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1995-11-02 第134回国会 衆議院 外務委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年十一月二日(木曜日)     午後六時五分開議 出席委員   委員長 三原 朝彦君    理事 田中 直紀君 理事 玉沢徳一郎君    理事 東  祥三君 理事 松沢 成文君    理事 松田 岩夫君 理事 前原 誠司君       柿澤 弘治君    久野統一郎君       坂本三十次君    鈴木 宗男君       根本  匠君    岡田 克也君       鹿野 道彦君    松前  仰君       山元  勉君    古堅 実吉君       吉岡 賢治君  出席国務大臣         外 務 大 臣 河野 洋平君  出席政府委員         外務大臣官房審         議官      谷内正太郎君         外務省総合外交         政策局長    川島  裕君         外務省アジア局         長       加藤 良三君         外務省北米局長 折田 正樹君         外務省条約局長 林   暘君  委員外出席者         防衛庁防衛局防         衛政策課長   守屋 武昌君         防衛施設庁施設         部施設取得第一         課長      小竹 秀雄君         防衛施設庁施設         部施設取得第二         課長      米岡 修一君         外務委員会調査         室長      野村 忠清君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月二日  辞任         補欠選任   安倍 晋三君     根本  匠君   二階堂 進君     久野統一郎君 同日  辞任         補欠選任   久野統一郎君     二階堂 進君   根本  匠君     安倍 晋三君     ――――――――――――― 十一月二日  日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び  安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並び  に日本国における合衆国軍隊地位に関する協  定第二十四条についての新たな特別の措置に関  する日本国アメリカ合衆国との間の協定の締  結について承認を求めるの件(条約第四号)  所得に対する租税に関する二重課税の回避及び  脱税の防止のための日本国政府とヴィエトナム  社会主義共和国政府との間の協定締結につい  て承認を求めるの件(条約第五号)  サービスの貿易に関する一般協定の第二議定書  の締結について承認を求めるの件(条約第六号  )  あらゆる形態の人種差別撤廃に関する国際条  約の締結について承認を求めるの件(条約第七  号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月二日  日米地位協定見直し等に関する陳情書外十四  件  (第二〇四号)  核実験中止核廃絶等に関する陳情書外七件  (第二〇五号)  核兵器使用違法性審理に関する陳情書  (第二〇六号)  人種差別撤廃条約及び国際人権規約早期完全  批准に関する陳情書外五件  (第二〇七号)  国連海洋法条約批准に関する陳情書  (第  二〇八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び  安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並び  に日本国における合衆国軍隊地位に関する協  定第二十四条についての新たな特別の措置に関  する日本国アメリカ合衆国との間の協定の締  結について承認を求めるの件(条約第四号)      ――――◇―――――
  2. 三原朝彦

    三原委員長 これより会議を開きます。  本日付託になりました日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件を議題といたします。  まず、政府より提案理由説明を聴取いたします。外務大臣河野洋平君。     —————————————  日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び   安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並   びに日本国における合衆国軍隊地位に関す   る協定第二十四条についての新たな特別の措   置に関する日本国アメリカ合衆国との間の   協定締結について承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 河野洋平

    河野国務大臣 ただいま議題となりました日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、日本国合衆国軍隊を維持することに伴う経費日本側による一層の負担を自主的に図り、日本国にある合衆国軍隊の効果的な活動を確保するため、この協定締結することにつき平成六年三月以来アメリカ合衆国政府交渉を行った結果、合意に達しましたので、平成七年九月二十七日にニューヨークで、先方クリストファー国務長官との間でこの協定に署名を行うに至った次第であります。  この協定は、日本国が、日本国に雇用されて合衆国軍隊等のために労務に服する労働者に対する一定の給与支払い及び合衆国軍隊等が公用のため調達する電気等支払いに要する経費負担すること、並びに日本国政府の要請に基づき、合衆国合衆国軍隊の行う訓練を他の施設及び区域を使用するよう変更する場合に、その変更に伴って追加的に必要となる経費負担すること等を規定しております。この協定は、二〇〇一年三月三十一日まで効力を有するものとされております。  この協定締結は、日米安保条約目的達成のため日本国に維持されている合衆国軍隊の効果的な活動に資するものであり、ひいては日米関係全般並びに我が国を含むアジア太平洋地域の平和及び安定に重要な意義を有するものと考えられま す。  よって、ここに、この協定締結につき御承認を求める次第であります。  何とぞ、御審議の上、本件につき速やかに御承認いただきますようお願い申し上げます。
  4. 三原朝彦

    三原委員長 これにて提案理由説明は終わりました。     —————————————
  5. 三原朝彦

    三原委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。前原誠司君。
  6. 前原誠司

    前原委員 新党さきがけ前原でございます。今説明がございました特別協定について、御質問をいたします。  そもそもこの特別協定というものが規定をされている根拠というのは、地位協定の二十四条であります。二十四条を読んでおりますと、原則米軍負担で行う、しかしながら、細目で、特別協定というものを定めた中で、日本負担というものを決めるということであります。  原則米軍負担であるという地位協定二十四条説明、二十四条の私の解釈について、外務省としてはそれでいいとお考えですか。
  7. 折田正樹

    折田政府委員 委員指摘のように、地位協定第二十四条は、我が国は、施設区域等地位協定存続期間中米国負担をかけないで提供する義務を負い、米国は、それ以外の経費であって、日本国米軍を維持することに伴うすべての経費負担する義務を負うということを定めておるわけでございます。その二十四条は、在日米軍駐留経費に関するこのような日米経費負担原則を指しているわけでございます。
  8. 前原誠司

    前原委員 原則米軍負担であるという政府の御答弁ですけれども、実際上、数字は私もいろんなところで見ているわけでございますが、改めて確認しますけれども、日本負担割合は全体の何割を占めておりますか。
  9. 折田正樹

    折田政府委員 さまざまな計算の仕方があるものですから、なかなか確定的な数値というふうに申し上げるのは難しいのでございますが、アメリカが各国との比較において、米国受け入れ国の間の費用計算している資料がございまして、それによりますと、九四年度については、おおむねアメリカが三三%、受け入れ国である我が国が六七%というふうになります。  ただ、これに周辺対策費だとか提供普通財産借り上げ試算等を除いた計算でありますと、米対日は四八対五二になるというふうに承知いたしております。
  10. 前原誠司

    前原委員 誤解を生まないために前提としてお話ししますけれども、私は、日米安保を堅持すべきだという観点から御質問をしておりますし、また、この特別協定についても、ある程度の負担というものは日本はやるべきだ、特に、今の日米安全保障条約においては、形の上では双務性を有していると言われておりますけれども、しかし、実態を見ますと、何か有事があった場合において、日本に対してはアメリカ側からの援助というものが義務化されておりますが、逆はない。しかし、基地を提供し、そしてアメリカの利益に合致するような形での日本での展開というものを定めている以上、それを双務的なものにするためには、日本もある程度の経費負担ということで、地位協定二十四条に基づいた特別協定というものは必要であるという観点から御質問をさせていただいております。  ただ、私が今回問題提起をさせていただきたいのは、条文というものが形骸化していないかという問題であります。原則アメリカ負担である。今折田局長から御答弁がございましたように、六七%、約七割が日本負担になっているということであります。  そして、私がさらに指摘をさせていただきたいのは、特別協定四条、「日本国及びアメリカ合衆国は、この協定の実施に関するすべての事項につき、地位協定第二十五条1に定める合同委員会を通じて協議することができる。」ということになっております。第一条には、日本負担をすべき項目についてもろもろ書いてあります。  要は、決められたもの以外に必要だということで、この特別協定四条に記されているように、合同委員会において議論をすれば日本負担というものがこの条文に明文化されないでどんどん拡大していくところに、私は、本筋はいい、しかし、この地位協定二十四条に定められている特別協定そのもの拡大解釈をさせてしまっている、もっと違う面での協定というものを、実質は賛成だけれども、すべきではないかという考えもあっていいのではないかと思うわけであります。  後で、この二十四条第一項あるいは第二項に定められている明文化された日本負担義務と、それから四条において、合同委員会において承認されたものが、金額的にどういう比率になっているのかということをお答えいただきたいと思いますが、その前に大臣に、今私が申し上げた問題意識、つまり、本筋はいい、日米安保条約を堅持するためには、日本費用的な負担は結構です。しかしながら、アメリカ原則負担なのに七割近くを日本負担をしているという事実、それから、特別協定の第四条に基づく日米合同委員会においてどんどん日本費用負担というものが拡大解釈をされる余地があるというこの今の現状において、私は問題意識を持っているわけでありますが、大臣の御答弁をお願いします。
  11. 河野洋平

    河野国務大臣 日米関係考えますときに、日米安保条約あるいは地位協定いずれも、今議員お話しのように、我が国の安全あるいは平和、そういったもののために極めて重要で、こうしたことを堅持していくということは日米両国とも合意をしているわけでありまして、そして、アメリカ日本を守り、日本地位協定によってアメリカ施設区域を提供する義務を有しているわけです。  今回、今議員から御提起になりました問題は、つまり、義務的に我々がするというものではないわけです。あくまでも自主的に、我々がこうした方が日米安保条約の本来の目的を円滑に達成するために資するものになるであろうと考え、さらにその根拠は、アメリカ財政状況、もちろん日本だって財政的には非常に苦しいわけでありますが、日本が世界の隅々までいろいろと仕事を、国際社会に対する積極的な貢献をしている中で、日本財政力考えれば、いささかでも自主的、自発的にこうしたことをやるということは、今申し上げた日米安保条約本来の目的を達成するために有益であろうと我々考えて、こういうことをしているわけです。しかし、そうかといって、ことしやりますけれども来年はどうかわかりませんというようなことでは、これはまた向こう側にとっても問題がありましょう。そこで、何がしかのルールをつくってやろう、非常に乱暴な言い方をすれば、そういうことだろうと思うのです。  それで、我々がここまで米側に対して自発的に、自主的に、いわゆる世間で言う思いやり予算といいますか、思いやりの支出を、サポートをしてきた、このことが当初考えていたように非常にいい効果をあらわしているということは、我々は考えていいと思いますね。そこで今回日米間で合意をしてこういう御提案を申し上げている、こういう状況でございます。  私は、今議員からお話がありましたように、もちろん我々も節度を持たなければならないと思います。日米関係考えるけれども、我が国としての節度というものはやはり当然持つべきであろうということは、おっしゃるとおりだと思っております。
  12. 折田正樹

