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1996-06-05 第136回国会 衆議院 運輸委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年六月五日(水曜日)     午前九時一分開議 出席委員   委員長 辻  一彦君    理事 武部  勤君 理事 細田 博之君    理事 村田 吉隆君 理事 久保 哲司君    理事 古賀 敬章君 理事 高木 義明君    理事 赤松 広隆君 理事 高見 裕一君       衛藤 晟一君    高村 正彦君       佐藤 静雄君    橘 康太郎君       林  幹雄君    堀内 光雄君       茂木 敏充君    横内 正明君       江崎 鐵磨君    工藤堅太郎君       実川 幸夫君    二階 俊博君       東  順治君    弘友 和夫君       米田 建三君    緒方 克陽君       左近 正男君    寺前  巌君  出席国務大臣        運 輸 大 臣  亀井 善之君  出席政府委員        運輸政務次官   北沢 清功君        運輸省運輸政策        局長       土坂 泰敏君        運輸省鉄道局長  梅崎  壽君        運輸省海上交通        局長       岩田 貞男君        運輸省海上技術        安全局長     小川 健兒君        運輸省海上技術        安全局船員部長  金丸 純一君        運輸省港湾局長  栢原 英郎君        海上保安庁次長  加藤  甫君  委員外出席者        防衛庁長官官房        防衛審議官    柳澤 協二君        労働省職業安定        局業務調整課長  井原 勝介君        建設省道路局日        本道路公団・本        州四国連絡橋公        団監理官     櫻井 知能君        自治大臣官房地        域政策室長    山下 貴史君        運輸委員会調査        室長       小立  諦君     ――――――――――――― 委員の異動 五月三十一日  辞任         補欠選任   衛藤 晟一君     森  喜朗君   佐藤 静雄君     宮下 創平君   橘 康太郎君     西銘 順治君   寺前  巖君     古堅 実吉君 同日  辞任         補欠選任   西銘 順治君     橘 康太郎君   宮下 創平君     佐藤 静雄君   森  喜朗君     衛藤 晟一君   古堅 実吉君     寺前  巖君 六月五日  辞任         補欠選任   田名部匡省君     弘友 和夫君   寺前  巖君     志位 和夫君 同日  辞任        補欠選任   弘友 和夫君     田名部匡省君     ――――――――――――― 六月五日  気象事業整備拡充に関する請願金子徳之介  君紹介)(第二八二九号)  同(西村眞悟紹介)(第二八三〇号)  同(穀田恵二紹介)(第二八三九号)  同(土肥隆一紹介)(第二八四〇号)  同(志位和夫紹介)(第二八六三号)  同(柴野たいぞう紹介)(第二八六四号)  同(寺前巖紹介)(第二八六五号)  ハイヤー・タクシー事業の健全な発展のための  適切な事業規制に関する請願上原康助紹介  )  (第二八六二号)  同(上原康助紹介)(第二八九三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 六月四日  日豊本線の高速複線化に関する陳情書  (第三二一号)  九州新幹線鹿児島ルート建設促進に関する陳  情書  (第三二二号)  鉄道阿佐線建設促進に関する陳情書  (第三二三  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  海上運送法の一部を改正する法律案内閣提出  第五二号)  船員法及び海洋汚染及び海上災害防止に関す  る法律の一部を改正する法律案内閣提出第一  八号)(参議院送付)      ――――◇―――――
  2. 辻一彦

    辻委員長 これより会議を開きます。  内閣提出海上運送法の一部を改正する法律案及び内閣提出参議院送付船員法及び海洋汚染及び海上災害防止に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので・順次これを許します。緒方克陽君。
  3. 緒方克陽

    緒方委員 社会民主党の緒方でございますが、時間の関係もありますので、自由民主党、さきがけをも代表するという形で質問をさせていただきたいと思います。  法案は、船員法等の一部を改正する法律案などなどありますけれども、まず最初に、海上運送法改正について御質問をいたしたいと思います。  この法律は、そもそも国際船舶制度をつくろうということでいろいろ議論をいたしまして、しかし、各省庁の問題、税制問題などもあって、結果的には必ずしも十分ではない形でスタートを切るということになったわけでありますが、私どもといたしましては、日本国際海運、そして海洋国日本日本商船隊の大変危機的な状況というものを考えた場合には、もっといいものにしていかなきやならぬというふうに思うわけでありまして、そういう思いを込めて、まず三、四点質問をしたいと思います。  まず第一点でありますが、国際船舶制度の本体であります日本人船員給与所得に係る所得税の問題あるいは住民税非課税化、これは別途労働協約によって雇用主へ還元ということになっておりますけれども、この制度は、日本商船隊が本当に危機的な状況から脱するという意味でもいろんな取り組みをしなきやならぬというふうに思うのですが、大臣としての所信をお伺いしたいと思います。
  4. 亀井善之

    亀井国務大臣 委員、今いろいろ御指摘をいただきました。御承知のとおり、我が国外航海運は、大幅な円高の進展あるいは海外への移籍による日本籍船の減少、いわゆるフラッギングアウトが急激に進行しておるようなわけでありまして、このような中で、島国である、貿易立国である我が国にとって、貿易物資安定輸送等の面で重要な意義を持つ日本籍船及び日本人船員確保するためにこのような国際船舶制度を設け、総合的な支援体制というものを確立してまいりたい、このような視点に立ち、努力をしてきたところでもございます。  平成八年度の税制改正におきまして、御指摘のような税制につきましてはそれを実現することができなかったわけでありますが、登録免許税等税制上の特例措置が認められたわけでありまして、これによって国際船舶についてのいわゆる船舶海外流出、こういうものに歯どめをかけるという視点から、今回海上運送法の一部改正をお願いしたところであります。  したがって、あくまでもこの制度というものは第一歩、このように認識をいたしております。これを出発点として、制度円滑化、さらなる拡充に向けて努力をし、今委員指摘のような問題につきましても今後とも努力をしてまいりたい、あるいはまた海運造船合理化審議会におきましてもいろいろ御検討いただいておるわけでありまして、これらの検討成果を踏まえながらさらに努力をしてまいりたい、このように考えております。
  5. 緒方克陽

    緒方委員 大臣決意表明をいただきましたけれども、相当な決意を持ってこれはやらないと、いろんな問題がありますので、ぜひしっかりした取り組みをお願いしたいというふうに思います。  二つ目に、国際船舶の定義は省令で定めるということになっておりますけれども、具体的にはどのような内容を考えておられるのか、お尋ねをいたします。
  6. 岩田貞男

    岩田政府委員 お答えを申し上げます。  お尋ねがございました省令で定める船舶としましては、輸送能力航海の態様あるいは運航体制効率性あるいは運航に必要とされる技術水準等から見て、国際海上輸送確保の上で重要な日本船舶ということで想定をしております。  具体的に申し上げますと、総トン数が二千トン以上の船舶であること、あるいは航行し得る区域近海区域または遠洋区域である船舶であること、さらにそういう資格の上に、実際に国際航海に従事している船舶であることということでございます。さらに、やはり近代的な船である必要がございますので、近代化設備を有している船舶であるということで、この近代的な設備というのは、いろいろなものがございますが、例えば衛星航法装置とか自動操舵装置とか、そういった設備を有している近代船舶であるということでございます。
  7. 緒方克陽

    緒方委員 そこで、この国際船舶制度議論の過程ではいろんな議論があったわけでありますが、船長機関長及び用船員日本人船員であることが主要な内容であるというようなことでいろいろ議論をしてきた経過もあるわけでございますが、言うならば本格的じゃない、第一歩という形で、国際船舶制度が確立しない段階でスタートするわけでございます。そういう中で、いろんな議論の経緯があったわけでございますが、そういうもので心配をしますのは、部分的にスタートをする中で、日本人船員が現状よりも削減されることになりはしないかというような疑念もあるわけでございますが、その点は心配はないのかどうかということについてお答えをいただきたいと思います。
  8. 金丸純一

    金丸政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御質問船長機関長用船定員二名配乗の問題でございますけれども、この問題につきましては、外航海運船員問題懇談会報告書あるいはこれを踏まえました平成八年度の予算、税制改正要求時におきましては、船舶税制のほか、人件費コスト差を埋めるための補助金あるいは税制上の支援施策、こういった施策とのパッケージとして議論されてきたところでございます。  その結果といたしまして、平成八年度におきましては、国際船舶制度に関します第一歩スタートすることになりましたものの、なお今後の国際船舶制度本格的実施に向けて、同制度を円滑に実施し、拡充していくために必要となる方策について検討していくということにしているところでございます。  したがいまして、今後、日本籍船、必要とされる日本人船員、こういったものの確保をいかに図っていくかということに関しましては、現在海運造船合理化審議会におきまして幅広い観点からいろいろと御議論いただいているところでございます。船長機関長二名配乗、こういう問題につきましても、この審議会議論の中で当然議論されるべき問題であろうし、その推移を見ながら私ども検討していくべきだというふうに考えておるところでございます。
  9. 緒方克陽

    緒方委員 海造審での議論ということでございますけれども心配しておりますのは、やはり日本人船員をいかに確保するかということが大きな問題ですから、遺憾のないようにきちっとした対応をぜひお願いしておきたいと思います。  それでは四番目ですが、自国船確保のために、特定の貨物、例えば政府調達貨物などについては自国船で運ぶように義務づけている国がアメリカとか韓国などではあるわけでございますが、国際物流自由化というものを考えた場合には、そのことは時代の流れに逆行するものではないかというふうに思うわけでございまして、政府としては、WTOの場などを通じて、いろいろな場を通じて是正を求めるべきであるというふうに思いますが、その点はいかがでしょうか。
  10. 岩田貞男

    岩田政府委員 今、先生から御指摘がございましたように、我が国といたしましては、自由で公正な海運市場の形成が世界貿易の健全な発展に不可欠と考えておりまして、これまでもWTOを初めとした国際的な場において、自由な海運市場の実現に向けて積極的に取り組んできております。  現在、今お話がございましたように、WTO海運分野における自由化について本年六月末を期限として交渉が行われておりまして、もうそんなに残された時間がないわけでございます。この交渉におきましては、今お話がございました貨物留保政策撤廃などを通じた海運市場自由化を目的として、それをメーンなテーマとして交渉が行われているわけでございますが、残念ながら、主要国である米国貨物留保等自国海運保護政策の維持に大変固執しているということで、いまだに成果が上がってございません。  実は、六月四日も少しレベルを上げて交渉をいたしましたのですが、今入った連絡によりますと、まとまらなかったということでございます。六月末までにまだ少しは時間がございますので、さらにレベルを上げながら交渉しているわけでございます。  私どもとしては、あらゆる機会をとらえて、米国貨物留保等撤廃による自国海運自由化を求めておりまして、貨物留保政策をとっている他の国に対しましても積極的に自由化を働きかけております。  今お話がございました韓国の件でございますが、我が国を初めとして国際的な要請を受けまして、韓国におきましては貨物留保制度撤廃の意思を表明しておりまして、私どもとしては、ほかの国々と同様、大変評価をしているところでございます。  以上でございます。
  11. 緒方克陽

    緒方委員 ぜひ、熱心に取り組んでいただきたいと思います。  次に、船員法等の一部を改正する法律案について、一点だけ質問をしたいと思います。  ポートステートコントロール問題などもいろいろあるわけですが、時間の関係がありますので、安全の確保の問題について一つだけ質問いたします。  運輸行政基本は、安全の確保基本であるというふうに考えておるわけでございますが、先般の海事関係条約改正によりまして、旅客船及び高速船乗務員に対する訓練義務拡充をされたというふうに聞いております。ところで、我が国においては、旅客船及び高速船乗務員に対してこれまでどのような訓練をしてきたのか、また、これが今回の法改正によってどう拡充をされるのかということについてお答えをいただきたいと思います。
  12. 金丸純一

    金丸政府委員 お尋ねの、旅客船高速船乗組員に対します訓練でございますけれども、現在につきましては、船員法に基づきまして、旅客船乗組員につきましては、乗り組む船舶航行区域等に応じまして乗船後に各種訓練を課しているところでございます。  具体的には、防火戸水密戸の閉鎖でありますとか、消火設備操作救命艇の降下、非常操舵装置操作旅客避難誘導等、こういった非常時における安全確保のための訓練を、外航国際旅客船につきましては週一回、国内船につきましては月一回、こういったような間隔でもって実施させておるところでございます。  STCW条約改正を受けました今回の法改正におきましては、乗船後の訓練というものを、基本的には乗船前の訓練も新たに義務づけるということでございます。具体的には、旅客船乗組員に対しましては、非常時におきます旅客のパニックの防止でありますとか、あるいは適切な避難誘導等を行うに当たって必要とされます詳細な訓練基準、こういったことを運輸省令で定めまして、その訓練を、先ほど申し上げましたように乗組員乗船前に実施させるということを義務づけようとするものでございます。  さらに、ロールオン・ロールオフタイプの旅客船、このローロー船の事故がこの条約改正の契機になったわけでございますけれども、これにつきましては、開口部貨物固定等に関する詳細な訓練基準を策定するということで考えております。  高速船乗組員でございますけれども、これにつきましては、法律的にはこういった訓練規定、今申し上げましたような操練規定はあったわけでございますが、特段のものはなかったわけでございます。これまで、各社で訓練を自主的に行っておったというところでございますけれども、今回の改正につきましては、高速船のタイプに応じた操船でありますとか設備、機器の取り扱い、こういった教育訓練を義務づけまして、海上における一層の安全確保を図りたいということでございます。
  13. 緒方克陽

    緒方委員 どうもありがとうございました。  ところで、船員問題というのはいろいろあるわけでございますが、これから、架橋問題について、特に本四架橋、あるいは東京湾横断道路及び島嶼架橋などについて質問をしたいと思います。  時間が迫って、何か非常に足りませんので、端的に具体的な点についてはお尋ねしますので、要点をもってお答えをいただきたいと思います。  実は、本四架橋あるいは東京湾横断道路などは、四分の一世紀にわたる大変な大事業でございまして、このことは、国土の発展ということで、地方自治体からのいろいろな要求もありましたし、それにこたえて架橋がつくられ、そして東京湾横断道路建設が進んでいるわけでございます。  これが具体的に進んでいく中で、特に、今まで離島島民の足となってきた人たち、そして島の経済を支えてきた船員を、橋がかかることによりまして用済みということで、架橋建設の人柱としてしまうような取り組みは決してあってはならないという意味で、国の事業として、あるいは地方自治体の強い要望で実現していく中で、雇用が失われ、あるいは仕事がなくなる、あるいは船舶業そのものも、旅客船そのものも、業界も大変な打撃を受けるわけでございます。これについては、やはり国の事業としてやる、あるいは地方自治体要望でやるわけでございますので一関係省庁やあるいは地方自治体などについてはちゃんとした対応が必要であるというふうに思うわけでございます。  我々がいろいろ調べたところでは、この国家プロジェクトで、島嶼架橋ども加えますと約七千二百人の人が影響を受けて、二千八百人近い人が離職を余儀なくされるというふうに聞いているわけでございまして、大変な問題でございます。  したがいまして、まず建設省お尋ねいたしますが、主管省であります建設省は、どのような職場を開拓しようとしているのかということと、料金設定は、これから業界がどう対応するかということで非常に大きな影響を持つわけでございますが、その本四架橋のA、Eルート通行料金はいつ決定されるのか。早急な決定が必要だと思いますが、以上、二点について、建設省お答えをいただきたいと思います。
  14. 櫻井知能

