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1995-11-08 第134回国会 衆議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年十一月八日(水曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 辻  一彦君    理事 武部  勤君 理事 細田 博之君    理事 江崎 鐵磨君 理事 奥田 敬和君    理事 高木 義明君 理事 赤松 広隆君    理事 高見 裕一君       衛藤 晟一君    高村 正彦君       橘 康太郎君    林  幹雄君       堀内 光雄君    茂木 敏充君       横内 正明君    北橋 健治君       古賀 敬章君    須藤  浩君       樽床 伸二君    福留 泰蔵君       吉田  治君    吉田 公一君       左近 正男君    山崎  泉君       寺前  巖君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 平沼 赳夫君  出席政府委員         運輸大臣官房長 戸矢 博道君         運輸省鉄道局長 梅崎  壽君         運輸省自動車交         通局長     山下 邦勝君         運輸省海上交通         局長      岩田 貞男君         運輸省海上技術         安全局長    小川 健兒君         運輸省港湾局長 栢原 英郎君         運輸省航空局長 黒野 匡彦君         気象庁長官   二宮 洸三君  委員外出席者         警察庁交通局交         通指導課長   稲葉 一次君         科学技術庁研究         開発局企画課防         災科学技術推進         調整官事務取扱 上原  哲君         厚生大臣官房国         際課長     酒井 英幸君         運輸省自動車交         通局技術安全部         長       南戸 義博君         労働省労政局勤         労者福祉部福祉         課長      金子 順一君         会計検査院事務         総局第三局運輸         検査課長    諸澤 治郎君         運輸委員会調査         室長      小立  諦君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月八日  辞任          補欠選任   古賀 敬章君      吉田 公一君   二階 俊博君      吉田  治君   志位 和夫君      寺前  巖君 同日  辞任          補欠選任   吉田  治君      二階 俊博君   吉田 公一君      古賀 敬章君   寺前  巖君      志位 和夫君     ――――――――――――― 十月三十一日  成田空港構内救急医療体制整備設備の充  実に関する請願二見伸明紹介)(第一一一  号) 十一月六日  十勝地方気象観測強化に関する請願寺前  巖君紹介)(第一五三号)  港湾整備財源充実強化に関する請願(桜井新  君紹介)(第一八六号) 同月七日  国際船舶制度早期実現に関する請願原田憲  君紹介)(第七一九号)  同(高木義明紹介)(第七二〇号)  同(高木義明紹介)(策八七二号)  同外一件(鳩山由紀夫紹介)(第八七三号)  同(原田憲紹介)(第八七四号)  同外一件(関山信之紹介)(第九九二号)  成田空港構内救急医療体制整備設備の充  実に関する請願須藤浩紹介)(第七二一号  )  同(福留泰蔵紹介)(第七二二号)  同(奥田敬和紹介)(第八七〇号)  十勝地方気象観測強化に関する請願永井  哲男紹介)(第七二三号)  同(永井哲男紹介)(第八七一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月二十七日  奥羽本線の完全複線化促進に関する陳情書  (第一一〇号)  海底地震常時観測システム三陸沖への設置に  関する陳情書  (第一一一号)  九州新幹線鹿児島ルート建設促進に関する陳  情書外一件  (第一一二号)  九州地方における国際空港建設に関する陳情  書  (第一一三号)  九州における新幹線網建設促進に関する陳情  書外一件  (第一一四号)  四国への新幹線鉄道導入に関する陳情書外一  件  (第一一五号)  下関港新港地区整備促進に関する陳情書  (第一一六号)  地震気象観測体制充実強化に関する陳情書  外四件  (第一一七号)  関西国際空港全体構想の推進に関する陳情書外  一件  (第一一八号)  高速鉄道網整備促進に関する陳情書外二件  (第一一九号)  港湾関係五箇年計画策定等に関する陳情書外  六十四件  (第一二〇号)  国際船舶制度早期実現に関する陳情書  (第  一二一号)  第七次空港整備五箇年計画策定に関する陳情  書  (第一二二号)  地方空港施設整備機能充実に関する陳情書  外一件  (第一二三号)  東北新幹線の全線フル規格による早期完成に関  する陳情書外一件  (第一二四号)  日豊本線高速化複線化及び活性化促進に  関する陳情書外一件  (第一二五号)  東日本地域太平洋沿岸へのリニア鉄道導入  に関する陳情書外一件  (第一二六号)  ひたちなか地区開発推進に関する陳情書  (第  一二七号)  北陸新幹線建設促進に関する陳情書  (第一  二八号)  北海道新幹線早期着工に関する陳情書  (  第一二九号)  山形空港機能充実に関する陳情書  (第一三〇号)  山形新幹線山形以北延伸に関する陳情書  (  第一三一号)  離島空路整備に関する陳情書  (第一三二号) 十一月二日  九州における新幹線網建設促進に関する陳  情書外一件  (第二三八号)  九州地方における国際空港建設に関する陳情書  (第二三九号)  港湾整備促進に関する陳情書  (第二四〇号)  日豊本線高速化複線化及び活性化促進に  関する陳情書  (第二四一号)  福江空港整備拡充に関する陳情書  (第二四二  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  陸運に関する件  海運に関する件  航空に関する件  港湾に関する件 気象に関する件      ――――◇―――――
  2. 辻一彦

    辻委員長 これより会議を開きます。  陸運海運及び航空に関する件等について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。林幹雄君。
  3. 林幹雄

    ○林(幹)委員 自由民主党の林幹雄であります。  まず初めに、航空問題について質問をいたします。  航空については、アメリカなど完全自由化を行うところもございますけれども、私はこのようなやり方は我が国にはなじまないのではないかと考えております。むしろ航空企業間の適切な競争促進施策推進をすることによって、その成果を着実に利用者に還元していくことが必要であると思います。  そこで、まず路線運営についてでありますけれども昭和六十一年に運輸政策審議会答申によりまして、いわゆる四五、四七体制の見直しが行われました。ダブルトリプルトラック化推進してきているところでございますけれども、これまでの実施状況についてまずお伺いをいたします。
  4. 黒野匡彦

    黒野政府委員 お答え申し上げます。  今先生指摘のとおり、私どもアメリカ並みの完全な自由化というのは我が国の国情には合っていないと思います。六十一年の運輸政策審議会答申の中でも、アメリカとは違った規制緩和自由化を目指そうということが明確に書いてございます。  その答申の中でダブルトリプル化をますます進めようではないかという御指摘をいただいておりまして、私どもそれを受けまして、それ以来積極的にその方向施策を進めてまいっております。現在のところ、ダブル化路線が二十七、トリプル化路線が十九、合わせまして四十六ございます。この路線利用者の数は全利用者の七五%でございますから、かなりの部分進んだのではないかと思っておりますが、これからもこの方向をさらに一層進めたい、かように思っております。
  5. 林幹雄

    ○林(幹)委員 路線運営の面でこのように競争環境整備をされてきているわけでありますが、一方で運賃問題がございます。利用者利便増進に当たっては、運賃多様化、これを図ることが重要であると思います。聞くところでは、諸外国との比較でも日本国内航空運賃は決して高いわけではないということでありますけれども、諸外国では、適用条件は厳しいけれども、大幅な割引運賃があることから割安感格安感が感じられているのではないかというような指摘もございます。  国民生活の質の向上必要性が叫ばれて久しいところですけれども利用者ニーズ多様化対応して、我が国でもいろいろな運賃が提供されることが必要と思われます。このような観点から、昨年十二月の航空法改正により、五〇%までの営業割引については届け出制導入されました。これを踏まえた割引運賃はどうなっているか、その導入状況についてお聞きをいたします。
  6. 黒野匡彦

    黒野政府委員 我が国航空運賃は世上大変高いという批判を受けているわけでございますが、客観的な調査結果を見ますと、欧米に比べてむしろ安いぐらいでございます。ただ問題は、まさに先生おっしゃったように、運賃のバラエティーといいましょうか、種類が残念ながら限定されているために、低い運賃利用するチャンスがないという点ではないかと思っております。  そこで、私ども、これから利用者方々利便向上あるいは航空会社営業努力をさらに一層促進するためにも、運賃につきましてはなるべく規制緩和を図っていきたい、かように思っております。  その第一弾といたしまして、昨年の十二月、国会でお認めいただきました航空法改正によりまして、五割以内の営業割引ならば届け出制でいいというふうになりましたものですから、それを早速実施いたしておるところでございます。その結果、ことしの五月から、いわゆる早割とかいろいろ通称ございますが、事前購入割引制度という制度導入いたしました。これは大変好評を博しておりまして、若干不正確でございますが、私の知る限りでは全利用者の五、六%の方が既に利用されているというように伺っております。これからもこの方向で進めてまいりたいと思っております。
  7. 林幹雄

    ○林(幹)委員 割引運賃については今後さらに多様化されることが期待されるわけであります。普通運賃についても運賃体系多様化弾力化が必要でありますし、いかに航空会社経営効率化を促してその成果利用者に還元していくか、こういうことが重要であると思います。  去る九月二十日の経済対策におきまして福運賃制導入することになっていますが、どのような考え方でこの制度導入するのか、そしてまた現在の準備状況はどうなっているのか、お伺いいたします。
  8. 黒野匡彦

    黒野政府委員 福運賃制検討状況でございますが、この制度は、標準原価最高額といたしまして、その下、一定の幅の運賃につきましては事業者の方の選択を尊重して運賃を認める、こういう方式でございます。  この目的は、一つは、事業者方々経営努力を促すということ、さらには、手続の透明性といいましょうか、一般利用者方々にわかりやすい制度にしたいということでございます。  現在、学識経験者の方に入っていただきまして研究会設置して勉強しているところでございますが、まさにきょうその報告書が出る予定になっております。この報告書を受けまして年内にも新制度を実施したい、かように思っておるところでございます。
  9. 林幹雄

    ○林(幹)委員 以上のように、利用者利便増進に向けて着実に競争環境整備していくことが必要であります。  平沼大臣に、このことについてどうお考えになっておるか、所信をお聞かせ願いたいと存じます。
  10. 平沼赳夫

    平沼国務大臣 お答えいたします。  御指摘のとおり、国内航空においては競争促進施策を着実に推進していくということは重要な課題だと認識をいたしております。このため、航空各社サービスの面やさらには輸送サービス向上等創意工夫を凝らし、多」様化する利用者ニーズにこたえていく、こういうことが非常に必要なことになってくるわけであります。したがって、今後とも路線運営及び運賃の両面で競争環境整備を図っていくことは運輸省としては当然のことだと思っておりまして、具体的には、路線運営については引き続き今御議論が出ておりましたダブルトリプルトラック化を積極的に推進してまいりたい、こういうふうに思っておりますし、また運賃につきましては、割引運賃の一層の多様化を期待するとともに、普通運賃については福運賃制というのも年内にはその導入を図りたい、こういうことで運賃のさらなる多様化航空会社の一層の経営効率化促進をする、こういうことで積極的に取り組んでまいりたい、このように思っております。
  11. 林幹雄

    ○林(幹)委員 続きましては、成田空港に関して一、二お伺いをいたします。  成田空港については、我が国表玄関として早急に整備するため、現在関係者の間で多大な努力が払われておるところであります。例えば、空港地域共生実現のための成田空港地域共生委員会設置がそれであるわけでございます。  そんな中で、先般、成田地区空の日の記念事業といたしまして、地元の小学生あるいは一般の人を対象として、ジャンボ機との綱引きとか、あるいはまた成田空港周辺一市五町で構成しております空港圏駅伝大会とか、いろいろと地域方々の主導といいますか主催で進められておりまして、こういうことが、地域とともにというような活動が成田空港かなり身近なものにしていることは、また喜ばしいことであるわけであります。そういう中で、これが進められて平行滑走路完成する。その完成後には、国内線増便を行って地域利便性を確保して、真の意味地域共生する空港実現しなければならないというふうに考えておるところであります。  前国会においても、平行滑走路完成の暁でありますけれども国内線増便についてのお考えを伺ったところでございますけれども成田空港における国内線増便についての大臣の見解はいかがでしょうか。
  12. 平沼赳夫

    平沼国務大臣 お答えいたします。  成田空港に関しましては、委員承知のように昨年の円卓会議結論を踏まえまして、そして平行滑走路整備というものも実現の視野に入れて、しかし根気よく話し合い路線でその実現を図ってまいりたい、こういうふうに思っております。  したがいまして、平行滑走路ができました暁には、現時点では国内線は御承知のように七便しかないわけでありますが、これが整備ができましたら国内線増便ということも当然考えてまいりたい、こういうふうに思っておりますし、また、今年八月に出ました航空審議会の中間の取りまとめの中においても、平行滑走路ができた時点にはやはり国内線増便を図るべきだ、こういう御意見もいただいておりますので、私ども地域皆様利便性というものも考え、そして今、空の日のそういう交流ということも御指摘がありましたけれども、やはり地域に密着した空港として国内線増便を図りながら空港機能を高めていく、こういうことにしてまいりたい、このように思っております。
  13. 林幹雄

    ○林(幹)委員 我が国表玄関として複数滑走路を有することになるこの成田空港でありますけれども内陸空港であることを踏まえまして、ほかの空港の例にとらわれない充実した騒音対策あるいはまた地元対策を実施すべきであると思うわけでありますけれども、その辺は大臣はいかがお考えでしょうか。
  14. 平沼赳夫

    平沼国務大臣 お答えいたします。  成田空港は、今申し上げましたように、平行滑走路完成をいたしますと、複数滑走路を有します国際空港、こういう機能を持つに至るわけであります。したがいまして、便数も大幅にふえる、こういうことが想定されまして、騒音対策を初めとする地元対策に関しては万全を期していかなければならない、このように思っております。  昨年合意された円卓会議結論、あるいはその後の閣議の報告におきましても、民家の防音工事の再助成を初めとする騒音対策移転対策充実を私どもとしてはお約束をさせていただき、千葉県が中心となって進められている成田空港周辺地域振興施策について、国としても積極的にこれに支援をしていくことといたしております。  したがいまして、今後ともこれらの諸施策を着実に実行させていただいて、そして地域皆様方に愛され、国際的にも評価され、利便性の高い空港に仕上げていきたい、このように思っております。
  15. 林幹雄

    ○林(幹)委員 実は、成田空港は私の選挙区、地元にもなるわけでありまして、この平行滑走路ができますと、芝山町はかなりの範囲で騒音地域下に入ってくるということに相なりますし、ぜひともその地域との共生を図る意味で、共生委員会、名ばかりじゃなく、ともに空港と生きる、空港とともに発展するという趣旨を踏まえての対応を切に要望をしておきたいと存じます。  続いて、海運問題に移らせていただきます。特に海運問題は、外航海運とその船員についてお尋ねをするわけであります。  海に依存しております貿易立国であります我が国にとって、外航海運による物資安定的輸送体制は欠かすことができないわけであります。日本商船隊中心であった日本籍船は近年急激に減少しておる、ややもするとなくなってしまうのではないかというふうに聞いておるところでありますけれども日本籍船及び日本人船員現状及び今後の見通しをまずお聞きいたします。
  16. 岩田貞男

    岩田政府委員 お答えをいたします。  先生のおっしゃるとおりに急激な減少が続いているわけですが、この外航海運は、昭和六十年のプラザ合意以降の大幅な円高の進展に伴いまして、海外への移籍とか売船が極めて進んでおりまして、その結果、日本籍船減少があるわけでございます。  ちなみに、日本籍船減少状況を申し上げますと、昭和六十年には千二十八隻あったのでございますが、平成七年、ことしの七年には二百二十五隻に減少しております。このまま推移しますと、平成十二年、西暦の二〇〇〇年でございますが、百隻を下回るものと残念ながら予測をせざるを得ない、こういうことでございます。  さらに、日本人外航船員につきましても同様に急激に減少しておりまして、昭和六十年には約三万人でありましたが、平成六年現在では六千人余りになっておりまして、平成十二年、これも西暦二〇〇〇年でございますが、四千人を下回るものと予測をしております。
  17. 林幹雄

    ○林(幹)委員 日本籍船及び日本人船員意義についての認識、それをどういうふうに今とらえておるのか、お聞きしたいわけです。というのは、このまま放置していいのか、あるいはその危機の面もありまするし、その辺の認識をまず運輸省にお聞きいたします。
  18. 岩田貞男

    岩田政府委員 お答えをいたします。  お尋ね日本籍船及び日本人船員意義とか必要性でございますが、これは従来からいろいろなところで議論をされてまいりました。例えば海運造船合理化審議会議論におきましても、一体として役割を果たすものということで認識されてきたところでございます。  具体的に申し上げれば、先生が今おっしゃいましたように、海上輸送への依存度が大変高い我が国にとりまして、貿易物資の安定的な輸送手段であるとか、あるいは緊急時などにおける対応ですとか、あるいは島国であります我が国の船が外洋へ行くという操船術とか航海術といった意味海技伝承ですとか、さらには、私どもが国際的に海の利用保全、海路などの利用あるいは環境保全、調和ある海事関係国際基準をつくっていかなければならないのですから、そのための発言権の確保など、そのほかにもいろいろありますが、多くの観点から日本籍船日本人船員は大きな意義を有するものと考えております。その維持は社会的に必要であると私どもは思っておるところでございます。
  19. 林幹雄

    ○林(幹)委員 日本人船員育成は、今局長答弁のとおり、極めて重要なものであると思います。しかも、船長、機関長育成するということになると大変な時間もかかる、加えて外国人船員育成に対する支援重要性を増すと考えられるわけでありますけれども、この辺は運輸省の取り組みとしてはどんなふうになっておりますか。
  20. 小川健兒

    小川政府委員 外航海運にかかわります日本人船員育成につきましては、従来から文部省所管商船大学二校、それから商船高等専門学校五校におきまして養成が行われております。運輸省におきましても、航海訓練所におきましてこれら学生の練習船実習を実施しているところでございます。  一方、外国人船員養成につきましては、従来から国際協力事業団事業の一環といたしまして、開発途上国政府の要請に応じまして船員教育にかかわる専門家を派遣するとか、あるいは船員養成のための施設、機材の整備に関する資金を供与するなど、国際協力を実施しております。  それから、運輸省独自の事業といたしましては、東南アジア諸国船員対象といたしました開発途上国船員養成事業、これを平成二年度から実施しているところでございます。今後とも開発途上国の船員養成に資する事業は積極的に進めてまいりたいというふうに思っております。
  21. 林幹雄

    ○林(幹)委員 日本籍船あるいは日本人船員に関していろいろ問題点指摘されておるわけであります。例えば人件費の問題も大きな問題だと聞いておりますし、あるいはまた船舶における諸税、つまり固定資産税とか登録免許税とか、いろいろな税に対しても高いというようなことも指摘されておるわけでありまして、そういう中で、欧米諸国では自国籍船及び自国船員維持のための優遇措置を講じておるというふうに聞いておるわけでございますけれども、その辺の概要をちょっとお聞かせ願えればと思います。
  22. 岩田貞男

    岩田政府委員 お答え申し上げます。  今お尋ねのイギリスとかドイツとかフランス、デンマーク、スウェーデン、その他いろいろございます。これらの国々もやはり自国籍船維持し、貿易物資安定輸送ですとか、あるいはもう少し進んで国の安全ですとか、あるいは恐らく我々と同じように海技伝承ということでやっております。  その中で、お尋ねのように国々によってさまざまではございますが、船員さんにかかる税金を少し安くしたり、あるいは社会保障料みたいなものも含めまして少し安くしたり、それからもう一つは、船にかかわる税金を、そもそもなかったり、安くしたり、その他いろいろな支援策、国によって違いますが、例えば建造費補助をしたり、アメリカのように、ちょっと違う観点ですが、運航費補助をしたりということで、先進国におきましてもさまざまな援助措置をしているのが実情でございます。
  23. 林幹雄

    ○林(幹)委員 欧米諸国ではいろいろな援助措置とか、今ありましたけれども我が国外航海運に関するそういった援助あるいは助成とか、そういったものについてはどういうふうになされておるか、ちょっとお聞きしたいと存じます。
  24. 岩田貞男

    岩田政府委員 我が国におきましても、固定資産税などにつきましては、率を下げるようにある程度の御支援をいただいております。それから、船舶税制におきましても、特別税制でございますが、割り増し償却を認めていただくというようなことで御援助をいただいているところでございます。  ただ、それの御援助なんですが、そういうことで大変ありがたいとは思っているんですが、諸外国制度や、あるいはパナマやリベリアなどに移籍したときの固定資産税登録免許税を比較しますと、やはり格段の差があるということでございます。そんなところからも一つ日本籍船減少しているという現状でございまして、この点につきましても何らかの歯どめ措置ができないかということで、今関係の御当局に協議をしているところでございます。
  25. 林幹雄

