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1996-06-07 第136回国会 衆議院 外務委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年六月七日(金曜日)     午前十一時四分開議  出席委員   委員長 関谷 勝嗣君    理事 小杉  隆君 理事 田中 直紀君    理事 玉沢徳一郎君 理事 赤羽 一嘉君    理事 東  祥三君 理事 井上 一成君       安倍 晋三君    久野統一郎君       斎藤 文昭君    坂本三十次君       櫻内 義雄君    二階堂 進君       原田昇左右君    伊藤 英成君       岡田 克也君    小坂 憲次君       笹山 登生君    中野 寛成君       若松 謙維君    秋葉 忠利君       佐藤 泰介君    園田 博之君       中島 武敏君    吉岡 賢治君  出席国務大臣         外 務 大 臣 池田 行彦君  出席政府委員         防衛庁教育訓練         局長      粟  威之君         外務大臣官房審         議官      谷内正太郎君         外務省総合外交         政策局長    川島  裕君         外務省総合外交         政策局軍備管         理・科学審議官 河村 武和君         外務省アジア局         長       加藤 良三君         外務省北米局長 折田 正樹君         外務省経済局長 野上 義二君         外務省経済協力         局長      畠中  篤君         外務省条約局長 林   暘君  委員外出席者         防衛庁経理局監         査課長     清水  繁君         外務大臣官房文         化交流部長   大塚清一郎君         農林水産省畜産         局流通飼料課長 横山 光弘君         水産庁研究部資         源課長     中森 光征君         通商産業省生活         産業局文化用品         課長      成宮  治君         外務委員会調査         室長      野村 忠清君     ――――――――――――― 委員の異動 六月七日  辞任         補欠選任   鈴木 宗男君     久野統一郎君   古堅 実吉君     中島 武敏君 同日  辞任         補欠選任   久野統一郎君     鈴木 宗男君   中島 武敏君     古堅 実吉君     ――――――――――――― 六月五日  日米地位協定見直し米軍基地の撤去に関す  る請願古堅実吉紹介)(第二七六八号)  日米地位協定見直し在日米軍基地の整理・  縮小の促進に関する請願古堅実吉紹介)(  第二八四四号)  インドネシアヘの原発輸出に対するODA使用  反対に関する請願秋葉忠利紹介)(第二八  四五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 六月四日  日米地位協定見直し等に関する陳情書外三件  (第二七九号)  沖縄米軍基地問題の解決策に関する陳情書  (第二  八二号)  核廃絶に関する陳情書  (第二八三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協  定の譲許表第三十八表(日本国譲許表)の修  正及び訂正に関する確認書締結について承認  を求めるの件(条約第一号)(参議院送付)  インド洋まぐろ類委員会設置に関する協定の  締結について承認を求めるの件(条約第二号)  (参議院送付)      ――――◇―――――
  2. 関谷勝嗣

    関谷委員長 これより会議を開きます。  千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定譲許表第三十八表(日本国譲許表)の修正及び訂正に関する確認書締結について承認を求めるの件及びインド洋まぐろ類委員会設置に関する協定締結について承認を求めるの件の両件を議題といたします。  これより政府から順次提案理由説明を聴取いたします。外務大臣池田行彦君。     —————————————  千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定譲許表第三十八表(日本国譲許表)の修正及び訂正に関する確認書締結について承認を求めるの件  インド洋まぐろ類委員会設置に関する協定締結について承認を求めるの件     〔本号(その二)に掲載〕     —————————————
  3. 池田行彦

    池田国務大臣 ただいま議題となりました千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定譲許表第三十八表(日本国譲許表)の修正及び訂正に関する確認書締結について承認を求めるの件について、提案理由を御説明いたします。  この確認書は、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定に含まれている我が国譲許表に掲げる品目分類平成八年一月一日に効力を生じた商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約の改正に適合させることを目的とするものであり、平成八年二月にジュネーブにおいて作成されたものであります。  我が国がこの確認書締結することは、関税事務を容易にする見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この確認書締結について御承認を求める次第であります。  次に、インド洋まぐろ類委員会設置に関する協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この協定は、平成五年十一月二十五日にローマで開催された国際連合食糧農業機関理事会において承認されたものであります。  この協定は、インド洋マグロ類保存及び最適利用を適当な管理を行うことによって確保すること等を目的とするインド洋まぐろ類委員会設置について規定するものであります。  我が国がこの協定締結することは、インド洋マグロ類漁業に関する国際協力促進及び我が国マグロ類漁業の安定した発展を図るとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  以上二件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願い申し上げます。
  4. 関谷勝嗣

    関谷委員長 以上で提案理由説明は終わりました。     —————————————
  5. 関谷勝嗣

    関谷委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斎藤文昭君。
  6. 斎藤文昭

    斎藤(文)委員 まず最初に、インド洋まぐろ類委員会設置協定についてお尋ねをいたしたいと思います。  我が国は、四方海に囲まれた海洋国家でありまして、歴史的にもそして現在でも、国民食糧、たんぱく源の多くの部分を魚介類等海洋資源に求めてまいったことは、今さら申し上げるまでもないところであります。特にマグロ類魚族につきましては、カツオマグロの刺身といった形で今や国民の食生活に欠かせない存在になっておると申し上げても過言ではないと思います。こうした魚類資源を将来にわたって管理保存を図っていくことは、我々に課せられた大きな責務であると考えるところであります。  そこで、これまでインド洋におけるマグロ類資源管理につきましては、国連食糧農業機関、いわゆるFAO下部組織であるインド洋まぐろ管理委員会がその管理等を行ってきたと承知をしておるところでありますが、今般、その機能をより充実強化するために、本協定によってインド洋まぐろ類委員会設置をされ、去る三月より発効しておると伺っておるところであります。  そこで伺いたいのでありますが、本協定締結によって従来のインド洋まぐろ管理委員会に比して具体的にはどのような面で充実強化が図られるのか、また我が国にとって本協定がどのような意義があるのかについて、お聞かせをいただきたいと思います。
  7. 池田行彦

    池田国務大臣 ただいま斎藤委員指摘のとおり、従来はFAOのもとに設置されたインド洋漁業委員会下部組織でございますインド洋まぐろ管理委員会というのが資源状況の評価などを行ってきたわけでございますけれども、この委員会FAOと独立した予算を持っておりませんでした。また、メンバー国に対して拘束力を持った措置をとるという権限もなかったわけでございます。  これに対しまして、ただいま御審議いただいております協定が成立し、それに基づいてインド洋まぐろ類委員会というのが新たに設置されますと、この新たなる委員会は、この協定の十三条の一項に規定されておりますけれども、FAOとは独立した自主的な予算を持つというのがまず第一点でございます。そしてまた、構成国に対しまして拘束力を有する資源管理措置を採択する、こういった権限も有することとなっております。  こういったことから、この後の方の拘束力を有する措置をとる権限というのは協定九条一項に規定されておるところでございますが、こういうことになりますと、インド洋マグロ類資源保存及び管理機能が大幅に充実また強化されることになるわけでございます。  また、我が国にとってこの協定の持つ意義いかんという御質問でございましたが、これは委員御自身が御指摘になりましたように、水産物、とりわけその中でもマグロ類我が国国民生活にとりまして大変重要な意義を持っております。これまでも南太平洋とか米大陸沿岸の地域においての資源の適正な管理のためのいろいろな協定我が国も加盟してきたわけでございますが、インド洋マグロ類について新たなそういう仕組みがとられ、それに我が国が加盟するということは、そういった資源の適正な管理、そして我が国国民生活の上で大きな意味を持っている水産物の安定的な供給という観点からも意義を有するものと考える次第でございます。
  8. 斎藤文昭

    斎藤(文)委員 本協定締結によって、果たしてインド洋におけるマグロ類資源保存管理が将来にわたって効果的に確保されていくのかというのが大事な観点であろうと思うのです。  特に国連海洋法条約との関連においてでございますけれども、本協定第十六条によりますと、沿岸国二百海里内、いわゆる排他的経済水域内における主権的権利は害しない旨を規定しておるところであります。沿岸国が自国の権利を強く主張した場合、本協定の対象である公海と排他的経済水域との間で、大変広い範囲を回遊するマグロ類でございますので、そうした資源保存管理が一体的といいますか統一的に果たしてうまくいくのかどうか危惧されるところでございますけれども、この点についてはどういう見解をお持ちなのか。
  9. 池田行彦

    池田国務大臣 マグロ類は、カツオなどと同様に非常に広い範囲の海域を回遊する、高度回遊性と申しましたか、そういう魚類に属するものでございまして、そういったものにつきましては、国連海洋法条約におきましても、いわゆる排他的経済水域の内外を問わず適正な管理がなされることが大切であるという観点から、沿岸国あるいはその他の国も含めて関係国の間でいろいろな協力が行われることが望ましい、そして、現存するそういった機関というものが有効に機能することを期待すると同時に、そういうもののないところにおいてはそういった仕組みをつくることを慫慂するといったような規定もあるところでございます。そういった意味で、この協定国連海洋法条約というものはいわば軌を一にしている、そういうふうに考える次第でございます。
  10. 斎藤文昭

    斎藤(文)委員 そこで、ひとつ心配されることは、いわゆる海賊マグロ漁船と言われる存在でございます。  現在、世界では海賊マグロ漁船と呼ばれる船が約二百隻あると言われております。船籍は中米のパナマやホンジュラス、ベリーズがほとんどで、船主日本国周辺の人々が多く、若干の日本人も含まれておると言われております。船主はいわゆる遠洋マグロ漁業の許可が簡単にとれ、しかも、船の登録料の安い国に船籍を移している便宜置籍船で、国際漁業管理機関に加盟せず勝手な操業を行い、こうした漁船の漁獲したマグロはほとんどが日本輸入をされておりまして、その量は年間約四万トンにも上ると言われております。  このような国際的な資源管理措置に違反するマグロ漁船からの輸入を制限する法案を制定しようというような動きもあるところでありますが、こうした海賊マグロ漁船存在について政府はどのように認識され、どう対応するのか。今後このような海賊マグロ漁船がますます増加することが心配されるわけでありますけれども、そのような状況で果たして資源管理保存が効果的になされていくのか、心配な点でございますので、この点について御見解を伺いたいと思います。
  11. 野上義二

    野上政府委員 今御指摘のいわゆる便宜置籍船による海賊マグロ漁船という問題でございますけれども、インド洋につきましては、本件協定が発効して間もないということ、インド洋まぐろ類委員会設置されて間もないということもございまして、現時点では、インド洋においては非加盟国による便宜置籍船による問題というのは生じておりません。  本協定でそういった問題を今後どう取り扱うかということにつきましては、委員会構成国がお互いに協力して、委員会構成国となるべき資格を有しているけれどもいまだ構成国となっていない国がこの協定当事国となるように働きかけていかなければならないという規定が四条三項でございます。また、委員会構成国でない国から委員会会合にオブザーバーを出させて委員会の議論を見るようにということを招請することもできます。これは七条で規定されております。  したがって、我が国としましても、必要に応じて、そういったような状況が出てまいりますれば、協定の他の締約国協力して非締約国に対しても本協定への参加または委員会の定める保存管理措置の遵守について働きかけを行っていく。  今、御承知のように、具体的なインド洋マグロにつきましては、大西洋等に比しましてこういった具体的な保存管理措置漁獲制限等が決まっておりませんので、そういう意味では、逆に言えば海賊船というのは出てこないということでございますけれども、将来の問題といたしましてそういった問題が出てきた場合には、こういったような規定を用いまして協定の中に取り込んでいくことで対応するということだと思います。
  12. 斎藤文昭

