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1995-12-07 第134回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年十二月七日(木曜日)     午後一時開議 出席委員   委員長 関谷 勝嗣君    理事 荒井 広幸君 理事 熊代 昭彦君    理事 斎藤 文昭君 理事 田端 正広君    理事 松沢 成文君 理事 吉田 公一君    理事 横光 克彦君 理事 渡海紀三朗君       小野 晋也君    大原 一三君       亀井 善之君    川崎 二郎君       高村 正彦君    額賀福志郎君       福永 信彦君    河合 正智君       北側 一雄君    冬柴 鐵三君       堀込 征雄君    前田 武志君       左近 正男君    松本  龍君       東中 光雄君  出席国務大臣         自 治 大 臣 深谷 隆司君  出席政府委員         警察庁刑事局長 野田  健君         自治省行政局選         挙部長     谷合 靖夫君  委員外出席者         議     員 伊吹 文明君         議     員 瓦   力君         議     員 鈴木 宗男君         議     員 渡瀬 憲明君         議     員 左近 正男君         議     員 佐藤 観樹君         議     員 三原 朝彦君         衆議院法制局第         一部長     早川 正徳君         衆議院法制局第         一部第二課長  郡山 芳一君         自治大臣官房審         議官      井戸 敏三君         自治省行政局選         挙部選挙課長  大竹 邦実君         自治省行政局選         挙部管理課長  山本信一郎君         自治省行政局選         挙部政治資金課         長       鈴木 良一君         特別委員会第二         調査室長    田中 宗孝君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月七日  辞任        補欠選任   桜井  新君    小野 晋也君   太田 昭宏君    河合 正智君   河上 覃雄君    堀込 征雄君 同日  辞任        補欠選任   小野 晋也君    桜井  新君   河合 正智君    太田 昭宏君   堀込 征雄君    河上 覃雄君     ――――――――――――― 十二月六日  公職選挙法の一部を改正する法律案瓦力君外  二十五名提出衆法第一八号)  政党助成法の一部を改正する法律案瓦力君外  二十五名提出衆法第一九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月二十七日  定住外国人に対する地方参政権確立に関する  陳情書外十八件  (第一八六号  ) 十一月二日  定住外国人地方参政権に関する陳情書外一件  (第二五六号) 十二月五日  定住外国人地方参政権確立に関する陳情書  (第三三一号)  寝たきり老人選挙権行使の保障に関する陳情  書  (第三三二号)  洋上における船員の選挙権行使に関する陳情書  (第三三三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公職選挙法の一部を改正する法律案瓦力君外  二十五名提出衆法第一八号)  政党助成法の一部を改正する法律案瓦力君外  二十五名提出衆法第一九号)  公職選挙法改正に関する件(第十七回参議院議  貫通常選挙の結果概要)      ――――◇―――――
  2. 関谷勝嗣

    関谷委員長 これより会議を開きます。  公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。  この際、自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。深谷自治大臣
  3. 深谷隆司

    深谷国務大臣 この機会に、第十七回参議院議員通常選挙の結果の概要について御報告申し上げます。  今回の選挙は、本年七月二十二日に任期が満了となった参議院議員通常選挙でありまして、選挙すべき議員の数は、比例代表選挙が五十人、選挙選挙が七十六人、合計百二十六人でありました。  選挙当日の有権者数は約九千六百七十六万人で、前回通常選挙に比べ三百五十一万人増加しております。  次に、投票状況について申し上げます。  七月二十三日の投票日の天候は、台風三号の影響で四国、九州の一部で午前中雨のところがありましたが、午後は雨も上がり、全国的に晴れまたは曇りでした。投票率は四四・五%でありまして、これは、前回投票率に比べ六・二ポイント下回り、残念ながらこれまでで最も低く、国政選挙で初めて五〇%を切ることとなりました。  次に、立候補状況について申し上げます。  比例代表選挙につきましては、名簿届け出政党は二十三政党であり、前回に比べ十五政党減少しており、その届け出名簿に登載された候補者の数は百八十一人で、前回に比べ百四十八人の減、競争率は三・六倍でありました。  選挙選挙につきましては、候補者数は三百八十六人で、前回に比べ七十五人の増、競争率は五・一倍でありました。  次に、当選人状況について申し上げます。  党派別に申し上げますと、自由民主党比例代表選挙で十五人、選挙選挙で三十一人、合計四十六人、新進党比例代表選挙で十八人、選挙選挙で二十二人、合計四十人、日本社会党比例代表選挙で九人、選挙選挙で七人、合計十六人、日本共産党比例代表選挙で五人、選挙選挙で三人、合計八人、新党さきがけ比例代表選挙で二人、選挙選挙で一人、合計三人、民主改革連合選挙選挙で二人、第二院クラブ比例代表選挙で一人、平和・市民選挙選挙で一人、諸派無所属選挙選挙で九人となっております。  次に、比例代表選挙の全有効投票に対する党派別得票率は、自由民主党二七・三%、新進党三〇・八%、日本社会党一六・九%、日本共産党九・五%、新党さきがけ三・六%、第二院クラブ三・二%、平和・市民〇・九%、諸派七・八%となっております。  また、選挙選挙では、自由民主党は全有効投票の二五・四%、新進党は二六・五%、日本社会党一一・九%、日本共産党一〇・四%、新党さきがけ二・六%、民主改革連合四・五%、平和・市民一・四%、諸派無所属一七・五%となっております。  最後に、選挙違反状況について申し上げます。  投票日後九十日目の十月二十一日現在の今次選挙における検挙件数は三百四十六件、検挙人員は四百八十一人となっておりますが、これを前回と比較いたしますと、件数で九十七件、二一・九%、人員で五百三十六人、五二・七%減少しております。  以上をもちまして、過般の参議院議員通常選挙の結果の御報告を終わります。
  4. 関谷勝嗣

    関谷委員長 次に、警察庁刑事局長から発言を求められておりますので、これを許します。野田刑事局長
  5. 野田健

    野田(健)政府委員 ただいま大臣から、本年七月二十三日に行われた第十七回参議院議員通常選挙における違反行為取り締まりについて概略説明がございましたが、引き続きまして、取り締まり状況について御報告いたします。  選挙期日後九十日現在で集計いたしました数字は、お手元に資料としてお配りしてある表に示したとおりでございます。  検挙状況は、総数で三百四十六件、四百八十一人となっておりまして、前回における同時期の四百四十三件、千十七人に比べますと、件数で九十七件、二一・九%の減少人員で五百三十六人、五二・七%の減少となっております。  罪種別に申しますと、買収二百八十四件、三百九十人、自由妨害十七件、十一人、戸別訪問八件、二十二人、文書違反三十二件、五十二人、その他五件、五人となっておりまして、買収検挙事件のうち件数で八二・一%、人員で八一・一%と最も多くなっております。  また、警告状況を申し上げますと、総数で二千七百九十九件でございまして、前回の一万九百四十件と比べ八千百四十一件減少しております。なお、警告事案のほとんどは文書関係についてのものでありまして、総件数の九一・八%を占めております。  以上、御報告申し上げます。      ————◇—————
  6. 関谷勝嗣

    関谷委員長 次に、瓦力君外二十五名提出公職選挙法の一部を改正する法律案及び政党助成法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。瓦力君。     —————————————  公職選挙法の一部を改正する法律案  政党助成法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  7. 瓦力

    瓦議員 ただいま議題となりました衆議院議員選挙投票方法自書式に改める公職選挙法の一部を改正する法律案、及び政党助成法の三分の二条項を廃止する政党助成法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容概略を御説明申し上げます。  まず、公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容概略を御説明申し上げます。  さき公職選挙法改正におきまして、衆議院議員選挙投票方法は、投票用紙に印刷される候補者等氏名等の上の○をつける欄に○の記号をつける、いわゆる記号式に改められたところであります。  しかしながら、同じ国政選挙である衆議院議員選挙参議院議員選挙投票方法を異なるものとした場合、有権者に戸惑いを与え、いたずらに混乱を招くおそれがあり、少なくとも衆議院議員選挙参議院議員選挙において同一のものとすることが適当であること。また、衆議院議員選挙において、立候補者数または名簿届け出政党数が多数となる選挙区が生じることが予想されますが、この場合、記号式投票では、有権者投票用紙の中から投票しようとする候補者あるいは政党を見つけ出すことは容易でなく、かえって有権者に無用な混乱を与えるおそれがあること。さらに、選挙管理委員会実務に関して、立候補届け出の締め切り後に候補者名政党名の入った投票用紙を調製しなければならないことや、記号式投票では一見してどの候補者政党への投票かがわからないため、開票作業に時間がかかることなどの問題が生じるおそれがあること。とりわけ、補充立候補事由が生じた場合には、補充立候補届け出を待って、投票用紙の再調製を行わなければならないため、選挙管理委員会は時間的に厳しい制約を受けることになるなど選挙管理委員会に過重な負担をかけること等の理由から、今回、自書式投票に改めようとするものであります。  以上が、この法律案提案いたしました理由であります。  次に、この法律案内容概略につきまして御説明申し上げます。  まず第一に、衆議院議員選挙投票に関する事項であります。  投票は、自書式投票方法により、それぞれ、小選挙選出議員選挙については候補者一人の氏名を、比例代表選出議員選挙については一の衆議院名簿届け出政党等の名称または略称を自書して行うことといたしております。  第二に、施行期日でありますが、この法律は、公布の日から施行することとし、改正後の公職選挙法規定については、この法律施行日以後その期日を公示されまたは告示される選挙に適用することといたしております。  このほか、所要規定整備を行うことといたしております。  以上が、公職選挙法の一部を改正する法律案提案理由及びその内容概略であります。  引き続いて、政党助成法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容概略を御説明申し上げます。  さき政党助成法改正におきまして、政党政治活動資金は、その相当部分政党自助努力によって得た国民の浄財で賄うのが基本であり、政党が過度に国家に依存することのないようにするとの趣旨から、政党交付金交付限度額を前年収入総額の三分の二に相当する額とする規定、いわゆる三分の二条項が設けられたところであります。  しかしながら、現実の政党状況を見ると、その政党の歴史やその政党がどのような収入源によってきたかなどの各党の事情により、政党自助勢力による収入状況財政基盤には相当の差異があり、三分の二条項があるために、結果的に各党に交付される政党交付金の額に不平等が生じるおそれがあること、また、政党運営の当否は最終的には選挙を通じた国民の審判にゆだねるべきであることから、政党がその運営においてどの程度政党交付金に依存するかの選択については政党自主性を認めるのが適当であること等の理由から、今回、前年の収入総額もとにした政党交付金交付限度額を廃止しようとするものであります。  以上が、この法律案提案いたしました理由であります。  次に、この法律案内容概略につきまして御説明申し上げます。  まず第一に、政党交付金に関する事項であります。  その年分として各政党に交付すべき政党交付余交付限度額をその政党の前年の収入総額の三分の二に相当する額とする制度を廃止することといたしております。  また、各政党に交付すべき政党交付金は、四月、七月、十月及び十二月にそれぞれ交付することといたしております。  第二に、施行期日でありますが、この法律は、平成八年一月一日から施行することといたしております。  このほか、所要規定整備を行うことといたしております。  以上が、政党助成法の一部を改正する法律案提案理由及びその内容概略であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  8. 関谷勝嗣

    関谷委員長 以上で両案の趣旨説明は終わりました。
  9. 関谷勝嗣

    関谷委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。熊代昭彦君。
  10. 熊代昭彦

    熊代委員 公職選挙法の一部を改正する法律案及び政党助成法の一部を改正する法律案につきまして質問をさせていただきたいと思います。  自由民主党熊代昭彦でございます。  政治改革法案の成立につきましては、我々もさまざまな感慨とさまざまな思い出があるわけでございますけれども、余りに一時にたくさんのことを一遍に決めてしまったというようなことも確かにあると思いますね。  それで、政治改革と小選挙並立制がイコールであるのかどうかという問題もありまして、最近ふつふっとそういう議論も沸いておりますが、私どもは一たび成立した法律には、議論を尽くした後の多数決でございますから、しっかりとこれに従っていこう、この制度を生かしていこうということでございまして、そういう趣旨で今はやっております。しかし、それにもかかわらず、余りに多くのことを一遍に決めてしまいましたので、やはり時間がたちますとある程度おかしいという点もあるということでございますね。そういうことが今回の改正案提出理由の底にあるんじゃないかというふうに思います。  先ほど提案理由説明でるる御説明もございましたけれども公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、記号式自書式にということで改正されるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、余りに多くのことをやったので、実施する前からその欠陥がわかってきたということもあると思うのです。しかし、ちまたには、今回の法律改正朝令暮改ではないかという声も一部にはあります。国会の立法行為に対して国民不信を招くという意見もあるやに聞いておりますけれども、もう一度その点について明確な御答弁をいただきたいと思います。
  11. 瓦力

    瓦議員 今、熊代議員指摘のように、政治改革が進められて、小選挙比例代表並立型に移行いたしました。  考えてみますと、我々政治に携わる者にとりましては、信なくんば立たずとか公正は政治の大本である、こう言われる中にありますが、民主政治がなかなか厳しい道のりを歩んでおることは間違いありません。そういう反省からこの制度の大転換が行われたわけでありますが、御指摘のように多くの問題を消化しなければならないということから、私どももいろいろフォローアップしながら三党間で協議も続けてまいっているところであります。  確かに、今改めようとする制度はその制定から日が浅いわけでございますが、今回提案いたしております点につきましては、制度導入の段階で考えていた以上の問題性を持っておるわけでありますので、議論の結果明らかになってきたもの、そして改正する必要が高いと判断するに至ったもの、こういうことをこの際法律としてお諮りをいたしておるわけでありまして、朝令暮改のそしりを受けたり、朝令暮改により国民不信を招くことのないものである、かように思いますし、また民主政治は最善の努力をして国民の信頼に基づく体制づくりをしなければならぬことは当然である、かように考えておる次第であります。
  12. 熊代昭彦

    熊代委員 もろもろの情勢を見まして、しかも我々は多数決には従うわけでございますから、多数決完全無欠ではないということでございまして、過ち改むるにはばかるなかれということもありますので、そういうことだと思います。私どもは、過ち改むるにはばかるなかれで、速やかに改正するということに基本的に賛成でございます。どこかの政党のように多数決を実力で阻むというようなことは私どもはいたしませんし、それから欠席することもしないということで、いっときは多数決で決めましてもやはり直すことができる、これが言論の府であるということでございます。  そういう意味で、これは朝令暮改というよりも、本当に必要な改正をするんだということで理解きしていただきたいというふうに思います。  それで、これも御説明が既にあったことではございますけれども衆議院議員選挙投票方法でございますが、記号式にまずした。我々の政権の時代ではありませんけれども記号式にした。しかし、それに賛成したわけでありますから。記号式にして、それから自書式に改めるということで、多少繰り返す面があると思いますが、その一番肝心なところ、記号式ではだめで自書式の方がはるかにすぐれているんだというところをちょっと聞かしていただければありがたいと思います。
  13. 伊吹文明

    伊吹議員 今おっしゃったように、投票のやり方だとかどうだとかということは、大きな小選挙制度を守っていくための部品なんですね。だから、基本的なところを余り簡単に変えるというのはやはり朝令暮改のそしりを受けると思います。しかし、いろいろ検討した結果、部品が、本来決めた一番大切なところを守っていくために不適当な状況になるというおそれがあるときは、むしろ積極的にこれを変える。だから、明治維新でもフランス革命でも流血でまたもとへ戻っちゃったということはありますが、幸いこういう形で私は戻せるのは結構なことだと思います。  当時政府案の原案になっていたのは、海部さんが自由民主党の総裁であったときにお決めになった案なのですね。これは、今自由民主党におられないわけですが、結局、参議院で当時の細川政府案が否決されたときに、自由民主党と、そして当時の与党であった、八党だったですかね、その代表である細川さんが協議をして、二票制の記号式ということになりました。自民党内で海部案をつくるときにも、自書式記号式がというのは大変な議論の積み重ねがあったわけです。しかし、自民党は、一票制であって記号式であれば、紛らわしい政党名前と紛らわしい候補者名前が、政党名名前とがリンクするからそんなに間違いがないだろうということで実は一票制を出したわけです。しかし、政府案は二票制でした。  その後、参議院選挙がございまして、御承知のように一つ選挙区で何十人という方が立候補されます。それから、一つのブロックで百近くの政党比例候補を立てるということも考えられます。そういう中から自分の考えている政党を選び出すということは本当に難しいと私は思います。ましてや、新しく進む党もあれば新しい新しい党も出てくる可能性もあるわけでして、どうするかということを考えれば、やはり状況が落ちつくまでは自書式にした方が制度の根幹を守る上でいいのではないかということで我々は今回の提案に至りました。
  14. 熊代昭彦

    熊代委員 自書式よりも記号式がいいというのは、例えば識字率が大変低くて字を書けない人が多いとか、そういうところではあるいはそういうこともあるかもしれませんが、やはり圧倒的多数の人たちが字が書けて、しかも目の前にあればちゃんと選んで書くことができるということでございます。そういうこともありますし、本人の名前を覚えてちゃんと書くということも、これは政治意識の非常に高いことじゃないかと思います。私自身はかなり前向きにこの自書式というのをとらえたいというふうに思っているわけでございます。そういう意味で、今回の改正も、国民政治的関心を高めるという観点から重要なことじゃないか、必要なことではないかというふうに思っているわけでございます。  それにしましても、近来の投票率の低さといいますか、だんだん投票率が低くなってきたということがございます。投票率を上げて多くの国民の方々に選挙に対する関心を、今後我々の将来をとのようにするかというその選択をゆだねる代表を選ぶ機会をぜひ持っていただきたいというふうに思うわけでございますね。これは、我々に課せられた、この公選特にも課せられました大変に大きな課題であろうというふうに思うわけでございます。  今後、投票率を高めるのに、自書式のほかにもいろいろあると思うのですが、どのような課題があるだろうか。いろいろ言われておりますが、一案として、どうも日曜日というのがまずいのじゃないか、ウイークデーで、そのときだけを職務義務免除にしていただいて投票するとか、日曜日にしましても、朝は早い時間からやっておりますが、もっと夜遅くまでやったらどうか、例えば九時ごろまでやってみるとか、そういうことで投票率が上がるのじゃないだろうか。  いろいろ案があるわけでございますが、その二案も含めまして、どのような方策が考えられるかをお伺いいたしたいと思います。法案提案者及び実務担当者でございます自治省にお伺いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  15. 伊吹文明

    伊吹議員 民主主義基本というのは、やはり八代将軍吉宗のときと違って、為政者のあてがいぶちじゃないということなのですね。それは、民主主義の王様である有権者が一票を投ずることによって選ぶ。したがって、現在の政治が非常に混乱しているということも、実は、政治家の責任である反面、投票した人、投票しなかった結果現在の政治家を選んで、現在の政治家が連立を形成しているということもやはり一つの原因であれば、私は、委員がおっしゃったように、投票率を上げるということは一番大切だと思います。今委員の御提案一つの傾聴すべき御提案だと私は思います。  ただ、技術的にはいろいろなことが考えられると思います。例えば、投票した人にはワッペンを渡してそれをうちの入り口に必ず張ってもらうとか、いろいろなことがあると思いますが、それよりももっと大切なことは、やはり政党政党の理念をはっきりと持って、国民に魅力ある政党になっていく。残念ながら、まことに不幸にして今はやや長い過渡期であると私は思うのです。ですから、これは与野党を通じて、いずれ二度、三度選挙を行った上で、自由主義を前提とした幾つかの切り口の政党にはっきりと分かれていくという形、そしてそれを支援していらっしゃる支持者という形ができてくればやはり投票率は高くなっていくと私は思いますので、むしろ技術的な問題よりも本質的なことを政治家として大切に考えるべきではないかと私は実は思っております。  むしろ、今問題なのは、投票に行った人が記号式のために混乱をしてしまうということだけはやはり最小限カバーしなければいけない。それがカバーできなかったら、本当の自分の意思の投票ができない。私は、いずれ政界再編が行われて政党の数だとか立候補者の数が収れんしてくれば、欧米諸国のように記号式に改めてもいいと思うのですよ。欧米先進国も必ずしも自書式ではありません、記号式です。しかし、政党の数がもっと絞られて安定した政治状況になっているからそういうことができるわけで、今は過渡期だから、そういうことをやるとかえって新しい選挙制度を損ねる、私はそんなふうに思っております。
  16. 谷合靖夫

