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1995-11-30 第134回国会 参議院 宗教法人等に関する特別委員会 第6号
公式Web版
会議録情報
0
平成
七年十一月三十日(木曜日) 午前十時一分開会
—————————————
委員
の
異動
十一月二十九日
辞任
補欠選任
本岡
昭次
君
椎名
素夫
君
国井
正幸
君
小島
慶三君 十一月三十日
辞任
補欠選任
和田
洋子
君
都築
譲君
小島
慶三君
国井
正幸
君
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
倉田
寛之
君 理 事 上杉 光弘君 関根 則之君 松浦 功君 白浜 一良君 平井 卓志君 渕上 貞雄君 有働 正治君 委 員 尾辻 秀久君 太田 豊秋君 鎌田 要人君 久世
公堯君
小山 孝雄君
下稲葉耕吉
君
坪井
一宇
君 中島 眞人君 楢崎
泰昌
君
服部三男雄
君
保坂
三蔵
君 村上 正邦君 荒木
清寛
君 猪熊 重二君
魚住裕一郎
君 大森 礼子君 釘宮 磐君
都築
譲君 直嶋 正行君 山下 栄一君 伊藤
基隆
君 齋藤 勁君 竹村 泰子君 前川 忠夫君 阿部 幸代君
椎名
素夫
君
国井
正幸
君
小島
慶三君
国務大臣
法 務 大 臣 宮澤 弘君 大 蔵 大 臣 武村 正義君 文 部 大 臣
島村
宜伸
君 自 治 大 臣 国 務 大 臣 (
国家公安委員
会委員長
)
深谷
隆司君
政府委員
内閣法制局長官
大出 峻郎君
内閣法制局
第二
部長
秋山 收君
警察庁長官官房
長 菅沼 清高君
警察庁長官房
総務審議官
山本 博一君
警察庁刑事局長
野田 健君
警察庁警備局長
杉田
和博
君
法務省民事局長
濱崎 恭生君
法務省刑事局長
則定 衛君
公安調査庁長官
杉原 弘泰君
大蔵省主税局長
薄井 信明君
国税庁次長
若林 勝三君
文部大臣官房長
佐藤 禎一君
文部大臣官房総
務審議官
辻村 哲夫君
文部省初等中等
教育局長
井上 孝美君
文部省高等教育
局長
吉田 茂君
文部省体育局長
小林
敬治
君
文化庁次長
小野
元之
君
厚生省保健医療
局長
松村 明仁君
自治省行政局選
挙部長
谷合 靖夫君
自治省税務局長
佐野 徹治君
事務局側
常任委員会専門
員 青柳 徹君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
宗教法人法
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
)
—————————————
倉田寛之
1
○
委員長
(
倉田寛之
君) ただいまから
宗教法人等
に関する
特別委員会
を開会いたします。
委員
の
異動
について御報告いたします。 昨二十九日、
佐々木満
君、
本岡昭次
君及び
国井正幸
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
坪井一宇
君、
椎名素夫
君及び
小島慶
三君が選任されました。 本日、
和田洋子
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
都築譲
君が選任されました。
—————————————
倉田寛之
2
○
委員長
(
倉田寛之
君)
宗教法人法
の一部を改正する
法律案
を議題とし、前回に引き続き、
質疑
を行います。
質疑
のある方は順次御発言願います。
保坂三蔵
3
○
保坂三蔵
君
オウム真理教事件
は、二十四名の
死亡者
と三千九百四十名の
犠牲者
を出すという前代未聞の大
事件
となりました。
地下鉄サリン事件
などで私
たち地元
の
東京都民
は無差別の殺りくに震えおののいたのが
実情
ですが、一方、
オウム真理教
の
宗教法人認証
を
東京都知事
が行ったという複雑な
心境
にもありました。わずかな間に熊本県、山梨県、神奈川県を初めとして被害は拡大していき、
全国
の
自治体
から約四百件の
意見書
や
陳情書
として
東京都知事あて
に
オウム真理教
の
解散
を求める動きがほうふつとして沸いておりました。特に
東京
都出身の私、
議員
といたしましては非常に責任を痛感して今日まで参ったのが
実情
であります。 この中で、
犯人検挙
による
教団撲滅
への
努力
と
犠牲者
の対策、
再犯防止策
の模索へと、焦燥感募る中で
関係者
の
努力
が今日まで続いております。幸い、仮谷さんの
拉致殺人事件
を契機に、
警察庁
の一挙の
捜査
で
事件拡大
を
防止
し、
裁判所
による
解散命令
が出されたことにいささかほっとしているところでありますが、
即時抗告
などの
教団
の抵抗もあり、
深谷公安委員長
が
答弁
いたしましたように、
捜査
はまだ六合目。
サリン
の何倍も強力な
VXガス
四十リッターが行方不明であると言われたり、あるいは
指名手配
十五名の
検挙
もいまだであります。
大阪APEC
は必死にクリアできましたが、何かが起きなければよいがと祈る思いであります。
オウム事件
は、
関係
の薄い地域におきましては、かつて私
たち
が
湾岸戦争
を
テレビ
で
劇映画ふう
に見ていたごとくと似ているような気もいたします。だが、
オウム事件
は
漫画チック
だとか
劇画風
という希有の
猟奇事件
では全くありません。治安から
宗教
のあり方まで
社会全般
に警告をし、いつ
フラッシュバック
で
事件
が再発するかわからない予兆の大
事件
ともとれるのであります。私
たち
はこれを生きた教材にして、
宗教界
の協力のもとに何としても再発を
防止
しなければ、
犠牲
になられた方々も浮かばれないことでありましょう。 その
意味
で、いかに
現行
の
宗教法人法
が無力であり、いや、
罪つくり
の面さえあったかを、実際
現場
で体験したささやかな
立場
から検証を試みまして、今回の
法改正
による正しい
宗教
の
発展
と
カルト事件
の
防止
が重要かを順次お尋ねしてまいりたいと思います。 そこで、
オウム真理教
の
事件
、何回も当
委員会
でも、あるいはまた
国会全般
に出てまいりましたし、
テレビ等
でも報道されているところでありますが、当時、私は
認証
を行いました
東京
都の
現場
の
自民党
の
幹事長
をしておりまして、非常に苦慮した
立場
にございました。 そこで、順次
お話
をしてまいりますが、実は、この十月三十一日に
アメリカ
の上院の
政治活動委員会
・
大量破壊兵器
の
世界的拡散
に関する
公聴会
が開かれまして、手元に
資料
が届いたところであります。これの中で、要約をいたしますが、特に
アメリカ
の
議会
におきまして
オウム真理教
の
事件
が非常に明細にわたりまして取り上げられております。 この中を一部御紹介いたしますと、 同法の施行以来、約二十万の
宗教団体
が
認証
を受けており、
単純計算
ではその
信者数
の
合計人数
は
日本
の人口を七千万人も上回っている。これらの
宗教団体
の多くは
法律
を遵守し、また尊敬を得ているが、免税の「営利」
活動
を行っている
組織
や
自分たち
の政党を支配している
組織
があるにもかかわらず、
政府
はこれらのいずれの
組織
の
活動
も監督できないでいるのが
実情
だと、こういうふうに
公聴会
では言われております。 また、
オウム
に関しましては、「
宗教法人
の
認証
を得ることを重要な
優先課題
にしていたことがわかっている。そのために
オウム
は
こ東京
都や
文化庁
でのピケを初め「攻撃的な
ロビー活動
を展開していた。」が、「こうした
活動
は「スキャンダラス」なものであり、他の
宗教組織
の性格から完全に外れたものであった」と、
カルト宗教
としての特徴を挙げておりまして、「この奇妙な
日本
の
法律
が
オウム教団発展
の
重要要因
となったとする
意見
」が多くあった、こう言っております。 そして最後に、
オウム教団
が「
宗教法人
として保護されるようになったことで、
教団
は
政府
の干渉を受けないという自信を強め、
坂本弁護士
の
殺害
を決断した」と見られる。「また、
殺害
後も
政府
の反応がなかったことが、
日本国内
で敵に対して
露骨
により恐ろしい攻撃をしかける大胆さを
教団
に与えてしまったと
指摘
する声もあった。」と、こうなっております。 そしてなお、
資料
といたしまして、
オウム教団
が
認証
を受ける前と
認証
を受けた後どう変化したかという数字が追ってありますが、例えば純資産で見ますと、
平成元年オウム教団
が持っていた資産は四億三千万である、そして七年後、
地下鉄サリン事件発生
のことしては一千億円になっていると言っております。四億三千万から一千億円に。そして
信者
の数も、
昭和
五十九年二十人から、ことし
平成
七年全
世界
で五万人になっていると言われております。
日本
では約一万と言われております。事務所は、
昭和
五十九年
日本
にたった一カ所であったものが、ことし
平成
七年
世界
六カ国で三十カ所、
日本
におきましては
全国
で四十カ所、
東京都内
で十カ所、アジトに至っては数え切れないほどと、こういうデータさえありまして、いかに
日本
の
宗教法人法
、また憲法二十条の歯どめというものが効き過ぎているかということの
指摘
を
アメリカ
の
議会
が行っていることは注目に値することではないかと思っております。 ここで
オウム
のことに関しまして戻りますが、御
案内
のとおり
オウム
の
麻原教祖
でありますが、
昭和
五十七年、今から十二年前に
薬事法違反
で逮捕されておりますが、その二年後に
教団
を渋谷区の桜丘、
東京都内
で布教を開始いたしました。この後に阿
台宗
で
宗教法人
のノウハウを勉強いたしまして、六十一年、
東京
都に対しまして
宗教法人
を
設立
したいという
相談
に来ておりますが、私
たち
の知る限りにおきましては、このときは
不動産登記
がなされた物件すらないというような貧相な状態でありました。 そして、翌年六十二年二月、
教団
は
オウム神仙
の会を
設立
し、八月に
オウム真理教
に名称を変更いたしまして、その都度何回か
東京
都に
相談
に来ております。 で、翌年六十三年四月でありますが、
事件
が起きる前の年、もう既に
教団
に対しての
苦情
が多く出ておりました。私
たち
はそれを察知しておりましたが、八月に
教団
は静岡県の富士宮市に
富士山総本部
を建設しております。そして十月に
教団
は最終的に形式を整えまして、本拠地を世田谷区赤堤に移して
東京
都に
設立
の
相談
に来たのが表に出た行動の
最初
であります。 このとき
麻原教祖
は、既に
教団
の内部で
認証
が取れそうだという話をしたものでございますから、
信者
の親から
東京
都に対しまして二十数件に及ぶ
認証
を与えないでほしいという
苦情
や反論が既に寄せられておりまして、警視庁におきましてもいろんな
事件
の
苦情
が寄せられておりました。それがもう
認証
の一年前であります。 年が明けまして六十四年に、
東京
都は、申し入れは非公式でありましたけれ
ども
、
現地調査
に入りました。
宗教団体
としての
実態把握
、それから主に
経理関係
についての
調査
、それから江東区の亀戸に移りました三月以降は
宗教法人活動
の
実態調査
、
出家制度
についての
質問
、ありとあらゆることをやってまいりましたが、三月になりましてから
教団
は、
東京
都に対しまして
認証申請書
を出してきたわけであります。 ここで、これを受理いたしますと三カ月以内に
認証
を与えなくてはいけないという法的な
要件
が整ってしまうものでございますから、私
たち
といたしましてはこれは非公式でありましたけれ
ども
、
議会筋
から
東京
都に預かり
処分
にさせることにいたしました。預かり
処分
にいたしましたところ、
教団
はデモをかけてまいりまして、二百数十名の
信者
を
東京都庁
内でデモ行進させたり、あるいはまた、
行政部
や
知事公舎
、副
知事
、
行政部長
、
指導課長
などの
事務室
に
認証
を求める
電話
を数百本、正確には二百八十一本人れてまいりましたし、自宅には数え切れないほどの
電話
が入りまして圧力をかけてまいりました。そして、
東京
都はやむを得ず五月に
申請
を受理したわけであります。 このときに、ここのところが重要なんでありますが、既に
教義
にも問題が出ておりました。それは、
教義
は文書としては整っておりました。これは当然十四条一項にのっとるように指導してきた嫌いも各
自治体
にございましたので、そういう
条件
は整うわけでありますが、問題は、例えば
麻原教祖
の
説法会
だとかあるいは
出版物
などで
教義そのもの
を見ておりますと、一番問題になったのは
出家制度
でありました。
未成年
の
子供たち
を拉致して親に会わせないとか、それから血のイニシエーションな
ども
やっておることがわかっておりましたし、またいろんな
事件
が入っておりました。それから、実は
北川石松代議士
が
大阪
からわざわざ
都知事
を訪ねてくれまして、この
教団
を
認証
させると大変だよと、こういう
お話
もございまして、これは大変に私
たち参考
になりました。 それから、私
たち
といたしましては
申請書
を受理いたしましてから
ただ惰眠
をむさぼっていたわけではありません。
信者
の家族から入信に伴うトラブルについての
苦情
が多数ありましたので、この事実
関係
をまず調べておりました。 それから、
申請書
につきましては
書類
上の
不備
がないことが
確認
されておりましたけれ
ども
、今申し上げた
教義
の問題、それから
都内
の
警察署
及び
教団
の
主要支部
が存在する八道府県まで出かけてまいりまして、県庁及び
所轄警察署
で
苦情
などの事実
関係
、
違法行為
の存否などを全部調べてまいりました。いかに
機関委任事務
といいながらも、常時は四名の
宗教法人係
しかいないんでございますが、
全力
でこれを阻止しようということで、
法律
的な根拠がない聞き込みの
調査
までやってまいりました。こういうことをやってきたわけでございますけれ
ども
、現実には
条件
が整い、そしてだんだん我々は追い込まれていきました。 しかも、六月一日になりまして
教団
が不
作為
の
違法確認訴訟
を提起いたしました。これが問題であります。それで、私
たち
は
文化庁
や
弁護団
とも
相談
をしたのでございますが、結局、今の
法律
では形式的な
確認
の不
作為
ということで負けるだろうと、裁判は。しかも、それ以上に突っぱねてやりますと、
窓口
の職員まで
損害賠償
の
請求
をするぞとおどしをかけられておりました。 私
たち
は、ほかの事例では、言ってみればおかしい
教団
を
認証
しないような
努力
をしてきた効果も出ておりました。例えば、統一教会のダミーであります
天地正教
という
教団
があります。ここはもう
最初
から
霊視商法
などでおかしいことはわかっておりましたので、
東京
都は
認証
を与えないように
努力
した。それで結局、向こうは急ぐものでございますから、北海道に行きまして簡単に
認証
を取ってしまった。こういうような実例が現にございます。 私
たち
といたしましては、とにかくやれることは
全力
でやろうとやってきたわけでございますが、御
案内
のとおり、
青島知事
が
解散請求
をほのめかしただけで、
知事公舎
に当時の
自民党
の
幹事長
の
田中晃
三という
都議会議員
の名前をもって爆弾を仕掛けた
郵便物
を届けて、結局ああいう、まかり間違えば人命が陥れられるような
事件
さえも後々起きていることでもおわかりのとおり、どういうプレッシャーがかかってきたか。そして、どうしてこれを防ぎ得なかったか、
認証
を出さざるを得なかったか。これはまことに厳しい現下の状況でありまして、このことをもってすら法の
不備
ということがいかに重要なテーマになっているかということがおわかりをいただけるわけでございます。 そこで、いろいろ
オウム真理教
のことについて述べてまいりましたけれ
ども
、
文部大臣
、
文部大臣
も
東京
都選出の
国会議員
の
先生
として、今まで我々は、
文部大臣
に御就任いただく前からこういう苦衷を述べて、そして
カルト教団
の
社会
に及ぼす悪影響について御
相談
してまいったところでございますが、この
オウム真理教
の
事件
に端を発する今回の
法律改正
に至る
大臣
の御
心境
をまず冒頭で御開陳いただきたいと思います。
島村宜伸
4
○
国務大臣
(
島村宜伸
君)
オウム真理教事件
という国民を驚愕させ、ある
意味
では大変な
犠牲者
を出した
事件
、私
たち
も
かなり
の
部分
で勉強させていただいたつもりでありますが、今、
保坂委員
のいろいろな
お話
を伺って改めて認識を深めることができました。さすがに
都議会自民党
のリーダーとして御活躍いただいたその見識にまず敬意を表するところでございます。 印象ということでございますが、私は正直言って
現行宗教法人法
の
規定
ではこういう
事件
をまた再発させるおそれもあるなと思います。
認証
に至った
経緯等
についてはまだ御
質問
にお答えをいたしますけれ
ども
、少なくも
認証
せざるを得ない
現行
の
規定
という中から苦しい
判断
をされたということも、当時の事情を調べる過程でも知り得たことでございます。 今後は、こういうことについて
所轄庁
として何らかの対応ができるような法の整備というものはやっぱり必要なんであろう、私はそういうふうに考えております。
保坂三蔵
5
○
保坂三蔵
君 ただいま
オウム真理教事件
の
てんまつ
をるる述べてまいりました。私に与えられた時間の
かなり
の
部分
を割いて
お話
を申し上げましたのは、
現場
でいかに苦しもうと、そして四十七
都道府県
がその
窓口
として、
所轄庁
として
努力
しようと、また
文化庁
がどう御指導いただいても、私
たち
はこういう
オウム教団
みたいな
教団
の、狂信的な
カルト教団
みたいなものの
認証
を
防ぐことができなかったということをまずおわかりいただきたいのであります
。 そこで、
認証
について
お話
を申し上げて
文化庁
の御
答弁
をいただきたいのでございますが、
認証
につきましては、ただいま申し上げましたように
準則主義
でありまして、
確認行為
でありますから、言ってみれば、
条件
が整っていたり
手続
が間違っていなけりゃこれは出さざるを得ないということになっておりますが、私
たち
は少なくとも
認証
の直前まで反
社会
的な
行為
やそういうことはわかっていたんですね。わかっていても、結局は
信教
の自由という大
原則
を私
たち
は認識せざるを得ないので
認証
を出してしまったわけでございますけれ
ども
、そういう点では
代理事務
の限界というものを感じるという
都道府県
の声を聞いておりませんでしょうか。
小野元之
6
○
政府委員
(
小野元之
君)
東京
都からも私
ども
はこの
認証
の
経緯
について
お話
を伺っているわけでございます。先ほど
保坂先生
、本当に詳しく御説明いただきましたように、
東京都知事
も本当に真剣に対応されたということは私
ども
もそのとおりだと思うわけでございます。 御
指摘
ございましたように、
現行
の
宗教法人法
は十四条一項で、
所轄庁
として
規則
を
認証
するに当たりましては、
当該団体
が
宗教団体
であること、それから
当該規則
が
宗教法人法
その他の法令の
規定
に適合していること、それから
設立
の
手続
が
宗教法人法
十二条の
規定
に従ってなされていること、こういった
要件
を一応満たしておるということになりますればその
規則
を
認証
する、こういった形での決定をしなければいけないとされているわけでございます。 そういったこともございまして、
お話
にございましたように、不
作為
の
違法確認
の訴えをするぞとか、あるいはいろんなことを通じて、とにかく早く
認証
しろということを厳しく迫ってきたわけでございます。
オウム
の
実態
につきましては
東京
都でもいろいろお調べいただきましたし、
信者
からもさまざまな
苦情
が寄せられておりました。どうもおかしいということは
担当官
の方も本当に真剣に悩まれたと思うのでございます。 今回の
宗教法人審議会
の報告にもございますように、
認証
につきましては、例えば
現行法規
の
運用
の中で対処できる点は厳正に対処すべきだということも
指摘
をされております。 それから、私
ども
も
国会
で御
答弁
申し上げておりますように、
認証
の
時点
で著しく
公共
の
福祉
を害する
行為
を行っているということが明らかな場合、こういったものに関しては、たとえ
書類
上の
要件
がそろっていても
認証
しないということで、厳しく対処していかなければいけないというふうに思うわけでございます。今回の法をお認めいただきますと、そういった点も含めて各
都道府県
と
十分相談
をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。
保坂三蔵
7
○
保坂三蔵
君
宗教法人法
の
立法趣旨
のことでお尋ねしたいのでございますけれ
ども
、
信教
の自由あるいは
政教分離
の
原則
に配慮しつつ、
宗教団体
の
法律
上の能力といいましょうか、
法人格
を付与する目的が
宗教法人法
である。そしてさらに、
宗教法人法
によって
活動
を担保された
教団
は、本来、
教義
を広め、儀式を行い、及び
信者
に対する
教化育成
をするということのいわゆる聖の
部分
と、主として財産の
管理
、
維持運用
などを図る俗の
部分
があって、これは
聖俗分離
しているというのが同じように大
原則
と、こう私
たち
はとっております。
認証
の中で、仮に今御
答弁
があったような
お話
を総合しますと、例えば八十一条一項一号のような
解散
時の
解散命令事由
ですね、これをひとつ援用すればいいじゃないかと言われますが、ならば、この八十一条一項一号というのは今回初めて適用して
裁判所
が
解散命令
をしたわけでございますが、これは既に聖の
部分
に踏み込んだ、言ってみれば俗の
部分
から離れた
判断
を
裁判所
もした、要するに公益に反すると。
未成年
の
拉致事件
やいろんな
事件
があった。たまたま今回は
刑事事件
が立件されようとしておりますけれ
ども
、少なくとも聖の
部分
に踏み込んだ
判断
を
裁判所
がしたということになると、
聖俗分離
という
原則
はある
意味
では非現実的になってきたんじゃないでしょうか。その点、御見解を求めます。
小野元之
8
○
政府委員
(
小野元之
君) この聖と俗の問題でございますけれ
ども
、
宗教法人法
は
宗教法人
としての
管理運営面
、いわば俗の面での
管理運営
を適正に行うという観点から
法律自体
が成り立っておるわけでございます。御
指摘
ございました聖の
部分
について
所轄庁
が関与すべきでないということは、もう私
ども
そのとおりだと思うわけでございます。 ただ、聖の
部分
と申しましても、例えば
殺人行為
であるとか著しく
公共
の
福祉
を害する
行為
を行っているというようなことが仮にあるとすれば、それが明らかであるということであるならば、
宗教団体
であることを
確認
するというのが
宗教法人
の
認証
の
時点
での最大の
ポイント
でございますけれ
ども
、その
宗教団体
としての基本の
部分
が例えば
殺人
などの著しく
公共
の
福祉
を害する
行為
を行っているということが明らかであるというような場合であれば、
原則
として聖の
部分
に立ち入らないというのはもうそのとおりなのでございますけれ
ども
、そういった著しく
公共
の
福祉
を害するというような場合には、そういったことについては
認証
しないということで臨むのが私は当然だと思うわけでございます。
保坂三蔵
9
○
保坂三蔵
君 いや、そこが
ポイント
なんですよ。 今回は、
平成元年
に
認証
を与えて、
事件
が起きたのは六年、七年ですよ。わずか五年間にこういうふうに
オウム教団
が発育してしまった。その間を私
たち
は見ることができなかったわけです。ここを言っているわけですよ。これが今度の法の改正のように見られれば、あるいは
質問
権などがきちんとしていればはっきりとそれは防ぐことができる。今度の
法律
の改正が、あたかも
オウム教団
のようなああいうカルト的な
教団
を
防止
することはできないということを希望しているようなやじが飛ぶけれ
ども
、全くおかしい。そういうことに期待してこの
法律
の改正の準備がされてきたということを、背景を言っているわけでございます。 例えば今回の場合も、
殺人
事件
が起きたから八十一条の一項一号を適用したと言いますけれ
ども
、起きなければいつまでも、わからなければいつまでもなんでしょうか。例えば八十一条の一項一号は、著しく
公共
の
福祉
に反することが、事実が明白に認められることと、こうなっているんですけれ
ども
、著しく
公共
に反するというのはどういうことなんだ。明白に事実を認められるというのは、我々はそんなに、
東京
都が
資料
もないのに立件できるような
資料
を持ち得ませんよ。そしたら唯々諾々として今日まで来ざるを得なかった、そういう
法律
の
不備
を本当に痛いほど痛感するんです。 ここでお尋ねいたしますけれ
ども
、もう一つ、
認証
の
判断
基準を明確にすべきじゃないかという声がかねてから起きていますが、一体今まで
認証
を行わない場合というのが現実にあったんでしょうか。それと、
判断
基準を明確にするために今後
宗教法人審議会
にこれをテーマとして検討してもらうおつもりはありませんでしょうか。
小野元之
10
○
政府委員
(
小野元之
君) 従来におきましても、各
都道府県
段階では
認証
をしないという例はございました。これは
宗教団体
性が
確認
できないという観点でそういった
認証
をしないという
処分
をしておるわけでございます。いずれにいたしましても、この
認証
の基準といいますか
認証
の基本的な考え方、これは行政
手続
法が公布をされましてある程度そういった審査基準なり留意事項といったものをオープンにしなければいけないということで、
文化庁
といたしましても次長通達で、行政
手続
法が施行されたことに伴いましてこの
宗教団体
性の
確認
の具体的な
判断
基準の留意事項を示しているわけでございます。 今後とも、そういった点につきましては、
宗教法人審議会
の報告にもございますように、
現行
法の
運用
を適正に行っていくという
努力
をしていかなければいけないというふうに思っているところでございます。
保坂三蔵
11
○
保坂三蔵
君
宗教法人審議会
はこれからも続いていくわけでありますからぜひ具体的に取り上げていただきたいと思いますが、それまでの間、
文化庁
もそうでありましょうけれ
ども
、とにかく慎重な審査が必要であるというような案件が出てきて
準則主義
でどうしようもないところにまで陥った場合でも、例えば建築
確認
のように、三週間の限定でありましても申立人の了承さえ得ることができるならば保留ということも認められているわけです。 そこで、慎重な審査に非常に時間を要するというような場合は、私
たち
は
オウム
の件では
文化庁
にも聞いたわけですけれ
ども
、結局これは答えようがないということで最終的には認められなかったんですが、
認証
の保留
処分
ということを現実にすることはできませんでしょうか。
小野元之
12
○
政府委員
(
小野元之
君) 御
指摘
のように、
認証
の
申請
があった場合に、これに対して十分慎重に審査をしなければいけない。受理をいたしますと三カ月以内に結論を出さなければいけないわけでございます。そういったことがございまして、
先生
の方から
認証
の留保
処分
というのができないかというお尋ねでございます。 この点でございますけれ
ども
、正式の
書類
が完備した
書類
として
申請
が出てくるということであれば、これは受理せざるを得ないわけでございますけれ
ども
、通常の場合、行政庁の方は正式の
書類
が出てくるように実は
申請
者側に対して
かなり
いろいろ
条件
あるいは
書類
の様式等を指導いたしまして、現実問題として
申請
者の便宜のために
かなり
な
努力
をしているのが事実でございます。 しかし、現実にこういった
公共
の
福祉
に反することを明らかにやっているおそれがあるような
宗教
教団
が
認証
を持ってきた場合にはある程度、この留保
処分
はできないと私は思うのでございますけれ
ども
、受理するにふさわしい正式な
書類
がきちんと出てくるかどうかといった点については、
法律
に従って厳密な審査を行うということは私は現在の
法律
の建前の中でもできると思うのでございます。 あるいは、
宗教
教団
に対して疑問点があれば厳しくその点を追及しできちんとした形で出すことを審査していく、そういう
窓口
におきまして
申請
の
手続
を、もちろん行政
手続
法に触れるようなことはできないわけでございますけれ
ども
、さまざまな
努力
をして、現実問題として本当に
公共
の
福祉
に反するようなものが最終的に
認証
されないようにするための
努力
を行うということは私は可能ではないか、そういった点は私
ども
窓口
担当者としても考えていかなければいけないのではないかと思うわけでございます。
保坂三蔵
13
○
保坂三蔵
君 今の
認証
の最後のところが非常に重要だと思うのですね。 それではもう一つ、
現行
法でできるかできないかをお尋ねしたいんです。
都道府県
と文部省は同一の視点から問題を扱う、そういう差異はないという当然な御
答弁
をいただいてきたわけでございますけれ
ども
、
都道府県
の与えられた
条件
というのは非常に限られているわけです。もちろん、法にのっとっているということに関しては国と変わらないわけですけれ
ども
、それじゃ何のスタンダードも持っていないんだろうか、基準も、ということなんです。 例えば、
東京
都におきましては
昭和
三十二年の
宗教
審
議会
の答申の精神を先取りいたしまして、あの中に出ておりましたところの、例えば
宗教
活動
を数年間にわたって現実に行っているかどうかという
確認
をするとか、あるいは礼拝堂などの主たる境内用地が言ってみれば現実的にその
教団
の所有物件になっているかどうかの
確認
だとか、その礼拝堂に
信者
が自由に入れるかどうかとか、そういうスタンダードを内規的に持っているわけです。だけれ
ども
、これはちょっと考えようによれば行き過ぎですか。
小野元之
14
○
政府委員
(
小野元之
君) 御
指摘
ございました
東京
都としてそういった内規をお持ちだということを私
ども
は承知をいたしております。これは行政
手続
法に基づきまして
文化庁
では通達をしているわけでございますけれ
ども
、これは審査基準、
判断
基準で留意事項だということでお示ししているのでございます。
文化庁
が示しております基準の例では、法二条に
規定
する主目的のための
宗教
活動
を行っているかどうかについて、例えば過去三年程度の
宗教
活動
の実績、それをきちんとやっていらっしゃるかどうかを
確認
する。それから、単位
宗教法人
というものについては、礼拝施設を備えているということにつきまして、こういった礼拝施設の不動産などの財産がほかの
部分
と分離独立した
当該団体
自身のものであるかどうか、それから団体として永続性がきちんと担保できるかどうかといったような点についても検討することということを留意事項で示しております。 それから、この礼拝施設について現地を
確認
する、あるいは
当該団体
のということをやっているわけでございますけれ
ども
、それから御
指摘
ございました公開性の確保についても検討するということで審査基準の留意事項としてお示しをしているわけでございます。
東京
都においてもそのようなものがあるということでございまして、これはもちろん適正なものだというふうに考えておりますけれ
ども
、この
宗教法人
の
認証
の事務は国の
機関委任事務
でございますので、私
ども
といたしましてもこの
文化庁
の審査基準の例、これは留意事項でございますけれ
ども
、こういったものを十分参考にしてほしいということを各県にお願いしているところでございます。
保坂三蔵
15
○
保坂三蔵
君 よくわかりましたけれ
ども
、例えば
オウム教団
なんかは
平成元年
の八月二十九日に法人登記を結局しているわけですね。八月にして、十一月四日にはもう
坂本弁護士
の
拉致事件
を起こしているんですよ。この背景には、一年以内に何かしでかしてしまったら取り消しの根拠になるからという焦りがあったとも言われているんですね。それだけに入り口がいかに重要かということもぜひぜひ、出口と入り口をしっかりとめておく、その中間がなくていいというわけじゃありませんけれ
ども
、今度の
法律
の改正で中間がしっかり見られるわけですから、少なくとも中間と出口が明瞭になってきた以上は、問題は入り口の検討もやっていただきたいと思うわけです。 そして、
所轄庁
のことに話は移ってまいりますけれ
ども
、例えば大きな
教団
は今度は国だから、小
教団
などは、問題を含んでいない
教団
は地方
自治体
が
窓口
になればいいと簡単にお思いでしょうけれ
ども
、今の時代、昔と違いまして交通網が整備されたり、情報網が、マルチメディア
社会
