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1996-05-16 第136回国会 衆議院 科学技術委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月十六日(木曜日)     午前九時三十分開議 出席委員   委員長 井上 喜一君    理事 小野 晋也君 理事 原田昇左右君    理事 村上誠一郎君 理事 上田 晃弘君    理事 笹木 竜三君 理事 鮫島 宗明君    理事 今村  修君 理事 渡海紀三朗君       古賀  誠君    萩山 教嚴君       林  義郎君    上田 清司君       近江巳記夫君    斉藤 鉄夫君       藤村  修君    大畠 章宏君       吉井 英勝君    後藤  茂君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      中川 秀直君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     工藤 尚武君         科学技術庁研究         開発局長    加藤 康宏君         科学技術庁原子         力局長     岡崎 俊雄君         科学技術庁原子         力安全局長   宮林 正恭君         外務大臣官房審         議官      西田 芳弘君         兼内閣審議官  委員外出席者         外務省総合外交         政策局軍備管理         軍縮課長    高松  明君         外務省総合外交         政策局科学原子         力課長     高原 寿一君         外務省欧亜局ロ         シア課長    原田 親仁君         外務省経済局海         洋課長     高田 稔久君         海上保安庁警備         救難部海上環境         課長      今里 鉄男君         科学技術委員会         調査室長    吉村 晴光君     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関  する法律及び放射性同位元素等による放射線障  害の防止に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出第九二号)      ————◇—————
  2. 井上喜一

    井上委員長 これより会議を開きます。  この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。  海洋法に関する国際連合条約及び千九百八十二年十二月十日の海洋法に関する国際連合条約第十一部の実施に関する協定の締結について承認を求めるの件について、外務委員会に対し連合審査会開会申し入れを行うこととし、また、内閣提出核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律及び放射性同位元素等による放射線障害防止に関する法律の一部を改正する法律案について、外務委員会から本委員会に対し連合審査会開会申し入れがありましたので、これを受諾するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 井上喜一

    井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、連合審査会開会日時につきましては、委員長間で協議の上、公報をもってお知らせいたします。      ————◇—————
  4. 井上喜一

    井上委員長 内閣提出核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律及び放射性同位元素等による放射線障害防止に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原田昇左右君。
  5. 原田昇左右

    原田(昇)委員 私は、自由民主党を代表して、本法律案は、国連海洋法条約の批准を行うに当たり必要となる関連国内法改正のうち、科学技術庁所管の二法律改正を行おうとするものでありまして、国連海洋法条約実施のため不可欠なものであり、また内容的にも妥当なものであると思いますので、改正案趣旨には賛成でございます。しかしながら、今後の運用も視野に入れまして、若干の問題点を御質問申し上げたいと思います。  また、海洋投棄が禁止されるという結果、放射性廃棄物処分陸地処分しか残されていないということでございますので、これに対する取り組み状況と、本委員会の最大の関心事でもあります「もんじゅ」の最近の状況についてもあわせて御質問申し上げたいと思います。  まず最初に、本法律案必要性及び改正の要点について、ごく簡単に説明していただきたいと思います。
  6. 宮林正恭

    宮林政府委員 御説明させていただきます。  今回の改正は、国連海洋法条約におきまして各国海洋汚染防止法令適用範囲あるいは執行手続が定められました。これに従いまして、放射性物質海洋投棄に関しまして、排他的経済水域等におきます外国船舶による違反に対する罰則を整備する、あるいは違反を行った外国船舶に対する執行手続の整備などを行おうとするものでございます。  今回の改正によりまして、我が国は、外国船舶によります放射性物質海洋投棄について、原則として国際的に認められた手続のもとで、我が国の領海、十二海里でございますが、これを超えた経済水域二百海里につきまして規制を及ぼし得るということになります。これは、我が国周辺海域における放射性物質による海洋汚染防止に大きく寄与するものと考えております。  なお、放射性物質海洋投棄につきましては、いわゆるロンドン条約と言われております廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染防止に関する条約でもって禁止されておりますので、既に、原子炉等規制法あるいは放射線障害防止法によりまして法的措置は講じられているところではございます。しかしながら、今回の改正は、こうした規制内容を変更するということではなくて、むしろこれを補強する、こういうふうな位置づけのものであるということでございます。
  7. 原田昇左右

    原田(昇)委員 今の御説明で極めて明快になったと思うのですが、我が国管轄権排他的経済水域にまで拡大する、したがって、その拡大した水域においては取り締まりをやれるということになるわけですが、その他公海等においては、やはりロンドン条約排出規制というものできちっとやっていかなければ海洋汚染は防げない、こういうことになるわけですね。  そこで、先月モスクワ開催された原子力サミット宣言には、すべての国に対してロンドン条約附属書の九三年の改正放射性廃棄物海洋投棄の禁止、これを可能な限り最も早い時期に受諾するよう要請する旨が含まれております。また、ロシアエリツィン大統領橋本総理に対して、ロンドン条約加盟を約束し、また、加盟前でも放射性廃棄物海洋投棄は行わないと約束したと報道されておりますが、この点に関する状況を正確に報告していただきたいと思います。
  8. 岡崎俊雄

    岡崎政府委員 我が国は、放射性廃棄物海洋 投棄が再び行われてはならないとの立場から、従来からロシアに対しまして、ロンドン条約附属書改正を受諾するよう強く働きかけたところでございます。  先生指摘ございました先般のモスクワにおきます日ロ首脳会談におきまして、橋本総理大臣からロシアエリツィン大統領に対しロンドン条約のこの件について強く申し入れたことに対しまして、エリツィン大統領から、ロンドン条約附属書改正を本年中にも受諾することが第一点、さらに、それまでの間も海洋投棄は行わないことが表明されたところでございます。  さらに加えまして、その後に行われました原子力安全サミット宣言におきまして本海洋投棄に関しましては、「すべての国に対してロンドン条約附属書の一九九三年の改正を可能な限り最も早い時期に受諾するよう要請する。」旨が盛り込まれたところでございます。  我が国といたしましては、エリツィン大統領の発言が速やかに実行に移されること、本条約を受諾していない国が速やかに受諾手続を行うことを期待しているところでございます。
  9. 原田昇左右

    原田(昇)委員 平成五年の秋に、ロシア日本海で液体放射性廃棄物海洋投棄したということで大問題になりました。本委員会でも大きく取り上げられたと思います。  ところで、ロシア投棄しないという約束を今回したのですから、そのとおりやってもらわなければいかぬと思うのですが、そもそも、もし仮に違反して投棄した場合、海洋投棄する場所がこの本法に言う排他的経済水域に入るのかどうか。この前、平成五年のときは、今回の条約でいわゆる日本管轄権が及ばないところでやられたのか。今回の条約に照らしてどうなんですか。
  10. 宮林正恭

    宮林政府委員 お答えさせていただきます。  平成五年の秋の場所でございますが、これにつきましては、私どもの現在聞いております地域でありますれば、もしもそこであったとすれば、経済水域がたとえ設定されたといたしましても我が国排他的経済水域の中には入らない、その外側に当たっているというふうに考えられます。  なお、ロンドン条約などに違反するような投棄がもしここで行われた場合は、ここは排他的経済水域外でございますので、我が国は直接的な規制をするということはできないわけでございますが、ロンドン条約加盟をしております国は、あるいは今回の海洋法条約加盟をいたします国はそういうことをしないという義務を当然負っているわけでございますので、我が国としましては、当然その国に対して申し入れをし、投棄をしないようにという要求をするというふうな措置などを行うということになるというふうに考えております。
  11. 原田昇左右

    原田(昇)委員 仮定の問題ですが、ロンドン条約違反に対しての措置というのはどういう措置をとられることになるのですか。
  12. 宮林正恭

    宮林政府委員 お答えさせていただきます。  これにつきましては、我が国は基本的に規制ができないわけでございますので、まず我が国がそれを発見をいたしましたとすれば、当然その船舶に対して連絡をとって、やめるようにと、こういうふうなことをすると思います。  それから、かつまたその船舶が属しております国、すなわち旗国と言っておりますが、旗を持っている国でございますが、そこに通報いたしまして、その旗国において適切な措置をとるように要求をする、こういうふうな手続をとることになる、こういうふうに考えております。
  13. 原田昇左右

    原田(昇)委員 今のに抜けているのは、ロンドン条約事務局があると思うのですね。IMOですか、ロンドンに。そこへ通告して、事務局からも相手国政府なり関係国に注意を喚起し、厳重に抗議をする必要があると思うのですね。それはぜひやっていただきたいと思います。  それからロシアが、今後液体放射性廃棄物海洋投棄を行わないということを言ってはおるけれども、実際問題として、平成五年のときの実例では、何か、ためておくタンクがもういっぱいになっちゃってどうしようもない、あふれちゃうのでかえって危険だから海洋の方がまだいいというようなことで向こうが言っておったというように話を聞くのですけれどもね。  それによって、じゃこちらは援助しましょうという話になって、たしかタンクの増設だか何かを援助したんじゃないかと思うのですが、その辺のてんまつはどういうようになっているのですか。実際に本当にこちらが援助してタンクが増設されて、もうあふれちゃうというようなことはないんだということになっているのかどうか、詳しく説明していただきたいと思います。
  14. 岡崎俊雄

    岡崎政府委員 放射性廃棄物処理処分は、本来その発生国一義的責任において実施すべき問題ではございますけれども、ロシアによります海洋投棄防止のため、先生指摘我が国として協力をいたしておるところでございますが、極東において生ずる液体放射性廃棄物を貯蔵あるいは処理するための施設の建設に現在協力しているところでございます。  具体的には、この処理施設は年間七千立方メートルの処理能力を有する施設計画しているところでございます。この施設によりまして、ロシア極東におきます液体放射性廃棄物海洋投棄を将来にわたり防止する上で十分な能力を有する施設であると認識をいたしておるところでございます。  現在、本年中の完成に向け、詳細設計あるいは必要な資材調達等を行っている段階でございます。我が国としては、この施設が早期に完成することを強く期待をしておるところでございます。
  15. 原田昇左右

    原田(昇)委員 私は、今政府委員からの御答弁のとおり、実際に建設されて今年じゅうにでき上がるというのなら非常に結構ですが、資材が途中でなくなっちゃったり何かするような、非常に経済が混乱している国だというように伺っておりますから、その辺きちっと実施を監視するようにやっていただきたいと希望を述べておきます。  それから、近隣諸国ロンドン条約に入っていない国はありますか。例えば北朝鮮韓国中国、この三つのうち、どうですか。
  16. 岡崎俊雄

    岡崎政府委員 ロシア以外の近隣諸国につきまして、韓国におきましては一九六八年から一九七二年にかけまして放射性廃棄物海洋投棄実施したことはございますけれども、中国及び韓国両国とも、現在におきましては低レベル放射性廃棄物陸地処分をするということを基本方針としているものと承知をいたしておりますし、加えまして、両国は現在このロンドン条約加盟をしており、平成五年の同条約附属書改定に伴ってすべての放射性廃棄物海洋投棄を禁止しているものと理解をしておるところでございます。  なお、北朝鮮につきましては、まだロンドン条約には加盟していないものと理解をいたしております。
  17. 原田昇左右

    原田(昇)委員 北朝鮮については、ぜひ、今度あそこの原子炉をアメリカと韓国日本で応援するということになっておるでしょう、その条件としてロンドン条約に入ってもらうということを必ず約束させるように交渉していただきたい、その前提条件で。  それから次に、低レベル廃棄物処分政策として六ケ所村に処分しようというように伺っておりますが、今後発生を予想されるものを含めて、原発の低レベル廃棄物に対してどういうように全体計画ができておるのか、大体今の計画で十分処置できるのかどうか、その辺をちょっと伺わせてください。
  18. 中川秀直

    中川国務大臣 先ほど委員指摘のとおり、海洋投棄を禁止するというロンドン条約改定に伴う国際的な取り組みが進展し、今回また海洋法関連排他的経済水域の中におけるそういう規制も国際的に強化をされるという観点から、おっしゃるとおり、放射性廃棄物処分陸上処分ということに、さらにその重要性が増してくるということは御指摘のとおりでございます。  ただいまお尋ね原子力発電所等から発生する低レベル放射性廃棄物については、ドラム缶にセ メント等で固化した上で、我が国の場合、青森県六ケ所村の日本原燃株式会社レベル放射性廃棄物埋設センターというところにおいて埋設処分を安全かつ円滑に現在実施中でございます。今現在の許認可本数は二十万本ということでございますが、現在、平成八年五月末で、受け入れ状況でいうと約七万本というところでございます。最終的には約三百万本を予定をいたしておるところでございます。  また一方、お尋ねがございませんでしたが、高レベル放射性廃棄物についても、これは避けて通れない問題でございまして、これについても、長期間にわたって人間環境に影響を及ぼさないという観点から、深い安定した地層中に処分することが国際的に共通の方針でございます。  各国ともこのための研究に今取り組んでいるところでございますが、昨年九月、我が国においても、原子力委員会においてこの地層処分に向けた取り組みを強化していく旨の決定を行いまして、処分に向けた国民理解と納得が得られるよう社会的、経済的側面を含め幅広い検討を進める懇談会を設置をし、また処分に関する研究開発計画策定等技術的事項について調査審議を行う専門部会を設置したところでございます。  前者の処分懇談会については、環境倫理学法律経済等専門家参加を求めるとともに、消費者や女性、原子力に批判的な方も含みますさまざまな立場また分野皆様に御参加をいただいて、先週五月八日に第一回の会合を開催したところでございます。また、後者の専門部会は既に四回開催をしておりまして、分科会はまた頻繁にこの技術的側面検討を進めているところでございます。  今後、これらの場における検討を踏まえて、処分にかかわる研究を加速するとともに、西暦二〇〇〇年ごろにはこの処分事業実施主体を設立する等、着実に具体化してまいりたいと考えております。
  19. 原田昇左右

