○嶋崎
委員 十分という時間ですから、簡潔に問題点を出して、
環境庁長官と
経済企画庁長官と、そして最後に
総理の御意見をお聞きすることで締めたいと存じます。
質問のテーマは、
予算書の中にある「付表」。「付表」に環境保全経費という
予算の説明がございます。
予算書の中では、毎年、初めの段階では「付表」の中に環境保全経費という格好で総括表が載っておりますが、
決算を見ますとそれは消えてなくなっているのが、今日までの姿であります。それを
決算書に起こせという
議論をきょうはするのではありません。
そこで、環境保全
予算という、
予算にそのような「付表」がついたのはいつかと調べてみましたら、最初に出てきたのは、環境庁設置に関するその年に出てきたことから始まるわけです。昭和四十六年の七月に環境庁は発足しますが、したがって、その年の
予算に環境庁の必要性を明らかにしなければなりませんから、改めて
予算書に「付表」というものをつけまして、そのときの項目は、公害対策の経費として始まったものであります。
ところが、二年しまして、昭和四十八年から、環境保全経費というふうに
予算の当初の「付表」の項目の名称が変わるわけであります。それから今日に至るまでずっと毎年、当初
予算の説明の中には、この「付表」の、環境庁がくくろうとする環境保全経費という形で今日まで来ております。当初
予算の説明にはありますが、
決算の段階では、これがどのように
決算全体として環境庁の側から見るような
決算が行われたのかは表に出ておりませんから、だれもわからぬわけであります。
さて、ところで、この表の中で大変注目すべき時期がございます。昭和四十六年から
平成六年までの長い間の環境保全経費というのは、これは最初に環境庁がスタートするときの公害対策費に相当する費目で当初
予算の費目が全部つくられてきたのであります。ところが、
平成六年を境にしまして、この表を見ますと、正確には
平成六年の前の年、
平成六年の
決算書はもう出ていますけれ
ども、この
決算書にはそんなものはありませんから、
予算の上で補正などを入れて締めくくった費用と、それを前提にして、
平成七年度からこの環境保全経費の中身の項目は変わります。これは重大なことなんです。
なぜ変わったかと申しますと、その
平成六年の十二月には、環境基本法がその前の年にできて、それに基づいて環境基本計画というものを閣議で決定されて、そして
予算編成に入ることになりましたから、その年を境にして、環境経費というのは、かつては全部公害対策費だった環境保全経費が環境基本計画に基づいて四項目に整理されました。
第一項目は、「循環を基調とする経済
社会の実現」という項目が一項目め、二番目は、「自然と人間との共生の確保」という項目に二項目めが入り、三項目めが「すべての主体の参加の実現」という項目に変わり、そして「国際的取組」というふうにして、環境保全経費は
平成七年度を境にして、それ以前の経費のように公害対策、公害対策でくくってきたものがくるりと変わったのは、基本法と基本計画が閣
議決定された結果であります。
さて、それからが問題です。そこで、まず
環境庁長官に聞くわけでありますが、
平成六年度の当初
予算のときに環境保全経費としてくくられている、私は山の専門家ですから、森林の関係でいきますと、これは国有林の特別会計の中に一般会計入りますから、
予算項目上は国有林特別会計に入ります。
平成六年の当初
予算には、環境保全経費の林、農林関係は九億七千三百万です。それが、年度を締めくくったとき、次の
予算編成に必要な、次に締めくくっていくときには百倍にはね上がりまして、「循環を基調とする経済
社会の実現」のところに、国有林特別会計は五百二十五億、そして「自然と人間との共生の確保」のところには五百八十七億。当初
予算では九億、約十億ですけれ
ども、
それの百倍の締めくくりが行われているのがこの総括表なのです。つまり、
平成七年度は環境保全経費というのは変わったということです。重大な意味があるし、私はこれは非常に正しい方向だと思います。
ですから、例えば、
平成六年度の当初