に入ってあらゆるニューメディアが誕生して、昔のように教祖やあるいは開祖の御
意見
があるいは説法が大勢の中間の幹部の
信者
の口を伝えて広く
教義
を広めていくというような、そういう時代ならば境内用地を幾つも持つことによってそこが
全国
の、あるいは広く
宗教
活動
をする拠点になるんでしょうけれ
ども
、今の時代ですからね。 例えば、具体的に申し上げれば、幸福の科学なんというのは本社一個あれば、本屋さんがあればそこで売ってくれるわけですから、
出版物
は。そして、VTRを見れば、
オウム真理教
もそうでしたね、VTRを見れば教祖の声がじかに入ってくるんですから、それで耳にはCDでマインドコントロールできるような操作もできるわけですから。そういうような時代になってくると、単に
所轄庁
が地方
自治体
だからあるいは国だからといって、その取り扱いが易しくなったと、地方
自治体
が。そんなことは決してない、むしろそこに問題がある、こう思うわけなんです。 このことからいって、例えば境内用地のみで区分を明確にするというのはちょっと無理なんじゃないか。例えば、本堂が
東京
都にあって墓地が埼玉県や千葉県にあった場合は、現実には境内用地は一件となっているわけです。それで、
所轄庁
は
東京
都になりますけれ
ども
、こんなことが現実的にあるわけですから、
所轄庁
の問題も結局は私は、
機関委任事務
の限界も申し上げましたけれ
ども
、最終的には国が全部見るべきじゃないかと。全部の
教団
、十八万余の
教団
を国が見て、そして旅券法のようにまず
都道府県
が
窓口
になって上げていきなさいと。そして、問題点がないところを
都道府県
だけに預けておいて、問題があるところだけは国がいつでも
質問
などができるようにしておいた方が、本当はあしき
教団
の発生だとか
教団
が悪い方向に流れることを防ぐことが実際にできる
所轄庁
の区分にならないだろうか、こう思いますが、御見解を求めたいと思います。
小野元之
16
○
政府委員
(
小野元之
君) いろいろ示唆に富んだ御
指摘
をいただいておるわけでございますけれ
ども
、今回、
所轄庁
の決定を境内建物ということに一つの
判断
基準として出しておりますのは、
宗教
活動
が具体的にほかの県に及んでいるかどうかといったことを
判断
する、その場合に
信者
がよその県にいらっしゃる、あるいは布教
活動
をよその県でやっておられるといったようなことも一つの
判断
基準になり得るわけでございますけれ
ども
、仮にそういったものを
判断
基準といたしますと、どうしても
所轄庁
が
宗教法人
の
宗教
活動
に介入のおそれが出てきてしまう。そういったおそれが出てこないで、しかも二県以上にまたがって広域的に
活動
をしておられるということをどう
判断
すべきかということで審
議会
でも十分議論が行われたわけでございますけれ
ども
、最終的には
活動
を客観的、外形的にとらえることができるもので
判断
をすべきだということで、やはり境内建物というもので
判断
するのが最もよいのではないかということで、今回、境内建物をほかの県に持つものについては
文部大臣
の所轄でお願いしたいというお願いをしているわけでございます。 御
指摘
のように、マルチメディアも進んだり、あるいは通信手段等もいろいろ進んできておるわけでございます。確かにこの
法律
をお認めいただきますれば、
文化庁
もそうでございますけれ
ども
、各
都道府県
自身の事務ももちろん若干ふえますし、あるいは
所轄庁
としての役割も大切になってくるわけでございますので、それぞれ充実した体制を組まなければいけないわけでございます。そういった
活動
範囲が交通手段や通信手段の発達によってさまざまに広がっていくのは事実でございますけれ
ども
、私
ども
としては現
時点
で
全国
的な
活動
をしているかどうかという
判断
基準としてはやはり境内建物といったもので考えるのが最もいいのではないかということで、その内容で法案をお願いしているところでございます。
保坂三蔵
17
○
保坂三蔵
君 外形的な
条件
でやらざるを得なかったということもよくわかります。しかし、精神として、そう言っては恐縮でございますが、小規模の
宗教団体
は
都道府県
に任せたよと言われますけれ
ども
、そこからまた心配をする
教団
が芽生えないように、ひとつ御指導のほどを伏してお願いしたいと思います。 それから、あわせて国の
努力
について何点がお尋ねしたいのでございますけれ
ども
、
昭和
三十三年の答申、これが現実的に現在精神としてどう位置づけられているのかお尋ねしたいのであります。 ということは、当時もう既に
宗教団体
は十八万に至っておりました。
昭和
三十一年に諮問をしたわけでございます。三十三年に答申を出したんですが、十八万に及んでおりまして、
事件
が今日と同じように起きていたわけです。それを受けて清瀬
文部大臣
が諮問をして、三十二年に答申が出るわけですけれ
ども
、現実的には今日の
法律
の改正案につきましては随分とこれが生かされているような気がするわけです。これが、その後、三十七年間何をしてきたかということをお尋ねしたい。 それからもう一つ、これは手厳しくなりますが、
平成
五年十二月九日の私
たち
参議院の予算
委員会
におきまして、片山
議員
から赤松
文部大臣
に速記をとめてまで
政府
の御見解を求めたわけでございますけれ
ども
、細川政権としては当時これは非常に重要な問題であって、もう検討をしているけれ
ども
、御
質問
の趣旨からいっても急いでやろうと、こう言われた。
平成
五年十二月九日ですよ。これが何もなされないで今日まで来たがゆえに
オウム
が大きくなったとは言い切れませんけれ
ども
、とにかく寸秒を争うような勢いで
オウム真理教
がばかな方向はかな方向へ向かっていったわけですよ。そういうことを考えますと、やはり
法律
の改正は今日遅きに失している感があるのではないかとさえ思うのでございますけれ
ども
、細川政権以来、現在の新進党の前身である各政党も当時絡んでいたわけでございまして、研究していたというなら、どういう研究をされたのかお尋ねをしたいと思います。
小野元之
18
○
政府委員
(
小野元之
君) まず第一点目の
昭和
三十三年の
宗教法人審議会
の答申でございます。 これをその後どういうふうに扱ってきたのかということでございますが、これは昨日以来御
答弁
申し上げておりますように、
宗教法人
の運営上の事項等について改善すべき点があるということで、十一項目にわたりまして幅広く提言がなされておるわけでございます。ただ、この提言につきましては、当時の
社会
や
宗教界
の状況といったものも今日とは異なっていたということ等もございまして、
法改正
には至っていないわけでございます。
文化庁
といたしましては、当時はもちろん文部省でございますが、この答申の趣旨を踏まえまして、
宗教法人
の
管理運営
の適正を期するための施策をやらなければいけないということで、研修会を充実していく、
宗教法人
の実務研修会というものを充実していって、そして法人の事務処理能力の向上、それから
所轄庁
の事務処理能力の向上といったことも研修、研究を続けてきたところでございます。 そういう
意味
では、三十三年の答申、確かに今日まで中身が
法律
のような形では具体化していないわけでございますけれ
ども
、私
ども
としてはその中で研修等に取り入れるべき点は取り入れてきたつもりでございます。 それからもう一点、
平成
五年の
宗教法人
制度研究
調査
会、赤松
大臣
のときに設置したものでございますけれ
ども
、これがどういう中身なのかということでございますが、御
指摘
のように、
平成
五年十二月に
国会
等で御
指摘
がございまして研究会を設けたところでございます。これは、
文化庁
の部内に文化
部長
をキャップといたしまして研究会を開いてきたところでございます。設置以来、八回の会議を持ちまして、
宗教法人
制度についてこれまで各方面から
指摘
されておりましたさまざまな事項について検討を行ってきたわけでございます。 これは
行政部
内での研究会でございまして、この研究会の結果が具体的に今回の法案の中に入っているということではもちろんないわけでございますけれ
ども
、私
ども
宗教法人審議会
の事務局も担当しているわけでございまして、行政としては常日ごろから宗務行政の適切を期するための研究をしなければいけないわけでございまして、そういった面で私
ども
としてもこの研究をきちんと行ってきたところでございます。
保坂三蔵
19
○
保坂三蔵
君 いろいろ法の
不備
から始まりましてお尋ねしてまいりましたし、また
政府
の
努力
につきましてもお尋ねいたしました。被災地の救済、あるいは警備の強化、あるいはまた脱会者の救済、情報収集機関をどう設置してもらいたいか、問題は尽きませんけれ
ども
、とにかく今までいろいろ各
委員
からも問い合わせがあったところでありまして、御
答弁
もいただいてきたところでございます。 要するに、今日のこの
宗教法人法
の改正、あるいはまた
全国
国民の八割以上の方々が私
たち
の動きを見ている、こういうことを肌で感じながら今日
質問
に立っておりますと、結局は反
社会
的な破壊的な
カルト教団
に話は尽きてしまうんだ。こういうものさえ許さなければ、私
たち
は
宗教法人
の存在も高く評価しておりますし、またそれの御指導も仰ぎたいと思っている
立場
であります。 こんなに手紙が来ているんです、私
ども
のところへ。頑張れと、とにかくみんな国民が見ていると、こんなに来ているんですよ。 それで、簡単で結構ですけれ
ども
、
カルト教団
というのはどういう性格を持ち、どういう怖さがあるのかちょっとわかりやすく説明していただけませんか。時間がありませんので、簡単で結構です。
小野元之
20
○
政府委員
(
小野元之
君)
宗教
学の説によりますと、カルトというのは
教団
という
意味
のようでございますけれ
ども
、自発的な集団でございまして、いまだ
教義
や
組織
が未成熟である、カリスマ的な指導者に率いられた熱狂的な
宗教団体
を指すというふうに聞いているわけでございます。 カルトについては
アメリカ
等でも盛んに研究が行われているわけでございますけれ
ども
、特に破壊的なカルトといったようなものについては、その
活動
が閉鎖的で異端的、反
社会
的で大変危険な運動を行う可能性があるというふうに今理解をしているものでございます。 〔
委員長
退席、理事松浦功君着席〕 これにつきましては、欧米でも、
信教
の自由や
政教分離
の
原則
との関連などから、法令によってカルト的なものに対して制限を加えることができるかどうか、いろいろ御論議があるようでございますけれ
ども
、現在の
時点
では法令での制限には消極的だというふうに聞いておるわけでございます。 我が国におきましても、カルトの問題は非常に難しい問題でございますが、
文化庁
といたしましても今後の慎重な検討や研究をしていかなければいけないということで、所要の予算等もお願いをしておるところでございます。
保坂三蔵
21
○
保坂三蔵
君 そういう危険な
教団
に実は、恐らくやじが飛ぶでありましょうが、創価学会も
カルト教団
と見られているんですよ。(発言する者多し)
アメリカ
社会
では全く
オウム
同様に見られている。独善、排他、危険な存在。 例えば、これはこの間中島
議員
からもお尋ねがありましたけれ
ども
、
アメリカ
のタイムの十一月二十日付の記事の中にはこうやって池田学会会長と、「ザ・パワー・オブ・ソウカガッカイ」という記事の中に何とこうやってこの間の東村山の朝木市会
議員
の写真まで載っていまして、こういう
事件
が創価学会の中に存在するということを
指摘
しているわけですよ。 そして同時に、例えばエホバの証人のように
子供たち
が交通事故で死にそうでも輸血をさせなかったような
事件
がありましたね。ああいう狂信的なところは、親の権利で子供の命を奪うことはないんですよ。それでもこういう
カルト教団
は平気で行う。しかも、教祖の指示なしで、場合によっては
信者
そのものが具体的な変な
事件
を起こすことは山とあるんです。(発言する者多し) これは十一月二十七日の「東村山・朝木市議変死
事件
真相糾明へ、遂に市民一万二千人が立ち上がる」という記事なんです。この
カルト教団
独特の犯罪
行為
を、実は創価学会が疑われているんですよ。そこが問題だ。 私は、
事件
が創価学会が全部やったという立件はできませんよ。しかし、疑われているということに対して答える責任があるんではないかということを私はお尋ねしているわけなんですね。(発言する者多し)
松浦功
22
○理事(松浦功君) 御静粛にお願いします。御静粛にお願いします。
保坂三蔵
23
○
保坂三蔵
君
委員長
、やじが飛びますけれ
ども
、私は公明党に対してこのことを言っているんじゃない……(発言する者多し)
松浦功
24
○理事(松浦功君) 御静粛にお願いします。
保坂三蔵
25
○
保坂三蔵
君 創価学会だからね。創価学会に対して言っている。 この朝木
事件
に対しては、数々のおかしなことが展開しておりまして、数々のおかしな
事件
が展開しておりまして、そして現実的には御存じのとおり自殺、他殺の両面から
捜査
をしているという、そういう公安
委員長
の
答弁
があった。(発言する者多し) そこで、刑事
局長
、この
事件
の
捜査
というのはどの辺まで今進んでいるかお尋ねしたい。
野田健
26
○
政府委員
(野田健君) お尋ねの事案については、
平成
七年九月一日午後十時三十分ごろ、
東京
都東村山市本町所在の六階建て店舗兼マンションの一階ごみ集積所において東村山市
議会
議員
朝木明代氏が同マンション上階より落下した状態で発見され、病院に搬送された後死亡したもので、現在、警視庁において所要の
捜査
態勢のもとであらゆる可能性を視野に入れ、自殺、他殺両面からの
捜査
を進めており、早期に
捜査
を遂げ、総合的な
判断
をしたいと思っております。
松浦功
27
○理事(松浦功君) ちょっと待ってください。 速記をとめてください。 〔速記中止〕
松浦功
28
○理事(松浦功君) 速記を起こして。(発言する者多し)御静粛に願います。
保坂三蔵
29
○
保坂三蔵
君
委員長
。
松浦功
30
○理事(松浦功君) ちょっと待ってください。 ただいまの件につきましては、後刻速記録を
調査
の上、適当な措置をとることにいたします。
保坂三蔵
31
○
保坂三蔵
君 大分紛糾をしておりますけれ
ども
、しかし紛糾をするというのは、例えば坂本
事件
のときもそうだった。プルシャが落ちていてそれに気がつかなかったという痛みを今感じていますね。私は今度の朝木
事件
が何もなくそのままいけばいいですよ、自殺で。しかし、これが本当にある種の団体の圧力や何かで他殺だったらばどうするんですか。こういう
事件
が頻発をしているということが、もし明瞭になったら大変なんだ。 そこであえてお尋ねいたしますが、この殺されたと言っている朝木という東村山の市会
議員
の娘さんと夫、そして同僚の市会
議員
が創価学会の
解散請求
を現実的に出したわけですよ。その中でいろいろ理由が述べられておりまして、こういう中で創価学会が既にこういう疑いを……(発言する者多し)
松浦功
32
○理事(松浦功君) 御静粛に願います。
保坂三蔵
33
○
保坂三蔵
君
世界
から、
日本
から持たれているということからすれば、そろそろきちんとしなくちゃならないと。
日本
の政治を動かすような力まで持った政党を持ち、そして同時に
発展
を続ける八百万からの会員がいる創価学会がこのことに答えないで、このまま時間を経過していくなんということはあり得ない、そういうことを私は申し上げているんです。 そこでお尋ねをいたしますけれ
ども
、この亡くなった朝木という市会
議員
が遺書とも言うべく残していったいろんなことがあるんです。例えば、この亡くなった年に
事件
が十何件起きている。 例えば、これも言われておりますけれ
ども
、草の根集会に出席をしようとした田参議院
議員
に対しまして、
平成
会の大久保参議院
議員
がこんな会に出ないでくれと要請をしたとか、何で李下で冠を正すのかというような
事件
が起きている。 しかも、お万引き
事件
という
事件
が起きまして、この件も私は公正を期すために学会が出している「潮」の記事も読みましたけれ
ども
、いろんなことが書いてありますよ。いろんなことが書いてあって、「万引きと自殺……この二つが転落死をめぐる騒ぎの構成
要件
」だとも書いているし、アリバイ工作が崩れたとも書いているし……(発言する者多し)
松浦功
34
○理事(松浦功君) 御静粛に願います。
保坂三蔵
35
○
保坂三蔵
君 そして同時に、「むしろ万引きを働くような自制心のない性癖が、地検出頭を控えての不安から衝動的な行動に走ったとみるのが、より常識的ではあるまいか。」とか、いろいろ書いてあるんですよ。 しかも問題なのはこの中で、こう書いてある。「彼女の転落死は警察の
捜査
で自殺と断定された。」とこの記事は書いてあるんです、「潮」の記事は。まだ断定していないんですよ。断定したと書いてある。こういう……(発言する者多し)
国家公安委員
長が断定していないと言っているじゃないですか。そういうことを、このミステリアスな
事件
が単純な偶発的な
事件
ではなくて計画された
事件
であったら大変なことだと、このことを私
たち
は申し上げ、そういう
カルト教団
的な体質が体質としてもし創価学会にあるようだったらば大変なことだなと私は思って今日この
質問
をしているわけであります。 さらに続けますが、この同僚の矢野市会
議員
か暴漢に襲われまして前歯を折るような重症を負ったとか、あるいはこの人が前後からトラックで固められましてつぶされそうになった。恐怖の中からもそのナンバーを見たらば、残念ながら車が学会員のSという人の所有であることもわかったとか。 要するに、これは週刊誌で書いてあったとか何とか言いますけれ
ども
、そういうことがこれだけ黒白のもとにさらされるような、週刊誌や報道機関に取り上げられながら、
国会
で私
たち
はこの問題に触れることができないというのはおかしいと思うのでございます。 刑事
局長
、これは自殺と断定したのかどうか、その点についてもう一回お尋ねしたいと思います。 〔理事松浦功君退席、
委員長
着席〕
野田健
36
○
政府委員
(野田健君) 現在、自殺、他殺、両面からの所要の
捜査
を進めているところでありまして、その結果を踏まえ総合的な
判断
をしたいと思っております。
保坂三蔵
37
○
保坂三蔵
君 自殺とか他殺というのは、
かなり
傍証といいましょうか、推定の
部分
もあることは事実ですよ。しかし、もしその推定の
部分
があるとしたならば、この人は死ぬ日のお昼に
東京都庁
に
宗教法人法
の改正を求める
陳情書
というのを現実に出してきて、ここにあるんですよ、
東京都庁
に出してきている、お昼ですよ。そして、夕方帰って、二日後の高知の反創価学会シンポジウムに出るためのレジュメをワープロに打ちまして、またそれを消さないままに行方不明になった、そういう
事件
なんですよ。 ですから、これはいろんな、今申し上げたような
事件
から申し上げますときな臭い
部分
が非常に多い。こういうことを考えますと、私はこのことについてどうしても、創価学会が疑われているんですよ、起こしたとは言っていないですよ、疑われている以上は疑われた側が、PL法じゃないけれ
ども
、しっかりと答えをしないと、大きな力を持ちそして大きな
信者
が頼りにしている
教団
が疑われているわけでありますから、このことからしても私はこの問題を簡単に済ますことはできないような
事件
だと思うわけでありますが、
委員長
、お取り扱いについていかにお考えでございましょうか。(発言する者多し)
倉田寛之
38
○
委員長
(
倉田寛之
君)
保坂
君のただいまの
委員長
に対する問いにつきましては、理事間で協議を申し上げます。(発言する者多し) 傍聴人に申し上げます。傍聴人はお静かに願います。(発言する者多し)
委員
席もお静かに願います。
保坂三蔵
39
○
保坂三蔵
君 私は、この
事件
を単なる推測で申し上げているんじゃないんだ。というのは、いろんな
事件
の中からこの
事件
が起きているということからすれば、点と点を結び線と線を結んで面になりかけているから、このことについて核心の
事件
として無視できませんよと私は申し上げている。 この朝木という市会
議員
はなかなか敵が多い
議員
だった。ということは、与野党ともにこの人を敵に回すような状況があった。それは、歳費の値上げを認めないで二期八年にわたって歳費を八百万返してしまったとか、そういうこともありまして扱いにくい
議員
だと思われていたこともあるんですよ。しかし、現実的には、やはりこの人の人生の最終局面は創価学会と対決していたことは事実なんです。このことをもって死因の一つだとするならば、これは大変なことだなということを考えるわけです。 例えばこういう
事件
があった。市
議会
と学会の癒着を明瞭にして突っかかった。それから、東村山市の生活
相談
課の人が学会の方だったらしいんですな、それで、いろいろ脱会者が
相談
に行っても
相談
しにくいとかそういうことがあって突っ込んだとか、あるいは学会と業者の癒着を言ってしまったとか、いろいろパンドラのふたをあけてしまったんです、正直言って。 そして、ここにきわめつきは昨年の六月に、創価学園の二年生の子供がいまして、その人が創価学会をやめたので創価学園もやめなさいと
先生
から言われた、これはもうゆゆしき人権上の問題だということで、親の代理人になって、子供の代理人になって親権者の親と一緒に出かけていって学会と交渉したり、言ってみればそういうことがつながっているだけに、さらに数えれば十何件、二十個ぐらいあるんですよ。そして、最後にはTBSの「ニュースの森」が二週連続で取り上げたり、あるいは田中金脈が結局はこれで決まったという文春ですよ、文芸春秋でさえも取り上げたんですよ。 そういうことになりますと、要するに
社会
的な信用のあるメディアがこれを無視して、イエローペーパーだとかあるいは、二流三流のメディアが取り上げたんではなくて一流のメディア、しかも
アメリカ
においてはタイム誌までこれを取り上げてやってきたということになると、週刊誌は
事件
の立件にはなりませんよ。なりませんけれ
ども
、国民が今疑問に思っていることをいみじくもメディアが敢然と取り上げてきたわけですよ。 こういうことを、私は単なる推測で発言するんだとか言われちゃ困る。今、参議院の中島
議員
を初め、あるいはまた私
ども
の関根理事、すべての皆さん方が創価学会の問題について、やはりこういう不明瞭な点があるからそろそろ明白にしないとまずいんじゃないですかと何度も
質問
しましたね。私はそのうちの一つとして今この問題を取り上げているんですよ。 ですから、私はあえてまた申し上げたいのでございますけれ
ども
、このことによって
日本
の政党を襲断するという見方もありますけれ
ども
、私
たち
によれば、政治
活動
の一環として、仮に百歩譲ってみても結構なんですけれ
ども
、そういうポリティカルパワーまで持つに至った事実上の創価学会の代表であり、また現在教祖とも言われております池田名誉会長、SGI会長の参考人としての出席をあえて求めたいと思いますが、
委員長
、お取り計らいをお願いしたいと思います。
倉田寛之
40
○
委員長
(
倉田寛之
君)
保坂
君のただいまの発言は理事会で協議いたします。
保坂三蔵
41
○
保坂三蔵
君 時間がなくなりましたので、次は税制問題などにつきまして楢崎先輩からの御
質問
がありますが、最後に、創価学会の
教義
の根本をなすと言われた日蓮正宗大石寺から非常に厳しい池田元会長あての訴訟が今日起こされたことは御存じでございましょうか。 これは、日蓮正宗の代表であり、また法主であるところの日顕法主を、
アメリカ
のサンタモニカ市におきましてSGIの本部のあるところでこの
事件
が起きまして、性的スキャンダル、売春
行為
だとか、そういう記事を事もあろうに聖教新聞に載せたということでかっかとして怒って、このことについて黒白をつける、捏造記事であったと。こんな破廉恥法主というような記事で、即刻退座を要求する大報道に及んだということはおかしいという訴訟が起こされた。 このことが事実ならば、こういう問題も一
教団
の
関係
ではなくて、創価学会はここの信徒
教団
なんですから、ここの中の
教義
に基づいて
東京
都は
認証
を与えたんですから、そういうことにすれば根本が崩れている。朝木市会
議員
の夫、娘が起こした創価学会の
解散命令
申立書、これもそっくり同じなんですよ、内容的には。 こういうことを考えますと、最後に申し上げたいのでございますけれ
ども
、大変に創価学会と同じような大きな力を持つ立正佼成会がかつて
昭和
三十一年に読売
事件
というのを起こしまして、それで読売新聞の白石という記者が
解散請求
をしたんですよ、訴訟。しかし、訴訟の途中ですよ。まだ係争中ですよ。その途中に、衆議院の法務
委員会
が当時の庭野教祖、今は開祖でございますけれ
ども
、庭野氏を
国会
に参考人として呼んだ、お招きしたと。そうしたら、ちゃんと出てこられたんですよ。そして、答えまして、
教団
が
発展
していく途上にはいろんなことがある、いろんなことがあって、それをやゆされたり疑われているのは教祖として大変不徳のいたすところだと。直すところは直して、そしてこれからも平和な国家建設のために
宗教界
の一員として頑張っていくという決意をとうとうと述べられた。それで、そのことを契機にして、その直後に
解散請求
は取り下げられ、そして立正佼成会は正しく大きな
教団
として
発展
してきた、こういう
経緯
があるんです。 だから、私はあえて言うわけじゃありませんけれ
ども
、何度も何度もお出ましをいただきたいと思いましても、物理的な力で阻止をして、参考人としての参議院への召喚についておこたえいただかなかったり、だんだん閉鎖的、排他的、そして闘争的になられていくこと自体が疑われているんです。そういうことからして、秋谷会長だとか池田名誉会長がゴーというサインを出さなくても、狂信的な
信者
はやっちゃうんですよ。これが
カルト教団
の怖さなんです。そういうことを考えて、マインドコントロールにかかりかけている八百万の人々を救わなくちゃならぬ、私
たち
は。 そういうことから考えましても、どうぞ
委員長
におかれましては、今回の
委員会
で何度も何度も提案されましたことで、これは末梢的な現象ではございませんで、私も魚住氏と参議院を戦って、ともに世の中のためにやっていこうと誓い合った仲ですよ。忍びませんよ。鈴木
知事
を一緒に担いできた
経緯
もあって、公明党を弾劾するような気持ちはさらにない。しかし、であるがゆえに、疑われているところをしっかりと見せるように、恐れ入りますが、学会員というお
立場
をもしお持ちであるならば、その学会の代表たる池田名誉会長にお出ましをいただくような積極的なひとつ御支援をお願いして、
質問
を終わります。(拍手)
楢崎泰昌
42
○楢崎
泰昌
君 自由民主党の楢崎
泰昌
でございます。 きょうは
宗教法人
と税金とのかかわりを中心にお尋ねを申し上げていきたい、かように考えている次第でございます。ぜひ雑音が入らないで
質問
が完了できますようにと思っております。 第一は、
宗教法人法
において
宗教団体
に対し
法人格
を付与している、そのことについての意義をお聞かせ願いたいと思います。
島村宜伸
43
○
国務大臣
(
島村宜伸
君)
宗教法人法
の目的は、
宗教団体
に
法人格
を与え、
宗教法人
が自由でかつ自主的な
活動
をするための物的基礎を確保することにあります。 このため、
宗教法人法
は、
信教
の自由と
政教分離
の
原則
を基本として、
宗教法人
の責任を明確にするとともに、その
公共
性に配慮を払っており、自由と自主性、責任と
公共
性の二つの要請を骨子として全体系が組み立てられているところであります。このような
宗教法人法
により
法人格
を与えられた
宗教法人
が税制上の優遇措置を得ているのは、その行う
宗教
活動
について他の公益法人の公益
活動
と同様に公益性が認められることによるものと考えております。
楢崎泰昌
44
○楢崎
泰昌
君 今、
文部大臣
が仰せになりましたように、この
宗教法人法
において
宗教団体
に
法人格
を与えている。それは、いわゆる心の中の問題とは別に、世俗の
世界
において経済
活動
が可能になるように、また有効になるようにということで、あえて
宗教法人
に
法人格
をお与えになったんだと思います。 その中で、物品の購入であるとかあるいは不動産の購入であるとか、あるいはその他の経済
行為
、金融
行為
であるとか、もろもろのものがあると思いますが、私は税制の上で大きな問題点を
法人格
付与ということでやっておられるというぐあいに考えているものでございます。 もちろんのことながら、
法人格
を与えなければ経済
行為
ができないというわけではありません。いわゆる民法三十四条の人格なき社団というような形でいろいろな経済
活動
ができる。しかし、それは
法人格
がないがゆえにいろいろな利便がそこに欠けているというようなところが問題点であろうというぐあいに考えているわけです。 そこで一番大きいのは、
宗教法人
が建物等を取得なさるときに、
不動産登記
ですね、第三者に対する対抗
要件
もあるという法
規定
ですけれ
ども
、それが
法人格
でできる。もし
法人格
がなければ個人の代表者の名前でやらなきゃいかぬというようなところがもちろん非常に大きな
ポイント
であろうと思いますが、同時に、先ほど
文部大臣
言われましたように、税制上のもろもろの特典を
法人格
を与えることによって付与されているということが一番大きな問題だと思います。 大蔵
大臣
おられますので、ちょっと自治
大臣
があれですから、自治省
関係
は
政府委員
に聞きたいと思いますけれ
ども
、どんな特典が
法人格
を付与されることによって与えられているんでしょうか。
薄井信明
45
○
政府委員
(薄井信明君) 国税
関係
について申し上げます。
宗教法人
を含みます公益法人等全体に対する措置として税制上は扱われておりますが、まず収益事業についてのみ課税が行われるという点が一般の営利事業と異なります。また、そこに適用される税率は、収益事業から生ずる所得ではありましても、一般よりも低い二七%という軽減税率が適用されるということでございます。また、みなし寄附金の制度がございまして、これもほかの営利事業とは異なる取り扱いとなっております。いずれも、公益法人等ということで
宗教法人
も含めて全体に措置されております。 そのほか、公益法人等が受け取る利子配当につきましての源泉所得税の扱いあるいは事業目的達成のために供される土地等に対する地価税等におきましても、公益法人の特性から取り扱いを異にしているということでございます。
佐野徹治
46
○
政府委員
(佐野徹治君) 地方税の課税の取り扱いでございますけれ
ども
、法人住民税それから法人事業税にございましては、基本的には国税に準拠いたしておりまして、収益事業を行わない場合には非課税として、収益事業を行う場合には課税することとされております。 それから、固定資産税、不動産取得税にありましては、境内建物及び境内地のように
宗教法人
が専らその本来の用に供するものにつきましては非課税とし、その他のものにつきましては課税するといった取り扱いがなされているところでございます。
楢崎泰昌
47
○楢崎
泰昌
君 私は、今も
お話
を承りました、随分多くの恩典が
宗教法人
に与えられているなという感想を持ちます。もし
宗教法人法
による
法人格
が付与されないならば、要するに人格なき社団ということになれば、これらの税法は一体どうなるでしょうか。
委員長
、それからもう一つつけ加えさせていただきたいんですが、私はこの
質問
は非常に大事だと思っているんです。要するに、
宗教法人法
で帳簿、
書類
の開示を行うということ、それと税との
関係
をこれから議論したいと思っているんですけれ
ども
、先ほど来、新聞記者席に衆議院の
先生
方がお座りになって、私はこの話は全部新聞記者の方に聞いてもらいたいと思っているんです。ぜひ御注意願いたいと思います。
倉田寛之
48
○
委員長
(
倉田寛之
君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
倉田寛之
49
○
委員長
(
倉田寛之
君) 速記を起こして。
委員長
から申し上げますが、傍聴席は御静粛に願います。 なお、本
委員会
室におきましては記者席が指定されておりますので、記者席にお座りの記者以外の方は席を速やかにおあけいただきたいと存じます。(発言する者多し)
楢崎泰昌
50
○楢崎
泰昌
君
委員長
、いまだにおいでになるようですから、整理をお願いしたいと思います。(発言する者多し)
倉田寛之
51
○
委員長
(
倉田寛之
君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
倉田寛之
52
○
委員長
(
倉田寛之
君) 速記を起こして。 暫時休憩いたします。 午前十一時十八分休憩 —————・————— 午前十一時四十二分開会
倉田寛之
53
○
委員長
(
倉田寛之
君) 再開をいたします。
委員長
から、
委員会
室の場内整理について申し上げます。 第一
委員会
