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1996-02-23 第136回国会 衆議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年二月二十三日(金曜日)     午前十時二分開議 出席委員   委員長 辻  一彦君    理事 武部  勤君 理事 細田 博之君    理事 村田 吉隆君 理事 久保 哲司君    理事 古賀 敬章君 理事 高木 義明君    理事 赤松 広隆君       衛藤 晟一君    小里 貞利君       高村 正彦君    佐藤 静雄君       橘 康太郎君    林  幹雄君       堀内 光雄君    茂木 敏充君       横内 正明君    江崎 鐵磨君       工藤堅太郎君    古賀 一成君       実川 幸夫君   柴野たいぞう君       田名部匡省君    東  順治君       福留 泰蔵君    米田 建三君       緒方 克陽君    左近 正男君       三原 朝彦君    寺前  巖君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 亀井 善之君  出席政府委員         運輸大臣官房長 戸矢 博道君         運輸省鉄道局長 梅崎  壽君         運輸省自動車交         通局長     山下 邦勝君         運輸省海上交通         局長      岩田 貞男君         運輸省港湾局長 栢原 英郎君         運輸省航空局長 黒野 匡彦君         海上保安庁次長 加藤  甫君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局審査部管         理企画課長   梶山 省照君         防衛庁防衛局運         用課長     金澤 博範君         科学技術庁研究         開発局航空宇宙         開発課長    森口 泰孝君         国土庁計画・調         整局計画課長  浜野  潤君         外務省経済局開         発途上地域課長 草賀 純男君         外務省経済局海         洋課長     高田 稔久君         外務省経済協力         局有償資金協力         課長      谷崎 泰明君         資源エネルギー         庁石油部流通課         長       加藤 文彦君         労働省労働基準         局安全衛生部安         全課長     池田 五男君         運輸委員会調査         室長      小立  諦君     ――――――――――――― 委員の異動 二月二十三日  辞任          補欠選任   江崎 鐵磨君     古賀 一成君   実川 幸夫君     福留 泰蔵君   高見 裕一君     三原 朝彦君   志位 和夫君     寺前  巖君 同日  辞任       補欠選任   古賀 一成君     江崎 鐵磨君   福留 泰蔵君     実川 幸夫君   三原 朝彦君     高見 裕一君   寺前  巖君     志位 和夫君     ――――――――――――― 二月二十二日   外航海運政策国家支援措置の確立に関する  陳情書外六件  (第八一号)  港湾海岸整備促進に関する陳情書外一件  (第八二号)  JR採用問題の早期解決に関する陳情書  (  第八三号)  九州における新幹線網建設促進に関する陳情  書  (第八四号)  新幹線鉄道建設促進に関する陳情書  (第八五号)  関西国際空港全体構想の早期実現に関する陳情  書(第  八六号)  九州地方における国際空港建設に関する陳情  書  (第八七号)  地方空港整備促進と充実に関する陳情書  (  第八八号)  中部新国際空港早期着工等に関する陳情書  (第八九号)  徳島・名古屋間の定期航空路線早期開設に関  する陳情書  (第九〇号)  離島空路整備法の制定に関する陳情書  (  第九一号)  日豊本線の高速化複線化及び活性化に関する  陳情書  (第九二号)  地震・津波・噴火予知観測網整備強化等に関  する陳情書  (第九四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  陸運海運及び航空に関する件等運輸行政の  基本施策)      ――――◇―――――
  2. 辻一彦

    辻委員長 これより会議を開きます。  議事に入るに先立ち、北海道古平豊浜トンネルにおいて岩盤の崩落事故により犠牲となられた方々の御冥福をお祈りして、黙祷をささげたいと存じます。  御起立をお願いいたします。——黙祷。     〔総員起立黙祷
  3. 辻一彦

    辻委員長 黙祷を終わります。御着席願います。      ————◇—————
  4. 辻一彦

    辻委員長 陸運海運及び航空に関する件等について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤静雄君。
  5. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 ただいま黙祷をいただきました古平トンネルは私の選挙区でもありますけれども大臣、この間わざわざ行っていただきまして、本当にありがとうございました。  まず最初大臣に、規制緩和目的というのは一体どこにあるのか、大臣の認識をまず聞きたいと思います。
  6. 亀井善之

    亀井国務大臣 それぞれ規制、そういう中で経済活動がなされておった。特に今回、私ども運輸省関係といたしましては、航空運賃の問題につきまして幅運賃制度導入する。これは、いろいろかねがね御意見を承っておった中で、航空会社一定範囲で自主的な運賃設定、こういうものを認めることによりまして、いわゆる多様な運賃設定あるいは経営の一層の効率化を図る、こういうようなこと、あるいはまた利用者利便の増進、こういうものを図ることを目的として、今回、いわゆる航空関係につきましての規制緩和、こういう観点から幅運賃制度導入した。いわゆる一定範囲内で企業の自主的な運賃設定、そしてまたさらに、いろいろ今までと違った意味で、多様な項目と申しますかメニュー、こういうものを算出し、さらに経営効率を上げて、そしてまた一面、利用者皆さん方利便に供する、こういうことも加味していくという中で一つ制度導入し、また規制緩和という面ではそのようなものが効能を発揮するということが重要なことじゃなかろうか、このように思います。
  7. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 大臣、一遍に航空運賃幅運賃制度のことをお話しされましたけれども、今、日本の国はこうして古い構造から抜け出て、そして新しい構造に移らなければならない。そのときに、規制緩和というのはどうしても避けて通れない問題だ。私はもう少し哲学を聞きたかったのであります。  そうすると、どうしても痛みを伴うわけでありますね。当然航空会社痛みを伴う。そして国民に、利用者利用しやすい、より安い運賃を提供していく、そのことをやはり運輸省として指導していかなければならないわけであります。  今度の幅運賃導入したその方法を見てみますと、上限下限を設けておるわけでありますけれども全日空日航両方運賃の申請を見てみますと、どうもこれは上限に近づけている、そういう感がしてしようがないのであります。要するに、この機会上限に近づけていくというか値上げをしてしまった、そんなようなことを利用者に抱かせてしまったのではないかと私は思っているのですけれども、その辺はどうでしょうか。
  8. 黒野匡彦

    黒野政府委員 今回の幅運賃制度導入及びそれに伴います各社の具体的な中身につきまして、さまざまな御意見、御批判があるのは十分承知いたしておるところでございます。  この制度は、今まさに先生がおっしゃいましたように、規制緩和をしなければいけないという国全体の大きな流れの中で出てきた話でございまして、特に一昨年、一部の公共料金値上げをめぐりまして大変大きな騒ぎになりました。これは、政府あるいは政治も含めまして、今のままの公共料金のやり方ではだめである、一口で申し上げますと、赤字を出したら、それをまた後から追認して運賃値上げする、あるいは料金値上げするということではだめであるという議論がいわば国民の世論というような形でまとまりました。  それを受けまして、私ども平成六年十一月に閣議了解という形で、これからの公共料金についてはもっと市場原理導入しようではないか、規制緩和を一層推進しようではないか、さらにその中で、上限価格規制の是非も含めて検討しようではないか、また、なるべく多様化した利用者ニーズに対応するような料金体系にすべきではないか、こういうまとめがされたわけでございます。  それ以来、私どもいろいろ検討してまいって、一口で申し上げますと、なるべく行政介入は避ける、競争によって一番ベストな状態を目指す、こういう理念といいましょうか考え方で、この制度に、率直に申し上げましてチャレンジしたわけでございます。したがいまして、現段階においていろいろな御議論があるかと思いますが、仮に従来の原価を中心とする個別の認可をするという形で行政介入して運賃を設定するという方針に比べれば、はるかに透明度の高い、また競争も実現できる制度だと思っております。  今回は全体として上がったということについて、マスコミも含め大変重点的な報道をされておりますが、それよりも、一つは各路線によって運賃が違う、これは率直に申し上げまして、私どもの業界の分野では革命的な発想の転換でございまして、こういう形で競争第一歩がスタートしたというふうに御理解を賜れば幸いでございます。
  9. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 今お話があったように、それぞれの会社経営戦略によって運賃を決めていく、自由な料金体系を決めていく、そういう運輸省方針でこれを始めたということはよくわかりましたけれども、その方針に沿ったようにこの運賃は出てきましたか、どうですか。
  10. 黒野匡彦

    黒野政府委員 それについてもいろいろ議論が分かれると思います。けさの新聞にも一部非常に、一口で申しまして無責任なことを言っているのが引用されているのですが、運輸省介入原因であると某財界の首脳が話したと書いてございますが、私ども、今回の結果については全く介入しません。したがって、ある意味におきましては、先生と同じようにできるだけこの制度を反映した、言い方は悪いかもしれませんが、おもしろい運賃制度が出てくることを我々も祈るような気持ちで待っていたということでございます。  結果といたしまして、上がったところもあればかなり下がった路線もございます。それから、割引率につきましても大変思い切った割引制度も出ておりまして、まあ何といいましょうか、決して百点満点ではございませんけれども競争ということを目指す第一歩としてはまあまあのものではないかというふうに私ども思っております。
  11. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 幅運賃導入によりまして、やはり利用者からしたら、自由な競争の中からもっと安い運賃が生まれてくるのではないか、そのようにみんな期待していたと私は思っているのです。ところが出てきたのを見たら、どうも上限に張りついてしまっている。それからまた、安くなったところはもちろんありますよ、ありますけれども、非常に使われている、頻繁に使われるところはどうも高くなってしまっている。そういうことがこの運賃の中には出てきてしまっていると私は思っているのです。  とにかく、下限運賃を設定するということは航空会社合理化を抑制してしまう、どうもそこに私はつながってしまうと思っているのですけれども下限運賃を設定した意味はどこにあるのですか。
  12. 黒野匡彦

    黒野政府委員 御案内のとおり、標準原価の下二五%のところを下限運賃という形で設定いたしまして、その幅で認可をさせていただいております。この下限運賃は、言葉は悪いのですが、三社あるいはそれ以外の事業者も含めてダンピング競争という形でたたき合いをして、長期的に見れば結果として独占なりを招いて、利用者にとって不利益をもたらすということもあるのではないかという心配で、二五%というところに下限を設けさせていただいたわけでございます。
  13. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 ダンピングが果たして起きるのかどうなのか。御承知のとおり、国内航空全日空が五割ぐらいを占めているわけでありますけれども全日空がそれではダンピングを始めるか、どうも私はそんなように思えないのですね。  それは、ダンピングを始めるというのは、見てみましても、大概小さな航空会社が出てきてダンピングして市場にどんどん入っていこうとする。大体まあ普通の場合は、航空会社と限らずに、やはり自由な価格を決められる場合には小さな会社が出てきてどんどん入っていく、そのときはダンピングなんか起きるわけですね。しかし、こうして航空三社が今までやってきまして、幅運賃を設定したときに、下限をわざわざ設定しなければならぬほどダンピングは心配されると私は思えないのですけれども、どうでしょうか。
  14. 黒野匡彦

    黒野政府委員 今回の制度を仮に航空事業者立場に立って考えた場合に、非常に各社とも相手がどう出てくるかということを考えて深刻に受けとめた制度であります。  例えば、日本航空なりJASなりの立場からしますと、全日空が今まさに先生のおっしゃったシェアの高いのを理由に、原因というか武器にして、どんどん安い値段で対抗してきて、JALなりJAS市場から撤退するのをねらうとかいう見方もあるし、逆にANAにしてみれば、後発であるJASが思い切った運賃市場を混乱させるのではないかということで、それぞれ非常に立場によって見方が違います。  ただ、先生おっしゃった下限運賃が果たして本当に将来に向かって必要かどうかということは、まだ個人的な考えでございますが、私は検討課題であると思っています。これは、私ども常々申し上げておりますが、今の制度が果たして完璧であるかどうかということは断言はいたしません。やってみた結果、手直しが必要ならば、それはその都度変えることはやぶさかではございません。
  15. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 今の説明によると、どうもやはり航空会社の利益だとか、航空会社過当競争だとか、その辺に視点を置いて私は決めていると考えざるを得ないのですね。やはり利用者視点に立つ、できるだけ安い航空運賃利用者のために実現していくために運輸省は一体どういうふうにしたらいいかということを、もっと目の置きどころを変えなければだめですね。そういうことをしながら、今実際にはもうこれ始まってしまっているわけですけれども、その辺の算出の仕方、算定の仕方なんかもこれから私はぜひとも見直していっていただきたいと思うし、視点をそこに置いてこれから私はやっていただきたい、そう思っております。  ところで、基幹路線ですね、例えば私は北海道ですけれども札幌東京間ですとか、東京福岡間ですとか、そういう基幹路線、これはほとんど高くなってしまっているのですね。この基幹の五線というのは非常に乗客が多いわけでありますから、ここが高くなるということは、これはそれぞれの地域経済にも大きな影響を与えていく。特に、観光産業なんかやっているところに大きな影響を与えていく。また、今は地方産業というものは非常に疲弊しているわけでありますけれども地方企業誘致だとかそういうことにも影響を与えていくということが出てくるわけです。ですから、基幹路線というのは私は最低据え置きにする、そのぐらいの指導をやはり運輸省はすべきだと思うのですけれども大臣、どうですか。
  16. 亀井善之

    亀井国務大臣 いろいろ基幹の問題、特にいろいろな産業全般に与える影響、これは十分承知をいたします。しかし、今回のこの制度平成六年十一月の、公共料金のうち市場原理導入できる分野についての規制緩和を進めるということ、あるいはまた昨年九月二十日の経済対策での年内実施を決定し、学識経験者物価安定政策会議特別部会からの御意見を踏まえてこの制度導入をしたわけであります。  今回いろいろ三社からその数字が出ております。これは初値と申しますか、ぜひ新しい制度を、規制緩和に基づきましてこの幅運賃制度導入をしたわけでありまして、これを育てていくということが必要なことではなかろうか。それはやはり今委員指摘のように、利用者皆さん方からいろいろまた御意見、こういうものも出てくることは承知をいたします。そういう中で、まずこの制度導入をし、この制度を育て、そして信頼された制度となるようなそういうことに努めなければならない。いろいろ御意見もこれから承り、また運輸省といたしましてもこのフォローアップ、こういうことにつきましても努力をしてまいらなければならない、このように考えております。
  17. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 ぜひとも大臣、どうぞ幹線の運賃価格に対しては本当にこれから特に気を使っていただきたいと私は思っております。もちろん全体を見るのは結構ですけれども、その中においても最も利用が高いところ、最も地方影響を与えるところ、それはやはりこれからの問題として算定をするときの一つ基準のつくり方なんかの中にぜひとも組み入れていただきたい、そう思います。  それから、今度の運賃を見てみますと、割引制度を非常に航空会社は充実させたと言っているわけですね。いろいろな割引制度を確かにつくっています。しかし、今までの割引制度の中でなくなってしまったものもあるのです。往復割引ですとか家族割引ですとか単身赴任割引ですとか、なくなってしまったものもあるわけですけれども、今度できた割引を見てみますと、キャンセルした場合に五〇%もキャンセル料を取られてしまう。そうしますと、かえって割引制度、特に前売りの割引制度というものをうんとつくりたい、たくさんのいろいろな種類もふやしてみた、しかし、五〇%もキャンセル料を取られるのでは、結局抑制につながってしまうのではないのか、どうもそういう気がするのでありますけれども運輸省としてはこれらに対してやはり何かの指導をすべきではないかと思うのですけれども、どうでしょう。
  18. 黒野匡彦

    黒野政府委員 今回の幅運賃制度、いろんなところで御審議いただいたのですが、その一つ物価安定政策会議というのがございます。ここがこの種の問題の一番、権威あると言うと語弊があるかもしれませんけれども、大事なところなんですが、そこでいろいろ御審議いただいたときに、この制度を入れるのは認めるけれども、今後なるべく行政は口を出すな、一回自由にやらせてみろ、こういう非常に強い御意見を賜っております。まず、これが我々の基本的な考え方でございます。  それから、今のキャンセル料云々につきましては、私ども航空規制緩和のモデルといたしますアメリカを例にとってみましても、大変メリットのある制度については、当然それの裏といたしまして、仮に今のようにキャンセルした場合にはそれ相応の負担をまた利用者も払わなければいけないという、いわばギブ・アンド・テークといいましょうか、そういう制度になっております。ただ、今先生の言われた五〇%というキャンセル料が高いか低いか、これはいろんな見方があると思いますし、私どもといたしましては、今回始まった制度利用者の方がどういうふうに利用するかという実績を見て、基本的には事業者が、その五〇を変えるなり、あるいはうんと引き下げるなりは判断をすべき問題だと思っております。  ただ、繰り返しますが、私ども、この制度全体について引き続き注意深く監視はし、手直しすべきところはまたしなければいけないと思っております。
  19. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 私も、非常にこれは質問しにくいのです。できるだけこれは企業に任せてしまう、できるだけ行政はこれに介入しない、これは当然ですからね。私、運輸省には非常にそういう面で今回質問しにくいのですけれども、しかしやはり最初のころはこの制度が順調にいくように、できるだけ見ていて指導していくということが私は必要だと思うからこうして質問しているのであります。自由に任せるのはいいですよ。いいけれども上限に張りついてしまったとか、航空会社にとって都合のいいことになってしまったとか、利用者視点に立っていないとか、そういうふうになってしまったら大変だと思うから、私はこうして強く言っているのですね。  それからもう一つ、早朝割引がありますね。要するに、六時台の飛行機に乗ったら非常に割引率が高い。しかし、この早朝割引というのも、これに航空会社はかなり重点を置いているのですね。というのは、朝の飛行機というのは意外にみんな乗っていないものだから、こっちにお客さんを寄せようと思って割引率を高くしているわけです。  しかし、これは大概東京発なんですよ。関西発というのもありますけれども大概東京発なんですね。例えば福岡から来るだとか、札幌から来るだとか、こういうのはないわけですよ。早朝割引というものに重点を置くんだったら、地方から来るのもやはり航空会社はつくるべきだと思う。そして利用者に便宜を与えていく、そういう指導をしてほしいと思うのですが、どうでしょうか。
  20. 黒野匡彦

    黒野政府委員 先生の御主張、よくわかります。私ども、せっかくこういう制度をつくった以上は、なるべく多くの利用者の方に利用していただくようにしたいと思っていますが、実はこの問題は私ども自身の問題でもありまして、空港の能力とかいろいろな問題がありますから、私ども努力しなければいけない。それと事業者努力と相まって、なるべくそういうサービスを広い利用者の方に利用できるようにしていきたい、かように思っております。
  21. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 もちろん、航空会社がやろうとしても羽田がいっぱいだということはわかります。いっぱいだから、早朝は割にすいているから早朝を充実させたいという航空会社気持ちはあるわけですから、それはやはり運輸省としてもこたえていく。そしてまた航空会社指導して、地方から朝来る、そうしたら日帰りでみんな仕事をして帰れるわけですから、ぜひともその辺を指導して、利用者利用しやすいものをつくってほしい、私はそう思います。  それから、私なんかは飛行機に相当乗るわけでありますけれども、どうも航空会社サービス過剰というか、機内サービス改札サービスが非常に過剰でないか。これは随分昔から言われているのですね。もう弁当なんか要らないのじゃないのか、お茶やお菓子のサービスはもういいのでないのか、新聞週刊誌サービスももう要らないのじゃないのか。改札に行ったら、何か三人も四人もいて、切符をとってくれる人までいる。そうでなくて、もっとその辺を合理化して、それを運賃値下げに結びつけていく。そして標準価格をつくるときにそういうものも加味していく。そういうことが私は今必要だと思うのですね。毎年見直していくのですから、次の機会にはそういうことをひとつぜひとも入れてほしいと思うのですけれども、どうでしょう。
  22. 黒野匡彦

    黒野政府委員 私も全く同感でございます。  ただ、これは実際問題として、ちょっと言いにくいことを申し上げますが、例えば飛行機に乗って朝刊を持ってこいというお客さんは結構見えます。そのときに自分の希望する朝刊がないと、何だこの航空会社サービスが悪いと言って怒るお客さんが結構見えます。その怒るお客さんの多くが社会的地位の高い方々でございまして、先生方の近辺にもお見えになるのではないかと思っております。  私ども、会うたびに航空会社に対しましては、少なくとも国内線についてはもっともっと現実的なサービスでいいではないか、過剰なサービスは要らないではないかということは機会をつかまえては言っておりますし、先生の御指摘のような趣旨はこれから生かしていきたいと思っております。
  23. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 外国に行きますと、例えばニューヨークとかワシントンなんかはもうバス同然でしょう。切符を切った女性が改札に行って切符を切って、一人で全部やっていますよ。やはり航空機というのは特別な人が乗るなんという時代はもう終わってしまったわけですね。ですから、もうバスと同じように考えて、そしてできるだけ安くしていく、やはりそういう観点に立ってもっと指導しないとだめだと私は思っています。余計なサービス競争をやって人を集めるのではなくて、もっと使いやすい、だれでも使える、もっと安い、そういうものに視点を置いてぜひとも今後指導していただきたい、そう思っています。  それから、今度の運賃改定の動向を見てみますと、最初全日空が発表した、さらに日航がそれを見て右へ倣えで発表していく、JASも多分両方見ながら発表していくのでしょう。航空会社というのは寡占市場ですね、三社しかないのですから。そういう決め方だと、いつも何かそういうふうに右へ倣えしながら、横目を見ながらだんだん都合のいい方に行って決めていく。どうも自由競争というものは生まれないような気もしているのですよ、私は。その辺、やはりこれから考えなければならぬと思うのですけれども、どうでしょう。
  24. 黒野匡彦

    黒野政府委員 今回、最初全日空が出し、その次にJALが出し、昨日ですか、JASが出した、こういう順序でございました。  私といたしましては、各社が相手の出方を見て、さらにより利用者に魅力的な運賃料金を提示、するということは、これはむしろ競争を実現するという方向では評価されるべき点もあるのではないかと思っております。極端な場合、JALとJASが出したことを見てANAが、それなら利用者をとられてしまうからもっと下を出してみょうということで、最初に出したものをまた変更するということがあっても、これは利用者にとっては歓迎すべきことではないかと思っております。逆に、ある日一斉に三社がそれぞれ出したという方が、事によると裏で取引があったのではないかという疑惑を招くおそれがありますから、むしろそれぞれの出方を見て、各社の営業戦略、これはもちろん利用者を視野に置いた営業戦略を考えて運賃料金を提示するということは、評価してもいいのではないかと思っております。
  25. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 いずれにしても、寡占市場ですからね、これは。やはりどんどん参入できない市場ですからね。それだけに、もっともっと考えていかなければならぬと思っています。  それからまた、羽田空港もやはり限界があるわけですから、これからやはりもっとそれぞれの航空会社の配分というものも、毎年いろいろな実績だとかいろいろなものを見ながら、配分がずうっといつまでも固定されるのではなくて、それなんかをこれから毎年毎年見直していく必要もあるのではないのか。そして、やはり自由競争というのをできるだけ促していくということが大切なような気がしますね。  それから、新幹線の入っているところというのは新幹線と航空会社との競争があって、飛行機が高かったら新幹線に乗りかえる、そういうふうに幾らでもできるわけですね。  新幹線の運賃航空運賃の比較をしてみますと、例えば東京福岡を見てみますと、自由席で二万八百円ですね、新幹線。全日空の今回の早割で二万六百円、早朝割引だと一万七千九百五十円。日航の二十八日前の前売りですと一万八千九百五十円。これは競争してどんどん航空会社も下げようとするのですね。ところが、私のところのような新幹線が入っていないところというのは、競争相手がいないものだから、やはりこれは高く設定をしてしまう、ほかに乗り物がないのですから。八〇%は航空機に頼っているのですから。特にそういうところなんかはよく見ていかないと、高くたって乗るだろうという判断がそこで働くわけですよ。乗るものがないのですから、高くたって構わないじゃないかという航空会社の判断が働いてしまうわけですよ。  そういう面で、そういうこともよく頭に置きながら、ひとついろいろとお願いいたしたい、そう思っておりますし、もちろん新幹線の見直しの、ことしはいよいよそういう時期になりますから、大臣もひとつよくその辺も考えていただきたい、そう思っております。  もう時間がありませんけれども規制緩和の効果が本当に上がっていくためには、やはり乗客に視点を置く。何度も申し上げまずけれども航空会社視点を置くんじゃなくて乗客に視点を置いて、その中で自由な競争をさせる。下限なんか外してしまって思い切り競争させる。少し企業を守ってやろうなんて気持ちがあると、やはり競争が鈍ってきますよ。そして、安い運賃というものは実現できませんよ。  そういう面で、これからせっかくこういう制度導入して、大臣最初おっしゃったとおり、規制緩和というものを導入して、いよいよ自由な競争の中から運賃を決めていこうということで決めたのでありますから、この効果が一層上がるようにひとつ指導しながら、そしてまた方策も考えながら頑張っていただきますようにお願いして、終わらせていただきます。
  26. 辻一彦

    辻委員長 以上で佐藤静雄君の質疑は終了しました。  茂木敏充君。
  27. 茂木敏充

    ○茂木委員 自由民主党の茂木敏充でございます。  亀井運輸大臣の所信表明に対しまして、引き続き質問を行わせていただきます。  大臣は去る二月十四日の所信表明の中で「まず第一に、豊かで安全な社会づくりへの貢献」という課題を取り上げておられ、特にその中でも、国際交流が拡大していく中での運輸関係資本の整備充実という視点を提示されておられます。また同時に「国際環境の変化への対応」、これを最重要課題として挙げておられます。私も大臣同様に、これからの運輸行政というものは、単にそれに関連する産業の施策にとどまらず、我が国の発展や国際競争力など、国の将来そのものに大きな影響力を与えるものであると認識しております。  そんな中で、特に空港に関しましては、平成八年度が総額三兆六千億円に上る第七次空港整備五カ年計画の初年度に当たるわけでございまして、大臣も、国際ハブ空港建設を初め、大都市における拠点空港の整備を最重点課題として指摘しておられるわけでございます。関西国際空港に関しましても、同様に平成八年度より二期工事が着工されるという形になっているわけでございます。  そこで、私はこれらを踏まえまして、特に国際ハブ空港建設整備、そして、時間がありましたら航空行政における規制緩和の問題、ただいま佐藤委員の方からも御指摘ございましたが、含めまして、大臣並びに関係部局に対しまして質問を行わせていただきたいと思っております。  そこで、まず国際ハブ空港建設についてでございますが、経済のボーダーレス化が圧倒的な勢いで進んでいる、こういった中で国際ハブ空港の整備、これは今後我が国の経済の国際競争力を左右する形になってくる、こう言っても私は過言ではないと思っております。特に二十一世紀に向けましては、アジア太平洋地域というのがまさに世界の中心になってくる。そういうことを踏まえまして、アジア各国のハブ空港建設の現状も踏まえながら若干お尋ねをしたいと思っているわけでありますが、現在我が国で主要国際空港と呼ばれています二つの空港の現状、つまり新東京国際空港、成田、これが四千メートルの滑走路が一本、それから関西新空港では三千五百メートルが一本、こうなっているわけでございます。  これに対して、アジア諸国における主要な空港をこれと比較してみますと、韓国では金浦国際空港で三千六百メートルと三千二百メートルの二本。それから、台湾の中正国際空港では三千六百六十メートルと三千三百五十メートル、二千七百五十二メートルの三本。中国でも北京空港で三千八百メートルと三千二百メートルの二本。さらに、シンガポールのチャンギ国際空港では四千メートル、三千三百五十五メートルの二本。いずれも日本国内の国際空港を、言葉によってはしのぐような形になっているわけであります。  さらに将来計画、これを見てみますと、韓国では、二〇〇〇年を目標にいたしましてソウルの新メトロポリタン空港が開港予定でございまして、二〇二〇年までの四期にわたる計画におきまして、工事がすべて完成しますと、三千七百メートルグラスの滑走路が四本できてくる。大変脅威でございます。同時に、香港におきましても、チェク・ラップ・コック空港は一九九七年に一本目、三千八百メートルが完成いたしまして、二〇一〇年にもう一本完成しますと、三千八百メートルの滑走路が二本という形になってくる。  もちろん、我が国におきましても成田、それから関西新空港におきまして増設予定があるわけでございますが、増設の時期によりましてはアジアにおいて他国に大きくおくれをとる形になり、日本がアジア第一の国際拠点、こういう地位を失いかねない、こういう危惧すらあるわけでございます。  そんな中で、ヨーロッパ、アメリカ、アジアと三大拠点が築かれていく中で、日本が国際幹線ルートのアジアにおけるいわゆる支線にもなりかねない。こういう問題は、単に航空行政にとどまらず、我が国の二十一世紀の経済発展のそれすらも左右するような事態になってくると思いますが、この点につきまして大臣の認識なり対応方針を簡単に聞かせていただければと思います。
  28. 亀井善之

