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1996-04-25 第136回国会 衆議院 外務委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年四月二十五日(木曜日)     午前八時四十二分開議 出席委員   委員長 関谷 勝嗣君    理事 小杉  隆君 理事 田中 直紀君    理事 玉沢徳一郎君 理事 赤羽 一嘉君    理事 東  祥三君 理事 松沢 成文君    理事 井上 一成君 理事 前原 誠司君       安倍 晋三君    斎藤 文昭君       坂本三十次君    櫻内 義雄君       鈴木 宗男君    二階堂 進君       原田昇左右君    伊藤 英成君       岡田 克也君    小坂 憲次君       中野 寛成君    羽田  孜君       若松 謙維君    佐藤 泰介君       細谷 治通君    園田 博之君       古堅 実吉君    後藤  茂君 出席国務大臣         外 務 大 臣 池田 行彦君  出席政府委員         外務大臣官房長 原口 幸市君         外務大臣官房審         議官      谷内正太郎君         外務省アジア局         長       加藤 良三君         外務省北米局長 折田 正樹君         外務省中南米局         長       佐藤 俊一君         外務省中近東ア         フリカ局長   法眼 健作君         外務省条約局長 林   暘君  委員外出席者         大蔵省主税局調         査課長     西原 政雄君         大蔵省銀行局調         査課長     内藤 純一君         国税庁長官官房         国際業務室企画         官       小島 俊朗君         国税庁課税部法         人税課長    大村 雅基君         厚生省年金局年         金課長     阿曽沼慎司君         運輸省航空局監         理部総務課航空         企画調査室長  谷山  將君         運輸省航空局監         理部国際航空課         長       柴田 耕介君         外務委員会調査         室長      野村 忠清君     ――――――――――――― 委員の異動 四月九日  辞任         補欠選任   小坂 憲次君     柴野たいぞう君 同日  辞任         補欠選任   柴野たいぞう君    小坂 憲次君 同月二十五日  辞任         補欠選任   秋葉 忠利君     細谷 治通君   吉岡 賢治君     後藤  茂君 同日  辞任         補欠選任   細谷 治通君     秋葉 忠利君   後藤  茂君     吉岡 賢治君     ――――――――――――― 四月二十三日  航空業務に関する日本国エティオピア連邦民  主共和国との間の協定締結について承認を求  めるの件(条約第四号)  所得に対する租税に関する二重課税回避及び  脱税防止のための日本国メキシコ合衆国と  の間の条約締結について承認を求めるの件  (条約第五号) 同月十二日  インドネシアヘの原発輸出に対するODA使用  反対に関する請願秋葉忠利紹介)(第一七  七八号) 同月十六日  WTO協定改正の提起に関する請願古堅実吉  君紹介)(第一八五七号)  日米地位協定見直し等に関する請願東中光  雄君紹介)(第一九八八号)  同(古堅実吉紹介)(第一九八九号) 同月二十五日  米軍基地撤去に関する請願岡崎宏美紹介  )(第二一二五号)  インドネシアヘの原発輸出に対するODA使用  反対に関する請願金田誠一紹介)(第二二  〇〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月十二日  ILOパート労働条約の批准に関する陳情書  (第一七六号)  台湾海峡における中国の軍事演習即時中止に関  する陳情書外三件  (第一七七号)  途上国飢餓撲滅に関する陳情書  (第一七八  号)  米軍基地にかかわる日米地位協定等に関する陳  情書外五件  (第一七九  号)  在日米軍基地縮小撤去に関する陳情書  (第一  八〇号)  沖縄普天間基地岩国移転反対に関する陳情書  外四件  (第一八一号)  福島県白河布引山への米軍実弾演習場移転反対  等に関する陳情書  (第一八二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  航空業務に関する日本国エティオピア連邦民  主共和国との間の協定締結について承認を求  めるの件(条約第四号)  所得に対する租税に関する二重課税回避及び  脱税防止のための日本国メキシコ合衆国と  の間の条約締結について承認を求めるの件  (条約第五号)      ――――◇―――――
  2. 関谷勝嗣

    関谷委員長 これより会議を開きます。  航空業務に関する日本国エティオピア連邦民主共和国との間の協定締結について承認を求めるの件及び所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国メキシコ合衆国との間の条約締結について承認を求めるの件の両件を議題といたします。  政府から順次提案理由説明を聴取いたします。外務大臣池田行彦君。     —————————————  航空業務に関する日本国エティオピア連邦民主共和国との間の協定締結について承認を求めるの件  所得に対する租税に関する二重課税回避及び     脱税防止のための日本国メキシコ合衆国との間の条約締結について承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 池田行彦

    池田国務大臣 ただいま議題となりました航空業務に関する日本国エティオピア連邦民主共和国との間の協定につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、エチオピアとの間で航空協定締結するため、エチオピア政府交渉を行いました結果、平成八年三月二十五日にアディスアベバにおいて、我が方浜田駐エチオピア特命全権大使先方メシェシャ民間航空庁長官との間でこの協定署名を行った次第であります。  この協定は、我が国エチオピアとの間の定期航空業務を開設することを目的としており、そのための権利を相互に許与し、業務の開始及び運営についての手続及び条件等を取り決めるとともに、両国指定航空企業がそれぞれの業務を行うことができる路線を定めるものであります。また、この協定は、我が国が従来締結した多くの航空協定と形式、内容においてほぼ同様のものであります。  この協定締結によって我が国エチオピアとの間の人的交流及び経済的交流が増進され、両国間の友好関係の一層の強化に資することとなることが期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  次に、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国メキシコ合衆国との間の条約締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、メキシコとの間で租税条約締結するため、メキシコ政府交渉を行いました結果、平成八年四月九日にメキシコシティーにおいて、我が方寺田特命全権大使先方オルティス大蔵大臣との間でこの条約署名を行った次第であります。  この条約は、これまでに我が国が諸外国との間で締結してきた租税条約と同様に、経済的交流人的交流等に伴って発生する国際約二重課税回避目的として、メキシコとの間で課税権を調整するものであり、条約全般にわたってOECDモデル条約案に基本的に沿ったものとなっております。  この条約の主な内容としまして、まず、事業所得につきましては、企業相手国内支店等恒久的施設を有する場合に限り、かつ、当該恒久的施設に帰属する利得に対してのみ相手国課税できるものとしております。また、国際運輸業所得に関しましては、船舶及び航空機のいずれの運用による所得に対する租税につきましても国際運輸業を営む企業居住地国においてのみ課税し得ることを定めております。また、投資所得につきましては、配当利子及び使用料についてそれぞれ源泉地国における限度税率を定めております。  この条約締結によって、我が国メキシコとの間での各種所得に対する課税権の調整が図られることとなり、両国間の経済及び文化の面での交流が一層促進されるものと期待されます。  よって、ここに、この条約締結について御承認を求める次第であります。  以上二件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことをお願い申し上げます。
  4. 関谷勝嗣