室で合意をされております指定位置以外は座らないでいただきたい。一般傍聴席についても一般国民のために供するものであるので同様にいたしたいと存じます。壁側の席につきましては各党共用といたします。 なお、申し添えますが、傍聴人の方々は不
規則
な発言をしないように再度お願いを申し上げます。 楢崎君。
楢崎泰昌
54
○楢崎
泰昌
君
委員長
の場内整理についての御配慮を深く感謝するところでございます。
質問
を続けさせていただきたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、
法人格
を法人法によって与えられることによって大きな税制上の特典がございます。 さて、それらの特典は今述べていただいたとおりなんですけれ
ども
、この
宗教法人法
で特別の
法人格
を
宗教法人
として与えられておりますが、もし
宗教法人法
によって
法人格
が与えられていないとすれば、税の
世界
においてどういうことになるのかということをお尋ねしたいと思っております。 税法について、余り長くなるといけませんが、逐一聞いていきたいと思いますが、法人税は、
法人格
を
宗教法人
が与えられていないとすればどうなりますか。
薄井信明
55
○
政府委員
(薄井信明君) 人格なき社団であって
宗教法人
でない姿であれば、法人税の課税は収益事業から生じた所得だけに課税するという
意味
では
宗教法人等
の公益法人と同じですけれ
ども
、そこに適用される税率は軽減税率ではなくて一般法人と同じ税率が適用になります。また、みなし寄附金の仕組みは人格のない社団には適用がないといったような違いがあります。
楢崎泰昌
56
○楢崎
泰昌
君 大変な差が、
法人格
を与えていただくことによって税制上の配慮がなされている。 これは収益事業について今申されましたけれ
ども
、収益事業以外でも実は所得が生じる場合には全部課税になるということだと思います。 次に、所得税についてお伺いします。
宗教法人
は多大の資産を持っている団体もあります。これを
運用
しておりますけれ
ども
、現在非課税になっているというぐあいに思いますが、その点ほどうなりますか。
薄井信明
57
○
政府委員
(薄井信明君)
宗教法人等
の公益法人等という定義をされる法人につきましては、収益事業という範囲内だけの課税の
規定
になっておりまして、この収益事業の範囲が法令上三十三決めてございます。そこに当たらない限り課税にはならないということでございます。 また、所得税の
世界
での
お話
だとすれば、これは法人ですので
宗教法人
については一切かかりません。また、
宗教法人
と、あるいは公益法人と人格なき社団との所得税上の違いを申し上げれば、源泉所得税の課税の仕方が違ってくるということでございます。
楢崎泰昌
58
○楢崎
泰昌
君 違っているなんて簡単に言っていますけれ
ども
、大変な減税を行っているんですよ。今、源泉所得税というのは大体二割、預金も有価証券も、それから信託も全部二割の源泉所得税。配当もそうですね。それが全部なくなっちゃうんです。
法人格
を付与されているからそれらが免税になっているということを忘れちゃいけません。さらに、余り多くの項目を聞くとあれですが、登録免許税についても同じですよね。 それから、さらにいきますと、自治省、来ていますね。自治省の一番簡単なのは固定資産税、それから不動産取得税なんかはどうなりますか。
佐野徹治
59
○
政府委員
(佐野徹治君) 固定資産税、それから不動産取得税についてでございますけれ
ども
、これは
宗教法人
が
宗教
本来の用に供するということが地方税法に
規定
されております非課税の
要件
でございますので、
法人格
がなくなりました場合には、これは非課税
規定
に該当しなくなるということでございます。
楢崎泰昌
60
○楢崎
泰昌
君 一つ聞き漏らしましたけれ
ども
、法人でない
宗教団体
が
宗教
上の理由をもってお布施を受けている、そのような場合には、もし人格なき社団だったとすれば、それはどうなりますか。
薄井信明
61
○
政府委員
(薄井信明君)
法人格
を持たない、いわゆる人格なき社団としての
宗教団体
がお布施を収受した場合には、これは収益事業ではございませんので課税になりません。
楢崎泰昌
62
○楢崎
泰昌
君 今の
現行
法を聞いているんじゃないんです。解釈として、人格なき社団の場合、そういう
宗教法人
があるとすれば課税
関係
はどうなりますか。
薄井信明
63
○
政府委員
(薄井信明君) 人格のない社団である
宗教団体
につきましては、人格なき社団全体に共通した制度としまして、収益事業についてのみ課税することになっております。したがって、お布施は収益事業には入りませんので課税になりません。
楢崎泰昌
64
○楢崎
泰昌
君 どうも収益事業という言葉を使うものだからちょっと混乱をしちゃうんだけれ
ども
、収益事業じゃなくて、
宗教団体
というのはそもそも仕事をしているんじゃないんだ、所得を生み出しているわけじゃないんだと。所得がないんだからそれは課税されないんだということだと思います。 そのように大変な金額の減税の、あるいは軽減税率の恩典を受けているんですね。
宗教法人
全体でどれくらい減税されていますか。
若林勝三
65
○
政府委員
(若林勝三君) 我々、課税した結果についての統計はございますけれ
ども
、そういった形での集計はいたしておりません。
楢崎泰昌
66
○楢崎
泰昌
君 集計はされていないとしても、何千億あるいは何兆という巨大な金額になる減税を行っているんだと思います。この軽減税率というのは、実は民法上の法人がイコール非課税団体というわけじゃないんです。
現行
法でもって制限列挙をされているんですね。これこれの公益法人、これこれの公益法人、そして
宗教法人
ももちろん入っていますけれ
ども
、そのような制限列挙の上で非課税ということになっているんですね。それはなぜそういうぐあいになっているんだろうか、その基本的な考え方を述べてください。
薄井信明
67
○
政府委員
(薄井信明君) 民法の三十四条に「祭祀、
宗教
、慈善、学術、技芸其他公益ニ関スル社団又ハ財団ニシテ営利ヲ目的トセサルモノハ」云々という
規定
がございまして、いわゆる公益法人等という考え方が民法のもとに置かれておるわけでございます。したがいまして、こういう公益法人等につきましては公益的な
活動
を行っているという認識のもとで、民法上の公益法人、それから特別法で今や定められております
宗教法人
あるいは学校法人、
社会
福祉
法人、それからそれらに類するものが法人税法の別表の第二という形で整理されまして同等の取り扱いをさせていただいております。
楢崎泰昌
68
○楢崎
泰昌
君 今述べられましたのは、いわゆる公益法人、すなわち
福祉
とか文化あるいは学術、基礎的な科学技術であるとか、そういう公益性の高いもの、そして特に心の問題を扱う
宗教法人
というようなものが、実は金もうけのためにやっているんじゃないので、財政的にはこれを優遇しようという考え方から特別の減税措置ができているんですね。 税という
世界
は世俗的な
世界
ですから、実は
宗教法人
はこのグループに属しているんですね。しかし、よく考えてください。これらの団体は全部公益法人として収支計算書をつくり、財産目録をつくり、かつ貸借対照表をつくって、それぞれの機関、団体が開示をし、そして報告をしているんですね。これらの公益法人のグループで、財務諸表をつくらないでしかも無税の適用を受けている、軽減税率の適用を受けている、そういうところが今あるかどうか、大蔵省、
答弁
してください。
薄井信明
69
○
政府委員
(薄井信明君) 個別のことにつきまして私は承知しませんが、制度上は収益事業を行っている場合には毎年申告書を提出します。この錐随曹ノは
書類
をつけていただくことになっておるということでございますので、仮に収益事業を行っていなければ申告書に
書類
がついてこないと。
宗教法人
がどのような
書類
をつくっているかということにつきましては、税法上は承知しておりません。
楢崎泰昌
70
○楢崎
泰昌
君 今御
答弁
があったように、この公益法人グループというのは、税法上の特典を受けるに際してすべて財務諸表をつくり、かつそれを報告しているというぐあいに認識をしているんです。
宗教法人
だけがやっていないんです。(「収益事業をやってないところもある」と呼ぶ者あり)収益事業をしているのが大半だからね。黙って聞いてください。ですから、
宗教法人
が無税の特典を受けるんだったら、当然のことながら財務諸表等々をつくり、かつ備えつけで、そして閲覧をさせ、そしてなおかつ監督官庁に報告をするということは当然の措置である。すなわち、税の
世界
からいえば、
宗教法人
というのは何ら自分の中身を開示せずに無税、軽減の措置を受けているというぐあいに考えられるんですが、
文部大臣
、いかがですか。
島村宜伸
71
○
国務大臣
(
島村宜伸
君) 少なくとも
現行
法ではそういうことが認められている、こう思います。
楢崎泰昌
72
○楢崎
泰昌
君 仰せのとおりでございます。 税の
世界
からいえば、今回の改正は当然で、遅きに失した、今まで何やっていたんだというような感じがするが、いかがでしょうか。大蔵
大臣
、答えてください。
武村正義
73
○
国務大臣
(武村正義君) 今回の改正は、まさしく文部省が
宗教法人法
のあり方の
立場
から必要最小限の妥当な改正をおまとめになったと、こういうふうに認識をしておりまして、それ以外の行政の
立場
からもいろいろ希望はあるのかもしれませんが、必ずしも文部省以外の行政の
立場
も踏まえてまとめられたものではないというふうに認識をいたします。 しかし、それにしましても今回の最小の改正が、今後行政全般にある程度
宗教法人
の
実態
を開示いただくことによって、間接的でございますが、何らかの効果が出てくるという期待は持っている次第でございます。
楢崎泰昌
74
○楢崎
泰昌
君 いや、そういうことを聞いているんじゃないんです。全然、財務諸表も何にも出ていない。何にもわかんない。それを平気で今まで無税だとやっていたんですね。それについての反省はありませんか。
武村正義
75
○
国務大臣
(武村正義君) 昨日も御
答弁
を申し上げましたが、その点になりますと私も反省といいますか、公益法人、
宗教法人
を含めた公益法人の課税のあり方については今の姿でいいのだろうかという問題意識は強く感じている次第でございます。 御承知のように、特に
日本
でありますが、収益事業についてはきちっと三十二の項目まで挙げながら、報告も受けてチェックをしておりますが、
宗教法人
の会計全体、これはもう私全部知りませんが、ある団体になれば巨大な会計があって、その一部に収益事業があるわけですね。この一部だけをきちっと国税は対応している。しかし、大半はお布施等の非課税の分野、この大きな分野はアンタッチャブルになっているという状況であります。
楢崎泰昌
76
○楢崎
泰昌
君 今、大蔵
大臣
が言われたように、
現行
法上はそうなっているんですね。 しかし、私が申し上げていますように、無税の
世界
にいる、あるいは軽減税率の
世界
にいる、それは
政府
の方から一種の補助金をもらっているのと同じなんですよ。恩恵を受けているんですよ。そのときに、何やっているかさっぱりわからぬと。 ほかの公益法人を見てごらんなさい。ちゃんと財務諸表をつくって、それを監督官庁に報告しているんですね。監督官庁に報告をしているということは、国民に対して報告をしているということですよ。そういう
世界
の中にあって、無税なりあるいは軽減税率というのが行われている。 しかし、
宗教法人
についてはそれが一切今まで行われていないということが私は税法上おかしいんじゃないかというような感じがしているんです。補助金をもらっているなら、それらしくきちんと財務諸表をつくり報告をする。 私は、今度の
宗教法人法
の改正で、財務諸表を備えつけ、なおかつ
所轄庁
に報告をするというのはいろんな側面があると思います。
宗教
活動
の側面を実は財務の点から見ているんですね。
活動
方針、
活動
報告を受けるというわけじゃないでしょう。 しかし、財務の面からその報告を受けるということは、これ金銭にかかわることですから、私は、単純に文部省が
活動
方針、
活動
状況を見るために報告を受けるのじゃなくて、税の
世界
から見れば当然に今まで行われるべきことを行っていなかった、それを補てんするんだという観点が従来議論の中では欠落をしているんじゃないかという
意味
であえて御
指摘
を申し上げる次第でございます。 いずれにしても、
宗教法人
が財務諸表をつくるというのは税の
世界
においては必要だということを強調しておきたいと思います。 そこで、今度は
宗教法人
と税のかかわり合いでございますが、それについて実は四、五日前の報道で、読売新聞が世論
調査
をいたしました。正確に申し上げますと、「
宗教法人
には、寄付やお布施に税金がかからないことや、駐車場経営などの事業収入に対する税金が軽減されるなど、優遇措置が認められています。あなたは、この優遇措置について、当然だと思いますか、納得できないと思いますか、それとも、一概には言えませんか。」という世論
調査
をしています。 「当然だ」、優遇措置を認めるのは当然だというのが八・五%です。「納得できない」六〇・一%、十人のうち六人は納得できない。六〇%を超えれば国民の大多数だと思わなきゃいかぬ。「一概には言えない」というのは二八・七%でございました。先ほど主税
局長
が御
答弁
になったように、実はこれは税制の専門家が答えているわけじゃなくて国民の一般の人が答えているわけですから、納得できないという答えにはいろんな
意見
が入っていると私は思います。私なりに解釈して幾つかの
質問
をしたいというぐあいに思います。 その中に、恐らくお布施が無税なのは甚だもってけしからぬというような極端な
意見
も入っているんですが、先ほど主税
局長
が
答弁
されたように、お布施が
宗教
活動
として本来の目的に使われていればそれは当然無税だと。なぜならば、そこに所得が生じないからであるということですね。我々の中でも、何とか会、何とか会というのをこしらえまして会員を集め、会費を集めて、そしていろんなパーティーをやる。そういうのは所得が生じませんから、それは税の
世界
では無税なんですね。そういう
意味
でおっしゃっているということになると多少問題はあるんです。あるんですが、私なりに解釈してみまして、国民の方のいろんな不満をこれから五点挙げていきたいというぐあいに思います。 第一点は、俗な言葉で申しますと、お布施をちょろまかして飲み食いに使っているじゃないのというのから始まるんですね。 要するに、先ほど申し上げましたように、確かにお布施は無税でありますけれ
ども
、実はそれが個人の所得になっていく場合があるわけですね。職員がおられます。その職員に給与を払います。それは当然所得税がかからなきゃいかぬと思っています。一般の所得税とほとんど同じなんですね。同じなんですが、実は国民の皆さん方から見ると
宗教法人
は非常に恣意的な使い方をしているじゃないかというような感触が残っていると思うんです。 国税庁、おいでになりますか。国税庁は法人の職員の給与その他についてどのような
調査
を一般的になさっておるか、おっしゃってください。
若林勝三
77
○
政府委員
(若林勝三君)
宗教法人
の場合でございましても職員等に給与等の支払いは行われるということがございます。そういうことにつきまして、源泉所得税の観点から、これは収益事業とはまた違った
調査
を別途させていただいております。
楢崎泰昌
78
○楢崎
泰昌
君 例えば
宗教団体
の役員がその会の経費の中で私的な使用を行う、私の使用ですね、私的に使うという場合にはどうなるんですか。
若林勝三
79
○
政府委員
(若林勝三君)
宗教法人
の代表者、また職員等が
宗教法人
から例えば物品その他の資産の譲渡を受けるとか用益の提供を受けるとか、何か経済的な利益を受けておるという場合につきましては、それは給与として課税されることとなります。
楢崎泰昌
80
○楢崎
泰昌
君 それでは、
宗教法人
の役員が
宗教団体
のこしらえた居宅をみずからの用に供している、その場合にはどうなりますか。
若林勝三
81
○
政府委員
(若林勝三君)
宗教法人
がその役員とか使用人に対しまして土地ないし家屋その他の資産を貸し付けるというような場合でございますが、通常の対価を徴収してそういう貸し付けが行われておるということでございますと課税
関係
は生じないわけでございます。例えば、これらの資産を無償ないしは低い価格で貸し付ける、そしてこれが私的に使用されておるというようなケースがございますと、その通常の対価相当額と実際に徴収しておる使用料との間につきましては、とれは役員または使用人の給与所得ということで課税されることになるわけでございます。
楢崎泰昌
82
○楢崎
泰昌
君 若干旧聞に属していますが、新聞に出ているのであえて実名で申し上げますけれ
ども
、創価学会の池田会長が施設を私の用に供していると、信濃町の御邸宅だと思いますが。それについて、これは新聞の記事を読んでみますと、
宗教法人
創価学会の池田大作名誉会長が新宿区信濃町の学会第二別館を賃料を払わないで個人の居宅として使用していた。国税当局は名誉会長の個人所得として
調査
しようとしたところ、創価学会側でそれを修正申告したので処理を認めたと、こういうぐあいにありますが、このような場合は当然課税されるわけですね。
若林勝三
83
○
政府委員
(若林勝三君) 個別にわたることについては
答弁
を差し控えさせていただきたいと思いますが、今、
委員
御
指摘
のようなケースを一般的に申し上げますと、先ほど
答弁
させていただきましたように、土地や家屋等を借り受ける、そしてそれが無償であれば、その無償と実際の経済的価値との差額については給与所得になりますし、逆に一定の賃料を払っておるということであれば課税
関係
は生じない、こういうことでございます。
楢崎泰昌
84
○楢崎
泰昌
君 私の仄聞するところ、その池田邸は池田大作氏が家賃を払い、それを創価学会は収益事業として処理し、そしてそれについて固定資産税を払っているというぐあいに仄聞をしております。これは先ほど申されたように個別の事案になりますから御回答は要りませんが、
宗教
というんでしょうか、公益法人の本来的な目的以外に使っている場合には固定資産税はいかがになるんでしょうか。
佐野徹治
85
○
政府委員
(佐野徹治君) 地方税法の
規定
でございますけれ
ども
、
宗教法人
につきましては、
宗教法人
が専らその本来の用に供する境内建物、境内地は非課税とされておりまして、それ以外の固定資産については課税されるということでございます。その施設が
宗教
本来の用に供しているかどうかというのは、これはあくまでも
宗教法人
の各施設の
実態
を見まして各市町村において
判断
されているものでございます。
楢崎泰昌
86
○楢崎
泰昌
君 私は最近ある話を聞きました、というよりも新聞に載っていました。 この新聞は、創価学会に関してなんですが、新聞に出ているので実名でやらせていただきますけれ
ども
、総敷地面積五万四千七百四十六平米、一万六千五百坪にもなる、何と甲子園球場の一倍半ある面積のところに創価学会の施設があると。その施設は実は地元では池田
先生
の別荘と言われているものである。地元でちゃんと調べてみると、地元の方の証言ですけれ
ども
、池田さんは年に一、二回ほど宿泊するだけで、その他のところは全然使用されてない。 実は、創価学会会館には池田専用の施設があるということが盛んに週刊誌で言われていますね。しかし、それは創価学会の施設の中につくられているものなんですが、これは何と創価学会会館の施設以外のところに独立してあるんだそうです。伊東市にある、東海センターという名前がついているんだそうですね。これも新聞に書いてあるんですけれ
ども
、池田さんしか使わないというのは、それもそのはずだと、五分ぐらい離れたところに創価学会伊東平和会館というのがあって、実は礼拝その他の
宗教
的な儀式、集会は全然そこで行われたことがない。池田さんが泊まりに行くだけだ、そういう施設なんだというぐあいにこの新聞に書いてあります。 私は個別の事案を云々するわけではありません。個別の事案を云々しているわけじゃないんですが、そのような状況にあれば当然課税
関係
が生じるんではないかと思います。国税庁、ちょっと
答弁
してください。
若林勝三
87
○
政府委員
(若林勝三君) 先ほ
ども
御
答弁
申し上げましたように、個々人の役員等が法人から施設や家屋等の提供を受けるということであり、それが私的に使用されておるということで、それに対する賃料等が支払われなければ、それは所得として課税されることになりますし、賃料として支払われれば課税問題は生じない。いずれにいたしましても、個々のケースごとにそれが
実態
的にどういうものであるかということを十分
判断
していくことが必要であろうかと思います。
楢崎泰昌
88
○楢崎
泰昌
君 これはいずれにしても個別の問題でございますから、当然国税庁としてはすぐに
判断
を示すことはできないと思いますが、一般論としてそうであるならば、やっぱりそういう問題に注意していただくということが、国民が
宗教
と税金とのかかわり合いについて納得ができないというようなことの一つの原因になっているということを申し上げておきたいと思います。 それからさらに第二点は、
宗教法人
の施設が非常に豪華であると。華美とは言いませんが、立派過ぎるんじゃないかというようなことが言われています。それも恐らく国民が納得できないことの一つだというぐあいに思います。 例えば、某
宗教団体
では一カ所に施設を集中しています。ところが、それは礼拝施設という、
宗教法人
という名前のもとにおいて固定資産税を全然払ってない。それから事業税も払ってない。ところが一定の地域に大きな集団として土地を所有して建物を建てている。それは廃棄物の処理も要るでしょう。いろんな経費がかかってくるんですね。所得税というのは応能税制であると言われています。法人税は応益である。ところが、地方にでんと構えて、まあ例えて言えば中央線の某駅の近くですね、ああいうところにでんと大きな施設を構えていても、何ら住民税を払ってないじゃないかというような問題点も第二点として
指摘
されるんじゃないかというぐあいに思っております。 第三に、無税のお金で政治
活動
をしているんじゃないかという問題です。 これは、実は
アメリカ
、ドイツなんかと大分
日本
の制度が違っていまして、
日本
の場合には、実は
宗教団体
は政治
活動
にお金を出していいというぐあいに
現行
法上なっているように思います。 自治省来ていますか。
宗教法人
が
宗教
活動
ができる、すなわち政党に対して献金ができるということはどういうぐあいになっているか、教えてください。
谷合靖夫
89
○
政府委員
(谷合靖夫君)
宗教法人
あるいは
宗教団体
でありましても、会社あるいは労働組合それ以外の団体といたしまして、その前年の経費の額に応じまして、政党、政治資金団体あるいは政治家の資金
管理
団体に対し一定の制限の範囲内で政治
活動
に関する寄附ができる、こういうふうになっております。
楢崎泰昌
90
○楢崎
泰昌
君 要するに、
宗教団体
は政治団体に対して献金もできるし、さらに
宗教
活動
をやるための経費も支出できるんですね。 私は大変不思議に思っているんです。そのお金は、今、一般の会社と同じようにと言われました。一般の会社はそれは無税でないんですよ。寄附金になっちゃうんです。そうすると、一般の会社は同じ
社会
的存在だというけれ
ども
、実はちゃんと税金を払った後に政党に寄附をしているんですよ。政治
活動
をやっています。政治
活動
をやると人件費がかかるでしょう、それから旅費もかかるでしょう。そうすると、それも全部経費に落ちないんですね。経費に落とす必要もない、まあ本当は落としているんですけれ
ども
。 いずれにしても、一般の会社ではそれは有税の
世界
になっているんですね。どうして
宗教法人
は無税のお金を政党
活動
のために使うんでしょうか。それをちょっと大蔵
大臣
、おかしいと思いませんか。無税のお金を使っているんですよ。(発言する者多し)
倉田寛之
91
○
委員長
(
倉田寛之
君) お静かに願います。
武村正義
92
○
国務大臣
(武村正義君) 確かに
宗教法人
を含めた公益法人と政治のかかわりについては、
日本
はおっしゃるようにそうなっているわけですが、諸外国、
アメリカ
、ドイツ、イギリスなどを調べてみますと
かなり
違います。国によって多少違いがありますが、この三つの国は、大きな方針としては
宗教団体
が政治
活動
をする場合には非課税の措置の対象にしないと、大まかに言えばそういう方針であります。そこが
日本
と
かなり
大きく違う。
日本
は、政治資金規正法の中に、今自治省の
答弁
がありましたように、その他の団体ということで、
宗教法人等
いわゆる公益法人も含めて、会社、労働組合以外からも政治献金が一定額受けられる仕組みになっております。これを
アメリカ
やドイツはむしろ禁じている。そして、税務当局がさらに、そういう政治
活動
をするような団体に対しては非課税対象にしないという大変厳しい措置をとっているわけであります。単純に言えば、政治
活動
をすればもう非課税の措置はもらえないというそういう状況であることに比べますと、
日本
は認められているということで大変大きな違いを感じます。
楢崎泰昌
93
○楢崎
泰昌
君 大蔵
大臣
は理解ある、あるいは
現行
の制度に足を乗せて
答弁
されていますけれ
ども
、今言われたように、税の
世界
から見ると、
アメリカ
の税制というのはこう書いてあるんですね。「団体の
活動
の実質的
部分
が、
法律
制定に影響を及ぼすために、宣伝
活動
をする、さもなくばそれを試みようとすることにあってはならず、団体は、公職へ」の候補者を支援するために(又は反対するために)選挙運動に参加または介入をしてはならない。」、政治
活動
の禁止ですね。 というのは、これは何も全然政治
活動
をしていかぬというんじゃないんですよ。政治
活動
をするんだったら免税措置はやめますよと。いいですか、政治資金というものは政治
活動
そのものですから、これに出すんならば先ほど申し上げたような数々の特権は差し上げられませんよということを言っているんです。 さらに、ドイツの税制について申し上げますと、「助成又は扶助により、第一次的に自己の経済目的が遂行されず、かつ次に掲げる
要件
が存在する場合に、当該助成又は扶助は、非営利的になされるものとする。」。その中で、「
当該団体
の財産をこ、要するに非営利、非課税の
世界
ですね、その財産を「定款に定める目的のために限り、使用することが出来る。構成員及び社員は、
当該団体
の財産から利益持分、及び構成員及び社員としての性質においてその他の出捐をも受けてはならない。」。それからが大事なんです。「
当該団体
は、その財産を政党への直接・間接的な支持や促進のために使用してはならない。」。もう一遍言いますよ。「
当該団体
は、その財産を政党への直接・間接的な支持や促進のために使用してはならない。」。 だから、非課税でなければやってもいいよ、非課税ならばやっちゃいけないよというのが
アメリカ
とドイツの税制なんです。 その税制の違いの中で、私は憲法二十条の統一見解が
政府
から出ることを望んでいますけれ
ども
、そのときにやっぱりこういう条項を頭の中に入れてどういうぐあいに物事を考えていくのか。少なくとも、税制と政党法あるいは公職選挙法等々とは違うんだからいいんだというようなことではなくて、それらはリンクしているんだということをはっきり頭の中に入れていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
薄井信明
94
○
政府委員
(薄井信明君) ただいまの御
質問
に関連しまして二点申し上げたいと思います。 一点は、各国の例を御説明いただきましたが、
宗教法人
のみについてそのような
規定
を設けている国はないということでございまして、
宗教法人
も含みますけれ
ども
、いわゆる慈善団体一般につきまして政治
活動
との
関係
を
規定
している。したがって、
宗教法人
だけの政治
活動
云々ではないということが一点。 それから、ドイツの
お話
がございましたが、ドイツでは、政党法の中で政党が公益法人等から政治献金を受領すること自体を禁止しております。税金を払っていてもこれはいけないことだと思います。つまり、政党法で禁止した上で税法上の手当てで裏打ちしているという
関係
になっております。 以上の点を補足いたします。
楢崎泰昌
95
○楢崎
泰昌
君
現行
法において、
宗教法人
が政党
活動
をし、それに政治資金を出せるということはそのとおりでございましょう。しかし、私はあくまでも、
宗教法人
が無税の金を収受して、それを政治
活動
に使うのは適法であるということは税の
世界
から見ていかがなものであろうかということを感ぜざるを得ないということを申し上げておきたいと思います。 次に移ります。 四点目は、事業収益の
運用
資産というものが
宗教法人
に多大にあるということをうわさされており、週刊誌その他で書かれています。一説には、一兆円を超え二兆円に造らんとする金額が
運用
されている、そういう話がございます。 私は、この公益事業グループで資産の
運用
をやっているものがたくさんあるわけですが、例えば厚生年金基金、健康保険等々、同じグループで資産を
運用
してその資産を公益事業に使っております。これはまさしく公益事業を遂行するために資産
運用
をしているんですから、これについての課税
関係
というのはちょっと考えられないと思いますが、結局、
宗教法人
その他幾つかの団体に適用する問題だと思いますけれ
ども
、それらの団体が余裕資金として持っているんですね。あるいは将来における建設資金かもしれません。しかし、それが余りに巨大に上っている、すなわち兆を超えるような財産を
運用
しているということでは、とても
運用
資金、将来のための資金とは言えないというぐあいに思っているんです。そういうものの課税
関係
を一体どうするんだと。 これは
政府
の税制
調査
会あるいは与党の税制改革提案でも、この点が問題である、将来検討さるべき問題であるというぐあいにされていますが、大蔵
大臣
、いかがでございましょう。
武村正義
96
○
国務大臣
(武村正義君) この問題は、御
指摘
のとおり、私
ども
も一つの問題点だという認識でおります。収益事業のあり方の中で四点を
指摘
しておりますが、その中に、いわゆる金融資産収益に対する課税の是非、あるいはあり方も真剣に
政府
税調も与党税調も御議論をいただいているというふうに思っている次第でございます。その結果を見て
政府
としては
判断
をさせていただきたいと存じます。
楢崎泰昌
97
○楢崎
泰昌
君 いずれにしてもこの問題は、兆を超えるような資金が
運用
益としてごろごろ出てくるなんというのは、どうも公益法人の性格、あるいは公益法人の性格としてこれを減免している制度から見ますと、甚だ行き過ぎている問題ではないかというぐあいに思います。 今、大蔵
大臣
が言われましたように、
宗教法人
と税制とのかかわりがいろいろ言われておりますが、大蔵
大臣
は、いやこれは検討していただいていますと言うけれ
ども
、実のことを言うとこれを検討すべきなのは大蔵省なんですから、そこの点ははっきりさせていただきたいと思います。 ついでに、五番目の問題として、収益事業について二七%というのはひどいじゃないの、ほかの企業と一緒にしたらどうだ、それからみなし寄附金を二七%もやっているというのはおかしいねと。みなし寄附金を除くと実のところは税率が二〇%ぐらいになっちゃうんですね。そういうのも随分優遇し過ぎじゃないの、こういう
意見
が相当あると思います。それが国民の六〇・一%が納得できないという問題になってきているんだというぐあいに思いますが、大蔵
大臣
の現在のお考えはいかがでございましょう。
薄井信明
98
○
政府委員
(薄井信明君)
宗教団体
を含む公益法人等の課税の問題の中の一つの課題としまして今のみなし寄附金制度の問題がございます。一昨年、それまで三〇%まで許されていたものが二七%に縮められておりますが、これをさらに縮小する方向を含めて今議論させていただいているところでございます。
楢崎泰昌
99
○楢崎
泰昌
君 もう十二時半ですからやめますが、最後に大蔵
大臣
にお伺いしたいんですが、大蔵
大臣
は総理
大臣
と会われて、法人の税制について再検討すべきである、あるいは強化をすべきだと、新聞を見ますと大蔵
大臣
は大変勇ましいことを言っているように書いているんですね。強化すべきだとか、いろんな新聞に書いてありますが、大蔵
大臣
の御真意はいかなるものですか。
武村正義
100
○
国務大臣
(武村正義君) いろいろ楢崎
議員
から含蓄のある御
意見
を承りました。 私も、今回こういう
宗教法人法
の改正の論議の中で、改めて
宗教法人
を含めた我が国の公益法人等に対する課税のあり方について勉強をさせていただいているわけであります。そういう勉強の過程で問題意識として、この点は総理とも
意見
が一致するわけでありますが、現状に対して一定の問題意識を持ちながら真剣な、より改正の方向で、いい方向に向かっていくという方向で進めていかなければならないというふうに思っているわけであります。 大変幅のある深いテーマでございます。昨日も議論がございましたように、例えば憲法二十条後段の「いかなる