    櫻井説明員 お答え申し上げます。  本四架橋及び東京湾横断道路供用に伴いまして、離職を余儀なくされる船員相当数に上るということは十分に認識をしているところでございます。このため、離職者の再就職のための具体の職場の開拓、あっせんにつきましては、本四架橋につきましては地方旅客船問題連絡協議会というものを設けております。また、東京湾横断道路につきましては現地連絡協議会というものを設けておりまして、これらを通じて地方公共団体関係公団旅客船事業者等におきましてその促進に努めているところでございます。  具体的には、本四架橋関連雇用先につきましては、現在、平成十年春の神戸鳴門ルート、それから平成十一年春の尾道今治ルート供用に向けまして、現地連絡協議会を通じて連絡調整を図っているところでございます。  そのうち、本四公団関連業務料金収受業務等職域でございますが、神戸鳴門ルートにつきましては約百五十名、尾道今治ルートにつきましては約五十名、合計約二百名ほどが見込まれているところでございます。また、本四公団関連業務以外の職域につきましては、今後とも、この現地連絡協議会を通じまして地方公共団体等への働きかけに努めていきたいというふうに考えているところでございます。  次に、東京湾横断道路関連雇用先でございますが、平成九年度中の供用に向けまして、現地連絡協議会等において連絡調整を図っているところでございます。  東京湾横断道路関連料金収受業務等職域につきましては七十五名、それから駐車場管理等その他の職域につきましては五十名が見込まれているところでございますが、今後とも、その拡大拡充に向けまして関係地方公共団体とともにさらに努力を重ねていきたいというふうに考えているところでございます。  引き続きまして、本四のいわゆるAルートEルート料金決定についてのお尋ねでございます。  現在、御案内かと思いますが、道路審議会におきまして今後の有料道路制度あり方について御審議をいただいております。昨年十一月に高速自動車国道について中間答申をいただきまして、現在、引き続いて一般有料道路都市高速道路とともにこの本四道路についても御審議をいただいているところでございます。  したがいまして、本四道路通行料金決定に当たりましては、この道路審議会におきます償還制度などに係ります検討を踏まえる必要がございます。今後の審議内容を踏まえつつ、事業費あるいは交通量などの精査を行う必要がございます。また、公的助成あり方あるいは利用促進、経費の節減などについて検討いたしました上で料金体系策定作業を行うということになってまいります。  ただ、先生指摘ございましたように、旅客船対策観点からは料金体系早期に示すということが必要であると考えておりまして、Aルートについては、平成十年春の供用を控えまして平成九年度のできるだけ早い時期に料金体系を明らかにして、具体的な料金認可の手続に入れるように努めてまいりたいと考えてございます。それから、Eルートにつきましても、平成十一年春の供用でございますが、これに向けてできるだけ早い時期に料金を明らかにできるように努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  15. 緒方克陽

    緒方委員 この料金早期設定というのは、業界にとってもあるいは労働者にとっても大変な影響を受けるわけでありますので、できるだけ早い決定を強く要望しておきたいというふうに思います。  この事業につきましては、建設省が、あるいは運輸省連携をとりながら仕事をされているわけでございますが、政務次官は副大臣として、一月に就任以降、あちこちもう回られたというふうに承知しておりますけれども運輸省としても、船員職場確保という観点から適切な、いわゆる航路の再編成とか転業とか転職対策というのが必要だというふうに思うわけでございますが、運輸省としてはどのようなことを実施されようとしているのか、お尋ねをしたいと思います。
  16. 北沢清功

    北沢政府委員 お答えをいたします。  ただいまの緒方委員の御指摘、御心配は大きなものであろうというふうに考えております。本州四国連絡橋東京湾横断道路は、地域の開発、発展にとっては必要不可欠なものであると思いますが、一方では、架橋建設に伴い、転業をやむなくされる旅客船事業者離職を余儀なくされる従業員の方々に大変な御苦労をおかけすることも事実であろうと思います。  運輸省といたしましても、架橋建設に伴う影響が少しでも少なくなるよう、航路の適切な再編成転業転職対策など、引き続き建設省等関係機関協議をしつつ的確に対策を進めていく所存でございます。
  17. 緒方克陽

    緒方委員 省庁をまたがっておりまして、私もこの問題はいろいろ勉強させてもらったのですが、どちらかというと問題があっちへ行ったりこっちへ行ったりということで、そのうちに時間がたつということでございますので、ぜひ十分な連携をとっていただきたいというふうに思います。  次に、自治省おいででしょうか、自治省お尋ねいたしますが、先ほども言いましたように、この本四架橋その他は地方自治体からの強い要請仕事が始まったわけでございますが、私が聞くところでは、自治省対応は必ずしも十分でないというふうに聞いております。この本四架橋建設に伴う旅客船問題に対する対策基本方針の中でも、第五の確認事項に、地方公共団体も入るということでちゃんと対策がされるということになっておりまして、より積極的に協力を得るというふうになっておりますが、自治省としてはどういう取り組みをされているのか、お尋ねをいたします。
  18. 山下貴史

    山下説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘本四架橋に伴います一般定期航路事業等からの転職転業問題につきましては、当然のことながら地方公共団体にも大変関係の深い問題でございまして、本四特別措置法にも定めがございますように、これらに関する国の施策に協力をいたしまして必要な取り組みの推進に努める、これが関係地方公共団体の立場だというふうに承知をいたしております。  現在、関係県におきましては、庁内にこの問題に関係いたします部局を網羅いたしました連絡体制を整備するなどいたしまして、できる限りの対応を行うということで、関係機関と十分連絡をとりながら鋭意所要の検討を進めている状況にある、こういうふうに聞いておるところでございます。  自治省といたしましても、今後、この問題に関しまして地方公共団体と十分連絡調整を図りまして、その中で必要な対応に努めてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  19. 緒方克陽

    緒方委員 今お答えいただきましたが、いろいろ前段に折衝した、あるいは状況の報告を聞いたところでは、必ずしも十分でなくて、何か主体は建設省運輸省だという感じなのですね。それでは困るわけでありますので、きょうは時間がありませんから、また後ほど具体的に役所の方と話をしたいと思いますが、自治省も責任を持った対応を強く、後ほど指摘をしますので、この場ではこの程度にとどめておきたいと思います。  次に、本四架橋問題では、この問題のいろいろな対応をするために本四架橋中央連絡協議会というのがつくられているわけでございますが、昨年の九月二十八日に九年一カ月ぶりに開催をされて、その中央連絡協議会の下部組織であります打合会で、海員組合などからは早急な対策をするために七月末までにぜひ政府の回答が示されるようにということで、強い要請が公式に何回もあっているというふうに聞いておりますし、事務折衝あるいは要請もあっているというふうに聞いております。これは、早急な対策をしないと、結局最後は船員の首切りにつながる、あるいは十分な職場確保ができないという問題になるわけでございまして、七月には開いてもらいたいという強い要求があっているわけでございますが、その点についてどういう検討をされてきたのか、現状をお尋ねしたいと思います。
  20. 櫻井知能

    櫻井説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘のございましたいわゆる中央連絡協議会、本州四国連絡橋旅客船問題連絡協議会でございますが、この協議会は、本四架橋建設に伴います旅客船問題等に関する対策基本方針に基づきまして設置をされているものでございまして、日本旅客船協会、全日本海員組合、関係各省、本四公団により構成をされております。  具体的には、いわゆる旅客船対策基本問題について連絡協議をすることとしておりまして、御指摘のありましたように、昭和五十六年に設立以来これまで四回開催をされております。一回目は協議会そのものの設置、それから二回目は本四架橋の特別措置法の内容について協議をしたということでございます。  具体的なルートについての旅客船対策につきましては、第三回の協議会が児島−坂出ルートについて協議し、そして昨年の九月に、今御指摘のございました、前回、第四回の協議会が開催をされたところでございます。この前回の協議会におきましては、神戸鳴門ルート供用に伴う旅客船対策等につきまして、関係者、構成団体のトップでございますが、こうした方に集まっていただきまして、問題の厳しさ等について基本的な認識の統一を図ったところでございます。  現在は、このような前回の中央協議会におきます基本的な認識に基づきまして、個々の要望事項について打ち合わせの場を設けまして鋭意検討を進めているところでございます。できるだけ早期に取りまとめを行っていきたいというふうに考えてございます。具体的な中央協議会の開催につきましては、このようなそれぞれの要望事項の取りまとめの状況を踏まえまして、私ども事務局を預かっておりますので、必要に応じて関係者と御調整をさせていただきたいというふうに考えているところでございます。
  21. 緒方克陽

    緒方委員 今の最後のところ、ちょっと聞こえませんでしたので、早急に開催するということですか。
  22. 櫻井知能

    櫻井説明員 次回の中央協議会の開催につきましては、要望事項の取りまとめ状況を踏まえまして、必要に応じて事務局を預かる建設省として関係者と調整をさせていただきたいというふうに考えてございます。要望事項の取りまとめにつきましては、できるだけ早期に取りまとめを行っていきたいというふうに考えているところでございます。
  23. 緒方克陽

    緒方委員 今、取りまとめをして、それが時間がかかったらいっ開くかわからないじゃないですか。私は、七月ということで、早急な対策をしなければならぬということでどうなっているのかということを聞いているわけですから、ちゃんと答えてくださいよ。
  24. 櫻井知能

    櫻井説明員 従来、この問題につきましては、要望事項についての取りまとめをいつごろにやるのかということにつきまして、海員組合等から、本年の七月末を目途にして対応策の枠組みを決定するようにという御要望がございました。また、協議会の開催についても御要望がございました。これにつきましては、私ども対応策の枠組みを決定するということにつきましてできるだけ早期に取りまとめを図っていきたいということで、現在鋭意協議を進めているところでございます。
  25. 緒方克陽

    緒方委員 何遍も質問しているわけですが、私は、七月ということで出ているということだから、そのことについてちゃんと対応するかということを聞いているわけですから、ちゃんと答えてくださいよ。
  26. 櫻井知能

    櫻井説明員 従来、協議会の場あるいは……
  27. 緒方克陽

    緒方委員 それはもう何遍も聞いたから、ちゃんと開催するかということについて答えてくださいと言っているわけだから。何言っているんだ。
  28. 櫻井知能

    櫻井説明員 協議会につきましては、先ほど来御説明させていただきますように、要望事項の取りまとめ状況を踏まえまして、必要に応じてできるだけ早い時期に開催について関係者と調整をさせていただきたいというふうに考えているところでございます。
  29. 緒方克陽

    緒方委員 さっきから、あなた何遍も——逆に今の答えは後退しているような感じじゃないですか。七月ということで強い要望が出ているということについて、ちゃんと受けとめるかということを聞いているのですよ。ちゃんと答えなさいよ、あなた。
  30. 櫻井知能

    櫻井説明員 先ほどから何度も御説明をさせていただいておりますが、要望事項……(緒方委員「だから、何遍も聞いたじゃないか、そんなことは。ちゃんとやるかということを聞いているのだから」と呼ぶ)私ども、前回の中央連絡協議会におきましても、要望事項の取りまとめについて、七月の末までに取りまとめをしていこうということについてはお話をしておりますが、協議会につきましては、私ども、必要に応じて関係者と調整をさせていただきたいということでお答えをしてきていると認識をしているところでございます。
  31. 緒方克陽

    緒方委員 何遍もそのことは聞いた。しかし、このことは雇用問題にもつながる、いろいろなことで大変だから早急に開催しなさいというふうに言っているわけだから、原稿を何遍読んでも同じですよ。ちゃんと答えなさいよ。承知できないですよ。
  32. 櫻井知能

    櫻井説明員 お答え申し上げます。  私ども協議会の開催……(緒方委員「そんなことはもう何遍も聞いたと言っているじゃないの」と呼ぶ)これについては、要望事項の取りまとめは関係省庁との間で調整を要するものでございますから、その取りまとめ状況を見まして、私ども関係省庁と御相談をさせていただきたいということでお答えをしているところでございます。
  33. 緒方克陽

    緒方委員 私は、そういう経過があるので早急に開いてもらいたいということについて答えを聞いているわけですから、そんな経過は承知の上ですよ。ちゃんと答えなさいよ。そんな原稿は関係ないのですよ。原稿を何遍読んでも同じだよ。何遍も聞いているじゃないか。時間がないのに、時間稼ぎしているのか、あなた。
  34. 櫻井知能

    櫻井説明員 いや、そうではございませんで、私が先ほどから申し上げておりますように、七月末に向けて、要望事項の取りまとめに向けて関係省庁とただいま鋭意協議をしているところでございまして、その取りまとめ状況を見まして、必要に応じて中央協議会については関係省庁と開催について協議をさせていただきたいということでございます。
  35. 緒方克陽

    緒方委員 それでは、私が強い要望をしているということについて受けとめることができるかできないか、はっきり答えてください。できなければできないでいいですよ。
  36. 櫻井知能

    櫻井説明員 ただいま先生から中央協議会の開催について強いお話があったということは、ただいまお伺いをいたしました。
  37. 緒方克陽

    緒方委員 いや、伺いじゃなくて、受けとめるかどうかと聞いているんだよ。なめているのか、本当に。いいよ、そういうことであれば。
  38. 櫻井知能

    櫻井説明員 ただいまの先生の強いお話については、ただいまお受けとめをさせていただきました。
  39. 緒方克陽

    緒方委員 この問題だけで時間をとりましたけれども、早急に開いてもらうということについて受けとめてもらったということで、先に行きたいと思います。  もうだんだん時間がなくなってきましたので、あと船員の条件の問題とかいろいろあるわけでございますが、質問通告していましたが、一つ、二つは飛ばしまして、建設省お尋ねいたします。  昭和五十六年の衆議院建設委員会では、現行本四特別措置法第十一条、四号交付金は、社会通念上支払われる特別加算金の一定額を交付するというふうに説明されておりますが、そして国の助成の範囲を示しているわけでございますが、現状の事業編成で縮小もしくは廃業の事業者に対して、最近の社会水準である退職特別加算金が支払われるのかどうかということについてお尋ねをいたします。
  40. 櫻井知能

    櫻井説明員 お答え申し上げます。  本四架橋につきましては、御指摘のような雇用条件の変化等、その影響が相当なものということが予想されましたことから、本四架橋特別措置法を制定いたしまして、もろもろの施策とあわせまして、事業の縮小等を余儀なくされた事業者に対して交付金の交付等の措置がとられているところでございます。このうち交付金につきましては、事業の円滑な転換等に必要な費用に対する助成を行うものでございますが、特に、御指摘のございました四号交付金につきましては、専ら旅客船事業の従業者に対する架橋影響軽減のために、雇用主が経営状況等に応じて支払います特別加算退職金の一部を本四公団が旅客船事業者に対して助成をするものでございます。  それで、その算定基準につきましては、ただいま先生指摘のございましたように、法の制定時の国会の御審議の中で御説明をさせていただきましたように、いわゆる助成措置といたしまして社会通念上妥当な限度として、公共事業の施行に伴います損失補償基準におきまして支払われております離職者補償の例などとのバランスをしんしゃくいたしまして、法令により定めているものでございます。したがいまして、雇用当事者間の取り決めによって定められます特別加算退職金の水準、御指摘のように、個々の業種の経営環境あるいは経営状況等を反映いたしましてさまざまな水準にあるわけでございますが、そのことが理由になりまして、すぐに四号交付金の見直しが必要にはなかなかなってこないということでございます。  ただ、この問題につきましては、海員組合等から非常に強い要望がございますので、引き続き関係者間で議論をさせていただきたいと考えているところでございます。
  41. 緒方克陽

    緒方委員 時間がなくなりましたので、あと二点、運輸省、労働省、建設省お尋ねいたします。  一つは、保険関係でございますが、東京湾横断道路、それから島嶼架橋等の建設離職を余儀なくされる船員は、本四特別措置法がなくて、個別延長給付などの適用がないわけでありますが、こういう国家的事業としての建設でございますし、産業構造の構造的な変換の犠牲者としての離職者であるということで、運輸省、労働省を含めていろいろ検討してしかるべきではないかというふうに思いますが、その点について運輸省、労働省にお尋ねをいたします。  最後に、建設省に対してでございますが、旅客船旅客運送事業の宿命として橋の供用までは運航をずっとやっていくということで、とめることができないわけです。そして、橋が供用された途端に船員は職がなくなるということでございますので、長期間陸に上がる場合には、おかに上がる場合には研修をする必要があるわけですが、その予備員がいないわけでありまして、予備員がいない限り受講はできないということになりますので、その供用と同時に解雇されるということになります。円滑な転換を図るために、実効ある離職前教育の充実を促進する交代要員の財源について検討をすべきではないかと思いますが、その点についてお尋ねをいたします。
  42. 金丸純一

