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1995-10-19 第134回国会 衆議院 内閣委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年十月十九日(木曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 大木 正吾君    理事 久野統一郎君 理事 宮路 和明君    理事 渡辺 省一君 理事 石井 啓一君    理事 今井  宏君 理事 江田 五月君    理事 山元  勉君 理事 宇佐美 登君       安倍 晋三君    相沢 英之君       小此木八郎君    唐沢俊二郎君       佐藤 信二君    鈴木 俊一君       武部  勤君    津島 雄二君       虎島 和夫君    蓮実  進君       石田幸四郎君    貝沼 次郎君       塚田 延充君    中井  洽君       野田 佳彦君    弘友 和夫君       五十嵐広三君    田口 健二君       中島 章夫君    松本 善明君       岡崎 宏美君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (内閣官房長官         )       野坂 浩賢君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 江藤 隆美君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 衛藤征士郎君  出席政府委員         内閣法制局第一         部長      津野  修君         人事院総裁   弥富啓之助君         人事院事務総局         給与局長    小堀紀久生君         宮内庁次長   鎌倉  節君         総務庁長官官房         長       河野  昭君         総務庁人事局長 池ノ内祐司君         総務庁行政管理         局長      陶山  晧君         防衛庁参事官  藤島 正之君         防衛庁人事局長 萩  次郎君         防衛施設庁長官 宝珠山 昇君  委員外出席者         自治省行政局行         政課長     朝日 信夫君         内閣委員会調査         室長      松下 英彦君     ――――――――――――― 委員異動 十月十九日  辞任         補欠選任   武部  勤君     小此木八郎君   蓮実  進君     安倍 晋三君 同日  辞任         補欠選任   安倍 晋三君     蓮実  進君   小此木八郎君     武部  勤君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  一般職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第一〇号)  特別職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第一一号)  防衛庁職員給与等に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第一二号)  行政機構並びにその運営に関する件      ――――◇―――――
  2. 大木正吾

    大木委員長 これより会議を開きます。  行政機構並びにその運営に関する件について調査を進めます。  この際、宮内庁から発言を求められておりますので、これを許します。鎌倉宮内庁次長
  3. 鎌倉節

    鎌倉政府委員 宮内庁次長鎌倉でございます。  本日は、お許しをいただきまして、最近報道されております宮杯関連する金員授受につきまして、概要の御説明を申し上げます。  まず、高松宮家におきましては、大津市営びわこ競輪で毎年開催されております高松宮杯関連で、大津市、滋賀県及び近畿自転車競技会から、昭和四十六年度から平成六年度までの間に一億二百七十五万円を授受されていました。同じく住之江競艇場で毎年開催されております高松宮記念特別競走関連で、大阪競艇施行者協議会から、昭和五十三年度から平成六年度までの間に二千万円を授受されていました。  また、寛仁親王家におきましては、前橋市営競輪で毎年開催されております寛仁親王牌世界選手権記念トーナメント競輪関連で、前橋市及び関東自転車競技会から平成四年度から平成六年度までの間に二千二百万円を授受されておりました。  以上の金員授受につきましては、いずれも皇室経済法及び皇室経済法施行法に定める一定額を超え、国会の議決も経ていないことから、高松宮家においては十月二日及び三日に、寛仁親王家においては十月六日、それぞれ授受された金員全額関係地方公共団体等に返還されたところであります。  宮内庁といたしましては、本件についてはまことに遺憾に思っておりまして、このようなことが再び繰り返されないよう、日ごろから宮家のお世話に最善の努力を行ってまいる所存でございます。  宮内庁では、今日まで他の宮杯を含めて調査を行ってまいりましたが、一回限りのものや現在授与がなされていないもの等を除いて、芸術、文化、スポーツ、福祉、産業等の各般の分野にわたりまして、常陸宮家関係が七件、秩父宮家関係が四十五件、高松宮家関係が三十七件、三笠宮家関係が十三件、寛仁親王家関係が二十六件、桂宮家関係が二件、高円宮家関係が十二件の宮杯をお出しになっておられますが、この関係で先ほど申し上げましたもの以外に法に抵触するものはないものと承知しております。  現時点におきましては、以上のとおりでありますが、この種事案重要性にかんがみ、引き続き調査を続けてまいりたいと存じます。  この場をおかりいたしまして、御説明を申し上げる次第でございます。      ――――◇―――――
  4. 大木正吾

    大木委員長 次に、内閣提出一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮路和明君。
  5. 宮路和明

    宮路委員 おはようございます。私は自由民主党の宮路和明でございます。  今回の公務員給与改定関連いたしまして、給与の問題、そして公務員人事管理の問題、また自衛官皆さん職場環境生活環境の問題、こういった問題について、江藤総務庁長官を初め、政府当局皆さんに質問をさせてもらいたいと思います。  まず最初に、人勧取り扱いであります。ことしは平均〇・九%アップということでありますけれども、その取り扱い経過を見てみますと、閣議決定にいたしましてもあるいはまた法案提出、いずれも例年にない迅速な処理であるわけでありまして、きょうこうして法案を審議するというのも、今までから比較しますとこれまた大変速いスピードである、こういうことであります。  ところが、現在我が国が当面します財政状況というものを見てみますと、国債残高も、平成七年度第二次補正後は二百二十兆円を超えるというような巨額な国債残高が見通されており、また公債の利払い率も、平成七年度一六・四%だ、こういう数字が出ております。  かつて人勧実施が見送られた年も実はあるわけでありまして、過去の歴史を振り返ってみますと、昭和五十七年には四・五八%の人事院勧告に対してこれは完全に実施を見送った、また五十八年は六・四七%の勧告であったのが実施は二・〇三%、五十九年も六・四四%の勧告であったものが実施は三・三七%、こういうことであります。  むしろ財政状況からいえば、我が国の現状は当時よりもあるいはもっと厳しいかもしれない。また、経済状況も、御案内のように大変な不況が続いておるわけでありまして、一般産業界経済界リストラに本当に懸命に取り組んでいる。そういう厳しい状況の中、財政事情あるいは経済実態、そういう中で、人勧は〇・九%ということでありますけれども、これをいち早く完全実施ということでこうして作業を着々と進めてきておられるわけであります。  そうした背景人勧重要性というのはもちろんよくわかるわけでありますし、またその早期完全実施というのは確かに基本的にはいいことだというふうに思うわけであります。そういったことで取り進められてまいった政府としての認識あるいは背景といいましょうか、これは江藤総務庁長官の極めて卓越したリーダーシップというものもあるかというふうに思うわけでありますけれども、ひとつその辺を長官にまずお話を賜りたい、このように思います。
  6. 江藤隆美

    江藤国務大臣 この人勧制度というのは、もう御承知のように、労働権が制約されるわけですから、人事院という第三者機関で公平に勧告を願う、政府はそれをやはり実施していく責任を片方では負うということでありまして、実を言いますと、八月一日に人事院勧告を、〇・九%引き上げをいただきました。考え方によっては、せっかくの制度だからすぐに、それを受けたら直ちにやっていいではないかという意見もあります。あるいは今おっしゃるように、民間不況のときに公務員だけはやっていいのかという意見もあります。  御案内のように、民間の企業五千社、それから事業所七千五百、百人以上の従業員のところを調べさせていただいた結果、大体、初任給引き上げを見送ったものがその中で二二%、それから給与改定を、ベースアップを見送ったのは一一%。  不況であるといいながらもやはり従業員というものは、これは子供も育っていくし住宅ローンも払う、いろいろな物入りの多いときでありますから、苦しい中にも職員待遇改善等については民間も十分配慮されておるな、こういうこと等も実は考えながら、とにもかくにも大学生の就職率が極めて悪いなどという話もずっと聞いておったわけですから、鋭意それらのことを注意しながら見守ってきたわけでありますが、民間調査等もまとまりましたから、予算上は一・五%、その中の今回は〇・九%の引き上げ勧告でありますので、これを実施することが適当であろう、これらのものは作為的に時期を延ばすべきではないということで、去年は十月四日でしたが、今回は早目に処置をさせていただいた。  ただ、これで済むことではありませんで、これは与えられた行財政改革の問題やら、綱紀粛正やら、あるいはまたもろもろの公務員としてのモラールを高めて、せっかく国家財政厳しいときに、わずかではありますけれども引き上げ政府が決断をしたという、この真意を公務員諸君が理解をいただいて、より一層職務に励まれるように心から願っておるものであります。
  7. 宮路和明