    ○林(幹)委員 船に関してのそういう助成あるいは補助といったものもあるんじゃないかと思いますけれども、特に船員人件費といいますか、それが諸外国と比べて日本の場合はえらく高いということもいろんな意味での指摘の中にあるわけですけれども、一点、昔は船員は、船乗りは、社会的なものから見てもそう悪くない給料だったように聞いておりますけれども、今はさほどじゃない、こういうギャップに対しまして運輸省はどのようにお考えでしょうか。
  26. 岩田貞男

    岩田政府委員 日本人船員方々が、昔から比べたら、一般的な日本の中で働いておる方々と比べて昔のようには高くないというのは、その傾向だと思います。ただ、これは、国際海運の場合は完全に外国海運市場で、外国と競争しなければならないというところでございます。したがって、たくさん諸外国の発展途上国の方々が乗っている船と日本人船員の方が多く乗っている船とを比較しますと、やはりそこには人件費の差が相当あるというのが事実でございます。
  27. 林幹雄

    ○林(幹)委員 先般私は、体験試乗、試船といいますか、コンテナ船、混乗船に一晩乗ったわけでありますけれども、その船にはフィリピン人の船員が十数名、二十名近く乗っておったわけです。いわゆる混乗船であります。そういう中で、船長なり機関長なりあるいはそのほかの航海士に日本人がおるわけですけれども、語学の問題、例えば日本語で通じないんじゃないかというような語学の問題もあるわけでして、その辺の試験制度も加わってくると思いますけれども、語学に対する対応はどのようになっておるのか、また考えておるのか、お聞かせください。
  28. 岩田貞男

    岩田政府委員 国際船舶制度ということで一まとめにして、今関係の御当局に概算要求をさせていただき協議をしているところでございますが、その中で、やはり日本の国籍船にも多数の外国の方に乗ってもらわなければいけない。そのうち、ある方は資格を持っている方も乗っていただかないと、やはり競争していくには全部日本人船員で貯えませんものですから、そういうことから、今お尋ねのように、日本海技免状も外国語、英語でございますが、英語で受けていただけるような措置もその中に、直接概算要求のところには絡みませんけれども、措置として考えております。  もし、国際船舶制度というものが実現するときには、それもあわせてやっていきたいというふうに思っております。
  29. 林幹雄

    ○林(幹)委員 国家の安全、貿易物資安定輸送等々の観点から、我が国においても抜本的かつ総合的な措置が必要だろうというふうに考えるところであります。  今お話しのように、運輸省においては、国際船舶制度の創設を検討しているということは承知しているわけでありますけれども大臣にまず、その運輸省の取り組みと決意のほどをお聞かせ願いたいと存じます。
  30. 平沼赳夫

    平沼国務大臣 お答えいたします。  委員からのいろいろな御指摘のとおり、特に急激な円高に伴いまして、日本外航海運というのがある意味では危殆に瀕しております。昭和六十年には一千二十八隻あった外航航路の船が、本年平成七年度には二百二十五隻になろうか、こういうような状況でございまして、このことは、やはり四囲を海で囲まれ、そして貿易立国である我が国にとっては大変深刻な問題だと受けとめております。  そこで、やはり二十一世紀というものは、ある意味ではボーダーレスの時代ということで、ますます世界の中で陸も空も海も交流が活発になる。そういうことを考えた場合に、これは看過できない問題であるということで、今御指摘国際船舶制度、この創設に向かって、運輸省としては関係各省とも連携をとりながら、今一生懸命にやらせていただいているところであります。  今ちょっと事例が出ましたけれども、イギリスでありますとかドイツでありますとかデンマーク、ノルウェー、そういったある意味では海運国と言われている国々も既にそういった問題で国際船舶制度というものを設けておりまして、我が国といたしましても、とにかくこの問題には真剣に取り組んでいかなければいけない、こういうことで、運輸省といたしましても、今全力を挙げてこの国際船舶制度の創設に向かって、八年度の概算要求にこれを盛り込んで、この実現を期しているところでございますので、一生懸命に取り組みをさせていただきます。
  31. 林幹雄

    ○林(幹)委員 今大臣からの決意をお聞きしまして、大いに勇気づけられているところでありますけれども我が国は四面を海に囲まれた島国であります。そして、海洋国家でございます。国民の豊かな生活や経済的な繁栄を成り立たせる上で、海運はまさに欠くことのできない基盤でもあるわけでございます。しかしながら、海運は国民の目に直接触れないために、その重要性が国民の意識に深く刻み込まれているかというと、甚だ心もとないところであります。  そんな中で、海に対する国民の理解と関心を深めるために、広く国民の皆様の御理解と関係者方々の協力を得て、いよいよ来年より海の日が国民の祝日となったわけでございます。これをいわば海洋国家日本としての新たな出発の機会ととらえて、我々の生活、我々の社会がいかに海に支えられているかを国民に深く認識していただくとともに、海をめぐる問題を自分たちの問題としてとらえていただく必要性を痛感するものであります。  今こそ、活力ある日本を将来に向けて構築していく上で、我々のよって立つ海の問題、中でも海運をいかなる方向に向けていくかについて、確固たる信念と決意が必要であると考えるものであります。それにおいては大臣の決意が大変心強いわけでありますけれども、私も、制度創設のために全面的にバックアップすることをここに申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  32. 辻一彦

    辻委員長 以上で林幹雄君の質疑は終了しました。  続いて、赤松広隆君。
  33. 赤松広隆

    ○赤松(広)委員 赤松広隆でございます。  きょうは、かつての奥田運輸大臣以来の質問でございますので、いささか緊張しておりますけれども、二点について、平沼運輸大臣に、そしてまた関係局長の皆さん方にお尋ねをしたいと思っております。  まず第一は、航空行政、とりわけ中部新国際空港についてお尋ねをしたいと思っております。  航空審議会中間取りまとめが出されまして、我が国における空港整備現状と今後の課題についていろいろと述べられておるわけでございますけれども、この取りまとめを受けて運輸省としてどのように受けとめられているのか、まず最初にお伺いをしたいと思います。
  34. 黒野匡彦

    黒野政府委員 八月に航空審議会の中間取りまとめをいただきました。この中で非常に力点が置かれておりますのは、いわゆる拠点空港整備を進めるべしという方向でございまして、私ども認識といたしましては、国内の地方の空港、この配置についてはおおむね一段落したかな、こう思っております。  ただ、大都市及びその周辺の拠点空港、これは国際、国内を問わずでございますが、これにつきましては現状でも不足しておりますし、さらに将来の航空の発展、あるいは我が国の経済発展を考えますと、ますますこの需給環境は逼迫するであろうと思っております。したがいまして、大都市を中心にして我々として積極的に拠点空港整備を進めていく、またそれが運輸省の責務であろう、かように考えております。
  35. 赤松広隆

    ○赤松(広)委員 航空局長からは、拠点空港整備、とりわけ大都市周辺の整備についてこれから特にやっていかなければならない、これは国際空港あるいは国内の空港を問わずだという御答弁もあったわけでございます。  特に、この中間取りまとめの中では国際ハブ空港整備についても強調されておるわけでございまして、その意味で、新たに中部新国際空港事業推進が盛り込まれているわけでございまして、この中部新国際空港の早期の実現に向けて、運輸省としてはどのように取り組んでいかれるおつもりか、お考えをお伺いします。
  36. 黒野匡彦

    黒野政府委員 国際ハブ空港整備、ますます進めなければいけないと思っています。  ここで特に御披露させていただきたいのは、この中間取りまとめの中においてこういう一説がございます。この国際ハブ空港整備については「我が国自身の問題であるばかりでなく、我が国が相互依存関係を深めつつある国際社会から期待されているところでもある。」こう高らかに中間取りまとめでうたっていただいております。  したがいまして、私ども、従来やっております成田、関空に加えまして、新たに中部の新しい空港、これにつきましても、国際ハブ機能を持った空港として積極的に整備を進めてまいりたいと思っております。この中間取りまとめにおきましては、この中部新空港につきましては「総合的な調査検討を進め、早期に結論を得た上、関係者が連携してその事業推進を図る。」こういう方向が示されております。  そこで、私どもまだ事業化のために残っております調査がありますから、これを積極的に進めたいと思っておりまして、来年度の予算要求で調査費を、四億円でございますが、要求をいたしております。この調査をなるべく早く進め、できるだけ早い時期に事業化を図りたいと思っております。  さらに、新しい空港をつくりますときに大きな問題となりますのは空域の問題でございまして、これにつきましては、既に防衛庁の方と調整をいたしまして、中部圏空域利用調整会議というものを設けまして、実際に空域の調整について既に着手しているところでございます。  それ以外の点につきましては、地域方々の検討とあわせまして、相協力しながら急ぎたい、かように思っておるところでございます。
  37. 赤松広隆

    ○赤松(広)委員 今航空局長からは、成田、関空に並んでこの中部新空港が、ちょっと大げさかもしれませんけれども、北東アジアの拠点の、まさに国際ハブ空港としての役割を果たしていくことを期待をしている旨の御答弁だったと私は理解をいたしました。そしてまた、つけ加えられまして、事業化に向けての残されている課題、この課題解決のためにことし、来年からやっていくんだというようなお話もございました。  そうしますと、今空域調整のお話も出たわけでございますけれども事業化に向けての残されている課題の一番大きなものは空域調整、他のものについてはそれほど大きな問題はないというふうに理解をしていいのでしょうか。
  38. 黒野匡彦

    黒野政府委員 今申し上げましたのは、現在具体的に着手した点を申し上げたわけでございますが、実際にこれだけの大きな空港を進めるといたしますと、まだ検討しなければいけない幾つかの問題があろうと思います。  まず第一は、空港として採算性がとれるかどうか、あるいは逆に言いますと、その採算性を維持するために国、地方公共団体あるいは地元の企業の方々からどの程度の低利の資金を導入したらいいかという、その問題が一つございます。それから二番目は、空港整備主体、これをどうするかという問題がございます。それから三番目は、大変難しい問題でございますが、アクセス、道路及び鉄道その他につきましてのアクセスをどう設定するかという問題がございます。さらにその次に、今の空域の問題、あるいは地域と一緒に開発するやり方をどうするか、このような問題が残っていると思います。  したがいまして、中部空港を現実にスタートさせるためには決して平たんな道ではないと思いますが、地方公共団体の方々と連携しながら、以上の点につきまして精力的に詰めてまいりたい、かように思っておるところでございます。
  39. 赤松広隆

    ○赤松(広)委員 今いろいろ具体的に課題となるであろう問題についてお話がございました。あと、資金問題等についてはまだ後の方で質問させてもらいますけれども、特に最初におっしゃいました採算性がとれるかどうか、このことは、裏返して言えば採算性がとれるような、あるいは利用のしやすいような、利用客が多いような、そういうやはりいい空港をつくってもらうということにも言いかえられるわけでございまして、その意味で、地域がまた一生懸命取り組むことは当然のことでございますけれども、まさに国の事業としての運輸省の積極的なお取り組みを期待をしたいということだけ申し上げておきたいと思っております。  さて、今後の具体的な空港整備に当たっての問題でございますけれども、先ほども委員から成田の問題が少し触れられましたが、まさに成田のあの過去の経緯を反省をしながらといいますか、いい意味で振り返りながら、やはり地域共生する空港つくりをどう進めていくかということが重要ではないのかということを思っております。その意味で、これから新しくつくる中部新国際空港についてはどのように地域との共生実現していくお考えなのか、これについてお尋ねしたいと思います。
  40. 黒野匡彦

    黒野政府委員 私ども、成田の問題から大変多くの教訓を学びまして、この教訓を生かしながらこれからの空港整備に当たらなければいけないと考えるところでございます。  したがいまして、中部につきましては、かなり早い時期から地域の公共団体あるいは地域社会のいろいろな方々と接触しながら、意思の決定も含め、お互いの合意の上で進めてきたつもりでございます。したがいまして、これから地域の開発も含め、空港とどういう調整を図るのがいいかということは、地域の意見も聞きながら十二分に検討を進め、十分な合意の上で進めたい、かように考えておるところでございます。
  41. 赤松広隆

    ○赤松(広)委員 先ほどお話も少しありましたけれども、これからやはり一番重要な問題になってくるのは、空港整備の財源のあり方ではないだろうかということを思っております。とりわけ、言うまでもないことでございますけれども、これからの国際空港については、重要な国際交流の基盤となっておるわけでございまして、その意味で、他の社会資本と同様に国民生活に欠かせないものということでもございます。  その意味で、中間取りまとめでも指摘をされているところでありますけれども利用者負担中心ということではなくて、まさにこれからの空港整備財源のあり方については、国の一般財源の拡充をも含めた所要の財源の確保が必要であるというふうに思っております。この問題につきましては、政府を挙げて、あるいは運輸省を挙げて取り組む必要があると思っておりますけれども運輸大臣の御決意のほどをお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  42. 平沼赳夫

    平沼国務大臣 お答えいたします。  私は、先ごろ委員のお地元の愛知県に行かせていただきました。そうしましたら、知事さんを初め市長さん、関係経済界の皆様方がこの中部新空港に対して大変な御熱意でありまして、私もその皆様方の強い御要望というものに関して強く受けとめさせていただいたところであります。  先生承知のように、日本のいわゆる空港建設に当たりましては、財源の確保という意味で真水の部分が非常に少なくて、それを特別会計で賄っているという経緯があります。しかし、二十一世紀は、先ほど海運の方でも申し上げましたけれども航空に関してもまさにボーダーレス、大交流の時代に入る。日本の近隣を見回しましても、例えばお隣の韓国は四千メートル級の滑走路を三本も持つ、そういうハブ空港が今世紀末には完成するであろう。香港でも巨大空港建設がっち音高く進行中でございますし、シンガポール等々、そういう意味では国際的なハブ空港というものがこの極東を限って見ても大変現実の問題になってきております。そういう中で、我が国としては空港整備というものを、お地元の中部新空港を初めとして積極的に進めていかなきゃいけない。  そうなりますと、やはりこれから国際競争力ということを考えていった場合に、特別会計というのは着陸料でありますとか特別なジェット料金というものが航空運賃にはね返ってしまって、これがまた国際的にも競争力が低下する、こういうことにもつながっておりますので、我々としては、特別会計の今まで果たした役割というものは非常に大きく評価しますけれども、これから大きな国家プロジェクトとして空港整備していくに当たっては、どうしても御指摘一般財源をここに積極的に導入していかなきゃいけない。  運輸省といたしましても、やはりこれからは一般財源化ということを積極的に進めるために、我々は省を挙げて努力をして、そして世界の中でおくれをとらないような空港整備を進めてまいりたい、このように思っておりますので、どうか赤松委員の御協力も切にお願いをするところであります。そういうことで頑張ってまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  43. 赤松広隆

    ○赤松(広)委員 ありがとうございました。積極的な運輸大臣の決意をお伺いをしました。これで空港も大分近くなってきたなというようなことも感じました。  特に、今お話もございましたけれども空港の着陸料だとか利用料だけが世界一というようなことでは困るわけでございまして、世界のどの地域を見ても、こうした空港整備がきちっと進んでいるところが国際化社会の中でまさに情報や経済の中心となりつつあると言っても過言ではないというふうに思っておりますので、まさに北東アジアのハブ空港としての十分な機能を備えた、そしてまた、そのことがこの地域の経済やあるいは国際化に向けての発展のポイントとなっていくというようなことになるように、今決意を申し上げられたような方向でぜひお取り組みをいただきたいということを最後にお願いをして、この質問は終わりたいと思います。  さて、二つ目の質問でございますけれども、西名古屋港線の旅客線化についてお尋ねをしたいと思います。  これも、実は今御質問申し上げた新空港とも少し関連もするところもあるわけでありますけれども、最近、地元の市長の発言にもございますように、この西名古屋港線という貨物専用線を旅客線化をすることによって、常滑沖に建設予定である中部新国際空港のいわゆる空港アクセスとしても考えてはどうかというような発言も市長あるいはJR東海の社長等からも出ておるわけでございまして、この旅客線化問題について、第二の質問としてお尋ねをしたいと思います。  御存じのように、この西名古屋港線につきましては、旧笹島貨物駅と稲永、金城埠頭を結ぶ貨物専用線でございまして、先ごろなされました運輸政策審議会答申十二号におきましても既にこの路線については明らかにされ、また答申路線としても位置づけをされておるわけでございます。当初、JR貨物の財産ということでありましたけれども、こうした旅客線化ということも視野に入れながらJR東海への所管がえも行われたということでございまして、その意味で何としてもこの旅客線化の実現に向けて、地域の期待とか要望はもちろんでありますけれども運輸省のお考えお尋ねをしたいというふうに思います。  そもそも、JRの貨物専用線を利用して、そして旅客線化を図ることによって地域活性化をさせていくという、こういう新しいタイプの都市内交通といいますか、都市内鉄道といいますか、こういうあり方について、運輸省としてどう認識をされておるのか。これは話を進めていく前提でございますので、まず最初にお伺いをしたいと思います。
  44. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 ただいま先生指摘のございました西名古屋港線は、名古屋駅から鉄道整備がおくれております名古屋市の南西部へ延びる貨物線でございますけれども、これを旅客線化するとともに金城埠頭まで延ばすという、延伸するという、いわゆる旅客線化の構想がございます。  この事業に対しまして、私どもは沿線地域活性化という観点や臨海部の開発への対応という観点から意義のあるものと認識いたしております。
  45. 赤松広隆

    ○赤松(広)委員 意義のあるものということで御答弁いただいたわけでございますけれども、まさに地方自治体や民間などによる第三セクターとして、新しい時代に対応した新しい事業形態、また新しい経営システムと言ってもいいと思いますけれども地元の熱意とも相まって、今後いかにしてその実現を図っていかれるおつもりか。また、国のしっかりした対応も必要であると思いますけれども、これらの対応についてはどのようにお考えですか。
  46. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 西名古屋港線の旅客線化を含めまして大都市貨物鉄道を旅客線化していくということに関しましては、貨物鉄道の沿線地域を再活性化するということ、あるいは鉄道ネットワークの充実を図るということから、一般的に意義があるというぐあいに考えております。  私どもも、第三セクターという形で、これを事業主体といたしまして関係の機関が相協力して進める旅客線化の事業につきましては、何とかこれを制度に乗っけて実現に向けて努力していきたいと考えております。
  47. 赤松広隆

    ○赤松(広)委員 平成八年の予算につきましては、大阪外環状とともに予算要求をしておられるわけでありますけれども、第三セクターへの国の応援について、運輸大臣の方から決意のほどをお伺いをしたい。大蔵省あたりはいろいろ言っているようでございますけれども、やはり運輸省挙げてといいますか、これは取り組んでいかないと、大阪外環状ももちろん大切ですし、この西名古屋港線、まさに二本の柱として、ことしの八年の予算ではこれは何としても実現をしていただきたいというのが地元の強い要望でもございますし、大臣の決意のほどをお伺いをしたいと思います。
  48. 平沼赳夫

    平沼国務大臣 お答えいたします。  この西名古屋港線に関しましても、委員のお地元にちょうどお伺いをいたしましたときに、やはり強い御要望があったところであります。これから貨物線をそういう形で有効利用していくということは、モータリゼーションの世の中でありますけれども、しかし交通渋滞等、定時に運行され、そして大量輸送ができるという鉄道の必要性は、二十一世紀に向かってますますそのニーズは非常に高まってくると私は思います。  そういう意味でも、国としては、こういった有効利用というものは積極的にやっていかなければならないと思っているところでありまして、地元皆様方の御要望の高いこの西名古屋港線に関しましても、我が省といたしましては今大蔵とは積極的に交渉をし、そしてその大蔵のガードもなかなかかたいものがあるわけでありますけれども、今一生懸命に省を挙げて折衝をしている、こういうことでございます。
  49. 赤松広隆