    ○谷合政府委員 投票率の問題につきましては、やはり選挙の管理、執行の立場から見ましても、有権者ができるだけ投票しやすい環境を整えるということが大切なことであるというふうに考えております。  その方策として、委員指摘があったわけでございますが、平日投票制あるいは投票時間の延長、そのほかにも、投票日の二日制であるとか電子投票制の導入であるとか、さまざまな方策がさまざまな方面で御議論なり御提言をされているところでございます。  御指摘のございました平日投票制ということになりますと、どうしても現在投票所の施設等が、やはり学校に頼るとか、そういうことが多いわけでございますので、そうしたものが確保できるのかとか、また、ウイークデーになりますと、事務従事者というものが確保できるのかというような問題もあることは事実でございます。  また、投票時間の延長につきましては、これまで二回、三十八年の総選挙と四十九年の参議院通常選挙のときに投票時間の延長措置がとられておりますけれども、その結果が投票率にどのように結びついたかという効果の判定も必ずしも明確ではないわけでございます。ただ、国民の生活様式の変化等もありますので、投票立会人の確保ができるのかとか、あるいは遅くなりますと開票作業に影響するというような問題もありますので、そんなことを含めて検討しなければならないというふうに考えております。  いずれにせよ、この問題につきましては、先ほどお話もございましたような国民政治参加という観点から見て極めて重要な事項と考えておりますので、国会初め各方面の御意見等も十分伺いながら、また啓発のあり方というようなことをどうしたらいいかということも含めまして検討を重ねてまいりたい、かように考えております。
  17. 熊代昭彦

    熊代委員 自治大臣、この件に関して。
  18. 深谷隆司

    深谷国務大臣 今、伊吹議員のお話や選挙部長のお話でほぼ尽きると思います。  ただ、私たち、大臣であるという前に一人の政治家として、やはりさきの地方選挙並びに参議院選挙、極めて低い投票率であったことは、政治に対する不信一つの大きな原因である。そしてその背景に、それがもと国民の無関心がある。このことをじっくりとらえて、国民政治への関心、信頼、それを回復して、投票行動に出ていただく、そういう状態をつくり上げることが最も大事なことだと思っております。  あわせて、投票しやすいという方法、つまりテクニカルの部分も十分に検討すべきであろうと思います。電子投票システムの開発などは一つの考え方ではないだろうかと思って、今私どもも、そういう問題も含めて、有権者の皆さんがどうやって投票していただけるか、しやすい方法を一生懸命勉強しているところでございます。
  19. 熊代昭彦

    熊代委員 ありがとうございました。ぜひ投票率の高まる、政治に対する関心あるいは政治の質を向上する、さらには、やはりテクニックの問題もあると思いますので、テクニックの問題も十二分に検討をお願いしたいと思います。  次に、政党助成法の一部を改正する法律案につきまして御質問申し上げたいと思います。  これも提案理由にはあったわけですが、三分の二条項を廃止するという理由ですね。るるおっしゃいましたけれども、これも事前にかなりわかっていたのではないかという気もいたします。ですから、繰り返しになりまして恐縮でございますが、三分の二条項を廃止する一番の理由というか、その辺をちょっともう一度お願い申し上げます。
  20. 瓦力

    瓦議員 三分の二条項の設定の経緯は申し上げる必要はないと思うわけでありますが、政党がその政治活動を行うために浄財を広く求めるということは民主政治基本にある、かように考えておるところであります。しかし、政党のそれぞれの基盤を見ますと、また歴史を見ますと、一概にその判断だけでは不公平、不平等になる、そういった面もございまして、この際、与党各党間で話し合いをする中に、それぞれの政党政党の責任においてなすことでございますが、三分の二条項につきましてはこれを排除するということに決心をいたしたわけでございます。
  21. 熊代昭彦

    熊代委員 これは既に一度やってみまして、政党助成金を除き、借入金を除き、実際に集めたお金の三分の二しかもらえないということで、なかなか厳しい条項であるということがわかったということでございまして、御説明がございましたように、いろいろな政党の成り立ち、歴史もありますから、やはりこれを撤廃して平等にお金が渡るようにしなければならないというのは納得できるものであると思います。納得できるものであると思いますが、あえて反対されて政党助成を返されているところもあるようでございますから、三分の二条項撤廃に反対されるならば、三分の二を超えるものはお返しになるというのも一つの非常に意思を示すいい方法がなというような気もいたします。  それはともかくといたしまして、そういうこともちょっと考えられるのかなという気がいたすのですが、これはあえて質問ということにしないで、念のためでございます。私は、撤廃もいいのだということですが、一般にいろいろ言われていることについて、やはり議事録できっちりお答えがあったということは示したいということでございますので、お伺いしたいのですけれども、党の運営資金のすべてを政党交付金に依存する政党が出てくるということですね。政党自助努力を担保するためにやった措置を撤廃して、党の運営資金のすべてを政党交付金に依存するというのはいいことだろうか。これはまた繰り返しになりまして恐縮でございますが、しかし、それもあえていいのだというところをもう一度お願いを申し上げたい。
  22. 瓦力

    瓦議員 御指摘のように、三分の二条項が撤廃された後、政党がその政党努力をしないといいますか、そういう中で政治運営されることに対する危惧をもちろんお持ちであることは承知をするわけでありますが、それぞれ政党運営資金がどの程度政党助成法に依存するか、これは政党自主性に任される部分が大きい、かように考えるわけでありまして、最終的にそれぞれの政党運営の当否は選挙を通じまして国民の審判にゆだねるといいますか、そういうことに相なると思うわけであります。また、政党自身がその努力を怠っては、私は、政党の生命にかかわる問題である、いわゆる公的助成のみならず、浄財、国民の広い支援の中で政党が有効に息づいていくということは議会政治の重要な部分である、かように考えておるわけであります。
  23. 熊代昭彦

    熊代委員 ありがとうございました。いずれにしましても、こういう政党のあり方の基本に関するようなことですね。国民向けのジェスチャーで賛成、反対を決めるのではなくて、やはり本音で賛成のものは賛成、反対のものは反対ということでやっていく必要があるだろうというふうに思います。そういう意味で、今るる、あるいは繰り返しもあえて辞せず御説明を聞いたわけでございますが、本音で考えて、これは私は、過ちを改むるにはばかることなかれということで、思い切ったいい改正であるというふうに納得して、質問を終わらせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  24. 関谷勝嗣

    関谷委員長 次に、荒井広幸君。
  25. 荒井広幸

    ○荒井(広)委員 自由民主党の荒井広幸でございます。  先ほど提案者の先生方から、言ってみれば、政治改革を新しくして、新しい政治、信頼にたえ得る政治をするという意味では、本体を変えない、しかしその本体をうまく動かすために部品を変えるのは当然だということで、私もこれは当然にそう思っております。言ってみれば、本体は日本丸の船ということで、新しい民主主義のこの仕組みの根幹をなすさまざまな制度改革をやった、それが日本丸として国民の皆さんを乗せて幸せに運んでいく。その中で、船の中にもいろいろ、使ってみたらうまくいかないなというようなところについて、これは改良していく、改めていくというのはごく当然のことだと思います。  その意味におきまして、私は、実は国民の皆様方に十分にその党の政策やあるいは党の運営の仕方、体質と言ってもいいかもしれません、また政党所属の候補者の方々を含めて、候補者の方々の政見や人柄、そういったものを十分に見きわめるという意味におきましては、この政党交付金の使われ方ですね、先ほど党運営というようなことがありましたけれども、非常に重要な意味をはらみます。  そこで、その最たる、重要なその船の日本丸を動かして、国民の皆さんを乗せて幸せに向けていくという意味では、十分に国民の皆さんにその見識を発揮していただいて審判をいただく、そして、そこにまた助成金の絡みも出てくるというようなことでは、選挙運動方法あるいは活動というものはやはり私は見直すべき点があるな、このように思う次第でございます。  例えば、今回の理念に従って考えてみましても、小選挙区及び比例代表定数の改正と、これに伴いましての選挙運動量の改正などということが中心に行われてまいりました。第百二十八回国会の本会議政治改革特別委員会、今言いましたようなところを中心に議事録をずっと読んでみますと、なぜこの選挙制度全体を改革するようになったかといえば、それは同一政党候補者同士の同士打ちである、個人競争になるのだ、個人競争だから政治と金をめぐるさまざまな問題が発生して国民の信頼を失った。こういうことを反省するなら、制度自体の欠陥を直さなくてはならないのだ、こう細川総理は答弁をされています。その結果、小選挙区の政権選択制、比例の多様な民意の反映、これを合わせたものがベターではないか、そこに初めて政策・政党本位の選挙が実現できるんだ、こういうような全体の趣旨なんです。  では、こういうようなことでこの船が進んでいくということになって、それぞれの選挙運動方法というものを取り上げて見てみますと、極めてこういう精神から遠くなっちゃうのではないか、むしろ逆行するんではないかと思われるような点が多々指摘できます。  きょうは、二点について指摘をさせていただいて、御見解をいただきたいと思います。  まず、法定ビラでございます。  法定ビラにつきましては、小選挙選挙候補者届け出政党が出せますし、比例代表でも出せるんです。ところが、個人にももちろん法定ビラは出せることになっておりますが、こういうことが考えられるわけです。今回は種類や規格に制限がありませんので、小選挙区やあるいは比例代表政党に与えられた法定ビラが、何と、特定の個人の候補者の政見あるいは人柄を訴えるというものに利用できますし、二つ目は、規格制限がありませんので、はがきサイズに変えることができるということなんです。しかも、今度は郵送が認められていますから、六十円掛ける七万枚といたしますと四百二十万がかかるんです。この四百二十万というものを政党が出すのは原則でありますが、もし仮に、候補者にも認められた寄附という形でお金を貸与をすれば、実は小選挙区の候補者に対する法定選挙費用とは別に、新たなお金を使わせられるという二重の問題点も指摘できるわけでございます。  こういうような点を考えますと、お金にまつわる問題から何とかお金のかからない政治にすることによってのさまざまな信頼回復をしていこうと言っているのにもかかわらず、お金を、かけようによってはかなりかけられるという矛盾点が出てきている。  まず、この点でございますけれども、制限がないビラの種類、そしてまた、比例の方は枚数制限がない、郵送もできる、こうなったらべらぼうにお金がかかるんじゃないかと思いますが、いかがでございましょう。
  26. 伊吹文明

    伊吹議員 先ほども私、最初に申し上げましたように、小選挙比例代表並立制というものを動かしていくための部品がたくさんあります。その部品一つが今おっしゃった選挙制度なんですね。また、その選挙制度を賄っていくための個人及び政党の資金のあり方なんですね。  ですから、中選挙区には中選挙区のいいところがあり欠点があります。その欠点を非常に重く見て、欠点がある小選挙区だけれども選挙区の利点を重く見て、今度は比例代表を加味した小選挙区制に変えたわけですね。その小選挙区制は政党本位ということになっているけれども、その部品がどうだと言えば、今荒井委員がおっしゃったように、まことに小選挙比例代表並立制を動かしていくためには部品がややふぐあいじゃないかという気が私自身いたしております。  今おっしゃったように、例えば、ビラのお話をされましたが、政党が作成するビラは七万枚ですよね。はがきは個人が三万五千、政党が三万五千。十四万枚のはがきを出せるということですね。そして、小選挙区だから有権者の数はうんと少なくなっている、テリトリーもうんと少なくなっているが、従来の運動量の四倍、はがきについて言えば四倍の運動量になってしまって、しかもそれを賄うお金というものが大変率直に言って集めにくい。しかも、政党がやると言っている活動が、実際は個人にみんなかかってくる。個人が預かっている小選挙比例代表並立制の小選挙区支部にかかってくるということですね。そうなったときに、この制度がうまく動くだろうかどうだろうかということを私は本当に心配をいたしております。  この前、自社さきがけ三党の協議では、運動のあり方、運動量、それを賄う資金のあり方について検討をするということを合意いたしました。野党の皆さんも、これは土俵をつくる話ですからぜひ一緒に、我々が決めた大きな大もとである小選挙比例代表並立制を現実に合ったように回していけるためにはどうすればいいかという議論は、次の総選挙までにむしろ急いでやるべきじゃないかという感じを私は持っております。
  27. 荒井広幸

    ○荒井(広)委員 同感でございますし、同時に、この点につきましては自由民主党も十分に議論をしてきたつもりではおりましたけれども、第百二十八回国会においては、趣旨説明などを除いた質疑などで時間を計算すると九十九時間全体の議論をしていますが、残念なことに、戸別訪問あるいは今の選挙運動方法につきまして概略調査室と時間的なものを詰めてみますと約三時間四十分程度ということでございまして、ここについての議論は、それぞれの党が大体同じ意見であったということも加わってか余り議論されませんでしたが、これはかなり重要な部品だなということで、問題点が指摘できるわけです。  もう一つ指摘できるのは、お金がかからないと言いながらかかるような、かけ方によっては、まあかけがいがあると言えば、当選できるんじゃないかというようなところに問題がある。  それから二つ目は、比例と届け出政党、都道府県単位ですね、それと個人というものがあるものですから、それぞれが垣根を越えて相乗りをいたしますと、実は、小選挙区で戦う候補者同士が全く違う土俵で戦うという驚くべきことになるんです。これは政見放送で見ると非常にわかりやすいんです。  ある県五人区だといたしますと、いただきます時間というのは、政見放送でございますけれども、NHK二回、民放三回、ラジオ一回、六回でございます。六回トータルを仮にさせていただきます。九分でございます。六、九、五十四分。ところが、お一人しか立ててない政党候補者は、六、九、五十四分自由に出演することも可能なんです。ところが、五人区ですから、満杯に立てた政党は、五人で仮に一人一人が平等に出演しようとしますと十分程度しか出られない。片方は五十四分出ずっぱりも可能であり、片方は十分。  そうなりますと、この法のそもそもの精神でいいますと、政党・政策中心でありますから、政党の政策を訴えるんだということなんです。これは、ある意味において我々もその法の精神を外さなければなりませんが、その政党をどう説明するかというときには、やはり候補者たる人間が説明するというのも非常に大きな手なんですね。そうなりますと、場合によっては、政党の政策を説明しながらその特定の候補者一人だけが非常に評価を得る、こういう問題も、問題ではないかもしれませんが、結果的にはアンバランスな時間配分ということによって一人の候補者だけが有利になってくる。その同じ選挙区では別な党の一人しか立っていませんから、まさに土俵が大きく崩れてしまうという問題点が出てまいるわけです。  ですから、この法の精神を各党がきっちり体して、国民の皆様方に理解をいただき信頼を回復するという選挙運動を全員が、候補者個人もしていくわけでございますが、どうしてもその辺は、与えられたものの中で非常に有効に理解していただこうというふうにやはり考えてしまうのが政党であり候補者でありますから、そうなったときに極めて候補者のその選挙区内で不平等を来すということがあるんです。先ほどのビラもはがきに変えますと、特定の候補者のところにだけ郵送も可能なんです。ある特定の候補者を特定に応援するということになります。こういうものに縛りをかけませんと、実は、公平で平等な選挙運動方法が非常に不平等を来す。これが今度の選挙運動のさまざまな方法、活動について言えることでございます。  こういう点、私は問題であるなと思います。これを政治改革趣旨に照らしてそのような方向にしていかなければならないと思いますが、この辺、議論の余地があるところだと思いますので、大臣議論の余地があるかどうか、ちょっと難しいところでございますが、いかがでございましょう、その辺。
  28. 深谷隆司

    深谷国務大臣 この選挙法律改正した当時の流れをずっと見ますと、あくまでも政党中心の選挙に変えようと。したがって、その趣旨にのっとって選挙を行っていけば、今委員の御指摘のような問題はないわけでございます。しかし、現実の戦いの方法として一体どうなるか、まだ経験を持っていないものでありますから、委員のようなさまざまな御心配はあろうかと思います。  しかし、いずれにいたしましても法改正は与野党含めて各党議論の中から結果的には生まれたものでございますから、これからも選挙のあり方についてはどうぞ大いに議論をしていただきまして、政府といたしましてはそれを十分に承って対応していきたい、そう思います。
  29. 瓦力

    瓦議員 荒井委員からの御質問、だんだんこの問題を詰めてまいりますと、選挙のいろいろな対応につきまして、今御指摘のような問題が出ております。それで、先ほど部品論もございましたし、また三党間で新たな項目を起こしまして、これらの費用を賄う政党候補者個人の政治資金調達のあり方、並びに政治改革協議会において今後候補者個人の選挙運動等の対応、これらをひとつ研究していかなきゃならぬというような中でも指摘がございました。  さらに、伺いまして、この問題は公選特、格別委員長のお計らいにもよりまして、各党間でそれぞれ選挙の対応につきましては御協議をいただく場は、言ってみますればこの委員会が中心でございますから、貴重な意見として私どもも受けとめますし、また、本日の質疑を通じまして、与野党垣根を越えまして選挙、議会の基盤をつくるという意味合いにおきましては貴重な意見として承っておきたい、こう存ずる次第であります。
  30. 荒井広幸

    ○荒井(広)委員 私は、これは政治家政党のために言っているのではなくて、選挙という唯一の国民が参加できる、その機会有権者の審判を冷静に、客観的に仰げるような有益な土俵をつくり、その土俵の中で政党も、政党所属候補者あるいは無所属の方々も公平に国民の皆様方に政見、政策を訴えられる、そして審判を仰げる、しかもお金はかからない、極力かけないようにする、その範囲の中で日本が繁栄し、国民の皆さんの幸せにつながっていく、世界に貢献していく、そのための手段であると思いますので、ぜひ与野党を通じてこの場で議論をさせていただきたいということを委員長にもお願い申し上げまして、質問とさせていただきます。
  31. 関谷勝嗣

    関谷委員長 次に、横光克彦君。
  32. 横光克彦

    ○横光委員 日本社会党の横光克彦でございます。  平成六年一月二十九日に一応政治改革法案が成立したわけでございます。曲がりなりにもと言っていいんじゃないかと思いますが、成立いたしました。爾来、二年になろうとしておるわけでございますが、このことは言わずもがなのことでございますが、こういった政治改革法案、本来ならば、私たち政治家が正しい倫理観を持ち、公正なる判断力さえ持ち合わせていればこのような法案は必要ないわけでございます。しかし、残念なことにそういった政治家が少ないということで、こういった法案をあれだけ長い期間をかけ、そしてまた、ある意味ではむだとも言えるような膨大な金を使って、それでも成立させた。  そういった状況で、成立させたとはいえまだまだ不十分ではなかろうか、さらに政治改革の第二弾を打ち出さなければならない。政治浄化のために、国民の皆様方にこたえるために、そういった思いでいたやさきに、昨日山口敏夫氏が背任容疑ということで逮捕されたわけでございます。ほとんどの国民、そして私たちも今怒りで胸がいっぱいになっているところでございます。  これは山口氏だけではありません。ことし一年間で、ことしのたった一年間で四人の国会議員がスキャンダルや不正疑惑で議員辞職あるいは逮捕に追い込まれるという、まさに異常事態とも言えるような状況ではなかろうか、私はこのように思っているところでございます。中西啓介氏、そして近藤豊氏、大谷忠雄氏、そして今回の山口敏夫氏であります。政治改革法案が成立した役なんです。長い腐敗が続いて、やっと政治改革法案が成立したその後に、まだ国民を愚弄するかのようにこのようなスキャンダルや不正で議員辞職あるいは逮捕に追い込まれるという、国民の信頼を取り戻さなきゃいけないときに、さらに国民の信頼が離れていくような状況を私たち国会議員が国会の中であるいは国会の外で起こしている、もう残念としか言いようがございません。  なぜこのような不祥事が飽くことなく続くか。これは一言で言えば、先ほどからお話に出ております政治と金の問題に尽きると思います。余りにも政治家政治活動に、また選挙に金がかかり過ぎる、いや、私から言えば金をかけ過ぎる、このような思いがしてなりません。  ですから、相手陣営が金をかけるから我が方もと、いわゆる軍拡競争のような悪循環がこれまでずっと続いてきた、そういうことも言えるんじゃないか。本当に国民の信頼を得るために、公平で公正な政治活動、また選挙の道はないものか。新米で何を青臭いことをと思う方もいらっしゃるのかもしれませんが、私たちは今こそ真に国民の信頼を取り戻す、またから得るために、全員で政治と金という原点に立ち返って、胸に手を当ててこの道を追求していく決意をしなければならないときではなかろうかとまず冒頭に申し上げさせていただきます。  今回の委員会に、そういった中二つの法案提案されたわけでございますが、まず、政党助成法についてお伺いいたします。  これは、旧連立七党一会派のもとで、細川内閣で提案した内容であるわけですが、これを一年間施行してみて、いろいろな弊害も出てきたのではなかろうか。この三分の二条項があるために、政治にかかるコストがむしろ増大したのではないか、私はこういう気がいたしております。満額の政党助成金を得るために、前年度の収入の一・五倍を上回らなければなりません。そのために、各政党政治パーティーとかあるいは献金集めとかに走ったわけですね。これは、ある意味では私たちが目指している政治改革の流れに逆行する道であろう、私はこのような気がいたしております。  そういった意味で、前の政府案の方が実態上よいのではないかという結論にたどり着いたのではないか、こういう気がいたしております。これは、現野党であります新進党も、当時は与党においてこの細川政権のときの法案を、ともにつくった法案でございますので、まあ内容についてはそういった関係上賛成だとは思うのですが、修正等の経過等、意見もございましょうが、重複することになりますけれども、いま一度、なぜこの法案提案に至ったか、ここでその考えをちょっとお聞かせください。
  33. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)議員 今、冒頭に横光委員から言われましたように、この前の選挙からこの間ばば二年余たっているわけでありますが、四人が辞職あるいは逮捕ということを言われて指折り数えることはできますが、改めて言われて、政治の信頼という観点からいって、我々も、改めて襟を正すことを国会全体としても政党としても本当にやっていかなければならぬということを改めて表明をさせていただきたいと思うわけでございます。  政党助成法上の三分の二条項の問題につきましては、国会の方で当時修正がされたわけでございますけれども、そのときの議論というのは、政党が過度に公的助成に頼ることはいかがなものかという議論もございました。一方、そういう三分の二条項なり当時四〇%と言われたのが出れば、それは逆にそれに当てはめるために自助努力というものをより一層しなければならぬという弊害が起きるのではないかという議論もあったわけでございますけれども、最終的には三分の二条項ということになったわけでございます。  しかし、今委員指摘のように、ほぼ一年たってみますと、やはり政党というのは長い歴史のあるところもあれば短い歴史のところもあり、また政党の活動資金というものはいろいろなタイプがあるわけでございますから、そういったことを考えますと、自助努力というものがどのくらいの割合であるべきかというのはなかなか一概に結論づけることは難しいのではないか。  したがいまして、与党の中でいろいろ協議をしました結果、ひとつその自助努力というのはどのくらいすべきなのか、公的助成というのはどのくらいの割合が正しいか、あるいはそれは政党自身のあり方、あるいは最終的には政党自身が国民の皆さんの審判によるところによるべきである、そういう結論に達したわけでございまして、三分の二条項というものは撤廃をするという結論に至った次第でございます。
  34. 横光克彦