    亀井国務大臣 今、委員指摘の、アジアの諸国で大規模な国際ハブ空港がいろいろ建設され、また計画が進んでおりますことは承知をいたしております。二十一世紀に向けて、我が国が今後とも国際社会の中で安定した発展を続けていくためには、交流の基盤施設であります国際ハブ空港の整備は時期を失することなく進めなければならない、このように考えております。  御指摘にもございましたが、第七次空港整備五カ年計画に関する中間取りまとめにおいても、国際ハブ空港等の整備を最優先課題として取り組む必要がある、このようになっております。今後とも、運輸省といたしましても、まず新東京国際空港の平行滑走路等の整備、関西国際空港の二期事業の推進等、国際ハブ空港の整備に積極的に取り組んでまいりたい、このように考えております。
  29. 茂木敏充

    ○茂木委員 そこで、今、大臣の方からお話も出ました関西国際空港の二期工事に関してなんですが、もう少し具体的な点を関係部局の方からお伺いしたいと思うのですが、二期工事の着工に当たりましては、今国会におきましても上下主体分離方式、これを法律上位置づけることが検討されているわけなんですが、まず、この上下主体分離方式なるもの、これは当初から予定されていたものかどうなのか、まずお伺いしたいと思います。
  30. 黒野匡彦

    黒野政府委員 関西空港が提案された時期にはそこまでの議論はされていなかったと思います。二期事業を具体的に始めようというときに、上下の下ですね、特に埋め立て、これのコストが大変高い、これをどう対応したらいいかという議論の結果、上下主体分離方式が出てまいったものでございます。
  31. 茂木敏充

    ○茂木委員 空港を普通の民間会社と例えるのはちょっとミスリーディングな点もあるかと思うのですが、言ってみますと、普通の企業にとってみると、事業拡大を行っていく、それで本体の方で事業拡大を行うと赤字が出てしまうので、ちょっと子会社に分離しましょう、それで少しずつかけて本社も黒字に転換していきましょう、こんなふうに映ったりもするわけなんですが、確かに事情もあると思うのですが、基本的には私は不自然な経営形態である、このように考えているわけでございます。  確かに、事情を考えてみますと、当初思ったほど需要が伸びてこない、こういう収入面の問題もあるでしょう。しかし、この収入面の問題は、どうにか最近好転の傾向が見られているようでございます。そうしますと、むしろコスト面といいますか、技術的な面も含めまして、海上空港ということでコストがかさみ過ぎた、こういう点が大きいのではないかなと思っておるわけですが、それに関してはいかがでしょうか。
  32. 黒野匡彦

    黒野政府委員 確かに、関西空港の二期事業は埋め立てに大変大きな金がかかります。手元の数字で申し上げますと、第一期の場合には、全体として約三十三メートル強の埋め立てをいたしました、これは沈下部も含んででございますが三期になりますと、それが四十一メートル強ということで、この分のコストが大変高うございまして、全体で一兆五千六百億のうち、この埋め立てに一兆一千四百要るという実態でございます。  ただ、これが海上空港だから高いかどうかという一般論には直ちにつながるかどうかは別だと思っておりまして、例えば、別途計画しております中部の新空港、ここは大変水深が浅うございまして、また地盤もいいということで、埋め立てについてはかなり割安でできるわけでございますから、これだけをもって海上について高過ぎるという評価は、若干早過ぎるのかなと思っております。
  33. 茂木敏充

    ○茂木委員 御指摘の部分もあると思うのですが、どうしても海上空港、私にとりましては、陸上と比べると、一般論は難しいのだと思うのですが、特にコストが高い、しかも工事期間も長くかかるのではないかな、こんなふうに考えるわけでございます。  そこで、一般的なお話で結構なんですが、若干の比較も含めて、コストにおいて単位面積で、もう少し関西国際空港より浅いところでも結構なんですけれども、陸上空港と海上空港を比べた場合に、コストが単位面積でどれぐらい違うのかとか、どれぐらい差が出てくるのか、もし同じように工事に支障がなければ、どれぐらいの差が出てくるのか、お話しいただける範囲で結構ですので、お答えいただければと思います。
  34. 黒野匡彦

    黒野政府委員 実は、そういう御指摘もあろうかと思って、いろいろ昨夜以来計算してみたのですが、正直言いまして難しゅうございます。  陸上での典型的な空港といたしまして成田になるわけでございますけれども、成田は一期の滑走路ができて以来、十八年たっておりますが、まだ二期ができないという状態であります。この辺の、例えば利息だとか、それをどう見るかとか、実際やり出しますと大変難しゅうございまして、ちょっと数字の方は御容赦いただきたいと思います。
  35. 茂木敏充

    ○茂木委員 数字に関する評価というか、これはそれぞれの空港でそれぞれの要因があるので難しい面もあると思うのですが、これは関西においてもう始まっていることですから、これから場所を移すとかもちろんそういう議論にはなってこないと思うのですが、今後の空港建設、これを考えてみますと、大都市圏における拠点空港の整備、こういうことがさらに重点になってくるわけでございまして、平成八年度の予算におきましても、中部新国際空港調査検討に三億円、それから首都圏の第三空港に一億四千万円、こういう予算配分が予定されているわけでございます。  そこで、中部新国際空港につきましては、もう既に具体的な候補地も決まっているようなんですが、首都圏の第三空港、こちらについても、航空審議会の第七次空港整備五カ年計画の中間取りまとめ、これを拝見してみますと、既に海上空港を前提に検討が行われているようでございます。  そこで、先ほども若干指摘させていただいたのですが、関西国際空港でも、海上空港であるがゆえか、それは違うという御指摘もあるかもしれませんが、当初予想できなかったような難工事というか、地下の土壌が二層に分かれていて、そこの中に凝固剤を打ち込まなくてはならないとかいろいろな問題も出たわけでございまして、当初予定された以上のコストもかかり、そして上下主体分離方式、これが検討されている現状におきまして、首都圏に関しまして、なぜ陸上空港よりコストのかかる、または工事においては難工事も予定される海上空港建設を中心に検討を進めるのか。もちろん、御指摘のありました騒音の問題であったりとか環境面での課題も大きいことも認識いたしておりますし、また、我が国におきましては、民間航空会社のみならず自衛隊機や米軍機、こういったものの飛行等で、空域の限界の問題もあるとは存じますが、少なくともことしから調査が始まるわけでございます。  そういう中におきまして、むしろ調査のスタートとしては、陸上空港を主体としつつも、幾つかの制約要因を考慮して場合によっては海上空港にも調査範囲を広げ、こういうのが自然な形ではないかと私には思えるわけなんですけれども、この点に関しまして、航空審議会での審議の経過について、なぜ海上空港を前提に調査を行うことになったのか、御説明いただきたいと思います。
  36. 黒野匡彦

    黒野政府委員 首都圏の新空港につきましては、昨年の八月に答申をいただきました航空審議会からの中間取りまとめでは、国と地方公共団体による協議の場を設け、候補地の選定等必要な検討を進め、結論を得た上で事業着手を目指すと明確に位置づけをさせていただいております。この構想につきましては、六次の計画期間中に我々なりの調査を進めてきておりまして、首都圏周辺のあらゆる可能性のある地点についてのデータを私どもなりに入手はいたしております。  そのときに一番問題になりましたのはやはり環境問題でございまして、これからつくる限りは、例えば千ヘクタールだとか、かなり大規模な空港を目指すのが当然と思っておりますが、そのような広大な空港でかつ利用率もかなり高…空港、これをつくった場合に、周辺の住民の方々に受け入れていただけるようなものでなければいけない、そこが我々の最も気を使ったポイントでございます。その辺から考えると、陸上はなかなか難しいのではないかなという感触は得ております。  ただし、今我々のポジションといたしましては、海上に限るとか陸上は対象にしないとかいうことは一切決めておりません。あくまでも環境あるいはコスト、さらには用地の取得の可能性等、総合的に考えた上で決めたいと思っておるところでございます。
  37. 茂木敏充

    ○茂木委員 そうなりますと、先ほど御指摘申し上げました第七次空港整備五カ年計画の中間取りまとめに明記されております、海上空港を前提にしつつ、こういうことについての運輸省の取り扱いといいますか、その位置づけというのはどういう形になってくるのでしょうか。
  38. 黒野匡彦

    黒野政府委員 たしか表現は「海上を中心とした」と書いてあったと思います。ですから、これはあくまでも中心でございまして、それ以外をすべて拒否するといいましょうか、対象外にするという意味ではございません。
  39. 茂木敏充

    ○茂木委員 この議論、また改めてやらせていただきたいと思うわけですが、強調させていただきたいのは、ことしから調査が始まるということでございまして、関東平野の中にも、私の拝見する限りでは、神奈川県にはあるかもしれませんが、いろいろな地域におきまして広大な遊休地も存在しているわけでございまして、首都圏の第三空港調査に当たりましては、ぜひ幅広に候補地の調査をしていただきますことを改めてお願いをしておきたいと思います。  そこで、時間の関係で、次に、航空行政における規制緩和、こちらの問題につきまして、先ほど佐藤委員の方からの御質問もございましたが、若干お尋ねを申し上げたいと思っておりますが、今日最大の懸案になっております一つでございます不良債権の処理、それから住専問題、これは我が国の規制行政の限界、これをある意味で露呈する形になっているのではないかな、こんなふうに残念ながら考えているわけでございます。  これに関しては、金融政策にとどまらず、いわゆるネットワークビジネスと申しますか、情報通信産業とか航空産業においても政策上同様の問題がないか、規制産業であるがゆえの問題がないか、金融システムを大幅に見直していくのと同時に、これらの情報通信産業航空産業においても抜本的な行政のあり方の見直しというのが早急に図られるべきではないかな、こんなふうに私は考えているわけですが、冒頭大臣の方から、そこに関してのコメントがいただければと思います。
  40. 亀井善之

    亀井国務大臣 いろいろ今、佐藤委員あるいはまた委員からも規制緩和の問題についてお話をちょうだいしたわけであります。いわゆるこの規制緩和の問題、また経営のいろいろの努力というものが反映し、そして、さらには国民皆さん方にプラスになるようないろいろのことをも加味された形でそれが進められなければならないわけでありまして、いろいろの経験に照らして、その規制緩和の効果が進むような努力をしてまいりたい、このように考えております。
  41. 茂木敏充

    ○茂木委員 これは、行政制度の見直しとかシステムの再編で必ずしも欧米に追随する必要はないと私は思っておりますけれども、しかし、例えば金融業界なんかを見ましても、例えば北欧であったりとかアメリカで先に問題が起こり、それで解決策を練り、それをある意味で参考にしながらも日本のいろいろな意味での処理策とか改善策が決められているように思うわけなんです。  その中で、航空行政に関しましてよく指摘されることでございますけれども、アメリカでは一九七八年、カーター政権下で航空規制緩和法、これが始まりまして、特にレーガン政権下におきまして引き続き行われました航空規制緩和、ここにおきましては、いわゆるコンテスタビリティーの理論、これに基づきまして、参入規制それから運賃規制が完全に撤廃されたわけでございます。すなわち、アメリカの航空産業におきましては原則自由、それで例外的に規制を行っていく、こういうスタンスが貫かれたわけでございまして、確かに過渡期におきましては、規制緩和の過渡期というのはいろいろな問題が起こるわけでございまして、運賃面での過当競争が起こったりとか、いわゆるMアンドAブーム、こういうことが行き過ぎた面もあったわけです。  では、それによって本当にアメリカの利用者にとって不利益がもたらされたのかとか、航空産業がずたずたになってしまったのかと見てみますと、結果的には、利用者にとりましても運賃が基本的には低下の方向に向かった。それから、サービスも多様化が図られた。一方で航空業界、これを見ましても、一社がコストを落とすような、単に運賃だけではなくてコスト改善の努力をするということになりますと、他社もそれに追随せざるを得ない。そういうことで、業界全体でのコスト体質の見直し、かなり高コストであったアメリカの航空業界が低コスト化されていった、そういった中で国際競争力も圧倒的に強化されたという現実があるわけでございます。同時に、懸念されました安全性それから雇用、こういった面に関しましても、安全性は維持がされ、そして雇用面でも、むしろ拡大の傾向が見られたわけでございます。  もちろん、十年、二十年のスパンで見ますと、最近のクリントン政権ではやはりそれがちょっと行き過ぎたのではないか、こんなことで、再規制の動きと、いわゆる利用者立場を重視しながら、もう少し規制が必要な分野も出てくるよ、こういう傾向も見られるようでございますが、それは一たん完全に規制を撤廃した上での再規制というか、最低限必要な部分での規制に目が向けられる、こういうことで、一たん整理がされた上でのもう一回規制ということで、随分日本の現状とは、言ってみると一周違うのではないかな、こんなふうに思ったりもするわけなんです。  確かに、大臣も所信表明におきまして、ダブル・トリプルトラック化の推進の問題であったりとか幅運賃制への迅速かつ円滑な移行、こういうことを挙げておられますが、この点に関しましても、先ほど佐藤委員が御指摘のような問題をまだまだ含んでいる、こういう現状でございまして、その中で、まだ我が国の航空行政においては、原則規制、一部自由、こういう感が否めないわけでございますが、この点を踏まえまして、今後の規制緩和方針について御所見をいただければと思います。
  42. 黒野匡彦

    黒野政府委員 先生、大変研究されておりますから、私がお答え申し上げるまでもないかもしれませんが、今御指摘のとおり、一九七八年にアメリカのいわゆるデレギュレーション、規制緩和のまず最初として、航空について大胆な規制緩和が行われました。参入規制運賃規制の撤廃だけではなくて、日本でいう航空局、これも廃止してしまったということですから、これは大変ドラスチックな規制緩和をしたわけであります。その結果についての評価は、現時点におきましては功罪半ばしているというか、いろいろ分かれているところだと思います。ただ、おっしゃったように、そういうチャレンジをした上での新たなまた安定といいましょうか、そういうことを迎えつつあるのではないかと思っております。  我々も、日本の国におきましてもできるだけ規制緩和の方向に向かいたいと思いますが、その際に、大きく分けまして二つ問題があるかと思っております。  一つは、これはサービスを供給する側、我々も含めて供給する側の問題でございますが、日本のこの空港事情の中において、アメリカのような完全な自由化はなかなかできないということ、さらに日本の、航空三社だけではなくてその他の資本でも、新たに航空事業に入ってみようか、そういう意欲のある資本というのはなかなかないということ、したがって、先ほど言われましたいろいろな理論が日本ではなかなか現実的にはなりにくいという点がございます。この辺を踏まえてどう規制緩和していくかということは、非常に難しい問題だと思っております。  それからもう一つ利用者側でございまして、率直に申し上げまして、行政指導ということがアメリカではゼロでございます。そういう状態を日本の利用者方々が是認していただけるだろうか。その二つがございまして、この両方について、お互いの要望にこたえながら、その限られた範囲においてどうやって一歩でも二歩でも規制緩和を進めていくかというのが我々の使命だと思っております。
  43. 茂木敏充

    ○茂木委員 今御指摘ありました二点なんですが、私は、サービスの供給体制というか、これに関してはそんなにアメリカと日本で状況というのは違わないのではないかなと。例えば、アメリカは広い国だから非常に航空産業というのは発達するとか、日本は狭い国だからといいましても、都市間の距離とかいうことでいうと、ほとんど日本とアメリカというのは変わってないわけです。国土面積でいいますと二十五分の一とかそういう形になるのですが、例えば東京札幌間の距離、これが九百キロあるわけでありまして、これはニューヨークーシカゴの間の距離とほとんど同じ、これは例えば東京福岡でも同じことが言えるわけでございまして、いわゆる都市の広がり、空間的な広がりということでは日本というのは広い国でございまして、その点、私は少し違うのではないかなと思っております。  それから二点目に関しましても、これは国としてどうしていくかという問題でございまして、そういう資本なりベンチャービジネスなりを育てていくという姿勢が本来的には必要なのではないかな、こんなふうに私は考えているわけでございます。  確かにそういう制約要因もあると思うのですが、冒頭申し上げました空港の問題にしても規制緩和の問題にしても、まさに私はスピードが問われている問題だと思います。確かに、制約要因を考えながらも十年計画二十年計画で進めていくということだと、おくれをとってしまうのではないかな、大臣には一層積極的に空港建設規制緩和も進めていただきたい、このように思っているわけです。  そろそろ時間も来ましたので、質問の方はこれで終わりにさせていただきたいと思いますけれども、最後に、きょうは大臣の方にお伺いできなかったわけでございますが、日米航空貨物協議、これにおきましては、厳然として日米間に不平等であったりとか不均衡が存在するわけでございます。ぜひ強い姿勢で望んでいただきたい、粘り強い交渉で成果を上げていただきたい、このようなことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  44. 辻一彦

    辻委員長 以上で茂木敏充君の質疑は終わりました。  赤松広隆君。
  45. 赤松広隆

    ○赤松(広)委員 それでは、四十分お時間をいただいておりますので、私からは、大臣の所信表明の中でも物流について述べられておりますし、また、本来トラック運送事業そのものは、日本の基幹産業として、極めて国民生活に密着した生活必需品を初めとしてあらゆる貨物の安定かつ効率的な輸送を担うという意味で、産業経済の発展に大きな役割を果たしている、そういう意味で、物流がいかに大切か、また、改めて物流の役割、意味について再認識する必要があるのではないかという意味で、二つの点について、本日、大臣初め関係局長、あるいは他の省庁の方にもきょうはちょっと来ていただいておりますけれども、お尋ねをしたいと思っております。  まず第一点は、特定石油製品輸入暫定措置法の廃止に伴う問題についてでございます。  これはもう御高承のとおり、一九八六年より十年間の時限立法ということで、本年三月をもって廃止ということがもう既に決まっております。この特石法廃止に伴うトラック運輸業界に対する影響が今いろいろ言われておるわけでありますけれども、あと個々には細かくお尋ねをしますが、まず前提として、この業界全体に対するこの特石法廃止の影響をどうとらえておられるのか、どう考えておられるのか、大臣なり局長からお願いします。
  46. 亀井善之

    亀井国務大臣 本年三月末をもって御指摘の特石法が廃止されることは承知をいたしております。  その結果、ガソリンあるいは軽油等の石油製品が国際価格に収れんをしていく、このような見方はわかるわけであります。したがって、そういう中で軽油価格が一円上昇するということになれば、バス並びにトラック業界にとっては約百七十億円の負担増になる、経営上大変大きな影響が出てまいる、このようなことは心配をいたしておるところであります。
  47. 赤松広隆

    ○赤松(広)委員 今回のこの措置の結果、日本の高いと言われている石油製品、これが国際価格に近づいていくという趣旨で動いていただければ何も問題ないわけでありますし、さらに、これまた私どもの期待をする規制緩和の一環ということで歓迎をしたいと思うのですけれども大臣も御承知だと思いますが、現実にはそうなっていない。この廃止がむしろ、特に軽油、あるいはそれに関連をするものの製品の値上げに今つながってきている。なぜこんなことになったのかということで、以下、いろいろ質問をさせていただきたいというふうに思っております。  まず、トラック運輸業界全体の話でございますけれども、業界は大変今経営上告しい状況にあるということは御存じのとおりであります。これはなぜかといえば、経済全体が大変厳しいということも一方でありますけれども、それに加えて、平成五年十二月一日から軽油引取税が引き上げをされました。これはリッター当たり七円八十銭上がったわけでありまして、リッター当たり二十四円三十銭から三十二円十銭に上がった。業界全体で言えば、額にしますと約一千百億円、これによって負担がふえたというふうに言われております。  問題は、この一千百億円が、これは税金が上がったことですから、当然荷主さんたち皆さんで全部運賃として負担をしてくださいということになれば問題ないのですけれども、これがなかなかそうはなっていない。  これに加えて、高速道路料金平成七年四月十日から七・二%上がった。そして、これは三段ロケットでいきますから、ことしの一月十六日からは五・九%、また来年の平成九年一月十六日からは五・六%上がる。合わせて二〇%近くもトラックについては上がっていく。これもまた業界全体で試算をしてみますと、この高速道路料金値上げによって大体五百億円負担がふえた。この五百億円も荷主さんに転嫁をできればいいのだけれども、軽油引取税の一千百億円、そしてこの高速道路料金の五百億円、現実にこれが本当に転嫁ができている状況なのかどうなのか。この御認識は後で問います。  このことに加えて、今回のこの特石法廃止の影響でもって一リッター当たり三円値上げされるということになれば、これは私の計算ですから細かいところの数字の違いが若干あるかもしれませんけれども、これまた業界全体で、もし今使用しておる量でもって計算をしていけば、こうしたトラックだけでも四百七十六億円の影響を受けるというようなことになるわけでございまして、ますます深刻な経営状況に追い込まれる結果になるのではないかということでございます。  まずお尋ねしたいのは、過去の、過去のと言ってもまだ一昨々年ですけれども、軽油引取税の引き上げ、高速道路料金値上げ、そしてまた今回の特石法の廃止があるわけですが、前の二つについて、一体どの程度転嫁ができているというふうに考えておられるのか。またこれに加えて、今回四百七十六億なんということがもしトラック運輸業者の負担ということで行われるとすれば大変なことになるわけでありますけれども、こういう深刻な経営状況、この現状というのを大臣が知っておられるのかどうか。これについて尋ねます。
  48. 亀井善之

    亀井国務大臣 委員指摘のとおり、私も身内が業界に関係しておりますし、早朝から大変な苦労をして仕事をしておりますことは承知しております。荷主の方々になかなか御理解をいただけない、こういうことで苦労しておりますのをじかに承知しておる一人でございます。
  49. 赤松広隆

    ○赤松(広)委員 そういう中で、大臣自身も今この業界は大変な状況だということを御理解いただいておるようですし、言外には、この二つの税の問題、あるいは高速料金の問題、転嫁がなかなかうまくいっていないということもお認めだということだろうと思います。  さて、そこで本題に入ってまいります。  石油元売各社は、精製会社と言ってもいいわけですけれども、この三月まではそういう人たちしかできないわけですから。石油元売各社、精製会社は、値上げ要請を昨年九月、販売特約店に実は既に通告しております。  そんな文書があるのか、いやいや、それはそう言っているだけで、なかなかあれがないのじゃないかということを言われるといけませんので、きょうばいろいろな資料を持ってまいりました。これは、いろいろなところがお得意さんに対して、三円の値上げをお願いします。そこには、実は昨年九月、石油元売からこういう形で中間三品について三円値上げの通告を一方的にしてきたので、どうしてもこれは利用者であるそういうトラック業者、その他皆さん方にお願いをしなければいけないのですということを文書でもってそれぞれ書いてきているコピーが実はここにあります。  例えば、これは平成七年九月二十日付の「石油製品価格改定のお願い」ということで、名前を言うとまずいかもしれませんので、株式会社S熊本支店、ここが出しているあれですが、ここの文書に書いてありますね。「石油元売は九月より灯油・軽油・A重油に約三円リッター当たりの値上げ通告して参りました。」同じようなことが、この会社ばかりではなくて、私の手元にある資料だけでも株式会社北海道U、これもやはり「「灯油・軽油・A重油」の値上げを通告してまいりました。」そしてまた、これも同じく株式会社東北Uですが、九月よりやはりそういう元売が通告をしてきたというようなことを書いてある文書もあるわけでございます。まさに元売各社が、ほとんどもう昨年の九月ぐらいに、全部この日付も合っているわけですけれども、軌を一にして、販売特約店に対して一方的にこういう通告をしている。これを受けて販売特約店の方は、今度はトラック運送事業者に対して、これまたここに文書がいろいろありますけれども、ほとんど文章は一緒の文章、全く画一的なこういう文章でもって、これまた一方的に、リッター当たり三円の価格改定のお願いの文書が届けられ、そしてその後すぐ、お願いに営業マンが行きますからというようなことが書いてあるわけでございます。これも必要であればコピー等もお渡しをいたしますけれども。  そして、さらにけしからぬのは、そういう弱い立場にあるトラック運送事業者に対して、もし値上げに応じなければ供給ストップをするぞというようなおどしまでかけて値上げを認めさせようとしている。  そして現に、ここに新聞がありますけれども、「供給ストップ」、これは静岡の例でございますけれども、「北海道でも供給ストップ」というようなことで、全国各地で既に、こうした値上げに応じないそういう業者に対しては供給ストップだというようなことの、これはあと新潟にもこういうのがありますけれども、おどしをかけてきている。  これは一般の商品であれば、私は、商取引ですから一定の仕方がない部分があると思うのですけれども、問題は、石油製品というのは独占的に供給権を一部の人たちが握っているわけですから、その独占的に供給権があるということを盾にしてやりたい放題やるということは一体どうなのかということを感じるわけでございます。これはまた元売各社が、先ほど言いましたように軌を一にして、そしてまたすべて特石法の廃止に伴いということを理由にしながら、一方的に三円という額まで合わせて通告をしているということから考えれば、これはまさに談合によるカルテル行為そのものではないのかというふうに私は思うわけでありまずけれども、きょうは公取の方も来ていただいていますか一じゃ公取の方から、こうしたことが事実もう文書であるのですから、こういうことを受けて一体どう考えるのか、これはカルテル行為そのものではないのか、独禁法違反そのものではないのかということを問いたいと思います。
  50. 梶山省照

    ○梶山説明員 御説明させていただきます。  従来から公正取引委員会といたしましては、個別具体的な事象につきまして独禁法に違反するかどうかということは、正式な審査といいますか、いろいろ法的措置が出たものについてはお答えいたしておるのですけれども、個別具体的なものにつきまして違反かどうかという意見を申し述べることは差し控えさせていただいておりますので、ちょっと御理解いただきたいのです。  ただ、一般論として申し上げますと、単に値上げ幅が同一あるいは画一的であるということだけでは、独占禁止法上直ちに問題にはしがたいということになります。(赤松(広)委員「聞こえない、もう一回言い直して」と呼ぶ)値上げ幅が同一といいますか、外形的に値上げ幅が同一あるいは時期が一緒であるということだけをもって直ちに独禁法上問題があるということはなかなか言えないわけでございます。その背景といいますか、その経緯として、業者間の話し合いとかあるいは価格拘束とか、そういった行為があればそれは独占禁止法に問題となってくるということになります。  いずれにしましても、公取としましては、そういった具体的に独禁法に違反するという端緒といいますか情報に接すれば、厳正に対処するという所存でございます。
  51. 赤松広隆

    ○赤松(広)委員 既にトラック協会その他があなたのところに行っているでしょう。いろいろな資料も出してやっているでしょう。それに対してそんな一般論でこんなところで答えたってだめなんだよ。きょうはあらかじめ通告してあるのだから、この問題についてはどういうふうに考えるとか、今それを受け取ってそれぞれのところにどういう指示を出しているとか、あるいはこれは全く何の違反もありませんという結果でしたとかいうことを言わなければ意味がないでしょう。そんな一般的な、こういうことが独禁法違反に当たりますよ、二条に違反ですよなんということはあなたに聞かなくてもわかっているわけです。何のために通告しているんだ、これは。もう一回答えなさい。
  52. 梶山省照

    ○梶山説明員 繰り返しになって恐縮なんですけれども、公取としましての審査のやり方といたしまして、具体的に実際に審査に入る前にこの事件はこう考えるとか、このことに関してはこう考えるということは非常にしがたいわけでございまして、その辺ぜひ御理解いただきたいと思います。  具体的な法的措置をとった段階ではいろいろ御説明できるわけですけれども、その前の段階においてこれが違反であるとかないとか、そういうことは答弁は差し控えさせていただいておりますので、その辺ちょっと御理解をいただければと思うのですが。
  53. 赤松広隆