    ○赤松(広)委員 特にお願いをしておきたいと思いますのは、こういう時代でありますから、旧来の補助のあり方、あるいは旧来の運輸行政を推進をするための国の財政支出のあり方、これがいろいろと見直しをされておるわけでございます。  一昨年、昨年でしたか、例の埼玉鉄道とそれから名古屋の平安通り上飯田のあの第三セクターについて、初めて第三セクターに対しても国みずからが都市の、あるいは地域の人たちの交通の利便性を図っていく、そのために積極的に必要なものについては国そのものがそういう事業にもかかわっていくという姿勢を示すという意味で、これはもう埼玉鉄道等の例もあるわけでございます。特にこれから都市内のこうした新しい交通システムといいますか、都市内鉄道の新しい形態あるいはあり方ということについては、まさにその象徴となるものが今回のこの西名古屋港線の旅客線化であり、また大阪外環状ではないのかということを私は思っておりますので、今大臣がおっしゃった強い決意のもとでその実現方をぜひ図っていただきたいということを希望しておきたいと私は思います。  最後に、私が当初触れました市長の発言あるいはJR東海の社長発言等にも見られますように、これを金城埠頭まで延ばして、そこから今度は伊勢湾の下を海底トンネルをくぐって、そしてそれを空港アクセスとして利用していく。名古屋駅から空港まで大体三十分、あるいはせいぜいかかっても四十分というような構想もいろいろ打ち上げられておるわけでございまして、新しい交通システムとしてはこれももう十分考えるに値するというふうにも私は思っておるわけでございます。これだけが空港アクセスとは思いませんけれども空港アクセスの一つとしてどのようにこれを評価をされるのか、あるいはどんな考えをお持ちなのかについてお尋ねをしておきたいと思います。
  50. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 地元におきまして、ただいま先生指摘のような構想があることは私ども承知いたしております。中部空港のアクセス鉄道につきましては、現在のところ、いろいろ地元で多数の路線の構想がございます。ある資料を見ますと、八本ぐらいの整備をするというような構想もございます。  そこで、中部国際空港のアクセス鉄道として何が望ましいかということにつきましては、地元でもいろいろな御意見があろうかと思われますので、地元として何が望ましいかというのをまず地元議論をしていただくのが必要ではないかと私ども考えております。また、地元におきましてもそのような方向で取り組むというぐあいに私ども聞いております。そのような地元の取り組みも踏まえまして、私どもとしてもこれを検討していきたいと考えております。
  51. 赤松広隆

    ○赤松(広)委員 ありがとうございました。  きょうは大臣初め両局長にも大変前向きな御答弁をいただいてスムーズに進行いたしましたので、ちょっと時間が五分ぐらい余りましたが、これにて私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  52. 辻一彦

    辻委員長 以上で赤松広隆君の質疑は終了しました。  高見裕一君。
  53. 高見裕一

    ○高見委員 運輸大臣に初めて質問をさせていただきますが、先ほどの林委員の質問にもございましたので、若干ダブることをお許しをいただきたいと思いますが、私も日本籍船現状に非常に憂慮を抱いておるということで、御容赦いただきたいと存じます。  この間、各新聞の社説でも随分と海洋国日本の危機がうたわれております。そして、それに対処するための施策を施さなければならないという考えが大分国民の中にも広まってきたんしゃないか、浸透してきたじゃないかな、そんなふうにも思っております。  実際、資源の、あるいは食糧の大部分を輸入に頼る日本にとって、外航海運の果たす役割は非常に大きいものがございます。しかし現状は、先ほどの林さんの質問にもありましたように、また大臣の御答弁にもありましたように、激減の一途をたどっている。日本の商船隊は、九四年、二千隻あるものの一割余りしか日本の国籍を持った船はない。十年前に比べて四分の一に激減している。これは私本当に危機的な事態だというふうに、本気でそう思っておるんですね。さらに、船だけではなくて、外航船に乗り込む日本人船員も、十年前には三万人を超えていたというものが今や一万人を割り込んでいる状況でございます。しかも、ことしの海運白書によれば、このまま推移することになれば二〇〇〇年には日本籍船は百隻を割る。先ほど岩田局長お答えになっておられましたが、日本人船員は四千人を割り込むおそれが強いと。本当に真剣に対応策を考えなければならない時期に来ている。  しかし、実際には、円高が進行し、船舶維持費や人件費が相対的に上昇した結果このような事態が生じたのでございますから、根本的な解決を目指すためには、いわゆる欧米並みの優遇措置を含め、各種の対応策を早急に検討しなければならないと思います。  ただ、今国際船舶制度というのが随分と我々の議論の俎上に上がっているわけですが、果たして国際船舶制度だけで今の海運現状日本籍船の激減の現状に歯どめをかけられるものであるか否か、より抜本的な、より戦略的な対応も必要なのではないかなというふうにも思っております。  大臣の先ほどからの極めて前向きかつ戦略的な御答弁に感服いたしておりますけれども、ぜひこの問題に関しての現状認識及び今後の対応を、戦略的な、大所高所からの視点でも結構でございますが、本音の部分で再度御発言いただければありがたく存じます。
  54. 平沼赳夫

    平沼国務大臣 お答えいたします。  高見先生指摘のとおり、今の日本外航海運現状というのは大変厳しい状況であります。まさに、横文字を使います上フラッギングアウト、こういう言葉がどんと響いてくるような厳しい現状だと思うわけでありまして、御指摘のとおり、かつては海運日本という形で七つの海にはためいていた、本当に日の丸を掲げた船がどんどん減少している、こういう現状であります。  先ほどもお答えをいたしましたけれども、四囲を海に囲まれているこの日本にとって、しかも御指摘のように貿易立国であり、しかも食糧の穀類ベースでは八割を輸入に頼っている、こういう日本にとりまして、こういった自国の船がないということは、将来を見ましても大変ゆゆしき問題だと思います。  さらにまた、長い間培ってきた海技伝承という面でも、このまま放置してしまうと、本当に海洋日本の培ってきた海技というものもこれまたほとんど伝承する者がなくなってしまって、ここで一大途絶ができてしまう、ここも何とかしなきゃならない問題であります。さらにはまた、国際競争力という観点からいいましても、こういうような現状を放置してまいりますと、この面でも大変厳しい局面が想定されるわけであります。  そこで、高見委員指摘のように、我が国といたしましても抜本的な対策を講じていかなきゃいけない。イギリスだとかあるいはドイツだとかノルウェーだとか、そういった海運国が既に採用しておりますけれども国際船舶制度というものをまずこの日本で打ち立てて、そして平成八年度の概算の中にもこれを盛り込ませていただきました。御指摘のように、さらに大きな視点に立った抜本的な対策も必要かと思いますけれども、とりあえずこの国際船舶制度の中で、税制措置の問題、予算措置の問題、あるいは日本人船員にかかわる処遇の改善の問題、あるいは外国人船員に対するいろいろな処遇の改善の問題等々、きめ細かく我々もその中に盛り込ませていただいて、そして来るべき通常国会の中では、その中でやはり法的措置も必要だと思っておりますので、今こういう現状に対して、我が省といたしましても、これを何とか打開をして、そして外航航路において日本籍船日本人船員が十分確保できる、そういう体制を第一歩として国際船舶制度をもとにして築いでいこう、こういうことで、これは省を挙げて、そして積極的に取り組ませていただきたい、こういうふうに思っております。
  55. 高見裕一

    ○高見委員 大臣、ありがとうございます。大変深い危機感と、そして海に対する大臣の思い、ひしひしと伝わってまいりました。大臣とともにそして運輸省の皆さんとともに、私も本当にこの問題、長いスパンで戦略的に取り組んでいかせていただきたい、そのように考える次第でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。  さて、続いて港湾についてもお尋ねを申し上げたく存じます。  船や人の問題もさることながら、日本港湾施設においても国際競争力が低下してきておる、これは事実かと存じます。かつては世界一の貿易量を誇った神戸、あるいは東日本では横浜なども、今や香港や釜山に大きく水をあけられております用地盤沈下が極めて著しいという現状でありましょう。ハード的にも大深度バースの数がまだまだ少なく、地震のときにも対応できる耐震バースも少ないという状況下で国際競争力を保つためには、今以上の努力をして、めり張りのある投資を行っていかなければならないと考えます。運輸省として、そのような日本港湾が置かれている現状をどのように認識され、またどのように対処していこうと考えておられるのか。  また、特に今回の阪神大震災によって壊滅的な打撃を受けた神戸港の復興なくして日本港湾の国際競争力の向上もあり得ないと私は確信をしておりますが、神戸港の復興に対しても、今回の第二次補正予算において多くの支援をいただいておりますが、今後の神戸全体の復興に大きな影響を与える神戸港の復興について、これからどのような支援を行っていく予定なのか、ぜひ具体的に、かつ短い期間、中期的な期間、長期的な期間、それぞれ施策がございましたらお聞かせを賜りたく思います。
  56. 栢原英郎

    栢原政府委員 先生指摘の、我が国の特に外貿埠頭港湾の国際競争力が著しく低下をしているという問題につきましては、私どもも大変な危機感を抱いているところでございます。特に近年、香港、シンガポール等のアジアの主要港が大水深のコンテナターミナルを大幅に拡充をしている、一方、我が国においてはそのような水深十五メーター以上のコンテナターミナルがまだ未整備であるという状況に至っているということに対して深く反省をし、問題意識を持っているところでございます。  このため、来年度から始まります第九次の港湾整備五カ年計画において、まず第一に、このコンテナターミナルの国際競争力を回復をしていくということを第一の課題に掲げて、それに重点的な投資をしていきたいというふうに考えているところでございます。  また、神戸の復興につきましては、神戸の復興のために神戸港の機能の回復のみならず、さらにその機能を拡充強化していくということが必要不可欠であるというふうに私ども考えておりまして、このために、平成七年度の第一次、第二次の補正予算合わせまして、復旧ではなくて復興の部分だけに五百五十六億という大幅な事業費を投入をし、神戸港の復興に全力を挙げているところでございます。  これらの措置によりまして、平成八年度には、我が国で初めての水深十五メーターのバースが神戸で二バース供用するということでありますので、これらの施設を活用しながら、神戸市の復興、さらには阪神地域の復興に努力をしていきたいというふうに考えております。
  57. 高見裕一

    ○高見委員 ぜひ引き続き御尽力をお願いをいたしますし、また、一生懸命応援もさせていただきたく思います。私、神戸っ子で港育ちなものですから、ついつい海のことばかり質問したくなるのですが、少し陸のこともさせていただきたく思います。  鉄道の問題に関してでございます。まず、JR三島会社の運賃値上げとそれに付随する問題でございます。  JR三島会社については、北海道が八・〇%、四国が一〇・三、九州が九・二%の運賃値上げを申請いたしました。党内でも随分といろいろな議論がございましたのですが、この背景には、七・三%の運用益の確保を前提に計画された経営安定基金の運用益の減少が大きな要因の一つになっているというふうに考えられます。運賃を値上げすることが必要な場合もあるとはいえ、需要の価格弾力性などを考えずに値上げを行えば、鉄道離れを起こして旅客収入が長期的に見て減少するという事態も生じかねない。これはそういう事例がまたあるはずでございます。特に、鉄道は高速道路との競合が激しく、鉄道運賃の値上げは鉄道需要の高速道路へのシフトを起こしかねないので、慎重に対応する必要があると存じます。  確かに、国鉄改革から今まで値上げをしなかった、そのことには非常に経営努力があってのことだと思います。随分と現場の方々努力もあったことと拝察をいたします。合理化だけでは、国民の公共的な足としての役割から考えても、赤字路線の廃止の問題も生じることになりかねず、なかなか合理化だけでこの問題に対応することも難しいかと思います。  したがって、三島会社の経営の安定のためには、経営安定基金の運用益の減少に対する支援措置を講ずるなど、三島の経営安定基金の補強策なるものを確立することも必要であろうと考えますが、政府は、国民の足を確保するという意味で、公共の鉄道輸送に対する支援策をどのように考えておられるのか、ぜひお教えいただきたいと存じます。
  58. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 JR各社は、昭和六十二年四月の国鉄改革におきまして、経営の自主性が確保され、責任が明確になるという観点から株式会社として発足いたしましたが、その際、ただいま先生指摘のように、特に厳しい経営環境が想定されました三島会社につきましては、国鉄の長期債務を承継させないといった措置に加えまして、総額一兆二千八百億円に上る経営安定基金を設けるといった特別の措置を講じたところでございます。  この経営安定基金は、能率的な経営を行うべくJR三島会社の経営努力が尽くされ、また適時適切な利用者負担をお願いするということと相まちまして、基金の運用益によりまして健全な経営が確保、維持されるという考えから設けられたものでございます。  このような国鉄改革の基本的な考え方、あるいは基本的な方針にかんがみますと、現在の厳しい経営状況のもとにおきまして、各社がまずは最大限の経営努力を尽くした上で、合理的かつ妥当な範囲内におきまして利用者に負担をお願いするということもやむを得ないことではないかと私ども考えております。  経営安定基金の運用益の減少というのは先生指摘のような状況にございますけれども、この運用益の減少をもって直ちに政府として財政支援措置を講ずるべきものであるとは現在のところ考えておりません。この点につきましてはどうか御理解を賜りたいと思っております。
  59. 高見裕一

    ○高見委員 もちろん、JR各社の自助努力、一層の経営努力というものは当然強く期待をされるところであろうかと存じます。ただ、経営努力だけで越えられない壁が来たときに、国として何を支援するかということも視野に入れて考えておく必要がある、そのことに関して一度鐘を鳴らしておく必要があると思い、質問をさせていただいた次第でございます。  十一月四日の東京新聞で、「JR「三島会社」値上げ」「終着駅は「東、中、西」再編か」という大きな見出しの記事が掲載をされました。その記事の中で、「この機会に新たな改革への議論をするのが望ましい。場合によっては、JR北海道と東日本との合併、ひいては貨物を含め全国を東、中、西の三つのJRに再編・統合することの是非も検討せざるを得ないのではないか」という発言があったり、国鉄改革は破綻したという発言があったりしております。  しかし、今大切なことは、少なくとも私から見ると、このようなエキセントリックな発言に惑わされることなく、国鉄改革は継続中なのだ、そしてそれを完遂する努力を積み上げていくことなんだということを強く確認し合うことではないかと思います。  さりとて報道されているということは事実でございまして、現在運輸省としてこの問題に対して新たに何か新聞記事のような施策を行おうとしているのかどうか、見解を明らかにしていただきたく存じます。
  60. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 この問題に関しましては、ただいま先生述べられましたとおり、私どもも国鉄改革の完全化、国鉄の完全民営化ということに向けて、あらゆる努力をしていかなければならないと考えております。  現在、国鉄長期債務の処理の問題であるとかJRの完全民営化の実現という課題はまだ残されているわけでございますので、これらの課題の解決に向けまして、昭和六十年に閣議決定されました国鉄改革のための基本方針に基づきまして、あらゆる努力を継続していく考えでございます。  なお、一部の新聞報道にございますような、JR各社の再編とかあるいは統合といったようなことは毛頭考えておりませんので、この点は御理解を賜りたいと思います。
  61. 高見裕一

    ○高見委員 毛頭考えていないということで、大変安心をいたしました。一生懸命各地で努力していらっしゃる各社のせっかくの努力がこれではなかなか評価されないのではないか、そんなこともあろうかと思いまして、念のためにお尋ねいたしました。  さらにもう一つ、鉄道関係を続けさせていただきます。  今回の阪神大震災の影響で、JR西日本の株式売却は見送りになったわけでございますが、旧国鉄資産等については、資産売却について何らかの対応をしていかなければならないものであると考えます。現在における、土地を含めた資産売却の対応方針について運輸省の見解をお伺いいたします。
  62. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 清算事業団の抱えております長期債務を早期に償還いたしまして、国民負担の増加を防止するということのためには、あらゆる手だてを通じまして、清算事業団が所有しております資産の売却を急ぐということが肝要と考えております。  七年度におきますJR西日本の株式の売却は、先生指摘のとおり、見送らざるを得ない状況となりまして、これを見送るということを決めたわけでございますけれども、今後は、そのような状況を踏まえまして、まず土地処分につきましては、セールス体制強化するといったようなことで、既存の売却促進措置を一層推進していくということに加えまして、多様な土地処分方法を最大限に活用いたしまして、土地の売却促進に全力を尽くしていきたい。それとともに、今後はJR東日本の株式の第二次売却につきまして検討を進めていきたいと考えております。
  63. 高見裕一

    ○高見委員 せんだっての清算事業団の土地の国民に対する売り出し、随分人気があったようで、ああいうことをどんどんチャレンジをしていただければありがたく存じます。  さて、JR東日本の株式売却でございますが、できるだけ早い時期にこれを行うべきかと私は思います。確かに株式市場に混乱を与える要因になりかねない、そんな声もございます。そういうことがないように慎重に対応しなければならないとも思いますが、そもそも予定されておったJR西日本の株式売却が見送られたのでございまして、その意味では、いたずらに株式売却量をふやして市場を混乱させるということもないのではないかと思います。  また、国鉄の分割・民営化を行ってきた経緯から考えても、早く完全に民営化を行うこともまた肝要かと存じます。その意味でも、JR東日本株式会社の株式売却はできるだけ早期に速やかに行うべきであると考えますが、御見解はいかがでございましょう。
  64. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 私どもも、清算事業団の収入の確保とそれによります長期債務の償還という観点から、今先生指摘のとおり、JR東日本の株式の追加売却というのをやりたいということで検討しておるわけでございますが、これにつきましては、関係の向きとの調整もございます。私どもとしましては、市場の状況を見ながら関係方面ともよく相談してまいりたい、このように思っております。
  65. 高見裕一

    ○高見委員 ぜひ積極的な政策展開を強く要望いたします。  あわせて、鉄道関係の問題では、ほかにも運賃のプライスキャップの問題があります。我が党でも二度ほど党内論議をさせていただいております。プライスキャップ自体、現在検討中で四案、五案、さまざまなアイデアがある、そんなふうにもお聞きしておりますが、以前お話があったかと思いますが、できるだけ十二月中にその検討結果を出すことをお願いしたいな、このように思っております。新しい政策に関しては、どんどん積極的に勉強もしてまいりたいと思いますから、さまざまな情報提供もお願いをしたいと存じます。  さて次は、自動車関係、交通機関の安全性の問題についてでございますが、乗用車の安全性の確保については各種の検討がなされており、軽自動車については安全性の確保のために車幅などの見直しが行われたところでございますが、欧米の基準を参考にしつつも、早急に安全性強化のための施策を打ち出すべきであると考えます。  ところで、乗用車の安全性の確保も言うまでもなく大切なことでございますが、大規模な輸送手段に携わるドライバーの安全性の確保も重要な問題であると考えます。聞くところによれば、交通事故に巻き込まれてバスや鉄道の運転士が死亡するケースが頻繁にあるとのことでございますし、さきに東名高速道路で起こったバスの事故の映像は、屋根が全部ぼーんとなくなってしまって、非常にショッキングなものでございました。乗用車の安全性もさることながら、より長距離を走り、物流を担っているトラックの安全性なども当然今のままでよいわけがないと思います。  現在までにどのような安全性確保のための施策がなされてきたのか、また、今後ともさらなる安全性確保のための施策を強力に推進する必要があると思うわけですが、運輸省としてどのような取り組みを行う予定なのかを、トラックやバスという部分でぜひ教えていただきたく存じます。
  66. 南戸義博

    ○南戸説明員 最近、バスの連続の事故あるいはトラック等が関連した事故が起こっているわけですが、これらに対してどのような対策を実施してきたのか、またこれから実施するのかという点でございます。  まず最初にバスでございますけれども、最近のバスの事故では、乗客ももちろんでございますが、特にバスの運転手の方が亡くなるという事故が続いております。衝突時のバスの運転手の安全性の確保については、平成四年三月に運輸技術審議会で将来の自動車の安全性について答申をいただいておりまして、その中に、バス等についても触れられております。  その答申によりまして、キャブ構造いわゆる運転手の座っているあたりの、前面の部分でございますけれども、こういったところについて、もう少し安全性を高める取り組みが必要だというような言葉をいただいておりまして、今年度より調査研究を進めております。  これまで、乗用車について特に被害が多いというようなこともあって、乗用車の衝突安全性について昨年から取り組みを始め、また将来的にもその対象範囲を広げていくというようなことで、今後の取り組みも明確にしてきたところでございますが、バスについても、引き続いてキャブ構造の強度の向上というようなことについて取り組んでまいる所存でございます。特に今般、連続した高速バスの事故がございますので、バス強度等の乗員保護対策を総合的に検討するというようなことから、学識経験者とかあるいはバス事業者、運転者、自動車メーカー、運輸省等による検討委員会を、社団法人の日本バス協会に今月中を目途に設置することとしております。  検討委員会におきましては、具体的な対策を検討して、それによる効果とかあるいはコスト等を明らかにした上で、バス事業者に必要な技術的な情報を提供して、バス事業者にどのような対策をとるかというようなことが具体化できるように、国におきましても必要な措置を講じてまいりたいと思っております。  また、トラックにつきましても、やはりバスと同様に、運転手が入っているそのキャブの部分の構造の強度の向上等について同様に研究をするようにというような指摘がございますので、トラックについても今後取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  67. 高見裕一

