運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1995-11-29 第134回国会 衆議院 外務委員会安全保障委員会沖縄及び北方問題に関する特別委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年十一月二十九日(水曜日)     午後一時開議 出席委員  外務委員会   委員長 三原 朝彦君    理事 小杉  隆君 理事 田中 直紀君    理事 玉沢徳一郎君 理事 東  祥三君    理事 松沢 成文君 理事 松田 岩夫君    理事 伊藤  茂君 理事 前原 誠司君       安倍 晋三君    柿澤 弘治君       斎藤 文昭君    坂本三十次君       鈴木 宗男君    二階堂 進君       原田昇左右君    岡田 克也君       鹿野 道彦君    秋葉 忠利君       松前  仰君    山元  勉君       古堅 実吉君    吉岡 賢治君  安全保障委員会   委員長 神田  厚君    理事 大野 功統君 理事 瓦   力君    理事 町村 信孝君 理事 愛知 和男君    理事 赤松 正雄君 理事 岡田 克也君       麻生 太郎君    高橋 辰夫君       中川 秀直君    中山 利生君       野田 聖子君    浜田 靖一君       平泉  渉君    渡瀬 憲明君       佐藤 茂樹君    西村 眞悟君       東  順治君    二見 伸明君       堀込 征雄君    山口那津男君       東中 光雄君    山花 貞夫君  沖縄及び北方問題に関する特別委員会   委員長 宮里 松正君    理事 佐藤 静雄君 理事 鈴木 宗男君    理事 高橋 辰夫君 理事 仲村 正治君    理事 矢上 雅義君 理事 池田 隆一君       町村 信孝君    松下 忠洋君       赤松 正雄君    長内 順一君       鴨下 一郎君    佐藤 守良君       広野ただし君    上原 康助君       古堅 実吉君  出席国務大臣         外 務 大 臣 河野 洋平君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 衛藤征士郎君         国 務 大 臣         (沖縄開発庁長         官)      高木 正明君  出席政府委員         内閣法制局第一         部長      津野  修君         防衛庁参事官  小池 寛治君         防衛庁長官官房         長       江間 清二君         防衛庁防衛局長 秋山 昌廣君         防衛庁教育訓練         局長      粟  威之君         防衛施設庁長官 諸冨 増夫君         防衛施設庁総務         部長      大野 琢也君         防衛施設庁施設         部長      小澤  毅君         沖縄開発庁総務         局長      嘉手川 勇君         沖縄開発庁振興         局長      瀧川 哲男君         外務省総合外交         政策局長    川島  裕君         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部長    朝海 和夫君         外務省アジア局         長       加藤 良三君         外務省北米局長 折田 正樹君         外務省欧亜局長 浦部 和好君         外務省経済局長 原口 幸市君         外務省条約局長 林   暘君  委員外出席者         特別委員会第一         調査室長    田村 勝美君         外務委員会調査         室長      野村 忠清君         安全保障委員会         調査室長    下尾 晃正君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国際情勢に関する件      ――――◇―――――
  2. 三原朝彦

    三原委員長 これより外務委員会安全保障委員会沖縄及び北方問題に関する特別委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が委員長の職務を行います。  この際、質疑される委員各位に申し上げます。  質疑時間につきましては、理事会協議により決定いたしました時間を厳守していただきますよう特にお願い申し上げます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木宗男君。
  3. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 防衛庁長官にお尋ねしますけれども、昨夜、新防衛大綱というのですか、平成八年度以降の防衛計画大綱がまとまったわけでありますけれども防衛庁長官としては満足のいく内容であるかどうか。同時に、私が懸念しますのは、やはり予算的な措置が必要だ、特にコンパクト化だとか中身の充実等をいいますときに、先立つものは予算でありますから、その予算等に関連して、今度はまた新五カ年計画も、次期防ですね、策定しなくてはいけません。その新五カ年計画次期防についても、どんな考えを持っているのかお知らせをいただきたい、こう思います。
  4. 衛藤征士郎

    衛藤国務大臣 鈴木委員お答えを申し上げます。  御案内のとおり、昨日安全保障会議議決をいただき、それを踏まえまして閣議決定が行われました。私は、この新防衛計画大綱、この決定を大変重く受けとめておるところでございます。  この大綱につきましては、国際情勢の変化あるいは自衛隊に対する期待の高まりを踏まえまして、二十一世紀に向けての我が国防衛力のあり方が示されておりますが、防衛庁政府与党におきまして慎重に検討を重ね策定されたものでありまして、重く受けとめると同時に、私はその内容を高く評価しておる次第でございます。新防衛大綱のもと、国民期待信頼にこたえ得るよう自衛隊の運営に努め、積極的に防衛政策を推進してまいりたいと考えております。  御指摘のように、これを踏まえまして次期防衛力整備計画次期防にこれから進むわけでありますが、この次期防計画につきましてもしっかりとしたものを策定するように努力をしてまいりたい。そして、問題は予算のことでありますから、極めて厳しい財政状況にございまして、また御案内のとおり、これは国のみならず地方もさようでございますが、そういう中におきます次期防達成ということにつきましては、これから与党の御指導を仰ぎ、また御協力の中で、積極的に私もこれに関与して、この計画達成に向けてのあらゆる努力をしてまいりたい、このように考えております。
  5. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 今大臣から、この新防衛計画大綱を重く受けとめるし、自衛隊に対する期待、その期待の中には国際貢献等入っているかと思いますので、ぜひとも心してやっていただきたいと思います。同時に、次期防における予算だけはしっかりととってもらいたいし、対応していただきたい、これは強くお願いをしておきます。  時間がありませんので次に入りますけれども、例の、在日米軍四万七千人体制は今後も維持するということを米国は明確に言っております。そこで、沖縄皆さん方は数が減らなければ基地縮小にはならないのじゃないかという心配がありますけれども、そして一部にはこの四万七千の大方が沖縄にいるのじゃないかと間違った受けとめ方をしている人もおりますから、この点国民向け防衛庁長官の率直なお話をいただきたい、こう思います。
  6. 衛藤征士郎

    衛藤国務大臣 在日米軍の四万七千人のいわゆるプレゼンスという問題でありますが、これは在日米軍総体の数でございまして、沖縄県におきましてはおおむね二万七千人ぐらいではないか、このように思っております。  そういう中にありまして、米国から示されました、日米安保体制を維持する上で在日米軍四万七千人の体制はしっかりそのプレゼンスとコミットメントを確保する、こういうことでございますから、それを評価し、またそのために私どもとして、日本政府としてできるサポートをしなければならない。とりわけ、ホスト・ネーション・サポートということにつきましては、先般、衆参国会でも新協定議決をいただいたところでもあります。  なお、この数をもってして在日米軍沖縄県における基地縮小が可能なのか、こういうようなことでございますが、私はさまざまな創意工夫あるいは合理化によりまして、沖縄在日米軍施設区域整理統合縮小を行うことは可能である、このように私は考えております。  先般、日米間で設立しました沖縄県における施設及び区域に関する特別委員会における協議等も通じまして、さらには御案内のとおり、防衛庁の中にも在日米軍基地にかかわる特別委員会も、事務次官を委員長とする体制を整えたわけでございます。そして御承知のとおり、防衛庁に関しましては、ただいま申し上げました防衛庁内の委員会とそれから政府沖縄県との間の新協議機関、そしてアメリカ政府日本政府との間のハイレベルの機関、この三つの機関が設置されました。この機関、それを最高に運用させていただきまして、沖縄県の基地整理統合縮小に向けてのあらゆる努力をしてまいりたい、このように考えております。
  7. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 防衛庁長官特別行動委員会が速やかに立ち上がったことは評価していいと思っております。同時に、作業グループもつくられました。  そこで、この特別行動委員会は、第一回目は行われて、次は二回目ですが、この二回目は作業グループ会合を待って開かれると思うのですね。ですから、例えば作業グループは月一回のペースでいくものなのか、あるいは二週間に一回のペースでいくものなのか、さらにはこの特別行動委員会というのは月一回なり二カ月に一回なり、ある程度スケジュールをきちっと担保してやっていくのか、これは明確にしていただきたい、こう思います。  同時に、できるものから私は速やかにやっていくのがこの特別行動委員会じゃないかと思っているのです。嘉手納騒音協定。普天間もそうです。嘉手納なんかは、エンジン調整をあの中で場所を移せば住民に迷惑がからぬわけですから、すぐできるはずなのです。普天間のヘリの訓練にしたって、夜やっているところにまた住民の迷惑もある、あるいは昼間学校の授業をやっているときに大変な音がするということで、あの周辺に七つの学校があるわけですから、これまたえらい被害を受けているということですから、こういったことは何ぽでも詰められるような話ですから、できるものからまず速やかにやっていくというのが私は大事じゃないか、こう思いますので、あわせて答弁をいただきたい、こう思います。
  8. 衛藤征士郎

    衛藤国務大臣 ただいま鈴木議員指摘のとおりでございまして、できるものから逐次解決していく、こういうことが肝要であると思っております。とりわけ、沖縄県が御要望の十項目につきまして、地位協定運用改善によりましてできるものもあるわけでありますから、一つ一つ早期にそういうものを解決する努力をしてまいります。  作業部会日程につきましては政府委員の方から答弁させます。
  9. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 お答えいたします。  作業グループにつきましては、第一回目の特別行動委員会の後を受けまして、十二月中にでもその開催をいたしたいということを考えております。その後、次回の特別行動委員会、これはまだ日取りは決めておりませんけれども、来年のある時期を念頭に置きまして、その間作業グループを頻繁に開催をしたいと考えております。日米双方で参加する作業グループになりますので、今のところ月一回とか週何回とかいう決め方はしておりませんけれども、来年のある時期の特別行動委員会までにかなり開きまして、そして行動委員会の方に中間報告なら中間報告をしたい、そういったようなことを考えているところでございます。
  10. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 防衛局長事務方責任者でありますから、この点も一生懸命沖縄県民のためにも頑張っていただきたい、こう思います。  外務大臣クリントン大統領訪日日程は現段階でどうなっていますでしょうか。いろいろ新聞等では知らされていますけれども、まちまちな話なものでありますから、現段階におけるクリントン訪日日程についてお答えいただきたいと思います。
  11. 河野洋平

    河野国務大臣 先般、クリントン大統領訪日ということになっておりましたところ、米側国内事情によりまして訪日が延期されております。したがいまして、私どもといたしましては、できるだけ早い時期に大統領訪日を実現したい、こう考えておりまして、米側と鋭意折衝中でございます。これは当たり前のことでございますが、日米双方にとりまして都合のよい最も早い時期に訪日を実現したい、こう考えて折衝中でございまして、報道その他に何月ごろとかという記事がございますけれども、現在のところ一切、何月ごろということも決めておりません。できる限り双方都合のよい一番早い時期ということで、目下折衝中でございます。
  12. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 外務大臣報道によりますと、アメリカ側からは一月の二日、三日、四日、五日と振ってきた、しかし、日本都合でこれは受け入れることができなかったという話がありますけれども、それは事実なんでしょうか。
  13. 河野洋平

    河野国務大臣 先ほど申し上げましたように、できるだけ早い時期ということで、新年早々にということを考えておりました。我が方からも幾日かの日を向こうに非公式ながら提示をいたしましたし、先方からもある日にち提示があったわけでございます。しかしながら、その日にちがいっであるかということについてはここで申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、双方日にち提示をそれぞれいたしましたが、今のところ、双方都合のいい時期ということで合致した日がまだございません。
  14. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 外交ルートでそれは鋭意詰めていると思いますけれども、一月、外務大臣カナダに行かれて、そこでまた何かクリストファーさんとの間で詰めるというような報道もありますけれども、それは事実でしょうか。
  15. 河野洋平

    河野国務大臣 今考えられます日程は、国会の御了承が得られれば、十二月の十二日にカナダオタワで行われますG7会合で、テロリズムに関した会合というものが開かれることになっております。これにはG7各国外務大臣、それから、日本からは国家公安委員長だろうと思いますが、つまり、そういうテロリズムの問題にふさわしい閣僚が参加をすることになっておりますので、恐らくアメリカクリストファー国務長官が出席されることになると思います。それは一つの時期、これはあくまでも国会の御了承が得られればそれは一つの時期で、そのときに日米外相会談が行われる可能性というものは私はあると思っております。
  16. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 しからば、十二月十二日のこのオタワにおけるクリストファー国務長官との会談で大体日程が決まる、こう認識してよろしいですか。
  17. 河野洋平

    河野国務大臣 これは先ほど申し上げましたように、まだ先方調整中でございまして、十二日に会談が仮に開かれるという前提に立って考えましても、そこで日程が決まるということはまだここでは申し上げられません。
  18. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 日米関係重要性からいっても、早く日程を決めて、少しでもより日米関係重要性というものを世界にアピールしていただきたいな、こう思います。  そこで、クリントン大統領が来るということを前提にして、そのときもまた日米安保の再定議はやるのか、お答えをいただきたいと思います。
  19. 河野洋平

    河野国務大臣 日米両国首脳会談をして、日米間の連帯の極めて大きなきずなでございます日米安保条約について再確認をする、こういうことは好ましいことだと考えております。まだ、先ほど来申し上げておりますように日程調整その他がついておりません。どの時期になるかということも頭に入れながら、会談における一つの大事な日米間の友好関係協力関係、そうしたものを念頭に置けば、安保体制というものについて確認をされることが望ましいというふうに私は考えております。
  20. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 再定議はやられるという認識でいいわけですね。わかりました。  そこで大臣、ことしは戦後五十年です。私は、この五十年でやはり民族の悲願といいますか、国家的課題で一番残された問題は北方領土だと思っているのです。この領土問題について、日ロ信頼関係醸成のためにビザなし渡航もやっているし、いろいろな人の交流も進んできました。しかし、これもまた私はやはりできるものからやっていくことが一番だと思うのですね。そういった意味では、河野大臣が昨年ソスコベツさんとの間で安全操業の問題をテーブルにのせてくれましたね。一回、二回、三回とやりました。四回目の交渉はいつ行われるのでしょうか。
  21. 浦部和好

    浦部政府委員 お答えをいたします。  先生案内のように、三回既に交渉が終わりまして、次回の交渉につきましては、第三回の交渉の際に可能な限り早期開催することが合意されております。したがいまして、我が方としては年内にも開催したいと考えておりまして、現在、外交ルートを通じまして鋭意調整を行っている、こういう状況でございます。
  22. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 外務大臣、ぜひともこの会談を早くやって、漁期もありますし、ちょうどこの問題を私が提起しましてからもう二年たっているのですね。そういった時間的な問題もありますので、ぜひともこれは、日ロ間のためになるんだ、しかも資源保護意味からも極めて重要でありますので、よろしくお願いしたい、こう思います。  そこで、私は外務委員会だとか沖縄北方特別委員会で再三大臣にもお願いしてありますけれどもユジノサハリンスク総領事館を設置してくれという話をしておりますけれども検討したいということで終わっているのですが、その後の進捗状況はいかがでしょうか。
  23. 河野洋平

    河野国務大臣 ユジノサハリンスク総領事館をつくるべしという御提案は議員からかねてからちょうだいをいたしているところでございます。鈴木議員指摘サハリンにつきましては、我が国対ロ外交上重要な位置を占めていることは十分承知をしておりまして、また、近年の我が国との間の人的、経済的交流発展状況にかんがみまして、本年十月には駐ロシア大使でございます渡辺大使をして現地出張させまして、現地状況、政治的、経済的情勢を把握するとともに、同地域を我が国が重視していることを直接地元関係者に説明をしてきたところでございます。  我が国総領事館を設置する一般的な方針はもう既に議員十分御承知のとおりでございまして、相手国におきます在留邦人状況世論対策重要性あるいは我が国との経済的関係、情報入生地としての重要度地方分権の程度、最寄り公館との距離、主要諸国公館設置状況相手国よりの要望、そういったようなことが総領事館を設置する一つ判断材料になるわけでございますが、これらにつきまして十分慎重に判断の上、決定をしなければならないことと考えております。  御指摘サハリンにおきます総領事館の設置問題についても、こうした諸点を含め、種々要素を十分に勘案をしなければならないと思っております。  いずれにいたしましても、渡辺大使現地出張におきまして、現地との関係あるいは現地情勢大使自身が把握をして帰ってきております。そうした意見を十分参考にしながら、さらに一層検討したいと思っております。
  24. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 大臣渡辺大使日本大使として初めてサハリンを訪れました。それで、サハリン州の知事からも総領事館を設置してくれという要請を受けているのですね。しからば日本はそれに答えるべきだと私は思います。ただ、もう平成八年度の予算要求も決まっておりますから、新しく追加要求というわけにはいかぬと私は思います、今の状況からいきまして。しからば外務省職員長期出張、あわせて、ロシア側が求めているのは、ビザ発給的な権限も与えてほしい、そして人の流れを円滑にしてほしいという希望でありますから、長期出張ならばできると私は思いますけれども、これはどうですか。
  25. 浦部和好

    浦部政府委員 お答えいたします。  確かに、先生案内のように、従来からもロシア大使館とかあるいは外務本省から現地へ適宜出張はもうしておりますが、これをさらに拡充し、長期出張をさせるかどうか、及び、させる場合にはどんな事務をさせだらいいかということについては、種々要素を勘案する必要がございます。先生からの御指摘を踏まえまして、いかなる方策がとれるのか、引き続きよく検討させていただきたい、かように考えます。
  26. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 浦部さん、時間がないからそこに立っていてください。  では、長期出張は認める、それはできると。
  27. 浦部和好

    浦部政府委員 はい、そのとおりでございます。
  28. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 そこで、例えばビザ発給権限はどうなんですか。
  29. 浦部和好

    浦部政府委員 ビザ発給権限等についてはまだなかなか難しいところがございまして、この段階ではちょっと申し上げにくい状況でございます。ただし、何らかの便宜が図れないかというようなことを今一生懸命検討しているわけでございます。
  30. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 では、浦部局長、何がしかと言うけれども、それはビザも含めるという判断でいいですね。
  31. 浦部和好

    浦部政府委員 残念ながら、まだそこまでは今の段階検討が進んでいないものですから、申し上げかねます。
  32. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 ぜひともそれも含めて検討してもらいたい。同時に、そのことが、サハリン州を説得することによって南クリルの位置づけは変わっできますから、あるいは住民の受け方も違っできますから、この点はしっかりやっていただきたいと思いますが、どうですか。
  33. 浦部和好

    浦部政府委員 確かに、実態的にサハリンの方々が査証の取得に大変不便を感じておられるということは我々も重々承知しておりますので、先生指摘の点を踏まえまして、引き続きよく検討させていただきたい、かように考えます。
  34. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 大臣、この領土問題は国会決議もされておりますし、年間六千から七千の署名まで集めてやっているわけですから、ぜひともこの問題はしっかりと取り組んでもらいたい。  同時に、三月にはコスイレフさんが来ましたから、今度は河野大臣モスクワへ行く番ですよね、約束からいっても。しかし、来月の十七日には国会選挙もあるということ、またエリツィンさんの病気の問題等もあって、ロシアの政局は動いています。私は、そういったときにこそダイナミックに外務大臣あたりモスクワに飛んだりして動くのが外交ではないかと思うのですが、それでは外務大臣訪日はどう考えていますか。
  35. 河野洋平

    河野国務大臣 おっしゃるとおり、今度は私がモスクワへ行く順番でございます。これは必ず実行しなければならぬというふうに思っております。ただ、実行するに当たって、やはり何らかのめどを立てて行きたいというふうに思っているところでございます。  準備は着々と進みつつございます。先ほどお話がありました、ソスコベツ氏との間で話し合いました経済的な問題についての準備は、事務レベルで着実に進んでおります。問題はもう一つ、政治的な問題で、さあ行こうという勢いがつくような問題あるいはきっかけ、そういったものが欲しいと私としては思っているわけでございます。  いずれにしても、ロシアとの関係について、私は今最も大事な場面というふうに思っております。議員お話しのように、国会選挙あるいは来年夏には大統領選挙という大きな選挙をこれから迎えるロシアでございます。国内事情どもよく考えながら、その時期を探りたいと思っております。
  36. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 この領土問題解決に向かって、ぜひとも河野大臣の奮闘を期待したいと思います。  最後に、防衛庁長官。  2プラス2で、例の県道一〇四号越えの本土移設が決まった。日本では射程五キロ以上の演習場が九カ所あるのですね。できることからやっていくならば、大分県には適当な演習地があるわけですわ。総理大臣大分防衛庁長官大分ということで、これは陸海空三自衛隊最高指揮官が二人も大分から出ているわけですから、まず日出生台の演習場に受け入れる。これはアメリカも喜んでもらえるし、また日本国民も納得いく話だと私は思うのですがね。この点はどうでしょう。
  37. 衛藤征士郎

    衛藤国務大臣 御案内のとおり、この問題につきましては、村山・クリントン会談におきまして、ことしの一月に、これを進めるということが合意されました。また、それを受けまして、その後、五月でございますか、玉沢前防衛庁長官とペリー国防長官の会談でもその話が確認されたわけでありまして、それを受けまして、私がただいまこれに当たっているわけでございます。  そこで、御案内のとおり、日米合同委員会のもとに特別作業班が設置されまして、十月十二日第一回、十一月七日第二回、十一月十三日第三回と、この会議が既に開催されております。この会合につきまして、御案内のとおりでありますが、平成八年度の概算要求に五カ所分を要求はしておりますが、防衛庁長官としては、その作業の行程は少しのろすぎる、予算措置を伴わないことでできるものについては、何としてでも平成七年度中のこの時期においてもやるようにということをお願いしてあります。そして、この検討結果を平成八年の半ばまでに得て、そして結果が出たら直ちに地元との折衝に入りたい。結果が出ないうちにどこかを特定して、こうこうこうと言うことは、日米合同委員会の権威並びに、作業部会がございますので、そのことも考えなければならない、このように思っておりますので、御理解をいただきたいと思います。
  38. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 合同委員会の権威ということを大臣、言われましたけれども、それはちょっと後ろ向きの発言だと私は思いますよ、本土移設は決まっているわけですから。その合同委員会検討することも決まっているけれども、本来、三軍の指揮官たる大臣だとか総理大臣は、おれが引き受ける、少しでもアメリカに納得してもらうのだ、それで沖縄の人にも理解をしてもらうんだというくらいの姿勢を見せぬと基地問題なんかは解決できるものでもないし、だれかがやはり痛みを分かち合わぬといかぬわけでありますから、その点、責任者たる防衛庁長官のさらなる英断というか決断を期待して、質問を終えたい、こう思います。
  39. 衛藤征士郎

    衛藤国務大臣 全く御指摘のとおりでございまして、最高指揮官並びに防衛庁長官といたしましては、この問題については、不退転の覚悟ではありませんで、不退転で取り組むわけであります。
  40. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 終わります。
  41. 三原朝彦

    三原委員長 安倍晋三君。
  42. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員 先般、九月に少女に対する暴行という大変不幸な事件があったわけでございますが、その後の世論調査等によりまして、日米安全保障条約に対する国民の理解が大変厳しいものに変化をしたというのは大変ゆゆしき事態ではないか、このように思っております。  日米安全保障条約は我が国防衛政策の大きな柱の一つであるわけでございますし、それと同様に、また日米関係にとりまして、まさに安全保障というお互いのバイタルな部分での存在の意味を共有するということでございますから、大変強いきずなの一つではないか、私はこのように思っているわけでございます。しかしながら、米ソ冷戦構造の崩壊後、当然、ある意味ではこの安全保障条約の意味合いも変わってくるのではないかという雰囲気はいたし方ないことではないか、私はこのように思うわけでございます。  そういう中にありまして、やはり今後安全保障条約が我が国にとって大変重要なものであるという認識をしっかりと政府与党国民に示すということが大変大切なことではないか、私はこのように思うわけでございますが、外務大臣、また防衛庁長官からそれぞれ、この安全保障条約の重要性に対する御認識をお伺いをしたいと思います。
  43. 河野洋平

    河野国務大臣 沖縄の少女暴行事件はまことに痛ましい事件でございまして、御本人はもちろんのこと、関係者、そして沖縄県民の皆さん、あるいは全国の基地周辺の住民の皆さん、それぞれにこの問題について大変お怒り、そしてさらには不安を感じておられるということを私はよく理解をいたしているつもりでございます。  こうした事件がございました後、今お話しのように日米安保条約に対する支持が減ったという世論調査の結果が一部に見られますことを私も承知しておりますが、この結果について、私は私なりにいろいろ思うところがございます。  今申し上げましたように、まことに痛ましい事件、取り返しのつかない、信じがたい事件ではございますが、そのことで安保条約の重要性というものが大きく変わるというものではないということはぜひ御理解をいただかなければならないと思います。お話しのように、冷戦が終えんを遂げましても、我が国周辺にございます不確実な、そして不透明な部分というものは依然として存在をしているわけでございまして、こうした状況を考えますれば、我が国の安全というものを考えます上で日米安保条約というものはやはり不可欠なものであろうと思います。昨日閣議決定をいたしました、防衛庁長官からもあるいは御説明があるかもしれませんが、新しい防衛計画大綱の中にも我が国の安全のために日米安保条約というものは不可欠の存在だということがうたわれているわけでございまして、我が国の安全上、これはまさに不可欠なものであろうと思います。  さらに、そればかりではなくて、やはりこうしたことが我が国周辺に安定という、秩序というものをつくり出して、その安定とか秩序とかというものがやはり我が国周辺の経済的な発展あるいは経済的積極的な交流というものが生まれてきているということも事実であろうと思うわけでございます。まさに、安全のためと同時に繁栄のためにもこの安保条約の果たす役割は大きい、こう考えているわけでございます。  さらに、議員お話しになりましたように、日米両国間にとって最も大きなきずなとでも言っていいかと思いますが、こうしたものがこの安保条約が果たしているというふうに考えておりまして、この日米安保条約というものが果たしているさまざまな側面というものを考えますと、この問題、この日米安保条約重要性というものは正確に認識をしていかなければならないし、認識していただきたい、こう考えております。
  44. 衛藤征士郎

    衛藤国務大臣 安倍委員お答えいたします。  我が国のより確かな防衛、そして安全保障を担保するためには、一国の専守防衛力のみではこれは完全ではありません。防衛の責任者といたしまして、従前どおり、この安保体制のもとにありまして、それをしっかりと補完し担保するということは当然であります。また、日米安保体制は、極東の平和と安全の維持にも貢献をしておりますし、日米関係の中核でありますし、また、幅広い日本外交関係の基礎にもなっておることはもう御案内のとおりであります。  冷戦下におきましては、どちらかというと日米安保体制は力の、抑止力の面におきまして、その側面が前面に出る、そういうものであったと思いますがポスト冷戦後はそれと、また一方におきましては、やはり新しい安定した国際環境への貢献といいますか、国際環境をつくり出す、安定した平和の秩序をつくり出す、そういうことにつきましても日米安保体制はこれから大きく貢献していかねばならぬ、そういう存在であろう、このように思っております。そのためには、日米安保体制信頼性の向上を図り、その円滑な運用のために努力をしてまいりたい、このように思っております。  そして御案内のとおり、この沖縄基地の問題につきましても、外務大臣御答弁のとおりでございまして、日米安保体制、もしそれを量的な、計量するならば、沖縄県に占めるウエートというものは極めて大きい、重い、そういうものも十分認識をした上で、この日米安保体制の円滑な運用に向けてこれからも努力をし、そしてしっかりとした新防衛大綱に基づく防衛力の整備をすることによりまして、我が国のさらなる確かな安全そして安全保障、そういうものを構築してまいりたい、このように考えております。
  45. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員 今回の問題は、一九六〇年以来初めて我が国がこの安保条約の意味国民みんなで真剣に考える契機になったのではないか、このように思うわけでございますが、この安保条約のいろいろな問題点と同時に、実際に有事の際に果たしてうまく機能するかどうかという問題も当然今後は、冷戦構造という枠組みが外れた中でもっと自由に、真剣に議論をしていかなければいけない時代になったのではないか、私はこのように思うわけでございます。いわゆる実際に機能させるためにACSA、物品役務融通協定を早急にしっかりと締結をするべきだという議論も出てくるわけでございますが、この点についてどうお考えか、防衛庁長官、御説明願いたいと思います。
  46. 衛藤征士郎

    衛藤国務大臣 日米安保体制をさらに質的にレベルアップする面におきましても、今御指摘のありましたACSAの問題は重要な問題であると思っておりますし、なおかつ将来私どもが大きく国際の平和、秩序また安全な環境を整備するという面からも、国連の旗のもとにPKO活動に参画をしておるわけでありますから、そういう面につきましても、私どもとしてはACSAの問題についてはこれからもさらに引き続いて真剣に取り組みをしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  47. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員 昨日新防衛大綱閣議決定をされたわけでございますが、この中で当然安保条約についての認識も触れられているわけでございます。  その中に、限定的かつ小規模な侵略は独力で排除する、かっての大綱にはそうあったわけでございますが、新大綱ではその部分はなくなっておりまして、今後はこの限定的かつ小規模な侵略に対しても、安保条約のもと、日米で共同で対処をするということであるということでございます。このことはむしろ最初から、ソビエトの顕在的な脅威がなくなった今日、そうした小規模な侵略に対しても日米で共同対処をするということによって抑止的な力をもっと生むというような解説もされているわけでございますが、このことが削除されて日米で共同対処をするということになった意味についてお答えをいただきたいと思います。
  48. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 今御指摘がございましたように、昭和五十一年に閣議決定されました旧防衛大綱におきましては、東西冷戦下という環境のもとで、それ以前の、通常戦力による局地戦以下の侵略に対処するための防衛力整備、いわば四次防、三次防といったような五カ年計画でやってきた考え方を変えまして、五十一年に決定されました防衛大綱におきましては、基盤的防衛力構想というものを出したわけでございます。そして、その基盤的防衛力構想の中で、具体的な防衛力の考え方といたしまして、限定的・小規模の侵略に対して独力で対処するということを出したわけでございます。  今回の新しい大綱では、いろいろな状況を考えまして、旧防衛大綱の基盤的防衛力という考え方は基本的に引き継ぐということにしておりますが、東西冷戦が終えんをした、したがって、東西冷戦下で考えられた限定・小規模侵略というものを具体的に想定する目標というのはかえって好ましくないのではないか、それから、戦力の水準に対する目標ではございましたけれども、限定・小規模侵略に対しては独力で対処するということを具体的に運用面で考えてみますと、これは、武力によりまして我が国が侵略をされた場合に、これが限定的か小規模かという判断をし、そして、それは自衛隊だけで対処する、あるいはそれが対処できなかったから頑張って米軍の来援を待つというようなことは、やはり余り現実的ではないのではないか、具体的な武力による侵略があれば、現在の日米安保体制のもとで米軍と協力してこれに対処するという方が自然なのではないかということで、新しい防衛大綱からはあえて限定・小規模侵略、独力対処という記述は省いたという経緯でございます。
  49. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員 侵略に対して日米で共同で対処をしていくとき、これは当然集団的自衛権について今後真剣に議論をしていかなければいけないのではないか、こういうふうに私は考えるわけでございますが、きょうは時間も余りございませんので、このことは質問はいたしません。  次に、今回の少女暴行事件、大変残念な事件があったわけでございますが、この暴行事件は、日米安全保障条約があるからこうした事件が起こったというよりは、本来しっかりとした教育がなされていればこうしたことは実際には起こらなかった、こういうふうに私は考えているわけでございます。在日米軍は、今後こうしたことの起こらないようにどういう防止策をとっているのか、またこの事件を契機にどういう新しい防止策をとっているかということについてお答えいただきたいと思います。
  50. 河野洋平

