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1995-12-08 第134回国会 衆議院 地方行政委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年十二月八日(金曜日)     午前九時三十一分開議 出席委員   委員長 平林 鴻三君    理事 中島洋次郎君 理事 穂積 良行君    理事 持永 和見君 理事 粟屋 敏信君    理事 山名 靖英君 理事 米田 建三君    理事 田中  甲君       石橋 一弥君    栗原 裕康君      田野瀬良太郎君    谷  洋一君       中馬 弘毅君    西田  司君       村田敬次郎君    山本 公一君       上田  勇君    川端 達夫君       富田 茂之君    永井 英慈君       山崎広太郎君    吉田 公一君       加藤 万吉君    畠山健治郎君       山口 鶴男君    穀田 恵二君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     深谷 隆司君  出席政府委員         警察庁長官官房         長       菅沼 清高君         警察庁長官官房         総務審議官   山本 博一君         警察庁生活安全         局長      中田 恒夫君         警察庁刑事局長 野田  健君         警察庁警備局長 杉田 和博君         自治大臣官房長 二橋 正弘君         自治省行政局長 松本 英昭君         自治省行政局公         務員部長    鈴木 正明君         自治省行政局選         挙部長     谷合 靖夫君         自治省財政局長 遠藤 安彦君         自治省税務局長 佐野 徹治君         消防庁長官   秋本 敏文君  委員外出席者         防衛施設長施設         部連絡調整官  坂本 憲一君         大蔵省主計局主         計官      三國谷勝範君         大蔵省主計局主         計官      杉本 和行君         大蔵省主税局税         制第三課長   伏見 泰治君         文部省初等中等         教育局小学校課         長       上杉 道世君         文部省体育局学         校健康教育課長 北見 耕一君         厚生省児童家庭         局企画課長   粥川 正敏君         食糧庁計画流通         部業務流通課長 諸川 勝徳君         地方行政委員会         調査室長    前川 尚美君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月二日  辞任         補欠選任   栗原 裕康君     二階堂 進君 同日  辞任         補欠選任   二階堂 進君     栗原 裕康君 同月八日  辞任         補欠選任   吉田 公一君     古賀 敬章君 同日  辞任         補欠選任   古賀 敬章君     吉田 公一君 十二月六日  辞任         補欠選任   上田  勇君     千葉 国男君 同日  辞任         補欠選任   千葉 国男君     上田  勇君     ――――――――――――― 十一月六日  土地税制住民税に関する請願狩野勝紹介  )(第一五五号)  同(伊吹文明君紹介)(第一六七号)  同(奥田幹生紹介)(第一六八号)  同(高橋一郎紹介)(第一六九号)  同(野中広務紹介)(第一七〇号)  同(武藤嘉文紹介)(第一七一号)  同(石井智紹介)(第一九二号)  同(石田祝稔紹介)(第一九三号)  同(大口善徳紹介)(第一九四号)  同(奥野誠亮紹介)(第一九五号)  同(木部佳昭紹介)(第一九六号)  同(栗原裕康紹介)(第一九七号)  同(斉藤斗志二君紹介)(第一九八号)  同(坂口力紹介)(第一九九号)  同(谷垣禎一紹介)(第二〇〇号)  同(中川昭一紹介)(第二〇一号)  同(長勢甚遠君紹介)(第二〇二号)  同(二階堂進紹介)(第二〇三号)  同(野田聖子紹介)(第二〇四号)  同(牧野聖修紹介)(第二〇五号)  同(麻生太郎紹介)(第二七六号)  同(小里貞利紹介)(第二七七号)  同(金子一義紹介)(第二七八号)  同(金子原二郎紹介)(第二七九号)  同(岸本光造紹介)(第二八〇号)  同(久間章生紹介)(第二八一号)  同(自見庄三郎君紹介)(第二八二号)  同(杉山憲夫紹介)(第二八三号)  同(高木義明君紹介)(第二八四号)  同(谷洋一紹介)(第二八五号)  同(鳥居一雄紹介)(第二八六号)  同(中尾栄一紹介)(第二八七号)  同(西岡武夫紹介)(第二八八号)  同(野呂昭彦紹介)(第二八九号)  同(初村謙一郎紹介)(第二九〇号)  同(浜田靖一君紹介)(第二九一号)  同(浜野剛紹介)(第二九二号)  同(林幹雄紹介)(第二九三号)  同(福永信彦紹介)(第二九四号)  同(藤井孝男紹介)(第二九五号)  同(松下忠洋紹介)(第二九六号)  同(宮地正介紹介)(第二九七号)  同(谷津義男紹介)(第二九八号)  同(山田正彦紹介)(第二九九号)  同(山中貞則紹介)(第三〇〇号)  同(与謝野馨紹介)(第三〇一号)  都市樹林地を守るための固定資産税猶予等の  制度創設に関する請願大木正吾紹介)(第  一九一号) 同月七日  土地税制住民税に関する請願愛野興一郎君  紹介)(第三五六号)  同(粟屋敏信紹介)(第三五七号)  同(今井宏紹介)(第三五八号)  同(岡田克也紹介)(第三五九号)  同(実川幸夫紹介)(第三六〇号)  同(藤井裕久紹介)(第三六一号)  同(青木宏之紹介)(第三九〇号)  同(伊藤宗一郎紹介)(第三九一号)  同(池田行彦紹介)(第三九二号)  同(糸山英太郎君紹介)(第三九三号)  同(宇野宗佑紹介)(第三九四号)  同(江崎鐵磨紹介)(第三九五号)  同(小沢一郎紹介)(第二九六号)  同(越智通雄紹介)(第三九七号)  同(大石千八紹介)(第三九八号)  同(加藤六月紹介)(第三九九号)  同(片岡武司紹介)(第四〇〇号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第四〇一号)  同(川崎二郎紹介)(第四〇二号)  同(川端達夫紹介)(第四〇三号)  同(岸田文雄紹介)(第四〇四号)  同(久野統一郎紹介)(第四〇五号)  同(小泉純一郎紹介)(第四〇六号)  同(古賀誠紹介)(第四〇七号)  同(河本敏夫紹介)(第四〇八号)  同(近藤鉄雄紹介)(第四〇九号)  同(佐田玄一郎紹介)(第四一〇号)  同(佐藤剛男紹介)(第四一一号)  同(坂井隆憲紹介)(第四一ニ号)  同(坂本三十次君紹介)(第四一三号)  同(櫻内義雄紹介)(第四一四号)  同(笹川堯君紹介)(第四一五号)  同(鈴木俊一紹介)(第四一六号)  同(田原隆紹介)(第四一七号)  同(田村元紹介)(第四一八号)  同(橘康太郎紹介)(第四一九号)  同(樽床伸二紹介)(第四二〇号)  同(近岡理一郎紹介)(第四二一号)  同(津島雄二紹介)(第四二二号)  同(月原氏皓君紹介)(第四二三号)  同(虎島和夫紹介)(第四二四号)  同(中谷元紹介)(第四二五号)  同(中山正暉紹介)(第四二六号)  同(永井孝信紹介)(第四二七号)  同(永井哲男紹介)(第四二八号)  同(野田実紹介)(第四二九号)  同(原健三郎紹介)(第四三〇号)  同(原田憲紹介)(第四三一号)  同(藤本孝雄紹介)(第四三二号)  同(冬柴鐵三君紹介)(第四三三号)  同(町村信孝紹介)(第四三四号)  同(松前仰君紹介)(第四三五号)  同(三ツ林弥太郎紹介)(第四三六号)  同(三塚博紹介)(第四三七号)  同(水野清紹介)(第四三八号)  同(宮崎茂一紹介)(第四三九号)  同(宮路和明君紹介)(第四四〇号)  同(村田敬次郎紹介)(第四四一号)  同(茂木敏充紹介)(第四四二号)  同(森田一紹介)(第四四三号)  同(柳沢伯夫君紹介)(第四四四号)  同(山岡賢次紹介)(第四四五号)  同(山口俊一紹介)(第四四六号)  同(山下徳夫紹介)(第四四七号)  同(山元勉紹介)(第四四八号)  同(横内正明君紹介)(第四四九号)  同(吉田公一紹介)(第四五〇号)  同(甘利明君紹介)(第五八一号)  同(井奥貞雄紹介)(第五八二号)  同(井出正一紹介)(第五八三号)  同(小川元紹介)(第五八四号)  同(小沢鋭仁君紹介)(第五八五号)  同(小野晋也君紹介)(第五八六号)  同(金田誠一紹介)(第五八七号)  同(亀井善之紹介)(第五八八号)  同(河村建夫紹介)(第五八九号)  同(熊谷弘紹介)(第五九〇号)  同(左藤恵紹介)(第五九一号)  同(佐藤守良紹介)(第五九二号)  同(坂本三十次君紹介)(第五九三号)  同(嶋崎譲紹介)(第五九四号)  同(田中秀征紹介)(第五九五号)  同(田邊誠紹介)(第五九六号)  同(田原隆紹介)(第五九七号)  同(竹内黎一君紹介)(第五九八号)  同(竹下登紹介)(第五九九号)  同(武部勤紹介)(第六〇〇号)  同(谷口隆義紹介)(第六〇一号)  同(中馬弘毅紹介)(第六〇二号)  同(戸井田三郎紹介)(第六〇三号)  同(渡海紀三朗紹介)(第六〇四号)  同(東家嘉幸紹介)(第六〇五号)  同(中島洋次郎紹介)(第六〇六号)  同(中村力紹介)(第六〇七号)  同(仲村正治紹介)(第六〇八号)  同(羽田孜紹介)(第六〇九号)  同(蓮実進紹介)(第六一〇号)  同外二件(畑英次郎紹介)(第六一一号)  同(鉢呂吉雄紹介)(第六一二号)  同(二田孝治紹介)(第六一三号)  同(堀内光雄紹介)(第六一四号)  同(増田敏男紹介)(第六一五号)  同(三野優美紹介)(第六一六号)  同(宮下創平紹介)(第六一七号)  同(村井仁紹介)(第六一八号)  同(簗瀬進紹介)(第六一九号)  同(山崎泉紹介)(第六二〇号)  同(山本拓紹介)(第六二一号)  同(若林正俊紹介)(第六二二号)  同(赤城徳彦紹介)(第七六四号)  同(五十嵐広三紹介)(第七六五号)  同(伊藤英成紹介)(第七六六号)  同(岩浅嘉仁君紹介)(第七六七号)  同外一件(小渕恵三紹介)(第七六八号)  同(越智伊平紹介)(第七六九号)  同(大野功統紹介)(第七七〇号)  同(太田昭宏紹介)(第七七一号)  同(岡島正之紹介)(第七七二号)  同外四件(奥田敬和紹介)(第七七三号)  同(柿澤弘治紹介)(第七七四号)  同(小平忠正紹介)(第七七五号)  同(輿石東紹介)(第七七六号)  同(左近正男紹介)(第七七七号)  同(佐藤謙一郎紹介)(第七七八号)  同(桜井新紹介)(第七七九号)  同(七条明君紹介)(第七八〇号)  同(関谷勝嗣君紹介)(第七八一号)  同(中村正三郎紹介)(第七八二号)  同(中山太郎紹介)(第七八三号)  同(西田司紹介)(第七八四号)  同(錦織淳紹介)(七八五号)  同(早川勝紹介)(第七八六号)  同(藤村修紹介)(第七八七号)  同(保利耕輔君紹介)(第七八八号)  同(前島秀行紹介)(第七八九号)  同(宮里松正紹介)(第七九〇号)  同(村上誠一郎紹介)(第七九一号)  同(山口鶴男紹介)(第七九二号)  同(山崎泉紹介)(第七九三号)  同(安倍基雄紹介)(第八九〇号)  同(太田誠一紹介)(第八九一号)  同(高村正彦紹介)(第八九二号)  同(佐々木秀典紹介)(第八九三号)  同(塩谷立紹介)(第八九四号)  同(鈴木宗男紹介)(第八九五号)  同(原田昇左右紹介)(第八九六号)  同(山口敏夫紹介)(第八九七号)  地方交付税率引き上げに関する請願桜井新  君紹介)(第三八九号)  都市樹林地を守るための固定資産税猶予等の  制度創設に関する請願大野由利子紹介)(  第五八〇号)  同(岩佐恵美紹介)(第七六三号) 十二月五日  土地税制住民税に関する請願上田清司君紹  介)(第一〇〇六号)  同(遠藤明君紹介)(第一〇〇七号)  同(大原一三紹介)(第一〇〇八号)  同(工藤堅太郎紹介)(第一〇〇九号)  同(塩川正十郎紹介)(第一〇一〇号)  同(中井洽紹介)(第一〇一一号)  同(中川秀直紹介)(第一〇一二号)  同(根本匠紹介)(第一〇一三号)  同(逢沢一郎紹介)(第一〇三三号)  同(臼井日出男紹介)(第一〇三四号)  同(粕谷茂紹介)(第一〇三五号)  同(鳩山邦夫紹介)(第一〇三六号)  同(林義郎紹介)(第一〇三七号)  同(細田博之紹介)(第一〇三八号)  同(堀之内久男紹介)(第一〇三九号)  同(持永和見紹介)(第一〇六三号)  同(山本有二紹介)(第一〇六四号)  同(相沢英之紹介)(第一〇九二号)  同(石橋一弥紹介)(第一〇九三号)  同(亀井静香紹介)(第一〇九四号)  同(佐藤孝行紹介)(第一〇九五号) 同月六日  土地税制住民税に関する請願富田茂之君紹  介)(第一一六六号) 同月七日  土地税制住民税に関する請願小杉隆紹介  )(第一二三〇号)  同(松岡利勝紹介)(第一二四四号)  同(須藤浩紹介)(第一二九二号) 同月八日  都市樹林地を守るための固定資産税猶予等の  制度創設に関する請願田中甲紹介)(第一  三二四号)  土地税制住民税に関する請願稲垣実男君紹  介)(第一三二五号)  同(小坂憲次紹介)(第一四七三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月二日  地方財政充実強化に関する陳情書  (第一九六  号)  警察官増員に関する陳情書外一件  (第一九七号)  個人住民税に係る特別減税等減収額財源補  てんに関する陳情書  (第一九八号)  戸籍事務コンピューターシステム導入経費の  財政的支援に関する陳情書  (第一九九号)  官官接待の廃止、事務の再配分等に関する陳情  書  (第二〇〇号)  消防防災施設整備等に係る補助制度拡充に関  する陳情書  (第二〇一号) 十二月五日  自治体病院経営助成充実強化に関する陳情  書  (第二六三号)  自治体国際交流問題等に関する陳情書  (第二六四号)  銃砲所持と使用の罰則の強化に関する陳情書  (第二六五号)  警察官大幅増員に関する陳情書  (  第二六六号)  地方交付税率引き上げに関する陳情書  (第二六七号)  地方公務員共済年金等に関する陳情書  (第二六八号)  地方財政基盤充実強化等に関する陳情書外一  件  (第二六九号)  町村財政基盤強化に関する陳情書外一件  (第二  七〇号)  地方都市財政拡充強化に関する陳情書  (第二七一号)  個別排水処理施設整備事業充実に関する陳情  書  (第二七二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ――――◇―――――
  2. 平林鴻三

    平林委員長 これより会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件  について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。栗原裕康君。
  3. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 おはようございます。自由民主党の栗原でございます。  お時間をいただきまして、地方行政全般にわたりまして若干質問させていただきたいと思うわけでございますが、けさの新聞に行革委員会の報告が出ておりまして、小さな政府を目指すべきだ、あらゆるところで規制緩和をしていく、そういう方向でございます。これはもとより我々も大賛成でございまして、特にこの地方行政委員会に関しましては地方分権ということが前々から大きなテーマでございます。  よく言われることでございますが、受け皿論というのがございまして、地方分権を推し進めていく上においては、当然、その受け皿としての地方自治体が、露骨に言えば物心両面充実していなければいかぬ、こういうことでございます。その物の方の、地方自治体財政状況についてまず最初に伺いたいと思うわけでございます。  大蔵省がこの前財政危機宣言というのを出しまして、国の財政が、公債費率等が上がってまいりまして非常に厳しい状況だ。特に今、年末に向けて予算編成の真っ最中でございますけれども、本当にお財布のひもが厳しいなというのが我々の実感でございます。  そういった意味で、地方財政、これはどうなっているだろうかということを考えてみますと、平成四年、五年、六年、七年と、数字を見ただけで、借入金残高等状況を見ますと、これはまさに右肩上がりで、物すごい勢いで伸びているのですね。この状況というのを政府はどうとらえていらっしゃるか、まずそのことから伺いたいと思います。
  4. 遠藤安彦

    遠藤政府委員 お答えを申し上げます。  御指摘のとおり、現在の地方自治体財政状況は大変厳しい状況にあるわけであります。  私ども、これまでずっと、地方団体財政運営を支障のないようにということでいろいろな対策を講じてきたわけでありますが、御指摘のように、ある時期、バブルの時期にありましては、地方税収及び交付税収入も好調だというようなことで、それまで累積されておりました交付税特別会計借入金、あるいは地方団体財源対策債といったようなものについて、私の記憶では約十二兆円ぐらいの繰り上げ償還とか償却とかいうことで借金の整理をしたわけでありますが、御指摘のとおり、その後の不況税収状況がよくないというようなことを反映いたしまして、地方財源不足は、通常収支において、平成六年度では三兆円、それから今年度当初の段階では四兆二千六百億円というような数字になっております。  また、その後の経済対策というようなことで、国の公共事業裏負担については地方負担が要る、それから地方単独事業の追加についてもこれに協力していかなければならないというような状況の中で、すべて借入金によって処理をしてきたというようなことがございまして、現在、地方借入金残高は、今年度末で百二十一兆円を超えるというように見込まれているところでありまして、私ども、大変厳しい状況だと思っております。  また、マクロの借金状況を反映いたしまして、ミクロの個別の団体の近年の財政事情を見てみましても、ちょっと古い数字でありますけれども平成五年度で、いわゆる公債費負担比率が一五%以上の団体が千百団体あるということで、全体の三千三百団体の約三分の一。私ども財政運営上硬直化の指標としてとらえております公債費負担比率一五%以上の団体が三分の一になるというようなことで、硬直化も進んできておるわけでありまして、そういった意味で、最近の財政状況というのは、御指摘のように大変厳しいものがあるというようにとらえているところであります。
  5. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 大変厳しい、そういう御答弁でございます。いずれにしましても、ここのところ大幅に減税をしておりますし、それから長期の不況ということで、とにかく財政状況が厳しいんだ、そういうことでございます。また、ミクロも、今お話にもございましたように、三千三百の地方自治体の中で千百がいわゆる公債費率が一五%以上ということで、赤信号がともっているということですね。  ひところテレビ等で、地方自治体が破産をするというようなかなりセンセーショナルな報道をしたこともございますけれども、まさに危機的な状況だというふうに私どもも認識をしておるわけでございますが、これは不況あるいは減税ということであれば、苦しいところというのは、分布をはかりますと、全国大体均一的にどこもみんな苦しいのか。あるいは、いや、実はこういう地方、例えば名前を挙げて大変恐縮ですけれども、四国とか九州とか北海道とか、こういうところは特に厳しいんだ、そういったものはあるのでしょうか。それとも、押しなべてとにかく全部厳しいということなのでしょうか。その辺はどういう分析をなさっていますでしょうか。
  6. 遠藤安彦