    斎藤(文)委員 インド洋マグロについてはこうした海賊マグロ漁船心配は今のところないということでありますけれども、今ミナミマグロクロマグロ等については私が申し上げたような状況があるということでございますので、将来恐らく心配されるような状況も出てくるのかなと思っておりますので、今からこれにどう対応するのかひとつ真剣に御検討をいただいておきたいと思います。  次に、北朝鮮に対する食糧支援問題について幾つかお尋ねをいたしたいと思います。  本日未明、国連人道問題局長明石さんが総額約四千三百六十万ドル相当の北朝鮮に対する第二次の統一支援アピールを行われたところでございまして、アメリカ日本はこのアピールを受け北朝鮮への食糧支援を行う方針を決めたというふうに新聞報道で伺っておるところでございます。  そこで、まず最初に伺いたいのは、外務省北朝鮮食糧事情の実態を一体どのように把握認識されておられるのか伺いたいわけであります。  情報が余りにも錯綜しておりまして、韓国あたりの発表によりますと、少しオーバーじゃないか。いろいろ亡命者等の話によっても、例えば軍事用備蓄米、恐らく百二十万トンぐらいには一切手をつけられていないといった報道やら、あるいは国連人道関係機関現地調査では、野草までも食卓に上っているというような大変危機的な状況だといった報道やら、さまざまな報道が錯綜いたしておりまして、我々も一体北朝鮮の現在の食糧事情というのがどうなっているのかなかなか判断しにくい状況にあるわけでございますけれども、外務省としては、北朝鮮の現在の食糧事情というものを一体どのように認識をされておられるのか、まずお伺いをいたしたいと思います。
  13. 池田行彦

    池田国務大臣 斎藤委員指摘のとおり、北朝鮮の国内の事情、そしてまた食糧事情につきましても、きちんとした統計資料等に基づく情報というのは、日本だけではなくて、ほかの国でもあるいは国連においてもなかなか把握できないところでございます。そういったことで、北朝鮮がいろいろな機会に発表しましたり明らかにするいろいろな情報、あるいはかの国にいろいろな調査その他の目的で行きました方々の伝聞の情報、それからまたそれぞれの国がその他もろもろの手法を用いて集めた情報、そういったもので判断するしかないわけでございますので、なかなかきちんとした状況把握というのは難しいという状況にあります。  先般、二週間ぐらい前でございますが、実は済州島におきまして我が国韓国アメリカ高級事務レベル会合がございまして、いろいろこの問題についても話し合ったわけでございますけれども、今委員も御指摘になりましたように、一体どの程度の生産があるのか、あるいはどの程度のそもそもニーズがあるのか、あるいは備蓄がどうなっているかという点についてもいろいろ見方はあったようでございます。必ずしもぴしゃっとした一致はございませんでした。しかし、全体として非常に厳しい食糧事情がある、また基本的な食糧政策の誤りもあったのではないかという話等もございますが、それに加えて昨年の異常気象に基づく大洪水等の影響もあるということでございまして、ここのところ一段と厳しくなっているという認識では一致したというところでございます。  そしてまた、今も御指摘ございました国連の緊急の人道的観点からのアピールがなされたということも、これは国連としても現地に例えばFAOあたり関係者が行っていろいろ事情を聞いているところでございますが、そういったことも踏まえて、非常に状況が厳しい上にさらに悪化しているという認識のもとに今回アピールがその後なされたもの、このように考えている次第でございます。
  14. 斎藤文昭

    斎藤(文)委員 我々も全体的に北朝鮮食糧事情が大変厳しい状況にあるということは認識しているつもりなのですけれども、いろいろな新聞報道を見ますと、例えば、これは五月十七日付の新聞でございますけれども、北朝鮮高官が「コメ支援受け入れ用意」」という形で見出しに出ているわけです。昨年我が国が行った五十万トンの緊急支援米、あれについては大変感謝する、さらに追加支援については、日本が昨年のように条件をつけずに支援するというなら検討する、そういうようなことを話されたという新聞報道がなされているわけですね。そうすると、それほど切実ではないのかななんていうような受けとめ方も我々せざるを得ない面もあるわけですけれども、具体的には、非公式にも北朝鮮の方から食糧支援について何か要請があったとかそういうことはまだないのでしょうか。そのことをお聞きしたいのと、実は昨年の我が国からの五十万トン、あれは果たして正確に北朝鮮国民人たち配付されたのかどうか、その辺はどのように把握されているのか、あわせてお答えをいただければと思います。
  15. 池田行彦

    池田国務大臣 国連に対しての要請あるいはそれを受けての国連からのアピールという点につきましては先ほども申し上げたとおりでございますが、そうではなくて、北朝鮮から我が国に対する、いわゆる国連を経由しない援助要請というものは現在までのところございません。もとより、今委員も御指摘になりましたようないろいろな機会に北の人がいろいろなことを言ったという報道はございますし、また私どももそういった情報には接しておりますけれども、我が国に対する要請という形では何も来てないということでございます。  それから、昨年行いました緊急の人道上の見地からの米の支援というものにつきましては、これは無償と有償と両方ございましたが、いずれの場合にも、その取り決めあるいは契約等におきまして、これは民生用に専ら充てるべきものであるということが明記されておりまして、またその趣旨に沿った配付がなされたという報告等も来ておるわけでございますけれども、そこのところは具体的には政府委員からお答えさせたいと存じます。
  16. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 無償供与されました十五万トンの米につきましては、日本赤十字社朝鮮赤十字会の間の文書によりまして、北朝鮮における民生用消費のため供与され、朝鮮赤十字会はこの十五万トンの受領、配分の後、できるだけ速やかに日本赤十字社に対してその配分状況に関する資料を提出するということになっていたところでございますが、去る一月の中旬に朝鮮赤十字会から日本赤十字社に対しましてこの資料の提出がございました。  それから、延べ払い売買契約に基づいて供与されました三十五万トン、つまり最初の十五万トンと後の二十万トンの合計でございますが、この米につきましては、契約におきまして、供与される米が専ら民生用消費のために適正に使用されるということが明記されております。また、この三十五万トンのうち、昨年の六月に支援が確認されて船積みを終えた十五万トンにつきましては、一月の下旬に北朝鮮国際貿易促進委員会、国貿促から我が方の食糧庁に対しまして配分状況に関する資料が送付されてまいっております。  あと残りの二十万トンについては、四月に輸送が終了したところでございまして、配分状況に関する資料は現在のところ送付されておりませんけれども、これについてもいろいろ情報収集に努めて、配付先確認等につき万全の注意を払ってまいりたいと存じます。
  17. 斎藤文昭

    斎藤(文)委員 国連アピールを受けて、恐らく韓国が一番北朝鮮内部事情には詳しいと思うわけですが、韓国の立場も十分に配慮されながら、私個人としては追加支援を行うべきというふうに考えておるところでございます。  そこで、去る五月十四日ですか、日本アメリカ韓国次官級会談韓国済州島で行われたわけでありまして、あそこの中ではとりあえず追加支援は行わないという結論が出されたようですけれども、これは恐らく北朝鮮を四者協議の中に受け入れるまでは支援を行わないというスタンスだったのかなと我々は理解しておるわけでございます。この四者協議というのは、朝鮮半島の現在の休戦体制を恒久的な平和体制に変える最も現実的な案であると私も思っておるわけですけれども、この四者協議受け入れについて、北朝鮮が何らかの意向といいますか、四者協議受け入れるような何らかの対応といいますか、そういうのが出てきているのかどうか、中国あたりとの関係が最近緊密になったとか、いろいろな報道をなされているわけですけれども、そういう方向に行きつつあるのかどうか、その辺の認識についてできればちょっとお答えをいただきたいと思います。
  18. 池田行彦

    池田国務大臣 まず、その前に、ただいま前段でお話のございました、済州島における日米韓高級事務レベル会合においての話でございますが、ここでは、先ほども申し上げましたけれども、北朝鮮情勢食糧問題も含めまして、いろいろ話し合い、認識のすり合わせをやったということがございましたけれども、これから先、食糧援助をするかしないかということにつきましては、先ほども申しましたように、そういう具体的な要請に接しているわけでもないわけでございますから、そのことについて何らの決定があったというわけではございません。そのことを申し上げておきます。  それから、四者協議につきましては、やはり朝鮮半島情勢の安定という観点から、今何としてもこの米韓両大統領の提唱による四者協議が動き出すということが肝要だと考えておりますので、その合意等を皆考えている次第でございます。今のところ、まだ北朝鮮側から確たる反応は来ておりません。まだ検討中ということでございます。しかし、かなり時間がたちますけれども検討中ということは、いろいろ北朝鮮もこの会議の持ち得る意義なり意味というものをはかっておるのだと思います。  なお、米国、韓国から、いろいろ必要ならば説明をしましようということもやっておりますし、まだこれからもそういう努力が続けられるのでございましょう。我々も、側面的ではございますが、北朝鮮が何とかこの会合に入ってくるように期待しているところでございます。
  19. 斎藤文昭

    斎藤(文)委員 まだ幾つか質問したいと思いましたけれども、時間が参りましたので終わります。どうもありがとうございました。
  20. 関谷勝嗣

    関谷委員長 佐藤泰介君。
  21. 佐藤泰介

    ○佐藤(泰)委員 では、よろしくお願いします。  まず、本日の案件に入る前に、リムパックにおける自衛艦による米軍機誤射事件について伺いたいと思います。  まず、事件の事実関係を確認したい。報道によれば、事件は六月四日午後二時十五分ごろ、ハワイ西方約二千五百キロの太平洋上の演習海域で、海上自衛隊の護衛艦「ゆうぎり」と「ひえい」、米海軍の駆逐艦ファイフ、空母インディペンデンス搭載のA6一機が参加した演習において、海上自衛隊の護衛艦「ゆうぎり」が、A6機がワイヤーで曳航した標的を、高性能二十ミリ機関砲を用い射撃する際に、誤ってA6機を撃墜したものであると伝えられている。かかる事実の確認と、さらなる詳細について、政府説明をまず求めたいと思います。
  22. 粟威之

    ○粟政府委員 お答えします。  今回の事故は、リムパックに参加している護衛艦「ゆうぎり」が、訓練中に米海軍のA6、これは通称イントルーダーと呼んでおりますけれども、その機種でございます。これは空母インディペンデンスに載っております飛行機でございます。これを撃墜した事故で、まことに遺憾であると考えております。  さらに、事故の概要を申し上げますと、大体先生が今おっしゃられたとおりでございまして、A6がドローンという標的を曳航して、米海軍のファイフという船とそれから海上自衛隊の「ゆうぎり」とそれから「ひえい」の三隻で対空射撃訓練を実施しておりました。「ひえい」はその訓練を実施し、終わったところで、今度「ゆうぎり」の番になりまして、まず最初に実射を伴わない射撃手順の訓練をやりました。その次に、今度は実弾を撃つという訓練に入ったわけでございますが、そのときにA6を撃墜したものでございます。撃墜された米海軍のパイロットの二名の方は、即座に「ゆうぎり」の内火艇で救助されまして、「ゆうぎり」に収容後、インディペンデンスのヘリコプターで……(佐藤(泰)委員「時間がないので、新聞報道されておる辺はわかるので」と呼ぶ)  そういうことでございまして、今のところ、原因を徹底究明して、このような事故の再発防止に万全を期する所存でございます。
  23. 佐藤泰介