    原田(昇)委員 最後に大臣にお伺いしたいのですが、「もんじゅ」の事故以来、どうも原子力について、我々原子力発電というのは非常に大事だと思いますが、その受け入れの地点を所管する県とか市町村、非常に拒否反応が出てきておるわけですよ、あるいは警戒心が。これはもう非常に「もんじゅ」の事故というのは、そういう意味では大変遺憾千万な事故だったと思うのです。  「もんじゅ」については、温度計さやの折れた部分が見つかって原因究明の分析をしているということで、原因究明報告書連休前にも出されるというように伺っておったのですが、いまだに出されていない。これはどういうふうになっておるのか。それから、原因究明だけではなくて、原子力安全性について一般的なそういう不安というものを払拭する、一掃する対策というのがひとつ非常に大事だと思うのです。それから、地元振興策についても、かなり具体的な検討を我々もやらせていただいておるのですけれども、そういう問題について今後どういうように対処していかれるか、ぜひとも大臣のお考えを伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  20. 中川秀直

    中川国務大臣 まず、「もんじゅ」の原因究明また調査結果の報告についてのお尋ねにお答えをさせていただきます。  連休前にぜひその時点での調査状況を取りまとめる報告を、二月九日の第一回の調査状況についての御報告に続いてやる予定でございました。しかし、温度計さや管そのもの発見、回収が少しおくれたこと、そしてまたその取り出したさや管をいろいろな破面観察その他振動解析等をやるということにやはり時間が必要だったこと、それからまたナトリウム漏えいし、また長時間にわたって燃えたという事故でございますので、この漏えいの実相を解明するために、現物その他を想定した漏えい実験というのをやろうということで、そういうことの準備また実施計画以上に時間を要したということがございまして、五月中の取りまとめに変更したものでございます。こういうことは慎重の上にも慎重を期して、そして正確な解明をしませんと、また御理解もいただけない。こういう観点で御理解を賜りたいと存じております。  しかし、そういういろいろな努力をいたしまして、原因についての多くの内容も明確になってきたことから、そうした原因とあわせまして、事故の教訓から得られる改善策対応策というものも踏まえて、そういうものを含めた内容のものをできれば今月中に取りまとめて公表させていただきたい。今目下作業をやっているところでございます。  なお、報告書を取りまとめた後も、ナトリウム漏えい燃焼試験等は、一部調査を継続する必要がございます。そういうものがすべて完全に終わった段階で最終的な報告を取りまとめる、こういう予定でおることを御理解賜りたいと存じます。  それから、委員指摘のとおり、今回の「もんじゅ」の事故は、事故のみならず、現地、地元並びに国民各界各層原子力に対する信頼あるいは安全に対する大きな不安、不信というものを植えつけた。そういう意味で本当に重く受けとめなければならない事故でございます。  立地地域を中心に一層の原子力政策に対する国民的合意を形成しろ、こういう声も高まっておるわけでございまして、そういう観点から、もちろん安全の確保が大前提であり、また我が国の場合は余剰のプルトニウムは持たないという原則のもとにこの具体策透明性を高める、こういう長期計画になっておるわけでございます。  そういったことを含めまして、幅広い多くの皆さん方原子力に批判的な皆様方も含めたそういう円卓会議という場を設けまして、既に一回開いておりますが、今月にもあと二回開かせていただきますけれども、幅広い御意見をいただいて、それを原子力政策に柔軟かつ今後も的確に反映させていく、こういう姿勢で臨んでまいりたい。そういう中で初めて合意というものが形成されていくのではないか。  他方、地元においても、市民と語る会とかフォーラムとかシンポジウムとか各般の努力をさせていただく、こういうふうに考えております。これは単に事故とかあるいはまたプルトニウムのリサイクルとか利用とか、そういうエネルギー安定供給という確保のみならず、これからの廃棄物処理処分問題さらに言えば地球環境問題そして経済性の問題、いろいろな観点から国民一人一人が、立地地域だけではなくて消費地域市民も当然みずからの問題として考えていくということが本当の国民合意形成のために不可欠であろう、こう考えておる次第でございます。  今後とも努力を鋭意続けてまいります。よろしくお願いをいたします。
  21. 原田昇左右

    原田(昇)委員 これで終わります。
  22. 井上喜一

  23. 小野晋也

    小野委員 この委員会で審議されております原子炉等規制法ないし放射線障害防止法改正問題につきましては、今先ほど原田理事からの指摘がございましたとおり、国連海洋法条約締結のために国内法を整備しようという趣旨の問題でございます。これは、全世界的に放射性物質海洋投棄防止していこうという意味で非常に前向きに高く評価すべき問題であろうと考えております。  この視点に立ちましたときに、ここしばらく、全世界的に原子力分野におきましていろいろな動きがございましたが、特筆すべきはこの四月にロシアモスクワにおいて行われました原子力安全サミット開催であろうかと考えております。  四月二十日、このサミット終了時に原子力安全モスクワサミット宣言というものが出されたわけでございますけれども、原子力安全分野における国際的協力の非常に大きな一歩を記したものだと認識をいたしております。この宣言中には、核兵器の不拡散の再確認、そして原子力安全利用についての合意、また核物質の厳正な管理徹底等、多岐の問題が指摘されたわけでございます。  この核問題は、これまで一方においては人類にとって夢のエネルギーという大きな希望でありますと同時に、もう一方では人類滅亡に至る最終兵 器という悪魔のような視点からとらえられる問題であったわけでございますけれども、原子力というものが人類にとって巨大な力を持つ存在であるだけに、これをどう扱うかということが人類にとって非常に大きな課題であったと思っております。  私は、力そのもの原子力というものそのもの自身が善でも悪でもないという立場に立つものでございまして、その大きな力を人類がいかに人類のためにコントロールし得るかという視点が最もこの問題において大きく取り上げられねばならない課題だと認識しているものでございます。  そんな観点に立ちますと、今回世界の主要国が集い合って安全利用平和利用という側面に大きな合意が成立したことを考えますと、大変大きな意義があったと私は評価をしたいと考えております。  この点につきまして、中川大臣におかれましては、この原子力安全サミットについてその意義をどうとらえられ、またこの成果について、どのような成果があったと御認識をしておられるのか、お尋ねをしたいと思います。
  24. 中川秀直

    中川国務大臣 今回のモスクワ原子力安全サミット意義については、ただいま委員指摘の全くそのとおりであろう、このように思うのでございます。世界的な規模で原子力の安全に対する認識を高めて、より緊密な国際協力を進めていくという大きな合意、コンセンサスを得て、本格的にこれから取り組んでいこうというスタートを切らせていただくという意味でまことに有意義な機会であった、このように評価をいたしております。  成果でございますけれども、各首脳間の合意事項として原子力安全モスクワサミット宣言等が発表されたわけでございますが、特に原子力の開発利用に当たって安全を最優先にするという原則を確認した、それからまた、原子力の安全に関する条約の早期発効に向けて各国締結を要請したということ、それから、今回のこのモスクワ・サミットの期間の中で、我が国が極めて重視しているロシアによる放射性廃棄物海洋投棄問題について、日ロ首脳会談において橋本総理からエリツィン大統領に働きかけた結果、放射性廃棄物海洋投棄を禁止するロンドン条約附属書改定ロシアが本年中にも受諾をするという意向を表明したこと、それまでも海洋投棄は行わないということを表明したことはまことに重要な成果であった、このように考えております。  同時にまた、核物質の密輸防止重要性の確認とか、あるいはまた核兵器の解体に伴い発生する核物質を安全に管理する方策を検討する専門家会合の開催を決定したとか、CTBTの交渉の妥結、署名等について確認したとか、あるいはまた「ウクライナに関する声明」において、二〇〇〇年までにチェルノブイル原子力発電所を閉鎖することを確認する等、いずれも重要な合意であったし、大変な成果であった、このように考えております。  また、我が国からは、本年中を目途に東京でアジア諸国の原子力安全会議開催するということを総理が表明をいたしましたが、こうした成果を踏まえまして、我が国における原子力安全性の向上に努めることはもとよりでございますが、原子力の安全にかかわる国際協力の一層の強化を図ってまいりたい、こう考えております。     〔委員長退席、笹木委員長代理着席〕
  25. 小野晋也

    小野委員 中川大臣指摘のとおり、今世界じゅうで、原子力をめぐっての安全の確保、そして我々の人類生存のための環境管理という側面について大きな合意が世界的に生まれていることに対して、私どもは非常に皆さんの御尽力に感謝を申し上げたいと思っております。先ほど御指摘されましたとおり、今回の原子力サミット宣言中に、きょうのテーマでございます放射性廃棄物海洋投棄問題については、こんな一項が入っております。   我々は、放射性廃棄物海洋投棄を禁止することにコミットし、すべての国に対してロンドン条約附属書の一九九三年の改正を可能な限り最も早い時期に受諾するよう要請する。 こんな形で、全世界的な放射性物質海洋投棄禁止へ向けての大きな高らかな宣言になっているわけでございまして、世界的な一つの大きな潮流が生まれつつあることを評価をしたいと思っております。  ところで、きょうのテーマでございます国連海洋法条約関連する点でございます。  全世界的にその方向に向かっての流れが生まれているということは今申し上げたとおりでございますけれども、それらの間に、お互い内部にそごが生じていることはないだろうかというところが一つ気になる点でございます。  今回は、国連海洋法条約締結に当たっての国内法の整備の問題として今審議が進められているわけでありますけれども、この国連海洋法条約の中にうたわれているものと、その原点となったロンドン条約、この両者というものは、条約として見た場合に完全に内容的に一致するものであるのかどうか、この点について法務省にお尋ねをしたいと思います。——外務省が答弁ですか。外務省だ、ごめんなさい。
  26. 高田稔久

    ○高田説明員 先生御質問の国連海洋法条約ロンドン条約の関係でございます。  国連海洋法条約は、その第十二部におきまして、海洋環境の保護及び保全に関する国家の権利及び義務に関しまして基本的な枠組みを定めております。そして、海洋環境の汚染を防止し、軽減し、及び規制するための立法及び執行に関しまして、各国がとる具体的な措置内容につきましては、これは個別の専門的な条約が定める世界的な規則あるいは基準等にゆだねております。  このうち海洋投棄によります汚染に関しましては、まさにロンドン条約廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染防止に関する条約がこのような規則及び基準を具体的に定めているところでございます。したがいまして、国連海洋法条約締結国は、ロンドン条約と同様に、効果的な国内法令を制定することが義務づけられることになるものと考えられます。
  27. 小野晋也

    小野委員 ロンドン条約の問題でございます。  海洋にさまざまな有害物質を、廃棄物投棄してはならないという趣旨でこの条約がつくり上げられているわけでございますけれども、この条文を細かく読んでまいりますと、実は例外措置が認められている条文が出てまいります。  それが第五条というところでございまして、いろいろな廃棄物投棄してはならないということであるけれども、例えば  荒天による不可抗力その他人命に対する危険又は船舶、航空機若しくはプラットフォームその他の人工海洋構築物に対する現実の脅威がある場合において人命又は船舶、航空機若しくはプラットフォームその他の人工海洋構築物の安全を確保することが必要であるときは、適用しない。 こういうことで、適用除外の項目が挙げられております。  または、この第二項でありますけれども、   締約国は、人の健康に対して容認し難い危険をもたらし、かつ、他のいかなる実行可能な解決策をも講ずることができない緊急の場合においては、前条の規定の例外として特別許可を与えることができる。 こういうことも書かれておりまして、それぞれ保留条件がついているわけではございますけれども、必ずしも完全な海洋投棄禁止ということにはなっていないということは、我々は注目しておかなくてはならない点だろうと思います。  今回審議されております放射性物質投棄の問題につきましても、このような適用除外または特別許可等の適用ということが当然この条約から見れば考えられるケースが起こり得るのではないだろうかと私どもは考えているわけでありますけれども、日本の国においてこの例外措置が適用されるようなケース、また特別許可を下すようなケース等についての検討というものが現在行われてい るのかどうか、この点についてお尋ねをしたいと思います。     〔笹木委員長代理退席、委員長着席〕
  28. 宮林正恭

    宮林政府委員 御説明させていただきます。  ロンドン条約の第五条第一項という規定は、人命に対します危険あるいは船舶等に関します現実の脅威がある場合、それで安全を確保するために真にやむを得ない場合に海洋投棄の制限規定を適用しないというふうなことを言っておりまして、いわゆる緊急避難、こういうふうなことであろうかと思います。  これに関しましては、原子炉等規制法あるいは放射線障害防止法におきまして、人命、船舶等の安全を確保するためにやむを得ない場合は投棄を可能とする旨の規定は設けられております。  また、ロンドン条約の第五条第二項は、本来投棄が禁止されているものにつきまして、人の健康に対して容認しがたい危険をもたらし、かつ、ほかのいかなる実行可能な解決策をも講ずることができない、こういう緊急の場合に特別許可によって海洋投棄をすることができるというふうに決めているわけでございます。  放射性物質につきましては、現実にこのような事態ということは現在のところ想定し得るものはないというふうに特に我が国については考えております。したがいまして、政策的にも、このような海洋投棄を認める、こういうスタンスでもって対応するということは適当でない、こういうふうに考えておりますものですから、特段の国内法上の手当ては現在行っておりません。
  29. 小野晋也

    小野委員 このケースにつきましては、事故等で非常に深刻な事態が起こったような場合はこれを防ぐと言いながらなかなかそれは対応もできかいケースでありましょうけれども、今後世界的にいろいろな議論も起こってくる部分もあるかもしれませんので、その際は日本としてもその対応を促進いただきますようお願い申し上げたいと思います。  それからまた、ロンドン条約の第八条についてちょっとお尋ねしたいと思うのですけれども、このロンドン条約八条と申しますのは、一般的な、世界的な条約としての項目が挙げられてこの条約がつくられているわけでございますけれども、それのみならず、特定の地理的区域における海洋環境の擁護のために、共通の利益を有する締約国同士の間で特別の条約締結をまた行うように努めよというような項目でございまして、私はこの項目を拝見しますと、日本海という地域がこの特別の地域ということに当たるのではなかろうかというような気持ちがしたわけでございます。  地理的な特性から考えてまいりますならば、周辺を陸地に囲まれた海域でございまして、非常に閉鎖性が強い地域であるということが指摘できようかと思います。そしてまた、社会的な特性から考えてまいりますならば、原田委員指摘にもございましたとおり、近隣諸国の核管理問題というところに一つの課題がございまして、ロシア原子力廃棄物海洋投棄問題もございましたし、北朝鮮の問題につきましては、私どもよく現状ではわかりませんけれども、核問題を原子力発電問題また核兵器開発問題等においていろいろな指摘をされる国でもございます。  そういう国々が隣接するこの日本海という地域が、この特別の地域的取り決めを行う、またそれを締結するような該当地域に当たるのではなかろうかというような気持ちを抱いたわけでございますけれども、この点についての御見解はいかがでございましょうか。
  30. 高田稔久