    金丸政府委員 お答えいたします。  東京湾横断道路につきましては、御指摘のように本四特別措置法のような特別な立法措置はとられていないわけでございます。ただし、架橋供用に伴いましてやむを得ず離職を余儀なくされる船員につきましては、本四架橋に係る旅客船対策に準じた措置がとられることが望ましいというふうに私ども考えているところでございます。  東京湾横断道路に係ります旅客船対策につきましては、事業主体である日本道路公団が主体となって講じていくべきものでありますけれども運輸省といたしましても、関係機関協議して適切な措置が講じられるように努めていきたいというふうに考えております。  具体的な例を申し上げますと、例えば離職前の職業訓練あるいはそれについての陸上の職業能力開発校の四十五歳未満の船員の受講、こういったことにつきましては、社会保険庁あるいは労働省さんにお願いいたしまして、実現いたしたところでございます。
  43. 井原勝介

    ○井原説明員 東京湾横断道路等の建設に伴います雇用対策につきましても十分な対策をとられる必要があるということは、委員指摘のとおりでございます。  先ほど運輸省からもございましたけれども、労働省としましては、関係者との協議を踏まえまして四月一日に通達を改正いたしまして、本四架橋と同様の措置としまして、離職前に行われる職業訓練につきまして、四十五歳未満の者もその対象としているところでございます。  今後とも関係者との協議を図りながら、東京湾横断道路等の建設に伴います雇用対策について必要な対応検討を行ってまいりたいと思います。
  44. 櫻井知能

    櫻井説明員 お答え申し上げます。  本四架橋供用に伴う船員等の離職前職業訓練につきましては、離職者の再就職の場を確保する上で非常に重要なものというふうに考えてございます。地方公共団体あるいは本四公団等におきましてあっせんされた職場、あるいは職安等を通じて確保されました職場への離職者の円滑な転職に資するためにも、その促進が図られるよう関係省庁努力していきたいと考えているところでございます。  このような離職前の職業訓練の実施に伴います費用といたしましては、先生が御指摘になりましたような受講の実費であります受講料と、それから代替船員確保のための費用がございます。現在、離職前の職業訓練につきましては、財団法人日本船員福利雇用促進センター、いわゆるSECOJの職業訓練制度におきまして、これらの費用のうち受講料それから受講船員の賃金の一部を助成するという形でそれらの費用を補てんする仕組みがとられておりまして、この制度を活用することによりまして、旅客船事業者の負担軽減が図られているところでございます。  なお、この離職前の職業訓練につきましては、派遣されるのが在職中の従業員であるということでございますので、雇用者としての旅客船事業者の協力がぜひとも必要になるわけでございます。旅客船事業者離職前の職業訓練に従業者を派遣しやすいような環境条件の整備につきまして、現在引き続き関係者間で協議検討を行っているところでございます。
  45. 緒方克陽

    緒方委員 以上、時間が来ましたので、終わらせていただきます。  雇用問題は本当に大変な問題ですので、しっかりした事前の取り組みを強く要請いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  46. 辻一彦

    辻委員長 以上で緒方克陽君の質疑は終了しました。  高木義明君。
  47. 高木義明

    ○高木(義)委員 新進党の高木義明でございます。  海上運送法の一部を改正する法律案船員法及び海洋汚染及び海上災害防止に関する法律の一部を改正する法律案に対して、ただいまから質問をさせていただきます。  法案の質問に入る前に、この際、ぜひ運輸大臣お尋ねしておきたいことがございます。  先週の一部報道によりますと、「大蔵省は国鉄清算事業団が抱える約二十七兆六千億円の旧国鉄長期債務について、処理財源は増税か運輸関連予算の大幅な歳出削減で確保せざるを得ないとの方針を固め、運輸省に伝えた。」、こういうことを目にいたしました。これが本当ならば極めて大変な問題ではないかと思っております。運輸大臣として、この点についてどう受けとめておられるのか。まず御所見をお伺いいたします。
  48. 亀井善之

    亀井国務大臣 国鉄清算事業団の長期債務につきましては、昭和六十三年一月の閣議決定で、最終的に残る債務等については国民の負担を求めざるを得ない、このようにされておるわけでありまして、先般新聞報道で私もその記事は拝見をいたしまして、そのような事実と申しますか、大蔵省からそのような話が届いていることはないわけであります。  したがいまして、事業団の債務の処理につきましては、最終的に国家財政全体の見直しの中で検討がされるべきものである、このように考え、平成元年十二月の閣議決定、いわゆる平成九年度が事業団の土地の処分の終了年度とされているわけでありまして、今鋭意努力をしておるわけであります。したがいまして、運輸省としては、運輸省の予算につきましては、これまで同様的確な施策が遂行できるような、そのような予算措置を確保するために努力をしてまいらなければならない、このように考えております。
  49. 高木義明

    ○高木(義)委員 これまでの委員会審議を通じても明確になったことは、特に我が国の港湾、空港は二十一世紀に向けて、いわゆる我が国の国際競争力を高める意味でも、まだまだ早急な整備が必要であるということも議論をされてまいりましたし、あるいは二百海里時代における海上保安体制、これもまた新しい政策課題でもあったわけであります。  またことしは、御承知のとおり、各地元の要望が大変強い、長年にわたる整備新幹線の見直しの時期にも当たっておるわけでありまして、これはまさに国家的プロジェクトでございまして、今運輸予算の中に、大蔵省が軽々にこういう話をするということは極めて混乱をする要因ではないかと私は思っておりますが、ある意味では、こういうものが一つの牽制球として、これにずるずると追従してしまいますと、運輸行政は一体何なのだ、こういうことにもなりかねないわけであります。  国民の足、そして国際社会の中で運輸交通が果たす役割、陸海空それぞれ重要なものがあることは私が言うまでもないのですが、これを安易に許してはならぬと思うのですが、再度運輸大臣の御決意をいただいておきたいと思います。
  50. 亀井善之

    亀井国務大臣 委員指摘のように、先般来、この委員会におきましても、空港整備の問題あるいは港湾整備の問題、第七次空港整備あるいは第九次の港湾五カ年計画等々の御審議をいただき、あるいは海洋法の批准に伴ういろいろの問題につきましても、特に船艇やあるいは航空機の高性能な整備をし、海上保安庁の職務を遂行するためにいろいろの努力をいたさなければならない、このようなことは各委員からもたびたび御指摘を受けておるようなわけでありまして、そのような体制に私ども運輸省全力を挙げて努力をし、予算編成に向かってさらに先生方の御支援をいただきまして、その達成のために努力をしてまいりたい、このように考えております。
  51. 高木義明

    ○高木(義)委員 ぜひひとつきちっとした一つの方針を持って臨んでいただきたい、このように強く要望し、期待を申し上げておきます。  では、海上運送法の問題に入りますが、振りかえってみますと、一九八五年のプラザ合意以降、極めて円相場は高騰してきたわけでございまして、産業界では空洞化とか雇用不安が叫ばれております。特に昨年の場合、四月十九日に、東京市場では一ドル七十九円七十五銭という超円高を記録したわけであります。  特に、このことは外航海運、まさに裸の競争でございますが、その影響は厳しいわけであります。今現実、外航海運は国際競争力を喪失しておるという状況でありまして、日本人船員あるいは日本籍船はさらに減っておりますし、船社の海外移転も進行しておる。言われておるところの空洞化を越して真空化になった、こういう認識でありたわけであります。  私は、昨年の六月六日のこの委員会におきまして、当時の亀井静香運輸大臣質問をいたしました。当時、大臣は次のように答えております。我が国外航海運日本籍船日本人船員の数が望ましい状況から大幅に下回っており、これ以上の減少は海洋国日本の将来に危機的状況を招く、こういう認識を示したわけです。そして続いて、海上輸送の安定確保のために抜本的税制面を含む従来とは違った視点の助成策が必要である、こういう答弁でその決意を示しております。  代がかわりまして、今は亀井大臣、政権の継続性からいけば、私は、さらさらこの方針と変わってない、いや、むしろそれ以上の力強い決意と方針を持たれておると思っておりますが、認識をお伺いしておきたいと思います。
  52. 亀井善之

    亀井国務大臣 委員御披露いただきました前々大臣亀井大臣がそのようなことを御発言をされておりますことは、議事録を拝見し承知をいたしております。そのような認識と私も全く同感でありまして、今回、このような法律を提案させていただき、そして制度をつくり、この対応に万全を期してまいりたい、このように考えております。
  53. 高木義明

    ○高木(義)委員 当時の日本籍船日本人船員の数は、二百二十五隻、約六千五百人であったと思います。その後、現在の数は一体どのくらいになっておるのか、御説明をいただきたいと思います。
  54. 岩田貞男

    岩田政府委員 外航に従事する日本籍船の数でございますが、実は、去年の秋ごろまで一部推計を申し上げまして、二百二十五隻と先生のおっしゃる数字で、私ども推計値も含めるということで申し上げておりました。実際は、これは毎年年央、七月一日現在でそれぞれの船に当たって数を数えております。同じ大きな船でも、時々内航に行ったり外航に行ったりするようなものがあるものですから、当たって数えております。そういう意味で、少し申しわけなかったんですが、きちんと数えましたどころ、昨年の年央、七月一日でございますが、二百十八隻でございました。大変それは申しわけないということでございます。  そういうわけで、対応がすごく、例えば内航に臨時登用されたりあるいは漁船の一種としての冷凍船になったり、いろいろ変わるものですから、ある一時点をもちまして全部総チェックをしないとできないものでございます。でございますが、今売船等の関係から推計しますと、二百隻前後になってきているというふうに理解をしております。
  55. 金丸純一

    金丸政府委員 船員数につきましてお答え申し上げます。  船員数につきまして、先生のおっしゃった数字、外航海運の主要な船主団体であります外航労務協会と旧外航中小船主労務協会、この加盟船社所属の船員数でございますけれども平成七年十月一日現在では約五千六百人というふうになっております。  ちなみに一昨年、平成六年十月一日現在の船員数は約六千三百人ということでございますので、この一年間に七百人ぐらい減少したということになっております。
  56. 高木義明

    ○高木(義)委員 現在、為替相場は一ドル百八円前後でございまして、比較的安定をしておるわけでありますが、外航海運の場合、国際競争力が低下をしておるというのが、今の御答弁によってもなお、日本籍船の減少、船員の減少、それぞれ全く好転はしておりません。したがって、我々は、まさにこの問題は国として受けとめをしなければならない重要な課題ではなかろうか、そのように認識をしております。まさに海外流出に歯どめをかける何らかの方策が今問われておるものと私は思っております。  ところで、こういう危機的状況対応するため、昨年の一月、運輸省では、海上交通局長の私的懇談会として外航海運船員問題懇談会を設置をして検討を始めてまいりました。昨年五月に報告書が出たわけであります。  これに基づいて、運輸省は今年度、いわゆる平成八年度予算に向けて国際競争力を回復するための国際船舶制度を中心とした海運支援策を確立しよう、そういうことで平成八年度の概算要求では約六億円という予算が要求されたわけなんです。ところが、その後のいきさつもあり、結果的に平成八年度予算は二千十三万円でございます。概算要求に比べたら約三十分の一に小さくなったんですね。なぜこういった外航海運船員問題懇談会で当初予定したとおりに予算が確保できなかったのか、かなりスローダウンをしたんではないかという見方もするわけでありますが、その理由はどこの辺にあったのか、この点についてお伺いしておきたいと思います。
  57. 岩田貞男

    岩田政府委員 私昨年の六月の末に今のポストになったわけですが、私といたしましても、あるいは省庁を挙げて、あるいは関係者の海員組合さんあるいは船主協会さんも挙げて、いろいろそのレポートに基づく予算概算要求について努力したわけでございます。  平成八年度概算要求においては、日本籍船の国際競争力の低下の大きな要因となっている船員のコスト、あるいは船舶に係る税金問題に焦点を当てて、税制あるいは今お尋ねのございましたような予算も含めて要求をしたわけでございます。一生懸命やったつもりなんですが、関係者間で検討すべき、あるいは調整すべき課題が残されたということでございます。国際船舶への配乗と支援のあり方ですとか緊急時の輸送命令ですとか、そういう問題もこれあります。  そのほかにもう一つ大きな、私ども財政当局や税制当局とのお話し合いの中で直面したわけですが、既存の税制や財政の体系との調整の問題が大きな課題でございました。関係者の間ではかなりの議論の隔たりがございまして、先生の御指摘のような次第になったわけでございます。  現在、そうはいいましても、いただいたお金を、これは知恵の泉の代金としまして、知恵を出す種といたしまして、今海造審あるいはそのもとで行われている検討会のいろいろな資料あるいは勉強のお金として使って、さらなる拡充に向けて知恵を絞ろうという覚悟でございます。
  58. 高木義明

    ○高木(義)委員 もう少し、このスローダウンをした件についてお伺いします。  税制の話も出てまいりました。フラッギングアウトのメリットは船舶にかかるコストの低減、特に大きなのは税制の問題であろうかと思っております。例えば三千個積みコンテナ船の場合、固定資産税は、パナマが十五万円、リベリアが六十万円であるのに対して、我が国では一千七十三万円であります。登録免許税については、パナマが五十七万円、リベリアが六十万円であるのに対して、我が国は千二百二十八万円でございます。こういう税制の大きな格差と我が国外航海運の現状を見ると、一体今後この税制あり方についてどうあるべきと考えておるのでしょうか。
  59. 岩田貞男

    岩田政府委員 今お話のございました税制問題、固定資産税や登録免許税のことでございますが、今先生お話がありましたとおり、そういった船舶に係る税制もかなりの格差があるわけでございます。これも先ほど申し上げましたように、昨年における概算要求の一つとしてこの是正を精力的にお願いをし、関係者で働きかけたわけでございます。その結果、例えば登録免許税につきましては三分の一になった、あるいは固定資産税につきましてもかなりの改善が見られたということで、満額ではございませんが、それなりの成果が上がったと思っております。  しかしながら、格差があることは事実でございまして、この船舶に関する格差につきましても、知恵を絞りながら、いろいろな格差がなくなるようなことで、競争力ができるようなことで努力をしていきたいと思っております。
  60. 高木義明

    ○高木(義)委員 この固定資産税、登録免許税のほかに新しい試みとして、七カ月以上の船上勤務で国内に滞在をしていない船員所得税住民税を免除して、これを船主に還元をするという支援措置がありました。これが消えてなくなったわけなんですね。この理由と背景についてはいかがです。
  61. 岩田貞男

    岩田政府委員 一言で言えば船員税制でございますが、その船員税制につきましても、諸外国の例を見ながら日本税制体系でも導入ができないものかということでいろいろ、それこそ関係者が一つになって働きかけを行い、お願いをしたところでございます。  しかしながら、先ほど申し上げましたように、税制というものは基本の税体系というものがございまして、それとの調整を図らないと、そこだけ変えることはできないというお話でございます。何度も税の専門家の先生のところにお伺いしたり、いろいろ知恵を出していただくように働きかけたのでございますが、やはりそことの調整にかなり時間がかかるといいますか、調整することができなくて、大きな溝のために、今おっしゃったような話になったわけでございます。
  62. 高木義明

    ○高木(義)委員 そういうことで関係先に働きかけをされておると言っておられますが、どうですか、展望はあるのですか、どうでしょう。
  63. 岩田貞男

    岩田政府委員 私ども、外国にあってなぜ日本にできないのかとか、いろいろな切り口からお願いをしていったわけでございます。私どもとしては、既存税制との調整を全く無視してこれだけでお願いをするということも、やはりそこには厚く、かつ高い壁があるのだろうと思います。同じ効果が得られるような方法はほかにないものかということもあわせまして勉強しながら、今後また再度挑戦をしていきたいと思っております。
  64. 高木義明

    ○高木(義)委員 また、航海命令という問題もあったのであります。最近は冷戦の終結に伴いまして一部見直しもされておりますが、欧米の主要海運国の多くは、海運は国家安全保障的な見地から緊急の徴用を念頭に置いた施策が講じられておる例が多いのです。国際船舶制度の中心がこの航海命令という、一つの柱になっておったわけですが、これが当時からすると、今は全くこの言葉がなくなっておるのですが、当初のスキームには航海命令というのがあったわけですが、今はもう全くない。これは一体どういう背景で、どういう理由なんでしょうか。
  65. 岩田貞男