    遠藤政府委員 地域別にどうかという御質問がと思いますが、個々団体地方財政の成り立ちはやはり税収に依存しているわけでございまして、これに一般財源としては地方交付税が財源的にはカウントされるわけでありますけれども、これと財政需要経費面の支出というもののバランスによって、個々地方団体財政の厳しさというのが決まってくると思っております。  そういった意味で申し上げますと、今税収状況では、経済状況を反映して、今までかなり法人関係税等が豊富に入っていた団体、割と都市的にも大きな団体というものも、そういう意味では法人関係税が落ちてきているというようなことで、財政的には苦しいという意味があります。  それからもう一つは、小規模な団体、これはもともと税収財政力が強くないわけでありますから、これだけ借金財政といいますか借入金処理をいたしていきますと、どうしてもその返済のための一般財源が非常にたくさん必要になってくるというような意味財政的に苦しいということでありますので、特定地方に苦しさが偏っている、特定のところは非常に財政的には楽といいますか弾力性があるというような状況には今ないのではないか全国的に地方団体は、市町村、都道府県ともに非常に厳しい状況になっているというように理解をいたしております。
  7. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 要するに、全国一律、どこもみんな厳しい。特に大きな都市といいますか、今まで法人税が豊富に入っていたところは不況のあおりで一様に苦しい。なおかつ、小さいところは小さいところで、もともと苦しかったので相変わらず苦しい。ということは、要するにもうお先真っ暗ですね。そういう意味では非常に厳しい。厳しいというのは、文字どおり厳しい。  例えばこの地方は割と弾力性があって、そこをまねていけばいいんだとかというような話ではないわけですから、とにかく大きいところは大きいところなりにずっと苦しくなってしまった、小さなところは相変わらず苦しい、こういうことですから、本当に見通しというのは非常に厳しいような印象を今受けるのですが、今後の見通しについてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるのでしょうか。
  8. 遠藤安彦

    遠藤政府委員 当面、平成八年度の地方財政対策をどのように講じていくかということが私どもとしては大変重要な課題となっておりまして、現在、来年度の地方財政対策について大蔵省当局と協議を始めているところであります。  歳入面について申し上げますと、やはり地方税収入それから国税収入とも伸びが見込めないというような全般的な状況があります。もちろん、まだ税制度その他についてきっちり決まっているわけではありませんので、断定的なことを申し上げる段階ではないわけでありますけれども経済状況あるいは経済見通し、そういったものを考えてみて、大幅な地方税増収あるいは国税増収を背景とした地方交付税の増というようなことを見込めるような状況にはないという見通しがあるわけであります。  一方、歳出面でありますけれども、やはりこの二、三年、景気対策等々あるいは財源対策借入金に依存するという財政運営を行ってまいりました結果、この借入金の償還費、いわゆる公債費でありますけれども、これは必然的に大幅な増加をせざるを得ない。  それから一方で、経済対策というものをどうやって考えていくか。それから、地方団体で非常に今機運が高まっておりますけれども、身近な社会資本を整備をしていきたいという強い意識がある。それから、総合的な地域福祉施策をどのように充実していくか。それから、阪神大震災もありますし、私ども、深谷大臣の御提唱によります災害に強い町づくりをどうやって進めていくかといったような重要な政策課題があるわけでありまして、財政需要の面につきましても、こういう情勢でございますから厳しく対処をしていくことを第一義といたしますけれども、そういった財政需要についても的確に対処をしていかなければならないというような、歳入歳出両面の問題があるわけでありまして、再三同じ言葉を繰り返して恐縮でありますけれども財政的には極めて厳しい事態になるというように予想をいたしております。  ただ、いずれにいたしましても、地方団体財政運営に支障を生ずるようなことがあってはなりませんので、地方団体財政運営に支障が生じないよう的確な対処をいたしていきたいというように思っているところでございます。
  9. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 要するに、今の御答弁ですと、税収面では今後ともそんなに大幅な増収は見込めない、そうかといって歳出面は落とせないということで、地方はますます財政が厳しくなるけれども何とかしてやりたいと思っている、こういうことですかね。  そうしますと、確かにそれはそれで大変頼もしい答弁だとは思うのです。頼もしい答弁だとは思うのですが、普通の常識からすると、もうちょっと一工夫あっていいのではないか。例えば普通一般の企業あるいは団体でしたら、入ってくる方はなかなか増収が期待できない、出ていく方もカットできないというので、いろいろな工夫をしてやっていくのですね。それが俗に言うリストラですね、リストラクチャー。  ここで次の質問に移るわけでございますが、とにかく今の行政全般がリストラをしていかなければいけない。つまり一言で言えば、私どももそうですけれども、税金で御飯を食べさせていただく人を減らしていかなければいかぬのですね。これから特に、高齢化社会になって、働く人がどんどん減っていくのですから、要するに所得税を納める人が減っていくのですから、その税金で御飯を食べている人も減らさなければいかぬ。これはもう当たり前のことです。そうなってくると、いろいろな規制緩和が必要であるし、それから国の権限というものを地方に移していく地方分権が必要であるし、地方地方で、受け皿として、分権をされても立派に仕事をしていくということが必要なわけです。  そういった意味で、地方自治体のリストラといいますか、もっと露骨に言うと、地方自治体がまとまって仕事をする、もっと言うと、農協合併ではありませんけれども、スケールメリットを追求していくということが何よりも必要だと思います。特に、リストラを見ておりますと、大企業ほどリストラは進むのです。だから、やはり大きなところはいろいろな意味でやりやすいのですね。そういう意味で、この市町村合併というのはもう唯一といっていいくらいの、今や本当に危機的な状況にある地方財政、あるいは地方の力というのをつけていくための唯一の切り札じゃないかというふうに私自身は考えております。  そういった意味で、本年の通常国会で成立いたしました市町村合併特例法、これは私どもこの委員会でも質疑をさせていただきました。大変期待をしておったわけでございます。特に住民発議制という、これは五十分の一の住民の発議があれば隣の町と合併協議会を持てる、こういうことでございます。  ちょっと話が横にそれて恐縮でございますけれども、今私ども政治に携わっておる者は、投票率の低下というのも非常に恐れているのですね。とにかく、参議院の選挙でもそうでございますが、十人のうち六人棄権してしまう。各種選挙そうですね。佐賀の参議院の選挙でも、おかげさまで勝たせていただきましたけれども、あれだけ私ども大騒ぎして、創価学会さんも大騒ぎしたようでございますが、五二%でしょう、投票率が。半分ですよね。それぐらい非常に投票率が落ちている。これはある意味では間接民主主義の、要するに自分たちの代表を選んでその者に何かやってもらうという間接民主主義、それが今、私どもの責任もあると思いますけれども、政治不信ということで、間接民主主義のある意味での限界だと思うのです。  だから、そういう意味で、直接民主主義をこれからもっともっと取り入れていかなければいけないというのが私どもの考えでございます。そういう中で、この住民発議制というのは直接民主主義でございますので、特に五十分の一という割と少ない人数でやるわけですから、これは非常に有効だと思うのですが、これはもう施行されてから半年以上たちますけれども、具体的に市町村合併特例法をやって、どういうふうになっていますでしょうか。
  10. 松本英昭

    ○松本政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘いただきましたように、三月に市町村合併特例法を延長していただきまして、それが四月一日から施行されているわけでございます。その後、実は二件ばかり合併の事例がございました。一つは、東京都の秋川市と五日市町の新設合併によるあきる野市の誕生、いま一つは、茨城県の鹿島町が大野村を編入合併したことによりまして鹿嶋市という市を誕生させました。この二件でございます。これはいずれも住民発議ではございません。  この住民発議の方は、法律が改正されましてから現在までに、宮城県の名取市、埼玉県の上尾市及び伊奈町、それから茨城県の常北町、京都府田辺町においてそれぞれ請求が成立いたしておるところでございます。この結果は、宮城県の名取市と埼玉県上尾市及び伊奈町の事例につきましては、合併特例法に基づきました手続は既に終了いたしましたが、いずれも合併協議会の設置には至っておりません。現在、残りの茨城県常北町それから京都府の田辺町につきましては、まだ手続の続行中という状況になっております。  それから、御指摘になりました直接民主制のお話でございますが、この件につきましては、二十四次の地方制度調査会におきましても、住民参加の今後のあり方という形で取り上げて、現在議論をしていただいているところでございますので、申し添えさせていただきます。
  11. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 住民発議があったんだけれども、要するに相手の町村がノーと言ったということですね。それで住民発議によっての合併はまだできていないということでございます。  ここでちょっと確認をさせていただきたいのでございますが、仮に五十分の一の署名を集めて隣の町に合併をしてくださいと言ったときに、隣の町が、町長さんが冗談じゃないやといって断った。そうすると、もうそれで一たんだめになるんですが、もうちょっと頑張ってみようやというので、今度は新たに例えば二十分の一の署名を集めて即持っていくということをやってもいいんですね。それは何回繰り返してもよろしいんでしょう。それだけちょっと確認させてください。
  12. 松本英昭

    ○松本政府委員 お答え申し上げます。  繰り返しにつきまして制限はございません。
  13. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 繰り返しについては制限はないということでございますので、私どもはやはり、これは私どもの大きな責任でもございますが、地元の皆さんに呼びかけて、とにかくいずれにしても、仮に町長あるいは町議会、あるいは市長さん、市議会がノーと言っても、これは住民が、五十分の一では大した方じゃないですけれども、例えば二分の一とか三分の一とか、そういうふうに集めれば、これは相当なプレッシャーになりますので、そういう運動をこれからみんなで一緒になってやっていくということがいいと思うんですね。  どうしても、地方自治体にしてもそうなんでしょうけれども、親方日の丸で、先ほど遠藤局長が御答弁されましたように、何とかしてやりたいと思っているというようなことを言うと、じゃ何とかしてくれるんだろうというようなことで、特に合併は、一番つまらぬことですけれども、名前なんかにこだわるんですね。うちの町の名前が消えちゃうのは嫌だというようなことが、私の地元でも実はそういうことがあるんです。合併はいいけれども、うちのところの名前はどうするんだね、大きな方の町の名前に直るのは嫌だなとか、それはあるんです。ただそれが、やはり住民たちが自分の身近な問題として、このままでいくとこの町もあるいはこの市もおかしくなっちゃうよ、パンクしちゃうよ、そういう危機感、切迫感があれば、そんなこと言っていられなくなるんですね。  そういう意味では、大変変な言い方ですけれども、国も苦しいけれども地方も苦しいだろう、何とかしてやるから頑張りなさいというようなことを余り前面に出されちゃうと、先ほど言った親方日の丸になると思いますので、市町村合併をやりなさいと言うのは地方自治の建前上難しいでしょうけれども、この市町村合併特例法についてさらにさらに周知徹底をしていただきたいと思うわけでございます。  前回の委員会の中でも私質問させていただきましたけれども、今度の住民発議ということでございますので、従来の例えはこういう法律のPRというのは、お役人さんがお役人に伝達すればいいわけですね。そうすると、どうしてもお役人言葉で書いてあるから、一般の人にしてみればちょっと読みにくい、わかりにくい、こういうことだと思うのでございます。私は前回、一般の方もわかりやすいようなPRの方法をぜひしてください、こういうことを申し上げたんです。漏れ承りますと、随分御努力もなさっていると思いますけれども、念のためにここで、どういうPRをなさっているか、それがどういう効果が出ているか、そのことを確認させていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  14. 松本英昭

    ○松本政府委員 お答え申し上げます。  市町村合併を含めました広域行政の推進ということにつきましては、今委員指摘のように、私どもとしては各方面においていろいろと工夫を凝らしてPRに努めているところでございます。今ちょっと持ってまいりましたが、この本とかこれは茨城県の方でおつくりいただいている本でございます。それから、こういう書物、出版物というようなものもございます。それから、広域行政の推進のための連絡会議とか、そういうようなものもブロック単位で設けておりまして、シンポジウム等もやっております。  それから、ことしの九月からは広域行政アドバイザー制度というのを設けまして、有識者のアドバイザーに委嘱をいたしまして、そういう人を各地方に派遣をして、役所の方だけでなく、その地域のいろんな民間の方等も含めていろいろと会議を持っていただいたり助言をしていただく、そういうことも含めて推進しているところでございます。今後とも、なお一層努めてまいるところでございます。
  15. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 事前の御説明ですと、例えばJCとかロータリーとかいろんな、特に若い人たち向けにしっかりとPRをなさっていると思いますので、引き続きぜひPRをしていただきたい。我々政党も、今度は選挙区支部というのをつくりますので、政党の中でもこれを議論をして、そして、まだ党員がちょっと少なくて困っておるんですが、それはさておきまして、地方の政党なんかもそういうことを中央と連動してやっていくということは大事だと思いますので、私どもはそういうことも考えております。  大臣、せっかくきょうは御出席でございますので、大臣にお願いを含めてお伺いをしたいと思うのでございます。  先ほど来からの議論で、入ってくる方はなかなか入ってこない、そうかといって出る方は、社会資本の充実等があって、もっと身近な行政、福祉もやらなければいかぬ、いろいろな意味でカットができない、何とかしてやりたいと思ってる、そういう御答弁がございました。  私が今申しましたように、もうとにかく広域行政といいますか、市町村合併をして、そして、昔でありましたら隣の町や村に行くのに徒歩か自転車でございますから相当時間がかかったわけでございますが、今は物理的な距離というのは本当に短いんですね。その中に幾つもの目に見えない行政の区域があって、幾つも市町村が分かれているというのはまことに不合理だと思うんです。そういう意味で、今回の法律改正によって住民発議制というものができました。これの効果がまだ今のところ正直言ってあらわれていない。もう少し私どもも長い目で、もっともっと運動が盛り上がっていくように頑張らなければいけないわけでございます。  いずれにしても、地方財政の危機的状況というのは、そうおいそれとは解消できないと思います。したがって、中長期的にはもうちょっと合併がしやすいような、そういった法律改正、あるいはこれが余り効果が上がらないようでしたら、間断なく手を打つということが必要だと思うのでございますが、大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  16. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 委員指摘の点については一々こものともであると思います。これから地方分権の方向に全力を挙げて進んでいく過程において、地方受け皿というものがきちんとしていくということが非常に大事なことであります。  国が地方分権に向けて、例えば仕事量のすみ分けたとか財政の分配について検討すると同様に、今度は受け皿の方も、どのような形できちっとこれを受けとめて、本当に実りのあるものにするかということについては大きな課題でありまして、そのためには近隣の合併も含めた地域全体の御配慮というものが大変大事だというふうに思っております。いずれにしても、地方のそのような受け皿を完璧にするために、私たちはさまざまな手法で御指導も申し上げていかなければならないと思っています。  財政事情につきましてはもう御説明申し上げましたとおりでありますが、当面は全体的な財政を確保するために全力を尽くしますが、内閣の一員としてやはり基本的には景気回復をとにかく実現をする、そういうことを進めることが肝要だと心得ております。
  17. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 大変力強い御答弁をいただきましたので、ぜひ景気回復を含めて、地方受け皿づくりという観点で施策を講じていただきたいというふうに思います。  時間がまだ一分ぐらいありますので、最後に一言だけちょっと聞かせていただきたいと思うんです。  きょうは施設庁にも来ていただいていますね。  たまたま地元のことで恐縮でございますが、沖縄の米軍基地、今御案内のような状況でございまして、基地を本土に移すというような話が大きな政治課題になっておる。これは大体一年ぐらいでめどをつけようというような話もございます。私の地元の御殿場市というところがあるんですが、県内の大手の新聞が一、二週間前に、米軍当局が沖縄の基地を移転させるとすれば、どの部隊とかだれも言ってないのですよ、移転させるとすれば、東富士演習場が一番いいのだなんてことを言っているよというような記事がどんと出たわけですね。  そうすると、市民の皆さんにしてみれば、それは沖縄は大変だ、よくわかる、しかし、寝耳に水でうちの町にそのおっかない人たちが来るのかいというような、ざっくばらんに言えばそういうことですな。そういうことで、今私どもも、そんなことはないのだよ、まだ何にも話は進んでないのだよということを一生懸命言っておるのですが、ある意味では相当市民が動揺している部分がございます。  これについて、もちろん不確定な要素がたくさんあると思いますけれども、当局の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  18. 坂本憲一

