調整をする等、関係省庁への指導を徹底していきたいと同時に、いずれにしましても、こうした公共事業、いずれも現在または将来の国民の負担によって賄われるものでございますので、引き続き効率的な投資が行われるように各般の努力をしていきたいと思っております。
  110. 若松謙維

    若松分科員 それで、こういった不効率事業会計検査院が認めたもの、こういったものについて、巨大事業ですね、百億を超えている事業ですから、巨大事業等に対して、やはり総務庁の行政監察局、そういったところの政策的な意見というか評価というものが出されてしかるべきではないかと思いますけれども、そういった観点からその連係プレーというか、それはどうなっていますでしょうか。
  111. 木内徳治

    ○木内説明員 総務庁の行政監察局といたしましても、会計検査院と定期的に会合を持っておりまして、会計検査院の監査の結果をお聞きして私どもの業務の参考にいたしますとともに、私どもの行いました行政監察結果について御説明して相互に意見交換をするなどいたしまして、連携を図っているところでございます。
  112. 若松謙維

    若松分科員 具体的にこの国営羊角湾土地改良事業、これについても行政監察局として何か手だてはされましたか。
  113. 木内徳治

    ○木内説明員 私ども行政監察局といたしましては、会計検査院会計検査とは若干異なる視点あるいは手法によりまして行政監察を実施しているわけでございます。  そこで、個別の事業につきましてそれが国庫の支出上適当であるか否かというような点につきまして、行政監察局としてこれを取り上げるということは二重のチェックになるということでございますので、個別の事業について取り上げて、それをまた行政監察で取り上げるということは考えてございませんが、ただ現在、私ども行政監察局といたしましては、大規模農地開発につきましての行政監察というものを実施しておりまして、この中で農地の造成事業等についても、その実施状況を調査しているところでございます。こうした調査の中で、会計検査院からの御指摘ども十分参考にしながら、調査を実施してまいりたいと考えております。
  114. 若松謙維

    若松分科員 行政監察局に再度お聞きしますけれども、この羊角事業、これについて具体的に指摘しましたか。さらに行政監察局としての視点から、何か追加的な調査はされましたでしょうか。
  115. 木内徳治

    ○木内説明員 私ども、先ほど御答弁申し上げましたように、現在、大規模の農地開発につきましての行政監察を実施中でございますので、農地開発の事業についての監察の中で、具体的にどこということで今ちょっと手元に資料がございませんけれども、いずれにいたしましても、大規模の農地開発についての監察を現在実施しておるということでございます。
  116. 若松謙維

    若松分科員 ぜひ、会計検査院とも連携を密にとってやっていただきたいと思います。  なぜこういうことを言うかというと、これも前回の決算委員会で、大蔵大臣がいたところで紹介させていただいたわけですけれども、特にアメリカのGAOが、いわば会計検査院というものを持って、これも国会附属、さらに、そこに日本で言う会計検査院、それと、いわゆるプログラム評価という行政監察局がやっているような仕事を一体化して非常に機能的にやっている。やはり日本としてもそういった面を参考にすべきではないか、こういう観点からの指摘でありますので、ぜひとも今後の改善並びに今後の向上というものを期待するところでございます。  では、ついでに行政監察局に聞きますけれども、いわゆる公共事業、これから平成年度の補正予算、秋口、また大蔵大臣いろいろ骨を折られると思いますけれども、そういうところで、公共事業といいながら、また景気対策の財源というのは、結局は赤字国債なんですね、今は。六十年償還ということで、いわゆるケインズ学説とでもいうのでしょうか、いわゆる財政支出を出動して有効需要を創出して、では景気対策に本当に効果があるかというと、今非常にさまざまな疑問の意見が出ている。  そういうことで、ここ数年、特にここ三、四年、バブルが崩壊して、景気対策を名目にした公共事業がかなりふえているわけですけれども、それの本当の有効性というのでしょうか、景気対策としての有効性、そういった政策的なチェックというのも、やはりしっかり行政としてすべきではないかと思います。行政監察局としてそういう調査をしているのか、また、しようとしているのか、そういった点から答弁願います。
  117. 木内徳治

    ○木内説明員 総務庁といたしましては、経済対策の推進のために、行政監察の一環といたしまして、平成五年に総合経済対策の実施に係る事務処理の簡素化・迅速化に関する実態調査を二回に分けて実施いたしておりまして、平成五年の一月及び六月に、各省庁に対し調査結果を通知したところであります。  これら調査におきましては、経済対策の円滑な推進を図る観点から、各種事業が早急に着手できるよう、公共事業あるいは政策融資等に係る許認可、審査等の事務の簡素化、合理化を指摘しているところでありますが、各種公共事業の経済波及効果の把握までは行っておりません。各種公共事業の経済波及効果につきましては、マクロ経済の分析などに基づいて測定、評価する必要があるというふうに認識しております。  これに対しまして、行政監察は、個別施策の実施状況の分析、評価に基づいて改善方策を検討するものでございますので、マクロ分析を主眼とする経済波及効果の測定、評価にはなじまないと考えているところでございます。
  118. 若松謙維

    若松分科員 そうすると、では、経企庁はきょうは来ていないですね。経企庁は要求していませんね。——そうですが、わかりました。また別の機会にしていきたいと思います。  済みません、久保大蔵大臣、また、副総理というお立場からお願いしたいのですけれども、こういうかなりの巨額の何十兆という公共事業、そういったところの客観的な有効性というのですか、それをチェックするというのは、本来、行政としてどこがやるべきなのでしょうか。
  119. 林正和

    ○林(正)政府委員 御質問趣旨と若干、お答えするには合っているかどうか、ちょっとあれですが、私ども予算査定に当たりましては、各種公共事業の費用、いわばコストベネフィッ十分析といいますか、そういう観点から、まさに国民の税金を使わせていただくという観点から、果たしてそれだけの経済効果、外部経済効果も含めまして、これがコストに見合うものかどうかという点は、財政当局という立場から、毎年の予算編成において、そこは厳しく私どもの立場として見させていただいているところでございます。
  120. 若松謙維

    若松分科員 いわゆる公共事業は、やはり建設業者等が関係するわけですけれども、結局、税金もしくはそういった借金を原資とした工事を一民間建設業者等がやる、その比率が多くなる。そうすると、結果的に日本建設業界というのはかなり弱くなりますよね、体質として。そういった観点を考えると、今回、秋の補正予算を組まれるわけですけれども、景気対策というのは、もう少しやはり財政出動の元締めとして大蔵省は何か工夫というか、もうちょっと客観的な評価というのですかね、それをやらないと、ますます単なる借金がふえてしまうのではないかと思いますけれども、大臣、何か御意見をお持ちでしょうか。
  121. 久保亘

    ○久保国務大臣 なかなか難しい問題だと思いますが、公共事業に限らず、予算が適正に、効率的に執行されたかどうかということにつきましては、それぞれの検査、監察の機関がそのことについて検査、判断をいたしますと同時に、その予算を執行いたします分野においても、みずからその効果について適正であるかどうかという判断は行われなければならないことだと思っております。  また、予算の、財政の役割について、非常に大きな責任を負います大蔵省といたしましても、それらについては御指摘のとおり、適正、厳正に執行されて効率が予定どおりに上げられたかどうかということについては、絶えざる検査といいますか、判断が加えられていかなければならないものだと思っております。  特に、この数年の間に景気対策として投ぜられました公共事業のための予算は、かなり巨額に上っております。それだけに、今度は、全体としてこれらの経済対策に投ぜられた予算がどのような効果を上げたかというのを、その一つ一つの効率性だけではなく、全体として日本経済にどのような影響を与えていったかというようなことについても、経済企画庁の役割もございますし、また、それぞれの役所において、そのことについては的確な判断を絶えず下していかなければならないものだと思っております。
  122. 若松謙維

    若松分科員 会計検査院、行政監察局ともども聞きたいのですけれども、いわゆる、どちらかというと、御両所の大体答弁としても、個々のチェックはやるけれども全体的なところはやらないというような意見なので、私は、もっと突っ込んで、みずから努力をして、さらにはマクロ的なところも指摘していけないという法律はないわけなので、会計検査院として、または行政監察局として、こういった公共事業の有効性また景気対策上の有効性、そういったところについて指摘すべき、また国会の立場からすればぜひ指摘してほしいと思うのですけれども、それぞれどういう御意見でしょうか。
  123. 五十嵐清人

    ○五十嵐会計検査院説明員 おっしゃるとおり、マクロ的な検査あるいは効果検査というものについては、私ども戦後一貫して、不当事項、正確性それから効率性それから経済性、こういった点でやってきたわけですが、最近は特に、先ほどおっしゃいましたようなアメリカのGAOあたりのやり方を参考にしながら、効果検査の方にかなり重点を絞っているというのが実態でございます。  ただ、個々の事態についてしか指摘していないのではないかと言われるわけですが、確かに国営干拓事業の先ほどの事例の指摘等は、一地区の指摘ではございますが、全般的に見た結果、ここはどうしても指摘をしておく必要があるというものを取り上げているわけでございまして、こういった問題がほかにもあれば、当然そこも指摘に入ってきて、総合的に見ていくということになろうかと考えています。そういう面での努力は、私どもしているつもりでございます。
  124. 木内徳治

    ○木内説明員 私ども総務庁といたしましても、行政監察の実施については、個々の事業についての非、不当をあげつらうとか、あるいは法律に基づく、あるいはもっと細かく通達ベースで、何がどうなっておって、それを守っておらないからどうだというような形式的な指摘でなく、やはり事業、施策を見たときに、それが果たして当初予定されていた目的どおりに実施されておるのか、あるいは新しい時代の変化に即応してそれが変えられていっているのかというような視点から、また施策を、比較的大きな塊としてとらえて行政監察を実施してまいりたいと思っているところでございます。  ただ、先ほども説明いたしましたように、公共事業の波及効果というような点になりますと、やはりマクロ経済の分析というようなことになりますと、若干、行政監察の実施から、この適不適あるいは効果のありなしというものを、実証的に導き出すということは難しいのではないかと考えているところでございます。
  125. 若松謙維

    若松分科員 これは主張になりますけれども、では国会で、国会議員が数百名、参議院入れて七百五十名、こういった人たちとわずかなスタッフで、調査室ですね、いろいろやって、本当に客観的な調査、さらに政策提言できるかというと、非常に行政の方がまだ力が強い。こういう現状なので、本当は会計検査院、行政監察局ともに私は国会の方に来ていただいて、ともに客観的なチェックをしていく、こういった試行をすべきだし、私はその実現のために努力をしてまいりたい、こう主張して、次の質問に移らせていただきます。  これは、外務省なのですけれども、いわゆるこれはOECF関係、円借款事業ということで、ある、これは国は申し上げることは禁じられておりますので、約百億円ぐらい貸し付けた、いわゆる発電機ですね、これの非効率性を会計検査院から述べられております。いわゆる当初の目標に対して、実際一四%ぐらいしか、物はつくったけれども、つくった電気が使われていない。一四%しか使われていない。あと、別の例ですと、これは地下鉄ですけれども、当初六十万人の利用計画、一日六十万人の利用計画に対して五万人程度。  こういうことで、これはまさにむだ、いわゆるフィージビリティースタディーが甘かったのか。その結果、結局それぞれ円借款事業事業化していないために、いわゆるその貸し付けた円ローンというものが焦げつくようになっている。  特に具体例として、平成年度決算検査報告書を見ますと、約八兆二千六十七億ある円借款の貸付金のうちに、不良債権、六カ月以上の遅延元本ということで三千六百六十七億あります。そのうち一年以上の遅延ということで三千百六十億ある。  これはやはり、こういったフィージビリティースタディーの甘さ、またはいわゆる貸すことが優先して事業性というものをしっかり監視していない、そういった結果ではないか、そう思います。  では、その状況がOECF、このアジアレポートがあります、年次決算書。そこに、その不良債権に出ているのかというと出ておりません。これは、政府一〇〇%所有の一つの会社、法人格だと思うのですけれども、ここを実際見ますと、欠損金が約八百六十三億、これは九五年三月末現在です。こういう状況で、このいろいろなさまざまな円借款事業、結局不効率が多い。結果としてそういった貸し付けた債権は不良化していく。  こういった、国内不良債権と同じように、海外での不良債権、いずれは国内に返ってきて、国民のまた税金に仰ぐということも一つの可能性としてあるわけですけれども、ディスクロージャー制度が全然なっておりません。こういった点は改善される意向があるのかどうか、それはいかがでしょうか。
  126. 谷崎泰明

    ○谷崎説明員 ただいま御質問にございました円借款の二事業でございますけれども、これは平成年度と五年度のそれぞれ会計検査報告で指摘されている点でございます。  両年度会計検査報告では、対象になりました円借款の調査は、おおむね順調という報告は受けておりますけれども、他方、今申し上げましたように、また御指摘のありました案件については、相手国政府の事情あるいは天災等の予期できぬ出来事ということで、当初の援助効果は十分発現されていないという例は、確かに御指摘の例ございました。我々としては、大変残念なことというふうに思っております。  この点につきましては、基本的には相手国政府責任を持ってやる事業でございますけれども、我々としましても、援助資金を効果的に使うということは大変重要なことだろうと思っております。  さらに、こういった事業につきまして放置するということではなくて、やはり改善するように相手に求め、必要ならば我々の方からアドバイスをしていくというようなことをやりまして、今御指摘のありました発電所につきましては、当初の、問題になりました十数%の稼働率から、現在五〇%に上がっているということを報告を受けております。それから、地下鉄につきましては、その後我々の方の働きかけもございまして、九五年の九月に全線開通ということになっております。  また、先生の方から御指摘のありました延滞というか、その点でございますけれども、この点は、必ずしも事業が十分いっていないということとの直接の関係はございませんけれども、相手国の経済の全体の財政事情によって円借款を返済できないというのが、何カ国か出ております。  それにつきましては、我々の方としましては、最終的には、日本のみならず各国にもそういう延滞金が生じておりますので、国際機関の場でリスケというようなことをやっております。今申し上げましたリスケに当たる前の段階としまして、御指摘のような延滞金が生じているというのはそのとおりでございます。  この点につきまして、基本的には今御指摘のありました点はOECF、海外経済協力基金の報告でございますので、透明性を高めるという点からどういった形が改善できるのかというのは、引き続き検討させていただきたいというふうに思っています。
  127. 若松謙維

    若松分科員 もう時間ですので、ちょっと一点。  これは外務省関係だと思いますけれども、せっかく行政監察局が指摘している無償資金協力にかかわる契約、認証及び支払い事務について、なぜいまだに本庁でやっているのか、JICAに委譲してもいいのじゃないか、私はその指摘は大賛成です。これはぜひ早急にやっていただきたい。  済みません、あともう一つだけ。  これは行政監察局に聞きたいのですけれども、このODA絡みで、JICA、OECFさらに輸銀、例えばこの三つのフィージビリティースタディー、それぞれの行政執行上のダブりもある、むだも多い、そんな指摘がいろいろ聞かれるわけですけれども、今後行政監察局としてこの三つのボディーの効率化を総合的にチェックする、そういった計画は今やっているのか、またやろうとしているのか、その点について質問して終わります。
  128. 木内徳治

    ○木内説明員 経済協力につきましては、現在政府開発援助のうちの有償資金協力につきまして、平成七年八月から行政監察を実施しているところでございます。  この行政監察は政府開発援助の効果的、効率的な実施、援助の総合性、計画性の確保等の観点から実施しているものでございまして、御指摘のOECF、JICA及び日本輸出入銀行との連携の強化の必要性についても調査を行っているところでございます。
  129. 若松謙維

    若松分科員 時間ですので終わります。ありがとうございました。
  130. 稲垣実男

    稲垣主査 これにて若松謙維君質疑は終了いたしました。  次に、上田清司君。
  131. 上田清司

    上田(清)分科員 大臣には連日御苦労さまでございます。  私は、実は住専の議論を通じて一つの仮説を持っております。と申しますのは、大蔵の金融行政、なかんずく銀行の監督行政に関して限界があるのじゃないか、行政のシステムとして限界があるのじゃないか、そういうことを仮説に持ちながら若干研究をしているところでございます。もしその仮説が正しければ全面的なシステムの改革をしなければならないのじゃないかというようなことも踏まえて議論をしているつもりでございますので、御理解を賜りたいと思います。  まず、早速ですが、先週の五月十七日の決算委員会質疑で、西村銀行局長には、出島判決のいわば結審において、富士銀行の組織ぐるみの隠ぺい工作があった、あったかなかったかということについてお伺いしたところ、三度ほどはぐらかされかかったのですが、四度目に、隠ぺい工作はなかったという御答弁がありましたけれども、これは間違いありませんか。
  132. 西村吉正

    ○西村政府委員 判決の内容と申しますのは、今隠ぺい工作とおっしゃいました点は、判決の中で、富士銀行が事件を公表せずに処理をしようとしたことから、さらに判示第四、第五の犯行を続けたものであって云々、そのくだりのことをお指しのことと存じます。  富士銀行の赤坂支店事件につきまして、同行が今申し上げました意味での隠ぺい工作を行っていたのではないかとのお尋ねでございますが、三月二十五日の衆議院の大蔵委員会におきまして、井奥委員からの御質問に対し、「私どももそのようなことはないと信じておりますけれども、」「改めてまた検討をさせていただきたいと存じます。」と答弁を申し上げました。  井奥議員からの御質問を踏まえまして、また先般の御指摘も踏まえまして、改めて富士銀行に調査をさせたところ、同行は、事件発覚後直ちに全力を傾注して事件の調査、解明に努め、その全容がほぼ明らかになった平成三年七月二十五日に事件を公表し、中村、佐藤を刑事告訴した、同行として隠ぺい工作を行っていたというようなことは全くない旨の報告を受けております。
  133. 上田清司

