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1996-05-31 第136回国会 衆議院 安全保障委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月三十一日(金曜日)     午前九時開議 出席委員   委員長 松岡滿壽男君    理事 瓦   力君 理事 浜田 靖一君    理事 町村 信孝君 理事 佐藤 茂樹君    理事 西村 眞悟君 理事 平田 米男君    理事 田口 健二君 理事 前原 誠司君       麻生 太郎君    大野 功統君       金田 英行君    岸田 文雄君       高橋 辰夫君    橘 康太郎君       谷  洋一君    中山 正暉君       野田 聖子君    平泉  渉君       福田 康夫君    穂積 良行君       細田 博之君    森  喜朗君       山崎  拓君    横内 正明君       渡瀬 憲明君    石井  一君       今津  寛君    大石 正光君       河合 正智君    神田  厚君       古賀 正浩君    斉藤 鉄夫君       塚田 延充君    月原 茂皓君       山田  宏君    大出  俊君       五島 正規君    永井 哲男君       早川  勝君    東中 光雄君       山花 貞夫君  出席国務大臣         外 務 大 臣 池田 行彦君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 臼井日出男君  出席政府委員         内閣官房内閣安         全保障室長   三井 康有君         内閣法制局第一         部長      秋山  收君         防衛庁参事官  小池 寛治君         防衛庁長官官房         長       江間 清二君         防衛庁防衛局長 秋山 昌廣君         防衛庁教育訓練         局長      粟  威之君         防衛庁装備局長 荒井 寿光君         防衛施設庁長官 諸冨 増夫君         防衛施設庁総務         部長      大野 琢也君         防衛施設庁施設         部長      小澤  毅君         外務大臣官房長 原口 幸市君         外務大臣官房審         議官      谷内正太郎君         外務省総合外交         政策局長    川島  裕君         外務省アジア局         長       加藤 良三君         外務省北米局長 折田 正樹君         外務省条約局長 林   暘君  委員外出席者         警察庁警備局外         事課長     米村 敏朗君         通商産業省貿易         局輸出課長   桑山 信也君         安全保障委員会         調査室長    下尾 晃正君     ————————————— 委員の異動 五月三十一日  辞任         補欠選任   熊代 昭彦君     横内 正明君   高橋 辰夫君     金田 英行君   中谷  元君     岸田 文雄君   中山 利生君     谷  洋一君   西銘 順治君     細田 博之君   宮下 創平君     福田 康夫君   森  喜朗君     橘 康太郎君   渡瀬 憲明君     穂積 良行君   赤松 正雄君     斉藤 鉄夫君   月原 茂皓君     古賀 正浩君   米沢  隆君     塚田 延充君   渡辺浩一郎君     山田  宏君   五島 正規君     永井 哲男君 同日  辞任         補欠選任   金田 英行君     高橋 辰夫君   岸田 文雄君     中谷  元君   橘 康太郎君     森  喜朗君   谷  洋一君     中山 利生君   福田 康夫君     宮下 創平君   穂積 良行君     渡瀬 憲明君   細田 博之君     西銘 順治君   横内 正明君     熊代 昭彦君   古賀 正浩君     月原 茂皓君   斉藤 鉄夫君     赤松 正雄君   塚田 延充君     米沢  隆君   山田  宏君     渡辺浩一郎君   永井 哲男君     五島 正規君     ————————————— 本日の会議に付した案件  自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出第  九八号)      ————◇—————
  2. 松岡滿壽男

    ○松岡委員長 これより会議を開きます。  内閣提出自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。前原誠司君。
  3. 前原誠司

    前原委員 おはようございます。新党さきがけ前原でございます。通告に従いまして御質問をさせていただきたいと思います。  まず、集団的自衛権解釈の問題について、法制局お尋ねをさせていただきたいと思います。  きのうも外務委員会質問をさせていただきましたものの続きという感じで御質問をさせていただきたいと思うわけでございますが、ACSA、そしてまたそれに伴います隊法改正ということを考えたときに、将来的なものも含めて、集団的自衛権議論というのは十分にやっておかなくてはいけないという認識でおります。  それで、この集団的自衛権の問題について、一体どういう基準判断をしていくのかということをやっておかないと、今後、四月の日米首脳会談を受けてのガイドライン見直し等々で具体的、個別的な事例を洗い直していく中で、法律的にオーケーだあるいはこれはだめだというような線引きが非常に難しくなると思いますので、そういった意味で、線を引く意味で、具体的にこの集団的自衛権解釈について詰めておきたいというふうに思うわけであります。  政府見解として、武力行使との一体化ということが常に言われるわけであります。それで、きのう外務委員会質問しましたときにお答えいただきましたのは、日米安全保障条約第六条に基づいて米軍周辺地域紛争日本基地から出動している場合、また日本自体攻撃されていない場合でありますが、日本領土内における米軍に対する水、食糧補給医療支援というものは概して憲法上認められる、こういう御答弁でございましたね。うなずいていただくだけで結構です。  それで、きのう私が質問をして答弁が漏れている部分があったのでありますけれども、それでは、今と同じような条件で燃料補給日本国内で行う場合は、これは解釈上どうなりますか、御答弁をお願いします。
  4. 秋山收

    秋山(收)政府委員 お尋ね燃料補給でございますが、確かに昨日の外務委員会答弁の中では、水と食糧補給あるいは医療支援につきましては、我が国領土内で行われる場合には概して憲法上認められるだろうという趣旨の御答弁を申し上げましたが、燃料補給につきましてはその中には入れておりませんでした。  その理由は、燃料補給は、戦闘行為に直結するような形態による補給が一方で考えられる。また一方では、単に貯蔵タンク間で、燃料を輸送して貯蔵タンクに補充するというような形態補給も考えられますので、きのうの答弁の中では、一般的な原則としまして、米国の活動我が国行為について、場所、規模、形態等、さらに詳細な検討が必要であって、確たるお答えを申し上げるのは困難であるというような一般原則を申し上げましたけれども、そのような原則のもとで考えられるべき一体化の有無は、一概に申し上げるのは困難なタイプの行為であるというふうに考えている次第でございます。
  5. 前原誠司

    前原委員 燃料補給については、戦闘行為に供されるようなものについては疑義があって、貯蔵については大丈夫じゃないか、こういうお答えでございますね。  これはこれとして、また同じような質問をさせていただきたいのでありますが、きのうのお答えの中で、一体化の定義について教えていただきたいという質問に対して、武力行使などへの関与密接性、それから距離的なもの、いわゆる他国による武力行使等一体をなす行動に該当するかどうかというのは、そういう戦闘が行われている地点後方支援がなされる場所との地理的な関係、こういうようなことをおっしゃいましたね。もちろん、それとともに具体的な内容ということもおっしゃいました。  水、食糧燃料あるいは医療支援、ほかにもいろいろな後方支援形態があると思いますけれども、それでは、きのう法制局が御答弁されました地理的な関係というのは、一体、どこまで近かったら武力行使一体となり、あるいはどこまで離れていれば武力行使一体化にはつながらないというお考えなのか、お答えをいただけますか。
  6. 秋山收

    秋山(收)政府委員 直接のお答えをする前に、一体化理論についてちょっと簡単に復習させていただきます。  その一体化理論と申しますのは、我が国行動が、みずからは直接武力行使をしていないとしても、ほかの者が行う武力行使への関与密接性などから、我が国としても武力行使をしたとの法的評価を受けることがあるという考え方でございまして、例えば、現に戦闘が行われているところ、前線に武器弾薬を輸送するというような場合には、それ自体武力行使でないとしても、我が国として他国一体化して武力行使を行っているという評価を受けることがあるということにつきましては、御理解いただけるものと思います。  しかしながら、ただいま申し上げましたような典型的な例は別といたしまして、輸送でありますとか補給などのいわゆる後方支援と呼ばれるような行動につきましては、その具体的な対応やこれを取り巻く状況が多種多様でございまして、これが武力行使一体化したとの評価を受けるかどうかにつきましてあらかじめ単純な基準を設けて一律に断定することは、一般的には困難であろうと考えます。この点は、従前から申し上げておりますような各種の基準を踏まえて、事例に即して総合的に判断していくべきものであると考えております。  それで、今お尋ね紛争地点との距離あるいは地理的な関係の問題でございますけれども、このような事情状況というのも総合勘案するに当たりましての事情一つでございまして、戦闘活動が行われている地点補給等行動がされる場所との地理的関係として総合勘案要素一つとして挙げられるわけでございますが、これはまさに総合勘案要素一つでございまして、あらかじめ例えば一定距離を示して定量化するというようなことは困難なのではないかと考えております。やはり類型化された事例に即して考えていくべきものであろうと考えております。
  7. 前原誠司

    前原委員 ガイドライン見直し等々を含めて、これから具体的に、個別具体例として何ができるのかということを日本政府あるいは与党の中でも議論をしていくわけです。きのうも外務大臣に申し上げたのですが、私はこの作業大変危惧をしておりまして、ガイドライン見直しをやる、そしてそれに基づいて個別具体例日本として現在の憲法範囲内あるいは法律解釈の中で何ができるのかといったことをやっていかなければいけないわけですね。  そのときに、個別具体例、どういう状況かわかりません、つまり、戦闘が起こっていない、それはどういうシチュエーションかわからないので法制局としてシロかクロか判断ができませんということになれば、グレーゾーンは全部だめなんですよ、言ってみれば。だって、今だって個別の具体例を私が一つ挙げても、そういうものは総合的に判断されるものであって一律にはお答えできないということを答弁されているわけです。  となると、我々がやっている作業というのは、法制局からすれば、これは全部疑わしい、どういう状況かわからない、判断が下せない、こういうふうなことになるわけですよ。  そうしたときに、指針ぐらいはまとまるけれども、個別具体的にどういう活動ができるか、そしてまた法改正は必要かということになったときに、法制局はそういう個別の判断を今のように求められた場合に、どういう状況戦闘が行われているかわからない、総合的な判断ができないということで、それはノーというふうにお答えをされるつもりですか、個別具体例になったときには。
  8. 秋山收

    秋山(收)政府委員 この一体化の問題につきましては、過去の答弁にもございますように、武力行使と見られる典型的なケース、典型的な類型、それから逆に武力行使とは認められない典型的な類型、こういうような両端はある程度申し上げることができますけれども、中間的なケースにつきましては、諸般の事情を勘案して、社会通念上の判断も加えつつ、事例類型に即して総合的に判断していくべきものと考えております。  今後、具体的な事例に即した検討関係省庁において行われることになると思いますので、その際、当局に意見を求められた場合には、十分に具体的なお話を伺った上で適切な意見を申し上げていきたいと思います。
  9. 前原誠司

    前原委員 いや、そんなことはできないのですよ。というのも、戦闘行動というのは、それこそ簡単に典型的な類型ができるものではなくて、どういうシチュエーションかというのも変わってくる、そしてまた時々刻々として変わるわけです。その中で、この場合にはオーケーで、この場合はちょっと時間がたってできないようなケースの場合もあるわけですよ。一たんやり始めて、そのときにはできたけれども次の行動になった場合にはできない、こういう明確な線引きというのはできないのですよ。  私は別に法制局を責めるつもりはきのうから全くなくて、要は、責任ある議論をこれから具体的なケースを詰めていこう、日本は何ができて何ができないのかというケースを詰めていこうという際に、どういう判断を下されるかによってそれが色分けされるのですよ。日本はこれができます、できませんということを色分けしていくわけです。  色分けしていくわけですけれども、実際問題、文言として書くぐらいはできるかもしれないけれども、戦闘行動や、あるいは自衛隊の方々の身になってそれを行う際に当たったときに、どういう状況だったら何ができるのかというふうな明確な解答というのはないのです。だって、戦闘状況も変わるし、日本が置かれている状況も変わるし、そんな変数が多いような状況において、一定の典型的な事例でもって判断するということは無理なんですよ。  ですから、この集団的自衛権判断をされる際に、もうちょっと定数的というか定量的というか、明確な判断基準を示さないとグレーゾーンは全くだめだ。  あるいは、きのうも私は申し上げましたけれども、日米安全保障条約があって、そしてその日米安全保障条約に基づいて基地提供をしているわけですね。基地提供そのものが、例えば近隣諸国に対してアメリカが飛んでいく、それに利便性を与えているということになれば、攻撃を受ける国は、これは武力行使との一体化と見てもおかしくないわけですよ。だから、基地提供するということも、厳密に考えていけば、法制局はイエスとおっしゃっているけれども、私なんかにすれば、これはグレーも黒に近いかもしれないですよ、基地提供だけでも。あるいは資金の提供もそうかもしれない。  ですから、何か今の議論、私も考えたときに非常に不毛な議論になってくるような気がして、結果、一生懸命にいろいろな省庁の方が個別具体例ガイドラインを決めて、その個別具体例の中で何ができるかできないかを決めていったときに、すべて法制局判断が、総合的に判断しないと理解できないということを言われると全部だめになってきちゃう。それが今後の作業において果たして現実的な判断なんだろうかということを私は一番危惧をしているわけです。もし何かお答えがあれば。
  10. 秋山收

    秋山(收)政府委員 現場において今御指摘のような問題が起こらないように、極力いろいろな事例を想定いたしましてその議論を整理しておくことが必要であろうと思いますが、やはり事は憲法判断にかかわる問題でございますので、慎重を期すべきものであるというふうに考えます。
  11. 前原誠司

    前原委員 これはもう法制局の御答弁は要りません。これは、委員の皆さんとか、あるいは大臣もお見えになりましたので、私の意見として申し上げたいわけでありますけれども、法制局の役割というものを決して軽視をするつもりはありませんし、逆に、個別具体例判断を求められたときにはどうだという答弁はできても、法制局判断から類型化するということは無理だと私は思っております。  したがって、政治的にあるいは日米安全保障体制日本安全保障というものを考えたときに、何が必要かという議論を国会の中で行って、その必要性の中から個別具体的にやれる事項というものをまとめていくべきだ。そして、最終局面において法制局見解を求めるというような形にしないと、個別具体例の中で一つ一つ法制局見解を求めていったら何もできないと思いますので、作業の手順として、まず我々は、法律観点から個別に詰めていくということではなくて、ひょっとすれば法律的に疑義があるようなことかもしれないけれども、日本日米安全保障条約に基づいて何を行うべきかという必要性の中で議論をしていくべきだと思いますので、ぜひそういう作業を進めていきたいと思っております。  大臣が来られましたので、大臣に対して次の質問をさせていただきたいと思います。  これは前の大臣衛藤防衛庁長官のときにも議論をさせていただいたテーマでございます。敵基地攻撃自衛権範囲に関する政府統一見解であります。これは昭和三十一年の二月に出されているものであります。読ませていただきますが、   わが国に対して、急迫不正の侵害が行われ、その侵害手段としてわが国土に対し、誘導弾等による攻撃が行われた場合、座して自滅を待つべしというのが憲法趣旨とするところだというふうには、どうしても考えられないと思うのです。そういう場合には、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとること、たとえば、誘導弾等による攻撃防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾等基地をたたくことは、法理的には自衛範囲に含まれ、可能であるというべきものと思います。 これが政府見解であります。  実際、それじゃ他国からミサイル攻撃誘導弾等攻撃を受けた場合に、今の日本自衛隊戦力としてそれが行えるのかどうかという質問をしたときに、秋山局長だったと思いますが、それはできない、そのときは日米安全保障条約に基づいて米軍にやってもらう、こういう御答弁だったと思います。  一つポイントは、この政府見解が出されたのは昭和三十一年なんですね。昭和三十一年といいますと今から三十七年ぐらい前でありまして、誘導弾という言葉が使われておりますけれども、技術が飛躍的に進歩をしているわけであります。非常に長い射程ミサイルが開発をされましたし、またピンポイント攻撃ができるということで精密誘導装置命中精度というものが非常に向上をしている中で、こういう政府見解、いつまでも日本が、やむを得ない、座して自滅を待つべしというのは憲法趣旨とするところではないということを今まで言われている中で、しかしながらその手段を持たないということが、私は法律解釈技術進歩による今の兵器体系に四十年近くたって随分乖離が出てきたのではないかと思うわけでありますが、その点についての大臣の御答弁をお願いします。
  12. 臼井日出男