    宮路委員 よくわかったわけでありますが、今長官からお話がありましたように、政府は、この給与改定に関する取り扱い閣議決定を行う際にいろいろとその中で述べていることがあるわけであります。  今お話のありました綱紀粛正の問題あるいは行政改革の問題、行政合理化の問題、能率化の問題、そういったことをいろいろとうたってあるわけでありますが、閣議決定の中では「人事管理適正化等行政合理化能率化を積極的に推進する」、人件費の累増を厳に抑制するためそういうことに取り組んでいくんだ、こういうことを言っております。  また、その日に官房長官の談話が出されまして、「公務員諸君は、今回の決定が以上のような趣旨に基づくものであることを十分理解され、国民の信頼にこたえ、公務能率及び行政サービスの一層の向上を図る」というような、そういうことを期待する、そういう声明も出されておるわけであります。  ところが、御案内のように、今公務員をめぐる情勢、官官接待の問題が大変マスコミをにぎわせておる、あるいはまた、この間は会計検査院の皆さんの接待問題も国会でも取り上げられて、また某省高級官僚といいましょうかの不祥事件もこれまた大変世間を騒がせたような状況でありまして、いろいろとにぎわせておるわけであります。  そういった中、私は鹿児島の出なんですが、江藤大臣のすぐお隣でありますけれども、地方活性化のために我々も頑張らなければならないということで、地方行政機関出先の方へもよく地元皆さん一緒に陳情に行ったり要請に行ったり現地の事情説明に行ったりいろいろなことをやっている。その中で、私そうした活動を通じて非常に痛感いたしましたことは、地方出先皆さん方の長の在任期間というのが極めて短い、行くたびに人がかわっている、そういう実態なんですね。  それで、私どういうことになっているかと思って、各機関出先の、私がかねて行く、そういうところの在任期間というのを調べてみたのですが、大蔵省でいいますとこれは過去五代平均してそれらの人が一人どのくらい在任したかということでずっと調べてみたのですけれども、大蔵省九州財務局長は、これはやや長くて一年八カ月、福岡国税局長は十一カ月ですね、平均。それから、熊本国税局長は一年、鹿児島財務所長、私ども時に行くのですが、これはすべて一年でこのところずっときている。  それから、農水の関係は、農政局長一年四カ月、営林局長一年九カ月、鹿児島食糧事務所長一年六カ月。あと郵政省九州郵政局長は一年二カ月、運輸省の九州運輸局長一年三カ月、労働省の鹿児島労働基準局長一年七カ月、建設省九州地建局長が一年四カ月、通産省九州通産局長は一年二カ月ということでございまして、一番長くて建設省鹿児島国道事務所長が二年五カ月です。あとはみんな二年弱。大ざっぱに言えば一年そこそこでみんな交代しているというのが実態なんです。  ですから、就任してあいさつ回りに自分の管内へ行く、そうしてそろそろすると、少しは地理がわかった、事情がわかったかなということになってくると、今度は辞任の辞令が来て辞任あいさつに出かけていかなければならない、こういう状況であります。  それで、私も、これでは本当に、この人事というのは一体、地方ですと地方をずっとくまなく回ってよく勉強するためにはこんな期間ではとても短過ぎる、これでよく行政ができるものだ、まさに地方軽視というのはこういうところに端的にあらわれているのじゃないかなと常に思っているのですが、当の本人に聞いてみても、その人たちに聞いてみても、自分たちも実は困っている、本当はもっともっと長くいて地方のことをしっかり勉強し、地方のお役に立ちたいという思いで赴任してくるのだけれども、短期間ですぐ帰されてしまう、そして、自分たちも本当に面目ないと思っている、そういう声を当の本人たちからも聞くわけであります。  まして、行政対象となる地域住民皆さんは、一体何をしに九州まで、あるいは鹿児島まで来ているのかね、そういう不信の念をみんなが抱いている。まきに公務員のための人事であって、公務員組織のための人事であって、地方のための、国民のための人事ではない、こういうことは端的に言えるというふうに私は思うのです。国益よりも省益優先という言葉が一時はやりましたけれども、そういうことがここにあらわれている、その一端だ、こういうふうに思っておるわけです。  細かいことをいいますと、引っ越し料も、これは往復ですね、東京から鹿児島へ来る、鹿児島から東京まで、これは全部税金でやっているはずなんですよ。そうすると、先ほどの行政経費行政経費といいますか、これも多分人件費に当たるというふうに思うのですが、こういったものの、人件費に当たらないのでしょうかね、いずれにしても、行政経費のむだということにもこれは直結していくわけでありまして、そういった面からこれは大変な問題を抱えているというふうに思うのです。  そこで、これらの人事権は、各省庁大臣任命権限があることは私も承知しておりますけれども、しかし、これは各省庁がばらばらにやっているがゆえにまたこういうことになっているという面もあるわけでありまして、やはり今後しっかりとこうした実態をよくよく精査して、本当に行政サービス向上を図る観点からどういった人事が適当であるかということをひとつ十分検討していただいて、そういった統一的な方針のもとにやっていただく必要があるのじゃないか。  そうなると、これはやはり人事局というものがあり、各省庁が行う人事総合調整という権限を持っておる総務庁の方でしっかりとした方針を打ち出していただくのが私はいいのじゃないかな、こう思っております。特に江藤長官宮崎の御出身であり、九州代表であり、地方代表であるわけでありますから、この時期をとらえて、何か的確な方針というものを勇断を持ってひとつ打ち出していただくような、そういうことが必要ではないかな、こういうふうに考えるのですが、その点とうでありましょうか。
  8. 江藤隆美

    江藤国務大臣 ただいまの御意見は、これは実感のそのまま伝わってくる話でありまして、こんにちはというのと、さようならというのが一緒あいさつになってしまう。どんな頭のいい人でも、一年ぐらいでその任地の、土地の風土、習慣あるいは事情というものがわかるはずがない。  ですから、例えば建設省所長たちがおりますが、県内の道路事情は私の方がはるかに詳しいと思っております。私の半分も知りはせぬ。それは一回りするのにそんなに簡単に行けるものではありませんし、それには経過もあればあるいは将来の展望もあるわけですから、そういうことをしっかりのみ込んで指導者としてやっていかなければならぬ者が次々にかわっていくというのは、私は、やはりこれは中央官庁の、いわゆる自分たち都合による人事異動であると思わざるを得ない。  これから地方時代地方分権と言われるときでありますから、しっかり任地において根を生やし、思う存分働く場所を与えてこそ、公務員としての役割が私は果たせると思っております。  私の宮崎県に農林省から出向しておりましたある課長が、亡くなるまで名誉県民みたいな扱いを受けました。これはもう非常な優秀な人材で、本当に地元に溶け込んで、そして農林省に帰っても、自分のかつての任地のために一生懸命働いた。やはりそういう人材をつくることが中央地方との関係をより密にし、また行政効率も上げるものであると思います。  もちろんおっしゃるように、人事のことにつきましては所管大臣がこれは所管することでありますが、総合調整官庁として総務庁には人事局が仰せのようにあるわけでありますから、これは大事な問題として受けとめて今後十分検討させていただきたい、こう思っております。
  9. 宮路和明

    宮路委員 大変力強い御答弁をいただきまして、本当にありがとうございました。ぜひそういう方針でお取り組みをいただきたいというふうに願うものであります。  次に、もう一つ大事に関連した問題を御質問させていただきたいのですが、これは国家公務員皆さん、特に昔は上級職、今はⅠ種と言っているようでありますが、その合格で入ってこられた公務員皆さん退職年齢が、ますます高齢化が進む中にあって一向に、それに合わせた対応ということではなくて、大変早過ぎる退職をずっと繰り返している。これはこの間の委員会山元委員からも何が御指摘があったというふうに承っておるところであります。  もう既に六十歳定年制がほとんど定着をして、次は六十五歳定年制が導入必至だ、そういう状況であります。ところが公務員皆さんは、これも組織による都合ということのようでありますが、組織都合で五十歳前後で肩たたきをされて、どんどんと退職をしていっている。  私は、地方公務員はどうかなと思って地方公務員を調べてみたのですが、地方公務員は六十歳定年であることは国と同じであります。法律上の定年は六十歳でありますが、では実態はどうなっているかといいますと、地方公務員は、幾ら幹部であってもこれは五十八歳が一番若い。肩たたきをされて退職するのが五十八歳が一番若いというのが地方公務員実態であります。ですから、国家公務員地方公務員は、同じ公務員でもそれだけギャップがあるわけであります。  これも退職される公務員皆さんあいさつに来られるものですから、随分早いんだねということで聞いてみますと、そうなんです、私ももっともっと公務員として頑張りたかった。自分能力が、まさに公務員として発揮するために難しい試験を受かって入ってきたのだ、それがまた働き盛りの五十歳になるかならないかで肩たたきされて、公務員でなくなってしまう。そして、いわゆる天下りみたいなことがそこに待ち受けておるわけであります。本人も決してこれはラッキーではない。組織のために自分能力の発揮の場を途中で放棄せざるを得ないということになっている。そして、やめた後ほどこかに就職せざるを得ないわけでありますから、先ほど申し上げたような、いわゆる俗っぽい言葉で言えば天下りというようなことにどうしても向かっていかざるを得ない。  十月十四日、ついこの間の新聞でも「天下り役員百九十七人」「銀行証券 リストラもどこ吹く風」こういう新聞記事が出ておりまして、銀行証券会社役員天下り役員が百九十七人おって、これは大変な数だ、民間リストラしている中にあって、この天下りの数は一向にリストラ対象になっていない、減っていない、そういう記事が大きく出ておるわけであります。  特殊法人整理統合をやったりして行政改革をやるわけでありますが、そして、天下りもよくないということでやるわけでありますけれども、今申し上げたような人事が繰り返されておったのでは、幾らそういう行革をやろうとしてもそこにはおのずから限界があると私は思うのです。  やはり、やめた後ほどこかで働いでもらわなければならない。社会全体としてもその方が得であるわけでありますから、大いに能力を発揮してもらわなければならない。したがって、そういう点から考えると、働く場として天下りというか、そういうものが必要になってくることはやむを得ないわけであります。  したがって、公務員皆さんはもっともっと本来の公務員として働いてもらうような、活動してもらうような、そういう場というものを国家公務員として与える、また、そういう人事管理というのが私は大いにこれから求められていくのではないかなと思う。  高齢化社会がますます進む中で、今度の人勧の中でもたしか、高齢化社会における公務員の再雇用の問題も指摘してあったかというふうに思います。そういったことを考えますと、今申し上げたような人事管理もまさに時代の流れに即応して大いに見直し、そして改めていった方がいいのではないか。短兵急にはなかなか事は進まないと思うのですが、だんだんとこういうことを取り進めていく努力をしていくべきだ、私はこう思うのですけれども、この点、これもまた総務庁ということになりましょうか、ひとつどういうお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
  10. 江藤隆美

    江藤国務大臣 公務員の処遇について深い御配慮をいただいておるということを大変ありがたく思います。もう今は人生八十年の時代でありまして、「人生五十年下天のうちに比ふれば夢幻のごとくなり」と言ったのが人生八十年になったのですから、私は五十代、六十代というのは一番の働き盛りだ、こう思っています。  ただ、御承知のように、やはり退職勧奨というのは人事の停滞を生まないということと、それから、新卒の学生がどんどん出てくるわけでありますから、それらの就職場所を広げるという役割が一方にはある。この調整をどうするかということが一番問題だと思います。  特に、いよいよこれから共済年金の支払いが六十歳から六十五歳にやがてなっていくわけでありますから、その間の生活を一体どうするのか、こういうことになると、やはり長年の経験とか知識というものを生かして、何らかの形でそれらの人々が、正規の職員ではなくても、今まで培ってきた役所のそういう経験知識というものを生かせるような方法は、そういう再雇用方法はないのかということもただいま鋭意検討を加えておるところであります。  ちなみに、いろいろ調べてみましたら、六十一歳以上定年制をしいておるというのが、民間で大体七・二%ぐらいですね。まだそれほど高くはない。しかし、これは地方はお互いに、九州あたりは役場をやめても自分のところで農業をやったりあるいは仕事をしたりする場所がありますが、東京あたりで五十歳代でやめてしまったら、この広い東京でなかなか自分の仕事をするわけにもいかぬし、再就職についても大変な苦労をなさると私は思います。  そういうこともありますので、これからそういう年金支給のいわゆる年齢引き上げともあわせて、あるいは今度は、なるべく小さな政府というわけですから、小さな政府ではあるが機能は落とさない、そういう行政機構をつくり上げるために、さらにさらにこれは検討を加え、私も今はちょうど就任して二カ月でありまして寝ても覚めてもそういうことを考えておりますが、なかなかいい知恵が浮かんできません。しかし、避けて通ることのできないこれは私は今目的課題だと思っておりますので、またいろいろ御意見等を賜りたいと思います。
  11. 宮路和明

