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1995-09-20 第133回国会 参議院 決算委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年九月二十日(水曜日)    午前十時四分開会     —————————————    委員異動  九月十四日     辞任         補欠選任      大森 礼子君     広中和歌子君      林 久美子君     山下 栄一君      聴濤  弘君     筆坂 秀世君      小島 慶三君     国井 正幸君  九月十九日     辞任         補欠選任      笠原 潤一君     河本 三郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         浦田  勝君     理 事                 大木  浩君                 佐藤 泰三君                 清水 達雄君                 山崎 順子君                 山下 栄一君                 筆坂 秀世君     委 員                 岩井 國臣君                 海老原義彦君                 河本 三郎君                 清水嘉与子君                 陣内 孝雄君                 中島 眞人君                 長峯  基君                 松村 龍二君                 守住 有信君                 牛嶋  正君                 武田 節子君                 続  訓弘君                 寺澤 芳男君                 畑   恵君                 広中和歌子君                 朝日 俊弘君                 伊藤 基隆君                 今井  澄君                 山口 哲夫君                 国井 正幸君                 水野 誠一君    国務大臣        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    深谷 隆司君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  江藤 隆美君    事務局側        常任委員会専門        員        貝田 泰雄君    説明員        行政改革委員会        事務局首席参事        官        上野 憲正君        公正取引委員会        事務局官房総務        課長       鈴木 孝之君        警察庁生活安全        局長       中田 恒夫君        警察庁刑事局長  野田  健君        警察庁交通局長  田中 節夫君        警察庁警備局長  杉田 和博君        総務庁長官官房        交通安全対策室        長        井野 忠彦君        総務庁行政管理        局長       陶山  晧君        総務庁行政監察        局長       大橋 豊彦君        法務省入国管理        局総務課長    小林 域泰君        公安調査庁長官  杉原 弘泰君        外務省北米局長  折田 正樹君        大蔵省主計局司        計課長      田頭 基典君        大蔵省関税局業        務課長      塚原  治君        厚生省保険局国        民健康保険課長  小島比登志君        通商産業省通商        政策局北米通商        調整官      鈴木 將文君        通商産業省貿易        局総務課長    高橋 晴樹君        運輸省運輸政策        局技術安全課長  森  良夫君        運輸省自動車交        通局貨物課長   福本 秀爾君        海上保安庁警備        救難部警備第一        課長       淡路  均君        郵政省郵務局国        際課長      安住  透君        労働省労働基準        局安全衛生部安        全課長      池田 五男君        建設省道路局道        路環境課長    大石 久和君        自治大臣官房長  二橋 正弘君        自治大臣官房総        務審議官     湊  和夫君        自治省行政局長  松本 英昭君        自治省行政局選        挙部長      谷合 靖夫君        自治省財政局長  遠藤 安彦君        会計検査院事務        総長官房総務審        議官       深田 烝治君        会計検査院事務        総局第一局長   山田 昭郎君        会計検査院事務        総局第二局長   森下 伸昭君    参考人        公営企業金融公        庫総裁      花岡 圭三君     —————————————   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○平成四年度一般会計歳入歳出決算平成四年度 特別会計歳入歳出決算平成四年度国税収納金  整理資金受払計算書平成四年度政府関係機関  決算書(第百二十九回国会内閣提出)(継続案  件) ○平成四年度国有財産増減及び現在額総計算書  (策百二十九回国会内閣提出)(継続案件) ○平成四年度国有財産無償貸付状況計算書(第  百二十九回国会内閣提出)(継続案件) ○平成五年度一般会計歳入歳出決算平成五年度 特別会計歳入歳出決算平成五年度国税収納金  整理資金受払計算書平成五年度政府関係機関  決算書(第百二十二回国会内閣提出)(継続案  件) ○平成五年度国有財産増減及び現在額総計算書  (策百三十二回国会内閣提出)(継続案件) ○平成五年度国有財産無償貸付状況計算書(第  百二十二回国会内閣提出)(継続案件)     —————————————
  2. 浦田勝

    委員長浦田勝君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  この際、深谷国務大臣及び江藤総務庁長官から発言を求められておりますので、順次これを許します。深谷国務大臣
  3. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) おはようございます。このたび自治大臣、兼ねて国家公安委員会委員長に就任いたしました深谷隆司でございます。  決算委員会皆様には、日ごろから地方自治行政あるいは警察行政推進に格段の御理解と御協力をいただいておりまして、心から厚くお礼を申し上げる次第でございます。  私から申し上げるまでもなく、地方行財政は、地方分権推進とか、あるいは地方税財源充実確保、災害に強い安全な町づくり住民に身近な社会資本の整備や福祉対策充実など、極めて重要な多くの問題を抱えております。  また、地下鉄サリン事件を初めとする重大特異な事件銃器使用事件の続発などに見られる今日の厳しい情勢下において、治安の維持向上を図るためには今後一層の努力が必要であります。  私といたしましても、これらの諸課題に積極的に取り組んでまいりたいと思っておりますので、委員各位の御鞭撻やら御指導をぜひ賜りたく、心よりお願い申し上げましてごあいさつにかえさせていただきます。ありがとうございました。(拍手
  4. 浦田勝

  5. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) このたび総務庁長官を拝命いたしました江藤隆美でございます。  村山内閣は、景気回復改革推進政権ということを標榜してスタートしたものであります。  総務庁は、総合調整官庁として行政改革を初めとする各般の問題に取り組むことになっておりますが、幅広い分野にわたることでございまして、これはもう時代の要請で、ぜひとも完成しなきゃならぬことだと思っております。  委員長初め理事皆さん並びに委員各位の御指導と御鞭撻をひとえにお願い申し上げて、ごあいさつといたします。(拍手)     —————————————
  6. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 委員異動について御報告いたします。  去る十四日、林久美子君、大森礼子君、聴濤弘君及び小島慶三君が委員辞任され、その補欠として山下栄一君、広中和歌子君、筆坂秀世君及び国井正幸君が選任されました。  また、昨日、笠原潤一君が委員辞任され、その補欠として河本三郎君が選任されました。     —————————————
  7. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと思います。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事山下栄一君及び筆坂秀世君を指名いたします。     —————————————
  9. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 平成四年度決算外二件及び平成五年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、自治省警察庁総務庁及び公営企業金融公庫決算について審査を行います。     —————————————
  10. 浦田勝

    委員長浦田勝君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明の聴取は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  速記をとめてください。    〔速記中止
  12. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 速記を起こしてください。     —————————————
  13. 浦田勝

    委員長浦田勝君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  14. 松村龍二

    松村龍二君 私は、自由民主党の松村龍二であります。さきの参議院通常選挙で福井県選挙区から当選させていただきました。  本日は、自治省警察庁総務庁所管平成四年度、五年度の決算審査ということであります。新人議員ですが、早速初質問の機会を与えていただきましたことに、委員長を初め同僚委員皆様に感謝申し上げたいと思います。  まず最初に、このたびの内閣改造で新しく国務大臣に就任されました江藤総務庁長官及び深谷自治大臣国家公安委員長に対しまして、心から御就任のお祝いを申し上げたいと思います。  議員になって日の浅い未熟な者の質問で恐縮でございますが、経験豊富な両大臣に対し、まず基本的なお尋ねをしてみたいと思います。  我が家の家計を考えてもそうでありますけれども、使った後のお金が、果たして有効に使ってきたか、またむだはなかったか等について検証することは、使った本人にすれば余り気の進むことではありません。しかし、国の予算決算となりますと、一家計の問題にとどまらず、国民から預かった貴重な財源であり血税でありますので、その有効な使い道に常に心がけ、むだがなかったか事後検証していくことが極めて有効であると思います。  私も、選挙期間中ある経験をいたしました。選挙カーに乗ってある路地へ入っていきましたところ、中年の女性が私の選挙カーを呼びとめまして、私におりてくるようにという意思の伝達がございました。おりてまいりましたところ、市役所の電気は朝からこうこうとついている、それに引きかえ自分の近所の方々は大変苦しい生活をしている、このような税金の、その方にとってはむだ遣いと映る話でございましたが、税金むだ遣いについてあなたはどう考えるかという鋭い質問でございました。  事ほどさように、一般国民血税税金の使い方、使ったその決算ということについても深い関心を寄せていると思うのであります。  このために、各省庁における内部監査充実に努めることがまず大切であり、次には会計検査院検査あるいは総務庁行政監察の結果に基づく指摘、勧告には謙虚に耳を傾け、累次の指摘を受けないように自己改善を図っていくことが重要であると考えます。  プラン・ドゥー・シー、計画して実施して反省せよ、その後に初めてまた次のプランがあるという言葉がございます。そのような観点におきまして、各省庁における内部監査充実に努めるという観点に関しまして、所管行政に臨む両大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
  15. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 松村先生参議院に当選されて最初の御質問に立たれて、大いに期待しております。また、私どもも率直な考え方を申し上げて、よりよい結果が生まれるように努力したいと思っております。  行政及び公務員に対する国民の信頼というものが何よりも大事であることは、もう言うまでもないことであります。国民皆さんが本当に信頼してくれるからこそ政治や行政はこれを実践していくことができるわけでありまして、私たちは常にそういう立場に立って、謙虚にみずからを振り返りながら行動していくことが大事だと思います。  平成三年に会計監査専門官を設置いたしまして、専ら会計監査専門に扱いながら、誤りのないように進めていくなどの努力もいたしているところでございます。  今後私たちは、簡素かつ公正を旨とした行政運営を行うために、法規にのっとった適正な予算執行を初めとするさまざまな角度からきちっと戒めながら努力をしてまいりたいと思っております。
  16. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 国民の大事な税金でありますから、そのお金がどう使われたかということを検証するのは、まずその関係省庁が内部的な十分な反省と監査をすることが必要だと思っております。  総務庁としては行政監察という機能を持つわけであります。会計検査院というのはその金がどう使われたかということが主体であります。総務庁の場合には、一つの目的に対して金がどう使われたか、いわゆる政策に基づく予算執行というその機構とあるいは制度そのものも検討することができるわけでありますから、十分そういう方向にのっとって努力していこうと思っております。  よく私どもも言われるんです。江藤さん、わしの商店街の前はこの前また掘り返したから何をやっているか、電話線をやっている、何カ月かしたらまた掘り返している、今度は水道をやっている、今度は何をやっているんだ、今度はまたガス管をやっていると。商売にならぬと言うんです。  だから、せっかくやる事業でありますから、そういういわゆる横の連絡もとりながら効率的な予算執行をやっていくということは私は大事なことだろうと思っておるんです。縦割り行政ですから、そういうことをおのおのが勝手にやるという傾向がある。これは一例であります。こういうこともひとつ省庁を乗り越えて私どもは検討の対象にしていこう、こう思います。  同時に、総務庁は他省庁の業務についてのそういう監察をやる役所ですから、みずからがやはり姿勢を正す必要があります。したがって、内部監査はもちろんのこと、担当する経理職員等の研修も怠ることなく、これからも十分心してまいりたいと思っております。
  17. 松村龍二

    松村龍二君 検査院決算検査報告を見ますと、国の補助金についての指摘が依然として多く、国のレベルより地方におきますむだが多いのではないか。また、地方分権の前に地方での行財政改革が必要ではないか。地方監査体制はどうなっているかとの声も聞くわけでありますが、こういう点について自治大臣はどのような所見をお持ちですか。
  18. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 地方分権推進ということは今非常に重要な課題でございまして、国が行う仕事をより身近な住民の側に持っていくためには地方分権を一日も早く実現させていくことは非常に大事だというふうに考えます。  その場合に、権限移譲だとか、国の関与等の廃止、緩和、地方税財源充実強化を図っていくために、地方自治体自律性とかあるいは自主性というのを重んじて進めていくわけでございますが、その際にやっぱり地方自治体地方公共団体行政改革を進めるということも大事でございますし、あるいは行政の公正の確保透明性向上行政能力向上、特に自己チェックシステムの確立、こういうようなものを地方公共団体でみずから律していくような形として確立していくことが非常に大事だと思います。  国も全力を挙げてこれらの問題に取り組みますが、あわせてそれを受ける側の公共団体のみずからの体制をともどもにつくっていくように一層指示してまいりたいと思っております。
  19. 松村龍二

    松村龍二君 次に、いわゆる官官接待の問題について伺います。  最近、弁護士を中心とした全国市民オンブズマン連絡会議のメンバーによります情報公開請求による調査の集計を見ますと、東京都などを除く四十道府県の平成五年度の財政課秘書課東京事務所食糧費の総額は二十七億円以上に上っており、このうち二十三億円近くが接待目的懇談費であることが判明しております。その後も新聞紙上で連日のごとく都道府県政令指定都市等食糧費実態が次々に報道されております。  この問題は、第一義的にはそれぞれ地方自治体の問題であり、地方議会あるいは監査委員会で取り上げるべき問題であろうかと思いますが、全国都道府県政令指定都市において、また恐らくそのほかの市町村においても同様と思われますが、食糧費等を使った過剰な官官接待については国の立場でも放置できない問題であると考えます。  政府は、この問題につきまして先月十五日、閣僚懇談会綱紀粛正徹底を図ることを申し合わせされたと聞いておりますが、地方自治体指導、監督する立場にある自治大臣国家公務員人事管理服務等行政監察を預かる総務庁長官から政府対応とこの問題に対する所見をいただきたいと思います。
  20. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 自治大臣立場から先に申し上げさせていただきたいと思います。  最近、マスコミを大変にぎわしておりますのは官官接待でございます。行政運営というのは住民の負担によって行っているという大前提に立っていけば、いやしくもこのような形で批判を招き、国民行政に対する、特に地方行政に対する不信感を招くようなことがあっては断じてならないことだというふうに思っています。  私たち綱紀粛正に向けて全力を挙げて取り組んでいかなければならないと思いますが、私どもといたしましては、去る八月十一日に、異例なことではございますが、自治大臣談話というのをまず発表させていただきました。そして、八月十五日付で各地方公共団体に対しまして事務次官通達というのを出すことにいたしました。あくまでも簡素がつ公正を旨とした行政運営を行うように、それから法規にのっとった予算執行を行うように厳しく通達の中に盛り込んでおりまして、さらに八月二十三日には全国総務部長会議というのが開かれましたが、ここでもこのことについて徹底して指示をいたしたところでございます。  あくまでも地方公共団体におかれましては、これら一連の自治省の私の談話あるいは通達会議において申し上げましたことをしっかりと守って、少なくとも批判をされないようなそういう形で進むように今後一層努力をしてまいりたいと思っております。
  21. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 総務庁としましては、各省庁事務次官、あるいは人事課長、あるいはまた秘書課長、そういう衝にある者を全部会議を持って集めまして、こういう官官接待が行われないようにみずからの襟を正すということを実は既に相談いたしまして、各省庁において周知徹底をするということにいたしております。  考えてみますと、やっぱり中央集権下の現状では、私はなかなかおさまらない根の深いものがあるんじゃないかというような気がしてなりません。したがって、わずかな補助をもらうのに田舎から上京してくる。そうすると、成果を上げたいから接待をする。片っ方はそれを当たり前のように受け入れるという構図が私は成り立っておるような気がしてなりません。  したがいまして、今後皆さんの御指導も仰がにゃいかぬわけでありますが、いわゆる地方分権あるいはまた権限移譲財源移譲、それらを含めて地方にシフトした行政が行われるような体制を早くつくっていく必要がある。それがやっぱり私ども総務庁の基本的な役割ではないか、こう思って今後努力をしていく所存でございます。
  22. 松村龍二

    松村龍二君 市民団体調査により、自治体の食糧費等を使った官官接待実態が明るみに出たわけでありますが、自治省としても、地方自治体経理官官接待に使われた経費の実態について全国的な調査を行い、問題点を明らかにすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  23. 遠藤安彦

    説明員遠藤安彦君) 調査という点で私から答弁をさせていただきたいと存じますが、従来、自治省におきましては、健全な財政運営の保持という観点からいわゆる決算統計調査、これは地方団体財政状況を的確に把握するという目的のために行っておるわけでありますが、これを調査いたしまして公表しているところであります。  今御質問食糧費の問題でございますけれども、これは御案内のとおり地方自治法施行規則というのがありまして、款項目節がありますが、節の中の需用費説明事項、私どもこれを細節と申しておりますけれども説明事項としてこの食糧費が挙げられているものでございます。  実態といたしましては、その支出が各地方団体それぞれに区々でありまして、財務規則をそれぞれにつくって、各団体においてその必要性などを考慮した上で具体的な食糧費支出がされているというように理解をいたしております。  現在問題になっておりますのは、この食糧費内容とその適否についてどうであろうかということだろうと存じますが、この点については先ほど御質問の中にもありましたように、第一義的にやはり当該団体議会での御審議あるいは監査委員による会計監査といったようなものを通じて判断されるものではないかというように思いまして、基本的に私どもの方で個々の支出内容について調査をするというところまでは考えていないところでございますので、御了承を賜りたいと思います。
  24. 松村龍二

    松村龍二君 地方自治体も組織である以上、社会的に必要なものは必要として予算に計上することはためらうべきではないし、一部にありますすべての会食は悪であるというような考え方は現実的でなく、問題を潜在化させるだけだと考えます。  また、この問題の背景には国と地方のあり方、特に補助金行政の問題があるわけですが、地方分権を進める中で、地方自主財源の拡大と地方公共団体みずからの監査能力を高めていく日常的努力が必要であると考える次第でございます。  さて、会計検査院に伺います。  官官接待に使用された食糧費等の中には、国の補助を受けた公共事業費のうち事務費の一部が転用されたとの報道もあるわけですが、会計検査院としてはこのような問題についてこれまで検査してこなかったのか、また今後どのような対応をされるつもりか御説明いただきたいと思います。
  25. 深田烝治

    説明員深田烝治君) お答え申し上げます。  会計検査院といたしましては、国の補助を受けて実施されております公共事業につきましてはこれまで本体工事検査を重点的に行ってきておりまして、事務費につきましては、事業費の数%しか占めていないということもございましてこれまで十分に検査を行ってこなかったというのが実情でございます。しかし、昨今この事務費の中の食糧費をめぐる問題が報道されまして社会的関心も非常に高いということから、現在数県について食糧費使用実態について調査を行っているところでございます。  今後の対応につきましては、この調査の結果を踏まえまして、食糧費補助目的に沿って適正に使用されているか、補助事業経理が適正に行われているかというような観点から検討したい、このように考えております。
  26. 松村龍二

    松村龍二君 次に、国保の財政調整交付金の不適正受給について伺います。  平成四年度、五年度の決算報告を見ますと、市町村が運営する国民健康保険事業に対する国の補助金であります財政調整交付金が不適正に受給されていたとし、その事例が紹介されております。例えば大分県の別府市では、昭和六十二年度から平成五年度までの保険料収納率を実際よりは高くし、その結果、財政調整交付金を四億七千五百万円も不適正に受け取っていたということであります。  会計検査院は昭和六十三年度検査報告で初めてこの問題を指摘し、その後も毎年検査報告で指摘しているようでありますが、これまで指摘を受けた市町村数、指摘金額を検査年度ごとに御説明いただきたい。  また、財政調整交付金についての指摘が毎年続いている原因は何か。検査をする側から見たこの問題に対する所見を述べていただきたいと思います。
  27. 森下伸昭

    説明員(森下伸昭君) 御答弁申し上げます。  財政調整交付金につきましては、ただいま先生が御説明いただきましたように、昭和六十三年度決算報告に掲記いたしまして以来、毎年検査を実施してきております。  これまでに指摘いたしましたものの件数及び金額につきまして、合計で三十六件、金額で百五億七千九百五十二万余円となっております。これを年度別に申し上げますと、昭和六十三年度一件、七億六百五十一万余円、平成元年度六件、五十八億二百八十四万余円、平成二年度九件、三十億四千五百八十八万余円、三年度十件、四億二千九十万余円、四年度六件、九千七百六十一万余円、五年度四件、五億五百七十六万余円となっております。  このように毎年不適切な事態を指摘してまいったわけでございますが、このような事態となっておりましたのは、指摘した市町村におきまして過大な交付金の交付を受けようとして保険料の収納割合を事実と相違した高い割合で計算をいたしまして交付申請を行っていたということが一つございます。  それから、担当者の制度に対する理解が十分でないため、この保険料収納割合が適正に算定されていなかったというような点もございます。  さらには、これら不適正な市町村の交付申請に対する道府県のその審査が十分でなかった。こういったことが重なりまして毎年度指摘をするということになってきているものと考えております。  このように、財政調整交付金につきましては、本院が毎年実地検査を行い、不適切な事態を検査報告に掲記してきております。それからまた、厚生省においても本院の指摘を契機として毎年指導監査徹底を図ってきておりますことなどから、その指摘件数は、先ほど申し上げましたように、平成三年度の十件をピークに減少をしてきております。  こういう状況でございますが、しかし、平成五年度決算検査報告にも見られますように、不正な操作を行って交付金の過大交付を受けていた事態というのがまだ見受けられるわけでございますので、今後も財政調整交付金の交付が適正に行われるように十分留意して厳正な検査をやってまいりたいというふうに考えております。
  28. 松村龍二

    松村龍二君 厚生省にお尋ねします。  財政調整交付金の不適正受給の指摘を受けて、厚生省はこれまで地方自治体に対してどのような指導あるいは特別監査を行われたか、報告をいただきたい。  また、厚生省の累次にわたる指導監督にもかかわらず、不適正受給が根絶されない理由は何にあるとお考えか、率直な御意見をいただきたい。
  29. 小島比登志

    説明員小島比登志君) 国民健康保険の財政調整交付金は、国保財政の安定化を図るため、市町村保険者の財政力を調整するために交付されているものでございます。  会計検査院の御指摘を受けまして、この財政調整交付金につきまして不正受給があるということにつきましては、まことに遺憾なことであるというふうに考えているわけでございます。もちろん、過大交付分につきましては全額返還をしてもらっております。  厚生省といたしましては、このような事態が生じないように、平成二年度及び三年度におきましては、国及び都道府県と協力いたしまして、保険料収納率算定方法を重点に特別指導監査を実施いたしました。  また、毎年、補助金申請事務の適正化等を指導監査の重点事項として通知をいたしまして、課長会議の場等でも適正な申請等につきまして指導を行っているところでございます。  どうしてこういった不正受給が続く理由というお尋ねでございますが、この調整交付金につきましては、保険料収納割合の低い市町村に対しましては一定割合を減額して交付することとされておりますことから、場合によっては一部の市町村で、意図的に保険料の収納率を過大に申告することによりまして、本来減額されるべき調整交付金を過大に受け取っていたケースがあったかと思われます。  一方でまた、いわゆる事務的誤り、例えば本来返還すべき未済額、あるいは過年度分の滞納保険料を誤って収納額に計上したために、収納率が過大になったことによりまして財政調整交付金を過大に受け取っていたケースもあろうかと思われます。  いずれにいたしましても、このような事態が生じないようこれまでも通知等により市町村保険者の指導を行ってまいりましたが、今後ともあらゆる機会を通じまして財政調整交付金の適正な申請事務について指導をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  30. 松村龍二

    松村龍二君 私は、ばれなければもらい得であるという意識が地方自治体の側に根強く存在し、地方と国の関係における構造的な問題なのかなという気もしますが、国民健康保険を通じた医療サービスを全国的にかつ公平に保障していくためにこの財政調整交付金の制度が存在することを思えば、この種の不正受給による不公平の発生は根絶すべきであり、そのためには、厚生省の指導だけでなく、自治省も一体となって再発防止に全力を挙げていただきたいと希望するものであります。  次に、けん銃情勢等に関する質問をさせていただきます。  諸外国に比べまして非常に安全とされてきた我が国も、最近、銃器犯罪の増加やサリン事件に見られますように、治安の悪化が目立っております。  今年八月二日には、八王子におきましてスーパーマーケットでアルバイトの若い女性三人がいわば問答無用の形でけん銃で撃ち殺されるといった、今まで警視庁のベテランの刑事も経験したことのないような事件が発生しているところでございます。また、今年三月には警察庁の國松長官が狙撃されるという、国民に大変な衝撃を与える事件が発生しております。  安全で治安がよいと言われた我が国でなぜ急激に治安の悪化を心配しなければならなくなったか。その背景には我が国社会を取り巻く何か構造的変化があるのではと考えますが、最近の治安悪化の要因、背景につきまして、まず国家公安委員長の見解をいただきたいと思います。  また、外国と比較してまだ安全な国と言えるのか。今後さらに治安が悪化する危惧はないかという点についても伺いたいと思います。
  31. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 私は、自治大臣であると同時に重要な国家公安委員長としての役職も兼務いたしておりまして、昨今の状態に対しては厳しい対応で積極果敢に取り組むように関係方面に積極的に指示をいたしておるところでございます。  世界で一番治安がいいと言われた日本でございますが、徐々に犯罪の質も含めて悪化の傾向にあることはゆゆしき問題であると申さなければなりません。ただ、統計的に考えた場合に、まだまだ日本が治安のいい国であることには変わりはございませんが、徐々に悪化していく状況を早く歯どめして、さらに治安のよい国という評価が確固たるものになるように全力を挙げてみたいと思っています。  犯罪の質の変化でございますが、モータリゼーションであるとかボーダーレス化といったようなことから広域化あるいは国際化、そういうような問題が進んでおりまして、例えば銃器による犯罪であるとか、かなり高度な科学技術を展開する犯罪といったようなものが発生をしているというのが現状でございます。特に一連のオウム真理教事件一般市民に対する非常に激しい引き続いた銃器犯罪など、国民の不安を一層高めるような事件が多発していることは重大なことであると認識をいたします。こういった犯罪の質的変化に備えて、我々は捜査環境を一層点検、調査いたしまして、的確に警察が対応できるように万全の努力を期してまいりたいと思っております。
  32. 松村龍二

    松村龍二君 総理府が本年六月に調査をいたしました「けん銃等の銃器問題に関する世論調査」の結果が今月九日に公表されました。それによりますと、最近銃の規制や銃を使った犯罪情勢が悪化していると答えた国民は八割を超えており、銃器問題に対する警察の取り組みが十分でないとする人が五三・六%と五割を超えており気になるところでありますが、この世論調査の結果を警察庁はどのように受けとめているか伺っておきたいと思います。
  33. 中田恒夫

    説明員(中田恒夫君) お答えいたします。  ただいま委員指摘の内閣広報室が実施されました世論調査でございますけれども、公表されて私どもも拝見しておるところでございまして、この結果につきましては、今数字を御紹介になりましたが、大変厳しい数字が出ております。国民の方々が現下の銃器情勢を極めて深刻に受けとめておられる、そして警察を初めとする取り締まり担当機関にさらに強力かつ効果的な銃器対策を切望しておられる、その気持ちのあらわれだというふうに受けとめておりまして、私どもとして真摯に受けとめ、御期待にこたえるべくやらねばならぬと考えておるところでございます。  私どもといたしましては銃器問題につきまして、発生した事件につきましては迅速にこれを解決することはもとよりでございますけれども、社会に潜在しておりますけん銃その他の銃器の摘発等、その回収ということのための取り締まりの強化につきまして先般来さらに協議を重ねておりますところでございますので、関係省庁の御協力も得て組織の全力を挙げて取り組みをいたしまして国民の不安感の除去に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  34. 松村龍二