    ○横光委員 次に、公選法改正案についてお伺いいたします。  記号式から自書式に変えるということは、これは先ほどの政党助成法と違いまして、政党助成法の方は一年間実際に経験したわけですね。しかし、この自書式に改めるというのは改正後まだ一回も適用されておりません。適用されていないのに改正するということを提案されたわけですから、これは発議者におきましても相当に慎重な討論、検討を行った末であろう、このように思うわけでございます。先ほど熊代委員からもございました、ある程度予測されていたことではなかろうかという問題もございます。  例えば、実際問題として、当時参議院選挙制度改革の議論の中で、この整合性を検討するようなやりとりも与野党間で論議されたと聞いております。また、自書式になりますと、ある意味では一文字のミスも許されないわけですね。結局、これは人間ですから、完全無欠ということは望ましいわけでございますが、どこかにミスが起きる可能性がある。もしそのようなことが起きた場合に、その内容によっては訴訟とかいろいろな問題が起きかねない危険性がある。さらに、大都市部では膨大な候補者やあるいは政党が名乗りを上げる可能性もあるわけでございます。そうしてみますと、先ほど趣旨説明がございましたが、機関委任事務、いわゆる選挙管理委員会実務上の困難は大変なものがあるのじゃなかろうか、こういう危惧をされるわけでございます。  一つの例で申し上げますならば、もし記号式投票において候補者が死亡した場合に、いわゆる新しい投票用紙を再調製することが一つ、そしてまた、既製の投票用紙で死亡した候補者の部分を消すということが一つ、しかし、もしそれでも投票日直前に亡くなったようなことがある場合は、既製の投票用紙の死亡した候補者の部分を削除せずにそのまま用いて、選挙当日、投票記載所に死亡した旨の掲示をする、こういうふうになっておるわけですが、これは先ほど言いましたように膨大な量でございまして、間に合わないことだってあるわけですね。そうした場合、投票所で大変な混乱も起きかねない、私はこのような危惧もするわけでございます。  そういったことを考えましたら、私は、投票率を向上させ、そしてわかりやすい制度、そしてまたわかりやすい方法で、有権者ができるだけ選挙に参加しやすくなる、このことがやはり必要ではなかろうかと思っております。こういった選挙事務の実態を考えればやむを得ない改正だとは思うわけでございますが、いま一度発議者の御見解をお聞かせください。
  35. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)議員 平成六年にこの法案が出されましたときに、政府案は二票制の記号式、それから自民党さんの案は一票制の記号式ということで、両方とも記号式となっていたわけでございますけれども記号式記号式のメリットというのがあることは当然のことながらあるわけでございます。  政府といたしましても、投票の効力判定が容易になり、無効投票減少するとか、選挙訴訟が減少する、あるいはある程度投票用紙をぱっと見て、その候補者があればそこに○をつければいいというだけですから、そういった意味では選挙の秘密が確保しやすくなるというようなメリットがあることは私たちも否定するものではないのでございますけれども、今委員指摘のように、衆議院と参議院投票方法が違うということについては有権者に戸惑いを与えるおそれもある。それから、記号式の場合には、候補者が少ない場合には非常にメリットが出てくると思いますが、多い場合には投票者がまず探したりその他いろいろな、投票用紙が大きくなるなどということもございますし、三番目に、委員指摘のように、立候補者の締め切りが終わってから印刷が始まるということ、もちろん全くできないわけではありません。それから、候補者が死亡した後の補充立候補の問題、あるいはそのまま、亡くなられた場合を今委員指摘になりましたが、全く対応できないとは申しませんけれども、過度の負担を選挙管理委員会にかけるということになってまいりますので、こういった問題点を総合的に考えてまいりますと、記号式から自書式に変えるという結論に至った次第でございます。
  36. 横光克彦

    ○横光委員 今メリットというお話がございました。確かにメリットもあるわけでございます。そういった観点からして、前回記号式にされたのは、ある意味では将来における電子投票等のことも念頭に置かれているのではないかと考えるわけですが、今回の改正は当分の措置と考えてよろしいのでしょうか。
  37. 伊吹文明

    伊吹議員 先ほど来御答弁を申し上げておりますように、現在はまさに過渡期だと私は思います。そして、政党の理念が必ずしも確立をしていない中で、率直に言って、自由民主党にも保守の人もいればリベラルの人もおりますし、新進党も保守もリベラルも宗教でくくられている人たちも混在しておられる。そういう中で、現状に満足をしないいろいろな価値観の人たちがいろいろな政党をつくっているというのは、私はこれは否定できない事実だろうと思います。  したがって、今委員おっしゃったように、将来的にはやはりそういうことは考えなければならないのだと私は思いますけれども、当面、新しく入れたこの制度が定着をするまでは客観情勢とあわせて部品は修正していかなければならない。それをいつと判断するかは、これはむしろ院の御判断で、将来の問題として残しておくというのが、私は立法技術としては謙虚な態度ではないかと思っております。
  38. 深谷隆司

    深谷国務大臣 ただいま電子投票システムの問題についての御質問がありました。たまたま私は大臣になる前にそういう問題、渡海先生などと勉強しておりましたので申し上げたいと思うのですが、電子投票システムでも、記号制度だけではございませんで、自書式の開発をただいま日本の会社ではやっておりまして、将来、実際問題としては自書式でも電子投票システムで投票できる、そういう機械が既にもう開発されておりますから、必ずしもそれを否定するような状況になるとは思いませんので、念のために申し上げます。
  39. 横光克彦

    ○横光委員 先ほど、冒頭に私申し上げましたように、国民政治不信は払拭されるどころか、ますます不信が増大しかねないような状況でございます。こうした政治腐敗の根絶のための政治資金浄化とそしてまた透明性の拡大については、さらに各政党、また私たち議員が一致して前進させなければならないことだと考えております。同時に、国民政治参加拡大のための方策はまたまた推進されなければなりません。  そうした観点から、もう時間がございませんが、もうちょっと質問させていただきます。  まず一つに、政治改革与党協議会において政治資金収支報告書等の複写の解禁問題、これが実施される方向で合意されつつあり、具体策の検討が行われると聞いておりますが、このことがどうなっておるのかが一つ。  そしていま一つは、これは在外邦人の件でございます。在外邦人の国政選挙に関する投票機会の保障について、これは超党派の問題ですが、八四年に政府法案が一度提出されております。そしてまた、旧細川連立の時代にあって国会の委員会として海外公聴会も行われたという経緯があります。この問題も与党協議会で今どのような段階にあるのか、お聞かせください。もし自治省に補足説明があるようでしたら、これもあわせてお聞かせください。
  40. 伊吹文明

    伊吹議員 二点のお尋ねがあったと思います。  まず一点は、政治資金収支報告書の公表というかコピーの件ですが、新しい制度になりまして、これが報告をされるのは来年の三月だと思います。各政治家一つの資金管理団体しか持てません。同時に、五万円以上の寄附者の名前はすべて開示されますから、それを書くと一体どの程度になるかというのは、これは初めての経験です。多分、この委員会の床から上まで積み上げた書類が幾つも幾つも出てくるということになると思いますので、これを管理していく上から複写にたえられるかどうかということをやはり書類を見てから決めようと、そしてコピーをとっていただくということを前提にして考えてはおりますが、余りにも事務的に無理だということになるのかどうなのか、これは見きわめねばならないだろうというのが今我々の議論でございます。  それから、在外邦人の選挙権の問題については、先生御指摘のとおりで、これはやはり日本人である限りは、日本国籍を持っておられる限りは投票権を奪ってはなりません。どの投票を対象とするのか、つまり衆議院でいえば比例区だけなのか選挙区なのか、そしてどのあたりまでの範囲の人をやるのか、投票場所はどこでやるのか。これを今鋭意外務省と自治省の間で詰めていただいておりますので、でき上がれば、与党の問題としてではなくて、各党全会一致の問題として、ぜひ共同で新進党の皆さん、共産党の皆さんとも提案をいたしたいと考えております。
  41. 横光克彦

    ○横光委員 前進してほしいと思います。終わります。どうもありがとうございました。
  42. 関谷勝嗣

    関谷委員長 次に、田端正広君。
  43. 田端正広

    ○田端委員 先ほど来政治不信の問題が大変大きな問題になっているということで、この委員会としてもいかにして、政治不信についてどうこれから政治家として私たちが考えていくか、こういうことが大きなテーマになっています。  今回、こういう法案二つが出ているわけでありますが、その前に、これは一つ一つ法律あるいはこういう態度というものが、国民とのかかわりの上から政治国民の距離を近づけるのか遠ざけるのか、こういうことになろうか、こう思うわけであります。  きのうの毎日新聞でございますか、村山内閣不支持率が三七%と過去最高であった、男性の不支持層が急増して、四十代、五十代が大変高率であるということが報道されています。そういう意味で、非常に政治家の一人として寂しい現象だな、こう感じるわけでありますが、こういう大きな政治不信が高まっているということについて、政治家一人一人の政治姿勢とか指導力とか、そういったもろもろのものが政治家の側として問われてきているのではないか、今日ほどそういうことを問われているときはないのじゃないかということを感じます。それがひいては投票率の問題とかあるいは無党派層がふえていることとか、そういったことにもつながっているのだろうと思うわけであります。  大変失礼な言い方をさせていただきますけれども、こういう政治不信の大きな一つのベースといいますか、それは、国民だれしもがびっくりした自民、社会の連立政権の誕生であった。つまり、社会党が村山総理の発足とともに百八十度政策を転換されたという意味において非常に国民にとってはショックであった。つまり、政治家というのは何でもありか、こういうふうなこと、あるいは何をしても通るのか、そういう不信、怒り、もろもろのものがこのとき生じた、こう私は私なりに感じているわけであります。そういう意味で、今日政治に対して国民の厳しい目があるのはそういった延長線上にあろうかというふうに認識しております。  そこで、今回のこの三分の二条項の撤廃ということがそういう政治不信をさらに加速することになっていくのではないかということを私は心配するわけであります。つまり政党みずからの努力による前年度収入実績の三分の二というものを取っ払ってしまうことによって満額公費助成というものを受け取るということになれば、青天井への一つの道を開いてしまう、そういう意味では、国民の目から見て政治改革が後退するのではないか、こういうふうな声があるわけでありまして、先ほど来お話のあったような朝令暮改だとか身勝手だとか、あるいはお手盛りであるとか、こういうことにも通じていくのだろう、こう思うわけです。  そこで、まず瓦提案者にお伺いしたいと思いますが、こういう意味政治不信を加速してしまうのではないかという視点でひとつお答え願いたい。  それから、大臣にお答えを求めたいと思いますが、先ほど来、政治不信というものをどう解消するかということが我々の責任だとおっしゃいましたが、そういう視点で、今回の法改正は全く危惧はないのか、その辺のところを大臣にもあわせてお願いしたいと思います。
  44. 瓦力

    瓦議員 田端議員から、政治不信の根源についてのいろいろなお考えやら、また三分の二条項撤廃により政治不信は増幅するのではないかという懸念、こういったことについての見解を述べろということでございます。  三分の二条項につきましては、先ほど来議論になっておりますように、政党の歴史やそれぞれのベースを考えまして排除することにしたわけでありますが、もとより公費補助につきましては、政党はそれに頼ることなく自助努力が必要であるという主張も我が党といたしましてはしながら、三分の二条項が設定され、なお政党の歴史等を勘案して、この際それを撤廃することにした経緯、これらについて質疑は展開されてまいっておりますが、実はこの問題は政治不信の問題とかかわりはない、私はかように考えております。  ただ、政治不信の根源には、御指摘のように、いろいろな不祥事が起こったこと、さらには政治一つの大きな流れの中におきましてその指導性が問われておることも間違いないと思うわけでありますが、これはどの国の歴史におきましても、民主政治国民から審判を受けて、政党が時として大連合を果たさなければならない、そういう時代もございます。これは御承知のとおり、ドイツにおいてもそういう例がございました。今自由民主党と社会党、さきがけは、言ってみますれば冷戦構造以前のいろいろな体制の中でその距離があった政党でありますが、今国民生活や国家の問題につきましては、血のにじむような努力をしながらその政策を進めておるところでございますので、この面につきましては御理解もいただけようかと思うわけであります。  いずれにいたしましても、政治不信の原因につきましては、国民の意識、価値観が多様化しておりましたり、またより多くの課題に対する国民政治的期待が消化されない不満、こういったものもあろうかと思うわけでありますが、こういうことにつきましては、我々はこれから一層努力をしていかなければならぬ問題であります。  格別、今度の選挙制度改正によりまして政党がいかに責任を果たすか、また政策をどう国民に訴えていかなければならぬかという視点に立ちますと、このウエートはさらに高くなっていく、こう考えられますので、実は小選挙比例代表並立制に向かって努力をすると同時に、今日国民の中にある政治不信を我々は払拭すべく、金と選挙、金と政治の問題、これらを遮断するような努力をして国民の信頼を回復するようにしなければならぬ、こう思うわけでありまして、三分の二条項の撤廃と政治不信とのかかわりにつきましては、委員指摘のようなことは考えないわけでございます。
  45. 深谷隆司

    深谷国務大臣 まず第一に申し上げたいのは、前回法律改正は御存じのように政府提案でございまして、今回の場合は議員提案でございます。これが政府提案でございますと、私ども朝令暮改ではないかと御批判が起こるのは当然と思いますが、今回は提案者が違うということで、まず一つは御理解をいただきたい。  それから二つ目は、政治家に対する国民不信というのは、政治家と金にまつわる、つまり法令に反する行為の問題でございまして、この政党に対する助成金というのは、そういう法律に反するとか不正義というかかわりのものではありません。しかし、資金の問題でありますから国民に誤解を招くという点はございますから、そこはよく今日の議論を深めて、国民の理解をいただくということが極めて大事なことではないかと思っております。
  46. 田端正広

    ○田端委員 提案者が違うからというのは、それはちょっとおかしいのであって、先ほども大臣は、大臣である前に私は一人の政治家だ、そういう立場でおっしゃったわけですから、やはりそういう観点で物を言っていただかないとそれはおかしいのじゃないか、こう思います。  もう一つ、この問題で私は非常に腑に落ちないといいますか不純な感じを受けているのは、社会党、さきがけが主張して三分の二条項の撤廃、そして自民党が主張して記号式から自書式にという、与党の中でそれぞれの思惑が色濃く出て今回の二つの法案になったということがマスコミ等でも言われているわけであります。そういう意味で、この問題は、事は税金にかかわる問題であり、そしてまた国民選挙に関する、投票に関することである、そういう大変大事な問題であるだけに、政党が表に出たといいますか、そういう形で国民に受けとめられるとしたならば、これは政治不信の大変大きな要因になる。  そういう意味で、自民党と社会党の提案者の方にその辺のところをお伺いしたい、こう思います。
  47. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)議員 誤解をしないでいただきたいのでございますが、与党の政治改革協議会では、今提案をさせていただきました政党助成法の三分の二条項撤廃の問題、それから公選法の記号式自書式に変える問題だけを議論して御提出をしたのではなくて、先ほど横光議員からもお話がございました在外邦人の投票権の問題あるいは在日外国人の方々の投票権、正確には地方選挙権の問題、あるいは先ほど出ました政治資金収支報告書の謄写の問題、それから首長の多選禁止の問題、六つのテーマをずっと真剣に議論をしてきたわけでございます。最終的にまとまりましたのが今御提出している二点でございまして、どこどこの党が主張してあれだからというようなことではなくて、一定の時間の中で、議会が開かれる前に合意を見ることができたのはこの二点でございまして、残りの四点につきましてはまだまだ我々としても、また皆さんとも議論を深めていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから、政治不信との関係で言われましたけれども、先ほど他の委員からも御指摘がございましたように、三分の二条項でパーティー花盛りなどという報道も実はあったこともございまして、私たちは満額取られているところがパーティーだけ全部やったというふうにとらえておりませんが、いずれにいたしましても、そういう報道をされること自身が、この三分の二条項についても政治不信と結びつければ考え直さなければいかぬ点では、ないか。  そういうことからいいますれば、やはり我々として、ほぼ一年経過する現状において、やはり法律改正すべきではないか。これは三分の二条項を撤廃したからさらに——今三百九億でございます。細川内閣のときに私が提案したときには四百十二億、国民一人三百三十五円をお願いするというのが、二百五十円になっておるわけでございます。やはりそれは与党としての自制もあれば、やはり過度に公的助成に頼ってはいけないというのがこの問題の本質の中にあるわけでございますし、それから国民世論もあるわけでございますから、そういった意味では、これは三分の二条項が撤廃されたら三百九億が五百億、一千億になるという性格のものではない。物価がそんなに変わらない限りは、やはりそれは国民の貴重な税金でございますから、そこは十二分に注意をしてこの問題は取り扱うべき問題であるというふうに私たちは考えております。
  48. 田端正広

    ○田端委員 佐藤提案者の方から、そういう理屈も成り立とうかとは思います。しかし、正直言って、今この不況の中で、民間はリストラ等をやって、自助努力といいますか、みずからの身を痛めて大変頑張っているわけでありまして、政治家がああだこうだということから、せっかく大きな歯どめになっているこの三分の二というものを取り外してしまうということについての批判はやはりあろうかと思います。  当初、この法律が成立したときの二年前の新聞等を見ますと、政党助成の上限枠は自民が新党封じをねらった、こういう報道をされております。そういう意味での思惑といいますか、大政党の思惑は確かにあのときはあったのかもわかりません。しかし、できてしまった今日から見ますと、三分の二というものが歯どめとなって、そして抑止効果があるというふうに評価されるに至っているわけであります。だから、そういう中でそれを外すということに対する国民の非難、批判というものがやはり今起こっているのだと思います。今、佐藤提案者の方から、そんなどんどんふえていくことはない、こうおっしゃいましたが、ふえているわけです。  例えばイタリアを見ますと、ここは一九七四年に政党交付金が制定されているわけであります。それから、一昨年、一九九三年にこの問題についての国民投票が行われています。そして、この政党交付金の廃止に賛成する人が九〇%、そういう国民投票の結果、この政党交付金が廃止される、こういうことに至ったわけであります。  この中身について、こういうことを分析している政治学者がいるので、ちょっとお読みしたいと思いますが、政党の方も「政党助成」を機に、かえって自己資金調達能力を向上させる努力を怠るようになったばかりか、経費節減への意欲を失うようになってしまった。それどころか、政党交付金を担保に銀行から借金を重ねていったのである。そして、その後始末のために、政党交付金の増額を求める「お手盛り法案」を準備するなど、国家資金への依存度をますます強める方向へ進んでいった。つまり、政党は最も安直な「国営企業」化への道をたどった。こういうことを分析している政治学者もいるわけでありまして、そういう意味では、抑止効果がなくなるということについて私は大変色惧をしているわけであります。  この辺のところについて、これは大変大きな、大事な問題だと思いますので、イタリアの二の舞になっては、これはもう大変なことであります。したがって、これは所管の大臣である深谷大臣にぜひ御答弁をお願いしたい。  なお、社会党の先生にも、ぜひこの辺の所感をお伺いしたいと思います。
  49. 伊吹文明