    岩田政府委員 大変申しわけございません。私、一つ答弁漏れをいたしておりました。船員税制船舶税制、いろいろやったのですが、ちょっとさっき答えるのを忘れてしまいましたが、教育訓練施設については、船舶税制の改善とともに関係先生方の御理解を得て税制当局に働きかけた結果、船員教育施設の特別償却については認められたということで、それは私どもとして一部成果だと思っております。  さて、お尋ね航海命令でございます。これも今先生からお話がございましたように、先ほどの報告書の段階から、あるいはその後においてそういう議論があったことは事実でございます。私どもとしましても、国内海上輸送についてはそういうものがあるわけでございまして、国際海上輸送についても同じようにできないかということで、関係者間で検討したわけでございます。  しかしながら、国内海上輸送の場合と違いまして国際海上輸送になりますと、航海先や航海航路によって治安とか政治情勢、我が国ですとほとんどが一定で、治安が一定の国で守られているわけですが、それぞれの国によって違うということで、その他いろいろなことが著しく異なることが予想されて、私どもとしてどのような場合にどのような内容の命令をかけ得るかについて、さらに検討する余地がどうしても残ってしまったということでございます。  それからもう一つは、そういう面と違いまして経済的な面なんですが、外航海運は、先ほど先生が裸の競争と言っておられましたけれども、国際市場において完全な競争をしているわけでございます。ドルベースで競争しているわけでさらに厳しいわけでございますが、その中で、そんな完全な競争、裸の競争の中で航海の義務づけとそれに伴う受益との関係を明確にしませんと、さらにハンディを負ってしまうということ、それをどうするのかということでございます。  これらの点、ほかにもまだございますが、大きく分ければそれらの点につきまして関係者間で合意を得られなかったということでございまして、今後の検討課題として残されているものの一つとなってございます。  なお、つけ加えて申し上げれば、船主団体におかれましては、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律、いわゆるPKO法ですが、それと同様なんですが、協力の要請があった場合には、具体的な要請を踏まえて協力を検討していきたいという意向であることは伺ってございます。  以上でございます。
  66. 高木義明

    ○高木(義)委員 そこでちょっと、この際、極東有事の海上輸送路の安全について触れさせていただきますが、御承知のとおり、四月十七日、クリントン米国大統領が来日されまして、これに先立って四月十五日に極東有事に備えた日米の協力体制のための物品役務相互提供協定、いわゆるACSAが締結されたわけです。その中には、「後方支援、物品又は役務は、次に掲げる区分に係るものとする。」として輸送、港湾業務が含まれております。  日米地位協定に基づいて港湾の使用が可能となる場合、民間船舶の使用制限が必要となることはないのか、あるのか。我が国の船社やあるいは外国の船社との調整はどのように行っていくのであろうか。大変大事な問題でございますので、お答えを賜りたいと思います。
  67. 栢原英郎

    栢原政府委員 日米地位協定に基づきます米軍の港湾の使用につきましては、同協定第二条に規定されております提供施設としての使用と、第五条に規定されます事前の通告のもとに一時的な使用を行う場合があるというふうに承知しております。  前者の提供施設につきましては、提供施設を建設する、計画する時点で、港湾管理者等関係者との調整が行われるということになると考えております。また、先生指摘の場合は、第五条に規定される事前の通告のもとに一時的な使用を行う場合に該当するかと思いますけれども、これも港湾管理者が通告を受けた段階で、船社等の他の利用者の利用状況も踏まえまして調整を図り、行われているというふうに承知をしております。
  68. 高木義明

    ○高木(義)委員 四月十七日の日米首脳会談後に、我が国において、極東有事の際の海上輸送路の安全確保について何か話し合われたことがありますか。あるとすれば、どのような話し合いがなされておるか。
  69. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 四月十七日の日米共同宣言の中で、我が国の周辺地域で我が国の平和と安全に重大な影響を及ぼす事態が生じた場合に、それにどういうふうに対応するのか、日米の協力体制などについて研究をしょうということが決まったわけでございまして、それを受けまして、五月になりまして総理の方から御指示がありました。そういう日米の協力関係だけでなくて、広く緊急事態に対する我が国対応策について、さまざまなケースを想定して、具体的に何が必要か十分研究するようにという御指示でございました。これを受けまして関係省庁で集まりまして、いろいろなテーマごとにこれから勉強していこうということになっておるわけでございまして、例えば邦人の保護の問題であるとか沿岸警備の問題であるとか、広くいろいろな問題についてこれから勉強しようという段階でございます。  そういう状況でございまして、これからさまざまな事態を想定して勉強もしていかなければいけないということでございまして、まだ緒についたばかり、そういう状況でございます。
  70. 高木義明

    ○高木(義)委員 これからいろいろ議論がなされていくでありましょうが、ぜひ、緊急時の対応について、そしてまた船員安全確保のために重要な問題でありますから、その点も十分視野に入れて検討に参加をしていただきたいと思っております。  ところで、これはもう古い話かもわかりませんが、昭和五十八年度の防衛白書によりますと、シーレーン防衛という言葉があるわけです。きょうは防衛庁も来られておりますが、シーレーン防衛という考え方は今日においても変更はないのか、そういう考え方はまだあるのかどうか。冷戦が終結したと言われておりますが、その点について一体どういうふうに今考えておられるのですか。
  71. 柳澤協二

    ○柳澤説明員 お答えいたします。  先生指摘のシーレーン防衛と申しますのは、我が国に対する武力攻撃がなされた場合におきまして、護衛ですとか哨戒ですとか海峡、港湾の防備といったいろいろな作戦の組み合わせによりまして、海上交通の安全を確保しようという概念でございます。  これはもう御承知のように、我が国は四面を海に囲まれておりまして、資源ですとかエネルギーの大半を海外に依存しておる状況でございまして、我が国の防衛を考えます場合に、海上交通の安全確保というのは非常に大きな要素でございます。その考え方は、先生指摘の冷戦は終わったわけでございますが、昨年おつくりいただいた新しい防衛計画大綱におきましては、若干、近代化とあわせて装備の数等は減らす、コンパクト化する方向にはなっておりますが、そういう海上交通の安全確保というのが我が国の防衛上非常に重要な機能であるという認識は、いささかも変わっておらないところでございます。
  72. 高木義明

    ○高木(義)委員 そこで、我が国外航海運はそういう厳しい環境に常に置かれておるわけでありますが、いわゆるシーレーン防衛という考え方の中に、まず我が国の、日本船籍の船を守るということも考えられましょうし、じゃそうしたらいわゆる便宜置籍船はどうなるのか、あるいは外国甲船はどうなるのか、こういういろいろの対象があると思っておりますが、この辺については、いわゆる守るべき船というのは、今私が例を引き合いに述べましたそういうものについてどうなんでしょうか。御認識を賜っておきたいと思います。
  73. 柳澤協二

    ○柳澤説明員 これは、昭和五十八年ころからの今御指摘議論の中で防衛庁として重ねて答弁させていただいておりましたのは、一般論として申しますと、公海上船舶が攻撃を受けました場合に、これを自衛権として排除できますのは、その船の船籍国と申しますか旗国でございます。ですけれども我が国が攻撃を受けている場合で、その当該外国船籍の船が我が国の生存に必要不可欠な物資を運んでいる、そういう船が我が国に対する、何といいましょうか攻撃の一環として攻撃されているというようなケースは考えられるわけでございますが、そういうケースにおきましては、我が国の自衛隊がいわゆる個別的自衛権の行使の一環として、そういう船舶の護衛に当たることも理論的には可能であるという考え方を答弁させてきていただいているところでございます。
  74. 高木義明

    ○高木(義)委員 その考え方は今も変わってないんですね。
  75. 柳澤協二

    ○柳澤説明員 はい、現在もこの考え方は変えておりません。
  76. 高木義明

    ○高木(義)委員 では、次に移りますけれども、国策として支えられたいわゆる欧米諸国、近年急速に発展をしておるアジア諸国、こういったところとの国際競争に打ちかたなければならぬわけでして、税制とかあるいは船員のコストとか、我が国は大変不利な点が多いのはこれまでも指摘されておるわけでありますが、そういう中で企業もまた船員の皆様方も、まさに血の出る思いで合理化努力をしながら今こういう厳しい状況に立ち向かっておる、そういう状況でございます。企業の努力は何よりも大切でございますし、労使の協議の中でそれらの施策についてどんどん打ち出していくことも大切でありますが、まずは国としてこの海運の位置づけをしっかりする必要があるのではないか、私はこのように考えております。  したがって、そういう意味で、国際社会の舞台の中で国際競争力ができるためには、互角の競争条件といいますか、そういうものもやはり確立をしていかなければならぬことだ、私はこのように思っております。  運輸省は、そういう今日までの流れの中で今回この法律の一部改正を提案しておるわけでありますが、まさに小さく産んで大きく育てる、こういう見解が示されておりました。今は少ないのだけれども、これを一つのきっかけにして国としての外航海運の支援策をさらに大きくしていこう、こういうことだと私は考えておりますが、この点について、御当局の考え方を示していただきたい。
  77. 岩田貞男

    岩田政府委員 今先生からお話がございましたように、我が国は当然のことながら貿易立国でありますし、多くの生活関連物資を輸入しているわけでございまして、そんな中で、我が国外航海運日本籍船あるいは日本人船員による外航海運の役割というのは大変大きなものであることは言うまでもございません。そうしたものをどのようにして維持し、発展していくかということでございますが、税制その他の得られた成果をもとにして一つのコアをつくりまして、今回の法律改正をお願いしているところでございます。これを種にしまして、今後一生懸命努力しながら膨らませていこうというつもりでございます。
  78. 高木義明

    ○高木(義)委員 過去の議論をちょっと探ってみますと、昭和五十六年、一九八一年の海運造船合理化審議会の海運ワーキンググループの答申の中には、これは中間報告でありますが、海運政策は 「国家的必要性を洞察して確立されるべきもの」、こういう位置づけをされております。  当時と今では社会経済あるいは国際環境も大きく変わっておりますが、現在の我が国外航海運の国家的視点に立った位置づけについて、どのように受けとめておられるのか。
  79. 岩田貞男

    岩田政府委員 五十六年、十数年前になりますが、そこのワーキンググループのレポートを見ますと、今先生がおっしゃられましたように、政策を「短期的な外航海運の動向に目を奪われることなくその国家的必要性を洞察して確立されるべきものである。」というふうに書かれています。いろいろなほかのことも書かれておりますが、最後の締めくくりの近くにそのようなことが書かれてございます。  十数年前ではありますが、このことは現在も同じことであろうというふうに私ども認識しておりまして、先ほど来お答え申し上げましたように、我が国外航海運の果たす役割は前にも増して重要だと考えておりまして、この外航海運がさらに発展し、維持し、あるいはその中で日本籍船外航日本人船員確保されるよう努力していきたいと思っております。
  80. 高木義明

    ○高木(義)委員 またその報告書では「人的資源である日本人船員確保は、単に雇用対策観点から必要であるばかりでなく、経済的安全保障上も日本確保と一体の関係にある。」ことを指摘しておりますが、この点についてはいかがでしょうか。
  81. 金丸純一

    金丸政府委員 先生指摘のように、五十六年のワーキンググループの中間報告ではそのような御指摘がなされているわけでございます。  日本籍船確保と並びまして、船舶運航あるいは貨物の管理等の専門技術にすぐれた日本人船員確保していくことは非常に重要なことであると私ども認識しておりますし、御指摘のように、先ほどの五十六年の海造審海運ワーキンググループの報告を初めといたしまして、従来から、日本籍船確保日本人船員確保の問題は、基本的にはセットとして考えて取り扱ってきたところでございます。
  82. 高木義明

    ○高木(義)委員 あれから何年か経過しまして今日まで、いまだにさらに深刻度を増しておるというのが現状と思っております。もちろん、市場原理、市場原則、自由競争の中でそれぞれが切瑳琢磨をしていわゆる荷主のニーズにこたえる、こういうことは最も大切なことでございます。それはそれで企業として、産業として英知を傾けて努力されることでありますが、しかしそれと同時に、国家的な海運の位置づけというのを今しっかりしないと、将来にわたってやはり大変な禍根を残すことになるのではないかというふうに私は思っております。  そこで、既にお話もあっておりますが、本年三月二十八日に、新たな観点から第一回の海運造船合理化審議会の海運対策部会が開催をされております。船会社や船員の代表はもとより、学識経験者の皆さん方からそれぞれ意見が述べられておるようです。具体的な事項につきましては今後小委員会協議することになっておりますが、この審議会審議経過、そして運輸省としてどういうことを諮問しておるのか、その内容について、また、今までの海造審と今回の海造審の考え方の異なる点はあるのか、また、この海造審の答申はいつごろになっていくのであろうか、来年度という一つの目標の前に、具体的な段取りはどうなっておるのか、この点についてお聞かせをいただきたい。
  83. 岩田貞男

    岩田政府委員 少し技術的な話でございますが、実は、海運造船合理化審議会に既に基本答申というものがございます。その中にいろいろ述べられているわけですが、この基本答申の一つの項目として、今後新たな事態が生じた場合にはさらに審議を進めるのだという規定、やり方になってございます。そういうような規定を受けまして、個々に諮問をして答申を得るという形ではなくて、私どもとして、基本答申のこの内容自体が古くなっているわけではないし、現在でもその内容について進めていくべきだという内容でございますが、そういうふうになっております。今回の海造審は、そういう規定を受けまして、さらに海運対策部会を開き、さらにその下に、これも何十人もおられますので、小委員会を設けて議論をしているわけでございます。  今お話がございましたように、その海造審の中では、国際船舶制度拡充に関する今後の課題を初めとして、最近における国際経済変化の環境を踏まえて、外航海運あり方、国際競争力の強化のための方策等について幅広く御検討をお願いしたいということでございます。  三月二十八日に開きました対策部会では、この十年ぐらい対策部会を開いていませんものですから、その間のいろいろな世界の動き、荷動き、その他を説明をさせていただきまして、さらに小委員会でも議論をさせていただきまして、先生方の最近の御認識をお願いをしたところでございます。それを受けまして、さらに、実は小委員会でも三十人ぐらいになってしまうものですから、議論が大変発散をしやすくなります。したがいまして、それのさらに下に、ワーキンググループという形で、日本船員福利雇用促進センターに設置された国際船舶制度推進調査委員会というところで今鋭意議論をしているところでございます。第一回は四月九日に開きまして、第二回目は五月二十二日、今月は六月十七日を予定をしております。そういう中で議論を煮詰めまして、さらに小委員会あるいは海運対策部会に上げていきたいと思っております。  私どもとして、いつごろ結論が得られるのかというお尋ねがございましたけれども、三月二十八日の関係では一年ちょっと、一年程度をかけて御議論をお願いをしたいということでございます。もとより、その途中で中間的なものの御意見がまとまればそれは早速出していただいて、私どもとして実行できるものは実行していきたい、このようにも思っております。
  84. 高木義明

    ○高木(義)委員 このままこういう状況を続けておりますと、限りなく日本籍船はゼロに近づいていくであろうということがよく言われております。海造審審議については私は見守ってまいりたいと思いますが、一部には、市場原理ですからそれでもいいではないかという意見があります。しかし、ここで私はぜひ運輸当局にお聞きしておきたいのは、もし日本籍船がゼロという事態になった場合にはどうなるのか、日本籍船の必要性なり意義なりについてどう考えておいでなのか、この点をちょっとお示しいただきたい。
  85. 岩田貞男

    岩田政府委員 申すまでもなく、日本船舶は、先ほど申し上げましたように、貿易物資あるいは我が国の国民の生活に直接消費される生活関連物資の安定的な輸送とか、あるいは便宜置籍国の政情などに左右される危険性の回避とか、あるいは島国でありますから当然のことながら船舶の必要性があるのですが、そういう船舶運航管理に関するノウハウの維持とか、さらなる新しい機材や操船技術に対する発展観点から申しまして、国際海上輸送確保に重要な役割を果たしているものであるということは、再三お答え申し上げているところでございます。  ただいま、ショッキングな仮定でございますが、日本籍船がゼロになったらということでございますが、このような観点から見れば、仮に日本籍船がゼロになるというような事態については大変な問題であると思っております。
  86. 高木義明

