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1996-03-14 第136回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年三月十四日(木曜日)    午後二時開議 出席委員   委員長 宮里 松正君    理事 佐藤 静雄君 理事 鈴木 宗男君    理事 高橋 辰夫君 理事 池田 隆一君    理事 荒井  聰君       粕谷  茂君    佐藤 剛男君      田野瀬良太郎君    武部  勤君       町村 信孝君    松下 忠洋君       山本 公一君    上原 康助君       緒方 克陽君    坂上 富男君       古堅 実吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総務庁長官) 中西 績介君         国 務 大 臣         (防衛庁大臣) 臼井日出男君         国 務 大 臣         (沖縄開発庁長         官)      岡部 三郎君  出席政府委員         防衛庁参事官  小池 寛治君         防衛庁防衛局長 秋山 昌廣君         防衛施設庁長官 諸冨 増夫君         防衛施設庁施設         部長      小澤  毅君         沖縄開発庁総務         局長      嘉手川 勇君         外務省アジア局         長       加藤 良三君         外務省北米局長 折田 正樹君  委員外出席者         水産庁海洋漁業         部国際課長   海野  洋君         運輸省海上交通         局外航課長   園田 良一君         運輸省航空局技         術部運航課長  石塚 武美君         特別委員会第一         調査室長    田村 勝美君     ————————————— 委員の異動 三月七日  辞任         補欠選任   佐藤 守良君     森本 晃司君 同月十四日  辞任         補欠選任   佐藤 孝行君    田野瀬良太郎君   西銘 順治君     佐藤 剛男君   二田 孝治君     山本 公一君   池端 清一君     緒方 克陽君   上原 康助君     坂上 富男君 同日  辞任         補欠選任   佐藤 剛男君     西銘 順治君  田野瀬良太郎君     佐藤 孝行君   山本 公一君     二田 孝治君   緒方 克陽君     池端 清一君   坂上 富男君     上原 康助君     ————————————— 二月二十七日  北方領土問題の解決促進に関する請願中島衛  君紹介)(第八七号)  同(堀込征雄紹介)(第一一四号)  同(小坂憲次紹介)(第一三九号)  同(井出正一紹介)(第一六六号) 三月七日  北方領土問題の解決促進に関する請願唐沢俊  二郎君紹介)(第二一〇号)  同(宮下創平紹介)(第二一一号)  同(若林正俊紹介)(第二一二号) 同月十三日  北方領土問題の解決促進に関する請願村井仁  君紹介)(第四四三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖縄及び北方問題に関する件      ————◇—————
  2. 宮里松正

    宮里委員長 これより会議を開きます。  開会に先立ち、新進党所属委員事務局をして御出席を要請いたさせましたが、出席が得られません。  再度理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。  速記をとめてください。     〔速記中止
  3. 宮里松正

    宮里委員長 速記を起こしてください。  再度御出席を要請いたさせましたが、新進党所属委員出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。  沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松下忠洋君。
  4. 松下忠洋

    松下委員 鹿児島から出ております松下忠洋と申します。時間は二十分ですので、よろしくお願いいたします。  まず初めに、中国はなぜこの時期に台湾近海軍事演習を行っているのか。発表されていることとは違って、その本当の意図するところは何なのかというところをお聞きしたいと思います。そして、それは演習の域を超えることはないのかどうか、このことについて、防衛庁長官、そして外務省にお願いいたします。
  5. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 今委員が御指摘になられましたとおり、中国は、祖国の安全と統一を擁護するための軍事的能力向上目的とした正常なものであるということでこの演習を位置づけておりますけれども客観的状況にかんがみて申し上げますと、台湾総統選挙の直前のこの時期に中国がこういう軍事演習を集中的に行うということは、これは、この選挙をにらんだ政治目的に基づくものではないかと思われるわけでございます。  台湾総統選挙を目前に控えまして、中国は連日、李登輝総統を攻撃するキャンペーンというのを行っておりますし、中国としては李登輝総統圧倒的支持を得て総統選挙に当選することを望んでいないということがその背景になっているのではないかと考えております。
  6. 臼井日出男

    臼井国務大臣 防衛庁といたしましては、中国台湾周辺で行っている軍事演習目的につきましては、的確に判断をしているわけではございません。しかしながら、中国は、現在台湾周辺で実施している軍事演習目的については、祖国の安全と統一を擁護するための軍事能力向上目的とした正常なものであるというふうに説明をいたしております。  他方、台湾李登輝総統が昨年の六月に訪米をいたしまして、それ以来中国台湾周辺演習を連続して実施をしていること、また、今月二十三日には台湾において総統選挙が実施される予定になっていること等から、台湾国際的地位向上を図る動き等に対する牽制の意図を有する、そういう見方が多いわけでございます。
  7. 松下忠洋

    松下委員 私もそうだと考えます。  それで、具体的にどんな演習が行われているのか。ミサイルが飛んできた、何発飛んできたのか。実弾演習と言われていますけれども、何発どんなふうになっているのか、そこを簡潔に具体的に教えてもらえませんか。
  8. 小池寛治

    小池政府委員 お答えいたします。  中国は、三月五日に演習海域及び期間について発表しております。すなわち、三月八日から十五日まで、台湾近海の二カ所において地対地ミサイル発射訓練を行うということを発表いたしました。それからまた数日後に、今度は十二日から二十日までの間、福建省沖海空域において艦艇、航空機演習を実施するという発表をしたところでございます。  台湾国防部発表によりますれば、十三日までに中国台湾北方海域ミサイルを一発、それから台湾南方海域に三発の計四発のミサイルを発射して、いずれも目標海域内に着弾した模様である。ただし、そのミサイル実弾であったというふうにはなされておりません。我々防衛庁といたしましては、そのミサイルがどういうものか具体的には承知しておりませんが、さまざまな情報を総合して判断しますに、十三日までに台湾北方海域に一発、それから台湾南方海域に三発、合計四発のミサイルを発射したものというふうに推定しております。
  9. 松下忠洋

    松下委員 その演習海域空域における船舶航空機、それから漁船操業の安全、これはきちっと守られているのか、そしてまた、日本国領であります与那国島、一番近いところですけれども、そこの住民の生活の安全というのはこのことで守られているのかどうかということをお尋ねしたいのです。そして、通常の場合それはどうだったのか、船舶航空機あるいは漁船操業ですね、この演習によってどのような影響を受けて、そしてそれに対してどのような対応をしておられるのか、そこを簡潔にお願いいたします。  外務省防衛庁、それから岡部開発庁長官運輸省水産庁もお願いします。
  10. 岡部三郎

    岡部国務大臣 今回の軍事演習が行われております台湾北東訓練海域は、先生おっしゃるとおり、沖縄与那国島からわずか六十キロの地点でありますし、沖縄漁業関係者当該区域近辺漁場への出漁を控えている等の影響が出ておると聞いております。この区域は、マチという高級な魚、あるいはカジキマグロ等の貴重な漁場であるようでありますが、与那国島の漁民は、訓練区域への出漁を三月四日以降見合わせておるということであります。  また、今回の訓練を契機に軍事的な緊張が高まることから、沖縄県民に不安を与えるばかりでなくて、台湾からの観光客減少等沖縄県の重要な産業の一つであります観光産業にも影響が出るのではないかと懸念しております。  このほか、那覇と台北間の飛行ルートの変更、あるいは那覇基隆間の定期航路運休等交通面においても支障が生じております。  今回の軍事演習に対しては、我が国としては中国政府申し入れを行ったところでありますが、沖縄県からも本件に関して政府に対し要請がありましたし、私といたしましても、このような状況を大変に憂慮いたしておるところであります。
  11. 園田良一