    臼井国務大臣 先ほど委員がお述べになりました昭和三十一年二月二十九日の見解そのものは現在でも変わりがない、私はこう考えている次第でございます。  また一方、委員がお述べになりましたとおり、最近における科学技術の進展というのは非常に目覚ましいものがございまして、そうした防衛上の環境も大変大きく変わってきている、このように感じている次第でございます。  我が国といたしましても、現在BMD研究等も通じながら、専守防衛たる我が国の安全をしっかりと守っていくためにはいかにすべきかということを鋭意研究いたしているわけでございまして、私といたしましても、できるだけ早く今後いかにすべきかという結論を出すべきである、このように考えておる次第であります。
  13. 前原誠司

    前原委員 今のお答えでいきますと、ミサイル攻撃を受けた場合、特に技術進歩を勘案したときに、TMDも含めた、非常に短絡的な言い方で恐縮でありますが、ミサイルにはミサイルを、こういうような発想で臨まれるというふうに私はどうしても今聞こえてしまったわけです。誤解があればまた御訂正をいただいたらいいと思いますけれども、いわゆるそういう新たな攻撃手段に対抗するような防御兵器というものも必要である、こういうような趣旨で御答弁されたと解釈してよろしいのでしょうか。
  14. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 今の御質問に対する若干の補足説明というか答弁をさせていただきたいと思います。  実はこの昭和三十一年の状況のときに、これは仮定の議論でございますけれども、現在のようなペトリオットあるいはPAC2とかPAC3とかいろいろ議論されておりますが、現在のような防御システムとしてのミサイルシステムが開発されておれば、この昭和三十一年における攻撃的なミサイルに対する防御は可能であったかもしれません。  そういう観点で考えますと、現在予想される攻撃的なミサイルに対してどういう防御的な、ミサイルシステムがあるのかということは、今大臣から答弁がありましたように、まさに研究している段階でございます。  そういう段階でございますが、実は技術的にこれが可能なのかどうか、あるいは費用対効果という観点から一体それは実現可能な問題なのかどうか。御案内のことだと思いますけれども、現在アメリカも含めて、今ある攻撃的な射程の長いミサイルに対する要撃システムというものは開発されておりません。  したがいまして、我々としては、果たして日本防衛システムとしてこういったものが必要なのかどうか、そういう判断をするための材料を集めなければならないということで、現在研究をしている。この研究を早く終えて、その政策判断のための資料を提供したいということを考えているところでございます。
  15. 前原誠司

    前原委員 私が御質問したかったのは、防衛ということになるわけでありますけれども、要はミサイル攻撃を受けて、今までの政府統一見解においては座して自滅を待つべしというのが憲法趣旨とするところではない、そういう敵基地攻撃するということは法理的にもかなうというような中で、しかし、その手段を持ち得ていないということについて、これは時代もたって非常に技術革新もあって、その時代が想定をしていなかったような状況になって、今のままでいいのですかというような問題意識を投げかけているわけです。  前回質問したときに秋山防衛局長が御答弁されたと思いますけれども、敵基地攻撃をするのにパワープロジェクション能力を持たないと敵基地には行けないけれども、それを持つということは必要最小限度戦力の保持にならないのかという質問をしたときに、秋山局長は、多分それは必要最小限度を超える、パワープロジェクション能力を持つことは必要最小限度能力を超える、そう御答弁されましたね。となると、私はそれからまたずっと悩んでいたわけでありますけれども、この政府統一見解とその必要最小限度を超えるという御答弁が食い違ってきているのではないかという気がするわけです。  パワープロジェクション能力がだめだ、そうしたら、さっき短絡的に申し上げましたけれども、ミサイル攻撃を受けた場合にはミサイルでまた攻撃をすることができる、あるいはほかのパワープロジェクション能力攻撃ができるというような法理的な解釈にもかかわらず、持とうとすると、それがいわゆる必要最小限度戦力というものを逸脱するという御答弁というのは、どう考えても僕は納得できないのですね。もう一度そこら辺を明確に、私がわかるように御答弁をいただけますでしょうか。
  16. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 御質問に対する最終的なお答えを先に答弁させていただいて、その背景説明をさせていただきたいと思います。  我々の考えでは、この新防衛大綱、これは旧防衛大綱も含めてでございますけれども、この新防衛大綱に定める防衛力の水準は、憲法が認める必要最小限のもののさらなる中にあるものであるというふうに考えておりまして、政府としては現時点でこの防衛力を保有することが適切と考えているわけでございます。  どういう考え方かと申しますと、我が国は専守防衛を旨としておるところでございますが、専守防衛とは、相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使し、その防衛行使の態様も必要最小限度にとどめる、また保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限られるといった、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢というものであると解しているところでございます。  こうした基本的方針のもとで、我が国が保有する防衛力につきましては、新防衛大綱において、我が国に対する軍事的脅威に直接対抗するよりも、みずからが力の空白となって、我が国周辺地域において不安定要因とならないような基盤的な防衛力を保有することとしているというところでございまして、敵基地攻撃することを目的とした装備体系を保有することは念頭に置いていないところでございます。  なお、先般、私は前原委員お答えしたと思いますが、本件を考えるときに日米安保体制というものをどう考えるかというところに一つポイントがあるのではないかという答弁をしたかと思います。  本件に非常に関係するのでこの点についても説明させていただきたいと思いますが、今見直しをしようとしております「日米防衛協力のための指針」、基本は新しいガイドラインでもここは守られるということになるかと思いますけれども、日本に対する武力攻撃があった場合に、この日米防衛協力のためのガイドラインにおきましては、自衛隊は主として日本の領域及びその周辺海空域において防勢作戦を行い、米軍自衛隊の行う作戦を支援するとともに自衛隊能力の及ばない機能を補完するための作戦を実施する、こういうふうにしているところでございます。  先ほど申し上げました専守防衛の考え方、それから日米安保体制という我が国防衛に当たっての車の両輪のもう一つの車、そういうものを考えますと、現在の、先ほど申し上げましたような新防衛大綱に定める防衛力の水準は、憲法が認める必要最小限のもののさらに中にあるというふうに考えているところでございます。
  17. 前原誠司

    前原委員 となると、憲法が認める必要最小限度という例えば一つの円があったとして、今の防衛力整備というのは、その円よりもさらに面積的には狭い。こういう判断の中で、そして狭いのだけれども、要は必要最小限度で認められているものと現状のギャップを日米安全保障条約に基づいてアメリカにやってもらっている。そして、敵基地に対する攻撃も、法理的には認められているけれども日本はそれはやらないんだ、アメリカにやってもらう、こういう御答弁ですね。  それでは、敵基地攻撃のように、憲法上認めながらも我が国では行えずに、日米安全保障条約に基づいて米軍にやってもらっているというケースがほかにありますか。その点について御答弁をいただきたいと思います。
  18. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 自衛隊能力の及ばない機能とは、自衛隊が保有していない機能、あるいは自衛隊が保有していても能力が不足している機能、いろいろあるわけでございますけれども、まず、その憲法上の可否を別にいたしまして、例えば偵察衛星を使用した戦略情報収集機能、空母を中心とする機動打撃力、あるいは戦略爆撃機を中心とする航空打撃力といったものが考えられます。こういったものについては、現在、日米安保体制下の中で米軍に期待するということでございます。  御質問は、憲法上認められながらも自衛隊米軍にゆだねているものは何かという御質問かと思いますが、今申し上げました例のうち、例えば偵察衛星を使用した戦略情報収集機能などはまさにこれに該当するものと考えています。
  19. 前原誠司

    前原委員 時間が来たので終わりますが、一つだけ要望を言わせていただきます。  大臣、この間からもお話をしたことでありますけれども、ガイドライン見直しというのは、日米間で合意をしたことであります。日米間で合意をして、日本ができることできないことの区別をしていこうという作業をしております。  しかし、その中で、個々具体的な事例の中で、法的な解釈というものは非常に難しいわけでありますけれども、私は、まず検討に入る姿勢としては、日本にとって、日本安全保障にとって何が必要なのか、そういう視点からフリーハンドでやってもらいたい。そして、法的な解釈は後でやればいい。  やはりそういう政治的な判断がなければ、個々具体的な細かい事例の中ですべて法的な解釈法制局にどうなんだということで詰めていけば、これはグレーは全部できない、そう思いますので、ぜひフリーハンドでやって、時には政治決断もする、こういう姿勢で臨んでいただければと思います。  質問を終わります。
  20. 松岡滿壽男

    ○松岡委員長 平田米男君。
  21. 平田米男

    ○平田委員 警察庁は来ておられますか。  両大臣、「戦後のスパイ事件」という本をごらんになったことがありますか。余り政治家も知っていないという話でございますが、これは平成二年に発行されておりまして、諜報事件研究会というところが編者になっております。戦後のさまざまなスパイ事件の概要を示したものでございます。  この中を見ますと、目次で見る限りはソ連、東欧の諜報関係がまずトップでございますが、中国関係もございますが、北朝鮮関係の諜報事件が圧倒的に多い。ソ連と中国を合わせたものの三倍ぐらい北朝鮮関係の諜報事件が多いという報告でございます。  我々は平和ぼけと言われますが、日本がどういう状況に取り囲まれているのかということを具体的にきちっと認識をしていないという心配がございます。諜報事件だけではありません。しかし、諜報事件一つとってもこのような現実があるということを我々はしっかり認識しなくてはいけないと思います。ぜひお取り寄せいただきまして、お忙しいと思いますが、お目通しをいただきたいわけでございます。  そこで、きょうはACSAの質問でございますが、きょう警察庁にお越しいただきましたのは、一つ事例として、日本が今どういう状況に取り囲まれてこのACSAの議論をしなければならないかということをまず認識をしたい。  そういうことで、きょう警察庁にお越しをいただいて、最近の特に北朝鮮の秘密工作員の諜報活動はどのような状況にあるのか、認識をしておられるのか、最近は余り摘発されていない状況にはあるようでございますが、日本で摘発されなくても、韓国で摘発されて日本で工作活動をやっていたということが判明した事例等もございます。警察庁、ちょっと簡単に御説明いただけますか。
  22. 米村敏朗

    ○米村説明員 北朝鮮絡みのいわゆるスパイ事件等についてでございますけれども、警察が過去二十年間に検挙したスパイ事件等のうち、北朝鮮関連のものは十数件ございます。  具体的な事例といたしましては、昭和六十年に警視庁で検挙いたしました西新井事件、これは我が国に潜入をいたしました北朝鮮の工作員が長期にわたって日本人に成り済ましてスパイ工作を行っておったという事件でございます。また、これはスパイ事件ではございませんけれども、本年四月に兵庫県警察におきまして検挙いたしました東亜技術工業に係る戦略物資に絡む外為法違反事件等々がございます。さらに、諸外国においてでありますけれども、十分先生御承知のとおり、大韓航空機爆破事件やビルマ・ラングーン事件、これらにつきましても北朝鮮工作員によって敢行されたものであるというふうに認識しております。  したがいまして、過去において種々のスパイ事件等が行われているところでございまして、警察といたしまして、引き続き重大な関心を持っているというところでございます。  以上でございます。
  23. 平田米男

    ○平田委員 警察庁は余り触れられなかったのですが、日本人の拉致事件というのも随分ございまして、しっかりした証拠はないけれども、そうではないかというふうに推測される事件が十件以上起きている。未遂事件もある。我々の同胞が誘拐をされて、北に連れられていって、その消息さえわからない、こういう事件も起きているわけでございます。我々はもっとこういう情報を、とりわけ我々国の安全を考える国会議員は十分な認識をしなければ本当の議論というのが深まらないのではないかというふうに思います。  北朝鮮問題は時間を別にしましてまた御質問させていただきたいと思いますので、警察庁、きょうはこの程度で結構でございます。  ところで、ACSAの質問に入らせていただきたいと思います。  たしか昭和六十三年の五月に第十八回日米安保事務レベル協議において、ACSAをつくろう、協定をしよう、こういう要請がアメリカからあったというふうに聞いているわけでございます。今回、共同訓練とPKOという、これが本当のACSAなのかと思うような協定でございますが、これが一応ACSAという名前をつけて出てきているわけでございます。  要請を受けてから八年間経過をしている。この間日本は何をしてきたのか、なぜ八年間も経過をしなければならなかったのか、まず、この点について御説明をいただけますでしょうか。
  24. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 御指摘のとおり、六十三年から本件について日米安保担当者の間で議論が始まりました。米側から、最初の時点から日米共同訓練時における部隊間の物品・役務の相互融通といったようなものができないかという議論が始まったわけでございます。  その後、少し検討の期間が長かったということは御指摘のとおりでございますけれども、ニーズについての検討、冷戦終えん後のいろいろ新しいニーズ、PKO活動その他についても取り込めないかといったような検討、特に我が国におきましてはいろいろな政策との調整、法令との調整、そういったものを含めまして、両国間での協議に時間がかかったということでございます。
  25. 平田米男

    ○平田委員 よくわけのわからぬ御説明でございましたが、国内情勢もなかなか本当の議論ができない。安全保障というと、何かはれものにさわろような政治状況、政治状況といいますか、そういうことでしっかり頑張っておられた政党があるということもあるのではないかというふうに思いますが、いずれにいたしましても、八年間も同盟国の要請に対して日本がこたえられなかったという現実があるわけであります。  そして、今回、共同訓練とPKOを対象とした協定をようやく結ぶことに至ったということでありますが、現実問題としては何もしないというわけにいかないということで、今までいろいろ知恵を絞ってアメリカ軍に対する後方支援をやってきたという現実があるわけでありますが、これまで自衛隊米軍に物品や役務を支援した事例、そしてその法的根拠というのを簡単に説明していただけますでしょうか。
  26. 荒井寿光

    ○荒井政府委員 従来日本アメリカに対して支援してまいりましたのは、自衛隊法百条に基づいて行われております夜間離着陸訓練支援のための物資や人員の空輸の実施、あるいは物品管理法二十九条に基づく日米共同訓練時における燃料の貸し付けなどがございます。  それぞれの実績でございますが、夜間離着陸訓練のための空輸実績は、平成五年度二十七回、六年度四十回、七年度三十四回。それから、日米共同訓練時の燃料の貸し付けは、五年度二百キロリットル、六年度七千五百キロリットル、七年度七千三百キロリットル、それぞれ概数でございます。
  27. 平田米男