    関谷委員長 これにて提案理由説明は終わりました。     —————————————
  5. 関谷勝嗣

    関谷委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。前原誠司君。
  6. 前原誠司

    前原委員 自由民主党、社会民主党・護憲連合のお許しをいただきまして、御質問させていただきたいと思います。  まず第一点目は、メキシコとの租税条約関連でございます。  東京国税局税務調査によりますと、首都圏外国企業外国人に支払った特許使用料や報酬などの非居住者等所得からの税金の源泉徴収に関しまして、昨年六月までの一年間、九四年の事務年度でございますが、計三百四十二億円の所得からの徴税漏れが見つかったと報告されております。そして、この徴税漏れ所得内容では、利子配当が二百一億円と、全体の五八・八%を占めております。また、その多くは、外資系企業日本法人が親会社から運転資金などを借り入れた際の利息の徴収漏れということになっておるそうであります。  また、今般のメキシコとの租税条約におきましては、幾つかの場合においては低減税率が一〇%ということで、その他の場合には一五%ということで、これは従来我が国締結をしてきた租税条約と比較をいたしましても、その適用範囲が広くて、かなり漠然としたものになっているという印象を受けます。  こういうことを踏まえまして、このような多額の徴税漏れ現状についての政府の認識、並びに執行上どのように対処されるのかをお聞かせ願いたいと思います。
  7. 大村雅基

    大村説明員 ただいま先生からお話がございましたように、先生御承知のように、企業活動国際化に伴い、物、人、資金あるいは技術、さまざまな分野におきまして国際交流が活発化し、非居住者外国法人に対する国際課税に係る問題が、今先生から御指摘のございました源泉所得税を含め、非常に重要になっているというのは我々も認識いたしております。このため、国税当局としましては国際課税の適切な執行について常日ごろより努力しているところでございます。  例えば、今御指摘源泉所得税を例にとりますと、課税上有効な資料、情報の収集に努め、これらの資料源泉徴収義務者から提出された資料を総合検討しまして、源泉所得税納付漏れが想定される場合には実地調査を行うなどにより、適正な課税の実現に努めておるところでございます。また、その一方で、源泉徴収漏れ防止するために源泉徴収義務者に対しては例えば税制改正等についての周知に努めるなど、その指導、広報にも意を用いているところでございます。  また、そのほか、国税当局におきましても国際化に対応した適切な対応を図るべく、人材の育成それから取引実態の把握に努め、源泉徴収義務が適正に履行されるように努めておるところでございます。  今後とも国際課税の適正な実施に向け努力していきたい、そういうふうに考えております。
  8. 前原誠司

    前原委員 ありがとうございました。  続きまして、エチオピアとの航空協定関連で御質問したいと思います。  アジア成長航空需要の拡大が予想されます中で、アジア諸国では、自国の航空需要の増加に対し、さらにアジアハブを目指して、国際ハブ空港整備が急ピッチでございます。これらの国々の動きからいたしますれば、我が国国際ハブ空港整備は相当おくれて、アジアの玄関としての役割が他のアジアの国に移ってしまいかねないという危惧がございます。  そこで、関西国際空港など国際ハブ空港整備現状と、我が国国際空港アジア諸国空港着陸料などあらゆる面を踏まえて競争可能なものとなるかを、運輸省、御説明をいただきたいと思います。
  9. 谷山將

    谷山説明員 運輸省におきましては、首都圏成田空港近畿圏関西国際空港につきまして、第六次空港整備五カ年計画におきまして国際ハブ空港として位置づけまして、その整備を推進してきたところでございます。その結果、関西国際空港につきましては平成六年九月に開港したところでございます。  しかしながら、これらの両空港はいずれも滑走路一本で運用されておるわけでございまして、成田空港につきましては既に滑走路処理能力限界に達しております。また、関西国際空港につきましても近々その処理能力限界に達するものと予想され、両空港能力増強というものが急務と なっているわけでございます。  このため、昨年の八月末に航空審議会において打ち出されました第七次空港整備五カ年計画に関する中間取りまとめにおきましても、二十一世紀に向けて我が国が今後とも国際社会の中で安定した発展を続けていくためには、これら国際ハブ空港等整備を最優先課題として取り組む必要があるとされたところでございまして、運輸省といたしましてもその整備に積極的に取り組んでいく所存でございます。  具体的には、成田空港につきましては、円卓会議の結論を尊重いたしまして、話し合いを通じて平行滑走路等整備を推進いたします。関西国際空港につきましては、八年度より二期事業として上下主体分離方式により平行滑走路整備に着手することとし、そのための予算政府予算案に計上しております。  また、アジア諸国との空港間競争につきましては、航空会社路線を形成する重要要素というものは、基本的には後背圏経済力、すなわち利用者需要であると考えております。我が国の場合、その後背圏経済力アジア諸国に決して劣るものではないと考えておりまして、国際ハブ空港整備を積極的に推進することにより、アジア諸国空港に十分対抗できるものと考えております。
  10. 前原誠司

    前原委員 最後に外務大臣にお伺いしたいと思いますが、今のハブ空港の問題に関して、やはりこれからポイントとなってくる政策課題以遠権の問題ではないかと思います。運輸政策上以外の問題として、アジアにおける位置づけなど外交政策上のお考え、またどういうふうな立場で今後の交渉に当たられるか御説明をいただきたいと思います。
  11. 池田行彦

    池田国務大臣 委員指摘のとおり、日米航空関係におきましては以遠権の問題が非常に大きな争点になっている、このように認識しております。  もともと、現在日米旅客輸送で見ますと七対三ぐらいの比率になっているわけでございまして、それにはいろいろな要因があると思います。やはり基本的には競争力の問題であり、我が国企業としても路線の開発であるとかあるいはリストラの徹底とか、そういうことで体力を強化していくということが大切だと思います。  しかしながら、それだけではなくて、やはり協定上の不平等その他の問題があると思うのでございます。そして、とりわけ今御指摘のございました以遠権につきましては、これは航空協定の文言上は、私どもといたしましては、やはり以遠権というのは二次的、副次的なものであって、基本はやはり米国日本との間の輸送だ、こういうふうに考えておりまして、したがいまして、旅客輸送についても我が国としては五〇%以下に制限するとか、それがあるべき姿だと思っておるわけでございますが、米国の側の解釈は、いや、その点は無制限なんだ、こういうことを言っておりまして、現に米側航空企業幾つかの路線におきましては以遠輸送の方が輸送全体の中で大きなウエートを占めておる、場合によっては大部分と言っていいぐらいの比率になっているという実情がございます。これは先ほど申しましたような協定解釈上の争いもあるわけでございますが、米国との協議において以遠権の本来あるべき姿に戻していきたい、こう思っております。  それともう一点は、これはこれまでの歴史的な経過もございまして、米国先発企業については我が国からの以遠権というのは大幅に認められているのに対して、日本の場合はそれが非常に限定的であるという不平等性の問題がございます。とりわけ、ただいま委員も御指摘になりましたように、アジアの方がいわゆる成長センターだということでどんどんそちらの方の旅客需要がふえておりますので、この不平等性が一層顕著になってきた、また実質的にも問題になってきたと思いますので、こういった点を踏まえながら米側と粘り強く折衝してまいりたいと存じます。
  12. 前原誠司