    折田政府委員 今、前原委員より、地位協定第二十四条と、それから今回国会に承認をお求めしております第四条と五条の関係についての御質問がございました。  新しい特別協定に基づきます措置は、労務費光熱水料訓練移転費という特定経費に限りまして、地位協定第二十四条の先ほどの原則に対する特別の措置を暫定的にとるという性格のものでございます。  そして、新特別協定四条と五条でございま す。  確かにここに、合同委員会を通じて協議する、それから合同委員会で決定し通報するということが書いてございますけれども、この合同委員会の協議それから決定というのは、あくまでもこの新しい特別協定の対象たる労務費光熱水料訓練移転費という経費の中でやる話でございまして、拡大解釈経費が、項目がどんどんふえていく、そういう性格のものではないということだけ説明をさせていただきたいと思います。
  13. 前原誠司

    前原委員 比率はわかりますか。ないですか。ではいいです。  拡大解釈ではないということでありますけれども、一九七八年度から労務費のうち管理費福利費。それから、七九年度からは米軍隊舎、それから家族住宅建設費日本人従業員給与のうち国家公務員水準を超える部分についても、思いやり予算として日本側負担になる。そして、一九八七年度からは日本人従業員の諸手当負担。これは暫定的な措置として、協定改定ではなくて、特別協定にした。そして、湾岸戦争を契機として、一年前倒しにして現協定締結して、一九九一年度からは日本人従業員基本給光熱費まで負担を拡大している。さっきおっしゃったように、日本負担割合は全体の約七割を占める。そして、思いやり予算を開始した当初と比べて十倍近くなっているということであります。  私はこれを考えたときに、もちろんけじめはあるのですよ、拡大解釈ではないのですよと言われますけれども、実際アメリカ交渉されている方々の口から聞くと、どんどん広がっていって、歯どめをどこでかけるのかという不安も聞かれるわけです。今回の交渉でも、スクールバスの運行費までアメリカ側は求めてきたということが書いてあります。  したがって、私は、こういう費用負担というのは必要だ、そして日米安全保障条約の円滑な運用については必要だという前提を再度申し上げた上で、しかし、やはり節度ある日本負担というものを決めるためには、今申し上げたように、特別協定においても、あらゆる角度から、日本がどの点について負担をするかということについては明記をすべきではないかというふうに思いますけれども、御答弁をお願いしたいと思います。
  14. 折田正樹

    折田政府委員 委員指摘のように、当初は労務費の一部から負担が始まりました。法定福利費任意福利費労務管理費、それから格差給語学手当退職手当というのから始まりまして、今委員おっしゃられましたように、湾岸戦争のときの平成三年でございますが、新しい、現行特別協定でございますけれども、基本給光熱水料等も含めることになったわけでございます。  そして、現行特別協定におきましては、毎年二五%ずつふやしていくということでやってまいりまして、実は、今の会計年度でそこは一〇〇に達したわけでございます。今度の、今御審議をいただいております特別協定においては、その時点から始まりますのでもう上がない、天井に着いておりますので上がないということでございます。もちろん、人件費でございますから、ベースアップ経費とか、米軍が雇います人数とか、いろいろな問題がありまして、全く同額ということではございませんけれども、今までのように二五%、五〇%、七五%というようなことでふえていくということはないと思います。  もちろん私ども、現実にアメリカ側と毎年幾ら必要なのかということで査定をするわけでございますけれども、先生がおっしゃられるように、やはり節度を持って我々も厳しく必要経費というものは査定していかなければならないというふうに思っております。
  15. 前原誠司

    前原委員 今の折田局長お話を伺いますと、この特別協定に基づいては、今後は人件費ベースアップ分以外はもはや日本思いやりであろうが何であろうが出す余地はない、そういうふうに解釈してよろしいわけですか。
  16. 河野洋平

    河野国務大臣 今局長から御答弁申し上げましたように、これまではやや計画的に出してきて、おおむね計画は達成した、計画というか当初のお話し合いは達成したということでございまして、今回の場合には、今御答弁申し上げましたように、労働条件を緩和する、あるいは訓練場所移転等に伴う費用をこちらが負担する、こういったようなことをここに入れさせていただいているわけでございます。この訓練移転などは、もう議員御承知のとおり、双方で話し合った結果訓練場所を変えるということになったわけで、このことが我が方の特定地域にはプラス意味があるわけでございまして、こうしたことになりました。  もちろんこれから先のことは、今局長が申し上げましたように、ここで想定できるものは今申し上げたようなことであろうと思います、つまり人間の関係のものでございますが。それ以外のものについては、では来年どうか、再来年どうかと言われれば、今そうしたものを想定していることはない、そういう意味でございます。
  17. 前原誠司

    前原委員 ある程度短期間に考えた場合については、もはやベースアップ分ぐらいしか上がる余地はないというお答えだと思います。  では、ちょっと違う角度からこの特別協定を見ていきたいと思うのですが、九五年度の総額は六千二百五十七億円、うち思いやり予算が二千七百十四億円ということで、平均的な為替で換算いたしますと約六十四億ドル、米軍兵士一人当たり負担は約一千三百万円になっているわけで、約十四万ドルという計算をしていいと思いますのでは、韓国駐留米軍経費幾ら出しているかといえば、十九億ドル。そしてドイツ幾らかといえば、十四億ドル。これはもちろん、駐留している人数あるいは安全保障に占める米軍割合というものが国によって異なりますから、単純に比較をするということはできませんけれども、韓国の十九億ドル、ドイツの十四億ドルと比べると、日本の六十四億ドルというのは相当高い金額になっております。  兵士一人当たりの額というものを、もしわかれば、これは後で結構でございますので、韓国はどのぐらいになるのか、あるいはドイツはどのぐらいになるのか、そこら辺で日本比較をしたいので、少々時間を置いてからで結構ですので、御答弁いただきたいと思うわけであります。  やはり、これから財政事情が厳しくなってきて、国民をどのように説得するかということは大変難しいことになってくると思います。ですから、その内訳をできる限り赤裸々に国民の前に提示をすると同時に、やはり日本がある程度、要るものは要る、要らないものは要らないということをきっちり言っていかなくてはいけないと思います。  例えば、私が問題提起させていただきたいのは三点あります。  一つは、思いやり予算外でありますけれども、日本地代というものを幾ら算定、どういう算定根拠に基づいて米軍基地としての土地日本借り上げをしているのかということであります。沖縄に行きまして、いろいろ話を聞いていますと、今の二十三事案プラス事案の中で、特に三事案でありますけれども、合意ができているにもかかわらず土地の返還を拒むという話があります。逆に基地として使ってほしいと。それは、今までどおり地代がもらえるからという方も実際おられるわけであります。そういうところで、本来なら使い道のない土地において、どのような算定根拠地代日本政府が払っておられるのかというところがお聞きしたいまず第一点。  それから、よく言われますけれども、米軍兵士兵舎、これが非常に立派なもので、写真も時々いろいろな雑誌等々に出ておりますが、非常に立派なもの。私も入ったことはありませんが、ホテル並みであるとか非常に広いとかいうものがなされております。そこら辺はどういったものを、例えば兵舎というものを想定して算定されているのかということ。  第三点にかかわりますけれども、それにあわせて、自衛隊方々隊舎、これはひどいものがあ る。私も今回、概算要求、シーリングの話のときに参加をさせていただきました。結局、防衛費に占める予算、三つ大きなものがあります。糧食・人件費、それから歳出化経費、それから一般物件費。要は、思いやり予算が広がると、逆にあおりが来るのは自衛隊だ、そして隊舎はぼろぼろ、その割に米国兵舎というものが立派である。幾ら日米安全保障条約アメリカにも助けてもらうといっても、これでは日本自衛隊の士気が低下をするという逆の面から、私は問題提起をさせていただきたい部分がございます。  こういうことから考えて、地代算定根拠、そして、アメリカ隊舎費用負担というものはどういうところから算定根拠を出されているのか、お聞きをしたいと思います。
  18. 小竹秀雄

    小竹説明員 地料のお尋ねですね、御説明いたします。  沖縄における駐留軍専用施設は今、面積で約二億三千七百万平方メートルございます。そのうち六七%、約一億五千八百万平方メートルが民公有地でございます。これを借り上げております。これに係る借料でございますが、算定の仕方でございますが、地価の動向とか、それから近傍類地取引価格とか、それから防衛施設周辺開発状況等を勘案の上、算定しております。  それで、駐留軍専用地平成七年度の一般借料の額を申し上げますと、約五百八十七億円でございます。  以上でございます。
  19. 米岡修一

    米岡説明員 先生の方から米軍隊舎なり住宅の件というのが御質問に出ましたので、お答え申し上げたいと思います。  提供施設で整備しております家族住宅なり兵舎につきましては、在日米軍家族住宅につきましては軍人軍属、その家族のため、兵舎といいますか隊舎につきましては単身で来ている者のため、当然生活上必要な施設であるということで整備しております。  それで、まず兵舎につきましても、これは米側基準に基づきましてつくっております。また、家族住宅等につきましても、米側基準に基づいてつくっております。特に家族住宅の場合には、我が国間取り等と比べましてゆとりがあり、広過ぎるという指摘があるということは承知しておりますけれども、これは米国生活水準及び文化等の違いもあり、また、先ほども申し上げましたように米国基準に基づいて整備しているということで、本国にいたならば当然享受できるであろう生活環境の中で安心して任務に専心できるよう支援するということが、我が国として配慮してしかるべきことであると考えているところでございまして、御理解願いたいと思います。  恐縮でございますが、自衛隊兵舎といいますか隊舎等につきましては、私の所掌ではございませんので、ちょっとお答えは差し控えたいと思います。
  20. 前原誠司

    前原委員 先ほどの質問、お答え出ますか。韓国ドイツ米軍兵士一人当たり負担幾らになっているか。
  21. 折田正樹

    折田政府委員 今、問い合わせております。
  22. 前原誠司

    前原委員 では、わかり次第お答えいただけますか。  アメリカ基準に基づいてということでありますが、実際、シーリングというものが日本防衛費にはあって、先ほど申し上げたように、一般物件費の中にホスト・ネーション・サポートが入って、これが膨れると、逆に自衛隊隊舎の整備というものがおくれたり、あるいは福利厚生というものが不十分になったりする部分があるわけです。  私は、これは要望にとどめておきますが、やはり日本アメリカとを比べた場合に、待遇がそれほど変わらないというぐらいにしておかないと、アメリカ隊舎は立派、そして福利厚生はアメリカ基準並み、しかし、実際話を聞いていますと、沖縄なんかの基地の居心地というのは本当にいいという話も聞きます。日本に赴任をするということになると喜ぶ方が多いということを聞きます。それは、日本の中にある米軍基地というものの整備状況というものが、他国に展開をしている米軍基地兵舎とかあるいはそういう建物等に比べていいという話を、これは実際問題聞いているわけであります。  ですから私は、ぜひここら辺はこれからの議論として、日本自衛隊の士気というものを保つためには、米軍基準というものを、言いなりではなくて、そこら辺は詰めた議論をぜひしていただければと思います。  特別協定については、これは五年間でありますけれども、予算については年度年度の議論になってくるわけでありますから、その点についてまた議論をさせていただきたいと思います。
  23. 折田正樹