    河野国務大臣 事件発生直後から、我が方といたしまして、米国担当者に対しまして捜査の協力あるいは再発の防止、綱紀の粛正、こういったようなことを厳重に申し入れをしてきたわけでございます。これに対しましてアメリカ側は迅速に対応をされまして、直ちに捜査への協力はもちろん、再発の防止、綱紀の粛正等について対応をされたわけであります。  アメリカ側から、沖縄に駐留する海兵隊の反省の日を設ける、そして、通常の訓練を休止して地元への責任などについての討論あるいは講義を終日実施する、あるいは午後九時以降の施設区域内における酒類の販売を禁止する、従軍牧師が暴力の防止についての指導を行う、あるいは米軍の機関紙及び放送を通じて個々の米軍人の責任感を喚起する、そういったような具体的な措置を実施をするということをベリー国防長官から、私ども衛藤長官と二人で2プラス2の会議に出ましたときに、改めて我々にそうした具体策について表明かなされたところでございます。  これらの具体策につきましては、その後逐次具体的に実行をされたと聞いております。
  51. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員 日米安保条約は本来我が国国民の生命と財産を守るために存在をするわけでありますから、逆に、それがあるがために生命や財産が不安に陥れられるような印象を持たれないように、こうした綱紀の一層の厳正な徹底と、また隊員の教育をお願いしたい、こういうふうに思っております。  また、今回合同委員会におきまして合意文書が交わされたわけでございますが、この合意は例えば韓国やドイツと比べても一歩進んだものになったのではないか、こういうふうに私は思っております。この合意文書に対する御認識をお伺いしたいと思います。
  52. 折田正樹

    ○折田政府委員 今の合同委員会合意と申しますのは、地位協定十七条5(c)の規定の範囲内で身柄引き渡しについての日米間の実施手続を見直し、その改善を図ったものでございまして、これは私どもアメリカがほかの国との関係で持っております手続と比べまして遜色ないし、日本が有利、有利不利ということで言えば必ずしも適当ではないかもしれませんが、日本側にとっていい改善策になっていると確信しております。
  53. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員 次に、今度海洋法条約が締結をされまして、いよいよ次の国会でその批准について議論をするわけでございますが、現在我が国の水産業を取り巻く環境は非常に厳しいものがあるわけでございます。特に沿岸漁業者にとりましては、外国船の非常に横暴な漁業に対して大変危機感を持っているわけでございますし、つい先般も山口県の見島という島に多数の韓国漁船が船を乗りつけまして、かつ上陸をして、島に上がって、酒を飲んだり、石を投げてガラスを割ったという事件もあったわけでございます。  この条約の批准に向けて、二百海里の排他的経済水域が果たしてどうなのかということを今大変な興味を持って注視をしているわけでございます。このことについて外務省の御見解を承りたいと思います。
  54. 林暘

    ○林(暘)政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のように、海洋法条約が発効するという状況になりましたものですから、政府といたしましても、これを批准すべく、政府部内で今検討をしているところでございます。  御指摘のように、海洋法条約の中には、二百海里を超えない範囲で排他的経済水域を設定する権利が沿岸国には認められておりまして、その排他的経済水域を設定する場合にどういうふうに設定するかということをまさに今政府部内で鋭意検討をしているところでございまして、今の段階でどういう決定を見たということを申し上げられる段階ではございませんけれども、早急に結論を見た上で、できれば来通常国会国会の方に御承認をお願いをしたいというタイミングで今検討をしているところでございます。
  55. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員 条約の批准に当たっては、我が国のそうした沿岸漁業を営んでいる人たちの現状を十分によく把握をしていただきたいと思います。  それでは、これで私の質問を終えさせていただきます。ありがとうございました。     〔三原委員長退席、宮里委員長着席〕
  56. 宮里松正

    ○宮里委員長 上原康助君。
  57. 上原康助

    ○上原委員 三大臣とも御苦労さんです。  冒頭お断りしておきますが、少しきつくて御無礼になることを申し上げるかもしれませんが、ぜひ中身のある答弁をお願いしたいと思います。言葉だけたくさんおっしゃるのは、もうたくさん聞いてきましたので結構ですので。  まず、先ほど鈴木委員のお尋ねに対して外務大臣防衛庁長官の御答弁を聞いていると、非常に通り一遍ですね。本当に沖縄基地問題の深刻さ、今沖縄県知事を中心になぜこれだけ沖縄基地の整理縮小ということ、あるいは基地からの被害に対して目に見える形で政府は解決してもらいたいということを強く訴えているかということについて、肝心かなめの外務大臣防衛庁長官も安保の重要性、安保の不可欠性を言うだけで、どうこたえていこうとするのか、残念ながら私にはよく理解できない。  私も安保、自衛隊というものを容認する前提でお尋ねしたいわけですが、改めて今の沖縄基地問題、沖縄県民がなぜ党派を超えてこれだけ基地の整理縮小地位協定の見直し、目に見える形で政府は問題解決をやるべしということについて、どうお考えなのか、具体的にこれから何をなさるのか、簡潔に両大臣お答えください。
  58. 河野洋平

    河野国務大臣 先ほども申し上げましたように、私ども沖縄県民が戦前、戦中、戦後を通じて大変厳しい状況の中で今日を迎えておられるということに十分理解をしなければならないというふうに思っております。とりわけ今日の状況におきましては、沖縄の本土復帰以後、沖縄県民の皆さんが沖縄県内の基地整理統合縮小についても本土並みのといいますか、本土同様の整理統合縮小といったようなことが実現されるのではないか、あるいはされてしかるべき、こう期待をしておられたであろうと思います。にもかかわりませず、残念ながら、沖縄基地整理統合縮小につきましては沖縄県民の皆さんの期待に十分沿ってないという実情がございます。したがって、こうした沖縄県民の皆さんのお気持ちというものを、しかも在日米軍の七五%が沖縄県内に基地を有するという実態を考えれば、沖縄県民期待に添うべく、県民の気持ちを大切に考えてこの問題に対応しなければならないと思っております。  具体的に申し上げれば、先ほど来申し上げておりますように、日米間に高いレベルの、2プラス2のもとに置かれる特別行動委員会におきまして、この特別行動委員会は一年以内に議論の合意を公表するということを目標としているわけでございますから、この行動委員会においてでき得る限り沖縄県と連絡をとりつつ議論をして日米間の合意を導き出す努力をするということが今我々に課せられた最も重要な問題、こう考えております。
  59. 衛藤征士郎

    衛藤国務大臣 沖縄県の基地問題等の歴史的背景及びその認識はもう既に何度も述べてきておりますから、きょうはそれについては言及いたしません。  問題はこれからどうするのかということでありますが、一つは、西暦二〇〇一年、西暦二〇一五年に一つの区切りとして沖縄県御当局がこの基地整理統合縮小、並びにそれに並行する形での沖縄県の県勢振興政策があります。そういうものと私はやはり符合しておると思うのでありまして、基地整理統合縮小におきましても、一方的な返還とか細切れ返還ではそれに対応できないという問題があります。また、返還されたものが直ちに関係町村、県、国におきまして、跡地利用の問題、跡地の開発の問題、そういうものがしっかりスケジュールが決まり、アクションプログラムというものがお互いに認知されておかなければならない、こういう問題もあると思うわけでございまして、例えば天久地区のように返還されてほぼ二十年たってもあのような状況であるという姿を見ましたときに、ただ返還されたからそれでいいというものではない。これは一つの例でありますが、事ほどさように、このような問題点を持っておると私は思います。  その前の段階といたしまして、先ほど申し上げたのですが、二つの委員会沖縄県と政府との間の新協議機関、それから日米間のハイレベルの協議機関、こういったものにおきまして、それぞれ沖縄県からの要求も出ましたので、それを具体的に一つ一つ解決していく、こういうことであると思います。そのために必要なことは、総理がおっしゃっておりますように、総理、内閣を挙げてこれに取り組むという大きな、力強い背景というものがここにあるわけでありますから、私は、必ずこの沖縄県の基地整理統合縮小問題は前進して一つ一つ解決を見る、このように思っております。
  60. 上原康助

    ○上原委員 短い時間ですからそんなにやりとりできないのが残念ですが、特に外務大臣、今防衛庁長官もそうなんですが、確かに日米間で、これは二十日ですね、2プラス2で特別行動委員会を設置したこととか、そのもとに作業部会も設置して、また二十五日には政府沖縄県で基地問題協議会が設置をされ、そのもとに幹事会を置いて、きのうかおととい、第一回会議をした。制度的にはそれは一定の前進でしょう。それは我々もいろいろ努力をし、そこはやはり連立政権村山内閣の、単独政権下よりは大きく前進した一つだと僕は思うのですね。だが、県民が不安に思っているのは、今までもそういうことをやろうとしたのですよ、皆さんは。制度をつくる。現地でも三者協議がある。僕も大臣のころに三省庁協議会をつくった。あとの大臣はそれをだれも引き継がなかった。ああいうことさえもう少ししっかりしてやればいろいろなことができておったと思うのですよ。やろうとしない。今度も、制度はつくったけれども、魂が入らぬじゃないのか。  そこで、具体的に聞きます。  皆さんは整理統合縮小は前進すると思うと。前進させなければいけないです。だが、日米安保体制の根幹にかかわる北東アジアにおける十万人体制、四万人体制はしっかり確保していくとあなたさっきおっしゃったでしょう。これをしっかり確保されたのでは沖縄基地の密度は縮小しないから、重圧から逃れ得ないから、大田知事も我々もそれを日米共同宣言に入れることはいかがなものかと問題提起をしているのですが、なぜそのことに対して、日本政府が北東アジアの軍事情勢というものをしっかりと分析して、アメリカの案に対して日本側も同じ対案を持って議論をしないのですか。これを共同宣言にはめ込むことによっては沖縄基地問題はあなた方が今おっしゃるような方向にはいかない。いかがなさいますか。
  61. 河野洋平

    河野国務大臣 御意見ではございますけれども、私は少し意見を異にいたします。  私は、十万人体制といい四万七千人体制といい、これはアメリカのボトムアップレビューその他、東アジア戦略構想その他さまざまな角度からの作業の結果、日米安保条約に基づいてアメリカ日本を守る義務があって、その義務を履行するためにアメリカが必要とする戦力というものを計算し、はじき出した数字というふうに私は考えておりますが、それは横に置くとして、この数字が変わらない限り基地整理統合縮小は進まない、こう議員おっしゃいますけれども、私はそう思わないのでございます。  現に、これまでアメリカとの間には、ことしの一月の村山・クリントン会談でも、三事案について、すなわちこれは明らかに整理統合、そして結果として縮小という事案、三事案について合意ができて、目下地元の皆さんとの間にこの実行についての御相談を申し上げているところでございますし、その他現在懸案になっております問題につきましても鋭意努力をすることによって実行できる、これは一〇〇%すべてが実行できるとは私は決して申しませんけれども、実行可能なものがあるというふうに申し上げてよろしいかと思うのでございます。  したがいまして、この数字が変わらない限り整理統合縮小はできないと言い切るのはいささか、私どもにとってはそれは、この問題を熟知しておられる議員でございますけれども、御承知の上おっしゃっておられることとは思いますけれども、そうは私どもは考えていないところでございます。
  62. 上原康助

    ○上原委員 それは河野さん、まああなたの答弁にしてはもう本当に失望しますね、私は。  これは申し上げにくいことですが、今度の九月四日のあの不幸な暴行事件、少女に対する暴行事件以降、あなた方が、外務省が余りにも初動対応において冷たい態度をとったがゆえに沖縄県民の感情を非常に害したのですよ、河野さん。一体どこの外務大臣かとみんな考えているのですよ、正直に申し上げて。宝珠山発言に対しても、沖縄開発庁長官も、門前払いとは何事かと言った。あんなの門前払いするのは当たり前の話じゃないですか。県民の気持ちがだんだん高ぶってくるとリップサービスだけしているけれどもと。冗談じゃない。そういう認識のなさが沖縄基地問題を今日のように深刻化し、一向に根幹的な解決ができない状況に追い込んでいるんじゃないですか。  あなたは、四万七千人体制とか十万人体制を変えないでも基地の整理縮小はできる。これは、枝葉、末梢のことはできるかもしらぬが、根本的に沖縄の現在の七五%の専用基地縮小して平和で豊かな沖縄の未来をつくろうという県民の願いとは相入れませんよ、それは。そこをしっかりやってもらいたいということが沖縄の今の要望なんですよ。これは、安保条約を否定するとか否定しないとか、そういう問題じゃないのですよ、日本政府の姿勢の問題です。今のことについては、何かお答えありますか。
  63. 河野洋平

    河野国務大臣 私は、議員お話してございますけれども、今回の事件発生以来、沖縄県民の気持ちを体してアメリカとも話をしてまいりましたし、大変お気持ちに、十分満足はしていただけないかとは思いますけれども、全力を挙げてこの問題にかかわってまいりまして、今回の地位協定の運用の改善その他についても、アメリカ側からのいわば譲歩を引き出す努力をしてきたというふうに私自身は考えております。しかし、これは私自身の判断でございまして、沖縄県民の皆様が私の努力、行動、発言について厳しい評価をされるということであれば、さらに努力を重ねなければなるまい、こう考えます。
  64. 上原康助

    ○上原委員 私がなぜそういうことを申し上げるかというと、皆さんは、地位協定十七条五項(c)、確かにそれは一歩前進でしょう。それは後で聞きますけれども……。  クリントン大統領は、九月二十一日のロサンゼルスのラジオ番組で、地位協定の見直しについては、改善しなければならない手続があると考えるならば我々は応じることにやぶさかでないと明言なさっているのですよ。これは日本国民沖縄の県民もみんな聞いているのですよ、河野大臣。だが、皆さんは一貫して、見直しはできないと言ってきたのでしょう。  さらに、十一月十七日のホワイトハウスの共同通信とNHKのインタビューでは、沖縄県民の懸念を理解する、基地縮小問題ではいかなる選択肢であれ日本政府協議するつもりだ。いかなる選択肢であれ日本政府協議するということを大統領が言っている、大統領が。  村山総理も、内閣の命運をかけてやると言っている。きょう、僕は、総理由るかと思ったら、出ていらっしゃらない。まあ、それはそういう協議だったということで、やむを得ませんがね。  そうであるとするならば、十万人体制にしても四万七千人体制にしても、いかなる選択肢であろうがすべて協議するというなら、日本側も、沖縄からこういう問題が提起され、沖縄基地の問題を解決をするにはこういうことについても我々は日米間で話し合って、今年できなければ来年できるのか、三年後にはできるのか、なぜそういう対案を持ってあなた方は外交をしないのですか。それは私の認識とは全然違うね。私が与党、今もまあ与党ですが、私が皆さんの立場におったら、おれはそれをやるわ、実際に。テーブルをたたいてでもやるね、国益を本当に考えるならば。本当に皆さんが沖縄の今の住民の気持ちというものを――県民のあの五十年間と、これから先どうなるかわからぬというこの状況に対して、もういいかげん政治家がリーダーシップを発揮してやらなければ、この問題は解決しませんよ。こういうアメリカ側の言い方については、日本政府は一体どう思うのか。  ペリー長官もこう言っているのですよ。これは十月二十二日の米国NBCテレビで、米軍基地の整理縮小については、日本政府のいかなる提案でも検討するつもりだ、今のところ日本側から縮小提案はない。  沖縄基地の整理縮小ということで具体的にアメリカ側にこれまで何を提案してきたの。言ってみてください。
  65. 河野洋平

    河野国務大臣 ペリー長官とは、私、直接何度がお話し合いをいたしました。ペリー長官との間では、地位協定についてもペリー長官から直接、地位協定を変更するということはできないということが発言をされました。また、基地縮小については、先ほど申し上げましたように、ことしの一月、村山総理から直接クリントン大統領に対して沖縄三事案という提案をいたしておるわけで、この首脳会談における三事案の提案は、それ以前から日米双方基地整理統合縮小について話し合ってきた議論の煮詰まりがこの首脳会談になったというふうに御理解をいただきたいと思います。
  66. 上原康助

    ○上原委員 ですから、その都度、もう僕は野党時代から何遍もあなたにも質問したでしょう。爆音防止協定のことなんか、何で日本でできないのかと。外務省の役人は、沖縄基地はずっと重要だからと言った。冗談じゃないと大きな声を上げた、私はあの人に。軍用車両の番号だって、あなた方は地位協定にちゃんと書いてあるものをさせないんじゃないですか。環境問題だって、日本の法律を尊重しなければならないということはちゃんと地位協定にある。地位協定の二十五条をもっと頻繁に活用するならもっとできる、日本政府に主体的な姿勢があれば。それがやられないから、今日の状態にある。(発言する者あり)与党も野党もないですよ、国民なんだ、立場は。  そこで、こういうアメリカ側の提案に対して、皆さん、本当に主体的にやらないのですか。しかも、沖縄側が非常に懸念をしているもう一つのことは、この共同宣言についても、まあクリントンさんがいらっしゃらなかったので発表にはならなかったわけですが、この素材というのは、これは沖縄の地元の記事に全文出て、これをみんな読んでいらっしゃるのですよね。大変な内容、これは。しかも、この中では、この東アジア戦略報告をつくったというナイさんは、今国防次官補ですか、は、共同宣言発表は先送りになったが、既に固まった内容を変える必要はない、こういうコメントをしておられるんですね。あなた方が幾ら否定しようが、これだけマスメディアが発達をして新聞も読める、沖縄の人だってみんな。そうすると、幾らきれいごとをここで答弁なさっても、やはりやる気はないのかということになっちゃうんですよね。  ですから、河野さん、防衛庁長官、十万人、四万七千人体制というのをやってください。あなたさっき二万七千幾らと、二万九千四百いるでしょう、今沖縄に。何で少ない数字をおっしゃるんですか。しかも、フィリピンの基地が閉まると沖縄に持ってきた。グアムからも沖縄に持ってきたんです。ハワイからも沖縄に持ってきたんです、返してもらいたいというここの普天間基地に。基地はどんどんこの二、三年だって沖縄に集約されてきているんですよ。こういうことを我々は肌でわかるから、わじわじするんですよ、怒るんですよ。声も大きくなるんですよ。あなた方はその実態を知らない、政府は。ですから、十万人体制、四万七千人体制というものは、日米共同宣言をやるときにはもっと真剣に考えていただきたい。これが一つ。  地位協定の問題ですね。あなた方は、地位協定は改正できないとか今までそういう前例がないということを盛んに言っていますが、ドイツではちゃんと改正しているんじゃないんですか。それ、おわかりですか、外務大臣。簡単に答えてください。
  67. 折田正樹

    ○折田政府委員 ドイツは、ボン協定の改正を行ったことがございます。
  68. 上原康助

    ○上原委員 いつ改定したの。
  69. 折田正樹

    ○折田政府委員 ちょっと手元に資料を持ち合わせませんが、九〇年代だと思います。ただし、これはまだ発効はしていないというふうに承知しております。
  70. 上原康助

    ○上原委員 これだけ地位協定問題が国民的話題になり、改正をしなさいという沖縄からの要求が出ておって、各国の地位協定さえ調べていない。九三年にちゃんとボン協定は改定されているんじゃないですか。その中身は、基地内に対するドイツの警察の立ち入り権まで認めているんですよ。環境問題、いろいろなことについてはドイツ法より厳しく規制をするというふうに改定されているんですよ。何で日本では改定できないの。だから沖縄県は、こういうことについても、諸外国の地位協定とかいろいろなことも審査をして今提起をしているんですよ、外務大臣。  なぜこういうことを――国会図書館の皆さんはちゃんと勉強していますよ。本当にもう僕は、この政府の、官僚任せなのか、あるいは今までも防衛問題とか安保問題というのは、合同委員会での合意事項とか協議事項、もう一切明らかにしていませんから、秘密にして。それも問題なんだがね。  これは外務大臣、さっきの十万人体制、四万七千人体制の見直しと、地位協定を全面的に見直しなさい、改定しなさいという十項目の要求、それにこれまで日米間で合意をした沖縄基地の返還、縮小をどう促進するかということと、プラス普天間基地というものを加えてきた。この三つの問題について、少なくとも皆さんが真剣に、向こう一年以内なんてのんきなこと言いなさんなよ、あなた。できるものから早目に一つ一つ答えを出さぬ限り、あなた方がいかに安保条約は重要だ、不可欠な要件だと言ってみたって、これは県民が認めませんよ、もう国民が。地位協定見直ししますね。十項目に対してどうお考えですか。
  71. 河野洋平

    河野国務大臣 地位協定のもとで、地元の住民の皆さんからいろいろな御不便あるいは御不満がおありになるということは伺っております。そうした御不便、御不満をでき得る限り改善するために、所要の措置をとるべく努力をいたしたいと思っております。
  72. 上原康助

    ○上原委員 所要の措置をとることを努力なさるということは、私が指摘をしている見直し、改定を含めると理解できないこともないが、ボン補足協定というのは一九七一年と八一年とついこの間、九三年に改正されているんです。米国基地の設定、運営、警護、管理、すべてを措置するとあるが、ボン補足協定では基地の土地内部におけるドイツ法適用を原則と明確にうたったんですよ、今度の改正で。だから、裁判権の行使についてもドイツができるんです。しかも、最近、九三年、たしか韓国においても、ついこの間、この一年以内に改正されているんでしょう、地位協定そのものの。条文改正していますよ。なぜ日本はできないの、なぜ。これはやりますね、検討して。答えてください。
  73. 河野洋平

    河野国務大臣 先ほど申し上げましたように、地元の皆さんにいろいろと御不自由をおかけしておる、あるいは御不便をおかけしている問題、個々具体の問題について改善をするために全力を挙げたいと思います。
  74. 上原康助

    ○上原委員 そこで、まとめて申し上げますが、先ほど、三事案や那覇軍港の返還要求を米側協議をし、合意を取りつけたと御答弁なさいましたね。確かにそのとおりなんです。だが、これはもう申し上げるまでもありませんが、那覇軍港の取りつけなんというのは二十一年前ですよ、二十一年前。条件がついているからなんです。全国の七五%の基地を狭い沖縄に凝縮、集中させておって、那覇から浦添に移すとか、あるいはそこが無理ならどこかに持っていくといったって、それはできない相談なんです、条件をつけたら。その条件は外しなさいというのが我々の強いこれまでの主張だったんです。しかしあなた方は、日米安保条約の目的達成と調和をさせつつ沖縄とくるんです、必ず。もう外務大臣がおっしゃるのは、もうどの大臣でも、河野さんだけじゃない、今までの歴代の外務大臣は、日米安保条約の目的達成と調和させつつ沖縄県民云々だ。安保条約が主で沖縄県、沖縄は附属なんですよ、あくまで。沖縄県民の生存権や自然権を大事にしつつ日米安保条約の目的云々とくるならまだ話はわかる。本末転倒というのはこれなんだよ。役人が書く文章を僕はもう大臣時代読まなかった、この安保や防衛の問題については。もう書いてくるのは全部そんなもの。だから、政治がリーダーシップを発揮してもらいたい。  そこで、那覇軍港の問題にしても、読谷飛行場のパラドロ、降下訓練の問題にしても、今のように条件をつけておってはなかなかこれは解決しませんよ、皆さん。机の上では合意するかもしらぬが具体化はできないかもしらぬ。そういう場合にどうするかということもあわせてお考えになっていただきたいと思う。  今、地位協定検討なさるということでありましたので、騒音防止協定、これはどうなさいますか。近々のうちに、先ほどもお尋ねありましたが、沖縄の軍転協なり県側から出された案を参考にして、せめて爆音防止協定ぐらいは先行してやっていただいたらどうでしょう。
  75. 河野洋平

    河野国務大臣 この問題も実は今回つくりました特別行動委員会の中の議論のテーマでございます。ここでは、騒音でございますとか、その他こうした問題についてもここで検討をしようということにいたしております。  しかし、それと同時に、沖縄にございます三者協議会の活性化ということが地元からも強い要望として出ておりまして、この活性化についても私どもは考えなければならぬことと、当然のことでございますが、思っておりまして、いずれの場が適当であるか、我々、早急に考えて、適当な場において今お話しの問題について検討をいたしたいと思います。
  76. 上原康助

    ○上原委員 ですから、沖縄側からせんだっての幹事会に具体的に出されたのは、沖縄の米軍基地の整理縮小ですよね。統合というのは入っていないですよ。あなた方が余り統合統合と言うから、分散しなさいと言ったら、私は逆提案だ。本当にそれができると思いますか。極めて難しいと思いますよ。あなたは、大分に持っていかないと言ったんじゃないか、さっき。そこは余り言わないでおきましょう、お互い。米軍基地の整理縮小問題。  二番目、さっき申し上げた日米地位協定見直し。三番目、騒音防止協定早期締結。四番目、基地被害等の軽減。これは、赤土汚染とかいろいろ自然環境問題があるので、そのことを申しておる。今、外務大臣がおっしゃる三者連絡協の活性化、これなんかはもう本当に……。それに、普天間飛行場の全面返還ですよ、皆さん。  きのうからこんな訓練をしているのですよ。きょうも七時から県道一〇四号線を挟んで大訓練。これは、キャンプ・ハンセンでいわゆるヘリからの宙づり訓練、こういうのを日常茶飯事のようにやっている。もう耐えられない。全く反省の色なし。反省というか自粛の色なし。  そこで、普天間飛行場というのは、この間防衛庁長官が行かれたのでもう皆さんおわかりのように、これは先生方に、自民党の先生方もみんな見ていただきたいと思う。町のど真ん中にあるのですよ、普天間基地というのは。町のど真ん中に、本当に。これ、周辺は全部民家というか、学校がここの周辺に七つある。ちょっと遠くへ行けば十四カ所学校がある。  こういう状況を戦後五十年も我慢してきたんですよ。せめてこの問題は、どういう重要性があろうが、必要性があろうが、ぼくは日米間の本当に信頼関係というか、日米が重要な友好国であるとするならば、こういう状態、アメリカなんかにあると思いますか、世界各国探して、本当にないですよ。  だから、さっき申し上げた五つの項目にプラス普天間基地は、私もこれはいろいろ勉強はしてみて、問題は非常に難しいかもしらぬが、しかし、今の軍事技術上からしてできない問題じゃないと思うのですよね。これは沖縄側からも提起をされておりますので、優先順位というか優先課題として、政府としてお取り組みになる御意思がおありですか、どうですか、お答えください。どちらがお答えになりますか。
  77. 河野洋平

    河野国務大臣 いかなる問題であっても、沖縄からの御提言についてはきちんと受けとめて検討したいと思います。
  78. 上原康助

    ○上原委員 いかなる選択肢であっても、日本側から提起をされたら協議をするとアメリカ側も言っているわけですから、そこをひとつ大事にしてやっていただきたい。  時間を守りなさいという委員長のあれですから守りますが、最後に沖縄開発庁長官に一言注文をつけておきたい。お答えは要らない、失礼ですが。  こういう基地問題が大変県民の不満を買っている。不満というのは政治の不信につながるのですよね。不満が高まれば不信につながる。基地問題だけじゃないのですよ。やるべきこともやらないんだ、戦後処理問題にしても。マラリア問題、戦後プロジェクトで苦心惨たんして三億の予算要求というものができるんです。できるのに、沖縄開発庁がそれをやらなかった。私はそのことについて断じて容認できない。この席ではっきり申し上げておきます。戦時中に軍命によって強制移動させられて、マラリア罹災地に行って犠牲になった。この正否が十分立証できなかったからといって、政府は反証もできない。沖縄開発庁の役人の権限で、戦後プロジェクトチームで決めて、何もかの個人補償を含む対策を講ずるということについてやらなかったということについて、私は、この基地問題と含めて、沖縄県民の気持ちを大変に害しているという点を開発庁長官はしっかり受けとめて、これからの十二月の予算の全体的な編成問題でやっていただきたい。これをやらなければ本当に、いろいろな件でもっと新たな不満に発展していきますよ。  以上、強く申し上げて、終わります。
  79. 宮里松正

    ○宮里委員長 前原誠司君。
  80. 前原誠司

    ○前原委員 新党さきがけを代表して質問をさせていただきたいと思います。  まず、専守防衛について質問をさせていただきたいと思います。  我が国防衛力は専守防衛というものを本旨としておりますので、防衛上の必要からも相手国基地を攻撃するような戦略的な攻撃はとれないという解釈であると思います。そのためには、アメリカでいいますとB52とか、戦略爆撃機あるいは大陸間弾道弾、ICBMのような戦略ミサイルとか、そういうものを日本は憲法の制約上装備することができないということであります。  そこで、今回の新しい防衛大綱の中で、これから新たに空中給油機の導入をしていこうということであります。これは与党三党でも随分議論をいたしましたし、我が党内でも議論をいたしました。もちろん、結果的に認定をしている問題であるという前提お話を伺いたいと思います。  防衛庁から御説明をいただきましたのは、空中給油機に関しては、これは演習、訓練、そのために、効率化を図るために必要なんだという話を伺っております。確かに、離発着時における燃料の消費量というのが大変多い、したがって、待機をするための空中給油機というものが必要だということはわかります。ただ、今まで国会の中で随分議論をされてきた内容にもかかわってくるわけでありますけれども、攻撃用の兵器と防御用の兵器というものについて、外国ではなかなか区別がつきにくい。日本が空中給油機を導入するということを決定したときに、これは航続距離が延びるということを意味するわけでありまして、今までの政府の考えというものを変えることになりはしないか、憲法上の関係とあわせて、この空中給油機導入についての整合性を防衛庁長官にお伺いしたいと思います。
  81. 衛藤征士郎

