○立木洋君 結局アメリカの状態を見てみますと、一九七〇年代から物に対する
貿易は赤字がどんどんふえたんですね。しかし、
サービス貿易の
分野で言えば一九七一年から黒字に転化して、黒字幅というのはずっとふえたんですよ。だから、
サービス貿易においては
金融サービスだとかそれから通信なんかの
分野での
貿易を
拡大してアメリカとしては自国の地位を保っていく、そういう考え方がやっぱり相当働いたということが私は背景にあっただろうと思うんです。
同時に、これまで
サービス貿易の
分野というのは言うならば大体二国間でいろいろ話し合いが行われてきて、ある程度の枠組みというのが二国間でできているんですね。そういう
状況の中で、これをこういう一般的な形で当てはめる、しかも急速にその
拡大を要求してくるアメリカの意図に基づいてこれをやるということでは、そういうような
サービス貿易の
分野で未発達になっているいわゆる発展
途上国においてはこれはなかなか受け入れられない、こういうものを一括して審議するというのはどうなのかという抵抗があって相当これが難航した。手続上の問題とアメリカの意図との間でのギャップがあったというふうに私は思っているんです。
ですから今の問題で言えば、例えば金融
分野なんかの問題でいいますと、それぞれの国の金融当局が適当な時期に適切な
措置をとるということをすべてこれが非関税障壁になるという形で
自由化を要求されてしまいますと、その国の金融秩序を保っていく上では大きな問題が出てくるわけですね。だから、今、局長がおっしゃったように、これは初めての
分野ですから相当やっぱり時間をかけて議論をするという必要も私はあっただろうと思うし、アメリカのそういうふうな意図で一方的に進めていくというようなことでないようなあり方というのも私は考えられてしかるべきではなかったんだろうかというふうに思うんです。結局最終的にはアメリカとしてはより高い水準の
自由化を要求して、それが水準に達していないということで、自分としては加わらないよということになってしまったんですね。
だけれ
ども、海運なんかの問題を見てみますと、アメリカは自分としては海運における自国船に対する
保護措置というのは存続させているわけです。これはあえて
自由化はしないと言っているんです。自分のところはそういう
自由化はしないと言いながら、結局未発達の国における問題においては、いわゆる金融問題なんかでももっと
自由化を受け入れなければおれはやらないぞというふうな態度というのは私はいただけないと思うんですけれ
ども、
大臣、いかがですか。