    折田政府委員 先ほど御質問のありました、米軍人一人当たり幾らになるかという計算でございますが、まず日本については、九四年末の数値でいきますと、そのときの米軍の規模が四万五千人でございまして、五十六億ドルを四万五千人で割りますと一人十二万四千ドルになります。それから韓国の場合は、米軍が三万六千人、十九億ドルということで計算いたしますと五万二千ドル、それからドイツの場合は、規模を八万三千人として、十四億ドルを八万三千で割りますと一万七千ドルという計算になります。
  24. 前原誠司

    前原委員 これは先ほども申し上げたことで、くどくど申しませんが、やはり今の出していただいた数字から見ても、日本における一人当たり兵士負担というものがいかに大きいのかといったことはやはり受けとめて議論をしていかないと、これは国民の理解をなかなか得られないのではないかと思います。ですから、逆に、日米安保の重要性とか、後で御質問しますが、日本ができることの模索においてこれをある程度詰めて、そしてある程度厳しい判断のもとにおいて金額というものは算定されるべきではないかと思いますので、その点だけは今後の参考にしていただければということで要望させていただきます。  次の質問に移らせていただきます。  アメリカには日米安保に対する賛否が両論あるということで、日米安保に消極的、あるいは廃棄をすべきだといういろいろなアメリカの研究機関からの研究報告などもございます。  きのうペリー国防長官とグループディスカッションする機会がございまして、そのときに私、実際ペリー国防長官にお話を伺いました。  まず、アメリカというのは政権がかわるたびに考え方が大きく変わる、したがって、今の政権時には、東アジアにおいては十万人を確保して日米安保は堅持するというふうなことを言っているけれども、これは政権がかわったときに本当にそういう継続性というものが担保されるのか、日本にとってはそれは非常に不安であるという話をいたしました。  ペリー国防長官からの私の質問に対する答えが、安保については政府、議会とも意見の相違はない、議会においては民主党と共和党の中でも違いはない、そして、日本に対する好意で展開をしているのではない、アメリカの利益というものを見出すために、見出しているからこそ日本に展開をしているんだ、そういうお答えがペリー国防長官からありました。これは、今の政策担当者として、ある程度常識的なお答えではないかと思います。  しかし、アメリカ側からそういう担保を得られたので、まあクリントン政権がかわっても日米安保は大丈夫だろう、だから今のような延長線上で日本も構えていていいんだろうか、私はそういう疑問を根本的に持っております。  例えば朝鮮半島で有事があった場合、あるいは台湾海峡で有事があった場合、多分、日本基地からアメリカ軍がその有事に際して出ていく可能性というのは非常に大きいわけであります。そのときに、米軍兵士が血を流す、亡くなられたりけがをするといって、しかし日本は出ていない、あれほど近いところにいて、日米安保というある意味では軍事同盟を結びながら、日本は一人も出していない、そして血を流しているのがアメリカの 兵隊であるということがアメリカ国民の目に映ったときに、ソマリアのケースじゃありませんけれども、非常に国民世論が盛り上がって、日米安保根本的に見直すべきだ、あるいは日米安保を廃棄をすべきだという議論が起こる可能性は私はゼロではないと思っています。  そのときに、じゃ、アメリカ側から、これは仮の話でありますけれども、仮に解消論が起きてきて、そして時限を切られるか、あるいは即座というかわかりませんけれども、日米安保というものが解消されたときに我々がとり得る対応というのはどうしたらいいのかというところで根本的に困らないように、今の段階から日本もそしてアメリカもメリットを感じて、そしてこの日米安保がなかったらだめなんだよというところでお互いの本当の意味での双務性が確認ができるような日米安保条約というものに見直す作業といいますか、基本的に日米安保というものの重要性は堅持し安保は維持するという前提に立って、しかし内容については徐々に見直していく必要が私はあるのではないかと思っております。その必要性について伺いたいのが、まず第一点。そして、第二点としては、外務省としてあるいは外務大臣として、アメリカ側日本安全保障条約というものを結んでいるメリット、これはどこにあるのか。その二点について御質問をさせていただきたいと思います。
  25. 河野洋平

    河野国務大臣 御承知のとおり、アジア太平洋地域の経済的発展というものは目覚ましいもので、これは私が申し上げるまでもございません。一つの側面でございますけれども、一つの側面としてこの目覚ましいダイナミックな発展を遂げているアジア太平洋地域というものにアメリカが関心を持つということは十分理解できることだろうと思います。  私は、外交政策を考えます上でこのアジア太平洋地域の目覚ましい経済的な発展ということをまず一つ例にとって申し上げれば、この発展の基礎は何にあるかと言えば、やはりアジア太平洋地域の安定というものが経済の発展を支える大きな礎になっていると思いますね。そしてその発展は、アメリカにとっても非常に関心を持つものであると同時に、さらにその次のステージで目覚ましい発展を遂げたアジア太平洋地域の国々がその経済的発展から得たフルーツをこの軍事力の増加に、軍事力にそれを使うということになると、これはまたいろいろな新たな問題が生じてくる。そうではなくて、やはりこの地域がもっともっと安定した状況というものが十分確認されて、経済的発展がさらなる再投資に向かって、経済的な発展に向かって進められていく、あるいは民生の安定に向かって進められていくということは国際社会の平和と安定に大変大きな意味を持ちますし、それは国際社会という漠然としたものだけではなくて、アメリカのこの地域に対する関心というものからいえばさらに大きな関心を持つようになるだろうと思うのです。  アメリカは朝鮮半島に、御承知のように三万人を超える兵士を出しております。さらに今、日本アメリカ韓国と、この日米韓の協調というものは、これを積極的に協調を進めていこうという機運がございまして、例のKEDOなんという組織もその一つの例でございますけれども、日米韓の協調、つまりこれはアジアにおける民主主義、議会主義、議会制民主主義をとる国としてアメリカと共通の価値観を持つ国という意味で、アメリカ日本及び韓国に対して当然大きな関心を持つわけでございます。  それによって朝鮮半島に対する考え方というものがおわかりいただけると思いますが、もう一つ、我々はやはりアジアの将来をこう考えますと、何といってもあの国土と人口を考えれば、中国、インド、こういった国の将来、こういった国々がこのアジア地域の中でどういう立場に立つか、積極的にそのアジアという地域国際社会の中で相互依存関係を持って国際的な重要な責任あるパートナーというか、あるいは役割を担うということになるかどうかは、やはりこのアジアの十年、三十年、五十年先を考えたときに極めて重要だと考えるのは当然のことだろうと思うのです。  そうしたことを考えますと、アジアの国々、非常にダイナミックな発展を遂げているとはいえ、そう大きくない、人口もそうたくさんいるわけではない、そういう国々が十年先、三十年先、五十年先のこのアジア太平洋地域考える上でやはり何といっても日本アメリカ、中国、こういった国々が好ましい関係を持ち続けてくれることがやはり安定という意味ではいいのだろうと思うのです。それは日本にとっても、例えば日米安保条約というような、こういう関係をしっかり踏まえて、そしてアジアの安定ということを考えていくことは我々にとって必要でありますし、アメリカも恐らくそう考えているに違いない。これは、アメリカのいろいろな人と話し合ってみて、この安保条約が、今議員お話しになりましたように、日米双方にとって利益のあることだというふうに考えていると、ほとんどの方からそうした意見を聞いております。
  26. 前原誠司

    前原委員 私も基本的には、アメリカ日米安保条約というものをアメリカ側から見てもメリットがあって、堅持していくだろうということは思います。これはいろいろな理由があると思いますけれども、一つは、これから世界におけるアジアというものが経済の成長センターになる、そしてアメリカの投資というものもこの地域にますます大きくなる、したがって、そういった投資家を守るためにもアメリカはこの地域においてプレゼンスをし続けるということは国益にかなったことであろう。また、ある意味では少し悲しいことでありますけれども、日本の軍事的な脅威というものを抑えるために、よく瓶のふたということが言われますけれども、まあそういった部分もないわけではない。  しかし、そもそも防衛というものを考えるときには、どこが攻めてくるだろうかということを、万が一のことを考えて行っているのが危機管理であり、防衛であると思います。そうしたときに、楽観論に基づいて、アメリカもメリットを感じているから日米安保はこれから維持を続けるだろうということであぐらをかいて、現在のままの日米安保条約でいいのかどうかというところには私は少々疑問を感じます。  一つは、アメリカ側から見た場合に、先ほどから御答弁ありましたように、思いやり予算というものがこれから頭打ちになってくる。何かがあったときには日本アメリカが守る、援護をするというものでアメリカ側義務を果たす、そしてこちら側は基地を提供し、そしてある程度の駐留負担というものをしているわけです。そして、そこら辺でアメリカ側がますます要望を強めていった場合に日本が何をし得るのかといったことを考えてきたときに、基地は整理・統合・縮小ということをある程度打ち出してこれから努力をしようとしている。そして、思いやり予算についても頭打ちになって、これからのアメリカの要望というものをそうそう受け入れられなくなってきている。  そうしたときに、私は、今のアメリカ側がもし何かあったときに日本を守る、そして日本側基地を提供し、そして費用負担をやるというだけの日米安全保障条約では根本的に行き詰まるのではないかと思っておりますけれども、その点について大臣のお考えを簡単にで結構でございますので、ちょっと時間がございませんのでお願いします。
  27. 河野洋平