    ○赤松(広)委員 旧来から石油元売業界の談合体質というのは問題視をされてきたのです。何も急にきょう初めて浮上した問題じゃないのです。当然知っていると思いますけれども、昭和四十九年のあの石油ショックの中で、公取そのものが石油元売十二社に対して、これは不正な取引制限を禁じた独禁法二条六項に抵触するとして告発したわけでしょう。そして十年もかかって、十一年もかかって最高裁まで行って、これは独禁法違反ですということを明確に最高裁が出しているじゃないですか。そういうことをつい何年か前にもやってきたところ、そういう体質は全然変わっていない、そういうところに対してそういう一般的な、そういう事例が何か具体的に出てこないととか、余りやる気があるのかないのかわからないような答弁。何か持ち株会社のことは非常に熱心にやっているんだけれども、こういうことに関してはちっとも熱心じゃないように見えるけれども、これは一体どうなんですか。この五十九年に判決の出たこれについては、じゃ、どういうふうに受けとめているのですか。五十九年判決。
  54. 梶山省照

    ○梶山説明員 五十九年に最高裁判決が最終的に出て、公正取引委員会が昭和四十九年ですか、告発した事件の決着がついたわけですけれども、公取としましては、そういうカルテルとして初めての刑事判決が出たわけで、非常に意義が高いと思っておりますので、この意義を高めて、今後とも独禁法の厳正な運用の必要性というのをひしひしと感じておる、かつ判決の意義を重く受けとめておるというところでございます。
  55. 赤松広隆

    ○赤松(広)委員 意義を認め、そしてその意義を高めたいということであれば、まさに同じ業界の同じような形のこうしたことに対して、あなたたちはもっとしっかりそれを調査するなりしなければだめでしょう。  それで、もう一つこの裁判の判決の最も評価すべき点は、そういう協定を結んだ段階でカルテルがもう成立をするんだ、これが実施をされたかどうかは関係ない、こうやってやりましょう、価格協定やりましょうと決めたらそのことが、もうこれが有罪なんだ、やろうど思ったけれども結局だれかが抜けてしまったとか、何か妨害が入って結果的にうまくいかなかった、うまくいくいかないは関係ない、とにかくそういうことをやろうとすることそのものがもう独禁法違反だということを示したのがこの五十九年最高裁の判決なんですよ。  だからそういう意味で、最後にこれは聞きまずけれども、じゃ、公取はこういう問題、既に業界からも公取に対していろいろな申し出やいろいろな文書が出ている。これに対して前向きにきちっと受けとめて調査をする意思があるのかないか、もうどちらかしか、あるかないかしかないわけですよ。それをはっきりここで答弁をしてください。
  56. 梶山省照

    ○梶山説明員 公正取引委員会は、違反かどうかということに関しては、広く情報収集に努めております。ただ、本件についてどうするかということは、申しわけございませんが、答えられません。ただ、本件に限らず、公取委としては違反に対して広く目を光らせております。今後もそれの努力を続けていきたいと思っております。
  57. 赤松広隆

    ○赤松(広)委員 本件に限らずじゃなくて、本件について聞いているんだから。本件について情報収集しているのか、していないのか。
  58. 梶山省照

    ○梶山説明員 本件を含めて、広く一般についてやっております。探知活動に努力をしているところでございます。ただ、具体的に本件を独禁法違反でどうするかどうかということはお答えしがたいということでございます。
  59. 赤松広隆

    ○赤松(広)委員 だから僕が言っているのは、それは調査をしなければそういう事案かどうかわからないわけだから、当然調査しなければいけないでしょう。それには、いろいろなところがら、業界から話を聞いたり、あるいはみずからいろいろな資料収集もして、そういう対象になるかどうかということをやるのはやはり当然のことでしょう。ぜひそういう取り組みをするように要請をしておきます。  さて、エネ庁の方は来てみえますか。——エネ庁の方に一点だけ聞きますが、後で必要であれば文書をお渡ししますが、元売各社は、すべてその値上げの理由を、今回特石法の廃止だから軽油価格を引き上げるんだということを言っているわけですね。しかし、先ほど言ったように、また大臣も答弁されたように、そういう国際価格に結果的に近づいていくということは、安くなっていくならそういう因果関係もわかるけれども、上がっていくのにどんな因果関係があるのか。これは、もしそういう因果関係があるというのだったら教えてもらいたいと思いますが、どうですか。
  60. 加藤文彦

    加藤説明員 お答えいたします。  石油製品の価格の問題につきましては、基本的に市場原理により決定されるべきものだと思っておりまして、当事者の交渉にゆだねるべきものと考えております。特に、この四月より実施されます特石法の廃止あるいは揮発油販売業法上のガソリンスタンドの建設の自由化といった規制緩和、自由化によりまして、より市場原理を石油市場導入することをねらっております。その趣旨からも、行政価格の問題について介入するということは慎重であるべきと考えておるわけでございます。  ただし、一般論として申し上げれば、先生指摘のとおり、特石法廃止によりまして国際的に開かれたオープンマーケットになることによりまして、これまで我が国独特の、ガソリンだけが高いといういわゆるガソリン独歩高の価格体系から、軽油、灯油、重油も含めましたいろいろな油種の価格が比較的均等であります海外の製品価格体系を反映した価格体系へと移っていくものと考えております。  この価格体系の国際化につきましては、実は昨年十一月の、総理大臣の諮問機関でございます経済審議会の答申の中でも、石油製品間のコスト配分の見直しをしろというのが石油業界の課題になっております。(赤松(広)委員「悪いけど、僕は因果関係があるのかないかを聞いているんだから、ちょっと時間も余りないから」と呼ぶ)おっしゃるとおり、基本的には市場の原理によるものでございますが、今までの日本のガソリン独歩高という価格体系がより国際的な価格体系へ、これはもちろん円ドルレートにもよりますし、原油価格のレートにもよりますが、あえて言わせていただくと、中間留分につきましては、今までの日本の国内価格というのは、国際的な水準から見ると低い水準にあったということは言えようかと思います。
  61. 赤松広隆

    ○赤松(広)委員 そんなこと聞いてないでしょう。僕が言っているのは、特石法廃止と、それを業界は理由にしているんだけれども、特石法廃止がこういう軽油価格の引き上げの原因なんです、それだから引き上げざるを得ないんですということを言っているけれども、そういう因果関係はあるんですかということを聞いているんですよ。
  62. 加藤文彦

    加藤説明員 お答えいたします。  今申し上げましたとおり、価格体系の国際化というのは、特石法廃止、つまり、今まで特石法では石油の精製会社しか輸入ができなかったわけでございます。これからはだれでも輸入ができるということになるわけでございまして、この制度改正の実施が価格体系の国際化の一つの端緒になるということは事実でございます。したがって、因果関係という意味では、そういう意味では実態上あるというふうに考えております。
  63. 赤松広隆

    ○赤松(広)委員 ではなぜ、言うように下がるのならいいんですよ、例えば新規参入があって、今まで輸入できなかった人がどんどん輸入して、一部独占をしていた権益者から、それ以外の新規参入があって、結果的に国際価格に近づいて安くなったというなら、これは因果関係があるというのはわかるんだけれども、僕が質問したのはそうじゃないんだよ。この軽油価格が引き上がることとこれとどう関係があるんですか。下がるのなら因果関係はあるけれども、上がることに因果関係があるんだったら、どう一じゃ、それ説明しなさい。
  64. 加藤文彦

    加藤説明員 お答えいたします。  灯油あるいは軽油、重油といった中間留分は、国際的な価格水準は、これは時期、円レート等によって違いますけれども、今までの日本の国内価格よりも高いのが一般的でございます。したがいまして、輸入自由化によりまして国際的なそういう価格が反映されるということは、場合によっては、そういう意味では中間留分の価格の値上がりということにつながってくる可能性はございます。
  65. 赤松広隆

    ○赤松(広)委員 こんな人がエネ庁の課長をやっていると思うと大変残念ですけれども。  そんなうそを言ってはだめだよ、これはもう全部、価格書いてあるんだから。あなたは、場合によっては中間三品は日本の方が安くて外国が高くて、ガソリンは日本の方が高くて外国が安いということを今言っているけれども、全くうそだね。具体的に数字見せましょうか。そんなこと言ってはだめです。ガソリンほどは国内価格と国際価格との差は大きくないけれども、こういう灯油や軽油だって外国の方が安いんですよ。ここに書いてあるけれども、もし製品輸入をやったらという試算があるんだけれども、これだって、民間の全く素人がやったって、今の価格よりもさらに三円安くできますよということが書いてあるんだから。だから、そういういいかげんなことをこういう委員会答弁で言ってはだめだ。  次に移ります。  次は、トラック事業の最低車両台数の基準緩和について、あと十二、三分しかありませんから、簡単に質問をしていきたいと思います。  平成七年十二月七日に行政改革委員会規制緩和委員会が「最低車両台数規制については、将来的に全国一律五台となるよう、スケジュールを明確化して段階的に引き下げていくべきである。」という意見を出しました。さて、この意見に対する受けとめは運輸省としてどのようにしておられるのか、まず聞きます。
  66. 山下邦勝

    ○山下政府委員 トラック事業の最低車両台数の基準というのは、これは何で設けているかというのはもう十分先生承知かと思いますけれども、これは、運行管理をきちっとやるため、自主管理体制ができる最低のものということで、それを確保することによりまして輸送の安全を確保していこうという社会的な要請に基づくものと我々理解をいたしております。  今御指摘ございましたように、行政改革委員会の答申におきまして、全国一律五台という最低車両台数に向けてスケジュールを明示しろというお話でございますが、既に現在、政府規制緩和推進計画におきまして、地方運輸局間の最低車両台数の格差がございます、これにつきまして、あわせて運輸局の格差を是正いたしまして、そういう中でまず少し引き下げを図っていきたいと思っておるところでございます。これらの結果を見ながら、またその運行管理に与える影響、こういったことを勘案しながら、逐次、段階的に実施していくという計画でございます。
  67. 赤松広隆

    ○赤松(広)委員 現状は、運輸省から出している資料等によりますと、五台以下の事業者数、五台以下ということは五台が入るということですけれども、五台以下の事業者数は、一般で五千八百六社、あと霊柩車だとか特積みだとか特定だとか、全部含めれば八千七百七十五社になるということが出ているわけですけれども、今回、小委員会の言う五台はよいといいますか五台でよいということになれば、反対に五未満ということになるわけですけれども、現時点で五台未満の事業者数というのは一体何社になりますか。これは一般だけでいいです。
  68. 山下邦勝

    ○山下政府委員 先ほど申し上げましたように、実は最低車両台数が五両とか七両とか十両とか、いろいろございます。これを下回っておる事業者というのは把握をいたしております。一般で四千六百四十一社でございますが、実は五台未満という形で絞った調査はしておりませんが、大体、これよりもちろん多くなるということだろうと思います。
  69. 赤松広隆

    ○赤松(広)委員 なぜそんなことを聞いたかといいますと、今後運輸省としてこの小委員会意見を受けて、時間はかかると思いますけれども、段階的にスケジュールを組んで一つの方向に持っていこうということになるわけですが、そのときに、もう既に現実の方は五台未満のところもいっぱいあるわけで、そこについて、今度は反対にそれを五台以上に引き上げていかなければいけないということが当然生じるわけですけれども、それについてはどういう指導をされようとしているのですか。
  70. 山下邦勝

    ○山下政府委員 今御指摘の、最低車両台数を下回っております事業者につきましては、ことしの春にも事業者の実態とその経営、どういうふうにするつもりなのか、これをまず調査をいたすことといたしております。その結果を踏まえまして、どういう指導をしていくのかについて検討してまいりたいと思っております。
  71. 赤松広隆

    ○赤松(広)委員 今の時点ではまだそこまで明確に出てこないと思うのですが、現状でいいますと、先ほどお話あったように、離島とかなんとか特別なところを除いて、最低大体五台から、大都市東京だとかそういうところなんかは十五台というのが一つの最低車両台数になっているわけですけれども運輸省としては適正規模台数はどの程度と考えておられるのかについて、はっきり言えなければアバウトでもいいですけれども、そういう考え方を基本的に示してもらいたいと思います。
  72. 山下邦勝

    ○山下政府委員 最低車両台数は、先ほど申し上げましたように、運行管理者を配置するとか、自主管理体制を確保するための最低の事業規模ということで決めておるわけでございますけれども、最近の物流の多様化で荷主のいろいろなニーズにこたえていくというためには、例えばコンピューターを入れるとか配送センターを整備するとか、いろいろな動きが出てきておるわけでございまして、適正規模というのを一概にはなかなか決められないと思っておりますが、一般的なトラックの業務形態ということを前提に考えますならば、今の最低車両数よりももうちょっと大きくないとなかなか難しいかなという認識はいたしております。
  73. 赤松広隆

    ○赤松(広)委員 私もそういう考え方でございます。  これは当然のことなんですが、念のために確認をしておきますが、今、人口十万未満あるいは過疎の地域東京等大都市圏というのは、先ほど申し上げたように、五、七、十とかいろいろ台数に違いがあるわけですが、これは今後についても、この十万未満のような地域と大都市圏の東京あたりと同一、一律の台数で規制をするなんということは当然のこととしてあり得ないと思いますが、どうですか。結論だけ。
  74. 山下邦勝

    ○山下政府委員 先ほどちょっと申し上げましたように、現在の規制緩和推進計画で、人口が同じところは同じ台数にするというような横並びの是正をしていきたいと思っておるところでございます。その後どういうふうにしていくかについては、先ほど申し上げましたように、運行管理の実態、これがきちんとなされておるかどうか、そこらを踏まえながら検討していきたいと思っております。
  75. 赤松広隆

    ○赤松(広)委員 私は、この質問をした趣旨といいますのは、一番心配しておりますのは、一人親方みたいな形でのトラックがどんどんと出てくる。そういうことが行われてくると、大きな規模の会社で、労使が話し合って、例えば四十時間制をこうやってやろうとか、あるいは運輸省指導によって、ハンドル運転時間をこれぐらいにしょうとかいうようなことを決めても、いやいや、それは大きい会社はそうですが、私はとか、個人企業ですから何でもやりますよ、休みなんか要りませんみたいな、そういうことで業界全体に悪い影響を与える、そのことが業界の秩序を乱す、公正競争が阻害されるというようなことを一番心配しているものですから、きょうのこういう質問をさせていただいたということでございます。これは答弁、要りません。  今も局長さんから出ましたけれども、今ですと、一定規模以上の事業者に対しては運行管理者を置かなければいけない。あるいは、これは労働省所管になりますけれども、安全衛生管理者を置かなければいけない。これは運輸事業とは限りませんが、一般の事業所についてもそういうことが義務づけられています。  そうしますと、例えば五台保有の事業者、あるいは先ほどの局長さんの話だと五台ではちょっとあれなのかな、もうちょっと上のところで線を引かざるを得ないのかなという話だったと思いますが、とにかく、最低保有台数程度の事業者に対しては、これらの運行管理や安全衛生管理や、そういうところが一体どうなっていくのか、非常に心配をしておるわけです。  労働省の方もお見えですが、申しわけないのですが、時間がないので簡単に。  この一名から九名の事業所、これは人数でやることになっていると思いますので、一名から九名の事業所において、今は安全衛生管理者の配置をしなくて事業者がそれを兼ねるということになっていますが、そういう点について、それで十分できるのか。将来方向としてもその方向でいいのかということについてまずお答えをいただき、その後、運輸省から運行管理者の配置について、この五台保有ぐらいの規模の事業者に対してはどういう配置や義務づけや指導をしていこうとしているのか、続けて御答弁をいただければと思います。
  76. 池田五男

    ○池田説明員 御指摘のように、労働安全衛生法におきましては、労働者数が十人以上の規模の事業場につきましては安全推進員を置くということになっておりまして、十人未満につきましては管理者の選任義務がございません。  それで、労働安全衛生法におきましては、労働災害の防止を図るために事業者に危害防止を履行させるということを基本にしておりまして、一定規模の事業場においては、事業者だけで安全管理業務を行うことが実効が上がらないということから、この事業者の補助者として安全管理者等を選任するようにしておるわけでございます。  御指摘の、労働者数が十人未満の小規模事業場におきましては、事業者がみずから労働者を指揮監督することが通例でありまして、これに合わせて、みずからが安企業務を行うことによりまして安全衛生の確保を図ることが可能であるという考えから、このような小規模事業場につきましては安全衛生推進者の選任を要しないということとされておるわけでございます。
  77. 山下邦勝

    ○山下政府委員 今お尋ねのとおり、五台以上のものにつきましては、運行管理者を置きまして専門的な管理をするということになっておるわけでございますけれども、五台を下回るようなものでありましても、法律上適切な運行管理を行うという義務があるわけでございます。  これを具体化するために、法律上の規制をするかどうかということはちょっと別にいたしましても、やはりそういったきちんとした管理が行われるために、例えば適正化事業実施機関によります巡回指導でございますとか講習会、こういったところを通じまして、運行管理をきちんとしていくような指導をしていきたいと思っておるところでございます。  先ほど申し上げましたようなことしの春の調査におきましても、これをどうしていくつもりなのか、我々が非常に運行管理に対して強い関、心を持っているということは徹底させていきたいと思っております。
  78. 赤松広隆

    ○赤松(広)委員 局長の今のそのお考えで、これはもう道路を走っている人には、この車は五台未満のところのトラックか、あるいは百台持っているところのトラックか関係ないわけですから、やはり安全に運行させる、また、ハンドルを持つ人間のきちっとした、適正な管理をするということはもう当然のことでありますから、五台未満についてもぜひそういう指導をお願いしたいということを申し添えておきます。  時間が来ましたので、最後に大臣にもう一度。  トラック運輸業界は産業社会に欠かすことのできない物流になっているわけですし、その役割も大きいし、きょう御指摘を申し上げたような当面する二つの課題がありますけれども、そういうことをやはりきちっと解決をしていかないと、本当に業界秩序が乱れて公正な競争ができないということになるわけでございまして、こうしたことに対する決意を最後にお伺いをして、きょうの質問を終わりたいと思います。
  79. 亀井善之

    亀井国務大臣 委員指摘のとおり、トラック運送事業は、我が国の産業及び国民生活にとって不可欠な貨物の輸送、こういう面で大変重要な役割を担っておることでございます。  そういう中で、今後とも物流二法に基づき経済規制緩和をする。しかし、社会的規制、こういう面につきましては強化する一方で、輸送の安全を確保しつつ、トラック運送事業の活性化、そして我が国物流業界発展のためにいろいろ努力をしてまいりたい、このように考えております。
  80. 赤松広隆

    ○赤松(広)委員 どうもありがとうございました。
  81. 辻一彦

    辻委員長 以上で赤松広隆君の質疑は終わりました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時四十三分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  82. 辻一彦

    辻委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。   質疑を続行いたします。田名部匡省君。
  83. 田名部匡省

    ○田名部委員 それでは最初に、運輸省として規制緩和をいろいろ進めておるようでありますけれども、基本的な考え方と今後のスケジュール、まずお示しをいただきたいと思います。
  84. 亀井善之

    亀井国務大臣 運輸省規制緩和を進めるに当たっての基本的な考え方並びに今後のスケジュール、このことにお答えをするわけでありますが、日ごろから田名部委員におきましては、運輸委員長を歴任されるなど、大変運輸行政につきましてもいろいろと高通な御意見、お考えをお持ちであることにつきまして、深く敬意を表する次第でございます。  規制緩和につきましては、これまで、許認可等の件数の削減を積極的に進めるだけでなく、実質的な規制緩和についても、物流コストの削減に資する諸規制の見直し、あるいは旅客輸送サービスの向上等に資する諸規制の見直し、国際輸送の競争力の確保に資する諸規制の見直し及び国際基準への調和等に資する諸規制の見直し、この四つの視点に立って、その規制の見直しを行ってきたところでもございます。この結果、平成七年三月三十一日には、内外の意見、要望を踏まえ、二百十九の事項を規制緩和推進計画に盛り込んだところであります。  運輸省といたしましては、まず現規制緩和推進計画に盛り込んだ事項を着実に実施するとともに、本年度末に予定される計画の改定に際しては、一月に公表をいたしました二百を超える意見、要望等を十分検討した上、新たな事項を積極的に盛り込むべく取り組んでまいりたい、このように考えております。
  85. 田名部匡省

    ○田名部委員 具体的にちょっとお伺いをしたいと思うのでありますが、物流業界の最大の課題は、何といっても片足主義の見直し、あるいは車両最低限の制度撤廃と言われてきたわけでありますけれども、荷物のコストを下げるということになると、行くときは積んでいきますが、帰りが空では、これは採算がとれるわけがない。そのことが結果的には料金が、コストが低減にならないという問題があると思うのです。  そこで、営業区域の拡大という規制緩和によってこの解消を講じてきておるようでありますが、これは拡大することは当面の策であって、恒久的な対策だと思わないのですね。確かに、これを一挙にやりますと、またいろいろな混乱が起きるということも実はわかるわけであります。特に、アメリカが参入を自由にして運賃を自由にしたということで倒産件数がふえたということも実はあるわけであります。ただ、長期的に見て物流コストが低減するということからいくと、何といっても、自由化の流れの中で、業者の皆さんもコスト意識を高める、あるいは効率的な物流システムを構築していく。ある程度いろいろな問題は起きるにしても、企業努力をした人がやはり恩恵を受けるといいますか、そういう形に持っていかなきやならぬ。そのことによって、業者も潤ってくるだろうし、あるいは荷主も潤う、結果的には商品のコストが下がるということになると、これは国民にとってもいいことだという時代にもう入ってきている。  ですから私も、無用の混乱は避けながら、と言いつつも、今のような問題に向かっていかなければならぬということになると、営業区域だけで果たしてこれは解消できるんだろうか。例えば九州の方から青森の方に運ぶ場合、どこかで二遍おろしてまた積みかえていかなきやならぬというようなことをしてはならないのだ、私は基本的にそう考えておりますので、この辺について大臣の御所見を承りたいと思います。
  86. 亀井善之

    亀井国務大臣 お答えいたします。  貨物自動車運送事業については、新たに制定された貨物自動車運送事業法に基づき、平成二年十二月から、参入については免許制を許可制に、運賃についても認可制を事前届け出制へと大幅な規制緩和を実施したわけであります。その後、毎年千六百を超える事業者の新規参入が続くなど、大幅に市場活性化が進んでおります。  今先生指摘のトラック事業の営業区域のことでございますけれども、この規制については、近年、事業活動の広域化、高速道路等の道路整備の進捗状況等に対応して、運行管理に支障が生じない範囲内で逐次拡大をしてきておるところでもございます。  運輸省としては、先般のそのような行政改革委員会の答申に従って、経済実態を勘案をする、あるいはまた運行管理に支障を生じない範囲内で御指摘の営業区域の問題につきましては拡大を進める、そういう中でいろいろ今後の問題に対応してまいりたい、このように考えております。
  87. 田名部匡省

    ○田名部委員 おっしゃることはそのとおりだろうと思うのでありますけれども、これは何も運輸省だけの問題でなくて、日本全体の経済をどう考えるかということで見ますと、大変な競争時代に入っている。例えば企業の空洞化がどんどん起きる。この間、私のところにも、中小企業、立派な中小企業でありますけれども、電機メーカーでありますが、今までは大手の企業が海外へ出ていきましたけれども、最近中小企業も出ていってえらい成功しておる、これが弾みになって中小企業も出ていこうというふうに考えていますと言うのですね。  ですから、そういうことを考えると、今までは、賃金が上がる、物価が上がる、物価が上がれば賃金が上がるということで何十年もやってきました。それで結果的に、日本の平均月給でありますけれども、三十七万ぐらいです。タイが二万円、中国が五千円と言われる。そういう時代に、競争システムを取り入れながらコストの低減を図っていかないと、これからもずっと今までのように給与を上げてというわけにいかぬ。いかないとなると、物価を下げる方に全力を尽くす以外に日本の生きる道というのは余りないような気が私はする。そういうことを考えると、何としてもこれは積極的に、やはりみんなが生き残っていける方法というものを競争原理の中でやるべきだと私は思うのですね。どうぞ、もう一遍このことについての決意みたいなことをお伺いしたいと思うのであります。  加えて、車両最低限の制度の撤廃。私は、自己責任、まあ住専を見ても、あれほど役所が口を出すというのは、私はこれはけしからぬと思っているのですね。例えば銀行等だって、あれは監査を毎年やっているのですよ。やっていながら倒産する銀行が出てくる。一体監査は何をやっておったのかという責任を役所が問われることになる。であれば、銀行というのは頭取の責任で、おかしくなったときは一切あなたが責任持ちなさいよということで、余り余計なことを言わなければ、これは必死になってやりますよ。サービスだって何だって、金利だってあるいは違うかもしれぬ。そういうふうに指導していかないと、どうも規制の問題は非常に多い。  ですから、車両の最低限の問題についても、安全性や信頼性というものは確保するということは当然でありますけれども、これを自己責任にしたら、各社必死になって、事故を起こしたときのことを考えれば徹底してやってくれるだろう、こう私は思うのですね。ですから、余り手足を縛って成長しろというやり方はもうそろそろお考えになったらどうかというふうに思うのですね。どうですか。
  88. 亀井善之

    亀井国務大臣 物流の問題につきましては、いわゆる陸海空それぞれトータル的にいろいろお互いに努力をし、先般、物流二法の改正等々行ったところでもございますが、そういう中でトータル的に効率的な物流体制がとれるような努力をしてまいりたい、このように考えております。  また、いわゆるトラック事業における最低車両台数の規制のことについてのお話でございますが、何といってもやはり最低車両台数の基準、これは過積載の違法行為を未然に防止するための運行管理者の配置等、自主管理体制を確保できる事業規模、こういう観点から、輸送の安全を確保するための必要不可欠な社会的な規制ではなかろうか、このように考えます。  また、運輸省といたしましては、規制緩和推進計画に基づき、最低車両台数基準地方運輸局間格差を本年度内を目途に見直すことにより、基準の引き下げを行うとともに、今般の行政改革委員会の答申に従い、今後、基準の引き下げによる諸般の影響等を勘案しつつ、将来的に全国一律五台になるよう段階的に基準を引き下げる、このようなことを考えてまいりたい、このように考えております。
  89. 田名部匡省

    ○田名部委員 次に、港湾運送事業についてちょっとお伺いしたいのです。  震災で破壊した神戸港は復旧したようでありますけれども、コンテナは六三%しか戻っていない。その多くが、釜山港や台湾の高雄あるいは香港もそうでしょうが、そういうところに流れて、戻ってくるのは大変だろうということをよく聞くわけでありますけれども、私はそれ以外にもいろいろ問題があると思う。  例えば、四十フィートのコンテナ換算のコストで、トータル、神戸港が三百五十ドル、釜山が百七十ドル、高雄が百九十ドル。この前、NHKでも、沖縄等の、今度電機メーカーがコンピューターか何か部品を持ってきて組み立てをやる、運賃のコストが物すごく安いのですね。その原因は、もうこれはおわかりでしょうが、やはり土曜日の荷役は五割増し、日曜日はもう完全に休む。しかし、世界の趨勢はもう一年無休なのですね。  それから、二十四時間荷揚げをしている、こういうことでありますから、しかも一社独占というものが続いておるものですから、なかなか作業が進まない。進まなければ滞船料がかかるということになっておると思うのです。このまま放置しておきますと、これはいよいよ国際競争力が低下していく。この辺の認識、大臣、さっき陸海空、これは本当にそうなんですよ。  ところが、陸海空が皆ばらばらなんです。施設をつくるにしても何にしても、負担にしても一律でないんですよ。ですから、一緒になってやってもらうことは大いに結構だし、私は、自動車などというものは、高速道路を走っていますから、建設省、そういうものと一体になってどうするかということをやらないと、ばらばらばらばらやっておると、もう今度何か直そうと思ったときに手がつかなくなると思うのですが、現状の認識について所見を承りたいと思います。
  90. 岩田貞男