    園田説明員 それでは、船舶につきまして答弁申し上げたいと思います。  まず、船舶、二つございますけれども、いわゆるマラッカ海峡を通過いたしまして日本へ向かうタンカー、こういったものは不定期船と呼んでおります。これにつきましては、実はそのほとんどが台湾東側太平洋側を通航しているということで、具体的な影響ということはないというぐあいに私ども考えております。  ただ、日本から香港に入るコンテナの定期航路がございます。これにつきましては、台湾海峡を通過しているのが全体で年間三千五百隻、そのうち、今回の福建省沖実弾訓練海域、これを通過しておるものが大体年間約千三百隻、一日に、平均しますと約三隻程度がこの海域を通っているということでございます。それで具体的に、十二日から演習が始まっておるわけでございますけれども、きのうまでの時点で、その実弾訓練海域を迂回した船舶というのが約四隻ということで、これは日本船主協会の方から私どもは報告を受けております。  それで、迂回する場合に、航路としては台湾の西側、いわゆる澎湖諸島の周辺を通っていく航路か、あるいは台湾東側タンカー等が通っている航路を使う、二つ選択肢がございますけれども、仮にその東側を通った場合は、日本への帰港時間が約四時間程度長くなる、こういうことでございます。  それからあと、先ほどちょっと説明ございましたけれども沖縄台湾との間に有村産業という定期航路がございまして、これにつきましては、先日の日曜日に基隆港に寄港を取りやめたということでございますけれども、実は昨日那覇を出まして、本日その基隆に入るということで聞いております。  以上でございます。
  12. 松下忠洋

    松下委員 航空局、お願いします。
  13. 石塚武美

    石塚説明員 それでは、航空関係についてお答えいたしたいと思います。  まず、台湾周辺を運航する我が国航空会社の便数ですが、一日当たり約五十便、外国航空会社約八十便で、トータル一日当たり約百三十便飛んでおります。  本件につきましては、台湾当局香港当局から航空情報ノータムというものが発出されておりまして、このノータムでは、該当する区域につきましては、航空路を一時的に迂回するように指示されております。したがいまして、日本航空会社も、その指示に従って迂回して飛んでおります。運輸省航空局といたしましては、これらのノータムにつきまして、定期航空会社それから関係者に十分周知させておりまして、かつ那覇航空管制部台湾管制当局、これと密接な連携の確立を図っております。  したがいまして、我が国航空会社におきまして、特段の問題なく運航しております。
  14. 松下忠洋

    松下委員 やはり相当影響といいますか、船舶航空に出ているわけですね。  漁船はどうなっていますか。漁船操業についてお願いします。
  15. 海野洋

    海野説明員 漁船関係についてお答えいたします。  中国ミサイル等の実射訓練を行っている海域のうち台湾北東部海域は、この時期、我が国漁船では主に近海カツオ釣り漁船、それから近海小型マグロはえ縄漁船が、操業あるいは航行したりする可能性のある海域でございます。  水産庁としましては、外務省から三月五日に本件につきまして御連絡を受けました後、直ちに関係各県、それから関係の団体の方に注意喚起を促しました。このため、一部の漁業者は別の海域操業を行ったり、また当該海域を避けて航行したということを聞いておりますが、今までのところ、我が国漁船漁業関係への被害は受けておりません。  以上でございます。
  16. 松下忠洋

    松下委員 今お聞きになりましたように、船舶につきましても、飛行機につきましても、漁船操業につきましても、そしてまた、沖縄南方の方の島民の人たち生活にも相当影響が出ていることは、これは間違いない事実でありますね。それで、公海上とはいえ、実弾かもしれないようなミサイルが飛んでくる、そういう演習について、やはりこれは座視して、見逃していくわけにはいかないということ、これは明らかなことでございますけれども日本政府対応をちょっとお聞きしたいと思うのです。  中止を求める厳重な抗議というものをしておられるのか、あるいは、きょうちょっと新聞でも見ましたけれども円借款等の停となり経済協力の一時的な凍結、停止というものも含めて、毅然とした、きちっとした対応をしておられるのかどうか、その辺をちょっとお聞きしたいと思いますけれども外務省、お願いします。
  17. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 これまで外務省としてとってまいりました対応を申し上げますと、六日に私から在京中国大使館申し入れを行いまして、それから、海空演習を含めて中国軍事演習が本格化することが見込まれた十一日に、再び私から在京中国大使館に対しまして、我々の強い懸念と憂慮の念を伝達いたしました。そしてその際、今後の状況を踏まえて、引き続き日本政府からの申し入れというものがあるべきことを私は予告してございます。  また、今のような措置に先立つ今月の初めに、アジア欧州会合の際の日中首脳会談日中外相会談において、総理及び外務大臣から中国李鵬総理及び銭其シン総理外交部長に対して、我が方の立場というものをその時点において伝達した経緯もあるわけでございます。  しかし、中国が行っておりますこの演習ということ、その実態というものにかんがみまして、中止を要求するという申し入れを我々としてはまだ行ってはおりません。中国としての自制を求めるということを強く表明している段階でございます。
  18. 松下忠洋

    松下委員 加藤局長、よく言葉はわかりませんが、予告というのは、これはどういう意味ですか、今ちょっとおっしゃいましたけれども
  19. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 三月六日の申し入れ、それから十一日の申し入れ、いずれもミサイル射撃訓練の始まったすぐの時期、それから十一日は、十二日から二十日まで海空軍演習が行われるという、その前夜における段階での申し入れでございます。  その時点においては、中国演習というものが全体としてどのような姿、実態をとっていくのかということがまだわからない段階でございます。それから、先ほど委員質疑をされておられました日本に対する影響というようなものもだんだん判明してくるわけだろうと思うのでございます。こういうことを踏まえまして、私どもとして、私のこの六日と十一日の申し入れで終わるものではない、状況いかんに応じてまた高いレベルとか何かの申し入れを行うこともあり得べしということを私から伝えたという趣旨でございます。
  20. 松下忠洋

    松下委員 演習内容いかんによっては、あろいは周辺海域に対する影響によっては、もっときつい勧告あるいは中止抗議をするということがあるべし、こういう意味があるということでございますね。よろしいですか。
  21. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 大変恐縮でございますが、とにかく中国演習実態というものを見まして、その実態にふさわしい措置をとるということでございます。
  22. 松下忠洋

    松下委員 銭其シン外相が訪日されるということを聞いておりますけれども、こういう軍事演習にかんがみて、日本国としては今これを直ちに受け入れるわけにいかない、これは一時延期してほしいということを申し入れる考えはございませんか。
  23. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 中国との関係につきましては、中国軍事演習が、今日の、現時点段階において非常な国際法の違反を伴うような軍事演習となっているというところまではまだ言えない状況ではなかろうかと考えております。  それから、そのような演習を通じて台湾海峡において緊張が増しているということは事実でございます。しかし、そういうようなときには、まさにそういう状況であるがゆえにいろいろなレベルでの中国との対話の道ということはあけておいた方がいい、むしろそういう対話というものを促進して日本側考え方立場というのをきちんと伝達した方がいいというのが現在の政府考え方でございまして、昨日、国会におきましても、橋本総理からその趣旨の御答弁をされたというふうに理解いたしております。
  24. 松下忠洋