    河野国務大臣 日米関係全般について考えると、我々は、日米は二国間関係を非常に大事に育ててきたわけですけれども、今我々は二国間関係だけを考えるのではなくて、日本アメリカと一緒になってどういう形で国際的な貢献ができるのか。もちろん、私は、アジアにおいて五十年間議会制民主主義を育ててきたという国ですから、こういう国はそう多くないわけですから、アメリカ日本は価値観が共有できると、お互いにそれは思っていると思うのです。しかし、我が国の憲法というものがありますから、この憲法の決める範囲内で我々は国際的貢献をしなければなりませ ん。それは当然のことだと思います。  しかし、いずれにしても、それぞれがそれぞれの役割を果たしながら、二国間関係を見詰め合うだけではなくて、一緒になって、それそれができる分野で国際的な貢献をどうやって果たしていくかということに関心を持ってももういいと思うのです。もう既にそれはいろいろな分野でやってはおりますけれども。ですから二国間、日米日米と言うのではなくて、日本アメリカはそれぞれ応分の、与えられた、やることができる範囲内で国際貢献を一緒に果たすというぐらいにもう考えていくべきだろうというふうに思います。
  28. 前原誠司

    前原委員 今の御答弁からすると、今までの日米安保に全く日本があぐらをかいているということはだめだ、新たな日米のパートナーシップにおいてグローバルな国際貢献というものもともに考えていく時期ではないかということで解釈させていただいてよろしいのですか。
  29. 河野洋平

    河野国務大臣 日米安保条約のコンテクストで考えると、グローバルなという、際限もないというところには多少問題があると思います。これはもう議員よく御存じのことですから余り申しませんが、私が申し上げたのは、つまり日米関係全般、一般的なことでいうと、まさにグローバルな役割をお互いに果たすべきだと思います。日米安保条約には日米安保条約の取り決め、ルールがございますから、その範囲内でということを考えなければならないと思います。
  30. 前原誠司

    前原委員 私もある程度、大臣の御答弁がございましたが、同じような感覚で、これからの日本の役割あるいは日米が共同で果たしていくべき役割というものを考えていまして、しかし一足飛びに、では日米安全保障条約というものが本来の意味での双務性、つまりアメリカが攻撃をされたら日本もそれを援護してやるという集団的自衛権というものに一足飛びでいけるとは思っていませんし、その状況には今はないと思っております。  ただ、私は、その議論はタブー視をしてはいけない、そろそろタブー視をする時期は終わってきたのではないかと思います。よく、日米安全保障というもの、これからのパートナーシップを考える場合に、PKOの共同参画とか、そういう議論がございます。これも基本的に、もし一緒にやるということになったら、個別的自衛権と集団的自衛権の境目の問題とか、あるいは憲法解釈の問題とか、あるいはPKFの問題等々、いろいろ議論していかなくてはいけない問題はたくさんあると思います。しかしながら、そういう議論も、今回の沖縄の問題を契機として、今の日米安全保障条約あるいは日本安全保障ということを考えた場合においては、本当にタブー視をせずに広範な議論を高めていって、そして国民のコンセンサスというものを時間をかけながらやっていかなくてはいけない時期に差しかかっているのではないかと思います。  きょうは、通告をさせていただきまして、できなかった問題があります。それは専守防衛の概念、戦争形態が変わってきた、あるいは兵器形態が変わってきた中で、日本が今までの専守防衛という概念をどのように位置づけていくのかということは根本的に見直さなければいけない時期に来ていると思います。これについては、また日を改めてぜひ議論をさせていただきたいと思いますし、また、今申し上げた集団的自衛権、個別的自衛権のあり方の問題、そしてPKOのかかわり方の問題も、私は日本安全保障にとって待ったなしで議論をしなくてはいけないところだと思いますので、その点についてもぜひ大臣とともに議論をさせていただきたいと思います。  通告をしていながら、わざわざおいでいただきながらできなくて、そして徒労に終わらせた政府委員の方にはおわびを申し上げまして、私の質問を終わります。
  31. 三原朝彦

    三原委員長 引き続いて、東祥三君。
  32. 東祥三

    ○東(祥)委員 外務大臣、本日は近世日本の評論家、歴史家でもありました徳富蘇峰先生がお亡くなりになった日でございます。明治十九年、二十三歳のとき、「将来之日本」という著書を著しまして一躍有名となりまして、以来、言論界の一角に特異な地位を占め続けた先生はこのように指摘しております。「多忙とは怠惰者の遁辞である。今日すべきことを今日しなかったら明日は必ず多忙である」、これはまさに自戒の念を込めまして、沖縄県民の苦しみ、悩みを取り除き、日本の安全をどうするのか、将来の日本はどうなるのかということをただしていかなければならない、こういう思いで、八十分間ですけれども、本日の審議の対象であります在日米軍駐留経費、新特別協定のよって立つ日米安保体制、そしてまた自衛力、とりわけ日米安保体制の今日的な意義と沖縄基地問題について質問させていただきたいと思います。  沖縄の米兵による少女暴行事件、決して許すことのできないこの事件に端を発しまして、現在米軍基地をめぐって縮小を求める声が高まる中、安保堅持を高らかにうたい続けている連立与党も縮小を求める方針を打ち出しております。長年にわたりうっせきした沖縄県民の感情の高まりを考えれば、沖縄県民の苦悩をどのようにして軽減させればいいのか。あるいはまた、その苦悩を沖縄県以外に住まわれる日本人がどのように共有するのかといった方策を講じないことには、安保条約に基づく米軍の駐留自体すら危ぶまれる状況になっているのではないのか、このように思わざるを得ません。  しかし、問題は、そのような米軍の駐留自体すら危ぶまれる状況になっているがゆえに縮小ということになるのか、あるいはまた、沖縄県民の感情の高まりが大きければ大きいほど縮小という問題が出てくることなのか。そのことと安保堅持というのは、どういうかかわり合いがあるのか。問題は今日、また十年あるいは二十年、三十年にわたる、我が国安全保障という一億二千万人の国民の生命と財産そして領土という、最も冷静な判断を必要とする問題なのではないのか。では、この判断をだれが下すのか。やはり、この最高機関である国会にバッジを持って参加している政治家が冷静な判断を下して、そしてそれを国民に理解を求める必要があるのではないのか。こういうことから考えますと、本日の質問の骨子は、基本的には四点になるのだろうというふうに思います。  第一点目は、冷戦構造崩壊後、世界とりわけアジア太平洋地域における日米安保体制というのは必要なのか。必要であるとするならば、なぜ必要なのか。第二点目としては、もし日米安保体制が必要であるとするならば、なぜ日本に四万五千から四万八千、昨日のペリー国防長官のあの記者会見によれば四万七千の、在日米軍の駐留が必要なのか。三番目としては、もし四万七千人の在日駐留米軍兵士が必要であるとするならば、なぜ常時大体二万一千と言われる、三万人近くになることもあるというふうに伺っておりますが、沖縄にその駐留の規模が集中しなければならないのか。そして最後の問題としましては、もし沖縄にその在日米軍の駐留が集中することが必要であるとするならば、沖縄県民に対してどのようにこたえていったらいいのか。多分この四点に要約することができるのではないのか、このように思います。  そして、その上で、まず第一番目の質問でございますが、戦後の日本にとって、まさに荒廃した国民経済、そしてまた連合国及びアジア諸国の目、そしてまた国民の国家防衛に対する不信、さらにまた新憲法の制定という制約のもとで、国家の独立を保全するために日米安保体制は必然の選択であったと私は思っております。これを踏まえた上で、戦後五十年を経て我が国もまた国際情勢も大きく変化いたしました。日米安保体制はこれまでいかなる意味を持ち続けてきたのか、そしていかなる新しい意義あるいは必要性、つまり安保の堅持の根拠ですね、を有するようになったのか、まずこの点について外務大臣の率直な御意見を、御見識を承りたいと思います。  その前に、私は、きのう、ペリー国防長官のあの記者会見を聞いておりまして感動いたしました。淡々と日米安保体制の重要性について話をされておられました。そして、共通の敵ということではなくて、日米間にはまさに共通の利益がある のではないのか、このように明確に言われておりました。  残念ながら、本来ならば外務大臣あるいはまた防衛庁長官、そしてまた総理みずからが、この日米安保体制の重要性について適時適切にお話を、国民に理解を求めていなければならなかったのだろうと思います。また、やられているのかもわかりませんけれども、そういう部分をマスコミが取り上げないのか。どうも私は、あのペリー国防長官のお話を聞いていて、何かおかしいな、日本として、日本の政治家として、また外務大臣あるいは総理大臣から、あのような話をいまだかつて自分自身の言葉として、また国益を最も尊重するトップにいられる日本の政治家があのようなことをいまだかつて言ったことないな、そのような感想を交えて聞いておりました。  これを踏まえた上で、どうか私のまず第一番目の質問に、河野外務大臣、御所見を承りたいと思います。
  33. 河野洋平

    河野国務大臣 日米安保条約が冷戦時代が終わった今どういう意味を持つかということについては、私どももアメリカもそれぞれがみずからを省みて、これまでどうであったか、そしてこれから何が必要であるかということを真剣に考えてきたわけでございます。そして、アメリカアメリカなりに、我が国我が国なりに、日米安保条約がそれぞれの国に利益をもたらすものだという結論になり、かたい信念で日米安保条約を堅持していくべきだということになりました。  今議員お話しになりましたが、冷戦時代と冷戦後と、我々は我が国を取り巻く状況はどう変わっているかということについても大いに議論をし、検討をしなければなりません。そうしたことも行ってまいりましたが、それと同時に、両国にとっていかなる利益があるか、そして両国は、両国に国際社会はいかなる期待をされているかということについても、それはお互いに考えなければならないことであったわけでございます。  ともすれば、この日米安保条約我が国にとって得るべき利益が大きい、つまり国を守ってもらう、先方を守りに行くことはしない、こういうことでありますから、これはまあ明示的に見て、目に見える形で、我が国はこれによって大きな利益を得ているというふうに言われていた部分がございます。アメリカにはとりわけ安保ただ乗り論などという議論がしばしばあったわけであります。  しかし、今回のペリー国防長官の記者会見その他を拝見し、私は直接お話も伺ってみると、アメリカが非常に真剣に、非常に積極的に、これはむしろアメリカにとって極めて利益があるのだと、これはしかも、アメリカにだけ利益があるのではなくて、日米双方にとって利益があるのだということをはっきりと認識をしておられるわけでございます。私にとりましても、我々にとっても大きな利益があるというふうに思いました。繰り返して、先ほど前原議員にも申し上げましたけれども、今、我が国日米安保条約を抜きにして我が国の安全が語れるか、あるいは図れるか。日米安保条約を抜きにしていかにして我が国我が国の安全を維持することができるかということを真剣に考えてみれば答えは出てくると思います。しかも、日米両国は、お互いに共通の価値観を持って、そして共通の利益を分かち合うということであるならば、冷戦が終わったといえども、我が国を取り巻く、あるいはアジア周辺地域国際情勢の中に不透明な部分、不確実な部分があるということなども十分視野に入れて、安保条約を引き続き堅持していくことが双方の利益になる、こう考えたわけでございます。  これは国民の皆様方にも十分御理解がいただけること、つまり、日米安保条約を仮にないと、やめるとすれば、我が国は自主防衛をするのか。今我が国が自主防衛に踏み切るなどということが国民合意が得られるだろうかということを考えると、それは私はとてもあり得ないことではないか。仮に自主防衛を国民合意の上にできたとしても、その一国による防衛が本当に我が国の安全を守ることができると責任を持って言えるかといえば、私は決してそうではないと思います。  先ほど前原議員からもお話がありましたが、これはやや消極的な話ではありますけれども、そのことがアジアの幾つかの国に、日本の軍事力の増強といいますか、日本がまた軍事力に大きな関心を持つということからくる別の摩擦あるいは別の不協和音というものが噴き出してくることもあり得るでしょう。そういったもろもろのことを考えれば、今この選択は我々にとっていい選択であるというふうに私は考えたわけでございます。
  34. 東祥三