    宮路委員 確かに、もう人生八十年の時代になったわけですけれども、国家公務員人事管理は、特定の人々については人生五十年、そういう時代を脱却できていない、相変わらずそういう時代の慣行を踏襲しているということじゃないかというふうに思います。地方公務員も、五十八歳までは幹部といえどもみんな働いておる。そういうことでありますので、ぜひ今長官お話のあった方向でひとつ鋭意御検討を賜り、改善の手を施していっていただきたい、このように願うものであります。  次に、給与改定の具体的な内容のことでちょっと人事院の方にお伺いいたしたいと思います。  今回の改定の中で新設されたものとして、改正後の給与法第十一条の六第一項に規定されております特別移転官署に係る調整手当というものがあるわけであります。これは、多極分散型国土形成、そういった観点から首都圏の行政機関地方へ移転するということを進めるということなのでありますが、それに伴って、例えば東京から大宮へ機関が移転した、その計画に従って役所が移転した場合に、今まで東京都ですと一二%の手当がついておったものが、大宮へ行くと三%になる。  そこで、一般的にはいわゆる異動保障というのがありまして、AならAさんという人が東京から大宮へ行った場合は一二%の手当が三年間はつくわけでありますが、その一般的な異動保障に加えて、今度特別措置ということで、激変緩和措置という名のもとに追加的にこうした特別の措置を講ずることにしてあるわけですね。そして、異動保障がある三年後、毎年一%ずつ落としていって、最終的には十一年目にですか、十一年目に三%に落としていく、こういうことなのです。  趣旨は、そうした政策的な観点からいわば強制的に役所が移っていくわけだから、それに伴っての職員の円滑な異動を確保する、それからまた、その移転先の役所における要員の確保を図るためにこの調整手当が必要なんだ、こういう趣旨でこれが設けられたというふうに書いてあるわけであります。  要員の確保ということでありますけれども、先ほどから申し上げておりますように、現在の不況下、公務員に対する志望、公務員希望というのは物すごく高まってきておる、未曾有の高まりだというふうに私は思うのです。みんな公務員になりたい、公務員になりたい。例えばⅢ種の試験も、本来は高校卒が受験する分野、こう言われておるものが、大卒が殺到して高卒の方々が悲鳴を上げているというぐらい、Ⅲ種についても高卒を押しのけて大卒がどんどん押しかけていっている。それから今度は、Ⅰ種の試験の競争率は、これもかつてない、史上最高ぐらいの、そういう公務員志望の高まりということであります。  また、私ども特に地方では、嫁さん探し、婿探し、仲人というのを結構頼まれるのでありますが、とにかく今女性の方からすると、公務員は婿さんとして最高だ、もうみんな公務員に嫁に行きたい、公務員に嫁に行きたいという声を私ども地方では特に聞くわけでありまして、公務員はみんなそういうことで高ねの花であります。そういうような状況が見られる。  一方、目下私どもは、サトウキビの価格の問題を一生懸命やっているわけであります。先週は、今度は私の田舎のでん粉用の芋の価格の問題、これに一生懸命取り組んできている。ところが、でん粉の芋の価格あるいはサトウキビの価格は、厳しい状況の中で対前年据え置きを主張して、それを実現するのがやっとの思いでやっている。  我々も、役所を駆けずり回り、党の中でいろいろ議論をし、そして何とか、ガット・ウルグアイ・ラウンドがことしから始まったという厳しい環境の中ですら、やっとこさそういう農産物価格据え置きなんです。ところが、実質これはもう引き下げなんですね。実質は引き下げです、諸経費も上がっておりますから。据え置きを実現させたのがやっとこさであります。  ところが、公務員皆さんは〇・九%でありますけれども完全実施、かつ定昇は定昇であるわけですよ、定昇は定昇で。我々が今一生懸命頑張っている芋の価格やサトウキビからすると、これはもう全く雲泥の差だ、こう言っていいというふうに私は思うのです。  こうした中で、要員を確保し、あるいは職員異動を円滑にするために、従来の異動保障に加えてさらにこうした特別な配慮をしていかなければ公務員の要員が確保できないのか、あるいは皆さんが大宮へ行きたがらないのか。どうも私はすとんと落ちないものを感ずるわけでありますが、どういうような背景なり事情があったのか、その辺をまずお聞かせいただきたいと思います。
  12. 弥富啓之助

    ○弥富政府委員 お答えを申し上げます。  ただいま委員が仰せられましたことは、私なりに非常によく理解をさせていただけるお話ではあると思います。ただいま仰せられましたように、官署の移転に伴いましては、今までいただいていた調整手当というのが低下するという場合には、これはやはり三年間の異動保障というのがお話のとおりございます。  しかし、多極分散型国土形成促進法等によりまして国の機関を移転するという閣議決定が行われまして、例えば国の機関の移転の場合の閣議決定の中に「移転困難な職員のための対策その他移転を円滑に行うために必要な対策を講ずるものとする。」という閣議決定がございます。  こういう場合に、移転が特別の法律等に基づく移転でございますし、また閣議決定においても、ただいま申し上げましたように移転を円滑に行うために必要な措置、これをとるということになっております場合につきましては、今委員の言われましたように、要員の確保を図るための特別の措置を講ずる必要があるというふうに認めたものでございます。  また、それにつきまして、公務員民間と比べでいろいろな面において優遇されているのではないかという御趣旨もございました。しかしながら、官署の移転の場合に、移転職員のいろいろの要求がございまして、例えば今までの調整手当をそのまま恒久的にしておけというような、いろいろな方面からの強い御要望もございました。  しかし、これはやはり人事管理上一つの筋を通していかなければならない。下がることは下がるのだけれども、今言ったように、特別な場合については激変緩和の措置を講じていかなければならないということでこういうふうな措置をとらせていただいたことになりました。これにつきましては、我々といたしましても適切なものではないかというふうに考えておる次第でございます。
  13. 宮路和明

    宮路委員 趣旨としてはわからないでもないのですけれども、さらに最後は、じゃ本当に、異動していった人と、異動しなかったけれども、異動とは関係ないけれども、その後特別移転官署に新しく就職してきた人、その新しく就職してきた人もまたその調整手当を受けるということであります。  例えば、大宮の特別移転官署に新しく就職した人はこの調整手当の特別措置を受ける。ところが、前から大宮にある役所に勤めた人はこの扱いを受けない、特別調整手当はないということは、同じ国家公務員であり同じような仕事をするし同じ大宮に勤めているにもかかわらず、たまたま特別移転官署に就職した人は全然異動とは関係なく、東京から行かなかったにもかかわらずその特別の調整手当を受ける。そうでない、別な役所に勤めた人は今度は調整手当を受けないというわけですから、同じ公務員で、同じような仕事をしながら格差があるわけですよ、そこに。そういうぐあいになっている、どうもこの中身が。それは、どうも法のもとの平等というような観点等々、一体どういうことになるのかなと、同じ公務員でありながら。  それじゃ、その適用を受けない人も、不満だから、それにも今度は拡大してそこの地域のあれを上げてやろう、やるべきじゃないかという意見が出てくることは、これは間違いないですよ、きっとそれは。同じ公務員で同じような仕事をしているわけですから、たまたま勤めた役所が違うだけで。  そういったこと、あるいはまた法十一条の六の第三項で、今度は準特別移転官署にかかわる調整手当というのもあるわけでありますが、これとの関連もございます。  そういったことで、この取り扱い人事院規則にゆだねられているところも結構あるようでありますから、十分吟味していただき、検討していただいて、いわゆるお手盛りというような、そういう批判を招かぬよう運用に誤りなきを期していただきたい、私はこのことを要望させていただきまして、もう時間が参りましたので、私の質問を終えさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  14. 大木正吾

    大木委員長 次に、弘友和夫君。
  15. 弘友和夫

    弘友委員 新進党の弘友和夫でございます。  まず、用意してきた質問に入る前に、けさの新聞各紙に一斉に報道されておりました宝珠山防衛施設庁長官のきのうの発言について、官房長官、また防衛庁長官もおられますので、一点だけちょっとお伺いしたいと思うのです。  昨日、宝珠山防衛施設庁長官は、首相官邸で古川官房副長官に会って、沖縄県の大田知事が米軍用地強制使用手続の代理署名を拒否している問題への対応を協議した。席上、宝珠山氏は、「首相の頭が悪いからこうなるんだ。総理府の主務大臣としての総理大臣として行動して欲しい。そう首相に言ってもらいたい」、こういうような報道もされていますし、また「法治国家としての品格に疑問を持たれかねない。法律に基づいて淡々と行動してほしい」、こういう報道がされているわけでございます。  総理の、首相の頭がいいか悪いかは別問題としまして、これはやはり、省庁の最高幹部がこういう発言をされるということは、しかも首相官邸でされているということは、大変な問題ではなかろうかな、私はこういうふうに思うわけです。  これは一つには、私は、この沖縄の問題に内閣の命運をかけると言った総理が、いや、そういう心構えでやるんだと言ってみたり、地位協定を見直すとか見直さないとか、それから、防衛庁長官もおられますけれども、演習とか基地を本土に肩がわりするとかしないとか、何か内閣のそういう方針がきちっと定まっていない。いろいろなそういう中にあって、省庁の最高幹部が、腹に据えかねてというか、そういう気持ちで言ったものじゃないかと私は思います。  しかし、こういう発言が行われるということ自体は大変な問題だと思いますけれども、官房長官、また防衛庁長官、どういうふうにこれを受けとめられているか、またどういうふうに今後対応されるかということをお伺いしておきたいと思います。
  16. 衛藤征士郎