    ○平田委員 実際まだいろいろあるようでございまして、安全保障委員会調査室の報告によると、共同訓練の一環として米軍の兵員、訓練用物資を輸送する訓練を防衛庁設置法第六条第十二号に基づいてやった、こういう報告もありますね。それから、自衛隊法百十六条の二「需品の貸付」、これに基づいて行った例もある。または、自衛隊法の附則の第十二項、これに基づいてやったものよある。  そういうことで、必要に応じて防衛庁も追い詰められたといいますか、同盟国としての義務を何としてでも果たそうという中で、知恵を絞って法律のあらゆる拡大解釈といいますか、努力をして法的根拠を辛うじて見つけてやってきたというのが現実でございますね。どうですか、防衛庁。答えにくい質問ですから、答えを求めない方がいいかもしれません。答えられますか。
  28. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 ただいま委員が取り上げとれましたいろいろな条文に基づくある意味での支援、これはみんないろいろな条件があるわけでございますけれども、それは御指摘のとおりであろうかと思います。  特に米軍に対する支援としては、先ほど装備局長から答弁したものが中心でございますが、これは物品管理法あるいは財政法の枠内での対処ということで適法な形でやってきたわけでございますけれども、現場の米国の部隊と自衛隊が、共同訓練その他のいろいろな場面で、米国が他の国と同様にやっているような物品・役務の相互提供といったものがあればより効率的に共同訓練等が行えるということで、今回、この日米物品役務相互提供協定というものを結びたいということになったわけでございます。これまではそういう仕組みがなかった中で、現行の法律の中で可能な限りやってまいったというのは事実でございます。
  29. 平田米男

    ○平田委員 素直な御答弁でございますが、例えば自衛隊法の第百条というのは、これに基づいて輸送をしたということですが、この輸送の要請ができるのは「国、地方公共団体その他政令で定めるもの」ということになっておるのですが、どこから要請を受けたのですかといったら、外務省からだというわけですね。それでは、外務省が要請する権限があるのですかというと、非常にグレーな感じがするわけでございます。これがこれまでの実態だったというのがここで明らかになってきたわけでございます。  そこで、中身に入っていきたいというふうに思います。  今回は共同訓練とPKOというものに限ったということでありますが、米軍の単独訓練というのが大変議論になったというふうに伺っておりますが、まず、要請があった単独訓練を除外した理由というのは、どういうことなのでしょうか。
  30. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 今回の協定では、対象となる範囲につきまして、共同訓練、PKOあるいは国際的な人道救援活動というところに限ったわけでございますが、このスタートから、先ほども答弁いたしましたけれども、米国から共同訓練という場において物品・役務の相互提供というシステムをつくりたいという話があったわけで、最初からニーズがどこにあるか、那辺にあるのかというあたりの議論があったわけでございます。  先ほど申し上げましたように、その後のいろいろな環境の変化でPKO活動あるいは人道援助まで含めたわけでございますが、単独訓練についてもお互い議論はいたしましたが、結局、ニーズという観点から、この際単独訓練まで入れる必要はないということで、先ほど申し上げました三つの範囲内でとにかく協定を結びたいということで合意いたしたところでございます。
  31. 平田米男

    ○平田委員 きのうも同僚議員の質問に対して、現時点で何が必要なものかということで、必要なものだけに絞ったという大臣からの御答弁もございました。そういう言い方しかできないのだろうというふうに思うのですが、しかし、きのう大出先生の御質問の中で、実際上は大変な激論が与党内であったということがこの委員会でも明らかになったわけであります。  そもそもアメリカが、ACSA法と言っていいのかどうかわかりませんが、ACSAの根拠法をきちんとつくって、制定をいたしまして、同盟諸国とACSAの締結をし始めてからもう随分になります。なぜ米国が同盟諸国とACSAを結ぼうと考え始めたのか。その目的。  これについては、下院の外交委員会で当時の国防総省の兵たん部長が証言をいたしております。そのときに四つ挙げているわけであります。ちょっと長いですが読み上げたいと思いますが、ACSAを結ぶ必要性につきまして、  第一に、われわれは(米国、NATO)この場合はNATOだけが対象でございましたから、  (米国、NATO)双方の現金返済ならびに現物払い戻し処理の両方のために物品役務相互融通協定を締結できるようにする必要がある。これは米軍とNATO軍に、双方の車両への給油や戦車への役務、戦闘機への補給、そして平時・有事を問わず、 「有事」というのは、ウオー、WARと書いてあります。  問わず、われわれの各部隊にたいするもっとも可能な支援を保障する他の手段を講ずることを可能にする。 これはちょっと訳が悪いのですが、要するに、我々の各部隊に対する十分な支援を保障するためにやるんだという趣旨だと思います。  第二に、われわれがNATO訓練演習を実施する場合、宿営や給食のための施設を使用できるようにしたい。第三に、われわれはヨーロッパに事前集積された在庫品を保管、維持、保護するための役務契約とりきめを制定できるようにしたい。第四に、在欧米軍が戦時の任務に専念できるようにするため基地管理任務を軽減させたい。 こういう四つを挙げておいでになります。  最初から米軍が、訓練等もありますが、まさに同盟国としてその安全保障のために条約を結んでいるのは有事のためでありますから、当然ACSAも有事のため、訓練も有事のため、そのために便宜を図ってもらいたい、相互協力をしていきたい、これまでの煩雑な手続をもっと簡便にできるようにしたい、こういう目的でACSAの協定を結んでいくんだという説明を兵たん部長が、アメリカの下院外交委員会、これは国際安全・科学問題並びにヨーロッパ・中東に関する小委員会だそうでございますが、そこでこのように証言をしているわけであります。  この当時の考え方は、ACSAは基本的にNATO諸国のみを対象にしておりました。その後、根拠法が改正されまして、NATO以外の同盟国とも協定を結ぶ。これはアメリカの世界的な戦略の中での重要なものとして位置づけて、このACSAの協定を同盟諸国と積極的に結んできているわけであります。  そこでお伺いいたしますが、現在、米国とACSAの協定を締結した国、NATO諸国以外でどういう国があるのか、御説明いただけますか。
  32. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 NATO諸国以外で米国が御指摘の協定を締結している国は、昨年十二月末時点でございますが、八カ国と承知しております。イスラエル、韓国、ヨルダン、豪州、タイ、バハレーン、マレーシア、チュニジアでございます。
  33. 平田米男

    ○平田委員 その中で有事を明確に除外している国はございますか。
  34. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 ちょっとそこは調査してみないとわかりませんが、多くは有事、平時という区別をしていないものと思いますけれども、調査した結果、また御説明に上がりたいと思います。
  35. 平田米男

    ○平田委員 そういう答弁はないですよ、わからないなどという。これまで全部調べているはずですよ。私が調べている限りで、有事を除外している国などというのはありません。  先ほども申し上げましたように、アメリカの戦略としては、アメリカが基本的に戦闘行動に専念をし、そして同盟諸国がそれを、当然戦闘行動も一緒にやることもあるけれども、しかし、その相手国もしくはその周辺へ行って戦闘行動をやるわけですから、後方支援は相手国側に、接受国側にやってもらいたい、こういう戦略でACSAの協定を結んでいるわけですから、基本的にアメリカが積極的に有事を除外するなどというのはないわけであります。私が調べている限りでは、ない。  防衛庁はよく調べてみないとわからぬというふうに言われましたけれども、そんなおかしな答弁はない。どうですか。
  36. 折田正樹

    ○折田政府委員 ちょっと各国ごとに申し上げますと、韓国の場合には、訓練その他とともに、不測事態における需要というのが書いてございます。  それから、タイにつきましては、平時、国際的に緊張した事態。米、タイいずれか、あるいは両方がインボルブされる武力紛争。  それから、マレーシアにつきましては、主として共同演習、訓練、展開、運用その他の共同努力、及び当事者が、後方支援補給及び役務を必要とするような予見せざる状況にあるときに適用。ただし、アメリカ、マレーシア間共同で宣言された現実の敵対行動の期間においては、年間の融通限度額は適用しない云々。  それから、豪州の場合におきましては、主として共同演習、訓練、展開、運用その他の共同努力云々というふうに書いてございます。
  37. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 御質問がNATO諸国以外ということで先ほどそういう答弁をいたしましたが、関連すると思いますので答弁させていただきますと、NATO諸国に関しては、日本が今回協定で締結したような共同訓練あるいはPKO、人道援助、こういうふうに限った形のものはないということでございます。
  38. 平田米男

    ○平田委員 ようやく真相を明らかにしていただいたわけであります。  まさに今回の日本アメリカとのACSAの協定というのは極めて特異。アメリカからすると、日本というのはどうなっているのかなと。主要なアジアの同盟諸国、その中で、韓国、タイ、マレーシア等々とはきちっとしたものを結んでいる。その重要な第一番目の日本と極めて特異な協定しか結べない。この現実、外務大臣防衛庁長官、皆さん方がアメリカ外務大臣であり防衛庁長官であったらどんなふうに思われますか。お答えになりますか。
  39. 池田行彦

    ○池田国務大臣 委員御指摘のとおり、米国とNATO諸国あるいは日本以外の国と締結しております協定の中では、非常に幅広い分野にわたって物品や役務の面での相互の協力が行われているのは、そのとおりだと思います。  それと比較いたしました場合、今回御審議をお願いしております協定におきましては、日米共同訓練等にその対象が限定されているわけでございまして、そういった意味では少し他のものとは違うというのは、そのとおりでございます。  しかしながら、米国も、我が国防衛政策がどういうことになっているか、また自衛隊の性格がどういうものであるかということは十分承知しているわけでございますし、また、そういったことを前提といたしましてそもそも日米安保条約による枠組みができておる、こういうことでございます。  そういった中で、日米双方にとりましてより効率的な、効率性を追求していくということでいろいろ検討してまいりまして、最もニーズの高いところはどこだろうかというふうな検討を経た結果、今回、共同訓練初め三つの分野を対象として御審議を願っている次第でございます。  米国におきましても、こういった形での協定というものは、そういうこととして評価しているわけでございますし、全体といたしまして、日米安保体制のもとで両国が協力をしている。米国の立場からいいますと、日本が、我が国はもとよりでございますが、その周辺地域も含めまして、安定と平和の維持のために果たしている役割というものは評価しているものと考えている次第でございます。
  40. 臼井日出男

    臼井国務大臣 諸外国において我が国のような形態が少ない、あるいはないのではないか、こういうお答えは今政府委員からさせていただいたわけでございますが、御承知のとおり、我が国日本憲法という最も基本とすべきものの中で防衛力整備というものをやっている。個別的自衛権行使をする、集団的自衛権は有するけれども行使をしない、こうした立場の中で、日米安全保障条約という関係の中でいかなるものが適当であるのか、そうした議論の中で今回のACSA法というものが取り結ばれるようになった、このように思うわけでござします。  現状においては、私は、今回のACSA法というものは、あるいは条約というものは、日米間の協力に大変大きく資するものである、このように理解をいたしております。
  41. 平田米男

    ○平田委員 私はお二人がアメリカ外務大臣防衛庁長官ならどういうふうにお考えですかというふうに伺ったのですが、日本外務大臣防衛庁長官のお立場でお答えになりました。今のお立場ならそういうふうに答えざるを得ないのだろうと思いますが、今防衛庁長官は個別的自衛権集団的自衛権というような問題まで持ち出されて御説明されました。私はちょっとそれはおかしいのではないかというふうに思いますが、その議論は先に楽しみに残しておきまして、議論を少し前へ進めたいと思います。  まず、今回、クリントン大統領が来られまして、橋本総理と会談をされまして、日米安全保障共同宣言というのを出されました。そこの中で、   一九七八年の「日米防衛協力のための指針」の見直しを開始することで意見が一致した。両首脳は、日本周辺地域において発生しうる事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合における日米間の協力に関する研究をはじめ、日米間の政策調整を促進する必要性につき意見が一致した。 これは極東有事についての研究をやっていこうということでありますが、日本有事については既にガイドラインはでき上がっています。そのガイドラインももう一遍見直す必要性があるのかもしれません。それも恐らく検討範囲内に入れるべきだろうというふうに私は思いますし、入れておいでになるのだろうと思っているわけであります。  このガイドライン見直しに伴って、現時点の政治状況の中ではこのACSAの協定の中身から踏み出すことはできなかったとしても、ACSAの協定をさらに改定していく考え、すなわち、有事に対する対応も視野に入れた改定をされていく考えというのはございますか。外務大臣、どうですか。
  42. 池田行彦

    ○池田国務大臣 米軍自衛隊との間の物品・役務の面での協力につきましては、今回の協定ということで両国間で合意しているわけでございます。  また、御指摘のございました今回の日米安保共同宣言の中で、いろいろな事態に備えて日米協力のあり方をこれから研究していこうということ、またそのガイドラインについても、御指摘がございましたように、特に極東有事に関する部分については、まだその後研究は余り進んでいないということもございますので、これも検討していこう、こういうことが合意されているわけでございます。  そういった意味で、これからいろいろな事態に対してどういうふうに日米で協力していくかということは、我が国においてもまた日米間においても研究検討は進めてまいります。  ただ、現段階でそれがどういうふうな内容のものになっていくかということは、これから文字どおりその研究を進めるわけでございますので、内容について申し上げるまでに固まっていないということで御理解賜りたいと思います。
  43. 平田米男

    ○平田委員 どうもはっきりお答えにならないのですが、先ほども申し上げましたように、アメリカの考えでいるACSAというのは、有事を前提にしているわけですよ。有事に使えないようなACSAなんというのは意味がないわけです。  そのアメリカの考え方に日本はノーと言うのか、いや、これから検討してイエスと言える可能性を模索していく考えがあるのかどうか。これをやはり明確に、今のようにガイドライン研究をしており、また研究もしていきますなんというわかりにくい答弁では国民はわからない。  今までの安全保障議論というのは神学論争のごとくあって、国民にはわかりにくいのです。したがって、国民は妙な不安を持つわけであります。やはり情報を、我々の物の考え方をきちっとわかりやすい言葉で国民に伝えないと、国民は正しい判断をしてくれないと私は思うのです。  大臣、有事も視野に置いて研究をしていく、こういうふうに明確にお答えになっていただきたいのですが、どうですか。
  44. 池田行彦

    ○池田国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたところは、そうしたいろいろな事態といったものにどういうふうに対応していくか、特に日米間でどういうふうに協力していくかということについて、これから研究検討をしてまいる、こういうことを御答弁したつもりでございます。
  45. 平田米男

    ○平田委員 その検討の中には有事ということも入っている、このように理解してよろしいわけですか。
  46. 池田行彦

    ○池田国務大臣 有事、平時ということにつきましては、一般国際法上においても、あるいは我が国の法制の中でも、これといったきちんとした定義があるわけではございません。そういった意味で、私は先ほどいろいろな事態と申しました。我が国の安全にいろいろな影響を与えるような重大な事態と言ってもよろしゅうございましょう。そういったことについていろいろ研究していくわけでございます。  したがいまして、通常言われております有事、これは極東有事、日本有事、両方でございますが、そういった状況のもとで日米間の協力をどうしていくかということは、これは研究検討していくわけでございます。
  47. 平田米男

    ○平田委員 そもそも日本有事のときに米軍に対して日本後方支援するということは、日米安全保障条約上の義務なのではないですか。どうですか。
  48. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 現在の新防衛大綱にも、日本防衛の役割として三つ挙げております。その第一番目が日本防衛、つまり、日本が侵略された場合、あるいはされる場合の防衛でございます。それ以外に、二番目として、今外務大臣からも答弁がありましたように、我が国安全保障の面で重要な影響を与えるような事態が我が国周辺で発生した場合、こういうことがあるわけであります。三番目は、ちなみにPKOその他でございます。  この一番目の我が国攻撃されるあるいは侵略されるという事態がある意味で典型的な有事であろうかと思いますが、このときは、まさに自衛隊法の第七十六条による防衛出動が下令されるといったような事態であるわけでございまして、そういう事態のもと、一定の条件のもとで、日米安保条約に基づく米側の日本防衛の義務というものも発生してまいりますし、日米安保体制のもとで、日米がともに日本防衛のために共同して作戦を展開するということになるのは当然のことでございます。
  49. 平田米男

