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1996-06-13 第136回国会 衆議院 決算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年六月十三日(木曜日)    午後六時開議 出席委員  委員長 中島  衛君   理事 稲垣 実男君  理事 佐藤 静雄君   理事 福田 康夫君  理事 竹内  譲君   理事 前田 武志君  理事 若松 謙維君   理事 田中 昭一君  理事 石井 紘基君      伊藤宗一郎君     久野統一郎君     田野瀬良太郎君     東家 嘉幸君      三塚  博君     水野  清君      横内 正明君     上田 清司君      熊谷  弘君     鳥居 一雄君      西  博義君     渡部 恒三君      赤松 広隆君     三原 朝彦君      嶋崎  譲君     小泉 晨一君  出席国務大臣         内閣総理大臣  橋本龍太郎君         法 務 大 臣 長尾 立子君         外 務 大 臣 池田 行彦君         大 蔵 大 臣 久保  亘君         文 部 大 臣 奥田 幹生君         厚 生 大 臣 菅  直人君         農林水産大臣  大原 一三君         通商産業大臣  塚原 俊平君         郵 政 大 臣 日野 市朗君         労 働 大 臣 永井 孝信君         建 設 大 臣 中尾 栄一君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     倉田 寛之君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)梶山 静六君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 中西 績介君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)      岡部 三郎君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 臼井日出男君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      田中 秀征君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      中川 秀直君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 岩垂寿喜男君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 鈴木 和美君  出席政府委員         内閣官房内閣内         政審議室長         兼内閣総理大臣         官房内政審議室         長       藤井  威君         内閣法制局長官 大森 政輔君         内閣総理大臣官         房管理室長   安藤 昌弘君         警察庁生活安全         局長      泉  幸伸君         総務庁行政監察         局長      大橋 豊彦君         防衛庁経理局長 佐藤  謙君         経済企画庁調査         局長      中名生 隆君         環境庁長官官房         長       田中 健次君         環境庁企画調整         局長      大西 孝夫君         国土庁長官官房         長       竹内 克伸君         法務大臣官房審         議官      山崎  潮君         外務省経済協力         局長      畠中  篤君         外務省条約局長 林   陽君         大蔵大臣官房総         務審議官    武藤 敏郎君         大蔵大臣官房審         議官      尾原 榮夫君         大蔵省主計局次         長       林  正和君         大蔵省理財局長 田波 耕治君         大蔵省銀行局長 西村 吉正君         国税庁課税部長 内野 正昭君         文部大臣官房長 佐藤 禎一君         文部省生涯学習         局長      草原 克豪君         厚生大臣官房総         務審議官    亀田 克彦君         厚生省老人保健         福祉局長    羽毛田信吾君         農林水産大臣官         房長      高木 勇樹君         農林水産省畜産         局長      熊澤 英昭君         通商産業大臣官         房商務流通審議          官       大宮  正君         運輸政務次官  北沢 清功君         運輸大臣官房長 戸矢 博道君         運輸省航空局長 黒野 匡彦君         郵政省電気通信         局長     五十嵐三津雄君         労働大臣官房長 渡邊  信君         建設大臣官房長 伴   襄君         建設省道路局長 橋本綱太郎君         建設省住宅局長 梅野捷一郎君         自治大臣官房長 二橋 正弘君         自治省財政局長 遠藤 安彦君  委員外出席者         大蔵省主計局司         計課長     田頭 基典君         会計検査院長  矢崎 新二君         会計検査院事務         総局次長    中島 孝夫君         会計検査院事務         総長官房総務審          議官      牛嶋 博久君         会計検査院事務         総長官房総務課         長       円谷 智彦君         会計検査院事務         総局第一局長  深田 烝治君         会計検査院事務         総局第二局長  森下 伸昭君         会計検査院事務         総局第三局長  山田 昭郎君         会計検査院事務         総局第四局長  五十嵐清人君         会計検査院事務         総局第五局長  平岡 哲也君         参  考  人         (日本銀行理事)安斎  隆君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     黒川  弘君         参  考  人         (地域振興整備         公団副総裁)  粟屋  忠君         参  考  人         (畜産振興事業         団理事)    岩村  信君         決算委員会調査         室長      天野  進君     ————————————— 委員の異動 六月十三日  辞任         補欠選任   宇野 宗佑君    田野瀬良太郎君   綿貫 民輔君     久野統一郎君   渡部 恒三君     上田 清司君 同日  辞任         補欠選任   久野統一郎君     綿貫 民輔君  田野瀬良太郎君     宇野 宗佑君   上田 清司君     渡部 恒三君     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成四年度一般会計歳入歳出決算  平成四年度特別会計歳入歳出決算  平成四年度国税収納金整理資金受払計算書  平成四年度政府関係機関決算書  平成四年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成四年度国有財産無償貸付状況計算書  平成五年度一般会計歳入歳出決算  平成五年度特別会計歳入歳出決算  平成五年度国税収納金整理資金受払計算書  平成五年度政府関係機関決算書  平成五年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成五年度国有財産無償貸付状況計算書      ————◇—————
  2. 中島衛

    中島委員長 これより会議を開きます。  議事に入るに先立ち、本日、福岡空港における航空機墜落事故でお亡くなりになりました方々に対し、決算委員会を代表して哀悼の意を表し、心より御冥福をお祈り申し上げますとともに、負傷された方々にお見舞い申し上げます。      ————◇—————
  3. 中島衛

    中島委員長 平成四年度決算外二件及び平成五年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、各件について締めくくり総括質疑を行います。  質疑に入るに先立ちまして、質疑者各位に申し上げます。  質疑時間は申し合わせの時間を厳守されるようお願いいたします。  また、政府におかれましても、各質疑者質疑時間は限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲垣実男君。
  4. 稲垣実男

    稲垣委員 私は、自由民主党の稲垣実男でございます。  本日は、橋本内閣総理大臣には当決算委員会に初めて総理として御出席をいただきました。率直に申し上げますと、総理は常に血も涙もわかる政治家として、そして本当に長生きしてよかったと思う社会を実現したいと言っておられまして、まことに人間味があり、人情味のあふるる人であると思っております。  かつて社会労働委員会にともに籍がございましたとき以来、大変御指導いただいております。理論家として筋道を立てて論じられる方だけに、また自分にも大変厳しく、人にも厳しく求められる人ではございます。そして、常に庶民大衆立場に立って物を考え、政策をつくる。庶民大衆の心をつかんで判断をされる。最後まで情熱を持って事に当たられます。大変尊敬をいたしております。  橋本総理はそういう人であられるだけに、決算というのは審査するのに極めて厳正、公平なものでございますだけに、私は橋本総理に、冒頭まず決算審査に対する総理としてのお考え、御所見を承りたいと思います。  そして、御承知のことでございますが、本委員会は、憲法第九十条に基づきまして国会に提出されました決算を、国会議決により成立した予算が適正かつ効率的、有効的に執行されたか、そして、行政効果経済効果等について国会財政監督権立場から審査を行い、その結果を将来の財政計画予算編成及び行政執行に反映をさせることにその目的があると考えております。  しかしながら、きょう審査をしております平成四年、五年度の決算審査ともなりますと、大変当時から時間がたち過ぎております。問題の指摘視点も変わってきております。  かつて私は、決算委員長のときに、そういう時間的経過からして、短期間でしかも十分な審査時間をかけて行うという方法がないものかなということを考えまして、国会決算が提出されたら速やかに審査を行う、そして予算に反映させる、そういった本来の姿に早く戻すことが必要だということで、当時四つの分科会による審査を提案いたしましていろいろ議論を進めてまいりました。各党全員の賛同を得まして、平成二年、三年の決算審査からこの方式を実施してまいりました。  予算委員会を初め各常任委員会の合間を縫って審議をするのでありますから、いわゆる時間的制約もございます。そして、平成二年、三年、四年、五年の決算をこの二年で一挙に審査をしてまいりますと、予算決算の単年度ずつの審議と違って、一つの時間的な、何といいますか流れといいますか財政の経緯というものを強く感じております。  そこで、近年の公債残高急増等により国の財政は極めて深刻な状況下にあるということがよくわかってまいりました。現在、二百四十兆円もあります。財政再建は、超高齢化、超少子化時代を迎えての観点からも緊急の課題となっております。国民の皆さんにも、この実態と将来への政策展開というものを率直に今ここで訴えて、そしてよく認識をしてもらい、理解をしていただくことが必要だな、私はこのように考えております。  国の収入としての税のあり方、支出の適切な縮減、行財政改革等を本当に強力に今こそ推進してもらいたいと存じます。待ったなしの財政健全化に向けて思い切った対策を講じてほしいと思いますので、ぜひひとつ総理のこれらのお考えをまず承りたいと思います。
  5. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 冒頭、御報告とともにおわびを一点申し上げたいと存じます。  本日十二時八分ごろ、福岡空港におきまして、ガルーダ・インドネシア航空DC10型機が、離陸時、一たん離陸をいたしましたものの、滑走路南延長上約五百メートルの飛行場内の緑地に墜落、炎上いたしました。  既に三名の方が亡くなられ、現時点で、四時四十五分現在の報告によりますと、病院へ搬送されました重軽傷者百八名が確認をされておる状況であります。  しかも、機体の後部はまだ鎮火せず消火作業が続行をいたしております。  亡くなられました方々の御冥福をお祈りをいたしますとともに、負傷されました方々のおけがが多少ともに軽く済むことを心から願っております。  そうした中で、本日決算委員会の御審議のあることは承知をいたしておりましたが、とっさ判断で、運輸大臣に現地に向かうように指示をいたしました。委員会の御了承をとらずとっさ判断で行いましたことをお許しをいただきますことを、まず冒頭お願いを申し上げます。  また次に、今委員から御指摘のありました諸点についてでありますが、私どもは、国会における決算審査というものは極めて重要であり、厳粛なものだと受けとめております。委員会審査につきまして、特に委員決算委員長であられました平成二年度及び平成三年度の決算審査から分科会方式を導入していただくなど、審査効率化につきましても大変な御努力をお払いをいただきました。心から敬意を表したいと思います。  政府といたしましては、本院の決算審査効率化の御努力を踏まえまして、今後ともに、決算審査に際し一層の努力をしていきたいと考えております。  そして、議員が御指摘をされましたように、今我が国財政は、平成八年度予算におきまして二十一兆円に上る公債発行に依存せざるを得ない状況に立ち至っておりまして、国債費政策的経費を圧迫するなど、構造的に極めて厳しい、もはや危機的状況と言っても過言ではない状況に立ち至っております。  このような財政事情のもとで、できるだけ速やかに健全な財政体質をつくり上げていくということが緊急の課題でありまして、国会における御論議あるいは財政制度審議会、各種の審議会の有機的な連携のもとでの御議論などを踏まえながら、国民の御理解、御協力を得ながら、財政構造改革に強力に取り組んでまいりたいと考えており ます。  殊に、従来それぞれの審議会が別個の立場議論をされますために、問題の認識をお持ちいただきながら必ずしも有機的な連携がとれませんでした。今回、お願いを申し上げまして、経済審財政審政府税制調査会、そして国民負担率という視点を持って御論議をいただくことを願いながら社会保障制度審議会の四審議会、その会長会長代理にお集まりをいただき、認識をそろえていただき、あわせて事務局相互連携をもとりながら、共同してこれに当たっていこうと考えております。  国会におかれましても、ぜひ御協力を賜りますよう、心からお願いを申し上げます。
  6. 稲垣実男

    稲垣委員 大変力強い橋本総理の決意を承りまして、感謝いたしております。  次に、本委員会でも最終的に終わりますと決算議決をいたすわけでありますが、その決算議決に対する内閣のこういった措置がたった一回の報告だけで済まされないように、そして議決した指摘事項の趣旨を将来にわたって、そして次なる予算編成あるいは行政執行に的確に反映していく必要があると思いますが、総理の御所見をお伺いしたいと思います。
  7. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 国会における決算審査の中で、従来からさまざまな角度での問題の御指摘をちょうだいしてまいりました。そして、その折その折にちょうだいをいたしましたその示唆というものは、私どもなりに国政の中に生かしてまいったつもりでありますし、国会における決算審査というものは、それだけの重みを持ったものだと心得ております。  従来から、予算の適正かつ効率的な執行に留意をする、これは政府として当然のことでありますけれども予算編成などに当たりましても、国における議決予算執行実態などをでき得る限り反映させていくよう努めてまいりました。今後ともに、決算審査重要性というものを十分認識しながら、なお一層の努力をしてまいりたい、そのように考えております。
  8. 稲垣実男

    稲垣委員 実はきょう、昼に自民党で、行革推進本部からいろいろなことを承りました。  橋本行革基本方向といったような一つのビジョン、そういったものを非常に期待されておりますが、まだ未定稿ということでございますので残念ながらここで申し上げるわけにいきませんが、とにかく国際的には待ったなしの大競争時代に入っておるわけでありますので、これらの問題については、今や地球規模で生じた大変厳しい競争に勝つために、企業やそれぞれ努力している人は、非常に有利な環境を求めて国境を越えて移動しているような現状でありますし、人や企業が国を選ぶ時代が到来しておるということでもあります。  また、我が国国内条件は、先ほど申し上げましたとおり、人口構造高齢化少子化あるいはまた巨額の財政赤字バブル経済の後遺症など、こういうものがございますし、特に総理は、非常に超高齢化社会、少子問題について御造詣が深いわけでございます。これからの健康な高齢者人たちが、将来寝たきりにならぬように、また自分たち自助努力をして、そして楽しく生きがいを持って暮らせる、そういった長寿村コミッティーというものを、かつて私は、特別委員長をやらせていただいたときに、党に懇談会をつくって、そして二十一世紀の新しい高齢者像というものを提言したことがございます。  こういったコミッティーやそういったものをつくって、実は生きがいがあり、そして長生きしてよかったな、総理がおっしゃるようなことをぜひひとつ、後追い政策といいますか、寝たきりの人やあるいは痴呆症人たちができたからこれに対して対応するということじゃなくて、高齢者の人が積極的に、そういう落ちこぼれになっていかないような体制をみずからがつくっていく、こういうことについて、ぜひひとつ総理も先頭に立って後押しをお願いいたしたいと思います。  御答弁は、もう時間がございませんので後の質問者に交代いたしますが、ぜひひとつ頑張っていただきますよう、心からお願いを申し上げて、私の質問は終わりたいと思います。
  9. 中島衛