    ○東(祥)委員 幾つか言ってくださっているのですけれども、ぜひこの機会に、議事録にも残りますし、明確に、外務大臣日米安保体制の今日的な意義、重要性について、まさに河野大臣の見解を表明されて、わかりやすく僕は述べてもらいたいなというふうに思います。  日米安保体制の必要性の第一というのは、米国の抑止力を確保するというところにまずあるのではないのですか。いかがですか。
  35. 河野洋平

    河野国務大臣 私は、日米安保条約の最も重要なものは、日米関係を揺るぎないものにしておくということであろうと思います。
  36. 東祥三

    ○東(祥)委員 それは、新しい今日的な意義という点で、当然日米関係のきずなであるという二つ目の要素になると思うのですが、日本の安全を守る、また日本の近海の安全を守る、そのためにはどうすればいいのかといえば、先ほどおっしゃったことと矛盾するわけですけれども、日本の自衛力では守ることができないのでアメリカの抑止力を確保するというところに日米安保体制の最大の要因があるというふうに私は理解します。日米関係のきずなだという、これは二次的な問題、派生的な問題なのではないですか。私はそれがないとは言っておりませんけれども、まず何が最大の核なのか、米国の抑止力を確保するというところにあるのではないのか、それを明確に言ってよろしいのではないでしょうか。
  37. 河野洋平

    河野国務大臣 議員の言葉をおかりして、日米安保条約による我が国の第一義的なメリットと申しますか、アメリカの抑止力によって我が国の安全を維持するということである、こう申し上げていいと思います。
  38. 東祥三

    ○東(祥)委員 それから二つ目は、今外務大臣が既に言われました、まさに最近では、アメリカとそして日本の二国間でGDPの四〇%を占める。さらにまた、戦後五十年の今日、日本が自由市場の中で最も謳歌した国である。また、謳歌できる背景には日米安保体制があって、軍事力増強に、また自衛力増強に余り積極的にならずに、アメリカの抑止力に支えてもらって今日の経済大国になったのだろう。そういう意味におきましては、まさに二カ国で四〇%のGDPを享受している。また、日米安保体制のもとにいる限り、日本が究極の目標とするのは、個人の意見ですけれども、自由な通商国家であり続けることなのだろう。その前提になるのは、世界の安全と平和が担保されなければならない。それをまさに日米安保体制、日本の同盟相手であるアメリカがある意味で担ってくれている。そこにまさに外務大臣のおっしゃられる共通の利益というのがあるのではないのか。この点についていかがですか。
  39. 河野洋平

    河野国務大臣 私もそう思います。
  40. 東祥三

    ○東(祥)委員 もう一つの問題としては、よく言われますアジア太平洋地域の軍事、政治、経済秩序の骨組みがまさに日米安保体制である、このようにも私は思っているのですが、この点についてはいかがですか。
  41. 河野洋平

    河野国務大臣 それは大変難しい、私の立場からいうと難しい言い方でございます。  ASEANの国々はやはりASEANの国々としての誇りを持ち、一国一国のそれぞれの主張というものがございます。ASEANの国々はASEANの国々としての考え方というものがあるということを認めていく必要があると思います。  ただ、しかしながら一方で、アジア太平洋地域、あるいはアジア地域と言っていいのでしょうか、この地域の安定、あるいは秩序を維持するという意味で、アメリカのプレゼンスが意味のあ る、非常に意味のあるものだということに対するそれぞれの評価はございますから、そういう意味からいえば、アメリカの存在、そして日米安保体制というものがそういうものを支えているという認識はあると思います。
  42. 東祥三

    ○東(祥)委員 言葉をかえますと、アジア太平洋地域における安定要因として、まさに米国の存在が、支える最も重要な枠組みである、こういう形で言えるのかなと思うのですが、この点についてはいかがですか。
  43. 河野洋平

    河野国務大臣 私もそう思います。
  44. 東祥三

    ○東(祥)委員 もう一つあると思うのですが、まさに日米安保イコール護憲なのではないのか。別の言葉で言いますと、外務大臣が先ほど言いましたとおり、自衛力では日本の安全を確保することができない。また、今日の日本が世界に対してコミットしている非軍事大国としての大国、それをまさに担保しているのは日米安保体制なのではないのか、このように思いますが、この点についていかがですか。
  45. 河野洋平

    河野国務大臣 日米関係を私は極めて重要視しておりますが、私が感じておりますことを少し違った角度から一言申し上げると、やはりアメリカという国は、グローバルな責任を有するということは十分な自覚があってやっておられることだと思いますが、やはりアメリカは、歴史的に見てといいましょうか、かねてからといいますか、二国間関係というものを非常に大事にする国なんだと思います。  我が国の憲法、あるいは我が国の基本的な主張というのは、どちらかといえばマルチを大事にするという考え方があると思います。つまり、我が国は国連外交とかあるいは国連中心主義、こういうことを言っているわけです。そこはアメリカと少し考え方が違うときがあるわけですね。  日米関係、この日米の二国間というものを何より大事にして、これで国際社会に云々、あるいは日本の護憲の姿勢というものがそれで支えられていると言い切ってしまうと、これは少し違うのではないか。つまり、憲法は世界の動きあるいは世界の考え方というものを念頭に置いているわけであって、そうしたものが前提になって我が国の憲法というものは理想的なものになっていくということでありますから、日米関係日米安保条約を護憲の前提ということになると、現実的にそういう、今はそういうことになっているではないかという御指摘があれば、それは現実的にそういうことになっているという認識については、私はそうだと思いますけれども、将来ともにこれがすべてだと言っていいかどうかということについては、少し議論があるのではないかと思います。
  46. 東祥三

    ○東(祥)委員 別の言葉で言えば、日本は世界各国に対して、軍事大国にならないということを申し上げているわけですね。それをコミットしているわけですね。そうしますと、他国に脅威を与えるようにならないという我が国の政治コミットメントを可能ならしめているのは一体何なのか。日米安保体制がもしなければ、結局、すべての脅威に対して自衛力でもって対応しなければならなくなるんではないのか。だから、そういう意味では、日米安保体制があるがゆえにこの政治的コミットを可能ならしめているんではないのか。その意味では、慎重な外務大臣ですから、これは言葉が飛躍するかわかりませんが、ある意味で、日米安保体制があることによって憲法を維持できる、それをまた世界に大きく言うことができるんではないのか。いかがですか。
  47. 河野洋平

    河野国務大臣 どうも老化現象でいろいろ忘れるものですから申しわけありません。憲法の前文に、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」云々とあるものですから私、あんな言い方をいたしましたけれども、逆な言い方をすれば、少なくともこの憲法の範囲で考えれば、日米安保条約によってこういう行動をとるということが、こういうふうにやることが一番賢明なやり方だし、あるいはこれが一番いいやり方だというふうに言っていいかもしれません。
  48. 東祥三

    ○東(祥)委員 それは、日本の歴史を見ればよくわかることなのだろうと僕は思っています。半世紀前にまさに自殺的な戦争をしたわけですから。自殺的な大戦争を挑んだ国が日本だ。これは、私個人の基本的な考え方でございますが、まさに米国を中心とする連合軍を相手に正規軍同士で四年以上も総力を挙げて戦った国は世界史上存在しない、私の理解ではそのように思っております。  戦後制定された新憲法の第九条は、これはまさに世界に冠たる理想なのだろう。我が国は、世界に先駆けて、そのとき既に不戦の理想郷を実現しようとする自己メッセージ、自己イメージをつくり上げているわけですね。それだけでは簡単には国際的には受け入れられない。なぜならば、不戦の理想を掲げた第一次世界大戦の国際秩序に、痛烈な打撃を与えたのがまさに日本だったのではないのか。したがって、日米安保体制がなければ必ずや日本は軍事大国になる。世界じゅうの国から、とりわけアジア諸国から言われる根拠は、まさにここにあるのではないのか。  僕は戦後生まれです。したがって、先輩たちがやったこの無謀な戦争、この重荷をずっと背負って生きていかなくてはいけないわけですね。それを、まさに軍事大国にさせないのが、ある意味日米安保体制があるからではないのか、このように私自身は思っております。基本的に外務大臣も、言葉は違っても基本的な部分は理解していると思いますので。  そうしますと、日米安保体制のまさに意義というのは、一つは核の、核といいますかアメリカの抑止力の確保にある、二番目としては日米関係のまさにきずなである、さらにまたアジア太平洋地域における安定要因である、そしてまた第四番目としては、日本の非軍事大国路線、これをまさに支える一つの要素である、このように言うことができるのだろうと思いますけれども、ほかにありますか。
  49. 河野洋平

    河野国務大臣 大体今議員のおっしゃったことで尽きていると思いますが、私はその四番目のところだけは若干ひっかかるので。  先ほどもお話がありました、いわゆる瓶のふた論ですね、一種の。アメリカがこうしているからだという、瓶のふた論というのは、確かにお話はよくわかりますし、現実にそういうふうに説明をすると、アジアの国で納得される国があるというのは私はよくわかりますけれども、それではいかにも我が国国民情けないではないか。軍事大国にならないかは、安保条約があるからならないのではなくて、やはり我が国国民がそういう決意をしたからならないのだという、私は我が国国民の良識を信じたいというふうに思っているわけでございます。  現実的に、議員の御説明も私は全く否定はいたしませんけれども、軍事大国路線を歩まないのは憲法があるからだという説明もございますけれども、もちろん私はそう思いますが、何よりも、我が国国民が再び戦わない、再び軍事力をもって力で何かをしようとは思わないのだという決意がそうさせているのだというふうに私は国民の良識を信じたいものですから、その四番目については若干一言申し上げたいわけでございます。しかし、それ以外の部分については、議員の御指摘は同感するところでございます。
  50. 東祥三