    ○平田委員 共同で作戦を展開するという中に当然後方支援も入っている、こういうことでいいのでしょう。どうしても大事なところだけすこっと抜けて答弁されるのですね。なぜそうこだわるのですか。素直にすっと言っていただければ時間がかからないのですよ。
  50. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 まさに後方支援も含まれるわけでございまして、後方支援のみならず、共同して作戦に当たるということになるわけでございます。
  51. 平田米男

    ○平田委員 まさにそのとおりでございまして、日米安保条約上の義務なわけです。極東有事でどこまでやるのかというのは、また議論があるかもしれません。  防衛庁長官、そういう意味では、極東有事ということになると、それは集団的自衛権云々だという議論なんだと御主張になる政治家や政党、あるいは学者がおいでになるかもしれない。しかし、日本有事の場合は、これは個別的自衛権の問題でありまして、個別的自衛権の有事の際に日本アメリカ軍に対して後方支援をする、これは何ら憲法上問題がないわけであります。それなのに、何で今回できないのだという話ですよ。  個別的自衛権の範疇でさえ、今の政府・与党では、このACSAが有事の際にも踏み込めないのか、一体これはどういうことなんだ。アメリカの同盟国としても責任をきちっと果たしていない、日米安保条約上の義務をきちっと果たそうとしていない。憲法を守ると同時に条約も守るというのは、日本の責任であります。現在の必要性がないからなどという、そんな説明で成り立つことではない、私はそう思うのですが、いかがですか。
  52. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 我が国が侵略されている、あるいは攻撃されるといったような有事における対応としては、今御審議いただいている日米物品役務相互提供協定に基づく後方支援ではなくて、まさに我が国防衛するための自衛隊あるいは我が国の当然の行為として、米軍に対する後方支援も含め、防衛のためのあらゆる作戦を展開するということになるわけでございます。  ちなみに、この日米物品役務相互提供協定では、現場の部隊で物品ないしサービスをお互いの部隊に貸し借りをする、つまり借りたものは返上す、貸したものは返してもらう、こういう形になっているわけでございますが、日本が有事の場合の日米間の共同の中で、この貸し借りというシステムを超えた我が国防衛のための共同作戦を展開する、その中に物品を一方的に提供するということも当然あろうかと思いますので、システムとしては異なる形になるということでございます。
  53. 平田米男

    ○平田委員 大変新しい解釈が出てまいりました。  ということは、有事の際に、全く別枠で、ACSAと別のシステムでアメリカに物品・役務を提供する法律というのはあるのですか。
  54. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 自衛隊法第七十六条で防衛出動が下令された状況を考えてみますと、自衛隊法の八十八条でまさに武力行使日本防衛のために認められているわけでございます。  それで、日本防衛のための自衛隊活動、その中に当然武力行使が含まれるわけでございまして、ほかの条文があるかどうか、もう少し検討してまたお答えしたいと思いますけれども、少なくともこの武力行使という概念はかなり広く、そして日米安保体制のもとで共同して作戦を展開するという中に、米軍に対する便宜供与という形の、言葉が適当かどうかわかりませんけれども、共同作戦の中でいろいろな共同行動がなされるというのは、自衛隊法の規定に基づき当然の帰結であろうと考えるところでございます。
  55. 平田米男

    ○平田委員 当然の帰結だと思いますよ。当然の帰結ではありますが、物品・役務を提供する根拠規定になりますか。日米安保条約があって、その義務として後方支援をする義務があるのです。だから、義務があるから、それで物品・役務を提供できるのだと言ってしまったら、このACSAの協定も、それから今回の隊法改正も必要ないじゃないですか。そんな飛躍した法論理はないですよ。  そのときに、それじゃ無償でいいのか、有償なのかというようなことは、どこに書いてあるのですか。そんなめちゃくちゃな法律の説明はないですよ。  今の御説明だと、自衛隊法しかありませんと。今の自衛隊法には、提供したときに、それに対してどのような決済をするのか、要請はどうやってやるのかなんという規定がありますか。ないじゃないですか。ないのに提供できるという解釈をするわけですか。
  56. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 問題は、自衛隊法第七十六条の防衛出動が下令されていない状況における日米間の協力関係ということで、これについては今自衛隊法を含め明示的な規定がない、また日米間の協定もないということで、この日米物品役務相互提供協定をお願いしているわけでございまして、それに基づく自衛隊法改正もお願いしたいと思っているわけでございます。  防衛出動が下令されているという状況でございますと、現在の自衛隊法のいろいろな規定が動き出すということでございます。
  57. 平田米男

    ○平田委員 それじゃ、そのときは有償なんですか、無償なんですか。その無償の根拠、有償の根拠はどこにあるんですか。
  58. 臼井日出男

    臼井国務大臣 今お答えいたしましたとおり、このACSA法はいわば共同訓練等々である、こういうことでございます。  先般、総理から私どもに、日本周辺において緊急な事態が起きたときにいかに対処すべきかということについて研究をせよということで、四つの作業部会に分かれてこれから研究いたすことになっておりますが、それらを含めて、日本有事の際に、法制的にこれからいろいろ研究して詰めていかなければならない部分というのはたくさんあると思うわけでございます。  今後とも引き続き、そうした有事の際に我々防衛庁、自衛隊がうまく活動できるような環境づくりのための勉強というものはすべきものである、こういうふうに考えております。
  59. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 我が国が有事の場合の法制上の検討は、まさに有事法制の研究ということでいろいろ政府部内でやっているわけでございますけれども、防衛出動が下令された場合の後の自衛隊法上の規定につきまして、あるいはその効力について、私先ほど答弁いたしましたが、それを実際に実行するに当たって、今委員御指摘のとおり、手続的にどうなっているのか、あるいは政令とか省令とかどうなっているのかというあたりで未整備の問題がございます。  それから、例えば後方支援ということで米軍の方に物品を供与する場合の手続とか、あるいはその適用法律は物品管理法でいくのか、あるいは、これは仮定の議論でございますが、より合理的な法体系にするのかという問題が残っているという点についてこの際答弁させていただきます。
  60. 平田米男

    ○平田委員 要するに、最初の答弁を撤回されたわけですよ。  おたくの論理からいったら、有事立法は要らないという話ですよ。武力行使だから戦車は赤信号を無視して走っていい、どこにざんごうを掘っても構わないということになるのですよ。こんなめちゃくちゃな解釈はないですよ。だから聞いているのです。時間のむだでございましたが、撤回されたから結構でございます。  もう一度もとへ戻るわけであります。したがって、有事に対する対応をきちっとしなければならぬわけですよ。安保条約上の義務だ、その義務を我が国は今回は果たし得なかった、こういう結論になるわけであります。自衛隊法上も武力行使をする、そこまできちっと書いてあるけれども、それ以上の有事立法がない。日本は、共同訓練とPKOについてはアメリカに対する後方支援、またアメリカからの後方支援ももらえるけれども、しかし肝心の有事についてはこれから法律検討します、こういう状況にあるということで、両大臣、御認識はよろしいわけでしょうか。
  61. 池田行彦

    ○池田国務大臣 有事の際に一体どういう行動ができるかという点につきましては、これまで大分研究したものもございます。そういった中で、現行の法制の枠内で行える行動もある、しかし、現行の枠内でできるかできないか、そこが不分明なところもある。そういったところを明確に規定した方がいいかどうかということは、これは御指摘のようにあるのだと思います。それがいわゆる有事法制の議論になるのだと思います。  先ほど御指摘でございますけれども、例えば道交法との関係などにおいても一体どうなるのか。平時におきましては、戦車などが通りますときに道交法との関係での手続があるのでございましょうが、しかし、日本が有事になったときに一体それが一々必要なのか。それは常識的には、自衛隊法上で規定する防衛出動が下令されればできるのではないかという考え方もあれば、いや、それはそうではないのだという考え方もある。それならば、そういったところを明らかにしておけという議論もあるのだと思います。  そういった意味で申しますならば、有事においてどういうふうな行動ができるかということを確認的な意味も含めてきちんと法制化すべきだということはあり得ると思います。
  62. 平田米男

    ○平田委員 外務大臣、その御答弁でよろしいのですか。今までも有事法制については、第一分類、第二分類、第三分類で検討して、第三分類についてはまだ踏み込んでいませんが、第一分類、第二分類についてはもう検討は終わっているわけですよ。  今の件は道路運送法上ですか、あれは道路法上の問題があるので特例措置を設けなければならないという報告さえ出ているのですよ。それが今の答弁は、有事立法が要るか要らないかまだこれから議論の余地があるのだ、そんな御答弁ですよ。防衛庁はそれでいいのですか。それでは、もう有事法制はやらないということですか。今までの国会に対する報告は間違っていたということですか。どういうことですか、これは。
  63. 池田行彦

    ○池田国務大臣 御指摘のとおり、これまで有事法制につきましては、たしか福田内閣のとき以来だと思いますけれども、ずっと研究を続けてまりまして、第一部、第二部、第三部とあって、第三部門を除きましては大体固まっているのは事実でございます。  しかし、仮にそういった研究を踏まえまして具体的に法制化をお願いするということになりますならば、それはその段階で改めて政府としても精査をし、法案の形にして提出し御審議を願う、こういうことになるわけでございます。  その際には、新たに法律をつくることによって初めて可能になる行為もあれば、あるいは逆に現行の法制の枠内でも可能な行動ではあるけれどもそれはできるのだということを確認的に規定するというものもあろう、こういうことを申し上げたわけでございます。
  64. 平田米男

    ○平田委員 防衛庁は、今の大臣答弁でいいんですか。
  65. 臼井日出男

    臼井国務大臣 有事法制の目的というのは、現行法上不備なところを研究して将来に備える、こういうところにあるわけでございます。  先ほど来御説明いたしましたとおり、五十三年のガイドラインの中で、一項、二項につきましては、自衛隊の対処の方針の中で現行法制上問題となる点も明らかにされているところでございます。これらの問題についてどういうふうにしていくべきかということは、今後議会の中でも御論議をいただきながら詰めていかなければならない、こう考えております。  いずれにいたしましても、先ほど私が申し上げましたとおり、総理の御指示の中で、これから日本の危機事態における対処方針というものもさらに研究をしていかなければならない、こういう環境にあるわけでございまして、あらゆる事態において、非常時のときにいかなる根拠をもって行動し得るかということは大いに御論議をいただき、また私どもも研究をしていくべきものである、このように考えております。
  66. 平田米男

    ○平田委員 どうも両大臣は、私が伺っている限りは、状況がよくおわかりになっていないのでないかなという心配をしてしまいます。  そんなことはないということを信じたいわけありますが、今ここで私が申し上げているとこは、要するに有事のACSAにいずれ我々は踏み込まなければならないということです。  それをしなければ、日米安保条約の信頼性の向上などといって幾ら共同宣言を高らかにうたったとしても、信頼性の向上などというのはないわけであります。今回PKOと共同訓練しかできかかったということに対して、我々は深く反省をしなければいけないのではないかと思うのです。  それがどうも両大臣の御答弁は、もうこれで済んだような御認識で、問題点を明確に認識しておいでにならない。研究をやるというふうに言葉を濁して中身を言いたいということなのかもしれませんが、有事について、我々は有事法制も含めて、有事の対応というのはこれまでさまざまな政治状況の中でなおざりにしてきたわけです。  ようやく今国内でその押しとどめていた政治状況が変わったわけでありまして、今まで何十年間おくれてきたものをいち早く取り戻さなければならない。先ほどの前原委員の御質問も、まさにそういう観点からの御質問なんだろうと思うのです。我々は、このACSAの協定を結んだとしても、随分おくれているんだ、こういう認識を持っていなければならないと思うわけであります。  聞いたとしてもまた同じ御答弁なのだろうと思いますので、これはこの程度にいたしますが、よく国民も理解をしていただきたい。もう当局はよく御理解のことだろうというふうに思います。  まず、日米安保条約上の義務を果たしてこそ国家としての責任が果たされるのだ、条約を結んだ以上、また、我が国安全保障をそれにゆだねている以上、まず我々はその条約上の義務を一〇〇%果たしていかなければならぬと思います。それが果たせないのだったら、また新たな道を考えなければならぬという話になるわけでありまして、私は新たな道などというのは今の時点ではないと思っておりますが、そういう厳しい問題意識というのは我々には必要なのではないかというふうに思います。  防衛庁長官、ちょっと確認でございますが、先ほど個別的自衛権の問題と集団的自衛権の問題のことをACSAと絡めておっしゃいましたが、後方支援集団的自衛権の問題になってしまうのだ、だから云々、こういう御認識ではないですね。その辺をちょっと確認をしておきます。
  67. 臼井日出男

    臼井国務大臣 今回、私どもはこのACSAを締結するに際して、共同訓練、PKO等に限った、日米両国の考え方がそこの点で一致をした、こういうことでございます。  これらの判断に至る背景の中にいろいろな論争もあっただろう。その中の条件の一つ我が国憲法上の問題、そういうものの配慮もあったのではないか。こうした意味で、個別的自衛権集団的自衛権というお話をいたしたわけであります。
  68. 平田米男

    ○平田委員 まさに防衛庁長官はその雰囲気をおっしゃったのだというふうに私は理解しました。確かにそうなのです。ごちゃまぜになっているのです。  日本の個別的自衛権行使の中に後方支援があるのだ、極東有事で集団的自衛権になるかならぬかというだけの問題ではない、そのACSAの問題は。その辺を我々はきちっとはっきり国民に知ってもらわないと、何かこれは危険な話だから有事のところまで行かなかったのだ、そういうとんでもない誤解を与えるわけでありまして、そういう雰囲気があるのだという防衛庁長官の御指摘はそのとおりだろうなというふうに思うわけでありますが、この問題はこの程度にしておきたいと思います。  それで、日米の共同訓練を有事に行うことは可能か可能でないかなどということがきのうの外務委員会では議論されたようでありますが、有事の際に、共同訓練をその場でやりましょうなどという話はまず出てこないだろうと私は思います。だから、それは机上の議論だろうと思うわけであります。  今回中国が行いました訓練というのは、台湾海峡へミサイルを打ち込みました。これは台湾海峡ではなくて、実は我が国領土の周辺、与那国島、その付近に訓練地域を設定しましてミサイルを打ち込んだわけであります。これは訓練だという。しかし、私たち日本国民は脅威を感じました。  すなわち、有事とか平時とか区別ができないという外務大臣の御指摘はまさにそのとおりでありまして、この訓練というのはなかなかくせ者でございます。何のために訓練をやるのか、いろいろな範疇がある、そういう理解をした上で、我々はこのACSAを考えなければいけないのだと思います。  このACSAの規定上、こういう共同訓練はいいけれども別の共同訓練の場合は使えないという規定がありますか。
  69. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 ここで予定しております共同訓練は、防衛庁設置法に基づく訓練の一環として行うわけでございまして、防衛庁、自衛隊米軍とともに行う共同訓練はその訓練の一環でございますので、当然のこととして、憲法により禁止されているところの武力行使あるいは威嚇になるような共同訓練はあり得ないということでございます。
  70. 平田米男