    伊吹議員 大臣はまた行政のお立場から当然お答えになると思いますが、提案者として申し上げたいと思います。  私は、個人的な意見を聞かれれば、政党助成は当初から一貫して反対であります。議会制民主主義もとでは、政権を握っている政党の手を通ったお金を、そうじゃない党がもらって議会制民主主義というのは成り立たないと私は思います。  しかし、残念ながら、新しい小選挙制度もとで、一方で政治資金規正法を極めて厳しく管理していますね。その中で、運動量は先ほど言われたように二倍、三倍に膨れ上がったという公職選挙法をつくり上げて、であれば、現実問題として、この新しい制度を動かしていくためにはやむを得ない制度として政党助成というものが入れられたと位置づけるべきだと私は思います。したがって、この政党助成に対する歯どめというのは、あくまで我々一人一人の議員がこれをふやさないという見識なのですね。そして、三分の二というのは、議員の数と投票数によって算定した金額の中で、三の自己資金を持っていなければ二の政党助成をもらえないというだけのことなのです。  一番大切なことは、与党、野党を通じて、これを絶対にふやさないという見識を、新進党や共産党——共産党はもちろん反対しておられるわけだから、我々みんなが持つということですね。  しかし、現実にそういう前提の上でこの新制度を、運動量をうまく動かしていくためには、余りにも現実離れをした政治資金規正法や何かは、むしろ自助努力という観点からは見直していくという方が先生の御意見に近いのじゃないか、こんなふうに私は思っております。
  50. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)議員 お名指しをいただきましたので答弁させていただきますけれども、イタリアの例につきまして委員指摘になりました。私たちも、そのことについては他山の石としてしっかりと受けとめなければいかぬと思っております。  日本の政治もいろいろな意味で腐敗をしてきたわけでありますが、いろいろなもので見る限り、あるいは私もイタリアにお邪魔をしましたけれども、あそこの政党というのは、まあ内閣が一年一回もつかもたないかとか、あるいは政党が公社の人事までかなりいろいろ絡むとか、そこで汚職が発生してとか、そんなようなことがいろいろ指摘をされていたわけでありまして、そういった意味では、また日本の政治風土とも少し違うのではないか。  いずれにいたしましても、政党交付金というもの、政党助成というものをお手盛りでやっていくということは、与党として予算編成という面で当然自制をしていかなければいけませんし、政党という立場でも当然でございます。また、当然野党の方の御指摘あるいは世論というものがいろいろあるわけでございまして、私たちは、安易に政党交付金をどんどん上げていくという立場に立つべきではないというふうに考えております。  ただ一方では、それだからといって、では自助努力ということで、三分の二条項があるがために、それに合わせて逆に活動資金というものを得ることが出ること、これもまた政治不信につながっていくということになるわけでございますので、お互いに、日本の政治を支える者として、このことは肝に銘じて対応していかなければならぬというふうに考えております。
  51. 深谷隆司

    深谷国務大臣 委員指摘のように、イタリアのケースのような形にならないことは、我々の大きな務めであるというふうに思います。  ただ、政党交付金の総額については、政党助成法第七条で、国勢調査の人口に掛ける二百五十円というので総額は抑えておりますから、この三分の二の条項を外したということで青天井になるということではありません。  しかし、今申し上げた金額について今後どういうふうにするかについては、先ほどから提案者の方から御説明がありましたような、国会議員としてのお互いの自覚が非常に大事だと思います。
  52. 田端正広

    ○田端委員 ちょっと個別で恐縮でございますが、佐藤提案者に、当時大臣でもあったわけでありますけれども、社会党が来年解党、新党という御予定のようでございます。そうすると、ことしの交付金の清算はどういうことになるのでしょうか。ちょっとその辺……。
  53. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)議員 これは、新党のつくり方のいろいろなケースがございまして、政党助成法によるところの解散あるいは合同その他いろいろなケースがあり、今ここで私が確定的にそのケースを申し上げることができないものですから、政党交付金がどうなるかについては、またこれ確定的なことを言えないというのが答弁かと存じます。
  54. 田端正広

    ○田端委員 じゃ、もう一つの方の自書式の方についてお伺いしたいと思います。  諸外国、先ほど来ありましたが、欧米はほとんど記号式でありまして、今世界的に見ても趨勢は、もう日本とフィリピンぐらいじゃないかと思いますが、ほとんどは記号式である。そういう中で、せっかく記号式でスタートして第一歩を踏み出そうとしたのにもかかわらず、一回も選挙しない間にもとへ戻ってしまうというのは非常に私は残念なことだ、こう思うわけであります。  この記号式は、つまり事務処理の簡素化といいますか、スピード化あるいはそういう合理化という意味で非常に大きな効果もあるし、また有効投票をふやすという意味で無効票を減らすという意味でも大変大きな効果を期待できるんではないか、こう思っていたわけであります。ところが、よくわかりませんが、政治家という政党という選ばれる側の論理がどうも先に来てしまって、国民という有権者という選ぶ側の意思といいますか、意見が軽んじられているんではないか、与党で御議論なさったということでありますが、そういうふうに感じるわけであります。日本は明治二十三年第一回帝国議会選挙以来この自書式で来ているわけでありまして、百年、世の中相当大きく変わってきているわけですから、そういう方向に第一歩を踏み出すべきであった、こう思います。  先ほど来候補者数がどうだから事務的にはどうだとかいろいろおっしゃっているようでありますが、印刷なんというのは今もう一日、二日でできるんです、こんなものは。それから数が多いといっても、これは東京ぐらいでありまして、ほかのところはそんな余り影響はないんじゃないか、あるいは記載の順番についてもそんな大した影響にはならないんじゃないかというふうに思うわけで、それは世界の実施している国がすべてそれを実証しているわけでありますから、そういう意味で勇気を持って本来第一歩を踏み出すべきものであったと私は理解しているわけで、これについて瓦提案者にいま一度お伺いしたいと思います。
  55. 瓦力

    瓦議員 記号式から自書式にこの際法律を変えさしていただく、このことをお願い申し上げておるわけでありますが、その理由につきましては、先般来いろいろ申し上げておるところでありまして、国政レベルの選挙につきまして参議院と衆議院選挙、この投票方式を一のものにして戸惑いや混乱を招くことのないようにしたい。また、識字率の高い国でございますし、今ほどお話しになりましたとおり、自書式という投票方式によりまして投票者の意思が明確に示されてくる、こういう経緯も積み上げてきておるわけであります。  一方、記号式にいたしますと、○のつける欄に○をつけるとか、また具体的にそれが×に変わりましたり、中間線をたどったりするようなことになりますと、これまた投票者の意思というのは極めて不明確になることもございます。また死亡等の場合は刷り直さなければならぬ、こういうようなこと。今それは印刷技術からいって簡単ではないか、こういうようなことでございましたが、これにも問題がある。また、開票という作業につきましても、選挙理事務でございますが、これらを整理をする、さらに開票につきましても、所によっては非常に多くの候補者並びに政党がそれぞれその立候捕手続をしてきた場合にこれをどう扱うかということは、極めて困難な作業になることは御想像いただけるわけでございますので、従来の自書式投票方式、このことに改めさしていただいたわけであります。  私は、世界の趨勢の中でそういった記号式をたどる国もございますし、また近くの国におきまして、顔写真入りという投票方式もございますので、極めて投票用紙が大きなものになった事例を見るにつけましても、今日の投票行為におきましては、有権者の意思が自書式で明確に判断し得るもの、かように考えるものであります。
  56. 田端正広

    ○田端委員 ちょっと発想を変えられたらどうか、こう思うわけであります。つまり、先ほど来政治不信が大変大きなテーマである、そういう政治不信を解消していくという中で、選挙のあり方に対しても国民が非常に政治に近づきを持って参加できるようなそういうあり方というものはないんだろうか。こういう意味で、政治不信を取り除き、政治により国民が参加できる道を開いていく、そういう発想に立ては、投票方法もやはり勇気を持って大きく第一歩を踏み出して改革していくということも、これは大変大きなテーマであったんではないか、こう思うわけです。  例えば、ICカードというのがありますけれども、将来こういうICカードを活用すれば、健康保険とかあるいは厚生年金とかあるいは運転免許とか、こういうものが定着していけば、このICカードによってそれが本人であるかどうか、そういうことが確認されれば、これは例えば北海道に出張していようが九州に旅行していようが、その選挙当日ICカードできちっと確認されれば投票できる、こういう大変大きなメリットがあります。  そういうことを考えていけば、そのベースになるのが私は記号式であろう、こう思うわけです。それをこの自書式に戻してしまうと、さっきはそういうことも可能だというお話でございますけれども、将来的にはやはり、コンピューター化する時代に今入ってきているわけですから、そういう意味では、私は投票率を大きく上げるという意味で第一歩を踏み出してもらいたかった、こう非常に残念に思っているわけです。  一例申し上げますと、さっき大臣の方から参議院選挙の結果がございました。あの中に大臣、大変大きな項目が漏れていると私は思いますけれども、ことしの夏の参議院選挙で無効投票数、どのぐらいあるか御存じですか。
  57. 谷合靖夫

    ○谷合政府委員 過日七月の通常選挙の無効投票につきましては、比例代表選挙の方で、率でよろしゅうございますか、五・五五%、選挙区の方で、有効投票の中の三・四八%が無効投票数になっております。(田端委員「数で言ってください」と呼ぶ)数は、比例代表については二百三十八万八千三百五十九票、選挙選挙では百五十万二十六票というふうになっております。
  58. 田端正広

    ○田端委員 今選挙部長からお話があったように、トータルしますと三百八十八万八千三百八十五票が無効なんです。三百八十八万。それと、三年前、一九九二年の参議院選挙を見ますと、比例区では二百三十二万九千六百五十八、選挙区では百九十一万一千四百七十票、トータル四百二十四万一千百二十八票。三年前は四百二十四万なんです。今回が三百八十八万。つまり、四百万前後が無効になっている、こういう実態であります。  これは大変大きな、驚くべき数字だと私も実態を見てびっくりしたわけでありますが、これの大半が私は書き損じだろうと思います。そういう意味で、記号式を登用していけばこれは大きく救済できたことになるのではないのかな、そう感じるわけでありますが、大臣、さっき電子投票システムについて御研究なさっているというお話がございました。やはりもうそういう時代であろう、こう思うわけであります。これから投票率をどう上げていくか。そういう意味では、投票方法、特に電子投票システムとかカード方式とかこういった方向へやはり持っていかないことには、四百万前後の無効が出ているというこの実態はいつまでたっても解決できないのではないか、こう思いますが、いかがでございましょうか。
  59. 深谷隆司

    深谷国務大臣 御指摘のように、無効投票が非常に多うございます。ただ、実態調査をいたしてまいりますと、そのうち四割から五割が白紙でございました。ですから、すべてが間違いというわけでもございませんが、しかし、いずれにしても無効投票が多いということは委員指摘のように留意しなければならぬ問題だと思っております。  無効投票を減らすためにはどうしたらいいか。結果的には、電子投票制に将来移していく。私はこれは重大な課題だと思っています。全国にいわゆるコンピューターのネットワークを構成して、そして、例えば東京で投票しなきゃならない人が出張で大阪にいる、そこでも投票できる。これはコンピューターによって十分可能だということはもう既に明らかになっているわけであります。そして、そのネットワークは同時に、先ほども委員がお話しになったようなさまざまな行政サービスにつながれる。これらを総合的に考えますと非常に重要な課題だと私は思っておりまして、ぜひ将来的にはこれらの実現のために頑張ってまいりたいというふうに思っている次第であります。  そこで、自治省といたしましては、そういう私どもの意見も含めて、ただいま住民記録ネットワークシステムの構築ということの勉強を始めておりまして、まだわずかでございますが調査費もいただいてスタートいたしたところでありまして、私は、将来これらを電子投票システムに結びつけていきたい、そのように考えております。  なお、現段階で例えばセキュリティーの問題であるとか費用の問題等々ございますが、まずその可能性を求めていくということは極めて大事なことでありますから、それらを含めて御指摘のように努力をしてみたいというふうに思います。
  60. 田端正広

    ○田端委員 大変前向きな御答弁をありがとうございます。  そこで、もう一押し前向きになっていただきたいと思うわけでございますが、ICカードなんかは、例えばそこに各人の健康管理のデータがすべて入っていれば、いつどこで倒れてもそのカードさえあればその人の病歴なりなんなりということがカルテがなくても全部出てくる。そういう意味ではこれはぜひ、厚生省の方でも大変御研究なさっているようでございますが、また自治体でも個々の自治体では進んでいるようでありますけれども、これをもう少し統合的に御研究いただいて、そしてそういう医療関係でまずスタートするならするで、そして選挙投票のあり方をそれにのせていく。省庁をまたいでぜひそういう研究機関を持っていただくように、各省庁別にばらばらでやっているとなかなか進まないと思いますので、そういうことを一度大臣の方から御提案いただいて、何らかの形でそういう特別の、何といいますかプロジェクト的なものをおつくり願えないかどうか。その辺でさらに一層記号式というものに、あるいはカード方式というものに前向きに取り組めないか、もう一度済みませんが御答弁をお願いします。
  61. 深谷隆司

    深谷国務大臣 かつては、国民総背番号制といったようなことで大変な議論がございまして、非常に問題がございましたが、近年は、例えば銀行等のお金の出し入れもカードでコンピューターにもう登録されているという時代になりましたから、国民の感覚も随分変わってくるというふうに思います。  それらを背景にいたしまして、ただいま御指摘のような、既に地方ではその人の健康状態に合わせたICカードをつくって、もし万が一の場合には直ちに救急車が来る、所定の病院に運ばれる、今までの治療経過が全部コンピューターで打ち出される、そういうようなことができているところもございますから、これらを含めてひとつぜひさまざまな省庁にも今後呼びかけてみたいというふうに思いまして、御意見は大事なものとして受けとめたいと思います。
  62. 田端正広

    ○田端委員 大変どうもありがとうございます。  きょうの二つのテーマについては私たちは基本的には賛成しかねるわけでありますけれども、それは私は、政治改革議論というのはトータルで、すべてセットで議論すべきではなかったかな、こういうふうに思います。例えば、総総会談で合意した十項目、そういう中の一つとか二つを引っ張り出して、そして何かいじくるということは大変後ろ向きに映ってしまう。そういう意味で私は、非常に残念な推移になったな、こういうふうに思っておるわけであります。そういう意味では、ある種マスコミで言われるようにつまみ食い的な、全体観を失った議論になってしまっているのではないか。  したがって、今後この委員会においても、また今後の大きな政治改革議論の中でも、政治改革をどう進めていくかという意味ではもう少し、例えば衆議院の選挙制度改革が一つのきっかけになって、それが先鞭となって、次は参議院の改革、あるいは地方議会の選挙制度のあり方とか、そういうふうに広げていかなければならないのではないか、こう思うわけであります。特に、先ほど来議論になっている金のかからない選挙については、これは大変大きな、これからも議論を続けていかなければならないし、そしてまた政治への信頼をどう回復するかというテーマについても私たちは真剣にこれは重ねていかなければならないテーマだ、こう思うわけであります。  そういう意味で、政治家が、どれだけ私たちが痛みを持って実証していくか、姿を示していくか。これが一番大きいのではないか、こういう思いがいたします。政党とかあるいはおのれの姿を余り表に出してしまうと国民政治離れというのはどんどん進んでいくのだろう、こういうことを感じるわけでありまして、ぜひ政治家が痛みをお互いに伴いながら政治改革というものを前向きに進めるというそこのところの一点というのは大事だろう、こう思いますので、瓦提案者の方と、それから最後に大臣の方から御決意のほどをお伺いしたいと思います。
  63. 瓦力

    瓦議員 政治改革は、目的ではありませんで、政治の信頼を回復する努力を我々は一層しなければならぬわけであります。  なお、総総会談に取り上げられた問題を今さらに検討しておるばかりではなくて、各般にわたった問題を三党間で検討をいたしました。当面の問題として二法案を出させていただいたわけでありますが、選挙を取り巻く環境、まだ多数ございます。また、御指摘のように、投票方式につきましても取り組んでいく課題と今目的課題とあるわけでありまして、私は先ほど申し上げて何となく古い顔のようになりましたが、将来に向けての新しい投票方式は、これは鋭意検討をしていかなければならぬ課題であることも間違いありません。  そういたしますと、政治の根幹をなすこれらの問題につきましては、当委員会におきましてなおもろもろの問題につきまして、私は議題を提供する立場にはございませんが、円卓会議であれ、議員立法として得意な問題を実はどんどん推し進めていただきたい。そういう中で政治の信頼を回復する、そのことには私は与野党はない、こう思っておりますので、ただいまの提案をお聞きしながら、決意にかえさせていただくところであります。
  64. 深谷隆司

    深谷国務大臣 政治改革というのは、まことに幅広くさまざまな分野に及ぶものだと思います。さき政治改革がすべてではございませんで、これからもさまざまな角度から新たな改革を求めながら、国民の理解を得ていくように努力したいというふうに思います。
  65. 田端正広

    ○田端委員 ありがとうございます。  以上で終わります。
  66. 関谷勝嗣

    関谷委員長 次に、堀込征雄君。
  67. 堀込征雄

    堀込委員 きょうは、もう政治改革に長年御苦労いただいた、御指導もいただいた先生方が答弁席にお座りでございますから、そういう流れに沿って質問させていただきます。  ちょっと、通告申し上げてありますが、先に伊吹先生、さっき骨格の部分はともかくとして、部品についてはやはり状況に応じて議論をして変えるべきところは変えるべきである、こういう答弁をなさったものですから、実は、私はいろいろ政治改革法案苦労しまして、去年の一月二十八日に細川総理大臣自由民主党の河野総裁で九項目合意をし、十項目めに、衆参両院からそれぞれ連立与党六名、自由民主党六名の議員で詳細は詰めなさいよ、こういう文書を交換しているわけですね。  ですから、やはり少なくも総総会談の九項目というのは骨格であって、部品という話はちょっと違うのじゃないかというふうに思うのです。じゃ一体、どこからどこまでがこの九項目のうちの骨格であり、どこからどこまでは今後も変更する予定があるのかどうか、この込まず明らかにしていただきたいと思います。
  68. 伊吹文明

    伊吹議員 堀込先生は、当時日本社会党におられまして、御一緒にいろいろ政治改革議論をした懐かしいお仲間でありますが、ここで私の立場は変わっておりませんが、先生はお立場が変わられて相まみえるのは、まことに感無量でございます。  私は、人それぞれによっていろいろ違いがあると思いますけれども、率直に言えば、細川さんと河野さんがお話をされたことよりも根幹をなしているというのは、我々民主主義もとでの代表を選ぶ制度として中選挙区制から小選挙比例代表並立制に変えたことだと思っております。したがって、これを守っていくために、あるいはこれを現実的に機能させるために、不必要な、あるいは現実に合わない部品は変えるべきだ、これが私の考えてあります。
  69. 堀込征雄

    堀込委員 私の考えは、伊吹先生の考え、それは結構なんですけれども、例えばこの十項目の中に、第二項目には、企業等の団体の寄附、これは資金管理団体は一つに限って五年に限り年間五十万円を限度に定める。例えばこれも、今の制度のことじゃありませんから、都合によっては変えられるというような発想を連立与党が持たれるとこれはもう大変な問題じゃないか。  やはり骨格部分というのはこの総総会談の中に、まあ先生おっしゃるように幾つかの部分はそれは技術論として議論の残る余地はありますけれども、やはり相当な部分、制度のほかに政治資金の部分でもいろいろな骨格部分が入っているのじゃないか。そこのところはやはりきちんとやっていきましょうよというのが前提にないと、制度だけはともかく、あとは全部変えることができますよという前提でその提案をされているとしたらやはりかなり問題ではないかと私は思いますが、いかがでしょうか。
  70. 伊吹文明

    伊吹議員 一番大切なのはやはり選挙制度だろうと私は思っています。それを維持していくために、どの部分を変え、どの部分を守っていくか、守ることによってもし一番本質的な部分がかえって機能しないという判断があれば変えねばならないと私は思っています。おのおののどの部分を変えねばならない、どの部分を守らねばならないのかは、やはり国会の議論を通じて決めていくべきことであって、私は私の独断でこれを変えるべきだとかあれを変えるべきだとかは考えてはおりません。もちろん、国民もそれを見ておられるでしょう。  しかし、結果的に、先ほど来お話があったように、例えば小選挙区になって有権者の数も選挙区のテリトリーも三分の一、四分の一になっているのに、選挙運動量は四倍も五倍もになって、しかも個人にはお金はかけないというのは、それは、その個人はできるだけお金を使わないようにというのは先生おっしゃるとおりであろうと思いますが、同時にそれは、政党が表に出てということがあります。政党がお金を出さないときに、あるいは政党がお金を出せないときに、特定の団体とか特定のグループとかというもので選挙運動を助けられるところとそうじゃないところの公平を維持しながらどうしてこの制度を動かしていくのかと考えれば、あるいは変えなければいけないところも出てくるのかもわからない。それはみんなでこれから議論をしていくことじゃないでしょうか。
  71. 堀込征雄