    上田(清)分科員 報告はそうだということですけれども、大蔵省の判断として、先日の委員会ではそれはなかったと認識しておられるというふうに答弁がなされたわけですけれども、これは控訴されておりません、結審です。裁判所もそれなりの証拠に基づいてそういう判断をされているわけですから、富士銀行がそういう報告をしましたということで、銀行局長がそのとおりだということを軽々にうのみにするわけにはいかないでしょう。裁判で結審で、控訴も何もしていないのです。ということはどういうことかというと、きちっとそれを覆すほどの根拠を富士銀行が示さなければいけないだろうし、また、富士銀行から何もありませんでしたといって、そのとおりの認識にしていいのですか。
  134. 西村吉正

    ○西村政府委員 富士銀行のこのような問題につきましては、大蔵委員会あるいは決算委員会でたびたび御質問いただきまして、また、御指摘もいただきまして、当局といたしましては、その都度富士銀行から報告を受けるとともに、必要に応じ関係書類等により確認しているところでございます。したがいまして、私どもは、現段階で富士銀行の報告に疑問があるというふうには考えてはおりません。
  135. 上田清司

    上田(清)分科員 わかりました。それはとりあえず聞いておきます。  それで、私も委員会の後、富士銀行の方にお訪ねをして、総合企画部の藤本次長さんと佐藤隆参事役に事実の確認をしてまいりましたけれども、例の尾花案件でございます。四谷支店で一度受け付けたけれども、それが却下されたので改めて赤坂支店の方で受けた、そのときには例の中村さんの不正融資であったわけですけれども、後で事実を確認した上で、今度は適合したので正式に融資したという、そのくだりでございます。これは初めて明るみになったわけですけれども、大蔵省としてどの時点で四谷支店のことを御存じだったわけですか。
  136. 西村吉正

    ○西村政府委員 四谷支店の件につきまして富士銀行から報告を受けた概要は、次のようなことでございます。  平成二年の四月ごろに、四谷支店において尾花さんから申し出の融資案件を審査した際には、尾花さんからの申し出内容に関して検討の結果、結局条件が折り合わなかったので取り上げにはならなかったということでございます。一方、平成三年の八月に赤坂支店において尾花さんから申し出の融資案件を審査した際には、その時点で審査した結果、担保物件が複数あるなど同行の審査基準に合っていたので取り上げることとなったということでございました。  四谷支店と赤坂支店のときとで融資の取り上げの可否の結果が異なりましたのは、申し出内容が異なっていたこともありますが、主に担保条件等の条件面が相違したからだということでございます。したがいまして、四谷支店の案件は赤坂支店の融資とは別個の案件でございまして、最近マスコミ等でこの四谷支店の案件が取り上げられるまで同行内で話題になったこともなく、また、本件に限らず取引先の通常の個別案件につきましては、貸し出しに至らなかったものも含めて公表していない、このような状況の御報告がございました。  私どもはその御報告を受けて知ったわけでございます。
  137. 上田清司

    上田(清)分科員 実は、その後五月二十三日に中井審議官と村木銀行課長に御足労をいただきまして、わざわざ御説明に来ていただきまして大変恐縮だったのですが、文書でいただきまして、大変丁重に、富士銀行赤坂事件並びに東海銀行秋葉原事件についてのいわゆる時間的な経過、日数等を正確に教えていただいたわけであります。また昨日には、村木課長には七月二日の件、いわゆる週刊誌で話題になったところの七月二日の件についても御説明をしていただきました。  今銀行局長が申されましたように、改めて条件が異なったこと、また四谷支店とは関係なくきちっと融資をされたということでございますが、この七月二日にきちっと稟議書の中に、丸晶興産のルートの中で、ちゃんと転貸しの状況が、尾花さんの名前が出ている。しかし、富士銀行が知ったのは、初めて七月二十五日に尾花さんから返済したいのでよろしくと言ってきたら、そんなことはなかった、知らないということで慌てて調べてみたら、中村さんの不正融資だったので、その後正式に融資をしたということです。  また、新進党の若手の会の方でも、この尾花さんの件に関して小倉常務から承ったときも、きちっと特定はされませんでしたけれども、七月二十日過ぎ、まあ二十五日のことでしょう、尾花さんからそういう申し出があったので調べたら不正融資だったのです、それまで知らなかったのですと言っていますけれども、七月二日の決裁の印鑑で、頭取以下ずらっと、ちゃんと印鑑も押してあるのですよ。  この件について村木課長に聞いたら、これはたまたまこの不正融資事件があったから、当局に六月十七日に第一報をして、七月一日に行内でプロジェクトチームを発足させて、二日の日から実際の作業が始まった。八月十六日まで調査した結果、いろいろなことがわかったので、スタートした時点に日付を打ってこういう稟議書をつくったというような御説明がありましたけれども、これは間違いありませんか。
  138. 西村吉正

    ○西村政府委員 資料の日付との関係の御質問でございますが、私ども調査をいたしました結果を御報告いたします。  尾花氏への融資を富士銀行が知った時期についての御質問でございますが、同行からは、次のような報告を受けております。  一部マスコミで報道されております平成三年七月二日付の書面は、確かに同行の内部資料でございます。同行は、事件の解明と不正融資の肩がわりを進める中で、七月一日にプロジェクトチームを発令いたしまして、同行の債権の保全のため、個別行内協議をしながら、債務承認や追加担保の取得の交渉を進めてまいりました。  当該の書面は、事件の全容がほぼ固まり、対外公表も終えました後の平成三年八月に入ってから、それまでの対応と交渉を踏まえまして、このプロジェクトチームが対応方針を取りまとめ、実働開始日の平成三年七月二日付で役員室に書面による追認を得たものでございます。  したがいまして、この書面には、起案日付にこだわらず、作成時点までの後発事実も含めて記載される結果となっておる、こういうことでございます。  また、この書面には、尾花氏関係以外の七月二日以降に起こった事象も記載されている、以上のようなことでございました。
  139. 上田清司

    上田(清)分科員 昨日も言いましたけれども、これはおかしいですよ、報告を受けて大蔵省銀行局がおかしいも何も言わないこと自体が。  調査を一カ月半かけてやって、調査の結果を追認する形で七月二日付で出すような報告書なんかどこにありますか。あなた方自身が住総だとか協同ローンだとかやって、報告書をスタートさせた日付でやりますか、そういう報告書を出したことありますか、今までに。こんなばかなこと、世の中通じませんよ。  大臣、どう思われますか。
  140. 西村吉正

    ○西村政府委員 私どもは、先ほど申し上げましたように、資料の提出あるいは報告を受けた場合には必要に応じまして関係書類等により確認しているところでございまして、この報告につきましても、所要の手続を経ているものでございます。  この書類の作成の手順そのものは富士銀行内部の問題でございますので、そのような慣行があるか、取り扱いの仕方をするかどうか、こういう問題につきましては、富士銀行の内部の取り扱いの問題というふうに理解をいたしております。
  141. 上田清司

    上田(清)分科員 銀行のやり方次第だというふうな御答弁でありますけれども、御承知のとおり、これは戦後最大の金融不祥事件で、六千二百億の不正融資、そして二千六百億近い焦げつき、十五人からの逮捕、そういう大きな事件の報告書が約一カ月半かかって出てきて、そしてスタートの日付で、はい、さようでございますかと言って追認している。そういうので本当にこの金融行政というのが信じられますか。普通の人はそういうのを信じませんよ。銀行局長が信じられるというのは私はおかしいと思います。  委員長にもお尋ねしたいのですけれども、どう思われますか、こういうことに関して。私は、大臣にもこのことについてお伺いしたいと思います。一般的に、こんなことがあるのか。  まず大臣に、その後、委員長、御感想をちょっとお聞きしたいと思います。——局長、違う。あなたに聞いているんじゃない。大臣なんだ。時間がないんだから、余計なことしゃべらないで。
  142. 西村吉正

    ○西村政府委員 私ども、すべての書類あるいは事務手続につきまして、今申し上げましたような手順を踏んでやっているものとは思っておりませんし、もとより私どもの書類作成について、そのようなことを慣行としておるわけではございません。  ただ、本件につきまして、私ども確認をし資料等も当たりました上で、先はどのようなお答えを申し上げておるところでございます。
  143. 久保亘

    ○久保国務大臣 今銀行局長から事実関係を報告を申し上げております。  そのような、今上田さんがおっしゃるようなことが非常に矛盾した事情になっているのかどうか、ちょっと私も今突然のお尋ねですからよくわかりませんが、銀行局長の方はいろいろ御質問を受けましたこと等に対しても、事実を率直にお答えしているのではないかと思っております。
  144. 上田清司

    上田(清)分科員 委員長はいかがですか。こういう、普通は……。
  145. 稲垣実男

    稲垣主査 上田君に申し上げますが、当委員会は決算委員会の第一分科会でございますので、金融のやりとりの話については大蔵委員会、金融特別委員会がありますから、そちらでひとつお願いします。
  146. 上田清司

    上田(清)分科員 わかりました。それでは続けます。  私は、最初に申し上げましたけれども、こういう不正の隠ぺい工作があった、なかったという議論から、何か大蔵省の監督の中でのすべての銀行の検査体制というのは、基本的にはちょっと不可能じゃないかという問題意識を持って、こういう仮説の中でスタートして議論を進めているわけです。  例えば今銀行局長言われましたが、私が調べているところでは、この御報告のあった数字、例えば三年の六月六日に事件が発覚したということを言われておりますけれども、事件が発覚したのはそうじゃないんだ、実は五月二十三日だと御本人が証言されているわけです、中村さん自身が。そして六月三日には、宮原赤坂支店長から本店の検査部に報告もしているんです。  それから、御承知のとおり、中村さん本人が、六月九日から七月二十八日の早朝まで缶詰になって、さまざまな事件の概要を富士銀行内で、ある意味では取り調べという表現が適切かどうかは別にしましても、行内で取り調べを受けて、この六月六日の事件発覚どころじゃなくて、そして銀行局に六月十七日に第一報がなされたということではなくても、もうとつくの昔に事件の概要を知っていたのですよ。  その証拠の文書も出しましょう。これは六月十七日にちゃんと頭取以下全部のサインもあります。何のことかと申し上げますと、「赤坂支店問題の対処方針」といって、六月十七日にこういう文書ももう書いてあるのです。「事実関係」、「質権実行申出の対応」、「最優先の課題」、特にこの「最優先の課題」に関してこういう文書もあるのです。「上記課題に対し鋭意調査を行い又事情聴取を行った結果、未だ不充分の現状にあるが」この事情聴取というのはその缶詰の件です。「概略別紙の実情が判明。」詳しく出ているのです。  もう六月十七日の段階で概要がわかっていたのです。二十五日に公表された部分というのはとっくの昔にわかっていたし、それから八月の中旬まで調査した、それはフォローの調査だったかもしれませんけれども、いわば被害額の二千五百七十億というのも十七日の時点で出ていたのです。これはもうお聞きしましたとおりです。全部わかっていたのです。にもかかわらず、大蔵に報告したのは五月二十三日におくれること六月十七日ですから、大変おくれているのです。その間に缶詰にして内部での調査を繰り返しているわけです。  だから、先ほどの尾花さんの案件にしても、七月二十五日に初めてわかったのじゃないのですよ。自然体で見ていけば、普通に見ればだれでもわかるのですよ。六月十七日に赤坂支店の基本的な方針が決まっている。その決まるのは、概略を調べてしまって、それでこうしていこうということを決めたのですよ、何にもわからないで決められるわけがないのだから。そして、七月二日にちゃんと稟議書にサインしているわけですよ。その後に調査して、そしてスタートの時点で日付を打ちました、それをそうでございますかと言って銀行局がそういうふうな見方をするのであれば、日本の金融行政なんというのは信用されませんよ。  だから、基本的にもう無理じゃないかというふうに私は見ているのです。個々の銀行のさまざまな不正隠ぺいだとか、あるいは不祥事だとかを大蔵省がふだんから見つけることは難しいのじゃないか。  そういう仮説に立って、もう難しいとすれば、例えば法のルールにきちっとのっとって、何かあれば法に基づいて処分をさせる。あるいは住専問題に見られますように、我々はそういう方向で言っておりますけれども、問題があって、大蔵当局がかばいかばいしながら何とかという形じゃなくて、おかしなところはもうさっとつぶす、そういうルールの方がわかりやすいのじゃないか。  一つ一つ検査をしなくてはいけない、検査をしてもわからない。検査をしてもわからないことを、この日付の事実関係がはっきりしているじゃないですか。こういうのを認めないというのだったら、大蔵省がそこまでしらを切るというのだったら、これは事と場合によっては私どもも重大な覚悟をせざるを得ない。局長、どうですか。
  147. 西村吉正

    ○西村政府委員 本件につきましては、平成三年の六月十七日に当局に第一報がございまして、七月の二十五日に公表、告訴をしたものでございます。  ただいまの委員からの御質問は、本件に限らず、私どもの行政のやり方自体についての御提言でございますので、そういう観点からお答えを申し上げたいと存じます。  私ども監督をしております金融機関の従業員というのは、五十万人を上回る人数でございます。そういう金融機関の従業員の不祥事あるいは不正事件、そういうものにつきましては、まず第一義的には、私どもが直接それらの従業員を管理監督するということではなくて、当然のことながら、それぞれの組織が管理監督をしてまいるということが適切と考えております。  実際にそういう不祥事が起こりましたときに、告訴をするに先立っての内部での調査をしてまいってある程度の確信が持てた段階で、これは人権との関係もございますので、事実が明らかになったところで告訴というような法律的な手続に踏み切る、これは恐らく捜査当局側においてもそういうことは認めておられることと存じます。  したがいまして、銀行行政というものにはおのずから限度があるわけでございまして、金融機関の経営の健全性というような見地から、経営全般について調査、検査をするということは私どもの務めであり、またそれは必要なことでございますが、不祥事等につきましてそこまで金融行政の手がなかなか回らない点がある、また、それを余りにも金融行政という観点から深く追及するということも適当でない面もあるという点を御理解いただきたいと存じます。
  148. 上田清司

    上田(清)分科員 その部分については理解をしているからこそ、限界があるのではないかということを申し上げているのです。  それで私が申し上げたいのは、問題が起きたときに検査をされる、その検査をした結果というものがいかにも、何というのでしょうか、富士銀なら富士銀の報告のうのみになっているのではないか。例えばこの六月十七日の「赤坂支店問題の対処方針」の協議事項について、西村銀行局長は御存じでしたか。お尋ねしているのですけれども、御存じでしたか。  六月十七日に当局に第一報が入ったとき、その日にどういうふうにしてこの問題を片づけようかという対処方針を決めたわけです。実はこの七月二日も、六月十七日の対処方針にのっとってというまくら言葉もあるのですよ。これはこちらにも六月十七日というふうに書いてありますよ。  では、六月十七日とは何であったのかということも確認されましたか。
  149. 西村吉正

    ○西村政府委員 六月十七日に私どもに御一報があったわけでございますが、その御一報をされるに際して、内部でどのような検討が行われ、内部でどのような資料がつくられたか、そこまで私どもが承知しておったわけではないと考えております。
  150. 上田清司

    上田(清)分科員 その時点では当然です。そのことを責めているのではないのです、その後に、これを教訓にして今後の金融行政がいい形でつくられるということが大蔵省の課題になるはずなのですから。今私も問題にしましたし、この問題は今ここで問題になっているだけではなくて、既に平成三年当時にわざわざ証券等金融問題に関する特別委員会でも相当論議されて、そういうものを踏まえた上で私も議論をしていますので、そのことはわかっているのですから、きちっと答えてほしいのですよ。  六月十七日のこの富士銀の基本方針というものを銀行局長は知っていたのですか。知らなかったのですか。後でいいのですよ。
  151. 西村吉正

    ○西村政府委員 六月十七日に御一報があった際に、御説明の中にそのような事項がそのような基本的な考え方の中に示されている要素も含まれておったとは思いますけれども、今御指摘の文書そのものを私ども存じませんのです。その内容をすべて御報告があったかどうかは確認はいたしておりません。
  152. 上田清司

    上田(清)分科員 大臣、すべからくそうなのですよ。その当時報告を受けて、一番基本になった基本方針の文書を銀行局長は知らないというのですよ。では、後でどんな監督をされたのか、どんな検証をされたのかというのです。  この二日の件に関しては事前に通告しておりますから、ちゃんと御説明されました。しかし、よく読めばここに書いてあるのです。この問題に関しては、平成三年六月十七日付の基本方針に基づいてこういうものをやりましたということを書いてあるのだから、本来ならば、何だこの六月十七日はということを見てほしいと思います。もっとも、見てほしいというよりもこのこと自体が検証の中で出てこなくてはおかしいでしょう。私はそう思うのですよ。基本的な部分なのです。  富士銀行が、不正融資事件があってそれにどんな対処をして、今後きちんとした形が整っていくのか、それとも預金者に対してどんな対処をするのか、預金者の保護だとか、取引先の保護だとか、そういうことをきちんと検証するのが私は大蔵省の金融監督行政じゃないかというふうに思うのですけれども、大臣。
  153. 久保亘