    ○平田委員 そうすると、今回の中国のミサイル訓練は、日本の物差しがらいくとどうなんですか。武力による威嚇の訓練なんですか、それともそうでない訓練なんですか。
  71. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 私たちの理解では、今回の中国による台湾近辺での訓練は、いわゆるミサイルのテストといいますか、発射訓練の弾着地が公海に設定され、かつ、事前に予告されたものであるということで、その限りにおいては通常の訓練と理解しているところでございます。
  72. 平田米男

    ○平田委員 それでは、事前に予告をされたということが武力の威嚇にならない、そういうメルクマールなんでしょうか。大体、訓練というのは事前に予告するものですが。
  73. 林暘

    ○林(暘)政府委員 今先生、武力による威嚇といり言葉を使われたものですから、ちょっと私の方から御答弁させていただきます。  武力による威嚇という言葉は、日本憲法にも使われておりますけれども、国連憲章にございまして、これはやってはいけない行為として武力の威嚇というのがあるわけでございます。  そして、武力による威嚇というのはどういう意味かということについては、非常に明確に定まったことはございませんけれども、一般的に言われているのは、あることをしなければ、ないしは、あることをすれば、武力行使する、ないしは、行使をしない、そういう意味でのおどかしをするということを一般的には武力による威嚇と言っております。  そういう意味で、つまり、国連憲章で言っておりますような、国連憲章でやることは認められていないという意味での武力による威嚇であったかということについていえば、必ずしもそこまでは言えないのではないかというふうには思っております。
  74. 平田米男

    ○平田委員 だから、訓練である以上、基本的には武力による威嚇なんかにはならないのじゃないですか。だから、先ほど武力による威嚇になる共同訓練はしないのだ、できないのだ、これは当たり前の話で、基本的に共同訓練、単独訓練であったとしても、武力による威嚇になるような共同訓練というのはどういう要件を満たしたものがなるのですか。  先ほど、中国のものについては事前に連絡があったから通常のものだと。通常のものだという趣旨は、恐らく武力による威嚇にはなりませんよと。だけれども、私たちは大変な脅威を感じました。  私は、武力による威嚇になる共同訓練というのは基本的にない、共同であっても単独であってもない、こういうふうに思うのですが、そのように基本的には理解をしていいのじゃないのですか、相手方がどう感じるかは別にして。いかがですか。
  75. 池田行彦

    ○池田国務大臣 先ほど条約局長からお答えしたような意味での武力の威嚇との関連で考えますと、これは全く仮定の話でございます、空想上の、仮定上の国家の行為と考えていただきたいのでございますけれども、某国が他のある国に対していろいろな要求をしている、そういった中でなかなか要求が通らない、そうして、例えばこの要求を期限を切っていつまでにのまないならば武力行使することがあるぞというような通告をしている、そういった状況の中で、その相手国に例えば非常に近接した地域で訓練をするということがあるならば、それは武力による威嚇に関連する演習あるいは訓練ということになろうかと思います。  しかし、これは全く論理上の話として、全くの仮定としてお話しした次第でございます。
  76. 平田米男

    ○平田委員 次の質問に移りたいと思います。ようやくその規定の中身に入っていきたいと思いますが、今回、弾薬の提供はしない、こういうふうに書いてあります。  そこで、武器弾薬に関連して伺いたいのですが、武器弾薬の輸送は可能なのか、武器弾薬の保管は可能なのか、武器弾薬の部品・構成品の提供は可能なのか、それから武器弾薬の修理・整備は可能なのか、あるいは武器弾薬の空港・港湾による荷おろし等のサービスは可能なのかどうか、これを教えていただけますか。
  77. 谷内正太郎

    ○谷内政府委員 弾薬に関する点の御質問でございますけれども……(平田委員武器弾薬の両方」と呼ぶ)  まず、武器の方を申させていただきますけれども、この協定で排除することが想定されております武器と申しますのは、いわゆる直接に人を殺傷するような例えば小銃あるいは大砲といった武器、こういったものは排除するということは当然想定されております。他方、構成品あるいは部品、そういったものは我が国の貿管令上は武器と考えられるものがございますので、そういうものは排除する。排除するというのは、武器輸出三原則原則からは適用されない、こういうふうに整理しておるわけでございます。  それから、弾薬につきましては、この協定の第二条第三項で「2の規定については、弾薬の提供が含まれるものと解してはならない。」というふうに規定されておるわけでございます。これは物品の提供としての弾薬の提供を排除しているものでございまして、例えば今先生がいろいろ御指摘なさいました弾薬の輸送あるいは保管、そういった弾薬にかかわる役務を排除するものではございません。このように解釈しております。
  78. 平田米男

    ○平田委員 そうすると、端的に伺うと、弾薬の提供、それから武器そのものの提供、これ以外のもの、例えば弾薬あるいは武器の部品とかその構成品も含めて、これらのいろいろなサービス、保管とか輸送あるいは修理・整備あるいは港湾等における荷おろしはできる、こういうふうに解釈してよろしいですか。
  79. 谷内正太郎

    ○谷内政府委員 そのように解釈しております。
  80. 平田米男

    ○平田委員 ありがとうございました。  それでは、輸送でございますが、輸送地域については限定があるのでしょうか。
  81. 谷内正太郎

    ○谷内政府委員 この協定は地域的な限定を特にしておりませんので、そういったものはございません。
  82. 平田米男

    ○平田委員 次に、PKO、共同訓練というふうに限定をしておるのですが、PKOの準備活動、あるいはPKO活動の終了のための活動、あるいは共同訓練の準備、あるいは共同訓練が終了して、その終了活動といいますか、訓練そのものとかPKO活動そのものではなくて、その前後の活動というものが当然あるかと思いますが、これは当然含まれているというふうに理解していいのでしょうか。
  83. 谷内正太郎

    ○谷内政府委員 この協定では、もちろん先生が御指摘されましたようなPKOの準備、あるいはその活動、あるいはその後の終了、そういったものにつきまして、PKOということだけを書いておりますけれども、当然の目的論的な解釈として、これは日米で協力してやろうというケースでございますから、準備あるいはその終了といったところにもこの協定の適用があるというふうに解すべきものと思います。
  84. 平田米男

    ○平田委員 それから、武器輸出三原則との関係なのですが、これは、ACSAの協定があるがゆえに武器輸出三原則の例外をつくったという認識なのでしょうか。この辺をちょっとわかりやすく、官房長官の談話なんかが出ておるのですが、これは例外なのか、いや、例外ではありません、原則そのものなんですということなのか、端的に御説明いただけますでしょうか。
  85. 折田正樹

    ○折田政府委員 この協定に基づきます物品・役務の提供の中で、先ほど先生もちょっと言っておられましたけれども、部品・構成品というのがございます。この部品・構成品というのが、いわゆる武器輸出三原則、これは貿管令の別表第一に書いてあることでございますが、それに該当する部分があるということで、その可能性があるものですから、この部分については武器輸出三原則等によらないこととする、すなわち、例外をつくるということでございます。  ただ、例外をつくるといいましても、官房長官の談話の中にも書いてございますけれども、提供先が米軍に限定される、それから受領者側の義務として提供される物品または役務の国連憲章と両立しない使用の禁止、提供政府の事前同意なく第三者へ移転を行うことの禁止が定められているということから、たとえ例外として武器輸出三原則を適用しないとしましても、国際紛争を助長することを回避するという武器輸出三原則等の基本理念は維持される、そういう考え方でございます。
  86. 平田米男

    ○平田委員 ありがとうございました。  それでは、協定の第六条、「受領当事国政府の部隊以外の者に移転してはならない。」ただし事前の書面による同意があればいいですよ、こういうことになっています。  共同訓練で、日米だけではなくて第三国が共同訓練に参加をしていた場合に、参加国に提供することは、我が国としては同意する可能性は高いのでしょうか。
  87. 折田正樹

    ○折田政府委員 本来、これは自衛隊米軍の間で物品・役務を相互に提供し合うという趣旨でございますので、通常の場合を想定しますと、第三者に移転する必要が生じるということは余り考えにくいことでございますけれども、アメリカ側が事前に書面による同意を求めてきた場合には、私どもといたしましては、この協定の趣旨、それから国際紛争等を助長することを回避するという武器輸出三原則等の基本理念を踏まえながら、具体的事例に即して慎重に対処していく所存でございます。
  88. 平田米男

    ○平田委員 そういうことだと何が何だかわからなくなってしまうのですよ。  共同訓練をやるような国に対して日本がどうするかというのは、これはある程度明確にしておく必要があるのではないですか。共同訓練ですよ。日米だけではなくて第三国も入って共同訓練をやる、そのときに同意するかしないかというぐらいはメッセージを送っておいた方がいいのではないですか。今のような抽象的な答弁では、するのかしないのかさっぱりわからない。
  89. 池田行彦

    ○池田国務大臣 六条の関係でございますが、先ほど北米局長からも答弁を申し上げましたように、これは基本的に日米間の関係でございますので、第三国に移転するということは原則としてないというふうに考えているわけでございます。  ただ、例外的に例えばこういうケースがございます。この協定に基づきまして車両の修理を行ったとします。そうすると、その中で部品、ボルトやナットを使うわけでございますね。それが例えば何年か経過した後に、その車両を米軍がそのほかの車両と一緒に第三国に移転するなんというときに、この車両だけは日本から提供を受けた部品が組み込まれておるからだめだとか、その部品を取りかえることはやはり常識的でないものでございますから、そういった例外的なケースもあり得るということで、いわゆる武器輸出三原則等のさらなる例外にもなり得ますし、だから念のために六条の規定を設け、そういった例外的な場合であっても我が国の承認に係らしめるというふうな配慮をしたということでございます。
  90. 平田米男

    ○平田委員 ACSAはまだ聞きたいところがあるんですが、時間がもうなくなりましたので、あと重要な点がありますのでそちらに移りたいと思います。  有事立法については第一分類から第三分類までございまして、第一分類、第二分類については研究検討作業というのはもう終わっております。そして、あとは立法準備作業に入るか入らないかというところに来ているわけでありますが、橋本総理は、本会議における答弁では、国会の論議が成熟をすることが立法作業に踏み込む条件だと従来の政府答弁を踏襲してお答えになったわけでありますが、もう国会の論議が成熟したかしないかということを判断すべきときに来ているのではないかと私は思います。  要するに、国会の論議というのは政治状況という判断だと思うんですね。それをどういうふうに見られるのかわかりませんが、外務大臣防衛庁長官検討研究が終わった第一分類と第二分類、第一分類は防衛庁の問題ですよ、防衛庁内だけでできるわけです。第二分類は両省庁関係ない省の問題ですから言いにくいかもしれませんが、そろそろ第一分類だけでも立法準備作業に入るお考えはありませんか。
  91. 臼井日出男

    臼井国務大臣 先ほど御答弁いたしましたとおり、この有事法制研究につきましては、これは立法のための作業ではないということを従来から申し上げているわけでございまして、まさに法制化するか否かにつきましては、国会の御論議によって、あるいは国民の皆さん方の考え方等によって決めていくべきものというふうに考えております。
  92. 平田米男

    ○平田委員 だから、それはだれが決めるんですか。まさに長官御自身じゃないですか。長官が内閣総理大臣に提案するなり、あるいは閣議にかけるなりして決めるわけですから、まず長官自身が御決断されなければ物事は始まりませんよ。私はどういうふうな御判断をされるんですかと伺っているわけで、今のような御答弁では何か人ごとのような話ですよ。どのように判断されるんですか。もう判断すべきときじゃないんですか。
  93. 臼井日出男

    臼井国務大臣 したがいまして、私どもといたしましても、議員の皆様方の御意向も伺いながら、まさにその論議の深まりを拝聴いたしているわけであります。
  94. 平田米男

    ○平田委員 そうすると、この通常国会では随分有事法制については話題になってまいりました。私は、少なくとも今年度内にはそういう決断をして、今年度中といいますか、早い時期にやるべきだというふうに思いますが、今年度中に御決断されるお考えはありますか。
  95. 臼井日出男

    臼井国務大臣 新しく新防衛大綱もスタートいたしました。また、総理からも、日本の危機に対する対処方針について検討の御命令、御指示もございました。そうした中で、それらのものをいかに有機的に連携させていくかということは、やはりそれらの議論の深まりの中でもって考えていくべきものと考えております。
  96. 平田米男

    ○平田委員 大変慎重な御答弁の態度でございます。与党内の御事情もあるんだろうというふうに推察するわけでございますが、ACSAもこんな状態、それから日本の有事法制もまだ決断ができない、立法準備作業にも入れない、こんな同盟国ではアメリカから愛想を尽かされてしまいますよ。  私は何も過激論者でも何でもありません。ただ、条約上の義務をきちっと守れ、安全保障は現実論なんだ、イデオロギー論じゃないんだ、こういうことを申し上げておるだけのことでありまして、何も日本軍隊をあちこちに派遣しようなんというふうに言っているわけではありません。  そういうことでぜひ御理解をいただいて、まだ大臣なかなか答えにくいんだろうと思いますが、お心の中の苦衷はわかりますが、ぜひ早く御決断をしていただいて、おくれにおくれております立法準備作業、第一分類だけでも早めていただいて、第一分類が始まれば第二分類の立法準備作業も当然始まるものと思いますので、ぜひ御決断をされるようお願いしまして、何か十一時から参議院の本会議が入ったということで、まだ私の質問時間は残っておりますけれども、ここで終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  97. 松岡滿壽男

    ○松岡委員長 午後三時四十分より再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十時五十六分休憩      ————◇—————     午後三時五十八分開議
  98. 松岡滿壽男

    ○松岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。佐藤茂樹君。
  99. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 新進党の佐藤茂樹でございます。  大変長丁場になってまいりまして、それぞれ列車の時間であるとか飛行機の時間等ある方もいらっしゃるというように聞き及んでおりますので、お互いの幸せのためにコンパクトに質問をしていきたいと思います。答弁もなるべく余分な部分は省いてお願いしたいと思います。  そこで、ACSAの中身に入る前に、また来々週ぐらいに予定される一般質疑などでもしていきたいと思うんですけれども、先月の四月に行われましたあの共同宣言の内容について、まず確認の意味お尋ねしたいと思うのです。  その共同宣言の五の(b)の中で、ガイドライン見直しについて触れられている部分で、このように述べられているんですね。   総理大臣と大統領は、日本と米国との間に既に構築されている緊密な協力関係を増進するため、一九七八年の「日米防衛協力のための指針」の見直しを開始することで意見が一致した。   両首脳は、日本周辺地域において発生しうる事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合における日米間の協力に関する研究をはじめ、 云々という表現になっているわけでございます。  これは前回の当委員会でも同僚委員が軽く触れられた部分なんですけれども、一言で言うと、ここで書かれている「両首脳は、日本周辺地域において発生しうる事態で」という「日本周辺地域」、そういう言葉に変わっているんですね。というのは、現行のガイドラインは三項立てになっておりますけれども、この三項目めは「日本以外の極東における事態で日本の安全に重要な影響を与える場合の日米間の協力」、こういうように書かれているわけでございます。  この「極東」と「日本周辺地域」というのが、さっと読む方は極東のことだな、そういうようにとらえられる方もいるかもわかりませんけれども、私は若干意味合いが変わってきたのではないかな、そのように感じるわけでございます。それにつきまして、政府として、どのあたりの地域を指すのか、きちっと御答弁をいただきたいと思います。
  100. 折田正樹