    松村龍二君 けん銃の問題につきましては、また詳細順を追って伺ってまいりたいと思います。  昨今の治安の問題を考えますときに、オウム事件の問題を抜きにして語れないわけであります。また、警察の捜査力に対する信頼といった問題もあろうかと思います。まず、オウム事件について一つ伺っておきたいと思います。オウム真理教幹部によります数々の事件、とりわけその原点と言われる横浜の坂本弁護士一家の殺害事件に関連して伺います。  神奈川県警が平成元年に発生した事件を粘り強く捜査しておった、またその後の警視庁との合同捜査によりまして、坂本さん初め御家族の遺体が新潟、富山、長野の草深い山中から発見されまして、最後には龍彦ちゃんが数日にわたる水の中の大変な捜索活動により発見されるという大変悲痛な現実を前に言葉もないわけでありますけれども事件解明に大きく進んだことは多とし、捜査に当たられた関係者の御労苦には感謝いたしたいと思います。それとともに、坂本さん御一家を初め、昨年六月の松本サリン事件、本年三月の地下鉄サリン事件、あるいは教団の中で犠牲になられた多くの人々の御冥福を心からお祈り申し上げたいと思うのであります。  私も最近まで警察に身を置いておりましたことから、事件捜査に当たる警察官の日夜を分かたぬ御労苦と努力というのは、ぜひ多くの国民に知っていただきたいと思います。しかし一方、オウム事件の初期捜査、その後の疑惑について事件性を見抜き、もっと積極的な連携捜査が行われていたなら、サリン事件を初めとするオウムの暴走を防ぎ得たのではないかという国民の声があるのも事実だと思います。また、警察庁長官が記者会見の中でも述べておられますけれども国民の間にアメリカのFBIのような、全国を横断的に捜査するような捜査機関というものが必要ではないかといった声もしばしば耳にするところでございます。  批判は謙虚に受けとめ、オウム事件の教訓を今後の警察組織の改革に生かしていくことこそが国民の負託にこたえる道であると思いますが、オウム事件を振り返りまして、深谷国家公安委員長の御所見をいただければありがたいと思います。
  35. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 坂本弁護士一家の御遺体が発見されたときに、私は余りにも無残な姿に激しい憤りを感じました。そして、心から御冥福をお祈り申し上げるとともに、こういう事件が再発をしないために全力を挙げるべきだと深く肝に銘じたわけでございます。  坂本弁護士事件に関しましては、関係当局から、関係者から何度も今日までの経緯を私は問いただしてまいりました。初期の段階から全力を挙げて捜査本部をつくり、努力をしてきたことは間違いがありません。ただ、極めて物証が乏しいということから、多岐にわたる捜査を丹念に行う必要があるといったようなことで、被疑者を検挙するまでに五年の捜査を要したというふうに報告を受けております。  犯罪捜査は、もう私から申し上げるまでもないことでありますが、何といいましても証拠に基づき事実を一つ一つ積み重ねていく、今日まで警察官、関係者が丹念に努力をしてきたそういう努力の積み重ねで答えを出していくということで、これからもそのような努力を重ねてまいるわけでありますが、初期の捜査というものが極めて重要であるという問題については私もまったくそのとおりだと考え、これから教訓とすべきものがありましたらこれをきちっと取り入れていくということは大事なことだというふうに思います。  また、アメリカのFBIのような存在が必要ではないかという御指摘もございました。アメリカの場合には郡というのが極めて独立した形になっているものでありますから、そういう意味では連邦制度に対する対応としてFBIというのが存在するわけでございます。我が国とは若干そういう状況が異なっているとは思います。ただ、昨年の警察法の改正によりまして、例えば二つの地域にまたがる犯罪の場合にそれぞれが協議をいたしておりましたのを、これからは指揮を統一してやっていけるというような形になったものでありますから、そういう意味では広域的な捜査についても連係プレーあるいは統一的な指揮というものが可能になってまいったというふうに考えます。  日本といたしましても、この広域捜査については都道府県警察の自主性と治安責任を尊重するということを基本にしながらも、犯罪を防止し、犯人検挙に徹底して取り組むためにはそれぞれの機関の全面的な協力が必要であると、そういう体制ができるように指導してまいりたいと思っております。
  36. 松村龍二

    松村龍二君 ここに読売新聞の「論点」というので日本大学の教授が書いておりますが、「日本社会が世界でもまれな「安全な国」から、なぜ急速に「不安全環境」に変わってしまったのか。主な理由は二つ考えられる。」、この先生のおっしゃることです。一つは、暴力団対策法施行によって、従来の資金源に頼れなくなった暴力団や、総会屋、一部の右翼などが、追い詰められて企業を狙うようになったこと。 もう一つは、暴力団関係者が新たな資金源確保のため、一般へも短銃を売却するようになった」ということを指摘しております。「残念ながら日本も、銃汚染社会への道をたどりつつある。」とこの「論点」で述べておるのであります。  従来、けん銃を使った犯罪は暴力団抗争及びその周辺での事犯が中心であったのでありますけれども、近年は企業の幹部や政治家、報道機関をねらったもの、あるいは一般市民に直接銃口が向けられる事件が続発しておりまして、国民を非常に不安な気持ちにさせております。警察庁からは、最近のけん銃を使用した犯罪事件の現状、その特徴、その検挙件数の状況について簡潔に御説明をいただきたい。最近は暴力団以外の者によるけん銃事犯が増加しておりますが、その内訳についても御報告をいただきたいのであります。
  37. 中田恒夫

    説明員(中田恒夫君) お尋ねについてお答え申し上げます。  本年に入りまして、昨日まででございますけれど、けん銃等の銃器が発砲されました事件の数は百二十四回を数えておりまして、その中で二十八人の死者を見ておるわけでございます。銃器が発砲されました事件の回数自体、今委員指摘のとおりでございまして、暴力団の対立抗争というものが激化しておりました昭和六十年前後に比べると現在は減少はいたしておりますものの、問題はその内容でございます。  それで、ここ数年、銃器発砲全体の中で暴力団の対立抗争以外の発砲が相対的にふえておるわけでございます。銃口が御指摘のように市民生活なり企業活動なりあるいは政治・言諭活動に向けられることが多くなっているわけでありまして、特にこの数カ月では一般市民が銃弾の犠牲になるケースが目立っております。もう御案内のとおりでございますが、八王子市内のスーパーマーケットの女性三名被害に係ります強盗殺人事件、あるいは東京中野区のパチンコ店の売り上げをねらった強盗致傷事件、あるいはつい先日起こりました横浜市の釣り具店の売り上げをねらった路上強盗殺人事件ということで、けん銃を使用した凶悪な事件が続いておるというところが特徴でございます。  また、けん銃使用犯罪の本年の大きな特徴ということでさらに申し上げますと、現実にけん銃を発砲しての凶悪事件の中でも特に強盗事件でございますが、これの多発でございまして、昨年は一年間で十二件の発生でございました。一年間で十二件でございますが、本年は昨日までで既に十四件の発生を見ておるわけでございます。そしてその死傷者も、死者四名、負傷者八名でございまして、死傷者十二名に上っておるということで大変国民に大きな不安を与えておるところだろうと思います。  なお、お尋ねでございました本年発生いたしました、先ほど百二十四件の銃器の発砲事件があると申し上げましたが、懸命に努力はいたしておりますが、現在その百二十四件中検挙した事件は四十六件でございまして、なかなか検挙が困難化しておる実態にございます。  また、あわせてお尋ねでございました暴力団以外の者によるけん銃事件内容についてはどうかというお尋ねであります。必ずしも的確な数字を持ち合わせないわけでございますけれども、けん銃事犯ということについて、けん銃事犯という一般的な概念だと思いますが、例えばそれを使用した犯罪の側面ではどうかというように見る場合と、あるいはまた不法に所持していたり密輸していたりして、それが摘発、押収されるその丁数ではどうなるかというような二つの指標みたいなものをとって申し上げますと、一つはまずけん銃などを使った犯罪という面でございます。  その一つとして、銃器の発砲事件の発生状況については、今申し上げましたとおり暴力団同士の対立抗争に伴う発砲事件、つまり暴力団が暴力団に目がけて撃つというケースでございますが、これが年々減少の一途をたどっているというような傾向があること。  そしてまた、銃器を使用した犯罪というものはいろんな形態のものがあるわけでございますが、その全体について見ますと、検挙されなければだれが撃ったかということは必ずしもわかりませんので、発生した事件ということじゃなくて検挙された事件のベースで申し上げますと、暴力団以外の者による事件の比率が相対的に増加しつつあるということは言えるわけであります。こういったことから、暴力団以外の者によりますけん銃事犯というのは逐年増加傾向にあるということは言えようかと思いますし、さらに事件の質を見た場合、最近発生を見ておりますこうした暴力団以外の者によります事犯というものがふえつつある。そして、それも社会の耳目を引くようなものがふえつつあるという印象を濃くするわけでございます。  それからもう一つの指標でありますけん銃の押収数の問題がございます。この観点から見た場合でございますが、暴力団以外の者からけん銃を摘発、押収したケースでございますが、かつては全体の押収数の中でほんの数%、一けたでございました。ところが、平成二年ころを境といたしまして急激にこの傾向は変わってまいりまして、押収する丁数、そしてまた全体の押収数に占める暴力団以外の者からの押収数、比率でございますけれども、これはともに激増しておりまして、昨年は丁数で五百五丁、全体の押収数の二八・九%に達しております。本年も八月末現在で二百九十丁でございまして、全体の二五・六%を占めております。三分の一ないし四分の一は暴力団ではない者から出ておるということでございまして、けん銃の一般社会への拡散という傾向が如実にあらわれてきておるということかと思います。
  38. 松村龍二

    松村龍二君 私は、議員になる前ある防犯研究の財団にいたわけでございますが、その間ヨーロッパ、アメリカ等の、あるいはアジア等の治安実情の視察もしてまいりました。イギリスとかオランダとか余り国の名前を特定してはあれでございますけれども、窃盗事件というようなものは日本に比べて本当に比較にならないほど多いわけですが、スラム街等を歩いておりましても案外安心感がある。これは何でだろうかということを私なりに考えましたところ、やはりそれらの国において銃器の規制が厳しい、銃を持ってないということを確信できるために案外スラム街を歩いていても安心できるといった経験をしたわけであります。  けん銃の押収というのは、先ほど来お話がありましたように、暴力団が既に保有している、暴力団から流れるけん銃を摘発するといった問題と、もう一つは、やはり日本のけん銃が国内で生産されていない以上、密輸によるものである、水際でこれを阻止するということが大切であろうかと思います。  水際の阻止の問題について幾つかお尋ねしたいと思うわけでありますが、平成七年の警察白書を見ますと、けん銃の押収丁数は毎年伸びておりますが、そのうち密輸入によるものは押収丁数全体のわずかであります。例えば平成四年は一・九%、五年、六年は三%台であります。外国からの密輸けん銃が国内供給の大半であることを思えば、これは水際での阻止が十分でないことを示していると思われますが、なぜ密輸入による押収丁数がこれほど少ないのか、その原因を分析してあれば説明いただきたいと思います。
  39. 中田恒夫

    説明員(中田恒夫君) お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、昨今密輸によります銃器の摘発押収丁数は必ずしも十分とは言えない実情にございます。  このようなけん銃の密輸入の摘発が水際でなかなか困難になっておるということの原因として、私ども考えておるところを推測を交えて若干申し上げますと、四点ほど申し上げますと、例えば一つは、昨今国際的な物流の増大と出入国者の増加という問題がございます。飛躍的に伸びておるわけでございまして、入国あるいは入港時におきます検査が困難化してきておるわけでございます。特に海港でございますが、ここを利用して輸入される貨物、カーゴの検査の困難化については特に著しいものがあるということは例えば一つ挙げられることと思います。  それからまた、密輸入する際の方法でございますけれども、家具の中あるいは自動車のタイヤの中、各部品の中というようなところへ例えばけん銃を隠す、あるいはさらに部品に分解して隠すというようなことで、けん銃の隠匿方法というようなことが非常に進んでおります。あるいは国際郵便の悪用というようなことがございます。部品に分解して個別に送るというようなこともあります。大変密輸の方法が巧妙化しているというようなことが二点目。  また三つ目には、従来からけん銃の製造国ないし密輸出国と言われておりましたのは、例えば米国、タイ、フィリピンあたりでございます。しかし、昨今ではこの密輸ルートが非常に多様化しておるということでございまして、ロシア等も挙げられますし、さらに先般南アフリカの例も摘発を見ておるところでございまして、密輸入のルートが多様化する傾向にある、もうあらゆる国から入り得るということになっておるということでございます。  四点目に、我が国は大変海岸線が長うございます。そういうことで、小回りのきく漁船などを利用いたしまして、開かれていない港、不開港でございますが、こういうところに持ち込んでみたり、あるいは洋上で積みかえを行いまして、その積みかえた漁船を悪用するようなケースもふえておるやに聞いております。大量に出入国する漁船等をチェックするのはなかなか難しいというような、このような点が原因、要因であろうかというふうに考えておるところでございます。
  40. 松村龍二

    松村龍二君 ただいま、当然のことながら日本が島国でありまして広い海岸線に囲まれておるということが捜査を難しくするというお話でございましたが、関係する官庁にそれぞれ伺いたいと思います。  まず海上保安庁、海岸線が長く複雑な地形にある我が国でけん銃の水際阻止はなかなか困難な課題があると思いますが、海上保安庁で考えている効果的な対策があればお示しいただきたいと思います。
  41. 淡路均

    説明員(淡路均君) 委員お尋ねの件でございますが、海上保安庁としましては、けん銃を水際で効果的に摘発するということのために、けん銃が流出するおそれのある国から入港する船舶に対しまして、国内の関係取り締まり機関とも協力しつつ、現在徹底した立入検査等を行っているところでございます。また、けん銃を水際で効果的に摘発するためには情報収集の強化ということがまず重要かと思います。その次といたしまして、海上保安庁としては容疑船の監視、追尾による陸揚げ地の特定が重要であるというふうに考えております。  情報収集の強化策でございますが、巡視船艇、航空機を洋上取引の行われる可能性の高い海域に重点的に配備して警戒、監視に当たる、今後も強化していくということのほかに、海運、港運、水産関係団体、海事関係者、漁業関係者等から不審情報を収集する、あるいは離島とか不開港等の住民からの情報収集、国内の取り締まり機関との情報交換、海外の取り締まり機関との情報交換といったような情報収集をこれまで以上に積極的かつ強力に行うこととしております。  次に、このように収集した情報をもとに容疑船の絞り込みを行いまして、海上保安庁が保有しております三百五十四隻の巡視船艇、七十機の航空機等を効率的かつ広域的に運用して、水際において容疑船の徹底した取り締まりを行うこととしております。  いずれにいたしましても、けん銃等を水際で効果的に摘発するため、海上保安庁では今後とも巡視船艇、航空機の機動力、夜間監視能力の向上を初めとする体制の強化に努めてまいりたいというふうに考えております。
  42. 松村龍二

    松村龍二君 次に、税関に伺います。  空港におきます税関の御活躍は、一億海外旅行へ行くといった時代でございますので、国民の国にその活動ぶりはよく触れておるところでございまして、御労苦は多とするわけでございますが、このような活動におきましてけん銃等の押収等の成果がどれほどあるのか、また問題点ほどのようなところにあるのか、お伺いしたいのであります。  また、最近は分解して持ち運べるプラスチック製の短銃のようにエックス線や磁力計による金属探知が困難なけん銃も出回っているということも言われますが、このようなことは水際での阻止をさらに難しくさせております。そこで、税関での探査装置、特に高性能のエックス線装置の設置は緊急の課題ではないかと思いますが、今後の整備方針について伺いたいと思います。  また、あわせて伺いますけれども、私は昭和五十年ごろバンコクの日本大使館に勤務しておりまして、そのころ時々けん銃を日本に飛行機を使って密輸出するような者が捕まった時代でございました。しかし、これはぬいぐるみの木綿製のカメのおもちゃにけん銃を忍ばせて運ぶといった非常に牧歌的といいますか素朴な事件でございましたけれども、昨今これだけ物流が盛んになりますと、一般商業貨物に紛らせてそういうものを運ぶ、禁制品であるけん銃を運ぶといったことになるのではないかと思いますが、税関におかれましてはこの一般商業貨物のチェックという点についてどのように取り組まれるのか、取り組まれているのかもお伺いしたいと思います。
  43. 塚原治

    説明員(塚原治君) お答え申し上げます。  税関におきましては、けん銃の水際での流入阻止を最重点課題の一つとして取り組んでおります。全国の海港、税関空港におきまして、商業貨物、旅客、乗組員の携帯品、船舶、航空機などに対しまして効果的、効率的な取り締まり・検査に努めているところでございます。  具体的に申し上げますと、税関に要請されております適正かつ迅速な通関、これを確保するために、今までの摘発の実績あるいは各種の情報などに基づいて重点的に取り締まり・検査の対象を絞り込み、取り締まり・検査の要員あるいは取り締まり・検査機器、具体的にはエックス線検査装置、金属探知器などでございますが、これらを集中的に活用した取り締まり・検査に努めているところでございます。  その成果はということをお尋ねでございますが、けん銃の水際取り締まりに対する社会的要請がますます強くなっている中ではございますが、税関における昨年のけん銃押収量、七十八丁でございます。国内押収量に占める割合は四・五%と依然として低い水準で推移しております。    〔委員長退席、理事大木浩君着席〕  国際化の進展に伴いまして商業貨物や入国旅客数などは年々増加しております。税関に要請されております適正な通関と物流の迅速化、この二つのバランスをとり、限られた職員ですべての外国往来船、輸入貨物などに取り締まり・検査を行うことはおのずと限界がございます。このため、より効果的、効率的な取り締まり・検査を行うために、けん銃専担班の設置などによる情報収集体制の強化、必要な要員の確保、埠頭監視カメラシステム及び移動式高感度監視カメラシステムを駆使いたしました高度情報港湾監視システムの導入並びにエックス線検査装置の増配備、これらを現在検討しているところでございます。  お尋ねのございましたプラスチック製けん銃でございますが、プラスチック製など非鉄製のけん銃につきましては、御指摘のように金属探知器に反応いたしません。したがいまして、各税関に対しましてはエックス線検査装置を有効に活用するよう指示しているところでございます。なお、現在までのところ、税関におけるプラスチック製等非鉄製のけん銃の摘発はございません。  それからエックス線の問題でございますが、先ほども申し上げましたように、エックス線検査装置あるいは金属探知器などの取り締まり機器の積極的な活用が必要であると認識しておりますが、エックス線装置につきましては、固定式エックス線検査装置の増配備のほかに、遠隔地における検査をも可能といたしました車両搭載型の移動式エックス線検査装置、これらの装置も導入を進めてきたところでございます。けん銃事件が多発している現状を踏まえまして、これまでにも増してこれらの装置の増配備に努めていきたいというふうに考えているところでございます。  それから、お尋ねの一般商業貨物の問題でございますが、一般商業貨物に隠されてくるけん銃の水際阻止につきましては、各種の情報を蓄積いたしました通関情報総合判定システム、CISと申しておりますが、それを現在活用いたしまして、けん銃が入っている可能性の高い貨物、低い貨物、これらを選別いたしまして、けん銃の入っている可能性の高い貨物につきましては重点的な検査を行う一方、そういった可能性が低いものについては極力検査を省略するという選別的な検査を実施しております。このようにして全体としてのチェック機能の重点化、集中化を図ることといたしております。  もう少し具体的に申し上げますと、検査対象となりました貨物に対してエックス線検査装置、金属探知器等の機器を有効に利用して検査を行うとともに、必要に応じて貨物検査を集中的に行う検査専担班による重点的な検査を実施しております。また、保税地域管理者などからの通報体制を強化いたしまして、これらの情報に基づく保税地域からの貨物の搬出搬入時の立ち会いあるいは開披検査、これらを積極的に実施いたしております。これらによりまして商業貨物の水際取り締まりを強化して、けん銃の流入阻止に努めているところでございます。
  44. 松村龍二

    松村龍二君 一般商業貨物と並びまして、国際郵便を利用するということも当然に考えられることかと思います。これも昨今非常に膨大な最に上っているのではないかというふうに思いますが、国際郵便を利用したけん銃の密輸入に対処いたしまして郵政省はいかなる方策を考えているか、伺いたいと思います。
  45. 安住透

    説明員(安住透君) 外国から到着した郵便物は、税関職員が駐在する通関郵便局、全国に十四局ございますが、ここにおいて物品含有の郵便物を郵便局から税関に呈示し、税関により検査が行われる仕組みになっております。郵政省としては、本件につきましてこれまで税関の検査に最大限協力するとともに、関係国に個別に文書を発出し、引き受け検査の強化等国際郵便物を利用したけん銃等の密輸防止について協力要請を行っているところでございます。  今後とも、大蔵省と連携を密にして国際郵便物を利用したけん銃等の密輸防止を図っていく所存でございます。
  46. 松村龍二

    松村龍二君 それから最後に法務省に伺っておきたいんですけれども、法務省というのは出入国の管理を適正に行うということかと思いますけれども、このような時代、やはりけん銃の密輸に関係する人間をあぶり出す、あるいは警察当局、治安当局と密接な連絡を保つということがこのけん銃捜査に資する方法ではないかと思いますが、法務省のお考えを伺っておきたいと思います。
  47. 小林域泰

    説明員(小林域泰君) 入管当局は銃器そのものの取り締まりを行政対象としているわけではございませんが、銃器によります犯罪の防止の観点から、入管といたしましても航空、船舶の旅客等に対します水際対策の強化の重要性は十分認識しているところでございます。  ところで、入管法上、外国人が我が国に入国しようとする場合におきますと、銃砲刀剣類所持等取締法に定めますところの銃砲もしくは刀剣類、または火薬類取締法に定めます火薬類を不法に所持する者に対しましては上陸を認めないということになっております。この趣旨にかんがみまして、入国審査手続におきましてこれまでにも警察等関係機関から銃の密売人の入国に係ります情報が事前に提供されたときには関係機関とも連絡をとり合いまして不法に銃器を我が国に持ち込もうとする者の上陸を防止するよう努めてきたところでございますし、今後も銃器犯罪の我が国に及ぼす影響の重大性にかんがみまして、警察等関係機関との情報交換等連携を一層密にするとともに、厳格な入国審査を実施し、かかる外国人の上陸の防止に努めてまいる所存でございます。  また、日本人が帰国する際に銃器を持ち込むということも考えられるわけでございますが、日本人が帰国した際には入管法上は帰国の確認を受けるにとどまりまして、外国人密売人のように上陸を防止するということはできない形になっておりますが、警察等関係機関から、警察等が銃の密売人としてマークしている暴力団等日本人に係ります入国情報が事前に提供されましたときには、不法に銃器が我が国に持ち込まれることのないように、これらの者が帰港したことを関係機関に速やかに連絡することにしているところでございます。
  48. 松村龍二

    松村龍二君 けん銃の取り締まりには、警察、入管、税関、海上保安庁などとの連係プレーが重要であることは言うまでもありません。最近は漁船を使ったけん銃の密輸事件も発生しており、水産庁あるいは漁業関係者との情報交換も重要であると思います。また、薬物事犯とけん銃事犯は暴力団が関与しておって相関関係にあるということで厚生省の連携も重要であろうと思います。今月八日には二度目の関係閣僚会議が開かれたようでありますが、けん銃対策に関する省庁間の協力体制を今後どのように進めていくのか、また警察自体においてもけん銃に対する専門の捜査機関を拡充強化して銃規制の中核としての役割を果たすべきと考えますが、深谷国家公安委員長から御所見をいただきたいのであります。  あわせて、これは私の長年の持論なんでございますけれども、先ほども質問いたしましたように、入管と警察というのは密接に連携を保つ、まあ現在も保たれていると思いますけれども、より密接に連携を保つということが重要ではないかというふうに思うわけです。諸外国では警察局というようなところにイミグレーションが属しているような国もあります。外国人の不法入国の問題もそうでありますけれども、入管行政、適正な出入国を管理するということの裏にはやはり治安ということが十分に関連している必要があると思うわけです。  そこで、警察と入管の情報交換がどの程度行われているかということにつきまして、私は、幹部クラスあるいは現場の中堅幹部を含めまして、警察と入管との人事交流が行われているのかなと。これは総務庁長官の所管することかとも思いますけれども、やはり人事交流を行って相互の信頼を高めていくということが今後のけん銃対策の上でも必要ではないかと思いますが、この点につきまして深谷大臣、法務省、総務庁長官のお考えを承りたいと思います。
  49. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) けん銃を水際で流入を防止するということは極めて大事でございまして、ただいまそれぞれのお役所の方からお話があったように、大変各省庁にまたがる仕事が多うございます。  そこで、私どもといたしましては、関係閣僚会議というのを既に二回開催いたしましてこれらの徹底を図るとともに、旧来でございますと各省庁連絡会議というのがございまして、それは内政審議室長が議長になっておりましたものを、今度は銃器対策推進本部と名称も変えまして、本部長には官房長官が就任をする。つまり、格上げをいたしますとともに、徹底して協力作戦が展開できるようなそういう状態をつくり出したところでございます。  また、先ほどもお話がありまして、若干私どもと見解が違う部分はありますけれども、諸外国はどちらかというと銃器に対しての許可が甘いといいましょうか、所持を許している国々が非常に多うございます。日本のように銃器を禁止している、携帯を禁止している、一部を除いてはですね、それは韓国と台湾ぐらいなものでありまして、他の国々はむしろ人権を守るために銃器を所持することが認められているというケースがございます。ですから、密輸でけん銃が入ってくる場合に、そういう国々が日本の仕組みを理解をして協力をしてくれるという点において若干の温度差があるような感じがいたします。  ですから、私どもは、この秋に向けて国際会議ども開きまして、世界各国の協力をぜひ仰ぐようにその理解と協力体制を高めていきたい。さらには、銃器摘発のためには国民全体の情報あるいは協力というものが必要でございますから、ぜひひとつ国民大会のようなこともやらせていただきたいと、そのように考えているところでございます。  また、ただいま御指摘のございました警察と入管の人事交流の問題については、先生の御意見まことに適切な部分もございますけれども国家公務員地方公務員という立場の違い等々がございまして難しい問題はありますが、検討をさせていただきたいというふうに思っています。ただし、職員相互の意思の疎通あるいは入管と警察との情報交換、これらについては今日も十分行っているということをつけ加えさせていただきます。
  50. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 昨年の十二月に省庁間の人事交流について方針が決まったわけでありまして、若手の職員については本省の省庁課長になるまでに二回以上他省庁あるいは国際機関等の勤務をさせるようにという方針も決まっております。その他、細々しく決まっておるわけでありますが、御指摘のことについては、法務省と警察庁当局とよく御相談いただければ、これは解決できるということであろうと考えておりますので、両省間の協議にゆだねたいと、こう思っております。
  51. 小林域泰

    説明員(小林域泰君) 先生から御質問のありました警察と当局との情報交換についてまず御説明させていただいた後、二点目の人事交流の関係について御説明させていただきます。  まず、警察と当局との情報交換につきましては、先ほどお話ししましたような出入国審査あるいは退去強制手続など、当行政事務の過程の中でけん銃等の銃器を発見したりあるいは密売人などに関します情報を入手した場合には、警察等にも速やかに情報提供を行っているところでございます。本年もこれまでに密売人やけん銃所持の外国人に関する情報を三件ほど提供しておりますし、今後ともこの種情報を入手した場合には積極的に情報提供をしたいと考えますし、警察等関係機関からもこの種情報があった場合には適切迅速な対応をしていきたいと考えているところでございます。  続きまして、人事交流の件でございますが、当局の行政の遂行のためにいろいろ関係行政庁との人の交流というのは重要であると認識してございます。当局といたしましても、警察との緊密な連携の強化等を図るために人事交流の実現可能性について検討をしてまいりたいと考えております。  入管行政、今いろいろな問題を抱えておりますが、こういう人事交流のみならず、現在入国警備官を警察大学校の長期の研修に参加させておりまして、こういう観点からもいろいろと警察との意思の疎通を図りたいというふうに考えているところでございます。
  52. 松村龍二