    ○衛藤国務大臣 まず事実関係についてお答えを申し上げたいのでありますが、昨日官邸におきまして、防衛施設庁長官、古川官房副長官、折田外務省北米局長、この三者が沖縄問題につきまして会合したのはそのとおりであります。この三者の会合の席において、ただいま委員御指摘がございましたような発言というものは一切なかったわけであります。問題は、官邸を出まして、そして防衛施設庁長官が記者の懇談をした、記者懇をやった、その発言が問題になっておる、私はこのように考えております。  けさ防衛施設庁長官を呼びまして、私は、この昨日の官邸の会合のやりとり等すべてを聞き取り、また本人の発言の真意、事実、そういうものを確認いたしました。なおかつその後、防衛政務次官をして、官邸の古川副長官に確認をお願いし、また外務省の折田北米局長にも確認をいたしました。ただいま政務次官の方からも報告がありまして、北米局長、さらには官房副長官とも、官邸における宝珠山施設庁長官の発言において、今委員が御指摘のあったようなことは一切なかった、こういうことであります。これが第一点であります。  もう一点は、防衛施設庁に戻りましてから、記者との懇談の席でそのような趣旨の発言をしたということでありますが、けさほど私は本人に、総理のことについてどういう発言をしたのかということも事情を聴取したわけであります。本人はいろいろと発言をしておりましたが、聞き取りの途中で実はこの内閣委員会が始まりましたのでこちらに出向いたわけでありますが、私、防衛庁長官といたしましては、事実の関係を詳細に調査した上で厳正に対処をしたい、かように考えております。
  17. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 弘友さんにお答えいたします。  宝珠山長官の発言をめぐってのお話でございますが、私もけさ古川副長官を呼びまして、その経緯を詳しく聞きました。いわゆる頭が悪いとかばか者扱いというような発言はなかったように承知をいたしました。ただ、問題は、これから所属庁の長官である防衛庁長官が任命権者でありますから、処理することであろうと思っております。  今、内閣としては、与野党ともに、日米安全保障条約の体制下にありますが、沖縄が返還されてから二十三年間、戦中戦後ともに沖縄県民は悲しみと苦しみと怒りに今日まで過ごしてきたという厳然たる事実は、だれもが否定でき得ないと思います。  したがって、その怒りを、どのようにしてこたえていくか。沖縄県民の気持ちというものを重大に受けとめて、政府としては全力を挙げて、困難な体制下にあっても日米合同委員会のもとの専門家の会議等を開きながら、地位協定にかかわる問題等についても議論の真っ最中であります。  これが政府の方向としての努力をしておる姿でありますが、例えば、建前としては我々もよく承知しておりますいわゆる勧告をし、命令をし、あるいは裁判にかけ、総理大臣が代理署名をする、そういう法的な手続は十分承知をしております。しかし、それでは問題の解決は成らない、全力を挙げて我々は話し合いで解決をしていかなければならぬ、これが政府方針であります。  したがって、それの方針と違った行動をするということについては極めて遺憾に思っております。事実を調査の上、防衛庁長官がそれぞれの処置をされるものと期待しております。
  18. 弘友和夫

    弘友委員 宝珠山長官につきましては、昨年の九月九日にも沖縄で基地を視察した際、沖縄県民は基地を受け入れて共存、共生すべきだ、こういう発言をされて猛反発があった、これに対して陳謝をしたという経過がございます。今官房長官言われたように、沖縄県民の今までの苦しみだとか悲しみ、怒り、そういうものをやはり考えた上で対応していかなければならないのじゃないかということで、今後調査をした上で対応される、こういうことでございますので、この問題につきましては終わりたいと思いますが、また、官房長官、次の予定があるということで、ちょっとお聞きしたかったのですけれども、どうぞ退席していただきたいと思います。  引き続きまして、今給与法案がかかっているわけでございますが、私は、人事院勧告完全実施、非常にこれについて賛成することはもちろんでございますけれども、そうした前提となるのは職員のモラルの問題だとか綱紀の問題だとか、そういう問題がやはりきちっとされていなければ国民の理解が得られないという、こういう問題があると思うのですよ。  それについて、国民の税金で自治体が命問題になっている国の官僚をもてなすなどといったいわゆる官官接待、こういう実態が今非常に大きな、今と限らずですけれども、クローズアップされている。行政に対するやはり信頼とかこういう問題がきょうの法案の前提にならなければならないのじゃないかなというふうに思うので、官官接待の件につきましてちょっとお尋ねしたいと思います。  今、例えば全国市民オンブズマン連絡会議、これの集計によりますと、全国の自治体が接待費として使用する税金は少なくとも三百億円は下らないだろう、また、ある調査ではそれは数百億円くらい使っているのじゃないか、こういうことが言われているわけですね。お役所がお役所を接待をするという、非常に、しかもその金額が三百億から数百億、接待される対象はどのくらいの人数がおられるのかわかりませんけれども、膨大なお金が、国民の税金が使われている。  しかも、いろいろな事例が挙がっておりますけれども、報道によりますと、一本五万円もする高級ワインを大盤振る舞いしたり、赤坂の一流料亭へ行って二次会、三次会、そういうものはもう珍しくないだとか、本当に国民感覚からすると信じがたい実態が今いろいろ出ているわけです。  そういうことで、接待する地方自治体にも問題があると思いますけれども、それは根本的な補助金行政の問題だとか地方分権の問題、いろいろそういうことをやっていかなければ根本的になくならないかもしれませんが、しかし、やはり中央省庁の受ける側に問題が一番大きくあるんではなかろうかということで、政府は八月十五日の閣議の後、官房長官また総務庁長官から官庁綱紀の粛正について発表されて、各省庁に徹底をされている。それから、それぞれ各省庁人事担当課長会議でも言っているとか、いろいろ手を打たれたようでありますけれども、この官官接待の問題について総務庁長官から八月十五日、どういう指示を出されたのか、また、どういうふうに考えられているのかということについてお伺いしたいと思います。
  19. 江藤隆美

    江藤国務大臣 御案内のように、昭和五十四年の十一月に官房長会議会議等の会食について、これを自粛するようにという申し合わせがありました。ところが、それがなかなか行われないで、さまざまな報道がなされるということはまことに残念なことでありまして、したがって、この際にひとつ内閣の方針をきちっとしておこうということで、八月十五日の閣僚懇談会において、今後宮官接待は行わないということを実は取り決めをいたしましたわけであります。  それを受けまして、事務次官会議、それから人事担当者の会議において、これを周知徹底させるということでただいま臨んでおることでありまして、私は、このことには官官だけではなくて官民も心すべきことだと思っております。  したがって、これほど政治的な大きないわゆる課題にもなったことでありますから、ことしから私は格段に減っていくとは信じています。しかし、あくまでも官官接待の原資は国民の血のにじむような税金がもとであるということを公務員諸君は決して忘れないように、その原点に私は立ち至ったならば、官官接待というのはおのずからこれは解決していくものであると思います。したがって、あくまでもこれは個々人のモラルの問題。  それからもう一つは、例えば公共事業費等において、工事雑費というのがあります。その中には事務経費もあれば会議費もあれば、あるいは食糧費というのもあります。これらの見直しも私はもう一つ厳しくやるべき必要があるのではないか。  いずれにしましても、閣議決定をして、閣僚懇談会で内閣として決定をしたことでありますから、公務員の諸君はこれは拳々服膺して、そして厳しくみずからを戒めて今後職務に励まれることを望んでおるところであります。
  20. 弘友和夫

    弘友委員 ただいま総務庁長官から、官官接待は行わない、そういう取り決めをして通達を出した、このように言われたわけですね。今いろいろ論議される中で、こういうことも必要悪だとか、情報交換するのに多少いいのではないかとか、いろいろな、実態としてすぐやめられないとか、地方においても。いろいろなこれを擁護というか、現実的にはやめられないというような認識もあると思うのです。  ですけれども、今言われたように、昭和五十四年にこの問題に対する取り組みというあれが出ておりますけれども、官房長等の会議の申し合わせというのが出ておりますが、その中においては「官公庁間接遇等の自粛について」、それには「官公庁間の接待及び贈答品の授受は行わないことはもとより、官公庁間の会議等における会食についても必要最小限度にとどめる。」こういう申し合わせがされて、これが全省庁また全国の自治体にも出されておるわけですね。  ですから、これを見る限りにおいては、その接待というのはどこまでが接待でどこまでがあれだとかいう論議も今はありますけれども、これを見る限りにおいては、「官公庁間の接待」は行わない、贈答品の授受も含めて「行わないことはもとよりこですから、そういう接待というのは行わないということははっきりしておるわけです。そして会議なんかの会食についても必要最小限にとどめなさい、こう言っておるわけですから、今いろいろ問題になっておるというのは完璧に、どこまでがどうだというのじゃなくて、これはもう接待そのものなんですね。それがまた、こういう通知が出されているにもかかわらずそれが実施されていないというか、当たり前のようになっている。  私は別に、余り細かい、重箱の隅をつつくようなことを言っておるわけじゃないのですけれども、根本的に三百億とか数百億が使われているという、これはもう大変な問題ではなかろうかな。  ところが、ことしの八月十五日、自治省で出された「地方公共団体の行政運営及び予算執行の適正化について」という、通知というんですか、これは一般的な「社会的な批判を招くことのないよう、厳に節度ある対応を図られたい。」云々という、何かこの、五十四年の接待は行わないということよりも何か後退したような印象を受けるんですけれども、そういうことはないんですかね、ちょっと……。
  21. 江藤隆美

    江藤国務大臣 五十四年の申し合わせは事務レベルのいわゆる申し合わせでありまして、今回は閣議の決定事項でありますから、その重みは私は全く違うものであると思っております。
  22. 弘友和夫

    弘友委員 それで、先ほど長官も触れておられましたけれども、一つの例として取り上げたいんですが、昭和三十八年に、地方自治法施行規則の一部を改正する省令というので、それまでは、昭和三十八年までは四十三節あった支出科目というのが二十八節に整理統合された。この結果どういうことが起こったかといいますと、地方自治体の経費の支出というのが非常に容易になった。四十三節から二十八節ですから、この中身のチェックがその結果できにくくなった。  例えば需用費の支出科目は、改正前は消耗品費、燃料費、食糧費、印刷製本費、光熱水費、修繕費、そういうものなどで需用費、こうあったのが、それを全部一緒くたにして需用費、こうなったわけですね。ですから、非常に支出がやりやすくなって、また、その結果今みたいな問題が起こってきたわけですけれども、例えば旅費についても同じで、昭和三十八年以前は、改正前は費用弁償、普通旅費、特別旅費、これを旅費と、これに一緒くたにしている。それで、使用料及び賃借料についても、今までは自動車借り上げ料だとか借料、損料とかいろいろなものがあったのですけれども、それを一つにまとめた。こういうふうに、四十三あったものを二十八に減らした。  こういうのは何か逆行しているような感じが、昭和三十八年のことですけれども、それがずっと続いている。こういうふうに改正されたというのはどういう意味でされたのか、自治省にお聞きしたいと思います。
  23. 朝日信夫