    ○高木(義)委員 同じようなことで、すべて外国人の船員仕事をしていただく、いわゆる日本人船員が限りなくゼロに近づいた場合、一体どうなっていくのであろうか。日本人船員の評価あるいは必要性、この点についてもあわせてお伺いしておきます。
  87. 金丸純一

    金丸政府委員 先ほどの御答弁で、日本人船員の必要性につきましては、日本船舶とセットで語られておるというふうに申し上げました。したがいまして、今日本船舶の必要性につきまして海上交通局長の方から申し上げました理由が、すべて日本人船員には当てはまるわけでございます。重複を避ける意味で一々申し上げることはいたしません。そういうことで、非常に大変な事態になる。  そのほかに、海運事業者の方々にお聞きしてみますと、要するに日本籍船でなくても、言ってみれば海運業は経営できるかもしれない、ただし、日本人船員がいない、優秀な海技の技術者がいない、こういう事態では日本の海運企業は海運企業として存続し得ないのではないか、こういう危惧を持っているところでございまして、これは非常に重要な、大変なことであるというふうに私ども認識しているところでございます。
  88. 高木義明

    ○高木(義)委員 欧州各国とも自分の国の籍船、自国籍船あるいは自国船員は必要としてはおります。しかし、その数を、大体何隻、そして何人ということを明らかにしている国はありません。それは、考えますと、自国籍船舶の船腹量が安全保障等に必要とされる水準を下回っておることを認めるということになりますと、国が枠まで回復する責任を求められる、そういうことになりますと多大な財政支出が要求される、こういうことだと言われております。英国では、有事の際、船舶は手当てできる可能性はあるが、船員はもう間に合わない、こういう状況にあるとも言われております。  また一方、アメリカにおきましては、外国船と・の運賃費の差額、年間約二億ドル強でありますが、これを直接助成をしております。毎年、必要な船腹数をアメリカの場合は明示をして、船舶の近代化、性能や船員の配乗、資質等を規定をしております。有事の際には海軍予備隊にもなり得るという軍事色のまことに強い支援策となっております。船舶の建造あるいは改造に関しては船価の七五%を限度に政府が債務保証をする、こういういわば強力な海運政策を行っております。これは特殊な事例でございます。  したがって、国として持つべき数を明らかにするというのはさまざまな難しい問題を抱えておることを私なりには理解をしておりますが、しかし、海運国家日本としての現状を踏まえるときに、ある程度の、日本籍船は大体何隻ぐらい、あるいは日本人船員は何人ぐらい必要であろう、こういう指針を示すことも考えてよいのではないかと私は思うわけです。  それは、いわゆる望ましい数という、すなわち国民生活あるいは経済に必要な食糧、エネルギー、資源あるいは原材料、こういう主要物資を現実に海上において輸送をしておるわけでございますから、そういう観点からも国としてある程度の数は設定をできるのではないかと思いますが、この点についていかがでしょう。
  89. 岩田貞男

    岩田政府委員 大変難しいお尋ねでございます。確保すべき日本籍船の規模については、今先生がまさにおっしゃいましたように多種多様な観点がございまして、一義的に設定することは大変難しゅうございます。コンセンサスを得ながら一義的に設定することは大変難しいと思っております。したがいまして、今回の改正は具体的な数値目標を実現するという制度ではなくて、日本籍船の急激な減少に歯どめをかける制度と考えているところでございます。  しかしながら、あえていろいろな仮定を置いて試算を申し上げれば、実はこれも大分前でございます、十五年ぐらい前に、国会で同様のお尋ねに対して政府側から答弁がなされております。それによれば、これも少し幅のある概念で詳しくは承知できないのですが、最低限の国民生活を維持する上で三百五十隻ないし四百隻の船が必要とのお答えがなされております。私どもとしましては、いろいろな予見がございますので、何か手がかりがないといけないものですから、このお答えになりましたベースをなぞりながら、これもすべてわかっているわけではないのですが、なぞりながら、なぞった結果、そして民間の調査機関がそれをなぞって試算をしたものがございます。  これによれば、今申し上げました三百五十隻とか四百隻とかいう数字よりももう少し、最低限の国民生活を維持する上で必要な船は三百隻ぐらいなのかなという試算がなされております。ただ、この数字につきましては少し少なくなっていますが、実はその十数年の間に船が大変大型化しているということでございまして、そういう理由でそういうことになっていると思います。  ただ、ここからが難しいのでございますが、その三百隻あるいは三百数十隻のうちどのぐらいが日本籍船でなければならないのか、あるいは、どのぐらいがFOC船でいいのかとか、そこら辺が、これも非常に幅のある概念でございまして、私どもから申し上げれば、できるだけ多く日本籍船であってほしいということでございます。
  90. 高木義明

    ○高木(義)委員 日本人船員についてはどうでしょう。
  91. 金丸純一

    金丸政府委員 今海上交通局長の方から御答弁申し上げましたように、日本籍船の必要性につきまして、いろいろな観点から一義的に決めることはなかなか難しいというお話がございました。したがいまして、日本人船員につきましても、同様な理由といいますか、そういった観点から、なかなか決めることは難しいなというふうに考えているところでございます。  ただ、今若干の試算が示されましたので、その試算との関係で申し上げますと、例えば三百隻というお話がございましたけれども、この三百隻をもとに機械的に算定いたしますと、例えば予備船員率が五〇%であるとか育成船員率が六〇%という推定で、単純に推計いたしますれば、約千五百名という数字は出る。しかしながら、現実には船員さんはずっと海上勤務でいるわけではございませんので、陸上勤務とのローテーションがある。それをどういうふうに会社の人事政策上配置していくのかとか、いろいろな問題が出てまいります。  したがいまして、私ども、これは非常に難しい問題がございますが、おっしゃるとおり指針としての船員数の把握も、あることが非常に望ましいし、あるべきものであろうということでもって、今後の海造審の場その他での検討課題の一つというふうに考えているところでございます。
  92. 高木義明

    ○高木(義)委員 平成六年から混乗が開始されました近代化船、あるいはまた、日本人船員が乗り込んで十一名で航行しております。パイオニアシップ、近代化P船と呼ばれておりますが、これすら今ではもう国際競争力を失っておる、こういう現状でございますので、海運界では、国際船舶制度を中心とした支援策の中で、いわゆる日本人船長機関長二名という思い切った配乗要件の緩和が示されておりますね。そういうことの努力もありながら、私は、今後日本人船員を将来確保していくのだ、あるいはまた育成をしていくのだという展望があるかないかというのが大変重要な意味を持つと思うのですね。  我が国外航船員は、今四十五歳から五十五歳の船員が中心となっております。したがって、後継者不足が目立っております。ちなみに、昨年の商船大学、商船高専卒の新規採用はわずか五十八名でございます。いわゆる若者の海離れという現象ももちろんありますし、こういう成熟された時代の中で、海で働くこと、船に乗ることが今の若者にとってどのように価値観を持つのか、大変難しい問題があるわけでありますが、これまでの答弁にもありますように、将来にわたって、日本が海運国家である以上、海技の伝承等について、若者の育成というのは国家施策として位置づけて、そして必要な支援策をとっていくべきであろうと私は強く思っております。この点についていかがでしょう。
  93. 金丸純一

    金丸政府委員 後継者という話でございますけれども、この後継者の確保につきまして、船長機関長二名の配乗の話からお話しになりましたので、その点につきまして申し上げますと、船長及び機関長が二名配乗ということが話題にされておりますけれども外航海運船員問題懇談会の報告では、原則二名配乗だけれども、そのための育成要員の確保についてもこれは非常に必要であるということを認識しているわけでございます。昨年度の私どもの予算要求におきましても、この育成要員も含めた形でもって考えておったということで、この後継者の問題につきましては、私ども、非常に重要な問題だというふうに考えているわけでございます。  それで、海離れというようなお話がございましたけれども、若者の海離れに対する啓蒙でありますとかあるいは教育訓練の充実、こういったことにつきましては、そういったことも含めまして、我が国外航海運の安定的な発展のためには非常に重要なものだというふうに考えております。  特に私ども一番心配してまいりましたのはバブル経済の当時でございまして、当時は非常に若者の海離れが顕著となってきて、必要な若年船員がなかなか海運業界に来てくれない、こういう事態が来たわけでございます。それで、官公労使一体となりまして、一般国民に対します海についての啓蒙活動でありますとか海事産業のPRを推進してきたところでございます。また、日本人外航船員の役割というものが非常に変わってきておりますので、それに対応した船員教育訓練あり方でありますとか、あるいはシミュレーターを使った新しい効率的な訓練のやり方、こういったことについても今検討しているところでございます。  こういったことでございますけれども、今一番私ども心配しておりますのは、そういった成果もあったのかということでございますが、海事教育機関への入学志願者、これにつきましては最近ではかなりの高率に達しておる。したがって、海を目指す若者はいるということだと思いますけれども、その一方で、御指摘のように、外航海運が経営が非常に厳しい中で採用数が減少しているということで、なかなか採用していただけない。したがって、そういった就職の問題から、若者が将来も海事教育を志望してくれるかどうか心配しておるということでございます。  いずれにいたしましても、この日本人船員確保、育成ということにつきましては、特に後継者の育成ということにつきましては非常に重要な問題でございますので、私ども、今回の問題の中で一つの重要な柱として考えて、検討してまいりたいというように考えております。
  94. 高木義明

    ○高木(義)委員 今我が国の輸出入による物資の輸送量は八億二千八百万トンと言われております。これを約二千隻の日本商船隊と言われる船で運んでおるわけでして、それには、我が国日本籍船約二百隻、また便宜置籍船あるいは海外用船、それぞれやっておりますが、我々は今の現実を見てみますと、便宜置籍船というのも外航海運の重要な一角を占めておるということは事実でございます。そこで、便宜置籍船の位置づけについてどう考えておるのか。  また、我が国の海技水準というのは世界でもトップレベルとよく言われておりまして、その船員資格というのは重要な位置づけであります。現在、外国人との混乗によりまして、外国人が日本船員資格を取得をするために、外国語による試験制度が確立していないためにそういう資格が取得困難な状況指摘をされておりますが、このような試験制度の導入ということについていかに対応していこうとされておるのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。
  95. 岩田貞男

    岩田政府委員 まず初めにお尋ねのございました便宜置籍船の位置づけでございます。  昨年五月に、先ほど来お話がございましたことですが、労使あるいは学識経験者などにより構成された外航海運船員問題懇談会の報告におきまして、便宜置籍船の位置づけが言及されております。そこの表現では仕組み船という表現になってございまして、日本船社が海外子会社などに保有させ、実質的支配のもとに運航している外国籍船、船のプロであります先生にこんなことを申し上げるのは大変歯がゆいことでございますが、これにつきましてはこのような記述になっております。「円高の進行する状況等においては、コスト競争力の強い仕組船の役割は更に大きくなってきており、現実には日本籍船以上に我が国商船隊の中核を構成する役割を持つところとなってきている。」と述べられております。私どもとしましては、ただいま申し上げましたような、広く海運関係者あるいは学識経験者の中でそのような仕組み船の位置づけがなされておるということだと承知しておりまして、私どもとしても、行政としてもそのようなものと認識しておるところでございます。  ただ、御指摘のとおり、仕組み船は外国籍船でありますので、何か緊急事態が生じた場合、国家としての対応をとることができる日本籍船とその面で異なるわけでございまして、何か起これば、そういった情勢に左右された場合には日本籍船と同一には論じられないわけでございまして、外交上の措置としては、国際法的には置籍国にお願いをして保護をお願いをするとか、あるいは、場合によっては沿岸国に要請をするという意味日本国籍船と大分取り扱いが違ってくる、こういうように認識しております。
  96. 金丸純一

    金丸政府委員 外国語によります海技資格試験の実施についてのお尋ねでございます。  御承知のとおり、国際的には旗国主義がとられておりまして、日本籍船であれば日本の海技資格が必要であるということでもって、従来は外国人に対する資格の付与ということは必要がなかったわけでございますけれども日本人船員が原則船長機関長二名配乗だ、こういうことを前提といたしますと、その他の職員につきましては当然外国人が来る。この外国人船員に対しまして日本の海技資格を取得させなければいけないということになってまいりまして、したがって、外国語による海技資格試験の実施をすべきであるということが外航海運船員問題懇談会において提起されたわけでございます。  ただ、これにつきましては、財政上、税制上のパッケージとしての支援措置とセットとして私ども考えておりまして、平成八年度に国際船舶制度に関します制度はその第一歩スタートしたわけでございますけれども、この制度拡充強化の中で、この外国人に対する英語試験の問題といったことについてもあわせて検討されるべき問題であるというふうに私ども考えているところでございます。
  97. 高木義明

    ○高木(義)委員 では、具体的な法案の内容について若干触れてみたいと思います。  この厳しい状況を踏まえて、いわゆる国際船舶制度を中心とする支援策で我が国の国際競争力を高めて、そして日本籍船日本人船員の一定の数を確保するということが今回の改正基本的な方向ではないか、このように私は思うわけであります。  そこで、改正案の四十四条の二について、これは、平成七年の五月に外航海運船員問題懇談会で当初示されておりました国際船舶制度のスキームでは、船主が登録する際に国際船舶を選択することになっておりましたけれども、今回の改正案では、省令によって定める規定に該当する船舶は当然国際船舶と認定されることになっております。どういう理由でこういうことになってきたのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。
  98. 岩田貞男

    岩田政府委員 今回の改正におきましては、国際船舶制度第一歩として、税制改正あるいは予算で認められた政府の支援を受けることとなる国際海上輸送確保の上で重要な役割を果たしている国際船舶法律上の定義づけを行うとともに、日本籍船の急激な減少に全体的に歯どめをかけるということから、国際船舶海外譲渡等につきまして、届け出とかあるいは勧告制度を創設しようとするものでございます。  したがいまして、我が国にとりまして重要な船舶ということでございますので、個々の船主さんの自主的な選択ということではなく、そういうことによる認定制度ではなく、省令などにおきまして一定の基準のものにつきましてはそういう特別な船舶を指定する、こういう形になったわけでございます。
  99. 高木義明

    ○高木(義)委員 四十四条の二には国際船舶の定義づけが記されております。省令で定める船舶は具体的にはどういう船舶を想定しておるのでしょうか。そして、四十四条の二に定める国際船舶に該当する日本籍船は現在何隻あるのか。どうでしょうか。
  100. 岩田貞男

    岩田政府委員 私どもとして、省令で定める船舶としては、輸送能力とか航海の態様、運航体制効率性あるいは運航に必要とされる技術の水準から見て、国際海上輸送確保の上で重要な日本船舶を想定しておるわけでございまして、具体的には、総トン数が二千トン以上の船舶であること、航海し得る区域近海区域または遠洋区域である船舶であること、要するに航海資格がないとまずいということでございます。さらに、実際の態様でございますが、専ら国際航海に従事している船舶でなければならない。  第四番目の柱として近代化設備、これもいろいろな設備がございますが、例えば衛星航法設備ですとか自動操舵装置ですとか、その他いろいろ細かい設備がございますが、そういった近代化設備を有している船舶であることなどを要件とする等をもって想定をしているところでございます。
  101. 高木義明

    ○高木(義)委員 改正案の四十四条の三についてでございます。  今回の改正案の目的は、国際海上輸送を担う質の高い日本船舶海外流出防止するため有力な歯どめの方策を講じ、これを維持すると言われております。ここで、具体的な対応策を明らかにされないまま、許可制から届け出制になるということは、むしろさらにフラッギングアウトが進むことになるのではないか、こういう危惧が、私のみならず、多くの方々から寄せられておりますけれども、この点はどういう認識でしょうか。
  102. 岩田貞男