    松村龍二君 けん銃の問題はそれぐらいにいたしまして、通告の質問の順番を変えまして、警察官の定員増の緊急性についてお伺いします。  我が国が国際化し、また経済活動の活発化による二十四時間社会となってきている一方、地域社会あるいは都市空間で人と人とのつながりが薄れてきており、これは治安の悪化を生む要因となっておりまして、犯罪の増大と交通事故の増加をもたらしております。後で交通情勢について御質問したいわけですけれども、そのような情勢も踏まえまして御質問するわけでございます。  けん銃犯罪だけでなく、最近の治安の急激な悪化は我が国の将来に大きな問題を投げかけており、これを今防いでおかなければ大変なことになると心配いたします。安全の確保は国家、社会の基盤であり、これに対する投資を怠っては将来に禍根を残します。その意味で、最近の犯罪情勢等を考えますと、臨調・行革で据え置かれている警察官の定員及びその配置の不均衡は見直すべきではないか、増員をぜひ実現していただきたいのであります。  日本の警察官一人当たりの負担は、全国平均五百六十人である。また多いところでは八百人。一人当たりの警察官がその県では八百人の県民を負担しておる。これが案外首都圏の中にもそのような県もあるわけでありまして、私もかねてそのような県の責任者であったこともあるわけでございます。これを欧米の平均三、四百人の負担並みにするとすれば、計算をしてみましたところ、八万人の増員が必要である。四百人並みにするとすれば八万人の増員が必要である。一人当たり三百人の負担にすれば幾らかというのは、ちょっと数字が恐ろしくて私は計算しませんでしたけれども、八万人の増員が必要であるということになるわけであります。  ここまで実現しないにいたしましても、やはり昨今の犯罪情勢等を、また交通事故等を考えますときに、警察官の定員増ということは緊急の課題であり、行政の簡素合理化とは同列に論じるものではないと考えますが、深谷大臣の見解を伺いたいと思います。
  53. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 国民の安全を守る最大の課題対応していくためには、しかるべき人員配置というのは必要なことであることは申すまでもありません。  振り返ってみますと、この十年、千人単位の警察官の増員というのは全くなかったわけでございます。特にこの四年間は著しく増員がない状況にあります。私は、今日の情勢を考えて、平成八年度においては三千五百人の警察官の増員を警察庁の諸君と相談しながら要求するという方針ております。  それから、ただいまお話のありましたかなりの数につきましては、警察官は、もう先生御承知のように、採用して直ちに警察官になれるわけではありませんで、さまざまな教育課程を経てまいらなければなりません。そういう受け入れ体制を考えましても一遍に極端に募集することは不可能でございまして、八年度には三千五百、その後も充足をいたすために全力を挙げてみたい、そう思っております。
  54. 松村龍二

    松村龍二君 それでは、交通事故対策に関する質問をいたします。  第五次交通安全基本計画が平成三年三月に策定されまして、本年はその最終年度に当たっております。そこで、第二次交通戦争と言われる最近の状況を振り返りまして、関係省庁に幾つかお尋ねをしてみたいと思います。  第五次基本計画では、年間死者数を一万人以下にすることを大きな目標としておりました。しかし、昨年まで七年連続で交通事故による死者は一万人を超えており、平成五年、六年は前年の死者数を下回り、やや減少の兆しか見られますが、現在のペースから考えてことしもその目標達成は難しそうであります。第三次及び第四次計画で年間死者数を八千人以下とすることを目標にしながらいずれも未達成に終わっておりまして、ことし年間死者数一万人以下が実現しないなら三回連続して目標を達成しないことになるのであります。今、死者の数について申し上げましたが、交通事故の件数及び負傷者数は平成二年以降毎年増加しており、これまた深刻な状況にあります。  交通事故対策は、言うまでもなく関係省庁挙げて総合的施策の推進が必要であり、総務庁警察庁、運輸省を初めとして全力で取り組んでいただいていることは私も承知しておりますが、五次計画の未達成の現状についてどのような御所見をお持ちか、今後の対策を含めて関係省庁からの答弁をいただきたいと思います。
  55. 井野忠彦

    説明員(井野忠彦君) 昨年中の交通事故死者数は一万六百四十九人でありまして、委員指摘のとおり二年連続して減少いたしましたけれども、依然として一万人を上回っております。また、ことしも既に九月十一日に死者が七千人を突破いたしまして、このまま推移いたしますと目標の一万人を上回る状況にありまして、五次計の目標達成は極めて厳しい状況にあると私どもは認識しております。  ここ数年の交通事故の特徴といたしまして、一つは高齢者の死者数が急増しているということ、もう一つは自動車乗車中の死者のうちシートベルト非着用者が依然として高い割合を占めておるということがございまして、交通事故死者数の減少のためにはこれらへの対策が重要であると認識しております。    〔理事大木浩君退席、委員長着席〕  ちょうどあすから秋の全国交通安全運動が始まります。このため、この運動におきましては高齢者の事故防止とシートベルトの着用の徹底を重点目標といたしまして、全国各地できめ細かい活動を展開することとしております。総務庁におきましても、高齢者に対する交通安全教育、官民一体となったシートベルト着用推進キャンペーンなどを実施しまして、事故防止を図っていくこととしております。
  56. 田中節夫

    説明員(田中節夫君) ただいま委員指摘の第五次交通安全基本計画、平成七年までに年間の死者数を一万人以下にということでございましたが、ただいま総務庁の方からも御説明がございましたけれども、昨年と比較いたしまして現時点で若干は減少しておりますけれども、このまま推移いたしますとこの目標達成は非常に厳しい状況にあるというふうに認識しておるところでございます。  このような状況の背景といたしましては、車両の保有台数や運転免許保有者数がふえたということ、それからまた社会の高齢化というような事情があるものというふうに考えております。  このような状況に対応いたしまして、関係省庁、関係機関あるいは民間団体と協力していろいろな施策を進めておりますけれども、何といいましても死亡事故を抑止し安全で快適な車社会を実現するためには、道路交通社会の主人公であります国民皆さん一人一人がより高い交通安全意識を持ち、より適切な交通行動をとっていただくということが何よりも大事であるというふうに考えております。  私どもといたしましては、関係省庁とも協力しながら交通安全教育、指導、取り締まり等を通じましてこうした国民皆さん自身の活動を支援し、残された期間、年間の死者数を一万人以下に抑えるべく最大限の努力をしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  57. 森良夫

    説明員(森良夫君) 御説明申し上げます。  道路事故につきましては、年間の死者が先ほどから申されておりますように一万人を超える状態が続いておるわけでございまして、運輸省といたしましてもこういう状態を改善する必要があるということを強く認識しているわけでございます。  このために、現在行われております第五次交通安全基本計画、これを踏まえまして事故原因の調査、究明体制充実する、あるいは安全基準の拡充強化を図りまして車両の安全性を確保する、自動車運送事業者に対する安全運行の確保指導等の施策を引き続き推進してまいることにしております。  また、来年度から、平成八年度から次期の交通安全基本計画が始まりまして、それの策定作業を今やっておるわけでございますが、こういうものに積極的に参加をいたしまして、関係省庁とも連絡しつつ、事故防止等の観点から必要な施策の推進に鋭意取り組んでまいる所存でございます。
  58. 大石久和

    説明員(大石久和君) 建設省といたしましても先生御指摘の状況は非常に厳しく認識しておるところでございまして、先ほど来事故の概況の説明がございましたように、高齢者事故の急増でありますとか、あるいは夜間事故のシェアが高いこと、あるいは多発地点での事故集中傾向が相変わらずなくならないこと等、厳しい状況だと認識いたしております。  このため、建設省といたしましては、事故並びに事故死者削減を効率的に図るためのより科学的な調査分析に基づく施策の集中的実施、さらには高齢者等が安心して歩ける良好な空間を確保するための歩行空間の面的整備、多様な地域、多様な人々の安全を確保するため、利用者の視点からの安全への取り組み等に重点を置きまして、緊急に対処すべく、交通安全施策の展開を関係省庁と連携を密にしながら進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  59. 松村龍二

    松村龍二君 交通事故の増加は、我が国の経済活動、産業活動の活発化と国民生活の夜型化に伴う道路交通の量的拡大、質的変化に影響されていると思いますが、施策と相まって国民の意識改革ということも大切であると思います。交通安全白書を読んでみますと、シートベルトの着用率が昭和六十二年、六十三年ころに比べますと相対的には低下傾向にある。  また、八月十日、私が当選して間もなくでありますが、神奈川県山北町の東名高速道路で最大積載量二・七五トンのトラックが二倍近い荷物を運んで観光バスに追突して、静岡県の小学生ら四十四人が死傷するといった痛ましい事件がございました。これは大阪の運送会社の車でありましたけれども、会社ぐるみで過積載を行っていた疑いがあるのであります。過積載の問題については、ダンプカーを中心にこれまで取り締まりの強化が図られていますが、これが後を絶たないのは、交通労働者だけでなくて交通産業の経営者の意識にも大きな問題があると思います。  高速道路における大規模な死傷事故を防ぐための最重点課題として過積載の問題、シートベルトの着用励行の問題があろうかと思いますが、この問題につきましては、特に三トン未満の過積載の問題について運輸省、また過労運転及び労働安全の面について労働省から、御所見と対策をいただきたいと思います。
  60. 福本秀爾

    説明員(福本秀爾君) お答え申し上げます。  貨物自動車運送事業につきましては、平成二年の十二月から新規参入につきましては免許制から許可制へ、あるいは運賃につきましては許可制から事前届け出制にするなど、いわゆる経済的規制につきまして大幅な緩和を行ったところでございます。しかしながら、過積載の禁止あるいは過労運転の防止等の社会的な規制につきましては、国家試験に合格した者を運行管理者として選任しなければならないとする義務づけや貨物自動車運送適正化事業実施機関の指定など、安全を確保する体制を確立したところでございます。  運輸省といたしまして、過積載の防止はトラック事業者の基本的な遵守義務であるとともに、輸送の安全確保や輸送秩序の維持を図る上で極めて重要な課題であると認識をいたしておるところでございます。  このため、具体的な防止対策といたしましては、警察当局や道路管理者との密接な連携のもとに過積載等の街頭取り締まりを行いますとともに、貨物自動車運送事業法に基づきまして適正化事業実施機関の指導員による巡回指導等を通じまして指導啓発活動を行っておるところでございます。  また、道路交通法に基づきまして公安委員会からの過積載運行の通報や、私どもの貨物輸送管理官による定期的な監査の実施によりまして違反事実が確認された場合には、車両使用の停止といいます大変厳しい行政処分等を行っておるところでございます。ちなみに平成五年度におきましては、監査、通報による総件数一万二千六百七十三件のうち五千三百二十九件につきまして過積載防止違反ということで車両使用停止の厳しい処分を行ったところでございます。  今後とも、過積載の防止につきまして、運輸省挙げまして万全を期してまいりたいと考えておるところでございます。
  61. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 簡潔にやってください、時間ないから。大臣もう出るんだから。
  62. 池田五男

    説明員(池田五男君) はい。  交通災害のうちの労働災害、いわゆる交通労働災害による死亡者数は全労働災害の死亡者数の約三割を占めておりまして、労働省といたしましても交通労働災害防止については重要課題の一つというふうに考えております。  このため、労働省では昨年二月に交通労働災害防止のためのガイドラインを作成いたしました。この内容は、交通労働災害防止担当管理者の選任、あるいは適切な労働時間管理及び走行管理の実施、それから運転者に対する教育と健康管理の実施、そのほか労働災害防止に関する意識の高揚、こういうことについて事業者に指導しておるところでございます。  さらに本年度から、事業場においてこのガイドラインに定める措置が確実に実施されますように、担当管理者用の教育用のテキストの作成とか事業場に対する個別指導の手法の開発を進めておるところでございます。  また、労働災害の防止を図るためには、旅客とか貨物運送業等の自動車運転者の労働時間の改善を図ることが非常に重要であります。こういうことから、自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の告示を行いまして、これらの自動車運転者の一日または一カ月間の期間における労働時間と休憩時間の合計である拘束時間、これに上限を設けるなど、その労働条件の改善に努めてきておるところでございます。  今後とも、これらの取り組みを積極的に推進することによりまして、交通労働災害の防止に努めてまいりたいというふうに考えております。
  63. 松村龍二

    松村龍二君 本格的高齢社会を迎えております日本におきまして、六十五歳以上の高齢者の交通事故の増加ということに対しまして真剣に取り組むことが必要であろうと思います。  また、平成六年度の交通安全白書によれば、夜間における高齢者の歩行中の事故と若者の自動車乗車中の夜間の事故が増加しておるといったことから、夜間の交通事故防止対策についても重要な問題であろうかと思います。  第五次交通安全施設等整備事業五カ年計画によりましてその整備拡充に努めておられるところでありますが、この事業計画のうち国が費用の全部または一部を負担し補助を行っている特定交通安全施設等整備事業五カ年計画の問題、また今後の決意について、最後に警察庁にお考えを伺いたいと思います。
  64. 田中節夫

    説明員(田中節夫君) 御質問、三点ございました。  まず第一点が高齢者対策の問題でございます。委員指摘のとおり、人口の高齢化を上回る速さで交通事故の高齢化が進んでおりまして、全体として交通事故死者数は若干減少しておりますけれども、高齢者の事故はふえているという現状でございます。  このような状況を踏まえまして、私どもといたしましては、老人クラブ等々民間団体とも連携いたしまして、交通事故の危険性を実際に体験できるような、そういうような機会を与える。  さらには、特に歩行者の事故が依然としてふえておりますけれども、特に高齢の運転免許保有者の事故もふえてきております。そういうような方々に適性検査機器を活用しての安全指導、運転免許更新時におきますところの特設学級の開設等、各種施策を推進してまいりたい。また、交通安全施設等の面でも、高齢者の目線で物を考えた標識とか標示というものを考えていきたいというふうに思っておりますし、来年度の概算要求におきましては、高齢化を重点枠の柱といたしまして大蔵省に対して要求もしておるところでございます。  また、私どもといたしましては、民間の有識者から多く意見を求めまして、高齢者にやさしい交通社会を目指す懇談会というものを開催して、来年春にはそういう御意見もまとめて、また新しく施策に生かしてまいりたいというふうに思っておるところでございます。  それから二点目の夜間の交通事故の問題でございますが、先ほど建設省の方からも話がございましたけれども、交通事故死者の夜間のシェアというのは、国民生活形態が夜型化といいますか二十四時間化するに伴いましてふえてきております。今後またさらに不安は増加するというふうに予想しておるところでございます。  このような情勢下におきまして、夜間事故の特性あるいは事故実態を踏まえました指導取り締まりの強化、さらには効果的な交通安全施設等の整備、また安全反射用器材の普及促進というような対策を講じておるところでございますけれども、いろんなナンバープレートの問題等、あるいはいろんな科学的な研究も重ねまして、夜間事故の防止に着目した新たな施策の確立に向けて関係機関等の協力を得ながら対策を進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。  最後に、三点目の特定交通安全事業推進状況はいかがかというお話がございました。  現在行っております第五次の交通安全施設等整備事業五カ年計画、これは本年度で終了いたしますが、この特定交通安全施設等整備事業は国が二分の一補助をするという安全施設等整備事業でございますが、この計画では調整費百億円を除きますと一千五百五十億円が当初の計画でございました。本年度の第一次補正予算までの進捗状況は、事業費が一千六百五十二億円となっておりまして、計画の一〇六・六%というふうになっておりまして、計画を上回っている状況にございます。  しかしながら、大変交通情勢が厳しいものでございますから、来年度から始まりますところの第六次の交通安全施設等整備事業五カ年計画におきましては、道路交通の安全確保、円滑な交通の確保、安全で快適な生活環境の確保、また違法駐車の抑止というようなことを大きな柱といたしまして、新たな五カ年計画を策定し、引き続き交通安全施設の整備に努め、交通事故の防止に努めてまいりたいと、かように考えておるところでございます。
  65. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十分休憩      ————◇—————    午後一時開会
  66. 浦田勝

    委員長浦田勝君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成四年度決算外二件及び平成五年度決算外二件を一括して議題とし、自治省警察庁総務庁及び公営企業金融公庫決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  67. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 平成会の寺澤芳男です。  規制緩和につきまして総務庁長官に二、三御質問をしたいと思います。  一九九四年度の日本の経済成長率は〇・六%、OECD二十五カ国のうち二十四番目であります。最後はトルコであります。一九九五年度は一・三%になりそうでありますが、これも下から二番目の二十四位。一番下はメキシコであります。一九九六年の見通してはとうとう最下位になろうという大変心配な非常に低い成長率であります。  このような低成長率に加えて、為替が大変不安定であります。たまたまきょう百四円まで円安に振れておりますが、やはり輸出産業にとっては依然として厳しい状況にあると思います。この為替レートに加えて、高い地価、高い物価、高い人件費によって製造業は海外に移転せざるを得なくなっております。日産は座間工場を閉鎖いたしました。ソニーは全製品の海外生産比率を三五%から五〇%に引き上げました。三菱電機の輸出向けVTRはすべて海外の工場で生産されたものであります。  このような製造業の海外移転、産業の空洞化というのは、人件費の高い成熟した先進国ではある意味では避けられない現象と言われております。アメリカでも一九八〇年代、製造業の空洞化、海外移転が盛んに進みました。しかし、アメリカの場合は金融業とかコンピューター関連、いろんな産業が雇用を吸収いたしました。日本では製造業にかわる新しい産業が現在育っているかどうか。これは非常に大きな問題であります。新しい産業とは金融業でありコンピューター通信業でありサービス業、あるいは水野議員が長く活躍されておられました流通業、あるいは福祉関係というのがこれからの新しい産業だと思いますが、まだまだ育っておりません。  私は長く証券業界におりましたが、きょうの日経平均株価は一万八千三百七十五円、少しはよくなってまいりましたが、まだ非常に厳しい状態が続いております。一九九〇年には全国の証券会社の従業員の数は十六万人、現在では約十二万人、この五年間で四万人の失業者を出しております。銀行も不良債権を抱え、厳しいリストラの時代になってまいりました。都市銀行最大手のさくら銀行は、現職の支店長、部長を除く四十五歳以上の行員二千人を対象にした転職支援制度を年内にも始めます。つまり、金融業は製造業にかわる新しい雇用の受け皿となるどころではない非常に厳しい状態にある。もちろん、これはひとり政府の責任ではありません。しかし、我が国がこれから総力を挙げて取り組まなければならない製造業中心の産業構造からの転換、これに従来からあるさまざまな規制が阻害要因となっていたとしたら大変なことになります。  政府はことしの三月三十一日に発表しました規制緩和推進計画を実施していると思いますが、新規事業の創出あるいは新規参入機会の保障という観点からどのような規制緩和がなされているのか、総務庁長官の御意見をぜひお聞きしたいと思います。
  68. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 特殊法人というのは、私もびっくりしましたが、九十二あります。学校法人、宗教団体、あるいはまたその他の法人を入れますと二十四、五万になるのではないかと思います。よくもよくもつくったものだと感心するぐらいできております。その中で特殊法人の問題がその後議論されてきたところであります。  規制緩和については、御承知のように千九十一項目が実は示されまして、既に実施したものもありますし、これから法律改正を伴うものもありますし、さらにこれが実現に向かって努力しなきゃならぬものもあります。同時にまた、これを千九十一で終わらせずに、来月ぐらいからまた作業を始めまして来年の三月末にはさらに追加措置を講じようということで政府部内でも努力しておりますし、また連立与党の政策会議でも御協議を願う、あるいは委員会でも規制緩和委員会でいろいろ御議論をいただく、また野党の皆さんからも御提案をちょうだいしております。それらを含めましてこれからさらにさらにこれを進めていこうと思っておるところです。  きょうは、ただいま御指摘がありましたが、ちょうど昼の時間に経済閣僚会議がありまして、十四兆二千億の史上最高の補正予算を組むということになって、今までは公共事業中心でありましたから今までなかったことでありますが、今回は御承知のように科学技術あるいは情報通信の振興、あるいはまた新規事業の育成、新産業・生活インフラ整備等いろいろ予算措置もなされたことでありますから、規制緩和と相まってこれらが生かされるように私どもは最善の努力をしていきたい、こう考えております。
  69. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 ありがとうございました。  この規制緩和というのが、今ある産業の空洞化を阻止するということだけではなくて、新しいビジネスの創造というものを阻害しないという、そういう意味で非常に大事であるということをぜひ御認識いただきたいと思っております。  先日、私は、北京で行われました世界女性会議に出席いたしまして、途中、上海に三日ほど立ち寄りました。上海にはバンドという地域がありまして、ここはアジアのウォール街という雰囲気で非常に熱っぽく、今発展中であります。第二次世界大戦まで上海は金融機関が四百近くあったアジアの金融センターでありました。どうやらその再興を目指しているようであります。一九九七年、再来年に香港が中国本土に返還されますが、それと相まって上海がアジアの金融センターになるのではないかという強い感じをある一種の危惧とともに受けて帰りました。  東京はどうか。果たして金融センターになり得るのか。コストが高い。紛争を処理する外国人弁護士や公認会計士の参入がまだまだ制限されています。そして何より英語が通じない。国際金融センターになるにはいろんなマイナス要因があることは事実であります。  日本は自由主義市場経済を選択した国であります。自由主義市場経済の最も重要な原則は自由競争と自己責任であります。ところが、日本ではそのことが徹底しておりません。自由競争を阻害する規制がたくさんあり、また責任を回避させる保護行政と称する役所の介入が多過ぎます。  政府の規制緩和の推進の監視役として行政改革委員会の中に規制緩和小委員会があります。メンバーにアイ・ビー・エムの椎名武雄会長やオリックスの宮内義彦社長が入っており、私も大変期待しておりますが、現在はどのような活動をしているのか教えてください。
  70. 上野憲正

    説明員(上野憲正君) 行政改革委員会は規制緩和の実施状況の監視という役割を担っておりまして、本年四月に先生御指摘のような規制緩和小委員会を発足させまして、現在専門的な調査検討を行っております。  七月の末に、小委員会では今後検討を進めていく事項の中から重要と考えられる事項について四十項目規制緩和に関する論点を公開したところであります。九月に入りまして既に現在まで二回審議を行っておりますが、毎週一回鋭意検討を進めた上で行政改革委員会に対して十一月を目途として報告を行う予定になっております。
  71. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 日本は官主導の、それから安全、平等、効率を余りにも重視し過ぎたためにいろんな規制が行われている。先ほど述べた経済成長力からもおわかりのように、その多くの規制の中で日本の経済は閉塞状況にあります。  アメリカは一九九一年に移民ビザ、永住権、グリーンカードとも言いますが、を抽せんて外国人に与えるという制度を実施しております。過去三年間、日本から手紙でアメリカの移民局にこのグリーンカードを申請した人が十四万人、六千人の日本人がグリーンカードを取得してアメリカヘ渡っております。食べるのも困るという発展途上国からの応募があるというのなら話はわかりますが、豊かとされている、リッチとされている先進国日本からこのような大勢の人が移住を希望する。これは先進国の中では日本だけだそうであります。  長官は読売新聞八月十八日のインタビューに答えて、規制緩和について、要望にこたえるべきものにはこたえる。また、規制緩和の効果について、専門用語を使って説明しても国民にはわからない。義務教育を受けた人ならばだれでも理解できるようなものにしたいとおっしゃっております。  日本がこのままの官僚統制の経済を続けて、中国に追い抜かれ、あるいは若者が日本から逃げ出す規制の多い国家であり続けるのか。それとも規制を緩和、撤廃して、本当の意味での世界に誇れる自由主義市場経済国家になるのか。規制緩和の取りまとめ役として非常に重い責任を負っておられる長官に、忌憚のない御意見をお伺いしたいと思います。
  72. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) まだ就任して一カ月ちょっとでありまして、全体がわかりませんところもあります。しかし、総じて役所の説明というのは聞けば聞くほど難しくなるわけでありまして、だんだんわからなくなってくるというのが、私は建設大臣も運輸大臣もやりましたが、聞けば聞くほどわからぬようになる、それが大体役所の説明だろうと私は思う。やっぱり行政というのは平たいものでなければならない、そう考えております。  したがいまして、自分自身で考えておることは、千九十一項目出されておりますけれども、いろいろとあります。ありますが、ただ規制を緩和すればそれで事足りるということなのかどうか。規制をなくしてしまう、それがいいことだと。しかし、その前に一つの政策論争というのがあって私はしかるべきものだと思っておるんです。これは特殊法人の統廃合にしろ何にしろ、我々が見てもちょっとおかしいなというのもあります。もっとほかに必要なものがあるのではないか。  ただ御意見のように、日本株式会社と言われて官民一体になって今日まで終戦後から日本の経済をつくり上げた、そのことは私は一つの日本らしい生き方だったと思います。しかし、こういう時代になってくると、やっぱり時代の要請にこたえることのできない面がたくさん出てきた。そのことが、おっしゃるように金融の空洞化を生んだりあるいは産業の空洞化を生んだりさまざまな阻害要因になっておるとするならば、それらを除去していくために総務庁は一生懸命汗をかく必要がある、こう考えておるところであります。
  73. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 規制緩和といい行政改革といい、重要ではありますが、非常に難しい仕事のまとめ役としての長官の今後の御活躍を大いに期待しております。日本の将来にとって一番大事なことだろうと私は認識をしております。  通産省にお伺いしたいんですが、自動車それから自動車部品の日米協議において橋本通産大臣とカンターUSTR代表による共同プレスが行われましたが、そのうち競争政策に関する部分の内容はどのようなものだったのか教えてください。
  74. 鈴木將文

    説明員鈴木將文君) お答え申し上げます。  本年六月二十八日の日米自動車及び同部品協議の決着時の共同プレス発表、そのうちの競争政策に関する内容につきましてのお尋ねでございますけれども、まず橋本通産大臣とカンター通商代表はこの協議の際に競争政策的側面について議論する機会を持ったということ、そして自動車分野を含むあらゆる産業分野で強力な競争政策及び執行が重要であるということについて認識が一致したということがまず述べられております。  その上で、さらに、ちょっと合意文を引用させていただきますと、「橋本大臣は、日本国政府が、適当な場合には国会の同意を得た上で、公正取引委員会の組織及び人員の面での強化を求める意図を有することを確認した。カンター代表は、これを歓迎するとともに、競争政策分野一般についていくつかの提案を、村山総理大臣、河野副総理、小粥公正取引委員会委員長及びその他の適当な関係者及び国会議員に伝えることを約した。」ということが述べられております。
  75. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 アメリカの政府から公正取引委員会強化のための立法の提案というものが提示され、公正取引委員会の職員の二百名増員、公正取引委員会の地位の人事院レベルヘの引き上げなどが提案されているとのことでありますが、事実でしょうか。
  76. 鈴木將文