    ○朝日説明員 昭和三十八年の地方自治法の改正でありますが、これは地方団体の財務制度を全面的に改めたわけでありまして、その際に、財務管理の効率、公正を確保するというために、例えば財務組織面では、出納長や収入役の職務権限を拡充いたしますと同時に、監査委員というものを市町村には必ず置く、あるいはその職務権限を拡充するとか、あるいは財務運営面でも決算規定の整備でありますとか、あるいは住民監査請求、住民訴訟制度を整備したところでありまして、御指摘の予算科目の改正もこの改正の一環として行われたものであります。  これは、ただいま申し上げましたような財務の組織面あるいは運営面の規定の整備によりまして、適正な予算執行の確保ということの措置を一方で図りながら、同時に、予算の規模あるいは編成、執行というものが大変に複雑化しておりまして、その事務手続に多大の労を費やしているという状況にかんがみまして、予算科目について、節について整理統合を図りまして、予算編成や執行手続の簡素化、効率化を図るという趣旨で行われたものであります。  それで、もとより地方団体の予算執行につきましては、関係法規にのっとりまして適正に行わなければならないものでありまして、とりわけ食糧費につきましては経費の性質上から見まして特に適正な執行が要請されているというふうに考えておりまして、その執行に厳正を期す必要があるということで、私どもも先般の自治事務次官通知におきまして、改めてその点の徹底と必要な改善措置につきまして地方団体に対して要請しておるところであります。
  24. 弘友和夫

    弘友委員 最後の方はちょっとわかりにくかったのですが、確かにその時点では規模とか予算、何というか、執行する上において複雑でありますわね、科目が多いというのは。だからそれを少なくしたんだということはわかるのですけれども、現実に今行われている問題というのはそこら辺が非常にあいまいになっている。また地方議会等とかのチェックも受けられないということからこういう問題が起こっているわけですから、ちょっと最後の、これをもとに戻すというかそういう考えがあるかどうかということを自治省と、それからこういうものを含めて総務庁長官、これを戻せば大分あれが違ってくるんだと思うんですけれども、それについてお伺いをしたいというふうに思っております。
  25. 江藤隆美

    江藤国務大臣 ただいま自治省が鋭意指導しておるところでありまして、これは会計処理にかかわることでありますから自治省の方からお答えした方が適当ではないかと思います。
  26. 朝日信夫

    ○朝日説明員 予算科目の見直しについてでありますが、ただいま申し上げましたように、この予算科目の改正につきましては当時としてのさまざまな状況を踏まえた上で行ったものでありまして、今回御指摘ありますように、予算執行の適正化ということにつきましては、この予算科目ということよりも、その執行に当たります立場の公務員として、こうした食糧費というものが公費によって賄われているということをどれだけ重く厳しく受けとめて適正に対処するかということにあろうかと思っております。  ただ、同時に、お話にも関連するかと思いますが、地方団体の行政の公正、能率を確保していくという意味におきましては、一面で、地方団体みずからの自己チェックシステムといいますかそうしたものを向上していく必要がありましょうし、また、より一層住民に向けての透明性を確保していくということが大変重要だと思っております。  もとより議会の審議のチェックもありましょうが、そういう意味では、私ども特に監査機能の充実ということについて、今後どう具体的に考えていくのかということについていろいろと検討を始めているところであります。  こうした監査委員の機能というものを充実強化を図っていく、あるいは現行でも、制度上では、予算の執行状況やあるいはその決算結果等につきまして住民公表制度があるわけでありまして、もちろん、それの適切な運用を図るということもありますが、より一層予算執行の透明性を高めるという見地で、各団体においても一層の工夫をお願いしているところであります。
  27. 弘友和夫

    弘友委員 時間がなくなりましたので終わりたいと思うのですけれども、モラルの問題で済むんだったら、今監査機能は強化すると言われましたけれども、実際、監査機能の問題ももちろん大きな問題だと思うのですよ。外部監査を入れてみたりいろいろしないと、今の監査機能では、本当に監査が非常に問題があるということも指摘されております。  それと同時に、複雑になるからといってそれは変えないというのでは、そしてそれはモラルの問題だということではこういうことはチェックできないわけですから、やはりきちっとそういう、煩雑になったにしても、この問題は大きな問題でございますので、ぜひとももとに戻すようなことをしていただきたいというふうに思いますので、ひとつそれだけ申し述べまして終わりたいと思います。
  28. 大木正吾

    大木委員長 次に、石井啓一君。
  29. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 新進党の石井啓一でございます。本日は、審議会等の運営に関しまして質問をさせていただきたいと存じます。  まず、平成六年六月二十四日付で「審議会等及び懇談会等行政運営上の会合の運営等に関する指針」、これが「審議会等ガイドライン策定のための関係省庁連絡会議申合せ」ということで出されておりますけれども、この指針がつくられた経緯、背景及びこの指針の目的と趣旨をお述べいただきたいと存じます。
  30. 江藤隆美

    江藤国務大臣 行政運営の透明化、あるいはまた公正化を図るというのは、これは国民に対する政府の責任でもあります。したがいまして、事務レベルの会議、事務レベルのいわゆる協議、それから日米構造協議等でも、アメリカからもそうした透明性等の要求もございましたし、あるいは連立与党においても、いろいろこれらの問題については御研究もいただいておったことでありますから、その当時は、審議会の台帳の作成、それから閲覧等、審議会、懇談会に関する情報を提供する仕組み、例えば、各省庁に窓口をつくってそれらを備えつけておくというようなことを決めまして、改善方法に取り組んできたところであります。
  31. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 さらに、本年の九月二十九日の閣議決定におきまして、「審議会等の透明化、見直し等について」、これがなされているわけでございますけれども、この閣議決定がなされた経過背景並びにその目的と趣旨をお述べいただきたいと存じます。
  32. 江藤隆美

    江藤国務大臣 そうしたいわゆる事務レベルの指針に基づいて努力をしてきたわけでありますが、今目的課題としてまだ足りないではないかということになりまして、与党三党のプロジェクトチームからも御提言がありましたし、役所自体としても各省間で協議をしてきたことでありますから、そのために九月二十九日に、この審議会の運営等に関する閣議決定を行ったものであります。  具体的に言いますと、新しく入りましたのは、例えば審議会の新設に当たっての原則。むやみやたらと隠れみのみたいに審議会をつくってはいけない、あるいは設置後一定期間経過したものについては、これはもう見直すかあるいはまた廃止するか、それらのことも行ったらどうだということで、新設に当たっての原則、それから会長やら委員等の人選についての原則、それからまた一定期間経過したものに対する取り扱い、それから議事録の公開などの改善方法を定めたものであります。
  33. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 そういたしますと、平成六年に申し合わせがされたこの指針と本年九月に閣議決定された内容との関係につきまして、ちょっと簡単に御説明をいただきたいと思います。
  34. 陶山晧

    ○陶山政府委員 指針と閣議決定の経緯等につきましては、ただいま大臣から御答弁があったとおりでございます。  いわゆる指針も今回の閣議決定につきましても、その趣旨、目的は同じものでございますが、指針に記載があって閣議決定にはない事項あるいは今回の閣議決定においてより具体的に定めている事項、そういうものがございまして、いわば、大臣からも申し上げましたように、指針に比べてより進んだ記述になっている事項もございます。  今回の閣議決定にない事項につきましては、昨年策定いたしました指針が今後も適用されるということになりますので、今後は、昨年策定いたしましたこの、いわゆるガイドラインと称しておりますが、指針と今回の閣議決定両方によって審議会の運営の改善等を図ってまいるということになるわけでございます。
  35. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 わかりました。そういたしますと、趣旨、目的は同じである。考え方は一緒であって、なおかつ指針に比べて今回、閣議決定において進んだ内容になっている、そういうことでございました。  それでは、その指針に戻りまして確認をさせていただきたいと存じますが、この指針の中で対象とする審議会、Ⅰに  2 この指針の対象は、次のとおりとする。   (1)審議会等となっておりまして、    国家行政組織法第八条に基づき設置される審議会等とする。ただし、次に掲げるものを除く。といたしまして、①審議会等の事務が、専ら行政処分、不服審査、紛争処理、補助金等の交付及び試験、判定、検査その他これらに類する事務途中省きますが、に係るものであるもの。専ら行政処分等に係るものは除くというふうにされております。片やこの指針のⅦの12におきましては、各省庁は、審議会等の事務の一部が上記Ⅰ.2 (1)①今私が読み上げたところでございますが、に該当する場合に、当該事務の性格に応じ、その事務にかかわる範囲内において、この指針の一部を適用しないことができる。こういうふうに定められております。  これを解釈いたしますと、昨年六月の指針の適用というのは、審議会の機能、その事務の性格に応じて仕分けをするのである、すなわち、同一の審議会においても行政処分等を行う場合にはこの指針を適用しないことができる、片や政策、制度等を審議する場合にはこの指針を適用するんだ、こういうことかと思いますが、確認のため御答弁いただきたいと思います。
  36. 陶山晧

    ○陶山政府委員 現在、二百十九審議会がございますが、その多くは政策や施策を調査審議するものでございますけれども、中には行政処分、不服審査、紛争処理等に係る事項を任務とする審議会もございます。指針の適用の有無に関するただいまの先生のお尋ねにつきましては、御指摘のありましたように、こういう審議会等の目的、性格、所掌事務などに応じて仕分けをされたものであるというふうに御理解をいただきたいと存じます。
  37. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 それでは、閣議決定について伺いますが、指針と閣議決定というのはその趣旨、目的が同じであるということでございますけれども、この閣議決定においては「行政処分、不服審査、紛争処理、補助金等の交付及び試験、判定、検査その他これらに類する事務を行う審議会等を除く審議会等」、これを一般の審議会というふうにしておりまして、片や行政処分等を行う審議会と区別をしているわけでございますけれども、先ほど御答弁いただいたこの指針の考え方を踏襲しているといたしますと、この閣議決定の適用のルールはやはり審議会の機能あるいはその事務の性格に応じてその適用を考えるのだということかと思います。  すなわち、同一の審議会においても、政策、制度の審議を行う場合にはこの閣議決定のルールを適用する、行政処分、不服審査等を行う場合にはこの閣議決定のルールを適用しないことができる、こういう仕分けになるかと存じますけれども、この点について御答弁いただきたいと思います。
  38. 江藤隆美