    坂本説明員 御説明を申し上げます。  県道百四号線越え実弾射撃訓練につきましては、九月の日米安全保障協議委員会におきまして、同訓練を分散実施する方向で技術的、専門的に検討を進めていくことが合意されたことを受けまして、十月五日、日米合同委員会におきまして、本問題解決に向けて検討を行うための特別作業班が設置され、これまで四回にわたる会議を開催し、鋭意検討を進めております。今後も、米側の協力を得つつ、精力的に検討を進めてまいる所存であります。  本問題につきましては、特別作業班におきまして引き続き鋭意検討を行うことになりますが、現時点では具体的な移転先や方法の検討を進める段階には至っておらず、米側の要件を十分把握した上で、今後の検討を進める必要があると考えております。  なお、基地及び演習場も本土へ移転するのかという御趣旨の御質問でありますれば、防衛施設庁といたしましては、現在のところ、訓練を行う部隊のみの移動を考えており、移駐は検討の対象としてはいないと申し上げておきたいと思います。
  19. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 終わりますが、ぜひ施設庁、地元で不要な混乱が起きないように、連絡を密にしていただきたいというふうに思います。  以上でございます。ありがとうございました。
  20. 平林鴻三

  21. 中島洋次郎

    ○中島(洋)委員 中島でございます。  ことしももう師走ということでありますので、ことし一年間というものを振り返ってみた場合、どうも本当に大きな災害、大きな事件が連続した年であったと思います。それによって、社会不安というものが国全体を覆ったような、そういった年であったような気がいたします。そして、こうした社会不安というものの解消に向けては、自治省、消防庁そして警察庁に対する国民からの期待は大変に大きいものがあると感じておりますので、限られた時間でございますが、順次質問をさせていただきたいと思います。  まず、犯罪面で、銃器対策についてお聞きしたいと思います。  九月に公表された総理府の世論調査でも、国民の八割以上が、銃を使った犯罪の状況が悪化をしている、そして、国民の五割、半数以上が、銃に対する不安というものを訴えております。国民が安心して暮らせる社会を実現するために、銃器対策は大変に重要であります。  そういった銃器対策の強力な推進が国民から求められている中で、つい先ごろ、群馬県警等で銃器の捜査をめぐって不適正な事件が起きた。適正を欠く方法で暴力団関係者から銃を入手して、それを正規の押収のように装ったというふうに言われております。そして、捜査官はそれぞれ処分を受けました。  銃器対策の推進に当たりましては、これは国民からの理解と協力が不可欠でありますし、また、そういった一般市民からの情報というのも、これは大変に重要になってきていると思うわけでございます。そうした中で、国民からの信頼を損なうようなこうした事案は、もう二度と起こしてはならないと思います。再発防止も含めて、警察庁がこうした問題にどのような認識をお持ちで、また、今後銃器捜査というものをどのように進めていくのか、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
  22. 中田恒夫

    ○中田政府委員 お答え申し上げます。  ただいま委員指摘のように、市民に甚大な被害が拡大しております現下の厳しい銃器情勢のもとで、警察といたしましては、従来にも増しまして強力な銃器取り締まり、摘発というものを進めているところでございまして、本年は、十一月末現在で、昨年一年間の押収丁数を超えた千七百六十八丁のけん銃を押収するなどの成果を上げているところでございます。  また、銃器が国民にとって身近な脅威となりつつあります今日、御指摘のように、国民に対する広報啓発活動を進めまして、その理解と協力を得ていくことも大変重要であります。そのため、先月「銃器根絶のための国民の集い」というようなものも開催したところでございまして、広く国民各層への呼びかけを行っているところでございます。  こうした中で、ただいま委員指摘のような事案が発生したわけでございまして、この案件につきましては関係者を厳正に処分をいたしたところでありますが、全国警察が総力を挙げまして推進している銃器摘発に水を差すということとともに、国民の信頼を大変損ねたというところでございまして、まことに残念な事件だと思っております。  そのようなことを踏まえまして、私どもといたしましては、さらに強力な銃器の摘発を進めていきますが、一方で、捜査に疑念を抱かれるようなことのないように、今後、例えば捜査上のマニュアルを策定いたしますとか、あるいは各種の教育訓練というものを尽くしますとか、あるいは銃器についての特別な指導体制の強化というようなものを図っていくというようなことを通じて、適正な捜査の推進に努力してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  23. 中島洋次郎

    ○中島(洋)委員 大臣にも所見をお聞かせ願えればと思います。
  24. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 まず冒頭に申し上げたいのは、今委員指摘のように、銃器対策について国民が挙げて努力しなければならないときに、その捜査の過程に警察官の不祥事が起こるなどということは許されないことでありまして、私も大きな憤りを感じまして、厳正な対応を警察当局が行うことを期待しておりましたが、ただいま局長答弁のような処置が下されたところであります。二度とこのような不祥事が起きないように、警察挙げて努力をしていくべきことだと考えております。  それから、銃器の問題については、近年銃器による殺傷が非常にふえてまいりました。まだまだ、ピストルによる殺人というのは年間三十人、四十人でありますから、アメリカのような一万五千人という状態ではございませんが、今完全な防止対策を講じていきませんと将来に必ず多大の禍根を残す、こう考えて、政府といたしましても、官房長官を中心とするこの根絶のための対策本部を設けるとか、あるいは、諸外国の担当者に集まっていただいて、国際的な協力関係を確立するための会議を既に催したのでありますが、そういうこととか、国民全体の意識高揚等々、あらゆる手段を講じてこの銃器対策に取り組んでいきたいし、いきつつございます。  警察といたしましては、銃器取り締まりの専従体制の強化とか改正銃刀法の活用とかさまざまな内部の総点検をいたしながら、事に当たってまいりたいと思っているところであります。
  25. 中島洋次郎

    ○中島(洋)委員 ありがとうございました。  さまざまな取り締まりの法律も変わっておりますし、また時代も、暴力団関係のみならず、一般の方への銃器の拡散という面で、捜査員の中に戸惑いもあったのかなという感じもしております。局長がおっしゃったようなマニュアルづくりも一つの手段として大変に有効な対策ではないかと思いますし、何はともあれ、日本の良好な治安というのは厳格な銃規制によって保たれてきたというこれまでの経緯も踏まえて、警察には一層の奮起を求めたいと思います。  次の質問に移りますが、災害面でいいますと、ことしは阪神・淡路の大震災という大災害で幕をあけた年でもありました。従来大きな地震がなかった場所で起きたということや、起きた場所が大都市であったということから被害は甚大となりまして、さらに救援活動も従来にない困難を伴ったと思うわけであります。  そうして、国民の間にも、自分たちが住んでいるところでもいっこうした大災害が起きるかもしれない、そしてまた、そういったときに救援活動は迅速に行ってもらえるのだろうか、そういった不安の心理も広がったように思います。政府におかれましても、与党とも協力をされて、災害対策の見直しあるいは新たな施策等を行っていらっしゃるところでございますが、国民の中から、全国自治体とネットワークを持ってかつ消防署という活動の手足を持つ自治省、消防庁、これがぜひ前面に出てほしいという大変な期待の声を私も随分聞きました。  そこで、震災後、自治省の対応として注目されたのが、緊急消防援助隊の創設というものがありました。その緊急消防援助隊、つい先ごろ、全国一万七千人規模で部隊編成が完了したというふうに聞いております。これが阪神・淡路大震災の教訓をどのように生かしてっくられたのかまた、ああいった大混乱が予想される災害時にうまく機能するよう、従来にないとういった工夫がされているのか、そういった点をお聞かせ願いたいと思います。
  26. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 消防庁長官がおりますから、細かいことは彼から答弁させたいと思います。  阪神・淡路の大震災というのは、一瞬にして五千五百人を超える人々がお亡くなりになる大災害でございました。しかし、この悲しい教訓を生かして、今後、国民の安全を守るということに全力を尽くすのが政治の務めだと考えまして、内閣全体、政府といたしましては、危機管理体制をどう完全なものにするか、そのことに全力を挙げて努力をいたしてまいりました。九月一日に全国的な防災訓練を行いましたが、私も参加をいたした政府の対応といたしましては、あの阪神・淡路の経験に照らして、格段の危機管理体制ができたものと思っておりますが、一層その充実を図ってまいりたいと思っております。  自治省といたしましては、一兆円構想というのを打ち出しまして、安全な国づくりのために、あらゆる装備の点検あるいは充実を図ろうということで、ただいま努力をしているところであります。  特に、一つの地域消防でお守りできないという現状から、いざというときには全国から緊急消防援助隊が出動して、その地域に重点的に消防や防災の任に当たるという体制のために、委員指摘のような緊急消防援助隊を創設したわけであります。一万七千名というかなり大規模な組織に相なりまして、過日は江東区におきまして合同訓練を展開いたし、天皇陛下にも御出席をいただきまして、ヘリコプターや重装備を含めた実戦さながらの訓練を挙行させていただきまして、私どももその内容が極めて充実しているということに対していささか満足をいたしておりますけれども、これらの訓練や装備その他の機能も十分準備できるような体制にいたしまして、万全を期して、とにかく安全な国づくりに努力をいたしたいと思っております。  細かい内容について、消防庁長官からお答えさせます。
  27. 秋本敏文

    ○秋本政府委員 緊急消防援助隊についてでございますけれども、基本的には今大臣から御答弁があったとおりでございます。  阪神・淡路大震災の教訓を踏まえての工夫といった点について申し上げますと、例えば、緊急消防援助隊の編成につきまして、従来の消火隊あるいは救急隊などのほかに、後方支援部隊、指揮支援部隊というようなものを設けるということにいたしました。阪神・淡路大震災の場合に、全国から消防隊が応援に駆けつけましたけれども、その生活自体に大変困難を来した、あるいはまた指揮系統をいかに確保するかということにも問題があったといったような反省に立ちまして、そういう後方支援部隊あるいは指揮支援部隊というようなものを設けました。先般の合同訓練におきましても、そういった点に配慮しながら、例えば訓練の前日におきましては、野営訓練というものを設けて行うというようなこともいたしているところでございます。  今後とも、この緊急消防援助隊をいわばリーダー、精鋭にしながら、全国消防隊の水準の向上、あるいは地域の消防団、住民の皆さんの自主防災組織、そういったものとの連携をさらに強化するように努力してまいりたいと存じております。
  28. 中島洋次郎

    ○中島(洋)委員 ぜひともこれがうまく機能して、もしもの場合でも国民が安心感を持って暮らしていけるような、そういった存在になっていただきたいと期待を申し上げておきたいと思います。  次に、先ほど同僚議員も質問した項目でございますが、景気等の落ち込みに伴う地方財政の悪化ということについてお聞きをいたしたいと思います。  今年度、実質成長率はもう既に政府見通しの二・八%はとても達成は困難だ、そして、今年度の国税も予算計上額を確保できずに、およそ三兆円減額補正せざるを得ない状況になるというふうに聞いております。そうなりますと、そういった国税を原資にしている地方交付税にもすぐにこれははね返ってくる問題になります。これに加えまして、今年度は地方税収の方も地方財政計画をかなり下回るというふうに伝えられておりまして、地方財政を取り巻く状況は大変に厳しいという感じがしております。  従来、これまでにおいても地方財政は大幅な収入不足に見舞われまして、その不足分を膨大な地方債あるいは交付税特別会計の借り入れ等によって補ってきている、これはもう皆様御承知のとおりでございます。さらに、こうした悪条件がどんどん重なってくる中で、地方の市町村等各自治体は、一体地方交付税はどうなるのだろうか、果たして予算がきちんと組めるのだろうかそういった心配をする声もかなり我々のところにも寄せられてきております。  そういった現状並びに今後の収支見通し税収不足に対する対応についてまず一点お聞きしたいのと、あわせて、国の方は二百二十兆円を超す国債残高を抱えて、大蔵大臣が財政危機宣言をしたわけでございます。一方、地方においても、今申し上げましたような状況で、百二十兆円もの借金を抱えておる。大蔵省が国の財政危機宣言を出すのであれば、ここは自治省も地方財政危機宣言といったものを出してもいいような状況ではないかという感じがいたしますが、その点もあわせてお聞かせ願いたいと思います。
  29. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 具体的な財政の収支の見通しや税制の問題については担当局長から答弁をさせることにいたしますが、第一点の、大蔵大臣が財政危機宣言を行った。これは、ある日、閣議の席で大蔵大臣が財政危機宣言なるものを発言されたわけでございます。そのとき私は、予定しておらなかったのでありますが、直ちに発言を求めまして、百二十兆を超える借入金のある地方財政状況は極めて厳しいということを私からも率直に申し上げまして、閣僚各位の御協力を求めたところでございます。  それから、細かいことは局長が答弁いたしますけれども、いずれにしましても、平成八年度の地方財政対策に当たりましては、地方団体財政事情というものを十分に考え、支障を生じないように、地方税や地方交付税などの地方一般財源充実確保に、大臣としても全力を尽くして頑張っていきたいと思っております。
  30. 遠藤安彦

    遠藤政府委員 来年度の収支見通してございますが、ただいま来年度の収支見通しの作業に入っているところでありまして、まだ具体的な状況を申し上げる段階に至っていないことをお許しいただきたいと思うわけであります。  ただ、例えば歳入面で申し上げますと、一番重要であります地方税や地方交付税の問題がありますが、税制改正がまだ最終的に固まっていないという状況ではありますが、現下の経済情勢、今年度の税収、そういったものから想定をいたしますと、来年度の地方税、それから国税の収入に基づきます地方交付税、これらは大きな伸びは見込めない。むしろ、今年度当初で計画した部分が見込めるのだろうかというような厳しい状況にあろうかと思います。  一方、歳出面におきましては、最近の経済対策等、また財源不足に対応するために借入金に依存をしてきたというような経緯がございまして、その償還費であります公債費の大幅な増加がまず見込まれるところであります。  そのほかに、住民に身近な社会資本の整備でございますとか地域福祉の充実でございますとか、災害に強い安全な町づくりでございますとか、要所要所で住民ニーズに適合した重要な政策課題を遂行していくための財政需要というものも見込まれるわけでありまして、私ども、こういう厳しい状況の中でありますので、歳出については極力抑制をするという基本的な態度、これは国の場合も同様でありますけれども、そういったものを想定いたしております。  今申し上げましたように、歳入の状況あるいは歳出圧力といいますか、そういった状況のもとでは、場合によっては今年度を上回る大幅な財源不足が生ずるおそれもあるというような厳しい事態が想定されるところでございます。
  31. 中島洋次郎

    ○中島(洋)委員 おっしゃるように、税制改正が今まさに行われているところでありますし、地方税財源の確保、これは今まさに最もホットな問題であります。事務当局、また大臣、そして我々もこういった問題を深刻に考えて、一生懸命努力するべき大事な時期に今来ているのではないのかな、そういった認識を持っております。  そこで、トップといいますか、頂点に立って引っ張っていただきます大臣の、地方税財源の確保と、地方財政に支障が出ることのないよう、これからの地方財政対策に臨まれる決意のほどというものをお聞かせ願えればと思います。
  32. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 先ほどの御質問の中にもございましたが、本当に地方財政事情というのは厳しいものがございまして、それぞれの地域において大変な御苦労を背負っておることをよく承知しております。また、地方分権を進めるという点からいきましても、仕事だけ回して財政が伴わないということでは何にもなりませんから、そういう意味でも、財政の分配というのでしょうか、そういうものについてはこれからきちんとやっていかなければならないと思っています。  当面、来年度の予算編成がただいま進んでいるところでございますので、地方財政の全体像をきちんと見きわめた上、地方財政に支障を来さないような財源確保にあらゆる角度から全力を挙げてまいりたいと思っております。
  33. 中島洋次郎

    ○中島(洋)委員 この問題は、今大臣自身がおっしゃったように、地方分権の推進、あるいは地方でも急速に進んでおります高齢化社会の対応等を初め、地方交付税の総額の確保、地方税財源の確保、そういったことは大変に重要な問題であると思いますので、ぜひ大臣、事務当局にも頑張っていただきたいと思います。  時間があるようですので、もう一点お聞きいたしたいと思います。  もう一点お聞きしたいのは、間近に迫った二十一世紀に向けて、改革の理念の一つとして地方分権の意義というのが大きくクローズアップされてきていると思うわけでございます。これは、地方の自己決定権を強化して、そして地方の側もきちんとした責任を全うしてもらう、地域を責任を持って総合的に経営していただくという意味で大変意義深い。そのためには各市町村等も努力をしていただく、体制を強化していただくということが必要不可欠であるかと思います。  住民に一番身近な市町村の部分で体制を強化していただくためには、同僚議員からもあったように、やはり三千二百以上ある市町村の合併が大胆に積極的に進んでいかないと、どうも実効が伴わないのではないかという感じがしております。また、合併を進めるには、この厳しい財政の中でありますが、思い切った財政措置というものがないと合併も推進しないという感じがしております。この合併の必要性については自治省はどうお考えになっているのか、そして合併を進めるとすればどのような措置を推進のために講じていくお考えか、お聞かせ願いたいと思います。
  34. 松本英昭

    ○松本政府委員 お答え申し上げます。  先ほども栗原委員の方から御質問がございましたけれども、合併の現在の必要性と申しますかそういう点につきましては、まず何よりも各地方団体が自主的に、自己の責任でもって基礎的な地方団体としての適切な政策形成や意思決定ができる、そういう観点から、一定の規模が必要であろうということが一つ挙げられると思います。それからいま一つは、スケールメリットと申しますか行政の効率性、そういう観点からも合併が必要であろうと思われます。  さらに、住民ニーズというものが大変高度化いたしておりますので、その高度な住民ニーズに対応できるような体制というものも必要であろう。この中には社会・日常生活圏あるいは経済圏の拡大に伴う対応ということも含まれるのではないか、そういうように考えて、私どもも現在、先ほど申し上げましたように、自主的な合併の推進について鋭意努力をいたしているところでございます。  合併の際の財政的な措置につきましては、合併市町村は市町村の建設計画というのをつくっていただくことになりますが、その建設計画の中に含まれております地方単独事業、こういうものに地域総合整備事業債を充てまして、そして交付税に元利償還金を算入する。全体といたしましては、これは事業費の七割程度までが交付税で埋められるというような制度を一つ考えでございます。  それからまた、合併市町村が、これは従前から合併算定がえという制度が交付税上あるわけでございますけれども、その合併算定がえが従前は五年間でございましたが、これを十年間に延長いたしまして、今回の特例法で措置を講ずることといたしているところでございます。  さらには、従前、過疎市町村がありまして、過疎市町村が合併をしますと過疎市町村でなくなるということがございました。これは過疎法の附則の方で若干の特例措置は書いておりましたけれども、この適用範囲が非常に狭いということで、それを拡充いたしまして、過疎債の適用は、現在の過疎法の適用期限であります平成十二年の三月三十一日までは適用が可能になる範囲を拡大する、こういう措置も考えているわけでございます。そのほか都道府県の事業に対しましても、先ほど申し上げました地域総合整備債の措置を講ずる、こういうことを考えているところでございます。
  35. 中島洋次郎