    中島委員長 次に、福田康夫君。
  10. 福田康夫

    福田委員 私は、今大変重要な問題でございます財政問題、これについて質問をさせていただこう、こういうふうに思っておったのでありますけれども、若干稲垣委員からも御指摘、御質問がございましたし、時間のことがございますので、まず最初にODAのことについて質問をさせていただきたい、このように考えております。  ODAにつきましては、私なりにその意義というものを考えて、そしてそれを御披露申し上げたいと思うのでありますけれども日本のこれからの社会を見通しました場合に、これからは、高齢化がピークを迎えるという二〇二五年、これに向かって邁進をしておるところでありますけれども高齢化に伴います貯蓄率の低下、そしてまた、それに伴いまして経常収支黒字の減少が続く、このように私は単純に考えて想像をいたしておるところであります。  いろいろな予測がありますけれども、二〇一〇年ごろになりますと、経常収支はとんとんになる、そしてまた黒字はゼロになる、こんなふうな可能性が極めて高いのではないかなというふうにも思います。  もしそういうふうになりますと、為替レートは現在百八円でございますか、このレートが、購買力平価、今でいいますと百八十円でございますけれども、この百八十円にだんだんとさや寄せされていくのではないかな、こんなふうに思っております。  そうなりますと、国民一人当たりGNP、これはもう今では日本世界トップレベルと申しますか、トップかもしくは二位、三位というふうなところに位置づけられておりますけれども、現在約三万ドルでございますが、これが百八円と百八十円の差ができまして、六〇%は減価する可能性がある。そのときにはGNPは一人当たり一万八千ドルというふうなことで、これは今の価値に換算しての話でございますけれども、かなり低い水準になってしまう可能性がある。そうなりますと、もうその時代にはもはや経済大国というふうなことが言えるような時代ではないんじゃないか、こんなふうに思っております。高齢化社会というのは経済的にいえば大体そんなふうなことであるのかな、そんな感じもするのであります。  我が国は、御承知のとおり、重要商品については海外依存が強く、そしてまた輸出入のための海上輸送、これも世界の二割は占める、こういうふうな海外依存海上依存国家である、こういうふうに私は言っておるのでありますけれども、そういうふうな特殊な国の一つではなかろうかというふうに思っております。  そういうふうな国にとって何よりも大事なことは世界の平和と安定であるということは、これはもう論をまたないわけでありまして、そのことをかねがね自覚いたしておりました我が国は、いろいろな方策をとってきたわけであります。  その中で、例えば世界一の規模を誇るODAというものもございますし、また、国連に対する拠出金も、米国に次いで多額のものをしておるということでございます。それは、そういうふうなことの自覚の証左であると言ってもいいのではないかというふうに私は思っております。  私は、二十一世紀というのは、国家イメージをめぐる闘いの時代、こんなふうにも考えております。  これは、巷間そういうふうなことも言われておりますけれども、こういう時代を乗り切るためには、国際社会の支持と協力を取りつけられるような国家目標を掲げなければいけない、こういうことで、これを推進するということがどうしても必要になってまいります。ましてや、二十一世紀初頭には、もはや経済大国ではない、高齢化社会日本国、こういうふうな位置づけになるわけでございまして、こういう日本にとって、国家目標世界に対してさらに強くアピールすることが必要に なってくるのではないかというふうに私は考えております。  こういう意味から、我が国の戦略の柱として大きな役割を担っているのがこのODAであるというふうに位置づけてよろしいかと思いますし、また、対外的には日本という平和国家象徴的存在であるというふうにも考えております。  実際問題、日本国際社会の中で誇り得るものというのは、日本の顔として通用するものでございますけれども、これは何であろうかなというふうなことを今考えてみますと、例えば科学技術、これは今までの優位というものは今少し揺らいできておるというふうなことも言われております。社会の安全、これもひとときの神話にすぎなかったというふうにも言われております。また、行政の信頼も失われつつあるということもございます。また、あの世界最強金融システムと言われていた部分も今は批判の対象になっておる、こういうふうなことでございます。また、さらに申し上げれば、暴力団を温存する社会、こういう国際的な見方もできるのではなかろうかというふうにも考えております。  こういうふうなことになりますと、私は、世界の中で立派に通用し、かつ評価され、感謝されるものはODAではないのかなというふうに思っておるところでございます。  したがいまして、私は、これからODAというものは日本にとって極めて大事なものであるというふうに考えておりまして、これをいかに育てていくかということが、我が国としても大事な政策選択一つではないかというふうにも考えております。そのためには、このODA規模を拡大することも大事でございますけれども、その内容の充実を心がけるということも当然大事なことになってまいります。  そういう意味では、特に最近日本は、地球環境保全への貢献に環境ODAということでもって真剣に取り組んでいるわけでありまして、これは非常に高い評価も得ているというふうに私は思いますし、私自身も、高い評価をすべきであると思っております。ですから、こういう方面にはさらに力を入れていくべきであろうというふうに考えております。  また、近年は草の根無償資金協力というのが急速に拡大されてきております。これはまだ、額はことしで四十五億円ということでございます。ですから、金額的にはそれほど大きいものではないかもしれません。しかしながら、こういうものが拡充されてきておるということも大変結構なことだというふうに私は思います。  ただ、一つ注文を申し上げれば、お金を出して出しつ放しというふうなことではなくて、ちゃんと評価をするということをしていただきたい。評価をするということになれば、当然スタッフも必要だろうし、また、そういう体制も必要だということになりますので、そういうふうな準備をぜひ心がけていただきたいと思っております。  以上、私は、ODAのこれからの社会の中における位置づけというものをしてみたわけでございますけれども、まず外務大臣に、外務大臣としてのODAに対する認識、いかに重要に考えていらっしゃるか、これをひとつお尋ねしたいと思います。
  11. 池田行彦

    ○池田国務大臣 ただいま福田委員からお話がございましたように、我が国が存立していくためにも、海外との関係、そしてまた国際社会全体の安定、それから発展というものは非常に大切でございます。それからまた、平和国家であるという日本の特質からいたしましても、国際社会に貢献していく大きな柱としてODAというものが大切であるというのも御指摘のとおりだ、このように考えております。  そういったことで、これまでもODAにつきましてはできる限りの努力をしてまいった次第でございます。しかしながら、財政も大変厳しゅうございますから、我々も、ODAは大切だから幾らでも予算をくれというわけにはまいらない、効率的な運用に鋭意努力してまいらなければいけない、こう考えております。  しかしながら、一方におきまして、ODAというものが、単に国際社会に貢献するというだけではなくて、今日のように経済社会がグローバル化しているという状態の中では、ドナー国である日本のような国自身のためにもやはり必要だと思うのでございます。グローバル化する経済の中で、開発途上国が発展していく、そうして自由主義経済のシステムがずっと広がりさらに飛躍していくということは、いわゆる我々のような先進国という国にとってもやはりプラスの効果を与える、単に与えるのではなくて、我々自身のためでもある、こういう点もあると思います。そういうことで、極力この辺につきましては、国民の皆様方の御理解も得ながら今後ともその努力をしてまいりたいと思います。  そしてまた、内容につきまして、具体的に環境面の問題あるいは草の根無償についての御指摘がございました。  おっしゃるとおり、地球環境問題は、これから二十一世紀に向かって全人類が取り組まなければいけない重要課題でございますし、草の根無償というような、額は小さくてもきめの細かい、かゆいところへ手の届く経済協力というものが本当に大切だと思いますので、そういったものも進めてまいりたいと存じます。  それから、出しっ放してはなくて、きちんとフォローアップしなければいけない、評価をしなければいけない、そのとおりだと思います。評価をしながら、さらに、将来における経済協力が効率的に、また開発途上国の発展にも資するように工夫をしていくという観点が大切だと思います。  これまでも、そういった意味でODA全般につきまして、政府部内におきましても、大蔵省あるいは人員規模の面では総務庁等の御理解も得まして、いろいろ重点的に配慮されてきたところでございます。先ほど申しましたように、厳しい財政事情でございますから、我々としては、この面においても、決して聖域ではない、極力効率化に努めてまいりますが、なお、先ほど申しましたような、また委員の御指摘されましたようなODA重要性というものについては、政府部内また国民の皆様方の御理解を得ながら、質量両面でなお推進してまいりたいと考えている次第でございます。
  12. 福田康夫

    福田委員 ただいま大臣より財政事情というふうなお話がございました。余り無理はできないのだというふうなことも言われたわけでございます。ODAというのは、その必要度の高さにもかかわらず、そのような財政的な事情によってその伸びを抑制しようというふうな意見も出てきているというのは、私はまことに残念なことであると考えております。  そういうふうな意見が出てきている理由は何かということを考えますと、まず、財政事情の悪化にもかかわらず五年間連続して世界一の規模を続けている、こういうことであります。いいかげんにしてもいいのではないか、こういうふうなことではないかと思います。  それからもう一つは、アメリカとかドイツのような国がODA予算を削減する方向にある、こういうふうなことも、その理由の一つに挙がっているようでございます。しかし、私は、米国がODA予算を縮小しているからこそ、日本がその穴を埋めるという役割を果たすことを考えるべきではないかというふうに思っております。  例えば、南太平洋島興国、この一部の国で米国は大使を本国に召還しまして、なおODA予算を削るというふうな処置をしたのでありますけれども、その分を日本が肩がわりをするというふうなことをしてその国の民生に大変貢献をしているということであり、なおかつ大変な感謝もされておるという事実もあるわけでございます。  また、財政事情が悪化するということも、これもよくわかるのでありますけれども、先ほど申し上げましたように、海外依存国家日本として、ODA日本の生命線というくらいの考え方をしてもいいのではないかというふうに私は思っていま す。財政の苦しいときにODA規模を維持するということが海外に対する強烈なメッセージになるということでございますし、また、そのことによって国家イメージを高めるということにもつながるのではないかというふうに思っております。  それから、九三年から第五次中期目標で五カ年計画、七百から七百五十億ドルのODA目標を作成したわけでございます。これに対しまして、今年度、来年度二年間で最低三百億ドルを達成しないと、国際社会に対する約束に反することになる、要するに約束の金額を達成しない、こういうことになるわけであります。逆に、もし達成することができるならば、日本は国際的に公表した約束を誠実に果たす国家である、こういう姿勢を明確に海外に示すことができる絶好のチャンスであるというふうにも考えられるわけであります。  その場合に留意すべきは為替レート、これは、今まで円高方向に振れておりましたけれども、これからはどうも円安を念頭に置かなければいけない。そうしますと、高目の円レートで設定して、そしてこの金額が達成できるというふうに考えたらば、円安になって未達になってしまうというふうなことがあるわけでありますから、この点も十分な配慮をしていただかなければいけないというふうに思っております。  日本は、他国の実施するPKOにも、これも一〇〇%参加するような状態にないということであります。また、難民も大量に受け入れるというふうなこともできない。国際的な負い目を背負っておる、こういう事情にあるということも考慮しなければいけないと思います。それとあわせて、文化交流、こういう面におきましても、アメリカやドイツ、それからイギリスなどにもいまだにおくれをとっている、こういう事実がございます。そういうふうな面の拡充もぜひお願いしなければいけないし、このこともやはり負い目の一つかなというふうに私は思っております。  ですから、ODAの金額を決めるというときには、そういうこともあわせて配慮していかなければいけないのではないかというふうに思います。  もう一つ、最近中国が行った核実験に対しまして、円借款の供与を差しとめるべきだ、こういうふうな強い意見がございます。その意見は、多額の借款供与をしながら核実験をとめることができないという無力感から、ODAそのものも全体的に見直すべきだというふうな意見であろうかというふうに思っております。  これらの意見や心情は、私もよくわかるわけでございます。また、相手の国との交渉においては、借款の条件とするかどうか、こういうふうな議論も当然必要でございます。しかし、諸般の事情を考慮しますと、中国の核実験をとめさせるためには、米国を初めとする国際世論の圧力を高めること、これが私は一番必要なのではないかと思っております。日本だけで交渉してうまくいくものではないのではないかというふうに思っているのであります。そのために日本が各国に働きかけること、そしてまた平和への仕組みを構築するということ、そういうことによって中国を取り巻く環境整備をすることが必要であろうというふうに考えております。いずれにせよ、この問題は慎重に配慮して決定をすべき問題だというふうに思っております。  以上、私は、時間がないので相当飛ばしてお話をさせていただきましたけれども、最後に橋本総理に、ODAに対して今後総理としてどのようなお気持ちで対応していきたいか、そういうふうな総理のお考えを聞かせていただきたいと思います。私は大変大事なテーマであるというふうに考えておりますので、ぜひこのことについて重要視をお願いしたい、かように思っておる次第でございます。
  13. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、国際社会日本が貢献する手法がODAだけだとは思いません。しかし、平和国家であります日本にとりまして、やはりODAは国際貢献の非常に大きなよって立つ柱の中核であろう、そうは思います。そして、その必要性は十分認識しているつもりですし、これから先も、我が国の国際貢献を進める、そうした観点から、平成四年の六月に策定されました政府開発援助大綱の理念、さらに原則などを踏まえながら、政府開発援助の効率的、効果的な実施、そしてその充実に努めてまいりたい。そして、我が国の他の国際貢献策とあわせて、平和国家としての日本の存在を示していくその柱としたい、そのように受けとめております。
  14. 福田康夫

    福田委員 どうもありがとうございました。ぜひよろしくお願いをしたいと思います。  以上で終わります。
  15. 中島衛

    中島委員長 次に、前田武志君。
  16. 前田武志

    ○前田委員 やっとで平成四年度、五年度の決算の総括審議にこぎつけました。既に平成八年度の予算執行されているわけでございますから、理屈の上では、ことしの予算は、平成三年度までの決算の成果をフィードバックさせてこの予算が組まれているということになるわけでございます。その間に五年近いあきがあるわけでございまして、その間の経済構造の変化あるいは財政事情の変化、これはもう多大なものがあるのは御承知のとおりでございます。そういった意味で、我々決算委員会におきましても、決算委員会に課せられた責務ということを考えるときに、その責任を考えながら、もっともっと早く国の予算決算というものをやるべきであるとも思いながら、ここに至ったことに一種の感慨を覚えるわけでございます。  当然ながら、各委員指摘されておりますように、当決算委員会は、予算執行、その実績、そういったものの審議を通じてその問題点を明らかにして、行政目的の的確な、そして効果的な成果を上げていくように努めていくのが役目だろう、こういうように思います。  そういった意味において、今回の決算委員会審議を通じて、後ほど議決案が出るわけでございますが、その議決案においても、近年の公債残高等の急増等、そういう財政悪化というものを深刻に受けとめて財政健全化等に対しての議決をすべきであるというふうに提案をしております。  そして、当然のことながら、憲法九十条によって設置されている会計検査院の役割、その会計検査院がまさしく国の財政の、予算執行等の会計の監督、管理、そういったものを通じて効率的、公正な執行を裏づけていくわけでございますから、その会計検査院等の検査、そういったものを通じて、また財政改革に我々はそれをつなげていくといった意味におきまして、会計検査院の機能、役割、非常に大きいものがございます。そういったことも後ほど議決書の中に指摘するつもりでございますが、そういった観点から、きょうは財政構造改革に向けての序論的な質疑をさせていただきたい、こういうふうに思っております。  その前に、きょうのガルーダ航空の事故について簡単に現状を御報告いだだきたいと思います。
  17. 北沢清功

