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1995-12-06 第134回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年十二月六日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 宮里 松正君    理事 佐藤 静雄君 理事 高橋 辰夫君    理事 今津  寛君 理事 仲村 正治君    理事 池田 隆一君       栗原 裕康君    松下 忠洋君       渡辺 省一君    赤松 正雄君       長内 順一君    鴨下 一郎君       北村 直人君    佐藤 守良君       広野ただし君    上原 康助君       鉢呂 吉雄君    前原 誠司君       古堅 実吉君  出席国務大臣         外 務 大 臣 河野 洋平君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 中山 正暉君         国 務 大 臣         (沖縄開発庁長         官)      高木 正明君  出席政府委員         防衛施設庁長官 諸冨 増夫君         防衛施設庁施設         部長      小澤  毅君         沖縄開発政務次         官       徳田 虎雄君         沖縄開発庁総務         局長      嘉手川 勇君         沖縄開発庁振興         局長      瀧川 哲男君         外務政務次官  福田 康夫君         外務省アジア局         長       加藤 良三君         外務省北米局長 折田 正樹君         外務省欧亜局長 浦部 和好君         外務省条約局長 林   暘君  委員外出席者         防衛施設庁施設         部連絡調整官  坂本 憲一君         特別委員会第一         調査室長    田村 勝美君     —————————————  委員の異動 十二月六日  辞任         補欠選任   粕谷  茂君     栗原 裕康君   荒井  聰君     前原 誠司君 同日  辞任         補欠選任   栗原 裕康君     粕谷  茂君   前原 誠司君     荒井  聰岩     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖縄及び北方問題に関する件      ————◇—————
  2. 宮里松正

    宮里委員長 これより会議を開きます。  この際、中山総務庁長官及び高木沖縄開発庁長官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。中山総務庁長官
  3. 中山正暉

    中山国務大臣 おはようございます。  このたび総務庁長官に任ぜられ、北方対策本部長として、国民的課題である北方領土問題の解決促進に取り組むことになりました中山正暉でございます。  戦後五十年を経過する本年でございますが、我が国固有の領土である北方領土返還を、国民の総意に基づいて一日も早く実現することが重要な課題であると強く認識いたしております。  この北方領土問題の解決のためには、早期返還を求める国民の一致した声がますます重要となってまいりますので、国民世論の高揚を図るため、諸施策を一層推進してまいる所存でございます。  与えられた職員の重さを痛感し、誠心誠意職務の遂行に当たる所存でございます。委員長を初め、この問題に大変大きな国会議員としての使命を感じておられる委員皆様理事皆様方に、御理解と御協力と、また御支援をお願いをいたしまして、ごあいさつにいたします。  ありがとうございました。(拍手
  4. 宮里松正

  5. 高木正明

    高木国務大臣 去る八月の内閣改造に伴いまして沖縄開発庁長官を拝命いたしました高木正明でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。  皆様承知のとおり、多難な道を歩んできた沖縄については、昭和四十七年五月の本土復帰以来、三次にわたる振興開発計画に基づきまして沖縄振興開発のための諸施策が講じられ、多額の国費の投入と県民皆様方のたゆまざる御努力によりまして、沖縄経済社会は総体としては着実に進展を続けてまいりました。  しかしながら、現在の沖縄は、生活産業基盤などの面でなお整備を要するものが多く見られるとともに、一人当たりの県民所得格差の問題や雇用の問題、あるいは産業振興の問題など、今なお解決しなければならない多くの課題を抱えているのも事実であります。  今後の沖縄振興開発については、二十一世紀に向けた総合計画として平成四年九月に決定されました第三次沖縄振興開発計画を踏まえまして、引き続き、本土との格差の是正を図り、自立的発展基礎条件整備するとともに、沖縄の特性を生かした特色ある地域としての整備を図ることが必要であると考えております。  私は、就任後間もない八月の末の二日間、沖縄を訪問いたし、現地の各界の皆様の声を直接伺ってまいりましたが、沖縄のすばらしさ、あるいは将来に向けての可能性を感じた一方、復帰後二十三年余りを経た今日もなお沖縄はさまざまな課題を抱えていることについて、改めて認識をいたした次第であります。今後、沖縄県民と一体となって諸問題の解決全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。  なお、先般の沖縄の米兵による少女暴行事件につきましては、極めて遺憾に思っております。今回の沖縄をめぐる問題につきましては、関係省庁において努力をしているところでありますが、沖縄開発庁としても、県民立場に立って、関係省庁連絡をとるなど、この問題の解決に向けて努力をしてまいりたいと考えております。  委員長を初め委員皆様方には、沖縄振興開発につきましてよろしく御指導、御鞭撻を賜りますよう心からお願い申し上げまして、就任のごあいさつにさせていただきます。  ありがとうございました。(拍手
  6. 宮里松正

    宮里委員長 次に、福田外務政務次官及び徳山沖縄開発政務次官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。福田外務政務次官
  7. 福田康夫

    福田(康)政府委員 このたび外務政務次官就任いたしました福田康夫でございます。  河野外務大臣を補佐いたしまして、微力ではありますが、職務を全うするため全力を傾ける所存であります。  北方問題につきましてはさらに粘り強く対ロ外交を進め、また、沖縄問題の解決のため努力してまいる所存でございます。  宮里委員長を初め本特別委員会の各委員の御指導、御鞭撻と御協力お願い申し上げまして、就任のごあいさつとさせていただきます。(拍手
  8. 宮里松正

  9. 徳田虎雄

    徳田政府委員 このたび沖縄開発政務次官を拝命いたしました徳田虎雄でございます。  高木沖縄開発庁長官の御指導のもと、沖縄振興開発のため全力を尽くす所存でございます。  委員長を初め委員皆様方にはよろしく御指導、御鞭撻を賜りますよう、心からお願い申し上げます。よろしくお願いいたします。(拍手
  10. 宮里松正

    宮里委員長 次に、沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松下忠洋君。
  11. 松下忠洋

    松下委員 鹿児島から出ております松下忠洋でございます。連合審査を終えたばかりでございますので一部重複があるかもしれませんが、そのお許しをあらかじめいただきまして、沖縄の問題、そして北方領土の問題についてお尋ねいたします。  今回の悲しい事件、これを契機沖縄方々からの具体的、そして明快な要請がございました。一つ米軍基地整理縮小、もう一つ日米地位協定の見直し、もう一つ騒音防止協定早期締結、もう一つ基地被害等の軽減、そして三者連絡協議会活性化ということでございました。  河野外務大臣、今回の悲しい事件を踏まえて、これらの沖縄人たちの心からの要請に対してどのように具体的におこたえになっていかれるつもりか、まずそのお考えをお聞かせいただきたいということでございます。
  12. 河野洋平

    河野国務大臣 松下議員からお話がありましたように、今回沖縄で起こりました少女暴行事件というのは、まことに忌まわしい、そして信じがたい事件でございます。私どもは、こうした事件が二度とあってはならぬという思いを持ちながら、御本人あるいは関係者に心からお見舞いを申し上げながら、米軍に対しましては、綱紀の粛正を初めとして、二度とこうしたことが起こらないように最大の努力をするように申し入れをいたしております。  申し上げるまでもなく、沖縄基地は戦中戦後を通じて、いや、戦前からさまざまな経緯をたどり今日に至っているわけでございまして、沖縄の、とりわけ基地周辺皆様方思いは極めて深刻であろうというふうに私は受けとめております。こうした沖縄県民皆様方気持ちを、その心を心として我々は今後基地問題に取り組んでいかなければならない、こういうふうに思っております。  しかしながら、他方、国政を預かる身といたしましては、我が国の安全ということもまた決しておろそかにできない問題であることも御理解をいただかなければならないと思います。我が国の安全は日米安保体制によって守られているわけでございまして、必要最小限度自衛力と、そして日米安保体制、この二つがかみ合って初めて我が国の、そして我が国民の安全というものが保障されているわけでございまして、こうした点にも配慮しないわけにはまいりません。私は、沖縄県民の心、そして我が国国民の安全を保障するための日米安保体制というものの調和をどこに見出すかということを真剣に考えながらこの問題に対処していかなければならないと思います。  村山総理大田沖縄県知事との数次にわたります会談も、大変長時間、お二人は極めて真剣に、深くこの問題について話し合われたというふうに伺っております。  こうした状況を踏まえて、総理の指揮のもとに、私といたしましては、この問題のために全力を挙げたい、こう考えておるところでございます。
  13. 松下忠洋

    松下委員 我が国安全保障をしっかり確保しながらこの問題にしっかりとした答えを出していくということを、どうしてもしていかなければならないわけであります。大田知事がテレビで発言され、あるいは新聞等で話しておられることを読むたびにそういう気持ちが深くしてまいるわけですけれども大田知事がこう叫んでおられます。  もうこういうことは終わりにしましょうよ、五十年沖縄は耐えるだけ耐えてきた、いつまでこういうことが起こり、こういうことを我慢しなければいけないのでしょうか、未来に明るい展望が開けるような沖縄県にしたい、このような趣旨でございました。これはやはり、今の沖縄県民叫びだと思います。  そういう状況の中で、クリントンアメリカ大統領が、来年になりましたら訪日されるというふうに聞いております。どのような予定を組んでおられるのか。そしてその際、沖縄県民のこの叫びを、これは日本の心でもございますけれども、どのように大統領に伝え、そしてアメリカに伝え、沖縄県民方々要請に具体的に、そしてしっかりと答えを出していこうとされるのか、そこを外務大臣お願いいたします。
  14. 河野洋平

    河野国務大臣 御承知のとおり、十一月の二十日に日米首脳会談を行うという予定でございまして、私どもも鋭意その準備をいたしておりましたところ、アメリカ国内事情によってクリントン大統領訪日は延期されたわけでございます。  私は、この戦後五十年というちょうど節目の年の一番最後に、日米首脳会談でこの五十年目という年を締めくくるということを考えておりましただけに、実は少しがっかりしたわけでございますが、これも、それぞれ国内事情を抱えているわけでありますからやむを得ません。  しかし、延期をされましたけれども、できるだけ日米双方都合のよい、一致する一番早い時期にこの延期されている訪日は実現をしなくてはならない、してほしい、こう考えておりまして、目下アメリカ側調整中でございます。きょう現在、双方都合のいい時期が一致をしたという報告は聞いておりません。まだここでその時期については御報告申し上げられないことをまことに申しわけないと思っておりますが、目下調整中でございますので、その点は御了承いただきたいと思います。  そこで、首脳会談が行われれば沖縄の心をアメリカに伝えるか、こういうお話でございました。私は、村山総理クリントン大統領が、双方首脳同士が話し合われれば、それは双方首脳が持つ関心事については話をされると思います。村山総理は、恐らく非常に率直に、大田知事を初めとして沖縄皆さんから聞いている話、あるいは御自身が沖縄について持っておられる知識を伝えられるであろうというふうに私は思います。  ただ、もう少し申し上げておけば、我々としては、沖縄の問題についてはアメリカには相当程度、あるいはもう洗いざらいと言っていいかもしれませんが、既に伝えてございます。  これは私どもばかりではありません。沖縄県選出の国会議員皆さん、あるいはもちろん知事さんもそうでございますし、沖縄指導的立場方々は、駐日アメリカ大使モンデールさんに何度も会って、そうした話を繰り返ししておられますし、もちろん私ども外務省といたしましても、でき得る限りアメリカに実態、実情については繰り返し伝え、さらには、こちらの希望を述べ、要請をいたしているわけでございます。  首脳会談が行われなければアメリカ沖縄の心が伝えられないかといえば、それは決してそういうことではなくて、既にそうしたことを伝え、私とペリー国防長官との間、あるいはクリストファー国務長官との間の話し合いによって、いわゆる特別行動委員会も設置をされまして、この特別行動委員会では、この問題、まさにこの問題について議論をするわけでございまして、沖縄が抱える、沖縄の求めるものを特別行動委員会に持ち込んで、そこで話をするということが既に動き出しているということもまた、御承知おきをいただきたいと思うわけでございます。
  15. 松下忠洋