    説明員鈴木將文君) この協議におきまして、米国側から競争政策一般につきまして幾つかの提案が行われましたことは事実でございます。  ただ、その具体的内容につきましては当省所管事項でございませんので、恐縮に存じますが、通産省としてはお答えを差し控えさせていただきたいと存じます。
  77. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 新聞報道によりますと、公取委の職員を九七年度までに少なくとも二百人増員、公取委の本局及び地方事務所に新たな審査部門を設置すること。具体的には、刑事訴追をふやすことや九七年度までの今申し上げた職員の二百人の増員、あるいは独占禁止法に違反した事業者などに対する課徴金納付命令などの権限の付与、先ほど申し上げた人事院並みの組織への格上げ、これらを実行するための関連法案を三カ月以内に国会に提出するようにという非常に細かい指示をアメリカから受けていると聞いております。  今、いろんなお立場があるのでそれを果たしてここで明らかにしていただけるかどうかわからないわけでありますが、今度は公正取引委員会にお伺いしたいんです。公正取引委員会平成八年度の機構、定員要求の概要を教えてください。
  78. 鈴木孝之

    説明員鈴木孝之君) 御説明申し上げます。  公正取引委員会といたしましては、御指摘いただきましたように規制緩和の推進を含め、近年の我が国経済社会をめぐる環境の変化の中で競争政策に対する内外の期待が高まっていることを踏まえまして、平成八年度概算要求において競争政策のさらに充実した展開を図るため審査部門を中心として人員の一層の拡充を図るとともに、事務局組織を抜本的に強化するため事務総局制への移行を主な内容とする機構整備に努めることといたしております。  具体的には、現行の事務局にかえて事務総局を置きまして、そのもとで現行の一官房三部体制を再編成しまして官房、競争政策局、経済取引局、審査局を置きまして、審査局に特別審査部を設けることといたしております。そのほか、国際関係あるいは規制緩和違反事件審査関係部門も強化することといたしております。  この機構改革によりまして、組織の機動性、効率性、政策立案機能を高め、競争政策のさらに充実した展開を図ることが可能となると考えておりまして、今後、各方面の御理解を得るように努めてまいりたいと存じております。
  79. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 公正取引委員会は現在、日本で五百二十五人、アメリカでは独占禁止当局、これが二つに分かれておりまして、司法省にある反トラスト局、アンチトラスト局が八百五十四人、連邦取引委員会が九百八十四人で合計千八百三十八人。日本の三倍以上であります。もちろん経済規模の問題もありますが、アメリカがいかに伝統的に公正な競争の確保、これに力を入れてきたかは一目瞭然であります。  今度は、総務庁長官にお伺いしたいのでありますが、我が国の市場が国際的に開放された自由な競争市場であることを世界に示し、かつ市場機能が十分発揮できるようにするためにも、規制緩和と並行して競争ルールを担当する公正取引委員会の組織の強化、これが非常に重要だと思いますが、新聞等々によりますと、どうも総務庁の方はそれに対してかなり否定的な考えをお持ちのようであります。かなりの抵抗をされていると思いますが、この辺、総務庁長官の御意見をお伺いしたいと思います。
  80. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 否定しておるわけではありません。規制緩和に伴って自由な競争をより推進していかにゃいかぬということですから、公正取引委員会の機能については強化していかなきゃならぬということはこれは理の当然でありまして、その方向に向かっております。ただ、部を局にする、あるいは事務総局をつくる、人間さえふやせばそれだけで事は足りるのかというと、やっぱりその機能とそれから組織と、どういうことを一体これからやっていくんだという基本的なことの議論なしに、ただ人員だけふやせばいいということにはならないと私は考えております。  御承知のように、公正取引委員会政府からの独立官庁でありまして、国務大臣といえども公正取引委員会を指揮監督することはできません。言うならば、起訴、審決、平たく言えば検事のやる仕事と裁判官のやる判決まで一緒にやれる権限を持っておるところでありますから、今後のあり方については慎重に検討する必要がある。  こういうことから、実はつい最近、連立与党におきましても公正取引委員会のいわゆるあり方というのを、あるいはまた機構、組織、権限、そういうものを一体どうしたらいいんだということを与党三党においても御協議をいただくということで、今、行財政調査会でその議論を始めていただいたところです。自民党の中には公正取引委員会の問題については大変詳しい方もいらっしゃいますから、十分それらの意見も聞きながら公正取引委員会との協議を進めていきたい、こう考えております。
  81. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 行政改革ということは、まず不必要な人員を削減するということはもちろん非常に大事でありますが、一律にやるのかあるいは非常に中身を考えながらやるのか、再検討が必要だろうと思います。特に、この公正取引委員会の機能、権限、これを強化するということは日本として非常に大事なことであり、特にこれから自由競争、自己責任を基礎とした資本主義市場経済というものを標榜し、それを実施していく日本としては非常に大事な場所である、エージェンシーであると私は思います。この公正取引委員会の今の権限をもっと強くし、機能をもっと充実し、人員の増加をも含めて思い切った措置を政府がとられることを強く要望いたします。  これは、日本がこれだけ公正な取引、公正な競争というものを行うためにやっているという姿勢を世界に対して示す意味でも、そして実質的に日本国内で公正な取引、談合の社会と世界から非難されている日本ではない、本当に公正な自由主義市場経済が行われている日本というふうにするためにも非常に必要なことであることを強調させていただきます。  次に、特殊法人の改革、特にジェトロとアジア経済研究所について二、三御質問をさせていただきたいと思います。  政府は去る二月二十四日に特殊法人の整理合理化についての閣議決定を行いました。その後三月三十一日に至って、先送りされていた政府系金融機関の改革について、日本輸出入銀行と海外経済協力基金の統合が閣議決定されました。  初めに、長官に今回の村山内閣の特殊法人改革についての評価をお伺いしたいと思います。
  82. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 特殊法人の整理については、長い間各内閣で議論をされながらもその実績を見るに至らなかったものであります。  村山内閣になりまして、御承知のように、ことしの二月にはすべての法人の事業の合理化、効率化、十四の法人を七法人に統合する、あるいはまた五つの法人を廃止して民営化する、あるいはまた財務内容の公開、こういうものを閣議決定して実は実施しておるわけでありますが、これは私はかなりの成果であったと思っています。  しかしながら、これで十分と私は考えておりません。まだ時間がありませんから結論を出すに至っておりませんが、まだまだ検討を加え、さらにまた、これらの廃止、統合等についても十二分にいわゆる議論を尽くして、そしてこれは本当に嗣がやることなのか、あるいは特殊法人にやらせにゃならぬことなのか、また必要があるのかどうかということを慎重に検討を進めてまいりたい、こう考えております。
  83. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 言うまでもなく、行政改革は今や政治の最も重要な課題であります。その一環としての特殊法人の改革は、片や民間企業が厳しい景気の現状で事業のリストラというのを一生懸命にやっている。特殊法人の事業の非効率あるいは民業圧迫といった弊害を除くと同時に、国の事業においても身を削り血を流しても歳出削減ということに真剣に取り組む覚悟が必要であると思います。  そこで、特殊法人への国からの歳出額は一般会計で現在との程度あるのか。本委員会は決算委員会でありますので、平成五年度までは決算額で、それ以後は予算額で、過去五年間の推移を大蔵省にお伺いをいたします。
  84. 田頭基典

    説明員(田頭基典君) お答え申し上げます。  特殊法人に対する国の歳出額の五年間の推移を一般会計当初予算額ベースで申し上げますと、平成三年度が二兆四千九百六十五億七千七百万、四年度が二兆六千三十三億四千四百万、五年度が二兆六千七百五十一億六千百万、六年度が二兆七千八百六十四億五千九百万、七年度が二兆八千五百五億四千三百万となっているところでございます。  なお、ただいま決算委員会でございますので、平成五年度までは決算額でというようなことでございましたけれども、まことに申しわけないんですが、現時点ではそのような取りまとめを行っていないということでお許しをいただきたいと、このように思う次第でございます。
  85. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 もう一度クリアにお伺いしたいんですが、二月の閣議決定では、「特殊法人の統廃合、事業の合理化等を踏まえつつ、特殊法人に対する補助金等について一層の抑制に努める。」とされておりますが、政府の特殊法人改革案で、特殊法人への国からの歳出額はどの程度削減されているかどうか、もう一度お願いします。
  86. 陶山晧

    説明員(陶山晧君) ただいま大臣から申し上げましたように、本年政府として方針を決定いたしました特殊法人の整理合理化の内容について、今後その具体化について着実に推進をしていく必要がございます。  ただいま先生お尋ねの財政支出の具体的な効果でありますとか、あるいは例えば統合に伴って組織がどういうふうに変わっていくのか、あるいは役員、職員の人員の面がどういうふうになっていくのか等々の具体的な内容につきましては、今後この具体化のための法律案の改正を国会にお願いをすることになるわけでございますが、そうした法案の作成過程あるいは各年度の予算編成過程で具体的に明らかになっていくという性格のものでございます。  したがって、現時点におきまして、総体的に具体的、直接的な数字を申し上げられないということをぜひ御理解を賜りたいと存じます。
  87. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 二月の閣議決定で、「特殊法人の定員(職員数)について、国家公務員の定員管理に準じて総定員の抑制に努める。」と、こうあります。  政府は、役員の数も含めて特殊法人の役員、職員の数についてどのような見通しあるいは目標を持っているのか。この点新進党では特殊法人の役職員の定員削減について、今後五年間で役員数を二割、職員数を一割削減するという目標を掲げて、御存じのように法案も提出しております。その評価も含めて総務庁長官の御意見をお伺いしたいと思います。
  88. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 新進党から出されておる改革案については私も拝見をいたしました。それなりの根拠はあるのかなと、こう思いますし、熱心にそういうことを御検討いただくということは大変ありがたいと、こう思っております。  御承知のように、これは政府の方針に従って特殊法人も次第に人員を当然削減していくものでもあるし、あるいはまた予算についてもこれを削減していく方向であることは間違いありません。ところが、実際やってみますというと、例えば道路公団で高速道路をつくります。今金額定かでありませんが、例えば二兆数千億になると思います、道路公団の予算がですね。そうすると、その中で国費は千五百億ありません。あとは財投資金であります。それから、住宅金融公庫のいわゆる融資をさしていただきますが、これもやっぱり利子補給分というのは、これは当然負担にかかってくるわけでありまして、一つ一つ見てみますとなかなかこれは厄介なものがあります。  しかしながら、これは当然の方向でありますから、今までは大いに働いてきたが、これからはそう頑張らぬでもいいのではないかという特殊法人等も私はあるやに見受けます。したがって、そういうところを中心にこれからのいわゆる合理化あるいは人員削減、予算の削減等についてこれから努力をして検討してみたいと考えておるところであります。
  89. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 特殊法人改革による財政支出、組織、人員等に関する具体的な効果、これにつきましては今後総務庁としてもフォローアップをしていただいて、国民の前に明らかにすべきではないかと考えますが、総務庁長官はどうお考えですか。
  90. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) これからはひとり行政改革ではなくて、政府万般の情報等につきましても広く国民にこれを提供するという方向で今いろいろと準備を進めております。  例えば、きょう経済対策が決まった、景気対策が決まった、内容を知りたいというときに、地方の人は内容がわからないと、新聞以外は。もっと詳しい情報が知りたいというときでも、これはもう五年以内にはそういうものが、地方におっても政府やら各審議会等のそういう内容たちどころにパソコンを使ってわかるような方向にひとつ研究してみようと。私は機械に弱いからどういう仕組みになるのかわかりませんが、とにもかくにもそういう方向でやっておりますから、行政改革等の結果についても国民皆さんにこれから知っていただくような時代が必ず近い将来に来るものと確信しております。
  91. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 先ほど触れました新進党の案では、すべての特殊法人について存続の是非を根本的に見直すため、五年というタイムリミットを設け、その期間内に不要なものは廃止または民営化するとともに、存続するものについては新たな法律をもってその存続期限を付す、いわゆるサンセット方式を提案しております。  この点についての評価あるいは見解を含めて、改めて特殊法人改革に取り組む長官の決意のほどをお聞かせください。
  92. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 先ほど特殊法人は九十二あると申しました。それを一回全部なくしてしまう、そして必要なものは新たに法律を出して設けたらいいではないか、こういう御意見かと思いますが、御承知のように、例えばその中には道路公団があります。そういうものを一回なくして一体いいのかどうか、なくす必要が一体あるのかどうか。国際協力事業団もあります。今ぱっぱかぱっと競馬をやっておりますが、日本中央競馬会もあります。あるいはそのほかには奄美振興基金みたいなのもあります。やっぱりそういうものは継続してこそ意味のあるものがあるわけでありまして、それは内容について検討することにやぶさかではありません。やぶさかではありませんが、同全部なくしていいのかということについてはいささかまだ検討の余地があろうかと考えております。
  93. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 特殊法人の管理運営の改善、改革を進める上で、行政監察を所管する総務庁の今後の責任は非常に重いと思います。  そこで、これまで行政監察で特殊法人の管理運営について総務庁としてどのような取り組みを行い、その成果にはどのようなものがあるか教えてください。
  94. 大橋豊彦

    説明員(大橋豊彦君) お答え申し上げます。  特殊法人の共通活性化方策というのが特殊法人の活性化のために非常に大切なことであることは申すまでもございません。私ども監察局におきましても、特殊法人全般に共通する活性化方策ということから、昭和五十一年以降累次にわたりまして監察をいたしております。  例えば昭和五十一年におきましては、特殊法人に置かれております監事さんの監査機能というのが本当に十分果たされているのかどうか。あるいは昭和五十九年には、特殊法人の会計処理基準というのがややもすれば官庁会計と申しますか、お役所会計でございますが、それを民間の会計基準というものを使って会計処理基準の標準化を図るべきじゃないかとか、さらには事業計画、職員管理、最近におきましては業績評価というような問題につきまして累次にわたって監察をいたしております。  その結果、例えば五十九年、先ほど申し上げました会計基準におきましては、政府の中で民間企業の会計基準にのっとった特殊法人の会計基準というのを一般的な管理基準として定めておりますし、さらには事業計画、職員管理、業績評価についてもそれぞれの省庁におきましていろいろ努力して、業績評価についても業績評価基準をつくるとか、あるいはその業績評価の結果を特殊法人全般の事業計画に反映させるとか、そういうような効果を上げてきているわけでございますが、今後ともさらにこの共通化、活性化は非常に大切なことでございますので、引き続きやってまいりたいというふうに思っている次第でございます。
  95. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 具体的にお伺いしますと、政府の特殊法人改革案では日本貿易振興会、ジェトロとアジア経済研究所の統合が挙げられております。  日本貿易振興会、ジェトロの業務については平成六年に行政監察が行われておりますが、その内容について教えてください。
  96. 大橋豊彦

    説明員(大橋豊彦君) 今委員がお挙げになりましたように、平成六年二月に通産省などに対しましてジェトロの改革についての勧告をいたしております。  この内容は、要約しますと四点にわたりまして、一つは、ジェトロの役割というのがこれまでの輸出促進から輸入促進や産業協力の方に移行しておりますので、それに即応した振興会法なりあるいは業務方法書の見直しを早急にしていただきたいというのが第一点でございます。  それから第二点については、ジェトロがやっておりますミッション派遣事業だとかあるいは展示会の開催事業といったような事業の効果的な実施を図っていただきたいということ。  第三点には、ジェトロの事業に係ります中期的な事業計画をつくるとか、あるいは業績評価基準をぜひつくっていただきたいということ。  それから第四番目には、事業の総合的、一体的な推進を図る観点からジェトロの内部組織のあり方について検討していただきたいということで、例えばジェトロの中に企画部というのがございますが、その企画部の企画調整機能を強化していただきたいとか、あるいは農水産部とか機械技術部の見直しを図っていただきたいという具体的な勧告をいたしておるところでございます。
  97. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 日本貿易振興会、ジェトロにつきましては、昭和三十三年の設立以降、輸出振興を中心に事業を実施してきましたが、今日では輸入促進、輸出ではなくて輸入促進、諸外国との産業協力にその重点が移っているにもかかわらず、その組織、事業運営の実態は輸出振興を進めていた時代のものが十分見直されないまま一部存続しているなど、事業運営の改善が必要な実態行政監察では明らかにされておると理解しております。  こうした実態を残したまま統合を図っても特殊法人改革の実を上げることはできないと考えますが、この点、通産省はどう考えておられますか。
  98. 高橋晴樹

    説明員(高橋晴樹君) お答え申し上げます。  ジェトロの事業でございますけれども、今御指摘がございましたように、当初、設立の昭和三十三年時代には輸出振興が国是でございましたので輸出振興に力を注いできたところでございます。その後、日本を取り巻く経済環境が変化いたしましたので、八〇年代以降産業協力とか発展途上国の貿易振興協力、それから我が国の地域経済の国際化、さらには輸入促進の事業に力を注いでいるところでございます。現在は、輸入促進の事業が国庫補助ベースでございますと平成七年度では七五%程度になってございます。逆に、輸出振興事業は国庫補助ベースでございますと一%を切った状況になっております。  ただ、輸入振興が現在の我が国貿易政策の大きな柱ではございますけれども、一方で、中小企業の方々の製品を海外に輸出する、そのための市場調査、それから見本市への参加ということもやはり大事な事業でございますので、これも一部ではございますが中小企業に限って行っているところでございます。  行政監察におきまして、今お話のありましたようにいろいろ御指摘を受けているわけでございますけれども、輸出振興を目的とした事業につきましても、農水産部の関係で若干の組みかえを行いまして輸出振興から輸入の方に変えているということで、徐々に方向を転換いたしているわけでございます。  御指摘のございました、今回の行政改革におけますジェトロとアジア経済研究所の統合後の運営についてどうなるんだろうかということでございますけれども、ジェトロが今までに培ってまいりましたアジアを含みます各国の産業界との幅広いネットワークというものと、アジア経済研究所が従来から培ってまいりましたすぐれた基礎的な調査研究能力、その国の地理から始まって人文地理、それから経済地理等々、文化も含めた研究をしているわけでございますが、それと広い人脈というものを有しておりますので、これを合体いたしまして、両法人のお互いの機能を相互に補完いたしまして、現在以上の機能を発揮いたしたいというふうに思っております。特に、APEC諸国との経済的な関係を持つ中核的機関として位置づけて輸入促進等に努めてまいるように指導をしてまいる所存でございます。
  99. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 以上です。
  100. 広中和歌子

    広中和歌子君 新進党の広中和歌子でございます。平成会を代表いたしまして、数点質問させていただきます。  まず、沖縄県で起こりました忌まわしい事件から質問を始めたいと思います。  沖縄県で発生した米兵三人によります少女への暴行事件で憤りの声を上げているのは、地元沖縄の人たちだけではございません。犯人の逮捕、その厳正な処罰がなされるよう、日本国じゅうの人々が求めております。逮捕されました三人の犯人の身柄は米軍基地内に勾留されておりまして、これでは犯罪の立証に、そして厳正なる裁判に至る十分な事情聴取ができるのだろうか、そういう危惧の念を抱いている人が多くございます。  日本の警察は犯人の引き渡しを求められないのか、現状では米兵の事情聴取をどのような形で行っているのか、そのことについてまずお伺いいたします。
  101. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 沖縄で起こりましたこの事件というのは私たちにとりましても大変衝撃的な事件であり、この犯罪は断固許しがたいものだというふうに受けとめております。  この事件は九月四日に発生をいたしたものでございますが、沖縄県の警察において直ちに被疑者の逮捕の要求をいたし、その同意を求めたのでありますが、米軍側からは日米地位協定に基づき逮捕同意の拒否がございまして、日本が逮捕を行うということはできない状況にございます。ただ、被疑者は米軍側において完全に拘束されて営倉の中に入っておりまして、全く我々の捜査に関しては支障のないように憲兵隊がその都度石川警察署に連行いたしまして、今日連日のように調査、捜査を行っているところでございます。
  102. 広中和歌子

    広中和歌子君 その後のことでございますけれども、裁判管轄権は日本にあるのかということ、それから刑が確定した後、その刑が執行される場所はどこか、現在の地位協定のもとでこの二点についてはどのような処置がなされるのか、お伺いいたします。  大臣、御承知のように、日米地位協定を改定すべし、そういう声が非常に高まっているわけでございますけれども、こうしたことを含めまして、本当にこの犯人が日本人であると同じような厳正な裁判がなされ、そして刑の執行がされるのかどうか、そういうことについてお答えいただきたいと思います。
  103. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 冒頭申し上げましたように、これは許しがたい犯罪であり、それが米軍であろうと日本人であろうと結論においていささかの違いがあってはならない、まずそう思っております。  実際問題といたしまして、この種の事件捜査というのは身柄が米軍に拘束されている場合には米軍の協力を得て直接警察署に連行いたしまして捜査を続けるという形になっており、現状では捜査の支障になるような状況ではないと心得ております。  いずれにいたしましても、この捜査を続けてまいりまして、恐らく今月いっぱいぐらいにはめどをつけて、当然これは事件として送検さるべき内容であろうと私ども理解しております。そして、これが地方検察庁に回されましたらそこで判断をいたしまして、起訴となりました場合には、当然でございますが、身柄も含めて日本での裁判を行うという形になると思います。
  104. 広中和歌子

    広中和歌子君 地位協定が改正されるか否か、すべきであるか否かという世論、これは今後の厳正な裁判、刑の執行にかかっているということを申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。  非常に世間を騒がせておりますオウム真理教についてでございますけれども、この教団のまれに見る凶悪犯罪、それが次々に明るみになっておりますけれども、坂本一家拉致事件から既に五年、松本サリン事件から一年以上もたっている。捜査が非常に長期化した原因についてお伺いいたします。
  105. 野田健

    説明員(野田健君) 坂本弁護士事件を初めオウム真理教関連事件につきましては、数多くの情報を入手の上、多岐にわたる捜査を行ってきたところであります。申すまでもなく、犯罪捜査はいろいろな関連する情報をつぶさに捜査した上で証拠に基づき事実を一つ一つ積み重ねて事犯の真相を明らかにしていくことが必要でありまして、事件解決にその点時間がかかることも御理解をいただきたいというふうに思います。
  106. 広中和歌子

    広中和歌子君 警察の日夜の御努力によってかなりの部分が明らかになったこと、そしてまた、國松警察庁長官へも心からお見舞い申し上げたいと思います。そして、警察の御努力にも、その労をねぎらいたいと思います。  しかしながら、坂本弁護士殺害事件、仮谷氏拉致殺害、松本サリン、地下鉄サリン事件以外にも、教団内部で起こった忌まわしい、それこそ機器や薬物を使ったマインドコントロール、治療という名のリンチ、そしてサリン等化学兵器や武器製造等、思いつくまま並べただけでも驚くべきこうした団体でございます。  そして、何よりも恐ろしいのは、我が国においてこうしたグループの存在が長いこと放置され許されていたという、その事実でございます。国家の中に国家をつくろうとする、いわば治外法権をつくろうという、そうした許しがたい行為を行っているわけでございまして、これについて国家公安委員長の御所見をお伺いいたします。
  107. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) このオウム真理教の場合は宗教団体とは名ばかりで、実態は国家転覆さえも考えるようなまことにけしからぬ集団であると思います。こういうような集団がこのまま放置されていいのかということに対しては、世論の激しい怒りも含めて、検討しなければならない時期に入っていると思います。  それは、一つには宗教法人法の改正といったような問題であろうかと思いますが、これらについてはただいま文部省を中心として審議を進めておるようでありますから、この状況を見ながら私たちも判断していきたいと思います。
  108. 広中和歌子

    広中和歌子君 このオウム事件で非常に時間がかかったことについてでございますけれども、早期の解決につながったかもしれない佐伯某と称する人物の投書がございました。その手紙ですけれども、これは五年前の犯行、坂本弁護士拉致事件についての犯行を示唆する手紙が送られてきたわけですけれども、それをどうトレースなさったのか。  当然、坂本一家拉致事件とオウムの関係というのは想像できた、つまり坂本弁護士というのはオウム事件に非常に深くかかわっていたわけですから当然関連づけて考えられるべきであったのに、例えばこの手紙の筆跡鑑定ですか、そういうものも十分なさったのかどうか。もしなさらなかったとしたら、これは捜査上の落ち度ではないか。そういうことがこの犯罪解明の長期化につながったのではないかということを指摘したいのですが、それについてのコメントをお願いいたします。
  109. 野田健

    説明員(野田健君) 神奈川県警察におきましては、平成二年二月十六日付の消印のある投書を受理いたしまして、ただそれは匿名でありまして、その真偽というものについての判断材料は持ち合わせていなかったのでありますが、捜査情報の一つとして積極的に評価して、平成二年二月二十一日に捜査員をこの投書で示されている場所に派遣いたしました。  長野県警察の協力も得まして捜索を行いましたが、投書にて指摘された場所といいますのは今回捜索した場所のすぐ近くではありますけれども、今回の捜索に際しても、さきに発見された坂本弁護士あるいは御夫人と思われる遺体を発見した場所と異なりまして、長男の方と思われる遺骨の発見には五日間を要したというような、水がわき出る非常に地理的に厳しい条件であったというようなところもありまして、二月二十一日の捜索においては残念ながら遺体の発見には至らなかったということでございます。  その後も、この投書につきましてはそれぞれ必要な捜査を進めてまいりまして、昨年あるいは今年になりましてからいわゆる岡崎容疑者の投書ではないかということがはっきりしたというような状況にございます。  以上でございます。
  110. 広中和歌子

    広中和歌子君 手紙に基づく捜査でございますけれども、そのときは雪の降っているような、あるいは地面が凍っているような真冬であったと伺っておりますけれども、春になって再び捜査をするというようなことをなさらなかったというようなこと。私は別に検察官じゃございませんから追及するつもりはないのでございますけれども、こういうようなときに、他県にまたがるこうしたさまざまな捜査でございますけれども、連携プレーというのはうまくいっているのでしょうか。  そしてまた、人員でございますけれども、警察官の人数の配置ですね、そういうようなことも、他県にまたがって中央で指令をしなければならない、あるいは神奈川県が中心なのかどこかわかりませんけれども、そういうようなときにうまく機能するのでしょうかということをお伺いしたいわけでございます。
  111. 野田健

    説明員(野田健君) 本件の投書に基づく捜索は二月二十一日ということで、委員指摘のとおり、当時まだ雪が積もっていたという中で掘り起こしたものでありますが、その後、雪解けを待ちまして、実は四月十九日、二十日両日も捜査員を現地に派遣して見分を行ったという状況にございます。  ただ、当時は残念ながら場所の特定という意味で十分でなかったということと、具体的な捜索活動の結果発見に至らなかったという残念な事態になったということでございます。  ただ、捜査員につきましては、本件は当初神奈川県警察で捜査を開始しましたけれども、捜索をするというような場合には地元の長野県警察の協力も得て合同でやっているという実情にございます。
  112. 広中和歌子