    ○岩田政府委員 お答え申し上げます。  港湾関係料金が高いという御質問でございましたけれども港湾関係料金には、その中身としまして施設使用料あるいは荷役料金、そのほかにもいろいろなものが含まれておりまして、諸外国に比して割高になっている人件費あるいは土地代がその原価の中で中心となっているものですから、さらに昨今の円高の影響もありまして、海外の港湾に比して高くなっていることは先生の御指摘のとおりでございます。  しかしながら、こうした状況の中で、港湾の国際的な競争や物流コストの低減などの要請が、今事例を挙げられた港においても、当然のことでございますが、厳しくなってきておりまして、港湾運送事業においても業務運営の一層の改善を図る必要があると思っております。  これまでも、荷役機械の導入などによりまして省力化、これは十年間で一人当たりの港湾に働いている方々の生産性といいますか、荷役取扱量で見ますと、五割ぐらいはアップしております。そういうような機械化による省力化、あるいは料金問題で割引料金、たくさん取り扱っていただける場合は割引をさせていただくという料金制度導入が進められてきております。  それから、最後に御指摘のございました荷役日時の問題でございますが、昨年六月からは、港湾労使の合意に基づきまして、主要港湾ではございますが、日曜荷役が再開されております。関係者による荷役サービスの向上の努力が進められていることは事実でございまして、今後もこうした取り組みが図られるよう、運輸省としても適切にお願いをして対処してまいりたいと思っております。
  91. 田名部匡省

    ○田名部委員 この港湾運送事業法は免許制になっておりまして、新規参入が非常に難しいんですね。中には限定でもという話もあって、かつて鹿野さんが政務次官、三枝さんが政務次官のとき、私は随分これはやったことがあるのですよ。それで、三年間待ってくれと。もうあれから何年になりますか、もう十何年になるのです。一向に進んでない。一港一社独占でありますから、全部とは言いません、大きいところはそうでないようでありますが、荷主企業にとってはかなり不利な状況なんですね。  私はこの間、地元の新産都市で来ている社長さんたちと会ったのですけれども、東南アジアとかあるいは中南米からいろいろな鋼材を運んでくる。その運賃と、港に揚げて会社まで三百メートルぐらいですから、運ぶ運賃と、こっちの運賃の方が高いというのですよ。だから、もう私どもも外へ出ていかざるを得ない、競争できませんと言うのです。それでなくても、円が高くなった、わずか一円上がった下がったで青くなっているんですから。  しかも、これはよく聞いてみたら、新産都市の指定を受けて工場が入ってくるときに、一遍岸壁に荷物をおろす、おろしたのをまた積むという契約になっているというんです。幾らお願いしても前へ進まない。ですから、逆に言うと、釜山の方へ持っていってコンテナ揚げて、そこから日本に小さい船で持ってきた方が安いというのです。こういうことを皆さん、どうお考えになるのか。  あれ撤退されてごらんなさい。何のためにあれだけの大きな港をつくったのですか。使い物にならぬ、会社いなくなったら。そうすると、下請も困るし働いている人も困る。結果的には市全体の経済の問題になる。だから、一社を守る方が大事なのか市全体を守る方が大事なのか、あるいは日本全体を守ることが大事なのか。何でもかんでもというわけでないのですよ。行きたいというところがあったら認めてあげたらいい。あそこに行ってももう商売にならぬと思ったらやめればいいだけの話で、しかし、行きたいという人があってこれが行けないというこの規制というものは、何としてもこれは見直しをしてもらわぬといかぬ。  もう一つ例を申し上げますと、運んでいる荷物、トン当たり一万円から一万五千円割高だというのです。これがコストダウンに大きな障害になっておりまして、これを料金の引き下げについて幾らお願いしても、港湾の協定料金が定められておるから引き下げられないという。協定料金だ。だからその会社でも、指定の業者を誘致しょうとしても規制がある。これは限定なんですよ。そこの会社の荷物だけを揚げるというので、やりたいというのはあっても、私が鹿野政務次官のときに話ししてきたことがいまだにこうなっている。  規制を撤廃して競争原理が働くようにしてほしいというのが、私は地元の例を申し上げたのですけれども、ほかにもいっぱいあるのです、恐らく。私のところは二社ありますよ。完全に二社でないのです。事務方によく言ってありますから後でよく調べてみてください。だから、本当に二社にするというなら全く切った二社でなければならぬ。支配されている二社というものは役に立っていないのですから。大臣どうですか、これ。
  92. 亀井善之

    亀井国務大臣 今委員指摘の問題、事務当局によく調査をさせてその対応を図るべく努力をしてまいりたい、このように考えています。
  93. 田名部匡省

    ○田名部委員 次に、整備新幹線の問題についてお伺いしたいと思うのであります。  私が県会議員のときからの運動でありますから、もう二十五、六年になりますよ。とにかくこれはどうなったものやら、これだけ陳情に来て一生懸命やったら、あれ陳情に来ないでやったらもう八戸ぐらいまでできておったのではないかと思うぐらい金使っておるのですよ。  そのことはさておいて、最近盛岡−一戸間の並行在来線を廃止する、これ条件でかつて我々の同僚であった工藤さんが知事になってこれに判を押したのですね。大問題になっておる。並行といったって離れていますから、別な方を通られたのでは、これは通ったって駅ができるわけでないしということで、私のところにも同じようなのがあるのですよ。八戸からトンネルばかりを通っていきますから、青森まで。在来線の三沢とか野辺地とかという町のあるところは通らないのです。  そこで、この並行在来線をどうするか。かねてから、私は運輸委員長のときも申し上げておったのですが、一体北海道からの貨物輸送をどうするのか。出生率が一・三、二〇五〇年には一億の人口を割るという時代ですよ。旭川や武部さんの方からトラックで東京の方まで運べといったって、運ぶ運転手さんがいなくなるのですから。そうすると、相当の量の物流というものは鉄道でやらなければならぬ。その鉄道は取っ払えという話ですから。  私は、これを一体どうするのかということをまず大臣にお伺いしておきたいと思います。
  94. 亀井善之

    亀井国務大臣 いわゆる整備新幹線の建設着工区間の並行在来線については、JRの経営に過重な負担をかけることを避け、第二の国鉄をつくらない、そういう観点から従前通り開業時にJRの経営から分離することが必要、こういう認識は持っております。  一方、今御指摘のJRからの経営分離後の鉄道貨物輸送の取り扱いでございますけれども、我が国の物流体系におけるその役割にかんがみ、経営分離後においても適切な輸送経路が確保されるよう関係者間で十分協議をし、適切に対処することが必要、このように認識をしております。
  95. 田名部匡省

    ○田名部委員 認識は結構でありますが、役所として、運輸省として一体どうするんだという腹構えができないと、こんなものは地元に任せられても大変なことなんですよ。もう軽井沢の方は、軽井沢と篠ノ井間は第三セクターでやるんだ。それから手前の方、横川−軽井沢間は路線を廃止していく、バスで代替輸送する。これは人の場合ですから。あそこは荷物は余り運んでいないのです。  ところが、我々の方はそうはいかないのです。ですから、これをやれば全国一律だ、こう言われても、私も新幹線をつくりたいから地元負担でも何でものみましたよ、あのころは。並行在来線というが、あなた東京駅からあっちの方も並行在来線は走っておるのですから。こっちはただでやって、そして並行在来線はいまだに一緒になって走って、今度は我々の方へ来ると、並行在来線もだめ、地元負担もしろ、こういう条件をつけても、当時の知事さんたちはそれでも新幹線が欲しい、あえてこの負担まで実はのんだ。のんでしまったものを今さらこれをただにしろと言うわけにもいきませんが、いずれにしても、北海道と本州を結ぶこの鉄道というのは、一日五十本以上の貨物列車が往復しておるのですよね。  ですから、どうぞこの辺は将来を見越して、あるいは青森−浅虫間とか、通学とか通勤で八戸−三沢間ということになれば、これは第三セクターでやるか何かでやるか、その場合は線路を貸せばいいと思う。買えと言ったって、何本も走らぬ線を買えるわけはないのですよ。それならもう貸して使用料を取る。貨物は貨物で払う。何かやり方があるのですよ。その辺を地元に任せられても、北海道からずっと来る貨物の話を、部分部分を廃止せいとかなんとか、全体的にどう考えるかということはあなたたちの方で明確にしておかなければならぬ。青森の分はいいですよ、いろいろ考えろといえば考えても、しかし、線路はつながっておるのですから。そこで切ってあとは知らないというわけにはいかぬですよ。じゃ、青森県の中は鉄道はこうしましょう、その先は要らない、そんなわけにはいかぬでしょう。そこをしっかりしなさい、こう言っているのです。どうですか。
  96. 亀井善之

    亀井国務大臣 平成八年度中に成案を得るべくいわゆる新しい基本スキーム、こういう中で検討を進めてまいりたい、このように考えております。
  97. 田名部匡省

    ○田名部委員 こればかりやっていられませんが、かつて安倍幹事長時代に長野までの新幹線をどうするか。そのとき、長野の国会議員の皆さんがいろいろ陳情に来て、私はオリンピックを何とか誘致してくれという方のお願いをされまして、アイスホッケー連盟が長野でよろしい、それからスケートも皆賛成して長野に決定した。そのときに幹事長のところにみんな陳情に来まして、幹事長もどうずればいいかちょっと困っていましたので、これは国内でどこにするかというのを決めたのです。これから世界が集まって長野にするかどこにするか投票するので、スペインのハカも手を挙げておるしということで、決まったらしてあげなきゃいけませんよ、しかし、決まらなかったらこれはもとよりだめというふうにあのときには書いてもらったのですよ。たまたま決まったからあそこに集中してやはり投資すべきだ。私のところもありながら私はそういう案を、国全体を考えればということで賛成して今工事をやっている、こういう経緯も実はあったのですね。  ですから、もう二十五、六年もこうして運動して、盛岡で乗りかえるとき一だから私は新幹線乗ったことないんです。あそこから先は地元の人ばかりで、乗った途端に恨みの目でにらんでいるんですよ。それはそうですよ。おじいさん、おばあさんが孫の土産を持って階段をとことこ歩いているところをこっちはかばん一つ持って歩いていると、このやろうというような顔をされますから、乗らないことにしているのですよ。あれを見るたびに親不孝だなと思いますよ。どうぞ、本当に期待をしておる人たちのためにしっかり対応をしていただきたい。  それには今申し上げたような条件をクリアしなきやならぬ。これが決まらないと、今度は一歩も前へ進んでいかない。スキーム、スキームといったって、スキームの前提になるところがしつかりしていないんですから。青森県の知事や岩手県の知事に言われたって、北海道の方から来る荷物の責任まで持てといったって持てるわけがないでしょう。これはぜひお願いしておきたい、こう思います。  次に、国内航空線の参入の問題でちょっとお伺いしたいのですが、きょうも何かJAS料金を下げたとか上げたとか、上がったり下がったりしているから全体でどうなのかと思ったら、全体では上がっているんだそうでありますが、これはわかりやすいので私は地元の例を申し上げますと、三沢には一社しか入っていないのですね。もう一社入れたらもっと利用する人がふえてよくなるんじゃなかろうか。私は調べたわけではありませんが、いい時間帯にもうちょっとあればふえる。まあ運輸省はなかなか心配性の人が多くて、いや、二社入ったら経営が成り立たぬと言うから、いつから航空会社の社長になったかと思っているんです。それは航空会社の社長が計算して入りたいと言ったら認めてあげればいいだけのことで、どうもこの種の交渉をやると、いや、生コン運ぶのに交通渋滞で順調に来ないかもしれないとか、そんな心配を何で役所がやるのかと思って僕は不思議でしょうがない。来るか来ないかというのは、とった人がちゃんとそこと交渉して、どうも交通渋滞のときにはうまくいきませんと言ったら別なことを考えればいいのであって、役所が何でも考え過ぎるのですよ。  そういうことから見ると、この国内航空も本格的な競争の時代に入った。これを見て、競争によるサービスの恩恵は受けられるだろうと思った人は随分多いと思うのです。複数が入らないで競争原理、働きますか。どうです、これ。
  98. 黒野匡彦

    黒野政府委員 かねがね先生の御主張を私ども伺っておりまして、参考にさせていただいております。私どもも方向といたしましては、まさに先生が先ほどおっしゃった自己責任の原則をなるべく追求いたしまして、規制緩和を進めていきたいと思っております。  そこで、単独路線で果たして競争原理が働くかどうかということでございますが、一言で申し上げれば、極めて働きにくいということは言わざるを得ないと思っております。ただ、今回の運賃制度は、今までの運賃、これは各路線ごとにがかったコストだけは運賃認めますよという制度でございました。これでは競争原理が働かないということで幅運賃を入れたわけでございまして、今回の幅運賃上限になっております標準運賃、本来の制度ならば、ここまで運賃を認めてもいいというか認めざるを得ないのが上限でございます。その下に線を引きまして、その下で競争しなさい、したがって、利用者方々に不当な負担を課すことのないように上限を設けてございます。したがって、そういう意味においては、単独路線だからといって利用者方々に不当な負担が行くということはないと思っております。  それからもう一つは、単独路線でありましても、例えば近傍の路線あるいは同じような距離の路線と比較して、当然利用者方々からの大きな不満なり意見があると思います。その辺を事業者の方に反映させていただきまして、単独路線であっても、そういう利用者に対応した運賃設定努力事業者に促すということが必要ではないかと思っておりますし、我々もそういう方向で、俗に言えばしりをたたきだいと思っております。
  99. 田名部匡省

    ○田名部委員 いずれにしても、複数の参入を認めることによって、場合によってはサービスもよくなるし、私の方なんというのは冬期間は余り乗りませんよ、おっしゃるとおり、そういうときにはそれなりの料金というものはあってやむを得なかろう、こう思います。しかし、一社ではこれはどうにもならぬ。結果的に、そろばん勘定をして入ってももうからぬと思えば行かないのですから。一つには羽田の容量がありますから、この辺との絡みもあると思うのですね、こっちが満杯だからそれはできませんという。  ですから、例えば許認可でどこかに入っておって、これは赤字になっても、もう今度はそこから撤退できないで困っているところもあるのだろうと思うのですね。そういうところは、これは世の中も変化しておるのですから、こっちが今までよかったが今度はこっちがよくなったというところについては、そちらを減らしてこちらへ行きたいということだってあり得ると思うのです。それを認めてあげればいい。それを、いや、行けば困るとかなんとかと言うからこれはうまくいかないので、原則的にはやはり二社ぐらい入った方が、時間帯もよくなればそれを利用する人はふえるのですよ。不便な時間帯しかないから乗らないというのもある。これはよく検討してやっていただきたい。  それからもう一つは、東京札幌間は二万八千八百五十円ですが、私の方は二万一千二百五十円なんですよ。ところが、三沢−札幌が一万四千八百五十円なんですね。だから、七千円ぐらい高い。直行便だと七千円安い。あそこへ一回おりていくと七千円高い。これは国内みんなそうなっておるのですか。私はいつも、どうして距離数は余り変わらないのにおれの方が高いのかなと思うときもある。国際便を見てごらんなさい。おりて仕事をして次の日乗っていっても、例えば香港に寄ってシンガポールに行くという場合、料金は一緒ではないですか。これはそうしなければならない理由はあるのでしょうけれども、それにしてもすぐ何十分か千歳まで飛ぶのに七千円だ。どうもこの辺が素朴な疑問を持っていますので、この際お答えいただきたいと思います。
  100. 黒野匡彦

    黒野政府委員 白紙の上で制度をつくればいろいろな選択肢が私はあると思います。一言で申し上げれば、飛行機を飛ばすときのコストを一体だれが負担するのが一番合理的かということに尽きるかと思っております。一般論から申し上げれば、飛行機は巡航といいましょうか、通常、上を飛んでいるときよりも離発着のときのコストが非常に高いわけでございますし、一回おりますと、それに伴う整備、点検等でいわば飛行機が、機材が眠るということでコストが高くなります。したがって、離発着ごとに運賃を取るというのが国内では慣例になってきておりますし、私は、それはそれで一つ運賃の取り方として合理性があると思っております。  ただ、乗り継ぎ便についてある程度便宜を図って利用者の方におこたえするというのは、これはまさに自己責任といいましょうか、営業割引という形で各会社の御判断でやることは自由ということで、私どもは何ら規制はいたしておりません。
  101. 田名部匡省

    ○田名部委員 客の都合でおりているじゃないんですよ。お客さんは真っすぐ行きたいのですけれども、たまたまなくて、おりても行くのがあるというので行って、それで一回飛行機から外へ出て——外といったって町へ行くわけじゃないのですよ、そこで待っているだけですから。それで七千円高いというのです、待ち賃が。そんなばかなことはないのですね。私も、時々どうしても東京へ出てこなければならぬときは、千歳まで飛んで、千歳から来た方が便利なのです、便数が多いから。そういうこともやるのですよ。  ですから、国内はそうなっておりますからというのではなくて、前提はいろいろ、競争条件をこれからどうするかということで、今度は外国の例で、この間ある社長に会ったら、シンガポールへ行って往復を買うと五万円だという。それから最近は、韓国へ行って、韓国からヨーロッパ、アメリカへ行くと半額だと。見てごらんなさい、今また四本滑走路つくっているじゃないですか。今度は空港を上海につくるのでしょう、日本でお金を貸して。これだって、すごい空港ができますよ。  どうです、日本の飛行場。国際空港といったって、滑走路一本しかないのですから。関空をつくったけれども、これも一本。何年かかりましたか、あの成田も。私は、運輸委員長のときにあそこへ視察に行ったのです。いや、びっくりしたんだ。あの外をバスでずっと回ってみた。平和になっているのに、ヘルメットをかぶってやぐらの上にまだいるんですからね。それで、ジュラルミンの盾を持った警察官がいっぱいいる。こっちはハワイからお土産を買ってタラップおりて喜んで来る人がいるかと思うと、その外ではそんなことをやっておる。  あのころもよく外国から言われましたよ、日本にもうぜひ入りたいと。入りたい、入りたいといったって、一本しかないのですから入れるわけにはいかなかったのですね。それがもうどんどん外国へ行っちゃっているのです。だからハブ空港についても、私たちがもっと力を入れて国内にバランスよくつくってやらないと。今、青森−ソウル便ができましたよ。今までは、成田まで来て成田から行く。成田へ来る運賃で今は向こうへ行けるんですよ。韓国へ行って、韓国から外国の切符を買っていった方がいい。これをどう考えているんですかということなんですね。早く手を打たなければならぬことを、まあこれから検討してなんて言っていると、日本はおかしくなりますよ。  日米の航空協定もそうでありますが、随分外国は協定を破棄して一生懸命交渉をやっておるのですね。これはタイにしても、フランスにしても、ドイツにしても、一生懸命やっておる。亀井運輸大臣、タイ国の先例を踏まえてアメリカと協議する用意のあることを発言されたと。腰を据えて、破棄するぐらいのことでこれは頑張らぬと、交渉事というのは、日本人というのはお人よしですから、これをやろうとすると、まあまあ穏やかにやった方がいいと言う人があるから、ウルグアイ・ラウンドの交渉もやりにくかったけれども、本当に腰を据えてやらぬと、これはアメリカのひとり勝ちですよ。  かつては八割ぐらいアメリカのお客さんが飛行機に乗ってきた。今はもう逆でしょう、日本人ばかりでしょう、アメリカの飛行機にも。乗ってきて、今度は団体を乗っけて香港に行ったりあっちへ行ったりするんだから、どっちの飛行機だかわからなくなってしまっている。成田の離発着、どこの飛行機かというのを見てごらんなさい。これが日本の飛行場かと思うぐらいアメリカの飛行機ばかりですよ。日本はどうかというと、週に二便ぐらいしかないでしょう。以遠権というのですか、全く不公平になって、これは何十年もやってもなかなか前に進まない。  どうですか、日米間の大きな課題というのは、輸送力の格差と以遠権格差。これは大臣、ひとつ考えがあったらお答えください。
  102. 亀井善之

    亀井国務大臣 今委員指摘のとおり、過去四十年以上にわたって日米航空関係に不平等が存在する、これは歴然たる事実であります。対等な二国間の経済関係においてこのような不平等が存在することは許されないことでもあります。特に、現在開催中の日米航空貨物協議においても、以遠権を含む日米間の平等化及び米国先発企業による以遠権の行使に関する日米航空協定に基づく一定のルールの導入を米側に現在強く求めているところであります。旅客分野についても、できる限り早期に不平等是正を主眼とする協議を開催したい、このように考えております。
  103. 田名部匡省

    ○田名部委員 これは本当に国益を踏まえてしっかり対応していただきたい、こう思います。  輸送力格差についてお伺いしたいのですが、日米間の輸送実績格差は三二対六八ということになっておるのですが、これはさっき言ったアメリカ人の旅行者が多いときのままになっているものですから、これを引きずってずうっといっているわけですよ。この問題を本当に、これはさっき言ったタイ国の先例に倣って頑張る、こういうことでありますから、本当にしっかりやってほしい。  この格差というのは、事後審査制によってもたらされているわけですね。アメリカの航空会社が事業計画の変更をしたいときは、四十五日前までに日本政府にこの計画変更申請書を提出すれば、それだけで路線開設や増便ができる、こういう仕組みでしょう。仮にこの申請が協定に違反していると判断しても、六カ月間たたないと協議にならない、その間はやっていられる、こういう取り決めであって、とにかく不平等だな、こう思います。  大体どうですか、今、成田の月間発着枠はおよそどのぐらいあるか、そのうちアメリカ系の企業が押さえている便数というのは何便ぐらいありますか、わかりますか。
  104. 黒野匡彦

    黒野政府委員 先生の御指摘、まことにごもっともでございまして、実は成田の発着の枠、これは皆さん方比較的御認識がないかと思いますが、成田の発着枠のうち、日本の企業とアメリカの企業が使っている数はちょうど同じでございます。要するに、成田空港そのものが一体どちらの国のハブかわからないというふうに言われる方もいますけれども、実は、先生がまさにおっしゃったような事情から、成田の発着枠は日本とアメリカの企業が結果としてほぼ同じぐらいというところまでアメリカの企業が進出しているということでございます。
  105. 田名部匡省

    ○田名部委員 さっき案内板の話をしましたが、結局、アメリカの航空会社が日本へ来て、アジアに皆飛んでいくわけですね。その数は大体週百四十便ということです。だから、そこへ直行で行けばそれで終わりですけれども、日本に立ち寄って日本のお客さんを乗せていったのでは、日本の航空会社と同じなんですよ。そういうことをいつまでもやらせておくということは、これは全く以遠権の乱用で、これはアジアだって文句は多いのでしょう。日本に来て日本の客をごっそりタイとか香港に連れていかれたのでは、そこの航空会社が今度はおかしくなるのですから。だから不満があるはずなんですよ。ですから、ただ単に日本だけだということではないわけでありますから、これは特に大臣にそういう意味での交渉に期待をしたい。  アメリカのユナイテッド航空が関西空港−ソウル線の申請をして、日本では認めなかったのですね。報復でハワイ・コナ行きの認可を取り消す、そんなことがあったようでありますけれども、これはどういうことでこんなことになっているのですか。ちょっと報告してください。
  106. 黒野匡彦

    黒野政府委員 アメリカのユナイテッドという会社が、関空からソウル便の申請を出してきております。この会社が同じくソウルに行く便といたしまして、成田からソウルに行く便が別にございまして、これは既に運航しております。この成田からソウルのお客さんの内訳を見てみますと、専ら成田とソウルだけのお客さんが九割程度を占めております。私どもは、いわゆる以遠権というのは、あくまでも成田に一回とまってソウルに行く、したがって、ソウルと成田の間のお客さんはもともとアメリカから来るお客さんが過半数以上である、それがルールでしょうという立場でございます。そのルールを向こうの方は破って九割以上をソウルに、成田からのお客さん、あえて言えば日本かあるいは韓国のエアラインが担当すべき輸送を彼らが奪っている、こういう状態にあるわけでございます。したがいまして、関空からのソウル便を認めた場合に多分同じことをするであろう、そういうルールを破るならば認めませんよ、ルールを守っていただくならいいですよ、こういうポジションでございます。  一方、今先生おっしゃいました、今、日本航空が新しく成田から、コナといいまして、これはハワイの中のハワイ島、新しいポイントでございますが、ここの運航を四月から予定し、私どもは既に免許しておりますし、今アメリカの方に申請が出ておりますが、これは日米の今までの航空協定の積み上げの中で正しく権利として認められているものでございます。これを認めてくれということを言っております。それに対しまして、ユナイテッド航空の方からアメリカの運輸省に対しまして、我が社の関空−ソウル便が認められないならばこのコナ便を認めるべきではない、こういう意見書が出ているという段階でございます。ただし、アメリカの運輸省がどういう判断をするかはこれからでございまして、我々といたしましては、アメリカの運輸省も冷静な判断をしていただけるのではないかという期待をまだ持っている段階でございます。
  107. 田名部匡省

    ○田名部委員 次に、空港使用料、空港着陸料の問題でお伺いしたいのですが、これは私が予算委員会で一遍、時間がなくて最後にちょっとお尋ねして終わった経緯があるのですが、これは日本が物すごく高いのですね。ロンドン・ヒースローで、ピークで六万二千円ですか。ニューヨーク、どこを見ても、これは日本が九十四万八千円と突出してしまっているのですよ。これは受益者、利用者負担といいますか、そういうことでなっているのだろうと思うのですけれども、とにかく日本に比べたら格段に外国は安い。  これは第七次空港整備中間取りまとめでも、今までは空港整備の財源だ、そういう観点から見て重要性を有するものであるが、その水準をこれ以上引き上げることは限界になりつつあるとの認識を示しておるようでありますが、いずれにしても、さっき申し上げたのは、海と陸と空、このやり方が違うということはあると思うのですね。一つには、何といってもこの着陸料というものは、本当に私は高いと思う。それが運賃値上げにもつながる、国内の空港が高いということにもつながるのだろうと思うのでありますが、これについて何かお考えありますか。
  108. 黒野匡彦

    黒野政府委員 御指摘のとおり、日本の着陸料は、諸外国に比べまして大変高うございます。諸外国は、実は空港というのは原則として独立採算でやっております。もうかるかどうかは別にいたしまして、少なくとも収支とんとんにはできるという前提でやっております。わずかに補助金が出ているところがございますが、ほぼそういう形で経営ができております。  それに対しまして、日本の場合には、一口で申し上げますと用地費、これが大変高いものですから、到底独立採算ではできないかといって、利用者方々に今のような高い着陸料を負担していただいても、なおかつ足りない。そこで、一般財源をなるべくふやしていただこうではないかという我々の考えでございまして、いわばこれから日本が国際化を進めるに当たって、諸外国に比べまして大変大きなハンディーを負っているわけであります。いわば日本の土地が高い、このことが国際化に向かっての大きなハンディーになっているわけでございまして、そこのところは一般財源といいましょうか、言いかえれば、国民の税金で何とか補っていただけないかということで従来からお願いしておりますし、これからも引き続きお願いを申し上げたいと思っておるところでございます。
  109. 田名部匡省

    ○田名部委員 恐らく用地費とか補償費、そんなものが含まれて高いんだというお話だろうと思うのですが、用地費なんかこういうものに入れる必要があるのかどうか。今、バブルは下がっていますから、普通、固定したもので別にそんなに下がるわけでも何でもないのでね。  だとすれば、ジェット料金だとかいろいろなのを取っておりますが、一定の年数たてばそれは廃止するということになるのか。用地費分もそういうものに加算する。それは買収した金額とかなんとか考えてやっておられるのでしょう、用地代というのは。しかし、これは価値として残っているわけですから。そうだとすれば、この用地費分を回収したら、これはもう取る必要はなくなるわけですね。そうすると、そういうものがなくなる空港もあれば、新しいのは残っている空港もあればということで理解してよろしいのですか。
  110. 黒野匡彦

    黒野政府委員 空港ごとに採算をとるという考えからすれば、先生がおっしゃるのは一つの方向だと思っております。  ただ、今の空港整備特別会計のやり方は、我が国全体の空港の水準を上げるというネットワークの考え方で、例えば、羽田の整備にあるとき集中的に資金を投下する、その資金を回収した後は羽田から上がる利益でといいましょうか、収入で地方空港の整備を図るという、全体としてのプール制でやっておるものですから、特定の空港について、もう回収が終わったから使用料は要りませんよということは、今のところは実施いたしておりません。
  111. 田名部匡省