宗教団体
も、国から特権を受けこという条文がございますが、この特権をめぐってそもそも包括的にといいますか、収益事業以外は我が国は非課税という措置をとっていることにも議論が及んでいるわけであります。そしてまた、収益事業のあり方については、先ほど来御
答弁
を申し上げているような四点の問題意識を持っておりますが、しかし収益事業以外のお布施等にかかわる非課税という、この憲法二十条の特権も含めた非課税措置というものが包括的に認められていることの是非も諸外国の制度等も勉強しながら検討をしなきゃならないというふうに思っております。 ただ、この秋、間もなく来年の税制改正をめぐっては一定の集約をしなければならないわけでありますが、この年末の議論だけですべての問題に明快な答えを見出すのはなかなか難しいだろうと。とりあえずは収益事業四点を中心にして党も
政府
も真剣な議論を詰めていただいて、その中でやはり結論が見出せるものは来年度の改正で取り組んでいこうと。その他の問題、もっと大きな非課税措置云々の問題はさらに引き続いて真剣に勉強をさせていただきたいというふうに思っている次第でございます。
楢崎泰昌
101
○楢崎
泰昌
君 いずれにしましても、今、特権という
お話
が出ました。要するに、そのような特権をいただいているわけですから、
宗教界
もこの
宗教法人法
に
規定
するような帳簿の整備であるとか報告であるとか、当然私はなすべきだというぐあいに思っているところであります。税の
世界
からいえばむしろ奇異に感ずる、今回行われるのは実に妥当な改正であるというぐあいに思っているところでございます。
宗教法人
と税との
関係
についてはなお多くの問題があると思いますが、
政府
に対しても十分な検討をお願いいたしまして、私の
質問
を終わらせていただきたいと思います。(拍手)
倉田寛之
102
○
委員長
(
倉田寛之
君) 午前の
質疑
はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。 午後零時三十四分休憩 —————・————— 午後一時四十三分開会
倉田寛之
103
○
委員長
(
倉田寛之
君) ただいまから
宗教法人等
に関する
特別委員会
を再開いたします。 休憩前に引き続き、
宗教法人法
の一部を改正する
法律案
を議題とし、
質疑
を行います。
質疑
のある方は順次御発言願います。
直嶋正行
104
○直嶋正行君
平成
会の直嶋でございます。 今回提出されております
宗教法人法
について、また関連する事項について幾つかお尋ねをしたいと思います。 まず
最初
に、
宗教法人審議会
について
文部大臣
にお伺いしたいと思うのでありますが、今回の審
議会
の報告の中で
宗教法人審議会
を五人増員して二十人以内にする、こういうことになっておりますが、この目的をまずお尋ねしたいと思います。
小野元之
105
○
政府委員
(
小野元之
君)
現行
法では、
宗教法人審議会
の
委員
は十人以上十五人以内というふうに定められているわけでございますけれ
ども
、法制定後、今日までに大きく
社会
も変化しておるわけでございます。それから、
宗教法人
の
実態
にも変化が生じておるということもございまして、この審
議会
は
宗教法人
の
規則
の
認証
等の行政
処分
や不服審査を
調査
審議するという審
議会
でございますけれ
ども
、これらの案件について従来にも増して慎重な
判断
が求められているということがございます。 それから、今回の
法改正
によりまして、新たに
所轄庁
が報告徴収や
質問
を行う際には前もって審
議会
の
意見
を聞くといったような事務もふえるわけでございます。こういった場合、
宗教法人
をめぐる複雑多様な事象が審
議会
に諮られるということもございます。そういうこともございまして、審議事項もふえてきた、かつ複雑多様化しておるということに対応いたしまして、審
議会
として幅広い角度からの検討をしていただきたいということがございますので、現在の
委員
に加えまして五名を増員するということでお願いしておるところでございます。 〔
委員長
退席、理事松浦功君着席〕
直嶋正行
106
○直嶋正行君 今、趣旨の御説明があったんですが、
法律
によりますと、この
宗教法人審議会
の
委員
は
現行
法では「
宗教
家及び
宗教
に関し学識経験がある者のうちから選ぶと、こういうふうになっているわけでありますが、今回の五名の増員について、これ
文部大臣
お答えいただきたいんですが、この
規定
によりますと、今度の報告でも「学識経験者等の
委員
を増員したというような表現も入っておるわけですが、
宗教
家か
宗教
に関する学識経験者というのが
法律
による
委員
の
規定
だと思うのでありますが、どちらを増員されようというふうにお考えですか。
小野元之
107
○
政府委員
(
小野元之
君) 現在、十五名の
委員
のうち十一名が
宗教
関係者
、
宗教
家の方々でございます。そういったこともございまして、むしろ今回の増員につきましては学識経験者の増員を基本的にしていくということを考えておるところでございます。
直嶋正行
108
○直嶋正行君 今の学識経験者を中心に増員したいと、こういうことでよろしゅうございますね。 巷間、一部報道なされていますのは、今回の審
議会
の
委員
数の増員の枠を使って各
宗教団体
の代表をふやす、そのことによって
宗教団体
に法案の賛同を求めるといいますか、そういうねらいがあるんだというふうな趣旨の報道がなされているわけでありますが、そうではなくて学識経験者をふやすと、こういうことでよろしいわけですかね。 続きまして、審
議会
の内容といいますか、これからのあり方についてちょっとお伺いしたいと思うわけであります。
政府
が九月二十九日に出されました閣議決定の中で、今後審
議会
の透明性を高める、行政の透明性を高める、それから行政の簡素化・効率化という観点から審
議会
についてはできるだけ、特に一般審
議会
についてはできるだけ公開をしていく、こういうふうにされているわけであります。ただ、この
宗教法人審議会
は、いわゆる行政の不服審査等も入っているということで、どちらに該当するかということは
判断
難しいわけでありますが、それと今までこの審
議会
の議事録の公開をめぐっていろんな議論がありますが、きょうはそのことじゃなくて、今後この
宗教法人審議会
の審議について
大臣
は公開をされるおつもりがあるのかどうか、お伺いをいたします。
島村宜伸
109
○
国務大臣
(
島村宜伸
君) お答えいたします。
宗教法人審議会
の所掌事務の中核は、行政
処分
である
認証
や不服審査等の
調査
、審議にあるわけであります。これらに関連して制度問題についても取り扱うことができるわけでありますが、この場合においても個々の
宗教法人
の事例に触れるときがあり、プライバシーの保護や、特に中立、公正な発言の確保の観点から審
議会
全体として閣議決定の適用の対象外とされているところであります。 一方、審
議会
の運営をできる限り透明なものにしていくことも重要な課題でありまして、このため
宗教法人審議会
のこのたびの審議につきましても、その会議の終了の都度記者クラブに説明するなど、国民の意識の高まりにも対応していくところであります。今後、
宗教法人審議会
が新たに開かれ、行政
処分
等以外の事柄を審議する場合の議事の公開をどのようにするか、これは閣議決定の考え方も踏まえ、今後の課題として審
議会
の御
判断
を参考にして考えたいと思うわけであります。
直嶋正行
110
○直嶋正行君 私は、ぜひ
文部大臣
にお願いをしておきたいことがあるのは、今回の九月二十九日の閣議決定、確かに
宗教法人審議会
は閣議決定の対象外だということかもしれませんが、もう一つ目的としてあるのは、審
議会
をできるだけ効率化し、簡素化しよう、公開をすることによって行政を透明にするだけではなくて審
議会
そのものもできるだけ簡素化しようと。だから、似たような審
議会
はもうつくらない、一つの審
議会
でできるものはできるだけやっていく、あるいは分科会とか部会等も活用していく、こういうふうに言われているわけです。これからそういう方向になっていきます。 そうすると、これは一般的にも言えることなんですが、審
議会
で審議することは逆に言いますといろんなことが入ってくる。今の
宗教法人審議会
もまた検討される項目がふえるわけなんです。あれもこれもその中に入ってくるわけです。そうすると、一般審
議会
は公開だけれ
ども
、それ以外のはそうじゃないということになっていくと、実は行政の透明性という問題と審
議会
の効率化という問題には相矛盾する点が出てくるわけです。 したがいまして、私がお願いしておきたいのは、やはり公開し得るものについてはできるだけ公開をしていく、こういう姿勢で今後とも
宗教法人審議会
についてもぜひ対応していただきたい。審
議会
の皆さんの
意見
を聞くということも一つの方法かもしれませんが、そうではなく、やはり
大臣
みずから決断もし、対応していただきたい、こう思うわけでありますが、いかがでしょう。短くて結構です。
島村宜伸
111
○
国務大臣
(
島村宜伸
君) 先般行われた、本年四月以降の
宗教法人審議会
の議事録、この公開についていろいろ言われたところでございますが、ただいま
お話
ししたように、審議の終わった都度記者にブリーフを行うことをいたしましたが、先般、私はここの参議院の
宗教法人
特別委員会
でもお答えしたように、議事録は全く一切合切外に出さないということではなくて、
委員
の方々にはその会議の後、それをまとめた抄録をお渡しして、内容に間違いがないか、その御検討もいただいているところでございます。 そういう
意味
で、我々は何か表に出すことがまずいということでこれを非公開にしておるわけではなくて、そもそも審
議会
が非公開という今までの経過もあり、かつ審議
委員
の皆様方の信義の上にも立ってこれを公開しないということをやっているわけでございます。その点は御理解いただきたいと思います。
直嶋正行
112
○直嶋正行君 今の御
答弁
はわからぬこともないんですが、問題はやっぱりきちっとルールをつくっていくということが大事なんですね。ですから、その都度
判断
しながらということではなくて、一つの決めをぜひしていただきたい。 それで、審
議会
の関連でもう一点ちょっと
大臣
にお伺いしたいんですが、これは衆議院の審議の中で出たことなんですが、今回の
宗教法人法
については
宗教法人審議会
に
文部大臣
が諮問をしてその答申を受けた、そういうものではないと。この議論の中で出ておるのは、何か
大臣
が審
議会
にお願いをして検討してもらった、ですから出てきたものも答申じゃなくて報告だと、こういう議論があるんですけれ
ども
、今回の
宗教法人法
はやっぱりそういう形で、諮問ではなくて
文部大臣
が依頼をして検討してもらったということになるわけですか。
島村宜伸
113
○
国務大臣
(
島村宜伸
君) これも再三御
答弁
申し上げているんですが、必要的諮問事項ではないわけなんです。例えば
文部大臣
が
判断
をして、それで
法改正
をお願いするという形に運ぶこともできるわけであります。しかしながら、やはり事柄の性格上、
宗教法人審議会
に御検討をお願いしたということでございます。その際、与謝野前
文部大臣
はこういうふうに言っております。「
宗教法人法
の改正を必ずしも前提とするものではありません。 しかしながら、国民の広い関心も配慮され、できる限り幅広く、かつ可能な限り精力的な御審議をいただき、早期に考え方の取りまとめをお願いしたい」、こういうふうにお願いしている。 私は、今になって考えますが、いろいろ
国会
でこれだけ激論が闘わされる現実を見ますと、当時、与謝野
文部大臣
が、いわば
宗教法人
の代表者十一名、学識経験者四名から成る
宗教法人審議会
にこの事柄の検討を依頼したということは非常に的を射ていた、こういうふうに感じております。
直嶋正行
114
○直嶋正行君 実は文部省の事務局の方にもお聞きしたんですが、ちょっと私はそこら辺が腑に落ちないのは、要するに、本来この
宗教法人審議会
というのは行政
組織
法八条に基づく審
議会
ですよね、いわゆる八条審
議会
ですね。間違いありませんか。
小野元之
115
○
政府委員
(
小野元之
君) 御
指摘
のとおりでございます。
直嶋正行
116
○直嶋正行君 そうすると、諮問ではなく、要するに検討してもらうというようなことが、これは
法律
の建前からいって可能なんでしょうかね。一体これはどういう性格の審
議会
のお願いなんですかね、私はちょっとそこがよくわからないんですよ。
小野元之
117
○
政府委員
(
小野元之
君)
宗教法人審議会
でございますけれ
ども
、第七十一条の第二項に設置
規定
があるわけでございますが、「
宗教法人審議会
は、
文部大臣
の諮問に応じて
宗教法人
に関する
認証
その他この
法律
の
規定
によりその権限に属せしめられた事項について
調査
審議」する、これが一つでございます。それからもう一つその後に、「及びこれに関連する事項について
文部大臣
に建議する。」という条項が第七十一条第二項にあるわけでございます。 今回の検討要請は、先ほど
大臣
から御
答弁
いただいたとおりでございますけれ
ども
、
文部大臣
からの検討を要請したということでございます。そして、これに対して審
議会
としては、この七十一条第二項に言います「建議」の一形態として報告ということで報告をお出しになったものでございます。
直嶋正行
118
○直嶋正行君 これはそうすると、正式に諮問をしないんだけれ
ども
、
宗教法人審議会
から報告の中に改正として出てきた、今回の
法律改正
は。そういう理解でよろしいわけですか。
小野元之
119
○
政府委員
(
小野元之
君)
文部大臣
から検討要請を行いまして、それに対して審
議会
として御審議をいただきました。その結果を報告として取りまとめて
大臣
に御提出いただいたものでございます。
直嶋正行
120
○直嶋正行君 これだけ重要な法案が正式諮問ではなくて、しかも、確かにさっき
文部大臣
が答えられたように、前与謝野
大臣
のお願いの仕方は、
宗教法人
制度について議論してくださいと、こういうお願いをあいさつの中でされていますね。しかし、これだけ重要な法案が審
議会
の中から、
法律改正
をしようという所管
大臣
の
判断
がないにもかかわらず出てきて、建議ですからそれはいいんですが、法案が出されるというのはこれは極めて異例なことじゃないんでしょうか。どうでしょう、
大臣
、お答えいただけますか。
島村宜伸
121
○
国務大臣
(
島村宜伸
君) 余り繰り返されても失礼かと思って申し上げなかったんですが、この
宗教法人法
、
昭和
二十六年制定でございまして、
社会
も変化したし、
宗教法人
自体の
活動
の
実態
な
ども
非常に大きく変わっております。そういう
意味
では、もう
昭和
三十年代の当時から改正に対するいろんな御
意見
が出ていたくらいでありまして、それが今日においては、これは
オウム真理教事件
などがきっかけになったことは事実でありますけれ
ども
、やはりこれを検討もしない、あるいはまた何ら改正もしないということで通っていく段階ではないと常識的に私も考えます。 したがいまして、必要的諮問事項でないので、私自身が仮にそういう
法改正
に対しての案をつくってお諮りすることもできますが、与謝野
大臣
が四月の
時点
で審
議会
の皆さんの御
意見
を伺ったというのは私は非常に当を得ていたと、こうさっき申し上げたところであります。
直嶋正行
122
○直嶋正行君 だから、私は本当は逆じゃないかと思うんです。やっぱり、所管
大臣
が決断をして、それをきちっと審
議会
に諮って、その上で
法改正
というものはなされるものだと思うんですが、ちょっとおかしいんじゃないかと思うんですが、どうですか。平行線ですか、これは。——わかりました、もう結構です。ただ、やっぱり所管
大臣
としての責任からいえば私はそうだと思いますので、そのことはちょっと申し上げておきたいと思うんです。 今回のこの
宗教法人法
を見まして、私も
議員
になってからちょうど三年たつんですが、その体験も踏まえて申し上げると、最近いろいろ
政府
から出てくる
法律
というのは、これはもう審
議会
の話じゃなくて法案の話でございますが、こういうことが大体言えるんじゃないかと思うんです。要するに、結構
法律
の中にあいまいな表現が多くて、一般論としてもそういう傾向があるんですね。例えば、細部は政省令で決めるとかいう
法律
の組み立て方というのは結構多いんですね。 ところが、私はこれは非常に問題があると思うんです。というのは、
国会
の審議というのはやっぱり
法律
を審議するわけですから、そうすると、要は具体的かつ肝心の
部分
が法案審議の中で十分されない、そういう可能性があるんです。結構そういう
法律
というのは最近目につくんです。ですから、本来は例えば政省令に落とし込むことであっても、例えばこういう
質疑
の中で
大臣
みずからが具体的な考え方をお述べになって、その上で議論をする、少なくともそういうことは必要じゃないかなと思うんですけれ
ども
、これは一般的な見識ということで、ちょっと
大臣
のお考え、私が申し上げたことがどうかということをちょっと。
島村宜伸
123
○
国務大臣
(
島村宜伸
君) 一般論としての私の考えをお聞きになりましたので私からお答えしますが、これは
法律
できちっと決めた方がいいという場合と、やはりそのときそのときによって、例えば経済状態がいろいろ変わるとか、
社会
が変化するとか、そういう都度一々
法改正
の対象になるようにしておくのがいいのか、場合によって政省令でこれをいわば定めるようにしておいた方がいいのか、やっぱりケース・バイ・ケースでいろいろあると思うんですね。 したがいまして、それらの
判断
をして、そして
国会
でお諮りいただき、これが認められるか否か、こういうことになるわけでありますから、私はやはりそれなりに十分——今回の
法改正
に当たっての役所の皆さんの対応なんかを見ておりますと、大変な思いをしてやっぱりあらゆる角度から検討して、お願いするまでにはいろんな手間暇がかかりますね。そういう事々を経ておりますので、決して軽々に、例えば何かごまかしをするとか適当な手かげんでやるとか、そういうものを初めから予定してないというか、初めから全く考えていない、極めて真摯なものだということを改めて痛感しているわけであります。
直嶋正行
124
○直嶋正行君
大臣
は極めて真摯なものだというふうに今お答えになりましたが、例えばきのうの夕方の
質問
で
信者
の定義の話がありましたね。あれも何かよくわからないうちに議論が終わっちゃったわけです。そういうことがあるんですね。 例えば、これも何回も出ていますけれ
ども
、一つ例を挙げてちょっと申し上げますと、今回の改正案でいわゆる収支報告等の
書類
を報告する義務を
宗教法人
が負うということ、ただ、小規模法人についてはその対象にはしないと、こういうことなんですが、じゃ、どこから以下の人が、要するに何を指して小規模法人というんだという基準がないんですよ。この間のやりとりからずっと見ていましても、例示的にこんなのはまあとか、こういう話はありますが、具体的なメルクマールはないわけですね。 これは衆議院で我々の同僚
議員
も同じことを何回もお聞きしているんですけれ
ども
、しかし
全国
に
宗教法人
が十八万ですか、非常に多数あるわけですね。そうすると、この
法律
がどういうところに対象になるのかということは、これは私
たち
が
国会
で議論をする上で非常に重要なことだと思うんですね。そして、どういう方
たち
がこの対象から、例えば収支報告を例に挙げれば、出さなくて済むのかと、これは非常に重要な
部分
だと思うんですね、法案にとってみれば。結局、具体的にそのことがいろいろ影響していくわけでありますから。しかし、それについて明確な基準がないんです。出されていないんですよ。後で
宗教法人審議会
にお諮りしますという話なんです。私はこれは大変な責任逃れだと思います。どうでしょうかね。
島村宜伸
125
○
国務大臣
(
島村宜伸
君)
宗教法人
にもいろいろな形態がありますし、それぞれの法人の特性というのはやっぱりありますよね。その場合に、例えば
信者
はどこからどういう範囲まで指すといっても、これは正直言ってまさに千差万別だろうと思います。それを、中に入り込んで、全部内容を精査してそれを決めていくということはいろいろ困難が伴うんではないか。したがって、例示としては私は御
答弁
申し上げました。 お互いに理解ができる一つの例としては、例えば神社にしても仏閣にしても、要するに神主さんが幾つもかけ持ちの神社もありますし、あるいは仏閣にしても、お寺の
関係
でもそういうことですが、お坊さんがかけ持ちの例も私
たち
数多く知っております。そういう場合に、それを一つ一つ全部の収支報告を出せということはいささか困難ではないか、こういうことは
判断
できるわけです。 問題は、要するに規模が小さいという、その小さいか大きいかの
判断
をどこに置くのか、こういうことになりますと、にわかにこうだということは言いがたいので
宗教法人審議会
にお諮りする、こうしているところであります。
直嶋正行
126
○直嶋正行君 これは、非常に難しい
部分
があるのはそのとおりなんですよ。だから、
判断
しづらいから
宗教法人審議会
にお諮りをするということではなくて、むしろ言えば
宗教法人審議会
にお諮りをして、結論を出した上で法案をつくるべきだ、私はそう思うんですけれ
ども
、どうでしょうね、
大臣
。
島村宜伸
127
○
国務大臣
(
島村宜伸
君) この点、もう少し詳しく御説明する方がいいかと思いますから、
政府委員
から御説明させます。
小野元之
128
○
政府委員
(
小野元之
君) 今回の収支計算書の提出を義務づけるということでございますけれ
ども
、審
議会
の中におきましても、規模の小さい
宗教法人
について余り過大な負担を強いるのはいかがなものかという御
意見
も
かなり
あったわけでございます。審
議会
でそのような
意見
もございましたし、そういったことを踏まえまして、
法律
の条文では、先ほど来御論議いただいておりますように、収入の額が寡少である
宗教法人
については、当分の間、その作成を免除するという
規定
になっておるわけでございます。 これは、額の範囲を数字的に具体的に
規定
しておりませんのは、収入の額の範囲につきましては、
社会
経済状況の変化や
宗教法人
の
実態
等を踏まえ、
宗教
関係者
の
意見
も聞きながら適時適切に定めるということが妥当であるということで、しかも「収入の額が寡少である」という委任の内容が
法律
上明確であるということから委任を置いているところでございます。
直嶋正行
129
○直嶋正行君 私の
質問
にちゃんと答えてくださいよ。これは
判断
の問題を聞いているんです。そういう基準をきちっと出した上で法案を出すのか、今
お話
があったように、基準は出さずにとりあえず法案だけ出して後で決めるのか。
国会
は国民の前で議論しているわけです。ですから、基準が正しいかどうかというのはやっぱりきちっと国民の前で議論すべきだと、私はこう申し上げているんです。
大臣
、答えてくださいよ。あんなの経過説明ですから全然
関係
ないですよ、あんなのは。もういいです。いいですか。
大臣
、答えてくださいよ。(発言する者多し)
松浦功
130
○理事(松浦功君) 御静粛に願います。
小野元之
131
○
政府委員
(
小野元之
君) 収支計算書の作成義務の免除についての寡少な額の範囲でございますけれ
ども
、審
議会
におきましても具体的な数字は報告の中に入っていないわけでございます。そして、
宗教法人
の収入の
実態
や規模の小さい
宗教法人
の運営の
実態
、それから
宗教法人
の事務処理能力の
実態
等を総合的に勘案いたしまして、
法律
をお認めいただいた後に
宗教法人審議会
の
意見
を聞いて決めるということとさせていただいているところでございます。
直嶋正行
132
○直嶋正行君 ああいう同じような、しかも
質問
に答えないような
答弁
はもうやめさせていただきたい。
委員長
、お願いします。ちゃんと私の
質問
に答えてくださいよ。どちらをとるんですかと、こういうふうに聞いているんですよ。
島村宜伸
133
○
国務大臣
(
島村宜伸
君) 審
議会
にかけて、またそれを法案にしてお諮りするということよりは、やはり
社会
経済の変動に応じて対応するためには、一々これを法案化してお諮りする必要はないと
判断
いたします。
直嶋正行
134
○直嶋正行君 私、もし
大臣
が今
お話
しになったようなとらえ方をされていると、これはもう非常に大きな問題だと思いますよ。これは本当に十八万の
宗教法人
の方が
自分たち
にどういう影響が出るかということを心配されているわけですよね。ですから、それは難しいんですよ、どこで線を引くかというのは。だから、そういうことをきちっと調べた上で決めて、それを
国会
で議論して正しいかどうかということをやるべきだと思うんですね。 例えばこの収支報告書は、これは出さなければ一万円の過料が取られるんですよ、この一万円が高いか安いかは別にして。つまり、出さなければ過料を加えますよという罰則
規定
が先にあるんですよ。しかし、その過料を加える、おたくは出すべきですよという基準はないんですよ。罰則だけ先に決まっているんですよ、この
法律
の中では。 これは
法律
の立法論として考えたときに、ちょっと法制
局長
官にお聞きしたいんですけれ
ども
、いわゆる罪刑法定主義という考え方がございます。これは憲法三十一条の決めたいわゆる適正
手続
といいますか、つまり何人たりとも
法律
によらずに懲罰を受けることはない、簡単に言いますとそういう
規定
なんですが、今回のこれは過料ですから、行政罰なんですが、
法律
のつくり方としての基本的な考え方は、たとえ行政罰であってもやはりきちっと、こういうケースはこういう過料を加えますよという立て方をすべきだと私は思うんですけれ
ども
、長官いかがでしょうか。
大出峻郎
135
○
政府委員
(大出峻郎君) 一般に罪刑法定主義といいますのは、犯罪及びこれに対する刑罰は
法律
で定めなければならないということであろうかと思います。しかし、これは犯罪及びこれに対する刑罰をすべて
法律
そのもので定めなければならないというふうにするものではなくて、構成
要件
の一部について合理的な範囲内で具体的な内容を下位の法令等に委任をするということも罪刑法定主義に反するものではないというふうに考えられるわけてあります。 本件の問題につきましては、過料と関連する
規定
でもあるわけでありますけれ
ども
、
法律
の委任によって
文部大臣
が定めるものは、収入額が寡少であるいわゆる小規模法人の一会計年度の収入額の範囲であることが
法律
上明確に
規定
されており、罪刑法定主義の精神から見ても問題はないというふうに理解をいたしておるところであります。
直嶋正行
136
○直嶋正行君 せっかくの御
答弁
ですけれ
ども
、私はやっぱりちょっとおかしいと思うんですよ。 それで、もう一つお聞きしたいんですが、きのうも議論ありましたが、
宗教法人法
というのは政省令がないんですよね。たしかこの間の
答弁
も、普通は、例えば
法律
に書いてなくても政省令、これも法規範ですから規範にうたうということができるんですが、この
法律
は政省令がない。この間の
答弁
でも、それはできるだけ
法律
の中にきちっと入れて、そしてそのことによって
宗教団体
の便宜を図りたい、こういうお答えがあったわけであります。 しかし、全然そうじゃないですよ。基準なんて一番大事な
部分
が入ってないんです。しかも、政省令もない。こういうまさに政省令をつくらないなら、
法律
の中に入れなきゃいかぬじゃないですか。
法律
の中にしかも過料が入っているわけですよね。これは、
法律
の立て方、立法の仕方としては極めて異例な、あってはならない立て方じゃないか、私はそう思うんですけれ
ども
、どうでしょうか。
小野元之
137
○
政府委員
(
小野元之
君)
宗教法人法
に政省令がないというのは御
指摘
のとおりでございまして、昨日も御
答弁
申し上げておりますが、この審
議会
報告の中にも、小規模法人の規模の基準でございますが、「
文部大臣
が
宗教法人審議会
の
意見
を聞いて定めることとするのが適当である」というふうに審
議会
からも報告をいただいておりまして、そういった趣旨をこの
法律
の中に入れさせていただいておるわけでございます。 この収支計算書の作成義務の免除でございますけれ
ども
、
原則
は作成していただく、ただし小規模法人で御負担をかけるのは余りにもお気の毒だといったようなところに対して免除をしておるわけでございまして、本則はあくまでも作成していただく。作成していただいたものを備えつけていただいて、備えつけていただければそれを御提出いただくということになるわけでございます。
直嶋正行
138
○直嶋正行君 これは押し問答になるかもしれませんのでもうやめますが、これは一つの例なんですが、この間来の議論から何回もありますように、結局大事な
部分
が抽象的でよくわからないんですよ。具体的に国民にいろいろ影響を及ぼす
部分
について審
議会
で検討しますと、こういうことになっているわけですね。これは本当に
法律
の問題としては、
法律
のあり方としてはおかしな
法律
だということは重ねて申し上げておきたいと思います。 次の
質問
に移りたいと思いますが、まず
最初
に法務
大臣
にお伺いしたいと思うんですが、これはもう近場の状況を含めて簡潔にお願いしたいんですけれ
ども
、何回も議論に出ておりますが、いわゆる
オウム
に対する破防法の適用について、これは今どういう状況なんでしょうか。
宮澤弘
139
○
国務大臣
(宮澤弘君) 破防法は、申し上げるまでもなく、
公共
の安全を確保いたしますために暴力主義的破壊
活動
を行った団体を規制する
法律
でございますが、同時に国民の基本的人権に関連をいたしますので、厳正かつ慎重な対応が必要だと思っております。 そのような体制のもとに公安
調査
庁において検討を続けてきておりますが、現在はあらゆる問題について最終的な検討をいたす段階に来ているというふうに承知をいたしております。
直嶋正行
140
○直嶋正行君 この問題に関する
政府
の
答弁
が、ずうっと検討中、検討中といってもう九月ぐらいから二、三カ月。今、最終段階だというふうにおっしゃいましたね。(「今や詰めの段階」と呼ぶ者あり)とか詰めとか、いろんな
お話
があるんですけれ
ども
、どうなんですか、もう近いんですか。
宮澤弘
141
○
国務大臣
(宮澤弘君) ただいま申し上げましたように、最終的な検討の段階にあるというふうに承知をいたしております。
直嶋正行
142
○直嶋正行君 これは
文部大臣
にちょっとお伺いしたいんですけれ
ども
、この間来の議論を聞いていますと、ちょっと見にくいかもしれませんが、ここにある新聞の世論
調査
が書かれています。村山総理も
文部大臣
も、
宗教法人法
の改正について八〇%の国民が賛成している、だからやるんだ、こうおっしゃっています。同じ
調査
で、
オウム
に対して破防法を適用すべきだと、これが七九%、これも八割なんですよ。
大臣
の御発言は、もうとにかく世論重視だ、国民の皆さんの意向を体してと、こういうことなんですけれ
ども
、あなたは破防法の適用についてどう思われますか。
島村宜伸
143
○
国務大臣
(
島村宜伸
君) 私の担当は
宗教法人法
の方でございまして、破防法の方は私の所管外でございますから、これに対するコメントは差し控えたいと思います。 ただ、私と総理が八〇%以上の世論
調査
云々ということを言い続けてきたではないかと、こうおっしゃいますが、今回の読売新聞の
調査
は、御承知のようにこれは十一月二十三日の
調査
ですね。ということは、衆議院の
宗教法人
に関する
特別委員会
の審議が終わった段階でいわば実施されているわけでありまして、国民の皆様も今回の改正案についての知識、情報は相当お持ちであると、こう考えて間違いがないと思います。 その
意味
で、六月の読売新聞、七月の
東京
新聞、九月のNHKの世論
調査
でも一貫して八割以上の国民が
法改正
を望んでおり、十一月に行われた読売新聞の
調査
でも八割を超える支持があるということは、今回の改正案が改正を望む大多数の国民に御納得いただいていると考えるわけであります。 なお、
宗教法人法
と破防法は全く趣旨、目的の異なる
法律
でありまして、私としては所管外の破防法の適用問題についてはコメントを遠慮したいと思います。
直嶋正行
144
○直嶋正行君
手続
だとかそういうことを聞いているんじゃなくて、
大臣
のお考えを私はお伺いしたんですよ。
文部大臣
だから、これは所管
大臣
があっちにいらっしゃるからというのはわからないことはありませんが、逆に言いかえれば、内閣というのは連帯して
日本
の行政に対して責任を負うわけですよね。当然閣議だっていろいろ議論されるわけでしょう。ですから、やっぱり
大臣
は
大臣
のお考えがあってしかるべきだと、こう思うんです。 しかも、今、
宗教法人法
の話をさかのぼった世論
調査
の数字を挙げておっしゃいましたが、念のために言いますと、九月のある世論
調査
