運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1995-12-01 第134回国会 参議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年十二月一日(金曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  十一月三十日     辞任         補欠選任      横尾 和伸君     武田 節子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         須藤良太郎君     理 事                 松浦 孝治君                 松谷蒼一郎君                 北澤 俊美君                 村沢  牧君     委 員                 岩井 國臣君                 釜本 邦茂君                 鎌田 要人君                 清水 達雄君                 竹山  裕君                 依田 智治君                 市川 一朗君                 田浦  直君                 武田 節子君                 戸田 邦司君                 長谷川道郎君                 赤桐  操君                 渡辺 四郎君                 山下 芳生君                 本岡 昭次君    国務大臣        内閣総理大臣   村山 富市君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  池端 清一君    政府委員        内閣参事官        兼内閣総理大臣        官房会計課長   吉井 一弥君        内閣官房内閣情        報調査室長    大森 義夫君        阪神淡路復興        対策本部事務局        次長       角地 徳久君        防衛庁長官官房        長        江間 清二君        国土庁防災局長  村瀬 興一君        厚生省保険局長  岡光 序治君    事務局側        常任委員会専門        員        八島 秀雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○災害対策基本法及び大規模地震対策特別措置法  の一部を改正する法律案内閣提出、衆議院送  付)     —————————————
  2. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、横尾和伸君が委員を辞任され、その補欠として武田節子君が選任されました。     —————————————
  3. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) 災害対策基本法及び大規模地震対策特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 依田智治

    依田智治君 自由民主党の依田智治でございます。総理、連日御苦労さまでございます。  前回のこの委員会は、実は三週間前の十一月十日にあったわけでございまして、もう総理をお招きしていよいよ画竜点睛、筆をぽんと入れるところでとまってしまいまして、私も今どこへ筆を入れていいかということでちょっと弱っておるところでございます。  いずれにしましても、私は、この災害対策基本法等改正というものは急を要する問題でございまして、この災害対策特別委員会の我々が総理阪神大震災等でいろいろ対応が遅いとか追及しておりましたが、我々自身が果たして追及する資格はあるのかと。もし、この三週間の間に東京地震でも起こって、政府が全然阪神大震災のあれが生きてなかったということになったら大変なことじゃないかと、実はそんな反省もしておるわけでございます。  今後、こういう委員会あり方としても、私どもとして、やはりこういう国民の命にかかわるような、教訓を踏まえてというような法律政府から提案されたら、もう超党派で即刻成立させるぐらいの気構えが必要じゃないか。こんな反省を込めて、どこに責任があるとは申しませんが、責任を感ずる人は胸に手を当てて考えていただいて、私も大変そういう感じを持っておりますので、まずその点を指摘しておきたいと思います。  そこで、私に与えられた時間はただの二十二分でございますが、まず、私もいろいろ役所の方で危機管理担当する、しかも全国的に地震なんかも責任持って指導するような立場におった関係上、阪神のあの地区でこの一月十七日に大地震が起こったときは、ああっと、本当に虚をつかれたというか、あのときもうちょっと自分責任としても何か注意喚起する方法はあったかなというような点を実は感じたわけでございます。  あれからいろいろ防災問題懇談会提言等総理は受けたり、さらに官邸としても、内閣情報調査室の初期の情報体制初め、各省庁が一刻も早く集まって手を打とうと、それで今回の改正というようなものも出てきたわけです。それらの経験を踏まえまして、率直に、国の行政の最高責任者、かつ、言うなれば危機管理最高責任者である総理が今回の経験を通じてどのようにお感じになり、またどのような点を学び、今後どういう決意でこの問題に対処していかれるか、まず最初に総理の御決意とかそういう点をお伺いしたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。
  5. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 連日皆さん御苦労さまです。  今御指摘がございました阪神淡路大震災というのは、戦後初めて大都市に予想を超える大きな災害をもたらしたという大規模災害でございました。  私は、率直に申し上げまして、やはり危機管理体制に欠けるところがあったということはもう率直に認めざるを得ないと思うんです。それで、情報を正確に収集する、そういう問題や、あるいはまたその収集した情報伝達する仕組みやら、あるいはまた緊急即応体制やら、あるいは周辺地方公共団体等に対する広域的な協力体制といったような問題についても幾つかのやっぱり学ばなきゃならぬ点があったと、私はそういうふうに率直に申し上げなければならぬというふうに思います。  こうした教訓を踏まえまして、何が欠けておったのか、何がこれから必要なのかというようなことを率直に検討していただくという意味防災問題懇談会というようなものを設置いたしましたし、同時に内閣においても、二月二十一日の閣議決定によりまして、今お話もございましたように、官邸への情報連絡体制整備を行うために、内閣情報調査室窓口にして、そして何かあったときには直ちに関係省庁官邸に集まって、そして正確な情報をつかみ、情報伝達が直ちにできる、こういう危機管理の今の仕組み制度の中で可能として考えられる範囲のものはきちっとやっぱり政府として対応していくことが大事だというふうに思いますから、そういうことも閣議決定をいたしましてやることにいたしております。  先ほど申し上げましたように、防災問題懇談会からは、情報収集伝達体制整備や、あるいは緊急即応体制避難者生活支援災害対策要員の確保、訓練防災基盤施設整備等、さまざまな観点から問題点指摘をされておりますから、そうした問題点を踏まえた上で今御審議をいただいておりまする法改正も行って、そして万全を期していこうと、こういう構えでございます。  冒頭にもお話がございましたように、国民の身体、生命財産を守るというのは国の重要な課題でもありますし、責任でもございますから、そういう点に遺漏のないように全力を挙げて取り組んで、少しでも安心して暮らせるような体制というものをしっかりつくっていくということが何よりも与えられた大きな教訓だというふうに踏まえて、これからも全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。
  6. 依田智治