    ○高見委員 ぜひ引き続き努力をお願いしたく存じます。  最後の質問になりますが、ちょっと二つまとめてさせていただきますが、今国会でいわゆる民活法については延長が認められたわけでございますが、阪神・淡路大震災で大きな被害を受けた神戸の町の復興にもこの法律が本当に必要であり、延長が決まったことは喜ばしい限りでございます。  ところで、この民活法が今回の阪神・淡路大震災の復興に具体的にどのように活用されているのか。特に民活法は運輸関係施設かなり活用されていると聞いておりますが、それだけではなく、例えばWHOの神戸センターなどは神戸復興の一つの起爆剤になるのではないかと考えておるのですが、そういうものにも民活法を活用しているのか、運輸省としての取り組みをお聞かせいただきたいと存じます。  あわせて、WHO神戸センターの誘致に関しましては、厚生省を初めとして外務省などからもさまざまな支援をいただいておりまして、こうして話が進んでいるところであり、本当に感謝をしているところでございます。今後も、神戸復興の一つのシンボルとして市民の期待を集めているWHO神戸センターの運営を含めて、厚生省にもより一層の御支援、御協力をお願いをしたいところでございますが、厚生省として、今後WHO神戸センターに対してどのような支援考えておられるのか、お教えを賜りたく存じます。  以上二点あわせまして、済みません。
  68. 栢原英郎

    栢原政府委員 神戸など震災地域の早期復旧復興の起爆剤といたしまして、輸入の促進あるいはにぎわいのあるウオーターフロントの形成を支援していきます民活法の特定施設整備は大変大きく期待されているというふうに考えておりまして、今回この国会で十年間民活法が延長されたことを大変うれしく思っております。感謝を申し上げたいと思います。  神戸におきましては、今先生のお話にございましたWHO神戸センタービルあるいは物流高度化基盤施設など、民活法を活用した復興のための多くのプロジェクトが予定されているというふうに伺っておりまして、現在事務的に内容を検討させていただいているところでありますが、これらの民活法特定施設につきましては、特に震災復興に資するものということで、平成七年度の第二次補正予算におきまして、通常の補助率は五%でありますが、神戸地域に限りまして一〇%にがさ上げをするという措置もしていただいたところでございます。  運輸省としましても、今後もこれを活用しながら、震災復興に資するように適切な支援を行ってまいりたいというふうに考えております。
  69. 酒井英幸

    ○酒井説明員 御指摘のWHO神戸センターにつきましては、兵庫県と地元とWHOのいわば国際共同プロジェクトという形で進められてきたものでありまして、先生御案内のように、WHO活動を地方自治体と現場が支えるということは、WHO活動の支援のすそ野を広げるものとして大変に評価をされてきているものでございます。  厚生省といたしましても、WHOの事務局あるいは関係国に対してこれが実現のためにいろいろな形で働きかけをやってまいって、本年それがWHOの執行理事会で承認をされたという経緯でございます。  なお、本年、先生御案内のように設立覚書の調印が兵庫県、神戸市等とWHOの間で取り交わされてまいったわけでございますが、来年からこれがスタートをする。それに当たりまして、センターの財政的な事柄以外にも、このセンターの運営につきましては研究活動の内容の面でいろいろなことが今後予想されようかと思っております。例えば、研究方針の策定であるとか、あるいは国公立の関係研究機関等に連携を図るために音頭取りをするとかといった、研究活動の内容の面での問題があろうかと思っております。  厚生省といたしましては、この研究活動の内容の面につきましては、ぜひとも積極的に、また温かく対応をしていきたいというふうに考えております。
  70. 高見裕一

    ○高見委員 どうもありがとうございました。
  71. 辻一彦

    辻委員長 以上で高見裕一君の質疑は終了しました。  吉田治君。
  72. 吉田治

    吉田(治)委員 私の親戚に運送会社をやっているのがおりまして、ちょくちょく遊びに行くのですけれども、そこの運転手さんといろいろこのごろお話をしておりますと、運転していて怖い目に遭うということが随分多くなったと聞いております。何が怖いのかというと、古い運転手さんに言わせますと、昔はボンネット型ですか、田舎のバスはおんぼろバスの、あの形だったのが、今やキャブオーバー型という形になってくる。運転していると――私も資料を取り寄せましたら、ここ数カ月毎月のように大きなトラックが衝突して運転手さんが亡くなっている。きのうもNHKで特番がやられておりましたように、バスのキャブオーバー車両というのですか、バス車両の運転手さんの安全性というふうなものも非常に今叫ばれ、運輸省の方ではバス車体の構造検討委員会をつくるというふうなことになっておりますけれども、トラックの運転手さんも含めて、非常に怖いと。  私は、警察庁の方にまずお聞きしたいのは、よく車両安全に関しては、今解剖なき医学をやっているようなものだ、事故原因だとかそういうふうなものの調査究明というものが余り徹底的になされずに、運転手の責任だよとか道路状況が悪かったよというふうな形になっているのですけれども、その辺の現状というふうなものを警察庁としてはどう見ているのか、まずお答えいただきたいと思います。
  73. 稲葉一次

    ○稲葉説明員 交通事故は、人、車両、道路等が複雑に絡み合って発生しております。警察といたしましても、所要の事故分析を行っているところでございます。  先生から御指摘いただきました車両の構造上の問題につきましては、警察といたしましては、整備不良車両はともかく、道路運送車両法に定める車両の保安基準に適合した車両につきましては、通常、車両の構造と事故原因の相関関係については分析を行っていないというところでございます。
  74. 吉田治

    吉田(治)委員 今お答えいただいたように、ある程度の適合、規制さえクリアすれば、事故原因についてはやはり運転手が悪いのか状況が悪いのかという判断になる。ここ数カ月の事故原因というのを見ていきますと、特に運転手さんが生命の危険をかけて運転している部分があるという悲痛な叫びを、私の親戚の運送会社の運転手さんだけじゃなくて、そういうふうなことがありましたので問題意識を持って聞きますと、いろいろな方が言われる。特に言われることは、運転手に一メートルの安全距離をとにかく欲しい。これは何も運転している胸のところから一メートルではなくて、足先、つま先からバンパーまでの距離をせめて一メートルは欲しい、そうでないと安心して運転できない。  また、これは後ほど質問しようかと思ったのですけれども、あわせてお聞かせいただきたいのは、これから規制緩和という問題が出てまいりますと、今さまざまな審議会、委員会で最低保有車両の問題、これをとにかく枠を撤廃していこうという話も出ているやに聞いております。そういう形で規制緩和を進めていきますと、やはり自由競争、競争というのはいかに安い価格でという形になっていきますと、しわ寄せは最後運転手さんになってくる。事故原因が車両になくてドライバーの運転の仕方、私も高速に乗りますので、ああ大型トラックの運転手さん、マナー余りよくないなと思います。そのマナーがよくないのは、御本人の問題と同時に、今度は運送会社の方から早く行け、たくさん運んで早く帰ってこいというふうな労働過重という問題、こういうふうなものも含めて出てくると思うのです。そうしますと、規制緩和というのは果たして是か非か。安全面という部分から後ほどお答えいただきたい。  と同時に、私申し上げましたように、バス軍体構造検討委員会だけじゃなくて、トラックというふうなもの、こういう大型車両というふうなもの全体の保安基準の見直し等々をこれからどうされるのか、そして、最低限いつをめどにし、何年先にはそれが現実のものになってくるのかということをお答えいただきたいと思います。
  75. 山下邦勝

    ○山下政府委員 高速バスの安全性につきましては、安全運行の徹底によりまして事故の発生を未然に防止するということとともに、事故が不幸にして起きましたときに、被害をできるだけ最小限にとどめるということが必要なわけでございます。このためには、確かに今委員指摘のように、過去のいろいろな事故の事例、こういったものの総合的な分析が必要でございます。そういうものも既にいたしておるわけでございますが、さらに、最近連続して起きましたバスの対策、これにつきましては、学識経験者事業者、また現実に運転されておる方々、メーカー、私ども入りまして、近日中に委員会を設けて徹底的に対策を講じていきたいと思っておるところでございます。  このめどということでございますが、最終的にはやはり二、三年の時間がかかるということが予想されます。これは、残念ながら今までのデータの蓄積が少のうございますので、そういったところの分析を急がなければならないということでございますが、やはり最近の事故の実態から見ますと、急いでやらなければならないこともあるように見受けられますので、その点につきましては、やれるものは逐次やっていきたいと思っておるところでございます。トラックにつきましても、できるだけ急いでこういった検討を開始をいたしたいと思っておるところでございます。
  76. 吉田治

    吉田(治)委員 ちょっと、規制緩和の件について先にお答えいただけませんでしょうか。安全面から見た規制緩和、特に最低保有車両の問題について、現状のままでいいのかどうかという、どういう方向で進めていくのかという、運輸省としてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  77. 山下邦勝

    ○山下政府委員 トラックに関しまして、確かに現在、行政改革委員会規制緩和委員会におきまして、最低車両台数規制の存続理由について御議論があるというところでございます。  この基準を設けておりますのは、平成二年の物流二法の改正時に、今後は経済的規制はできるだけ少なくして運行の安全がきちんと確保されるようなウエートづけをしていきたいということで、運行管理を徹底するということのために設けられた制度でございます。そのためにきちんとした社内の体制がしける限度を設けていくというふうに我々は理解をしておるところでございます。平成元年の貨物自動車運送事業法案の審議の際の国会の附帯決議におきましても、全党一致で最低車両規模の確保ということが求められておるのは我々も十分承知をいたしておりまして、現在、行政改革委員会に対しましても、こういった過去の経過、また我々の考え方について御説明をし、理解を求めておるところでございます。
  78. 吉田治

    吉田(治)委員 御説明、理解というのはよくわかるのですけれども、やはり現実、現場になってまいりますと、今申し上げましたように、大変厳しい経済状況、また運送会社自身の経営状況になってきますと、しわ寄せが運転手さんになってくる。車両の問題だけではなくて、そういうふうな部分もこれから影響してくると同時に、ちょっと最後、この安全性の件に関しては、イギリスでR66という、そういうバスの保安基準というのができたとか、そういうようなのも十分に参考にさせていただきたいと思います。  予定しておりました質問と前後するのですけれども規制緩和の問題に入りましたので、次に、トラックと並んでやはりタクシーの規制緩和というふうなことが今随分叫ばれております。  私も平成五年十月二十日の運輸委員会で、当時、大阪でタクシー運賃の料金改定がございまして、二重運賃という形で、私がそのときに、ではこの料金が変わることによって例えば労働条件であるとかサービスというふうなものがどう変わるのか、どう調査していくのかという質問に対して、当時の自動車交通局長の越智局長さんがこう言われていました。今現在調査はしていない、しかしながら、大阪の二重運賃というものにつきましての影響、これは今後十分調査した上で規制緩和のあり方そのものも含め、というふうなお答えをいただいておるのですけれども、その後、具体的な調査が何かこういう二重運賃のことに関してなされたのでしょうか、労働条件の問題、経営状況の問題、そしてサービスの問題で。  また、私聞いておりますには、近畿運輸局の方で、規制緩和に関するそういう委員会というのですか、懇話会というのですか、つくる予定が、どうもそれがいつの間にか消えてしまったという話も聞いております。ある意味で、大阪・近畿圏というのは、御承知のとおり二重運賃の先進地域と言ったらいいのかどうかわかりませんが、京都のタクシー会社、大阪のタクシー会社、さまざまございます。その辺の調査検討というものが、私が質問して以降二年間いかに具体的に進められたのか、どうなっているのかというのをちょっとお答えいただきたいと思います。
  79. 山下邦勝

    ○山下政府委員 タクシー事業につきましては、非常に人の占める要素が大きい産業でございまして、基本となりますのは安定的な労働条件であろうと思っております。したがいまして、特に運賃改定等の機会をつかまえまして、きちんとした労働条件の改善がなされておるかどうか、こういったことを調査をいたしまして、その結果を一定期間後、公表いたしておるところでございます。  今、各地域のそれぞれの実情については若干差異があろうかと思いますが、例えば東京でことし春改定をいたしましたが、その実情につきましては一定期間後に調査をいたしまして、その運賃改定後の労働改善の状況、こういったことについて公表をいたしておるところでございます。
  80. 吉田治

    吉田(治)委員 じゃ、大阪の方は調査をされて報告書があるというわけですか、局長
  81. 山下邦勝

    ○山下政府委員 大阪についても同様の調査、公表を行っております。
  82. 吉田治

    吉田(治)委員 その内容には触れませんけれども、絶えず運賃改定、大阪も今運賃改定の時期に入っております。二年に一度の年中行事のようになりまして、周年事業のような形になってまいります。そのたびにサービス向上、労働条件をよくするということをお題目のように言われておるのですけれども、どうも個々のタクシードライバーの方にお話しすると、それはなかなかきついで。不景気ということもあるのでしょう。しかしながら、会社側から言われておる賃金体系というのは、昔、こういう働く者にとったはいい賃金体系が、水揚げ掛ける何%だとかいう、歩合制というのですか、こういうものにだんだん近づいてきている。こんなことをしておったら、働く気もうせてくるし、お客さんににっこりほほ集めとかサービス向上しろと口で言われても、さあどれだけできるかね。  その中で運賃自由化となってまいりますと、先ほどのトラックの運転手さんと同じように、会社側はいかに安くして競争力をつけるか。そうしますと、働く人たちにどんどんしわ寄せが来る。週休二日制、週間労働時間四十時間というお題目があったとしても、なかなかこれが浸透してこない。  その辺について、運輸省としては、どういうふうな指導というのですか、またタクシー業界全体の経営について、どういうふうにこれからなさっていくおつもりなのか、お聞かせいただきたいと思います。
  83. 山下邦勝

    ○山下政府委員 ただいま委員指摘のように、タクシー産業の置かれておる環境、非常に厳しいわけでございます。先ほども申し上げましたように、そういう中で良好な労働条件を確保していくためには、何といいましてもきちんとした営業収入が上げられなければいけないと思っておるところでございます。  そのためには、必要な運賃の改定も行う必要がありますでしょうし、やはり事業者においてより効率的な運営をしていただきたい、これが基本になるわけでございます。例えば、お客さんが少ない曜日、特に最近では土曜日や日曜日、こういったときにおきます車両の運行を調整するとか、そういったことをぜひお願いをしていきたいということで、現に指導を強めておる地域もございます。  こういった実績を踏まえて、その実情を公表しながら皆さんの理解を得ていきたいと思っておるところでございます。
  84. 吉田治

    吉田(治)委員 これは本当に、問題を深めていきますと、ある意味で需要と供給というのですか、いっときバブルの時期に、タクシーがないないという形で特別タクシーをたくさん認可した。それが既得権益化して、なかなか減らすわけにいかない。そうすると、どんどんタクシーの台数だけはふえて実車率が減っていくというふうな経営側の、また労働側からも状況がそれぞれあると思うのですよね。この辺は、ある意味で強力な決断と指導というものが必要じゃないかなと思います。  規制緩和と言われた場合に、運賃自由化ばかりでなくして、例えばタクシー業界全般にかかわる運輸省の規制というもの、そういうふうなものをどれだけ緩和していくか。いっときから大分緩和されたようですけれども運賃改定にかかわるタクシー会社側のコストというのですか、時間ですとか労力ですとか人の部分、大分緩和されて少なくなったとは聞いておりますけれども運賃のことですから、やはりまだまだ慎重にしなければなりませんけれども、そういう部分のところも、不必要なもの、また時代に合わないものは取り去っていく必要がある。  と同時に、私は、あえて運賃改定という言葉はやめて、もうこれはタクシーだけではなくて、鉄道もすべて運賃値上げ、値上げは値上げという言葉を言っていただいた方が、新聞にはそう書きますけれども、そういうふうな形で出していただく方が、それぞれ受けとめる言葉の響きというのは違うのではないかなという感じがしております。  あと、今大阪の話題からタクシーに入りましたので、地元のことをちょっとお聞かせいただきたいと思いますけれども、今大阪では、再来年のなみはや国体、また大阪で初めての屋内競技場であります大阪シティードームというのが建設が進められております。この両方を結びますのが大阪の地下鉄七号線、東西を横切る路線でございます。  この路線建設状況というのですか、非常にそれぞれが大阪の中ではアクセスとして大きな役割を果たしていくのは必定なんですけれども、それではこれの、例えば地下鉄七号線、大阪モノレールというのは再来年の国体に間に合うのかなというふうな問題。また、その七号線が西に延びていきまして、シティードームの完成に間に合うのかなというふうなところ。やはり十二分に国の方からも補助制度を拡充していただいて、地下鉄の建設が進むようにしていただきたいと思うのです。  その辺のお答えをいただくと同時に、同じく片福連絡線という、また東西に延びる電車が今つくられておるのですけれども、出水の問題とか事故の問題で少し開通がおくれておる。二年おくれで平成九年春には開通大丈夫だと言われておるのですけれども、果たしてそれぞれ大丈夫なのか、間に合うのか。  それから、こういう大都市交通事業に対する運輸としてのこれからの補助、また補助制度の拡充というものをどうお考えなのか、お答えいただきたいと思います。
  85. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 お尋ねの件は、まず一つは片福連絡線の完成時期の件だと承りましたが、片福連絡線の完成時期は平成九年三月ということに今させてもらっております。そういう完成時期に向けて、関係者は今鋭意努力をしておるところでございます。  それから、地下鉄を初めといたしまして、都市交通の輸送力の増強というのは、通勤通学の混雑緩和という観点からも大変重要なことでございます。私どもといたしましては、従前からこの補助制度充実につきまして最大限努力をしてきたつもりでございます。まだまだ各大都市の自治体を初め、いろいろな要望はございますけれども、今後ともそういう要望も踏まえまして、鋭意努力してまいりたいと考えております。
  86. 吉田治

    吉田(治)委員 それでは、大阪の地下鉄七号線の状況、それから今後の展望というのはいかがでしょうか。
  87. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 地下鉄七号線の完成期限につきましては、心斎橋-京橋の間が平成八年の三月、大正から心斎橋が平成九年の三月、それから鶴見緑地から門真南が平成九年の八月ということで、現在こういった期限に間に合うように鋭意努力をさせてもらっているところでございます。  なお、これが絶対大丈夫であるかどうかはもう少し、工事の進捗状況等の問題もございますので、様子を見させていただきたいと思います。
  88. 吉田治

    吉田(治)委員 確実に間に合うように、努力目標ではなくて必須目標にしていただきたいと思います。  それからまた、私どもまだ子供が小さいものですから、家内ですとか近所の家内の友人たちとかよく話をしているのですけれども、各駅へ行きましたら、乳母車を押していきまして、その子供たちをどう駅のホームまで持っていくか。よっこらしょと持って歩いていくのか。一人の子供でしたらおんぶして乳母車を手に持ってとできますけれども、やはり小さい子供が二人、三人になってきますと、駅のホームまで連れていく。地下鉄の場合でしたら下へおりていく。私鉄、JRの場合でしたら、例えばホームが高架にありましたら高架へ持っていくというふうに、大変苦労している。  だからつい、電車を使いたいのだが、その部分があるので、例えばタクシーに乗ってしまうとか、自分で運転をしていく。そうしますと、駐車場の問題等出てくるということですけれども、やはり村山政権、人に優しいということを言うのであれば、そういうふうな部分にもっと、お金というのですか、していただきたい。  現実に、ナメニティ財団その他をつくられてされていますけれども、見てみますと、プラットホームから改札まではあるのですけれども、そこから上の一番きついところが、例えば地下鉄でしたら、なかなかエレベーター、エスカレーターがない。この階段を見た途端にげんなりするというのは、おりるときも上るときも両方ではないかなというふうに思うのですけれども、その辺の今後の、新しい駅にはどんどんできておりますけれども、既存の駅についてどういうふうに整備をされていくのかということをお聞かせいただきたいのです。
  89. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 全国的な状況で申し上げさせていただきますが、JR、大手民鉄それから地下鉄でございますが、六千九百三十二駅のうちに平成六年度末の時点でエレベーターが設置されておりますのは三百九十七駅、それから、エスカレーターが設置されております駅は九百四十二駅でございます。  このような状況でございますけれども、私ども、まず移動制約者のためにこういったエレベーターなりエスカレーターの設置というのを進めていかなければならないということで、平成五年の八月に鉄道駅におけるエレベーターの整備指針というものを作成いたしまして、駅の構造であるとかあるいは地域の協力の程度などを勘案しながら順次計画的に進めていくということをやっております。こういったような指導の結果、平成七年度には、これは中小民鉄も含みますけれども、エレベーターが八十二駅、エスカレーターが八十七駅で整備されるということになってきております。  この問題に関しまして、ただいま先生もおっしゃいましたけれども、財団法人の交通アメニティ推進機構、こういった機構を通じました支援措置というのを今後も活用してまいりまして、引き続きやっていきたいと思っております。整備指針でも明らかにしておりますが、新設あるいは大改良を行う駅というのは、最初からつくるわけでございますから比較的つくりやすい。ただ、既設の駅は、やはり駅の構造であるとかあるいは地元とのいろいろな調整ということが問題になることもございまして、若干進まないということもございますけれども、私どもとしては、先ほど申し上げました指針に基づきまして計画的な整備を今後とも進めてまいりたいと思っております。
  90. 吉田治