    ○久保国務大臣 上田さんのところに内部文書がどうして入手されたのか私は知りませんけれども、大蔵省は、銀行の不正事件とかいろいろ不祥事件が起きました際に、報告を求めることはできますが、捜査権を持っているわけではございませんので、内部文書になっているものを全部入手して調べるというようなことは非常に難しいのではないかと私は思います。
  154. 上田清司

    上田(清)分科員 もちろん全部は大変なことだと思います、捜査する必要もありませんし。しかし、根幹にかかわる問題だし、事実、今挙げました平成三年八月の証券等金融問題に関する特別委員会でも、質疑の中でも話が出ているのですよ、ちゃんと当時の橋本頭取を参考人で呼んで。そういう議論を踏まえた上で私は話しているのです。  したがって、例えば金融行政におけるそういう大きな不祥事件が起きる。いわば当時の橋本大蔵大臣までやめたわけですよ、この問題だけだったのか、それ以外もあったのかは、それはさておくにしても。そういう大きな問題の一番根幹にかかわる部分が、局長はその当時局長じゃなかったと言ってしまえばそれまでのことかもしれませんけれども、七月二日の分に関して論議をしているのですから、当然過去の経緯の中でこの問題をある程度、ある程度じゃなくて知ってもらわないと話にならない。多分そういうことになっているのじゃないかということで、私は、金融行政の限界というのがあるので根本から手直し、改革をしなければならないということを申し上げているのです。  時間が来ていますので、私は何度も申し上げますけれども、そういう限界がもしあるとすれば、もう少し何か法にのっとった形のルールづけだとかさまざまなことをきっちりやっていかなくてはいけないという問題意識で、先日の決算委員会でもお話もさせていただきました。  それから、宿題だけは与えておきますけれども、先ほど私が言いました日付、これは銀行当局で中井審議官が持ってきたメモと違う日付とか、そういうのをたくさん私はお知らせしました。そういうことが事実なのかどうなのか。  もうこのこと自体もちゃんと証言の中で出ているのですよ。橋本頭取が五十日間缶詰にしてお話を聞いた。缶詰にしたと本人は言っていませんけれども、証言者は、中村被告は言いましたけれども、橋本頭取は缶詰にしたと言っていませんけれども、とにかく五十日間かかって聞いた、そのてんまつは全部聞いたと。その時点でもう聞いているのですよ。ところが、そうじゃないとあなたたちは言うのだから、そういう矛盾を次なる機会にちょっときちんと答えてください。  終わります。
  155. 稲垣実男

    稲垣主査 これにて上田清司君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして大蔵省所管国民金融公庫日本開発銀行及び日本輸出入銀行質疑は終了いたしました。     —————————————
  156. 稲垣実男

    稲垣主査 これより環境庁所管について審査を行います。  まず、概要説明を聴取いたします。岩垂環境庁長官
  157. 岩垂寿喜男

    ○岩垂国務大臣 環境庁平成年度歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、平成年度の当初予算額は五百八十億八千四百八十九万円余でありましたが、これに、予算補正追加額二十八億七千八百九十二万円余、予算補正修正減少額六億九千六百六十一万円余、予算移しかえ増加額三億三千三百三十七万円余、予算移しかえ減少額二十六億六千三百七十九万円余、前年度からの繰越額三億八千五百九十五万円余を増減いたしますと、平成年度歳出予算現額は五百八十三億二千二百七十四万円余となります。この予算現額に対し、支出済み歳出額五百六十一億九千百三十四万円余、翌年度への繰越額十五億九千八百八十三万円余、不用額五億三千二百五十六万円余となっております。  以上、簡単ではありますが、平成年度決算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願いいたします。  引き続きまして、平成年度歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、平成年度の当初予算額は六百三十六億七千二百六十九万円余でありましたが、これに、予算補正追加額百五十億六千三十二万円余、予算補正修正減少額十四億百九十万円余、予算移しかえ増加額三億一千七百五十万円余、予算移しかえ減少額二十六億四千百九十九万円余、前年度からの繰越額十五億九千八百八十三万円余、予備費使用額一億七千三百十九万円余を増減いたしますと、平成年度歳出予算現額は七百六十七億七千八百六十六万円余となります。この予算現額に対し、支出済み歳出額六百五十七億九千五百二十万円余、翌年度への繰越額百六億四百一万円余、不用額三億七千九百四十四万円余となっております。  以上、簡単ではありますが、平成年度決算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  158. 稲垣実男

    稲垣主査 次に、会計検査院検査概要説明を聴取いたします。会計検査院森下第二局長
  159. 森下伸昭

    ○森下会計検査院説明員 平成年度環境庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  また、平成年度環境庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  160. 稲垣実男

    稲垣主査 この際、お諮りいたします。  お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  161. 稲垣実男

    稲垣主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————    平成年度歳出決算に関する概要説明                 環 境 庁  環境庁平成年度歳出決算につきましてその概要を御説明申し上げます。  まず、平成年度の当初予算額は、五百八十億八千四百八十九万円余でありましたが、これに予算補正追加額二十八億七千八百九十二万円余、予算補正修正減少額六億九千六百六十一万円余、予算移替増加額三億三千三百三十七万円余、予算移替減少額二十六億六千三百七十九万円余、前年度からの繰越額三億八千五百九十五万円余を増減いたしますと、平成年度歳出予算現額は、五百八十三億二千二百七十四万円余となります。この予算現額に対し、支出済歳出額五百六十一億九千百三十四万円余、翌年度への繰越額十五億九千八百八十三万円余、不用額五億三千二百五十六万円余となっております。  次に、支出済歳出額の主なる費途につきまして、その大略を御説明申し上げます。  第一に、公害防止等調査研究関係経費といたしまして、九十七億四千八百五十六万円余を支出いたしました。これは、化学物質実態調査等を実施するための経費、地球環境研究計画に基づいた地球環境保全のための総合的研究を推進するための経費、国立環境研究所、国立水俣病研究センターの運営及び施設整備等の経費として支出したものであります。  第二に、自然公園関係経費といたしまして、七十四億七千九百六十一万円余を支出いたしました。これは、自然公園等における管理及び自然公園の利用施設や長距離自然歩道等の整備並びに渡り鳥の調査、絶滅のおそれのある鳥獣等の保護対策等の経費として支出したものであります。  第三に、環境庁の一般事務経費といたしまして、三百八十九億六千三百十六万円余を支出いたしました。これは、公害防止を図るための施策の推進に必要な調査費、地方公共団体等に対する各種補助金、環境事業団及び公害健康被害補償予防協会に対する交付金並びに環境庁一般行政事務等の経費として支出したものであります。  最後に、翌年度繰越額について主なるものを御説明いたしますと、自然公園等施設整備費において、設計の変更及び用地の確保困難などによって事業の実施に不測の日時を要したこと等により年度内に完了しなかったものであります。  以上、簡単ではありますが、平成年度決算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願いいたします。    平成年度歳出決算に関する概要説明                 環 境 庁  環境庁平成年度歳出決算につきましてその概要を御説明申し上げます。  まず、平成年度の当初予算額は、六百三十六億七千二百六十九万円余でありましたが、これに予算補正追加額百五十億六千三十二万円余、予算補正修正減少額十四億百九十万円余、予算移替増加額三億一千七百五十万円余、予算移替減少額二十六億四千百九十九万円余、前年度からの繰越額十五億九千八百八十三万円余、予備費使用額一億七千三百十九万円余を増減いたしますと、平成年度歳出予算現額は、七百六十七億七千八百六十六万円余となります。この予算現額に対し、支出済歳出額六百五十七億九千五百二十万円余、翌年度への繰越額百六億四百一万円余、不用額三億七千九百四十四万円余となっております。  次に、支出済歳出額の主なる費途につきまして、その大略を御説明申し上げます。  第一に、公害防止等調査研究関係経費といたしまして、百十億七千二百三十二万円余を支出いたしました。これは、化学物質実態調査等を実施するための経費、地球環境研究計画に基づいた地球環境保全のための総合的研究を推進するための経費、国立環境研究所及び国立水俣病研究センターの運営及び施設整備等の経費として支出したものであります。  第二に、自然公園関係経費といたしまして、百二十一億一千五百九十五万円余を支出いたしました。これは、自然公園等における管理及び自然公園の利用施設や長距離自然歩道等の整備並びに渡り鳥の調査、絶滅のおそれのある鳥獣等の保護対策等の経費として支出したものであります。  第三に、環境庁の一般事務経費といたしまして、四百二十六億六百九十二万円余を支出いたしました。これは、公害防止を図るための施策の推進に必要な調査費、地方公共団体等に対する各種補助金、環境事業団及び公害健康被害補償予防協会に対する交付金並びに環境庁一般行政事務等の経費として支出したものであります。  最後に、翌年度繰越額について主なるものを御説明いたしますと、自然公園等施設整備費及び環境庁研究所施設費において、計画又は設計の変更及び用地の確保困難などによって事業の実施に不測の日時を要したこと等により年度内に完了しなかったものであります。  以上、簡単ではありますが、平成年度決算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願いいたします。     —————————————
  162. 稲垣実男

    稲垣主査 以上をもちまして環境庁所管説明は終わりました。     —————————————
  163. 稲垣実男

    稲垣主査 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川島實君。
  164. 川島實

    川島分科員 新進党の川島實でございます。  環境庁決算について、まず、地元の岡崎市の水道水源の汚染の件、さらにもう一つは、三河湾の海の汚れ、これらの二点について、以下お尋ねをいたしたいと思います。限られた時間でございますので、ひとつ簡潔にお答えをいただきたいと思います。  厚生省は水道水源の水質保全に関する法律に基づきまして、毎年我が国の水道水の汚染の件について、八十五項目ですか、検査が行われておると聞いております。さらにまた、河川や湖沼等、建設省においては大規模な水質改善事業等を行ってきておるわけでございます。しかし、どの地点を見ても余り改善が見当たらない、こう思われるわけでございます。  特に、私の住んでいる岡崎市では、実は一九九二年の二月に、市民三十二万の飲み水の上に実は七十ヘクタールの山林、その水道水の水源になる山林がゴルフ場に開発がなされまして、地域の住民の皆さん方が反対をされながら、いろいろ不服審判等をやりましたけれども、ついに農林水産大臣の許可によって工事が始まりました。  昨年の十二月に実は竣工をいたしまして、その間市民グループの皆さんが、一九九三年に一回目、さらにまた一九九五年に二回目、おのおの夏に水質の検査を四十七地点で行ったわけでございます。それによりますと、導電率、COD、PO4NO2、NO3、NHの六項目のパックテストにおける調査結果を見ますと、ほとんどの地域で非常に悪くなっている。  付近の住民といたしましては、どういうところで汚れているかどうかということを見るのは、例えば昨年の夏近くに約一万匹を超える魚が死亡した。しかし、原因がはっきりしない。このゴルフ場が開設された十二月にはサワガニが大量に死んだ。この原因もはっきりしない。六十ミリの降雨量で、川がいまだかつて泥水になったことがないのに泥水になってしまった。こういう状況を見て、市民の皆さんが、飲料水は大丈夫だろうか、有名な前川という付近にございます川のゲンジボタルはことしは大丈夫だろうかと言って心配をされておるわけでございます。  このようなことで、竣工後のゴルフ場の関係者皆さんといろいろ打ち合わせをするわけでございますけれども、完成した後はなかなか思うような折衝がなされない、こう聞いておるわけでございます。  まず、そのゴルフ場で三十種類の農薬が使用されているわけでございますけれども、一向に市民に情報が開示されていない。愛知県も年に一回、市が四回、町が三回、ゴルフ場が二回、こういうふうな検査が行われておるわけでございますけれども、その検査結果が公表されないので、ぜひこれを公表してほしい。  二つ目は、水源地の発生源で使用する、ゴルフ場を含めて工場の農薬、化学物質、薬品類の商品名とか購入先、使用期限とか散布方法、これもひとつ公表してほしいと言うけれども、なかなか公表されない。  さらに、川の底や護岸が真っ黒になるので原因をお伺いすると、大規模な造成工事によって掘り起こされた土の中の鉄マンガンの影響で黒くなる、こういうわけでございますけれども、この市民グループの学者の皆さんたちが全国情報を集めましてもそういう原因が見当たらないので、厚生省なりがそれらの事柄についてもどのように把握しているのかお聞きをしておきたいと思います。  まず最初に、これらの点について具体的にお伺いをしておきたいと思います。
  165. 岩垂寿喜男

    ○岩垂国務大臣 ゴルフ場の排水中の農薬につきましては、環境庁の水質保全局長の通達によりまして、平成年度から都道府県が調査をし、その結果を公表してまいりました。都道府県によって少しばらつきがあるようでございまして、公開をしているところとしていないところとあるようです。愛知県は公表している分野に入るというふうに承っておりますが、今先生の御指摘によれば、それは決して十分なものではないというのかもしれません。しかし一応、他の都道府県と比べますと、公開というスタンスをとっているということを承っております。  いずれにしても、環境庁としては、環境保全の的確な、そして効果的な推進を図っていくためには、国民に対して必要な情報が適切に提供されることが重要であるという認識に基づいて、これからも各県に対してその指導を強めていきたい、こんなふうに思っておりますので、今の公開の問題については、先生御存じかもしれませんけれども環境庁としてのスタンスだけは申し上げておきたいと思います。  個々の問題については水質保全局長から答弁させたいと思います。
  166. 嶌田道夫

    嶌田政府委員 公開の問題につきましては、今大臣からいろいろ御答弁がございました。  なお、できた後の話ということで先と言われましたが、このゴルフ場、たしか昨年の十二月に開場していると思いますが、ことしに入りまして、二月に、関係する市、町、市民団体の方、ゴルフ場、それからあと矢水協というのがございまして、これが立会人となりまして、それぞれそういうことをやりまして、ゴルフ場としても公開するということを約束しているというふうに聞いております。  それから、公開するに当たりましては、農薬の成分につきまして、これは同じ成分でありましても商品名が違いますので、それは商品名というよりも農薬の成分でもって公表すればいいということで従来からやっております。そういうことで、それにつきましても公表しております。  それからあと、真っ黒になるという濁水の話でございますけれども、これにつきましては、確かに建設中ではそういう話があったというふうに私ども聞いておりますが、現時点におきましてはそのような問題は全くなくなっている。これにつきましても、矢作川水系につきましては、矢水協が中心となりまして公害防止連絡協議会というのをつくっておりまして、そこでもって何か問題があれば協議するというふうになっておりますので、矢水協の方から聞いている限りにおきましては、最近濁水による問題はないというふうに報告を受けております。
  167. 川島實

    川島分科員 農林水産省のいろいろな不服審判における公開の陳述をやらせていただいたりして、その結果のあれももらっていますけれども、でき上がった以後、先ほど言ったように会合を持ちましたけれども、その中身は、排水口のきちっと情報公開を図ったもの、それが全然だめです。はっきりしていません。  それからもう一つは、散布方法についても公開してもらえません。薬品の種類をどういうものを使っているかということについても公開がなされていない。それが全部取水口の上にあるゴルフ場ですから。  最初、三年前に問題になったときは既に額田というゴルフ場があって、そこの水質と現在ゴルフ場のないところの水質を富山大学の教授が全部検査をして、生物のミカヅキモの関係でどういう状況になっているかということで検査までやってもらっている。よさがすごく違うのですね。ない方はうんとよかった。ところが、現在は同格になってしまっている。それよりもっと悪くなるのじゃないだろうか、こう心配しているわけですね。化学工場や田んぼや何かで農薬を使うけれども、おのおの全部どういう組み合わせがなされているか、どういうものを使用しているかといっても、それらについてはきちっと掌握していませんね。  本来ならば、飲み水の上にあるのは、改善するためには取水口を上に上げるか、それができなければきちっと工場の化学物質なり農薬なりを使っているところの源泉から出ているものを、超過したらもう遅いのですよ。あとはもう浄水場できちっと手当てをしない限り、全都市民が飲んじゃうわけでございますから、もっと事前に、基準値をオーバーしたんじゃだめだ。  今、市民の皆さんはどうやって見ているか。ザリガニが死ぬ、魚が死ぬ、そういうことでしか、生物でしか自分たちは情報が与えられないということで嘆いておる。もっと国民にわかりやすいように、安心して生活ができるような形をとってもらわないと、水源の林を、山を全部壊して、災害もこれから心配をしているわけでございますから、そういうような措置まできちっとやってもらいたい。この願いというのは、本当に素朴な、そこで住んでいる市民の皆さんの声じゃなかろうかと思っております。その点についてお伺いしておきたいと思います。
  168. 嶌田道夫

    嶌田政府委員 私ども、通達でもって、先生御承知で言われましたが、ゴルフ場の農薬の使用につきましては、使用農薬ごとに、それから排水口で取水しました農薬について調査をして、それを公表しろということで、これに基づきまして公表しているわけでございます。そういう意味で、関係者が知りたいと思いますことにつきましては、公表されているというふうに考えております。  それから、取水口の上流の農薬の状態でございますけれども、我々が県から報告を受けているところによりますと、現在においては、基準を超える農薬については何ら出ていないというふうに承知しております。
  169. 川島實