    岩田政府委員 これも少ししつこい御答弁をさせていただくわけですが、実は現在の海上運送法制度として許可制になってございます。一定の小さな船は、二千トン未満の貨物船は許可制ではなくて何も規制はございませんが、それ以外の船は許可制になっておるわけでございます。  ただ、この二項に、これは法律の形態としまして、昭和二十四年にできたという形態で、ちょっと今の法律の形態とは違ってございまして、そのような海外譲渡等の申請があった場合は「船腹の供給が需要に対し著しく不足にならず、且つ、海運の振興に著しく支障を及ぼすことにならない限り、これを許可しなければならない。」、こういうふうに規定をされております。  この「船腹の供給が需要に対し」というところなんですが、これは昭和二十四年の当時でございますから、日本の国に船が入ってくるのか入ってこないのかというようなことが実は非常に議論になったわけでございます。しかしながら、今日本国籍船であろうと、日本の船主がオペレートしている外国船であろうと、あるいは発展途上国の船であろうと、あるいはその他の先進国の船であろうと、現状では日本の港に船が入ってこないということは考えられないということでございます。  それからもう一つは、「海運の振興に著しく支障を及ぼす」かどうかという点でございますが、これにつきましては、昭和二十四年とかしばらくの間はその海運カルテル、同盟といいますが、それによりまして海運秩序というものが維持されていたわけでございまして、そういう秩序を壊さないという意味でこれが解釈されておりました。しかしながら、今はもう発展途上国の海運がどんどんのしてきておりまして、いわゆる同盟外、同盟内、同盟外船、同盟内船という概念も非常に薄れているばかりでなく、そういった船同士がグループをつくりまして共同配船をしょうということで、専門用語ではグローバルアライアンスと言うのだそうですが、そういうものをつくって、むしろ盟内・盟外船、発展途上国の船、先進国の船がグループをつくって、そういうグループ間で競争しようという状態になっています。そんなことを考えますと、今、日本籍船が売られたことによって海運の振興に著しく支障を及ぼすということにはならないわけでございまして、したがいまして、申請のあったものは自動的に許可をせざるを得ない、こんな状況でございます。  そういうものを今回改めまして、特定の、我が国として非常に近代的な設備を持ち、我が国の立場からも重要な船舶につきまして省令で定めまして、それについて勧告制度を設けるということで、むしろ実効ある歯どめ措置をとれるのかな、こういうふうに考えておるところでございます。
  103. 高木義明

    ○高木(義)委員 どうぞ大臣、参議院の方へ御退席いただきます。  現行法におきましては、四十四条の二の二の規定によりまして不許可になった例がない。改正案四十四条の三の中止及びその他必要な措置を講すべき勧告を受けることは、ある意味では一方で事実上の規制の強化である、こういう意見も聞くわけでありますが、この点についてはどうでしょう。
  104. 岩田貞男

    岩田政府委員 先ほどお尋ねがありましたことと逆になるわけでございますが、我が国の海運のうち、そういう我が国にとって大変重要なものであるということで省令で定めた国際船舶につきましては、そういうものが海外に譲渡されるときに届け出があって勧告をするということであります。  勧告の要件がいろいろ書いてございますが、一つに規制の強化になるという面もある面ではあるかもしれませんが、その要件の運用によるものだろうと思っております。しかしながら、届け出制でございますので、一定の期日が来れば、今二十日を考えてございますが、その間に役所が考えて勧告なりが決まるということで、そういう面では、規制の強化になったと一面では言えないのではないかと思っております。
  105. 高木義明

    ○高木(義)委員 今回の改正案を決定するに当たって、当然ながら事前に船主の皆さん方あるいは船員の皆さん方等々から意見を聴取する機会があったと思うのですが、ある程度の合意を得て進めてまいったものなのかどうなのか、この点について確認をしておきたいと思います。
  106. 岩田貞男

    岩田政府委員 お答えを申し上げます。  先ほど来申し上げたところでございますが、平成八年度の税制改正等におきましては、関係者が協力をして、本当に一体となって税制改正要望を行い、その実現に向けてさまざまなところに働きかけを行ったところでございます。その結果、国際船舶に対する税制上の特例措置が認められて、これを踏まえまして、今法制化をお願いしているところでございます。  本法案の決定に当たりましては、当初要求とかなり異なってございます。先ほど御指摘があったように異なっておりますので、さまざまな制約とか時間的な制約もあったわけでございますが、その制約の中で可能な限り関係者の御意見を伺うよう努めたと思っております。  これも先ほど来お話がございましたけれども、これがまず第一歩でございまして、さらなる拡充のために、今海運造船合理化審議会等の場におきましていろいろな外航海運あり方について幅広く検討審議をしているところでございます。今後とも、船社あるいはそれに従事される方々を初めとする関係者の方々の意見を拝聴しながら、検討を進めていきたいと思っております。
  107. 高木義明

    ○高木(義)委員 船員にとりまして、船舶海外譲渡とか貸し渡しは職場を失うことにつながってくるわけでございまして、海外譲渡とか貸し渡しの際には、従来は労使協議の上、労働側の同意書が添付をされるという経緯がございました。これまでの合意書の扱いについて今後はどういうことになっていくのか、この点についての当局の御見解を賜っておきたい。
  108. 岩田貞男

    岩田政府委員 法律上でございますが、今お話がございました船舶海外譲渡するときの申請に関係組合のいわゆる同意書が許可や不許可の要件になっていないのは事実でございます。しかしながら、いろいろな経緯がございまして、この経緯をお話し申し上げると時間がなくなってしまうので、省略をさせていただきますが、行政慣行として、このような申請に際して、船社に雇用対策について説明を求め、確認するという取り扱いを行ってきたのは事実でございます。これが船社間で、あるいは労使との間で同意書という形で紙になって出てきたわけでございます。そういうのは事実でございます。  私ども、今回の法律改正につきまして関係のところがらよく事情を聞いたわけでございますが、六二年から平成の初めにかけて、それぞれ海員組合と船社との間で、名前は中期雇用計画という形の労使協定なんだそうですが、労使間で合意をされまして、これによると、海外譲渡をされるような場合には事前に労使で協議をして、合意が得られたものについて海外譲渡のための申請がなされると聞いてございます。したがいまして、法律改正によりましてこの許可申請が届け出になりましても、そのような合意のもとで届け出がなされてくるものと理解をしておるところでございます。
  109. 辻一彦

    辻委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時八分休憩      ————◇—————     午前十一時二十分開議
  110. 辻一彦

    辻委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。高木義明君。
  111. 高木義明

    ○高木(義)委員 大臣にこの際お伺いしておきますが、いわゆる海運の将来像と国際協調体制への取り組みという観点であります。  今、経済は国際化をしておりますし、ボーダーレス時代を迎えたとも言われておりますし、また企業の無国籍化が進んでおる、こういうことも一つの流れであります。海運企業というものは、各国が特別の位置づけのもとに支援策を講じておりまして、一般企業とは異なりますけれども、今後、海運の世界においてはとりわけ国際協調体制の構築ということが重要になってこよう、こういう考え方をする一人であります。  そこで、長期的展望についてですが、一つの企業戦略として、今後の海運の方向性は、世界的分業体制の中で生きていく、いわゆるシッビング・コンサルティング・アンド・マネージメント会社と称されるように総合的な海運業を経営するという考え方、つまり、将来は、船舶を所有する会社、あるいは運航の実務を引き受ける会社、船舶の維持管理、いわゆる保船委託をする会社、また船員の実務を委託する会社、こういう分業体制が出てくるのではなかろうか、こういう認識が一部専門家の中から言われております。  将来、海運にかかわる方々は一体どのような形で生き抜いていくのであろうか。もちろん一定の日本籍船日本人船員確保は前提でありますけれども、この点について、大臣としてのお考えをお聞きしておきたいと思います。
  112. 亀井善之

    亀井国務大臣 外航海運業は、文字どおり完全な国際競争の中で企業経営を行っているものであるわけであります。このため、各企業は生き残りをかけて効率化、コスト削減に向けて経営努力を行っていることも先生の御指摘のとおりであります。  いわゆる邦船各社においても、東南アジア地域の経済発展に伴う荷動き量の変化に対応した海外における営業力の強化のために、あるいはコスト削減や円高対応したコストのドル建て化のため、あるいは本社機能の一部の国際的な分社化に取り組んでいるところも事実であります。厳しい国際競争のもとに企業の生き残りをかけてこのような選択を行っている以上、やむを得ない一面も考えられるわけであります。  ただ、この場合におきましても、船舶の安全を確保していく、この必要性には変わりはないことでありまして、国際的には、このような船社機能の分社化や船舶管理会社の出現を前提とした中で、国際安全管理コードにより船舶の安全運航確保するための施策が導入されようとしている。海運企業の国際的な分社化が行われた場合においても、我が国としてもこのような企業形態の変化を踏まえた上で、安全を確保するための施策に引き続き取り組んでまいりたい、このように考えております。  このような形態の中で海運企業の機能の海外への展開が進んでいるわけでありますが、その一方では、我が国貿易物資の安定的な輸送手段の確保や海技の伝承等の観点から日本籍船日本人船員確保していくことが必要なことであり、そのためには、今回のこの国際船舶に関する制度第一歩の踏み出しとして重要な位置づけにし、今後の対応をしてまいりたい、このように考えております。
  113. 高木義明

    ○高木(義)委員 私は、先ほどからいろいろお尋ねをしてまいりましたけれども、国際競争力を回復、強化することによって我が国の海運の活性化を図る、もって日本人船員並びに我が国の船籍を確保していく、こういうことになっていかざるを得ないし、あるべきであろうと思っております。また、国際船舶制度を中心とした海運政策のねらいは、やはり我が国の国民生活を将来ともに守っていくという、いわゆる国民的な経済安全保障の考え方がその軸になるべきであろうと私は思っております。  したがって、労使のさらなる自助努力は当然のことながら、我々政治の場にある者は、国民の理解そしてまた荷主の理解、こういったものを得る努力を積み重ねることが私は必要であろうと思っております。したがって、そういう中で、我が国の海運が国際社会の中で外国と互角の競争ができる、そういう環境を整えることだ、このように思っておるわけであります。  今回のこの海上運送法改正によりまして国際船舶というのが定義づけされたということは私は極めて意義があることだと思っておりますが、しかし、まだ不十分なのは否めないと思っております。したがって、これを一つのきっかけにして、本当に我が国として、二十一世紀を迎える海洋国として、一体、日本の日の丸の船あるいはかけがえのない日本人船員をどう育成していくのか、確保していくのか。私は、こういうことが国がリーダーシップをとってやるべきことだろうと思っております。  この法案に対して、最後になりますけれども大臣決意をこの際お聞かせいただきたい。
  114. 亀井善之

    亀井国務大臣 先生今御発言をいただきましたとおりでございまして、先ほどもお話し申し上げましたが、我が国の安定的な位置を確保する、そういう面におきましても、厳しい条件下でありますが、国際競争に打ちかっていかなければならない。それには、この制度をまず定着させる、そして、これを第一歩に、いろいろ御指摘をいただいております、税制の面でのさらなる拡充、このことも十分今後導入をしてこの制度を育てる、そういう中で我が国の海運業を維持してまいりたい、このように考えております。
  115. 高木義明

    ○高木(義)委員 ぜひ、鋭意御努力をいただきたいと要請をしておきたいと思います。  次に、船員法及び海洋汚染及び海上災害防止に関する法律の一部を改正する法律案についてお尋ねをしてまいりたいと思います。  最近の大規模な海難事故のほとんどの原因がヒューマンエラー、いわゆる乗組員のエラーによって起こる、そういうことが言われております。今回、そういう意味で、さらなるポートステートコントロールを強化していくという意味では、これは私は積極的に今後とも取り組んでいかなければならぬ一つの課題であろうと思っております。それは、もちろん国民生活を守る、あるいは海洋環境を守ることは我が国としてのまさに使命であり、責任である、こういう意味合いでも大切なことだと思っております。  そこで、ローロー船の問題について触れてみたいと思います。  一九九四年にバルト海を航行中のローロー旅客船エストニア号が、船首のドアが開いて大量の海水が浸水し、沈没をいたしました。約八百五十名の方が亡くなったわけでございまして、この教訓として、STCW条約ではローロー旅客船乗組員教育訓練を義務づけることにしたわけであります。  我が国におきましては、ローロー旅客船というように限定をしておらず、旅客船全般ということになっておりますが、条約においてはなぜローロー旅客船に限定したのか、この点について認識を伺いたいと思いますし、我が国においては旅客船とした理由、考え方について明らかにしていただきたい。
  116. 金丸純一

    金丸政府委員 先生指摘のとおり、STCW条約改正の中身といたしましては、国際ローロー旅客船乗組員につきましては、非常時における旅客のパニックの防止や適切な避難誘導、それから開口部の適切な閉鎖等を行うために必要な教育訓練を義務づけるというものでございます。  しかしながら、このような教育訓練につきましては、必ずしも国際ローロー旅客船に限った問題だけではない、あるいはローロー旅客船に限りませずに一般の旅客船にもやるべきではないか、こういったようなことはIMO、国際海事機関でも認識しておるところでございまして、したがいまして、そこの決議としては、広く旅客船一般にこういったルールを採用していくべきであるといった考え方が示されているところでございます。  したがいまして、今回の法改正におきましては、旅客安全確保により万全を期するために、国際ローロー旅客船に限りませず、旅客船全般に乗組員への所要の教育訓練義務を課すということにいたしたいと私どもは考えているわけでございます。
  117. 高木義明

    ○高木(義)委員 従来、旅客船乗組員教育訓練はどうであったのか、そして今後、義務づける以上、どのような基準に基づいて教育訓練を実施していくのか、この点についていかがでしょう。
  118. 金丸純一

    金丸政府委員 現在の旅客船乗組員への教育訓練でございますけれども、乗り組む船舶航行区域等に応じまして、乗船後に各種の訓練を課しているところでございます。  具体的に申し上げますと、防火戸水密戸の閉鎖でありますとか消火設備操作救命艇の降下、非常操舵装置操作あるいは旅客避難誘導等非常時におきます安全確保のための訓練を、国際旅客船につきましては週一回、国内旅客船につきましては月一同等の間隔で実施しているわけでございます。  今回の法改正につきましては、旅客船乗組員に対しまして、非常時におきます旅客のパニックの防止や適切な避難誘導等を行うに当たって必要となる詳細な訓練基準運輸省令で定めることといたしております。その訓練乗組員乗船の前に実施するということを義務づけるものでございます。さらに、ロールオン・ロールオフタイプの旅客船につきましては、開口部貨物固定等に関します詳細な訓練基準設定するということにいたしておるわけでございます。
  119. 高木義明

    ○高木(義)委員 今回の船員法改正案の百十八条の三には、SOLAS条約の改正に伴って、高速船乗組員の操舵等に関する教育訓練船舶所有者に義務づけております。これまで高速船教育訓練はどのようなことで行われてきたのか、今後どういう基準で行っていくのか、この点についてもあわせてお願いいたします。
  120. 金丸純一

    金丸政府委員 高速船乗組員につきましては、これまで船員法上の、法律上の訓練の義務づけはございませんでした。しかしながら、安全性の確保というものは会社にとって非常に大事な話でございますから、これまで旅客船運航する各社におきまして自主的な訓練を行ってきたというところでございます。  今回の改正につきましては、このSOLAS条約の改正を受けまして、高速船のタイプに応じた操船等に関する教育訓練を義務づけるものでございまして、具体的には、操船に関することや機関の操作に関すること、各種の非常用設備に関すること等につきまして教育訓練項目を詳細に定める、その項目にかかわる訓練を実施させるということにしているわけでございます。  この訓練の項目を定めるわけでございますけれども、その項目ごとの具体的な訓練内容につきましては、これは高速船のタイプごとに違うということになってまいります。その高速船のタイプに応じた適切な教育訓練につきましては各社がそれぞれ定めていただくということになるわけでございますけれども、私どもといたしましても、その訓練が適切であるかどうか、こういったことをチェックするために、各社の訓練カリキュラムといったものについてのチェックを行うことといたしたいというふうに考えております。
  121. 高木義明

    ○高木(義)委員 今、我が国においては実験船を走らせておりまして、早期実用化が期待されておるいわゆるテクノスーパーライナーは、その性能あるいは構造から考えても、当然高速船に該当すると私は思っております。  現在の高速船は、いわゆるジェットフォイル、ホバークラフトなどがありますが、テクノスーパーライナーというのは貨物船でございます。今回の命令に定める高速船の範囲、乗務員教育訓練の基準で、その超高速船と言われるテクノスーパーライナーが一体対応できるのかどうか、この点についていかがでしょうか。
  122. 金丸純一

