運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1996-02-16 第136回国会 衆議院 環境委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年二月十六日(金曜日)     午後一時四十七分開議 出席委員   委員長 杉山 憲夫君    理事 小杉  隆君 理事 七条  明君    理事 福永 信彦君 理事 大野由利子君    理事 斉藤 鉄夫君 理事 長浜 博行君    理事 竹内  猛君 理事 鳩山由紀夫君       斉藤斗志二君    谷津 義男君       河上 覃雄君    田端 正広君       松沢 成文君    岡崎トミ子君       山元  勉君    岩佐 恵美君       小泉 晨一君    中村  力君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 岩垂寿喜男君  出席政府委員         公害等調整委員         会委員長    西山 俊彦君         公害等調整委員         会事務局長   桑原  博君         環境庁長官官房         長       田中 健次君         環境庁企画調整         局長      大西 孝夫君         環境庁企画調整         局環境保険部長 野村  瞭君         環境庁自然保護         局長      澤村  宏君         環境庁大気保全         局長      大澤  進君         環境庁水質保全         局長      嶌田 道夫君  委員外出席者         環境委員会調査         室長      工藤 桂司君     ————————————— 委員の異動 二月十五日  辞任         補欠選任   岩佐 恵美君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   不破 哲三君     岩佐 恵美君 同月十六日  辞任         補欠選任   坂本 剛二君     河上 覃雄君 同日  辞任         補欠選任   河上 覃雄君     坂本 剛二君     ————————————— 本日の会議に付した案件  環境保全基本施策に関する件  公害紛争処理に関する件      ————◇—————
  2. 杉山憲夫

    杉山委員長 これより会議を開きます。  環境保全基本施策に関する件及び公害紛争処理に関する件について調査を進めます。  この際、環境庁長官から所信を聴取いたします。  岩垂環境庁長官
  3. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 第百二十六回国会における衆議院環境委員会の御審議に先立ち、環境行政に対する私の所信を申し述べ、委員各位の御理解と御協力をお願いしたいと存じます。  さて、今日の環境問題は、身近な生活環境から地球的規模に至る空間的広がりと、将来世代にもわたる時間的広がりを有しており、人類生存基盤を脅かすおそれが生じてきております。そして、その多くは、都市生活型公害地球温暖化問題等に見られるように、通常の事業活動日常生活に伴って生じた環境への負荷の増大に起因しており、その解決のためには、大量生産大量消費型の経済社会システム生活様式を見直し、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会構築していく必要があります。  このため、委員方々も御承知のとおり、平成六年十二月、政府は、環境基本法に基づき、二十一世紀半ばを展望した環境政策基本的考え方と二十一世紀初頭までの施策方向を示す環境基本計画を閣議決定いたしました。  その中で、環境への負荷の少ない「循環」を基調とした経済社会システム実現すること、健全な生態系を維持回復しつつ自然と人間との「共生」を確保すること、これらを実現していくための基盤として、あらゆる主体環境保全に関する行動に「参加」する社会実現すること、そして「国際的取組」を積極的に推進することという四つの長期的な目標を示したところであります。  環境庁といたしましては、これらの目標の達成に向け、平成七年度を環境基本計画実施元年と位置づけ、政府一体となって計画を効果的に推進するための仕組みと、計画に基づく地方公共団体取り組みへの支援体制整備するとともに、昨年六月には率先実行計画を閣議決定し、十月には生物多様性国家戦略を策定するなど、計画の内容の実現に向けた取り組みを進めてきたところであります。  