    前原委員 ありがとうございました。  終わります。
  13. 関谷勝嗣

  14. 若松謙維

    若松委員 新進党の若松謙維でございます。  早速質問に入らせていただきます。  まず、議題となっております日本メキシコ租税条約について質問をさせていただきます。  今回のメキシコとの租税条約、これはいわゆるOECD型モデルという形での締結ということで、これは非常に評価できるのではないかと思います。ただ、やはりメキシコ自身発展途上国という状況もあり、いわゆる国連型モデルも含めた条約、こう理解しているところですけれども、この条約の中に、第十条第二項(c)、いわゆる配当所得のところで、配当支払いに関して源泉税が免除される条件という条項がございます。この配当所得は、今国際的に話題になっておりますトリーティーショッピング、いわゆる租税条約のいいとこどりというところで、租税条約国際競争の中での一つの武器というところで、これからの租税条約を組むに当たっても、この配当所得に関する条約というのは大変重要になってくるのではないか。  特に今回の日本メキシコ租税条約に関して見ますと、この配当所得に関しては、特にフランスと比較しますと、源泉税が免除される条件として、フランス日本との租税条約日本にとって大変有利なんですけれども、メキシコ租税条約は、細かい話をすれば、「及び」というところで非常に不利になっております。どうしてこの「及び」という言葉になったのか、その経緯を簡潔に説明していただきたいと思います。
  15. 西原政雄

    西原説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘の、配当金支払いに関します源泉税が免除されるという条件につきまして、最近改定になりましたフランスの例と今回の例では適格者要件に違いがあるのではないか、この点についての御質問でございます。  この源泉税を免除するという場合には、これを条約上で無条件免税するということを認めますと、やはり締約国以外の第三者の国、第三国の居住者免税の特権を利用して租税回避を行うというようなことが可能性としてあるものですから、やはり免税の対象をある程度限定しようということで、こういう規定、限定を設けるわけでございまして、配当受領法人締約国証券市場に上場しているという条件とか、いろいろな一定の条件を満たしているものに限定しておるわけでございます。  先生指摘のとおり、今回の条約におきましては、最近改定フランスとの条約に比べますと、免税となる範囲がより限定されているということでございます。これは、メキシコに隣接いたしております諸国我が国との密接ないろいろな経済関係ということにかんがみまして、これらの諸国居住者によって本条約の乱用ということがあってはならないという観点から、より要件を厳格化したということでございまして、何とぞ御理解をいただきたいと思います。
  16. 若松謙維

    若松委員 今の御説明、やむを得ない面は理解いたしました。しかし、先ほどの「及び」またはフランスで使っている「又は」、これの言葉一つによって日本の国益というものが大きく変わりますので、いわゆる租税交渉の中でぜひともしっかり我が国立場を主張していっていただきたいと思います。  この条約に関しまして、隣の韓国との租税条約なんですけれども、これは、一九七〇年につくられてまだ改正されていないという、今の状況におきましてやや陳腐化した状況なのかなと思っております。つきましては、今韓国との条約改正日本としてその意向があるのかどうか、または現状について御説明いただきたいと思います。
  17. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 韓国につきましては、御指摘のとおり、昭和四十年代に締結した条約があるわけでございます。  最近、私たちといたしましては、租税条約締結に当たりまして、各条項規定ぶりOECDにおける議論などを踏まえて改善しているところでございます。また、こうした最新の条約締結方針や、より合理的な規定ぶり条約に適切に反映 させるために、締結後相当期間経過した条約についても必要に応じ改正等見直しを進めているところでございます。  具体的に、韓国との間の租税条約につきましても、こういうような方針に基づきまして対処いたしております。それで、現行条約見直しのための交渉をこの四月の上旬以来進めているところでございます。
  18. 若松謙維

    若松委員 条約改正議論は進めているというお答えでしたけれども、今特に韓国税務当局から日本企業に対してさまざまな、特にPE、これは日韓租税条約でいいますと五条ですか、恒久的施設PE認定の問題で一般的に言ってかなり不当な主張が韓国税務当局からなされている、私はそう認識します。  具体例といたしまして、個人名を言うのは不適切じゃないと思うのですけれども、ただこれは被害者なので、私が代弁させていただきますと、ニコンという会社があって、半導体装置の据えつけ、このためのPE認定解釈をめぐって税務当局から大変不当な言い分がなされている。そういう状況に対して、どうしてこういう問題があるのか、さらにこの問題を解決するために今どのようにされているのか、そういった点について、御説明いただきたいと思います。
  19. 小島俊朗

    小島説明員 先生の御指摘のありましたように、ニコン韓国税務当局から問題点指摘を受けているとの報道があったことは承知しております。しかしながら、個別企業の税務問題についてでございますので、答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。  一般論として申し上げますれば、条約相手国税務当局の措置によりまして条約に適合しない課税を受け、あるいは受けるに至ると認められる場合には、納税者からの申し立てに基づき、相手国税務当局租税条約上の相互協議を行い、条約に適合しない課税を排除するよう最善の努力を行うこととしております。
  20. 若松謙維

    若松委員 PE認定なんですけれども、確かに発展途上国型の国連モデルですといわゆる半年間という期間が一般的となっております。それで、この国連モデルというところを適用するかというのはいろいろ考え方があるでしょうけれども、例えば世銀卒業基準、GNP一人当たり大体五千ドル超の場合にはいろいろと発展途上国型の租税条約は適用しない、こんな国際的な慣行もありまして、韓国の場合は既にそれはクリアしていると思います。  そういう中で、まだPE認定六カ月、OECDモデルですと十二カ月というところで、半年と十二カ月、これは非常に大きな現実の違いとなってあらわれるわけで、そういった点から、どういう姿勢で韓国当局また韓国租税条約交渉をされるのか、再度お伺いします。
  21. 西原政雄