    依田智治君 どうもありがとうございました。  大体災害等が発生した直後というのは、だれもがぴりぴりしておりまして、いろいろ対策を講じたり訓練したりしている。しかし、大体担当する人というのは、役人はもう次々とかわっていきまして、おおむねもう二年くらいたったら全員がわっていると。このとき身をもって厳しさを感じた人はほとんどいないというような状況でございます。  そしてしかも、訓練していても、おいでなさいというときになかなか来てくれないというのが実は災害でございまして、私も内閣安保室をやっていたときに、安保室というのがつくられて、例えばハイジャック等に対してはということで、連日いろいろ電話番号を整理したり、訓練関係の方と連携しながらやったり。ところが、十二年ぶりに発生したときは土曜日の午後で、ちょうどみんな、まあきょうは何もないだろうと、私なんかも電車で家に帰っている途中に発生する。肝心の総理秘書官は、家をちょうどかえた直後で、電話番号は前の電話番号で、どこへ行っても連絡がとれない。こういう連絡をとろうとしていたやさきに起こった。  今度、総理担当秘書官も、親御さんが亡くなられて郷里に帰っておるというようなときに千年ぶり腹神地震が起こる、こういうような状況でございますから、備えあれば憂いなしと言いますが、備えても備えたとおりに来ないというのが私は災害じゃないかと思うわけです。  前のときにも指摘ありました、例えばアメリカの連邦危機管理庁のFEMA。これだって、いろいろハリケーンが起こったときとかサンフランシスコで地震が起こったときには、何だ、あんな役所があるから災害だというぐらいで、こんな怠惰な組織はないと言われていたところが、クリントンがちょうど自分のアーカンソー州で災害局長を長年やって手腕のあるというジェームズ・ウィット長官を任命した。そして、クリントンさんとは本当にもう友人で、電話でぱっぱっと連絡できる仲だったから第一報もぱっと行くし、そして割合飛び回るのが好きな人で、連邦内にある十の支部等にも適宜顔を出してやっている。すると、発生したときに、あ、あの長官かということでぴんとくるというのが実は実態だったわけですね。  だから、組織をつくっても、結局それを動かすのは人であり、そして私は、次に総理質問しようとしましたが、こんな、今の日本の組織がいいと思うか悪いと思うかといって、悪いと思いますなんて総理言えると思いませんから、私から言いますが、やはり組織というのはどうつくったって最高組織はないと。そして、こういう危機管理では、私は経験上百点満点取ろうなんて取れるものじゃないと。だから、いかにして落第点は取らないかということを目指してあらゆる手を打っていくということじゃないか。  そういう点で、実は考えてみますと、例えば今度、そこに内閣情報調査室長がおられますが、第一報内閣情報調査室が当直をとっているところへ行く。これは大変いいことだ。改善。  私は、安保室長のときに十何名かの職員を指揮して、本当に休みにもポケットベルを持ったり、飲み屋に行って地下に行ったときは上から電話する、その他いろいろ苦労して、しかしそういう気を使ったときには起こらないというような状態もあるわけです。  そういうようなことで、内閣情報体制一つとってみましても、じゃ災害対応改善できた、しかし内閣全体として果たして、私の持論はやはり内閣全体として何か体制をとって、二十四時間総理を補佐できるような体制はできないんだろうか。それには増員というかむしろ総理府内閣一体となったそういう体制で、あらゆる事象、これは災害だけでなくて安保室担当している国家緊急事態初め外務事案、いろいろあるわけです、総理に報告すべき緊急事態は。いわゆる昼夜を問わず起こる。こういうのに対する体制をとるべきじゃないかとか、その他、実は国土庁が管理し、いろいろやっていますが、やっぱり中央防災会議事務局官邸と離れた国土庁にある。そして、国土庁は府県を指導する手足というか組織体制というものはないというような点というのは必ずしも合理的でない。やはり現地対策本部を強化してつくる、その場合に、本当に平素密接に指導していて中央指令がそのまま、ウィット長官じゃないけれども、ぱっと行くような体制というのができているかどうか。  その他いろいろ考えますと、これは非常に私は考えなきゃいかぬ。しかし、それを直ちに今変えたって、そんなできたてのものが果たして十分機能できるか。すると、現在の状態というものを十分知った上でその欠点をカバーするにはどうしたらいいのかということを十分考えて対応策を講じていくことが大変重要じゃないかこう感ずるわけです。  そういう点で、例えばこの間、内閣情報調査室等中心情報体制を強化して、立法体制を強化して、各省集まって対応する。官邸総理府は大丈夫だろうか、まずそういう点が心配になるわけです。耐震構造、これも危ないですとは言えないと思うのでこれも質問しませんが、やはり予想外状況が起こったときにも十分耐え得るような形でとりあえず情報体制その他についての配慮をしているのかどうか。この点をちょっとお伺いしたい。これはどなたでも結構ですが。
  7. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 内部事情を大変詳しい依田議員の御質問でなんですけれども、私はやっぱりこういう大災害については各省それぞれ関連があるわけですから、したがって内閣一体として取り組むことが大事だというふうに思いますから、したがって今回の法律改正緊急災害対策本部本部長総理大臣がなる、そして部員は全閣僚がなる、そして内閣総理大臣を長として一体となって取り組めるだけの体制をきちっとつくるということが大前提ですね。  そして官邸には、先ほどお話もございましたように内閣情報調査室窓口にして、そして関係省庁担当者が全部緊急の場合には集まる。そこで十分正確な情報を集約し合って、そして統一された伝達ができるようにしていくということも大事なことだというふうに思うんです。  内閣情報調査室保には、二十四時間体制で今つくっておりますし、同時に専門的に担当できる職員も新たに配置して、そしてそういう機能が十分果たせるようなものにしておくということが大事ではないかというふうに思うんです。  それから、国土庁防災局が一応担当窓口になっていますから、そことの連携は十分とれるようにして、そして全体として内閣責任持って対応できるような仕組みというものをしっかり考えていくということを今度の改正案の中では十分盛り込んであるというふうに考えておりますので、これで一〇〇%完全かといえばそれはなかなか一〇〇%という自信はありませんけれども、しかし現行の制度仕組みの中で考えられるものについては、自衛隊の例えは権限問題等も含めて、この教訓に学んでやれる範囲のことはこの際ひとつやろうではないかという立場から御提案をしておるということについては御理解を賜りたいと思います。
  8. 依田智治

    依田智治君 今回の法改正でも、例えば緊急災害対策本部、全大臣を網羅するというようなことになっていますね。全大臣を集めるにはそれだけ時間がかかっちゃうわけですね。したがって、例えば官邸等にもし万が一異常があったような場合、立川防災拠点に全大臣を集めてやらにゃならぬとなれば、大変なやっぱり時間もかかるという問題もあるわけですが、立川防災拠点中心国土庁の方でそういう参集訓練、全大臣の自宅から迅速にやってどのぐらいで集まるのかとか、そのあたりのところは検討したことがございますか。
  9. 村瀬興一

    政府委員村瀬興一君) 今、先生もおっしゃいましたように、もしこの官邸あるいは霞が関周辺機能が失われた場合には立川で代替しようということで、立川基地につきましても整備してきておりますし、また今年度の第二次補正予算におきましてさらに整備をしたいというふうに考えているところでございます。  ただ、今、先生がおっしゃいましたような訓練でございますけれども立川基地閣僚皆さん方に集まっていただくというふうな訓練を実はまだやっておりませんで、官邸とも御相談しながらそういった面についても今後検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  10. 依田智治