    衛藤国務大臣 今までのいわゆる政府の考え方と、このたびの空中給油機の導入ということになれば基本的に考え方が変わるのじゃないかということでありますが、私はそのように理解はしておりません。またその整合性、また議論の過程、いろいろございましたので、防衛局長の方からその点答弁させたいと思っております。
  82. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 空中給油機のあるいは空中給油機能の導入という問題につきまして、これまでの防衛力整備の考え方との整合性という御質問だと思いますが、ちょっと急な質問でございましたので、正確に今資料を持っておりませんけれども、現在の戦闘機、F4ですとかあるいはF15を導入いたしますときにそのような問題が国会で審議をされたと記憶しております。  私の記憶では、F4の導入のときに、これはミサイルの装備品の、その装着装置についての適否という問題があって、そのときはそれをたしか外したと記憶しておりますが、F15を導入するときには、これは空中給油機能の受け入れる装置、これを外すか外さないか、その適否について議論があったと承知しております。その当時の政府側の考え方としては、当面我が国の要撃戦闘機のオペレーションにおいて空中給油機能を必要とするという状況はないと思うけれども、将来そういう状況が来る可能性がある、したがって空中給油機能の受け入れ装置というものを外さないという答弁をしたと記憶しております。  なお、その後、空中給油機能の問題につきましては政府部内で検討し、かつ現在の中期防、つまり平成七年度に終了するところの五カ年の中期防衛力整備計画閣議決定におきましては、空中給油機能の導入の問題につきまして検討するというふうに決定されていると記憶しております。したがいまして、今後空中給油機を導入するということにつきまして、これまでの防衛政策との整合性は保たれているというふうに理解しております。
  83. 前原誠司

    ○前原委員 じゃ、ちょっと違う視点から質問をさせていただきたいと思いますけれども、専守防衛という範囲ですね。  これは、田中角榮さんが総理大臣のときの答弁でありますけれども、「専守防衛ないし専守防御というのは、防衛上の必要からも相手の基地を攻撃することなく、もっぱらわが国土及びその周辺において防衛を行なうということでございます」と、これが基本的な認識となっているわけであります。そのときに、空中給油機能で足が伸びることについての対外的な説明というのが今おっしゃられたことで果たして足り得るのか、今までの政府見解と違うというふうなことだけで新たな決定をするのに説明になるのかということをもうちょっと説得していただかないと、私は基本的にこの導入には賛成なのですけれども、これはまた大きな議論になると思いますので、そこら辺をちょっと整理してお話しをいただきたいと思います。
  84. 衛藤征士郎

    衛藤国務大臣 御案内のとおり、我が国の防衛につきましては、まずは適正な専守防衛力をしっかりつくる、それから、それをさらにより確かなものにするために日米安保体制というものがあるわけでありまして、この日米安保体制も、今前原委員指摘のような懸念を払拭する一つの安全装置にもなっていると私は思っておりますし、さらには周辺諸国との安全保障対話、防衛の人事交流、さらに日米安保体制を基軸とするところの周辺諸国に対する、この二国間の、そういうような信頼醸成措置を初め、安全保障の環境整備に向けた積極的な努力をすることによって、私は、この空中給油機の問題については、従前と何ら変わるわけでありませんから、理解をいただけるものと確信をしております。
  85. 前原誠司

    ○前原委員 理事者側で結構でございますので、ちょっと御説明をいただきたいのですけれども、私の質問の趣旨は、機能面から、例えば、空中給油機を持ったからといって、航続距離が伸びるということが、それイコール相手方の脅威につながることではないという、全体的な戦略バランスの中でそういうものが確認できるのだというふうなことを御答弁いただきたいわけですよ。
  86. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 空中給油機能を導入した場合の戦闘機の活動のレベルというものは間違いなく上がるわけでございます。今我が国の場合、要撃戦闘機それから支援戦闘機というものを持っておりますけれども、我々として、この要撃戦闘機、支援戦闘機、いずれも専守防衛という観点で持っているものでございます。そして、空中給油機能を導入いたしますと、今前原先生から御指摘がございましたように、訓練の効率化ですとか合理化ですとか環境対策といったような面でプラスになるという面はもちろんございますが、我々の本来の目的は、やはり防空における防衛を的確にやりたいということで空中給油機能を考えているわけでございます。  それで、空中給油機能が入りますと足が長くなるという御指摘、これは物理的にそのとおりでございますが、我々が今想定しておりますのは、相手方の戦闘機の機能が上がる、スピードですとかその他の面で非常に性能が上がる、あるいは相手方の侵略機のミサイルの性能が上がる、それからレーダーに対する相手方のいろいろな、こちらから視認する能力を落とさせるような対策も講じる、すなわち、全体的に見まして、我が国を侵略する場合の航空能力というものが質的に上がる。その場合に、空中で警戒待機をしておりまして、我が国の戦闘機が直ちに出撃をして相手方に対峙する、そういう機能がどうしても必要だ。これは世界の戦闘機の活動形態としては非常に一般化しているわけでございまして、敵地を侵略するための空中給油機能ということではございませんで、相手方の空からの攻撃に対する的確な防衛のために、世界でも一般化しております空中給油機能の導入によりまして、空中警戒待機をして、防衛を全うしたい、そういう考え方でございます。
  87. 前原誠司

    ○前原委員 もう一点だけ、今のところにつけ加えて質問なのですけれども、仮に我が国が攻撃をしかけるというふうにほかの国が思った場合においても、単に空中給油機能を導入したからといって、足は伸びるけれども、全体的なバランスの中でそれほど日本の侵略能力というものがこれで物理的に上がるものではないというふうなことが言えるかどうかというところで、ちょっと御答弁をいただきたいと思うわけでありますけれども
  88. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 空中給油機の導入によりまして戦闘機の飛行可能時間や航続距離が延伸するというのはそのとおりでございます。しかしながら、我が国におきまして、専守防衛の考え方に基づきまして防衛力を整備しておりますので、他国の防空網を制圧する機能ですとかあるいは攻撃目標を効率的にあるいは効果的に破壊する爆撃能力、いわゆるパワープロジェクション、そういった能力の観点からは必要不可欠の機能を持っていないわけでございます。したがいまして、空中給油機の保有によりまして他国への航空侵攻を行うということは、現在の専守防衛に徹しております我が国防衛力の整備という実態から見て不可能であるというふうに考えております。
  89. 前原誠司

    ○前原委員 ありがとうございました。  今のお答えで、空中給油機能を導入したから、足が伸びるからといって、今までの日本の専守防衛という考え方は変わらないし、総合的な戦力の中でその能力も高まるものではないというふうなことが確認できたと思っております。  次に移らせていただきますけれども、今の専守防衛の範囲の問題で、違う観点からお話を受けたいわけでありますけれども、敵基地攻撃という話であります。  これは随分昔、私の生まれる前の政府の統一見解でありますけれども、「誘導弾等による攻撃を受けて、これを防御する手段がほかに全然ないというような場合、敵基地をたたくことも自衛権の範囲に入るということは、独立国として自衛権を持つ以上、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨ではあるまい。そういうような場合にはそのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとることこそういう政府の統一見解として書かれているところでございます。  そこで、気になりますのは、「しかしこということですね。「このような事態は今日においては現実の問題として起こりがたいのでありまして、こういう仮定の事態を想定して、その危険があるからといって平生から、他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与えるような兵器を持っているということは、憲法の趣旨とするところではない。」ということになっています。これは昭和三十四年の防衛庁長官の答弁であります。  これを考えたとき、昭和三十四年ですから、私が三十七年生まれで三十三ですから三十六年前、三十六年前の政府の見解がそのまま、今なおかつ残っている。世界情勢も変わりました。特に北朝鮮、それから中国といった国が、今ミサイルの開発というものを非常に急ピッチで進めているような状況にあって、「このような事態は今日においては現実の問題として起こりがたい」というふうな政府統一見解が今あることについて、果たしてそれでいいのかなというのが私の根本の問題でありまして、この点について、ちょっと防衛庁長官の御見解をお伺いしたいと思います。
  90. 衛藤征士郎

    衛藤国務大臣 国の守りは、安全保障、防衛、それと同時に、その前にありますのは我が国外交であります。当然外交の力によりましてそういう事態が起こらないように私どもは対処しているわけでありまして、しかるに、そういうことを前提といたしまして「現実の問題として起こりがたい」、このように規定をしているものと思いますし、現実も、それはそういうふうに言っても過言ではない。現実の問題として起こりがたいが、しかし、我が国に対してある基地から誘導弾による攻撃が行われた場合に、座して死を待つべしというのは自衛権の本質として考え得ないことでありますから、このような事態において、他に全然手投がないと認められる場合に限りまして、その敵基地を攻撃することは自衛権の範囲に含まれる、可能である、このように私も思っております。
  91. 前原誠司

    ○前原委員 座して死を待つべしという意味ではないということは認識は一緒なのでありますけれども、例えば第三国からミサイル攻撃を今受けた場合、例えば一千キロぐらい離れたところから受けた場合、座して死を待つべしという意味ではない、敵基地攻撃も立派な自衛手段の一つであるというふうな今までの政府統一見解ですけれども、実際にその能力が今の自衛隊にはありますか。
  92. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 端的にお答えいたしますけれども、専守防衛という形で現在防衛力整備を行ってまいった、現在も行っているという現状を踏まえて申し上げますと、我が国が今保有しております防衛力におきましては、敵基地を攻撃することを目的とした装備体系は持っておりません。
  93. 前原誠司

    ○前原委員 じゃ、そのような事態になったときにはどのように自衛権というのを行使するのですか。
  94. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 現在の我が国自衛隊防衛力の整備の現状からいたしますと非常に難しい問題かと思いますが、ただいまの御質問に対しては、一つ我々考慮しなければいけないのは、日米安全保障体制ということであろうかと思います。
  95. 前原誠司

    ○前原委員 その意味からも、今、日本というのは日米安保なしてはみずからの自衛能力すらないというふうなことは、やはり我々政治の立場からも有権者には言っていかなくてはいけない問題ではないかと思っています。  ただ、これからのことを考え、きのう新しい防衛大綱が決まりましたけれども閣議決定されましたけれども、じゃ一体、基盤的防衛力というのは何だろう。想定されるものについて自前で対処する能力すらない。基盤的防衛力というのは一体、じゃどういうものなのかということが、私は国民の側から出てくると思います。  額にすれば世界第三位の防衛費用、これはもちろん人件費等も含まれております。為替の問題もあります。そして、武器の輸入額ではサウジを抜いて世界第一位、そういう国が、みずからの基盤的防衛力、基盤的防衛力意味も教えていただきたいわけでありますけれども、想定され得る攻撃に対して自前で自衛権の行使ができないような形になっている、これは一体国民に対してどうやって説明をしたらいいのかということをぜひ防衛庁長官に教えていただきたいと思います。
  96. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 昨日閣議決定を経ました新しい防衛大綱にも、この基盤的防衛力について記述しております。それは、「我が国に対する軍事的脅威に直接対抗するよりも、自らが力の空白となって我が国周辺地域における不安定要因とならないよう、独立国としての必要最小限の基盤的な防衛力を保有する」、こういう考え方を示しているところでございます。そして、今度の新しい大綱も、いろいろな条件を考慮いたしました結果、旧大綱の基盤的防衛力の基本的な考え方を踏襲するということでございます。  そして、その新しい防衛大綱の考え方による我が国防衛力の整備あるいは自衛隊の配備というものにつきましては、当然のことながら、我が国の周辺地域における軍事力の配備状況、またその変化を踏まえて考えているところでございます。いわば戦略環境の変化も当然考えながら、その変化があれば基盤的防衛力の中身もある程度変わっていくということを前提にし、別表というものをつくり、また陸海空自衛隊体制について記述しているところでございます。  そして、御質問の点につきまして、我々当然のことながら、我が国周辺地域における軍事力の配備状況からいたしまして、こういう侵略はあり得るかもしれないということを考えながら、陸上自衛隊にしろ航空自衛隊にしろ海上自衛隊にしろ、その防衛力の配備あるいは整備というものを考えておりまして、侵略がないという前提でやっているわけではございませんで、周辺の軍事力の配備状況を見ながら、侵略というものを想定しつつ、我が国防衛力の整備、それから組織の見直しといったようなものをやっているところでございます。
  97. 前原誠司

    ○前原委員 防衛庁長官に端的に伺いますけれども、北朝鮮でノドンの発射訓練があって日本海に着弾したというふうなことがありましたけれども防衛庁長官は、それは今の防衛力というものに反映をさせるに足り得るものではない、つまり考慮すべきものではないとお思いなのかどうか、お伺いしたいと思います。
  98. 衛藤征士郎

    衛藤国務大臣 朝鮮半島の情勢というものは、御案内のとおり極めて不透明な面もありますし、不安定、不確実性を擁しております。それだけに、我が国の防衛、安全保障を考えるときには、しっかりとそれを視野に入れておくべきであります。当然であります。
  99. 前原誠司

    ○前原委員 そうすると、別に防衛庁長官を困らせるつもりで質問しているわけじゃございませんけれども、先ほどの統一見解とはずれてくるのではないか。つまり、先ほど敵基地攻撃のところで私が昭和三十四年の政府の統一見解を申し上げたときは、「このような事態は今日においては現実の問題として起こりがたい」というふうなことについて、それに同意をされましたけれども、しかし北朝鮮の現実を考えては視野に入れなきゃいけないということですから、これはちょっと矛盾をしているのではないか。  そこで、ぜひお考えをいただきたいのですけれども、やはりこの基盤的防衛力、そして秋山防衛局長がさっき必要最小限、これは憲法九条に書いてある必要最小限度ということでありますけれども、そしてまた先ほどお話がありましたけれども、周りの戦略状況において、あるいは周りの国の戦力の整備状況において、機動的に日本の防衛も必要最小限という考え方は変わってくるのだ、私もそれは賛成であります。  今、防衛庁長官お答えになりましたように、北朝鮮からの脅威というものはミサイルの脅威というものを視野に入れて考えなくてはいけない。いけないとしたときに、今の基盤的防衛力、必要最小限というものすら今の日本はできない、そして日米安全保障条約に補完をしているということについて、やはり根本的に私はこの防衛大綱というものを、精神を決めた以上、今後の整備というものにある程度やはり反映をさせていかなくてはいけないのではないかと思っております。その点について、ちょっと防衛庁長官のお考えをお聞かせいただきたい。
  100. 衛藤征士郎

    衛藤国務大臣 周辺諸国のそういうような不安定、不確実性、不透明性、そういうものを視野に入れまして、当然防衛大綱にそれは反映されておるわけでありますし、また我が国防衛政策にもそれを反映させねばならない、このように思っております。  具体的にノドンとかそういうミサイル攻撃についての話が出たものですから、私はあえてその問題については取り上げませんでしたが、十分に朝鮮半島問題、こういうことについては私どもも視野に入れて、防衛政策にはですよ、専守防衛、そしてあと補完する日米安保体制のその防衛力、相互安全保障力、そういうことをしっかりセットにした形で対処してまいりたい、このように考えております。
  101. 前原誠司

    ○前原委員 時間が来ましたので終わらせていただきますけれども、やはり憲法の範囲内でということは、それは当然のことだと思います。しかし、憲法の中の範囲でさえ、あるいは今までの防衛大綱あるいはきのう閣議決定をされた新防衛大綱、基盤的防衛力というふうな概念、そしてまた憲法九条で保障されている必要最小限度の兵力の整備というふうなものは、やはり世界情勢が変わってきた中で柔軟に変わっていかないと、私は、日本という国がみずからすらも守れない、果たして何の防衛なのか、お金だけ使っているだけじゃないかという非難は免れ得ないと思いますので、そういった機動的な整備というものをぜひ国民的な議論を高める中で進めていただければというふうに思いますし、一つ要望したいのは、昭和三十四年の政府統一見解が今なお生き続けている、しかもそれは周りの戦略状況のことの記述をされている文章でありますから、その点は新たな政府の統一見解をまとめていただくということを要望して、私の質問を終わらせていただきます。     〔宮里委員長退席、神田委員長着席〕
  102. 神田厚

    ○神田委員長 岡田克也君。
  103. 岡田克也

    岡田委員 新進党の岡田克也でございます。  きょう私は、日米安保条約関係を中心に議論したい、こう思っております。質疑ではなくて議論したいと思っておりますので、細かいことを聞くつもりはございませんので、ぜひ大臣の皆様からの御答弁をお願い申し上げたいと思います。  さて、日米安保条約の再定義の問題でありますが、村山総理は、日米安保条約がアジア・太平洋における平和と安定のために必要であるということを、首脳会談の際にもあるいは国会答弁でも何度も述べられているわけでありますが、このことの意味というものをもう少しわかりやすく、国民が聞いてもわかるように、ぜひ外務大臣お答えいただきたいと思います。
  104. 河野洋平

    河野国務大臣 先ほど来申し上げておりますが、日米安保条約というものは、日本アメリカという、それぞれが世界で最も重要な二国間関係と考える、つまり共通の価値観を持つ二つの国を結ぶ極めて重要なきずなということが一つあると思います。もちろん、我が国の安全のために存在するという大きな意味もあると思います。それと同時に、我が国周辺地域の秩序あるいは安定、そういったもののために役割を果たして、結果として周辺諸国がその安定の中に経済的な発展を遂げる、そしてそれが我が国を含めて周辺諸国の経済の発展に大きく寄与しているということもまた考えていいだろうと思います。
  105. 岡田克也

    岡田委員 今周辺地域という言葉を使われたのですが、総理はよくアジア・太平洋という言葉を使うわけです。これは同義というふうに解釈してよろしいでしょうか。
  106. 河野洋平

    河野国務大臣 使い方、使う場所がいろいろあろうかと思いますが、言ってみれば、アジア・太平洋地域の繁栄というものに大きく寄与している、こう考えていただいていいと思います。
  107. 岡田克也

    岡田委員 それでは防衛庁長官にお聞きしたいと思いますが、去る十一月の一日に、東京においてペリー国防長官と日米防衛首脳会談開催されて、共同発表がなされております。その中に、「両長官は、十一月の日米首脳会談」、これは延期をされたわけでありますが、「十一月の日米首脳会談が、両国にとって日米同盟が日本の防衛とアジア太平洋地域の平和と安定にとって引き続き有する重要性を再確認する歴史的な場となるとの認識を共有した。」こう書いてあります。ここで言う「歴史的な」というのは、何をもって歴史的というふうに考えておられるのでしょうか。
  108. 衛藤征士郎

    衛藤国務大臣 この「歴史的」という意味は、一つは、戦後五十年の節目に当たっていたというそのときであるということ。それからもう一つは、ポスト冷戦のときにありまして、国際環境の変化あるいは日本を取り巻く周辺諸国環境の変化、そういうものにしっかりと対応して、冷戦時代からポスト冷戦への新しい日米関係の安全保障体制、そういうものを再確認し、再定義していこう、また、大統領みずから来日をして村山総理とともに日米共同宣言を発出する、そういう意味ではこれは極めて重大なことでありますし、そういう意味で「歴史的な」という、そういうアクセントをつけたわけであります。
  109. 岡田克也

    岡田委員 今私が読み上げた文章の中で、日本の防衛に日米同盟が重要である、これはいわば当たり前のことの確認だと思います。したがって、私は、「歴史的」という意味は、「アジア太平洋地域の平和と安定にとって」重要性を持つ、こういうことを認めたところに非常に大きな意義があるのではないか、こういうふうに思うわけでございますが、長官の御認識はいかがでしょうか。
  110. 衛藤征士郎

    衛藤国務大臣 確かに委員指摘のとおり、日米安保条約の中にうたわれている地域の安定と平和、そしてさらには、冷戦時代とは違いまして、冷戦崩壊後の大きな、北東アジアから総理の使うアジア・太平洋地域のことにまで、私どものこの日米安保体制が新しい平和の国際環境を構築する上で貢献していかねばならないという、そういうような強いインセンティブを持った表現、そういう意味でもあると思います。
  111. 岡田克也

    岡田委員 今の長官の御認識は私の認識と同じであります。まさしくそういう意味で歴史的な意義があるんだ、こう思うわけであります。  そこで、アメリカ国防省の「東アジア・太平洋安全保障戦略」、東アジア戦略レポートというふうに言われているようでありますが、この中にも、米国の国益にとって、アジアにおいてアジア地域の平和にコミットすることが必要不可欠である、こういう表現が出てまいります。これも同じような脈絡でとらえることができるかと思います。簡単に言えば、安保条約に基づいて米軍が日本に存在をしている、そしてそのことがアジア・太平洋の平和のために非常に意義を持っている、あるいは積極的に、アジア・太平洋地域の平和、安定のために、日米条約に基づく米軍というものの存在が評価されなければいけない、こういうことだと思うのです。もし、どこでも結構なのでありますが、例えば南アジア地域で何か具体的な紛争が起きたときに、米軍がそれに介入をする、こういうことは当然考えられると思うのですが、いかがでしょうか。そういう可能性はないというふうにお思いでしょうか。
  112. 折田正樹

    ○折田政府委員 東アジア戦略報告書の書き方でございますが、私の方からちょっと御説明させていただきますと、今委員指摘のように、アメリカにとってアジアにコミットすることは不可欠であるという趣旨の表現で記述がございます。この趣旨は、アジアにおける米国の前方展開戦力は、米国の同盟国に対する侵略の抑止を支援し、同地域の国々の政治経済的発展に貢献したというふうにもなっておりまして、地域諸国に対するアメリカのコミットメント、それからこれに基づきます前方展開戦力は、まず第一義的には、地域におきます侵略や紛争を未然に防止する抑止力として機能することが期待されているということでございます。  では、現に紛争が発生したらどうかということでございますけれども、米軍がいかなる行動をとるかにつきましては、アメリカの国防政策なりそれぞれ関係諸国との安全保障上の諸取り決めがあるわけでございますので、それに従いまして適切な行動がとられるというふうに承知しているところでございます。
  113. 岡田克也

    岡田委員 もちろん、そういった紛争が発生した場合に、一義的には国連で紛争処理に当たる、当然のことだと思います。しかし、国連がうまく機能しないような場合に、今までの例から見て、アメリカ軍あるいは多国籍軍、いろいろな形でこういう紛争に介入をしていくということは当然あり得る話だ、少なくとも論理的にはあり得る話だ、こういうふうに思います。  そこで、仮に南アジア地域で紛争が起きた場合に、日本基地から在日米軍がそこに出ていく、こういうことは当然あり得ると思いますが、いかがでしょうか、大臣
  114. 河野洋平

    河野国務大臣 我が国から米軍が出ていくという、まさに議員がおっしゃる出ていくという言葉がなかなか微妙な言葉でございますが、日米安保条約について言えば、我が国基地を置く在日米軍の活動の範囲は、「極東」という一定の範囲を日米安保条約の六条に書いてございます。しかし、それはあくまで我が国基地として出撃するといいますか、そういうことであろうかと思います。  今議員が仮定の問題として提起をされました事柄、まさに一定の仮定の上に議論をするといたしますと、出ていくという表現はどういう意味を持つかということについて少し厳密に規定しなければならないというふうに思います。
  115. 岡田克也

    岡田委員 この点はいろいろ長い歴史のある議論でありまして、かつてベトナム戦争の時代に、日本基地から米軍が出ていく場合に、フィリピンの例えはクラーク空軍基地を経由して行く、フィリピンは極東の範囲内に入る、そして、クラーク基地から先どこに行くかは日本は関知しない、こういう論理構成で今までベトナムの場合は容認していた、こういうふうに思うわけでありますが、こういう解釈といいますか、それはこれからも維持されるおつもりですか。
  116. 林暘

    ○林(暘)政府委員 長年にわたって御答弁してきた話でございますが、第六条で「極東」という文言が使われているわけでございますけれども、この極東という地域、これは、日本アメリカ基地を提供して、その基地の使用目的として、それが極東における国際の平和及び安全の維持に寄与する、その目的のために基地を提供しているのだということになっておるわけでございまして、日本にあります米軍が行う行動の範囲が必ずしも極東に限られているというわけではございませんで、安保国会の当時に、極東の周辺という言葉が、これは条約にはございませんけれどもありましたように、極東の周辺地域における状況が今申し上げました極東の平和に対して脅威になっている、ないしは極東の平和を脅かすことになっているという場合に、米軍がそこに行動範囲を延ばすということは否定をされていないわけでございます。  それともう一つは、日本基地から米軍が移動していく、それがインド洋であれ中東であれ、またベトナムであれ、移動していくということはこの安保条約上禁止をされていない。自由に行い得るということになっておるわけでございまして、米軍が移動するような場合、それから、日本基地基地として使って戦闘作戦行動をする場合、これは分けて考えなければいけないことになっていると思います。今先生が御指摘のような、どちらかというと日本基地を戦闘作戦行動の基地として使うということでいえば、第六条にありますように、極東の平和と安全の維持に寄与する目的のためにしか日本基地というのは使えないということであろうと思って、その点は変わらないというふうに我々は解しております。
  117. 岡田克也

    岡田委員 おとといですか、野坂官房長官が記者会見で、クリントン大統領に対して、日米安保条約の適用範囲を極東から拡大しないように首脳会談で求めるつもりである、こういうふうに言われたと聞くわけであります。恐らくクリントンさん、びっくりするだろうと思うのですね。お互い歴史的な場となる、歴史的な意義を有するという先ほどの防衛首脳の共同声明で、何が歴史的かといえば、この安保条約というものをアジア・太平洋地域全体の平和と繁栄のために使っていくのだ、そのところが歴史的だと言いながら、実際はこの安保条約は極東に限定したものですよというのは、そこに非常に大きな矛盾があると私は思うわけであります。その点について、防衛庁長官、何か御意見はありますでしょうか。
  118. 衛藤征士郎

    衛藤国務大臣 第六条にうたう極東条項というものは、これは限定されるものでありまして、結果として日米安保体制がアジア・太平洋地域の安定と平和に、そして国際秩序といいますか平和の環境整備にも貢献をしていく、私はこのように理解をしています。
  119. 岡田克也

    岡田委員 やはり相当かつての冷戦時代の安保条約の解釈、これしかなかったのかもしれませんが、私は、そろそろ現実に合わせて条約そのものを変えていく、そういう努力をすべきではないか、こんな気がいたします。  極東条項そのものはあっていいと思いますが、それ以外にもう一つ、例えばアジア・太平洋条項というものを置いて、そしてきちんとそれを安保条約の中に位置づけていく、こういうことがなければ、幾ら共同宣言や首脳会談で安保条約の再定義をしても、条文上それが出てこないということでは非常にわかりにくいわけであります。  しかも、私は、実害があるというふうに申し上げたいと思います。今のやり方では実害がある。それは、今の安保条約で、六条の問題であれば事前協議の対象になりますね。それでは、先ほど言いました、極東の範囲を超えてアジア・太平洋一般に米軍が出ていくときに、これは事前協議の対象になりますか。
  120. 林暘

    ○林(暘)政府委員 六条の事前協議の対象になりますのは、委員承知のとおり三つございまして、今御指摘の事項というのは恐らく戦闘作戦行動の部分だろうと思いますが、先ほど申し上げましたように、米軍が日本にあります基地を使います目的というのは、日本が攻められた場合にはもちろん日本の防衛のためにありますけれども、そうでない、日本以外の場合には、極東の平和と安全の維持のためでございます。それのために米軍が日本基地基地として戦闘作戦行動に出る場合には、当然のことながら事前協議の対象になります。
  121. 岡田克也

    岡田委員 今私が申し上げたのは、極東以外のアジア・太平洋地域で何らかの紛争が起きた、そこに米軍が出ていって介入をする、こういう場合に事前協議の対象になりますかということを質問いたしました。イエスかノーかでお答えいただきたいと思います。
  122. 林暘

    ○林(暘)政府委員 具体的にアジア・太平洋地域で何か事態が起こったときに米軍が出ていくという表現で事前協議の対象になるかどうかと言われると、非常にお答えしにくいわけでございますけれども、従来から御答弁申し上げておりますように、事前協議の対象になりますのは戦闘作戦行動に出ていく場合でございまして、戦闘作戦行動というのは、基地を立つときにいわゆる戦闘作戦のための命令を受けて出ていく、そういう行動で出ていく場合には事前協議の対象になります。  ただ、アジア・太平洋地域と申しますと非常に広い範囲でございまして、そこで何か事態が起こったときに、先ほどから御答弁申し上げておりますように、日米安保条約に言う極東の平和と安全の維持のために、ないしは極東の平和と安全が脅かされている事態になっているかどうかということも、当然のことながらその前段階として勘案をしなければいけない事態でございますし、そういう意味で、先生の御質問に一般論で概括的にお答えするのは非常に難しいわけでございまして、ケース・バイ・ケースで判断せざるを得ないというふうに思っております。
  123. 岡田克也

    岡田委員 それではもう少し端的にお聞きしますが、かつてベトナム戦争時に、日本基地からクラーク米軍基地を経て出撃した爆撃機について、これは事前協議の対象になっておりましたでしょうか。
  124. 林暘

    ○林(暘)政府委員 御指摘のような過去の状況において事前協議を受けた例はございません。
  125. 岡田克也

    岡田委員 そういった極端なケースでも事前協議の対象になっていなかったということですと、どこかを経由すれば、極東以外の地域で何か紛争が起こって米軍が介入するという場合にはほとんど事前協議の対象にならない、そういうふうに言わざるを得ないわけであります。そういうことになったときに、本当にそれでいいのか、こういう問題があるだろうと思います。  かつての冷戦時代であれば、日本アメリカの相手方といいますか共通の敵といいますか、そういうものがまだはっきりしていたと思うのです。ベトナム戦争はちょっと違う事例かもしれませんが、おおむねはっきりしていた。しかしこれから、冷戦が終わって、そして紛争の形態も多様なものが予想される、民族紛争、宗教紛争、その他いろいろある。そういう中で、日本の国益とアメリカの国益が一致するとは限らないという事態が必ず起こってまいります。  したがって、先ほど来のケースで米軍が日本基地から出ていくときに、やはり日本としてはノーと言わなければいかぬ場合があるかもしれない。その根拠が今ないわけであります。その事態について、外務大臣、どういうふうにお考えでしょうか。大臣にぜひお答えいただきたいのです。
  126. 林暘

    ○林(暘)政府委員 前段階にちょっと法的なことだけ申し上げさせていただきたいと思います。  一つはっきりさせておかなければいけないと思いますのは、極東の範囲であれば事前協議の対象になって、極東の範囲以外であれば事前協議の対象にならないということではございませんで、先ほどから申し上げておりますように、戦闘作戦行動に出ていく場合には事前協議の対象になる、戦闘作戦行動でない場合には事前協議の対象でないということでございまして、それは事前協議の対象になることが地理的範囲によって区別をされているということはございません。その点だけちょっと申し上げたいと思います。
  127. 河野洋平

    河野国務大臣 日米関係というものはでき得る限り緊密な連携をとりながら進まなければならないと思います。今委員は、日米で必ずしも共通の利害でない場合もあるかもしれないというお話がございました。あるいは、厳密に言えばそういうこともあるかもしれません。しかしながら、少なくとも、現在日米両国においては、共通の価値観を有しているということはお互いに認め合っているところでございます。  共通の価値観を持ち、そして緊密な連絡を常時とり合うことができる、そういう状況下で、私どもは、双方が考え得る判断というものはそう違わないものであろうというふうに思っております。つまり、そう対立したものにはならないのではないか。したがって、少なくとも現在の日米安保条約という、お互いが守るべき条約に基づいて、このルールのもとにきちんとした作業ができるであろうと思います。
  128. 岡田克也