    松下委員 ぜひ大統領訪日のときに、しっかりとその心を伝えるようなことをしていただきたい。これは改めてお願い申し上げる次第でございます。  具体的な問題に入りますけれども、いろいろな見直し要求の中には、時間を要するものもあれば、今すぐ取りかかれば早めてでもできるものがある と考えます。騒音防止であるとか車のプレートの識別をわかりやすくするとか、そういった身近な生活に関連した問題は今すぐ取りかかって、沖縄人たち要請に対する答えを早く出していかなければいかぬと思いますけれども、これについてはいかように取り組んでいかれるつもりですか。早めてきちっとやっていかれますか。
  16. 折田正樹

    折田政府委員 委員おっしゃられるとおり、沖縄の方からいろいろな御要望をいただいております。これらの事項については、一つ一つ十分に検討していこうと思っております。  まだ、政府として優先順位をつけたということはございませんけれども進展が図れるものから取り組み、可能なものから進展を得ていくということで全力を注ぎたいというのが我々の覚悟でございます。
  17. 松下忠洋

    松下委員 これは放置しておかないで、もうきょうからでも取りかかれるものは早く取りかかって、きちっと向こうの要求に、要請にこたえ、答えを出していただくように、ここでお願いを申し上げておきます。  基地整理そして統合縮小についてお尋ねを申します。  既に方針が決まっているもの、そして現在まだいろいろ検討しているもの、いろいろございますけれども、今全体として、今回のこの事件契機に改めてどのように全体を整理され、そして取り組んでいこうとされておるのか、そこのところをまず復習としてお話しいただきたい。お願いいたします。
  18. 坂本憲一

    坂本説明員 御説明いたします。  整理統合縮小につきましては、日米間の新たな協議機関といたしまして沖縄における施設及び区域に関する特別行動委員会が設置され、防衛庁からも防衛局長統合幕僚会議議長及び防衛施設庁長官が参加しております。  さらに、この検討を推進するため、防衛庁内に、事務次官を長といたします在日米軍基地に関する特別委員会が設置されたところであります。  今後は、これらの場を通じて、基地整理統合縮小につきまして、引き続き検討することとされている事案検討未着手のもの及びその他の事案の中から、新たに検討する対象を取り上げ、検討してまいる所存であります。  また、日米防衛首脳会談では、いわゆる三事案につきまして早期解決努力することで意見が一致し、さらに、二十三事案のうちの十事案につきましては、事案取り扱いを含め、年内結論を得ることに合意したところであります。  いわゆる三事案のうち那覇港湾施設の移設及び読谷補助飛行場返還につきましては、去る五月十一日の日米合同委員会で承認されました内容を沖縄県を初め関係自治体に伝え、現在地元調整中であります。  県道百四号線越え実弾射撃訓練につきましては、十月五日の日米合同委員会におきまして設置されました特別作業班におきまして、分散実施方向で技術的、専門的に検討実施中であります。  防衛施設庁といたしましては、整理統合縮小必要性については十分認識しているところでありまして、今後とも地元理解協力を得て、整理統合縮小問題の推進に努めてまいる所存でございます。
  19. 松下忠洋

    松下委員 ちょっと復習しますと、二十三事案中の残余の十事案年内結論を出すようですね。それから、引き続き検討している十八事案、これは日米間の特別行動委員会検討して結論を出していくということですね。それから、いわゆる三事案というのがございます。そのうちの二つ事案那覇軍港那覇港湾、それから読谷補助飛行場、これについては地元に既に案を提示して、今地元検討中ということですね。それともう一つは、県道百四号線越えの実弾砲撃演習、これについては特別作業班検討中、こういうことでよろしいですね。それはきちっと答えを出していくということで、検討していただくということで理解してよろしいですか。もう一度……。
  20. 坂本憲一

    坂本説明員 御説明申し上げます。  ただいま先生御指摘のとおりでございまして、二十三事案のうち十事案につきましては、事案取り扱いを含めまして年内結論を得たい。それから、十八事案の問題につきましては特別行動委員会の中で設定していきたい。それから、三事案の二事案那覇軍港の問題と読谷補助飛行場につきましては、既に地元に御提示してございますので、今後検討調整を続けていきたい。一〇四号線につきましては、特別作業班が設置されておりますので、そこで今後鋭意検討を進めていくということでございます。
  21. 松下忠洋

    松下委員 沖縄の人の心に沿った答えが出ていくように全力を尽くしていただきたいというふうにお願いをしておきます。  ところで、その沖縄の三事案と言われているものでございますが、そのうちの県道百四号線越えの実弾砲撃演習、これについてただいま特別作業班検討中ということでございました。ところがここに、これは十二月四日の西日本新聞でございますけれども、「米軍実弾演習本土移転 候補自治体「総スカン」」こういう記事が出ております。これは中をよく読みますと、沖縄心情を酌めばこれはよくわかるし移転賛成だ、しかしながら、移転をうわさされるいろいろな候補になる演習場周辺では反対の声が上がっているということなんですね。  ここにいろいろな候補地の名前も書いてございます。日出生台でありますとかあるいは東富士北富士でありますとか北海道大演習場とか、いろいろ書いてございますけれども現実はやはり、心情はわかるけれども、そこから先具体論に入っていきますといろいろな難しい問題が出てくる、簡単にやりましょうというふうにはいかないという現実があるんですね。  そうすると、いろいろ努力した結果、沖縄人たちに問題がそっくりまた返っていくということになると、今度のことで何をしてきたのかという、やはり現実の問題として答えが出せなかったということになるんですね。ここは本当に取り組んでいかなきゃいかぬですよ。そして、いい答えをやはりしっかり出さなきゃいかぬと思うんですね。こういう問題についてどのように認識して、どのように取り組んでいかれますか。具体的に明快にお答えいただきたいと思います。
  22. 坂本憲一

    坂本説明員 御説明申し上げます。  県道百四号線越え実弾射撃訓練につきましては、九月の日米安全保障協議委員会におきまして分散実施方向で技術的、専門的検討を進めていくことが合意されたことを受けまして、十月二日、日米合同委員会におきまして本問題解決に向けて検討を行うための特別作業班が設置され、これまで四回にわたる会議を開催し、鋭意検討を進めており、今後も米側協力を得つつ、精力的に検討を進めてまいる所存であります。
  23. 松下忠洋

    松下委員 これは技術的なことではなくて、外務大臣、やはりこの問題を国民としてどう受けとめてどのように痛みを分かち合うか、そういう共通の土俵がないとやはり進んでいかないと思います。  この辺は外務大臣、もう一度これはお尋ねいたしますけれども、基本的な問題は確かにありますけれども、いろいろ努力してやってみて、結局できなくて、また問題が振り出しに戻って沖縄に戻るということはやはりあってはいけないんですね。やはりそういう問題はきちっと答えを出していくということが大事ですけれども、ひとつ外務大臣のお考えをぜひお聞かせいただきたいと思います。
  24. 河野洋平

    河野国務大臣 この県道百四号線越えの実弾射撃訓練につきましては、ことしの一月ワシントンにおきまして、村山クリントン首脳会談の折に三事案という提案を村山総理からして、クリントン大統領もそれに合意をされたということがございます。つまり日米間では基本的に了解ができているということでございますから、問題は、今度は日本国内の問題ということになるわけでございます。  それで、日本国内でこの問題にどう対応する か。先ほども申し上げましたように、これは、我が国安全維持のために安保体制というものがある、我が国全体の平和と安全を守るためにある、そういう総論ではだれしもわかるわけですけれども、各論となるといろいろ問題があるわけでございます。  しかしながら、いずれにしても我が国の安全のためということであるならば、国内でこの問題の合意を探すために全力を挙げなければいけない。だれのためでもない、自分のためでもあるということを考えなきゃならないわけでございますから、お互いに、どこが、だれがということの前に、みずからに問うというぐらいの姿勢がそれぞれなければならないのであろう。  いずれにしても、議員お話しのように、国内でこの問題の解決のために全力を挙げるということが必要だというふうに認識をいたしております。
  25. 松下忠洋

    松下委員 担当しているその省庁に任じておくといいますか、そこだけで答えを出すということではなくて、国全体で取り組む、閣議全体で議論しながら、いろいろな協力関係をつくりながら、世論も喚起してやっていくという努力を続けていただきたい、そのように要請しておきます。  北方領土についてお尋ねいたします。  さきの国会国会決議をいたしました。北方領土日本返還しろ、そういうことでございました。  八月の中旬に、前の当委員会委員長であります鈴木宗男代議士を団長といたしまして、ロシアを訪問してまいりました。そして、国家院国際問題委員会ルキン委員長を初め多くの方たち意見を交換してまいりました。十二月に選挙があるということで、思い切った、踏み込んだ発言はやはりいただけませんでした。残念でしたけれども、それでもいろいろな意見交換をする場を持って勉強してまいりました。  そのときにやはり、これはなかなか相手は腰が重いということを本当に実感として思いましたし、また経済問題ということに置きかえていくようなそういう感じもちょっと、私素人ですからそういう確信は持てませんけれども、そういう雰囲気もございました。それはやはりなかなか、双方立場があり、戦後五十年という長い時間もたってきておりまして、いろんな難しい問題もありましょうけれども、やはり粘り強くしていかなければいけない、こう思います。  選挙を控え、エリツィン大統領の病気ということもございましょうけれども、今現在、そして今後どのように取り組んでいこうとしておられるのか、そこのところをお聞かせいただきたいと思います。外務大臣お願いします。
  26. 河野洋平