    川島分科員 それで、市民グループはどうしていますというと、農家については、有機栽培をやってもらって、米は全部グループがみんな手分けして買い取る。全部とりにいって買い取る。だからそういう点で農薬を使わないようにしてもらう、こういう運動が進んでいますから、まあそれはいいわけです。  あと、工場とゴルフ場の関係ですね。この水源の上では、過去に微量のフルトラニルが検出されたという話が出ております。それからもう一つは、環境基準値の三十三倍もの大腸菌群が検出された例もあるわけなんですね。これが検出されてからですと、浄化のところできちっと歯どめをかけてみえるわけですけれども、塩素処理の第二次被害が起こったりいろいろな形のものが、例えば自分のところの池で飼っているコイが若干こういう水を入れたら死んだとか、いろいろな話が出てきているわけです。  それらについても、本当に安心して住めるには、よそから来てゴルフ場をつくっている、今もまたほかのところでゴルフ場の話が持ち上がってきていて、同じようなこと。その歯どめというのは、できれば、もうこれで安心だという、農薬を使わすなら使わすということで、そういう特別地域を指定して、きちっとした試験場でそれを売るとか何とかしてもらわないと安心ができないというわけなんですけれども、何かその辺の方法はないのでしょうか。水道水の法律によれば、安心して住めるような水質保全の法律なんでしょう。
  170. 佐藤保隆

    ○佐藤説明員 ただいまの件でございますけれども、ゴルフ場で適正に農薬を使用するということで都道府県に指導要綱をつくってもらっているわけですけれども、その中で、農薬の使用計画、それから使用実績、そういうものを的確に把握しないといろいろと指導できませんので、そういうものを把握してもらって、それで使用実績、それからその他のデータにつきましては適宜公表するように都道府県を指導しているところでございます。  もしそれがなされていないということであれば、帰りまして早速指導したいと考えております。
  171. 川島實

    川島分科員 私の言っているのは、皆さんの指導はそれでいいのですよ。だから、例えば住民が、農薬と塩素の化学変化によって毒性が発生するかどうかとか、農薬同士の化学反応による二次物質で汚染はされるのかどうか、それから農薬が体内に蓄積されると長期的に健康障害の発生するおそれがないか、こういう心配をしているのです。それは、三十種類の農薬の買い取り先も、量も、散布方法も全然きちっと公開されていないのですよ。それで心配しているんだ。  この市民グループの中に学者も文化人もみんないっぱい入っていますから、愛知教育大学の先生たちも全部入っているのですよ。だから、もっときちっと化学的に、住民が理解ができるような水質保全の方法を教えてあげれば、そのためにきちっとやれるのですよ。自分たちで、夏の暑いのに何人かでいろいろな箇所の水の調査をして、岡崎市民の水と緑を汚さないためにと頑張っている市民グループでございますから、その辺のことについて、ひとつ水質保全の観点から、市民がどうやったら基準値を超えないような形で守ることができるか、このことを教えてください。
  172. 嶌田道夫

    嶌田政府委員 先生からありますように、まさしく出てしまっては水道の関係で問題でございます。でありますからこそ、通達でもってゴルフ場におきます農薬の使用についていろいろな観点から指導しているわけでございます。  ゴルフ場から農薬が公共用水域に出るところは排水口でございますので、そこのところを押さえれば、ゴルフ場で使用されました農薬の影響が公共用水域にどういう形で出るかというのがわかるわけです。したがいまして、そこのところで取水いたしまして、農薬について一々チェックしているということでございますので、先ほど申し上げましたように、現在のところは農薬は検出されていません。そういう意味で、先生御心配のところは今のところないと考えております。  なお、体内の蓄積というようなことを先生おっしゃられましたが、我々環境庁におきまして農薬を登録する際には、いろいろな観点から調査いたしまして、登録保留基準、これはその基準に合致しないときには登録をしないという制度になっております。その際には、当然ながら、長期にわたる摂取によりまして体内に蓄積する問題がないと評価された農薬のみが登録されているということでございます。
  173. 川島實

    川島分科員 時間がございませんが、結局購入先だとかそういう形で安全が保てるような形で、基準値を超えてからではもう遅いわけですから、その辺の対策を一遍考えてやってください。私、聞いておりましても、答弁に全然納得ができません。  そこの市民グループたちは、自分でガリ版刷りの雑誌をつくりながら、お互いにネットワークしながらいろいろやっておりますから、その辺がわかれば自分たちできちっと防ぐことができる、こう言っておりますので、ひとつ御指導をよろしくお願いをしておきたいと思います。  次に、三河湾の汚れについてお伺いをしたいと思います。  私も、予算分科会で、これで四回くらいずっとやっておりますか。ところが、一九六〇年から以降透明度だとか汚れというのは一向によくならないでずっと下がっておるのですよ、三河湾はちょうど委員長地元なんですけれども。その奥の閉鎖地の渥美湾のところが非常に汚れて、一向によくならない。そこへもってきて、新たに埋立地ができて、海の軽井沢なんて言いまして、ヨットや何かの係留地や高級別荘地だとかいっていろいろなものを埋め立てて、砂浜もできておるわけですけれども、それや何かでも汚れをあれすることが全然できない。汚泥が汚い、とれないからそこへ砂をかぶせてやるという一時的な問題。  それで、当初はあの渥美半島に運河をつくりまして、太平洋の方の水を、ちょうど今の四国のあの鳴門海峡のような形で落差が一メーターぐらいできるそうでございますから、それを利用して海をきれいにしようという議論をして、愛知県も三年ぐらいかけまして二十五年ぐらい前に検討をしたのですけれども、経済性がないということでやめになりました。しかし、その後、トヨタがあそこへ輸出の基地をつくり、アメリカのマツダ系の会社も今できて、非常に船も行き来するようになっておりますけれども、海の汚れは悪くなる一方でございます。  そこで、もう一つの案として、導水管をいけて太平洋の水を入れ込めば、落差だけの一メーターで新しい水が入り込むことによってよくなるだろう。豊川の水が、従来の昔のままの流量があればそんな汚れがなくなるわけでございますけれども、全部ほかへ利用されてほとんど流れてこない。これで十年かかって市町村がみんな一生懸命やっておりますけれども、一向によくならない。  海上保安庁に聞きましても、船舶の油が流れるのをやめさすとか、企業から出てきた排水の汚染しているものをやめさすとか、もうそれだけが精いっぱいで、よくするための方策というのは何にも見当たらないわけでございます。地元も、費用のかかることでございますから、いろいろなアイデアが出てまいりましてもなかなか実行に移されようとしないわけでございますけれども、この件について、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  174. 今里鉄男

    ○今里説明員 三河湾におきますところの海洋汚染防止対策についてお答えいたします。  海上保安庁では、海洋汚染を防止するため、東京湾あるいは三河湾を含みます伊勢湾等の船舶交通のふくそうする海域等の海洋汚染発生の可能性の高い海域に巡視船艇、航空機を重点配備するなどして、効率的な監視取り締まりを実施しております。  また、船舶に対しますところの立入検査や訪船指導あるいは海洋環境保全講習会の開催等、あらゆる機会をとらえて船舶乗組員、海洋レジャー関係者等の一般市民に海洋環境の保全について啓発を図っておりますとともに、民間からボランティアとして募った海洋環境保全推進員による海洋環境保全のための周知啓発活動を積極的に支援しているところであります。  なお、三河湾を管轄しております第四管区海上保安本部では、平成七年に海洋環境保全講習会を十一回開催いたしておりまして、合計しますと五百名以上の方々に参加していただいており、また、五十八名の海洋環境保全推進員が海洋環境保全のための周知啓発活動を行っているところでございます。
  175. 岩垂寿喜男

    ○岩垂国務大臣 もう先生御案内のように、CODが達成率が低いこと、なかなかどうも調子よく進まないということとあわせて、赤潮の問題などがあります。だから、三河湾を含むという、ちょっと広域的にとらえまして、昭和五十四年から第三次にわたる水質総量規制を実施をいたしまして、汚濁負荷量を削減をするために努力をしてきたわけでございます。  ことしの四月に、平成十一年度を目標年次とする第四次総量規制を実施するために、総量規制基本方針を策定をいたしまして、これから、その基本方針に基づいて関係の県知事さんから総量削減計画を策定していただいて、一層の水質保全対策を進めるという努力をしてまいるわけでございますが、先生から見ると、なかなか遅々として進まないのではないかというおしかりを受けることもあるかもしれませんが、環境庁としてそれなりに努力をしてきたこと。  それからさらに、富栄養化防止対策として、環境庁は、平成五年に海域の窒素及び燐に係る環境基準を定めまして、愛知県においては、昨年十二月に三河湾の窒素、燐に係る環境基準の類型指定を行って、特に生活排水対策を推進することなどを内容として、富栄養化対策総合計画をつくって進めているところであります。  いずれにしても、環境庁としては、今後とも、三河湾などの閉鎖性海域について、関係省庁や関係都道府県、特にこの場合愛知県と連携を密にしながら、水質の総量規制や富栄養化対策などに総合的に努力をしていかなければいけないというふうに思っております。汚濁というものと浄化というものとの競争みたいな関係になっているわけでございますが、一方で汚濁を防ぎながら、浄化のための努力を一層進めてまいりたいという意味で、御理解を賜りたいというふうに思います。
  176. 稲垣実男

    稲垣主査 答弁者に申し上げますが、答弁はなるべく簡潔に願います。
  177. 川島實

    川島分科員 先ほど質問したつもりでおりましたが、第五港湾の関係で運河の問題も検討しておったわけですが、その後どうなりましたか。
  178. 橋間元徳

    ○橋間説明員 運輸省におきましても、伊勢湾、三河湾の環境問題につきましては非常に重要な課題と認識しておりまして、先ほど先生からもありましたように、外海から導水する方法も有効な手段の一つであるというふうに考えておりまして、最初は運河の可能性も検討しておりましたが、パイプラインということにつきましても検討を進めてきております。  いずれにいたしましても、現在まだ伊勢湾水理模型実験場において検討しておりますので、さらに、水質改善のためのその他の改善策ともあわせましてさまざまな対応が必要と考えておりますので、関係省庁や地元自治体とも連携して、一層の検討を進めてまいりたいと現在考えておるところでございます。
  179. 川島實

    川島分科員 市町村は本当に真剣に頑張ってくれておるわけですけれども、自分たちのエリアですから、下水の整備だって予算がついただけしかやれません。  建設省の河川局も来ていただいているのですが、今の導水管は運輸省でやられるわけですから、建設省の系列の河川の浄化についてはどういうふうに行っているか、お伺いしておきたいと思います。
  180. 竹村公太郎

    ○竹村説明員 河川局の竹村でございます。  この三河湾の汚濁負荷につきましては、関係省庁連携しまして懸命に現在勉強しているわけでございますが、河川局といたしましても、地域のボランティアの方々と力を合わせて、水質改善に向かっております。  私ども、当地域が、製品の出荷額で十八兆円、これは東京都と同じ額、農業総生産額で二千四百億円を超える、これは埼玉県、群馬県と同等程度と、極めて日本の中核の発展都市としてこの三河が、三河だけでございますが、発展したわけでございますので、この地域の発展が一番環境に負荷を与えてしまったということは関係省庁十分認識して、各分野におきましてこの三河湾の水質改善に当たっていきたいと考えております。  具体的に、河川におきましては、適地がございますればダムをつくり、環境豊かな正常流量、つまり川の環境を確保する流量をきちんと流して、三河湾全体の回転率に寄与すればと考えております。
  181. 川島實

    川島分科員 もう時間がございませんので最後のお尋ねになろうかと思いますが、三十年も前からこの問題で注目をされて、ずっとこうやってきているわけですね。それが毎年毎年こうやりながらも来ておりますけれども、平衡ではないのですね、ずっと悪くなっているのですね。だから、根本的に発想を転換して、直す方法を考えていただかなければ、埋立地は埋立地で、全部こう進んでいっている。埋め立ての中で、環境評価の中にその後の砂浜のそういう浄化作用についての評価は全然ないわけですね。それで、自分たちで浜をつくりたり、水の流れるいろいろなところをつくったりして、やることはやっているのです。しかし、水の透明度というのは悪くなる一方です。今のうちに手を打って、子孫にきちっと、我々がこの三十年間傷めた水をもとに戻していく、この努力をしていただかないと、こんなに何回も何回も言っても、みんなが努力をしても悪くなっているわけですから、その原因は、やっている施策が根本的な対応の仕方がなされていないという指摘をせざるを得ないわけですね。  だから、先ほど言った、せっかく自然の流域で一メーターの落差があるわけですから、その水を取り入れて、水さえあれば潮の流れによって、その流れてきた水のところへまた浜から干潮の差で汚れを全部きれいに浄化してくれるという自然の作用が働くと学者の皆さんも言っているわけですから、水を確保できるような対応策をやっていただくなり、ほかにもっといい方法があればそれらの事柄についてとっていただくなりしないと、狭い日本できれいな三河の海がこのままですともう先が本当に暗い。もうそれこそあと半分くらい埋めてしまわなければ海のきれいなところが残らないという状況がありますので、ひとつこれは決意を、環境庁長官でしょうかね、これはなかなか予算が伴わないので申しわけないと思うのですけれども、一言お聞かせをいただきたいと思います。
  182. 岩垂寿喜男

    ○岩垂国務大臣 委員長からも御指名でございますから、私は、今先生指摘をいただきましたが、例えばアセスメントの問題を考えてみると、事前、それから工事中、そして事後、そういうトータルな形でアセスメントをしていきませんと問題の対策の芽が出てこない、こんなふうに思います。そういう点で、法制化を含む検討を今審議会でいたしておりますが、これを待ちたいというふうに思うし、その審議会がその方向をはっきり示してほしい。  それから、これはやや個人的な意見に属するのかもしれませんが、これも先生には御理解をいただけると思うのですが、今のシーリング方式と言われるものが時代の情勢に対応し切れているのかということになると、いろいろと私は問題が出ているのではないだろうかと思うのです。  つまり、予算配分における重点的な配慮、何が優先順位なのかということについて考えなければいけない。そうじゃないと、どんどん予算の枠が大きくなっていくばかり。上乗せばかりですからね。削るのは非常に難しい。だから、今のそういう制度と言われるものがどうあるべきかということについて、やや財政運営の面から根本的な検討をやはりしていかなければいかぬ。そして力を入れて重点的に予算配分をして、あるいは傾斜配分をしていく、こうでないとどうにもならないというふうに思っています。  今建設省や運輸省からも御指摘をいただきましたが、そういう検討をなさっていらっしゃるそうでございますので、地元皆さんともよく相談の上で、どうしていくかということについて対策を講じていくことについて及ばずながら努力を、検討をさせていただきたいと思います。
  183. 川島實

    川島分科員 ありがとうございました。時間ですので終わります。
  184. 稲垣実男

    稲垣主査 これにて川島實君の質疑は終了いたしました。  次に、小泉晨一君
  185. 小泉晨一

    小泉(晨)分科員 大臣、きょう私は二つの質問をしたいというふうに考えています。最後に政務次官にも一言質問をしたいというふうに考えています。  さき決算委員会で、私は大蔵大臣に、多目的船舶に関する調査費が五年間据え置きのまま報告書も出ていない、このことについては決算上問題があるという指摘をさせていただきました。これはきょうのテーマではありません。  きょうは、一つは「アクアプラザながら」、長良川の堰の隣にありますこのプラザについて質問をするのと同時に、二問目といたしましては、スマトラ・パルプ株式会社、これはOECFが出資をした組織でありますけれども、この二つをお伺いをした後、大臣の所感をお伺いしたいというふうに思っております。  まず最初に、スマトラ・パルプ事業への出資に関する質問であります。OECFにお尋ねをしたいと思います。  私は、昨年九月、一人でありましたけれども、ジャカルタ、パレンバン、そしてTEL社建設予定地のムアラ・ニル村、クリパン村、ブナカット村等を訪ねてまいりました。大変激しい旅でありましたけれども、太陽光線でやけまして、いまだにそのときやけた跡が、割と色白なものですから残っているわけでありますけれども、その目的は、私の事務所に一通のファクスが届いたところから始まるわけであります。  そのファクスの要点は、一つ、建設予定地には人が暮らしており、決してエンプティーゾーンではなく、生産性のない土地ではないので、ぜひ確認をしてほしいということ。二つ目は、パルプ工場が建つと言われているが、情報が何も入らない、そのパルプ工場から出てくる排水は私たちの川の水汚染を引き起こさないのか心配だ、これが二つ目でありました。三つ目は、村民を雇用するから心配ない、協力するようにと言われているが、本当に大丈夫なのか。四つ目は、政府に土地を既に提供したが、仕事、お金両面で約束が守られていない現実があるから聞いてほしい。五つ目は、現地ではバリト・パシフィック社等の違法伐採が続いていて、どうも後ろには地方政府がいるようだ、こういうことでありました。  早速私は、OECFの皆さんに事務所にお越しいただきまして、出資の状況、そして現地からそういう声が届いているかどうか、もし届いているとしたら、確かに確認をされての出資状況になるのかということを確認いたしましたら、結論的に言えば、だれも現地の村までは、建設予定地までは行っていない、そういう回答でありました。  私は、できたらこういう状況があるのだから、だれか一人でもいいから現地へ行って確認をしたらどうですか、同じ出資するにもよくやってくれたという、喜ばれる出資をしようじゃないですか、こういう観点から、現地へ行ったらどうですかというお願いをしました。私自身も、よし、私も行ってこようということで出かけたわけであります。  車を乗り継ぎながらやっと村へ入りました。現地に入りまして、ファクスの内容を、それぞれ通訳を交えでありますけれども、お話を聞きましたら、どうもファクスの内容の方がこれは正しいぞというような印象も持ったのであります。途中で林業大臣また林業事務次官にも時間をとっていただいて、このインドネシア政府の林業政策、そしてこのパルプ工場建設に関する情報もいただいてまいりました。そして五日目にジャカルタに帰りまして、そこで、OECFのスタッフ五人がお待ちでしたから、私一人で少しの時間話をしたわけでありますけれども、どうもそのときの印象では、村民が暮らしていない、そこは大したところじゃない、OECFのレポートによれば、そこは焼き畑農業をして、もう草も大して生えていない荒れ地だというような報告書が出ていたわけですけれども、行ってみたらとんでもない話です。立派にたくさんの人が住んでいらっしゃる土地でありました。  そこで、たった一つ、あなた日本国会議員らしいけれども、ここまで来て、一体私たちに何をしてくれるんだ、そういう質問でありましたから、私はふと考えた。何もできないかもしれないけれども、とにかく皆さん日本にお呼びしよう、そして日本で生の声を日本国民国会議員に聞かせてくれということで、八人ほどでありましたけれども、旅費を私が送りまして、来ていただきました。それが去年の十月二十五日から一週間のことであります。そのときのシンポジウムは、「ペーパー、紙、ケルタス」というテーマでありました。そこでその後、製紙工場にも連れていき、日本の製紙工場の水質、排水はこうしてきれいにして出しているんだよという事実を見せたこともありました。そのとき、テーマとしては日本の紙資源について、それからスマトラ・パルプ工場建設について、そして今後のパルプの需給について、いろいろ議論をしたわけであります。  しかし、ここからが問題ですよ。本件の出資について、貴団体のレポートによれば既に出資済みというふうな一行がありますけれども、これはどこに出資し、それはいつだったですか、お答えください。
  186. 白鳥正喜