    依田智治君 ぜひひとつそういう詰めの訓練をやっていただくようにお願いしたいと思います。  時間がないので、総理にこの点も質問しようとしましたが、私の方から問題を提起して終わりたいと思います。  それは、大東京がいつ、この「大地動乱時代」という岩波新書の本を持ってきましたが、これ提言がありますように、いつ起こるかわからぬとなれば、首都機能移転も含めて、その中で地方分権とかその他そういうものも含めつつ、国の最もふさわしい危機管理体制あり方、その前には新官邸建設というような問題があるわけです。だから、私は今言ったできるだけ理想の状態に近づけるようにぜひ、今からでも遅くないので、新官邸建設首都機能移転地方分権等を含めた危機管理体制という問題について、総理のリーダーシップのもとに検討をしていただくとともに、私は総理秘書官をしていたんですが、総理には四人の優秀なる秘書グループがいるわけです。そこの後ろにも小林秘書官がおるわけです。ただ、担当が一人ということでなく、四人の方々が本当に一団となって総理をバックアップする。これは私は我が内閣における非常な強みじゃないかと思うわけです。  それと、全体として集めてというより、総理権限をもっと強化すべしという意見もいろいろありますが、私の経験では、やっぱり総理が全部を集めて内閣閣議を開く前に、担当大臣と緊急に連絡をとって事前の手を打つ。最終決定はいろいろするが、事前にできることはやるという関係閣僚会議というか、こういうものをもっと活用する。場合によったらこれを内閣法上位置づけるというようなことも大変重要じゃないか。この点をひとつ指摘しておきたいと思います。  最後に、時間がもうほとんどなくなってきましたので、自衛隊の問題をちょっと。  自衛隊につきましては、百日間以上にわたって延べ二百二十万人、大変な人員や装備等活用して阪神淡路大震災で活躍したわけです。今回の実はこの間決定になった大綱でも、「防衛力役割」という中で、「大規模災害等各種事態への対応」という中で、大災害等自然災害に対する対策をしっかりとやって、適時適切に災害救援等の所要の行動を実施して民生の安定に寄与する、こういうことを言っておるわけです。  自衛隊のそういう災害等に対する活用、それから現在いろいろ国際的にも、この改正法の中にもありますが、国際的な受け入れの問題とか、自衛隊が今度災害救援という形で外国に行くという問題も含めまして、私は自衛隊の持てる力というものを、自衛隊の、防衛が主体ではあっても、その持てる組織力をいかに平時に国民の安定、国際的にも活用していくかということは大変私は重要なことである。しかし、そのためには、法制的には一応、「必要に応じ、公共の秩序の維持に当る」ということになっているわけでして、「必要に応じこですから余り平素、権限を与えられても訓練していないというような問題はあるわけですので、そういう点についての訓練を徹底して国民自衛隊として大いに力を発揮するということが大変重要じゃないかというように私自身は考えておるわけでございます。  こういう自衛隊の大災害等に対する活用という問題につきまして、今度の大綱等における新たな規定というものを踏まえまして、総理自身自衛隊最高責任者としてこの問題に関しましてどのような御見解というかお考えをお持ちか、最後にお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。
  11. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 今、委員からお話もございましたように、自衛隊法の第三条には、自衛隊は我が国の防衛だけではなくて、必要に応じて災害救援対策をしっかりやるということも任務に入れてあるわけですね。  これは自衛隊のみではなくて、先ほど来お話がございますように、侵略をどう防衛していくかとかあるいは災害に対してどう国民生命財産を守っていくかとかというようなことは国のやっぱり大きな役割責任でもありますから、したがってそういう立場から、私はこの自衛隊災害対策に果たす役割というものは大変大きいものがある、これは国民皆さんも十分お認めになっておるというふうに思うんですね。今回の阪神淡路大震災におきましても自衛隊の果たした役割は大変大きいという、やっぱり期待が寄せられておるということはもう皆さん御案内のところであります。  そこで、今お話もございましたように、今回策定いたしました防衛計画大綱の中にも新たに「大規模災害等各種事態への対応」ということを盛り込んで、そして自衛隊がそうした災害の場合にどういう機能役割を果たしてもらえるかということをしっかり踏まえて、十分その機能を果たして国民期待にこたえられるようなそういう作業ができるように、これからも大いに推進していかなければならぬというふうに思うんです。  ただ、私は常々思うんですけれども、今、防災の日なんかに災害訓練をやっていますね。その災害訓練なんかをするときに自衛隊の人にも参加してもらう、あるいは民間の関係団体も入っていただく、そして全体としてその地域の災害対策に万全を期していくというような体制が常々から必要ではないかというようなことについても今後十分考えていく必要があるのではないかというふうに思っております。
  12. 依田智治