    ○東(祥)委員 外務大臣がそういうふうにおっしゃられても、まさに日本の歴史を通して諸外国は——決意だけではそれは信用することはできませんよ。一九二八年、不戦条約日本は調印しているじゃありませんか。決意です。しかし、結局その不戦決議を破ったのはだれかといえば、日本ではありませんか。まさにそれが、この第二次大戦の、こっぱみじんに日本がたたかれる根拠になっているのはそうじゃありませんか。したがって、新憲法ができて、日本は絶対に戦争しませんよ、核武装しませんよと言っていたとしても、既にドクター・ヘンリー・キッシンジャーは、必ず日本は核武装すると演繹的に言われています。じゃ、それを担保しているのは何なのか。日本はそれだけ信頼されていないのだろうというふうに 思うわけです、残念ながら。  それを何とかして、戦後生まれの我々が、必ずや信頼できる国にしたい、そういう決意を今述べているわけでございますが、ただ問題は、私が言いたいのは、日米安保体制というのはこれほど明確に、四番目の部分は別の言葉をつけ加えていただいて、ぜひとも今月、十一月二十日にクリントン大統領に、会談されるときに、私たちにとってもまさに日米安保体制というものはこういう利益があります、私たちの問題としてとらえてぜひともいい会談をしていただいて、日米安保体制の新しい意義づけ、肉づけをしていただきたい、このように要望いたします。いかがですか。
  51. 河野洋平

    河野国務大臣 戦前に属する人たち、あるいはあの戦いを目の当たりに見、経験した人間、私も、小さかったのですけれども、空襲の中逃げ惑った経験がありますが、戦争を経験した人間は、再び戦うまい、再び戦争によって、みずからも傷つきたくないし、相手も傷つけたくない、これはかたく誓っていると私は思います。  むしろ、戦争を知らない世代の人たちに、ぜひこの国の歴史をよく学んで、再び戦うべきでないという決意をしてほしいと思っている年配の方が多いというふうに私は思うわけで、今議員のように、戦後生まれの議員がかたい決意をしていただいているということは、私はまことにうれしいこと、ありがたいことでございます。  それはそれとして、日米首脳会談におきます日米安保条約を再確認といいますか、日米安保条約について語られる首脳会議、首脳会談において、今議員がおっしゃったような、我が国における理解といいますか、意義づけといいますか、そういうものは私は、総理は恐らく、議員と同じ側に立って、同じ考え方に立って話をされるだろうというふうに思います。
  52. 東祥三

    ○東(祥)委員 ありがとうございました。  ただ、どうも四番目がまだ納得されていないみたいなので。軍事大国にならないというその決意、これを明確にするためには、軍事的な合理性で説明しない限り、世界の各国というのは僕は理解してくれないのだろうというふうに思うわけです。  米国日本へのコミットメントは、まさに軍事的な合理性で説明してくれている。そうでなければ、それをただ心理的、エモーショナルな形で説明したとしても、それは日本の過去の歴史が暴かれることによって、それはどこもちゃんと認めてくれませんよということ宣言って、次に行きます。  今第一番目の質問で、まさに冷戦構造崩壊後、アジア・太平洋における日米安保体制は必要である。なぜ必要であるか、これはまさに四つ。外務大臣、四つ目、納得してくれていませんから三つ半。  次の問題ですが、じゃ、なぜ日本に四万七千、四万五千から四万八千の米軍兵士が駐留しなければならないのか。なぜなのですか。
  53. 折田正樹

    折田政府委員 非常に高い立場の御議論の中で、ちょっと事務的にお答えするのは申しわけないような気がいたしますが。  安保体制の中核をなすのが、申すまでもなく我が国における米軍の駐留でございますけれども、この四万人台の数字ということでございますが、アメリカは、特定地域の前方展開戦力がその地域で一朝有事の際に対応可能であるかということを指揮所演習やその他各種のシミュレーションで検証し、確認しておりまして、我が国に駐留する兵力もこのような検証に基づいたものであるというふうに承知しております。  昨日、ペリー国防長官が講演の中におきましても、軍隊をアメリカ本土から西太平洋に移動させるには非常に時間がかかる、また、現代の戦闘におきましては初動の二、三週間が決定的であるということを指摘する一方で、韓国におきます約三万六千人の米軍兵力及び我が国におきます四万七千人の米軍兵力の駐留は、地域紛争による脅威を排除し、日米両国の利益を守るために備えておくことによってアジア太平洋地域の全体を守る安全保障の傘を提供することを意味するのだという趣旨を述べておられます。
  54. 東祥三

    ○東(祥)委員 北米局長、もっと大きい声でゆっくりしゃべってくれないと、何を言われたのかよくわからないのです。もう一度、質問をちょっと変えて質問します。  ジョセフ・ナイ次官補が、ことしの二月の東アジア戦略の中で、十万人の要員を前方展開しなければならない、何のために前方展開するかといえば、アジアにおける米国の国益は基本的に過去二世紀にわたって全く変わることがない、その国益というのは、平和と安全、この地域への商業上のアクセス、それから航海の自由、覇権主義的な勢力あるいは勢力の連合の勃興の阻止であるとしています。この米国のコミットメントを支えるために約十万人の要員を必要とする戦力組織を維持することが大切だ、こういうふうにナイさんは言われているわけです。そこにレポートないですか、ありますか。  では、まず政府はこの米国の方針をどのように評価されておられますか。
  55. 折田正樹

    折田政府委員 まさしく委員おっしゃられるとおりでございます。  このナイさんのアジア・太平洋戦略報告は、一九九三年十月にいわゆるボトムアップ・レビューというのをアメリカがいたしまして、それで表明されました十万人の前方展開戦力の維持を再確認しているわけでございます。そして、今委員が御指摘のような国益を守るという議論をした上で、この地域に対するアメリカのコミットメントを明確に示しているということでございまして、私ども政府としては、従来から申し上げていることでございますけれども、このようなコミットをしているということは日本として歓迎すべきことであるというふうに受けとめております。
  56. 東祥三

    ○東(祥)委員 そうすると、その十万の中の四万五千から四万八千、約五万が日本、そして韓国が三万五千、大体これで八万から八万五千、これで大体ナイ次官補が言われている十万人の要員の核をなしているわけですね。  そこで、もう一度、済みません、北米局長。さっきよくわかりませんでしたので、わかりやすいように、なぜ日本に約四万七千の在日米軍駐留が必要なんですか。普通の言葉で言ってください。
  57. 折田正樹

    折田政府委員 声が小さくて申しわけございませんでした。  アメリカは、いろいろなことを想定しながら、どこにどれだけの兵力が必要であるかということをシミュレーション、それから指揮所演習というのをやっておりますけれども、これによって検証しておりまして、この日本の四万七千という数字もその検証に基づいたものであるというふうに承知しております。
  58. 東祥三

    ○東(祥)委員 軍事的には、まず、在韓米軍が、北朝鮮との関係で、韓国を守る米国の決意を示すための陸軍歩兵師団を中核としています。それに対して在日米軍というのは、三沢のF16部隊、これは冷戦後減少している、アジア・太平洋及び中東に至るシーレーンを守る第七艦隊及び第三海兵師団という極めて広範かつ機動的な活動を任務とする部隊を中核としている、こういうふうに理解しておりますが、これでいいですか。
  59. 折田正樹

    折田政府委員 おおむねそのような理解で差し支えはないのだろうと思います。私もそう思います。
  60. 東祥三

    ○東(祥)委員 そうしますと、四万五千から四万八千、この委員会では四万七千でずっと言いますけれども、そのうちの約三万がなぜ沖縄に集中的に駐留しなければならないのか。第三番目の質問でございます。これについてはいかがですか。
  61. 折田正樹

    折田政府委員 沖縄にいる米軍は、先ほど委員が御指摘になりました海兵隊の部分が非常に大きゅうございます。もちろんそれだけではなくて、空軍、海軍、陸軍、それぞれございますけれども、特に沖縄にあれだけ基地がある一つの理由は、海兵隊があそこにまとめているということでございます。もちろん、細かく見ますと、例えば 岩国にも海兵隊関係基地がございますけれども、機能別に見ますと、沖縄基地で多いのは海兵隊の部隊でございます。
  62. 東祥三

    ○東(祥)委員 そうしますと、別の言葉で言いますと、沖縄への集中の本質というのはどういうふうに理解すればいいのですか。
  63. 折田正樹

    折田政府委員 やはり何といいましても、歴史的な経緯というのが大きい要素であろうと思います。戦後、長きにわたりまして沖縄米国の施政下に置かれまして、その間に多くの基地が建設されたということが非常に大きな要素であろうというふうに私どもは思っております。  そういうことも踏まえながら、私どもは、沖縄方々にどう対応するかということを真剣に考えていかなければならないのであろうというふうに思います。
  64. 東祥三

    ○東(祥)委員 北米局長の立場があると思いますから歴史的という側面から説明されていますけれども、軍事的にはどうなのか。  つまり、軍事的には、おっしゃられたとおり、海兵師団が沖縄に本拠を置いて、同師団を支援する関連の部隊が朝鮮半島あるいはまた大陸をにらんだ制空権を確保するためのF15空軍部隊とともに沖縄に駐留していること、それから、これらのための、まさにずっと長年にわたって整備されてきた、これはロジスティックの問題、兵たん上のインフラが存在していること、基本的にこの二つが沖縄に集中している本質じゃないのか、このように思いますが、北米局長、いかがですか。防衛庁でも……。
  65. 守屋武昌

    ○守屋説明員 防衛庁の政策課長でございます。  在日米軍というのは、当然、米軍は終戦後日本に入りまして展開しておったわけでございますが、占領後日本各地に展開していったのが、朝鮮戦争後、平和条約ができまして、前進基地としての機能という面で一度整理が行われました。それから、周辺諸国の軍事能力が高まってまいりますと、やはり北海道地区からの米軍基地の撤去というものがございました。現在の米軍日本基地における展開は日本海側にはございませんで、太平洋側、東京から岩国、佐世保にわたる太平洋側、それから沖縄というところにございます。沖縄は、ロシア、中国という面から見た場合、一番縦深性の深いところに位置しております。そういう観点からアメリカの部隊配置が行われていると私どもは理解いたしております。
  66. 東祥三