    江藤国務大臣 あくまでも閣議決定が優先するものであります。
  39. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 いや、ですから、その閣議決定の考え方を御答弁いただきたいと思います。
  40. 江藤隆美

    江藤国務大臣 閣議決定の考え方は今あなたがおっしゃったとおりです。  具体的に言いますと、例えば、わかりやすいもので恩給審査会あるいは臨時水俣病認定審査会、あるいは検察官特別審査会あるいは税理士審査会、いずれも身分にかかわります。あるいは社会保険審査会、これもそのとおり、労働保険審査会もそのとおり、何でもらえて、何でもらえないかということが具体的に出てくるわけであります。あるいは建設省関係ですと公用地審査会があります。これと同じものが地方にあって、成田空港の土地収用委員会委員長は、これは歩く途中にいわゆる過激派に襲われて、それこそ半身不随の状態になって、今ようやく歩くようになりました。  どことは言いません。今回の宗教法人法の改正とは言いませんが、内容によってはその審議会の委員が夜も寝れない、もう夕方から朝まで電話が鳴りっ放しで、それで家族まで脅迫をされるというような問題が出てきますから、二百十九ある審議会でありますけれども、そういう個人のプライバシーやら身分にかかわるような審議会等は原則として非公開にしておるということであります。
  41. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 大臣が御答弁いただきましたので、私の申し述べた考え方のとおりであると。すなわち、閣議決定においてもその審議会の機能、その事務の性格に応じてこの適用を仕分けするのだ、そういうことでございましたけれども、今大臣からも御答弁ありましたけれども、こういう仕分けを、区分をする理由について教えていただきたいと思います。
  42. 陶山晧

    ○陶山政府委員 ただいま大臣から御説明のあったとおりでございますが、一般の政策とか施策を任務とする、所掌事務とする審議会が数の上では多うございますけれども、行政処分とか紛争処理とか不服審査等々の所掌事務につきましては、個人のプライバシーの保護等々の観点から、やはり一般の、通常の制度、施策を調査審議する審議会とは別途の取り扱いをする必要がある、そういう考え方から仕分けをしたということでございます。
  43. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 よくわかりました。  それでは、大臣先ほど御答弁されたとおり、今審議会等二百十九あるわけでありますけれども、そのうち今回の閣議決定対象外の審議会等は二十七あるわけでございますが、この二十その審議会を閣議決定対象外にされた、どういうふうにこれをお決めになったのか御答弁いただきたいと思います。
  44. 江藤隆美

    江藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、個人のプライバシーにかかわるものがあります。例えば水俣病の認定をどうするかということになりますと、これは社会的な問題でもあるし個人的な問題でもあります。あるいは土地収用等を協議するということになりますと、これはまた私権にかかわることでもあります。あるいは検察官等の、副検事等の身分を審査するとなると、個人の身分にかかわることでありまして、このことを一般に公開したりすると、個人の人権を侵害したり、あるいはまたその他万般の支障が出てきますから、そういうものについては、慎重に検討した結果、二十その審議会を適用除外にした、こういうことであります。
  45. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 そういたしますと、この閣議決定対象外とされた二十その審議会というのは、これは専ら行政処分等を行う審議会というふうに考えてよろしいわけですね。
  46. 江藤隆美

    江藤国務大臣 それは行政処分だけではありません。もろもろの問題を審査するわけでありますから、個人の行政処分ですとかあるいはまたそれに類するものだけをやるということではなくて、施策その他のことをやる場合もそれは当然あるわけであります。
  47. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 先ほどの私が述べた、確認をした考え方では、その審議会の事務の性格に応じてこの適用のルールを仕分けるという御答弁でございましたから、当初から閣議決定対象外とされるということは、その理屈からいきますと、これは専ら行政処分等を行う審議会であるから閣議決定対象外となるということになるのではないでしょうか。
  48. 江藤隆美

    江藤国務大臣 そのとおりであります。そのとおりでありますが、その会議の中に施策等にかかわるものが審議されることもあり得るということでありまして、主体的な業務は先ほど申し上げたとおりであります。
  49. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 そういたしますと、閣議決定対象外の審議会においても政策、制度の審議を行う場合があり得るという御答弁でありましたが、そういった場合にも、先ほどの基本的な考え方からいたしますと、閣議決定対象外の審議会において政策、制度の審議を行う場合にはやはりこの閣議決定のルールに従うというのが筋がと思いますが、その点について確認をしたいと思います。
  50. 江藤隆美

    江藤国務大臣 私が言っておりますのは、例えばこの人に対して恩給を支給すべきかすべからざるかという審議をするときに、いわゆる恩給制度そのものは一体何だということが議論される場合を私は言っておるわけでありまして、個別の問題だけをとらえては、それでは審議の本当の公正さを保つことになりませんから、そういう国の施策等についてもその中で議論することはありましょう、こういうことを申し上げておるわけであります。
  51. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 ちょっと政府委員の方から答弁してくれますか。
  52. 陶山晧

    ○陶山政府委員 大臣がただいま御答弁になったとおりでございますが、繰り返しになりますけれども、いわば行政処分、不服審査等々、あるいは試験、判定等々の特殊な任務を所掌事務とする審議会について一律に取り扱うわけにまいらないということでそういう仕分けをしたわけでございまして、ただ、大臣が申されましたように、そうした審議会であっても、関連して制度にかかわるような議論をされることは皆無ではないというふうに理解をいたしております。
  53. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 だから、その関連する審議を行う場合にはやはりこの閣議決定のルールを適用するというのが、先ほどの基本的な考え方からいきますとそうすべきであるというふうに私は思いますけれども、そこら辺はどうなっているんでしょうか。
  54. 陶山晧

    ○陶山政府委員 閣議決定の趣旨が審議会の運営の公正、透明性を確保するという観点で定めたものであるということは申し上げたとおりでございます。  そういう趣旨からいたしますと、適用対象外という仕分けをした、整理をした審議会が、本来の行政処分等々が中核の任務でありますけれども、仮に制度問題等について調査審議が行われるということがある場合に、その審議会のそうした調査審議について、一般論で申し上げますけれども、閣議決定の趣旨、考え方に沿って、個別の案件に応じてではありますけれども、閣議決定の趣旨、目的に沿った透明性確保の対応が行われることが望ましいということは申し上げられると思います。
  55. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 よくわかりました。  それでは、この閣議決定の内容についてもう少しお伺いをしたいと思いますが、ここで、閣議決定の二番目で「審議会等の会長等の人選」ということで、一般の審議会においては、「当該省庁の出身者又は現在当該省庁の顧問、参与等の職にある者は、原則として、これをその委員に任命しない。また、やむを得ず省庁出身者等を一般の審議会の委員に任命する場合においては、特別の事由のない限り、当該一般の審議会の会長等に任命又は選任しない。」というふうにされております。いわばその審議会を所掌する役所の出身者は委員に任命しない、やむを得ず任命する場合でも会長に任命しない、こういうふうに定められた理由を教えていただきたいと思います。
  56. 江藤隆美

    江藤国務大臣 二百十九の審議会のメンバーをひもといてみますと、ほとんど一〇〇%近く役所のOBが審議会の委員になっておる場合があるのです。あるいはまた、過半数なっておるところもあります。それではまるで役所の隠れみのではないかという批判があるのは、それは国会で議論されるのは当然でありまして、本当に審議会というのは、第三者の公平な意見を聞こう、広く国民皆さんの意のあるところを承るうという審議会が役所のOBで占められるというのは、それはいかにも適切でないということからこのような実は方針を出したということであります。
  57. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 役所の隠れみのであるという批判にこたえるためということであろうかと思いますが、その中でも会長等に任命しないというふうに特に厳しく定められている理由はどういうことでございましょうか。
  58. 江藤隆美

    江藤国務大臣 例えば、米価審議会の会長に農林省の事務次官経験者がなったら、かつては食糧庁長官をやり、事務次官をやったわけですから、自分がやってきたことを否定するようなことをできないのは、これは至極人間的なことでありまして、今度は反対側から見ますというと、それは役所の代弁者になったのではないかと、会長そのものが、そういう心ない誤解を招くおそれがありますから、そのOB、出身者は会長には任用をしない。同時にまた、特別の理由がない限りはしない。委員についても同じような考え方を持っていこう、こういうことにしたわけであります。
  59. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 それでは、会長に任命しないということでありますけれども、その審議会のルールで委員の互選により会長を任命するというふうになった場合、この閣議決定の趣旨というのはどういうふうに徹底をされるのでしょうか。
  60. 江藤隆美

    江藤国務大臣 閣議決定が既になされたわけでありますから、委員会の会長はお互いがこれは互選するという場合に、その趣旨を踏まえてOBを除いて会長がこれからは選任されていくものと思います。
  61. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 わかりました。  それから、閣議決定の四番目に「審議会等の公開」というふうにされておりまして、「一般の審議会は、原則として、会議の公開、議事録の公開などを行うことにより、運営の透明性の確保に努める。」こういうふうにされております。さらに、「一般の審議会は、特段の事情により会議又は議事録を非公開とする場合はこ云々となっておりますけれども、この「特段の事情」というのはどういう場合が想定されるのか、教えていただきたいと思います。
  62. 陶山晧

    ○陶山政府委員 これは先生に申し上げるまでもございませんが、二百十九ございます審議会、それぞれいろいろな所掌事務を持っておりまして、一律、一様になかなか論ずることができないという側面があることは御理解をいただいていると存じます。  ところで、ただいまの御指摘でございますが、したがいまして、それぞれの審議会の目的あるいは性格等々に応じて検討されるべきものであるというふうに理解しておりまして、一律に具体的に御指摘のありました特段の事情とか理由を正確に列挙をするということはなかなか困難であると思っておりますが、御参考のために申し上げるとすれば、例えば、利害が対立をし反対運動が行われているような案件であって、委員に対して物理的、精神的危害が加えられるようなおそれがあり、そのために公開すると自由濶達な発言が妨げられる可能性がある、そういう場合でありますとか、あるいは機微にわたる案件で、途中段階で公開すると公益が損なわれる可能性がある場合でありますとか、あるいは個別利害に直結する事項を調査審議するために、審議会の外で委員に働きかけが行われるおそれがあり、審議会の円滑な運営が困難となる場合でありますとか、そうしたケースが考えられる、想定されるところでございます。  いずれにしろ、この透明性、公正性の確保に対する観点からの閣議決定の共通ルールでございますから、委員同士で改めて審議の公開等については十分御議論をいただくことが必要であると考えております。その結果として、会議とか議事録を非公開とする場合の特段の事情とか非公開とする理由というのが個々のケースに応じて定まっていく、決まっていく、そういう性格のものであろうというふうに考えております。
  63. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 それでは、政策あるいは制度を審議する場合には、当然具体的な事例、個別の事例を踏まえて審議をするということは間々あるかと思いますけれども、こういう個別の事例について検討した、そういった場合について、この「特段の事情」に当たることになるのでしょうか、確認をしたいと思います。
  64. 陶山晧