    ○折田政府委員 今度の日米共同宣言は、日米安保条約の仕組み、解釈には一切手を触れておりません。  そこで、今委員の御指摘の日米安保共同宣言の日米周辺地域ということでございますが、日米周辺地域において発生し得る事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合における日米間の協力についての言及でございますけれども、ここで言う日米周辺地域というのは、我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態の発生し得る日本の周辺という程度の一般的な意味で使用しているものでございまして、明確にどこからどこというふうに確定できる性格のものではございません。
  101. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 前回も同様のあいまいなお答えをされているのですけれども、例えば極東ということにつきましては、今までの政府の国会答弁等で、極東の地域というのは大体においてフィリピン以北並びに日本及びその周辺地域、韓国、台湾を含むものである、そういうように明確に答えられているわけですね。  ところが、これからガイドライン見直していかれるに当たって、大体においてそれぞれ日米が一体どのあたりまでをこの対象地域として考えているのかということがあいまいであれば、この見直し作業も当然影響を受けてきますし、例えばそれを受けての共同作戦計画なんかも非常にあいまいなものにならざるを得ないわけですね。  ですから、今のような抽象的な答弁ではなくて、この日本周辺地域というのが大体どこを指しているのかということをもう一度明確に答弁をいただきたいと思うのです。
  102. 折田正樹

    ○折田政府委員 先ほどの私の答弁で、あるいは日米周辺地域と申し上げたかもしれませんが、日本周辺地域の誤りでございますので、訂正させていただきます。  先ほど申し上げましたように、我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態の発生し得る日本の周辺という程度の一般的な意味だということでございまして、明確にどこからどこというふうに範囲を確定できる性格のものではございません。
  103. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 それでは全然らちが明かないのです。そうしたら、ちょっと角度を変えます。  これは五月十八日の読売新聞なのですけれども、見出しの部分だけを読みますと、   政府は十七日、「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」見直しに伴い、自衛隊米軍の協力対象として現行のガイドラインに盛り込まれている「極東有事」を「日本周辺地域事態」に改める方針を固めた。 ここまではいいとして、  近く、米側に打診する考えで、これにより、朝鮮半島有事や中国・台湾間の紛争などに加え、南沙諸島における武力衝突や海上輸送路(シーレーン)での海賊行為、「第二次湾岸戦争」といった危機についても、自衛隊米軍への後方支援を実施するための共同対処計画の研究を行うことが可能となる。 見出しだけ読ませてもらいましたけれども、こういう新聞記事が出ているのですね。  そうすると、今の答弁からいきますとこれは全くの間違いですか。
  104. 折田正樹

    ○折田政府委員 私自身その記事を読んで大変びっくりいたしましたし、朝からいろいろな新聞記者の方々から電話をいただいたりしたわけでございますが、私自身も政府の一員でございますけれども、そのようなことで政府が何らかの決定を出し、それを米側に申し入れるとかなんとかということを決定したという事実は全くございません。
  105. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 そうしましたら、もう一度。しつこいようですが、聞き方を変えます。  今まで日米安全保障条約で極東と言っていたものをなぜ日本周辺地域という言葉に変えられたのか。なぜ極東という言葉をそのまま踏襲せずに、去年の大綱から出てきましたけれども、日本周辺地域という言葉に変えられたのか、そこをもう少しわかりやすくお答えいただきたいと思います。
  106. 折田正樹

    ○折田政府委員 安保条約に書いてございます極東の範囲を変えるということは全くございません。  防衛計画大綱であの表現を使ったということは、私が答弁するよりも防衛庁の方からお答えいただいた方がいいかと思いますけれども、防衛計画大綱を発表したときの官房長官の御発言の中に、安保条約に言う極東の範囲を変えるものではない、ちょっと正確な表現は忘れましたけれども、そのように明確に官房長官も述べられているところでございます。
  107. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 昨年十一月に決定いたしました新しい防衛大綱におきまして、確かに日米安保体制について従来の防衛大綱に比べてかなり詳しく書いたということがございます。  その背景といたしまして、冷戦終えん後の日米安保体制の意義につきまして、日米両国民あるいは外に向かってきちんと明らかにする必要があるということで明確にしたところでございます。  日米安保体制の機能につきましては、それ以前から、日本防衛あるいは極東の安定のほかに、米国のコミットメントあるいは米軍の存在というものについて、これが日本周辺あるいはアジア太平洋地域と言っていいかもしれませんが、その平和と安定に役立っているという認識があったわけでございまして、それをこの新防衛大綱で明確にするために極東という言葉にこだわらずに書いたということでございます。
  108. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 余りこれ以上時間をつぶすと残り時間が少なくなるので、また続きをやりたいのですが、それではもう一回違う角度から聞きます。  例えば中東やマラッカ海峡、また南沙諸島なんかで日本の平和と安全に重要な影響を与えるような事態が起こったと判断した場合、同じくこの日米防衛協力の対象地域として判断されるのかどうか、逆の聞き方をしたいと思いますけれども、これについて答弁をお願いしたいと思います。
  109. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 日本周辺地域において日本安全保障に重要な影響を与えるような事態といいますのは、まさに日本安全保障に影響を与えるような重要な事態ということでございまして、御質問の中にありました具体的な地名はともかくとして、場所に具体的な限定はないと理解しております。
  110. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 よくわかりました。  ただ、今後を考えていったときに、やはりその辺は具体的には多分ケース・バイ・ケースでいろいろ詰められていくのだと思いますが、今後もこのあたりについてあいまいなままに終わらせておくと、日米防衛協力がどこまでできるのかという範囲が非常に広がりもし、またあやふやなままになる可能性もあるので、また今後議論を続けていきたいと思うのです。  それで、あと三十分ぐらいACSAについてやりたいと思うのですが、きょうは外務大臣防衛庁長官がおそろいですので、もう一度政府としてのきちっとした見解を確認しておきたいのです。  それは、協定の第一条において適用範囲が定められているわけですが、特に午前中の同僚議員の質問の中にもありましたけれども、今回平時、有事の別は協定に明記されていないわけですね。そのことに関連して、今週この協定及び自衛隊法改正に関する法案で議論がされているわけですけれども、先日の二十八日の衆議院本会議において、我が党の同僚議員の質問、その内容は共同訓練であれば有事にも適用されるのか、大体そういう質問だったと思うのですけれども、そういう質問に対して、外務大臣は、戦闘行動が行われている意味での有事において、アメリカ軍の戦闘作戦行動への協力としての物品・役務の提供はできない、そういうふうに述べられたわけですね。  それに対して新聞はどういうように言っているかというと、その述べられたことをとらえて、外務大臣答弁は、「戦闘行為に至らない「危機」の段階では、共同訓練の形をとった支援は可能との含みを残したものと見られる。」これは朝日です。もう一つ、全く対極をいくと思われる産経の方は、「極東有事の際に行われる共同訓練への適用は検討の余地があるとの考えを示唆した。」またさらに、「適用できない「有事」を戦闘行動に限定して答弁した。」こういうように記事として述べられているのです。  ここに書かれている記事のとおり、戦闘行為に至らない有事の段階でも共同訓練の形をとった支援は可能、そういう含みを持たせた見解外務大臣としてお持ちなのか、それとも有事の場合はいかなる場合にもACSAは適用されない、そういうように考えておられるのか、明確に答弁をいただきたいと思います。
  111. 池田行彦

    ○池田国務大臣 そもそも有事あるいは平時という言葉の定義が、国際法上あるいは我が国の法制上明確にあるわけではございません。  そういうことが前提になっておりまして、今回、御審議をお願いするために提出しました協定あるいは自衛隊法改正におきましても、そうした有事、平時といった状況あるいは事態がどうであるかという切り口から対象を考えているわけではございませんで、共同訓練あるいはPKO活動、人道的見地からの国際救援活動、そういった際に行われる物品・役務の協力を対象とする、こういう形にしておるわけでございます。  そして、私が本会議で御答弁申し上げましたのは、戦闘活動が行われている状況、事態の中で、戦闘活動を行っている米軍の部隊は当然対象にならないということは申し上げたわけでございます。これは訓練じゃございませんから、当然の話でございます。  しからば、有事というのは定義できませんからなんでございますけれども、そういった重要な非常事態が極東のどこかの地域で起きて、そして米軍の一部がそこへ出動している状態の中で日米の共同訓練というものが行われる可能性が全くないのか、あるいはそういうものが行われたときにこの協定を適用することはできないのかといいますと、協定上はそういうことは排除していない、こう私は考えております。  一例を申し上げますと、こういうケースがございましょう。我が国自衛隊の部隊が米国へ参りまして、米国において日米の共同訓練を行っておる、これは平時に出ていったわけでございます。そして、訓練が行われている期間中に極東のどこかで緊急事態が発生した。そこで、共同訓練を行っているのではない全く別個の米軍の部隊が緊急事態が起きたところへ出動していく、こういったケースになったときにどうなんだろうか。必ず米国で行われている共同訓練を打ち切って帰ってこなければいけないのかどうなのか。  私は、これは続けなければいけないとは申しません、それはケース・バイ・ケースだと思います。そのときの事態だと思いますけれども、そういうことはあり得るわけでございます。したがいまして、この協定では、そういった状態で行われている共同訓練に際して物品・役務の面での協力が行われるということは、これは否定していない、こう考えております。  ただ、現実にそういうことを行うのが妥当かどうかということは、また別だと思います。これはむしろ、この物品・役務にかかわる協定というよりも、まず、その共同訓練という行動そのものをどうするかという面から判断していく話ではないか、こう考える次第でございます。
  112. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 今、大体言わんとされていることはよくわかったのですが、例えば今の外務大臣のお話でいくと、ある地域で有事が起こってしまった、別のところで共同訓練が行われている、共同訓練で例えば米軍の部隊に物品・役務を何か提供していた、ただし、その後その共同訓練の部隊が次のオペレーションとしてこの有事に参加する、こういう場合も全然問題ない、そういう考えでおられるのでしょうか、ちょっとお答え願いたいと思います。
  113. 池田行彦

    ○池田国務大臣 問題があるかないかという御質問でございますが、そこは私は先ほど問題があるないというお答えはしなかったつもりでございます。それは、協定上あるケースに適用するかどうかという観点から考えて、それが排除されているか、否定されているかといえば、そういうことではないと申し上げた。  しかし、そういうことを行うことが適切であるかどうかということは、それは、まず物品・役務の提供ということの前に、その共同訓練ということ自体について判断を求められるわけでございましょうし、そこのところは、妥当かどうかという部分は具体的な事態に即して判断されるのだと思います。  そして、共同訓練そのものは、これは私が御答弁するのは適当かどうか存じませんけれども、それは防衛庁設置法に基づいてきちんとした判断がなされるわけでございます。だから、そういった事態においては、例えば新たな訓練を行うのはどうかということもありましょうし、継続されている訓練についてもどうかということは、当然そういった適正なる判断がなされるものと考えております。
  114. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 防衛庁長官お尋ねしますけれども、村田事務次官が四月二十五日ですか、会見で言われた次の日ぐらいだったと思うのですけれども、防衛庁長官は、現在の条文では平時に限定されるのだ、そういうことを明確に記者の前でも話されたというように報道されておりますが、防衛庁長官はどのように御判断されているのか、お答えいただきたいと思います。
  115. 臼井日出男

    臼井国務大臣 先ほど外務大臣から御答弁いただきましたとおり、今回のACSAには平時、有事という切り口でのとらえ方はいたしておらないわけでございます。  したがいまして、有事の際に両国で共同訓練をやるような事態が想定されるのか、こういうことを考えますと、それは、そうした時期に共同訓練ということはないのではないだろうか。こうした考え方から、有事においてはこのACSAというものを使うということは想定しておらない、こういう意味でお話を申し上げた次第であります。
  116. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 ちょっと別の聞き方をしますけれども、午前中もありましたけれども、今回、PKOとか人道的な国際救援活動以外では、共同訓練だけに適用の範囲を絞られたわけですね。ところが、その段階での後方支援とか物品または役務の相互提供程度のものは、この第一条の前のところにも書いておりますが、日米安保条約の円滑なかつ効果的な運用にどこまで寄与するのかということについては、本当に初歩段階ではないかな、信頼関係を何とかつくるに足りるようなもので終わってしまうのではないかなという疑問を持たざるを得なくて、まだまだ不十分ではないかな、そういう気がするのですけれども、そのことについて、午前中の同僚議員の質問と重なりますので余りしつこくやりませんけれども、両大臣の御見解を伺いたいと思います。
  117. 池田行彦

    ○池田国務大臣 御指摘は、恐らく今回の協定で対象としております三分野だけではなくて、ほかの分野も対象にすべきではないかという御指摘かと存じます。  それはいろいろな考え方があるのだと思います。例えば米国が他の諸国と結んでいる協定では非常に幅の広い分野を対象にしているものがございますけれども、これは我が国アメリカ、そして我が国自衛隊米軍との関係といったものを基礎にいたしまして具体的ないろいろな活動を考えていって、どこに一体ニーズがあるだろうかということを相談してまいりまして、日米双方で今回お願いしている三つの分野をお願いしたい、こういう結論に達したわけでございます。  もとより、この協定がなければ例えば物品・役務についての協力は全く行えないのかと申しますと、そうではございませんで、既存の法の枠組みの中でも、例えば物品管理法等に基づいてのある程度の協力は可能で、これまでもやられておったのだと思います。  しかし、そういったものに加えて新たな枠組みをつくる必要があるのはどこだろう、そのニーズの高いのはこの三分野だ、こういうことでございます。だから、あえて対象にできないという話ではございませんけれども、今回は三分野をお願いする、こういうことでございます。
  118. 臼井日出男

    臼井国務大臣 今外務大臣お答えのとおり、従来からそうした物品・役務の相互支援というものをやってきたわけでありますが、今回、その話し合いの中で日米両国が一致をしたところは、ただいま申し上げました共同訓練を初め三つの事項である、こういうことでございまして、これ以外のことにつきましては特段強い要望等がなかったというふうに私どもは聞いております。
  119. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 ちょっと内容について入っていきたいのです。  第二条の三項で、「2の規定については、弾薬の提供が含まれるものと解してはならない。」というようになぜ弾薬のみをこういう対象外という形できちっと挙げられたのか、まず御答弁をいただきたいと思うのです。
  120. 荒井寿光

    ○荒井政府委員 弾薬につきましては、日米双方のニーズを精査し判断した結果、提供の対象となる物品とはしないということで双方が合意したものでございます。
  121. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 聞き方を変えますと、きのうも大先輩がこの部分を聞かれていましたが、付表の部品・構成品という項目の解釈でいくと、例えば弾薬と同じくらいに危険性のある機関銃などの攻撃的兵器の部品も排除されていない、そういうように考えられるのか、それとも排除されている、そういうふうに考えるのか。どちらが正しいのでしょうか。
  122. 荒井寿光