    松下委員 やはり毅然とした態度できちっとやるべきではないかというふうに私は考えます。  きのう、前の自由民主党の幹事長森喜朗先生とちょっとお話をいたしました。台湾から帰ってこられたばかりだという話でございましたけれども、どうですかというお話をいたしましたら、向こうの、中国人たち意図、それから台湾人たちの受けとめ方は、これは初めて台湾で行われる直接投票による国の指導者を選んでいくという民主的なルールといいますかやり方に対して、非常に中国側不快感を持ってやっているんだということ、台湾側としてもしっかりそういう感じを持っているようだということをおっしゃるわけですね。  やはり民主主義に対する挑戦だと思うのですね、鉄砲や大砲やミサイルでやってくるというやり方ですから。これはやはり大国中国として、国連に加盟している、しかも常任理事国大国としてのやり方ではないと私は思うのですよ。  こういうことを含めて、防衛庁長官、閣僚の一人として、中国のこういうあり方、どのように考えておられますか。率直な御意見をいただきたいと思います。
  25. 臼井日出男

    臼井国務大臣 先ほど来お話がございましたとおり、今回の中国軍事演習が、我が国与那国島からも六十キロ程度の距離しかないということで、我が国に与える影響というものについて憂慮しているわけでございます。先ほど来お話ございましたけれども、双方間の話し合いで今回の演習が大きな事態に発展しないように望んでいる次第でございます。
  26. 松下忠洋

    松下委員 岡部長官、御感想ございましたらお願いします。
  27. 岡部三郎

    岡部国務大臣 先ほども申しましたように、この演習区域に最も近接しています沖縄におきましても、県民生活にさまざまな影響が出ておるわけでございます。私としても大変憂慮をしておりますと同時に、先ほど外務省からもお話がございましたように、今後の調査の結果によっては再度申し入れをすることもあり得べしということでございますから、そういうことを強く期待をいたしておる次第でございます。
  28. 松下忠洋

    松下委員 終わります。
  29. 宮里松正

    宮里委員長 新進党所属委員出席がいまだに得られません。やむを得ず議事を進めることとし、質疑を続行いたします。池田隆一君。
  30. 池田隆一

    池田(隆)委員 私の方からは、沖縄米軍基地問題に関連して何点かお尋ねをしていきたいと思っています。  予算委員会等の中ではこのことも論議されたと思いますけれども、当特別委員会では、橋本政権で両大臣がそれぞれ御就任なさってからの初めての論議だというふうに思いますので、そういう旭点もありますので、よろしくお願いしたいと思います。  まず、米軍基地代理署名の問題でございます。  三月十一日に福岡高裁那覇支部口頭弁論が行われて、沖縄大田知事意見陳述をされました。  その意見陳述内容は、残念ながらマスコミ筆によってしか知るよしがありませんけれども、そのマスコミによれば、大田知事は、国土の〇・六%の面積しかない沖縄に七五%の基地が集中している、安保の重要性を言うなら全国民が平等に負担に応じるべきでないか、日米地位協定には基地沖縄にとは書いてない、沖縄の人々は五十年間基地は嫌だ、我々も人間らしく扱ってほしいと訴え続けてきている、人を犠牲にしてみずからの安全を図ることは人間社会にあってはならないことではないか等々、代理署名を拒否した理由を含めまして述べておられるようでございます。  この沖縄の心を切実に訴えた大田知事の発言から、私たちは改めてこの基地問題の一日も早い解決に向けて努力をしていかなければならぬというふうに思っているところでございますけれども、両大臣におかれましては、特に外務省所管でございますが、それぞれ所管大臣でございますので、それぞれのお立場から、これについての感想、また決意等を含めましてありましたら、お聞かせ願えればと思います。
  31. 岡部三郎

    岡部国務大臣 今般の大田知事の証言につきましては、私もマスコミで知っている限りでございますが、かねてから沖縄県が主張されてきたことを述べられたものだと承っております。  この問題につきましては、現在裁判所で係争中でございますので、その判断を見守ってまいりたいと考えておりますが、いずれにいたしましても政府としては、沖縄における米軍施設区域整理統合縮小及び日米地位協定にかかわる諸問題については現在精力的に取り組んでいるところでありますし、私といたしましても、その推移を強い関心を持って見守っていくと同時に、その進展を期待いたしておるところであります。
  32. 臼井日出男

    臼井国務大臣 ただいま委員お話しのとおり、沖縄我が国における米軍基地大変集中をしている、このことによって大変長い間沖縄県民には多くの御苦労とまた苦しみをお与えをしてきた、このことを私どもは強く認識をいたしているところでございます。  既に米軍米国側との話し合いの場でございますSACO等を通じまして、沖縄側問題解決のために整理統合縮小に向けて全力を尽くしているところでございます。  この裁判につきましても、やがて結審になるわけでございますが、私どもは重大な関心を持って見守っているところでございます。
  33. 池田隆一

    池田(隆)委員 ありがとうございます。  政府としての基本的な押さえがあるわけですけれども、両大臣の個人的な意見でも結構なのです。沖縄の心をどう理解しているのかというところが一番政策反映についても大事なところではないかと思っているのですけれども、その辺はいかがでしょうか。もう一度お願いしたいと思うのです。
  34. 岡部三郎

    岡部国務大臣 先生御案内のとおり、沖縄は、戦中戦後大変に苦労をされてきたところでありますし、今なお基地問題で大変な苦労が続いておる、こういう地域でございますから、我々としては、その御苦労に報いるためにも、この地域振興発展に最大限の努力をしてまいらなければならぬと考えておるところであります。
  35. 臼井日出男

    臼井国務大臣 ただいま私がお話を申し上げましたとおり、戦中戦後、沖縄県民皆さん方には大変御苦労をおかけいたしております。私どもといたしましては、この問題は単に沖縄県の問題としてではなくて、日本国民全体の問題として受けとめるべきだ、このように考えておりまして、ぜひとも、日本本土にお住まいの皆さん方にも、この問題は自分と同じ立場ということでもって御理解をいただき、また今後御協力いただく必要があるのではないか、こういうふうに思っております。
  36. 池田隆一

    池田(隆)委員 ありがとうございます。  痛みをどう感じて、それを感じれば感じるほど、政策として展開していかなければならぬというふうに思っているわけですね。ですから、具体的な交渉の場面もありますでしょうし、それに臨む基本姿勢をどう持つかというところにかかってくるのではないかと思っています。  沖縄開発庁長官である岡部先生にお尋ねいたしますけれども沖縄では、昨年三月に県として、二十一世紀に向けた沖縄グランドデザインとして国際都市形成整備構想というものを打ち出したそうでございます。それには、都市基盤を南の交流拠点として整備して、二十一世紀に向けて活力と魅力にあふれる質の高い国際都市、そういう都市整備をしていこうということを目指していると聞いています。この整備構想の実現に向けて最大の障害になるのは、やはり米軍基地の問題ではないかというふうに思います。  沖縄の振興開発については、沖縄が本土に復帰して以来、振興開発計画に基づいて進めているわけです。現在の第三次の計画は、平成四年九月に内閣総理大臣のもとで決定をされて、その振興開発計画に基づいて施策が進められているわけですけれども、この第三次計画の第二章の「振興開発の基本方向」の三項目めの「県土利用の基本方向」の三項目め、そこでは既に、「米軍施設区域の整理縮小と跡地の有効利用」ということが平成四圧にうたわれているわけですね。  ちょっと読ませていただきますと、   沖縄米軍施設区域は、そのほとんどが人口、産業が集積している沖縄本島に集中し、高密度な状況にある。広大な米軍施設区域は、土地利用上大きな制約となっているほか、県民生活に様々な影響を及ぼしている。   このため、米軍施設区域をできるだけ早期に整理縮小する。   また、返還される米軍施設区域に関しては、地元の跡地利用に関する計画をも考慮しつつ、可能な限り速やかな返還に努める。さらに、返還跡地の利用に当たっては、生活環境や都市基盤の整備、産業の振興、自然環境の保全等に資するよう、地元の跡地利用に関する計画を尊重しつつ、その有効利用を図るための諸施策を推進する。このように既にうたわれているわけでございます。  そこで、米軍基地の整理縮小の問題については、今、外務省を中心に外交を通していろいろやっているわけですけれども沖縄開発庁としましては、この問題について、この開発計画の項目については、過去どのように受けとめて、どのように推進してきたのか、そして今後どのようにしていこうとなされているのか、その辺のところをお尋ねいたします。
  37. 岡部三郎