    ○田名部委員 もうそろそろ、やはり一般財源でやらないとなかなか難しいんだろうと思う、利用者負担にいつまでも求めるということになれば。港湾なんかはそうなっていないのだろうと思うのですが、ですから同じような仕組み、諸外国でやっているようなことも十分検討して、どうすることが日本が生き残っていくんだという責任を持ってくださいよ。  最近、各省はいろいろな案を持ってきますよ、NTTの分割がどうだとか。これがおかしくいったときは郵政省が責任を持つと判を押して持ってこいと。だめだ、何やつたって失敗するころはもう定年になっていなくなるし、責任をとろうとする人もだれもいない。残っている政治家がみんなかぶってしまう。そういう考えを持ってやってほしい。  もう時間がないので、亀井大臣、私は思い込みか心配性なのかはわかりませんが、これだけ出生率が低下して高齢化が進んで、国の借金が二百四十一兆円でしょう、今年度末。地方自治体が百三十兆弱ありますよ。このほかに道路公団、空港公団、皆当面は借金ですよ。後から料金で回収すると言いつつも、それは利息を払わなければならない。だれが払うかといったら国民が払うのですよ。国鉄の清算事業団とかいろいろなのを全部ひっくるめてごらんなさい。恐らく四百七十兆ぐらいあるんじゃないですか。一人四百万の負担ですよ。  私がよく行って言うと、おれは借りた覚えはない、国が借りたのをあなたたちが払う以外にないんだというように、平均家族で四人おったら千六百万借金しているのですから。そういうことを考えると、政治家の責任として、次の世代にどういう仕組みをつくってどうすることが一番いいのかということを考えなきゃいかぬと思うのです。何か、自分のときはどんどんやりたいことをやってというわけにはいかぬのですよね。  ですから、私は今まで申し上げたように、うるさいようでありまずけれども、何も我々の時代はそんなに急に困るということはない。しかし、次の世代の子供や孫の時代には大変なことになるだろう。人が減ればうちを建てる人はなくなるのですから。うちを建てなきゃ都市計画も要らぬし、授業料も要らないし、何も要らなくなる時代が来るのですから。親のうちをもらえば済むのですから、一・三人ですから。昔は四・五人も生まれたから、三人ぐらいはうちを建てなきゃならなかったからこんなにどんどんどんどんなったんであって、そういう時代を想定しながら、政治家というものはやはり国家と国民に責任を持つ。それには、つらいこと、苦しいこと多少あろうとも、やはりやっておかなきやならぬことは責任を持ってやる、こういうことだと思うのですね。  今、大臣就任間もないものですから、はっきり自分で答えると、後で役所へ戻ってから、余計なことを言い過ぎましたよなんて言われるから、遠慮しいしい答弁したと思ったけれども、お考えは私と同じだと思う。大臣になると、余計なこと言うともう役所が後ろから引っ張って、言うな言うなと言って私も何回もとめられたけれども、しゃべった。あなたたちも子供がいるんでしょう、みんな。しっかりそのことを考えて、今から政治家になったぐらいのつもりで政策を考えてやってくださいよ。  時間ですから終わります。
  112. 辻一彦

    辻委員長 以上で田名部匡省君の質疑は終わりました。  古賀一成君。
  113. 古賀一成

    古賀(一)委員 新進党の二番手といたしまして、衆議院の古賀一成でございますが、本日は、先ほども田名部担当の方からるる質問が出ておりました国際ハブ空港議論につきまして、この一点に大体絞りまして四十五分間質問させていただきたいと思います。今、田名部担当の方から、いわゆる運輸・交通の新進党のトゥモローキャビネットの担当でございますが、私はそれを補佐する、副大臣と呼んでおりますけれども、そういう立場できょうは質問をさせていただきます。  私は、実は衆議院の運輸委員会のメンバーではないのでありますけれども、新進党に航空政策部会というものを今度つくることになりまして、私みずから、この問題だけはやはり次の世代のために何としてでも運輸省の、何といいますか発奮をお願いしたいという気持ちが大変強うございまして、きょうはあえて私の方から希望させていただきまして、差しかえで質問させていただいたような次第であります。  冒頭でございますけれども、まず私は、国内の第七次空整とかそういうものから説き起こしたらいいのかなとも思いましたけれども、今るるお話がありましたように、やはり世界的な視野からこの問題は見るべきだろうと思うのですね。国内だけで、国内のしがらみやこれまでのやり方だけでこれは済む問題ではないわけでありまして、グローバル化あるいはインターの時代だと私は思うのですよ、これからは。インターナショナルという言葉がございます、インターネットというのも最近よく新聞に出ますけれども、いわゆるインクーディペンデンスというか、国と国が、民族と民族が相互に依存しながら、あるいは相互に影響し合いながらいく、そういう時代だろうと思うのです。そこに実はこのハブ空港の論議もあるわけでございまして、まず冒頭にお聞きしたいわけでございます。  これからの航空需要、どの報告書を見ましても、分析を見ましても、これからはアジア、とりわけ東アジアの航空需要、経済成長もそうでございますけれども、他の地域をぬきんでて発達すると言われております。そこで、それを見越した上でだろうと思うのでありますけれども、東アジア各国で巨大空港建設が急ピッチでございます。この点につきまして、運輸省の方からまず概要を御当局としてきちんと御説明をいただき、運輸省として、危機的認識なのか楽観主義なのかよくわかりませんけれども、どういう基本的な評価といいますか、そういうものをお持ちかをまずはお聞きしたいと思います。東アジアにおきますハブ空港建設の状況と認識であります。
  114. 黒野匡彦

    黒野政府委員 私の方も、国際的視点からちょっとお答えをさせていただきたいと思います。  国際的な航空需要の予測、いろいろな機関がやっております。これはもう先生あるいは既にお調べいただいているかもしれませんが、一番権威のありますのがIATAでございます。それからボーイング、これは長期的視点に立って航空機材の開発をいたしますから、当然かなり熱心な需要予測をしておりまして、その両方を見ましても、航空分野におきましても二十一世紀はまさにアジアの時代であるということが明確に言われております。特に、IATAの報告書を読みますと、現在はやはり大西洋のウエートが高いわけでございますが、二〇一〇年になりますとこれが逆転いたしまして、アジア太平洋の航空旅客の方が大西洋の旅客よりもふえる、こういう予測を出しております。またボーイングの方も、伸び率を見てみますと、アジアの伸び率の方が欧州に比べまして数%ぐらい高くなっておりまして、この積み重ねでいきますと、やはりIATAの報告書と同じように、早晩アジアの時代が来るということは間違いないと思っております。  そのようなことを背景にいたしまして、現在、東アジア各国で大規模な空港の整備が進んでおります。最終的な構想は別にいたしまして、現在具体的にどのような計画が進められているかということを御紹介申し上げますと、まず韓国でございますが、仁川で、新ソウル国際空港と申しまして、二〇〇〇年に供用開始を目指しまして、面積千百ヘクタール、滑走路の長さが三千七百五十メートルをとりあえず一本つくるという計画が、これは現に進んでおります。また香港におきましては、これはチェク・ラップ・コック空港と申しますが、一期計画といたしまして、一九九八年ですからもうすぐでございますが、この供用開始を目指しまして、面積千二百四十八ヘクタール、滑走路長が三千八百メートルの滑走路一本を建設中。また上海でございますが、これにつきましては、二〇〇五年の開港を目指しまして、面積はやや狭くて六百ヘクタールでございますが、四千メートルの滑走路一本を、上海の浦東新国際空港として今調査を進めているという段階でございます。またさらに、有名なシンガポールのチャンギ空港でございますが、これは現在、既に千六百六十三ヘクタールで四千メートルの滑走路二本で供用されておりますが、旅客ターミナルを拡張中、こんな状況でございます。  なお、御参考のため、今申し上げました面積と日本の空港の面積を比較してみますと、羽田が完成し、あるいは成田の二期工事が完成いたしますと、大体千ヘクタールをちょっと超えるぐらいの面積かと思っております。したがいまして、これらの空港は日本よりも面積といたしましては少々広いというような程度かと思いますが、最終計画は非常に大きな構想をそれぞれお持ちでございます。
  115. 古賀一成

    古賀(一)委員 各国の概要はわかりました。いずれもが巨大空港でございまして、先ほど上海は六百とございましたけれども、私も上海はしょっちゅう行くわけでございまして、二〇〇五年という話もございましたけれども、私は、この点につきましては、二〇〇五年じゃなしに二〇〇〇年にはもうできるのではないか、こういう感じを持っております。その規模等々は、当面の暫定計画とか二期とかいろいろあるでしょうからとやかく申し上げませんけれども、これだけの巨大空港が、今、本当に近くで——私は九州福岡でございます。福岡から上海は八百六十キロぐらいでございまして、東京の方は千二十キロですから、実は上海の方が近いのですよ。ソウルに至りましては五百キロちょっととそういうオーダーで、本当に日本に近いところでこれだけの巨大空港がつくられている。  私自身は、今度の第七次空整が平成八年度から始まるわけでございますが、このペーパーもざっと何度か読ませてもらいました。これについては、いわゆる東アジアが勃興していく中で、あれだけの国がこれだけの空港をつくっている、これでは日本の玄関をとられるのではないかという危機感といいますか、そういうものについてはどうお考えなんでしょうか、それをぜひお聞かせ願いたいと思います。
  116. 黒野匡彦

    黒野政府委員 中間取りまとめの中にもかなり明確に書かせていただいておりますが、私ども、その危機感を切実に感じております。  したがいまして、第七次の空港整備五カ年計画は、拠点空港、中でも国際ハブ空港の整備に従来以上に力を入れるという位置づけにしているつもりでございます。
  117. 古賀一成

    古賀(一)委員 この点については、ほかの質問をした後にもう一度ちょっとアピールをさせていただきたいと思います。  私は、基本的に言いますと、航空行政、とりわけ空港整備行政は、やはり需要追随型、後追い型ということでずっと推進してきたと思うのですね。これはこれで、日本は高度経済成長を遂げ、ほかの途上国がまだそれだけの余力がなかったからそれでもよかったかもしれない。しかし、これからはまさにほかの、ソウルにしても中国にしても、もちろんシンガポールのチャンギもそうでございますけれども、全部国家戦略として、もう需要先取りというか、そういうことでこの国際化戦略、航空戦略というのを、明らかに国の生き残りをかけて、国の発展をかけてやっているのは間違いないわけでございまして、私は、今のこの第七次空整、まあ皆様の御努力はよくわかるわけでございますけれども、特に運輸省、整備新幹線問題あるいは清算事業団の問題等々ございまして、大蔵省に非常に弱いような感じを私は持つわけですね。それがこの空港整備にもあらわれておって、いまだなお、もう隣の国でのトンカチの音が聞こえるにもかかわらず、需要追随型で甘んじているような気がするのですね。  後ほど申し上げたいと思いますけれども、先ほど、大都市圏内においてどれだけ金がかかるか、あるいは用地買収がどう進むか、予算がどれだけつくかわからないけれども、大都市圏がつくるべき国際ハブ空港の拠点だろうという御答弁がございましたけれども、やはりそういうパラダイムで、用地買収が難しい等々の国内の問題に甘んじて実際はいつできるかわからぬで済むのかどうかという点について、パラダイムといいますか、もっと基本的な物の考え方を変えて、このハブ空港論にはいわば省を挙げて、あるいは国を挙げていくような、そこに国会議員も議員連盟をつくれとしりをたたくとか、そういう取り組みが必要な分野だろう、私はかように思います。  今の御答弁で、要するに東アジアにおける巨大空港、このほかにもたくさんあるのですね。マレーシアの空港、セパン新空港というそうでありますけれども、これも千八百五十ヘクタールあるとか、台北もやっております、台北の中正二期拡張も巨大なものでございまして、いずれも全部が今の成田の倍、関空の倍の面積を持つし、滑走路が一本しかない世界の巨大空港というのは、結局、成田と関空、それと香港の啓徳なんですよ。香港はしょうがないですよ、もう山が迫っていますから。これだけの世界第二の経済大国と言われる中で、玄関の空港が滑走路一本しかないのは、三つのうち二つが日本というその現状を、大航海時代が五百年前でございますけれども、まさに大航空時代が到来することは間違いないわけでございまして、私は、この第七次空整については、もう一つ根から発想を変えての取り組みがなければいけない重要問題だと思っています。  この点につきましては、実は、昨年十二月に新進党の党首になりました小沢党首が、これはあくまで党内の話でありますけれども、選挙に臨むに当たって公約を出しました。消費税一〇%ばかりが新聞に書かれておりますけれども、小沢党首の公約の一つに、ハブ空港を六つから八つつくるのだ、こういう公約が入っておりまして、私もその点、六つがいいか八つがいいかは別としまして、国際ハブ空港論につきましては、我々は新しい政党でございますから、これまでの過去にとらわれない、そういうハブ空港建設を新進党は一生懸命やっていく、こういうように確信をいたしておりまして、きょうは立ったわけでございます。  それでは、ちょっと急ぎます。  今、上海の空港のお話がございました。これはおととし、関西空港が開港になりまして、あの前後に、ようやくといいますか、マスコミもいわゆる関西空港開業を機に世界の空港整備論を書くようになりました。日経新聞がたしか特集を組んでおりまして、よく見ておりましたけれども。そこで、今お話があったように、上海にでかい空港ができるらしいというのを大体皆さんは知ってきました。  ところが、これは第四次円借款でやるわけですよ。つまり、日本の資金供与、もちろん有償でありますけれども、日本の資金によってこの空港が着工し、うくられていく。将来は滑走路を四本持つ、恐らく最終的には成田空港の五、六倍の面積を持つ空港になると思うのですね。中国には、私は上海へはしょっちゅう行きます。上海の行政顧問みたいなお役を仰せつかっておりまして行くのですが、もう行くたびにあの上海の市街地、今二万カ所で工事をやっているのですね。浦東の方は今大開発でありまして、将来マンハッタンみたいなビル群をつくる、もうやっています。その向こうに、浦東新区の一画に先ほどの上海第二国際空港をつくる、私は二〇〇〇年には開業するのではないかと思っているのです。二、三年前は、二〇〇三年までにはっくりますと言っていたのですね。行くたびに、今度は二〇〇〇年とか言うのです。高速道路とかほかのプロジェクトは、彼らは計画よりも早くつくり上げています。恐らく私は早いと思うのです。  そうなりますと、あと三年後ですよ、三年後というと一九九九年であります。日本の円借款によって上海が大国際空港をつくって間もなく開業だ、そのときに日本に玄関があるのか、ハブ空港はどうなんだ。上海が火をつけ、韓国の新メトロポリタン空港、これもほぼ一緒です。チャンギもそうですし、チェク・ラップ・コック空港もそうなのですね。すべての巨大空港が一斉に全容をあらわしてくる話が全部日本のマスコミに出ると私は思う。そのときに、関西第二期が終わっておればいいですよ、成田が終わっておればいいですよ。依然、滑走路は一本しかないということが続いていたときに、そのときに日本経済がどうなっておるかの問題もあります。今まで日本政府は何をしていたのだ、何でああいう途上国に、日本を脅かす上海第二空港も我々日本国民の蓄財から貸したそうではないか、こういう論議に私は絶対なると思うのです。そういう意味で、私は本当にこの問題は喫緊の課題、こう思うのであります。  そこで私は、その一番典型的な上海の浦東国際空港、これは仮称でありましょうけれども、この第四次円借款、幾らで、どういうスケジュールで貸そうとされておるのか、外務省の方に通告しておりますが、お答えをいただきたいと思います。
  118. 谷崎泰明

    ○谷崎説明員 ただいま御質問がございました上海の国際空港について御説明させていただきます。  中国への円借款でございますけれども、これはほかの国と違いまして、多数の事業にわたりまして複数年次にわたって渡すということでやってきております。昨年、三次の円借款というのは終わりまして、本年度から第四次の円借款というのが始まります。今後三年間で総額五千八百億円をめどにして供与するということは、一昨年の十二月に日中の政府間の交渉の結果、合意しております。  ただいま御質問のございました上海浦東の国際空港でございますけれども、これはこの第四次円借款の中に向こうの要請で含まれております。我々いろいろな調査を行った結果、最終的にこれに対して供与することは妥当であろうという結論に達しまして、一応一昨年十二月の合意の中に入っております。総額は約百六十五億円でございます。  他方、具体的にいつやるか、今後の三年間の中でやるということになっておりまして、中国側は、若干向こうの方のスケジュールがおくれているような様子もございまして、具体的に今年度すぐやってほしいというようなことではまだ要請は参っておりません。ただ、いずれにしろ、今後三年間の中で、いずれかの時点で要請が出てくるというふうに思います。その段階で中国側と決定いたしまして、最終的には交換公文という形で向こう側と合意する予定にしております。
  119. 古賀一成

    古賀(一)委員 いずれにしましても、日本の借款という形で、有償とはいえ日本の資金を供与して、実は日本の経済なり、あるいは玄関といいますか、そこを脅かす空港がもう今世紀内にできる可能性が非常に高いということだろうと思うのです。  それで、これは一つの側面でございますが、もう一つの切り口で、私は、国際ハブ空港の争奪戦はもう既に起こっておると思うのですね。起こっておると思います。その一つのいい例が、例の金浦空港だろうと思うのですね。  これにつきまして、資料も実はあるわけでございますが、いわゆる日韓両国をつなぐ定期航空路が最近どーんとふえてきておるわけです。先ほどの田名部先生、地元は青森でございますが、——先生おられませんね、青森の悪口言ってはいかぬものですから。ただ、やはり人口の少ない田舎であることは間違いないわけでありますけれども、そこに、例の日韓定期航空路が韓国の飛行機によって開設をされた。たしか十八路線か何かあるんじゃないですか。その中で、日本の企業、つまりANAとかJALとかが就航しているのはごく少ないわけですよ。  そうすると、先ほど田名部先生の方からも話がありましたように、もう既に金浦空港がハブ空港ですよ。日本の皆さん、アメリカに行くときに、ヨーロッパに行くときに成田とか行かなくて、不便でしょう、直行便をおたくの地方都市と我が金浦空港で結びましょうや、結びました、ここからヨーロッパに行ってくれという戦争は実はもう始まっているわけですよ。運賃は安い、そして便利、そして将来はその金浦よりもはるかに大きい例の新メトロポリタン空港ができる。もうまさに空港ができる前に、その前哨戦というか、それは起こっておる、実は侵されておる、こう見てもおかしくないと私は思うのです。  日韓の定期航空路交渉等々を担当され、現実として、それだけ日韓の取り組みの差がはっきりとしてまいりました今日、まず推移といいますか、そして現状、それについて、運輸当局としてどういう危機認識を持っておられるのかをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  120. 黒野匡彦

    黒野政府委員 まず事実関係から御説明申し上げたいと思いますが、日韓の間で航空協定が結ばれましたのが一九六七年でございます。当時、日本側が韓国に対しまして開放いたしました地点は三カ所、東京、大阪、それに福岡でございます。韓国側の地点は二点でございまして、ソウルと釜山であります。それで、その後お互い乗り入れ地点等を増加いたしまして、現時点では日本側が十九地点を開放しております。韓国側からは五地点を開放していただきまして、相互に運航しているということでございます。  この日韓の間の輸送実績でございますが、九四年度の数字でございますが、年間五百三十万人。この五百三十万人という数字は、日本を結ぶ国際航空旅客の約一五%を占めるということで、アメリカと並んで大きな渡航先といいましょうか、交流先になっているわけでございます。  それからもう一つ、韓国の空港が日本のハブ空港になっているのではないかという御指摘でございます。これについては私どもも大変大きな関心を持っておるわけでございますが、反面、日本の国内からは、各地方から直接外国に結びたいという熱意も非常に強うございまして、いわゆる地方の国際化という要望も大変強く出ております。それにつきましては、これにこたえていくことも我々の行政一つだと思っております。  それからもう一つ、日本のお客さんが韓国を経由して例えばアメリカ便なりヨーロッパ便に乗りかえるということについて、これはいろいろな評価があるところでございますが、私ども調査いたしました数字で申し上げますと、例えばソウル便で、ソウルを経由して外国へ行く人というのは約一割ございます。この数字を高いというか低いというか、これまた評価が分かれるところでございます。  ところが、日本の国内の出発地点で一体どこが多いかということを調べてみますと、非常におもしろい結果が出ております。一番高いのは新潟発でございまして、新潟が二〇%弱でございます。これは土地柄、韓国とのいろいろなコミュニケーションがあることではないかと思います。二番目が、これは意外や大阪なんです。そうしますと、空港の便ということからいいますと、大阪の方は、当時の伊丹、あるいは今の関空から直接乗る方が格段に便利なはずでございます。それをわざわざソウルに行って乗りかえられるというのは、やはり経済的な面、運賃の問題があろうかと思っております。私ども空港の問題であることは否定いたしませんが、それ以上にやはり運賃の問題、これを防ぐためには、日本のエアラインがさらに一層リストラに励み、コスト競争ができるようにするということが大事ではないか、かように思っているところでございます。  なお、今話題に出ました青森について申し上げますと、私の今手持ちのデータでは、青森とソウルを結ぶ便は週間三便です。それに対しまして、青森と関空を結ぶ便は週間七便です。したがって、単純に言いますと、関空に来て乗りかえた方が格段に便利なはずでございます。それなのにソウルを経由するということは、繰り返しますけれども、やはり運賃の面というのがかなり大きいのではないかと思っているところでございます。
  121. 古賀一成

    古賀(一)委員 現在のシェアで言えば、いわゆる韓国経由で、韓国を通過してヨーロッパ、アメリカに行く人が一割かもしれません。今はそうかもしれませんけれども、今後のことを考えれば、これはもう明らかにふえていく数字だろうと思うべきですね。今ですら、実は金浦空港の着陸料、ジャンボに換算すれば二十六万、関空も成田も百万近い、九十五万、こういうことでございます。それに加えて、そういう基礎的なベースの上に、さらに人件費が安い、運賃が安いとあるわけで、しかも、何よりも国家がそういうハブ空港戦略をとっているというところに一番のすごさ、すごみを私は感ずるわけであります。  戦後五十年、世界第二の経済大国になったと言われて、ほんのわずかその夢にひたっておったら、あと三年四年でもうその地位も間違いなく危ないでは本当に困るわけでありまして、今このときこそ、運輸省として、国際ハブ空港、そういう価値観をもっと雄々しく、強く出していいと私は思うのです。まあそれはここで言ってもしょうがありませんが。  それで、もう既に一つの事実は起こっているわけですよ。例の、先ほどもお話がございましたいわゆるハブ港湾ですよ。かつて、一九七〇年代は、神戸はアジア随一のハブ港湾、コンテナ港と言われておったのですね。今五番目にも入っておりませんよ。ほんのこの前までは、ロッテルダム、ニューヨーク、香港、神戸、神戸は四番目だったわけでありますけれども、三年前にもう既に一番が香港、二番がシンガポール、三番が高雄、四番がヨーロッパのロッテルダム、五番が釜山。五番のうち、ベストファイブのうち四つがアジアであり、それが全部、先ほど言いましたように、空港の面でもハブ空港を鋭意やっておる国が、港湾の面でもいわゆるハブの地位を日本から奪っておるわけでありまして、港湾もやられた、コンテナもやられた、今度は旅客も、航空もやられたということでは、まさに次の世代に責任を果たしたとは言えないと私は思うのです。  第七次空整、この期間中にこのハブ空港議論というのは出ると私は思うのですね、もう出ておるわけでありますけれども。私は、これまでの古いやり方、公共投資重点枠がどうのこうのとか、こういうのを乗り越えたやる気を、先ほど田名部担当の方から最後に申し上げましたように、やはり行政サイドから強く自信を持って出していただきたい、かように思います。  そういうことで、再度になりますけれども、いわゆる第七次空整、来年度から始まるわけでありますけれども、国際ハブ空港の基本的な考え方について、いわゆる東アジアの玄関たる国際ハブ空港をつくるに際しては、大都市圏云々にこだわらない、いかに早く、いかに廉価につくるかというのが勝負どころだと私は思うのですね。戦いが終わって、新しいハブ空港秩序が、香港か上海か知りません、でき上がった後に、実は遅まきながら日本もあと十年かけてハブ空港をつくりますよでは、もう経済実体が動いてしまうわけであります。そういう面で、この国際ハブ空港を再度強力に推進すべきだというのが私の主張でございますけれども大臣の御所見、御決意、ぜひお伺いをいたしたいと思います。
  122. 亀井善之

    亀井国務大臣 いろいろ国際ハブ空港の問題につきまして御指摘をいただきました。まさに二十一世紀に向けて我が国が今後とも国際社会の中で安定した発展を続ける、これには交流の基盤施設、これは何といっても国際ハブ空港の整備、このことになるわけでありまして、時期を失することなく早急にその努力をいたさなければならない、このように思います。特に第七次空整、この計画の中にも、中間取りまとめにつきましては、御承知のことでございますが、国際ハブ空港問題の整備を最優先課題として取り組む、この必要を強く感じておるところでもございます。これらに鋭意挙げて努力をしてまいりたい、このように思っております。  なお、国際ハブ空港は、国際線、国内線ともに路線を多く持つ必要があることから、やはり後背圏の経済力が大きい大都市圏に設置をされるということもまた重要なことであるということを申し添えさせていただきたいと存じます。
  123. 古賀一成

    古賀(一)委員 今大臣の方から、あくまで大都市圏、つまり背後人口というものが一番重要なファクターだというふうに聞こえました。しかし、大都市圏ほど実は地価が高い。用地買収が難しい。あるいは海上空港にしたって、二十四時間体制としてはいろいろ無理があるのです。ここではとやかく申し上げませんけれども、あるのです。関空であれば、せっかく一期で一兆五千億等々かけても、結局二十四時間空港たり得ない。成田がそうですね。もう外国へ行くたびに私は驚くのです。最近まで気がっかなかったのですね。  この前アメリカに行きました。ニューヨーク一泊で、トンボ返りで帰ってくる。そうしたら、滑走路がからんからんに凍っていて、車がぶつかった。JALに乗って、さあ出発と思っておりましたら、おりてください、夜七時を超えますと皆様一泊してくれと言うのですね。そのとき私は意味がわからなかったのです。よくよく考えればそうです。成田に夜十一時以前に着かないから、泊まってください。去年ブータンという国に行って、ブータンの朝の飛行機でバンコクに着いた。ところが、八時間ホテルで休んでくださいなんですね。つまり、朝六時前になってしまうものだから、朝六時になるまで待ってください。こういうのが今の、あれだけの労力と資金をつぎ込んでようやくつくった成田の実態なんですね。  そうして見ますと、大都市圏というものに、背後人口にこだわるというのは、私はそう重要なことではないと思うのです。いかに早く低廉につくるかという視点、私はそれでもう一度後ほど関連で質問しますから、そのときで結構ですが、お訴えをいたしたいと思います。  それでもう一点、ちょっと矢継ぎ早に申し上げますが、東アジアでの空港整備論とともに、もう一つ重要なファクターがあるのですね。これはSSTであります。  私は、去年予算委員会で質問をさせていただきました。そのときは対通産省でございますが、もう数年前から工業技術院はHST、ハイパーンニック、極超音速機のエンジン、ラムジェットエンジンというそうでありますが、開発にかかっております。これは聞きました。二百八十億円でやっておりますけれども、ことしになりまして、科学技術庁の方でこのエンジン開発プラス機材、機体開発に日本としても取り組むと新聞に載っておりまして、私は非常に関心がございます。これにつきましては、大体どういうタイムスケジュールでそのSST就航をにらんで、日本政府、きょうの場合は科学技術庁でありますけれども、これの開発にかかわろうとしておられるのか、御答弁をお願いいたします。
  124. 森口泰孝

    ○森口説明員 ただいまの先生の御質問に御説明申し上げます。  今後の国際航空輸送需要の増大に対処するため、超音速旅客機、コンコルドの後継となります次世代超音速輸送機の国際共同開発が二〇〇〇年ごろに開始され、二〇〇五年ごろにも実用機が就航するとの見通しが示されております。  科学技術庁といたしましては、今申し上げました国際共同開発に我が国が主体的に参加するためには、我が国が得意とする分野で次世代超音速機技術の研究を進めることが重要と考えております。このため、科学技術庁航空宇宙技術研究所の持ちます世界最高水準のスーパーコンピューターによる設計技術を生かしまして、無人の小型実験機を開発し、飛行実験を行うことを検討しております。  今般、具体的な推進方策について、産学官の専門家の先生方に報告書をまとめていただいたところであります。今後、この報告書に沿いまして、民間、大学、関係省庁との連携を図りながら、ロケット推進及びジェット推進による小型無人実験機を順次開発し、飛行実験を行い、これらを通じまして次世代超音速機技術の蓄積及び高度化を早急に図りたいと考えております。
  125. 古賀一成