    ○高田説明員 先生指摘のとおり、日本海の海洋環境の保護保全につきましては、我が国は重大な関心を有しておるところでございまして、韓国ロシアとの間では二国間の協定に基づきます関係情報の交換あるいは共同研究といったことが行われておりますほか、日本韓国ロシアの三国間の共同によります汚染調査実施されておるところであります。  いずれにいたしましても、我が国はやはり日本海の海洋環境の保護保全に重大な関心を有しておりまして、このロンドン条約第八条の趣旨をも踏まえまして、今後とも関係国との協力を促進してまいりたいと考えております。
  31. 小野晋也

    小野委員 日本海におきましては、漁業関係で生計を立てている方も随分おられるわけでございますし、外務省のお取り組み、また科学技術庁のこれまでのお取り組みには高く評価をしつつ、今後の取り組みということについてもまたさらなる御尽力をお願いを申し上げる次第でございます。  引き続きまして、ロンドン条約北朝鮮の非締結の問題でございます。これも原田委員が今先ほど触れた点ではございますけれども、ロンドン条約をずっと読んでみますと、この条約はあくまで締結国間での義務を課する条約でございまして、非締結国に対してはこのロンドン条約の項目が適用できないというふうに私は読んだわけでございます。  この条文どおりでいきますならば、北朝鮮が隣国であって、先ほど申しましたとおり日本海という閉鎖性の強い海域に隣接する国であって、またその実態がよくわからない。だから実際には海洋投棄が行われているかもしれないし、また原子力関連のいろいろな施設から放射能を帯びた排水が流れ出しているかもしれないということをいろいろと我々は案じていかなくてはならない点でございますけれども、この点についてはどういうふうな見方をしておられるのでありましょうか。  また、今後この北朝鮮の問題に関して、ロンドン条約に入っていないという問題に対してどんな対応を図っていこうとしておられるのでありましょうか。この点、御質問したいと思います。
  32. 高田稔久

    ○高田説明員 私どもといたしまして、北朝鮮原子力施設からの排水によります海洋汚染の事態ということが具体的に発生をしたというようなことがあったということは承知はしておりません。  ただ、そういうことで、仮定の御質問について具体的にお答えするということは困難なんですけれども、一般論として申し上げますと、仮に北朝鮮の行為によりまして海洋汚染という問題が発生するような場合には、我が国といたしましても、これは海洋環境の保全という観点から適切に対処していきたいと考えております。
  33. 小野晋也

    小野委員 ここから国連海洋法条約の問題に移ってまいりたいと思います。  今回、国連海洋法条約日本の国が締結をしていくということで国内法改正を図っているということは今先ほど申し上げたとおりでございますけれども、この条約によりましては二百海里内の排他的経済水域内までの取り締まりが可能になるというような改正でございまして、公海上と申しますか、それ以外の二百海里外についてはその取り締まり権が設けられているわけではございません。しかしながら、ロンドン条約趣旨に基づいてこの部分の国連海洋法条約というものが決められてきているのだというお話があったわけでございます。  このロンドン条約の前文のところを読んでみますと、   海洋環境及び海洋環境によって維持される生物が人類にとって極めて重要であること、並びにその質及び資源を害されないような海洋環境管理確保についてすべての人が関心を有していることを認め、  廃棄物を同化しかつ無害にする海洋の受容力及び天然資源を再生産する海洋能力が無限ではないことを認め、 云々と、こういう記述で決められているわけでございまして、この趣旨を体するとするならば、全世界的な海洋全域におけるその汚染を防止していこうというのがこの条約の規定だろうと私は思います。  この趣旨を尊重するとするならば、先ほど申しましたとおり、国連海洋法条約においては二百海里内における規制ということにとどまっているわけでございますけれども、その部分以外について今後どのような形で取り組みを進められ、その海洋汚染防止されようとしておられるのか、この点の御質問をしたいと思います。
  34. 高田稔久

    ○高田説明員 二百海里外における環境保護の問題かと思いますけれども、ロンドン条約及び国連海洋法条約におきましては、公海における廃棄物等の海洋投棄は、基本的には、海洋投棄を行う、海洋投棄に従事する船舶旗国、所属国でございますが、旗国等により規制が行われることになっております。  仮に、我が国として、そのような水域で、ロンドン条約及び国連海洋法条約違反して海洋投棄に従事する船舶発見いたしました場合には、必要に応じまして旗国へ通報するといったことを通して、旗国に対し適切な措置をとるよう要請することとなります。
  35. 小野晋也

    小野委員 さらに、今回の改正に伴いまして問題になってきますのが、取り締まりの体制の問題だろうと思います。今までの国内法の規定によりますと、日本国籍以外の船においては、領海外で投棄を行うことについては具体的な規制はできないという形であったと思いますけれども、今回の改正に伴いまして、十二海里内の領海から二百海里までの排他的経済水域まで、非常にその面積から見ると大きく取り締まりの範囲が拡大するわけでございます。  そういうことになりますと、その取り締まりの体制ということについてさまざまな課題が生まれてくるかと思いますけれども、この点、海上保安庁はいかなる体制で今後の取り締まりを進めていかれるおつもりでしょうか、お尋ねいたします。
  36. 今里鉄男

    ○今里説明員 先生指摘の取り締まりの体制でございますが、海上保安庁といたしましては、昭和五十二年の領海十二海里及び二百海里漁業水域の設定以来、巡視船艇、航空機等による広域哨戒体制の整備を進めてまいったところでございます。  海洋法条約の批准による排他的経済水域の設定により、放射性物質等による海洋汚染を含めまして、監視取り締まり海域が拡大することに対応いたしまして、近代的設備を有する高性能な巡視船艇あるいは航空機及び監視取り締まり用資機材等の整備の計画的な推進を行うとともに、巡視船艇、航空機の効率的な運用を図ることにより一監視取り締まり体制のさらなる充実を図ってまいりたいと思っております。  また、巡視船艇、航空機が放射性物質等の海洋投棄の疑いのある船舶を認知した場合には、法令の違反の有無を明らかにすべく、専門的知見を有しておられます科学技術庁による報告の徴収並びに船舶への立入検査による書類の検査、関係者への質問、試料の収去等が必要不可欠であることから、科学技術庁等の専門家協力を得まして捜査を行う等、関係機関と緊密な連携を図りつつ、適切に対応してまいりたいと思っております。
  37. 宮林正恭

    宮林政府委員 お答えさせていただきます。  ただいま海上保安庁の方から海上保安庁としての取り組みについて御説明がございまして、その中で、科学技術庁の方とも連絡をとりながらというお話がございましたので、ちょっと補足をさせていただきたいと思います。  当庁といたしましても、放射性物質管理を含めました原子力分野におきますいろいろな国、他国との情報あるいは意見交換を通じて、まず投棄の未然防止ということを図るということに努めたいというふうに思っております。  それから、実際の取り締まりに関しましては、原子炉等規制法あるいは放射線障害防止法の履行を確保するというふうな観点から、今回の法改正におきまして、当庁によります立入検査あるいは報告徴収の規定を整備をいたさせていただきたい、こういうふうに思っております。  その具体的な運用につきましては、これは海上保安庁によります捜査等に参加をさせていただいて、共同して作業に当たる、こういうふうなことになるわけでございますが、平時の情報交換あるいは放射性物質投棄された疑いがある場合の通報、あるいは投棄現場への職員あるいは機材の輸送、放射性物質の分析を初めといたします調査、こういうふうなことにつきまして、海上保安庁と現在いろいろと具体的な進め方についてはお話をさせていただいている、こういうところでございます。
  38. 小野晋也

    小野委員 このような取り締まりというのは、なかなか困難な取り締まりであろうと思いますけれども、先ほど御指摘がありましたとおり、情報の事前入手の問題ですとか、それから機器の整備、また皆さんの士気の高揚、こういうことによりまして、ぜひその問題が起こらないような体制をとっていただきたいと要望したいと思います。  なお、先ほど宮林局長の方から調査等を通してというようなお話もあったわけでございますけれども、この調査に入れるかどうかという要件というのは、なかなか実際には難しいものがあるのではなかろうかと思います。  船舶そのものというものが閉鎖的な存在でありまして、外から見てその実態が判断できるものではないというところがあるわけでございまして、それを余り過度に調査、立ち入りをやり過ぎればまた国際的な批判も受けてくることになってくるだろうということを考えますと、この船舶に対する立入調査等はどういう具体的なものを想定して考えておられるのか、これをひとつお尋ねをしたいと思います。  それから、その結果、逮捕ないし拘束というような問題が発生してくると思いますけれども、それはどういう要件が成立した場合にこの逮捕や拘束に至るのか。  そしてさらに、この調査等に入ろうとした場合、またその逮捕を行おうとした、拘束を行おうとした場合に、その船舶が実力をもって逃亡を図ろうとするというようなケースもこれまでのこの日本近海の事態の中にも幾つかあったと思います。そういう問題が起こった場合に、逃亡船舶に対して実力行使をもってそれを防ぐことが可能なのかどうか。三点についてお尋ねしたいと思います。
  39. 宮林正恭

    宮林政府委員 それでは、今お尋ねの点のうちの前半部分につきまして御説明をさせていただきたいと存じます。  船舶に対します立入検査あるいは報告徴収というふうなことを、今回の改正におきまして、規定の中で整備をさせていただくというふうにいたしておりますけれども、これは放射性物質海洋投棄規制に必要な限度において行い得るものということで、おのずと限界があるということは御指摘のとおりでございます。  したがいまして、船舶に対する調査につきましては、我が国の領海、排他的経済水域等における放射性物質海洋投棄の疑いがある、こういうふうに認定される場合に行うということになります。具体的には、主として海上保安官などが発見されるというふうなことになるのだと思いますが、放射性物質と思われるものを海洋投棄しているというふうなことがわかったときに、科学技術庁サイドの方は、しかるべく技術的知識を持った者を派遣をし、その確定をしていく、それで海上保安庁と共同しながらこれに対応するというふうなことになるというふうに考えております。
  40. 今里鉄男

    ○今里説明員 先生指摘の逮捕、拘束の要件等でございますが、この問題は海洋汚染問題にとどまりませず、違反船舶の船長等を逮捕する場合には、我が国刑事訴訟法の手続に基づきまして、当該被疑者の逃亡のおそれですとか、また罪証隠滅のおそれがある場合において、逮捕、それに付随しますところの捜索、差し押さえ等の手続をとることになります。  また、逃亡しようとする船舶に対しては、今回制定、改正される予定になっております領海法の一部を改正する法律案排他的経済水域及び大陸棚に関する法律案並びに海上保安庁法の一部を改正する法律案の規定によりまして、公海上の継続的な追跡について明確化されることも踏まえまして、状況によっては逃亡の阻止をも含め、適切に対応していく所存でございます。
  41. 小野晋也

    小野委員 なお、このような放射性物質を領海内ないし排他的経済水域で排出する船舶に対して、それを認めた場合、担保金を納付して、その上で、その船自身は釈放しなければならないとい うことになっているわけでございます。これは、時間がありませんので要望だけにしておきたいと思いますが、放射性物質投棄するような事例に対して担保金額が最大わずか一千万までであるということは、事の重大性に対して少し低い金額になっているという気持ちがいたしておりますので、この点については御一考をお願いを申し上げたいと思います。  また、いただきました書類等を拝見しますと、担保金を納付して、そして船が他国へ出ていき、その後、出頭要請に対して出てこないということが起こった場合に、もうそれに対しては打つべき手がほとんどないというような形になって、担保金さえ納めればもうそれで一件落着だというような形になっているようであります。この点につきましては、国際法でございますから日本の国だけで対応できる問題ではございませんが、国際的な会議の中で、こういう形でいいのかどうかという問題についてさらなる検討を進めていただきますことを要望しておきたいと思います。  最後に、先ほど原田委員も述べられました「もんじゅ」の問題でございすけれども、昨年の十二月にナトリウム漏れという事故が起こりまして、以来、いろいろな問題も指摘をされ、また皆さんの積極的な、また級密な追求努力をいただいてまいりました。  私の率直な気持ちを申し述べますと、事故自身はこれはあってはならない事故であったと思いますし、また、その事故直後の各種機関の対応というものは、日本国民に対してさまざまな疑問を投げかける対応であったということは、これは認めざるを得ないだろうと思います。  しかしながら、その後の科学技術庁ないし動燃等の対応を拝見しておりますと、非常に前向きな、そして国民理解を得る努力を積み重ねていただいているということについて、私といたしましては高くこれを評価をさせていただきますと同時に、この種のビッグプロジェクトというものは、おくれればおくれただけその実現が後におくれていってしまうという性質を持つものでありますだけに、さらなる科学技術庁並びに動燃また関連企業、皆様の御尽力、御努力をお願い申し上げ、早い時期にこの問題に決着をつけていただきますことを心から要請をさせていただきまして、私の質問を終えさせていただきたいと思います。
  42. 井上喜一

    井上委員長 この際、暫時休憩いたします。      午前十時三十三分休憩      ————◇—————      午後二時十八分開議
  43. 井上喜一

    井上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。吉井英勝君。
  44. 吉井英勝

    ○吉井委員 海洋放射性物質の汚染から守るための今回の法律改正案ですから、これは非常に大事な意味を持っているというふうに思います。この点で、これからの投棄を禁止するということも大切ですが、これまでに投棄された放射性物質による汚染の問題についてもきっちり調査もすれば安全のための監視体制も強めておく、このことが私はまた一面大事な問題だというふうに思うわけであります。  それで、日本も過去、房総半島沖における放射性物質投棄の問題などもありましたが、最近では日本海におけるロシア原子炉投棄の問題が大きな問題になり、この委員会でも三年前に私も質問をいたしました。  特にその点で、世界でこれまで沈没した核艦船あるいは核兵器とか投棄された原子炉という問題になりますと、これまでは核軍拡の時代は非常に軍事機密ということで隠されてきたわけですが、しかし、今日の時点では、やはり海洋の汚染に対する対策を進めるという点では、政府としても各国に問い合わせをして、そして、これまで一体どこでどういうふうなものが事故で沈んだりあるいは投棄されてきたのか、そこのところをきっちりつかむことがまず第一の問題としてあると思うのです。これについては現在までどういうふうに掌握しておられますか。
  45. 原田親仁