    吉田(治)委員 お金のかかることですから、こういう財政の逼迫しているときにはなかなか言いづらい点だと思いますけれども、やはりこれもまた、JRの北海道、四国、九州等が今度運賃改定、具体的に言いましたら値上げになってくる、そう遠くない将来にJR各社また私鉄等も運賃申請という形が出てきまして、先ほどのタクシーのときにも言われますように、絶えずサービス向上サービス向上と。しかし、使う方からして具体的に見えるものというのは、よく行政で箱物と言われますけれども、やはりエレベーターであるとかエスカレーターであるとか、ああ便利になったな、もうこれだけ上がっていったら、ここで行けるわという、こういうふうなものがやはり重要だと思います。  ですから、これは単に行政側だけじゃなくて、各会社また交通事業体にもっと働きかけをしていただいて、向こう自身もわかっていると思うのですけれども、それら自身が、会社だとか鉄道会社ですとか、都市交通を運営しているところがもっと積極的にできるような支援措置もぜひともしていただきたい、かように思う次第であります。  最後になりましたけれども、道路運送車両法が昨年改正されまして、その後車検制度が大分変わりました。御承知のとおり、前検査、後整備というのが導入されてまいりまして、ユーザー車検というものが、伸びるだろうかといったら相当数字的にも伸びてまいりまして、各地域陸運事務所においてはこの予約制度をとっているところもあるというふうに聞いております。  しかしながら、ここで私はまず運輸省の方にお聞かせいただきたいのは、そのユーザー車検の代行業者、これについて何らかの運輸省の指導なり規制なり、オーソライズというのですか、認知というのですか、そういうようなものは今あるのかどうか、まずそれをお聞かせいただきたいと思います。
  91. 山下邦勝

    ○山下政府委員 ユーザーにかわって検査を受けに来るという行為自体については、特に規制はございません。ただ、この方々が自分で営業として点検整備をするということになりますと認証等の手続が必要になってくるわけでございまして、中にはそういった資格を持っておられる方も若干おられるかと思いますが、多くの方は特段そういったものはないと我々理解いたしております。
  92. 吉田治

    吉田(治)委員 では、このユーザー車検代行業というのは合法と認めるということですか。
  93. 山下邦勝

    ○山下政府委員 今申し上げましたように、車検をユーザーにかわって受けに来るということ自体は特段違法性はないと思っております。
  94. 吉田治

    吉田(治)委員 それで、一般のユーザーの方がどう受けとめているかというと、車検代行業にさえ陸運支局は予約枠等も設定して国の検査を受けさせているという現状の中では、これはほかの整備工場と同じように認められたものじゃないかというふうな受けとめ方、合法、違法と先ほど言いましたけれども、合法と見るのはある意味では必定じゃないかなと。しかしながら、実態は、指導監督は何ら受けない、しかも今局長さん言われたように、場合によっては分解整備等の違法な部分をやっているおそれさえあるこの業界だという中において、いや、もうそれは勝手にやっていることですからうちは知りませんと。今後このユーザー車検代行業に対して行政として何らかの指導なり規制なりをしていく予定があるのかどうか。  私の友達も、こんな言い方はよくないですけれども、中学校、高校時代ちょっとやんちゃしていた人間が、自動車が好きで自動車の整備工場に入って、頑張って何とか一人前というか、真っ当と言ったら語弊があるかもしれません、ちゃんと仕事をしているのに、突然ユーザー車検代行業というのがやってきて、それがあたかも国から合法性を得ているがごとく自分たちと同じようなことをし始めている。そうなると、道路運送車両法に基づいた自己管理責任意識というのですか、こういうふうなものも、ユーザーにしてみれば、ここへ頼むのもあそこへ頼むのも一緒だと。  なおかつ、私ども思うのは、今までこの整備事業者というのは、重量税、自動車税の実質的徴税者として国、府県の財政に大きく貢献してきたと思います。車検がなぜ高いかというと、車検の中身を、お金の中身を見る人は余りいないと思うのです。整備費が幾らで、検査費が幾らで、そして自動車税が幾らで、だからこれだけになる。分解していった場合には、整備工場は整備と検査でこれだけかかっているなどというのは見なくて、トータル何十万円と。そうしますと、片一方はそれがたかだか数万円でできるとか、そうなってきますと、高い、高いということになる。やはり整備業に携わっている人間としては、極端なことを言えば間尺に合わぬ、これだけのことをしてきているのに、こういうふうな現状があっていいのかというふうなことを強く意識として持っている。  こういう現状に対して、運輸省は今後どういうふうな対応をなさっていくのか、お答えいただきたいと思います。
  95. 山下邦勝

    ○山下政府委員 私どもも、点検整備をちゃんと実施せずに、車検が通ればいいというような誤った認識をユーザーの方々に与えておる方々が仮にいらっしゃるとすれば、それは非常に問題であろうと思っておりまして、そういった検査の機会をとらまえまして、きちんと点検整備をしてください、また、時にははがきを出しまして追跡をいたしておるところでございます。  なお、先ほども申し上げましたように、もし代行業者の中で認証を受けないで分解整備を行っておるというような違反行為がございました場合には、厳正に対処していくつもりでございます。
  96. 吉田治

    吉田(治)委員 今、はがきを出すというふうなこと、当初私の聞いておった話では一陸運自局からユーザー一人一人にはがきを出して、もしくは代行業者を使ったと思われる者に対してははがきを出して、点検すべき点を指摘するというふうなお話があったと思うのですけれども、今局長さん、はがきを出してというのは、具体的に現実に行われていることですか。
  97. 山下邦勝

    ○山下政府委員 これは、今行っておりますのは、点検整備の前に検査を受けられた方に対しましては、本人がお見えになった場合は、例えばチラシをお渡しして説明いたしますとともに、もし本人でない場合には、本人にそれが届くようにはがきでそういう警告をしておるということでございます。
  98. 吉田治

    吉田(治)委員 それでは、そのはがきの中に、この車はこういうことを整備しなければいけませんよという具体的な内容は書いて送られているのでしょうか。
  99. 山下邦勝

    ○山下政府委員 それは、ルールに従って点検をしてくださいということでございます。
  100. 吉田治

    吉田(治)委員 もう一度。聞こえなかったです。
  101. 山下邦勝

    ○山下政府委員 道路運送車両法の改正によりまして、使用者は点検整備を確実に行うことにより常に車両を適正な状態に維持しなければならないということになっております。日ごろから点検整備を確実に実施されるように要請いたします。自動車には消耗品が多く使われておりまして、使用状況によっては劣化が進み性能低下が生じるとか故障が生じる、そういったことが生じ得ますので、きちんとやってくださいということでございます。
  102. 吉田治

    吉田(治)委員 もしも、私がユーザーでユーザー車検の代行業者に頼んでそんなはがきが来たら、右から左でしょうね、ポストヘ。ああそうですか、ああこんなのが来てるわと。そういうことが常習化していきますと、悪貨が良貨を駆逐するというんですか、この車両法が空文化し、自己管理責任意識が、ある意味では、はがき一枚来てそれで、ああこれは直さなきゃあかんと思う人がどれだけいるか。  そういうふうなユーザーが、定期点検整備も全くなされてない自動車が横行して、私ども運輸委員会のときに皆さん方、みんなで質問をしましたその内容で、これによって事故がふえるんじゃないか、こんなことでいいのかというふうな状況になるんではないかなというふうなことになる。ある意味で、不健全な車社会というものの構成に運輸省が手をかしているというふうに言われても仕方がない状況ができるんではないか。そのはがきに、ぜひともこういう整備をしなさいというものを書いて送るぐらいのことをしなければ、それかもしくは、この車検代行業者というものをある意味で規制する、例えば、代行業者に持ってきた場合には、整備に関してはこれだけするんだということをそのユーザーに報告することを義務づけるというぐらいのことをしなければ、安全な自動車社会、車社金というのはできないのではないかと思っております。  この現状が続いてまいりますと、また、先日聞きましたら、整備関係の組合の専務理事さんを集めて運輸省の方が、五カ年か五万キロかの早い時期に車検を行うような形に規制緩和は変わっていくだろうからというふうな話をした。まあ整備業者にとってみましたら、自分たちが今まで築き上げてきたものは、非常に国に協力し、都道府県に協力し、運輸省に協力してきたものは、運輸局に協力してきたものは何だったんだ。最後の最後になったらさようならと。日米関係アメリカからがんがん言われたから、自動車整備はバンザイ、あなたたちは勝手にやってよ。  業者の中には、それを見越していろいろされているところもありますけれども、やはりもう一つ問題なのは、協同組合方式で、構造改善事業だということで運輸省から指導されて、お金を借りてこういうふうにやってきてここまで来たのに、突然さようならか、さようならという言い方はよくないかもしれません、自由競争だから、車検整備はこうだから、アメリカからこう言われたから、そして答申がこうで、世の中規制緩和の流れでと。先ほどのタクシー、トラック等、しわ寄せというのが最後はそこに来てしまう。果たしてそれでいいのでしょうか。  最後に、私は大臣に、この車検の問題について、交渉等当事者になられるわけでありますから、この車検の問題それから自動車整備業界というふうなものに対して、最後に大臣の御所見を賜りたいと思います。
  103. 平沼赳夫

    平沼国務大臣 規制緩和についていろいろ御指摘がございましたけれども、規制を緩和するということは、それが不必要な規制であればこれはどんどん緩和をしていかなきゃいかぬと思います。しかし、規制緩和するに当たっての一つの哲学といいますか、やはり配意をしなければならない問題点、私は三つあると思います。  それは一つは、安全というものがそれで担保できるかどうか、これはやはり重要な点だと思っております。それから、これからますますその重要性が高まりますけれども環境の問題に照らして、その規制を取っ払った場合には環境問題で大きな影響が出る、こういうこともやはり慎重を期さなければいかぬ問題だと思っておりますし、それからもう一つは、一般的に言いますと、弱者保護というような概念もそこに入ってくると思うのです。  しかし、日米包括経済協議の中で、吉田先生承知のように、補修部品にかかわる規制緩和というのは、これは今着実に進めています。  御指摘の車検のことでありますけれども、これに関しましては、今言った三つの哲学の中で進めていくということが必要だと思うのですが、その中で、やはり安全性でありますとか環境問題ということには留意をしていく必要がある。しかも、御指摘のように、この自動車整備業界というのはほとんどが中小零細でありますから、この車検制度規制緩和を進めていくに当たって大変いろいろ被害を受けられる、そういうことも想定をされておりますので、今御指摘の構造改善事業のさらなる支援策でありますとか、あるいは個々に、具体的にそういう中小企業の皆様方に、特に零細企業の皆様方には支援措置をしなきゃいかぬということで、我々としてはそういう方向で今取り組んでいるところでありまして、御指摘の哲学は私はよくわかりますので、そういう中で、せっかく培ってきた業界の皆様方の今までの努力がすべて無になるようなそういう行政はすべきではない、そういう形で、支援策を含めて一生懸命に取り組んでまいりたい、こう思っております。
  104. 吉田治

    吉田(治)委員 時間になりましたので終わりますが、ぜひともその方向で、やはり守るべきものは守る、規制にもいいもの、悪いもの両方ある、悪い規制はなくすというお考えのもとでこれから運輸行政に当たっていただきたいと思います。  これで終了します。ありがとうございました。
  105. 辻一彦

    辻委員長 以上で吉田治君の質疑は終了しました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十七分休憩      ――――◇―――――     午後一時一分開議
  106. 辻一彦

    辻委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  樽床伸二君。
  107. 樽床伸二

    樽床委員 新進党の樽床でございます。  本日、この運輸委員会におきまして質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  まず最初に、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえまして、地震防災対策特別措置法が本年の六月十六日に公布をされる、こういったことになりまして、地震調査研究推進本部が新たにつくられた、そして地震予知推進本部は七月十七日付で廃止になったというふうに私は理解をいたしておりますが、地震国である我が国におきまして、地震の予知を含め、調査研究は大変重要なテーマではないか、このように私は認識をいたしております。  そういった中で、本年の七月に発足いたしましたこの推進本部、現状及び将来につきまして、どのような活動をされていくのか、お聞かせいただきたいと思います。
  108. 上原哲

    ○上原説明員 お答え申し上げます。  御案内のとおり、阪神・淡路大震災を契機といたしまして、六月十六日に議員立法によりまして地震防災対策特別措置法が公布されました。約一カ月後の七月十八日に法律が施行されまして、同日付で科技庁長官を本部長といたします地震調査研究推進本部が発足しております。  それで、具体的な活動状況でございますが、先生御案内のとおり、地震国でございますし、最近特に地震が多うございますので、まず推進本部の方では、下部機構といたしまして、政策委員会という政策の企画立案、観測計画策定、それからそれらの広報をするような機関がございますが、それと地震の総合的な評価をする地震調査委員会というものを早急につくりました。  具体的には、まず最初に政策委員会の活動でございますが、平成八年度要求に当たりまして、今般の地震の、阪神・淡路大震災の反省を教訓といたしまして、まず速やかなる観測網整備が必要なのではないかということで、いわゆる観測網の空白域をなくすための調査検討をまず政策委員会の方で現在していただいているところでございます。また、地震自体、地震に関する情報が誤った形、不正確な形で国民の方々に伝えられた場合、いろいろな誤解やいろいろな問題が生ずるおそれがありますので、並行いたしまして、同政策委員会の中に広報に関する小委員会設置して、現在検討を進めているところでございます。  それから、地震に関する総合的評価を行う地震調査委員会につきましては、関係省庁の御協力を得まして、九月から十月にかけて起きております、例えば伊豆東方沖地震、それから神津島の地震、それから奄美大島の地震等につきまして評価を現在いたしておりまして、本日も、そろそろ一時半から第五回目の地震調査委員会が開催されまして、全国的評価並びに奄美大島の地震の評価をいたす予定でございます。  そのような形で、これから早急に観測計画策定いたしますと同時に、そのような地震に関する評価活動を鋭意実施していくという考え方で現在進めているところでございます。
  109. 樽床伸二

    樽床委員 その調査観測計画についてでありますが、地震が起きてから、発生した地震はどういう地震であったという、これは事後的なことでありますが、いろいろな調査研究があるのでしょうけれども地震の予知ということについてはこの調査観測計画の中に盛り込まれているのでございましょうか、再度お聞かせいただきたいと思います。
  110. 上原哲

    ○上原説明員 お答え申し上げます。  地震の予知でございますが、現行の技術レベルから申しまして、現段階では極めて難しいという段階でございますが、東海地震のような特異な問題であれば、現在観測網が整備されていますし、過去の地震の経緯、過去の履歴等がわかっておりますので、かなりの部分が予知可能なのではないかと考えておるわけでございます。  先ほども申し上げましたように、現在政策委員会の方で観測網整備についての御検討をいただきまして、そういうものを早期に我が国について実現することによりまして、それから過去の地震の履歴、今後の地震に関するいろいろな知見の増加という観点から総合的にしまして、将来の目標として、地震予知を目指していくような準備を今進めておるという段階でございます。
  111. 樽床伸二

    樽床委員 今、予知につきましては技術的に大変難しいというような御見解がございました。私も、日本も地理的にさまざまでございますので、日本全体にわたりまして予知をするのは大変難しいのではなかろうか、現在の技術水準におきましてはなかなか難しいのではないか、このように考えております。  しかし、我が国地震が大変多く発生をする。今回の阪神大震災の教訓から我々が考えなければいけないのは、発生した後、いかに初期対応を国家、地域、そして個々の住民がしていくのかということでありまして、地震をとめようというのはこれは自然に逆らうことでありますから、我が人類の力をもってはなかなか難しい。発生した場合にいかに初期対応をするかということではなかろうかと思います。  そういった前提の中で、実は私、大変関心を持って見たわけでありますが、本年の九月三日、日曜日の朝日新聞の一面に、気象庁の新しい防災情報システムが計画をされている、こういった一面の一番メーンの記事で出ておるわけでございますが、この点につきまして、どのような計画現状どういったものか、お聞かせいただきたいと思います。
  112. 二宮洸三

    ○二宮政府委員 お答えいたします。  地震発生直後、最初にP波と呼ばれております小さな振動が参ります。続いて強い揺れの主要の振動が到着いたします。強い揺れが到着する前に、一番最初にやってきますP波の揺れから地震動の大きさあるいは到達時刻に関する情報が一般の方に利用できれば、これは災害の防止、軽減に極めて有効なものと考えております。  しかしながら、今申しましたような情報は、極めて短い、つまり数秒間で処理し、提供する必要がございます。したがいまして、その情報の精度、不確実性等、考慮すべき点が多々ございますので、こういったデータをユーザーとして、例えば公共の機関でございますとか防災関係機関等がどのように利用されるかという、必要とされる方の情報内容について、あるいはどのような情報の精度が必要かということ、あるいはそれに応じなどのような利用方法があるかなどにつきまして十分に調査する必要があると考えております。このような調査結果を踏まえまして、今申しましたような即時的な情報の提供をするシステムのあり方についても検討する必要があるというふうに考えております。  このため、気象庁といたしましては、今申し上げましたような問題につきまして積極的に調査研究を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  113. 樽床伸二

    樽床委員 大変前向きの取り組みというふうに認識をいたしましたが、私は、地震の初期の対応におきましてP波とS波の振動のスピードの違いに力点を置いたこの計画は、初期のちょっとした対応に大変役に立つというふうに思っております。揺れが来る三十秒前にわかったとするならば、恐らく今回の私も神戸地域を震災後何度も足を踏み入れて視察をしてまいりましたが、家を見ていましても、こんな非常に激しい壊れ方をしておると。しかし、そこでも生き残っておられる方はおられる。これは、二階におられた方は大体生存されておるわけでありまして、一階で寝ておられた方がほとんど犠牲になっておられる。こういうことでありますと、三十秒前にわかれば、そこでわかれば、その後すぐ二階に上がれば多くの人命が助かる、こういうことは経験則として我々は学ばなければいけないのではないか、このように考えております。  そういったことを考えますと、この気象庁の計画は、官公庁、それから電力・ガス、そういった企業の方々推進をされていくのも非常に有意義であろうと思いますが、できるだけ一般の国民に広く普及できるような取り組みにつきましてはどのようにお考えなのか。本当にあの神戸に行かれたかどうかわかりませんが、大抵一階に寝ておられる方が亡くなったわけです。で、二階の方は助かっておられる。もうぼろぼろにつぶれても二階に寝ておったら助かっているという例が大変多い。こういうことの経験を踏まえて、私はこの計画、この技術的なものに大変関心を持っております。ぜひ一般国民に広く普及するような計画につきまして、再度、しつこいようでございますが、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  114. 二宮洸三

    ○二宮政府委員 ただいま御指摘の点がございます。もしP波を非常に速やかに、例えば十秒以内程度で判定したといたしますと、震源から五十キロ離れましたところでは約五秒間の余裕を持って情報が活用されることになろうかと思います。百キロメートル離れました場合には約十五秒程度でございますのでございますので、震源に非常に近いところでは恐らく数秒間でこの情報を利用して対応をとられることが可能ではないかというふうに考えております。  例えば、一般家庭におかれましても、地震についての即時的な情報をお知らせすることができるならば、とっさに身の安全を守る等のことによりまして地震災害を軽減する上で非常に有効だというふうに考えております。それから、一般家庭のみならず社会の幅広い分野、例えば学校でございますとか病院等におきましても、このような情報が活用できれば、同様に災害の軽減に役立つと思っております。  このためにも、できるだけ幅広い分野を対象にしまして情報の内容あるいは情報伝達の仕組み等について調査研究をし、その有効性、あるいはどのように利用できるかにつきましてこれからも検討を進めていきたいというふうに考えておるところでございます。
  115. 樽床伸二

    樽床委員 ありがとうございます。S波とP波の違いを、今十秒、十五秒というお話でありましたが、もっと技術的にさらに改善をしていただいて、こういった初期の対応、国民みずから自分で身を守る、そのための一つの情報を提供する、こういった観点でぜひとも強力な推進をお願いを申し上げる次第でございます。  続きまして、関西新空港につきましてお聞かせいただきたいと思います。  私は大阪の選出でございますが、大阪であるから関西新空港ということを申し上げますと、どうも地域のエゴのようにとられて大変歯がゆい思いをするわけでありますが、私どもは国家的な見地に立ちまして、かつて二眼レフ構想というようなことも言われたこともございます。その構想が現在どのような位置づけになっておるのか私も定かではありませんが、西日本の拠点としての関西新空港、こういう国家的な見地の中で、私は、ぜひともこの関西新空港の全体構想の実現ということに向けて国を挙げて努力をしていかなければならない、このように今考えておるところでございます。大臣もおかわりになられましたので、ぜひ、新しい大臣といたしましてこの関空の全体構想の実現につきましてのお考え、そして決意のほど、それでまた関空の国家的位置づけ、どのようにお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
  116. 平沼赳夫