    ○白鳥参考人 お答えいたします。  先生よく御案内のとおり、このパルプ事業というのは、実は植林事業とパルプ事業と一体になっておりまして、私どもが出資しておりますのはパルプの部門に対する投資会社への出資でございます。この出資は昨年の四月にOECFの方で認めたものでございまして、その一部が日本に設立された出資会社に既に出資されているところであります。
  187. 小泉晨一

    小泉(晨)分科員 その一部というのはどういうことですか。まだ四十五億円全部は実行されていないということですか。
  188. 白鳥正喜

    ○白鳥参考人 現在まで実行されましたのは六億二千五百万円でございます。
  189. 小泉晨一

    小泉(晨)分科員 私の知り得た情報では、今後百億出資する中の四十五億をOECFが引き受ける。四十五億というのは四五%ですから、三四%を超えると決定権がある大口株主でございますね。この大口株主になるということでありますけれども、出資された投資会社に集まったそのお金はその後どこへ行くのですか。
  190. 白鳥正喜

    ○白鳥参考人 これは、インドネシア側にパルプ会社ができますので、そこに私どもの投資会社と現地の会社とがジョイントでお金を出すということでございます。
  191. 小泉晨一

    小泉(晨)分科員 おたくのナンバー二十八、九五年七月のニューズレターによりますと、海外投融資、環境保全事業に初出資と高々にうたいとげてあります。御存じですね。その中身を読みますと、緑化に貢献する環境保全事業、もう一つが、外貨獲得、雇用創出にも貢献、およそ八百名の会社員と一万人の山林植林の作業員、こんなことが文書に書いてあります。  そこで、もう一つ、日本にはOECDが出している開発援助機関のためのガイドラインというのがありますね。それから、おたく様の方が出している環境配慮のためのOECFガイドライン第二版というのが昨年出ていますね。これらのガイドラインをよく読んでまいりますと、このプロジェクトはおたくが種類で分けているA種プロジェクトに入ると私は考えているのですけれども、そのとおりでいいですか。
  192. 白鳥正喜

    ○白鳥参考人 そのとおりで結構でございます。
  193. 小泉晨一

    小泉(晨)分科員 だとしますと、本件にかかわる環境影響評価書は既に入手されているはずでもありますし、当然それは現地にも公開されているはずでありますし、その中でとりわけ住民移転に関する項目があります。おたくのあのガイドラインによれば、これは第四項にしっかり書いてあるわけであります。これらを既におたくとして入手し、その入手が適正であるから出資することに決めたというふうに私は理解するのですけれども、そのとおりですか。
  194. 白鳥正喜

    ○白鳥参考人 私どもはそのように理解しております。
  195. 小泉晨一

    小泉(晨)分科員 ここが問題だと思うのですね。私は理解されているとは思わないのです。このガイドラインをしっかり読んでくださいね。こんなすばらしいガイドラインはないぐらいしっかり書いてありますよ。そのとおりだったらいいと思うのですけれども、現地に行ってきた私はとても信じられないのですね。どうしてこれだけニュースが変わってしまうのでしょうか。いいですか、影響評価書は既に入手していると言われましたね。それは我々は見ることができますね。
  196. 白鳥正喜

    ○白鳥参考人 本件は、相手国政府もあることでございますので、先方の了解がないと外には出せないという性格のものでございます。
  197. 小泉晨一

    小泉(晨)分科員 そのようにあのガイドラインには書いていないのですけれども、おかしいじゃないですか。報告させる義務があると書いてありますよ。出してもらったらもう日本のものじゃないですか。
  198. 白鳥正喜

    ○白鳥参考人 本件は、相手国政府が報告をするということで、私どもに出してもらうということと、私どもがそれを、出してもらったものを外に出すということとは別の問題であります。
  199. 小泉晨一

    小泉(晨)分科員 それでは、あなたの言葉を信じまして、一度相談をかけて、できるだけ公開できるようにしていただきたいと要望しておきます。  次に、二点目でございますけれども、先ほど、投資会社ができた、そこに既に最高六億出資するということでありますけれども、このスマトラ・パルプ株式会社の副社長がOECFの高松さんだというのは本当ですか。
  200. 白鳥正喜

    ○白鳥参考人 そのとおりでございます。
  201. 小泉晨一

    小泉(晨)分科員 副社長として就任されたということが事実だとしたら、それはどのような意味を持つのですか。
  202. 白鳥正喜

    ○白鳥参考人 先ほど申しましたように、私どもOECFは日本側の投資会社に出資をしております。投資会社の下に現地で事業を行う会社があるわけでございます。  そこで、その現地で事業を行う会社の役員と日本にあります投資会社の役員というものの役割というのはおのずから違いがあるのだろうと私どもは思っております。当然のことながら、現地で事業を行う会社の役員というのは、パルプの場合ですと、原料の調達とか生産過程についての技術の実施管理ということと、それからできたパルプを海外へ販売するマーケティングの関係、それから現地の労務管理、こういうことをやるわけでございます。他方、日本側の投資会社の役員というのは何をやるかといいますと、現地の事業会社の資金、財務計画を中心としました運営方針全般について投資会社の立場から指導監督をするというのが一つと、もう一つは、日本側の株主、基金も含めてでございますが、日本側の株主の意見調整をやる、こういうことであります。  私どものOBでございます高松氏は、この日本側の投資会社に役員として行っておるわけでございますが、長年のOECFのノウハウを生かすには、この日本側の投資会社に籍を置いて、日本側投資会社の立場から現地投資会社にいろいろと指導、アドバイスを行うというのが適切だと考えて役員を出させていただいたわけであります。
  203. 小泉晨一

    小泉(晨)分科員 それは個人的に行ったわけではないのですね。OECFのチャンピオンとして送り込んだのでしょう、こっちをやめてもらって。そう理解していいですね。
  204. 白鳥正喜

    ○白鳥参考人 先生指摘のとおり四五%の大株主でございまして、私どもは大変な責任を持っていると思っております。  そこで、この責任を果たすために最も適切な人はだれかということで物色したところ、私どもの部長をやっておりました高松氏が最適任であるということで行ってもらいました。そして、それと同時に、この事業に専念していただくということで、向こうへ行った後OECFをやめていただいたということでございます。
  205. 小泉晨一

    小泉(晨)分科員 投資会社に役員を一人出した、もちろん適任者だから、こういうことでしょうけれども、その次にできる実際の現地の製造工場というのがあるわけですね。そこには出さないのですか。
  206. 白鳥正喜

    ○白鳥参考人 現在まだ工場ができておりません、事業が進んでおりませんので、現在は出しておりません。  ただ、将来、事業の発展に応じまして、もし現地にも出した方がいいという事態になりましたら、現地側の事業主や相手国政府、その他関係者と御相談の上前向きに検討したいというふうに考えております。
  207. 小泉晨一

    小泉(晨)分科員 邪推をすれば、失礼な話だけれども、私は、四五%出した会社に自分たちの仲間を一人送り込んでいく、さらにそれが株主になって次の会社の現地法人ができる、そこにもまた一人出して、そうしなければ、四十五億出した権利、あるいは日本のお金ですから、しっかり守れないという意味で、よい方にも解釈できるし悪い方にも解釈できる。悪く解釈すればこれは天下りとも言うしひもつきとも言うわけでありますけれども、そうでないと理解していいのですね。
  208. 白鳥正喜

    ○白鳥参考人 私どもは、あくまでもこの事業が現地の役に立つように、うまくいくようにという趣旨で会社をつくり、人を出しているということでございます。
  209. 小泉晨一

    小泉(晨)分科員 出資や融資をしたら必ず一人ずつ出しているわけじゃないのですね。そういうことばかりではないのですね。
  210. 白鳥正喜

    ○白鳥参考人 それはケース・バイ・ケースでございまして、本件のように出資比率が大きく、かつ重大な事業という場合には出しておるケースが多いということでございます。
  211. 小泉晨一

    小泉(晨)分科員 OECFの方にはこれで質問を終わります。  次に、水資源開発公団の方に質問をいたしたいというふうに思います。  私も、長良川に三回行きました。一回目はまだ運用前、二回目は運用後、もう一回はつい先日五月二十二日。あれから一年。行ってまいりました。アオコが出ているのですよ。そして、シジミがうまくとれないと現地は言っている。サツキマスも、三年前、四年前のデータで見れば一漁師さんだけでも四分の一ぐらいの漁獲量になっている。こういった事実があるわけでありますけれども、きょうお尋ねするのはそれじゃないのです。あの堰の隣に「アクアプラザながら」というのがあります。現地では五億と言う人もいるのですね。とある新聞によれば十億と言う人もいる。あの施設は、この堰の当初の計画からちゃんと計画書にうたわれたものですか。
  212. 山岸俊之

    ○山岸参考人 先生御承知のように、長良川は、昔から輪中といいますか川の中に陸地をつくりながら、治水上では、我が国の一級河川の中でも治水対策が最も急がれているところということでございます。長良川河口堰が治水の対策上必要だという話はもう既に十分御承知のことでございますけれども、この長良川沿川の住民六十七万人の生命財産という地域でございます。
  213. 小泉晨一

    小泉(晨)分科員 ちょっと質問からずれていますよ。私は、それはいいのです。そうじゃないところで、本体計画に入っているのかどうかだけ聞きたいのです。
  214. 山岸俊之

    ○山岸参考人 ですから、その計画がどういう
  215. 稲垣実男

    稲垣主査 山岸参考人に申し上げますが、私が指名してから御発言を願います。  山岸参考人。
  216. 山岸俊之

    ○山岸参考人 その計画の経緯を今お話ししておるわけでございますが、この計画につきましては、地元の水害を受けている方については十分理解していただいているわけですけれども、一般の方々にはなかなか理解されていないところがあるというのがみんなの意見でございまして、そこで資料館の計画が持ち上がったものでございます。  この計画につきましては、平成五年九月から十二月にかけまして、学識経験者、関係市町村、建設省、公団によりまして、長良川河口堰資料館展示内容検討会というのがつくられまして、この結果、事業関係者の間で計画が決定されたものでございます。  一方で、長良川の歴史とか河口堰の必要性、環境保全への取り組み、こういう地域のいろいろな問題を理解してもらうために、工事をやっている間も、環境調査等の結果をできるだけ公開していこうという趣旨のもとに堰パビリオンをずっと開設しておりまして、ここで模型等の展示とか調査結果の即刻の公開、これらをやりまして、平成六年の長良川河口堰の完成を間近に控えて、恒久的施設として「アクアプラザながら」を建設しているということでございます。
  217. 小泉晨一

    小泉(晨)分科員 お伺いしていて、それはやはり途中から足された工事と理解していいのですね。堰本体とは違いますでしょう、堰をつくるときの段階で既にそれが計画されていたわけではないのでしょう、こう聞いているのです。
  218. 山岸俊之

    ○山岸参考人 通常、私ども公団が行っておるダムにつきましてもこのような施設は何らかの形でつくるケースが多いということで、この点につきましては、計画当初から何らかの形であるというのはございます。
  219. 小泉晨一

    小泉(晨)分科員 ちょっとあいまいじゃないですか。長良川のこのプラザは、最初からそういう計画があって、建設するのに当たってどういうプランがいいですかというのを諮問したというのではなくて、では、建てるかどうかを諮問したのですか。
  220. 山岸俊之

    ○山岸参考人 ですから、資料館的なものをつくるということについては当初からありました。どういう形でつくるかということにつきましてはこの検討会でやらせていただきました。
  221. 小泉晨一

    小泉(晨)分科員 運営はどこが主体であるのか、また、それが単体工事として幾らかかったか、これが出せますか。
  222. 山岸俊之

    ○山岸参考人 あの建設費用として約六億円かかっております。  それから、運営につきましては、現在、関係の市町村、県等を含めまして管理の費用の中で出し合いまして運営を行っております。
  223. 小泉晨一

    小泉(晨)分科員 私も行ったときに、入場料はただだそうですね、そこに常に人がついて、お客さんの案内をするなり管理するなりしていらっしゃる。その費用の母体はどこですか。
  224. 山岸俊之

    ○山岸参考人 先ほどお話ししましたように、管理の担当をする関係機関、これが本来の管理のアロケーション、分担の中で賄っております。
  225. 小泉晨一

    小泉(晨)分科員 すると、水資源開発公団単独でそれを出してはいない、こういうことですね。(山岸参考人「はい」と呼ぶ)わかりました。  さて、時間が少しになりまして、ここで、大臣と政務次官にお尋ねをいたしたいと思います。  大臣、先ほど私冒頭で申し上げましたけれども、アオコの発生、サツキマスの減少、シジミの壊滅的状況みたいな報道を現地ではされています。モニタリングの制度で大臣にも刻々と現地の報告がされていると思うのですけれども、この事実はモニタリングの中では入ってきていますか、どうですか。
  226. 岩垂寿喜男

    ○岩垂国務大臣 モニタリング委員会の五月二十八日のデータといいましょうか、発表は私の手元にございます。それでよろしゅうございますか。
  227. 小泉晨一

    小泉(晨)分科員 大臣になられましたときに、私ども同僚議員、また市民のグループも同道いたしまして、大臣にぜひ一度、一年たつ前に、現地をごらんになったらいかがでしょうかというようなお話をいたしましたけれども、大臣としてはノーという返事でございました。
  228. 岩垂寿喜男

    ○岩垂国務大臣 私はノーと言った覚えはございませんので、その点は誤解のないようにお願いします。
  229. 小泉晨一

    小泉(晨)分科員 では、私の方がそうとったということになります。  では、今は行けないとこう言われたのでしょうか。私は、ノーと言われたときにちょっと残念だなという気持ちが正直ありました。  しかし、よく考えてみると、大臣が現地へ行かないということは、むしろ逆に、現地へ行ってしまえば運用を認めたことになってしまうかもしれないという危惧があるからではないかとよい方に解釈をするように最近はなってきたのです。そうではないでしょうか。
  230. 岩垂寿喜男

    ○岩垂国務大臣 私は、小泉先生あるいは御存じないと思いますが、ある方が座り込みをしまして、運用についてやりとりがございました。当時、野坂建設大臣でございまして、私は、むしろ中に立って座り込みをやめさせながら、同時に、野坂さんにもいろいろ御配慮を願いたいということも申し上げて、いわば中に立って努力をしてきたつもりでございます。  そのときに、私どもの側から提案をしたことがございます。それは幾つかございました。それは天野さんの御意見も入れて、それなりにその実現のために努力したことも事実であります。  その中で特に考えたのは、水質や生態系に対する影響ということがある、それならば、使用後、使用前というのがいろいろありますけれども、後のモニタリングをきちんとしなさい、そしてその中にはいわば反対派というか慎重派という方々も入れて公平に、しかもそれは情報公開をきちんとして対応しなさいということを言ってまいりました。  そしてその間、モニタリング委員会がずっと何回かその結果を報告してまいりました。それは五月二十八日にも行われました。これからも行われるという約束を得ているわけですから、それらの結果に基づいて、一体どの程度の汚染なのか、汚濁なのか、生態系に対する影響なのかということを私なりに見てまいりたいというふうに思っています。  その意味で、そう今すぐ行くとか、あるいは環境庁長官になって一番先に見るところはとか、いろんな御指摘がございましたけれども、それは慎重であるべきだと思ったわけでございます。特に私ども環境庁という立場で言えば、これに対する関心というのは特に生態系や水質の問題でありますということ、ほかにもいろいろありますけれども環境庁というスタンスで言えば、その辺について発言をすることがあり得るかもしれない、しかしそれはあくまでも慎重でなければならない、こういうつもりでモニタリング委員会の動きをそれなりに今日までも注目をしているところでございます。  それからもう一つは、長官になって御案内のように予算委員会で毎日缶詰でございまして、行く時間もないわけです。私のところへ随分あちこちで来てくれというところがありますけれども、ほとんど行く時間がございません。そういう事情もこれあり、御理解を賜りたいというふうに思います。
  231. 小泉晨一