    依田智治君 どうもありがとうございました。終わります。
  13. 市川一朗

    市川一朗君 平成会市川でございます。総理大変お忙しいところ御苦労さまでございます。  私も、この新しい時代対応いたしまして、ぜひとも災害対策基本法を含めて、この阪神淡路大震災教訓を踏まえた国としての危機管理体制整備を早急に図る必要があるというふうに考えておりまして、私ども災害対策基本法改正案にも取り組みまして、政府案といろいろ比較しながら、衆議院の段階でも相当の御議論がなされ、修正もされました。  それをもとにいたしまして先般、当委員会におきましても国土庁長官中心といたしましてかなり真剣な審議やりとりをしたところでございまして、あと一歩というところでストップしてしまいましてきょうまで延びてしまいました。依田委員もお触れになりましたけれども、やはりこういう大事な法案がもう一歩で通るというときの国会運営あり方といいますか議会運営あり方につきましては、私もどこの責任と言うつもりはございませんけれども、特にやはり政府を支える立場としてはよく考えていただきたいなと痛感しておる次第でございます。  総理、今もやりとりがございまして、あの一月十七日の時点で総理として大変御苦労なさったと思いますけれども、私どもこの法案審議も通じまして、またあの一月十七日の状況をいろいろ反省してみますと、かなり幾つかの問題点があったと。それが今回の法改正の中である程度改善はされたとは思いますけれども極めて不十分で、果たしてこれでうまくいくのかなというふうに実は思っておる者の一人でございますので、若干そういった点も含めまして二、三総理の御見解、特に総理はそのときの当事者として、最高責任者としておられたという意味におきましては大変貴重な存在でもございますので、将来の、後世の皆さんに参考になるような意味を含めましてお聞きしたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。  あのときはいろいろございましたけれども、先ほどの御答弁にもございましたように、緊急災害対策本部というのは設置なさらずに、緊急対策本部という総理を長とする全閣僚ベースのものとそれから通常の非常災害対策本部という形で行われたわけでございますが、私どもが見ますときに、大きく二つ問題があったんじゃないかなと思う次第でございます。  一つは、やはりああいう災害のときは緊急災害対策本部という災害対策基本法に基づく本部を設置して、その本部長総理がお座りになりますと法律に基づくいろんな権限もございますので、それを執行する。それで、事務局のメンバーもそれに基づいていろいろ行動するわけでございますから、特に関係省庁分かれております問題を統一的にやっていく場合には、やはりあの法律に基づく本部を設置すべきだったんじゃないかなと思うわけでございますが、この点につきましては、法律上いろいろ問題があってその問題をクリアできなかった。  したがって、今回の法改正においてはそれがクリアできるように設置要件の緩和ということを取り組んでおられるわけでございますけれども、やはりそこは一つの大きな問題でございまして、今回の設置要件の緩和で果たしてその点が本当にうまくいくのかどうかといった点では、例えば異常な災害でなきゃいけないとかそういう要件はそのまま入っておりますから、異常であるかどうかというようなところでなかなかまた官邸で御議論があったりするおそれもございますので、そういった面も含めまして、一つの緊急災害対策本部の設置ということがやっぱりあのときはあった方がよかったんではないかなという反省に立ちますと、今後あのような災害が来ました場合にはそういった体制ができるようにしっかりとつくっておく必要があると、こういうふうにまず一つ思うわけでございます。  それから問題の第二点は、緊急対策本部が設置されましたのは一月の十九日でございまして、一月十七日から二日後でございました。余り例には私はならないと思うのですが、ちょうど一年前、アメリカのノースリッジで地震がありましたときもちょうど一月の十七日でございまして、時間がちょっと向こうは早くて四時半でございましたが、大体あの地震は相当規模が小さいですから阪神淡路大震災との比較には到底ならないと思いますけれども、しかし大統領も含めまして緊急に対応して、一月十七日、一日の間に現地本部の設置も含めて全部でき上がったわけですね。やっぱりそういった意味で二日間のずれというのは大変大きな問題であったのではないか、そういうふうに思うわけでございます。  その辺も今回の改正でいきますと、やはり死者五千名に及ぶ大災害だということで今国民皆さん認識しておるわけでございますが、死者五千名であるということを確認できるのには、総理も御経験なさいましたように、非常に時間がかかるわけでございますね。アメリカの場合はもう少し違ったシステムを導入しておるわけでございますが、そういった点も含めまして、事件が発生したその日のうちに総理を長とする緊急災害対策本部が設置されて、そこで国民の前で総理の姿勢も出され、そして体制も動き出すという、そういうふうになることが非常に大事だと思うのでございます。  そういう観点で今回の法改正につきまして私どももいろいろ御提案を申し上げたのでございますが、いろいろの折衝の結果、修正案の段階で今所を得ておりまして、それで私ども平成会といたしましても、なお反対を続けるというつもりではございませんが、ひとつ総理、貴重な経験をされた最高責任者という立場も含めまして、るる申し上げましたけれども、その辺につきましての総理の基本的な考えと、やはりこうした方がいいんじゃないかといった御提案も含めましてお聞きできればと思う次第でございます。
  14. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 依田議員は内部のことを詳しく御存じですし、市川議員はその方の専門家ですから、大変貴重な今御指摘がございました。  私は、先ほども答弁申し上げましたように、十七日の阪神淡路大震災というのは朝六時のNHKのテレビで最初に見たわけですね。そして、ああこれは大変大きな地震だなと、こう思いましたからすぐ、京都が何かあのときには震度六とか七とかいう情報が出ましたね、そこで京都の知人に電話したんですが、あれ京都にせぬで兵庫にすればもっと変わったかもしれませんけれどもね。京都にしましたら、揺れは大きかった、しかし被害はありませんと、こう言うものですから、ああそうかよかったなと、こういう話でおったんですけれども、だんだんだんだん情報が入ってくるに従ってこれは大きな災害になるというふうなことで、非常災害対策本部というのはすぐ設置をして、そして取り組んでもらったわけです。  ただ、緊急災害対策本部というのは、今お話もございましたように、発動するまでの条件が少し厳しいものですから、例えば布告をするとか、あるいは物価統制をやるとかいうようなことがあるものですから、今の現状を考えた場合にそういう必要はないんではないかと。だから、もっと簡単にと言ってはなんですけれども、素早く設置ができるようなそういう条件の緩和をひとつ考える必要があるということが一つ。  もう一つは、緊急災害対策本部の場合は本部長はなるほど総理大臣です。だけれども、部員は全部関係の局長ですから、したがって、これではやっぱり内閣が全体として取り組む体制にならないというんで、今回の場合も緊急対策本部を設置して、そして部員は全部閣僚ということにして、そして専任大臣も指名をして、そして取り組んでいったと、こういう経過があるわけです。そういう経験に照らしてみた場合に、私は、今お話もございましたように、できるだけ設置条件を緩和して、そして内閣最高レベルで全体として取り組めるようなそういう体制というものをしっかりつくることの方がやっぱり責任ある体制になるんではないかというふうに思いましたので、今度改正案を御審議いただいているところなんです。  これは、私はやっぱり危機管理問題等についてはいろんな欠陥があったと思いましたのは、今御指摘もございましたように、緊急対策本部を設置したのが十九日なんです。そして、現地対策本部を設置したのは二十一日なんですね。したがって、そういう点から考えてまいりますと、もう少し早く緊急対策本部を設置する必要もあったろうし現地対策本部もつくる必要があったというふうに思いますけれども、これは一つの経験ですから、そういう過ちを繰り返さないようにやっぱりきちっとやる必要があるというふうに考えております。  そのためには、今度の災害なんかでも、これは私がちょっと本会議で誤解を招いた点がありますけれども、現地でそういう作業に当たる皆さん方がみずから被害者なんですね。ですから、ふだん想定できないような事態というものが発生して、情報もなかなかつかめないし、職員も集まらないしというふうなことがいろいろあったと思いますね。  そういう場合にどういうふうに対応していくのかというようなことも考えていかなければなりませんから、したがって、もう少し航空機や画像でもって、衛星を使って、仮に電線が壊れたり通信が破壊されたりしてもそういうものを使って正確な情報がつかめるような仕組みというものも考えていく必要があるんではないかということが一つ。それから、何といいますか、地震被害の早期評価システムといったようなものも開発をやって、そして地震があった場合に直ちにどういう状況になるということがあらかじめ想定できるような、そういうやっぱり準備というものもしっかりやっていく必要があるというふうに考えておりますから、そういう活用方についても今取り組みをしているところであります。  いろいろ変わる点もまだあるかもしれませんけれども、今考えられる範囲では、防災懇談会でも相当な角度からいろんな立場からの議論をしてもらいましたし、そこからいただいた答申についても十分尊重して今度の改正案の中には盛り込んであるつもりでありますから、十分にちゃんと御審議をいただいて、いいものをやっぱりきちっとつくっていただくということが必要ではないかというふうに考えております。
  15. 市川一朗