    広中和歌子君 ということは、連携もうまくいっている、人数も足りているというようなことなのでございましょうか。
  113. 野田健

    説明員(野田健君) 捜査に当たって、それぞれ必要な捜査員を必要な限り集めてきて捜査をするという努力をしているところでございます。
  114. 広中和歌子

    広中和歌子君 人数の重点配分でございますけれども、たまたま決算書を見ておりましたら、成田空港警備の予算ですね、最近になると百億近い額が計上されております。  それで、一つの空港をつくるのに毎年百億、数年前はもうちょっと少なかったかもしれませんけれども、非常に多くの額というんでしょうか、それは人員の配備も含めてだろうと思うのでございますけれども、こういうようなことはいまだに必要なんでしょうか。そして、もし必要であるとしたら、それは国際空港であるがゆえに必要なんであれば、成田だけじゃなくて関空とかほかの空港の警備もしなければならないわけでございます。依然として、ずっと成田周辺で起こった今までの過激派の犯行が起こり得るということでの警戒であるんだとしたら、もうそろそろ配分を変えてもいいんじゃないか、そんなふうに思うわけでございますけれども、その点についてお伺いいたします。
  115. 杉田和博

    説明員(杉田和博君) 委員御案内のとおり、成田の空港の問題につきましては、いろいろな経緯がある中で、極左暴力集団の最大の闘争課題の一つとなっておるのでございます。現在においても極左暴力集団は空港の廃港、これを声高に掲げておりまして、集会、デモ等に活発に取り組んでおるという状況にございます。  本年に入りましてからも、三月には運輸省の新東京国際空港の課長宅に金属弾が撃ち込まれる、さらにまた五月には成田空港の第二ターミナルビルの中で爆発事案が起きるなど、成田絡みで既に四件のテロ、ゲリラが引き起こされておるところでございます。また、現在、成田空港周辺には今なお約百人の極左暴力集団のメンバーがいわゆる団結小屋と称するところに立てこもっておりまして、反対活動を行っております。  こうして成田空港に関する極左暴力集団の反対闘争というのは鎮静化することなく引き続き取り組まれておるところでございまして、今後、空港用地の買収、さらにまた平行滑走路の建設等がいろいろと具体化してまいりますと、そういうことに反対をして闘争が盛り上がることも懸念をされるということでございまして、今後とも成田空港については一千五百人の現有の体制、これを中心に厳重なやはり警戒をしていく必要があるというふうに認識をいたしております。  御指摘のとおり、関西国際空港についてもやはりそういうおそれもあるということで、大阪府警察には昨年の四月に関西空港の警察署を設置いたしましたほか、機動隊も増強いたしまして不法行為の未然防止を図っておるという状況にございます。  以上でございます。
  116. 広中和歌子

    広中和歌子君 警察のお役目が小さくなればなるほど望ましいことでございますけれども、午前中に公安委員長も御指摘になったように、最近の犯罪の質の変化あるいはグローバル化等、いろいろな問題があるんだと思います。  そういう中で、本当にいつまで成田にかかわっていなくちゃいけないのかと、本当に素朴な疑問があるわけでございまして、今後の国際空港の発展、設置、そういうものに関してもぜひこういうことも考慮に入れなければいけないんじゃないか。つまり、警備のコストというものも空港の条件として十分に配慮しなければいけないんじゃないかということを指摘させていただきます。  今度のオウム事件、警察は非常によくやっていっていただいているということも一応評価しつつも、こういう広域の調査に関しましては公安調査庁というところがいろいろなお役目を果たされるんじゃないかなと思います。その役割、機能、それから体制、どのような実態でいらっしやるのか、まずちょっとお伺いいたします。
  117. 杉原弘泰

    説明員(杉原弘泰君) 公安調査庁におきましては、御案内の地下鉄サリン事件が発生しました直後の三月下旬にこの問題につきましての特別調査本部を設置いたしまして、全庁体制調査に臨んでまいりました。そして、五月中旬にはオウム真理教を調査指定団体に指定いたしまして、当庁の総力を挙げて調査推進いたしました。さらに、検察庁の協力を得るなどして証拠資料の収集に努めてまいりました。現在はこれらの証拠資料等の分析、検討を行っている、こういう状況でございます。
  118. 広中和歌子

    広中和歌子君 オウムのような事件で、調査の機能とおっしやいましたけれども、実際に捜査権みたいなのはあるのでございますか。それから、今何人ぐらいの体制でやっていらっしゃるんでしょうか。
  119. 杉原弘泰

    説明員(杉原弘泰君) 私ども公安調査庁はいわゆる捜査の権限はございませんで、行政行為としての調査ということだけを行うものでありまして、その性質もいわゆる任意調査の方法に限られております。  したがいまして、その任意調査の方法によりまして、私どもとしては、職員が千七百数十名おりますけれども、本庁の職員を含めまして全庁体制でこの調査に臨んでいる、こういうことでございます。ほかの事案もございますけれども、この問題については特に重点を置いて調べておる、こういうことで御理解をいただきたいと思います。
  120. 広中和歌子

    広中和歌子君 オウムがこういう活動をしてから五年たっているわけでございまして、今後オウムのような事件にどういうふうに対応していらっしゃるのか。つまり、再びオウムのような事件をとめられるのかどうかということ。そしてまた、警察という捜査権を持ったところがあるわけですけれども、警察と今どのような連携をなさっていられるのか、なさっていくのか、お伺いいたします。
  121. 杉原弘泰

    説明員(杉原弘泰君) まず後者の質問からお答え申し上げますが、破壊活動防止法の二十九条に定められているところで明らかなように、私ども公安調査庁と警察当局とは情報交換について適宜情報資料交換を行うことになっております。そういうことで、これまでも情報交換を適宜行ってきたところでありますが、今後も必要に応じて相互協力を図っていきたいと考えております。もちろんこのオウムの問題についてもその方針で対処いたしております。  それから、最初の先生の御質問、オウム真理教のような問題に対して今後公安調査庁でどのような再発防止策を講じられるのかという御質問でございますが、これはなかなか一口にお答えすることは難しい大きな問題であろうかと思いますが、私ども公安調査庁の果たす役割ということでお尋ねだというふうに理解をいたしましてお答えをさせていただくとするならば、今私ども調査しておりますこのオウム真理教につきましては、いわゆる破防法の団体規制の要否について調査をしているわけでございます。  団体規制につきましては、幾通りかの規制の仕方がございますが、例えば解散指定ということが仮に行われたとするならば、それは将来団体に対して一定の制限が行われる、解散に向かって解散指定が行われた場合には団体のためにするいかなる行為も団体の構成員あるいは役職員には禁止がされる、こういう効果が法律上与えられるわけでございまして、そういうことが行われるかどうかということは私どものこれからの調査の結果を見てみなければわからないわけでございますが、そういうことで、私どもとしましてはその範囲内でいろんな調査全力を尽くして今進めている、こういうことで御理解をいただきたいと思います。
  122. 広中和歌子

    広中和歌子君 今の段階では、破防法を適用されるかどうかということはわからないというふうに理解してよろしいわけでございますね。
  123. 杉原弘泰

    説明員(杉原弘泰君) 先ほど申し上げましたように、現在は検察庁等の協力を得るなどして証拠資料等の分析、検討をしているという段階でございまして、この作業が終了した段階で破防法所定の団体規制の要否について判断をするということになろうかと考えております。
  124. 広中和歌子

    広中和歌子君 一連のこの動きを見ておりまして本当に心配いたしますのは、冒頭に申し上げましたように五年間もこのオウムの活動が続いたわけでございまして、その活動は宗教活動ではなくていわゆる武器製造に至る、あるいはサリン製造に至るそうした過程、それについて警察が、あるいは公安調査庁が御認識がなかったのかあったのか。もしなかったとしたら本当に恐ろしいことでございまして、今の体制が不備だと申し上げざるを得ないわけでございます、  それで、そのときに足りないのは何なのかということでございますね。予算なのか、人数なのか、権限なのか。例えば、公安調査庁としてはFBIのような全国にわたって調査権も持つようなそうした役割を持つとしたらば、もう少しこうした破壊活動的な行為を未然に防げるのかどうかということ。本当に私ども、ラッキーだったと思うんですよ。ラッキーと言ったら、もう既に亡くなった方には申しわけないと思うけれども、もっともっと大きな犯罪に至った可能性があったわけですよね。  FBI的構想について公安調査庁長官の御意見をまずお伺いし、そして深谷委員長の御意見も重ねてお伺いいたします。
  125. 杉原弘泰

    説明員(杉原弘泰君) 先ほども申しましたように、私ども公安調査庁は一正の政治目的を持った破壊活動を行う団体を規制するための調査を行い、そしてその必要があるときに規制のための手続をとることを使命といたしております。その権限の行使の範囲は全国に及んでおりまして、特に管轄の限界、制限はございません。  そういう意味では、FBIがアメリカでは規制官庁として機能しているということと同じでございますが、FBIの場合には捜査権と団体規制の規制権と両方兼ね備えておるわけでございますが、私どもの場合は捜査機関ではございません。いわゆる団体規制の調査機関、情報機関でございます。そういう点の違いはございますが、規模にいたしましても限界があるわけでありますけれども、それなりに私どもはそういった危険な活動を営む、行うおそれのある団体についてはすべて調査の、情報収集の目を光らせているつもりでございます。  しかしながら、残念なことにこのオウム真理教の問題に関する限りは、御指摘のように、何と申しますか問題意識を持つ時期が非常に遅かったと、結果的には反省せざるを得ない点があると思っております。そういう意味で、この事件を契機といたしまして、私どもは従来の情報収集の方針といいますか、そういったものに再検討を加えまして、調査対象団体というもののこれまでの観念を少し考え方を改めまして、対象団体の活動が非常に広域化しているとかあるいは国際化しているとか、そういったようなことを考えまして現行法及び組織体制を最大限に機能させるように、幅広い視点からの情報収集活動ができるように今後工夫していきたい、かように考えているわけでございます。
  126. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 委員理解のように、日本の警察制度というのは都道府県警察、つまり地方の自治体警察ということを基本としているわけでございます。ですから、その都道府県警察の自主性とか治安責任というのを重んじながら、しかし広域犯罪等については警察庁が中心になりまして監督調整を行うというやり方で今日まで十分機能を果たしてきたと思うのでありますが、御指摘のように、これからますます国際化とか広域性ということが考えられますから、これらのテーマについては私たちも十分に勉強しながら、しかし地方自治警察という基本は変えられませんから、その中でどのように連係プレーができるかということについて十分な配慮と検討を加えてまいりたい。  FBIの存在に関しましては、午前中もお答え申し上げたように、連邦制度といういわゆる日本の国の仕組みと相当な違いもございますし、法体系も違うものでありますから、即そのような存在が必要かという点については、私どもは多くの疑問を持っております。  いずれにしても、広域犯罪が行われるときに連係プレーを密にして頑張っていきなさいという御指示と受けとめて、一層努力することをお誓い申し上げたいと思います。
  127. 広中和歌子

    広中和歌子君 どうもありがとうございました。  それでは、もうちょっと楽しい問題に移りたいと思います。公職選挙法でございます。  最近、インターネットがかなり普及いたしまして、また利用されており、パソコン通信と同様に利用範囲も非常に拡大されております。インターネット、パソコン通信は、政党または候補者が政治活動、選挙活動にかなり利用できる分野だろうと思います。パソコン通信は公選法上どのような規制があるのかないのか、まず簡単にお答えください。
  128. 谷合靖夫

    説明員(谷合靖夫君) お答えを申し上げます。  公職選挙法におきましては、人の視覚に訴えかけるものについては幅広く文書図画という形でとらえてきておりますので、パソコン通信等による情報が画面に表示されたもの、これについても公職選挙法上の文書図画に該当するのではないかというふうに考えております。  したがいまして、公職選挙法上では、選挙運動のために使用する文書図画については一定のものに限って認められるということになっておりますので、それらのパソコン通信等を選挙運動のために使用するということになれば、公職選挙法上のそうした規制に触れるおそれがあるのではないか、かように考えております。
  129. 広中和歌子

    広中和歌子君 日常の政治活動でございますね、つまり政治家が自分の考えあるいは活動、それを選挙民だけではなくて広く一般国民に知ってもらう、そのためには例えば自分の写真を出すことも可能なんですよね。それから、いろんな画像などでわかりやすく説明するというようなこともあり得ると思うのでございますけれども、そういうことに関しましては、選挙期間中でなければよろしいんでしょうか、よろしくないんでしょうか。これから何か規制でも考えられる方向に行くんでしょうか。
  130. 谷合靖夫

    説明員(谷合靖夫君) 先ほどお答えを申し上げましたとおり、いわゆるパソコン等の使用による情報のやりとりということについて、公職選挙法上では、一般的に申し上げれば、いわゆる選挙運動にわならない限りは選挙運動期間中といえども特段の規制がないわけでございます。  ただ、選挙運動期間中ということになれば、やはりその情報のやりとりの中に殊さら候補者の氏名が表示されているというようなその画面が出てまいりますと、やはり選挙運動のために使用する文書図画という形に認定をされるおそれが強いんではないだろうか。これはあくまでも具体的な態様によって判断をされるべき問題であると、かように考えております。
  131. 広中和歌子

    広中和歌子君 そうすると、今の段階ではまだ法律、規制、そうしたものはお考えになっていない。つまり、公選法百四十二条、百四十三条ですか、この見直しはなさらない、そういうことでございますか。
  132. 谷合靖夫

    説明員(谷合靖夫君) 先ほど申し上げましたとおり、いわゆるパソコン等による情報が画面に表示されたもの、これはいわゆる公選法上の今御指摘のありましたような条文における文書図画というふうに私ども考えておりまして、それだけを取り出して殊さら別の取り扱いをするとか、そういうようなことは現在のところは考えておらないわけでございます。
  133. 広中和歌子

    広中和歌子君 それでは次に、官官接待についてお伺いいたします。  地方自治体の職員が中央官僚をもてなす、いわゆる官官接待が非常に社会問題になっておりますが、公共事業費とか補助金、そういうものに占めるいわゆる事務費、その内訳はどういうものでございましょうか。
  134. 松本英昭

    説明員松本英昭君) お答え申し上げます。  公共事業事務費の中身につきましては、例えば人件費、これが非常に比重としては大きゅうございます。それから旅費とか庁費とかというようなものでございますが、庁費の中にはさらに備品購入費とか消耗品費とか役務費とか、そしてまたこの食糧費等が入っているわけでございます。
  135. 広中和歌子

    広中和歌子君 これは私が調べたわけじゃなくて、新聞報道等によりますと、非常に多くの食糧費が使われているということなんでございますけれども、午前中の御質問の中で総務庁長官も御答弁になりましたけれども、いわゆる陳情に来る、つまり事業をとるため、補助金を得るため、あるいは公共事業を地元に引っ張ってくるためにいろいろな陳情の方がいらっしゃる。そういう交通費なんかも含めて、食糧費だけじゃなくて交通費もいろいろなところがこれから問題になるんじゃないか、そんなような感じがするわけでございますけれども総務庁長官、いかがでございましょうか。
  136. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 午前中も申し上げましたように、中央集権下補助金行政というのが行われれば行われるほどこの傾向というのはやっぱりなかなかなくならぬのであろうと。したがって、これからの行政改革の中で、いわゆる地方分権地方の時代と言われるわけですから、権限移譲財源移譲。また同時に、権限と金さえあればおさまるかといったら、能力のないところであると、すぐに役場を建てたり体育館を建てたり、何とか妙な建物を建てたりして、本当に生かされない面もあります。  ですから、そういう地方分権というなら、やっぱり今度は地方の受け皿も考えて、自力でやれる体制を早く育成していく必要がある。そして自立していく。何でもかんでもお上にすがればいいという、そういう考え方をこの国からなくしていくという努力を私どもはすべきであろう、こう考えております。
  137. 広中和歌子

    広中和歌子君 全体の公共事業あるいは補助金に比べますと、いわゆる事務費というのは大体多いところでパーセンテージにしたら八%、低いところになると二%ぐらい。つまり、額が大きくなると二%ぐらいですから、大した額ではないということはあると思うんでございますけれども会計検査院は今までこの食糧費等についてどのような取り組みをなさっていらしたのか、ちょっとお伺いいたします。多分、余りにも額が小さい、分野が小さいのでほとんど見なかったというようなうわさも聞いておりますけれども、そういうところが実態なんでしょうか。
  138. 深田烝治

    説明員深田烝治君) お答え申し上げます。  国の補助を受けて実施されます公共事業事業費は、本体工事費と事務費で構成されておりますけれども事務費は先ほどもお話がございましたように、事業費の数%しか占めていないと。さらに食糧費につきましては、その事務費の一部であるというふうなことでもございまして、検査の重要度あるいは効率性ということを勘案いたしまして、これまでは本体工事検査に重点を置いて検査を実施してまいった、こういうことでございます。
  139. 広中和歌子

    広中和歌子君 私、どのような形で会計検査院検査をなさるのかということに興味を持ちまして、というのは、決算書としていただいたこういう分厚いものを見ましてももう頭が痛くなっちゃうぐらいわからないんですけれども、伺いましたら、一つ一つ重要な案件に関しては領収書を取り寄せて添付させて調べていらっしゃると聞いたんですけれども、いまだにそんなことをなさらなくちゃならないのか、どうしてコンピューター化ができないのかということなのでございます。予算は大分コンピューター化されているそうですけれども、少なくとも決算に関しましては、いただいたお金をどういう形で使ったかというのを入力するぐらいのことは民間では当然やっていることなんじゃございませんか。それで、それを会計検査院あるいは総務庁がそういうことを指示なさることはできるんじゃないかと思うのでございますけれども、言い過ぎでございましょうか。
  140. 深田烝治

    説明員深田烝治君) 決算に関する事務についてコンピューター化されているかどうかというような御質問だと思いますけれども、コンピューターの活用につきましては各検査業務において幅広く活用している現状にございます。  決算業務のうち、歳入歳出につきましては、全国約四千の会計機関から送付されました決算データ等をコンピューターに入力いたしまして、計数をチェックしたり集計するなどの方法によりまして活用しております。また、国の債権、国の物品等の決算確認業務につきましてもコンピューターを活用している、そういう現状でございます。
  141. 広中和歌子

    広中和歌子君 いや、いただいた書類を会計検査院がコンピューターに入力なさるんじゃなくて、使った末端の方で入力していくといったようなそういうシステムがもう必要なんじゃないかということで、例えば総務庁が音頭をとって行政におけるいろいろな情報のコンピューター化というのに指導力を発揮していただけないかなと、そういうふうに思うのでございます。  やはり、中心となるところが指令を出して、情報はこういう形で入れてくださいというふうにしていますと、あとはソフトの利用でもって非常に処理が簡単になる、そういう時代に来ているわけでございまして、総務庁が音頭をとってこういう行政のコンピューター化ということを始められますと、我が国の情報産業の大飛躍になりまして、我が国の停滞している産業も大いに伸びるんじゃないか。そういう中で、総務庁長官、大いに指導力を発揮していただきたいと思うわけでございますが、どうぞ。
  142. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 私は、個人的なことを申し上げますが、政治家になりましたときからただ酒を飲んではいかぬと思って考えてきました。日本の長い伝統の中でこういうことが習慣化されてきたというのが今日社会的な批判を浴びている原因であろうと思います。必ずしもいい話ではないです、極めて情けない話でありまして。  しかし、本来こういう食糧費というものは公共事業費の中に工事雑費あるいはまた会議費、食糧費と含まれるわけでありますから、それは例えば所管の公共事業補助金を出した役所が管理すべきことである。建設業だったら建設、運輸だったら運輸、農林だったら農林と、そこがやっぱり厳重にやるべきことであって、それでもなおかつ不明瞭であるならば会計検査院をもってこれを監査していくということが私は大事だろうと思っております。しかし、御意見の点につきましては、今後検討する課題であることは間違いないと思います。  午前中も申し上げましたが、今年度から五カ年をめどにして政府の持っておるすべての情報を国民皆さんが利用できるようにそういうシステムをつくっていこうということで、五カ年計画でやるわけでありますから、その中で一つの検討課題であろうと、こういうふうに考えます。
  143. 広中和歌子

    広中和歌子君 あと一分ぐらいいただきまして、この食糧費、その他含めまして、ただ酒がいいとか悪いとかという問題以前に、やはり情報というものがきちんとわかる形で公表されている、あるいは必要とあれば公表されるというシステムをつくっておきますとおのずと判断というのが働くんじゃないかと思うんですね。だけれども、今みたいに何だか非常にあいまいもことしておりますと、悪く言っちゃ悪いんですけれども、マスコミなどが突然つっついて、もう接待そのものが巨悪の根源みたいに言われちゃったりして非常に揺れが大きくなるわけでございまして、そういう意味からも私は、行政情報はオープンにして、そして必要とあればいつでも開けるというそういう形が好ましいのではないかと、釈迦に説法でございますけれども、そういうふうに思っております。  今後、情報公開というのが当然国民の要請として出てくると思いますけれども、そういう中で情報をオープンにするためのコストを低く抑えていくため、そして同時にやりやすくするためにもコンピューター化ということはぜひぜひお進めいただきたいと御要望申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  144. 今井澄

    ○今井澄君 社会党の今井澄でございます。  同僚議員皆さんも、また両大臣及び政府委員皆さんも、閉会中審査、大変御苦労さまでございます。  今回の九月に始まりました閉会中審査の訂頭でも守住委員を初め同僚議員の方からも御指摘がございましたが、この参議院決算委員会というのは非常に大事な委員会であろうと思いますし、特に参議院の独自性という点からも大事だろうというふうに思います。  ところで、現在、平成四年度、五年度あわせて審査をしているわけですが、笠原委員の前回の御指摘にもありますように、慎重かつ迅速に決算審査を行って直近の予算審議に生かしていかなければならない、そういう我々の使命もあるだろうと思います。  その点で、まず最初に、こういった閉会中審査をやらざるを得ないということ、特にこういう省庁審査についてはある程度やむを得ないこともあると思うのでありますが、冒頭に二回大体慣例としてやっております全般的質疑、それから最後に総理半日、それから全省庁、全大臣一日やる締めくくりの総括的審査などは、できれば会期中に予算委員会と同等ぐらいにきちっと日程をとってやるべきものではないかと思いますし、ぜひ浦田委員長さんの御尽力等お願い申し上げておきたいと思います。  まず、それを前段といたしまして、私は今回同僚の朝日委員とも話し合って自治省の方を少し担当させていただこうかということで取り組んだわけでありますが、会計検査院の方としては、平成四年度、五年度に限らないわけですが、自治省に関しては指摘事項というのは特にないわけですね。先ほども松村委員の方からもお話がありましたように、地方自治体がいろいろ指摘されている問題、国保にしろあるいは義務教育費の国庫補助の問題でも、もう毎年あるわけでありますけれども、私はきょうはそういう問題ではなく地方財政の問題について、特に平成四年度、五年度決算実績等を中心に質問したいと思っております。  確かに自治省には指摘事項というのはないということを先ほど申し上げましたが、しかし今、国、地方を挙げての借金体質が問題になっておりますが、今年度末地方財政における借入金残高が百十八兆を超えるということが言われております。そして、地方財政の危機が叫ばれているわけでありますけれども、例えばきょう経済対策で史上最大規模ということでこれから補正予算も組まれるわけですが、昨日のある夕刊を見ますと「地方単独事業財源難で息切れ」ということで、公共事業のリード役である地方の単独事業に息切れが始まっているということで、これ幾ら補正予算で組んでも、今度の補正予算地方単独事業に大いに期待する数字がもう出ているわけですが、地方財源がなくて息切れをしちゃっていれば、経済対策は実効を上げられないということになるわけであります。ですから、その意味からも大変問題であると思います。  特に今年度、まだ記憶に新しいところでありますけれども平成七年度の地方財政計画を立てるに当たっては、財源不足額が六兆九千億余りあるということで、それに対しては地方債で三兆余りを手当てする、残りの地方交付税の方で手当てをするという三兆九千億の方も、実は地方交付税特会の借り入れが三兆三千億余りあるんですよね。要するに、地方債といい交付税措置といい、これは借金なわけですよ。  四年度、五年度を見てみますと、四年度、五年度は、幸いなことに年度当初の地方財政計画においてはこういう特別の借り入れという措置はしないで済んだわけですが、やっぱりバブルが崩壊した後ということで、年度末になると一兆六千億前後、平成四年度も五年度も借り入れをせざるを得ないということになってきたと思います。  そこで、最初にまずお尋ねしたいのは、最近十年間、バブル前からバブル崩壊の現在に至るまで、地方財政における歳入構造はどうなっているのか、わかりやすく簡潔にお願いをしたいと思います。
  145. 遠藤安彦

    説明員遠藤安彦君) お答えを申し上げます。  最近十年間ということで、昭和五十九年度から平成五年度までの決算の様子で申し上げさせていただきたいと思いますが、地方財政の歳入決算額の推移を見ますと、歳入規模は一応一貫して右上がりで拡大をしているわけでありまして、昭和五十九年度が約五十五兆円ぐらいの規模、それが平成五年度には九十五兆をちょっと超えるということでございますので、この十年間で約一・七倍ぐらいの拡大幅ということになっております。  歳入構造について若干申し上げますと、十年間という期間で見ますと、先ほど規模自体が一・七倍ぐらいと申し上げましたが、地方税につきましては大体一・六倍ぐらい、歳入規模より若干下目ということでありますが。地方交付税はこの十年間で一・八倍。それから、これらに譲与税を加えて一般財源ベースで申し上げますと、端数処理の仕方もございますが大体一・七倍ということで、歳入規模と同じぐらいの規模で膨らんできていると。ただ、御指摘がありました借金であります地方債などは、この十年間で二・七倍にふえているというようなことが御指摘のような地方財政の借金残高の増大につながっているわけであります。  ただこの間に、経済的には、御質問の中にもありましたようにバブル期もありましたですし、それからその後の不況期もあったわけでありまして、経済が好況のときにはやはり税を中心にして一般財源が大きく伸びたという時期も真ん中にあるわけでありますが、最近の不況の影響を受けて、平成五年度では結果として少し落ちているものですから、ちょっと中膨れのような傾向もあるということでございます。特に地方税につきましては、平成三年度にピークでございまして、それ以降、平成四年度、平成五年度と二年続けて前年度を下回るというような状況になってございます。  簡潔にということですので主要なものだけ申し上げたいと思いますが、構成比で見てまいりますと、地方税が五十九年度三九%であったものが、先ほど言いましたように六十三年度には四四%になって、その後減少して平成五年度は三五%。交付税は、大体この十年間一六%から一八%ぐらいの構成比で安定をいたしております。一般財源につきましては、五十九年度に構成比が五六%でありましたが、平成元年度に六三%まで上昇いたしましたが、その後減少をして平成五年度は五四%となっております。  なお、地方債につきましては、五十九年度以降大体力%ぐらいの構成比で安定して推移しておりましたが、平成四年、平成五年と、御質問の中にもありましたような理由でふえてまいりまして、平成五年には一四%まで上昇をしている。最後に、国庫支出金については、一九%であったものがだんだん落ちてまいりまして、平成五年度には一四%に低下した、そんな状況でございます。
  146. 今井澄

    ○今井澄君 今お聞きしました中で、地方一般財源の中の一つの重要な地方交付税でありますけれども、これは景気の変動とともに国税収入が変動すれば当然変動するわけですね。しかし、かといって地方事業を縮小するわけにいかない。常に、年々地方交付税の総額の確保が非常に問題だと思うんですが、それはどういうふうにしてこの間確保をしてきたのかについてお答えください。
  147. 遠藤安彦