    小泉(晨)分科員 この六月十日に社民党の環境部会がおおむね二十名近く現地へ見学に、視察に行くということは長官御存じですか。  もう一つ、中島政務次官、さきがけはこの長良川の堰の問題については党を挙げて反対だという結論が出たということを聞いていますけれども、本当でしょうか。
  232. 中島章夫

    中島(章)政府委員 私は、今残念ながらそのことを聞いておりません。
  233. 小泉晨一

    小泉(晨)分科員 先ほど私はほかの会合に出ていまして、聞いてまいりました。ぜひ御確認をいただきたいというふうに思います。  さて、経済、開発、人権、環境、継続、こういったファクターは私どもの環境行政にとって大変大事だと思いますけれども、きょう第一問でさせていただきましたOECFの出資の状況、それから長良川等の公共事業の決定の前段階で閣議決定というのは行われると思うのですね。そのとき大臣にお願いしたいのは、ほかの大臣はいざ知らず、環境庁長官として一呼吸置いていただいて、これからできるであろうアセス法やあるいは国際環境会議等々を前にして、環境庁の、日本の方針というものは目に見えるスタイルにしていただきたいというのをひとつお願いするわけであります。  この百分の四十五を出資する、もし政府の出資がなければこのプロジェクトはできないはずであります。このプロジェクトの最初は政府が進めたのではなくて、商社が提案をし、それにOECFが乗っかったのが現実であります。この主客転倒の現実を考えると、私は環境庁の意思決定の不明確さというのはあるのではないかなというふうに思っているところでありまして、言いかえれば、一人の政治家や一つの企業が大きな声を出せばそれに順従するような法治国家であってはいけない、人治国家がまかり通っているのではないか、こんな形をも私は考えているわけでありますけれども、最後にそのアセスの進捗状況を聞いて終わりにしたいと思います。
  234. 稲垣実男

    稲垣主査 ちょっと申し上げますが、質疑持ち時間が既に終了しておりますので、極めて簡潔にお願いします。
  235. 岩垂寿喜男

    ○岩垂国務大臣 御案内のように、平成六年から環境影響評価制度総合研究会というものが発足をいたしまして、十省庁、それに学者、専門家などが長い間議論をしていただきました。でき得ればということだそうでございますが、六月のごく初め、六月の三日という日も念頭にあるそうでございますが、そこで研究の成果を明らかにするという機会があろうと思います。したがって、その研究の成果を尊重しながら、私どもとしてはこの法制化を目指して、法制化を含めて検討するわけですからどういう結論が出るかわかりませんけれども、心に期するものを持ちながら、それらのことを含めて対応してまいりたい、このように思っております。
  236. 稲垣実男

    稲垣主査 これにて小泉晨一君質疑は終了いたしました。  以上をもちまして環境庁所管質疑は終了いたしました。     —————————————
  237. 稲垣実男

    稲垣主査 これより総理府本府所管について審査を行います。  まず、概要説明を聴取いたします。梶山官房長官
  238. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 平成年度における総理府所管一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  総理府主管の歳入につきまして、歳入予算額は三百四十三億七千四十五万円余でありまして、これを収納済み歳入額四百三億六千三万円余に比較いたしますと、五十九億八千九百五十八万円余の増加となっております。  次に、総理府所管の歳出につきまして、歳出予算現額は八兆二千七百九十六億二千七百八十二万円余でありまして、支出済み歳出額は八兆一千七百二十三億八千四百五十二万円余であります。  この支出済み歳出額歳出予算現額に比較いたしますと、一千七十二億四千三百三十万円余の差額を生じます。  この差額のうち翌年度繰越額は九百二十七億四十三万円余であり、不用額は百四十五億四千二百八十七万円余であります。  総理府所管歳出決算のうち、警察庁、総務庁、北海道開発庁、防衛庁、経済企画庁、科学技術庁、環境庁、沖縄開発庁及び国土庁については、各担当大臣から御説明申し上げることになっておりますので、これを除く部局、すなわち、総理府本府、公正取引委員会、公害等調整委員会及び宮内庁関係について申し上げますと、歳出予算現額は五百七十五億五千六百四十五万円余でありまして、これを支出済み歳出額五百六十九億三千三百二十四万円余に比較いたしますと、六億二千三百二十一万円余の差額を生じます。  この差額のうち翌年度繰越額は一億一千百二十二万円余であり、不用額は五億一千百九十八万円余でありますが、これは外国為替相場の変動があったことにより諸器材購入費を要することが少なかったこと等のため、不用となったものであります。  引き続き、平成年度における総理府所管一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  総理府主管の歳入につきまして、歳入予算額は三百七十五億三千六百九万円余でありまして、これを収納済み歳入額三百九十八億七千三百五十一万円余に比較いたしますと、二十三億三千七百四十一万円余の増加となっております。  次に、総理府所管の歳出につきまして、歳出予算現額は八兆八千八百八十四億八千二百六十五万円余でありまして、支出済み歳出額は八兆六千七百九十一億五千四百二十一万円余であります。  この支出済み歳出額歳出予算現額に比較いたしますと、二千九十三億二千八百四十三万円余の差額を生じます。  この差額のうち翌年度繰越額は一千九百四億四千一万円余であり、不用額は百八十八億八千八百四十二万円余であります。  総理府所管歳出決算のうち、先ほど申し上げましたとおり、警察庁等につきましては、各担当大臣から御説明申し上げることになっておりますので、総理府本府、公正取引委員会、公害等調整委員会及び宮内庁関係について申し上げますと、歳出予算現額は五百六十七億二千四百二十四万円余でありまして、これを支出済み歳出額五百六十一億六千五百四十万円余に比較いたしますと、五億五千八百八十三万円余の差額を生じますが、これは人件費等を要することが少なかったため、不用となったものであります。  以上をもちまして決算概要説明を終わります。  何とぞ御審議のほどをお願い申し上げます。
  239. 稲垣実男

    稲垣主査 次に、会計検査院検査概要説明を聴取いたします。会計検査院深田第一局長
  240. 深田烝治

    深田会計検査院説明員 平成年度総理府決算のうち、歳入並びに総理本府、公正取引委員会、公害等調整委員会及び宮内庁関係の歳出につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  次に、平成年度総理府決算のうち、歳入並びに総理本府、公正取引委員会、公害等調整委員会及び宮内庁関係の歳出につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  241. 稲垣実男

    稲垣主査 以上をもちまして総理府本府所管説明は終わりました。     —————————————
  242. 稲垣実男

    稲垣主査 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹内譲君。
  243. 竹内譲

    竹内(譲)分科員 竹内譲でございます。  きょうは、軍人恩給の未受給者の問題について御質問をさせていただきたいと思います。  官房長官、せっかく出てきていただきましたので、お時間も四十一分までとお聞きしておりますので、最初に総括的な、基本的なところをちょっとお伺いをしたいというふうに考えております。  実は私は京都の一区の選挙区でございますが、私の選挙区にたまたま官房長官と同じ陸軍士官学校の御出身という、某大商社を出られまして今はもう何もしておられないのですが、せっかくの機会ですので名前だけ申し上げておきますと、原田彦義さんという方がいらっしゃいまして、そういったこともあっていろいろお話をする機会が多くて、恐らくこの軍人恩給の問題についても官房長官も御関心が高いというふうに思いましたものですから、御質問をあえてさせていただきたいと思います。  戦後五十年を経まして、私は昭和三十三年の生まれですから、全くの戦後世代でございますものですからまだまだ十分に理解はし得ないのですけれども、しかしながら、諸先輩のおかげで今の我々があると深く感謝をしておるところでございます。もちろん平和は必要でございまして、孫子の兵法に言うまでもなく、戦わずして勝つということが最も大事なことであるというふうに私も認識をしております。  ただし、昨今外交、安全保障の問題がいろいろ取りざたをされております。私自身の考えとしては、平和は絶対に守らなければならない、戦争をみずから起こしてはいけないというふうには考えます。しかしながら、もしも日本侵略を受けた場合は、そういう危急存亡のときは、私たちは国を守るために、家族を守るために断固として戦わなければいけない、そういう腹構えといいますか決意だけは絶対に持っていないといけない、そういうふうに私は思っております。  その意味で、かつて五十年以上前に、国のために家族を残しまた命をかけて戦務に従事されたにもかかわらず、戦友とわずかに軍歴期間が異なるために年金恩給を受給できないというふうにされてきました関係者方々には、私は同情の念なきを得ないというふうに思っているわけでございます。そういう本当に我々の国を守るために命をかけて戦われた方々に敬意を表するためにも、その御恩に報いるためにも、できる限りの措置をすべきであると私自身も考えております。また、この軍人恩給で未受給者方々がいらっしゃるわけでございます。やはりできる限りの措置を残された方々にはしていくべきではないのか。年齢も大変高齢化をされておられまして、亡くなられておられる方もいらっしゃいます。  そういう意味で、この辺の基本的な官房長官のお考えを最初にお聞かせいただければというふうに思っております。
  244. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 このいわゆる恩欠者に対する慰藉事業、このお答えをする前に、今竹内議員の心情をお聞きいたしまして、大変心強いというか、年齢的に私の後輩の方たちがそういう思いを持っておられるということに大変感動をいたしております。  もう古い話でございますが、五十一年近く前に敗戦を迎えたわけでありますが、私もかつて軍籍に身を投じ、敗戦を旧満州で迎えたわけであります。そして、ソ連の参戦によって在留邦人、特に開拓地の御婦人の皆さん方が無蓋貨車で簡単服一枚で南下をしてくる。そして、油煙に真っ黒になった顔で涙をためながら、負けないでください、勝ってくださいと言われたことが今でも耳についておりますし、あの人たちが果たしてみんな帰れたのかどうなのか。  そういうのを考えますと、幾ら理由があっても戦争に訴えてはだめだという思いがいたしておりますし、私の生ある限り、平和を求める、このことには全力を注いでいきたい。どんなに立派な目標やあるいは理由があっても、戦争というものは避けなければならない。  しかし、その反面、みずからの国を守るということ、これはどんなことがあっても守り抜かなければならない。国とは何なのか、それから本当の幸せとは何なのか。やはり民族や家族を守るためにそれぞれが全力を尽くし合うということは、自衛という意味で憲法以前の何よりも崇高な気持ちではないか。私は、こういう思いに駆られながら、あの当時のこと、そして今日までの自分の生きてきた道を振り返っているわけでありますが、それに対してあなたの今の御覚悟、昭和三十三年に生まれたあなたがそういう思いを持っておられるということに大変感動いたしております。どうかそういう気持ちを次の世代にもお伝えを願いたい、心からお願いを申し上げる次第であります。  確かに、恩給欠格者の方々、どこで線を切るかという問題もあります。それから、物的なものと精神的なものがあります。特に私なんかが感じますことは、国のためあるいは民族や家族のために一身をなげうとうと思ったその心には、誇りを持って私は今日まで過ごしてきております。この誇りに対して、何らかの報いあるべし、感謝の気持ちあるべしという思いが私はいたします。  しかし、言葉というのはなかなか難しいものでありまして、そうすれば戦争礼賛につながるのかどうなのか。いろいろな思い、それぞれに私は国民に多様な思いがあろうかと思います。この言葉、慰藉という言葉は私は好きではないのですが、あえて慰藉事業と言わざるを得なかった背景にもそこがあろうかと思います。  私は、極端な話をするわけでありますが、そういう決心をして、しかしもう敗戦間近の方々は、内地も戦地もない、あるいは銃後もあるいは軍隊も差別がなかった時代でありますから、それはあらゆる方々労苦に報いなければならない、そういう思いはいたしますが、しかし、軍籍に身を置くということはすなわち国のために死ぬのだという一つの宣告を、表現が下手かもしれませんが、思いがするわけであります。あるいは、軍籍の長い、短いでもって論じられる問題ではない。しかし、遠きより近きにという逆の発想を考えれば、やはり長い方々、それからだんだん短い方々に、そういう思いがだんだん浸透して今日を迎えていることは大変いいことであります。  しかし、いずれにしても、そういう方々は、私と同じ、もう既に古希を迎え、そう肉体的に長い生命があるわけでもございません。そういう方々の気持ちを酌み取って、後輩の皆さん方にそういう思いをしていただけるということは、私は要求する立場にありませんが、大変ありがたいことであります。そういう思いのみをお伝えをいたしまして、この問題に私も取り組んでまいりたい、このように考えております。ありがとうございました。
  245. 竹内譲

    竹内(譲)分科員 大変よく理解できました。  そこで、具体的な問題に入りたいと思うのですが、まず最初に、国家未処遇の元兵士の方々に対する平和祈念事業発足以来、関係当局は随分御努力されてきたというふうに理解をしております。  そこで、平成元年から平成八年三月までの申請者数と現在の贈呈処理件数をまず最初にお尋ねをいたします。
  246. 平野治生

    ○平野政府委員 恩給欠格者に対する書状等の贈呈事業慰藉事業ということでございますけれども平成年度から御指摘のとおり始まったわけでございますが、平成八年の三月末までの請求件数は三十七万四千件ということになってございます。そのうち、外地勤務経験があり加算年を含む在職年が三年以上の者につきまして、既に書状は三十二万三千件、銀杯は三十一万件、慰労の品につきましては十六万人の方々に対する贈呈を行ったということでございます。また、平成年度から始まりました、外地勤務経験があり加算年を含む在職年が三年未満であって実在職年が一年以上の者につきましては、書状、銀杯ともに二千件の方々に対して贈呈を行ったという数字でございます。
  247. 竹内譲

    竹内(譲)分科員 そこで、当初、六十六号法律だったと思うのですが、元軍人の方々が二百五十三万名ですか、このうち、外地歴があり加算年を含めて三年以上の兵の方々を対象として百八万名を措置すると承っておりますが、これでよろしいですか。
  248. 平野治生

    ○平野政府委員 御指摘のとおりでございます。
  249. 竹内譲

    竹内(譲)分科員 そこで、先ほど御説明にありましたこの事業処理状況を勘案した場合に、この百八万名の措置完了というものは大体総理府の方ではいつごろと考えておられるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  250. 平野治生

    ○平野政府委員 非常に難しい御質問かというふうに思っているのでございます。というのは、私ども、推定いたしますと、百八万人ということはただいま申し上げたとおりでございますけれども、そういう方々からどのくらい申請があるかというところは非常に難しいわけでございます。  既に先生も御承知のとおり、例えば、これは恩給局等でやっているわけでございますけれども、  一時恩給だとか一時金というものにつきましても、該当者がかなりいらっしゃるわけでございますけれども、平均しますと半分ぐらいの方しか請求がなかった。これは、一時恩給で申しますと、一番安い方と言うのは大変失礼ですから、一番低い方で一万五千百五十円とか、高い方ですと七万も八万も出た方もいらっしゃるのですけれども、それでも実際の請求率というのは実は半分ぐらいだという実績があるわけでございます。そこで、この百八万人の方に、どのくらいあるかということのその判断が非常に難しいということなのです。  ただ、申し上げられますことは、先ほど申しましたとおりに、三十七万四千件の方々に対して既に贈呈を行ったということと、現在でも毎月二千件程度は、必ずと申しますか、実際請求があるわけでございます。私どもといたしましては、PRと申しますか周知度があるいは足らないのではないかということで、たびたび、ころ合いを見ながらやっておりますと、またその月ざっとふえるという実際の傾向もございますので、今私ども、何年に終わるということはちょっと正直言って申し上げかねるわけでございますけれども、なるべくPRと申しますか、きちっとした広報をいたしまして、なるべく多くの方々にこの事業についての御理解をいただいて、請求していただくようにしていかなければいけない、そういうふうに考えているところでございます。
  251. 竹内譲

    竹内(譲)分科員 この枠の百八万名というのは、要するにもう戦後五十年たって本当に完了できるのか、予算が余ってしまうのではないかというふうに私は思っておるのです。というのは、毎月二千件で年間で二万四千件ですか、十年で二十四万件、二十年で四十八万件ですね。しかし、もうこれが戦後七十年もたってあと四十八万件本当に申請があるかどうか。ほとんど考えられないことですね。そういう意味では、当初考えておられる百八万名というものと実際の申請、認定というものは随分乖離が必ず出てくるだろう、ということは、予算面でいろいろな措置が可能になってくるはずだというふうに私は考えておるわけです。この点、どのように思われますか。
  252. 平野治生

    ○平野政府委員 予算につきましてはまたちょっと別の観点があるのでございますけれども、おっしゃいましたとおりに、百八万人の方々のうち全員から申請があるということは確かに私も思えないと思います。先ほど一時恩給という別のことで、まさにこれはお金を差し上げるといいますか、当然法律に基づいて支払うわけでございます。それについてでも、支給率と申しましょうか、請求率が六割をたしか切ったというふうに私記憶しているのでございますけれども、そういう中で、この慰藉事業に対して、その請求件数が百八万人になるということはなかなか難しいなというふうに思っております。  ただ、先ほど申しましたとおりに、現実問題としては、毎月そういう一定数と申しますか、またPRしますと一時的にふえたりして、請求がまだ続いておりますから、先ほど申しましたとおりに、いつまでということはなかなか言いにくいわけでございますけれども先生指摘のとおりに、これが全部あるとか、随分かかるとかという話は、少しそうはないのではないかなというふうに思っていることは事実でございます。
  253. 竹内譲