    堀込委員 この問題は、ずっと政治改革議論の中であった本質的な問題だと思います。  自由民主党、まだ海部内閣当時からずっと、企業・団体献金必ずしも悪ならずという議論を展開されました。私は、先ほど御指摘をいただきましたが、社公案というような、社会党・公明党案、併用制案というようなものをつくって、それはもう企業・団体献金は一方で全面禁止ですよという案を出したわけであります。そうした長い議論を通じて、一方で政党助成は入れますよ、しかしそのために、当時ロッキードだ、リクルートだ、佐川だ、そしてゼネコン汚職もあった、企業がいろいろな政治腐敗事件を起こしている、だからそういうものを、政党もあるいは政治家もそういう関係を五年間という時間をかけて減らしていこう、少なくしていこうということで実は政党助成を国民の皆さんに認めていただいたという経過がきちんとあるわけであります。  今先生のお話だと、いや、特定の支持団体がある政党があったりして不平等な面もあるから、その点もまだ議論の対象になりますよという答弁なんで、そこは全く骨格部分でございますから、ぜひきちんと、これはもう総総会談で、それも本当に院の大部分の議員がそういう意思を確認した事項でございますから、まさに骨格中の骨格だ、こういうふうに思うので、もう一度感想をお願いいたします。
  72. 伊吹文明

    伊吹議員 再三申し上げておりますように、骨格中の骨格は選挙制度そのものだろうと私は思っています。  ただ、企業献金ということになりますと、当時と違って、資金を集められる団体は先生御案内のとおり各政治家一つになりました。従来は無数の政治団体を通じて集めることができました。今企業献金は五十万円を上限とされています。五万円以上の寄附者については企業・団体献金は名前が開示されるという制度になってきておりますね。そういう制度もとで、政党助成を入れながら、今は企業献金と政党助成とを両々相まって動かしているわけですね。将来的には、それでは五年後にはどうするのかということは、これは院で我々全員が議論をしなければならないことですが、企業献金を緩めて政党助成を返上するのか、あるいは政党助成を倍額にするのか、個人献金の増加策というのは一体どうなっているのか、その三つのバランスの上に運動量というものがファイナンスされているわけですから、このおのおのの関連を考えながら議論をしていかねばならないことだと私は思っています。  したがって、今のところ、何も自由民主党は企業献金を従来のように野方図にしろなんということは一言も言っておりませんので、誤解のないようにしていただきたいと思います。
  73. 堀込征雄

    堀込委員 ほかの問題に移りたいのですが、どうもちょっと納得できないのです。つまり、そういう企業保団体献金を縮減していこう、そして公開性も高めていこう、そういう中で政党助成法国民の理解をいただいた、こういうふうに私ども理解をしております。そして、附則の中にわざわざ、今先生おっしゃった会社、労働組合その他の団体の資金管理団体に対する、つまり政治家個人に関する寄附については、施行後五年を経過した場合にはこれを廃止するという法律をわざわざ入れたわけですね。そして、さらにそのほかに見直し規定を入れまして、この法律施行の五年後において、政治資金の、つまり個人献金の状況政党財政の状況を勘案し、会社、労働組合その他の団体の政党に対する寄附のあり方をもう一度見直そう、こういう見直し規定を、二つわざわざ入れたわけであります。  もう先生経過は御承知のとおり、これは禁止すべきだという、その当時、先ほど申し上げましたように、古く言えば社会党・公明党案と自民党案のすり合わせの中で、そういう議論を通じて五年間だけはそうしようということでまさに成立した血の結晶でございまして、これを今後またさらに、今先生おっしゃったように、政党助成をふやす方がいいか企業献金をふやす方がいいかというような議論がまだ五年後あるんだという認識でおられては、これはちょっとこの政治改革法案が成立した趣旨と全く異なるのではないか、こういう気がするのですが、いかがですか。
  74. 伊吹文明

    伊吹議員 私は、企業献金をどんどんふやせなどということは一言も言っておりません。少なくとも我々が血のにじむ思いでつくり上げた民主主義代表者を選ぶ小選挙比例代表並立制が現実に機能する運動量とそれをファイナンスする政治資金のあり方、これはいろいろあるでしょう、個人献金、企業・団体献金あるいは政党助成費。そのバランスがとれて、そして小選挙比例代表並立制がうまく機能すればそれで何の問題もないのだと思っています。機能しないようなことになったときにはみんなで集まって議論をしなければ、大 もとがつぶれてしまうのではありませんか。
  75. 堀込征雄

    堀込委員 この政治改革関連法案が成立に至る経過として、やはりいろんな原因があって、日本の政治の閉塞状況を、何とか政党政治の仕組みを変えようとかいろんな議論がありました。もう一つはやはり当時あった腐敗事件、連続して起こった腐敗から政治を変えていこう、そのための仕組みをつくり上げようということがあったわけでして、それは一つ制度の改革であり、一つ政治資金法の改正であり腐敗防止の強化であり、いろんな手だてを講じたということでありまして、先生のおっしゃる意味もわかりますけれども、やはりそこは両方相まって、そこの基本のところはきちんと踏まえながら今後我々の議論を進めていくべきだろう、こういうふうに私は考えています。  時間に限りがありますのでその程度にいたしますが、やはりこの二つの法案を見て、過去の経過からして、一体なぜそういう議論をしてきた。今伊吹先生がいみじくも答弁された幾つかのような問題意識を持たれて自由民主党さんは主張をされてきた。例えば、政党が過度に国家に依存するのはよくない、あるいはそのために上限を求めるべきだというような議論を全面展開されてきたわけでありますしかるに今度こういう法案が出てきたわけでありまして、あれほどこの問題に対して慎重であった自由民主党さんが、先ほどの提案理由からいろいろな答弁を聞いていますが、今度なぜ、やはりこれは取っ払った方がいいというふうに考え方を変えたのか。もうあの当時主張された、今伊吹先生主張されたようなそういう議論というのは、もう実態からして有効性を持ち得なくなったんだ、考え方を変えたんだ、こういう立場で提案されているというふうにお考えでございましょうか。
  76. 伊吹文明

    伊吹議員 あの当時と自由民主党の考えは何ら変わっておりません。議事録を見ていただいても、例えば企業献金については私はずっとその正当性を主張してきておるわけでありまして、これは自由民主党として今も変わっていない主張だと思います。政党助成についても、先ほど申しましたように、もし事情が許すのであれば私は政党助成はない方がいいと思っています、政党政治のあり方からいって。しかし、無理をしてお金を集めなければならないということであれば、そういうお金を集めるよりも国民の理解を得て政党助成と、こうなったわけであります。  その際に、やはり政党というものは、議会制民主主義もとにおいては、政権与党の手を通った資金をもって野党が相争うなどということは本来あってはならないことだと私は思いますから、できるだけ自助努力というものは本来必要だという観点を自民党は非常に強く持っておったということは、それは今もそうです。しかし、その後細川内閣を構成された政党の中から、例えば日本社会党を除いては合同されて新進党をおつくりになるとか、あるいはどこかの党からお出になってまた何とかという会派をおつくりになるとか、今はまさに過渡期でありますから、いろいろな政党ができる、これも私は仕方のないことだと思っています。  そういう過渡期において、政党の歴史とかあるいは政党の性格とかいうものから、三分の二条項があるために結局政党本来の得票数と議員数から計算した本則のお金がもらえないということであれば不公平だと言われるのならば、そういう観点も一つの観点として認めねばならないだろう。そうすると、先ほど日本社会党の佐藤提案者が申し上げましたように、活動資金のほとんどを政党助成に頼っている政党をどう考えるのか、自助努力政治資金を調達している政党をどう考えるのか、あるいは二つをバランスしている政党をどう考えるのかというのは選挙を通じて有権者に御判断いただく問題だ、こういうふうに私どもは考えて、我々だけの三分の二の判断でこの転換期、過渡期における政党の活動を規制するというようなことはやはりあってはならないのだな、こういうふうに考えた次第であります。
  77. 堀込征雄

    堀込委員 この三分の二条項は、もともと当時の連立側の提案法案にはなかったわけでありまして、これは自由民主党が主張されて最後入った、こういう経過があるわけであります。  そこで、確かに今御指摘をいただいたようないろいろな矛盾が出ていることも事実なんですね。この実績をクリアするために政党主催のパーティーをたくさんやらなければならぬとか、それから、この間の新聞では、例えば、これは新聞で出ていますから公表してもいいと思うのですが、自由連合、これは事実かどうかは別にして、新聞記事だけからいえば、議員が借金して党へ寄附をして実績をつくったというようなことも報道されているというようなことが確かにあることはあります。  問題は、そこで、佐藤社会党副委員長にお尋ねをするわけでありますが、今伊吹先生が御答弁されたことと社会党が一貫して主張してきたことと、やはり相当考え方に差があるのだろう。やはり企業・団体献金の規制、抑制に対して相当厳しい姿勢を持ってこられたという点では、極めて一貫性を持っているわけであります。  今度の法案、ある意味で、そういういろいろな問題点が出ていることはわかるのです。ただし、国民から見ますと、それに対して一体どういうことを担保しているんだ、どういうことをやっているんだということがあるわけですね。だから私は、そういう意味では、例えばパーティーをやって実績を稼いでいるんだったら、今寄附の公開基準は五万円だけれども、パーティーだけは二十万円になっている。これも五万円に下げますよ、だから三分の二条項を撤廃しましょうとか、そういう姿勢が貫かれないと、やはり国民側は理解できないのじゃないかと思いますが、御感想をひとつ。
  78. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)議員 寄附の公開基準の五万円とパーティー券の二十万円は、パーティー券というものが一つの対価を含んでいるという仕分けがあって、御承知のように金額が変えられているという経過があることは、もう委員御承知のとおりでございますが、いずれにいたしましても、私たちは、先ほど委員がたびたびお読みになりましたように、五年後に企業・団体献金の禁止をする措置を講ずるものとするというあのときの、当時の連立与党と野党・自民党さんとのこの合意というものについては、何らこれはさわっていないわけでございます。  それから、選挙運動自体に大変お金がかかるという問題、これについては当初四百十二億の政党交付金ということで出発をしたわけでございますが、御承知のように三百九億という総額になりました。これが下がったことに伴うところの選挙運動編というのは、実は全然さわっていないわけでございます。ですから、そのあたりのこともこれからなおこれも検討していかなければならぬのじゃないだろうか。  あのときはあのとき、それなりに、例えば小選挙区になったとはいえ十四万世帯というのが平均であるということを考えて、三万五千、三万五千、七万にそれに七万ということで、そういう数字を出してきているわけでありますが、お金との問題でいえば、今申しましたように、総額自体は減らしたわけでございますから、そんなことは今後とも検討していかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  79. 堀込征雄

    堀込委員 なぜお聞きをしたかといいますと、この法案が与党でまとまったときに、新聞報道では、やはり一つはつまみ食いではないかという報道と同時に、与党三党の協議の中で、五万円の公開基準、これはやはり上げるべきじゃないかという議論が大分強くあったんですよという報道が二、三紙でなされていましたので、もしそういうことがあるとすれば、報道ですから事実でないと言えばそれまでなんですが、もし事実であってそういうことが検討されていくとすれば、これはまさにお手盛りというようなことになるわけでありまして、そういうことはやはりきちんと、この公開基準などはもともと社公案とかは一万円公開基準であったわけでありますから、そういうことはないと思いますけれども、そういうことがあるとすればやはりこの法案との絡みで大変なことになるのではないか、こういうふうに思うわけで、その辺は確認をしておきたいと思います。  先ほど五年後の廃止の問題について、自由民主党さんの御意見はわかりました。私どもは、五年後、この企業・団体献金の廃止の見直し条項、これはつまり五年後は全面的に禁止をしていくんだという中で見直しが入った、その間に個人献金のルールを確立をしたり、政党の財政状況を各政党がみんなで努力してやっていこう、こういうことで入ったというふうに認識をいたしておりますが、時の自治大臣、佐藤先生にひとつ、その認識は間違いないと思いますが、いかがでしょうか。
  80. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)議員 ただこれは、委員たびたび言われますように、もとは御承知のように総総合意でできたものでございますから、正確には、本来国会あるいは各政党がその読み方については解釈権を持っているのだと思いますが、私はあのときの全体的な流れからいいまして、今委員指摘のように、五年間の間に個人献金に切りかえるような方策をおのおの努力をする、こういう全体的な流れであったというふうに考えております。
  81. 堀込征雄

    堀込委員 そこで、時間があれですけれども、最後にまた自由民主党に御質問いたしますが、十一月十六日に自由民主党と経団連幹部との懇談会があった。九三年度の経団連からの借入金について、都銀八行からの借り入れ百億円について、当時の平岩会長が債務保証をしたんだ、したがって、これは債務保証の関係上、経団連が返済についてある程度協力する、こういう報道がなされているわけであります。ある意味では、私のように貧乏政党をずっとたどってきた人間から見ますと、百億円ツケ回しできるのは非常にうらやましいなという気もしますけれども、やはりさっきの企業献金の議論とつながりまして、経団連の方は、これはあくまで報道でありますが、その後は企業献金のあっせん廃止を表明された。これはそれ以前の話だから、債務保証したんだからやりますよ、こういうふうに報道されております。  そこで、自由民主党としては、こうした当時起こったいろいろな事件の背景の中でこういうことも起こってきたわけでありまして、今後、こうした経団連とかそういう団体による企業献金そのものを、善悪の評価は先ほどいろいろな議論がありましたけれども、今後もお続けになるのか、あるいはできるだけ透明的なものにしていきたいと考えているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  82. 伊吹文明

    伊吹議員 私自身も、実は幹事長ではございませんので、その間の経緯は詳しくは存じませんが、新聞報道によりますと、今堀込先生がおっしゃったとおりの経緯で、当時都銀から借り入れた政治活動資金選挙運動資金について経団連が保証をされたので、その債務返済については経団連が数年間に分けて責任を持つというようなことではないかと思います。  そこで、不祥事が起こっているのは、実は政党あるいは政党職員による不祥事というのは今までないのですね。個人、特に中選挙区のもとで必然的に発生する派閥の領袖による不祥事というのは非常にたくさんありました。だから、企業献金については私は必ずしも悪だとは思っておりません。  私のささやかな経験からすると、私は改正で企業献金をちょうだいいたして政治活動はやってまいりましたが、年間、例えば十二万円とか三十万円という寄附をなさった企業から無理を頼まれたことは一度もありません。しかし、十二万円とか六万円の寄附をなさった個人からはありとあらゆるお頼み事を受けていることは事実です。  そのときにどちらをどう考えるか、また最高裁の企業献金に対する判断等を考えると、政党に企業が献金をするということは、法律で禁止された暁は別ですよ、までは、それが透明性であり、堂々と表に出てなされるものであればあながち否定するものではない、私はそのように思っております。
  83. 堀込征雄

    堀込委員 終わります。
  84. 関谷勝嗣

    関谷委員長 次に、吉田公一君。
  85. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 二法案につきましてはそれぞれもう質疑がございましたし、これ以上探して何か言うということは非常に困難だと思いますので、私は、せっかく開かれました公選特の委員会でございますから、関連して、ほかのことについて若干伺いたいと思います。  その一つは区割り法についてでありますが、いまだに私はこの区割りについては不都合だと思っている一人であります。特に、行政区域を割られた選挙区というのは一体全国で幾つあるのか、まずその数を教えていただきたい。
  86. 谷合靖夫

    ○谷合政府委員 市区の分割、これは一票の価値の平等といいますか、そうしたいわゆる格差の観点からやむを得ず分割をされた市区は、全部で十五の市区でございます。
  87. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 そうしますと、大臣も東京の御出身でございますが、実は東京都の医も、私の選挙区のことを言って申しわけありませんが、東京は大きな区と小さな区が御承知のとおり混在をいたしておりまして、足立、大田、世田谷、練馬等については行政区域が分割をされました。同じ区民でありながら、区会議員選挙も都会議員選挙も都知事選挙参議院議員選挙も区長選挙も同じなのに、例えば同じ区、世田谷、大田でありながら、衆議院議員選挙だけ投票することができない、そういう実情でございます。どこが区割りになっているんだからっともわからない。  東京都も実はこのことについては行政区域を割らないでほしいという要望を自治省に出した、もちろん区も出しました。たった一人しかいない衆議院議員について行政区域を割られるということについては、片方の衆議院議員の人は両区にわたっているわけです、選ばれるわけです。残った方はその選挙区しか選ばれない。つまり、発言権もその区しかない。片方、つけられた方は両区にわたって発言権がある、そういうことであります。そして、一番大事な市長なり区長を選ぶときに、市長や区長が出るところによっては、つまり私どもには選挙権がない、影響力がない、そういうこともあるわけですね。一人しかいないわけですから、区長選挙もやはり私どもが相談を受けるわけですけれども選挙区外の話になってしまう、そういう問題点があるのですね。  そして、出張所単位で実は分けたんですよ、出張所単位で。これは一番簡単な方法なんですよ。出張所というのは、区域が決まって、人口が決まっているわけ。だから、この出張所とこの出張所とこの出張所をくっつけてしまえばいいじゃないか、こういう簡単な話なんですよ。  そこで、足立区の場合には町名で区割りをいたしたのです。しかし、練馬区やほかの区は出張所単位で区割りをしているんですよ。このことについての見解を伺いたいと思うのですね。
  88. 谷合靖夫

    ○谷合政府委員 市区の区域を分割する際の手がかりということでございますが、十五の市区について全部一律ではございません。それは各市区のいろいろな事情に応じてということになっておりますが、基本的には、先生御指摘のように、市区の区域を分割する場合には、支所、出張所の所管区域ということが条例上もきちんと明確になっておりますので、それによれるところはそれによって分割をする、こういう考え方に立っております。  ただ、足立の場合には、ちょっと不確かではございますが、そうした形での市区の管轄区域といいますか、そうしたものを持ったセンターというものがないものですから、道路によったというふうに記憶をいたしております。
  89. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 つい先日でしたか、選挙区の区割りについて区民の意識調査をしたところが、六割ぐらいの人がわからない。どこが選挙区になっているんですかね。出張所単位で分けるものですから、わずか三・八メーターぐらいしかない医道を境にして向こうが違う選挙区、こっちが自分選挙区、そういうところがたくさんあるわけですね。いまだに区割りについてよく理解をしていないという人たちがおりますし、既に最初から二倍を超えている選挙区がたくさんあるわけですよ、約三十ぐらいあると思うのですけれども。  したがって、私が最初から申し上げているように、選挙民の皆さん方がわかるような道路や鉄道や河川で分けたらどうだ、それがもう一目瞭然じゃないかと言ったのですけれども、結局は複雑な出張所単位で分けてしまった。これが実態でありまして、その辺については今後ぜひ検討していただかなければいけない。  ただそれには、二倍以上の選挙区が既にあるわけですから、そうすると、道路や鉄道や何かで分けても、誤差は多少出ますけれども選挙民にとっては、あの鉄道の向こうは違う選挙区ですよ、この広い道路は、例えば環状七号線から向こうは向こうですよ、第一京浜国道からこっちはこっちです、こういうふうに一目瞭然でわかるんですよ。それを何でこんな、三軒行って自分選挙区で二軒曲がったら人の選挙区なんという、そんなややこしいことをする必要はないと思うのです。  だからこれは、最終的には小選挙区制の人数と比例の人数を調整すれば多少動かすことはできるのじゃないですかね。ぜひこれは検討していただきたい、そう思っておりますが、まず御見解だけ伺っておきます。
  90. 谷合靖夫