    ○北沢政府委員 お答えいたします。  本日の福岡空港における航空事故につきましては、冒頭決算委員長の御発言がございましたし、また総理から御答弁に触れてお話がございました。改めて運輸省の立場から、前田委員にお答えを申し上げたいと思います。  本六月十三日十二時八分ごろ、福岡発デンパサール、ジャカルタ行きのガルーダ・インドネシア航空所属のダグラス式DC10型機が、福岡空港において一たん離陸をいたしましたが、滑走路の南側の飛行場内の緑地に墜落し、大破炎上をいたしました。  同航空機には、乗客二百六十名及び乗員十五名の計二百七十五名が搭乗しておりましたが、現在のところ、うち三名が死亡、百八名が負傷をいたしております。  亡くなられた方々に心より哀悼の意を表しますとともに、御遺族の方々にお悔やみを申し上げます。また、負傷された方々には心からお見舞いを申し上げたいと思います。  今回の事故の消火、救助活動に御協力をいただいた警察、消防、自衛隊その他現地の方々に感謝を申し上げる次第でございます。
  18. 前田武志

    ○前田委員 早速運輸大臣も現地に行かれたということで、まさしく危機管理、的確な対応をしていただきたいと思いますし、冒頭委員長が申し上げたように、我々委員会一同、犠牲になられた方々に哀悼の意を表し、また御遺族の方々にお見舞いを申し上げる次第です。  さて、そういった飛行機による空港需要というものはどんどん拡大しているわけでございまして、後ほどまた議決書においても空港整備について、特にハブ機能を中心として整備を推進するようにということを言っておりますが、特に空港の安全性とかいったようなことも、こういった事故にかんがみて、空港整備そして安全の向上というものにぜひ心がけていただきたいと思います。  さて、本題に戻りまして、今の財政状況がどういうものであるかということを幾つかの象徴的な数字をもって示していただきたい、こういうふうに思うのです。  まず大蔵省にお尋ねいたしますが、本年度の予算における公債依存度あるいはその財政赤字の額及びそのGDP比、それからまた財政赤字の累積額、巷間よく国債で二百四十一兆と。地方債あるいは政府のその他の債務等をひっくるめまして、丸めて大体どの程度の総額になっているのか。それのGDP比を、概数で結構でございますから、そういった数字を教えていただきたいと思います。
  19. 林正和

    ○林(正)政府委員 お答え申し上げます。  まず公債依存度について申し上げますと、七年度の三次補正後で二八・二%でございます。それから、国、地方の長期債務残高でございますが、これは七年度末の見込みで申し上げますと、約四百六兆円、GDP比で八四%になっているところでございます。
  20. 前田武志

    ○前田委員 ここにOECDのエコノミック・アウトルックという表があるのですが、今御指摘のことも含めまして、各国の比較等が載っております。  そうすると、国及び地方の財政赤字というものの比率が九六年度末で八・二%、これが欧米等は大体三%以下です。例のEUの通貨統合の三%という基準があるわけですね。それから米国なんかも、これは議会と政府が今財政再建にそれぞれ取り組み、また大統領選挙の一つの争点にもなっているというふうに聞きますが、おのずからそういう歯どめがあり、国を挙げてそういう問題に取り組んでいるところです。  どうもこの比率を見ていると、日本は、イタリア並みかあるいはイタリア以上に悪い。今八十何%と、この累積残高を言われましたが、これなども、欧米はたしか六〇%という基準がありましたですか、恐らく日本よりも悪いのは、これまたせいぜいイタリアぐらいでしょうが、それも年々かなり改良に向けて努力をしているというふうに聞くわけでございます。  そういったものが今後どういうふうになっていくのか、大蔵省においての簡単な推計、仮定を置いての推計で結構でございますが、ここ数年先の展望を、このままでは推移がどういうふうになるのか、お示しできるものがあれば示していただきたいと思います。
  21. 林正和

    ○林(正)政府委員 お答え申し上げます。  先般国会にお示しいたしました「財政改革を進めるに当たっての基本的考え方」のうち、「中期的な財政事情に関する仮定計算例」、これは公債減額努力を怠り、現在の財政構造をいわば放置したケース、これによりますと、今後経済成長、名目成長率三・五%を前提といたしまして、これに伴いまして税収が増加をいたしましたとしても、例えば平成十年度と比較して十一年度は税収の増加は約二兆四千億にとどまると見込まれてございます。  他方、同試算によりますと、この年の国債費、地方交付税の増加が二兆四千億でございます。これに社会保障などの政策的経費の自然増が約一兆九千億、これらの合計額で約四兆三千億増加をすると見込まれております。つまり、名目三・五%で経済が成長いたしましても、現在の財政構造のもとでは、政策的経費の自然増に応じまして、単年度で約一・九兆円もの歳入歳出ギャップが拡大するというものになってございます。  したがいまして、このような財政構造のもとでは、現在既に二十兆を超える歳入歳出ギャップは年々拡大をしていくことになりまして、同試算によりますと、十年後の平成十八年度には国の一般会計の財政赤字は三十五兆九千億、公債依存度で二九・六%、財政赤字の対GDP比が五・一%に上るという計算に相なります。  これに伴いまして、十八年度末における公債残高は約四百八十二兆円、八年度末見込みが約二百四十一兆円でございますので、そのほぼ倍になる。その対GDP比は、これは国の国債だけでございますが、六八・九%に達するというようなことに相なるわけでございます。
  22. 前田武志

    ○前田委員 今平成四年度、五年度の決算審議をやっているわけでございますが、平成四年以降、ずっとこの不景気の中で、何度か景気対策、緊急経済対策等をやってきているわけでございまして、これの合計額たるや四十兆を超えるというふうに我々承知をしております。大蔵省からいただいた資料を見ておりましても、四年から六年までで合計額四十五兆ぐらいになるわけですね。  当初予算そのものも景気対策は随分やっているわけですが、それに加えてこれだけの景気対策をやりながらも、一向に景気は、目に見えてといいますか力強く立ち上がってきているというわけにはいかない。これは財政の波及効果といいますか、そういった乗数効果が随分落ちてきたというようなことにも理由があるのかな、こういうふうに思います。  この前、金融特別委員会をちょっと拝聴しておりましたら、大蔵大臣が、とにかく市場原理というものを重視して市場の活力というものに期待してやっていくのだというふうにお答えでございました。実は私が申し上げたいのは、こういった景気対策をやっても、その乗数効果がどんどん落ちている。かつては二以上あったのが一・三、さらに最近では一・一ぐらいではないか、こういうふうに言われております。  そういうふうになってきているのは何か。そこは、私はこの決算委員会を通じて、実は去年の四月、村山総理にも御質疑をした。そしてまた、その当時、橋本総理は通産大臣をされておられて、御質疑をしたことを覚えております。  ことしの予算委員会においても、私は三度にわたってこの問題について、例えば不良債権の問題も実体経済の中では土地の有効利用の問題ではないかというような観点から御質疑をして、総理から、不良債権はまさしく土地の問題だというお答えもいただいたのです。  その根底にあるのは、そういった実体経済が動くようにするためには、我々は、グローバルになった市場というものをよほど鋭敏に、そして全体像を認識して、それが本当に動くように、政治そして行政を通じてやっていかなければいかぬ。しかし、それが実際にはがんじがらめになって動きにくくなっているのが実態ではないかというのが私の認識なのです。  例えば、土地の問題は、有効利用一つとっても税制の上でがんじがらめになっている。そしてまた、地方分権は相当進んだとはいえ、その地域地域の土地利用というものがなかなかできなくて、縦割りの国の中央省庁にいろいろの規制を受ける、まあ土地利用の規制等ですね。地方分権も含めまして、そういった意味からもっともっと、不動産開発、土地、我々の町づくり問題一つとっても、そういう市場のグローバルマーケットというものを視野に入れてやっていかなければいかぬ、こういうふうに思うのですね。  そういう意味では、かつて十億の市場であったのが、社会主義経済圏がなくなり、そして中国、インドというあの巨大国家もグローバルマーケットに入ってきた、ここに大きな違いといいますか、もう次元が違うような変化を示しておるわけでございます。十億が四十兆、五十兆の市場になり、しかも情報化が進んできている。そういうことを 認識しながら、ぜひこの財政再建というものを、日本の持っている経済の活力を市場で発揮させるような、そういう方向に持っていっていただきたいと思うわけでございます。  大蔵大臣に、財政制度審議会で、財政構造特別部会等で検討を進めておられることを承知しておりますので、もう中身は時間がありませんので構いませんが、大蔵大臣としてそういう審議を踏まえて今どういうふうに認識しておられるのか、一言お聞きしたいと思います。
  23. 久保亘

    ○久保国務大臣 財政の問題につきましては、財政再建という狭い立場ではなくて、むしろ、今お話ございましたように、財政構造改革を進める中で今日の危機的な財政状況をどのように克服していくか、再建していくかということを考えなければならないと思っております。
  24. 前田武志

    ○前田委員 そこで、国会審議等を通じ、特に我が決算委員会は、そういった観点からも大いに財政構造改革等についてさらに審議を深めていきたいと思うわけでございますが、そのときの一番の頼りにするところが会計検査院でございます。  ほかにもいろいろ御指摘したい事例を用意していたのですが、時間がないのでとどめますが、要するに、会計検査院は、もちろん公式的には、あらゆる国の資金の行くところすべて検査の対象として把握されているということでございますが、実は一つとりますと、政府関係の資金が政府系の金融機関に流れる、それの運用、そのロス、いろいろな面がありまして、その全体について本当に検査院が的確に押さえておられるかというと、これは人員、組織、いろいろな面からいって問題も多々あるわけでございます。  この辺、今まで会計検査院は御努力を重ねられて的確な検査をやってこられたと思いますが、こういう経済のグローバル化、そして情報化、そういった中での急激な変化、そしてその中でのこういう財政構造の問題、そういったことについてぜひ検査院も新たな覚悟で取り組んでいただきたいと思いますけれども、ひとつ院長の御所見を伺いたいと思います。
  25. 矢崎新二

    ○矢崎会計検査院長 お答え申し上げます。  会計検査院といたしましては、近年の行政改革などによります効率的な行財政執行が強く求められている状況の中で、決算とかあるいは会計、経理の正確性、合規性、あるいは経済性、効率性のみならず、事業の有効性という観点からも広く検査を実施いたしております。  その結果、これまでにも各年度の検査報告におきまして、ダム事業や国営干拓事業などの長期大規模事業の実施についてのさまざまな提言を行いましたり、あるいは平成六年度の決算検査報告におきましては、東京共同銀行に対する日銀出資とか日本下水道事業団の入札談合などにつきましてその検査状況を記述しているところでございまして、これまでも検査報告の内容を拡大するための努力をいろいろと行ってきているところでございます。  本院としては、与えられました権限等の範囲内で検査体制を一層充実強化いたしまして、検査手法や検査報告の記述に工夫を凝らすなどいたしまして、国民の期待に沿えるよう努力してまいりたいと思っております。  そして、財政状況を把握することの重要性ということにつきましては、本院としても十分認識をしているところでございまして、ただいまの委員指摘の趣旨を念頭に置きながら、どのような対応が可能か、今後検討いたしてまいりたいというふうに考えております。
  26. 前田武志

    ○前田委員 財政構造改革というのはまさしく政府にとっては一番重要な課題になってきた、こういうふうに思うのですが、これは我々、国会においてもまさしく政治改革そのものにもつながってくる問題だと思います。財政を通じて、人事、組織、そういったところを通じてあらゆる構造にそれが行き渡っていく。したがって、この構造改革ということは、組織の問題であり、人事の問題であり、仕組みの問題でありというようなことで、分権も、規制緩和も、もうあらゆる面においての改革を求められている、まさしく政治改革だと思います。  最後に総理の御所見をお伺いして、終わりたいと思います。
  27. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今さら委員に申し上げるまでもないことでありますけれども我が国財政は、平成八年度予算におきまして二十一兆円に上る公債発行に依存せざるを得ない、まさに危機的な状況に立ち至っております。こうした中で、いかにして健全な財政体質を速やかにつくり上げていくか、容易なことではありませんが、我々はこの問題に真正面から取り組まざるを得ません。そして、そのためには、議員がお触れになりましたように、それぞれの分野の努力なくして対応のできるものではないと存じます。  国会の御論議も、当然のことながら我々にとりましては大きな助けでありますけれども、従来、財政制度審議会あるいは経済審議会、歳入を考えていただきます税制調査会、さらに国民負担率という視点から社会保障制度審議会等、それぞれのベースで御論議をいただいておりました各種の審議会一つに、会長会長代理方々にお集まりをいただいて、共通の認識を持ってそれぞれの守備範囲での御論議をいただこうとしておりますのも、そのような認識のもとにでございます。  これから先も、こうした御論議を踏まえながら私どもとしては財政構造改革に強力に取り組んでまいりたいと考えており、院の御協力をも心からお願い申し上げる次第であります。
  28. 前田武志