    西原説明員 先生指摘のように、世銀卒業基準を超えている韓国、こういうことでございますので、今後いろいろな租税条約見直しをしていく際には、OECDモデルにするのかあるいは国連モデルにするのか、そういった議論がいろいろあるわけでございます。ただいまの話はPEに関してでございますが、そのほかみなし外国税額控除、こういった面につきましても同じように議論があるところでございます。  こういった点につきましては、国によって経済発展の段階や事情がやはり違うわけでございます。その当初は、韓国相手国経済状況にかんがみまして合理的な範囲内でもってこのような条約を結んだわけでございますが、現段階で経済発展世銀卒業基準を超えているという状況でございますので、そういった点も勘案しながら、今後、条約改定交渉についてはやはりいろいろな点で見直しを行っていきたいというふうなスタンスで臨みたいと思っております。
  22. 若松謙維

    若松委員 外務大臣にお伺いします。  この租税条約、私もロンドンに四年おりまして、こういった関係のアドバイスをしてまいりました。特にオランダというのが国際的に非常に魅力のある租税条約を多く持った国ということで、世界の資本が集まる仕組みになっております。ですから、租税条約は、大蔵省任せではなくて、国益の代表たる外務省、外務大臣も、それぞれの国に行って、ぜひともそこら辺も勉強して、交渉をしていただきたいと思いますけれども、そういった意向はお持ちでしょうか。
  23. 池田行彦

    池田国務大臣 世界経済がこれだけグローバル化、ボーダーレス化している時代でございます。とりわけ我が国経済活動というのは、全世界大に展開されておるわけでございます。そういった中で、企業あるいは個人の国境を越えての経済活動が円滑に進められるためには、租税面での障害というものが極力少なくなることが望ましいということは論をまたないところでございます。  そういった意味におきまして、それからまた、ただいま委員の御指摘もございましたように、我が国に対していろいろな投資あるいは海外企業事業活動が展開される、それを促進するという観点からも望ましいわけでございますので、今後におきまして、租税協定につきましては外務省におきましても大きな関心を持って積極的に取り組んでまいりたいと思います。もとより租税協定だけではなくて、投資の関係その他、人的なあるいは事業活動の展開に伴う障害を取り除くための環境条件整備といった広い観点の中で非常に重要な地位を占めるもの、そういう位置づけで取り組んでまいりたい、こう思います。
  24. 若松謙維

    若松委員 ぜひよろしくお願いいたします。  続きまして、エチオピアとの航空協定について質問をさせていただきます。  歴史的にも我が国と長い関係のあるエチオピアとの航空協定ができたということで、これは大変うれしいことだと思います。しかし、今エチオピアはさまざまな国内の問題等を抱えていると思います。そういった締結エチオピア現状というものをかいつまんで御説明いただきたいと思います。
  25. 法眼健作

    ○法眼政府委員 エチオピアは一九七四年に帝改廃止の革命がございまして、御案内のようにハイレ・セラシエ皇帝が退きました。その後軍事社会主義政権が成立いたしまして、その間内戦がかなり激化いたしました。それで、この内戦は九一年五月に終結いたしました。内戦が終わりました後、暫定政府ができまして、それによる統治が始まりました。それがずっと続いておりまして、去年の五月に複数政党制による総選挙が行われまして、去年の八月に連邦民主共和制及び各種人権保護にかかわる規定を骨格とした新憲法が公布されまして、メレス首相を首班とする議院内閣制の新政府が発足いたしました。  エチオピアは、ソマリアとかスーダンといったような不安定な国がすぐ近くにある国でございまして、いわゆるアフリカの角における安定勢力でこれからは進んでくれるのではないかと思っております。OAUの議長国として、今アフリカの一つの中心国として再起しつつございます。  経済は、内戦とか干ばつによりかなり疲弊いたしましたが、世銀、IMF等の構造調整計画に合意いたしました後、市場経済を導入したり国営企業の民営化を柱といたしまして、経済の自由化を推進しております。  このように政治、経済両方の面で民主化、民営化、市場経済化を進めておりまして、安定の方向に進んでおると私どもは見ております。
  26. 若松謙維

    若松委員 このエチオピアとの航空協定もさることながら、ことしの一月三十一日に京都におきましてアジア・オセアニア地域国際航空フォーラムが開催されました。これに対して今アメリカが、アジアとオセアニアだけのフォーラムであって、どうもアメリカ排除じゃないかと、非常に心配をする国柄ですからこういう危惧を、アメリカがいろいろと言ってきているように伺っております。特にアメリカの場合にはオープンスカイ、いわゆる航空市場開放、こういった政策を掲げているわけですので、アメリカが今言っておりますアジア・オセアニア地域国際航空フォーラムに対するさまざまな意見、これに対して我が国としてどういうふうにお考えなのか、見解を求めます。
  27. 柴田耕介

    ○柴田説明員 お答え申し上げます。  本年一月末から二月初めにかけまして、京都におきまして先生指摘アジア・オセアニア地域国際航空フォーラムを開催いたしました。我が国といたしましては、世界の国際航空輸送市場の約三割を占めます米国市場を米国航空企業に留保する等しながら米国航空企業の世界市場におけるシェア拡大をねらう米国政府のオープンスカイ政策、これには賛成するものではございませんが、本フォーラムは、ICAO、国際民間航空機構で推奨されました各地域における地域協力を進める観点から、それぞれの国々の政策、考え方について自由に意見交換をするために開催したものでございまして、特定の国の特定の政策に対して対抗する意図に出たものではございません。  我が国といたしましては、こうしたフォーラムの場を活用いたしまして、アジア・オセアニア地域におけるそれぞれの国の声を聞きながら、さらにこの地域の国際航空輸送発展に努めていきたいと考えている次第でございます。
  28. 若松謙維

    若松委員 外務大臣も同じようなお考えですか。
  29. 池田行彦

    池田国務大臣 オセアニア地域も含めまして、世界のいろいろな意味での交流が進んでいくことは望ましいことだと思います。それは航空の分野でも同じだと思うのでございます。  しかしながら、いわゆるアメリカのオープンスカイ政策というのは、掲げておる理念としてはそういった自由な方向へ進めていくということでございましょうけれども、現実にそれの持つ効果という点から考えますと、ただいま運輸省から話がございましたけれども、圧倒的な競争力を持っている米国航空企業というものを前提にしまして、航空マーケット全体の中で米国のいわゆるオープンスカイ政策をどんどん進めていくことが果たして真の意味での航空に対する需要に適切にこたえていく道なのかどうかというのはよく考えてみなければいけないのじゃないか、こういう感じがするわけでございます。そういった意味で、一方において自由な競争ということも大切なら、他方においてはやはり適切な秩序というものも存在する航空の世界というものを考えなければいけない。  そういった意味で、アジア・オセアニアの問題につきましても、先ほど運輸省からお話がございましたように、決して特定の国に対して対抗するための連合といいましょうか、連携をつくるという意図ではない。意図は持たないにしましても、やはりそこのところは、航空マーケットの実態というものをよく頭に入れながらあるべき航空秩序というものを模索していく、そういうフォーラムとして活用していくことが肝要か、こう考える次第でございます。
  30. 若松謙維