    岡田委員 私も、アジア・太平洋地域において、日米が中心になってお互い協力しながらこの地域の平和と安定を図っていかなければいけない、そのことについては全く異論はございません。しかし、そのことはアメリカの行うことが一〇〇%正しいということでは決してないと私は思います。個々に見ていけば、アメリカの意思決定というものも我々から見て納得しがたいものも当然あるわけであります。そういうときに、我々として、アメリカに対して、あなたのやっていることはおかしいのではないかということをきちんと協議をするだけの根拠がなければ、結局それはアメリカの決めたことに盲目的に追従するにすぎないのではないか。  そういう意味で、私は、事前協議の対象というものをそういった極東に限らず、あるいは先ほど戦闘作戦行動と言われましたけれども、そういったものに限らず、もっと広げておく必要がある。そのためにも、安保条約の中の極東条項というものを拡大する必要があるのではないか。アジア・太平洋の平和のために安保条約が大事だ、それは歴史的なことであるというふうにおっしゃるのであれば、この際、当然条約もそれに合わせるべきではないか、このように考えているところでございます。もう一度御見解を聞きたいと思います。
  129. 河野洋平

    河野国務大臣 私は、今議員お話しの問題を余り安保条約とか軍事力に絞って考えてはいけないのではないかというふうに思います。アジア・太平洋におきましては、今日ではARFを初めとしてさまざまな、安全保障について論ずべきテーブルもございます。さらには、先般終わりましたAPECもそうでございますけれども、ASEAN拡大外相会議もそうでございますが、アメリカを含めて、アジアあるいはアジア周辺地域の問題についてお互い議論をする場がございます。そうしたマルチの場でも十分議論をしたらいいと思います。  確かに、それぞれの国は国益を持っておりますから、我々から見て少し出過ぎでないか、行き過ぎでないかという部分があれば、我々はそこで率直に指摘をしたらいいと思いますし、それが軍事行動をとるかどうかというところまで行って議論をするずっと以前に、ずっと以前というのは少し言い過ぎかもわかりませんが、そうしたことを未然に防止するというくらいの段階で、我々は率直に友人として忠告もするし問題提起をしたらいいという、日米関係というのはいわばそういう仲にならなければならぬと思っております。
  130. 岡田克也

    岡田委員 大臣の御答弁でありますけれども、今その安保条約の再定義の議論をしておりまして、しかも軍事行動を伴うような場合にどうしたらいいかという議論をしているわけであります。もちろん、そういうことにならないように最善の努力をするのは当然であります。しかし、そうなったときに、我が国として何も法的にあるいは条約上根拠がないという今の事態が本当にいいのだろうか、そういうものがないままにこれだけ広げていっていいのだろうか、そのことを問題提起をしているわけであります。  私は、あわせまして、安保条約についての期限の問題も指摘をしておきたいと思います。  現在のようなものではなくて、やはり明確に十年なら十年という期間をつくって、もちろんその後また延長していくことは可能でありますけれども、この十年間は安保条約は守っていくんだということをきちんとすべきではないか、こういうふうに思っております。これだけ日米安保条約がアジア・太平洋の平和のために重要である、こういうふうにおっしゃるのであれば、しかも日本の安全にとっても重要であるということであれば、余り不安定なものにせずに、きちんと長期間安定的なものにしておくべきではないか、このように思うわけでありますが、この点についても御意見を聞きたいと思います。
  131. 河野洋平

    河野国務大臣 安保条約の上での問題だという前段の御指摘がございました。したがって、それについてまず申し上げれば、まさに安保条約の再確認をしようというこの時期、我々は極東条項について変更をしなければならない大きな意義を今見つけておりません。現在の状況でも、十分にアジア・太平洋地域の平和と安定という点に意味のあることになっているというふうに思っております。  それから後段の、期限を設けてはどうかという御提言でございます。これはかってそうであったわけでございますけれども、もちろん、日米安保条約についてさまざまな議論、さまざまな意見があるのは当然ですし、あってそれは結構だと思います。ただ、私どもは、日米関係というものは期限を切って考えるものではなくて、むしろそうしたものを期限をつけずに十二分に、両国関係というものはお互いに不可欠の存在だというふうに考えていくべきものではないかというふうに考えております。  議員の御提案は、例えば十年なら十年といえばその十年間は非常に安定するではないか、そういう視点に立っての御提言で、それはその意味も私はわからないではございませんが、私は、むしろ両国関係というものはお互いに不可欠の存在になっている、したがって、いつまでというふうに期限を切るよりは一現行の方がよりよいのではないかというふうに考えております。
  132. 岡田克也

    岡田委員 なかなか厄介な安保条約でありますので、これをいじり出すともう収拾かつかなくなる、恐らくそういうお考えで政府の方は解釈その他でやっていこうということだと思いますが、日米安保条約がいかに重要であるかということを国民に理解させるためには、やはりそういった改正も含めて大いに議論をしていく、そのことは非常に大事ではないかというふうに思って提案をさせていただいた次第でございます。もちろん、そういう議論を本来すべきは国会の場でありますから、私ども自戒の念を込めて申し上げているわけでございます。  時間もなくなりましたので、最後に、沖縄基地の問題を一言申し上げたいと思います。  私ども新進党も沖縄基地の視察に行ってまいりまして、いかにこの問題が難しいかということを実感してまいりました。それから、先ほど上原先生お話にも出てまいりましたけれども在日米軍が四万七千人ということを前提にしたときに、もちろんいろいろやる余地はあっても、根本的な解決にはなかなかなっていかない、これは事実であります。  そこで私は、予定されております日米前脳会談におきまして一つの提案をしてはどうか、こういうふうに考えております。  その提案といいますのは、現在のこの四万七千人体制というものは、やはり現在の極東情勢ということを抜きにしては考えられないことだと思います。もっと端的に言ってしまえば、朝鮮半島に一定の安定がもたらされた場合には、在日米軍の中の海兵隊を中心ということになると思いますが、それを大幅に削減をする、こういう将来の約束を日米間でする、そのことを日米首脳会談で提案をされる。将来のことでありますけれども、そのことが沖縄の皆さんにとっても、将来基地が非常に整理されるという約束を与えることになる、このように思うわけでありますが、私の提案についての御意見を聞かせていただきたいと思います。
  133. 河野洋平

    河野国務大臣 四万七千人という体制について、これもまたアメリカアメリカでさまざまな角度から検討をして決めた数字であろうかと思いますが、それについて今議員は、特定の、つまり朝鮮半島なら朝鮮半島という特定の部分の状況が改善されればといいますか、こちらをこうするぞという提案をしてはどうかというお話でございますが、これらの問題、すなわち我が国の防衛という問題はあらゆる角度から総合的に検討をして出された結論であって、一カ所が改善をされたということで直ちにどこがどうなるということを今決定的な数字を挙げて提起をすることは難しいのではないか。難しいというのは、提起することが難しいというのではなくて、そういう判断を、この部分がこうなればこれだけ要らなくなるではないかという計算をすることは非常に難しいのではないかというふうに思うわけでございます。  これはいずれにせよ、我が国周辺にさまざまな要素があって、この部分がこうなれば今度はこっちがこうなるかもしれないとか、いろいろなことを考えた上での数字でございましょう。それらについて、もちろん我々は我々として主張すべきは主張していかなければならないと思いますが、今議員の御提案のように、ここがこうならこうという仕方の提案というものが果たして先方に対して説得力があるかどうかということをよく考えてみたいと思います。
  134. 岡田克也

    岡田委員 これで終わりますが、最後に私は、海兵隊というのは朝鮮半島を念頭に置いたものである、もちろん将来また新たな事態が発生する可能性もありますから、それでもう要らないということは断言できないと思いますが、朝鮮半島に安定的な状況が訪れれば海兵隊の存在というのは失われるであろう、こういうふうに思っております。  終わります。     〔神田委員長退席、宮里委員長着席〕
  135. 宮里松正

    ○宮里委員長 仲村正治君。
  136. 仲村正治

    ○仲村委員 戦後五十年にもなったというのに、沖縄には占領時代と変わらない状態で米軍基地が存在していることについて、沖縄県民はもう我慢ができない、何としても政府の責任において整理縮小を図るべしという怒りが爆発していることについて、我が新進党といたしましては、政治が即刻的確にこたえるのは当然であるという立場から、外務委員会安全保障委員会、沖特の連合審査を申し入れたわけでありますが、きょうこの連合審査会が開催されましたことをまず感謝申し上げたいと思います。  私は、まず衛藤防衛庁長官にお尋ねをいたしたいと思いますが、安全保障政策というのは独立国家存立の最も基本的な政策であります。防衛費を減らすのが正しい、あたかも正義であるというような見方を持つ方もおりますし、また、防衛費を削って福祉に回せという言い方をする人もおります。しかし私は、国家の安全、安定を守るというほど最高の福祉はない、こういう考え方を持っておる立場であります。  したがいまして、昨日、与党においては新防衛計画大綱決定されたということでありますが、その新防衛計画大綱と旧大綱の比較をまず防衛庁長官にお尋ねをしたいと思っております。
  137. 衛藤征士郎

    衛藤国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたが、前大綱における基盤的防衛力構想、これは基本的に踏襲をしております。そして、新大綱におきましては、前大綱と異なりますのは、冷戦後の国際社会における日米安全保障体制が、地域の平和と安定及びより安定した安全保障環境の構築の面で果たす役割につきまして特に再認識をいたしまして、この認識に立ちまして、日米防衛協力の成果を確認しながら、将来に向けての日米安全保障体制の意義及びその信頼性の向上を図る、そしてさらにこれを有効に機能させていくということを中心の取り組みとしております。  また、新防衛大綱におきましては、もちろん自衛隊の主たる任務である我が国の防衛に加えまして、一つは大規模災害等各種の事態への対応、そして、より安定した安全保障環境の構築への貢献、これをうたいとげておるわけであります。  以上のような考え方を踏まえまして、新大綱におきましては、現行の防衛力の規模及び機能について見直しを行いまして、その合理化・効率化・コンパクト化を一層進めるとともに、必要な機能の充実と防衛力の質的な向上を図ることによりまして、多様な事態に対して有効に対応し得る防衛力を構築する、このようになっております。
  138. 仲村正治

    ○仲村委員 この新防衛計画大綱をおまとめになるのに相当苦労されたようであります。これは、少なくとも昨年七月以前までは防衛問題については天と地ほどの差のある政党同士が一つになってこの新大綱をおまとめになるので、やはり結論を出すまでに相当議論があることはよくわかるわけでありますが、しかし、これは妥協したというものじゃないと私は見ております。  まず、非常に重要な部分の決定については先送りをした。そして、官房長官談話で発表する。野坂官房長官はいつまでも官房長官じゃないわけでありますので、こういうあいまいな形で、この重要な一国の独立国家存立の防衛計画大綱というものをまとめたということにはなってない。これから中期防の計画をされて、その中期防を具体化する予算をつけていくわけであります。このことについて、本当にこれできちんとこれからの十年間の防衛計画についてまとまったということが言えるのかどうか、もう一度。
  139. 衛藤征士郎

    衛藤国務大臣 いわゆる与党三党の合意というものがありますが、その合意の中に国の防衛、安全保障についての合意事項があります。当然、この日米安保体制を堅持する。もちろん、その前段にありますのは独立国家の固有の権利であります自衛権の行使、つまり専守防衛でありますが、それはしっかりと踏まえた上で、日米安保体制も堅持するということをしっかり合意した上で、我が国の防衛、安全保障についてお互いが共通認識に立って今回の新防衛大綱を決めた、こういうことでございます。この間もちろん、仲村委員指摘のとおり、各般のそして長時間にわたる議論等々を踏まえまして合意を見たものであります。  そして、今問題点となりましたことにつきましては、例えば核の究極的廃絶の問題であるとか、その文言の問題、しかしそれについては御案内のとおり、核のない世界に向けて云々ということで、それがしっかりと入っておりますし、また武器輸出三原則問題につきましても、官房長官の談話の中でそれをしっかりとうたい込むということで、その談話の内容そのものは、私は、我が国の従前どおりの防衛のレベルを損なうようなものではない、むしろそれは我が国の従前どおりの防衛のレベルをしっかり担保した内答である、このように思っております。  この新大綱にのっとりまして平成八年度からのいわゆる次期防衛力整備計画を作成するわけであります。大変厳しい財政事情の中ではありますが、今仲村委員指摘のとおり、国の防衛、安全は国家の存立の基本でありますから、そのことにつきましては国民各位のしっかりとした御理解と御協力のもとに、そして国会の与野党の諸先生方の御協力をいただきながら、この次期防につきましては、計画を立てたら計画のとおりに私どもとしてはこれを整備してまいりたい、このように考えております。
  140. 仲村正治

    ○仲村委員 これから私もよく勉強して、その中身についてぜひきちっとした議論を進めていきたいというふうに思っておりますけれども、ただ新聞報道を見る限りにおいて、独立国家として、何かアメリカ依存度が強くなる、日米安保条約におんぶされる形の防衛大綱になっているような感じがいたしますので、その点について私もこれからうんと研究していきたい、こういうふうに思っております。  ただ、私が申し上げたいのは、平成七年度の防衛費、そして平成八年度の概算要求、これを見ておりまして、教育訓練費やあるいは油代、そういったものが大きく切り込まれていっているということについて、これは自衛隊を集めて、訓練もしないでいざというときに対応できるものであるのかどうか。私は現場の声を聞きましても、これじゃもうやる気はありませんよ、こういうことを言っているわけであります。防衛庁長官は、防衛の担当大臣として本当に、平成七年度予算平成八年度の概算要求、これでしっかり我が国の防衛の業務、責任を果たしていける、こういうふうに自信を持って言えるかどうか、お答えいただきます。
  141. 衛藤征士郎

    衛藤国務大臣 平成七年度の補正予算の折にも、御案内のとおり、防衛庁といたしまして補正予算を要求し、約百十億円の補正予算をここに達成したわけでありますが、ただいま委員指摘のことにつきましては、大変厳しい財政状況の中ではあります。そして、シーリングという枠もございます。そういう中ではありますが、この厳しい状況の中にありましても、何としてでも平成八年度の所要の訓練等が達成できるように、そして予算が厳しい中ではありますが、満額獲得できるようにあらゆる手だてをいたしまして、私としてはその責任を果たしてまいりたい、このように思っております。
  142. 仲村正治

    ○仲村委員 昔から言われておりますように、百年兵を養うのは一朝のためである。やはり不測の事態に備えて、その日ごろの備えをしておくために防衛政策というのは必要であるし、そのための予算の確保というものが絶対これは必要なことであると思っておりますが、さっき申し上げたように、何となく防衛費を削れば選挙の票がふえる、こういう間違った国民認識を与えるということこそ、これは私は大変な問題だと思っております。したがいまして、衛藤防衛庁長官は、防衛政策責任者としてきちんとそこを内閣の中でも主張して、通らなければ腹を切るというぐらいの勇気がなければ、私はその責任は果たせないのじゃないかという気がしてなりません。  そこで、今回の新大綱の中で、陸海空人員削減をしていくということでありますが、その中で特に陸上の場合、十八万人から十四万五千人に減らすということでありますが、これはいつまでを予定してこれだけ三万五千人の定員削減をするという考え方か。また実際、今は十八万人定員といっても、それは満たされてないと私は思います。今どのくらいの定員で、もしこの十四万五千にすると、これはやはり募集を減らしていかなくてはならぬということになるわけでありますが、その点について説明をしていただきたいと思います。
  143. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 御指摘ございましたように、旧防衛大綱の別表では、自衛隊の定数が十八万人になってございました。今回の新防衛大綱では、編成定数十六万人、うち常備自衛官定員十四万五千人としているところでございます。  まず、数字的なところから先に申し上げますと、現在の陸上自衛隊の実人員約十五万一千人でございます。旧大綱の十八万人にしろ新大綱の編成定数十六万人にしろ、これは陸上自衛隊の部隊の編成の基礎となる定数でございますので、組織の改編、そういったものも全部ここに反映してくるわけでございます。  したがいまして、我々すぐにこの体制に移行するということはとてもできないと考えておりまして、八年度から実は中期防衛力整備計画を確定したいということで今政府部内で議論をしておりますけれども、仮にそういう五カ年計画ができるとすれば、こういった中期防衛力整備計画、いわば五カ年計画でございますけれども、そういったものが二回、三回という、そういうタームで編成定数への組織がえをしてまいりたいというふうに考えております。と同時に、即応予備自衛官の導入といったようなものを考慮しながら、現在の実員十五万一千人から、常備自衛官定員十四万五千人に徐々に削減をしていくということを考えているところでございます。
  144. 仲村正治

    ○仲村委員 次に、日米間の特別協定についてお尋ねをしたいと思います。  これは毎年毎年増額をしてきておるわけでありますが、今後、新協定ができて我が国の負担する金額がどういう形に変わっていくのか。現年度で千四百七十七億、そして皆さんは来年の概算要求では千四百八十八億を要求しているわけでありますけれども、今後新協定でどういうふうにその金額が変わっていくのか、説明をしていただきたいと思います。
  145. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 お答えいたします。  ちょっと手持ちの資料が二カ年度分しかございませんが、平成七年度は特別協定が千四百七十七億でございまして、現在概算要求しております金額が千四百八十七億でございます。それに先ほど御質問の新協定の追加分が出てまいりますが、これは現在細部については検討中でございますが、大体三十億から四十億ぐらい追加の見込みでございます。
  146. 仲村正治

    ○仲村委員 かつてアメリカはフィリピンにも基地を置いておったわけでありますが、フィリピンに基地を置きますと、それは向こうに使用料を払う。日本は、土地も政府が提供して、そういう形で光熱水費やらあるいは従業員の給料やら思いやり予算でどんどんつけてあげる。こんなありがたい話はないわけでありますので、これはフィリピンは取っ払って、日本に必要な基地を置くという考え方になるのは至極当然かなという考え方があります。  私が入手した資料からいたしますと、平成五年で九百九十四億円、平成六年で千二百三十四億円、平成七年で千四百七十七億円、八年の概算要求は、今おっしゃったように千四百八十八億円、七億円とおっしゃっていましたが。それが新協定で三十億から四十億追加をされる予定である、こういうお話でございます。  これは、アメリカがある意味我が国を守ってくれておりますので、このくらいの負担はいたし方ないのかなという気がするわけでありますが、しかし独自の防衛予算をどんどん削っていく、新協定アメリカにいろいろと金を出す。まるで湾岸戦争で金を出して、きついことはあなたたちでやってくださいというような形になりはしないのかなという気がするのですが、その点についてどうでしょうか、防衛庁長官
  147. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 御指摘のとおり、特別協定に伴う財政的な負担というものは、これは決して少なくないわけでございます。特に、現在の中期防の期間中、すなわち七年度に終わるこの五年間の間に新しい特別協定がございまして、そしてその負担が正直に申し上げましてかなり毎年ふえてまいりました。大体二百四十億円前後ふえてきたという経緯がございます。防衛関係費の一定のパイの中でそれがふえていくということは、大変苦しい予算編成を強いられたということは、これは率直に申し述べなければならないかと思います。  その中で、過去二年ほど、自衛隊訓練とか教育とか、そういった分野への予算の配分が必ずしも十分ではなかったといったような気持ちを我々は持っておりまして、八年度からはぜひそれを改善をしたいということで八年度の概算要求をしているところでございます。  今後とも、精強な自衛隊を育成していく、維持するという観点から、予算の配分面についても十分配慮してまいりたいと考えております。
  148. 仲村正治

    ○仲村委員 今私が申し上げたように、国内の防衛費は、社会党、自民党、いろいろと考え方が違いますので、社会党さんはそれは抑えていこう、削っていこうという考え方で、これは連立維持のためにはそれにおつき合いせぬといかぬというようなことだと私は思いますよ。  ただ、その陰で特別協定をどんどんふやしていく。私がさっき申し上げたように、これは湾岸戦争で金を出して、戦争は皆さんでやりなさいというふうな格好になりかねないわけであります。そういう点について、防衛庁長官からきちんとひとつ答弁をしていただきたいと思います。
  149. 衛藤征士郎

    衛藤国務大臣 防衛局長が答弁しましたが、防衛の同じパイの中で今委員指摘のようなことになりますれば、だんだんとそういう訓練費が圧縮されまして連動をしていく、いざ有事の事態に大変なことになる、こういうようなことを御心配されておりますが、そういうことにつきましても、十分そういうようなことを視野に入れましてこれからの防衛を考えていきたいと思っております。  なお、ホスト・ネーション・サポートがどんどんふえるということで御心配の向きもあろうかと思いますが、ことしの九月二十七日の、河野外務大臣、それから不肖私、防衛庁長官、さらにはクリストファー国務長官、ペリー国防長官、いわゆる2プラス2の会合におきましても、私の方からこの点について特に言及をいたしまして、米軍側のいわゆる節約とかあるいは合理化努力とか、そういうことについては配慮してほしい、我が国の財政事情は極めて厳しい、そういうことも申し上げたわけであります。  この点につきましては、私ども防衛庁といたしましても、米側に対しまして率直にこういう事情も説明申し上げ、また、事務方におきましても、長い間の積み上げの過程の中で、そのことについては非常に厳しくタフな交渉を積み上げてきたということも申し上げておきます。御指摘の件は十分考慮してまいりたいと思っています。
  150. 仲村正治

    ○仲村委員 我が国の安全保障は、まず日米安保条約を基軸にして進めているわけでありますが、私はいつも思うのです。日本防衛政策の中で、自衛隊が主であるのか従であるのか、あるいはまた駐留米軍が主であるのか従であるのか、こういうことをいつも思うのでありますが、これについて、どっちが主でどっちが従なんですか。
  151. 衛藤征士郎

    衛藤国務大臣 もちろん、我が国自衛隊が主であります。
  152. 仲村正治

    ○仲村委員 その点を私は、皆さんがきのうおまとめになった、この「日米安保強化を明記」というふうなことからいたしましても、今までは、不測の事態が発生した場合の立ち上がり対応は自衛隊がやる。しかし、最初から日米共同でやろうということに変わったということを考えますと、これはややもすると、我が国防衛政策というのは、何か独立国家だったのかなという気持ちを起こすわけであります。今おっしゃったように、自国の防衛はまず自国の自衛隊が主体となってやるんだということは、私は、これからの防衛計画の中でもきちんとそういう姿勢を貫いていただかなければならない、こういうふうに思っておるわけであります。  次に、この著しく過密偏在的に沖縄に設置された米軍基地沖縄県民は非常に苦しめられてきた。その在沖米軍基地我が国の防衛に果たしている役割は何ですか。同時に、その根拠は何ですか。沖縄に米軍基地があるという根拠は何ですか。
  153. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 米軍が日本に駐留しているという機能、(伸村委員沖縄にですよ」と呼ぶ)それは沖縄も含めまして、在日米軍の機能は、もちろん我が国の安全保障がまず第一でございます。それと同時に、安保条約の規定によりまして、極東の地域における平和と安定というものもございます。そして、それをベースにいたしましたところの我が国周辺地域の安定と平和という機能もあると孝之ております。  そして、我が国の中における在日米軍の配備につきましては、これは、いろいろな過去の条件のもとで沖縄に多くあるということは事実でございます。沖縄在日米軍基地が非常に集中しているという実態と、それから日米安全保障条約あるいは安保体制調整というものを図りながら、我々としても、その基地整理統合縮小にこれから十分努力してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  154. 仲村正治

    ○仲村委員 沖縄基地は、昭和二十年四月一日に上陸して、その占領状態の中でアメリカの意のままにつくられていったという背景があるわけであります。それも一応復帰して、日米安保条約の範囲であるという見方でそれが存在している、こういうふうに思っているわけでありますが、ただ、日米安保条約は、旧条約は昭和二十七年四月二十八日に発効していますね。新条約は昭和三十五年六月二十二日に発効しているわけです。  今申し上げたように、沖縄の米軍基地は、昭和二十年四月一日に上陸して、米軍の本土攻撃の出撃基地として建設が始まり、そして朝鮮動乱、ベトナム戦争への、いわゆる東西対決の対ソ連戦略基地として逐次これが建設されたのであって、その出発点は安保条約とは全く関係ない。沖縄県が安保条約適用地域になったのは昭和四十七年五月十五日であります。それ以前に今の状態の基地ができておったわけでありますので、安保条約のために沖縄基地がありますとか、その存在の法的根拠は日米安保条約でありますということは、これは通らない話だと私は思います。ただなし崩し的に追認されたというような話であって、だから沖縄県民が今、戦後五十年にもなろうというのに、いつまでこういう状態を我々に押しつけるのかという怒りが爆発しているわけであります。  そこで私は、防衛庁長官にお尋ねをいたしたいと思うのですが、ことしの二月二十七日に、アメリカは東アジア戦略構想というものを発表しております。最近では、沖縄基地をグローバルの視点から必要であるというようなことを言っております。アメリカが東アジア戦略構想を立てる、グローバルの戦略構想を立てるというのは、それはアメリカの勝手ですよ。しかし、日本に何の相談もなしに、沖縄基地を東アジア戦略構想のために必要だと、あるいはグローバルの戦略構想のために必要だと、これは通らない話ですよ。どうですか、防衛庁長官
  155. 衛藤征士郎

    衛藤国務大臣 日米安保条約という、いわゆる日米間の主体的な意思のもとに条約が成立をされて、その条約にのっとりまして在日米軍プレゼンス、またコミットメントしている、こういうことでございますのでありますから、その一つの、日米安保条約の、規制された安保体制の枠の中のいわゆる沖縄基地、そういうようなとらえ方をした。そこから、アメリカにおける太平洋・アジア地域における米軍のプレゼンスとかコミットメントとか、そういう前方展開の、ボトムアップの考え方が出てきておるものと、私はこのように見ておるわけであります。
  156. 仲村正治

    ○仲村委員 ですから、私が申し上げておりますのは、アメリカが東アジア戦略構想を立てる、あるいはグローバルの戦略構想を立てる、これはアメリカの勝手ですよ。ただ、沖縄基地がそのために必要だという考え方は、これは日米安保条約の枠を超える話なんです。それを我が国政府として、ああそうですか、わかりましたと言うわけにはいかぬじゃないかということをお尋ねしているわけであります。どうですか。
  157. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 まず、東アジア戦略報告についての御指摘でございますが、私たち、日米安保体制というものをある意味で重要なものであるというふうに認識の上で、日本アメリカの間で、特に我が国あるいは我が国周辺、もちろん極東も含まれるわけでございますけれども我が国周辺地域あるいはアジア・太平洋についての安全保障あるいは平和、安定といったものについては共通の利益を共有しているという認識のもとで、常日ごろから政策協議あるいは情報の交換をやっているところでございます。  したがいまして、この東アジア戦略報告につきましても、それ以前からございました米国のレポートで、ボトムアップ・レビューといったようなもの、そういったものが一つ二つございました。そういう時点から、我々としては、アジアに関する、もちろん日本を含むアジアに関する安全保障の問題につきましては、日米間の政府関係当局者でかなり突っ込んだ議論をしてまいりました。  したがいまして、この東アジア戦略報告につきましても、我々は、アメリカがある意味で勝手につくったものを持ってきたということではございませんで、それ以前から我々も十分協議をしながら、その中でアメリカがこういう報告を出したという認識でございます。  それから、その中でアメリカが、従来の、つまり東アジア戦略報告以前に出しておりました報告、これは東アジアにおける米軍のプレゼンスといいますか、若干の戦力の削減ということを計画しておりましたが、このアジア戦略報告で十万人体制といったようなものをアメリカの政策として出したわけでございます。そのことについても、我々日米間ではいろいろ議論はいたしました。  そして、我々もそれを是としてといいますか、そういう同じような政策判断のもと、日本としても日米安保体制のもとでその義務を果たしていかなければならない。その中で、我が国沖縄における米軍基地の問題が、沖縄県に非常に集中した格好で大きな問題となっているということで、我々としてもその基地施設、土地の整理統合縮小に向けまして、アメリカ政府とともに、それから沖縄県の話もよく聞いた上でこれに積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
  158. 仲村正治

    ○仲村委員 私は、基本的にアメリカ日本へのプレゼンスというのは、これは我が国の平和と安定にとっても非常に重要であるし、またその役割を果たしてきております。また、日本に米軍がプレゼンス、駐留するということは、近隣アジア諸国にも非常に安心感を与えるわけです。なぜか。やはり、過去にああいう間違いを起こした国であるので、アメリカに監視をしてもらいたいという気持ちが私は東南アジアの国々にはあると思うのです。そういう意味からは、私は、米軍が日本に駐留するということは、これは我が国にとっても周辺国にとっても非常にいいことだと思っているわけであります。  ただ、アメリカがつくった東アジア戦略報告というものを日米安保条約とリンクさせて、連動させて、これをアメリカが進めていくということを我が国が受け入れるということはあってはならない。それはアメリカがやるなら勝手ですよ。しかも、沖縄基地をその東アジア戦略構想の拠点にするような感じでこれは書かれております。これは二月の二十八日の新聞です。それを私たちは絶対に受け入れるわけにはいかぬということをしっかり――さっきの説明では、報告も聞きました、了としましたということでありますが、これはアメリカ計画はそれでいいかもしらぬけれども沖縄基地を想定してこれを立てるということはあってはならぬと思うんですが、ひとつ長官から。
  159. 衛藤征士郎

    衛藤国務大臣 御案内のとおり、日米安保体制、これは安保条約に規定されておりますが、とりわけ五条、六条、こういうことに思いをいたしますときに、往々にして片務性、こういうことがよく言われます。もちろん六条でホスト・ネーション・サポート等をしっかり担保しておる、基地の提供を担保しておるとはいえ、とはいえ、やはりアメリカ・サイドから見れば片務性が強いという認識もありましょう。  この五条、六条の規定、そして極東条項の規定の中におきまする日本がなすべきこと、それはある意味では憲法の範囲内ということで非常に枠がはまっておるという中で、御指摘のように、在日米軍の前方展開に対する考え方やプレゼンスやコミットメントについて、日本がもっとコミットしてイニシアチブをとっていくべきではないか、発言すべきじゃないか、こういうことをおっしゃっておられるわけであります。お気持ちはよくわかるのでありますが、この辺のところの一つの有限性といいますか限界といいますか、そういうものも感じておるということも否めないのじゃないか、私はこのように思っております。
  160. 仲村正治

    ○仲村委員 それじゃ、これはこれとして置いておいてもいいのですが、今起こっている基地の整理縮小要求はこれとは別個にちゃんとやるということは約束できますか。
  161. 衛藤征士郎