    原田説明員 お答え申し上げます。  先生の御質問にありました、原子力艦船あるいは核廃棄物がどこに投棄されているかということにつきましては、いろいろ報道あるいは民間の団体の調査等がございますのは我々も承知しておりますけれども、外務省として事実関係の詳細については承知しておりません。  米国の原子力推進潜水艦について申し上げれば、昭和五十六年四月にジョージ・ワシントンが日本貨物船日昇丸と衝突事故を起こしましたけれども、これにつきましては、アメリカ側から通報がございました。  あと、ソ連の原子力推進潜水艦については、昨年十月に、報道でございますけれども、一九八三年に中ソの原潜が衝突していたというものが報道としてございました。この報道がございまして、外務省としては、外交ルートを通じましてロシア政府に本件事実関係を照会したところでございますけれども、ロシア側の回答は、そのような事実はないというものでございました。
  46. 吉井英勝

    ○吉井委員 外務省はそういうことなのですが、科学技術庁の方で何かこういう点について調べたりしてつかんでいらっしゃる情報はありますか。
  47. 宮林正恭

    宮林政府委員 お答えさせていただきます。  ただいま外務省の方からお話がありました以上の中身については、私ども承知をしておりません。
  48. 吉井英勝

    ○吉井委員 それで、報道によると、グリーンピースなどの民間団体が掌握した旧ソ連海軍について見れば、原子力潜水艦の原子炉十八基を一九六六年から九一年までに投棄したということを示す報告書ロシアの方であるということでありますし、それから、これまた同じくグリーンピースの方が、今度はアメリカの民間研究機関と調べて手に入れたデータということで、これは、原子力潜水艦の安全に重大な問題が生じるものとして、核弾頭五十発、原子炉九基が海底に沈んでいる、そういう情報をつかんでいるというものもあるわけです。  また、別な資料によると、原子力艦船の沈没については、これはアメリカのもので二件、これは一九六三年の有名なスレッシャー号とそれから一九六八年のスコーピオン号、報道もされました。  それから、旧ソ連及びロシアの方では六件あって、一九六八年のホテル級原潜、六八年の、艦のクラスは不明ですが別の原潜の沈没、それからノベンバー級原潜が一九七〇年に沈没、また、艦のクラスが不明な原潜で八三年にもあった。さらに、これはヤンキー級の原潜で一九八六年に沈没事故を起こしている。ごく最近の資料によると、一九八九年にもソ連のマイク級原潜がノルウェー沖で沈没したのが確認されているとか、いろいろ報道があるわけですね。  これらについて、かつての軍拡の時代とは少し状況の違っている中で、やはり各国政府にきちっと情報を公開してもらって、私はロシアの白書を前に見ましたときに、北緯何度東経何度にどういうものを沈めたと、一応不十分ながらもリストが出ているわけですね、白書の中で。世界各国に全部そのリストを出させて、国際的にこういうものを監視したり、そして安全対策を進めていく、そういう取り組みというものが今本当に大事になっているというふうに思うわけです。  それで、外務省に先にちょっと聞いておきたいのですけれども、私が三年前にお聞きしたときにも、こういう情報をちゃんとつかんで明らかにしてもらいたいと言ったときに、当時の外務省国際連合局原子力課長さんが、それは検討してまいりますというお話でもありましたし、これは単に課長さんの検討だけではなくて、こういう問題については、実は大来外務大臣のときに、ロンドン条約の批准等をめぐって国会で議論になったときに、軍艦等を適用除外にしている条約の七条問題を取り上げたときに、大来外相から、ただいまの御指摘のような点は、これからの海洋の保全、汚染防止という点から見ても一つの重要な課題だと存じます、全般的な検討をしていきたいというお 答えもいただいて、あれから十五年ほどたっているのですね。  ですから、私は、特にこういう点では、この間外務省としてはどういう取り組みをしてこられたのかを、まず最初に伺っておきたいと思うのです。
  49. 原田親仁

    原田説明員 先生指摘のあったとおり、ロシアの国防関係の情報の透明性を高めるという必要性は我々としても考えておりますし、これまでいろいろな安全保障対話を通じまして情報の透明性について求めてきております。  この原子力関係の問題は日本にとっても関心の高い問題でございますので、今後とも、安全保障対話等を通じましてロシア側に軍事力に関連する情報の透明性というのを求めてまいりたいと思います。
  50. 吉井英勝

    ○吉井委員 それで、大臣に前段の質問を聞いていただきましたのも、私は、ロシアもアメリカも、フランス、イギリス、各国を含めて、核軍拡という面ではこれまでのような状況とも少し違った状況が生まれてきているときですから、ただ、軍事機密という点では、確かに原子力潜水艦がどこを走っているかというのは、これは多分今でも機密だということになると思うのです。しかし、少なくとも沈没したものとか、あるいは核兵器でもう海の底へ落としてしまったものですね、そういう事故等については、どの場所にどういうものを沈めてしまっているかということは、これは今日の時代はもう情報公開して全然問題ない時代だと思うのです。しかも、かなりのものがもう報道されているのですから。  ですから、これは国際的に情報公開を求めて、そして国際的に、その沈没した原子炉なり核物質等についての安全監視、場合によってはそれを引き揚げてもっと別な安全な処置の仕方をするとか、それを国際的に働きかけていくということをもうやらなければいけないところへ来ていると思うのですが、この点は大臣に伺っておきたいと思います。
  51. 中川秀直

    中川国務大臣 御指摘を伺っておりまして、率直な感想を言えば、十五年前ですか、大来外務大臣が御答弁をされたことは極めて重要な問題だ、検討していくということは当然であるし、また、ますますその必要性は高まっている、このように認識をいたします。  私の今の立場の一存でこうできるということは即答しかねますが、そういう方向で日本政府も努力していくべきであろう、こう考えております。
  52. 吉井英勝

    ○吉井委員 外務大臣にかわっての答弁を科学技術庁長官にというのは、そういうつもりで私お聞きしているわけではありませんが、しかし、内閣としてそういう方向でぜひ取り組んでいただきたいというふうに思います。  もう一つ、海洋法条約では、海洋投棄の禁止だけでなくて陸上からの海洋汚染についても規定を置いています。  この点では、TMI事故では川から実際に海洋に汚染が広がったという問題もあるわけですが、日本の原発というのは、特に海岸に沿ってあるものです。ですから、事故になれば直ちに海洋に流れ込むという問題が出てきますから、事故がない場合のことを想定してのことだけではなしに、やはり放射性物質の外部への流出、これはもちろんないように設計、建設しなければいけませんが、万一あったときにも海洋汚染にならないような二重三重の防護の対策、これは、重油等については、重油汚染について今国際的にも随分取り組みが強化されているときですから、そういうことについても法改正を機会に、原発の抜本的なチェックとともに、私もこんなことはというプランがないわけではありませんが、やはりそういう二次的な対策、施設設備も含めた対応策というものも今後検討していかなければならない課題じゃないかと思うのですが、この点についてはどうでしょうか。
  53. 宮林正恭

    宮林政府委員 お答えさせていただきます。  我が国原子力発電所につきましては、原子炉等規制法に基づきまして、設計、建設、運転といった各段階におきまして、異常の発生防止、異常の拡大防止、あるいは事故の影響緩和といういわゆる多重防護の思想を踏まえまして、所管庁が厳格な安全審査を行うという考え方でやっておりまして、原子力安全委員会もダブルチェックということで行っているところでございます。  それで、原子力発電所の冷却材の流出につきましては、そういう観点から、当然のこととして安全審査の際にチェックをさせていただいているということでございます。  それで、一次冷却水などにつきましては、基本的には、原子炉格納容器内で漏えいした場合にあってはこれらは格納容器内から外部には流出しない、こういうふうな構造といたしております。それから、いわゆる沸騰水型の原子炉の場合は、格納容器の外へ直接原子炉を通った水が蒸気として取り出されるわけでございますが、これらにつきましては、一次冷却材が事故漏えいした場合でも、主蒸気隔離弁といったようなものを使って直ちに隔離をするというふうな措置等をいたしております。かつまた、これらにつきましては、蒸気の形で外へ出るというふうなことであろうかというふうに考えておるところでございます。  こういうふうなことでございますけれども、これにつきましては、できる限りその量を減らすというふうな努力はいたすと同時に、それらの放射性物質あるいは放射能による影響につきましては、安全審査のために評価をしておりまして、非常に小さな値であるということを、それぞれBWRのケースそれからPWRのケースについても評価をいたしているところでございます。
  54. 吉井英勝

    ○吉井委員 もう時間が迫ってまいりましたので、終わりたいと思います。  確かに、そういう評価をやっているのはやっていらっしゃる。しかし、現実に海洋等に汚染された冷却水が流出したりという例もあるわけですから、特にそれは大規模な事故になりますととんでもないことになりますので、やはりその対策というものはきちんと立てていかなければならぬし、そういう点では、最後に大臣に伺っておきたいのですが、今度の場合、監視の体制、海上保安庁に頑張っていただくのですが、船の場合の放射性物質の垂れ流しですと、科学技術庁の職員が行っている間に拡散されてわからなくなるのですね、着いたころには。だから、これはやはり海上保安庁自身の能力を高めるということを政府としても強められるとともに、実は取り締まりの範囲が、単純計算ではいきませんが、十二海里と二百海里の面積比でいきますと、大体二百七十倍広がるわけですね。  現行の体制で責任が持てるのか、こういうことになりますから、体制をどう強化してこの法律が十分生かされていくのか、それについての大臣の決意だけ伺って、終わりたいと思います。
  55. 中川秀直

    中川国務大臣 科学技術庁としましては、ともかく、そういう事故が起こる、あるいはまた海洋投棄が行われる、また放射性物質が排出されるということを未然防止するということがまず何よりの仕事でございまして、そういうための情報の収集や、あるいはまた海上保安庁等々とるる連携を密にして、監視も強めるということが主たる役目であろうと存じます。  しかし、事が起きた場合は、直ちに関係省庁と連絡をとって、調査実施しなければなりませんし、出動をしなければならない。そういうことについての体制の強化については、政府部内で今次の改正を含めて最善の努力をしていくということである、こう考えております。
  56. 吉井英勝

    ○吉井委員 終わります。
  57. 井上喜一

    井上委員長 次に、近江日記夫君。
  58. 近江巳記夫

    ○近江委員 非常に限られた時間でございますので、何点か絞ってお伺いしたいと思います。  まず、放射性物質海洋投棄につきまして、現在どのように規制されておるのか、確認の意味でお伺いしておきたいと思います。
  59. 宮林正恭

    宮林政府委員 お答えさせていただきます。  放射性物質海洋投棄につきましては、原子炉等規制法あるいは放射線障害防止法の中で、政府 の承認なしにあるいは許可なしに放射性物質投棄することができない、こういうふうな規定を設けて、現実問題としては、一方でロンドン条約でもって、我が国の場合は高レベル、低レベルあるいは中レベル、すべての放射性物質海洋投棄を禁止するという方針をとっておりますので、事実上はそれが行えない、こういうふうな措置をとらせていただいているところでございます。
  60. 近江巳記夫

    ○近江委員 今の御答弁でいきますと、原子炉等規制法の第六十一条の二の二によりますと、「核原料物質核燃料物質又はこれらによって汚染された物は、次の各号の一に該当する場合のほか、海洋投棄をしてはならない。」このように規定しておるのですけれども、確認を受ければ投棄できるような規定ということになっておるわけですね。全面禁止のロンドン条約との関係で違和感を感じるわけでございますが、この点はどのように理解すればいいのですか。
  61. 宮林正恭

    宮林政府委員 お答えさせていただきます。  確かに、法規上は禁止という規定の仕方をいたしておりませんけれども、これは、法律をつくりましたときはまだ禁止というところまでロンドン条約等において決められていなかった、こういう事情もございまして、禁止の規定の形になっておらないというところでございます。  その後、ロンドン条約加盟いたしましたときに私ども検討はしたわけでございますが、方針として禁止をするということで十分であろうということで、特にその法規につきましては禁止をするという形の法体系にはなっていない、こういうふうに理解をいたしております。
  62. 近江巳記夫

    ○近江委員 この点は今後の課題として検討されればどうか、このように思います。長官、どうでしょうか。
  63. 中川秀直

    中川国務大臣 ロンドン条約、憲法で条約は遵守しなければならぬと、まずそれが大前提にございましての炉規法であり、またRI法だろうと思います。したがいまして、確認ということはしないということであろう、こう考えます。ただし、三号に人命とか船舶とか、やむを得ない場合というケースも絶無とは言えないのかもしれません。そういう点で、この規定は全体としてまだ置かれておるということであろう、このように考えております。  ただし、委員指摘のとおり、もうそこまで守るならば確認なんという事項も落とせ、こういう御意見も理がある御意見でもあろうと存じますが、今後の課題として検討させていただきます。
  64. 近江巳記夫

    ○近江委員 今回の法改正によりまして、放射性物質海洋投棄に対します規制はどのように変更されるのか、これも確認でお伺いしたいと思います。
  65. 宮林正恭

    宮林政府委員 今回の改正に伴いまして、放射性物質規制につきましては、実質的に中身は変わるものではございません。今回の法規の改正によりまして、これまで進めてまいっておりますロンドン条約に基づく放射性物質海洋投棄の禁止ということが補強される、こういう構造になるというふうに考えているのが第一点でございます。  それから、二つ目といたしまして、今回の改正に伴いまして、これまで領海内、それから我が国旗国であるような船舶につきまして規制をすることができたわけでございますが、これにつきまして、二百海里まで我が国規制を及ぼすことができる、こういうふうになるというふうに考えております。
  66. 近江巳記夫