    ○中島(洋)委員 ありがとうございました。  冒頭にも申し上げましたが、大変に社会不安が国全体を覆った一年でありましたが、その社会不安解消のためにも、また地方分権等で国全体を活性化させていく意味でも、今、自治省、消防庁そして警察庁に対する国民からの熱い期待があるということをぜひ重く受けとめていただきたいということを申し添えて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  36. 平林鴻三

    平林委員長 次に、富田茂之君。
  37. 富田茂之

    富田委員 新進党の富田茂之でございます。私の方からは、警察庁の方に何点か御質問をさせていただきたいと思います。  十一月の九日に行われました宗教法人に関する特別委員会で大臣にも何点がお答えいただいたのですが、その際に、オウム真理教の事件で大分問題になりました細菌兵器、細菌兵器禁止条約というのがありまして、その実施法が五十七年に国会で制定されている。ただ、その施行令が、十三年もたっているのにいまだに制定されずに放置されている。実施法の七条で、主務官庁を政令で定めるというふうになっていたわけですけれども、主務官庁も決まらないまま放置されていたという点を指摘させていただきましたところ、野坂官房長官は、「早急に決めて御期待に沿いたいこというふうな御答弁をしてくださいました。  どういうふうになっていくのかなと思っておりましたら、十一月の二十二日になりまして毎日新聞が、施行令ができてないという点を具体的に指摘しまして、いろいろな問題点があるのだということを社会面の方でかなり詳細に取り上げて報道しておりました。  そして、二十八日になりまして、政府の方は施行令を閣議決定され、十二月一日付で公布されたということで、政令の方も資料としていただいたのですが、ちょっとこの政令を見ましたら、主務大臣が総理大臣、外務大臣、文部大臣、厚生大臣、農水大臣、通産大臣と、実施法のときに署名された大臣から法務大臣が除かれただけで、どこが本当に主務官庁なのかなと思う。もうそれぞれがみんな関係あるからそれぞれ主務大臣ですよというような政令でありまして、これで本当に大丈夫なのかな。  細菌兵器禁止条約の実施法というのは、細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約の実施に関する法律ということで、細菌兵器や毒素兵器の使用を禁ずるというようなことではなくて、流通過程についてきちんと規制をしていこうというような法律のようなのですが、こういう兵器が使われるというのは、もう当然犯罪行為にかかわってくると思いますので、そういう際には、本来でしたら警察庁、国家公安委員会の方が何らかの形で流通関係についても意見を聴取したり、警察庁の方としてまた国家公安委員会としてこういうふうに動いていきたいのだと言うことができるべきだと思うのですが、残念ながら、もともとの実施法で担当官庁になっておりませんので入らなかったようであります。  ただ、深谷大臣は積極的に閣議等でも発言される大臣でありますので、もしこういうのが本当に問題になっていく場合には、所轄外でありましても、実際に現場で動けるのは警察庁でありますから、そういう点からの意見をぜひ積極的に言っていっていただきたいなというふうに希望しております。  細菌兵器ということに関しましてちょっと何点か質問をさせていただきたいのですが、実は十二月六日付の朝日新聞の朝刊にこのような記事が載っておりました。東京都の江東区亀戸にあるオウム真理教の新東京総本部というのですかね、その建物からオウム真理教の信者らによって、一九九三年の六月と七月の二回、猛毒の細菌である炭疽菌が近隣住民に向けて噴射されていた、そういう報道でした。  この報道は、その前日、十二月五日に東京地方裁判所でオウム真理教の信者の刑事事件の裁判があったようなんですが、その法廷での証言ということで、その信者から発言がされたようであります。それを朝日新聞の方がとらえているのですが、ちょっと気になりましたのは、こういう書き方をされております。近隣への細菌散布に当たって、「「厚生省」トップ遠藤誠一被告が実行役の信徒たちに感染予防のための点滴をしたうえ、ガスマスクや六時間おきに飲む薬を手渡したで信徒らは同年六月と七月の二度にわけて、細菌を噴射したという。」  この準備方法を見てますと、サリンを散布した際に、オウム真理教の信者たちがいろいろ準備をしてサリン散布に向かったというところと全く同じような準備をしているのですね。そうすると、この炭疽菌というのは、オウムの人たちにとっては、サリンと同じようなかなり攻撃性のある毒性の強いものだという認識のもとに近隣住民に向けてまいたんじゃないか、この報道から見てそういう感じがいたしました。  これまでのいろいろな報道を見ておりますと、一九九三年の六月とか七月というのは、このオウム真理教の総本部の近辺でかなりの異臭が発生して、近隣住民が駆けつけたというような報道がありました。ちょうどそのときに合致すると思うのですが、警察庁の方としては、今御紹介しました信者の証言にありました、炭疽菌を二度にわたって亀戸の新東京総本部近隣でまいたという事実を確認されているのか、また、確認しているとしたら、このときに何か具体的な被害があったのでしょうか、お教えいただきたいと思います。
  38. 野田健

    野田(健)政府委員 オウム真理教信者が公判廷において、亀戸において炭疽菌を噴射したという供述をしていることについては承知しております。  その施設からの異臭事案は、平成五年六月二十八日、付近住民からの通報により事案を認知いたしまして、警察官が臨場の上、所要の調査を実施しております。この結果、この異臭は六月二十八日から七月一日までの間、同施設から腐敗臭のようなものが漂ったということでありますが、これらの異臭によりまして人の身体に対する被害は確認されておりません。その後、同教団に対する一連の捜査の過程で、ボツリヌス菌、炭疽菌の培養のための研究をしていた状況は認められるところでありますが、培養が実現できたという事実を確認するには至っておりません。  なお、同教団の敢行した一連の犯罪については現在その全容の解明に努めているところでありまして、その過程で刑罰法令に触れるような事案を認知した場合においては適切に対処してまいりたいと考えております。
  39. 富田茂之

    富田委員 ボツリヌス菌や炭疽薗の培養をしようとしていたというのは確認されている。ただ、実際に製造できたのか、まあ多分その菌の存在を確認されてないということだと思うのですが、この信者の法廷での証言によりますとばらまいている。しかも、先ほど御紹介しましたように、サリンをまく際の準備と同じような準備をしてまいているということになると、製造まで実際やっていたのじゃないか、できたものを付近住民に向かって散布したのじゃないかなという疑いがかなり私は強いと思います。  ただ、今のお話ですと、具体的な被害は全くなかった、異臭がしたということだけですと、現行の刑法上は多分何の罪にもならないと思うんですね。特別な刑法で、細菌をまいたという行為に対して何か取り締まりとかそういう規定はまだできていないと思いますので、実際に炭疽薗の製造に成功して本当にまいていたとしたら、炭疽菌の毒性がどの程度のものか国会図書館等から資料を取り寄せて勉強してみたんですが、かなり致命率の高い毒素だ。本来は自然界で動物からいろいろうつってきたりするみたいですが、そういうものを人工的につくってもし散布したとしたら、サリンほど強烈ではないでしょうけれども、人体に入った際に、一日か二日で相当の致命傷を与えるような毒物であるというような資料もいただきました。  それだけのものを、亀戸というと、住民がいっぱいいらっしゃる地域にまいたということになって、本来なら物すごい被害が出ていたかもしれない。ただ、このときはたまたま異臭が出ただけで何の被害もなかった。それでも、法的には、まいた信者たち、あるいはそれを命令した幹部たちに対して何ら規制ができないのが今の現状だと思うのですね。それは、一般国民から見たらちょっとおかしいんじゃないか。そういう変なことをやっても何ら刑法に触れない、特別の法律もない。これはちょっと一般人の法感情からして、何でそうなっているのというような素朴な疑問があると思うんですが、その点について、大臣はどんな感想を持ちますか。
  40. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 お答えする前に、先ほど委員が御指摘の、細菌兵器禁止条約実施法の問題について、その主務大臣に私どもが入っていないということについてお話がございましたが、これは御案内のように、主務大臣というのは、必要な限度で、生物剤等の取扱者に対して報告徴収の義務を負う、その場合に、私どもが直接そういう任に当たらないという意味でございます。  実際のこの施行に関しては、その定められた主管大臣のみならず、あるいは主管官庁のみならず、警察庁を含めたあらゆる立場から協力することはもう当然のことでございまして、全力を挙げて御協力をすることを考えております。  それから、ただいまの御質問について、委員指摘のような疑問というか不安というのは、もう多くの方がお持ちであろうと思うんです。ですから私も、例えば細菌等の生物について何か法規制ができないかということを担当者にもしばしば申し上げておるのでありますが、この細菌というのは、通常でも一般の人たちの人体の中に含まれていたり、あるいは自然界の中にもある程度は存在するものでございまして、直ちに所持等を禁止するというのは非常に難しい。それから、医療とか製薬等の正当な用途のある部分というのもございますから、なかなか法規制を考えていくということには困難があるというのが目下の状況でございます。  ただ、今後、いわゆる細菌兵器禁止法の施行状況等も踏まえながら、何か有効な規制とか取り締まりがあるのではないか、一層検討を進めてまいりたいと考えております。
  41. 富田茂之

    富田委員 大臣から積極的な御答弁をいただきました。  サリンのように要するに人を殺す以外にほかに目的がないというものに対しては、サリン特別立法のように規制していくことが可能だったと思いますが、今本当に大臣がおっしゃったように、もともと自然界にあるもの、また、いろいろな形で社会に使われているもの、そういうものをオウム真理教は人に対する攻撃の材料として利用しようとしたわけで、今までそんなことは予想されなかったわけですね。  大臣がおっしゃるのは本当によくわかります。なかなか規制が難しい。サリンと違って、どういうふうに対象を絞っていけばいいのか、あるいはどういう段階で規制すればいいのか、本当に悩まれていると思いますが、ただこれは、もしそれが使われて本当に被害が出たときに一般の刑法でしか取り締まれないということになりますと、やはりサリンと同じようにかなり問題が出てくると思いますので、警察庁の方でいろいろな観点から検討していただいて、早急に立法の方向に行っていただければなと思っております。  また、その点に関しまして、十月三十一日に、アメリカの上院のでオウム真理教事件に関しての公聴会が開かれました。その公聴会に出てきた資料についても、宗教法人に関する特別委員会、衆参両方でいろいろ質問が出ましたが、百ページ以上にわたる報告書の中に、細菌兵器に関してかなり詳細な記述がなされておりました。  この報告書が出た当時、警察庁の方にこういう事実があったのかとかいろいろお尋ねしたのですが、確認されてないようなものまで報告書の中に書かれていますよというようなことを教えていただきまして、ニュースソースがどこなのかなというような疑問も持ったのですが、ただ三点ほど、この細菌に関する記載の中で、本当なのかなと思うところがありました。この点だけちょっと警察庁の方に、そういう事実関係があったのかどうか確認させていただきたいのです。  ちょっと御紹介させていただきますと、その報告書の中に、オウム真理教の施設の中に、警察は、バクテリアやビールスを養殖するために不可欠な膨大な量の設備を発見した。また、バクテリアの培養に使う物質である大量のペプトンが露出されており、ボツリヌス、コレラ、赤痢菌を製造するための材料や文献が発見された。押収されたペプトンの量は驚愕に値するというような記載がありました。  サリンの原材料等について、たくさんあったというようなことはもうこれまでの報道でいろいろ出ておりますけれども、先ほども政府委員の方から、培養していたようだというような御答弁がありましたけれども、今の報告書の記載のような事実があったのかこれがまず一つ。  もう一つ。政府の公式文書によれば、遠藤誠一は、ボツリヌス菌の抗体を製造し、生物兵器の開発をさらに進めるために、もう一つの施設である長野県にコンクリート四階建ての施設を建設していた。こういうような記載までありました。これは今までいろいろな報道で見ておりませんでしたので、こういう事実があったのかどうか、これが二点目です。  もう一つ。職員というのはこの報告書をつくった職員のことだと思うのですが、職員が多くの信用できるニュースソースから聞いたところによると、バクテリア製造につくられていた建物はまだ日本の当局によって完全には捜査されていない。今までに押収された資料はすべて上九一色村にある補助的な建物から押収されたものであり、現実に製造が行われた建物からのものではない。これらのニュースソースでは、職員が八月末に日本を訪れてから今まで、日本の当局は建物の入口から簡単な検証を行った後、単に建物を閉鎖したのみであると知らせてくれた。これらのニュースソースが推測するには、警察は中にある不明の内容物に懸念を感じているため、中に入っていかないということである。今後、情報提供者や記録などからより多くの情報が得られたとき、警察は建物の中にある資材や培養物の注意深い検証を行うことにしている。こういう具体的な記載があります。  もしこのとおりだとすると、この今封鎖しちゃった建物というのはどれを指しているのかよくわからないのですが、上九一色村に視察に行ってまいりましたときに、確かに第七サティアンとかは差し押さえてもう全部封鎖されておりました。そういうことをもし指しているんだとすれば、この細菌あるいは細菌兵器等に関して、何かまだ調べないでそのままおいちゃっているのかなというような、この報告書を読む限りはそのように思えるのですが、今の三点について警察庁はどのように事実確認をされているのでしょうか。     〔委員長退席、持永委員長代理着席〕
  42. 野田健

    野田(健)政府委員 上九一色村のオウム教団施設に、細菌類の研究をしていたと認められる施設が存在していることは確認しております。細菌に関する文献あるいはペプトンというようなものの押収もいたしておりますけれども、具体的な押収物あるいは量については、現在捜査中でありますので、答弁を控えさせていただきたいと思います。  それから、長野県内にお尋ねのような施設が建設されているという事実については把握しておりません。  なお、本年三月二十二日にオウム真理教施設に対する強制捜査を着手する前に、長野県と隣接する群馬県長野原町に同教団関連施設である鉄筋コンクリート四階建ての施設の存在を把握しておりまして、本年四月四日、捜索、差し押さえを実施しておりますが、いわゆる細菌兵器類の製造、開発設備等の発見には至っておりません。上九一色村のオウム真理教施設につきましては、本年三月二十二日の強制捜査着手以来これまでの間、そのすべての施設について捜索、差し押さえ、または検証を実施してきております。もとより、細菌類の研究等を行ったと認められる施設についても、細菌類の研究専門機関の協力もいただきまして、すべてその施設について捜索、検証を実施してきているところであります。御指摘のような、簡単な検証を行った後、単に建物を閉鎖しているというような。事実はございません。
  43. 富田茂之

    富田委員 ただいまの説明でよくわかりましたので、今後その細菌等に関しても警察庁の方でも十分な調査等をしていただきたいと思います。  次に、オウム真理教事件に関連しまして、広域捜査のあり方ということについて何点がお尋ねしたいと思います。  もうこれはいろいろな委員の方からいろいろな委員会で何度も質問が出たことだと思いますが、昨年の六月二十七日に松本サリン事件が発生して、また七月九日に上九一色村のいわゆる第七サティアンと言われる建物付近で異臭事件が発生した。この七月の異臭事件以後、長野県警と山梨県警が本当に緊密な連携をとり合って、その連携の中で、上九一色村のオウム施設にかなり大量の薬品、薬物が運び込まれているというような情報がそれぞれの県警に入ったようであります。  これは上九一色村に行きましたときに、山梨県警の刑事部長さんに、連携の中で薬品類が運び込まれている情報が上がってきたのですということを教えていただきました。この情報に基づいて、警察庁の科学警察研究所に協力していただいて、異臭事件が起きた付近の土壌を九月に採取、そして鑑定に回した。十一月十六日になってサリンの副生成物がその土壌から出てきた。松本サリン事件とオウム真理教のつながりというのはこの時点でかなり濃厚になったと思うのです。  一つ山梨県警の皆さんと話をしていてわからなかったのが、科警研の方でサリンの副生成物を鑑定結果として出してきた。科警研は警察庁の一部局なのでしょうから、警察庁の方でもその事実は当然知った上で、松本でサリン事件が起きた、上九一色村でも異臭事件、その異臭というのはサリンが原因だったということがわかった上で、一体、警察庁と山梨県警、長野県警というのはその後どういう連携をとり合ったのか。その点が、ちょっとこれまでの委員会の審議でもよくわかりませんし、報道等でも一切なされていないと思うのですが、この点は警察庁、どうなのでしょう。     〔持永委員長代理退席、委員長着席〕
  44. 野田健

    野田(健)政府委員 一つは、上九一色村で異臭事案が発生して、その後土砂を採取して、その中からサリンが分解した際にできる化学物質を検出した、こういうことでありますけれども、実は、その化学物質はサリンが分解したときにできますが、そうでなくても世の中にあり得るものでありまして、したがって、その物質があったがゆえにサリンが必ずあったという性質のものではございません。  なお、そういうこともありましたけれども警察庁としては、そういったものが発見されたということもありまして、長野県警と山梨県警、それから神奈川県警も実は関係あるのですけれども、それぞれの県警について捜査の節目節目において必要な指導、調整をして、そしてまた、例えばオウム真理教のダミー会社がいろいろな化学物質を購入したりしておりますけれども、その販路というのは全国にまたがっておりますので、全国にそういった捜査の調整をしていたという状況にございます。
  45. 富田茂之

    富田委員 節目節目に各県警に指導、調整された、また、原材料の追跡調査もされたということですが、上九一色村のオウムの施設に対して警察庁の方で、現場は山梨県警になりますから山梨県警の方に、サリンの製造が可能なブラントがあるのかどうかとか、そういう点の捜査をするようにといった指揮とか調整はされたのでしょうか。あるいは、警察庁がそういうことを御自分の方で何か調査されたということはあるのでしょうか。
  46. 野田健