    若松委員 航空協定についてはこれで終わりにいたします。  この際、国際年金通算協定交渉状況等について質問をさせていただきます。  私も、当委員会を含め二回ほど年金の国際条約というところで指摘をさせていただきました。特に日本企業が海外進出して、日本でも年金を払っている、海外でもその国の法律で年金拠出を要求される、こういう二重払いに対して、二重払いを回避するための年金協定というものが、アメリカは二十カ国近く、さらにドイツも二十カ国近く締結されているにもかかわらず、日本はゼロでございます。そういったことで、約二、三千億円ぐらい日本企業条約があれば回避できるものを負担されている。  こういう現状に対して、まずお伺いしたいのですけれども、なぜ二十年間も交渉していながら、いや、交渉していなかったからなのか、この国際年金通算協定というものが締結されなかったのか、その原因の所在というところをお聞きしたいと思います。
  31. 阿曽沼慎司

    ○阿曽沼説明員 年金通算協定についてのお尋ねでございますが、我が国が当初から協議を始めた国はドイツでございまして、日独の例で申し上げますと、日独年金通算協定締結を念頭に置いた年金当局間の事務レベル協議は、一九六八年、昭和四十三年から開始をされております。途中一時中断をいたしまして、昭和六十年、一九八五年の十月に再開をされたわけでございますが、協議再開後は年一回のペースで協議を行いまして、着実に前進が図られたわけでございますけれども、このような協定我が国にとって初めての分野でございますとともに、我が国とドイツの年金制度においては、障害年金あるいは遺族年金など仕組みの大きく異なる部分もかなり多うございまして、慎重な検討を要してきたところでございます。しかしながら、昨年の六月に年金当局間の事務レベル協議におきまして、障害年金、遺族年金の取り扱いなど残された課題につきましてはぼ決着する見通しが立ったこともございまして、昨年九月から政府交渉が開始をされているというところでございます。  厚生省といたしましても、こういう国際化時代に即応します年金通算協定締結という目標に早期に到達できるように、今後とも外務省とよく相談をして努力をしていきたいというふうに考えております。
  32. 若松謙維

    若松委員 政府交渉に移ったということで、特にドイツとの交渉状況並びに展望についてお伺いいたします。
  33. 原口幸市

    ○原口政府委員 現在ドイツとの間で、昨年九月の政府交渉の予備交渉に続きまして、四月の二十二日から同国のボンにおきまして、日独社会保障協定、これは仮称でございますけれども、この締結のための政府交渉を行っているところでございます。
  34. 若松謙維

    若松委員 それで、いつごろ締結なり、また国会への上程が期待されますでしょうか。
  35. 原口幸市

    ○原口政府委員 ただいま鋭意交渉中でございまして、現時点で申し上げられることは、できるだけ早くということしか申し上げられませんが、できるだけ早くともかく妥結点を見出したい、そういうふうに思っております。
  36. 若松謙維

    若松委員 できるだけ早くでもいいのですけれども、この条約一つ締結するだけで一千億円の日本としての支出がセーブできる。十年間それが延びれば一兆円です。  厚生省と外務省両方にお伺いしたいのですけれども、まず、厚生省としては、例えば公的介護保険等の導入に今一生懸命、大変だと思います。しかし、厚生省の体質として、支出に一生懸命時間を取り計らって、こういういわゆる支出のセーブというところには努力を怠っているのではないか、そう思いますけれども、そういう観点からいかがでしょうか。
  37. 阿曽沼慎司

    ○阿曽沼説明員 先生指摘のように、確かに二重適用の問題がございまして、二重適用に伴いまして、例えば日本とドイツの関係で申し上げますと、日本がドイツに負担している額とドイツが日本に負担している額の間に不均衡があるというのは御指摘のとおりでございます。  私どもといたしましては、二重適用の防止、それから掛け捨ての防止という観点から年金通算協定の早期締結を急いでいるわけでございまして、今後ともその点につきましては全力を挙げて、外務省ともよく相談をし、早期締結をしていきたいというふうに考えております。
  38. 若松謙維

    若松委員 それで、外務省に伺いますけれども、今回の普天間基地等の削減によりまして、米軍基地の移転コスト、ある人は一兆円生じるであろう、こういったところですけれども、この条約締結することによって大変コストのセーブというものもできます。外務省、そういった観点から一生懸命努力されているのでしょうか、改めて聞きます。
  39. 原口幸市

    ○原口政府委員 私どもの基本的な立場といいますのは、国際的な人的交流が活発化している中で、年金の通算及び二重加入回避等の問題というのは海外在留邦人の福利と非常に密接に関連する重要な問題でありまして、かつ時の経過とともにますますその重要性は深まってくる、そういうふうに理解しております。そういう観点から、ぜひ早くこの問題を解決したい、このように考えている次第でございます。
  40. 若松謙維

    若松委員 外務大臣にお伺いしますけれども、 この年金協定、非常にこれも重要だと思います。早期締結並びにドイツ以外の国とのさらなる早期締結、そういった点について決意のほどを伺います。
  41. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど来厚生省並びに外務省の政府委員から答弁申し上げているところでございますが、このように長い年月がかかりましたのにはそれなりの事情があったと思います。年金制度はそれぞれ国によって仕組みが違いますし、また、我が国におきましても、これまで年金制度についてはいろいろな議論が行われ、そのあり方、その仕組みについてもなかなか固まらなかったところでございまして、ようやく近年に至りまして年金一元化の方向が出てきた。そういったそれぞれの国の事情、また双方の制度の違いというものが早期の締結を難しくしたという要素はあったという点は御理解いただきたいと思います。  しかしながら、一方におきまして、我が国はもちろん国民皆年金の時代でございますし、また高齢化は着実に進んでおる、こういう時代でございます。また、海外に在留いたします邦人の数も七十万人になんなんとする、こういう時代でございますので、やはりこの問題はいつまでも、話し合いを進めております、こういうことで済む問題ではないと思います。ましてや、ただいま委員も御指摘になりましたような意図せざる所得の移転が生じている、それが国ベースで見ればどうだという話がございましたけれども、国ベースの話だけではなくて、二重に保険料の支払いを余儀なくされる個人の立場からいけば一日も早い是正が求められる、これは当然のことだと思います。  そういった意味におきまして、今厚生省、外務省ともに、この作業を一層加速しよう、こういう姿勢でいるところでございますが、私の立場におきましても、厚生大臣とよくお話し合いもし、協力もいたしまして、表現は必ずしも適切じゃないかもしれませんけれども、担当部局のしりをしっかりとたたいてまいりたい、こう考える次第でございます。
  42. 若松謙維