    ○近江委員 この担保金制度でございますが、これは具体的にどのような制度なんですか。これも確認しておきます。
  67. 宮林正恭

    宮林政府委員 お答えさせていただきます。  担保金制度と申しますのは、この法令に違反する行為があった場合には、具体的には海洋法条約に基づくいろいろなそういうことも含めてでございますが、違反する行為だというふうに認められる場合は、これは当然、停船命令をかけまして、その船を日本の港まで引っ張ってくるわけでございます。その上で、それを釈放する、あるいはそこの船員を釈放する、こういうふうなことをいたしましたときに、担保金というものを積ませまして、それでもって釈放する、こういうふうな形になります。それで、担保金につきましては所管庁が保管をさせていただく、こういうことになります。  それで、釈放した後具体的にいろいろな処分をする、あるいは引き続き証拠固めをする、こういうふうなことで、その船員等に出頭を命ずるというふうなことを進めまして、それで最終的にすべての当該案件の措置が終わったところで、その担保金を返却する。しかしながら、出頭されない、こういうふうなことになりますと、これは没収をする、こういうふうな仕組みになっております。
  68. 近江巳記夫

    ○近江委員 そこで、日本船舶外国船舶の問題があるのですが、領海内はこれは同一の懲役刑まであるということでございますが、排他的経済水域、二百海里ですね、この場合におきましては、いわゆる外国船については罰金のみ。そうすると、外国船、日本船舶、これはバランス上どうなのかということもございますね。この辺についてはどのようにお考えでございますか。
  69. 宮林正恭

    宮林政府委員 お答えさせていただきます。  排他的経済水域等におきます外国船舶による放射性物質海洋投棄についての罰則を罰金刑、こういうふうにいたしました。こうした投棄につきましては、これまで基本的には沿岸国の管轄権が及ばないというふうなことで、規制実施してこれなかったわけでございます。このたび国連海洋法条約によりまして、この違反に対しまして金銭罰のみ科し得るという条件がつけられた上で、この管轄権というものが認められることになりました。  したがいまして、この罰則につきましては、もともと我が国の主権が及ぶ日本船舶によるものと差異が生ずるということになりますけれども、やむを得ないというふうに考えているところでございます。
  70. 近江巳記夫

    ○近江委員 そういう罰金制度が設けられましても、取り締まりが適切に行われるかどうか。広大な海域になるわけですね。これは適切に行わなければ実効性がないということになるわけでございます。今後のそういう取り締まりという点におきまして、これは実際上は海上保安庁そして科学技術庁、緊密な連携をとってやっていただかなければならないわけでございますが、この点につきましてどのような対策をお考えなのか、両省からお答えいただきたいと思います。
  71. 宮林正恭

    宮林政府委員 それではまず、科学技術庁の方としてはどういうふうにさせていただくかということについて、御説明をさせていただきたいと存じます。  先生指摘のとおり、本件につきましては、科学技術庁と海上保安庁が緊密な連携を保ちながら措置をしていくべきものである、こういうふうに考えております。  私ども科学技術庁といたしましては、放射線障害防止法あるいは原子炉等規制法の履行を確保するという観点から、今回の法改正におきましては、立入検査あるいは報告徴収の規定を整備するというふうにいたさせていただいております。  しかしながら、その具体的な運用につきましては、これはまさに海上での問題でございますので、海上保安庁によります捜査をむしろお手伝いする形になるという部分も多いというふうに考えております。すなわち、平時の情報交換とか放射性物質海洋投棄の疑いがある場合の通報、あるいは投棄現場への職員、機材の輸送、放射性物質の分析を初めとする調査といったようなことを私どもが主として担当する。  それからなお、外務省ともいろいろ緊密な連携を保ちながら、やはりこのような海洋投棄が行われるということはいろいろな形で世の中に出てくる可能性もあるわけでございますので、そういうものにつきましては、十分情報収集なども進めまして、常に私どもがあらかじめ、あるいは前もってと申し上げるのが正しいと思いますが、前もってそういうふうな疑いのある行為がある状況について把握ができるように努めてまいりたい、こう いうふうに思っているところでございます。
  72. 今里鉄男

    ○今里説明員 ただいま科学技術庁の方からお答えがありましたが、捜査とか取り締まりに関しましては私ども海上保安庁が担当するわけでございます。  海上保安庁におきましては、広い排他的経済水域が設定されることでございますけれども、昭和五十二年に領海十二海里及び二百海里漁業水域が設定されまして以来、巡視船艇、航空機等による広域哨戒体制の整備を進めてまいったところでございます。  今般の海洋法条約の批准によりまして、排他的経済水域が設定されますが、放射性物質による海洋汚染を含め、監視取り締まり海域が拡大することに応じましては、近代的設備を有しますところの高性能な巡視船艇あるいは航空機及び監視取り締まり用資機材の整備を計画的に進めまして、巡視船艇、航空機の効率的な運用を図るということもあわせて、監視取り締まり体制のさらなる充実を図ってまいりたいと思っております。  また、巡視船艇、航空機が放射性物質等の海洋投棄の疑いのある船舶を認知した場合につきましては、法令の違反の有無を明らかにするために、専門的知見を有しておられますところの科学技術庁の皆さん方の御協力を、専門家の御協力を得まして捜査を行う等、関係機関と緊密な連携を図りつつ適切に対応してまいりたいと思っております。
  73. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは科学技術庁、運輸省の緊密な連携が必要ということでございますが、特に科学技術庁の専門家の待機というそういう発言もあったわけでございますが、この点は科学技術庁としてはもう少し具体的にどういうお考えなのか、体制をとろうとされているのか、お伺いしたいと思います。
  74. 宮林正恭

    宮林政府委員 現在それらのやり方につきましては、海上保安庁の方といろいろと御相談をして、最も有効に働ける、かつまた現実性のあるやり方をやりたいということで検討を進めているところでございます。
  75. 近江巳記夫

    ○近江委員 充実したそういう体制をしっかりつくっていただきたい、このように思います。  次に、放射性物質海洋投棄につきましては、ロシア我が国に最も隣接しておるわけでございまして特に問題と考えられるわけでございます。これまでさまざまなそうした具体的な問題も上がってきておるわけでございますが、海洋投棄の実態につきましてどのように把握されているか、ポイントをひとつ御報告をいただきたいと思います。
  76. 中川秀直

    中川国務大臣 平成五年四月にロシア政府が公表しました白書によりますと、これまで旧ソ連、ロシアは、日本海やオホーツク海、カムチャツカ沖の極東海域において、一九六六年から一九九二年まで液体及び固体の放射性廃棄物投棄したとしているほか、平成五年十月にはロシア日本海において液体放射性廃棄物約九百立方メートルを投棄いたしました。  旧ソ連、ロシアが行った日本海における放射性廃棄物海洋投棄の影響については、平成五年春、過去に旧ソ連、ロシアにより海洋投棄が行われたことが判明した後、直ちに日本の二百海里内において海上保安庁、気象庁、水産庁等の協力を得て、日本独自の環境放射能調査実施いたしました。そして、その結果、その影響が認められていないことを確認いたしております。その後、平成五年十月にロシアが行った海洋投棄に関しましても投棄後直ちに同様の調査実施いたしまして、その影響が認められていないことを確認いたしております。  さらに、日本海の投棄海域において、平成六年三月から四月にかけて、日韓ロ三国に国際原子力機関、IAEAの専門家も加えまして第一回の共同海洋調査実施し、精密な分析、評価を行っております。その結果、放射性廃棄物海洋投棄の影響は認められなかったという結論が得られ、その内容報告書に取りまとめ、平成七年七月に公表いたしております。  また、オホーツク海、カムチャツカ沖等の日本海以外の投棄海域についても、平成七年八月から九月にかけて同様の第二回共同海洋調査実施いたしております。この調査では、船上における簡易測定では特に異常は認められなかったわけでありますが、現在、採取した海水、海底土等の詳細な分析を行っているところでございます。  こうした旧ソ連、ロシア日本海における放射性廃棄物海洋投棄に関しましては、これまでの調査で十分対応しているというふうに考えておりますけれども、今後とも日本周辺海域の海洋環境放射能調査実施をいたしまして、継続的に我が国国民の健康への影響を監視していく方針でございます。
  77. 近江巳記夫

    ○近江委員 今後定期的にそういうような調査をしていくと大臣からの御答弁がございました。常日ごろ海洋のそうした放射能のバックグラウンドにつきまして、これは当然把握しておく必要があるのじゃないか、このように思うわけでございますが、その点につきましてはいかがですか。
  78. 宮林正恭

    宮林政府委員 先生の御指摘のとおり、常日ごろから海洋調査をしてバックグラウンドを把握をしていくということは大切なことだと思っております。現実に、私ども、やはり原子力発電所からの放出というふうなことも頭に入れまして、日本周辺海域の海洋調査は平素から続けてきている、こういうことでバックグラウンドは常に把握をするというふうにさせていただいております。
  79. 近江巳記夫

    ○近江委員 ロシアの特に液体廃棄物、これを処理するために我が国としてもかなりの支援をされておる、このように聞いておるわけでございますが、ロシアのそういう処理施設の規模あるいはまた建設費、支援額、建設スケジュール等、おわかりでございましたら御報告いだだきたいと思います。
  80. 高原寿一

    ○高原説明員 お答え申し上げます。  我が国ロシアとの間で、日ロ核兵器廃棄協力委員会の資金の一部を利用いたしまして、ロシア極東における液体放射性廃棄物処理施設建設のための協力を進めているところでございます。この処理施設の建設費用は、邦貨にいたしまして約二十五億円でございます。それから、処理能力でございますけれども、年間七千立方メートルの処理能力を有しております。この処理施設は現在、本年中の完成に向けまして詳細設計、それから必要な資機材の調達を行っている段階でございます。  先ほど申し上げましたこの処理施設処理能力に照らしましても、この施設は、完成いたしますと将来にわたってロシアによる極東における液体放射性廃棄物海洋投棄防止するのに十分な処理能力を有しておりますので、政府といたしましては、この施設が早期に完成することを強く期待しているところでございます。
  81. 近江巳記夫

    ○近江委員 先月モスクワで開かれました原子力安全サミット、これは総理、それから大臣はそのときは随行されなかったわけですが、科学技術庁からは審議官がだれか行かれたと思いますけれども、このときに、すべての国にロンドン条約加盟するよう要請する、そういうことが宣言に盛り込まれたわけでございますけれども、エリツィン氏は橋本総理に、年内にロンドン条約加盟する、それまで海洋投棄はしない旨約束したということが報道されておるわけですが、正確な御報告というものを本委員会におきまして承りたい、このように思うわけでございます。
  82. 高原寿一

    ○高原説明員 お答え申し上げます。  我が国は、放射性廃棄物海洋投棄が再び行われてはならないという立場から、従来よりロシアに対しまして、ロンドン条約附属書改正を受諾するよう強く働きかけてきたところでございます。  先生指摘の先般の日ロ首脳会談それからモスクワ原子力安全サミットにおきまして、エリツィン大統領ロンドン条約附属書改正を本年度中に受諾するということを明らかにいたしました。これは、先ほど申し上げました従来よりの働きかけの結果であると認識しております。エリ ツィン大統領のこの発言が速やかに実行に移されることを強く期待している次第でございます。
  83. 近江巳記夫

    ○近江委員 最近アジア地域原子力発電所、非常に活発な建設が進んでおるようでございます。我が国の場合は、これは御承知のとおり、稼働が五十ですか、建設中が四、計画が二。台湾は、六基稼働しておる、計画中が二。韓国では、十基が稼働して、六基が建設中、七基が計画中。中国は、三基が稼働して、二基建設中、十六基が計画中。さらに、タイにおきましても一基計画、ベトナムでも二基計画、インドネシアでは百万キロワット級は七基計画中、こういうようなことになっておるのでございます。  この近隣諸国の対応は非常にこれは国民としてみんな気になるところでございますが、この条約に対する対応はどのようになっておるのか、把握されておりましたら御答弁いただきたいと思います。
  84. 高田稔久

    ○高田説明員 近隣諸国といたしまして、例えば、中国それから韓国はこのロンドン条約の締約国になっております。したがって、当然条約を遵守する義務があるわけでございます。現時点で、この両国につきまして、例えば、ロンドン条約上の義務に違反しているといったような、そういう事実は承知しておりません。
  85. 近江巳記夫

    ○近江委員 いずれにしましても、これだけアジア地域の原発建設というものは進んできておるわけでございますので、特に廃棄物投棄、これはもう当然のことでございますけれども、安全性という点におきまして、今後やはり日本は、相当な、これはすべての面でリードをしているわけでございますから、アジア全般のそういう安全性確保ということにつきまして十分緊密な連携をとっていただく必要があると思うのでございますが、その点につきまして、どういう取り組みをされているか、お伺いしたいと思います。
  86. 岡崎俊雄

    岡崎政府委員 委員指摘のとおり、著しい経済発展を遂げておりますアジアにおきまして、将来のエネルギー需要に対応するために原子力発電を既に導入をしておる、あるいは今後拡充をしていくという機運は大変高まってきておるところでございます。その際は、当然のことながら、安全の確保というのが大変大事でありますし、今御指摘放射性廃棄物の適切な管理という点についても、国際的なそういう枠組みというものは大変大事なところだろうと思っております。  このような状況の中で、科学技術庁におきましては、一つは、平成六年度から国際原子力安全研修事業というものを進めておりますが、その中に、放射性廃棄物処理処分に関するコースというのを設けておりまして、この地域におきます人材養成に協力をしてきているところでございます。  さらに第二点目といたしまして、実は原子力委員会が、平成二年以来、過去七回にわたりまして、アジア地域原子力協力国際会議というものを開催してまいりました。この国際会議の枠内において、安全であるとか、あるいは放射性廃棄物管理であるとか、こういった具体的な協力分野を指定しております。  廃棄物の問題につきましては、特に、昨年十二月には、九カ国二十六名の参加を得ました放射性廃棄物管理セミナーというものを開催したところでございます。  加えまして、先月開催されましたモスクワ原子力安全サミットの場におきましても、橋本総理大臣から、本年中の開催を目途に、アジアにおきます原子力安全東京会議というものを提唱されたわけでありますけれども、こういった会議におきましても、廃棄物を含めた原子力安全について、アジア地域でのこの問題の重要性認識がもっと高まるように我が国努力をしていきたいと思っております。
  87. 近江巳記夫