    市川一朗君 アメリカでは災害が起きますと、大体被害はこれくらいじゃないかということを想定いたしまして最大被害、そういった最大被害想定をやって取り組む、そうしない限りは迅速な対応はなかなか難しいんじゃないかと、私もそういうふうに思っている次第でございますので、前回審議の際にも国土庁の方といろいろ議論しました。今、取り組んでおるようでございますが、余りまたこれも慎重にやるんじゃなくて、もうアメリカの場合はかなり大胆です。それで、私の経験では、そのとき発表した被害よりも現実の被害がかなり小さくとも、大きな被害を想定して動いたということでもって国民の支持が得られますから、国土庁長官も横におられますが、ぜひそういった気持ちで、要は災害が発生したときの国の取り組みが迅速であるということが大事なものだと思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思う次第でございます。  それから、被災者の救済とか、そういったような問題につきましていろいろ問題があるのでございますが、小里大臣が本を書かれまして、総理も御存じかもしれませんが、その中で「財政支出の決断」という項目がございまして、「大災害時においては、応急対策のため財政支出を要することも多くなるが、個々に財政当局と担当省庁(往々にして複数官庁にまたがるケースが多い)とが調整するのでは迅速性を欠く」と、こういう反省をしておられるわけでございます。  先ほど議論になりましたアメリカのFEMAはいわゆる基金を持っておるわけでございます。英語で何と言うかちょっとわからないんですけれども政府の方でつくった資料では大統領災害救助基金ということを言われておるようでございまして、私の得ている情報では大体十五億ドルぐらいの基金を常時持っておって、それで災害が発生した場合に、とりあえず必要なものについてはそれを使う。したがって、財政当局と各省庁との折衝とかそういったようなことは、まあそれは省けるということでございまして、日本の場合、全くそういう仕組みが、予備費とかいろいろありますから、ないわけじゃございませんけれども、かなりそれがアメリカではFEMAが歓迎されている一つの要素でもあるというふうに聞いております。  今回の法案審議に際しましてもいろいろ議論がありましたし、また総理の方でおつくりになりました防災問題懇談会でも災害相互支援基金というような話も出ておりますが、主として地方公共団体の出捐による基金を想定しておられるようでございますけれども、私はこの際、政府の支出も含めまして、そういう大災害時に備えました基金というものを、それほど大きい金額でなくていいと思うんです。いわゆる非常災害対策本部が設置されましたら、非常災害対策本部長の権限でそれを支出できる、そういったものがやはりどうしても必要なんじゃないかなと思う次第でございます。この大きな災害を直接御経験された最高責任者としての村山総理でございますから、この際、また各省の議論、政府部内の議論に任せておきますとなかなか実現しませんので、ひとつ、おれはつくるんだというくらいのお気持ちで御決意をお伺いしたいと思う次第でございます。
  16. 村山富市

    国務大臣村山富市君) これは貴重な御意見だと私は率直に思います。ただ、災害の規模やらその災害を受けた現地の状況等から判断をして、どういう場合にどういう形でその基金が使えるのかというようなことも考える必要があると思いますし、余り機械的、形式的になってもかえって弾力性を欠いたり、緊急に対応できなかったりするような面もあると思いますから、なかなか難しい点があるんじゃないかと思うんです。  私は雲仙の災害の場合、あるいは今度の阪神・淡路の災害の場合等から考えてみて、起こってくるいろんな事象やら住民の被害者の要求に対して柔軟にこたえ得るようなものという立場から、それぞれ基金がつくられましたね。そしてその基金が使われたわけですけれども、それは基金が多いとか少ないとかいうことはおると思います。あると思いますけれども、やっぱりそういう経験に照らしてみて、その必要に応じて自由に判断をして支出ができるような、そういう人間の知恵でつくられた基金制度ではないかというふうに私はそのときに思ったんですけれども法律制度に基づいて出される金と、そうでなくて、そんなものに縛られずに自由に柔軟に対応できるようなそういう基金というものがあって使えればそれはそれなりのやっぱり役割を果たしているというふうに思います。  そういう基金がつくられているけれども、これを全国的に国なら国レベルでもって基金を設置するとか、そうなりますとその財源はどういうふうにして調達するかとか、いろんな技術的に難しい問題があってなかなか簡単にはいかないんじゃないかと思いますけれども、やっぱりこれは備えあれば憂いなしで、そういうお考えがあるのは当然だというふうに思いますから、今後またこれは検討しなきゃならぬ課題だというふうには思っておりますけれども、そういう技術的にまた運用面で大変難しい問題があるということについても十分御理解を賜っておきたいと思うんです。
  17. 市川一朗