    竹内(譲)分科員 この点はまた後でお聞きしますが、平成七年四月より、枠を拡大して、外地歴を含む実在職ですか、実在一年以上というふうにされましたが、実際の申請者数及び認定件数は幾らになっていますでしょうか。
  254. 平野治生

    ○平野政府委員 ただいま御指摘ございましたとおりに、平成年度からでございますけれども、外地勤務経験がございまして加算年を含む在職年が三年以上の者とされてきたわけでございますけれども、それに対しまして、実在一年以上ある者についても銀杯、書状などを贈呈するという措置を七年度からすることにしたわけでございます。  私ども、推定いたしますと、こういう資格要件と申しますか、この資格要件の緩和に係る対象者数は約六万八千人ぐらいというふうに見込んでいるわけでございますけれども、今までのところ、具体的に請求がございまして贈呈を行ったのは約二千件というところになってございます。
  255. 竹内譲

    竹内(譲)分科員 先ほどもありましたように、せっかくこの枠を拡大していただいたわけですから、もっと積極的にPRもしていただきたい、六万八千人とおっしゃりながら二千件というのは、非常に初年度としては少な過ぎるのではないか、本来、初年度にもっと上がってだんだん低減していくというか、そういうふうに思うのですけれども、そういう意味で、ぜひともいろいろな形でのPRを考えていただきたいと思います。新聞等でもやっておられると思いますが、時にはテレビ広告なども考えたらどうかというふうに私は思っております。  そこで、本年四月より、内地三年以上を対象にするという新しい制度を設けたというふうに伺っておりますが、この三年で切られた理由についてお伺いします。
  256. 平野治生

    ○平野政府委員 ただいま御指摘ございましたとおりに、内地勤務、つまり外地勤務の経験がない方についてもということにしたわけでございます。御承知のように、長い間いろいろな経緯でこの慰藉事業が行われてきたわけでございますけれども、その内地勤務者につきましても、長期間勤務してかなりの苦労をされたという方もたくさんいらっしゃるということでございました。そういう方々については、外地勤務の経験がなくても何らかの措置をしてもらいたいという要望があったわけでございます。  そこで、その要望に対して基金の方でもいろいろ検討していただきまして、外地勤務経験者とのバランス、あるいは他の戦争犠牲者と申しますか、いろいろな方とのバランス等を考えながら、今回、内地勤務経験のみの者についても、加算年を含む在職年が三年以上あれば対象とすることにしたということでございます。これは、先ほど申しましたとおりに、いわゆる外地勤務経験者についても当初と申しますか、最初に加算年を含む三年以上という要件だったものですから、内地についてもまずそういうところからかなということでしたわけでございまして、そういうところから一応三年という一つの資格要件をつくったところでございます。
  257. 竹内譲

    竹内(譲)分科員 そこで、重ねてお尋ねをいたしますが、外地歴一年以上の方に対しては書状と銀杯、一方、内地歴三年以上の方に対しては書状のみ、この格差の理由ですね。ここについてもう少し説明をいただけないか。また、近々さらに付加的に新規事業の贈呈というものを考えられるのかどうか。かつて懐中時計というようなものもありましたけれども、そういうものが考えられるのかどうか、あわせてお聞きをしたいと思います。
  258. 平野治生

    ○平野政府委員 内地勤務者の方々に何らかの措置をという要望があったときに非常に多かったのは、せめて書状くらい欲しいという強い御希望が各地からございました。それで、いろいろな現行制度の他とのバランスを考えながら、書状のみの贈呈というところに踏み切った経緯があるわけでございます。  現在のところ、私ども、内地勤務者の方々に対して、例えば今お話がございました、私どもで慰労の品と言っているのでございますが、そういうものを差し上げるようなことを直ちにやるという考えは今のところないわけでございますが、先ほどちょっと官房長官もおっしゃっておられたのですけれども、じゃ、今のままでいいのかどうかというのは確かに非常に問題がございます。その点についてはまた何か考える必要があるかなと思っておりますけれども、いずれにいたしましても、何か慰労の品を差し上げるようなところまではまだ考えていないというのが率直なところでございます。
  259. 竹内譲

    竹内(譲)分科員 官房長官の前向きな御発言もありましたので、いろいろとまたお知恵をめぐらせていただきたいというふうに思います。当局としては、大量の申請が出るであろうというふうな慎重な態度はよく理解できるわけでございますが、もうそろそろ区別しないで、もう兵役実在職一年以上の方に対しては措置をすべきではないのかというのが私ども考えでございます。それが一点目。  そしてもう一つは、少なくともこの法律施行時点に生存しておられた方々が贈呈前に亡くなられる、そういった方々の配偶者に対しては何らかの交付をしてはどうなのか、この二点についてお伺いをしたいというふうに思うわけです。
  260. 平野治生

    ○平野政府委員 内地一年以上でどうかという御指摘でございます。  私、今ここで絶対だめだとか、できますということをなかなか申し上げかねるのですが、お気持ちは私なりに理解しているつもりでございまして、官房長官も、そこを直接おっしゃったわけではございませんが、そういうさき戦争で非常に苦労された方々というのに対して、国として何らかの意思を表明することは必要なのではないかということはおっしゃっているわけでございます。私はその点は全く同じでございまして、ただ、直ちに、じゃ一年以上にしますかと言われますと、ちょっと私今ここの席上ではお答えするまでに至りませんけれども、そういうことでございます。  また、遺族方々にどうしたらいいかという点、確かに一つ問題があると思うのでございますが、いわゆる恩給欠格者の方々に対するこの書状と申しますのは、御労苦に対して衷心より慰労しますという、この書状を差し上げることが御本人の心をいやすというところに目的があるわけでございますので、それを御遺族の方にも差し上げていいのかどうか、そこのところはちょっとまたいろいろあるのだと思っております。現在のところでは、ちょっとまだ配偶者のところまでは考えていないというのが率直なところでございます。  ただ、先生が今ちょっとおっしゃった、この書状が始まったときに御本人が生きていらっしゃってそれから亡くなった方、そういうことも含めて、なかなか我々として、考えていくことが必要なのかどうかというのが率直なところでございます。
  261. 竹内譲

    竹内(譲)分科員 二点目の、法律施行時点で生きておられた、それで申請をする前に残念ながら亡くなられたというような方々、あるいは申請をしたけれども贈呈されるまでに亡くなられたといった方々に対しては、やはりしかるべき措置考えていくべきではないのかというのが私の考えであり、また関係者皆さんの要望ではないのかというふうに思っているわけでございます。ぜひともその辺ももう一工夫していただければというふうに思っております。  そこで、ことしで基金積立金四百億円が完了するわけでございますが、御存じのとおり、大変な低金利が続いております。この低金利の問題については、官房長官もいろいろきのうも御発言があって物議を醸しておるわけでございますが、それはともかくとして、基金の果実が期待できないのではないのか。当初、利息が五%程度というふうに聞いておりますけれども、それがもはや一%上下ではないのかというように思っておりまして、そういう意味では、この事業推進に支障を来す可能性が出てきているというふうに私は思っております。そういう意味で、積立金の積み増しのお考えはどうかという点をお聞きしたいと思います。
  262. 平野治生

    ○平野政府委員 御承知のように、平成年度に二百億円の出資が完了したのを、慰労の品を贈呈するということでさらに二百億を積み増そうということでございまして、平成年度予算、今年度予算におきまして最後の五十億円を計上したという経緯があるわけでございます。ただいまのところ四百億になったわけでございますけれども、ただいま御指摘ございましたとおりに、今の運用利率はたしか一%いっていないと私思っております。  さて、じゃ、どうしたらいいのかということでございますけれども、私ども考えは、この法律で、既に御承知のとおりでございますけれども、必要な場合は補助金を出すことができるという規定になっている経緯もあるわけでございます。そういう非常に低金利のときに出資金を幾ら積んでもという言い方はちょっと語弊があるのかもしれませんけれども、積むだけではなかなか必要な経費が出てこないのではないかというふうに私ども思っているわけでございます。  反面、先生の御指摘にございましたとおりに、そのために基金事業に疎漏があってはならない、それがその推進にマイナスになってはまずい、その点はそのとおり思っておりますので、私どもとしては出資金の四百億の積み増しということは考えてはおりませんけれども基金事業が円滑に進むようには、予算的な側面では十分やっていく必要はあるのではないかなというふうに思っております。
  263. 竹内譲

    竹内(譲)分科員 その事業の推進のために予算的な措置をやっていくという御答弁がございましたので、ぜひとも御対応をお願いしたいというふうにお願いを申し上げます。  最後に、基金の運営に関しましては、現在委員十名で行われておりまして、この委員会は七年間運営されてきたわけです。ところが、残念なことに非公開でございまして、大切な関係者方々にその中身が知らされていない。それはなぜなのかという点、まずこの点につきましてお伺いをいたします。
  264. 平野治生

    ○平野政府委員 運営委員会、確かに非公開でございます。公開したらどうかという御議論は当初からあったというふうに私も記憶いたしておりますけれども、運営委員会で自由闊達にと申しますか、いろんな御議論をしていただくためには非公開の方がいいのではないかというふうに運営委員会の方でお決めいただきまして、そしてその結果、おっしゃるとおり非公開になっているわけでございます。  もちろん、その運営委員会で決まった内容については、例えば先ほども指摘がございましたとおりに、支給範囲、支給要件を緩和するとかということになると、その都度は、まあ言ってみれば公開と申しますか、当然のことながら決定の内容については表へ出しているのでございますけれども、そのいろいろな経緯については、率直に言えば、自由闊達に御議論をいただくという観点から非公開ということになっているというふうに聞いております。
  265. 竹内譲

    竹内(譲)分科員 本当に情報公開の時代でございますし、厚生委員会におきましても、薬害エイズの問題で大事な行政情報が非公開であったがゆえに大変な問題を引き起こしておるわけでございます。また、「もんじゅ」の問題に関してもしかりだというふうに考えております。もっと言えば、この住専の問題に関しましても、きちっきちっとタイムリーな情報を公開して基本的な考え方を世に問うということは、やはり大事なことではないかというふうに思っておるわけでございます。その意味で、ある意味ではこれからはポイント、ポイントで公開されることをぜひとも要望をいたします。  そしてもう一つ、最後に、当初より委員の交代が全然行われておりません。ぜひとも、関係者方々の高齢化に伴い早期の措置が望まれるためにも、新しく委員の交代がそろそろ行われてもいいのではないかということをお尋ねをいたします。     〔主査退席、石井(紘)主査代理着席〕
  266. 平野治生

    ○平野政府委員 確かに一人交代はあったのでございますけれども、その他の方々については、ずっと発足以来同じ人にやっていただいているわけでございます。  もちろん基金がいろいろなことをやってきたことで、また発足の経緯もあることでございます、事業も少しずつ拡大されてきたという、いろいろ経緯もございまして、何と申しますか、いろいろな経緯も知っている、またそういうことに対して非常に御見識が高いという方々が多うございます、ほとんどそういう方でございますので、そういうところから長くお願いしている経緯があるわけでございます。  ただ、ただいま先生からそろそろというお話がございまして、そのそろそろかどうかはまたちょっと難しいところではございますけれども、しかしいずれにいたしましても、公正かつ客観的な立場から、高い見地から御審議していただくということが極めて重要なことだというふうに思っているわけでございますもので、そういう意味からいいますと、適切な人選がなされるよう私どもとしても考えていかなきゃいけないというふうに考えております。
  267. 竹内譲

    竹内(譲)分科員 ひとつ何とぞよろしくお願いします。  以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
  268. 石井紘基

    石井(紘)主査代理 これにて竹内譲君の質疑は終了いたしました。  次に、秋葉忠利君。
  269. 秋葉忠利

    秋葉分科員 きょうは公正取引委員会の役割について、中立性それから公正さ等を要求される大変なお仕事なわけですけれども、具体的な例を挙げて、公正取引委員会の仕事の状況について、消費者の立場、市民の立場から伺っていきたいと思います。  まず最初に確認をしたいのですけれども、いわゆる独占禁止法における公正取引委員会の役割といいますか、それを簡単に二、三、主な機能といいますか目的といいますか、まず確認をしたいと思いますが、公正取引委員会の目的というのは何でしょう。
  270. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 公正取引委員会の目的でございますけれども、これは端的に申し上げれば、市場における公正かつ自由な競争の維持促進、この点に公正取引委員会の業務のいわば中核が求められると思います。したがいまして、この公正、自由な競争を市場において妨げるような行為、これは、例えば一定の取引分野における実質的な取引制限でありますとか、あるいは私的な独占でありますとか、あるいは不公正な取引方法、このような競争の実質的制限ないし公正競争を阻害するおそれのあるような行為が市場で行われております場合には、公正取引委員会の業務といたしましてこれについて排除措置を行うということも、公正、自由な競争秩序を維持するという独占禁止法の目的規定を実質的に担保するという意味で極めて重要な業務である、こういうふうに認識をしております。
  271. 秋葉忠利

    秋葉分科員 それで、今委員長がおっしゃったようなことに抵触する違反行為があった際に、例えば一市民がそのことを摘発するということはできない、その権限を持つのは公正取引委員会だけだというふうに理解をしておりますけれども、それで正しいのでしょうか。
  272. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいま私が申し上げました、市場における競争の実質的制限にわたる行為、あるいは公正な競争秩序を阻害するおそれのある行為、こういう行為に対しては、独占禁止法違反として、私ども審査を行い、証拠による認定を経て法律的な排除処分を行う、こういう仕組みになっているわけでございますが、今の委員からのお尋ねは、例えば、一般市民あるいは一私人が、このような違法行為があるという御認識でこれを取り上げることができるのかどうか、こういうお尋ねであろうかと承りましたが、それはこのようなことかと思います。  公正取引委員会が、ただいま私が申し上げましたような意味での市場における実質的な取引制限なり公正な競争秩序を阻害するおそれのある行為、こういうものを証拠に基づいて認定をし、処分をいたしますのは、これは申すまでもなく法律上の、独占禁止法運用を業務としております公正取引委員会自体の仕事でありますから、これは公正取引委員会が行う以外に他のどのような機関も行うわけにはまいりません。  ただ、そのような違法行為が一体あるかどうか、あるいは違法行為の疑いがあるという点について、私どもは、今審査と申し上げましたが、審査業務を行うためのいわば手がかり、端緒というものが具体的にはどうしても必要になります。その端緒がどこから得られるか。  これは申すまでもなく、私どもがその職権探知、いわばみずからそういう端緒を発見をし、そしてその端緒から審査活動に入っていくということも当然ございます。  それから、一方では、今申し上げました端緒になり得る情報資料の提供が外部から行われるということはあり得るわけでございます。これを私ども、独占禁止法上、申告というふうに称しておりますけれども、外部からの情報ないし資料の提供、申告という形で行われたものに接した場合、私どもはその申告を手がかりとして審査活動に入るということももちろんあり得るわけでございます。  ですから、お尋ねの、例えば市民の方が独占禁止法違反行為があるとお考えになって、その具体的な事実についての情報なり資料なりを公取に何らかの形でお示しになるということが、もちろんその内容によりますけれども、私ども審査活動のきっかけになるということはあり得ることでございます。  ただし、申し上げましたように、審査活動それ自体あるいは審査活動をどのように行っていくか、そして最終的に証拠に基づいた認定による行政上の処分を行う、それは当然のことながら公正取引委員会自体の業務でございます。
  273. 秋葉忠利

    秋葉分科員 ただいまの申告の位置づけですけれども、平たい言葉で言ってしまえば、公正取引委員会に対する垂れ込みというふうに申告をとっていらっしゃるというふうに理解をしておりますが、残念ながら世の中の大方の考え方はそうではありません。公正取引委員会は単なる調査委員会ではなくて、そこで一定の判断を下し得る。したがって、何らかの、まあ紛争といったらいいんでしょうか、事件があった場合に、それの審査を行う権限、つまり中立的な、いわば裁判所的な判断を行う機関でありますから、申告というのは、ただ単に垂れ込みではなくて、裁判所における原告がこれを提訴するというような役割があるというふうに理解されているのが常識だと思います。その点についての公正取引委員会側の理解がちょっとしゃくし定規なのが気になりますが、それは置いておいて、より重要な問題がありますので先に進みたいと思います。  申告を一たん受けた上で、公正取引委員会は手続上どのようなステップを踏んでこれについての最終決定を行うのか、簡単でいいですから御説明ください。
  274. 矢部丈太郎

    ○矢部政府委員 外部から申告を受けまして、その中身において独占禁止法の違反を推測させるような事実がありますと、それに基づいて審査活動を開始するわけでございますが、強制権限を発動する場合には委員会の承認をとった上で行っております。  なお、審査をいたしましてその違反を認定するだけの事実が得られました場合には法的措置を、具体的には勧告という措置がございます。また、法的措置をとるだけの証拠がない、しかし違反の疑いがあるという場合には警告という措置をすることもございますし、それからまた、軽微な違反につきましては注意ということでやめさせることもございます。  それからなお、申告に書面で、しかも顕名で違反事実を明記したものがある場合には、措置をとった場合には申告人に対して通知することになっております。
  275. 秋葉忠利