    古賀(一)委員 今のお話のように、通産省は既にもう数年前からラムジェットエンジンの開発、たしかおととしにはもう燃焼実験までやっているわけですね。これはマッハ五でございますが、いずれにしても、二〇〇〇年の初頭にはマッハ二・五なり二前後の、コンコルドよりも経済性一騒音問題等々に対処した飛行機が就航する。大体、世界各国は二〇〇五年にはSST就航と見ているわけですね。だからこそ先ほどの、東アジア諸国はそういう機材もにらみながらその玄関を奪い取ろうとしておると私は思います。  では、そういう今までの機材開発、東アジアの諸国の動き、そして日本の航空整備の現状等、需要も見た上で、これから新しい日本の国土像をつくろうとしておりますいわゆる五全総、私は五全総という名前がいいのかなというのは常々疑問を持つわけです。もっと原点に戻った名前がいいのではないかと思うのですが、五全総においてはこの問題、私は大変重要な問題だと思うのです。  国土庁になろうと思いますが、政府全体として、この国際大航空時代における空港整備のあり方、あるいはその配置のあり方等について、今まで研究なりお考えがあろうと思うのです。その点につきまして国土庁のお考えを、基本的なところで結構でございますが、答弁をお願いしたいと思います。
  126. 浜野潤

    ○浜野説明員 御説明いたします。  昨年十二月に国土審議会に報告をされました「二十一世紀の国土のグランドデザイン」というものがございますが、ここにおきましては、新しい全総計画で取り組むべき主要計画課題の一つといたしまして、「アジアとの相互依存関係の深化と世界への積極的貢献」というものを掲げております。この報告では、望ましい国土構造の構築に向けまして、国際的な視野に立って地域の自立性を高めるための広域国際交流圏というものを大都市や地方中枢都市等を中心として形成していく必要があるとしております。  先生指摘の、国際空港を含みます質の高い交通インフラにつきましては、広域国際交流圏の形成にとって重要なものであり、長期的視点に立った戦略的な整備が求められるものと考えておりまして、平成八年度中を目途といたしました新しい全総計画策定に向けまして、引き続き検討してまいりたいと考えております。
  127. 古賀一成

    古賀(一)委員 そういう御答弁だろうと思いますが、私は、これはもう喫緊の差し迫った問題だろうと思うのです。国際交流圏という、そういう概念も非常に重要でございますけれども、これは質問ではございませんけれども、やはり全総においてはっきりと位置づけるべきときがもう来ておるのではないかと思うのですね。もうどこそこに、大体こういうブロック、こういうブロックにハブ空港を三つなら三つ、四つなら四つ、五つなら五つまでというのを出すタイミングが来ていると私は思うのですよ。  先ほど大臣が御答弁されましたときに、時期を逸することなく、あるいは時期を失することなくというお言葉がございました。この運輸省がつくられました「第七次空港整備五箇年計画の基本的考え方(中間取りまとめ)」、私、これをばっと読みました。一番印象的で目についた言葉が時期を逸することなくという言葉なのですね。これに五カ所出てくるのですよ。というのは、もう時期を逸したという認識があるのではないか、私はもう本当にそう思うのですよ。実際のところはもう時期を逸したのではないか、しかしまだ間に合う、間に合わせなければならぬ、そういう思いは運輸省の御当局の皆さんにあると思う。  しかし、今までのあの古い仕組みの中で、予算制度ですよ、六千八百五十億もあるならば、ハブ空港なんて一年でできるわけですよ。バブルの時代のとんでもない欲得の、夢のうたげの後を——あれは赤字国債ですよ。今からの子供たちに、就職先もない二十代の子供たちに、金利つきで、一兆円発行すれば一兆円の金利がつくと大蔵省は言っている、それを残そうとしている。とんでもないことだと思う。やはりそこは問題提起を、このままでは日本はアジアの玄関でなくなるよという提言を当局が堂々と言うべき時代だろうと僕は思います。  そういう意味で、これは要望でございますが、国土庁も背後から、日本の危機の一つの側面でございますから、ぜひ応援をしていただきたいと思います。  ちょっと時間もなくなってきましたので、先ほど九州ではないかという話が出ましたので、実は去年の予算委員会で質問をしたときに、ほかの項目が長過ぎて肝心なところを言うのをちょっと忘れたものですから、あと五分ございますから……。  先ほど申し上げましたように、要するに、戦いが終わって勝負がついた後からつくったってだめなのです、この問題は。国内の問題ではないのです。もうすべてのアジア諸国、あるいはデンバーだってそうですよ、デンバーなんか十二本も滑走路を持つ空港をつくろうとしているじゃないですか。ロンドンもそうです。シャルル・ドゴールも全部そうなんです。そうなりますと、いかに早く、しかも安くつくるかということは非常に重要な策だろうと私は思うのです。  私はかつて福岡県の県庁に出向したときがありまして、そのときに、本当に運がよく中国と福岡の定期航空路開設の仕事をさせてもらったことがあるのです。これは実現しました。当時は上海−福岡便、上海−北京でしたけれども、今は大連便もやっております。そのときに、私は中国に何度も行って、航空局も何度も参りました。相手を説得したのは、九州は東アジアを目的地とする限り、距離のロス、時間のロスがないということなのです。当時は、私は北京にしょっちゅう行くときに、成田に行って、成田九時であれば何とかホテルに二万円払って泊まって、翌日また同じ上空を通っていくという、二日のロスといいますか、お金のロスがあったのです。  そういう面で、かつてから歴史がそうであったように、これだけの大航空時代を迎え、しかも全部、関空の二期やったって成田の二期やったって、二〇〇〇年初頭には、二十一世紀初頭にはこれまた満杯になるわけですよ。そうなれば、東アジアの時代、ヨーロッパ線はもう北海道に任せます、しかし、東アジアに関する限りは、早くこれをつくるべきだと私は思うのですね。  そういう意味で、ちょっと皆さんに御紹介も兼ねて申し上げますと、別に我田引水ではありません、客観的に見たときに、私は、有明海海上空港が一番安いと思うのです。要するに、九州に東アジアの玄関が必要だ。  それで、実は普賢岳に出た土砂が二億三千万立米あるのです。関西空港を埋め立てたのは淡路島と和歌山から持ってきましたよね。これは一億八百万立米なんです。ところが、その二倍以上の土砂が普賢岳から出された。この土はもう日本最高の盛り土なんです。水をぶっかけるとコンクリートのように固まるのです。その普賢岳から、実は大牟田、荒尾というところがございまして、石炭対策が今度終わりますので、もうすぐ閉山になるという話があるのです。それに国は、この地域産業を多目的に展開するのを国を挙げて支援するとなっているけれども、実際はほとんど進んでいない。  私は、先ほど言いました国策の国際空港という話があるならば、あの土を向こうから持ってくればいい、十何キロですよ。私は試算したのです。試算しますと、要するに関空が五千億かかっているのですね。一億八百万立米で五千億。これは単純にやれば立米当たり四千六百三十円かかっている。ところが、あそこは十八メーターある。有明海はもっと浅い。そうなりますと、もう計算過程は省略しますけれども、ざっと一千億足らずで空港島ができるのです。  こういう一つの可能性を持つところがあるわけでありまして、すぐ地元の盛り上がりがどうだ、コンセンサスという話があります。しかし、この問題は地元のコンセンサスは関係がないと私は思う。だってこれは日本の玄関をアジア諸国に奪われるかどうかという問題でありますから、これはむしろ運輸省の方で調査をしていただきたいと私は思うのです。  この点について、運輸省として、あるいは政府として、あるいは大臣として、この有明海海上空港という議論は前からあるわけでありまして、これをどう受けとめられて、一回こういう試算をされたことがあるのかどうか。私はその点をお聞きしたいと思います。
  128. 亀井善之

    亀井国務大臣 先生指摘九州につきましては、空港整備の関連におきましては先進地域である、私はこのように認識しております。福岡を初め、長崎、熊本、大分、鹿児島と各空港とも三千メートルの滑走路を持っておりますし、通関施設の整備も行われておるところでもございます。当地域の国際航空の需要の拡大に対しては、当面これらの既存空港の充実強化によって対応が可能、このように考えます。  そして、さらに新たな国際空港の問題につきましては、今先生からいろいろ有益なお話もちょうだいをいたしました。運輸省といたしましても十分調査をし、勉強してまいりたい、このように考えております。
  129. 古賀一成

    古賀(一)委員 もう調査をしていただくというふうに承りました。私は、これは別に我田引水とかではなくて、まさに本当に日本のためにやらなければならぬことだろうと思うのですよ。たまたま今、九州新幹線の博多以南の話もございますし、そしてこれは建設省、私、出身は建設省におったわけでございますが、道路関係者にもいろんな場面で聞いてまいりました。もしそうならば、九州縦貫、ある地点からインターをつくって、矢部川沿いに高速道路を、それは建設省はつくります、こう言うのですよ。  そこで、やはり国策としてのそういうプロジェクトを運輸当局が、ひるまずにといいますか、むしろ大蔵省をおどし上げるような気迫で要求をしていい問題だろうと私は思います。我々も一生懸命、これは先ほどもお話がありましたように、長崎でもいいのです。私は別に地元だからどうのこうのじゃなくて、やはり一番早く、一番廉価に、そういう外国と戦える空港を今のうちからスタートを切る。今からスタートを切ったって、やはり相当かかるわけですよ。そういう点をぜひ大臣及び運輸省御当局に心からお願いを申し上げまして、質問を終わります。  以上です。
  130. 辻一彦

    辻委員長 古賀一成君の質疑は終わりました。  福留泰蔵君。
  131. 福留泰蔵

    福留委員 新進党の福留泰蔵でございます。  本日は、お許しを得まして、運輸委員会大臣の所信に関する質疑の機会を得ましたことを心から感謝申し上げます。新進党として三番目のバッターになりますけれども、田名部先生に引き続き、三番目も航空行政に関する質疑をさせていただきます。  運輸行政は陸海空を担当する行政でございますけれども航空行政だけに若干偏った質問になりますけれども、お許しをいただきたいと思います。  初めに日米の航空交渉について、先ほど田名部先生の方からも御質問がありましたけれども、この件について再度私の方からもお伺いをしておきたいと思います。  今、日本から海外へ出かけられる日本人の数は年間一千三百万人に達していると言われております。そのうち日本からアメリカへ出国される数が最も多く、全体の約三分の一に当たります四百万人と言われております。我が国におきましてあらゆる面で最も重要なパートナーの国であります。アメリカとの航空需要というものは、今後とも安定的な増加が予測されております。その需要に対応する航空分野での日本とアメリカの協定は、国益という観点からもまことに重要なものであろうと思います。  日米航空交渉は、現在貨物分野における交渉を継続中とのことでございまして、聞くところによりますと、二月二十八日には昨年の交渉再開以来第四回目の交渉が行われると伺っているところでございます。この貨物分野の交渉状況を含め、旅客分野についてもあわせて、日米航空交渉の現状とそれに臨む日本政府の基本方針についてまずお伺いしたいと思います。
  132. 黒野匡彦

    黒野政府委員 日米航空交渉でございますが、まず、現在進んでおりますのは、今先生指摘のとおり貨物関係の交渉を進めてございます。これは昨年七月の日米間の運輸大臣の合意に基づきまして、昨年九月から本年三月末までの六カ月間で何とか結論を出そうではないかということで、両者とも大変熱意を持った交渉が続いております。  私どもの主張は、平等化と自由化、この二つでございます。御案内のとおり、現在の日米間の航空協定は大変不均衡、不平等になっております。これを平等化しようではないかということとあわせて、規制緩和といいましょうか、自由化も実現しようということを提案いたしております。それに対しましてアメリカ側は、協定上認められた既得権は既得権としつつ、その上に立って自由化をしようではないか、こういう主張でございまして、そこのところはかなり両者の隔たりが大きゅうございまして、三月末にまとめたいと思っておりますが、必ずしも予断を許さないという状況でございます。  一方、旅客につきましては、私どもかねてから旅客交渉を始めようではないかということは再三再四提案をいたしております。それに対しまして米側は、とりあえずこの貨物交渉を終了させよう、その後にしたいというお話でございます。ただ私ども、米側が同意をするのであればこの貨物交渉と並行して交渉を始めることはやぶさかではないというか、むしろそれを期待しているという状態でございます。     〔委員長退席、赤松(広)委員長代理着席〕
  133. 福留泰蔵

    福留委員 今、旅客の交渉については貨物交渉が合意に達してからというふうなお話を伺ったところでございます。その貨物交渉、これは旅客の交渉に当たっても基本方針は同じかと思うのですが、日本としての基本的な方針については、今黒野航空局長の方から御説明がありましたけれども、平等化と自由化というものを基本としている。アメリカは、既にある既得権を確保しつつさらなる要求をしているというふうに伺ったわけでございます。  アメリカというものは、私の認識では、既得権を確保しつつということもございますけれども、これは以遠権の問題もございますけれども、フル自由化というのか、そういう主張であるかのように私は感じておりまして、日本の場合は、そのフル自由化に対してある一定のルールのもとでの平等化というものを主張しているというふうな感じがしております。そのある一定のルールのもとで平等化を図った上で、その先に自由化というものを日本としては主張していくようにニュアンスとしてとらえておるわけでございますけれども、この点の考え方はいかがでしょうか。
  134. 黒野匡彦

    黒野政府委員 アメリカは国際航空政策に関しまして一九九五年にかなり明確な方針を打ち出しております。一口で申し上げれば、国内で実現いたしました完全な自由化を世界にも輸出しようという考えでございまして、その目的も非常にあの国らしくはっきり言っておりまして、例えて言いますと、米国航空企業が運航を拡大するための機会の増大をねらうのだ、米国航空企業の生産性の向上と質の高い雇用機会の拡大をねらうのだ、あるいは米国航空関連産業の輸出と一般的な米国の経済成長の促進なんだという、ずばり国益を前面に出し、自国で進めた自由化をそのまま世界でも実現したい、こういう主張をしております。  ただし、具体的な交渉の場におきましては、今直ちにやることが無理だということは向こうもわかっておりまして、段階的にその実現を目指そうというのが彼らの立場でございます。  それに対しまして、私ども、これからの国際化を迎えましてますます拡大する輸送需要、これを取り込んでいくためには、やはり自由化という方向はおおむね受け入れざるを得ないというか、受け入れたいと思っておりますが、ただ、それにいたしましても、現在の不均衡をそのままにして自由化したのでは、これはいわば大人と子供のけんかになるわけでございまして、その不均衡の是正ということのめどを一応つけてから自由化という方向を目指そうではないかということで、そこのところが非常に両者の意見が分かれるところでございます。
  135. 福留泰蔵

    福留委員 これは先ほど田名部先生の方からも御指摘がありましたけれども、現行の日米間の旅客流動、そしてそれを担う航空企業の輸送の比率と申しましょうか、これは非常な不均衡があるわけでございまして、先ほど申し上げたとおり、国益という観点からもこれは是正をしていかなければならないと思います。  この日米間の航空市場を考えていく上でやはり重要なことは、両国の消費者利益の確保というもの、これをまず大事にしていくことが重要であろうと思います。その意味で、参入機会の平等を担保するということ、そして公正な競争条件をつくるということが必要だろうと思うわけでございまして、今お伺いした運輸省政府方針はその線に沿っての取り組みだろうと思います。  今お伺いするところによると、三月末を目標にまず貨物分野における協定の決着を図るということで進んでいらっしゃるわけでありますけれども大臣にお伺いしますけれども、三月末での合意が得られる見通しについて大臣なりのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  136. 亀井善之

    亀井国務大臣 日米航空交渉につきましては、先ほど来局長からも申し上げておりますとおり、長い間の不平等の存在もあるわけでありますし、この状況をできる限り早く、早期に解消するということが日米間の極めて重要な懸案事項であるわけであります。いろいろ私ども考え方を主張しておるわけでありまして、日本側の基本的立場に立って、安易な妥協、こういうことでなく、毅然として米国との協議に臨む、こういう考え方でおるわけであります。  三月末の期限ということになるわけでありますが、この三月末の期限の重みというものにつきましては十分認識をしております。しかし、依然として日米双方の考え方に隔たりがあることは事実であります。三月末の期限に向けて精力的に努力を重ねていきたい、このように考えております。  しかしながら、単に期限を守るというだけで米側に譲歩する、こういうことはあり得ない、このような考え方のもとに臨んでまいりたい、このように考えております。
  137. 福留泰蔵

    福留委員 妥協しないで三月末の合意決着を目指して頑張っていかれるということでありますけれども、ある新聞報道でちょっと見たのですけれども亀井大臣航空協定破棄の可能性を示唆されたことがあるような報道があるのです。その航空協定破棄の可能性を示唆されるというような状況で、運輸省としては、日本政府としては強硬姿勢でアメリカの譲歩を引き出す方針で臨まれておるというふうに聞いておるわけでございますけれども、その点を確認した上で、しかしながら、この戦略が失敗しますと、利用者を置き去りにした形での対立が長期化するだけである、今の日米間のその不平等な状況というものは一向に改善されないでこれが残っていくという状況になろうかと思います。  特に旅客の流動については、日本人がアメリカに出国する比率とアメリカ人が日本に来られる比率というものは、ますます日本人の利用者の方が多くなっていく傾向になろうと思いますので、国益という観点からもますます不利益が増大していくというふうに私は感ずるわけでございます。交渉に当たっては当然強硬な姿勢で臨むことが必要かと思いますけれども、万が一その戦略が失敗したときに、先ほど申し上げたとおり、利用者を置き去りにした形の対立が長期化することだけは、やはりこれはまた国益上マイナスになろうかと思います。再度、大臣のその交渉に当たっての御決意をお伺いしたいと思います。
  138. 亀井善之

    亀井国務大臣 まだ三月末まで、二月の交渉もございます、期間的なこともあります。今までの経緯を踏まえて、粘り強く交渉に臨んでまいりたい、このように考えております。
  139. 福留泰蔵

    福留委員 交渉に当たって、ぜひとも粘り強い交渉をなさっていただいて、合意が得られるよう御期待申し上げるところでございます。  続きまして、先ほども質問がございましたけれども、新しい国内の航空運賃制度について質問させていただきたいと思います。  昨年の九月二十日、経済対策という観点から国内航空への幅運賃制度導入が決定されまして、十一月には航空運賃制度研究会が報告書を取りまとめ、十二月には運輸審議会が意見書を提示され、十二月二十二日に物価問題に関する関係閣僚会議がこの制度を了承され、発足するということになったと聞いております。きょうの新聞にも出ていたりしますけれども、去る二十二日には日本の国内のJASが国内新運賃の申請をなさって、ANA、JALとともに三社の内容が出そろったというふうなことになっているわけでございますけれども、まず、この新しい制度であります国内航空運賃制度幅運賃制度導入のねらいがどこにあったのか、お聞きしたいと思います。
  140. 黒野匡彦

    黒野政府委員 この制度のねらいを御理解いただくためには、逆に従来がどうなっていたかということとの比較でお話し申し上げた方がよろしいかと思います。  従来の航空運賃制度は、各路線ごとにがかったコスト、それに利益を我々が査定いたしまして、それを運賃として認可するという制度でございました。これにつきましては、いわばかかっただけのコストを必ず見てもらえるということで企業の側の合理化意欲を損なうではないか、あるいは、官による査定という不透明な裁量の余地があって、その点でも、言葉は妥当ではないかもしれませんが、官民癒着の原因ともなるのではないか、このような御批判もございまして、かねてからこの運賃制度をどうしたらいいかということは議論の種になっていたわけでございます。もちろん、これを変えるにつきましては、航空だけではなくていろいろな業種がございます。その業種ごとに、一体どうしたらいいかということをそれぞれ皆さん今勉強されている段階でございます。  そのようなさなか、一昨年の十一月に、一部の公共料金値上げをめぐりまして、特にこの点の問題が大きくクローズアップされました。その結果、政府部内におきまして、閣議了解という形で幾つかの合意がなされております。まず一つは、公共料金のうち、市場原理導入できるものについては規制緩和を一層推進しよう。それから二番目は、上限価格規制の是非、こういうものを含めて思い切って検討しようではないか。さらには、多様化した旅客のニーズに対応できるような料金体系にすべきではないか、このような意思決定をしておりまして、それをスタートラインといたしまして私ども今まで検討してきたものでございます。  したがいまして、この制度のねらいは、一番大きいのはやはり各企業ごとに競争する、競争によってコストの削減の努力を促し、ひいては利用者利便の増進に資する、これが最大の目的でございますし、またあわせて手続の透明性を図る、こんなことも目的としているところでございます。
  141. 福留泰蔵

    福留委員 私もこの新しい国内航空運賃制度、いい制度導入されたものとまず評価しているところでございます。  ただいま御説明がありましたとおり、今回のこの新しい制度によりまして運賃の多様化が促進され、利用者の選択の余地が一層ふえる、そういう意味ではいい制度だろうと思いますし、国内航空運賃について航空事業者の自由度がふえるわけでございますから、より競争が促進され、そして航空事業者の一層の経営効率化が促されることになり、ひいてはそれがニーズに対応した多様な運賃の設定により利用者利便に資するというふうなことで、前向きに私はとらえているところでございますが、この制度、昨今の報道によりますと、大変厳しい受けとめ方をされているようでございます。  ある新聞によりますと、「ドル箱路線、ちゃっかり値上げ」とか、競争を促進して運賃が下がるというふうに期待された向きに対しては、かえって便乗値上げではないか、そういうふうな受けとめ方もされているようでございますけれども、この点について運輸省、どのように御見解をお持ちか、お伺いしておきたいと思います。
  142. 亀井善之

    亀井国務大臣 三社の新運賃案が出されたところであります。制度の趣旨にかんがみ、路線ごとの運賃額についてのコメント、これは差し控えさせていただきたいと存じます。  しかし、季節により異なる運賃導入、あるいは同一路線での会社間での異なる運賃の設定、あるいは会社独自の新しい割引導入等、これまでにない動きが出てきておるのではなかろうかと思います。これらについては、制度の趣旨に沿っているものと認識をいたしております。  今回、各社が発表した新運賃についてはいろいろと御意見も出されておるわけでありますが、三社のいわば初値、こういうものではなかろうか、まず新制度を実施するということが必要なことではなかろうか、このように考えております。新制度のもとで、各社との競争あるいは利用者皆さん方の反応等によって、利用者ニーズ、こういうものに対応した運賃が今後とも決まっていくということを今期待をしているところでもございます。
  143. 福留泰蔵

    福留委員 今回のさまざまなマスコミ等の受けとめ方で、値上げではないかというふうな評価というものは、ある一定の普通運賃を対象にされたり、また、今まであった割引制度がなくなった等の御批判があるようでございますけれども、この航空運賃航空運賃制度規制緩和の流れであろうかと思いますし、既にこの航空運賃制度について、規制緩和の先輩であります。アメリカにおきましては、規制緩和が行われたことによって、割引料金利用する方々お客さんの比率が、その制度導入される前の三三%から九〇%にふえたというふうなことがあるようでございます。また、平均割引率も二五%から六二%へ高まったというようなことがあり、各航空会社は、路線、季節、曜日、時間帯、旅行目的などで割引料金利用者数と割引率を巧みに設定して、収益の極大化を図っているというふうな効果があらわれてきているという実績があるわけでございます。  この制度導入されたばかりで、今基本運賃だけに目を奪われがちでございますけれども、これから重要になってくるのはやはりさまざまな割引制度導入されたということでありまして、その割引制度利用者の皆さんが、航空機を利用される皆さんがそこにいろんな目を向けていただいて、積極的にそれを活用していただくようなことが必要になってくるのではないか、そのことがこの制度導入された趣旨であろうと私は思います。  そういう意味で、この制度導入するに当たってもう一つ重要なことは、当然もうお考えだったと思いますけれども、この制度、この運賃を設定された航空会社自身が、もう少しそういう割引制度を含めた全体の理解を深めていただくための十分な周知徹底が必要なんではないかと思いますし、それに対しては、また運輸省としても国民の皆さんにそのことを理解していただくような努力が必要だろうと思いますけれども、この点についての御見解を伺いたいと思います。
  144. 黒野匡彦

    黒野政府委員 先生の御指摘のとおりでございまして、アメリカの航空運賃と日本の航空運賃、国内、比較してみますと、日本が高い高いという批判がいつも出ます。ところが、正規の航空運賃を現在の為替、これは購買力平価ではなくて通常の市場の為替の水準で比較いたしますと、日本の国内航空運賃の方が安く出てまいります。これは客観的な第三者が入っていただいた場での調査ですから、間違いのない数字だと思っております。  ところが、皮膚感覚といたしましては、アメリカの航空運賃は安い。これはなぜかというと、まさに今おっしゃいましたように、各種の割引制度の組み合わせによりまして、それぞれのニーズに応じて利用できるメニューがそろっている、その中で一番自分の利用しやすいものを利用する。もちろん、どれも利用できない方は残念ながら高い普通運賃利用するということはあるわけでございますが、トータルといたしましては、その割引制度利用して利用者方々が安い航空輸送を享受している、こういう状態になっているわけでございます。  したがいまして、今回の我が国の制度もそういう方向に行くというのが一つのねらいでございますし、そのためには、利用者方々に十分な情報公開をし、どういう運賃があるかということあるいは今回の趣旨を理解いただくということは、大変大事なことだと思っております。我々も努力をしなければいけませんし、また利用者の方にもその努力を促したい、かように思っております。
  145. 福留泰蔵

    福留委員 いずれにしても、この新しい運賃制度導入する前から、国民の皆さんの間には航空運賃の割高感というのが非常にあったんだろうと思います。飛行機に乗るのは非常に高いなという実感は国民の皆さんにあるのは事実でございまして、かつてはお金持ちが乗るものだからというふうな発想もあったかもしれませんけれども、今や空港が、地方も含めてネットワークが形成されつつある中で、いわゆる庶民の乗り物として一般の国民方々が広く利用されている乗り物になっておるわけでございまして、そういう意味での割高感にやはりこたえていく必要があろう。この幅運賃制度というものはその第一歩であると評価するわけでございますけれども、もう一方で、航空運賃をもう少し下げる努力をしていかなければならないのではないかなと思うわけでございます。  この幅運賃制度の仕組みの中で、各航空会社ごとに、これは路線ごとにでしょうか、標準原価というものを計算して、標準原価下限二五%の範囲で許可の運賃の幅を認めるという制度だと理解しているわけでございますが、航空運賃を下げるに当たっては標準原価をやはり下げていかなければならない。標準原価を下げていくには航空企業企業努力というものが求められるわけでございまして、この制度導入はそれをねらいとしている一面もあるわけでございますが、しかしながら、先ほども議論になっておりますけれども航空運賃に占める企業努力というのは限界があるのではないかと思います。その航空機の運賃の中に占める、どうしても企業では努力できない部分を、やはり国なりがそこを支援していく必要があるのではないかな、私はそう思っております。  そういう観点から、実は空港使用料の問題について次にお伺いしたいわけでございますけれども空港使用料の問題については先ほど来いろいろな議論があったところでございます。  先ほど運賃の問題についてお話ししましたけれども平成六年度のANAのデータでありますけれども、一人当たりの利用者負担額、これは着陸料と航行援助施設利用料、航空機燃料税というのですか、この三つを合わせたのを国内線旅客一人当たりの利用者負担額と想定しますと、これが約三千七百五十円である。これが旅客一人当たりの実収入の約二二%に相当する。JASの資料によりましても、これが約二〇%に相当しているというふうなデータがございます。運輸省の資料によりましても、東京と大阪間の運賃の約二六%がそうなっている。そして東京福岡間も二一%が空港使用料になっているというふうなデータが出ているわけでございまして、運賃の中に占める着陸料それから航行援助施設利用料、航空機燃料税の占める割合というものが非常に高くなっているというふうな状況があるわけでございます。  それから、先ほどもお話がありましたけれども、例えば航空運賃に占める空港使用料の割合を見てみますと、東京−大阪間が、先ほど御説明しましたけれども、二六%、東京福岡間、千三十五キロありますけれども、二一%。航空運賃に占める空港使用料がこんなに高い。外国を比べると、ロンドンとグラスゴーが五百五十五キロで一四%、ニューヨークーシカゴが一三%というデータがございます。これは運輸省の資料だそうですけれども。  こういう状況があるわけでございまして、国民の割高感、航空運賃の割高感というものを解消していくためには、やはりこの空港使用料というものを引き下げていかなければならないのではないかなと思っているわけでございますけれども、この空港使用料について、利用者負担の適正な水準というものを検討する、再検討する必要があるのではないか、そのように私は考えるわけでございますけれども運輸省大臣としての御見解をお伺いしたいと思います。
  146. 亀井善之