では八六%、十月のこれは別の新聞社ですが、
宗教法人法
の賛成五六、しかし破防法を適用すべきだというのは七二%。高いんですよ、ずっと。 世論を大事にされる
大臣
としてはどうでしょ一つ。
島村宜伸
145
○
国務大臣
(
島村宜伸
君)
宗教法人法
の御審議を願う過程では、これは国民の皆さんは内容を御存じなくて支持しているんだというふうな御
指摘
が非常に多かったわけであります。しかし、それは今私が御説明いたしましたとおりでありますが、私も閣僚の一員ですから、破防法に関してまるっきりこれを避けて通るとか、あるいは関知しないという姿勢があるとすれば、私は、所管外であっても当然に私の
意見
を述べることになるんだろうと思います。しかしながら、これはもう極めて真剣に御検討いただいているということがむしろ私の方が詳しくそのことはわかるわけでございまして、専門的に御検討いただいているものを所管外から云々することを御遠慮申し上げたいと、こう申し上げたわけです。
直嶋正行
146
○直嶋正行君 それでは、今度は角度を変えまして法務
大臣
にお伺いしたいと思うんです。 今回のこの
オウム
の
事件
なんですけれ
ども
、今、
宗教法人法
による
解散命令
、これは
文部大臣
の所管かもしれませんが、しかしこれもまだ確定していなくて、いろんな資産隠しが問題になっていますね。それから、仮に破防法の適用をされても、これはあくまで行政措置でありますから、例えばああいう犯罪を
防止
する、再発を
防止
する、
防止
するという観点で見たときには破防法は役に立たないわけですね。
オウム
そのものはいいですが、ああいう同種類の犯罪を別の者が起こすということについて言えば役に立たない。 それで、まずそういった点についてひとつお伺いしたいのは、さっき私が申し上げたいわゆる資産隠しの問題、財産保全の問題、これはきのうも議論がありましたが、被害者救済ということで言いますと非常に緊急性の高いことだと思うんですよ。私はこういうものこそ、あの
サリン
防止
法をつくりましたが、私も
法律
知識は余り詳しくありませんから具体的にここがいいということは言えませんが、例えば特別立法でもいいし既存の
法律
の改正でもいいと思うのでありますが、本当は内閣としては一番先にそういうものをつくって対処すべきじゃなかったのかな、こう思うんですけれ
ども
、法務省でそういうことは検討されたことはございませんか。
宮澤弘
147
○
国務大臣
(宮澤弘君) ただいま財産保全措置についての特別立法についての御
質問
だと思いますが、
現行
制度のもとにおきましても個々の債権者が
裁判所
に申し出をいたしまして仮差押命令を得て財産保全を図ることができる、御承知のとおりでございまして、
オウム真理教
の財産につきましても現に一部でそのような措置がとられております。 そこで、特別立法の問題でございますけれ
ども
、法人一般について見ますと、法人の監督のあり方でございますとか法人の
解散
手続
のあり方でございますとか、それから他の財産保全
手続
との整合性というような問題がございますので、なお特別立法については慎重な検討が必要ではないか、このように考えております。
直嶋正行
148
○直嶋正行君 確かに仮差し押さえという手段はあるんですが、これはやっぱり限界があると思うんです。 ちょっとその点で、今の財産保全の問題も含めてということになると思うんですけれ
ども
、法務
大臣
と公安
委員長
にお尋ねしたいんですが、この
オウム
の
事件
というのは、
サリン
なんかもそうでしたが、例えば今の
日本
の
法律
のあり方とか、あるいは警察の
捜査
体制とかそういうものも加わってくるのかもしれませんが、
法律
で言えば、
法律
のあり方についてやっぱりいろんな問題点を投げかけていると思うんですよ、
日本
の法体系のあり方について。 よく言われるのは、
日本
の
法律
というのはいわゆる個人中心に、例えば刑事訴訟法とか刑法なんかを見ても個人に対する犯罪あるいはそういうものを中心に
法律
が成り立っていて、例えば今回の
オウム事件
のようなもの、こういう
組織
的な犯罪にはなかなか対応が難しい
法律
になっている。こういうことが時々専門家なんかからも
指摘
があるわけなんですけれ
ども
、そういう視点で見た場合のお二人の
大臣
の所感をお伺いしたいと思うんです。
深谷隆司
149
○
国務大臣
(
深谷
隆司君) 今、
委員
御
指摘
のように、
オウム真理教事件
というのは、本当にかつて
日本
で起こるとは想像できないような、そういう
宗教団体
に名をかりたテロ集団であった。そのために、例えば狂信的な
信者
は尊師と称する者のマインドコントロールで全く自主的な行動、みずから
判断
をするということができない状態に追い込まれて、それが数々の犯罪を生んだ。こういうことは今まで本当に予期していなかったことでございます。しかし、現実に起こったわけでありますから、またこれからも起こり得る可能性というのはあるわけでありますから、私
たち
は
サリン
法を制定させていただきましたように、早急にあらゆる角度から対策を練っていかなければならぬと思うんです。 そこで、警察の
捜査
体制をこのような集団
組織
によるテロ
行為
等々を起こすような可能性のある団体に対して、例えば情報収集であるとか科学的な分析だとか、さまざまな問題を含めて総点検しなければならないというので、ただいま
組織
の改正も含めて何らかの要請を出すべく仕事をしている最中でございます。
宮澤弘
150
○
国務大臣
(宮澤弘君) お尋ねの集団的な
組織
的な犯罪に対応する措置でございますが、
現行
刑法におきましても、団体の構成員につきまして共犯
規定
というようなことによりまして犯罪の実行者ばかりでなくて関与した者を処罰することが可能でございまして、当面は
現行
法制というものを十分に活用することが必要だと思います。 しかし、お尋ねのような、今までになかったような集団等による犯罪に着目した特別立法というようなお尋ねだったと思いますが、これにつきましては、現在我が国において発生をしております
組織
的な不正、
違法行為
の
実態
を見守り、また外国におきましてもそういう制度もあるところもあるようでございますので、そういうことも
調査
研究をいたしまして、どのような措置が有効かというようなことを種々の角度から慎重に検討していかなければならないと思っております。
直嶋正行
151
○直嶋正行君 今の法務
大臣
の御
答弁
を伺っていまして、検討していかなければならないということなんですが、やっぱり相当時間がかかるしということになるんですか。
深谷隆司
152
○
国務大臣
(
深谷
隆司君) 例えば警察
関係
で
組織
について今具体的に要求を出しているものがございますから、この際、せっかくのお尋ねですから申し上げますが、例えば、広域
捜査
に関する指導調整機能の強化策として特殊犯罪
捜査
の総括あるいは調整、現地指導に当たる刑事局の政令職を新設しよう、あるいは有毒物質使用
事件
等の担当として刑事局
捜査
第一課特殊
事件
捜査
室を設置するとか、あるいは治安問題に関する
調査
研究能力の向上策として警察大学校警察政策研究センターを新たに設置するとか、テロを行うおそれのある集団にかかわる情報収集の強化策として警備局公安第一課特殊
組織
犯罪対策室を設置する、以上のようなことを今要求しておりまして、これはそんなに時間がかかることではない。 つまり、警察の体制といたしましては、この予期せざる出来事を大きな教訓として、きちっと
捜査
ができるようなそういう状況を一日も早くつくり上げたい、そう思っているところてあります。 〔理事松浦功君退席、
委員長
着席〕
直嶋正行
153
○直嶋正行君 警察の体制というよりも、私はむしろ法的な整備を今議論申し上げているつもりなんです。 それで、もう時間がありませんから最後に一点だけお二人にお伺いしたいんですが、
アメリカ
にRICO法というのがあります。これはまさに
組織
犯罪のための
法律
なんですが、これは簡単な
資料
なんですが中を見ますと、ちょっと私なんかもうついていけないなという
部分
もあるんですけれ
ども
、例えば、こういうものに対する現
時点
での法務省及び警察の評価といいますか、どういうふうに思っておられるか、この点を最後にお二人にお伺いをして終わりたいと思います。
深谷隆司
154
○
国務大臣
(
深谷
隆司君) RICO法という
法律
は、
アメリカ
において主としてマフィア対策でつくられたものでございます。これらの中身は、
委員
御
指摘
のように、例えば刑罰にいたしましても、あるいは民事にかかわりますけれ
ども
、裁判によって
解散命令
を出すとか、さまざまなそういう
組織
集団に対応する具体的な対策が盛り込まれているわけであります。
日本
の風土に合うかどうかは別として、極めて
組織
集団対策としては有効な手だてでございますので、大変参考になるという受けとめ方をしております。
宮澤弘
155
○
国務大臣
(宮澤弘君) 刑事
局長
から
答弁
をいたさせます。
則定衛
156
○
政府委員
(則定衛君) 今、
国家公安委員
長からも御
答弁
がございましたように、大変広範囲な規制と、また多岐にわたる制裁方法を持っておる
法律
でございまして、私
ども
、現在いわゆる
組織
犯罪対策というような切り口で国内立法として種々の検討をしていることは先ほど法務
大臣
から御
答弁
したとおりでございます。そういった検討の材料の一つとしていろいろと参考になる事項はございますけれ
ども
、
日本
の法制度全体との兼ね合いで直ちになじむかどうか、この辺はいろいろと検討していかなきゃならない問題を多々含んでいると思います。ただし、立法の参考の一つとして検討してまいりたいと思っております。
直嶋正行
157
○直嶋正行君 それぞれお答えがあったわけでありますが、私は、やっぱり
オウム事件
等を考えますと、それから非常に国際化が進んでいますから、これは、ああいう
宗教
の皮をかぶったテロ集団ということではない、例えばほかの種類の
組織
犯罪というのにも多分これから
日本
はやっぱり対応できる体制をつくっていかなきゃいけないと思うんですね。 そういう点で考えると、先ほど来お答えがございましたけれ
ども
、非常に難しい問題も多々あることは私も理解はしていますが、ちょっと対策が遅いんではないかなというふうに思うわけであります。ぜひ
日本
に合ったそういう
組織
犯罪対策法を早急に、これは被害者救済も含めて御議論をいただきますようお願いをして、
質問
を終わります。(拍手)
大森礼子
158
○大森礼子君
平成
会の大森礼子でございます。新人ですけれ
ども
、
国会議員
の基本に忠実にやりたいと思います。 今回のこの
特別委員会
は、
宗教法人法
の改正についての
特別委員会
でございます。この法人法の改正内容について
文部大臣
は、非常にささやかな改正であるとおっしゃる。必要最小限であるとおっしゃる。常識的な改正だとおっしゃる。しかし、実際、条文そのものを見れば、非常に多くの不明な点があると私は思います。ですから、この機会に、まずどんな
法律
なのか、これを明らかにする必要があるわけですから、その点について
質問
させていただきたいと思います。 まず
最初
に、改正案七十八条の二の「報告及び
質問
」の項なんですけれ
ども
、ほとんど文部省にお尋ねいたします。
小野
さんよろしくお願いいたします。 七十八条の二で、「
所轄庁
は、
宗教法人
について次の各号の一に該当する疑いがあると認めるときはことあるわけなんですけれ
ども
、まずこの「疑い」というのはだれの
判断
によるのか、これは
所轄庁
ですから
文部大臣
あるいは
都道府県
知事
、こういうことでよろしいでしょうか。
小野元之
159
○
政府委員
(
小野元之
君)
所轄庁
でございますからそのとおりでございます。
大森礼子
160
○大森礼子君 次に、どうやってその疑いを得るに至ったかという過程なんですけれ
ども
、場合によってはその提出
書類
から知り得ることもあると思います。ただ、あれだけのものを集めまして、かぎつきのロッカーに積んでおくだけということはないと思いますから、きっとそこら辺からもわかるんだろうと私は思います。そのほかに、疑いを持つに至った動機というものは何でもいいんでしょうかということです。 なぜこんなことを言うかといいますと、さっきの午前中の
委員会
で週刊誌の記事、何か特定の名前を出しまして、
殺人
の疑いがあるとか、こういう話になったわけなんですね。週刊誌を題材にして、これは
刑事事件
としては証拠が明らかでないのにセンセーショナルに疑いがあるという言い方をする、そういうものにすぐ
国会議員
が飛びついてしまうということも私はおかしいと思うんですけれ
ども
、しかし一応これでも疑いと言うわけですから、例えば週刊誌とか新聞報道とか、そういうものから得た情報で疑いを持った場合でもよろしいんでしょうか。
小野元之
161
○
政府委員
(
小野元之
君)
法改正
が認められますと、毎年度、財産目録等の財産
関係
の提出
書類
をいただくわけでございます。そういった
書類
を私
ども
に見させていただいているときにそういう疑いを持つということもあるかと思います。 それから、新聞等でさまざまな
事件
がございまして、そういったことがこれらの条項に該当する疑いがあり得るというふうに
判断
されるような新聞記事等が出るという場合もあろうかと思います。 それからさらには、
関係
省庁あるいは
都道府県
知事
でございますけれ
ども
、そういったところから、この
宗教法人
についてこういった
法律
違反の状態があるとか、あるいはこういった情報があるのではないかといったような情報が入るということもあろうかと思うわけでございます。 いずれにいたしましても、そういったこの各号に該当する疑いがある程度はっきり認められるという場合に
所轄庁
が
判断
をするというふうに理解をいたしております。
大森礼子
162
○大森礼子君 今の
お話
を伺いますと、皆さん聞かれたと思うんですけれ
ども
、疑いというのはどこから出てきた場合でも一応それに該当するということでありまして、
質問
権発動、それから報告のきっかけ、この改正案ですといろんなところから起こり得るということをまず
確認
しておきたいと思います。問題はないのかどうかです。 それから次に、「この
法律
を施行するため必要な限度においてこという限定があるんですけれ
ども
、例えば八十一条一項一号、
解散
事由ですけれ
ども
、「法令に違反して、著しく
公共
の
福祉
を害すると明らかに認められる
行為
をしたこと。」、こんな場合ですと、文部省はどこら辺まで
質問
とか報告徴収をされるんでしょうか。
小野元之
163
○
政府委員
(
小野元之
君) 御
指摘
ございました八十一条の一項一号でございますが、「法令に違反して、著しく
公共
の
福祉
を害すると明らかに認められる」ということでございますが、これは刑法違反等で犯罪
行為
の疑いが非常に強いという場合でございます。 もちろん、文部省や各
都道府県
知事
、
宗教法人
の
所轄庁
の事務を担当している部局はそういった刑事
捜査
権等はないわけでございます。したがって、そういう強制的なものはもちろん、強制的な
関係
で情報は得られないわけでございますけれ
ども
、先ほど御
答弁
申し上げましたように、非常に疑わしいということがある程度明確になったということでございましたら、その旨を
宗教法人審議会
に理由と事項等を示して御
判断
を仰ぎ、その結果を尊重しながら具体的な報告徴収あるいは
質問
に及ぶということになるわけでございます。
大森礼子
164
○大森礼子君 そうすると、結局、法令の違反事実を明らかにする手段としても行使されるということでよろしいわけですね。要するに
刑事事件
になるわけなんですよ、この一号というのは、今まであなたがお答えになっているように。 そうすると、この条文にあります「当該
宗教法人
の業務又は事業の
管理運営
に関する事項に関しことの
関係
なんですけれ
ども
、結局、犯罪
捜査
という言い方は悪いんですけれ
ども
、そういう犯罪事実について
質問
、それから報告徴収することも、今言った「
宗教法人
の業務又は事業の
管理運営
に関する事項に関しこと、これに関連してくるということでございましょうか。
小野元之
165
○
政府委員
(
小野元之
君)
所轄庁
は警察当局ではございませんので、犯罪
行為
自体の問題についてとやかくというのは非常に難しいわけでございますが、この条文にもございますように、「当該
宗教法人
の業務又は事業の
管理運営
に関する事項に関して、報告等を求めるということでございます。 例えば、収益事業が目的外に使われておるということであれば、そういったことについての財務会計の状況について報告を求めるということもありましょうし、目的を逸脱している
行為
があるということであれば、そういった
行為
の態様や目的との関連性を把握するための財務会計の状況等について報告を求める、あるいは
質問
をするということもあり得ると思うのでございます。
大森礼子
166
○大森礼子君 何でこの一号を持ってきましたかといいますと、今、
小野
次長
答弁
されましたけれ
ども
、そういうことになるんだろうと思います。 ただ、文芸春秋十二月号に、
島村
文部大臣
が「
宗教法人法
改正反対派に告ぐ」と、何とか
事件
みたいなタイトルですけれ
ども
、こういうものを書かれておる。これは
文部大臣
とありますから、前回と違いまして
文部大臣
として書かれたんだと思うんです。読ませていただきました。びっくりしました。 ここで報告徴収権及び
質問
のところについて、
文部大臣
はこういうふうに書かれているんですね。私、読みますから。「現状では
オウム
のような団体に
解散命令
の
請求
をしようにも、その
解散
事由を
確認
する手段すら、
所轄庁
にはないのです。これでは
宗教法人法
そのものの
運用
が実際にはできないこと、こうおっしゃった後で、一号の法令違反に関して、この条文を引きまして、こういう条文があると。「ところが、現在の
法律
のままでは」こういう疑いが生じたとしても「何にも調べることができない。」。この後の接続詞が大事なんです。「だから今回の
オウム
の
解散請求
でも所轄の
東京
都からはほとんど
資料
は出せずじまいで、結局、警察、検察の
資料
が裁判で使われるということになってしまいました。」と。その後でまた接続詞が来るんです。「しかし」と、「
宗教法人法
で定められている以上、本来、私
ども
が
認証
を与えた責任者なんです。」と、こういう書き方なんです。
文部大臣
、これよくわからないんですけれ
ども
、要するに、
オウム事件
で
解散請求
するのに検察とそれから警察の
資料
を使った、これが残念だという御趣旨なんですか。本来、文部省が、所轄を文部省に移した場合ですけれ
ども
、やれたのにやれなかったのは
宗教法人法
が
不備
だったせいだと、こういう御趣旨なんでしょうか。
島村宜伸
167
○
国務大臣
(
島村宜伸
君)
最初
に申し上げておきますが、この「反対派に告ぐ」云々という見出しは私の書いたものではありません。 それから、今の話は、現実に
オウム事件
についてはいろんな情報を私
たち
も聞いてはおりました。しかし、検察庁はこういうことをいろいろ
調査
できるかもしれませんが、
所轄庁
としては
現行
法では何も知ることはできないと、こういう
意味
でございます。
大森礼子
168
○大森礼子君 タイトルは
文部大臣
がつけたんじゃないと。サブタイトルの「新進党、学会はどうしてこうまで反発するのか」、これも違うでしょうか。
島村宜伸
169
○
国務大臣
(
島村宜伸
君) 私の考え方からいたしますれば、今回のこの改正案にどうしてこんなに反対されるのかという気持ちがあることは事実でございます。 ただし、そういう発言があったかどうかは、ちょっと前ですからね、この取材も。
大森礼子
170
○大森礼子君 はっきり申しまして、あのような重大犯罪なんです。評論家も百年に一度起きるか起きないかの犯罪ですよと言っているんです。村山総理だって、犯罪史上類を見ない極めて凶悪な犯罪と言っているんです。 そしてこの前、十一月九日の法務
委員会
で、法務省の則定刑事
局長
にお聞きしたときに、率直に申しまして今回の
捜査
で判明したような事実は
捜査
当局において把握していなかったのが現状でございます、そういう
意味
で、これだけの大きな広がりを持って、かつ反復継続して行っているという認識が
オウム
に関しまして必ずしも十分でなかった、これを反省材料としてちゃんとやっていきますと、こういう
お話
があったんです。
捜査
機関ですら、あそこまで大きくなるまで防ぐことができなかったんです。
捜査
権限があるんです。検察庁もこう言っているんです。 文部省は
捜査
権限がないんですから無理なんですよ。ですから
文部大臣
、所轄の責任だ責任だとおっしゃるけれ
ども
、そんなに責任を感じなくていいんですよ、だれも思っていないから。(「やさしいね」と呼ぶ者あり)いや、私は本当に思いますよ。何か、責任だ責任だといって、だからどうしようか、法を変えなきゃいけないというんだけれ
ども
、できるわけないんだから、はっきり言って。 それから、犯罪
捜査
というのはそんな簡単なものじゃないの、(「生意気言うな」と呼ぶ者あり)生意気言うようですけれ
ども
。それはおわかりでしょう。だから、それほど責任を感ずる必要はない。むしろ国民の多くは、学校のいじめ問題とか、あるいはこの
オウム
でも、何でああいういい大学を出た人が
オウム
に走ったのか、教育は大丈夫だったのかと、こういうふうに言っているわけです。むしろ、この本来の行政の場面で私は文部省に頑張っていただきたいと思います。以上です。 それじゃ次に、戻しますけれ
ども
、
小野
次長さんにまたお尋ねします。
質問
の相手なんですけれ
ども
、「当該
宗教法人
の代表役員、責任役員その他の
関係者
」と、「その他の
関係者
」というのはこれは定義はどうなるんでしょうか。
小野元之
171
○
政府委員
(
小野元之
君) これは、
質問
の相手方でございますが、当然でございますが、代表役員それから責任役員等は法人の
管理運営
の責任の
立場
におありの方でございます。
宗教法人
でございますので、そういった代表役員の方が常にその事務所にいらっしゃるということではない場合もあり得るわけでございまして、例えば総務
部長
さんでございますとか総務課長さんでございますとか、そういったその法人を代表して
管理運営
について一定の権限を持っていらっしゃる方、そういった方に対して
質問
をするということがこの七十八条の二の
質問
を実効あらしめるということになると思いますので、そういう権限を持っていらっしゃる方が「その他の
関係者
」に該当するというふうに理解をいたしております。
大森礼子
172
○大森礼子君 それを聞いてあれだったんですが、というのは、法令用語辞典なんというのを見ますと、利害
関係
人と
関係
人について説明が出ている。これは「
関係者
」になっていますけれ
ども
、その
関係者
というのを非常に広い
意味
で使っているわけなんですね。「広く職業上の権限に基づいて他人の
行為
に干与することができる者をも含み、利害
関係
、事業上の
関係
その他当該案件に何らかの
関係
を有する者を総称する場合が多い。」と、この法令用語にしますと非常に広くなってしまうわけなんです。 ただ、今お聞きしますと、そうすると
小野
次長さんあれですか、この「その他の」の使い方なんですけれ
ども
、今の御説明ですと、代表役員、責任役員、それに準ずるような、類するような地位の方ということでよろしいですか。
小野元之
173
○
政府委員
(
小野元之
君) 例えば、先ほど御
質問
ございました八十条第一項の事項に該当しているかどうかという場合でございますね、この場合に、私
ども
の方はもちろん犯罪
捜査
をするわけではございませんから、個人の刑事法違反をどうこうというのではなくて、その
行為
が法人としての
行為
であるかどうかを把握するために、例えば議事録を見せていただくとか法人の
関係者
に
質問
させていただくということになるわけでございます。 したがいまして、その場合でも代表役員や責任役員の方に、例えば、
所轄庁
として御
質問
したいということを申し上げれば、それでは法人としては総務
部長
でお願いしたいとか、あるいは事務
局長
でお願いしたいとか事務総長でお願いしたいとか、そういう一定の権限を持った方に対して報告を求めたりあるいは
質問
をするということでございます。
大森礼子
174
○大森礼子君 今「その他の
関係者
」と、非常にわかりにくいわけなんですけれ
ども
、「その他の」とあります、ほかでも出てくるわけですけれ
ども
。これも法令用語の
意味
としてはその前に出てくるものに類するようなというふうに書いてあるわけなんですけれ
ども
、その解釈に従って、
小野
次長が今お答えになったのは代表役員、責任役員、それに準ずる、類するような地位の人ということでよろしいわけですね。 そうしますと、
確認
なんですけれ
ども
、七十八条の二には
質問
の相手、それから立ち入るときの同意を求める相手、それから身分証明書を提示する相手として「代表役員、責任役員その他の
関係者
」とあるわけですけれ
ども
、これは
意味
内容は全部一緒ということでよろしいわけですね。
小野元之
175
○
政府委員
(
小野元之
君) 御
指摘
のとおりでございます。
大森礼子
176
○大森礼子君 次に、七十八条の二の二項なんですけれ
ども
、「報告を求め、又は当該職員に
質問
させようとする場合においてはこ「
宗教法人審議会
の
意見
を聞かなければならない。」とあるわけなんですけれ
ども
、これは必ず聞かなくてはいけないということでよろしいですね。
小野元之
177
○
政府委員
(
小野元之
君) 必要的諮問事項であるというふうに理解をいたしております。
大森礼子
178
○大森礼子君 そうしますと、審
議会
の
意見
を聞かないで、つまり二項の
手続
をとらないで報告を求めたり
質問
権を行使したりしたら、それは違法な
行為
になるんでしょうか。
小野元之
179
○
政府委員
(
小野元之
君)
質問
したり報告徴収する場合の事前
手続
として、
法律
上審
議会
に諮問をするということを決めておるわけでございますから、その
手続
を欠いておるということであれば、それはこの条項に反しておるということになると思います。
大森礼子
180
○大森礼子君 反しているということはわかるんですけれ
ども
、違法と評価されるのかどうか。違法なのか妥当でないのか不当なのか、
意味
が違うわけですから、違法となるのかどうか、そこら辺を明確にお願いします。
小野元之
181
○
政府委員
(
小野元之
君)
法律
上そのように「
意見
を聞かなければならない。」と書いてあるわけでございますから、それをしないで行った
行為
は違法になるというふうに考えております。
大森礼子
182
○大森礼子君 そうしますと、ついでになるんですが、三項の
関係
で審
議会
に示された報告徴収事項、それから
質問
事項、これは審
議会
に
意見
を聞くわけですけれ
ども
、実際に求めた報告事項、それから
質問
事項に食い違いがあった場合、はみ出しちゃった場合、こんな場合もやはりそういう違法という問題が起きるんでしょうか。
小野元之
183
○
政府委員
(
小野元之
君) この条項、「報告を求め、又は当該職員に
質問
させる事項及び理由を
宗教法人審議会
に示して、その
意見
を聞かなければならない。」と
規定
されておりますので、審
議会
に諮った事項以外のことを聞く、あるいは違う理由で報告を求めたりするというのはこの第三項に違反になるというふうに考えております。
大森礼子
184
○大森礼子君
確認
しますけれ
ども
、違法ということでよろしいですね。
小野
次長、違法ということでよろしいですね。
小野元之
185
○
政府委員
(
小野元之
君) この第三項に反しておるという
意味
で違法だと思います。
大森礼子
186
○大森礼子君 そうしますと、やっぱりこれは慎重に行わなくてはいけないわけですから、適法
手続
によらなくてはいけない、行政に関することでも。 そうしたら、もしこういう審
議会
で今得たような
手続
を経ないで報告徴収とか
質問
とかされた場合、これは求められた側、聞かれた側というのは拒めるんでしょうか、拒んでも過料の制裁とか受けないんでしょうか、どうなんでしょうか。
小野元之
187
○
政府委員
(
小野元之
君)
法律
によりまして報告を求め、または
質問
する場合には
宗教法人審議会
の
意見
を聞かなければならないというふうにされているわけでございますから、その
手続
を経ないで報告を求めるあるいは
質問
するという場合には、
宗教法人
の側はこれに従う義務はないというふうに考えております。
大森礼子
188
○大森礼子君 私の素朴な疑問はそこから起こるんですけれ
ども
ね。 そしたら、
質問
を受ける例あるいは報告を求められた側というのは、確かに
質問
に来られる人は身分証明書を携帯して提示する、それはわかりますよ、文部省の人だなということは。だけれ
ども
、審
議会
の
手続
がきちっととられたということは報告を求められた側、それから
質問
を受けた側はどうやってわかるんでしょうかと、これが素朴な疑問なんです。
小野元之
189
○
政府委員
(
小野元之
君) これは具体的な報告徴収なり
質問
の仕方にもよるわけでございますけれ
ども
、この七十八条の二の権限として、この七十八条の二に基づきまして
質問
をしたり報告を求めるということであれば、当然その担当職員は相手の法人に対して、こういうことをお聞きしますが答えてほしい、なおこれは何月何日に
宗教法人審議会
に諮っておりますというようなことは、通常のやりとりの中で恐らく明らかになるであろうと思うのでございます。 ただ一点、実はこの
宗教法人
と
所轄庁
の
関係
でございますけれ
ども
、
宗教法人法
では
所轄庁
の側に一般的な
調査
権あるいは
質問
権というのはないわけでございますけれ
ども
、相手方の
宗教法人
に協力していただく、相手方の協力を得ることによって任意でお尋ねをするという場合はもちろんあるわけでございます。任意でお尋ねをする場合については、もちろん相手方の協力があるわけでございますから、この七十八条の二に基づく報告、
質問
というもの以外に、例えば
宗教
年鑑なんかをつくるときにいろいろお聞きをしていることもあるわけでございますので、そういったこの
法律
の権限として行う
行為
以外に、
宗教法人
の協力を得て一般的にいろいろ報告をいただいたり
質問
をさせていただくということは、もちろんこの条項とは別にあり得ることでございます。
大森礼子
190
○大森礼子君 協力があったら聞けるなんて当たり前じゃないんですか。だから、これまでも
宗教
年鑑ができたわけでね。 今おっしゃったから言うんですけれ
ども
、今回何もできなかったというんですけれ
ども
、例えば、心配だったら
オウム
の所轄が
東京
都であっても、ちょっと上九一色村がどうなっているか聞きに行ったら別によろしいわけでしょう。だから、何もできなかったできなかったとおっしゃる前に、何かできることはなかったのか、具体的に何をやったのか、これをまず私は検証すべきだと思います。 それで、十月二十三日に上九一色村へ行ったんです、新進党で。そしたら、所轄の
窓口
ですけれ
ども
、山梨県の私学文書課の課長さんに聞いたんですよ、所轄の
窓口
の方に
苦情
とかありましたかと。強制
捜査
の前の段階ですけれ
ども
、区切って聞いたら、一件もありませんでしたと。そしたら、
文化庁
は何か言ってきませんでしたかと言ったら、五月ですか、六月ですか、一回問い合わせがありましたと。五月ですね、審
議会
の後の時期ですから。それで、問題事例とか施設とか、そういうことについて問い合わせがありましたと。それまで問い合わせがなかったということなんです。これは話をしているその席に新聞社の方もおられましたので、ちゃんとその日から聞いたことなんです。だから、あっちへ行ってたらい回しとかと言われているけれ
ども
、確かに県庁でいろんな
窓口
はあるでしょうけれ
ども
、
宗教法人
を担当する
窓口
にはなかったと。これをもう一度
確認
しておきたいと思います。 それで、今、口頭で説明するということでしたね、
小野
次長さんの。だけれ
ども
、例えば審
議会
に求めた報告事項、
質問
事項とそれが合っているかどうか、あなた方は当事者側になるんですから、一応審
議会
は第三者的といってもそこまでの公平性はないわけだから、やっぱり不安なわけですよ。 それで、申しわけありませんけれ
ども
、ここのところあの審
議会
以来やっぱり私
たち
不信に陥っておりませんか、審
議会
について。また会長
辞任
になるんじゃないかとか、そういうことがあるんです。だから、何かそれをわかるようにする。書面に例えばいましたという会長の判こを押すとか、そういうものがないとやっぱり
宗教法人
が不安じゃないんでしょうか。
小野元之
191
○
政府委員
(
小野元之
君) 具体的な報告を求めたり
質問
したりする場合の
手続
についてのお尋ねでございますけれ
ども
、もちろんそれは口頭で
お話
しする場合もあり得ると思いますし、それから詳細に報告を求める場合、項目を文書でお示しして報告を求めるということもあろうかと思います。 もちろんその場合に、当然のことでございますが、