    衛藤国務大臣 この問題につきましては、政府として基地整理統合縮小に全力を挙げるということを閣議でもあるいは国会の場でも総理みずから御発言され、また関係閣僚もそういう発言をしてまいりました。この発言のとおり、沖縄基地問題解決に向けて一つ一つ解決するように全力を挙げると、それははっきり断言をしたいと思います。
  162. 仲村正治

    ○仲村委員 防衛庁長官へ最後の質問をしたいと思いますが、私は、先ほど予算の件で、教育訓練費これでいいのかということを申し上げました。阪神大震災における自衛隊の救助活動、これはまあ政府の初動態勢のまずさからいろいろと問題を起こした。しかし、自衛隊も立ち往生じたというような状態があったと思うのですね。そういう点について、防衛庁長官の立場から、あの阪神大震災において、せっかく自衛隊は大型自然災害に対応する役目を持っておきながら、果たして十分やったのかどうかという点について長官の方からお答えをいただきたいと思います。
  163. 衛藤征士郎

    衛藤国務大臣 一月十七日の阪神・淡路大震災、その直後におきまして大変混乱いたしました。最近になりましてだんだんとそのときの混乱の状況というものもわかってまいったわけでありまして、自衛隊が待機していた状況、また自衛隊が出動した状況、そしてまた現場に向かいますまでの交通渋滞に巻き込まれた、混乱があった状況、逐一わかってまいったわけでありますが、私は、一月十七日のあの段階におきまして精いっぱいの自衛隊としての対応をした、このように思います。  なお、これに向けてのいわゆる機材が災害対策用に十分であったかということについては、それは貨物運搬の面におきまして、ヘリコプターに搭載する機材の問題とかいろいろあったかもしれません。しかし私は、自衛隊としては、いろいろ今点検もしておりますが、精いっぱいのことをした、このように思っております。
  164. 仲村正治

    ○仲村委員 私は、何も自衛隊がしっかりした救助活動をやらなかったということじゃないわけですね。ただ、立ち往生じて十分な活動ができなかったという点については、私は、日ごろのやはり訓練というものをしっかりやっておかなければああいうことになるのかなという心配があって、この訓練費はこれでいいのかということを申し上げているわけであります。その点について、いついかなる不測の事態あるいは国内における自然災害などが起こっても、自衛隊がしっかりそれに対応できるように、日ごろの訓練というものは、やはり予算をつけなければそれはできないわけでありますので、そういう点についてはしっかりやっていただきたいと思います。  お待たせをいたしましたが、河野外務大臣に対する質問をさせていただきます。  先ほども衛藤防衛庁長官にお尋ねをしたわけでありますが、沖縄の米軍基地はどういう仕事をしているのか、あるいはまたどういう根拠に基づいて駐留しているのかということをお尋ねいたしました。それは安保条約を実行するためである、また、駐留する根拠は安保条約である、こういうことでありましたが、私が申し上げたように、これは占領時代につくられた基地を昭和四十七年五月十五日の復帰によって追認をした形であって、決して安保条約に基づいて基地がつくられたわけじゃないという点だけははっきりしておきたいと思いますが、これに間違いないですか。
  165. 河野洋平

    河野国務大臣 戦後、沖縄復帰以前から沖縄基地がつくられて存在しておったということは事実でございます。沖縄復帰に伴いまして幾つかの施設が整理をされ、若干の整理統合縮小が見られましたけれども、今日の沖縄基地というものは復帰以前からあそこに多く存在しておったということは御指摘のとおりでございます。
  166. 仲村正治

    ○仲村委員 そこで、私は外務大臣にお尋ねをしたいと思いますが、沖縄が復帰するに当たって、沖縄の米軍基地は核抜き本土並みでそのまま返還後も存在するということになっていたわけでありますが、沖縄の米軍基地は、その規模、その機能、そしてその運用、これは本土並みになっておりますでしょうか。
  167. 河野洋平

    河野国務大臣 何を指して本土並みと言うかはいろいろあると思います。先ほど私申し上げましたが、沖縄返還以来、本土にございます基地整理統合状況と、沖縄にございます基地整理統合状況を単純に比較をいたしますと、それはまことに遺憾ながら、沖縄整理統合状況は本土に比べて少ないということは言えると思います。
  168. 仲村正治

    ○仲村委員 今、河野外務大臣は、何を指して本土並みと言うのかというお話でありますが、それは皆さんが決めたわけですよ、返還協定で。それを私に聞くなんということはおかしな話だと思います。私は、その基地の規模、基地の機能、基地の運用について、決して本土並みにはなっていないということを指摘したいのであります。  まず、規模の面から申しますと、日本全国の面積は三十七万七千七百八十一平方キロです。沖縄県の面積は二千二百五十三平方キロです。これは全国の〇・六%しかありません。そういう狭隘な地域に全国の米軍基地の専用施設の七五%、沖縄に依然として存在するということは、これは本土並みと言えないのではないかと思いますが、どうですか。
  169. 河野洋平

    河野国務大臣 沖縄返還時におきまして核抜き本土並みというふうに称せられましたのは、本土と同様に沖縄には核は存在しない、それをもって核抜き本土並みというふうに称したという理解を私はいたしておりまして、その点では、沖縄におきましても、もちろん我が国全体、核兵器は存在しないという点において本土と同様であるというふうに私は考えておりました。
  170. 仲村正治

    ○仲村委員 そういうことじゃないですよ。核もない、規模の面も機能の面も運用の面も本土並みにするということだったと思うのですよ。こういうことで、七五%あるというのが、核もないから本土並じゃないかということが言えるのですか。
  171. 河野洋平

    河野国務大臣 したがいまして、私は、先ほど何を指して本土並みと言うかというのにはいろいろ言い方があるということを申し上げたわけでございまして、核抜き本土並みというふうに言った場合には、本土と同様に核は存在しないということであろうというふうに私は理解をいたしております。
  172. 仲村正治

    ○仲村委員 私は、親切丁寧に、日本全国の面積はこれだけあります、沖縄県はこれだけであります、そういう中に七五%の米軍基地があるというのは本土並みと言えますかというお尋ねをしたわけであります。  そこで、機能の面。  湾岸戦争があった、ソマリア内乱があった、そして嘉手納基地から出撃をする、那覇軍港から武器を積んで出る、これは安保条約で想定されていることですか。お答えください。
  173. 河野洋平

    河野国務大臣 安保条約に定められたルールというものはきちんと守られているというふうに考えております。
  174. 仲村正治

    ○仲村委員 先ほどの岡田議員の質問に対して、安保条約の適用区域は極東の地域、こういう説明でありました。湾岸戦争に、ソマリアに出撃する、那覇軍港から武器を積んで出る、これは安保条約の枠を超えていると私は思います。もう一回御答弁願います。
  175. 河野洋平

    河野国務大臣 繰り返して申し上げますが、私は、安保条約に定められたルールに従って安保条約は運用されているというふうに理解をいたしております。
  176. 仲村正治

    ○仲村委員 私は、こういう外務大臣の姿勢では、いつまでたっても沖縄県民がこの基地の重圧から逃れることはできない、本当にこういう怒りを覚えてなりません。安保条約の規定の枠を超えている、私はこのように強く指摘をしておきたいと思います。  もう一点、運用の面。  県民が生活道路、産業活動道路として使っている県道百四号線を越えて実弾射撃演習をする。それで、きょうの新聞にありますけれども、きのうから「在沖米海兵隊 空・陸強襲訓練を実施」。こういう形で、一〇四号線越えの実弾射撃演習はこの空陸強襲訓練と一緒に行っているのです。まるで戦場さながらの演習をやっているのですよ。本土のどこにこういう実態がありますか。これが安保の枠ですか。皆さんは、アメリカが勝手気ままなことをしているのに物言えない立場、こうしか僕には受け取れないのですが、どうですか。
  177. 河野洋平

    河野国務大臣 日米間で取り決められておりますルールが守られていないということであれば、私は、きちんとアメリカ側に物を言って改めてもらうようにいたしたいと思っております。
  178. 仲村正治

    ○仲村委員 私がさっきから申し上げておりますのは、復帰のときの核抜き本土並みというのは、核もないという状態ももちろんであります。それは規模の面でも、機能の面でも、運用の面でも本土と同じ状態でなければならないということだと思います。  私は、安保と関係なくつくられた米軍基地を無理して安保の枠におさめようとしたっておさまるものですか、はみ出しているのは事実じゃないですかと、いつもそれを言ってきたわけであります。今申し上げたように、もうアメリカは遠慮会釈なくこういうことをやっているのですよ。まるで戦場さながらだ。これを、安保の枠でありますから我慢してください、こういうことですか。
  179. 河野洋平

    河野国務大臣 先ほど議員がお尋ねの、我が国から、議員はソマリアほか幾つか名前をお挙げになりましたが、そうした状況といい、ただいま御指摘の問題といい、私どもは、安保条約に照らして一つ一つ、その条約の範囲内で行われることを確認をしているわけでございまして、それがもし条約からはみ出る、条約に違反するということであれば、我々はきちんとアメリカ側に対して物を言わなければならぬということは当然と思っておりますが、現在は、そうした状況というふうに聞いておりません。
  180. 仲村正治

    ○仲村委員 先ほど、沖縄の米軍基地ができた歴史的背景、これは安保条約と全く関係なくできたということはお認めになられました。そして、復帰前の基地の運用を相変わらず続けているというのが今の沖縄の実態であります。こういうことを皆さんは、安保条約の枠からはみ出てはいない、だから沖縄県民は我慢するしかない、こういう考え方ですか。
  181. 河野洋平

    河野国務大臣 私は、沖縄県民は我慢するしかないと申し上げているわけではございません。安保条約の約束事を外れていればこれはもちろんきちんとアメリカに対して言わなければなりません。  さらに、米軍の行動その他が沖縄県民の日常生活その他に大きな影響を与えているという状況も我々は沖縄県の皆様方からのお話で伺っておりますから、そうした問題について、我々は米軍に対して、つまり日米安保条約の目的というのは日本の国土の安全を保障する、日本の国を守るという目的を持っているわけでございますから、その目的を果たすということを前提に、県民の日常生活に対する悪い影響を取り除く、あるいは改善する努力というものはしていかなければならないというふうに考えております。沖縄県民の皆様方のお気持ちをでき得る限り体して、そうした問題の改善の努力はいたしているつもりでございます。
  182. 仲村正治

    ○仲村委員 まあ安保条約はとっておきましょう。  これだけ過密な基地の存在があるということは、これは道義的にどう見ても、政府はそのまま放置するわけにはいかないと思います。したがって、今そうあってはならぬと思っておるから、政府全体で整理縮小をやらぬとこれは県民が気の毒だという気持ちなんでしょう。もし安保条約上あれだけの基地日本のどこかになければいけないということであれば、これはぜひ国民全体で分担をしていただきたい、こういう気持ちですが、条約はとっておいて、本当に道義的にあのままの状態をいつまでも放置していいものかどうかということについて、お答えをいただきたいと思います。
  183. 河野洋平

    河野国務大臣 御指摘のとおり、在日米軍基地の七五%が一つの県に集中しているという状況、それによって県民が著しく日常生活その他に困難を来している状況というものは、私は決していい状況ではない、決していいという以上にこれはいい状況ではないというふうに私は思っております。
  184. 仲村正治

    ○仲村委員 そういうお気持ちであれば、今私は本当に怒りを込めて、アメリカ軍の勝手気ままなやり方に対してもう我慢ができないという気持ちで声を張り上げて申し上げておりますので、今外務大臣からその県民の気持ちにはこたえていきたいということであれば、ぜひひとつこれは政府で誠心誠意取り組んでいただきたい、こういうふうに思っております。  これだけ基地がありますので、どうしても、血気盛りの若い連中、特にマリーンの人は気が荒いのです。こういう人たちがたくさん駐留しておりますと、次から次、事件事故、いろいろ県民に不安を与えることが起こっているわけであります。何か話を聞きますと一千件、凶悪事件と言われるものだけでも五百件を超している、こういうことであります。  そのさなかに、九月四日にこの少女暴行事件が起こったわけであります。そのときに、いち早く大田沖縄県知事は政府、官邸と外務省に刑事訴訟手続の面の十七条五項の見直しをやるべきだという申し入れをしました。しかし、官房長官もその必要なし、外務省もその必要なし、非常に冷たいあしらいをされた。こういうことで県民は怒りが爆発して、あの十月二十一日の八万五千人を集めての抗議大会になったわけであります。  私は、国民の中には、これだけのことで、ささいなことでと思っている人が少なくないのかなと非常に悲しく思います。これは十月二十日の朝日新聞ですが、「ささいなことで日米間に紛争起こすな」、日商の稲葉台頭がこれを言っているわけです。そのぐらいしか認識はないのかな、私は本当に腹の底から怒りを感じてなりません。これは単にこれだけの問題ならこういう言葉が出てくるのも仕方がない。しかし、積もり積もってもう我慢ができない、堪忍袋の緒が切れた、こういうことだと思っております。  私は、十月二十一日の県民のあの大抗議集会のときに、これは第二のコザ暴動だというふうに話しました。昭和四十五年十二月二十日、今の沖縄市はコザ市と言っておったのです。そこで米軍が沖縄の婦人をはねた、交通事故、それをMPが事件の処理をしておった。適当に加害者の米兵を放免しようとした。取り巻いておった群衆が、何をするのかということでMPカーをひっくり返して火をつけた。だれからと呼びかけもないのに町じゅうの人が出てきて、町にある米軍の車全部焼いたんです。もうコザ市は火の海になったんです。これも単なるこの交通事故の不満じゃないんですよ。その年の九月に糸満で婦人が米軍の車にひき殺された。公務中だといって、この加害者が無罪になった。そして五月には前原高校で米軍に高校生が婦女暴行された。これもうやむやにされた。またもかという気持ちでこのコザ暴動に発展したわけであります。  この少女暴行事件もまさにこういう感じで、県民の積もり積もった怒りがもう我慢できないということで爆発したわけであります。それに対して米国は、クリントン大統領、ペリー国防長官などがいち早く謝罪表明をされた。しかし、我が国はそれらしきコメントもないということが県民の怒りを誘発し、そしてあの県民の怒りが、大田知事をして署名をするなというところに追い込んでいったわけであります。この経過について、外務大臣、ひとつ御所見を承りたいと思います。
  185. 河野洋平

    河野国務大臣 米兵によります少女暴行事件というのは、何とも痛ましい事件、私どもにとりましては信じがたい事件でございました。  この問題については、今議員からお話がありましたように、いち早くアメリカのモンデール大使は陳謝の言葉を述べられると同時に、アメリカにおきましても、ペリー国防長官、クリストファー国務長官、さらには大統領に至るまで、極めて丁重な御本人及び関係者に対するお見舞いの言葉を述べると同時に、陳謝の意向を表明されたことは議員指摘のとおりでございます。  私どもといたしましても、こうした事件が再び起こってはならない、そういう気持ちでアメリカ側に対して強く再発の防止を呼びかけてきたわけでございます。また、事件の全容を解明するために、犯人の身柄をできるだけ早く日本側に引き渡すことができるように、最も早い方法をとるべく地位協定の運用の改善について問題提起をいたしたわけでありますが、実態は、こうした運用の改善が日米間で合意される以前に犯人の身柄は起訴によって日本側に引き渡されたということが事実関係でございます。  私は、こうした問題が一日も早く、事件の解明と同時に、再発防止のための対応がより確かなものになるようにしていかなければならない、こう考えております。
  186. 仲村正治

    ○仲村委員 さっき上原康助議員の言葉にも出ておりましたが、どうも外務省はアメリカに対して弱腰であるというふうに、沖縄県民の一般的な世論になっているような感じです。そうでないという姿勢をきちんとこれからの河野大臣外交の中でぜひ私は示していただきたい、こういうことを申し上げておきたいと思います。  私は安保条約を認めております。そして、安保条約に基づく基地の提供義務、これは、契約拒否地主の土地は手続に従ってやはり強制収用して、我が国の提供義務を果たすべきだという気持ちです。しかし、これを大田知事はできません、こういうふうになっているわけですが、本当は九月の半ばころまで大田知事はやる気持ちを持っておったと私は見ております。しかし、この一連の問題が起こって、県民のあの怒りの中で署名をするわけにいかない立場に追い込まれたということもよくわかっていただきたい。  それと、今度拒否した理由はもう一つあります。前回も、平成三年の五月二十八日に、大田知事は公告・縦覧の実施を行うと表明されたわけでありますが、これも約一年近く知事は苦悶に苦悶を重ねて、その末、政府との間で話し合いがついてそれをおやりになることになったわけであります。その当時、自民党の現在の主要な立場におられる方が、県民が前から求めておったこの返還手続のあり方について、こういうふうな方法をとりますよ、まず予告期間を三年設けますよ、返還後も三年間は地料の補償をやりますよ、こういう条件でどうですかというふうに来ました。私は、これはもうちゃんと知っております。これは、いわゆる今の軍転法みたいな感じの話をなされたわけです。  知事は、そういうのも含めて、今二万八千人の地主の利益を守るか、百名の反戦地主のことを考えるのか、非常に苦労しているけれども、しかし私は二万八千人の地主の利益を守らなくてはならない、こういう立場から、それでは今後の基地の整理縮小政府が責任を持ってやるということを約束できますかという提案をした。  これに対して、当時の池田防衛庁長官、児玉防衛施設庁長官は、やります、責任持ってやります、そして十一省庁協議会もつくってこの中できちんと皆さんの要望を実施していきますという覚書をつくったわけです。二、三回はこの十一省庁協議会は開かれたかもしれませんけれども、後はナシのっぶてですよ。全く何にもやっていない。これに対する約束違反、不信感、こういうのが積もり積もって、今回の少女暴行事件も絡んで、知事はもうできないということになったわけであります。  防衛庁長官、この前回の池田防衛庁長官、まあ前任者のやったことですので、あなたがこれを答えるかどうかわかりませんけれども、こういうことがあってはならないと思いますが、どうですか。
  187. 衛藤征士郎

    衛藤国務大臣 御案内のとおり、今回新しい協議機関が二つできまして、防衛庁の中にも在日米軍基地全体を見る委員会も設置いたしました。そして、今までにあります三者協議会につきましても、これを補強しょうということになりました。三者協議会におきましていろいろな事案が取り上げられましても、そこで在沖米軍サイドがそれはだめだと言えば全く進まないというような状況、そういうような反省点も踏まえまして、今回三者協議会の活性化、そして新しいハイレベルの協議機関、とりわけ政府沖縄県との間の協議機関ができました。こうしたしっかりしたスキームができたわけでありますから、このスキームを活用して、今御指摘にありましたことの反省は反省として、しっかりそれを踏まえて前に進んでまいりたい、私はこのように考えております。
  188. 仲村正治

    ○仲村委員 今防衛庁長官の御決意をお聞きいたしましたので、ぜひこれは約束していただくようにお願いを申し上げたいと思います。  現在の返還の手続は、まず日米合同委員会があって、その上に安全保障協議委員会決定をする、こういう手続になっておりますが、今回、沖縄における施設及び区域に関する特別行動委員会、SACOができて、その下に沖縄米軍基地問題協議会がつくられた。もう早速協議は始まっているわけであります。ぜひこれが実効性のある形でその作業が進んでいくように約束をお願い申し上げたい。私は、この十一省庁協議会のような形にならないように、この点を、これは外務大臣も特に重要な所管大臣でありますし、お二方からぜひ御決意をいただきたいと思います。
  189. 河野洋平

    河野国務大臣 今、防衛庁長官お答えをしたとおりでございます。  この問題については、村山総理はいろいろお話をして、沖縄県知事の心中察するに余りあるというふうにお考えになったようでございます。総理もまた過日、苦渋の決断をなさったわけでございますが、その以前から総理は、この問題については、自分としては最も重要な、我が内閣として重要な問題だと認識をして全力投球をする、こう言っておられるわけでございまして、とりわけ私ども関係閣僚としては最善を尽くしたい、こう考えております。
  190. 仲村正治

    ○仲村委員 ぜひこれは政府一体となって、私が声を張り上げて皆さんに申し上げておりますことは、もう我慢できない、いつまでこんな状態を僕らに我慢しなさいというのかということの、本当に込み上げる気持ちを申し上げているわけであります。  よく、全国の七五%、そして沖縄本島の二〇%、沖縄全体の一一%基地がある、こういうふうに言っておりますが、この基地の集中している市町村の状態を私は申し上げます。嘉手納町で八二・八%が基地なんです。金武町で五九・八、北谷町で五六・七、宜野座村で五一・五、読谷村四六・九、東村四二・二、沖縄市三六・八、宜野湾市三三・二、北中城一八・五、こういう形で、人間の住む場所がない、生産する場所がない、全くこういう状態で押し込められているわけです。だから彼らが、そういう地域に住んでいる人たちが、どれだけ不自由な思いをしているかということは申し上げるまでもない、説明の余地はないと私は思います。  そこで、たくさん返還要求出てくるでしょう。ただ私は、やはり実効性のある形にしないと、総論賛成、各論反対の返還要求であってはならない、こういうふうに思っております。そういう意味で、まず当面皆さんに実現をしていただきたいのは、この平成二年六月十九日に決定をした二十三事案のうちの残り部分、そしてこの三事案、そして軍転協から出されております十事案、これについてはすぐ協議を始めて、一、二年の間に結論が出せるようにしていただきたい。  この二十三事案の残り部分というのはアメリカがオーケーしているわけですから、なぜ前に進まないのか。これは例えばゴルフ場の移設条件がついております。移設を実現すれば金が出ます。今の防衛費の範囲では、これは余り急ぐと金がついてこない、だから事務当局は余り仕事をやらないわけです。これはアメリカはオーケーしているわけですから、皆さんが、よし、予算つける、やれと言えば、これは前に進みますよ。奥間レスト・センターでもそうなんですよ。  それから、軍転協から出されている十事案というのは、基地のごく一部分を返してください、ここは道路開発をします、地域の一体化を図ります、こんなものですよ。例えば浦添の水源水域五十メーター、これはあの五十八号線が混雑してどうにもならない、そこのバイパスをつくるために返してください、その地先の開発計画を進めます、こういうことなのです。北中城村の喜舎場地区から瑞慶覧地区に至る、あれは同じ村でありますけれども基地によって分割されているのです。分離分割されているので、その地域の一体化を図るためにここを道路開発をしますから返してください。金武のブルー・ビーチ、ギンバル、使ってないのですよ。ただ、米軍としては、いざというときにここはキャンプ・ハンセンへの進入路であるので握っておきたいわけです。しかし、金武町はほかの進入路は提供しますよと言っているのです。  こういうことを防衛施設庁に、あるいは外務省に、こういう形で毎回毎回陳情書に私は出ていると思うのですよ。果たしてアメリカにこの声が届いているのか疑問に思います。なぜか。ペリー国防長官は、こういった返還要求を聞いたことがない、こう言っているわけです。だから、政府も、これはアメリカに言いにくいのじゃないかという気持ちでたなざらしをしている嫌いがあります。  この今申し上げた二十三事案の残り部分、三事案、そして軍転協から今出ている部分。新たに出てくる分はこれからいろいろと市町村長や地主と調整をする作業が残っておりますので、そんなに簡単には出てこないと思うのです。この分だけでも私は早速手をつけてもらいたい、こういうことであります。
  191. 衛藤征士郎

    衛藤国務大臣 この問題につきましては二つの協議機関にしっかりと協議をいただき、そして十分なる協議の上、今御指摘いただきましたことにつきまして一つ一つ解決してまいりたい、かように考えております。もちろん、これにつきましては一定の期間を切って解決をする問題でもあります。  また、アメリカ・サイドが、沖縄の大田知事さんがワシントン等お訪ねしたときに、日本から全くそういう返還要求が出てない、こういうようなことを言及されましたが、私はそういうことはないと思います。那覇防衛施設局をして、返還する問題につきましては、今仲村委員指摘の過去のいわゆる事実が積み上がってきているわけでありますから、途中で、例えば三者協議会の場で問題があってそこでとか、いろいろあるのかもしれませんが、いずれにしても、我が方としては返還についての諸要求をしてきたということだけははっきり私もここで申し上げたいと思います。
  192. 仲村正治

    ○仲村委員 次に、地位協定の見直しについて、沖縄県から十項目についての見直し提起がなされております。私は、これが一挙に全部できるとは思っておりませんけれども、しかし最低限この分だけは見直してほしいという気持ちが込められておりますので、ぜひ真剣に検討していただきたい、こういうふうに思っております。  七五%の基地が、この赤く塗られた分がそうなんですよ。その中に沖縄県の空域、海域の制限。ごらんになってくださいよ。これは沖縄本島です。この青く塗られたところは訓練空域・海域なんです。その合間を縫って本土からの飛行機、あるいは離島への航空路。だから、南北大東の場合、この狭い地域からここへ行かなくてはいけない。これは三百七十キロありますよ。ここで積乱雲が発生したらもう欠航しかないのです。迂回できないわけです。だから、ここに、伊是名島に飛行場をつくろうとしても、この訓練空域の関係でこれはつくれない。だから、これをぜひ地位協定の見直しの中でやっていただきたい。本土のどこにこんなのがありますか。海も空も陸も、全部使えない。この海域が三土地区、空域が十五地区、こういうふうになっているということ。  ですから、まあ最低限私は、皆さんは十七条五項。については運用の面で当面改善を図ったということでありますけれども、しかし、これはぜひ本条を直していただきたい。そして、この空域、海域についても早目にこれが改定できるように努力していただきたいと思います。どうぞ大臣から。
  193. 河野洋平

    河野国務大臣 沖縄県民が日常生活の中でいろいろと御不自由、御不便に直面をしておられるというお話を伺いまして、十分理解をしたところでございます。こうした御不便、御不自由というものをどうやって解消することができるかということについて十分考えてみたいと思います。  先ほど議員は安保条約のことはこっちに置いてとおっしゃったので、私もあえて安保条約の目的云々という言葉はここでは使いません。そういうことはもう当然のこととして横に置きまして、日常生活にかかわる問題をどうすることが一番早く、あるいは実行可能な改善策であるかということについて十分検討してみたいと思います。
  194. 仲村正治

    ○仲村委員 この少女暴行事件が起こって即座に地位協定の見直しをお願いしたときに、これはできませんという政府の冷たい対応に非常にみんなが怒りを感じて、今こういう状態でもう我慢できぬということで、みんなで立ち上がっているわけです。この際、ぜひ誠意を持ってこれらの問題について、県民がどういう不自由な生活を強いられているのか真剣にひとつ検討していただいて、アメリカ側との話し合いをしていただきたい、そしてそれの要望にこたえていただきたい、こういうふうに思っておるわけであります。まあ、今回これだけ沖縄県民から、この際基地の整理縮小を責任を持ってやっていただきたいということの希望に対して、皆さんは、その協議機関も設置してやりましょう、こういう気持ちを持っておられるのは本当にありがたい、こういうふうに思っております。  ただ、今まで復帰後返された軍用地、これの跡地利用をするのに、早くて十年、長いのは二十年、まだ完成してないのもあります。平均して十四・五年かかっております。なぜそんなにのろのろやるのかということは、これは地籍も何も全部わからなくなっているのですよ。表土は全部削られて、コンクリートやアスファルトの状態になっているのです。来月は返しますよと言われて、今まで一カ月の予告期間、三カ月間の管理補償で、計四カ月間は返されてから地料をもらっているけれども、それを返されてから地籍確定をして、どういう使い方をしますかと地主間で話し合って、これを決めるのに四、五年かかるわけです。事業を策して完成するのに十四、五年、その間収入がなくなるわけです。地主は、終戦直後、財産という土地と職業の農業を一緒に取り上げられたのです。だから、いや応なしにこの土地から入ってくる賃貸料というのは生活の一部になっているわけですが、返されて、跡地利用して、使用収益が入るまで十四、五年もかかる。これでは大変だ。若いのはそれでもやりますよ。お年寄りは、これの地料を取ってあと人生終わればいいということで、返しましょうかと言われたら、待ってください、こういう感じになるわけです。これはどこに責任があるのか、やはり政府に責任があるわけであります。  だから、今回これだけ大がかりに皆さんが返還作業をやりますよということであれば、その地主の不安をきちんと取り除いていかなければこれは前に進みません。そのために、去る五月十九日に軍転法ができたわけです。しかし、あれは原案では予告三年、返還後三年を想定しておったわけでありますが、いろいろと与野党の話し合いの中で三年に値切られたわけです。私は、あれでは不十分だと思っております。この際政府は、五十年間政府の政策のために、国策のために犠牲になってもらったという立場から、この補償期間というのを変更してもらいたい、少なくとも原案の状態に戻していただきたい。  そして、市町村はこれだけの地域が返っできます。普通の下水道事業や公園事業や学校事業というのは自分の市町村財政の対応できる範囲でやっていいのです、毎年毎年。しかし、これだけ広大な軍用地が一挙に返っできますと、市町村はいや応なしにこれに対応しなければならない。これは市町村の財政は大変です、下水道も学校も公園も。よく最近の都市計画、区画整理では、本来の区画整理法で求めている三%という以上に公園をつくれと建設省は言うわけです。五%公園をつくれと。そうなると、勢いこれは地主の負担、市町村の負担になるわけです。その分についてぜひ補助率を上げてくれと十二条の中でうたってあるわけですよ。それも削られています。  だから、そういったものを返還作業が十分にスムーズに進むように、この受け入れ態勢を政府の責任でやっていただく必要がある。この問題について、沖縄の土地闘争が起こった後から、政府はこれをやらぬといかぬという新聞記事が何回か出てきています。私は、政府の中でそういう議論がなされていると思うのです。どうですか、防衛庁長官
  195. 衛藤征士郎

    衛藤国務大臣 本日の連合審査の場における仲村委員の御発言を大変重く受けとめております。  御案内のとおり、五月における軍転法の成立は議員立法をもって行われたものでございますが、事の重大さを思いますときに、決して政府が逃げるわけではありませんが、軍転法絡みのこの問題、あるいは与党三党の方で示唆、御提案をいただいておりますところの必要な財政措置等々、そういうことにつきましても十分な配慮がなされた提言でもあります。そういうことを重く受けとめまして、与党政府一体となりまして、こういう問題につきましても取り組みをしなければならない、このように思っております。
  196. 仲村正治