    説明員遠藤安彦君) 地方交付税の総額については、やはり地方団体の中で弱小の地方団体が多いものですから、地方団体が大変関心を持っている項目でございます。  地方団体に具体的に交付をされました額を見てみますと、先ほど申し上げましたように大体順調に推移をしてきたわけでありますが、平成四年度、五年度には、御質問にもありましたように、当初はよかったのでありますけれども補正の段階で減額補正というのがありまして、結局一兆六千億程度の減額部分を借入金で対処しなければならないということがあったわけであります。  この間、実は平成三年度から五年度にかけてでありますが、地方団体が必要とする財政需要を地方財政計画上十分に確保し、それに必要な地方交付税の所要額を確保したわけでありますけれども、総額にしまして一兆六千五百三十八億円ほどを地方交付税法の附則三条の規定に基づいて地方交付税の総額から特例減額する措置を講じております。これは、国の財政状況が異例に厳しいという状況の中で、公経済の車の両輪という国と地方の財政、ともにバランスのとれた運営が図られるようということで国庫当局の大変強い要望もあったわけでありますから、こういった要請に基づきまして地方交付税の総額から減額をして国の財政にいわばお貸し申し上げるというような協力の措置を講じた時期もあるわけであります。  ただ、これは国に貸したわけでありまして、この減額部分については法律上きちっと年度と額を決めて返していただく。そういう意味では、後年度の交付税の安定的な確保につながるかなというように思っている次第でございます。
  148. 今井澄

    ○今井澄君 今の特例減額、国に貸す余裕のあった時期、これ付裏返して言えば、国が苦しいというだけではなく、国税収入がふえればそれだけ計算上の交付税はふえるわけですから、地方の財政需要からいって余るといいますか、余ると言うと語弊があるけれども、国に貸す分ができたと思うんです。  しかし、それちゃんと返してもらっているということなんですが、ここ一、二年、年度当初から大変な借り入れをしているわけですが、もう全部きちっと返してもらっているんでしょうか、国の方から。    〔委員長退席、理事大木浩君着席〕
  149. 遠藤安彦

    説明員遠藤安彦君) 先ほど申し上げましたように、平成三年から平成五年の間に地方の側から国に協力をして貸したという額は総額で一兆六千五百三十八億円あるわけでありますが、これは後年度にきちっと返還をしてもらうということで法律で定めてございまして、具体的に申し上げますと、平成四年度には二百十億円、平成五年度には三百七十億円、それから平成六年度においては千七百六十億円、それからことし、平成七年度においては千八百十億円、全体で四千百五十億円を国から返していただいております。なおしかし残高が一兆二千二百億ございまして、これらについては平成十三年度までに計画的に返していただくということでございます。  今後の地方交付税、やはり地方団体にとっては大変重要な財源でございますので、毎年度の地方財政計画を策定する段階で地方税、地方交付税などの一般財源確保に努めてまいりたい、地方団体財政運営に支障を生じないように対処してまいりたいというように考えております。
  150. 今井澄

    ○今井澄君 こういう交付税だけではなく、国は財政が苦しいということでいろいろな会計からの繰入金を繰り延べたり、いわゆる隠れ借金というのを随分しているわけですが、特に地方財政の立場からはきちっと法定加算、返してもらう分だけは今後ともきちっと確保してもらいたいと思います。計算上からいえば、そうすると交付税特別会計でそんなに三兆も借りなくても、一兆貸したならば返してもらえばいいじゃないかと思うんですが、その辺は計画があるのできちっと返してもらいたいと思います。  さて、地方債残高を中心とする借入金ですけれども、これも平成四年、五年あたりから急激にまたふえてきているわけですが、この理由について簡単にお願いします。
  151. 遠藤安彦

    説明員遠藤安彦君) 御指摘のとおり、ここのところ地方債の残高が年々増加をしてきております。私どもその主要な原因というものが幾つかあるというように考えておりますが、一つは、やはり景気が低迷しているという状態の中で、平成五年度までのことを申し上げますと、平成四年度の年度途中に一度、それから平成五年度は年度中に三遍も経済対策のために多額の公共事業あるいは単独事業の追加をしたわけであります。年度途中にこういう措置をとりますと、当然、税金をもって対処するという形にはならないわけでありまして、どうしても公共事業補助金の裏負担、それから単独事業の追加分といったものについては地方債に頼らざるを得ないということで、各地方団体は経済対策に協力するということで地方債を増発したということが一つの原因としてあろうかと思います。  それからもう一つは、平成六年度、平成七年度において住民税、それから所得税の減税を行ったわけでありますが、これに対する減収額を補てんする必要がございます。  それから、平成六年度、七年度、同じく、減税と同時に通常収支においても地方財政においては財源不足が生ずるというようなことになったわけでありまして、これに対する補てん措置ということで多額の減税補てん情あるいは財源対策債を個別の地方団体に発行していただくと同時に、交付税特別会計で交付税の借り入れをして対処するというようなことが重なりまして、やはり地方債の残高、交付税特別会計における借入金の残高というものがふえてきたということが言えると思います。  それから、強いて申し上げれば、財政計画上、年度当初に地方税の収入見込み額を出すわけでありますけれども、年度途中、やはり景気がはかばかしくないということで、法人税などを中心にいたしまして予定をされた税収が入らないというような事態に対処いたすために、減収補てん債が平成四年度、五年度発行されておりまて、そういったものも多額になっておりまして地方債の残高が増大をしてきたというように見ております。
  152. 今井澄

    ○今井澄君 そこで、地方財政は非常に厳しいわけでありますけれども大臣にお尋ねしたいんですが、大臣としてはこの地方財政の現状をどのように認識しておられるか、また、今後どのように基本的に対処していかれようとしているのか、その点をお伺いしたいと思います。
  153. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 地方税とか地方交付税が伸び悩んでいる、そしてまた、所得税、住民税の制度減税及び特別減税が実施されているというようなことから、大幅な財源不足の状況に置かれていることを大変心苦しく思いながらよく承知をしております。  あわせて、平成七年度末の見込みで百十八兆円、ただいま委員指摘のとおりの多額の借入金残高を抱えておりますから、しかもその上に公共投資基本計画等の考え方に沿っていわゆる社会資本充実とか少子・高齢者に対する福祉とか、やらなければならない地方自治体としての動きというのはたくさんございますから、そういう必要な財政需要を考えてまいりますと、地方財政というのはかなり厳しい状態に置かれているというふうに認識しています。  地方団体が本来持っている役割を十分に果たしながら、なお行財政運営を円滑に行っていくためには、何といっても国と地方とを通ずる行財政改革を積極的に進めること、あるいは必要な地方税の財源充実確保努力していくこと等々ございますが、基本的にはこれは国全体の景気回復のために内閣の一員としてどう参加し、具体的な答えを出していくかということではないかと思うんであります。  本日の経済対策の構想の中にも自治省といたしましては二兆五千億の予算を明示しておりますけれども、これらの国全体の十四兆を超える大きな補正予算を通じてとにかく景気の回復に万全を尽くしていく、そういうことなどなど、やるべきことが山積しておりますから、それらについてしっかり取り組んで頑張っていきたいと思っております。
  154. 今井澄

    ○今井澄君 確かに、特にこの間の財政の厳しさは景気の問題があると思います。しかし、これから今までのような一方的右肩上がりの成長という時代ではないということもありますので、やっぱり抜本的に地方財政の財源構造等を見直していかなければいけないと思います。  そこで、時間があったら後で地方税のこともちょっと議論したいと思うんですが、一つは、今の交付税の問題に注目しますと、国に一兆幾ら貸してあるとはいうものの、ことしは三兆三千億も特会で借りているということもあるわけで、見てみますと、バブル期を除くとほぼ一貫して交付税特会では借り入れ超過になっているというふうに思います。一方では、補助金の整理合理化、廃止というのが行われて一般財源化しているわけですから、交付税で見るということもこの間の流れであります。  ところが、一方で、交付税は国税の何%かという税率を見てみますと、いわゆる国税三税と言われる所得、法人、酒税等については昭和四十一年以来ずっと三二%なんです。それ以前、昭和二十九年は二〇%、それから二二、二五とだんだん上がってきて三二になって、昭和四十一年以来ずっと三二%。平成元年に消費税が導入されたときから消費税とたばこ税については別の税率があるわけですが、これは自主財源、税源の問題はちょっと別としまして、交付税については国税の三二%と、こんなに長く続いたものをそろそろ引き上げてもらって、いつも交付税特金借り入れて、足りないということはわかっているんですから、これは上げてもらった方がいいんじゃないかと思うんですが、その辺はお考えどうでしょうか。
  155. 遠藤安彦

    説明員遠藤安彦君) ただいま大臣から御答弁がありましたように、地方財政は大変厳しい状況にあるわけであります。御質問にもありましたように、この二年間、当初段階でかなり交付税の借り入れをしなければいけない、そういう財源不足が生じているということであります。法律上は地方交付税法の六条の三第二項という有名な規定がございまして、普通交付税の総額がおおむね一割以上財源不足が二年連続して生じた場合、三年度以降もそのような状態が見込まれるときには、地方行財政制度の改正か交付税率の変更を行うべきものとされているところであります。  交付税率の変更という話は、昭和四十一年度以降、主要三税については行われていないわけであります。現時点において、来年度の財源不足が生ずるのか生じないのか、今回行います景気対策その他が効果があって税収が伸びるということになれば、そういう危機的な状態を脱することができるのか、その辺につきましては、今見通すことは大変困難でありますが、私どもこの地方交付税法の趣旨というものをよく踏まえて来年度の地方財政対策に臨んでいきたいというように思っているところでございますので、御了承を賜りたいと思います。
  156. 今井澄

    ○今井澄君 ちょっと細かい問題で、もう時間がなくなったんで意見だけ言いますが、今の大きな問題に比べれば甚だ小さいことですけれども、よく市町村の悲鳴として聞くのは超過負担の問題なんですよね。  これは公共事業は割合実勢価格等に合っているけれども、福祉施設だとか学校だとかそういったものは単価が全然実勢価格からかけ離れているとか、それから建築の基準や何か、そういう基準自体が実勢に合わないために地方の超過負担になっていると。これは市町村の立場を考えたら、私どももそれぞれ厚生省なり文部省なりというところに言っているわけですけれども自治省立場としても実勢価格や実際の基準に合うようにぜひ改善措置をとっていただきたいと思います。    〔理事大木浩君退席、委員長着席〕  それは要望だけにしておいて、今交付税の問題ちょっと取り上げて、交付税率上げてもらったらどうかということを申し上げたんですが、これは一体その財源をどういうところに求めたらいいのかという議論になってくると思います。  大ざっぱに言って、税金は六、四で国がたくさん取っている。実際、仕事をとっているのは六、四で地方がたくさんやっているということで、そもそも地方自主財源をもっとふやすべきではないかと、そういう意見があると思います。一方、全国的な財源調整という意味では交付税の意味というのはこれはもちろんあるだろうと思うんで、先ほどは交付税の税率を上げることだけ申し上げたんですが、地方分権推進法が制定されていよいよ地方分権も本格的になってくるというときに、地方自主財源確保、とりわけ地方税税源をどうするかということがこの間も大変問題になっていると思います。私の党やあるいは与党の方の税制調査会の方でいろいろそういう議論にも参加させていただいて、昨年は地方消費税の創設にも参加させていただいてきたわけです。  そこで、もう時間がないんで質問だけで終わってしまいますが、税は例えば所得、消費、資産の三つに分類するとかいろんな分類の仕方がありますが、今国税と地方税を見てみますと、それぞれに国税と地方税があるんですね。消費税も、あそこへ地方消費税をつくって、何だ今まで一本だったのを複雑にして何の意味があるか、おかしいんじゃないかという意見もある。それから例えば地価税の問題は、固定資産税があるのに何で国税の地価税をつくるのかというふうなこともあって、もっと地方地方にふさわしい税源に特化していくというか、あらゆる税目についてそれぞれ国税があって地方税があってというのは複雑であるし、税金を納める方も何か複雑になって二重に取られているような気がしたり、また徴税コストの問題でもいろいろ問題があるんではないかと。  そういう意味からいうと、自治省としては所得、消費、資産、あるいは応能、応益的な分類ではどういうところに地方の自主税源というのを求めていくべきだと考えておられるのか、もしお考えがあったらお聞かせいただきたいと思います。六分までなので二分程度でよろしくお願いします。
  157. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 今、先生御指摘のように所得、資産、消費と各税が種目別に分かれているわけで、しかも同時に国税と地方税がそれぞれにあるというのはおかしいじゃないかという御意見は、一つのお考えだろうと思います。国によってやっぱり国と地方の税源というものはきちんと分けているところもありますし、もともとシャウプ勧告では都道府県、市町村あるいは国、これは税源の分離があるべきだということになっているわけでございます。  しかし、特定の税源だけで地方税制を賄ってまいろうとした場合には、それぞれ内政のほとんどを都道府県地方自治体が担っているような現状ではかえって財政需要が巨額に上っておりますから、それで地方団体の財政需要を賄うだけの税収を上げろということになると容易なことではないのではないかと、こう思うわけであります。  いずれにしても、これから地方分権が進んでいくわけでございまして、この間で事務の配分もそうでありますが、税源の配分というものもきちんと考えていかなければならないわけで、今後地方分権推進委員会とか税制調査会等々の御議論を踏まえながら、十分それらを受け入れながら、適切な地方財源確保に努めていきたいというふうに思っております。
  158. 今井澄

    ○今井澄君 終わります。
  159. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 社会党の朝日でございます。  私は、先週開かれました本委員会においても、ことし八月に公表されました総務庁の「保健医療・福祉に係る人材確保対策に関する行政監察結果に基づく勧告」を引用しながら、主に労働省の皆さんにいろいろとお尋ねをさせていただきました。  そこで、今回はそのこととも関連をいたしまして、総務庁皆さんに、行政監察の機能と目的及び行政監察決算審査との関連などについて基礎的な事項も含めまして改めてお尋ねをしたいと思います。  まず最初に、行政監察局は、そもそも政府がみずからの業務の実態をチェックをし、みずからその改善を図る、そういう意図で設置されたというふうに伺っておりますが、その行政監察局が行う行政監察、具体的にはどのような目的であるいはどのような観点からどんなふうに実施されているのか、まずはこの部分についてできる限りわかりやすく御説明をいただきたいと思います。  あわせまして、現在どんな監察テーマで取り組んでおられるのか、あるいは今後どのような予定で監察テーマを想定されているのか。その際、それらの監察テーマはどんな観点から取り上げられているといいますか、どういう理由でそのような監察テーマを設定されたのか。総務庁皆さんの問題意識も含めてお聞かせいただければありがたいと思います。
  160. 大橋豊彦

    説明員(大橋豊彦君) 大臣に先立ちまして、私から事務的な行政監察目的などにつきまして御質問にお答えさせていただきたいと思います。  行政監察というのを一言で申し上げますと、私は、政府部内にありましてその政策とかあるいは運営だとかそういうものについての一種の反省機能というふうに言ってもいいのではないかと思います。  先生御案内のように、監察で取り上げる分野というのは各行政分野の全般にわたっておりまして、今委員の方からも御指摘がございましたように、広い各行政の全般の分野についての実態問題点全国ベースで把握いたしまして、行政の制度あるいはその運営あるいは慣行、ルールなどについての改革なり改善というのを推進することを目的としていると言っていいかと思います。そういう意味では、私は年来言っていることでございますが、行政監察というのは行政改革の実現を担うものであるというふうに申し上げてもいいのではないかというふうに思います。  そこで、じゃそういう行政監察というのはどういう観点から実施されているのかということでございますが、整理して申し上げますとほぼ六点ぐらいの観点から実施しておりまして、その第一点がやはり合規性といいますか、つまり行われている政策なり事業というのが法律なり政令というものに従って行われているかどうかという、これが観点の第一といってもいいかと思います。  それから、第二の観点が経済性、効率性ということでございまして、つまり第一の観点事業なり政策というのが法律なり政令に基づいて行われていても本当に効果的に行われているのか。もう少し、これくらいの費用がかけられているならばさらに大きな効果が上げられるんじゃないかという観点。経済性、効率性という第二の観点。  それから、第三番目の観点が有効性という観点。つまり、それぞれ政策なり事業というのは目的があるわけでございますから、その所期の目的が達成されて効果を上げているのかどうかという観点。  それから、第四には総合性という観点。それぞれの政策がそれぞれ行われていても、本当に政府全体あるいは省全体として総合的に行われているのかどうかという観点。  それから五番目には、これは非常に大切な観点でございますが、公正性という観点。  それから最後が、時代の変化への対応。本当にその法律でできた制度だとかあるいは政策というのが今の激しく動いている変化の中でその変化に対応しているのかどうかという、大ざっぱに言いましてこの六つの観点から監察をやっております。  そこで、御質問の今どんな監察をやっているかということでございます。  私ども監察局では年間大体二十本のテーマについて取り組んでおりますが、大きく言いまして、一つは政府の重要行政政策課題について取り上げている監察と、それからもう一つ、先ほど私言いましたように行政改革を担うものでございますから、行政改革に関連するテーマという、大きく分けましてこの二つのテーマについて年間二十本程度具体的に取り上げまして実施しております。  現在実施しております監察の具体的な例を申し上げますと、老人医療等公費負担医療の問題あるいは港湾行政の問題等をやっておりますし、さらには国際協力という観点から有償の経済協力も実施しておりますし、行政改革という観点からは規制緩和あるいは縦割り行政の問題を実施しております。
  161. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ただいま幾つかの観点について御説明をいただいたわけですが、実はなぜそのような質問をさせていただいたのかといいますと、私自身は、今日的な行政課題の多くは、現在ある各省庁にまたがるといいますか、各省庁を越えて相互に連携、協力しなければいけない課題が年々多くなってきている、そういう状況、現実を特に注目したいというふうに思っています。    〔委員長退席、理事大木浩君着席〕  それでなくても、従来からややもすれば縦割り行政のもとで行政サービスが非常に非効率ではないかという御批判もあるわけでありまして、特に今後のテーマとしてあるいは一つの観点として、幾つかの各省庁にまたがるような課題あるいは幾つかの省庁の壁を越えて取り組むべき課題についてもっとスポットライトを当てて行政監察を積極的に実施していくべきではないかというふうに私は思っているわけですが、この点はひとつ総務庁長官の方からお答えをいただければありがたいと思います。
  162. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 縦割り行政の欠陥というのはかねがね指摘されながらも、なかなか実はこれが解決をしないということが一つの大きな問題だろうと思っております。  例えば建設業者が不正事件を起こしたというと、当然これは建設省が、関係する公共事業を持っておる運輸省でもあるいは農水省でもそのほかの役所でも、あるいはまた関係の省庁に当然連絡していいはずが、縦の線でつながっておって情報が全くないということがいろんな弊害を生んでおると思います。  例えば船なら船を、運輸省が船舶の登録をするんですね。登録をして、今度はまた法務省登記所に持っていってまた登記をすると。同じようなことを何回もやっておる。特にまた、御承知のように、皆さんの周辺でもあると思いますが、土地を買うて家を建てようといったら、これまた農地転用から何からどえらい書類と手続が要って、とてもじゃないけれどもそれはやれぬというのがいっぱいあります。  ですから、例えば土地問題でしたら農水省とそれから住宅政策をやる建設省、あるいは登記事務をやる法務省、そこいらの各省にまたがるいわゆる共通事項等は何も改めてやることはないではないか、そういうことは整理をして一本化していくということが大事であろう、こう思っております。  なかなか厄介なことですけれども、そういうことを具体的に申し上げればたくさんありますけれども今はそういう方向でやっておることだけをお答えをさせていただきます。
  163. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今、長官の方からお答えいただいたわけですが、これからの行政監察の重要な観点の一つとして、ぜひ各省庁間にまたがる課題あるいは飛び越えて取り組むべき課題についても十分意を用いていただきたいというふうに思います。  一つ具体的な例といたしまして、先週私がこの委員会で取り上げさせていただきました保健医療・福祉に係る人材確保対策に関する勧告につきまして、実は中身をいろいろ読ませていただいたり、あるいは厚生省なり労働省の皆さんとも事前にいろいろとお話をさせていただきましたけれども、使っている言葉自体も随分と違うんですね。例えば看護職員、介護職員というふうに使っていても、その中身がそれぞれ厚生省と労働省と思いというか考え方というか範囲が違っているようなところがあるわけです。  そこで、私の印象としては、その監察でもう少し両省の現状認識の考え方の食い違いとか、あるいは具体的な連携共同作業の不十分さなどについてもっと率直な指摘というかあるいは積極的な示唆が与えられてもよかったのではないかという印象を持ちました。いろいろこれまでの各省庁との協議の中で事情があるんでしょうけれども、もう一つ食い足りないという印象を持ちましたんで、その辺についてちょっとコメントをいただければと思います。
  164. 大橋豊彦

    説明員(大橋豊彦君) 先生が御指摘されました保健医療・福祉に係る人材確保対策に関する行政監察を先般勧告をさせていただいたわけでございますが、この監察で私ども一番重点といいますか力を注いだところは、やはり保健医療・福祉におきます人材の確保という観点からそれぞれの省庁、なかんずく厚生省、労働省が中心になっておりますこの両省の間の連携作業あるいは共同作業というのが本当にうまくいっているのかどうかという観点がこの監察で私ども最も重点、重視した点でございます。  そういう観点から、今回の勧告では、一つは、ナースセンターで無料職業紹介事業というのをやっておりますが、労働省の許可がその際には必要でございますが、労働省の許可の範囲としては原則として一つの県にあるナースセンターにしかその職業紹介事業を認めないとか、あるいは福祉人材センターにおきましては新規の学校卒業者だとかあるいは保育所の保母については取り扱ってはいけないというようなことになっておりまして、その結果としていろいろ求職者、求人者のニーズに対応していないというような状況が見られたわけでございます。そういうことから、この両省に対しまして、今申し上げましたナースセンターと福祉人材センターが行います無料職業紹介事業の許可の範囲について検討してほしいという勧告をいたしております。  これは先生、やや十分ではないじゃないかというおしかりでございますが、私どもこの点は相当ぎりぎり両省と折衝したところだということをぜひ御理解いただきたいと思いますし、もう一つ先生がお尋ねの両省間の連携共同作業が十分されてないじゃないかという点に関しましても、例えば今申し上げましたナースセンターと福祉人材センターに来ました求職・求人情報が職安に提供されていないというような事例も見られましたので、これはせっかく両センターに来た情報を公共職業安定所の方に連絡しないことはだめであるということで、その両機関の連携ということについて強力に指摘しているところでございます。
  165. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今後またフォローアップもあると思いますので、私自身も厚生省並びに労働省の皆さんにもぜひ働きかけたいと思いますのでよろしくお願いしたいと思います。  もう一度基本的な視点に戻りまして、少しお教えをいただきたいわけですが、そもそも行政監察にかかわって重要なポイントは、監察が行われた、その勧告が出された、そしてその指摘事項を受けて何がどこまでいつまでに改善されたのかという、そういういわば行政監察及びその勧告の実効性といいますか有効性が常に問われていると思います。しかし、この点について言いますと、ちょっと耳が痛い話かもしれませんが、行政監察局も同じ政府機関の中にあるということでしょせん行政機関同士のなれ合いに終わっているんじゃないかという声もないではないわけでありまして、そういう事情があるからこそ余計そのような批判を招かないためにも着実な改善実績を積み重ねていくことが大切だというふうに私は思います。  そこでお尋ねしますが、平均的にといいますか、典型的にというふうにお考えいただいて結構ですが、一つの勧告が出されますと、その後、フォローアップは大体どんなふうにいつごろまでにされているのか。どうもお聞きしますと、なかなかその後の対応がおくれおくれになって、一年後になったり、場合によっては一年過ぎたりということもあるようでございますが、なぜそんなふうに対応がおくれおくれになってしまうのかという理由などもあわせてお聞かせいただければと思います。
  166. 大橋豊彦

    説明員(大橋豊彦君) 今、委員から行政監察というのは政府内部の機関で、言葉は悪いけれどもなれ合いになっているんじゃないかというような意味合いのお尋ねがございましたが、私ども行政監察をやる者として最も注意しております点は、何といっても各省との間でそういうなれ合い的なことになってはいけない、そういうことで厳しく自分の態度をつくりながらやっているわけでございます。この点については大臣からも、総務庁というのはもともと一生懸命やればやるほど各省から嫌われるんだということで、そういうお言葉をいただいておりまして、君らは嫌われでもいいから一生懸命やれという厳しいお言葉をいただいておりまして、そういう点からは大臣のお言葉を非常に重く受けとめて私ども監察に従事しているところでございます。    〔理事大木浩君退席、委員長着席〕  そこで、先生から今、勧告をした後のフォローアップはどういうぐあいにやっているのかということでございますが、私どもの勧告をした後、各省から報告を求めることになっておりますが、これは総務庁設置法で権限として与えられております。  具体的には、勧告した後二回にわたって、各省から私どもの勧告がどの程度実現されているのか、あるいは実現の予定なのかということの回答を聴取しております。第一回目の回答は、おおむね言いますと三カ月から六カ月の間に第一回目の回答をいただいておりまして、その後、回答をいただいた後さらに六カ月なり八カ月の間かけて第二回目の回答をいただいております。その二回の回答をいただいてもまだ改善が非常に不十分だというものについては、私どもの用語で推進監察と言っておりますが、新たに同じようなテーマでそれをフォローアップする推進監察をしている例もございます。  そんな形で、私ども監察が言いっ放し聞きっ放しということにならないように十分意を用いているところでございます。
  167. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 それでは次に、少し視点を変えまして、行政監察とそれから会計検査、この二つが決算審査にかかわってそれぞれに重要な資料だというふうに私は思っておりますが、特にそのことも含めまして行政監察と会計検査の相互の連携の必要性指摘しておきたいと思います。  両者の間の連携、これまでにも本委員会でも指摘があったというふうにお聞きしておりますが、この間どのように連携を進められてきたのか、あるいは今後どのように進められていこうとしているのか、この点についてお伺いいたします。
  168. 大橋豊彦

    説明員(大橋豊彦君) 行政監察と会計検査というのはそれぞれ性格、位置づけは異なりますが、行政機関なりあるいは特殊法人の業務の適正かつ効率的な実施の確保という点で共通する部分もございます。そういう意味で、この両機関が十分連携をとりながら業務を遂行していくということが政府全体として、トータルとして見て業務の適正化、効率化に資するわけでございますので、私どもとしてはこの会計検査院との連携、連絡ということに十分意を尽くしているところでございます。  具体的には、検査院との間で年間大体十回か十二回、あるいは十五回ぐらいになりましょうか、それぐらいの定期的な連絡会を開きまして、それぞれ、私どもで言いますと監察の結果を会計検査院の方に御連絡申し上げると同時に、検査院の方からは検査結果についての御連絡をいただくという定期の連絡会を開いております。また、私ども監察職員の研修ということで中央では年一回か二回でございますが、地方でもやっておりますが、そういうセミナーとか研修会の場に当然のことながら会計検査院の方にも来ていただいて相互の情報交換を進めておりますし、一方、検査院の方でも同様なセミナーをやっておりますが、そこには私どもの審議官クラスの方が出席しましてお互いの情報交換を進めているところでございます。
  169. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ありがとうございました。  最後に、もう一度改めて総務庁長官にお尋ねしたいと思いますが、先ほどお尋ねした行政監察と会計検査の連携ということもさることながら、私自身は国会における、特に本決算委員会における行政監察とのより積極的な連携といいますか、言い方をかえれば行政監察結果を決算審査の中でより積極的に活用していくという、そういう視点が必要だというふうに感じております。  そこで、そのためにはぜひ総務庁皆さんからも本委員会へ行政監察結果の積極的な開示など幾つかのことが考えられると思いますが、国会における決算審査との連携のあり方について長官のお考えをお聞かせいただいて、質問を終わりたいと思います。
  170. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 元来、国会においては予算委員会というのは大事にされてきましたが、決算委員会というのはややともすれば軽視される傾向にあったと私は思います。それが今国会においてはこの決算委員会を非常に大事にしていただくということは、これは行政に携わる者としては、国会の皆さんの率直な御意見を賜る場所でありますから極めて重要で私は非常にいい傾向だと思って実は感謝を申し上げておるところであります。  したがって、私ども行政監察結果につきましては努めて国会にその資料を提供するように、お求めがあればいつでも対応できるように今後も努力してまいりたいと思いますので、よろしくまた御活用やら御叱正を賜りたいと思います。
  171. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 どうもありがとうございました。
  172. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 私は、まず最初に、去る四日夜沖縄で発生しました米兵による少女暴行事件についてお伺いしたいと思います。  この事件というのは、アメリカ兵三人が待ち伏せをして、たまたま通りかかった少女を車で連行し、ガムテープで両手を練る、その上で乱暴を働くという全く許しがたい破廉恥な、そして残忍きわまる事件です。沖縄県の各自治体やあるいは知事が、早急に犯人の身柄を日本に渡せと要求しているのもこれは当然です。  ところが、先ほど自治大臣の答弁を伺っていますと、地位協定十七条五項の(c)で身柄を日本側に渡さない、全く不都合ない、支障ないと。じゃ一体なぜ逮捕状を出したんですか、伺います。
  173. 野田健