    金丸政府委員 旅客船の定義が、旅客定員十二名以上というふうに一応私ども考えておりますので、テクノスーパーライナーは旅客船になるか貨物船になるのか、ちょっとよくわからないところがございますが、このテクノスーパーライナーが実用化された場合、今のこの訓練で大丈夫かというふうなお尋ねでございますけれども、TSLにつきましても、当該TSLに対応した訓練カリキュラムを各社でつくっていただくということになるわけでございまして、運輸省がその内容をチェックした上、各社で教育訓練を行ってもらうということで、安全上特に重要な問題はないのではないかというふうに現在考えておるところでございます。  なお、TSLが高速船に当たるかというお話につきましては、これはエアクッション艇ということでもって、当然高速船には当たってくるということになると思います。
  123. 高木義明

    ○高木(義)委員 ポートステートコントロール、いわゆるPSCによる処分を受けた船舶を見てみますと、大半が便宜置籍船であると言われておりまして、便宜置籍外国船員の習熟度の不足とかあるいは老朽船とか、こういうことが事故の原因になっておるという指摘がございます。  したがって、割合がふえ続けておるこの便宜置籍船に対する国際的な動き、そして我が国としての対応について、どうしていくのか。
  124. 小川健兒

    ○小川(健)政府委員 ポートステートコントロールの結果、比較的に良好な成績をおさめている便宜置籍国もございますが、総じて便宜置籍国の船舶に欠陥が多いのは事実でございます。したがって、このような欠陥船舶をポートステートコントロールにより排除していくことが重要であるというふうに考えております。  今後、ポートステートコントロールの実施に当たりましては、欠陥船の割合の高い旗国の船舶を優先的に臨検していきたいというふうに思っております。
  125. 高木義明

    ○高木(義)委員 その点については、ひとつさらに充実強化をしていただきたいと思います。  私は、過日、東京海運支局に参りまして、いわゆるPSCの現場で活躍をされておる検査官の方々からいろいろなお話を聞いてまいりました。勤務の状態あるいは外国人との言語の問題とか国民性の違い、あるいはその他の苦労話等が出てまいりました。外国船が我が国に入港する場合、例えば名古屋港でPSCを受けた船が翌日に東京港に入る、そういうときに、パソコン入力がされていないためにこのPSCというのが重複したり、あるいは次の寄港地でも全く改善をする手だてが打てなかったり、また船舶の確認ができなかったり、そういう不備も今現実にあるということを私は目の当たりにしたわけであります。  したがって、今日の東京湾におけるMOU体制、いわゆるパソコンあるいは国内外の情報ネットワークシステム、そういう整備を急がないと、このポートステートコントロールも絵にかいたもちになるのではないか、このように思っております。  この充実強化について、具体的にどのようなお考えを持っておられるのか。今日の現状と、そして対応について明らかにしていただきたいと思います。
  126. 小川健兒

    ○小川(健)政府委員 ポートステートコントロールの先進地域であります欧州、これはパリMOUと言っておりますが、欧州におきましては、コンピューターを利用したポートステートコントロールネットワークシステムというのを活用いたしまして、ポートステートコントロールの検査履歴に関する情報交換、これらを行っておりまして、効率的なポートステートコントロールを実施しているわけです。日本を含めたアジア太平洋地域におきましても同様のネットワークシステムを構築することとしておりまして、現在、カナダ、豪州等は既に運用を開始しております。  国内におきましても、平成七年度にポートステートコントロールを実施する主要な地方運輸局にパソコンを設置いたしまして、ポートステートコントロール情報ネットワークシステムというものを構築しておりまして、近々これは運用を開始する予定でございます。今後は、東京MOUなどの動向を踏まえて、必要に応じてシステムのバージョンアップということを図っていきたいと思っております。
  127. 高木義明

    ○高木(義)委員 この法律についての質問はこの程度でおさめますが、ここで一つ、海上運送法にいたしましても、船員法にしましても、いわゆる海洋汚染防止法にしましても、いわゆる海の、現場における適切な国としての対応が必要であろうということはもう論をまたないわけであります。  ここで、私は大臣にぜひお聞きしたいのは、ことしは海事関係者の長年の夢でありました海の日が、初めて七月二十日に国民の祝日になるわけであります。この海の日制定の趣旨なりあるいは経緯についてはもうここで言うことは避けますけれども、やはり私たちは四面海に囲まれて、歴史的にも地理的にも海の恩恵にあずかり、そして海とともに国民は生き抜いてきた。また将来もそうであろう。したがって、海で働く方々の苦労もあるいは喜びもひとしく国民的な中に受けとめて、今後とも、地球は一つ、きれいな海を守っていこう、こういう意味で、大変意義ある年であります。  したがって、初年度の海の日というのは、やはり運輸大臣としても大変な心の入れようではないかと思っております。このせっかく制定された海の日をいろいろな意味で生かしていくこと、これが大事ではないかと思います。海の日の実施について、あるいは展開についてどのようなお考えを持っておるのか、お聞かせをいただきたい。
  128. 亀井善之

    亀井国務大臣 先生方の御協力をいただきまして、海の日の制定ができたわけであります。七月二十日に記念すべき第一回の、国民の祝日、海の日となるわけであります。  先ほど来、いろいろ御意見をちょうだいしておりますように、四面海に囲まれた我が国にとりましては、海を活用し、そういう中で我が国があるわけでもございます。  今回、長年にわたる海事関係団体や幅広い国民各層の運動の成果、そういうことでこの海の日が制定でき、迎えるわけでありまして、この機会に、海洋国家日本の繁栄のために、やはり国民の皆さん方に海とのかかわり合い、また海を理解をしていただく、こういうような日にいたしてまいりたい。また、この日を中心に、民間団体を中心にいろいろ実行委員会をおつくりいただきまして、全国各地域でいろいろの記念行事を計画をしていただいております。国民の皆さん方にもぜひこれに御参加をいただき、この海の日の意義というものを理解をしていただきたい。  私ども運輸省といたしましても、関係各省の御協力をちょうだいし、そのような活動を支援し、今後とも海の重要性、このことの啓蒙に積極的に努力をし、この海の日の意義を高揚してまいりたい。このように考え、海を通じての国際貢献、また国民の受ける恩恵、こういういわゆるもろもろの意識というものを得ていきたい、このように考えております。
  129. 高木義明

    ○高木(義)委員 時間も限られましたので、あと最後一点、質問をさせていただきます。  先ほども議論がありましたが、いわゆる架橋問題について、また新たに本四架橋も開通の日時が迫ってきておりまして、この架橋についての船員対策として、本四特別措置法第十一条の四号に規定をしておられますいわゆる四号交付金についてですが、これは、この架橋供用に伴って起こってくる船員離職者への対応として四号交付金が事業者に交付されることになっておるわけですが、本四特別措置法施行令で給与の八カ月分というふうになっておりますが、この根拠についてどうなのか、このことについて。  さらに、本四架橋によりまして転業や廃業される事業者が、社会通念上、この退職特別手当をそれぞれの方々に支払えると私は思えないわけであります。したがって、この四号交付金、現在の社会通念上から見て適正なものに私はすべきであろう、ぜひそうしてもらいたい、こう思っておりますけれども、この点について前向きな御答弁をいただきたいと思っております。  架橋は私たちは賛成でございます。これは地域開発、国民生活のためでございます。しかし、そういう輝ける場の裏で、職を失い、そして事業を失っていく方々、これは私は公共の福祉の一環として何とかしなければならぬ、こういう気持ちからお尋ねをする次第でございます。
  130. 櫻井知能

    櫻井説明員 お答え申し上げます。  初めに、いわゆる四号交付金の八カ月となっている根拠でございます。また引き続いて、その見直しの可能性についてお尋ねでございますので、お答えさせていただきます。  本四架橋供用に伴う影響に対処するために、本四架橋特別措置法では、各種の施策とあわせまして交付金の制度が設けられているわけでございます。そのうち、御指摘がございました四号交付金につきましては、雇用主が支払います特別加算退職金の一部を公共事業の施行者でございます本四公団が旅客船事業者に助成するというものでございます。  その算定基準でございますが、法制定時におきまして国会での答弁の中で御説明をさせていただいているところでございますが、特別加算退職金のうち、助成の対象となる一定額を、助成措置としての社会通念上妥当な限度といたしまして、公共事業の損失補償基準におきます離職者補償の例などとのバランスをしんしゃくして定めたというふうに理解しているところでございます。  その後、損失補償基準の運用を含めまして、類似の制度について特段の変更が実はございません。そうしたことから、なかなか四号交付金の制度につきましては、その見直しを行う理由を見つけにくいというのが正直なところでございます。  ただ、先生の強い御指摘もございましたし、海員組合等からも強い要望が出されているところでございまして、引き続き関係者間で議論をさしていただきたいと考えているところでございます。
  131. 高木義明

    ○高木(義)委員 強く実現に向けて取り組んでいただきますように強くお願いを申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  132. 辻一彦

    辻委員長 以上で高木義明君の質疑は終了しました。  寺前巖君。
  133. 寺前巖

    寺前委員 時間が二つの法律で三十分でございますので、端的にお聞きをしたいと思います。  一つは、海上運送法関係です。私は二つの点で疑問を持ちますので、その点について絞って聞きたいと思います。  その一つは、昨年の概算要求の段階で、見ておりましたら、国際船舶制度の創設について書かれていました。よく読んでいくと、有事の際に船舶を徴用可能にする航海命令が出せるというような内容が書いてありました。  大臣にお聞きしたいのですが、そういう前提でこの法案の改正をおやりになっているのでしょうか。お聞きします。
  134. 岩田貞男

    岩田政府委員 ちょっと経緯等実務的なものがあるものですから、私から答えさせていただきます。  実は、今お話がございましたように、概算要求の時点で、いろいろな角度から税制、財政にわたって要求したわけでございます。その中の一環として、国際船舶に関する議論の中でございますが、外航海運に関する航海の命令制度についてどうなのかという議論があったことは御指摘のとおりでございます。
  135. 寺前巖

    寺前委員 だから、大臣に、前提になっているのですかとお聞きしているのです。前提にしてないんですか、しているのか。
  136. 岩田貞男

    岩田政府委員 失礼いたしました。  そういうことも一つの検討課題として議論がされたことは事実ですが、今の法案の中でそれが前提となっているものではありません。
  137. 寺前巖

    寺前委員 さっきも論議の中でありましたが、橋本総理大臣から、五月十三日に有事の際の問題についての指示が出ておったようです。それで、関係省庁も集まったというお話がありました。  そこで、大臣にお聞きしたいと思うのです。  日本が太平洋アジア地域において攻撃をされていない、しかしアメリカが日本周辺で武力の行使をやっている、そういう場合に、米軍に対して民間船舶による輸送業務を提供するということを考えているのですか。考えなければならないと思っているのでしょうか。大臣の見解を聞きたいと思うのです。
  138. 岩田貞男

    岩田政府委員 私どもの役所が直接にそういった問題に取り組んでいることではありません。私どもにつきまして、具体的にそういうものがどういうふうに検討されているのかということにつきましては、現在私承知してないところでございます。
  139. 寺前巖

    寺前委員 事務当局にはそういう指示は出しておられないということを今おっしゃったと思うのです。  大臣としては、総理がああいうことを言っている段階であるだけに、日本周辺で、日本は攻撃を受けていない、米軍は武力行使をやっているときに、民間船舶に輸送命令を出してぱっと派遣するということは検討しなければならぬなというふうに思っているのですか。そこはどうです。
  140. 亀井善之

    亀井国務大臣 先ほど委員から御発言ありましたが、いろいろ検討項目、こういう中でどのような対応ができるのか、事務的にこのような検討項目が指示をされているような段階でありまして、それに伴いまして、憲法の範囲内で私ども外航海運に関連をする役所としてどう対応できるのか、目下その研究をしておるところであります。
  141. 寺前巖

    寺前委員 研究をしておられる、こうおっしゃる。しかし、我が国の憲法では、武力による威嚇はやらないということが憲法上ある。日本は別に攻撃も受けていない、武力行使をやっている米軍に対して輸送、船舶の輸送をやるというようなことは憲法上許されないことだと思うんですが、大臣はその点についてどうお考えになりますか。
  142. 亀井善之

    亀井国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、今憲法の範囲内でどうできるものか、この研究をしておるところでございます。
  143. 寺前巖

    寺前委員 ともかく、クリントン大統領が日本にやってきて以来、この問題は国民の中心的な一つの重要な課題になっている。船舶に対する管理監督をおやりになる大臣ですから、これは私は懸念のままに置いておくわけにはいかないと思いますので、あえて聞いた次第です。はっきりと、憲法上許されない、そういう民間の船舶を徴用して航海命令をするというようなことはやらないように希望を申し上げておきたいと思います。  第二番目に、日本船舶海外流出防止しようじゃないか、有効な歯どめが要るということが提案の中にありました。さて、おやりになっていることが、果たしてこれが歯どめになるのかどうかという問題です。お聞きをしたいと思うんです。  法の四十四条の二を見ておりますと、国際船舶だけが事前届け出制として海外売却することができるようになる。現在は許可制になっている。国際船舶だけが事前届け出制になる、それ以外は法的規制がなくなるとなったら、これは歯どめは今よりも強くなるということにはならぬと思うんですが、私の理解、間違っていますか。
  144. 岩田貞男

    岩田政府委員 これも先ほどお尋ねのございましたことの繰り返しになりますが、現在の法律四十四条の二は、確かに日本籍船を外国に譲渡する場合には「許可をうけなければならない。」と書いてございます。それで二項を見ますと、しかし、こういうことにならない限り「許可しなければならない。」と書いてございます。それが「船腹の供給が需要に対し著しく不足」あるいは「海運の振興に著しく支障を及ぼすこととならない限り、」という条件がございます。  これは、先ほど申し上げましたように、昭和二十四年にできた法律でございまして、まだ日本に来る船ももしかしたら来なくなるかもしれないという条件のもとでできたわけでございまして、しかしながら現状を見ますと、邦船を含めまして、あるいは外船も含めまして、邦船社のチャーターしている船も含めまして、日本に荷物がある限り船が来なくなるということは当面考えられません。そういう面でこの要件については該当しません。  さらに、「海運の振興に著しく支障」ということでございますが、これも、国際海運の輸送秩序を守るということで、海運同盟といっていますが、一種の国際カルテルでございますが、これが維持をし、秩序を守ってきたわけでございますが、現在では、発展途上国の海運の振興によりましてそのようなカルテルも非常に弱いものになってきておるし、さらには、そういったカルテル外の船とカルテルの中の船が一緒に共同配船をするような形態になってきております。そんなことを考えますと、売船によって海運の振興に著しく支障を及ぼすことになるということが該当することがありません。  したがいまして、許可申請のあったものについてはすべて許可しなければならない、こんな状態になっているわけでございます。  一方、今回の法律改正によりますと、約二百隻と申し上げましたが、今ある二百隻のうち百数十隻が省令をこれから定めなければならないわけですが、法案を通していただいた後に省令を定めて、それを確定するわけですが、国際船舶に該当するということになります。そのような船は、いわゆる一言で言えば近代化船でございますので、優秀な船でございまして、我が国として、それも日本国籍船としてぜひ維持していきたいという船に該当するわけでございます。それについては、さっきお話もございました届け出勧告ということでございまして、残余のものが、そのまま申し上げれば届け出が要らない船になるということでございます。  総じて、いろいろな考えはあると思いますが、私どもとしては、この目的にございますような有効な歯どめの措置を講じている、このように理解しているところでございます。
  145. 寺前巖