    野田(健)政府委員 オウム真理教の上九一色村の施設がサリンの化学プラントではないかという疑いを深めていったわけでありますけれども、実際にそれがそうだということがわかりましたのは強制捜査に入ってからでありまして、強制捜査に入る前には、これは他人の家ということでありますから任意で入っていくということは容易にできない施設でありまして、強制捜査まで得たざるを得なかったということでございます。
  47. 富田茂之

    富田委員 他人の家とおっしゃるけれども、最初報道で私たちが聞いたときは、この第七サティアンというのは物すごく山奥か何かにあって、人目に触れないところでやっていたのかなというふうに思ったのですが、現実に上九一色村へ行ってみますと、第七サティアンの建物そのもの、しかも化学プラントそのものが一般道の横に建っているのですね。普通の化学プラントみたいないろいろな管が外に露出していまして、それは一般道路からすぐ見られる。何でこんなものが宗教団体にあるのだという、本当に自然に疑いを持つようなそういう近いところに第七サティアンのあの化学プラントはあったのですよね。  他人の家だから入れないとか、ちょっと違うのではないかな。もう少しきちんとした指導、調整なりして、山梨県警の方が積極的にやっていれば、これはここで何かつくられているぞというのがかなり早い段階でわかったのではないかと思うのです。  もう一つ、他人の家だからなかなか中に入れないというふうに今おっしゃいましたけれども、薬品類、薬物がかなり大量に運び込まれているというのは去年の九月段階でわかっているわけですね。その後、警察庁が全国の販路とか調べたということであれば、消防の方に連携をとって、消防法による立入調査が可能だったと思うのですよ。薬品類を大量に貯蔵する場合には届け出しなければならない、あるいは届け出以上の薬品類を置いている場合には、立入調査して消防長の方でいろいろ指導監督できるというような規定が消防法の九条の二や十条にありますよね。  こういうところを警察庁の方から、少なくとも薬物、薬品類についてそれだけの情報を持っていたとしたら、きちんと連携をとって一ここは富士五湖消防本部というのらしいですが、富士五湖消防本部の人からも意見を聞いたのですけれども、オウムの施設の中に薬品類があるなんて何も知らなかった、警察の強制捜査が三月二十二日に入って、テレビを見ていてびっくりしたというふうに言っているのですね。そういうところがちょっと今回やはり連携にまずい点があったのではないかな。  この前、宗教法人に関する特別委員会で、警察情報を他の省庁に流せないのかというお尋ねをしましたら、それは個別事案で、捜査の秘密に関すること以外はできますよということでした。そういうことについても、何か一つメルクマールなりつくっていかないと、個々の判断でということになると、今回のように全く情報が流れないということが結果として出てしまうと思うのですね。  都道府県警察の各相互間の調整もそうですし、ほかの行政庁、特にこういう場合、消防警察が緊密な連携をとれば、本当に、地下鉄サリンというところまで行かなくて、もう一歩手前で何か抑えられたのではないかなという感じが、今の御答弁を聞いていてもそういうふうに思います。  國松長官が、ことしの九月以来いろいろな報道機関のインタビューに答えられて、警察法の改正も検討していますというふうに言っておりました。最近の、十二月六日の産経新聞ですか、「激動の一年 国松警察庁長官に聞く」という中でも、「犯罪広域化で警察法改正も」というような大きな見出しのインタビュー記事になっておりました。その中で長官は、「仮谷さん事件の前の段階で、特に長野サリン事件で警視庁に管轄権がなかったのか、という問題が今あるのです。そういう管轄権の問題には両説があり、場合によっては(警察法改正を)次期通常国会でお願いすることがあるのかどうか、検討していかなければと思っています」というふうにインタビューに答えておられました。  宗教特で、我が党の船田議員が大臣に、警察法の改正問題で、我々こういうふうに考えているのだけれどもどうですかというふうに質問されておりました。政府委員の方から、そういう点も視野に入れて今警察法の改正に動いているというふうなお話がありました。具体的に、広域捜査に関して今ここまで検討していますよというようなことをもし御提示いただけるのなら、ちょっと御答弁いただけませんか。
  48. 菅沼清高

    ○菅沼政府委員 お答えいたします。  御承知のとおり、現在の警察法の建前は、都道府県警察の管轄区域は当該都道府県内ということを原則にしております。もちろん協力とか応援という関係はございますし、警察庁の調整もそうした形でやっているわけでございます。ただ、例外的に、管轄区域内の居住者等の生命、身体、財産の保護とかあるいは公安の維持に関係がある場合には、管轄区域外、つまり他の都道府県にも権限を及ぼすことができる、ここまでは決められているわけでございます。  そこで、今回のような事件にかんがみまして、必ずしも明確に自分の管轄区域内に加害者、被害者等がいるわけではない、しかしいろいろな状況から判断をして、その事案が当該管轄区域内に及んでくる可能性、蓋然性がかなりあるというような場合にも積極的にみずからの権限として捜査等ができるかどうかという点につきましては、これは消極、積極両方の解釈ができるわけでございます。  そこで、現在の規定上も可能なのかどうか、そこのところを今ぎしぎし詰めている状況でございまして、また行政法学者の先生方の御意見等も伺いながら検討している。それが、やはり明確にした方がよい、あるいは創設的にそういうものをつくらなくてはならないという結論になれば警察法の改正をお願いしたい、現在の解釈の中でも可能であるということになれば現行法の運用で対応したい、こういうところまで現在検討は進めております。
  49. 富田茂之

    富田委員 ありがとうございました。  私どもは、より明確にするために、警察法の五条ですか、調整機能の規定のところに、今回のような事件の場合には、国家公安委員長の指揮のもと、警視庁なんか大きな組織を持った都道府県警察がもっと出ていけるように明確な規定を置いた方がいいのじゃないかなというふうに考えております。それも検討材料にしていただいて、積極的な御検討をいただきたいと思います。  ありがとうございました。終わります。
  50. 平林鴻三

    平林委員長 次に、上田勇君。
  51. 上田勇

    上田(勇)委員 今、富田委員の方からオウム真理教事件についての御質問がありましたけれども、私も引き続きこの問題を中心といたしまして幾つか質問をさせていただきます。  オウム真理教関係の事件につきましては、今その概要が少しずつ明らかになってきているわけでありますが、私の感じるところでは、全容が解明されたとは到底言えないことであると思いますし、再発防止という観点から十分な対策が検討され講じられているとはとても思えない現状というふうに思われますので、限られた時間ではありますけれども政府の見解をお伺いしたいというふうに思います。  まず初めに、一連の事件の発端となったとも言えます、一九八九年に横浜市で発生いたしました坂本弁護士一家拉致事件に関する捜査についてお伺いをしたいというふうに思います。  一部の報道によりますと、これは捜査を担当していた神奈川県警と坂本弁護士が所属していた事務所との関係の問題であるということなどから、当初県警の方が捜査に余り熱心ではなかったようなことも伝えられているわけであります。そうしたことは本当にあってはならないことでありますし、なかったものだというふうに信じておりますけれども、そのほかにも報道等を調べていきますと幾つか気になる点もありますので、何点かちょっとお伺いをしたいと思います。  例えば、こういう報道もあるのですね。「警察は、教団に対する捜査を行わないばかりか、なぜか事実に反する情報を記者たちに流した。例えば、「坂本弁護士はサラ金で首が回らなくなっていた」というガセネタを少なくとも三社の記者が警察から聞いている。」というような記事も載っておりますし、また、警察が捜査の初期段階で、過激派の内ゲバ事件じゃないかというふうに考えているようなことを示唆するような記事も何回か新聞に掲載されました。  そこで、ちょっとお伺いしたいのですが、警察として、この事件発生直後、本件をどのように認識されて、いかなる方針で捜査を進めていたのかその点をお伺いしたいというふうに思います。
  52. 野田健

    野田(健)政府委員 坂本弁護士事件につきましては、届け出を受けた直後から、弁護士一家が何らかの犯罪被害に遭っている可能性が高いのではないかというふうに考えまして、届け出はいなくなったという届け出でありましたけれども、十一月の十七日に百二十名から成るいわゆる一課事件としての捜査本部を設置して捜査を開始したのであります。  坂本弁護士は、オウム真理教被害者の会の救援活動に従事し同教団との間に激しい対立があった、あるいは弁護士宅に同教団バッジ、いわゆるプルシャと言われているものが残されていたというようなこともありまして、オウム真理教の関与についても初期的段階から視野に入れて捜査をしておりましたけれども、同時に、それだけの捜査をしたということではなくて、いろいろな可能性についても一つ一つつぶしていくという捜査をしたということでありまして、事件現場において極めて物証が乏しかった、それから教団の閉鎖性が強くて内部情報をほとんど得られなかった、また組織的な証拠隠滅活動がなされたというようなことで、捜査期間に大変な時間を要したというふうに考えております。
  53. 上田勇

    上田(勇)委員 今の御答弁では、すぐ現場に入られた段階からオウム真理教のかかわりについても念頭に置いて捜査を進められていたということだというふうに思いますけれども、そうすると、これまた報道されていることでありますが、捜索願が出されたのが十一月の七日、公開捜査に踏み切ったのが十五日ということでありますが、その後十八日の夜にオウム教側が記者会見を開いて、警察からは事情聴取も受けていない、その要請も受けていないというようなことを発表したというふうに報道されているのです。それに、実際に事情聴取が行われたのは、その後何かいろいろなやりとりがあったようで、ずっと後のことになったというふうにも言われているのです。  このように、先ほどの御答弁の中でも、当初から念頭に置いて捜査をされた、またほかの記事によると捜査員百人規模で出している、また一カ月間に二千人に及ぶ事情聴取を行ったというようなことも警察の方で言われているというような記事もあるのですが、そういう状況の中なのに、事情聴取がこういうふうに大幅におくれたのはどういうような事情によるのか、その辺をもう一度御説明いただければと思います。
  54. 野田健

    野田(健)政府委員 捜査の進展の段階に応じましてそれぞれ関係する人から事情を聞いていくということでありまして、いなくなったということでありますから、まずいなくなられた事情その他について伺う必要があるということであります。  ですから、十七日に特別捜査本部を設置いたしまして、翌日にオウム真理教の側で我々は何も聞いていないと仮におっしゃられても、そのことについて我々の方がどうこう言う性質のごとではないと思っております。捜査でありますから、何かオウム真理教の関与は念頭に入れましたけれども、それだけを捜査すればいいわけではございませんので、それぞれで、必要なところで必要な捜査をしていったということであります。  なお、最初のお尋ねの中に、いろいろ弁護士さん側の事務所との関係があって、捜査にやや消極的であったのではないかという報道もあったということでありますけれども、我々として、そのようなことが事件の捜査に影響があったということは決してないと考えております。
  55. 上田勇

    上田(勇)委員 それではもう一つ、この後発生した事件でありますけれども、今の坂本弁護士一家拉致事件が八九年、その四年後になりますが、九三年から九四年にかけてのことでありますが、宮崎県の小林市で発生いたしました旅館経営者の拉致監禁事件の捜査について御説明を伺いたいと思います。  これも報道によるところでありますが、この被害に遭われた方の娘さん、四女に当たる方が警察に捜査を依頼していたが、所轄の小林署は、宮崎県警の小林署のことだと思いますけれども、オウム教の信者であったやはり別の娘さん、三女に当たる娘さんにほんの少し事情を尋ねただけで、この報道によると「まったく腰を上げようとはしなかった。」というふうにあります。さらに、記者が同署の課長さんから「事件性はないと判断している」というような発言を聞いているというふうにも記事に載っております。  さらにこの記事では、「だが、困ったことに肝心の警察の弱腰は目に余る。」「会見前に」被害者が「告訴状を提出した宮崎県警小林警察署は、告訴状の受理を拒んだ。」とか、告訴状というのは被害者の方から出されたものでありますけれども。さらに同じ記事には、「その後も小林署は「こういう難しい事件は県警本部に行ってくれ。本部なら警察官が余っているから」と言い、本部側は「小林署に行ってくれ」と、やはり告訴状を突き返すなど、警察内部の押しつけ合いが続いた。」こういう記事も載っております。  先ほどの御答弁で、坂本弁護士一家拉致事件についても、オウム真理教の関与については十分念頭に置いていたという御答弁でありました。そうすると、オウム真理教によって拉致監禁された、こういう警察への訴えがあったにもかかわらず、こういうような対応がとられたとすれば、これは大きな問題だというふうに思いますし、むしろ神奈川県警と宮崎県警あるいは警察庁を含めての連携がちゃんと行われていたのかということを大きく疑問視せざるを得ない。これはあくまで報道されている内容に基づいて今聞いておるところでありますけれども、そういうことなので、本件について宮崎県警並びに小林署はどのような対応をされたのか、今御紹介しました報道内容についての所感も含めて御説明をお願いしたいと思います。
  56. 野田健

    野田(健)政府委員 宮崎県における旅館経営者拉致事件についてでありますけれども、この事件については、平成六年九月二十六日、旅館経営者から営利略取、有印私文書偽造・同行使、詐欺未遂事件で、オウム真理教の幹部である医師佐々木正光ほか五名を被告訴人とする告訴、告発を宮崎県警察が受理して捜査に着手したわけであります。  それまでの過程では、この事件が親子間における金銭貸借の問題というのが背景にあったことと、被害者が昏睡状態の中で犯行が敢行されたというようなことがありまして、状況がなかなか明確でない、それで告訴の意思というものもはっきりしなかったというようなことがありまして、この事件に着手するのがなかなか難しかった。  実際にはそういう経緯がありましたけれども、九月二十六日に告訴が出ましたので、その後、この事件も使ってオウム真理教について強制捜査ができるのではないかということも重々検討いたしましたけれども、事件の性質からいって非常に難しい要素があったということで、これも強制捜査の着手をいつするかということを考えた場合に念頭に置きましたけれども、着手に至らなかったということでありまして、本年四月十一日に強制捜査に着手した以降、教団幹部九名を逮捕して現在公判中、こういうことになったわけでございます。
  57. 上田勇

    上田(勇)委員 先ほどの御答弁で、坂本弁護士拉致事件において、いわゆるプルシャというのですか、教団のバッジなどの、若干ではありますが物的証拠もあった、オウム真理教による犯罪も十分念頭に置いて捜査を進めていたということであります。  これはその四年後のことであります。このときに、多分被害者の家族の方々はオウム真理教により拉致監禁されたというような内容で警察の方に訴えられたんだと思うのですが、そのときに、もちろんこれは警察による公権力の発動でございますので、慎重を期すということは当然でありますけれども、ちょっと単純な感じとして、その対応には若干の疑問を感じるところであります。  さらに、横浜での坂本弁護士一家事件やこの宮崎県での事件、こうした事件でもうちょっとしっかりと捜査を行って、このオウム真理教といったものに対してもうちょっと全国レベルで注意を払っていれば、その後に発生したもっと凶悪な事件、松本サリン事件であるとか地下鉄サリン事件であるとか、その辺の事件の発生を未然に防止できたのではないかというのが率直な感想でございます。  これはもう済んだことであって、今さらどうこうということかもしれませんけれども、やはりこの辺の、それぞれの事件が発生した時点での初動の捜査をもう一度見直しをされて、今後こうした凶悪犯罪の捜査に当たるときの方針をもうちょっとしっかりしていただければというふうに願うものであります。  次に、やはりこれもオウム教の関係の問題で、オウム教の施設の中に多数の子供たちが生活していた。しかも、学校にも行かせてもらえない、蚕棚のようなところに寝ていたというような、極めて劣悪な環境の中で生活させられたという事実が明らかになったわけであります。こうした子供たちは、自分の意思に基づいてではなくこういう異常な集団の中で生活をさせられ、しかも、食事や睡眠も十分でなかったということが後からわかりまして、子供の権利、福祉という面から極めて重大な問題というふうに考えますので、この点について若干質問させていただきたいと思います。  一九八九年ごろの報道によりますと、オウム教の富士宮総本部には、親と一緒に何人かの小学生がいて、初めは学校に通っていた。ところが、途中から学校に来なくなってしまった。そうすると、これは当然のことながら、学校教育法の第二十二条第一項の就学義務、これに違反するわけで、学校関係者や地元の教育委員会の方々は大変な努力をされて、何とか子供を学校に就学してもらおうという努力はされております。  これは文部省から伺ったところでも、一九九〇年度には就学の督促状を実に九回も送っているというようなことで、これは大変地元の教育委員会の方々とか学校関係者が御努力をされたということは、もう文部省の方から伺わせていただいたわけであります。  しかし、現実にはオウム教の関係者が途中から親との面会を拒否した。したがって、教育委員会なり学校関係者なりが保護者と直接会って督促がなかなかできない状況が続いた。最終的には、伺ったところでは、内容証明つきの郵便で督促状を送付せざるを得ない。しかし、これも本当に本人に伝わったかどづかというのは、教団の施設に届くものですからわからないわけであります。  例えば今回のような、オウムの閉鎖的なコミュニティーで集団生活をしているこういうケースでは、現行の学校教育法では保護者だけに就学義務が課されています。しかもこれは、督促に応じない場合は罰則がついた義務になっているということでありますが、現実には、こういう状況の中では有効に働かなかったわけであります。しかも、現行の法令の中では、今回のように、せっかく教育委員会とかがこういう働きかけをしても、施設を管理しているオウム教の関係者がそれを妨害したとしても、それを禁止する条項もないわけであります。今回は特殊なケースという言い方かもしれませんけれども、こうしたケースを想定するときに、これは若干法体系に不備があるのではないかというような感じもいたします。  他の法令でいうと、例えば児童福祉法などでは保護者という定義がもっと広くとられておりますけれども、そういうふうに若干広く解釈はできないのか。あるいはまた、さっきちょっと言及しましたけれども、こうした督促であるとか、そういう教育委員会、教育関係者による働きかけを妨害した場合に、それを禁ずるような条項、そういったものを盛り込むようなことを検討すべきではないかというふうに思うわけでありますけれども、お考えを伺いたいと思います。
  58. 上杉道世