私といたしましては、今後、この流れを一層促進、敷衍し、政府のみならず、地方公共団体国民事業者等主体的に環境保全活動に取り組むことを通じて、国民生活に身近なところから広範に環境基本計画理念実現していくことが今日の環境問題の解決のために重要であると考えております。  また、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な循環型社会構築に向け、現在我々が直面し、人類生存基盤に深刻な影響を与えつつある地球環境問題を初めとする諸課題に的確に対応するため、新たな枠組みづくりを進めるとともに、効果の高い施策を重点的に講じていくことが必要であると考えております。  私は、このような考え方に基づき、次の施策に重点的に取り組んでまいります。  第一は、環境基本計画理念市民レベル地域レベルからの実現であります。  環境基本計画実現を図っていくためには、その理念を、政府のみならず、地方自治体国民事業者等のあらゆる主体に、あらゆる地域レベルで浸透させていくことが第一歩であると考えます。  このため、国民環境保全活動に対する意欲と行動とをつなぐ交流の場として環境パートナーシップブラザ(仮称)を設置し、国民各界各層連携による環境に優しい行動全国展開を図るとともに、こどもエコクラブ拡充事業者等の自主的な環境管理促進に努めてまいります。また、地方自治体が行う環境に優しい地域づくり触れ合いの場所の整備環境基本計画に基づく先駆的な取り組みなどの支援強化してまいります。  さらに、これらの施策とあわせ、環境基本計画の目指す持続可能な社会実現するための各種システム構築を図ります。  まず、環境影響評価制度については、これまで関係省庁一体となって精力的に調査研究を進めてまいりましたが、その結果を本年夏を目途に取りまとめ、これを踏まえ、法制化も含め所要の見直しを行ってまいります。また、経済的手法積極的活用に向けた検討を進めるとともに、使用済み製品リサイクル推進方策検討製品の再使用促進を図ってまいります。  第二は、地球的規模環境保全対策推進であります。  平成四年に開催された地球サミット契機として、国際社会において地球環境問題に関するさまざまな取り組みが進められております。こうした中、社会経済活動世界の中で大きな位置を占め、地球環境からさまざまな恩恵を受けている我が国としても、本問題に積極的なリーダーシップを発揮しつつ、国際社会に占める我が国の地位にふさわしい役割を果たし、環境分野世界に貢献していくことが求められております。  中でも、国際的にも関心の高い地球温暖化については、我が国が招致に向けた準備を進めている第三回気候変動枠組み条約締約国会議平成九年度開催を控え、中長期的な視野に立った温暖化防止対策充実強化を図るための戦略を策定するほか、途上国などと温暖化防止対策共同実施するなど、対策充実を図ってまいります。  また、地球環境問題を初めとする環境問題の解決の基礎となる科学的知見を十分に蓄積するため、引き続き環境研究充実強化するとともに、新たな地球環境戦略研究機関の設置に向け、必要な調査を行ってまいります。  さらに、アジア太平洋地域を中心として、各国間の環境政策連携途上国が行う環境保全取り組みへの支援を図るため、酸性雨等個別課題への対応強化するとともに、途上国に派遣する専門家を養成するための体制整備などを進めてまいります。  第三は、有害化学物質環境リスク低減を通じた環境安全性確保であります。  さまざまな用途で広範に用いられている化学物質の中には、人の健康や生態系に有害な影響を及ぼすものがあり、このような化学物質による環境への支障を生じさせるおそれ、すなわち環境リスクについてその低減を図り、有害な影響未然防止し、より安全な環境確保することが求められております。  このため、これまでも一部の物質について環境中への排出規制等を行ってまいりましたが、さらに、有害大気汚染物質対策充実を図るため、大気汚染防止法の一部改正案を今国会に提出するとともに、体系的な化学物質環境リスク評価管理検討を進めてまいります。  また、事業活動を通じて汚染された地下水浄化等を進めるため、水質汚濁防止法の一部改正案を今国会に提出するとともに、地方自治体が行う地下水浄化対策への支援強化するほか、汚染された土壌改善手法の向上を図ってまいります。  このほか、廃化学品放置等による環境汚染未然防止するための処理技術確立を図るとともに、フロン等生産規制強化や回収、破壊の促進に努めてまいります。  第四は、自然と人間との共生確保であります。  環境基本計画長期目標の一つに掲げられた「共生」については、多様な生態系健全性を維持回復するとともに、さまざまな場で自然と人間との豊かな触れ合い確保していくことが重要であります。  このため、自然公園等事業のあり方に関する総合的なビジョンの構築を図りつつ、緑のダイヤモンド計画等事業拡充長距離自然歩道の新たな利用拠点整備着手自然体験学習活動推進など、ソフト、ハード両面にわたる自然との触れ合いの場と機会の確保充実を図ってまいります。  