    ○谷合政府委員 区割りにつきましては、御承知のように区割り審議会、設置法に基づく審議会が所掌をして、私ども事務局を担当させていただいておるということでございます。基本的には、市区の分割というのは、できる限り行政の一体性ということから考えても避けたいという観点で進めてこられたわけでございますが、やはり二倍ということを基本にするという考え方に立ては、やむを得ずそうした十五の市区についての分割をせざるを得なかったという経緯がございます。  ただ、その分割の基準ということについては、先ほど申し上げましたように、できる限りそこに条例等ではっきりとした区分けができるという限りはそこによるというのがより明確ではないだろうかということで、そうしたことを原則にしたということも事実でございますが、現実には、道路なり河川なりで分割をしておる地域もございます。  今後の区割りの見直しというようなことが出てくるというケースにおいて、このような基準をどういうふうに考えるかということについては、またその時点でいろいろ御審議をいただけると思っておりますが、現在の経緯としてはそのような形でなされてきたということを御理解をいただきたいと存じます。
  91. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 行政区域を割られたところの人というのは非常に困っているわけですよ。だから、ぜひひとつもっと合理的に区割りができるような方法をとっていただければと思います。それは、もう二倍を超えている選挙区があるのだから、その調整の範囲の中でやれば道路や鉄道や河川でできるわけですから、ぜひひとつそういう検討を今後していただきたい、そう思います。  それから、これは議員立法でありますから、本来なら自治省の皆様方に伺うことではないとは思うのです。ただ、提案している人もだれもおりませんからだれに質問していいかわかりませんが、今もう法律として施行された以上は御回答いただくのは自治省しかないということでございますので、自治省の方々に伺いたいと思うのであります。  連座制を強化したということについては、例えば社会的に、選挙をやるたびに買収が横行して選挙の公正さを欠いている、目に余るものがあるということからその連座制を強化したと言うのならわかるのです。しかし実態は、この資料をいただきましたけれども、ふえたり減ったり、ふえたり減ったりしていますから、特に選挙をやるたびに買収行為が社会的な問題としてあるいは日本の選挙の公正さを欠くほどたくさん事例が出て、これは何とかしなきゃいかぬということではないのですね。だから、連座制を強化することによって選挙違反が減ると短絡的に思いがちでしょうけれども、決してそうではありません。例えば、道路交通法なんかは、死者が一万人以上超えるので道交法を強化しなきゃいかぬ、そのことによって交通事故や死亡者が減るだろうと思ってやったところが、全然減らないのですよ。だから、何でも取り締まりを強化すればいいというものではありませんで、問題は強化をすることによって、つまり範囲が広がる、そして人数も大きくなる。  もう一つは、みなしというのが入っている。地域主宰者とみなされたら、連座制強化になる。しかも、一定の要件と言うのですけれども、一定の要件という、その一定の要件というのがなかなか理解できない。そして今度は、それを反証するためには自分たちの方で反論しなきゃならない。だから、今まで連座制だってあったわけですね。そして過去には大きな組織的、計画的な買収選挙違反というのがあって摘発をされたことはたくさんあります。特に参議院の全国区なんかはそういう経緯があります。  しかし、連座制を強化することによって地域主宰者、この地域主宰者というのがまたよくわからないのですけれども、地域主宰者としてみなされたら連座制だと。意思を通じていないとか一定の要件をと言いますけれども、だけれども、戦前その候補者を知らない人が選挙なんかやってくれるわけないのですよ。だからそれは、会ったときにはよろしくお願いします、何としても今度の選挙は厳しいからぜひひとつ応援してくださいよと言ったことが、要するに無関係じゃないのだと言われてしまう可能性があるのですね。  その点について、自治省の御見解をまずいただきたい、そう思っております。
  92. 谷合靖夫

    ○谷合政府委員 このたびの公選法制改正によります連座制の強化の内容には、政府提案による法案に盛られた事項議員提案によって盛られた事項と二通りあるわけです。今先生御指摘の、地域主宰者と言われましたが、あるいは組織的選挙運動管理者についての新たな規定であるのかなというふうに受け取っておるわけでございます。  先ほど、いわゆる意思を通じてということがあいまいではないかというふうに言われましたけれども、この意思を通じているという概念、つまり候補者とそれから組織との間に意思を通じて行われる組織による選挙運動においてという、その意思を通じての意味といたしましては、候補者と組織、具体的にはその総括者になるわけでございますが、その間で選挙運動が組織により行われることについて相互に認識をし、了解をし合うことであるというふうにその当時の提案者の方も説明をされておるわけでございます。こうした意味で、確かに意思の連絡が明示されているということははっきりするわけでございますが、そうした明示の意思があらわれていないという場合であっても、暗黙のうちに相互に意思の疎通があるというような場合も含まれるというような御説明があったというふうに理解をいたしております。
  93. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 選挙をやるときに、それじゃ選挙運動をよろしくお願いしますなんて辞令を出す人はだれもいないのですよ。結局口頭で、じゃ、あなたはひとつアルバイトの責任者をやってもらいたい、あるいは賄いの方の責任者をやってもらいたいと言って口頭でお願いをする。そして、だれでも選挙運動に携わる人はぜひその人が当選をしてもらいたいと思っておりますし、こちら側もそれはもうぜひひとつよろしくお願いします、それは言うのが礼儀ですよ、礼儀。  そうすると、それを言ったことに、それ相当な努力をしていないということによって連座制の適用、本人が全然知らないところで連座制が適用されるということについては、つまり、議員の身分を失うという重大性があるわけですわ。ただ、今までのように、連座制というのは地域主宰者である、その地域主宰者そのものが責任をとったわけだ。買収選挙違反がなかったわけじゃないですから、地域主宰者なり後援会の副会長なりそういう人たち自分で責任をとった。今度は、その人たち買収で捕まると連座制ということにつながって我々まで身分を失うということになるわけだ。  だから、少なくとも選挙民の意思で当選をした人が、つまり一定だとか本人が努力をしなかったじゃないかとかみなされただけで身分を失うということは、これは甚だ不都合なことだと思うのですよ。人の身分を、選挙法によってきちっと選ばれた人が失格をするということには相当な根拠がなければ私は身分を失うことはない、実はそう思っているのですね。その身分を失うことについて、要するに本当にだれが考えてもきちっとしている証拠というものがあればいいのですけれども、いや、言ったとか言わないとか、おまえ、選挙の運動に当たって訓示してなかったじゃないかとか、ちゃんとした明言をしてなかったじゃないかとか、そういうことも実は問われるということにもなりかねないわけですよ。  だから、みんな議員立法ですからね。おれはやらないよ、選挙違反買収なんか絶対やらない、だけれども相手がやるかもしれない。相手の人は相手の人で、おれはやらないけれども相手がやるかもしれない。こういうことで実はその連座制強化というのがなった。だから、連座制を強化すれば選挙そのものが物すごく暗くなってしまう。選挙というのは本来は自由であって、そしてお祭り的な気分がなければ、さっきの投票の、要するに投票率が低い低いと言ったって、暗くしてしまったんじゃ投票率なんか高くなるわけないんだ、それは。だから、やはりお祭りの気分でだれでも参加してくれる、そういうのが投票率を上げる一番大きな要点なんです。それを、あれを捕まえていくかもしれぬとか、こっちをやられるかもしれないとかというのでやっていたんじゃ、おっかなくて一般の人たち選挙運動なんかできないのですよ。  だから、善意でこの人を当選させてやろうと手弁当で集まってくれた人たち選挙運動の大部分なんですよ、実際は。それを、たまたまそういう人が、例えばアルバイトの親方がいて、夜寒くなった、夜中に寒い、演説会場終わった、いや御苦労さん、じゃそばの一杯でも食って帰ろうじゃないかと七、八人食わしたら、それがだめなんだ、それはもう絶対に、要するに連座制の適用になるわけですよ。飲食のもてなしですから。  だから、そういう善意のことまでひっくるめてやってしまおうなんということは、やはり議員の身分を失うんだとすれば、一定の関係とか地域主宰者とみなすとか、そういうことで身分を失うようなことがあっては私はいけない、そう思っております。  大臣、御見解をひとつ……。
  94. 深谷隆司

    深谷国務大臣 吉田委員はかつて都議会議員で、本当に近間でしたから、言わんとなさることはわかりますが、自治大臣としてコメントすることは全く不可能でございますので、お許しください。
  95. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 一衆議院議員候補になることもありますから、そのときに私どもは——本来は性善説に立って選挙をやらなくちゃおかしいんですよ、本当は。それを、何で連座制強化をして、しかも、人の身分を失うのに一定とかみなしとか、しかもそれは、自分の方で今度は反論しなくちゃいけないなんという。だって、その文書なんか何にもないんだから。それを、自分でこつこつと調べて反論してやるなんということはもう不可能に近い、実は私はそう思っているわけですね。  これは、自治省が出したいろいろな小冊子を見ますと、いっぱい書いてありますよ、連座制の適用の人がここに。「政党、後援会、企業、労働組合、宗教団体、協同組合、町内会、自治会、同窓会」「候補者立候補を予定している人と連絡をとって選挙運動が行われる場合に、次のようなことを行う人」を言う。だから、こういう善意でやってくれる人たちが、やはり私たちと連座制が適用されると理解していれば注意するだろうと思うんですよ。  しかし、友達同士が会ったり、親しい人が会ったりして、まあ飯でも食えよ。別にそれは計画的でも何でもないんだけれども、そういう事例があったときに連座制がしかれるということについては、もっときちっとしなけりゃいけないんじゃないんでしょうか。連座制を適用する以上はきちっと、これとこれを、これはだめだというふうにしないと、一定の人なんて、一定の関係なんというのは何の関係だかよくわからない。  だから、そういうことのないようにぜひひとつ、私は次の通常国会でも質問したいと思っている。だけれども提案する人がいないんだから、議員立法で。一人でしゃべっているしかないわけで……(発言する者あり)そうそう、だから提案して、こういうものは改正をしていきたい、そう思っているんですよ。  だからみんな、議員立法で強化したって聞くものですから、おれはやらないんだと、自分はやらないんですが、だけれども、相手がやるから強化した方がいいや、こういう発想じゃだめなんですよ。だからお互いに、選挙というのは本来はもうフェアプレーで、そして明るくみんなが参加してくれる。それを、こんなもの発表しちゃったら、賄いをこの前一生懸命やってくれたおばさんなんかも途端に来やしない、アルバイトの人だってそんなの危なくて来ない、そういうことになる可能性がある。  だから、選挙法を強化すれば選挙違反がなくなるなんということは、ほかの刑事事例を見たってそれはそうはいかないわけですから、ぜひひとつオープンに、お互いに暗くならない、お互いに指して指されるなんということじゃないようなそういう、明快にしておかなきゃだめですよ。明快にしておけば、例えば相手が指すとか宿さないなんて言ったって、全然とんちんかんな話になっちゃうわけですからね。  ところが、一定とか地域主宰者とみなすなんという、みなすがあるからそういう、お互いに不信感にかかわって、選挙そのものが暗い。要するに、密告選挙みたいになってしまう。したがって、それは民主主義の否定につながってくるわけですから、そういう意味で、ぜひ連座制強化、みなしというのはなくしてもらうということで、きょうのそちらに御出席の先生方にもぜひ検討していただきたい、そう思っている次第でございます。  時間は余っているそうですが、これで終わりにします。どうもありがとうございました。
  96. 関谷勝嗣

    関谷委員長 次に、松沢成文君。
  97. 松沢成文

    ○松沢委員 新進党の松沢成文でございます。  今吉田委員の方から随分幅広く論を展開していただいたので、私はまた、この提案されている問題に少し戻ってやりたいと思います。  まず、最も基本的なことからお伺いをしたいのですが、この数年間議論されてきた政治改革、その政治改革の中で、選挙にかかわるいろいろな改正がありました。この選挙にかかわる改正、これまでの選挙にかかわる体制をどういう形に変えていきたいからこの改正をされたのか、その基本的なところ、今までの選挙はこうだったけれども、この改正によってこういう選挙にしたいから変えたんだというその基本的なところをまずお伺いしたいと思います。
  98. 伊吹文明

    伊吹議員 ちょっと伺いたいのですが、今までの制度がこうあったから、だけれどもこういう方向に変えたいというのは、中選挙区から小選挙比例代表並立制という意味ですか。  それはむしろ、私ども提案をいたしましたが、私どもの案は結果的に否定をされたわけでございますから、委員が御所属である政党の方の提案された方が大勢としては通ったわけでございますので、あえて私がお答えする必要もないんじゃないかとは思いますけれども、従来の中選挙区制というのは、やはり単独過半数を政党本来のあり方として握ろうとすれば、一つ選挙区から複数の立候補をしなければならない。その結果、政党が表に立って選挙ができない。政権を握ろうという意図がない政党であれば、一人ずつの立候補で済んだということでしょうね。その結果、政党に頼れないということであれば、個人でやるか、それとも派閥に頼るかということになった結果、政治資金上のいろいろな不祥事が出たということを重く見て、そうじゃない制度に変えよう。つまり、一つ選挙区から一人しか立候補できないというのであれば、これは政党本位の選挙になるからと。まあこういうことだったと思います。  あらゆるものには長所と短所が御承知のようにございますから、長所と言われている点は見方によっては短所になりますので、小選挙区になりますと、汚職をしたり変なことをしたりした人はなかなか当選しにくいですね。しかし同時に、立派なことを言っている人でなかなか選挙区へ帰ってこない人も当選しにくいということがあっちゃ困るわけで、その辺は、この制度がうまく動くかどうかはやはり政治家有権者の良識にかかっていると私は思います。
  99. 松沢成文

    ○松沢委員 今御説明がありましたように、政党中心の選挙にしていこう、これが大きな命題だったんじゃないかと思います。  この政党中心の選挙にしていくという大きな方向があるのであれば、今回自書式に戻したわけですけれども記号式一つの、これまで決まっていた案といいますのは、個人の名前、その下になるんですか上になるんですかわかりませんが、政党名前が印刷してあるわけですね。そうしますと、その候補者はよくわからないけれども、この政党支持なんだからここに○をつけようということが可能になるわけですね。そういう意味では、政党中心の選挙に持っていくために非常に親切な制度であるわけですね。ところが、自書式の場合ですと、投票用紙にはそれは書いてありませんから、候補者名前だけを書くということで、昔からやっていた個人型の選挙の要素を含むというようにも思われるのですね。  そういう政党中心の選挙をやっていくにはこの記号式の方が非常に親切ではないか、この辺についてはいかがお考えでしょうか。
  100. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)議員 それは直接は結びつかないんじゃないかと私は思うんです。なぜなれば、投票所に行けば、その前には政党名が記載をされておるわけですから、その中から選んで政党名を書くということになっておるわけですから、余りそのことは私は直接的には結びつかないんじゃないかと思います。
  101. 伊吹文明

    伊吹議員 松沢先生、もし先生のおっしゃるような方向を強く出していこうとすれば、自由民主党が当時提案をいたしました、所属政党候補者を結びつけた一票制にあのとき賛成してくださればよかったと思います。
  102. 松沢成文

    ○松沢委員 まあ、そういう御答弁が来ると思いましたけれども。  それでは、このきょうの提案理由説明の中に、名前を見つけるのが非常にたくさん出てしまうと難しい、こういう御説明がありました。提案理由の一にあったのですね。そうしますと、自書式であっても、投票用のブースに入りまして、前にこう張ってあるわけですね。その中から、名前を覚えでなければ見つけなければいけない手間があるわけですね。投票用紙名前が書いてあって見つける手間も、前に張ってある用紙から見つける手間も、そういう意味では同じなのですよ。ですから、その辺についてはどう反論されるのでしょうか。
  103. 伊吹文明

    伊吹議員 反論はいたしません。一緒にいいものをつくるために議論をしたいと思っておるわけですが、自分投票したい人を忘れていて貼付してある紙の中から見つけ出すという人は、我々の感覚からいうと比較的少ないのじゃないか。投票する人をあらかじめ決めて、名前を知って投票所へ行かれる。しかし、それを決めて投票所へ行っても、松沢か松田か松井か探し出すのはなかなか大変じゃないか。新進党と新新党と出てきたときにはどう判別するのか。やはり自分の判断を中心にしてやるのが、過渡期ですから、こんなにたくさんいろいろ政党が出てくるときは有権者に対して私はやはり親切な方法じゃないか、こんなふうに思っております。
  104. 松沢成文

    ○松沢委員 提案理由説明を見ますと、幾つか理由が書いてあって、一番先には、名前を見つけるのが、だらっと並んでいると面倒くさい、難しい、もう一つは、物理的に投票用紙の調製が難しい、あるいは三つ目に、開票作業に手間がかかる可能性があるのじゃないか、こういうことが書いてあったのですが、これは、この制度を導入するときにもう既に予想ができた問題であって、現時点になってよく考えてみてそうだったのかと気づいたというよりも、当然導入するときも、こういう欠陥はあるけれども、それでも記号式の方がメリットが大きい、だから導入するときはみんなで賛成して決めたのだと思うのですね。  この三つ挙がっている理由というのは、その後に、時代の変化によってですとか、こういう形で出てきたのであれば変えるのはわかりますよ。でも、当然導入するときにもう予想されている反対理由でこれを説明するのは、私は国民に対してもかなり無理があるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  105. 伊吹文明

    伊吹議員 当然、予測されていたものも確かにたくさんあります。したがって、海部現御党党首が我が党の総裁であられたころですね、海部案をつくるについても党内で大変な激論がありました。そのときには、その議論の過程を申し上げるのもいかがかと思いますが、御見に彩られた方が司会者としてやや論理を主導的に持っていかれたということはあります。しかし、当然、当時から予想されていたことであるので、自民党は、そういう負担を少しでも少なくしようと思って一票制というものを当時提案をしていたわけなのですよ。だから、さっき先生がおっしゃっていたことも含めて、あの当時我が党の案に賛成してくださっていれば一票制の記号式で非常にうまくいったのではないかと私は考えております。
  106. 松沢成文

    ○松沢委員 一度国の最高機関であります国会の場で法制化された。これは、国民に対して国会議員法律をつくった義務を負うわけですね。それが、一回もやられていない。時代の変化で大変に大きく変わったというならわかりますよ、やる前に。ただ、そういう理由もなく、一度国会議員が国会で決めた法律というものを、大きな時代的な変化もなく、一度も実施もせずにまたしても改正するというのは、私は国民に対して大変無責任であると言わざるを得ないのですけれども、これにはどうお答えになるのでしょうか。
  107. 伊吹文明

    伊吹議員 先ほど来申し上げておりますように、我々は一票制がいいのじゃないかという御提案を申し上げましたけれども、結局国会の中での大きな妥協として、当時の細川総理、総理というお立場であったのか日本新党の代表というお立場であったのか、それと我が党の当時の総裁の河野さんとの間に妥協が成り立ってこういうことができました。  確かに、今先生がおっしゃるように、あらかじめ予見されていたもので、我々が、だからだめだよと言っていたものも今回理由に入れたということは確かなのですが、これほど、小選挙区の選挙を初めて控えて、そして政党間の離散集合が激しくて、またその政党に飽き足らない各種の政党が出てこられるというのは、やはり先般の参議院選挙だったと私は思うのですね。そういう状況の変化をやはり見きわめながら、たくさん政党が出てきたから、その政党の中から自分の支持している政党を見つけるのは難しいとか、例えば東京とか大阪とかというようにたくさん立候補されるのでその中から自分候補者を見つけるのは難しいとか、またそういったくさん立候補される方々の中でだれかがお亡くなりになったときは選管の事務がとても追いつかないとか、これが主要な理由だと私は思います。その後に、あらかじめ予見されて我々が申し上げていたけれども、一票制が否定されたのもこの際ちょっとのっけて御理解を賜りたい、こういうことでございます。
  108. 松沢成文

    ○松沢委員 次に三分の二条項について関連質問をしたいと思うのですが、山崎現政調会長がこう言っているのです。公的助成の三分の二条項の撤廃に関連して、公的助成の歯どめがきかなくなる可能性がある、青天井では国民の負担がふえてしまう、規制そのものをなくすのはよくないと言っているのですわ。また、橋本前政調会長も政調会長の時代に、これは昨年の一月、細川内閣の時代の政調会長でしたが、こう言っているのです。税金を受け取るのに青天井では国民の理解が得られないということで、この三分の二条項を要求したわけですね。  この二人の政調会長のコメントは新聞報道でありますが、自民党の先生方、確かだということでよろしいでしょうか。
  109. 伊吹文明

    伊吹議員 橋本さんと山崎さんに確かめたわけではありませんので正しいかどうかにわかにコメントはできませんが、自由民主党としては、先ほど来私が各質問者の御答弁にお答え申し上げているように、議会制民主主義ということを基本に考えるならば、政党助成というのはやはりない方がいい、ある場合にはやはり自助努力というものがついていた方がいいということを、お二人がおっしゃっているように大変重く見ていることは事実です。  しかし、先ほど来、これもまたお答えしているように、政党の離散集合が激しくて、あの党にいた人がこの党にかわってしまったり、昔あの党にいたと思っている人が全然違う党に移ったりというような状況もとでは、政党の歴史とか政党の資金調達のあり方とかというのは非常に違うわけですから、それを三分の二条項というものの結果縛って、本来本則で計算をする議員数と得票数でもらうべきお金を三分の二でもらえないという欠点が、自助努力ということを強調する余り損なわれるというのであれば、それは、我々はそこまで強くおごり高ぶってはいけないから、むしろそういう政党が本当にいいと思っておられるかどうかの判断は有権者投票にお任せした方がいいのではないか。これが自民党の意見なのですよ。  そこで、青天井というお言葉がありましたので、これは先生が一番よく御存じのことですが、あくまで本則では有権者投票と議席数に応じて計算をされる限度というものがあるわけですね。それに、三の自己資金を集めれば、二のものがもらえれば満額もらえるし、そうじゃなければその範囲内で削減されるということであって、基本的には青天井ということはないわけですよ。ただ問題は、冒頭の、幹事長がかつておっしゃったように、政党助成は一千億に増額すべきだとかいうことを言い出す人がいると青天井になるということですから、そうならないように我々一人一人議員が見識を持てば青天井という議論はなくなると私は思いますよ。
  110. 松沢成文