    ○上杉説明員 お答えいたします。  オウム真理教関係の未就学の子供につきましては、ただいま先生御指摘ございましたように、特に富士宮市教育委員会におきましては、平成二年以来たびたび督促の努力をいたしたわけでございます。しかしながら、御指摘のように、保護者と面会することさえできなかった状況であったわけでございます。  現在、法体系といたしましては、憲法の「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。」という条項に基づき、さらに教育基本法、学校教育法の規定によりまして、保護者の義務として児童生徒を就学させる義務が課せられているところでございます。これにつきまして、御指摘のような、今回のような事例はまことに異例な状態であったわけでございます。  私どもとしては、この就学義務の実行というのは、子供たちが適正な生活環境のもとで望ましい成長を図っていく、こういうことを実現するために、粘り強い説得と御理解によって実現していくことが基本的に大事なことだというふうに考えているところでありまして、現在の制度のもとで、関係機関とも連携しながら、最善の努力をいたしてまいりたいというふうに思っております。
  59. 上田勇

    上田(勇)委員 次に、この子供の問題で厚生省の方にもお伺いしたいのです。  四月十四日の警察による強制捜査の際に、上九一色村で五十三人の児童が一時保護され、その後、全国で各所の地域一斉捜査が行われたときも含めて、累計では百十二人が児童相談所等に保護されたわけであります。聞くところによると、山梨中央児童相談所においても、そうした子供の存在、あるいは極めて劣悪な環境の中で生活を強いられていた、逆に言えば、これはもうまさに虐待に近いような状況に置かれていたということを、強制捜査が行われる直前まではほとんど把握できていなかったというふうに聞いております。  ところが、これは我が党のプロジェクトチームで十月に上九一色村を訪問して、県や役場また地元の関係者といろいろな意見を伺いました。そのとき、いろいろなお話があった中で、地元では多数の子供が施設の中にいるということはもう大分前からわかっていた。どう見ても小学生、中学生、学齢期の、まあそれは生年月日が書いてあるわけではないので確証はないと思いますが、どう見ても学齢期だけれども、学校に行っている様子もないし、地元の学校に就学しているという実態もない。見るからに不衛生で、衣服も劣悪だ。しかも、地元の方のお話では、この子供たちが白い布を頭からかぶって一列に並んで一般道を行進させられていた、これはだれでも見えたということであります。  また、先ほどちょっと言及しました富士宮市では、これは報道でありますけれども、学校関係者からこういうような話も出ているのですね。余り食べていないせいか、がりがりにやせて体力もなく、跳び箱も跳べなかったというようなことを、これは学校の方がこういう観察をしている。ちょっと不思議に思うのは、これだけの事実があってなお、この実態が十分把握できなかったのか、その辺が疑問に感じる点であります。  こうしたことを考えると、これは今回、子供の件に関して、最終的に一斉捜査が行われて、そのときに五十三人という大量の子供が一遍に一時保護をされざるを得なかった、行くところまで行ってしまったというような形であったわけでありますけれども、いろいろなお話を伺うと、これは県とか市町村のレベルで、教育担当の部局と児童福祉担当の部局との情報の共有、意思疎通という面でどうも不十分な点があったのではないかというふうに感ぜざるを得ません。  さらに、オウムの極めて閉鎖的で、しかもその後の時点では、場合によっては武装化の可能性もあるというような状況の中で、こうしたケースでは、行政を適切に執行していくためには、やはりどうしても警察との協力も必要だったのではないかというふうに思います。また、地元の警察、いわゆる駐在所というのは、やはりこれは地元情報、刑事事件だけではなくて、いろいろな情報の集約の最前線であるというふうに認識しております。また、先ほどの富田委員の質問の中でも、警察消防署の連携という問題も出てまいりました。  少なくとも、子供の福祉、保護ということを考えたときに、教育担当の部局とそれから児童福祉関係の部局、そして状況に応じて警察やその他の部局も含めて、やはり日ごろから意思疎通を図っていく、情報交換を図っていく、そういう枠組みをつくっておく必要があるのではないかそして何かいろいろな事件が発生して必要になったときには、これをもっと密に開いて情報がよく交換できるように、そういう努力が必要なのではないかというふうに感じたわけであります。  こうした事件の中で、特に子供の問題を考えると、こうしたことがずっと放置されていたというのは、やはりこれは縦割り行政の弊害といったものが大きな原因になったのではないかということをどうしても感ぜざるを得ません。また、いろいろ村や県の方々から聞いていると、それぞれの部局からそれぞれ県の同じ部局に報告する、国の同じ部局、担当部局には報告するけれどもなかなか横には伝えない、それでまた情報が同じルートで縦におりてくる、そういうような状況で、なかなか有機的な連携がとれなかったというのが実態であったということも伺っております。  こうした縦割り行政の弊害についてどのように認識されているのか、また、今回のこのオウム事件をきっかけに、これからどういう対応を考えられているのかお伺いしたいのですが、これはちょっと横断的な事項であって、どこが答弁するかということでも、事前の打ち合わせのときにそれぞれの所管のことということもありましたので、ひとつできれはまず大臣に御所見を伺って、それから各省庁、必要あれば御見解をお願いしたいというふうに思います。
  60. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 オウム真理教の事件が起こって今日に至るまで、さまざまな反省材料というものがあるというふうに思います。  先ほどから警察の捜査の問題についても言及されておられました。本当に乏しい証拠しかない中を、しかも宗教団体がテロ活動をする、テロ集団であるということは想像の中になかった次第で、特にあのサリンといったような、そういう毒ガスまでつくるというのは本当に予想もつかなかったことでございました。そういうような状況の中で、捜査当局が全力を挙げて、警察官が頑張ってきたということは十分御理解いただけると思うのであります。しかし、長期間かかったということや、今日の時点から振り返れば反省材料がないわけではありませんから、それはきちんと受けとめてまいりたいというふうに思っています。  消防や、あるいは薬品の場合でいいますと厚生省や、児童の救出ということになると文部省や、それぞれの所管がございますけれども、一番大事なのは連係プレーであります。私は、このたびの経験を生かしながら、まずみずからそういう連係プレーがきちんとできるような体制をつくるように、適切に指導してまいりたいと思っております。
  61. 杉田和博

    ○杉田政府委員 警察といたしましては、この種、つまりオウム的な犯罪の再発というものを防止するために一番大切なのは、まさに社会にいろいろな組織、団体がございます、その組織、団体の持つ反社会性、危険性、こういうものをいかに早く察知するかということにあるというふうに思います。  その意味で、そうした危険性の慫慂と申しますか、そういうものを察知できる情報体制、さらにまた、それを正確に分析して対応できる体制、こういうものを強化してまいりたいと考えておりますし、まさに委員がおっしゃるように、しかし警察だけではわからないことがたくさんございます。ほかの省庁において、あの組織はおかしいんじゃないかというようないろいろな情報もあると思います。そうした各種の情報というものがやはり横断的に集約をされて、有効な対策というものが早期にとれるような、そういう努力を今後ともいたしてまいりたい、かように考えております。
  62. 粥川正敏

    ○粥川説明員 今回の場合は、一時保護を要する児童を確認した段階で法に基づき適切な対応がなされたと考えておりますけれども、今後、御指摘の趣旨を踏まえ、児童相談所と教育機関、警察など関係機関との連携を一層強化して、児童の適切な保護の確保が図られるよう指導に努めてまいりたいと考えております。
  63. 上田勇

    上田(勇)委員 もう時間でありますのでこれで終わりますが、ぜひともそういうような形での、特に地方レベル、現場の最前線での横の連携を、縦割り行政の弊害を排して、意思疎通をよくしていただきたいと思います。  厚生省の方から伺った中では、教育関係と児童福祉関係との連絡会議も来年度の予算で今要求しているというようなことでありますが、これも残念ながらまだモデル事業ということで、しかも八年度予算成立以降ということでありますので、多少その対応遅きに失しているという嫌いはありますけれども、このオウム真理教の再発防止ということは国民が大いに期待しているところでもありますし、非常にまだ不安を抱いているところでもあります。ぜひともそういう取り組みをお願いしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  64. 平林鴻三

    平林委員長 次に、畠山健治郎君。
  65. 畠山健治郎

    ○畠山委員 来年度予算編成に関連いたしまして、幾つかの御質問をさせていただきたいと思います。  現時点では、税制改正の内容あるいは来年度の経済見通しなど基本的な前提条件が確定していないということから、計数的には明確にお答えいただけない点もあろうかと思いますが、関係する質問について、大まかな数字で結構でございますから、できるだけお答えをいただきたいと存じます。  まず、来年度地方財政見通しについてお尋ねいたしたいと思います。  本年九月末現在の都道府県税の徴収実績は、主要税目のほとんどが前年度を割り込む傾向にございます。そうしますと、来年度地方税収は、こうした落ち込みに基づいて税収見込みを立てなけれはならないわけでありますから、四%も五%もの経済成長を見込むならいざ知らず、それ以下の成長率であれば税収増はほとんど期待できないというのが実態ではないかと考えられます。  また、地方財政財源不足見通しの問題では、さきに大蔵省財政危機宣言なるものを発表し、来年度予算は十一兆五千億円の財源不足が生ずる見込みであると発表しております。また、総理は、来年度経済見通しに関連いたしまして、二%台の経済成長に乗せたいと御発言をなさっておるようでございます。こうした大蔵省財政見通し並びに総理のお考えに基づきまして、現行地方財政を前提とした場合、来年度地方財政について」どの程度の地方税収の伸び、財源不足を見込んでいるのか、ごく大まかな数字で結構でございます、お尋ねをいたしたいと思います。
  66. 遠藤安彦

    遠藤政府委員 お答えを申し上げます。  来年度の地方財政対策についてはただいま策定中でございますので、まだ確たる数字を申し上げる段階にないことをお許しいただきたいと思うのでありますが、ただいま御指摘がありましたように、歳入面におきましては、地方税と地方交付税が最も重要な財源であります。  御指摘にもありましたように、地方税の現在の収入状況は、都道府県税でいいますと、毎月の税収状況が入ってまいっておりますけれども、前年に比べて、まだ若干前年よりはオーバーをいたしておりますが、このオーバーの仕方が毎月下がってきておるというような状況でございます。このままの法人関係税の落ち込みが続いていくならば、前年と同額が確保できるかどうかというような状況になるのではないかという心配もあるわけであります。  一方、地方交付税でありますけれども、現在の状況では、三次の国の補正予算におきまして、新聞紙上でありますが、国税が三兆円とも三兆五千億とも現計予算を割り込む、五年連続前年度決算額を下回るのではないかというようなことが言われている状況にあるわけであります。  そういった面を総合的に勘案いたしてみますと、交付税それから地方税ともに、今年度の当初の段階地方財政計画に見込んでいた額を確保することさえなかなか難しい状況があるのではないかというような歳入状況が見込まれるわけであります。  一方におきまして、歳出面におきましては、最近行っております財源不足対策に係ります借入金あるいは地方債の起債、それから経済対策に対して用いました地方の起債といったようなことで、借入金に依存をした財政運営が、やむを得ないことでありますけれども大変多いわけでありまして、これに係る公債費というものが大幅に増加をする。また、住民に身近な社会資本の整備あるいは地域の福祉対策、大臣も強力に言っておられます災害に強い安全な町づくりといったような財政需要、こういった重要政策課題もあるわけでありまして、こういったものに対しての財政需要を確保していかなければならない。  もちろん、国と同様に経常的な経費については極力抑制をしていくということを基本としていきたいと思っておりますけれども、ただいま申し上げましたような歳入及び歳出の状態を考えてみますと、まことに厳しい事態が想定されるわけであります。  来年度の財源不足がどのくらいになるかというお尋ねがあったわけでございますが、当初申し上げましたように、政府において現在策定作業をいたしておりますし、国の経済見通しがどういうように決まっていくのか、あるいは国や地方の先ほど申し上げました税収状況を踏まえて、税制改正後の来年度の収入がどのくらいに見込まれるのかといったようなことがまだはっきりしていない段階でありますので、現段階で具体的な数字を申し上げることは困難ではあります。ただ、今申し上げましたような状況を背景といたしますれば、通常収支につきまして、場合によっては今年度を上回るような大幅な財源不足が生ずるおそれもあると想定されるということを申し上げなければならない状況ではないかと思っております。
  67. 畠山健治郎

    ○畠山委員 ただいまの答弁からいたしましても、来年度地方財源の安定的な運営を図るためには、地方税について収入の安定的な確保を図ることがまず最も重要なことだと考えます。そうしてみますと、地方税制について、昨今言われている制度改正、特にその根幹的部分に関してマイナス収入になるような制度改正を講ずる余地は全く考えられないというふうに言っていいのではないかと思っております。  こうした立場から、私も、現在与党税制調査会のメンバーとして、地方税収入の安定的確保を図るために努力をさせていただいております。自治体の実情に深い理解をお持ちの大臣でありますから、答弁は必要ございませんが、今後も、ただいま申し上げました観点から御努力いただきますように、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  そこでお伺いをいたしますが、先ほどの地方財源不足見通しあるいは地方税収入見通しの場合、地方交付税の総額確保問題は来年度地方財政対策上極めて重要な課題になろうかと存じます。本年度国税収入は、補正後もさらに三兆円とも三兆五千億円とも減収が見込まれるため、この分まで地方交付税にも影響が及びまして、さらに実績をもとに算定される来年度地方交付税額は、法定額だけでも本年度を下回ることはほぼ確実ではないかと考えます。来年度地方交付税についてどのような見通しをお持ちになっておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  68. 遠藤安彦

    遠藤政府委員 先ほど御答弁いたしましたように、地方交付税の来年度の予想をいたします場合に一番重要なかぎは、経済状況がどのようになるかということと、国税の税制改正等によってどうなるかということでありますが、これらの点については、減税問題も含めていまだはっきり決定をされていない段階でありますので、交付税の総額を見込むことが大変困難な状況であります。  ただ、平成七年度、今年度の当初の地方財政計画で、国税正税の一定割合であります交付税の額が十二兆六千億あったわけであります。これに法定加算や交付税の特別会計における借り入れ、あるいは交付税の特別会計における利子支払い額といったようなものを差し引きまして、地方団体に実際に交付される交付税の額は十六兆一千五百億を確保したところであるわけであります。  やはり基本になりますのは、国税正税の一定割合である部分がどうなるかということでありますけれども、先ほど言ったような諸事情を総合的に勘案いたしますと、私ども地方交付税の伸びというものは見込めないのではないかというようなおそれを抱いているわけであります。  いずれにいたしましても、御指摘のように、地方税、地方交付税等の一般財源地方団体にとっては大変重要な問題でありますので、国税正税の一定割合がほとんど伸びない、あるいは前年を下回るというようなことが仮にあったといたしましても、最終的に地方団体が必要といたします地方交付税の額、地方税を含めまして地方一般財源の所要額というものは何とかして確保していきたいという考え方でいるところであります。
  69. 畠山健治郎

    ○畠山委員 これまでの財源不足に対しては、政府は、七年度は単年度繰り入れ、それ以降は借り入れと国による償還、さらには特例措置による補てん措置を講じてまいりました。この結果、現在の交付税特別会計借入残高は約十二兆円となっております用地方交付税額の三分の二にも相当する借入金の存在は、既往の借金を新たな財源対策で措置するという、極めて自転車操業的財政運営に追い込まれていると言われても仕方がないと思います。財政調整機能が崩壊しかねないこのような状況をどこかで断ち切る必要があろうかと思います。このような地方交付税の現状と将来について、大臣はどのようにお考えでしょうか、お伺いいたしたいと思います。
  70. 遠藤安彦

    遠藤政府委員 御質問にありましたように、現在、交付税特別会計借入金が十兆八千億になっているわけでありますが、この交付税特別会計借入金は一貫してふえてきてこうなったということでは必ずしもございません。過去のことを申し上げると恐縮でありますが、昭和五十九年には、交付税借入金が約十一兆六千億ぐらいになった時代がありまして、そのうち地方が負担をすべき部分が六兆一千億というのが過去ではピークであった、わけてあります。  その後、バブル期に入りまして、国税収入等が順調に入ってきたというような時期がありまして、私どもは、地方が抱えておりました交付税特別会計借入金六兆部分をほとんど繰り上げて償還いたしまして、平成三年度では七千億弱というほどにある意味では健全化をしたわけでありますが、バブル後の税収入の悪化、それから経済対策といったようなこと、あるいは当初予算後に、補正の段階税収入の見込みが非常に落ち込む、それに対処するために、既に配分している交付税を確保するために借り入れ措置をするというようなことが重なりまして、急激にふえて、御質問にありましたような十一兆円という大きな額になったわけであります。こういう状況を断ち切る必要があるのではないかということはまことにごもっともでありまして、私どもとしてもそういう必要があるというように思っているわけであります。  ただ、この地方交付税というのは、三千三百の地方団体の中で、現在地方税収より交付税の方が多い団体が七割もあるというような状況でありまして、やはり説とともに地方交付税の所要額を確保することが地方財政地方行政の安定的な運営に資するわけでありますので、私ども、第一義的には財源不足対策について地方交付税の所要額を確保する方策というものを講じていかなければならないし、また確保された地方交付税の総額について、財政調整機能を通じて地方団体が自主的、主体的に地方行政が推進できるように、そういうような財政環境を創出する必要がある。そのための努力をやはりしていかなければならない。一方で交付税借入金が重なるという面もありますが、他方でそういうことも考えながら、全体的に考えていかなければならないのではないかと思っている次第であります。
  71. 畠山健治郎

    ○畠山委員 先ほどからの地方交付税見通しからいたしますと、来年度は改めて地方交付税法六条の三第二項との関連が浮上することも十分見込まれることになりますが、これについてはどのような見通しをお持ちですか、お伺いいたします。
  72. 遠藤安彦