    ○前田委員 終わります。
  29. 中島衛

    中島委員長 次に、若松謙維君
  30. 若松謙維

    ○若松委員 新進党の若松謙維でございます。  本日は、決算委員会締めくくり総括ということで、他の同僚議員等の指摘も踏まえて総括的な質問をさせていただきます。  まず、日本決算制度、当然会計検査院制度も絡みますが、これは憲法でできて、一貫して大きな変化はございません。いわゆる時代の変化に対応しているかというと、結果として、制度自体変化していないわけですから、世界は変化しているということで、やはり日本決算制度等は古くなっているのではないか、そういう認識がございます。  私はアメリカに行ってまいりましたが、今、一九二一年予算会計法が改正になりまして、会計検査院が従来行政の中でやっていたチェック機能を議会に帰属させた。こういう大改革をして、それ以降、会計検査院の機能、いわゆる議会主導としての財政チェック、大変こういった改善がなされたわけです。  さらには決算制度ですけれども、これもやはりアメリカは努力をしまして、九〇年に会計法なるものを改正して、そして九八年までに、日本ですと今収支報告しかしていないのを、収支報告書だけではなくていわゆる貸借対照表、一般会計並びに特別会計を含めて今のバランスはどうなっているのか、そういうものを国がつくる法律をつくりました。そういうことで、今アメリカは大変強力にそういった改革を引き続いて行っている。  まず会計検査の組織のあり方なんですけれども、今、行政に、内閣に独立しているといういわゆる憲法での規定がありますけれども、現実にやはり会計検査院の方も人間です。定年制等もあるでしょうから、率直に言って、失礼な言い方ですけれども、天下りをしないとやはりなかなか人生を全うできない。こういうところで、いわゆる検査をする省庁に対して本当に第三者的にチェックしているのかというと、そこで非常になあなあ的なものが制度としてあるのではないか、私はこう思います。  私は公認会計士です。常にみずからを客観的に、そういう立場に身を置くという日々の鍛錬です。やはり会計検査院もそういう立場で——これは実は総務庁内の行政監察局にも言えます。会計検査院並びに行政監察局、これを議会に帰属させた方がまさに三権分立のいわゆるチェック機能として向上するのではないか、私はそう理解するのですけれども、いかがでしょうか、総理大臣。
  31. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、議員が公認会計士として極めて専門的な知識をお持ちであることには敬意を表します。その上で私は、会計検査院が内閣に属していると先ほど触れられたのは、何か誤解をしておられるのではないかと思います。  なぜなら、会計検査院は日本国憲法にその設立の根拠を持つものでありますし、会計検査院法におきまして、その第一条で「会計検査院は、内閣に対し独立の地位を有する。」と明確に規定をされております。会計検査院は内閣の一部ではございません。内閣から独立した機関として、他から何ら制約を受けることなく検査業務を遂行しておられると私は承知し、考えております。  そして、会計検査院の地位をどのように定めていくか、これは高度の立法政策にかかわる事柄でありますし、慎重な対応が必要だと私は考えております。  しかし、いずれにいたしましても、政府立場から申しますなら、会計検査院の検査機能の充実強化に努めていく必要があるということは当然のことながら考えておることでありまして、これまでも定員、予算の確保に配慮してまいりました。私自身が党のこうした関係の責任者をいたしておりましたとき、検査院の方々の出張旅費等につきまして、その引き上げのお手伝いをしたこともございます。私は今後ともに、国会の御協力もいただきながら、会計検査の機能が十分発揮できますように、検査院に対する最大限の協力を惜しまないつもりでございます。  また、行政監察についても国会に所属という御意見でございました。その場合、例えば検査院を国会に帰属させられる場合も同様の問題点があるわけでありますけれども、その人材の採用、育成といったものを立法府の機能の中で、例えば衆議院事務局とどのように区別し、あるいは衆議院法制局とどのように区別し、採用し養成するかといった問題点もあろうかと存じます。  しかし、そればかりではなく、私は、政府政府みずから、内部統制機能あるいは自己改善の機能の一環として、行政改革の推進を含む政府の重要政策課題の改革、改善に対し行政監察を行う機能を持つことは非常に大切なことだと思っております。一方、立法府が立法府のお立場として行政の監視のためにどう御活動いただくかということは、立法府が御判断をいただくことでありまして、行政府から口を差し挟むべきことではありますまい。しかし私は、立法府の行われる行政の監視というものと、総務庁が行政の内部にあって行う行政監察というものが、それぞれの立場から十分にその機能を果たしていくことが全体として最もよい効果を上げていくのではないか、そのように考えております。
  32. 若松謙維

    ○若松委員 やはり内部からの改革というところをおっしゃっておりました、内部からのチェックと。自己証明は証明にあらずという言葉があります。決算をチェックするという機能を高めるには、やはりさっきの三権分立、これを最大限に活用した方が独立性も強まるし、また権限等も強化されるのではないかと私は理解いたします。  実際に、恐らく会計検査院の方もやはり定年を終えられてどこかに再就職、そうする場合に、政府系の企業または団体等に再就職ということもあると思います。こういったことがあるということ自体に、独立性として問題があると私は思うのですね。まず、こういった事実があるかどうか。会計検査院、いかがでしょうか。
  33. 中島孝夫

    中島会計検査院説明員 ちょっと手元に資料がございませんけれども、数名の者が天下りというか、いわゆる天下りをしてございます。
  34. 若松謙維

    ○若松委員 これは大変きつい言い方ですけれども、やはり会計検査院は、独立性というものを本当にもっと厳しくやっていかなくてはいけないと思います。当然その分、保障として、例えば定年を延ばしてそういうしがらみがない立場を維持してあげる。これは、たしか小泉議員もおっしゃっておりましたが、少なくともこういうことは必要だと思います。また御説明いただきますと時間が終わってしまいますから、次の質問に移らせていただきます。そういった点、ぜひ検討していただきたいと思います。  それと、先ほどの前田委員質問されましたが、日本のいわゆる財政状態、バランスシートとしてどうなっているのか。これが直近の平成六年度決算の概要、まずこれから審議します。  この内容を見ても、私もこういう決算にはプロだと思いますけれども、正直言って、わかりません。非常にわかりにくい。なぜかというと、これはもう官僚用語なんですよ。官僚用語で、民間の理解しやすいような努力は全然されておりません。一貫してこのスタイルです。  それに対して、これがアメリカの一九九五年のアニュアルレポート、いわゆる年次決算書。これを見ますと、マスコミの人にも見せたいのですけれども、とにかくすっきりしているのですよ、非常に図を取り入れて。それで、さらに貸借対照表があります。そこに、まあ資産が若干あるわけですけれども、当然あちらの国も財政赤字です、約三百五十八兆円。これは資産を超える負債、いわゆる財政赤字分ですね。累積の財政赤字、約三百五十兆円ぐらい。その内訳は何かということで、まず国債、あちらですとフェデラルセキュリティー、約四百九十兆円。それに対して、政府としていろいろ運用している資産が百三十兆円、ネットとして約三百六十兆円ぐらい国としての負債がある、赤字なんだと。こういうふうに非常に明確に、このスタイルというのは企業決算書と同じスタイルです。アメリカは努力しております。恐らくニュージーランドも行政改革でかなり改善したと思います。  ところが、日本は相変わらずこのスタイルなんです。読みにくい。わかりにくい。そして、バランスシートがない。これは早急に改善するべきではないかと思いますけれども総理、いかがでしょうか。
  35. 林正和

    ○林(正)政府委員 アメリカにおきまして、先生御指摘のように、一九九五年度の予算教書から連邦政府の財務状況を貸借対照表の形であらわすという試みがなされていることは、私ども承知しております。この試みは、政府の財務状況についての情報を提供するということを目的としておって、財務状況について国民理解を得るためのアメリカの政府努力の一環だというふうに理解しております。  我が国におきましても、私ども従来から、国民各層に対して種々の資料等を提供いたしまして、広く国民の御理解を得るように努めてきたところでございますが、今後とも、財政状況につきまして国民の御理解が深まるよう努力を払っていきたいと思っております。  ただ、国の会計を複式簿記とすべきではないかということですが、これはもう先生御案内のとおりでございますが、国の会計は、その性格等におきまして基本的に企業の会計とは異なるものでございまして、一般的に政府の貸借対照表、損益計算書を作成することにはなじまないところがございます。  ただ、御案内のとおり、国の会計のうち企業活動に比較的近い活動を行っている特別会計につきましては、企業会計に準じた貸借対照表等を作成しておるところでございます。これからも引き続き努力はしていきたいと思っております。
  36. 若松謙維

    ○若松委員 結局、大蔵省の答えは、国の会計は企業とは違うと。確かに企業はつぶれますし、国はつぶれない。——果たして、国はつぶれないということを保証できる人はいるでしょうか。今、本当に厳しい状況だと思います。田中先生、そうですよね。そういう状況だからこそ、私は本当に、一括で、バランスがしっかりできる総括としての貸借対照表をつくるべきだと思うのです。  総理、どうですか。見解を求めます。——いや、前回大蔵大臣に聞いておりますから、大蔵大臣はやはり社民党御出身ですし、また会計に対する特別な考え方もあると思いますから、ぜひ自民党の……。
  37. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、できるだけわかりやすい手法を採用するように努力していく必要はあ ろうと思います。  ただ、議員と違い私は専門家ではありませんので、貸借対照表というやり方がベストであるのかどうか、それだけの知識を持っておりません。
  38. 若松謙維

    ○若松委員 専門家の立場から言わせていただきますと、ぜひ必要である、それを早急にやってほしい、これをまず指摘して、次の質問に移らせていただきます。  いずれにしても、こういった日本決算制度並びに会計検査院制度、ぜひ委員会としていわゆる公聴会等を開いて、幅広い国民の、専門家の意見を取り入れるよう、そのような御努力をしていただきたいと思いますが、委員長、お約束いただけますか。
  39. 中島衛

    中島委員長 理事会で協議をいたします。
  40. 若松謙維

    ○若松委員 続きまして、決算委員会でやはり同僚の弘友議員が質疑しましたパチンコ業界、これが総務庁調査で、今、年間約三十兆円の産業に育った。これは自動車産業の二倍です。大変巨額な業界です。  まず大蔵省にお伺いします。結局、脱税体質というのですか、一件当たりの脱税金額、パチンコ業界は、おととし二位になりましたけれども、ここ数年ほとんど一位です。脱税の巣パチンコ業界、これはもう税収という面から大変ダメージです。そういった点、どのように努力されているのか、また万年一位でよしとしているのか、ぜひお答え願います。
  41. 久保亘

    ○久保国務大臣 今御指摘がありましたように、不正脱漏所得金額におきましては、業種としては一件当たりの順位は一位と言われております。それだけに、国税庁といたしましても、重大な問題意識を持って調査し、厳正な課税に努めていると考えております。  なお、詳細、必要でしたら政府委員の方から答弁いたします。
  42. 若松謙維

    ○若松委員 厳正にやっているということですが、相変わらず脱税一位の座を提供している、こういうふうに国民は見ていると思うのですね。まだまだこういった脱税に対する取り組みは弱いのではないかと私は思います。  さらに、最近問題になってきたのが、ちょうど同僚議員が言いました偽造カードです。一年間で六百三十億円。偽造ですね、変造カード。さらには、外国人がいわゆる集団でパチンコのフロアを占拠しちゃって、それでかなりのダメージがある。それが先ほどの、総額として六百三十億円。  きょう、実は通産省の方と議論しました。自動車産業の倍もある産業だから、やはり規制という立場じゃなくて、少なくとも自主規制なり——通産省として、自動車課はあります。でも、パチンコ課とか遊技課等はありません。もっとこれは、例えば教育問題もあると思います。あと、パチプロが非常にふえている、ギャンブルで生活している、そういう問題もあるでしょう。やはり何か警察庁だけで、いわゆるアングラ的な業界であって、通産省とかまたは郵政省とか、これはテレカの問題ですから郵政省も関係していると思いますが、そういったところが正直言って把握していない。警察庁任せ、余り触れたくないところだから。  そういう感覚を強く持つのですけれども、通産大臣、これはいわゆる規制という意味じゃなくて、この業界の、三十兆円産業の健全化という観点から、警察庁任せではなくて、もっと牽制的な、他の省庁によるチェック・アンド・バランスというのですか、そういった見方が必要ではないかと私は思いますけれども、御意見を伺います。
  43. 大宮正

    ○大宮政府委員 お答えいたします。  私ども通産省といたしましては、これまで、余暇、レジャー産業を含むサービス産業一般につきまして、その発達、改善及び調整を図ってきておるところでございます。  パチンコ産業も、広い意味ではこうしたサービス産業の一環と考えられますけれども、このパチンコ産業につきましては、先生御承知のように、風適法において風俗営業として法定をされておりまして、営業が許可に係らしめられるとともに、営業所の構造または設備、営業時間等、事業の細目にわたり、同法による警察庁、正確に申し上げますと公安委員会でございますけれども、その広範な規制に係らしめられているところでございます。  パチンコ産業について、善良かつ正常な環境の維持等のためこういった広範な規制を必要とする現状においては、公安委員会により同法に基づく指導監督が行われていくのが適当である、こういうふうに考えております。
  44. 若松謙維

    ○若松委員 これで終わりますけれども、少なくとも、例えば保通協とかカード会社とか、こういったところに対しての警察官僚の天下りも実際指摘されております。議員もおっしゃいました。これは日本社会で、いい言葉で言えば仲よくと。ですけれども、結果的にもたれ合いで、先ほどの脱税がずっと続いている。問題もいろいろ広がっている。  これは、委員長、この決算委員会等で幅広い審議を要しますので、ぜひ集中質疑の時間を持っていただきたい。お約束いただけますか。
  45. 中島衛

    中島委員長 理事会で協議をいたします。
  46. 若松謙維

    ○若松委員 以上で終わります。
  47. 中島衛

    中島委員長 次に、上田清司君。
  48. 上田清司

    上田(清)委員 お疲れのところ恐縮です。  私は、住専の議論を通じて、大蔵省の銀行監督行政あるいは検査行政というものが基本的にできないのではないかという仮説に立って、過日から、五月十七日、五月三十日の決算委員会質疑をしてまいりましたが、その仮説を証明するために、具体的な事例として富士銀行赤坂支店の不正融資事件の裁判の記録を調査しております。具体的な事例を通じて、金融行政のあり方についてお伺いをしたいと思います。  まず、先日私が決算委員会分科会で伺いました富士銀行の本店稟議書、平成三年七月二日付の「赤坂支店問題の対処方針(個社別対処方針)」という書類でありますが、この中において尾花案件が処理されているということは、尾花さん自身、また富士銀行も七月二十五日に初めて中村元課長からの不正融資を知ったという富士銀行橋本頭取の国会答弁あるいは橋本総理国会答弁と異なるのではないかということを西村銀行局長にお尋ねしたところ、西村銀行局長並びに久保大蔵大臣も、実際に調査が終わった八月十六日付ではなくて、調査をスタートさせた七月二日付で役員室に書面による追認を受けたものであるという行内の内部の取り扱いの問題であるということを答弁されましたが、これは間違いありませんか。大蔵大臣にお尋ねしたい。
  49. 西村吉正