    若松委員 外務大臣にお聞きしますけれども、ドイツ政府とお話をする機会がありましたら、これ、大臣自身取り上げられますか。
  43. 池田行彦

    池田国務大臣 ドイツ政府との間でもいろいろな折衝がございますし、私自身も、近々予定されているスケジュールを考えてみましても、例えばOECDの場であるとかあるいはリヨン・サミットの場といったようなところでドイツの外務大臣あるいは担当の閣僚の方とお目にかかる機会もあろうかと存じます。そういった機会にこの問題の重要性も適宜指摘しながら、両国が協力してその作業を促進するように努めてまいりたい、こう思います。
  44. 若松謙維

    若松委員 ぜひ強い推進を望むところであります。  まだ時間がありますので、この際、ちょうど二十一日にルービン米財務長官が、G7が終了したときに、議長総括という形で大変珍しい声明をなされました。それは何かといいますと、証券監督者国際機構、10SCOと私たちは呼んでおりますけれども、いわゆるG7を中心とする、証券市場を安定化させようという監督機構があるわけです。ここがいわゆる金融市場の安定化策というところを目的として具体的に進めている国際会計基準をそれぞれG7が取り入れていこう、こんな技術的な話が議長総括の中に盛り込まれました。  これは何を言いたいかといいますと、今回の住専等を含む日本の金融機関の不良債権、バブルは数年前に崩壊したにもかかわらず、不良債権の処理はここ一、二年で急に表面化した。なぜこういう不良債権の処理が遅くなったのか。やはりここの一番大きな原因として、一九九〇年に出た国際会計基準には「銀行業及び類似する金融機関の財務諸表における開示」というところで、その不良債権の表示を明確にうたっております。日本の少なくとも金融当局、大蔵当局がこの国際基準にのっとっていれば、この不良債権のディスクロージャーというのがもっと早目になされたのではないかと認識しておりますけれども、その点、どのようにお考えでしょうか。
  45. 内藤純一

    ○内藤説明員 お答えいたします。  不良債権のディスクロージャーにつきましては、我が国におきましては、開示対象といたしまして、全銀協の統一会計基準等によりまして、まず第一が、経営破綻先に対する債権、破綻先債権と呼んでおります、第二が、利息が六カ月以上延滞している債権、第三が、約定条件改定時におきまして公定歩合以下の水準にまで金利を引き下げた債権等となっているところでございます。  一方、委員指摘米国におけるSECの基準におきますと、第一が、未収利息不計上の貸出金でございますとか、第二が、九十日以上元利が延滞している貸出金、第三が、これら以外の、リストラクチャード貸国債権と呼んでおりまして、経営者の経営の悪化のため金利を減免する等元利の返済条件を緩和している債権となっておりまして、先進国の中で最も厳格な基準を定めていると承知しております。  その他諸外国におきますと、例えばヨーロッパ諸国におきましては、この不良債権のディスクロージャーというよりも、むしろ金融機関の監督当局によりまして金融機関の経営の健全性を確保するという考え方が基本とされ、不良債権のディスクロージャーについて自主的な開示が行われているというふうに理解をしているところでございます。  このように、金融機関の資産の健全性に関するディスクロージャーについての考え方でございますが、委員指摘国際会計基準の問題もございますが、現段階におきまして、各国におきましては各国それぞれの基準によりまして開示をしておるというところでございまして、御説明申し上げましたように、まちまちの現状でございます。  我が国といたしましては、ディスクロージャーは不良債権の早期処理を促す上で大きな意義を持つものであるというふうに考えておりまして、積極的にこれを開示していくことが重要であるというふうに考えているところでございます。この考え方は昨年十二月の金融制度調査会の答申にも述べられているところでございまして、約二年後、九八年の三月期でございますが、銀行は申すまでもなく、協同組織金融機関におきましてもこのような不良債権について十分な開示が行われるよう、今後、私どもといたしましても、ディスクロージャーの充実に取り組んでまいる所存でございます。
  46. 若松謙維

    若松委員 先ほど、いわゆる日本の、邦銀等が採用している基準は大変厳しいというお話でしたけれども、私はそう思いません。  特に、これは銀行名を言いますけれども、三菱銀行、これは非常にディスクロージャーを積極的に進めている銀行です。そこが、一九九三年の三月期、いわゆる有価証券報告書で開示された連結ベースでの不良債権総額、約五千二十四億円、表示されました。これは日本の大蔵省が、世界に冠たるやり方ですと。ところが、先ほどの国際会計基準、これにのっとって、三菱銀行はまた英語によるいわゆるアニュアルレポートをつくっております。そこの不良債権の表示額が八千四百七十二億、約三千五百億円ほどこの国際会計基準による不良債権の表示額が多くなっております。それだけではなくて、九五年三月期、ここになりますと、有価証券報告書、日本の基準ですと、六千二十一億円不良債権が出ております。しかし、この国際会計基準でやりますと、一兆一千二百二十八億円と、倍近い差が出てきます。これはどういうことなのか。やはり日本の金融当局が認識している、金融当局に求めるディスクロージャーというのは実態を反映していない、国際的に見て不備であると、私はそう断定いたしますけれども、いかがでしょうか。
  47. 内藤純一

    ○内藤説明員 お答え申し上げます。  三菱銀行の例を委員指摘でございますので、その点につきまして触れさせていただきたいと存じます。  三菱銀行におきましては、米国におきましては日本信託銀行などの子会社を含む連結ベースで不 良債権額を開示しております一方、我が国におきましては、三菱銀行の本体の不良債権、そしてまた日本信託銀行の不良債権といったものを開示しているところでございます。  日本における開示とアメリカにおける開示でございますけれども、直近の時点をとらせていただきますが、これは平成七年度の九月期の不良債権の比較で申し上げさせていただきたいと思います。これによりますと、日本のこの三菱銀行の開示は、破綻先債権、延滞債権及び金利減免等債権の不良債権合計額で六千二百七十六億円、日本信託銀行が千三百二十億円、合計で七千五百九十六億円となっております。これに対しまして、米国でございますが、三菱銀行の破綻先と延滞債権、これは我が国の基準をそのまま米国でも開示してよろしいというような取り扱いになっておりまして、これは同額でございます。金利減免等債権を加えますと六千六百三十五億円、日本信託銀行が子会社でございますので、千八十二億円、その他子会社を加えまして、合計で七千九百一億円というふうになっております。したがいまして、七千九百一億円と七千五百九十六億円ということで、最近におきましては、その差というものはそれほど大きな差ではないというふうに認識をしているところでございます。
  48. 若松謙維