    ○仲村委員 今皆さんが誠意を持って返還作業を進めますということと、今申し上げたこととは表裏一体のものでなければこれは進みません。だから、ぜひ今防衛庁長官がおっしゃったような形で、受け入れやすいような方策をとっていただきたい、こういうように思います。  もう時間が迫っておりますけれども、非常に重要な問題が残っております。航空機騒音防止協定でありますが、さっき申し上げました嘉手納町、八五%基地があって、五十メートル先に海軍の駐機場があって、もう朝から晩まで時間の制限なしに二十四時間飛行機が飛んだりおりたりする。飛んだりおりたりだけだったらいいのです。タッチ・アンド・ゴーをしょっちゅうやっているのですよ。  宜野湾の普天間飛行場、これは町の真ん中にありますので、離発着帯の南北は騒音対策事業もやっていますが、あっちはマリーンですから、ヘリが飛ぶのです。ヘリは何もその離発着帯を飛ぶわけではない。ぐるぐる周辺回りますので、その横は防音対策事業の対象にならない。学校が八校あります。そういう状態の中に飛行場がある。  だから返還要求が出ておりますよ。出ておりますけれども、これは時間がかかると思います。だから、じゃ、返還するまで我慢しろというわけにはいきませんので、嘉手納あるいは普天間飛行場の騒音防止について、対策をきちんと厚木や横田みたいにやるべきである、こういうふうに思いますが、どうですか。
  197. 衛藤征士郎

    衛藤国務大臣 嘉手納また普天間の騒音防止につきましては、新しくできた新協議会の場でも検討させますし、また、具体的にはその幹事会でも技術的な問題等々踏み込んで検討させたいと思っております。
  198. 仲村正治

    ○仲村委員 ぜひこれは実現をしていただきたい。  高木沖縄開発庁長官、せっかくお見えになりましたが、もう時間でありますけれども、一問だけ質問をさせていただきます。  今私が九十分、この基地問題のお話をしてまいりました。もう私が申し上げなくても、所管大臣として十分地元の事情についてはおわかりのことだと思います。これがあるからということじゃないわけです。少なくとも、そのために社会資本整備がおくれている面が非常に多い。その点について、やはり三次振計を円滑に達成していくためには、その年度年度の予算の確保というのが一番大事であります。  そして、私がここで申し上げたいのは、確かに今まで一定の予算をつけていただいております。去年、一昨年のあのゼネコン汚職によって入札方法が変えられた。我々は改善されると思った。むしろ地元業者はそれに参加する機会が少なくなった。一体これはどういうことか。皆さんがせっかく地元の景気対策のためにということで予算をつけても、あしたは東京に還流するという状態。だからその点を、まず振計を円滑に達成するために予算の確保をしていただきたい、そして可能な限り地元企業に優先発注をするという姿勢を貫いていただきたいと思いますが、その点について御答弁をいただきたいと思います。
  199. 高木正明

    ○高木国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。  ただいまのお話は、私が八月八日に就任以来、事務当局を呼んで、沖縄開発の予算というのはやはり地域開発のために有効に使われなければいけないんだということをよく申し上げ、さらに私は北海道開発庁も担当しておりますから、やはり地元の業者がどのくらい受注できるのか、それがその地域にどれだけ還元されて潤いが出るのか、その辺はきちっと指摘をして、事務当局を呼びました。  それから、今の入札制度も変わりまして、確かに建設省が一律に出す千五百点を基準にした制度は、やはり北海道も沖縄もそれに相当するような企業は少ないわけでありますから、必然的に本州業者が入っていってしまう。そうすると、地元の業者が受注するチャンスがないじゃないかということを強く強調いたしまして、何とか改善をいたしなさいということを再三私は事務当局に申し上げております。  そうでなければ、せっかく沖縄開発のために予算を組んでおきながら、その開発予算というものが、地元の業者の受注にならなくて、その地域の開発にそぐわない点が出るとすれば、やはり何のための公共予算がということになるわけでありますから、その点は十分気をつけながら、なお一層事務当局に命じて、できるだけ今先生のおっしゃるような、地元の業者が少なくともある程度の技術を持って、ある程度の資格さえ持っていれば受注できるような、さらにまた、もし分割して発注できるなら分割をしながら、地元の中小企業の業者が受注できるようなそういう体制をとったらどうだということを申し上げてまいりました。  これからも、できる限り開発予算の使い方については注意をしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
  200. 仲村正治

    ○仲村委員 どうもありがとうございました。終わります。     〔宮里委員長退席、神田委員長着席〕
  201. 神田厚

    ○神田委員長 二見伸明君。
  202. 二見伸明

    ○二見委員 私は、当初予定しておりませんでしたが、新しい防衛大綱について若干承りたいと思います。  最初に、私の感想でございますけれども、きのうの夜策定された新防衛大綱というのは大変不思議な大綱だな。と申しますのは、基本的な重要な点は官房長官談話に譲ってしまったという、大変不思議な大綱だというふうに考えております。ですから、この大綱を議論するためには官房長官談話まで議論をしなきゃならぬのかなと思っております。  まず最初に承りますけれども、武器輸出三原則について、社会党は三原則維持ということを言われた。自民党はそれに反対された。これは新聞の報道でそうなっています。結局、大綱の中に武器三原則の問題は盛り込むことができずに官房長官談話で、「装備保技術面での幅広い相互交流の充実による日米安全保障体制の効果的運用との調和を図りつつ、」国際紛争の助長を回避するという基本理念を維持する。何を言っているかさっぱりわからぬ文面になりましたですね。  「装備・技術面での幅広い相互交流の充実による日米安全保障体制の効果的運用」。これは、実は中曽根内閣のときに、アメリカに対する武器技術供与は武器三原則の例外扱いをした。そして、今日までその方針が守られてきているのだけれども、今度のこの文面では、これは変えませんよということなのか。いや、やはり日米関係を考えれば、大幅か小幅かは別として、もう少し緩和をするのですよという意味合いなのか。これはどちらでしょうか。
  203. 衛藤征士郎

    衛藤国務大臣 これを防衛局長がいろいろと与党三党の意見等々も踏まえて取りまとめた経緯がありましたので、その経緯を防衛局長に説明はさせますが、武器輸出三原則は、これは防衛新大綱には盛り込みませんでしたが、この武器輸出三原則は基本的に堅持する、こういう立場に立ちまして、官房長官談話の中にこれを盛り込んだ、こういうことであります。
  204. 二見伸明

    ○二見委員 要するに、社会党の主張に沿ったという文になりますか。
  205. 衛藤征士郎

    衛藤国務大臣 私が聞き及ぶ限りには、むしろ自民党の主張に沿った、こういうことだと思います。
  206. 二見伸明

    ○二見委員 これは、社会党は、武器三原則を維持せよというふうに大綱に書け、こう主張した。自民党は、それはだめだと言った。そうすると、だから大綱に書けなかったけれども、武器三原則を維持するという社会党の主張を退けて、自民党の主張に近いものを官房長官談話で書いたというふうに理解してよろしいですか。あなたが今自民党の案だと言ったのだから。
  207. 衛藤征士郎

    衛藤国務大臣 これにつきましては、今申し上げましたとおり、大綱には載せない、しかし官房長官談話の中に盛り込む。その盛り込む文言につきましても、三党で十分協議をして合意をしたものを盛り込んだ。しかし、あえて言うならば、それは、官房長官談話の中に盛り込む文章等につきましては、合意は見ましたが自由民主党の主張というものがそこに貫かれておる、私はこのように理解をしております。
  208. 二見伸明

    ○二見委員 社会党の主張は退けられたというふうに理解してよろしいですか。
  209. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 与党の防衛調整会議大分長い間議論をいたしまして、私ずっと出席しておりましたので、若干その説明をさせていただきたいと思います。  本件につきましては二つの問題といいますか、まず防衛大綱に入れるかあるいはどうするかという一つの形式の問題がございました。これは、実は武器輸出三原則の問題につきまして、通産省が所管をしておりますので私が答弁するのが適当とは思いませんけれども政府といたしましては、防衛大綱は、これは八年度以降の防衛力整備計画大綱ということでございますので、この武器輸出三原則、これはある意味で貿易政策あるいは外国為替管理政策、憲法の問題も関係しておりますけれども、そういう観点でございますので、防衛大綱に入れるのはなじまないのではないかという考え方を一貫して政府としては持っておりました。  しかし、その武器輸出三原則は、これまでも長い国会での審議もございました。今回の、連立与党の中でこの武器輸出三原則の考え方というものを継承するということにつきましては、私の理解するところでは、自民党、社会党、新党さきがけ、すべてその点については認識が一致していたと理解しております。  そこで、それを形式として大綱に入れるのかどうするのかということで、これは一つの結論でございますけれども、官房長官談話でこの与党三党の合意したことを明確にしようということで、こういう文章が入ったところでございます。  なお、今大臣の方から発言がありました点につきまして、もちろんこの文章の中にそれぞれ各党の思いというものは込められていると思います。「装備・技術面での幅広い相互交流の充実による日米安全保障体制の効果的運用との調和を図りつつこというのは、主として自民党が主張したというふうに私も理解しております。
  210. 二見伸明

    ○二見委員 文言は三党で相談したのでしょうけれども結論は、その前に武器輸出三原則というのは、これをすべて外してしまえという政党はないと思うのです、要らないよと。我々もそんなこと考えていないし、与党も考えていない。問題は、今までのやり方をそのままいくのか、多少緩和したいといくのか、この問題でしょう、ここは。多少が、かなり大幅かは別として。ですから、これはどちらかだなと思うのですよ。  そうすると、防衛庁長官はこれは自民党の意見が取り入れられたのだということは、今までの武器輸出三原則よりはさらに緩和されたというか、考え方が緩やかになったというか、そういうふうに受けとめて私はよろしいのだろうというふうに思います。  その点では社会党の、今までの原則を維持せよという主張は官房長官談話では否定された、否定という言葉が厳しければちょっと軽視、軽く見られたのかなとか退けられたとか、そういうことになるのではないかなと思います。それは、総理大臣いないからこれ以上議論しょうがないけれども、私はそういうふうに理解をいたします。  もう一点伺います。  集団的自衛権については政府見解を変えないという官房長官談話が出ました。これは、なぜ談話でされたのですか。  先ほど、武器輸出三原則は貿易の問題もあって大綱になじまないという局長の話がありました。それをそのとおり受けとめたとしても、集団的自衛権の行使については、これはまさに防衛の基本にかかわる問題ですから、これは否定するとかあるいは検討するとかあるいは肯定的に認めるとか、何らかの明記があって私はいいのではないか。まさにこれは防衛哲学の基本になるものですから、それを官房長官談話で済ませたというのはどういうことでしょうか。
  211. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 これも防衛調整会議で議論がございましたので、ちょっと私の方から説明させていただきたい保と思います。  防衛計画の今度の大綱をごらんいただければおわかりいただけるかと思いますけれども、冒頭にも、「日本国憲法の下」というものが入っておりますし、いま一つ大きな論点として挙がりましたのは、三番目にございます「我が国の安全保障と防衛力の役割」というところの「我が国の安全保障と防衛の基本方針」というところで、実はこの集団的自衛権の問題も議論になったわけでございますが、ここも実は、書いてあるとおり、「日本国憲法の下」ということでございます。  したがいまして、我々政府側の理解としては、「日本国憲法の下」ということであれば、これまでの憲法の解釈、集団的自衛権に関する憲法の解釈というものは、当然のことながら政府決定する文章である以上、従来の姿勢を変えるものではないということで、あえて大綱に入れる性格のものではないのではないかということで、官房長官談話でそれを再度確認をしたというふうに理解をしているところでございます。
  212. 二見伸明

    ○二見委員 そうじゃないでしょうよ、それは。大綱の文章をそう読むなら、そのとおり書けばいいのだから。そう読めないから官房長官談話でもって、集団的自衛権は今までの解釈と変わらぬとわざわざつけ加えたのでしょう。それは、ここでそう書けないからでしょう。要するに、与党間でこの問題について意見の差がある。だから、「憲法の下」という漠然としたものでもってくくっておいて、この面倒くさい問題は当面は官房長官談話で逃げちまおうやということなんでしょう。どうですか。自民党が、例えば国防三部会では非常に自由にうたっているんだから、社会党はノーと言っているんだから、これは水と油ですからね。
  213. 衛藤征士郎

    衛藤国務大臣 結論から申しますと、この問題につきましては、このたびの新防衛大綱に盛るにはなじまない、こういうことで、あえて、御心配の向きもあろうということで、官房長官談話に盛らせていただいた。でありますから、官房長官談話も、「新「防衛大綱」においては、まず、日本国憲法の下にこれまで我が国がとってきた防衛の基本方針については、引き続き堅持する」「なお、集団的自衛権の行使のように我が国の憲法上許されないとされている事項について、従来の政府見解に何ら変更がないことは当然」であるということを盛らせていただいた、かように受けとめます。
  214. 二見伸明

    ○二見委員 防衛大綱になじまないのじゃなくて、結論が出なかったから防衛大綱に書けなかったというのが本当だと私は思いますよ。なじまなかったのじゃない。書けなかった。だから、書けなかったと言えばよくわかるのです。実は与党間でこれはいろいろな意見の相違があってまとまらなかったから官房長官談話で処理したんだと言えば、いい悪いは別としてなるほどな、そう思うと私は思いますよ。  すると、官房長官談話というのは拘束力はどうなりますか。村山内閣を拘束するのはわかる。他の内閣も拘束しますか。
  215. 衛藤征士郎

    衛藤国務大臣 当然、内閣の官房長官でありますから、官房長官談話はその内閣を代表する官房長官の談話であります。そういうことで御理解いただきたいと思います。
  216. 二見伸明

    ○二見委員 内閣が変われば、村山内閣が変われば、官房長官談話は変わった内閣を拘束はしませんね。今の村山内閣を拘束することは私は理解する。そうですね。
  217. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 前の防衛計画決定いたしましたときも官房長官談話というのは出ております。それから、中期防衛力整備計画というものを決定するときも官房長官談話というのは出ております。  したがいまして、我々の認識といたしましては、もちろん防衛計画とかあるいは中期防衛力整備計画、これは安全保障会議決定をし、そして閣議で決定をするという、これは非常に形式の高い、正式な、意思決定をはっきりとした政府の方針であるという認識でございますが、その中身について概要を述べ、その背景につき付言をし、そしてその決定に当たっての過程で問題になったことについて政府を代表して官房長官がそのときに談話として発表する。我々の認識としては、これは一体のものとして常に認識をしているということでございます。
  218. 二見伸明

    ○二見委員 冗談じゃありませんよ。自民党の内閣であれば、例えば総理がAさんからBさん、BさんからCさん、こういっても、自民党の内閣であれば自民党内閣のもとでの官房長官談話は後の内閣を拘束、これはわかります。政権がA党からB党に移ったときに、A党の官房長官談話がB党を拘束しますか。こんなことはありませんよ。あなたは今そう言ったんだから。拘束しないでしょう、これは。
  219. 衛藤征士郎

    衛藤国務大臣 私ども政府は連立三党の政府でありまして、その村山内閣の官房長官の談話でございます。この官房長官談話というのは極めて重いものである、このように私は理解をしております。
  220. 二見伸明

    ○二見委員 現内閣の防衛庁長官が重いと認識されるのは、それはいいですよ。我々は野党なんだから。我々が与党になった場合には、この官房長官の談話には拘束されませんね。防衛大綱に明記すればこれは拘束される率が非常に高いのですよ。その場合には新たに防衛大綱をつくり直さなければならない。明記してないということは、官房長官談話で処理したということは、政権が変われば変わるということなんだ。
  221. 衛藤征士郎

    衛藤国務大臣 この問題につきましては、野党の皆さんが政権をおとりになったときに新しい総理、そして官房長官が誕生するわけでありますから、その官房長官がどういう談話を発表するか、あるいはこの官房長官談話をどのように扱うか、それはそのときの政府のお考えだ、このように思っております。
  222. 二見伸明

    ○二見委員 それはそのとおりです。  ですから、自民党が単独内閣をつくったときでも、必ずしも官房長官談話には拘束されない。私は中身のいい悪いは言わないですよ、官房長官談話というのはそういうものだろうと。同じ政党が政権を続ける限りは官房長官の談話は拘束するけれども、政権を握る政党が変わった、例えば今、与党三党ですね、これが与党二党とか枠組みが変わっただけでも、それはそのとおり重視するかどうかはその内閣が決めることだけれども、これは拘束されるものではないというふうに私は理解すべきだというふうに思っています。それはそのとおりでよろしいですね。
  223. 衛藤征士郎

    衛藤国務大臣 連立三党なりあるいは連合政権なり、そのときの内閣あるいは政府がそういう問題についてはどうするかということを決めるわけですから、そのことについてまで私がこの立場で言及するのはいささか僭越だと思います。
  224. 二見伸明

    ○二見委員 外務大臣にちょっと伺いますけれども、やはりこの防衛大綱の中で国際情勢、これは外務大臣だと思うのですが、「依然として核戦力を含む大規模な軍事力が存在している中で、」云々とありますね。具体的な地域名が出てくるのは、「朝鮮半島における緊張が継続するなど不透明・不確実な要素が」云々、こうなっていますね。私、この情勢分析は間違っていると思いません。  それで、ちょっとお尋ねしたいのは中国です。私は、中国が直ちに日本を攻撃するなんて思っておりませんけれども、中国の軍事力の増強というのは日本の周辺における不安定要因の一つだというようなお考えはありますか。その点は、まあ中国は経済がどんどん伸びていますね、これからどうなるかわからぬけれども。その中で、中国の軍事力増強は不安定要因なのか、どうなんでしょう。
  225. 河野洋平

    河野国務大臣 中国であれどこであれ、バランスが崩れるということは一つの不安定要因と考えていいと思います。しかも、中国というあれだけ強大な国でございますから、その国に特別の意図があって行動をするということになれば、これは不安定要因というふうに考えられる、しても不思議ではないというふうに思うわけでございます。  もちろん、現在の中国が国際社会の中でよりよきパートナーとなってほしいと我々は念願しておりますし、現在の中国はそうした意図を持っておられるというふうに我々は考えております。
  226. 二見伸明

    ○二見委員 私も、中国が国際慣行、国際ルール、それを自分のものとして守っていく、すべての面で我々のいわゆる仲間として行動できる国になってもらうことが一番いいのだと思います。ただ、中国はそういう意味ではまだ国際社会での慣行を守るという、ちょっとなじみ薄いですわ。一日も早くそういう中国になってもらいたいというのは私も同じ気持ちです。  今、力のバランスが崩れると不安定要因だと言われましたね。中国はこれからも軍事力増強を続ける、核がありますからね、それはどうですか。やはり不安定要因として感ぜざるを得ないということになりますか。
  227. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 中国が自分の軍事力を自衛目的であるというふうに説明してきておることは御承知のとおりでございますが、中国の国防に関する透明性が十分とは言えないということもこれまた事実だろうと思います。我々としては、したがいまして、ASEAN地域フォーラムとか日中二国間の対話を通じて、安全保障分野における地域の相互理解促進のために中国に国防の透明性を高めてほしいと思っているわけであります。  中国にはいろいろな行動があることは委員がおっしゃられたとおりでございますが、ただ、一つの例を申し上げますと、七九年以来、経済発展を最大の課題として中国は来ているわけでございまして、改革・開放政策をその線に沿って推進してきている。ということは、その開放・改革政策が続くということでありますと、そのためには安定した国際環境が中国自身にとって必要をものになるという側面があるだろうと思います。  そういう目で見ますと、例えば国防面で主力装備が老朽化しておりまして、海空軍力を中心に特に湾岸戦争の後、近代化、核戦力の近代化、これを行っていることは明らかであろうと思うのですけれども、国内のインフレ基調とか予算の制約もありますので、その近代化は進むにしても漸進的なものであるだろうというふうに見ているというのが多くの国、多くの方々の意見ではないかと思うのでございます。  ただ、いずれにいたしましても、最初のところに戻りまして恐縮ですが、軍事力が自衛目的であるということについて信頼性が得られるような透明性の確保ということが、これから我々にとって大事だという認識は持っております。
  228. 二見伸明

    ○二見委員 もう一点、大綱の中のことについて伺いますけれども、「国際情勢」の中で、「しかしながら、同時に、二国間対話の拡大、地域的な安全保障への取組等、国家間の協調関係を深め、地域の安定を図ろうとする種々の動きがみられる。」私はこれはそのとおりだと思います。問題は、残念だなと思ったのは、だから、じゃ日本はこれにどういうふうに取り組んでいくのか。  例えば、「地域的な安全保障への取組」というのは、今ARFが始まりましたですね。これはある面ではOSCEみたいな、より信頼醸成的な役割を持ったものなんだろう。当面はそれでいいんだけれども、それだけでもって事足れりとするのか、あるいはもう少しここに、言葉にあるように「地域的な安全保障への取組」の中で別の角度からの、NATOとは言わないまでもそういうようなものも将来はイメージする必要があるのかどうか、そこら辺までこれは踏み込んでいるのか。  その場合に、今の個別的自衛権の範囲内であくまで取り組んでいくのか、もう一歩踏み出さなければならないことがあるのか、そこら辺までこの大綱の取り決めのときには議論されたのか、あるいはそこら辺のことまで見通されているのか、これはどうでしょう。
  229. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 新大綱の「Ⅲ 我が国の安全保障と防衛力の役割」の中の中段の見出しで、「防衛力の役割」というものが書いてございます。そして、「防衛力の役割」の中に、一つ我が国の防衛」という柱と、それから「大規模災害等各種の事態への対応」という柱と、もう一つ「より安定した安全保障環境の構築への貢献」という柱を立てでございます。  そして、「より安定した安全保障環境の構築への貢献」の二番目のパラグラフに「安全保障対話・防衛交流を引き続き推進し、我が国の周辺諸国を含む関係諸国との間の信頼関係の増進を図る。」と書いてございますが、これは我々の認識といたしましては、ASEAN地域フォーラム等での多国間対話、そういうものも当然念頭に置いておりますし、周辺諸国等との二国間対話も考えております。あるいは三国間であるといったような、東アジアのそういう多国間対話も念頭に置いているところでございます。こういったものが地域的な安保対話、協力関係諸国との信頼関係の増進によりまして「より安定した安全保障環境の構築への貢献」というものを考えているところでございます。  もう一点、その防衛大綱で見ていただきたいのは、今のやはり「Ⅲ」の中の中段の見出しで「日米安全保障体制」というところがございます。今私説明していたところの少し上の方になると思います、その記事ですと。  その「日米安全保障体制」というくだりの中に、それも最後のパラグラフでございますけれども、「また、このような日米安全保障体制を基調とする日米両国間の緊密な協力関係は、地域的な多国間の安全保障に関する対話・協力の推進や国際連合の諸活動への協力等、国際社会の平和と安定への我が国の積極的な取組に資するものである。」日米安保体制も、我が国の行うこういう地域的な多国間の安全保障に関する対話、協力の推進というものに資するものであるといったようなことで、現在アジアでは地域安保機構といったものについて議論はございますけれども、その実現性についてはなかなか見通しがたいという状況のもとで、まずは多国間であればARFのごとく地域安保対話、あるいは二国間、三国間、あるいは四カ国、五カ国、そういったところでとにかく対話を進めていく、あるいは防衛力、国防力についての透明性を高めていくというのがまず重要な第一歩ではないかということで考えているわけでございます。  なお、御質問のございました地域安保機構と例えば集団的自衛権の問題、そういう問題に絡むなという議論はいたしました。
  230. 衛藤征士郎

    衛藤国務大臣 今経緯を述べましたが、あくまでも政府といたしましては日米安保体制を中軸、中核としていわゆるバイラテラルの関係をしっかり踏まえまして、その周辺に他の諸国との緩やかなバイラテラルの関係、そういう全般的な関係、こういうふうに考えているということを申し上げたいと思います。
  231. 二見伸明

    ○二見委員 時間がもう二、三分しかありませんので。  それで、今局長が読まれたフレーズのところですね、これは何度もお尋ねしますけれども、「日米安全保障体制信頼性の向上を図り、これを有効に機能させていくために」ということでずらずらと並べていられますね。これは私、異存ありません。  実は、ことし二月の予算委員会のときに私はACSAの問題を議論した経緯があります。日米安保体制を円滑にするためにACSAというものもこれは大変大事なものではないか、防衛大綱の中に入ってないけれども。恐らく細かい問題はということで抜かれたのかもしれない。このACSAをどうされるか。  聞くところによると、日米共同訓練のときだけに限定してACSAを結ぼうとか、あるいはアメリカのPKO活動まで広げてもいいんじゃないかとかという議論があるようですね。だけれども、ACSAというのは本来的にはあれはまさに有事のときに機能すべきものなんだろうと私は思うんです。ただ、そこまで行くにはいろいろと国内で抵抗もあるだろうしということで、車でいえば路上運転みたいなもので、あるいはならし運転というのか、まずここまでというお考えで、この範囲内での日米共同訓練とかいうふうに考えておられるのかどうか。  また、それをされるとするならばどういうスケジュールでおやりになるのか、通常国会に出すのか出さないか、そこら辺も含めて。
  232. 衛藤征士郎

    衛藤国務大臣 ACSAにつきましては、あくまでも平時のACSAを考えておるわけでありまして、その基本は日米共同訓練ということでありました。この基本をしっかり踏まえまして、私ども、ACSAはこの新大綱におきましても日米安保体制の効果的な運用という文言で十分読み取れるわけでございます。  なお、今後のスケジュールの問題でございますが、私ども与党とも十分この調整をお願いをしながら今後の国会にACSAの法律案を考えていかねばならない、このように考えておるわけであります。
  233. 二見伸明

    ○二見委員 ちょうど時間ですので、終わります。     〔神田委員長退席、三原委員長着席〕
  234. 三原朝彦

    三原委員長 鹿野道彦君。
  235. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 最初に、今月の二十二日にボスニアの和平協議が合意に至ったというふうな報道がございました。本当によかったなと思っております。旧ユーゴのあの地域にも平和が訪れる可能性が出てきた。冷戦終結後最大の紛争地域というふうなことで、各国が重大な関心を持ちながら和平に向かって努力が進められてきたわけであります。  そういう中で、聞くところによりますと十二月中旬にいわゆる和平に向かっての執行会議、ロンドン会議というのでしょうか、イギリスのロンドンにおいて行われるというふうなことも予定されておるようでございます。その会議外務大臣は御出席の予定でしょうか。
  236. 河野洋平

    河野国務大臣 御指摘のロンドンで行われますボスニアの和平についての会議、恐らく四十カ国前後の国が集まってボスニアの和平そして今後のボスニアについて議論をするこの会議は、極めて重要な会議だという認識をいたしております。  ただ、私といたしましては、臨時国会開会中でございまして、これは国会での御了承というものがあくまでもその前提となるわけでございまして、国会の御了承をいただくかどうか、まずその前提として、私の気持ちといいますか腹を固めて国会に御了承をお願いするべく届け出をするかどうかを今検討しているところでございますが、いずれにしてもこの会議重要性というものは極めて重いものだという認識は持っております。
  237. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 私は、あの旧ユーゴの地域というのは、日本の国からは遠い国々だと思っております。しかし、日本の国としても世界の平和というふうなものに常に重大な関心を持っているというふうなこと、このことは各国が見ておるのですね。そういう意味で、過般イスラエルのラビン首相の葬儀に際しまして、外務大臣お疲れさまでございました、行かれたわけでございますが、なぜ総理大臣みずから行かれなかったのかという声もあることも事実であります。  そういうことも含めて、やはり日本の国があの旧ユーゴの地域のこれからの和平に向かって、その復興に向かって積極的な姿勢を示す、こういうことが私は日本外交のこれからの大事なポイントだと思うのですよ。そういう意味で、国会都合もあります、しかし、こうやって申し上げる限りは、外務大臣にぜひ行っていただきたいと私は思っておりますし、そして、そういうのはやはり政治家の決断だと思うのですよ。  外務大臣についても、私が行くというふうな決断をもう既にされておられることではないかと思っておったのですが、さらにその決意のほどをもう一度お聞かせいただきたいと思います。
  238. 河野洋平

    河野国務大臣 ボスニアの和平につきましては、ヨーロッパを中心としてコンタクトグループの方々が大変長い間努力をされ、なかなかうまくいかない、アメリカが最後に大変強い力、イニシアチブを発揮して和平の取りまとめに向かって努力をなさった。最終的にはテーブルを囲んで和平ができたということを私は非常に高く評価したい、大変うれしく思います。  しかし、問題はこれからだと思います。この和平を恒久的なものにする、そのためにはあの地域の経済的な復興というものも必要でございましょう。経済的などという以前の段階かもしれません。最も基礎的な問題についても考えなければならない。例えば難民の問題を初めとして、やらなければならないことはもう山のようにあるのだと思います。  これまで我が国はボスニアの和平に対して、例えば軍事力をもってこの和平に貢献するかといえば、これは我が国はそういうことはしないという態度をとってきた、これは当然のことでございます。しかしながら、あの戦火を逃れて国外に逃れ出た人たちのために、難民の方のために食糧の支援をするとか、いささか雨露をしのぐだけの施設をつくるということで支援をするとか、そういうことは考えてきたわけでございますが、恐らくここで和平ができ上がるということになれば、国際社会は一致してボスニアの復興のためにみんなが力を合わせようということになるだろうと思います。そういうときに我が国がどういう役割を果たすか、日本がどういう態度をとるかということを国際社会が見ている。と同時に、それは何といっても日本はこの和平にかかわってくるに違いない、それならば、これも日本に頼んでしまえ、あれも日本に頼んでしまえみたいなことになるかもしれない。  つまり、私の申し上げたいことは、かかわるなら最初からかかわって、我が国がやるべきこと、それから我が国の姿勢というものを世界に示し、我が国のなすべき復興に対する貢献というものをきちんとする必要があるだろう。そのスタートと言ってはどうかと思いますが、まず最初の極めて重要な会議という認識を持っております。  それならおまえ行ったらどうだと、こういう言い方は失礼ですが野党の外交最高責任者のあなたからそうおっしゃっていただくのは、私にとっては大変うれしいことでございます。やや恐る恐る国会の皆さんの御意向も伺いながら、私は、こうした問題についてかかわる必要のあることを御認識をいただきたい、こう思っていたところでございまして、各党それぞれ国会対策委員会もございますし、それぞれ党の機構、機関もございますから、そうしたところにも私の気持ちをお伝えを申し上げて、しかるべき時期に野党の皆さんにも御了承をいただくことがあるかもしれません。  私としては、今、ロンドンで行われます会議内容その他についてさらに目を凝らして精査しつつあるという状況でございます。
  239. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 私は、きょうの外務大臣の今の答弁は久しぶりに歯切れがいいな、こういうふうに感じました。本当にその認識ですよ、大事なのは。要するに、世界の平和のために日本が、最高首脳が集まったところには必ず河野外務大臣の顔が映る、村山さんが映る、これが大事なのですね。やはりそういうふうなところから日本の本当の信頼というふうなものが生まれてくると思うのですよ。  ですから、今回ぜひ出席をしていただいて、そしてその際は、いよいよ復興支援についての協力をどうするかというようないろいろな話が出ます。今外務大臣言われたとおりに、これをしてくれ、あれをしてくれというふうなことにこたえていくことも大事ですが、むしろ我々の国はこういうことをしたい、こういうことをする、これは責任を持つ、こういうふうな明確な考え方をお示しになられる、そういうふうな考え方をポケットに突っ込んで行かれるというふうなことはどうですか。もう一度。
  240. 河野洋平