    市川一朗君 終わります。
  18. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 渡辺です。時間が十分間しかありませんから、私がちょっと述べまして、最後総理の方から、特に約一年近い期間がたっておりますから、この期間の感想についてひとつ述べていただきたいと思うんです。  先ほどもお話がありましたが、私自身も、党内問題でありますが、今度のこの改正案は別に予算を伴うものでもないし、参議院先議をやったらどうかということを実は会の役員にも申し上げましたが、国対、国会全体の問題として衆議院の方で先に審議されて、六項目の修正追加までして持ってまいりましたので、何か非常におくれて国民皆さんには申しわけないというふうに実は思っておるのが私の実感であるわけです。  考えてみれば、私はあの悪魔の一月十七日というふうに実は言いたいわけですが、本当に今日まで日本のすぐれた技術者あるいは研究者を初め国民全体の想像を絶する阪神・淡路の大震災であったと。今日では、やはり被災が原因でその後亡くなられた方を入れますと六千名以上の方が命を失っておる。負傷者も四万二千人がおられる。あるいは家屋の倒壊が十万棟以上だと。そして、特に被災者自身も三十二万、あるいは線路網も新幹線あるいはJR西日本、阪神電鉄等で全体で六百三十八キロというのが通行不能になるというような、本当に大都市における直下型地震の恐ろしさを被災者を初め全国民に焼きつけた今度の災害ではなかっただろうか。  この災害が起きた後、技術者なり科学者がいろいろ言われておりましたが、例えば構造物のモメントの計算についても、やはり地震計数をどの程度とっておるか、安全度をどの許容限度を広げて見ておるかというような問題についてもそれぞれ議論がされておりましたが、これほど日本自身地震列島だあるいは火山列島だと言われて、古くは関東大震災から近くは、もう三十年にもなりますが新潟大震災を初め多くの地震に実は見舞われてきたわけですけれども、直下型の地震に対しての対応そのものがあるいは研究そのものがおくれておったんではないかということを、また想像もできなかったからそういう結果になったんではないかということを科学者なり技術者の皆さんが言われておることについて、私ら国会におる一人としてもやはり責任感じながらこの十一カ月経過をしてまいりました。結果、やはり特に人口密集地における都市災害についての従来の防災対策の欠陥が、先ほど総理からもお話がありましたように一挙に噴き出てしまったような気がしてなりません。  災害発生当時、お話がありましたように、官邸に対する情報収集のおくれ、その結果、初動体制のおくれによって、危機管理対応について各方面から多くの指摘がなされました。  ここに前の官房副長官の石原さんが「初動の遅れに批判」ということで出されておりますが、石原さんの言葉をかりますと、地震発生当日のことがここに記されてありますが、石原さんは、政府全体の危機管理対応や初動態勢の悪さが批判された原因には、一つは官邸が被害を正確に把握するのに非常に時間がかかったこと、これも被災現地からの情報が非常に入らなかったというのが一つ。内閣体制について、例えば外敵の侵入など、先ほどお話がありましたが、国の安全情報内閣情報調査室の方でこれは二十四時間体制官邸に入ってくることになっておる。がしかし、自然災害については所管は第一次的には国土庁防災局となっておる。  先般の一般質疑のときにも申し上げましたが、三十七名の体制で十三億ぐらいの予算でもって何ができますかということを私は申し上げましたが、今度人員も増員をするということで要求されておるというお話を聞きましたが、その日は当直者がなかった、こういうことで対応がおくれて、この教訓反省の上に立って、大災害になれば最初から総理が陣頭指揮をとる形であるべきだというふうに石原さんも述べておるわけです。  私は、今度の改正案をずっと見てまいりまして、かなりそういう部分についてはやっぱり反省に立って生かされておる、対処をされておるというふうに実は考えておるところです。  あの当時、初動対応のおくれについて総理みずからも先ほども認められておりましたが、しかし災害対策本部長として、私に言わせれば超法規的といいますかというぐらいに思われるほど多くの施策を実施しながら、不眠不休に近い努力を全閣僚政府一体となって取り組んできた、これはやはり国民皆さんも認めておると思うんです。そして、企業の皆さん国民皆さんの協力と支援の中で救援等復旧そして復興に力を注いできた村山内閣に対して、私はここで改めて敬意を表したいと思うんです。  そういう中で、国会も超党派で、予算委員会のさなかでありましたけれども、特にやはりこの災害対策問題については全国会を挙げて政府一体となって進めてまいりました。その結果が、例えば道路、鉄道、港湾等の復旧が当初の予定をかなり短縮しながら復旧することができたというふうに思っておるところです。  しかし、考えてみれば、もう発生から約十一カ月近くになるわけですけれども、いまだに約千七百人に近い被災者の皆さんがこれから厳しい冬を迎えて不自由な避難生活を送っているという現状を私らは忘れてはならない、一刻も早くこういう人たちを希望する方向で救援をしなきゃいけないんじゃないかというふうに思っておるところです。  鉄は熱いうちに打てということわざがありますが、審議の中で、特にやはり本改正案の立法過程では、先ほどから申し上げましたように災害教訓反省の中から提案をされて、特に総理が力を入れたのが体制整備に万全を期したいというところだったと思うんです。そういうことで、国会自身一体となって、そしてこの改正法案を一刻も早く成立させて、いついかなるときでも万全の対策が講じられるような方向に持っていかなきゃいけないというふうに思っております。  私は、委員長もおられますが、地方行政委員会に所属をしておりまして、全国の自治体関係、自治省、消防庁、警察一体となって今各自治体で地域ごとの防災計画を必死になって計画をし、そしてつくり上げておるさなかでもあるわけです。多難な予算も、特に防災対策については力を入れながら政府に対して予算要求もやっていこうということで意思統一をしながらかかっておるわけですから、総理の頭の中に、各自治体が防災対策に今一生懸命取り組んでおる、そのための施策をいろいろ実施するわけですから、ぜひ予算の段階でも頭の中に入れておいていただきたいというふうに思うわけです。  そういうことを実は申し上げまして、十分しかないわけですから、この悪魔の一見十七日から十一カ月近くになりますが、総理自身の大変な御苦労と、そして最高責任者としての感想と、これからの決意についてお伺いをして、私は終わりたいと思います。
  19. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 今、渡辺委員が言われたことに尽きるんじゃないかと思いますけれども、やっぱり一年近くたってみて、本当に悪夢のような思い出が心の中にはずっと残っているわけですけれどもね。  やっぱり現地の災害状況をいち早く正確に把握する、どうしたら把握できるのかということが最初は一番大事ですね。そういうことがわかって初めて初動における行動もとれるわけですから。ただ、あの場合には、何といってもやっぱり情報が正確にとらえられるか。率直に申し上げまして、あの朝の六時から七時、八時ぐらいまでの段階には、恐らくテレビをごらんになった方もあれほど大きなものになるというふうに思われた方はいなかったんではないかと私は率直に思うんですけれども、そこらがやっぱり、さっきもお話がございましたように、ああいう地震があった場合に、どの程度の被害がその地域に起こるかということがあらかじめ察知できるようなそういうシステムというものをしっかりつくっていくことが大事ではないか。そうすれば情報が入らなくたってそれに対する対応もできるわけですから、そういう事前のやっぱり平素からの措置というものも大事なことだというふうに思いますしね。  それから、緊急に対応できるようにするためには、できるだけやっぱり手続なんというものは簡便にして、そして臨機応変に決断をしてやれるようなものが大事だというふうに私は思うんです。十七日の三時ごろ、消防庁長官が現地に行って、そして電話をいただいたわけですけれども、そのときに私は、あの火災の状況なんかを見ながら申し上げたんですけれども、可能なやれる範囲のことはもう全部やり尽くしなさい、すべて責任を持つ、こう言ってお電話で申し上げたんだけれども、それは、そうは言ったってなかなかやれる範囲のことはあると思いますけれども、本当にそういう気持ちでした。  ですから、私は、あのときにこういう体制ができておってこういう情報が的確につかめておればもっとうまくいったんではないかとか、あるいは自衛隊活用についても、自衛隊の出動が遅かったというような批判もございますけれども、もう少し平素から連携をとった形で、こういう場合にはどういう出動ができるとかというようなことが平素から連携がとれておって、共同で防災訓練をやっておったような実績があれば私はもう少し何とかなったんではないかというふうなことを考えたりなんかいたしますから、そういう反省も踏まえて、遺漏のないようにしっかりやらなきゃならぬというので、防災基本計画も見直しをするし、それから懇談会の答申も受けて必要な対策については今度の改正案の中に盛り込んで、そして可能な限り万全が期されるようなものにしていきたいというふうに考えています。
  20. 山下芳生