    寺前委員 国際船舶以外は一切もう関知しないという法律上の立場になってきていることは事実でしょう。  そして、従来も慎重に、船主と日本海員組合との職場を守る観点も含めて、合意事項としてこの譲渡問題は取り扱われてきた。これよりも強化されるという法律として私は読むわけにはいかないということを感じましたので、あえて聞きました。  それじゃ、その次に行きます。懸念することをいっぱい言っておるだけの話です。  法四十五条によると、国際船舶に関する援助があります。それは一体何をやるんだと、こう聞いてみたら、登録免許税とか固定資産税の軽減などの特別税制がある。それから、船員の研修施設の融資とその特別償却がある。外国語による海外資格試験の実施等の国際船舶制度推進事業補助金が組まれる、二千十万円というような数字が出てくる。開発途上国船員養成のためのODA予算が、例えば九六年度では九千二百万円ですか、支援などがなされる。  これを私ずっと見ておって感じた問題の一つは、大手船舶会社が実質的に支配をしている、便宜置籍船に配乗する低賃金の労働者を握っているところの船舶管理会社にこういう援助はなされるのだろうか。そうすると、日本人船員確保する道じゃありませんからね。そこは対象になりますか。
  146. 岩田貞男

    岩田政府委員 いろいろな支援措置があり、今後もそれを充実していかなければならないという前提でお答えを申し上げます。  まず、税制でございますが、船舶税制、これにつきましては、当然のことながら日本籍船に該当するということでございまして、よその国の会社については適用がないということでございます。  それからもう一つ、船員教育施設のためのシミュレーターのような訓練施設でございますが、これも税制上、これは直接国際船舶制度の今回の法律に入っているわけじゃないのですが、これとの関連で認められたものですが、これにつきましても、減税措置ですから邦船社に関係するものでございます。  その他、今先生がおっしゃいました情報提供とかいろいろな助言とか資格のための英語による試験とか、あるいはODAでございますが、これにつきましては、もちろん日本籍船に乗る日本人船員が主目的でございますが、間接的には、あるいは日本人の方でFOC船に乗られるような方についてもそういう、例えばODAの教育訓練を受けるというようなことはあり得ると思います。
  147. 寺前巖

    寺前委員 船舶管理会社が対象になりますかと聞いたのですよ。よろしおすか。
  148. 岩田貞男

    岩田政府委員 先ほど申し上げましたように、私どもはメーンの船舶税制あるいは船員教育施設につきましても、船を持っている人を主眼に置いております。
  149. 寺前巖

    寺前委員 しんきくさいな、船舶管理会社というのがあるんですよ、知っているの。それ知らないんだったら話にならぬで。そこは対象になりますかと聞いているの。なるのかならぬのかだけですがな。
  150. 岩田貞男

    岩田政府委員 船舶管理会社の形態によりまして、その船会社が船を持っていればこれは当然なりますけれども、通常の船舶管理会社ということであればなりません。
  151. 寺前巖

    寺前委員 私が事前に調べてみたら、これは対象に入れないというから、そうかといって言っているだけなんで、きちっとしておいてほしい。  そこで、今話を聞いていたら、船会社等にはいろいろの手を打つ、こう言うんだ。そうすると、こういう手を打ったときに、それじゃ船会社に日本船員雇用する義務がついてくるのか、あるいは日本の船籍の流出を防止するということの義務がついてくるのか。つかなければ目的を果たすことにならぬがな、こう思うんだけれども、その点はいかがです。義務がつくのか、つかないのか。
  152. 岩田貞男

    岩田政府委員 船社は、先ほど申し上げていろいろな御議論があったとおりでございまして、まさに国際の場で裸で競争をしているわけでございまして、これらの船社に何々をしなければならないという義務をかけますと、それだけハンディになって、結局その船社の経営が行き届かなくなるわけでございます。  そこで、私どもとしては、税制の面あるいはその他の援助の面を通しまして、そういう船社の競争力をつけるということを通じて、その中で日本籍船として維持していただけるように、あるいは日本人船員を雇っていただけるようにということで、誘導的な措置を考えているところでございます。
  153. 寺前巖

    寺前委員 法解釈を聞いているんだから、きちんと言っておらない。義務が課せられる法律になっているんですか、こう聞いたんだが、課せられないんですね。今の話でわかりました。間違うておったら言ってくださいよ、法律の審査やっているんだから。  その次、この間国際船舶制度を聞いておったら、これからは日本船舶日本人船員は原則として船長機関長の二名の方向に絞っていく案が検討されているという話を聞いたのです。  そこで聞きますが、今度の援助の中に、海技資格を得た外国人が日本船舶船長機関長になる可能性があるように私は読み取れたのですが、そう理解して間違いございませんか。
  154. 金丸純一

    金丸政府委員 お答え申し上げます。  まず、今までの議論におきましては、やはり日本船の競争力を維持していくためには、日本人船員船長機関長の原則二名配乗、育成要員がここに加わりますけれども、あとの職員については外国人を雇うこともやむを得ないのではないか、こういう方向で他の施策とのパッケージで語られてきたわけでございます。  御存じのとおり、船舶職員の資格につきましては、船の国籍国、旗国の法律が適用されますので、日本船であれば日本船舶職員法を適用しなければいけない、こういうことになります。ですから、日本船に乗り組む船長機関長以外の者に対して、外国人の船員に対しまして私どもは英語でもって試験をして、日本の海技資格を取らなければいけないのではないか、こういうことを国際船舶制度との言ってみればパッケージの施策の中で検討してまいったわけでございます。したがいまして、外国人船員船長機関長の資格を取らせるためにまず検討している、その趣旨からいってこういったものではないということでございます。  あと、日本の海技資格を取ったら船長機関長になれるのか、こういうことでございますけれども、まず船長機関長、これは御存じのとおり、船によって、クラスによって違っている。船長とか機関長になれる海技資格を持っておって必要な乗船履歴があれば、それは法制上は拒否できませんけれども、そういったような資格を取るような試験制度とするかどうか、そういったことについてもこれからの検討課題だというふうに考えておるところでございます。
  155. 寺前巖

    寺前委員 検討課題だと言うのだから、二人の日本人を原則としてと言いながら、海技資格を取らしていったら今度はそれも減っていくという可能性を多分に持つというのが今の報告だろうというふうに私は聞きました。  その次に聞きます。  このODAの予算は、国際船舶の支援として打ち出されてきている。最終的に開発途上国の船員を受け入れる我が国の大手海運会社には、そのお金というのは支払われることになるのかならないのか、そこはどうなんですか。結果として来るのですか。
  156. 金丸純一

    金丸政府委員 開発途上国の船員養成事業、これの補助金お話だと考えておりますけれども、この補助金につきましては、発展途上国の船員、八十五名の研修生を日本乗船研修あるいは一年二カ月にわたります研修をやっていただくための必要な経費でございますけれども、中身といたしましては二つございまして、最終的な帰属先といたしましては、まず旅費とか支度金とか研修手当とか、こういったものにつきましては開発途上国の研修生の方に渡っていくというものがございます。  それと、もう一つでございますが、乗船中の研修費というものが、これは言ってみれば、乗船研修を行うときに船会社が航路の講習をするわけでございますけれども、その講習の謝金でありますとか教材費、こういったことに充当されるわけでございますが、こういった研修費というものが船会社の方には一部渡る、こういうことになります。
  157. 寺前巖

    寺前委員 わかりました。  それでは最後に、もう時間もありますから、例えば日本郵船を見ると、四百隻の船を持っているけれども日本船舶として登録は一割の四十隻だ、他は全部便宜置籍船になっている。便宜置籍船というのは、それぞれの外国の方に持っていって、そして税金の諸問題などでここへ船の籍を置いておいたらうまい汁を吸えるのだなという立場から発展してきたと思うのです。私は、この問題を置いている限りは船舶問題は解決しない、これを棚に上げるわけにいかないと思うのです。  そこで、お聞きをしたいのは、今度の法案の対応策によって便宜置籍船に対応する手が打たれていることになっているのだろうか、あるとすれば、具体的にどの点が便宜置籍船に対抗する手段として打たれているということを語ることができますか、なければないでいいです。
  158. 岩田貞男

    岩田政府委員 便宜置籍船と、まあ外国船と日本籍船が競争しているわけでございます。今お尋ねがございましたので、便宜置籍船と日本籍船との比較をしますと、船舶その他の運航コストにおいて差があるわけでございます。そこで、その差をできる限り縮めようということで、私ども税制改正その他の要望を行って、先ほど申し上げましたように、船舶税制の一部でございますが、登録免許税と固定資産税の軽減措置が図られたわけです。完全に便宜置籍船と日本国籍船との差が埋まったわけではありませんが、一歩でも、少しでも近づいたということで、これが一歩の歯どめとして、これを種にさらにその格差を縮めていこうという努力でございます。
  159. 寺前巖

    寺前委員 私は、今の話聞いておって、これが何の意味を持つのだろう、歯どめに有効な措置かな、どう考えてもそういうふうには聞こえませんでした。  改めて、疑問に思った点がはっきりしないから、私は反対します。反対の理由をちょっと三つの点から述べてみたいと思うのです。  それは、日本船舶の便宜置籍船化というのが歴代政府のもとで何らの抜本的対策をとらずに今日まで来ているというこの道筋、これは少しも変わらない、基本的に手を打っていない法律だという点で反対します。  第二に、国際船舶海外への譲渡等を許可制から事前届け出制にしてくる。外航船舶海外流出に拍車をかけることになるのではないだろうか、先ほど申し上げたとおりです。したがって、海員組合なり船主なりと合意をしてまでこれまで譲渡について防いできた問題が緩和されることになるから、これは私は賛成できないな。  さらに言うならば、国際船舶制度での私の疑問、すなわち有事のときにおける航海命令についてきちんとした解明がされていない、されないままに私はこの法律に賛成するわけにはいかない。  以上です。  時間の都合がありますので、船員法について二、三聞きたいと思います。  この間、私は神戸の海運本局に行ってきました。そこで船員の労務官やあるいは検査官の方々にお会いをしました。そこで出された問題について聞きたいと思います。  その一つは、本来国内船舶で二万隻ある、今度外国船が加わって三千五百隻がプラスされていくという状況の中で、現在どうなっているのかと聞いてみたら、八十本支局のうちで一人もおらない、あるいは一人しかおらないところが三十二局ある、このままの体制でいいのだろうかというのが一つの提起された疑問です。  それから第二番目に、外国船に乗り込んでいくときにせめて携帯電話は持たせてほしいという要求。私もそう思いました。ともかく言葉も通じない、感情の違いもいろいろあるところだけに、携帯電話は即刻配備すべきではないだろうか。  第三番目に、語学力が求められている。この話学力に対して、三百六十五万円の予算がPSC担当者の外国語会話学習経費として組まれたようですけれども、もっとこれは制度化すべきではないか。  入国管理局へいきますと、新人研修として法務総合研究所でほぼ全局員が研修を受けるということになっているし、語学については、英語を例にとっても六十時間以上の研修を受ける。しかもこれを修了した上で委託した外国語会話学校に通ったり、在勤地での委託機関でも外国語会話研修を受けることが、いずれも公費で受けられるようになってきている。こういうふうに制度化してもらいたい。あるいは税関職員の場合だったら、全職員を対象に毎年一週間から十日間で業務として研修を行う。新しく対象になった外国船へ乗り込むという問題だから、新しい研修をしてもらう必要があるという点では、この話学の研修制度の問題の期待にこたえてほしい、制度化してもらいたい。  それから、四番目に、これは直接そこで言われたのじゃないですけれども、私が見ておって感じた問題。あの神戸の海運監理部へ行きましたら、隣に海上保安庁がありました。水上警察がありました。みんなスピードのある船でだあっと出ていく。ところがこの船員の労務官はゆっくりゆっくりした船で、小さい船で行かなければならない。聞いてみたら、それでも近畿運輸局にはスピードのある船がある、九州運輸局とこの三カ所しか船はないんだ、あとは陸上から行かなければならないということになっている。  だから、これは私は、胸を張って外国船に乗り込んでいく場合には、きちんとそれにふさわしい船の整備をしてやってもらいたいということを感じましたので、以上四点についてお聞かせをいただいて質問を終わりたいと思います。
  160. 小川健兒

    ○小川(健)政府委員 まず最初に、PSCの実施体制でございますが、現在、全国に設置されております地方運輸局と海運支局に船舶検査官二百四十七名、船員労務官百五十名を配置してPSCをやっているところです。今回の改正によりまして、PSC全体の業務量が増加することになりますが、従来から要員の整備等に努めているわけでして、今後も一層の実施体制の充実整備を図っていきたいと思っております。  それから二番目に、携帯電話のお話でございますが、PSCの実施に当たっては携帯電話は非常に有効であるということでして、現在、すべての地方運輸局、本局ですが、それから幾つかの海運支局に携帯電話を設置しております。今後、携帯電話の充実について、引き続き電話の数をふやしていきたいというふうに思っております。  それから三番目が、英会話の話かと思いますが、PSCの実施に当たりましては英会話の能力が必要となりますので、職員に対して英会話講習の実施等を現在も行っております。また、英文併記の検査マニュアル類を作成しているところでございます。制度的にと申されましたが、本年度は三百六十五万、御指摘のとおり予算が計上されておりますし、できるだけこれをふやしてもっと研修を充実していけるようにしたいというふうに思っております。  それから最後に、PSCを行う際の足の確保の問題かと思いますが、PSCを実施するのは一般的には岸壁に接岸中の外国船舶に立ち入るわけです。ただし、海難船舶や沖合で荷役中の外国船舶に対してPSCを行う場合もございます。先生今言われたように、現在三つの地方運輸局に限っては通船が配置されておりまして、これを利用しておりますが、一方で、予算上は別途、通船の用船料を計上しておりまして、通船を持たない運輸局にありましても、通船をチャーターすることで対応が可能であるというふうに考えております。  以上でございます。
  161. 寺前巖

    寺前委員 時間が来ましたので終わりますが、ひとつよろしくお願いします。
  162. 辻一彦

    辻委員長 以上で寺前巖君の質疑は終わりました。  これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  163. 辻一彦

    辻委員長 両案につきましては、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、海上運送法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  164. 辻一彦

    辻委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、船員法及び海洋汚染及び海上災害防止に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  165. 辻一彦

    辻委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  166. 辻一彦

    辻委員長 ただいま議決いたしました海上運送法の一部を改正する法律案に対し、村田吉隆君外三名から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。赤松広隆君。
  167. 赤松広隆

    ○赤松(広)委員 ただいま議題となりました海上運送法の一部を改正する法律案に対し、附帯決議を付すべしとの動議につきまして、自由民主党、新進党、社会民主党・護憲連合及び新党さきがけの四会派を代表し、その趣旨を説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     海上運送法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   近年の急激な円高の進行等により我が国外航海運の国際競争力が低下した結果、日本船舶及び日本人船員の数は急激に減少し、深刻な事態に立ち至っている。我が国にとって安定的な国際海上輸送力を確保することは、海洋国家として不可欠な重要課題であり、政府は早急に次の事項につき措置を講すべきである。  一 日本船舶日本人船員の減少を防止するためには、我が国外航海運の全体的な基盤強化が急務であり、政府関係者に一層の努力を求めるとともに、国際競争力強化のための有効な施策を講ずること。  二 我が国の国民生活・経済活動の安定、海上輸送における安全性と技術確保、海洋環境の保全等の観点から、我が国船員の優秀な技術を今後とも維持していくことが必要であり、そのための有効な施策を講ずること。 以上であります。  本附帯決議は、ただいまの法案審査の過程におきまして、委員各位からの意見及び指摘のありました問題点を取りまとめ、政府において特に留意して措置すべきところを明らかにし、日本船舶及び日本人船員の減少を防止することにより、我が国の安定的な国際海上輸送力の確保を図ろうとするものであります。  何とぞ委員各位の御賛成を賜りますようお願い申し上げます。  以上です。
  168. 辻一彦

    辻委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  村田吉隆君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  169. 辻一彦

    辻委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。亀井運輸大臣
  170. 亀井善之

    亀井国務大臣 ただいまは、海上運送法の一部を改正する法律案並びに船員法及び海洋汚染及び海上災害防止に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、御熱心なる御審議の結果、御可決いただきましたことを心から御礼申し上げます。まことにありがとうございました。  なお、海上運送法の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、運輸省として十分な努力をしてまいる所存であります。  まことにありがとうございました。     —————————————
  171. 辻一彦

    辻委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  172. 辻一彦

    辻委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  173. 辻一彦

    辻委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十九分散会