    説明員(野田健君) お尋ねの事案は、本年九月四日午後八時過ぎ、沖縄県国頭部金武町地内において歩行中の女子小学生が三名の外国人に拉致され、車で連れ去られた上、車内で乱暴された事件であります。  沖縄県警察では、発生直後、被害者家族からの一一〇番通報を受けまして事件を認知し、被害者の事情聴取、それから米軍当局の協力を得まして被疑者である米軍軍人三人を割り出したところであります。
  174. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 事件の経過はいい、わかっているから。何で逮捕状を出したのかと聞いているんです、請求したのか。
  175. 野田健

    説明員(野田健君) 被疑者を割り出した時点におきましては、逃走のおそれあるいは証拠隠滅のおそれがあるということで逮捕状の請求をしたところであります。
  176. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 そういうことでしょう。当然証拠集めをする上で逃亡されると困る、あるいは証拠を隠滅されると困る。だから逮捕状を請求して米軍側に同意を求めたわけです。  ところが、十七条の五項(c)を盾にして米軍はそれに同意をしない。今どういう捜査かというと、毎朝十時から四時でしょう。夕食前に帰っちゃうというんですよ。遅出して早退するようなものですよ、これ。だから任意の調査なんだ。三人のうち一人はまだ犯意否認しているでしょう。現場検証は済みましたか。
  177. 野田健

    説明員(野田健君) 取り調べに関しましては、連日のように、米軍側で現在身柄拘束中でありますので、米軍側に要請をいたしまして石川警察署まで連行をしてもらい、そしてそこで取り調べているという状況にございます。
  178. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 大臣、先ほど現状では捜査に支障ないというふうに慎重におっしゃいました。私は、やはりこの際国家公安委員長として、聞くところによると、きょうやられておるのかあるいはあすやられるのか知りませんが、日米合同委員会も開かれるそうです。やはり、アメリカ側がどういう返事をしようと、少なくとも捜査のいわば最高責任者として、十七条五項の(c)はあるけれども犯人の引き渡しをしてほしいということを国家公安委員長から外務大臣なりにお話をされて、そして日米合同委員会で取り上げる、そういう要請をするという働きかけを行うべきじゃありませんか。
  179. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) このような事件が起こったということはまことに遺憾なことであって、犯人を最後まで裁判上追及していこうという方針に米軍であろうと日本人であろうといささかの差別も差異も感じておりませんで、許しがたいことでありますから徹底して捜査をさせるように指示をいたしております。  そして、実際には双方に裁判権がございますから、たまたまこの犯人の場合には米軍の基地内で拘束をされて、そして営倉にぶち込まれている、こういう状態であったものでありますから、あれが兵舎の外で我が警察の方が拘置ができればそのような形で進めたという、そういう状況であろう、こう思うわけであります。  したがって、ただいまは犯人が拘束をされて完全に米軍の手のもとで営倉にぶち込まれていて、そして我々が必要とする捜査の時間帯については憲兵隊が手錠もはめて連行してくる、こういう形で捜査は今進んでいるところでございます。  先ほどの話の中に、一々連れてこなくて云々というお話もありましたが、例えば拘置所に留置された場合には、通常でも拘置所から警察署に連行しながら捜査を進めるわけでございますから、そういう意味ではこの場合に米軍の基地内で拘束をされたということが今回のこういう捜査の仕方になっているわけであります。  現状としましては、徹底捜査を続けていて格別な支障は目下のところない。これがあるようであれば、その捜査の妨げになるようなものは除去していかなければならぬと思っています。
  180. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 今のところ支障がないということだけれども、将来どういうことが起こるか、これはわかりませんよ、まだこの事件は解決したわけじゃありませんから。まだ公訴だってされていないわけですからね。ですから、将来どうなるか、これは全くわからない。  例えば、沖縄が本土復帰した翌年の一九七三年の三月に、沖縄の女性が殺害されるという事件がありました。これ今、未解決です。しかし、当時重要参考人として、指紋から血液型から全部一致している、アリバイもない、最後に会ったのがこのアメリカ兵だったと全部わかっていた。重要参考人として取り調べていた。ところが、この重要参考人は除隊をして本国へ帰ると。米軍は協力すると言っていたけれども、それ全部認めちゃったんです。こういうケースだってあります。もちろん復帰前なんかはこんな例は幾つでもあります。  ですから、逮捕して取り調べるのが当然ベストだという態度は少なくとも警察がとらなきゃ、何のために逮捕状をとったのか、何のための日本の警察かと私は言わざるを得ないと思うんです。  例えば、沖縄が本土復帰してからだって、わかっているだけでアメリカ兵による殺人事件というのは十二件あります。十二人の日本人が米兵に殺されているんです。もし外務省わかっていたら答えてもらいたいけれども、七二年に復帰してからこれまで沖縄で米兵による犯罪が何件あったか、窃盗だとか暴行だとか強盗だとか、何件ありましたか、今まで。——わからなかったらいい。  沖縄県の知事公室が発行した「沖縄の米軍及び自衛隊基地」(統計資料)というのによると、一九七二年度以降四千六百七十五件、米軍による犯罪が起こっているんですよ。沖縄県民がなぜ身柄を日本によこさないんだと言うのは当たり前でしょう。少なくとも大臣、逮捕して取り調べるのがベストだということぐらい言えるでしょう。
  181. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 先ほど申したように、双方に裁判権があるわけです。ですから、この兵舎の外で警察の手によって逮捕されていたとしたら、これは捜査の進展上私どもが極めて有利な状態にあったという点はそのとおりだと思います。
  182. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 外務省は、十七条の五項(c)で、これを盾にして、アメリカ側に身柄を引き渡すよう求めるのはもう絶対無理だというふうに説明するわけです。しかし、私はそうじゃないと思う。  例えば、外務省の条約局とアメリカ局が一九七三年の四月に「日米地位協定の考え方」、こういう文書をつくってます。これは、日米地位協定をどういうふうに解釈して、どう実際に運用していくのかということで、外務省自身がつくったものですよ。  この中でどう書いてあるかといいますと、絶対犯人引き渡しできないなんて書いてないですよ。例えばこう言ってますよ、日米合同委員会の合意で。先ほど大臣は、日本の警察が逮捕した場合、それはそのとおりなんです。しかし、外務省のこの文書によれば、アメリカ側が逮捕した場合でも、日本側が特に身柄を確保する必要があると認めて要請した際には日本側に身柄が引き渡されることになっている、これが十七条五項(c)の解釈だと。北米局長、そうじゃないんですか。
  183. 折田正樹

    説明員(折田正樹君) 今委員指摘の文書がどういう文書であるか、ちょっと私承知いたしませんですが、恐らく先生が言われているのは、日米合同委合意というのがあるわけでございますけれども、その中にございますのは、現行犯を日米両国の法律執行員がお互いに現場にあって協力する場合のことを定めた中に、米側が逮捕した場合でも、日本側が特に身柄を確保する必要があると認めて要請した場合には日本側に身柄が引き渡されるという趣旨の規定があることは事実でございます。ただ、これは現行犯の場合でございます。今回の場合は、まさしく十七条五項(c)の規定が適用になる事例であるというふうに私は承知しております。
  184. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 ところが、それだけじゃないんですよ。十七条五項の(a)では、引き渡しについて相互に協力する、相互に援助する、こういうふうに書いてありますでしょう。これは協定にそう書いてあるんですね、相互に援助する、これが原則だと。そして、(c)というのはいわばその原則の例外なんだと、これは外務省の「日米地位協定の考え方」に書いてあるじゃないですか。当たり前なんだよ、それは。  いろいろ私調べてみました。東京弁護士会の当時の江尻会長だって、(a)が、つまり相互に引き渡しに協力する、これが原則だと。アメリカ側が自分の手中にあるから容疑者とわかっていても放さない、こんなものは例外なんだと、政治的妥協の産物だと。なぜなら、アメリカは日本を当時どう見ていたかというと、司法制度がしっかりしてない、こんな日本じゃアメリカ人は何をされるかわからないと、ぶっちゃけて言えば。だからこの(c)項が入ったんですよ。いつまでこんなものを認めるんですか。
  185. 折田正樹

    説明員(折田正樹君) 今委員、十七条五項(a)と(c)の関係について御質問をされました。  私どもが考えますのは、地位協定十七条五項(a)は、日本側当局と米側当局は、我が国の領域内における米軍人等の逮捕及び裁判権を行使すべきそれぞれの当局へのそれらの引き渡しについて相互に協力しなければならないということを確かに書いておりますが、裁判権を行使すべき当局への引き渡しをどの時点で行うのか、一連の刑事手続においてどの段階でいずれが身柄を拘束するか等を定めているものではないというふうに解しております。  他方、(c)項は、被疑者が米軍の手にある場合には、日本側において起訴されるまでの間、米軍が引き続いて拘禁することを定めているものでございまして、今回の事例はこの規定の適用を受けることになるというのが私ども考え方でございます。
  186. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 北米局長いろいろ言ったけれども、あなた方がつくった文書にそう書いてあるんだよ。  もう時間が余り私ないんで、大臣に伺いますけれども、少なくとも仮に百歩譲って今の外務省のような解釈したところで、日本側がアメリカに、公訴前に逮捕したい、身柄を引き渡してほしいと要請することは、これは地位協定のどこを見たってそんなことは禁止しているわけじゃありません。だから、八日に逮捕状を持ってアメリカ軍に逮捕同意を求めたわけでしょう。だったら、日米合同委員会だってある、二十日過ぎには日米安保協議委員会だってありますでしょう。こういうところで、いつ公訴するかわかりませんが、公訴前にも身柄を引き渡してほしいと言うのが日本政府としての、被害に遭った少女に対する、あるいは先ほど言いました復帰してからだって四千六百七十五件犯罪が起こっている、この沖縄県民に対するあるいは国民に対する責任だと私は思う。そうでなきゃどうして国民の安全を守れるんですか。  私は、アメリカがどうあろうとその要請もしないというのでは、これは少なくとも政府としての責任を果たしていないと言わざるを得ないと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  187. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 沖縄県の警察においては逮捕について米軍側に同意を求めたわけでございますが、これは所定の規定によって拒否された。そこで、私どもとしては、この憎むべき犯人を公訴するまで断じて捜査を行い徹底した追及を行うということで、毎日、基地から憲兵隊の連行によって署に来させて、そこで捜査を続けているわけでございます。  先ほどもお答えをいたしましたように、今月いっぱいには何とか起訴まで持ってまいりまして、所定の手続によって裁判できちっと答えを出していく、そのために全力を尽くすように私どもからも指示をいたしております。
  188. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 ともかく逮捕状は有効なわけですから、引き続き身柄を要求し続ける、こういう態度をとることが、安保だって米軍基地だってあしたなくなるわけじゃないんですから、ずっと残るんですから、毎年何十件という犯罪が起こっているんですから、少なくともそういう強い姿勢を大臣であるなら示すことが私は大事だと思う。だから、身柄引き渡しを要求し続ける、それはどうなんでしょうか。
  189. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) ただいま申し上げましたことで、捜査に支障のない限り徹底捜査を続けさせて、先ほど起訴と申しましたが、事件送致を今月中に行うという手順をとっていきたいと思います。その間に、ただいまのような捜査に極めて不都合が起こるような場合がございましたら、それは国家公安委員長として政府とも相談いたしながら何らかの方法をとっていきたいと思っております。
  190. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 なかなか身柄引き渡しを要求し続けるとおっしゃらないんですけれども、そういう屈辱的な姿勢をとっているからいわばアメリカになめられるんですよ。  だから、私は今の大臣の答弁に納得しませんけれども、時間がもうありませんから次の問題に移りたいと思うんですが、ともかく米軍基地は現にあるんですよ、安保もあるし。この事件で本当にこういう悲惨な事件はもう最後にするというなら、今外務省がやっておるように綱紀の粛正だとか遺憾の意を表明するだとか、こんなことはもう幾ら申し入れたって、今までだって何回もやってきたんだから、しかしちっとも犯罪はなくなってない。この姿勢を改めない限り、こういう事件の再発をあなた方が幾ら防止しようと言ったって絶対なくならないということを私申し上げておきたいと思うんです。  次に、官官接待問題について伺いたいと思うんです。  先ほども大臣から、自治大臣談話を出した、事務次官名で各都道府県知事に通達も出しましたという御報告がありました。しかしこれも一緒で、こんなもの幾ら出したってなくならないですよ。だって、朝日新聞のインタビューで行政局長何と答えていますか。今までも通達は何度も出ていた、しかし一向にこういうことはなくならない、今度の通達は効果あるんですかと聞かれて、まあ、ううんと言った後、総務庁に聞いてくださいと言っているんだから。通達出している自治省行政局長が、この通達の効果について総務庁に聞いてくれと、これは朝日新聞にそう載っていましたね。そんなことで官官接待、こういったぐいをなくすることなんか絶対私はできないと思うんです。  もしこういう通達が本当に守られるんであるなら、例えば一九七九年、昭和、五十四年、鉄建公団不正経理事件があって、それを機に官房長等会議が行われて、官庁間の接待をやめましょう、贈り物をやめましょうという申し合わせが行われたでしょう。一九七九年のこれは守られなかったけれども一九九五年の通達は守られると、そんな保証がどこにあるんですか。  簡単でいいよ、朝日新聞のインタビューの経過でもいいから。
  191. 松本英昭

    説明員松本英昭君) ただいまの昭和五十四年の官房長会議の申し合わせの件につきましても、現在、各地方公共団体に対しまして各ブロック別に公務員関係の会議を開いておりますが、その際に人事課長そして市町村を指導いたします地方課長に対しましてお示しをして、この通達を基本としていただくように指導をいたしているところでございます。
  192. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 だから、今皆さんにも資料をお配りしましたけれども、別にこれは自治省だけが特別悪いというので特別に出したわけじゃございません。しかし、和歌山県東京事務所東京のフロンティア推進本部と宮城県のごく一部ですよ。それだけでもこれだけある、九三年度。和歌山県が四十一回、約四百五十万円、宮城県が五回で約百四十万円、東京フロンティア推進本部が二回で約五十万円、合わせて四十八回、六百四十万円と。一週間に一回ですよ。四十七都道府県あるでしょう。こんな調子で接待を受けていたら、僕は自治省は四百人ちょっとしか職員いないのによく体がもったものだと思うぐらいですよ。しかも、この資料を見ていただいたらわかりますけれども、必要な情報交換などという弁明はきかないですよ。  一ページ目、九三年五月十四日、二つあるでしょう、五月十四日、人数四人。二次会じゃないですか、これ。その下、五月二十四日、三回、これは人数一緒、三次会まで頑張っている。六月三日、二次会、十一月十五日も二次会、九四年二月九日も二次会と。これはそういうふうに見ざるを得ないですね。こういうことを自治省はやっているんですよ。官官接待というのは接待する側だけじゃなくて、される側だって問題なんだから。  じゃ、一体だれがいつ何のために接待を受けたのか、自治省つかんでいますか、このそれぞれについて、だれがやったのか。
  193. 二橋正弘

    説明員(二橋正弘君) 情報公開によりまして開示されました食糧費に関します公文書で、ただいまのような和歌山県の例のような、自治省というふうに表示されたものがあるということは私ども一部承知いたしております。こういうケースについて私どもの方としてはできるだけその事実関係を把握したいということで調べておりますが、この九三年当時の話はもう二年以上たっているわけでございまして、その間、職員の異動等もございまして、すべての事実を私どもで把握するということはできておりません。一部ここにございますように会食をしたという事実はあったということを把握できたものはございますが、全部についてだれがどこでどういうふうにということまで私どもで全部把握できるわけではございません。
  194. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 それじゃだめなんですよ。だから幾ら通達出したり談話出したり申し入れされたって、一向にこの種のことがなくならないんです。  宮城県の県知事さんが「食糧費問題に関する所感」というのを発表されています。これを見ますと、通達を出せなんて言ってないんです。どうおっしゃっているかというと、再発防止には実態がどうなっているか徹底的に調査することが絶対の条件だと。実態把握して、必要なら処分だってすると。別に何も処分しろと言っているんじゃないですよ。少なくとも、何のためにだれがどういう接待を受けたのかわからずに節度あると言ったって、節度の基準がわからないじゃないですか。だから、宮城県知事はまず実態調査が絶対の条件だということをおっしゃっている。しかもこれは、その接待を受けた方が特別悪いとか、そんなことを言っているんじゃないんです。ミスでも何でもないですよ。宮城県知事はおっしゃっています、システム、組織がそういう「あしき慣習」に染まっていたと。先ほど江藤総務庁長官がおっしゃった、そのとおりです。ここにメスを入れなきゃこの種のたぐいのことは絶対になくならないと。私はなかなかこの宮城県知事のおっしゃっていることは的を射ていると思うんです。    〔委員長退席、理事大木浩君着席〕  ですから、もし本当にこういうことをなくそうというなら、一片の通達で済ませちゃだめですよ。何せ九三年とわずか二年前じゃないですか。しかもちゃんとデータだって出ているんですから。わからなければ和歌山県の東京事務所に行きなさい。全部わかりますよ、だれか。直ちにわかります、こんなものは和歌山県に行けば。調査をして、そしてこうだったと。自治省の足元でこうでしたということを国民皆さんの前に堂々と言ってこそ、自治省も改めます、でも各自治体も改めてくださいというので通達が生きるんじゃないですか。そういう御決意があるでしょうか。最後に大臣にお伺いしたいと思います。
  195. 松本英昭

    説明員松本英昭君) ただいま委員指摘のように、まず自治省におきましても大臣が異例の談話を出されまして、国民の信頼にこたえる行政の厳正かつ的確な遂行に徹するように、厳しい御指示があったわけでございます。それを受けまして、私ども地方団体に対して通達を出した次第でございます。
  196. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 大臣
  197. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 一片の通達で事が解決するかというそういう御指摘については、そう簡単に事は進まないと思っています。しかし、そういうことを繰り返して、みずからが厳粛な思いで綱紀粛正に当たるというこの姿勢が、やがては積み重ねによって結果的にはよい方向に行くと私は思っています。  自治省についての官官接待の細かいことについてまで一々大臣が申し入れることはいたしておりませんが、逸脱したような行為があった場合には事務方においてきちんとやってくれと、それに対する対応はどなたからも後ろ指を指されないような形にしてくれということは厳しく申し入れてあります。  いずれにいたしましても、すべての省庁を挙げて、行政運営というのは税金によって賄われているんだから、いやしくもそれがむだに使われているという疑念が持たれないように、行政や政治の信頼を回復するために全力でお互い努力していきたいと思っております。
  198. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 総務庁長官、せっかく来ていただいたのに質問できなくて申しわけありませんでした。  終わります。
  199. 国井正幸

    国井正幸君 新緑風会の国井正幸でございます。  これまで地方の時代というふうに言われ、あるいは地方分権ということが叫ばれて久しいわけでございますけれども、この間、政府においてもさまざまな取り組みがなされてきたところでございますし、そうした関係各位に深く敬意を表するところでございます。しかし、地方分権への取り組みはまだようやく緒についた、こういう段階ではないかというふうに認識をいたしておるところでございます。  そこで、まず自治大臣にお伺いをいたしたいというふうに思いますけれども地方自治体等を所管する自治省として地方分権推進に対する基本的な認識、これらについてどのようにお考えになっておるか、基本的な考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  200. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 国民の一番身近な行政に関してはできるだけ地方自治体地方公共団体に仕事を任せていく、これは今日の地方分権の最大の主張であろうと思います。そのために地方分権推進法という法律もできまして、今推進委員会が開かれているわけであります。私は、当面、何が国がなすべき仕事か、地方公共団体はどういう部分を担当するか、そのすみ分けから明白にさせていただくように、慎重な審議を進めていただきたいというふうに思っております。  同時に、仕事を分ければいいということではありませんで、それに対する財政的な裏づけについてもあわせて検討していただかなければなりません。五年ということでありますから、できる限り早く着実な審議が進むように私からもお願いをしたいと思っております。
  201. 国井正幸

    国井正幸君 総務庁長官も御同席でございますので、行政改革推進する立場ということもございますし、中央省庁行政改革との関連でいわゆる地方分権に対してどのようなお考えを持っているか、長官のお考えもあわせてお聞かせをいただきたいというふうに思うんです。
  202. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 地方分権というのは、言われて久しいがなかなか実現をしない。一体、地方分権と言うときに、ただ地方権限といわゆる財源だけ与えでいいのかどうか。  私は、当然最後には中央省庁のいわゆる統廃合ということも一応やっぱり政治の大きな議題になると思っております。そのときに、例えば地方に行きますと、人口千人か千五百人のところに村長がおって助役がおって収入役がおって総務課長がおってというのがずっとあるというんですね。そういうところに一体、地方分権と言ってもやれるのかどうか。  したがって、これはやっぱり広域合併などということもあわせ考えながら受け皿づくりをしっかりしていかないというと、これは言葉倒れになっていくおそれがある。したがって、いわゆる地方分権内容、その進め方、それからその受け皿づくり、どういうふうにしたらいいかということを今懸命に検討を進めておるところでございます。
  203. 国井正幸

    国井正幸君 この地方分権の流れというのはぜひ全体で協力をしながら進めてほしいというふうに思います。  そこで、地方分権の一つの試みということになるんでしょうか、昨年の六月、地方自治法が改正されまして中核市制度が創設をされたわけでございます。先日、八月の二十九日というふうに記憶をいたしておるところでございますが、私の選挙区でもあります宇都宮市を初め十二の市が中核市に内定をした、こういうふうに聞き及んでおるところでございます。  中核市制度の実施に伴い最も期待できることというのは何なのだろうか、この辺について一つはお聞かせをいただきたいし、また来年の四月から実施ということになるんでしょうけれども、指定までの今後のスケジュール等についてお聞かせをいただければと思っております。
  204. 松本英昭

    説明員松本英昭君) それでは、大臣お答えになります前に、私の方からスケジュールについて先に御説明をさせていただきたいと思います。  来年四月一日から中核市に指定されることを希望いたしております市は十二市ございます。今委員指摘の宇都宮市も入れまして十二市でございます。これらにつきましては、ただいま御指摘のように、去る八月末に事務的に手続を進めていただいていいのではないかということを御通知申し上げた次第でございます。  各市におかれましては、それに基づいて現在、市の議会において中核市になるかどうかの御審議をいただき、もう議決をいただいておるところもございますし、現在審議中のところもあろうかと思います。さらに、その上に都道府県議会の議決を経て、そして改めて国の方に届け出、申し出がなされることになります。  その後、恐らく今年じゅう、十二月になろうかと思いますが、政令でもってこの十二市については指定をいたしたいというように考えております。そして、三カ月の余裕を見て四月一日から中核市として新しい制度に移行していただく、こういうスケジュールを今描いているところでございます。
  205. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 中核市制度は、規模能力が比較的大きくて、そういう都市で事務権限を強化して、できる限り住民の身近な問題を処理していただこうというようなことから創設することにいたしまして、さきに十二の地域を指定したわけであります。  中核市に指定されますと、例えば住民にかかわりの深い町づくりだとか福祉・保健衛生等に関する事務権限都道府県から移譲されてまいります。それらの関連する事務とあわせてみずから処理をするということになりますから、その結果としては都道府県が行う以上に住民に対して実情に即したサービスができるものと心得ております。  地方分権を進めていく上で、地方公共団体が身近な住民のニーズに細やかにこたえていくということで、特色のある魅力のある地域というものが生まれてくるわけでございます。そういう意味では、この中核市制度というのは有効な具体的な方法の一つであろうと、そのように考えております。
  206. 国井正幸

    国井正幸君 今、期待する内容等について御説明いただいたわけでございますが、都道府県から中核市に移管される部分として、大きく民生行政に関する事務、あるいは保健衛生行政に関する事務、あるいは都市計画等に関する事務、環境保全行政に関する事務と、こうあるわけでございますけれども、中核市への業務の移管に伴いまして、これからそういう業務を執行するのは中核市がやるわけですよね。例えば保健所なんというものはこれまで県がやっておったけれども、その中核市でやる。  こういうふうなことになるわけでございますけれども、そうした場合の移管する方、いわゆる都道府県都道府県というか、ここで言うと府県でしょうか、この十二市が含まれているのは大阪府を含めてあとは十一の県です。その場合、当然その業務を執行するわけですから、中核市の定数は一般論として考えてふえるんではないか。しかし、またもう一方では、業務を外へ出してしまった府県は定数が減るんではないか、減らしてしかるべきだというふうに私は思うわけなんです。いわゆる地方自治体行政改革、これは聞く話によりますと、自治省の所管の部分かなと。地方自治体のいわゆる行政改革、その観点から見て、この中核市が創設をされて、中核市が新たな業務を始めて都道府県からそちらへ移管される。移管する方と始まる方、執行する方、この辺の定数の問題についてはどういうふうに考えていますか。
  207. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 国井委員指摘のように、仕事が移管されてその分の人数というものは当然中核市の方にふえるわけでありますから、移行した後はその分は減員するというのは基本的な考え方だというふうに私は思って、それは今日の厳しい地方財政の状況を考えてもむしろそのように進めていくべきだというふうに考えております。  地方公務員の定員の管理については、自治省としましては、その適正化についての指針を打ち出しまして、それに基づいて地方公共団体行政改革推進していくように要請をしているところでございます。  これからもそういう立場で、事務が移管した、そちらには人数がふえたが、もとの人数ももとのままであるなどということになっては、それは厳しい財政事情を考えて全く不自然でありますから、適切に処理してもらうようにきちっとさせていきたいというふうに思っております。
  208. 国井正幸

    国井正幸君 ぜひそういう観点で、余り屋上屋を重ねることがないように、これらについては十分留意をしていただきたいというふうに思います。  関連をして総務庁にお伺いをしたいというふうに思うのですが、いわゆる中核市が十二ふえるわけですね。そうすると、言うなら中央省庁からすると、四十その都道府県のほかに現在の政令指定都市があって、さらにそこに十二ふえる。そういう意味では相手をするところが余計ふえるわけですね。そういう意味で、中央省庁としては業務が大変になったんだからということで定数がふえるなんていうことはどうなんでしょうか、この辺は。ちょっとお伺いしたいと思います。
  209. 陶山晧