    ○佐藤(泰)委員 大体新聞報道されている部分の報告だったと思うのですけれども、詳細に調べていただきたいと思います。  それでは、なぜこうした事件が起きたかということなのですけれども、専門家によれば、米軍機を誤射した高性能二十ミリ機関砲、その機関砲はフルオートマチックでもマニュアルでも操作できるが、演習ではマニュアルモードで発射するのが一般的であり、誤射の原因は、一、システムの故障でマニュアルに切りかわらなかった。二、フルオートにもかかわらず、マニュアルに切りかわっていると思い込み、操作した。三、標的が急に接近してきたので、焦って撃ってしまった。三通りが考えられるということであります。  近年、兵器のコンピューター化、自動化が急速に進み、戦闘機などでは、パイロットが発射ボタンを押したりすれば自動的にミサイルが航空機を追尾することすら可能となっています。そのため、小さな過失でも大きな事故を招く可能性が高まっており、万全の安全対策が望まれる、このように思うわけですが、いずれにせよ、政府においてはできるだけ早期に事故の状況を綿密に調査し、原因を特定し、それを公表することを求めたいと思います。  ところで、原因の特定が終わった後、仮に我が方の操作ミスが原因であったことが判明した場合、米側に対する損害賠償をどうするのか。日本政府と米軍との間に、損害賠償について、日米地位協定十八条は、「損害が他方の当事国の防衛隊の構成員又は被用者によりその者の公務の執行中に生じた場合」には「すべての請求権を放棄する。」旨を記しています。しかし、地位協定日本国内米軍施設と駐留軍の権利や義務についてのみ定めたものであり、国外での事故にはそのままでは適用できないと思います。損害賠償の取り扱いが日米間で問題化しないように希望したいわけですけれども、我が方に過失が存在した場合の損害賠償についてどのような対応を考えてみえるのか、政府見解をお伺いしたいと思います。
  24. 粟威之

    ○粟政府委員 最初に、私の方から事故の原因についての究明体制についてまず申し上げます。  本事故につきましては、即日、現地におります海上自衛隊と米海軍により、現地において、事故発生後直ちに事故調査を開始したところでございます。さらに、昨日、海上自衛隊の幕僚監部内に監察官を長とする艦船事故調査委員会設置して、本格的な原因究明をしているところでございます。我々も、事故原因を徹底究明して、事故の再発防止に万全を期する所存でございます。  補償につきましては、また説明員から御説明いたさせます。
  25. 清水繁

    ○清水説明員 損害賠償の件につきましてお答えいたします。  今回の事故につきましては、現在、事故原因の調査が行われているところでございまして、現時点で損害賠償を行うかどうか確定的なことは申し上げられませんが、米軍を含めまして、関係機関との調整を踏まえ対応を検討いたしたいと考えております。  それから、御質問の中で地位協定の解釈の件がございましたけれども、地位協定関係もございますので、外務省の方とも十分相談しながら対処したいと思っております。
  26. 佐藤泰介

    ○佐藤(泰)委員 それでは、徹底的に原因の究明をしていただくことを要望すると同時に、余り大きな問題にならないように、政府の、日米間での御努力をお願いしたいと思います。  もう一点、この問題にかかわってお伺いしたいと思います。  今回の事件の背景として、防衛力整備に伴いイージス艦等新装備の導入やその運用のレベルが高まった結果、自衛隊のリムパック参加が新鮮味を欠き、リムパック参加そのものがマンネリ化しているのではないかと指摘する声があります。  そもそもリムパックは、米ソ対立の冷戦構造の中、太平洋を舞台に旧ソ連との本格的戦闘を念頭に置いて始まったものである、このように私は認識しておりますが、ソビエトが崩壊し、冷戦構造が終えんした現在においては、その存在意義に疑問を差し挟まれても不思議ではないと思います。  折しも、さきの日米安保共同宣言の合意を受け、日米防衛協力の指針、通称ガイドラインの見直しが行われる等、冷戦崩壊後の新たな日米間の安全保障の構築に向け、日米間の防衛協力の強化が進められているところであります。リムパック参加の意義についても、かかる観点から、新たにその存在意義説明する必要があるのではなかろうかと思いますが、リムパック参加の意義について、改めて外務大臣にその見解をお伺いしたいと思います。
  27. 池田行彦

    池田国務大臣 御指摘のように、確かに冷戦は終えんいたしましたけれども、やはり我が国を含めまして、その周辺地域あるいはアジア太平洋地域にもいろいろ不安定要因がございまして、そこの安定あるいは平和ということを確保していく、こういった観点から申しますと、やはり日米の緊密な関係、そして日米安保体制というものは重要な意味を持っている、こう考えております。  そうした中で、御指摘のリムパックを含めまして、日米共同訓練というものは、我が国が武力攻撃を受けた場合、そういった事態を想定した上で日米共同対処行動について演習をしておく、それを通じて日米それぞれの戦術技量の向上ということを目的として行っているものでございまして、やはり現在の国際情勢あるいは我が国をめぐる安全保障環境というものを前提にいたしましても、このリムパックに自衛隊が参加するということは安保体制の信頼性向上という観点から大切なものだと考えている次第でございます。  また、このことは昨年十一月の新防衛大綱においても改めて確認されておりまして、また、今委員指摘になりました、これからいろいろ日米の協力につきまして研究してまいりますが、そういった中でもただいま申し上げましたような位置づけというものは前提になるのだ、こう考えている次第でございます。
  28. 佐藤泰介

    ○佐藤(泰)委員 それでは、時間がないので、次に、WTOの譲許表修正について伺いたいと思います。  今回の改正は、関税事務を容易にし、もって国際貿易の一層の円滑化を図る見地から、意義あるものと言えると思います。加工貿易国である我が国にとって、国際貿易に関するルールを整備し、もって自由で公正な貿易体制を確立していくことが不可欠であります。今回の改正も、技術的なものとはいえ、かかる見地に立って積極的に対処すべきであろうと思います。  ところで、国際貿易が拡大していく過程において経済摩擦が生ずることは不可避であり、自由で公正な貿易制度を確立していくためには、かかる経済摩擦を多国間により、紛争処理手続により公正明朗に処理することが望ましい、このように思うわけですが、この点で日米の経済摩擦問題を懸念するものであります。  四月に訪日したクリントン大統領は、米国車の販売所を視察する等その経済重視の姿勢を変えておらず、日米首脳会談においても、日米間の懸案として、半導体、フィルム、保険、三分野の経済問題が取り上げられました。しかし一方、これらの問題に対して、米側からそれほど厳しい要求はなかったように思います。これを米側姿勢の軟化ととることもできないわけではありませんが、現実は違うであろうと私は思います。  米大統領選を控え、日米首脳会談でクリントン大統領が懸案の三案に言及したことこそ、今後の対日通商交渉でクリントン政権が強固な姿勢をとってくることを暗示するものである、このように考えます。六月末のリヨン・サミットの際に開かれる次の日米首脳会談には、クリントン大統領が日本の譲歩を求めてくる可能性はかなり高いのではないか、このように思うわけです。  そこで、懸案の三案についてお伺いしたいのですけれども、もう時間もありませんので、半導体だけについてお伺いします。半導体に関して四点にわたって伺いますので、一括して答えていただきたいと思います。  半導体協定に関して、まず、一般論として、数値目標設定型の貿易政策に関する政府の姿勢をお伺いしたい。  次に、日米半導体協定は数値目標設定型の貿易政策であり、WTOの精神に反するものと考えます。半導体協定に関する政府の基本認識を伺いたい。  三点目は、半導体協定について政府が関与することを認めるのか認めないのか、政府の基本方針を伺いたい。  四点目は、半導体協定延長に関して、米側は現協定が持っている外国製半導体のシェアを監視するモニター機構の存続を強く主張しています。政府としてこの点についていかなる考えを持つのか。  以上、この四点について総括的に、簡潔に答弁をお願いしたいと思います。
  29. 池田行彦

    池田国務大臣 基本的には日米の経済関係は良好な状況にございます。しかし、非常に幅広い関係でございますから、どうしてもある程度のイシューと申しましょうか、あるいはオブジェクションと申しましょうか、そういったものがあることはやむを得ないところでございます。しかし、我々としては、そういったものをいかにうまくスムーズに解決していって、日米経済関係あるいは日米関係全般に好ましからざる影響を与えることをミニマイズしていく、なるべく少なくしていく、こういう努力を常に傾注すべきもの、こう考えております。  そういった意味で、リヨン・サミットの際に行われる可能性のございます首脳会談におきましても、このことによって悪影響が出ないように、こう考えている次第でございます。これは日米共通でございます。  そして、具体的に半導体について四点御質問がございましたけれども、これは、実は私ども基本的に、まず民間レベルでお話をしていただく、こういう考えでございまして、今現に、断続的でございますけれども、そういう話をしている。その民間レベルの話し合いの結果を見ながら政府としての対応をと考えております。  しかし、御指摘の四点の中で、基本的に、数値目標的なものはふさわしくないということは当然でございますし、また、WTOとの整合性に配慮しなければいけない、これもそのとおりでございます。そして、モニターというのも数値目標とリンクする話でございますから、同じ話だと思うわけでございます。  いずれにいたしましても、今の民間での話し合いで一体どういうことができてくるだろうか、その合意の中身いかんによって、政府が関与し得るのか、あるいは関与することが妥当なのかどうなのかということは判断すべきなのではないのかな、こんな感じでおるところでございます。
  30. 佐藤泰介

    ○佐藤(泰)委員 最初に申し上げたように、日米だけでなくて、これからはいろいろな形でそういう経済摩擦が予想されると思いますので、公正、明朗に処理がされるように要望して、次、もう一点、WTOの問題についてお伺いします。  それは保険分野についてでございますけれども、大蔵省と米通商代表部との交渉期限が六月一日となっていましたが、先日、期間内での合意が断念されました。この問題に関して夏までに交渉が決着しない場合、国内生保会社が七月に予定している損保子会社の設立計画に支障が出るおそれが伝えられております。早期の交渉決着が望まれるわけですが、米側は日本の生損保険会社の株主総会等が行われる六月中旬を次の事実上の交渉期限とする考えを示していると伝えられていますけれども、政府は交渉期限についてどのように考えているのか、特にその期限について伺いたいと思います。
  31. 池田行彦

    池田国務大臣 保険の問題につきましては、六月一日というのを一応の交渉妥結の期限というか、いわばめどというか、目標というような感じで交渉が進められておった、こう理解しておりますけれども、これは、そういっても絶対的なものではございませんでした。  それで、今委員も御指摘になりましたように、六月末に向かって保険会社でもいろいろ、株主総会や、あるいは相互会社の場合は総代会でございましょうか、そういったところで新しい保険業法に基づいてどういうふうに対応するかということも決まっていくことがありますので、そういうことは当然念頭に置きながら交渉はしなくてはいけない、そういう認識は日米双方にあると思いますが、それも絶対的なものと言えるかどうかはなんでございます。  しかし、この問題については、当初、従来の日米間の合意の解釈をめぐっていろいろな厳しいやりとりがあったようでございますが、その点、完全に解決とまではいかないにしましても、相当共通の認識が出てきたと理解しておりますし、あとは、実質面で一体どういうことになるかということも含めまして、日米間の交渉を詰めていきたいという双方の当局者の意向であるつまた、大蔵大臣御自身も乗り出してということでございますので、私どもといたしましても、何とか早期に円満な合意が得られることを期待しているところでございます。
  32. 佐藤泰介