    ○近江委員 その点はどうかまた一層力を入れていただきますよう要望いたしておきます。  それから、後に戻るようでございますが、放射性廃棄物海洋投棄全般につきましてもう一度振り返ってみておきたいと思うのです。我が国としまして、一時期放射性廃棄物海洋投棄につきまして推進する立場をとってきたわけですね、RIの。その後この海洋投棄政策というものを放棄されたわけですが、どういう考え方で推進され、どういう考え方で政策の転換をされたのか、この点をお伺いしたいと思います。
  88. 岡崎俊雄

    岡崎政府委員 委員指摘のとおり、我が国は、過去におきまして、低レベル放射性廃棄物につきましては、国際原子力機関、IAEAの基準等にのっとって適正に行われるならば海洋投棄につきましても安全性は十分確保し得るとの見地に立ちまして、低レベル放射性廃棄物処分の一つの方法として海洋処分というものを選択肢としてきたわけでございます。  しかしながら、我が国におきましては、低レベル放射性廃棄物海洋処分に関しては、関係諸国の懸念を無視しては強行しないとの方針を従来から貫いてきておったわけでありますけれども、特に、昭和五十八年にロンドン条約の締約国協議会議におきまして、いわゆる海洋投棄に関するモラトリアム決議がなされました。これ以降、このモラトリアム決議を我が国は誠意を持って遵守し、もちろん海洋投棄は行ってきておりませんでした。  その後、ロシアによります日本海におきます液体放射性廃棄物海洋投棄等を背景として、国際的にもこの放射性廃棄物海洋投棄に関する関心でありますとかあるいは懸念が高まったこと等の状況にかんがみまして、その後、我が国の中におきます陸地処分計画の進展等がございました。こういった陸地処分の進展等の現状を踏まえ、あるいは海洋投棄をめぐります政治的、社会的な情勢を十分に踏まえまして、我が国として、今後低レベル放射性廃棄物処分方法として海洋投棄は選択肢としないということについて、平成五年十一月に原子力委員会が決定したわけでございます。  これを受けまして、我が国におきましては、現在、低レベル放射性廃棄物処分の方法としては、陸地処分というものを基本方針としているところでございます。
  89. 近江巳記夫

    ○近江委員 OECDの各国もこの海洋投棄をやってきておったわけでございますが、これにつきましても、今までいろいろな報告を受けておられると思いますが、環境影響等は出てなかったのかどうか。  もう時間がありませんので、簡潔にお答えいただきたいと思います。
  90. 高原寿一

    ○高原説明員 OECD諸国によります海洋投棄に関する御質問でございますけれども、かつてOECD加盟国による海洋投棄が行われたことは事実でございます。  こうした海洋投棄による影響を評価する目的で、一九八三年のロンドン条約締約国協議会議におきまして、専門家会合を設置することが決議されました。この専門家会合は、八五年九月に「海洋投棄における低レベル放射性廃棄物処分」と題する報告書を提出しております。この報告書によりますと、大西洋海域で実施された放射性廃棄物海洋投棄による関係の影響があるとは認められておりません。
  91. 近江巳記夫

    ○近江委員 もう時間がございませんので、関連として一つだけお聞きしておきたいと思います。  それは、航空機乗務員の宇宙線被曝の問題でございますけれども、これは非常にいろいろなところで声が上がっておるものでございますけれども、この実態を究明するために必要な調査研究等を進めていただきたい、そういう声が上がってきております。これにつきまして、最後に、運輸省、科学技術庁から御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  92. 宮林正恭

    宮林政府委員 お答えさせていただきます。  一九九〇年勧告というのが国際放射線防護委員会、いわゆるICRPと私ども略称しておりますが、そういうところで国際的に出されておりまして、その中で、航空機乗務員の宇宙線による被曝を職業被曝に含める必要がある、こういう勧告をいただいておるところでございます。  それで、国理科学委員会等のデータによりますと、ヨーロッパの航空機乗務員の年間平均線量、被曝量でございますが、これは、一般公衆の線量限度であります一ミリシーベルトよりも高い、約二・五ミリシーベルトであるというふうなことが言われております。  また、平成四年に放射線医学総合研究所で調査をいたしましたところ、成田−北米路線で年七百時間搭乗する、こういうふうな場合につきましては二から三ミリシーベルト程度の線量を受けるというふうな推定がされるということになっております。  現在、航空機乗務員等に対する自然放射線被曝の取り扱いにつきましては放射線審議会で審議を進めている最中でございまして、その審議を踏まえながら、関係省庁と協議しながら適切な対応を図ってまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  93. 近江巳記夫

    ○近江委員 もう時間がありませんから、これで終わります。
  94. 井上喜一

    井上委員長 次に、鮫島宗明君。
  95. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 現在審議の対象となっております、法律案に含まれるといいますか法律案が対象としている事象は非常に限定的ですので、私が用意していた質問の既に七割方は他委員が質問済みですので、通告していない質問がかなり出てしまうことを最初にお許しいただきたいと思います。  私はまだ議員になってから三年弱ですけれども、少なくともその短い経験の中で、政府から提案された法律案が一字一句たりとも修正された事実は見たことがない。また、政府から提案された予算案が一円一銭たりとも修正された事実に遭遇していない。そういう意味では、残念ながらこの三年間、まだ民主主義の体験をしていないわけなのです。  初めに、長官に、原則的なことで結構なのですけれども、こういう委員会の場で審議をして大方の人がもっともだと思った場合には法律案の一部が訂正されることもあり得るというふうに長官はお考えなのかどうか。
  96. 中川秀直

    中川国務大臣 長官としてのお答えは、政府が提出するものは最善のものを出さなければまたこれはおかしいわけで、長官としての立場としては、修正していただきたくないというのが正しい答え方であろう、かように思います。  しかし、個人の政治家として申し上げますならば、私、国会へ出させていただいてから予算修正はございましたし、また今回の予算案につきましても、御案内のとおり、予算書において、「措置する。」という表現ではございましたけれども、ある意味の修正と申しましょうかそういうことが行われておるという実例はある、このように思っております。  国会というものは国民の代弁者として議論するところでございますから、国会の御意思というものは、国権の最高機関でございますから、政府の意思を超えて行われるべきであろう、このように思っております。
  97. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 長官の民主主義についての深い御認識を聞いて安心いたしました。  排他的経済水域及び大陸棚に関する法律案関連して、初歩的なことといいますか基本的なことでちょっとお伺いしておきたいのですけれども、二百海里の排他的経済水域を決めるときに、基線をもとにそこから二百海里というようにはかって決める、あるいは二百海里がない場合は国と国との間の中間線をとるということだと思います。  日本は、御承知のように周辺に小さな島がたくさん点在しておりまして、沖ノ鳥島のように島と言えるのかどうかわからないといいますか水没しかかっているというような、岩礁に近いようなものもあるわけですけれども、この排他的経済水域を決めるときの基線として有効となる島の定義というのはどうなっておるのでしょうか。
  98. 西田芳弘

    ○西田政府委員 お答え申し上げます。  国連海洋法条約におきまして、お尋ねの島でございますけれども、定義がございまして、「島とは、自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面上にあるものをいう。」というふうに規定されております。
  99. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 わかりました。満潮時でも頭を出していなければいけないというのが条件だろうと思います。  ちょっと気になりますのは、そういう、ほっておくと水没してしまいそうなときに、沖ノ鳥島についてはかなりの補強工事が行われたわけですけれども、それは、この条約締結されてもそういうことは一応よろしいのだということでしょうか。
  100. 西田芳弘

    ○西田政府委員 国連海洋法条約上の島の定義は先ほど申し上げたとおりでございまして、補強工事が行われていたとしましても、先ほど御紹介申し上げた島の定義に合致する限り条約上の島としての地位を有し続けるものでございます。
  101. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 わかりました。  もう一点ですけれども、海洋法条約に規定されている国際航行、通航する権利に関してですけれども、特に船について、一定の条件を満たす国際航行に使用されている海峡においては、これは二十四海里より外側の話ですけれども、無害通航権に比較してより自由な通過通航権が認められるという表現が三十八条の二項にありまして、ここについては上空飛行も含むということですけれども、これは、一般的に通常の飛行機を指しているのであって、いわゆる衛星、通信衛星、気象衛星、たくさんありますけれども、衛星というのは、特にこの条約だけではないのかもしれませんけれども、どこか衛星が通る軌道についても条約上の規制、あるいはそういうことを規制する条約というのはあるのでしょうか。あるいは、どこを通ってもいいですよということなのですか。
  102. 西田芳弘

    ○西田政府委員 国連海洋法条約におきまして、国際航行に使用されている海峡における通過通航についての定めがございますけれども、通過通航に関しまして、上空の飛行の自由ということが定められております。ここで問題になりますのは航空機の飛行でございまして、他方、お尋ねの衛星でございますけれども、海洋法条約は、宇宙空間への適用というものは想定いたしておりません。したがいまして、国連海洋法条約上の国際航行に使用されている海峡における通過通航制度が人工衛星の飛行との関係で問題となることは想定されていない次第でございます。
  103. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 ここで、予告してないのですけれども、人工衛星の通過に関して、宇宙条約等々では何らかの規制なり制限はあるのでしょうか。
  104. 西田芳弘

    ○西田政府委員 人工衛星の飛行いたします宇宙空間でございますけれども、宇宙空間というのは国家主権の主張の対象とはならないものというふうに国際法上観念されておりまして、人工衛星の飛行につきましては、先ほどお話にございました国際航行に使用されている海峡の上空であるか否かにかかわらず一般に自由でございます。宇宙空間につきましては、例えば宇宙条約等において規律が設けられているということでございます。
  105. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 ありがとうございました。  ちょっと用語についてお伺いしたいのですけれども、この排他的経済水域及び大陸棚に関する法律案、この日本語をおつくりになったのはどこなのでしょうか。
  106. 宮林正恭

    宮林政府委員 その点につきましては、基本的にはやはり内閣で決めているわけでございますけれども、原案は、中心になりましたのは、外政審議室が中心になってこの法律案の名称は決めたということでございます。当然、私どもも、これはそれでいいという判断をしたというのはそのとおりでございます。
  107. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 いわゆる学校で習う言葉の使い方と大分違っている点が特に二点ありまして、大陸棚という言葉なのですけれども、今度ここで新しく定義された大陸棚というのは、地理で言うあるいは地勢学で言う大陸棚と無関係に、経済水域の海底及びその下、これをどうも大陸棚というふうに再定義したようでして、これは地理で言う、地理学で言う大陸棚と違っています。  したがって、これは非常に不思議な表現が出て くるのですけれども、大陸棚の天然資源の開発については主権を有する、しかし、大陸棚がその外側に延びている場合はその限りではない。この、何を言っているかわからないような日本語になりまして、ここでどうして大陸棚という言葉を使ったのか。この範囲には恐らく日本海溝も入るわけでして、こういう用語は教育上よくないのじゃないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  108. 西田芳弘

    ○西田政府委員 お尋ね排他的経済水域なり大陸棚なりにつきまして、その排他的経済水域及び大陸棚に関する法律が用いておりますところの排他的経済水域、大陸棚は、国連海洋法条約の規定する排他的経済水域、大陸棚を踏まえたものでございます。  お尋ねの大陸棚の範囲でございますけれども、これは国連海洋法条約によりますれば、その沿岸国は二百海里までの区域の海底及びその下、それからさらに二百海里を超えて、国連海洋法条約の定める一定の条件に合致すれば二百海里を超えましてさらに一定の限界まで大陸棚を沿岸国として有し得るということになっておりまして、それを受けて、排他的経済水域及び大陸棚に関する法律につきましても、我が国が、先ほど御紹介ありましたとおり、主権的権利等を行使する大陸棚についてその範囲を定めているということでございます。
  109. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 内容は私も理解しているつもりでして、今用語の適正についてお伺いしたので、海溝が含まれるような部分まで大陸棚と呼ぶのはいかがかというのが私の質問でございます。  それからもう一つ、深海底という呼び方がありまして、これは経済水域外の海底及びその下がこの法律案では深海底というふうになっていまして、普通深海底というのは、ちょっと私もはっきり覚えていませんけれども、多分四千メートルより深いところの海底、これを深海底と呼ぶ。そこには深海魚がすんでいますよということを小学校の教科書なんかに書いてあると思いますけれども、外務省の教科書には深海底というのは経済水域外の海底及びその下。随分今回用語が、多分コンチネンタルマージンをそのまま大陸棚と訳したり、直訳のままこの法案にしてしまったのではないか。  もともとこういう、排他的経済水域の論議が北欧ないしヨーロッパで起こって、あそこの場合は二百メートルぐらいの深さの浅い大陸棚があって、その権利を認めましょうというところから始まったものですから、そのコンチネンタルマージンという言葉がこの世界での条約を決めるときにずっと生きているのだと思いますけれども、やはり日本の地形なり自然的条件に合わせて正しい用語を使わないと、先ほども言いましたが、教育上よくないのではないかと思います。感想だけで結構ですけれども、どうですか。
  110. 西田芳弘

    ○西田政府委員 排他的経済水域、大陸棚という用語につきましては、条約の正文は外国語でございますけれども、それの日本語の訳語として何が適当かということを政府部内で十分検討した上で、このような排他的経済水域、大陸棚という言葉を選択させていただいたものでございます。  ここで言う排他的経済水域、大陸棚は、学問上あるいは地理学上等の概念とは別に、海洋法秩序の法的な概念として用いているということでございます。  それから、深海底につきましては、国連海洋法条約の中にも定義がございまして、「国の管轄権の及ぶ区域の境界の外の海底及びその下をいう。」ということで、大陸棚の場合ですと沿岸国の主権的権利等が及ぶところでございますけれども、それとは区別されておるという次第でございます。
  111. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 もし、お子さんをお持ちでしたら、おうちに帰られてよく教えてあげてほしいと思います。  次に、先ほどから前の委員の方も旧ソ連による北極海域あるいは極東海域における放射性物質投棄、累積的な投棄について質問が出されましたので、このことについては私も重ねて聞きませんけれども、ロシアからの情報公開の程度というのはどのぐらい正確に行われているのか。つまり、極東水域において、この地区にこのぐらいの総量を捨てましたというのは先ほど長官からも御紹介ありましたけれども、どういう性状のものがどのぐらい捨てられたのか。  例えば、廃液なんかについても、それが何に詰められているのかとか、例えば非常に粗雑な容器に入って捨てられている場合は、三十年たったら腐食してそれが溶け出すとかいろいろな推定がつくと思うのですけれども、そういう意味ではどの程度のロシアからの情報が科技庁に与えられているのかどうか、お教えいただきたいと思います。
  112. 宮林正恭