    河野国務大臣 北方領土の問題は、我々の先輩が大変な苦労をされて粘り強い交渉をしてこられたわけでありますが、残念ながらいまだに解決をしていないわけでございます。  九三年の十月にエリツィン大統領日本に来られましたときに、いわゆる東京宣言というものを発出されました。この東京宣言に沿いまして領土問題の解決、つまり、これが領土問題解決の端緒となるというふうに我々は認識をして、この東京宣言を踏まえてこれから領土交渉をしていかなければならない、領土問題の解決をしていかなければならない、こう考えているわけでございます。  今松下議員お話しのように、これは双方の政治力が相当強いときでないと交渉はなかなかできないというふうに思います。残念ながら、現在ロシアは選挙を控えているという今お話でございますが、そういう状況でございまして、こういう状況下で領土問題について議論をすることは適当であるかどうかということについても、十分な分析が必要と思っております。  若干我々心配しておりますのは、最近ロシア国内において、いわゆる民族主義といいますか、あるいはまた大国主義といいますか、そういう主張が見られるのでございまして、こうした状況は我々にとっては甚だ、この領土の問題だけでなく隣国としてこの国を見たときにも、若干の懸念を持たざるを得ないように思います。我々は、もっとロシアが国際社会の中に開かれて、そして国際社会の中で、相互依存関係といいますか、責任ある態度で国際政治の中に役割を果たしてほしいというふうにも期待をしているわけでございます。  私どもとしては、日ロ関係に政治的な側面と経済的な側面と二つの側面があって、この二つの側面を両々相まって拡大均衡をしていこうというふうに考えまして、私もこの一年ほど、ロシアからはサスコベッツ第一副首相、この人は主として経済的な側面を担当される、それからコズイレフ外務大臣、この人はもちろん政治的な側面を担当される、最近コズイレフ氏の立場についていろいろ話もございますが、このコズイレフ、サスコベッツ、二人の政治的、経済的両側面を担う人とそれぞれ交渉しながら、この二つの側面を拡大均衡していこうというつもりでやってきているわけでございます。  コズイレフ外務大臣がことし日本を訪問されましたので、今度は私がモスクワを訪問する番になっているわけでございます。私は、適当な時期を見てモスクワへ参りまして、この問題についても十分話し合ってきたいというふうに考えているところでございます。
  27. 松下忠洋

    松下委員 粘り強く大いに進めていただきたいと願うばかりでございます。  渡辺大使、そして東郷公使、森公使に会ってまいりました。大変熱心に、一生懸命取り組んでおられました。東郷公使は、私の鹿児島の同じ郷里の先輩といいますか、同僚でございまして、二晩三晩ウォッカを飲みながら話してまいりましたけれども、私の血には二つの血が流れておりますと言って、茂徳おじいちゃんの心を継いでこの問題を自分の世代で解決していきたいということを述べておられました。一緒にやろうという約束をしてまいりました。できるだけのことは私たちもやりたいと思っておりますので、よろしくこれからも歩調を合わせてやっていきたいと思っております。  そこで一つ気になったことがございました。八月にモスクワに行きましたときに、渡辺大使や皆さんお話をいたしました。そのときに、皆さん方が初めてことしになってロシアにお見えになられました国会議員方々です、一月から八月たって初めてですと言って大変喜んでいただき、また大変痛烈なパンチでもございました。それほど日本とロシアの間は冷えているのか、あるいは交流が非常に沈滞しているのかということを思ったわけでございます。  これは我々の責任でもありましょう。国内の選挙の仕組みが変わることによって非常に国内問題が大変だ、国内の政治もそれぞれ大変だということで国際問題に目が向かないということもあるかもしれませんけれども、やはり大事なところは、外務省だけではない、私は、いろいろな各層での交流を深めてやっていくことが必要だというふうにしみじみそのとき思ったのです。  この問題は、国会でも議論しなければいけませんし、議員レベルでも議論しますけれども、もっと交流を盛んにしていく、いろいろな段階でいろいろな層で意見交換をして、お互いの理解を深めてこの北方領土問題に結びつけていくということを努力しなければいかぬ、これが足らないように思います。この点について、やはりしっかりと取り組んでいただきたい。現状どうなっているのか、これからどういうふうにしようとしているのか、ひとつお考えをいただきたい。
  28. 浦部和好

    ○浦部政府委員 お答えをいたします。  ただいま大臣が申し上げましたように、政府としても、両国関係を全般的なバランスをとりながらできるだけ拡大していこう、したがって、そのためには人的な交流あるいは文化的な交流、そういうものが大変大事であるというふうに認識をしております。また、先生今御指摘いただきましたけれども、みずからいわゆる衆議院の戦後五十年問題国会決議調査団という形で訪日をしていただきました。  また、議員交流でございますが、我が方としても、特に新しいロシアの議会成立以来積極的にロ シアの議員の方の招聘ということをやっておりまして、既に四十名ほどの議員の方々を御招待して日本の議員の方々意見交換等していただいているわけでございます。  もちろんその分野だけではなくて、例えば技術交流であるとか、さらには文化交流であるとか、そういう側面も積極的に我々今やっているつもりでございます。例えば文化面でいいますと、ことしは三百八十人ぐらい、あるいは技術交流の面でいきますと三百人強、これは往復でございますが、そういうのをやっております。  もちろん、選挙が近くなっておりますので、ロシアの議員の方々を招待するという時期は今は適当ではないものですから、選挙が終わり次第またその面についても積極的にやっていこう、かように考えておる次第でございます。
  29. 松下忠洋

    松下委員 終わります。ありがとうございました。
  30. 宮里松正

    宮里委員長 鴨下一郎君。
  31. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 新進党の鴨下一郎でございます。  まず最初に、今韓国のソウルの地検が先週末に、一九七九年の十二月のクーデターを指揮した全斗煥元大統領を刑法上の反逆首謀容疑ということで逮捕したという報道がなされております。またさらに、先月半ばには盧泰愚前大統領が巨額に上る収賄容疑で逮捕されたばかりでございます。わずか半月ばかりで大統領経験者が相次いで逮捕される、こういう異常事態に韓国の政局がございまして、大変大揺れに揺れているというようなことなのだろうと思います。  私は、そういうようなところから、北朝鮮が今回の事態を受けて何らかの行動等を起こす懸念はないのか、こういうようなことについて外務大臣にお伺いをしたいと思います。  一説によりますと、北朝鮮にとっては、現在は韓国に対して戦闘行為を起こすには大変有利な状況になっているということのようでございます。  というのは、北朝鮮の戦力の多くが三十八度線上に移動している上に、朝鮮半島有事の際に出動するべき、言ってみれば沖縄駐留米軍がさきのさまざまな沖縄の問題によりまして若干不安定になっており、さらに太平洋軍司令官もさきの沖縄問題に絡む暴言で辞任して、さらにその後任についてもいまだ空席のままだというようなことでございます。  このような状況で、今後の韓国の国内の情勢が流動化し、さらに金泳三政権が安保についてはある程度、言ってみれば置いておいて内政の問題を重視している、こういうようにも受け取られるわけでございますけれども、このような北東アジアについて、もしくは朝鮮半島についての微妙なバランスが今崩れつつあるような現在の状況を、外務大臣、外交上もしくは安全保障上についてどのように御認識があるかということについてお伺いしたいと思います。
  32. 河野洋平

    河野国務大臣 隣国でございます韓国の国内、内政問題について、極めて流動的な状況というふうに報道されております現在の事態については、私が、その見通しでありますとか、その状況についてコメントをすることは控えさせていただきたいと思います。  一方、北東アジア全体の安定といいますか秩序といいますか、あるいは平和維持というものにつきましては、それぞれが十分な責任を負うて、例えば、米軍米軍で確かに人事の異動はございましたけれども、そのことによって米軍の体制がどうなるというような心配は全く必要はないと私は思っております。  その他北朝鮮の状況につきましては、それぞれ十分な情報を得るための努力がなされているというふうに私は承知をいたしております。残念ながら我が国とは国交がございませんので、情報を得るということはほかに比べるとなかなか難しいという状況にはございます。しかしながら、我が方も最近ではKEDOという組織に参加をして、北朝鮮との接触が、KEDOそのものが接触をするという状況下でございますだけに、関心も非常に多くなっておりまして、それなりに我々としては以前に比べれば情報を得やすい立場に立ちつつございます。  今日の北朝鮮の状況は、食糧問題を初めとしていろいろと問題を抱えているという状況下にあるようでございますが、それらが直ちに、軍隊が暴発をするという状況にあるというふうには現在聞いておらないところでございます。
  33. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 外交上の、言ってみればどのような努力を今後なさるかというようなことも伺いたかったんですが、それについては今後またいろいろと伺っていきたいと思います。  引き続きまして、沖縄の問題につきまして伺わせていただきますが、十一月七日に、これは報道ですが、国会内で野坂官房長官と高木沖縄開発庁長官沖縄県の振興開発策をめぐって意見を交換し、さらに、沖縄米軍基地用地の強制使用の手続の署名代行問題で、国による法的手続を円滑に進めるため、沖縄県民理解を得るというようなことも含めて、第三次沖縄振興開発計画に絡む九六年度の予算の概算要求の上積みや、それから企業誘致などを促進するような税制の優遇措置の拡大が必要との認識で一致した、こういうような報道がなされております。  またさらに、今後、新協議機関である沖縄米軍基地問題協議会、これは座長は野坂官房長官でございますが、それの第一回会合が十一月の二十五日に首相官邸で開かれたということも聞いております。  このような中で、沖縄県の大田知事が、この協議会の中で政府側に対して次の五項目を申し入れた。これはもう言うまでもございませんが、米軍基地整理縮小、それから日米地位協定の見直し騒音防止協定早期締結、そして基地被害の防止と完全補償の実施、それから三者連絡協の活性化、こういうような問題について政府側に対して要求を出したというようなことを聞いております。  この県知事の意向を受けて、政府側としましては、具体的にどのような点で九六年度予算の概算要求の中で上積みを考えておられるのかということ、それから、企業誘致などを促進するための税制の優遇措置の拡大というのは一体何をどのようにお考えになっているか、そして、それは実行の時期は一体どのくらいのことを目途に考えているのか、この辺についてお伺いをしたいと思います。
  34. 高木正明