    ○山下芳生君 総理は、十一月七日、衆議院の委員会質疑の中で次のようにおっしゃっております。現実に地元の皆さんの実態というものを見た場合、個人補償をもっときちっとできるような仕組みがあればいいと思いますと。一国の総理が現実の実態を見て個人補償の仕組みがあればいいと認識をされたんだったら、あとは総理が決断をすれば、実現に向かって進むと。私、ぜひ個人補償を実現するために総理が決断をされるおつもりがないか、お伺いしたいと思います。
  21. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 先ほども基金の話がございましたけれども、これは建前として、そういう場合に個人に対する補償というのはできるような仕組みに今なってないわけです。したがって、そういう個人の補償が必要とされるようなものについてどう運用したらいいかというので知恵を出し合って、そして長崎の場合も阪神・淡路の場合も基金というものがつくられて、そこにいろんな募金があったり、それから市町村が出すし、国も若干それに充当させて、そして基金でもって運用していく、こういうことがとられたわけですから、先ほどお話がございましたように、こういうものが常時やっぱり設置をされておって、そして今の法体系やら制度ではできない個人の救援に使えるようなそういうものがあった方がいいんではないか、こういうことだと思いますけれども、私は、そういうこともやっぱり検討していく課題ではないかと思うんですよ。  これは、例えば保険なんかがありますから、災害保険に入っている、しかし地震の場合には対象にならないとか、いろんな欠陥もあるわけですから。地震というのは、この兵庫の場合もそうですけれども、それはもう財産から何から全部なくなってしまうわけですから、あしたからどうしたらいいかということに直面するわけですから、そういう場合にやっぱり対応できるような何らかの知恵はお互いに出し合ってやる必要があるんではないかと思いますけれども、しかしなかなかその仕組みをつくる場合に難しい面もありますから、これから検討していかなきゃならぬと私は思います。  そういう場合に、あしたの生活費を例えば支給するとか、それから一番困っている者に対して何か手を打つとかいうようなことが何らかの形でできることは必要ではないかということは常々私は考えておるところでありますけれども、なかなか制度仕組みの中では難しい点があって、そう簡単に結論が出る問題ではないということについては御理解をいただきたいと思うんです。
  22. 山下芳生

    ○山下芳生君 今、検討に値するというお答えがありましたので、具体的に積極的にそういうふうに進めていただきたいと思います。  また同時に、今仕組みはないけれども、あしたどうする、一番困っている人たちを、今困っている人たちをどうする、これは現に考えなきゃならないというふうにおっしゃいました。  そこでお伺いしますが、今、神戸の被災地では仮設住宅での相次ぐ孤独死や、あるいはこれから冬を迎えますから被災者の健康悪化が危惧されているというふうに思うんです。兵庫県の医師会の調査によりますと、神戸の激震六区では、医療費の一部負担金の免除措置、いわゆるマル免制度の患者さんが五割から七割実際に病院に来られた中で占めているということがわかりました。まさにこのマル免制度というのが被災者の命の綱になっているというふうに思うわけです。ところが、このマル免の措置が本年十二月末までで打ち切られるということになっています。これは大変なことです。命の綱が切れるわけですから、兵庫県の医師会もマル先延長の決議をされております。これは切実な、重たい決議であり、声だというふうに思うんです。  厚生省にお伺いしますけれども、少なくとも、今残っている健保の低所得者への一部負担金の免除、それから国保の一部負担金免除措置については来年以降も継続するべきではありませんか。
  23. 岡光序治

    政府委員岡光序治君) この被災に伴う緊急医療の確保という観点から一部負担につきまして免除措置を講じているわけでございます。御指摘がありましたように、被用者保険の低所得者の方々、それから収入基盤が脆弱な国民健康保険の被保険者、こういった方々につきましてその経済的な打撃が大きいであろうということを想定いたしましてこういった措置をとったわけでございます。そういう意味では医療保険制度においての例外的な取り扱いでございまして、私ども、これを延長いたしまして、約一年間長期に実施してきたわけでございますが、被災から一年近くが経過をいたしまして、ただいま申し上げましたような被災に伴う緊急医療の確保というそういう観点からは一応対応ができたのではないだろうか、こういうふうに考えておりまして、したがいまして、本来の原則に戻るべきではないだろうかというふうに考えております。
  24. 山下芳生