    岡部国務大臣 沖縄開発庁といたしましては、返還跡地につきまして、従来も、地元の跡地利用計画が固められたものにつきましては、速やかに高率の国庫補助による事業の施行に努めてきたところであります。また、昨年六月には駐留軍用地返還特別措置法が施行されたことに伴いまして、沖縄総合事務局に駐留軍用地跡地等の利用に関する連絡協議会をつくりまして、沖縄県及び関係市町村の相談に応じ、適時適切な助言、協力を行うことにしております。  今後とも、米軍基地の整理縮小が進展することを期待いたしますとともに、その跡地の有効利用に努めて、沖縄の経済の発展、また県民生活向上のために資してまいりたい、かように考えております。
  38. 池田隆一

    池田(隆)委員 どうも待ちの姿勢ですね。  開発計画にはきちんと「整理縮小する。」というふうに書いている。政府全体がやっていくという意味合いもあってそういうふうな形になっているの、だと思うのですけれども所管大臣としては、今までこれが進んできていないということについては、計画との整合性の中では非常に大きな問題だろうと思うのですね。ですから、これは、防衛庁外務省だけの問題ではなくて、基本的に沖縄の問題であるとすれば、やはり沖縄開発庁の問題であるというふうにみずからお考えになって、縦割り行政がいろいろ言われていますけれども、横の連携をしながら進めていかなければならぬ問題ではないかと思います。この米軍基地の整理縮小の問題についての基本的な認識を、もう一度お尋ねしたいと思います。
  39. 岡部三郎

    岡部国務大臣 おっしゃるとおりに、沖縄の振興開発を図る面におきましては、沖縄本島だけに限って見ますと、その土地の二〇%が米軍施設区域に利用されておるということで、土地利用なり県民生活にとってこれが大きな課題であるということは間違いのない事実であります。したがいまして、第三次振興計画におきましても、施設・区域縮小ということ、そしてその跡地の利用ということが述べられているわけでありますので、私どもといたしましても、そうした計画の実現に向かってこれからも最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
  40. 池田隆一

    池田(隆)委員 横の連絡を密にしながら進めていただきたいと思うのですね。  そこで、外務大臣がおられないので極めて残念ですけれども外務省にお尋ねをしたいと思うのです。  今開発庁長官が述べられたとおり、米軍基地の問題というのはやはり沖縄の振興開発については大きな問題だろうと思っています。今、日米間で精力的にこの問題について協議をしていると聞いています。そして、四月にも来日をされるクリントン・アメリカ大統領との首脳会談で一つの大きなポイントになるのではないかというふうにも言われています。  そこでまず、米軍が、東アジアに約十万人、そして日本に四万七千人という枠がある。この枠をまず大枠として変更していかなければならぬだろうと思っているわけです。当然、日本における米軍基地の問題、特に米軍の規模の問題、人数の問題については大きな課題になるのではないかというふうにとらえていまして、私たち社会民主党としましては、その折に規模の数字を明示していくということになりますと固定化につながっていく危険性もあるわけですから、それを避けるべきではないかと考えていますけれども、現段階での外務省の御見解はいかがでしょうか。
  41. 折田正樹

    ○折田政府委員 四月十六日から十八日にクリントン大統領が国賓として訪日をされます。そのときに安全保障に関する共同文書を出そうではないかということになっているわけでございますが、その内容につきましては、クリントン大統領の訪日に向けてこれからアメリカ側と調整していくという話のものでございますから、現段階で具体的内容については申し上げられる段階にはないというふうにお答えせざるを得ないと思います。  それで、基地の固定化云々というお話先生からございました。私どもといたしましては、沖縄の方々の負担を少しでも軽減させていくということで今鋭意努力をしているわけでございまして、さまざまな創意工夫と合理化によって、沖縄におきます在日米軍の施設・区域整理統合縮小を行うことが可能ではないかという観点から鋭意やっております。  この作業は、特別行動委員会、いわゆるSACOという場を中心にやっておるわけでございます。この行動委員会の結論は、できましたのが去年の十一月でございまして、一年をめどにということになっておりますので、秋を目指してできるだけ具体的な成果を上げるように我々努力したいと思いますが、クリントンさんが四月に来られるということは大きな政治的な節目でもございますので、大統領が来られるときに向けてできるだけ方向性が出るように、私ども真剣に努力したいと考えておるところでございます。
  42. 池田隆一

    池田(隆)委員 やはり年次を追って数字を縮小していくような、規模の数字の明示があれば見えた形になる、わかるわけですけれども、ただ、当面何万人体制ということになってしまうと固定的になってしまいますので、そうすると、統合はあり得るかもしれないけれども、整理縮小の部分については難しくなっていくみたいな感じになってきますので、その辺を十分に認識されながら進めていただきたいというふうに要望しておきます。  それで、今、特別行動委員会、SACOの話が出ましたけれども、クリントン・アメリカ大統領の訪日の前にペリー国防長官も来られると聞いております。当然その際には、防衛庁長官とも会談を持つのではないか。そうしますと、先月橋本総理がアメリカでクリントン大統領と会談をした中で、普天間飛行場の返還問題が議題となったと聞いていますが、その返還問題をどうするのかということが大きな課題になるのではないかと私たちは認識しているのですけれども、この普天間飛行場の返還問題について、防衛庁としてはどのように認識をされて、その会談に対してはどのように臨まれようとなされているのか、現段階でのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  43. 臼井日出男

    臼井国務大臣 ペリー長官がクリントン来日に先立って来日するということは伺っているわけでございまして、今後、どのような時期にお出かけいただけるか、外交ルートを通じて調整されることになる、こういうふうに考えております。  大統領との両国の首脳会議におきましては、二十一世紀に向けての日米の安全保障体制の将来性について幅広く意見が交換されるもの、こう考えております。私どもも、日米安全保障体制の信頼性の向上、またこれを有効に機能させるための努力、そういうものはあらゆる機会を通じてやっていかなければならない、こういうふうに考えておりまして、ペリー長官にはぜひともお会いをして、両国首脳会談、この成功に向けて資すべく私ども意見交換をしてまいりたい、このように考えております。
  44. 池田隆一

    池田(隆)委員 普天間飛行場の返還問題についての具体的なコメントがなかったのですけれども……。
  45. 臼井日出男

    臼井国務大臣 先ほど来お話ございましたとおり、現在SACOにおきまして、日米間で精力的に協議を重ねているところでございます。具体的内容につきましては、ここでお話を申し上げるのを御遠慮させていただきたいと思います。
  46. 池田隆一

    池田(隆)委員 橋本総理も、先月、アメリカ大統領と具体的にこういう問題を課題として挙げているわけですから、やはり積極的に防衛庁としてもかかわっていただきたいというふうに希望しておきます。  特に最後に、普天間飛行場、嘉手納飛行場等の騒音防止協定の問題があります。これは既に、日本では厚木、横田でこの騒音防止協定が出されて、騒音の軽減に向けて大変効果を上げている。まだまだ課題がありますけれども、一定の効果を上げているということですので、この辺の認識をどういうふうにとらえているのか、どのように進めようとしているのか、外務省の見解と防衛庁長官の決意をひとつお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  47. 折田正樹

