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古川太三郎君 今まさにそういった方たちの救済制度というのはしっかりしていないわけですね。これは事実なんです。しかし、やはりそういう善意の行動をこれは国家的に援助するというのが働く人たちの倫理性を高める
意味でも非常に重要なことだと私は思うんで、その空白部分を早く
労働省が
考えて、これは厚生省と一緒に
考えていただいても結構なんですけれども、そういった面での保険制度を確立していただきたい。
こういう保険をだれが掛けるかとかというのはいろいろ問題になろうと思いますけれども、そういうボランティア活動が
本当に有意義だったということになれば自治体もそういう
意味での協力は惜しまないと思うんで、そういう
意味での救済をぜひとも早く
考えていただきたい、こう思っております。
さらに、この
地震というだけじゃなくて、今まで労災の認定を受ける場合に、業務遂行性とそれから業務起因性というんですか、この二つの要件が必要だというように言われておりますけれども、こういう震災のときなんかは特に業務起因性については余りその要件を問うてない、緩和していると。むしろ、業務遂行中という部分だけを非常に大きくとらえて救済を図っていられる。九三年の北海道の南西沖
地震でもそういう適用をされておりますし、また七四年の伊豆半島沖の
地震でもそういう適用をされている。今度またそのような適用をされるということでございます。これは非常にありがたいことなんで、私としてはその方向性はいいと思うんです。
しかし、
労働省が先ごろ一月三十日に事務
連絡第四号ということで、都道
府県労働基準局労災主務課長あてで労働基準局補償課長が文書を出されておりますけれども、これをちょっと読んでみて非常に奇異に
感じるんですね。
というのは、「
被災労働者が、作業方法、作業環境、事業場
施設の
状況等からみて危険環境下にあることにより
被災したものと認められる場合には、業務上の災害として取り扱っている」と。それはいいんですけれども、その二ページ目に「今回の
地震による
被災者及び遺族から労災保険給付に係る
相談等があった場合にはこ「業務災害あるいは通勤災害となるケースを挙げながら適切に
説明し、
地震災害は業務災害あるいは通勤災害とは認められないとの誤解を与えることのないようにするとともに、個々の事案の業務上外等の判断については、請求書が提出された後に行うものであることを併せて
説明」しろと。
とにかく
相談に来られれば大丈夫ですよという、あやふやととれるような文章なんですね。そういう
相談をしておきながら、後でその請求書がきっちり出されてからもう一遍判断しましょうという趣旨にとれるんです。これは
いかにも
労働省自身が非常に自信のない態度と、こう見てもいいんじゃな
いかなと思うんです。本来ならば、きっちりこれに適用されるのならば、すかっとした基準というのがあっていいはずなんです。それがいまだにそういう基準がないだけに非常に自信がなくしかし最後には救済しますよというような
感じを受けるということが一つ。
いま一つは、大きな災害であるならば、これはこのような形で救済するけれども、小さい災害になった場合にはそういったものは排除していこうという態度が何か見え隠れしている、これはそう
考えるのもちょっとうがった見方かもしれませんけれども、しかしそういうふうに
考えられないことはないんですね。
それは何かといえば、そういう業務起因性ということについての厳格な要件、これがあるんじゃな
いかなという気がするんですけれども、そこら辺の明確な基準というのは一体どういうことなんですか。一般の人にわかるような基準というもののつくり方ですね。
午前中の議論にありました過労死、こういったものについてのそういう明確な基準があればだんだんわかりやすくはなるんですけれども、こういう震災の場合に大きい震災は適用するけれども小さい震災は知りませんよと言われるのか、その危険な場所というのが一体どういう概念に入ってくるのか。私、そこら辺が法律をやった者としても非常に難しい、これは一般の人ならなおわからないだろう、こう思っているんです。
行政がそのときそのときの場面によって基準が動くということであっては平等の原則に反しますし、これは法律としての適用から非常にまずくなってくる、法律の適用である以上はきちっとした明確な基準がないといけない、こういう
気持ちでおるんですが、そのあたりの関連性をいま一度明確にお答えいただけますか。