    秋葉分科員 措置をとらない場合にも非常に丁寧に通知をされているということを事実をもって知っておりますので、今のお答えは少し謙虚におっしゃったのかなという気がいたしますが、私たちの社会の常識としては、何かの問題について問題を提起する側がいた場合に、その問題について調査をする人間あるいは組織は、当然問題提起をした立場の人の意見を聞く、より詳細にその問題提起の背後にある具体的な事実や関連した問題についての理解を深めるということで聴取を行う、調査を行うということをやっているようですが、私の手元にあります例えば一九九二年から始まって九四年、それからそれ以後も何件もありますけれども、主に化粧品関係の定価販売をしていない、消費者に非常に親切な立場から割引販売をしている店舗からの申告に対して全く何らの聞き取りも行わずに、数年後に、措置は行わない、独禁法違反の事実はないという通告をされています。  通告をされたこと自体は、今のお答えから考えると非常に親切なことをやっていらっしゃるように思えますけれども、社会常識から非常に大きく離れた、問題提起者、申告者からは何の事情聴取も行わずにこういった決定に至るという手続に少なくとも何らかの瑕疵があるというふうに私は考えますけれども、いかがでしょうか。
  276. 矢部丈太郎

    ○矢部政府委員 申告は独占禁止法違反についての報告でございまして、それは私たちが審査をするときの端緒となる事実でございます。申告は匿名でも受け付けるわけでございまして、その申告された事実が審査の活動にとって非常に重要なものであるときには当然申告も聞くわけでございまして、審査に必要かどうかという判断をした上で申告人からも必要があれば聞く、その辺はケース・バイ・ケースで処理しております。
  277. 秋葉忠利

    秋葉分科員 それでは伺いますが、その調査の内容については公表されていらっしゃいますか。
  278. 矢部丈太郎

    ○矢部政府委員 申告の有無を含めまして、調査の結果は公表いたしますけれども、その審査の中身自体は公表しておりません。
  279. 秋葉忠利

    秋葉分科員 それと、匿名での垂れ込みがあるというふうにおっしゃいましたけれども、例えば刑事事件でも匿名の垂れ込みがありますけれども、だからといって、裁判において原告、被告両方の意見を聞かないでいいということにはなっておりません。そこのところは全く何の説明にもなっていないというところが一点ですし、では、そういった匿名で垂れ込みがあるものについての調査も行う、匿名ではなくてきちんと名前を書いて電話番号まで書いてそういった人たちが責任ある市民あるいは消費者として問題提起をした場合に、それを、ある意味では無責任であるかもしれない匿名の人と全く同列に扱うということの方が理屈が通らないと思いますが、その点についてはどうですか。
  280. 矢部丈太郎

    ○矢部政府委員 匿名か顕名かというよりも、報告された事実の中身が重要だと考えております。
  281. 秋葉忠利

    秋葉分科員 あなたがそういうふうに言ったからそこの部分を反論したので、関係ないことだったら言わないでくださいよ。  ともかく申告者の側の意見は聞かないという前例があると思います。それに関して申告者の側の意見は聞かない。しかしながら、問題提起をされて、この場合多くはメーカーですけれども、化粧品の大手のメーカーが独占禁止法違反をやっているという申告があったわけですけれども、そちら側の意見も聞かないというのであれば一見公平の原則は守られているというふうにも考えられますが、私はその点についても異論があるんですが、事実はそうではない。メーカー側には非常に親切な、これは皮肉ですからそのままとらないでください、親切な対応をなさっているという事実がありますので、それを申し上げて、公取の皆さんの御意見とともにこれは世論に訴えたいと思います。  手元に一九九一年六月から九四年五月まで、たまたまこれは調査の結果が手に入ったものですけれども、公取の委員皆さんがメーカー側がつくっている業界団体にわざわざ出かけていって、しかもこれは年次休暇までとってわざわざ出かけていって、しかもその開かれている場所というのは、東京もありますが大阪もある。関西の方まで出かけていって非常に懇切丁寧にいろいろな説明をし、そして意見を聞いている。さらには懇親会までやっている。  となると、公正取引委員会の役割として、独占禁止法違反があるんじゃないかという提起が一方にあって、その審査をしなくてはならない公取が、その申告をした側の人の意見はまるっきり聞かずに、独占禁止法違反をやっていますよ、やっているかもしれない人たちのところには、この頻度ですと大体一週間に一遍は行っているんです。一週間に一遍の頻度でそういう人たちと話し合いをして懇親会をして、その結果として公表もされない。調査の内容について我々が知るすべもないことを、最終的には独占禁止法の違反はありませんという決定をやっていることになる。  これは恐らく、私は信じたいんですけれども、公取の皆さんは公正に、何の恥じるところもなく公正な行動をしていらっしゃるかもしれない、しかしながら、それが公正であるかどうかという判断は、我々は現在は外にあらわれた行為によって見るしか方法がないわけです。  そうすると、一方においては申告者の意見も聞かない、もう一方においては一緒に懇親会までやって、恐らくお酒も飲んでいるのでしょう、それでその帰りには何万円という謝礼をもらってくるような、そういう形でのつき合い方をメーカー側とはしている。となると、それはそのこと自体、公正取引委員会の中立性、公正さ、そういった点について非常に大きな疑問を提起している事態だと言わざるを得ないと思いますけれども、この点についてどうお考えになっているのか、手短にお願いします。
  282. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいまの御質問の中に、まず、外部からの情報提供なり資料についてのことに対するお話があって、公取は、それに基づいて、いわば審査のきっかけ、手がかりとして活用させていただいているということを私が申し上げたわけですが、委員の先ほど来のお尋ねは、申告をした御本人からのお話を、その申告の際だけではなくて、その後聞いていない場合がある、こういう御指摘でございましたが……(秋葉分科員「場合があるではありません、例外なくあります」と呼ぶ)私は、それはそういう場合はあるだろうと思うのです。  私は、率直に言って、審査の実務に通じてはおりませんけれども考え方といたしまして、申告をしていただいた方から審査の必要に応じてさらに事情を詳しくお聞きするということは当然あるわけですし、それからまた、内容によってはその申告を手がかりにして審査を進めていって、そしてその申告をされた方からさらにお話を聞く必要がない場合もあろう。それは私、一般論として両方あり得るということで私どもは事務を処理しておりますし、その点は、今の委員の御指摘でございますけれども、例外なく話を聞いていないということは考えられないと思います。  それからもう一つ、今の御質問では、何か外部のメーカーの入っている団体に公取の人間が出かけていって云々という点がありました。その点につきましては、率直に言って、私、誤解があるのではないかと恐れますけれども、その点については官房審議官から御説明をさせます。
  283. 山田昭雄

    ○山田説明員 ただいま先生からお話ございました、職員がメーカー側が構成員となっているような業界団体に出ていっているというお話でございます。かなり誤解もあろうかと思います。  私ども、独占禁止法という法律、なかなか御理解いただけないということもございまして、独占禁止法あるいはその運用につきましてできるだけ啓蒙、普及するということが非常に重要である、このように考えているわけでございます。  具体的には、財団法人でございますが、公益法人がございまして、これは昭和二十五年にできたものでございまして、独占禁止法や関係経済法の調査研究、普及、こういった目的で設立された財団法人、公益法人でございます。そういったところで行います独占禁止法あるいはその法律の運用につきましての啓発あるいは普及という非常に役に立つものについては、むしろ積極的にこういったことに私ども職員も出ていきまして、そして講師を務め、できるだけ多くの国民にわかっていただきたい、こういうことを考えているわけでございます。
  284. 秋葉忠利

    秋葉分科員 そういうふうに都合のいい断片だけをとり出されておっしゃると、そこだけを聞いている人には何の問題もないというふうに聞こえるわけですけれども、私は、きちんとコンテキストを申し上げております。  それで、一般消費者の立場からあるいは市民の立場から問題提起をした人の意見はまるっきり聞いていない、一方では、問題提起の疑いをかけられた人の側とは非常に懇意にしているという事態が実際にここにあるわけです。これは全部申し上げてもいいのですけれども、時間がありませんから一々申し上げませんけれども、ここに出席なさっている公取の委員の方もこういう会合にちゃんと出ているわけでしょう。しかも、今のお話ですと公務の一環としてやっているみたいな話ですけれども、だったら何で謝礼なんかもらってくるのですか。それこそ全くおかしな話になるではありませんか。そういった疑念がまるっきり解けていないというところが、公取の中立性を疑わせるに足る十分な理由だというふうに私は思います。  例えば、公取の委員長もこういったところには出席をされている。この会合について、具体的に公取の職員が報酬をもらってこういった講演に出かけたり、あるいは懇親会まで行ったかどうかわかりませんけれども、業界団体とのそういった報酬を媒介とした関係があったかどうか、端的にイエスかノーかでお答えください。
  285. 山田昭雄

    ○山田説明員 先ほど申しましたように、公正取引委員会の事務局の職員が講演に出る、出席するということにつきましては、どういう団体で行っているのか、あるいはその内容等も十分審査してやっております。  それで、職務として行う場合には……(秋葉分科員「報酬を受け取ったかどうか聞いているのです。それだけ言ってください」と呼ぶ)
  286. 石井紘基

    石井(紘)主査代理 端的に答えてください。
  287. 山田昭雄

    ○山田説明員 職務として行う場合にあっては、謝礼等を受け取る等の行為があってはならないということは当然というふうに考えておりまして、これは徹底しております。  ただ、年次休暇をとりまして職務外の行為として講演等を行う際には、謝礼を受け取るかどうかということについては個人の問題である、このように考えております。休暇中に職務外の行為として社会通念上妥当な範囲で謝礼を受け取ること自体は問題ない、このように考えております。
  288. 秋葉忠利

    秋葉分科員 済みませんが、警察官とか裁判所の職員にそういうことを言ってください。裁判所の職員が一つの問題について、係争中の問題について、休み中だからといってそれで仕事に出かけていって、それで社会通念上これは許される範囲だからといって被告側からお金をもらったら、これはとんでもないことになります。  それで、現在、申告の問題、独占禁止法の問題というのは、いわば公取がその判断の役割をしているわけです。しかも、裁判とは違ってその調査の内容を公表しないということを明確におっしゃっているわけですから、その調査の内容を公表されないという大前提を考えれば、どのようなインプットがあったのかということをきちんと我々が把握すること以外に公取の判断の内容を評価する手段がない。だから、それしか手段がないのですから、その手段を使って私は今問題提起をしているのです。それを文脈から外してそういうふうに答えられると本当に困ります。  時間がありませんので、次の問題に移ります。  この申告を行った中で、公取の態度が今のような形でまるっきり頼りにならない、頼りにならないというのは実はアメリカ側も同じような評価をしているようですけれども、たまたまその評価では一致していますけれども、公取が頼りにならないということで裁判所に問題提起をしたケースが何件かございます。  そのうちの一件、例えば花王に対して仙台の江川企画というところが、これは公取にも問題提起をいたしました。申告書という形で一九九四年の五月十七日にこれを出していますけれども、その後、花王は独占禁止法に違反しているということで東京地裁からは判決が明確に出ております。  ところが、公正取引委員会はこの件に関して、その後の、これは平成八年と書いてありますからことしですか、一月十二日に、「調査の結果、独占禁止法に違反する行為は認められず、措置はとりませんでした。」という通知を江川企画に出している。裁判所では独占禁止法違反だという判断を明確に下している。それに対して控訴が行われている段階で、公正取引委員会が独占禁止法に違反する行為は認められないというふうに通知を出している。全く正反対の結果が出たわけです。  それでは、なぜこんな正反対の結果が出るのか。その違いを考えてみますと、裁判は公開で行われます。さらに、裁判に当たっては原告側、被告側両方の意見が平等に取り入れられているという裁判の形式があります。  それに反して、今申し上げました公取の調査の仕方では、調査の内容が外には全くわからない。わかるところは一体どのようなインプットがあったかということだけで、その際にも申告者に対する意見の聴取は行っていない。それだけでも不信感をかき立てるのに十分でありますけれども、同時に、独占禁止法の疑いありというふうに考えられている大手の企業とは週に一回程度の非常に親密な関係をつくっている。  こういった明白な違いが最終的な判断の違いにあらわれているのではないか。しかも、裁判の控訴審が進行中にこういった決定を下す。これは公正取引委員会の役割そのものに非常に大きな疑問を投げかける事実だと思います。  この点について、今後こういった問題についてどのように対処されていくおつもりなのか、委員長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  289. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいまの御指摘でございますけれども、私どもまず裁判所に民事訴訟として提起された事案と、公正取引委員会が、仮にそれが同じ当事者の間で争われている問題であっても、独禁法上それをどういうふうに評価するかということは、これはもちろん提供される証拠事実その他が違うということも含めまして、これは違う判断が生ずるということはあり得ることだと思います。  私は具体的な事案の内容を詳細に存じているわけではありませんけれども、ただいま御指摘のような事案があることが、直ちに公取の独禁法上の判断あるいはその違法行為に対する措置が非常に、今の御指摘では、大変それは根拠が薄弱である、あるいは扱い方がおかしい、そういう御指摘でありますけれども、大変恐縮ですけれども、私はそれは誤解に基づく御指摘ではないかと思います。  それからまた、先ほど来おっしゃっておられた公取の職員が、先ほど当方の審議官がお答えしておりますのは、公正取引協会という財団法人の行う啓蒙普及活動に講師として参加することがあるということを申し上げているわけですが、それが週に一回、大手の業者との何か懇親会というふうに、そういうふうに表現されますと、これは私どもとしては甚だ不本意でございます。  それから、その講演で独禁法の理解、啓蒙普及に努めるために一般の方に申し上げる公取側の講演の内容というのは、申すまでもなく具体的な事案の内容に触れるようなことはあり得ないわけでありまして、一般的にこういう事案に対して独禁法はどういう判断を下すのか、シロであるのかクロであるのかあるいは灰色であるのか、そこにどういう問題があるか、あくまで一般論として、例えばガイドライン等に基づいて解説をするということに尽きるわけであります。  これは、私どもの仕事、特に具体的な事案についての行政処分を行うということ、しかもそれは、訴訟になります場合には、その訴訟の前提として厳密な証拠をもって確認をされなければいけないという内容のものでありますから、そういう具体的な事案に従事している者が、いやしくも、どんな場合であるにせよ、その内容を外部に話をする、云々するというようなことは、これは守秘義務が厳重に課せられているということもあります。そういうことは全くございません。その点は、恐縮でございますけれども、先ほど来のお話は私は大変不本意に受けとめております。
  290. 秋葉忠利

    秋葉分科員 不本意なのは結構なのですけれども、要するに我々は調査の内容について、幾ら弁じられてもその内容を知ることができないわけです。そうでしょう。だから、そういうふうにおっしゃられると、私たちは悪いことはやっていませんよというお話ですけれども、本当にそうなのかどうかという判断の基準がないのです。  しかも裁判との差について、それはあり得ることだ、それはあるでしょう。人間の世の中だから、その差はありますけれども、常識的に考えて、同じ事件について裁判と公取とが異なった判断をした場合には、これは裁判所も当然ですけれども、公取もなぜそのような違いができたのかということは、これは当然振り返って検証をしてみる必要があることだと思います。  私はそのくらいのことは当然おやりになっていると思いましたけれども、今のお答えでは、そういった知的に当然だれでも考えるようなことはやらずに、自分たちは正しいのだから絶対に間違っていることはないということだけおっしゃっている。それを調べる手段がないから、表にあらわれたものをお見せした上で、こういう疑いがあるけれどもどうなのですかということを言っているわけですよ。これでは水かけ論です。今おっしゃったのは、自分たちは絶対に間違いを犯さない。ということは、要するに自分たちは神様であるということと全く同じなわけです。そういうような権限を公正取引委員会は持っているとは思えません。  それから、懇親会についてですけれども、私が申し上げているのは、すべてが懇親会だなどということは言っておりません。懇親会も含めてそういったものがあるということを言っているのです。懇親会がいつ開かれたかということを申し上げましょうか。九三年一月十九日、東京プリンスで開かれた会については、これは十七時三十分から十九時三十分まで懇親会が開かれておりますし、これは公正取引協会の文書によれば、「出席した会員との自由懇親」ということになっております。そこに小粥委員長も出席されております。こういったことを私はもとにして質問しているので、それをただ単に否定をすればそれが真実になるというような形で発言されたのでは全く困ります。  時間がありませんので、この問題については、決算委員会のみならず、今議長席に座っている石井紘基議員が中心になって国民会計検査院というような議員それから市民の運動体というのをつくりましたし、あるいはこの問題については、さらにJustPriceという市民運動でこういった問題についての事実関係をきちんと確かめた上で、本当に公正な立場から公正取引委員会がこういった問題について対処しているのかどうかについて、改めて問題提起をしたいと思います。  失礼な点があったかもしれませんが、残念ながら我々にとっては、何回も言いますけれども公正取引委員会が何をやっているのかがまるっきりわからない。何度も何度もいろいろな形で伺っておりますし、問題提起をしております。そのたびに返ってくる答えは、私たちは正しい、あなた方は誤解をしている、間違っているという答えばかりです。人間としておまえは間違っているということを何度も何度もそういう形で言われますと、少々感情的にもなってくるところですから、そこのところはお互いさまというところで御理解をいただければ大変ありがたいと思います。  問題提起をさせていただきました。ありがとうございました。
  291. 石井紘基

    石井(紘)主査代理 これにて秋葉忠利君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして総理府本府所管質疑は終了いたしました。  次回は、明三十一日午前十時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後六時二十八分散会