また、昨年策定した生物多様性国家戦略を踏まえ、生物多様性に関する情報体系的収集管理提供体制整備するとともに、絶滅のおそれのある野生動植物保護増殖等拠点となるセンター等整備や、生物相豊かな里地環境保全整備を進めてまいります。さらに、野生鳥獣保護地域住民との共存を目指し、特に農林業被害の多い野生鳥獣適正管理技術普及生息環境整備等を進めてまいります。  第五は、大気環境対策水環境対策の積極的な展開による国民に身近な生活環境保全形成であります。  まず、大気環境対策については、大都市地域における大気汚染等抜本的解決を図るため、バス、ごみ収集車等への低公害車の集中的な導入を行う地方自治体を積極的に支援し、大量普及契機とするとともに、国道四十三号線を初めとする深刻な自動車騒音問題を解決するため、関係省庁とも連携し、地方自治体取り組み支援しつつ、沿道対策交通流対策を含む総合的な対策を進めてまいります。このほか、静かで良好な大気生活環境確保するため、国民大気環境に優しい行動普及定着を図ってまいります。  次に、水環境対策については、水辺地水生生物等を含む水環境保全施策を総合的に推進するため、地域特性水環境状況に即した水環境計画の策定や身近な水辺環境整備等推進してまいります。  また、第四次総量規制実施し、閉鎖性海域水質改善を図るとともに、生態系を活用した湖沼水質浄化施設整備を進めるほか、海洋についても、油汚染事故時の緊急体制確立に努めるなど、その保全施策推進してまいります。  第六は、公害健康被害者救済及び健康被害の予防であります。  長年の懸案でありました水俣病問題については、関係の皆様の御尽力により、昨年九月二十八日に最終解決策を提示することができました。  解決策概要は、水俣病に関するさまざまな紛争については、企業救済を求める者のうち一定の要件を満たす者に対して一時金を支払うこと、国及び県は遺憾の意など何らかの責任ある態度の表明を行うこと、救済を受ける者は訴訟等紛争を終結させることによって早期に最終的かつ全面的な解決を図るとともに、紛争の終結に際し、国及び県は、総合対策医療事業の継続及び申請受け付け再開チッソ支援地域再生振興のための施策を行うものであります。  熊本鹿児島関係についてはこの解決策患者団体企業の双方が受け入れを表明し、新潟関係については自主交渉によりこの解決策に沿って患者団体企業との間で協定書が締結され、当事者間で合意が成立いたしました。  政府は、これらの合意を踏まえ、昨年十二月十五日、水俣病問題の最終的かつ全面的な解決を図るため、熊本県を初め地元自治体とも調整を行った上で、所要措置について閣議了解等を行うとともに、あわせて内閣総理大臣談話を閣議決定したところであります。  この閣議了解に基づき、政府は、一月九日、一時金支払いに関するチッソ株式会社への支援措置及び水俣芦北地域再生振興に資するために地域住民のきずなの修復を図るための施設であるもやい直しセンター建設、運営に係る助成措置について予備費支出を行いました。また、一月二十二日からは、熊本県、鹿児島県及び新潟県において、四肢末梢優位の感覚障害を有すると認められる者に対して療養費等を支給する水俣病総合対策医療事業申請受け付けが再開されており、企業においても一時金支払い事務が開始されております。  このように、今回の解決策実行段階に入っているところであり、今後さらに、閣議了解に基づき、国立水俣病研究センター充実等水俣芦北地域振興施策推進していくこととしております。  私といたしましても、今後、地元自治体協力して、閣議了解に盛り込まれた施策を誠実かつ着実に実施してまいりますとともに、総理大臣談話に沿って、水俣病関係地域方々が、この解決契機として、一日も早く、ともに手をとり合って、心豊かに暮らすことができる地域社会が築かれるよう、最大限努力してまいりたいと考えております。  また、水俣病対策以外の環境保健施策推進については、引き続き公害健康被害者救済に万全を期するとともに、健康被害を予防するための施策の着実な推進を図ってまいります。  さらに、第一から第六に述べた施策に加え、震災や大規模事故等の緊急時における環境庁所管行政対応体制充実強化するため、地方自治体における化学物質把握体制整備を図るとともに、汚染状況健康影響の迅速な把握手法開発等に着手してまいります。  以上、環境行政の主要な課題と今後の取り組み基本的方向について所信を述べさせていただきました。  環境基本計画が指し示す環境への負荷の少ない持続可能な経済社会システム実現していく上では、橋本内閣が掲げる社会の「変革」と「創造」が不可欠であります。  私は、環境基本計画に基づき着実に施策推進しつつ、環境行政のさらなる進展に向けて力の充実と蓄積を図ることとし、環境庁施策充実はもとより、その企画調整機能を十分発揮し、政府一体となって環境行政を総合的、計画的に推進することに全力を傾けてまいりたいと考えております。  本委員会及び委員各位におかれましても、環境行政の一層の推進のため、今後とも御支援、御協力を賜りますよう心からお願いを申し上げます。