    亀井国務大臣 先ほど来いろいろずっと御意見も出ておりますが、空港の整備、これは時期を逸しない形での大変喫緊の課題でもあるわけであります。そういう中で、やはりそのためには多額の資金を要する。このような時期に、空港整備財源になっております空港使用料の引き下げを行うことによって、今後必要となる空港整備が十分に行われない、こういうことにもつながるわけでありまして、引き下げということは極めて困難なことでもあるわけであります。  空港整備を円滑に実施していくためには、何よりも一般財源、この拡充に取り組む必要があると考えておりますし、その方向で対応してまいりたい、このように考えております。
  147. 福留泰蔵

    福留委員 今、大臣から御答弁がありましたとおり、やはり一般財源を拡充していかなければならないと思います。  平成八年度の公共事業関係費の分野別シェアがございますが、そのシェアについて、例えば道路整備関係は二八・一二%であります。それから、下水道・環境衛生等は一七・九一、農業基盤整備は一二・八八というデータでありますけれども港湾、漁港、空港、まとめて七・五九%にすぎない。空港はそのうち一・四八%というふうなことであります。空港のシェアも年々拡大しており、その増加率は高いようでございますけれども、それでも、まだほかと比べると大変低い値になっているわけでございます。  その問題認識のもとで一般財源の拡大に努力されると思いますけれども、ほかのいろいろな輸送機関と比較してこの利用者負担の割合の目標というものを設定して、そこからやはり一般財源がいかに必要かということで取り組まなければならないのではないかなと私は思うわけでございますが、大蔵省とのさまざまな折衝があろうと思います。  その折衝に当たって、運輸省として利用者負担の適正な水準というものを当然お考えがあってしかるべきだろうと思いますが、ただふえるように努力するというだけではなくして、このぐらいを目指していきたいというようなお考えが当然あってしかるべきだろうと思いますが、そのお考えをお伺いしたいと思います。
  148. 黒野匡彦

    黒野政府委員 今先生も御指摘のとおり、この数年、空港につきましては他の公共事業よりも高い伸びで実現をしておりまして、それなりに御理解を賜っていると思っております。ただ、これを一体どこまで伸ばせばいいかということを定量的に申し上げるのは、率直に申しましてなかなか難しい話だと思っております。  先ほど来、空港整備を急ぐべきであるという大変ありがたい御支援を賜っておりまして、私ども、そういう声を背景に毎年の予算折衝でそれなりの成果を上げてまいってきておるわけでございますが、これを格段に伸ばすというためには、私の口から申し上げますと少々言い過ぎになるかもしれませんが、結局、納税者からいただく税金をどこに配分するのが一番いいのかという大きな政治の問題でもあろうかと思っております。  したがって、その点、先生方のまたお力もかりながら、かなり思い切ったことをこれからやらなければいけない局面が出てくるのかなと私個人としては思っておるところでございます。
  149. 福留泰蔵

    福留委員 私としては、国全体の交通機関の、それぞれ陸海空の交通機関があるわけでございますけれども、それぞれがやはり担うべき役割というものをきちっと検討した上で、それぞれの利用者負担のあり方というものを算定し、空港使用料の問題で申し上げましたけれども、この空整特会での利用者負担の適正な水準というものは当然きちっと策定すべきであろうということを申し上げておきます。ただし、やはりその上で現行の利用者負担の原則を変更すべきであろうと思いますし、そのためには一般財源というものを投入していかなければならない。そして、そのことによって着陸料等の空港使用料を引き下げていくべきであろうということを申し上げまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。     〔赤松(広)委員長代理退席、委員長着席〕  続きまして、新たな首都圏空港の問題についてお尋ねしたいと思います。  先ほども、第七次空整のお話、それからハブ空港のお話があったところでございまして、これからの日本の航空というものを考えていったときに、アジアの中で、大きなハブ空港がどんどんできる状況の中で取り残されているという危機感の中で、ハブ空港の整備というものが急がれるというふうな指摘があったわけでございます。全国の空港というものも、近年、地方空港を含めて整備されつつある状況だろうと思います。  全国の空港別の利用状況というものをデータで見てみますと、国内線では東京、大阪の二大都市圏の空港利用する旅客数というものが、それでもやはり相当数を占めているわけでございます。  平成五年度の国内空港利用客を見てみますと、約七千万人ということでありまして、そのうちの五七%に相当する約四千万人が乗りおりいずれかで東京国際空港、羽田を利用しているという状況がございます。また、その羽田空港東京国際空港利用される利用者の皆さんの強い要望の中では、やはり利用希望が集中する時間帯に十分な発着処理能力が確保されていない状況が今羽田については指摘されている。  それから、地方からいうと、東京路線の予約がなかなか確保しにくいというふうな、そういう声も上がっているようであります。地方空港で増便の要求があっても、やはりその受け皿である羽田空港での受け皿がなければ、地方空港での増便もできないという状況だろうかと思います。  東京のこの首都圏の問題についても、人口は一極集中でどんどんふえてきたわけでございますけれども、ここのところ頭打ちということは指摘されております。しかしながら、今後の二十一世紀のこの首都東京の機能、役割というものを考えていきますと、これからの国際化、情報化等を背景といたしまして、高度情報通信網を活用する知識集約型産業や各種の先端技術産業分野の中核企業の本社がやはり集中しているわけでございまして、二十一世紀に向けて日本経済を牽引する条件は十分備わっているだろうと思います。  また、今後とも、二十一世紀になりますと、ますます世界都市としての東京の役割は大きなものになるだろうと思いますし、そうなっていかなければならないだろうと思っているところでございまして、経済分野、金融の分野、文化の分野等において国際交流のネットワーク拠点としての機能がやはり東京には求められているだろう、私はそう思っているわけでございます。  また、恒常的な円高圧力のもとで、産業の空洞化というものほかねてより指摘されているわけでございますけれども、日本経済が世界的競争の中で生き残るためには、首都圏における各機能の集積を活用しつつ、首都圏と地方との間で人、物、情報の交流を増大させることによって、全国的な均衡ある経済発展を図ることが重要ではないかと思う次第でございます。  こういう状況の中で、交通通信体系のインフラの重要な基盤であります空港を見てみるときに、私は、地方空港というものはほぼ整備完了しているのではないかなと思っているところでございますけれども地方と首都圏の交流を促進するための首都圏の空港整備が遅滞なく行われなければ、せっかくつくりました地方空港も十分活用されないという状況があろうかと思います。  そういった観点から、新たな首都圏の空港のあり方について、運輸省としてのお考えがあればお聞かせ願いたいと思います。
  150. 亀井善之

    亀井国務大臣 今委員からいろいろお述べをいただきました。まさにこの首都圏の航空需要、こういう点から見ましても、新たな首都圏空港の重要性は十分私も認識いたしておるところでもございます。  いわゆる航空審議会の第七次空整の中間取りまとめ、この中の考え方を踏まえて、今後候補地の選定のための所要の調査をできるだけ早く進めてまいりたい、このように考えております。また、それには関係地方公共団体ともよく話し合ってまいりたい、このように考えております。
  151. 福留泰蔵

    福留委員 今、大臣の方は第七次空整のお話をされましたけれども、これは新たな第三空港の、首都圏の空港のお話だろうと思います。  先ほど来申し上げておるとおり、首都圏に新たな空港を設置しなければならないという状況になってきている。羽田空港も沖合展開が平成十一年ごろ完了すると言われておりますけれども、いずれにしても、二十一世紀初頭には国内線は限界に達するだろうと言われております。また成田空港も、完全空港化が実現しても二十一世紀初頭には国際線も限界に達する。欧米の首都と比較しても日本の首都圏の空港容量は不十分であるということが指摘されているわけでございまして、この首都圏の空港容量をふやすということは、やはり空港をつくるということは大変時間のかかる問題でございますので、今取りかからなければ間に合わない問題であろうというふうに私も認識しているところでございます。  それで、新たな第三空港の問題についても平成八年度の予算案の中で調査費がついているようでございますけれども、いずれにしても、その空港のあり方についても利用者利便性という視点も重要でございますので、交通アクセス等の問題また環境問題等を考慮していくと、これはかなり困難な状況もいろいろ想定されるわけでございます。環境問題を考えて遠いところにつくっても、利用者には大変使いづらい空港をつくってもしようがないわけでございますので、そういう意味から今羽田の東京国際空港も沖合展開計画をやっているところでございますけれども、さらなる東京国際空港の活用というものを考えるべきではないかなと私はかねがね思っているところでございます。  第七次空整の中にも、報告書の中で「東京国際空港は、沖合展開事業が完成しても国内線で二十一世紀初頭には再びその能力が限界に達することが予測されるが、その再拡張は、航空機騒音問題及び東京港の港湾機能への影響を考慮すれば、極めて困難である。」というふうなことが書いてございます。「したがって、」途中を略しますけれども、「海上を中心とした新たな拠点空港建設することを前提として、総合的な調査検討を進める必要がある。」というふうな趣旨の文言があるわけでございますが、この東京国際空港、羽田空港の再拡張が処理能力の増加につながらない、これが困難であるというその根拠についてお尋ねしたいと思います。
  152. 黒野匡彦

    黒野政府委員 今の点は二点に分けられると思います。  一点は地表の事情、それから二点目は空の事情でございまして、まず地表の事情から申し上げますと、今の羽田空港の沖合をどんどん埋めてまいりますと、大型のコンテナ船が通る航路にぶつかります。さらにその沖には廃棄物処理のためにやっと東京都と千葉県がまとまった埋立地がございます。それに悪影響を与えてまで空港を拡張するということはなかなか難しゅうございます。  それから、空の事情でございますが、先生方空港を御利用いただくときの感想と実際の滑走路の方向が若干違いまして、あの滑走路はほぼ南北を向いておりまして、仮に北の方に離陸いたしますと、真っすぐ参りますと、例えば高輪とか白金とか、さらには渋谷とか、そういう住宅街の真上を飛ぶことになります。その上をあのジャンボ機が二、三分に一機ずつ飛ぶという状態を想定していただきますと、果たして東京都民の方々がわかりましたと言っていただけるかどうか、これはどうしても悲観的にならざるを得ません。  現に、今回工事中の沖合展開も、東京都及び地元公共団体との話し合いで騒音対策のために沖合に延ばす、完成後も決して陸側に向かっては離陸しませんよという合意をベースにしてやっておるわけでございまして、この辺の打開策、一口で申し上げますと、環境対策は極めて困難であるというふうに考えております。  私どもも専ら航空行政空港立場からいいますと、あのポイントというのは大変利用者の方にとっても便利でございますし、あそこをどんどん拡張することが夢ではございますが、その夢を追う余り首都圏の空港能力の拡大がおくれてはいけないと思いまして、先ほど大臣がお答えを申し上げたとおり、新しい首都圏空港についてチャレンジをしたい、かように思っておるところでございます。
  153. 福留泰蔵

    福留委員 この羽田空港の再拡張というものを仮に行ったとしても増便につながらないというふうなことの根拠として、環境問題、それから環境問題に伴う空域の問題、そして海上運送の航路の問題をおっしゃったと思います。  これは物理的な問題もございますので、その制約があるということは非常に理解するわけでございますけれども、どうも空港をつくるという発想が、例えば土地を埋め立てたり、あるいは新たな土地を確保して、その上に構造物をつくって、滑走路を引いてというふうな、表現が適切かどうか知りませんけれども、土木的な、ハード的な発想というものが先行しているなという感じがしているわけでございます。これからの時代、非常に狭い国土でございますので、既存の資源というものを最大限有効に活用していくというソフト面でのいろいろな知恵を出していくということが重要になってくるのではないかなと私は思います。  今おっしゃった二つの困難な問題点も、物理的な問題として困難であるということは大変理解するわけでございますけれども、やはりせっかくある東京国際空港東京から非常に近い、お客様が非常に利用しやすい位置にある東京国際空港、沖合展開計画が完了したときには二十五万五千回の離発着が可能であるというふうな想定があるわけでございますけれども、それ以上にそのソフト面での研究を今後ともぜひ努力されて、それから今困難であるとおっしゃった二つの問題点もこれからのいろいろな技術の進歩によってクリアできないのかどうか、そういう面での研究も継続的に続けていただかれることを要望申し上げる次第でございます。  時間も過ぎてまいりましたので、続きまして、これからの車社会の問題について質問をさせていただきたいと思います。  今や我が国の総人口一億二千万人のうち六千七百万人の方々が免許を有しております。また、車の保有台数は六千八百万台に達しておりまして、今や自動車は国民生活に不可欠なものとなっております。その一方で、慢性的な交通渋滞、排ガス等によります環境問題、交通事故の多発などが社会問題となっておりまして、そのあり方が見直されているわけでございます。来るべき二十一世紀に向けて、安全で人にも地球環境にも優しい車社会をつくっていかなければならないと私も考えているところでございます。  これからの車社会を考える際の重要なポイントとして、我が国の道路交通の、国土の狭さからくることかもしれませんけれども、密度の高さということが指摘されているわけでございまして、アメリカに比べて十五倍、それからヨーロッパと比較しても四から五倍というような大変な高密度社会であるということによって、大変困難な状況の中での車社会というものをつくっていかなければならないと思っております。  施設整備の充実等も当然図っていかなければなりませんけれども、先ほどの空港の問題でも申し上げましたけれども、限られた資源を有効に活用するためのソフト面での検討も非常に重要であろうと思っております。  こういう状況の中で、地域社会における今後の交通のあり方、特に自動車交通のあり方について大臣の所見を伺いたいと思います。
  154. 亀井善之

    亀井国務大臣 我が国における自動車の普及台数は、委員今御指摘をいただきましたように、約七千万台、このような状況にあるわけでもありますし、国民の身近な足として、また我が国経済を支える物流の動脈として、現代社会に不可欠なものとなっているところはもう十分御承知のとおりであります。  また一方、御指摘のように、可住面積当たりの自動車の台数が非常に多い高密度な車社会であり、急速なインフラ整備が期待できない実情にかんがみ、交通混雑の緩和、環境対策、安全性の向上等の施策の推進が不可欠、このように考えております。  このような視点から、運輸省としては、バス交通の利用の促進、共同輸配送による輸送の合理化、パーク・アンド・ライド、時差出勤などの交通需要マネジメント施策等の混雑緩和対策、自動車単体規制の強化、低公害車の普及促進等の環境対策、安全基準の強化、適正な運行管理、車両管理の徹底等の安全対策等、各般の対策について積極的に取り組んでいるところでもあります。  今後、各関係省庁とも連携しつつ、安全で環境と調和のとれた車社会の実現を目指していくということを考えてまいりたい、このように考えております。
  155. 福留泰蔵

    福留委員 これからの時代を考えてみるときに、一つのキーワードが高齢化社会、超高齢化社会が来るだろうと言われております。交通問題で、特に、かねて言われております高齢者の皆様それから障害者の皆様を含めた交通弱者と言われる方々に対するさまざまな対策というものが、当然必要だろうと思っているところでございます。  こういう交通弱者と言われる方々、高齢者それから障害者の皆様、そういう方々に対しての政策というものは、当然、健康で元気に暮らしている人たちに対しても優しい車社会になるだろうと思うわけでございまして、こういった面の制度なりそういう充実等が非常に重要だろうと思うわけでございますけれども運輸省としてのこの高齢化対策、交通弱者対策としての施策をお伺いしたいと思います。
  156. 山下邦勝

    ○山下政府委員 今委員指摘のとおり、これからの交通問題を考えるに当たりまして、高齢者や身体障害者等の方々に対しまして開かれた優しい交通体系を構築するという視点が非常に重要になってきておると思います。  こういう点を踏まえまして、例えばバスなどにつきましても、リフトつきのバスでございますとか、スロープで易しく上がっていけるようなバス、こういったものの導入を今図っておるところでございます。さらに平成八年度につきましては、これらに加えまして、超低床のノンステップバス、これはヨーロッパの方では既にある程度実用化されておりますが、我が国の場合、坂道が多いということもありまして、すんなり受け入れられるかどうかの問題はございますけれども、適した都市についてはこういったものの導入を図って、例えば歩道の縁石からそのままバスへ入れるようなことになれば、バスのステップが非常に高齢者の方にとってはきついという御指摘もございますが、こういったことの解決の一助になるのではないかと思っておるところでございます。  また、特にハンディキャップを持たれた方にとっては、福祉タクシーといったものも非常に重要な問題になってきておるところでございます。残念ながら、今のところ台数の問題等もございまして、非常に車両価格が高いといったようなことが一つのネックになっております。もちろん、我々ができる免許の問題でございますとか増車といったことについては、この重要性にかんがみまして柔軟に取り扱っておるところでございますが、こういった動きが一層促進され、全体としてコストが下がるようなやり方についてもさらに検討いたしていきたいと思っておるところでございます。
  157. 福留泰蔵

    福留委員 今山下自動車交通局長から御答弁いただきましたけれども、その中で福祉タクシーというお話をいただきました。バスについては、低床バス、超低床バス、またリフトつきバスとかスロープつきのバス等導入されており、これらについては、これ単独ではないと思いますけれども、バス事業者に対する助成制度があると伺っておるわけでございます。  しかし、今お話しいただきました福祉タクシーについては、これからコストを下げるような方向で努力していきたいというようなお話もありましたけれども、具体的にこの福祉タクシーに対する助成、例えば福祉タクシーというのはまた特別の車両になるわけですから、台数が少ないと、つくること自体も非常にコストが高くなるということもあります。また、そのコストの高い車を購入して運行するタクシー運行業者の方々もコストが高くつくというようなこともございまして、こういう福祉タクシーというものは、障害を持たれた方々、高齢者の方々には非常にありがたいものとなっているわけでございまして、ぜひともそこに対する誘導する政策、助成制度導入というものを求めておきたいと思います。この点について御答弁をお願いしたいと思います。
  158. 山下邦勝

    ○山下政府委員 確かに今後、我々といたしましても、タクシーが今のマイカーとの競争の中で、メーンが今のような業務の輸送だけだろうかという感じもいたします。そういう中で、タクシー業界もこういったことに取り組むとともに、特にこういう問題になりますと地域の自治体と深くかかわってくるわけでございまして、どういう形で進められるか、今申し上げましたように、今委員指摘のような車両の開発も含めましてさらに検討をしていきたいと思っております。
  159. 福留泰蔵

    福留委員 もう時間が残り少なくなりました。最後の質問にさせていただかなければなりませんので、予定した質問は省かせていただきまずけれども、これからの車社会、先ほど来申し上げているとおり、環境に配慮するということ、それから、当然安全な車社会をつくっていかなければならない等々、重要な課題があろうかと思いますけれども、ぜひ精力的な取り組みをお願いしたいと思うわけでございます。  自動車の関係で最後に一点だけお尋ねしておきまずけれども、これは先ほどの航空交渉の問題ではありませんけれども、自動車分野におきましても、国際的な中での協調というものはこれから大事になってくるだろうと思います。そういう自動車基準の調和の問題というものはさておきましても、私が一つ別なことで懸念するのは、昨年、高度道路交通システム、ITS世界会議というものが開かれたようでございます。これは、二十一世紀の自動車社会を視野に入れた新技術が実用化に近づいたことがアピールされているようでございまして、このITSというのは、情報通信技術を駆使して走行する完全自動運転や、車や道路の高度な情報システムの実用化を目指しているものであります。そのカバーする領域が、自動車に限らず、道路建設、交通管制・管理、通信、電機、電子、情報サービスなど多岐にわたっておりまして、モービルマルチメディアとも呼ばれているようであります。市場としても五十兆円市場と目されておりまして、この新しい産業への期待は大変大きいと聞いているところでございます。  しかしながら、この推進体制についての不安が指摘されておりまして、ITSは、その規格の世界標準化というものをめぐって先進国間で激烈な戦いが既に展開されている。欧米では、国家プロジェクトとして一体的な支援体制が構築されているようであります。しかし、日本には統一した担当省庁がないということが指摘されておりまして、我が国の固有の技術で高い優位性を保持できたとしても、官民一体となってこのITS規格の世界標準化を有利に進めない限り、新産業の創出どころか、既存産業が世界市場から後退を余儀なくされるおそれさえあるというような指摘があるわけでございます。今や米国のビッグスリー、また韓国の自動車産業の台頭等によって、日本の自動車業界も世界的な大競争の時代を迎えているわけでございます。  そういった観点から、日本の自動車産業が生き残るためには、安全、環境、情報化へのさらなる技術開発を当然やっていくことはもとより、世界で勝負するために官民一体となった取り組みが必要だろうと思いますけれども、最後にこの点について運輸省の御見解を伺って、質問を終わりたいと思います。
  160. 山下邦勝

    ○山下政府委員 今委員から御指摘のように、昨年、横浜でITSの世界大会をやりました。我が国におきましても、高度情報通信社会におきます交通のあり方というものに対する関心が非常に高まっております。我が国におきましても、関係する省庁でこれをどういうふうに進めていったらよいか、確かにおっしゃるとおり、力が結集されませんとこういう大きなプロジェクトは進まないということでございますので、私どもといたしましても、先生方ともまたよく御相談をして、本当にこれが進むような形で体制を組んでいきたいと思っております。  私どもも、例えば先進安全自動車、ASVと呼んでおりますが、これも今年度で一つの区切りを迎えまして、さらに次のステップへ進むつもりでございますけれども、こういったもの、単体としてはかなり各省ともいろいろなものを用意しつつございますので、これからこれを統合していくという目的に向かって、さらに進んでいきたいと思っておるところでございます。
  161. 福留泰蔵

    福留委員 質問を終わります。どうもありがとうございました。
  162. 辻一彦

    辻委員長 以上で福留泰蔵君の質問は終了しました。  米田建三君。
  163. 米田建三

    ○米田委員 亀井運輸大臣は、過日の当委員会における所信表明で、「国連海洋法条約の早期締結を目指し、国内法制の整備及び海上保安業務執行体制の充実強化に努めてまいります。」と述べられました。まさに同条約に係る東経百三十五度以西の海域における排他的経済水域の設定に関連をいたしまして、竹島問題が再燃をしております。韓国では、日章旗やあるいは我が国池田外相の人形が焼かれ、あるいは同国政府も同国の世論を扇動し、対馬も韓国領土であるというふうなばかげた主張すら韓国の世論の中には出現をするに至っているわけでございます。また、二月の十五日には韓国海空軍の軍事演習も行われました。  まず最初に伺いたい点は、島根県竹島が、歴史的事実に照らしても、あるいは国際法上も我が国固有の領土であるということを確認をしておきたいわけでありますが、外務省に我が国の主張の論拠についてまず御説明をいただきたいと思います。
  164. 高田稔久

    ○高田説明員 竹島の領有権に関します我が国の論拠でございますが、竹島に関しましては、古くから我が国の領有権を明確に示します文献あるいは地図が残っております。例えば江戸時代の初期には、伯耆藩、鳥取でございますが、伯耆藩の大谷、村川両家が現在の竹島を幕府から拝領し、経営をしていたという記録がございます。また、一九〇五年二月には、閣議による決定及びそれに続く島根県告示によりまして、日本政府は近代国家として竹島を領有する意思を再確認しております。
  165. 米田建三

    ○米田委員 一方、韓国側も、韓国の立場として自国の領土であるということを主張しておるのですが、この韓国側が掲げている論拠、そしてそれに対する我が国の反論、要点をひとつ簡潔に御説明を願いたいと思います。
  166. 高田稔久

    ○高田説明員 韓国側は、例えば十五、六世紀ごろの古文献に、竹島につきまして、干山島あるいは三峰島という名で記述があるというようなこと、あるいは戦後、日本占領及び戦後処理のためのGHQ覚書等を根拠に、竹島が韓国の領土である旨、主張をしているものと承知をしております。  しかし、韓国側の挙げております文献からは、その干山島あるいは三峰島が竹島に該当していることを実証できるような積極的な根拠はないというふうに我々考えておりまして、むしろそういう文献はそれが竹島でないということを示しておるものでございます。  それからGHQの覚書等につきましては、かかる措置が日本国の領土の最終決定に関するものではないということが明記されておりまして、韓国側の主張は全く根拠がないと考えております。
  167. 米田建三

    ○米田委員 元禄九年、西暦一六九六年に、李朝時代の文献に、安龍福という人物がウルルン島や竹島にいる日本人を退去させ、日本において交渉したという歴史的事実があるのだということを韓国は主張の一つに掲げているわけでありますが、これはどうなんですか。
  168. 高田稔久

    ○高田説明員 安龍福の件につきましては日本側の記録等と大変異なっておるところがございまして、我々としては、これは信憑性がないものと考えております。
  169. 米田建三

    ○米田委員 あえて当局に説明をしていただいたのですが、私も私なりにこの点、いろいろと勉強させていただきましたが、竹島が我が国の固有の領土であるということは明らかであるというふうに思っておるわけであります。  そこで、亀井大臣にひとつお願いがあります。  大臣、今当局の御説明で、竹島が紛れもない我が国の固有の領土であるということを私も改めて確信をしたわけであります。そこでひとつ大臣に、大臣の人形もまた韓国で焼かれてしまうかもしれませんが、ひとつここではっきりと、国務大臣として、竹島が、島根県竹島が我が国の領土であるということを明言をしていただきたい。
  170. 亀井善之

    亀井国務大臣 先般来、池田外務大臣がお話を申し上げておりますように、私もそのような認識を持っております。
  171. 米田建三

    ○米田委員 さてそこで、韓国は一九五二年にいわゆる李承晩ラインを設定をいたしまして、そのラインの中に竹島を含めたわけであります。そして、その二年後の一九五四年からは、同国の官憲を常駐せしめまして、国策によって韓国人民間人を所在せしめたり、あるいは各種施設の建造等、あからさまに不当な行為を積み重ねてまいりました。また二月八日には、同国外務部が接岸施設の建設の予定も発表をしておるというふうに聞いております。  辞書をひもときますと、他国を侵して土地を奪い取ることを侵略という、こういうふうになっておるわけでありますが、一連の韓国の行為は紛れもない侵略であるというふうに考えますが、大臣の認識を問いたいと思います。
  172. 亀井善之

    亀井国務大臣 今委員御発言のようなお話、そういうことになりますれば、形式的にはそのようなことになろうかと思います。
  173. 米田建三

    ○米田委員 形式ではなくて、我が国領土であるわけでありまして、そこに同国の官憲を常駐せしめています。これはもう侵略なんですね。実際に侵略をされておるわけであります。  この一九五四年以降の韓国の侵略行為に対しまして、我が国領海内の主権の確保を重要な使命の一つとする海上保安庁がどのように対処をしてきたのか、御説明願います。
  174. 加藤甫

    加藤(甫)政府委員 私ども立場は基本的に警察・治安機関ということでございまして、したがって、現実に当該の水域が韓国側に実効支配されているという現実は残念ながら認めざるを得ないということが前提に相なるわけでございますが、海上保安庁といたしましては、我が国漁船の安全の確保をするというような観点から、同島の周辺海域に巡視船を常時一隻配備いたしまして、我が国漁船の拿捕防止のための指導あるいは情報提供を実施するとともに、我が国漁船の出漁状況等を勘案して、必要に応じて巡視船を増強配備し、警戒を行っているというような状況でございます。  そしてさらに、外務省の要請によりまして、従来から、竹島の現状を把握するための調査を巡視船により実施をしてきているという状況でございます。
  175. 米田建三

    ○米田委員 巡視船の遊よくする位置は、何か自制しておるんじゃないですか。十二海里以内に入らないようにするとか、そういう自制をしていませんか。あるいはまた、巡視船の配備でございますが、これは常時なんですか。当初は年一同程度だったんじゃないんですか。
  176. 加藤甫

    加藤(甫)政府委員 先ほど申しましたように、当該海域は既に、残念ながら韓国側の実効支配のもとに置かれている。したがって、私どもの巡視船の行動が直ちに日韓間の新たな外交問題を惹起するという可能性、危険性というものも当然あるわけでございまして、巡視船の行動につきましては、そうした観点を踏まえ、また一方で我が国の主権を意思表示するという観点もございますから、そうしたような状況を総合的に勘案して、竹島周辺十二海里の内外におきまして、ケース・バイ・ケースで対応をしてきているという状況でございます。  そして、先ほど先生、年一回とおっしゃられましたのは、竹島の状況を実態把握するための調査を最低年一回は実施しょうということでございまして、巡視船そのものは、竹島周辺におきまして常時一隻、場合によりましては二隻配備をするということでずっと来ております。
  177. 米田建三