    ○佐藤(泰)委員 早期に円満に解決できるように、ぜひ御努力をお願いしたいと思います。  時間が参りましたのですけれども、もう一点、ちょっとお願いしたいと思います。  マグロの問題を聞いていないので、マグロの問題について、最後、お願いをしたいと思います。  他の水域でも本協定と同じようなマグロ類保存管理に関する条約があると思います。このような条約によって設立された地域的な機関資源保存管理に当たっているわけですけれども、各地域機関の規制が不統一であれば、漁業国が規制の緩やかな水域を渡り歩くようなことも予想されます。先ほども、マグロは広い地域を回遊すると斎藤委員の質問にも答弁されましたが、各地域機関がお互いに協力して一貫性ある措置をとることが資源保存管理のために望ましい方法ではないかと思うわけですが、現在そのような各機関関係がどのようになっているのかお伺いしたい。と同時に、いま一点、ミナミマグロの問題についてですが、現在、日豪の間で生態調査が行われておると思います。この調査は、ミナミマグロにセンサーを埋め込み、センサーに記録されたデータを回収後分析することによって生態の調査を行うものとのことです。現段階でこのような調査によりミナミマグロの生態や分布状況がどの程度解明されているのかお伺いして、ちょっとオーバーしますけれども、申しわけありません、質問を終わります。
  33. 野上義二

    野上政府委員 インド洋まぐろ類委員会と他の類似の保存委員会との関係でございますけれども、本協定の十五条一項におきまして、インド洋まぐろ類委員会が他の政府機関協力し、その協力のための適当な措置をとることという規定がございます。また、そのような機関協定締結することができることを定めております。  したがいまして、この規定に基づきまして、インド洋まぐろ類委員会は、関係のある機関、この場合にはみなみまぐろ委員会とそれから大西洋まぐろ類委員会になると思いますけれども、全米熱帯まぐろにつきましては地域が離れておりますので関係ございませんけれども、この委員会協力し、相互にオブザーバーを派遣するなり委員会に相互に出席するなり、そういった科学的知見の情報交換を行って、不統一がないように今後やっていくということでございます。  ミナミマグロ調査につきましては、水産庁の方から。
  34. 中森光征

    ○中森説明員 ただいま佐藤委員から生態調査について御質問がございましたので、お答え申し上げます。  ミナミマグロにつきましては、現在、みなみまぐろ保存条約に基づきまして、締約国たる日本、豪州、ニュージーランドの三カ国が当該資源保存管理措置を講じるとともに、従来から三カ国が共同して資源調査及び資源量評価を行ってまいりました。  これまでの調査の結果によりますと、ミナミマグロの小型魚の回遊状況は順調であります。また、中型魚につきましては近年資源の回復が確認されているところでございますが、大型魚につきましては、日本、豪州、ニュージーランドのそれぞれの見解が分かれており、今後さらに調査が必要であるということでございます。  以上でございます。
  35. 佐藤泰介

    ○佐藤(泰)委員 時間をオーバーしたことをおわびして、ありがとうございました。
  36. 関谷勝嗣

    関谷委員長 赤羽一嘉君。
  37. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 新進党の赤羽一嘉でございます。  本日、与えられた一時間の中で条約に関する質問をさせていただきたいと思いますが、条約に触れる前に、実は私、新進党で初めての訪韓団に先週の日曜日から水曜日まで行ってまいりまして、ちょうど二〇〇二年のサッカーワールドカップの共催が決まった直後ということもあり、二〇〇二年のワールドカップを一つの契機に新たな日韓関係を構築していこうという非常に盛り上がった雰囲気の中での韓国要人との会談を終えて、帰国してまいったところでございます。  しかし、その帰国の途の中での日本新聞の一面を見て思わず驚いたのが、もう御存じだと思いますが、奥野元法務大臣の、慰安婦の問題について、慰安婦は商行為だというような、長々話しはいたしませんが、慰安婦は商行為に参加した人たちで強制はなかったと語ったとかいう発言があったという大きな新聞記事が載ったわけでございます。  奥野元法務大臣は、政府・与党の骨格をなす自民党の衆参議員の皆さん百十六人で構成されている歴史観などを考える「明るい日本」国会議員連盟の会長という立場であり、元法務大臣であったという、いわゆる重責にあった方たちがまたこの発言をされたということについて、私自身は、本当に何ということなんだという思いをしておるのですが、昨日の参議院の海洋法条約の特別委員会の場での質疑を聞いておりますと、外務大臣、この奥野元大臣や板垣参議院議員の発言は確認しておらないというような御答弁もあったようですが、本日の朝刊を見ますと、韓国の与党である新韓国党は、「「提言した本人の謝罪はもちろん、日本政府が明確な歴史認識を表明するとともに、自浄努力をしなければならない」という声明を出した。」ということも載っておりますし、中国当局も「強い怒り」でということで報道されておるところでございますが、このような報道を受けて、外務大臣として、この問題についての御所見をまずは伺いたいと思います。
  38. 池田行彦

    池田国務大臣 昨日、参議院の海洋法条約等に関する特別委員会で御答弁いたしましたところも、私はその発言の問題につきましては報道承知しておる、報道はよく承知しておる、それ以上の詳細のことは存じ上げないと申し上げたわけでございまして、そのことを知らないという答弁は申し上げていないつもりでございます。  そうしてさらに、この問題につきまして、かつての官房長官談話で日本国政府としての考え方というものがきちんとまとめられておりますので、それを明らかにいたしました。そしてその上で私が申しましたのは、結局政府といたしましては、このいわゆる従軍慰安婦問題が、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題でありまして、そして、従軍慰安婦としてあまたの苦痛を経験され、心身にわたりいやしがたい傷を負われたすべての方々に、心からのおわびと反省の気持ちを重ねて表明してきたところでございます。私は現在も、私を含めまして政府は、そういうふうな気持ちでいるところでございます。  そういうことを踏まえまして、現在、女性のためのアジア平和国民基金が今真剣に対応を考えておられますが、政府といたしましても、その基金の実施されます事業に対しまして、できる限りの協力といいましょうか、政府としてなすべきことをしていこう、このような姿勢でいるところでございます。
  39. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 金泳三大統領と面会したときも、大統領は、大統領就任以前から言い続けてきたことですがと言って、日韓両国の過去の歴史を直視しつつ、これからは二十一世紀に向けての未来志向でお互い取り組んでいきたい、しかし、一部日本の政治家の発言によってこれまでの日韓関係の信頼関係を損なってきたのも残念ながら事実であるという発言がございました。  私は、もちろん政府の方たちではないにせよ、自民党の百名以上の方たちが組織されている議員連盟の、また元閣僚であられるこの方が何度となくこのような発言をすることが、日韓関係の未来志向という、これからの日韓関係の、新しい日韓関係の構築に極めて大きな影響を本当に与えるのではないかというふうに、残念ながら非常に危惧をしております。  私、今回のソウル、板門店の視察で非常に感じたことは、私は三十八歳でございますので、正直、率直に言って韓国に対する特別な感情はないのですが、ほとんど今の日本の多くの方たちが過去にあったことを殊さら引きずっているようなことはないと思いますが、一部の政治家によるこういった、向こうで言う提言というか発言によって、我々の率直な気持ちによる率直な交流が阻まれるということは非常に残念なことでありますし、日本という国家の外交の国益から考えましても非常に、政府の足をものすごく大きく引っ張っていることなのではないかなというふうに思います。だからといって外務大臣がどうこうできるということではないと思いますが、ぜひその点だけは、私は外務大臣に要望するのが正しいのかどうかわかりませんが、私自身の見解を述べさせていただきたいと思います。  それで、この新韓国党の謝罪要求に対して、政府として何らかの対応をすることは考えられておるのでしょうか、けさの新聞なのでちょっと通告はいたしておりませんが。
  40. 池田行彦

    池田国務大臣 政府といたしましては、先ほど御答弁申し上げましたように、この問題につきましては、本当に反省とおわびの深い気持ちを持っておりまして、先ほど申しましたような姿勢で今後とも対応してまいりたいということでございます。そしてまた、先ほどお話もございましたけれども、我々といたしましても、過去を直視し、反省すべきことは反省しながら、しかし、全体として未来志向で日韓関係も進めていきたい、こういう姿勢でいるところでございます。  それから、私からも委員にお願い申し上げたいのでございますが、発言をされた方がこういうキャリア、経歴をお持ちであったとか、あるいはこういうふうなグループの代表の立場にあるということもおっしゃいましたけれども、果たして今回の御発言というものがそういった立場に立ってのものかどうかということは、これはまた別問題だと思いますので、そういった点も、今委員御自身が御心配なさいましたように、何かそういった発言が国内において非常に大きな広がりを持っておるとか、そういったことに意見を等しくする方が少なくない、多いのだという誤解を招いてもなんでございますから、そこのところはお互いに注意してまいりたい、こう存ずる次第でございます。
  41. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 私、その議員連盟がどういった趣旨のものであるかつまびらかにしておりませんので、確かにその点はありますが、しかし、韓国と中国がこのような反応をしているのも事実、報道されているとおりだと思いますので、申し上げた次第でございます。  あと、この女性のためのアジア平和国民基金の一人当たり二百万円という償い金によって真に、本当に償いの気持ちが伝わるかどうかは、首相が手紙を通じてこの問題に対する国としての責任と謝罪をいかに明確に述べるかにかかっているというふうに私は思うわけでございますが、この点まず、お手紙、おわびの手紙というのはっけられるのかどうか、また内容については、どういうような内容になるのか、御回答をお願いします。
  42. 池田行彦

    池田国務大臣 ただいまの点につきましては、先般、橋本総理が基金の原文兵衛理事長とお会いになりまして、その際、理事長に対しまして総理の方から、この基金が元従軍慰安婦の方々に国民的な償いをあらわす事業を実施される場合には、総理としておわびと反省の気持ちを心からあらわす手紙をお出しする、こういったことを伝えられております。  ただ、具体的にどういうふうな内容になるのかは、またこれからいろいろ検討を進めていくことになろうと思いますので、現段階でこれ以上は申し上げられませんけれども、しかし、先ほど申しましたように、心からおわびと反省の気持ちをあらわす手紙をお出しする、こういうことでございます。
  43. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 我々の思いが本当に韓国人たちに、また該当する方たちに率直に気持ちが伝わるような、わかりやすい表現でつくっていただきたいとお願いする次第でございます。続きまして、サッカーの二〇〇二年ワールドカップの共催問題について質問を移したいと思います。  日韓の共同開催というのは、良好な日韓両国関係の確立に絶好の機会となるというふうに私は認識しております。恐らくこれは、単独開催で一生懸命頑張っていた方たちも含めて、両国国民そして両国政府、サッカー関係者の一致した気持ちであるというふうに私は思っております。  この前例のない共同開催ということで、今言われているような決勝戦をどちらにするかとか開会式、閉会式をどうするかとか、開催国の元首級が出席をするのかどうかというようなこととか、天皇陛下の韓国訪韓が実現するかどうかとか、その間、両国間のビザはどうするのかなと、恐らくサッカー関係者のみでは解決できない問題が物すごくたくさんあるというふうに私は思っております。ですから、今回、スポーツの祭典でございますけれども、政府がこの問題についてはイニシアチブをとって大成功させていくということが必要であるというふうに私自身は認識しております。  ちょっとこれは具体的なことで、細かいことで恐縮なのですが、FIFAの作業部会で年末までに具体的な共同開催についての計画が詰められるという報道がございますけれども、この作業部会には日本側からも参加者が出るのか、FIFAそのものが日韓の意思とは別のところですべてこういう具体的なことを詰めるのかどうか、これについて、ちょっと技術的な質問ですが。
  44. 大塚清一郎