    ○陶山政府委員 ただいまのお尋ねの件について、若干取り違えがあろうかと存じますが、ただいま申し上げましたように、あくまでも個々の案件、ケースに応じて議論をしていくべき問題であるということが原則であろうと考えております。  多分、お尋ねの趣旨は、適用外と整理された審議会が制度問題について議論した場合はどうかというもし御趣旨であるとすれば、先ほど申し上げましたように、個別の案件に応じてではございますけれども、閣議決定一般ルールに沿って、その考え方に立って透明性確保にそれぞれの審議会において対応をしていただくことが望ましいということが一般論としては申し上げられると思います。
  65. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 時間が参りましたので、もう終わりにいたしますけれども、きょうの朝日新聞の一面によりますと「審議会公開、省庁動かず」、閣議決定がされ、九月二十九日でありますからまだ日がたってないわけでありますが、役所側の反応は鈍いというような記事も出ておりまして、総務庁さん御自身もまだ検討中ということでございますので、これは役所を督促していただいて、なるべくこの閣議決定の趣旨が速やかに徹底されるようにお願いをしたいと存じます。  以上で終わります。
  66. 大木正吾

    大木委員長 次に、松本善明君。
  67. 松本善明

    ○松本(善)委員 まず、宝珠山防衛施設庁長官に伺いたいと思います。  あなたの昨日の発言が非常に大きな問題になっております。長々と弁明をされると大変迷惑でありますが、それはまあ任命権者にされるだろうが、端的に幾つかの点を事実関係を聞きたい。  まず第一は、代理署名問題。首相を批判したかどうか、その際、首相は頭が悪いということを言ったかどうか。これは後から否定をしたという報道もありますが、記者懇でしゃべったということが先ほど防衛庁長官から報告がありました。  もしそうだとするならば、記者が直接聞いておるわけで、日本を代表する大新聞が事実無根のことを報道するということも考えられません。もし否定するとするならば、どういうニュアンスの発言をしたのか。  それからもう一つは、報道されているところによると、あなたは「今行われている論議は沖縄県民を向いている感情論だ。理性的な論議というのは米国のことを考えた論議だ。」というふうに言ったということであります。これも事実かどうか。以上三点。
  68. 宝珠山昇

    ○宝珠山政府委員 防衛施設庁の首脳が内閣総理大臣を批判する発言を行ったという報道がございましたが、先ほど防衛庁長官などからございましたように、官邸の会議においてそのような発言をした記憶は全くございません。  それから、頭が悪いというような発言をどこかでしたのではないかという御趣旨でございますが、頭というようなこととの関連で記憶しているところでは、私の申し上げた趣旨というのは、来週から衛藤防衛庁長官なども沖縄を訪問され知事と会談する、そういう努力がこれから積み重ねられようとしているわけでありますが、そういう対話を通じてもなお知事の協力がどうしても得られない最悪の場合というのも事務当局としては考慮せざるを得ないわけでございまして、そのような際には、今の総理の頭を整理いただいた上、地方自治法の規定に従って主務大臣である総理として淡々と手続を進めていただく必要があるという趣旨を話したことはございます。  それから、読売の記事ということでございますが、このとおりに発言したというふうには思っておりませんが、今回の沖縄における少女暴行事件に関連いたしまして、沖縄県民の怒り、反発というものは非常に大きなものがございますことはよく承知しております。これを十分理解し、総理もおっしゃいますように、戦前、戦中、戦後を通じての沖縄県民の苦労というものもあわせ理解して対応しなければならないということはよく理解しておりますが、他方、対米関係というものも重要であるということであります。  そういうことで、大幅な基地の整理縮小を行うというようなこと、これは大変困難なことであると認識いたしておりますが、これを現在の段階で対米要求するというようなことは理性的なものとは言えないと思います。  また、沖縄県民も、それを聞くことによって一時期期待を膨らませることにはなりますが、結果としては裏切られるということになるのではないでしょうか。大田知事が今回の拒否の理由の中に挙げられております過去の基地行政に対する批判というものもまさにこういうことにあるわけでありまして、適当とは思われないという趣旨は申し上げております。  以上でよろしゅうございますか。
  69. 松本善明

    ○松本(善)委員 記者懇でやりましたか、そのことだけ聞きたい。それは記者懇の発言ですか。
  70. 宝珠山昇

    ○宝珠山政府委員 最後の部分は、全く同じではございませんが、官邸においてもこの趣旨のことを申し上げたと記憶しております。
  71. 松本善明

    ○松本(善)委員 否定をした部分もあるが、大筋認めたとも言えます。  沖縄に関する今行われている議論は感情論だ、理性的な論議は米国のことを考えた議論だ、これは国会で行われている議論に対する批判、国会に対する挑戦であります。それから総理大臣についての批判は、先ほど官房長官が、内閣の方針と違うことをやるという、極めて遺憾だというふうに言われました。そのとおりですが、総理大臣についての発言も、大新聞が頭が悪いというふうに受け取るような発言をするとすれば、私が投票した総理大臣ではありませんけれども、国会で選任された行政の長であります、極めて不穏当。  任命権者である防衛庁長官にお聞きしたいのでありますが、事実を確かめるということでありますけれども、記者懇でしゃべった、記者に直接しゃべったことが報道された、事実無根のことが報道されていると私は思いません。調査の上、事実であるならば私は直ちに罷免すべきだ、厳しい処断をすべきであるというふうに考えますが、防衛庁長官の御答弁をいただきたい。
  72. 衛藤征士郎

    ○衛藤国務大臣 ただいま宝珠山施設庁長官が答弁いたしましたとおり、総理の頭を整理していただいた上で地方自治法の規定に従い云々、こういうような発言を記者懇でやったというようなことでありますが、今委員御指摘のようなこと等々につきましても、任命権者である防衛庁長官といたしまして、この事実を詳細に調査した上で厳正に対処いたします。
  73. 松本善明

    ○松本(善)委員 宮内庁に伺いますが、先ほどの御報告では、憲法の条文にも触れて答弁をされましたので、憲法違反だということは認めて答弁されたと思いますが、一言その点を直接お答えいただきたいと思います。
  74. 鎌倉節

    鎌倉政府委員 憲法によりまして、皇室の財産の譲り受け、賜与につきましては国会の決議が要るということになっております。そして、そのすべてではございませんで、皇室経済法あるいは皇室経済法の施行法によりましてその限度額が決まっております。その額を超えだということが今回の事案でございます。
  75. 松本善明

    ○松本(善)委員 もう一つ聞きたいのは、調査でありますか、アエラによりますと、テープカットに皇族が出席した場合、「年輩の宮様なら「六十万円」といわれ、「格下」の宮様を招いたところ、十万~二十万円ほど安く済んだ」ということが報道されておりますし、同じようなことが他誌でも報道されております。  また、謝礼ということでは、毎年行われております日本顕彰会、日本吟剣詩舞振興会などの総会に皇族が出席していることなどの話も聞いております。この会は笹川良一氏の関係者が役員をしております。宮内庁調査は、こういうところまで調査をした結果先ほどのような調査報告でありますか、その点を聞きたいと思います。
  76. 鎌倉節

    鎌倉政府委員 先ほど御報告をいたしましたのは、いわゆる宮杯と言われるものについてでございます。そのほかの点につきましては、先生ただいまおっしゃいましたようなことについては、具体的な金銭その他のことについては私どもは承知をいたしておりません。ただ、いわゆる記念品代あるいは実費弁償的なものがあるのではないかというふうに思いますが、そういう実態については把握をしておらないということでございます。
  77. 松本善明

    ○松本(善)委員 官房長官に伺います。  これは憲法八条に基づくものでありまして、憲法八条違反は明白であると思います。皇族が憲法に違反する行為をしたことについて、官房長官、内閣はどのように受けとめているかということ。  それから、これは宮内庁の先ほどの御報告によりましても二十四年前からなんですね。これを全く知らなかったということが一体許されるのか。私は知らなかったでは済まないと思います。憲法を守らせる義務がある、それについては最終的には内閣にあります。その責任をどのようにとるのか、その責任をどう考えておられるか。二点について官房長官の御意見を、御答弁をいただたきたい。
  78. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 お答えをいたします。  御指摘の金員授受は、今も宮内庁から御答弁がございましたように、憲法第八条の規定によって必要とされる国会の決議を経ないで譲り受けられたものであることは事実であり、遺憾に思っております。さらに、その金員の内容については詳しくお話を承っておりますし調査をいたしましたが、非常に長くなりますので概要を申し上げたいと思っております。  皇族方の御行動につきまして十分に補佐できなかったことにつきましては、私自身まことに遺憾に思っております。今回の件については先ほど宮内庁から御説明があったところでありまして、今後二度とこのようなことがないように、過去をさかのぼっても調査したわけでありますから、宮内庁について、私の方から強く指示を申し上げました。  ところで、先生がおっしゃっておる責任のとり方についてでございますが、まことに遺憾であり、残念であり、申しわけないと思っておりますけれども、今後宮様方の御行動につきましては、宮内庁において十分、何といいますか、御行動に対して知られない部分もあろうと思いますので、十分御注意をされるようにということを申し上げております。責任は重大なものだと受けとめておるところでございます。
  79. 松本善明