宗教法人
側にできるだけ誠実な回答、誠実な返事なり報告を出していただきたいということもございますから、
所轄庁
の側としては、審
議会
にきちんと諮ったことをお示しした上で項目やあるいは報告徴収事項を明確に示してお願いをするというのが望ましいというふうに考えております。
大森礼子
192
○大森礼子君 それね、文部省を信頼してくださいとおっしゃるんだけれ
ども
、国民と行政というのはそういう
関係
にないんですよ、歴史的に見ても。法治国家、法によって治める、これは行政権の乱用を抑えるためのことなんです。それから、
議会
制民主主義というのもなぜできたかというと、行政権の乱用を抑える、こういう政治制度なわけですね。 だから、やっぱりこういう場合でも、その
質問
に対しては答えなかったりしたら過料を取られるわけでしょう、聞かれた側は。幾ら一万円でも、何かこれずっと一万円のままですけれ
ども
、取られるわけです、
答弁
しなかったということで。それだったら当然所轄側も、文部省じゃありませんけれ
ども
、やはりそういうものの
手続
を経たということを何らかの形で明らかにしないと不公平だと思いますけれ
ども
、いかがでしょうか。
小野元之
193
○
政府委員
(
小野元之
君) この七十九条、八十条、八十一条の疑いがあるという場合でございますが、確かに、これらの条項への疑いがある場合の法人というのは若干通常の
運用
をなさっている法人ではない法人である場合が多いと思うわけでございます。 そういう場合に、相手方がきちんと回答していただく、できるだけ正しい報告を出していただく、
質問
にきちんと答えていただくということを期するためには、
所轄庁
の側もできるだけその
質問
事項あるいは報告徴収事項を明確にお示しして、相手方に理解を求めて、そして正しい答えなり報告をいただくという
努力
をすべきだというふうに思っております。できるだけ相手方にそういう安心して答えていただける状況といいますか、
所轄庁
に本当のことをきちんと報告いただけるような状況をつくるための
努力
はしていかなければならないというふうに考えております。
大森礼子
194
○大森礼子君 だから、
所轄庁
を信頼して安心して答えてもらうためにも、そういうきちっとした
手続
を踏まなきゃいけないんじゃないかというのが私の主張なんです。やはり
手続
をきちっとして、いろいろ問題あるんですから、私はこれは明文、何かやっぱり書面を示さなきゃいけないとか、審
議会
の
手続
をちゃんと経て適法な
質問
なんだという、これを示すべきだと思います。これがないのは私はやはり
法律
の
不備
ではないかというふうに思います。 次に
信者
、ごめんなさい、改正法二十五条三項、閲覧
請求
権なんですけれ
ども
、今
信者
と出たのは、「
信者
その他の利害
関係
人」、これをちょっと言おうとしたわけなんですよ。 それで、これもう何度も何度もこの定義聞かれていますでしょう。だけれ
ども
、「
信者
その他の利害
関係
人」、この定義もう一回だけ教えてください。 〔
委員長
退席、理事松浦功君着席〕
小野元之
195
○
政府委員
(
小野元之
君) 法二十五条第三項の「
信者
その他の利害
関係
人」についてのお尋ねでございます。 まず、
信者
でございますけれ
ども
、
信者
の定義につきましては、各
宗教団体
においてさまざまな名前がございます。それから、
宗教団体
の特性や慣習によりまして個別にも
判断
しなければいけない事項だと思うのでございます。したがって、この
信者
について定義はございませんが、
宗教法人
が
判断
していただくということ、
宗教法人
が
判断
するということになっているわけでございます。 ただ、一般的に
信者
と申しますのは、例えば寺院の檀徒でございますとか、あるいは神社の氏子、総代、
宗教
教師等、こういった者をいうというふうに考えておるところでございます。 それから、「その他の利害
関係
人」でございますけれ
ども
、このその他の利害
関係
人と申しますのは、
宗教法人
に対して
法律
上の権利義務
関係
を有する者であるというふうに考えておるところでございます。しかも、この閲覧
請求
権でございますが、それに対して正当な利益があり、かつ不当な目的でないという今二つの縛りがかかっておるわけでございまして、正当な利益を有する……
大森礼子
196
○大森礼子君 それはいいです。 これ、私もわかっているんです、何回もいろんなところで見ているから。ただ、
小野
次長の
答弁
、いつも
信者
はと言いながら、こういうのが正当な
信者
でございますとか、この
要件
は
信者
その他の利害
関係
人であること、それから正当な利益を有すること、不当な目的でないこと、これ三つ
要件
でしょう。その
要件
を入れまぜて言うから、もともとの形が、
信者
その他の利害
関係
人、よくわからないんですよ。そして今、
信者
はとおっしゃった。その他の利害
関係
人と分けてずっと説明されているでしょう。これは何か理由があるんですか。
小野元之
197
○
政府委員
(
小野元之
君) 最終的には利害
関係
人ということでございまして、
信者
は、
信者
その他の利害
関係
人と言っておりますように、
信者
その他の利害
関係
人と一言で申し上げているんでございますけれ
ども
、その前段階のその
信者
の定義については先ほど来申し上げているとおりでございます。 そして、最終的には利害
関係
人というところでございますけれ
ども
、これも先ほど申し上げましたように、その
宗教法人
と
法律
上の利害
関係
を持っている
立場
にある方ということでございます。
大森礼子
198
○大森礼子君 何言っているんだと思われている方もいるかもしれませんけれ
ども
、今までの
小野
次長の
答弁
聞いていると、
信者
その他利害
関係
人と、この
答弁
なんですよ。わかります、わからない。
信者
その他利害
関係
人と
信者
その他の利害
関係
人というのは、「の」が一つ違うんだけれ
ども
意味
違うんですよ。立法するときはここまで気をつけなきゃいけない。だから、そこまでわかっているのかどうかが物すごく気になったんです。だから、いつまでたっても
信者
その他利害
関係
人、何かわからなかったんですよ。 今、
小野
さんおっしゃったけれ
ども
、要するに
信者
というのは例示でしょう。例示なわけですよ。その他の利害
関係
人の中に、
信者
イコール含まれるということでしょう。
信者
アンドそれからその他の利害
関係
人じゃございませんでしょう。うなずいておられるから
確認
しているんですけれ
ども
。だから、やはり
答弁
するときには、これ立法作業の
答弁
なんですから、正確にしていただきたいと思うんです。 それで、そうしますと、
信者
が利害
関係
人の例示というのはわかる。利害
関係
人の定義というのはないんですか。
小野元之
199
○
政府委員
(
小野元之
君) 利害
関係
人というのは、まさに
宗教法人
との間に
法律
上の利害
関係
を有する者でございます。
大森礼子
200
○大森礼子君 そうじゃないんですよ。定義というのは、それに具体的事実を当てはめて、その
法律
に該当するかどうか
判断
する基準でしょう。だから聞いたんですよ。 例えば法令用語辞典見たらわかるんですよ。一つの例として、例えばこういう説明の仕方しているんですよ。一般に「「利害
関係
人」というときは、主として第三者の
行為
又は公の機関がする
処分
によって」、よって、因果
関係
、「自己の利益を害されるおそれのある地位にある者をいいことか、確かにそれはそうなんですけれ
ども
、いろんな説ありますけれ
ども
、一応当てはめて、それであなたが言う債権者とかそれから
信者
とか、これは共通してなきゃおかしいでしょう。だからやっぱり、狭い広いはあってもここで言う利害
関係
人は何なのか、
立法趣旨
から考えて、これしてもらわないと、ああそれでこういう
信者
が入るのかと、ほかのその他にはこういうのが入るのかとわかるわけなんだから、定義づけができない、これは当事者適格決めるわけですから、こんな
法律
ないですよ。利害
関係
人、全然定義づけられないんですか。
小野元之
201
○
政府委員
(
小野元之
君) この利害
関係
人でございますけれ
ども
、これは
委員会
でもたびたび御説明申し上げておりますように、債権者や保証人など
宗教法人
と取引等の一定の契約
関係
にある者、それから
宗教法人
の
行為
により損害をこうむった者、それから
宗教法人
同士の包括・被包括
関係
にある
宗教法人
、こういったものが利害
関係
人としては考えられるわけでございます。
大森礼子
202
○大森礼子君 私は、
信者
とは利害
関係
、
信者
も入るわけなんだから、そうしたら、今あなたが述べたその他利害
関係
人の共通項、これは一体何なのかなということ、それを知りたかったんですよ。これがわからないんです、この言葉からは。 それから、次なんですけれ
ども
、今の御説明でも何で債権者とか保証人が入るのかなと私はやはり理解できません。例えば、
宗教法人法
にも法人の不法
行為
とあるんですけれ
ども
、民法四十四条にも同じく法人の不法
行為
という
規定
があります。
宗教法人法
の方では、要するに閲覧
請求
権、認められると債権者になっちゃうんですけれ
ども
、民法の方ではそういうのがないんですよね。そうしたら、何で公益法人の中で
宗教法人法
だけ債権者に閲覧
請求
権を与えるのか。これはやはり私は憲法十四条違反だと思います。合理的理由、この前、きのうでしたか、おっしゃっていましたけれ
ども
、納得できない理由だと思います。この点
指摘
しておきます。 それから、もう時間がないからあれですけれ
ども
、
宗教法人
は、
信者
その他の利害
関係
人の範囲、これを決められるんですか。
小野元之
203
○
政府委員
(
小野元之
君)
法律
にその
規定
があるわけでございまして、この閲覧
請求
権を認めるかどうかということについては
宗教法人
が
判断
するわけでございますから、正当な利益があり、不当な目的でない
信者
その他の利害
関係
人かどうかということは
宗教法人
がお決めになる事柄でございます。
大森礼子
204
○大森礼子君 そうしたら、今全部含めておっしゃったんですけれ
ども
、
信者
その他の利害
関係
人に当たるかどうか、それから正当な利益があるかどうか、それから不当な目的でないかどうか、これは
宗教法人
側が決められるということでしょう。 それで、またここでよくわからなくなるんですよ。例えば
信者
一つとっても、
宗教法人
が一義的に決めるんだとか、あるいは最終的に決めると、こういう言い方もするんですよね。この説明がわからないんです。そういう説明だったら、この改正案で閲覧
請求
できる
信者
というものを
法律
みずから
規則
かなんかで決める、そういう権限を付与しているとか、そういうことになるんですか。
小野元之
205
○
政府委員
(
小野元之
君) この閲覧
請求
を認めるかどうかということでございますが、これは
宗教法人
が会計
書類
等を作成して事務所に備えつけをするわけでございます。その備えつけ
書類
の一部について閲覧を認めるかどうかということに関してこの条文を設けたわけでございまして、そもそも
宗教法人
が事務所にそういった財務
関係
書類
を備えつけるということは、ただ備えつけるだけでどなたにもお見せしないということではないわけでございまして、正当な
関係者
に対してはそれをお見せするために備えつけるというのが本来の備えつけの
意味
だと私は思うのでございます。
現行
法ではそれについてどういった方に閲覧を認めるのかということが明確でございませんので、今回
法改正
をいたしまして、正当な利益があり、かつ不当な目的でない
信者
その他の利害
関係
人、これはもちろん
宗教法人
が
判断
される方になるわけでございますけれ
ども
、そういう一定の方にこういった
書類
等の閲覧を認めることによりまして
宗教法人
の民主的な運営あるいは運営の透明性を高めていくということに役立つと思うものでございます。
大森礼子
206
○大森礼子君 ここにいつも何かだまされておる気がするんですよ。これ、だから悪用されませんか、いや、大丈夫ですよ大丈夫ですよと。
信者
その他の利害
関係
人も
宗教法人
が決められるんですよと。利害
関係
人も入るわけですね。 正当な利益と
判断
できますよ、不当な目的についても
判断
できますよと。
判断
できるけれ
ども
、争いになって裁判になっちゃったら負けるかもしれませんよということでしょう。全然
宗教法人
で決められるということないじゃないですか。あなたが言っている一義的とか最終的とは、人が来ますわ、そこを見せてと言って。そこで、見せるか見せないか決めなきゃいけない。どちらか
判断
しなきゃいけませんよ、ずっといてもらうわけいかないんだからね。
判断
できる、事実上
判断
できるって言っているにすぎないじゃないですか、事実上でしょう、あなたの言う
判断
は。何か最終的に決めることができるというけれ
ども
、どういう法的効果があるんですか、何か
法律
的に
意味
ある効果が出てくるんですか。そこをはっきりさせてください。
小野元之
207
○
政府委員
(
小野元之
君) この
法律
の
規定
によりまして
宗教法人
は一定の方に閲覧を認めるということになるわけでございますけれ
ども
、
宗教法人
がこの方については例えば不当な目的があるあるいは正当な利益がないということであれば断れるわけでございまして、そもそも事務所に財務
関係
書類
等を備えつけるということは、ただ備えつけることに
意味
があるわけではございませんで、それを利用して参考にする方のための便宜に供するというのが本来あるわけでございます。 したがって、その見せるべき方の範囲をこの
法律
で定めているわけでございますので、
宗教法人
がどなたに見せるかを決められる、そういうものでございます。
大森礼子
208
○大森礼子君 私が
質問
している
意味
がわからなかったらわかりませんと言ってください。時間が惜しいんだから。時間をたっぷりくれないから。こんな大事な条文の審議は後回しじゃないですか。こんなままで通していいんですか。 今言ったのは、
文部大臣
もおっしゃるんだ、
信者
その他の利害
関係
人は
宗教法人
が決められるんですから、正当な利益も決められるんですから、それから不当な目的も、だから安心ですよと、こういう言い方をされるでしょう。そうしたら、
宗教法人
側は、ああそうか、それだったら大したことはないなと思うじゃないですか、文部省なんかが言ったら。 ところが、裁判にいって負けるかもしれないんだったら、結局は
宗教法人
側に
信者
その他の利害
関係
人は何なのか、正当な利益は何なのか、不当な目的というのはどうして見破るのかとか、これをきちっと教えてあげないと
判断
できないじゃないですか。言っていることがわかりますか。 だから、あなたが言う一義的に
判断
できるとか最終的に
判断
できるとか、まやかしじゃないですか。あなたの
答弁
は国民をだましているよ。
小野元之
209
○
政府委員
(
小野元之
君)
法律
の条項の解釈でございますけれ
ども
、不当目的でございますが、
宗教
活動
を行うこと以外の目的で、例えば
宗教法人
を買収することを目的として、あるいは得た情報をそういった買収に利用しようあるいは第三者に提供することを目的として財務
関係
書類
閲覧を
請求
する、こういったものは不当な場合に入ると思いますし、それから
宗教法人
を誹謗中傷するための
資料
を得るということを目的として
資料
を求める、あるいは得た
資料
を第三者に提供することを目的として特定の
書類
を見せろといったような場合、こういった場合は不当目的に当たるわけでございます。 もちろん
先生
御
指摘
ございましたように、
法律
関係
というのは、争い
事件
になれば最終的には
裁判所
が決めることがあるわけでございますけれ
ども
、そういったことにならない限りは、これは不当な目的あるいは正当でないということで
宗教法人
が
判断
できるわけでございますから、しかも見せる
書類
というのは、事務所に備えつけてそもそもどなたかに見せることを前提に備えつける
書類
でございますから、その範囲の中で閲覧を認めるわけでございますから、そんなに
宗教法人
の方が御心配になることはないのではないかと思うのでございます。
大森礼子
210
○大森礼子君 あなたね、優秀な官僚の方をつかまえて申しわけありません、後で私とあなたのやりとりの議事録をよく読んでください、全然食い違っているから。 いいですか、
宗教法人
が
判断
できるとか、そうしたら
宗教法人
が、じゃ、うちがこういうふうに決めたら、それは争われても裁判でひっくり返ることはないのかなと、こうして安心できるわけでしょう。幾ら法人側で決めてもいいですよといっても、それは事実上来たときにイエスかノーかどっちかやります、それは当たり前なんですよ。やっぱり一義的に決めるとか最終的に決められるとか、何か
宗教法人
側の決め方が、あなたこれは当たりませんと断ったときに、後で向こうが裁判に持っていっても、
宗教法人
はこういうふうに決めたんだということを裁判の中でも考えてもらえる、これがあって初めて
意味
があるわけでしょう。イエスかノーか言えるけれ
ども
、後で裁判でひっくり返るかもしれませんよというのだったら安心できませんよ、そんなの。こんなことがわからぬとしたらおかしいと思いますよ。(「おかしくないよ」と呼ぶ者あり)いや、おかしくないというのは具体的事実がわからないのですよ。そうしたら、順番に言うから。 それから、もうちょっと聞きますけれ
ども
、正当な利益というのですけれ
ども
、この正当な利益というのは、よく
信者
と正当とごちゃごちゃにまぜて言うんだけれ
ども
、正当な利益といったらどういうものなのか、また定義になっちゃいますけれ
ども
、これもう一度言ってください。
小野元之
211
○
政府委員
(
小野元之
君) 正当な利益でございますけれ
ども
、これは当該
書類
、閲覧
書類
を見せるという場合の、その
書類
を見ることについての
法律
上の正当な利益を有する者というものでございます。
大森礼子
212
○大森礼子君 私、まじめに聞いているんですよ。いいですか。あなた方がつくった
宗教法人法
というのはお寺さんが見るでしょう、
宗教法人
はみんな、どんな
法律
になったのかな、これに従わぬといかぬと言って。中には、この前
自民党
の
先生
方がおっしゃった鎮守の森の神主さんとかいろんな方がいらっしゃるわけですよ。そういう人にもわかるように言ってあげなきゃいけないでしょう。正当な利益と言ってもわからないわけですよ。説明してあげるとしたらどういうふうに説明してあげますか。
小野元之
213
○
政府委員
(
小野元之
君) この条項の解釈につきまして
先生
からおしかりをいただいているわけでございますけれ
ども
、私は、
法律
に
規定
していることの概念といいますかその
意味
を御説明申し上げているわけでございまして、ぜひ御理解いただきたいと思うわけでございます。 まさに、正当な利益といいますのは、例えば見せてほしいという
書類
が財産目録であったり収支計算書だったりさまざまなものがあるわけでございますけれ
ども
、その
書類
を見るについて
法律
上の正当な利益がある。なぜこの財産目録をその方が見せると言わなければいけないのか。そのことについて
法律
上の正当な利益があるかどうかということを申し上げているわけでございますから、それはぜひ御理解を賜りたいと思うのでございます。
大森礼子
214
○大森礼子君 だから、
宗教法人
が
判断
するというんだけれ
ども
、そうしたら、閲覧者が来たら、正当な利益かどうか
宗教法人
が
判断
できるというんでしょう。正当な利益というものがわからなかったら、お寺さんとか神社さんに
判断
できないじゃないですか。それさえも示すことができないんですか。
小野元之
215
○
政府委員
(
小野元之
君) この備えつけ
書類
の具体的な中身がそれぞれ違うわけでございますけれ
ども
、その
書類
を見るについて正当な利益を有するかどうかということが問題になるわけでございまして、
先生
のお気持ちはわからないではないわけでございますけれ
ども
、私
ども
の方としては個別の問題で、例えばこういうケースでこの
書類
を見るのがどうかということについて、それが
法律
上の正当な利益があるかどうか、そこのところを
宗教法人
にもちろん御
判断
いただくわけでございますが、さまざまな事例がございますので、ある程度の例示は私
ども
できるだけ示したいと思いますけれ
ども
、最終的には個別の、例えば
信者
の方と
宗教法人
との側でどんなことが問題になっていて、なぜその
書類
を見なければいけないのか。その
書類
を見た後でどう使われるのかということ等については、
宗教法人
が見せろというふうに来られた場合にいろいろお尋ねになって、そういうことであれば正当な利益があるし不当な目的でもないと、それじゃお見せしましょうということで事務所備えつけの
書類
をお見せするということでございますから、本当にそんなに御心配は要らないのではないか。 私
ども
としても、できるだけそういった事例をお示しいたしまして、
宗教法人
の方々が御心配にならないようなある程度の事例はお示しいたしますけれ
ども
、いずれにしても個別具体的なものでございますから、すべてを示すというのは非常に難しいということを御理解賜りたいと思うわけでございます。
大森礼子
216
○大森礼子君 いや、私はあなたの
答弁
を聞いてますます心配になりますよ。
信者
その他の利害、これも本当はあいまいなんですよ、利害
関係
なんという言葉自体が。それから正当な利益、これ自体もあいまいなんだ。私は民法でどのくらいあるかなと思ったら本文になかったですよ、正当な利益という言葉は。附則のところで一個出てきた。 ついでに言いますと、不当な目的というでしょう。こんなものは普通出てこないんですよ。不当な目的がどんな場合に出てくるかといったら、例えば相手が、
請求
者が不当な目的の場合には
請求
を拒否できるという、ちょっと形は違いますけれ
ども
、こういう形で
規定
しであるものは調べたら四つあったんです。その
判断
主体は、例えば住民基本台帳等ですから、市町村長とか通産
大臣
とか、全部こういう公の機関なんです。私人がそういうものを
判断
するというのはなかったんですよ。なぜか、やっぱりこれはプロでないと、公の機関が同じ業務を反復継続しているし、だから
判断
できることなんですよ。私人にこんな不法な目的かどうか、これは無理なんですよ。そうすると、
信者
その他利害
関係
人もはっきりしない、正当な利益もはっきりしない。抽象的でしょう。不当な目的、これもはっきりしない。どうやって
宗教法人
がこれを
判断
するんですか、閲覧しにきたときに。これを私は言っているんです。 例えば最後の縛り、不当な目的でないこと、これを
判断
しなきゃいけない。そうすると、これまであなたはもう言っておられるからこれを引用すると、例えば
宗教法人
が一般に公開していない情報を情報屋に売るような場合でも、これも一つはまりますね。それで、そういう人が来たときに、
宗教法人
がどうやってそれを見破れるんですか。
小野元之
217
○
政府委員
(
小野元之
君) 不当な目的について、例えば
法律
の
規定
としては、住民基本台帳法であるとか戸籍法であるとか、さまざまな法を私
ども
の方も一応調べはいたしましたのでございますけれ
ども
、この不当な目的というのを入れましたのは、閲覧
請求
について、いわゆる総会屋的な方がまさに法人を害する目的で見せろというものに対して、
宗教法人
はきちっとした論理で断らなければいけないということをもちろん考えたわけでございます。その場合に、まさに正当な利益があって不当な目的がないという、正当な利益があるという前段の縛りと、それから後段の不当な目的という縛り、両方かけまして、
宗教法人
がいたずらに御心配になることがないように条文上の配慮をしたつもりでございます。 ただ、不当目的ということが、それは普通のお寺のお坊さんにはそう簡単にわからないではないか、正当な利益もわからないではないかということは、確かにそういう
部分
があると思いますので、私
ども
としてはできるだけこういう事例をお示しするといいますか、具体的な事例等についてお示しをして、なるべくそういった御心配がなくなるように配慮はしたいと思うのでございます。
大森礼子
218
○大森礼子君 これから配慮するんだったらこれまでに配慮してほしかったですよ。こんなに急いでつくることはないんですよ、こんな
不備
な
法律
を。 それで、不当な目的を持っている者が閲覧に来るときに、不当な目的という看板を掲げてくるわけじゃないんですから、わからないでしょう。不当な目的を持っている者はそれを隠そうとして来るんですよ、隠してくるんですよ。適用を受けるのは素人の国民なんですよ。素人にはわからないんですよ、これは。どうやって
判断
するんですか。できる場合もあるよ、もちろん。ありますけれ
ども
、相手が上手に来た場合に。こういう
法律
をつくるときには、こういう具体的場面を、お寺さんと閲覧
請求
者がぶつかったときにどういうふうにお互いが
判断
するか、いい解決法になるのかと、ここまで考えなきゃいけないんですよ。 それで、もしそこで向こうが上手に隠して不当な目的を見抜けなかったら、相手は情報を得てしまうんですよ。不当目的が達成されてしまうんですよ。ああそんな目的だったかと後でわかっても遅いんですよ。そのときには情報がどんどん外へ出てしまう、悪用されてしまう。回復不能ですよ。いいですか、この閲覧
請求
権というものは
管理運営
の適正のためだというけれ
ども
、このままだと逆に混乱を起こして
宗教法人
の
管理
を不適正な保ものにしちゃうんですよ、私が言いたいのは。 それから、さっきの不当だというんだけれ
ども
、不当という言葉について辞書を引きました。定義の定めがある場合は少ないが、何が不当かを判定することはそう簡単ではないと、こういうふうに法令用語辞典には書いてあるんですよ。こういう不明確なものをあなた方はいっぱい入れているんですよ。 それで、債権者は債権譲渡もあるんですから、代理だってできるわけなんですから、どんな人が来るかわからないんですよ。怪しいなと思っても証拠がなかったら、確証がなかったら、断った場合、例えば相手が裁判すると言われたときにこちらは裁判に応じなきゃいけないんですよ。弁護士費用だってかかるんですよ。いや、今与党の
議員
さん笑ったけれ
ども
、いいですか、田舎のお寺、これは小規模法人
関係
ないんだから、合弁護士費用、着手金御存じですか。田舎で三十万とか五十万かかるんですわ。これが一つの法人にとってどれだけ大きな負担になるかという、これがわかるかどうか、これが
国会議員
だと思うんですよ。全然わかっていない、与党は。全然わかっていないよ。 こうなると、本来は見せるべきじゃないと思うんだけれ
ども
証拠がない、そうすると見せざるを得ないと。見せた後も悪用されるんじゃないかと思うと。こうやって
宗教法人
を進むも退くもできないような進退両難の
立場
に置くんですよ、下手に
運用
されたら。だから私は、これはむしろ
宗教法人
の中のいろんな規模があるんですから、適正な運営という、逆の結果を出すと思いますよ。こんなの庶民だったらわかるんですよ。案外
議員
を何年もやっているとそういう庶民感覚がなくなるんですよ。 いずれにしましても、一つ言いたいのは、
宗教法人
というのは
信者
をたくさん
教化育成
したいわけです、広げたい。広げると、こういうあれがありますと萎縮効果があるんですよ。そもそも
宗教
活動
というものを萎縮させてしまうと。これも憲法二十条の
信教
の自由の侵害になると私は思います。
平成
会が反対するのはこうだからなんですよ。(「被害妄想」と呼ぶ者あり)ああ何とでも言いなさい。 最後に、皆さんに聞いていただきたいものがある。
昭和
二十六年三月二十四日の衆議院文部
委員会
議録というのがあります。これを読んで感動しました。この
宗教法人法
について要するに反対か賛成かの討論、渡部さんという
委員
の方がこうおっしゃっているんです。 この方は、
宗教法人法
はとてもいい、よくできた
現行
の
宗教法人法
と言われているんだけれ
ども
、それでも反対しているんですよ。その理由は、第一に、この法案によって
宗教団体
が不公平な処遇を受けるような
規定
があるということです。例として挙げているのが、礼拝の施設を持つ、これが
条件
になっている。礼拝の施設を持たない
宗教団体
だってある、そういうものを疎外してしまうと。だから反対しているんです。 それから、こういうことも言っておられます。 ことに
宗教
人にとって警戒しなければならないことは、この法案の中には、
宗教
の統制ないし干渉、つまり政治による
宗教
への関与を憂えしめるような条項が多々あるということであります。たとえば
認証
者が
文部大臣
であるということでありますが、と。
文部大臣
は審査
委員会
を選任するんだからいいと言うんだけれ
ども
、将来
大臣
がかわったような場合には、その
大臣
の意思や行動を
規定
するのは、
文部大臣
の公約ではないのでありまして、それは明らかにこの法文自体であるということを、われわれは銘記しなければならぬわけであります。と。 そして、八十一条の一ないし二号について、
公共
の
福祉
とか逸脱しとか、こういうあいまいな基準にすると、要するにその
判断
を
政府
にされると
宗教法人
にとって危険であると、こういうことも
指摘
されております。そして、
政府
の基本的な政策や、
政府
の見解に反するような
宗教団体
の
活動
は、許されないという結果にならざるを得ません。この点、最も
宗教
人として警戒しなければならぬと、こういうふうに
指摘
しておられます。そして、人類の救済が、
宗教
の本来的な使命とされているわけであります。その結果、
宗教
的な精神は、ときとして、しばしば時の
政府
の基本的な政策にも反し、その予期にも反し、これに抵抗し、あるいはこれを越えて力強い
社会
的な
活動
をしなければならぬ場合があるのであり、また
世界
の歴史は、古今を通じて、時の
政府
のはげしい干渉と弾圧のもとで、しかもその精神とその使命とを貫くために、非常におびただしい清い血を流したということを示しております。少し飛んで、もし
宗教
的な精神がほんとうに自己を貫いて行くためには、時の権力に対して、このような歴史的な事実を、今後もとらざるを得ない場合が多いでありましょう。そうして、もしも
宗教
的な精神がその精神を失った場合には、
宗教
そのものはすでに死滅するのであります。 もしも
宗教
が、時の
政府
の基本的な政策や希望に従わなければ存在を許されない、その
活動
を許されないというようなことが、法案の中にみじんでもあるとするならば、私は反対すると。 こういうことで反対しておられるんです。二十六年なんです。もう時間がありませんからすぐやめます。
昭和
二十六年の
国会議員
の方の反対の
意見
なんです。 〔理事松浦功君退席、
委員長
着席〕
社会
が変わったという、四十四年たったら変わりますよ。
社会
が変わったんじゃないんですよ。基本的人権というものに対する
国会議員
の意識が変わったんだと私は思います。だから、
平成
会は反対いたします。 なお、この渡部
委員
というのは共産党の方であります。
齋藤勁
219
○齋藤勁君 私は、
日本
社会
党・護憲民主連合を代表いたしまして
質問
をさせていただきたいというふうに思います。 大変
法律
的な、細部にわたる大森
委員
の
質問
でございました。私の方は市民感覚と申しましょうか、市民的
立場
に立って、今大変
国会
に注目をしております国民の、市民意識の
立場
に立って幾つか
政府
、所管
大臣
等にお尋ねさせていただきたいというふうに思います。 この
宗教法人法
一部改正が参議院の方に付託をされまして、冒頭の本会議で趣旨説明を
大臣
がされた後、私は
社会
党・護憲民主連合を代表いたしまして幾つかの点につきましてたださせていただきました。おおむねその点につきまして、幾つかもうこの
特別委員会
でも議論が続いているところでございますので、そこら辺についても自分自身も整理をさせていただきながら、以下お尋ねさせていただきたいというふうに思います。 それにしましても、やはりただいままでの、とりわけ、
委員
の方々の御
質問
を伺っていても、なぜ今回
宗教法人法
を一部改正することに至ったのかということについてどの党の方も前置きでやられますけれ
ども
、この基本的な
立場
、スタンスというのをやはりきちっと押さえるということが何よりも大切ではないかというふうに思っております。 私は、この二十二日の本会議におきまして、この
オウム真理教
による一連の
事件
を契機として、国民は、
宗教法人
は一度
認証
されると外部から全くその
実態
が把握できなくなるのはなぜかという疑問がありますということ、さらに、お布施の名目で集めた非課税の巨額な資金が凶悪犯罪に使われていたことへの怒りを感じているということ、そして、
オウム
に限らず、専ら収益事業を行う団体、詐欺的商法の横行、そして脱税、
宗教法人
自体の売買など、
宗教法人