    ○大塚説明員 先般のFIFAの理事会の決定の結果、ワーキンググループが三名で構成されることになっております。FIFAのブラッターという事務局長、それからイタリアの理事でおられるマタレーゼさん、それからメキシコのカニェド理事、この三人がワーキンググループのメンバーでございます。とりあえずは七月の二、三日にチューリヒで第一回の会合を開くというふうに伺っておりますが、そのワーキンググループで種々の問題を検討して、十二月の理事会に向けて報告するということでございます。そのワーキンググループの検討の過程で、日韓のサッカー協会の当事者がしかるべき形で協議にあずかり、いろいろな問題を検討していく、そういうことであると承知しております。
  45. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 韓国では、金泳三大統領みずからが共同開催準備のために韓国各界要人を網羅した組織委員会を発足させ、韓国招致委員会の業務を引き継ぐよう指示したとあります。さらに、大統領から政府に対しましても組織委員会の活動を全面支援するよう要請し、共催成功に向けて迅速な対応を見せているところでございます。日本もその関係者、当局だけに任せるのではなくて、例えば、まず外務大臣みずからこの件で韓国を御訪問されて、この共同開催についての打ち合わせなりなんなりするような御計画はあるのでしょうか。
  46. 池田行彦

    池田国務大臣 今回、国際サッカー連盟の理事会におきまして、二〇〇二年のワールドカップの大会が日韓共同開催でいくということが決まりました。このことは私どもといたしましても、アジアで初めて開かれる大会であるということで、ぜひ成功に導いていくということが大切である、また期待しているわけでございます。そしてまた、このことがスポーツの振興あるいはスポーツを通ずる国際親善に大きな役割を果たすということを期待しますと同時に、またあわせて、これが日韓友好の関係を進める上においても有意義なものになることを期待しておるところでございます。  しかしながら、それでは、これを一体我が国としてどういうふうに進めていくかという点でございますが、これはやはりサッカー、スポーツの世界の話でございますので、どうしても実施の主体というものはFIFA、国際サッカー連盟で、日本で言いますと、やはりサッカー協会の関係の方々が中心になってつくられる、それを実施していくための組織というものが中心になるのだと存じます。  もとより、政府といたしましても、先ほど申しましたような観点からできる限りの協力はしてまいりますし、それからまた、先ほど指摘のございました中に、例えばビザということもございました。こういった政府で行うべきものにつきましてはきちんとした適切な対応をしてまいる次第でございますけれども、このこと自体はやはり民間のそういった方々が主導し、それに政府としてもどういうふうに協力していくかという、こういう取り組みかと存ずる次第でございます。
  47. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 民間だけで乗り越えられない問題も数多くあると思いますが、今一つ早速言われておるのが、韓国の中で北朝鮮との分散開催に積極的な姿勢を示す声も一部あるようでございます。これは反対の声もあるようではありましたが、実際、三十八度線を越えて試合をすることに対して否定的な考えを持つ韓国国民はいないというような発言もあったりしまして、そういう声があるのは事実であると思います。また、分散開催により、韓国北朝鮮協力してその開催を成功させることは朝鮮半島の安定にも資する側面もあると思います。  まず、我が国として、この韓国の分散開催の可能性、共同開催国としてどのように考えておるのか。これはFIFAの専任事項で、共同開催国といえども全くノータッチのことなのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
  48. 池田行彦

    池田国務大臣 大会の開催をどういう方式でやるかということは、これは専ら国際サッカー連盟の決められるところでございまして、今回の理事会の決定につきましても、従来は単独開催というものがFIFAのいわばルールであった、そういうことを承知した上で韓国においてもあるいは我が国においてもそれぞれ招致の運動を進めてきたわけでございますが、それをFIFAの決定によって共同開催ということが決められた、そこでルールだけではなくて、日韓の共同開催ということで決められたというふうに承知しておりますので、今御指摘のようなことがあり得るかどうかという点につきましても、それは専らFIFAの世界に属することであり、我々として、日本国政府として、それについてあれこれ論評を加える立場にはないのじゃないか、こう考える次第でございます。
  49. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 今回の韓国訪問で会った方が、口をそろえてこの共同開催について、当然最初に言及されておりました。韓国はサッカーを国技とする国でもありますし、このワールドカップの開催の問題については、国じゅうが物すごく熱くなっていたと思います。何か若干、日本が単独開催ができなくてややがっかり、韓国は四年立候補がおくれたのに共同開催まで持ち込んだみたいな、そんなうがった報道もされておりますし、行ってきて向こうの熱気を私自身も直接感じたものですから、あくまで民間が主体だということはわかりますけれども、向こうは国を挙げて、政府を挙げて、大統領の指示のもとに組織委員会を発足させた、そういう話もございます。これはスポーツのことでもありますが、何としても、ワールドカップというのは大変な問題、大変大きなイベントでもありますし、これはどうか日本政府がイニシアチブをとられて大成功させるという、スポーツのイベントでございますけれども、ある意味では一つの大きな外交的なイベントとしてとらえて、ぜひ全力で取り組んでいただきたいと思うわけです。ちょっと繰り返しで恐縮でございますが、外務大臣の御所感をお願いいたします。
  50. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたように、政府としても、なすべき協力あるいは政府みずからの所掌事務の中でしなくてはならない事柄についてはこれは積極的にやっていく、こういう姿勢でございます。しかし、あくまで実施の主体は、これは政府ではないということは前提にしなくてはいけない、こう申し上げております。  御承知のとおり、これまでにおきましても、閣議におきましてこの大会を招致するということを了解し、いろいろ協力していこうということを決めたことがあるわけでございます。これから、先ほどもお話に出ておりましたFIFAのワーキンググループでございますが、そこでいろいろ具体的なことは検討されていく。その審議には日本も何らかの形で参画していくということになっているわけでございますから、そういったことも見ながら、そしてまた、我が国のサッカー協会その他の関係方面でのいろいろな動きを見ながら、政府としてもまた、支援の進め方について意思統一をし、あるいは推進していくという合意を形成するということが必要となる段階が、あるいは状況が出てまいりますならば、適切に対応してまいりたい、こう考える次第でございます。
  51. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 ありがとうございます。私も若い世代の一人として、これまでの日韓関係のあり方から、もう率直に、私自身本当にわだかまりを持っているわけではない、その気持ちで、お互いに両国国民が交流し、新しい未来志向の関係をつくっていきたいというふうに個人的にも思っておりますし、それは、本当にひとつ、二〇〇二年のワールドカップ共催というのは大きなきっかけになるというふうに思いますので、ぜひこの点、政府として力を入れていただくよう御要望を申し上げたいと思います。  その次に、きょうの新聞で、国連北朝鮮緊急援助アピールということで、政府が原則受け入れという記事が出ておりました。自民党の山崎政調会長は、数百万ドルずつ日米韓でというような発言も出ているところでございますが、この北朝鮮支援に関する政府としての原則論ということについて、まずお聞かせいただけますでしょうか。
  52. 池田行彦

    池田国務大臣 ただいまの御質問の趣旨が、北朝鮮に対する我が国としての対応の仕方全般についての原則論なのか、あるいは今具体的に話題になっております国連食糧支援に関するアピールに関する政府の原則的な立場なのか、ちょっとその辺、私、後の方というふうに理解して御答弁申し上げてよろしゅうございましょうか。
  53. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 どちらかというと前者の質問なのですが。例えば、前回の第一次、第二次にわたる米支援のときに、本委員会でも、玉沢先生の御質問の中でも取り上げられましたけれども、要するに、第二次の米の支援については、こちらの政府としては韓国と連絡を取り合っていたという認識でありながら、韓国認識では頭越しにやられたというようなことがあったと私は覚えております。ですから、北朝鮮に対する支援にかかわることはすべてにおいて韓国との協議というのを優先していくのだという原則があるのではないかと思うのですが、北朝鮮に対する直接の支援について、これは協議をしていくのか、もしくは、それは国連などの、今回の場合のような国際機関を通じた支援協力についても韓国との協議というのをまず優先とするのかどうかということについてお聞きしたいと思います。
  54. 池田行彦

    池田国務大臣 まず北朝鮮との関係につきましては、我が国は不正常な関係にございますので、我が国として正常化を図らなくてはいけないという、こういうことが一つございます。  それと同時に、朝鮮半島の安定をもたらす、そして我が国を含めたこの地域全体の安定をもたらすという上におきましては、やはり韓国を初め関係する国々とよく連絡をとりながら対応していくことが必要であろう、こういう事情がございます。とりわけ、朝鮮半島の安定という観点からいいますと、基本的にはやはり南北対話というのが一番メーンの場になるといいましょうか、ルートになる、こういう構造でございますので、そういった意味で、いろいろな問題、北朝鮮について我が国が対応する場合には、韓国とは緊密な連携をとっていこうという大きな方針がある、こういうことでございます。  食糧支援の問題についても、やはりそういった考えのもとで取り運んでいくということでございます。
  55. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 国連などの国際機関を通じての支援についても、韓国との協議を優先するということでよろしいのですか。それはどうですか。
  56. 池田行彦

    池田国務大臣 私、そこのところだけは注意して言葉を使ったつもりでございますけれども、優先とかあるいはあれこれという言葉ではなくて、緊密に連携という言葉を使わせていただいたと思います。それは、国連アピールに対してどう対応するかという問題についても、よく連携しながら事を進めてまいりたい。これは単に韓国だけではなくて、問題によりましては米国等ともよく連絡しながら進めていく、こういうことでございます。  外交全般につきまして、一般論としましても、やはりいろいろな問題に対応します場合に、関係する国々とよく連絡を保ちながら進めていくということは当然のことでございますが、我が国のすぐ隣でございます朝鮮半島の問題ということになりますと、とりわけそういった連携ということが大切ではないか、こう考えている次第でございます。
  57. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 今回のこの支援の中で、米の現物供与についても行う方向で検討に入るということを首相と外務大臣が一致したというような新聞報道も過日されておりますが、この点について、事実関係はどうなのでしょうか。
  58. 池田行彦