    宮林政府委員 お答えさせていただきます。  先ほど大臣がお話を申し上げましたように、平成五年四月にロシア政府が公表した白書で私どもが承知している、これ以上のものにつきましては、少なくともはっきりと明確に承知ができるところになっておりません。それから、その中では必ずしも明確でない部分もたくさんございます。  しかしながら、例えば固体廃棄物につきまして、日本近海のケースでございますが、原潜の原子炉を捨てたとか、あるいは原潜の炉心の遮へい体一台を捨てた、こういうふうなものが書かれていたり、あるいはどこまで遮へいされているか、こういうことはございますけれども、鉛でカバーされているような表現ぶりがあったり、こういうふうなことはございます。
  113. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 あと、専ら旧ソ連の話が中心でしたけれども、ほかの国は大丈夫というふうに考えてよろしいのでしょうか。例えば、中国、朝鮮民主主義人民共和国等については。
  114. 西田芳弘

    ○西田政府委員 中国韓国でございますけれども、ロンドン条約の締約国として条約を遵守する義務がございます。現時点で両国がそのロンドン条約上の義務に違反しているという事実は承知していないところでございます。
  115. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 今度この法案では、そういう不法投棄といいますか違法投棄が見つかった場合には立入検査ができる。先ほどから、海上保安庁と科技庁とが緊密な連携をとって有効にこれが措置されるように努力するということでしたけれども、私は三年前にロシア日本海で九百立方メートル、約一キュリーの核廃液を捨てたときにも質問させていただいたのですけれども、やはり特に廃液のようなものについては、現物を一部サンプリングしないと後の処理がなかなか考えにくいのではないかということを指摘させていただきました。  今回も、例えばの話ですけれども、どうも怪しげな特殊輸送船が出て日本海に向かっている、そういう情報をキャッチして海上保安庁の船が行くときに、それを投棄前にとめて検査するとしても、そこにもし放射性の廃液なんかがあると手が出せない。あるいは証拠物件として全部預かると言うと向こうは喜んで全部預けるかもしれませんけれども、一部分だけでも証拠物件としてサンプリングしておく必要があるのじゃないかと思います。  そういう具体的な場面を想定すると、多分、海上保安庁の職員に放射性物質取扱者主任の有資格者を養成する、あるいは科技庁の方から有資格者を出向させるというようなことで、かなりはっきりクロに近いという情報がつかめた場合にはそういう人が乗船して、放射能の強さをはかりながら、危険がない手法によって一部証拠物件をとるというようなことが必要じゃないかと思います。いわばそういう教育訓練なり放射性物質の取り扱いのできる要員の確保というのをどういうふうに海上保安庁と科技庁とで連携をとるおつもりなのかについてお伺いしておきたいと思います。
  116. 宮林正恭

    宮林政府委員 今御指摘の点につきましては、具体的には現在海上保安庁といろいろ御相談をしているところでございます。  基本的な考え方といたしましては、やはり急には海上保安庁の方にそういうふうなことをお願いするというのは無理であろうということでございまして、基本的には科学技術庁の方でそういう人材を確保しておきまして、そういうふうな放射性廃棄物らしきものを輸送して投棄しょうとしてい る、こういう情報がありましたときには、直ちにそういう専門家を海上保安庁の船に乗船させまして、当然その際には必要な機材等も持ち込みまして、それで具体的にその測定等に当たる。  また先生指摘のとおり、そういうふうなサンプルといいますか、そういうものも当然分析のために必要な限度においてそこで取得をいたしまして、それで持ち帰ってより詳細な分析をする、こういうふうなことをするということで放射性物質等を収去することも可能なようにいたしております。
  117. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 ぜひ、新しい領域ですので、必要な人材の確保については御努力いただきたい、教育訓練についても一層の御努力をいただきたいというふうに思います。  今の放射性物質海洋投棄そのものについての質問は私はこれで終わりまして、関連で、科技庁の大きなスローガンで「科学技術が未来を拓く、宇宙、海洋原子力」というスローガンがあると思いますけれども、今回、国連海洋法条約締結されることによって海洋研究というのはやりやすくなるのか、あるいは場合によったらやりにくくなるのか。その辺、海洋研究に及ぼすこの条約締結の影響というのをどんなふうにお考えになっておりますでしょうか。
  118. 中川秀直

    中川国務大臣 御指摘のとおり、我が国にとりまして、海洋国家でございますので、長期的かつ総合的な国益のためにも、海洋一般についていろいろな調査研究をやっていくことは極めて重要な課題だと認識しております。  この海洋の科学的調査に関しましては、本条約の第十一二部に規定がございまして、二百三十九条、「海洋の科学的調査の発展及び実施を促進し及び容易にする。」「いずれの国及び権限のある国際機関も、この条約に従って」そういうことができる、こういう規定が置かれておるわけであります。また次の条文で、「専ら平和的目的のために実施する。」ということ等条件がついております。そうした意味で、各国海洋の科学的調査の発展及び実施を促進し容易にするという観点から、これにより海洋の科学的調査に関する、それについての国際的な法秩序というものは確立をされた、その意味で一層この調査研究が推進されるものと期待をしておるわけでございます。  なお、この十三部の規定においては、外国の排他的経済水域において調査をする場合には、六カ月前までに沿岸国に外交ルートを通じて通報するというようなこと等も定められておりまして、我が国各国締結状況を踏まえまして、これまでも条約の規定を考慮して対応してきたところでございますが、さらに海洋科学技術センター等を通じまして、この海洋法の新しい条約の批准に沿いました一層の調査研究の発展に努めてまいりたい、こう考えております。
  119. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 メリットとデメリットがあると思いますけれども、こういう排他的経済水域を決めると、ある種の資源ナショナリズムというのが心情的には何となく各国とも出てきて、いろいろな、特に広い海洋を回遊するような魚類の研究だとかという場合には、恐らくまたがる経済水域が六個ぐらいあるとか、いろいろな研究上、そういう新たな壁というのにもぶつかる心配もありますので、ぜひそういうところは研究支援措置を充実して、海洋研究に支障のないように御配慮いただきたいというふうに思います。  また、いわゆる外務省の言う大陸棚に関してですけれども、この大陸棚の天然資源を開発するための主権的権利の行使が明文化されるわけです。日本経済水域の中の天然資源の調査あるいは探査と開発というようなことが、これから恐らく非常にはっきり領域とともに明文化されましたので力が入る分野だと思いますけれども、尖閣の周辺にもどのぐらいの天然資源があるのか、常に論議になっているところでございますけれども、こういう分野を所掌する行政部局というのはどうなっておりますでしょうか。
  120. 西田芳弘

    ○西田政府委員 天然資源の探査、開発あるいは海洋の科学的調査につきまして、政府内の行政の所掌分担の御質問でございます。  天然資源のうち水産資源につきましては、その探査、開発につきましては水産庁が扱っております。また、鉱物資源の探査、開発につきましては資源エネルギー庁、それから、科学的調査ということでございますれば科学技術庁などが所掌しているというふうに承知しております。
  121. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 世界に冠たる日本の縦割り行政が海底にまで及んでいることを知ってある種の感動を覚える次第でありますけれども、ぜひそういう批判を越えて相互に連携しながら、資源の少ない我が国ですから、海底の天然資源の調査、開発についても一層の御努力をいただければありがたいと思います。  これで質問を終わります。
  122. 井上喜一

    井上委員長 次に、大畠章宏君。
  123. 大畠章宏

    ○大畠委員 社会民主党の大畠章宏でございます。  核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律及び放射性同位元素等による放射線障害防止に関する法律の一部を改正する法律案について御質問をさせていただきたいと思います。  ただいま鮫島委員の方から非常に専門的な視点からの重要な御質問もございました。この法律に関する質問の最後を受け持つわけでありますが、鮫島委員がおっしゃいましたとおり、私も質問を準備しておりましたけれども、大体質問がされておりますので、幾つか、あらかじめ通告をしていた質問からはそれることもあるかもしれませんが、御容赦をいただきたいと思います。  この法律の背景については、もう既に各委員からも御指摘がございましたけれども、平成五年、ロシア政府が原子炉等の海洋投棄というものを明らかにしまして、さらに平成五年の十月、液体放射性廃棄物海洋投棄というものが明らかになり、問題化されたことがこの法律等の背景になっているものと思います。私も、原子力の産業の一技術者として仕事をしてきたところでありますが、これまで各国がそれぞれの責任を持ちながら、それぞれの国で発生する放射性廃棄物処理処分してきた、こういうことが前提で、この原子力関連の事業、研究がされてきたところでございます。  そういうことで、それぞれの国々が責任を持ってやってきたところでありますが、領海ですとかあるいは公海での投棄、特に外国船等からの投棄については余り考慮してこなかった、そういう非常に盲点をついた事件が起こりまして、今回の国連海洋法条約に基づく国内法の整備に入ったものと思います。  この国連海洋法条約というのが四点から成っていることは、皆様方御存じのとおりであります。  我が国管轄権が従来の領海を超えて排他的経済水域及び大陸棚まで拡大すること、これが第五十六条、七十七条、二百十条関係であります。  二点目には、領海、排他的経済水域及び大陸棚への投棄による海洋汚染に関する法令等の執行は沿岸国が行うこと、これが第二百十六条。  さらに第三点には、外国船舶に対する調査により、投棄による海洋汚染防止等の違反が明らかになった場合には、合理的な手続に従うことを条件に速やかに釈放すること、これが第二百二十六条。  さらに四点目には、領海、排他的経済水域等における外国船舶投棄による海洋汚染防止等の違反については、領海における故意によるかつ重大な汚染行為を除き、金銭罰のみを科することができること、これが第二百三十条であります。こういうものをベースとした国連海洋法条約、これに基づいて今回、この国内法の整備に入るわけであります。  私自身もこの問題については重大な関心を持っておりますし、当然この国内法の整備が国連海洋法条約に基づいて行われることは賛成をしているところでありまして、そういう立場から、国内問題あるいはその他問題に分けながら質問をさせていただきたいと思います。  国内問題について、私は、この種の問題は日本 国内においては全く発生しないと思っておるところでありますが、日本国内の放射性廃棄物海洋投棄されたものがこれまであるかどうか、まず過去の例をベースとして御質問をさせていただきたいと思います。
  124. 宮林正恭

    宮林政府委員 お答えさせていただきます。  我が国によります放射性物質海洋投棄といたしましては、放射性同位元素協会、現在は日本アイソトープ協会というふうに名前が変わっておりますが、昭和三十年から昭和四十四年までにわたりまして、主として房総沖におきまして、約十五回にわたり行われております。  投棄されました放射性物質は、同協会が放射性同位元素を取り扱った際に生じました放射性廃棄物を主としてドラム缶にコンクリート固化した、こういうものでございまして、ドラム缶等の数にいたしますと、合計で千六百六十一個ということでございます。当時の値で、約四百七キュリーというのが全体量であろうかと思います。  これらの投棄につきましては、投棄物が放射性物質の漏出しにくいコンクリート固化体であること、投棄されました放射性物質はほとんどが海中に溶けにくいコバルトということであること、それから投棄海域周辺におきますプランクトン等の生物の放射能水準の調査結果等からも異常は認められないということから、現在は問題は生じていないというふうに考えております。また、コバルトでございますので、量的には非常に減衰して、もう少なくなっておる、こういうように考えております。  なお、現在は、海洋投棄につきましては、先ほど来何度も出ておりますロンドン条約で禁止されておりますし、これにつきましては、実際にその後はすべて禁止をして実行していない、こういうところでございます。
  125. 大畠章宏

    ○大畠委員 わかりました。  そうなりますと、日本が関係するのは、いわゆる外国からの投棄に関して日本の領海あるいは公海、近海ですね、そこら辺のところの、そういう行為をどう防止するかといいますか、取り締まるかということになると思うのです。  今回のこの法律が制定されますと、例えば過去において、平成五年のときに、原子炉投棄ですとか、あるいは液体放射性廃棄物投棄された例がございますけれども、こういう行動が起きたときにはどういう処置ができるのか、お伺いしたいと思います。
  126. 宮林正恭

    宮林政府委員 お答えさせていただきます。  今回の原子炉等規制法あるいは放射線障害防止法において、国連海洋法条約に基づきます変更をいたします、改正をさせていただきます点は、一つは、排他的経済水域などにおきます外国船舶に対する違反に対する罰則を整備いたします。それから、違反を行った外国船舶に対する執行の手続を整備する、こういうふうなことでございます。  具体的に先ほど御指摘がありましたような、実際に外国船舶による投棄が行われたというケースにつきましては、まず、経済水域で行われたといたしますと、これは当然海上保安庁の船が参りまして、それを捕らえて日本の港へ曳航し、しかるべく、先ほどから申し上げておりますような法的手続がとられる、こういうふうなことになります。  それから、日本の領海でございますと、これまでとられてきておりますように、当然より厳しい措置がとられる、すなわち、これにつきましては、当然領海内ということで、領海としての、これまでやってきた法規に基づく措置がとられるということになります。  それから、この海域の外ということになりますと、これにつきましては、当然この外国船舶に直接コンタクトをして、まずそれを阻止するという努力をいたすということになると思います。かつまた、その船が属しています国、旗国と言っておりますけれども、そこに連絡いたしまして、旗国はそういう船を取り締まる役割を当然持っておりますので、そういう役割を行使させる。また、それ以外にも外交的にとれる措置は、当然外務省と御相談をしながらとっていく、こういうことではなかろうか、こう思っております。
  127. 大畠章宏

    ○大畠委員 見つかった場合にはそういうふうにするということはわかったのですが、午前中にもそういう御質問があったかもしれませんけれども、特に夜ですね、暗いときに船で持ってきてどぽんとほうり投げちゃう、こんなことも考えられるわけですね。  どういう方法でこの法律に基づいて、これはちょっと前もって質問の要請をしておりませんけれども、例えば日本海においてどういう方法でそれを探査して、どぽんと落とす前にキャッチするとか、これはなかなか難しいと思うのですね、そこら辺はどういうふうにしてやろうとしているのか。その準備状況についてお伺いしたいと思います。
  128. 高原寿一