    ○折田政府委員 嘉手納飛行場と普天間飛行場におきます航空機騒音の問題は、沖縄県からいただきました日米地位協定の見直しに関する要請の中で非常に重要な項目として挙げられておりまして、沖縄の方々が早期解決を強く求めておられるというのは私どもも十分に承知しております。  私どもといたしましては、先ほどのSACO、特別行動委員会の第一回目の作業グループが十二月二十二日に開かれたわけでございますが、この問題は、ほかの五項目とあわせまして優先的に先にアメリカ側と協議を開始する事項ということで、今、日米合同委員会のもとの下部機構でございます航空機騒音分科委員会というところで鋭意協議をしているところでございます。  今委員御指摘のように、横田と厚木の飛行場におきましては合同委員会合意というものがございます。私ども、嘉手納及び普天間についても、同じように合同委員会合意という形で話をつけられないかということで今積極的にやっておりまして、遠からず結論が出るものというふうに、鋭意やっているところでございます。
  48. 臼井日出男

    臼井国務大臣 ただいま御報告がございましたとおり、日米間で精力的に協議を続けております。私どもといたしましても、三月中にでも結論が出せるように、これからも鋭意努力をいたしてまいりたいと思います。
  49. 池田隆一

    池田(隆)委員 この米軍基地の問題は、言葉だけで整理統合縮小だとかいろいろ言っていても、具体的にどう見える形になってくるかということがやはり沖縄の心にこたえる形であろうと思いますので、今後の努力を期待いたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  50. 宮里松正

    宮里委員長 次に、荒井聰君。
  51. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 私の大変尊敬する外交官に、元イギリス大使をされておりました千葉一夫さんという方がおられます。実は、千葉一夫さんは沖縄返還交渉当時の北米一課長をされていて、大変なハードネゴシエーターとしても有名な方でありました。この方は、今でも大変沖縄で人望があり、あるいは太い人脈があります。それは、単に外交官として、ハードネゴシエーターとして沖縄問題、沖縄の返還問題を解決したというだけではなくて、私は、沖縄の人の気持ち、心というものを十分酌み取った、そういうものを沖縄の人がわかってくれたからではないだろうかなというふうに思います。  あるとき千葉さんに、今沖縄の人が一番求めているのは何ですかと聞きましたら、即座に、基地問題は別です、即座に水だという話をしたことがございます。そんなこともあって、当時日本でまだ技術的に解決のしていない地下ダムというような新しい技術を沖縄で展開する端緒にもなったのであります。  私は、この話はいろんな意味を今含んでいるのではないかなというふうに思っております。ここへ来て、沖縄県の知事と国とがいろいろな形で意見が違ってきた、意思が違ってきた。先ほど両長官から、基地問題というのは沖縄の人に大変迷惑をかけている、国民全体でこれを解決するために努力をしなければならないというお話を伺いましたけれども、その努力の仕方なり方向というのが果たして沖縄の人に本当に上手にうまく伝わっているだろうか、あるいはその体制が沖縄にしっかりつくられているだろうかというふうに思うわけであります。  そこで、少しお聞きしたいのですけれども、今、沖縄現地には、国の機関、国の出先機関が幾つかあると思うのですけれども沖縄開発庁、防衛施設庁、それから外務省にもそれぞれお聞きしたいのですけれども、どのような規模でどのような業務を行っているのか、そして沖縄県あるいは沖縄の地方自治体とどのようなパイプをつくっておられるのか、そこをお聞きしたいと思います。
  52. 岡部三郎

    岡部国務大臣 荒井先生おっしゃるとおりでございまして、沖縄は戦後大変な苦労を重ねながら、今なお大変にこの基地問題で苦労生活を強いられておる、こういうことでございますから、私ども開発庁としては、この振興を図るために最大限の努力をしていかなければいかぬ、そういうことで、組織としてはもう御案内のように、通常の地域ならばそれぞれの省庁が出先機関を持つものでありますが、開発庁という形で一括しまして、現地においてもその事務局をつくって、そこで総合的な調整を図りながら進めておる。  さらに、金融面におきましても、政策金融を行うさまざまな機関がありますが、沖縄においては沖縄金融公庫という形でこれらを統合して、最も現地の声を反映しやすいような形で運営をしておるということでございます。
  53. 折田正樹

    ○折田政府委員 外務省関係で申し上げますと、沖縄県からの御要望を受けるという形で、平成二年四月一日から、外務省の職員、管理職クラスでございます企画官クラスを沖縄に出向の形で出させていただいております。  所掌事務は、在沖米軍に関する問題の処理、それから国際化時代に対応するための国際交流の促進ということで、参事の職をいただいているということでございます。
  54. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 お答えいたします。  私どもは今、沖縄県の方には、出先といたしまして那覇防衛施設局を設けております。なお、那覇防衛施設局の下部に、金武町に防衛施設事務所を設けておるところでございます。職員の総数は、現在、今の事務所まで合わせまして平成七年度末の定員が四百三十名という……(荒井(聰)委員沖縄にですか」と呼ぶ)はい、沖縄でございます。沖縄だけです。  業務内容といたしましては、それぞれの施設・区域の提供が主たる業務でございまして、あと補償業務であるとか、あるいはお借りしているところの借料を提供するとか、そういうところが主たる業務でございます。  予算全体としては、ちなみに申し上げますと、平成七年度で千五百六十五億程度の執行が行われる予定になっております。  以上でございます。
  55. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 実は昨年の十二月に、この基地問題調査のために与党三党で調査団を組みました。自民党からは加藤紘一幹事長、それから社会党からは、当時の社会党ですけれども、久保書記長、さきがけからは鳩山代表幹事、あとそれぞれ一名ずつ担当者が行きまして、私も参りまして、向こうで大田知事基地問題について随分突っ込んだ議論をさせてもらいました。  基地問題については、まあいろいろな議論が出てくるだろうなということは予想をしておりました。しかし、最後に大田知事がこうおっしゃったのです。  きょうは与党の方たちがいるからぜひお願いをしたい、八重山地域のマラリア問題というのが沖縄の戦後五十年の象徴的な問題として残っている、この問題でさえ日本政府解決に本当におみこしを上げてくれないようでは、基地問題についていろいろ議論をしても、やってくれているあるいは努力をしているといったような、沖縄県民はとてもそういう理解にはならないですよ、ぜひこの八重山のマラリア問題については、沖縄県民の気持ちを理解して、何とか平成八年度予算に結びつけてもらいたいということをおっしゃっておりました。  私は、むべなるかなと。先ほど国民全体で基地問題をと言っているときに、戦後五十年ずっと、確かに国の制度としていろいろな難しい問題も抱えていたのでしょうけれども、この八重山のマラリア問題というのに関して政府はどうしても手が出せなかった、出していかなかった。そこで、与党三党が決心をいたしまして、何とか慰藉事業をということで、昨年度予算で政府に強く申し入れたわけであります。  しかし、その過程で沖縄開発庁は残念ながら、資料がない、あるいは他のたくさんの慰藉事業だとかあるいは援護法上の関係もあるのでしょう、そういうものとの均衡上から大変難しいという立場をとらざるを得なかった。それにも理解を示すのですけれども、とらざるを得なかった。そして、そのことが沖縄県を大変落胆させたという経緯があったのではないだろうか。これからも沖縄県と国というのはいろいろな形で信頼関係を強めていかなければならないというときに、このマラリア問題というのは大変大きな象徴的な問題だったのではないだろうかなと私は思っております。  それで、現時点での沖縄のマラリア犠牲者の慰藉事業についての取り組み状況、あるいは財政当局との間の結論、あるいは沖縄県との取り組み状況といったようなものもお聞かせ願いとうございます。
  56. 岡部三郎

