○
説明員(
中名生隆君)
経済企画庁の
国民生活局審議官をいたしております
中名生隆でございます。
私の方からは、
消費生活相談について御
説明をさせていただきます。
先生方のお
手元に、「
地方公共団体における
消費生活相談に関する
説明資料」という五枚紙の
資料をお配りしてございます。これに沿って三点御
説明を申し上げたいと思います。
第一は、
消費生活相談というのがどういう
趣旨で、どういう
体制で行われているかということでございます。それから第二点は、
相談の
件数がどのくらいあるか、あるいはその中身がどういうものであるかということでございます。それから第三点は、受け付けた
相談なり
苦情をどのように
処理しているかということでございます。その三点について御
説明を申し上げたいと思います。
第一ページのところに
制度の
概要と書いてございますけれ
ども、
先生方御承知のとおり、
消費者行政につきましては、その
基本となっておりますのが
昭和四十三年にできました
消費者保護基本法でございます。この
消費者保護基本法の中で、危害の防止でありますとか、あるいは表示の
適正化ということと並んで
消費者の
苦情というものを適切に
処理をするということが
消費者行政の
一つの大きな柱ということで第十五条に
位置づけられております。
それから、この
苦情処理につきましては中央の
省庁で行うというよりも
消費者、生活者の身近にある
地方公共団体で行うのが望ましいということでありまして、その下の方に参考の二ということで地方自治法が書いてございますが、これは
消費者保護基本法が成立したことに伴いまして
昭和四十五年に地方自治法が改正されまして、地方自治法第二条の中に地方自治体の固有
事務として「
消費者の保護」ということが書き込まれているということでございます。そういう
意味では、
消費者からの
苦情相談というのは第一義的には
市町村なり
都道府県という
地方公共団体で受け付けるという
体制になっているということでございます。
それからもう
一つここで申し上げておきたいのは、今から御
説明をします
消費生活相談というのは、
行政に対する
苦情といいますよりも、
消費者が購入をいたしました商品なりサービスについての
消費者の
苦情ということでありますので、いわば
苦情の
対象は企業ということになりまして、先ほど
総務庁等から御
説明がありましたような
行政に対する
苦情の
処理とは若干性格を異にしているということでございます。
それで、第二ページには
消費者行政全体の機構が書いてございますが、時間の
関係でこれは飛ばさせていただきます。
三ページのところに表の一という形で
消費生活相談に携わる
相談員というのがどのくらいいるかというのを表に掲げてございます。表頭のところを見ていただきますと、
消費者行政関係の
事務職員、
消費生活相談員、商品テストに携わる職員、それからその合計ということで書いてございますけれ
ども、
都道府県それから
市町村を合わせまして約一万二千人。昨年の四月現在でございますけれ
ども、約一万二千人の方が
消費者行政の
関係の仕事をやっておられるということでございます。
特にこの
調査会で御関心のある
消費生活相談員というのは、
都道府県なり
市町村の役場のそれぞれの
担当の課で仕事をしておられ、
苦情を受け付けておられるその
方々が千七十八名。
それから、この
消費者行政につきましては、
消費者がより身近に
相談ができるようにということで、役所の中の課とは別に消費生活センターというのを各地につくっておりまして、現在拡充されて
全国で三百を超える消費生活センターというのがございます。この消費生活センターで
苦情の受け付けに当たっておられる
方々が千百五十一名ということで、両方を合わせますと二千二百二十九名の方が
消費生活相談に当たっておられる、こういうことになっております。
それから、消費生活の中身もだんだん多様化してまいりまして、商品の性格あるいはサービスの取引方法等複雑になってまいりますので、
消費者の
苦情に適切に対応していくためにはある程度の専門的な知識を持った人でなければなかなか対応が難しいということがございます。そういう
苦情相談を円滑に行うために
国民生活センター、これは
国民生活センター法という
法律に基づく
特殊法人でございますけれ
ども、この
国民生活センターで