  4. 杉山憲夫

    杉山委員長 これにて環境庁長官所信表明は終わりました。  次に、平成八年度環境庁関係予算概要について説明を聴取いたします。田中官房長
  5. 田中健次

    田中(健)政府委員 平成八年度の環境庁関係予算案について、その概要を御説明申し上げます。  平成八年度総理府所管一般会計歳出予算要求額のうち、環境庁予算要求額は七百五十六億三千六百万円であり、これを前年度の当初予算額七百十四億五千六百万円と比較すると、四十一億八千万円、五・八%の増額となっております。  予算要求額の主要な項目について御説明申し上げます。  第一に、環境保全企画調整等については、一昨年十二月に策定した環境基本計画推進を初め、環境影響評価制度特別総合調査実施環境保全のための経済的手法検討環境パートナーシップ推進等環境政策の新たな展開に向けた取り組みを積極的に推進するとともに、気候変動枠組み条約を踏まえた中長期的温暖化対策戦略策定調査等総合的な地球温暖化防止対策推進開発途上国環境問題への取り組みに対する支援砂漠化防止対策推進アジア太平洋地域における地球環境共同研究推進地球環境問題への取り組みを積極的に推進することとし、これらに必要な経費として四十四億四千万円を計上しております。  第二に、公害による健康被害者救済等については、昨年十二月の閣議了解に基づき水俣病総合対策推進するほか、従来に引き続き、公害健康被害補償制度の適正かつ円滑な実施を図るとともに、環境保健に関する各種調査研究推進することとし、これらに必要な経費として二百七億七千万円を計上しております。  第三に、大気汚染等防止については、大都市地域窒素酸化物対策推進のための低公害車普及事業等を初め、オゾン層保護対策浮遊粒子状物質対策有害大気汚染物質対策等推進を図ることとしております。  また、騒音、振動及び悪臭対策についても引き続き推進を図ることとし、これらに必要な経費として二十億二千六百万円を計上しております。  第四に、水質汚濁防止については、汚染された地下水浄化対策等推進するとともに、生活排水対策海域における富栄養化対策及び水質総量規制湖沼水質保全海洋環境保全並びに水道水源水域水質保全等対策推進するための経費として十五億八千九百万円を計上しております。  このほか、地盤沈下防止及び廃棄物対策費として二億三千百万円、土壌汚染防止及び農薬対策費として三億四千万円をそれぞれ計上しております。  第五に、環境事業団については、建設譲渡事業及び融資事業等を引き続き推進するほか、地球環境保全に取り組む民間団体活動支援するための地球環境基金事業推進を図ることとし、同事業団事業に対する助成等に必要な経費として五十五億三千万円を計上しております。  第六に、公害監視等設備整備については、地方公共団体監視測定体制等整備を助成するために必要な経費として八億二千九百万円を計上しております。  第七に、環境保全に関する調査研究推進のための経費については、総額六十八億七千六百万円を計上しております。  この内訳としては、まず、国立試験研究機関等公害防止等試験研究費として十九億一千八百万円を環境庁において一括計上するとともに、環境基本計画推進調査費として二億五千万円を計上し、環境基本計画推進するための環境保全対策に関連する各省庁所管調査総合調整を行うほか、地球環境研究総合推進費として二十六億円を計上し、各省各庁の所管する国立試験研究機関等が行う各種地球環境保全に関する調査研究総合的推進を図ることとしております。  また、公害防止等調査研究費として二十一億八百万円を計上し、地球観測衛星に搭載する成層圏オゾン等観測機器開発環境汚染による健康影響の解明、その他大気汚染水質汚濁自然保護等に関する各種調査研究を進めることとしております。  第八に、自然環境保全対策及び自然公園等整備事業等について申し上げます。  まず、自然環境保全対策及び自然公園等維持管理については、昨年十月に策定した生物多様性国家戦略に基づき、各種情報収集整備等を初めとする生物多様性保全施策を総合的に推進するとともに、国立公園保護管理強化を図ることとしております。  また、野生生物保護対策については、絶滅のおそれのある野生動植物保護対策強化を図るとともに、野生鳥獣保護等に関する調査検討推進することとしております。  これらに必要な経費として、合わせて二十四億一千三百万円を計上しております。  次に、自然公園等整備事業については、人と自然との豊かな触れ合い確保するため、我が国を代表するすぐれた自然を有する国立国定公園において、その保全復元等事業自然学習自然体験の場の整備等を総合的に推進するとともに、身近な自然との触れ合いの場や長距離自然歩道等整備推進するほか、国民公園整備を図ることとし、これらの整備に必要な経費として百十六億四千二百万円を計上しております。  