の不祥事も相次いでいる。さらに、税の優遇を受ける以上、経理をオープンにすべきだ、そしてみずからの公益性を明らかに示すべきだ、
宗教法人法
にも
不備
があれば見直しを行うべきだというのが大勢の世論であるということ、これが大前提であるということについて、これにこたえることが政治の使命だと、こういう実は見解をたださせていただきました。 総理
大臣
からもそれらにつきまして、
文部大臣
もるる
答弁
がございますけれ
ども
、
昭和
二十六年以来の制定からの経過について同じように総理
大臣
からのお答えがございました。ともかく、
宗教法人
がその目的に沿って
活動
しているかどうか、
所轄庁
が継続的に把握をしていく、
所轄庁
として責任を適正に果たすことができるようにするということ、
宗教法人
の
管理運営
の民主性、透明性を高め、真に
信教
の自由を保障することで必要最小限の改正をするということで、これは国民世論にこたえるということですということであります。これは、
政府
がずっと答えることは。私は
質問
と
政府
答弁
両方を言っているわけでございます。 これは週刊誌ではなくて、
日本
の三大新聞あるいは経済新聞の幾つかの社説が、ここもう何カ月にわたりましてこの
宗教法人法
を考えるということで
宗教
と
社会
のあるべき姿、もうたびたび出ております。 九月十九日付の日経によりますと、「
宗教法人
の情報開示促す
法律改正
を」、あるいは九月三十日付の毎日新聞、「透明度を深めるのは当然」だという見出し、同じく二十三日の読売新聞の社説におきましても、「
宗教法人
の透明性を高めよう」、十月に入りましても「透明で自律的な
宗教法人
を」、そして「
宗教法人法
で議論尽くせ」等々ございます。これらは、私は、新聞社の社説というのは大変多くの読者、国民の意を酌んで、実はそれぞれの社が責任を持って見解を述べているということで、いつも注目をさせていただいているところでございます。 したがいまして、まさに私は、今回の
法改正
の提案が、さまざまな市民、国民が持つ疑惑をやはり積極的に受けとめ、こたえていくということでの最低限の
法改正
であるということについて、もう既に
答弁
があるところでございますので、まずそのことについて改めて整理をさせていただきたいというふうに思います。 その上で、税制、そして閲覧制度、帳簿類の備えつけ等、これは言ってみれば
公共
性とか透明性、これらについて具体的に明記をしていこうということだというふうに思います。 とりわけ、この
宗教法人
に対する税制論議につきましては、午前中の楢崎
委員
、そして私
ども
の先般の総括
質問
での峰崎
委員
、私自身も本会議でこの税制問題について
指摘
をさせていただきました。早速、総理あるいは大蔵
大臣
が今回の
宗教法人等
公益法人の課税の適正化ということで前向きに答えられ、みなし寄附金等について、次期ということで来年度の税制改正に最大限間に合わせていきたいということで、これらについては緒についたというふうにまず私は受けとめさせていただきたいというふうに思います。 その上で、さらにこの透明性の問題で、今ございました二十五条、
信者
等の閲覧の問題、これらについて触れさせていただきたいというふうに思います。 その前に、これも私が本会議で
指摘
させていただいた内容でございますけれ
ども
、一九五八年、
昭和
三十三年の
宗教法人審議会
の答申に対してこたえられなかったということについて、これも昨日、
自民党
の鎌田
委員
から大変長きにわたりまして
指摘
がありました。今回
法改正
をお願いしております
宗教法人法
の一部改正についてはということで、今度は形としてその答申の趣旨も十分酌まれているという回答を期待したんだけれ
ども
、そうではなかったというような
答弁
だったというのが非常に残念で、注意を申し上げておきたいというふうに言われておりました。 私は、この注意という言葉に加えて、やはり
政府
のこの間の長期にわたりしてこなかったということについて、るる
努力
はあったと、長きにわたりいろいろあったと思うんですけれ
ども
、やはり今回の
法改正
が最低限でということならば、この長期にわたる期間、少なくとも
政府
の所管
大臣
として、国民に対してその責任問題と申しましょうか、そのことについてどうお考えなのか、まず冒頭伺いたいと思います。
島村宜伸
220
○
国務大臣
(
島村宜伸
君) ただいま御
指摘
がありましたように、現在、私は所管
大臣
といたしまして、今までの
宗教法人法
は、今御
指摘
があったように
昭和
三十二年の答申以来そのまま放置されたことが正しかったのかどうか、やはり政治が勇断を持って時代に即応した法の改正をすべきではなかったんだろうか、この点については率直に私もそのように考えます。 しかしながら、当時の
社会
や
宗教界
の
実態
というのは今日とは大分異なっておったこともまた事実でございまして、
法改正
には至らなかった。その後、
宗教法人
の
管理運営
の適正を期するための施策等の充実を図っていくこととし、文部省では、
宗教法人
の事務能力の向上や
管理運営
の適正化に資するため、研修の充実等は図ってきたところであります。しかしながら
法改正
には至らなかった、これが現実です。 その後、四十年近く経過いたしまして、
社会
状況、
宗教法人
の
実態
も大きく変化いたしましたし、制度が
実態
に合わない面が生じており、国民からもその見直しを図るべきであると。特に
オウム真理教事件
を契機として、この声は、最近の高い世論
調査
に見られるように、国民の意思をもはや無視していたらまさに政治、行政の怠慢を問われるところでありますので、今回、
法改正
をお願いしているところであります。 その
意味
で、文部省としては
宗教法人審議会
の報告を尊重し、
信教
の自由と
政教分離
の
原則
を遵守しつつ、
宗教法人
制度のより適正な
運用
を確保するため、
宗教法人法
について最小限の改正を行う必要があると考えているところであります。 なお、
昭和
三十三年から確かに長い時間が経過しておりますが、私としては今回提出した法案について速やかに御審議いただき、ぜひとも今
国会
で成立させていただきたい、こう考えているところであります。
齋藤勁
221
○齋藤勁君 これだけ議論していることですから、憲法上、
信教
の自由等を慎重に議論をしなきゃならないという大変重要な
法律
だと思います。 ただ、やはり国民の声というのは、今日なぜということについて、長きにわたりということがあるわけで、ずっと
島村
大臣
が
文部大臣
じゃないから、過去私はそうではなかったということについて責任はないわけですけれ
ども
、ここであえて申しわけなかったとか何かという、私そのことを聞くつもりはございませんけれ
ども
、やっぱり国民に、長期にわたりましたということについて、今次最小限改正を提案しておりますけれ
ども
、なぜということについて、やっぱりずっとつきまとっていますので、これはそういう所信というのは、私にというより国民に
政府
として、きょうは総理
大臣
いらっしゃいませんけれ
ども
、そんな気持ちも含めて
大臣
いかがでしょうか。
島村宜伸
222
○
国務大臣
(
島村宜伸
君) 私も
委員
と全く同じ考えてあります。事実私は、政治家としてはその良心に従った言動をいたしてきたつもりであります。 しかし、そうはいってもこのまま放置しておったのでは、まさに法で治める法治国家でない、いわゆる放置自転車の放置国家になってしまうと、こう申しておるところでございます。
齋藤勁
223
○齋藤勁君 そこで、たびたび来、この税制問題で
宗教法人法
、この
宗教法人法
の第一条でございます。
現行
法の
宗教団体
が法人となり得る根拠でございます。この
法律
は、もう言うまでもなく、
宗教団体
に
法人格
を与え、そして、
宗教法人
が自由で自主的な
活動
をするための物的基礎を確立させる、このことだというふうに思います。 さらにもう一つ、私は
宗教法人
の責任を明確に押していくということ、そしてその
公共
性に配慮することも忘れてはならないんだという、このことがやはり基本的な
現行
法の体系の柱だというふうに思いますけれ
ども
、いかがでしょうか。
島村宜伸
224
○
国務大臣
(
島村宜伸
君) そのとおりであると考えます。
齋藤勁
225
○齋藤勁君 言ってみれば、
宗教法人
は
宗教団体
に経済的な安定性を与えるものだと、その公益性ゆえに公益法人として認めて税の優遇がされているということで、先ほど来の税制の議論があったというふうに思います。 そして、この法人のさらに
認証
の仕方でございますけれ
ども
、
宗教法人
の場合は、
所轄庁
がこれはもう言うまでもなく法的
要件
の充足を
認証
する、これになっていくわけですけれ
ども
、言ってみれば、許認可主義ではないですよということで、
準則主義
をとっているということだというふうに思います。言ってみれば、
法律
の定める
要件
を具備する社団及び財団が
設立
行為
を全うすることによって直ちに
法人格
を取得する、こういうふうに理解をして、
準則主義
をとっている法人の
認証
なんだと、
宗教法人
の場合は。こういうふうに理解させていただいているんですが、よろしいですか。
島村宜伸
226
○
国務大臣
(
島村宜伸
君) 御
指摘
のとおり、
宗教団体
であること、
規則
が
宗教法人
その他の法令の
規定
に適合していること、
設立
の
手続
が
宗教法人法
の
規定
に従っていること、この三つの
要件
を、いわば客観的
要件
が整っていれば
認証
を決定しなければならない、こんな感じでございます。 先ほど、たしか
保坂委員
の御
質問
の際に披瀝されましたけれ
ども
、この考えがありますと、仮にいろいろな問題があるからといって
認証
を滞らせていますと、ほかの
都道府県
で簡単に
認証
を得てしまうというようなことも起きるわけでありまして、やはりこういう点は問題だったのではないかと思っております。
齋藤勁
227
○齋藤勁君 これは衆議院でもこの辺についてはきちんと整理立てをされてきているというふうに思いますが、とりわけ私は、以下若干まだ伺いますけれ
ども
、例えば法人である会社の
設立
は、国からの恩典やそれから特権な
ども
付与に
意味
しないことは言うまでもないと思うんです。 ところが、
宗教団体
の場合は、今
準則主義
をとりまして、この事実
確認
であって、法人の
認証
をしているということで、法人となれば自動的に優遇税制を受けられる、こういうことで、ですから
宗教法人
に優遇税制があるということは、法人だからということもあるでしょうが、とりわけこの
公共
性のためで、だから少なくともその
実態
もまさに公正でなければならないということがまずこの
宗教法人法
の
法律
の体系上の目的から来る位置づけだというふうに私は思っているところでございます。 そういうことで、私はこの
公共
性ということに立ちますと、先ほど来の税制度の問題もございますし、そして開かれた形と申しましょうか、国民、市民に開かれた形、とりわけ今回、いろいろ過去にも、例えば閲覧問題で裁判上で争点になって争われた
部分
についても具備をされてくるということについて、そういう
意味
では大変前進をしているというふうに私は評価をさせていただきたいというふうに思っております。 そこで、これは昨年、
平成
六年三月二十三日、
東京
高裁でございますけれ
ども
、「
宗教法人
である寺の檀信徒が
宗教法人法
二五条二項に
規定
する会計帳簿等の閲覧・謄写
請求
権を有するとされた事例」ということで、私の手元に実は判決の内容がございます。 時間の
関係
もありますからずっと読むことはできませんが、要は
宗教法人
であるお寺さんの檀信徒が寺院に対し会計帳簿等の閲覧謄写を求めた、権利能力なき社団である檀信徒会に対してもその会計帳簿等の閲覧謄写を求めたけれ
ども
、檀信徒にはこれら会計帳簿等の閲覧謄写の
請求
権がないとしてこれを退けた原判決を取り消し、檀信徒の
請求
を一部認容したものであるということ。これはかつてそれと反対に定めた
規定
がないことをということで
東京
高裁の
昭和
六十三年九月二十八日、やはり控訴審で判決が出ているということで実は対立している。しかし、こちらの方が至近な判例でございます。言ってみれば賛成をしているわけでございますけれ
ども
、とにかくこれは閲覧について認めるということ、さらには謄写についても、場所等の問題もございますけれ
ども
、これは判例として出ております。 したがって、私は、かつてこの同じ
東京
高裁であってもそうではなかったと、認めていないと、今回は認めたということで、いろいろ背景上、壇信徒、いろんな
関係
はあるかもわかりませんが、結論的にこういうことが今回の
宗教法人法
の改正によって位置づけられていくということ、こういうふうに受けとめたいんですけれ
ども
、よろしいでしょうか。
小野元之
228
○
政府委員
(
小野元之
君) 閲覧
請求
権につきまして、御
指摘
のとおり、
東京
高裁の判決が二つございます。
お話
がございましたように、六十二年のものは寺院の檀信徒について備えつけ
書類
の閲覧
請求
権を否定いたしておりますけれ
ども
、
平成
六年三月のは、先ほどの
お話
にございましたとおり、寺院の壇信徒について備えつけ
書類
の閲覧
請求
権を肯定したものでございます。 私
ども
としては、こういった二通りの判決もございまして、この点をやっぱり明らかにする必要があるということも今回の審
議会
で議論になった
部分
なのでございますけれ
ども
、最終的にはこの法二十五条第二項の備えつけ
書類
の閲覧
請求
を認めると。もちろん、正当な利益があり、かつ不当な目的でない
信者
その他の利害
関係
人でございますけれ
ども
、こういった判例上の争いに終止符を打つものだというふうに考えておるところでございます。
齋藤勁
229
○齋藤勁君 ということで、法廷で争われた信徒とそうではないということで、今の説明で、今回についての
法改正
で
要件
として備わっていくということについて、私は積極的に受けとめさせていただきたいというふうに思います。 そこで、同じ
法改正
の中に、これも
質問
の中でいろいろ述べられたのには入っておりますが、ぜひ御
答弁
もいただければなというふうに思います。それはいわゆる過料でございます。過料が事務所備えつけ
書類
の見直し、
所轄庁
への提出、二十五条
関係
で、
現行
法では二十五条に
規定
する
書類
、帳簿の作成もしくは備えつけを怠り、または同条第二項各号に掲げる
書類
、帳簿に不実の記載をしたときは、
宗教法人
の代表役員等を一万円以下の過料に処することになっているが、これは八十八条ですが、新たに備えつけが義務づけられた
書類
を作成しなかったときや、
書類
の写しの提出義務、第二十五条四項を怠ったときなどにも同様の罰則を設けることとしている。 いずれにしましても、この一万円の過料というのが、この
法改正
ではそのままになっておりますね。二十六年ですか、制定したときの
資料
なんですけれ
ども
、八十八条、八十九条の罰則が一万円以下の過料、八十八条が軽過ぎるという
質問
もあった。ということで、このときにもこの過料が低いかということについての議論があるんですけれ
ども
、これについては、今度の審
議会
とか、その審
議会
以降の論議の過程の中で何か対象になったものなんでしょうか。
小野元之
230
○
政府委員
(
小野元之
君) 過料が一万円、非常に安いのではないかという御
指摘
だと理解するわけでございますけれ
ども
、この
宗教法人法
八十八条に定めます過料の額は一万円以下ということで、御
指摘
のように
法律
の制定以来この金額を上げてはいないわけでございます。 ただ、これは過料ということでございます。額は寡少でございますけれ
ども
、
宗教法人
にとりましては、こういった過料を科せられるということはやはり大変不名誉なことでございます。過料をかけられるというのは非常に不名誉なことでございますので、金額は少ないわけでございますけれ
ども
、この
規定
があることで大きな抑止力、抑制力になっていると私
ども
としては考えているところでございます。
齋藤勁
231
○齋藤勁君 なければいいわけですから、むしろ。 ただ、制定以来変わらないということについて、幾らがいいかということは議論になりますからこれ以上私も言いませんけれ
ども
、例えば今回の
法改正
で、七十九条、八十条、八十一条に関する
所轄庁
の報告徴収及び
質問
、これは審
議会
に示して
意見
を聞いて、そして
所轄庁
が行くわけですけれ
ども
、求めにもかかわらず報告をせず、もしくは虚偽の報告をし、または
所轄庁
職員の
質問
に対して
答弁
をせず、虚偽の
答弁
をしたときは
宗教法人
の代表役員等を一万円以下の過料に処することができると。いろいろやることと結果のペナルティーというのが随分何か格差がある。しかし、それは御
答弁
で、
社会
的にそういうのは不名誉なことだといえば、一万円のペナルティー以上のものが科せられているんですよというふうに受けとめざるを得ないというふうに思いますが、これはやっていてもしょうがないので、この程度にしておきたいというふうに思います。 言ってみれば、ここの体系上の問題、
公共
性、税制のいろいろみなし寄附金制度についても今度手を加えていくわけでございますが、法のもとの平等、そしていわゆる税制措置の優遇、そして
宗教法人
の公益性、
公共
性を見ますと、公益に寄与しているということであるわけですから優遇を受けたい、しかし関与はだめですよということでは、
社会
的な通念上許されないことだというふうに思いますので、私はそのことを申し上げさせていただきまして次の
質問
に、項に入らさせていただきたいというふうに思います。 〔
委員長
退席、理事松浦功君着席〕 次に、いわゆる財産保全措置でございます。これも先ほど
質疑
もございました。そして、私もこの二十二日の本会議で
指摘
をさせていただきました。今回の改正案で大変残念なのは、
解散命令
に伴う財産保全措置が盛り込まれていないということであります。他の公益法人と異なって、
宗教法人
の場合は
裁判所
が
解散命令
を行うため確定までに時間がかかるということです。 そこで、先ほど来も
オウム真理教
のいろいろ議論もございました。
オウム真理教
に対しまして家宅
捜査
をいろいろしているわけですね。
サリン
の実験をした棟等がございますが、今、
政府
でどこの省庁かというのはなかなかよくわからないんですけれ
ども
、
オウム真理教
の財産というのはどの
時点
でどれだけあったというふうに把握をしているかということで、言ってみればその後の財産移動、財産隠しについて危惧するから聞くわけでございますけれ
ども
、
東京
、山梨、熊本あるいは横浜にもございます、
全国
トータルしてこの財産についてはどういうふうに把握をされていますか。
杉田和博
232
○
政府委員
(杉田
和博
君)
オウム
の所有いたします不動産は現
時点
においては約三十億でありまして、そしてその他これまで
教団
に対してなされたお布施の総額、これは百数十億と承知いたしております。ただ、現金等については、現在とのぐらいあるかはこれは把握をいたしておりません。 なお、
教団
の財政でありますけれ
ども
、やはり布施の収入が大幅に減っておる、さらにまた訴訟の費用が大変かさんでいるということから、大変に逼迫をしておると承知いたしております。現在、上九一色村や
富士山総本部
におりました
信者
、これが
東京
や
大阪
でアルバイト等をして働いておるという
実情
にございます。
齋藤勁
233
○齋藤勁君 何年何月現在幾らあってというのは、今この
質問
ではそんなに必要ないんですけれ
ども
、例えば、いつの
時点
で幾らで、最新のはこのぐらいだという数字上の変化というのはお示しいただけるんですか。
杉田和博
234
○
政府委員
(杉田
和博
君) ここ数年で布施等は大変ふえておりますので、何年いつごろにどうだったかというのは今の
時点
では承知いたしておりません。
齋藤勁
235
○齋藤勁君 とりわけやはり財産移動が気になるところです。これはもう他の
委員
の方々もるるいろんな
指摘
をされているというふうに思います。 とりわけ、九月九日付の毎日新聞に「消えた七億円と金塊」という大きな見出しで、さらに二十三日付でも「資金の流れはまだ闇の中」と。富士宮市の
教団
富士山総本部
を家宅捜索しているうちに現金七億円と金塊が見つかった、さらにその後
富士山総本部
の大型金庫三個が現金ごとなくなった。
最初
に行ったときにはあったけれ
ども
、九月六日、「
教団
金庫番の女性幹部を犯人隠匿の疑いで逮捕した際、総本部を捜索したが、カネと金塊は消えていた。その行方は判明していない。」と、これは新聞の記述でございます。 ここに特段興味があるわけじゃないんですが、非常に大きな金額と金塊だということなんですね。そういうことなんでしょうか。
野田健
236
○
政府委員
(野田健君) 静岡県富士宮市所在の
オウム真理教
の富士総本部第一サティアンに対する本年三月二十二日の
最初
の捜索、これはいわゆる仮谷さんの拉致監禁容疑事実で実施したものであります。その際、金塊と思われるものを発見しておりますが、差し押さえるべき対象物となっていなかったことから、これを押収しておりません。 その後、同富士総本部に対しては数次にわたり捜索を
関係
都県警察において実施しておりますが、五月初旬ころまでは同所に金塊と思われるものがあったのを
確認
しておりますけれ
ども
、その後金塊と思われるものの所在については承知しておりません。
齋藤勁
237
○齋藤勁君 余り金塊金塊とやりたくないんですけれ
ども
、ちょっと今思いましたのは、私も実物を見たことがないんですけれ
ども
、よく刻印とかどこの国だとかなんとかというのがあるようなことを聞いたことあるんです。見たことがあると、それからその次はなかったということなんですが、見た方は国産だったのかどこだったのかというような、そんなことはおわかりなんですか。
野田健
238
○
政府委員
(野田健君) 外見的に見ますと金塊と思われると。いわゆるインゴットでありますけれ
ども
、押収して分析等いたしているものでありませんので、金塊と思われるものと申し上げた次第であります。 刻印があったかどうかについては、手元に
資料
を持っておりませんので、ちょっと今わかりません。
齋藤勁
239
○齋藤勁君 今、
質疑
の中でふと思いまして、どこの刻印なのかなと。出家
信者
、在家
信者
いろいろいますが、
信者
から大変多額な金品を取り、それを金塊にかえたというようなことなのか、あるいはまたどこかから金塊を持ってきた
信者
がいるのかどうか、大変興味のあるところだというふうに思います。いずれにしましても、また後ほどこの財産隠しについては伺わさせていただきます。 次の同じ項でございますけれ
ども
、
指摘
をさせていただくところに移ります。 私は、この
解散命令
に伴う財産保全措置が盛り込まれていないということで、
宗教法人法
には明確な
規定
がないということで大変残念だ、さらに特別立法を含めて
法改正
に向けて
関係
省庁の検討を急ぐべきだと、こう本会議で
指摘
をさせていただいています。きょうも
文部大臣
、法務
大臣
に御出席いただいています。結語としては実は同じような
お話
でございました。
島村
大臣
からは、
関係
省庁とも連携を図りつつ慎重に検討されるべき課題であると。それから宮澤法務
大臣
からも、慎重な検討を要する問題であるというふうに言われております。慎重に検討するというのはいいんですが、これは時間的な点もあろうと思うんですね、やはりあったものがなくなっていくというふうになります。 とりわけ、これは宮澤法務
大臣
からの
答弁
の中でも、個々の債権者らが
裁判所
の仮差押命令を得て財産保全を図ることができる、それから、
オウム真理教
の財産に対しましても現に一部でそのような措置がとられたというふうに聞いておりますということですが、そこで法務
大臣
にお伺いいたします。 現に一部で
オウム真理教
の財産に対してもそのような措置がとられたと聞いておるという
答弁
だったんですが、具体的にどういうような措置がとられたというふうに把握をされていますか。
宮澤弘
240
○
国務大臣
(宮澤弘君) そのとおりに私は理解をしております。具体的な
お話
でございますので
政府委員
から
答弁
をいたさせます。
濱崎恭生
241
○
政府委員
(濱崎恭生君) 私、民事局を所管する
立場
でございますが、民事局といたしましては、そういった問題についてはとりわけ
調査
をする
立場
にございませんので、新聞報道等によって承知している範囲内でそういう事実を承知しているということでございます。申しわけございません。
齋藤勁
242
○齋藤勁君 そこでは手間取るつもりはなかったんですけれ
ども
、本会議で宮澤法務
大臣
が、
オウム真理教
の財産に対しましても現に一部でそのような措置がとられたと聞いておりますというお答えにしては、
大臣
は具体的なあれについては
政府委員
の方とおっしゃったんですけれ
ども
、その程度なのかね。そういうことで
答弁
されたということになりますと、例えば何々新聞ということで今私は社説なんかを言っているんですけれ
ども
、この辺はもう少し何か親切な
答弁
があってもいいんじゃないですか。
濱崎恭生
243
○
政府委員
(濱崎恭生君) まことに申しわけございませんけれ
ども
、私、民事局の所管の
立場
として承知しておらないわけでございまして、その限りで、私の
立場
からは申し上げられませんことをお許し願いたいと存じます。
齋藤勁
244
○齋藤勁君 これは文部省
関係
の方、わからないですか。
小野元之
245
○
政府委員
(
小野元之
君) まことに申しわけございませんが、私
ども
の方も
所轄庁
でないので、そのことははっきり
確認
はしておりません。ただ、そういった仮差し押さえ等が行われているということは聞いております。
齋藤勁
246
○齋藤勁君 そこが本論へ入っていくところじゃないんで、その程度にしなきゃ当面はしょうがないと思います、答えるべき方がいらっしゃらないので。まあ野党じゃないので、与党ですから。 それで、要は私は、この財産保全の新たな立法措置を慎重に検討されるべきだ、課題だということについて、これをもっと積極的にということで言っているわけなんです。 現実に、
霊視商法
訴訟、茨城県の本覚寺あるいは福岡県の統一教会、これが和解とか裁判例で具体的にこれはございます。これが現実にこのような市民レベルで、
宗教法人
に対して市民から多額な返還の訴訟が起きて、長期にわたって、そして和解にしている事例とか、それから
裁判所
が支払いを命令している事例がある。現実に起きている事例ですね、これ。こういうことがあるからこそ私は、この
オウム
は現実的にもう白昼、白昼と申しましょうか、
テレビ
、新聞で本当に財産
異動
だということでありますから、大変大規模なわけですから、そういう
意味
で、私は新たな立法措置に結びつけたいということで、現実の事例として話をしておるんです。 たまたまこの茨城の本覚寺は五億円支払いで和解をした。新聞の見出しは「
オウム
布施返還に援軍」という、この記述まであるんですね。これは
平成
四年十一月二日に第一次の訴訟、そしてことし、
平成
七年五月三十一日に当事者間で和解になっております。約二年半、結果的には訴訟の取り下げをしているんです。 それから、統一教会、
世界
基督教統一神霊協会ですか、これは福岡献金訴訟、これは霊感商法に関するもので、福団地裁が献金額に慰謝料を含めた計三千七百六十万円の支払いを命じた。そして、先ほどの本覚寺については和解にしているわけでございます。 そういう
意味
で、私は、このような
実態
について、
解散命令
を行うまで時間がかかっていくということで、
解散請求
の
時点
で財産
異動
の凍結を行ってもいいのではないかというようなことまで思います。新たな立法措置について、再度、本会議に続きまして宮澤法務
大臣
にお伺いしたいと思うんです。 これはやはり緊急の課題であるということ。法務
大臣
として、これは
文部大臣
にお答えいただくより、
法律
をつかさどる法務
大臣
の見識、見識と言うと失礼ですね、この見解、このことがやっぱり一番大切だというふうに思いますので、新たな立法措置についてさらに積極的な
答弁
というのを私は期待したいんですけれ
ども
、いかがでしょうか。
宮澤弘
247
○
国務大臣
(宮澤弘君) 立法措置につきましては、本会議でも御
答弁
を申し上げましたけれ
ども
、いろいろな難しい問題がございますので、それで私はあえて「慎重な検討を要する問題である」ということを御
答弁
申し上げたわけでございます。 この種の問題は、先ほど幾つかの事例をお挙げになりましたけれ
ども
、申し上げるまでもなく本来民事の問題で、当事者間で解決をされるべき問題でございます。したがって、法務省が直ちに行政的な措置を講じるというわけにはまいらないことは御理解いただきたいのでございます。しかし、これは個人の権利の救済に関する重要な問題でございますので、法務省といたしましてもできるだけそめ解決に協力をしてまいりたい、できることがあればできるだけ積極的にお手伝いをいたしたい、こういうふうに考えております。
齋藤勁
248
○齋藤勁君 市民のお手伝いをしたいという法務
大臣
の御
答弁
でございますけれ
ども
、これはやはり法制度上の問題なんですよ。時間がかかりますよ、かかっていますよということで、さらに私は司法の、
裁判所
の具体的事例で被害者の
請求
を認める和解が続いているということを受けて、私はもっと前向きにこの法制度を整備すべきではないかと。専門家にお聞きすればいろんな困難な点はあるんじゃないかというふうに思いますけれ
ども
、ともかくこの
霊視商法
訴訟で茨城県の本覚寺の例、あるいは福岡県の統一教会の例、これは最近の事例でございます。 その新たな立法措置に踏み込んでいく。あしたとかあさってとか、今ここで検討しますとは本会議で
答弁
したことですからなかなかできないにしましても、前向きな姿勢を感じ取れるような何かないでしょうか。
宮澤弘
249
○
国務大臣
(宮澤弘君) 十分な問題意識を持ってこれから考えていきたいと思います。
齋藤勁
250
○齋藤勁君 ぜひ
オウム真理教
、とりわけもう本当に財産
異動
というのはどんどんどんどんしていると日々国民というのは見ているわけでありまして、その傍らで、たまたまきょうは
答弁
側の方で、現に一部財産保全のための債権者の
裁判所
の差し押さえの事例について、具体的な事実についてこの中では明らかになっておりませんが、そのためにも一日も早く私は制度を確立するために格段の
努力
をお願いしたいというふうに思います。 とりわけ、今の
答弁
は所管
大臣
でございますけれ
ども
、本会議での
文部大臣
の
答弁
も、
宗教法人審議会
においても
解散命令
制度のあり方は検討すべき項目の一つには掲げられていたんだ、しかしながら、なかなか複雑で検討には
かなり
の時間が必要だったということで優先的課題から違った項目になったということなんですね。 ですから、これで一つこの参議院の審議が終わり、一つのスケジュールというのがピリオドを打っていくということで、私は新たな道筋として、ぜひ次の課題としてこのことについて文部省としても取り上げていくということでの決意について伺いたいと思います。
島村宜伸
251
○
国務大臣
(
島村宜伸
君) 自分で言うのもなんですけれ
ども
、私は何でも前向き積極的な人間だと思っております。そういう
意味
で、先ほど来いろいろ御
質問
や御提言を伺っておりますと、非常に私は考えにおいて一致するものを感じます。当然このことに関しての問題意識は持っておりますので、これから私の力の及ぶ限り前向きに取り組ませていただきたい、そう考えます。
齋藤勁
252
○齋藤勁君 この財産保全措置の
質問
の冒頭に七億円と金塊の話を出して、そして
捜査
に入って、その
時点
はあったけれ
ども
なくなってしまったということを、今そういう財産保全で債権者が仮差押
請求
を出したというその人の気持ちになりますと、やっぱりいたたまれないと思うんです。 御
答弁
は結構なんですが、ぜひそういう気持ちを酌み取っていただきまして、なおかつ、たまたま
オウム
ということで非常に多額なお金と金塊という例を出しましたけれ
ども
、たくさん
全国
にはこの例があるということでございます。その一例として
霊視商法
の
お話
をさせてもらいましたし、統一教会の支払い命令についても具体的事例として私は
指摘
をさせていただいたわけでございまして、前向き積極的な
政府
の取り組みをお願いしたいというふうに思います。 それからもう一つ、財産保全措置と同様に、いわゆる
信者
であった人が
信者
でなくなった、そしてこれは成人の場合とそれから
未成年
、
子供たち
の年齢によっていろいろ違うと思うんですが、このメンタルケアの必要性というのは今私は大切なことだというふうに思います、この
オウム真理教
に対して。心の
部分
でございますから大変難しい
部分
もあると思います。ですから、この
部分
では
政府
とかあるいは地方
公共
団体がどう具体的にやればいいのか、私も具体的な
指摘
というのはなかなかできない
部分
なんですが、今こちらにいらっしゃいます
文部大臣
、法務
大臣
に、このメンタルケアの必要性についてということの所管なのかどうかということについても今わからないんですけれ