    平沼国務大臣 樽床委員お答えをいたします。  関西新空港の件に関しましては、もう委員指摘のとおり、その重要度というのは大変大きなものがあると思います。午前中の質疑の中でも私ちょっと申し上げさしていただきましたけれども、二十一世紀を想定しますと、もう現にそういう状況になっておりますが、世界は垣根のないボーダーレスの時代になる、人や物や情報の交流がさらにさらに活発になる、こういうことが想定されます。  そういうことを前提として世界各国ではやはり空港のハブ化ということを鋭意進めているわけでありまして、したがいまして、もう委員もよく御承知だと思いますが、この東南アジアを一つ例にとりましても、お隣の韓国は四千メートル級の滑走路三本のハブ空港が今世紀内には完成をする、さらには、香港においても大規模なハブ空港建設が進んでいる、シンガポールも非常に大々的に展開をされている、中華民国、台湾におきましても大変大規模な飛行場が機能している、こういうことであります。  そこで、やはり日本の一大経済圏の中心でございます関西地域にどうしてもこういうハブ機能を持った国際空港が必要だということで、世界で初めての試みで、海上に巨大な埋め立てをいたしまして関西新空港が誕生したわけであります。御承知のように、皆様方の御協力の中で大変利用も高まってまいりまして、最近のデータによりますと、国内、国際ともに八百万人ずつ、一千六百万人が利用するようなそういう状況にも相なってきております。  そこで、そういう将来を見越して、関西の一大拠点の中に国際空港をつくる、そういうことで第一期工事は完成をして成功裏に推移をしているんですが、この夏のいわゆる航空審議会の中間の取りまとめの中でも、関西国際空港というのはやはり早急に二期工事も展開をしなきゃいかぬということで、既に第七次の空港整備五カ年計画の目玉としてこの二期工事に向かって諸準備を進めているところであります。  そういうことで、二十一世紀を見据えたいわゆる全体構想の一環として、関西空港整備というものはやはり国家的なプロジェクトの大きな柱として我々は力を結集して努力をしてまいりたい、こういうことでございますので、地区御選出の樽床委員の御協力もひとつ今後ともよろしくお願いをいたします。
  117. 樽床伸二

    樽床委員 大臣のお考えをお聞きいたしまして、本当にありがとうございました。地元選出ということでもございますが、国家のために全力で私どもも頑張っていきたい、このように思います。また御支援をいただきまして、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  続きまして、関西新空港のことについてお尋ねいたしましたが、空港整備五カ年計画につきまして若干お尋ねをしたいと思います。  実は、空の時代と言われて大変久しいわけでございます。どんどん技術的な発展等々ございまして、今や空の時代、空港整備がいかに国家の、そしてそれぞれの地域の発展に大きなインパクトを与え、地域開発に有益であるかということは論をまたないわけでございまして、皆さんが共通にお考えであろう、このように思います。  しかしながら、今なお、空港整備五カ年計画の総額が、私が聞いておりますので三兆六千四百九十億円、こういう予算総額でございます。片や、確かに我が国は四方を海に囲まれているとは申し上げましても、港湾整備五カ年計画におきましては八兆三千億円、こういう総額であろうというふうに聞いております。  港湾の予算が多いとか少ないということは置いておきまして、この二つのバランスが余りにもかけ離れているのではないか、このように私は認識をいたしておりますが、空港関係の予算の問題につきましていかがお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
  118. 黒野匡彦

    黒野政府委員 それぞれの事業、経緯あるいは沿革がありますから、ほかに比べて多い少ないということは申し上げるのは控えたいと思いますが、率直に申しまして、空港整備というのは公共事業の中で後発の事業でございます。そのために国の予算の中で大変苦戦をしていることは確かでございます。  ただ、運輸省全体、大変厳しい公共事業の枠の中でやっておるものですから、私どもはやはり交通関係に投資する国の予算を全体としてどうふやすかという点で力をこれから注いでいきたいし、また御支援も賜りたいと思っております。  なお、来年度の予算要求を例にとりますと、私ども、公共事業のいわゆる枠というのは六・六%の増を要求しております。その中で空港は八・九%の増を回しております。したがって、省全体として大変厳しい中においても、空港の方に相当ウエートを置いた要求を運輸省としてはさせていただいているということでございますものですから、この方針をこれからも踏襲して着実に事業を拡大し、国民の期待にこたえたい、かように思っているところでございます。
  119. 樽床伸二

    樽床委員 運輸省といたしましては最大限努力をされておるのだろうというふうに私は認識をいたしております。大変御苦労をされておるのだろうと思います。  しかしながら、大蔵省の査定も厳しいということもございましょうし、後発でありましてなかなかふえにくいという中で、私はシーリングの問題等々も関係しておるのではないかというふうに考えております。大変言いにくいことかもわかりませんが、空港関係の予算がなかなか伸びづらい、御苦労されておられる、この御苦労の最大の点はどんなことか、もしよろしければお聞かせいただければ幸いでございます。私どもも全力で応援をしたい、このように考えております。
  120. 平沼赳夫

    平沼国務大臣 確かに、空港建設の予算というのはなかなか厳しいものがあるわけであります。  一つは、今航空局長もちょっと触れましたけれども、やはりどちらかというと公共事業としては後発であったというようなことでいろいろな制約を受けた、こういう背景があります。しかし、その中で、利用者皆様方や国民の皆様方の御協力をいただいて特別な会計を計上いたしまして、それを空港建設費に充てる、こういうことで逐一今までやってきたところであります。  しかし、二十一世紀を踏まえて、先ほど申し上げたように、ボーダーレスの時代ということを考えますと、もっともっと御指摘のように空港整備充実していかなければいけない。そうなりますと、やはり着陸料でありますとかあるいは着陸の際の特別料金等々、それに大半依拠するような資金のあり方では限界があるわけであります。  そこで、亀井前運輸大臣のときに、空港整備の財源には真水、一般財源を積極的に入れて、そしてこの整備充実を図っていかなければいかぬ、こういうことでありまして、運輸省といたしましても、やはり一般財源化ということをこれからの大きな、まあにしきの御旗というと恐縮でありますけれども、そういう形で取り組んでいきたい、こういうふうに思っています。
  121. 樽床伸二

    樽床委員 大臣の御決意、本当にありがとうございます。私は、国家のために空港関係の予算をさらに充実をして、我が国が世界に恥じることない空港整備をさらに進めていかなければだめだ、このように考えておるところでございます。  続きまして、テクノスーパーライナーの件につきまして御質問をさせていただきたいと思います。  我が党の政策の中にも、このテクノスーパーライナーの普及ということにつきまして、かなり以前から、私ども新進党といたしましてはこのことを国民の皆様に訴えてまいりました。テクノスーパーライナーの計画現状につきまして、ぜひお聞きいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  122. 小川健兒

    小川政府委員 テクノスーパーライナーの研究開発は、一九九〇年代の後半の実用化ということを目指しまして、造船技術の高度化とともに海上輸送効率化を図るということを目的といたしまして、平成元年度から進めております。  その研究開発は、平成元年度から四年度までは推進性能とか船体構造などに関する要素技術の研究を実施いたしました。平成五年度、六年度には、二隻の実験船を建造いたしまして、速力等の性能が研究開発目標を達成しているということを検証するために実海域実験というのを実施いたしました。これらの研究開発によりまして、テクノスーパーライナーの設計及び建造に関する基礎的技術は確立したものと思っております。  平成七年度、今年度でございますが、今年度は大型の実海域実験船を使用いたしまして、各地の港に寄港させながら、安全運航、輸送シろアム等に関する課題に重点を置いた総合実験というものを現在実施しております。この結果、テクノスーパーライナーにかかわる運航技術の実証がなされるものと思っております。
  123. 樽床伸二

    樽床委員 私どもの新進党といたしましては、ぜひこのテクノスーパーライナーの早期実用化ということに向けて努力をしていきたい、このように考えておるわけでございます。  今後の計画といたしまして、目標として一九九〇年代の後半というような見解がございましたが、もしよろしければ、何年には実用化をしたい、こういう目標がございましたら、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。
  124. 小川健兒

    小川政府委員 テクノスーパーライナーの研究開発、先ほど申し上げましたように、基礎的技術は既に確立いたしまして、今年度は運航技術の確立を目指した総合実験をやっているわけでございますが、実は、来年度はテクノスーパーライナーの事業化というのを支援するための総合的な調査を実施したいと思っておりまして、これに必要な予算を今要求中でございます。  運輸省はそういった総合調査の検討結果を踏まえまして、平成九年度以降においてテクノスーパーライナーの実用化が早期に図られるように、全省的に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  125. 樽床伸二

    樽床委員 平成九年度以降ということで、早期にという御発言でございました。先ほどから何度も申し上げておりますように、もう基礎的な技術の開発は完了した、こういうことでございましょうし、私どもも、与党、野党を超えまして、このテクノスーパーライナーの実用化につきましては、これは我が国の物流の大きな武器と言ったらおかしいですが、物流をさらに近代化させていく大きな手段であろう、このように認識をいたしております。ぜひともこのテクノスーパーライナーの早期の実用化ということをお願い申し上げたいと思います。  そういった中で、このテクノスーパーライナー、技術的にはそういうところでありましょうが、ならば最終的にはどことどこを結ぶのか、こういうことにもなろうかと思います。我が国の物流のいろいろな流れを考えてルートを選定しなければいけないだろうというふうに思いますが、そのルート選定につきましてはどのようにお考えでありましょうか、お聞きいたしたいと思います。
  126. 小川健兒

    小川政府委員 テクノスーパーライナーの航行ルートでございますが、それが成立する条件はいろいろございますが、まず適合する貨物が必要量確保されるかどうかということとか、あるいは事業主体が整うというようなことが必要になってくるわけでございます。  実際に運輸省といたしましては、先ほど申し上げましたように、テクノスーパーライナーの事業化を支援するための総合的な調査というのを来年度実施する予定でございまして、その中で具体的なルートや何かも検討していきたいというふうに思っております。
  127. 樽床伸二

    樽床委員 このルート選定につきましては、いろいろな地域からの要請もあるだろうというふうに思いますが、国家的見地に立って早急に選定をしていただきたい、このように考えます。  私の思いといたしましては、先ほど関西新空港のことにつきまして大臣から非常にすばらしい御答弁を賜りましたが、日本で唯一陸と海と空が同じ場所にある、非常にまれなというか、初めての海上における飛行場でありますので、これは関西新空港しかそういった陸海空の接点はないということでございます。  そういたしますと、関西新空港にテクノスーパーライナーの拠点の一つをつくるということにつきましては、関西新空港のハードだけができましても、そのハードをいかに活用していくかという視点がなければ、空港をつくったものの、やはりそれをいかに生かしていくかということを考えなければいけないということであります。  私どもといたしましては、関空にこのような拠点をつくってみてはどうだろうか、西日本中心として関空の空港島のすぐのところにつくってはどうかというふうに考えておるわけでありますが、もしよろしければ、私が今申し上げました点につきましての御意見を賜われれば幸いでございます。
  128. 平沼赳夫

    平沼国務大臣 御指摘のように関西国際空港というのは、海上にあれだけ大規模な形で建設をした飛行場というのは世界に例を見ないわけです。ですから、御指摘のようにテクノスーパーライナーを最終的に高度利用するに当たっては、私どもは大いに検討に値する拠点になり得るのではないか。テクノスーパーライナーというのは、これからの物流の中で大体十トンのトラック百台分ぐらいを一挙に積んで、しかも百キロ近い高速で海上を長距離走っていくという大変画期的な一つ輸送手段でございますので、そういう関西国際空港とドッキングすることも選択肢の一つであるな、検討に値する、こういうふうに思っております。
  129. 樽床伸二

    樽床委員 ありがとうございます。大臣の見解を本当に心からうれしく思います。よろしくお願いいたします。  時間もだんだん追ってまいりました。最後に一つ、臨海部の開発につきまして御質問をさせていただきたいと思います。  今関西新空港ということを申し上げましたが、私は、大阪の地元に住む者の一人といたしまして、空港のハードだけができてもそれをいかに生かしていくかということが大切だ、先ほどもこのように申し上げました。そういった観点から、関西新空港と大阪のベイエリアを一体として、新空港がある、その後背地が非常に魅力があるものである、こういった観点から開発をしていかなければならないだろうというふうに私はかってからずっと思っております。  この大阪のベイエリアを見てみますと、かつて重厚長大時代をリードした巨大な工場群がそこの臨海部にございまして、しかし時代の流れの中でその工場がとまったり、そういったことを目にするわけでございます。どうも臨海部が死んでおる。言葉はちょっと過激であるかもわかりませんが、そんな感がいたしております。  ですから、大阪のそういったベイエリアを含めて、空港の後背地をいかに開発していくのかというのは、私の見解でございますが、そういったことから延長して考えますと、我が国は四方を海に囲まれております。かつて高度成長期においては、まさに日本全国で重厚長大型産業華やかなりしころ、臨海部に巨大工場群が立地をし、そして我が国の発展をリードしてきた。そういった地域が恐らく日本全国にたくさんあろうと思います。大臣の岡山におきましてもそういった地域があるのではなかろうか、このように考えておりますが、どうも時代とともにその役割がだんだん変化をしてきている、このように考えております。  この日本全国の臨海部の、かつては我が国を引っ張っていった地域であるけれども、時代の要請の中でだんだんその役割が変わってきた。それをいかにこの時代に合ったものにつくり直していくかということにつきまして、私は我が国の大変重要なテーマではないかというふうに考えております。このことにつきまして、どのような方針でいかれるのか、非常に抽象的な意見で恐縮でありますが、御見解のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  130. 栢原英郎

    栢原政府委員 先生指摘のように、産業構造が転換するとともに従来の重厚長大型の工業のリストラが進んでおりまして、各地の臨海部で大規模な工場跡地などが生ずるという状況にございます。これらの土地は、当然のことでありますが、近くに港湾という物流機能を備えている、あるいは水際線を持っているという親水性がある、さらにはまとまっている、また市街地に近いところにあるといったようなさまざまな利点を持っておりますので、その跡地利用については、地域ニーズに応じて積極的にその特性を生かしながら進めていくということが必要であろうというふうに考えております。  運輸省といたしましては、こうした再編がうまく進みますように、例えば港湾計画の変更でありますとか、新しい土地利用に即した緑地や臨港道路などの新しい基盤整備など所要の支援を行って、これらの用地の活用が円滑に進むように努めていきたいというふうに考えております。
  131. 樽床伸二

    樽床委員 そろそろ時間が参りました。  最後に、今のことに関連いたしまして、そのような地域におきましては、どうも臨港地区の開発につきましては建設省と運輸省の両方が協力してやっていかなければならない、こういうようなことでもあろうと思います。そういった過程の中で、今大きな我が国の政治の流れになっております地方分権という流れの中で、中央から、日本全国もういろいろなところでそういう臨海部の開発をしていく、それについて一から十まで霞が関から指導していくということも必要ではあろうかとは思いますが、やはり地元方々に大きな権限を与えて開発をしていく、地方分権の流れがこういった開発には不可欠であろうというふうに私は認識をいたしております。  最後に大臣に、そういった点につきまして御見解をお聞かせいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  132. 平沼赳夫

    平沼国務大臣 樽床委員お答えをいたします。  私も運輸大臣に就任をいたしまして早々に阪神地区を視察させていただきました。そして、大阪湾の地域にも足を踏み入れまして視察をさせていただきましたけれども、あの大阪湾岸部も大阪府、大阪市、特に大阪市が力を入れて、臨海地域というのが大変巨大な発展を遂げているということをつぶさに見ました。例えば、あの湾岸部を通っている橋も、世界の橋の陳列会場じゃないかというぐらいいろいろな形の橋がずらっと並んで、何といいますか、大変な活力を感じました。  御指摘のように、これからそういう臨海地域を開発していくというのは、地方分権というのは国の一つの大きなナショナルゴールでありますし、やはり地域皆様方ニーズ、それから生まれてきたそういう計画、そういうものにいかに国が協力をしていくか、こういうことに相なると思います。現に、大阪に行かせていただきましたときも、市長さん、知事さんからやはりその地域の特性に基づいた非常に夢のある構想もお聞きをしておりまして、ですから、そういうものをベースにして我々がそれにおこたえをしていく、こういう基本姿勢が必要だと思いますので、運輸省もそういう基本線でこれからやらせていただく、こういうように思っております。
  133. 樽床伸二

    樽床委員 大変ありがとうございました。四十分にわたりまして御質問させていただきました。大臣からさまざまな点につきまして本当に前向きなお話を賜りまして、心よりお礼を申し上げる次第でございます。  以上をもちまして私の質問を終了させていただきます。ありがとうございました。
  134. 辻一彦

    辻委員長 以上で樽床伸二君の質疑は終了しました。  吉田公一君。
  135. 吉田公一

    吉田(公)委員 新進党の吉田公一でございます。  まず最初に、自動車部品についてお伺いしたいと思うのでありますが、日米自動車交渉、部品交渉は決着をした。玉虫色の決着だ、こうも言われておりますが、問題は、決着はしたのですけれども、国内にまだまだ多くの課題を残している、そのことについて実は質問をしたい、そう思っております。  重要保安部品という指定がございますが、これはショックアブソーバーだとか、あるいはまたパワーステアリングだとかストラット、トレーラーヒッチ、この四品目については分解整備から除外したということでありますが、なぜ除外をしたのかということをまずお尋ねをしたいと思います。
  136. 山下邦勝

    ○山下政府委員 ただいまの四部品につきましては、分解整備を一定の資格を持った整備士が整備をするということから外したわけでございますが、これは運行の安全に非常にバイタルな、致命的な関連を有するものについては規制を残すということでございますけれども、こういったものについては、技術の進歩もございましてそういう必要が薄れたということであります。
  137. 吉田公一

    吉田(公)委員 このことを通達で行ったということでありますが、なぜ通達で行ったか伺います。
  138. 山下邦勝

    ○山下政府委員 これは本年十月に省令を改正して行っております。
  139. 吉田公一

    吉田(公)委員 要するに通達なのかどうかということを聞いているのですよ。
  140. 山下邦勝

    ○山下政府委員 通達ではございません。
  141. 吉田公一

    吉田(公)委員 通達ではないということでありますから、改正等の規則なり細則なり施行令なり等でやったことだと思います。  それから、ショックアブソーバーやストラット等は、要するに整備士免許を持っていない人でもできるという規制緩和をしたわけでありますが、その点の安全性については、何を根拠にして四品目を外したのですか。
  142. 山下邦勝

    ○山下政府委員 現在市場に出回っております補修用のショックアブソーバーでございますとかストラッド、こういったものにつきましては、通常部品メーカーが取りつけ可能な自動車の型式を説明書に表示をいたしており、取りつけさえきちんと行いますと、交換後の保安基準の適合性に大きな問題は生じないと判断したためでございます。
  143. 吉田公一

    吉田(公)委員 取りつけさえきちんと行えばということでありますが、そのことが大事じゃないですかね。そのきちっと取りつける人は、やはりそれなりの免許を持っている人あるいはまたそのことについて経験のある人、そういう人でなければきちっと取りつけることはできないのじゃないですか。しかも、そのショックアブソーバーだとかストラットとかというのはブレーキ関係も若干いじらなければできないわけですから、そういう点では、つまり整備士でない人も取りつけられるということは、きちっと取りつけられるかどうかなんということは、まさにあいまいな答弁でありまして、きちっと取りつけられるということにはそれなりのきちっとした背景がなければできないわけですね。  そこで、今度これらの部品についていろいろなところで外圧で販路拡大を迫られたわけでありまして、その販路拡大をするためには現在の整備工場以外でも整備ができるということになったわけですね。そうしますと、どういう簡易工場なりあるいは認定工場なりをつくる想定でいるのか、その点について御説明をいただきたい、こう思うのです。
  144. 山下邦勝

    ○山下政府委員 今委員指摘の特別な工場というのは、恐らくブレーキでございますとかトランスミッションでございますとか、こういったもののみを専門に整備するような特定都品専門の整備工場、これを指していらっしゃるのだと思いますが、こういったものを現在、例えば整備士でございますとかその整備の機器、これらの要件について安全がきちんと確保されるような形で認めるつもりでございますので、今関係者から意見を聞きながら検討をしておるところでございます。
  145. 吉田公一

    吉田(公)委員 では、仮に簡易工場としておきましょうか、その簡易工場には仮に整備士がいなくてもいいということになりますね。
  146. 山下邦勝

    ○山下政府委員 そこは整備士が必要でございます。
  147. 吉田公一

    吉田(公)委員 そうしますと、現行は認証工場とか指定工場があるわけですよ。しかも、全国に約八万三千軒あると言われておりますが、何でその整備工場ではいけないのですかね。
  148. 山下邦勝