    ○山下芳生君 今、医師会も命綱が切れそうだということで決議がやられておりますので、総理制度はなかなか難しいがと、今実際にある制度ですから、これを延長するということは、実際に困っている方に手を差し伸べるという総理の先ほどの御決意から見てもぜひ御検討していただきたいということを述べて、終わります。
  25. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 総理、御苦労さんでございます。五分という質問時間ですので、時計をにらみながらさせていただきます。  阪神淡路大震災の地元兵庫出身議員として、きょうは総理に、五百四十万県民、被災地三百万市民の声を代弁するというつもりで総理に訴えたい、こう思います。  阪神淡路大震災から十カ月がたちました。震災から時間がたつにつれて地元が一番心配しておりますのは、被災地と国の温度差が出てきたのではないかということなんです。私も、当初、与党の災害復興プロジェクトチームに加わって必死の思いで四月まで頑張りました。私も国会議員の一員として、国民生命財産を守るべき立場の人間が一体今何ができるのかと、ある意味ではむなしい思いをしたり、本当に議員をやめたくなるような思いで頑張ったことを今思い起こすんです。  そこで、復興の基本方針や施策を提言する首相の諮問機関、阪神淡路復興委員会は任期を四カ月残して十月末に活動が終わってしまった。震災復興は最重要課題として村山内閣は頑張っていただきましたが、地震担当専任大臣が姿を消してしまった、こういうこともあります。  それから、復興委員会が打ち出した提言の中で復興特別事業というのがありますが、しかし、七千八百億円の復興関連事業が盛り込まれた十月の第二次補正予算後も一体何が復興特別事業なのか明確でない。最近、政府の復興対策本部は、二次補正では土地区画整理の補助対象拡大や来年度当初予算でやる事業を大幅に前倒しした、だから二次補正に盛り込まれたものすべてが復興特別事業だというようなことをおっしゃり始めている。政府がどれを復興特別事業に選ぶかを明確にしなければ、私はこれは大変なことになるんじゃないかと考えます。  これから来年の予算編成の作業が本格化してくるんですが、この被災地の復興という問題をやはりはっきりと被災地の皆さんに姿が見えるようにやっていただかなければいかぬのじゃないかと私は思うんです。アメリカのロス大地震のときにクリントン政権が打ち出したことは、信頼の復興ということ。復興すべきことはたくさんあると。その中でやっぱり信頼の復興ということ。信頼ですね、政府に対する信頼。今まさに、私は政府に対する信頼の回復というものが大事ではないかと、こう思うんですね。  それで、被災者のメッセージがいろいろあります。私のところなんかにこういう質問が出てくる。仮設住宅で、待機所で、テント村で、壊れた家での生活がどんなものか想像できますか。一日だけでも体験生活していただけませんか。この十カ月国が何とかしてくれるという甘い期待を持ち、我慢を覚え、努力してきました。でも、もう限界です。これから何日同じ暮らしをすればもとの生活に戻れるのですか、予測で結構ですから明示してくださいと。地元ですから、日ごとこういう言葉の中で私たちは暮らしているんですよ。  そこで総理、一言、国の責任として、今一番地元が期待しておるのは復旧・復興、そして必要な財源を国が責任を持ちますと。だから皆さん頑張ってくださいと。大変でしょうが頑張ってください、不安を持たないでくださいという、この一言じゃないかと思うんですよ、総理の励ましの言葉。やはり本当に国が責任を持ってこれから復旧・復興をやっていく、地域社会をもとどおりにしていく。そのために本当に責任を持ってくれるのかと。そのことは、コミニュティーの問題はやっぱり地域がやればいいんですよ。だけれども、必要な財源を国が本当に責任を持ってくれるのかという不安、これが被災者もそれから自治体の責任者もいろんな人が思っているんです。  だから総理、一言、頑張ってください、苦労は多いけれども、寒い冬に向かいますがしっかりしてくださいよ、国が来年度の予算に向けてもきちっと財源については責任を持ちますと、この一言がどれほど大きな励ましになるか。一言おっしゃってください。地元に対するメッセージとしてお願いします。
  26. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 被害を受けてお困りになっておる被災者の立場に立って切々と今お話がございましたけれども、その訴える気持ちというのはよく理解ができます。そういう皆さんの気持ちにどうおこたえできるかというので、今全力を挙げて取り組んでやっているところであります。  これは委員御案内のように、これまで三回の補正予算において阪神淡路大震災関係経費として約三兆三千八百億円に及ぶ予算措置を今まで講じてまいりました。これは、被災地の復旧・復興に必要な事業の円滑な実施を図るためでございますが、特にこの復興に向けては、七月に「阪神・淡路地域の復興に向けての取組方針」、先ほどお話しございました方針を決めて、そして地元と十分連携をとり合いながらその実施に全力を尽くしておると。特に、平成七年度第二次補正予算では、その取り組み方針で明らかにした生活の再建、経済の復興及び安全な地域づくりの三つの基本的課題に対応した復興関連事業を最大限盛り込んでおるところでありますが、これらの復興関連事業をいずれも復興特別事業に位置づけて今やっているわけです。ですから、この復興特別事業というのを、姿が不明確だと言われる点はあるかもしれませんけれども、今申し上げましたような事業を総体として復興特別事業として位置づけて政府は取り組んでおるということについては御理解をいただきたいというふうに思うんです。  私はこういうことを先輩から言われたんです。地震はこれは自然災害だ、これはだれも防止できないと。だけれども、これから救援やら復旧やら復興をどうするかというのはまさに人災だと。だからそのつもりでやってほしいと。こういう警告をいただいたんです。私はそのことを今でも思い出すんですけれども、そういう気持ちで、被災者の気持ちを十分踏まえた上で全力を挙げて政府は取り組みますと、寒い時期を迎えますから皆さんどうぞひとつ元気を出し合って協力し合って復興のために取り組んでいただきたいと、政府全力を挙げて皆さん期待におこたえ申し上げますということを申し上げておきたいと思います。
  27. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  災害対策基本法及び大規模地震対策特別措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  28. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  北澤君から発言を求められておりますので、これを許します。北澤君。
  29. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 私は、ただいま可決されました災害対策基本法及び大規模地震対策特別措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議平成会、日本社会党・護憲民主連合及び参議院フォーラムの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。  災害対策基本法及び大規模地震対策特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一、災害発生時の国の適切な初動対応を確保するため、情報収集体制を強化し、夜間の災害発生にも対処しうる体制整備に努めること。  二、国及び都道府県は、市町村長が警戒区域の設定等の応急措置を円滑に行うことができるよう、経費等の必要かつ適切な支援を行うよう努めること。  三、非常災害対策本部及び緊急災害対策本部の設置に当たっては、災害応急対策を的確かつ迅速に実施するため、当該災害の規模その他の状況に応じる設置基準について早急に検討を行うこと。  四、活動火山周辺地域など二以上の市町村の区域にわたり、警戒区域を設定しなければならない災害が生じるおそれのある地方公共団体においては、必要に応じ、あらかじめ相互応援協定を締結する等により協力体制整備、充実に努めること。  五、非常災害時において、中央防災会議委員に対する情報連絡体制整備するとともに、中央防災会議緊急災害対策本部等との連携を保ちつつ、実効ある緊急措置を円滑に行うよう努めること。  六、自衛隊による災害応急対策を円滑に行うため、災害派遣を命ぜられた自衛隊の活動に伴う負担については、財政的にも所要の配慮を行うよう努めること。  七、国及び地方公共団体は、大規模災害による被災者等を支援するため、全国地方公共団体等が拠出する災害相互支援基金の制度の創設について、早急に検討を行うこと。  八、国及び地方公共団体は、自主防災組織、警察、消防、自衛隊、ボランティア等が一体となった、より実践的な防災訓練を行うとともに、住民の防災意識の普及、啓発に努めること。  右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  30. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) ただいま北澤君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  31. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) 多数と認めます。よって、北澤君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、池端国土庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。池端国土庁長官
  32. 池端清一

    国務大臣(池端清一君) 災害対策基本法及び大規模地震対策特別措置法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって議決されましたことを深く感謝申し上げます。  今後、審議中における委員各位の御高見やただいま議決になりました附帯決議の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。  ここに、須藤委員長を初め委員各位の御指導、御鞭撻、御協力に対して深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。どうもありがとうございました。(拍手)
  33. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時十三分散会      —————・—————