ども
、これについては議論されているか、あるいは検討されているか、検討しようとしているか、伺いたいと思います。
小林敬治
253
○
政府委員
(小林
敬治
君) お答えいたします。 これまでに保護されました
オウム真理教
関係
の
子供たち
がきょう現在で百十二人おります。その中には、既に保護者や親族、養護施設等に引き渡されまして元気に学校に通う者が八十四名ございます。なお、小中学生の学齢相当の者が八十七人でございますので、ほとんどが既に通学をしているという現状にございます。 しかし、子供によりましては、長期間にわたって学校教育を受けていない者もおり、年齢相当の学力がなかったり、基本的な生活慣習が身についていない、あるいは心の健康問題を抱えている者もあるというふうに聞いているところでございます。 そのため、文部省におきましては、保護された児童生徒の心の健康問題等につきまして、教育
委員会
、学校、児童
相談
所等が相互に緊密に連絡をとり合ったり、子供と保護者に対し面談を行うなど、
関係
機関との連携による対応を行うよう御指導申し上げてきたところでございます。 また、既に通学している児童生徒につきましては、担任の
先生
や養護教諭を初め、必要な場合には学校医などの専門家の協力もいただいて、学校全体として取り組むように御指導申し上げているところでございます。
齋藤勁
254
○齋藤勁君 私も具体的な事例についてまだ把握をしていないんですが、民間ボランティアでこういうメンタルケアの
部分
について何か受けとめているような、そんな
組織
というのかグループというんでしょうか、今たまたま文部省ですから児童とか生徒の
部分
なんでしょうけれ
ども
、そういうような団体があるとかなんかというのは御存じですか。
小林敬治
255
○
政府委員
(小林
敬治
君) 今回のケースの場合には私
ども
承知をいたしておりませんが、阪神・淡路大震災の際には、臨床心理士の方
たち
がボランティアとして大活躍をしたというふうな報告をいただいております。
齋藤勁
256
○齋藤勁君 総括
質問
のときの方がこれはよかったのかなという気がするんですが、
大臣
、今度の
オウム
の問題は、いろいろ各省庁間の連絡、いろんなことがございますよね。
宗教法人法
は文部省だとか、それから警察の
関係
、いろいろございますけれ
ども
、
政府
の中に
オウム
対策とかなんとか省庁間を横断的に協議する機関、対策機関というのは、あって私が失念しているのか、そういうのはあるんですか。
小野元之
257
○
政府委員
(
小野元之
君)
オウム真理教
問題につきましては、内閣官房を中心に各省庁で、
信者
のアフターケアの問題、あるいは
信者
の就職の問題、それから警察
関係
の課題、あるいは厚生省、文部省それぞれの
立場
で
オウム真理教
問題対策の連絡会議がございまして、例えば山梨県の方からいろいろな御陳情を聞いて、それに対してそれぞれ各省でできる範囲で対応していくということを現在やっておるわけでございます。 さまざまな
オウム
の問題につきましては、各省庁でそれぞれの
立場
から対応していかなければいけない
部分
があるわけでございまして、
政府
全体の
立場
でそれは取り組んでおるところでございます。
齋藤勁
258
○齋藤勁君 内部ですからなかなか外に見えてこないのかもわからないんですけれ
ども
、いろいろ連携づけがこれから必要だと思いますので、ぜひ十分連携づけていただいて対応していただきたいと思います。 時間もなくなりましたから最後にしますが、私は、過日、二十二日の本会議におきまして、衆議院の方では
公聴会
あるいは参考人等がとれなかったということだけではないんですけれ
ども
、冒頭述べました社説等で、国民世論もじっくり中身の議論をしてほしいと、必要に応じてやっぱり
公聴会
あるいは参考人という、これは本当に民意だというふうに思います。私
ども
も、
公聴会
をやって広く声を聞くということ、そして私
ども
の党も具体的な参考人の方々をやっぱり
国会
にお呼びして議論を深めよう、こういうことで実は考えて名会。派と今話し合いに入っているというふうに受けとめさせていただいています。 これは
政府
の方の
答弁
は必要ございませんけれ
ども
、ぜひ私はこういった方向で国民に理解していただくように、数々の
公聴会
、そしてまたそれぞれの
関係者
、責任者の方に参考人としてこの場へ来ていただいて、そして深め合っていくということ、そういうことでこの
宗教法人法
の一日も早い改正を望ませていただきたいというふうに思います。 終わりたいと思います。ありがとうございました。
阿部幸代
259
○阿部幸代君
日本
共産党の阿部幸代でございます。 今回の
宗教法人法
改正案に対して我が党は賛成であります。しかし、反対ないし危惧の念を抱いておられる方が
宗教界
におられるので、その疑念を晴らす
意味
で
質問
をしたいと思います。
日本
キリスト教会大会靖国神社問題
特別委員会
と同人権
委員会
から私
ども
のところにも要望書が寄せられています。内容を紹介してみますと、
宗教法人法
の「
運用
は、
信教
の自由、
政教分離
の
原則
に徹してなされるべきものであります。今回の「改正」案のような監視・
調査
の要素の強調はこ「「
信教
の自由の確保」という点からの逸脱であると考えられます。」とした上で、「今回の「改正」が、将来にわたって禍根を残すことになることを恐れるものであります。」と述べています。 私は、直接
日本
キリスト教会大会
関係者
にお会いしました。
お話
を伺ってみたんです。その中で明らかになったのは、戦後五十年たった今も、五十年前までの
日本
の侵略戦争と国内の暗黒支配、
宗教
と
宗教
者への弾圧の記憶が本当に生々しいということなんです。 御承知のように、戦前は思想・信条の自由、
信教
の自由が侵害された暗黒の時代でした。最も猛威を振るったのは治安維持法であり、
日本
共産党やその支持者だけではなく、自由主義者も弾圧され、
検挙
された方の数は約七万五千。そのうち、獄死を初め病死など、命を失った方の数は一千数百名と言われています。キリスト教を初め
宗教
者も治安維持法で弾圧を受けました。 私がお尋ねしたところでは、ホーリネス系教会の
お話
を伺うことができたのですが、キリスト再臨の
教義
を理由に弾圧を受けています。主の再臨のとき、天皇がキリストによって裁かれることは国体変革の危険思想と見られだからだと言います。教会では、特高警察臨席のもと、礼拝のときにまず
最初
に天皇と宮城礼拝を強要されたと言います。 〔理事松浦功君退席、
委員長
着席〕
日本
キリスト教歴史大事典で調べてみました。一九四一年、この年に治安維持法が改悪をされて、「国体ヲ否定シ又ハ神宮若ハ皇室ノ尊厳ヲ冒涜スベキ事項ヲ流布スルコトヲ目的トシテ結社ヲ
組織
シタル者又ハ結社ノ役員其ノ他指導者タル任務ニ従事シタル者ハ無期又八四年以上ノ懲役」、こういう文言が加わったわけです。
全国
で二百七十五のホーリネス教会が
解散
させられ、被
検挙
者百三十一名、起訴七十一名、実刑十四名、獄死された方七名という
犠牲者
が出ています。キリストと天皇とどちらが偉いかなどと
質問
され、天皇と答えなければ治安維持法違反、まさに心の自由が奪われていたんですね。
文部大臣
に聞きたいのですが、今から思えば本当にひどい話だと思いませんか。
島村宜伸
260
○
国務大臣
(
島村宜伸
君) 大変暗い、むなしい時代であった、ことだったと思います。
阿部幸代
261
○阿部幸代君 国家神道は民衆を服従させる重要な手段とされ、
日本国内
ばかりか朝鮮神社、台湾神社などなど、
日本
の征服地域の各地に神社がつくられました。これも
文部大臣
は御存じのことと思います。 こうした歴史の記憶に対し、今回の改正は
信教
の自由を侵害するものであっては絶対にならないと思いますが、
文部大臣
、どうでしょうか。
島村宜伸
262
○
国務大臣
(
島村宜伸
君) 今回の
法改正
は、何度も申し上げますように、
信教
の自由、
政教分離
の
原則
を基本として、そしてその土台に立ってこの
法改正
を
判断
しておりますので、御懸念のようなことはないと私は確信いたします。
阿部幸代
263
○阿部幸代君 私は、戦後の歴代の
政府
が
日本
の侵略戦争に対する反省を示してこなかったことも、こうした不安がなくならない原因になっているんだと思うんです。 戦前、国家神道が国教的地位を与えられ、国民の
信教
の自由や思想・言論の自由が抑圧されて軍国主義体制が進められたというこの歴史的反省に立って、憲法の
政教分離
と
信教
の自由の
原則
が確立されたのではなかったでしょうか、
文部大臣
に伺います。
島村宜伸
264
○
国務大臣
(
島村宜伸
君) おっしゃるとおりでございます。
阿部幸代
265
○阿部幸代君 次に、
宗教法人法
改正案についての
質問
に入ります。 戦前の
宗教団体
法というのは、その第十六条で「
宗教団体
又ハ教師ノ行フ
宗教
ノ
教義
ノ宣布若ハ儀式ノ執行文ハ
宗教
上ノ行事ガ安寧秩序ヲ妨ゲ又ハ臣民タルノ義務ニ背クドキハ主務
大臣
ハ之ヲ制限シ若ハ禁止シ、教師ノ業務ヲ停止シ又八
宗教団体
ノ
設立
ノ認可ヲ取消スコトヲ得」と定めており、
宗教
の
教義
や儀式、行事を直接規制の対象としていました。 実際、法制定当時の
政府
の説明も、「若シモ
宗教団体
或ハ教師等ガ、
教義
ノ上カラ我ガ国ニ於テ神社参拝ヲ拒ムヤウナ、或八人ヲ参拝サセナイヤウナ著シモサウ云フ不料簡ナ真似ヲスルヤウデゴザイマスレバ、ソレハ明カニ安寧秩序ヲ素ス者デアルこ、こういうものでした。 この
宗教団体
法と
宗教法人法
の根本的な違いはどこにありますか、
文部大臣
、お願いします。
小野元之
266
○
政府委員
(
小野元之
君) 戦前の
宗教団体
法でございますけれ
ども
、
昭和
十四年に制定されたものでございます。これは
宗教団体
の地位及びこれに対する保護監督の
関係
を明確ならしめる、そしてその健全な発達並びに教化機能の増進を図るということを目的として制定されたものでございます。
文部大臣
に
宗教団体
に対する監督、
調査
、認可の取り消し等の権限が
規定
されているなど、非常に強い監督
規定
が置かれていた
法律
でございます。 現在の
宗教法人法
は、先ほど来御論議がございますように、こういった
宗教団体
法のような強い監督
規定
は全く置いておりません。
認証
制度を設けまして、法令に適合している場合には
認証
をするという建前で成り立っておりますし、責任役員制度、公告制度などを
規定
しておりまして、憲法の定める
信教
の自由と
政教分離
の
原則
にのっとって、法人の自由と自主性を尊重する、そして責任と
公共
性にも期待する、こういう法体系になっておるわけでございます。 両
法律
の根本的な違いでございますけれ
ども
、
宗教団体
法の
時点
では、旧憲法下での
信教
の自由にももちろん制限があったわけでございまして、戦時体制下にできたということもございます。
現行
法は、そういったことに深く反省を加えまして、
信教
の自由を初め基本的人権の尊重を柱とした新しい憲法のもとで制定されたものでございます。
阿部幸代
267
○阿部幸代君 つまり、戦前の
宗教団体
法というのは、
宗教
上の
教義
、それから礼拝、儀式または行事など、そこにも国家の介入があったということです。 それで、戦後の
宗教法人法
というのはそれは一切ないということですね。
小野元之
268
○
政府委員
(
小野元之
君) 戦前の反省にかんがみまして、新憲法のもとで、
宗教団体
の自由と自主性、さらには責任と
公共
性を基本として成り立っておる
法律
でございます。
阿部幸代
269
○阿部幸代君
宗教法人法
の基本的性格に関してもう一つ、法の制定時にさかのぼって伺いたいことがあります。 会議録によると、当時の天野
国務大臣
はその説明の中で、 この
法律
の目的といたしますところは、
宗教団体
に
法人格
を与え、
宗教法人
が自由で、かつ自主的な
活動
をするための物的基礎を獲得させることであります。これがためには、あくまでも
信教
の自由と
政教分離
の
原則
を、基本としなければならないと考えます。それとともに、
宗教法人
の責任を明確にし、かつその
公共
性に配慮を払うこともまた忘れられてはならないのであります。このような趣旨から、この
法律案
は、常に自由と自主性、責任と
公共
性、この二つの請を骨子として、全体系が組み立てられてあるのであります。と述べています。
政府委員
もその説明の中で、この法案の目的は、
宗教団体
の財産権の主体性を明らかにすることであります。これがためには、あくまでも
信教
自由の
原則
、ひいてはそれが国政との
関係
において生ずる
政教分離
の
原則
を十分に考慮しなければならないと考えます。このことは、自由の尊重とともに、責任の明確化と
公共
性の配慮ということが必要となつて参るのであります。と述べています。 この考え方は、現在の
政府
も変わりありませんね。
小野元之
270
○
政府委員
(
小野元之
君) 今回の
法改正
に当たりましては、
宗教法人審議会
におきましても、
現行宗教法人法
の基本は維持するということでございまして、先ほど
お話
がございました天野
大臣
の提案理由説明、それから
政府委員
の提案理由補足説明をお述べになりましたけれ
ども
、そういった精神は全く変わりがございません。
阿部幸代
271
○阿部幸代君
所轄庁
についてなんですけれ
ども
、審議の中で
政府委員
が、例えば、
所轄庁
は、この法の運営につきましては、当然責任がある
関係
上、ここに
解散
事由として、
解散命令
の理由として挙げてある法令の違反とか、
公共
の
福祉
に反するとか、あるいは特定の恩典を与えて
宗教
活動
を全からしめておるゆえんのものを逸脱する、あるいは
宗教法人
が民法の一種の公益法人の性格を逸脱する、こういう向きのものにつきましては、公益性という角度から申しまして、
所轄庁
も十分な関心を必要とするわけであります。 と説明しています。つまり、
宗教法人法
は制定のそのときからノーサポート・ノーコントロールではないということが明らかだと思うんです。
宗教法人
の
公共
性と責任、
所轄庁
の責任と関心を求めていたんですね、
文部大臣
に伺います。
小野元之
272
○
政府委員
(
小野元之
君) ノーサポート・ノーコントロールというのがどのような趣旨であるか必ずしも明確でないという場合もあるわけでございますけれ
ども
、御
指摘
ございましたように、
宗教法人法
は、
宗教団体
の目的達成に資するため
宗教団体
に
法人格
を与える、そして先ほど来
お話
がございますように、自由と自主性、責任と
公共
性、この二つを柱として成り立っているものでございます。
阿部幸代
273
○阿部幸代君 今回の
宗教法人法
の改正は必要最小限のものと説明がされています。法の基本的性格の大事な側面、つまり第一条は「この
法律
のいかなる
規定
も、個人、集団又は団体が、その保障された自由に基いて、
教義
をひろめ、儀式行事を行い、その他
宗教
上の
行為
を行うことを制限するものと解釈してはならない。」と定めていますが、これが脅かされるのではないかという危惧が
宗教
関係者
の中にはあります。例えば、改正案によって作成と備えつけ、
所轄庁
への提出が義務づけられた収支計算書や、同じく今回の改正案で盛り込まれた
質問
権、閲覧権の
規定
で
宗教
活動
の内容に踏み込まれないかという心配です。 そこで伺いますが、収支計算書により伝道、布教の具体的内容まで
調査
され規制されることはありませんね。
小野元之
274
○
政府委員
(
小野元之
君) 今回、
法改正
でお願いしております例えば収支計算書の提出をお願いするわけでございますけれ
ども
、この中には例えば
宗教
活動
収入あるいは
宗教
活動
支出といったような科目が当然入ってくると思うわけでございます。ただこれは、私
ども
がお願いしております趣旨としては、一会計年度におきます総体としての収支の状況が計数で記載されればいい、一会計年度におきます総体としての収入の状況を把握できればいいということでございまして、個別の
宗教
活動
あるいは
信教
の自由に関する
部分
について、そういったものを特に求めるというものではございません。
阿部幸代
275
○阿部幸代君 収支計算書を提出させるに際して、例えば附属
書類
という形で個々人のお布施の額などそういうものを提出させるようなことも当然ありませんね。
小野元之
276
○
政府委員
(
小野元之
君) あくまでも収支計算書という形で一会計年度におきます総体としての収入を計数でいただくというものでございます。 そして、なお、念のためでございますけれ
ども
、この提出
資料
をいただく二十五条の
規定
には第五項の
規定
がございまして、「
所轄庁
は、前項の
規定
により提出された
書類
」、収支計算書等を取り扱う場合でございますけれ
ども
、「
宗教法人
の
宗教
上の特性及び慣習を尊重し、
信教
の自由を妨げることがないように特に留意しなければならない。」という
規定
も置かれているわけでございます。
阿部幸代
277
○阿部幸代君
質問
権や報告を求める権限についてはどうでしょうか。
小野元之
278
○
政府委員
(
小野元之
君)
質問
をする場合、それから報告を徴収する場合、先ほど来御論議に出ておりますけれ
ども
、七十九条、八十条、八十一条に関して疑わしいという場合にそういったことを行うわけでございますけれ
ども
、この場合におきましても、七十八条の二の第一項でございますが、当該
宗教法人
の業務または事業の
管理運営
に関する事項に関し、
宗教法人
に対し報告を求め、または
質問
させることができるということがあるわけでございます。 この
規定
についてはなお第四項がございまして、先ほど申し上げましたと同じように、「報告を求め、又は当該職員に
質問
させる場合には、
宗教法人
の
宗教
上の特性及び慣習を尊重し、
信教
の自由を妨げることがないように特に留意しなければならない。」という
規定
も置かれておるわけでございまして、これらの
規定
は
所轄庁
として当然十分留意して対応しなければならないものというふうに考えております。
阿部幸代
279
○阿部幸代君 次に、税務行政との
関係
についてです。
宗教法人
というのは税制上優遇されていて僧侶な
ども
潤っていると思われがちですが、約十八万四千もの
宗教法人
の中には零細なものがたくさんあろうかと思います。実際、私の地元の埼玉県内の農村部にも高校教師を定年退職した方が無給で住職をやり、奥さんに月々たった五万円の給与を渡すのが精いっぱい、こういう例があります。こういうお寺にも予告なしに突然税務署の職員が来るというんです。また、お寺に対する税務
調査
の中には、住職や家族の預金通帳はもとより、過去帳まで見せるように求められる場合があるといいます。過去帳というのは、明治時代はもとより、それ以前からの亡くなって埋葬された方の名前や年齢や家族や法名などが書いてあって、個人のプライバシーにかかわるものですから、見せるわけにはいかないのに閲覧を強要されるといいます。 一部の巨大
宗教法人
が政党支持、選挙
活動
を行いながら施設が非課税という、こういう不公平を正すのは当然です。しかし、私が紹介したような横暴で不当な税務
調査
が今回の
宗教法人法
改正によってさらに強められることがあってはならないと考えます。
文部大臣
、どうですか。
島村宜伸
280
○
国務大臣
(
島村宜伸
君) 私は税務行政の担当でないので、実は今
お話
を伺って驚いております。そういうことはあるのかなと信じがたいぐらいの気持ちでございますが、我々が今回改正をお願いしている
宗教法人法
は全くそういうことを
意味
するものでないということだけは申し上げておきたいんです。
阿部幸代
281
○阿部幸代君 国税庁、今の
文部大臣
のお答えをどう受けとめますか、当然だと思いますが。 じゃ、
文化庁
、答えますか。
小野元之
282
○
政府委員
(
小野元之
君) 私
ども
税務当局ではございませんけれ
ども
、この
宗教法人法
には八十四条で「
宗教
上の特性及び慣習の尊重」という
規定
がございます。これは「国及び
公共
団体の機関は、
宗教法人
に対する公租公課に
関係
がある法令を制定し、若しくは改廃し、又はその賦課徴収に関し境内建物」等の範囲を決定し、もしくは
調査
するといった場合に、「法令の
規定
による正当の権限に基く
調査
、検査その他の
行為
をする場合においては、
宗教法人
の
宗教
上の特性及び慣習を尊重し、
信教
の自由を妨げることがないように特に留意しなければならない。」という
規定
も八十四条にあるわけでございます。 こういった点、当然国税当局も御承知だと思いますから、そういう配慮をなさっておられるというふうに思うところでございます。
阿部幸代
283
○阿部幸代君 今回の
宗教法人法
の改正が不当、横暴な税務
調査
のために悪用されてはならないということ、当然であるということを
確認
したいと思います。 最後になりますが、私のお会いした
日本
基督教会大会の
関係者
は、戦前の
宗教
と信仰者への弾圧、歴代
政府
の侵略戦争への反省のなさと並んで、
オウム
を口実にした破防法適用が口にされ出したこと、このことを今回の
法改正
に当たって本当に不安になる理由として挙げておられました。 国民の言論・思想・結社の自由を侵害し、制定当時も国民の大きな反対運動が起こり、四十三年間一度も団体規制が適用されなかったのが破防法です。その適用は断じてならないということを申し添えて、
質問
を終わりたいと思います。(拍手)
倉田寛之
284
○
委員長
(
倉田寛之
君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
倉田寛之
285
○
委員長
(
倉田寛之
君) 速記を起こして。
椎名素夫
286
○
椎名素夫
君 参議院フォーラムの
椎名素夫
でございます。 余り長い時間をいただいているわけじゃないので、二点だけお伺いしたいと思います。 一つ目は、
宗教法人審議会
について伺いたいと思います。 この
宗教法人審議会
は今までも非常に重要な役割を果たしてきましたし、また、これからは
政府
の
質問
権あるいは報告を求める権利というようなことで、ある
意味
ではますます重要な
意味
があるかと思います。
宗教法人審議会
の現在のメンバーは十五人であるということですが、まず確かめておきますが、これは
文部大臣
が任命をなさるということですね。今の
委員
数は十五人ということですが、このうち十一人までが
宗教
関係者
だということを承っておる。このつり合いについて
文部大臣
はどうお考えになりますか。
島村宜伸
287
○
国務大臣
(
島村宜伸
君) 一般の審
議会
等との比較においては著しくバランスを欠いて、いわば利害
関係
の方々が
かなり
のウエートを占め、パーセンテージを占めている、こう思います。そういう
意味
では、いろいろ御
指摘
もいただくところではございますが、今後いろいろ
宗教法人
のあり方その他につきましては審
議会
のウエートはますます増すばかりでありますし、またいろいろな学識が問われる面もございますので、これからのまた検討課題である、こう考えております。
椎名素夫
288
○
椎名素夫
君 それで、今度この十五人を二十人にふやされるということでありますが、普通、審
議会
その他の諮問
委員会
というもののメンバー構成というのは、例えば中労委などを挙げてみると、労使と公益
委員
が三分の一ずついるというようなことで、この
宗教法人審議会
ですか、決して
宗教
だけのためにあるんじゃない、国民全体のために働くということでありますので、この二十人のメンバー、学識経験者とおっしゃるけれ
ども
、
宗教法人
の持つさまざまな角度がありますね。税制の問題とか、いろいろあります。 そういうことから考えて、学識経験者でよく言われることは、
宗教
の権威であるとかいうようなニュアンスを持って報道されたり書かれたりすることがありますが、私は必ずしもそういうことであってはむしろならないんじゃないかと思うわけです。 この二十人にふやして、あるいは組みかえなさるかもしれないこれからの構成について、
文部大臣
はどうお考えか伺いたいと思います。
島村宜伸
289
○
国務大臣
(
島村宜伸
君) 先ほ
ども
少しく申し上げたところでございますが、まことに貴重な御
意見
と私も承らせていただきます。
椎名素夫
290
○
椎名素夫
君 それから、今は
文部大臣
が任命なさる。これから先、この
委員会
でも大分議論がありましたけれ
ども
、
質問
をしたい、あるいは報告を求めたいというときに
宗教法人審議会
の……(発言する者あり)
倉田寛之
291
○
委員長
(
倉田寛之
君) 静粛に願います。
椎名素夫
292
○
椎名素夫
君
意見
を聞かなければならないということですね。
意見
を聞かなければならないということは、その
意見
を尊重しなきゃいかぬということのようですが、しかしそうだからといってそのとおりにするということが
法律
で義務づけられているわけではないというような認識を持っておりますけれ
ども
、その
宗教法人審議会
が言ったことと実際に行われることが食い違ってきますような事例が多くなると、国民の目から見てこれは一体どういうことかというようなことになるかと思うんです。 そのためには、
宗教法人審議会
に非常に信頼感がなきゃいかぬと思うんです。
文部大臣
が任命なさるわけですから、すべてが
文部大臣
に任せられてしまう。あとはその審
議会
が独自に動くということになってしまうというのは少し困ったことになりはしないか。 今の制度ではもちろんこれは
国会
承認人事じゃありませんけれ
ども
、これから本当に広い範囲の問題を取り扱うこういう審
議会
というものは、その大事においてやはり
国会
に御
相談
の上任命をなさるというようなことにするお考えはありませんか。
小野元之
293
○
政府委員
(
小野元之
君) 御
指摘
ございましたように、これからさらに審
議会
の役割が重要になってくるわけでございます。 五名増員ということでございまして、私
ども
といたしましては、学識経験者の
委員
をさらにふやす。特に、さまざまな
判断
をお願いしなければいけないわけでございますので、例えば
社会
学あるいは心理学、あるいは行政法あるいは私法、そういった分野にお詳しい方であるとか、
宗教法人
の実務に関する分野についてお詳しい方であるとか、そういった学識経験者で立派な方を
委員
として増員した場合にはお願いをしたいという気持ちがあるわけでございます。 ただ、この
委員
につきましては、先ほど来
お話
にございますけれ
ども
、
文部大臣
が任命するということでございます。それからもう一つは、
宗教界
の
意見
をある程度正確にきちんと反映をしなければいけないということもございまして、現在、
日本
宗教
連盟の加盟団体でございます五つの団体から候補者の推薦もお願いしておるところでございます。 そういったこととのバランスも兼ね合わせながら、その選任方法については今後より適切なものになるように検討していきたいと思っておるところでございますが、
国会
に御承認をお願いするというようなことについては現在のところ考えてはいないところでございます。
椎名素夫
294
○
椎名素夫
君 これは
宗教法人審議会
だけでなしに
政府
承認人事の審
議会
その他もいろいろありますけれ
ども
、大体お任せになってしまって、簡単な略歴か何かいただいて、一体どういう考えでその審
議会
に参加されるかというようなことは全くわからずによく任命が行われるということがある。これは何とかひとつ、今そういうお考えはないということでしたけれ
ども
、お考えを願うべきことではないかというふうに考えますので、ぜひ御考慮をお願いいたします。 それから、次の
質問
ですが、少し基本的なことを伺いたいと思います。
宗教法人
がなぜ公益法人になるのかということなんですが、いろいろ考えてみたんですけれ
ども
、
宗教
があって、
宗教団体
があって、そこがそこの信仰あるいは
教義
に従って何か
社会
的に公益性のある
活動
をしたいということで、そのために公益性が出てくるのか、あるいは
宗教
だと言ってしまえば、その存在自体が公益性を持つということになるのか。いろいろ考えてみたんですが、この
宗教法人法
の建前からいくと、ある必要
条件
が満たされていれば
認証
は与えられる。ということは、
宗教
であるということ、それから
宗教法人法
にある
要件
が整えば自動的に公益性が与えられる、こういう仕組みになってしまっているわけでしょうか。
小野元之
295
○
政府委員
(
小野元之
君)
宗教法人
の公益性とは何かというお尋ねだと思うわけでございますけれ
ども
、御承知のように、
宗教法人
は
宗教
活動
を行うことを主たる目的とするものでございます。
大臣
からも御
答弁
申し上げておりますように、
宗教
は人々の心を安定させる、あるいは
日本
の精神文化を向上させる、そういったことに不可欠の存在であると思うのでございます。 神社、寺院、教会等、我が国におきますいろんな
宗教
があるわけでございますけれ
ども
、こういった
宗教法人
の存在は国民一人一人の生活に深く定着しておりまして、大きな役割を果たしておるというふうに考えるところでございます。 こういったことから、
宗教法人
の
宗教
活動
、そういったものにやはり公益性が認められる、
宗教法人
の
宗教
活動
自体に公益性があるというふうに考えておるところでございます。
椎名素夫
296
○
椎名素夫
君 人々の心に安定を与える、あるいはさまざま
社会
のために役に立ちたいというようなことは、
宗教
にかかわらずそういう方々はたくさん
日本
の中に私はあると思うんですね。しかし、あえて
宗教
を名乗らないということになると、そういう公益
活動
をやろうと思うと、
法人格
を得ようと思ったら社団なり財団なりを
組織
してやらなければいかぬという仕組みになっておりますね。 そうすると大変なんですよ。財団なり社団なり、許可を得なければ
法人格
が与えられない。大抵の場合、人格なき法人、
法人格
なき社団というようなことの、ある程度実績があるかないかというようなことから始まりまして、非常に
要件
がきついというだけでなしに、これが法人になった後も所轄官庁に全体像を常に報告し監督されるというような差がありますね。そうすると、よくわかりませんが、
宗教
だと名乗っていらっしゃる団体と本当にいい意図を持って公益
活動
をやる団体とには明らかにその待遇において差があると私は思う。その差は一体どういうふうに正当化されるのか伺いたいと思います。
小野元之
297
○
政府委員
(
小野元之
君) いわゆる民法三十四条の公益法人の例示の
部分
にも、祭祀、
宗教
といったものは言葉の上では出てきておるわけでございます。
宗教法人
につきましては、先ほど来御論議ございますように、
宗教団体
であることということが
認証
の場合の重要な
要件
になっておるわけでございます。この
宗教団体
として
宗教団体
に必要な要素をそれぞれ備えておるということが必要なわけでございまして、そういった観点で、
宗教法人法
は
認証
という形で
法人格
を付与するという建前になっておるわけでございます。 一方、民法の公益注入でございますが、
先生
御
指摘
ございましたように、一般的な監督権があり、主務
大臣
等の監督には服するわけでございます。
宗教法人
においては、
信教
の自由を尊重する、それから
政教分離
の
原則
をきちっと守るということが
宗教法人法
の基本にあるわけでございますから、民法の公益法人と比べますと監督の度合いが、監督といいますか、そのような一般的監督権はないわけでございますけれ
ども
、
最初
に申し上げましたように
宗教
活動
自体に公益性がございますので、
認証
を受けることで
宗教法人
になれば公益法人等の一つとして税制上の優遇措置等が与えられる、このような仕組みになっておるものでございます。
椎名素夫
298
○
椎名素夫
君
法律
の建前上そうなっているわけでしょうけれ
ども
、多くの
宗教法人
は本当に
自分たち
の
社会
における役割をきちっと自覚してやっておられるということは間違いないと思います。しかし、そうでないような疑いを持たれることが間々ある。そのときに、今私が申し上げたような
宗教
者、
信者
の方も、あるいは
宗教
に
関係
のない方も非常に善意を持った
日本
国民である、その間に幾分差があるということですね、取り扱いに。これは私はこれから先もぜひ研究をしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。 今度のこの改正ですが、必要最低限とこう言われておりますね。最低限であることは間違いないんですが、私の個人的な感想を言えば、必要までいっているのかどうかということが幾分問題が残っているんじゃないかという私は気がいたします。 ぜひそういうことで、この法案の帰趨いかんにかかわらず、まだこれから先、本当に基本的な問題から始まって、
宗教
の問題をさらに我々は論議をしていくということが必要であるかと思いますので、要望をしておきます。 終わります。(拍手)
倉田寛之
299
○
委員長
(
倉田寛之
君) 暫時休憩いたします。 午後五時十分休憩 〔休憩後開会に至らなかった〕