    ○松本(善)委員 官房長官にもう一つ伺います。  坂本弁護士一家三人が残忍な狂気の犠牲になりまして、まことに痛ましいことでございます。坂本弁護士の御母堂さちよさんは、気持ちの平穏を取り戻すために、三人のお骨を守りながら、詩を書いたりして過ごしておられる。察するに余りあります。  二十二日には日本弁護士連合会、横浜弁護士会の合同葬儀が行われます。それを前にしまして、「坂本弁護士と家族を救う弁護士の会」というのがあるのですけれども、その会報に坂本弁護士夫人の都子さんの父君大山友之さんの文章が載っておりました。  それは、胸の奥で抱いていた幾つかの疑問がある。その中には、なぜこれが失踪事件として扱われたのか、それから、なぜ六年もの歳月を必要としたのか、この疑問が解明されることを強く期待するということを言い、あとはそのまま文章を読みますが、「真実を知ることが娘たち」都子さんですね、「娘たちの回向」、回向というのは仏教上の言葉で供養と同じと思います、同趣旨と思いますが、「回向になり、六年間も花も線香も手向けることの出来なかった心の傷を少しでも癒せると思います。また、再びこの種の犯罪を起させないことにつながると、固く信じています。」  全く気持ちがよくわかります。私は行政の、ここでいわゆる初動捜査の問題を議論するつもりはさらさらないのですけれども、行政の責任者として本来なら総理大臣に聞きたいところですけれども、官房長官に、一体この気持ちにどうこたえるのか。私は、やはり申しわけなかったということを一言言うべきではないかと思いますが、官房長官の御答弁を伺いたいと思います。
  80. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 お答えいたします。  松本議員のお気持ちと私の気持ちは、主義主張は違いますが、全く一緒であります。申しわけないと思っておりますが、オウム真理教にかかわる一連の犯罪は非常に卑劣な事件である、断じて許すことのできないものである、これが日本国民の声であろうと思っております。  御質問の坂本弁護士一家の事件につきましては、発生直後から何らかの犯罪に巻き込まれたという可能性が高いという判断をいたしまして、鋭意捜査を進め、発生以来五年余にわたりました。お話のとおりであります。そして、五年後に解決を見たところでありますが、おっしゃるように、御遺族の方々から見ればまことに長い年月であり、その心情を察するときには、非常に残念であり無念であったということを当然私どもも考えられる問題であります。  さきの予算委員会において国家公安委員長からも答弁をされましたが、警察としては事件発生以来所要の捜査体制をとってまいりました。一歩一歩捜査を前進させて、ようやくにして五年間で検挙に至ったものである。いずれにいたしましても、捜査機関においてはオウム真理教にかかわる事件の徹底究明、解明と逃走被疑者の早期検挙に全力を尽くさなければならないと考えておりますし、決意をしております。本当に長い間、おっしゃるように、家族の心情を思うときに涙しないものではないだろう、こういうふうに思っております。
  81. 松本善明

    ○松本(善)委員 給与法に関して寒冷地手当の問題を聞きます。  寒冷地手当の見直し問題は、国家公務員だけの問題ではなくて、地方公務員、教員、公務員に準拠した農協職員民間労働者、生活保護に至る広範な影響を与えるもの、我が国の六〇%に及ぶ地域に支給をされておりますが、この削減は地域経済に大きな打撃を与えますし、個人消費をますます冷え込ませるという不況対策にも逆行することになります。これは人事院が昨年末以来この見直しを打ち出して、北海道、東北初め多くの国民や労働組合の反対で今回は削減を断念しましたが、人事院勧告ではその「水準及び支給方法を見直す」とされ、今後検討するとなっている。そして人事院総裁は、寒冷地手当の支給地と非支給地との間で以前ほど大きな差が見出しにくくなっているということを答弁しましたが、寒冷地手当はこれまで昭和二十四年から昭和六十三年までに九回改定されましたが、人事院総裁の答弁のように寒冷手当支給地と非支給地との生計費の格差を根拠にしたことは一度もありませんでした。これまでの寒冷地手当の支給根拠を変えるものであり、制度の根幹にかかわる問題ではないか、これが一つ。  それから、実際に生活は、寒冷地の生計費が突然減ったわけでもありません。暖房費が大幅に減ったわけでもありません。これが減らされれば生活が下がることは間違いないのですね。この生活の困難性というのは詳しく言うまでもありません。人事院総裁も寒冷地の出身でありますから御存じのとおりだと思います。これは、寒冷地が非常に生活が難しいから、よい職員を誘致をするという趣旨も含めて立法されたものであります。これを、そういうことも考えてやるべきではない、撤回すべきであると私は思います。人事院総裁の御答弁をいただきたいと思います。
  82. 弥富啓之助

    ○弥富政府委員 委員からその問題につきましてたびたび御質問をいただいておるところでございますが、御承知のとおり、寒冷地手当と申しますのが、時日の経過に伴いまして、制度の趣旨とそれから実態とがただいまちょっと乖離をいたしてきておる。  それはなぜかと申しますと、生活水準の向上に伴いまして生活様式の変化がございます。寒冷積雪によって増嵩する生計費につきましては、寒冷地手当の支給地と非支給地、この間で全然差がないとは申しませんが、現在支給されております手当ほど大きな差は見出せない状況でございます。  これは、例えば寒冷生計増嵩費につきましては、総務庁の家計調査を初めといたしまして、各種資料に基づいて幅広い検討を行っており、その中で寒冷地の生活実態も十分に考慮に入れて検討を行っているところでございます。また、寒冷地手当を支給されている公務員の割合と申しますのは全公務員の大体四分の一でございまして、結局、七五%という公務員が支給されていないという給与配分上の均衡の問題もこれはございます。  そういう状況を踏まえまして、寒冷地手当につきましては、官民の支給状態、これも考慮しなければいけません。その水準や支給方法を見直す旨、今年度の人事院勧告の報告で言及をしたところでございまして、民間企業における類似手当、いろいろあると思いますが、その支給状況に関する調査に着手するなど、現地の実情等を十分に調査を進めているところでございます。  いずれにいたしましても、来年の報告の時期に向けまして、関係団体等の意見も聞きつつ、見直し作業を行ってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  83. 松本善明

    ○松本(善)委員 それでは到底寒冷地の公務員皆さんは納得しないと思います。  時間が来ましたので終わりたいのですが、最後に総務庁長官に一問だけ聞かせていただきたいと思います。  前にこの委員会で私は官官接待の問題で江藤長官にお聞きしまして、江藤長官は、これはやってはならぬことだ、こういうふうに言われましたけれども、私は、会計検査院が農水省の接待を受けるというのは本当に異常事態だと思うのです。これは、このまま放置をするわけに絶対いかない。  今までの政府の答弁では、十六年前の官房長会議の申し合わせ、これを通知している、八年前の官庁綱紀の粛正についての閣議決定、これらを守るように期待をしている、確信する、こういうふうに長官は言われるのですけれども、十六年前のもの、八年前のもの、これが守られてこなかったのですよ。これが現実なんですよ。そして、会計検査院まで農水省の接待だ。それは中央省庁同士の接待もあるわけでしょう。これは、このまま前のものを守れでは済まないと私は思うのです。  長官は、行政改革をおれはやれる男だと言って胸を張っておられます。これは、行政改革の初歩的な第一歩であります。断行すべきだ。新しい、厳しい、官官接待をやめるということについての措置をとるべきだと思います。一言答弁をいただきたいと思います。
  84. 江藤隆美

    江藤国務大臣 優秀な公務員官官接待等で世の批判を浴びることは恥ずかしいことだと私は思います。しかし、全部の公務員がそうではないと私は信じておるのです。  私ごとで恐縮ですが、さる国立病院に私は入院をいたしました。二十四時間体制で看病を受けまして、そして退院するときに菓子折りを届けましたら返されました。私どもは国立病院でございまして国家公務員でありますから、いかなる謝礼も受け入れることはできません、お菓子ぐらいはいいじゃありませんかと言うと、いえ、お菓子といえども受け取ることはできません。これは、東京都内にある国立病院であります。  私は、公務員がそれぐらいの認識と誇りを持っておったならば、このようないわゆる恥ずべき行為はなかったものと思います。しかし、今回八月十五日に、改めて閣議においてこれはそのように決まったわけでありますから、ちゃんとそういう申し合わせができたわけでありますから、これは厳重に守る。守らない者があるとするならば、それは公務員として不適格だと言わざるを得ませんから、それぞれの任命権者において厳正に処置されることを期待するものであります。
  85. 松本善明

    ○松本(善)委員 終わります。
  86. 大木正吾

    大木委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  87. 大木正吾

    大木委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。松本善明君。
  88. 松本善明

    ○松本(善)委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題になっております一般職職員給与の一部改正案に賛成、特別職職員給与の一部改正案及び防衛庁職員給与の一部改正案に反対の討論を行います。  一般職職員給与の一部改正案は、人勧史上最低の〇・九%という超低率ベア勧告をそのまま実施しようとするもので、その水準は極めて不満であります。しかし、不十分ではありますが、内容的には改善措置でありますので、賛成をいたします。  次に、特別職職員給与の一部改正案についてであります。  本案の対象者は、総理大臣を初め国務大臣内閣法制局長官など、ほとんどが行政の特別の地位を有する者であります。その引き上げ額は、内閣総理大臣が現行の月額二百二十三万四千円を二百二十五万四千円に二万円引き上げ、国務大臣は百六十三万円を百六十四万五千円に一万五千円、それぞれ引き上げるものであります。引き上げ率がたとえ一般職と同率とはいえ、現在でも高額な水準にある給与を一層引き上げようとするものであります。こうした高額給与者の引き上げは、これまでにない深刻な不況で苦しむ国民の理解を得られないことを厳しく指摘をいたします。  最後に、防衛庁職員給与法の一部改正案であります。  村山内閣は、来年度予算の概算要求基準に見られるように、軍縮を言うのですけれども実際には軍拡を進めています。また、日米安保条約の堅持を表明し、安保再定義で日米共同作戦を全地球的規模へ拡大していこうとするクリントン政権の世界戦略に全面的に協力をしております。このような日米軍事同盟の現状、憲法違反の自衛隊が対米従属の軍隊として危険な役割を増大していることを考えますと、自衛官及び防衛庁職員給与引き上げを容認することはできないということを申し上げて、討論を終わります。
  89. 大木正吾

    大木委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  90. 大木正吾

    大木委員長 これより採決に入ります。  まず、一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  91. 大木正吾

    大木委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  92. 大木正吾

    大木委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、防衛庁職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案について採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  93. 大木正吾

    大木委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 大木正吾

    大木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ――――――――――――― 〔報告書は附録に掲載〕    ―――――――――――――
  95. 大木正吾

    大木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十分散会