    高木国務大臣 お答えをいたします。  十一月七日の新聞報道について若干背景を説明させていただきたいと思いますが、今回の米兵による暴行事件が起きまして以来、沖縄の問題についてよく新聞で言われておりますように、基地縮小の問題が一点でありますし、それから日米地位協定の問題が二点目、それから三点目に沖縄の振興策、新聞報道によりますといわゆる三点セットと言われておりましたが、この問題について、官房長官、外務大臣防衛庁長官、沖縄開発庁長官と四者で懇談会を続けてまいったわけであります。  その中で、私ども沖縄開発庁が振興策として考えられるとすればどんなことが考えられるのかなということで、この問題が起きたときから、私は事務方に、平成八年度で概算要求いたしておりますが、それ以外に考えられる方法が振興策にあれば検討していてほしい、さらにまた、税制上の問題でやらなければならない問題点があるとすればそれも検討の中に入れていてほしいという話を事前にしておりました。  それで、十一月七日の閣議が終わった後、時間がございませんでしたので、閣議が終わった後で官房長官に具体的にお話を申し上げたのは、平成八年度の概算要求は、沖縄県と打ち合わせをしながらその要望を踏まえて概算要求を組んだわけでありますが、それ以外にさらに上積みする話ですかということを聞きましたら、それもそうだ、入れて考えてほしい。それから、税制上の優遇措置はありますが、さらにまた考えられる税制上の措置も含めてですかという話を申し上げましたら、それもあわせて考えてほしい。いわゆるいろんな面を考えながら検討してほしいということがございました。  しかし、ちょうど三点セットと言われております中で沖縄県が一番要望している点は、やはり基地整理縮小問題でありますし、また日米地位協定の問題であります。この問題がある程度の見通しが立たないさなかでは、いろんな問題を私ども検討するにいたしましても、既に概算要求の中で十分な検討をいたしまして、要望を取り入れて概算要求を組んだものですから、新たにそれを上積みするいろんなことを考えるとすれば、改めて沖縄県と打ち合わせをしなければいけない。  しかし、タイミング的に、いろんな問題が起きているさなかで、沖縄振興策を沖縄県と相談するにしては極めてタイミングが悪いな、何か基地の問題と地位協定の問題、それらと同列で、だから沖縄振興策もこういうふうに上積みするんだというふうにすれば、私は開発庁長官として沖縄県の立場に立ては、予算上で何か条件闘争みたいな形で思われやしないだろうかということから、いろいろなことを官房長官から指示をされましたけれども沖縄県と打ち合わせするにしては非常にタイミング的によくないと思っておりまして、それらの問題点については具体的に打ち合わせはいたしておりません。  しかし、平成八年度の概算要求は、先ほど申し上げましたようにいろいろと沖縄県の要望を取り入れて概算要求をつくり上げたわけでありますから、とりあえずは概算要求に盛り込んだものを全額、満額確保するために年末に向けて努力すべきではないかということで、改めて上乗せする問題点については具体的には考えておりません。
  35. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 あとは、税制上の問題についてはいかがでしょうか。
  36. 高木正明

    高木国務大臣 失礼をいたしました。  税制改正の要望についても、沖縄県の要望を十分に取り入れて来年度の予算の中で検討をいたしておるわけであります。
  37. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 今長官おっしゃるように、こういう大きな問題を抱えているときに政府側からある意味での条件を提示するようなことはいろいろと難しいことも十分理解はするわけでございますけれども現実には沖縄では、例えば完全失業率も含めて経済的な問題でも実際非常に大きな問題を抱えているわけです。  例えば県の統計課の発表によりますと、ことしの十月の沖縄県の完全失業率は七・一%と、全国平均の三・二%の約二倍以上になるわけです。海洋博後の県内の景気の落ち込みが非常に厳しくて、七八年以来の最悪の事態である、こういうようなことのようでございます。  基地整理縮小ということは沖縄県民にとっては悲願でございますけれども、それがある意味で実行され、進行していけば、今度は失業率等の問題も出てくる可能性がございます。さりとて基地を現行のままにしておくというようなことはできないという県民の感情ももちろんございます。  このようなことを考えますと、今後の沖縄の振興策を真剣に考えていくというのは、言ってみれば、別に今の問題を解決する前から既に始まっていなければソフトランディングできないわけでございますので、例えば軍関係離職者の再就職の促進を含めて、官と、それから沖縄の民間を含めたさまざまなセクターが総力を挙げて沖縄の振興に当たらなければならないのだ、私はこういうふうに考えているわけです。  第三次沖縄振興開発計画の中でも、十一項に「職業の安定と労働者福祉の向上」という項目がございまして、「駐留軍関係離職者等の再就職の促進」、こういうような項目もうたわれているわけです。その中で、離職を余儀なくされた人々に対しましては、就職促進手当の支給、職業指導、職業紹介、職業訓練等の各種の支援策を実施するとともに、沖縄駐留軍離職者対策センターの活用を図り、離職者の再就職を促進する、こういうようなことも書かれているわけです。  実際に、今七・一%という非常な失業率に悩んでいる沖縄県民のお気持ち考えると、政府として雇用対策もしくは再就職の促進についてはどのようにお考えになっているのか、この辺についてお伺いしたいと思います。
  38. 嘉手川勇

    嘉手川政府委員 ただいま委員の御指摘のところでございますが、基地整理縮小に伴いまして生ずると予想されます方々の雇用の問題というのは、将来もしもそのような事態が生じた場合にはやはり大きな問題であるというふうに認識をいたしております。  ただいま先生から御紹介のありましたように、沖縄振興開発計画におきましても、それに対応するような諸施策というものを明記しているところでございます。これらの問題につきましては、労働省その他関係の省庁ともよく相談をさせていただきまして、十分な対応をするように今から準備をしてまいりたい、このように考えております。
  39. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 今からというのは、例えば基地整理縮小が行われてからではもう遅いのですよ。今から始めて、そういうようなことで縮小して雇用機会を失った方々の受け皿をきちんとつくっておかなければ、これはもう沖縄県民方々にとってみれば大変な葛藤なわけでございますので、ぜひ政府としても前向きに、真剣に取り組んでいただきたい、こういうふうにお願いを申し上げたいと思います。
  40. 嘉手川勇

    嘉手川政府委員 現在の時点で申し上げますと、この在日米施設整理あるいは基地整理縮小進展によりまして米軍従業員の雇用がどのような影響を受けるかにつきましては、現在のところ明確な予測は持っておりません。  しかしながら、在日米軍従業員の雇用主は日本政府でございます。防衛施設庁が引き続きその雇用関係の安定に努力されるというふうには考えておりますが、沖縄開発庁といたしましてもやはり産業振興と県内におきます雇用の吸収に努力していくべきもの、このように考えております。
  41. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 雇用の問題というのは最も重要な問題でございますので、ぜひ引き続き政府として真剣に取り組んでいただきたい、このことをお願い申し上げたいと思います。  引き続きまして、騒音防止協定早期締結につきまして伺わせていただきます。  十一月二十五日の第一回の沖縄米軍基地問題協議会は、嘉手納、普天間両飛行場の騒音防止協定早期締結を図ると確認したというふうに聞いております。  県側の協定案によりますと、飛行やエンジン調整を土日、祝日、年末年始、慰霊の日、旧盆期間、それから高校、大学入試前一週間は終日中止、こういうふうに伺っています。私はこれを拝見して、協定案に入試期間中の飛行禁止をわざわざうたっているというようなことの問題、この異常性というのは一体何なのだろうかというふうに考えたのですが、嘉手納では、駐機場から数十メータ「の至近距離に幼稚園もありますし、二百メーターの地点に小学校があるし、普天間の周辺には十五の学校がある、こういうようなことだと聞いて驚いたわけでございます。  さらに今度は、県の協定案に関しては、平日は午後七時から午前七時までの間は飛行を中止する、こういうような要求をしているというふうに聞いておりますけれども、嘉手納、それから普天間飛行場の騒音防止協定は具体的にはいつごろ締結されるというふうな見通しをお持ちになっているのか、お伺いしたいと思います。
  42. 折田正樹

    折田政府委員 委員が今指摘されましたように、二十五日に開催されました沖縄米軍基地問題協議会の第一回会合におきまして、沖縄県側より、嘉手納及び普天間両飛行場についての騒音防止協定早期締結の御要望をいただいたところでございます。  騒音に関しましては、嘉手納及び普天間につきましては、いわゆる合同委員会合意というのがないのは事実でございます。飛行場の運用につきましては、個々の飛行場においてその性格、使用の態様はそれぞれ異にしているとは思いますけれども、私どもといたしましては、安保条約の目的達成との調和を図りつつ、地域住民の方々への影響を最小限にするために何ができるかにつきまして、沖縄県からより詳細な御説明も伺いながら、 今度日米間で設置されました特別行動委員会の場におきます米側との協議等を通じまして、政府としても真剣に取り組み、できる限り早く問題を片づけたいというふうに考えております。
  43. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 そういうことは、例えば他府県の横田、厚木などの協定と大体共通するようなことというふうに想定しているわけでございますか。  そして、例えば飛行時間の制限というようなことでも、横田、それから厚木の夜間飛行制限というようなことでは十時から午前七時というようなことを伺っていますけれども、そういうようなことは可能だというふうにお考えになっているのでしょうか。
  44. 折田正樹

    折田政府委員 どのような措置についてアメリカ側と交渉するかというところまでは、まだ具体的に政府として煮詰まっておりませんので、鋭意検討していきたいと思います。
  45. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 騒音問題は、学校の中で勉強する子供たちにとってみれば全く真剣な、重要な問題ですし、それにかかわってさまざまな、ある意味で心理的な影響等もあるわけでございますので、すべての問題に優先してこの問題にしっかりと取り組んでいただきたい、こういうふうに考えます。よろしくお願いいたします。  続きまして、地位協定の見直しについてさまざまな議論がされておりますけれども、私は、その中で地位協定の九条、検疫と衛生について伺わせていただきたいと思います。  日本の検疫体制というのは、日本に入港したり、それから、日本にいらっしゃる外国人や出国して帰ってくる日本人が非常にふえているわけですけれども、その中で、例えば全く未知の感染症や、例えばアフリカ等の言ってみれば地域に特有の疾患、この前話題になったエボラ出血熱のようなものもございますけれども、これは今まで想定している検疫体制でもうまく未然に防げるかどうかというのがなかなか疑問なような疾患もあるわけでございます。  そういうような中で、日本政府は、入国時に検疫によって伝染病の侵入とか、それから出入国管理ということの中で、言ってみれば辛うじて防ごうというふうにしているわけです。  日米の地位協定の中では、例えば米軍関係者が伝染病の発病状態にある、もしくは伝染病の病原菌を潜伏させたまま日本に入ってくる、もしくは米軍基地の中に入る、こういうような人に対しての検疫が行われていないとすれば、これらの人たちに接した日本の住民に対して伝染病が蔓延していくおそれがある、こういうふうに考えるわけです。  また、さらに今度は、米軍関係者日本に持ってきた、例えばペットとかさまざまな動植物についても同じようなことが考えられるわけです。日本の住民の立場から考えれば、米軍関係者から、わからない、もしくは今まででしたら考えられないようなさまざまな疾患が入ってくる、そういうような危惧も持つわけですので、こういうようなことで、例えば日本の直接的なチェックなしに入ってきたりするようなことについて、これからどういうふうに考えていくかということなのだろうと思います。  地位協定の中には、人及び動物に対する検疫並びに人の保健衛生に関する規定は置かれていないわけですけれども、この辺について、人及び動植物に対する検疫並びに人の保健衛生に関して国内法を適用していこうじゃないかというような考えがあります。例えば、ドイツのボン協定などの中にはきちんとそれがうたわれているわけでございますけれども、この辺に関して政府の御見解を伺わせていただきたいと思います。
  46. 折田正樹