第九に、環境保全施設整備については、野生生物保護管理施設等整備大気保全施設整備生活排水対策重点地域内の水質浄化施設及び水辺環境再生等整備助成に必要な経費として十六億五千八百万円を計上しております。  第十に、環境庁研究所については、国立環境研究所において、地球環境問題を初め環境全般にわたる研究等推進するために必要な経費として七十七億四千七百万円を計上し、国立水俣病研究センターにおいて、水俣病発生地域特性を生かした研究推進のため、国立水俣病総合研究センターに改組し、体制強化を図るとともに医学的調査研究等充実を図ることとし、これらに必要な経費として五億六千二百万円を計上し、また、環境庁研究所施設整備を図るために必要な経費として五億一千二百万円を計上しております。  以上、平成八年度環境庁関係予算案概要につきまして御説明申し上げました。
  6. 杉山憲夫

    杉山委員長 次に、各省庁平成八年度環境保全経費等概要について、便宜、環境庁から説明を聴取いたします。大西企画調整局長
  7. 大西孝夫

    大西政府委員 各省庁平成八年度環境保全経費等概要について御説明申し上げます。  まず、歳出予算について御説明申し上げます。  地球的規模広がりと将来の世代にわたる広がりを持つ今日の環境問題に対処するため、一昨年十二月、政府全体の環境保全施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な計画である環境基本計画が策定されました。  環境保全経費につきましては、この環境基本計画に盛り込まれた施策の効果的な実施に資する観点から、環境基本計画に示された施策体系に沿って取りまとめております。  平成八年度における環境保全経費総額は二兆七千四百四十一億円であり、前年度の当初予算に比べ千四百五十四億円、五・六%の増となっております。  これを事項別に見ますと、循環基調とする経済社会実現のために二兆三千二百九十八億円、自然と人間との共生確保のために三千五百六十三億円、すべての主体参加実現のために三千四百五十二億円、共通的基盤的施策推進のために二兆二千百四十七億円、国際的取り組み推進のために六百二十六億円、その他として百三億円が計上されております。  なお、予算によっては複数の事項に重複して計上されているものがあります。  主要な項目については、次のようになっております。  まず、循環基調とする経済社会実現のための経費のうちでは、建設省等に計上されている下水道事業費一兆千七百二十六億円、厚生省、運輸省等に計上されている廃棄物処理施設整備費千七百八億円などがあります。  また、自然と人間との共生確保のための経費のうちでは、環境庁自然公園等事業費百十六億円、建設省等公園事業費千六百九億円、すべての主体参加実現のうちでは、環境庁地球環境基金関係経費十九億円、国際的取り組み推進のうちでは、外務省の国連環境基金拠出金三十九億円などがあります。  なお、近年の地球環境問題に対する取り組み重要性にかんがみ、環境保全経費とは別に、環境庁において各省庁地球環境保全関係予算を取りまとめたところでありますが、これによりますと、平成八年度における総額は五千六百八十八億円であり、前年度の当初予算に比べ二十八億円、〇・五%の増となっております。  これを事項別に見ますと、国際的枠組みづくりに係る経費として六十三億円、観測監視調査研究に係る経費として千百四十二億円、技術開発普及に係る経費として四千九十八億円、環境分野政府開発援助等に係る経費として百七十四億円、環境配慮に係る経費として八十九億円、地球環境保全型の社会経済活動普及啓発等に係る経費として百二十二億円となっております。  次に、環境保全関係財政投融資は、貸付規模等において総額三兆三千九百二十億円を予定しております。  機関別の主な内訳としては、環境事業団事業規模で八百五十億円、中小企業金融公庫が貸付規模で千百億円、日本開発銀行が貸付規模で五百四十億円を予定しているなどのほか、地方公共団体の下水道整備、廃棄物処理等の事業推進するため、地方債計画において三兆千百九十八億円を予定しております。  このほか、環境衛生金融公庫、北海道東北開発公庫、中小企業事業団等において産業公害防止対策所要の融資を引き続き行うこととしております。  最後に、今国会で御審議いただく環境保全関係の税制改正措置について御説明申し上げます。  まず、地球温暖化対策といたしまして、電気自動車等の低公害車に係る自動車取得税の軽減措置拡充を行う予定であります。  また、自動車排出ガス対策として、低公害車の導入促進のほか、平成九年導入予定の排出ガス規制の適合車に対する自動車取得税の軽減措置を創設する予定であります。  さらに、廃棄物・リサイクル対策として、再生資源を利用した製品を製造するための設備についての特別償却制度の創設や、容器包装の再商品化施設に係る事業所税の課税標準の特例措置の創設等を行う予定であります。  このほか、公害防止設備の設置、自動車交通騒音対策や省エネルギー対策推進等に関する所要の税制上の措置を講ずることとしております。  以上、平成八年度の各省庁環境保全経費等概要につきまして御説明申し上げました。