平成三年から消費生活専門
相談員という資格認定試験を行っております。
それで、そこで一定の試験を受けて、
消費者の
苦情に対応するための十分な知識を得た
方々に
相談に当たっていただくという
体制を逐次充実させつつあるという
状況でございます。昨年の十月現在では、この消費生活専門
相談員というのは千百九十五名という方が資格を得ておられます。なお、一番新しい
数字で、ことし十月現在では、これがさらにふえまして千四百二十七名という
数字になってございます。以上が第一点でございます。
第二点は、
相談の
件数なり、その
相談の中身がどのようなものであるかということでございます。中ほどに
相談件数の推移ということで、
昭和六十三
年度から昨
年度に至るまでの
相談件数が掲げてございますけれ
ども、昨
年度の
数字で申し上げますと四十三万七千件ということで、非常に多くの
相談ないしは
苦情というものが
地方公共団体の
窓口あるいは消費生活センターに寄せられているということでございます。
その中身はどういうことかということで
苦情と問い合わせ、
苦情というのは実際に
自分が購入しました商品なりサービスについてこういう点で
不満がある、こういう損害をこうむった、そういうものでありますけれ
ども、これが三十万件強ということで、全体の約七割を占めているということでございます。それから、一般的な問い合わせが約三割という
状況でございます。
さらに、具体的にどういう問題についての
苦情があるかということを見たのがございます。非常に多いのはいろいろな契約ないしはその契約の解除、こういうものに関する
苦情というのが二十二万七千件ということで、全体の過半を占めておるという
状況でございます。
それから、もう
一つ多いのは販売方法というのがございますが、これは今、商品、サービス両方を含めて申し上げておりますけれ
ども、これが合わせて十二万件ぐらい、三割近くを占めているということで、こういうところに最近の
苦情の中心が移ってきているということでございます。
それから、
最後に第三点でございますが、受け付けました
苦情相談をどのように
処理しているかということでございます。
これにつきましては、図の二に簡単に
相談処理の流れというのをフローチャートで書いてございますけれ
ども、
基本的な考え方といたしましては、
消費者の
方々にも自立をしていただくため、
消費者教育、啓発を行うということとあわせまして、できるだけ
消費者も十分な知識を持って企業の方と自主的に話し合いをしていただくということを
基本に考えております。そういう交渉をしていただくために必要な助言なり情報の提供ということを中心に置いております。それで、できるものはその場ですぐにそういう助言なり情報提供を行う、こういうものが多うございます。
しかしながら、中にはさらに詳しく背景を調べてみるとか、あるいは物によっては問題になっている商品のテストをしてみるということで、時間をかけて
処理をする必要があるというものがございます。これが継続
処理ということで、こちらの方が
件数は少ないんですけれ
ども、
相談員にとってはなかなか時間のかかる
案件ということになるわけでございます。
基本的には
消費者と企業との間で話し合っていただくわけでありますけれ
ども、その場合に
消費者が不利な立場に置かれる、十分な解決が難しいという場合には、消費生活センターが両者の間に入りましてあっせんをするということがございます。これはあっせんで解決する場合、それからなかなか調わない場合とございますけれ
ども、多くのものはセンター等のあっせんで
消費者が満足できる形で解決がされているということでございます。
なお、事後
処理ということでございますけれ
ども、先ほど申し上げました
東京の
国民生活センターでは、各地の消費生活センターとの間をオンラインで結びまして、
全国的にどういう
苦情があるかということを全体的に把握して、ほかのセンターの参考に供する、あるいは
行政に資するということで、私
どもバイオネットという略称を使っておりますけれ
ども、そこのところに事後的に
処理した情報というのを入れていただく、こういう形にいたしております。
このバイオネットには、ことしの八月末現在で累積いたしますと百七十九万件、約百八十万件の
苦情データというのが蓄積されている、こういう
状況になっております。
以上でございます。