    若松委員 大蔵省はもううそつき省になったのですかね。さっきのアニュアルレポートは連結ベースですと。それで、さっきの有報は単体ベースです、親会社だけというお話でしたけれども、ちゃんと連結ベースも有報であるのですよ。ほとんど有報と単体との差というのはないのですよ。その結果、先ほどの大きな差があるのです。  今とにかく日本の金融機関というのは金融当局、特に大蔵当局、不良債権の引き当てを立てるにも国税庁との関係が密接になっていて、いわゆる損金算入を認めるものは引き当てを立てる、また、引き当てを立てたいけれどもこれはすべて大蔵省にお伺いを立てる、そういうシステムで、結果的に国際会計基準から見て日本の実態というのは非常に誠実を欠いている、これが、世界的に見て日本国際金融機関は不信だらけ、こういう現実があると思います。大蔵省がその事実を認識できなければ、もう大蔵省解体論しかないと思います。これは日本の国益として非常に大きな問題なのですね。  外務省も経済局があると思います。経済局として、そういった観点からの日本状況というものを観察し、そして大蔵省との情報交換なり改善策というものを打ち出しているのでしょうか。外務省にお尋ねします。
  49. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど来大蔵省から答弁しておりますように、我が国我が国なりに、ディスクロージャーの面でもあるいは不良債権の防止という面でもその努力は続けておると思います。そして、必ずしもそれが不十分だとは思いませんけれども、しかしながら、考えてみますとやはり預金者あるいは投資家の利益を守っていくという観点、あるいは企業の健全経営を確保するという観点、それから、もとより不良債権の発生を極力抑えていく、そういったいろいろの観点から、これからもさらにそのディスクロージャーというものは進めていかなくちゃならぬと思います。  そして、特に国際的な基準というのは必ずしも今全世界的に適用されているわけじゃない、それぞれの国がそれぞれに努力しているという面と両方あるようではございますけれども、しかし、将来のことを考えてまいりますと、やはり金融取引などというのは、グローバル化した経済の中でも特に、何といいましょうか、ボーダーレスの世界でございますから、将来の方向としてはなるべくそれが統一されたものになるということが望ましいというのは委員指摘のとおりだ、このように考えるような次第でございます。  そういった意味合いから、またさらに申しますならば金融市場、資本市場というものを、やはりディスクロージャーも含めまして透明性だとかそういった観点から、要するに投資家のテストにたえるような姿にしていかなくちゃ、我が国の市場の将来という意味からも問題があると思います。  そういった意味で、長期的には大蔵省ともよく御協議しながら、外務省におきましても、その国際的な経済秩序の中で我が国の金融も含めた経済、いかにあるべきかという点からよく勉強し、また適切に対応してまいりたいと思います。
  50. 若松謙維

    若松委員 もう時間が来ましたので質問は終わります。しかし、最後に主張だけさせていただきます。  この日本の証券監督制度、アメリカではSECといういわゆる独立した機構が大変機能しております。イギリスではSIBという、新しい法律によって、これも外部機構でしっかり証券市場を監視しております。しかし日本では、大蔵省の中には企業財務課、こういったところが証券市場を監督している。これは非常に独立性としておかしいと思います。これを早急に変えていかないと、世界に説明のつかない日本の金融制度というものにますますなってしまうのではないか。ぜひともそういった点、外務省、大蔵省、しっかりと議論をして進めていっていただきたい。  時間があれば日米首脳会議内容等も聞きたいのですけれども、時間が終わりましたので、これで質問を終了させていただきます。ありがとうございました。
  51. 関谷勝嗣

  52. 古堅実吉

    古堅委員 最初に、メキシコ租税条約について質問します。  近年、インターネットビジネスが盛んに展開されています。このインターネットを活用し、第三国である租税回避地を経由してビジネスが行われた場合、インターネット上の事業は本拠地がどこであっても成り立ちます。タックスヘーブンでも、税務当局は実体のある現地企業と認めざるを得ないとの指摘もあります。租税回避地を利用した場合、当然、税の徴収について検討すべき問題があると考えますが、システム及び徴収はどのように考えておられるか、お尋ねします。
  53. 西原政雄

    西原説明員 お答え申し上げます。  ただいま、インターネットビジネスが国際的に盛んになってきて、これが租税回避につながる行為に及ぶのではないかという御指摘でございます。この点につきましては、私どもも大変問題意識を持っておるところでございます。  先生御存じのとおり、我が国におきましては、国際的な租税回避防止するために、今御指摘ありましたようなタックスヘーブンといった税制を導入いたしまして、それに対してのチェックを行っているところでございます。  また一方で、租税条約におきましても、情報交換という形で各国の税務当局との間でその情報交換を行っていくというようなこと、その趣旨を盛り込んだ租税条約締結を進めてきているところでもございます。こういった観点から、情報交換を密にしていくということが必要かと思っております。  それから、執行面におきましても、我が国経済国際化に伴いまして海外取引が非常にふえております。これを利用した租税回避行為というものも多いということを考えますと、執行面におきましても、海外取引に重点を置いた調査を実施していくということが必要であり、また実施しているところでございます。  この実態把握に努めるということ、すなわちそのインターネットビジネスが実際にどのような形で行われているのか、独立企業として果たして実体を備えており、そして正常な事業活動がそこで行われているのか、やはりこういう判断をしていかなければいけない、そういった観点からの調査を実施しているところでございます。  いずれにいたしましても、経済国際化が進む中で、一方で情報化あるいは電子化ということが目覚ましく進展している世の中でございますので、適切な国際課税を実現するということはやはり主要先進国各国ともの関心事でもございます。我が国としても真剣にこれに取り組んでいきたいというふうに考えております。
  54. 古堅実吉

    古堅委員 大変大きな問題意識を持っている、 真剣に適切な取り組みをしていきたいということでありますから、引き続き御努力を願いたいと思います。  次に、普天間基地の移転にかかわる問題を若干お尋ねします。  日米安全保障共同宣言で確認された沖縄に関する特別行動委員会の中間報告には、普天間基地の返還には条件がつけられております。  そこで、確認したいことですけれども、普天間基地には固定機もヘリコプターも利用できる滑走路が現在ございます。中間報告では「ヘリポートの建設」というふうになっておりますが、固定機も利用できる滑走路も含んでいるのではないかというふうに考えておりますが、いかがですか。
  55. 折田正樹

    ○折田政府委員 普天間飛行場につきましては、さきの橋本総理・モンデール大使の合意を踏まえまして、今般発表されました特別行動委員会、SACOの中間報告において、今後五年から七年以内に沖縄県における他の米軍の施設・区域におけるヘリポートの建設を含む所要の措置をとった上で全面返還されるということに日米間で合意されているわけですが、具体的にどのような施設等をどの施設・区域に建設するかについては、今後日米間において協議を行い、具体的な実施スケジュールを付した計画を作成することになっておりまして、現時点においては具体的には決まっていないというのが実情でございます。
  56. 古堅実吉