    池田国務大臣 まず、今回のお話でございますが、食糧援助一般ではなくて、国連がこのたび取りまとめました食糧援助に関するアピール、これにどういうふうに対応していくか、こういう問題だと思います。  実は、報道ではもうかなり前からいろいろ言われておりますけれども、国連アピールというものが取りまとめられ、発表されましたのは、実は日本時間でいえば本日の未明なのでございます。そして大体約四千三百万ドル相当の緊急の人道的な援助食糧を中心としてやっていこうではないかというアピールが出たわけでございますが、我々といたしましては、これからその内容もよく見ながら、そしてまた、必要と考えれば、先ほど申しましたような関係国との連絡といいましょうか、連携もしながら、我が国としてこれにどういうふうに対応することが適当か、まず、協力をするとしても、どんなことが可能なのか、あるいは適切なのかということを検討していこう、そういう段階でございます。
  59. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 それで、北朝鮮に対する支援で、私、前回二回にわたる米支援のことを振り返って思うことは、要するに、食糧危機の実態の解明、これはなされるのかどうかということがまず第一点。  これについては、韓国筋ではというか、外務大臣などは、軍備用の備蓄米が約百二十万トンあるのだ、こういう現状の中で、本当に食糧危機なのかどうかということについても疑問を差し挟まれていて、韓国はたしか、北朝鮮が四カ国会談に応ずるまで新規援助をすべきでないというような主張をし、かつ米とか小麦粉などの主食に関する援助も差し控えているという実態があるというふうに思っております。  ですから、食糧危機の実態について非常にわかりにくい相手だと思いますが、これはどういうことを尺度にしていくのか、WFPの調査がすべてということで考えでいくのかどうか、お答え願います。
  60. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど斎藤委員の御質疑に対してもお答えしたところでございますけれども、北朝鮮事情につきましては、食糧問題に限らず全般に、正確な情報、ましてや統計といったものはなかなか入手しにくいという事情があるのは御承知のとおりでございます。したがいまして、食糧事情についてもいろいろな見方がございます。そもそも需要をどの程度と見るべきなのか、そして生産がどうなのか、そしてまた備蓄がどうなっているのかという点につきましてはいろいろな見方がございます。  先ほど指摘になりました韓国が云々という、四者会合に応ずるまではというお話がございましたが、これは恐らく先般行われました日米韓の間の高級事務レベル会合での話し合いのことを指しておられるのじゃないかと思いますけれども、ここではやはり食糧事情についてのいろいろな情報なり認識についての意見交換はございましたけれども、方針について、する、しないということを合意する、そういう性格の会合ではございませんでした。具体的な要請があったわけでもございません。それだけ申し上げたいと思います。  全般的な情勢については、今おっしゃいましたように、軍用備蓄が百万トン以上あるなどという話も確かに出ております。それから、一方において生産量が幾らだとかいろいろな数があるわけでございますが、概して申しますと、米国あるいは国際機関等の見方はかなり厳しい、本当に大変な状況にあるという見方にないですね。そして、韓国の方では、いや備蓄もあるし、あるいはこうだしというので、いやまだまだ耐えられるという見方がある、こういった流れ、傾向があるのは事実でございます。  しかし、私ども今数字をもってなかなか申し上げにくい、また申しましても、そもそもその数字にどの程度の信憑性があるのかという問題もございますのでそれは申しませんけれども、基本的に中長期的な食糧政策が必ずしもうまくいっていないのじゃないかということで、食糧需給に問題がある、不足があるという事態があるのだと思います。それに加えて、昨年の水害による大被害というものがさらに窮状に拍車をかけた、そのことは当年度だけで済むわけじゃございませんで、耕地の荒廃などということを通じてことしの供給にも影響する。そんな事情もいろいろありますので、今一段と食糧事情が厳しくなっているということは事実だと思います。  そういったことを踏まえて今回の国連アピールも出されたのだと思います。今回、規模は約四千三百万ドルでございますが、たしか昨年のアピールはそれよりかなり小さかった、半分ぐらいの規模だったと思いますけれども、国連アピールもそういった一段と厳しくなった情勢というものを踏まえてということがあるのじゃないかと思っております。
  61. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 ありがとうございます。  ちょっと繰り返しになりますが、備蓄が百万トン以上ある云々というのは、これはあってもなくても人道的な援助をするという見解なのか、事態の事実確認ができないというふうな態度なのか、どうなのでしょうか。
  62. 池田行彦

    池田国務大臣 軍用備蓄があること自体は、これはもう事実だと思います。ただ、それがどの程度の規模かということはなかなかわかりにくいところがあるということだと思います。  例えば、先般ミグ機に乗りまして脱出してきたパイロットの話でも、たしかこんなことだったと思いますね。パイロットなんかは基本的に一日八百グラム保証されておったけれども、最近七百グラムに減ったとか、それからあと地上勤務員については七百グラムあるいは六百グラムであったが、それもそれぞれ百グラムぐらいカットされておる、しかも従来は米であったのが雑穀その他の比率がふえていって、地上勤務員については七割ぐらいになっている、こんな話もございました。  だから、軍用のものも含めて情勢が厳しくなっているのは事実でございましょうけれども、しかし、備蓄そのものはなお存在するのだ、こう思っております。
  63. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 備蓄米存在は認めていてもこの人道的な援助には参加するという立場なのですか。ちょっと繰り返しになって済みません。  というのは、その備蓄米についてはたしか孔外務大臣が何カ所かで発言されていると思いますが、三カ月分ぐらいの備蓄はあるというようなことが散見されますけれども、それは認めた上でなおかつ参加するということなのですか。
  64. 池田行彦

    池田国務大臣 今回の国連アピールは、非常に厳しい食糧事情にかんがみて、緊急に、しかも人道的な見地から行おうというものでございますので、それは当然民生用に向けられる、こういうことになるわけでございます、昨年もそうでございましたし。  そして、一方において軍用の備蓄があるのにそれをやるのかというお話でございますけれども、それでは軍用備蓄を全部吐き出して、軍隊の人間が一般の北朝鮮の住民と同じような、それこそ草を食ってという話も伝えられておりますが、そういう状態になるまで全く国際的な支援もしない、こういうことでいくのかどうなのか、そこは判断の問題だと思います。  我々の経験にかんがみましても、過去の戦争の際に日本でも随分食糧が苦しくなってまいりました。しかし、そういった状況の中でも、終戦を迎えてみたら軍隊にはやはり米の備蓄があって、中には大正時代の刻印のある俵が出てきたなどという話もあったということでございます。しかし、そのときに全体として国民は大変な食糧不足に悩んでおったということも否定できないことでございますね。  だから、そこのところは、国連を通じて行われる支援が、それが目的とするところの民生用に確実に充当されるかどうか、そこをどう確保するかということで考えるべき問題じゃないかと思います。
  65. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 今大臣御指摘のように、私も全くそのとおりだと思います。せっかく米を出しても、それが民生用に転換されないで、軍部ばかりに回されて備蓄用になっていたというようなことでは何のための人道的な支援かわからなくなってしまうということで、この配分の透明性というのはやはり大事だと思います。  先ほど御質問に出られていて、アジア局長の答弁だったと思いますが、北朝鮮の国貿庁から食糧庁に割り振りが来た、まだ来ていない分についてもこの取り決めの中で、供給された米は専ら民生用消費のために適正に使用されることが保証される旨が書いてあるというようなことでございます。  うがった見方をすれば、北朝鮮側の報告が唯一の担保というのですか、民生用に消費されたかどうかというのは向こうの報告によっているというふうな理解をしているわけですけれども、これで本当に担保されているのでしょうか。従来水害のときの北朝鮮の被害規模の額が、国連人道問題局の調査団の調査結果と北朝鮮政府調査結果でかなりの差があったというようなこともあり、本当に信頼に足り得るのかどうかということでは私ちょっと疑問を持っておるのですが、その辺についてはどうなのでしょうか。
  66. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 これは過般の国会の予算委員会の際にも政府側から御答弁申し上げたことがあったかと思いますけれども、日本北朝鮮との間に国交がないということもありまして、その透明性の確保ということが百点満点でいっているということではないと思います。しかし、そういう中におきまして、我々としては可能な限り透明性を確保すべくできるだけの努力を払ってきている、それによって北朝鮮の将来に向けての透明性の拡大というものを求めたいという気持ちがあるわけでございます。我が方の無償供与十五万トンの米について、日本赤十字社朝鮮赤十字会との間の文書によって、民生用消費のために米が供与され、これを北朝鮮赤十字会が受領、配分の後、できるだけ速やかに日本の赤十字社に対して配分状況に関する資料を出すということで枠組みができ上がっていて、これが去る一月中旬に提出されたということは申し上げました。  それから、延べ払い売買契約の方につきましては、これは売買契約そのものの中において、供与される米が専ら民生用消費のために適正に使用されるということが明記されている、そういう枠組みになっているということも申し上げたとおりでございます。  そしてまた、今回の国際機関によるアピールということに当たりまして、そのアピールの内容等をこれから検討することになるわけでございますけれども、モニタリングに関しては、国連の書記官が北朝鮮政府との間のアレンジというものを持っていって、これがこれまでそれなりに順調に機能してきたという印象を持たれているようでございます。
  67. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 今最後の答弁でもございましたが、今回の国連を通しての援助につきまして、出したものが本当に民生用に使われているのかどうかということについても、ぜひウォッチのほどをよろしくお願いしたいと思います。  米支援のことでは、前回の一次、二次の米支援については、要するに輸入の余剰米というか在庫米がある範囲で出したという原則があったと思います。そういう意味では、現状恐らく在庫はないはずでございますから、現物供与はできないという御答弁も本委員会でいただきましたが、今後の国連アピールのこのことについてもそういう立場は変わらないのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
  68. 池田行彦

    池田国務大臣 昨年の米支援には、大きく分けて二種類ございます。一つは、国連が出しました緊急アピールに対応して、これは五十万ドルで現金だったですが、拠出いたしました。それでいま一つは、国連等の国際機関を通ずるのではなくて、我が方から直接北朝鮮に供与したものでございます。さらに言えば、その中が無償分と延べ払い分に分かれておる、さらに、時期で一次と二次であるというふうに細かく分かれますが。  そして、今委員が御指摘になりました余剰米の有無が影響するというのは、それは直接我が方から北朝鮮支援したそれにかかわる話でございます。  そしてまた、今回どうするのかという御質問でございますけれども、先ほど御答弁申し上げましたように、実は国連アピールに接したのは本日の未明でございまして、これにどう対応するかということはこれから検討することでございますので、まだ今回のアピール関係して余剰米を云々というようなことはお答えできる段階ではない。ただ、去年のケースでいえば、基本的に今申し上げたようなことでございます。
  69. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 ですから、輸入の在庫米利用というのは直接支援のときに限る、今回の国際機関を通しての支援についてはその原則の範囲内ではない、どうするかは別にして、そういう考えということでよろしいんですね。
  70. 池田行彦

    池田国務大臣 昨年の支援の際に余剰米との関連が、コンシダレーションですか、考慮されるべき要素の一つとなったのは直接の支援にかかわるものであったということを申し上げた次第でございます。
  71. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 いや、絡むわけじゃないんですけれども、第三次、四次がさらにあるのでしょうかという本委員会の私の質問に対し、政府からは、米支援については輸入在庫米を使うということであります、もはや在庫がない現状でこれから第三次は考えられませんという御答弁があったわけでありますから質問をしたわけです。
  72. 池田行彦