    ○荒井政府委員 部品・構成品が対象になっておりまして、また具体的な内容は付表に入っているわけでございます。  部品・構成品といたしましては、これは、共同訓練の場におきまして戦闘機や護衛艦が故障した場合に相互にこれを修理・整備することを想定しているわけでございまして、いろいろな部品や構成品が対象になるわけでございます。そういう意味で、機関銃とかそういうものの部品・構成品につきましても提供対象から排除されておりません。
  123. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 続いて、この武器の部品の関係で十四日の当委員会で同僚議員が質問した。どういう質問をしたかといいますと、要約すると、日本提供した部品をつけた装備品でアメリカ軍が共同訓練が終わった後に別のオペレーションに移ることに対してどうなのか、そういう質問に対して、秋山防衛局長は  「日本提供した部品が他のオペレーション(作戦)に使われることを妨げるものではない」と語った。米軍日本から提供された武器部品などを武力行使などに使用しても問題はないとの認識を示 したものだ。 そういうふうに新聞記事では書かれているわけです。  今の見解でいくと、先ほども言いましたけれども、日本提供した部品をつけた装備品でアメリカ軍が共同訓練が終わった後に、そのままその部品をつけた装備品で別のオペレーション、例えば一番気づくのでは、戦闘作戦行動に出るといたします。その場合に、憲法解釈で言うところのアメリカ軍との武力行使一体性というのは非常に強まるのではないか、そういう議論をしてくる方もいらっしゃると思うのです。  防衛庁としては、そういうことについてはこのACSAの協定上問題はないし、また別のオペレーションを妨げるものではない、そういう見解だというように理解してよろしいでしょうか。
  124. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 五月十四日のこの委員会におきまして、私から、日米物品役務相互提供協定に基づき、共同訓練のために部品の提供を受けた米軍部隊が、共同訓練後に別のオペレーションに向かうことが妨げられるわけではない旨の答弁をしたことは、御指摘のとおりでございます。  これは、共同訓練等の際に提供を受けて装備品等に取りつけた部品を、共同訓練後、直ちに取り外して返還することは合理的なことではないと思いますし、本協定では例えば同種、同量、同等の部品を後日返還することは許容されている、そういう趣旨を述べたつもりでございます。  今御質問の最後に、仮にこうした共同訓練のときにその部品がついた装備品が例えば他の戦闘行為等に使われた場合はどうなのかという御質問がございましたが、仮にそういうようなことがあったといたしましても、集団的自衛権を含め、およそ自衛権とは国家による実力の行使に係る概念であって、このような場合に我が国が行ったこういったことは、米軍の共同訓練のための物品の提供でございまして、我が国が実力の行使を行っているわけではないと考えます。
  125. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 今のことに付随して、部品ではなくて、同じような形なのですが、燃料を積んだまま、例えば航空機であれ艦船であれ、戦闘作戦行動に入る、そういう場合も同様の御見解だというように理解してよろしいでしょうか。
  126. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 本件の日米物品役務相互提供協定は、物品も役務も含めて相互に提供するという協定でございまして、その対象が共同訓練あるいはPKOあるいは国際的な緊急援助活動というところに限られている限り、今の御質問に対しては何ら問題はないというふうに私は考えるところでございます。
  127. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 続いて、第六条の絡みをちょっとお聞きをしたいのです。  官房長官談話では、ここの部分を含めて答えられているのは、  本協定の下で行われる武器等の提供は武器輸出三原則等によらないこととする。この場合、本協定においてま、提供先が米軍に限定され、受領側の義務として、提供される物品又は役務の国連憲章と両立しない使用の禁止及び提供政府の事前同意なく第三者へ移転を行うことの禁止が定められていることから、これによって国際紛争等を助長することを回避するという武器輸出三原則等の基本理念は確保されることとなる。 要するに、これは国連憲章と両立するものでなければならないとか、そういうことも踏まえて、特に第六条で、第三者移転の場合は当事国政府の書面による事前の同意が必要であるということを明確に言っている部分が非常に大きなポイントだと思うのです。  しかし、例えば提供部品に具体的に何か色をつけるわけにもいかないわけですから、最終的にそれが第三者へ渡ったのか渡らないかということをどうチェックするのか。また、歯どめ策をどうするのかということをきちっとしておかなければ、いつの間にか日本の知らないうちに、日本提供した部品が第三国へ移る可能性は否定できないのではないかなというふうに思うわけです。そのあたりについてどういう御見解をお持ちなのか、お聞きしたいと思います。
  128. 荒井寿光

    ○荒井政府委員 ただいまの関係でございますが、この協定は、日本提供する例えば武器の部品につきまして、相手に貸すわけでございまして、返していただくのが基本でございます。同じものを返してもらうのが基本で、その手続も定めております。さらに部品の場合には、いろいろ消耗したりして同じものは返せないという場合には、同種、同等、同量のものを返してもらうのが基本でございますので、原則として、この協定の仕組みは、部品であれ構成品であれ、貸して、それを返していただくというのがまず基本になっている。  ただ、この六条であえてこう書きましたのは、今のお話のように、第三者に回ることが例外的に起きる場合がございます。そういうときにはきちんと書面で事前に同意を得ていただきますということで、さらに一層念には念を入れる、厳格にするという観点から入れたものでございます。
  129. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 あと今後の話ですけれども、午前中も大分出ましたが、たしか四月末だったと思いますが、官房長官も記者会見でACSAの有事版も必要である、そういうふうに言われている記事が出ているわけです。  NATOでは有事相互支援、略称CMSという枠組みがあると聞いておりますけれども、NATOでの実態、そういう有事相互支援の枠組みをきちっとつくっている国はどこなのかということを教えていただきたいのと、日本の場合はNATOのようなCMSを別に検討されていくのか、それとも、ACSAで抜け落ちている有事に関する論議というのは、今後行われていくであろうガイドライン見直しという形で補完的に進めていかれるのか。その辺に対する政府の今の段階での所見を伺いたいのです。
  130. 折田正樹

    ○折田政府委員 私どもの承知しているところでは、NATO諸国の約十カ国前後だろうと思いますけれども、緊急時の相互支援、それから戦時の接受国支援のための枠組みの取り決めを締結しておるようでございます。  これは、国名だとか内容を外へ出してもらっては困るという国が多うございますので、ちょっと歯切れのいい答弁はできないわけでございますが、緊急時におきまして、米軍と接受国軍の抑止力及び戦闘能力の統合を促進するために、米軍に対する支援、それから接受国の防衛に対するアメリカの支援という両方向の相互協力の枠組みを定めたものであると承知しております。  今後のガイドラインその他の研究でこういうことを検討していくのかというお話でございますけれども、この協定を結ぶ話と我々が行っていこうとする検討作業とは一応別個のものとお考えいただいた方がよろしいかと思います。現在、私どもとして、二つを結びつけてどういうふうにやっていこうというような検討はしているわけではございません。
  131. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 今の最後の部分で、別個のものというようにお考えになっているということですけれども、そこの別個の部分で、重なる部分とか同じような考え方になる部分も全くないのかどうか、全くそれぞれ別である、そういうふうに考えておるのか、もう一度御答弁いただきたい。
  132. 池田行彦

    ○池田国務大臣 ただいま北米局長から御答弁申し上げましたけれども、私どもといたしましては、物品・役務の面での協力につきましては、いろいろ検討の結果、今回お願い申し上げましたような分野、そして物品・サービスをその対象にしていただきたい、こう考えておるわけでございます。  そして、今後、ガイドライン検討作業もございますし、また、いろいろな事態が発生した場合に日米間の協力をどういうふうに進めていくか、これも研究することにいたしております。  しかし、そういった作業は文字どおりこれから始まるところでございまして、今、取っかかりに入ったところでございまして、一体それがどういうふうなものを対象にし、ましてやそれがどういうふうな内容になるかということにつきましては、まだ全く固まっていないということでございますので、御答弁申し上げられるような状態になっていない、こういうことでございます。
  133. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 全く深まっていないということですけれども、それでは具体的に、五月二十八、二十九日とハワイで実務者会合が行われて、ガイドライン見直し作業について話し合われた。そういう報道だけはどんどん出てきておりますけれども、今回アメリカアメリカ側と話し合われたこと、また確認されたことは一体何なのかということをこの国会の場で御報告いただきたいと思います。
  134. 折田正樹

    ○折田政府委員 五月二十八日に日米実務当局間会合、略称ミニSSCと称するものでございますが、開催されました。そこで、日米共同宣言の中でうたわれました「日米防衛協力のための指針」、ガイドライン見直し作業を念頭に置きまして、参加者が個人的な立場で非公式かつ自由な意見交換を行ったということでございます。  次のようなことでおおむね意見の一致を見たということでございますが、それぞれ本国に持ち帰って、それぞれ両国内で検討しようということでございます。  その内容は、一つは、現在のガイドラインをつくるときに、防衛協力小委員会、SDCというものをつくったわけでございますけれども、そのメンバーをどうしようかという話で、今までのメンバーは、北米局長防衛局長、統幕事務局長、それから在日の米軍参謀長、在京のアメリカ大使館の公使というのがメンバーでございましたけれども、これを、昨年十一月に発足いたしましたSACOの構成のように、アメリカの国防省及び国務省の政策レベルの上の方、太平洋軍、ワシントンにいる統参本部の方も入れて構成し直したらどうだろうかということ。  それから、その小委員会の下に審議官レベルのワーキンググループを設置したらどうであろうかということ。それから、あと一月ぐらいでございますけれども、スローコムという国防次官が日本に来られますが、そういうときにこの改組の話をしたらどうであろうかというようなこと。  それから、ことしの九月にいわゆる2プラス2、外務大臣防衛庁長官と国防長官、国務長官の間で安全保障協議委員会の開催が一応念頭にあるわけでございますけれども、まだ具体的にいつというのは決まっておりませんが、それが開催された場合には、この小委員会が行う作業の進捗状況について報告をしたらどうだろうか、プログレスリポートという言葉を使っておりますが、進捗状況をその2プラス2に報告したらどうかということ。  それから、いわゆるガイドライン見直しと、日本国内で総理の御指示によって始めました緊急事態の対応策の検討があるわけでございますが、その作業を関連性をよく踏まえながら、言ってみれば同時並行的に進めたらどうだろうかということ。それから、今度のガイドライン見直しは、言ってみれば日米間の役割分担の大枠を変えるものではないということ。  これらの点についておおむね意見の一致を見たということで、これを双方の代表者がそれぞれの国に持ち帰って、それぞれの国で検討をするということでございます。
  135. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 冒頭に話しましたとおり、お互いの幸せのために、残りはまた次の機会にしまして、ここで質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  136. 松岡滿壽男

    ○松岡委員長 東中光雄君。
  137. 東中光雄

    ○東中委員 きのうに引き続きまして、共同訓練についてお伺いしたいと思うのです。  きのう三十日の早朝に、米海軍の原子力空母カールビンソンが、原子力巡洋艦二隻、原潜一隻などを伴って約二年ぶりに横須賀基地に入港しました。多くの平和団体、市民団体が四隻の原子力艦船の寄港中止を求めています。また、横須賀市もより一層の安全航行の徹底を要請している、こういう状態です。  外務省にお伺いしたいのですが、空母カールビンソンは何のために寄港しているのか。六月二日に出港予定というように言われておりますけれども、どこへ出ていくのか、お伺いをしたい。
  138. 折田正樹

    ○折田政府委員 アメリカ側の説明によりますと、米空母カールビンソンは、乗組員の休養及びレクリェーション並びに兵たんの補給及び維持のため横須賀に寄港したとのことでございます。  この空母はアメリカ本土より入港したものでございますが、出港後どのように行動することになるかにつきましては、米軍の運用に関することでもございまして、私ども必ずしも承知しておらないところでございます。
  139. 東中光雄

    ○東中委員 向こうは乗組員の休養と言ってきておるというのは、それは事実かもしれませんけれども、けさの新聞を見ると、カールビンソンの上からの写真を撮っていますね。甲板には約五十機の艦上機がずっと並んでいます。そういう状態で休養なんということはないのです。だから、休養のためとかレクリエーションのためというのは、これは全く形だけのことで、実際は何かということは、行き先が運用にかかわることだから言えないというのと同じになっておる。だから、日本は、日本の港湾が使われているということについて何にもわかっていない、建前でいるというのは問題だと思うのです。  海上自衛隊は、空母カールビンソンの入港に当たって、同空母の対潜特別訓練の実施を発表しております。どういう訓練をやるのか、明らかにしていただきたい。
  140. 粟威之

    ○粟政府委員 海上自衛隊は、アメリカの空母カールビンソン等海軍部隊と、平成八年度の第一回対潜特別訓練として、五月二十九日に常磐東方海域において対潜戦訓練と通信訓練を実施したところでございます。さらに、今後、六月二日には大島東方海域において対潜戦訓練、通信訓練、対水上戦訓練、さらに三日には紀伊半島沖で同様の訓練を実施することを予定しております。
  141. 東中光雄

    ○東中委員 カールビンソンと一緒に日本の護衛艦等が共同訓練を二十九日からやっているのです。そして、二日にもやる。三日にもやる。四回やるのです。そして、それは休養のために入港しているんだと。全然話にも何にもなりませんね。  そして、こういう訓練をやるについては、これは新聞紙上によりますと、海上幕僚監部広報室はお互いの調整がつけば機会を見つけて行っている訓練だ、こういうふうに言っていますね。どういう訓練をやるのかということについて、今回の訓練はそういうものだと言っています。二年前の空母寄港のときも、このカールビンソンもそうですが、共同訓練を行っています。  そもそも防衛庁あるいは自衛隊は、米空母の行動の目的を確かめないままで、とにかく来たら共同訓練をやるということなんですか。どういうことで日本へ来て、どこへ行くんだ。その間で共同訓練をやるのは、単に訓練で練度を上げるというような問題ではないわけですから、そういう点については、米空母の行動の目的、そういうものを確かめた上で、共同訓練をやるのかやらないのかということについて、どうしていますか。
  142. 粟威之

    ○粟政府委員 私どもの訓練は、米空母の行動の目的とかということではなくて、空母、特にカールビンソンとかが来た機会を利用して訓練をやっておるところでございます。
  143. 東中光雄

    ○東中委員 だから、何にも相手の軍事的あるいは政治的意図というようなものについては配慮なしに、無色透明の運動会のような訓練をやっておるという建前でおるんだということですね。  カールビンソンは、九四年のときも来ました。それからインディペンデンスも。九四年のときは、カールビンソン、インディペンデンスの二隻の航空母艦と護衛艦四隻等が、三月十四日−十五日、十五日−十七日、この二回にわたって日米共同訓練をやっています。対潜訓練なんかをやっている。そして、同じ年の七月十四日から十六日、それから七月十九日から二十五日、これは空母キティーホークが二回やっていますね。そのほか、四隻、五隻の米海軍と一緒に対潜訓練、防空戦闘訓練等をやっています。この場所は、本州南方及び九州西方海域、それから九州西方及び沖縄周辺海域。要するに、朝鮮半島のすぐ南側でやっておるのです。  この九四年の七月、八月、九月、どういう時期だったかは、もう皆さん御承知のとおりであります。北朝鮮の核問題で制裁を加えるということを言っておった時期であります。  同じ時期に、米太平洋軍の準機関紙と言われておる九四年九月二十二日付「星条旗」に、「空母戦闘群が北朝鮮との核交渉でアメリカを後押し」するという見出しで、ズラトッパー米太平洋艦隊司令官が、我々は朝鮮半島問題は外交で解決することを望んでいる、しかし、ハイチがいい例のように極めて強力な軍事力が外交に影響を与えることができる、だから、空母戦闘群を朝鮮半島に展開しているのだ、それは強力なメッセージになると考えていると。  要するに、あの制裁をやっているというときにデモンストレーションをやる、あれはそのために空母をそこへ出していっているのだ。  その直前にカールビンソンが来たし、キティーホークも来た。日本はそれと共同訓練をやっているのですよ。その共同訓練は、たまたま来た機会に訓練をやっていると言うのですが、そんなものじゃないでしょう。そういうことをあなた方が言うのだったら、いよいよもって危険だというふうに言わざるを得ないわけです。  そういうことで、共同訓練という名前で米空母に日本の護衛艦がくっついて一緒に行動を起こす。相手国に対する脅威外交ということもあるかもしれぬし、あるいは紛争前だったらもっと強力な武力による威嚇ということにもなりかねない、私はそういうふうに思うのです。  だから、単に形式的な訓練じゃなくて、カールビンソンの行動、インディペンデンスの行動は、中東へ行くのでしょう、ペルシャ湾へ行くのでしょう、全部そういう作戦行動としてやっているのじゃありませんか、遊覧船じゃないのですから。  そういう問題について、共同訓練の位置づけ、そういうものを一切何にも言わないで、ただ形だけの概念論争みたいなことをやっていたらだめだと思うのです。今度の共同訓練にカールビンソンがわざわざ日本まで来て、本来はあれはアメリカ本国が母港ですから、そして、ペルシャ湾の方へ行くのが本来の状態じゃありませんか。  その目的なり意図なりというものは、外務省も防衛庁も何にもわからぬ。ただ訓練だけだということで訓練をやる、その訓練の機会にACSAで支援をするのだ、こういうことで済ましていいものですかね。防衛庁長官にまずお聞きしたいです。
  144. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 共同訓練は我が自衛隊のやる訓練の一つでございまして、共同訓練の目的はまさに有事のための訓練をしているわけでございます。しかし、訓練そのものは、これは共同訓練も含めまして有事ではないわけでございまして、武力行使にも該当いたしませんし、威嚇にも該当しないというのは当然のことでございます。  したがいまして、今回の日米物品役務相互提供協定に基づくこの行為は、何ら今の御質問の点では関係がない、問題がないというふうに理解するところでございます。
  145. 東中光雄