    ○西村政府委員 先般の決算委員会で富士銀行の報告について御報告申し上げましたことは、そのとおりでございます。
  50. 上田清司

    上田(清)委員 このことについて久保大蔵大臣も追認をされました。  そこで私は、四十五日にもさかのぼって追認が本当にできるのだろうかということを公認会計士の友達やあるいは弁護士、銀行関係者の皆さんに聞きました。異常な問題処理ではないかと。しかも、御承知のとおり六千億の不正融資。二千七百五十億における損失、損害額。そして、金融史上最大の事件だと言われたこの富士銀行赤坂支店の問題処理の調査の結果が、スタートさせた日付で処理をされる。追認して印鑑が押される。頭取以下二十名近い役員の方々の印鑑が押される。これはおかしいと。私は、内部慣行という形で大蔵省銀行局がそれを認められるということは、これはおかしい、どう考えてもおかしいということをいろいろな方々と相談して思いました。  そこで、日銀も銀行の考査という形で検査等々を行っておられるところでございますが、もし日銀でこういう事態を把握されたときには、そのこと自体も富士銀行の内部の慣行であるかどうかということについてお認めになるのかどうか、このことについて伺いたいと思います。
  51. 安斎隆

    ○安斎参考人 お答えします。  先生の御質問が一般的な不正事件の報告を日銀はどういう形で受けるかという御質問だと理解しまして、それにお答えします。  我々としては、原則として日付をさかのぼって受け付けていることはございません。不正事件の報告にはいろいろな種類がございます。速報的な連絡から追加的な報告まで、種々のものがございます。いずれについても、報告につきましては、報告を受けた日をもって報告日としております。
  52. 上田清司

    上田(清)委員 まさしく正しい意見だなと私は思います。  そこで、改めて伺いますが、西村銀行局長は、必要に応じて内部書類において確認した結果、四十五日さかのぼって追認をしている。必要な書類、必要に応じて関係書類において確認した結果ということをさきの決算委員会で再三述べておられますけれども、あなたの言うところの、必要に応じて関係書類において確認した結果というのはどういうことでしょうか。
  53. 西村吉正

    ○西村政府委員 念のため私が先般御答弁申し上げたことをもう一度申し上げますと、お尋ねに対しまして、尾花氏への融資を富士銀行が知った時期についての御質問があったのに対しまして、同行からは以下のような御報告を受けていますとお答えしたわけでございます。  一部マスコミで報道されております平成三年七月二日付の書面は確かに同行の内部資料であるということ、同行は事件の解明と不正融資の肩がわりを進める中で、七月一日にプロジェクトチームを発令し、同行債権の保全のため個別行内協議をしながら債務承認や追加担保取得の交渉を進めてきたということ、当該書面は事件の全容がほぼ固まり対外公表も終えた後の平成三年八月に入ってから、それまでの対応と交渉を踏まえまして、このプロジェクトチームが対応方針を取りまとめまして、実働開始日の平成三年七月二日付で役員室に書面による追認を得たものである、こういうことでございます。  たしか、そのときの私の記憶によりますと、上田委員からこのような報告をうのみにするのかというお話でございましたので、私どもは、こういう問題は私どもも必要に応じて確認をいたしました上で対処をしているところでございますとお答えをした記憶がございます。
  54. 上田清司

    上田(清)委員 だから申し上げているのです。どの書類をもってそんなことが確認できるのか。もし、極端なことを言えば、一年にさかのぼって日付を打っても、それが追認できるのですか。もし基準があるとしたら、何日だったら許されるのですか。こんなことはあり得ないですよ。大銀行で、株主もいるんですよ。株主総会はたえられますか。
  55. 西村吉正

    ○西村政府委員 私は、日付をさかのぼるということ自体の確認のことを申し上げているわけではございませんで、このような報告全般に対しまして、私どもは富士銀行から御報告を受けたことを確認をしている、こういうことでございます。
  56. 上田清司

    上田(清)委員 局長、だから、どういう書類で確認をされるのですか、富士銀行の提出される。なぜそれが正しいというようなことを確信を持って言えるのですか。大変な事件ですよ、これは。日付が四十五日もさかのぼって追認されるようなことが本来なら許されるわけがないというふうに思うのが自然なんです。だから、それを覆すだけの理由を局長は示さなくてはいけないんです、富士銀行からいただく関係資料の中で。その関係資料とは一体何なんですか。このことを伺っているんです。
  57. 西村吉正

    ○西村政府委員 たしか前回の決算委員会においても、委員の方から富士銀行の内部資料等の御指摘があったように記憶をいたしておりますけれども、御指摘のような内部資料の内容をも担当者が拝見をいたしましたと、こういうことでございます。
  58. 上田清司

    上田(清)委員 西村局長、あなたは問題をすぐはぐらかす。何度も何度も聞かなくてはわからないんですか。何度も申し上げますけれども、六千億の不正融資をやった銀行の内部の調査報告書が、四十五日過ぎて、さかのぼって、ちゃんと頭取以下印鑑を押して、それが世の中で認められるということはあり得ない。あり得ないんですよ、だれに聞いても。なぜ銀行局だけがあり得るんですか。そのあり得る理由というものを——富士銀行からきちっと資料であなたが見たんでしょう。見たんだったら、その資料を見せてください。出してください。
  59. 西村吉正

    ○西村政府委員 資料そのものは銀行の資料でございますので私どもが所持しておるわけではございませんが、先ほど来私が繰り返して、前回の決算委員会でも申し上げましたことは、さかのぼった日付にした理由について富士銀行から報告のあったことを申し上げたものでございます。そのような事情があったということを私どももその書類を拝見して申し上げている、こういうことでございます。
  60. 上田清司

    上田(清)委員 富士銀行からそのような報告があれば、それで、はいそうですかでおしまいなんですか、局長。それは銀行局というよりも大蔵省の全体の問題だと思います、こうなってくると。私は、どうしてもこれは納得できません。  総理もお疲れのところ大変恐縮です。今日の金融をめぐる情勢というのは、多分にこれまでの議論の中で、国際化であるとか金利自由化であるとか情報の開示であるとかということが議論の対象になってきたはずであります。また、さまざまな答申の中でもそういうことをやっていこうということで、大蔵省そのものが、あるいは政府が取り組んでいこうというやさきに、いわば不明朗な形での報告をそのまま銀行局長がうのみにされるという、今の答弁ではそうなのです、何の資料も見ていないという形になりますので。そういうことで、果たして海外からの信用あるいは海外からの信頼というものが得られるものかどうか。  私は、大蔵大臣の経験のあります橋本総理の基本的な指導力に大変期待しております。今の銀行局長答弁を率直に伺って、率直な感想を承りたいと思いますが、よろしくお願いします。
  61. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、私自身、議員が以前に質問をされたその質問を踏まえてのやりとりを拝聴いたしました。  私が聞いております限り、大蔵委員会決算委員会で、この問題についてたびたび何か委員会から御質問をいただき、大蔵省としては、その都度同行に対して厳正な調査を命じて、その事実関係に関する報告を求め、それに基づいて答弁を行うなど誠実に対応してきた、そのような報告を受けております。
  62. 上田清司

    上田(清)委員 総理にも、その報告は誠実に対応されたのかもしれませんが、今のやりとりを聞いて、どうしても私には納得できない点があります。  それは、言うまでもなく、六千億にも上る不正融資のあった銀行が、なぜこの調査のスタート日に四十五日もさかのぼって印鑑を押さなくてはいけないのか、そんなことがどうして許されるのかというこのことについて、素朴な疑問でもあり、また素朴な質問でもあります。それを総理に、感想でも結構です、承りたいというふうに思ったのです。ぜひお答えしていただければありがたいと思います。
  63. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は議員に対してどう申し上げればいいのかわかりませんけれども、先ほど、私も何か間違った答弁をしたというような言い回しを議員がされました。私がかつて大蔵大臣当時、富士銀行のまさに報告を受けて、それをそのとおり御報告国会でいたしたことを指し、それが今議員が御指摘になっている事実と違うということから言われたものだろうと思います。  しかし、私は富士銀行の経営陣ではありませんので、報告を求めて、その報告をそのまま御報告する以外に国会に対して対応する方法はございません。
  64. 上田清司

    上田(清)委員 それでは、この七月二日の稟議書というのが、実際七月二日に報告が終わってその日付で印鑑を押したにもかかわらず八月十六日の調査報告をさかのぼって七月二日だというふうな形で西村局長が言われましたけれども、もしこのことが事実でなかったら、大蔵省の銀行監督行政というものはもう崩壊すると私は思いま す。——わかりませんか、白々となされていますけれども。日銀の方も言われたでしょう、普通、調査をすれば、その報告書の日付というのは調査が終わった日、あるいはその直後なんです。それが普通なんですよ。それを富士銀行は調査したスタートの日に日付をつけていると言っているのですから、それはおかしいとあなたが思わなければいけないのに、おかしいとあなたが思わない。そのことを私はずっと一貫して申し上げているのです。  それで世の中に本当に通るのだろうか。じゃ、本当に四十五日がいいのだったら一年でもいいのですかという、それでは、すべてのそういう形の大きな銀行、そういったところの日付というものは全然信頼ができないということになるではありませんか。そのことを私は申し上げておりますので、総理にもこの点については明らかにしていただきたいと思います。そのことが許されるのかどうか。(「それはわからぬよ、富士銀行の話」と呼ぶ者あり)いえ、常識論としての感想を聞いているのです。  大蔵大臣、いかがですか。
  65. 久保亘

    ○久保国務大臣 銀行局長報告を私は聞いておりますので、それ以上のことを私はお答えする立場にありません。
  66. 上田清司

    上田(清)委員 それでは大変私は、個人的な部分を余り踏み込みたくなかったのですが、尾花さんの事件があるいは隠されているのではないかという週刊誌なんかの指摘もあります。だからわざわざ日付を七月二日にしなくてはいけないのではないかと、本来八月十六日と書けばいいのに。七月二十五日に問題が発覚した、だからどうしても八月十六日で書くとまずい、そういうことで、わざわざ七月二日のスタート日に、八月十六日に調査が終わったものの印鑑を押さなくてはいけないようになってしまった。こんなふうな理解を、今銀行局長答弁を聞いているとますますそう思わざるを得なくなる、私はそんなふうに思います。  また、不正融資について七月二十五日に富士銀も尾花さんも知ったと言っていますが、最近の、六月十四日のフライデーの記事によれば、尾花さんは最小限度、全日販という、ノンバンクというよりも開発業者から二千万の振り込みがある、その尾花さんの方の口座に振り込まれている、この時点で、もう尾花さんは不正融資を知る立場にあった。また、小林元橋本総理秘書の九六年三月八日の週刊ポストのインタビューの中でも、小林さん自身も尾花さんのことに関して、正規の融資の決裁がおりるまでこれを使ってくれと言われたというようなことも言っているのですね。  そういうことをも踏まえると、どうしてもこれは、大蔵省ぐるみで富士銀行と一緒になって隠ぺい工作をやっているとしか思えない、こう思われても仕方がないということを私は強く申し上げたい。(「関係ない」と呼ぶ者あり)関係あります。  西村銀行局長、もう一度確認をします。なぜそういう四十五日さかのぼって追認できるのか、そしてその追認をした理由と、あるいはその関係書類は一体どこにあったのか、そのことをお答えした上で、関係書類については決算委員長の方にぜひとも出していただきたいということを要請しておきます。お願いします。
  67. 西村吉正

    ○西村政府委員 たびたびのお答えで恐縮でございますけれども、私も御指摘の週刊誌の記事は拝見させていただきました。また、お尋ねがございましたので、その点について富士銀行に確認をいたしました。その結果は、先ほど、あるいは前回に御報告したとおりでございます。
  68. 上田清司

    上田(清)委員 答えになっていません。  大変西村局長は不誠実です。四十五日の繰り上げした、さかのぼった形での追認という理由を聞いているのです。一度も理由を答えていませんよ。答えてください、真剣に。
  69. 西村吉正

    ○西村政府委員 先ほどお答えいたしましたとおり、富士銀行からは、先ほど申し上げましたような理由で書類の日付がそのようになっている、こういうことでございました。そして、御指摘がございました富士銀行の書類を拝見をいたしました上で、富士銀行の御報告というものを、私どもも、それ以上のことを我々自身が知り得る立場にないので、御報告のとおりに受け取っている、こういうことでございます。
  70. 上田清司