    河野国務大臣 何か話がだんだん先へ先へと進むようでございますが、私としては、現在のボスニア和平の状況をじっとにらみながら、どうかこの和平は壊れないでくれ、恒久的な和平であってほしいという思いを持ちながら、これがきちんと固まって復興計画であの地につちの音が響くように、そう祈りたい気持ちでおるわけでございます。  そういう状況の中で、我が国として何の貢献ができるかということについては真剣に考えたいと思っております。
  241. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 そこで、きょうは連合審査というふうなことで、我が党からもそれぞれの立場で質疑をさせていただいていますが、APECにつきまして私から考え方をお聞きいたしたいと思います。  その前に、アメリカクリントン大統領、お越しになることができなかったということでありますが、先ほど自民党の鈴木議員の方からも、いっ来られるのか、このようなことで、来年の一月早々、二日、三日にどうかというふうな話もあったのではないか、それをいろいろな事情から断られたのではないかというようなことも云々言われておるわけでございますが、それについてもう一度、外務大臣、そのような事実があったのでございましょうか。
  242. 河野洋平

    河野国務大臣 御案内のとおり、今月二十日に村山・クリントン会談を東京で開く、国賓としてクリントン大統領をお迎えして東京で首脳会談を開くという予定にして、準備万端整えつつあったわけでございますが、御案内のようにアメリカ国内事情によって、最初は、大変な事情だけれども時間を短縮しても、日にちを短縮してでも行くと言っておられた大統領でございますが、最終的についに訪日断念ということになりました。我々は、断念ではなくてこれは延期ということでしょうねと念を押しましたら、先方からも、これは訪日延期であるということでございまして、このクリントン大統領の国賓としての訪日は目下延期されているという状況でございます。  この国賓としての訪日を私どもとしてはできる限り早期に実現したいというふうに考えておりますので、我が方からもそしてアメリカ側からも双方都合のいい時期、もっと厳密に言えば日にちと言ってもいいかもわかりませんが、いい場面をそれぞれが提示し合って、合意できる日にちを見つけているところでございます。残念ながら、まだ双方が一致する日にちが見つかりません。  先ほど議員お話しのように、先方から言ってきた日にち日本側が断ったのではないかという話があるというお話でございますが、これはまだ断るとか断らないとかという段階ではなくて、双方がそれぞれプロポーザルをしているという段階で、これはもうこの手の話、国賓として大統領日本にお迎えをするというときには双方都合のいいとき、双方都合のいい時期が一致したときにお迎えをするというのがこれはもう当然のことでございまして、今双方都合のいい日がまだ一致していない、見つからないという状況でございます。私どもとしてはできるだけ早く実現をしたい、こう考えております。
  243. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 今回のクリントン大統領日本の国に来られるというふうなことができなかった。本当に残念なことなんです。それは、我が国にとっても非常に大きな影響があるわけです。APEC十八カ国、十八年に一度の大阪会議でありますしね。  それで一つは、もちろん日米の新しい一つ関係というふうなものを両国首脳においてきちっとそこに明確に打ち出すというふうなことも、これはもう一つの重要なポイントですが、結局それぞれのアジアの国々、太平洋地域の国からすると、クリントンさんは来られるというふうなことだったんじゃないんですか、それが来られなくなったということは、日米関係というのはその程度だったのか、こんなふうに思われているかもしれない。  ですから、一刻も早く日米首脳が会われるというふうなことが大事。ところが、新聞報道等々では、一月は無理だな、そうすると四月か。こんなことになってきますと、本当に一体日米首脳会談というのはいつ行われるのか、こういうふうなことになってくるわけですね。  その場合に、よし、じゃここは村山総理がみずからアメリカに行って会ってこよう、こういうふうな考え方に立つということは、外務大臣、どうなんでしょうか、そういうお考えはお持ちになられませんか。
  244. 河野洋平

    河野国務大臣 ここ数年、日米両国首脳は、大体年に二回は会談を行うということになってきていると思います。一回はいずれかの国、もう一回はG7の折、そういうパターンがずっと続いてきたように私は思います。  ことしは、日米両国にとって戦後五十年という極めて意義のある年だ。それだけに、ことしはアメリカ大統領日本にお迎えをして日米首脳会談をやることが非常に意味があるというふうに私どもやや意気込んでおりまして、ことしの一月に村山総理がワシントンへ行って首脳会談をやり、次は東京でお目にかかりましょうと言ってこの東京での首脳会談の前ぶれをなさった。  それ以来総理は、もちろんハリファクスでもテーブルを同じくして議論をなさいました。そういうこともありまして、必ずしも日米両国首脳は、ここのところしばらく会ってないではないかということはないんです。そうではありませんが、今、鹿野議員おっしゃるように、来ると言っていたものが延期されている。まさに一部のマスメディアには、日本が軽視されているんではないか、国内問題を重要と考えて訪日を軽視したのではないかという一部の報道があったりいたしますだけに、私は、実態からいって、先ほど申し上げましたように、クリントン大統領は極めて日本訪問を重要視して、あれだけの状況の中を、日にちを削っても行くということを一度は決断をされたわけでございますから、決して日本訪問を軽く考えておられるということではない、これはそう考えてよろしいと思います。  これは、クリントン大統領が直接村山総理にかけてこられた電話の中でもそうしたことがきちんと語られておりますし、クリストファー国務長官と私とのやりとりにもそうした文言がございますし、あるいは、かわりにおいでになったゴア副大統領からも、くれぐれもそうしたことについてのアメリカ側の意図、考え方については説明をされておりますから、少しも日本が軽視されているということを考えることはないということははっきりいたしております。  しかしながら、延期されたままの首脳会談がいつまでも行われないということでいいかということになりますと、私どもとしては、やはり双方が一致する都合のいい一番早い時期にこの首脳会談は行ってほしいという気持ちが、私は外務大臣としてございます。  しかし、そこで、議員がおっしゃった、それじゃこちらから出かけていくかという、出かけていってでも首脳会談をやってはどうかという御提案でございますが、私はその可能性を全く排除はいたしませんが、しかし、少なくとも現在においてそうしたことは全く考えておりません。これは、アメリカ大統領日本を訪問することに非常な意味があるのであって、我々が一月にもワシントンヘ参りました、今度また参りますということよりは、アメリカ大統領訪日の時期を見つけるということが、少なくとも今我々の仕事はその一点にかかっているというふうに私は考えております。  確かに、アメリカは来年大統領選挙の年になります。候補者たらんとされる大統領日程というものは極めて厳しいものがあろうかと思いますが、しかし、それでもなお大統領は、日本訪問について極めて重要視しておられると伺っておりますし、我々としてはできるだけ早い時期に両国の一致点を、一致する日にちを見つけたい、今それだけを考えております。
  245. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 まさしく日米安保の再定義等々の問題、沖縄基地の問題も、どういうふうに日米簡において宣言されるのかというふうなことも多くの国民も重大な関心を持っておりますし、アジアの地域の国々も、日米間というふうなものがより充実した形でこれからもぜひその両国の関係を保っていってもらいたいというような、こういう考え方もあるわけですから、どうぞひとつ一刻も早く日米の首脳による会談をどうしたらできるだけ早い時期になされるかというふうなことを、あらゆる手段を講じて外務大臣としても努力をされるべきではないか、そして二十一世紀に向かっての新たな日米間の両国関係というふうなものを明確に内外に示していくことが何よりも大事だ、私はこんなふうに思いますので申し上げたところであります。  そこで、APECにおきましては、官僚の人たちも大変御労苦が多かったと思います。ボゴール宣言を受けまして、包括性とか同等性とか柔軟性とかWTOとの整合性とか無差別性とかいう、まあ非常に日本人的な、東洋的なというのでしょうか、自主性と協調というようなことでいろいろ取りまとめられた、そういう意味ではまことに大変であったと思います。取りまとめられるにおいて大変な腐心があったと思います。  しかし、いよいよ今度は来年に向かって行動指針から行動計画ということになるわけでありまして、大阪会議一つに取りまとめたものを今度は具体的にどうするかということが、それぞれ各国間において話し合いが行われていくわけであります。日本の国としても、そういう面において特に強力なるリーダーシップを発揮していかなければならないということにおきましては、いいかげんなものは出せない、こういうふうに思うのですが、来年に向かってのその行動計画に対する外務大臣の決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  246. 河野洋平

    河野国務大臣 APECにおきまして、皆様方にも大変御指導をいただきましたし御協力をいただきまして、どうやら橋本通産大臣とともに閣僚会議の議長を務めることができました。  閣僚会議で取りまとめましたもの、各国の合意によりまして取りまとめをすることができたわけですが、これについていろいろな議論があって、少し不明確ではないかとか、あるいはもう少し理想を掲げたきりっとしたものにできなかったのかとかいろいろ御指摘はございます。しかし、私は、見事に描いたものというよりは、実行が可能な、参加メンバーが実行することができるそういう合意をつくりたいということから、各メンバーの意見を十分伺いまして、最終的にああした取りまとめをしたわけでございます。  さて、そこで来年はいよいよフィリピンが議長国としてAPECをチェアするわけでありますが、ここで、今議員がおっしゃったように我が国は行動指針をつくりましたけれども、来年からは行動計画を持ち寄らなければなりません。我が国としても、前年の議長国といいますか、行動指針を取りまとめた当時の議長国として、責任のあると申しますか、議長国らしい行動計画を提出をするということがやはり注目されるだろうと思います。そしてまた、来年の議長国でございますフィリピンとともに、このAPECの行動が一歩、二歩と前進するように最大限の努力をしなければならないというふうに考えているところでございます。
  247. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 我が国としては、今外務大臣が申されたとおりに、率先していわゆる自主性を尊重する協調的な自由化の行動計画、こういうふうなことになるわけでありますから、産業的な面においてもあるいは就業面においても相当思い切った構造改革をやりますよということがやはり日本として求められると思うのですね。ただ単に今までの延長で出していけばいいということではなしに、そういう面の外務大臣の決意というものを私は聞かせていただきたかった、こういうことであります。  そこで、APECの三本柱というのは、自由化、円滑化、経済協力だと思いますが、今回いろいろな意味で確かに御労苦があったと思いますけれども、いま一つ具体的な提案に欠けておったのではないかと私は思うのです、率直に申し上げまして。  そこで、一つお聞きしますけれども、経済協力の面において数年間に百億程度のお金を日本は出しましょう、こういうふうな話でありますが、これは私はちょっと不満なのです。やはり、各国ももっと日本に対しては期待しておったと思うのです。一けた違うのではないですかという感じがするのですね。それは大蔵省から抵抗があったかもしれません。しかし外務大臣、そういうふうなものはやはり政治の決断だと思うのです。そういう意味で、確かにそれは貴重なお金ですけれども、やはりこの三本柱の一つの経済協力ということからするならば、APECというものに対して日本の意思表示をきちっとしていくという意味においてはもっと思い切った措置を講ずるべく提案があってよかったのではないかと私は思いますが、いかがでございましょうか。
  248. 河野洋平

    河野国務大臣 いわゆるPFPというものを我が国は提案をいたしまして、各国の理解と賛同を得たところでございます。余計なことを申し上げるようでございますけれども、APECがスタートをしたときにはまさにこの経済協力、技術協力というものからスタートをしたと言ってもいい。つまり、これはAPECのある意味では原点といいますか、初心ともいうべきものだろうと私は思っているわけでございまして、このPFPに多くの国の理解と賛同が得られたということは、私は大変うれしかったわけでございます。  そこで、言い出したのだからもう少ししっかりやれ、こういう御指摘であるかもしれませんが、私は、APECにおきます経済・技術協力というものは、一方的に援助国があって被援助国があるというものではなくて、それぞれがみずからの得手、自分が持つ長所を、それはもうそれぞれの国に長所もあればウイークポイントもあるわけですから、それは経済的な発展の度合いが進んでいる進んでいないにかかわらず、長所もありウイークポイントもある。そこで、長所をもってウイークポイントを持つ国に対して協力をするということが重要なのであって、ただ一直線に経済発展段階が進んだ国がそうでない国に対して支援をするということではない。むしろ、さまざまな組み合わせ、協力のためのコンビネーションはあってもいいというふうに考えておりまして、ただ、もちろん議員の御指摘の理解はできますけれども日本提示する金額の大きさだけが意味があるということだけではないというふうに私は思います。
  249. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 私もお金さえ出せばいい、お金を余計出せばいいということを申し上げているわけではないのです。今申し上げたAPECというものに対しての日本の取り組みという中においてどうあるべきかを考えた場合に、もう一つは世界の国という、APECの国々からするならば、求めておるところはちょっと単位が一つ違っておったのではないでしょうか、こういうふうなことを申し上げるのでありまして、その辺の判断、決断というものはやはり外務大臣が中心となってやるべきことでありますので、私はそういう意味で申し上げておるところなのです。ただお金を出せばいいとかいうことだけを申し上げているわけではないのです。総合的な判断の中で、やはりやるべきときにはきちっと思い切ってやっていく、そういうめり張りのきいた考え方を示していくことが今、日本の国に求められておるのではないか、こういう考え方から申し上げたわけであります。  それからもう一点ですが、こういうふうなせっかく大阪で貴重なAPECの会議が行われるならば、例えば具体的に、日本の開発銀行を第二のアジア開発銀行のように開放します、こういうふうな提言があってもよかったのではないでしょうか、そういう具体的な提言をお考えになりませんでしたでしょうか。
  250. 原口幸市

    ○原口政府委員 事実関係をちょっと申し上げさせていただきます。  要するに、ODAの機関ではないという考え方が大半の国にありまして、先ほど百億円の話をいたしましたけれども、開発銀行の話につきましては、事実の問題としてそういう考え方はございませんでした。  その背景には、今申しましたように、今やるべきことはむしろ貿易の自由化、投資の自由化というところが非常に強かったわけで、それを押して我が方としては三本柱の一つとして経済・技術協力を、ともかくそのバランスを回復するということで今回行動指針をつくったというところどまりであったということだと思います。
  251. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 ぜひ外務大臣、そういう具体的に日本としてどうするかというふうなことは、もちろん官僚の人たちがいろいろ知恵を出されますでしょうけれども、政治家河野外務大臣としてもやはり新しいそういう考え方を示していくというふうなことがあってほしかったな、こういうふうに思います。  そこで、今回の各国から来られた首脳との会談におきましても、必ずしも我が国との首脳会談におきまして連帯感というものがそこに生まれたかなという感じはいたしません。また、アジア的な価値観というふうなものがお互いに共通の認識を持ったかな、こんな感じもいたしません。やはりそういう意味では、APECはマルチの会議でありますけれども、もっとバイの、二国間の話し合いというふうなものがもっと積極的にあるべきだな、こう思うのです。  そういうことを考えながら、今後のAPECはどういう方向づけをしていくのかということを考えた場合に、一つの考え方として外務大臣、APECのEを取る、極端な言い方ですが、取るということは、経済問題ももちろんそこに含まれますが、安全保障の問題なり政治面の話も議論していくというふうな、そういう考え方を持ちませんか。
  252. 河野洋平

    河野国務大臣 Eを取るとおっしゃったのは、まさにアジア・パシフィック・エコノミーのEを取るという意味でおっしゃったのだと思いますが、まさにAPECは経済の場であるという前提でみんなが集まっているわけでございます。このAPECでは、まさに経済の問題について、そしてさらにそれは貿易と投資の自由化、円滑化を中心として延々として議論がなされているわけでございますが、他方、やはり何といってもあれだけ大勢の首脳が集まられれば、そこに二国間会談というものも当然行われるわけでございます。  時間的に、二日間、首脳の場合にはもう前の晩の夕食会を済ませて翌日一日でございますから、なかなか二国間、しかもその間にはAPECの首脳会談がございますから、なかなか当日はできません。(鹿野委員「日ごろのことを私は言っているのです」と呼ぶ)当日はできませんが、APECで連帯が生まれて日ごろ二国間会談が行われるということは、それはあり得ると思います。  それは、APECというよりは、例えばASEANの拡大外相会議とかASEANの会議とか、そういうことでも行われますし、私は、少なくとも一回会うよりは三回会う方が話は深化、深く進みますし、三回が五回になればさらに腹蔵なきいい話し合いができることは間違いがないわけでございますから、でき得る限りテーブルを挟んであるいは隣同士座って話し合うということは重要だと思います。  APECに限って申し上げれば、あれだけのメンバーが集まられましたが、私も大阪てたしか十四ぐらいの国とは二国間会談をいたしましたけれども、しかし、これは非常に限られた時間でございまして、十分意が尽くせたかということになりますと、全部は無理でございまして、その中の今どうしても話をしておかなければならない幾つかの国について少し時間をかけて話をしたところでございます。それで、話し合えば、経済の話だけではなくて政治あるいは安全保障の話、そういうものがおのずから出てくるということはあると私は思っております。
  253. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 私は、バイの話はお越しになったときの話じゃなしに、常日ごろもっと積極的に二国間の間のそれぞれの話し合い、率直なる考え方の意見交換なり、もっと交流を政治家同士やるべきではないか、そういうふうな趣旨で申し上げておるところなんです。  今申し上げたのは、結局、いろいろな意味でやはりこれからこのアジアもAPECの国も変わっていくわけです。そうしますと、例えば人材育成の問題なりあるいは環境の問題なり、あるいは資源の保全の問題なりエネルギーの問題なり、もちろんそういうふうな問題も取り上げていかなければならない、そういうふうなことの中で、当然どういうふうな二十一世紀の仕組みをつくっていくのか、二十一世紀において通ずるところの仕組みというふうなものなり取り組みをしていくのかということをやはり決めていかなければならない、そういうところにきちっと我が国も目的を置きながらこのAPECというものを考えていかなければならない。そうすると、そういう中には軍縮の問題も取り上げていこうかな、こういうふうなことがごく自然の流れではないかと思うのですね。ですから私は、どういうふうな方向づけの中でこのAPECというものを今後持っていこうとしているのか明確にしていくべきではないか、こんなことから申し上げておるところなんでございます。
  254. 河野洋平

    河野国務大臣 そこは、村山総理は非公式首脳会談の席上御提案をなさったわけですが、今日のAPECは先ほど申し上げましたように貿易・投資の自由化、円滑化あるいは経済・技術の協力という話をしておりますけれども、そうしたことと同時にと申しますか、二十一世紀の我々が生きていく世界を考えれば、エネルギーの問題は実に重要な問題ですよ、環境の問題は重要ですよ、人口の問題は重要でありますよ、食糧の問題が重要でございますよ、こういった点を指摘して、こうしたことをAPECでも考えていかなければならぬだろうというふうに、来るべき二十一世紀に我々が直面をするであろう課題について村山総理は提言をされました。  恐らくAPECは、来年のフィリピンが議長となる会議におきまして、一体これからのAPECはどういうふうにしていくかということについて少し突っ込んだ話がされると思います。それはつまり、シアトルのAPECの会合から三年間新規加入は待ってもらって内部の充実を図ろうといってモラトリアム、三年間のモラトリアムをかけてきた期限がここで切れて、来年のフィリピンにおきましては、このAPECメンバーを広げるのか広げないのか、広げるとすればどういうメンバーを仲間に入れるのかというような話も出てくることになると思うのです。それはまさに、APECが二十一世紀をにらんでどういう役割を果たすAPECなのか、APECはどういう二十一世紀を望んでいるのかというようなことを含めた議論が行われるに違いないというふうに私は考えます。
  255. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 いずれにしても、APECというのはASEAN地域フォーラムというふうなものと二本の柱、こう言っても過言ではないと思います。そういう中で、アジア地域、太平洋地域の発展を考えていく、こういうふうなことで安全を保っていくというふうなことでありますから、そういう認識と意識を持って二十一世紀というものを展望しながらAPEC問題に取り組んでいく、こういう姿勢をより明確にしていくべきだという観点から申し上げたわけであります。  そこで、ことしは国連の創設五十周年でございます。いろいろなところで国連はどうあるべきかというふうな議論が花盛りでありました。しかし、残念ながら国会において国連改革はどうあるべきかという議論が少なかったように思います。そこで、きょうは外務大臣と国連の今後のあり方について、いささか時間もありますので、外務大臣の考え方をお聞かせいただきたいと思うのです。  私は、この国連というふうなものを考えた場合に、日本人というのはすばらしいと思うのです。それは、国連というものは崇高なものだ、きちっと目的をわかっているのですね、日本人は。このような国民は数少ないと思います。これは非常に大事な貴重なことです。それだけにこの国連というふうなものをより機能するものにしていかなければならない、私はそう考えますが、どうですか、大臣
  256. 河野洋平

    河野国務大臣 国連発足当時、我が国は焼け野原、国際社会から支援を受けて経済復興に取り組む、敵国条項までついている中で、そういう状況であったわけです。その我が国が、五十年たった今、世界最大の援助国になるに至った。今度は、我が国はあのときのことを忘れずに、我が国は恵まれない国に対して支援をしていかなければならぬ、そういう思いを心の中に持っていかなければならないと思うのです。  そうしたことを考えながら、我々は国際社会の中で最も普遍的な、唯一のといいますか、国連という組織をより活性化させ、だれが見ても納得のいく運営がなされるというものにしていかなければならないという気持ちを持っております。  ところが、今国連が直面している最大の課題、最も緊急かつ最大の課題は財政問題、残念ながら財政問題だというふうにガリ事務総長は言っておられます。当面の問題と同時に、国連が、先ほど申し上げましたように効果的な活動ができるようにきちんとした正統性を持つ、そしてまた機能が発揮できる国連にするというためには国連の改革が必要であろうと思います。  そうしたことを含めて、我が国も国連改革に大いに、その議論に参加をすると同時に役立たなければならぬというふうに思います。
  257. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 私は、その財政問題の前に、国連改革の基本というふうなものは二つあると思うのですよ。それはいわゆる効率性、要するに決めたことがきちっと実行に移されているかどうかということです。もう一つは正統性です。それぞれの国の考え方、そういう代表権というふうなものがどれだけ反映しているかというふうなことだと思います。  ところが、これは相矛盾するのです。それだけに、国連はどうあるべきかというふうなことに対して、いわゆる国連改革に対しては答えがなかなか出にくいのです。しかし、先ほど申し上げましたとおりに、そういうふうな実態ではあるけれども日本人というのは本当に国連というものに対して大きな期待がある。そして、現実的に国連以外に平和維持機構がないわけでありますから、国連をどうやって機能させていくか、どうやってその国連をよりすばらしいものにしていくかということを考えた場合には、そういう限界を知りながら、現実を知りながらも理想を追い求めていく、それが日本人の役目だ、そのために思い切って支援をしていく、こういうふうな姿勢がさらに必要になってくるのではないか、こう私は思いますが、どうでしょうか。
  258. 河野洋平

    河野国務大臣 御指摘は理解できます。  国連もそうした意識を持っておりまして、つまり正統性をきちんとしなければならぬというさまざまな国からの発言を受けて、国連は正統性というものも考えて、とりわけ正統性の問題については安保理がその中心になるわけでございますけれども、安保理の改革などについて取り組んでいるわけですが、残念ながら少し時間がかかってきております。  我々としては、五十周年というこの年、五十年というこの時期を改革の年にしなければならぬということを言ってまいりましたけれども、ワーキンググループが大変な努力をされますけれども、依然としてまだ結論に到達はいたしておりません。  そういう議論をしながら、一方では、もう目に見えて財政的な逼迫というものは大変なことだというふうに今事務総長は深刻に受けとめておられるということを先ほど申し上げたわけでございまして、その財政問題はわかっているけれども、これをちょっとこっちによけて、本質の問題について議論をするのだと言えば、まさに正統性の問題であり、そして安保理とそれから経社理、この二つが今のような存在でいいのか。  つまり、余りに安保理に問題が偏重し過ぎているのではないか。もっと経社理を有効裏に活用して解決すべき問題も今の国際社会には少なくないという認識、そうしたことをどうやって、それでは具体的に経社理が問題解決に役立つような経社理になるかということについても議論をしていかなければならぬというふうに思います。
  259. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 この段階に来て、議論していかなければならないというふうなこと、あるいはガリ総長が言っているからということを私はお聞きしているわけじゃないわけです、大臣外務大臣としてどうあるべきかというふうな基本論をお聞きしているというふうなことであり、そして、例えば、では経社理についてどうあるべきかというふうなことの、そういう具体的な考え方をお聞きしているのです。  それでは、財政的な問題から私からお考えをお聞きしましょう。  今の国連の負担率、いわゆる国民所得というふうなものを一つの経済ベースにしながら負担が決まっている、こういうことであります。その中でも、国民所得というふうなものが世界の平均以下というふうなところにおいては割引率が最高八五%まで認められている。実態はこういうことなのですね。だから、何と中国というあの国が負担率は〇・七二%ですよ。経済的にももう大変な破綻を来しておるというメキシコが〇・七七%です。こういうふうなことについて外務大臣はどうお考えになりますか。
  260. 河野洋平

    河野国務大臣 私もその負担率には大いに問題があるというふうに考えております。ただ、この負担率につきましては、一概にどういうルールで決めればいいというわけにもいかないところがあるのだろうと思います。そこが国連の難しいところだろうと思います。  しかしながら、いずれにせよ、今グローバルに国際社会に関心を持ち、問題解決へのかかわり合いを持つことができる国は一体どこなのかというようなことも考えなければならないと思います。  また、少なくとも財政的に、委員からおっしゃればそれは余りに近視眼的な、当面の問題だというお話かもわかりませんけれども、少なくとも現実に今、分担金すら払えない、払わないという状況もあるわけで、そうしたことから、国連がやらなければならないことが今そうした資金状況ゆえにできないという問題をどうやって解決するかということもまた現実としてあるということを我々は承知しておりまして、こうした問題について、解決方法を見出す努力をしなければならぬと思っております。
  261. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 日本の国として、具体的に何かその負担率を変えていくなんという提案はしているのですか。簡潔にちょっと。
  262. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 国連の財政改革の一環としまして分担率の見直しの作業も行っているところでございまして、御指摘のとおり、現在の分担率はいろいろな要素をもって決められておりますけれども、もう少しそれを公平なものにできないであろうかということで、ことし既に議論が始められておりまして、現在なお、日本も積極的にその討議に参加して、分担率の見直し問題に取り組んでおるところでございます。
  263. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 例えば、常任理事国には少なくとも何%負担をしていただきますよというぐらいの具体的な提案はできないものなのでしょうか、大臣
  264. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 各国の分担率が現在のような数字に決まっておりますことは、いろいろな経緯がございます。したがいまして、分担率が低い国にとってみれば、そう簡単に自分のところを大幅に引き上げることは難しい問題であろうということも十分考慮をしなければいけないところでございます。  したがいまして、常任理事国であるから特定の比率を分担すべきであるといった考え方につきましては、国連という場に持っていって議論いたしますと、分担率が各国の財政経済状況と密接に関係しているということ、あるいは長年の経緯があるということから、簡単な問題でないこともまた事実でございます。
  265. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 全く何を答えられたかさっばりわからないのです。  財政的にもう大変ですよ大変ですよ、そういうふうな中で、国連というものがきちっと機能するようにしていかなければならない、こういうことにつきまして冒頭に私の考え方を申し上げましたが、そうすると、アメリカの国もおくれてますよ、その他の、ロシアの国も滞納してますよ、払えない国々もありますよ、ではどうするのかというふうなことについては、少なくとも、難しい難しいというふうなことを言っておったのでは、これは本当に破綻してしまいますよ。  やはり日本としても、難しいとはいえこう考えます、先ほど私申し上げたとおりに、常任理事国には三%少なくとも負担をしていただきます、そうあるべきですとか、あるいは五%負担をしていただく、そうあるべきですとかいうふうな具体的な提言をされていくべきではないかということを私は申し上げているわけです。  それでは、経済社会理事会につきまして先ほど河野大臣は、常任理事国、安保理の問題との絡みで、むしろそちらの方にいろいろウエートを置いていこう、こういう考え方を示されました。それはまことに結構なのです。大臣、本当に結構ですよ。これからはいよいよ人間開発問題、社会開発問題、非常に重要になってきます。だから経済社会理事会にもっとウエートを置いてやっていく、これが国連のあり方です、これはいいですよ。非常にいいことです。しかし、具体的にどういうふうにすれば経済社会理事会が機能するのですか。
  266. 河野洋平

    河野国務大臣 御承知のとおり、経社理は安保理と違いまして拘束力がございません。そしてさまざまな問題を、何といいますか、外郭団体とでも申しましょうか、外にあるものに依存するあるいは下請に出すといいますか、そういう形をとっております。そうしたことから、今日の経社理は勧告をするという程度の存在に、これは少し言葉が過ぎるかもわかりませんが、なってしまっていて、問題を解決するということになっていないということでございます。  こうした問題、もちろん私が、経社理が抱えるべき問題が今目的問題としてたくさんあるということを申しました。このたくさんある問題は、一概に一つのルールではかれないような問題ばかりでございます。つまり、極端なことを言うと、数字で数えられないような問題すら、今日、国際社会の中には問題があるわけでございます。  こうした問題をどういうふうに解決していくか。一つは、やはり予算の配分をそちらに大きく振り向けるということが必要でございましょう。WHOを初めとして、この世界保健機構その他、国際社会の健康でございますとかあるいは食糧問題でございますとか、そうした点にもっともっとウエートがかけられて、国際的なガイドラインをつくる、あるいはそのガイドラインがもっと強いものになっていくというのも一つの考え方であるかもしれません。そうした方向を模索するという時期に来ているのではないかというふうに私は思っているわけでございます。
  267. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 大臣予算をそちらの方に余計配分するというふうなことをおっしゃられましたけれども、先ほど言われたとおりに、現実的に財政的にどうするかというこのような状況の中で、はい、経済社会理事会の方に予算をどっとなどというふうなことは、現実的にどうやっていくかということを考えた場合に、私は難しいことだと思うのですね。それよりも、経済社会理事会がどうあるべきかというふうなことをまず考えていかなければならないと思うのですよ。  その場合に、一つの考え方として、先ほど拘束力を持たないからというふうなことをおっしゃられましたが、では、一つの構想として、大臣どう考えておられるかなかなかお考えを示されないものですから私からお聞きしますけれども、経済社会理事会を経済理事会と社会理事会に分けたらどうか。どう思われますか。
  268. 河野洋平