  8. 杉山憲夫

    杉山委員長 次に、平成七年における公害紛争処理に関する事務概要等について説明を聴取いたします。西山公害等調整委員会委員長
  9. 西山俊彦

    ○西山政府委員 公害等調整委員会が平成七年中に行った公害紛争処理に関する事務及び平成八年度総理府所管一般会計公害等調整委員会歳出予算要求額について御説明申し上げます。  まず、公害紛争処理に関する事務概要について御説明申し上げます。  第一に、平成七年中に当委員会に係属した公害紛争事件は、静岡県等の住民からプロクター・アンド・ギャンブル・ファー・イースト・インクを相手方として申請のあった液体洗剤水質汚濁被害等調停申請事件、香川県の住民から産業廃棄物処理業者等を相手方として申請のあった豊島産業廃棄物水質汚濁被害等調停申請事件、東京都の住民から埼玉県の高圧ガス集配事業所等を相手方として申請のあった高圧ガス集配所騒音被害等調停申請事件、東京都の住民から埼玉県の鍛造事業者を相手方として申請のあった金属加工工場騒音・振動被害調停申請事件、島根県等の住民から中国電力株式会社等を相手方として申請のあった送電線建設土壌汚染被害等調停申請事件、島根県等の住民から国を相手方として申請のあった中海本庄工区干陸事業水質汚濁被害等調停申請事件、東京都の住民から小田急電鉄株式会社を相手方として申請のあった小田急線騒音被害等責任裁定申請事件の合計十六件であり、これらのうち、平成七年中に終結した事件は二件であります。  なお、以上のほか水俣病損害賠償調停申請事件については、調停成立後に申請人の症状に変化が生じたときに申請される水俣病慰藉料額等変更申請事件が十六件あり、うち十一件が終結しております。  現在係属中の事件につきましては、適切な解決が図られるよう鋭意努力してまいる所存であります。  第二に、平成七年中に都道府県公害審査会に係属した公害紛争事件は八十七件であり、工場・事業所、道路及び近隣生活の騒音等に係る事件が多くなっております。これらのうち、平成七年中に終結した事件は四十二件であります。  公害紛争処理法においては、当委員会と都道府県公害審査会とはそれぞれが独立の機関として職務を遂行することとなっておりますが、公害紛争の迅速かつ適正な解決を図るという観点から同審査会との間での連絡協議に努めるとともに、参考となる情報、資料の提供を積極的に行っているところであります。  第三に、全国の公害苦情の実態についてであります。  当委員会調査によれば、平成六年度において、全国の地方公共団体公害苦情相談窓口に寄せられた公害苦情は約六万七千件となっております。  これを苦情の種類別に見ますと、いわゆる典型七公害に関する苦情は約四万六千件で、前年度に比べ五・七%増加しました。また、いわゆる典型七公害以外の苦情は約二万一千件で、全体の約三一%を占めております。  公害苦情につきましては、都道府県または市区町村がその処理に当たっておりますが、当委員会としては、これらの地方公共団体に対し、職員に対する研修の実施、苦情処理に必要な情報の提供等を積極的に行っているところであります。  続きまして、平成八年度公害等調整委員会の歳出予算要求額概要について御説明申し上げます。  平成八年度総理府所管一般会計歳出予算要求額のうち、公害等調整委員会の歳出予算要求額は六億三百万円であり、これを前年度の当初予算額五億八千八百万円と比較いたしますと、二・六%、千五百万円の増額となっております。  次に、その内訳について御説明申し上げます。  第一に、当委員会に係属する公害紛争事案の審理経費等として五億七千万円を計上しております。  第二に、公害紛争処理を担当する都道府県公害審査会委員及び担当職員との連絡協議のための経費等として三千三百万円を計上しております。  以上が平成七年中に公害等調整委員会が行った公害紛争処理に関する事務概要及び平成八年度公害等調整委員会の歳出予算要求額についての概要であります。  公害等調整委員会といたしましては、今後とも公害紛争の迅速かつ適正な解決を図るため、鋭意努力してまいる所存でありますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
  10. 杉山憲夫

    杉山委員長 次回は、来る二十三日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時二十五分散会