    折田政府委員 今御指摘のありましたボン協定には、おっしゃられるように、五十四条におきまして検疫等についての規定が置いてございます。他方、また先生も御指摘のように、日米地位協定におきましては検疫等についての規定が特に設けられているわけではございませんけれども、昭和三十六年に日米合同委員会におきまして人及び動物の検疫に係る手続が合意されておりまして、この手続に従って検疫措置がとられてきているわけでございます。  例えば、人の検疫に関しましては、合衆国に提供している施設または水域に入る合衆国の船舶、航空機の検疫につきましては、あらかじめ任命された合衆国の検疫官が一定の手続をとりまして、その地区を監督する日本の検疫所長にその事項を交付しているというようなことがございます。そしてまた、検疫伝染病が存在する場合には、その地区を管轄する検疫所長との協議の上、所要の措置をとることとしている云々の規定がございます。  他方、検疫、保健衛生につきましては、先ほどの沖縄米軍基地問題協議会におきまして沖縄県側からも要望が出ておるところでございます。この協議会の議論等も通じまして、この合同委員会の手続のもとで具体的にどのような問題が生じているのかということをさらに詳細に御説明を伺いながら、実質的にどのような改善が図れるかということについて検討していきたいというふうに考えているところでございます。
  47. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 検疫ということは、実際には未知の病気も入ってくる可能性があるわけですね。そうすると、その被害をこうむるのは沖縄県民でございますので、ボン協定並みもしくは国内法をきちんと適用できるような、そういうような取り決めがぜひなされるように政府としてしっかり取り組んでいただきたい、このことを最後にお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  48. 宮里松正

    宮里委員長 上原康助君。
  49. 上原康助

    ○上原委員 短い時間ですので、御答弁は簡潔にお願いします。  先ほどからお二人の御質問を聞いておって、やはり政府として、これだけ大きな社会問題、政治問題、また外交問題に発展してきている沖縄米軍基地整理縮小、あるいはその他の課題について、本当に真剣にやっていらっしゃるのかなという感を禁じ得ません。  そこで、余りむだな答弁は要りませんので、まず二十五日に沖縄県から具体的に出された五項目について、政府はどういうふうに対応していつまでに答えを出そうとしているのか。これは外務大臣防衛庁長官、官房長官、沖縄知事が窓口というか、中心の沖縄基地問題協議会ですから、事務レベルに任せる問題じゃないと思うんですね。やはり政治のリーダーシップが問われているんですよ、外務大臣。この点、いつまでに答えを出そうとするのか、そして政府はこの提案に対してどう具体的に答えようとしているのか、ぜひお答えください。
  50. 河野洋平

    河野国務大臣 御指摘のとおり、二十五日に一回目の会合を開きました。沖縄県からは知事さん、副知事さんおいでをいただきまして、官房長官、防衛庁長官などとともに、でき得る限りお話を伺うことといたしたわけございます。  知事さんからは総論的なお話がございまして、副知事さんからややこれまでの経緯その他についてるる御説明があったところでございます。私どもも、私から知事さんに、この会議はひとつお互いに率直に意見を出して、多少お互い聞き苦しいところがあっても、それは問題解決のためになる話であればお互いそういうことはもう余り気にしないで話し合いましょうということを申し上げて、かなり率直に話し合いをさせていただきました。  しかしながら、まだ一回目の会議でございますから、具体的な話にまで入っておりません。しかし、五項目にわたる御要望はそこでしかと伺ったわけでございます。この五項目につきましても、まだ五項目について御返事を申し上げる段階ではございません。政府としては一つ一つの御要望について十分検討をしなければならないと思っております。  私は、上原先生お話してございますけれども、この問題は先に延ばすとかいう問題ではなくて、少しでも早く問題の解決策を見出さなければならないと同時に、解決をしなければならないという ことであることは十分承知をいたしておりますが、きょうここでその問題についてお答えを申し上げる状況ではございません。さらに沖縄県側の詳細な御説明も伺わなければならないこともございますし、私どもも部内で検討しなければならないこともございます。もうしばらくの猶予をお願いをしたいというふうに思うわけでございますが、いずれにせよ、私どもとしては全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。
  51. 上原康助

    ○上原委員 代理署名問題を含めて、これは安保の根幹にかかわる問題が今問われているわけですよね、いろいろな部面でね。これは積年の、戦後五十年のいわゆるうっせきなんですよ。  私は今与党の立場でもあるんで余り自民党単独政権下のことは申し上げたくありませんけれども、我々が幾ら国会で取り上げても、馬耳東風のごとく聞かなかった、あなた方は。だから今だって、安保条約の目的達成と調和させつつというそのまくら言葉が主語なんだよ、あなた方の。沖縄県民立場は二次的なんですよ。だから私は、せんだっての連合審査の場合もその発想を変えなさいと言った。そのことが政府にない限り、この問題は解決しませんよ。それは改めて申し上げておく。  そこで、今きょうの段階でお答えできないと言うんだが、目に見える形の基地整理縮小とか、沖縄側が提起をした問題について具体的な回答を出せということなんですよね。この問題が起きてからもう三カ月たった、あの暴行事件が起きてから。だが一向に、鋭意検討していますとか、沖縄県民の心を心としてとか、あなた方は心で聞いて心でこたえて心で行動しない。言葉だけ、失礼だが。  じゃ、地位協定の見直しはやるんですか。騒音爆音防止協定の早期締結はやるんですか。次の会合はいつ持っていつまでにこれは答えが出る。年内に三事案解決するとか、十事案解決すると言うんだが、文章だけ解決したって、具体的に解決策につながらなければこれはいかないですよ、外務大臣。改めてお答えください。
  52. 河野洋平

    河野国務大臣 私どものこの問題に取り組む姿勢は委員にもよく御理解をいただきたいと思っております。この問題の重要性というものは私も十分承知しておりますし、総理以下この問題に対して真剣に取り組んでおることはぜひ御理解をいただきたいと思います。
  53. 上原康助

    ○上原委員 ですから、地位協定の見直しはなさるんですか、爆音防止協定は、検討検討と言うけれどもいつまでに答えが出るんですかをお尋ねしているんです。
  54. 河野洋平

    河野国務大臣 ですから、先ほどから申し上げておりますように、それらは沖縄県からの五項目の要望の中に入っているわけでございまして、一つ一つただいま検討中でございまして、ここでは、まことに申しわけございませんが、お答えがまだできる段階ではございませんということを先ほど申し上げたわけでございます。
  55. 上原康助

    ○上原委員 じゃ、その検討の中身を言ってください。沖縄県から具体的に詳細に——詳細に出ているんでしょう、具体的に。先ほども鴨下先生から質問がありましたね。爆音防止協定はこういうふうに締結してもらいたいと具体的に出ているんでしょう、軍転協、沖縄県から。それはできるんですか、できないんですかを聞いているんです。  この間私が連合審査で、地位協定の見直しをあなた方はやるかと言うとできないと言っておった。しかし、韓国でもドイツでもやっているんじゃないですか、現に地位協定の見直しは。いろいろ四十カ国余りと協定を結んでいるからできないんだと言うんだ、他国のそれに影響を及ぼすから。やっているんじゃないですか、ちゃんとほかの国では。なぜ日本ではできないの、それが。ぜひ答えてください、それは。
  56. 河野洋平

    河野国務大臣 それぞれの国にはそれぞれの国の事情があるわけでございまして、一説によりますと、韓国はぜひ日本並みになりたいという強い要望があるというふうに言っておられるという説もあるわけでございまして、それぞれの国の実情にかんがみていろいろな改善策を講じているわけでございます。  私どもも、沖縄県民皆様方がどういう問題を今改善したいということを一番強く言っておられるか、そうした問題についても十分伺いながら具体的な問題の解決に当たりたい、こう考えているわけでございます。
  57. 上原康助

    ○上原委員 私は別に抽象論は言ってないよ、外務大臣。軍転協、沖縄県から、嘉手納飛行場及び普天間飛行場周辺における航空機騒音の軽減に関する措置として具体的に出ているじゃありませんか。これに基づいてやるんですか、やらないんですかを聞いている。やるとするといつまでにできるんですかと聞いているんです。  韓国には韓国の立場があるでしょう。何でボン協定のことは皆さん言わない。ドイツではやっているんです、ちゃんと改正を大幅に。沖縄県民だって、沖縄の県知事を含む我々だって、少しは勉強しているんです。こういう事例というものは、国際的な問題はよくわかるんですよ、もう今これだけの情報化社会においては。なぜそういうほかの国ではできることが——しかも、この騒音防止協定なんというのはもう何回か私も国会で取り上げてきた。先ほども北米局長は、飛行場にはそれぞれの性格あるいは基地にはそれぞれの対応があると言う。あなた方は本土並み基地と言いながら別扱いをしてきたんだよ、沖縄米軍基地というのは。だから、今日これだけの深刻な問題になっている。そのことについての認識がないからこうなっている。もちろん総理大臣一生懸命やっているんだよ、やっているのだけれども総理大臣にはすべての権限はないのですよ。まず、外交案件は外務大臣にある。基地問題というか防衛問題は防衛庁長官が主管なんだ。総理大臣は、総括的な責任はあっても、あなたにこうしなさいああしなさいという指令はできないでしょう、それは。その程度のことは僕だって知っているんだ。  改めてお答えください。そういう言葉だけの決意表明はだめなんだ、それは。
  58. 河野洋平

    河野国務大臣 御指摘のとおり、外交問題については私が責任を負うているわけでございますから、日米関係につきましては、私がいわば窓口となって日本側の主張も述べ、アメリカ側考え方も私がそれを受けとめるということはそのとおりでございます。  したがって、私どもとしては、沖縄からの要望について十分これを聴取して、そしてどういう解決策というものがあり得るかということについて考えてこれから対応をするという、真剣に今対応のための準備をしているところでございますから、もうしばらく時間をかしていただきたいということをお願いしているわけでございます。
  59. 上原康助

    ○上原委員 それは、外交問題でありいろいろ複雑な難しい件もあるというのは私もわかるからお尋ねをするのであって、じゃ、もうしばらく時間をおかししましょう、いつまで待てばいいのですか。年内にやるんですか。次は十五日に会議を持つのですか持たないのですか。それまでには答えが出るの出ないの。
  60. 河野洋平

    河野国務大臣 これはもう議員は十分御承知でございますけれども、交渉しなければなりません、相手のあることでございますから。これは我々だけで日を切って云々というわけにはなかなかいかない部分もございます。しかし、私ども上しては、沖縄皆さんからの御要請ということを真剣に受けとめておりますから、私どもは私どもなりの腹づもりといいますか考えを持ってはおりますけれども、最終的には相手のあることだということも御理解をいただきたいと思います。
  61. 上原康助