予算の当時の環境保全経費は、総額約一兆九千億です。それが、三月に締めくくったときは、二兆五千百億というふうにぽんとはね上がるわけです。当初
予算で十億といったものが、三月に締めたその年には百倍になって、締めてある数字が上がっているわけです。
これは別におかしいことはないのですよ。例えば、農林でいうならば、林野庁がもともとくくっている中で、環境庁が見たときには十億にしか最初は見えなかったが、環境保全で新たにくくり直してみたら百倍になってしまった、それだけのことでしかないのです。ですから、
予算上、大蔵省としては何もけちをつけることはありません。しかしこんな、
予算書をちょっと注意して見たら、何でこんなことになるのですよとわからなければならないのが、我々立法府からの疑問になるわけです。しかし、これは別におかしいことは
一つもありません。
そこでお聞きします。
さて
環境庁長官、環境基本計画をつくって、当初
予算から前の
平成六年度
予算とは違う項目でくくってみたら、前の年の当初
予算と違った三月期の試算の総数に合わせて
平成七年度
予算の当初
予算が
編成された。これを境にして、これからは環境基本計画に基づいて、国のかけたコストをいかに効果があるかという運用を今なさっているはずです。
さて、環境基本計画によりますと、その最後のところに、僕は大きいパンフレットを持ってきましたが、これを見ますと、「計画の進捗
状況を毎年点検するとともに、経済
社会の変化に柔軟に対応し、五年後程度を目途に計画の見直しを行うこととします。」こう書いてあるわけです。
平成七年度から変わったのですね。七、八、九、十、十一年。大体国のすべての五カ年計画はことしが境ですから、森林整備でいいますと、これから始まって十二年、治山も大体これから始まって十二年、ですから、大体今からの五カ年計画になりますから、この時期には環境庁は、基本計画に従って、ここに出されているような見直しを行うという約束を実施するための項目の洗い直しを毎年度
予算において行っているかどうか、これが第一問。
そして、その際の環境保全経費は、
平成七年を境にして、六年以前の長い間の公害対策費が変わったという意味を踏まえて、その意味は何かといえば、一口で言うと、
日本経済の成長の型を安定的にして持続的成長、つまり、
世界の内外から環境サミットで提起された問題にこたえてどのように対処するかということのあらわれだと思います。その意味で、このような
日本経済の成長の型を環境保全型に変えるという方向に向けて現在のフォローアップが行われているのかどうか、この二点をまず
環境庁長官。
それで、もう時間がありませんから次をやっておきます。
経企庁
長官には、したがって、昨年の六月に御発表になられましたグリーンGDPは、既に言ってありますからもう今さらけちはつけませんが、あのときに基礎になった
政府側の資料は、この環境保全経費だったのです。あのときの統計資料は一九八五年と九〇年をとってあります。だから、今のような環境保全型の経費が入っていないのを基準にして企画庁はグリーンGDPを計算したから、森林などが頭にない経済になってしまったのです。
しかし、これから先、来年は環境の国際サミットがあるのですから、国連特別総会があるのですから、その総会に向けて
日本が臨むとすれば、
平成七年以降の環境保全経費に合わせて、グリーンGDPの、昨年六月の試算の方法を改めて再検討してつくり直さなければならない。そしてその意味をはっきりさせないと、本来の意味がわからない。
その意味で、経済企画庁も、安定的、持続的成長という二十一
世紀型の
日本の成熟
社会の成長というものにたえるための施策をお持ちのはずですから、かつての六月の指標、出されたものをこの七年度以降の数字に合わせて改めて、来年の国連特別総会に参加するまでに
世界に
日本の先進的な案をおつくりになる用意ありゃ否や、これが経企庁
長官への
質問。
お二人の
質問を受けて、
総理は、環境基本計画というのは閣
議決定で、
総理の
判断ですから、
総理はそれらを受けてどのようにこの一年の間に対処されるかの決意をお聞きすることにして、私の
質問を終わります。どうぞ、それぞれ答えてください。