    ○東中委員 先ほど読みました「星条旗」に、米太平洋艦隊の司令官が、ハイチの例がいい例がと。あれは、米軍はハイチへ実際ばっと上がっていきましたからね。そういうことで外交上の要請を実力行使でやっちゃう。ハイチは小さい国だから、戦闘にも何にもならないで完全に占領されてしまったのです。そういうふうに米軍は動いているのです。動くのだということを言っているのです。  その米軍と、カールビンソンみたいなのが来ると共同訓練だと言って一緒に行動を起こしている。その政治的なねらい、あるいは軍事的なねらいというものは一切何にも考えないで、条文の解釈みたいなことばかり言っている。これは、安全保障にかかわるこの委員会としては、そんな形式概念論争みたいなことをやってどうするのだということを私ははっきりと言っておきたいと思います。そういう形でつじつまだけ合わせて、そして大変なところへ行ってしまうということになると思うのです。  時間がありませんので、もう一点だけ聞きます。  先ほどお話がありました日本周辺海域、これは説明を聞いていましても、本当に奇妙な議論だと私は思うのです。私もこの間の本会議でこのことについて聞きましたら、極東の範囲と同じなのか狭いのか広いのかと言って総理に聞いたら、総理の答えは、先ほど来答えておられるのと同じことを言っていますね。  それで、私は防衛庁長官に聞きたいのですが、新防衛大綱で「我が国周辺地域において我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態が発生した場合には、」途中省略して「日米安全保障体制の円滑かつ効果的な運用を図ること等により適切に対応する。」というのでしょう。  だから、その周辺地域内において事態が発生した、そうしたら、安保条約の効果的運用だから、日米安保条約が発動される対象ということになるのですね。運用などによって適切に対応すると書いてあるのです。適切に対応するのですから、対応するその地域はどこかということがわからなかったらおかしいじゃありませんか。周辺地域というのはどの地域なんですか。
  146. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 新防衛大綱に言う「我が国周辺地域」とは、これは先ほども議論がござい,したけれども、日米安保共同宣言における「日本周辺地域」と同じような概念でございまして、我が国防衛努力と日米安保体制の存在が相まって国際社会の安定に効果を及ぼしている地理的な範囲でございまして、時々の国際情勢により変動し得るものであって、明確に境界を画せる性格のものではないと考えております。
  147. 東中光雄

    ○東中委員 レコードみたいなことを言いなさんな。あなたの今言うたことは、この間、本会議で総理が答弁したのと全く一緒じゃないですか。レコードと同じでしょう。一言一句まで一緒じゃないですか。その時々の国際情勢によって変動し得るものであります、明確な境界を画する性格のものではございません、こんな論議で、本当に概念法学じゃないですよ。  それじゃ、こう聞きましょう。我が国防衛努力と日米安保体制の存在が相まって国際社会の安定に効果を及ぼしている地域、そういうものが及ぶ地域というのは、アジア太平洋地域全体なのか、アジア太平洋地域の中の例えば極東の地域ということになるのか、あるいはアジア太平洋地域の中の極東よりも広い地域があり得るのか。地域というのですから、地理的範囲でしょう。どうなんですか。  国際情勢によってはアジア太平洋地域全体の中のどこへでも行くということもあり得る、国際情勢によっては日本の周辺、本当の周辺、日本海だけだということだってあり得る、それで一番広いときはどこまで行くのだということについて答えてください。
  148. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 御質問の中にありましたように、まさに我が国防衛努力と日米安保体制の存在が相まって国際社会の安定に効果を及ぼしている地理的な範囲でございまして、この地理的な範囲につきましては、時々の情勢によって変わり得るものであるというふうに理解しております。
  149. 東中光雄

    ○東中委員 さっきと同じことを言っているじゃないか。蓄音機だよ、それは。何言っているのだ。変わるものだからどういうふうに変わるのか、その一番広いのはどこになるのだということですよ。  ベトナムで何か紛争事態が起こったという場合、その紛争事態によって、この周辺地域の中にはベトナムも入ることがあるというのか、いや、そこは入らないというのか、どうですか。
  150. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 まことに恐縮でございますけれども、国際情勢の具体的な動きに応じてお答えせざるを得ないということであります。
  151. 東中光雄

    ○東中委員 だから、具体的な情勢によってそこまで行くこともある、それから、国際情勢によってはアジア太平洋地域全部に及んでいくこともある。アジア太平洋地域というのはどの範囲か、これもなかなかはっきり言わない。しかし、アメリカの太平洋岸から西、そしてアフリカのインド洋側から東、これ全体が入るんだ、そういうふうにアメリカでは言っているところもありますね。  だから、アジア太平洋地域の平和と安定ということが盛んに言われておりますけれども、私たちが子供のときに大東亜共栄圏と言いましたが、あの共栄と一緒です。あの地域はどうかというと、アリューシャンからオーストラリアまで、そしてインドまで行きましたよ。あれを大東亜と言ったのです。  こういう格好でうんと広げている。しかも、その内容については言わない。非常に危険だ。国際情勢によってはどこまでもいく。ここはとても周辺とは言えませんというふうなところが全然指摘できない。極めて危険だということを申し上げて、時間でございますので、質問を終わります。
  152. 松岡滿壽男

    ○松岡委員長 山花貞夫君。
  153. 山花貞夫

    ○山花委員 大変長い日米間の交渉を経ましてACSAが合意され、ついせんだって本会議で短い時間の大臣の提案があり、二日間の審議できょう採決と伺っています。  きょうの自衛隊法の一部を改正する法律案につきましても、一日の審議で採決を迎え、十分間だけ私は質問の時間をいただきました。これからの日本のあり方を決める大変大事な安全保障の問題について、もっと十分に議論を尽くすべきではなかろうか、私はこういう気持ちを持っています。  実は、ACSAの問題については、前回も申し上げましたけれども、合意できるまでは、何かと内容についてお伺いをしても鋭意検討中であるということで、ほとんど内容については明らかにしていただけませんでした。合意ができたら、大変短い時間で採決ということでいいのだろうか。ガイドライン見直しの問題についても、恐らく同じ経過をこれからたどっていくのじゃないだろうかということについて、大変心配であります。そんな気持ちを持ちながら、時間の関係もありますので、論点を絞ってお尋ねしたいと思っています。  実は、たまたまこの国会の会期末に民事訴訟法の改正の問題がありまして、そこでは、官公庁の文書の特別扱いということで、法案が上がるのか廃案になるか大詰めを迎えております。そんなことを念頭に置きながら、防衛機密と外交秘密の問題についてお伺いをしたい、こういうように思います。  まず、防衛機密の保護の問題について。全体として、秘密保護の体系ということで承知しておりますのは、三本の柱がある。一つは、最高十年の刑罰を伴う安保条約に基づく刑事特別法。第二番目の柱は、これまた最高十年の刑を伴う日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法。そして、第三番目の柱が、最高一年の懲役を伴う自衛隊法における秘密保全規定である、こう理解をしております。  第二番目の日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法の体系につきましては、二十九年に施行令ができておりまして、また、施行令を受けまして三十三年には防衛秘密の保護に関する訓令ができ上がっている。三本目の柱の自衛隊法における秘密保全規定に関しましては、同じく昭和三十三年に秘密保全に関する訓令ができ上がっており、詳細にこの要件、手続等が定められておりまして、これに従って今日まで秘密保全についての手続がとられておる、こういうように承知をしております。  そうした前提のもとで、今日の段階において、一番新しい段階で、防衛庁といたしましては、防衛秘密、そして庁の秘密につきまして、どのくらいの秘密を保管しているのかということについて、区分に従い、機密、極秘、秘、それぞれについて、何件、何点くらいの件数があるかについてお話をいただきたいと思います。
  154. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 平成六年末の秘密保管数ということで、御説明させていただきたいと思います。  防衛秘密につきましては、極秘のものが四百六十九件、点数、部数で三千六百六十四、秘のものが七千七百一件、十四万六百二十八点。それから、庁秘の方は、機密が二千百十九件の四万六千七十六点、極秘が一万一千四百九十九件の六万九千百八十点、秘が十一万八千四百五十五件の百六十八万八千九百八十五点でございます。
  155. 山花貞夫

    ○山花委員 関連して、通産省いらっしゃっていますでしょうか。  秘密保護の体系としては、かつてSDIの関係で、昭和六十二年の段階で、通産省が、アメリカのSDI、戦略防衛構想に関する秘密情報を保護するための取扱規定、訓令を作成しておると思います。これまた二つの体系があると思いますけれども、その内容、概略について御説明をいただきたいと思います。同時に、一体どのくらいの秘密件数、今の防衛庁のお答えと同じような形で御説明をいただきたいと思います。
  156. 桑山信也

    ○桑山説明員 お答え申し上げます。  通産省におきましても、二種類の訓令がございまして、一つ防衛秘密の保護に関する規程、それからもう一つは特定技術交流に係る秘密保護に関する規程の二つでございます。  その規程の内容は、秘密を取り扱う者の範囲ですとか秘密保管の方法等が含まれておりまして、防衛庁の規定とも内容的にはおおむね似たようなものでございます。  それから、件数のお尋ねでございますが、平成七年末の数字を申し上げます。  防衛秘密に関しましては、極秘が一件、一部でございます。それから特定秘密、先ほどの二つ目の特定技術交流云々の規程に基づく特定秘密と申しておりますが、これにつきましては、極秘が七十五件、七十九部、それから秘が二十四件、二十四部でございます。  以上です。
  157. 山花貞夫

    ○山花委員 今両省庁のお話を伺いまして、全体構成といたしましては、アメリカの情報の自由法、FOIAの七四年改正法以下の仕組み、大統領令によって、秘密の指定というものを、トップシークレット、シークレット、コンフィデンシャルの三区分として整理をしておる、こういう体系のもとに法律ができ、訓令ができている、こう思います。  さて、外務省の関係ですけれども、外務省についても、当然、外務、防衛関係については秘密の保全について最も慎重な省庁ということになると思いますけれども、そうした秘密保護の体系、法律上の仕組みといいますか、訓令その他についてはどうなっているのでしょうか。
  158. 原口幸市

    ○原口政府委員 外務省にももちろん秘密保全に関する内規はございますが、これが周知されますと外務省の秘密保全のための仕組みがわかることになりまして、外国で我が国の外交上の機密の管理に関心を有する向きのことを考える場合に、特にこの点は注意を要すると考えておりまして、公表することは差し控えさせていただきたいと存じます。
  159. 山花貞夫

    ○山花委員 関連して、もう一つ外務省に伺いたいと思います。  いわば内規といいますか、秘密保全についての手続規定があることについてはお認めになりました。表題その他内容については御説明がありません。そのことを前提として、外務省としてどれくらいの秘密を保管しておられるのか。今、防衛庁、通産から伺いました同じような形でお答えいただきたいと思います。
  160. 原口幸市

    ○原口政府委員 外務省には、在外公館等を通じまして、日々膨大な数の情報が集まってきております。当省が保管する機密、秘密文書の数をすべて一元的に把握することはなかなか困難な状況でございますけれども、例えば、これは暦年でございますけれども、平成七年におきまして、本省と在外公館との間で交わされた電報について申し上げさせていただきますと、秘密文書は約九十九万件でございます。
  161. 山花貞夫

    ○山花委員 今、通信ということで御説明いただきましたけれども、外務省の秘密文書は電信、公信、調書に区分されておりまして、そして、件数についても今その一部だけ明らかにされたのではないかと思っております。大体、その手続といいますか内部規則についても明らかにしないということについてはいささか問題があるのではなかろうか。  さっき、理由についてお話しになりましたけれども、いわば外部からのということを考えれば、防衛庁についてもあるいは通産省についても同じでありまして、そういう問題について全く明らかにしないということが、秘密保護の面を通じて今お伺いした中から明らかになるわけです。  実は、これは論点を絞って秘密の問題だけについて伺いましたけれども、そこだけではなく、外交の問題だということで国政段階における議論の場に必要な情報についても極めて不十分にしか我々は知ることができない、これが現実の日々の状況でございます。  これからまた大事な議論がたくさん始まっていくわけでありますから、そういう現状に対して、いわゆる五五年体制の反省の一番の国会改革は取引型政治ではなくてディベートしていくことが大事であるということであるとするならば、確かに秘密の問題はあるとしても、基本的には国民のコントロール、国会における情報開示のもとにおける議論、そのことなくしては民主的な外交ということはないわけであります。  外交、防衛における特別な立場ということを十分踏まえた上でも、私は今申し上げたことを強調して、今後ともぜひとも御配慮いただきますよう要請をして、質問を終わりたいと思います。
  162. 松岡滿壽男

    ○松岡委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  163. 松岡滿壽男

    ○松岡委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。東中光雄君。
  164. 東中光雄

    ○東中委員 私は、日米ACSA協定を実施するための自衛隊法改正案に反対の討論を行います。  今回のACSA協定は、地球規模で展開する米軍への同盟国による兵たん支援網に自衛隊を組み込むものであり、しかも、緊張事態などの危機や有事において共同訓練の形をとることによって軍事行動を行う米軍を支援するものであり、一層本格的な有事態勢づくりに道を開くものだと思います。  PKOや国際救援活動へ適用することは、世界の紛争地域での日米軍事協力を促進するものです。日本憲法の平和原則に反することは明白であります。  以上、断固反対を表明して、討論を終わります。
  165. 松岡滿壽男

    ○松岡委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  166. 松岡滿壽男

    ○松岡委員長 これより採決に入ります。  内閣提出自衛隊法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  167. 松岡滿壽男

    ○松岡委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  168. 松岡滿壽男

    ○松岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  169. 松岡滿壽男

    ○松岡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十五分散会