    説明員(陶山晧君) お尋ねのございました中核市制度、これの施行に伴う業務につきましては、私どもとしては基本的にトータルとして国の事務事業が新たに増加するわけではないというふうに考えております。  いずれにしろ、各省庁におきましては、行政改革の趣旨を踏まえまして、人員の増を来すことがないように合理的、効率的な運用が行われるものというふうに理解をいたしております。  ちなみに、この中核市制度の施行につきましてはかねてから予定されていたところでございますが、現在、来年度の機構、定員に関して各省庁からの御要求をいただいてその審査作業をしているところでございますが、この中核市制度施行に係る機構とか定員の要求は各省庁からは全くございません。
  210. 国井正幸

    国井正幸君 それでは、視点を変えて御質問させていただきたいと思います。実は、銃器の問題についてもお伺いをしようと思っておったんですが、午前中にこの問題はあったので、別の問題にしたいというふうに思うんです。  一つは、運転免許制度についてお伺いをいたしたいというふうに思っております。  我が国はとかく諸外国に比べていろんな意味で生活をしていく上で社会的なコストが非常に高い、こういうふうに言われております。いかにしてコストを下げるかということは国民生活向上させるためにも大変これは重要なことであるわけでございます。  運転免許を取る方法というのはいろいろあるようでございます。自分で行って試験を受けて取るという方法もあるようですが、交通安全白書なんかを見ますと、技能試験が免除されるいわゆる指定自動車教習所に行って免許を取るという人は新規の免許取得者のおよそれ五%を占めている。だから、大部分の人はこの公安委員会指定の指定自動車教習所に行って免許を取るということになっているわけでございます。この方法で免許を取得しようとすると大体三十万円ぐらいかかるんではないか、こういうふうに言われているところでございますけれども、これらについてはどのくらい費用がかかっているというふうに把握をしていますでしょうか、お伺いをしたいというふうに思います。
  211. 田中節夫

    説明員(田中節夫君) ただいま委員指摘の指定自動車教習所の普通自動車の教習を例にとってみますと、教習料金というのは、御承知のとおりこれは自由料金といいますか、届け出とか認可というような対象ではございません。したがいまして、全国で地域によって非常に区々でございますが、一番安いところでは十六万をちょっと超えるぐらいのところ、それから高いところでは三十五万ぐらいのところもございます。平均いたしますと約二十二万円ぐらいではないかというふうに私ども把握しておるところでございます。
  212. 国井正幸

    国井正幸君 自動車教習所の料金は大体どういうふうに推移しているんでしょうか。ほとんど変わらないというのか、相当上がってきているというふうに把握をされているのか、その辺の傾向値をどういうふうにとらえているか。  それから、今ちょっとありましたけれども教習料金ですね、これの設定されている基準、そういうものがあるのかないのか、全く自由なのかどうなのか、その辺お聞かせをいただきたいと思います。
  213. 田中節夫

    説明員(田中節夫君) 普通自動車の教習料金の基準というものは、特別私どもから料金設定の基準を定めているものはございませんけれども、この基本となりますものは教習カリキュラムの時限であろうというふうに思っております。  この教習カリキュラムの時限につきましては、昨年の五月に改正をいたしております。その際に、普通自動車の例でございますけれども、従前のカリキュラムの時限数よりも技能あるいは学科ともにふえております。そういうことで、技能教習のカリキュラムの時限がふえたということがその教習料金の上昇するところの一つの原因ではないかというふうに思っておりますが、一般的には人件費とか物価とかの値上がり、そういうものが基本的な原因ではなかろうかというふうに思っております。
  214. 国井正幸

    国井正幸君 今お話しありましたように、私もいろいろ聞いてみると、どうしてもやっぱり値上げというんでしょうか、免許を取るための経費がどんどん上がってきている、こういう傾向にあるというふうに認識をいたしておるところでございます。  そこで、今もお話しありましたとおり、指定自動車教習所における教習時間数の推移というものを見ると、昭和三十五年には技能関係で二十時間、それから学科で二十五時間であったわけです。これが、昭和四十七年に一時限というものを六十分から五十分にして一時限にした、こういうふうなことはあるわけでございますけれども、さらに昨年の改正で、技能教習でマニュアル車については三十五年に二十時間だったのが三十四時限になったわけですね。それからオートマチックで三十一時限。そして、学科は三十五年に二十五時間だったのが今三十四時限になっている。  一向に交通事故が減らない、特に死者数が毎年一万人を超えているという状況を考えると、これについては全くわからないというわけでは決してないわけですが、それにしても教習時間数をふやせば料金が上がる、こういうふうなことになってくるわけですね。社会的なコストをいかにして低減させるか、そういう観点からすると、安全に、その上にもっと安全にと、こういうことはわからないわけではないんですが、やっぱり問題もちょっと残しているんではないかというふうに思うんですね。その辺はどういうふうに考えているかお聞かせをいただきたい。
  215. 田中節夫

    説明員(田中節夫君) ただいま御指摘のように、指定自動車教習所のカリキュラムにつきましては、道路交通の情勢その他を見ましていろいろ改正を重ねてきているところでございます。特に昨年の改正におきましては、かねてから教習カリキュラムが運転操作、技能偏重であるというような御指摘もございました。また、今申し上げましたように交通情勢が大きく変わっておりますので、その抜本的な改正をして安全運転意識を身につけて、より安全な運転行動がとれる運転者の養成を目指して見直しが必要であるという御指摘がございました。それで、有識者の御意見等も踏まえて改正をしたところでございます。  その際、今委員からも御指摘がございましたけれども、改正の際の我々の考えからいたしますと、必ずしも必要ではないとされる教習項目、これにつきましてはこれをスクラップいたしました。また、国会等でも御議論いただきまして、ぜひ含めるべきではないかというように御指摘を賜りました高速道路教習あるいは危険予測教習、さらには応急救護関係の教習、こういうものにつきましては新たな項目として加えることとしたものでございます。その結果、従前のカリキュラムの時間数よりふえたということでございます。  しかしながら、今お話しのように、新規運転免許取得者のそのほとんどが指定自動車教習所卒業生であり、初心運転者の養成に大変重要な役割をしておる指定自動車教習所でございますので、私どもといたしましてはその教習カリキュラムの内容につきましては非常に意を用いているところでございます。今委員がお話しのような観点でも私どもは見直しを加えて今回の改正をしたということでございますので、必要な項目に絞った最小限の内容のものというふうに考えておりますので、ぜひとも御理解を賜りたいというふうに存じます。
  216. 国井正幸

    国井正幸君 時間がなくなりましたので、最後の質問にさせていただきたいというふうに思うんです。  実は運転免許の新規取得者の数というのが減少傾向にあるわけです。これは幼稚園から含めてそうなんでしょうけれども、やはり少子化の現象ということの影響もあるだろうというふうに思うんです。指定自動車教習所の経営もだんだん厳しくなってきている、こういうふうな話も実は聞くわけでございまして、業界の中では、いわゆる新しく取ろうとするお客さんが減ってくることで大変厳しくなってきている。これをよもや客単価を上げる、つまり内容充実したということにすりかえて、それでもって金額を上げて経営を維持しようなんということがあってはならないというふうに私は思うんです。たまたま関係者の中でそんなことを、やっぱり厳しくなってきているがゆえに、これから教習内容充実等を図っていかなけりゃならないなんということを言う経営者の人もいないわけではないんです。  この辺については、もうこれ以上社会的なコストを上げないという観点で、これからますます少子化の状況というのは来るわけですから、新規取得者が減ってくるわけですから、この辺については上げないような指導をしていくという考え方を持っているのかどうなのか、できれば国家公安委員長の決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  217. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 教習所が安全運転の本当に基本的なものをお教えして十分な成果を上げるように、そのカリキュラムを含めた内容充実していくことは当然のことであります。あわせて料金が社会的に極めて理屈の通ったものであるかどうか、これはやはり適切な指導は必要だろうというふうに思っております。
  218. 国井正幸

    国井正幸君 ありがとうございました。
  219. 水野誠一

    ○水野誠一君 新党さきがけの水野でございます。  自治大臣に、参議院選挙に絡んで選挙制度についてお尋ねをしたいと思います。  今回の参議院選挙は、御承知のように、四四・五%という史上最低の投票率であったと言われております。国政選挙で投票率が五割を割ったのは初めてのことだということもございますし、また、過去十六回の参議院選の平均投票率が六三・八%であったということを考えますと、二〇%近く投票率が下がっているということで、議会制民主主義の危機と言える状況であったというふうに考えます。もちろん、投票率が低かった原因の中には、魅力ある選択肢を用意できなかった我々政治家、候補者も含めてでございますが、政治家と政党の責任であり、有権者の政治不信がそこにあるということが言えると思います。  しかし、その政治不信に陥った有権者に、単に棄権という形でそれをあらわすのではなく、本来であれば白票という形であっても投票だけはしっかりしていただきたいということは言えるわけですが、一方では、無党派層というような表現を使ってそれをあおったマスコミの中にも私は責任があるのではないかというふうに思っております。  百人中五十五人が棄権するということで国政の方向が決まったということでありますから、本当の意味で民意を十分反映したとは言えない選挙であったというふうに反省しなければいけない。絶対投票率で見てみますと、例えば東京地方区の最下位当選者というのはわずか四・六%の支持しか得ていない。つまり二十一人に一人の支持で議席を得たというような状況がそれを物語っているというふうに思います。  参議院選挙後、投票率をどうしたら上げられるかという議論がいろいろあるわけであります。例えば、投票を義務づけるべきではないか、つまりいわゆる強制投票制度なども議論されていますが、参政権というものを権利と見るか義務と見るかというような憲法の解釈の問題でもありまして、これは軽々に結論を出すべきではないというふうに思います。  また、投票日の日曜日、世界でも日曜日を投票日にしている国というのは非常に限られているというふうに聞いておりますが、これを平日に変える案というのもあるようでございます。これは過去に実際に実験をされたようでありますが、その結果を見ても、簡単にその是非を判断できないということが言えると思います。  そこで、投票日を二日間にする、あるいは投票時間を夜遅くまで、八時から九時ぐらいまで延長するという案が出てきているわけであります。確かに今国民のライフスタイルが夜型になっていること、あるいは週休二日制の定着て週末に外出あるいは旅行に出る人がふえているということを見ても、とりわけ都市部においてはすぐにでもこれは実施すべき案ではないかというふうに考えております。  いずれにせよ、将来的には有権者名簿をコンピューター化するあるいはオンライン化するというようなことによって投票しやすい環境を整備していくということは可能なわけでありますが、これについても、すぐにはできないまでも、ぜひともその研究開発に着手をお願いしたいというふうに思っております。  投票率が低いというのは特に二十代、三十代の若い世代の人たちに多いというふうに言われています。この世代の人たち関心を増大させるような選挙啓発活動というものが果たして行われているかということを見ますと、自治省主導の現在行われていますいろいろなキャンペーン、これは御案内のように新聞広告、ポスター、パンフレットというようなメディアが活用されているわけでありますが、どうも手法が古いのではないか。つまり、今の若者たちに訴えかける手法ではないのではないだろうかという感じがするわけであります。  先ほども質問の中にもありましたが、マルチメディアというようなものも使った、あるいはマーケティング手法も入れながら、専門家の助言を求めて若い世代を対象にした啓蒙活動、キャンペーンというものをぜひお考えをいただきたいというふうに思っています。その辺につきまして質問のまず第一とさせていただきたいわけでございます。  それに加えまして、現在公職選挙法で行われる選挙活動というもの、これも御案内のとおり政見放送、あるいはポスターの公営掲示板への掲示、あるいは選挙カー、宣伝カーによる連呼、街頭演説、ビラの配布、はがき、個人演説会ということに限られているわけであります。  しかし、今回の参議院選挙のNHKの政見放送の視聴率を見ても、現在のやり方のままでございますとわずか二%ほどであるということにもなります。また、東京で話題になりました掲示板、これは九億円かけて掲示板を一万三千カ所つくったということを聞いておりますが、それに張られたポスターはごく限られた候補者のものだけであった。また、ビラも三十万枚まで使えるということになっていますが、一枚一枚に証紙を張らなければ配れないというように、実は本来金のかからない選挙を実現するという趣旨で考えられているその選挙運動が相当の組織あるいは金がなければできない選挙運動になっているということが言えると思います。  私は、ここでもやはり今の時代に即したマスメディアをもっと中心とした選挙運動あるいはマルチメディアを利用した選挙運動、そういうものが可能になるような選挙のやり方、つまり公職選挙法の見直しも含めた考え方というのが必要になってくるのではないかなというふうに思っております。  そういうことで、一つはこの投票率を上げるための自治省のお考え、そしてもう一つは有権者が選挙しやすい環境を整えていくというための、これは法改正も含めた選挙運動のあり方について、自治大臣のお考えを伺いたいというふうに思います。
  220. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 水野委員の御指摘のように、さきの参議院選挙の結果を踏まえて考えてまいりますと、少なくとも投票に行った方が過半数を割ってしまう、これで一体民主選挙と言えるかどうかということについては大変多くの問題が残っているというふうに認識しています。  お話の中にもありましたように、政治に対して無関心であるということは、一方では政治のありようとか政治家の行動とか、つまり無関心にならざるを得ないような状況があることは否定できないわけでありますから、これらは我々政治家、政党、このような立場の者たちが一層反省しながら、政治が国民と一体であるという、そういう具体的な姿を打ち出していくことは非常に大事なことだと思っております。  しかし一方では、選挙の管理、執行の面を担当している我々といたしましては、選挙のしやすい方法を工夫していくということは大事なことでございますから、さまざまな方策をこれからとっていくように勉強してまいりたいと思っております。  先生御指摘の、例えば投票日の二日制とか平日投票制、これは私どもも検討するように事務方には命じておりますけれども、例えばその場合に、事務専従者が一体確保できるのかとか、学校がうまく使えるのかといったようなさまざまな問題もあるようであります。それは投票時間の延長についても同じことが言えるわけでありますけれども。しかし、あれはだめだこれはだめだと言ってはならないわけですから、そういうさまざまな難しい条件がありますけれども、その中で一体何ができるのか、しっかり答えを求めるために努力をしていきたいというふうに思っております。  また、電子投票制の導入なんかについても御関心をお持ちのようでありますが、実は私自身も電子投票システムの実現化のための議員連盟をみずから組織した立場でございまして、例えばどこの場所からも投票できるといったような、そういう有効な手だてにもなるわけでありますから、ぜひひとつ考えてまいりたいと思うのですが、しかし電子投票システムだけでは費用の面とかその他てがかり過ぎるわけでありますから、これが行政サービスにふだんつながるような、そういう問題とかセキュリティーの問題などなども相当研究しなければならないと思っているわけであります。  たまたまといいましょうか、当面、私ども自治省では、住民サービス向上のための基盤となる住民記録ネットワークシステム、これを構築しようと。これは住民番号制と最初言ったものですから、私は大臣になりましてから、この言葉はよろしくないと。せっかくのサービスが、番号制などと書くとグリーンカードを思い出してどうもまずいのではないかというので、言葉の使い方等についても留意するように注意したわけでございますが、いろんな住民サービスができるわけでありますから、こういうものの開発、構築、それにあわせて電子投票システムの実現などを考えていきたいというふうに思っているわけであります。  お話の中に種々ございましたから、全部お答えできるかどうかわかりませんが、例えばマスメディアを活用したりというのはもう当然でございます。マスコミの白けムード云々の話については、これは私のコメントする立場ではございませんが、逆に、投票に行っていただくような、政治に関心を持っていただくような、そういうマスコミの御協力は仰いでいかなければならないというふうに思っております。  選挙運動の方法につきましていろんな御指摘もございます。マスメディアの活用、公開討論会等々ですね。公開討論会については、昔立会演説会というのがありまして、私たちも大いに口角泡を飛ばしてやったものでありますが、しかし形骸化いたしまして、立候補する人が出るとその応援団がごそっと来て、かわると全員入れかわってしまうというような、そういう問題もありまして、結局議員提案であれはなくなったという経緯もございますから、そこいらのことをよく考えながら検討してまいりたいというふうに思っております。  また、自治省の行う、あるいは関係省庁の行う投票率向上のためのポスターとか、そういうものについてはやはりおっしゃるとおり、若い人たちとか御婦人方の関心を集めるにはまだまだ力不足のような感じがいたします。それらの経験者、識者にお願いをいたしまして、一体どういうようなPRだとか啓蒙活動をやったらいいかについては、大いに勉強してまいりたいと思っておりますので、先生も含め、マスコミ出身の方もおられるようでありますから、大いにひとつ御提言も寄せていただければありがたいと思っております。
  221. 水野誠一

    ○水野誠一君 ありがとうございました。  今の大変力強いお答えをいただきまして、期待ができるということで、大変意を強くしたわけでございます。  もう一つそれに関連して伺いたいことは、一つは不在者投票制度。これは投票率を上げていくためにも非常に重要な制度であるというふうに認識をしております。公職選挙法の四十九条にその原則が規定されているということでありますが、ただ制度が、実際体験をした人間の意見を聞きますと大変やりにくいと。根掘り葉掘りその事由を聞かれる。あるいはどこへ何しに行くかというようなことについても、かなりプライバシー的なことについても聞かれるというようなこともあって、確かに一方では厳格な対応が必要だということもわかるわけでありますが、やはりここについても運用の弾力性というものが必要になっていくのではないかなという感じを持っております。今、在外邦人六十万人の参政権の問題なんかも討議されておりますが、そういうことにあわせまして、この不在者投票のやり方というようなこともぜひ御検討をいただきたい。  それから、高齢化社会になってまいりまして、今現在寝たきり老人が九十万人いるというふうに言われております。これはますます今後ふえ続けるわけでありますが、そういった方々の投票の機会というものが実は今現在はないわけでございます。公職選挙法によりますと、ベッド数が五十を超える老人ホームの入居者は郵便投票が認められているというわけでありますから、在宅の寝たきり老人にもこういった措置が適用される必要があるのではないかというふうにも考えております。  また、重度の身体障害者には自宅や施設での郵便投票が認められているということでありますが、これは自書で、つまり自分の筆で自分の字で書いて投票用紙に記入しなければならないということでは、実際に障害者の方が自筆で書くというのが大変だということもあるようでございます。これも代理人による記入がいいのか、あるいは今盛んに議論されているような記号式か自書式がというような議論もあるようでありますが、ここにおいてもやはりそういった障害者の方にも投票しやすい環境整備ということが必要になるのではないかなというふうに思います。その辺について自治省の御見解を伺わせていただければと思います。
  222. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 選挙の当日に投票に行けない方のために不在者投票制度というのがございます。しかし問題なのは、本人であるかどうかということの確認と、どういうわけでその日にだめなのかという事由を確認するといったような一定の手続を行うというのは、不正を排除したりするという、つまり公正な選挙確保するためには必要なことであります。  ですから、これはどうしても必要でありますが、ただ、窓口の対応の仕方によって随分これは違うと思いますので、その手続について、有権者の立場に立ってわかりやすく御説明するとか、そういうさまざまな配慮や工夫というのは大事でございますから、私どもからも選挙管理委員会によく話をいたしてまいりたいというふうに思っております。  寝たきり老人の問題についても、ぜひそれは有権者として一票を行使していただきたいと、こう思うわけでありますが、まだまだ勉強しなければならない問題がたくさんあるように思います。例えば、どこまでが寝たきり老人というふうに判断をするのかという基準を定めることも必要であります。それから、全国的に同じような取り扱いが可能かという問題もございます。公的な証明方法はどうするのか。小規模な施設において適正な不在者投票事務の管理ができるのか。これらの問題を一つ一つクリアしていかなければならないと思いますので、なお検討を進めていきたい、そう思っております。
  223. 水野誠一

    ○水野誠一君 ありがとうございました。  次に、地方自治体におけるマルチメディアの関連事業について伺いたいと思います。  我が国の産業構造が大きく変わりつつある現在、情報通信の技術の発達が生活に与える影響も大変大きいということはもう御承知のとおりでありますし、地方自治体においても情報化は今後二十一世紀に向けての地域の住民の福祉の向上あるいは地域の活性化に対して重要な役割を果たし得るものというふうに考えております。  このような視点から、郵政省や通産省を初め各省庁が地域の情報化を目指して全国のモデル地域で新しい情報通信メディアを用いた事業を展開してきているわけです。また、先日の日経新聞にも大きく紹介をされておりましたが、都道府県や都市においては住民サービスや地域の振興のためにも最新の情報通信技術を積極的に取り入れる、つまりマルチメディアを取り入れようという動きがあるわけであります。  これは、今手元にあります情報通信年鑑九五年版というのを見ますと、まだまだその時点、つまりこれは平成五年度の資料ではまだ三分の一ほどの自治体ということであったんですが、この新聞記事を見るとその後二年間でかなりの数の自治体、取り組みの数がふえているというようなことでございます。その辺、ここ二年間ぐらいでどれくらい増加をしてきたのかというような問題。  それからもう一つは、このマルチメディアにとって非常に重要なテーマというのは、恐らくいろいろな方式、これはソフト、ハードともにさまざまな方式の違いというのがあるわけでございます。地方自治体行政事務の電算処理化あるいはネットワーク化というようなところで取り入れることだけではなくて、さらに独自の情報サービスを行っていくというようなことを考えていったときに、そういったシステムの問題についても十分自治省指導というものが必要になっていくのではないかというふうに考えます。  地方自治体が今回マルチメディア導入開運事業費ということで九五年度予算だけで総額八百億円を計上しているということでありますが、これは郵政省のマルチメディア関連予算を大きく上回る規模ということになっております。一口にマルチメディアと言ってもいろいろな問題もあるわけでございますし、まだ未知なる部分もあるわけでありますが、よく言われる例えば通産省、郵政省あるいは文部省、厚生省等々、各省庁がそれぞれに行っているマルチメディア事業との連動、こういうことをどうお考えになっていくのかというような問題。  それからもう一つは、各地方自治体が独自性を持っていくということもこれは大変いいことなんですが、片方でシステムがばらばらになってしまうというようなことによって真のネットワークが形成できないような、あるいは二重、三重に同じようなネットワークができる、あるいは同じようなシステムができるというような、こういったむだが発生しないように、そういう配慮が自治省としてなされているのかどうか。  この辺についてお考えを伺わせていただければと思います。
  224. 湊和夫

    説明員(湊和夫君) 何点かにわたってお尋ねがございましたが、最近のニューメディア等を含めた情報通信の取り組みについての進みぐあい、どういうふうに増加してきたかということでございます。  今ちょっと手元に的確にお答えできるデータを持ってございませんが、これまでの地方団体の情報化に対する取り組みといたしましては、一つは行政の情報化といいますか、端的に言えば行政内部の情報化を進める。今までの例で申しますと、税務でございますとか財務会計処理でございますとか、定例的なあるいは大量の事務を処理するという観点からの情報化の取り組みを積極的に進めてきておりまして、この分野に関しましては相当の進展が見られてきておるというふうに考えております。  ただ、最近の情報通信機器の発達が極めて著しいものがございますので、行政の情報化の面でもまた新しい展開が必要だと。政府でもぺーパーレス時代に電子化を図って紙をなくそうという取り組みが既にスタートいたしておりますけれども地方団体にもそういう新しい取り組みがこれからこの面では行われていくというふうに考えております。  それからもう一つ、特に委員がお話しになった点に係る点は、地域の情報化という点かと思います。住民に対するサービスをいろんな形で情報化していく、あるいは地域の産業の情報化を推進する、あるいは地域の情報格差をなくすための取り組みをする、こういう観点からの地域の情報化につきましては、私ども平成二年から指針をお示しいたしまして地方団体の取り組みを促してまいりました。  この点、都道府県あるいは指定都市レベルではもうほとんどの団体が計画をつくりまして、それに基づいた取り組みをいたしておりますが、町村レベルになりますと、私どもの持っている一番新しい昨年度の調査によりますと、まだ一六%ぐらいの町村しか計画を持った取り組みになっていない。もちろん、それ以外の町村でも個々的な取り組みはなされておるかと思いますが、計画を持って総合的に、また地域で主体性を持って取り組むという意味ではまだかなり温度差があるという実情がと思います。  数値の上で的確に御説明できませんけれども、一番目の問題については以上のような状況でございます。  それから、おっしゃられましたように、これからの情報化を展開する場合に大変必要なことは、アプリケーションといいますかいろんな活用、適用を的確にうまくやっていくということでございます。この面でも、とにかく機器の進展が目覚ましいものですから、これまでこれがベストの使い方だと思っていたものが、例えばインターネットのお話についてもそうですけれども、突然新しい分野が開けてくるというような展開が行われておりますので、住民サービスに係る基礎的なもの、例えば図書館のネットワークづくりでございますとか、あるいは一般的に地方団体住民サービスの窓口として取り組む場合のシステムでございますとか、こういった標準化ができるソフトについては積極的に私どもとしても指導に努めでございます。  それから、この点は最後に御指摘になった点と絡むわけでございますけれども、先ほど大臣が申し上げましたように、情報化時代になりますといろんな意味で広域的な住民生活あるいは経済の広がりに対応したネットワークづくりというのは基本的に大変重要でございます。まだまだ先が見えない点が多々ありましてここで断定的に申し上げられませんけれども、そういったネットワークづくりができるだけふくそう化しないような取り組みはこれから私ども勉強してまいりたいと考えております。  それから、各省庁との取り組みの問題がございました。現段階の情報化の取り組みというのは正直申し上げてまだゴールが見えていない、今見えているゴールはどうも仮のゴールだと申し上げていいような状況が続いておりまして、いろんな意味で各省庁、各自治体、トライが必要な時期だなというふうに思っております。その中でも極力各省庁の連携をとりながら、あるいは地方自治体との調整を図りながら、私どもとしても効率的な情報化の推進に努めてまいりたいというふうに考えております。
  225. 水野誠一

    ○水野誠一君 いただいた時間がややオーバーしそうなので、最終質問で広域捜査について伺う予定だったんですが、これはもう既に松村委員あるいは広中委員からも同様の質問がありましたので省略いたしまして、むしろその伺った感想ということでこの質問を終わらせていただきたいと思います。  昨年、平成六年に三十年ぶりに広域捜査を改善するために警察法の改正というのが行われたということでございまして、これはまさにサリン事件を初めオウム真理教事件における広域捜査に非常に適応する法律改正であったというふうに高く評価をするわけであります。  しかし、その法改正が果たして今回十分に機能したのかどうかということを伺っておりますと、どうも初期の捜査のおくれ、あるいは初動捜査の体制の問題等々、やはりいろいろな問題がそこにはあったんではないかというふうに思います。  これはまさに、法にはそれを支えるあるいはそれを生かすシステムが必要であるということでありまして、申し上げるまでもなく、法を運用しまたそれにのっとって活用していくシステムとしての体制が、果たして警察庁としては十分な体制ができていたのかどうかということについて、私はもう一度よく御点検をいただきたいということをお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  226. 大木浩

    理事(大木浩君) 他に御発言もないようですから、自治省警察庁総務庁及び公営企業金融公庫決算審査はこの程度といたします。  次回の委員会は来る二十七日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十一分散会