    ○上原委員 そんな抽象的なお答えではいかぬですよ、外務大臣。次の会議はいつ持つのですか。年内にはどういうぐらいの展開になるのですか。もうきょうは十二月六日ですよ。  あわせて、三事案を含む十事案については年内結論を出すと。本当に年内結論が出るの、十事案について。どういう結論を出そうとしているの。それを含めて答えてください。
  62. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 お答えいたします。  十事案につきましては、事案取り扱いを含め て年内検討をするということになっておりまして、現在私ども精力的な検討を行っておるところでございまして、何とかお約束どおりといいますか、年内にその事案取り扱いを含めた結論を出したい、このように考えております。  なお、三事案につきましては、これは現在方向性は既に打ち出しておりますが、今、移設先といいますか受け入れ先の自治体の方の御了解を得られていない段階でございますので、これにつきましても現在私ども全力を挙げて地元との調整に入っておる、こういう状況でございます。
  63. 上原康助

    ○上原委員 衛藤防衛庁長官は、その三事案あるいは十事案については年内結論を得るということを大見えを切ったのですよ。非常に過大に期待を与えている。私は、そう簡単にいかないと思う。これは簡単にいかなかったから今まで二十年余りたっているわけでしょう、三事案にしても。  那覇軍港の移設なんというのは皆さんいつ決めたんだ、日米安保協で。今施設庁長官が言うには、事案取り扱いについて年内結論を出す、それはまさにぺーパーワークじゃないですか。それほどこの基地問題というのは難しいのですよ、正直言って。  三事案についても、那覇の移設先ほどうなるの。読谷のパラドロだって、本当にキャンプ・ハンセン内に移設できるのですか。県道一〇四号線、先ほどからありますけれども皆さん本土移設とか本土分散とかよくうたってあったから、社会党の案でわざわざ僕は本土分散ということを盛り込んだ。それは、あの県道一〇四号線の実弾射撃訓練の実態を見ると、それを受け入れる都道府県はないと思いますよ、私は。それに、反対が出ているじゃありませんか。どうするの、本当に。  恐らく沖縄の新聞は皆さん見ておられると思うのだよ。これはコピーとるとあれですからこういうものを1年じゅうこんな軍事演習の実態というのは、見ているでしょう。これが一〇四号線の百五十五ミリの砲弾演習の発射地点ですよ、発射地点。これが撃ち込まれる側の山の実態。こういうのは、沖縄の琉球新報とかタイムスというのは年がら年じゅう報道しているのですよ、皆さん。  しかも、北海道の皆さんにしても大分の皆さんにしても、東富士の静岡の皆さんにしても、この県道一〇四号線の砲弾訓練の実態を見ている。だから、できるのですか、本土を含めて移設するということ。  沖縄の痛みを本当にどう解決するの。国策として日米安保条約が必要というのであるならば、戦後五十年、沖縄だけに押しつけてきたのじゃないですか、皆さん。だから、沖縄はこれ以上我慢できないと言っているんだ、党派を超えて。そんなのんきなことを言ってもらっても困る。具体的に三事案解決策、十事案取り扱いは決めると今言ったが、どういうふうに解決するのか、改めて答えてください。  それと、外務大臣答えなかったのですが、次の会合をいつ持って、先ほど私が具体的に指摘をしたことについては、その次期会合においては日本側としてどういう提案をするのかも含めてお答えください。
  64. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 お答えします。  三事案の、まず那覇軍港移転の問題でございますが、これは現在私ども浦添地先に、将来埋め立てられるであろう、地先といいますかその埋立地のところに持っていってはどうかということで日米合意を一応得ているところでございますが、浦添市の方からの反対がございまして、私ども鋭意、何とか御了解をいただけるように現在全力を挙げてお願いをしておる段階でございます。  次に、読谷のいわゆるパラシュート降下訓練につきましては、キャンプ・ハンセン、これは宜野座村でございますが、宜野座村の方に、キャンプ・ハンセンの中に現在一部パラシュート訓練に使っておるところがございますので、そこの一部を整地等いたしまして何とか受け入れていただけないかということで、現在まだ宜野座村当局の方と折衝を鋭意やっておる段階でございます。何とか一日も早く地元の方の御了解をいただけないかということで私ども誠心誠意努力をしておるところでございますが、今のところ見通しは立っておらないというのが実情でございます。  なお、一〇四号線越えの射撃につきましても、本当に地元にいろいろと御迷惑をおかけしていることは私ども重々承知しておりますが、現在平成八年度予算に調査費をお願いしておる段階でございまして、私ども、作業部会を通じて既に米側と四回の交渉をいろいろ行っております。  その中で、どういう訓練内容といいますか、その内容によって、どういう部分をどういう形で持っていけるのか、そういう点をいろいろ技術的にこれから検討させて方針を決めた上で、本土への移設といいますか、いわゆる受け入れ先の可能性等そういうものを含めながら、またこれも受け入れ先の御了解をいただく必要がございますので、そういう点を含めて検討させていただいておる段階でございます。  なお、十事案につきましては、先ほども申し上げましたようなところで、現在のところまだ具体的には申し上げられる段階ではございませんが、年内に何とか事案取り扱いを含めまして、誠意のある結論をお出ししたい、このように考えておる段階でございます。
  65. 上原康助

    ○上原委員 外務省、答えないの。
  66. 河野洋平

    河野国務大臣 失礼しました。  沖縄米軍基地問題協議会、去る二十五日に開いたあの協議会の下にございます幹事会を、十二月の十五日だったと思いますが、開く予定をいたしております。
  67. 上原康助

    ○上原委員 そのときには、沖縄県から出された具体的な解決策、具体的にこう解決してもらいたいというものについて政府から回答は出すのですね。出せないのですか、それまでも。また検討中というふうな会合になるのですか。  それと、日米行動委員会というのはもう年内には持たないのですか。この二つ、はっきりさせてください。
  68. 河野洋平

    河野国務大臣 同じような答えでまことに恐縮でございますが、その十五日に予定をいたしております幹事会に向けて、政府としてどういう御返事を申し上げるか、どういう知恵があるかということを鋭意検討をいたしているところでございます。  また、今議員のおっしゃったのは、特別行動委員会でございますね。特別行動委員会は次回の予定をまだ決めておりませんが、この特別行動委員会の二回目を開くまでの間に、恐らく何度か作業グループの会を開かなければならないと考えております。その作業グループにつきましては、まだ日程を決めておりませんが、これは二回目の特別行動委員会を開く前に一回もしくは数回開くということに恐らくなるだろうと思っております。
  69. 上原康助

    ○上原委員 今決まったのは、幹事会は十五日に持つ。それを持ってから、じゃ知事を交えての協議会は持つのですか、年内に。
  70. 河野洋平

    河野国務大臣 知事を入れてのいわゆる沖縄米軍基地問題協議会を開くという予定は、現在まだ決めておりません。
  71. 上原康助

    ○上原委員 なぜ私がこれを相当しつこくというか繰り返してお尋ねするかというと、大体、難しいというのはわかるけれども、目に見える形で回答を出さねばこの問題は一歩一歩前進しないという認識について、大分温度差があるのですよね、沖縄県側とこの問題についてずっとやってきた我々と。そこはしかと受けとめていただきたい。  もう一つ、地位協定の問題。これは局長でいいかもしれない、この間の答弁も非常にあやふやだったので。  これも具体的に見直しをしなさいと言っているわけですよね、沖縄側が。外務大臣は、この間の私のお尋ねに対しては、あらゆる問題について誠意を持って検討していくということだった。ボン協定では三回にわたって改正されているのです、最近は九三年にも。そういうのを参考にして、地位協定問題については政府として、外務省としては対応しますね。
  72. 河野洋平

    河野国務大臣 沖縄皆さんから具体的にこう した問題で極めて県民生活に問題があるというような御提起もございます。そうした具体的な問題をどうやって改善をするか、問題をどうやって解決するかということを何よりも優先して取りかかる必要があるというふうに考えております。問題を解決するために、問題を改善するために、私どもとしてはどういう方法が最も早く効果的であるかということも十分考えながら対応をしなければならないというふうに考えておるところでございます。
  73. 上原康助

    ○上原委員 極めて何かすっきりしないのですが、またこれは引き続き、地位協定問題はかなり時間をかけて議論しなければいかない点だと思いますので、やりましょう。  それで、外務大臣、私は前にも要請をしたことがあるのだが、歴代の外相が一度も沖縄を視察したことがない、これだけ安保の重圧、しわ寄せを沖縄に押しつけておきながら。僕はその点は反省してしかるべきだと思いますよ、政府は。何代がの外務大臣、ほとんど約束をしたが、みんな実行しなかった。だから、こういうことになっているのです。百聞は一見にしかず。行ってみて、県道一〇四とか嘉手納の飛行場の爆音とか見てくださいよ、あの実態を。そのお気持ちがあるかということ、  もう一つ、地位協定との関連で、僕はこれは基地使用としてできないと思うのだが、今あなた、事もあろうに嘉手納空軍は、飛行クラブをつくってグライダーを飛ばしているのですよ、土曜、日曜は。そんなふざけたことができるの、米軍は。土曜、日曜は爆音が少なくなると、今度はグライダー、軽飛行の飛行訓練で本当にうるさい。私はわずか三百メーターぐらいのところに住んでいる。  この二点についてお答えください。
  74. 河野洋平

    河野国務大臣 かねてから議員から沖縄へ一遍行けという御提案がございまして、私、たしか春であったかと思いますが、折を見て一度伺いたいというふうにたしかお答えをしたかと思います。まことに恐縮でございますが、その後、外交日程その他がございまして、なかなか沖縄行きが実現していないことはまことに申しわけないことと考えております。  グライダーの問題は、ちょっと突然のお尋ねで、私ども全く資料がございません。お答えができませんこと、おわびを申し上げます。もし何か具体的な問題があれば、御指示があれば至急調査をいたします。
  75. 上原康助

    ○上原委員 これはぜひ調査をして、今そういうことはできないはずなんだ、地位協定上。最近やっているんだ。これは一年近くなるかね。  最後に、沖縄開発庁長官一つだけ聞きたい。  あなたはさっき、平成八年度予算要求については沖縄県の要望をすべて取り入れて概算要求したと。おっしゃることは立派。きょうは官房長官の指示云々のことはやめましょう。それなら、沖縄県はマラリア補償については三億要求してくれと要求したのに、何であなたはこれを入れなかったの。すべて取り入れてないのじゃないですか。この事実関係だけはっきりさせてください。
  76. 宮里松正

  77. 上原康助

    ○上原委員 いや、委員長、僕は時間がないから開発庁長官に聞いているの。あなたの答弁は要らぬ。
  78. 高木正明

    高木国務大臣 御指摘のマラリアの問題については、連立三党の中でいろいろ具体的に戦後五十年のプロジェクトチームで検討したことは伺っておりますが、私ども開発庁としては、その結論がまだ出ていないというふうに考えておりますので、概算要求の中ではそれを除いた予算を要求したわけであります。
  79. 上原康助