    ○松沢委員 この改正案協議される与党三党の話し合いの中で、自民党は、先ほど先生がおっしゃったように、ある程度の自助努力、結果的に歯どめになっているこういう部分は必要あるのじゃないかという立場が強かったように思うのですね。これに対して、社会党とさきがけはこれをどうにか撤廃してほしいという立場だったというふうに私は新聞報道等で伺っているのですが、社会党とさきがけの提案者の方もいらっしゃいますので、社会党、さきがけはなぜこの三分の二条項を撤廃するということを求めたのか、その理由をお聞かせください。
  111. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)議員 我々も自助努力を当然しているわけです。党員をふやして党費をいただく、月刊社会党を売る、社会新報を売るということをやって、それももちろんやっております。しかし、おのずとある程度の限度も、これもあることもある。所によっては、それは県本部がパーティー等もやるところもありますし中央本部もあります。そういうそれなりの自助努力はしておりますけれども、しかし活動にはまだ足りない。  そういう意味では、一定の限度の中での公的助成をということでありまして、三分の二条項につきまして、私たちも自助努力は当然必要だと思っておりますけれども、しかしそのために、満額交付を受けるために余分なことをやらなきゃいかぬということは、これまた政治不信につながっていくことになるわけでありまして、実は、御承知のようにうちの党は何億か交付を受けておらない部分がありますが、それは、そういうことをして、また満額満たすためにそういったパーティーその他をかなり無理をしてやるということは好ましいことではないという見解に立っているからでございまして、私たちは、せっかくこういう公的助成という制度ができたら、しかるべき議員数割と得票数割によって配分することがやはり政治を浄化していくためにも適切である、こう考えた次第でございます。
  112. 三原朝彦

    ○三原議員 今、さきの二先輩がおっしゃったのと答えは余り変わらないのですけれども、私たちの党が一番新しくて、そして初めての試みもやっています。厳しい財政状況の中でやっておるのですけれども、社会党さんほどの、社会党さんはもともと屋台が大きいですからね。何か何億円かもらえなかったということだったのですが、我が党としては数千万円実は権利としてありながらもらうところにいかなかった経緯があるのです。それは参議院選で我が党一人から三人にふえたその段階でそういうことが起こったのですけれども。だからといって、同じようなことを答えるのですけれども、パーティーなどをして政党助成をいただきたいがためにまたお金集めに労力を使うというようなことがないように我々もやらなきゃいけないという気持ちでやっておるのです。  最終的には、私は、先ほどから先輩の議員の先生が答えられておられますけれども国民の皆さんが、我々が使う五万円以上はみんな政党助成の交付金はちゃんと見せなさい、そしてその後監査にかかって堂々としたものをお見せするわけですから、その中で最終的には国民の皆さんが我々のいただいた政党の交付金に対しての使い道、使い方に関して評価していただけるものだ、そういうふうに考えて、心を十二分に砕きながら利用させて、活用させていただきたいということを申し上げたいと思います。
  113. 松沢成文

    ○松沢委員 国民から税金をもらうのであるから一定の歯どめというものも必要でしょうと。また、政党自助努力をしなきゃいけないと。今二先生のお話を聞いていますと、でもやはり苦しいからやめたいんだ、簡単に言えばこういうことに聞こえるのですけれども、どうですか。
  114. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)議員 発想はそちらから出るわけではないのであります。あくまで、やはりおのおの政党の成り立ちその他が違うわけでございますから、そういった意味でいろいろな議論の未に政党交付金というのができたわけでございますので、やはりそれはよかれと思ってこういう新しい制度ができたことでありますから、その趣旨にのっとる限りは私たちは当然の権利として受けていいというふうに考えておるところでございます。
  115. 松沢成文

    ○松沢委員 たしか政治改革議論のときに、やはり政党というのは、三分の一ぐらいは党費みたいなもので集めたらいい、三分の一は個人も企業も含めて献金で集めよう、三分の一は国庫からいただいて助成金で、このバランスぐらいがいいのじゃないか、こういう議論があったと思うのですよね。であるならば、三分の二条項はちょっと厳しい、正直言ってそれは新進党にとっても厳しいわけですね。であるのであれば、逆に、一対一対一ということを考えると、例えばドイツがやっているように助成金の上限というのを自己収入額までにしよう。そうすると一対一対一になるわけですね、党費があるとしたら。今は一・五倍集めないとだめですよということですが、同じだけまでは出しますよ、年間一億円集める政党だったら一億円を上限にして出しますよと。これくらいの歯どめは、歯どめが必要である、でも今は苦しいというのであれば、最低限っくって国民に示すべきではないか、こういう意見も強いのですが、これはいかがでしょうか。
  116. 伊吹文明

    伊吹議員 先ほど来、社会党、そしてまたさきがけの提案者から先生の御質問に対して本音の御答弁がされたと私思うのです。自由民主党自助努力というものは大変大切だと今も思っているわけですけれども、しかし先ほど来申し上げたように、まさに過渡期で、政党の離散集合がこれだけ激しいときに、三分の二ということを縛ることによって、結果的に政党の本来投票議員数からもらえるものを失わせるということがやはりあってはならないというふうに、我々はそういう面もやはり必要なのかな、こう考えたわけですね。  だから、先生の御提案は私個人としてはまことに御見識のある御提案だと思いますが、やはり何かを縛って新しい政党には公的助成が結果的に、例えば合併とか場合によっては新党の設立とかというので公的助成が一銭も行かないというようなケースが実績の三分の二ということになりますと生じたりすることも、やはり自民党の思い上がりかなという気持ちもあったわけです、ありのまま、心のまま申し上げますと。であるがゆえに、一分の一というと語弊があるのですかね、五〇%という制限も今回はちょっと置かずに、国民の方にむしろ党の運営の財政をディスクロージャーして、そして御判断いただく中で、やはり国民のいろいろな意見も出てくるでしょうから、その中で今御見識に満ちた御提案を私はぜひ実行すべきだと個人としては思っております。
  117. 松沢成文

    ○松沢委員 もう一方で、やはり国民から見ると、青天井というのではないということでしたけれども、先ほど提案者の御説明では、議員の見識によってこの金額は逆にもらえるべきであって、規制をはめるのはよくないという意見がありました。そうであるのであれば、逆にこういう今までの決めた規制を今回取っ払うわけですから、その中で、もう今後これ以上青天井にならないというのを逆に国民の方に宣言をしていく。例えば、今一人当たり二百五十円という計算ですよね、それで三百九億円ですよね。こうなっているわけですね。例えば、三百九億円というよりも一人当たり二百五十円という、これは絶対に今後も守っていきますということをこの際宣言するというのも国民に対しては非常に説明のつくことだと思うのですが、これはいかがでしょう。
  118. 伊吹文明

    伊吹議員 青天井という議論と制限というお言葉が今ありましたけれども政党助成は青天井ではないんですね。今二百五十円とおっしゃった、あるいはそれのまた各政党への配分は国会議員の議席数と、それから得票数、直近の選挙の得票数によって決まっているわけですから、青天井じゃないんですよ、三分の二がかかっていようとかかっていまいと。  ただ問題は、今先生がおっしゃったように、今後これを国会が、政府が、与党がどんどん予算をふやす、そして国会議員がみんなそれを認めるということになれば青天井になっちゃうわけですよ。こうなれば青天井になるんです。それは議員一人一人の見識だ。だから今先生がおっしゃったように、みんながそういうことをしないようにしようじゃないか。まずひとつ党内で、幹事長が一千億という、この前、これは新聞報道でございますから、私はよくわかりませんが、まず御堂としての方針をしっかりと固めてくだされば、我々もまたそれに応じて御一緒に議論したいと思います。
  119. 松沢成文

    ○松沢委員 自治大臣が戻られたので、ちょっとこの選挙に関連して一点だけ、大臣の見解を伺いたいのです。  今後の政治改革の中で、有権者に対する政治改革、必要だと思うのですね。また、投票率が低いという指摘も本委員会でもありました。それで、日本の選挙権を、今二十歳でありますけれども、十八歳に下げるべきだという議論も上がっております。私は、これを言い出すと、そんな若いやつらは選挙に行かないだとかなんとか、いろいろ反論もあるわけですが、諸外国の例を見ても、あるいは十八歳で働いて税金を納めている方もいるという実態を見ても、あるいは若い人にも政治参加の道を開くという方向から見ても、私は日本でももう検討していい段階に来ているのではないかと思うのですが、自治大臣はこの件についていかがお考えでしょうか。
  120. 深谷隆司

    深谷国務大臣 選挙権を十八歳以上にしようという動きは、例えばもうおやめになりました石原慎太郎さんなんかが初めて参議院に出たときから主張していた話題でございます。一つのその意味というのはよく理解するわけでありますが、民法上の法律関係、成人式を二十歳で迎える、少年法の絡み等々も含めて論議すべき問題、たくさんあると思います。しかし、広範な角度から、例えば在外邦人の選挙権も含めたいろんな角度の中からこれらを含めた議論というのはなされるべきで、そういう議論がむしろ国会の内外から起こってくることは望ましいことだと思っております。
  121. 松沢成文

    ○松沢委員 ぜひとも、馬力のある大臣ということでありますので、こういう大きな問題にひとつ先鞭をつけていただきたい、このことをお願いいたしまして、質問を終わります。
  122. 関谷勝嗣

    関谷委員長 次に、東中光雄君。
  123. 東中光雄

    ○東中委員 私は、政党助成法は、政党支持のいかんにかかわらず、すべての国民から政党への献金を強制するものである。だから、国民政党支持の自由、思想・良心の自由を侵害するということで、憲法違反の制度だと考えています。私たちは強く反対をし、交付金の受領を拒否しているわけでありますが、政党助成の交付について、ことしの九月十一日に本年分の交付決定の変更額が決まりました。それによりますと、こういう問題が起こってきておるのです。  自民党の交付金額は百三十三億五千八百七十四万円余ですね。これは、助成額は国民一人二百五十円の負担だということが前提ですから、そうすると、自民党の交付金額を負担する国民の数はどれだけになるか。二百五十円で割りますと、五千三百四十三万人分の二百五十円の金ということになるわけですね。  そうしますと、ところが、それでは衆議院は、自民党投票した人は何ぼおるんかということになるわけですね。この五千三百四十三万人が自民党投票しているんだったら、その人たちがその支持する政党に金が行くという、それはそれなりに一つの理屈がわかりますけれども自民党の一昨年の衆議院選挙での得票数は二千三百万人であります。ですから、支持していない人が二百五十円を払った数というのは三千四十三万人になります。これは、この間の参議院選挙では、自民党投票した人は、比例では千百九万人であります。だから、四千二百三十四万の人が、支持していない自民党にこの制度によって強制的に払わさせられていることになる。  この点でいえば、社会党は、交付金額は五十六億二千百六十七万円、負担国民の数は二千二百四十八万人分。衆議院での得票数は九百六十九万です。だから、千二百七十九万人の人たちは、支持していない、投票していないけれども、その分を払わさせられている。これが参議院選挙になりますとさらにうんと減りまして、六百八十八万票になっています。ですから、千五百六十万人が、意思に反しての税金が入っている、こういうことになるわけです。  ついでにさきがけで申しますと、七億七千四百三万円、だから負担国民数は三百九万人分。しかし、衆議院の得票は百六十六万だった。また参議院はさらに減って、百四十五万人ということになっております。だから、さきがけの場合でいいましても、百四十三万人の人たちが、衆議院選挙でいえば非支持者が献金をしていることになる。参議院選挙では百六十四万人が非支持者で献金を制度的にやられているということになっておる。  こういうことが、私たちが、この助成制度支持者でない人が献金をさせられる、法律によって献金させられるということで、これは問題だということを言っておるわけでありますが、自民党、社会党、さきがけの皆さん、その点をどう思われるか、ひとつお示しをお願いしたい。
  124. 瓦力

    瓦議員 東中先生、いろいろ数字をお並べいただきました。この法律が成立する過程にも、御堂は公的資金につきまして賛成をいただくわけにはいかなかった経緯がございます。しかし、御案内のとおり、民主政治にはコストがかかるわけでありますし、新しい制度もとで、今度は政治改革、いわゆる小選挙比例代表並立型、そして政党、政策を前面に押し立てての政治活動になる、こういうことでございまして、公的資金援助につきましても、さきに国権の最高機関たる国会の議決を経て法律が制定されております。私は、国民の理解もいただいて、政治が信頼を取り戻せるように努力をしなければならぬ大事な課題がある、かように考えておるものであります。  こう考えてまいりますと、東中委員の御指摘もさることながら、公的助成は民主政治、日本の議会政治に大きな役割を果たしていくわけでありますし、我々もまたこれに頼ることなく政党自助努力をもって努力をしていかなきゃならぬ、そういう制度であるということをひとつ御理解をいただきたい、私はこう思っておる次第であります。
  125. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)議員 そういう計算のやり方を私は初めて知ったわけでございますが、まずその計算の基礎になっている一人二百五十円というのは国民の数でございまして、有権者数じゃございません。国勢調査によります国民の数で計算するという法律になっておるわけでございます。しかも、その中では投票率というものは何にも計算の中に入っていないわけでございまして、そういう今東中委員の御指摘のような計算というのは、計算として私は成り立つのかどうかということについて大変疑問を持つわけでございます。  いずれにいたしましても、日本の政治が腐敗をした中で、無理な金集めあるいは選挙制度ということがいろいろ問題になって、ずっと経過を経た中で公的な助成をしよう、こういうことを、今瓦議員からも御指摘がございましたように、細かい経緯はもう申すまでもないわけでございますけれども、国会を経て御理解をいただいているというふうに思っておるわけでございまして、社会党も計算をいただきましたけれども、余りそれは私は意味がある数字だというふうには考えません。
  126. 三原朝彦

    ○三原議員 私も佐藤先生と同様のお答えになるかと思います。生まれてすぐの小さな見なものですから、なかなか資金的には厳しいので、東中先生の所属しておられる共産党みたいに政治資金をもっといろいろな意味で頑張るようになりたいと思っておりますが、確かに計算のやり方自体も私も疑問を持つのです。  言い返しになるようですけれども、じゃ、僕らが国から三人秘書を雇っていいということになります。そのコストはやはり税金から一種の党というか政党に属している人に献金みたいなものとも考えられなくもない。そうなったときに、じゃその分どおりみんなもらっているのか。そうじゃないわけで、一人平等にいただけるというような状況もあるわけで、ですから先生の計算も先生流に言えば成り立つかもしれないけれども、私はどうも合点がいかないということを申し上げたいと思う次第であります。
  127. 東中光雄

    ○東中委員 全然まともに考えようとしていないということをはしなくも私聞きました。もともとの基礎は国民一人二百五十円の割合で、そしてコストとして負担するんだと言うんでしょう。政治献金というのはもともと政治参加の方式として国民が浄財として出すものだ、政治資金規正法にそう書いてありますよ。それを国民一人一人で一人当たり二百五十円ずつ出すんだということを強制しちゃうわけですよ。  税金払っていない人なんかどこにもいないですよ。消費税がかかるのでしょう。だれでもみんな、生まれたばかりの子供でもかかっているのですよ。そういう発想だから問題を間違わすのですよ。  だから問題は、その政治資金という、政党に対する資金というものをどう考えるかということが全然欠落している。あなた方が基礎として一人二百五十円ということを言うたのだから、献金というのは本人の支持するところに献金するのであって、支持しないところには献金しない。だから、投票しない人は支持しないのですから、反対するかどうか、棄権しても支持しないということは間違いないわけですから。そういう点でいえば、こういう不合理なことになっているのだということをまず考えなきゃいかぬということを私は言っているわけであります。  それから、今三原さんのお話で秘書に金が出ているのは——何を言っているのですか。問題は、政党に対する助成と、それから選出された議員議員活動に対する保障と、こんなものまで混同するようじゃお話にならないですよ。いわんや選挙費用に対する助成というのがありますね。はっきり概念は三つ分かれているのですよ。そういうものも混同してしまって言っているようなことだから問題だということを指摘しておきます。  続いて聞きますが、三分の二条項によりまして社会党の交付決定額は四億五千三百万円減額された、さきがけは四千万円の減額になりました。私たちが聞いておるところで、この二法案は、社会党、さきがけが三分の二条項撤回を要求し、自民党自書式に変えるようにということで要求されて、それで三党で合意されてこういうふうになったというふうに聞いておるわけです。だから、社会党と新党さきがけは結局削除されたやつ、今度からそういうことのないようにということで三分の二条項撤廃を提案されたというふうに理解しているのですが、そう考えてよろしいですか。
  128. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)議員 先ほども答弁させていただきましたように、与党の中の政治改革プロジェクトではこの二つの問題だけを協議しておったわけじゃないわけであります。在外邦人の投票権の問題あるいは在日外国人の方の選挙権の問題等々、六項目にわたりまして議論してきたわけでございますが、時間的に間に合う合意したものがこの二項だということでございます。  私たちはこの政党交付金あるいは政党助成法というものについては合理性を認めておるわけでございますから、たびたび瓦代議士からもお話がございますように、政党の成り立ちあるいはその政党収入の構造によって政党助成金の受ける金額が計算方式よりも少ないということは不公平を生ずるということで、いろいろ議論の中でこういうことになったわけでございまして、足りない分は何でもいいから取り戻そう、こういう発想に立ってのものではないわけでございます。
  129. 三原朝彦

    ○三原議員 同じような答えでありますので、もういいと思いますけれども
  130. 東中光雄

    ○東中委員 いいです。  じゃ、自民党に聞きます。交付限度額を決めた理由について、自民党は、例えば九四年の十月二十六日の衆議院政治改革特別委員会において、自民党の中川秀直さんが言っていますよ。公費助成をすべての政党活動に充てるということではなくて、公費助成もあるが党員それぞれが努力をして資金も集める、また負担をする、民間の個人献金を中心にそうした政治資金を捻出していくべきであって、全部国民の血税に依存するのはいかがなものか。あるいはまた、前年度使われた政党の経費よりも助成額の方が多くなるという事例も起こり得る可能性がある、それもいささか問題ではないか、こんなことで前年実績の三分の二という規定が置かれたわけでございます。こう言っているのですね。  こういう考え方というのは、あるいは例えば橋本さんは自民党総裁として「政権奪回論」の中で、こうしたルール、上限限定がないと、政党が国の助成を受けることで発言権を失い、ひいては政党が助成権者である政府の支配を受けてしまうような事態にもなりはしないかと私は心配しているんだ、だからこの制度が要るんだ、こう言っているのです。  ところが、ぽっと撤回してしまった。これは考え方を変えてしまったのですか。やはり撤廃せいという要求が強いからその部分についてはのんだ、こういうことなんですか。
  131. 瓦力

    瓦議員 今御指摘がございましたが、我が党の主張は、民主議会政治を維持するためには広く浄財を求めて政治活動を行うという考え方でございました。政治資金導入の経緯は今申し上げましたからるる申し上げませんが、公的助成につきましては、それぞれの政党努力そのものも大切なことでありますから、三分の二条項を定めてさらに政党努力をする、さように決心をいたして今日に至っておるわけであります。  しかしながら、各政党を見ますと、それぞれの政党の歴史また基盤、いろいろ違いがございます。新しい政党は、それなりに前年実績というものをつくるのはなかなか困難なことでもあります。また、政党を排除しようというようなことよりも、民主政治の基盤をどうするかということでありますから、そういう問題に取り組みながら三党間で協議をいたしまして、この三分の二条項を削除するという決心をしたわけであります。  私は、冷戦構造以前におきましては全く国の庇護のもとにおける政党民主政治と訴えておったところもありますけれども、今日イデオロギーのない時代でありますが、政党政治がさらに国民の信頼を得ていくということであれば、先ほど申し上げたように政策あり、政党が前面に出る政治でありますので、公費補助を踏まえつつもそれぞれの政党がまた自助努力を行いまして、民主政治の基盤をしっかり守っていく、そのことによって国民の信頼を得る、その努力は小選挙比例代表並立型に求められてきておる、かように理解をしておるところであります。  以上であります。
  132. 東中光雄