    ○東(祥)委員 前防衛庁長官に本当は聞きたいですけれども、委員会は許されませんので……。  今の御発言で、技術的なこと、よくわからないのです。要するに、本質は、基本的には、一つはインフラが長年ずっと整備されてきている、そしてもう一つは制空権、F15を中心とするそういう大部隊があそこにある、これは切っても切れない状況にある、こういう理解でよろしいですか。
  67. 守屋武昌

    ○守屋説明員 長年沖縄でそういうふうな飛行場とか港湾施設とかというインフラが整備されてきたことは事実でございます。  それから、防衛庁用語で大変恐縮でございますが、縦深性があると私申しましたのは、沖縄の地政的な位置でございますけれども、韓半島あるいはロシアという面から見た場合、日本列島の中で一番遠いところに位置しているというところでございます。航空戦力というのは相手方からたたかれるところに置いてあっては当然意味がないわけでございますから、そういう意味で縦深性という言葉を使いました。
  68. 東祥三

    ○東(祥)委員 といいますと、一つは歴史的経緯、そして第二番目は軍事的、第三番目にはまさに地政的、戦略的、その三点で沖縄に集中している、こういうふうに理解してよろしいですか。
  69. 守屋武昌

    ○守屋説明員 おおむねそのような御理解でよろしいかと思いますけれども、それと、極東地域という、ロシア、中国、北朝鮮というふうな軍事大国が存在しております戦略環境をやはり当然念頭に置いております。
  70. 東祥三

    ○東(祥)委員 そうしますと、アジア・太平洋に前方展開する米軍の中で、紛争時に直ちに対応できる機動性を持った師団単位の唯一の部隊である、こういうふうに理解してよろしいですか。
  71. 守屋武昌

    ○守屋説明員 そのように御理解していただいて結構でございます。
  72. 東祥三

    ○東(祥)委員 では、そうしますと、まさに第三番目の問題に入りますけれども、今お話しの歴史的また軍事的そして地政学的、戦略的に、またインフラがあること、これがまさに沖縄へ在日駐留米軍が集中している理由である、こういう御説明をいただきました。  そうであるとしますと、そうした部隊が紛争防止に必要でないという非現実的な立場をとらない限り、沖縄基地というのは抜本的には削減することが困難であるということを言っているのじゃないですか。いかがですか。
  73. 河野洋平

    河野国務大臣 私どもは、沖縄基地といえども、この何年間かの間に話し合いながら整理統合を進めてきているわけでございます。面積的にはそう大きな面積ではありませんけれども、しかし、一定の面積を縮小いたしました。  日米双方で話し合った事案は大変多うございますけれども、必ずしもそれが全部整理統合されたわけではありませんが、これまで相当数の事案が整理統合の対象となって、それが実行されたことも事実でございます。現在でも実行されつつあるわけでございまして、これらは、今議員お話してございますけれども、まだまだそうした可能性というものは残されているというふうに私は思います。
  74. 東祥三

    ○東(祥)委員 いや、外務大臣が言わんとすることはわかるのですけれども、僕の質問をちょっとずらしておっしゃられていて、私は今、沖縄に駐留米軍が集中している本質というのは、歴史的、軍事的、地政学的、戦略的にちゃんと根拠があるという説明を伺ったわけです。  そうしますと、私の質問は、今大臣お答えしてくださいましたけれども、そういった機能を損なうことなく、例えば師団というのは、これは玉沢防衛長官だと思うのです、うなずいてくれればいいのですけれども、日本では一番小さいのは七千人ぐらいだと理解しておりますけれども、多分米軍であれば一万人前後が一つの師団というふうに理解していいのかもわかりません。  それでは、ちゃんと聞きます、防衛庁。師団というのは規模はどれくらいですか。
  75. 守屋武昌

    ○守屋説明員 日本の陸上自衛隊の師団の規模は、七千人と九千人と二種類ございます。アメリカのはおおむね一万人程度、こういう御理解で結構でございます。
  76. 東祥三

    ○東(祥)委員 ということは、今僕が質問した沖縄基地を抜本的に削減することの難しさが明確にここで出ているのじゃないのか。ということは、もっと具体的に言えば、機能を損なうことなく師団という単位を半分にしてしまうだとか、支援部隊を遠く離れたところに持っていくだとか、そういうことは基本的にできないのじゃないのか、こういうことを私は率直に外務大臣にお聞きいたしているわけです。いかがですか。
  77. 河野洋平

    河野国務大臣 まさにその問題にこれから取り組むわけでございます。四日には総理が沖縄県知事とお目にかかって、沖縄の主張、希望、痛み、そういったものを伺う。それもそう簡単な伺い方をするとは思いません。総理は、この知事さんとの話し合いに数時間をかけてよく話は伺うつもりだと言っておられるわけで、そこで沖縄県民が何を今感じておられるかということについては十分聞かれると思います。  そうしたことをも踏まえまして日米間ではまだまだこれから話し合いを持つわけでございまして、今それぞれお話がありました、例えば歴史的といいますけれども、その歴史的という意味は非常にネガティブな意味で言っているわけで、こうした歴史というものは、沖縄県民にとってみれば戦中戦後を通じて最もつらい、苦しい歴史を歩んできておられるわけで、こういう歴史があるからそのままでよろしいのだという、その理由にはならないのだろうと私は思います。  確かに、今それぞれ軍事的とか戦略的とか、いろいろ理由が、意味づけが行われましたけれど も、そうしたことがどれだけの重さを持つのかということは、これから総理が知事とも会われ、また私どもにもいろいろ御指示がありますでしょう。また、日米間でさまざまなレベルで話し合いも行われるわけであって、今ここで、議員がおっしゃるように、もうこれは無理なんだろう、これはもうこのままにならざるを得ないのだろうと言われて、ええそう思いますと私は申し上げるわけにはまいりません。私は、これからいろいろな御指示を受けてできる限りの努力をする、これは沖縄県民のお気持ちも踏まえて、できるだけの努力をするということを申し上げる以外にはございません。
  78. 東祥三

    ○東(祥)委員 僕は、外務大臣が言われていることは、すごい重要なことを言われているのだろうと思います。僕は、基地が縮小できないだとか、そういうことは一切言っておりません。中枢部分がまさに沖縄にある、その中枢部分は、これはまさにそこにある必要性があるのですね、そういうことを僕はまず理解しているわけです。ただ、外務大臣は、その辺も含めてこれから検討していきますと言っているわけてす。中枢部分というのは、僕はいじれないんじゃないのか。そこまで本当に検討していくのですか。
  79. 河野洋平

    河野国務大臣 正確に質問意味を受けとめていなかったかもしれません。しかしながら私は、私の気持ちは、今申し上げたような気持ちでございます。ただし、日米安保条約の本来の目的を達成するということが一つあって、それと県民の要望、そして我々が考えなければならないもろもろの問題をどこで調和させるかということが、まさに重要なこれからの問題というふうに思っているわけでございまして、今ここで議員が、ここに中枢がある、ここに機能がある、これは動かせますか、こうおっしゃられても、それについては、私は今御返事を申し上げる立場ではないと言う以外にありません。これは防衛庁からいろいろ御説明があったとしても、米軍には米軍の判断もございましょう。そうしたことを含めて、我々とすれば、我々が心すべきことは何かということを申し上げているのであって、そこに動かしがたい機能があるかどうかということについてまでは、私ここで申し上げる立場ではございません。
  80. 東祥三

    ○東(祥)委員 まさに僕は、冷静な判断をこれはしなければいけない問題だ、こういうふうに思っています。今外務大臣御案内のとおり、与党の有力な議員が、基地問題、日本の国以外に分散したらいいではないか、こういうことを言われている方がいらっしゃいます。ハワイやあるいはグアムに持っていけばいいじゃないかと。僕が先ほど質問したのは、日米安保体制というのは必要なんですかと。外務大臣はおっしゃいました、必要ですと。その理由も議論の過程である程度合意しているものだろうと思います。四万七千人の在日駐留米軍、これも必要だということは議論の中でわかっているんじゃないですか。また別の言葉で言えば、まさに日米安保体制を担保する、日米安保体制を実効あらしめるためには、四万七千前後、正確な数はともかくとして、それが日本にいるということが一つの担保になるんじゃないですか。それを有力な自民党議員が、分散してもいいのではないのかと。それは全く外務大臣との議論の延長線上には出てこない。まさにその場限りのいいかげんな無責任な議論になってしまうのではないのか。まず外務大臣にお聞きしますけれども、基地を分散化すればいい、この点について外務大臣はどのようにお考えになっていますか。
  81. 河野洋平

    河野国務大臣 四万七千人の兵力が日本にいることが必要だということはペリー国防長官も言っておられます。これは、つまり日米安保条約の本来の目的を達成するために、アメリカが責任を持って安保条約目的を達成しようとすれば四万七千人の兵力がいることが必要です、これはもうアメリカの責任において言っておられるというふうに私は思います。しかもそれは、先ほどから北米局長答弁にもあったかと思いますが、たしか、地域の紛争に即応するためにはそれは日本にいることが重要なのだという意味もナイさんたちが言っておられるということを考えれば、日本の兵力をアメリカの西海岸であるとかどこかに移して日米安保条約の本来の目的が達成できるとアメリカは思っていないであろうというふうに思います。それは、アメリカが安保条約目的を達成するためにはこれだけの兵力が必要なのだというのは、さっきも御説明がありましたように、アメリカのボトムアップ・レビューを初めとしていろいろな角度から議論をした結論であって、そのことを、国外のどこかに移せばそれで問題が解決できる、昨今の議論の答えになるというほど軽々しいものではないだろう、この四万七千という数字は、というふうに私は思っております。これは、沖縄のマスコミに取り上げられて、アメリカの方から、我々の方に幾らか引き受けてもいいよと言ったとか言わないとかという記事が出て、その記事があちこちにキャリーされていろいろな議論になっているということなのだろうと思いますが、そのことはアメリカ政府の意向とは全く関係のないものだというふうに私は考えております。
  82. 東祥三

    ○東(祥)委員 そうしますと、まさに基本的に、外務大臣というお立場で、その米国が言っている四万七千人の在日米軍兵士が紛争時に機動的に対応するためにはこの数が必要だ、では、それに対して日本として、日本の外務大臣としてそれはそうだというふうな御見識はお持ちなのですか。
  83. 河野洋平

    河野国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、これはもう日米の信頼関係なのだろうと思います。日米安保条約の本来の目的を達成するために、アメリカ日本の安全とか日米安保の本来の目的を達成するために、考えて、研究し尽くして出してこられた数字であろうというふうに思います。もちろん防衛庁には専門家がいて、専門家には専門家のいろいろなあるいは意見があるかと思いますけれども、外務大臣としての私の立場からいえば、アメリカのこうした判断というものを信頼したいというふうに思います。
  84. 東祥三