    ○上原委員 時間が来ましたから、きょうは後の方の日程もありますからやめますが、それは事実関係が違うんだよね。戦後五十年プロジェクトの中で一番私がその問題をやってきたのですよ、開発庁長官、皆さんと一緒に苦労しながら。沖縄県はその点はぜひ含めてもらいたいという陳情をやったでしょう、要請を強く。それはすべて満たすかどうかは御判断はあるでしょうが、こういう公式の場で、沖縄県側の要望はすべて入れて概算要求したとおっしゃってみたって、中身を知っている者にとっては、そういうことについては納得できないのですよ。ぜひこれは改めて、今沖縄開発調整会議と戦後プロジェクトの方で検討を重ねておりますので、開発庁としても、最終的な予算仕上げの中においては県民の希望にこたえていただきたい。いいですね。  お答えがあったら、ひとつコメントしておいてください、長官。
  80. 高木正明

    高木国務大臣 ただいま上原先生がお話しのように、連立三党の調整会議で再度詰めていただいておると伺っておりますので、その結論が出たら、その結論に沿って考えていきたいと思っております。
  81. 上原康助

    ○上原委員 ありがとうございました。
  82. 宮里松正

  83. 前原誠司

    前原委員 今上原先生が最後に御質問されたマラリアの問題について質問をさせていただきたいと思います。  この問題については、この特別委員会でも何度も取り上げられていることでございますので、概要について申し上げる必要はないと思いますけれども、まず総論として、この問題について、今まで政府がどのような調査をされてきて、そしてそれに基づく施策をどのようなものをとられてきたのか、お伺いしたいと思います。
  84. 嘉手川勇

    嘉手川政府委員 お答えを申し上げます。  沖縄の八重山地域のマラリア問題につきましては、平成四年に沖縄県から、マラリアで亡くなられた方々の遺族に対する戦傷病者戦没者遺族等援護法の適用、またはそれに準ずる措置の要請がなされました。そこで、政府におきましては、総理府、沖縄開発庁及び厚生省の三省庁によるマラリア問題連絡会議を設けまして、それ以来、沖縄県から県が行った実態調査の結果等について説明を受け、当時の実態把握に努めたところでございます。  この問題につきましては、当時の時点でございますが、戦後五十年近くが既に経過をいたしておりまして、その当時の状況を十分把握し切れない面もございましたが、マラリア有病地帯への集団的な一斉避難により、多数の住民がマラリアに罹患し亡くなられたというものでございます。この点につきましては、戦争中とはいえ極めて悲惨な出来事であった、このように認識いたしております。  なお、この実態の調査につきましては、沖縄県とも調整した上で、戦後五十年プロジェクトに御報告申し上げたところでございます。
  85. 前原誠司

    前原委員 一九四七年に刊行されました「八重山民生府衛生部業績別冊」というものに所収されている「一九四五年戦争による八重山群島のマラリアについて」という記述を読みましたならば、強制疎開による死亡者は三千七十五名ということであります。  確かに戦争というものの中で、戦闘あるいは空襲による死亡者あるいは障害を持たれた方、また物資や医療の不足による疾患というものがあり得ると思います。また、太平洋戦争あるいは第二次世界大戦によって被害を受けた一般の国民の方もたくさんおられますので、今、政府が基本的な方針として言っておられるように、戦後処理として一部の方々に見舞金などの補償を国として行うならば、すべての被災者にも補償を行うべきだという議論になる、こういうことでありまして、この点も総論においては納得できる部分もございます。  しかし、例えば強制疎開ということを一般的に考えた場合においては、これは、子供たちなどが戦災を受けないために疎開をさせた。もしその疎開先で何かが起これは、それはある意味でアクシデントでありまして、その点については国が責任をとるということにはならないのではないかと思いますが、この八重山の問題については、八重山にはマラリアというものの有病地としてもう認識ができている、そういう地域にわざわざ疎開をさせて、そして先ほど申し上げたように三千七十五 名という者が亡くなられたということであります。  したがって、今までの政府の答弁の中で、個人的な補償をすればほかの者にまで広がるという、ほかの者というのが私には具体的に見えてこないということであります。  では、もしこの八重山のマラリアについての特別な補償をすれば、ほかのどのような問題について波及をして、そして政府の一般的な原則というものが貫かれないのか、その点について具体的に説明をしていただきたいと思います。
  86. 嘉手川勇

    嘉手川政府委員 この八重山のマラリアの問題につきましては、先ほど申し上げましたように、その調査結果は五十年問題プロジェクトに御報告を申し上げて、御判断の資料にしていただいたわけでございます。  まず総論的な部分でございますけれども、やはり八重山のあの地域における一斉避難あるいは疎開につきましては、軍の命令によって行ったという政治的な判断をされるというふうに承っております。そのようにプロジェクトチームの方で政治的に判断された、そして加えるに、避難をされた方々は一般の戦災者に比べて受忍限度というものを超えている、それがプロジェクトチームとして慰藉事業を行うという判断の根拠になった、こういうふうに伺っているところでございます。  それから、ただいまこの波及の問題について、それでは具体的にどういうものがあるだろうかというお尋ねでございました。  いわゆる援護法その他、何らの措置もされていない沖縄における一般戦争被災者の例について申し上げます。  援護法に言う戦闘参加者や戦闘協力者に該当せず、避難中に砲弾、爆弾、銃弾、手りゅう弾等によって死亡された方々、それから戦争中のことでございますので栄養失調によって亡くなられた方々、それからただいま取り上げられておりますマラリアによる死亡、これは現在は八重山地域に限られておりますけれども沖縄本島においても避難中にマラリアに罹患して亡くなられた方がいらっしゃいます。その他空襲による死亡、家屋倒壊等による死亡、こういうようなものも例として挙げることができると考えております。
  87. 前原誠司

    前原委員 今の答弁について二点、ちょっと質問したいのです。  まず、政治的な判断によって、軍令があった、軍の命令があった。これは、軍令があったかどうかというのは、与党が決めたから軍令がありましたというのは全くおかしな話で、政府調査としてどうだったのか、軍令があったのを認められるかどうか、まずその点が一点。  もう一点は、沖縄戦の一般的な、避難をされているときに砲撃を受けたとか、あるいは倒壊した家屋の下敷きになって亡くなられた、けがをしたというふうなことをおっしゃいましたけれども、それはさっき私が申し上げたように、一般の戦争というのは何が起こるかわかりません。しかし、このマラリアの問題については、八重山にはマラリアという恐ろしい死に至る病気というものがあるということがもうわかっていた。私も外務委員会の視察で沖縄に二回、ことしは八重山の方にも行かせてもらいましたけれども、要は、わかっていながら疎開をさせられた、それは今御答弁があった話と根本的に違う問題ではないかと思うのですけれども、二点について、ちょっと時間がないので簡潔にお願いします。
  88. 嘉手川勇

    嘉手川政府委員 第一点についてでございますけれども政府として、軍令があったかどうか、政府調査ということで、軍令があったのかどうかと。実は、この点につきましてはいろいろ意見がございまして、明確な資料とかその他事実を確認できないところがございまして、判断に迷うところがございました。したがいまして、そこで、これはすべていわゆる軍の命令によるというような確定的なことは報告できませんでした。しかしながら、この実態関係につきましては、沖縄県の意見ともすり合わせをいたしまして結論を得たものでございます。  なお、第二点でございますけれども、先ほど申し上げましたいろいろな事例について、八重山地域におけるマラリア問題とは違うのではないか、こういう御意見でございました。この点につきましては、やはりそれぞれの被災者の方々がそれぞれのお立場がございましてそれぞれの主張をされるということでございまして、マラリアだけが特別というふうには一般的には言えないのではないか、このように考えております。
  89. 前原誠司

    前原委員 この委員会でも多分相当議論された問題だと思いますけれども、今の答弁に対してちょっと私はおかしいと思うのは、確かに、沖縄県もすべての戦災を補償しろという要望はされていません。自由意思で疎開をしてマラリアに感染した住民については補償対象に含めないということをおっしゃっているわけですね。  強制疎開を、もうマラリアがあるということがわかっている中で行って、案の定それにかかって亡くなられたということについては、戦争があって、そして砲弾を受けて亡くなられた方あるいはけがをされた方と基本的に違うんじゃないですか。だからそういう、もう行ったら危険だ、病気があるというふうなことがわかって行って、その病気に実際かかって三千七十五名の方が亡くなられているということと、戦争が起こるかわからない、安心だと思って避難をしたところで砲撃を受けて亡くなられた方というのは根本的に違うと僕は思うんですけれどもね。
  90. 嘉手川勇

    嘉手川政府委員 ただいま委員の御指摘のような点を考慮して、五十年問題プロジェクトチームにおきましては、八重山の地域のマラリアの犠牲者の遺族に対しまして特に慰藉事業をするという御判断をされたものと理解いたしております。
  91. 前原誠司

    前原委員 しかし、この慰藉事業にしても、さっき上原先生がちょっと申されていましたけれども、要はこの慰藉事業について沖縄県にも分担実施を求めるということでありまして、慰霊碑とか祈念館とか除幕式とか見舞金ということが「例えばことして、例として書いてありますけれども、「見舞金については、県の分担事業とする。」何で県の分担事業なんですか。
  92. 嘉手川勇

    嘉手川政府委員 お答えを申し上げます。  マラリア犠牲者の遺族会がございますが、遺族会におきましては、国家補償たる個人補償を強く求めておられました。今もそうでございます。この遺族会の強い要望を受けまして、沖縄県は見舞金の支給を要望してこられたわけでございます。  この個人補償たる見舞金の計上につきましては、私ども沖縄開発庁といたしましては直轄して計上することができない、かといって、遺族会あるいは県の要望というものを全く取り入れないわけにもいかない。そういうことで、私ども、この慰藉事業というのは県と共同してやった方がいいのではないか、こういうふうに考えたわけでございます。
  93. 前原誠司

    前原委員 開発庁としてやることができないから県と協力するというのはおかしな話です。さっきも御答弁されましたけれども、軍令によって、それはどういう政治的な判断とおっしゃるのかは知らないけれども、いわゆる政府も今は、もちろん個々のケースにはばらつきがあったけれども、基本的には軍令において、そういう名のもとで強制疎開をされてマラリアにかかったということを認定されているのに、開発庁ではできません、開発庁が直接単独でやることができないので沖縄県にも協力を求めますというのは、ちょっと筋違いじゃないかと思うのですね。国として軍令があったと認められるなら政府としてやるべきことじゃないですか。  これはちょっと時間がないので長官に御答弁をいただきたいと思いますけれども、ほかの省庁連絡をするなり、沖縄県と分担事業をするというのは、私はどう考えても筋がおかしいと思うのです。長官、お願いします。
  94. 高木正明