    上田(清)委員 検査された、それからまた取り寄せた書類をぜひ出していただきたいということを、最後に要望いたします。  終わります。
  71. 中島衛

    中島委員長 次に、田中昭一君。
  72. 田中昭一

    田中(昭)委員 社会民主党の田中でございます。  大変お疲れのことだと思いますが、限られた短い時間ですから、私は少し基本的な問題について、総理あるいは大蔵大臣などの決意をお聞きしたい、こう思っております。  予算委員会から引き続きまして金融特別委員会、四カ月間、私もずっとあそこに座っておりました。大変お疲れだと思います。この中で、住専問題を中心にしまして、不良債権問題についていろいろと論議をしてまいっておりますし、今また参議院で議論が継続中だと思います。  私は、今日、この金融システムの問題、不良債権問題とあわせて我が国の政治経済の中で極めて重要な問題は、先ほどから問題提起がございますように、財政赤字、借金財政の問題が極めて重要な問題である、こう思っております。日本財政は既に破綻をしている、こう巷間言われております。  御承知のとおりでございまして、先ほども大蔵省からの答弁がございましたように、本年度の予算でも、総額七十五兆円に対して税収は五十一兆円しかない。税外収入も三兆円、地方交付税が十四兆円、そして国債費が十六兆円ということになりますと、残りは二十四兆円しかない。したがって、十一兆の赤字国債を含めて二十一兆の国債発行で、国債依存率は二八%、こういうふうにお答えをいただいておるわけです。  これは、一般家庭で見ますと、まさに一家心中を考えなければならないぐらい具体的な問題だ、こう思っておりますし、このほかにまた、今日国債残高は二百四十一兆円、ほかに借入金であるとか地方債の残高もたくさんございまして、一人当たり国民の借金は百九十一万五千円だ、こう言われております。  橋本総理は、きのうですか、橋本ビジョンを提起されまして、何かきょうの新聞に載っておりますが、国民負担率ども概況出ておりますが、読む限りにおきましては、かなりまだ抽象的だなということで詳細はよくわかりません。  一月の総理就任の施政演説の中で、財政改革について総理は、もはや危機的な状況と言っても過言ではないということをおっしゃられて、今後の高齢化社会とか国際社会における問題などなどを含めまして、できるだけ速やかに健全な財政体質をつくり上げることが緊急課題である、こういうふうに述べられておるわけです。  したがいまして、まず総理に、この危機的状況だという状況の中で、今後の財政改革問題についてどういうふうに基本的に対応していかれようとするのか、もう一度基本的なお考え方についてお聞きをしたい、こう思います。
  73. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 もう既に議員よく御承知のことでありますので、改めて数字を並べることはいたしません。しかし、まさに国債費政策的経費を圧迫し、非常に厳しい状況にあることは御指摘のとおりであります。  こうした中で、私どもは、国会での御議論あるいは関係いたします政府のさまざまな審議会の御意見等を踏まえて仕事をしていくわけでありますが、関連いたします審議会に共通の議論の場がなければなりません。先般お願いを申し上げまして、経済審議会財政制度審議会、税制調査会、そして殊に、国民負担率という視点を考えましたときぜひお入りを願いたいと思いまして社会保障制度審議会、この四審議会会長並びに会長代理にお集まりをいただき、基本的な財政状況というものを改めてお話を申し上げ、共通の認識をベースにしてそれぞれの御議論を進めていただくような ことをスタートいたしました。  これも、一つのやり方として、それぞれの審議会が専門審としての御見識を発揮していただきます場合に、共通して財政の厳しい事情というものを踏まえて御議論をいただきたい、そのような思いからでございます。  なお、先ほどビジョン云々というお話がございました。私、まだそういうものを発表したりはいたしておりませんけれども、従来から私は、第二次臨調の際、いわゆる土光臨調の際に、高齢化のピークに達するころにおいても国民負担率を五〇%以下に食いとめろ、できれば四五、六%で食いとめろと言っておられたその言葉が、非常に強く頭にございます。そして、委員が御指摘になりましたように、税、社会保険料以外のさまざまないわば借金の部分を考えましたとき、今後高齢化の進展に合わせながら、この目標の中にいかに財政健全化しつつ閉じ込めていけるのか、非常に困難な目標ではありますけれども、私どもはこれに取り組まなければならない、そのような思いでおるところであります。
  74. 田中昭一

    田中(昭)委員 ありがとうございました。  歴史は繰り返すと言われます。昔のことを余り振り返るつもりはございませんけれども、きょうやっておるのは、平成四年度、平成五年度の決算でございまして、これは西暦でいいますと九二年度、九三年度です。調べてみますと、この年は赤字国債の発行をやっていない年なんですね。  歴史は繰り返すようですけれども、一九七九年度予算の中では、国債の依存率というのは三九・六%あったようですね。歳入の四割が借金だ。この予算では、赤字国債発行額が八兆五百五十億、建設国債が七兆二千百五十億という、極めて危機的な状況だったと思うのです。  八〇年代に入りまして、その当初から今と同じような状況で、財政再建問題というものが政治の重要な課題で、いろいろ議論もございまして、厳しいシーリング設定によって超緊縮予算がつくられる、第二臨調が発足をいたしまして、いろいろとこの問題に対応してきて、八〇年代後半に至りまして国債依存率が低下をする、八九年度に消費税三%が導入されて、借金依存を脱出する、こういう状況があったと思います。したがって、九〇年度から国債発行はゼロになりまして、九三年度まで四年間、赤字国債発行は停止になったということでございます。しかし、九四年度から再び赤字国債がずっとふえてまいりまして、依存率が上昇してくる、こういう歴史を繰り返しておるような状況でございます。  ここで、こういう問題も含めまして大蔵省に少し具体的にお聞きをしたいのは、今私どもが地元に帰りますと、住専問題とあわせていろいろ質問が出る項目は、やはり消費税の問題なんですね。そこで、先ほど総理から、財政改革、この赤字克服の問題について基本的なお考え方が述べられました。したがいまして、大蔵としましては、こういう基本的な問題を踏まえまして、もうまた来年度の予算編成の時期にかかるわけですけれども、具体的な今後の方針というものをどういうふうにお考えになっておるかということを少しお聞きしたい。  同時に、二点目の問題として、武村前大蔵大臣が、先月ですか、ある雑誌にいろいろ財政問題についての見解を述べられておりました。この中で、消費税の問題につきましては、八%、一〇%、一二%、三つのケースを提起をされまして、一二%が実現できたとしても我が国財政再建は道半ばだというような提起がございました。  これが出されまして、地元に帰りますと、この消費税問題がいろいろ提起をされるわけです。五%の問題についてはもう理解をしているつもりですが、少なくともこの消費税問題についても来年の予算編成に向けてきちんとしなければならない時期を迎えておると思うのですが、これらの問題を含めまして、今後の予算編成財政のあり方について少し大蔵の方からのお考え方をお聞きをしたい、こう思います。
  75. 久保亘

    ○久保国務大臣 消費税の問題につきましては、御承知のように、平成六年十一月に成立いたしました税制改革に基づいて、平成六年度から先行いたしました所得税、住民税の減税に見合う財源を、来年の、平成九年の四月一日から消費税の税率アップによって償うために五%とすることが決定されております。ただ、その場合に、五%にとどめてよいのかという意見等もございまして、検討条項四項目を二十五条に明記いたしたところでございますが、この検討条項に基づく検討の結果、もし消費税率を変更いたします場合には、本年の九月三十日までにその法的手続を終えなければならないこととなっております。  そういう中で、今いろいろとそれぞれの分野において御検討を願っておりますが、いよいよ期日も迫っておりますので、この国会の終了前後から、それぞれの税制調査会を初め各種審議会等においても消費税率に関する問題について御検討をいただきたいと思っております。そして、できるだけ速やかにこの問題について結論を出すようにいたしたいと思っておりますが、今日の段階において消費税率を五%よりもさらにアップするということについては、極めて難しい厳しいことであろうと思っております。また、検討条項にございます税制そのものの検討につきましても、今後進めなければならない課題一つでございます。  なお、平成九年度の予算編成当たりましては、先ほどから政府側からも御説明申し上げておりますように、極めて厳しい状況の中で消費税率の五%アップと特別減税の扱い等の問題があると思いますが、仮にこれらの問題を、五%と、特別減税を本年度をもって終わりにするということにいたしましても、来年度の予算編成は大変厳しい状況にございます。そういう中で、今、財政制度審議会を中心にして御検討いただいておりまして、財政再建の目標、その役割と守備範囲などについてそれぞれの分会において御検討もいただいているところでありまして、予算編成に先立ってできるだけ早くその方針も決定してまいりたいと考えております。
  76. 田中昭一

    田中(昭)委員 時間がございませんのでこれでやめますが、いずれにしても大変厳しい状況の中での御検討だと思います。御苦労ですが、頑張っていただきたいと思います。  それで、あと残された時間が少ないわけですが、会計検査院もお呼びをいたしておりますから、会計検査院の権限といいますか、充実強化の問題について少しお聞きをしたいと思います。  時間がございませんのではしょって申し上げますけれども、先ほど総理もおっしゃられたように、会計検査院の権限などの問題については、会計検査院法第二十条で明らかになっております。中心になるのは、規則や予算どおり支出しているかどうかを検査する、いわゆる合規性検査が会計検査院の中心的なものであると思います。したがって、税金のむだ遣いを検査をするとか、あるいは行政が立てた計画がおかしいとか、そういうものを会計検査院が直接指摘をするという仕組みには、日本の会計検査院の場合にはなってないと思います。  したがって、例えばある県の淡水化事業で、いろいろ新聞にも載っておりますけれども、農業用水確保のために二十五年の月日をかけて七百億円以上の投資をしたものを凍結をするというような問題なども提起がされておりますが、国民から見れば、莫大な税金のむだ遣いだ、こういうことになると思いますが、しかし会計検査院から見れば、事業そのものは国が決めたものであって、規則に合っておれば必要だ、こういうとらえ方しかできないという仕組みではないか。  したがって、この中で、例えば工事の手抜きがあったり、金の流用があったり、予算の使い方に問題があれば指摘ができますが、そうでない限りにおいては非常に指摘がしにくい。最近になりまして、何年前か知りませんけれども、特記事項として会計検査院が問題提起をする、こういうことで改善をややされてきつつある、こういうふうに私は理解をいたしておりますが、これはアメリカの会計検査院の場合には、そこのところはかなり 日本と違うのではないか、こういう私は理解をいたしておりまして、アメリカのGAO、いわゆる会計検査院というのは議会に所属をいたしておりまして、行政の計画なりそういうものについても会計検査院が指摘をする、こういうことがかなりできるのじゃないか、こういうふうにお聞きをいたしております。  時間がありませんからはしょって申し上げましたけれども、会計検査院の方はよく理解をされているのじゃないかと思いますが、この点について会計検査院の御見解を少しお聞きをしたい、こう思います。
  77. 矢崎新二

    ○矢崎会計検査院長 お答え申し上げます。  会計検査院法におきまして会計検査院には権限が与えられておりますけれども、その指摘の形としては、単なる不当事項ということだけではなくて、いろいろな処置要求ですとか意見表示という仕事の改善を求めるための手段も与えられておるわけでございます。  近年、行財政改革などによる効率的な行財政執行ということが強く求められております中で、会計検査院といたしましても、事業が経済的、効率的に実施されているかという経済性、効率性の観点であるとか、あるいは事業全体が所期の目的を達成して効果を上げているかという有効性の観点を重視いたしまして、多角的な検査を推進をしておるというのが最近の状況でございます。  ただいま先生からも御指摘ございましたけれども、多目的ダム事業ですとか国営干拓事業などの事業効果を十分発揮していないといったような事態につきまして、数多くこれまでも指摘をしておりまして、御指摘ございましたように、特記事項の形でありますとかあるいは処置要求、意見表示といったような形を近年はできる限り活用をして、そういった多角的な検査を推進しよう、こういう努力をしております。行政運営の改善を求めたり、広く問題提起をするという努力を重ねていることを御理解いただきたいと思います。  今後も、社会経済情勢の動向に対応しまして多角的な観点から充実した検査を行うとともに、検査体制の充実でありますとか検査手法の工夫といったものにさらに努力をいたしまして、行政改革にも寄与していくように努力をいたしたい、こういう覚悟でございます。
  78. 田中昭一

    田中(昭)委員 国民の皆さん方が行政に対して変な不信感を持たれないように、会計検査院の任務というものは極めて重要だと思います。今後の御健闘を心から期待をいたしたいと思います。  終わります。
  79. 中島衛

    中島委員長 次に、石井紘基君。
  80. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 今、与党の行革プロジェクトで公益法人が子会社をつくるということは、これは論理的にもおかしい、あらゆる意味でおかしいということで、これは禁止することにしようではないかということで大体まとまってきているようであります。  公益法人とか特殊法人が、子会社とか孫会社とかあるいは財団法人というのをめったやたらにつくっておりまして、そういう傾向が大変顕著になってきておる。私が相当長時間かかって調べました結果、約三千ぐらいの系列の特殊法人ないし公益法人及びその系列の株式会社ができております。これは私は、公益法人の出資状況について、かつて、昨年の十二月に、前内閣質問主意書を出したのですが、それは秘密ですという大変そっけない返事が返ってまいりましたけれども、しかし、このことがまさに、今の行財政構造の再建ということを考えた場合に、極めて重要なことであるということを指摘したいと思います。  といいますのは、こういう形をとっていることによって、まず税収全体が縮んできます。それからまた、財投機関への一般予算からの負担というものも大変大きくなってきておりますし、また、特殊法人等のあり方によって公共料金が大変高い水準になってきているということ等々あるわけでございます。  そこで、私は、今のこの公益法人だけではなくて、特殊法人の孫会社についても同様に扱わなければならない、この与党プロジェクトの方向で扱わなければならぬと思いますが、まず、公益法人の子会社を禁止するという場合に、ただ禁止して、それはもう民間だからそのまま置いておくのだということではだめなのです。構造としては、大体国にも大変金がない、赤字である、危機であるというふうになっていて、特殊法人も、かなりの特殊法人が赤字経営である。では一体どこへ行っているのかということになりますと、これはやはり子会社、孫会社に相当の資産が蓄積されているのですね。それは私が実は、例えば住都公団なんかの子会社、孫会社なんかのデータを出してもらいましたら、やはり歴然とそういうことがわかるわけであります。  そこでまず最初の、公益法人の子会社を整理する場合に、子会社のたまっている資産を上げてくる、つまり資本金、出資金を回収するだけではなくて、そこへ出資することによってあるいは事業費を投下することによって蓄積された資産をもとに戻してくるという作業が必要だろう、これが非常に重要だろうと思うのですね。これをもし上げできますと、公益法人ですから主として財団法人に戻ってくるわけですが、この財団法人から国に戻す方法というのはありませんか。これは、総理府、いかがですか。
  81. 安藤昌弘

    ○安藤政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生の御質問の、財団法人に戻りましたものを国に取り上げる方法はいかがか、こういう御指摘でございましたけれども、私どもといたしましては、現行法の枠内ではそのようなことは大変困難であろうというふうに考えておる次第でございます。
  82. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 では、法務省に聞きますが、それは民法を変えればできますか。
  83. 山崎潮

    ○山崎(潮)政府委員 お答え申し上げます。  民法の建前では、解散しました公益法人の財産の処分に関しましては、定款に定めがある場合には、定款で帰属するものを定めた場合にはその者に帰属をするということが原則でございます。また、そこに定めがない場合には、類似した目的のために財産を処分することができる。それでも処分できないものについて初めて国庫に帰属をするという順番になっております。  御指摘のように、それは変えればできるということになろうかと思います。
  84. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 そのようにして、特殊法人の場合は特殊法人に戻ってくるわけですから、後は特殊法人をどうするかという問題になりまして、公益法人の子会社を禁止する場合には必ずそういう手法が必要であるということを申し上げたいと思います。  それから今度は、ほかの特殊法人についても、子会社、孫会社をたくさん持っているところがかなり顕著にあります。その中で、道路公団の財団法人であります道路施設協会、それから畜産振興事業団、それから地域振興整備公団。畜産振興事業団は百九十七の会社を持っています。財団法人道路施設協会は六十八の会社を持っていますね。それから地域振興整備公団が三十六の会社を持っているわけですが、これらの会社への、それぞれに対する出資額と、その子会社、孫会社ごとの公団との事業契約の実態、それから決算書、財産目録、そういうものを資料としてお出しいただきたいと思いますが、担当の官庁から答えてください。
  85. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 最初に、建設省からお答え申し上げます。  日本道路公団が出資しております会社は、ターミナル会社等四社ございます。これらについては…(石井(紘)委員「ちょっと、言ったことだけ。道路施設協会のことだけ言ってください、時間がないから」と呼ぶ)それについては出資はございます。  道路施設協会につきましては、日本道路公団からの出資はございません。高速道路の料金収受等の業務を行っているわけであります。  施設協会は……(石井(紘)委員「時間がないんだから、道路公団からの出資と言っていないんだから、道路施設協会がつくっている六十八の会社 に対する出資と言っているんだから、それだけ言ってくださいよ」と呼ぶ)道路施設協会の出資先、出資額等につきましては、平成七年十一月二十四日付の公益法人の株式会社等への出資状況に関する質問主意書に対する内閣からの答弁にもおきますとおり、当該公益法人の秘密事項に該当するものと思料されますので、道路施設協会からの個々の出資先等につきましては答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  86. 熊澤英昭