    ○高原説明員 お答え申し上げます。  ロシアによります放射性廃棄物海洋投棄に関しまして、我が国が現在ロシア協力を進めております処理施設の建設の現状でございますけれども、委員指摘のとおり、ロシア極東の太平洋艦隊によります日本海における液体放射性廃棄物海洋投棄、九三年十月に行われましたが、その際には我が方はその投棄に対して抗議、それから申し入れを行いました。あわせて、ロシアによります海洋投棄の再発を防止するためには液体放射性廃棄物の処理問題の解決が不可欠であるという考え方のもとに、液体放射性廃棄物処理施設の建設に関しましてロシア協力を進めてきているところでございます。  現在、この処理施設は建設のための契約を本年一月に業者との間で結びまして、詳細設計、それから資機材の調達の段階にございます。処理施設が完成いたしますと、極東におけるロシアによる液体放射性廃棄物海洋投棄防止する上で十分な処理能力を持つものになります。  若干補足させていただきますと、この処理施設は、ロシア原子力潜水艦の解体から生じます液体放射性廃棄物を処理するものでございますけれども、構造といたしましては、浮体構造の施設でございまして、いわば洋上に浮いているものでございます。  具体的には、ウラジオストク近郊にございますロシア原子力潜水艦解体工場、この港の埠頭に係留いたしまして、その浮体構造の、はしけといいますか、バージの上に処理施設が載っている、そこにロシア原子力潜水艦の解体の結果出てくる液体放射性廃棄物を持っていきまして、それを化学的に処理をしてきれいな、きれいなといいますか、液体の状態にする、あるいは一部固形のものも出てきますが、そういう形で処理をする施設でございます。
  129. 大畠章宏

    ○大畠委員 臭いものはもとを断たなきゃだめというので、できるだけそういうものがきちっと処理できるような体制をとろうという今のお話はよくわかるのですけれども、平成五年のときにも、外務省は事前にチェックしたのかどうかわかりませんが、民間の団体がこの液体放射性廃棄物投棄というのを見つけて、船で追跡をして、それがビデオカメラにおさまり、テレビで報道されて大変な影響があったわけであります。やはり、民間の団体がそういうふうなものを見つけるということじゃなくて、こういうのは、この法律ができたわけですから、公的な機関がきちっとそういうところをチェックできる、そういうふうにしなければならないと思います。  参考にお伺いしますが、この平成五年の液体放射性廃棄物投棄については、外務省は民間団体以前にこういう行動はわかったのでしょうか。
  130. 高原寿一

    ○高原説明員 九三年十月にロシア日本海におきまして液体放射性廃棄物海洋投棄を行った際には、外務省といたしまして事前にその情報を承知しておりませんでした。
  131. 大畠章宏

    ○大畠委員 私も前に新潟港から船で日本海を渡ったことがあるのですが、やはりすごく広いのですね。だから全部チェックするというのは大変かもしれませんが、この法律ができたからにはやはり、赤信号みんなで渡れば怖くないじゃないけ れども、法律があるのだけれどもそれを執行する体制にならないということでは困りますから、これまで余り外務省の出番はなかったのですが、これから外務省の出番はふえると思うのですよ。非常に国際的な海洋の資源問題ですとか、幾つか各国エネルギー問題でも一生懸命海洋開発を始めておりますので、ぜひ日本の国益と安全を守るために外務省はもっと頑張ってそういう法の執行体制についても御努力をお願いしたいと思います。  そこで今、その他の関連の質問に入りますが、先ほどロシアの老朽の原子力潜水艦の放射性廃棄物と放射性の廃液の処理の問題についてのお話がございました。幾つかの雑誌等にも、波打ち際といいますか、海のところに並べられた原子力潜水艦が朽ち果てて波に揺られているというようなニュアンスの報道もあったわけであります。ここのところは、先ほどお話がありましたような対応で、きちっと国際的に協力をしながら処理処分ができる体制ができたと受けとめてよろしいのですか、先ほどのお話で。再度確認したいと思います。
  132. 高原寿一

    ○高原説明員 お答え申し上げます。  ロシアにおけるロシアの退役原子力潜水艦の解体の状況についてまず御説明させていただきます。  私ども、退役原潜による環境汚染の危険性というもの、これにつきましては委員指摘のとおり従来より取り上げられているところでございますので、まず我が方といたしましても、機会をとらえてロシアに対してこの点についての懸念を表明してきているところでございます。あわせまして、退役原子力潜水艦の解体状況についても照会中でございますが、いまだロシア側からの正式な回答はございません。他方、アメリカの報告がございまして、九四年末現在で百二十一隻の原子力潜水艦が解体され、あるいは解体の過程にあるということでございます。  そこで、その処理の問題になるわけですけれども、極東におきます太平洋艦隊における原子力潜水艦の解体に伴って生じます液体放射性廃棄物の処理の問題につきましては、先ほど御答弁させていただきましたとおり、我が国としてその処理施設の建設に協力を行っているところでございます。  また、ロシアの北方艦隊、ムルマンスクに基地を有します北方艦隊にも原子力潜水艦が配備されているわけでございます。こちらの方につきましては、ムルマンスクに年間の処理能力で千二百立方メートルの処理施設がございます。こちらの方もその処理能力を拡張することが必要であるということで、現在アメリカとノルウェーが協力をしてその処理施設処理能力の拡張を行っているところと承知しております。この処理施設は、本年末あるいは来年の初めごろに完成予定と承知しております。  我が国といたしましては、これらの国際的な協力によりまして、退役原子力潜水艦の解体から生じます液体放射性廃棄物海洋投棄が二度と繰り返されないということを強く期待しているところでございます。
  133. 大畠章宏

    ○大畠委員 ロシア原子力潜水艦の廃棄処分の問題については、言ってみればアメリカと前のソビエトの冷戦構造のときに、お互いにエスカレーションしながらどんどん物をつくるだけつくっちゃったということで、廃棄のところまで考えていなかったのかもしれません。日本としては非常に迷惑な話でございますが、間接的に影響があるということであれば、日本としてどこまで協力ができるかわかりませんが、外務省としても、そういうところに一生懸命協力をすることによって国際関係がよくなるわけですから、幾つかのことがあって大変だと思いますが、ぜひ今後とも御努力をお願いしたいと思います。  ついでに、核兵器がありますが、これも廃棄処分の方向性が出ています。核兵器の削減の現状とそこから出されたプルトニウムあるいはウラン等々の利用方法。利用方法がないとまたどこかへほうってこようかという話になりますから、きちっとした利用方法ができ始めているのかどうか、これもやはり日本としてきちっとチェックをしていかなければならないと思うのですが、現状についてお伺いしたいと思います。
  134. 高松明

    ○高松説明員 お答え申し上げます。  米国とロシアの戦略核兵器につきましては、第一次戦略兵器削減条約、いわゆるSTARTIという条約でございますが、その条約が署名されます前の一九九〇年の時点で、弾頭数にしまして、それぞれ約一万三千発、約一万一千発を有していたということでございますが、現在までにそれぞれ約八千二百発及び八千六百発に削減をされたというふうに私ども承知しております。また、米国とロシア以外の国につきまして、特に英仏は、一方的措置といたしまして核兵器の削減に取り組んでおるということを表明しておりまして、特にフランスは、本年の二月に地上発射の核兵器を全廃するということを発表しております。  核兵器の解体から生じますプルトニウム及び高濃縮ウランの処理につきましては、その方策と国際協力のあり方を検討する国際的な専門家会合というものを本年中に開催するということが、先般、四月の下旬に開催されましたモスクワ原子力安全サミットにおいて合意されております。我が国としても、この会合に積極的に参加いたしまして、プルトニウム、さらに高濃縮ウランの取り扱いに関しまして、我が国として有しております技術や経験をもとに積極的に国際貢献をしていきたいと考えております。
  135. 大畠章宏

    ○大畠委員 最近では、車、家電品もそうでありますが、つくるときは一生懸命つくるのですが、廃棄するところまでなかなか余り考えないでつくってきたのですが、これからは廃棄処分することあるいは再利用することも考えて車とか家電品をつくろうという傾向がございます。特に、放射性廃棄物の問題は非常に難しい問題でありますが、私は、通産省もそうでありますし科学技術庁等、関係省庁がそれぞれ協力をして、国民あるいはまた世界の人々が安心できる状況をつくるために、これからもぜひ御努力をいただきたいと思います。  そこで、あと五分程度になってまいりましたけれども、長官にちょっとお伺いしたいのは、長官におかれましては、就任早々「もんじゅ」の事故で大変な対応、御努力をお願いしていますし、さらにはモスクワ・サミット等々の準備等についても大変な御尽力を賜っているところでありますが、こういう世界で困っていることはやはりみんな同じだと思うのですね。  放射性廃棄物処理処分に関する日本の国際貢献についてお伺いしょうと思いますが、その前に、今質問していてちょっと思いついたのですが、アジア各国原子力発電所が今非常に注目をされて、建設を行おうとしています。このアジア各国廃棄物処理処分についても、同じように今後の大きな課題になってくると私は思いますので、これは科学技術庁の担当者の方で結構でございますが、アジアの原子力発電所の建設に伴う廃棄物処理処分国際協力の現状について、大臣からの御答弁の前にちょっとお伺いしたいと思います。
  136. 岡崎俊雄

    岡崎政府委員 御指摘放射性廃棄物処理処分につきましては、本来一義的にその発生国の責任において実施されるべきものであると考えます。しかしながら、放射性廃棄物処理処分は、各国共通の課題でもあるし、あるいは国際的な関連を有してまいる問題でもございます。こういう観点から、国際的な対応あるいは国際的協力というのは大変重要であろうと思っております。さきのモスクワ原子力安全サミットにおきましても、その一つとして、放射性廃棄物の安全に関する条約の作成の重要性について確認をされたところであります。この廃棄物条約に関しても、もちろん我が国は積極的に貢献をしていきたいと思っております。  さらに加えまして、旧ソ連、ロシア、あるいはただいま先生から御指摘のあった、将来原子力にとって大変重要となってまいりますアジア地域に おきます安全の問題、特に放射性廃棄物処理処分の問題について我が国が積極的に協力をしていくべきであろう、こう思っておりまして、具体的な取り組みを既に開始してございます。  その一つは、国際原子力安全研修事業というものを幾つか我が国が行っておりますけれども、その中に放射性廃棄物処理処分に関するコースを設け、その中にはアジア諸国の専門家あるいは旧ソ連の専門家を招請いたしまして、今研修に努めておるところでございます。  それから、特にアジア地域におきます協力につきましては、原子力委員会は既に平成二年以来、アジア地域原子力協力国際会議というものを開催し、幾つかの具体的な協力分野を設定しておりますけれども、その一つの大事なテーマとして廃棄物の問題を既に取り上げて、セミナー等の開催をいたしておるところでございます。  加えまして、さきのモスクワ・サミットで橋本総理が提案されましたアジアにおきます原子力安全東京会議というものも、ぜひ実り多いものになるように努力をしていきたいと思っておるところでございます。
  137. 大畠章宏

    ○大畠委員 それでは、最後になりましたけれども、日本原子力技術、関連技術の水準も大変高いものがございますし、これまでの蓄積は日本の国のためだけに使うのではなくて、まさに今も御答弁がありましたけれども、特にアジア諸国が原子力発電に大変積極的に行動をしている今、日本としての国際貢献の一つとしてこれまでの蓄積した技術というものをできるだけ広く諸外国にオープンにし、さらに廃棄物処理処分についても、これまでの多くの国民の中で激しい論議がありたがら今日の状況に至っているわけでありますから、ぜひそういう意味大臣のリーダーシップを期待しておるところでありますが、大臣の現在の考えでいらっしゃることをお伺いしたいと思います。
  138. 中川秀直

    中川国務大臣 ただいま局長から御答弁も申し上げましたように、また委員指摘のとおり、この放射性廃棄物処理処分問題は、国際的にもまた国内的にも避けて通れない極めて重要な課題でございます。一方で、発電所にたくさんの使用済み燃料が蓄積をされておるという現状もあるわけでございまして、低レベルにせよ高レベルにせよ、それについてはそれぞれの国が一義的責任を有しておるわけでございますけれども、それを環境への負荷を低減させて安全に処理処分していくということの方法を確立してまいらなければなりません。  そういう課題は、委員指摘のとおり、日本のみならず世界各国共通のまた課題でもございますし、これから原子力の発電にたくさんの計画をお持ちのアジア諸国においては、同じようなまた課題に直面をしていくわけでございます。  現在、IAEAにおいてこの放射性廃棄物管理の安全に関する条約の策定を鋭意進めている、こういうことも聞いておりますし、また、ただいま局長から御答弁申し上げましたとおり、アジア地域のいろいろな研修やあるいはまた情報交換等の会議等もやっておりますし、総理御提言のアジア諸国原子力安全会議というものも本年中に行われるわけでございます。  また、我が方の原研や、あるいはまた米国、カナダ、フランス等の研究機関、あるいは動燃とそういう諸国の研究機関との間において、いろいろな共同研究や情報交換のための取り決めを結んで協力を進めているということも事実ございますし、また、OECD・NEA等を通じて、分離に関する技術、核種、非常に難しい技術の確立が必要なわけでございますけれども、そういうものやら、あるいはまた消滅させていく技術の開発やら、これは加速器の技術等が必要であるようでございますが、そういう情報交換による協力も進めているようでございます。  これらの全般的な協力我が国が積極的に、先導的なまた役割も果たしていって、放射性廃棄物処理処分が国際的にも国内的にも安全かつ円滑に実施されるように努めてまいりたいと考えております。
  139. 大畠章宏

    ○大畠委員 ありがとうございました。終わります。
  140. 井上喜一

    井上委員長 本日、外務委員会への連合審査会開会申し入れの決議及び外務委員会からの連合審査会開会申し入れの受諾の決議をしましたが、連合審査会につきましては、関係委員長間で協議した結果、来る二十四日金曜日午前八時二十分から開会することになりましたので、御了承願います。  次回は、来る二十四日金曜日午後零時十分理事会、午後零時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十三分散会