    遠藤政府委員 地方交付税法六条の三第二項の規定でありますけれども、これは、普通交付税の総額がおおむね一割程度以上不足する状態が二年続き、三年度目以降もそういった状態が見込まれるという場合には、地方財政制度の改正あるいは地方交付税率の変更を行うべき旨法定をされているわけであります。  先ほども御答弁申し上げましたように、平成六年度に通常収支の不足が約三兆円、それから平成七年度には四兆二千六百億円という財源不足がありました。これは、普通交付税の所要額は十六兆円というような状況でありますから、著しく不足している状態であります。来年度の見通しにつきましても、先ほど御答弁いたしましたように、場合によってはことし以上の財源不足が見込まれるというような状態ですので、当然この地方交付税法六条の三第二項の規定に該当する事態になることが想定されるわけであります。  私どもこういった事態を十分踏まえまして、地方交付税法のこの規定の趣旨を十分念頭に置き、これを踏まえて、地方財政の運営に支障が生じないよう、地方税あるいは地方交付税一般財源の確保に努めていくという決意でいる次第でございます。
  73. 畠山健治郎

    ○畠山委員 中央地方とも厳しい財政状況下にあることは申し上げるまでもございません。しかし、地方交付税法六条の三第二項の規定は、財政調整制度としての地方交付税のかぎともいうべき部分でございます。この点については本委員会で長年論争となってきた問題であり、先ほど申し上げました交付税特別会計借入金の根拠ともなっている問題であります。厳しい財政状況下とはいえ、法に沿った地方財政対策を講ずる必要があると考えます。来年度地方財政対策に当たっては、地方交付税法のこの規定を十分念頭に置いて対処していただきたいと存じます。大臣の所見をお伺いいたします。
  74. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 ただいま政府委員が答弁いたしましたように、現段階では平成八年度の地方財政の収支を見通すことが困難でありますから、具体的なことは申し上げるのは差し控えますが、平成六年度及び平成七年度に引き続いて大幅な財政不足が生ずるおそれがございますから、地方交付税法の考え方というものを踏まえて、ただいま委員指摘のような地方財政対策に臨まなければならないと考えております。
  75. 畠山健治郎

    ○畠山委員 次に、国庫補助金問題について少し御質問をさせていただきたいと思います。  新食糧法の施行に伴いまして、政府米は備蓄用であるということを理由に、大蔵省は学校給食用の米購入に対する国庫補助、約二百億円となるようでありますが、廃止をする意向だと報ぜられてございます。これは確かでしょうか、大蔵省の考えをお伺いいたしたいと思います。  また、仮にこれが廃止された場合、年間の親の負担は千八百円とされておりますが、このような負担増については、また廃止に伴って米給食の回数に当然影響が出てくると予想されますが、どのように考えておるのか、文部省の見解をお聞かせいただきたいと思います。  また、このような措置が講ぜられた場合、米離れを食いとめ、消費拡大を図るというこれまでの政策に重大な影響を与えることは明らかでございます。その意味からも学校給食用米穀に対する補助は維持する必要があると考えますが、農水省の見解を承りたいと思います。
  76. 杉本和行

    ○杉本説明員 学校給食用の米の値引き措置についての御質問でございます。  学校給食用の米穀の値引き措置につきましては、従来から既に大半の学校、現在米飯給食の実施率は九九%近くになっておりますが、大半の学校で米飯給食が実施され、定着されている状況、それから、累次の臨調答申等におきましても、給食の費用については基本的には受益者の負担とすることが適当だという指摘が行われていること、さらには、先ほど委員指摘がございましたように、全体として約二百億円の財政負担でございますが、これを児童一人当たりにしてみれば月額百五十円程度にすぎないということ、こういうことを踏まえまして、財政資金の効率的な利用という点からその見直しが必要ではないかと考えているところでございます。  さらに、先般、新食糧法が旧食糧管理法にかわって施行されることになりまして、米の制度が民間流通の自主流通米を中心とする制度に転換されたところでございます。こうした制度のもとで、政府米の役割と申しますのは備蓄に限定されることになったわけでございます。こうした制度の転換も踏まえまして、学校給食用の値引きにつきましてどういう措置が適当なのかということにつきまして、来年度の予算編成過程を通じて関係省庁と協議をしていきたいと思っております。
  77. 北見耕一

    ○北見説明員 お答えいたします。  米飯給食は、児童生徒に対しまして栄養のバランスのとれた食事を提供するとともに、日本人の伝統的な食生活の根幹でございます米飯の正しい食習慣を身につけ、それから食事内容の多様化を図る、さらには日本の食文化を取り入れて我が国の文化に対する理解を深める、こういった見地から教育上有意義であり、文部省としても昭和五十一年度からその推進を図っているところでございます。  仮に、学校給食用米穀に対する補助金が廃止されたといった場合には、保護者負担の増加を招きますとともに、現在全国的に推進されております米飯給食が停滞または縮小されることも考えられます。学校給食の円滑な実施を図る上で大きな支障となるおそれがあるのであろうというふうに考えているところでございます。  したがいまして、文部省といたしましては、関係省庁とも連携をとりながら、助成措置が廃止とならないように、引き続き努力してまいる考えでございます。
  78. 諸川勝徳

    ○諸川説明員 お答え申し上げます。  学校給食におきまして米飯給食の定着促進を図ることは、委員指摘のとおり米の消費拡大に寄与するとともに、長期的な視点から米を中心とした日本型食生活の普及定着を図るため重要なものであるとの考え方に立ちまして、昭和五十一年から米飯学校給食を計画的に推進しているところでございます。  八年度以降の学校給食用米穀に対する助成措置につきましては、このような米飯学校給食の意義、さらには新食糧法のもとでの自主流通米、政府米の役割も踏まえ、また財政当局等とも十分協議いたしまして、効果的な措置の確保について検討してまいりたいと考えております。
  79. 畠山健治郎

    ○畠山委員 そこで、自治大臣にお伺いいたしたいと思いますが、このような補助金が打ち切られた場合、市町村がこれを肩がわりせざるを得ないことになろうかと思います。実質的には自治体一般財源負担に切りかえるのと同じようなことになろうかと思います。そうでなくとも地方財政の現状からして自治体負担が大変厳しい折、大変なことになろうかと思います。このようなことについての、国庫補助金についての大臣の御所見を承りたいと存じます。
  80. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 地方公共団体に新たな負担を求める施策については、本来慎重であるべきことは当然のことであります。例えば、単なる国から地方への負担転嫁になるような補助負担金の廃止だとか補助率の引き下げなどということは、国と地方財政秩序の確保の観点から、私は決して行うべきではない、そのように思っております。  いずれにしても、本年の地方財政は歳入歳出ともに極めて厳しい状況になるものと見込まれますけれども、私といたしましては、国と地方財政秩序を確保しながら、地方公共団体財政運営に支障が生じないように最大限の努力を尽くしていきたいと考えています。
  81. 畠山健治郎

    ○畠山委員 時間が参りましたので終わりますけれども、先ほど来御質問申し上げておりますように、地方自治体財政環境は大変厳しいわけであります。ぜひひとつ、これ以上困ることのないように、全力を挙げて財源確保に努めていただきますことを重ねてお願いを申し上げまして、終わりたいと思います。ありがとうございました。
  82. 平林鴻三

    平林委員長 次に、田中甲君。
  83. 田中甲

    田中(甲)委員 田中です。  まず冒頭、大蔵省の方に情報としてお聞きをしたいのですが、昨晩九時のNHKラジオのニュースで、長期に土地を保有されている方が土地を売った場合の譲渡所得課税の税率を下げるという放送が流れました。きょう新聞でそのことを確認しようと思ったのですが、紙面には詳しく載っていなかったようであります。この点をまず、今どういう様子で与党税プロでもあるいは政府税調でも話し合われているか、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。
  84. 伏見泰治

    ○伏見説明員 与党税調の模様でございますが、昨日はいろいろな点の御議論がございました。土地税制だけではございませんで、ほかの点の議論もございましたが、きのうの段階では譲渡、それから取得、保有と一応全部御議論いただくという予定でございましたが、結果的には譲渡所得税の関係の議論が長引きまして、それだけに終わっております。  現状でございますが、私ども、そばで伺っておりましたけれども、まさにさまざまな御議論が出ている最中でございまして、当面何か具体的な方向が出たという段階では全くないと思います。  土地税制につきましては、今申し上げましたように、取得の段階のもの、保有の段階のものもございますので、そこのものを週明けにまた御議論されるのかな。それぞれ議論をいただいた上で、もう一回全体としてまたさらに議論をしていただく、そういう場面が出てこようかと思います。したがいまして、ちょっとNHKの報道は承知しておりませんが、まさに議論が本格化したという、そういう段階ではないかと思っております。
  85. 田中甲

    田中(甲)委員 わかりました。最近、随分先走った報道が多いようにも感じますので、その辺の注意もしながら進めていただければと思います。  さて、私がその質問をさせていただきましたのは、長期に保有している土地の税率が下がる、あるいは我が党においては、原価のみなし価格というものは現在五%ですけれども、これをさらにかさ上げして、結局は地主さんの手元に残る金額というものをふやすんだという措置をとった場合に、今進められています生産緑地の指定を受けなかった市街化区域内の農地、農地ではあるが宅地並み課税が、厳密に調べてみますと宅地並み課税率という表現の方が正しいかと思いますが、課せられている生産緑地を指定しなかった農家の方々が土地を売るという動きにかなり傾いてくるという予測がされるからであります。需要というものはまだまだ発生しない、先安感がある土地でありますが、ここで供給側、土地を売りたいという動きがさらに出てくる。  譲渡益課税のその率を下げるということで話を進めさせていただきますが、こういう形になった場合に、地方において、その出てくる土地を行政が今この時期に取得しておくということは、地方分権を進めていく上で、あるいは地域における都市計画を進めていく上で極めて重要なことである。裏を返して言うならば、平成八年度、九年度、特に八年度はそのチャンスを迎えている。行政は経営手腕をこのときに発揮しなければいけないという考えを私は持っている一人でありまして、この際に、地方の財源ということにしっかりと目を向けてもらわないと困るということを、改めて私からも申し上げたいと思うのであります。  そこで、固定資産税あるいは地価税、納税者から見るとどちらも同じ土地の保有税であります。しかし、その税の使われ方から見ると、これは全く違う。特に、今地方財源が厳しい中においては、固定資産税を平成七年度と同額で据え置くというようなことが今言われていますが、このことをやられた場合にますます地方の財源というのは厳しくなってくるわけであります。  そこで、この問題を整理して、もう一度大蔵省の方にも、私たちも確認をしていくために、どういう性格の税なのかということをお聞きをさせていただきたいと思うわけであります。地価税について、この税がどういう経緯で導入され、そしてどのようにこの税をとらえられているか、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。
  86. 伏見泰治

    ○伏見説明員 地価税でございますが、もう重々御案内のように、平成三年度の税制改正におきまして創設をされたわけでございます。このときの整理でございますが、大きく言いまして二つの流れがあの当時あったかと思います。  一つは税体系上の要請ということで、昭和五十年代から非常に財政事情が厳しくなりまして、いわゆる直間比率の是正とかさまざまな議論がございました。その中で、税体系上の要請といたしまして、所得、消費、資産等の間で均衡のとれた税体系を構築する、そういう観点の指摘が非常に強くされてきたわけでございます。  その中で特に、資産の中で、土地というある意味でいうと特別な資産がございます。それに対する課税の適正公平をどういうふうに確保していくかという観点からの議論。  それからもう一つは、平成元年の十二月でございますが、土地基本法が成立をいたしました。そこに盛られております基本理念、土地の公共性等について触れられているわけでございますが、そこを踏まえた総合的な土地政策の一環という観点から、土地の保有コストの引き上げを通じまして土地の資産としての有利性を縮減するという観点。いわばこの両方をとらえまして、地価税については創設されたというふうに認識をしております。
  87. 田中甲

    田中(甲)委員 これは政策税制、そのように受けとめていいですか。
  88. 伏見泰治

    ○伏見説明員 いわゆる政策税制と申しますと、通常は租税特別措置のようなものが典型になろうかと思いますが、特定の政策目的がはっきりとしておりまして、例えばある機械設備を導入する、それによりまして省エネを図るとか、あるいは公害設備を導入するというような観点のものを通常は政策税制と言っているかと思います。  それで、地価税でございますが、今申し上げましたように二つの流れがございます。税体系上の要請のものがございます。それから、土地政策という観点のものがございます。ですから、一般的に言われる租税特別措置のような政策税制ということではないと思いますが、一つの流れといたしまして土地政策という流れを負っておりますから、そういう意味では、広い意味では政策税制的な要素もあるということはあろうかと思います。
  89. 田中甲

    田中(甲)委員 どうもはっきりしないですね。どうもはっきりしないというのが印象であります。  私がここで繰り返して申し上げるまでもないんですが、固定資産税というのは本当に市町村の基幹税目でありまして、非常に重要かつまた安定的な財源として大きな意義を持っているもの。そして、この重要な財源というものを国民の負担にならないように十分に配慮した緩やかな右上がりの課税標準額に努めてきた、これが今までの固定資産税の姿だと思います。それはある意味では、バブル期に地価公示価格がぐんとはね上がりましたから、これに振り回されることのない正しい形で固定資産税というのは課税をしてきたという経緯があったと私は認識をしています。  これは大蔵委員会の議事録でありますが、平成三年の四月十二日、ある委員の質問はこのような内容でありました。「固定資産税の評価額を収益価格の水準にまでレベルを上げる。」「この二つが一致してしまった段階ではこまた「一致に限りなく近づいた時点では、地価税の必要性がなくなるというふうに考えておられるのか」という質問に対して、当時の主税局長、尾崎さんがこのように答弁をされています。「今委員が御指摘になりましたような状況が到来いたしますと、地価税はもう本当にその目的を達成したではないかということにはなるのだろうと思います。」「そのような状況に至りますことを私たちは望んでいるわけでございます。」  つまり、明らかに政策税制だということをはっきり言っている。ならば、その政策の目的が達成された状況、現在における地価税が廃止あるいは凍結されるということの方があくまでも優先されることであって、もし万が一固定資産税の税収、あるいは平成七年度の横ばいというような措置をとるということが同時に行われるというようなことは、私はあってはならないと考えるのであります。  この後にこのように主税局長は言われています。尾崎さんはこう言っています。「しかし、それとまた仕組みをなくすかどうかというのは別な問題でございます」、これはつけ加えられています。しかし、ゼロ税率ということを示唆して発言をしている。この点について、政策税制ではありませんかと、再度聞かせていただきたいと思います。
  90. 伏見泰治

    ○伏見説明員 繰り返しになって恐縮でございますが、地価税というのは、一つは税体系上の要請からできたもの、所得、消費、資産、その課税の適正公平を図るという観点からのもの、それからもう一つ、土地政策上の要請からできたもの、両様あろうかと思います。ですから、租税特別措置のような政策税制ということではないと思いますが、広い意味の政策税制的な要素は持っているということはあろうかと思います。
  91. 田中甲

    田中(甲)委員 地方行政常任委員会からこのような意見が出たということをしっかりと御認識をいただきたいと思うわけであります。  次に、前段の、私の前に質問された委員の方と重複をいたしますからかなり削除して御質問をいたしますが、地方行政において大幅な財源の不足が見込まれる今こそ、国は過去地方から借りた交付税財源を全額戻すということが基本的になければおかしいと思う。どうも、私が聞いておりますと、苦しいときに優先して借入金、借入額ということを行っている。つまり、雨が降ってきて苦しいから傘を差しているのは地方行政常任委員会、自治省サイドではないということであります。  今回の場合にも、この形というものが変わりませんと、地方行政が今苦しいんだ、財源不足しているんだ、だから、今まで地方財政から流出してきたその金額、貸し出していたものを今ここに返してもらいたいということが認められない限り、地方分権などということはもう口先だけでして、結局は一極集中。国が交付金をうまく、言葉に間違いがあったら訂正いたしますが、交付金によって地方の財源を支えていくんだという形がいつまでも続くような、あるいはバランス的に地方に重きが置かれていないということであってはならないと思うのでありますが、この点に御意見をぜひ聞かせていただきたいと思います。大蔵省から。
  92. 三國谷勝範

    ○三國谷説明員 八年度の地方財政ということにつきましては、自治省からもお答えがありましたように、現在、税収の動向等いまだ不確定な要素が多く、現時点におきまして具体的に確たることを申し述べることは困難でございますが、引き続き厳しい状況になるというぐあいに予想しております。ただ一方、国の財政事情も、現在特例公債の発行が不可避と見込まれるなど、大変厳しい状況に立ち至っているわけでございます。  このように、国及び地方とも厳しい状況下での予算編成ということになっておりますが、いずれにいたしましても、国と地方は公経済を支えますいわば車の両輪でございます、両者のバランスのとれた財政運営を行っていくことが必要と考えておりますので、私どもも、そういった考え方に立ちまして、今後の地方財政対策、自治省と鋭意協議をさせていただきたいと思っております。
  93. 田中甲

    田中(甲)委員 非常に丁寧に、優しい表現で、またバランスのとれたという言葉が何か納得させられてしまうようでありますが、本当に地方の財源がないんです。  自治大臣にぜひ決意と御発言をいただきたいと思うのですが、その発言にぜひとも、畠山委員からも指摘ありました、私もどうしてもこの点は指摘しなければならないと思っています地方交付税法第六条の三第二項、「普通交付税の総額が引き続き」「各地方団体について算定した額の合算額と著しく異なることとなった場合においては、地方財政若しくは地方行政に係る制度の改正又は第六条第一項に定める率の変更を行うものとする。」という問題も含めて、大臣の力強い御所見をいただきたいと思います。
  94. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 貸したものは返してもらうというのは当たり前の理屈でありますから、今度の予算のさまざまな折衝のスタートはそこから当然入っていくというふうに私どもは理解し、局長にもその旨はお互いに話し合っている次第であります。  それから、現段階において平成八年度の地方財政の収支を見通すことは困難ですから、平成六年度及び平成七年度に引き続いて大幅な財源不足を生ずるおそれはあると思いますが、具体的なその数字まで判断に入れることは目下はできません。しかし、いずれにいたしましても、そのような場合には地方交付税法の趣旨を踏まえながら地方財政対策に臨まなければなりませんから、私どもはそのような考え方に立ってこれから対応したいと思っております。
  95. 田中甲