    古堅委員 重ねて念を押してお聞きしますけれども、「ヘリポートの建設」ということになっておるということは、固定機が利用する滑走路はつくらないということがはっきりしているということなのか、お尋ねします。
  57. 折田正樹

    ○折田政府委員 ただいま御答弁申し上げましたように、具体的にどのような施設等をどの施設・区域内に建設するかについては、今後日米間において協議を行っていくということでございます。
  58. 古堅実吉

    古堅委員 重ねて再度お尋ねします。  それでは固定機が使える滑走路も検討の対象、そういう可能性も入っているということを意味するのですか。
  59. 折田正樹

    ○折田政府委員 ただいまお答えしたとおりでございまして、具体的にどのような施設をどの施設・区域に建設するかについては、今後米側協議を行っていくということでございます。
  60. 古堅実吉

    古堅委員 次に、今滑走路を否定しませんでした、そういう意味で申し上げますが、ヘリポート及び滑走路が新設されるということになる場合、この新設の場所ですけれども、嘉手納弾薬庫地区ではないかというふうに考えますが、いかがですか。
  61. 折田正樹

    ○折田政府委員 先ほど来お答えしておりますけれども、普天間飛行場の全面返還に伴いまして諸施設を移設することが必要となるわけでございますけれども、どこの場所ということについては現在具体的にまだ決まっていないということでございまして、今後米側協議をしていくということでございます。
  62. 古堅実吉

    古堅委員 念を押してお聞きしますが、嘉手納弾薬庫地区が入ってないということは言えない、そういうことですか。
  63. 折田正樹

    ○折田政府委員 繰り返しで恐縮でございますが、今後協議していくということでございます。
  64. 古堅実吉

    古堅委員 それも否定できないということもはっきりいたしました。  中間報告は、「危機に際しての施設の緊急使用についての日米共同の研究が必要となる。」と述べておりますが、この「施設」というのは、沖縄も本土も含んだ民間空港、自衛隊基地のすべてを指すのかどうか、お尋ねします。
  65. 折田正樹

    ○折田政府委員 普天間飛行場の返還に当たりまして必要となります危機に際しての施設の緊急使用についての日米の研究ということでございますが、この点を含めまして今後日米間で詳細を検討していくということでございまして、現時点でどこということを申し上げる段階にはございません。
  66. 古堅実吉

    古堅委員 今の緊急についての使用の面で、特に枠を設けて、沖縄は外すとか、あるいは沖縄だとか、そういうことではなしに、日本全国にわたって研究の対象にするということですか。
  67. 折田正樹

    ○折田政府委員 何度も同じ答弁で恐縮でございますけれども、中間報告に盛り込まれている措置については今後詳細を日米間で検討していくということでございまして、現段階で具体的なことについて申し上げるような状況にはないということでございます。
  68. 古堅実吉

    古堅委員 この中間報告の最後の方に「その他」というのがございます。「日米双方は、米軍のレクリエーション施設を含め、追加的な事項につき引き続き検討することに合意した。」とありますが、この「レクリエーション施設」というのは具体的に何を、どこを指すのですか。
  69. 折田正樹

    ○折田政府委員 日米間で合意されておりますのはこの文書のとおりでございまして、米軍がレクリエーション施設を持っていることはそのとおりでございまして、レクリエーション施設の問題も含め引き続き日米間で検討していくということでございます。
  70. 古堅実吉

    古堅委員 今まで検討してこられたことの関係では、国頭村奥間のレクリエーション施設、そのことではないかと思うのですが、違いますか。
  71. 折田正樹

    ○折田政府委員 日米間で合意がまだされてないことにつきまして具体的な施設の名前を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  72. 古堅実吉

    古堅委員 時間が参ってますので終わりますけれども、今お尋ねしました二、三の質問を通じてもわかりますが、普天間返還ということで、あたかも沖縄基地問題がこれで一段落ついたかのような印象を与えるような大々的な宣伝がなされました。  しかし、その返還と言われている内容が、実際に沖縄が要求しているところの沖縄、我が国全体から米軍の基地を縮小してアメリカの基地を撤去させるという方向でないところか、沖縄県内での普天間基地の移設、海兵隊の基地の新たな建設という内容を含め、岩国の基地も含めた基地のたらい回しというものでしかない、そういう方向も今の答弁をも通じて一層明らかになってきた、こう思います。  こういう方向で、沖縄の切実な要求にこたえないだけではなしに、二十一世紀に向けて今の規模を固定化し、さらに普天間基地の返還に伴い、危機に際して民間空港や港湾などまで使う、そのことを研究するという危険きわまりない方向まで条件として突きつけられている。まことに許しがたいことだというふうに考え、そういう方向ではなしに、切実な県民の要求に文字どおりこたえる形で基地の思い切った整理縮小、沖縄、全国からアメリカの基地を縮小させていく、そういう方向で日米間の交渉を展開するよう強く要求して終わります。
  73. 関谷勝嗣

    関谷委員長 これにて両件に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  74. 関谷勝嗣

    関谷委員長 これより航空業務に関する日本国エティオピア連邦民主共和国との間の協定締結について承認を求めるの件に対する討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  75. 関谷勝嗣

    関谷委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。     —————————————
  76. 関谷勝嗣

    関谷委員長 次に、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国メキシコ合衆国との間の条約締結について承認を求めるの件に対する討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。古堅実吉君。
  77. 古堅実吉

    古堅委員 租税条約に対する日本共産党の反対討論を行います。  日本メキシコ合衆国との間の租税条約反対いたします。  第一は、世界的規模で生産活動を行い、国内以上に海外で莫大な利潤を得ている大企業に対して国内と同じように優遇税制を保障する必要はないと考えられる点であります。  第二は、大企業の進出が資本輸出国にとって国内産業空洞化を招き、あるいは資本受け入れ国で産業破壊を招来させた場合に、税制面からの規制強化を図ろうにも、条約に縛られ、それもできなくなるという点であります。  第三は、進出先で納付もしていないのに納付したとみなして税の減免措置を行い、大企業に道理のない優遇税制であるみなし外国税額控除方式を採用しているからであります。  以上が反対する基本点であります。  終わります。
  78. 関谷勝嗣

    関谷委員長 これにて本件に対する討論は終局いたしました。     —————————————
  79. 関谷勝嗣

    関谷委員長 採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  80. 関谷勝嗣

    関谷委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 関谷勝嗣

    関谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  82. 関谷勝嗣

    関谷委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前九時五十八分散会      ————◇—————