    ○熊澤政府委員 農林省関係、畜産振興事業団の関係についてお答え申し上げます。  畜産振興事業団は、現在三十四社に出資を行っております。これは大部分は、例えば産地におきます屠畜とか食肉の加工処理……(石井(紘)委員「そういうことはいいから、資料を出すか出さないかということだけ言ってください」と呼ぶ)私ども畜産振興事業団の経理の内容につきましては、閣議決定された内容に基づきまして、公開をし、透明性の確保に努めております。  御指摘の資料につきましては、後日提出をさせていただきます。
  87. 竹内克伸

    竹内政府委員 地域振興整備公団が出資をしております関連会社につきまして、御指摘のような出資額等について資料を提出したいと思います。
  88. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 それでは、道路施設協会が出さないようですので、これは、委員長において、決算委員会に出していただくようにしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  89. 中島衛

    中島委員長 はい、理事会で協議させていただきます。
  90. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 もう一つの問題を申し上げたいと思います。  それは、国の予算の使い方ということで、その予算を使うに当たってのチェック機能という点なのですが、国が予算をいかに使っているかということについてのチェックは会計検査院が担当しているわけですが、会計検査院にちょっと幾つか確認したいので、お尋ねしたいので、時間がないので申しわけないのですが、幾つかありますので、ちょっとここに出てきて、立ってやりとりしてもらいたいのです。  第一は、会計検査院の選択的検査対象という項目がありまして、これは国が直接資本金の一部を出資している団体ということですが、これはすべて検査できますか、できませんか。国が資本金の一部を直接出している団体、選択的検査対象の中にそういう分類がありますね。そういう団体はすべて検査できますか。できるか、できないか。イエスかノーかで。
  91. 中島孝夫

    中島会計検査院説明員 二分の一以上国が出資している団体につきましては、これは、必要的な検査対象ということで検査はすることになっております。それから、二分の一未満でございますと、選択的検査対象ということになっております。
  92. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 いや、だから、選択的検査対象のことを言っているわけです。
  93. 中島孝夫

    中島会計検査院説明員 二分の一未満の出資をしておる団体につきましては、選択的検査対象となっております。
  94. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 だから、資本金の一部でしょう。
  95. 中島孝夫

    中島会計検査院説明員 はい。
  96. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 それで、それは……
  97. 中島孝夫

    中島会計検査院説明員 選択的検査対象ということで、検査をすることができることになっております。
  98. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 いや、すべてできるかどうかと言っているのです。
  99. 中島孝夫

    中島会計検査院説明員 そういう意味では、すべて検査することが可能でございます。
  100. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 ちょっと待ってください。例えば資本金を一%でも出資している団体、これも間違いなく確実に検査できるのですか。全部できますか。
  101. 中島孝夫

    中島会計検査院説明員 二分の一未満の出資をしている団体ということであれば、これは検査をすることができるというものでございますので、一%でもあれば選択的な検査対象として検査をすることは可能でございます。
  102. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 可能か可能じゃないか、全部検査できるのですね、それでは。
  103. 中島孝夫

    中島会計検査院説明員 はい。
  104. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 本当ですね。
  105. 中島孝夫

    中島会計検査院説明員 検査をすることはできます。
  106. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 それは後で問題になると思います。  それから、国が資本金を出したものがさらに出資しているもの、これも選択的検査対象ですね。つまり孫出資のことですが、この孫出資をされている団体については、これもすべて検査できますか。
  107. 中島孝夫

    中島会計検査院説明員 これも同じく会計検査院法二十三条の規定によりまして検査をすることができるということでございます。
  108. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 全部議事録に残しておいてください。  特殊法人が財団法人を持ったり、役所の認可のもとに相当たくさんの財団法人があるわけです。それからまた、国が補助金を出している財団法人など、そういったものが出資して株式会社を持っている。これらの株式会社に対して、直接検査できますか。
  109. 中島孝夫

    中島会計検査院説明員 ちょっとお尋ねの点がはっきりとわからないのですが。
  110. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 もう一回言いましょうか。  例えば、特殊法人が財団法人を持っています。その財団法人が株式会社をつくっています、例えば道路施設協会のように。あるいは、一般の公益法人としての財団法人が株式会社をつくっている、子会社をつくっている。こういうものに対して、検査できますか。
  111. 中島孝夫

    中島会計検査院説明員 特殊法人が、国との出資関係で国が特殊法人に対して出資をしている、その出資をしている特殊法人がさらに出資をしているというような関係に立っておれば、これは検査をすることができるということになります。財団法人等の性格によって異なりますので……
  112. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 特殊法人のことは何も今言わなかったでしょう。よく聞いていてよ、時間がないのだから。公益法人のことを言っているんじゃないの。
  113. 中島孝夫

    中島会計検査院説明員 特殊法人が出資をしている関係があれば、その関係の団体あるいはその特殊法人が金を出している団体については、検査をすることができます。
  114. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 結構です、私が言っていることがわからないようだから。  それでは、私が二月二十日の予算委員会で、会計検査院の検査対象の中で、特に特殊法人等の系列の子会社、孫会社の数について聞きましたら、それは掌握していない、わからないというふうに答弁をされたのです。  その後、早急に調査を会計検査院はされました。それで、約千六百あるというふうに、私のところに報告がありましたね。そうしたら、この千六百の中で、検査をしたというふうに会計検査院の資料に出ているのは、これはここのところ数年にわたって同じ数で同じ団体なのですが、十九団体挙げられているわけです。そうすると、このうちの十九団体しか検査はしていないということでしょうか。
  115. 中島孝夫

    中島会計検査院説明員 私ども、検査の必要があるものにつきましては、検査対象として指定をしまして検査を行ってきているところでございますが、この検査が必要と認められたものが、平成七年次では十九法人だった、こういうことでございます。
  116. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 いずれにしても、会計検査院の現在有している機能においては、国の予算を末端までその流れをとらえることはできないのです。こういう、会計検査院の機能が非常に限られているという面。そうしますと、国民から見ると、予算がどう使われているのか、しかも、さっきのように秘密ですというようなことになりますと、どう使われているかということを見届けるのが非常に不十分になるわけです。そういう点について、 今回決算委員会議決の中にも、会計検査院の機能の強化のための策を講ずる必要があるということが入っているわけです、後でこれは出ると思いますが。  総理は、そうしたチェック機能という点について、改革の必要性をお認めになりませんでしょうか。
  117. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、会計検査院の検査をどこまで及ぼすか、これは高度の立法政策上の問題であって、慎重な検討を必要とする課題だと思っております。なぜなら、会計検査院は国の財政監督機関として設置をされており、会計検査院の検査対象は、国の財政、会計の適正かつ効率的な実施を確保する見地から、会計検査院法等において一定の範囲が定められている、そういう性格であります。  そして、私は同時に、ここであえて申し上げますならば、検査院の機能の強化と同時に、私ども、検査官の、検査に当たる諸君を含めまして、検査院の処遇ということもやはり常に心を払うべきであると存じます。かつて、検査院の中でさまざまな問題を云々されたことがありました。そして、調べてみますと、出張旅費その他において、むしろ非常に自己抑制的に検査院が機能していった結果、いや応なしに、逆に検査の対象たる相手側に負担を求めるといった状態を生じたこともあるわけであります。検査官が最大限彼らの機能を発揮し得る環境を整備する、これも我々の役目の一つであろうと心得ております。
  118. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 大変結構な御答弁をいただいたと思います。我が国の会計検査院というものは、国民に大変期待をされているというか、重要な機能を果たさなければならないところでありまして、これが、九百人そこそこの調査官で五万もそれ以上もある団体を綿密に検査するなんということは、不可能に近いことであります。今の検査院の検査官の皆さんはかなり一生懸命やっているんだと思うんですが、もっと格段の位置づけというものがやはり必要であろうというふうに思います。  それから、一つだけ最後に伺いたいんですが、私が先ほど来申していますように、行財政改革というものを綿密に、具体的に進めていくことによって財政構造というものをかなり変えられる。ですから、消費税の問題にかかわるわけですが、消費税を五%にするということになっておりますが、さらにそれよりも上乗せで見直すか見直さないかという点については、私は、この行財政改革を進めていく前にそういう議論をすべきではない。したがって、消費税を少なくとも五%よりも高い率で決めるということは、少なくともことしあるいは橋本内閣においてはないだろうと思いますが、その点について、先ほど大蔵大臣が答えられたので、今度は総理がお答えいただきたいと思います。
  119. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 所得税あるいは個人住民税の負担を軽減する、そして消費税率を五%とする平成六年秋の税制改革、これは法律で一体のものとして成立をし、認知をされているものでございます。そして、まず法律にのっとってこれを確実に実施することが財政経済運営の信頼、安定につながる、そのように考えております。  今、消費税率の検討条項の趣旨あるいは深刻な財政状況というものを踏まえますと、五%を超える税率を設定するということは議論の対象では確かにございます。しかし容易なことではないと私は思いますし、今後、政府税制調査会の御議論の方向でありますとかあるいは国民各層の御意見などを踏まえながら、五%の税率をさらに引き上げるための新たな法改正が必要かどうかということについては判断してまいりたいと思います。  ただ、今先ほど来議員もお触れになりましたように、我が国財政状況は極めて厳しい状況にあるわけでありますし、その中で冗費を節減する、あるいはむだをなくすという意味から、会計検査機能を充実し、行政改革に努めていく必要があることは御説のとおりだと思います。
  120. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 ありがとうございました。
  121. 中島衛

    中島委員長 次に、嶋崎譲君。
  122. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 十分という時間ですから、簡潔に問題点を出して、環境庁長官経済企画庁長官と、そして最後に総理の御意見をお聞きすることで締めたいと存じます。  質問のテーマは、予算書の中にある「付表」。「付表」に環境保全経費という予算の説明がございます。予算書の中では、毎年、初めの段階では「付表」の中に環境保全経費という格好で総括表が載っておりますが、決算を見ますとそれは消えてなくなっているのが、今日までの姿であります。それを決算書に起こせという議論をきょうはするのではありません。  そこで、環境保全予算という、予算にそのような「付表」がついたのはいつかと調べてみましたら、最初に出てきたのは、環境庁設置に関するその年に出てきたことから始まるわけです。昭和四十六年の七月に環境庁は発足しますが、したがって、その年の予算に環境庁の必要性を明らかにしなければなりませんから、改めて予算書に「付表」というものをつけまして、そのときの項目は、公害対策の経費として始まったものであります。  ところが、二年しまして、昭和四十八年から、環境保全経費というふうに予算の当初の「付表」の項目の名称が変わるわけであります。それから今日に至るまでずっと毎年、当初予算の説明の中には、この「付表」の、環境庁がくくろうとする環境保全経費という形で今日まで来ております。当初予算の説明にはありますが、決算の段階では、これがどのように決算全体として環境庁の側から見るような決算が行われたのかは表に出ておりませんから、だれもわからぬわけであります。  さて、ところで、この表の中で大変注目すべき時期がございます。昭和四十六年から平成六年までの長い間の環境保全経費というのは、これは最初に環境庁がスタートするときの公害対策費に相当する費目で当初予算の費目が全部つくられてきたのであります。ところが、平成六年を境にしまして、この表を見ますと、正確には平成六年の前の年、平成六年の決算書はもう出ていますけれども、この決算書にはそんなものはありませんから、予算の上で補正などを入れて締めくくった費用と、それを前提にして、平成七年度からこの環境保全経費の中身の項目は変わります。これは重大なことなんです。  なぜ変わったかと申しますと、その平成六年の十二月には、環境基本法がその前の年にできて、それに基づいて環境基本計画というものを閣議で決定されて、そして予算編成に入ることになりましたから、その年を境にして、環境経費というのは、かつては全部公害対策費だった環境保全経費が環境基本計画に基づいて四項目に整理されました。  第一項目は、「循環を基調とする経済社会の実現」という項目が一項目め、二番目は、「自然と人間との共生の確保」という項目に二項目めが入り、三項目めが「すべての主体の参加の実現」という項目に変わり、そして「国際的取組」というふうにして、環境保全経費は平成七年度を境にして、それ以前の経費のように公害対策、公害対策でくくってきたものがくるりと変わったのは、基本法と基本計画が閣議決定された結果であります。  さて、それからが問題です。そこで、まず環境庁長官に聞くわけでありますが、平成六年度の当初予算のときに環境保全経費としてくくられている、私は山の専門家ですから、森林の関係でいきますと、これは国有林の特別会計の中に一般会計入りますから、予算項目上は国有林特別会計に入ります。  平成六年の当初予算には、環境保全経費の林、農林関係は九億七千三百万です。それが、年度を締めくくったとき、次の予算編成に必要な、次に締めくくっていくときには百倍にはね上がりまして、「循環を基調とする経済社会の実現」のところに、国有林特別会計は五百二十五億、そして「自然と人間との共生の確保」のところには五百八十七億。当初予算では九億、約十億ですけれども、 それの百倍の締めくくりが行われているのがこの総括表なのです。つまり、平成七年度は環境保全経費というのは変わったということです。重大な意味があるし、私はこれは非常に正しい方向だと思います。  ですから、例えば、平成六年度の当初予算の当時の環境保全経費は、総額約一兆九千億です。それが、三月に締めくくったときは、二兆五千百億というふうにぽんとはね上がるわけです。当初予算で十億といったものが、三月に締めたその年には百倍になって、締めてある数字が上がっているわけです。  これは別におかしいことはないのですよ。例えば、農林でいうならば、林野庁がもともとくくっている中で、環境庁が見たときには十億にしか最初は見えなかったが、環境保全で新たにくくり直してみたら百倍になってしまった、それだけのことでしかないのです。ですから、予算上、大蔵省としては何もけちをつけることはありません。しかしこんな、予算書をちょっと注意して見たら、何でこんなことになるのですよとわからなければならないのが、我々立法府からの疑問になるわけです。しかし、これは別におかしいことは一つもありません。  そこでお聞きします。  さて環境庁長官、環境基本計画をつくって、当初予算から前の平成六年度予算とは違う項目でくくってみたら、前の年の当初予算と違った三月期の試算の総数に合わせて平成七年度予算の当初予算編成された。これを境にして、これからは環境基本計画に基づいて、国のかけたコストをいかに効果があるかという運用を今なさっているはずです。  さて、環境基本計画によりますと、その最後のところに、僕は大きいパンフレットを持ってきましたが、これを見ますと、「計画の進捗状況を毎年点検するとともに、経済社会の変化に柔軟に対応し、五年後程度を目途に計画の見直しを行うこととします。」こう書いてあるわけです。  平成七年度から変わったのですね。七、八、九、十、十一年。大体国のすべての五カ年計画はことしが境ですから、森林整備でいいますと、これから始まって十二年、治山も大体これから始まって十二年、ですから、大体今からの五カ年計画になりますから、この時期には環境庁は、基本計画に従って、ここに出されているような見直しを行うという約束を実施するための項目の洗い直しを毎年度予算において行っているかどうか、これが第一問。  そして、その際の環境保全経費は、平成七年を境にして、六年以前の長い間の公害対策費が変わったという意味を踏まえて、その意味は何かといえば、一口で言うと、日本経済の成長の型を安定的にして持続的成長、つまり、世界の内外から環境サミットで提起された問題にこたえてどのように対処するかということのあらわれだと思います。その意味で、このような日本経済の成長の型を環境保全型に変えるという方向に向けて現在のフォローアップが行われているのかどうか、この二点をまず環境庁長官。  それで、もう時間がありませんから次をやっておきます。  経企庁長官には、したがって、昨年の六月に御発表になられましたグリーンGDPは、既に言ってありますからもう今さらけちはつけませんが、あのときに基礎になった政府側の資料は、この環境保全経費だったのです。あのときの統計資料は一九八五年と九〇年をとってあります。だから、今のような環境保全型の経費が入っていないのを基準にして企画庁はグリーンGDPを計算したから、森林などが頭にない経済になってしまったのです。  しかし、これから先、来年は環境の国際サミットがあるのですから、国連特別総会があるのですから、その総会に向けて日本が臨むとすれば、平成七年以降の環境保全経費に合わせて、グリーンGDPの、昨年六月の試算の方法を改めて再検討してつくり直さなければならない。そしてその意味をはっきりさせないと、本来の意味がわからない。  その意味で、経済企画庁も、安定的、持続的成長という二十一世紀型の日本の成熟社会の成長というものにたえるための施策をお持ちのはずですから、かつての六月の指標、出されたものをこの七年度以降の数字に合わせて改めて、来年の国連特別総会に参加するまでに世界日本の先進的な案をおつくりになる用意ありゃ否や、これが経企庁長官への質問。  お二人の質問を受けて、総理は、環境基本計画というのは閣議決定で、総理判断ですから、総理はそれらを受けてどのようにこの一年の間に対処されるかの決意をお聞きすることにして、私の質問を終わります。どうぞ、それぞれ答えてください。
  123. 中島衛

