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国務大臣(
浜本万三君) ただいま
議題となりました
労働者災害補償保険法等の一部を改正する
法律案につきまして、その
提案理由及び
内容の
概要を御説明申し上げます。
労災保険
制度を取り巻く
状況を見ますと、人口の高齢化、核家族化、
女性の就業率の上昇等の社会経済情勢の変化により、家庭で十分な介護を受けることができない重度
被災労働者に対する
支援を大幅に拡充するとともに、世帯人員の減少等の実情にある
被災労働者の遺族について、より一層の
生活の安定を図ることが重要な課題となっております。さらに、我が国
企業の
事業活動の国際化が進展する中で、現地法人の代表者として海外に派遣される者が増加していること、また、我が国の労働
災害は、全体としては減少傾向にあるものの、依然として中小
企業での
災害が多数を占めている
状況にあること等の実情を十分踏まえ、こうした
状況にふさわしい
内容の労災保険
制度に改善していくことが必要となっております。
このような中で、一昨年より、
労働者災害補償保険審議会において、労災保険
制度の改善についての検討が行われてきたところでありますが、昨年十二月にその検討結果が取りまとめられ、今日の社会経済情勢の変化にかんがみ、当面実施すべき
制度の改善について、同審議会より公
労使全員一致による建議をいただきました。
政府といたしましては、この建議を踏まえ、
法律改正を要する部分について改正案を作成し、
労働者災害補償保険審議会その他
関係審議会の審議を経て成案を得ましたので、ここに
労働者災害補償保険法等の一部を改正する
法律案として提案いたした次第であります。
次に、この
法律案の
内容の
概要を御説明申し上げます。
まず、
労働者災害補償保険法の一部改正についてであります。
第一は、年金たる保険給付について、現行では二月、五月、八月及び十一月の年四回支払うこととしておりますが、これを二月、四月、六月、八月、十月及び十二月の年六回支払うこととしたことであります。
第二は、障害補償年金または傷病補償年金を受ける権利を有する重度
被災労働者が、これらの年金の
支給事由となる障害により、常時または随時介護を要する状態にあり、かつ常時または随時介護を受けている場合に、当該
被災労働者の申請に基づき、当該介護に要する費用を考慮して
一定の金銭給付を行うことを
内容とする介護補償給付を創設することとしたことであります。
第三は、遺族補償年金を受けることができる子、孫または兄弟姉妹の範囲について、現行では満十八歳未満の者とされておりますが、これを満十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にある者とするとともに、遺族補償年金の給付額について、現行では五人以上とされている最高給付日数の
支給対象となる遺族数を四人以上とすること等により、その引き上げを行うこととしたことであります。
第四は、労働福祉
事業として、
被災労働者の介護に対する援護を行うことができることを明示することとしたことであります。
第五は、海外で行われる
事業が中小
事業に該当する場合には、
当該事業について
事業主その他
労働者以外の者として派遣される者を、新たに特別加入者の範囲に加えることとしたことであります。
次に、労働保険の保険料の徴収等に関する
法律の一部改正について申し上げます。
第一は、
事業場ごとの
災害率により保険料を増減させるいわゆるメリット
制度について、中小
事業主が
労働者の安全または衛生を確保するために
一定の
措置を講じた場合には、
当該事業主の申告により、現行では最大百分の四十とされている保険料の増減幅を最大百分の四十五とする
特例を創設することとしたことであります。
第二は、労働保険の概算保険料及び確定保険料の申告及び納期限について、現行では保険年度の初日から四十五日以内とされておりますが、これを五十日以内に延長することとしたことであります。
次に、船員保険法等の一部改正につきまして申し上げます。
船員保険
制度においても、労災保険
制度と同様の趣旨から、介護料の創設、遺族年金の給付額の引き上げを行う等の改正を行うこととしたことであります。
以上のほかこの
法律案においては、その附則において以上の改正に伴う経過
措置を定めております。
なお、施行期日は、遺族補償年金の給付額の引き上げ、労働福祉
事業の改善寺及び船員保険の遺族年金給付額の引き上げにつきましては平成七年八月一日、年金の支払い期月の改善につきましては平成八年十月一日、
特例メリット
制度の創設につきましては平成九年三月三十一日、労働保険料の申告及び納期限の延長につきましては平成九年四月一日、その他の改正事項につきましては平成八年四月一日としております。
以上が、この
法律案の
提案理由及びその
内容の
概要であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
以上でございます。