    高木国務大臣 先ほど上原先生にもお答え申し上げましたが、戦後五十年プロジェクトチームあるいは沖縄調整会議等においてこの問題をどうするかということをいろいろ検討してまいった経過 がありまして、その中で私どもは報告を受けました。受けましたが、個人補償ということを明確に受けたわけではございませんでして、じゃ、個人補償にかわる何かができるのかということをいろいろ検討してみているところでありますが、なかなか難しい問題があるので、与党三党の調整会議でもう一度検討して三党で合意をしてほしい、その経過を見ながら考えていきたいというふうに考えております。
  95. 前原誠司

    前原委員 時間が来ましたので終わりますけれども、再度長官にお伺いしておきます。  では、与党三党で個人補償までというところへ踏み込んで結論が出てきた場合については、国の単独事業として個人補償をする御用意があるのですか。
  96. 高木正明

    高木国務大臣 三党の調整会議結論は重いものと受けとめておりますので、検討させていただきたいと思います。
  97. 前原誠司

    前原委員 どうもありがとうございました。
  98. 宮里松正

    宮里委員長 古堅実吉君。
  99. 古堅実吉

    ○古堅委員 わずか十五分ですので、大急ぎで進めますから、的確なお答えをいただきたいと思います。  最初に、沖縄米軍基地強制使用の代理署名問題について伺います。  大田知事は、村山総理の代理署名を強要する勧告も命令も拒否しました。それに対して総理は、あくまでも米軍基地を確保するために、事もあろうに大田知事を裁判に訴えようとしています。それは、苦渋の選択などと言いながら、沖縄県民基地縮小要求に対する理解どころか、許しがたい重大な挑戦であります。  外務大臣は、沖縄県民を被告にするに等しい提訴の方針を、政府のひどい仕打ちとは考えませんか。
  100. 河野洋平

    河野国務大臣 沖縄県民皆さんのお気持ちというものは私は十分理解しているつもりでございますが、村山総理はさらに、大田知事とは数次にわたって、相当長時間二人でこの問題について話し合っておられます。議員も御承知のとおり、もともと大田知事村山総理との間には信頼関係があったと私は承知をいたしておりますが、そのお二人それぞれのお立場に立って、しかも最高責任者として本当にいろいろな角度からお考えの上、お話し合いをされているわけでございます。  総理も、御承知のとおり沖縄のこの問題について本当に真剣に考え、苦渋の選択という言葉が使われておりますけれども、本当に悩んで苦しんで、しかし、我が国の安全、一億二千万の国民の安全とか平和というものをどうやって維持するかということを考えれば、これまで我が国自衛隊によって自主防衛をするという選択というものはあり得ない、ということになれば、必要最小限の自衛力日米安保体制というものを柱として我が国の安全というものを考えている、国の最高責任者としてやはりその柱はゆるがせにできないという、最高責任者としての責任感というものもあったと思います。  そうしたことと、一方で沖縄県民のお気持ちというものも、これはまた十分知事の話その他によって総理理解をしておられるところでございまして、この二つの調和をどうするかということは本当に総理としては真剣に考えて、ぎりぎりの判断をなさったと私は考えております。  それは、議員がおっしゃるようなそうした気持ち総理がやったというふうには私は全く考えておらないところでございます。
  101. 古堅実吉

    ○古堅委員 今回の提訴は、形式的には沖縄側が被告です。しかし、その裁判を通して真に裁かれるのは、戦後五十年もの長い間過酷なもろもろの犠牲を強いられてきた沖縄県民側ではなく、県民にそれを強要してきた日本政府アメリカそのものであります。大田知事は圧倒的な県民の強力な支持を背景に、堂々と誇りを持って提訴を受けて立つ決意をしています。  村山総理は原告の立場に立つが、アメリカの軍事基地のためにこれからも引き続き県民の土地を取り上げる強権力の行使に一体いかなる大義があると言えるのでしょうか。これまでの五十年を真摯にわびて県民要求実現のためにあらゆる努力を尽くすことこそ、政府のとるべき態度ではありませんか。
  102. 河野洋平

    河野国務大臣 ただいま申し上げましたように、沖縄県民のお気持ちというものは我々は十分理解をいたしております。これまでのいきさつについても十分勉強したつもりでおります。しかしながら、一国の政治を預かる人間には、一国の平和とか安全を守るという、これまたゆるがせにできない大きな責任があるということはぜひ御理解をいただかなければならないと思います。そのいずれをとるかではなくて、その双方の調和をどこに求めるかという今問題なのだと思います。  私は、議員のお話はやや一方的に過ぎる。沖縄県民のお気持ちは、これは私は議員と共有をいたします。しかし、その後段の問題についてはやや一方的に過ぎるというふうに私はお聞きをいたしました。
  103. 古堅実吉

    ○古堅委員 御答弁を聞きながら一層怒りが込み上げてまいります。  村山首相が内閣の命運をかけると言ってきた政府の姿勢は、基地縮小のためにアメリカに向けられるのではなく、強権力をもって米軍基地を引き続き県民に押しつけようとする以外の何ものでもありません。そのことがだれの目にも今日明らかとなっております。それはまさに県民に対して基地との共生共存を強要するものであります。沖縄県民は抑えがたい怒りを募らせています。  大臣、戦後五十年です。この期に及んでなお、米軍占用基地の七五%を押しつけられ、あらゆる犠牲を負わされてきた県民の切実な叫び政府として耳をかす心も持つことはできない、こういうことになるのですか。しかと確かめておきたい。
  104. 河野洋平

    河野国務大臣 私は、繰り返し先生初め皆様方に申し上げてまいりました。村山総理は、アメリカとの間に米軍基地整理統合縮小、こうしたことを目的として特別行動委員会を設置してこの問題について真剣に議論をするということをおっしゃって、その設置も既に決まり、一回目の会合も済ませているではありませんか。こうした事実をひとつぜひ御理解いただきたいと思うのでございます。
  105. 古堅実吉

    ○古堅委員 アジアに十万人の展開、そのうち日本に四万七千の展開などという大枠を決めておって、その七五%を沖縄に押しつけるというこの姿勢も決まっておって、それで沖縄県民の願いにこたえることができると言うのですか。できると言うのであれば、説明してください。調和調和などと言って、沖縄県民に我慢しろという言葉の表現の別のあり方ではありませんか。  次に、沖縄米軍の演習激化問題について伺います。  米軍沖縄で、十一月二十八日から十二月十五日までの日程でビーチクレスト96と呼ばれる大演習を実施しています。また県道百四号封鎖実弾射撃演習も、十一月二十九日から三日間強行したばかりだというのに、さらに十二月十二日からも四日間実施することが明らかにされています。私は、十二月一日、朝から夕刻まで各演習地を視察し、調査してまいりました。九月四日の少女暴行事件以来、県民米軍基地の存在そのものを根本から問うて立ち上がっているこのときに、陸も海も空も、まるで戦場さながらの演習を強行するということは、反省と自粛どころか、占領者意識丸出しの暴挙と言わなければなりません。  外務大臣、この挑戦的態度の演習を許さず、即時中止させるよう申し入れるべきではありませんか。それとも、安保条約のもと、沖縄県民は、仕方のないこと、我慢せよ、そういうお考えでもおありですか。
  106. 河野洋平

    河野国務大臣 沖縄において起きましたあの痛ましい事件につきましては、私どもアメリカに対して、こうしたことがあってはならないということを強く申し入れをいたしましたし、それに対して米軍は、反省の日を設け、あるいは厳しいルールを幾つか設け、さらに綱紀の粛正のためにでき得る限りの作業をしているということは既に 議員も御承知のとおりでございます。  そういう綱紀の粛正あるいは再発の防止のために厳しい措置をとりながらも、一方では、我が国の平和とか安全とか、そういったものを守るために日米安保条約があり、その安保条約の目的のために厳しい訓練を繰り返すということは、これはまた、安保条約の目的を達成するために必要なものだというふうに考えなければならないと思います。  私は、現在、米軍に対してこの訓練を中止するよう申し入れるつもりはございません。
  107. 古堅実吉

    ○古堅委員 まことに言語道断の御答弁です。  嘉手納町議会は五日、臨時議会を開き、在沖米軍のビーチクレスト96演習の即時中止と爆音被害の除去に関する抗議決議を全会一致で採択しています。きのうのことであります。  その中で、航空機の爆音は住民地域をもろに襲い、町民の健康を著しく阻害し、生活環境を破壊し、日常生活を混乱に陥れている、米軍は爆音被害に対する反省の色が全く見られず、逆に町民に忍従を強要していると言わざるを得ない、このように抗議をし、そして、同演習の即時中止、午後七時から翌日の午前七時までの航空機の離着陸、夜間飛行の禁止、海軍駐機場の即時撤去など六項目を要求しています。  幾ら政府立場に立って外務大臣が安保との調和だと言ってみても、沖縄県民からは全く我慢のできないことです。もう一度お答えください。
  108. 河野洋平

    河野国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、沖縄県民皆様方の日常生活に大きな影響を及ぼすという事態がございますことについては、私どもも、ぜひともこの問題を考えなければならぬということで、もう長い間検討をし、改善をいたしてきているところでございます。しかしながら、さらに沖縄県民から強い御要請があることを受けて、村山総理からもこの問題について十分な対応が必要という御指示がございました。私どもとしては、でき得る限りの協議を米軍米側との間にいたしまして、沖縄県民の御要請を実現するために、でき得る限りの努力をいたすつもりでございます。  しかし一方で、繰り返して申し上げますけれども日本の国の安全というものは努力をして守っていかなければならないものでもございます。私は、安保体制という日本の安全を維持するための体制というものがあるならば、その目的達成のための所要の措置はとっていかなければならないというふうに考えている次第でございます。
  109. 古堅実吉

    ○古堅委員 最後に伺います。  十一月二十四日晩、宜野湾市で、米兵と思われる者による婦女暴行事件が発生していることを大臣は御存じですか。刃物を持って飲食店に侵入し、店にいた三人の女性をトイレに押し込み、そのうちの二人を個室に押し込んでもう一人を暴行したというものであります。  反省とか綱紀粛正などという言葉では済まされない事態です。諸悪の根源米軍基地が続く限りこの種凶悪犯罪はなくならない、基地あるがゆえのものだという県民思いを裏づけるようなものではありませんか。  外務大臣、それでも安保が大事だ、沖縄は我慢せよと言うのですか。あなたが沖縄県民であれば我慢できるとでもお考えですか。
  110. 河野洋平

    河野国務大臣 議員お尋ねの件につきましては、報道を通じて私ども承知をいたしております。  しかしながら、その報道によれば、たしか、そうした事件を起こした人物についてだれであるかということについての確認ができていないという報道であったというふうに承知しております。
  111. 古堅実吉

    ○古堅委員 時間が参りました。終わります。
  112. 宮里松正

    宮里委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十二分散会