    ○米田委員 我が国の領海の中で、例えば伊豆大島でもどこでもいいんですよ、突如、わけのわからない集団が上陸して不法占拠したら、当然この排除行動はやるわけでしょう。要するに、この竹島に限って、本来当然なされるべき排除の行動がなされてこなかった、しかも、四十年を超える年月、そういう国家としての当然の対応措置をとってこなかったというふうに私はそれは結果的に言えると思うんですね。つまり、これはどういうところにそういうブレーキをかける原因があったんですか。いわゆる政府の平和的解決という方針があったからですか。
  178. 加藤甫

    加藤(甫)政府委員 私ども海上保安庁からお答えすべき問題かどうか、この点はさておきまして、私ども、基本的に海上における警察・治安機関でございまして、現在あのような状況になっている状況を実力をもって回復を図るというような機関として海上保安庁が適当であるかどうかという点はあるわけでございますが、基本的に、このような竹島の置かれた状況につきまして、政府全体の方針といたしましては、あくまで平和的な話し合いによる解決を図っていこう、粘り強く解決を図っていこうという政府方針が現にあるということで、それに基づいてとられた措置、これが従来までの積み重ねである、このように理解をいたしております。
  179. 米田建三

    ○米田委員 昭和二十七年以降、何回か銃撃を受けていますね。何回程度、そしてどういう状況で銃撃を受けたのか、御説明願います。
  180. 加藤甫

    加藤(甫)政府委員 当庁の巡視船がかつて竹島周辺海域において銃撃を受けた事例は、三例ほどございます。いずれも竹島周辺、竹島の至近におきまして、巡視、警戒、パトロール業務を遂行中の出来事でございました。
  181. 米田建三

    ○米田委員 竹島海域だけに限定しなければ、韓国側から我が国の巡視船が銃撃を受けた例というのは十六回ほどあるはずなんですね。  そこで、今回この問題が再燃して以降、韓国は竹島の占拠体制を一層強化をしているというふうに伝えられているわけでありますが、当局は、この竹島の現況、韓国によるこの占拠体制の現況、従来と比較してどのように変わっているのか、詳細にちゃんと把握していますか。
  182. 加藤甫

    加藤(甫)政府委員 韓国が占拠体制を強化している、例えばそこに常駐している人員を増員しているといったような事態が報道されておりますが、私どもは報道により承知いたしておりまして、現にそのような員数がそのとおりにふえているのかどうかということを直接に確認はできておりません。
  183. 米田建三

    ○米田委員 情けない話なんですよね。海上保安庁が報道により承知をしている。さっき巡視船をきちんと状況把握のために派遣しているんだというお話でしたが、その巡視船の能力では状況を正確に把握できないということですね。
  184. 加藤甫

    加藤(甫)政府委員 そこの島にいる人数が何名になったかということまでは、残念ながら私どもの能力ではできません。
  185. 米田建三

    ○米田委員 当然韓国が占拠態勢を強化しておるということで、我が国も対抗措置を強化する。これは世界どこを見ても、国家として当然だと思うのですが、海上保安庁は、今回の事態、新たにこの再燃をした事態の中で、既に何らかの措置をおとりなのか。また、今後新たな措置をおとりになる予定がありますか、海上保安庁の職務の中で。
  186. 加藤甫

    加藤(甫)政府委員 今回の竹島問題の一連の動きの中で、従来の態勢を引き続いて堅持をしていきたいというように考えております。  なお、こうした状況にあるということにつきましては、巡視船艇の乗組員等に十分の対応、注意を払うべく注意喚起をいたすというところでございまして、態勢を増強するとかいったような点につきましては、現在のところ淡々と従来どおりの議論を進めていくということでございます。
  187. 米田建三

    ○米田委員 要するに、何にもしないということなのですね。殴られ放題殴られましょうという話なわけで、そこで、防衛庁お見えになっていると思うのだけれども、ちょっと防衛庁に伺います。  自衛隊は、自衛隊法第七十六条によって国土への直接侵略に対して防衛出動ができる、こういう使命を帯びているわけですが、もちろん最終的には内閣総理大臣の命令それから国会の承認を必要とする、こういうことになっておりますが、この竹島の問題について、国家防衛の任に当たるところの防衛庁が何らかの対応措置を検討されたことは、この四十数年間の間にありますか。
  188. 金澤博範

    ○金澤説明員 竹島は、我が国固有の領土ではございますけれども、現在韓国によって不法に占拠されておる状況でございます。しかしながら、竹島の問題につきましては、戦後ないし占領解除の前後の混乱の中から生じて今日に至ったものでありまして、日韓間の懸案として、あくまでも平和的に解決すべきであるとの立場に立って対処していっておりますところでございまして、自衛隊が対処すべき問題であるとは考えておりません。
  189. 米田建三

    ○米田委員 かつて、名前は言いませんが、制服組の幹部の方とこの竹島の問題についていろいろ意見交換をした、そういう機会がございました。泣いていましたよ。たとえ自分たちは撃ち落とされても、まともな普通の国家として、国民に実情を知ってもらうために偵察飛行ぐらいはやりたいのだが、上が許さないのだ。こんな話を聞かされたことがあります。韓国側を刺激しないために、たとえ偵察であっても、自衛隊の艦船や航空機が竹島に近づくことをずっと我が国の歴代政府は抑えてきたわけですね。  これは、やはり防衛庁に重ねて聞きますが、平和的解決、相手がどうであっても我が方は平和的に対応するのだという、その政府方針のもとで何ら対応措置を検討しなかったということなのですか。
  190. 金澤博範

    ○金澤説明員 繰り返しになりますけれども、竹島の問題につきましては、日韓間の懸案として平和的に解決するのだという立場に我々立っておるところでございまして、自衛隊が対処すべき問題であるというふうには認識しておらない次第でございます。
  191. 米田建三

    ○米田委員 現実に向こうが武装して占領をしているわけですね。しかし、今の海上保安庁や自衛隊の御答弁のように、我が国という国は、この現状においては明らかに不当な攻撃を受けても何もできないのだという、そういう一つの前提に立っているわけであります。  外務省はどうこれまで対応してきたのか、また今回の事態を受けて、今後どのように対応していくつもりなのか、外務省のお話。
  192. 高田稔久

    ○高田説明員 外務省といたしましては、日韓間の紛争につきましては、昭和四十年に締結された紛争解決に関する交換公文により平和的に解決をするということとされておりますので、今後ともそれは平和的な解決の努力というものを続けていきたいと思っております。それからいろいろと、韓国側の動きといいますか、そういう各種施設の構築といったことに対しましては、我が国として、種々の機会をとらえまして我が国の立場を申し入れております。  いずれにいたしましても、本件につきまして、日韓両国の立場の相違というものが、これは我が国の立場は一貫したものでございますけれども、両国民の感情的な対立に発展をして両国の友好協力関係を損なうことは適切ではないと考えております。あくまでも韓国とは友情を持って話し合える状況を保つよう努力することが必要であって、今後とも両国間で冷静に話し合いを積み重ねていくよう努力していく考えでございます。
  193. 米田建三

    ○米田委員 友情を持ってといっても、向こうがこっちを殴りつけているのですよ。  それはさておき、一昨年の十一月に外務大臣の臨時代理談話として、今国会中、すなわち現在のこの国会ですが、今国会中を目途に国連海洋法条約の批准案を提出をするのだ、こういう談話がありました。また、本年二月二十日の閣議了解では、排他的経済水域の設定と大陸棚の法整備は農水相、それから領海及び接続水域の法律の取りまとめは運輸相と、ここまで決まっておる。ところが、今回のこの竹島問題の再燃を契機に、たとえ批准をされたとしても排他的経済水域の線引きを延期しようという考え方政府部内に出てきているというふうに聞いておりますが、もし事実ならば、これはもう問題の先送りであり、先延ばしであり、私は極めて好ましくないというふうに考えている一人であります。  そこで、この批准案の提出時期及びそれに続く線引きの時期について、めどを明らかにしていただきたいと思います。
  194. 高田稔久

    ○高田説明員 政府といたしましては、先般二十日に閣議了解に示されました基本方針に従いまして早急に準備を進め、できる限り早期に国連海洋法条約それから関連の国内法案を一括して提出をし、御審議をいただけるように努力してまいりたいと思っております。
  195. 米田建三

    ○米田委員 線引きは直ちにやるのですか、その後。あれは外交交渉の必要はないのだ、この海洋法条約というのは。
  196. 高田稔久

    ○高田説明員 排他的経済水域の設定につきましては、現在、関連の法案を先般の閣議了解に示されました方針に従って準備をしていくところでございます。そして、国会で御審議をいただきましてその法案が成立をするということになれば、当然その中で施行の時期というようなことも入ってくると思いますけれども政府としては、それは早急に準備をして国会に提出をしたいと思っております。
  197. 米田建三

    ○米田委員 大臣、相手が実力行使をしておるわけですよ。にもかかわらず、言葉だけの異議申し立てたけでは何の効果もないのですね。それが私はこの約四十年間の現実だったと思うのです。言ってみれば、自分の家に侵入してきた強盗に頭を下げて、おとなしくしてくださいとお願いしているようなものでして、何の効果もない。  例えば、あえて外交上の措置、あるいは場合によっては防衛力のデモンストレーションも含めて、緊張関係を高めて、日韓の良好な関係というものを戦略的に不可欠要件とする米国をもこの問題解決に引きずり込むとか、これは役所の方を幾ら責め立ててもしようがない、政治家の責任なんですが、そういう戦略というものをきちんと立てる時期に来ているのじゃないでしょうか。でなければ、ただただ空文句の平和的手段、平和的手段。要は、間もなく韓国の不法占領が半世紀になろうとしているわけでございます。  私は、この問題は一孤島の領有権の問題にとどまらない。国家が辱めを受け、そして国益が損なわれている。それに対して何の実効的な対抗措置もとらない。私は、これは国民精神の崩壊につながると思うのですね。国家の存立の危機につながっていくと言っても私は大げさではないというふうに考えているのです。次の世代の教育上もよくありませんよ。海上保安の最高の責任者として、大臣のお考えを聞きたいと思います。
  198. 亀井善之

    亀井国務大臣 いろいろ御意見もございましたが、やはりこの問題につきましては外交ルートを通じて何としても粘り強く解決を図っていく、これが政府考え方でありますし、また、それが一番大切なことじゃなかろうか、私はこのように考えております。
  199. 米田建三

    ○米田委員 我が国憲法の前文に、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」こうあるわけであります。こういった片思いともいうべき善意の塊みたいな国是は明確に愚弄されているわけでありまして、私は、このくだりは極めて現実的ではないと思う一人でございますが、大臣、どう思われますか。
  200. 亀井善之

    亀井国務大臣 当面はやはり外交ルート、これを中心に粘り強く、いろいろ今日までやってきておりますことですし、さらにそれを努力をするということに尽きると思います。
  201. 米田建三

    ○米田委員 我々は無論、平和と友好という人類普遍の理想の追求をしていかなければなりません。しかし、国家間の利害が現実に力と力のせめぎ合いという形の中で決せられていくという、これまた普遍的な国際政治の真実からも、政治家の責任として目を背けてはならないというふうに思うわけでございます。  そこで、竹島の問題にも関連をするわけでありますが、次の質問でございます。二百海里線引きの後の海上の保安体制について伺います。  現状でも、外国漁船による領海内十二海里の侵犯操業は頻発をしております。あるいはまた、日本側漁民の資源管理の努力等を無視して、韓国や中国の漁船が大変乱暴な操業を我が国の近海で繰り返しております。今や日本の海は韓国、中国船にじゅうりんをされておる、こういう実態であります。今後、二百海里の排他的経済水域で外国船の侵犯操業を取り締まるとなれば、現状の体制では不可能ではないでしょうか。日本じゆうの漁民が大変そういう大きな不安を抱いているわけであります。  対中国、韓国ということだけを考えてみましても、東経百三十五度以西の新たに拡大する経済水域は約五十万平方キロメートルでありまして、日本の国土より広いのですね。従来、一千トン以上の巡視船が四十六隻で約三百六十万平方キロメートルをカバーしてきたはずでございます。これでも、先ほど申し上げたとおり、海上保安あるいは侵犯行為の取り締まり体制という意味では足りていなかった。今回さらに五十万平方キロメートルが拡大されて、一体何隻ぐらい巡視船をふやしていく必要があるのか。この辺は当然、当局はお考えであろうと思いますが、いかがでしょうか。
  202. 加藤甫

    加藤(甫)政府委員 御指摘のように、二百海里の新たな設定によりまして、外国人の漁業の監視、取り締まり、あるいは海洋汚染の防止のために当庁が管轄権を具体的に行使しなければならない海域が広がりますが、ただ、現在のところ、どのような規制が、つまり日韓あるいは日中との間におきまして二百海里の漁業秩序がどのようなものになるのか、そういったような点につきまして具体的にまだ明らかになっておりません。どのような海域に許可が行われるのか、あるいは全く行われないことになるのか、何隻ぐらい許可が対象になるのか、そういったようなこと。  したがいまして、現在、どの程度に巡視船艇をさらに増強していかなければならないのかという点について、具体的な数字は今のところ検討中でございまして、今、残念ながら申し上げることができる数字は持ち合わせておりません。
  203. 米田建三

    ○米田委員 さっきの外務省の話ですと、早期に締結をして、そうしたらまた直ちに線引きをやると言っているわけですよ。今月は平成八年二月でして、あと十カ月もあるわけですから、まさに平成八年度予算の中でその考え方、方向性というものを、計算できていないにしても示されていなければならないと思うのですね。五十万平方キロといいますと、従来の三百六十万平方キロに七分の一プラスになる。そうすると、七隻ぐらいは当然ふやさないと現状のレベルにも達しないという勘定になるのではなかろうかと私は思うのでございます。  大臣の所信表明の中で、「海上保安業務執行体制の充実強化に努めてまいります。」と述べておられるわけであります。その考え方が、言葉としてはあるわけですが、実際に平成八年度予算に盛り込まれていないのではないか、そういう疑いを強く実は私は持っているわけでありまして、例えば広域的哨戒体制の整備として巡視船新規二隻、継続十八隻、百三十六億八千二百万円が計上されています。新規と書いてありますが、これは実は老朽船の代替整備にすぎないのじゃないですか。
  204. 加藤甫

    加藤(甫)政府委員 新規という形でもって計上されております二隻はまさにおっしゃるとおりに老朽船の代替建造でございますが、新たな海洋秩序の維持に向けまして、当然、古い船の代替建造というものもあわせて進めていかなければならないということでございます。
  205. 米田建三

    ○米田委員 いや、何だかわからないな、答えが。だから私は、きちんとしたそういう方向性が盛り込まれていない、そして、新規とうたってあっても実は実態はそうであるということなんですね。  そこで、何も今この場で運輸省や海上保安庁を責めておるのじゃないのですよ。応援したいと思っておるわけですから、応援したいと。もうまことに、私は運輸省が持っている使命というものは国の存立全体にとって大変大きな使命を帯びていると思うのですね。遠慮して要求しないのか、あるいはけちっている大蔵省が悪いのか、だれが悪いのかよくわかりませんが、とにかくしっかりしていただきたい。そして、当然通されるべき要求については、我々も、野党ではありますが、しっかりと応援をしてまいりたいと思っているわけであります。  竹島問題、それから海上保安体制の充実強化の問題に絞って御質問申し上げましたが、海上における我が国の権益の確保のために、今後一層の決意を持って、断固たる決意を持って努力をされることを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  206. 辻一彦

    辻委員長 米田建三君の質疑は終わりました。  寺前巖君。
  207. 寺前巖

    寺前委員 私は、きょうは限られた時間でございますので、昨年も二度にわたって、航空局をめぐっての、何というのですか、腐敗というのか綱紀粛正というのか、その問題を引き続き、大臣が新しくおなりになっただけに、あえて聞きたいと思うわけです。  その第一にお聞きしたいと思っているのは、運輸省航空局の国内及び海外出張に関する便宜供与問題について聞きたいと思うのです。運輸省は、日本航空とか全日空とか、そういう会社に対して監督官庁であります。この監督官庁がその航空機の会社に便宜を供与してもらうという問題は、私は、これは必ずどこかで矛盾が生まれるというふうに感ずるのです。  そこで、九三年度、九四年度の、この日本航空なり全日空などから航空運賃の無償提供を受けていた件数はどういう実態にあったのか、御説明いただけますか。
  208. 黒野匡彦

    黒野政府委員 お答えを申し上げますが、その前に、私どもこれを問題という意識ではとらえておりませんので、念のため、お答えをさせていただきたいと思います。  まず、海外につきましては、平成四年度が百六十七件でございます。それから平成五年度は百八十五件、六年度が百七十二件、以上でございます。
  209. 寺前巖

    寺前委員 国内関係はどういうことになっているのでしょう。
  210. 黒野匡彦

    黒野政府委員 国内関係につきましては、実は昨年の暮れにいろいろ話題になりまして、私どもマスコミの方々に正式に発表させていただいた数字がございます。それですと、これは実は平成六年度に調べた数字しかございませんが、国内で二千三百八、これは全額無償のケースでございます。それから五〇%割引が四千七十九、合わせて六千強になりましょうか。なお、全体で出張回数が六万件でございますから、そのうちの一割という数字になっております。
  211. 寺前巖

    寺前委員 そこで、私は、この海外の問題について、まず一つ具体的に聞いてみたいと思うのです。  この航空運賃の無償提供は、これは航空局の人だったら、だれでも言うたら行けるという性格ではないだろう。こういう範疇の者について無償提供をと会社に言うのだろうと思う。どういう目的で行かすから協力してくれ、こういう提起をしておられるのか、その目的というのか基準というのか、申請される条件というのはどういうことになっておるのです。
  212. 黒野匡彦

    黒野政府委員 このいわゆるガバメントオーダーは国際的にもある程度慣行化された制度でございまして、私ども航空行政に関する者については対象になるという扱いをさせていただいております。
  213. 寺前巖

    寺前委員 ということは、どういうことなんです。航空行政に関する者については全部、すべて航空行政についておったら何でも全部無償と言える、そういうことですか。そうしたら、航空局の人が外国へ行きますよと言うたら、毎日航空行政についているのだから、何であろうと無条件に行ける、こういう話ですな。
  214. 黒野匡彦

    黒野政府委員 先生、何かあえて話を大きくされているようでございますが、航空行政でございますから、航空行政のために公務で行く場合に限るのは当然でございます。
  215. 寺前巖

    寺前委員 よくわからぬな、そうなってくると、ますますもって。  そうすると、おたくの方から平成五年度の百八十五件、海外に行った、その一件一件をずっともらいました。それから、平成六年度の海外にお行きになったのが百七十二件というのも、これもいただきました。これをもらうと、よくわからぬのが、九三年度は、百八十五件のうちで国際会議関係に行かれているのが百六十七件出てくるのです。二国間協議とかなんとかいっぱいあるのですね。それから、九四年度を見ると、百七十二件のうちで八十四件が何やら会議、IATAとかなんとか、こう書いて、いっぱい出てくるのです。  航空行政一般だ、こうおっしゃるのだけれども政府代表でしょう、行くのはみんな日本国政府を代表するわけでしょう。航空機の会社を代表するわけではないのですね。日本政府を代表する場合には、ちゃんと国家公務員等の旅費に関する法律というのがあって、それで「外国旅行」というところを読むと、「本邦と外国との間における旅行及び外国における旅行をいう。」「出張」「職員が公務のため一時その在勤官署を離れて旅行し、又は職員以外の者が公務のため一時その住所又は居所を離れて旅行することをいう。」旅費の支給は云々と、ちゃんと書いてある。海外に政府を代表してお行きになる、では、この規定に従って支給されるというのが僕は本筋だろうと思う、政府を代表して仕事をするのだから。それで民間の会社飛行機の供与を受けるということになつたら、それは提供する側から言えば、そこの会社の代表で行かれるのではないのだから、おかしな話と違うか。ちゃんと旅費規程に基づいて、きちんとした制度があるのだからその制度に乗るのが当たり前ではないかいなと。国際会議がもう圧倒的部分を占めてきて、外国に行くのは自由でございますという発想は、これはちょっと見直しをしてもらわなければいかぬのと違うやろうか。  これは規律にかかわると思うのだけれども大臣、いかがですか。新しくおつきになったから率直にお感じになった面を、長年やっておられるのだから、もうその沼の中に入っているから抜け出すのは大変だろうと思うからあえて聞かないでもいいから、大臣にちょっと聞きたいと思うのです。
  216. 黒野匡彦

    黒野政府委員 済みません、大臣の前に一言。  航空というのは、今さら申し上げるまでもなく国際的なネットワークでございまして、例えば、どういう方式で飛ばすとか、どういう無線の周波数で交信するとか、すべてにつきまして国際的な打ち合わせが要ります。したがいまして、我々、かなり頻繁に国際的な会議あるいは打ち合わせに飛び回っておりまして、結局、そういうことが航空全体の発展に寄与するという背景から、先ほど申し上げましたとおり、国際的にもそういう仕事をする人に対しては無料で乗せてもいい、乗せようではないかというのが、IATAといいまして、航空事業者の方の団体でルールができているわけでございます。  したがいまして、先生の御指摘のように、それが癒着ではないかという御指摘、これは一面、私も気をつけなければいけないと思っておりますが、今申し上げましたような性格もございますから、これをすべて否定するということにはならないと思っているところでございます。
  217. 寺前巖

    寺前委員 大臣に聞きたいのですけれども、例えば、僕は無償搭乗についてやっている実績を示しなさいと言ったら、運輸省航空局からこういうふうなのを送ってきた。「その目的は次のとおりである。航空法に基づく運航開始前検査・整備場の修理改造認定検査・航空機の安全性確認検査等」と書いてあるんです。そうすると、世間に言うときには、開始前検査や整備場の認定検査や航空機の安全性確認検査、そういうことで使わしてもらう。なるほどな、それはそうやろうな、ちゃんとしておいてくれや、大臣が所信でおっしゃったように、安全性を保つために。だれだってそう思う、これだけ来たら。ところが、現実は国際会議に行くのが圧倒的だとなってきたら、これを隠れみのにして「等」のところにその仕事の方の大部分があって、人様に言えぬことをやっておるのと違うかいな。それはそう感じますよ。大臣、そう思いませんか。
  218. 亀井善之

    亀井国務大臣 今委員からいろいろ御指摘がありました。しかし、会議も検査だとか安全だとかいろいろのことがあるわけでありまして、大変いろいろの業務が増大をしておるわけでありまして、これに対応する。また先ほど来、国際的にも認められた慣行、こういうことを考慮すれば、この制度航空行政の遂行上必要なものと認識をいたします。  いずれにしても、その運用に当たっては御批判を受けることのないよう、この制度の趣旨に即した使途に限り今後とも厳正に対処してまいりたい、このように考えております。
  219. 寺前巖

    寺前委員 僕は見直しをあなたにしてほしいんだ。どうも理解できぬ。  それじゃ具体的に聞きましょう。九四年十一月七日から十三日にAPECの高級事務レベル会合及び閣僚会議にこれが使われていると、これは例えばAPECのところを見たらちゃんと書いてあるんだ、それに行きましたと。外務省おられますか。これはもう運輸省がやっている仕事じゃなくて、APECだから外務省が中心になっていろんな省が行かれたと思うんですよ。どんな省が行きました、わかりますか。
  220. 草賀純男

    草賀説明員 お答えいたします。  九四年十一月に行われましたAPEC関係の第四回の高級事務レベル会合及び閣僚会議へ出張した省庁名といたしましては、経済企画庁、科学技術庁、外務省、大蔵省、文部省、農林水産省、通商産業省、工業技術院、資源エネルギー庁、中小企業庁、運輸省、郵政省、以上でございます。
  221. 寺前巖

    寺前委員 その場合に、外務省は旅費規程に基づいてお金を出して行ったんでしょう。ほかの省もどこかに出してもらうんですか。それはどうなっていますか。これは、運輸省はただで行きましたということだ。ほかの省はどうですか、同じ会合に行くんだけれども。おたくの方はどうしました。
  222. 草賀純男

    草賀説明員 私、必ずしも全省庁の出張手続についてつまびらかにしておりませんけれども、本件会合への外務省からの出張につきましては、旅費を含めて通常の出張手続に従って行われておるというように承知しています。
  223. 寺前巖

    寺前委員 僕は当たり前だと思うね。外務省やらいろんな省が出ていって、みんな、おまえのところ監督官庁だからただか、どう考えたっておかしな話だな。飛行機の検査のために私は来ているんだと言うたら、ああそれは御苦労さんと言うと思う。だけれども、同じAPECの会議に行っておって、ああおまえのところは監督官庁だからただやったのか、いいなおまえのところは、それならあとの分、飛行機運賃は懐に入るのかとか、私だったらそんな話になるで、正直に言うけれども。恐らく僕はそんなことにはなっていないと思う、知らぬから。だけれども、どうも不合理だと思う。国際的な会合に行くんだったら国際会議に行くと、ちゃんと普通どおりに、出張の手続が法的にあるんだから、それに基づいてやるということをきちんとするべきだ。  それで、先ほどおたくの方からもらった運航開始前検査とか、こうこうこういうための任務か、ああそれはそうだなと、これからきちんとけじめがつくようなやり方にしてもらう必要があるんじゃないだろうか。私、改めて運輸大臣にその点を見直してくれと問題提起したいと思うんですよ。どうです、見直してくれますか。
  224. 黒野匡彦

    黒野政府委員 先生は冗談で言われたんでしょうけれども、非常に胸に響く言葉でございますからはっきりお答えしておきますが、私どもは差額をポケットに入れるようなことは全くございませんで、これは我々の懐とは全く関係のない話でございます。国民の税金で行くか、事業者の方に負担してもらうかという形になるわけでございまして、本来なら国民の税金で行くというのが筋だということは私もそれはわかります。わかりますが、例えば、今アメリカで日米貨物交渉をやっておりますが、アメリカの担当官が、では来週もう一回やろうと言ったときにこちらの首席代表が、ちょっと待ってくれ、うちの会計係に聞いてみないと金があるかどうかわからないから待ってくれというのでは、これは交渉の気合いが違いますから、我々はやはりこの制度というのはこれからも大事だと思っております。
  225. 亀井善之

    亀井国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたが、この運用に当たって御批判を受けることのないよう、この制度の趣旨に即した使途と、運輸省はいろいろな仕事、海外関係のこともたくさん持っております。今局長からもお話し申し上げましたとおり、いろいろそれに対応できない予算、こういうものもあるわけでありまして、今後とも厳正にそれに対処してまいりたい、このように考えております。
  226. 寺前巖

    寺前委員 私はそんなことないだろうなということを害うただけであって、あると思っていると言っているのと違うんだ。人が同じ会合に行って、運輸省だけ何やただやったのか、それはおかしいなと疑いの目で見られるでと言っているんだ。それはしようがないで、疑われたって、おかしいんだもの。  それから、運輸省は対外的な仕事がいっぱいある、対外的な仕事は外務省の方がもっとあるわ。外務省みんなただで乗せてやれよ、それやったら、という話になるでしょう。おかしいよ、そんなことになったら。日本の政府を代表する以上は、政府代表として日本の国民の税金を使ったらいいですよ。そんなものは当たり前のことですよ。毅然としてこういうことに対処しなかったら、日本政府代表としての資格がない。そんなもの、会社に雇われているのと一緒やないかと言われることになるよと言うのや、私は。そういう点は毅然としてやってもらいたい。私は亀井さんをよく知っているからあえてあなたのときに言うわけじゃないけれども、毅然として、あなたがこの際に見直してくれよ。私はそのことを要求して、もう時間になるだろうから終わりたいと思うけれども、検討してくれるか、大臣
  227. 亀井善之

    亀井国務大臣 今後とも厳正に対処してまいりたい、このように考えております。
  228. 寺前巖

    寺前委員 終わります。
  229. 辻一彦

    辻委員長 以上で寺前巖君の質疑は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十九分散会