    池田国務大臣 その点は、やはりそれも直接の支援にかかわるやりとりがあった、このように理解しております。  それでそのときには、北朝鮮から具体的に第三次の直接の支援要請するということは事実がないということもお答えしながら、そのほかにも、一次、二次の直接の支援が行われたときには余剰米があったという事情があった、しかしそういった事情は、御答弁申し上げたその段階ではございませんよ、そういうことだったと思います。
  73. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 わかりました。  それでは、時間もありませんので条約の方について聞かせていただきたいと思います。  まず、WTO協定の関連する確認書のことで質問させていただきますが、WTOに中国が未加入の状況になっておるわけでございます。去る三月十九日、中国の加盟に関する検討委員会が行われたということでございますが、その状況について御報告をいただきたいと思います。
  74. 野上義二

    野上政府委員 三月二十二日でございますけれども、中国のWTO加盟に関する作業部会がジュネーブで行われました。それまでずっと加盟協議をやっておりますけれども、中国の貿易制度、政策の明確化等に関して一定の進展が図られたけれども、いまだ外国貿易権、例えば外国企業に対して貿易権を与えていないという問題とか市場アクセスの改善、こういった点でいまだ多くの作業が必要であるということが確認されたわけでございます。
  75. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 済みません、今外国企業に貿易権を与えていないということですか。それはどういうことでしょう。貿易会社に現地法人の格を与えて、貿易は一部できているんではないんでしょうか。ちょっとよくわからない。
  76. 野上義二

    野上政府委員 中国からは外国貿易権と言っておりまして、今後一部試験的に外国企業、一〇〇%独資等の企業に対して貿易権を与えるということを今検討はしておりますけれども、原則として外国の独資企業は対外貿易権を有していないということでございます。
  77. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 確かに、今御説明あった以外にも、まだまだ中国の貿易政策とか措置は、WTOとの不整合性とか貿易関連制度の不安定性などから、既に加盟している国から問題とされているのは事実だというふうに思います。しかし、中国を信頼できる貿易相手国として成立させることは、単に中国のみならず我が日本にとっても、そして世界経済にとっても意義あるものと考えておるわけでございますが、中国のWTO加入に対して我が国政府としてどのような働きかけを行うつもりなのか、また、できる余地があるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  78. 池田行彦

    池田国務大臣 我が国政府といたしましても、中国が国際経済社会の建設的なパートナーとしてフルに参加されるということが、国際経済のためにも、あるいはその他あらゆる側面での国際社会のために望ましいことだと考えております。そういった意味で、政府といたしましても、基本的に中国のWTO加盟を支持するという姿勢で来ておるところでございます。  しかしながら、一方におきまして、やはりWTOに加盟するためには、いろいろな基準といいましょうか達成しなければならない事柄が幾つかあるわけでございます。その一つが、先ほどから御論議になっておりました貿易の体制がどうなっているかという点でございますが、そういった点につきましては、やはり中国側の努力によって一つ一つその基準をクリアしていくということを期待しているわけでございますし、また、期待するだけではなくて、我が国としてもいろいろ、こういう点はこういうふうに対応すればいいのだというようなノウハウをお伝えするとか、いろいろな面で協力しておるところでございます。
  79. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 中国というのは、経済開放になってまだ十年とか十五年とかというようなところで、まだまだ世界貿易の中でなじまない部分もあると思いますが、経験によってかなり適合化してきている事実もあると思いますので、隣国の日本としてできることは積極的に行っていただきたいというふうに思うわけでございます。  また同時に、台湾についてでございますけれども、台湾というのは我が国第五位の貿易相手国というか地域でございます。日台貿易の総額は四百三十三億ドルに上っていて、中国同様、我が国にとって主要な貿易相生地域の一つでございます。この台湾にとって、貿易障害の実質的な軽減、国際通商における差別待遇の廃止を保証するWTOに加入することは、台湾の国際貿易の一層の発展を保証するものとなり、我が国にとってもその意義は大きいものというふうに考えておりますが、台湾のWTO加盟の見通しと、我が国のこの問題に対する基本的な立場というのを伺いたいと思います。
  80. 池田行彦

    池田国務大臣 御指摘のとおり、台湾は目覚ましい経済成長を続けておりまして、我が国との関係、これは非政府間の実務的な関係ではございますけれども、そういった貿易も含めまして、あるいは投資も含めまして幅広い分野でかなり深い関係があるのも事実でございます。また、そういった観点から、台湾のWTOの加盟につきましても、我が国として基本的にこれを支持していくという、こういう立場でまいっておるところでございます。
  81. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 ありがとうございます。  それでは、インド洋まぐろ類委員会設置協定について質問を移らせていただきたいと思います。  台湾の絡みなのですが、この委員会における台湾の取り扱いというのはどのようになるのか教えていただけますか。
  82. 野上義二

    野上政府委員 このインド洋まぐろ類委員会におきましては、委員会の活動の分野に関する特別の能力を有する非政府機関をオブザーバーとして委員会会合に出席することを招請し得ることになっております。したがいまして、台湾の関係者委員会会合にオブザーバーとして招請し、保存措置の遵守、そういったこと等についての協力要請することができます。それからまた、委員会構成国は、委員会構成国でない国または主体の国民によるこの協定が対象とする資源の漁獲に関する情報の交換について協力することが認められております。  以上でございます。
  83. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 あと、この協定締約国を見ますと、英国がEUを構成する一つの国としての存在と、英国独自で締約国としての加盟になっているわけですけれども、これはどういう理由でしょうか。
  84. 野上義二

    野上政府委員 この協定は、FAO国際連合食糧農業機関の憲章第十四条に基づいて作成されたものでございまして、FAOにおきましては、欧州共同体が欧州共同体として入っておりますけれども、欧州共同体のメンバーであって欧州共同体がカバーしないエリアについての加盟国の参加を認めております。したがいまして、イギリスは、本件協定にはインド洋のチャゴス諸島等の英国領のみを代表するという形で入っております。
  85. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 そのチャゴス諸島でございますが、チャゴス諸島にはたしか米軍基地が置かれているディエゴガルシア島という島があると思います。この島は、イギリスとモーリシャスの間で領有権問題があり、極めて戦略的に意味があるところというふうに言われておると思います。  四月十一日に、アフリカ大陸とその周辺諸国での核兵器の使用、実験、製造を禁止するアフリカ非核化条約ですか、ペリンダバ条約が調印されたわけでございますが、核保有国のうちアメリカ、イギリス、フランス、中国がこの条約に調印したわけでございますが、ロシアは米軍基地があることを理由に調印を見送ったと言われております。このペリンダバ条約の調印の意義について政府見解をまず伺いたいと思います。
  86. 河村武和

    ○河村(武)政府委員 今御指摘になりましたとおり、四月十一日にアフリカ諸国四十二カ国がアフリカ非核兵器地帯条約に、さらに米、英、中国、フランスが条約の附属議定書にそれぞれ署名したわけでございますけれども、我が国といたしましては、アフリカ地域における核不拡散の強化に資するものとしてこれを歓迎しております。  実は、昨年の五月にNPT、いわゆる核不拡散条約の再検討・延長会議が開かれまして、NPTの延長を決めたわけでございますけれども、その際に採択されました核不拡散と核軍縮のための原則と目標と申します決定におきまして、関係地域の諸国の間で自由な意思により合意された取り決めに基づく国際的に認知された非核地帯の設立は、世界及び地域の平和と安全を強化するものであるという確信を再確認するとともに、西暦二〇〇〇年に予定されておりますNPTの再検討会議までに新たな非核地帯が設置されることを歓迎するとしていたわけでございますので、このアフリカ非核兵器地帯条約及び関連議定書の署名はこの決定の趣旨に沿うものとして我が国として受けとめております。
  87. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 済みません、最後に一つだけですが、今の非核化云々ということの絡みとして、けさの新聞で中国が近く核実験を行うと臨時代理大使語るということで大きく報道されておりますが、この核実験が行われたとすれば、対中国の円借款の凍結という世論の高まりが予想されるわけでございますが、一部には、政府として凍結なんて考えていないというようなこともありますが、このことについての政府見解を最後にお伺いさせていただきたいと思います。
  88. 池田行彦

    池田国務大臣 中国の核実験につきましては、我が国といたしましては、これは取りやめてほしい、行わないことにしてほしいということを繰り返し先方にも申しているところでございます。これから先どういうふうに中国が行っていくのか、いろいろな話がございます。そして、ただいま御指摘のような話がきのうあったという報道もございますけれども、私、まだ直接にそのやりとりがどういうふうなものであったのか、正式な言葉がどういうことであったのか承知しておりませんので、そのことについてコメントは避けたいと存じますけれども、私どもとしましては、核実験を中国が行わない、こういうことを希望しておりまして、また一方において、CTBTについて、若干これまでの姿勢との違いは出てまいりましたけれども、我が国を初めとする国際社会の多くがCTBTに対してとっている姿勢に中国が同調してくれることを期待している、こういうことでございます。  一方におきまして、経済協力の方でございますけれども、御承知のとおり、昨年中国の核実験が行われたということも踏まえまして、無償協力につきましてはごく例外的なものを除いてこれは実施しない、こういうことで来ているところでございます。  そして、今御指摘の円借をどうするかという問題でございますけれども、この問題については、先ほど委員御自身もおっしゃいましたけれども、中国が、長期的に見て、やはり改革・開放路線のもとで経済的に発展をしながら、しかも国際経済社会の中で建設的な役割を果たす、こういう姿がアジア太平洋地域全体、世界全体にとっても重要だと思いますし、とりわけ我が国にとってもそのことが大切だと思います。そういったことで、我が国としては、中国のそのような望ましいこれからの進み方というものを支援していくという上で協力はしていかなければいけない、こういう基本的なラインはあるわけでございます。  そういった中で具体的にどういうふうに対応するかは、今核実験をされたわけではございませんし、そういった長期的な観点からの考え方を申し上げさせていただいた、こういうことでございます。
  89. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 最後にちょっと一言です。  中国が経済発展していくことは大事だと思いますが、日本が核実験に対して、ODAの四原則もございますし、毅然たる姿勢を貫くというのも、これはもう本当に大事だと思います。中国が核実験を再開するという予想がずっと言われていて、それで臨時代理大使がある場で語っているわけでございますから、まずこの発言についての有無を事実確認していただいて、このことについて実験再開をしないようにぜひ申し入れていただきたいということをお願いしまして、質問を終了させていただきます。ありがとうございました。
  90. 関谷勝嗣

  91. 中島武敏

    中島(武)委員 私は、WTOの譲許表修正及び訂正に関する確認書に関連して質問をいたしたいと思います。  WTO協定では米の自由化に反対する声が圧倒的だったわけですけれども、それは、日本人が口にする主食は日本の農民によって完全に自給されなくては安定もなければ安心もできない、こういう気持ちからでありました。外務大臣は、米の完全自給が国の基本的政策でなければならないとお考えにはなりませんか。
  92. 池田行彦

    池田国務大臣 米は我が国にとりて基本的な食糧でございますので、これはこれからも自給ということを基本に考えてまいりたい、考えていくべきものだと考えております。
  93. 中島武敏

    中島(武)委員 農水省に伺いたいと思うのですけれども、飼料用の穀物として日本アメリカから約百二十万トンのトウモロコシを買い入れているわけですけれども、そのアメリカでは、トウモロコシの在庫は需要の十三日分で過去最低の状況になっている、こういうふうに報道されております。  それで、伺いたいのは、在庫状況がどうなのか、それからなぜそういうふうになったのか、農水省から説明を願いたいと思うのです。
  94. 横山光弘