    ○東(祥)委員 僕の言葉にちょっと失礼なことがあるとおわびしたいのですけれども、そういう意味ではなくて、まさに今おっしゃってくださったとおり、米国が言っている、四万七千人の在日駐留というのは必要である、それも外務大臣もお認めになる。であるとすれば、またさっきの話に戻りますけれども、そのうちの、常時大体二万一千というふうに言われておりますが、今三万人近くが沖縄に集中しているこの在沖縄駐留軍兵士、この人たちの主要な機能というのは先ほどお話ししたとおりでございます。その主要な機能というのは、一朝一夕にはそれは抜本的な形でもって削減することはできませんねということを僕は申し上げているわけです。それに対してはいかがですか。
  85. 河野洋平

    河野国務大臣 きょうこの場で私は余り先走ったことを申し上げない方がいいと思います。先ほど申し上げましたように、これから総理は知事と会い、また総理からの御指示もあるでしょうし、あるいは総理御自身も日米首脳会談に臨まれるわけでございますから、ここで私が余り先走ったことを申し上げることはいかがかと思いますが、少なくとも現時点で申し上げられることは、日米間には、ことしの一月に総理がクリントン大統領に提案をしたいわゆる三事案の解決に向けての努力というものがまだ途中でございます。それから、既に合意をしている二十三事案のうち十三事案が処理ができましたけれども、残る十事案についてはまだ解決がされておらないわけでございます。これらについては、当然その解決のために、今も努力が続けられておりますし、遠からず解決に向けて双方が最後の努力をすることになるだろうと思うのですが、恐らくそれを除く他のものについては、今度新しい協議機関といいますか、2プラス2のもとにつくられます新しい協議機関の中でいろいろな議論が行われて、これはかなりハイレベルの日米双方の人間がこの協議機関に入って議論をするわけで、しかも、その協議機関の中での議論は、いわば中長期的な議論、中長期的にどういうことをやるかという議論になるのだろうと思 いますから、そこで議論がなされるものというふうに思うわけです。  それで、私には、そうしたことを今の段階では、具体的なことを申し上げるデータはありません。それよりも、むしろ私は、県民の皆さんの気持ちを受けとめて、私自信も受けとめておりますし、総理もまた直接聞かれて受けとめられて、総理の御指示によってできる限りの努力をしたいということ以上、今は申し上げようがございません。
  86. 東祥三

    ○東(祥)委員 既に議論されているその返還のリスト、これはよくわかっています。ある意味で、一九九〇年の日米合同委員会で、我が国は四十一事案の返還を要求している。昨日の十事案合意で二十三事案が解決に向け動き出すことになっている。残された十八事案の中では四事案が既に返還することで合意しているので、未解決なものは十四事案ということになる。ただ、ことしの一月に新たに加わった那覇軍港の移転等の三事案には、未解決の十四事案と一部重複するものもあって、事案の数え方は必ずしも統一されていない。いずれにしたって、過去から沖縄が返還を要求してきたものの中には、いまだ手つかずのものがある。こういうものを、ペリー国防長官とお話し合いをされ、さらにまたどんどんその解決に向かって進んでいっていただきたいというふうに私は思います。  それと、今僕が話をしているのは中枢部分の問題ですから、僕は、それはだめだだとかいうことは、こちらももとより判断する資格がありません。しかし、基本的に、話をしている限りにおいてはそういう部分というのを沖縄の人々にも、また日本国民の皆様にもわかっていただく、説得する役目はだれが負わなくちゃいけないのか。外務大臣じゃないんですか、防衛庁長官じゃないんですか、総理大臣じゃないんですか。そういうものを明確に、今こういうふうになっているということを言わないで、もっと基地は縮小されていきますよ、心配しないでください……。  他方、日米安保体制の重要性を指摘したとしても、それは全然説得力がないものであって、どこまでその線を引けるのか。安全保障の問題というのは、ナイ次官補が明確に言われているとおりに、酸素みたいなものだ、突然なくなってきたときにそのありがたさがわかる、名言を吐いていらっしゃいます。そういう極めて冷静な判断を必要とするこの問題を、何か言葉のあやでもってわからないようにしてしまうこと自体が日本国民の理解をまさに惑わしてしまうことになるんではないのか。それをわかった上で、私たちはできる限り基地縮小に向けて何をすることができるのか、沖縄県民の感情を和らげるために何をしなければならないのかという段階に進んでいくんではないのか、そのように私は痛切に思います。外務大臣いかがですか。
  87. 河野洋平

    河野国務大臣 これまでも、かつて自民党政権時代、歴代の内閣は、沖縄の県民に対してできる限りのことをしなければならぬと語り、そして努力をしてきた。けさの新聞にも、宮澤さんは総理時代にそれを一番考えてきた、随分考えたけれども、やはり今にしてみると、県民の立場に立つとまだ十分ではなかったんだということを述懐しておられる記事を拝見をしましたが、我々とすれば懸命に努力をしてきたつもりだ、しかし、それはあくまでもつもりであって、沖縄の皆さんの立場に立ては、まだまだとんでもない、十分ではないよということであったんだろうと思います。  そうした状況考えますと、私どもとしては、まだまだ努力をしなければならないという思いが正直あるんです。しかしながら、先ほどから申し上げているように、アメリカの、安保条約の本来の目的を達成するのに必要なもの、機能、そういうものは削減することはできない、欠くことはできないということが一方にあって、そういう前提に立って、どこで県民の期待と調和させるかという努力なんですね、今やっている努力は。どちらが優先するかと言われると、これはなかなか難しいところが正直あるわけです。しかし、いずれにせよ、日米安保条約を堅持するという一貫した姿勢と、沖縄県民にかけてきた重い負担、しかも、それは在日米軍の七五%までも沖縄県民に負担を願ってきた状況というものを考えれば、どこまでその状況を改善するのかという最大限の努力が今なされなければならぬということは、我々の使命と考えています。  しかし、今議員がおっしゃったように、手品のように、マジックのようにこの事態が変わるのか、そうではないだろう。そうではないのなら、そこは正直にはっきりと言うべきではないかという御指摘は、全くそのとおりだと思います。それで、沖縄県民の方々からも、いろいろ言うけれども、言われてみてもそれは信用できないよ、それは本当にそうは思えないねと、むしろ沖縄方々から言われるような状況というものは決していい状況ではない。なるほどそれならできるんだろう、そういう計画ならできるんだろうね、その計画は間違えずやれるね、やってくれるねという状況をつくらなければならないのではないかというふうに思います。  繰り返しますが、村山総理は、虚心坦懐に知事と話されると思います。そして、知事のお気持ちを踏まえて我々は指示を受けることになると思います。あるいは総理御自身が日米関係の中でいろいろと我々に対して絵を見せられるかもしれません。そういうものを踏まえて努力をしなければなりませんし、私自身も、一議員としてこの問題の解決というものが極めて重要だという認識をいたしておりますから、できる限りの努力はしたいという状況でございます。
  88. 東祥三

    ○東(祥)委員 やっと議論がかみ合ってきていると思います。  私は、米軍基地について一切縮小できないということは、これはあり得ないと思っているんです、縮小できるんだろうと思っているんです。だから、アメリカ側も、まさに外務大臣がおっしゃったとおり、新しい日米協議の場の設置に応じたのではないのか。また、軍事活動あるいは訓練活動のあり方についても、騒音だとかあるいはまた環境問題等の関連で見直しの余地が十分あるのじゃないのか。  ただ、明確にしておかなければならないことは、例えば沖縄米軍あるいは米軍基地を抜本的に縮小するということは、沖縄の有する地政学的重要性というものを捨象してしまって、あるいはまた、本土のどこかに同様のインフラを整備して同様の問題を抱えるという選択をしない限り、日米安保の機能あるいはまた意義というものを大幅に失うことになりはしないのか、これもまた現実なんじゃないのか。それを踏まえた上でこの基地縮小問題というものを議論しておかなければ、本当におかしなことになってしまうのではないのかということを私は思っているわけでございます。  そこで、今度はそういう状況に立ては、では、沖縄の県民の方々が苦悩している、直面している問題を少しでも和らげるためにはどのようにしなければならないのか、その知恵を出さなければならない段階に進む一番最後の、まさに第四間目の問題になるわけですけれども、この点に関して外務大臣としてお知恵を披瀝していただければと思います。
  89. 河野洋平

    河野国務大臣 沖縄県民の皆さんは、日常生活の中に基地からさまざまなマイナスを受けとめているわけです。  先般、与党議員沖縄に行かれていろいろな話を聞いてこられました。それは、大きな飛行場の返還の話から、中には、住まいから本当に至近距離に駐機している飛行機の騒音、爆音に至るまで、さまざまな県民の皆さんからの話を聞いて帰ってこられました。  住宅地のすぐそばにある駐機場、その駐機場から来る騒音、これは何とか解決できないのか、これを解決するだけでも、日常生活の中の騒音が取り除かれるということだけでも、幼い子供さんを育てなければならない、育てておられるお母さんの気持ちというものは随分休まるだろうというようなお話を伺いますと、今例え話で申し上げたわ けですが、我々はそうした話一つ一つも丁寧に伺って、解決できるものは一日も早く解決をするための努力をしなければならないというふうに思いました。それぞれの立場で、それぞれの役割に応じてこうした問題解決のための努力をしなければなるまいというふうに思っているわけです。  しかし、最も根本的、基本的な問題もまた我々は逃げるわけにはいかない、しっかり取り組まなければならない問題であることは論をまちません。
  90. 東祥三

    ○東(祥)委員 もう時間が来ましたので、これで終わりにしますけれども、大げさに言えば日本の存立のために日米安保が必要だ、そのために現実の負担の大きな部分沖縄県民に担っていただいている、そのことを深く認識すると同時に、そのために逆に、安全保障上の負担に十分見合っている代償なり、あるいはまた抜本的な基地対策、あるいは沖縄振興開発のための財政上、法制上の支援策も含めた上で、ぜひとも沖縄県民の方々の苦痛を少しでも和らげるために、基地問題を軽減させるためにも、ぜひとも政府の最高執行部であられる、外務大臣であられる河野外務大臣が、知恵を出し切ってこの問題に当たっていただくことを心から望みまして、本日の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  91. 三原朝彦

    三原委員長 次回は、来る十一月六日月曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時十四分散会      ————◇—————