    河野国務大臣 分けることによってどういうメリットが生ずるのか、私にはまだイメージとして浮かんでまいりませんが、もしお考えがあれば、お示しいただけると大変幸せです。
  269. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 そういう考え方と、もう一つは、経済安保理というふうなものをつくったらどうか、こういうふうな考え方はもう大臣お聞きになられていると思いますが、それについてはどうお考えでございますか。  まあ首を振られておりますから申し上げますが、基本的に、どう形を変えてもそれはうまくいかないと私は思うのです。なぜかと言えば、まさしく外務大臣が一言言われた、拘束力を持たないから決めたことが実行に移されない、そこが、国連改革の基本は効率性と正統性相矛盾した中でのものだということを先ほども私は申し上げているわけです。  しかし、さはさりながら、少なくとも何とかしなければいかぬわけです。そうすれば、具体的に、今五十四カ国のそういう経済社会理事会をもっと詰めたらどうか、こんな提案、こういう考え方はお持ちになりませんでしょうか。
  270. 河野洋平

    河野国務大臣 安保理が非常に力を持っているのは、数が少なくて非常に決定が早いということが一つあるかと思います。  もちろん、全く、拘束力を持つとか持たないとかそういうことが、バックグラウンドは違いますけれども数が多い、したがってなかなか議論が収れんできない、結論が出しにくい、そういったことから、なかなか一つの意見にまとまらないということは一つあろうかと思います。  したがって、議員がおっしゃるように、小さくしていったらどうだというのは理論的にはわかります。しかし、現実的には不可能だろうと思います。
  271. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 まさにそこなんですね。理論的にはわかるというふうなお話でございましたが、確かに最初は数が少なかった。だんだんふえて五十四になった。しかし、絞ったとしても、では実際に絞り切れるのかというふうな問題。絞っても、それではそれだけ機能するようになるのかという保証もない。まさしくこれが現実だと思うのです。  そこで、では国連をどうするのかということを考えた場合に、やはり国連というものは安保理を中心として動いていくというふうなことなわけですね。そうすると、日本の国が本当にその安保理の中で常任理事国となって、真の、先ほど冒頭に申し上げた国連の崇高な理想に燃えながら、国民の理解の中で日本がその使命を果たしていくというような考え方、それを思い切ってもっと内外に示していくべきだ、そういうことになりはしませんか。
  272. 河野洋平

    河野国務大臣 昨年来、国連総会でも、一度ならず二度までも、多くの国が理解をされるならばその責任を負うつもりでありますということは申し上げているわけでございます。  まだまだ、我々は多くの国々の理解を得ることができるかどうか。そしてそれは、もう一つ日本がいいかどうかということと同時に、安保理の改革がどういう改革になるかということとは全く同じでございますから、安保理の改革がどういう形で進んでいくかということを、この安保理の改革を進めていくということがやはり必要なのだと思います。
  273. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 どうも外務大臣、歯切れが悪いようでございます。  一年前から外務大臣が至るところで、常任理事国に我が国はなる用意がある、用意がある、用意がある、こういうふうな表現を使われてきました。私は、用意がある、そういう消極的な姿勢ではなしにもっと積極的に、今るる私の基本的な考え方を申し上げた、常任理事国になることによって大きな使命を果たすことができるのではないか、こういうふうな意味からもっとなぜ積極的な姿勢を示すことができないのか。  残念ながら、ことしの九月の安保理の外相会議において本当に残念だったのですよ。このときに常任理事国の拡大というふうな言葉が入ればよかったなと思っているのです。入らなかった。それは単に、いわゆる安保理の拡大というふうなことで終わってしまっておる。これは一つの流れとして、村山政権が誕生してから常任理事国入りの姿勢があいまいになってきた、私はそういうことが影響していると思うのです。どう考えますか。
  274. 川島裕

    ○川島政府委員 ことしの九月に安保理メンバー十五カ国による外相会議がございまして、その際の議長声明のことを言及されておられるわけでございますが、これは実は安保理改革に関する言い方は、安保理改革に関する総会の作業部会がございまして、それの内容をそのまま書いだというのが実態でございます。  それで、安保理の拡大があるいは安保理常任理事国の増大がという差でございますけれども、これは、日本がどこまでその姿勢を打ち出すかどうかということもさることながら、もう少し複雑な事情がございます・  と申しますのは、この安保理の改革に関する作業部会で、日本とドイツが常任理事国というのはまあ当然だろうなという雰囲気を示す向きが多いわけでございますが、問題は、そのほかに各地域ごとに常任理事国にふさわしい国があるかなというような話になってくると、常任理事国になれそうな国よりも、それだけはとめたいという国の数の方がどうしても多くなるわけでございます。そういたしますと、目下の作業部会のやりとりは、ちょっと俗に言えば、あいつだけはさせまいという国の方がやや発言が強まるという状況でございまして、私どもとしては率直に言って心配をしております。  それで、そういう作業の中で、一般的な意見の開陳ではなくて、交渉のテーブルにどう座って、安保理の改革、具体的には常任理事国あるいは非常任理事国の数をどうするとかというところにどうやって持っていくかというのが、これからの非常に重要なやりとりだろうと思っております。  それにつきましては、村山総理が先般の五十周年の記念総会におきましても、改革の大枠に合意を得るために作業を進めて交渉の方向に移ろうということを演説で述べられたわけですけれども、これから来年の九月にかけて、五十周年総会でございますけれども、その辺のところを、作業が拡散しなくて収れんする方向にどうやって持っていくかというのは勝負だと思っておりますし、そこには全力を挙げたいと考えておる次第でございます。
  275. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 日本の明確なる考え方を示しているのですか。
  276. 川島裕

    ○川島政府委員 例えば安保理改革についての討議が行われた際には、とにかく今申しましたできるだけ早く交渉段階に入るべきであること、それから、そのために非公式協議を一層いろいろ活用するとか集中審議をやるとか、そういうことが一案ではないかということを訴えてきている次第でございます。  そして、それでは日本自身の姿勢についてはどうかということでございますれば、これは大臣から御答弁がございましたとおり、二度にわたって大臣の方から一般演説で表明したとおり、責任を果たす用意があるという立場でございます。
  277. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 会議を早くやるとかなんとかという話は、これは具体的な改革案ではないと思うのですよね、大臣、本当に。今申し上げたような具体的な考え方を、日本の国としてやはり示していくべきじゃないでしょうか。そういう姿勢を各国は期待しているのじゃないでしょうか。何が何だかわからない姿勢が信頼をだんだん失っていくというふうなことに私はなってきているのではないかと思うのですよ。  ですから、用意があるというのはどうもわからぬのです。なぜ、やりたい、やらなきゃならないというぐらいの気持ちを打ち出せないのでしょうか。どうなんですか、大臣
  278. 河野洋平

    河野国務大臣 我々には用意があるということを申し上げているわけでございます。  それで、もうほとんど多くの国が、安保理が改革をされるという状況になれば、まあ非常にざっくばらんに申し上げれば、あそことあそこはやはりメンバーになるだろうねということは、多くの国が大体納得をしているわけだろうと思います。  しかし、あそことあそこだけじゃ済まないよ、そうすると、ほかにどことどこかね、あるいは、どことどことどこかねという話になるわけです。そのときに、私は入るよ、ほかはどこでもいいよというわけにはまいりません、例えばの話ですが。例えば私が入ってあそこが入って、ほかにあそことあそことあそこじゃないかなどと言えば話はまとまらなくなるのじゃないかという議論もあって、ここは今それぞれが、言ってみれば、余り適当な言い方じゃないかもしれませんが、虚々実々にいろいろと打診をしてみたり、いろいろ言ってみたりしている、現場はそういう状況であろうと思うのです。  しかし一方、我々とすれば、今議員がおっしゃったように、安保理改革についての大筋は何かといえば、やはり正統性というものが重要であろうとかいうことについてはきちっと言っているわけです。ただ、その正統性が重要であろうということを言ったときに、その正統性というのはどこの国とどこの国かということを我々はまだ言っていない。それは今控えている方がいいという感じでいるわけです。
  279. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 大臣お話しになられると、ますますわからなくなります。あっちに気を使いこっちに気を使い、こうなったときにはこうなる、ああなったときにはああなるから、これでは何も進みません。  私が申し上げているのは、我が国として、日本としてどうあるべきか、国連の中においてどういう使命を果たしていくのか、責任を果たしていくのか、こういう基本的な中でこうあるべきだということを明確に示していくべきじゃないですかと。その場合に、先ほど申し上げましたとおりに、今日の国連というものは拘束力を持っているのは安保理である。そういう中で、常任理事国になって初めて、今日の段階ではいろいろな使命を果たすことができるのではないか、こういうふうなことを私は論理的に大臣に対して申し上げてきているところなんです。  何か常任理事国になって義務づけられるというふうなことがあるのでしょうか。
  280. 河野洋平

    河野国務大臣 安保理常任理事国になった、常任理事国になったために何か義務づけられるというようなことがあるとは考えておりません。
  281. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 ないわけですから。ないわけですよ。なぜもっと積極的になれないかということなんです。一四%も負担している。お金を出しているからというのじゃない。しかし、これだけの貴重な国民の税金を、国連というものが大事だということで出している限りは、国連をしっかりと立派なものにしていく、立派なものにしていきたい、これは政治家の役目じゃないでしょうか。それを、ただ単に三党合意があるからということですか、慎重にならざるを得ないということは、大臣
  282. 河野洋平

    河野国務大臣 それは、三党合意は極めて重要なものでございます。この三党合意を無視して何をするということは、私はするつもりはございません。  しかし、三党合意もきちっと我が国の果たすべき役割については書いているわけでございますから、私は、三党合意を背負って、国連の場で先般演説をさせていただいたわけでございます。
  283. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 なかなかかみ合わないわけです。しかし、もう何かこれ以上議論するのもむだだなと思うのです。全然、外務大臣の認識というふうなものと私どもは乖離がありますね。大臣の頭の中には、自由民主党という大政党の総裁をされた大政治家ですよ、やはり国家国民のために、世界のためにという意識が常にどこかにあってほしいですな。そのためにどうするかというふうな、そういう私どもが肌でひしひしと感ずるような答えを、日本の国の外務大臣でしょう、私はお聞きしたいのですね。何か一つの枠組みの中ではかりとらえての、そのようなことで私こうやって真剣に外務大臣と議論しているわけじゃないのですよ。  だから、例えば作業部会の報告にもありますが、安全保障というものはただ単に領土とか武器というふうなものに関することじゃない。経済的に幸せならどうか、これも安全保障だ。人権が守られているのかどうか、これも安全保障だな。環境がきちっと維持されているのかどうか、これも安全保障だな。そういう考え方があるならば、ではそういう問題を含めて安保理の方に、その議論をすること、あるいはいろいろと決議をすること、いろいろそういう権限を付与したらどうかというふうな考え方が出てきているのですがね。そういうふうなことも我々としては、日本の国としてはやっていこうじゃないかということも、一つの具体的な、現実的な国連改革に対する提案ではないかと思うのですが、どうですか、大臣
  284. 河野洋平

    河野国務大臣 きょうは大変御高説を拝聴いたしまして、私としても非常に得るところが多かったわけでございますが、他方、現場におります人間として、例えば、国連の作業部会我が国の人間を出していろいろ議論に参加をさせる、あるいは国連総会の折に我々も出かけていって各国の人たちと会って話をする、我々は我々の主張を展開する、それは当然のことでございますが、なかなかそう簡単にいかないのは、もう議員もよく御承知のとおりでございます。  少しでも今日の国連を改革して、国際社会のために機能する国連、そして素早く反応できるような国連になってほしいと心から願っておりますし、私はまた我が国がそうした国連の場で我が国としての貢献ができるようにならなければならぬということを考えて、微力でございますが、できる限り最大限の努力をいたしているところでございます。
  285. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 先ほど申し上げましたとおりに、国連以上の平和維持機構もないわけであります。そうすると、やはり国連を大事にしていくというふうなこと、そして同時に、私が今具体的な安全保障の考え方というふうなものを申し上げたということは、国連の使命というものはやはり貧困をなくすことだと私は思うのです。それが安定した世界をつくるということになるわけでありますから、そういう考え方で幾らでも、日本が積極的にそういう姿勢を示していけば理解を得ることができるし、そしてより国際貢献、世界の平和と安定のために、発展のためになし得ることができる、それが私は政治家の使命だと思うのですよ。  そういう意味で、私は、立派な河野外務大臣でありますから、きょうはどういうお考えを示していただくことができるか、お教えをいただくことができるか、こういうふうなことで議論を展開したわけですけれども、そういう点ではいささか残念に思うところでございますが、私の考え方をきょうは申し上げたわけであります。  そこで、でも、河野大臣もいいことを言っているのですよね。いいことを言っているという言い方は失礼なのですが、それは、過般、「新たな開発戦略の提唱」というふうなことを外務大臣なさいましたね。その中で、NGOの参加、要するにNGOの参加型の開発の推進、こういうふうなことを積極的に提案されているんですが、これ、いいことをおっしゃっていますよ。やはりこれからはNGO、これをどうやってよりいい方向に参加をしてもらうかというふうなことが非常に大事だと思いますが、予算の面なんかは相当お考えになっておられるんでしょうね。
  286. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 御指摘のとおり、国連の経済社会理事会あるいはこの理事会に関連する機関におきましては、NGOとの連携をとることがあらかじめ想定されております。日本からも幾つかのNGOが所定の手続をとりまして、国連の経済社会理事会関係会議等に参画しております。  私どもとしましては、特に経済社会理事会のいろいろな分野につきましては、日本のNGOもいろいろ貢献する余地もあるし、そうしたNGOもだんだん発展してきていると考えておりまして、今後とも引き続き、日本を含めてでございますけれども、NGOが経済社会理事会関係の討議に一層参画していくように努力してまいりたいと考えております。
  287. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 あとわずか時間がございますので、先ほど来から我が党の同僚議員沖縄基地日米安保等々につきまして質疑を行ったところでありますが、過般、私も沖縄に行ってまいりました。そこでいろいろと施設等々も視察をしてきたわけでありますが、日米合同委員会におきまして、整理統合案の二十三プラス三あるいは十八等といろいろ言われておりますが、そういうふうな考え方を打ち出すときには、地元の沖縄県の市町村の人たちと密接なる連携、連絡をとりながらそういう事案というふうなものをおつくりになられたんでしょうか。
  288. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 お答えします。  今の先生の御質問は、現在問題になっております二十三事案とか三事案の進め方についてだと理解しておりますが、例えば今回の、一つの例で御説明いたしますと、那覇港湾施設の移設等に関しまして、私ども日米合同委員会で承認をしておりますのが五月十一日でございますが、その際には、地元に対しては事前に御説明しているわけではございません。しかしながら、もちろん地元の意向等を十分踏まえながら私どもの方でそういう案をつくっていくわけでございます。  したがいまして、例えば那覇港湾の場合でも、五月十一日に私ども合同委員会で浦添の方に行くということを決めておりますが、その際沖縄県の方では、県知事さんからもコメントが出ておりまして、この件につきましては、県としては地元市町村等の意向や地元の開発計画、県全体の振興開発等にも配慮しながら、総合的な観点から検討してまいりたいというようなコメントをいただいておることからもおわかりいただけると思うのですが、事前に十分、県とか移設先の、移設可能性といいますか、そういうものについては十分検討した上で一応私どもは御提示を申し上げている、こういうことでございます。
  289. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 那覇軍港から浦添に移されるというふうなことの中で、具体的に浦添市の方に御相談を事前になされたんですか。
  290. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 お答えします。  事前に御相談をしたわけではございませんで、案ができた後に御説明に参ったというのが実態でございます。
  291. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 全部、それぞれの事案については、すべてまず先に案ありですか。
  292. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 そういうことではございませんで、今私が申し上げましたのは、例えば那覇港湾についてはこういう実情でございますということでございまして、もちろん、事前に地元の意向を十分酌んで、事前にある程度の内々の御了解を得ながら進める場合がほとんどでございますが、たまたまこの那覇港湾につきましてはそういう実態であるということでございます。
  293. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 これだけ沖縄基地整理統合縮小というものが議論されている中で、たまたまという言葉がございましたけれども、長官、どうですか、こういうことでいいんでしょうか。那覇軍港を浦添に移す、それが浦添の方に何の話もないんですよ。それはたまたまでしたというそのような認識、うまくいきますか。どうですか、長官。
  294. 衛藤征士郎

    衛藤国務大臣 那覇軍港の移設、これは非常に大きな、三事案の最たるものではありまして、結局、緊急性というものがありまして、浦添のいわゆる再開発の計画がある、そういうことにつきましてそれを移設をしておこう、こういうようなことの必要に迫られたのじゃないかと思います。  いずれにいたしましても、地元との協議というものは非常に大切なものでありまして、確かに三者協議会の場におきましても、いろいろの問題が出ましたときに、いや、それはどうだこうだということで上に上がってこないというような問題が事実ありましたので、今回、沖縄県を中心とする政府との協議会ができたわけであります。  その協議会のもとに幹事会をつくる、そして十分に市町村の意見がそこに持ち込まれまして、そこで県がそれを十分取りまとめをして協議会の場に持ち出してくる、こういうようなスキームができましたので、今御指摘になった件につきましては、いろいろ問題点がありますので、そういうようなことを十分反省もしながらこの問題の解決に当たりたい、このように考えております。
  295. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 私は、こういう問題にとって一番大事なのはやはり誠心誠意だと思うのですね。それを、視察に参りましてお話を伺ったら、何の話もございませんと言うのですよ、市側は。それを今やろうとしているわけでしょう。それはうまくいくはずがないですよ、何の話もないというのですから。  ですから長官、やはりこれだけの大事な問題を一つ一つ解決していくには、もっと長官みずからも本当にそういう認識を持って、やはり誠心誠意やっていくという姿勢が私は必要だと思うのです。  そこで外務大臣、最後にお聞きしますけれども沖縄に行かれて日米安保重要性を県民の方々に率直にお話をしてくる、さらなる理解を求めるというふうな、そういう考えをお持ちでありませんか。
  296. 河野洋平

    河野国務大臣 委員会の場で、沖縄へ一遍行くべきだということを、ことしの春そういうやりとりをしたことがございます。私もぜひ沖縄へ伺いたいというふうに思っておりましたが、残念ながらいまだに実現をしておりません。私は、もちろん私的には何度も沖縄へ伺ったことがありますけれども、こうした立場で沖縄に一度は伺わなければならぬというふうには考えております。
  297. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 春の段階委員会沖縄に行きたい、大臣、もう半年以上たっているわけですよね。  それで過般、大田知事とお目にかかったときも、やはり総理はいろいろ時間の関係もあるでしょうと、そういうふうな配意を持ってのお話でございましたが、外務大臣にはできたら来てもらいたいなという、そんな意向も示されておったのです。今大事なことは、やはり政治家が、外務大臣みずから沖縄県民の方々に率直に理解を求めるというふうなことは、私は、重ねて大事なことではないかな。そういう行動が、そして考え方を明確に示していくというふうなことが、日本の安定と発展につながり、そしてそのことがすなわち世界の平和に結びっくもの、こう考えますので、ぜひ政治家河野洋平として、さらなる一つの明確なる考えと行動をお示ししていただくことを期待をして、質問を終わります。
  298. 三原朝彦

  299. 古堅実吉

    古堅委員 極めてわずかな時間ですが、沖縄問題について伺わせていただきます。  外務大臣は、十一月二十一日の外務委員会において、報道をされております日米共同声明案にある四万七千人の在日米軍人の記述について、我が方としても十分な議論、検討が加えられていると述べて、日米政府が一緒に検討した数字であることを明らかにしておられます。これは、在日米軍の大枠は何ら縮小しないということを意味します。この大枠はそのままにしておいて、沖縄県民の願っている基地の整理縮小というのができるのでしょうか。大田沖縄県知事は、繰り返し、日米共同宣言から在日米軍の規模を固定化するような四万七千人の数字を除くよう政府に求めていますが、外相はどうお考えがお聞きしたい。
  300. 河野洋平

    河野国務大臣 まず最初に申し上げますのは、日米共同宣言というものは、日米首脳が会談をいまだしていない今日、そうしたものは存在しておりません。もちろん、そのためにいろいろな作業が行われていたということはあるかもしれませんが、そうした作業も最終的に私どもが、もちろん最終的には総理がごらんになるわけですが、総理のもとにお出しをするずっと以前に我々はそうした、もしもそういうものがあるとすれば見てチェックをしなければなりませんが、我々がチェックをしたものはございませんということをまず最初に申し上げておきます。  それから、大枠が変わらないで基地縮小ができるか、こういうお尋ねでございますが、私は、それはその問題をこれからまさに特別行動委員会で討議をして解決といいますか両国間の合意を見つけようと、まさにこれから始めようとしているところでございまして、その特別行動委員会の目的は、整理統合縮小というのがその目的の一つに明示され、まあ明確にうたっているわけでございますから、私はそうしたことが可能であるというふうに考えております。
  301. 衛藤征士郎

    衛藤国務大臣 お答えを申し上げますが、在日米軍の四万七千、この大枠を固定して沖縄県の場合の基地整理統合縮小はできるのかということでありますが、例えば沖縄県におきます騒音のこと、あるいは基地被害のこと、あるいは規制された空域とか水域とかそういう問題のこと、そういった問題につきましては、地位協定運用改善におきましても一つ一つ解決できる、私はそのように思っております。  さらには、効率的な基地の運用、工夫、そういうことは可能でありまして、整理縮小ということは、固定をしてありましても可能であると私は思っておるわけであります。
  302. 古堅実吉

    古堅委員 外務大臣、これは現地沖縄タイムス、琉球新報にも載ったものです。既に御存じだと思います。これが政府の手から流れることなしに、これだけまとまった共同宣言案というものがどこかでっくられるはずはないわけです。  それで、重ねてお伺いしますけれども政府として、十万人、四万七千という大枠はこれから予定されている共同宣言では必ず入れる、こういうお考えですか。それとも大田知事がずっと要望し続けているように、それは削除するあるいは入れない方向での検討もできるというふうなことですか。はっきりさせてください。
  303. 河野洋平

    河野国務大臣 延期されている両国首脳の会談をいつ実現するかということに今努力中でございまして、この両国の首脳会談の実現の時期についてもまだ未定でございます現在、その首脳が首脳会談の折に発出されるであろう文章について、まだその内容については全く詰めておりません。
  304. 古堅実吉

    古堅委員 大枠を決めて、今防衛庁長官からあったような、わずかばかりの何か縮小などとかいう形で県民をなだめるような、県民が求めているのはそういうものではない。本当に思い切った、基地あるがゆえにこれだけの犠牲をこうむっている、そういうことはもう本当に御免だ、そういう立場から言っているところの基地の整理縮小を促進しろという、これにこたえられるようなことをしてほしいというのが県民の要求であるし願いです。  次に、軍用地強制使用の代理署名を拒否した大田知事に村山総理が署名を強要するための勧告をした問題に関連して伺いたいと思います。  まず最初に、事実の確認外務大臣に求めます。  現在の土地収用法は一九五一年に制定されました。その審議を行った同年五月二十五日の衆議院建設委員会で、建設省の管理局長は提案理由説明に関連して次のように述べています。「従来の規定におきましては、国防、その他軍事に関する事業、それから皇室陵墓の建造ないしは神社の建設に関する事業が、公益事業の一つとして上っておりますが、新憲法のもとにおきまして、当然不適当であると考えられますので、これは廃止することにいたしております。」と述べています。外務大臣、この答弁を確認できますか。また、あなたはそのことを御存じてしたか。
  305. 河野洋平

    河野国務大臣 昭和二十六年五月二十五日の衆議院建設委員会における土地収用法案並びに土地収用法施行法案の提案理由におきまして、当時の建設省管理局長が御指摘内容の答弁を行った記録があると承知しております。
  306. 古堅実吉

    古堅委員 それを確認していただきました。そうだとしますというと、土地収用法の上では軍事に関する事業は公益とは言えないということだと思いますが、そのとおり御理解いただけますか。細かい多くの説明は要らぬですよ。
  307. 折田正樹

    ○折田政府委員 土地収用法の手続に基づきまして米軍施設区域に用いる土地を取得いたします件についての今のお尋ねでございますけれども、米軍施設区域の提供に必要な土地の取得は、上記答弁の後の昭和二十七年に国会において成立した駐留軍用地特別措置法に基づいて行われるものでございます。(古堅委員「それを聞いておるんじゃないですよ。時間つぶしをしてくださっては困るんですよ。土地収用法。」と呼ぶ)土地収用法については私の権限の外でございますので、ちょっと失礼いたします。
  308. 古堅実吉

    古堅委員 大臣からお答えください。  土地収用法の上では、軍事に関する事業は公益とは言えないということになっておるんだなということを念を押しておるわけです。
  309. 小澤毅

    ○小澤政府委員 お答えいたします。  軍事と申しますのをどこまでを軍事と申しますのかはちょっとまた別のお話にいたしまして、いわゆる米軍関係自衛隊関係ということに関しまして申し上げますと、米軍関係につきましては駐留軍用地特措法が、また、自衛隊関係については土地収用法で関連の使用、収用等は可能だというふうに我々解釈しております。  また、正式な土地収用法に関する見解は、所管官庁でございます建設省さんの方からのお答えが適当かと思います。
  310. 古堅実吉

    古堅委員 こんなごまかしの、へ理屈で答弁にならない、そういうことを指摘しておきます。  大臣も答えないので前に進みますが、答えられないということがあろうかというふうに思います。  もう一つ、事実の確認を求めます。  米軍用地特別措置法は、土地収用法制定の翌年に制定されております。その審議を行った一九五二年四月十六日の建設委員会で、岡野清豪国務大臣が次のように答弁しています。「米軍すなわち外国の軍隊が駐留するということは、われわれとして国民感情としてあまり好ましいことじゃない。でございますからこれは永久的の駐留をしてもらうんじゃない、これが第一点。そしてその駐留するということはすなわち臨時的である。臨時的であるために今度の法律もこれは臨時的の考えで出したものでございます。」こう述べた上で、「なるべく早く駐留がなくなってくれるようなことを念願して、その臨時を早く切り上げて、そうしてこの法律もいらないようになって行きたい、こういう考えでございます。」とも述べています。  外務大臣、この答弁を確認していただけますか。また、それを御存じでありましたかも。
  311. 河野洋平

    河野国務大臣 ここにその当時の速記録を持っております。すなわち、昭和二十七年四月十六日の衆議院建設委員会における駐留軍用地特別措置法案の審議におきます佐々木議員の質問に対し、当時の地方自治庁長官が御指摘内容の答弁を行ったということだと思います。
  312. 古堅実吉

    古堅委員 時間がありませんので、まとめて二点をお尋ねしますので、お答えください。  土地収用法は、第三条で、「土地を収用し、又は使用することができる事業」について限定的に列挙してあります。先ほど確認していただいたように、国防その他軍事に関する事業は、現行憲法のもとでは当然不適当であるとして、土地収用法の対象事業から排除されているわけであります。それは、国民の土地を軍事用に収用または強制使用することは、陸海空軍その他の戦力を保持しないと定めた憲法に照らして当然であります。自衛隊であれ、米軍であれ、軍事に関する事業である限り、土地の強制収用も使用も憲法上できない。これは政府の当初の見解からしても明らかなことではありませんか。この点を聞きたいということが一つであります。  もう一つは、米軍特別措置法それ自体の問題です。  米軍用地特別措置法は、土地収用法が軍事に関する事業を公益事業ではないとしていることから、当時の政府は苦肉の策として、先ほど確認していただいたように、法律の性格を臨時的だと説明せざるを得なかったものであります。法が制定されてから四十三年もたっています。そういう法律を適用すること自体、不当きわまりないものであります。しかも、この法律ができて四十三年の間に、沖縄では過酷なもろもろの土地の接収が繰り返し強行されてまいりました。今回、村山内閣が、強制使用のための代理署名を拒否したことを著しく公益を害することが明らかであるとして、大田知事に対して署名を強要する勧告を行っていること自体、自家撞着も甚だしいと申さねばなりません。  これ以上の代理署名の強要をやめること、その上、県民の強い要求である基地の整理縮小を思い切って進めるように対米交渉をきちんとやる、そういうことを強く求めます。  この二点について、外務大臣からお答えいただきたいのです。  防衛庁長官には質問通告はしてありませんが、御所見があれば長官からも伺わせていただきたい、こう思います。
  313. 河野洋平

    河野国務大臣 ただいまの御質問の、二点御質問があったと思いますが、御質問の趣旨の第一点は、土地収用法の手続に基づき米軍施設区域に用いる土地を取得するのは、昭和二十六年衆議院建設委員会における政府答弁で、国防に関する事業を土地収用法上の公益事業とするのは新憲法のもとでは不適当であるとしていることに反するのではないかということだと思いますが、米軍施設区域の提供に必要な土地の取得は、上記答弁の後の昭和二十七年に国会において成立した駐留軍用地特措法に基づき行われるものでございます。同特措法は、土地などの使用または収用に関し、土地収用法の規定の一部を適用することとしておりますが、米軍の施設区域の提供に必要な土地の取得が土地収用法上の公益事業として行われているわけでなくしたがって御指摘は当たらないと考えます。  御指摘の第二でございますが、昭和二十七年の先ほど御指摘がございました岡野大臣の発言でございますが、同法は臨時的なものという趣旨の答弁をしているにもかかわらず、現在に至るも同法に基づき土地を強制収用しているのは問題ではないか、こういうことだと思います。  ここにございます岡野大臣の答弁の速記録を見てみますと、御指摘の答弁におきましては、臨時的という言葉は、駐留軍が駐留している限りという意味で用いられていると考えられ、その具体的な期間については、国際情勢の今後の進展いかんなどによるものであって、はっきりとした時期は申し上げられない、あるいは予定できないとされております。  政府としては、依然国際社会が不安定性を内包している中で、我が国の安全を確保するためには日米安保条約に基づく米国の駐留が必要と考えており、そのため必要な土地を確保する上で本件法律は必要と考えております。したがって、御指摘の答弁との関係でも、必ずしもそごがあるとは言えないというのが政府の見解でございます。
  314. 衛藤征士郎

    衛藤国務大臣 古堅議員お答えを申し上げます。  沖縄基地の問題解決に向けましては、第一は、基地の統合整理、縮小についてのプロセスといいますか、それは大変大切だと思いますし、プロセスについても県民の皆さんにも十分御理解をいただくようにしなければいけない、それについて不安あるいは疑念があってはならない。さらには、知事のよくおっしゃる、目に見える形のアクションプログラムというもの、スケジュールというものを明確に示して、そして一つ一つそれを解決していく。さらには、御指摘のありましたような返還後のいわゆる跡地利用、そういう問題につきましても、いわゆるアプローチとプロセス、アクションプログラムとそして跡地利用、そういった関連性、あるいはワンセットといいますか、そういうものをしっかりしておかねばならぬ。こういうことで、私どもとしては一つ一つ着実に解決をしてまいりたい、このように考えております。  また、地元の古堅議員の御協力を心からお願い申し上げたいと思います。
  315. 古堅実吉

    古堅委員 時間となりました。終わります。
  316. 三原朝彦

    三原委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。  これにて散会いたします。     午後七時二十一分散会