    ○東中委員 収入実績の制約を取り外しますと、結果的には助成の条件を満たしさえすれば、いわゆる五人以上、それから国政選挙得票率二%以上という政党の条件を満たしさえすれば、収入は前年度はゼロであっても、労せずして巨額の政党交付金を受け取れる仕組みになってしまうわけですね。  だから、前年収入が何もなくて、政党と言えるかどうか知りませんが、国から政治団体が金をもらうことで生きていくというやり方は、これは戦前、一九四〇年、昭和十五年の大政翼賛会だけなんですよ。あのときは政党を全部解散してしまって、その大政翼賛会の資金は国から出したんですよ。そういう体制になるんだ、現にそういうことがあり得る、そういう危険を感じるというのが自民党総裁の発言ではありませんか。発言権を失い、政党が助成権者である政府の支配を受けてしまうようなことになりかねない、そういう危険があるからということを橋本さんは言っているのですよ。過去に政党を解散して大政翼賛会にしたときにそうなっているじゃないですか。  そういうことでやっていくのは、本来政党というのは、結社の自由に基づいて、国家から独立した、自主的に組織を運営される政党、企業や国庫助成に依存するのではなくて、政党の地道な国民の立場での活動、その態度、政策は別ですよ、政党というものの性格はそういうものなんだということを私たちは強く強調しているわけであります。そういう点でいうと、三分の二条項を外すということは、ゼロ収入であってもとにかく五人そろえば相当額がもらえるということになってしまうんです。  それでお伺いしたいのですが、現行法のもとで、これは自治省に聞きたいのです。九四年の十二月に大内元民社党委員長らが結成した自由連合の場合、これは新聞にも出ていますけれども、九四年の収入総額三億四千百万円の八割以上が、議員政治団体が銀行から要するに借り入れたものを原資にして、その団体が自由連合に寄附をする。それが自由連合の収入になって、そして結局収入の水増し操作によって三分の二条項をクリアして、算定額どおり一億六千八百万円の交付額決定を受けています。そういうふうに報道されています。そうなりますと、これはもう本当に三分の二条項があってさえそうなんです。これは三分の二条項をこれでクリアしているんだということですか。
  133. 谷合靖夫

    ○谷合政府委員 政党の前年収入につきましては、政党の借入金、あるいは本部支部間の交付金というものは除外をするということになっておりますが、そのほか政党がその収入をどのような方法により確保するかということにつきましては、法的に制約がなく各政党にゆだねられているわけでございます。御指摘のその適否という問題につきましては、収支の公開を通じまして国民の判断にゆだねられている、かような仕組みになっているというふうに理解しております。
  134. 東中光雄

    ○東中委員 ですから、もう形だけ整えた三分の二条項であって、こういう格好で乱用されているんですよ。それをまた撤廃したらいよいよ自由自在に、五人さえ寄ればもうそれだけ入ってくる、こういう格好になってしまって、これは許されない。  この点については、自民党のイタリア選挙事情に関する調査団というのが九四年の四月ですか報告書を出していますね。私はこれを読んで、ここまでわかっておるのになと思ったのですが、これを読んでみますと、「選挙の費用と腐敗防止対策 昨年の選挙法抜本改正に伴い、国民投票により九○%の賛成を得て、政党活動に対する、公的助成が廃止され、選挙費用に対する国庫助成はそのまま残された。」事情は、「政党助成は一九七四年にキリスト教民主党から、政治浄化の切符として提案され、これによって野放しだった政治献金を規制し、収支報告の公開を義務づけ、」日本とよく似ているんですね。「政党財政をガラス張りにすることにより、公党としての義務を果たすことを期待して導入された。」政治改革のときとよく似た論理ですよ。  しかし、その後の運用の実態は更なる不明朗な献金が続き、政党の決算報告も信用できないことが判明した。政党幹部の腐敗に加え、政党の方も国庫助成を機に自己資金調達能力を向上させる努力を怠るようになっただけでなく、経費節減への意欲を失うようになってしまった。それどころか政党交付金を担保に銀行から借金を重ね、その後始末のために政党交付金の増額を求める法案を準備するなど国家資金への依存度をますます強める方向へ進んでいった。結局政党は最も安直な国営企業への道を歩みつつあった。  この点はこれから政党助成を導入する日本にとって、他山の石として心すべき点であり前年収入の三分の一に上限を設けた措置は正しがつたと思われる。という報告を出しているのです。  ところが、もう今の自由連合の場合なんか、借りて、借りた政治団体が政党に寄附をして、それで前年収入にして、やりましたね。それで入ったら今度は銀行く返すわけでしょう。そういう格好になってしまう。まさにこういう性質のものだから、この三分の二というのはやはり意味があるのだということをこの間まで公式にそう言っておったのでしょう。  それをぱっと変えるというのは、それは政党のいろいろ経過があるから、そんなもの初めから決まっています。離合集散あるのは、あのときもう既に離合集散あったじゃありませんか。それも去年やってことしから始まったばかりでしょう。一年適用しただけで、もう基本的な考えを変えてしまう。非常に重大な問題だと思うのですが、自民党、いかがですか。
  135. 瓦力

    瓦議員 私は、政党助成につきましては、三分の二条項自由民主党が主張し、三党間でそれぞれ協議をいたしまして撤廃する経緯は申し上げさせていただきました。私は、今東中議員が御指摘のように、御理解もいただいておるのですが、政党には、それぞれの歴史的な経過がありましたり、その財政基盤をどこに依拠してきたか、こういった歴史が実はございまして、この公費助成につきましては、基本的に、先ほど答えましたように、三分の二条項を外すこととしたわけでございます。  しかし、国民有権者が、その政党はいかなる政党であるかという厳しい審判をまたするわけでありますので、この問題につきましては、かつての問題を提起されましたが、私は有権者を信頼いたしまして、さような政党はいかがなものであるかという判断をなさるものである、こう私は考えております。よって、この三分の二条項につきましては、撤廃したことの経緯は理解いただけるかと思うわけであります。  なお、自由連合の問題がございましたが、私も新聞では承知いたしておりますが、つまびらかにいたしておりませんので、この際、言及を避けさせていただきたいと思っております。
  136. 東中光雄

    ○東中委員 自由連合の場合はそういう筋道で報道されているということを私は言ったわけで、その事実があるかどうかは、私自身も直接当たっているわけではございません。しかし、そういう仕組みになってしまうということが問題だということを言っているわけですから、自由連合を今糾弾しているつもりはありません。  それで、三分の二条項を削ってしまいますと、先ほどから話が出ていますように、二百五十円が、先ほど佐藤さんが言われたように、三百三十五円という、最初は国民一人当たりそういう計算だった。今、新進党の小沢幹事長は、あの人は本の中にも書いていましたね、最近言われているだけじゃなしに。一千億ぐらいにやった方がいいんだ、こう言っているわけですね。もし一千億ということになりますと、三分の二条項があれば、何ぼ一千億にしたって、これは自民党といえども一千億もらえないのです。一千億にした場合の、この前のものの計算をしてみますと、自民党は四百三十二億三千二百万円ということになるのですが、九四年の収入実績の三分の二相当額は百六十六億八千九百万円ですから、三分の二条項があればそれ以上は受け取れない、そういうことになるのですが、これも一千億だったらそのままいっちゃう。  それから、九四年の金額、全部で六百億ぐらいですかね。だから、これを排除するということは、今度は一人二百五十円を三百三十五円にする、あるいはトータル一千億にするといっても、三分の二があれば天井があるわけだけれども、それこそ天井知らずになってしまう、そこへの道を開くことになるというふうに思うのですが、どうですか。
  137. 瓦力

    瓦議員 東中先生、今他の政党の、それは責任ある方が本で書かれたかどうかはともかくといたしまして、私どもは、この公的助成につきましては、極めて厳粛にそして慎重に、これは政党の活動として大切にしていかなければならぬ。そういうことが、国会におきまして公費助成が決められた経緯からいたしましても、いたずらにこの二百五十円、上限を青天にするなどという不謹慎な考え方を持っているものではありません。また、東中先生自身もそのことはよく御理解いただいておるはずでございます。  よって、話を混同して質問をされますと、私の方も答弁に困るわけでありますので、この際、三分の二条項を外しましたのは、先ほど申し上げましたとおり、政党が無理をして三分の二条項を超えなければならぬという努力は、政党の歴史や財政基盤によっては無理が重なることもあり得るわけでありますし、そのことが政党活動に支障を来すようなことがあれば民主政治の土壌が緩むわけでありますので、そのことを御理解いただきまして、我々は、三分の二条項を外しながら、なおかつ政党努力をして、日本の議会政治、小選挙比例代表並立制を信頼ある制度にしたい、このことで、今回二法案につきまして議員立法をもってお願いしておることを御理解いただきたいと思うわけであります。
  138. 東中光雄

    ○東中委員 国民一人当たり二百五十円ということが決まったときの根拠は、何だか全然わからなかったのです。細川内閣が提案したときは三百三十五円だった。私はあのとき質問していますよ。一夜にして百億下がったじゃないか。また一夜すると下がるのか、また上がるのか。根拠は何だと言って。一年先の政治活動なんて推測できるか。いわんや政治資金なんて推測できるわけがないじゃないか。もともと三分の一と言っているけれども、こんなもの、根拠ないじゃないか。随分言いましたよ。しかし、多数で決まったのです。  これは、根拠があることだったら別ですよ。根拠がないのだから。そして、世界広しといえども、こんな使途も何にも制限しない政治活動に対する助成、なるほどイタリアではありました、しかし、ほかはないですよ。そして、こんな膨大な三百九億円というようなものはほかにありません。  だから、さらに一千億ということにならないという保証はないわけです、現に主張しておる人がおるのだから。それに対する歯どめをなくしてしまうことになるよということを私たちは指摘しているわけであります。あなた方が今一千億にしようとしていると私は言っているわけじゃないのです。その場合でも、歯どめがあったら、それは歯どめになるけれども、歯どめがなくなってしまうよということを言っているわけであります。  余り時間がございませんので、企業献金、団体献金でありますが、今公開基準を、五万円を百万円超に変えようじゃないかというふうな議論があちこちに出てきておりますけれども、その点はどうでしょう。
  139. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)議員 そういう御意見を御主張の方もいらっしゃいますが、それらの問題については、今後、各党間で議論していこう、こういうことになっております。
  140. 東中光雄

    ○東中委員 そういうことは絶対にやらないというのじゃなしに、各党間で議論をするというお立場のように聞きましたが、そうですか。  私は、こういうことは、むしろ企業献金、団体献金は全面的に禁止をするという方向で出発をして、それをやるから公費助成を入れてそうするんだというのが政治改革基本だったわけですから。ところが今また、禁止しないで五万円に制限をした、上げることも含めて検討する。これは、わずか一年にして、いわゆる政治改革に非常に逆行するということを申し上げざるを得ないということを言っておきます。  それで、企業・団体献金は、公費助成を導入することなどによって廃止に踏み切るというのが細川さんの発言でしたね。それで、少なくとも個人の政治団体に対する企業献金、団体献金は禁止する。これは禁止すると言っておったのが、今度は五年間額を下げて残した。そういう企業・団体献金の禁止についてどういうお考えか、自民党にお伺いしたいと思います。どうですか。
  141. 瓦力

    瓦議員 たびたびお答えもしておりますが、三分の二条項を撤廃いたしますと同時に、一方におきましては、政党政治活動、民主政治を行うためにコストがかかるわけでありますから、それらの努力はそれぞれ政党がしなければなりませんし、政治家みずからも努力をしなければなりません。ただ、それは国民から信頼できる収支であったり、透明度でなければならぬわけでありますが、そう考えてまいりますと、ただいま企業の献金につきましても、社会を構成する企業といたしまして政治的協力、そういったことは私は悪ではない、かように考えております。  ただ、これらの問題は、今三党間でも他の問題をひっくるめまして大きな過渡期でありますので、選挙を取り巻く課題も、それぞれ新しい項目を設けながら検討していこうという課題一つでございます。  以上で御理解いただきます。
  142. 東中光雄

    ○東中委員 個人に対する企業・団体献金は、公費助成を導入することなどにより廃止に踏み切る、それから、五年後に廃止する措置を講ずるものとするというのがいわゆる政治改革論議の大きな流れだったわけですから、それを進めるという方向に立つべきだということを私は言っておるので、それを温存するというようなことになったのではいかぬ。  最後に、つい最近私にこういう手紙が来ました。これは自治大臣にお伺いしたいのですが、出した人が「名前、許して下さいませ」と書いてあるのですよ、この後ろに。それで、中を見たら「平成七年十一月二十三日 名前はお許し下さい 孫請けやっている一主婦」というように書いてあるのですが、これは政治献金に関することなんです。  簡単に紹介をいたしますと、もう全文はやめますが、「実は十一月十八日に主人から、新進党のパーティー券二十枚買ってくれと現場の所長より要請があり十一月二十日一枚一万のパーティー券二十枚(二十万)買う事になりました。私共は大手ゼネコンの孫請けであり、ことわる事も出来ず、所長の話では「仕事で返しますから」との事でした。」それで、主人にいろいろ文句を言うたら「上からの要請だと、何も言えないのです。仕事なくなるのがこわいから……。私共、孫請け、孫々請けは弱い者です。一枚もチケットが手元にこないし、又、領収書もこないのです。これではぼったくりです。領収書でもあれば経費になるのですが、泣きねいりするのはすごく口惜しいのです。この所収入が少なくことにかく私立に行っている高校生の何か払うのにもできないで困っているのだ、こう言うのです。  これは企業献金ですよ。企業から取引関係を通じてこう言うわけでしょう。何にもないのにこう言われるのだと。これを私もいろいろ捜しましたよ。しかし、言ってくれたら困ると言うのですよ、ばれたら仕事がとまってしまうのだから。こういうのはいわゆる企業献金の悲惨な実情ですよ。これが金権政治になるわけでしょう。私はこういうのは政治資金規正法上、自治省に聞きたいのですが、何かの処置ができるかどうかということ、それから、こういうことについて自治大臣どうお考えか。
  143. 深谷隆司

    深谷国務大臣 今のお手紙は新進党に対する問題のように伺っておりますが、事実関係を私残念ながら、残念ながらと言ってはいけませんが、存じ上げておりません。したがいまして、一般論としか申し上げられませんが、やはり会社は資本の額等に応じた一定の範囲内で本来献金すべき立場でございます。政治活動に関する寄附は、寄附者の政治活動の一環として、あくまでも自発的な意思で行わなければなりません。こういう政治資金規正法のルールに従って献金するということは大前提でございます。業務、雇用その他の関係を利用して圧迫するような、威圧するような行為とか、あるいは相手の意思を不当に拘束するような方法で寄附のあっせんをすることは、これは政治資金規正法で禁止されていることである、このように思っております。
  144. 東中光雄

    ○東中委員 時間ですから終わりますが、ところが、これはそういう関係でやってきた場合は、それは告発できないのですよ。そこが問題だというのです。だから、企業というのは営利を目的とする団体ですから、その営利の法則で下請に対しても動くわけですね。だから、下請の方は物宣言えないのですから、こんなに悔しいんだと言いながら名前を書かないのです。こういう状態ですから、ひとつちゃんと企業・団体献金を禁止する処置をとるべきだということを申し上げて、質問を終わります。
  145. 関谷勝嗣

    関谷委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
  146. 関谷勝嗣

    関谷委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。松沢成文君。
  147. 松沢成文

    ○松沢委員 私は、新進党代表して、ただいま議題となりました自由民主党・自由連合、日本社会党・護憲民主連合、新党さきがけの三党共同提案政党助成法の一部を改正する法律案並びに公職選挙法の一部を改正する法律案に対して、反対の立場から討論をいたします。  まず、冒頭に一言申し上げます。  言うまでもなく、我々は国民の信託を受け、国民との信頼関係のもと政治の場で活動しております。しかし、今日、国民政治及び政治家を見る目は極めて厳しく不信に満ちたものとなっております。そして、国民との信頼関係の崩壊は、民主政治の危機と言っても過言ではありません。我々は、このような状況を改めるため、政治倫理に関する問題については、常にみずからに厳しい態度を貫くべきであると考えます。  では、以下具体的な反対理由を述べさせていただきます。  反対の理由の第一は、朝令暮改であるからであります。すなわち、政党助成法については、法制定以来平成七年の一年間適用されただけであり、公職選挙法衆議院議員選挙記号式投票方式については、法改正以来まだ一回も適用されていないのであります。国会がみずからの意思で決定したことをただの一年の実施期間を経ただけで、あるいはただの一度も実施しないままに改正をすることは朝令暮改のそしりを免れ得ず、国会の見識を疑われても仕方がないと言わざるを得ないのであります。  反対の理由の第二は、議題となった法案において削除されることとされている政党交付金交付限度額は、まさに法案提案者の中心となっている自由民主党政治改革四法の修正をめぐる交渉の中で提案されたものだからであります。みずからの提案に対してみずからその削除を提案するとは、まさに不見識きわまりないと言わざるを得ません。  反対の理由の第三は、議題となった法案記号式投票自書式投票に戻すことになっているのは、時代の流れに逆行するからであります。記号式投票の方が疑問票が生じにくく、また開票の機械化にも適していることは論をまちません。衆議院議員選挙以外の選挙における投票方法との整合性を問題とするのであれば、むしろ他の選挙投票方法記号式とすべきであります。あえてこのような改正を行おうとするのは、既成の政党とその候補者にとって有利であるとの判断に基づく党利党略によるものと言わざるを得ません。  反対の理由の第四は、今回の改正政治改革全体をなし崩しにする第一歩となるおそれがあるからであります。与党各党の中には、小選挙比例代表並立制度を実施することなく廃止し、以前の中選挙制度に戻す動きがあると報道されております。これはまさにみずからも賛成した政治改革をみずから葬ろうとする背信行為であると言わざるを得ません。  以上、反対の理由を述べてまいりましたが、冒頭で申し上げたように、国民政治のあり方に対する厳しい視線を受けとめつつ、反対の立場に立たれることを期待して、私の討論を終わります。  以上です。(拍手)
  148. 関谷勝嗣

    関谷委員長 次に、東中光雄君。
  149. 東中光雄

    ○東中委員 私は、日本共産党代表して、政党助成法改正案及び公職選挙法改正案について、反対の討論を行います。  政党助成法は、政党支持のいかんにかかわらずすべての国民から政党への献金を強制する憲法違反の制度であり、日本共産党はその制度に強く反対し、交付金の受領を拒否しているものであり、我が党は、国民の思想・良心の自由、政党支持の自由と政治参加の権利を侵害する違憲の政党助成制度の廃止を強く求めるものであります。  今回の政党助成法改正案は、政党交付金交付限度額を「当該政党の前年における収入総額の三分の二に相当する額」とするといういわゆる三分の二条項を廃止し、助成を受けようとする政党に対する制約条件を撤廃し、国会議員数と選挙得票数に基づく交付算定額どおりの満額の助成を実現しようとするものであります。本法案は、三分の二条項の本来の制定趣旨をも投げ捨てるものであるばかりか、助成金総額の際限のない増額に道を開き、ひいては政党の本来のあり方をゆがめる大改悪にもなりかねません。断じて許されないものであります。  三分の二条項を廃止することは、第一に、政党活動資金を公費助成に頼り過ぎることは国民の理解は得られない、前年の政党の経費よりも助成額が多くなるのは問題があるとした政党助成法の立法過程における国民への説明を放棄するものであり、国民を欺瞞するものになります。  第二は、三分の二条項の撤廃による直接的かつ党略的効果であります。  九五年交付額で言えば、社会党は四億五十三百万円、さきがけは四千万円の交付金を上積みできることになるのであります。政党活動のこのような国費依存への傾向は、いわば公費丸抱えの政党をつくり出すことともなり、結社の自由に基づいて国家から独立して自主的に組織、運営さるべき政党のあり方を財政面からゆがめ、政党活動の衰弱と議会制民主主義の根本的腐敗を生み出すものであります。  第三に、政党助成法改正案は、政党助成金総額の増額を抑える実質的な歯どめをも取り払い、政党助成金の際限のない増額に道を開く布石となっていることであります。  政党助成総額を一千億円にせよと小沢新進党幹事長が主張し、他方、企業・団体献金の公開基準額を五万円超から百万円超に引き上げを図ろうとする動きがある中で、本法案は、国からの政党交付金と企業・団体献金の両面において政治資金の取り分を拡大し、金権腐敗政治の拡大への道を進むものであります。政治改革の名で行われた政治改悪を施行一年を経ずしてさらに改悪するものであり、断じて許されません。  投票方法自書式に改める公選法改正案は、自民党が小選挙比例代表並立制の初めての施行に当たって、その投票方法を少しでも自民党に有利なものにしようとの党略的打算から持ち出したものであります。投票方法記号式であっても自書式であっても、民意の議席への反映をゆがめ、議会制民主主義の原則をじゅうりんする小選挙区制の有する害悪をいささかも改善するものではありません。  両法案は、憲法違反の政党助成法、小選挙制度を党略的打算によってさらに改悪するものであり、断じて容認できません。政党助成法の廃止、企業・団体献金の禁止、そして民主的選挙制度への根本的転換をこそ、今、求められております。この実現に向かって大いに奮闘することを申し上げて、討論を終わります。
  150. 関谷勝嗣

    関谷委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  151. 関谷勝嗣

    関谷委員長 これより採決に入ります。  まず、瓦力君外二十五名提出公職選挙法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  152. 関谷勝嗣

    関谷委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、瓦力君外二十五名提出政党助成法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  153. 関谷勝嗣

    関谷委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  154. 関谷勝嗣

    関谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  155. 関谷勝嗣

    関谷委員長 この際、御報告申し上げます。  本日の理事会におきまして、お手元に配付のとおりの申し合わせを行いましたので、私から申し上げます。     申合せ  公職選挙法及び政治資金規正法に関する事項については、政治改革の本旨に基づき今後さらに検討を要することを理事会において確認する。 以上でございます。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十七分散会      ————◇—————