    ○山下政府委員 今申し上げましたように、そういった特定のもののみを取り扱うという御希望があれば認めるということでございます。ただ、今の一般的な認証工場のようなスペースとかそういったことがとれないというような方でも、それだけをやるということであれば認めていこうという趣旨でございます。
  149. 吉田公一

    吉田(公)委員 その意味は何ですかね。わざわざこの部品のために新たにそういう工場を認める。今八万三千軒ある整備工場でいいじゃないですか。なぜそういうものを新たに認める必要があるのか。その必要性について、八万三千もある、もう飽和状態でしょう、八万三千工場なんというのは。そのほかに三千だか四千だか五千だか知りませんが、そういう工場をつくらされるということはどういう意味なのですか。八万三千工場という、だって今まで運輸省がいろいろな指導をしてきたり、いろいろ協議をしてきた要するに認定工場でしょう、運輸省認定となっているのだから。そのこととの関連性はどうなっているのですか。
  150. 山下邦勝

    ○山下政府委員 確かにこの問題につきましては、アメリカにそういった工場があると聞いております。アメリカ側から、こういったものが日本でもできないか、彼らにしてみれば、そうすれば補修部品の市場が広がると思ったのでございましょう。まあ結果的にどうなるかは我々も判断がつかないところでございまして、それはユーザーの選択にかかってこようかと思いますけれども、我々としては、そのこと自体が安全性を損なうことがないということであれば認めていくということで、これは折衝のことでございますから、そういう判断をしたということでございます。
  151. 吉田公一

    吉田(公)委員 だから私が最初に言ったように、日米自動車部品交渉で販路の拡大まで約束させられたのじゃないか。今まである八万三千の整備工場というのは、勝手につくったのじゃないですよ。みんな運輸省認定になっているじゃないですか。それで車検までとれるようにしておいて、今まで難しいことを、いろいろ書類だとか何だとか出させるようにしておいて、今度はアメリカの外圧によって新たにこれらの部品のための工場をつくらされるなどということは、私はおかしな話だと思っているのですよ。その点、要するに八万三千の今までの整備工場の存在というのは、運輸省としてどうとらえているのですか。
  152. 山下邦勝

    ○山下政府委員 私どもは、今委員おっしゃいましたように、八万の工場の方々が、我が国の車の安全の確保に非常に貢献をされ、誇りを持って仕事をされておるということは十分認識をしておるわけでございます。これによって我が国、こういった非常に高密度の社会の中で比較的事故も少なく済んでおるということでございます。  今、日米の交渉の中でこういったものを認めるということについて、そういった方々へ大きな影響を与える可能性があるという御指摘かと思いますけれども、これらにつきましては、私ども構造改善その他を通じまして、十分配慮していきたいと思っておるところでございます。
  153. 吉田公一

    吉田(公)委員 答弁では、よく配慮とかなんとかと言うのだけれども、配慮していないからこういうことになった。そんなこと言ったってだめですよ、それは。だって配慮しないからこういうことになったのでしょう。  そこで、要するに、認証工場と指定工場の連携強化、つまり、車検場へ行かなくても、指定工場で、要するに民間車検場、そこで車検がとれるという継続車検については、そういう方法が今後どれるのかとれないのか、運輸省の御見解を伺っておきます。
  154. 山下邦勝

    ○山下政府委員 自動車の検査につきましては、安全確保でございますとか公害の防止、こういった見地から、公正中立な検査が実施されるということが必要でございます。こういったことを踏まえまして、国でございますとか公益法人、こういったところで実施されるということが基本になっておるわけでございます。  一方、指定整備制度は、自分でその車の点検整備をいたしました場合に、その整備について責任が伴うということから、自分で検査をしても問題がないということで、現在そういった制度を認めておるところでございます。  認証工場において整備をいたしまして、指定工場において検査だけをやるということにつきましては、検査の中立性、公正さ、こういったことについての確保が十分図られない可能性がございますので、現在のところ実施をしておりません。  なお、今回、指定整備工場の要件を緩和をいたしまして、例えば、みずから機器を持っておられなくても、ほかの指定整備工場で自分で整備をなさった工場が検査をするということでございますけれども、そういったことが共同で行われるような仕組み、こういったことの拡充については、十分配慮していきたいと思っております。
  155. 吉田公一

    吉田(公)委員 車検場は、外観車検それからライトが上向きになっているか下向きになっているか、要するに機械的にぱっばっとやって、大体短いので五分、長いので十分。しかし、そうだとすれば、いわゆる民間車検場で、それこそその整備工場で責任持って車検を終わらせるといった方がよほど安全性が高まるのじゃないでしょうか。その辺はどうなんでしょうかね。継続検査については、必ずしも車検場へ持っていかなくても、むしろ民間車検場できちっとして、その民間車検場に安全性の責任を持たせる。ユーザー車検だってそうでしょう。自分が安全だと思えばいい、こういうことでユーザー車検を認めたのだから、その民間車検場でとった車検によって安全性が、その整備工場で責任が持てればそれでいいじゃないですか。その点はどうなんですかね。そんな外観検査をやっている車検場よりもよっぽどきちっとしていると思うのです。
  156. 山下邦勝

    ○山下政府委員 今御指摘の点につきましては、先ほどもちょっと御説明いたしましたけれども、点検整備をなさった方が検査をするということであれば、その点検整備に伴います責任が生じるわけでございます。したがって、検査と一体となった責任をとることができるということでございますが、これを分離いたしますと責任の所在が不明確になってくるということもございますので、先ほど申し上げましたような制度をとらせていただいているということでございます。
  157. 吉田公一

    吉田(公)委員 この問題については引き続いてまたやっていきたいと思うのですが、前に沖縄でやったとかアメリカでこういう例があったとか、二十年だか三十年前の話をいつも出して、そういうことのようですけれども、まさにブレーキだとかショックアブソーバーが整備工場以外でできるなどという時代なんだから、そっちの方もどんどん改正して、そうすれば車検場なんか要らないんだよ。できるだけ民活を利用して、八万三千の工場があるんだから、陸運局の車検場などというのは、継続検査をしなければ要らないじゃないか。なるべくそういう方向でやった方がいいと思いますよ。  それから、ユーザー車検によって車検場の能力を超えるようなことがないのかどうか、その点についてお尋ねをしたい、こう思います。
  158. 山下邦勝

    ○山下政府委員 確かに、非常に車がふえてまいったわけでございまして、それをどういうことで担保していこうかということで指定整備工場制度導入したわけでございます。この拡大については、先ほど申し上げましたように、いろいろな規制の緩和を行いまして、今十分に配慮をして、この車の増加に対応していきたいと思っておるところでございます。  今ユーザー車検が最近ふえて、こういったものに十分対応できておるかということでございますが、こういった点につきましても、先ほど申し上げましたように、民間のそういった指定整備工場、そういったところの能力を十分使いまして、できるだけそっちへ行っていただくということとあわせまして対応しておるところでございまして、現在、著しく不都合な例は生じていないと承知しております。
  159. 吉田公一

    吉田(公)委員 ほかにも質問がありますから、このことについてはこれで、次、また機会があればやりたいと思いますが、つまり、車検場の能力を超えて、車検切れ前日、当日持ってくる人がいる。必ずしも十日も前に、二十日も前に持ってくる人ばかりとは限らない。そうすると、そこで能力がないと車検が取れないということになるので、そうすると、無車検の自動車が放置されるのか、また乗って帰ってくださいというのかよくわかりませんけれども、そういう心配もあるのではないか。その点の心配はありませんか。
  160. 山下邦勝

    ○山下政府委員 できるだけピークを崩してそういった点を平均的にやっていただくために、予約制度、こういったことも導入しておりますし、たしか車検の期間については一カ月前の余裕をとっておると思いますので、そういった中でやっていただくように要請をしておるところでございます。
  161. 吉田公一

    吉田(公)委員 いずれにしても、運輸省が指導監督、許可をおろしてきた整備工場が八万三千軒あるわけでありますから、その整備工場を育成するようにして、そしてアメリカの部品は八万三千の工場でできるだけ取り扱って、そして安く整備をしてほしいという通達を出すのが先じゃないですか、そんな新しい工場をつくるよりも。とにかく、そのことについてはよく検討してください。ほかにまた機会があればやります。  次に、御当地ソングになって申しわけありませんが、先ほど大阪の地下鉄の話もありましたが、東京の交通網の整備というのは緊急課題でありまして、土地が高騰してきた、したがって、今通勤圏一時間半は当たり前という時代になりました。そうすると、交通網の整備をするということが一刻も猶予できない課題であります。  そこで、今東京は、東京都の交通局がやっております地下鉄と、御承知のとおり戦前からあります営団地下鉄と二通りあるわけです。その営団地下鉄の十三号線、十一号線、あるいはまた、多少ふくそうしますが、八号線の早期完成を都民は望んでいるわけであります。都民だけではありません。最近は埼玉県も千葉県も神奈川県も、それぞれの人々が通勤に期待をしているわけでありますが、この地下鉄十三号線というのは昭和五十年の九月に免許申請した、こう伺っておりますけれども、まず、そのとおりかどうか。そして、五十年の免許申請後、今日までの経過について教えてもらいたい、そう思います。
  162. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 地下鉄十三号線につきましては、ただいま先生指摘のとおり、昭和五十年の九月に免許申請がなされております。この免許申請、実はいまだに保留されたままでございますけれども、その間の事情を御説明申し上げますと、池袋から新宿までの路線のうち、池袋付近では都市計画道路の環状五ノ一号線という環状線を通る、すなわちその地下を通るということで路線を予定しておりましたけれども、道路の整備に関しまして、地元の住民の方で反対の意向がございます。要するに、地下鉄は賛成であるけれども、道路の整備は多分車がふえて賛成できないというようなこと、そういう道路整備についての地元住民の意向とぶつかりまして、今までのところ都市計画道路の環状五ノ一号線を利用するというめどが立たずに、すなわち路線につきまして明確なめどが立たないという状況で推移をしてきているというのが今までの経緯でございます。
  163. 吉田公一

    吉田(公)委員 そうすると、昭和五十年以来、地元の住民の反対でできない、こういう理解でよろしいですか。
  164. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 基本的には、免許ができない理由、免許が保留にならざるを得ない理由はそういうことでございます。  なお、継ぎ足して申し上げますと、そのような状況でございますので、現在、東京都におきまして、道路につきまして諸調査を行っているところでございます。今後、免許の取り扱いを決めるに当たりましては、道路につきましての計画の動向を見きわめた上で行う必要があると考えております。
  165. 吉田公一

    吉田(公)委員 そうしますと、住民が反対しているのを解決したならば、即この免許申請を受理、もちろんしてあるわけですから、事業認可その他予算上の措置は大丈夫ですか。
  166. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 今免許の問題申し上げましたけれども、私ども、十三号線につきましては、もともと重要な路線認識いたしております。したがいまして、今七号線あるいは十一号線の建設を行っておりますけれども、基本的には、このような七号線、十一号線に引き続いて十三号線の建設にも着手をしたいと考えております。  ただ、残念ながら、今申し上げましたような免許の問題もございます。それから、平成七年の特殊法人の整理合理化に関する閣議決定で帝都高速度交通営団の民営化の問題というのもまたございます。したがいまして、現在の段階では、いろいろさらに片づけなければいけない問題がございますので、具体的な建設の時期については明らかにできないというのが現状でございます。
  167. 吉田公一

    吉田(公)委員 営団の民営化等は今後の大きな課題でありますが、いずれにしても、昭和五十年の九月に免許申請して、いまだにおりない。その理由は、先ほどお話がありましたように、住民の反対によって、道路が用地買収ができない、建設ができないというのが主な理由だということでありますから、今後は、当該区の区長並びにそれぞれの関係者によくその旨を話をしまして、これらを解決しろ、そうすればすぐ事業化になるぞと言っておきますから、よろしくお願いします。  それから、公共工事でありますが、今までは、道路だとか橋だとかは公共工事ですね。昨年から地下鉄工事が公共工事に組み入れられたということであります。  そこで、公共工事に組み入れられた地下鉄工事について、まだ一年しかたちませんから実績がないだろうと思いますが、今後、運輸省としては、公共工事に組み入れられた結果、どういうお考えでやっていくのか。分捕り合戦をするのか。その辺の見通しについて教えてください。
  168. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 地下鉄の建設事業も公共事業の中に認められまして、これは言わずもがなのことかもしれませんが、一般会計の中で処理をしておりますときは技術的な問題として大変シーリングが厳しくて、私ども、地下鉄の補助金の確保に大変四苦八苦をしておったというのが現状でございます。それが公共事業の範疇に認められましたので、シーリングの点で非常に苦しい制約からは逃れたということでございます。ただ、当然のことながら、それにも一定の制約がございます。  それから、最近、都市の地下鉄で地元から大変幾つもいろいろな要望がございます。この要望にこたえるためには、新しく補助事業として採択をしていかなければならないということになるわけでございますけれども、当然のことながらお金の制約がございますので、なかなかすべてについて地元の要望にこたえられないという状況でございます。  したがいまして、私どもとしましては、公共事業の中に入れられた、入らせてもらったのは大変結構でございますので、これを第一段階といたしまして、地下鉄の建設事業に対する補助金の増額につきまして努力をしていかなければならない、こういうふうに思っております。
  169. 吉田公一

    吉田(公)委員 わかりました。せっかく入れてくれたのですから、ぜひ頑張ってやっていただきたい、こう思います。  次に、国鉄清算事業団でありますが、これは隠れ借金の最たるものだとよく言われております。  そこで、平沼大臣にお伺いしたいのですが、国鉄清算事業団の債務がだんだんふえてくるというのはどういうわけですか。
  170. 平沼赳夫

    平沼国務大臣 国鉄の長期債務等の増加というのが大変著しいものがございまして、御指摘の増加の原因は、膨大な借金がございますから、年間に発生する約一・五兆円の金利に対して所定の資産処分が進んでない、こういう背景がございます。
  171. 吉田公一

    吉田(公)委員 そこで、金利だけでも一兆五千億、そして土地の価格下落で土地処分をしてもなかなか金利も負担できない、そういう状況でございまして、最終的には平成九年度までに本来償還済みになる予定であったのではないでしょうか。その辺はどうですか。
  172. 平沼赳夫

    平沼国務大臣 御指摘のように、平成九年度までに実質的な処分は終了させる、こういう予定でございます。  そこで、清算事業団としてもそれから我が省としても、何とかその資産である土地の売却ということに鋭意心を砕いていろいろなキャンペーンも最近やっているところでございまして、それなりの効果は出てきておりますが、全体の景気というのが非常に厳しい状況の中で不動産の売買がなかなか進まない、そういう厳しい状況にあることは事実でありますけれども、我々としては平成九年度中までに何とか当初の目標どおり完結をさせたいということで、今一丸となって頑張らせていただいているところであります。
  173. 吉田公一

    吉田(公)委員 大臣の御決意はよくわかるのですが、大臣の決意と逆にどんどん負債がふえていって、当初国鉄からの負債を引き継いたときは二十五兆三千億だか四千億、それが今二十六兆九千億、こう言われておりますが、約一兆五千億か二兆円の債務がふえている」そうすると、よほどこれは忍術遣いてない限りは一気に平成九年度までに償還を完了するということはまず不可能、大臣の御努力によってももう計数的に不可能。そうすると、最後は国民の税金で賄うしかないじゃないか、こういう話になってしまう。しかし、国民が負わなければならない税負担ではないんで、つまり国鉄が赤字を出したわけだ。それを民営・分割するために、負債は国鉄清算事業団で引き受けるから国鉄民営・分割だけはやろうじゃないか、こういうことで、当面は償還目標もはっきりしないのに国鉄の負債だけ引き受けちゃった。  要するにこういう見通しの甘さが今日こうした二十七兆円。約二十七兆円ですよ。二十七兆円といえば国家予算の一般予算の三分の一、首都東京の予算の何倍かですよ、四倍くらいになるのかな。東京都の一般予算が七兆四、五千億ですから、国鉄清算事業団で抱えている赤字だけで首都東京の一年間の予算の約四倍。こういうものをだれが責任を持ってきちっとやるのか。最後は国民の税金で払うからいいじゃないか、それでは困るのであって、ぜひその辺の見通しをきちっと立てていただいて、そして御答弁できればどなたか御答弁していただきたいと思うのですよ。
  174. 平沼赳夫

    平沼国務大臣 吉田委員指摘のとおり、大変厳しい現状にあることは事実であります。やはり最終のツケを国民負担という形で任せるということは軽々にまだ私どもは論ずる時点じゃないと思っておりますし、これから景気回復等も一生懸命政府を挙げてやっておりますので、したがって、まず土地の売却ということに残された期間全力を尽くすということと、あとJRの株式というものは、JRの西日本に関しては震災等の影響によって公開基準を満たしてないということで、私どもは西日本に関しては上場を断念をいたしましたけれども、さらに今御検討いただいておりますが、JRの東日本の追加売却等もその予定の中に組み入れさせていただいて、とにかく今は九年度中に何とかめどをつけたいということで全力を挙げてやる、こういうことでございまして、まず努力をしながらその推移というものをある面では冷静に我々は見詰めながら一生懸命やらせていただきたい、こう思っております。
  175. 吉田公一

    吉田(公)委員 今さらこんなことを持ち出すことはないのですが、日本国有鉄道清算事業団法という法律第一条に「日本国有鉄道の土地その他の資産の処分等を適切に行い、もって改革法に基づく施策の円滑な遂行に資することを目的とする。」と、まず第一条に書いてあるわけです。  そうすると、まず第一条から違ってしまっている、八年たったら。全然軌道が狂っちゃって返す当てもない。そして職員の数は二千四百六十三人だ。何で国鉄清算事業団に、土地を処分したり株を売却したり、とにかく土地を処分しなければならないのに、二千四百六十三人も職員を抱えている。どういう経過でこうなっているのですか。
  176. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 清算事業団に今おっしゃいましたような職員がおりますが、これは、清算事業団の保有しております土地は北海道から九州まで全国各地に散らばっておりまして、それの適切な管理が必要であるとか、あるいはこれを売却するためにはなかなか、例えば都市側といろいろな調整をした上でなければ売却ができないとか、売却を促進するためにも事業団側でいろいろやらなくてはいかぬことがございます。そういったような業務に従事するために職員が必要なわけでございまして、今先生指摘の職員はそういったような業務あるいはそのほかの資産の管理なんかに当たっているものでございます一  なお、国鉄清算事業団が当初発足いたしましたときに、御指摘のとおり国鉄の長期債務は二十五・五兆円ということでございましたが、その当時、持っております土地あるいは株式の資産を評価いたしまして、この二十五・五兆円と対比いたしまして十三・八兆円が国民の負担になるというような試算が行われております。その後の状況は、先生承知のとおり土地の状況も大変厳しゅうございます。それから株式の状況も、株式市場がこのような大変厳しい状況でございまして、なかなか予定したとおりに株式の処分が進まないというのは御承知のとおりの状況でございます。  したがいまして、こういった状況から資産処分が思うように進まなかったことを受けまして、大変苦しい状況にあるのは間違いございませんけれども、私どもといたしましては、先ほど大臣が答弁いたしましたとおり、この資産処分について鋭意これから努力を傾注することによりまして国民負担のできる限りの軽減に努めてまいりたいと考えております。
  177. 吉田公一

    吉田(公)委員 いや、それは言っている趣旨はそのとおりなんです。だけれども、株の売却はできない。土地は下落しちゃって、ことしも下がっちゃった。来年上がるのかどうかわからない。むしろ来年また下がるかもしれない。職員は二千四百六十二人も抱えている。金利だけで一兆五千億かかっている。こんな悪条件が五つも重なっていて、平成九年度までにできない。じゃ、いつまでにできるのですか、これは。明確に答えてください、きちっと。平成九年度がだめならば平成十五年までならやると。そうしないと、こんな赤字を抱えてどんどん金利だけがふえていっちゃって、最後は国民の税金で賄いますなんという話になりかねない。その点とうなんですか。平成九年がだめなら、平成九年はもう再来年か、じゃ、いつまでなら大丈夫なんですか。そういう計画をちゃんと立てていなければおかしいでしょう。まさに親方日の丸だよ、それじゃ。
  178. 平沼赳夫