    岡部国務大臣 懸案でありました御指摘の八重山地域マラリア死没者慰藉事業につきましては、これはもう荒井先生も大変な御尽力をいただきましたが、与党の戦後五十年問題プロジェクトチーム、ここで特別の御配慮をいただき、また与党調整会議におきましてもいろいろと御審議をいただきまして、総額三億円の慰藉事業費を計上する二とができたわけであります。その内容につきましては、沖縄県と全く合意に達しておるわけでございます。今回の予算の成立を待ちまして、早急に執行できるように現在沖縄県と協議中でございます。  なお、この事業の内容につきましては、政府委員から答弁をさせます。
  57. 嘉手川勇

    嘉手川政府委員 ただいま大臣から御答弁がございましたとおり、八重山地域のマラリア死没者に係る慰藉事業につきましては、総額三億円を沖縄県に補助することといたしております。沖縄県と協議いたしました結果、慰藉事業の内容は次のとおりとなっております。  慰霊碑の建立事業費として五千万円、祈念館の建設事業費として一億五千万円。それに、与党政策調整会議から追加要求のございました一億円についてでございますが、それは、一つ、マラリア慰藉のための死没者資料収集・編さん事業費として八千万円、次に、マラリア慰藉のための死没者追悼式典の開催経費として二千万円、合計一億円となっております。  現在、沖縄県と連絡をとりつつ、慰藉事業の実施に向けて事務的な準備を進めているところでございます。
  58. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 このマラリア死没者の慰藉事業については、さまざまな経緯があったと思います。また、財政当局との協議というのも大変困難な過程を経たのだとは思いますけれども、私は、沖縄開発庁というのは、沖縄立場に立って、沖縄の方から物を見ていくということをぜひお願いしたいなと。  ともすると、やはり、東京から物を見たり、あるいは財政当局の立場に立ちがちだと思います。それは国の役人としてそういう立場に立ちがちだというのは私も理解しますけれども、事沖縄問題はやはり違うのではないだろうか。沖縄のことを理解するというのは、沖縄立場に立ってさまざまな折衝をしていく、そういう形でなければ、本当の意味沖縄の人の気持ちをつかまえることにならないのではないだろうか。これの配分方式などについてはまだ県といろいろ議論を重ねているところだと思いますけれども、県が何を期待しているのかということを十分しんしゃくして、これからも当たっていただきたいと思います。  さて、もう一つ、私が十二月に行きましたときに、外務省から派遣されていた方、大変お若い方ですけれども、大変一生懸命やっておりました。県からも随分評価をされておりました。しかし、それだけではやはり十分ではないのではないか。  これだけ大きな、日本基地のほとんどを抱えている、そして日米安保条約の根幹を踏まえている地域です。基地の問題あるいは日米の外交問題などにも沖縄の人が出席するというのは、私はこれは国の関係ですからなかなか難しいとは思うのですけれども沖縄のことを本当によく知っている人、先ほどの千葉さんではないですけれども、千葉さんは沖縄返還交渉の約二年ぐらい、自分の担当のときに十数回沖縄を訪れたと言っておりましたけれども、これからの外交交渉というのは、本当に地元のことをよく知っている、現地をよく知っている、現場をよく知っている、そういう人が交渉の中に、交渉団の中に加わっている、あるいは交渉の結果を現地にしっかり理解してもらうような努力をしていくという仕組みをつくることが私はとても大事なのではないかと思うのです。  北海道には北海道大使というのがおられます。これは、北方四島の返還問題を北海道民に理解してもらうためにさまざまな活動をされております。北海道にとって、この北海道大使が北方四島返還運動に果たした役割というのは大変大きいと私は思うのですけれども、このような仕組みが沖縄にあってもいいのではないか、いや、むしろ沖縄にこそあるべきではないか。  国の基地政策はどうあるべきなのか。これは確かに地元に大変な御迷惑をおかけしているけれども、国の立場として、そういう立場から、沖縄の経済界の人あるいは沖縄の文化人の方とさまざまな形で意見交換をしていく、あるいは沖縄の人の心の痛みを本当に理解した人、そういう方も代表団に入って、基地の返還交渉なりあるいは縮小交渉など一緒に交渉していくということの方が、むしろ本当の現実感というか現場感覚をアメリカに伝えることもできるのではないだろうか。  私は、日ロ漁業交渉だとか日韓漁業交渉だとかというときに若干携わったことがあるのですけれども、そのときには、会議場には入りませんけれども、北海道の漁業代表者が、あるいは場合によっては北海道の地方自治体の長がその交渉団に加わって、本当の現場の感覚を交渉団に伝えていくという役割をしております。そんなことが、交渉自体を新しいステージに持っていくことができるのではないだろうか。  そういう意味で、沖縄に駐沖縄大使、この基地問題を議論する大使というものを置くことも大変有意義な一つの手法ではないかというふうに思っているのですけれども外務省、このあたり、いかがお考えでしょうか。
  59. 折田正樹

    ○折田政府委員 千葉大使は私も尊敬申し上げる大使でございます。沖縄返還交渉のときに北米一課長として活躍されて、沖縄の方々の信頼が厚いというのは私どももよく伺っておりますし、今も千葉大使にはよく御意見を伺っております。  それから、出向者に対するお褒めの言葉、どうもありがとうございました。私ども、やはり沖縄県民の方々の御意見、御要望を、本当に率直に、真剣にまた耳を傾けていかなければならないのだろうというふうに、それは当然のことであろうというふうに思いますし、そういうことを通じてやはり信頼関係というものをつくっていく必要があるのだろうというふうに思います。  それで、実は、沖縄県との意思疎通の場といたしまして、去年の十一月に、官房長官、外務大臣、それから防衛庁長官等、政府の責任者が沖縄県知事から直接にお話を伺う場としまして、沖縄米軍基地問題協議会というものを、これは閣議決定でございますけれども、設置しました。そのもとに幹事会というのがございまして、これは官房副長官が長で、私も含め政府局長レベル、それから沖縄県側は副知事以下の方々でございますけれども、この方々と頻繁に、随時会議を開いているということでございまして、最近においては、まだまだ御批判はあろうかと思いますけれども政府沖縄県との間の意思疎通はよくはなっておるのではないかというふうに思います。  先生の言われました、沖縄に大使を置くという話、御趣旨は非常によくわかりますし、昨年十二月に与党で沖縄を訪問されたときにこのお話があったものと私ども受けとめております。  私どもといたしましては、仮にこういう大使を設置した場合に、一体どういう役割、効果が期待し得るのか、それから、政府沖縄県との間に、今申し上げましたような既存のルートというのをつくったばかりでございますので、これとの関係をどうするかとか、それから、沖縄県の方々がどうお考えになるかとかということを含め、総合的に検討させていただきたいというふうに思います。  いずれにいたしましても、沖縄県との間の意思疎通をよくしなければならないということは、まさしく先生のおっしゃるとおりだと思います。
  60. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 沖縄駐在の大使というのはぜひ前向きに御検討いただきたい。やはり、現場をよく知っている方が交渉団に入る、あるいは現地の人たちにいろいろさまざまな理解ある説明をしていくということはとても大事なことだろうというふうに思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。  最後に、総務庁長官、来られましたので、一つだけお願いがございます。  昨年の十二月の段階で、戦後五十年問題プロジェクトチームの方から、北方領土の問題に関して幾つか政府の方にお願いを申し上げました。  その中の最大のものが、北方領土居住者への融資事業に関して。これは、もう二十年ぐらい前からずっと御要望申し上げていたのですけれども、一世が大変お年寄りになってしまった。二世、三世に対しても融資をしていただきたい。一世がもう六十、七十、場合によっては八十ぐらいの人たちもたくさん出てきているわけですので、これは、今後の北方領土の返還の問題を継続して強めていくためにも、あるいは島が返ってきたときに、そこに住みついて地域を開発していくという可能性を高めるためにも、二世、三世を融資対象にしていかなければ、北方領土の返還運動というのは下火になってしまうのではないかということを私は危惧しております。  この二世、三世の融資対象問題、これもまた法的には大変難しい問題をたくさん抱えているのではないかと思うのですけれども、そこをぜひ、さまざまな知恵を出していただいて、この融資対象にするようにお願いを申し上げます。  もしも総務庁長官の方から何かコメントがございましたら、お願いを申し上げたいと思います。  それからもう一つ、せっかく北海道開発庁長官でもあります岡部長官がおられますので、これは希望なんですけれども、現在、航空運賃の値上げ問題が、航空三社からそれぞれ申請が出されておりまして、検討中でございますけれども、北海道の、特に東京−札幌間の航空運賃が値上げをする、さらには割引の形態として往復運賃がなくなるということがございます。これは、北海道経済にとって大変大きな影響を与えるというふうに言われておりまして、北海道経済界挙げてこれについては是正を申し入れておりますけれども、現在のところなかなか難しいというような状況なんです。北海道開発庁といたしましても、ぜひこの航空運賃問題については大変大きな関心を持っていただいて、北海道経済の振興のためになるような割引制度なり運賃制度になるように、極力御努力をいただきたいというふうに思います。  総務庁長官、もしもコメントございましたら、よろしくお願いいたします。
  61. 中西績介