    中島委員長 答弁は簡潔にしてください。
  124. 岩垂寿喜男

    ○岩垂国務大臣 大体嶋崎先生がお話しをいただいたとおりでございまして、私からもう申し上げることはないのですが、五年を目途として見直しをするということになっています。と同時に、毎年毎年中央環境審議会を通して見直しをしながら、その効果をどうやって上げているか、これでいいのか、そういう点検をいたしております。その集大成を、その都度いろいろな形で見直さなければなりませんが、特に五年に一遍というところをポイントにして見直してまいりたいというふうに思っております。  それから、基本計画が生まれてからの予算の立て方について御指摘がございました。これは、政府全体として効果的な環境行政を進めていく上でまとめた、それも環境基本計画の筋道に沿ってまとめたものだというふうに御理解をいただきたいと思います。  以上でございます。
  125. 田中秀征

    田中国務大臣 関係の省庁と連絡をとりまして、改善に努めてまいりたいと思います。
  126. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 山の話で議員と議論を始めますと長くなりますので、きょういただいた御指摘を踏まえながら、環境基本計画の見直しが経済社会の変化に対応し適切に行えるように、毎年の点検作業を含めてどんな工夫が可能か、検討していきたいと思います。
  127. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 終わります。
  128. 中島衛

    中島委員長 次に、小泉晨一君。
  129. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 私は、自由連合の小泉晨一でございます。  今国会決算委員会において、私は、OECFが株式会社スマトラ・パルプに対して四十五億の出資をする件、長良川のアクアプラザながらの建設費について質問をしてまいりました。きょうは、かつて、百三十二回国会予算委員会分科会におきまして、多目的船舶調査検討委員会状況予算について質問したことを踏まえまして質問をしたいというふうに思います。  そのときの予算委員会での答弁は、一つは、中間報告書は現在のところできていない、二つ目は、予算は今年度も継続するというものでありました。  そこで私は、今日までの多目的船の検討委員会に関する経緯について調べましたところ、平成三年度は、内閣関係、総理府関係合わせまして千五百六万円、平成四年度は全く同額、平成五年度は二五%アップの一千九百七十一万円でありました。金額については大した金額でないということになろうかと思いますけれども、大事なのは、平成六年度も同額、平成七年度も同額で、都合五年間ほとんど同じようなレベルで推移して、今日を迎えていることであります。  調査研究に関する報告が何もなされていないこと、また、数字が毎年余りにも一致し過ぎること、こういったことをいろいろ調べてまいりますと、この方法でよかったのかということを私なりに感ずるものであります。  しかも、この研究調査は、三菱総合研究所に、毎年毎年報告書が出ないにもかかわらず委託調査費を払っていた、この現実は大変重いというふうに私は思っているところであります。  調査費をつけることが政治だとしたら、私は大きな間違いがあると思うのであります。数字は小さいけれども、このような方法が、いろいろな調査費の部門でそういう段階でついているとしたら、大変残念であります。  総理にぜひ、予算編成に当たっては、各省庁に厳しくしかも正直なチェックを怠らないよう特段の指示をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  130. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 当然のことながら、現在の財政事情の中で、むだなといいましょうか、冗費といいましょうか、そうした予算を確保するゆとりがあるはずはありません。当然のことながら、私は、必要な経費を要求し、それを査定して予算編成をさせたいと思います。  ただ、今議員から多目的船が取り上げられましたので一言申したいと思いますのは、ちょうどこの多目的船の問題が起こりましたのは、湾岸危機から湾岸戦争の時期に際してでありまして、そのとき、一番最初の多目的船の議論に私も参画した一人でありました。  総理に就任いたしました後、先日、調査と検討状況の中間的な報告を受けたわけでありますが、その中においては、委託調査として、船舶の特性を生かしながら内外における災害に対する対応といったものを念頭に置いた船舶、幾つかのモデルを想定しながらさまざまな検討をしてきている。率直に申して、随分いろいろな検討を積み重ねてきたのだなという思いでありました。  同時に、もっと早く結論を出してくれておって、昨年一月十七日の阪神・淡路大震災のときに、もしこうした船が使えたらどれほど事後の対応に便利であっただろう、そうした思いも実は持った次第であります。  今後、むしろ私は、積極的にこうしたものは持っていきたいと思っている一人でありますけれども、活用方策などにつきまして、実効上の問題も含めて、政策的な検討を十分、十分という言い方が適切かどうかわかりません、政策的な検討を進めてもらいたい、そう指示をいたしたところでございます。
  131. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 今御答弁いただきましたけれども、五月二十一日の新聞によって、既に、首相が多目的船検討指示というニュースを伝え聞きました。大変結構なことだと思っています。  私も、伊藤宗一郎先生を顧問に、そして衛藤征士郎先生を会長お願いいたしまして、私が事務局をお引き受けいたしまして、病院機能を有する多目的船建造プロジェクトチームというのをことし一月、一年間の勉強の結果スタートしたところであります。いずれしっかりした要望書をお持ちいたしたいということを添えまして、総括にいたします。  どうもありがとうございました。
  132. 中島衛

    中島委員長 これにて平成四年度決算外二件及び平成五年度決算外二件についての質疑は終局いたしました。  大蔵大臣及び指摘事項に関係する国務大臣以外の大臣は、御退席いただいて結構でございます。     —————————————
  133. 中島衛

    中島委員長 平成四年度決算及び平成五年度決算についての議決案は、理事会の協議に基づき、委員長において作成し、委員各位のお手元に配付いたしております。  これより議決案を朗読いたします。     議 決 案   平成四年度及び五年度の一般会計歳入歳出決  算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資  金受払計算書及び政府関係機関決算書につき、  左のごとく議決すべきものと議決する。   本院は、両年度決算について、予算執行の実  績とその効果、会計検査院の検査報告などに重  点を置いて審議を行ってきたが、次のとおり改  善を要するものが認められるのは遺憾である。  一 予算執行状況などからみて、所期の目的   が十分達成されるようなお一層の努力を要   する事項などが見受けられる。    次の事項がその主なものであるが、政府は、   これらについて特に留意して適切な措置を執   り、その結果を次の常会に本院に報告すべき   である。   1 近年、公債残高急増等により国の財政    は深刻な状況下にあり、財政再建は、緊急    の課題となっている。    行財政改革を強力に推進し、財政の健全    化に向けて、早急に対策を講じるべきであ    る。   2 会計検査院の機能を十分に発揮させるた    め、その充実について所要の措置を検討す    べきである。   3 国立病院・療養所の再編成・合理化につ    いて一層の進捗を図るべきである。   4 我が国における新規事業の開業率を高    め、産業全体の活性化を図るためには、ベ    ンチャー企業育成に向けた投資環境整備等    の施策の一層の充実を図るとともに、ベン    チャー企業へのリスクマネーの供給がより    円滑に進むような予算決算制度の運用の    あり方について検討を図るべきである。   5 我が国が将来にわたり国際社会において    一定の地位を確保し、安定した発展を持続    してゆくために、航空需要に対応した国際    ハブ空港の整備拡充はきわめて重要であ    り、空港整備計画の策定に的確に反映すべ    きである。  二 会計検査院が検査報告指摘した不当事項   については、本院もこれを不当と認める。    政府は、これらの指摘事項について、それ   ぞれ是正の措置を講ずるとともに、綱紀を粛   正して、今後再びこのような不当事項が発   生することのないよう万全を期すべきであ   る。  決算のうち、前記以外の事項については異議が  ない。   政府は、今後予算の作成並びに執行にあたっ  ては、本院の決算審議の経過と結果を十分考慮  して、行財政改革を強力に推進し、財政運営の  健全化行政の活性化・効率化を図り、もって  国民の信託にこたえるべきである。以上が議決案の内容であります。     —————————————
  134. 中島衛

    中島委員長 これより平成四年度決算外二件及び平成五年度決算外二件について、一括して討論に入るのでありますが、申し出がありませんので、直ちに採決を行います。  まず、平成四年度一般会計歳入歳出決算平成四年度特別会計歳入歳出決算平成四年度国税収納金整理資金受払計算書及び平成四年度政府関係機関決算書並びに平成五年度一般会計歳入歳出決算平成五年度特別会計歳入歳出決算平成五年度国税収納金整理資金受払計算書及び平成五年度政府関係機関決算書は、これを議決案のとおり決定するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  135. 中島衛

    中島委員長 起立総員。よって、議決案のとおり決定いたしました。  次に、平成四年度国有財産増減及び現在額総計算書平成四年度国有財産無償貸付状況計算書の両件は、これを是認すべきものと決定するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  136. 中島衛

    中島委員長 起立総員。よって、両件は是認すべきものと決定いたしました。  次に、平成五年度国有財産増減及び現在額総計算書平成五年度国有財産無償貸付状況計算書の両件は、これを是認すべきものと決定するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  137. 中島衛

    中島委員長 起立総員。よって、両件は是認すべきものと決定いたしました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各件の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 中島衛

    中島委員長 御異議なしと認めます。よって、 そのように決定いたしました。     —————————————報告書は附録に掲載〕     —————————————
  139. 中島衛

    中島委員長 この際、各国務大臣から順次発言を求めます。久保大蔵大臣。
  140. 久保亘

    ○久保国務大臣 ただいま御決議のありました財政健全化に向けての対策を講じること及び会計検査院の機能を十分に発揮させるための所要の措置を検討することにつきましては、御決議の趣旨を踏まえ、努力してまいりたいと存じます。
  141. 中島衛

    中島委員長 菅厚生大臣。
  142. 菅直人

    ○菅国務大臣 ただいま御決議のありました国立病院・療養所の再編成・合理化の一層の進捗を図ることにつきましては、御決議の趣旨を踏まえ、さらに一層の努力をしてまいる所存であります。
  143. 中島衛

  144. 塚原俊平

    ○塚原国務大臣 ただいま御決議のありましたベンチャー企業育成につきましては、従来から所要の措置を講じているところでありますが、今後とも御決議の趣旨に沿って努力してまいる所存であります。
  145. 中島衛

    中島委員長 次に、亀井運輸大臣から発言を求めるのでありますが、本日の航空機事故のため出張中とのことでありますので、理事会の協議により、今回は特に北沢政務次官に発言を許します。北沢運輸政務次官
  146. 北沢清功

    ○北沢政府委員 ただいま御決議のありました国際ハブ空港の整備拡充につきましては、御決議の重要性、御指摘重要性にかんがみまして、その整備を時期を失うことなく進めることが喫緊の課題であると認識しているところであります。御決議の趣旨に沿って、本年十一月に予定されております第七次空港整備五箇年計画の策定に的確に反映してまいる所存でございます。よろしくお願いいたします。
  147. 中島衛

    中島委員長 以上をもちまして各国務大臣からの発言は終わりました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  ただいまをもちまして平成四年度決算外二件及び平成五年度決算外二件の審査はすべて終了いたしました。皆様の御協力に感謝いたします。  次回は、来る十八日火曜日午前九時四十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時五十四分散会