    平沼国務大臣 確かに、再三御指摘のように厳しい状況であることは事実であります。しかし、やはり経済の流れというのは想定しないというようなことがしばしば起こるものでありまして、今回もバブル経済の大崩壊によって大変、我々としてはその見通しまで持つことはできませんでした。ですから、日本経済全体がこういう影響を受けている中で、やはり資産売却というのも思うように進んでいないし、株式公開も非常に厳しい局面になっています。  したがいまして、我々が今申し上げられることは、とにかく目標である九年度じゅうに何とかめどのつく最大限の努力をぎりぎりの段階でさせていただく。今そういう流動的な経済の中で、それじゃ十年度なら大丈夫だとか、十二年度だったらめどがつきますよということは、経済の流れの中ではなかなか、この場で申し上げるようなことでもないと思っております。  ただ、御理解いただきたいのは、今一丸となって努力をしておりますので、そしてその努力の中から、景気も回復をしてくれれば経済も立て直って、株の公開もできる見通しも出てきますし、また土地も流動化が始まって土地価格も上がり、そういう局面も出てくる可能性も非常に流動的な経済の中では想定できますから、とにかく今は、運輸省も清算事業団も一丸となって頑張らせていただく。御指摘の非常に厳しい点というのはそのとおりだと思っておりますけれども、そういう形で頑張らせていただきたい、こう思っております。
  179. 吉田公一

    吉田(公)委員 時間が参りましたからこれで最後にいたしますが、今大臣の御答弁にありましたように、確かに非常に見通しは困難、そしてこれからの経済というのはどう変化してくるかわからない、それは御指摘のとおりです。しかし、税金として負わされる国民にとりましては、状況変化や、経済が予測ができないからしょうがないのだ、努力をするけれども結果的にはしょうがないのだでは国民は納得はできないわけですから、ぜひこれから厳しい計画を立てて推進をしていただきたい、そう思います。  それから、国鉄清算事業団の理事長以下役員の方々でありますが、この方々は国鉄の天下りの人ですか、運輸省からの天下りの人ですか。
  180. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 国鉄清算事業団には理事長、理事合わせて六名おりますが、そのうち運輸省出身者は二人、それから大蔵省出身者が一人、それから国鉄出身者が三名でございます。
  181. 吉田公一

    吉田(公)委員 こういう厳しい土地処分等について、やはり民間の人を導入してちゃんとやらなければだめじゃないですか。大蔵省と国鉄と運輸省だけで、それこそ今大臣お答えいただいた、経済の見通しが悪い、土地だってなかなか売却できない、そういうときに民間人のセンスをもっと生かして――そんな一つの天下り先にしないで、みんな分割じゃないか、これは。定数割り合ってそれぞれ天下っている。そういうことのないようにぜひひとつやってもらいたい、そう思います。  以上で終わります。
  182. 辻一彦

    辻委員長 以上で吉田公一君の質疑は終了いたしました。  寺前厳君。
  183. 寺前巖

    寺前委員 二つ、きょうはお聞きをしたいと思います。  一つは、建退共という、建設業退職金共済制度が公共事業の中でうまく生きているのかどうかという問題です。もう一つは、官官接待の問題について聞きたいと思います。  最初に労働省にお聞きしたいと思いますが、建退共という組織の方で出しておられるパンフを見ますと、その手引に「国が作った業界ぐるみの退職金制度」だ、「この制度は、事業主が建設現場で働く労働者について、共済手帳に働いた日数に応じて共済証紙を貼り、その労働者が建設業界をやめたときに退職金を支払うという制度です。」と書いてある。  さらにページを進めますと、「この制度育成するため、国及び公団のほか、都道府県及び市区町村では、工事額の中にこの制度にもとづく掛金を積算するとともに、公共事業の発注にあたって、請負業者の指名に際してこの制度への加入の有無をチェックし、また、工事の契約に際して受注業者から掛金収納書を提出させ、その工事についての共済証紙の購入状況を確認する措置をとっております。 したがって、この制度への加入が公共工事を受注する上で非常に有利になります。」と書いてある。  労働省、お見えですか。――間違いございませんね。
  184. 金子順一

    ○金子説明員 御答弁申し上げます。  今先生から御指摘がありましたように、この建退共制度、パンフレットのお話がございましたけれども、これは建設業の事業主の方向けにつくったものでございます。そういう意味で、非常に厳密かどうかということは別にいたしまして、確かにこの建退共への加入状況といいますのは、公共事業の入札に必要な建設業者の経営審査事項におきまして客観的評価事項とされております。こういった意味で、御指摘のとおり、建退共への加入というのは、公共事業の受注にとって、業者にとってメリットがあるということは事実でございます。
  185. 寺前巖

    寺前委員 この「公共事業の受注に有利」という項目の中を見ると、国及び公団のほか、都道府県及び市区町村では、工事額の中にこの制度にもとづく掛金を積算せよという内答が書いてありますね。そして同時に、契約に際しては掛金収納書を提出しなさい、それから共済証紙の購入状況を確認する措置をとりなさいと書いてある。  これは、例えば私がきょう聞きたいと思っている京都の市の地下鉄問題をめぐっての場合でも、自治体はそういうふうに予算を組むことを確認しているのですか。それは建退共だけが勝手に言っていることですか。そこはどうなんでしょうか。
  186. 金子順一

    ○金子説明員 お答え申し上げます。  こういった公共工事の積算に当たりまして建退共の掛金を算入するということにつきましては、これは法律上の仕組みということではなくて、私どもあるいは建設省の方から公共工事の発注官庁に対しまして、そういうことでぜひお願いできないかということで要請をしている。これは、建退共制度を円滑に運営するために、そういう形で発注主体の方にお願いをしているという性格のものでございます。現実に、大部分と言っていいかもしれませんけれどもかなりの公共工事の積算に当たっては、この建退共の掛金が積算に算入されているというように理解をしております。
  187. 寺前巖

    寺前委員 そして、その掛金というのは、このページをさらに進めますと「共済証紙購入の目安」というところがありまして、「工事の種類、規模、工法、場所等により労務比卒がことなりますので、一概にきまるものではありませんが、組合では、証紙購入の標準的な目安として、労働者数・労務比率等を参考にして請負代金に対する証紙購率を次のとおりとしておりますので、参考にして下さい。」こう書いて、土木工事の場合は千分の三・五とか、あるいは建築工事の場合は千分の二・五云々というふうに書いてありますが、これも変わりございませんね。間違いございませんね。
  188. 金子順一

    ○金子説明員 この共済証紙の購入額の割合の目安でございますが、これは原則といたしましては必要な枚数を購入していただくというのが原則なわけですが、実際にはこの仕組み、元請の業者の方が一括して証紙を購入をしていただくということが通常行われているわけでございまして、今後の工事の推移の中で、実際とれだけ枚数が必要かというのは必ずしもわからないわけでございますので、その際に、全く参考がないというのではどれだけ買っていいかわからないということで、労務比率等を勘案いたしまして、土木工事については千分の三・五ということを一つの目安としてお願いをしているものでございます。  したがいまして、あくまでも目安でございまして、要は必要な枚数、最終的に働いた被共済者の方に証紙を確実に張ってもらうということが大事でありまして、そういう意味では、事業者の方の利便に資するという観点から目安を示しているものでございます。
  189. 寺前巖

    寺前委員 運輸省お尋ねをしたいのですが、どこの所管になるのでしょうか。この京都の地下鉄工事については、補助事業になっているのですか、自治体だけの事業なのでしょうか。いかがなものでしょう。
  190. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 私ども補助事業に採択した事業がございます。
  191. 寺前巖

    寺前委員 その補助事業の場合には今の建退共の証紙は張ってもらう。公共事業として、今労働省から御説明があったような証紙を張ってもらうために購入してもらって、ちゃんとそれを出してもらうのだということにこれはなるのでしょうね。
  192. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 私ども関係で申し上げますと、その補助事業補助金をどうするかということになりますけれども、その際に、今先生指摘のような経費は現場管理費の一部というぐあいになります。  これにつきましては、私ども補助事業の中では具体的に幾らの額というのを具体的な額で積み上げているわけじゃございませんで、純工事費に一定の比率を掛けまして、それでその現場管理費全体を出すということでございます。  予算の方はそういうことでやっておりますが、一方、そういうような補助金を交付を受けまして、その事業者が請負工事を受注するといったようなときに、その事業者が今労働省から御説明がありましたような制度を遵守していくというのは、これは事業者側の法令に基づく一つの基準に基づいて行われるべきものであろうと思っております。
  193. 寺前巖

    寺前委員 そこで、私はそういうものだろうと思って実は注目をしていたのです。  地下鉄事業が一九八九年に着工されたときに、東西線の建設費が二千四百五十億円。ところが、ことし、一九九五年になってくると、当初計画より何回も契約更改がなされて約二倍の四千七百十億円に広がってくる。こういう過程の中で、ちょっとしたことでも、これはちょっと見てみないといかぬなという声は住民の中から出てきました。  ことしの九月二十二日、京都市議会で私のよく知っている藤井という議員がこの問題について質問をやっているのです、各ゼネコンが証紙購入をした際に添付する掛金収納書の写しや共済証紙の張りつけ枚数、金額を提出せよと。そこで、京都市は議会にその資料を提出をいたしました。私はその共済証紙張りつけ枚数及び金額、それから掛金収納書の写し、これを見せてもらいました。そして見るだけではなくして、念のために工区ごとに一覧表をつくってそこに書いてみたのです。これは私が整理したものですから、間違いないと思いますけれども、ちょっと念のためにそれを見ていただきたいと思うのです。  それを見ると、これは契約金額です。どこの会社がどこの工区をやっていて、契約はこうた。契約更改は、変更は何回やったか。そこに何回か変更している回数が書いてあります。そして、もしも千分の三・五と一般的に計算をしてみると、いわばこれだけの金額を共済の掛金として払わなければならぬことになるだろう。これは正確じゃありません、これは純然たる一つの試算として書いただけですから。  ところが、市の方から出してきた資料をその次にずっと割り当てて書いてみたのです。これは収納書の枚数が何枚あって、そこに載っている金額を書き入れたらそこの下の金額になるわけです。そして、実際に張りつけたところの証紙の金額を見ると、その次の欄になってくるわけです。  そこで、この三つを比較してみた場合に、一番最初の、これは余り正確じゃありませんが、六億数千万円の試算になってくる。それに対して、収納書から出るところの金額を見ると二億何ぼになってくる。それを証紙の張りつけの方から見ると六千万円ほどになってくる。そうなってくると、えらい違いやないか。  それで、さらに私どもの藤井市会議員その他これらのことについて詳しいところの建設省の労働組合や府の職員組合の建設支部の皆さんとか、あるいは建築の組合の労働者の皆さんなどで生活関連公共事業拡大連絡会議というのをつくっておられるので、そこの皆さんと一緒に調べてもらった。  そこの工区の一つに京都市役所前の駅の工区があります。そこへ行ってみると、この三年間の間に延べ九万八千人の人が働いている。請け負った鹿島建設は九四年六月二十四日に二枚、同年十二月九日に五枚、九五年二月二十七日に五枚と、合計十二枚しか証紙を張っていない。おかしいじゃないか。三年間、これを三で割って一年間に平均したって三万何千という人が従事したことになるし、それを三百六十五で割ったって、十二枚とは一体どういうことだったんだろうか。これは市の資料として、そこがさっと出てきたものだから、全面的に市の資料を出してもらわなかったならば、これは怪しいなという感じを私は持ったわけなのです。  そこで、私はお聞きしたいのですけれども、これは別に運輸省がけしからぬという話をしているわけじゃないのです。そういう建設業で働くところの労働者の皆さんの退職金制度をわざわざ公共事業の積算の中にまで入れようということでせっかくつくっている国の制度でありながら、結局その制度が一たん公共事業の積算としては組まれていながら、実際には使われていないということになったら、そのお金はどこへ行ったのだろう。結局事業主の方に、懐に入っただけじゃないか。  いろいろなむだ遣いはやめようやないか、整理しようやないかと言われている公共事業の今日です。日本における公共事業の占めている位置はべらぼうに高いのです。そこへ持ってきて、不況だといって公共事業重視の施策を今日とっているときに、小さい課題か知らないけれども、その持っている位置というのは私はばかにならないと思うのです。  と思えば、この問題についてメスを入れたことがあるんだろうか。メスを入れる必要があるんじゃないだろうかというふうに私は思うのですが、担当の局長さんいかがなものでしょうか。
  194. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 公共事業補助金の関係から申し上げますと、先ほど申し上げましたとおり、補助金の積算に当たりましては、共済の積立金は具体的な積み上げではなくて、これを含みます現場管理費というものにつきましては純粋の工事費の一定の割合ということで経費は積み上げられておりまして、したがいまして、個々にどれだけ積むかということで、個別に積み上げて補助金は積算されているわけではございません。  それから、補助金を受けて公共事業を施工した事業者がどの程度積立金を積み立てていくかというのは、多分法令に基づく基準があると思いますけれども、そのこと自体は共済制度を所管しておられます労働省の御判断にまたなければならない問題だと思っております。
  195. 寺前巖

    寺前委員 労働省の判断というが、補助金を出す側ではこれはなということを感じないのかなと、私はそこのところの感覚がちょっとわからない。  ちょっと会計検査院おられますか。――会計検査院、これは補助金を出している事業とするならば、私は京都市だけの問題では済まぬだろうと。こういう計算が一般的にばあっと積算しているのやら算入しているのやらわかりにくいんだという話だったけれども、これ、このままで会計検査院よろしいか。何か考えないかぬじゃないでしょうか。いかがです。
  196. 諸澤治郎

    ○諸澤説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘のありました京都都市高速鉄道の建設工事でございますが、その積算についてのお尋ねと思います。  私ども、従来こういった建設工事につきましては直接工事費を主な対象として検査をしておりまして、そういう実情にございますので、間接工事費に当たります現場管理費などの積算と対比いたしまして個々の契約にかかわる掛金の実態がどのようになっているかについては、調査しておりませんでした。しかしながら、ただいまこのような御指摘ございまして、これが工事費の積算や国庫補助金に与える影響について検討する必要があるのではないかと考えております。  そのあたりの点につきましては、今後関係当局から事情を聞くなどいたしまして、御指摘のあった点を踏まえまして今後の検査に当たりたい、かように考えております。
  197. 寺前巖

    寺前委員 それは、会計検査院としては補助金を出している以上はこのままでいいんだろうかと考えてもらって当たり前だと僕は思うわ。これは今までお気づきにならなかったんだろうから、運輸省としてもどういうふうにこれからやったらいいかということを検討してもらうということだけを私は問題提起をしておきたいと思うのですが、大臣いかがでしょうか。
  198. 平沼赳夫

    平沼国務大臣 寺前委員お答えをいたします。  鉄道局長から御報告を申し上げたような、そういう経緯の中でありますけれども、労働省とよく相談をいたしまして、そして我々としても発注の主たるこういう公共事業関係者に適切な指導はしていきたい、そういうふうに思っております。
  199. 寺前巖

    寺前委員 時間の都合がありますので、ひとつよろしくお願いしたいということで、次に移らせていただきます。  官官接待の問題ですが、その前に、実は前の大臣のときにも質問したことがあるのですが、大阪航空局の職員の問題です。  十一月二日付の運輸省から出された資料を読ませていただきました。  これを読みますと、大阪航空局職員を対象に、本人からの自主申告に基づき事業者とのゴルフ参加、会食について調査をした結果、ゴルフについては過去三年半で職員十六人、延べ三十九回参加、会食については、過去一年間で参加した職員は十九人、回数は延べ三十二回、これらの職員に対して十月三十一日付で訓告一人、厳重に注意二十六人をやった、あと管理職に対する処分は以下のとおりである、ずっとこう書いてあって、そして綱紀粛正に対する内答が出ていました。  そこで私は、どんな文書が出ているのだろうかなと思ってこの間いただきました。通達を出しているというからどんな通達なんだろう。  これを見ますと、例えばこれは航空局長が大阪航空局長殿と出された内容の、ちょっと進めていった中にこういうのがあります。「職務上の関係者である民間企業等からの会食等には原則として応じないこと。」「職務上の関係者である民間企業等以外の者との交際についても、綱紀の維持観点から問題があるような場合には上記に準ずること。」こういうような内容でした。そこで私は、これは民間企業を対象にしておられますけれども税金を使うところの官官接待だったらこれはこれでまた別な問題を含んで、より重要だなということを感ずるのです。  お手元に配らせていただいておりますが、和歌山県の市民オンブズマンというのですか、阪本弁護士さんらが平成五年度の和歌山県の公文書を閲覧されて、その中で和歌山県東京事務所の食糧費を見られた。この資料はそのときの運輸省関係者を接待したのが十八回、接待費用約百六十五万円で、接待内容は運輸省との事務打ち合わせなんだということで書いてある。  これは原則、企業との関係においては会食しないとなっておるのだけれども、さて、官官接待の場合は原則、会食してもいいのですか。そこはどういうことになっていたのか。ここに書かれている内容については既に運輸省にお渡ししてあるから、一体この結果については、事実であって改善すべき点はなかったのかという点をお答えいただきたいと思います。
  200. 戸矢博道

    ○戸矢政府委員 お尋ねの件につきましては、先生からも御照会ございましたし、新聞報道もございましたので、私ども和歌山県に照会したわけでございますが、平成五年度に当省初め十六省に対しまして会食を伴う事務打ち合わせを行い、当省関係は十八件あったというようなことの報告を受けております。  ただ、県に対してさらに詳細な情報を求めたわけでございますが、県側も、県を含めてだれが出席したのかといったようなことは一切わからないということでございました。ただ、和歌山県からは、いずれにしても社会常識から逸脱したようなことはしていないという報告を得ているところでございます。  また、私ども先生からもお尋ねがございまして、県と職務上の関係があると思われる部局につきまして、公表された会合について可能な範囲で聞き取りを行いましたけれども、二年前のことでもございまして、事実確認が十分できていないというのが実態でございます。  ただ、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、社会常識の範囲を逸脱したようなことで御批判をいただくというようなことはあってはならないというふうに考えているところでございまして、今後省内で、今までも累次やってきたわけでございますけれども、適正な対応の徹底に努めていきたいというふうに考えているところでございます。
  201. 寺前巖

    寺前委員 前のことはわからないと。和歌山の県文書規程の中には、三年間ちゃんと保存しなさいとまで書いてある。それで、和歌山県の職員の出張に当たっては復命書を出さなければならないことにちゃんとなっているのだから、書類を見たら全部明らかになりますよ、和歌山県の方は。  それから、接待を受けた側の運輸省の方で内容がわからないでは済まぬだろうと私は思うのです。そんな昔の話ではないですよ、これ。そうでしょう、二年前の話なんだから。  私は、きょうは、それよりも大事だなと思うのは、昭和五十二年十一月、会計検査院事務総長からの協力要請と同五十三年二月の総理府総務庁長官の官庁綱紀の粛正の通達の趣旨に即して厳正に対処せよということで、会計検査院から協力要請がありますよ。それを読むと、会食は一切辞退する、食事代はすべて自己負担とする、土産物なども一切辞退する、宿泊の場合の手配も検査院側で行う、宿泊料などの支払いも本人が直接行うなどなど、いろいろなことが書かれています。  私は、航空局長が大阪の事件をめぐってああいう処分をされる。処分をする以上は、基準がなかったら処分しょうがない。基準は何か、やはりはっきりしなければいかぬ。原則的には、やはり会食をしたりゴルフしたりすることはやらないということを、それは官官の場合も民官の場合にも同じように位置づけるということを基本に据えなかったら、この問題、あいまいもこになって、結局相手が悪かったときに自分も処分を受けるということでは、規律は固まらないのではないだろうか。  時間もこれありますので、私、これ以上はもうやめます。大臣の御見解をお聞きして終わりたいと思います。
  202. 平沼赳夫

    平沼国務大臣 航空関係で不祥事がございまして、これに関して処分をした、そのことに関しましては大変遺憾なことでございまして、私ども、省を挙げてこういうことがないようにさらに趣旨を徹底していきたいと思っております。  官官接待の問題の御指摘でありますが、地方公共団体と情報交換等の意味で会食をするということに関しては、やはり意思の疎通という問題もありますので、それをもう全面的に否定をするということは、日本の社会通念上いかがかと私は一部思っておりますけれども、しかし御指摘のように、いやしくも世のそしりを受けたり、それから社会通念上それを大変逸脱するような、そういうものは断じであってはならないと思っています。  したがって、社会通念上やはり皆様方から許容されるような形で、その仕事が円滑にいく意味で情報公開等の会合を持つ、そのときには華美にならないように、そしてまた、だれからも後ろ指を指されないような、そういう形でしっかりと行っていくべきだ、私はこういうふうに思いますし、さらに我々運輸省といたしましては、この綱紀の問題では趣旨を徹底いたしまして、そして公正を旨として皆様方の信頼にこたえていきたい、こういうふうに思っております。
  203. 寺前巖

    寺前委員 時間が来ましたので、終わります。どうもありがとうございました。
  204. 辻一彦

    辻委員長 以上で寺前巖君の質疑は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時五十四分散会