    ○横山説明員 本穀物年度、これは九五年の九月から九六年の八月でございますが、本穀物年度におきますアメリカのトウモロコシの期末の在庫率は、米国農務省の見通しによりますれば約三・七%になる、こういう見通しとなっております。  このように期末の在庫率が低い水準になる理由といたしましては、主としまして、昨年のアメリカのトウモロコシの生産が、減反の実施であるとかあるいは作付期の長雨などによりまして、生産量が対前年比二七%減と大幅に減少したということによるものであります。  また、加えまして、一昨年の秋以降、それ以前はトウモロコシの主要輸出国の一つでありました中国がむしろ輸入国に転じたことによりまして、輸入国の需要がアメリカ産のトウモロコシに集中した、こういうことも要因の一因だと考えております。
  95. 中島武敏

    中島(武)委員 今の御説明で、主な原因は、一つは天候、干ばつ、それからもう一つはやはり中国の輸入、これが大きな原因だと説明があったわけですけれども、それでは、ことしは見通しとしてはどうなりますか。
  96. 横山光弘

    ○横山説明員 本年の見通しにつきましては、アメリカにおきまして現在トウモロコシの作付が行われておりますが、アメリカ農務省の見通しによりますれば一三・八%程度作付面積がふえる、こういうぐあいに見込まれております。したがいまして、これからの天候次第という面がございますが、天候が順調に推移すればことしの秋のアメリカの作柄というのはかなりの増産になる、こういうぐあいに見込んでおります。
  97. 中島武敏

    中島(武)委員 日本は飼料用のトウモロコシは全量買い付けなんですね。今もお話があるのだけれども、アメリカの天候次第で日本は非常に深刻な影響を受けるということを心配せざるを得ないわけです。  それで、中国の輸入の問題なんですけれども、これは、輸出から輸入に転じた、これからも輸入を大きく続けるのじゃないかと思われます。確かに、今のように価格高騰が続けばどうなるか、そうすれば中国も大量に買うというわけにはいかないかもしれない。だけれども、中国が買えないほど価格高騰が続けば、これは全量買い付けの日本としては非常に大きな影響を受けることになる、大変なことになる。天候がよくなる。そうすると今度はトウモロコシが大量に収穫される。そうなりますと、中国も価格が下がるからもっと買い付けるでしょう。そうなってくると価格がまた高騰する。いろいろ、こういう問題を抱えているわけですね。私はどっちにしても日本にとっては非常に厳しくなると思うのですけれども、天候次第ということを言っておられますか。
  98. 横山光弘

    ○横山説明員 御指摘ありましたように、中国につきましては国内の経済成長に伴いまして国内の畜産物消費がふえております。その関係で、従来は輸出国であったものが輸入国に転じているということでございまして、飼料穀物の国際需給という意味でいえば、八〇年代の過剰基調から、これからはやや引き締まりの基調で推移せざるを得ない、こういう状況であると考えております。
  99. 中島武敏

    中島(武)委員 いろいろ聞きたいことはあるのですけれども、私ちょっと持ち時間が少ないものですから、もっと聞きたい話はしておったのですけれども、もう一足飛びに結論の方に行きます、外務大臣の方に。  今このやりとりを聞いておって、外務大臣どんなふうに思われましたか。結局、アメリカの気候がちょっと変わると、もうそれだけで日本は右往左往させられるということが今の話から明らかじゃないかと思うのですね。それで、結局その被害を受けるのは農民であり国民なんですね。結局外国に依存するということの結果がこういう事態をもたらすということは非常にはっきりしておると私は思います。米の場合は全量買い付けとは違うからというふうにあるいはお考えかもしれません。だけれども、米は日本人の非常に大事な主食でありますから、少しでも不足をするというようなことになれば、これは非常に重大な事態になりかねません。  そこで、冒頭に外務大臣にお尋ねしましたら、主食である米は完全自給というのがよろしいのだというお話でした。(池田国務大臣「基本的に」と呼ぶ)基本的によろしいということだった。しかし、こういう事態を考えますと、私は外務大臣に聞きたいのは、WTO協定第十条第二項、これに基づいて、やはり農業協定の改定問題というのをWTOに提起するべきではないかと思うのですけれども、外務大臣の見解を伺いたいと思います。
  100. 池田行彦

    池田国務大臣 委員指摘のように、食糧事情全般、これはその特性上どうしても気象状況等に影響されるということがあるわけでございます。そしてまた、全体として、人口も非常に世界全体として増大傾向にある。さらに経済発展というものを踏まえてまいりますと、やはりその需要もかなり二十一世紀に向かってふえていく。それに対してどういうふうに対応していくか、安定的な食糧の供給を確保していくかということは、これは我が国だけではなくて人類全体にとって大変大切な課題であると思います。そういった面でも我々も真剣にこれから検討あるいはその対応策を考えていかなくてはいかぬと思っている次第でございます。  さて、そしてまた一方におきまして、我が国食糧は、米についてこそこれまでほぼ全量自給できる体制を維持してきましたけれども、今御指摘のトウモロコシを初めその他の食品については世界の中でも自給率が際立って低い、こういう状態にあるということは我々もよく認識して真剣に対応策を考えなくてはいけないというのは御指摘のとおりだと思っております。  米につきましては、先ほど申しましたように、これは基礎的食糧でございますから、今回のWTOとの関係でミニマムアクセス米その他といったことがございますけれども、基本的に国内生産というものを中心にして考えるということは、これは堅持していかなくてはいけないと思いますし、また一般的に、WTO協定のうち農業部分につきましては、これは我が国は、もちろん加盟した以上、対応しなくてはいかぬわけでございますが、対応していくのは大変努力が要るというのも事実でございます。  そういったことで、これからも全体としての多角的自由貿易体制というものは大切にしながら、しかし農業の問題についてはどういうふうに対応していくか、いろいろ苦労していかなくてはいかぬと思います。  そういった観点から、WTOに附属する農業協定におきましては、我が国が強い主張をいたしまして、食糧安全保障を含む非貿易的関心事項に配慮すべき旨の規定を盛り込んだわけでございまして、今後の、六年目にはまた農業貿易の改革過程の継続についての交渉が行われることが見込まれるわけでございますが、そういったときにも我が国としては当然、申し述べましたような事情またこれまでの取り組み方を踏まえまして、非貿易的関心事項というものを考慮に入れて対応していく、こういうことになろうかと存じます。
  101. 中島武敏

    中島(武)委員 いろいろありますけれども、この問題はこの辺にして、もう一つ関連して、私は革靴産業についてお伺いしたいことがあります。  革靴産業は長期の不況と大量の輸入によって産業自体が存亡の危機に直面している、こう申し上げても決して過言ではないと私は思っています。  そこで、端的に伺います。WTO協定によって、TQ制度の関税率を引き下げただけではありません。輸入数量は、TQ制度が設けられた一九八六年の翌年は一〇%増しだったのです。ところが、一九九二年から今日まで二〇%ずつふやされているのです。このためにTQ制度が設けられた八六年には二百四十五万三千足でありました革靴が、九六年には千二百一万八千足、つまり四・九倍、約五倍にふえているのですよ。TQ制度が導入される以前の八五年をとりますと、これは約百万足なのです。それと比べれば十二倍、非常な激増なのですね。  こんな調子でいきますと、中小企業の多いこの革靴産業の打撃というのは大変なものであります。この事態を考えますと、このような二〇%ずつふやすということをそれこそ一体いつまで続けるつもりなのか。これはもうこの辺でやめなければいかぬのではないかということを私は思うのですけれども、ちょっと答弁をいただきたいと思います。
  102. 成宮治

    ○成宮説明員 御説明申し上げます。  革靴の関税割り当てにつきましては、米国あるいはEC等諸外国の関心が大変強く、機会あるごとに制度の撤廃あるいは大幅な改善を強く求められてきておるわけでございます。一方で、委員指摘のように、我が国の革靴産業は経営基盤が脆弱な中小零細企業が多く、最近の需要の減退ということもあって、大変厳しい状況にあるということは承知しておるわけでございます。  したがいまして、こうした状況を踏まえまして、諸外国の要望それから国内の産業事情等を総合的に勘案いたしまして、この関税割り当ての枠、法定基準数量につきましては毎年度慎重に検討してきていただいているところでございまして、今後ともこれまでと同様慎重に対応をしてまいりたいというふうに考えております。
  103. 中島武敏

    中島(武)委員 慎重に対処してまいる、考えていくというのでは、産地で大変苦しんでいる人たち、中小企業の皆さん方は満足しませんよ、もう事態はここまで来ているのですから。だから、本当にこの辺できっぱりやめるとか、あるいは少なくとも減少させるとかいうことをやらなければいかぬと思うのです。  もう一つ、最後に私は言いたいと思っておりますのは、このTQ制度の対象になっている靴だけではないのですよ。実は御存じのとおりなのですけれども、甲の部分と底の部分を接着すれば完成品になるというパーツ扱いのものが物すごく輸入されておって、業界がそのトン数等をもとにして計算したところによりますと、二千二百万足入っている、こうなっているのですね。それから革製のスポーツ靴、これも千九百万足も入っている。そうすると、関税割り当てと合わせますと、五千三百万足、膨大な数になるのです。国内生産はどうかといいますと、これは九三年の工業統計ですけれども、七千二百四十万足です。そうしますと、国内生産に対する輸入靴の割合は七四%ですよ。本当に中小企業の皆さん、地場産業の皆さんを救うためにはセーフガードの発動というものもやらなければいかぬのではないか、私はこういうふうに思うのです。  最後に、この問題についてしっかりとした答弁をお願いして、私の質問を終わりにしたいと思っております。
  104. 成宮治

    ○成宮説明員 靴の部分品でございますとかあるいはスポーツ革靴の輸入が近年増加しつつあるということについては承知をしております。これらの、例えば革製履物の部分品につきましては、ウルグアイ・ラウンド交渉の中でも、これら高関税品目については一律全部二分の一にカットすべしという大変強い厳しい要求があって、大変厳しい交渉が行われたわけでございますけれども、困難な国内事情も考慮いたしまして、比較的高い現在の二五%という関税率を維持したところでございますし、スポーツ靴につきましても、現行の二七%というのを厳しい交渉の中で維持してきたということでございます。  それから、靴の部分品の輸入についてでございますけれども、これは国内産業の専門技術者の高齢化ですとか、それに伴います人材難といった問題も一方でありまして、輸入されますこういった部分品が結局国内の革靴の製造業者の方によって使われておるというような、ある意味で非常に複雑な事情にもございます。  こういったような点も踏まえなければいけませんけれども、今後ともこういったものの輸入の動向には十分注意を払ってまいりたいというふうに考えております。
  105. 中島武敏

    中島(武)委員 終わります。
  106. 関谷勝嗣

    関谷委員長 これにて質疑は終局いたしました。     —————————————
  107. 関谷勝嗣

    関谷委員長 これより両件に対する討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  まず、千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定譲許表第三十八表(日本国譲許表)の修正及び訂正に関する確認書締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  108. 関谷勝嗣

    関谷委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、インド洋まぐろ類委員会設置に関する協定締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  109. 関谷勝嗣

    関谷委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 関谷勝嗣

    関谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  111. 関谷勝嗣

    関谷委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時二十三分散会