    ○中西国務大臣 北海道からの要請だとか、あるいはプロジェクトチームの決定だとか、いろいろあることは承知しております。同時にまた、この問題については、大変長い間皆さん方の要請等もあるわけでありますけれども、基本的にやはり相当難しい問題もございますので、現状は、北方四島関係者の皆さんの御意見などを今聴取をし、そしてまたどう検討していくかについての検討をいたしておるところであります。したがって、大変な御苦労をかけておりますので、この点についても十分認識をして、検討していきたいと思っております。
  62. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 ぜひ前向きな御検討をお願いいたしまして、私の質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  63. 宮里松正

    宮里委員長 古堅実吉君。
  64. 古堅実吉

    ○古堅委員 三月十二日付の朝日新聞、このようなものですが、これに、沖縄米軍基地問題を協議する日米特別行動委員会で、日本政府が米側に十七基地、施設の返還を提案し、このうち数カ所については米側も返還に同意しているという内容の報道がなされています。そのとおりでしょうか。
  65. 折田正樹

    ○折田政府委員 委員御指摘の新聞記事は、私どもも拝見いたしました。  今現在、政府といたしまして、沖縄における施設・区域整理統合縮小について最大限の努力をしているところでございますけれども、現時点において、各施設・区域において論点の整理や問題点の洗い出しを行っているところでございますが、まだ具体的にどこの基地についてどうということを申し上げる段階には至っていないということをお答えさせていただきたいと思います。
  66. 古堅実吉

    ○古堅委員 それでは、この報道は行動委員会で進められている話とは異なる、そうおっしゃるのですか。
  67. 折田正樹

    ○折田政府委員 今申し上げましたように、日米間において、論点の整理や問題点の洗い出しについて双方がアイデアを出し合って共同で作業を行っているわけでございまして、日本御提案とか米御提案とかいったものがあるわけではございません。
  68. 古堅実吉

    ○古堅委員 何も提案していないということ自体、もう重大だと思います。  昨年この特別行動委員会が発足してから、四回も開かれておりますよ。四回も開かれておるというのに、沖縄がこれだけ切実な思いを込めて思い切った整理縮小をと要請し続けている、そういうものについて、いまだに日本政府は、アメリカに対して、どの基地をというふうな形の具体的な提案を何一つしていないのですか。
  69. 折田正樹

    ○折田政府委員 日米双方がアイデア、考え方を出し合って共同で作業を行っているということでございます。
  70. 古堅実吉

    ○古堅委員 とんでもない答弁です。  基地問題について沖縄問題を重視するというのであれば、日本側がこうしたいというみずからの提案がなくて、一国と一国との話し合いというのに、話が詰められるはずはないじゃないですか。アメリカ側からの提案を待って、それに対して日本政府はどうこたえたらいいか、そういうことで、何かもう対米従属も甚だしいような形での対応ということになるのかなというふうに思うのですけれども沖縄県民がこういうやりとりを聞いておりますと、本当に日本政府は何をしておるのだと、一層、怒り以外のものは出てこないというものですよ。  これまで政府が進めてきた第十五回、第十六回安保協合意事案、二十三事案などの中で未解決として残されている事案を見ても、二十三事案の残り事案で八施設十事案、二十三事案以外のもので引き続き検討するということになってきた事案で九施設十四事案、それが残されています。こうした事案の検討についても、日本側から何ら提起もしていないということを意味しますか。
  71. 秋山昌廣

    ○秋山(昌)政府委員 ただいま外務省の北米局長の方から答弁がありましたが、昨年の末から始まりました沖縄における施設・区域に関する特別行動委員会、これまで四回開かれております。外務省からは北米局長防衛庁からは私、それ以外にもメンバーとして参加しているわけでございますが、沖縄米軍基地整理統合縮小に関する実質的な協議といいますか、議論が始まっておりますのは、具体的に言いますと、二月に入ってからと言うべきかと思います。  御案内のように、沖縄からアクションプログラムが出されましたのが一月の末でございました。それから我々としては、この沖縄基地整理統合縮小につきまして、何とか結果としてよいものを出したい、と同時に、るる御説明しておりますけれども日本政府立場として、日米安全保障体制の目的達成との調和を図りつつということで解決策を見出したい、したがって、米側と日本側と同じ目的に向かいまして共同で作業をしていきたいということで現在議論を進めている、そういう段階でございます。決して米側に追随しているとか、あるいは日本側が何も言っていないとかということではありませんで、お互いにいい案が出せないか、真剣な議論を重ねているところでございます。
  72. 古堅実吉

    ○古堅委員 質問をしているのですから、質問に答えてください。そのほかの長々とした説明は必要といたしません、大体経過はわかっているわけですから。今も質問に対する返事はありませんでした。  第十五回、第十六回安保協合意案の二十三事案と、いわゆる三事案で未解決として残されているのは、そのほとんどが移設条件づきのものであります。こうした移設条件づきの返還合意では問題が解決する方向に進まぬ、これがこれまでの経緯に照らしての現状です。政府はそのことをどうお考えですか。
  73. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 お答えいたします。  二十三事案のうちの残りの十事案につきましては、そのうちの三事案につきましては、全部返還といいますか、昨年の末に私どもとしては合意済みでございます。  なお、残りの七事案のうちの三事案でございますが、キャンプ瑞慶覧であるとか、泡瀬ゴルフ場のところでございますが、それと嘉手納の弾薬庫地区、それから普天間飛行場のいわゆる国道の東側沿いの土地、こういうところにつきましては一応私ども返還合意をいたしまして、これは先生御指摘のように移設工事が完了した時点で返還するということで、これも日米間合意済みでございます。  なお、それ以外の四事案につきましては、知花サイトとかキャンプ・ハンセン、嘉手納弾薬庫の、これも国道沿いの一部、南西部分でございますとか、あとキャンプ桑江等、こういうところにつきましては、私どもとしては、地元の方で跡地利用計画ができた時点でいつでも返還いたしますということで地元に今御提案を申し上げている、こういう状況でございます。
  74. 古堅実吉