    田中(甲)委員 ありがとうございます。  どうぞ大蔵省の方々にもさらに御理解をいただいて、力強い地方行政の発展のためにお力添えをいただきたい、重ねてお願いを申し上げます。  若干時間が残っていますので、銃器の対策について触れさせていただきます。  銃器、これは予算要求を見ますと前年度の三倍近くでありますから、本当に銃器対策ということに力を入れているんだなということがそこからもうかがえます。私も、銃刀法の強化を行う際に、ぜひともやっていただきたいと、その時点からある面では応援をさせていただいている一人でありますから、今回も全く同様の姿勢でありますが、ただ、使用の部分だけに予算をつけてもいけないんではないかと思います。  はっきり申し上げますと、暴力団対策、これがしっかり行われずに、そこから一般市民まで銃が流出しているという、その流出部分だけ、あるいは求める者がいるから水際対策が必要になるという、本当にどこを押さえればこの銃器犯罪の根絶を行うことができるのかという、根本を押さえなければいけない。暴力団の対策ということ。そして、暴力団の資金源に何が使われているかということ。ここをしっかりと押さえた上での銃器対策ということを警察庁に行っていただきたいというお願いであります。蛇口が出しっ放しになっています。そこをモップがけするために幾ら予算を投入しても、水はふき取れません。このことに関して御意見をいただきたいと思います。
  96. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 委員指摘のように、暴力団がけん銃犯罪の温床になっているということは全くそのとおりであります。今我々は全力を挙げて、銃器を取り締まるためにさまざまな計画を持ち、実践をしてまいっておりますけれども、全く御指摘のとおり、暴力団をきちんと押さえることが大前提であるというふうに私も思っております。  そこで、このような観点から、暴力団犯罪の取り締まり、暴力団対策法の効果的な活用、暴力団排除活動の推進、これを三本の柱として、万全を期して暴力団対策を進めていきたいと思います。
  97. 田中甲

    田中(甲)委員 ありがとうございます。力強い大臣からの答弁でありますから、また国家公安委員長からの答弁でありますので、質問もここで打ち切りといたしたいと思います。  どうぞ、忙しいスケジュールでお出かけなさるようでありますが、ぜひ目的達成のために内容のあるお仕事をしてきていただきたい、お気をつけてお出かけいただきたいと思います。  以上で終わります。
  98. 平林鴻三

    平林委員長 次に、穀田恵二君。
  99. 穀田恵二

    ○穀田委員 今大臣から、銃器犯罪の温床となっている暴力団に対してきちんと押さえる必要がある、こういうことが御答弁でございました。私もそのとおりだと思っていますし、国民はそのことを特に今期待をしています。それは、先ほどの委員からもありましたように、世論調査の実態も出ているし、同時に、総理府の調査でも、政府に力を入れてほしい内容の一つとして新しくこれを加えまして、第七位になっているということからも証明されています。  ところが、今お話があった暴力団という問題との関係で、肝心かなめの押さえるべき暴力団と取引をしているという不祥事件が生じているのも御承知のとおりです。私は、ほんまにこれ、けしからぬと思っているのですね。  そこで、けん銃の取り締まりに関して、群馬県と愛媛県のけん銃押収事件の問題について若干質問をしたいと思います。  群馬県の前橋署にかかわる事案でいいますと、十一月三日付の週刊朝日ではこんなふうに書いています。これは暴力団員の告発手記ということで書かれていまして、こんなふうになっています。「今回、私の妻も同じ容疑で逮捕されたのですが、取調室内でいつも私と同席させ、携帯電話も使用させ、記念写真や飲食のもてなしなども日常茶飯事としてやってきました。」さらに「銃の入生計画を署員もまじえ相談しました。」さらに、その銃を押収する際に場所まで決めつつ、同時に「死んだ兄が所持していたもので、私は隠し場所を知っていたので、今回、私がカタギになるのを機に提出した」との内容ですが、すべて捏造したのです。」こんなふうに言っているわけですが、私は、これは容易ならぬことだと思っています。そして、最後にこの問題で週刊誌が述べているのは、保釈をえさにけん銃代金六十万円まで都合させたと。こうなりますと、もう何をか言わんやということになるわけですね。  そこで問題は、私は、事実をどのように掌握しているのか、明確にお答えいただきたいと思っています。第一番目は、容疑者である暴力団員と妻を同席させたのか。第二番目に、携帯電話を使用させたのか。第三に、記念写真や飲食のもてなしは事実か。第四に、けん銃代金を都合させたのか。第五に、入生計画を暴力団員と相談したのか。第六に、保釈をえさにしたのか。この六つの点について明確にお答えいただきたいと思います。
  100. 菅沼清高

    ○菅沼政府委員 事案の概要等については既に報道等されておりますので、御質問の件につきましてお答えをいたします。  まず、保釈を約束して取引をしたのかということでございますが、被疑者が保釈を望んでいたということは承知しておりますけれども警察は保釈の権限はございませんので、保釈を約束してけん銃を摘発したというものではないというように報告を受けております。  それから、妻などと面会をさせたかという点でございますけれども、取引という形のものではございませんが、いわゆる情にほだされて、被疑者の婚姻手続をとりたいというような相談がありましたために、これは当初内縁の状態であったものでございますから、そういった関係で、情にほだされるというようなことで面会の機会等を与えたというように聞いております。  携帯電話につきましては、取り調べ室から知人に数回電話をかけさせたことがあるというように聞いております。  それから、暴力団と謀議云々ということでございますけれども、この事案につきましては、先ほども若干報道等をかりてお話がございましたけれども、暴力団員被疑者が取り調べ時、既に覚せい剤取締法違反で逮捕されまして起訴された後でございますけれども、みずからけん銃を出すということを申し出ましたことからその話に乗ってしまいまして、被疑者及びその知人らと一緒になって、本当は横浜居住の所持人から第三者を介して譲り受けたものでありますにもかかわらず、けん銃一丁、実包五発を被疑者の兄が死亡前に所持していたものであるというように偽りまして、長野県内の神社の境内から押収した事案であるかのごとくして処理をしようとしたものである、このように報告を受け、承知をいたしております。
  101. 穀田恵二

    ○穀田委員 大体、おおむねといいますかそれは事実のようですね、私が言ったことについては。また、新聞が報道されているのはおおむね事実だ、最後の保釈の件は別として、それ以外は大体事実だと見ていいわけですな。
  102. 菅沼清高

    ○菅沼政府委員 ただいま御説明した限りにおいて、そのとおりでございます。
  103. 穀田恵二

    ○穀田委員 私は、どうも一番最初と最後が腑に落ちないのですね。つまり、銃を出すからというのだったら、別にそんな至れり尽くせりせぬかてええですわな。本人が出す言うとんのやから、それやったらどこあんねんと言ったらしまいやねんけど、どうも至れり尽くせりで、情にほだされてやるわ、申し出たのでやったるとかさらには謀議をしたのは事実だとか、こういうことは私はあってはならぬことだと思うのですね、本当にこれはあってはならぬことだ。先ほど大臣は、温床となっているとまで言ったのですね。ところが、温床となっている人たちと取引をする、そういうことが行われている。  私は、昨年も実はこの問題について、当時中田さんとやり合ったのですね。中田さん、前回最後にどう言ったかといいますと、昨年の十一月だったと思うのですけれども、私は警察と暴力団の癒着をただすべきじゃないかと言ったのに対して、「暴力団の関係でございますが、いずれにしても実績で証明してまいりたいと思います。」こう述べたのですね。私はそのことを信頼申し上げようと思ったのですが、実際はどういう実績が加わったかというと、新たにこういう、群馬の前橋署で、明らかに暴力団と謀議をする、癒着をする事態が生まれる。  それだけじゃありません、愛媛でも実はそうなんですね。愛媛の場合でも、これは御承知かと思うのですけれども、今春開設されたばかりの銃器薬物対策室の元捜査員、もちろん、元捜査員といっても前の日に首切って次に逮捕する、こういうことですから、事実上現職の捜査員ですよ。その捜査員がけん銃を暴力団関係者に入手を依頼し、買い受け、所持していたなどとして逮捕された。  この際に、実は容疑者は、今まで防犯のこういう取引的事例が野放しにされていて、急に百八十度変わってやり玉に上げられた、こう言っているのですね。さらに、従来の慣行から許される範囲で、まさか逮捕されるとは思わなかったと、こういうふうに主張したと報道されているわけですね。だからこの数カ月間だけでも、今言った前橋、それから愛媛、さらに北海道も同じような事件があるのですね。出せば面会させてあげる、こういうことが行われているということに対して、どう思われますか。
  104. 菅沼清高

    ○菅沼政府委員 御指摘のような事案については、大変不適切でございますし、あってはならないことでございますので、それぞれ厳正に処分をいたしているところでございます。  なお、銃器のことにつきましては、既に御承知のとおり、大変国内にけん銃等が出回っております。ことしは二千丁を超える押収数になるのではないかというような状態でございますし、銃を用いた凶悪犯罪が発生していることも御承知のとおりでございます。したがいまして、一線の方において、犯人の検挙はもちろんでございますけれども、不法に所持されているけん銃を押収摘発したいという気持ちが強いということも、よく御理解をいただきたいと思っております。  先ほどの群馬の件につきましても、この被疑者は暴力団の武器庫についての情報を出すというようなことを言っていたことがあるようでございまして、そうしたこともやはり捜査員がこうした形に引っ張り込まれてしまった要因ではないか、このように考えております。
  105. 穀田恵二

    ○穀田委員 どうも私はその辺の考え方に納得できませんね。つまり、今もありましたように、群馬県警本部長の話でも、職務熱心から出た行為とはいえど、こうなるのですよね、捕まった、そういうことが明らかになったときは。本当に職務熱心ということは、こういうけん銃の一丁二丁を摘発するということで職務熱心が問われるのだろうか、私は違うと思うのです。確かに、月間だとか、そういうものを通じて銃器を挙げるということはあります。しかし、まさに警察庁長官もお話あるように、どうも点数主義だとか、そういうのが災いしている可能性がある、功を焦っている、こういうことを言わざるを得ない。  つまり、今大切なのは肝心かなめの大もとをたたくことであって、それを絶つことであって、一丁二丁を挙げればいいというふうな考え方であってはならないわけですね。しかも、その挙げる際に、暴力団と取引までして挙げる、これが本当の意味で職務熱心だろうか、私は違うと思いますね、  ですから、挙げているのは事実だ、押収数が二千丁を超えるから。そうじゃないと思うのですね、これは皆さんも警察で銃器対策をつくり出した中で、八万丁とも十万丁とも言われる、そういう暴力団が背景にあって全体として多数のけん銃が参る。その上に流入がされて、例えばこの前も南アフリカから八百丁密輸した、わかっているのは九十丁くらいしかない、こういう事案もあるわけですね。どんどん銃がふえつつある可能性がある。  だから、確かにそういう意味で一丁二丁も大童だけれども、全体としてそれがどこへ流れているか、どこがやっているかというと、先ほど大臣がお話しになったように暴力団なんですね。ここのところにメスを入れて、ここをたたくべきときに、たたくべき相手と取引をするということがあってはならぬ。そういう意味で、不適切だではなくて、あってはならぬことだし、考え方の根本的間違いだということをしっかりやってもらわぬと、と私は思うのですね。  そこで、摘発する際にけん銃を出してくれと取引を持ちかけるということが、先ほどの愛媛の話からありましたように、どうもこれは常態化しているのではないですか。つまりこう言っているのですね。先ほども一遍言いましたけれども、今までこんな取引は野放しにされてきた、それから、従来の慣行から許される範囲だと。こうなりますと、これだけ事案も続きますと、結局のところ、けん銃を出してくれと取引を持ちかける、ないしは、出せば一定のことは何とかしてやるよというようなことが常態化しているのではないかということをひとつお聞きしたいのです。
  106. 菅沼清高

    ○菅沼政府委員 捜査の実態につきましては生活安全局長から後ほど御説明いたしますが、私の方から、繰り返すようでございますけれども、銃の摘発に熱心であることはもちろんでございますけれども、そのことによって不法不適切な行為が許されるものではないことは言うまでもございません。したがいまして、繰り返すようでございますけれども、そうしたことについては厳正に処分等対処しているということでございます。
  107. 中田恒夫

    ○中田政府委員 お答えを申し上げます。  銃器捜査のあり方といいますか、やり方についての御指摘でございましたので、私の方から御答弁させていただきますけれども、御案内のとおり、現下の厳しい銃器情勢のもとで、警察としてはあらゆる手段を駆使して銃器犯罪に対する捜査を遂行しておる、これは御案内のとおりでございます。したがいまして、私ども、他事件の捜査でありましても、被疑者にけん銃等の銃器犯罪の容疑がありました場合には、これは厳しく取り調べ等を行っておりまして、一丁でも多くのけん銃を摘発するように努めておるところでございます。  けん銃を単に回収するだけでいかなる意義がありやという御指摘でございましたけれども、やはり社会から一丁でも回収していく、そのこと自体もちろん意義がございます。さらに、そのような銃器を抱えておる、そして、それを売りさばく等の行為に及ぶ暴力団について、武器庫等の摘発を中心に厳重な取り締まりをやっていかなくてはいけないことはもとよりでございますし、また、我が国に入ってくる銃器、我が国にあります銃器はほとんど外国製でございますので、密輸の水際対策ということを図っていかなくてはならぬことはそのとおりでございます。  そのようなことで、全国で一丁でも多くを合い言葉にして今取り締まりをやっておるところでございますが、もとより、このような捜査の過程において、利益誘導にわたるような、そういう疑いを持たれるというような、捜査の基本を逸脱してはならないことは当然でございまして、これまでも厳にいさめてまいったところでございますし、今後ともその姿勢には変わりはございません。
  108. 穀田恵二

    ○穀田委員 私は、銃をなくすという根本的な大問題については、これは当然のことだと言っているのですね。それは何回も、去年からも私は言っているわけですよ。  問題は、その最大の温床となっている暴力団と取引をしたりする事例がとどまらない。何回も何回も出てくる。しかも、そういった事例が具体的に今裁判にもなった例もあるし、去年私は言いました。ことしになっても十月から三件も出ている。こういうのは、確かに今お話があったように、適切な捜査に外れているというだけではなくて、私は、やはり国民からすれば、暴力団と癒着をしているという事実について疑いを持たれるということなのですね。それが大きな問題なのです。  だから、新聞もこう言っているのですよ。捜査員が自分の成績を上げるためにやったとしか考えられない、短銃だけ押収しても背景にある組織やルートをつぶさなければ何にもならないという短銃捜査の基本を忘れているんじゃないかということで、専門家の土木さんという筑波大学の教授も指摘をされているのですね。  私は、そこの肝心かなめの問題が、短銃捜査の基本である、背景にある組織やルートをつぶすという根本に我々は本当に目が行く、そういう上で、こんなつながりがあってはならないんだということで排除しなくてはならぬということを言っているのですよ。それだけに私は、壊滅すべき銃器の温床となっている暴力団との取引なんかについては、やはり一つ一つ、こんな事実があるということもしっかり解明をしつつ、暴力団の壊滅と適正な銃器捜査の確立に全力を挙げるべきだと思っているのです。  そこで、もう時間もありませんから、先ほど暴力団が温床だと大臣おっしゃったので、そこを最後にお聞きしたいのですけれども、今まで、温床だとわかっているのですが、これを壊滅するということも言っているのですが、どうもどないしてこれを壊滅するのかというプログラムが余り見えないのですね。  先ほど、結果として銃は密輸なんかでずっとふえている、じわっと浸透しているということもお話ありました。しかし、上に出てきて一般市民が持っているというのも、結局全部暴力団が持っているのが出てきているわけですから、そこをたたくということからしますと、大体どんな形でこれを壊滅させるのかを明らかにするということが今国民にとっては求められていると思うのですね。そうしないといつも、「山口組壊滅せず」なんという本が出るような事態があるわけですけれども、私は、今大事なのは、そういうときだからこそ暴力団の壊滅のためにこういうプログラムでやるんだという新たな決意が必要だし、積極的な捜査方法で当たるということが大事ではないかと思うのですね。そういう点だけお聞きしておきたいと思うのです。
  109. 菅沼清高

    ○菅沼政府委員 銃器捜査の体制等の問題についてでございますけれども、私ども今考えておりますのは、もちろん従来からもやってきたわけでございますが、単に発生した事件のところから捜査を始めていって、いわゆる突き上げ捜査によって銃器の所在あるいは犯人を検挙していくということだけではなくて、最近のけん銃の取引等が組織的に行われている、密輸入もいわゆるさばきも、売買が組織的に行われているというような実態にかんがみまして、組織そのものを発見、摘発していくという形の捜査手法の方に体制等も転換をしつつございます。  もちろん従来からもやっていたものでございますけれども、より強くそうした方向に捜査の手法もウエートをかけていこうということで、現在増員要求等もお願いしておりますけれども、量的にも質的にもそうした方向に進めてまいりたい、このように考えております。
  110. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 委員が先ほどから指摘されておられたような警察官の暴力団との不祥事事件というのは、これはもうまことにけしからぬことで、弁解の余地はありません。暴力団から銃を摘発するために、しっかり追及してその答えを求めることは当然ですが、利益誘導のような形でやるなんということはもってのほかで、こういうものは全くあってはならないことと思っておりまして、そのような対応で警察庁は臨んでいくと思います。  何よりも、そういうことが起こりますと、国民の信頼を失うということと同時に、二十二万の警察官が命がけで努力しているわけでありますから、その人たちの士気にもかかわることでありますから、このようなことを二度と起こさないように厳密に対応していかなければならぬと思っています。  暴力団対策については、先ほども申し上げたように、三本の柱を中心としてあらゆる角度から努力していく、もうそれに尽きると思っています。暴対法もございますから、これらもすべて駆使して、とにかく一体となって頑張っていくように指導したいと思います。
  111. 穀田恵二

    ○穀田委員 時間ですので、終わります。
  112. 平林鴻三

    平林委員長 以上で質疑は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十六分散会