    ○古堅委員 重ねて申し上げます。質問に答えてくださいよ。  例えば那覇軍港など、復帰間もないころに返還の方向への合意があった、しかし移設条件づきなゆえに解決されないままに二十数年たってきた、昨年また、浦添への移設というふうなことを条件にしての合意があるのだが、それでは問題は解決せぬぞ、どう思うのだということについての質問です。もう一度答えてください。何も那覇軍港の問題だけじゃなしに、移設条件づきのものがたくさんありますよ。
  75. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 お答えします。  先生おっしゃるように、移設条件つきで返還となる施設というのは、私どもとしては、安保条約の目的達成のためにどうしても機能を維持する必要があるということで、米側と相談といいますか、いろいろ検討する段階で、米側に対しては私どもももちろん、地元からの強い返還要望がある、したがいまして、日米双方のニーズといいますか、そういう調整をしながら、最終的に移設条件を私ども日本国政府として負担をするということで合意をした部分でございます。  米側としても、そういう条件というものがやはり達成されない限り解決がなかなか進まない。これは先生御指摘のとおりでございますが、私どもとしてはやはり、先ほどの三事案のうちの那覇軍港につきましても、浦添市等に対しまして、何とかそういうことで将来の埋立地等につきまして受け入れの方について御協力いただきたいということで今鋭意努力をしておる、こういう点はぜひ御理解をいただきたい、このように思う次第でございます。
  76. 古堅実吉

    ○古堅委員 私は、予算委員会でもこの点をとらえて厳しく迫りました、かみ合うような答弁にはなりませんでしたが。  県内外の移設という方法で解決しようとすれば、結局移設をされる、持っていかれようとしている側から、沖縄県内だけではなしに全国どこからでも、ハチの巣をつついたような形で反対の声が上がるような、これが全国の大体の動向ですよ。  防衛庁長官は予算分科会で、移設先で反対が起これば問題が解決しないというふうなことを私の指摘に対してもおっしゃっておられましたが、その上で、当事者間の話し合いということも強調されました。しかし、沖縄県も、あの浦添の問題などを含めて、県がそのような移設条件づきの解決というふうなことに労をとって進めましょうというふうなことはできぬ立場を表明しておられますよ。ですから、問題が発展しないことははっきりしています。しかし、これは、ただ単にこの那覇軍港の問題だけではなく、沖縄県内だけの問題でもない。  ここに九五年十二月二十三日付の毎日新聞の世論調査があります。それによりますというと、在日米軍の規模について削減すべきだ、そう答えたのが七二%で、現状維持が七%、強化すべきだというのもおって二%。この削減すべきだと答えた七二%の中で、これは沖縄米軍基地にかかわって特に問うていますが、移転はしないで規模を縮小すべきだと答えたのが五六%です。国外への移転をすることによって規模を縮小すべきだと答えたのが三六%。県内あるいは日本国内で政府が今進めようとしているような形での移転、国内移転することによって規模を縮小すべきだと答えたのはわずか八%ですよ。  そういう世論の結果にも見られるように、沖縄基地をどこかに移転しよう、そのことで解決しようとしても、沖縄県内でもどこもそれを受け入れるところがない。その基地の持つ諸悪の根源としての大変な事態をよく知っているからです。沖縄がだめだというものを鹿児島ができるはずはない、北海道ができるはずがないのですよ。どこか持っていかれようとしているところ、岩国とかあるいは大分、その他みんなハチの巣をつついたような形で反対を構えて運動を展開していますよ。そういうことでは問題は解決せぬじゃないか。  アメリカに向かって、戦後五十年を迎えた今日の情勢も踏まえて、日本基地縮小、撤去すべきだと、こう一国と一国の交渉で縮小の方向を日本がかち取って初めて、沖縄県民日本国民の要望にこたえられる、そういう方向だと思いますが、いかがですか。
  77. 臼井日出男

    臼井国務大臣 先ほど来、政府委員からお答えを申し上げておりますとおり、沖縄の戦後の我が国における環境、日本の平和を守るために大変御苦労をしてきていただいていること、その痛みも私ども理解をいたしているところでございます。そのために、二十三事案あるいは三事案、十八事案、現在整理統合縮小に向けて鋭意努力をいたしているところでございます。  移転先の所在市町村におきましては、いろいろと御負担を追加的におかけをする、こういうことになるわけでございますが、従来からお話を申し上げておりますとおり、沖縄県全体の振興のためには役に立つ、こういう見地から御理解をいただきたい、このように考えている次第でございます。  ただいま委員からお話しの移設条件つきの返還になる施設につきましては、安全保障条約の目的達成のための機能維持のために必要であります。また他方、米側といたしましても、地元の強い返還要望を踏まえて、移設先の見当がつき次第返還をする、こういうことに同意をいたしているものでございまして、このような施設につきましては、無条件での返還というのは当然のことながら困難であると思います。
  78. 古堅実吉

    ○古堅委員 今おっしゃるような形では、沖縄県民が戦後五十年の苦難の歴史を経て要求している基地の整理縮小、本当にそこから解放されたいという方向に行けるはずはないわけで、改めて、政府県民国民の願いにこたえる方向で基地問題について対米交渉を思い切って展開するよう強く要求しておきます。  時間がございませんので、大慌てで開発庁長官にお尋ねします。  初めて質問させていただきますが、長官が沖縄問題についてどう対処されるか、こういう重大な情勢であればこそ長官の姿勢いかんによっても大きく左右されるものです。ぜひ県民の心を体して御奮聞いただくように、最初に要望を申し上げておきたい。  きのう、沖縄県の振興開発審議会総合部会で、第三次振興開発計画後期展望の中間報告が専門委員会から提出された原案どおりに了承されまして、十九日に東京で開かれる沖縄振興開発審議会に総合部会はこの報告書を提出するということになっております。御存じのように、三次振計でも、沖縄米軍基地が振興のために大きな障害となっておるという立場を踏まえて、基地の整理縮小を促進するという項目が明確に打ち込まれております。  そこで、今申し上げました浦添の問題です。  那覇港湾の移設が浦添へというふうにされようとしておりますが、この浦添市は、那覇と浦添は重要港湾地域として一体のもので、西海岸は沖縄県の生命線であり、この海岸に基地が存在することは西海岸開発事業に著しい障害となる、移設は牧港補給地区の固定化につながるとして断固として反対。西海岸開発事業については、三次振計でも「西海岸地域については、各種地域開発プロジェクトを進め、都市型リゾートの形成や物的流通の拠点形成を図る」として中南部圏開発の大きな目標としておりますけれども、この浦添市の意見について開発庁はどのように受けとめておられるか。
  79. 岡部三郎

    岡部国務大臣 御指摘の、浦添市へ沖縄の軍港を移転するということに対して地元浦添市から反対があるということは私も承知をいたしております。  米軍施設の移設に当たっては、先ほどからお話がございましたように、防衛施設庁でも、移設先の地元の開発計画があるときはこの当該計画との調和に最大限配慮するという方針だと承っておるわけでありまして、私も、沖縄の振興開発という見地から、ぜひそうした当該計画との十分な調和の上に移設を行っていただきたい、こういうふうに考えているところであります。
  80. 古堅実吉

    ○古堅委員 時間が参りましたから終わりますけれども、開発庁長官は直接の基地にかかわる担当ではございませんけれども沖縄振興開発にかかわる直接の担当でいらっしゃいます。そういう面で、地元、那覇、浦添、今の軍港湾の問題にかかわることだけを取り出せば、そういうものが沖縄の振興開発の大きな障害に、浦添として新たな問題として出てくるということなどあるわけですから、ぜひ担当の立場で、沖縄の声を大事にされて、県民の願いにこたえる立場で、長官として最大の努力を払ってほしい。閣内においてもそういう立場からぜひ発言されて御努力をされてほしいと強く要望を申し上げて、終わらせていただきます。
  81. 宮里松正

    宮里委員長 質疑は終了いたしました。  本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十五分散会